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1965/03/23 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
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1965/03/23 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号

#1
第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
昭和四十一年三月二十三日(水曜日)
    午後一時五十三分開議
 出席委員
   委員長 原   茂君
   理事 菅野和太郎君 理事 纐纈 彌三君
   理事 西村 英一君 理事 前田 正男君
   理事 岡  良一君
      大泉 寛三君    加藤 高藏君
      野呂 恭一君    渡辺美智雄君
      三木 喜夫君   米内山義一郎君
      佐々木良作君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 福田 篤泰君
        国 務 大 臣 上原 正吉君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   小林 貞雄君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局長)   村田  浩君
        通商産業事務官
        (公益事業局
        長)      熊谷 典文君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       有沢 廣巳君
    ―――――――――――――
三月二十三日
 委員内海清君辞任につき、その補欠として佐々
 木良作君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員佐々木良作君辞任につき、その補欠として
 内海清君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子力発電に関
 する問題)
     ――――◇―――――
#2
○原委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 原子力行政に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。佐々木良作君。
#3
○佐々木(良)委員 三十一、二年だったと思いますから、たぶん十年ぐらい前になろうかと思いますが、現在の原子力発電会社が発足する前に、どういう形で原子力発電をこれから推進していこうかという論議が、この委員会を中心にずいぶん行なわれまして、それから、申し上げましたように約十年たっておるわけでありまして、その十年間にいろいろな動きがありましたが、最近におきまして、特別総合エネルギー政策の観点から、原子力発電への期待がだんだん大きくなってまいりまして、具体的な電力需給の見通しのようなものの中におきましても、今後原子力発電が担当すべき役割りをだんだんと大きく任務づけてまいっております。したがいまして、これと関連をしながら、ことし、電力会社中央三社といわれます東京、それから関西、中部の三社を中心として原子力発電に踏み切って、決定をして、いよいよ着工に乗り出そうという、まさに実施の段階に入ってまいりました。しかし一方、国の原子力行政に関する問題は、原子力委員会を中心にいろいろと進められておりますけれども、私は正直申しまして、昨年の夏、動力炉開発懇談会の中間報告というものが出まして、これを中心に目下原子力発電を中心とする原子力行政の基本方針が、ようやく政府部内で練られかけておる状態ではなかろうか。しかもその方針は、伝えられるところによりますと、基本的に三つの原則を掲げて、国内で核燃料サイクルを確立するんだという基本方針、それから二つ目には、動力炉の自主的開発をやるのだ、自分で動力炉をこれから開発していくのだという方針、そして三つ目には、そのためには政府が積極的にその施策に参加して推進していくのだ、こういう三つの基本方針について、いまいろいろ原子力行政の骨組みが検討されておる段階のように承っております。私が非常に不安に思いますことは、われわれがここで、ずいぶん論議いたしました十年過去から現在まで、ともかく原子力行政は原子力委員会を中心にして行なわれたのでありますけれども、その間に、言うならば私どもはこれという確たる施策を見ずに至っておるわけですが、現実に原子力発電を必要とすると称せられるエネルギー・バランスの方面からは、ぐんぐんとその必要性が強調せられて、現実に、いま申し上げましたように、ことしはもうこれに取り組むという状態に相なってきた。しかも、これは科学技術庁長官よく御承知のように、ことし着工しようとする状況は、あくまでも三つの電力会社、言うならば民間会社が中心になりまして、いままで外国ででき上がっておる動力炉をそのまま入れて、そして何とか早くこれをやりたいということであります。この実施者であるところの電力界で取り組んでおりますところの今日の課題と、それから行政部門、政府部門で考えられておるところの基本的な、先ほど申し上げた三つの方針というものの間には、まことに大きなギャップが存在する。これを一日も早く埋めなければ、ことしから着工し、ことしから決定して取り組もうとしておる原子力発電に今後重大なる影響を及ぼすことになる。したがいまして、私は、これから政府できめようとされておるところの原子力行政の基本的な方針と現状との間のギャップを埋めるために何とか具体的な対策をひとつお考えいただきたい。そして、もし日本的な条件が、いま考えられておるような基本的な方針になかなか適合しにくいものがあるとするならば、これから最後的な仕上げに入ろうとされておるわけでありますから、基本的な原子力行政に対する方針もまた再吟味の必要があるのではあるまいか。少なくともこれからしばらくの間、精力的にこの問題に取り組まなければ、それこそ悔いを千載に残すことに相なりはしないか、こういう意味において、恐縮でありますが、本日この委員会で、まことに貴重な時間をいただきまして、これらの問題につきまして私は若干の質問を行ないまして、原子力行政のあり方、原子力発電を中心とする現状に対しまして、政府の施策を全からしめるための努力をいたしたいと思うのであります。
 したがいまして、まず私は、通産省にちょっとお伺いをしておきますが、たぶん総合エネルギー・バランスからの出発点であろうと思いますけれども、巷間非常に膨大な原子力開発の計画が伝えられております。その大要につきまして簡単に御説明を願いたいと思います。
#4
○熊谷政府委員 原子力発電の重要性につきましては、申し上げるまでもないと思いますが、最近総合エネルギー調査会の中に特に原子力部会というものをつくりまして、そこで、各専門家にお集まり願いまして、長期の原子力発電の見通し――もちろん、この見通しをつくりますためには、経済性等も考えておるわけでありますが、長期の見通し、あるいはそれをやる場合の開発主体、さらに進んでは、発電機の国産化というようなものを取り上げて、総合的に研究をいたしておるわけであります。総合エネルギー調査会の全体の結論といいますものは、石炭を含めまして、中間的に六月をめどに作業を進めておるわけでございますが、原子力部会の結論はできるだけ早く出していただきたい、今月末か来月末に一応のものを出していただきたい、こういう手順で進んでおるわけでございます。
 そこで、御質問の、今後の発電規模はどの程度考えておるか、これはいろいろな方面でいろいろな試案が出ておりますので、一々申し上げませんが、現在原子力部会を中心にいたしまして議論しております数字を一応申し上げますと、大体四十五年までに百四十万キロにふえる。それから五十年までに約五百万キロにふえる。それから六十年というのを一つとっておりますが、これはまだはっきりいたしておりませんが、下限といたしまして三千万、上限といたしまして四千万、その程度を中心に検討いたしておる段階でございます。早晩、ここ一月くらいの間におおよその数字は確定してまいる、かように考えております。
#5
○佐々木(良)委員 その最初の、四十五年までの間の約百四十万キロというのは、これはもう確定でしょうか。現状を簡単に御説明いただきたいと思います。
#6
○熊谷政府委員 御承知のように、原子力発電株式会社におきまして、第一号炉として十六万六千、これが臨界に入ろうとしております。第二号炉といたしまして三十二万五千、これは軽水炉でございますが、これに着手をしようといたしております。そのほか、先ほどお話がございましたように、三電力――東京、関西、それから中部、それぞれ三十二万ないし四十万というものを計画いたしております。特に東京と関西につきましては、関西が約三十二万、それから東京が約四十万、こういうことになっておりまして、百四十万といいますのは、そういうように相当具体的なものを拾い上げた数字でございます。
#7
○佐々木(良)委員 それから五年後の五十年までの間を含めて十年間の五百万キロの中、つまり百四十万を除いた五百万キロの中というのは、地点その他の計画はまだきまっておらぬのですか。
#8
○熊谷政府委員 各社におきましてはそれぞれ研究をいたしておりますが、まだはっきりした、きまった地点とか、あるいはきまった計画というのはございません。
#9
○佐々木(良)委員 それは大体中央三社以外の電力会社が開発するという考え方でしょうか。
#10
○熊谷政府委員 中央三社におきましては、一号炉をやりまして次に二号炉に入るという形がございますので、この五百万の中には中央三社の二号炉がございます。それとほかの電力株式会社の新しい計画、両方含んでそういうことになるわけでございます。
#11
○佐々木(良)委員 原子力委員会の、これはどっちがいいのですか、委員長さんか有沢さんかにお伺いいたしますが、いまのこれは確定でもなしに、いろいろ検討中であろうと思いますが、このような原子力開発計画に対しまして、原子力委員会はどういう参加のしかた、検討のしかたをされているのでしょうか。
#12
○上原国務大臣 原子力委員会の各機関が計画を立てましてそれを総理に進言することになりまして、それで総理から通産大臣に伝えられて、通産省が計画を立てて実施に当たる、こういう組織、順序になっております。
#13
○佐々木(良)委員 わが国の原子力発電動力炉を設置することに対する技術的な水準はここまできている、あるいは外国からこの辺をこう入れなければならぬ、そういう検討を原子力委員会は行なわれて、いま電気会社にこれだけの開発をせい、こういうことになっておるのでしょうか。
#14
○上原国務大臣 開発をせいということではございませんが、開発する必要があるだろう、こういう諮問に対する答申または委員会からの勧告、こういう形でときどき出るわけでございます。
#15
○佐々木(良)委員 どういう意味ですか。これは有沢さんにお伺いいたしますが、もっと端的に私はお伺いいたしたいのです。もっと端的に言うならば、原子力発電計画がいまのように立てられつつありますが、これは何の必要性に基づいて原子力委員会はこれが必要だという考え方に立たれようとしておるのかという質問です。
#16
○有沢説明員 御承知のように、日本の原子力開発につきましては、わが国はたいへんおくれて出発をいたしましたので、したがって、昭和三十六年に私どもがっくりました原子力開発の長期計画、この中には大体二十年間ぐらいのことを考えておりますが、発電につきましては、既開発の、もうその時分にすでに開発が済んだといいましょうか、したがって続々各国において原子力発電として建設をされつつあるいわゆる実証済みの炉につきましては、これは日本ではいまから自分で開発をするということは、何といってもおくれておりますので、その必要はなかろう。したがって、こういう実証炉による原子力発電につきましては、これは民間の導入にまかせる。これは民間とも話し合いをいたしまして、民間が自分のほうで既開発の炉については、大体私どものほうに話し合いの上で、昭和四十五年に約百万キロワット、それから五十五年で七百万から九百五十万キロワット、この程度の原子力発電が行なわれることをわれわれは期待する。民間のほうにおきましてもその程度の原子力発電の開発は可能であろうということでありまして、長期計画にもそういう数字を載せております。こういう既開発の原子力発電につきましては、これは自主的に国内では開発をいたしませんけれども、なるべく早期に燃料並びに炉につきまして国産化ができるようにわれわれのほうで政策を進めてこれを促進する。こういう方針をこの長期計画で打ち出してあるわけであります。私どもから見ますと、大体その方針といいましょうか、その計画に従って、あるいは若干それをオーバーするような形で現在進行しつつあるように私どもは考えております。
#17
○佐々木(良)委員 端的に原子力発電動力炉開発の根本的理由は何でしょうか。何をするために動力炉を開発しようとするのか。
#18
○有沢説明員 これは大きく言いまして大体二つあると思いますが、一つは、原子力発電は新しい動力源で、ほかにも動力源はたくさんありますけれども、原子力発電は新しい将来のある動力源である、こういうふうに私どもは考えまして、これをどうしても開発しなければ、日本の将来のエネルギー需給の関係をうまくバランスさせていくことはできなかろう、こういう考え方に立っております。
 それからもう一つは、言うまでもないことでございますけれども、原子力関係の技術というものは新しい技術でございまして、この新しい技術を推進して、そうして日本の技術レベルを引き上げていく、こういう二つの目的を持っておると思います。
#19
○佐々木(良)委員 そうしますと、まず第一の問題は、言うならば総合エネルギー政策の観点上、水力、石炭、石油では間に合いそうにもないから原子力を取り入れなければならない、こういう考え方ですか。
#20
○有沢説明員 間に合いそうもないということもないのですけれども、石油をどんどん輸入すれば――それは世界的にかなり豊富な油田も開発されておりますので、ここ二十年ないし三十年の間に石油が枯渇するというふうにも考えませんけれども、しかし石油のウエートがますます大きくなって、しかもその供給源が中東に集中する、そういうふうな事態が最近ますますはっきりしてまいりました。そういう事態はなるべく避けたがいい。いわゆるエネルギーの供給の分散化という観点から考えてみましても、また原子力発電が発電のエネルギーとして、石油火力発電といいますか、石油専焼の発電よりもコストが非常に高いというのでは困りますけれども、原子力発電のコストというものはだんだん下がってまいりまして、今日ではもう石油専焼火力と十分匹敵ができる、あるいはそれよりも大規模の発電を考えますならば、それよりももっと安くなる、こういうような情勢になってきておるわけであります。ですから、一口にこれを申しますならば、いまの日本の総合エネルギーの立場から申しますと、一つは、供給の安定をはかるためにエネルギーの供給源の分散化を行なう、それからもう一つは外貨の所要量が少なくて済む、こういう点であろうと思います。しかもコストも十分匹敵できるどころか、さらに安くなる、こういう点であろうと思います。
#21
○佐々木(良)委員 原子力発電がはたしてそのようなものであるとするならば、世界の各国も、同じような総合エネルギーの観点に立って原子力発電に直進すべきであろうと私は思うのです。しかし、私は寡聞にしてよくわかりませんが、大体私どもが見ようとするところ、欧米諸国の原子力開発に取り組んでおるところで、いま日本で言われておるようなエネルギーの供給源を直ちにこれに求めなければならぬ、こういう観点に立って原子力行政を進めておるものは、私はどうも見当たらないのですけれども、日本以外にそういう例がございますか。
#22
○有沢説明員 御承知のようにイギリスでございますが、イギリスは石炭がたいへんたくさんできます。二億トン以上の石炭を持っております。そのほかに石油につきましても海外の油田を持っております。けれども、あそこではまっ先に原子力発電を開始いたしました。そのときに、イギリスのAEAの報告書を見ましてもわかりますように、それによって国内における石炭の消費を節約する、何百万トンの石炭を節約する、こういうふうなことを申しております。
 ドイツも、御承知のように石炭がたいへんたくさんできますけれども、石油のほうは幾らかぐあいが悪い状況にある。けれども、ドイツにおきましても、最近になればなるほど大きなウエートを原子力発電のほうに置いております。これはやはりその国のエネルギーの供給の安定を確保するために供給源を分散化する、エネルギー源を分散化する、こういう方針であるように私は考えております。
#23
○佐々木(良)委員 大体原子力の平和利用の見通し得る目的は、燃料として、第三エネルギーとしてこれを育てようということは間違いないと思います。しかし、現在原子力発電を建設しようとしておる直接の目的に、エネルギー不足を補うという観点に立っておるものはちょっと見当たらない。いまお話しのような、たとえばイギリスにしましても、それから最も進んでおるアメリカにいたしましても、ソ連にいたしましても、出発点は軍事目的で原子力は開発をされていって、そして爆弾をつくっておったけれども、これだけではあまりにも、言うならば不経済だ、これを何とか動力源にという意味で、むしろ副次的な目的をもって動力源にこれを使おう、言うならば持っておる力を平和利用に転換しようとする場合の目的を第三エネルギー、こういうふうにしておるわけです。したがって、アメリカでもイギリスでも十年後には電力のもとの石油や石炭が足りなくなるから、あるいはエネルギー源の経済的な観点から原子力開発をいまのうちに進めなければという観点であるかどうか、私はそれは非常に疑問だと思います。少なくともアメリカ、イギリス、ソ連におきましては、軍事目的あるいは国の権威ということが先になって、そしてそれを平和利用に転換しなければ不経済だという意味でいま開発に一番大きく取り組んでおるような気がいたします。
 それからドイツの場合には、御承知のようにこれは明確に原子力産業に取り組む姿勢を明示しておるはずです。エネルギー源が枯渇をし、あるいは第三のエネルギー源をドイツとして必要であるからという意味ではなしに、一般的に原子力産業を打ち立てなければならぬ、原子力産業を樹立することに直接の目的を持っておるのじゃなかろうか。そのために非常に迂遠なようだけれども、西ドイツの場合には、労働市場の拡大でありますとか、あるいは輸出振興でありますとか、言うならば、この二つ、労働市場の拡大と輸出振興という経済目的を明確に掲げて、そのために原子力産業を樹立していかなければならぬ。したがって、目標は一日も早く世界水準の技術を修得することにあり、そうしてその技術を自分のものにし、それから今度は自分が直接に開発する、そういう面に向けられておるのであって、発生するエネルギー自身を直接の目的にはまだしていないと私は思います。
 イタリアの場合はちょっと不明確な点がございますけれども、これも必ずしも日本的なように何か十年すれば石油に困ってしまう、それからドルが特別に足りなくなる、だから早くいまのうちに原子力発電をという、そういうせっかちな取り組み方を原子力発電にしていないと私は思います。
 これはたいへん失礼なものの言い方でありますけれども、日本の場合には、技術水準とかそういう基本的なものを忘れて、何か直接的な、ほっておくと石炭がなくなる、石油がなくなる、だから原子力発電を、こういうものの言い方が風靡し過ぎておるがために、私は原子力行政、原子力産業のあり方に対していま非常に大きな疑問と不安を持っておるわけです。私は、有沢先生自身がある意味ではそのことも感じられながら、日本の世論に合うためには何とかこれに、ほっておくとエネルギーが足りなくなるとか、あるいは経済上の理由を非常につけなければならないような感じに追われて、いまのような方針を立てられておるのではあるまいか。そうでありますと、言うならば、外国においてはまだ経済的に成り立った証明がなされておらないときに、一番おくれておる日本がコストの面、エネルギー面で経済的に成り立つという前提に立って取り組むということになりまして、私はこれははなはだ不安な状態だと思います。これをもしほんとうに石炭や石油と匹敵するような意味で、第三エネルギーとしてとらえようとするならば、いまわれわれがこれにそういうような意味で取り組もうとするならば、当然、ほんとうに安全かということと、それから先ほどちょっと触れられましたように、大体何とかなりそうだということでなしに、コストがほんとうにそろばんに合うのかという吟味が前提になります。電力供給の一番のもとは、御承知のように豊富、低廉、安定、これは有沢先生よく御承知のはずであります。豊富、低廉こそはエネルギー供給のもとでなければならぬが、原子力発電に対しまして、いま行なわれておる水力やあるいは石炭、重油火力に比して、豊富にして低廉な電力を供給するという証明は私はどこにもないと思います。したがって、日本がそこに焦点を向けての取り組み方には非常な不安を感じるのでありますが、重ねて御所見を承りたいと思います。
#24
○有沢説明員 第三のエネルギーとしての原子力発電を推進するということにつきましては、私の表現が悪かったかもしれませんが、石炭が日本には枯渇するとか、石油が枯渇する、したがって不足するエネルギーをこれで補う、そういう、非常に性急な要求に基づいてやっているというわけではなくて、先ほどもちょっと申しましたように、日本のエネルギー需要というものは非常に大きくて、ますますその供給を海外に依存せざるを得なくなる。これは数字はいろいろありますけれども、もうじきにその九〇%近いものを外国に依存せざるを得なくなる。そういうふうな事態になったときには、供給の上におきまして、どうも安全性に欠けるところがある。全部が全部国産にしろというわけにはむろんまいりませんけれども、しかし、なるべく一地方に、そして一種類のエネルギーに日本のエネルギー供給の構造が片寄らないようにしたい、こういう考え方です。そこで、たまたまこの第三のエネルギーとしての原子力発電というものがあらわれてまいりましたので、これを採用して、この日本のエネルギー供給構造の一方に片寄った姿を是正すべきである。このことを一口に供給の安全性というふうに私は申し上げたわけでございます。このことはどの国も、いまおあげになりましたイタリアにおきましても、また同様な考え方を持っていると思うのです。
 それから経済性の問題でございますが、確かに経済性は、ここ十年間というものは、ある場合には非常に有望であるように言われましたし、ある場合にはかなり悲観的な空気が流れたこともあります。しかし、最近になりましてから、この原子力発電の経済性というものが、重油専焼火力と十分競争できる段階に達したということは、私は十分言えると思います。もっとも、石炭なら石炭におきましても、石炭の山元発電と比べますとどうなるとか、いろいろそれは比較する地点と地点との関係によって違いがあります。アメリカにおきましても、御承知のようにアメリカは非常に石炭が安い。したがって、山元発電の場合には、今日といえどもなお四十万、五十万キロワットの原子力発電でも競争ができないという時代にあるようであります。しかし、石炭の産炭地から遠隔の地におきましては、原子力発電が石炭以上に安い、十分経済性を持っておるということが証明されておるように私は思っております。
#25
○佐々木(良)委員 このコストの経済性の問題は、有沢先生のお話でございますけれども、それはいろんな要素やいろんな条件があって、いま、たとえば私企業において、こっちのほうがそろばんがいいからやると言い得るものではないと私は思います。第一、先ほど申し上げましたように、十年前にここでずいぶんディスカッションをしました際に、口をそろえて、その段階でそろばんに合うのだということを当時の担当官が言われた。そんなことはないのだと言っても、何としても聞かれずにそう言われた。まあそれは一つの言い方としてけっこうだと思いますけれども、経済というものはなかなかそんなものではないことは、有沢先生自身よく御存じのはずだと思います。
 そこで、私はいまここでそういう議論をしようと思うのではないのですが、有沢先生の言われるように、日本の将来におけるエネルギー供給のために、石油と石炭と水力にたよっているのでは不安だ。いま世界に原子力というものがだんだん出ようとしているのだから、まだわれわれが既存のエネルギー源で電力発電ができる間に、優秀な既存のエネルギー、重油やそれらで経済的な供給ができる間に、なるべく早く第三のエネルギーの技術を修得して、そうして足りなくなる、あるいは枯渇の心配がある際に、これでもって代替できるようにしたい。私は、その意味で早く技術を日本のものにしたいということが原子力行政の中心ではなかろうかと思うのです。ところが、有沢先生御承知のように、いま具体的に持っている原子力計画といえば、通産省でいま出された、あるいは需給バランスの観点から出てきて、十年後にはこれくらいにしなければどうもドルをよけいに使い過ぎるとか、船腹が多くなり過ぎるとかいう、原子力の技術と全然無関係にこの辺からは原子力に置きかえたいという、言うならば希望的観測が数字の上で置かれているだけだと思う。ところが世間の人が聞きますと、十年後にはそれだけの原子力発電が可能であって、そのときには、十分可能であると同時に、そろばんも立って、したがってそうなっているのだ、そうして、いま日本の原子力行政と原子力界は、その目的に向かって、その計画に基づいて具体的に日程を組んでやっているのだ、こういうふうに聞えるのです。そういうふうにしたいと思っておられるけれども、まだ実はもとはほとんどないのではあるまいか、そこに私は最大のあせりと不安を感じているわけであります。でありますから、私はいまここで原子力発電計画を推進することの無用論などを言おうとは思わない。ただ、基本的には非常に大きな疑問を残しております。世界で現実に原子力発電をやっているところで、ほんとうにこれを第三のエネルギーで埋めようという計画のもとにやっているところはまだない。一生懸命技術を模索し、探索し、開発してそういうところに持っていこうと努力しているところだと思うのであります。したがって私は、日本の原子力行政の取り組み方が、何年に何万キロの発電を行なって、そのために石油をこれだけ倹約して、外貨の消費高をこれだけ倹約するというような考え方、その計画の立て方は主客転倒だと思う。そうでなくして、そういうことをするためにこれから数年間原子力行政をどうしていくかというところになければならぬ、私はこう思うのです。
 振り返って今度は、たいへん失礼ですけれども、そのために私はもう一ぺん聞きたいのです。福田長官に聞くための前提ですから、そのように……。ほんとうを言いますと、世界でいま原子力発電をやっている各国とも、近いうちにエネルギーの枯渇が来るということを心配してやっているのではなくて、それよりも前に技術をという取り組み方をしている。日本の場合は、ひょっとすると外貨も足りなくなるし、船腹もおかしくなるし、石油というものが国際市場の中でややこしい状態だから、その意味では、エネルギー資源に対してはむしろ日本が一番心配をして、原子力開発に本気で取り組まなければならなかった。これはアメリカよりも、イギリスよりも、ドイツよりも、イタリアよりも、原子力発電に真剣に取り組まなければならなかったのは、ほんとうは日本だったと思うのです。それであるのにかかわらず、言うならば、過去十年間の原子力行政のあり方、原子力発電に対しての取り組み方に対して、日本の政府や政治家がどれだけの力をこれに与えたか、私ははなはだ疑問なんです。有沢先生、たいへん失礼なんですけれども、外国に比べまして、過去十年間、いまあげたアメリカ、イギリス、ソ連、ドイツ、フランス、イタリア、これらの国のような、日本よりはまだエネルギーに余裕のある国よりも、日本のほうが原子力発電問題について政治として取り組んでいなかった、こう思うのでありますけれども、御所見を承りましょうか。
#26
○有沢説明員 おっしゃることはまことにごもっともだと思いますが、私たちの考え方でお話ししますと、日本の場合はたいへん原子力の平和利用というもののスタートがおくれました。それがために原子力の平和利用の研究というものの土台が初めからなかった。まずその土台をつちかっていかなければならないところから出発したわけなんです。その点からいいますと、イタリアとかドイツなんかと似たような状態だと思うのです。
 イタリアも、最初は原子力発電ということにつきましては、御承知のように、その当時開発されておりましたコールダーホール型と、PW、BW、この三つを入れまして、そして原子力発電の経験並びにその勉強をやったわけでございます。
 ドイツのほうは、それより幾らかおくれていたかと私は思っております。けれども、ドイツは、その後ユーラトムあるいは欧州原子力機関等もありまして、それの協力とともに、最近はたいへん、最近といいましても、ここ四、五年の間でありますけれども、非常に精力的な原子力研究開発を進めております。今日ではどうも日本がそれに追い抜かれたような感じが私はいたしております。
 その意味におきまして、日本の特に原子力発電につきましては、原研を中心にして、動力炉の開発を何べんも私どもは企画いたしました。それで、どういう型の動力炉を開発するかということにつきまして、原研でいろいろ検討してもらいましたけれども、ついに最終の結論に到達しなかった。それがために一昨年ですか、になりまして原子力委員会で、ここで初めて動力炉開発懇談会というものを設けまして、この原子力発電の研究開発をどういうふうに進めるべきか、どういうタイプの炉に向かって研究を指向すべきかというような問題を論議し始めて、ようやく最近結論を得ようとする段階になっております。その点におきまして、確かにここ三、四年の間というものは、足踏み状態であったということは申し上げることができると思います。
#27
○佐々木(良)委員 私はまことにそうだと思うのです。一番本気になって取り組まなければならなかったこの五六年に一番足踏みをしてしまったということ、このことは、これからことしにでも三電力中心の開発に着工しようという段階に、日本の政治として根本的にひとつ考え直さなければならないことだと思うのです。この問題につきましては、これはいまの形からいうと、原子力委員会が担当です。福田大臣、ちょっと聞いていただきたいのですが、形からいうと、原子力行政は原子力委員会の担当です。原子力委員会が企画し、決定し、総理大臣に意見を具申する、総理大臣が具体的な施策を命ずる、こういうたてまえになっている。しかしながら、実際に日本の現状において原子力委員会という委員会システムで、言うならばたいした行政能力も持たない状態のところで、ここのところが乗り切れる状態であるかどうか、私は非常に疑問に思うのです。これは私流の少しひどい言い方かもしれませんけれども、この十年間、言うならば唯一つくうた機関というのは原研でしょう。原研ではおそらく世界じゅうでも例を見ないほどのたくさんの種類の炉を持っているのです。よろしいか、世界じゅうどこの研究所でもないほどの各種の炉を持っておるが、言うならば無計画にあれも必要だろう、これも必要だろうというようなことで、たいへん失礼な言い方だけれども、たいへん無計画に、必要と思われるものを次次に、予算を何とかしてとってこいということで、予算に引きずられながらべたべたと炉をたくさんこしらえて、そして言うならば無計画な投資が行なわれた。そしてこれもたいへん言い過ぎで失礼なんですけれども、一つの具体的な研究テーマを持って、それを分業化して長期計画を立てて、何年目にどうして、どの計画をこういうふうにして、総合的に結論をどう出そう、こういう計画に基づいて原研は運用されていない。ともかく、ことしの状態において、これだけの炉は、外国にあるんだからつくらなければならぬ、こういう要求を予算に提出するわけだ。ところがそう言ったって大蔵省は銭が出せぬということで、適当なところで切られる。同じ要求を二、三年やっていると、三年目くらいには、まあかわいそうだから少しつけてやろうかみたいな予算がつく。その予算がついたときには、最初計画したその炉は、世界的に見ると、そういうと悪いけれども、もうあまり必要でなくなってきた、だけれども、せっかくついたものだからつくらなければならぬわというような意味で、まず予算が少ないことが大きな原因ではありますけれども、量が少ないことが決定的な理由ではない。原研の基本的な姿勢がしゃんとしていない。長期計画を立てたり、総合的にどういう研究開発計画を立てて、その部分をどういうふうに分業化してどうするかという計画が立っておらない。その一つの大きな理由は、そこにリーダーがいない。もっと元にいけば、原子力行政、そこに欠陥がある。もっと元にいけば、その原子力行政を推進する原子力に関する政治が存在していないということだと思うのです。原子力の問題だけけちをつけて恐縮でありますけれども、原研は決して十分なる機能を発揮しておらないことは、これは行ってごらんなさい。そうして有沢さんからそこで様子を聞いてごらんなさい。おそらくもう不満たらたら、そうしてあそこに行って学者さんあるいは研究員の意見を聞いてごらんなさい。また全然不満たらたら、こんなことをやっておったら日本は滅びる、日本というばかな国があるから、こんなばかなことをさせられているくらいのことしか言わない。そんなことで原研の使命が達成できるか。言うならば非常に不安な状態の原研があそこにあるだけです。それならば、原子力委員会を中心とした原子力行政はというと、基本的な原子力開発の方針はどうだという果てしない基本方針論が数年間繰り返され、繰り返された。学者という人は、悪いけれども、自分の意見に固執する人だ。そしてまた、こまかくなってくるとしろうとには全然わかりはせぬ。わからぬところで一われわれ委員も、それからあなた方みたいな、大臣みたいなものはなおさらわかりはせぬ。わからないところで、わからない議論ががちゃがちゃと数年間繰り返されて、果てしない論議が行なわれているにすぎない。そうして十年前にこしらえたところの、外国からの受け入れ主体と称するところの原発という機構、これはあのときにいろんな議論があって結局民間私企業ということにいたしました。そうすると、これは電気会社の言うままということであります。しかし、それでも一応は企業テストみたいな形で、目論見書に基づいて第一号炉に着工されたことは事実です。しかしそれから十年間、着工されてからはもう五、六年だと思いますけれども、五、六年かかって一号炉をようやく建設されただけ。いま一号炉の建設について、私は批判しようとは思いませんけれども、これはおそらく今後にも似たようなことが起こるから、私は特に申し上げておきたいのだが、あれはまだ動きはせぬのです。ほんとうはおととし動くべきものがまだ動かず、去年の暮れに動くべきものが動かせぬ、いまでもまだ動かぬのです。動かぬことに対しても、責任追及的な問題の提議りしかたはされておるのです。ところが日本はペーパープラン、ペーパーだけしか勉強しておらないところの原子炉の開発計画、導入に対しまして、紙に書いてあるとおりにいきはせぬ。そしていま原研の一号炉で苦労していることこそは、まさに私は日本の原子力技術の出発点の最大の苦労だと思うのです。この結果の批判、予定どおりやらないではないかという批判ではなくて、去年一年じゅう、ことしにかかってまだ苦労している。ほんとうは日本の原子力技術のすべての連中がこの苦労をともにするのでなければ、私はこれから本物にならないと思うのです。それほどやったものが一号炉に取りかかっただけでまだ動いてもおらぬ。有沢さんの先ほどのそろばんに合うということは、計画どおりにおととしくらいに動いておればということだろうと思うのだが、動きはせぬのだ。初めから動きっこない。したがっていま苦労をしているわけです。だからそろばん問題はちょっと違う。この苦労をやっておる。したがって、これはたいへん私くどいようなことを言いましたが、この十年間に具体的にやったものといえば、原子力発電会社をこしらえたこと、そして五、六年の間に一号炉に取りかかっていま最後の仕上げの苦労をしていること、原研で乱雑に各種の必要でありそうな炉をだだだっと並べてみたということ、そして研究員はいま不満たらたらで何を目標にどうしたらいいかわからぬということで、けんけんごうごうだ。有沢先生を前に置いて恐縮なんだけれども、原子力委員会は自分だけできめたら悪い、民主的にというのでまた何だか動力炉懇談会とかいうものをつくられておるが、懇談会というものはどういうわけで権威があるか私にはわからぬ。任命されたものでもなければ何でもない。メーカーのいいかげんなものが集まって聞いているだけの話だ。あの中で、どういう炉がいいとか、あの炉がいいとか、どういう計画がいいだとか、果てしなく基本方針が繰り返されているだけです。こういう状態で原子力行政がこれから遂行できましょうか、私は非常に心配なんです。アメリカでもイギリスでも同じような委員会だけれども、この原子力委員会は軍という強大なる行政権限のもとにあるのです。強大なる行政権限のもとにあるのですから、それを民主的なかっこうにするための委員会なら運営できるのはあたりまえの話だ。日本の場合にはそうでなくて、民主的でも何でもないのに権力は何にもない。はしごを取っちゃっておいて、りっぱな先生を集めて、有沢先生を委員長代理くらいにしておこうかというような話で持ってきて、五、六人並べて何とかしてくれ、そしてできないのはけしからぬ、けしからぬと言ったって、できると思いますか。これはいまお話がありましたように、原子力委員会の中でこそ言えないだろうと思うけれども、私はひしひしといまあせりを感じておられると思う。外国の場合、日本よりもっとゆとりをもって考えていいところが、ぐんぐん積極的な行政力、政治力をつけてこれにタックルしておるのにかかわらず、日本の場合にはしみったれた予算を一部つけておるだけで、ほかは日本の民間に――民間ということは民間にまかせますということで、民間にまかせて何にもしないということに匹敵しているわけです。このような状態で原子力行政が推進できるかできないか、ひとつ十分お考え願いたいと思います。過去十年間の実績に照らしてひとつ行政管理庁長官の御所見を承りたいと思います。
#28
○福田(篤)国務大臣 先般の衆議院の予算委員会並びに本日のまことに傾聴すべきうんちくのある御意見、私は多くの共感を感ずるわけであります。もちろん、原子力委員会も有沢先生その他一流の方がお集まりであり、毎週開かれて熱心に原子力行政について影響力を与えておられる。私はこれを十分認識するにやぶさかではございません。ただし、また御指摘のとおりに、これで一体十分なのかという点になると問題がたくさんあるのではないか。御存じのとおり、この委員会がいわば八条機関としての諮問機関である。もちろん報告は総理も尊重する義務があります。また勧告も、総理を通じて行政機関の長になし得る権限はありますが、行政機関的な権限はないわけです。したがって、そこに強い一貫した指導力というものを求めることは相当無理な機構であるということも率直に認めざるを得ないわけでございます。したがいまして、直接担当の衝に当たっておられます科学技術庁は、この点具体的にいるいろあげられましたデータを整理いたしまして、今後はたしていまの委員会のままの姿でいいかどうか、今後の推進につきまして十分研究をいたしてまいりたいと思います。
#29
○佐々木(良)委員 長官にお願いをしておきたいと思うのです。
 いまやっておられる原子力委員会の中、科学技術庁の中で、何ぞ考えろといったってろくな考えは出っこない。これはもう一つ違った立場に立って、現在の内閣で原子力行政が、いま担当しておるのはこういう状態になっておる。これは十年間苦労してきたけれども、実際にいかない。だから何とかしなければならぬということは、原子力委員会や科学技術庁ではなしに、ほんとうに行政管理庁自身、総理自身がそのことを感じられて、どういうふうにすべきかということを、あなたのほうにほんとうは諮問されるなり一さかさまでもいいですよ、あなたのほうから進言されてもいいですけれども、そういう形で取り上げるのでなければ、これはうまくいきっこない。これはたいへん失礼なことを言うようですけれども、私はいま一方で、原子力などとは全然違う、一番おくれた行政の一つであるところの同和対策という問題に取り組んでみておるのです。同和対策問題に取り組んでみ、原子力という問題に取り組んでみると、これは中身は月とスッポンです。であるのにかかわらず、やろうと思っても何としてもできないことは同じです。かっこうだけ委員会だとか何だとか民主的みたいにいろいろなものがあり、そして各省の役所が全部適当に関係してくるけれども、ここから先くらいの予算をみなで分け合って、みな取ってしまうくらいの話で、何としてもこれを総合して推進する力は出てこないのです。いま、立っておられる原子力の必要性と、それから、いまこれから下手をすると混乱するかもしれない状態と、過去五、六年間一番大事なときに足踏みをしてしまった原因等を突きとめられまして、これのまず出発点は、これはたいへん失礼だけれども、佐藤内閣自身原子力行政に対する基本方針を立てられるということでそれは帰納したほうがよろしいと思うのです。原子力行政というよりも、原子力行政の一貫性の必要性を感じられて、そうして推進するところの行政権力を私はつけられることだと思うのです。力をつけられること以外に手はないと思う。その意味において十分にお考えをいただきたい。
 同じエネルギー問題で、終戦直後、御承知だと思いますけれども、いまの公益事業局というのは、いまうしろに局長さんがおるけれども、公益事業というのは、そんなものはもっと民主的なものでやらなければいかぬというので、電力委員会みたいな形の公益事業委員会というのがあったのです。松永さんをはじめとして、えらい人が入ったけれども、何としても力不足で、言われることはしゃんとしたことを言われるのだけれども、役所でそれを強引に行政化しようと思うのに、どうしてもうまくいかない。だからそれがそのまま公益事業局にかわっただけです。言うならば、松永さん以下のそうそうたる五、六人の委員をもって構成しておった公益事業委員会ではできなかったものが、いまの局長がおりさえすればできるということか。たいへん失礼なものの言い方ですけれども、具体的に推進する場合の推進のしかたをひとつ根本的に検討していただきたい。いい悪いは別ですよ。ほんとうは原子力委員会みたいな形でやることのほうが正しいのだけれども、日本の行政の場合に、そんなことをしておったら間に合いはせぬ。その意味において、ぜひ福田長官のほうで――ことしみな発足していくのです。来年から次次に三十万キロ、四十万キロに着工していくのです。そしていろいろな問題が出てくるのです。その場合に処置なくなる。どうかいまのうちに早急にこの行政機構に対して、行政権力に対して一貫性を持ち、総合性を持ってこれが推進できるような行政のあり方をひとつお考え願いたい、心からお願いを申し上げたいと思います。
 それから有沢さん、あと次々にあるそうでありますけれども、内容を少し確かめておきたいと思うので、もうちょっとお願いいたしたいと思います。
 私は、先ほどから申し上げたような意味で、まず原子力行政の問題の場合には、そんな遠い目的ではなくて、端的な目標を掲げた基本方針を確定すべきだと思うのですけれども、それについての有沢先生の御所見を承りたい。有沢先生にお願いしたいのは、日本人はあまり向こうの目標を掲げますと、目標をそれてしまってだめだと思うのです。だから原子力発電をつくる目的はといえば、電気が足らなくなるからだ、それではぼくはいかぬと思う。電気が足らぬことはないのです。あると思うのです。まだ、十年間、電気が足らぬようなことに私は絶対にさせはしません。そうではなくて、原子力技術を修得すること、原子力産業を確立すること、ここに目標をはっきりと置かれたいと私は思う。そうしてドイツはそれで成功してきたと思うのですが、御所見を承りたいと思うのです。
#30
○有沢説明員 日本の原子力技術を確立する、そして原子力産業を発展させる、これは私も全く同感でございます。それなくしては、原子力発電と幾らいってみましても、それが行なわれるはずはないのですから、それはそうだと思うのです。しかし技術の開発という点とレベルアップという点と産業の育成、こういう場合におきまして、原子力発電につきましては、国のエネルギー政策といいましょうか、これがバックアップになっていなければいかぬじゃないかということです。お説の技術のレベルアップと原子力産業の育成、これはもう全く私も同感でございます。
#31
○佐々木(良)委員 先生にはおわかりになっておりましても、一般のしろうとには非常にわかりにくいのです。でありますから、直接の目的を掲げられたいと私は言うわけです。当然にエネルギーの需給バランス上の必要、総合エネルギー上の必要がなければ、大体こんなことをする必要はないのですから、それは当然なんです。そこで私が申し上げたいのは、いまあるものは、先ほどから話がありましたように、これから五年の間に百四十万キロ開発するというのです。それから十年の間に五百万キロ開発するというのです。その次の十年の間には、三千万ないし四千万開発するというのです。日本人の頭には、それだけのキロワットを開発しなければならぬということだけしか出てこなくて、そのために何をせねばならぬかということが飛んでしまうのです。そのためにせねばならぬ目的を掲げてください。したがって私は、これから五年のうちに何万キロ発電所をつくるということがこの原子力行政の中心になってはならない。そうではなしに、いま軽水炉だけ入れているけれども、これはアメリカからすぐ持ってくる。これだけでいいのか。あるいはカナダの重水炉を入れる必要があるのかないのか。その場合の燃料サイクルをどういうふうにするか。燃料サイクルの必要上からすると、ここをこうせねばならぬのではないか、その計画こそがまさに原子力開発の計画でなければならぬ。ところが原子力開発の計画のいまあるのは、結論として原子力発電の発電所は五十万キロできた、百万キロできたという計画だけしかない。それでは話が違う、こういうことなんです。その意味において、私ばかりしゃべって恐縮でありますけれども、ぜひ私は端的な原子力開発の目的を、たとえばその原子力産業の確立であるとか、あるいはいまの技術の導入であるとか、そこに焦点をむけてその計画を立てるようにしていただきたい、こう思うのです。それと関連をしてこの間の予算委員会のときにもちょっと質問を申し上げたのですが、それとの関連において私はお伺いいたしたいと思うのです。研究開発ということが原子力開発の基本的な方針になっているらしい。研究開発ということばもこれは輸入みたいなことばで、おかしなことばだと思いますけれども、研究開発ということばがそういうふうになっているらしい。そうしてこれは時間を倹約する意味で私は申し上げますが、研究開発の意味は何か。端的に言うと、まず第一には、いま日程にのぼっているものから申しますと、ある実証炉をそのまま日本に導入して入れるということ、それを早く日本のものにすること、それがいまのところ国産化ということではなかろうかと思うのです。実証炉を海外から導入する仕事、導入すると同時に今度は日本でそれができるようにする、実証炉の国内製造化ということではなかろうか、これを第一の目的に掲げたらよろしい。それから今度は研究開発の名に値する基本的な問題は、この間ちょっと申し上げましたように、到達点としての高速増殖炉にどう取り組むか、中間炉としての新型転換炉にも取り組むのか、これにどう取り組むかということだろうと思うのです。この辺についての、説明はよろしゅうございますから、きちんとした考え方を承りたいと思うのです。
#32
○有沢説明員 私どもいまお話しになりました点につきましては、近く結論を出すつもりでございますが、その考え方は、実証炉と申しますか、もうすでに既開発の炉につきましては技術導入をして、その上ですみやかに国産化、つまり国内でそれが製造できるようなところに持っていく、それがために、私どもメーカーやユーザーにいろろな呼びかけをしているわけでございます。また研究補助費だとか、委託研究費というものもその方向を指さしたような課題を出しております。
 それから、これから開発されるような炉、特に高速増殖炉、それから新型転換炉につきましては、いまお話がありましたように、それをどういうやり方でどうして開発していくか、その方針並びに開発主体、開発体制をどうすべきかということに対する方針をはっきりと打ち出すつもりでおります。
#33
○佐々木(良)委員 私はこの際に、ほんとうはいまお話しになりました国産化という問題についての通産省の話を聞きたいのです。通産省重工業局を中心として国産化についてどういう日程を立てて、どういうようにしようとしているかということを聞きたいのですけれども、有沢先生が急いでおられるようでありますのでその問題はあとにしまして、有沢先生への質問を先に少し片づけていきたいと思うのです。
 いまお話しのようでありますけれども、基本的には本気で高速増殖炉に取り組もうということですか、それから中間炉にもほんとうに取り組もうという考え方ですか、これからでしょうけれども大体考え方を承りたい。
#34
○有沢説明員 高速増殖炉は、この際、それに取り組まなければならないというふうな考え方をしております。本気でやるつもりでございます。
 それから新型につきましても、その開発のしかたにつきましては、いろいろまだ固まらない点もありますけれども、大体これをやるべきであるという考え方にはなっております。
#35
○佐々木(良)委員 これは、先ほど行政管理庁長官も言っておったのですけれども、たいへんなことだと思いますよ。これまで十年間も足踏みをしていまの原研くらいのことで何もできなかったものが、これに本気で取り組むということはえらいことだ。したがって私はベーパーの上で結論を出してはいかぬと思うのです。ほんとうにやるのなら、閣議でもやって、そしてああそうかくらいの話ではなしに来年度から予算をどう組むのか、機構をどうするかということまでも考えなければ、これは軽々に打ち出すべきではない。その意味で本気に考えられるならば、これはまことに重大なことでありますから、もっとほんとうに取り組む政治の姿勢を並行的に取り上げてもらわないと、学問的にあるいは必要性から言われて、おれが言うたのだけれども聞かぬからだめだというようなことで逃げられるようでは行政官の資格はない、政治に関与された責任を全うされることにはならないと思うのです。だからそれに取り組むならば、ほんとうに行政機構からいまの佐藤内閣の姿勢をそこへ持ってきてもらわなければ、かってに逃げてしまう、作文だけ書いて逃げてしまうというような形になってしまうから、有沢先生、ほかの仕事は全部やめてしまってこれに取り組まなければこれはできはしません。それでこの問題につきまして重大なる決心をして取り組んでいただきたい、こう思うのです。
 それからあとのことはほかの方々にだんだんと承りたいと思いますけれども、大体任務づけを、いろいろな問題がありますから、ちょっとはっきりしておきたいと思うのです。
 まず第一に、基礎研究というものは大学でやるべきものだと思うのですが、よろしいのでしょうね。――それから海外の実証炉の導入というのは、電気会社が入れてくることになりますね。そうすると、いまの海外の実証炉を入れるにない手の電気会社というのは、海外で実証済みの炉を企業化するための、言うならばリスクの負担能力者は電気会社、実証されておるものを企業化するためのリスクは電気会社に引き受けてもらう、こういう考え方になるのではなかろうかと思うのです。そうすると、国産化をやるにない手というのはだれになりますか。
#36
○有沢説明員 御承知のようにいま実証炉のほうはPWRとBWR、それで先方のアメリカにはそれぞれ親会社がありまして、その親会社と日本のメーカーとはそれぞれ技術提携をしております。ですから第一号炉は、ユーザーのほうの信頼の上からいいましても、なかなか国産化というわけにはいかぬでしょうけれども、二号炉、三号炉――二号炉から私はなるべくやってもらいたいと思っておりますけれども、だんだん三号炉になれば全部国産化できるというようなところに持っていくことによりまして国産化が行なわれるわけですから、そういう分野を担当するのはメーカーです。
#37
○佐々木(良)委員 私は国産化の担当者はおそらくメーカーだろうと思いますが、これはあとでひとつ通産省と相談したいと思いますけれども、普通の状態でメーカーがそんなことをやりっこない。国産化のための努力というのはそろばんに合いっこないわけですから、そろばんに合うくらいの計画をどう立てておられるか、ひとつ通産省にそれを承りたいと思います。
 有沢先生、先を急がれておるらしいですから、燃料問題でちょっとお伺いしておきたいと思うのです。
 今度の中間報告の中で、国内における核燃料サイクルの確立という方針をうたわれておる、これはたいへんけっこうだと思うのですが、この確立という意味は、核燃料を安定供給するということも含まれておりますか。――そうすると、この問題は核燃料の安定供給ということと、それからその燃料の効率的な利用という二つの要素を持っている、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。――そうすると、現在原子力委員会を中心にして、核燃料の安定供給のためにどのような努力がされ、検討がされておるか。先ほどの炉のほうの話はある程度私どもも了承をしておりまして、電気会社は電気会社なりの苦労もしている。原研は原研なりのいろいろなことをやっておりますけれども、核燃料を確保するための計画なり検討は、どこでどういうふうに行なわれておるか承りたいと思います。
#38
○有沢説明員 核燃料の中で天然ウラン鉱の確保、結局最も重要なのは天然ウランの確保でございますが、これにつきましては、あちこちからいろいろな話がありますけれども、いま何と申しましても、燃料公社では幾らか鉱石を使っておりますけれども、そのできた天然ウランを十分大量に使う消費がないわけでございます。それで、私どもは、今後動力炉の開発、特に新型炉の開発の進むにつれて、天然ウランの供給の道を確保していきたい、こういうふうに考えております。
 同時にもう一つは、そのほかに、これは多くカナダ、オーストラリア、南ア連邦というようなところでございますけれども、もっと東南アジアの近いところにもウラン鉱石、ウラン資源がありはしたいかと思います。それの探査についてでございますが、これはなかなかデリケートな問題も、政治的その他の関係で含まれておりますけれども、しかし先方の国が探査をしてくれという場合には、いつでも探査のできるような用意はしております。たとえば来年度の予算にも、若干探査費というものも計上してあります。
#39
○佐々木(良)委員 船頭多くして船山にのぼっておる間に、ほんとうは船が出ちゃっておるのじゃなかろうか。ウラン鉱の問題は、ここ数年の間に世界じゅうが血眼になって走り回っておる。この数年間血眼になって走り回っておる段階に、ほんとうは船頭多くして何もせずぽかんとしておったのじゃないか。去年の初めでしたか、おととしの暮れでしたか、カナダやオーストラリア、あの辺からどうだという話があったように聞いておりますけれども、現実の政治日程にも何にものぼってこなかった。そしてあの当時ならばある程度できたが、あれからの動きというのはすさまじいものがあるように聞いております。そうしてもう石油資源の国際市場における争奪戦よりも、へたをすればむしろウラン鉱の争奪戦のほうが激しいような状態で、いま国際世界の中で、国の権力とそれから国際資本と両方の動員の中できりきり舞いをしておる現状だと思うのです。そういう状態のときに全然手をこまねいておって、これから何とかといって――これは私どもしろうとで知りませんけれども、ジュネーブ会議か何かのあれで、いまそろばんに合うのが全世界で六十万トンとか七十万トンとか、そのうちで日本は、先ほどの通産省で発表した計画なんかによりますと、六、七十万トン、世界で普通のそろばんに合うウラン鉱がとれるうちに三十万トン日本で使うような計画を立てておる。見通しといえば見通しかもしれないけれども、そんなべらぼうな――私の数字はうろ覚えですからインチキかもしれませんよ。しかし感覚としてそういうものだったと思うのです。それは私は出発点がとんでもない。原子力エネルギーに取り組む出発点が違っているからだ。石油よりもむずかしいウラン鉱をさがすのに、石油はこれから国際的にあぶなくなる、だから原子力発電をなんという量見では何ともしようがない。お話のように、今度予算を少し上げてもらっておられるらしいですけれども、そんなもので東南アジアや何かにかねやたいこでさがしに行っても、いまごろ金の卵が落ちているわけでもないと思うが、この核燃料に対する問題は、私はもうすでにうんとおくれていると思います。ほんとうの御所見をもう一ぺんお聞かせいただきたいと思います。
#40
○有沢説明員 海外の核燃料資源の確保につきましては、方々から私も示唆を受けました。実際またそれぞれの場所に、たとえば公社なら公社にオファーもあったようでございます。ただ、それを確保することは私どももたいへん好ましいと思うのですけれども、その申し入れがジョイントベンチャーならジョイントベンチャーをやりたい、よろしい、引き受けよう、その一半を引き受けるとしましても、ただこれは稼働しなければいかぬ、山を動かさなければいけない。そうしますと、鉱石が出てきまして、その鉱石の処理がうまくいかない。ですから、その鉱石を全部日本が買い取って貯蔵しておけばいいのでございますけれども、ところがいまこの貯蔵したものをどう使うのだ、こう言われてみましても、まだ方針がきまっていない。大蔵省に説明がつかない。ですから、私の考えでは、いまわれわれがきめようと思っております新型転換炉なら転換炉の開発、このことの方針がきまった上でないと実際はどうしてもスタートが切れない、こういう状況に私はあると思うのです。お説のとおり、ここ二年くらいになりましょうか、世界をあげて核燃料資源の争奪戦でございます。確かにそうでございます。あちこちの話を聞きましても、これが非常に激しいということを知っております。私どももその争奪戦の中に飛び込んでいきたいのですけれども、足元がまだきまっていない、こういうことでございますので、われわれ切歯扼腕して実はその時期を待っておるようなわけでございます。
#41
○佐々木(良)委員 まさに切歯扼腕されておるのだろうと思うのです。結局いま原子力の問題は技術家の問題でもなく、それからエネルギー供給者の問題でもなく、むしろ日本の政治そのものの姿勢としてきめなければならぬこと、それがきめられないところに根本的な問題があるわけです。それであるのにかかわらず、何か学者の意見が全部まとまってからきめるんだ、それで間に合うんだみたいな感じを政治に与えてはならない、それならば日本は放棄しましょうと出るのでなければ私はうそだと思う。われわれはいま学究をしているんじゃないのですから、その意味で先ほど来言うているような非常なもどかしさを私は感じているわけです。いまのウラン鉱の開発の問題でも持ってくる場所もといわれますけれども、第一、契約しようと思ったって日本側でだれが契約するのやら、どこの金が出るのやら何にもわからない。そして実施段階に入って、電気会社が民間でかってにやれ、導入せいといって、それを許可するかどうかということだけしかなっていない。積極的に推進するものは何もないということじゃないかと思うのです。
 お聞きだと思いますが、ドイツで高速増殖炉の開発に取り組む一つの姿勢として、アメリカのGEですかと組んで、これはどうもまだあぶないから、アメリカの国の中でおまえのプラントで、おれのほうも三分の一か三分の二か金を出すからやってくれ、そして取り組んで、しかし研究成果はおれのほう、ドイツがもらうぞという契約をして、たぶんあれはドイツの政府とアメリカのGEだったと思うのですが、間違ったら御訂正願いたいが、それほどの取り組み方をして、一つは危険の問題と、それから一つは研究成果の問題とおくれまいとすることとに対して、西ドイツはおくれを取り戻すためにそれほどの計画を立て、それほど政府自身が取り組んだ計画でやっている。それに対して日本の政府が政治として何をやっているか。十何億かの予算を組んだか知らぬが、何もやっていない。やっていないとすれば、有沢さん、失礼だが原子力行政はできません、こんなのではどうもならぬと投げ出して世論を喚起して、これでよいのか、どうするんだ、そこから出発するということでなければ何ともしようがないと思うのです。高速増殖炉に取り組む姿勢にしましても、あるいは中間的に改良型転換炉に取り組もうが取り組むまいが、学問的に取り組むのが必要だとか必要でないという論議の段階ではないのじゃないか。そしてそれを学者で詰めておって間に合うだろうか。政治はまさにタイミング、古今東西の真理を発見するのではなくて、そのときに最も適合するタイムリーな政治を行なうことが私は政治の要諦だと思うのです。そのタイミングを逸したならば、原子力行政なんというのはゼロにひとしいと思う。その意味でどう取り組むかたいへん大事なときになっていると思うのです。
 私ばかり言うてしまってたいへん恐縮でありましたけれども、有沢先生、あとつかえているようでありますので、正直いいまして、私どもが原子力行政に対して国民のために不安を感じ、今後の日本国民のための将来の展望をしようと思って不安を投げかけてどうしようじゃないかと取り組む相手がないのです、端的に言って。総理大臣に言ったら、形の上からは総理大臣だけれども、そんなことをやっているひまがない、何ともしようがない。科学技術庁長官は三年もったためしがない、二年ももっておったらいいほうで、次々とくるくるかわられるといってはたいへん失礼だけれども、そして普通のところならば、大臣がかわっても、がっちりともとを持っている行政官のえらいエネルギッシュな力がある。それが存在するならいいけれども、目下のところそれも存在しない。このあせりに対しまして、私は原子力委員会がそれこそタイムリーにこたえられることを要望いたします。このままではできないといって投げ出すということが一つの大きな政治手段だと思う。ほんとうに投げ出されてしまったら困ると思いますけれども、その意味で私は最後に、ほんとうに有沢先生以下の原子力委員各位の善処を要望いたしまして、有沢先生が帰られても、具体的にもうちょっとお聞きいたしたいと思いますが、お願いいたします。
#42
○有沢説明員 いまお話を承りました、タイムリーにと原子力政策の確立を要望されましたが、まさに私もそうだと思います。タイムリーというよりも最後のタイムリーだ、そういうふうに考えていま事に当たっているつもりでございます。
#43
○佐々木(良)委員 それでは皆さん恐縮でありますけれども、もうちょっとお願いしたいのですが、通産省にお願いします。
 少なくとも先ほどの原子力計画の中で、十年後、二十年後のものは、言うならば、エネルギー経済上これだけが必要だからやってほしいということらしいのですが、百四十万キロはほとんど確定的なものだと思います。そしてこれをやるという意味は、ほんとうのことを言うと、私が先ほど来有沢先生との間に話し合っておるところの国産化、国内製造化の問題と取り組むということでなければ意味がないと思う。ひとつその辺の所見をはっきりとお聞かせ願いたいと思います。これからまだ五年先も百万キロや二百万キロの原子力発電はエネルギーバランス上は必要でないのです。したがって、これをやるとするならば、その技術をどういうふうに修得して今後発展させるかということだろうと思うのだけれども、それ以外に何か理由があるかどうか。
#44
○熊谷政府委員 先ほど数字を申し上げましたが、これはもちろん、バランス上の数字ではございません。やはり今後の電力事情として技術を確立しながらこういうように持っていきたい、こういう数字でございます。特に十年後、二十年後の三千万とか四千万という数字は、新しい炉が開発されていくという前提に立っての議論でございます。
 それからここ五年ないし十年間の百四十万なり五百万という数字は、私どもといたしましては、勉強、準備過程の数字だ、かように考えておるわけでございます。特に百四十万キロにつきましては、原子力発電がメーカーの関係あるいは電力会社の関係で、御指摘のようにおくれておりますので、できるだけ早期に着手させまして、その中からくみ取っていく、それを基礎にしてさらに発展していく、こういう意味で早期に着工させたいいわば準備段階、技術を含めての準備段階とする、かように考えておるわけでございます。
#45
○佐々木(良)委員 その際における通産省の、これは重工業局になるかもしれませんが、メーカーに対する国産化の計画の日程はどうなっているか。
#46
○熊谷政府委員 御指摘のように、重工業局からお答えするほうが適切かと思いますが、私かわりましてお答え申し上げますと、先ほどお話がありましたように、この原子力発電の問題は十年前から話が出まして、各メーカーとも今後の原子力発電ということを期待いたしまして、あるいは独立会社にするとか、あるいは相当独立的な部門をつくるとかいうことで研究をしてまいっておるわけでありますが、残念ながらまだ発電の時代にきておりませんので、メーカーの気持ちとしてはもうしんぼうしきれないというのが最近までの実情であったのであります。ようやく、ともかく電力事業者も準備段階と申しますか、百四十万キロ程度はやれるという段階になりまして、メーカーもそれを基礎にして大いに研究をしたいという意欲が盛り上がっておるのが現状でございます。
 そこで私どもといたしましては、先ほども申し上げました原子力部会の中に国産化小委員会というのをつくりまして、電力サイドとメーカーというものが討議の場を一つつくっておるわけでございます。やり方といたしましては、先ほどもお話ございましたように、すでにできております実証炉をできるだけ早く国産化していくという形の相談をいたしておるわけでございます。原子力発電株式会社の第一号炉につきましては、これは初めてのケースでございますので、国産化の率はそう多くございませんが、東電が入れます二番目の炉、あるいは関西が入れようとしております炉につきましては、私どもの指導方針としては、原子力発電株式会社で一つの経験を得ているわけでありますので、できるだけ国産化率をふやすように指導いたしておるわけでございます。メーカーもその点に沿いまして勉強するということになっておるわけであります。
 それから次の、先ほどお話がございました新型転換炉、それから増殖炉の問題でございますが、これは科学技術庁あるいは原子力委員会のほうの開発体制といいますか、開発計画を待って、その線に沿うて電力業者もメーカーもいこう、こういう相談をしている最中でございます。
#47
○佐々木(良)委員 ほんとうは私の聞いているのは、メーカーに対してどのような助成なり補助なり、そういうやり方を政府が考えて国産化を推進しようとするかということなんです。ちょっとむずかしいかと思いますが、政治的な答弁が必要かとも思いますが、私の言っているのは、たとえば西独で国産化のためにとった方策というものは、非常に強引な方策がとられている。それに似たような方策でもとるのでなければ、事実上国産化は私は無理だと思う。これは重油火力のハイプレッシャー火力の技術のようなわけには多分いかないであろう、あれは早急に国産化しましたけれども、原子力関係はなかなかそうはいかないだろうというのが定説のようであります。したがって、私どもの参考になり得る唯一のものは、日本と同じくらいにスタートを切って、そしていまや国産化の方向を隆々とたどって、世界の技術陣に伍しておる西ドイツのやり方が唯一の例だと思うのです。そのような取り組み方を政府がしない限り、いまいろいろなかっこうが、動懇を中心として原子力に取り組むいろいろなメーカーのグループがありますけれども、私らが見ておると、これは言うならばほかの者にはやらせないということだけだ。自分たちだけがこれをやるのであって、ほかのものにはやらせないという方向が非常に強く出ようとしておるけれども、自分らがやるけれども、やる点において少なくともドイツに負けないようにどうしようということに対して、ああせい、こうせい、政府はそれならこうやろうということの計画ができておらなさそうに見える。政府のほうは、それは民間の仕事だ、こういってまかせっぱなしになっている。メーカーのほうは、それは西ドイツのように政府が何か適当な補助なりなんなりやってくれなければできはせぬといってそのまま寝ているというのが現状じゃないかと思うのです。しかしながら、先ほどの本格的な五千万キロ、三千万キロの計画は別として、百四十万キロ、原電の二号炉、それから電気会社のおのおの、一号炉、三つくらいできる、これの唯一の目的は、これから発生する電力が必要なんじゃないかというのです。電力が必要じゃないのにもかかわらずそれに取り組もうというのは、この技術を早く修得することと、修得過程を通じて、それを日本で国内製造化――国産化ということばが悪ければ国内製造化、各材料からすべてこれを国内製造化していくことだと思うのだが、そのプランがなければ、私はほんとうをいうと、この二、三年の間にいま何だか海のものとも山のものともわからぬ発電炉に取り組むということに対しては疑問なんです。しかし技術のレベルアップを一日も早くせぬと、五、六年もうおくれてしまっておる、そのためにやるのだというならば、ここで初めて意義を持つ。したがって、これを電気会社にやらせる限りにおいては、国内製造化のプランをはっきりとぶっつけなさい、そうでなければ具体的計画にはなりませんぞ、こういう意味なんです。
#48
○熊谷政府委員 先生のおっしゃる趣旨は私も十分理解できます。気持ちといたしましては、先ほど申し上げましたように百四十万キロというものは電力業者のいわゆる使用面から見ての経験を積むということと、それからもう一つはやはり国産技術でそういうものを開発するてこにしようというところに、正直のところねらいがあるわけであります。したがいまして、われわれが現在関西の計画なり東京の計画をいろいろ会社から聞きまして審議いたしておるわけでございますが、その過程におきましても、こういうところはどういうようにして国産化できるかということを、メーカーからも電力業者からも聞いて、われわれができるだけその推進母体になるというような心がまえでやっておるわけでございます。その程度の点につきましてはいろいろな見方がございまして、まだ足らないという面があろうかと思いますが、気持ちとしては先生のおっしゃるとおりの気持ちで進んでいるつもりでございます。
#49
○佐々木(良)委員 これは技術の問題でも何でもなくて、政治そのものの問題なんです。したがって、これは政治答弁、大臣答弁でなければ、要するに政府の施策を、従来のような単なる研究費を出すとかあるいは委託費を出すとかということではない、国の予算、国の金を直接使う計画をもっと立てなければ、ほんとうの、言うならばメーカーを先頭に立てての国産化、国内製造化はきわめて困難だという前提に立って、私はその施策を求めているわけです。したがって、局長の答弁でこれ以上求めることは無理だと思います。私は今後の問題として、少なくとも百四十万キロに許可を与えるのですから、そうすると、その与える意味は発生電力量にあるのではないということをはっきりとされて、そしてそれの国産化のために、国産化できるという見通しを裏づけされるような通産行政を立てられるようにということを強く要望しておきたいと思います。
 それから通産当局にもう一点だけ……。三十二年のこの委員会かで、動力炉の受け入れ主体を何にするかという論議を行ないました際に、正直いうと、一方においては公社、そういうような形で国が直接導入の責任に当たれという説があった。これは端的にいうと、なくなられた河野一郎さんです。私は特殊会社説を出した。政府がある程度資金を出して、そして民間の創意くふうをこれに加えるような形で、言うならば特殊会社をつくって受け入れ態勢を整えるべしという説を出した。しかしながら、実際には民間受け入れ態勢というのに現実に押し切られた。そのときにいろいろ委員会で検討がされた結果、内閣の閣議においてもそのことが検討され、閣議決定か、次官了解か閣議了解か知りませんけれども、そのような内閣の上の機関の了解で、適当なときにはいまの動力炉の導入主体になっておる原子力発電会社というものに対して法的な規制を加えることを検討してもよい、こういう決定がなされておると思います。大体十年ほど前だと思います。私はいまやまさにこの決定に基づいて原子力発電会社の性格に対して再吟味をすべき段階に入っておると思うが、御所見いかが。
#50
○熊谷政府委員 先ほどの問題につきましては、御趣旨に従ってできるだけの努力をいたしたいと思います。それからただいまの御質問でございますが、御指摘のように、三十二年の九月の閣議了解をもって御指摘の趣旨の条項が入っております。先ほど来問題が出ましたように、今後新しい炉、増殖炉あるいは新型転換炉はどういうふうに開発していくかということは今後の最大の問題だと思いますが、私どもの考え方を申し上げますと、特に新型転換炉につきましてはどういう開発の過程をとるかということが一つの問題点だろうと思います。かりに二つの場合を考えまして、外国でできたものを相当導入して、それにある程度の手を加えて開発していくという形をとります場合は、これは現在の原子力発電株式会社を実質的にある程度強化するということで、その受け入れ主体としては可能ではなかろうかと思います。しかしながら、先生の御意見のように万一自主的な国内開発を相当早いテンポで進めていくということになりますと、やはりしっかりした開発主体がございませんと、メーカーもなかなかついてまいらない、かように考えます。その場合におきましては、原子力発電株式会社を含めまして、開発主体をどうするかという問題を検討せざるを得ない、かように考えております。原子力委員会の開発のあり方を待ちまして、通産省といたしましても考えてまいりたい、かように考えております。
#51
○佐々木(良)委員 くどいようですけれども、いまほっておけば、完全に実証されておる中で、特殊のいろいろな好みやいろいろの条件のもとに、いま軽水炉を中心としてアメリカからほとんどそれが一手に入ってこようとしておる。このことは、先ほど来いろいろな検討をいたしましたように、燃料サイクルの関連においても、技術の本格的な円満な発展という見方からしても、原子力産業を本格的に樹立していくという点から見ても、これはいびつな発展にならざるを得ない。したがって、軽水炉型にたより過ぎておると問題があとに出てくる。しかしながら、いま企業リスクを負わせられる電気会社としては、企業リスクの一番少ないものというところに焦点を置かざるを得ない。電気会社は、御承知のようにあくまでも民間の商法上の普通の株式会社です。公益性は持っておっても、普通の商法上の株式会社です。もしこれが全然利益を無視した計画を立てるとするならば、そのこと自身がほんとうは会社の性格上批判されなければならない。したがって、原子力発電に取り組もうとすれば、当然にリスクの一番少ないものに取り組まざるを得ない。そうすると、一番近いところの軽水炉をということにならざるを得ない。いま三社とも軽水炉に取り組もうとしておる。そうすると残った六社も似たようなかっこうにならざるを得ないという風潮が出てくると思う。九社を中心にして、新しい開発が行なわれるが、リスクを避けようという意味だけでそっちに向かってしまったらちんばになってしまうことは明らかである。それであるにかかわらず、原子力委員会は研究開発という基本的な方針を掲げておる。日本の原子力産業のあり方、動力炉のあり方として、自主的に研究開発していかなければならぬという理想をはっきりと掲げておる。にもかかわらず、実施していくものは九電力を中心とした安直な導入になり、しかもそれはアメリカからの片寄ったものになってしまう。これを補うためにはどうしても、先ほどから話があったように高速増殖炉に直接向かうか、それに向かうのは向かうとしておいても、改良型の転換炉に適当に食いついていかざるを得ない。改良型の転換炉でなくても、実証炉でも改良型に近いもの、あるいは軽水炉オンリーでなくて、濃縮ウランでなくて、天然ウランを直接使うようなもの、いまコールダーホールを一本だけ入れたけれども、何だか評判が悪くて、一ぺんつぶれかかって、それならばカナダ型の重水炉が必要ではあるまいかという声が出てきた。そこで導入の中でも、各炉の特徴を生かしたうまい取り組みを行なう導入を行なってこそ初めてまず研究開発の一番基礎になる導入のもとができる。いまのままほっておけばいびつになってしまう。しかしこれをやるについては、いまのままほっておけば電気会社しかない。それでないと、政府がやるか原研がやるかしかない。原研だけでもたもたしておっても処置ないというならば、いまお話しのように、このまん中に何かをつくらなければそれは事実上不可能だと思う。その意味で原子力発電会社という機構に再吟味を加える時期がきている。なぜならば、ここのやったものはもうテストをする必要がないことになってきておるわけだ。そうして原子力発電会社イコール電力会社になっておって、したがってあぶないものはやらせぬという方針である。そうしてめんどうくさいから自分でやるということで、三社が自分で始めるということになってくるならば、これは原子力発電会社は早くつぶしたほうがよろしい。つぶしただけで済むかといえば、いまこれから一番やらなければならぬ研究開発の部門だけが残ってしまう。これをだれかに担当させなければならぬ。これを担当するための任務をだれに課するかという命題が明らかに起こると思う。私はこの意味で、まさに原子力発電会社の性格に吟味を加えて、私の言うような特殊会社が適当であるかどうかは別問題として、その機関をつくるための検討を早急に行なわなければならぬ時期にきていると思います。繰り返してひとつ御検討をお願いいたしたいと思います。
 それから、えらい時間をとって皆さん恐縮でありますが、せっかく原子力局長がおいでになっておりますのでちょっとお伺いしておきたい。
 端的に言って、いま私の言うているようなカナダ型の重水炉が核燃料サイクルの確立の上から見ても、あるいは原子力産業の円満な発達の上から見ても必要であるのではなかろうかという感じがちらっとあるわけです。私はわかりませんよ。しかしそのようなものを、必要があるからそれをやろうとか、その必要はないとかいうことをきめて指導する機関は何ですか。どこがそれをやるのですか。
#52
○村田政府委員 先ほど有沢委員からの御説明の中にもあったと思いますが、現在の原子力委員会に置かれております動力炉開発懇談会を中心に、今後の動力炉の開発の方針を御検討いただいているわけであります。この中で高速増殖炉と並んで、わが国でもただいまのところ新型転換炉を何らかの形で取り上げて開発していくべきではないか、こういうことでいろいろ検討されておるわけであります。
 しからば、新型転換炉というものをわが国で取り上げる場合に、一体いかなる眼目でこれを取り上げていくか。御案内のとおり新型転換炉は、各国それぞれ違ったいろいろの型の転換炉を開発中でございます。そのおもなものとしては、ただいま御指摘のございました重水型の転換炉のほかに、いわゆる高温ガス冷却炉というようなものもございますし、あるいはナトリウム冷却黒鉛型というものもございます。いろいろございますけれども、わが国の立場で考えますときには、濃縮ウランを使います軽水炉だけにたよっておるという形でいきました際に、燃料政策の上で問題になりますのは、燃料の供給の安定化であります。そういう意味から、天然ウランを利用できる動力炉で十分経済的にも技術的にもやっていけるものがあるということは非常に大切なことである、こういうふうに考えられます。事実、動力炉開発懇談会から派遣されまして、昨年の十月中旬から約一カ月にわたりまして欧米を調査してまいりました動力炉開発調査団の報告におきましても、やはりわが国が新型転換炉を取り上げるとすれば重水型の動力炉であろう、こういうことをはっきり結論づけております。そのような背景のもとに、ただいま最終的な仕上げをやっていただいているわけであります。
 先生のお話しのカナダ型重水炉でございますが、重水型原子炉の最も基本的な技術を開発しておりますのがカナダでございます。そのカナダにおきましても、すでに開発して、もうほとんど実証炉まで近づいておると見られるところの重水炉もございます。あるいはさらにもう少しこれに改良くふうを加えまして、より能率のよい、より経済性の高い動力炉にしていこうという開発計画も持っております。
 私どものほうで検討しておりますのは、その場合に、いわゆる国内の技術レベルの向上というようなことから、できれば自主的な開発の要素をふやしたいというような点から、同じ重水型減速炉でも、改良された型式のもので、わが国の立場から見ましても非常に好ましいと思われるようなものを取り上げていくのがよいのではないか、大体こういう考え方でございます。その場合に、また二通りばかり実は違った型式がございますけれども、そこのところをどのように取り仕切っていくかがこれから最終的な段階での課題になっておるわけであります。
 いずれにしましても、このようにして原子力委員会におかれまして、重水動力炉の開発を国内でやるべきである、その開発体制につきましも、大体こういうようなシステムで進めていくべきであるということになりますれば、その線に沿って、これは電力行政担当の通産省ともよく御相談いたしまして、原子力委員会の打ち出された方針にできるだけ沿うように実施を進めていくべきであろう、こう考えております。
#53
○佐々木(良)委員 私の言うのは、どれが正しいか、どうするのかということを聞いているのじゃないのです。どうせ私聞いたってわかりはせぬ。カナダ型がいいのか、そのほかにもつといい重水炉があるのか、わかりはせぬ。その何がいいかということを役所で一生懸命検討されたり、動力炉懇談会でああでもない、こうでもないと検討されるのはけっこうだが、そのことよりも必要なのは、もっと高次の立場に立って、いまの軽水炉だけではぐあいが悪かろう、今度は重水炉を入れなければならぬというふうな判断をする者はだれで、そして判断をしたらどのようにしてそれを推進することができるかという行政のシステムを聞いているわけです。
#54
○村田政府委員 ただいまの組織では、先ほども行政管理庁長官からお話があったと思いますが、原子力委員会におきまして動力炉開発、原子力発電計画の基本の線を出されまして、それを決定されて総理大臣に具申され、総理大臣を通じて関係の各官庁の長にそのように推進するようにということで、これを勧告する形に相なるわけであります。ですから重水炉につきましても、原子力委員会でそういう方針を打ち立てられましたならば、その線に沿って、私ども科学技術庁についてはその研究開発の面について、さらに発電所の建設等の実質的な面については通産省のほうへ、そういう指示が総理大臣を通じてまいる、こういうシステムになっております。
#55
○佐々木(良)委員 要するに総理大臣を使わなければならぬが、総理大臣のところへいったときには消えてしまうみたいな話で、手っとり早く重水炉が必要だから重水炉をやらせようとあなたが思っても、なかなか簡単にいきはせぬということでしょう。電気会社でやれといったって、電気会社はそんなあぶないものはやめたというたら、それっきりのものじゃないですか。そして、いまあなたが中心になって委員会を動かしておられる。委員会の基本には、国内の燃料サイクルの確立だとか、国内の研究開発方針だとかという方針が掲げられておって、その立場から見ると、いまのようにへんぱな開発、導入をしておったのではぐあいが悪い。開発の前に導入をしなければならぬ。その導入は、二つ三つ違った特徴を持ったものを入れたいな、こう思っても、言うならば実験炉くらいのものなら政府のほうでできるかもしれない。政府のほうでほんとうに苦労ができるような、動力炉として技術的に取り組めるようなものをやろうと思っても、実際にはやり手は完全に民間でしょう。強制力はないし、何ともしようがないというのが現状だろうと私は思うのです。したがって動力炉懇談会とかなんとかいうものを通じて、ああでもない、こうでもないというて、そしてそれが全く安全でそろばんに合うという状態までならなければ取り組めない。これはそういう言い方をすると電気会社に失礼になるかもしれませんけれども、電気会社がいまの段階で電力供給の面から、まだはっきりしないものをぺ−パープランだけ見て、重水炉が日本で必要だとか、あるいは軽水炉がこれから三十年先には必要だみたいなことを判断して、もしいまから建設されるとするならば、私はそれはむしろ株主に対する侵害だとさえ思うほどリスクをかぶる危険性があると思うのです。電気会社が安全な経営をやろうと思えば、むしろそういうものに取り組んではならぬ、いま必要でないものだから。エネルギー供給上必要ならやらなければならぬけれども、そうではない。国が原子力行政、原子力技術あるいは原子力産業を打ち立てるために必要なんですよ。私が先ほどから有沢さんと一生懸命論議しているのは、そのことをはっきりさせなければだめだ。エネルギー供給上必要だというのなら、それは電力会社がリスクを負えということにもなろうし、そうではないということをはっきりしなければならぬと言ったわけです。大体有沢さんも、言いにくいけれども、ほんとうはそうだ、そういうことになってきつつある一そうすると、あなたのところで原子力委員会を形式的にでも使って、形の上でも何とか重水炉を入れなければならないという方針をかりに出しても、目下それを受け入れる主体がないということになってくるから、先ほど通産省に話したようなかっこうの第三機関をつくらざるを得なくなってくる。それならば早くその問題をあげてもらいたい。そうせぬと、こんがらがってしまう。原子力委員会であたためてもらっては困る。こういう意味で申し上げているのです。ともかく、いまいびつな状態になっていることは事実でありますから、いびつな状態を解消して円満な原子力産業を発展させるために違った炉を入れなければならない、あるいは入れるべきであるということを指導できる状態を早くつくってもらいたい。
 それからこれは念のために聞きますけれども、そういう機関を考える場合に、一つ公社ということが考えられる。その典型のように思うのは燃料公社です。この燃料公社は、いま何をやっていますか。
#56
○村田政府委員 燃料公社が現在行なっております業務を大別しますと、まず第一に、国内におけるウラン鉱の賦存状態の探査、探鉱ということでございます。これには現在の水準で年間大体二億数千万円を投じております。
 それから第二には、採掘あるいは輸入されましたウラン粗鉱を製錬いたしましてウラン金属にする、こういう関係の研究開発を東海製錬所で一部行なっております。さらにこれは天然ウラン系統に限りませんが、天然ウランあるいは濃縮ウランを使いまして燃料要素をつくっている。つまりウランを原子炉の中に入れるような状態にするわけでございますが、そういうふうにしました燃料要素の機能検査、これは外形あるいは内容等の機能検査でありますが、そういうことの検査技術の開発を担当いたしております。
 それからまた、これは四十一年度の予算にも計上してあるわけでございますが、原子力発電所から出てまいります使用済み燃料を再処理するために再処理工場の建設計画を着々と現在進めておるところであります。
 以上合わせまして、年間約二十億程度の資金を投入いたしておるわけであります。
#57
○佐々木(良)委員 四十一年度予算で、十四、五億かけて再処理工場の詳細設計を委託するとかせぬとかいう話がありますが、大体どういうことですか。
#58
○村田政府委員 ただいま申し上げました再処理工場は、四十年度から詳細設計に入りまして、一応予定でまいりますと、四十六年度から稼働に入るものという予定でありますが、当面四十年度におきましては、詳細設計の第一次契約を、先般二月の二十二日ですか、フランスのサンゴバン社と原子燃料公社とり間に締結いたしました。これは総額三億九千九百万円のものでございます。これに引き続きまして四十一年度中に、詳細設計の第二次契約をいたす予定でございます。その額は九億百万円でございまして、詳細設計はこの第一次契約と第二次契約をもって完成する予定でございます。つまり総額約十三億円程度の費用をもって四十二年いっぱい、四十三年にちょっとと入るかと思いますが、四十三年度の初めまでに詳細設計を完成する。引き続いて、その詳細設計をもちまして、再処理工場の建設に取りかかる、こういう手順になっております。
#59
○佐々木(良)委員 予備設計はどこに出されたのですか。
#60
○村田政府委員 予備設計は三十八、九年度におきまして、燃料公社から、海外のこの種再処理工場の設計、建設について経験を持っております各社に見積もりを出させた結果、競争入札いたしたわけでありますが、結局はイギリスのNPCという会社に予備設計をさせました。
#61
○佐々木(良)委員 予備設計をイギリスの某社、今度は詳細設計をフランスの某社――形式的に競争入札をやってやらせることに私は反対があるわけじゃないのです。私どもはよくわかりませんけれども、人づてに聞いてみると、再処理工場なんというものはそれほどむずかしいものではないという話です。化学処理工場だ。それがこれほど設計が転々としておる状態というのは、言うならばまさに国際競争、日本のこの種の原子力技術、原子力設備に対する国際競争が日本の市場に殺到していることを意味すると私は思う。いま日本の原子力産業のおくれに対しまして、ちょうどこれに見られるような状態で国際資本が日本市場に殺到しつつあることを意味する。そうして、たいへん失礼だけれども、ちょっと私ごとに入って恐縮ですが、私は電源開発会社というのをやったことがある。その中で、もういろいろやかましくてしようがないものだから、佐久間の水車発電機を国際入札でやったことがあるわけだ。その辺の経験から見ると、そういう場合に、国際入札で張ってくる強さというものは、ずいぶん激しいものがあると思う。そうして、この激しい波が、へたをすると政治の流れの中で大きな波をかぶせられる危険性を持つものです。私は、今度はたった十四、五億のものであるけれども、その最初の予備設計から詳細設計にかけて転々とし、今度はほんとうのプラントの発注については、また大ゆれがするという状態に対して、何とも不安な感じを禁じ得ないのです。私の聞いたところによると、これは最初の計画では全部で七、八十億くらいのことでやり遂げるつもりではなかったのですか。それがいまの見積もりだと、計画にどれくらいの金がかかることになりますか。
#62
○村田政府委員 当初、予備設計を依頼します前の段階におきましては、およそ八十億程度であろうという見通しであったと思います。その後、予備設計を実際にやってもらいまして、詳細設計の契約交渉に入ります段階で、いろいろと詳細な点が判明いたしまして、現在の見通しでは、先ほど申し上げました十三億円の詳細設計費を含めて、工場の完成までに要します費用は大体百三十億円程度であろうかと推定しております。
#63
○佐々木(良)委員 これは当たるも八卦当たらぬも八卦だ。まあ百三十億と見ていてごらんなさい。絶対にいきはしません。私は百五十億から二百億は目の子でかかると思います。この一つのプラントを実施するために公社がとったやり方、この非能率にしてちっともはっきりせぬやり方、そうしてしかも政治の波間に流されてやるやり方でやらなければならないという状態、これは、私はこの例だけでも決して賢明な機構ではないという気がするわけです。これがもし二百億もかけて、まあ百三十億でもいいけれども、百三十億にしたところで、最初から見ると大かた二倍です。それだけかかったならば、今度は燃料の再処理の費用単価は非常に高くなりますね。その再処理の燃料を委託するものは民間会社ですよ。いまのところは原子力発電会社と九電力しかないわけです。これは民間会社です。民間会社はあくまでも商法上のそろばん会社だ。そろばん会社から出てくる使用済み燃料の処理をこれだけ何だかむずかしい公社に渡して、しかもそれがそろばんが非常におかしい、高くなるということであるならば、渡すだろうか。外国で引き取り手があれば、平気で最初燃料をもらった外国の本家に持っていく危険性なきにしもあらずだと思う。先ほどお話しのように、いま政府で必要な炉型をやらせようと思っても、電気会社では強制することができないでしょう。それと同じように、電力会社がいまの軽水炉で動かして、そうして使用済み燃料をどこに処理を頼むかは、これは言うならば原則的には電気会社のかってです。これは何も公社にかけなければならぬというものは目下のところないと思う。そうするとこれは、もしこんなそろばんに合わぬものは、非能率なものは外国にでも渡すということになれば、燃料の再処理プラントは一体どういうことになるのだ。私はいまその形式的のことを詰めているのではないのですよ。問題は、現実に電気を起こして再処理をやる、灰を出すのは民間の株式会社だ。そしてプラントをつくったのは公社という機関、しかも公社が――ほんとうを言うと、私はいじ悪く言うならば、総理大臣がここに出てくるならば、つこうとさえ思っていた。だけれどもやめておきますが、それほどとにかく明確でない、政治的にいろいろなけちがつけられる可能性を持っておるような状態で、プラント設計から今度はプラント発注、設備ができるわけですね。このようにかたくなな機構と電力会社の機構と、これをうまくつなげますか。その上にほとんどコントロールできない公益事業委員会のようなものがおって、今度原子力行政が、運転面になった場合にどうしてうまく動かせるか。
 あわせて燃料の加工ということについても、サイクルの中に私は入っておるだろうと思うけれども、どういう方針で取り組まれようとするのか。
#64
○村田政府委員 まず最初に、燃料公社において現在計画を進めております再処理工場の予備設計を、イギリスのNPCに初め契約し、次に詳細設計はフランスのサンゴバン社にいま契約する、今後建設するときにはどうなるかという点でございますが、通常の工場の建設でございますと、このような予備設計、詳細設計、建設というようなことを一々区切ってやるということは、そう多くはないと思うのであります。この再処理施設について特にこういうやり方をとりましたのは、幾つか理由があるわけでございまして、まず一つには、何しろ再処理技術というものは、現在世界じゅうでも五、六カ国しか持っておりません。わが国でも原子力研究所で非常に基礎的な研究はやってまいりましたけれども、それがプラント規模で実際に正確にオペレートしていくということになりますと、いろいろ問題もございます。そこで、燃料公社が将来みずから運転者になりますときに備えて勉強していくという意味が多少予備設計にはあった、こう考えております。
 それからもう一つの問題は、それと大いに関連するわけでありますが、この再処理施設に限らず、原子力を国内で開発していきます場合に、私ども第一に考えますのは安全性の確保であります。先生先ほど来御指摘のとおり、英米等の先進国におきましては、原子力の開発利用はまず軍事目的から発足した。したがいまして、非常に多額の資金と大量の研究者を投入し、安全性を無視したとは申しませんけれども、国の最大の開発事業として非常に積極的にこれをやってきた。そういう背景のもとに開発されたものが今日平和利用のほうに回ってきておるわけです。ところが、わが国はもう最初から平和目的オンリーに限ってこの研究開発に着手している。そこで、安全性の問題をまず考えてまいります際に、いわゆる試行錯誤的に、やってみてだめだったらやり直すという形はとり得ないと思います。そういたしますと、当面私どもが原子力の技術に習熟してまいりますまでの期間については、やはり先進諸国で実証されてきた技術というものを導入して、そして安全確保の点で遺憾なきを期していく、それを修得して漸次自分のものを出していく、こういう手順でまいるのが、日本の立場においては最も能率的な、また、将来の発展を考えた場合に、大事をとっていくべきやり方ではないか、こういうふうに見ておるわけであります。
 そこで、将来このようにしてつくられました再処理工場に、はたして民間の電気事業者から使用済み燃料が送られてくるかという点でございますが、確かに先生御指摘のとおり、九電力も原子力発電株式会社も株式会社でございますから、その再処理料金が非常に高い、外国に再処理を委託しますよりも非常に高いということでは、国内で再処理してもらいたいと思いましても、そうはまいらないだろうと思います。しかし、一方におきまして、この計画を進めていきますについては、原子力委員会を中心に電気事業者の代表の方々ともいろいろ御相談をし、他方において大蔵省ともいろいろ協議しまして、そうして私どもとしましては、再処理工場を原子燃料公社につくらせる以上、この適正な稼働をはかるように計画を進めていきたいということでございますので、まず設置許可にあたりましては、この使用済み燃料の処理の方法としては、原子燃料公社に再処理工場ができました暁には、そこに持っていくという了解のもとに設置を許可いたす、このような方針をとっております。と同時に、その再処理料金が、海外に委託した場合と比べて高くなるというようなことに対して、これを国として処理する必要がございますので、その点につきましては、いまから数年先になりますけれども、実際にそういう事態が生じた場合には、国として所要の措置を講ずる。これは具体的にはそのときになりませんとはっきりしませんが、その趣旨は、海外に出します場合に比べて、国内で再処理することが不適切な形にならないように、つまり国内で妥当な価格で再処理できるようにする、こういう趣旨でございまして、そういった線で方針を打ち出して、現在再処理工場の建設計画を進めておるわけでございます。
 それから、燃料の加工につきましては、これも燃料サイクルを国内で確立していく上に非常に重要な一環であることは、御指摘のとおりであります。原料でございます濃縮ウランあるいは天然ウランにつきましても、海外から入れるにいたしましても、これを燃料要素に加工していくという仕事は非常に重要な仕事でございますし、特に濃縮ウラン系の場合にはたいへん金のかかる仕事でございます。こういった加工事業は、外国製の炉に対するものでも国内で加工してまいるという方法をとるべきであると考えておりまして、研究開発の助成等につきましては、その線を中心にお金を出すようにもいたして、メーカーの育成をはかっております。これは直接メーカーに補助金あるいは委託費の形で出します以外に、現在原子力研究所に置かれております動力試験炉、これは軽水沸騰型の一万二千九百キロワットの動力試験炉でございますが、これを利用いたしまして、この中の燃料要素は、最初の装荷分はアメリカのGEから購入したものでございますが、この燃料を現在国内のメーカーに試作発注しまして、そして国内メーカーがつくりましたものを動力試験炉に入れまして、通常の運転状況において燃料の性能を判断するというようなことで、国内メーカーの育成に協力しておるわけであります。今後はこの動力試験炉をさらに改造しまして、大型の実用動力炉における条件と同じような条件にして、この炉で実際に試験したものは、その成績によって実用の大型動力炉に使えるという目安を得るようにいたしたい、こういった線での育成も行なっております。さらには、現在原子力研究所におきまして、総工費七十五億円ぐらいの予定で材料試験炉を建設中でございます。四十二、三年には完成いたしますが、この材料試験炉によりまして、国内のメーカーの燃料及び材料加工についての試験が十分できるようにいたしたい、この材料試験炉をそのための道具として提供する、こういう考え方で、国内における燃料の加工事業が一刻も早く自立できるようにという方針で進んでおるわけであります。
#65
○佐々木(良)委員 再処理プラントの問題は、あなたはそう言われるし、現実問題として、できたときに、民間だからというて、そこに持っていかぬというようなことは、私は起こり得ないと思うのです。しかし、なんぼ約束がどうなっておっても、この公社自身の責めに帰せられるような不手ぎわでコストが高くなった場合には、だれかが責任を負わなければならぬですね。そうでしょう。普通の常識よりもこれが高くなったとするならば、それがために国家が責任を負って研究費みたいなかっこうで何とかするか、あるいは不手ぎわであったという意味で何とかするか、実際に約束があったとかなかったとか、それからほんとうに民間会社だからこれはもう高くなったらここに発注しないとかいうことを心配しておるのではなくて、そのことよりも、最初の計画に対して二倍にも三倍にもはね上がってしまうようなコストがかかるような状態になる、このことについて、燃料公社としてはもっと基本的な吟味を必要とするのではあるまいか。私は先ほど来研究開発炉、研究開発のための言うならば中間炉系統のものを開発する主体はだれだろう、受け入れ主体はどういうものを考えたらいいだろうかというところから、公社の問題を取り上げたのです。したがって、私は感じとしては、いまの燃料公社のやり方を見ておると、とてもそろばんにのせて合理的に運営できるような状態とはほど遠いのではあるまいか。それで、完全民間にすれば、いまの電気会社みたいに、一つの方向だけにいってしまうようなことになるし、まことにこれは困ったことだ。先ほど言ったような中間的な特殊会社みたいなものでも考えざるを得ないのではあるまいか、こういう感じでいまものを言っておるわけです。
 それから、燃料加工の問題は、着々とやっておられるというけれども、たいして成果は上がっておらぬと思う。それは他の部門の国産化、国内製造化と同じことだと思うのです。先ほど来通産当局と話をしかけておった問題と同じことだと思うのです。特別この加工の問題というのは、御承知のように、アメリカの工程をしろうと向きに聞いてみても、非常に特別な注意を払って、特別な工場に、また、工場の特別な熟練工みたいな部分さえありそうな気がします。そうしてみると、この部門というものをほんとうに国産化していこうとしたならば、これは重大なことだと思う。ちょっと試験研究の費用を補助してやるぐらいのことでは、なかなか本物はできないのではあるまいか。こういう意味で、この問題も核燃料のサイクルに入れて、加工体系の中に入れようとする方針であれば、それこそ国内における核燃料サイクルの確立という問題は、まずウラン鉱を不足がないほど海外にともかく確保せねばならぬという重大問題がある。その上に持ってきて、今度は無限大に大きく広がるかもしれない原料を、石油や何かよりも非常に安全に、ともかく国内に持ってくるという証明が成り立たなければ計画が立たぬのですから、その燃料を確保するということから始まって、それを効率的にぐるっと回して再処理が行なわれ、プルトニウムが今度はまた別な意味の高速増殖炉のほうに向けられ、それから残ったウランのほうは、もう一ぺん今度は普通の軽水炉にでも入れられるという転換を含めた技術体系と、燃料の加工ということも全部含めた燃料サイクルの確保ということになれば、それこそ先ほど来言っているように全然理想的な案で、ドイツあたりが一生懸命になってやろうとしておってもまだなかなかうまくいかない。しかもドイツは日本よりもよっぽどうまく進んでおる。それを日本は十年間ほとんど何もせずにおって、案だけは理想的な案をいまつくられても、これでうまくいきますというようなことをあなたから説明されても、ああそうでございますかと、とても安心をしてまかしちゃおれないというのが私の正直な気持ちなんです。その意味で、せっかくこの燃料サイクルの確立をあげられたのなら、うまくいきますなんと言うんじゃなくて、ここに問題があって、ここのところは政府で何とかしなければいかぬ、このものに対しては政府が強引に資金を投入しなければ、メーカーが言うことを聞かぬ、こういう裸の面を出して、われわれ自身が検討をし、政府自身も本気で考えられる体制をとっていただきたい。先ほど言ったように、原子力委員自身では相当考えておられても、客観化しないのですよ。行政の一般面でも、政治の一般面でも客観化しない。もし客観化しないとすると、おれが必要性を力説したけれども聞いてくれなかったということで、あなたの責めはふさがらない。それで客観化しなければならぬ、こういう意味で、くどいようでありますけれども、私は強くお願いをしておきたいと思うのです。
 もうおしまいにしたいと思いますが、科学技術庁長官にお伺いいたいします。
 最近、ヨーロッパ、アメリカの各先進国におきましては、一つの科学技術の総合的な集積をとても一企業や民間にまかせておけないので、それこそ総動員体制をとって、一つの技術の最終の目標を達成しようとする努力が行なわれている。その典型的なものは宇宙開発であり、もう一つは原子力開発だ。この二つの面については、私どもが昔から知っておるような国はほとんど総力をあげて、政府が中心になってその技術開発に取り組んでおるわけです。最近の発達した技術は、とてもじゃないが、民間だけにまかしておってだいじょうぶでございますから、検査してあげましょうみたいな監督だけでは何ともならぬ状態になりつつあるわけです。私は科学技術庁が新設をされて、世界の各国に列して科学技術の進歩におくれをとらないようにしようとする一番もとは、このような世界的風潮に伍して、わが国もまた科学技術の発展に国自身が取り組もうという姿勢のあらわれだと解しておったわけです。十年に近い歳月を経ておりますけれども、端的にそのようなプランは日本の国にはないし、そのような姿勢も発見できないわけです。言い過ぎのようだけれども、最近における世界各国のものの言い方は、そのようなプランに本気で取り組むか取り組まないかが近代国家の要素であり、近代国家の資格を持つか持たぬかの境目だみたいな言い方をする人さえもある。私はまさに数千年の人類の科学的な英知が今世紀に集結をして、一つは原子力を発見し、一つは宇宙開発に向かっておる状況というのは、まさにそれこそ国をあげてというよりも、ほんとうは超国家的なものでさえもあり、世界の技術を全部集結しなければならぬものでさえもあると思うのです。その段階の際に日本の内閣、政治の科学技術に取り組む姿勢はいかにも低い。従来と同じ気がするのです。特に原子力問題に対しての取り組み方が世界じゅうで一番必要だと思っているわけですが、ひとつ科学技術庁長官としての御所見を承りたいと思います。
#66
○上原国務大臣 きょうは長時間にわたりましてたいへん御造詣の深い、御洞察の深い御意見を拝聴いたしまして感謝を申し上げる次第でございます。残念ながら私のほうに知識の浅い点がございまして、全部を理解できなかったことをおわびしなければならぬと思う次第でございますが、御意見のあらましは、私に理解できました限りにおいては全く同感でございます。また、ただいま御質問の世界じゅうの先進国、特に文化国家といいますか、文明国といいますか、この国々が国の総力をあげて宇宙開発並びに原子力問題と取り組んでいるその姿は、われわれはわからないながらも新聞報道その他でひしひしと感じている次第でございまして、日本もかくなければならぬと思う次第でございます。
 ただ、先ほどのお話の中にもございましたように、各国は背後に軍事目的という強大なバックアップを控えております。これが原子力開発並びに宇宙開発の原動力となっている。これも見のがし得ないと思うのでございますけれども、わが国は残念ながらそういうバックを持っておりませんし、また一番御指摘の強かった原子力開発の問題にいたしましても、御指摘のようにやはりさしあたり原子力発電を盛んにしなければならぬという焦眉の急に迫られておりませんので、どうしても大蔵省にしましても、またこれを直接担当なされる通商産業省にしましても、経済性というもののほうが先に立ってしまうのではないか、こう思う次第でございまして、思うように研究開発のための資金が投入されないといううらみが続いてまいったわけでございます。そして原子力開発をどこの機関、どこの役所が受け持ってあるいは採択し、号令し、運営をするのかということがたいへんあいまいになってくるわけでございまして、万事隔靴掻痒の感が伴ってくる、こういうことになってくると思うのでございます。
 私が御説を承っておりまして最後に感じましたことは、また最後に御指摘のあったとおり、原子燃料公社、こういう形が究極において原子力開発の、財政的な危険をおかす仕事を開発してまいりますのには一番いいかっこうではないかと思う次第でございますし、また原子力発電株式会社にいたしましても、三十二、三年ごろの閣議了解事項に、政府は将来その必要があると認める場合は、受け入れ会社――受け入れ会社というのは原子力発電株式会社でございますけれども、受け入れ会社について法的措置を加える必要があるものとする、こうなっておるのでございまして、これはことによったら、原子力発電株式会社は純粋の民間の資本が四〇%も入っているわけでございますから、この国策会社に損害をかけて株主に損害をかけるということができないから、必要があると認める場合には法的措置を加えるというのは、法律上の措置をとってその損害を補ってあげることができるというふうな意味ではないかと読んでいるわけでございまして、これも、危険を伴う開発事業を行なう民間会社に対する一つの措置、考え方だと思う次第でございます。これならばぐるぐる回りせずに、国がこれを開発しよう、これを実現しようという決心さえつけば実施されるやり方でございまして、こういう方法をさらに推し進めてまいって、法的措置を加えることがあるものとするなどというのじゃなしに、ちゃんと法的措置を伴った開発会社のようなもの、あるいは開発公社のようなものをつくってやっていくのが一番早道ではないか、こう思う次第でありまして、これも冒頭に申しましたように、焦眉の急に迫られていない。そういうことを開発するのにはやはり焦眉の財政状態が何より先行いたしまするから、困難ではございましょうけれども、解決する一つの道ではないか、かように考える次第でございまして、このことのために、今後も私がどれだけ科学技術庁長官として在任するかわかりませんが、議員の一人といたしまして、まだ任期もございまするし、また選挙もやるつもりでございますから、この点ではひとつ皆様方の驥尾に付して一生の努力を続けてまいりたい、かように感ずる次第でございます。
#67
○佐々木(良)委員 せっかく御答弁いただきましたのですけれども、具体的な後段の部分をそう答弁されるとまたちょっと訂正していかぬとぐあいが悪いことがありますので申し上げておきたいと思います。
 研究開発を担当する機関としては純粋の民間の機関では無理だ。これからやらなければならぬ改良型転換炉であるとか、それに類するようなものを開発をし、導入する機関としては、電気会社を中心とする純粋の民間会社では無理だという考え方なんです。というて、燃料公社のような、完全公社にしてみると、いまの公社の実態を見ると、このプラント一つをつくるのに、最初の計画は六、七、八十億だったのが百五、六十億もかかりそうな状態になってきつつあるので、こういう運営をされるような状態だとまた少しこれは能率が悪過ぎてぐあいが悪いのではあるまいか。そこで、その中間的に、後段で少しお話に触れられたように原子力発電会社というのはそろそろ法的規制を加えてもいいと言われた。閣議決定の線に沿って再吟味をされなければならぬ状態にきておるから、したがってこの原子力発電会社の改組とからんで、政府がある程度資金を出して、そうして民間の相当能率的運営ができるような、言うならば特殊会社的なもの、そういうものでも考えてこの任務を担当させるのがよいのではあるまいか。いずれにしても、この問題を担当する機関が存在しないので、ひとつ政府で十分御考慮をいただきたい、こう申し上げておるわけであります。御検討をいただきたいと思います。
 それから最後にもう一点だけ。私は先ほど科学技術庁長官に対しまして、近代国家の資格とまでいま言われておるものに、一つの技術開発に向かって官民一体の国の総力をあげて取り組むという姿勢がある。その目標が一つは宇宙開発であり、もう一つは原子力開発らしい。だから、このどっちかに日本の総力をあげて、政府が中心になって民間をリードして、民間の技術も国の金も学者の知識も動員して一つの目的に取り組んで、ひとつ科学技術の基本的なレベルアップに資するような問題に取り組んでもらいたい、こういうふうに申し上げたわけであります。私はいま積極的な意味で日本の政治が科学技術に取り組まなければならぬ一つの大きな課題だと思いましてお願いするわけです。
 もう一つ最後に、同時にお願いをしておきたいことは安全の問題です。全日空機の事故を手始めとしてのあの航空機のたび重なる悲惨なる事態にかんがみましても、この高度に発達した技術はちょっと誤れば、というよりも原因の不明なところからまことに異常な事故の発生がもたらされておることをわれわれはまのあたり見たわけです。おそらく727の設計書を見ても、それから納入されてあの事故を起こした727を検査されても、ここに事故が発生しなければならぬ原因を私は突きとめ得なかったと思います。ペーパーで何ぽ見ても、実物を見ても、その原因は私はわからなかったと思います。しかたがないから運転の誤りだろうくらいなことにしてあるのだろうと思います。運転の誤りにいたしましても、計算された誤りとして私は指摘されるものはちょっとないだろうと思うのです。これほど技術がぎりぎりの段階までくると、われわれの人知ではまだ解明できないちょっとした原因によって大事故が発生し得る危険性を常にはらんでおるものだと思うのです。われわれが原子力発電に取り組もうとする場合に、一方において科学技術の発展のための積極的な姿勢に取り組まなければならぬ。と同様な意味で、われわれが今世紀の政治家として最大の注意を払わなければならないことは、それこそ異常な破壊力が人類にもたらすかもしれない災害についてである。これはそろばんをされ、設計された状態の中からだけ危険性を抽出したのでは、それは十分ではない。この間の予算委員会でも指摘をしましたのは、このことです。人知を集めて計算ざれ指摘された危険を防除するということだけでは不十分だろう。われわれこの問題に取り組む限り、風の吹き方がちょっと違うかもしれないし、あるいはまたたきのしかたがちょっと違ったかもしれないことが原因になってでも、まことにおそるべき事故が発生するかもしれない危険性が存在するということを配慮しなければ、今世紀の政治家としてこの問題に取り組む資格はない、私自身こう思うのです。したがいまして、この問題に取り組もうとされる限り、私は安全性の問題についてアメリカの証明書がついてきているからだいじょうぶですとか、先ほどお話がありましたように国際入札にくっついてきておるプラントに対する安全性、設計書がこうです。それだけにたよったのでは、これはなお危険が残存していると思う。したがって、この問題に取り組もうとする限り、政治の姿勢の基本に、われわれは予測し得べからざる危険が発生するかもしれないという覚悟をきめて、それに対する万全の対策をもあわせ考えなければならぬ。これは何ぼ考えても無理だと思いますよ。しかしあわせ考えなければならぬ。安全の問題につきましては、アメリカで考えている安全措置の問題と、日本でいま考えられている問題では、政治的に見ると幅と質においてうんと私は差があると思います。アメリカの場合に、危険区域ではないけれども普通の人が入ってはならぬ、普通の人が営業を営んではならないと法律でもってきめた広大な範囲がある。原子力の設備を置く場合にはともかくここには普通の人間が住むべからずという、そういうものがあるはずです。同時にまた、起こり得べからざる事故が起きた場合は原子力委員会が全権を持ってすべてを指導する。起こるかもしれない災害に対してあらゆる権能を発揮して、行政政治のすべての権力を発揮して、その災害を最小限に食いとめるための手段の一応裏づけになっております。しかしながら、日本においてはそういう措置は何もされておらない。普通の技術の安全と証明書をもとにしただけのいま設計した計画に基づいて実施しようとしておる。このことに私は政治家として――技術者としてじゃないのです。政治家として大きな危険を感じておるし、そして政府としてもこの危険をはっきりと腹に入れて取り組んでもらわなければならない。端的にすぐ問題が出ますよ。たとえば敦賀の今度の二号炉に着工する段階に至りまして、ことし東海に地帯整備の予算を局長御存じのようにつけられたでしょう。あの東海村におきまして地帯整備の予算をつけられた。これはある意味においては緊急避難を目標としたものだろうと思います。そのことは必要だろうからだんだんそういう計画は立てられるだろうと思う。敦賀に今度はより大きな原子力計画がなされる場合に、そのような、似たような地帯整備の計画が必要であるかないか。おそらく必要であろうと思うが、それをやる者はだれか。私はそれを企業に負わしてはそろばんが成り立たぬと思う。そうすると、やっぱりこれは政府自身がそのような措置をしなければならぬ義務を負わなければならないのではなかろうかという気持ちさえある。それを電気会社にやれと言ったら電気会社はそろばんが持てなくなるということになるのではあるまいか。いま私はこの問題を解決せいというのではありませんけれども、予測し得べからざる危険に対しての措置、それは非常に寝言みたいな話に聞こえるけれども、具体的政治措置として、すぐ来年度予算の中で問題になる一部を持っているわけです。その意味におきまして、保安、安全の問題につきましての基本的な取り組み方に対して、科学技術庁においても今後十分検討されたい。技術の問題だけでなくて、政治の問題として検討されたい。これは損害賠償の問題でもなければ、プランの十分不十分の問題でもない。あくまでも政治の問題として、この安全の問題についてはひとつ一歩掘り下げていただきたい、このことをお願いをいたしておきたいと思います。御所見がございましたら伺いまして質問を終わります。
#68
○上原国務大臣 前段の、御意見と申し上げますか御質問と申し上げますか、公社では足りない、原子燃料公社がやったようにたいへん能率の悪いものがあって安心ができない、このようないきさつだったと記憶いたしますけれども、私の申し上げますのは、たとえ民間会社にやらせるにしましても、危険の伴うもの、財政的な危険が伴いますものは、万一の場合は国家が補償する、そういう覚悟で、そういう制度でかからなければいけないということと、それからまた、公社というふうな組織では、公社というものは株式会社と官庁と両方の悪い面ばかり集めたものであるという批判もあると思いますが、公社というようなものでいけなければ、役所自身が国の責任で実施をする、こういうことも必要だと思うわけでございます。そういう行政組織はあまりわが国にございませんけれども、たとえば科学技術庁の中にございます原子力研究所だとか、あるいはまた理化学研究所、こういうものがございまして、これは直接政府が責任を持ってやる、こういうところで試験的な開発をやっていただくのも一つの方法だと思うわけであります。どこまでも国自身が責任を持ってやらなければ思い切ったことはできない、こう考えておるわけでございまして、採算を先にとって、そして新しい技術、事業の開発などということは、その成果が期待できないと思うと申し上げた次第なのであります。さように御理解いただいて、そのことのためにこれから努力を重ねてまいりたい、こう申し上げたわけであります。
 この危険の防止、安全の確保、これはおっしゃるとおりでございまして、予測し得ない災害が発生するということもしばしば経験してまいっておりますけれども、この予測し得ないということも、やはり学問、技術の不足からくるのではないかと思いますので、学問、技術はどこまでも進歩発展をはかって開発してまいらなければならぬと思いますし、それからまた、予測し得ないまでも、想像できるというふうな災害に対しましては、十分な準備をしてかからなければならぬと思います。不幸にして災害が発生しましても、その応急手当て、応急措置が迅速果敢に行なわれますような組織、制度をぜひつくらなければならぬと思っております。これも今後御指摘のとおり心がけてまいりたい、かように思う次第であります。どうぞ御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。
#69
○佐々木(良)委員 なお意の満たない点もありますが、ずいぶん時間が長くなりましたので、これで質問を終わりたいと思います。長時間同僚諸君にも御迷惑をかけて、ありがとうございました。
#70
○原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十四日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。
  午後四時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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