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1965/02/16 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会動力炉開発に関する小委員会 第1号
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1965/02/16 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会動力炉開発に関する小委員会 第1号

#1
第051回国会 科学技術振興対策特別委員会動力炉開発に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和四十一年二月十日(木曜日)委
員会において、設置することに決した。
二月十日
 本小委員は委員会において、次の通り選任され
 た。
      加藤 高藏君    菅野和太郎君
      纐纈 彌三君    中曾根康弘君
      西村 英一君    前田 正男君
      渡辺美智雄君    石野 久男君
      岡  良一君    田中 武夫君
      原   茂君    三木 喜夫君
      内海  清君
二月十日
 菅野和太郎君が委員会において、小委員長に選
 任された。
―――――――――――――――――――――
昭和四十一年二月十六日(水曜日)
   午前十時十三分開議
 出席小委員
   小委員長 菅野和太郎君
      加藤 高藏君    纐纈 彌三君
      西村 英一君    前田 正男君
      渡辺美智雄君    石野 久男君
      岡  良一君    田中 武夫君
      原   茂君    三木 喜夫君
 出席政府委員
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局長)   村田  浩君
 小委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       武田 榮一君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  武安 義光君
        参  考  人
        (東京大学教
        授)      大山  彰君
        参  考  人
        (日本原子力発
        電株式会社社長
        室副主査)   那須 速雄君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所理事長)  丹羽 周夫君
        参  考  人
        (電源開発株式
        会社原子力課
        長)      松本 靜夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 動力炉開発に関する件
     ――――◇―――――
#2
○菅野小委員長 これより動力炉開発に関する小委員会を開会いたします。
 動力炉開発に関する件について調査を進めます。
 昨年十月十六日より一カ年にわたり、原子力委員会より、わが国の動力炉開発の基本方針の策定に資するため、欧米諸国に動力炉開発調査団を派遣いたしたのでありますが、本日は、本問題調査のため、参考人として、調査団に参加されました東京大学教授大山彰君、日本原子力発電株式会社社長室副主査那須速雄君、日本原子力研究所理事長丹羽周夫君、及び電源開発株式会社原子力課長松本静夫君、以上四名の方に御出席を願っております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多用のところ、本小委員会に御出席くださいましてありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。
 なお、時間の都合もございますので、参考人の御意見の開陳はお一人約十五分程度にお願いすることとし、後刻小委員からの質疑の際、十分お答えくださるようお願い申し上げます。
 それでは最初に丹羽参考人からお願いいたします。丹羽参考人。
#3
○丹羽参考人 私、昨年の暮れに調査団の団長を拝命しました丹羽でございます。いろいろ御報告申し上げる準備をしてまいりましたが、十五分間ということでありますので、たいへんことばが足りませんが、要点だけをごく簡略に申し上げたいと思います。
 まず、御承知のとおり、日本原子力委員会は、一昨年の十月から昨年の十月ぐらいまで約一カ年にわたり、動力炉開発懇談会というものを設けられまして、日本における動力炉の開発の方針等についての論議をされてきまして、大体昨年の十月ごろには一応の中間的結論とまでいかないかもしれませんが、そのようなものを出されたのであります。
 それによりますと、わが国の動力炉の各種類のものの中で、いわゆる新型転換炉及び高速増殖炉というものについて、それぞれ何らかの研究開発をすべきであろう、そうして、高速増殖炉というものは、多種類と申しますか、いろんな型が――今後は生ずるかもしれませんが――そうございません。新型転換炉につきましては、大体四種類くらいの型について、ひとつやるかやらぬかをきめようじゃないかということで、四種類の新型転換炉の型式をとりあえず選ばれまして、それらについて調査してこいということで、昨年の十月十六日にたちまして、調査団が欧米を回ったのであります。
 その四つの型と申しますのは、第一の型が、フランスでやっておりまするところのEL4というタイプでありまして、これは燃料は天然ウランを使いまして、減速材に重水を使いまして、冷却材に炭酸ガスを使っておる。これが四つのうちの一つでありました。
 第二の型式は、イギリスのSGHWというタイプ、あるいはカナダのCANDU−BLWというようなタイプでありまして、これの燃料は、たとえばイギリスでやっておりますSGHWというのは、初めはごく徴濃縮のウランを使いますが、最後は天然ウランを使うべく志しております。また、カナダのCANDU−BLWというのは、天然ウランを使っておる。そうして減速材には重水を使います。それから冷却材には軽水、つまり普通の水であり、しかもそれがボイリングである。蒸発軽水を使っておるというのが第二のタイプであります。
 第三のタイプは、ユーラトムでやっております。RGELというプロジェクト、あるいは米国でやっておりますHWOCR、ヘビー・ウォータ・オーガニック・クールド・リアクターというようなタイプ、あるいはカナダのWR1といったようなタイプもこれに属するのでありますが、これは燃料は、やはり天然ウランを使いまして、減速材は重水を使い、そうして冷却材は有機材を使っております。これが第三のタイプであります。
 それから第四のタイプは、ドイツでやっておりまするAVRというタイプ、あるいはドラゴンと申しまして、これはENEA、ヨーロッパ原子力共同体と申しますか、これが共同研究をやっておるドラゴンというプロジェクトがありますが、これだとか、あるいは米国のゼネラル・アトミックスという会社がやっておりまするHTGCR、ハイ・テンペラチュア・ガス・クールド・リアクターというものがこの第四のカテゴリーに属しまして、これは燃料は高濃縮ウラン、あるいは場合によってはトリウムを加えるといったようなものでありまして、それから減速材はグラファイトを使っております。それから冷却材にはヘリウムガスを使っている。
 この四種類のものをいわゆる新型転換炉としてはとりあえず選んで、これらの間における優劣を論じ、あるいはどれをやったらいいかというようなことを調査してこいというのが調査団に課せられた使命の一つでありました。なお、高速増殖炉については、各国の開発状況等々をいろいろ調べてこいというのが使命であったのであります。
 それで約一カ月にわたりまして、まず最初に訪問しましたのが西ドイツ、それからイタリア、フランス、イギリス、最後にカナダとアメリカを訪問したのであります。団は約二十名でありましたが、全部同時に回るわけにもいきませんので、大体二班に分けまして、第一の班は高速増殖炉班、その班長は、ここにおられます東大の大山教授にお願いしましたし、それから新型転換炉の班は、過日通産省の電気試験所長になられました山田太三郎君に新型転換炉の班長をお願いしまして、おおむね二班に分かれて各国の研究所なりそれに類したようなものを訪問していただきました。私は、主として本部的存在には全部訪問したつもりでありますが、あとはそれぞれどちらかの班について回ったのであります。半分ぐらいしか見ておりません。
 それで帰りましてからさっそく団の意見をまとめまして、原子力委員会に御報告を申し上げました。その報告書はここにありまして、あるいはお手元にお届けしてあるかどうか存じませんが、たぶん御承知のことと存じます。
 詳細はこれに書いてございますが、結論的に簡略に申し上げますと、まず、新型転換炉につきましては、二つの型を選んでそれをひとつ将来の研究開発の対象にしよう、その二つの型と申しますのは、第一は重水減速沸騰軽水冷却型、先ほど申しましたように、これはイギリスでやっておりまするSGHWというタイプであります。これがその二つのうちの一つ。もう一つは、重水減速炭酸ガス冷却型、先ほど申しましたフランスのEL4というようなものであります。この二つの型を選んだらよかろうというのが新型転換炉に関する結論であります。
 それから高速増殖炉は、先ほど申し上げましたように、ただいまのところ、そういろいろなタイプはないのでありますが、ともかくも各国と国際協力的にやりまして、そして日本は大いにこれもひとつ開発研究をやろうということでありまして、これの冷却材としましては、これはひとつ金属ナトリウムを使ったものにしようということで結論を御報告申し上げております。
 それでは一体、新型転換炉を、どういうわけでこの二つのタイプにしぼったか。ここに団員の中で専門家がおいでになりますので、ごく詳細なことは御質問がありましたならば申し上げさしていただきたいと思いますが、まず、ごく概略に申しまして、一、二のある種の機関を除きますと、世界各国が新型転換炉というものは必ず将来実用化されるであろう、したがって、大いにこれの研究開発をしなければならぬということで、世界各国とも熱心にどれかの型の新型転換炉の研究開発をいたしております。
 われわれがこの二つのタイプをターゲットとして選びました理由は、まず、核燃料の有効利用をはからなければならぬ。現在実証型の炉であるといわれておりますところの、そうしてこれから大いに国内で各電力会社が設置されようとしておるところのいわゆる軽水炉だけでまいりますと、非常に、非常にというと語弊がありまするが、核燃料の有効利用という点等におきまして、よくない、それよりは核燃料の有効利用という点においてまさっておるところの新型転換炉をやはり使うべきである、また、使われるであろうということが一つ、それからわれわれの炉に関する限り、高速増殖炉というものが最後の理想型とみなが、世界じゅうも思っておりまするけれども、それの実現の時期は、あとで申し上げますが、案外早く想像されかかっておりまするけれども、やはりまだ一九八〇年の初期ぐらいにしかほんとうの実用化はされないであろう、そうしますと、それまでの間にやはりプルトニウムの蓄積ということも考えなければならぬ。したがいまして、転換比、プルトニウムができる割合と申しますか、これが普通の軽水炉あたりよりも高い転換比を持つ炉の開発が必要であろうというようなこと、それからまた、ナチュラルウランというものがやはり入手しやすいという観点もあるので、ナチュラルウランの使用可能なもの、また、場合によっては各種の燃料が、つまり多種多様な燃料が使用できるというような観点、またあるいは、場合によってはブリーダーリアクターに近いような作用をするリアクターにもなり得るというような点等々を考えまして、この二つのタイプを選んだ。
 もう一つの大事な点は、これもひまがありましたならばあとで申し上げますが、やはりこれらの開発研究のためには、世界各国が漏れなくといっていいぐらいにやっておりまするように、国際協力的に研究開発をしなければならぬ。それには、そういう点においてわが国にとりまして比較的やさしい、やりやすいという点も考慮に入れたという点がございます。そんなようなことで、この二つのタイプを日本としては選んで将来の研究開発のターゲットにすべきであるというのが、新型転換炉につきましての団の結論であります。
 それから高速増殖炉につきましては、これはもう当然、より進んだ、いわゆる理想型に近い炉でありまして、各国が真剣にやっておりますと同様に、そしてまた、未知の点が新型転換炉よりはより多く存在しておるところの高速増殖炉というものは、わが国でももちろん自主的に大いに研究開発をすべきであるということで、詳細はなんならあとで申し上げますが、いろいろな方法でもって研究開発をしていこうという結論を出したのであります。
 そこで時間がございませんので、技術的な詳細な点はあとにしまして、私、今度参りまして特に痛感いたしましたことを二、三申し上げたいと思います。
 まず第一の点は、出発する前にわれわれが想像いたしましたよりも、実際に各国の機関などを回りましていろんな人々とディスカッションした結果、彼らの考えておりまする開発のテンポというものは、われわれが想像しておりましたよりももっと早いようである。彼らは自信をより多く持ち、そして開発のテンポが非常に早くなっておるようであるということを、まず第一番に痛感いたしました。
 それから第二の点は、国のプロジェクトといたしまして、いろいろな開発研究の方針を確立いたしまして、官も民もともに足を地につけて、ほんとうに堂々とといいますか、着実なる研究開発をやっておるということであります。
 それから第三の点は、各国とも国際協力的に研究開発を――ただ一国だけでなく、実に網の目を張ったように、自分の国以外の各国のプロジェクトに参加しまして、国際協力的に大いに研究開発をしておる。その理由をただしましたところが、究極的にはこのほうが安上がりであるし、より有効であるということを言っておりました。
 しかし、これは私の想像でありまするが、団員の方々もそんな感懐を持っておられた方々もあるのでありますが、国際協力といいましても、やはりこれには限度がある。最終的には、自分の国で自主的によりいいものを開発していく。場合によっては、自分の国の国内の需要を満たすだけでなくて、輸出産業にしようじゃないかというようなことを、どうも各国は考えておるようであります。すでにそのあらわれも出てきておるということを私は痛感いたしました。つまり、最初のステージにおきましては、国際協力で大いに研究開発をやっておるが、最後には自分の国でりっぱなものをつくり上げる、そして場合によっては輸出産業としてやるのだというようなことを、どうも考えておるようであります。
 そこで、わが国として考えますと、私はあまり科学技術的なことはよくわかりませんけれども、今度、各国の各種の機関とわが国とが国際協力をすることの可能性はあるかないかということを主としてサウンディングしてまいりましたが、結論的に申し上げますと、すべての機関なり国は、日本がもし申し込めば、いろいろ相手の国もあるいはプリードもありまして、相談しなければならぬ点もあるけれども、日本が国際協力を申し込むならば、喜んで参加するような方向に持っていってやろうということを、ほとんど漏れなく言ってくれておりました。というのは、うぬぼれかもしれませんが、わが国の今日までの原子力研究に関する業績と申しますか、これは原研も大学その他もありまするが、たとえば原研で申しますと、今日までに約三千種類前後の論文を世界に発表いたしておりまするが、それの多くが興味を持ち、アプリシエートして読まれております。そんなようなこともありまして、わが国の原子力研究開発の今日までの業績は、案外高く買われておるようであります。そんなようなことも原因だろうと思いますが、あるいはさっき申し上げました輸出産業的のアイデアが腹の中にあるのかもしれませんが、いろいろな国は、日本がもし申し出れば喜んでひとつその参加を認めてやろうというような国が大部分でございました。ただ、日進月歩でありまして、この原子炉の研究開発は非常にテンポが早いのでありまして、こういうような決断なり申し込みなりを一日おくらせれば、一日だけじゃ済まない程度のおくれが生ずるということがあるのであります。実例をもって申し上げますと、よくおわかりいただけると思いますが、ひまがないので省略いたしますけれども、もうすでにおそかった、出発前には可能だと思って行ったのが、行ってみていろいろ話しますと、すでにおそかったというようなこともございます。したがいまして、これらの国際協力の方針なり決断なりは、一日も早くする必要があるということを痛感いたしました。
 それからもう一つの点は、特に西独及びアメリカでありますが、この両国は御承知のようにいわゆるビッグビジネスが多量に存在しておる国であります。したがいまして、これら西独、アメリカは、もう御承知のとおりでありますが、自分の費用を相当かけ、そしてそれらに関係のある電力会社も共同して、場合によってはある種の炉の研究開発の半分前後の費用を受け持ちまして、そうして国家の機関と共同してある種の炉型の研究開発をやっておるということでありまして、この点は非常に私うらやましく思いました。遺憾ながら、わが国はとてもそこまではいくまいというふうに思いました。したがいまして、西独なりアメリカなりがそういうふうにビジネス――インダストリーが相当程度具体的な炉の研究開発をやっておりますので、そことの国際協力を申し込むといたしますと、いわゆるライセンス・アグリーメント的な条件を持ち出される可能性が多分にあるということを考えなければならぬと思います。
 そうでない傾向の国は、主としてわれわれが回りましたところではイギリスとフランスであります。現に、イギリスは二、三年前に申し込んできましたが、その間、われわれは確実なる返事をいたしておりませんが、だいぶ情勢は違ってきたけれども、二、三年前に日本にプロポーズした条件はいまでも生きておると思ってよろしい。ただし、関連国ができたので、その辺の了解を求めなければならぬという点において、若干情勢が違ってきたと申しておりますし、イギリスはSGHWでも、場合によっては、ある条件のもとに共同研究してやってよろしいということを言っておりますし、高速増殖炉につきましては、昨年の末、イギリスの原子力委員長のサー・ウィリアム・ペニーと私との間で、高速増殖炉に関する共同研究の契約にサインをいたしました。そんなことでこれから進んでいこうとしているのであります。
 私、まだほかに二、三申し上げたいことがございますが、一つ特に感じましたことは、これも皆さま御承知のとおりでありますが、わが国は、今日まで研究開発を進めるための議論が少し長過ぎた、多過ぎたという点を痛感するのであります。ある一、二の国を訪問しましたときに、中央機関的存在の人々から、日本ももういいかげんに議論をやめて、はっきりとした決断を下すべきときじゃなかろうか、われわれも一、二年前まではそういうことをやってきた、したがって、日本の現状はよくわかるけれども、もういいかげんに論議はやめて決断を下すべきときじゃなかろうかというふうにアドバイスしてくれた者もございます。
 それからもう一つは、これは御承知のとおりでありますが、ここに数字は持っておりますけれども、米、英、フランスのごとく、軍用の研究開発も原子力に関してやっておる国もありますが、アメリカ、イギリスなどにつきましても、動力炉開発の費用は一体どのくらい毎年使っておるだろうかということを調べ得るデータがございましたので、調べました。また、フランスは、軍用を除いた費用もちゃんと出ております。その他カナダ、ドイツ、日本といったようなものを比較いたしますと――だんだん時間がたちますので、詳細はなんならあとで申し上げますが、一言にして尽くしますと、たとえば昨年度の一九六五年の動力炉開発だけに各国が使った費用を比較してみますと、アメリカ、イギリスはもうお話にならないくらいたくさんございまするが、カナダ、フランス、ドイツだけをとりましても、動力炉開発だけでも日本の十倍以上使っているということを痛感いたしました。したがいまして、日本も早く動力炉開発の方針をおきめいただきまして、そしてせめてドイツ、フランスぐらいの金はひとつ使わしていただきたいというふうに考える次第でございます。
 それからもう一つの点は、新型転換炉というものは、しばしば国内でも議論がございますように、外国ではすでにセミプルーブンというものになっておる。マラソン競走にたとえますと、彼らは出発点をとっくにスタートをして、折り返し点を回ってしまっているようなステージになっておる。しかし日本はまだ何もやっていない。そういうようなものをいまから追いかけたのではまるで外国の糟粕をなめて、結局何のことはない、彼らのしりからくっついていくだけにすぎないのじゃないか、そういうことは外国の研究開発に待ったらいいじゃないかという議論もございます。
 しかし、新型転換炉といえども、いま申し上げましたように、まだセミプルーブンの程度でありまして、また、その必要性は十分にあるし、アメリカなんかちょっと考えが違う点があるかもしれませんが、各国ともこれらは使われなければならないし、使われる時期がくるであろうということを信じております。したがいまして、わが国は、ともかくもこういうものである限り、そして、われわれが、最初に申しましたように、この炉型を選んだ理由もありますので、ひとつわが国も何らかのことをやったらよかろう、また、そうすることによりまして、いわゆる産業の基盤もできますし、かりにわが国がこういうものを研究開発いたしまして、日本が結果として諸外国で最後に完成されるであろうものよりも、もし劣るものしかできなかったといたしましても、新型転換炉が実用される限りは、こういう研究開発をわが国が自主的にやるということにおきまして、いろいろな点で決してマイナスにはならぬ。したがって、何らかの研究、開発を新型転換炉につきましてもやるべきであろうというふうに、これは私の個人の意見と申し上げたほうがいいかもしれませんが、私はそう考えます。
 ただ、彼らが実験炉から始めまして、いまではもうまさにいわゆる原型炉を備えつけようとしており、あるいは設計中であるということで、数年あるいはごく近い将来には、彼らは新型転換炉のどれかのタイプにつきましては、いわゆる二、三十万キロワットの原型炉を備えつけて、そして、それによって実用の炉の確認をしようというステージになっております。したがいまして、日本がいまから彼らを追いかけて実験炉から始めるのはどうかと思う。幸いに国際協力をやってくれようという国がたくさんございますので、そのうちのどれかと組みまして、言いかえれば、先ほど選んだ二タイプとしますと、イギリス及びフランスということになるのでありますが、それらと共同いたしまして、国際協力いたしまして、実験炉の段階はもう省略しまして、彼らと組みながら、原型炉の設計をし、その設計を十分にデータをもらって完成して、わが国では原型炉をまず備えつける。それによって実用の可能性を確かめて、そして最後にはもちろん実際の炉をつくるというふうにいくべきである。そうすれば、もちろん外国よりおくれますけれども、それほど大したおくれはとらない。つまりなるべく早く、マラソン競走の折り返し点までは走らないで、自動車か飛行機で飛んでいこうというアイデアであります。
 それから高速増殖炉は、先ほど申しましたように、まだまだ世界じゅうほんとうに完成したという域にはなっておりませんし、これこそはほんとうに理想型の炉でありますので、いろいろな方法――なんならあとで大山教授その他から申し上げますが、日本でも独自にひとつ実験炉から始めて、研究開発をやっていきたいということであります。これに要する人間の数あるいは費用などという点も、団といたしましてもいろいろ持っておりますが、だいぶ時間もたちましたので、とりあえず私の御報告はこの程度で終わらしていただきたいと思います。失礼いたしました。
#4
○菅野小委員長 次に大山参考人にお願いします。
#5
○大山参考人 東京大学の大山でございます。いま丹羽さんのお話にもございましたように、私は主として調査団の中で高速増殖炉関係を見てまいりましたので、新型転換炉につきましてはあとの参考人の方がいらっしゃいますから、増殖炉関係について、なるべく短い時間に、見てきたこと、それからそれに対する感想を申し上げたいと思います。
 高速増殖炉と申しますのは、もうよく御承知のとおり、原子炉の中で燃料を燃やしております間に、新しい燃料でありますプルトニウムを生産していく、しかも、その生産量のほうが消費量よりも上回ることができる、そういうタイプをいっておるわけでございますから、非常に技術的に新しい点が多々あるために、研究開発は相当時間がかかってはおりますが、各国とも将来のために相当力を入れているということかと存じます。
 一つの大きな関心としては、各国が、各国と申しますのは米、英、ソ、それからフランス、西ドイツその他でございますが、そういう国が高速増殖炉に相当力を入れているのは一体どういう理由に基づくかということが一つの関心事でございましたけれども、回ってみまして、やはり大きな原因は二つある。
 一つは、将来の自分のエネルギー問題として、理想的な発電設備と予想されております高速増殖炉をなるべく早くものにしまして、エネルギー問題をかなり長期にわたって解決したいという気持ちはどこでも持っていると思います。
 しかしその第一だけではございませんで、第二番目といたしましては、高速増殖炉のような、非常に総合的な技術、非常に広い科学技術の範囲にわたりますものを総合した技術としましては、これを大きく取上げて研究していく、開発していくということによって、全般的な工業技術のレベルを向上させることができる。よくビッグサイエンスということがいわれておりますが、宇宙とともに原子力がビッグサイエンスの一つとして、全体のレベルアップに非常に貢献するという考えが根底にあるように思われました。先ほど御指摘のように、将来の大きな輸出産業であるというような考え方も幾つかの国ではっきり聞いておるような気がいたします。わが国のことに引き比べてみますと、エネルギー問題という点では、工業国の中でも、非常に深刻な状態にありますわが国でございますし、それから工業技術の将来の発展ということによって国の富をふやし、国民所得を上げていかなければならないという点からみても、また、日本は非常に資源が少なくて、優秀な人間がいるという環境からして、この科学技術開発について全体のレベルを上げるという点から見ましても、各国でいっておりますエネルギー問題と、広い範囲の科学技術のレベルアップというのは、いずれもわが国ではますます重要なことではないかというふうに、いまさらながら思った次第であります。
 回りました各国の高速増殖炉の開発状況をごくかいつまんで申し上げたいと思うのでございますが、高速増殖炉というのは、原子炉、動力炉の一つの理想の形であるということは非常に昔からわかっておりまして――昔と申しましても、原子力のことですから二十年とかそういう程度でございますが、二十年前からわかっておりまして、原子力の先進国では非常に早くこのことを考え出しております。現に、アメリカの例をとりますと、一九五二年に最初の高速増殖炉をつくっておりまして、五三年になりますと、非常にわずか、百五十キロワットでございますが、最初の発電をやっている。原子力発電というのを最初に行なった原子炉は高速炉であるというような歴史がございます。
 そんなに最初から考えられていたものが、どうして軽水炉その他に比べて実用化が非常におくれているかということを考えてみますと、これはやはり一つには、高速増殖炉というものがプルトニウムの原子核的な性質に基づいて増殖をやる。そのプルトニウムというものが天然にはなくて、たくさん原子炉ができて、そこからだんだん生産されてくるものであるということのために、プルトニウムの蓄積があって初めて高速増殖炉の実用化時代を迎えるという点が一つでございます。
 それから、二番目の問題は、やはり高速増殖炉というのは非常に進んだ高級なタイプであるために、それに伴う幾つかの技術的な難問題、研究開発を相当しないといけないような問題が横たわっているという二つの点で、非常に初期から考えられながらも、現在まだ実用期を迎えていないということかと存じます。
 歴史的に申しますと、ごく大ざっぱにいって、一九五〇年代というのは、アメリカのさっき申しました世界最初の原子力発電を行なったという高速炉、それからソ連も非常に小さい、たった五千キロでございますが、高速炉を動かし出したというようなことで、高速炉というものがともかくちゃんと安定に長期にわたって運転できるものであるということを実証するような時代だったと言ってもいいかと思っております。
 六〇年代になりまして、そういう基本的なことがわかりましたので、今度は実用的な動力炉を目ざしての研究が各国で行なわれるようになったかと思うわけでございます。
 最初アメリカのことを申しましたからアメリカから申しますと、アメリカはその後、先ほど申しました最初の高速炉というのはEBR1と申しますが、その次に、EBR2というのを続けてつくっております。これになりますと、電気で二万キロという、実用規模から見ればかなり小さいのでございますけれども、かなり大きなものになってきております。これが一九六三年ぐらいから動き出して、現在研究開発に大いに利用されております。一方、主として民間が中心になりましてデトロイトのそばのエンリコ・フェルミ原子力発電所というのを非常に早い時期に計画いたしまして、これも同じころ、一九六三年に臨界になり、各種の試験をやって、徐々に現在出力を増しているという状態でございます。
 そのあとの計画でございますが、アメリカで一つ非常に認識されましたことは、高速炉用の燃料の開発が非常に大事だということ、それから安全技術の関係が非常に大事だということ、それらが認識されまして、その両方を目的に数万キロ程度の実験炉が現在二つ計画が進んでおります。一つはすでに建設が始まり、もう一つはこれから建設が始まるという状態でございます。これらはいずれも相当大きくはなってまいりましたけれども、実験的な性格が強い。つまり将来の実用の高速炉発電所のモデル、プロトタイプ、原型炉とはいいにくいものでございます。そういうような実験的な性格の強いもので各種の研究開発を行ないまして、いまアメリカのいっておりますところでは、一九六九年ごろに電気出力三十五万キロ、これはもうかなり実用規模かと思いますが、その原型炉の建設を早めるというふうにいっております。
 いよいよ高速炉の実用化時代というときがきますと、一つの発電所の出力がざっと電気出力百万キロぐらいで、その時期は一九八〇年代の初期ではないかという予想をしているようでございます。
 ここ数年、年々高速炉のアメリカの原子力委員会における比重は徐々に高まっているように見受けられますが、現在千数百名ぐらいの科学者、研究者、技術者が従事しておるようでございます。
 予算のことは、これは先ほどもお話がございましたが、ほんとうに高速炉に使っている予算だけを取り上げて計算するということは、実はなかなか困難でございまして、よくわからないというのが正直なところなんでございますが、完全に高速炉だけに使っているらしいと思われるものが、一年間にざっと二百億ないし三百億ぐらい今年度で使っているようであります。それで、予想としては今後十年間に三千億円ぐらいのものが純粋に高速炉という形で使われるということのようでございます。
 次は、イギリスに参りますが、イギリスは今度行って非常に感じましたのですが、事高速炉に関してはたいへん自信を持っておりまして、アメリカよりも自分たちのほうが進んでいるのだということを何度も聞かされました。実際やっていることはどういうことかと申しますと、スコットランドの北端にドーンレーの研究所というのがございますが、そこに数万キロの熱出力を持っております実験炉を建設し、これは一九五九年の末に臨界になっておりますが、やはり最初の仕事だけにいろいろな苦労があって、計画出力になりましたのはそれから二、三年たってからということなんですが、現在の時点ですでにまる三年ぐらい出力運転をして、特に燃料の試験というようなことをやり、そのデータをかなり持っている。その非常に貴重なデータを持っているということがイギリスが非常に自信を持った原因かと見えるわけでございます。その経験に基づきまして、今年または明年といっておりましたが、これは予算が通るかどうかというような問題かと思いますが、今年、つまり六六年または六七年から電気出力にして二十五万キロの原型炉の建設を始めるといっております。その経済性についてもかなり自信を持っておりまして、プロトタイプは当然商業的に太刀打ちできるものではないけれども、そう大きな電力原価にはならない、その超過する部分ぐらいは当然研究開発費としてジャスティファイされるだろうということをいっております。
 その次に今度は大型の実用規模のものをいよいよつくるわけで、これは楽観論としてはできれば一九七五年に大型の発電所を動かし出したいというふうにいっております。
 人数は、これまた非常に捕捉しがたいのでございますけれども、まあ一千名ぐらいの科学者、研究者、技術者が参加しておるのじゃないか。
 予算といたしましては、今日の時点で、年間百億円ぐらい純粋に高速炉に使っている。これは将来原型炉をつくるというようなことになりますと、当然増加の傾向といっておりました。
 それからその次はソ連でございますが、ソ連は今度の旅行では行ってまいりませんでしたので、調査団の報告ではございませんけれども、ソ連は非常に独自のやり方をしておりまして、熱出力五千キロというようなかなり小さい高速炉を五年前から運転しておりまして、もう六年になっておりますが、それが非常に順調に運転が続いておる。ですから、そこで得られました燃料の照射その他のデータは非常にソ連の財産に現在なっているというふうに考えられます。その後少しずつ大きいプラントについての、もうすぐつくらんばかりの詳細な設計を何度かやったようでございますが、詳細設計の段階でおしまいにしまして、つまりもうつくってみなくてもいい、さらにもう少し大きいものに進もうということだと思いますが、結局つくり出しましたのは、電気出力三十五万キロの海水脱塩と発電の二重目的の高速炉プラントをすでに昨年から建設を始めております。
 それから次はフランスでございますが、フランスは米・英・ソに比べますと、だいぶんおくれて出発したわけでございますが、そのおくれたことの利点をある程度生かしている形と思われます。と申しますのは、初期の高速炉というのは金属を使っておりましたのですが、最近は各国とも一致してセラミック、酸化物の燃料を使うのが本筋であるというふうになってきておりますが、フランスは初めから酸化物の燃料というのをやる。それから冷却材としましては、先ほどお話しの液体ナトリウムというのに大体一本にしぼっている。ですから、現在、将来の大型炉としてイメージされているものを最初からイメージに持って出発することができたという点では非常に有利な点を持っております。それで、やっておりますことは、実験炉としましてラプソディーという名前のものを現在建設中でございまして、今年一ぱいぐらいに完成というつもりでいるようでございます。その次のステップが原型炉でございますが、原型炉につきましては、すでにかなり詳しい設計研究を何回もやっておりまして、第一回の設計研究をAとし、その次をBとしというので、確か十ぐらいの設計研究が発表されております。それで、ここ二、三年のうちに決心いたしまして、六八、九年ぐらいから建設を始める、そうして一九七二年には原型炉の建設を終わるというふうにいっております。
 組織としては、政府関係の機関であるCEAという原子力開発の機関と、それから電力の機関と民間の産業界とが原型炉の段階では非常に密接に協力していかなければならないということが現在の非常な問題だというふうにいっておりました。
 人数も、これはなかなか把握できませんでしたけれども、やはり千名ぐらいはやっているのではあるまいかというふうに推定されます。
 予算の点では、現在までに純粋高速炉に消費されましたのが約三百億円で、今後は増加の傾向ということのようでございます。
 それから西ドイツでございますが、これは日本と同様に非常におくれて原子力というものの研究を始めたというのではありますけれども、高速増殖炉の将来の価値ということをかなり初期に目ざめておりまして、一九六〇年からドイツにおける高速増殖炉の研究開発の第一期というのを出発さしております。ドイツの考えは第一期、第二期、第三期というふうに分けまして進めていっているやり方でございまして、第一期が一九六七年、来年で終わるということになっております。この間にやりますことはどういうことかと申しますと、かなり基礎的な技術開発、冷却系の技術とか安全性の検討とかいうような問題、それと同時に、第二期につくろうと思っております原型炉の設計研究、設計してはまた問題点を拾って技術開発して、また次の設計をやるというようなことをやっております。その第一期が終わりますと、再来年、一九六八年からいよいよ原型炉の建設にかかる、こういうふうにいっております。原型炉の建設について、やはり電気出力が二十五万キロといっておりますが、ドイツでちょっと特色がありますのは冷却材として必ずしもナトリウムにこだわらないで、スチームの冷却あるいはガスの冷却も同時にかなり力を入れて研究している。現在の意見としては、ナトリウムとスチームとは一長一短があって、将来の高速炉実用時代に両立し得る可能性がある。もし予算的な面が許すならば原型炉を二つつくって、片一方はナトリウム、片一方はスチームというようなことをいっておりました。しかし、これは、ドイツは経済力があるといってもなかなかたいへんなことじゃないかとわれわれは思ったわけであります。その原型炉の建設が終わって運転してみるという期間が一九七三年まででございまして、一九七四年からが第三期というふうに称しております。ここで大型の実用的な高速炉発電所をつくろうということのようであります。
 携わっております人数は、定義のしようでどうにでもなると思いますけれども、主として高速炉を研究しておりますカールスルーエの研究所の職員が約二千名でございます。しかし、この中には研究者や技術者ではない、もう少し簡単な作業をしておる人も多数含まれております。それから高速炉以外のことをやっておる人もいると思いますので、これよりはかなり人数は少ない。
 予算面で申しますと、来年までの第一期に一応の予算が二百二十五億円というふうに組んでございまして、現在すでに半分以上を使ってしまっておるということでございます。将来原型炉を二つつくるということになると、非常なお金が要ると思いますけれども、今後十年間に動力炉開発全体として年間八百億円ぐらい使えるといいんだがなということをいっておりましたが、これはやっている担当者のほうの話でございますので、それだけ使えるかどうかははっきりしておりません。
 各国の高速炉開発の現況は大体以上のようでございます。
 それで調査団としまして、こういうのをいろいろ見たり聞いたりして、わが国でも高速炉開発はぜひ取り上げたいという気持ちを強く持ったわけでございますが、その際に、今後慎重にやっていかなければならない問題点はどういうことだろうかということを議論いたしましたけれども、一つは、これだけの大きな仕事でございますから、当然国際協力という面が入ってくる。なるべく広く国際協力がやりたい。しかし、何といっても日本人はまだ国際協力、一緒に仕事をするというのにふなれでございますから、相当しっかりやらなければならぬなということ、それから先ほどのお話と重複いたしますが、世界の情勢はどんどん動いておりますので、情報を早くキャッチして、もうちょっと前に言ってくれれば協力できたのにということを言われないように、即応性がなければいかぬ。それから、高速炉といえども、そう先の先の話ではございませんので、わが国で何から何まで研究開発するということは不経済でもあるし、困難でもある。だから、将来の一流工業国としてぜひ持っていなければならないような技術に重点を置いてやるべきじゃないか。そういう技術は何かと申しますと、特に日本では国土も狭いし、安全に関係する技術の開発と、それから燃料の製造というのはやはり原子炉のキーポイントでございますので、燃料の製造及びその再処理の技術、それから高速炉は、液体金属などを使うように冷却系統として画期的にむずかしいものでございますので、その冷却系統の技術、そんな三点に特に重点を置いて開発する実験炉、原型炉と、できるだけ早く進んでいきたいものだ、こういうふうに感ずる次第でございます。
 それに関連しまして、重点をしぼるということはどこまでも開発でございまして、研究開発と一口に申しますが、開発というのは品目をきめてそれに向かって邁進していくものである。一方、研究というのは、あることを研究したらそれを一般化する。一般の法則にするということを常に考えることかと思いますので、これは研究である、これは開発であるということを、ある程度筋を通してやっていく必要がある。そういう基礎研究というものは、十年以上のあと、二十年くらいたって高速炉が本格的な時代に、非常に日本の力になるのじゃないかというふうに考えております。
 それから、研究開発用にプルトニウムが必要なわけでございますが、現在日本はほとんど持っておりませんので、これを少なくとも初期においては外国に依存せざるを得ない。これは政府間の折衝になると思うのでございますが、これをかなり熱心にやっていただかないわけにはいかない。それから、同時に、日本の発電所から出てきましたプルトニウムの再処理、回収ということはぜひ進めておかなければならぬと思っております。
 最後に、こういう大きな開発の仕事というのは、われわれとしてはあまり経験がない。新幹線その他例はございましょうけれども、あまり経験がございませんので、特に政府関係の研究機関、それから基礎のほうでは大学、それから産業技術のほうでは民間の力というものを、非常によく結集させるための組織なり、ことばは適当でないかもしれませんが、参謀本部的な活動ということが非常に大事になってくるのじゃないかということを思って帰ってきた次第でございます。
#6
○菅野小委員長 次に、那須参考人にお願いします。
#7
○那須参考人 原子力発電の那須速雄でございます。私は今度の調査団の中の新型転換炉のグループに属しまして、この分野の開発の状況その他を検討してまいりましたので、この分野についての御報告を申し上げてみたいと思います。
 この新型転換炉の分野につきましての総論及び結論は、先ほど丹羽原研理事長より報告ございましたので、私はその中で、さきに動力炉開発懇談会がしぼりました四つの型の新型転換炉のおのおのの型の開発の現状、及び各国におきますそれぞれの型の現状から見まして将来の見通し、この二点につきまして、新型転換炉のグループの中で大体一致した意見という線を述べてみたいと思います。
 まず、そのグループの第一は、重水減速と軽水冷却型でございますが、この炉型の代表的なものとしましては、英国原子力公社が現在ウインフリス原子力研究所に建設中のSGHWR、スチーム・ジェネレーティング・ヘビー・ウォーター・リアクターがあるわけでございますが、この現在ウインフリスで建設中の十万キロの原型炉、これは来年、一九六七年でございますが、この後半には運転が開始される予定でございます。
 もう一つ、このタイプの中に入ると思いますが、カナダ原子力公社が現在開発中のCANDUのBLW、二十五万キロの原型試験炉は、すでに概念設計を終ったといっております。そして一九六六年に建設を開始する。そして一九七一年には運転開始の計画をすでに持っております。さらに五十万キロの実用炉を一九七五年完成をめどにして現在計画を進めております。
 この炉型の特有な問題といたしましての正のボイド係数、すなわち、炉心内でボイドがふえますと原子炉の反応度がふえていくという傾向があるわけでございますが、これはプラントの全体的運転特性としてうまく調整していくとこれを解決する見込みがある、そういうめどを見出したようでございます。
 この炉型の開発には、沸騰水型の現在までの開発データ――主として熱水力学的なデータでございますが――及びその他の技術が導入できるといううまみがございますが、燃料チャンネルのデザインを変えたりする都合で、なおこれについて試験開発をしなければならない課題も決して少なくはないのじゃないか、たくさんあるのじゃないかというふうに見られます。
 したがって、この炉型では、過熱蒸気チャンネルを設けることができますが、この種の設計の実現にはさらに数年の研究開発が必要だと思われます。
 次に、この炉型でありますと、微濃縮ウランから天然ウランへの移行を研究しているSGHWRと、それから天然ウランからスタートするCANDUのBLWと、ここでは問題のむずかしさに若干の相違はあると思いますが、この種の炉型は良好な炉型となる可能性があると思われます。
 しかし、イギリスの原子力公社は、SGHWRを極地用または輸出用として開発している傾向がございますので、英国本土内の原子力発電所建設計画の中に占めるSGHWRの地位は大きくならないのではなかろうかというふうに予想されます。
 次に第二のカテゴリーでございますが、重水減速と炭酸ガス冷却型、これは先ほど丹羽団長からもお話がございましたように、このタイプの原子炉といたしましては、フランスの原子力庁のEL4系の研究計画があるわけでございます。そしてそれはサクレーの研究所を中心に一九五九年に開発を開始しまして、出力七万三千キロの原型炉を一九六七年末に完成する予定であります。
 しかし、この炉型のキーポイントであると思われますベリリウム燃料被覆材の研究開発は、照射しない試験結果としましては、すでにある程度満足できる結果が得られているとはいっていますが、照射試験がまだ十分に済んでおりませんので、そのめどをつけるには、あと一、二年を待たなければならぬのじゃなかろうかと思われます。このEL4系の研究計画があるわけでございます。そしてそれはサクレーの研究所を中心に一九五九年に開発を開始しまして、出力七万三千キロの原型炉を一九六七年末に完成する予定であります。
 しかし、この炉型のキーポイントであると思われますベリリウム燃料被覆材の研究開発は、照射しない試験結果としましては、すでにある程度満足できる結果が得られているとはいっていますが、照射試験がまだ十分に済んでおりませんので、そのめどをつけるには、あと一、二年を待たなければならぬのじゃなかろうかと思われます。このEL4型に対しまして、西ドイツ、これはジーメンスでございますが、これが続く態勢でございますが、フランスは現在EL4型の完成に全力をあげている状態でございます。そしてこの型の実用炉としてのEL5、これは出力が二十五万から三十万というものを計画していますが、その具体的な着手はまだ決定しておりません。
 次に第三番目の型としましての重水減速有機材冷却炉、この種の炉型としましてはユーラトムがイスプラ研究所で行なっているオージェル計画、それから米国の原子力委員会がオークリッジ研究所等で行なっていますHWOCR計画というものがあるわけでございますが、それらのいずれも非常に長期的な計画を考えておりまして、特に、アメリカの原子力委員会等の見解によりますと、これはむしろ新型転換炉の計画の中で占めている地位と申しますか、ウエートは、さほど高く評価されていないようでございます。
 それからなお、この種の炉型は、単に有機冷却材を使用する都合から多くの未解決の問題を残しているだけではございませんで、炉物理特性から見ましても、本質的には中途はんぱなものじゃないかと考えられます。
 最後に、高温ガス冷却炉でございますが、このタイプの炉型としましては、ENEAのドラゴン計画、アメリカのゼネラル・アトミックスのピーチボトムの原子力発電所、ユーリッヒ研究所のTHTR計画、この三つがあげられます。
 ドラゴン計画は敷地としましては、英国の原子力公社のウィンフィリス研究所の敷地内に建設しているわけでございますが、二万キロの試験炉、これは一九六四年八月に臨界に達したのが、現在出力上昇中でございます。そしてこの出力試験をしまして、あと三年間ぐらい燃料照射施設として使用される予定でございますが、引き続いて、このタイプの炉を建設するという計画はないようでございます。
 しかし、他方、アメリカを見てみますと、ゼネラル・アトミックス社のピーチボトムの原子力発電所でございますが、去年の初め、建設過程におきまして火災を生じたために、その竣工が若干おくれていましたが、現在燃料を装荷し始めているようでございます。したがいまして、あと数カ月もたつと、臨界の運びになるのじゃなかろうかと思います。そしてこの同じ型の炉型としまして、コロラド計画というものがございますが、これはピーチボトムの運転実績を待ってから正式にその計画を発足させる、そういうことが決定されているそうでございます。
 なお、西独のユーリッヒ研究所にBBCが主力となって建設しているAVR、出力一万五千でございますが、これが建設中でございますが、これも来年には運転に入るという計画を持っているようでございます。
 このタイプの原子炉すなわち高温ガス冷却炉は、ウラニウム二三三−トリウム系として大きな期待は一応持てるようでございますが、英国、フランスそれにカナダ等のこの炉型に対する意見と申しますか見解は、これはむしろ長期開発計画にゆだねるべき性質のものであって、むしろ高速増殖炉よりも将来の問題ではないかという意見を持っているようでございます。
 以上、四つの型についての大体の現在の開発現況、それから将来の見通しということを申し上げたわけでございますが、以上の理由から、四つの炉型から二つの炉型、すなわち重水減速沸騰軽水冷却型、それから重水減速炭酸ガス冷却型の二つにしぼってきたわけでございます。
 以上をもって御説明にかえます。
#8
○菅野小委員長 次に、松本参考人にお願いいたします。
#9
○松本参考人 電源開発の松本でございます。
 私は、今度の調査団で新型転換炉のグループに属しまして各国を見て回ったわけでございますが、すでにお三方のお話で、技術的にもいろいろの面に触れられまして、また、調査団の原子力委員会に御報告をお出しした報告書もございますし、主として私が各国の原子力関係の施設を見たり研究所をたずねたりしたときの個人的な主観がかなり入っているかもわかりませんが、概略見た感じを入れながらの御説明をさしていただきます。
  〔小委員長退席、纐纈小委員長代理着席〕
 まず、西ドイツでございますが、これは、私ども新型転換炉のグループで見てきたわけではございませんが、御承知のように、西ドイツではアメリカからBWRいわゆる在来型といわれる原子力発電炉を導入いたしまして、これが三号炉でようやくといいますか、三号炉ですでに国産化を考えた開発まで進んでいるということが非常に印象的でございます。新型転換炉の開発につきましては、先ほどからお話のありましたように、重水炉型では二つの炉型を選んでおりまして、さらに高温ガス炉であるAVRの、非常にユニークな炉型でございますが、その三つを新型転換炉として選びまして、その三つを現在建設中でございますが、ドイツの悩みはこれをなかなか一つにしぼれないというところにありまして、わが国の新型転換炉の場合の炉型の選定にあたってもなかなか炉型が一つにしぼれない同じような悩みを持っておるようですが、西ドイツの場合は、すでに基礎研究から始めてかなりの研究が実を結んで、すでに建設中でなかなか炉型が得られないということで、わが国といたしましてかなり内容的な面での相違が見られると感じます。特に、ドイツの原子力開発のやり方について、特徴的であるのは、政府の計画と民間の計画というものがきわめてはっきりしておりまして、現在民間計画は、短期のいわゆるデモンストレーションを目標とした開発が進められておるわけでございますが、政府計画としては、新型転換炉並びに高速炉の開発をいわゆる中期、長期計画として進行させているわけであります。さらに、ドイツの考え方の特徴的な点は、輸出を非常に強調しているということであると思います。これは、ドイツそのものが非常にメーカーが強いという感じをわれわれは受けたのですが、やはり将来の輸出を目標として国の利益をねらっているものという感じを非常に強く受けました。
 それからイタリアでございますが、これもいわゆる在来型の開発計画は御承知のことと思いますが、アメリカからPWR、BWRの二炉型、それからイギリスからコールダーホール型、その三炉型を入れまして、その建設経験によってどれがいいか比較検討する。在来型の開発にはそういう方法をとっております。これも一つの考え方だろうと思うのです。
 それから新型転換炉については、特に重水フォッグ型という少しユニークなタイプなんですが、これも国のプロジェクトとして開発を進めていこうということで、チーゼの研究所で研究開発をやっておるわけであります。一方では、ユーラトムと協力しまして、有機材冷却型の重水炉の成果も期待している。やり方としては非常にそつのないやり方ではないか、そのように感じました。
 次に、フランスでございますが、フランスは、やはりわれわれの印象といたしましても、国の威信ということと原子力開発というものが非常に重なった感じを受けまして、フランスの原子力庁CEAを中心とした開発がかなり大規模に行なわれておるわけでございますが、フランスの考え方は天然ウランベースということで、御承知のようにEDF系のいわゆる在来炉の自主開発に主力を置いておりまして、さらには新型転換炉であるEL4、重水減速炭酸ガス冷却炉の建設を目下進めておるわけであります。
 ここで、少し注目すべきこととしまして、いわゆる在来型といわれる、あまり今後の技術開発の余地がないと見られるEDF系の設計内容も、最近かなり改良が加えられ、出力密度を二・五倍くらい上昇させるというような点についてかなり自信を持った言い方をしておりました。
 次に、イギリスでございますが、イギリスの印象といたしましては、輸出産業と申しますか、原子力発電所を海外に輸出することがかなり熱心に考えられておりまして、特に、この点はイギリスの国情、つまり多くの植民地を失って、また、国土もかなりやせているというようなことから、輸出産業としての原子力発電所の開発というものがかなり大きな目標になっているかの印象を受けてまいったわけでございます。さらに、プルトニウムの利用についてもたいへん熱心である、そういうことでございますが、AGRにつきましてはすでに非常に技術改良が済んで、そのかわり、先ほどもお話のありましたドラゴン計画に対する熱意もかなり低いような印象を受けたわけでございますが、イギリスとしてはAGRを輸出したいという感じがかなり強く印象づけられました。
 一方では、新型転換炉である重水炉の建設をきわめて急テンポに進めておりまして、これも輸出用を目的としている。先ほどのお話もありましたけれども、これは後進国を対象とした輸出用だというような話を聞いたわけですけれども、重水炉の特徴といたしまして、非常に大型に向いているということに対する考え方が一般的でありますけれども、これがそのようなことでなしに、イギリスの場合、小型の原子力発電所に向いているという、そういう説明を聞かされました。結局、私個人の印象でございますが、AGRは第一に輸出したいというようなことから、この重水炉は特に小型に向いているというような表現になったのじゃないかと考えます。
 次に、アメリカでございますが、アメリカは新型転換炉ということばを最初につくり出した国と了解しておりますが、アメリカは、やはり核燃料の長期的な見通しのもとに新型転換炉がぜひ必要である、そういうような考え方から、政府、AECが当面予算を出しまして、三炉型の開発を進めておるわけでございますが、その中に有機材を冷却材とする重水炉が含まれているわけでございます。ただ、われわれの印象といたしましては、この新型転換炉に対して、なかなかはっきりしたイメージがつかめなかったというのが正直な印象ではないかと思いますが、これもアメリカの立場、いわゆる軽水炉を当面海外に輸出するという考え方が一方でございまして、新型転換炉をあまり強調することの是非についての悩みがアメリカ自身にもあったのではないか、そのように感じたわけでございます。
 最後に、カナダでございますが、カナダは、御承知のように、重水炉の開発にすでに二十年の歴史を持っておりまして、特徴的なことは、新型転換炉は必要であると考えている国はほとんどの国、例外がないと思いますが、カナダだけは高速炉は国力からいっても少し無理であるということから、新型転換炉だけの開発を進めておる、そういう唯一の国でございます。
 このようにして見てまいりまして、個人的にいろいろ感じたことがございますが、わが国の原子力開発というものは、現在の時点でやはり一つの大きな反省期あるいは転換期に来ているのじゃないか。過去十年間のわが国の開発の進め方についての反省がやはりあっていい時期ではないかというふうに感じます。わが国の原子力開発の歴史は過去十年たっているわけでありますが、先進諸国ではすでに二十年の原子力開発の歴史があるわけであります。そうして次の最終ターゲットである高速炉が実用化されるであろうと予想されるあと今後の約二十年というものを考えますと、いまちょうどその中点に立っている時期であり、日本の場合にとりますと、約三分の一の時点に立っているのがいまであると思います。そういう意味で、先ほど団長からもお話がありましたように、わが国といたしましては、この際原子力発電の自主開発という決意を固めるあるいは最後のチャンスではなかろうか、そのように感じます。各国を見て回った印象からいいましても、各国は原子力開発に対して、特に技術面において非常にシビアーな見方をしており、われわれはたとえば日本の原子力研究所の写真を幾らでもとらしてもらえるわけですが、外国の場合、そういう感じの研究所は数少のうございまして、写真撮影すらなかなか満足にさせてもらえない、そういう技術的なきびしさというものをつくづく感じてまいりました。
 もう一つは、各国のエネルギーの自立に対する非常な熱意ということでございます。狭い、そして各国からはかなり離れている位置にあるわが国、特にエネルギーの問題で今後かなり重油に依存しなければならないと考えられているわが国は、やはり将来のエネルギー問題に対する真剣な考慮と、エネルギーへの自立の熱意がほかの各国に比べてさらに強くなければならないというような感じがいたします。
 それと、さらに、先ほど団長の触れられました国際協力につきまして、各国はギブ・アンド・テークを原則としておりますし、今後国際協力の問題も、実際に交渉した場合、かなりシビアーな条件が出てくるのではないか、そういう心配すら感ずるわけであります。
 わが国の原子力開発の進め方、ないしは考え方でございますが、特にわれわれの印象といたしましては、やはり新型転換炉並びに高速炉を積極的に国のプロジェクトとしてぜひ推進していただきたいというような感じを実感として感じております。わが国には、比較的、資金がないとか人員がないとかいうような話もときどき聞くのでございますが、変な言い方でありますが、わが国は戦争も放棄しているとか、あるいは原子力も平和利用に限られている、そういった面でのいい面といいますか、人員、資金についてはかなり余裕があるはずである、そのように感ずるわけであります。そうしますと、わが国で現在最も必要であると考えられていると思いますのは、やはり国内での協力体制といいますか、そういった原子力開発に従事する各機関が完全に協力できるような体制になっているかどうか、その点が非常に痛感されます。大体印象をまじえまして簡単に御報告させていただきました。
#10
○纐纈委員長代理 以上をもちまして、参考人からの御意見の聴取は終わりましたが、最後に、この調査団の顧問として調査に当たられてまいりました武田原子力委員から補足説明を聴取いたしたいと思います。武田原子力委員。
#11
○武田説明員 昨年秋に参りました動力炉開発調査団に関する報告につきましては、すでに四参考人のお話でほとんど完全に尽くされておるというように感じますので、こういう調査団の報告ということを頭に置いて、日本でこれから動力炉開発を行なうということに関して、少し蛇足かと思いますがつけ加えさせていただきたいと思います。
 日本の原子力発電というものが、これから急速に伸びるということはまず疑いないことだと思います。現在最も確からしく思われる数字といたしましては、昭和六十年までに四千万キロワットの発電所がつくられると思われております。四千万キロワットと申しますと、一キロワット当たり大体四万円ぐらいの建設費と考えまして一兆六千億円という金額にのぼります。こういう大きいプラントの建設ということがこれから問題になりますし、その建設をし、運転をずっと続けていくためには、それに必要な燃料をどういうふうに安定的に供給するか、こういう問題が非常に大きい問題と考えられるのであります。
 この原子力発電設備の建設と燃料の供給の安定化、そういうことを頭に置きまして、原子力委員会では動力炉開発懇談会を一昨年の秋以来設けて議論してまいりまして、そのおもなフィロソフィーとしましては、燃料サイクルということを考えて、燃料をなるべく有効に使っていこう。これはウラン資源というものが日本に十分にない、わずかはありますけれどもそれではとても足りない。外国から輸入する燃料というものを、経済的に見ますならばその範囲でなるべく有効に使っていこう。それともう一つは、自主開発ということを頭に置いて、最初のときは技術導入になるかもしれないけれども、それをなるべく早く国産化する。さらにはいままで実証炉として現在外国で売り出されているようなものは、もう開発してもちょっとおそいので、これから先の新型転換炉、あるいはそれに続く――先ほどお話がありましたように高速炉もかなり早く実用化されると思いますが、そういうものについては早く自主開発を行なって、自分の国でそういう発電設備の国産を初めからしていきたい、そういうような気持ちがあるわけであります。
 そういう考え方で実際に開発を考えてまいりますときに、自主開発と技術導入との関係ということが非常に大きな問題になります。先ほどから海外協力ということばでいろいろお話が出ておりますが、海外協力というものと技術導入との間は非常に連続的でありまして、非常に簡単な、つまり金の授受というようなことを初めから考えない海外協力というようなものもありますし、それから少し技術的なノーハウに関係したようなことになりますと、おそらく金を払ってその技術を入れるということになる可能性もあります。そういう問題、特に自主開発というのを、島国の日本というような気持ちで、自分だけでやるというようなことはとうてい不可能なことでありまして、自主開発を、しかも技術導入あるいは対外協力等をうまく組み合わせて早く――先ほど大山先生のお話ですが、ジェット機とか自動車とかでとにかく外国のレベルまで近づく、そういうことと自主開発との間に、自分たちの気持ちの中に相当はっきりしたものを持ってやっていかなければいけないのじゃなかろうか。ちょっとくどくなると思いますが、自主開発をするということをはっきり自分の心の中に持って、それで時間の節約とかあるいは研究開発資金を節約するという意味で技術導入をしたり、あるいは海外協力をする、そういう態度が必要であると思います。
 それからもう一つの問題は、先ほど来議論されております新型転換炉というものと高速増殖炉との開発に、どういうふうなウエートを置いて開発するかという問題だと思います。それぞれの炉型を開発することがぜひ必要であるということは、われわれ認めるところでありますが、それを並行して進めることが最も能率いい方法であるか、あるいは日本のこれからの将来を考えてどういう道を選んだらよいかということは、いろいろ議論のあるところだと思います。しかし、私の個人的考え方としては、高速増殖炉の開発というものと新型転換炉の開発というものは、現在の時点で少し段階の違いがあるように思われまして、その両方を平行して進めるということは不可能ではない、そういうふうに考えております。
 それからいま松本さんからも引用されましたように、こういう新型炉の開発、高速炉の開発というものを日本でやる場合の開発体制というものが、非常に大きい問題であります。原子力研究所あるいはその他の国家的な研究機関、大学、そういうような研究的な機関と、それからいろいろな原子力機械の製造メーカー、これは機械ばかりではなくて、燃料というようなもののメーカーも含めまして、そういうメーカー、それから電力会社、大きく分けてこの三つのそれぞれの違った立場の人たちの協力ということをうまく行なわせるための開発体制をりっぱにつくり上げるということが、今後の非常に大きい問題であると思います。そういう非常にむずかしい問題でありますので、それぞれの立場の方々は、多少は自分たちの主張を弱めて、国家の利益ということのためにそれぞれの主張を多少ずつ譲り合って、りっぱな開発体制をつくっていくということに皆さん協力していただけることを期待したいと思います。
 それからもう一つの問題は、やはり先ほどの高速増殖炉と新型転換炉と両方パラレルに進められるかどうかということの一つの大きなかぎは、予算的にある程度十分な開発予算が出してもらえるかどうか、そういうことがわれわれとして現在まだ非常に未確定な問題でございまして、そういう点につきましては、この動力炉開発に関する小委員会の御活動によりまして、われわれは、こういう動力炉開発ということはこれから十年先あるいは二十年先を見通して非常に有意義な、特に将来の日本という国のエネルギーを円滑に供給するという意味で非常に重要な仕事と考えておりますので、そういう点をお含みいただきまして、そういう資金面を国会で引き受けてくれるということをお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
    ―――――――――――――
#12
○纐纈小委員長代理 質疑の通告がございますので、これを許します。岡良一君。
#13
○岡小委員 いま団長をはじめ、はるばる各国の実情を御視察、御見学になっての帰朝報告を承って、ありがとうございました。
 私は、特に大山さんにまずお伺いをいたしたいと思いますが、われわれが新しい転換炉に取り組むといたしましても、また、高速増殖炉に取り組むといたしましても、基礎研究と開発というものの不可分の問題、また、われわれ委員会といたしましても、こうしてせっかく動力炉開発に関する小委員会を設けましたのも、これが単なるエネルギーの問題であれば商工委員会にまかせておけばそれでいいと思うのですが、これを特に科学技術委員会で取り上げたゆえんのものは、やはりこうした新しいタイプの炉と、また、将来本命と目される高速増殖炉と取り組むいわば姿勢において、科学技術全体の水準を高める科学技術政策の一環として、初めて動力炉開発の使命があるのではないか、こういう観点から小委員会を設けたわけでありまして、そういう意味で、海外の実情を御視察せられまして、大学等における基礎研究と、そしてまた新型転換炉等に対する開発研究というものは、どのような有機的な関係を持って進められるか、この点についての御所見を承っておきたいと思います。
#14
○大山参考人 研究と開発を分離したほうがいいというようなことをちょっと申し上げたと覚えておりますが、この問題は、研究とは何か、開発とは何かというようなことばの定義からして、いろいろ人によって意見も違うし、そうクリアカットな御返事がなかなかできないわけでございますが、私の了解で開発といいますのは、たとえば高速炉に例をとりますと、燃料は酸化プルトニウム、冷却材は液体ナトリウムというような、現在みなに多分これがいいだろうと思われているような、いわば本命と目されているようなものの技術を開発する、原型炉をつくり、実証炉のほうにいくということが開発と了解しておるのでございますけれども、この仕事になりますと、途中でいろいろのことが起こった場合に、技術的あるいは科学的な疑問が起こっても、極端に言うと、いいか悪いか、イエスかノーで選別していきまして、このタイプでこの材料でいけるか、いけない、それじゃやめるというような態度でどんどん進めていく必要がある。特にタイムスケジュールもあることでございますので、各国もタイムスケジュールを非常に厳格につくっておりまして、膨大な技術開発の仕事と、横のほうに年数をとりまして、この開発ができたら、それとこれとを結びつけてこういうことをやるというようなプログラムもできております。それによって時間におくれず答えを出して、全体としての開発計画を進めるというような性格のものが開発というのだろうと思います。
 一方、研究と申しますのは、申すまでもございませんけれども、一つの現象、一つの技術をなるべく広い範囲に使えるような一般化した形に持っていく、一般法則をいつも目ざしていくという性格のものでございますから、基本からいうと、ずいぶんはっきり考え方が違っていると思います。
 しかし、実際問題としては、この研究は研究か開発かというので、境目がはっきりしない点もあると思っております。
 いまのお尋ねの点でございますが、各国でもやはり開発計画というのは相当ある意思が働いて、それにのっとってどんどん進めていく、それで個々の研究者と申しますのは――技術者はその開発計画全体をおくらせないための一員となって働いているという形をとっているのに対しまして、基礎研究というのは、問題の発展によっては非常に発展が起こってきて、興味もあるし、価値もあるということになると、タイムスケジュールなんかあまり関係なしに、どんどんと突っ込んでいくというのが基礎研究だと思います。
 それで大学等との関連でございますが、これは今度の調査団ではあまりよく――大学には全然参りませんでしたし、それほどよくつかんではきておりませんけれども、前にアメリカに二、三度参りましたときに調べた印象では、これは基礎研究として非常に大事だというのは、アメリカの原子力委員会から、こういう基礎研究をだれかやらないかということで、契約研究の形で出しまして、それを大学あるいはその他の基礎研究の研究所のある個人の人が、それに非常に向いている人が応募をいたしまして、その人にやらせる。そのかわり報告書の質というものはかなり厳格に押えるという形かと思います。それから何も大学や国立研究所に限りませんで、民間の中央研究所などでも基礎研究の一部はもちろんしょえるわけでございます。これとか、あるいは産業開発の技術におきましては、能率からいいましても、なるべく日本じゅうさがして、従来一番実績があり、能力もありそうな個人あるいはあるグループにそれを委託してやってもらって、その成果を全体計画に繰り入れていくというやり方がいいので、大体外国はそういうやり方、契約研究というやり方が多いのじゃないか、そう思っています。
#15
○岡小委員 私がいま特にお尋ねを申し上げましたのは、松本参考人の御発言に関してでありますが、実はいまから約六、七年前でしたか、私ども委員会から派遣されてヨーロッパ方面に参ったことがあります。そのときに、ゲッチンゲンにドクター・オットー・ハーンをたずねたことがあります。ちょうどそのときには、たまたま西ドイツの核武装問題等の事情がありまして、当時の原子力大臣バルケ氏がオットー・ハーンを中心とするグループをおとずれて、原子力の平和利用について協力をしてくれというような軍の方針があるが、いまこの国際的な世論の中にドイツの核武装問題が浮かび上がっているときに、われわれとしてはこれに協力することは感心をしないというので、興味が持てませんと言ってお断わりをした。しかし、われわれの持っておる基礎的、理論的な研究の蓄積というものは、もしわれわれが平和利用に協力するならば、おそらく先進国に追いつくことは容易であろう、さらにそれを追い抜くこともできるであろうという自信を彼らは申しておりました。いま松本さんのお話を聞いておりますと、一号炉、それから二号炉、三号炉とすでに導入炉であっても国産化のベースで進められてきておる。これはやはり理論的な、基礎的な研究というものの成果だと思うのです。やはりドイツの国内においては、ジーメンスが第三号炉を自力でつくっている。そうしてみると、基礎的、理論的な研究というものと、開発研究というものが、不可分の有機的な関係にある。ところが、日本の現状は一体どうであるか。これでいいのか。いま御報告書を見ると、この動力炉の開発、新型転換炉あるいは高速増殖炉の開発にしましても、たとえばプルトニウムというようなものは、物質そのものだって、おそらく世界にもその本質がほんとうに見きわめられているかどうか、私は専門家ではないからわかりませんが、いずれにしましても、そうした基礎的な研究というもの、そうしてこれをいま報告書にお示しの開発炉の一環に結びつけていくには一体どうしたらいいのであろうか。御存じのように、いま科学技術庁設置法を見ましても、原子力委員会設置法を見ましても、大学の研究というものは度外視されておるという形になっている。科学技術基本法一つにしましても、やはり学術会議と科学技術会議の間になかなか問題があって解決しない。ところが現実の科学は、特に新しい分野であればあるほど、それぞれの専門の分野が細分化されておる。同時にまた、それが総合されて、そこに応用、実用へという道が開かれる。そこにいわば近代科学の成果、人間の英知の発展というものの経済なり社会なり人類に対する奉仕の道が開かれておる。こういう科学の進歩に即応した研究体制、あるいは基礎的、理論的研究と開発というものとの不可分な関係を、日本の現状において一体どうしたら打ち立てることができるかということは、今日の日本の科学技術政策といたしまして、大きな基本的な問題の一つなんです。われわれもこれに非常に悩んでいるわけなんですが、その点についての外国の事情はどうか、この点についてお尋ねしたいと思ったわけです。
#16
○大山参考人 非常に根本的なお話であったのを少し取り違えたようでございますが、私たちなども、学術会議なんかで原子力関係の者が寄って議論しておりますときには、いつも、いまおっしゃったような問題が非常に重要な話になっておりますけれども、基礎研究のほうは、何か非常に大きな研究所をぽんとつくってみたら振興されるかといいますと、それはもちろん振興はされますけれども、非常に自由な発想に基づいて、各大学あるいは各基礎研究所にいる方々でそちらのほうに興味を持った人が、質のいい研究でしたら研究をやるのに十分な研究費が得られる、それから、その成果をお互いに議論する場が与えられるというようなことによって振興するものと思いますので、特に原子力の場合、高速炉の場合たんかを考えますと御承知のように、基礎の物理学、化学方面はもちろんとして、工学系統の各分野、あるいは生物学というような非常に広い範囲の基礎研究が全部ありませんとほんとうにはバックできない。これは完全に基礎研究全部を日本でやるかというと、それはもういまの国際社会でございますからそういう必要はないと思うのですけれども、少なくとも、分けたときに主要なそれぞれの研究者のグループというものが日本の中にあって、活発に研究も行なわれ、活発に議論もされているというように研究レベルを上げておくということが、開発研究をささえていく、十年、二十年後の研究開発に貢献していく意味で非常に不可欠だと思うのです。
 結局具体的の策ということになりますと、私にもそれほどいい考えはございませんけれども、たとえば、さっきちょっとお話しの原子力の研究開発の問題のときに大学が全然除外されているということは、われわれ当事者としては日ごろ非常に困っている問題で、これはいろいろ歴史的なことがあったようでございます。大学側にもいろいろ言い分があろうし、原子力委員会側にもおありのようでございますけれども、一つの根本の問題は、大学の研究の自由、大学の自治という問題と、それから開発につながるような大型プロジェクトの中の一部をしょっていくということに対する大学人の反発ということがあると思うのでございますが、よく考えてみますと、当然大学というのは全く自由な発想による、まだだれも考えてないようなことを研究するという一つの使命があるので、これは開発研究と直結もしないし、間接にもつながらないというもので、ぜひそれは守らなければいけないと思います。けれども、それにプラスして、国としての大きなプロジェクトができたときに、開発はどんどん進んでいくけれども、このことは基礎研究としてやっておかなければならぬという題目が具体的にはたくさん出てまいりますので、そのうちの、大学にいる人に適当なものを大学の方が自主的に選んでお引き受けするということは、少しも大学の自由とか云々とは抵触しないものだ、そういう制度はできるというふうに私考えます。
 それから経費等のどの程度を基礎研究に回したらいいか。研究開発というのは、たとえば十年間で一千億というお金があったときに、どのくらいを基礎研究に回したらいいかという問題は、これも算数では出てこない問題でございますが、各国の例を申しますと、産業界では、大体一〇%が自由な基礎研究、九〇%が開発研究というふうにいわれております。ですから、国としてのプロジェクトとして取り上げるとすれば、当然それよりは基礎研究の割合がやや上昇してしかるべきかと思いますので、たとえば総経費の二〇%というようなものを常に基礎研究に確保しておく、それで残りの八〇%というものは、さっき申しました開発研究に注入するというようなことではないかというふうに考えております。
#17
○岡小委員 時間もありませんので、なんですが、昨年私どもの委員会からソビエトへ、ソビエトの科学事情を調査に参りました。そのときに、私独自に、その数日前にモスクワへ参りまして、研究活動調整国内委員会のメンバーと会ったことがあります。そのときの話で、いまのこの基礎研究、理論的研究と開発応用研究というものの不可分性をソビエトですらはっきり法制的にきめたのは一九六二年だ。もちろん、お示しのように、基礎研究の中には自由な分野、自由な研究がある。しかも、これが非常に大切なものであると思えば、その施設なり研究費等をすべて国が保証する。しかし、大学の研究も含めてすべての研究所は、全部研究活動調整国内委員会が超省的存在として把握する。たとえば科学アカデミアも、したがってそのもとにある。そして毎年各研究所の成果についてはこれを正しく評価して、その評価に基づいて次年度の計画を立てる。長期計画の一環として、毎年の実績を評価しつつ、これが重要な研究であれば予算は弾力性をもって運用する、また、開発にもこれを取り上げるという評価が出てくれば、これを開発に向けるということもやっておる。そして科学アカデミアと、また、ほかの研究機関というようなものも全く一体となって、そして基礎研究と開発研究がほんとうに一元的なコントロールのもとにやられておる。もちろん、自由分野については、いま申したように、学問の自由は認めておるという体制をとっている。まあ日本で、いま直ちにこれはやれないとしても、この動力炉開発の場合、二重投資をしている。先般この委員会でやはり学術会議の方に御出席を願って、そして御意見を承ったときに、基礎研究に関する大きな国の中核的な原子力研究所のようなものがつくれないかという御希望を漏らされたことがある。率直に申し上げまして、私もここ数年来ほとんど全世界の各国の原子力研究所を歩いてみましたが、一番炉が多くて、一番金が少なくて、人がないのが日本原子力研究所だという率直な印象を受けたわけであります。そういうことから、事実、研究の二重投資というようなことも考えてみた。やはり新しい基礎研究の一つのシンクロトロンを備えるとしましても、同じところで、一つ、二つは炉の基礎研究の分野に分けてやって、そしてあそこに国立の基礎研究所というようなものを、これは大学との関係はいろいろ研究するとしましても、つくって、ちゃんとした講座も設けて、そしてそのようなものがあそこにできることが一つの考え方だという御意見もあったわけです。理事長のお考えはいかがでしょう。
#18
○丹羽参考人 先生方の前でこんなことを言いますと、釈迦に説法のきらいが多分にありまするが、私、科学技術会議の議員も拝命しておりまして、御承知のように、過日ようやく科学技術基本法の要綱をまとめたのであります。そのときに一番大きな問題の一つであったのが、いわゆる科学と技術、そして科学とは何ぞや、技術とは何ぞやという議論がずいぶん長く続きましたが、その科学は大体において純粋基礎研究的なものをさすのだという話がありました。私、原研理事長を拝命しましてから約二カ年足らずになるのでありますが、拝命の前後に諸先輩等々の方々から原研の使命というようなことについて伺いました結果、信念を固めまして、着任早々私が原研の内部の者に申しましたことは、原研は大学じゃないぞ、いろいろやらなければならぬ仕事は多々あるが、原研の研究に関する限りは、目的基礎研究はもちろんやらなければならぬが、いわゆる科学と称せられる純粋基礎研究は原則としてはやらないのだというふうに宣言いたしました。この問題は、基礎研究ということばがいろいろな人々の間に間違いを起こす原因だろうというふうに思いまして、その後もしばしば私はこの点については部内で触れてまいりました。それがしばらくの間は誤解も招いておったようでありますが、昨今はおおむねこの点は了解してもらったと考えております。
 それで、原研がやる研究は、それが基礎的なものでありましても、いわゆる目的基礎研究――こんなことばがあるかないか知らぬがと私申しましたが、いわゆるオブジェクティブ・ベーシック・リサーチというものであることが原則である。もっとも、このオブジェクティブ・ベーシック・リサーチと純粋基礎研究との間には画然たる区別ができにくいというととは、先ほども大山教授がお触れになったとおりでありますが、例をもって言いますと、たとえば――これは過去の歴史、あるいは当時は原研的なものしかなかったせいもありまして、やむを得なかったことでもあるし、また、それが必ずしもまずいことであったとは申しません、お役に立ったとは思っておりますけれども、もう今日では、原研は原則的に、基礎研究と称せられるものであっても、それは目的基礎研究でなければならぬ、こういうふうに考えております。例をもって申し上げますと、たとえば、あそこにリニアアクセレレーターというものがありますが、かつてはああいうものは原研にしかなかったのでありますが、単にニュートロンをいろいろやって、そして核物理的研究をやっておったということでありました。これももちろん必要な研究であったと思いますが、現在では、リニアアクセレレーターを使ってやる研究は、たとえば、ある種の大きさのある種の原子炉を設計するという場合に、ニュートロンのクロスセクションはこういうデータで原子炉の計算なり設計なりをやれよということを出すための研究であってほしいというふうに言っております。また、原研には固体物理の研究者がだいぶんおりますが、かつては、単にメタルのみならず、合成樹脂だとかいろいろなものがあって、それが何に使われようが使われまいが、こんなものがある、これを照射してみたらどんな変化が起きるだろうかという研究を主としてやっておりました。これは過去においてははっきりとした動力炉開発の方針とか何とかかんとかがきまっておりませんでしたので、そういうことをやっておった意味もありましたし、また、やむを得なかったと存じますけれども、今後は動力炉開発というグループに対しまして、原子炉の炉材なら炉材というものはこういうような性格を持たなければならぬ、そうすると、照射前にはこんなコンポーネントの素材があるが、これを照射してみたらより耐酸性が強いとか、耐蝕性があるとか、あるいはより強度が出はせぬかとか、あるいはエロージョンに対して強くなりはせぬかということを念願して、同じ研究をやるにしてもやるべきであるというふうに申しております。したがいまして、私、やはり原則的に申しますと、純粋基礎研究、先ほど大山さんがおっしゃったように、それが直接民生なり経済なりに役立とうが役立つまいが、真理の探求的な研究というものは、もちろん大学でおやりになるべきものである。ではありますが、大学といえども、それでは目的基礎研究は全然おやりにならなくていいかと申しますと、やはりある種の目的基礎研究も、特に工学部のようなところではおやりになったほうがいいと思うものも多々あるだろうと思います。したがいまして、私、結局は今度の動力炉開発の体制と申しますか、それにつきましては大学の先生も、あるいは原研の者も、それからメーカーも、科学技術者も、それから電力会社の専門の方も、たくさんおられますが、そういう方が打って一丸となって、ある開発センター的な機構に集まりまして、そしてそのリーダーがしょっちゅうそういう連中を集めて、それじゃおまえはこういうことをやれ、おまえはこういう計算をやれ、おまえはこういうものをつくってこういう実験をやれというふうに話し合って、そしてそれぞれ持って帰っていろいろな実験研究をやって、そしてまた持ち寄って、こんな結果が出た、それじゃ今後はどうしようかというふうに進めていくべきものでありまして、その意味におきましては、大学の先生も大いにひとつ寄与していただく余地がたくさんあるというふうに私は考えます。
 そんなふうに考えておりますが、御質問の点でありますが、よりより大山さんだとか向坊先生あたりとも相談しておりますが、私、まだこれは正式に理事会でも決定いたしておりませんが、原研が持っております一、二の設備は、場合によっては――国の財産ですから簡単に譲渡とかなんとかいうことはいかないにしても、実質的には大学の共同研究利用を主にして、差し上げると言ってはおかしいのですが、提供申し上げる。そして大学の先生も現在でも二、三室に分かれて来ていただいておりますが、できればまとまった研究棟のようなものをつくりまして、そしてそこに大学の関係の方々がいらっしゃって、そして主として大学の先生方が自発的に考えられた研究のためにその設備をお使いになっていただいたほうがいいだろうというふうに考えまして、一、二の設備はそんなふうにしたらどうだろうということを、よりよりお話し申し上げているというような状態でございます。まあそんなことが大体の考えであります。
#19
○岡小委員 いま述べられた理事長の構想は、ぼくはそれでいいと思うのです。ただ、しかし、問題は、かりに、新型転換炉としてどの炉型を選ばれるかということはわれわれが介入する問題ではありません。さてそこで、専門家の皆さんでこれを選ぶ、そこに大きな一つのプロジェクトができる。そしてそのプロジェクトがさらに細分化され、それと同時に、また、そのテーマというものが与えられてくるでしょう。そしてそのプロジェクトに向かって原研がいわば進まれるということはそれでよろしい。それをささえる基礎研究、理論的な研究というものがなくてはいけないのじゃないか。これがやはり緊密な連絡があるべきものである。いかに研究の自由、学問の自由と言っても、社会人としてはロビンソン・クルーソー的な自由ということはあり得ない。してみれば、そこに基礎的、理論的研究と不可分な体制においてプロジェクト研究が進められていくという体制がやはり今後動力炉の開発においては工夫されるべきものだと思う。それはそういうことが必要と感じられたからソ連がああいう大きな体制をつくり、また、ゲッチンゲンの経験が事実ドイツにおいて実現しているという例もあります。やはりそういう体制を何か緊密なことにしていく必要があるのじゃないか。ここが一つ問題点だということを感じたので申し上げたのであります。
 それから、これは武田さんに聞く問題かどうかわかりませんが、動懇の中間報告あたりでは盛んに経済性ということをいっておられます。一体、これはどういう意味か。経済性というのは安上がりであればそれでいいという意味か。この点をひとつ武田さんのほうからお聞かせ願いたいと思います。
#20
○武田説明員 これからつくろうというものの経済性というのは、非常にエスチメーションがむずかしいわけでございます。特に経済性というものを比較する場合に、ちょうどいま使っているとか、これから建設するほかの動力炉に比べてどちらが安いかということによって経済性が変わりますので、経済性ということの評価の仕方は非常にむずかしいと思います。ただ、結局、経済性を論ずるときに、実際に、あるプラントをつくってそれで発電したときに初めてその経済性が引き合うか引き合わないかということで、実際にはっきりとものがいえると思いますが、それよりも前に、特にこれから開発しようというものの経済性ということを論ずるのは、一つのごくラフな見通しにしかすぎないと思います。しかし、その炉を構成している材料、それから技術、そういうものが飛び離れたものでない限り、ある程度量産に乗る、そういうことを仮定した場合には、現在使っているものよりももう少し安くなる可能性はあるとか、あるいは燃料をもっと有効に使えば燃料費が安くなるとか、そういうことは見通しがつくと思います。そういう意味で、特にこれからつくる動力炉というものは、発電容量というものが非常に大きくなりますので、あまりそういう見通しがはっきりしないまま非常に大きな設備をつくってしまうということは、国家資金の損失になると思います。そういう点については十分考慮を払われて、ある程度見通しがあると皆さんが認める範囲で研究開発を進めるということが必要だろうと思います。そういう点で経済性ということを書いてございます。ピントを得ておらないかと思いますが、そういうようなことでよろしいですか。
#21
○岡小委員 ただ、調査団の報告では自主性が強調されている。動懇の中間報告では経済性が強調されている。これはごく表面的な観察かもしれませんが、しばしば経済性と自主性というものが衝突する。自分の手でやろうとすれば、やはり自分の単なる頭脳の力だけではむずかしい。国なりその他の援助による施設なり、いろいろなものが必要になってくる。経済性で安上がりでいこうとすれば、どこか安上がりでできたいわゆる実証炉を購入する。もちろん原子力発電によるエネルギーというものが、日本の将来のいや増しのエネルギー需要に対して緊急性を持ち、重要性を持っていることは、ある程度われわれはわかる。その場合やはりエネルギーというものは、もともと供給の安定性、そして価格の適正というものが条件だ。しかし、それにしても、供給の安定と価格の適正を期するという立場から見た場合に、ただ安上がりでできるからというので買ってくるということで、一体それが期せられるかどうか。現に、一番初めにJPDRの予算をこの国会に出された。あれでアメリカの軽水炉を国産化するデータをつくるのだというようなことをおっしゃった。ところが現実には一体そのように運営されたかどうか。ぼくはされておらないと思う。まだそこまでの成績はあがっておらない。それよりも、もっとひどいのは東海発電所、あのときにはたまたまヒントン卿がやってきて、原子力発電は一キロワット・パー・アワー〇・六ペンスでやれる、こういう御発言があった。当時の原子力委員長が、それでは原子力発電をまずやろうといわれて、湯川秀樹さんが憤激されて原子力委員をやめられたといういきさつがあったことは御存じのとおりです。さて、〇・六ペンス、二円五十銭でやれるかと思ったら、いまどれくらいになりますか。少なくとも六円前後じゃないですか。そういうように、自分たちが何の基礎的を自主性も持たないで、安上がりでいけるという宣伝に飛びついていくと、やってみたところが、ふたをあけたら、二円五十銭が六円近くになる。エネルギーの価格の適正ということも、低廉ということさえも裏切られてくるようなことになる。
 同時に、石油を持ち出して例とすれば、御存じのように、いま日本は石油に依存している。去年なんかも八〇何%が石油に依存している。しかも、日本のエネルギーの海外依存率は非常に高い。そういうようなことで、これではいけない、供給の安定性ということから、供給の分散をはからねばならないとか、あるいは原子力発電に代替しなければならないというようなことが、この間も参考人の御意見として強調されておる。ところが、さて濃縮ウラン炉ということで、濃縮ウランにいくようないき方をやると、大体濃縮ウランを外国に売れる国はアメリカしかない。そうすると、石油の二の舞で、原子力発電の海外依存率というものは、中東から今度はアメリカに置きかえられていくというような状態で、調査の結果主張される自主性というものがなくなってくる。そういうような点について私は非常に心配をするわけです。
 そこで、経済性ということは、エネルギー政策については非常に重要な局面ではあるが、真の経済性というものは、やはり自力で開発せざるを得ない。自分のところで運転をするというような方向へ大いに自主性を発揮していただくというのでなくては、真の経済性あるいは供給の安定というものは確保できないのじゃないか。こういう点で、私は経済性とは一体どういうことですかとお聞き申し上げたわけであります。どうか、そういう点はやはり自力でやっていただきたい。
 特に、これは丹羽さんにお尋ねいたしますが、燃料サイクルの自主性を確保しなければならぬと中間報告にも書いてございます。燃料サイクルということになれば、これからあとどんどん炉が導入されてくる、その炉を再処理をして、あるいは減損ウランを抽出して、これらを新型転換炉なりに利用したり、あるいは高速増殖炉のために蓄積していかなければならない。そういう場合に、いろいろな炉を民間の業者の自由なる意思によって入れられたのでは、現状をこのままにしておかれると、燃料サイクル全体の自主性というものがなくなってくる。こういう点については、やはりこれをコントロールして自主性を確保するという方向に、行政的な指導も必要だろうし、また原子力発電政策としてもそういう筋を一つ通してもらわなければならぬ。こういう点について何かお考えがあるのか、その点もあわせてこの機会にお聞きしておきたい。武田さんからお願いいたします。
#22
○武田説明員 平生われわれもそういうふうに考えておりまして、先生のおっしゃることすべて同感でございます。ただ、実際問題として動力炉開発懇談会その他で議論いたしますと、先ほど申し上げました研究機関とメーカーとそれから電力会社というものの、それぞれの違った立場に立っての発言というものを考えますと、そういうときに、長期的に見た場合には、日本の燃料サイクルを確立していくことは結局は利益であるとは思いますが、その燃料サイクルを確立するためのひずみというようなものが発電会社関係に起こる可能性がある。そういうことで発電会社関係からは非常な抵抗を受けるわけであります。そういう抵抗があっても、岡さんのおっしゃるように燃料サイクルを確立し、自主性を保って、そして究極的に、日本という一つのフィールドの中では最も経済的に、しかも安定なエネルギー供給を達成する、そういう意味で、十分そういう点に重点を置いてやっていくべきだ、かように確信しているわけであります。そういう点については、有沢委員なども非常に努力しておられるわけであります。問題は、そういう国家的立場とそれから商業発電との間のバランスをどういうふうに保っていくか。その両者のお互いに譲歩し合える範囲、どの点で妥協できるか、そういうところに現在きていると考えます。
#23
○岡小委員 その点、これは西ドイツの原子力発電の事情の報告書なんですが、私は別に電力会社が悪いと言っているのではないのです。ということは、やはりこれは国に大きな責任があり、したがって、原子力委員会の重要な責任だと思うのだが、たとえば西ドイツが原子力発電を促進しなければならないという計画を一九六二年に決定をしたときの白書ですが、見るとここに「原子炉全体の開発が、発注者」――というのは電力企業です。「の現在の経済的観点から非常に制約を受けて、長期的に見て必要な開発が、好ましくないような方向に向いてしまうという危険が存在する。」いいですか。これはいまの日本の現状を若干示唆しておると私は思う。そこで「現在考えられるよりも多くの促進措置によって、連邦の企業の開発による原子炉プロジェクトを実現化し、関連企業を振興することは政府の役目である。他の諸国におけると同様に」云々と書いて、とにかくもう初期装荷燃料も国が持ってやる、あるいはまた、その電力が在来電力に比べて料金が高ければ、九〇%までは連邦政府が補助してやろうというふうに、大きく予算措置があって、それが西ドイツの原子力総予算をふやしておる。こういう保護政策、これはやはり政府を責める前に、武田さんの、原子力委員会の大きな責任だと私は思う。さっき丹羽さんもおっしゃっておられたが、どうも十年間ほどもたもたしておった。しかし、もうそういうもたもたを続けてもらっては困る。どこにそのもたもたがあったのかということについては、先ほど若干の御指摘もありました。問題は、うしろ向きの話ではなく、前向きの姿勢で、この際原子力委員会設置法を多少改正してもいいから、これを強化していくという点について、特に丹羽さんは痛感しておられる点があると私は思うのですが、率直な御意見をひとつ聞かしていただきたい。
#24
○丹羽参考人 事行政に関しますので、ちょっと口幅ったいかもしれませんが、率直に私の意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 日本の原子力委員会の設置法を読んでみますというと、私、実は科学技術会議には長く関係しておりまして、そこでしばしば話が出ておりましたことのまた聞きのようなことにおける了解では、原子力委員会はもう一種の政策委員会であるというふうに承っておりましたが、最近はそうでない。やはり法律的には諮問機関であるというふうに伺っております。しかし設置法の文句を拝見しますと、企画しでしたか、立案しでしたか、企画し、審議し、決定するというふうに書いてありまして、文句だけから見ますと、全く実行機関的あるいは政策委員会的な存在のように思われるわけでありますが、今日までの経過を見聞きいたしますと、どうもいわゆる実行という面におきましては、法律がしからしめておるのだろうと思いますけれども、あまりやっておいでにならないというふうに思います。ところが、御承知のように、イギリス、フランス、アメリカ等々はみなこれ実行機関であります。したがって、ライセンス・アグーリメントを与えたりすることもできますし、予算の分配もやりましょうし、いろいろな実行的なこともやっておる。その意味におきまして、現在の日本の原子力委員会は、各国のそれに比べて、すこぶる弱体であるというふうに私は思わざるを得ないのであります。したがいまして、端的に申し上げますならば、政策委員会をつくるということはあまりお好みにならない傾向のようでありまするが、この大事な、そして今後はほんとうに原子力委員会が中心になっていろいろなことをおやりにならなければならない今日では、ぜひひとつ原子力委員会に実行機関的な性格も持たせていただくように、言いかえれば、いわゆる政策委員会的なものに法律でも改めていただいたらどうだろうというふうに私は考えます。
#25
○岡小委員 いずれ科学技術基本法が本国会に出れば、この問題がやはり中心のテーマの一つにはなるだろうと思います。それにしましても、とりあえず、こうしてせっかくお出かけをいただいて、この報告を読ましていただく段階です。やはり新型転換炉、高速増殖炉について他国に負けないように、ものまねの国産ではなく、自主性のある国産でやっていただく方向でやっていかなければならない。しかも、それが長期の計画として出てくるわけですから、私どもがこの委員会で、これは与野党の一致した意見と申し上げても差しつかえないくらいの程度のものなのですが、とにかく国防予算がうんと減っているのだから、この予算で技術革新時代に、大いに科学技術というものを高めようじゃないか、そういう考えで、国防会議に匹敵するものとして科学技術会議をつくろうというような意向が出たりしたわけです。ところが、実際実施面にくると、予算の面などにおいても問題にならない。こういうことを考えますと、たとえば原子力委員会設置法を見ると、その意見を総理大臣は尊重しなければならないとか、あるいは各省の関係の大臣を呼んで意見を言うことができる。しかし、意見を尊重して守るかどうかわからない。意見は聞いてもやってくれるかどうかわからない。ただ、道義的に原子力委員会を持ち上げておるわけです。実際に十年間政府はほんとうにやってくれなかったと私は思う。それにはやはり原子力委員会の内部にも問題があったと思う。しかし、それにしても、もうここまできたのだから、動力炉開発については、予算的にも、組織的にも真剣に取り組まなければならない、かように考えます。そうならば、やはり動力炉の開発を中心のテーマとして原子力委員会も取り組まなければならない。しかも、この際十分にその実行を可能ならしめるようなことを、法改正を含めて、考えていただかなければならない、こう思ってお尋ねをしたわけです。
 それはそれとしまして、しかし、いずれにしましても、学界なり産業界なり電力業界等の協力を求めていくということは当然のことでございます。そういうことで、先ほど大山先生の参謀本部、よく南極探検推進本部とか、このごろ宇宙開発推進本部とかいうように、推進本部という字が入りますので、そういう概念のものだと思いますが、具体的に、どういうような構成で、どういうような方向に、どういうような運営で、というふうなことについて何かお考えがございましょうか、この点、理事長なり大山先生から……。
#26
○丹羽参考人 これにつきましては、原子力委員会が主宰されておりまする動力炉開発懇談会でも、研究開発体制は非常に必要である。先ほどもどなたかおっしゃいましたように、大事なことではありまするが、まだほんとうの議論はできておりません。いずれ有沢委員長代理かどなたかが個人別に意見を聞きたいとおっしゃっているようでありまするが、まだほんとうの話は出ておりません。したがいまして、私個人の意見と申しますか、この件につきましてはだいぶいろいろな人々と話し合っておりまするけれども、ただいまは私個人の意見というふうにして申し上げたいと思います。
 まずこの何とか推進本部と申しますか、要するに、これをやるためには、私、原研の内部では申しておりますが、何もかも原研ひとりでやれるものでもない、また、やると考えちゃいかぬぞというふうに申しております。もちろん、非常に大事な役目は果たすべく努力しなければならないが、何もかも原研がやるんだということは考えるべきものじゃない、また、できもしない、こう言っております。要するに、先ほど申しましたように、ある中枢的機関がありまして、そこへその機関の長たる人がいろいろな関係者――学者なり原研の者なり電力会社の者なりメーカーの者なりを集めて、そうして開発のプロジェクトを実際に行なう、研究開発の方法なり何なりを推進していくという機関は、これは絶対に必要だろうと思います。
 そこで私は、そういう中枢的機関の性格として何が要求されるであろうかということを考えてみますと、おもなる仕事は、もちろん、権威を持って、そして開発研究の実際を推進していくということがおもな仕事ではございましょうけれども、やはりそこには権威を持ったものでなければならぬ。それには、私、これも先ほど申し上げましたことに関連があるのでありますが、現在では法律的に権威を持たされておるものは原子力委員会でありますから、原子力委員会の息のかかったものでなければなるまい、それがまず一つであります。しかし、また他方面では、予算を受け取って、そしてその予算を適当に分配する仕事が必要であろう。そうしますと、一体いまの原子力委員会では、この息のかかった、あるいは下部機構的な存在ではそれができるであろうかということも一つ考えなければならぬと思います。もう一つは、私の個人の考えとしましては、新型転換炉にしろ、高速増殖炉にしろ、こういう新しいものの研究開発でありますので、でき得べくんば全額政府の資金を出していただきたいと思うのでありますが、一方、先ほど申し上げましたように、ドイツとかアメリカのごときはビッグビジネスとして、電力会社と共同して、ある場合には研究開発費用の半分前後を持っておるというようなこともありますし、原子力船にも見られるようなこともありますし、政府の予算がどうしても足らぬのだ、民間のためにもなるんだから民間の資金も少しは集めろ、あるいは出してやってもよいというような意思があるかもしれません。そういう場合を考えますと、はたして政府、原子力委員会の下部機構的存在であっていいだろうか。場合によっては、それも法律できめればいいかもしれませんが、財団法人的なもの、あるいは特殊法人的な存在のものになって、そこへ民間の資金も出すことが必要な場合にはそういうことも考えられはせぬかというふうに思います。
 いずれにしろ、動力炉開発というものの推進本部か何か知らぬが、いま申しましたような関係で、もし民間資金にたよらなくてもよい、あるいは民間の資金を出さないということならば、原子力委員会の息のかかったと申しますか下部機構的な存在として、ちょうど宇宙開発推進本部――あれは私に言わすと少し不満足な存在でありますが、あれをもっとしっかりしたものにしまして、そこへだれもかも集まって共同研究をやるような相談をして、着々とやっていくということで十分だろうと思うのです。
 あと、それがきまりますれば、やり方それ自身はプロジェクト・リーダーなりサブプロジェクト・リーダーなりの腕前なり熱意でありまして、たいしたことじゃないと思うのです。民間もある種の資金をドネートすべきである、あるいはその他の方面からの金の受け入れというためには、政府機関の下部機構であってはまずい。ちょうど原研がほとんど有名無実になりかかっておりますけれども、特殊法人でありまして、民間の資金も若干ながらちょうだいしておるのでありますが、そういうことが必要だという前提に立てば、ある種の特殊法人的な存在になる必要があるだろう。ただ、それによりますと、強力に推進するためにはよほどしっかりした人物と組織が必要であろうというふうに考えます。私といたしましては大体その二つの形態が考えられはせぬかというふうに思います。
 それから一つ、これははなはだ蛇足でありますが、ざっくばらんに申し上げさせていただいて差しつかえがあるかもしれませんが、日本の電力界は、特に過去の火力発電設備につきましてたびたび経験し、見聞きするとおりでありますが、よほど経済性と申しますか実用性が確実なものでなければ、なかなかお使いにならないということがあります。したがいまして、たとえば高速増殖炉はだいぶ先の話かもしれませんが、アドバンスト・リアクターというものを、セミプルーブン前後のものでありますけれども、その開発研究というものに対して、これはどうせ外国もやっておるのだし、日本で研究開発を自力でやってはたして使いものになるかしらん。一応これならできるということがかりに証明されましても、ほんとうにそれが実際に使用された経験があるとかないとかというようなことで、自力開発したものについての御採用の決心が、過去の経験からしますと、なかなかおつけになりにくいのじゃないかというふうに思いますが、私、特にもし新型転換炉の研究開発を日本でもやるということになりました場合には、そういう観点は少し捨てていただいて、ぜひひとつ電力会社のお方々も積極的に、大いに御協力いただきたい。単なる経済性、安全性と申しますか、それだけの観点からではなくて、こういう将来国家の大事なことでありますので、ぜひひとつ、せめてマンパワー的には御協力をいただきたいというふうに考える次第であります。
#27
○大山参考人 簡単に私の考えを申し上げます。
 高速増殖炉を例にとらしていただきますけれども、先ほどもちょっと申しましたように、結局、技術の開発はかなり広い範囲にわたりまして、いま丹羽理事長の言われましたように、原研だけということはとてもできないし、たとえば具体的に申しますと、原子燃料公社のプルトニウム開発、それからその他いろいろなことが関係してまいります。それらの連絡を非常によくし、むだのないタイムスケジュールに乗った開発にしなくてはならないというのが、本部が必要だということの第一点でございます。
 それから第二点としましては、大学の問題をちょっと言わしていただきますと、いま日本学術会議で、東海村に大学のための動力炉開発の基礎研究を主目的とする何講座か持った研究所、あるいは研究センターの企画をいたしておりますが、それができるといたしますと、非常に場所も近いし議論もしやすいので、それも一つのファクターになるかと思いますが、そういうのが集まりまして相談し、方向をつける必要があるということが一つ。
 それから三番目といたしましては、やはり長期の計画でございますので、当然、最初のタイムスケジュールが見込み違いであった、ちょっと変えなければならぬということが当然起こってまいります。それで、年々フレキシブルに将来の計画を変更していく必要がある。それから国際協力という問題がございますので、国の外に研究者、技術者を派遣しなければならぬということも起こりますが、これもてんでんばらばらに派遣しておりますと、全体としての意義が薄れてくるので、これの調整をする必要がある。それから研究結果につきまして評価する必要がある。ただ、最初に研究して、その結果をあまり評価しないという傾向が日本では多少あったわけでございますが、ぜひ評価して次の研究に役立たせなければならぬ。そういう意味で何か本部的なものが必要だろうと私は考えております。
 具体的な話といたしましては、かなり経験も豊富な相当な方の、そう人数は多くないほうがいいのじゃないかと思うのですが、数名の方のスタンディング・コミティというものがぜひ必要じゃないか。それから、その下の手足といいますか、実際にフルタイムで実働していきます働き盛りの方が、少なくとも二十人ないし四十人ぐらい、これは各界から集まっていただければ一番いいのじゃないかと思っておりますが、そういう方々が集まって、不断の調査、全国の研究状況の把握、国際協力の実情の把握、将来の計画の変更というようなことをする必要があるのじゃないかと思っております。
 外国の例で申しますと、イギリスの高速炉の計画は、幾つもの研究所に分かれてやっておりますので、その統合はリズレーというところの研究所の人がおもにやっております。それの主要な意思決定には、製造業界、電力界等も入りましたコミティがございまして、それが月に一ぺん状況報告をし、大きな方針の議論をしていると聞いております。また、フランスでは、従来はほとんど政府機関だけでやっていたと思うのでございますが、今度高速炉のプロトタイプをつくるにあたりまして、ぜひ産業界も初めのときから参加してもらわなければならぬというので、同じく本部的な性格のものをパリに置くという準備がいま進んでいると聞いております。
#28
○岡小委員 時間がまいりましたので、私はこれで質問はいたしません。
 実は、ただいま私が申し上げました程度では、単に理論的研究と開発とを密接不可分に推進するか、また、そういう動力炉開発の中核として原子力委員会の今日までのあり方、また、今後においてどういう行き方をしていかれるかという程度で、あとに残された電力業界の問題、あるいは燃料の民有化とアメリカのシングル・パッケージ・サービスとの関係、あるいは電源開発株式会社や原子力発電会社の現状と将来におけるあり方など、まだたくさん問題がありますので、いずれあわせて、別の機会に十分意見の交換をしたいと思います。これで終わりたいと思います。
#29
○田中(武)委員 時間もありませんので、質問ということでなく、一言だけ申し上げてみたいと思うのです。
 私、ちょっと中座しておったので、丹羽参考人の御答弁を全部は聞かなかったのですが、私が入ってきたときに、原子力委員会を政策委員会とすべきであるといったような御発言だったと思うのですが、それならば、現在の原子力委員会設置法の中の所掌事務の第一番に、「原子力利用に関する政策」ということがうたってあるので、それは当然やるべきであって、もし政策委員会的な存在でないとすれば、原子力委員会の仕事が怠慢であるといわざるを得ないと思う。
 それからもう一つは、松本参考人に一言、これは御答弁があるならしてもらってもけっこうです。各国では、見学というか視察に行っても写真もとらせない、日本では内部まで自由に写真をとらす、こういうような発言があったと思うのです。そこで、各国がそういう写真もとらさないというのは、技術上の秘密、こういう面によってであるのか、それとも国防的な観点に立ってであるのか。それから、日本が全部どこでも写真をとらすということについて、いわゆる原子力基本法の公開の原則、このことに関連してお考えになっているのかどうか。そういう点で何か御意見がありましたら――あなた、感想を述べられたわけですが、それに対する意見でもありましたらお伺いしたいと思います。
#30
○松本参考人 多分に軍事利用の研究をやっている研究所が多うございますので、そういう面の影響もあるかと思いますが、たとえば平和利用に限っているカナダのチョークリバーの研究所などでも、やはりカメラはとらせてもらえない、玄関のところで取り上げられるというようなこともございます。それから、あとのイギリス、フランス、アメリカなどは、これは軍事利用の関係があるので、ということもあると思います。
#31
○田中(武)小委員 そこで、今度は、日本がいま自由にとらしておることに対して、あなたは何か批判がありますか、ということです。とらさなくてもいいじゃないか、そういうことは関連はないのですか。あるいは基本法の公開の原則にのっとっての御意見を聞いているわけです。
#32
○丹羽参考人 松本さんがおっしゃった以外に、これは私の想像でありまするけれども、現に、原研の者がカナダへ行ったりしたときに、見学を拒まれたことがあるのです。もう一つの点は、先ほど、最初に御報告の中でちょっと申し上げましたが、テクノロジーを盗まれるといやだ、輸出産業につながる、あるいは特許、ライセンス・アグリーメントにつながるので、ということもありはせぬかというふうに考えます。現に、私がサインいたしました英国の原子力工場との高速増殖炉に関する情報交換のアグリーメントの中でも、原型炉及び実用炉のデータはやらぬぞということになっております。それなんかも多分にそういう観念からでありはしないかというふうに考えます。
#33
○纐纈小委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終わりました。
 この際、参考人の皆さまに一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、たいへん参考になりました。小委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げる次第であります。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会します。
   午後一時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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