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1965/03/08 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 決算委員会 第7号
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1965/03/08 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 決算委員会 第7号

#1
第051回国会 決算委員会 第7号
昭和四十一年三月八日(火曜日)
   午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 吉川 久衛君
   理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君
   理事 壽原 正一君 理事 田中 彰治君
   理事 堀川 恭平君 理事 勝澤 芳雄君
   理事 田原 春次君 理事 山田 長司君
      神近 市子君    栗原 俊夫君
      中村 重光君    華山 親義君
      吉田 賢一君
 出席政府委員
        内閣法制局参事
        官
        (第一部長)  関  道雄君
        文部政務次官  中野 文門君
        文部事務官
        (大臣官房会計
        課長)     岩間英太郎君
        文部事務官
        (文化財保護委
        員会事務局長) 村山 松雄君
        建設事務官
        (都市局長)  竹内 藤男君
        建 設 技 官
        (営繕局長)  小場 晴夫君
 委員外の出席者
        衆議院事務総長 久保田義麿君
        衆議院参事
        (庶務部長)  大久保 孟君
        裁判官弾劾裁判
        所参事
        (事務局長)  内田 喜一君
        裁判官訴追委員
        会参事
        (事務局長)  中川  衞君
        国立国会図書館
        長       河野 義克君
        大蔵事務官
        (大臣官房財務
        調査官)    磯江 重泰君
        文部事務官
        (調査局宗務課
        長)      萬波  教君
        会計検査院事務
        官
        (第一局長)  保川  遜君
        会計検査院事務
        官
        (第二局長)  樺山 糾夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算
 昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算
 昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和三十九年度政府関係機関決算書
 昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和三十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (国会所管、文部省所管)
     ――――◇―――――
#2
○吉川委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十九年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、まず国会所管決算について審査を行ないます。順次各当局から概要説明を求めます。
 まず、衆議院当局の説明を求めます。久保田事務総長。
#3
○久保田事務総長 昭和三十九年度衆議院関係歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。
 まず、歳入につきましては、歳入予算額七千百二十九万円に対し、収納済み歳入額は七千百九十八万三千六百六十四円であり、差し引き六十九万三千六百六十四円の増加となっております。
 次に、歳出について申し上げます。
 当初の歳出予算額は五十九億四千九百七十七万一千円でありまして、これに、給与を改善するための予算補正追加額三億六千三百九十七万八千円、代替庁舎等取得のため大蔵省所管から移しかえを受けた額二億八千百十八万七千円、国会の会期延長、臨時国会開会等のための予備費使用額三億九百九十三万四千円を加え、既定経費の節約に伴う予算補正修正減少額三千四百三十万円を差し引きますと、歳出予算現額は六十八億七千五十七万円となります。
 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は六十二億七千二百九十七万四百九十円でありまして、その内訳は、国会の運営に要した経費五十二億七千九十万三千六百二十三円、衆議院営繕工事に要した経費九億九千五百六万六千八百六十七円、国会予備金の使用額七百万円であります。
 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は五億九千七百五十九万九千五百十円となっておりますが、このうち、翌年度に繰り越した額は二億八千七百二十万九千三百円であり、不用額は三億千三十九万二百十円であります。
 翌年度繰り越し額のおもなものは、代替庁舎等の取得費であり、不用額のおもなものは、議員歳費でありまして、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案の修正議決により、議員歳費を要することが少なかったことなどにより、不用となったものであります。
 以上が、昭和三十九年度衆議院関係の歳入歳出決算の概要でございます。
 何とぞ、よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#4
○吉川委員長 次に、国立国会図書館当局の説明を求めます。河野図書館長。
#5
○河野国立国会図書館長 昭和三十九年度国立国会図書館関係歳入歳出決算の概要を御説明申し上げます。
 まず、歳入につきましては、歳入予算額一千三百六万八千円に対し、収納済み歳入額は一千四十万八千二百八十八円であり、差し引き二百六十五万九千七百十二円の減少となっております。
 次に、歳出について申し上げます。当初の歳出予算額は九億二千二百五十三万五千円でありまして、これに給与を改善するための予算補正追加額二千七百二十五万一千円を加え、既定経費の節約に伴う予算補正修正減少額六百七十三万五千円を差し引きますと、歳出予算現額は九億四千三百五万一千円となります。
 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は九億三千五百九万八千四百八十七円でありまして、歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は七百九十五万二千五百十三円となっております。この不用額のおもなものは、光熱水料等でありまして、光熱水料を要することが少なかったこと等により、不用となったものであります。
 以上が、昭和三十九年度国立国会図書館関係の歳入歳出決算の概要でございます。
 何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
#6
○吉川委員長 次に、裁判官訴追委員会当局の説明を求めます。中川事務局長。
#7
○中川裁判官訴追委員会参事 昭和三十九年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
 当初歳出予算額は千二百二十六万四千円でありますが、既定経費の節約に伴う予算補正修正減少額五万一千円を差し引きますと、歳出予算現額は千二百二十一万三千円となります。
 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は千百九十一万六千七百三十二円でありまして、このうちおもなものは職員の人件費であります。
 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額な不用額でありまして、二十九万六千二百六十八円となっております。
 以上が、昭和三十九年度裁判官訴追委員会関係歳出決算の概要でございます。
 何とぞ、よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#8
○吉川委員長 次に、裁判官弾劾裁判所当局の説明を求めます。内田事務局長。
#9
○内田裁判官弾劾裁判所参事 昭和三十九年度裁判官弾劾裁判所関係歳出決算の概要を御説明申し上げます。
 当初の歳出予算額は一千三百六十万二千円でありまして、これに給与を改善するための予算補正追加額四十万五千円、及び参議院からの移用増加額六十万三千円を加え、既定経費の節約に伴う予算補正修正減少額二万六千円を差し引きますと、歳出予算現額は一千四百五十八万四千円となります。
 この歳出予算現額に対し、支出済み歳出額は一千三百五十六万七千五百三十一円でありまして、これは裁判官弾劾裁判所の運営に要した経費であります。
 歳出予算現額と支出済み歳出額との差額は百一万六千四百六十九円となっております。
 不用額は百一万六千四百六十九円でありまして、そのおもなものは、裁判費の項に属するものであります。
 以上が、昭和三十九年度裁判官弾劾裁判所関係の歳出決算の概要でございます。
 何とぞ、よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#10
○吉川委員長 以上で、国会所管の決算説明は終わりました。
 次に、会計検査院当局より、検査の概要説明を求めます。保川会計検査院第一局長。
#11
○保川会計検査院説明員 昭和三十九年度の国会所管の決算につきまして、検査の結果特に不当として検査報告に掲記いたしました事項はございません。終わります。
#12
○吉川委員長 これにて説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#13
○吉川委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。山田長司君。
#14
○山田(長)委員 勝澤委員が来て質問するはずだったそうでありますが、勝澤委員が参りませんので、私から、衆議院の事務総長に伺いたいと思います。
 最近、第一会館や第二会館等、会館の整備が行なわれ、たいへん、議員の国会活動上における諸般の便宜はたくさん供与されていると思います。前のほうの第二会館や第三会館等も取りこわし等が進んで、だいぶ前のほうの見晴らしなどもよくなってきておるように見受けられます。
 こまかい内容に入ってたいへん恐縮でございますが、われわれが供与を受けている院内の食堂などは、決してそれらと変わった形の供与がされているような印象は持ちません。一般市価等から勘案してみた場合に、あの食堂の価格は、便益を与えられておる、安い食事が提供されているなどとはちっとも考えられません。むしろ値段等も高い印象を持つくらいであります。聞くところによると、この食堂の光熱費、水道、それらは何十万という経費が月にかかっておるそうでありますが、一体どのくらいな光熱費の供与があの食堂に対して与えられておるのか。それから、あの食堂の期限というのはどのくらいな年限契約等がなされておるのか。最初に、小さな問題のようでありますけれども、毎日のことでありますので、一応参考に伺っておきたいと思います。
#15
○久保田事務総長 食堂関係、売店等の光熱、水道料と申しますのは、私、ちょっといまその数字が手元にございません。すぐ取り寄せまして御返事を申し上げたいと思いますが、契約関係につきましては、大体一年ごとをたてまえといたしますが、最近は三カ月あるいは六カ月というような区切り方に、実際はなっております。
#16
○山田(長)委員 ねらいとして伺おうとしておる光熱費の額がわからなければ、私が質問しようとしておることの内容はわかりません。一カ所一カ所の食堂の光熱費というものは何十万と使っておるやに伺っております。これらのこまかいことを申し上げるのはどうかと思うのですけれども、ガスなんかも使いっぱなし、使ってないで、ぼうぼう燃している状態がときどき見受けられます。これは国費でまかなわれておるというような関係で、食堂も放漫になりがちじゃないかと私は思います。そういう点で、いまの光熱費の額を聞こうとしたのですが、それがわからないとすれば、一応この点はあとで資料で出してもらいたいと思います。
 次に伺います。国会の議運の理事には――私は別に車がほしいというので申し上げるわけではないのですが、どういうふうにお考えになっておられるか伺うわけですけれども、議運の理事には全部車が提供されて、国会運営の便宜がはかられているというのですが、一体、ほかの各委員会の理事というものと議運の理事とどういう関係で差がつけられて、こういう差別がなされておるものですか、ちょっと参考までに伺っておきます。
#17
○久保田事務総長 議運の方々は、ほとんど連日、朝早くお越しを願ったりいたします関係上、自動車をお渡ししている、こういう考え方であって、各委員会と差別するというわけではございません。ただ、われわれとしましては、議員一人につき一台というようなことが最も望ましいと思いまして、そのような方向で進んでおりましたが、そういたしますと、なかなか場所的の制約あるいは管理の問題と、いろいろなことがございますので、その一時しのぎというわけで、交通費という形で、とりあえず問題の一部の解決ということをいたしたわけでございます。皆さんに一人一台ということが、われわれ望ましいとは思いますが、ただいま申し上げましたように、管理面からなかなか困難な点もございますので、いまだに解決し得ないことを遺憾に思います。
#18
○山田(長)委員 いや、私の言っておることを聞き違えては困る。議員に一台ずつ車を出せと言っておるのではない。議運の人だけが国政に携わっておるのではない。議運の人が早く来て、その衝に当たるからというので、一台ずつの車を与えておるということが――それならば、議運と同じに各委員会は時間的に早く来て、そしてものの処理をするというならば、各委員会の理事みんなに車を一台ずつ与えるという考え方なんですか。問題はここなんです。その差別が問題なんです。それじゃ、ほかの委員会の理事はほうっておけばそれでいいんだ、忙しい仕事をやっている議運の理事だけに与えておけばそれでいいんだというものの考え方が私は違うと思う。何も朝早く出て来なくたって、各理事は思い思いに与えられた部署について、それ相当の神経を悩ましながら国政に携わっておると私は思います。議運の人だけが早く出てくるから車を与えるということは、たいへんな間違いだと思います。この点について早く来るからということで与えるならば、ほかの委員会が早ければ与えるのかどうかということを聞きたい。
#19
○久保田事務総長 早いからということだけを申し上げましたのですが、朝早く、かつまたひんぱんに、常に時間をきめないでたびたび御会合を願わなければならないことが多いために、そういたしたわけでございます。
 なお、各委員会全部について申しますと、先ほど申しましたような、いろいろな管理面、その他の問題もございまして、そこまでに踏み切ることができていないというのが実情でございます。
#20
○山田(長)委員 一体、議運に与えている車は何台あるのです。
#21
○久保田事務総長 委員長を除きまして、理事が九名でございますので、九台でございます。
#22
○山田(長)委員 その九台を、もし公平なものの処理をしようとするならば、何も議運の人だけが忙しい仕事をしているのではない。当委員会の場合は、委員会を開かれる前に、問題の資料を集めるために、これは時間前にも時間後にも、かなりみんな苦労して資料収集等には努力をされておると思うのです。これはほかの委員会の人たちよりも決算の場合には、資料収集には――これはここだけの時間じゃないですよ。どうです、決算の資料収集等に対して、決算の理事にも車を一台ずつ与えるような配慮は持っておりませんか。
#23
○久保田事務総長 各委員会ともお忙しく、また重要なことはよく承知しておりますが、私のほうで、いま直ちに決算だけに車を配置するという予算的措置もございませんし、またそういたしますと、ほかの委員会のほうでも忙しいからというようなことが出てまいりまして、量的にも、いまの段階で直ちに実施するということは不可能かと思います。
#24
○山田(長)委員 私は、別に車がほしくて言うのじゃなくて、あなた方の国会の衝に当たる、仕事をしておる人たちに対する、議運だけ忙しいというものの考え方が間違いであるから、このことを申し上げておるわけなんです。一応その点は、やはりおりに触れて、委員の人たちに、あなた方からよく話してもらいたいと思う。
 次に、どういうことになったのかわからぬが、これは別に私一人が歳費をほしいというわけじゃない。明らかにしておかなければならないから、この機会に申し上げるわけですが、議員の歳費の問題について、昨年かなり問題になったことがある。この点について、その後どういうふうな形で特別職の職員の給与に関する問題ではなくて、議員の歳費の問題についての議が出たら、その後の、このあと始末は決算として明らかにしてもらわなくてはならないと思うのですが、この点はどうなんです。
#25
○久保田事務総長 歳費の問題は、昨年九月に法律上二十四万円ということになりまして、実施の段階になったのでございますが、議員の皆さまが、幹事長書記長会談によりまして、値上がり分を、第三者機関に諮問し、その答申を得るまで、その分だけ辞退をするということになりまして、直ちに第三者機関の歳費調査会というものが発足をいたしました。その後たびたび会合を重ねておりまして、きょうもこの十二時から歳費調査会が開かれますような状況で、委員の方々も、非常に問題が大きいだけに、また慎重に審議をしておられまして、いまだに結論を得ておりませんが、すみやかに結論を出していただくようには、こちらもお願いをいたしておる、このような状態でございます。
#26
○田中(彰)委員 関連。
 ちょっと事務総長にお尋ねいたしますが、あなた先ほど食堂等と国会の契約が、短いものは三月、普通一年くらい、こうおっしゃったのですが、そんなのはあるのですか。
#27
○久保田事務総長 契約をするのは原則一年でございますが、その間に、まだ全体を一年間ときめていくときに、一年と申しますか、正式に決定する段階に至りませんで、全部をとにかく暫定的に三カ月にしておけ、その上でやろう、こういう意味で、三カ月、別々に三カ月というのじゃございません。
#28
○田中(彰)委員 これは常識上考えてわかるでしょうが、あれだけのりっぱな設備も要るし、自分が国会へ来て食堂とかあるいはその他の仕事をやるとすれば、やはり相当な徹底したものでなくてはならぬ。その契約が三月とかあるいは一年とかいうことになると、腰を据えて、ほんとうに彼らの持っている資金を入れて、研究してやるということにいかないのですね。これが一つと、もう一つ、あなたもお聞きになったでしょうが、ずっと前のことですが、食堂をきめたり、ああいうものを監督したりする人たちと議員との間に、いろいろな問題があったということも、国会の問題になったことがあるのです。やはり三カ月だとか一年だとかいうような、あれだけの大きな仕事をするものに――そういう何か事故があったとか、あるいは何か不適当だとか、だれが見ても認めた場合に、これはたとえ三カ月でも一カ月でも、やめさすことはけっこうだけれども、やはり最低一年や二年くらいの契約をして、そうして事故がなければ継続していくというようなことがないと、三カ月か一年間で、これだけの設備をしたものに、場合によれば契約の期日が切れたから今度ほかへかえるとか、やめてしまうと言われるのじゃないか――言いはしないでしょうが、それがための契約ですから、契約書を取りかわしたのですから、しかも国会との間ですから、建物から燃料費からすべて国会が権利を持っているのですから、だから借りるほうから見ると、何といいますか、非常に不安があるわけですね。そこへ三カ月とかなんとかいうことになると、さっき言ったように、研究してやるとか、あるいはここで使うものの安い産地はここだから、ここから直接とってやろうとか、あるいは直そうとか、従業員の人も養成しようとか、指導しようとかいうことには、私は身が入らぬと思う。そこへ今度期日が近づいてきますから、やはり監督している者に気がねしないといかぬとか、あるいはあの人に気に入られないと取り消されるのじゃないかとか、めんどうになるのじゃないかとか、非常に不安定な――国会が始まって、私は名前も言いませんし、時期も言いませんが、そういう問題があって、われわれが糾弾演説会を開いたことがある。だから、そういう点を考えられれば、この方法をもう少し事務総長として研究されて、自分さえまじめでしっかりしておれば、そういう監督権を持っている人や、あるいはそういう関係の人たちに気がねして、わいろを使ったり、いろいろなことをしたりしなくても、取り上げられないのだというような安心感を持って仕事ができるような方法にやられないと、私はこういうものはどうしてもうまくいかないと思いますね。特に食堂とか、ああいうような国会に入っている仕事というのは、そういうような傾向の仕事が多いのですから、だからこの点をあなたのほうで研究してみて、もう少し改革する意思はありますか。このままでいいのだから、それでいいのだというお考えですか、どうですか。
#29
○久保田事務総長 田中先生のおっしゃいましたように、われわれもそのように考えます。暫定的なものの起こらないように、今後も十分注意をいたします。ただ、二年がよろしいか一年がよろしいかという点につきましては、まだ私確信を持っておりませんので、十分研究さしていただきます。
#30
○田中(彰)委員 これは、二年とか三年とか、また長くなるとこれまた惰性的なものが出る。しかし三カ月とか暫定的な契約とかいうことは両方に間違いの起きるもとですよ。だからやっぱり最低一年くらいで、別に事故がなくて勤勉にやっておるときはこれを延ばしてやるとかいうような、安心感を与えるような方法にされたほうがいい。暫定的に三カ月だ、三カ月になればとられるかもしれない。そこに全部が神のような人間ばっかりおればいいけれども、やっぱりいろいろな者がいて、いろいろなことを言うと間違いが起きやすい。これは終えたことだから私は言わないけれども、間違いが起きて問題を起こしたのです。しかも落選までしていますよ。そういうことが問題になった。だからそういう点をよく御研究されて、少なくとも一年以上というようなことにされたほうが、身が入って仕事ができる、安心感がある、研究する期間がある、こう思いますから、よく研究してください。
#31
○田原委員 食堂の問題で関連して。
 院内で聞くうわさに、国会議員で食堂に非常に借金をして、一人で百万円も払わずにおるというのです。そのために第二会館の食堂がつぶれて入れかわったといううわさを聞くのです。国会内の食堂で、国会議員があと払いで食べて、払えなくて、それでは食堂としては全くやりきれないと思います。そうしてつぶれたり、あるいはそのしりを持ってきて、まずいものを食わせたりする、したがって、これは事務総長として、進んで各党と話し合いをして、国会議員で借金をして食べた者は歳費から差し引くということにしてやらなければ、あわれな商売だと思います。いまの三カ月で打ち切られるような不安定の問題のほかに、せっかくの食堂が借金倒れになってはいけないと思います。だから、国会議員で負債の多い者に対しては、どういう措置をしたらよいか。これは法律的ではありませんよ。国会内における一つの道義的なやり方として、何か考えなければならない時期に来ておるのじゃないかと思いますので、お尋ねいたします。
  〔委員長退席、押谷委員長代理着席〕
#32
○久保田事務総長 お答え申し上げます。
 ただいまのお話の前にもそういう話がございました。庶務小委員会におきまして、各食堂を呼ばれまして、その実情について、さようなことのあるかないかをよく調査されましたが、そのときには、具体的にはそういう問題は出てまいりませんでした。しかし、そのことによって、また食堂の値上げとかいう問題が起きてきても困りますので、その点は、私のほうも、十分各食堂に注意をさせるようにいたしております。実際上、いま数字でそういうのがあるのかといいますと、そういうものはございませんというような形に出てまいりますので、さようなことはないのじゃないか、いまのところ、私はそのように思っております。
#33
○田原委員 要するに、表面的に調べたら、借金はございませんと言うかもしれないが、それは非常におそれをなしておるからであります。だからこれはどういう方法で調べるか、なかなかむずかしいが、やはり十万円以上滞納しておる場合は歳費から差し引くとか、何か習慣をつけてやらなければいけないと思います。そういう報告があなたにこないからといって知らぬ顔をするのじゃなくて、もう少し実情に即した措置を考えてもらいたい。それには衛視さんが調べるとか、あるいは他の議員が聞くとか、何が方法を考えて、食堂をして安心してやらせるようにしてもらいたいと思います。
 次の問題は、はなはだこまかいことでありますが、ついでですから申し上げますが、議員食堂のすし屋と、第一議員会館の食堂に入っているすし屋と、値段が倍違う。議員食堂のほうが高い。やはりわれわれ議員も、安いほう、おいしいほうに参りますから、こうなるとますます高くなると思います。したがって、一応値段の協定をするとか、品質の協定をするとか、国会に関する限り議員会館の食堂も院内の食堂も同じ値段、ということにしたらどうかと思います。そういう処置をする方針はいかがですか。
#34
○久保田事務総長 すし屋の問題は、今度議員食堂のほうに入れます場合に、少しは高くても、少しおいしいのを入れろという御注文がございまして、いまのを入れたわけでございますが、また両方とも共通にしろというお話もございまして、ここの調整は、私ども非常にむずかしいのでございますが、その点もあわせまして、十分検討していきたいと思います。
#35
○華山委員 ただいま山田委員から御質問がありました、歳費の問題について、会計上どうなっているのか。国庫から歳費というものは出て、そして、遠慮してわれわれが御辞退申し上げているために、その金というものは一体どうなっているか。国庫から出ないのか、国庫から出たその金は、何か衆議院の金庫へでも入っているのか、供託でもしてあるのか、来年度予算はどうなっているか、そういうふうな会計上の処理の状態を伺いたい。
#36
○久保田事務総長 これは先生方から御辞退の、いわば保留みたいな形でございますが、私のほうとしましては、その分につきましては、小切手を切っておりません。したがいまして、その分につきましては、衆議院の予算の中にそのまままだ入っているわけでございます。このまま年度を過ぎますと、その分につきましては、国庫にそのまま入るということになります。また年度内に御請求があれば、私のほうはそれに従って払わなければなりません。来年度歳費は二十四万円で計上いたしてございます。
#37
○華山委員 そういたしますと、このことにつきましてわれわれがどうしろこうしろと言うわけではございませんけれども、この三月末ですか、あるいは四月の末になって、国庫を締め切るのかどうかわかりませんが、そうしますと、それまでに決定いたしませんと、それはもう国庫から出ない、こういうことになるわかでございますか。
#38
○久保田事務総長 そういうことになるわけでございます。
#39
○山田(長)委員 国会法の三十二条及び財政法の十九条の問題、この実際の運用は、それではどうなっているかということについて、これは法律を見て答えてください。
#40
○久保田事務総長 国会法三十二条の問題は、これは国会の経費というものは、帝国議会時代には大蔵省の所管に実は入っておったわけでございますが、国会が国権の最高機関となり、行政府との間に独立をした以上、独立予算を組むのは当然であるという意味から、独立予算を、こういう形で、他の行政費と独立して、国の予算に計上しなければならぬ、こういうことになったわけでございまして、それは実際上そのような形で、国会所管という形で、予算の中に、組織別に、衆議院、参議院、図書館、裁判官訴追委員会等というふうに計上されてございまして、その上、予備費を設けなければならぬ、こういうことになっておりますが、これはいやしくも国会の審議が、予算がないからできないというようなことではいけないという趣旨から、実はこの予備費というものが設けられたのでございますが、これは残念でございますが、実際上は七百万円ということで、それ以上には出ておりませんが、この増額は望ましい、要求しなければならぬ、このように思っております。
  〔押谷委員長代理退席、委員長着席〕
 財政法十九条の問題でございますが、これはいわゆる二重予算という問題でございまして、これは政府の予算編成権及び提出権と、国会、最高裁、検査院の独立機関との権能の衝突を調整するための規定でございますが、いままでにこの二重予算というものを実際に、やったことはございません。しかしこの精神をくみまして、予算折衝上、相当われわれのほうの言い分を大蔵省のほうでは取り入れまして、相当の効果を果たしておりますので、大体話し合いで、予算の折衝というものはできておるというのが実情でございます。
#41
○山田(長)委員 事務総長のいまの答弁では、私納得しません。そこで、きょうは三十二条と十九条の問答をする機会ではないから、ぜひ当局の御研究を願いたいと思う。これは私疑義を持っておる条文の一つでございますので伺ったわけです。
 次に、最近、国会の中に特別委員会というものがたくさんできました。そこで、委員室の不足がかなり審議に支障を来たすというように見受けます。何か、この辺について対策を考えておるかどうか、この点です。
#42
○久保田事務総長 委員室の不足は、まことに審議に差しつかえることで、申しわけないことだと思っておりますので、ようやく四十一年度予算におきまして、委員会のための建物を、ちょうど南側のところに、二千坪、地下一階、地上四階のビルディングを建てるべく計上いたしまして、二年間でこの工事を終わりたい。大体部屋の構造は、大きな部屋が足りませんので、一応五つか六つの部屋を予定しておりますが、その委員室の構造、内容その他につきましては、私のほうで案をつくりました上で、関係の皆さん、先生方に御相談を申し上げて、慎重に、りっぱな委員室をつくっていきたい、このように考えております。
#43
○山田(長)委員 両院の場合において、建物とかあるいは衆議院の議長官舎、参議院の議長官舎等は、まことに建物も同じだったり、庭の面積も同じだったり、もっともらしく公平を期しておるように見えますが、両院の予算の比率は衆議院が低くて参議院が高い。また職員の待遇につきましても、参議院が一般に高いといわれておる。この点は事務総長どうお考えですか。
#44
○久保田事務総長 衆議院と参議院との予算の比率の問題につきましては、できるだけそういった差のないように、きまったものにつきましては単価その他もみな同じでございますが、ただ、申されました職員の個人個人をとりましての待遇は、あるいは差があるかもわかりませんが、予算上の比率というのは非常に出しにくいのでございまして、現在は現員現給の制度をとっておりますために、管理職は衆議院も参議院も数は大体同じことになりますし、それから年齢構成、あるいは学歴、それから職歴の長さとかいうものの関係上、予算を人間の数で割って出たパーセンテージだけでは、これはどちらが有利かという問題は出てまいりません。常々われわれも、山田先生の御心配のようなことのないようにということで、調整はとっております。ときにはある期間、具体的な人につきまして、差のある場合がよくありますので、そういうことのないようには十分注意しておりまして、いまのところ、そのような差はないのではないかと思っておりますが、なおそういうことのないように、十分注意はいたします。
#45
○山田(長)委員 さっぱりわかったようなわからないような答弁ですが、この点は十分御注意願いたいと思う、現実にあるのですから。
 それから、地下道ができて、たいへん便利になったように見受けられますが、地下道にたくさん雨漏りのする場所がある。これは工事の手抜かりではないかと言われておりますが、この点どうですか。
#46
○久保田事務総長 第一会館との地下道のことと存じますが、これは建設省の営繕局にやってもらったのでございますが、約一年半ぐらい経過しましてから、昨年四月に漏水がございまして、建設省にも連絡をいたしまして、建設当局でもその原因と対策を考慮されて、去年八月と一月でしたか、二回ほどあの原因を探求してもらいまして、水漏れの防止の処置を施工してもらったわけでございます。たいへん御迷惑をかけまして、恐縮でございます。
#47
○山田(長)委員 私はこれで終わります。
#48
○吉川委員長 先ほどの理事会で御了承を願いましたが、久保田事務総長は、所用のため十一時に退席させていただきたいとのことであります。残余の御質疑は、大久保庶務部長その他の出席者にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。吉田賢一君。
#49
○吉田(賢)委員 ちょっと簡単に、図書館の運営について少し伺ってみたいと思います。
 申すまでもなく、図書館法によって、図書その他の資料の収集と国会議員の職務遂行に資することが使命であります。そこで、図書その他の資料の経費は、総計どのくらいの割合になっておりますか。
#50
○河野国立国会図書館長 予算で申し上げますが、昭和四十一年度予算におきましては、科学技術の関係の図書購入費が一億三十九万円、それからその他一般の図書購入費が約四千数百万円でございまして、合計いたしまして一億四千八、九百万円になっておったと存じます。
#51
○吉田(賢)委員 三十九年の九千四百万円の歳出予算のうち、どのぐらいの割合ですか。
#52
○河野国立国会図書館長 図書購入費の歳出予算に対する比率は、約一四%ぐらいかと存じます。
#53
○吉田(賢)委員 それで不足を感じないですか。
#54
○河野国立国会図書館長 図書が充実しているということが、図書館の運営の基本の問題でございますから、私ども、図書の質量ともに豊富ならんことを期して、毎年鋭意努力いたしておりますが、いま、それで不足を感じないかということにつきましては、毎年予算の折衝上いろいろ努力している形から言いましても、当然私どもはもっと大きいものを獲得いたしたいということで、努力をしておるところでございます。ただし、現実の場合は、さっき申し上げたような計数になっておるのでございます。
#55
○吉田(賢)委員 これは、単に図書の充実だけではなくして、さらにもう一点は、職員が広く世界の現在の科学、文化等の諸情勢に通暁するということも必要だろうし、また図書の出版の現実の状況の視察も必要であろうし、そういったこともあわせて図書館の充実になり、したがって国会議員の職務遂行に資することができるゆえんであろう、こう思うのであります。具体的に、しからば図書費等についてどのぐらいの割合を理想とし、もしくは現実に要求してきたのか。
 もう一つは、諸外国に対して、年々視察とか留学とか、何らかの方法で派遣するということが必要ではないであろうか。日進月歩というようなこともおろかなくらいでありますので、したがいまして、これは非常に鋭敏な観察をいたしまして、全世界の図書資料収集に向かって努力をせなければならぬと思うのですが、この二点について明白にしておいていただきたいと思います。
#56
○河野国立国会図書館長 図書館の仕事をいたしてまいります上に、たとえば調査局におきまして、両院の議員各位からレファレンスの御要求を受け回答を申し上げておりますし、その他、 行政、司法あるいは一般国民の要望に応じまして、いろいろ調査研究に基づきまして、回答いたしておりますが、そういう際に、いまお話しのございましたように、世界各国の実情、現地の実情をよく知悉しておらなければならないということは、私ども常々考えておるところでございます。それで職員を海外に出しまして、実情をよく把握し得るようにということにつとめておるのでございますが、やはり予算その他の関係で、私どもの希望するところまでは至っておりません。
 現実に行なっておるところを申し上げますと、私どもの図書館から、国際ドキュメンテーション連盟総会というのが毎年一回開かれますが、これに出席いたしまして、あわせて外国図書館の実情を視察する、そういうために一名を毎年派遣いたしております。そのほかにつきましても、予算要求はいたしておるのでございますが、現実にそれが予算化されていないことを残念に思っております。また、図書館は、御承知のとおり、国内でもそうでありますが、国際的な図書館間の協力ということに常につとめておりませんと、十分な図書館業務が遂行できませんので、そういう意味合いもありまして、現在職員をオーストラリアの国立図書館に一名、また同じオーストラリアのクインズランド大学の付属図書館に一名、またアメリカのフーバー図書館に一名、期間を限って派遣をいたしまして、一つには現地の図書館事情を把握し、一つには図書館間の相互協力の実をあげるようにつとめておる次第でございます。
 なお、図書購入費につきまして、どの程度に予算の要求をしておるかというお尋ねでございますが、要求額といたしましては、二億四千万円ほどを要求いたしております。現実に予算化されたのは、先ほど申し上げました一億四千八百万円ぐらいでございます。
#57
○吉田(賢)委員 図書館会議などで、年に一回一名を派遣されて調査する、これも実に足りないのであります。また図書館に派遣して調査するということも必要かと思いますが、もっと生きた調査に活躍するような、そういう努力が必要でないかとわれわれ思うのです。アメリカの連邦議会の図書館のごときは、必要とあらば、議員の要求に応じまして直ちに職員を現地に派遣して、調査に従事させるという、こういう具体的な積極的な活動ができる、こういうふうにまでしなければ、現状の図書館の能力からいたしますと、われわれが調査要求をいたしましても、なかなかにずばっと出てこない。他の出版物の紹介というようなことがよくあるのです。出版物の紹介というものならば、それでは図書館の使命は達成できません。やはりずばっと具体的な結論を出すぐらいまで充実しなければいかぬ。あるいはもっと図書館活動というものを、いまのようなおざなりでなしに、積極的にやる必要があろう。世界各国に随時派遣して、新しい書籍のみならず、調査の要求に応じ得る、こういうことでなければ、世界の激動に対しまして、図書館活動の充実した結果は得られないと思います。でありますので、私はいまの御答弁は全く不満であります。これはやはり抜本的に刷新して、強く要請するということにしなければなるまいと思います。その点は、国会全体の責任でいくのではないので、図書館長独自の権限で予算要求をするのですか。
#58
○河野国立国会図書館長 ただいまおっしゃいました御趣旨のほどは全然私も同感でございまして、御理解のあるお話をいただき、いよいよ努力を重ねなければならないと存ずるわけであります。現実の問題といたしまして、議員各位は逆に世界各国をよく実地に視察されて知っておられる。それから、いろいろな世界各国の実情について私どもにお問いがある。これに対して答えるべき者が、本の上では十分承知しておりますが、現実には、外国に行ってそのものを実地に自分の目で見ておらない。そういう状況において御回答申し上げるということで、調査局の職員たちも、現実に非常に悩みを持っております。私どもも、その調査局の仕事を十全にやり遂げる上においては、どうしてもいまお話しのようなことを考えなければいけないと存じております。それで、毎年大蔵省に対しては、海外旅費の予算の要求についてずいぶん努力をいたしておるのでございますけれども、御承知のような財政事情もありまして、思うにまかせないのが現状でございます。御指摘もございましたし、さらに私どもは努力をするつもりでございます。
 なお、米国図書館の例を引かれまして、どこかで事が起こった場合に、すぐどこへでも行けるような体制を云々ということでございましたが、先ほど来の趣旨をふえんいたしますと、そういうところまで考えるのがしかるべきことと存じますが、悲しいかな、わが国の予算の形式あるいは予算折衝の現状からいきますと、なかなかそこまでいくのが困難かと思いますが、少なくとも調査局の者を海外に出し得るように、さらに努力をいたしたいと存じております。
#59
○吉田(賢)委員 その点につきまして、総長がおりませんので、庶務部長でよろしゅうございますから、かわって、国会の意向をひとつ表明してもらいたい。そして今後、やはり国会は、あらゆる機関一本になりまして、ほんとうにその使命達成に進んでいけるようなことを切望してやみません。
#60
○河野国立国会図書館長 私、先ほど御答弁を漏らしておりまして恐縮いたしました。そういうような国立国会図書館の予算はいかにしてきまるのか、これは館長の権限でやるのか云々ということでございました。国立国会図書館の予算は、もちろん私どもで十分練りまして、しかるべき予算案をつくります。これを両院の議院運営委員会の中の図書館小委員会に御審議を願い、それから最終的には議院運営委員会に御審議を願い、その承認のもとに大蔵省に出す。それから、そういった予算折衝の際も、本年度もそうでございましたが、両院の議院運営委員会の関係の方々、別して図書館小委員会の方々に非常に御高配にあずかっていることは事実でございます。それで、そういう形にはなりますが、現実の折衝は、私ども自身並びに両院のそういった委員会の関係の方々、そういう方の御支援のもとに、大蔵省と折衝をしている、こういう姿でございます。
#61
○吉田(賢)委員 終わりますが、思うに、あなたの予算要求の態度は少しへっぴり腰でありますので、そんな中途はんぱなことでこの重大使命は達成できないと思います。だから、要するに、議運なら議運に対して、小委員会なら小委員会に対して、徹底的に資料をもって説明せられて、その必要なゆえんを力説せられる必要があろう。同様にやはり大蔵省に対しましても、これはその必要があるのではないか。要するに、この問題を大きく持ち上げるということが何よりも必要であろうかと思いますので、今後は格段の努力をせられたいと思います。
 庶務部長のほうでちょっと一言……。
#62
○大久保参事 予算の折衝の問題につきまして、先ほど図書館長からも御答弁がありましたが、海外旅費につきましては格別的にやっておりますが、われわれのほうも、衆議院、国会という立場を十分考えまして、大蔵当局に対しては常々強い態度と申しますか、積極的に交渉しておりますけれども、今後も一そう努力さしていただきたいと思っております。
#63
○田原委員 関連して、二点質問しておきます。
 第一点は、図書館が発足以来、何万部とかの未整理図書があるというのですが、これの整理を至急にやってもらうためには、場合によったら、現在の職員で居残り等でできない場合は、たとえば慶応大学の司書だとか、こういうアルバイトを使っても、早急に整理分類してもらいたい。浅沼前委員長の資料等も図書館に寄付したのですが、そのままほったらかしで、あとで読みたいと思ってもどうにもならぬという状態ですから、これに対する方針を聞きたい。
 第二点は、レファレンスの編集方法でありますが、レファレンスは、あくまでも国会及び政党に関連する資料に重点を置いてもらいたい。しかるに、たとえば一般雑誌で、読めるような論文が毎号一つ、二つ、署名記事が載っております。たとえば今後のインフレの問題とか、そういうものは、署名記事で載りましても、それが権威あるものでないのですから参考になりません。それよりか、各国の自由民主党、社会党、共産党の組織であるとか、あるいは各国の国会の運営の模様とか、国会図書館で出すレファレンスらしいものがときどき載っていることは知っております、毎号一種類ぐらい載りますけれども、数種類合わせてその専門雑誌にしたほうが、国会議員以外のレファレンス読者にももちろん役に立つ。特に英米両国以外の国の国会の運営や予算の編成方法あるいは財政法等もわれわれ知りたいのですから、編集方法を少しそういうふうに専門的に進めてもらいたい、この二点を御質問申し上げます。
#64
○河野国立国会図書館長 ただいま、いわゆる滞貨の問題についてお尋ねがございまして、国立国会図書館で現在受け入れを了していないもの、あるいは整理を了していないものが、合わせまして約二十五万冊ほどあることは事実でございます。受け入れ整理を了しておりませんければ、当然一般の方に閲覧し、利用していただくということができないわけでございまして、こういうことは一刻も早く解消すべき筋合いのものでございますので、本年度の予算要求といたしましても、最重点の一つにこれを取り上げまして、ただいま御指摘のとおり、非常勤職員十一人、アルバイトの職員十二名の予算をとりまして、これをもって、約五カ年の計画で全部整理を完了するようにいたしたいということでやっておる次第でございます。
 なお、第二のレファレンスの編集方針の問題でございますが、国会に付置された国立国会図書館でございますから、御指摘のように、各国の議会の運営の状況、政党の動向、そういった議会の本体に直接密接する問題を多く掲げたらどうかという御趣旨は、よく了解をいたすところでございます。私どもといたしましては、そういうことにつきましても随時掲載をいたしておるつもりでございますけれども、他面、国政一般、経済、社会、文化一般の問題につきましても、議員各位からの非常な御要望もあり、レファレンスの誌上に掲載する必要もあろうということで、ただいまのような考え方でおりますが、そのウェートを、もう少し前段に申したほうに指向したらどうかというお話につきましては、さらに十分検討いたしたいと存じます。
#65
○吉川委員長 押谷富三君。
#66
○押谷委員 ごく簡単に、裁判官弾劾裁判所の事務局長にお尋ねいたしますが、この当該年度、昭和三十九年度にお取り扱いになった事件数は何ほどですか。
#67
○内田裁判官弾劾裁判所参事 三十九年度に事件はございませんでした。
#68
○押谷委員 裁判官訴追委員会の事務局長にお尋ねいたします。当該年度、三十九年度に、訴追委員会として取り扱われた事件数は何件ですか。
#69
○中川裁判官訴追委員会参事 お答えいたします。
 三十九年度に取り扱いました事件数は、新受が二百二十件、それから旧受が百五十六件、合計三百七十六件でございます。
#70
○押谷委員 この裁判官弾劾裁判所と訴追委員会の関係は、ほとんど関連のある仕事なんですが、この予算、決算を見ますと、大体同じようなのです。弾劾裁判所と訴追委員会の予算も、また決算も、よく似た数字でありますが、事件が一件もなかった弾劾裁判所のほうが二百万円くらい多くなっております。これは多くなるのも、事務機構等を考えれば決して高いというわけではありません。私はこのままで正当であると認める考えではありますけれども、一つの予算あるいは決算を見る場合において、その仕事をする部署の仕事量、事件数、事務量というものが、予算あるいは決算に比例しなければならぬのが原則ではないかと実は考えているのであります。いま聞けば、裁判官訴追委員会においては年間三百数十件の事件を扱っているということでありまして、しかもこの程度の予算、この程度の決算で、はたして完全に三百件からある事件の調査がなされているか、ここに問題があると思うのです。聞けば、裁判官訴追委員会の職員で、この取り扱い事件の調査のために出張をする、その出張費用にさえことを欠くというようなことを聞いているのです。いわんやこの訴追委員会の委員が出張するとなれば、さらに費用の問題も起こってくるのでありますが、実情として、調査にこと欠くような、費用が非常に詰まっているというような実情はないのですか。
#71
○中川裁判官訴追委員会参事 ただいまお尋ねのように、非常に事件数が最近多くなり、かつまた非常に複雑な事件が多いのであります。私まだ就任いたしまして間がないので、詳しい事情は存じませんけれども、事務当局といたしましては、議員さん方の調査審理のための資料収集というようなことで、非常に努力しておりますけれども、追っつかない面が非常にございます。それはいま御指摘の予算面におきましても、議員さん方は非常にお忙しいので、御自分でお出かけになるということは非常にむずかしいようなこともございますので、委員旅費のほうは、先ほど説明申し上げましたように、余分があっても、資料収集のための職員の旅費のほうは不足する、というのが現状でございます。委員旅費を、また場合によりましては、振りかえて職員旅費にするということ、これも非常に困難でございますけれども、そういうようなことをして、多少間に合わせをしておるというような現状でございます。
 大体そんなところでございます。
#72
○押谷委員 私も、実は訴追委員会に長らく籍を置いた者でありまして、事件の調査の関係につきましても、相当詳しく知っているのでありますが、訴追委員会の職員は非常に苦労をして下調べをしているという実情、それに対して出張旅費の不足、宿泊料の不足等によっていま困っておられる。費用がなくて調査が粗漏になったりあるいは調査がおくれたりするということは、訴追委員会の仕事の重要性にかんがみまして、これはゆゆしいことだと考えております。事務局長におかれましては、今後もこういうたくさんの事件がある、事務量が非常に多いということが考えられるときには、予算の獲得にはもう少ししっかりして、かような鼻を詰まらすことのないように、ふんだんとまではいかなくても、訴追委員会の事務局の人たちの調査出張に、費用がなくてできないというような不細工なことのないように、御配慮せられることを希望いたします。
#73
○中川裁判官訴追委員会参事 ただいま、ありがたい御激励のおことばを拝聴いたしまして、たいへん恐縮に存じております。その点につきましては、できるだけ努力いたしまして、本年度あたりでも、実は予算問題だけでなくて、予算に関係いたします定員の増加ということも努力いたしたわけでありますが、それはなかなかいまの時期に困難であります。しかしながら、職員が非常に居残りしてまでも努力いたしておりますので、いろいろな面において、その手当を増額していただく、そういうようなことにつきまして、なお努力いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
#74
○勝澤委員 ちょっと関連してお尋ねしたいのですけれども、いまの弾劾裁判所は、予算的には衆議院議長の中に入るわけですね。どうなるのですか。あるいは国会図書館の関係――その点、どうなりますか。
#75
○河野国立国会図書館長 国立国会図書館は、予算上は、国立国会図書館という組織になっておりまして、国会の中の第三節国立国会図書館、こういうふうになっております。ただし、財政法やその他で申します各省各庁の長という意味で、衆議院議長が、国立国会図書館の場合の各省各庁になっておられますので、そういう規定で、各省各庁の長という場合は、国立国会図書館の場合に、衆議院議長がその任に当たっておられる、こういうことでございます。
#76
○中川裁判官訴追委員会参事 裁判官訴追委員会のほうも、組織としては独立で、予算も別になっております。衆議院のほうでいろいろお世話を願うことはありましても、予算としては独立しておるわけであります。
#77
○勝澤委員 両方は、言うならば二重予算の立場なんですね。そういう点どうですか。
#78
○中川裁判官訴追委員会参事 二重予算というような関係ではないのであります。
#79
○勝澤委員 そうすると、ここにいう財政法十六、十七、十八条の適用されるところになるのですか。その点、いかがですか。
#80
○中川裁判官訴追委員会参事 やはり衆議院のものとは別でありまして、法律として、国会図書館の関係と同じような関係になります。
#81
○勝澤委員 そうすると、同じようなことというのは、財政法十六、十七、十八条でやれる、こういうことですか。
#82
○中川裁判官訴追委員会参事 そのように考えております。
#83
○勝澤委員 図書館のほうはどうですか。
#84
○河野国立国会図書館長 私どもの予算の請求、あるいは予算としての独立な立場は、先ほど申し上げたとおりでありますが、いわゆるいま御指摘の点が、国会の予算に認められておる二重予算の関係ということでありますれば、それは広義では、入るのであろうと思いますけれども、具体的に、的確にいまお答えするだけの用意はございません。
#85
○勝澤委員 いままでの取り扱いは、財政法のこの十七条、それから十八条によって取り扱ってきたのですか、あるいは別の取り扱いによってきたのですか。
#86
○河野国立国会図書館長 この財政法の関係につきましては、衆議院議長という形で表現をされておりまして、その意味におきましては、われわれの国立国会図書館の場合においても、衆議院議長がこの場合国立国会図書館の問題も包括して、衆議院議長という形であらわされておる、つまり衆議院議長、参議院議長が国会の面を表現するわけでありまして、国立国会図書館は、その場合においては、衆議院議長を財政法上の各省各庁の長として、その下のものとして表現されておるわけでございます。
#87
○勝澤委員 そうしますと、国会図書館でいま図書の整理が不十分だというのは、二重予算の性格からいうならば、査定をするのはだれかといえば、結局、衆議院議長なり参議院議長、国会と裁判所と会計検査院というのは独自の財政計画ができるわけですね。一々大蔵省の査定を経なければならぬということにはならないわけですから、もし大蔵省が査定をして、合わなかった場合においては、国会に両方出して、どちらを国会が採用するかということになるわけでありますから、そこにこの二重予算の性格があるわけです。国会なり裁判所なり会計検査院というのは、それだけ独自の立場を認められておるわけであります。ですから、そういう点でまだ御研究が足りないようですから、この点はひとつよく研究をして、予算の全きを期していただきたいと思います。
 それから、委員長にひとつ、私研究していただきたいと思うのですが、きょう国会を呼んだわけでありますけれども、国会関係の決算を審議したというのは、私はここ十年間くらいあまり経験がないわけでありまして、聞くところによれば、あまり例のないことだと思います。例のないことですから、一体、衆議院側、参議院側、国会関係はだれが出てくるであろうかと、私は期待を持ったわけでありますけれども、事務総長が出るのが正しいのか、衆議院議長が出るのが正しいのか、ここに一つ議論があると思います。国会法の上からいって、いろいろ調べてみましたけれども、明確になっていません。ですから、これはどんな関係があるかわかりませんけれども、委員長のほうで、議運の関係もあろうかと思いますが、そういう点についてひとつ御検討をして明確に運営をしていただきたいと思います。これはいままで経験のないことですから、不明確になっておりますから、きょう事務総長を呼んだことも、私は事務総長でいいのかどうかということについても、実は疑問があるわけであります。それから、国会予算の組み方においても、いままでのことが財政法上正しく行なわれておるかいないか、これは先般行なわれた会計検査院も、あるいは裁判所も同じことでありますから、そういう点についてぜひ検討していただいて、どちらが正しいか明確な結論を出していただきたい。いずれかの場所で、はっきりさせていただきたいということを要望しておきます。
#88
○吉川委員長 勝澤君の御意見、ごもっともに存じますので、十分検討をさせていただきます。
#89
○吉川委員長 次に、文部省所管決算について審査を行ないます。
 まず、文部政務次官より、概要説明を求めます。中野文部政務次官。
#90
○中野政府委員 昭和三十九年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算の概要を御説明申し上げます。
 まず、文部省主管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額一億七千七百三万円余に対しまして、収納済み歳入額は二億一千四百六十二万円余であり、差し引き三千七百五十九万円余の増加となっております。
 次に、文部省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算額四千四十九億二千六百二十二万円余、前年度からの繰り越し額三十三億二千五万円余、予備費使用額十六億五千八百八十三万円余を加えた歳出予算現額四千九十九億五百十一万円余に対しまして、支出済み歳出額は四千六十四億八千二百三十一万円余であり、その差額は三十四億二千二百八十万円余となっております。
 このうち、翌年度へ繰り越した額は二十八億四百五十九万円余で、不用額は六億一千八百二十万円余であります。
 支出済み歳出額のうち、おもな事項は、義務教育費国庫負担金二千二百二億五千三百三十万円余、国立学校特別会計へ繰り入れ千百五十六億三千五百七万円余、科学技術振興費四十三億七千六百七十三万円余、文教施設費百八十九億九千三百三十七万円余、教育振興助成費二百四十八億一千九百五十八万円余、育英事業費八十六億一千五百三十八万円余、青少年対策費十一億三千百四十四万円余、オリンピック東京大会実施諸費三十七億二十五万円余、南極地域観測再開準備費十二億八十八万円余となっております。
 次に、翌年度繰り越し額二十八億四百五十九万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、文教施設費で、用地の選定、気象条件、設計の変更等により、工事の施行に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。
 次に、不用額六億一千八百二十万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、教育振興助成費のうち、準要保護児童生徒給食費補助金で、補助の対象となる準要保護児童生徒の数が予定より少なかったので、補助金を要することが少なかったこと等により、不用となったものであります。
 次に、文部省におきまして、一般会計の予備費として使用いたしました十六億五千八百八十三万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、公立文教施設災害復旧費補助に要した経費であります。
 次に、文部省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。
 国立学校特別会計の収納済み歳入額は千四百八億八百九十六万円余で、支出済み歳出額は千三百八十七億四千七百三十七万円余であり、差し引き二十億六千百五十九万円余の剰余を生じました。これは国立学校特別会計法第十二条第一項の規定により、翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了しました。
 その内容について御説明申し上げますと、まず、歳入につきましては、歳入予算額千四百八億二万円余に対しまして、収納済み歳入額は千四百八億八百九十六万円余であり、差し引き八百九十三万円余の増加となっております。
 次に、国立学校特別会計の歳出につきましては、歳出予算額千四百八億二万円余、国立学校特別会計法附則第二項の規定による前年度繰り越し額九億八千四十七万円余、昭和三十九年度特別会計予算総則第十五条第六項の規定による使用額一億三千五百七十六万円余を加えた歳出予算現額千四百十九億一千六百二十六万円余に対しまして、支出済み歳出額は千三百八十七億四千七百三十七万円余であり、その差額は三十一億六千八百八十九万円余となっております。
 このうち、翌年度へ繰り越した額は十八億六千八百八万円余で、不用額は十三億八十一万円余であります。
 支出済み歳出額のうち、おもな事項は国立学校八百十九億八千二百万円余、大学付属病院二百十八億一千二百九十九万円余、大学付置研究所百一億九千二百十九万円余、施設整備費二百四十五億七千五百五十六万円余となっております。
 次に、翌年度繰り越し額十八億六千八百八万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、施設整備費で、設計変更、用地の関係、資材の入手難等により、工事の施行に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。
 次に、不用額十三億八十一万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、施設整備費のうち学校施設費で、学校財産処分収入が予定より少なかったので、これに伴う施設費を要することが少なかったこと等により、不用となったものであります。
 次に、国立学校特別会計におきまして、予備費として使用いたしました金額は、八千七百六十九万円余でありまして、これは国立学校施設その他災害復旧費に要した経費であります。
 次に、昭和三十九年度特別会計予算総則第十五条第六項の規定による使用額一億三千五百七十六万円余についてでありますが、その内訳のおもなものは、奨学交付金の増加に必要な経費であります。
 なお、昭和三十九年度予算の執行にあたりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したのでありますが、会計検査院から、不当事項四件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾でありまして、今後は一段と事務の適正をはかり、このようなことのないよう努力いたす所存であります。
 以上、昭和三十九年度の文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。
#91
○吉川委員長 次に、会計検査院当局より、検査の概要の説明を求めます。樺山会計検査院第二局長。
#92
○樺山会計検査院説明員 文部省所管の一般会計及び特別会計の決算につきまして検査いたしました結果、検査報告に不当事項として掲げましたのは、御承知のように四件でございますが、その内容は、要保護及び準要保護児童生徒の就学援助費、青年学級運営費、私立大学研究設備購入費の各補助金につきまして、過大な精算を行なっていたものと、対象外のものに補助したと認められるものでございます。これらにつきまして、それぞれいずれも是正済みとなっております。以上であります。
#93
○吉川委員長 これにて説明聴取は終わりました。
#94
○吉川委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。
 質疑申し出の委員の要求がありまして、文部省の調査局長に出席を求められておりますが、日米教育会議に出席中でありますので、宗務課長が代理で見えておりますことを御了承願います。押谷富三君。
#95
○押谷委員 私は、この際、近ごろとかく物議をかもしております京都市の双ケ岡をめぐる諸問題につきまして、政府並びに関係当局の御意見を、この機会に確かめておきたいと存ずるものであります。
 双ケ岡は、御承知のように、有名な仁和寺の境内に使用されておった土地でありまして、ここは徒然草のゆかりの史跡でもあります。平安文化のかおり高い歴史的な、きわめて大切な名勝指定地でありますが、この名勝指定地になっている双ケ岡が、いつの間にか、仁和寺から第三者に処分をされまして、その買い受け人は、由緒ある双ケ岡に観光施設をつくろうとして、京都府市の当局から反対を受け、史蹟を保護し、文化財を愛している京都市民から厳しい抵抗にあいまして、これは立ち消えになっておったのでありますが、最近、先月に至りまして、再びこの双ケ岡を第三者が取得いたしまして、これを京都工科大学の敷地に使おうという申し入れがあり、これをめぐって再び紛議は再燃いたしておるという状況にあるのであります。
 こういう事実を前提といたしまして、私は政府当局にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、そのまず第一に、大蔵当局にお尋ねをいたしたいと思います。もともと仁和寺の境内敷地として、双ケ岡は使用されておったのでありますが、たしか昭和二十六年に、無償で仁和寺に国有財産を払い下げられたという経過があるようであります。その国有財産を無償で払い下げられた当時のいきさつについて、御説明をいただきたいと思います。
#96
○磯江説明員 仁和寺に双ケ岡を含む国有地を譲与いたしました経過につきまして、御説明申し上げます。この譲与は、昭和二十二年に制定されました社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律によって行なわれたものでございますが、この法律の制定に至りましたいきさつ等を申し上げますと、そもそも社寺等の境内地につきましては、昔からこれは社寺の所有であったのでございますが、明治初年に、社寺領の上地、それから地租改正に伴いまして、これらの土地を国に帰属せしめたわけでございます。その後、これらの土地は、国有財産といたしまして、社寺等に対しまして無償で貸し付けてあったわけでございます。ところが、戦後、御承知のように、新憲法によりまして、信教の自由と、それから宗教団体等に対する国の干渉とか保護を排除するというような措置がとられることになりまして、また、国の宗教団体等に対する財政的援助はこれを行なえないというようなことになったわけでございます。こういうような基本的な考え方によりまして、政教分離という思想のもとに、政府といたしましては、国がそれまで社寺等に対して無償で貸し付けておりましたところの国有地につきましては、これを整理する必要があったわけでございます。そこで、旧来それら社寺の境内地として使用せられておりました土地につきましては、これが将来とも社寺等の宗教活動を行なうのに必要なものにつきましては、これを無償で譲与する。それから、まだそれらの社寺等の所有であることが必ずしもはっきりしないというようなものにつきましては、半額で譲渡するというよう措置を講じたわけでございます。これが先ほど申し上げました法律の立法の趣旨でございます。この法律に基づきまして、法律施行後一年以内に社寺等から申請がございますれば、それを審査いたしました後、譲与あるいは半額譲渡というような措置がとられることになったわけでございます。
 問題の仁和寺につきましては、この法律に基づきまして、昭和二十三年の四月二十八日に、仁和寺から譲与の申請があったわけでございます。譲与の申請のありました土地は、仁和寺の境内地十四万九千七百七十四坪でございます。これにつきまして、大蔵省におきましては審査いたしまして、昭和二十七年の八月十二日に、第四十四回の社寺境内地処分中央審査会に諮問いたしました。この審査会は、先ほど申しました法律に基づきまして、政府が社寺等に財産を譲与あるいは譲渡する場合に諮問をしなければならないことになっているわけでございますが、この審査会に諮問をいたしました結果、原案どおり譲与の決定の答申を得まして、昭和二十七年十月二十八日に、仁和寺に対して、申請のありました土地を譲与いたした次第でございます。
 それからなお、問題の双ケ岡の土地でございますが、これは、ただいま申し上げました十四万九千坪のうち、約五万五千坪というものが双ケ岡の土地でございます。
 以上が経過でございます。
#97
○押谷委員 この社寺等に対し無償で貸し付けている土地の、無償あるいは半額の譲渡関係につきましてのいきさつはわかりましたが、双ケ岡は明治の初年までは、これが国有地になる前は、仁和寺の寺領に属しておったのですか。
#98
○磯江説明員 おっしゃるとおりでございまして、国有として社寺領が上地せられるまでは、仁和寺の寺領になっておった土地でございます。
#99
○押谷委員 そういういきさつで譲与されましたことはわかりますが、しかしこうした大きな土地を仁和寺に譲与せられるにあたっては、その土地の用途、目的は宗教活動に使う、あるいは境内地に使うというような、一つの用途制限がなければ、国の大切な国有財産が無条件で仁和寺に渡されるということはちょっと納得がいたしかねるのでありまして、この無償譲与にあたって用途制限等があったかどうか、この点についてお伺いします。
#100
○磯江説明員 社寺等に無償で貸し付けておりました国有財産を譲与するにあたりまして、それがそういう宗教活動に使われるということでもって譲与するわけでございますので、何らかそれを縛ったらどうだというような意見も、立法当時にはあったようでございますが、先ほど申しましたような、社寺に無償貸し付けしております国有地を処分するに至りました経緯等にかんがみまして、また、憲法に基本原則がうたわれております政教分離の思想からいたしましても、この譲与にあたりまして、用途指定その他の規制なり条件をつけるということは、立法措置として講じられなかったわけでございます。したがいまして、その趣旨にもかんがみまして、国といたしましては、これを譲与行為をいたします際に、特にそのような条件はつけておりません。
#101
○押谷委員 無条件のようなお話でありますが、私の調査したところによりますと、この土地の譲与が行なわれた際に、仁和寺の住職、あるいは管長かもわかりませんが、代表者から、この土地は境内地に使うという誓約書が入っているように聞いているのでありますが、誓約書がとられているかどうか、この点についてはどうですか。
#102
○磯江説明員 ただいま御指摘のとおり、この土地を譲与しました後、仁和寺の代表者から、大蔵大臣あてに誓書が提出されております。
#103
○押谷委員 その誓書というのは、譲り受けた、無償でもらった土地の使い道についての誓いの書面でありますから、いわば一つの条件だと思うのですが、あなたのほうは、先ほど、これは法制上条件をつけることができないようにお話しになりました。ところが、実際は誓いの書面を入れさしている。その誓いの書面は、その問題の土地の用途についての誓いの書面である。その誓書は用途についての一つの制限をされた、それを誓った書面だと解釈ができると思いますが、どうですか。
#104
○磯江説明員 仁和寺から提出せられました誓書におきましては、ただいま押谷先生のおっしゃられましたように、この土地は将来も他の用途に使わないというようなことを誓っておるわけでございます。それで、御質問の点は、この誓書が、処分にあたっての条件ではないかというような点であろうかと思うのでございますが、先ほど申しましたような境内地の処分に至りました経緯、それからまた、この処分いたしましたときの譲与行為の法律的性格、それからまたこの誓書の提出されております形態等から見ますと、国としては、確かにおっしゃるように、社寺等に譲与いたしました、ただで差し上げた土地でございます。これがそういったほかの用途に使われるということは、決してあってはならない、そういう強い気持ちを抱いておったということはうかがわれるのでございますが、それでは、法律的に、この誓書をもって、誓書があるから処分を撤回できるような法律的性格を持ったものであるかどうかということになりますと、この点はそのように解釈するのは、法律的には無理ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#105
○勝澤委員 関連してお尋ねいたしますが、二十三年四月二十八日に、この法律に基づいて申請をいたしておるようでありますが、その申請に基づいて、二十七年八月十二日審査会で決定をし、十月二十八日に譲与決定をし、そして請書といいますか、誓書が出されているという経過なんですが、この二十三年四月二十八日申請以前、言うならば、一番最初はどこの土地かということです。一番最初は仁和寺のものであったのか、国有地であったのか、という点について、もう少し明確に、ひとつその時分のことをお答え願いたいと思います。いつから国が国有財産として取ったのか、その前はどうなっておるのか、国有財産で取るならば、一体それはどういうことなのか、その点をひとつ、大正あるいは明治ですか、あるいはもっと前になるのですか、その辺の経過を御説明願いたいと思います。
#106
○磯江説明員 たいへん古いことなのでございますが、仁和寺の境内地を国有地として譲与いたしました中には、いわゆる旧来寺領であった土地と、それから境内地であった土地と、二種類あるわけなのでございますが、これらの土地は、いずれも明治以前は古くからこの寺の――所有権というものが現在のような形においてあったかどうかは、その点私もつまびらかにしないのでございますが、寺が所有し使用するという事実関係があったであろうと思われるわけでございます。明治になりましてから、こまかく申し上げますと、明治四年に太政官布告、これはいわゆる社寺領上地令と申しますものでございますが、この太政官布告によりまして、従来の社寺領は、狭い意味での境内地、これは伽藍等が建っておるところでございますが、その境内地を除きまして、これを政府に帰属さしたわけでございます。問題の双ケ岡は、このときに政府に帰属させられまして、国有地になったものでございます。それから、その後地租改正に伴いまして、明治七年に、太政官布告百二十号、改正地所名称区別というものが出されておりまして、これによりまして、土地の官有地と民有地の区分、分類を行なったわけでございます。その際に、官有地の第四種といたしまして、「寺院大中小学校説教場、病院貧院等民有地ニアラサルモノ」というものをあげておりまして、これは官有地にするというような措置がとられました。これによりまして、先ほどの社寺領上地令によりまして国に帰属されなかった残りの、狭い意味での境内地でございますが、その境内地もすべて国有地になったわけでございます。したがいまして、明治初年以来、社寺の境内地は国有であるということになったわけでございまして、その後は法制等も整備されておらない関係もございましたでしょう、事実上、従来のまま社寺の使用する関係が継続されておったものと思われます。
 それから、問題の双ケ岡につきましては、明治四十年に、寺からの申請に基づきまして、これを仁和寺の境内地に編入いたしております。したがいまして、そのときから正式に、国有地を仁和寺に貸し付けするという関係が生じておるわけでございまして、その後国有財産法等も制定せられまして、これは旧国有財産法でありますが、旧国有財産法に基づきまして、無償貸し付けという関係が生じまして、戦後譲与の処分が行なわれますまで、そういう無償貸し付けの関係が継続されておったわけであります。
#107
○勝澤委員 そうしますと、この無償貸し付けの行為というものは、正式に貸し付け申請が出て、それによって許可する、こういう手続というものもとられておったのですか。
#108
○磯江説明員 明治年間に境内地に編入されまして、そのとき、法令ないしは規則によってどういう手続がとられたかということはつまびらかにしておりませんが、いずれにいたしましても、その後法制も整備されました段階におきましては、正式に無償貸し付けという措置がとられておるものと考えております。
#109
○勝澤委員 そうすると、これは国有地を寺に無償で譲与したという見方がいま一般に言われておるわけですが、いまのお話を聞きますと、明治以前には寺のものであった、それが太政官布告によって明治四年政府に帰属させたのだ、ということになりますと、その時分のことは私もよく知りませんけれども、一体寺はどこから、だれからその土地をもらったのだろうということが疑問になるのですが、とにかく寺のものであったのを、太政官達あるいは法律によって国に帰属させて、そして国に帰属させていたのを、今度は新憲法によって寺に無償で払い下げをさせた、こういうことになるのですか。初めの所在というのがよくわからないのです。明治より前のほうのことが、よくわからないのです。
#110
○磯江説明員 最初に御説明申し上げたかと思いますが、処分に関する法律によりまして譲与いたしましたものは、明治以前において社寺等の所有であることが一応確認できるものにつきまして、譲与いたしたわけでございます。それが確認できないものにつきましては、時価の半額で譲渡するということで、金を取ったわけであります。そういう措置をとったわけであります。したがいまして、譲与いたしました土地は、そもそもそれはいつから所有になったかと申しますと、(勝澤委員「そこを聞きたい」と呼ぶ)たんへん古い――仁和寺の場合は一千年以上昔のことでありますので、何とも申し上げられないのでありますが、いずれにいたしましても、明治の初年にそういう措置をとる直前におきましては、社寺の所有であった、それがまたその前のいろいろ古文書等によりましても確認ができたということによりまして、譲与いたしたということであります。
#111
○押谷委員 先ほどの仁和寺から政府に入れました誓書のことですが、これは売買の条件ではないというお話であり、何か、聞いておりますと、これを売買の条件にすると、法律違反になるような心配をしていらっしゃる向きにも聞こえるのでありますが、この大きな国有財産を無償で仁和寺に譲与する、こういう場合においては、その用途目的について条件をつけられることはきわめて正しいことである。それは憲法上から見ても、八十九条に決して違反するものではない。一応形の上においては、八十九条に違反するという理屈を、私は持っておったのです。こんなものは、憲法八十九条に違反しなければ、違反するものはないと考えておったのですが、その後調べましたところが、昭和三十三年十二月二十四日に最高裁判所の大法廷で判決が出ている。これはいいんだ、もう明治の初年において、その以前に仁和寺のものであれば、国有財産として生きておるものを無償で払い下げてもいいんだという趣旨の、これは仁和寺ではないですけれども、よその事例でありますけれども、昭和三十三年十二月二十四日に判決が出ているんですから、したがって、かりに条件をつけられて、問題の土地の用途に一つの制限をつけられても、法律違反にはならない。もちろん憲法八十九条の違反にもならない。違反になるおそれはありますけれども、しかしそれと同種のことは、最高裁判所の大法廷においてすでに判決になって、適法である。さきに寺院から取り上げたものを寺院へ返す処置なんだから、これは八十九条のいわゆる制限のうちには入らないぞという判決があるのです。これは判例に従うのですから、その点については、了承はいたしているのでありますが、しかし条件をつけるということが悪いという理屈にはならぬ。しかも当時、売買にあたって誓書を入れているということは、これは理屈はどうあろうとも、売買の条件である誓書を入れているということについては、間違いはないと思うのでありますが、かりに条件でないとしても、売買の条件に用途の制限をしたのでないとしても、この誓書は、政府に対して仁和寺は一つの義務を負うたと考えるのですが、これはどうですか。
#112
○磯江説明員 法律的な御見解につきましては、私、実は最高裁の判決を承知しておらないのでございますが、この誓書につきましては、当時、社寺等に譲与いたしました場合には、これは仁和寺だけに限らず、大部分のものにつきまして、こういう誓書をとっておったと承知しております。そこで、処分のときに条件をつけることが、一体法律上できなかったかどうかということにつきましては、あるいはそれは憲法上の、先ほど私が憲法上の問題とか、あるいは法律自体がそういうことを前提としていないというようなことを申し上げたのでございますが、条件をつけるということは、あるいはつけようと思えばできたのかもしれません。ただ、現実の問題として、この仁和寺の場合につきまして、現在あります実態、それから誓書の内容、それからそれが提出されております時期その他から考えますと、この誓書は処分の条件になっておるものではない、というふうに解するのが穏当ではないかということでございまして、私ども、気持ちとしては、先生のおっしゃいましたことと全く同様な気持ちを持っておりますので、この問題が問題になりまして、この誓書の中身を読みますと、まさに国がこの処分を撤回してもしかるべきような内容でございますので、何とかそういうような解釈はできないかと、いろいろ検討してみたのでございます。しかしながら、この法律に基づきます譲与行為と申しますのは、現在の国有財産法によりますところの売買契約であるとか、譲与契約とは違いまして、譲与申請に対してこれを許可するという国の行政処分でございまして、その場合に、しかも何らの条件もつけていない。それで、その行政行為が行なわれましたのが、先ほど申し上げました十月二十八日でございますが、誓書はその後、約一カ月後の十一月二十五日に提出されているというような状況でございまして、どうもこれをもって条件であるというように考えるのは無理ではなかろうか、これらの点につきましては、なお法制局等の御意見も伺ってみたのでございますが、一応そう考えるのが穏当ではなかろうかというふうに、私ども考えている次第でございます。
#113
○押谷委員 売買あるいは譲与の条件にあらずといたしましても、その誓書はほごをとったものではありません。いやしくも、国が仁和寺から誓いの書面をとったということは、誓約書をとったということは、仁和寺に対して、その誓書の内容の義務を負わしたと思うのですが、その点についてはどうですか。
#114
○磯江説明員 ただいまの御質問の点でございますが、こういう誓書をとるに至りました経緯ともなるかと思うのでございますが、この法律が国会で審議されましたときに、衆議院におきまして、附帯決議がつけられているわけでございます。この財産の譲与を受けた社寺といたしましては、この法律の精神に反しないよう、責任を持って管理運営に最善を尽くすようにというように、附帯決議をもって御要望があったわけであります。したがいまして、政府といたしましては、この附帯決議にもかんがみまして、社寺等に対しましてこれを譲与いたすのは、宗教活動に必要なものとして譲与するのである、その趣旨を徹底させ、かつそれについて相手方の責任を十分に自覚していただき、将来それに違反することがないようにという気持ちから誓書をとった次第でございまして、したがいまして、政府といたしましても、相手方も宗教団体であり、そういう宗教活動を行なうことを信頼いたしまして、そういう道義的責任を負わせたわけでございますので、相手方といたしましては、この誓書の趣旨に従って、これを順守していくべき道義的責任は当然あるものと考えております。
#115
○押谷委員 そうすると、政府で仁和寺からおとりになりました誓約書は、その内容は、法律的な責任はないので、道義的な責任だけを追及することができる、こういうようなお考えなのですか。この誓約書というものをおとりになった趣旨は。
#116
○磯江説明員 おっしゃるように、法律的責任というよりは、道義的責任という意味において、とったものと理解しております。
#117
○押谷委員 この道義責任をとらす、法律的責任をとらすということは、これは大いに議論の余地があると思いますが、誓約の趣旨は履行させるという気持ちで政府はおとりになったことは間違いない。また仁和寺も、誓約書、誓書の趣旨に基づいて使いますという約束をしたことは間違いない。ところが、用途はそうでありますが、これを第三者に転売するということについては、これは用途変更よりは一段ときついもので、すべての誓書も何もかもみなほごにして、そして人に売ってしまうというのですが、今回その問題が具体的に出てきているのです。第三者に売ってしまう、売買をするということと、この誓書の関係については、政府はどうお考えですか。
#118
○磯江説明員 質的に申しますると、第三者に転売するという、これは政府が譲与いたしました趣旨とは全く相反する結果を来たすわけでございますので、質的に申しますれば、確かに、単に用途を変えるというよりは、政府の意図に反するということは申し上げられるかと思います。ただ、法律的に見ました場合には、誓書におきましては、他の用途に供しないということをいっておりますわけで、転売の場合につきましても、また、純法律的に申しますれば、同じことであろうというふうに考えられます。
#119
○押谷委員 政府は、道義的責任、道義的責任と言っておられる。仁和寺に責任を問う気持ちは持っておらぬという言外の意味だと私はとります。が、いやしくも国の財産を無償で渡すというときに、譲り受ける仁和寺が誓いの書面を入れた。ほかには使いません、境内地にのみ使いますというような書面を入れて、それをよそに売ったから道義的責任だけしかないのだ――一体道義的責任とは何ですか。道義的責任は、これは法律的な責任じゃありませんから、もしも横着者がおって、ほおかぶりをしておれば、それで通れるのが道義的責任なのです。いやしくも国の財産を、これは法律に基づいてお売りになるのだから、譲与せられるのだから、違法であるとか異議があるというわけではありませんけれども、大切にこれを扱うという趣旨から、誓約書をとられた、誓書をとっている、その誓書の内容は道義的責任だとのみ考えられるということは、私はおかしいと思う。しかもそれは財産の処分なのですから、大きな不動産の処分に誓約書をとったのですから、その誓約書がほごになって、しかも道義的責任だけであるというので、政府がそういう考えであれば、誓約書なんかとる必要も何もありやせぬ。誓約書、誓書というものの価値は、全く踏みにじられているのでありますから、私は、そういう考えで誓書をおとりになるということの考え方については、非常に疑義があります。国有財産局において国有財産を無償で譲与せられるような場合においては、使用の制限をするとかあるいはまた転売の禁止をするとかという条件はつけられていると聞いているのですが、そうですね。そういう条件については、これは法律的な責任を問うているのです。もしそれに違反するならば、これは大蔵省として、当然、条件に対して、それが解除条件ならば解除条件としての責任を問う、あるいは損害賠償でいくならば損害賠償、原状回復、いろいろな法律的な責任を問うていらっしゃるのだ。ところが、この場合において、しかも誓書をとって、誓いのことばをとって、誓いのことばは用途制限なんです、従来やっていらっしゃる用途制限と同じことなのです。しかも、それが、どこへ売られても、どんなに使われようとも、道義的な責任だけだと言われることについては、私は納得いたしません。従来の、大蔵省において国有財産を無償で譲与せられた場合の使用制限あるいは転売制限等についての扱いと、これを比べまして、ふしぎにお考えになりませんか、その点、重ねて問います。
#120
○磯江説明員 現在、国有財産法に基づきまして国有財産を譲与いたします場合、売り払います場合、この場合には、いずれも用途指定をつけまして、かつ第三者に転売なり転貸してはいかぬという禁止条項を、相手方との契約の中に入れておるわけでございます。これによりまして、無償で譲与し、ないしは売り払いました財産が、国の所期した以外に使用され、あるいは他に転売されることがないように、厳に防止する措置を現在講じておるところでございます。
 問題になっております仁和寺の土地につきましては、先ほど来私が説明いたしましたが、私も、気持ちといたしましては、ただいま先生がおっしゃいましたと同様、こういう誓書を入れながら、しかも国に対する背信行為をするということに対しては、その責任を追及したい気持ちはやまやまなのでございますが、いかんせん、それでは法律的に国がどういう措置がとれるであろうかということを検討してみたのでございますが、先ほど申し上げましたように、この処分は、国有財産法によります譲与ではなく、特別の法律に基づく、しかも昭和二十二年に制定されました法律に基づく譲与の許可という行為として行なわれているわけでございます。しかも、その譲与行為の際に、行政処分の内容として、何らの条件を付していない、その付さなかったことがいいか悪いかという御批判は当然あるかと思いますが、付さない条件で行なわれておるということ、そういう事態を考察いたしますと、現状におきまして、法律的な意味においては、先ほど来申し上げましたとおり、責任を追及する手段はないのではなかろうかというのが一応の見解でございます。
 なお、それらの点につきましては、法律の関係の専門の方たちの御意見も聴取してみる必要があると思います。一応大蔵省としてはさように考えます。
#121
○吉田(賢)委員 関連。文部省並びに、きょうは大蔵省の財務調査官も見えておるのでありますから、両方に伺ってみたいのでありますが、この仁和寺に国有財産を無償譲与したのは、社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律第一条に基づいておるようであります。そういたしますと、これは「宗教活動を行なうのに必要なもの」こういうことが条件になっております。これ以外の目的に使用することを理由としては、申請もできなければ許可もできないのであります。そうなれば、宗教活動に必要であるということは、いわば絶対的な条件、きわめて重大な譲与行為、譲与契約の要素であります。そこで、現実には宗教活動に使われない状態が実現いたしておるのであります。まず、宗教活動に使うことが絶対の要件であり、無償譲与契約をするに至った重要な要素である、というふうには御理解であったのでしょうね。そういう認識のもとに、この譲与契約を仁和寺とせられたのでありましょうね。その点はどうですか。
#122
○磯江説明員 処分をいたしましたときにおきましては、当然、法律の規定によりまして、宗教活動を行なうのに必要なものということで、譲与いたしたわけでございます。
#123
○吉田(賢)委員 国有財産局長がきょうは不在ですが、財務調査官に伺いますが、あなたのほうは国有財産の管理の行政庁でありまするが、国有財産を管理する場合に、一定の目的に限定して無償譲与するということは、最も重要な要素であると考えます。この国有財産法によらずして、古い法律によっているのでありますけれども、いま申したように、国が無償譲与する行為の重要な要素であったことには間違いなかろうと思うのですが、見解いかがでしょう。
#124
○磯江説明員 先ほど申しましたように、法律によって、宗教活動を行なうのに必要なものを譲与するということで、それではどういう範囲の国有財産を譲与できるかということについては、勅令によって定められておるわけでございますが、大蔵省といたしましては、この法令に従いまして、譲与する財産の範囲を定めたわけでございます。これは、仁和寺より、宗教活動に必要であるという申請がございまして、大蔵省もまた、法令に定める範囲に該当するものと認定いたしまして、そして譲与したわけでございます。用途指定等は、現在の国有財産法でいうような用途指定が付せられているわけではございません。
#125
○吉田(賢)委員 宗教活動に限定してこれを使用するということに、完全に一致しておったのかどうか、ここに若干疑問があるようであります。一方、国はそのような重要な目的として期待しておった、一方はそうでないかもわからぬ、現実にそうでないことが結果となってあらわれております。ましてやこれは第三国人が介入して、この買い主の一人になっておる、実権者になっておるようであります。そういう関係になっておる。そうしますと、これは、俗なことばで言うならば、当初からだまされた、あるいは別な用途を意図しておったことを全く知らなかったのだ。その辺について十分究明をしなければ、法律的な救済措置がとれるかどうかということの結論は、まだ早いと思うのです。でありまするので、そこについて検討せられたかどうか、一体いつごろから、現在の事態発生の原因が起こってきたのであろうか、その辺についての具体的な検討をしたのでしょうか。
#126
○磯江説明員 ただいま御質問にありましたように、国がこの財産を譲与いたしましたときに、仁和寺は、実は宗教活動に使うと言いながら、そうでなかったのではないかというようなことにつきましては、当時の状況におきましては、仁和寺としては、この土地を、これは古来仁和寺と非常に由緒のある土地である、仁和寺と切っても切れないような土地である、ということを申し立てております。われわれのほうも、そのように判断いたしまして、先ほど申しましたような審査会にも諮問いたしまして、そのような結論を得たわけでございます。現在のような事態が生ずるということは、当時においては夢想もされなかったことであろうかと想像されるのでございますが、その後、これは仁和寺の内部事情等、私つまびらかには存じないわけでございますが、いろいろ財政的に苦しくなったというような事情がございまして、三十九年ごろより、売り払いの話が起こったように聞き及んでおります。したがいまして、譲与いたしましたとき、それから十年以上の間にわたって、一応仁和寺の境内地として、宗教活動には使われておったというふうに理解しております。
#127
○吉田(賢)委員 それじゃ二点聞いておきます。
 一点は、やはりいまの宗教活動に限定して譲与したものであるということをさらに究明して、国として、これを取り戻す救済の道ありやいなや、それを調査されることを切に望んでおきます。
 もう一点、そこで、いわゆるこの誓約書なるものですが、誓書ですね。請書によりますと、もし他の用途に供した場合には、譲与処分を取り消されても異議なしと書いてある。これは一体どうなんです。将来のことですね。だから当初審査委員会に諮問した当時は、他に譲与するとか他に利用するということは夢想もしなかった。これはだまされたかどうかは別といたしまして、もし他の用途に供した場合には譲与処分を取り消されても異議なし、れっきとしてこういう一つの保留条件が、譲与を受けた者から出されておる、明らかに交換されておる。なぜ一体この条項を実行しないのか。これをもって、あなたのほうが、入れた誓約書によれば、違った用途に供しておる事実があるじゃないかということで、具体化しようとするときには、この誓約書を十分に活用し得ると私は思うのです。法律的に行政処分であったから、救済の道なしというような即断をすることは、これは責任を他に転嫁するという意図もあるのじゃないか、こんなようなことをむざむざと白昼やられましたならば、一切の国有財産、たとえばその他の農地処分も同じような問題が起こると思うのですが、一切の国有財産の譲与というもの、あるいは売却というものが、将来どんなふうに悪用されるかわからぬと思います。ゆゆしい重大な案件であろうと思います。このケースは、やはり徹底的に究明して解決せなければいかぬ。この誓約書を活用して、他の用途に供する意図明らかだから、これはお前方の入れた誓約書によって処分を取り消す、というような処分が出ることを、なぜちゅうちょするのか、その点明らかにしてもらいたい。
  〔「誓約書を読んでください」と呼ぶ者あり〕
#128
○磯江説明員 誓約書には、ただいま御指摘のように、もし他の用途に供した場合、譲与の処分を取り消されても異議は申し立てませんことを誓約いたします、という文言が書かれてございます。したがいまして、先ほど来、私が、この誓約書をたてにして、国として何らかの措置を講ずることができないかどうかということを検討いたしましたというのも、実はこの文言にかかるわけでございます。それで、先ほど私は、一応こういうふうに考えるのが穏当ではなかろうかというふうに申し上げたのでございますが、この点につきましては、政府といたしまして、はっきり法律的にこうであるという、最終的結論として申し上げたわけではないのでございますが、これは、行政行為をいたします場合に、こういうような誓書をとったことが、その場合に、将来その行政行為を撤回する条件になるかどうかというような点につきましては、あるいは法律上意見が分かれる点があるかとも存ずるのでございますが、この点につきましては、まだ最終的な法律的見解を確立いたしておらないのでございます。先ほど申しましたように、やはりこの法律が制定せられましたときに、あるいは社寺境内地の処分に至りました経緯等を総合して勘案いたしますと、こういう誓書の内容が、それほど強い意味を持たせたものであると考えるのは無理ではなかろうかというふうに考えましたので、さよう御答弁申し上げる次第でございます。
#129
○勝澤委員 関連いたしまして……。
 私は、さっきから調査官の話を聞いておると、少しごまかしがあると思うのです。用途指定というのは、このごろの段階になって生まれてきたのです。ですから、国有財産法ができてから昭和三十九年までは、用途指定はなかった。東洋プライウッドの例が一番よくわかるじゃないですか。東洋プライウッドの例からいって、最近になってようやく、これは問題点としてぎっちりしたものになってきたわけです。これをあなたは見ていただきたいと思うのですが、こういうことはあらかじめ予想されておった。予想されておったけれども、防ぐ方法がなかった。こういう結論になっているのです。私が申し上げますと、まず、明治以来お寺のものであった。それを国にとにかく取り上げられた。国に名義上は取り上げられたけれども、寺が使っているのだから問題はない。それが、今度は終戦後になって、お寺のものになった。正式に、なった。ですから、お寺のものだから、おれがかってに処分するのはあたりまえだ、こういうことで、この譲渡に際して何らの条件を付さなかったために、譲渡後間もなく宗教の目的外に使用し、さらにこれを売却する等の事件がたびたび生じていることは、はなはだ遺憾なことであります。昭和二十五年の九月二十九日に、大蔵省の管財局長の通達が出ているじゃありませんか。ですから、こういう事実は、法律をつくって、この法律に基づいて、お寺が申請をして、譲与をした段階で、昭和二十五年までずっと続いてきたということですよ。これは用途指定がしてないし、それから道義的責任を信頼して払い下げておったということなんです。ですから、宗教目的外に使用されておる、あるいは売却されておるという事実行為というのは、二十五年の、まだ仁和寺に払い下げる前には認めておったということになるのですよ。事実行為があったわけですから……。極端な言い方をすると、仁和寺に払い下げる前に、こういう寺社に払い下げた問題で、宗教目的以外に使用したり、売却した例があるかといえば、これはたくさんあるのではないだろうかと思うのです。それが、たまたま仁和寺というのは名勝地で、いま問題になっておる。ですから、国有財産というのは、当時のことを探れば探るほど、無法地帯のような状態になっておった。それがここに書かれておると思うのです。それを、世間ていをごまかすためにつくったものが、この誓書にしか過ぎないと思うのです。もしこの誓書がほんとうにそれを予想しておって、他の用途に供した場合、譲与の処分を取り消しても異議は申しませんということを法律的に裏づけてやるとするならば、これは二十三年の四月二十八日に申請をして、払い下げ時点は二十七年の八月十二日、最終的には二十七年十月ですよ。そしてその間の二十五年の九月の段階で、この管理がよくないということを、会計検査院からも御指摘をされておるのですから、それだったら、この払い下げをストップするなり、あるいはまた法律改正をするなり、あるいは審議会でもっと法律的に対抗できる要件で払い下げをするなり、ということをすべきであった。問題は、明治以来の経過があるので、こういったことにせぬと、何かしらぬけれども、誓約書は法律と対抗できない、対抗できないことを予想してつくられた誓約書なんですよ。私はそう極論ぜざるを得ない。国有財産、あるいはその他の問題がたくさんあるわけです。これは一つの例です。建設省が来ておられるから、関係があるかないかわかりませんが、建設省の河川敷の問題でもそうです。一時占用の許可をとって、一年ごとに切りかえております。だけれども、それを取り上げるときには、財産権が生じたとして補償しなければなりません、そういう判決になっておると承知をしながら、一時占用の許可というものをいまもなおかつやっているじゃありませんか。一年ごとに一時占用を許可して、そこにゴルフ場をつくらせる、あるいはボート場をつくらせる。つくらせることによって財産権が生じるということを承知をして、坪三円あるいは五円で占用さしておる。取り上げるときには、それを補償しなければならない。建設省でもそういう例がある。法律上そういうたてまえになっておるのは、実は悪い意味でいえば、黙認しておる。法律はそこまで規制できないのだということになるかもしれません。ですから、私はその点を、この場合ははっきりしなければならないと思う。私はちょっとひまがないので、まだ議事録を読んでおりませんが、いまあなたが言っておる誓書の問題の解明をしながら聞いてみますと、まだ許可が出ない段階における管理についての通達とは一体何だ。初めから宗教目的外に使用されたり、宗教目的外に売却されたというときに、それを引き上げる救済法律がないのだということを意識しておる。道義的に、道義的にということしか考えていなかったのだということを明確にしないと、今度、次の段階でまたひっかかりがくると思う。ですから、そういう点を考えてみると、大蔵省も初めからこういうことが予想されるだろう、しかし法律的には救済の方法はない。救済の方法がないというので救済の方法を講じなかった、あるいはそれが怠慢か、それが故意か、あるいはまたそれが明治以来の問題かどうかという点にあるのだという点の解明をしてもらわないと、いまのあなたの話を聞いておると、われわれもそう思う。この誓書だけ見てみますと、これは譲与の処分を取り消されても異議は申しませんと誓約しておるのですから、この有効期間がどうとかこうとかは別問題として、訴訟を提起してやることができるような気が実はするわけでありますけれども、残念ながら、これを払い下げる事態の中では、これと同じ例が各所に起きていたという事実がここに書かれておる。それを承知し、なおかつ道義的にひとつこういうことはしないようにしてくれよということしか言っていないという経過です。その点、もうちょっと明確にしていただきたい。
#130
○磯江説明員 最初お尋ねがございましたが、国有財産につきまして、一般的に申しますと、用途指定等の措置をとっておることは先ほど申し上げましたとおりでありますが、この社寺等の国有財産は、一般の国有財産と、歴史的にまた性格的に別ものであるというふうに考えられるわけであります。しかもこの処分は、新憲法の精神にのっとって行なわれたというような経緯もあるわけでございます。それから、先ほど御指摘がございましたように、昭和二十五年に大蔵省の管財局長から神社本庁事務総長、並びに仏教連合会理事長あてに通達を出しております。社寺等に無償で貸し付けた国有財産の処分に関する法律によりまして譲与したものが、その後宗教目的以外に使われたり何かするものが出ておるという事態が起こっておる、非常に遺憾なことだということで警告を発しておるわけでございます。当時の実情をつまびらかにはしないのでございますが、おそらく全国において、そのようなケースが数々起こったのではなかろうかと考えられるわけでございます。そこで、そのような事態にかんがみて、それでは政府としては何らか法的措置を講ずるなり、あるいは譲与の場合に条件をつけるなり、そういう、将来に禍根を残さないような適正な措置を講ずべきではなかっただろうかという御意見につきましては、まことに、いまから考えますれば、そういうような措置を講ずべしという御意見が出ることは理解できるのでございますが、当時におきまして、先ほど来申し上げておりますような法律の精神、それから特に政教分離という憲法の原則からいたしまして、そういう社寺等と一応財産上の関係を切断するという措置が、この法律に基づく措置なんでございます。そういう切断した後におきましても、用途指定をつける、あるいはそれを監視するというような形態において、政府が関係を持っていくということがいいかどうかというような点も十分検討したのであろうと思うのでございますが、その結果、この法律に基づく譲与につきましては、その後におきましても、誓書というような形におきまする、責任を持ってもらうという形をとるという措置を講じたのでございまして、法的措置ないしはそれに準ずる法的効果を持つような措置を講じておらなかったということで、その点は、いまから考えますれば、実態的に見ますれば、あるいは遺憾なことであったと申さなければならないかと存じます。
#131
○押谷委員 この誓書のことでいろいろ問答がありましたが、ここでひとつ詰めておきたいと思います。
 あなたは、この無償譲与をしたことは新憲法の精神に基づいて、というおことばがありましたけれども、これは間違いです。そういうことは言えないのです。新憲法が効力を生ずると、こういうことができなくなるというので、立法の状況をごらんになりましても、昭和二十二年の五月三日に新憲法ができる、新憲法が効力を生じたならば、こういうことができなくなるというので、急いで、昭和二十二年の五月二日、憲法が効力を生ずる一日前に、この法律の効果を生じたのです。そういうように緊急の処置としてやられたのですから、憲法の精神にのっとって無償譲与をしたなどというような考え方は、この処置についてのあなたの考え方が基本的に間違っているということを申し上げます。
 次に、この誓書の問題について、誓書をなぜとったかということに、あなたは二つの理由をあげられた。その一つは、社寺等に無償で貸し付けている国有財産の処分に関する法律の趣旨によってとったと言われた。それは、宗教活動を行なうに必要なものという字句がありますから、そこでこの字句に従って、これをとったものであると言われた。また衆議院のこの委員会において附帯決議が出ている、その附帯決議の趣旨に従うてとったと言われた。これは間違いないですね。そこで法律的な責任があるかないかということについては、これは十分あるんでしょう。あなたの解釈が違うだけであって、間違うたならば処分を取り消してもらってもいいのだ、売買譲与の処分を取り消してもらってもいいのだという約束をしているのですから、誓書は約束ですよ。約束であれば、これは法律的に効果が生じているのである。道義的だと言われるのは、あなたの即断です。これは、私どもが考えるならば、当然法律的な効果のある誓書である、こう考えております。これはあなたの解釈ですからどちらでもよろしいが、二つの理由で誓書をとったのである。そうしてこれを転売するということは、この誓書の趣旨からいくならば、用途を変更するよりは重大な問題である、誓書に違反するものである、こういうことはお認めになりますね。これだけを私は確かめておきたいと思います。
 それから、この双ケ岡が処分されたのでありますが、この寺社の所有している不動産を処分する場合におきましては、法律の規定によって、公告等が行なわれるというのでありますが、これはあなたのほうの所管か、文部省の所管かわかりませんけれども、公告の処置はごらんになりましたか。
#132
○萬波説明員 お答えいたします。
 御指摘のように、宗教法人法の二十三条によりまして、宗教法人が不動産の処分をいたします場合には、これから行なおうとする行為の少なくとも一カ月前に、規則に基づく手続のほかに、この公告を行なわなければならない、こういうようになっております。その公告の内容といたしましては、法律の中には特に何を掲げるべきかということはございませんけれども、行為の要旨について、これを公告するということになっております。この双ヶ岡の問題が新聞などに出てまいりまして、私のほうも直ちに所轄庁でございます京都府に対しまして、はたして行なわれておるかどうかということの調査を依頼いたしました。その結果、私どもが確認したところでは、この仁和寺の問題は、仁和寺寺法の第六条に公告の方法が定めてあります。それから、その寺法の四十八条で、財産処分の規定がございます。これはいずれも法律を受けておるものでありますが、これによって、昭和三十九年の十月二十五日付で、真言宗六派の機関紙であります六大新報に掲載いたしまして、さらにお寺の事務所の掲示場に、三十九年十月十四日から十日間、掲示いたしております。この点確認いたしました。
#133
○押谷委員 このお寺やお社の所有財産を処分する場合において、宗教法人の財産処分を公告するというお話ですね。その公告方法は全く自由なものですか、あるいは特にこういう方法によらなければならないというような一つの標準が、所管省の文部省として、あるのですか。
#134
○萬波説明員 これは法律上特に規定はございません。私どものほうとしては、最低限度、信者あるいは利害関係人に最も適切な方法で公告ができる方法とすれば、少なくとも十日以上掲示さるべきである、機関紙があれば当然それに掲載すべきである、という行政的な指導をいたしております。
#135
○押谷委員 この公告は、宗教法人としての財産処分ですから、きわめて正しいとしなければならないことだと思いますが、少なくとも主務官庁である文部省とか京都府知事とか、そうした人々が公告を見て知るというくらいな程度の公告でなければ、もう全く内輪の者しかわからないというような状況では、私はほんとうの公告を求めておる法の精神に従っておらないものだと考えますが、しかし、今日の制度の上において、公告の方法に制限がないとすれば、いたし方がありません。
 これで、私も大蔵省関係は終わりまして、文部省に移るのですが、先ほどの誓書につきまして、くどいようでありますけれども、これは道義上の責任をうたっておるのであるというあなたの考え方につきましては、納得ができません。私も弱いながら法律家ですから、法律家として判断ができるのは、これは条件ではないとしても、少なくとも、不動産の無償譲与にからんで、譲り受け人は譲り渡し人の国に対して、一つの法律制限を受ける約束をしております。売買の条件ないしは売買後における一つの契約である、したがって、法律的な効果は当然追及できるものと信じますから、この点について特に御研究を願っておきたい。いまここで議論をしてもしようがありませんが、この誓約というものは、単なる形式的なもの、道義的なものというような甘い考えでこういうものをおとりになるということでは、たいへんなことであると思います。国有財産を処分するについての誓約書ですから、契約の解除条件になっておるか、ないしは契約後においてさらに契約を結ばれたのが誓約書である。誓約書は一つの契約書であると解釈できると思いますから、特に御研究を願っておきます。
 続いて、この双ケ岡の問題で、文部省にお尋ねをするのでありますが、ここは、前提に申しましたように、史跡とし名勝としてたいへん貴重な場所であります。それについて、先ほど来お聞き及びのとおり、第三者に譲渡をされまして、買い主がこれの利用方法についていろいろ京都府庁に申し入れをいたしておる。最初は観光事業、ホテルでも建てようという事業の計画があって、これがつぶれますと、また学校をやろうというので、これは先月であったと思うのですが、京都の元府会議員をしておった小西何がしがそういう申し入れをしておるということでありますが、こういう名勝地に対して用途変更の折衝がありましたことを、名勝保存、文化財保存の立場におられる文部省としては、どの程度にその間の交渉を御承知になっておるか、承りたいと思います。
#136
○村山政府委員 双ケ岡は三つの岡からなっておる岡でありまして、昭和十六年の十一月に旧史跡名勝天然記念物保護法によりまして、名勝として指定されております。文化財保護法制定によりまして、旧法が継承されまして、引き続き文化財保護法に基づく名勝ということになっておるわけでございます。文化財保護法の名勝指定地につきましては、所有者の変更は届け出制になっておるわけであります。それから、現状を変更する場合は許可制になっております。現在のところ、旧所有者並びに新所有者から、届け出ないし現状変更にかかる申請はなされておりません。文化財保護委員会といたしましては、直接仁和寺並びに新所有者と接触したこともございませんで、現在までのところ、京都府の文化財保護課を通じまして、事情を聴取しております。それによりますと、先ほど来御指摘のありましたような売買が行なわれ、望ましからざる現状変更が行なわれるおそれがあるということが説明されておりまして、それに対しましては、望ましからざる現状変更は認めない方針で対処するように、文化財保護委員会並びに京都府の教育委員会、文化財保護課におきまして、留意いたしております。
#137
○押谷委員 これだけ騒がれておりますが、実際上の手続としては、文部省は何の連絡も受けておらないし、また京都府のほうにも何ら手続はされておらぬようで、それに対するあらかじめの打ち合わせをなすったようでありまして、これはたいへんけっこうなことなんです。今後も、こういう問題に対する処置については、もとより慎重にしてもらわなければならぬのでありますが、私が、この双ケ岡の所有権の問題について登記簿を見ますと、双ケ岡は、いまお話しのように、一の岡、二の岡、三の岡とある。その二の岡、三の岡を処分されておる。これは二人に処分されて、共有登記になっておるのでありますが、その共有登記は、先ほどどなたかのおことばにもありましたように、三国人の関係になっているようなことも聞いておりますが、とにかく共有登記になっておる。ところが、ここを学校敷地として、工科大学敷地として使いたいと言っている人は、その登記簿に出ておらぬ人なんです。こういうように、登記簿と、これで動いている政治家とが食い違っている。いろいろな疑問がここに考えられるのでありまして、もしこれが大学の敷地というようなことで、この一部を使いたいという申し入れでもあれば、文部省は、大学の敷地となるとまたお考えが違ってくるかもわかりませんが、それに対してはどうお考えになりますか。仮定の話でありますけれども、一応あらかじめ聞いておきたいと思います。
#138
○村山政府委員 二の岡、三の岡は全体で約五万坪あるわけでありまして、大部分は平地から突出した岡になっておりまして、平地はございませんが、その間に千坪余りの、これは指定地外でありますが、民有地の平地があるようでありまして、伝えられる大学設立問題は、その民有地を基礎として計画するのだというようなことを伝聞いたしております。しかし、大学をつくるということになりますれば、そのような僅少な平地ではとても必要な校舎等の建設ができないと思われます。大学をつくるということになれば、規模にもよりますが、おそらく相当の現状変更を必要とするのではないかと想像されるわけであります。そこで、この問題は、実は文部省に認可の申請はもちろんございませんし、御相談もないわけであります。しかしながら大学をつくるということになれば、相当の現状変更を必要とするであろうという予想のもとに、私は文化財保護委員会でありますが、大学問題を所管しております主管局とも相談しておるのでありますが、主管の大学局においても、そのように大きな現状変更するような大学の設立は、おそらく認められないのではないかという見解でございます。
#139
○押谷委員 文部省として、名勝、史跡、文化財の保護の立場から、かような忌まわしい行動につきましては、強い態度を持って、しっかり臨んでいただきたいと存じておる次第であります。
 ところで、いま一つ、同じ京都において、文化財としても史跡としても非常に重要なものが、同じような第三者に売られて、危機に当面をしておる問題があります。これは西本願寺の北側に接続しております日蓮宗大本山の本圀寺という寺であります。一万坪くらいの大きな境内を持っておりまして、この本圀寺は六百年の、まことに豊かな、かおり高い歴史を持っておる社寺でありますが、このお寺の境内を公務員の共済組合連合会が買うたという事実があるのであります。双ケ岡は民間人が買ったのです。一個人が買っておるのです。これでもこれだけ騒ぐのですが、国の文化財は大切にしなければならぬ、史跡名勝はこれを保存しなければならぬ。これに対してきびしい情熱を燃やして協力しなければならぬ公務員が、共済組合連合会でこの本圀寺を買いまして、本圀寺はいまつぶされて、ここには大きなビルディングでもできようという状況にあるのでありますが、本圀寺の中には、すでに御承知でもございましょうが、重文に指定されておる経蔵があります。蔵であります。これをすみっこに移転して、ビルディングでもつくったらいいではないかという、まことに近代的な考え方でものを判断して、公務員共済組合の連合会がやるのです。私は、公務員なるがゆえにもう少し配慮されるべきではなかったかと思います。しかもこの土地は、二重に売買されたというので、共済組合の事務局長が刑事事件に問われて、いま問題になっておるような事態でありますが、それにもやはり本圀寺という大切な史跡名勝がこの売買に含まれているのです。私は文部省の御当局にお尋ねしたいのは、この本圀寺の中に、経蔵が重要文化財として指定をされており、保存をされているものがあるのですが、これは移築するという願い書が出ているはずであります。それにつきましてどんなお考えを持っているか、まず聞いておきたいと思います。
#140
○村山政府委員 京都の本圀寺の問題につきましては、御質問のような事実がございます。昨年の八月でございますか、すでに国家公務員共済組合連合会に売却をされております。そこで重要文化財である経蔵の処置につきましては、敷地の片すみに約千三百坪ほど保留いたしまして、そこに経蔵のほかにも、墓地等も含めまして、移転しまして、整理いたしたいという意向でありまして、それに基づく現状変更の申請書も、京都府の教育委員会を経由して提出されております。それにいかに対処するかの問題でありますが、従来の例から申し上げますと、建造物につきましては、重要文化財でありましても、必要があれば、移築をいたしまして保存をするという措置もないことはございません。本件につきましては、そういう前例も含めまして、はたしてそのような移改築による保存が妥当であるかどうかを十分検討して処置をいたしたい、かように考えております。
#141
○押谷委員 私の調査したところによりますと、この重文の経蔵は、かつて明治、大正ですかに、二度ばかり移転をしたことがあるという前歴があるから、これを移転してもいいのではないかといった意見が、京都のほうでなされているようでありますが、なるほど明治、大正その他の時期において、これが移転されたこともあります。これは間違いないのですが、移転された地域は、一万坪の、この歴史を持っている本圀寺境内において移転をしているのでありますから、今回の移転は、そのうちの大部分はもう公務員の共済組合のビルかなんかになってしまう。ビルの谷間の一部のところにこれを移転してしまう、こういうようなことをお考えのようでありますが、私は、特にお願いをいたしておきたいのは、重要文化財というものは、どんなところにあっても重要文化財には相違ありませんけれども、その所在する周囲の事情、周囲の状況というものは相当大切なものでありまして、墓場の中に重要文化財の経蔵がぽかんと置かれたところで、だれもそれを大切にするものもありません。やはり六百年の歴史を持っておる本圀寺の境内にあるというところに、重要文化財の値打ちがあるのである。その本圀寺は山科かどこかに移転してしまって、そこに大きなビルができて、ビルの谷間にちょんびりと経蔵を残して置こうというような、そういうものの考え方は、重要文化財の保護保存ということには、たいへん私はどうもそぐわないものがあると考えるのでありまして、最近、御承知のように、本国会におきまして、京都、奈良、鎌倉といったような古都の保存法もできている。これは一つの古都の形というものを残そうという、これが大切なものの考え方であって、じゃまになるからここに残したらいいじゃないかというような近代的な物質的な考え方は許されません。私は常に言っているのです。戦争のさなかにおいて、鬼畜米英といったそのアメリカが、京都や奈良の文化財を世界の文化財として保護するために、一発の爆弾も落としちゃおらぬのです、一つの焼夷弾も落としちゃおらぬのです。よその国の人々でさえ、日本の古都の文化財を保護せなければならぬ大切なものである、世界共通の宝であるというこの感じから、爆撃をしちゃおらなかった。それを考えたときに、日本の役人が、事もあろうに役人の共済組合が、六百年の歴史を持っている本圀寺をつぶして、そこに大きなビルを建てて、重要文化財の経蔵はどこかすみっこへ持っていって置いたらいいじゃないかというものの考え方について、私は非常にさみしく思うのでありまして、いま新しい法律もできたおりからでありますから、この点につきましては、文部省においても特に御留意を願いたい。京都という古都のその姿形を守りたいという法の精神もあります。所管は文部省ではありますまい。建設省の関係でもありましょうけれども、あげて望むところは、古都のよさ、あるいは重要文化財、日本民族の文化のかおりの高いそのままの姿を残そうという気持ちに徹さなければ、私はほんとの文化財の保護はできないと思います。先ほど局長のお話のように、これはどこかで保護してもよかろうというようなお考えがちらりとうかがえたのですが、この一万坪からの大きな境内のうちの千坪か五百坪か、一部のところを残して、そこに墓場と経蔵を置いて、あとはビルにしたらいいじゃないかという、こういう考え方は、これは物質的な考え方であって、少しも精神がこもっておらない。日本の文化を愛する、文化財を保護しよう、古都のよさを保全しようというような精神のこもった考え方が、役人の団体にはなかったということを、私はさみしく思うのでありまして、そういうことにつきまして、彼らを指導し、彼らに対して思い違いであるということを指導していかれるのが、文部省の文化財保護委員会でありますから、これは具体的な問題として、いますでに御処置をなさらなければならぬ段階にあります。おそらく本圀寺の問題は、土地そのものが二重に売買されて、そして土地の所有権の争いをしておりますから、この争いが済むまでは、経蔵の移転については、御判断を、御留意願いたいと思うのです。だれのものかわからないのですから。おそらく本圀寺からのお願いだと思いますけれども、本圀寺は公務員の共済組合に使わすというつもりで願っている、その公務員の共済組合が使い得るかどうかという所有権の問題が、いま争いになっているのですから、この点も御留意いただきまして、そういうさみしいものの考え方で文化財がこわされていくという今日の状況につきましては、特に御留意をいただきたいということをお願いいたしまして、この程度で、私の質問を終わります。
#142
○吉田(賢)委員 関連して、ちょっと一点だけ、中野政務次官に伺いたいのです。
 あなたも坊さんでおわすので、お寺のこういう関係では、あなた御自身も、それこそ非常にさみしく思っていなさると思うのですが、私は文化財保護法の運営について多くを調査しておりませんが、文化財を保護するという問題は、やはりいまの日本といたしましては非常に重要であると思います。とりわけ戦後、世界の風潮等によって、一切の民主化、それは逆に悪用せられまして、歴史的な長い伝統というものが忘れ去られようという傾向にもあります。したがいまして、文化財というものが、そこらの瓦れきのように扱われるということもなきにしもあらずであります。こういうときに、一体、文化財の保管の主管庁は文部大臣だと思いますが、文部省あるいは建設省、あるいは大蔵省――国有財産なら当然大蔵省でありますが、こういった方面の横の連絡の総合ということが行政上必要ではないか。日本の今日の行政の実態がばらばらであるという面が多数にありますので、これは臨調などの答申においても明らかなのでありますから、特にこの際文化財保護という観点に立って、文部省も、横の、大蔵省なり建設省なり等々と、しかるべく強固な連絡の機会を一そう持つようにして、この本を全うしていくのによい機会じゃないかと思うのですが、これについて省議でもきめて、その方向に進んでいかれんことをひとつ希望しておきたいと思います。御所見を伺っておきたい。
#143
○中野政府委員 ただいまの御質問でございますが、最近、特に社会開発その他の関係から、大事なわが国の文化財が侵され、破壊されつつあることは、まことになげかわしいことでございまして、どうも文化財保護という観点からながめますと、非常な勇気を持ってしなければ、完全に私どもの大事な文化財を子孫に残すことが困難なような実情を、私自身もさように承知いたして、残念に思っております。幸いに、先般議員立法でもって、古都保存法が成立、今日実施をされているわけでございまして、この法律の所管は建設省でございますが、建設省といわず、各関係省庁とは、文部省が率先して、連絡提携を密にいたしまして、先生の御心配になるような文化財愛護のために、十分にひとつ私どももより一そう前向きな態度で臨みたい、かように存じます。
#144
○吉川委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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