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1949/04/25 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第11号
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1949/04/25 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第11号

#1
第005回国会 文部委員会 第11号
昭和二十四年四月二十五日(月曜日)
    午後二時一分開議
 出席委員
   委員長 原   彪君
   理事 伊藤 郷一君 理事 佐藤 重遠君
   理事 圓谷 光衞君 理事 松本 七郎君
   理事 稻葉  修君 理事 今野 武雄君
      淺香 忠雄君    岡延右エ門君
      甲木  保君    千賀 康治君
      高木  章君    土倉 宗明君
      受田 新吉君    小林 運美君
      渡部 義通君    船田 享二君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
 出席政府委員
        文部政務次官  柏原 義則君
        文部事務官
        (教科書局長) 稻田 清助君
        文部事務官
        (調査局長)  辻田  力君
 委員外の出席者
        文部事務官   森田  孝君
        專  門  員 武藤 智雄君
       專  門  員 横田重左衞門君
    ―――――――――――――
四月二十二日
 日光の國宝建造物修理に関する請願(船田享二
 君紹介)(第四六四号)
 中尊寺における國宝及び特別保護建造物修理費
 國庫補助の請願(淺利三朗君外二名紹介)(第
 五〇三号)
 六・三制完全実施のため予算確保に関する請願
 (廣川弘禪君紹介)(第五〇四号)
 同(池田峯雄君外二名紹介)(第五二〇号)
 新制中学校建設費助成に関する請願(淺利三朗
 君外二名紹介)(第五二一号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十三日
 六・三制予算増額の陳情書(和歌山縣西牟婁郡
 朝來村井戸木新藏外七十二名)(第二九三号)
 新制中学校施設整備に関する陳情書外三件(島
 根縣議会議長恒松安夫外五百八十五名)(第二
 九四号)
 教育予算増額の陳情書(和歌山縣伊都郡九度山
 町長保田山三郎外二十二名)(第二九九号)
 新制中学校施設整備に関する陳情書(北海道川
 上郡弟子屈中学校山本修吾)(第三〇〇号)
 新制中学校施設整備に関する陳情書(北海道壽
 都郡黒松内村笠井勇次郎)(第三〇六号)
 宗教法人令の改正に関する陳情書(日本宗教連
 盟愛媛縣支部長神山諦外四名)(第三一〇
 号)
 教育予算増額の陳情書外十二件(三重縣議会議
 長濱田正平外五千六百二十名)(第三一一号)
 六・三制校舎建設の陳情書(茨城縣日立市教育
 課長丹徳三外四名)(第三一四号)
 六・三制予算確保の陳情書(茨城縣日立市長高
 嶋秀吉外一名)(第三一五号)
 六・三制予算並びに教員定数に関する陳情書(
 和歌山縣日高郡川上村PTA会長西川瀁外四百
 五十名)(第三一七号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 連合審査会開会に関する件
 教育委員会法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第六九号)
 文部省の機構改革に関する件
 教科書に関する件
    ―――――――――――――
#2
○原委員長 これより会議を開きます。
 本日の日程に入るに先だち、委員会の議決をお願いいたしたいことは、文部省設置法案について内閣委員会より、明二十六日連合審査会を開くことの申出がありました。つきましては、申出の通り明二十六日内閣委員会と連合審査会を開くことに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○原委員長 それではさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○原委員長 次に教育委員会法の一部を改正する法律案(内閣提出、第六九号)を議題といたします。この法律案は去る二十一日本委員会に付託された法律案であります。これより政府の提案理由を伺いたいと存じます。
#5
○柏原政府委員 昨年七月十五日公布施行されました教育委員会法の一部を改正する法律案を、今度國会に提出いたしましたについて、その提案の理由を御説明いたしたいと思います。
 教育委員会を設置するにあたりましては、委員の選挙に要する経費を初め、相当の経費を必要とするのであり、現行法規によりますと、教育委員会は本年度またはおそくとも明年度までには、必ずこれを設けなければならないことになつておりますが、現下中央、地方の財政状況がはなはだ困窮を告げております事情にかんがみまして、その設置期限を昭和二十七年十一月一日まで延期いたすことにしたのであります。
 一方、教育委員の選挙は、二年ごとに行われるので、もし本年度、市町村の教育委員会の設置を延ばして、明年度に行われる都道府縣委員会の委員の改選とあわせて実施するならば、その後は隔年に委員の選挙が行われて、経費、労力の節約をはかれるわけでありまして、これがため本年度及び昭和二十六年度には、教育委員会を設置しないことといたしました。
 最後に教科書の採択につきましては、初めての制度であるので、都道府縣委員会のみでその事務を行うこととしたのでありますが、昨年度市町村に相当数の教育委員会が設けられました実情にかんがみ、教育委員会法第四十九條の規定に帰つて、市町村に教育委員会が設けられている場合は、そこで採択することが適当と考えられるので、検定は文部大臣で、採択は各教育委員会でという方針に改めたのであります。
 以上が法律の一部改正の要点とその理由でありますが、何とぞよろしく御審議の上御決議くださるようお願い申し上げます。
#6
○辻田政府委員 ただいま法案の提案理由の御説明がありましたが、私から法案の内容について御説明を申し上げます。
 昨年七月十五日に教育委員会法が法律第一七〇号として公布施行されまして、十一月一日から四十六の都道府縣と五大都市、その他四十六の市町村、合計九十七箇所に教育委員会が設けられておりますことはすでに御存じの通りであります。しかるに今般同法の一部を改正する法律案を國会に提出した次第でございますが、その改正の主眼とする三点について御説明申し上げたいと存ずるのでございます。
 第一は、教育委員会の設置には、委員の選挙に要する経費とか、事務局の設置に要する経費等、相当額の経費を必要といたします。もし本年度市町村の約半数五千余が教育委員会を設置するものと仮定いたしますると、昨年の例に徹しまして、これに要する予想経費は約九億円余に及ぶことになりますので、現下わが國の中央、地方の財政状況にかんがみまして、教育委員会の設置はさらに二箇年間延期して、二十七年までとすることにいたしたのでございます。
 第二の点は、教育委員会法によりますと、教育委員会の委員の任期は四年でありますが、二年ごとにその件数が改選されることになつております。もし本年度市町村に教育委員会が設けられ、その最初の委員の選挙が行われるようになりますと、二十五年度には都道府縣委員会の委員の半数改選が行われ、さらに二十六年度には本年度設けられる市町村の教育委員会の委員の半数改選が行われ、その後毎年都道府縣または市町村におきまして、教育委員会委員の選挙が交互に行われることになるのであけます。ここにおきまして、もし本年度及び二十六年度に選挙を行わないといたしますると、今後は隔年に都道府縣と市町村の教育委員会の委員の選挙を同時に行い得ることになりまして、費用、労力の点につきまして多大の節約をはかることができるのであります。従いまして、本年及び二十六年度には教育委員会を設置しないことにしたのでございます。以上二つの点に関しまして、教育委員会法第七十條を改正することといたしたのでございます。
 第三は、教科書の採択についてでありまするが、教科書の検定制度実施後、当分の間は採択についての研究が不十分であると考えまして、さしあたり都道府縣教育委員会のみにその事務を行わせることが適当であると考えたのであります。しかるに検定公開制度を実施した昭和二十四年度用の教科書の展示会で、学校責任者の選択による教科書の需要表を、都道府縣において集計して採択したその報告を提出させた昨年の実情からかんがみまして、教育委員会法第四十九條の規定に顧みまして、市町村に教育委員会が設けられている場合には、その教育委員会が採択しても不都合がないばかりでなく、むしろその方が教育上適切であると認められるのでありまするし、かつ今年八月ごろには二十五年度用の教科書の展示会を開催し、教科書採択を行う必要がありまするために、今回これに関する第八十六條を改正するようにいたしたいと存ずる次第でございます。すなわち本條におきましては、目下用紙割当制を実施している実情から、当分の間教科書の検定は文部大臣が行うことのみを規定いたしまして、検定は文部大臣、採択は各教育委員会ということにいたしたのでございます。
 以上三点が今回の一部改正案の要点であります。なお教育委員会法の他の点につきましても、理論上または実際の運営上、改正を要するのではなかろうかと考えられる箇所もあるのではありまするが、何分教育委員会は発足後まだ半年の経験を有するにすぎませんので、さらに実情を調査研究の上、善処したいと考えておる次第でございます。すなわちこのたびは必要の最小限度の改正にとどめた点を御了承願いたいと存ずる次第でございます。
#7
○原委員長 これより質疑に入ります。松本君。
#8
○松本(七)委員 昨年教育委員会法を審議いたしますときに、一番問題とされ、かつこの委員会の運営について憂慮されておつた点は、財政の裏づけということでありました。委員会法はなるほど理論上からいつても、こういうものをぜひ設けなければならない。しかしせつかくこれをつくりましても、委員会が実権を握つて行かなければ有名無実なものになるであろう。そのためにはまず財政的な基礎の確立されることが、これをりつぱに運営する前提條件であるということが、文教委員会全会一致の強い要望でもありました。当時文部省の方でも、この点は非常に憂慮されておつたと思うのでありますが、関係方面におきましても、今回改正になる市町村の教育委員会の設置を、もつと先に延ばしたらどうかという意見を、文教委員として先方に申しましたときも、この財政の裏づけということはよくわかる。しかしとにかくこの教育委員会運営について、委員長になる人の講習だとか、そういうことのために講師の派遣も受けることになつておるから、委員会法だけは至急制定されることが望ましい、しかし財政的裏づけについては、なるべく早い機会に政府も國会もこれを検討して確立するように努力してほしい、こういう言葉かあつたわけでおります。ところが最近の状態では、地方の財政はいよいよ枯渇しておる。まして今回のように地方配付税率が下るということになりますならば、今までの経験にかんがみましても、これからの教育委員会の運営が一層困難になるのではないか、有名無実なものになるのではないか。それれ同時にやはりこれは昨年審議のときに問題になりましたが、せつかく委員会法に権限を與えられておつても、実際は教育長が実際の権限を行使することになる危険が多分にあるのではなかろうかということが憂えられておりましたが、財政的な裏づけがなければ、ますますそういうふうな傾向が強くなるのではなかろうか、こういう点が一番心配されるのであります。この点は一刻も早く財政的な措置を何とかしなければならぬと思うのでありますが、政府にどのような計画がおありか、この点を御説明願いたいと思います。
#9
○辻田政府委員 お答えいたします。ただいま松本委員から御質問がありましたように、この委員会の理想とするところは、非常に高く、また民主化のためにけつこうなことであるけれども、財政上の裏づけが比較的薄いという点から、先般の國会におきましても、相当この点を御心配になつたのでございますが、われわれもその当時からすでにこの点をやはり研究いたしておりまして、また最も心配いたしておつたのでございます。しかしこの財政の問題は、われわれとしましても研究を重ねておつたのでありまするが、地方財政、中央の財政等とも関連がありまして、これを早急にきめることはなかなか困難な事情にもありますので、文部省としましては、これは仮称でございまするが、学校財政法というものを考究いたしまして、一應の案も得て、場合によつてはこの國会に御審議を煩わしたいと考えておつたのであります。諸般の事情からこの國会には提出できないかもしれませんが、そういう学校財政法というふうなものを考えておるのでありまして、それによつて、この教育委員会の財政関係の面を確立するように努力いたしたいと考えておる次第でございます。 
#10
○松本(七)委員 過去半年の教育委員会の運営について、文部省の調査された結果、どのようなところが一番期待通りに行かなかつた点であるか、ひとつ伺いたい。
#11
○辻田政府委員 昨年の十一月一日に委員会が発足いたしまして、最初は、初めての制度でもありまするので、委員会においても、その運営上いろいろ悩まれたと申しますか、困られた点もあつたのではないかと思いまするが、だんだん経験を重ねるに從いまして、運営が円滑に行きつつあるのであります。われわれ各地方に出張いたしまして委員会の状況を見せていただいたり、またそれぞれの地方からの御意見、あるいは御報告等を拝見しまして感ずるのは、やはり財政の面が最も心配になつておる点でございます。なお教育長と委員会の関係とか、あるいはまた知事と教育委員会との関係とか、また実際選挙した場合には、選挙規定の若干の問題とか、そういうような問題がいろいろございまするが、やはり問題の中心は財政の問題であると思つておる次第でございます。
#12
○松本(七)委員 昨年の審議のときにも、非常に問題になりました例の現職教員の立候補の問題でございますが、あれは法律は立候補できるように修正されて通過したにかかわらず、相当廣範囲にわたつて、これがあたかも不法であるかのごとく言われておつたようであります。その間の実情を少し御説明願いたいと思います。
#13
○辻田政府委員 現職教員の立候補の問題でございますが、これは法律によつて禁止されていないことは御承知の通りであります。ただその間におきまして、実際の場合に現職教員の立候補をある筋から勧められないような事情もあつたように聞いておるのでありますが、文部省といたしましては、そういうことを聞きますたびに、いろいろ資料も集めまして、関係方面に法律の精神を、特に國会において修正されました法律の精神をよく説明して、その緩和方といいますか、そういうことのないようにしていただくように、大臣初め、われわれ関係官がそれぞれ向うへ出向きまして、話をしたこともございます。しかし実際問題としまして、あるいはそれが徹底せずに、若干の地方におきまして、実際上禁止されたがごとき観を呈したところもあるかとも思いますが、それははなはだ残念だと思います。なお立候補当時に現職の教員でありまして、現在教育委員をしておられる方々は七十四名ございます。
#14
○松本(七)委員 その箇條は今後とも存続して行く見込みが十分おありでしようか。あるいは改めなければならぬような事態になるおそれもあるとお考えでしようか、そこをひとつ伺いたいと思います。 
#15
○辻田政府委員 それは先のことで、ちよつと今から予想することは困難でありますが、地方の公立学校の先生は、将來地方公務員法というものができます場合には、その地方公務員法の拘束も受けることとなると思います。その場合に、地方公務員法でどういうふうな規定をされますか、それはまだ十分承知しておりませんので、何とも申し上げかねる次第でございます。
#16
○今野委員 ただいま教育委員会法の改正が問題になつておるわけですが、大体今までの教育委員会の成績と申しますか、そういうことについて、今松本委員からもお話があつたのですが、ここに本年の二月二十七日の國際新聞という大阪の新聞の記事によりますると、大阪府の教育委員長が、何か繊維品の問題でもつて逮捕されるというような事件があつたということがあります。こういうような場合に、非常に不適切な教育委員会ができ上つている一例があるわけでありますが、そういうような問題に対して、文部省といたしましては従来どういうような態度をとつて来たのでございますか、ちよつとお伺いいたします。 
#17
○辻田政府委員 その問題は文部省にも報告がございました。その結果によりますと、おやめになつたように聞いております。ただ文部省としまして、教育委員会法によりまして、法令に基く特別の事項と、それから調査研究に対して報告を求める以外に、特別の権限と申しますものはございませんので、その関係はこちらでいろいろ干渉がましいことはいたさなかつた次第でございます。
#18
○今野委員 前の教育委員会法が実施されるにあたりまして、やはりそういう問題が今後起るのではないか、教育委員会は今後必ずしも十分にうまく行かないのじやないかということもおそれられたわけでありますが、そういう点について、文部省では十分お取調べになつて、そうして今後の処置というものについて何かお考えになりますでしようか。
#19
○辻田政府委員 教育委員会法は、仰せの通りこの制度は非常に新しい制度でございます。わが國としては、まつたく初めでの制度でございますので、制度の運営等につきまして、最初いろいろ円滑を欠くような点もあつたと思うのでございます。われわれとしましても、その点は十分認めるのでございますが、やはり時期がたちましてそれぞれ研究を重ねまするその間に、高い理想を持つてつくられておりまする委員会がほんとうの実力を発揮して、教育の民主化、地方分権化、あるいは教育の自主性のために、効果を十分発輝する時が來るであろうと信じておる次第でございまして、それにつきましても、文部省だけでありませんで、國民全般でこれを育てて行くようにしたいと思つております。
#20
○今野委員 そういうような問題もあり、また財政上の問題もあつて、多くの小さな市町村においては、教育委員会というものが、何か負担しきれないというような声も多数にあるように聞き及んでおりますが、この改正によると、二十七年度までにこしらえるといぎことであるが、これについて、将来何か必ずしも市町村に設けなくてもいいといつたような、そういうことは考えられておりませんか、それともまつたくそういうことはないでしようか。
#21
○辻田政府委員 教育委員会をある市町村には置いてもいい、ある市町村には置かぬでいいというふうなことは考えておりません。ただしかしわが國の実情から考えまして、この制度が最も実情に即するようにいたさなければならぬことは当然でございます。従つてわれわれとしましては、この設置の範囲を個々の小さな町村にまで設置するようにするのがいいか、あるいはもら少し廣地域に設置するのがいいかというふうなことについて、研究を重ねておる次第でございます。從つてできるだけできやすいようにいたしまして、負担等につきましても、できるだけ過重な負担にならぬようにいたしまして、この制度の目的を達成するようにいたしたいと思つております。
#22
○今野委員 次に、八十六條の問題になりますけれども、この理由の中にも書いておりますが、教科用図書の採択は、都道府縣の教育委員会のみで行う必要がなくなつたというのですが、具体的に申しますとどういうことになつたのでございますか。これは法規の改正とかその他がなくてもよいことなんです、その点お伺いいたします。
#23
○稻田政府委員 その点私から御答弁申し上げます。先ほど法案の内容につきまして、辻田政府委員から申し上げたと思いますけれども、教育委員会法の第四十九條という條文がございます。第四十九條の本則に帰りますれば、各教育委員会が採択できるということになつておるわけでございます。
#24
○今野委員 その際、昨年の展示会における採択の様子が思わしくなかつたといわれる点は、一体どういう点であるか、また都道府縣教育委員会でやらなくなれば、それが改善されるのかどうか、その点についてちよつとお伺いいたしたい。
#25
○稻田政府委員 昨年の状況が思わしくなかつたと申し上げたのではなかつたと思います。昨年は第二國会で教育委員会法ができますと同時に、同じ國会を通じまして、教科書発行に関する臨時措置法が出ております。昨年は教科書発行に関する臨時措置法を適用いたしまして、八月に見本展示会及び教科書の採択を行つたのであります。当時におきましては、まだ各教育委員会が発足しておりませんので、知事の手元で行つたわけでございます。その当時はまだ教育委員会が発足いたしませんでしたし、またその採択ということも初めてのことでありますので、非常に大事をとりまして、さしあたりは各教育委員会に任せないで、都道府縣單位で行つた方が無難ではないかということで、最初の教育委員会が立案されたのであります。ところが各都道府縣の知事の手元へ各学校長から出て参ります採択カードを取集めて文部省に提出した、その実績が非常に成績がよかつたので、この分ならばそう心配することはない。しかもその採択はなるべく教科書を使う者と近いところで行うことが教育上理想的である。従つて市町村教育委員会があれば、市町村教育委員会でやる、またそれができるまでは、その仕事をかわつて都道府縣教育委員会が行うという本則を実施していいのではないかという見地に立ちまして、今度の改正をいたしたわけでございます。
#26
○今野委員 そうすると本年の採択の場合には、昨年と違うことが出て來るのじやございませんか。
#27
○稻田政府委員 簡單に申し上げますれば、昨年は各学校で御研究になつた結果を、都道府縣知事がとりまとめるという方法で採択をいたしましたが、今度改正いたしますと、その間に市町村教育委員会がありますれば、市町村教育委員会が採択としてとりまとめて、都道府縣委員会の手を経て機械的に文部省に探択カードを提出する、そういう一段階が違つて來るわけであります。
#28
○受田委員 教育委員会法に関連する問題として、教育公務員特例法が本年正月に公布されましたが、これに伴つて政令が出されて、公立学校の教員は地方公務員ということに規定された関係上、地方公務員は地方議会の議員と兼ねることができますので、それに対し特に政令で、六月までは地方公務員である教育公務員は兼職を認めるが、それから先はいずれかをやめなければならないという政令を出しているのです。こういうことになると、教育委員に選出された教員と地方の議会の議員である教員とを関連する立場から、この六月でやめなければならない教員の数は今どのくらいあるか、ちよつとお知らせいただくことと、六月をもつていずれかをやめなければならないような運命になる者を、まだ地方公務員法は出ていないのでありますから、この際この政令を何らかの方法で撤廃か改正するかして、さらに延長するような御意図はもつておられませんか。もはや今会期の終了も迫つておりまするが、重大な問題と思いますので、ちよつとお尋ねいたします。
#29
○辻田政府委員 教員の兼職の関係の問題でございますが、お話のございました六月まで兼職を認められておる地方議員との関係は、ただいまのところでは改廃する考えはございません。なおその六月退職の教員の数は、現在手元に資料を持つておりませんので、後ほどお答えいたしたいと思います。
#30
○受田委員 改正する意図を持つておられないとすると、当然六月末をもつて兼職を禁止することになるわけでありますが、この点全然改正の意図なしという強力な立場でありますか。もしくは地方公務員法と関連してこの問題を取扱うべきであつて、地方公務員法が出るまでは何とかこの政令を延長して在任を延長するような方途を立てようという下心を持つておいでになるか、もう一度伺いたいと思います。
#31
○辻田政府委員 ただいまのところでは、改正する考えは持つておりません。
#32
○受田委員 そうしますとこの問題は、あの政令の意図は國家公務員法との関連で出されたと思うのでありまするが、今後地方公務員になつた教員だけは一般の地方公務員とは別個に取扱うというのは、そこに何かの理由があるか。地方公務員たる教員だけに関する特別取扱いに関しての理由を、いま一應明らかにしていただきたいと思います。
#33
○辻田政府委員 教員が地方議会の議員を兼ねられないということについてでありまするが、教育者の職務と責任の特殊性から考えまして、できるだけ教育の自主性を尊重し、教育者としてその職責に邁進してもらうということが本來の建前でございます。從つて現在の状況におきましては、特にああいう規定を設けて兼職を認めないことにしたのでございます。なお先ほど松本委員からお話もございましたように、立候補はそれぞれ府縣でできますが、当選したあかつきにおいては兼職を認められないことにいたしましたのも、その間の教職の特殊性に基いてのことであります。
    ―――――――――――――
#34
○原委員長 本日の質疑はこの程度にとどめ、文部省の機構改革に関する件を議題とし、文部省設置法案を中心とする当局の説明を求めます。
#35
○柏原政府委員 今回文部省の機構を新たにいたしまして、新しく文部省設置法案を本日内閣委員会に提案いたしまして、目下審議されておるのでありますが、今度新しく文部省が生れるにつきましての要点は、機構の簡素化、戦後教育の民主化、この二つがその特色と思うのであります。従來は中央集権的監督行政の色彩を持つておりましたが、それを一新いたしまして、教育、学術、文化、あらゆる面につきまして指導と助言を與え、またこれを助長育成する機関たらしめるという点に改革の要点があると思うのであります。
 その形の大要を申しますと、從來は一官房七局でありましたが、今回は官房、初等中等教育局、大学学術局、社会教育局、調査普及局及び教育施設部を含む管理局の以上一官房五局一部となつたのであります。名前はいろいろかわりますが、局が減りましたから、他の局の仕事を吸収して機構が小さくなるということが大体のねらいになつておるのであります。
 詳細なことはまた追つて他の政府委員から御説明申し上げますが、そのほか直轄機関であります國立の学校は、その特殊性にかんがみまして、別途國立学校設置法案を提出いたしまして、御審議を願うことになつております。そのほか文部省にくつついております國立博物館以下八つの機関につきましては、大体從來通りでありますが、ただ國立博物館以下五つの機関につきましては、その民主的な運営をはかるために、助言機関としてそれぞれ評議員会を設けることにいたしております。
 そのほかいろいろございますが、以上くらいが大体のねらいであると思います。詳細につきましてはかわつて説明員から詳しくお話をさせたいと思います。
#36
○森田説明員 ただいま柏原政務次官から大要御説明になりました文部省設置法につきまして、一應趣旨を御説明申し上げます。
 文部省の設置法は、ほかの省の設置法と同様に、國家行政組織法の実施に基きまして策案いたしたのでございますが、ほかの省の設置法の目標といたしております行政の簡素能率化という目的のほかに、戦後日本の教育民主化の一環といたしまして、教育の地方分権がなされつつあります。教育委員会法の実施によりまして、地方教育行政が教育委員会に移管せられまして、同時に将来は大学行政法が制定せられまして、大学に関する教育行政が大学にそれぞれ移管せられるというような方向に進んでおります。これに基きまして文部省自体の機能なりあるいはまた構成なりも、この方向に沿うように改正することが、ほかの省とは違います文部省の設置法の一つの主眼点になつておるのであります。從いまして文部省の設置法の、たとえて申しますと、第四條には文部省の任務が規定せられておりますが、各省とは違いまして、その任務の内容が非常に具体的に書かれておるのであります。また第五條の文部省の権限につきましても、特に第二項を設けまして文部省は、その権限の行使にあたりまして、法律に特別の規定がある場合のほかは、行政上及び運営上の監督を行わないということを、特に明記いたしたのであります。
 次に本省の内部部局につきましても、特に内容面についてはその最低基準を設けますと同時に、それに即應し、かつそれ以上に基準を上げるべく指導助言を與えることになるのであります。従つて内容の面につきましては從來の中央集権時代とは違いまして、権力的な行政はこれに付随せしめないということが中心になりますので、法令に基く権限なりあるいはまた権力の根源となるような物や金の取扱いは、内容面を取扱う局とは甄別することが、この局の構成の一つの中心になつておるのであります。
 局の構成についての第二の点は、その内容面を取扱う局といたしましても、その行政の対象となつておる社会層によつて、はつきりと区別をいたしておる点であります。初等中等教育局は、現在教育委員会の管轄に属しております高等学校以下の学校教育の内容を指導するところであります。大学学術局は、大学関係及び研究所その他の研究を、取扱うところでありまして、これは各省の持つておられる研究とは違いまして、文部省の関する学術研究につきましての援助助言は、主として基礎科学及びその應用の研究が中心でありまして、大学及び研究機関が主として関係いたしますから、大学と学術とを一本にして一つの局にいたしたのであります。
 社会教育局は学校教育以外の社会についての教育の指導なり助言をいたす局でありましで、文化國家建設に関連して文化局という名前も一應考えられるのでありますが、先ほど申しましたような局の編成の趣旨を明確にする意味におきまして、社会教育という言葉を使つたのであります。
 なお次の調査普及局は、これらの指導助言をなす場合におきましては、抽象的な、あるいはまた一方的独断的な指導は、民主教育の建前からしましても排除すべきであります。常に基本的な具体的な正確な材料をもちまして、その実情に即應したような施策が考えられなければならぬという意味におきまして、今後の文部省におきましては、中心的な基礎的な重要さを持つて來る関係上、これを一局といたしまして、なおこれに付随いたしまして、その施策が徹底するようにこれを普及するという事業をこの一局に持つて來たのであります。この調査普及局には別に國語に関する事務が持つて來られておるのでありますが、この國語の問題は現在調査面及びその文化なり、教育なり、学術なりの基礎的な面をなしておるという関係上、調査普及局に持つて参つたのであります。同時にその結果を單に文書といたすのみならず、あらゆる公文書なり、あるいはまたその他の図書、出版におきましても徹底せらるるように普及いたしたいという考えも加わつておるのであります。
 次に管理局は、先ほど申し上げました法律に基く文部省の権限、たとえば大学、あるいは法人の設置廃止の認可、あるいはまた教員とか教科書の検定、あるいはまた著作権法に基く種々なる権限行為その他法律に基く権限行為を行う局であります。教育施設に関しましては、現在教育施設局を構成いたしておりますが、臨時物資需給調整法の存続しておる限りにおきましては、言いかえれば、統制経済が行われておる限りにおきましては、教育の伸張もまた物の裏づけが根本的に必要であるという意味におきまして、行政整理の関係上、局にはいたしませんでしたけれども、部といたしまして、管理局にこれを付置することにいたしたのであります。
 なお次に、文部省の付属の機関につきましては、先ほど次官からの御説明にありましたように、國立学校をこの中に一本に規定すべきでありましたが、非常に尨大なものになる関係上、特にこれを他の法律にまとめて出すことにいたしまして、本法におきましては詳細な規定はいたさなかつたのであります。ただ第十五條に、國立の学校については別に定めるということだけを規定いたした次第であります。
 それからその他の八つの研究機関及び國立博物館とか、緯度観測所、芸術院というようなものにつきましては、それぞれこの法律にその主要なる事項を規定したのでありますが、ただ先ほど次官から御説明のありました通り、評議員と申しましても、相当重要な権限を持つた評議員、単なる諮問に應ずる答申の機関というのみならず、相当勧告もなし得るような機能を持たせた評議員会をできるだけ付置いたしまして、それによつて教育の民主化の方向に沿おうと努力いたしたのであります。ただ緯度観測所は、國際的な観測事業を行つておる関係上、これを設けなかつたのであります。國立國語研究所は、別に國立國語研究所設置法によつて詳細が規定せられておりますので、本法によつてはこれを入れなかつたのであります。日本芸術院は、主として芸術上の勲労のあつた人々を表彰する意味において設けられておるのでありまして、これが運営につきましては特に評議員を設ける必要はないという意味で、評議員を設けなかつたのであります。その他の研究機関につきましては、評議員会を設ける趣旨になつておるのであります。
 次に二十四條以下に書いてあります文部省に付置いたします審議会でありますか、この審議会は各省の審議会に比べますと、非常に数が多くなつております。と申しますのは、先ほど申しました通り、文部省の行政は教育民主化の方向に沿わなければならないので、いろいろな専門的な、あるいはまた関係者の御意見を十分に尊重して教育行政を運営して行くというその趣旨を徹底する意味におきまして、他の省に比べまして非常な多くの審議会が付置せられることになつておるのであります。なおこの審議会は、現在文部省にありますいろいろの委員会なり、分科会なりを総合いたしまして、一つの審議会になしたものもありますので、特に各省とは異なりまして、その第二項に、分科会を政令で設けるという特別の規定を置いてあるのであります。これによりまして現在あります文部省の委員会なり調査会なりその他審議会なりは、おおむねここに掲げてありますところの審議会に包括し、あるいはまた引継がれるという結果になるのであります。
 次に地方支分部局のことであります。從來文部省は教育施設局の出張所を全國各地方に八つ持つておつたのでありますが、今度教育施設局が部になつた関係上、これを教育施設部の出張所と改名いたしまして、從前通り存続することにいたしたのであります。
 附則におきましては、それぞれ当分の間文部省においで所掌いたします過渡的な各種の権限につきまして、あるいはまた事務につきまして、若干の規定を設けている次第であります。
 以上簡單でありますが、御説明を終ります。
#37
○高瀬國務大臣 本日は文部省設置法につきまして、皆さんの御審議をお願いすることになりましたが、私はやむを得ない用事がありまして遅くなりましたために、私から提案の理由を御説明できませんでしたけれども、その点御了承願いたいと思います。
 設置法についての内容は、係の方からいろいろ御説明申し上げたと思いますが、行政機構簡素化ということ、及び教育委員会ができまして、文部省の仕事もかわつて來るところもある。また教育民主化と関連して、自然文部省のやり方もかおつて來るというようなところから、新しい設置法がつくり上げられたわけであります。どうぞ十分御審議の上御賛成を得たいと思いますが、六月一日から新しい設置法で出発するというようなことになつておりますので、できるだけ早く御審議を煩わすと、たいへん仕合せに存じます。
#38
○原委員長 次に質疑に入りますが、内閣委員会との連合審査ということもありますので、その節活発にお願いしまして、時間の関係もありますので、ひとつ簡畧にお願いしたいと思います。
#39
○渡部委員 まずこの設置法、つまり機構改革が簡素能率的運営を目標としておることは非常にけつこうなことでありますが、こういう尨大な法案を提出されるのに、いつもその日になつて提案されることは、われわれがしばしば繰返してお願い申し上げておるように、十分な論議を不可能にしておる。こういう法案はできるだけ前もつて急速に提出をしておかれることを希望して、私の質問に移りたいと思います。
 第一に一般的な問題からお尋ねしたいわけですが、文部省では民主的な機構に移るために、あるいは教育委員会、大学校、その他の新しい関係ができて來たために機構を改革されるというお話でしたが、こういう改革をなさる場合に、現状の下まで調べ上げて、仕事がこれでやつて行けるかどうかということを、はたして明らかにされたのかどうか、これが第一点です。
 それから第二点は、文部省関係の職員の人たちが、この機構改革でやつて行けるのかどうか。現在文部省の職員の人たちが、それぞれの部署で機能を果して行く上に、その職員数であるとかいろいろの事情から、十分な形でその職能を果して行けるのかどうかということを、職員自身について、下部に至るまではつきり聞かれたのかどうか。あるいはまたこの機構改革案を出されるにあたつて、こういう機構の改革をすることが、職員にどういう影響を及ぼすか、職員がこれでやつて行けるという見通しがあるのかどうかということを、職員自身について十分な調査をされたのかどうか、この点をお尋ねします。
#40
○森田説明員 この文部省の設置法は、本日内閣委員会に提出することになつたのでありますが、実は一昨日土曜日までこの内容につきまして関係方面との折衝がありまして、関係方面の了解を得るのが非常に遅れておりました関係上、提出して御参考に供することができなかつたことは、はなはだ申訳ないと思つておる次第であります。
 この設置法につきましては、文部省におきましては文部省におきましては各局の課長で構成しております会議、及び各局長その他官房の課長で構成しております会議というようなものがありまして、それぞれその課なりあるいは局の事務につきましては、十分に責任を持つて御実施になつております人人によつて構成せられております会議にかけまして、その御意見を十分に伺つてつくつたのであります。文部省員全体の会議ということにつきましては、従来文部省の各種の施策につきましても、そういう会議というものは特別にいたさなかつた関係で、今回も文部省員全体の意見を聞き、それの総会にかけて決定するという手続はとつておらないのであります。但しそれぞれの会議において可決された案でありますので、私どもはこの案によつて十分に今後の文部行政において、支障なく実施できると考えております。
 なおここでひとつお断りをしておかなければならないのは、こういう組織になりまして、従来のように單に学校とか社会とかいう、その社会層によつて構成せられた局のほかに、教学局とか体育局とか科学局とかいうような内容事項別による局があつたのであります。從つてその方がまとまりがいいから事務がよく促進するという御意見と、社会層によつて区別した方が民主的だという御議論とが、どこの会議にもあつたのでありますが、このような両者を調整する意味におきまして、今後は文部部内に部内の局、課の連絡委員会をそれぞれ設けまして、たとえば体育につきましては、体育部の連絡委員会というものをもちまして、その委員長によつてそれぞれの事項別の横の連絡を十分にとりまして、事務に支障のないようにいたして参りたいと思つております。
#41
○渡部委員 文部省の職員の人々は、國家公務員法の成立によつて、非常に長時間過激な職務を遂行しなければならないという状態にあることは、文部省の中にある組合の意向等を通して非常にはつきりしておると思います。もしもこの機構改革案のために、職員等の活動力がより加重されなければならないような状態が起るとするならばここに非常に問題があるのであつて、この点についてもお尋ねしたいと思います。
 第二にはこの機構改革の結果、いわゆる簡素、能率的な運営機構がつくり出された結果、職員の首切りの問題が起き、またそれに関連して非常に強い労働を課されるようになる情勢があるかどうか、この点をお聞きします。
#42
○森田説明員 第一点の問題でありますが、文部省の職員の事務の負担加重ということは、この設置法の制定自身によつては起らないのであります。第二の点にむしろ関連いたすのでありまして、行政整理が現実に行われた場合におきましては、その整理せられた人々の負担しておる部分だけは、残つた人が負担しなければならぬというのは、これは当然のことでありまして、その点に関しましては、われわれといたしましても、できる限り行政整理の少なからんことを希望しております。
#43
○渡部委員 その行政整理が行われる場合に、どのくらいの整理がこの設置法案の成立によつて行われる見込みですか。
#44
○森田説明員 設置法案の成立と行政整理の率というものは、具体的には関連性は持つておらないのであります。
#45
○渡部委員 実際の問題として、この課、局、その他の統合あるいは廃止、新設というような形において、実際に職員の異動が行われなければならぬと思う。そういう見通しがあるはずだと思いますが、そうだとするならば、具体的な数字が出て來なければならぬと思います。その点についてはどうですか。
#46
○森田説明員 ただいま私から申しましたように、職員のポストの異動はあるのでありますが、その数を減らすという意図はないのであります。ただ今まで、たとえば局長であつた人が平事務官なら平事務官になりますけれども、それは一級、二級、三級というのがグレードが下つて來るということはないのでありますから、その受持つ仕事の内容はかわつて來ましても、その人自身の整理の問題とは別に取扱われるのでありまして、設置法とは関係ないものであります。
#47
○渡部委員 数を減らす意味においての異動はないと言われましたが、そうだとすればこの課、局の統合その他によつて、いわゆる行政整理とは関係ないとおつしやるのですか。
#48
○森田説明員 先ほど申しました通り、設置法の制定の理由は、行政の運営そのものを簡素、能率化するということでありまして、人を減らすということは、これは行政整理に関する定員法の問題として別に取扱われる問題だと思います。
#49
○渡部委員 その点は非常に疑問が多いわけですが、一應保留します。
 先ほど大学行政関係が大学行政法に移管される見通しがあるので、そのことが設置法の改革に関係があるというふうにおつしやつたと思いますが、大学行政法は最近出る見通しがあるわけですか。
#50
○森田説明員 大学行政法を文部省は法律によつてきめていただく希望を持つておりますが、これが制定せられるのは、将来いつになるか、今のところ見通しはつかないのであります。
#51
○渡部委員 現に昨年の七月には、すでに文部省の大学校試案というものが出ておるはずですが、あれを原案として大学行政法を考えられておられるのか、またはまつたく新しい構想によつて大学行政法を考えておられるのか、その点をお伺いしたい。また大学行政法というものが全然まだ見通しがないというような状態であるならば、そういう見通しのないような状態にあるものを前提として設置法が考えられておるということに矛盾があると思う。その点をお伺いいたします。
#52
○稻田政府委員 ただいまの大学関係の法規につきまして、私から申し上げたいと思います。
 ただいまお言葉にもございましたけれども、いわゆる試案として了解されておりまするものは、文部省試案ではないのでございます。一應ああした案が発表されまして、それにつきまして各方面から種々の意見がございます関係から、文部省といたしましても、またいろいろこうした問題を取扱われまする教育刷新委員会その他におきましても、その後種々この問題につきまして研究して参りました。今日の状態におきましてはまだ具体的成案を得ていないのでございます。しかしながらこの大学管理に関する法律というようなものは、教育職員の任免特例法その他にも引用されておりまするし、いずれはこうした法律制定の必要があるということは考えられるのでございます。私どもといたしましても、できるだけ早く具体的案を得たいと思つておりまするが、お言葉のごとく、いわゆる試案を中心としてそのまま原案にするというような意図は、今日持つていないのでございます。
#53
○渡部委員 大学行政法案については、文部省も御存じのように、非常に全國民的な問題になつておるのであつて、これが議会に出るか出ないか、どういう形で出るかという問題につきましては、全國民的な運動と関連して來ることであるだけに、文部省としてはそういう態度を相当はつきりすべきだと思うわけです。また最近聞くところによると、新しい試案的なものが試みられておる。しかもそれが今議会中であるかどうかは知らないが、なるべく急速に出すようにというふうな示唆ですか、指示ですか、そういうものがあつたということをわれわれは聞いておるのですが、その点はどうですか。
#54
○稻田政府委員 新しい試案がすでにでき上つておる、あるいはまたそれをこの議会に急速に提出する用意があるような事実は、今日のところないのでございます。
#55
○渡部委員 それでは最後にひとつお伺いいたします。文部省としましては、現在新しい試案なるものはないということをお聞きしましたが、今議会中に、あるいは急速に出せというふうなサゼスチョン的なものがあうたというふうなこと、またこれはあまりはつきりした情報ではないのですが、ある大学の教授が、その原案的なもの、新しい案的なものを見たというふうなことまでわれわれは聞いているわけなんです。これは責任ある大学の方から聞いておるわけですが、そういうものがあるかどうか、その点をもつとはつきり言つてもらいたいし、今議会に出すのか出さぬのかも、これは全國の大学の教職員だけでなくて、國民が非常に大きな関心を持つておるのであるから、そういう見通しだけは文部省として今はつきりしていなければからぬはずだと思うのです。その点責任ある御答弁をはつきりひとつお聞きしたい。
#56
○稻田政府委員 先ほど申し上げましたように、今日のところ原案はでき上つていないのでございます。従いましてこの議会に出すという見込みも立つていないのでございます。
#57
○渡部委員 サゼスチョンはどうですか。
#58
○原委員長 質問者があと三名ありますから、大体それだけで……
#59
○渡部委員 今の点についてお答えがなければしようがありません。
#60
○原委員長 ちよつと速記をやめて………
    〔速記中止〕
#61
○原委員長 速記を始めて。次は松本君。
#62
○松本(七)委員 いずれ内閣委員会との連合審査会のときに詳しく質問したいと思いますが、委員長にちよつとお願いしておきたいと思います。森戸委員から特に連合審査会のときでなしに、この委員会で文部省に十分質疑應答を重ねたい事項があるということでありますから、また先で質問の時間を與えていただきたいということをお願いしておきます。
#63
○原委員長 承知いたしました。
#64
○松本(七)委員 ごく簡單に一点だけ質問したいと思います。先ほどの説明によりますと、今度の機構改革の根本方針は、監督行政の色彩を一新して指導援助というものを強くして行こう、こういうことでございました。われわれもこれには大賛成でありますが、今まで長年の間非常に強力な監督行政を行つて來て、今この機構改革をやつたといつても、内容的な切りかえというものは非常にむずかしい問題だろうと考えます。教育委員会の運用の経験から見ましても、ましてや文部省のこういう内容の変革ということは、非常に困難であろうと予想されるのであります。文部省の方では指導援助のつもりでやつたことが、受ける方ではやはり長年の慣習から、非常な強い監督あるいは命令というふうに受取りやすい。これを改めて行くためには、受ける方ももちろん考え方をかえなければなりませんけれども、文部省としてもよほどの心構えが必要ではなかろうかと思います。戦後いろうろないわゆる次官通牒とかいうものが発せられました。それが、受ける方では非常に強力なものと解して、その通りにやらなければいけないもののように解釈をしがちである。それがたまたま問題になりますと、通牒を出した方ではこれは單なる参考意見である、あるいは助言的なものであるというようなことを言われる。そこにまだ文部省が、気持はあつても、実際は援助、助言ということになつておらないという面が、今までわれわれ経験したところであるのであります。せつかく機構を改革いたしましても、今後そういう問題はますます起つて來ることが予想されるのです。どういう形で指導、援助を與えられようとするのか、今までのそういう國民の長い間の考え方というものを、どのような積極的な努力によつて内容の切りかえをされるのでありますか、その点をひとつはつきりしていただきたいと思います。 
#65
○森田説明員 ただいま松本委員から御質問の中にありましたように、文部省の方におきましては指導援助のつもりで、またその方針で各種の通牒なりあるいはまた試案というものを送りますが、これを受ける方でまだその本質の転換が十分に御理解を得ないで、以前のように中央集権的な指揮命令というようにおとりになることも非常に多いのでありまして、これは両力の頭の切りかえが必要になつて來るわけであります。從いまして文部省においては、一方におきまして、たとえば地方に出します通牒にいたしても、あるいはまたその他の文書にいたしましても、その策案の仕方につきまして細心の注意を払いまして、ことに現在におきましては、出します文書はほとんど全部文書課を通るのでありますが、文書課には特にそういう公用文の改善に精通しておられます専門家を置きまして、その下審査を経てこれを出す。從いまして、いささかでも指揮命令にわたるような措置なり、あるいはまた文書なりがある場合におきましては、それを改めて出すように努力をいたしておるのであります。なお地方の学校の校長先生なり、あるいはまた教員各位に対しましては、それぞれ講習会なり、あるいはその他の協議会を開きまして、新しい教育の精神なり、あるいはまた教育行政の方向なりを十分にのみ込んでいただくように努力いたしておるのでありますが、これは御承知の通り一朝一夕にはなかなか困難な事態でございますから、なおこの方向に向いまして、われわれといたしましては今後とも努力をいたして参りたいと思つておるのであります。
#66
○松本(七)委員 ただいまのような点ももちろん必要でありましよう。しかし私がはつきりお伺いしたいのは、そういうことももちろん改めなければなりませんが、指導、援助ということは、本來國民大衆からの要望がある場合には、これを受けて、指導、援助、助言するということでなければなるまいと思うのです。それが文部省側では、親心といえば親心、独善的といえば独善的に、そういう相談あるいは懇請がないにかかわらず、これを勝手に次官通牒というような形で出す。そこに指導援助のつもりでやつたものが、反対の結果を生むという危険があると思うので、そういう要望をつけて出すようにされるのかどうか、そこのところをはつきりしていただきたい。
#67
○森田説明員 ただいまの質問の点でありますが、文部省設置法第四條第一項の二号に「民主教育の体系を確立するための最低基準に関する法令案その他教育の向上及び普及に必要な法令案を作成すること」という一項目があるのであります。この最低基準をつくるということは、この法令によつてこれをつくる任務が文部省にあるのでありまして、この最低基準に即應するように指導するということは、また文部省の任務であるわけであります。法令に基かないその他の点につきましては、仰せのように國民なりその他教職員の方からの要求に基いて指導、援助を與えることになると思うのであります。
#68
○今野委員 最初に総体的なことでお伺い申します。さつきのお話の趣旨によりますと、能率化するためというお話ですが、従來われわれ國民は、文部省に対して何だか物足りないものを感じていたと思うのです。すなわち、非常に弱体ではないか、日本の教育をほんとうに背負つてこれを遂行して行くだけの力がないのではあるまいかということも感じていたのではないか。ことに今度の六・三制の問題などについての交渉過程を見ましても、それが感じられていたわけであります。たとえば公共事業費の中で、文部省関係の建築費がCクラスに属するといつたことも何かの機会に聞きましたが、何か教育というものが十分に尊重されていないという印象もあつたわけでありまして、國政全体の中における文部行政の地位といつたものが、現在やはり考え直されなければならないのじやないかとも考えられるのですが、この点はこの法案には見えないようにも思えます、その点いかがでございましようか。 
#69
○柏原政府委員 これは総括的な大きな問題でありますが、文部省が今まであつた予算を減らされておること、交渉がへたであることは、歴史的な事実であります。今回におきましても、学校建築がCに落された、これも事実でありますが、私たちは文化國家建設における文部省の使命は深く大きいと考えておるのでありまして、また人間生活の中におきましての文化の持つ重要性につきましても、さらに検討を加えて、文部行政にもう少し力強いものをつくりたい、こう考えておるのでありまして、現状必ずしもよろしいとは満足いたしておりません。もつともつとかえて行きたいという情熱は多分に持つております。概畧でございますが、お答えといたします。
#70
○今野委員 その点につきまして、たとえば憲法の條章その他と関連を持ちながら、こういう法律案に宣言的な文章を入れるといろお氣持はございませんでしようか。
#71
○柏原政府委員 今回各省の設置法案が出るのでありますが、特に文部省設置法案に対して文教の重要性ということの宣言を書くことは、私はどうかと思うのであります。どこの省でもみな重要なのでありまして、特に教育の重要性という宣言を法律に入れるのは適当でないと私は考えます。その点は私といたしましては、どうかこの際文部行政の重要性を十分認識されて、そういうものがこの中に、審議の過程においても盛り込まれて來ることを希望いたしておきます。
 次にちよつと申し上げておきたいと思うのは、この趣旨の中にもございますが、文部行政というものはまつたく考えがかわつて來たということです。それはさつきの指導並びに助言という点でありますが、その点は、さきに來朝されたアメリカの教育使節團の報告の中にも文部省に対する痛烈なる批判がありました。それはどういう点かと申しますと、教育のほんとうのエキスパートが文部省の官吏になつておらないという点を指摘されておりましたが、指導並びに助言が有効に行われるためには、そういうことが非常に必要であろうと思うのであります。長い間の教職に経験のあるような人が文部省の官吏になるということが必要であろうと思うのであります。それによつて行政が能率化され、またこの法案に示されている目的も達せられるだろうと思うのであります。それでたいと、この法案はいわば内容のないようなものでありまして、実際の行政は人によつて行うのでありますから、その点についてはどういう措置が考えられているのでございましようか。
#72
○柏原政府委員 お説の通りでありまして、今までは監督という面が強かつたので、教育の技術とか情熱信念の強い人、必ずしも行政面のエキスパートでなかつたわけでありますが、今回は多小かわつて、監督というよりも指導、助言でありまして、仕事がかわりますから、将来は実際教育面の経験者が文部省にふえて來るだろうと思うのです。しかしながら、文部省となりますと、やはり行政の方面に明るい人がやらなければならぬので、たとえて申しましたならば、炭鉱で炭を掘ることに非常にうまい人でも、労働運動をする場合には必ずしも炭掘りの達人が指導者ではないので、炭掘りはへたでも労働運動のうまい人もある。やはりその両々に指導者というのが当つて行くのでありますから、うまい先生いい政治家とはいえない、そこは折衷してやらなければならぬのであります。今回は指導、助言というふうにかわるのでありますから、あなたの御希望のような、教育の非常によくできた人が将来は文部省で幅をきかす時代が來るだろうと思います。
    ―――――――――――――
#73
○原委員長 次に、教科書に関する件を議題といたします。
#74
○松本(七)委員 せんだつて新聞にもちよつと報道されておりましたが、小学校の教科書、特に算数の教科書が、昨年一年生が習つた内容が、そのまま二年生の教科書として本年使われておる。そのために二年の生徒が非常に習うことに不満を感じ、興味が持てないいうので、私どもの方にもいろいろな陳情が参つております。あの当時の新聞の報道によりますと、なんですか、学力の低下を來しておるから、計画的というか、故意にそういうふうなことをしたというふうに書いてございましたが、文部省はこの問題に対して、どのような方針で今後臨まれるか。
#75
○稻田政府委員 小学校の算数、それから中学校、高等学校の数学につきましても、他の教科と同様に、先般六・三・三の新教育が発足いたしますとともに、学習指導要領をつくり、また一方それに即應いたしまして、文部省の教科書を著作いたして参つたのでございます。ところが、一年間その教科書を使い、学習指導要領に準拠いたしまして教育をいたしてみますと、現場の先生方から非常に教科書の程度が高過ぎる、学習指導要領のねらいどころがむずかし過ぎるという批判の声があつたわけであります。それで、学習指導要領を作成いたしております教材等調査委員会において、また教科書の編修委員会におきましても、その後いろいろ研究いたしまして、一方また文部省の実験学校におきましても、計算力の調査をいたしたわけでありますが、その計算、能力の調査の統計の結果におきましても、その学年の教科書を使いました場合には、正確な解答者のパーセンテージが四〇%から五〇%くらい、一学年下つたものを使いまして、初めて八〇%から九〇%になるという現状が現われて参つたのであります。もつとも今日の中学校の生徒たちは、戦争中不幸にも強制疎開その他で学力が落ちておるというような、一時的な状況も考えられるのでありますけれども、新しい教育が児童、生徒の経験に基き、社会活動を中心として教えるようになつている見地から考えました場合に、これは考え直さなければならないというような結論に達しまして、昭和二十四年度、本年の四月から小学校、中学校の学習指導要領を改正することを、昨年決定いたしたのであります。ところが突然この四月から切りかえますると、昨年度における学習とのつながりがうまく行かないというようなことを心配いたしまして、昨年の六月、それを予見いたしましたので、新しい学習指導要領が明年からこういうふうにかわるから、昨年度中からの教育もそれに即應して、教科書を適宜取捨して教えていただくようにという通牒を出しまして、また引続いてその趣旨によつて教科書をどう使うかという具体的指示を、昨年の八月にもいたしました。その後教科書採択の教科書目録を送付いたしました場合にもそれを明らかにし、その後本年二月、四月、何回となく通牒もし、またラジオ等でもその点は学校に徹底いたしたはずでございますけれども、あるいはお言葉のごとく、父兄の方々において奇異の感に打たれた方もあつたのではないかと思うのでございます。
 大体そのコース・オブ・スタデイーのかわりました点は、一年において数字の扱いをいたしますに先だちまして、数とか量とかいうものについてのプライマリーなコースをつけましたのと、それから従来の教科書が計算能力を非常に短期間で伸ばして行く。そのために小学校の高学年から中学へかけて、かなり複雑な高い程度の数学をいたします場合において、基礎的な計算能力が不足しておるために、生徒が非常に苦痛を感じたり、数学について興味を失つたりするような状態からいたしまして、下学年において相当時間数をとつて基礎的な計算能力をつけるということを意図いたしたわけであります。そのほかそろばんにおける剰除等を除くとか、あるいは力学的教材を理科の方に持つて行くというような改め方をいたしたわけでありますが、帰するところ、八学年、九学年、つまり義務教育を終えまする場合の程度は、從來より下げないということで参つておるわけであります。そこで、本來ならは教科書を、新しい学習指導要領に即してすつかり改編すべきでありますけれども、短期の間にそれを実現することが困難でありますので、小学校の四学年と中学校の一学年、最もかわりますところだけを新編纂いたしまして、あとは持上りで從來の教科書を使わせる。しかしながら先ほど申し上げましたような、十分な指導上の注意と、父兄に対する理解を得つつやつていただくようにいたしたわけでございます。この趣旨がいまだ不徹底でありますれば、この上ともわれわれとして徹底するように努力いたしたいと思つております。
#76
○松本(七)委員 そうすると、教科書に拘泥せずに、その学級に適應したやり方をやつてほしいというのが文部省の方針ですか。
#77
○稻田政府委員 さようでございます。現在は学習指導要領に則應いたしまして、各教師が生徒と協議いたしまして、それぞれ学習計画を立てている。教科書はいわば一つの参考書にすぎないというのが、教科書を通じての全般的な性格でございますので、この数学及び算数の教科書につきましても、そういう趣旨で一つの教材として新しい学習指導要領に應じた部分を利用して教えていただきたい、こういう考えでございます。
#78
○松本(七)委員 まだ父兄あるいは子供なんかは、学校の教科書を強制されておるというふうな感じを持つておる方が多いので、その点を十分今後徹底するようにお願いいたします。
#79
○稻田政府委員 そういう点につきましては、もつと家庭の方も聞いていただきまして、たとえば私たちの言葉というラジオの時間等を利用いたしまして、從來とも努力いたしておりますが、今後とも十分に努力いたしたいと思つております。
#80
○松本(七)委員 それからこれは高等学校の教科書の問題ですが、例の「民主主義」という教科書が文部省の著作として出されておるのです。あの当時ほかに民間でも教科書がずいぶんたくさん出ておつたようですが、これが非常に多く失格にたつておる。しかもこの文部省の教科書という名目で「民主主義」が出ておつて、昨年も、検定教科書の問題を審議いたしましたときに、どうしても文部省のつくる本は非常に安くできはしないか、そのためにせつかく検定教科書を奨励しようとしても、実際には文部省のつくつたものがほとんど独占的にこれが採用される結果になるのではないかというようなことを、非常に皆さんおそれられておつたのですが、この失格された多くの教科書の検定状況というものを、ちよつとお知らせ願いたいと思います。
#81
○稻田政府委員 検定制度は、昨年初めて実施いたしたわけでございまして、そのために私どもといたしまして非常に心配いたしたのは、第一編纂せられる発行者の側において十分準備の時間のないこと、及びそれを受取りましてから、必要な時期までに、文部省に置かれておりまする検定委員会において、はたして迅速に検定の事務を運び得るかというような点であつたのであります。しかしながら私どもといたしましては、一年も早くこの検定制度を実施いたしまする必要を感じまして、たとい最初の年においてはあまり多数の合格点を見ないでも、とにかく一年も早くこれを実施しようという心構えで出発し、また各方面の御了解も願つたわけであります。そういうような関係で、出て参りました教科書は約五百点に上つたのでありますけれども、夏開催いたしました教科書の見本展示会の開催時期までに間に合つた教科書、その時期までに合格いたした教科書は九十点にとどまつたような次第でございます。教科書は一学年を通じてシリーズがそろいませんと使いものになりません関係上、九十点合格いたしましたけれども、実際教科書目録に登載いたしましたのは六十五点というような少数にとどまつたわけでございます。しかしながら、その時期に遅れて関係方面から許可になりましたものが、やはり同じく九十点、合計百八十点を得たわけでございます。從いまして全体出願数の約三割が検定に合格したというような結果を生じたわけであります。このあと遅れて許可になりました分も、二十五年度用からは用いられることになりまするし、またすでに二十五年度分として、この二月ごろから受付けました総数は、五百六点に達しております。すべてを教科書検定委員会の審査に付しまして、今日関係方面の検閲を受けておるわけであります。関係方面においては、おそらく六月の中ごろまでに、検閲を終えて、これを下付するであろうという見込みを持つておられまするので、二十五年度用として、本年八月の見本展示会の機会に登場いたしまする教科書の数は、昨年に比しまして、非常に多いであろうという見込みを持つておるような次第でございます。逐年この検定制度は発達して参るだろうと、私どもは心強い希望をもつておるわけであります。
#82
○松本(七)委員 文部省著作教科書と銘打つてある教科書であるために、非常に世間で権威のあるものと考えるのは、これは当然であろうと思うのです。その内容に立ち入つて一々申しますれば、それぞれの意見がたくさんあろうと思いますが、そういうところまでは申しません。ただ問題は、それほど世間で権威のあるものと考えられるこの教科書が、いろいろな学説等も客観的に述べて、そしてそれを高等学校の学生あたりが討論するというような形がとられるならば、これははなはだ有益であろうと思うのですが、この「民主主義」という教科書は、どちらかというと、党派的な色彩が強いように私ども感ずるのであります。そこに非常な重要な問題があるのではなかろうか。特に文部省の編纂した教科書はいかに影響力が大きいかということを考えますと、端的に言えば、「民主主義」という教科書は非民主主義的なものであるような感じが非常に強いのであります。ごく重点だけを申してみますならば、この教科書に一環して書いてありますように、民主主義は思想あるいは社会制度、政党の選択を自由に國民にまかせることだとはつきり言つております。それから「人間の尊さを知る人は、自分の信念を曲げたり、ボスの口車に乗せられたりしてはならないと思うであろう。同じ社会に住む人人、隣の國の人々、遠い海のかなたに住んでいる人々、それらの人々かすべて尊い人生の営みを続けていることを深く感ずる人は、進んでそれらの人々と協力し、世のため人のために働いて、平和な住みよい世界を築き上げて行こうと決意するであろう。」――こういう考え方が最初にずつと述べてあるわけです。ところが終りの方になつて参りまして、資本主義あるいは社会主義、こういうところでは、資本主義の立場からはどういう主張がなされ、あるいは社会主義の立場から、生産手段をこういうようにする、そういう主張がなされる、それに対しては、資本主義の立場からはこういう反撥が出ておる、こういうふうな、参考になることが述べてあります。ところが最後に共産主義というところがあるのでありますが、共産主義というものは反民主主義のものである、こういうことがうたつてあります。いやしくも文部省が編纂したもので、共産主義が反民主主義であるというように断定するということは、私は不当ではなかろうか。もちろんこの中に、マルクスの共産党宣言以來の理論的な面も紹介してありますけれども、すでに日本の憲法で日本共産党は公認されておる、厳存しておる。それを、共産主義が民主主義に反するというように断定するということは、日本の共産党は共産主義の政党ではないと考えられておるのかどうか。そういう点が誤解を招くおそれがあるのであります。これを私が読みまして、一番根本的に考えられましたのは、民主主義に反する共産主義を奉ずるところの政党は、それでは反民主主義的なものとして断定される文部省の考えかどうか、そこをひとつ伺つておきたいと思います。
#83
○稻田政府委員 ただいまのお言葉にもありました通り、第一文部省著作教科書の性格でございますが、戦前の教科書が、申すまでもなくこれは教科書通り学校において教師が生徒を指導しなければならない、教科書の内容通り生徒はその内容を注ぎ込まれつぎ込まれるというような性格を持つていたのと反しまして、今日は学習指導要領というものが別に教科の最低基準としてありますだけで、それに基いて教師が独自の見解を持つて児童、生徒と協議しつつ学習をして行くという立場をとつておりますので、今日の教科書は検定教科書であろうと國定教科書であろうと、決してその内容通り生徒にたたき込むべき性質のものではないと私どもは考えておるわけであります。教科書は一つの参考書にすぎないというようなことが常々教育研究の場合等に述べられておりますので、文部省著作の教科書にしても、それを扱われる教員の方々は、そうした頭で指導していただけるものであろうと考えられます。ことに「民主主義」と申しまする本は、大体これは特に参考用として編纂されたものでありまして、それに文部省著作教科書という名前を冠しましたのは、教科用図書の紙を使用いたしまして、製造から供給に至りますまでの方法を、教科書発行に関する臨時措置法に定める手続によることを便宜としたからでありまして、もともと検定も國定も、今日の各教科書は各学年別に学習指導要領の各單元に即した編纂をいたすのが常であります。從いましてこの「民主主義」のごとく、読本のように相当厖大な分量をずつと書き下しておりますものは、今日教科書としては実は使えないかつこうのものであるわけであります。ただ一つの例外として、小学における「新しい憲法の話」それから「民主主義」というものが参考書的の内容を持つて編纂せられておるわけであります。教科書としては中学三年の「民主政治はいかに行われるか」というような単元に即應する教科書は、文部省としても今日編纂中でありまして、近く発行供給せられるであろうと思います。また検定教科書もそうした種類の單元はあろうと思うわけであります。そういうような性格を持つておる教科書でありますので、先ほどのお言葉にもありましたように、別にこれは権威をもつて押しつける性質のものではないのであります。その点は特にこの教科書を供給するにあたつて、各都道府縣を通じて、学校に対しまする通牒にも、本書は生徒各自が独自の見解をもつて民主主義を理解する一つの参考資料として提供するものであるということを、通牒の文面にも明らかにいたしておるような次第でございます。
 それから内容でございますが、民主主義というのは一つの理想形態でありますので、各國あるいは各時代において、政治の方面にも経済の方面にもあるいは社会の方面にも、いろいろな形態が現われて参るのであります。この民主主義について一つの論を立てます場合に、それぞれの立場があろうと思います。この書物といたしましては、日本國憲法の施行せられております現状、これを立場として編纂されておる本でありまして、日本國憲法という点より見まして、いかなる形態が政治的にも経済的にも、ないしは社会的にも民主主義形態として考え得るかというような片鱗を、この本に表わしておるわけであります。この本の解釈が唯一絶対のものであるとしてしいるような意図は別に持つていないのであります。
 それから誤解を生ずるおそれがあるというお言葉があつたのでありますけれども、この本のどこにも私どもは共産主義を否定する論法は決して用いていないと思います。あるいはまた共産党を否定する論議もないと思うのであります。ただこの書物といたしましては、民主主義に対する独裁主義というような点を論じております。独裁主義としていろいろな形態を引用いたしておりますが、たとえば一政党の独裁、あるいは一階級の独裁、それを実現いたしますために暴力革命をかりに用いるといたしますならば、そうした点は多数決原理により、また言論の自由により、今日の日本國憲法の解釈いたします政治的民主主義のとるべき手段とは異なるのだという意図をもつて、そうした点に言及しておるにすぎないめでありまして、また別の部分におきましては、もとより共産主義であつても、多数決原理によつて、それを國民が是としてとる場合においては、それをいなむ理由もない。いわんや共産党それ自身を否定いたしますようなことは、この本に現われていないと考えておる次第でございます。
#84
○松本(七)委員 時間もないようでございますし、何かまた出版に関する法律案が出るそうですから、そのときにあらためてお尋ねすることにいたします。
#85
○今野委員 私も昨年の六月に出された算数の指導要領はよく拝見したのでありますが、今度一年繰下げて教科書を使われております。あの國定教科書は、あの指導要領には合つておらないと思いますが、いかがですか。
#86
○稻田政府委員 もとより今日持上りで使わせております教科書は、古い指導要領によつておりますので、二十四年度の現在においては新しい学習指導要領に合わないのでございます。それによりまして、先ほど申しましたように新編纂すべきでありますが、いとまがありませんし、また私どもといたしましては、もう今後に記いては文部省著作教科書の新編纂を一般的に企図いたしておりませんので、一般的に各検定教科書の出ることを希望いたしております、そういうわけて、さしあたり四年と小学の一年だけを新編纂いたしまして、それ以外は幸い各児童生徒が古い教科書を持つておりますから、それを次の学年まで持ち上つて使用していただく。但し一年の生徒には昨年は教科書生徒用をやりませんでしたから、それが二年になつたものについては、昨年の一年の内容のものを二年用としてこれを百パーセント供給いたしました。三年についても同様でございます。それから五年、六年についてはそれぞれ昨年度の四年、五年の教科書を持つておりますから、そのまま使わせることとし、汚損亡失等を考えて、ごくわずかリプリントいたしまして、不足分を補うということにとどめて、便宜そうした経済的な方法をとつたわけでございます。
#87
○今野委員 たいへん懇切な説明なんですけれども、要領だけを答えでいただけば十分です。
 検定教科書の場合には、指導要領に合わないものは不合格になるにきまつているわけであります。從つてそれは決して生徒には渡らないわけです。また学校の教員の意向によつて生徒に強制的に使わせることも禁じられているわけであります。その点からすれば、國定の場合においでも当然しかるべきだというふうに考えられるのですが、その点は今経済的ということで、あえてその不法を犯しているわけですが、非常に残念に思います。
 なお昨年、実は検定制度が実施されるようになりましたときに、非常にたくさんの業者の人々並びに著作の人々が、熱意をもつてこれに当りました。それは先ほど御説明の通りでございます。しかるに算数の教科書においては、せつかく用意されたものが六月になつて新しい指導要領が出たということで、出願がみな却下されたというような事態になりましたが、そのおよその内容についてはずつと前からわかつていたはずであります。それについても絶対に秘密であつて、教科書を製作しておる業者あるいは著作者には少しも知らさずに非常に多大の資金と労力がむだになつたように記憶しております。それからなおそのときに、教科書をつくる限度として、小学校の一、二年においては、教科書は実際に教師用だけに限られておるから、検定も受付けないというようなお話がありました。それからまた教科書のボリユームについても原稿によるというお話でありました。しかるに今回見ますと、その不適切なる國定教科書が二年生用として出て來て配付されておる。しかも今度は中学校一年生に至つては、從來のものと各段の違いのあるボリユームのものが出て來ておる。こういうようなことはせつかく検定制を実施しておきながら、それに対する非常な努力が各方面で行われたのを無にする。それについては業者の側でも数千万円の資金が使われておると思います。それから著作者の側でも、多大の労力と時間とを使つております。そういうものが一挙にしてむだになつておると思います。しかも今日こういうようなことが行われておるのは残念に思うのですが、その点についてちよつと釈明を願いたいと思います。
#88
○稻田政府委員 今日の検定の基準に合わないものを國定教科書であるから使わせておるのはけしからぬという問題については、実は検定教科書があれば、ああしたものはひつ込めるはずであつたのでありますけれども、さしあたり新しいコース・オブ・スタデイにマッチいたしました教科書が本年度検定教科書としてないために、從來使つておりましたもので、建前は古本をそのまま使わせるということを、やむを得ずいたしたわけであります。昨年は検定業者が出願しようとする時期にあたつて、このコース・オブ・スタデイがかわりましたので、非常に迷惑をいたしましたし、また業界から見ても、そのためにいい教科書が間に合わなかつた結果は、私ども非常に遺憾に考えるのでありますけれども、昨年度としては、そのために特に数学に関しては検定の受付を遅らせて、私どもは相当待つたのであります。待つた結果として出て参りましたけれども、なおこれが許可にならなかつたという結果を生じたのであります。これは一般論でありまして、今日新教育によつてコース・オブ・スタデイは年々新しくかわつて参ります。しかるに教科書は二年ほど前に準備しなければならぬというような点がありますから、過渡期には避けがたい不幸な事情であろうかと思いますが、なるべくそうしたことのないように私どもとしては今後とも努力をいたしたいと考えております。
#89
○今野委員 文部省はそういう御処置をおとりになつた結果、たいへん努力をされたのでございましようけれども、事実においては父兄においても、また児童においても、非常に大きな衝撃を受けております。去年と同じものを習わされるということは、とてもがまんできないというような氣分が現在あり、児童のつづり方などにもその点がいろいろ現われております。そこで文部省はこれを即刻改めて、この九月からなりとももつとコース・オブ・スタデイによつたようなものを、かりの教材でもいいからつくり、あるいはそういうものを民間でつくることを奨励して、この急場を間に合せるということは決して不可能ではないと思うのです。なぜなれば、昨年のそういう著作者たちの努力によつても相当なものが用意されて來ておるわけですから、全然不可能ではないと思うのであります。多数の児童の教育ということを考えてみますと、そういう便法は講じてもさしつかえないようにわれわれ考えるのですが、その点はいかがでしようか。
#90
○稻田政府委員 文部省としては全面的な新しい教科書の編纂は企図いたしておりません。新しい文部省設置法におきましても、その法規を規定いたしてないのでございます。一方検定の方面におきましては、先ほど申し上げましたように、すでにもう出願し審査中のものが日ならずして結果がわかります。それが合格いたしました場合に、印刷に着手して問に合うとすれば、どうしても現在の状況でございますので、來年度の春やつと間に合う程度のものであろうと思います。從いまして昨年の教科書を使うといたしましても、補いは今日の新しい教育の方法から見れば、一方教師の方々がいろいろ材料を勘案して教材をつくつていただくことが建前なのでありまして、教科書はその補いでありますので、ここしばらくのところはごしんぼうを願つて、やがて來年度以降新しい検定教科書で優秀なものがどんどん出て來ることを私ども期待するほかはしかたがない問題ではないかと思います。
#91
○今野委員 そういうようなことがあるために実は巷間には非常にたくさんのはなはだ粗末な学習書みたようなものが満ちあふれております。これが児童に対して実は強制的じやないでしようけれども、どんどん買わせられる。その結果父兄の負担もなかなか多いようであります。しかもその内容に至つては非常にずさんなものであります。こういう事実があるのですから、何らかの処置がとらるべきじやないか。それで印刷等も十分りつぱにやれば手間がかかりますが、ああいう粗末なものがどんどん出ているところから見ますと、至急の措置をとれば案外簡單に行くのではないか。私ども幾らかそれに関係しておるので、そういうふうに考えられるのでありますが、いかがですか。
#92
○稻田政府委員 非常にごもつともなお話で、私どもとしても何とかしてその欠陥は埋めたいと昨年度から考究して参つたのでございますけれども、いろいろな情勢から考えまして、現在の措置しかとれないのでありますが、今後とも数学教育の充実というような観点につきまして、私どもとしても十分関係方面とも協議をいたして善処いたしたいと思つております。
#93
○今野委員 次に先ほど問題になりました「民主主義」についてちよつとお伺いいたしたいと存じます。この内容については、先ほど参考意見だというお話だつたのですけれども、しかし文部省の著作とあるからには、やはり文部省が十分責任をとられるのだろうというふうに考えられます。しかるにこの内容を読んでみますと、たとえば民主主義について論じてあるところは、大体において十八世紀までの民主主義だけしか書いてないのであります。歴史的な発展のところで、十八世紀までの民主主義しか書いてないで、それ以後のものはすべて民主主義の範疇には入れてないのであります。それからまた共産主義について論じておるところを見ますると、その文献なども、大体見当はつくのでありますけれども、大体において第一次大戦の前までの文献だけしか使用してない。じかもこの史実に至つては、ロシヤ革命の史実だけしか利用してない。これは参考になるというよりは、むしろ非常に誤解を招く。その結果著者自身もずいぶん妙な言葉を使つているところがたくさんあるのであります、普通に使われないような言葉がよく使われておるのであります。たとえばたいへん長い形容詞をつけて、プロレタリア独裁を企図するような、そういう共産主義がどうのこうのといつてみたり、これは明らかに、そうでない共産主義があるということははつきりしているのだろうと思いますが、そうでないのがあるということはどこにも書いてないで、そういう言葉づかいをしています。また共産党のことを書いたところでは、今日世界のほとんどすべての國々には共産党があつて、多くの議員が出ているところでは他の政党と議会での多数を争つている、議員の少いところでもいろいろの策畧を行つておる。これが共産党に対する説明の全部なんですが、しかもいろいろな策畧を行つているというのが説明の全部であつては、どうもたいへんおかしな話であるとわれわれ考える。そういう意味ではたいへん誤解を招きやすいとわれわれは考えるのであります。それで私はおそらくこの問題に対しては、文部省に対しても多数のいろいろな抗議があつたことと思います。それで文部省は近い機会にこれを絶版に付する意思がないかどうか、その点お伺いしたいと思います。
#94
○稻田政府委員 これは非常にほかの教科書よりは部厚なものでありますけれども、もとより分量の制約等もございまして、歴史的叙述、あるいはまたそのほか種々の説明につきまして、言葉が足らない、不十分な点も相当あろうと思うのでありますが、おおよそ資本主義、社会主義、共産主義発達の過程というものを歴史的な方面において述べたというにとどまつておるようなわけであります。共産主義につきましても、今御引用になつたところがそれを紹介する力点のあるところでないことは、御了解いただけるだろうと思うのであります。あとで共産主義というものがどうして発達して來たか、また相当これについてはページ数も費して紹介しておると思うのでございますが、ともかく先ほど申し上げましたような、スタンド・ポイントをもつて一つの民主主義についての考え方をここに叙述いたしたものであるわけでございます。單にいろいろな策動を行うというような点も、共産党ばかりについて言つているのではなく、たとえば資本主義関係におきましても、金権政治の弊害その他そちらの弊害とも見える点につきましても、また論及いたしておりまして、その辺のバランスは失つていないと考えるわけであります。
#95
○今野委員 今の御答弁非常に不満足なんです。というのは、私は事実に違つているのじやないかという点を言つている。非常に不十分じやないかという点ですね。從つて本として不完全である、そのために誤解を招くということを言つているので、いやしくも文部省の著作といわれるものが、たとえば民主主義をいうのに、新しい民主主義ということが現在言われております。これは東ヨーロツパにおいても、また中國においてもそういうことが言われ、わけて中國の毛澤東の書いた「新民主主義論」というのは、世界各國にも翻訳されて世界的な文献にもなつている。そういうものについて少しも触れるところがない。これに否定的な批判をしてもよろしいが、全然触れるところがない。そういう意味では二十世紀における民主主義というものは、ここに少しも説かれてないと見てもさしつかえないと思うのです。そういう意味で不完全である。そのゆえにまた誤解を招くからこれは絶版にした方がよかろうという意見なんですが、いかがでしようか。
#96
○稻田政府委員 今日のところ絶版いたす意思は持つておらないのであります。
#97
○原委員長 本日はこの程度で散会いたしたいと思います。明日は午後一時より内閣委員会との連合審査会を開催することになつておりますから、御出席をお願い申し上げます。
    午後四時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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