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1965/03/31 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第13号
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1965/03/31 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第13号

#1
第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第13号
昭和四十一年三月三十一日(木曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 田中 武夫君
   理事 菅野和太郎君 理事 前田 正男君
   理事 岡  良一君
      秋田 大助君    大泉 寛三君
      加藤 高藏君   小宮山重四郎君
      野呂 恭一君    渡辺美智雄君
      三木 喜夫君    山口丈太郎君
      内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 上原 正吉君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   小林 貞雄君
        総理府技官
        (科学技術庁研
        究調整局長)  高橋 正春君
        運輸政務次官  福井  勇君
 委員外の出席者
        総理府技官
        (科学技術庁航
        空宇宙技術研究
        所長)     松浦 陽恵君
        運 輸 技 官
        (航空局技術部
        長)      松本  登君
        参  考  人
        (日本大学教
        授)      木村 秀政君
        参  考  人
        (朝日新聞安全
        保障問題調査会
        研究員)    岸田純之助君
        参  考  人
        (東京大学教
        授)      佐貫 亦男君
    ―――――――――――――
三月三十一日
 委員米内山義一郎君辞任につき、その補欠とし
 て山口丈太郎君が議長の指名で委員に選任され
 た。
同日
 委員山口丈太郎君辞任につき、その補欠として
 米内山義一郎君が議長の指名で委員に選任され
 た。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興対策に関する件(航空技術に関す
 る問題)
     ――――◇―――――
#2
○田中(武)委員長代理 これより会議を開きます。
 本日は、委員長が所用のためお見えになりませんので、委員長の指定により、私が委員長の職務を行ないます。よろしく御協力をお願い申し上げます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 航空技術に関する問題調査のため、本日、日本大学教授木村秀政君、朝日新聞安全保障問題調査会研究員岸田純之助君及び東京大学教授佐貫亦男君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○田中(武)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
     ――――◇―――――
#4
○田中(武)委員長代理 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、本委員会の要望に応じ、御出席くださいまして、どうもありがとうございます。
 去る二月四日、羽田沖で起こったボーイング727型ジェット旅客機の事故は、単独機としては世界最大の死者を出したのでありますが、そのわずか一カ月後に、東京国際空港におけるカナダ太平洋航空DC8型機事故、また、富士山二合目付近における英国海外航空のボーイング707型機事故と、航空史上まれに見る大惨事が相次いで起こり、一般国民は、航空機事故のおそろしさを痛感するとともに、航空機の安全性について少なからず危惧の念を抱いていることは事実であります。
 本日は、これらの問題と関連して、航空機の安全性、航空技術あるいは事故原因等について、参考人各位の専門家としての御意見を聴取するためお招きいたしたのでありますが、どうかそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願いを申し上げます。
 それでは、木村参考人からお願いを申し上げます。木村参考人。
#5
○木村参考人 木村でございます。
 本日参考人としてここに参りまして、いろいろお話し申し上げたいことはあるのでございますが、ただいまの委員長の御要望もありますので、一応航空機の事故を減らすための対策、つまり安全性を向上するための対策につきまして、ごくあらましを申し上げたいと思います。
 航空機の安全性を向上するには、言うまでもなく、事故の原因を解析いたしまして、そしてそういう原因を取り除くということが安全性を向上することになるわけでございます。
 この事故の原因を大別いたしますと、飛行機、これは機体、エンジン全部を含めまして、飛行機そのもののふぐあいによる、あるいは故障による事故、それからそれを乗りこなす人間のミス、あるいは判断の誤りといったような、そういう人間的要素、それからもう一つは、飛行機は気象と非常に関係がありますので、飛行機が飛んでいる場合の気象の問題、それからもう一つは、今度は、その飛行機の交通を外から管制する航空管制の問題、大体その四つの原因が考えられると思うのでございます。
 それらの中で、まず機体の故障という問題、つまり飛行機の故障をなくするという問題につきましては、これは飛行機の構造上の問題、あるいは空気力学的な問題、エンジンの問題、いろいろな装備品の問題等いろいろあるわけでございます。
 また、人間的な要素といたしましては、いわゆる人間工学的に見て、人間の心理、生理といった問題、あるいは人間のそういうエラーをなくすための各種の自動装置の問題などもございます。
 それから気象という問題になりますと、いわゆるガスと突風の問題、あるいは乱流の問題、あるいは氷が飛行機につくといったような問題も考えられます。
 それから航空管制ということになりますと、これはたくさんの飛行機をいかにさばくかという問題になるわけでございます。
 これら全般につきまして一々申し上げるのは、時間も許しませんので、きょうは、その中で特に重要な問題にしぼって意見を述べさしていただきたいと思います。
 ジェット輸送機が飛び始めましたのは、一九五八年の末でございますが、その一九五八年の末から一九六四年までに世界じゅうの定期航空で起こりましたジェット輸送機の事故を調べてみますと、百七件起こっております。これは全部が死者を出したというわけでございませんで、大体四分の一くらいが死者を出した事故でございます。あとは、機体は大破したけれども死者は出なかったという事故も入っておるわけでございます。
 この百七件の事故の原因を調べてみますと、どういう場合に一番よく起こっておるかと申しますと、やはり飛行機の着陸、つまり飛行機が空港に着陸をする場合、それから着陸をするために、降下して進入する――アプローチと申しますが、進入する場合に起こっておりまして、この着陸及び進入の場合の事故が全部の百七件のうち七十六件、すなわち七一%を占めておるわけでございます。過日の全日航の事故並びにカナダ航空の事故もこの着陸及び進入中に起こった事故でございまして、これが七一%も占めておるわけでございます。
 この着陸及び進入の場合の事故の原因をさらに調べてみますと、この七十六件のうち六十件は、操縦者のミスあるいは判断の誤りといったような、人間的な要素が原因になっております。七十六件中の六十件でございますから、八五%、つまり着陸の事故の大部分は、人間的な要素に帰着しているということでございます。それから飛行機の機材――機体、エンジンその他全部を含めまして、機材の故障は十五件でございます。これは着陸のときに、エンジンの推力を逆にして、飛行機にブレーキをかける逆推力装置というのがございますが、これが故障したとか、あるいは左右の機器が不平衡――左右で機器が違ったとか、そういったような機材の故障によるものが十五件、それからよくわからないものが一件ということになっております。
 こういうふうに申し上げますと、大体飛行機の、少なくともジェット機の事故は、大部分が着陸、進入のときに起こっております。そのまた大部分が人間的なミス、判断の誤りによっておるということが言えるわけでございます。
 したがって、航空機の安全性を確保するためには、先ほど申し上げましたような四つの部門がございまして、それぞれきわめて大事な問題が含まれているわけでございますが、その中で特に、ただいま申し上げましたように、着陸の場合の事故を減らすということが非常に大事なことではないかと思います。ことに着陸のときの人間のミスということになりますと、これは非常にいろいろなことが含まれているのでございますが、これをごくかいつまんで申しますと、たとえば着陸という場合は、操縦者が一番忙しい場合でございまして、飛行機が一定の早さで一定の高さを飛んでおりますと、操縦者は別に何もしないでいい、ほとんど自分の位置をときどき確認する程度でいいのでありますが、着陸のときには、速度も変わってきておりますし、高度も変わってきている。したがって、その間にフラップをおろしたり脚をおろしたり、いろいろめんどうな操作をしなければなりません。
 それから地上の交通管制と絶えず連絡をとって、いまほかの飛行機がいるからもう少し待てとか、いますぐおりていいとか、いろいろな連絡を絶えず無線でとっておるわけであります。それから、ほかの飛行機が近所にいる場合には、ほかの飛行機がいまどこにいるかということにも絶えず注意をしなければなりません。そういったようなことで、着陸のときは、操縦者として非常に忙く、しかも現在のジェット機は非常にスピードが早いわけでありますから、操作が少しでもおくれるということは許されないわけでございます。したがって、人間のミスをなくすというためには、やはり着陸操作をできるだけ合理化して、人間の負担がかからないようにするということが非常に大事であるということが考えられます。
 それから同時に、機内の配置を、なるべく操縦者が楽に仕事ができるように、たとえば計器の並べ方とかレバーの並べ方とか、そういったようなことにも十分注意する必要がございます。
 それからいろいろな錯覚、たとえば夕方あるいは夜、地面との高さ、これは最後にはやはり人間が目で見まして、地面の高さなどを、現在飛行機がどんな高さにいるかというようなことを確認しながらおりてくるわけでございます。そういう心理的な錯覚あるいは誤認といったようなものを避ける研究も必要でございます。
 要するに、この飛行機の事故、特に輸送機の事故をなくすということになりますと、やはり人間的な面、このほうの研究が非常に大事ではないかと考えております。
 もとは、人間というものを機械の一部として、その働きを解析するというようなことはあまり行なわれておりませんでしたけれども、戦後いわゆる人間工学というものが発達いたしまして、人間を機械の一部として考える、人間の働きを機械的に解析するというようなことがだんだん進んでまいりまして、このほうに関する研究が非常に必要ではないかと思っております。
 これまで飛行機の安全性を高める上におきまして、飛行機そのものの研究というようなものは、わが国でもかなり進んでおりまして、YS11国産輸送機を開発する場合などにはその技術が十分に応用されまして、あの飛行機は安全性という点から見ますと、非常に高度のものになったわけでございますが、人間工学的な面はまだもっともっと研究を進める必要があるのではないかと考えられます。
 それからもう一つ、着陸の場合の人間のミスというようなものを減らすために、できるだけ人間の負担を軽くする意味で自動的な装置を用いる。現在でも自動操縦装置を使っているわけでございますけれども、たとえば自動操縦装置あるいは自動安定装置、さらに進めますと自動着陸装置といったような、できるだけ機械の働きによりまして人間の仕事を助けてやるというようなことも必要であろうと思います。こういうものにつきましては、またあとで他の参考人から御説明があると思いますが、そういうようなことを進めまして、できるだけ人間の――このごろよくいわれております飛行機と人間との間にできたすき間、つまり人間そのものの能力は昔から少しも進歩しておりませんのに、飛行機そのものがどんどん進んでおりますので、だんだんその間にすき間ができてきたということがよくいわれておりますが、確かにそういうふうに感じられますので、そのすき間を埋めるためのいろいろな研究を促進するということで現在の飛行機の安全性が相当高まるのではないか、そんなふうに考えておるわけでございます。
 一応ごくあらましを申し上げまして、あとでまたこまかい点にだんだん移っていきたいと思います。
#6
○田中(武)委員長 ありがとうございました。
 次に岸田参考人にお願いします。
#7
○岸田参考人 私は最近飛行機のことをあまりこまかくやっていないものですから、お話しすることがたいへんに概括的なといいますか、大ざっぱなお話になると思うのですが、それは御容赦願います。
 最近三つの事故がありまして、その事故に対してはそれぞれ調査団ができて、そり事故原因について調査をしておられますから、そういった原因がほんとうはどこにあったのかというふうな問題については、非常にはっきりした結論が出るということはないかもしれませんが、おそらく近く出されると思います。そうしてそれに対して、いろいろの事故対策に対する勧告というようなものも幾つか出されると思います。それはたとえば気象に対する警報の出し方の問題とか、あるいは操縦者の操縦に関する注意とか、その他空港の設備とか、いろいろと出ると思うのですが、もし、そういった勧告が出ましても、それは飛行機の事故をなくするという対策に対しましては、いわば応急の対策といいますか、整理して考えますと、応急対策ともいうべきものであって、基本的な対策というのは、また、さらに進めて、その応急対策を含めて基本的な対策というのが講じられなければならないのだと私は思っております。つまりこういった事故が幾つか続けて起こったということで、飛行機の事故とか安全性とかいう問題についてはもう一度総点検をしなければならないということは言っていいんじゃないかと私には思われます。
 そういうふうに総点検をしたとしましても、飛行機の事故というのは、これは絶対になくすることはできないわけでして、乗りものを人間が使う限り必ず事故は起こってくるということは、確かですが、その乗りものの便利さをどれだけの事故で買うかといいますか、乗りものという文明の所産を、どれだけの事故の危険性を私たちが負担しながら受け入れていくかということが実は問題でして、事故の問題というのは全体の文明の所産のバランスのようなもので考えなければならないと思います。
 したがって、バランスのとれた飛行機の進歩が行なわれるということがたいへんに大事なんですが、飛行機の場合、総合的にその飛行機の性能がいいとか悪いとかいうことを考えるときに、一体どんな項目を出して考えるかといいますと、これはよその国の航空の学者が整理をしたものがあるのですが、八つの性能をあげております。一つはできるだけたくさんの人を運ぶ。ここで飛行機というのは旅客機のことですが、できるだけ多くの人を運ぶというのが第一の性能です。第二番は、高速化とともに地上の時間を短縮して全体の旅行時間を短くする、第三の性能では、高い飛行機の安全性、第四番で安い運賃、第五番で快適な乗りごこち、六番に高度の信頼性――高度の信頼性というのは、きまった時間に出発して、きまった時間に目的地に着くというふうなものも含まれるわけです。第七番に、いつでも、どこでも利用できる便利さ、つまり、きまった時間に出発してきまった時間に着いても、きょうはそれが出るけれども、あすは出ないのだというふうなことでは旅客機としては困るわけでして、できるだけ回数をたくさん利用できるということ。第八番に、一般の民衆に害を及ぼさないというのがあります。これは飛行機でいいますと、たとえば空港のまわりの騒音がいまたいへん問題になっておりますが、そういった飛行機を使わない人に対する害を及ぼさないということです。こういった八つの性能がまんべんなく満足されなければならないということを言っているわけです。
 ところが、この八つの性能といううのは、それぞれが実は相反した部分を持っている性能でして、たとえば、できるだけたくさんの人を運ぶとか安い運賃というのは、これは両方とも同時に満足される性能なんですが、安い運賃ということと高い飛行の安全性ということとは必ずしも両立しない、あるいは相反した性能要求になるかもしれないものです。したがって、この辺のバランスをどうとっていくかということが、旅客機をこれからたくさんの人に使わしていくのにはたいへんに大事なことになるわけですが、現在このバランスがとれているかどうかという問題について総点検をしなければならないと私は考えます。
 いまの飛行機の安全性の問題で、飛行機の事故による死亡率の数字がよく使われますが、その死亡率の数字はいろいろの使い方をされておりますけれども、使う回数当たりの死亡事故という問題で考えてみますと、大ざっぱな概算をしますと、鉄道の場合と、一けたあるいは二けたにはなっていませんが、一けた以上の差があります。つまり鉄道のほうが一けた以上安全なわけです。そして、よく数学者が言います百万回の利用当たり一回の事故死亡率というふうな数字だったら、あるいはそれ以下だったらそれは安全なものとして考えるというような数字がありますが、そういう数字を取り上げてみますと、その数字には飛行機はやや足りない。およそ一けた足りない安全率であるというふうな数字が大ざっぱには出てきます。アメリカの場合の数字はもう少しよくて、百万回に一回に相当近づいている、たとえば二、三十万回に一回というような程度の数字になっていますから、これは相当進歩しているのですが、いずれにしましても、さらにたくさんの人が利用するものにするためには、全体の安全性を上げていくということはまだ努力しなければならないという数字であります。その点では、つまりバランスがとれた旅客機の発展が行なわれているかどうかということについては、さらに慎重に考えられなければならない。飛行機は、いま旅客機なんかは非常にたくさん広く使われるようになっているのですが、それでもアメリカの数字でいいまして、アメリカでさえ大体総人口の四分の三はまだ一ぺんも旅客機を使ったことがないという程度の進歩の度合いでして、さらにこれが普通の鉄道並みにたくさんの人に使われるということになるためには相当まだ普及してこなければならないのですが、そういった普及をするというためには、このバランスの問題についてはもっと慎重に考える必要があると私には思われます。
 それから、実は飛行機の事故のいままでの統計を見ますと、操縦士のミスという問題が原因としては一番多いのですが、その問題についても、実は操縦士のミスという分類に入ることは確かなのですが、それに対して技術的にはどうするかというふうな問題も、これは技術者にあるいは科学者に考えていただきたい問題だと私は考えております。
 というのは、つい最近に出ました単行本で「民間航空」という新書版の単行本がございますが、それに書いてありますことに、新しい機種に取りつけられる装備が複雑となって、乗員に送られてくる情報や、決断を必要とするさまざまな要素が増加してきているということは、速度の増大とともに、安全性に関して人間的な要素がかなり重要な地位を占めてくるということになるのだということを言っておりますが、つまり操縦士のミスというのが相当なパーセンテージを今後とも占め続ける可能性があるということなんです。それはつまりいまの飛行機の発展は操縦士に相当なロードをかけるような発展のしかたをしてきているのであって、どうしても操縦士のミスというのが原因になる場合が事故の中では相当なパーセンテージを占め続けるということを言っているわけですが、そうなりますと、その操縦士の事故を、じゃどうやってなくすかという問題については、操縦士の訓練ということだけでは済まない問題があるわけでして、人間は必ずミスをするものであるということは確かです。そうしますと、じゃそのミスをどうやって事故にまで結びつけないようにやるのかということが実際には考えられなければならない。人間がミスをしないようにというのはその一つの方法であり、そうして自動的な着陸とか自動操縦とかいうのは、これはその発展の方向としては確かに一つ重要なことなんですが、それにもかかわらず人間は必ずミスをするものです。ですから、人間がミスをした場合にも、それが事故につながらないような方法というのは、つまりいわば事故を防ぐための二段がまえの方法といった表現をしていいかと思うのですが、先ほど木村先生は、事故をなくするというのには、事故の原因を一つずつ消していって、そうして事故が起こらないようにするというふうに言われたんですが、それは技術者としては非常に重要なことなんですけれども、それにもかかわらず、たとえばその中に人間のミスというふうなものもあるとしますと、人間のミスに対してはそれをゼロにすることはできないということがあります。そうすると、そのミスがあった場合でも救えるようなまた新しい技術というのがそこで出てきませんと、さらに事故を減らしていくということはできないのではないかと思われるわけです。特に飛行機の場合そういうことを言われなければならないのは、もしミスがあって事故があったというふうなことになりますと、一般の場合は、飛行機の旅客は全員死ぬという場合が非常に多いからです。ほかの乗りものですと全員死ぬというふうな事故はきわめて少ないといいますか、ほとんどないといっていいのですが、飛行機の場合はそういったある事故が全員の死亡ということに容易に結びつくものですから、その点ではさらに事故に対する考え方というのは、ほかの乗りものよりはきびしい部分がなければならないはずでして、飛行機の場合は事故の対策というのは、事故を起こらないようにするというのが第一の対策、それから次に事故が起こった場合にも、それが旅客の生命を、死亡につながるというふうなことがないように、事故が起こった場合にも、さらに生命を救済するような技術というものも確かにあるはずだと思いますが、そういった点についても考えていかなければならないのではないかと思います。これはたとえばカナダ太平洋航究の場合の事故ですが、羽田の空港に落ちたといいますか、おりたといいますか、そのときに火災が起こって、そうして相当たくさんの人が死んだわけですが、もしあれがああいうふうに衝突をして羽田の空港に落ちたということがありましても、あのあとですぐに火災が起こるということがなくて、火災を防ぐような装置が、つまり火災を出さないような技術が開発されていたとしますと、相当たくさんの人を救えたんじゃないかと思うのです。飛行機の燃料は非常に火を出しやすいものですから、たいへんにむずかしいことではあると思うのですが、やはり事故に対して、事故を起こさないことと、それから起こっても人間の生命を救うという二段がまえのことを考えていきませんと、将来とも飛行機の旅客の数はふえてくるということが一つ。それからまた、一つの飛行機に乗る旅客の数もこれから先、汽車とかあるいは船並みに千人近い数が乗るというふうな旅客機も将来は開発されるはずです。現在すでに軍用機としては七百人乗りあるいはもっとたくさんの人を乗せる飛行機が、ソビエトでもアメリカでもそれぞれ開発されているわけですが、それができますと、同じように旅客機にもそういうものがつくられてくるということになりますから、そういった点でも、二段がまえといいますか、何段がまえかの事故対策の技術の開発というふうなことをいま衆知を集めて考えていく必要があるんじゃないかと考えております。
 時間がきましたので、これで終わります。
#8
○田中(武)委員長代理 ありがとうございました。
 次に佐貫参考人にお願いします。
#9
○佐貫参考人 私はただいまのお二人の御意見と別の立場から見てみたいと思います。
 まず第一に、航空事故に関しまして、数年前、これは専門家の間ではもはや有名な論文でありますけれども、スウェーデンの航空研究所の所長のルンドバーグと申します人がこういうことを言ったわけであります。大体民間航空は、年々一〇%あるいは一五%くらい伸び率がある、つまり貨物ももちろんですけれども、旅客は一〇%から一五%くらいの範囲で伸びている、したがって、この論文の本旨は、超音速輸送機のようなものを設計する、開発するということの前に、まず現在飛んでいるジェット機、あるいは部分的にはプロペラ機も飛んでおりますけれども、そういうものの安全性を一〇%ないしは一五%ずつ毎年確保しませんと、事故の絶対数は一〇%から一五形の当然の伸び率で伸びる、航空事故が社会に及ぼす衝撃は、比率ではなくて絶対数である、昨年は何百人死に、ことしは何百人死んだということであって、ことしは昨年よりも伸びているけれども、それは旅客の増加があるから当然だということは社会は承知しない、どうしても絶対数、たとえば犠牲者の数を昨年以下に減らさなければいかぬ、そういうことを言っているのです。これは誤解を避けるために申しておきますけれども、この本旨は、これから出てくる超音速輸送機の開発に慎重にあれということでありまして、それをやめろという意味じゃございません。まず超音速輸送機の開発も大事だけれども、現在飛んでいる飛行機の安全性を向上することにわれわれは注意しようじゃないかということのアピールを世界の専門家に呼びかけたわけでございます。それはもちろんある程度は承認されているわけであります。鉱山には、安全保安工学というような名前もありますし、それから、かえってロケットに保安工学というような専門の分野があります。つまり、ロケット、人工衛星、そういうものを発射する場合非常な危険が伴う。鉱山、そのほかにもいろいろあるでしょうけれども、私の覚えているのは、保安工学、そういうはっきりした講座はございませんが、私のつとめております東京大学に御専門の先生がおられまして、炭鉱などの保安を一部専門にやっておられます。どういうことかと申しますと、たとえばある程度ガスがたまる場合には、それに対して警報を出す、必要な通報をするというようなことだと思います。
 そこで、現在飛んでおる飛行機の安全性を増すということは、実は私たちは、ほかの部門の学者などから言われますけれども、決しておろそかにしておるわけではございません。しかし言われるだけの多少の理由はあります。それはもちろん、新しい超音速飛行機を開発するというようなことに比べましてはるかにじみであり、ある意味では恵まれない、そして努力を要する、非常にむずかしい問題だと思います、一〇%から一五%安全性を毎年高めていくということは。先ほど木村先生のお話にもありましたとおり、いろいろ考えはありますけれども、現実に成果として、毎年たとえ一〇%でも安全性を増したという具体的な結果を得るための技術は非常にむずかしいと思うのです。しかし先ほど言ったとおり、航空安全ということの社会に及ぼす衝撃の大きさを考えますと、これは何とかやらなければいかぬ、とにかく私はそう思います。それで先ほどからいろいろな話が出ておりますし、岸田さんからも事故の率というようなことを申されましたが、たとえばその事故の率では、世界各国の平均の事故率あるいは国別の事故率あるい国によっては会社別の事故率とかいういろいろなことがありますが、わが国としまして、この事故に対して、一体この事故を世界の国に比べて減らす、そういう実力があるだろうかというようなことを私考えてみたことがあります。これは私は結論的に申しますと、あると思います。日本では大型のジェット輸送機、いわんやその先の超音速輸送機のようなものをいますぐ開発するということは、これは国力に対してなかなか大き過ぎる目標だと思いますが、少なくとも先ほどスウェーデンの学者が言ったような事故率を低くする。安全率を高めるというようなことは、私、日本の技術の現在の水準として可能だと思うのです。ただ可能だというだけでありまして、現実にどうかということになりますと、いろいろな問題がございます。
 もう一つ、たとえば一つこういう例を申しましょう。私のところは工学部の航空学科でありまして、全国にはほかに四つほど航空学科がありますけれども、少なくとも私のところだけに関しまして申しますと、ことしも、ついこの間約五十人、定員は五十二人ですけれども、五十人の学士の卒業生を出しました。その就職先は大体四分の一が大学院に入りますから、これはまず航空学をさらに大学にいる間はとにかく続けるものと考えていいでしょう。四分の一は大学院に残った。それであと全体の半分ぐらいはどこへ行くかと申しますと、大体自動車会社、オートバイも入っているでしょう、それから電機会社、そういう航空に関係ないことはないともいえましょうけれども、一応航空に直接関係のない会社に行って、ほんとうの航空機の製作会社、あるいはその中に航空機を飛ばして運輸事業をやっている日本航空、全日空のような会社も入れますと四分の一ぐらい、十何人です。現在の状態ならば就職はもちろんございます。しかし私たちとして申しますと、せっかく航空を教えて、要らなければこれはしようがありませんけれども、現にいま私が言ったとおり航空の安全性を高めることは緊急の問題であるにかかわらず、たった四分の一しか航空へ、しかもその四分の一は運輸のような会社も含めて四分の一しか就職いたしません。これは学生はもっと行きたいのでありましょうけれども行き先がないのです。航空機をつくる会社はそれほど要りませんから。こういうことにはなはだ矛盾を感じます。矛盾と申しましてもいろいろあります。ちょっとこれと結びつかないようなことですけれども、いまの場合ですと、ソ連は知りませんが、アメリカは航空機よりもある意味ではロケットのほうが、有人宇宙飛行のほうが安全かもしれません。それからあるいは人間の乗らないようなミサイルでも――これはミサイルのほうが安全というのはちょっと脱線ですからあれですけれども、少なくとも有人の宇宙飛行に関しては慎重な――ついこの間も事故があって、しかし結論的には支障がなかったわけですけれども、私何を言わんかと申しますと、ああいう場合に実にあらゆる至れり尽くせりの対策が、有人宇宙飛行に関しましては講じてあるのです。こういうことにちょっと矛盾を感ずる。それからいまの就職先の問題、こういうことはまず問題の提起といたしまして、次に時間の都合もございますので、別の見方から航空安全に関して申してみたいと思います。
 科学技術庁に航空技術審議会がありまして、その会長を木村教授がつとめておりますけれども、私はその中の安全部会というものの部会長を担当しておりますが、それで、この事故にかんがみまして、これに対してメンバーから事故を防止する一といういろいろな対策をとってみましたが、いろいろな意見がありましたので、これをあわせて御参考に申し上げてみたいと思います。
 まず一つが、木村教授からも先ほどお話がございましたけれども、事故の調査をして、そして解析をする、あるいはデータを収集する国立のセンターというものをつくれ。これが第一。まだ決議じゃございません。意見です。それから、専門に  先ほど鉱山の保安のことを申しました。私の大学にもありますし、ほかにもあると思いますが、航空安全を専攻するような学者あるいは研究所の部門、大学でしたら講座というようなことでしょう。これは専門でなくても、少なくとも、ほかのものとあわせてもいいでしょうけれども、そういう講座をつくる。それから、研究所ならば研究室というようなものだと思います。これはもちろん何も機械に関係しません。先ほどからしばしば言われるとおり、人間工学的な面も入れての航空安全の、つまり、専門にいつでも考えている人、いつでも研究している人をつくれという意味です。それから、新しい飛行機などを買ってくる場合に、それの性能などもよく知った上で使う。少なくとも日本で使うことに関しましては、安全性もできるだけ確かめてから使うようにするような方策を講じたらどうか。ここの点におきまして、私がいま言ったとおりに、全国でもかなり航空を専門にやっている大学の学科、学生、それから過去におきまして経験の深い専門家もまだおられるのですから、これは一つの可能性であります。これは、しかし実際はなかなかむずかしい問題で、私がここに提起しますものは、これをやれということじゃございません。こういう問題が出たわけで、また、これを実際具体化するにあたってはなかなかむずかしい問題があるだろうと思います。
 それからもう一つ、飛行記録計をつくれということ。これはフライトレコーダーと申しますけれども、たとえば、ほかの例を申しますと、トラックのたぐいにタコグラフというものがついているはずでございますが、こういうものは事故調査のためではなくて、タコグラフは、たぶんあれは、つけますと、私の聞いておるのじゃ、運転手がいやがる、運転手がいやがるということは、役に立つということです。ということは、事故があった場合に、そのときのスピードはどうであったかというようなことのほかに、私は詳しいことは知りませんが、たぶん、日常このタコグラフを点検して、この運動手はときどきサボって、あるときだけ急にあわてて引く運転手である。たとえが悪いですから、飛行機にそのまま当てはまるとはもちろん申しません。しかし、日常の飛行状態ですね、それは何も人間に限らず、たとえば、あるルートでは非常に突風が多いというようなこともこれで見つけ得るわけです。ただ、これは問題がございまして、こういうものを、アメリカはたしかそうだと聞きますが、法的に強制しますと、この飛行記録計が故障の場合に飛行機が運航できなくなります。そうしますとスケジュールが乱れましてかなり迷惑する。ということは、もし飛行記録計が不完全ですと、アメリカはかなり完全になったといいますが、いろいろ問題はございます。たとえばいまアメリカでやっているのはせいぜいチャンネルが、時間も入れて六チャンネルぐらいのものです。この間のBOACのは私が聞きましたときに十二チャンネルだったそうですが、つまり十二の要素、たぶんその中に一つ時間も入っておりましょうけれども、十二の要素を含んだもの。これについて私が最近調べたのでは、アメリカのX15と申しますマッハ六まで飛べる人間の乗ったロケット飛行機の試験計画をやってきまして、それが現在ほぼ任務が完了して、さらにX20になるのだそうですけれども、これは、いろいろ人間が超高空を飛び、それから飛行機を超高空――超高空という意味は、スピードも早ければ空気も薄い。スピードが早いのが空気の密度の大きいところ、つまり低空へも来ますが、その場合に非常に過熱を生じます。そんなことの実験機でありますけれども、これは、私は非常に詳しいことは知りませんが、事故もあまりなかったと思うのです。多少はもちろんあったと思いますが、致命的な事故があったかどうかちょっと存じませんが、しかし非常に慎重にやっているという証拠に、これは飛行中に千五百の要素をはかっております。チャンネルは九百ぐらいございます。だから、とほうもないことを言うようですけれども、たった六チャンネルなんてけちなことを言わぬで、少なくとも運航の初期においてかなりたくさんのチャンネルを設けて飛行記録をするというようなことも一案じゃないか。ここにおいて、ロケットは非常に慎重にやっているのに、現在のジェット機が、慎重じゃないとは申しませんけれも、やはりこの事故を契機にしまして、安全性ということを、われわれ専門家はもちろんです。きょうは少なくとも私は参考人として呼ばれたようなかっこうですけれども、ほんとうはこの航空事故に関しましては被告だと思います。そういう意味で、問題の提起に終わりまして、これを具体的にどうするかということは、いろいろむずかしい問題がありましょう、また、そういうことは私などは不得意なところでございますが、これはよろしく関係筋で考えていただいて、とにかく、繰り返すように、安全こそ民間航空の最大の使命であるということをいままでも申すまでもありませんが、それを強調して、私の話をおしまいにしたいと思います。
#10
○田中(武)委員長代理 どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#11
○田中(武)委員長代理 質疑の通告があります。これを許します。岡良一君。
#12
○岡委員 きょう御多用の参考人にわざわざ御出席を願いましたこの委員会の意図は、相次ぐ今回の大きな墜落事故について、ぜひ皆さま方から、最も科学的な、そして公正な事故調査の結論を出していただくことは、単に今後における航空機あるいは航空の安全に寄与するだけではなく、日本の科学技術水準の高さを示すものでなければならぬ、こういう強い希望を持って御出頭願ったわけでございます。私自身航空機については全くのしろうとでございます。
 まず木村先生にお伺いをいたします。きょう新聞を見ますると、昨日、同じ727型の飛行機を用いられて、前回の全日空の航空事故に関する実験的な飛行を試みられたということでございますが、まことに私どもも敬意を表しております。これについて、もちろんこの結果はそのときに得られた諸データの解析の結果として後日出されると思いますが、一応きのうの実験的な飛行についての御感想を率直にこの機会に承りたいと存じます。
#13
○木村参考人 ただいま昨日の全日空機事故調査団の実験につきまして御質問がございましたので、その内容、それからその結果についての私の感想を申し上げます。
 実は、ただいまの御質問にもございましたように、事故の原因は最終的にこれであるという調査の判定の結果を出しますのはまだ先になるわけでございますが、昨日の実験の結果につきましては多少申し上げたいこともございますので、御説明申し上げたいと思います。
 実は、御承知のように、あの飛行機は札幌を立ちまして、佐倉の上空に東京の航空標識所がございまして、東京VORと言っておりますが、ここを約一万四千フィートの高度で通過いたしました。それから千葉におりてきたわけでございます。千葉からさらに木更津のほうへ向かって計器飛行をやるのが普通のルートでございますが、場合によりましては、視界のいいときには途中で計器飛行からコースをはずしまして、近回りをして飛行場のほうに向かうということも許されているわけでございます。事故機の場合には、千葉の上空で計器飛行をやめまして、有視界飛行、つまり機長の全責任において計器飛行からはずれまして、機長の目で外を見ながら飛行場に近づく、そういうやり方でおりてきたわけでございますが、当時ちょうど千葉を通過いたしまして有視界飛行に切りかえたときの高度が一万フィート――飛行機のほうでは現在フィートを使っておりまして、それに従っておりましてまことに恐縮でございますが、一万フィートと申しますと約三千メートルでございます。そこから降下に移りまして、そして事故現場まで行ったわけでございます。問題は、千葉で一万フィートの高度で有視界飛行に移りまして、そうして空港まで行くのに何か無理な降下をしなければ着陸がうまくできないのではないか。逆に申しますと、千葉での高度が高過ぎて、そのために無理な降下をしなければ空港に着陸できないような状態ではなかったのかという疑問が最初からございまして、特に新聞などにも事故当時に書かれました、要するに、千葉の上空で非常に高かったのにもかかわらず、無理しておりたために事故を起こしたということが、これはいろいろな筋から出たと思いますが、そういうことも出ていたわけでございます。
 そこで、まず、われわれといたしましては、その点をはっきり突きとめておきたいということで昨日の実験をしたわけでございます。もちろん、千葉から空港までおりてくるのに非常に無理であったか無理でないかということは、理論的な計算でもある程度見当はつくわけでございまして、その点につきましてはいままでかなり詳しい計算をいたしまして、計算の上から申しますと、まずそれほど無理ではないということが出ていたわけでございますが、なお実機につきましてその実験をしてみたわけでございます。
 昨日は高度一万フィートで千葉を通過いたしまして、そこから降下に入りました。そのときの速度あるいは降下率というようなもの、これは実は記録が残っておりませんので、いろいろな点から想定をいたしまして、速度は大体二百五十ノットから三百五十ノットの間くらいであったろうということで、その間のことを考えました。それから降下率でありますが、降下率というのは、飛行機がこうおりていきますときに一分間に何フィートおりていくかというその率でございますが、その降下率は大体一分間に四千フィートから六千フィトであろうというので、この速度と降下率のいろいろな組み合わせでおりてみたわけでございます。この四千フィートないし六千フィートという降下率は、実はこれはいままでの飛行機で考えますとかなり大きいように思われるのでございます。そしてこれがまたボーイング727の欠点のようによく新聞などに書かれておりますけれども、実はこのような非常に早い降下率でおりてこられるということは、血という飛行機が短距離、短い路線でも飛べる。つまり短い路線で飛ぶ場合には、なるべく早く上がって、平らに飛んで、なるべく急に降りるというのが理想的でございますが、そういうことをやるために特に設計された飛行機でありまして、これはボーイング727のねらいでございまして、決して欠点ではないわけでございます。この飛行機を使いますときにいろいろなおり方があるわけでございますが、降下率一分間に四千フィートから六千フィートというのは、ごく普通操縦者がやっているような降下率でございまして、決して非常に危険な降下率ではないということが前からわかっていたわけでございますが、今回はそういう降下率で千葉から一万フィートでおりてみまして、そしてこの降りる場合に、たとえばスポイラーというのをおろしたり、またそれをおろさなかったり――おろすといいますか、立てるわけでございますね。スポイラーを立てたり立てなかったり、いろいろなやり方があるわけでございますが、そのいろいろな場合でもっておりてみたわけでございます。そうしますと、きのうは現場のそばに「のじま」という海上保安庁の船を置きまして、そこまでずっとおりてみたわけでございます。四千フィートないし六千フィート、つまり普通輸送機を使っている場合に使う降下率の中でかなり高いほうではございますけれども、決して異常な降下率ではないというようなそういう降下率でおりてみました。おりていくときの様子を私ども観察しておりましたけれども、きのうは御承知のようにたいへん気流の悪い状態でございましたが、それにもかかわらず、もちろん少しも客席では危険感などは感じられないで、そう急におりているというような感じがちっともしないで四千ないし六千でおりることができているわけでございます。しかも一万フィートからそのくらいでおりてまいりますと、現場に到達するころには高度二千フィートくらいまで楽に、決して無理をしないでおりられるということがわかったわけでございます。
 高度につきまして少しあいまいなので、もう少しはっきり申し上げますと、事故機の場合には一万フィートからおりまして、現場で高度ゼロまでいって海に突っ込んだわけでございます。そこで今回の実験では、そのままの高度では少し危険だと思われましたので、一万フィートプラス二千フィート、すなわち一万二千フィートから降下を始めまして、そして現場は二千フィート、つまり高度差一万フィートをおりてみたわけでございますが、その間、おりまして引き起こしたりいたしましても、客席で何ら異常を感じない。おそらく普通の訓練されない乗客が乗っておりましても、何ら不安も加速度も感じないような程度でその間をおり切ることが証明できたわけであります。したがって、事故が起こりました当時に、千葉で高度が高過ぎて、それを無理におりようとしたために事故を起こしたというようなことはちょっと考えられないわけでございまして、結局あの飛行機は輸送機として、一万フィートくらいからあの現場くらいまでおりてくるということは決して無理ではないということが証明できたわけでございます。したがって、あとは、それにもかかわらずああいうふうな事故を起こしたということは、何か人間的な要素、つまりこれはミスというようなことが新聞に出ておりましたが、ミスと申しますと、何か操縦技術が未熟であるというような印象を受けるのでございますが、そうとは限らないわけでございまして、たとえば表の外界に対する錯覚というような問題もございますし、それから着陸の場合には、先ほど申し上げましたように非常に忙しいわけでございまして、いろいろな操作が必要でございますが、特にあの場合には夜間でございまして、もう暗くなるときでございます。しかも左側から日航の飛行機がおりてきておりますので、その飛行機のことも注意しなければならないというような状態でありましたので、そういう夜間における高度の錯覚の問題とか、あるいはほかの飛行機などに気をとられた場合の操縦の問題とか、そういう心理的な問題、人間的な問題について、さらに研究を進める必要があるということを昨日感じたわけでございます。
#14
○岡委員 人間的な問題は差しおきまして、その際同乗しておられた方の談話として新聞で拝見をいたしますると、一万二千フィートの高さから、たとえば一分間六千フィートの降下率でおりてくる、あるいは四千フィートでおりてくるという場合に、機体そのものには、いまの御意見では、非常な安定感がある。しかし同乗しておられた方の御意見によると、たとえば引き起こしと申しますか、水平飛行に移ろうとするときに、その飛行機の沈下というものが起こる。それはやはり約一千フィート前後沈下するのではなかろうかというようなことが新聞に載っておりましたが、その点はいかがですか。
#15
○木村参考人 ただいまの沈下の問題でございますが、飛行機が降下いたしますときはほとんど一定の経路に沿ってまっすぐおりてくるわけでございます。この辺で引き起こそうというときに、引き起こしますと飛行機がいきなりきゅっとこうなるわけではなくて、ここで引き起こそうという場合には、こうおりてまいりまして、少し手前から少し上げかじをとるわけでございます。そうしますと飛行機がだんだん姿勢が回復してまいりまして、平らになるわけでございます。このまっすぐおりてきて、いよいよ引き起こそうとし始めてから平らになるまでにある高度が必要でございます。それを沈下と言っているわけでございます。でございますから操縦者としては、たとえば高度二千フィートで引き起こそうとします場合には、727に限らずどういう飛行機でも、引き起こしの操作にかかってから、ほんとうに平らになるまでにある高度差をどうしても必要としますので、それくらいを見込んで、少し手前から引き起こし操作を始めて、だんだんこう水平に持っていく。その沈みのぐあい、これを沈みと言っておりますけれども、別に飛行機が引き起こしてこんなふうになるわけではなくて、こういう飛行経路から水平な経路の間をこういう経路で結んでいくわけでございます。その間のことでございますから、これは計算の結果でも、たとえばある速さで、ある降下率でおりてくるときに、引き起こしをやるとどのくらいの高度で平らになるかという計算が出ております。きのう実験いたしましても、もちろんその程度で引き起こしがされているわけでございます。ですから、操縦者としましては、たとえば海面上高度二千フィートで引き起こそうと思えば、二千フィートに来てからあわててかじを引くのではなくて、あらかじめそれよりも五百フィートとかあるいは千フィートとか少し手前でもってかじを少しずつ引いて、そうして平らにする、こういうことでございます。昨日の実験でその点につきましても計算どおりに引き起こしができまして、しかも、あまり無理に引き起こしますと加速度を感じますけれども、乗っておりましてもそういうものを全然感じないで、おそらく普通のお客が乗っていたらわからなかったろうと思うくらいの静かな引き起こしでもってすっとこういうふうになっております。そういうような状態でございます。
#16
○岡委員 御説明はよくわかりましたが、そういうような場合に、たとえば六千フィートというような降下率でもって降下をする場合、たまたま十数秒前に羽田のコントロールタワーと交信をした。いま御説明のように近くに飛行機がおるのが見えるか、見えない。しかも操繰席の関係から機長とすれば、反対の場所に乗っておるから飛行機の存在の有無を見るのにはやはり数秒の時間がかかる。こういう数秒のおくれが急激ないわば降下する操作について若干の時間的なおくれを伴うというふうな危険性もあり得るのじゃないかというようなこともしろうと考えとして考えられるわけなのですが、そういう点について木村教授のお考えをお伺いいたします。
#17
○木村参考人 ただいまの御意見のように、確かに、おりてくる途中で、まわりに全然問題なしにそれだけに集中していればいまのようにおりられますけれども、たとえば、まわりが暗くてよく見えないとか、あるいはこっちからほかの飛行機が来るから注意しなければいけないとかいうことになりまして、そっちに気をとられておりますと、たとえば一分間に六千フィートと申しますと、一秒間に百フィートでございます三二十メートルでございますから、十秒間よそを見ておれば、千フィート高度が下がってしまうということがあり得るわけでございまして、結局、そういうような問題にこれから少し重点を置きまして調べる必要があると思っております。
#18
○岡委員 いま、国産機というものは方々で使われておりますが、外国の飛行機も輸入してそれぞれ使っておるわけでございます。その場合におけるその飛行機の安全性についての幾つかの条件を木村先生がおあげになりました。佐貫先生もそのほうの御専門で、いろいろ御意見を聞きましたが、そういうものについての日本としての検定はされるのですか。それともまた、そういうことは、売り手のほうのギャランティーをそのままにのみ込んで使用を許可されるのですか。この点はどういうふうに考えて日本として取り扱っておられますか。
#19
○松本説明員 お答えいたします。
 輸入機を国内で使用いたします場合でございますが、日本国内で航空機を使用いたします場合には、航空法によりまして耐空証明というものが必要になってくるわけであります。したがいまして、外国製の航空機でありましても、輸入いたします場合には、耐空証明をとった飛行機でなくちゃ国内では使用できないわけであります。今回のボーイング727型機につきまして申し上げますと、これを輸入いたしますときは、航空局の検査官三名をボーイングのシアトル社に約一カ月派遣いたしまして、その間に設計、性能、構造、そういう面を調査いたしまして、それで合格いたしまして耐空証明を発行いたしております。
 それから、一般的な方針といたしましては、ICAOの加盟国でありまして、しかも航空機を製造しているアメリカとか、イギリスとかいうような国に対しましては、この航空機は日本に輸入いたします前に、アメリカ政府の型式証明、設計の証明をとっております。また、アメリカの国内でもそれは使用されております。私のほうでは、耐空証明を発行いたしますときは、そういう外国政府で権威のある型式証明なり、そういうものを発行しているかどうかということを十分調べまして、さらに検査官が検査いたしまして耐空証明を発行しておるというふうな実情でございます。
#20
○岡委員 日本で外国の飛行機を用いる場合には、やはり日本の飛行場の立地条件によっていろいろ外国と違った条件があるわけであります。画一的に、構造なり性能が安全であるということをもって直ちに日本も安全であるということはきめられがたい場合があり得ると私は思う。いま航空局のほうで、そのような形で飛行機の輸入を認めるということになっておりますが、こういう点、いま少しく専門的な、そうしてまた、先ほど来御説明のような、沈下と、その数秒間におけるコントロールタワーとの関係等の条件も考慮した安全性の確認ということが必要ではないかと私は思うわけであります。そういう点について、佐貫教授の御意見がございますか。
#21
○佐貫参考人 私の専門から、そうはっきりしたことをお答えするわけにはまいらぬと思いますが、御趣旨は非常にけっこうなことでありまして、私も理論的に申しますけれども、日本の事情、それから日本のパイロット――日本のパイロット、日本の飛行場ですから、そういうところに応じた要求がおのずとあるべきだと思います。そういうもので、先ほど私も申しましたとおり、日本にはいまの政府機関であります航空局以外にも学者、技術者もあるのですから、そういう者も入れて、慎重に安全性を検討するということは理論的には私賛成でございますけれども、実際これを航空局なり相手方、つまり売るほうの会社などが十分便宜をはかってくれるかどうかはちょっと私にはわかりかねますが、おっしゃる趣旨は私賛成でございます。
#22
○岡委員 科学技術庁にも航空宇宙技術研究所があって、いま新型の航空機の改良に努力しておる、もちろんその安全性ということについては十分関心を払いつつ研究開発を進めておられると私は思いますが、いま日本の空を飛行している外国製の飛行機の安全性の確認については、私はあなた方にも責任があると思う。当然航空局としても、そういうような問題と真剣に取っ組んでおる航空宇宙技術研究所等の意見も求めるぐらいの幅があっていい、またそういう取り扱いがなければなるまいと私は思うのであるが、この点、これまでの外来機の導入について、航空宇宙技術研究所として何らかタッチしたことがあるのか、また当然そういうようなことについての意見を求めらるべき筋合いのものであろうと私は思うが、この際率直に松浦所長の御見解を聞かせていただきたいと思います。
#23
○松浦説明員 いまの御質問に対しましてお答え申し上げますが、従来外国機を購入いたします場合に、私たちのほうに所管の運輸省からかくかくの点について検討したいから協力をしてくれという依頼があったことはございません。
#24
○岡委員 そういういわば飛行機の性能がいいか悪いかということを事前に日本として確認をして持ち込むという、この手続上において今後十分に考慮すべき問題点があろうと私は思います。この点は、上原大臣も御出席でありますが、あなた御自身はどう思われますか。
#25
○上原国務大臣 むずかしい技術上の問題になりますと私には的確なお答えが申し上げられませんけれども、つまり運輸省の御当局が審議、審査をなさるのに、私どものほうの航空宇宙技術研究所が参画いたしますのがどれほどのプラスになるかということはわかりませんので、私限りでは何ともお答えができませんけれども、とにかく安全でなければならぬということは議論の余地がないところでございまして、どちらがプラスになるかをよく検討いたしまして、安全になるような措置をとらなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
#26
○岡委員 やはりこれは将来の問題として十分に――何も私とも責任を追及するという意味で申し上げておるのではないので、やはり航空宇宙技術研究所としては航空機の安全ということに重点を置いて、そしてせっかく新型の飛行機の研究開発に向かって努力しておられる、ここにはたくさんの専門家がおるわけで、わずか三名の人が現地に行ったぐらいで日本の具体的な諸条件と合致した安全性の確認というものが得られるのかどうか、そういう点は、やはり今後の行政のあり方として私は十分に考慮する価値があると思うので、ぜひひとつこの点をお考え願いたいと思う。
 それから今回の相次ぐ事故対策について、一体国としての一貫した体制ができておるのか。私はさきにも申しましたように、この事故の原因の究明については、やはり将来の国際的な航空機と航空の安全のための最も主要なデータを提供するのだという勇気と自信を持って日本は取り組むべきだと思う。かつて航空機の事故があったときに、いま日本で設けられておる若干の航空に関する審議会が一体となって事故究明に取っ組んだことがあったように私は記憶しておるのですが、一体あのときの事例はどういう状態だったのか、そしてそれはその後どうなったのか、この点の経過をひとつ、研究調整局長ぐらいは知っておられるのじゃないかと思うので、御報告願います。
#27
○高橋(正)政府委員 お示しの航空安全対策に関します施策につきまして、去る昭和三十三年十一月十四日、これは岡先生御指摘のとおり、航空審議会とその他の二つの審議会の三者におきまして安全対策懇談会というものを構成いたしまして、各般にわたります安全対策につきまして審議、御答申をいただいたわけでございますが、その中で航空技術審議会の関連いたしました部分は、航空安全の研究に関する事項というところでございます。
 この内容につきましては、簡単に申し上げますと、たとえば航空安全の問題は航空技術に関しますところの研究の全般を振興させるということがもちろんすべてでございますけれども、その中でも特に当時問題といたしまして今後研究開発をすべしといたしましたものは、航空安全に関しますところの試験機関の拡充強化、事故調査、事故防止、事故試験、乗務員などの適性及び現用機に関する試験を徹底的にするために必要な試験機関を設けること、次に先ほど佐貫先生からもお話のございました従来の事故の関係の資料を収集、分析いたしまして、同種の事故の再発の防止につとめるための分析センターというようなものをつくる必要があるであろうということ、それから長年月使用いたしました飛行機に対しまして、飛行試験によりますところの安全性でございますとか、構造強度試験等を行なうということ、それから飛行試験の強化からいたしまして、航空機あるいは原動機その他の機器等につきまして飛行試験によってその評価を十分に行なうということ、それから特に強化を要します研究部門といたしましては、航空電子機器部門、航空機器部門、航空気象部門、航空医学、心理学的部門、このような各研究部門につきましてそれぞれ機構なり研究内容を充実するということ、それから先ほどお話のございましたように、日本の地形あるいは気象等、あるいはパイロットの心理、体格、あるいは慣習というようなことが外国と違っておりますので、このためにそのような要件に合うところの国産機を試作開発するということ、最後に重要研究課題といたしまして、空気力学、機体設計、原動機、航空機器、航空電子機器、航空気象関係、航空医学、心理学関係、これらにつきまして、それぞれ九項目程度の研究課題を指摘いたしまして、これらの研究を進めるべく御示唆をいただいております。
 これらの安全に関します諸施策は、従来航空宇宙技術研究所が中心になりまして、そのほか運輸省の船舶技研あるいは防衛技術研究本部等で行なわれておるものでございます。
 御指摘のとおり、これは松浦先生からなお詳細に御説明いただくと思いますけれども、航技研におきましては、三十一年から第一次の六カ年計画、それから三十七年から第二次の五カ年計画をやりまして、先ほど申し上げました問題につきましての研究施設等の整備に当たってまいったわけでございます。たとえば飛行実験部におきましての実用飛行機によりますところの安定の操縦性の問題でございますとか、あるいは突風の加重の問題や翼の結氷等の問題につき、ましても従来研究を進められております。あるいは機体部におきましても実機の強度の試験装置を整備いたしまして、これはYS11等の国産機の完成に寄与する実験が行なわれました。さらに計測部におきましては、先ほどお話がございましたような人間工学的な研究等を進めますために、シミュレーターの試験装置等の整備によりまして研究を進めておられます。そのほか、原動機や空気力学的な研究につきましても逐次研究設備を整備しつつある状態でございます。
 それから、運輸省の船舶技研につきましては、航空管制方式、あるいは飛行機に搭載いたしますところの電子航法機器、その他の電子機器につきまして、電子航法部におきまして評価試験を行なっております。
 さらに気象研におきましては、滑走路やあるいは高層気象等の観測機器の開発研究をいたしております。
 以上が大要でございます。
#28
○岡委員 いまいろいろ御説明があった、要するに機体の安定の問題、あるいは風圧に対する抵抗性の問題、あるいはまた人間工学的な問題について、いわば年次計画的に進めて結論を出すという方向に動いておると思います。これと今度の事故調査の原因の究明というものは私は不可分な問題であると思うが、今日までのそれらの努力の成果というものが、現実に今度の事故調査において生かされておるのかどうか。いわば三審議会が昭和三十三年に設けられた、三者合体の安全性に関する懇談会の今日までに運営され、そしてまた努力をされてこられた結論というようなものが、今度の事故調査においては有機的にそれが生かされておるのかどうか。この点率直に木村教授から承りたい。
#29
○木村参考人 私がただいま関係しておりますのは全日空の事故でございますが、実は全日空の事故につきましては現在まだ予備調査、たとえば機体の残骸を調べまして、墜落する原因として、機体がどこか悪いところがあったんじゃないか、あるいはエンジンがどうかなっていたんじゃないかというような、つまり飛行機の機材が故障したための原因があったんではないかということを一つ調べておりますのと、それからもう一つは、各計器がたくさんついております。速度計とか高度計とかいろいろついておりますが、それを一つ一つ分解してみまして、たとえば速度計が百五十ノットでとまっていたといたしますと、これは、飛行機が海面にぶつかったときに百五十ノットであったのか、あるいはその後何かの原因で針が動いたのかというようなことは一々計器を分解して、きずあとその他を調べてみませんとわからないわけでございます。現在はそういう現物につきまして一つ一つこまかい調査をしております。また同時に、先ほどもちょっと申し上げましたが、いろいろ理論的な計算をしている段階でございます。そういうような調査がだんだん進んでまいりまして、どうもこういう実験が必要があるというようなことが出てまいりますと、そのとき初めて、いま整備されているような研究機関、たとえば航空宇宙技術研究所というようなところでこういう実験をしてほしい。たとえば飛行機が水につくときに、ある姿勢で水につきますと、あとどんなふうなかっこうになるか、たとえばこうおりてきて、このままジャンプするのか、あるいは片方へ傾くのかというような着水時の状態を調べる、これはディッチングテストと言っておりますが、もしそういうような必要が起こりますと、やはりただいまお話がありましたような研究機関に頼んで研究してもらう。あるいはまた、かりに機体のどこかにどうも空中でこわれたのではないかと思われる場所があったとしますと、その部分につきまして、またこまかい強度あるいは疲労試験をしなければならなくなりますが、そういうときには、またいまお話しのような研究機関で研究してもらうということになるわけでございます。したがって、現在の段階では、まだ現物についてこまかい調査をしている段階でございまして、その中から、ただいまお話しのような研究機関に実験なり研究をしてもらう問題があるかどうかということは、これから決定されるわけでございます。したがって、現在の段階では、まだ各研究機関に何か特別な調査をお願いしているという段階ではございません。
#30
○岡委員 私は今度の三回の事故の原因の究明調査について、国として一本のまとまった体系のもとになされているというようには――いるには違いないのだけれども、どうも私どもとすれば緊密な有機的な体系というものができ上がっていないような感じがしてしようがない。かつては三審議会が一本になって、事故に基づいて安全性に関する懇談会というようなものもやっておると聞いておるので、それらの作業というものがその後の航空行政の上に生かされているか生かされていないかということになると、どうもたな上げになっているような感じがしてしようがない。そこで、外国機が墜落等の事故を起こした場合における調査権は日本にあるという話を聞いておるのであるが、航空局としてはいまどういう調査体制を持ち、国内にはそういう体制というものがすぐできるような状態に現実にあるのかどうか。その点具体的にひとつお示しを願いたい。
#31
○松本説明員 お答えいたします。
 外国機といたしましてカナダ太平洋航空機の事故、それから英国海外航空、BOACの事故につきまして、事故調査の関係を御報告いたします。
 航空機の事故が起きました場合は、航空法によりまして、運輸大臣が遅滞なくその原因について調査をしなければならないことになっておりますが、外国航空機の事故につきましては、国際民間航空条約、これは日本も加盟しておりますが、この二十六条に「締約国の航空機が他の締約国の領域で事故を起した場合において、その事故が死亡若しくは重傷を伴うとき、又は航空機若しくは航空施設の重大な技術的欠陥を示すときは、その事故が起った国は、自国の法令の許す限り国際民間航空機関の勧告する手続に従って、事故の事情の調査を行うものとする。」という条約の規定がございます。これに従いまして今回のBOACとCPALの事故につきましてはわが国が事故調査の責任を持ってやっておるわけでございます。
 体制といたしましては、事故が起きました直後、東大の名誉教授の守谷先生を団長といたしまして、団員十三名の事故調査団を編成いたしまして、もっぱらそこで事故の調査をやっていただいておる段階でございます。その中には、団員の方といたしましては、ここにいらっしゃる航空宇宙技術研究所長の松浦先生も入っておられます。防衛庁の方も入っておられます。日本の各行政機関及び民間の各業界の学識経験者の方をお願いしたわけでございます。したがいまして、先ほどお話しの研究施設の利用という点につきましても、たとえば先ほど木村先生から全日空の事故につきましてお話がございましたが、今後たとえばBOACのボーイング707をある部分復元するという問題が起きますれば、これは当然ある程度日本の学識経験者の方々、たとえば航空宇宙技術研究所の先生方の知識もお借りしなければならぬと思います。その点は松浦先生もおそらく御了承になっておることではないかと思いますが、そのようなことで、またたとえば材料の問題が起きますれば、科学技術庁の金属材料技術研究所にお願いする、そういうような措置を講ずるつもりでございます。
 それから、これはいまの問題とちょっとはずれますが、先ほど先生から御質問、御意見ございまして、補足説明さしていただきますと、航空機に耐空証明を出したばかりで、あとは日本に持ってきた場合には、いろいろ気象条件なり飛行場も違うのに画一的な証明ではどうかというような御質問に対しまして、いまやっております状況を御報告いたしますと、運送事業者は飛行機を国内に飛ばします場合には、たとえば全日空の場合でございますが、必ず運航規程と整備規程というものをつくりまして、これを大臣の認可を得て使うわけでございますが、その中に詳細に、運航規程の場合は、運航関係のパイロットの勤務時間とか、それからたとえばある飛行場のその場合のおり方とか、そういうこともこまかく規定しておりまして、その飛行機の性能で十分離着陸できるようにというようなことも、こまかく規定しております。整備の面も、整備関係、特に一機一機のその型式の飛行機につきまして規定しておるというような状況でありますので、あわせて御報告いたします。
#32
○岡委員 事故調査について新聞紙の解説を見ると、専門的な識見を持って事故調査にたえ得る人は航空局には一人しかいないなんということを書いてある新聞がある。それは少し極論かと思いますけれども、しかし日本の現状においては、なかなかそう専門家をつくり得るものでもないということは私はわかる。であるから、各大学なりまたそれぞれの関係研究所なりの最高の頭脳を集めて、そうしてこの問題と真剣に取っ組むような、そういう考え方をもっと具体的にお進めになるべきが至当かと思いますので、この点強く希望として申し上げておきたいと思います。
 それと、今度の三回の事故を見ると、みんな有視界飛行で事故を起こしておる。しかも岸田先生のお話であると、人間にはやはりミスというものがないものではない。実際おそらくわれわれの感覚、視覚というようなものも、なれというものが瞬間の空白を起こすということは、生理現象として生理学的に認められておる。であるから、機械の一部分としての人間の存在というものについては、非常な不信が実はあるわけです。
 そこで、先ほどの全日空727型の場合には、着陸寸前十六秒ほどの間に、いろいろコントロールタワーとの間の交信等もあって、その間の時間的なズレがあるいは異常な沈下あるいは降下を誘い入れたということも想像し得ないものでもないように私は思う。また、カナダパシフィック航空のDC8型にいたしましても、やはりもう着陸寸前になってから、コントロールタワーではミニマム、もっと高度を水平にということで、オーバーアップというか、そういうサインを送っておる。その直後にもうレーダーには火柱が映ったというような状態、こういうところに、やはり人間工学とはいいながら、人間の感覚というものの持つ生理的な、一つの異常ではない当然生理的な問題があるわけです。こういうことを考えますと、私はもっと進入着陸に関するいわゆるオートメ化というようなものが当然問題になってきはしないかと思うのです。たまたま今度の飛行機の事故とほとんど前後して、あるときには月に軟着陸をしておるルナ9号がある。かと思えば金星3号が金星に到達をする。その一日か二日あとにあるいは同日に、日本の空を飛んでおる飛行機が落ちて、そして三百二十一人かの人間が死んでおる。おそらく金星3号なりあるいはルナ9号というものは、それこそ何千何方の小さな回路を持った人工頭脳だと私は思う。これらが、しかも驚異すべき長距離を飛しょうし、その間やはり遠隔操縦もやり、また自動制御もやりながら、金星に月にみごとに軟着陸をし、またぶち当たっておるとき、一体地上における航空機が、こういうような人間の感覚にたよって、そしてその結果として大きな事故を起こしておるということは、私は近代科学の一つの大きな矛盾ではないかと思う。この点、木村先生いかがなものなんでしょうか。この進入着陸における自動化というようなものについて、私は科学的に不可能ではないというような気持ちがいたしまするが、いかがなものでございましょうか。
#33
○木村参考人 ただいまの御説のとおりでございまして、やはり理想的な姿は完全な自動化ということでございまして、現在すでに実験的には自動化ということをやっておりまして、私どもも、二、三年前でございますが、イギリスに参りまして、完全に自動的に、つまり操縦者が手を触れないで滑走路に着陸するという飛行機に乗せてもらいましたけれども、実験的にはすでにそこまで進んでいるわけでございます。したがって、ぜひこれを定期航空にも使えるようにだんだん開発していく必要がある、またこれが事故を減らす一番手っとり早い手段であると私も信じている次第でございます。
 なお、自動着陸につきましては、きょうおいでの佐貫教授が専門家でいらっしゃいますので、補足的に説明をしていただきますと好都合かと思います。
#34
○岡委員 佐貫先生、お願いいたします。
#35
○佐貫参考人 ただいま木村教授から御説明がありましたとおり、英国におきましては、戦後間もなく、目的は軍用の輸送機の全天候着陸なんでございますけれども、それを開発して現在に至っておりまして、木村教授が御自分でお乗りなさったのはその民間版でございます。その民間版も現在は大体英国としては体系が整って、実用試験の回数の積み重ねをやっておる状態でございます。これが英国の方法でありまして、アメリカでは、軍用ははっきりはわかりませんが、民間用にはやはり英国と同じような線に沿いまして自動着陸というものを開発いたしておりまして、これもやはり経験の積み重ねを行ないまして、あと実現は時間の問題と思いますけれども、これは実は航空局なんぞから説明してもらったほうがよろしいと思いますけれども、全世界的にどの方式をとるか、いまのところ、たとえば英国式をとるか米国式をとるかというようなことは、いろいろな国の利害、会社の利害得失なんぞに関係しまして――しかし航空機は国境を越えて各国へ飛ぶものですから、いろいろな方式がある。飛行機だけで済めばいいのですけれども、これは飛行場の管制官の受け入れ態勢、それから場合によってはある程度飛行場の施設にも関係しますので、これを全世界統一して各国が使おうということには、まだかなりの問題があるわけでございます。
 もう一つ、こまかいことはなお航空局からでも、いつになったらできるだろうかというようなことは話してもらうことにしまして、いまの、三十八万キロのかなたにソ連の月ロケットが軟着陸をし、私も何かに書きましたとおり、目と鼻の先の羽田の国際空港には軟着陸がなぜできなかったかという、たいへんな問題でございます。これは私があまり断言的なことを申しますといろいろ差しさわりがありましょうけれども、一つは、片一方はわずかの人工衛星、年に何回というような計画に対して、国の頭と金をかけておるわけであります。それで、ソ連のものもアメリカのものも成功率はかなり高い。しかもその要求はけた違いなんです、距離からしても精度からしても。そういうものは要するに金のかけ方と頭の使い方が違うということで、これはちょっと誤解を招くとあれですけれども、これを航空輸送のほうに持ってきますと、おっしゃるとおり、技術はできるのです。三十八万キロに軟着陸ができるならば、羽田の国際空港へ軟着陸させることは可能なんです。それではなぜいまのルナ・ロケットと同じようなものを現在の航空機に使えないかという点は、これは商業航空でありますし――しかし商業航空だから人命のことを考慮せぬでもいいかということではなくて商業航空ですと、会社なりが払い得る資力には限りがありますので、やはりある程度、極言すれば絶対の航空安全のためには、国も十分な援助をしていただけば、技術はそこにあるということを申し上げて、お答えになったかどうか存じませんが……。
#36
○岡委員 このジェット機の用いられ方と申しますか、普及というものを見ると、一九六四年IAT加盟の各社の旅客機三千百六十一機のうち、プロペラ機は千六百十八機、残りはターボプロップも含めてジェット、そして、また一九七〇年代になると、英仏が共同で開発をするコンコードがいよいよ実用化されることになります。日本航空も二機か三機すでに発注したとか、しようとしている。これは音速の二・七倍ということであります。またアメリカのほうでもやはりマッハ三と伝えられているようなものを開発をし、実用化の時代に入る。人類の科学の進歩というものがいわば音速にいどんでおる。これにうちかとうとしておるという姿がこういう中に見える。ところがそうなればなるほど、一番貴重な人命の安全というものが考えられなければならない。そうなってくれば、やはりそこにいま申し上げたような自動的な安全な進入着陸というものがくふうされてくることは、私は科学の裏づけとして当然考えられなければならないと思います。同時に、これは単にイギリスがやった、あるいはアメリカがやった、ソビエトがやったという問題じゃなくて、むしろ国際的な協力の上に立って、こういうテーマがすぐれた各国の学者の方々の協力によって解決されていく、そしてそれがまた成功裏に完成されていく、こういう方向に進むべきものであるし、また今回の三回の墜落事故を経験した日本としても、いち早くこういう問題については科学的にも取組み、政策的にも国際的な協力を推進するというような態度があるべきではないかと私は思う。こういう点についていろいろ国の事情によっても異なるというようなお話もございますが、これは国境を越えた問題です。こういうような方向に進むべきものと私は思いますが、岸田さん、いかがに思われましょうか。
#37
○岸田参考人 私が特にそれに何かお答えするような力は持ち合わせていないのですが、日本もできることがありますし、それから、よその国はよその国なりにもつとたくさんの金を使ってやっておるところがあると思いますが、飛行機だけでなくて、あらゆる科学技術の分野、それぞれのところでやっているものを、できるだけ中に取り入れていくというふうなことはいつでも考えていいことなんじゃないかと思っておるわけです。
 いまの岡先生のお話に直接答えることにはならないのですが、この前の宇宙船のジェミ二八号の事故の際のことを思い出してみますと、あのジェミ二八号の場合は、ジェミ二八号の中がどうなっているかというふうなことは、実は中の操縦士が知っているだけではありませんでして、地上の管制センターにも絶えずあらゆる計器の示している示度、また宇宙飛行士の生理的状態、一体脈搏がどれくらい打っているかというふうなことについても、自動的に地上に送信してくるものですから、そういったことを全部地上で知っているわけです。そういうふうに地上で知っているものですから、地上でも、これからの飛行をどうするかという対策ができますし、それから宇宙船に乗っている人たちもまた同時に考えるというふうな体制ができているわけであります。
 そこで、それはもちろん非常にたくさんの金を使っているからそれができているわけですが、それが旅客機の場合に何か取り入れられないかというふうなことは当然考えていいんじゃないかと思います。その場合、お金が非常にかかるということは確かにあるので、金をかければできるのだということはあるのですが、金をかけているのかかけていないのかということではなくて、現にそういう技術がそこにあるということのほうが実は大事なんでして、そういう技術がそこにあるということのほうを重視して、その中で一体経済的にどれだけのものが取り入れられるのか、それによって飛行機の安全の問題がどれだけ進歩させられるかというふうに考えていくほうが実りのある行き方だと思いますので、そういった考え方は、アメリカはもちろんアメリカの中でやるのでしょうが、日本の場合でも、そういったことを参考にしながら考えていくことは重要だと思います。飛行機の場合は、実際に飛行場に着く場合なんかでも、飛行機の進路などについては、空港はもちろん知っているわけですが、お互いの間のフィードバックの関係といいますか、それがいまは完成した状態ではないわけです。空港のほうから何か言いましてもそれに答える義務はないというようなことがあるわけでして、必ずしもフィードバック回路が全部完成しているということはない。そういうことがあるものですから、一体事故の最後の状態はどうであったかというふうなことは、あとでこわれた機体を全部集めてみて調べないとわからないようになっているわけですが、もしいま言った宇宙船にあるような設備の幾分かがありますと、何もこわれた機体を集めてみなくても、最後の飛行状態がわかるというふうなことはあり得るわけでして、そういうことは当然考えていい。
 それから、フィードバックといいますか、人間のミスのお話、岡先生のお話に答えることにならないのですけれども、人間のミスの話を先ほどちょっとしたのですが、どんなに自動的な装置がたくさんできましても、やはり人間が中に入るという状態は、旅客機の場合は永久になくならないと私は思います。したがって、人間がミスをするということはなくならないと思うのですが、そういう場合に、その人間のミスに対して警告を与えるといいますか、それを修正するような方式というものも考えられていいはずなんでして、そういうことは現に宇宙船ではやっているわけです。ですから、ほかの分野でやっていることからもし学べるものは学びとっていくということは、この旅客機の問題を考えるときには絶えずやっていかなければならないのじゃないか。それは国と国との関係ももちろんありますが、技術分野別の協力というものも当然考えていかなければならないことだと思っております。
#38
○岡委員 自動的な進入着陸に関する安全なコントロールというような問題はやはり航空宇宙技術研究所でも研究しておられるのではないかと思いますし、いまお話を聞けば、大学等においてはその技術はすでにある程度まで開発が進められておるというようなお話も聞かれますが、航空宇宙技術研究所としても今後大きく取り上げられて、そうして一つのいわばプロジェクトとして、これについてはそれぞれの専門的な権威を集めて、もちろん各国の発展した技術というものを十分学びつつ、日本としても独自に開発を進めていく必要があろうと私は思う。こういう点について大臣はどうお考えですか。
#39
○上原国務大臣 実は先般、木村教授に会長をしていただいておりまする航空技術審議会に航空機の安全ということにつきまして諮問をいたして御検討をいただいておるわけでございます。そうしてもちろん私どもの航空宇宙技術研究所もこれに参加をいたしまして御検討いただいておるわけでございまして、なるべく早く結論を出していただいて、その実現にとりかかりたい、かように考えておる次第でございます。
#40
○岡委員 ぜひひとつ、これはその方向で積極的な御配慮を願いたい。
 それから、申し上げれば際限もないことでございますし、時間もないことでございますから、ひとつ要約してお尋ねしたいと思います。
 もちろん岸田さんのおっしゃるように、私は、人間は機械によって駆逐されてはならないと思います。であるから、かりに安全な進入着陸の自動装置にしましても、人間がつくったものである。そしてまた、それは無人なものであるべきではない。機械であるから、それこそどういう致命的な故障を起こすかもしれないから、人間は絶えずやはり最高の責任あるコントロールの地位にとどまらなければならないことは当然です。しかしながら、それはそうといたしまして、問題は当面の応急の対策といたしまして、いわば操縦士と申しますか、飛行機の操縦のタレントをもう少し力こぶを入れて養成をしていく、そしてよき操縦士たり得るような訓練をもっともっと積極的にしていく必要が今後は日本にあるわけなんです。そういう点について航空局あるいは運輸省としてどういう対策を持っておられますか。また現状はどうでございますか。
#41
○松本説明員 御報告いたします。
 乗員養成の現状につきましては、大体いま定期運送航空会社におきましては年間百十名から百二十名くらいの操縦士が、これは路線の機械の拡充、それから交代等で必要なわけでございます。この養成の方針といたしましては、宮崎に運輸省の航空大学校がございまして、そこで毎年三十名ほど養成いたしております。それから防衛庁と数年前に協定いたしまして、防衛庁に委託養成をお願いしております。それが平均毎年約四十名でございます。残りの操縦士を各社が自家養成しているというような段階でございまして、航空局といたしましては、この乗員養成につきましてはもっと拡充をいたしまして、それと現在の航空大学校を強化し、もう少し高度のものにしたい、かように考えております。この航空大学校の内容の充実につきましては、いままでは課程としては二年課程でございまして、一年が単発で、次の一年間が双発のビーチという飛行機であります。数年前ですとダグラスDC3型なり、あの辺の数が相当多く使われたのでございますが、いまはすでにYSが国内のローカル線の主力ということになっておりますので、本年度予算を要求いたしまして、YS二機をお願いいたしまして、目下審議中でございます。これは四十三年、再来年の四月から使いまして、ことし入りました入学生からYS課程が半年間追加になりまして、四十三年の四月からは二年半という教育課程になります。したがいまして、航空大学校を出ました卒業生はすぐ民間に入りまして、YSのコパイロットになれるというような状況でございます。大体飛行時間は二百二十時間平均でございまして、学科は千二百六十時間くらい学科をやっております。今度YSが入りましてさらに五十時間程度の時間が追加になりまして、航空大学校におきましては二百七十五時間の飛行時間というようになるはずでございます。
#42
○岡委員 外国ではパイロットの養成に対して国としてずいぶん予算的に援助しているという話を聞いているのですが、日本の現状と外国のそれとをこの際御説明願いたい。
#43
○松本説明員 外国によりましてもいろいろございまして、たとえばアメリカの例をとりますと、アメリカは御承知のように軍というパイロットの大きな供給源がございます。そんな関係もございましてか、国立で養成しますとすると、アメリカの連邦航空庁が施設を持つわけでありますが、ここではパイロットの自家養成をする施設を持っております。しかしアメリカは、御承知のように各地に非常にたくさん民間の飛行学校がございまして、ここを卒業して入ってくる、それと軍のほうからも入ってくるというような実情でございます。国立の飛行学校を持っているのは、私の承知しているところではオランダがわりあいに完備した国立の操縦士の養成機関を持っておると聞いております。
#44
○岡委員 私の手元に来ておる資料を見ると、乗員の養成、特に一人前の機長に仕上げるということのためには、国としても相当この訓練について補助的なことを講じておるようです。もちろん金額は各国によって違いますが、少なくとも日本のそれはほとんど問題にならないというように私は思う。総額として三億五千万ですか、こういうような数字を使っております。これでは一人当たり一体どのくらいになるのかわからないが、こういう点やはり乗員養成に対しては国はもっと力を入れられなければならぬと思うのですが、日本としてはどういうことになっておりますか。
#45
○松本説明員 一例をあげまして御説明いたしますと、日本航空におきましてはジェット機の機長になりますには五年以上の経験、五千時間以上の飛行時間を持った者というような一応社内の基準をきめまして、このうちからジェット機の機長をやらしておるわけでございます。いまの航空大学校二百二十時間を卒業いたしまして、そこで事業用操縦士と計器証明を取って卒業するわけでございますが、それから日本航空に入りまして、機長になりますには、先ほど申し上げましたような時間でございますが、たとえばDC8のコパイロット、したがいましてDC8の操縦ができる資格でございますが、これを取りますには、大体金額にしまして平均二千七百万円、期間にしまして平均三十二カ月ぐらいが必要ということになっております。
#46
○岡委員 それに対して国が援助をしておられるか、おられないかという点です。
#47
○松本説明員 日本航空に対しましては、本年度の予算で乗員養成としまして三億五千万円補助金を交付いたしております。明年度はいろいろ日本航空の経理の内容等によって明年度予算としましては計上しておりません。本年度までは大体例年数億の乗員訓練補助費を交付しておったという状況でございます。
#48
○岡委員 私どもの手元では、日本航空の場合は、いま御説明のような形で五千時間で機長の資格になるというので大体その費用も一応ここに出ておるが、それに比べて国としては全額三億五千万円の補助しかしなかった。この場合、他の国、スイス、イギリス、フランス、ドイツあたりは一人当たり百万オーダーの補助を与えております。こういう数字が出ております。スイスのごときは一千万オーダーの補助でございます。こういうように、やはり人間が航空の安全のためには最も重要なファクターであるという観点から、乗員に対する養成、訓練に対しては国が非常な努力をしておる。またその勤務時間等を私が調査してみました場合に、よく日本へ来るパンアメリカンあるいはアメリカ国内におけるユナイテッド・エアラインズ等のいわば主操縦士あるいは機長の勤務時間というものと日本のそれとでは格段の違いがあるのではないかという感じがする。こういう点についての、やはり操縦に携わる諸君の訓練、養成並びにその諸君が安全に航空機を操縦し得るような生活環境というか、生活条件というふうなものを与えるような方向で国としてはもう少しこの問題に対して積極的な努力をすべきだと思います。この点はいずれまた大臣等が来られたら私どもから十分お願いを申し上げたい。
 そういうことで、いろいろ皆さんから貴重な御意見を承りましたが、こうして時間ももう過ぎましたので、私は一応質問はやめたいと思います。ただ、私ども特にこの機会に重ねて羽田の管制塔の問題だけ一点質問しておきたいのですが、今度何か運輸省のほうでも新しい計画を実施されるということになったように聞きます。大体どういうような計画に発展しているわけでございますか。
#49
○松本説明員 先生の御質問の趣旨がよくわからないのでございますが、先ほど御質問がございましたように、計器飛行を有視界飛行に切りかえるというような場合、たとえばこういうことをやりますにも相当な管制の施設――レーダーの施設とか、それから管制官の増員、養成ということが必要になってくるわけでございます。私たちとしましては、羽田の施設の充実、そういう面につきましてさらに予算も定員もお願いいたしましてやっていきたいと考えております。
#50
○岡委員 私が申し上げているのは大体同趣旨だと思うのですが、新聞紙の報道によると、航空管制の全オートメ化のための改良計画を進める、こういうことになって、大体おもだった項目は、全航空路の飛行機のレーダーの追及をやるとか、あるいは管制の全面的なオートメ化をはかる、空港周辺の有視界飛行機に対するレーダー監視網を十分にする、こういうようなことを原則とした新しい航空管制の改良計画を進めようとしておられる。これが四十二年度で完成というふうに新聞には伝えられております。これでいいのかどうか私は専門家でないからわかりませんけれども、ぜひひとつそういう点は十分に積極的に予算措置を講じ、また実際に指導養成しながら遺憾なきを期していただきたいということを強くお願いしておきます。
 ただ最後に繰り返し申しますが、木村先生にも、また佐貫教授にも、もちろん上原長官はやはり一つの大きな責任ある立場にもおられますし、また松浦所長にもお願いしておきたいのだが、ぜひ今度のこの事故調査、そうして原因の究明につきましては、りっぱな科学的な公正な結論をひとつ急がないで出していただきたい。コメット機のマルタ島の遭難では、金属の疲労という結論を出すまでに四年間かかっておると聞いております。急ぐ必要はないと思いますけれども、しかしよき体制をつくって、各専門家なり権威者なり、また国の機関なりが密接な有機的な協力体制をつくって、そうしてりっぱな原因究明の結果の報告をつくっていただきたい。それがまた日本の航空機事業の開発のためにも役立つように、同時にまた、日本の航空機等に関連する科学的な水準の高さを十分に示し得るようなよき生きた勉強として、この機会を十分に活用していただくことが、おそらくなくなられたたくさんの方々に対する大きなつとめではないかと私は思うのです。この点特に重ねてお願いをして私の質問を終わります。
#51
○松本説明員 岡先生からお話がございました自動化のことでございますが、これは四十年、四十一年、四十二年の三カ年間で航空路管制の自動化をはかっていきたいということで今年度から発足いたしております。これは先生、タワーとおっしゃいましたけれども、航空路で、東久留米で航空路管制をやっております。そこの自動化でございます。それから先生の御指摘でございましたタワーのほうの自動化でございますが、これはさらに航空路管制の自動化が終わりましたら、引き続きまして今度は主要な空港のタワーの自動化にかかる予定でございます。
#52
○田中(武)委員長代理 以上で質疑は終わりました。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためにたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる四月七日木曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会をいたします。
   午後零時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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