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1965/04/21 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第18号
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1965/04/21 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第18号

#1
第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第18号
昭和四十一年四月二十一日(木曜日)
   午前十一時三分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 岡  良一君
   理事 纐纈 彌三君 理事 中曽根康弘君
   理事 西村 英一君 理事 前田 正男君
   理事 田中 武夫君
      秋田 大助君    大泉 寛三君
      加藤 高藏君   小宮山重四郎君
      三木 喜夫君   米内山義一郎君
      内海  清君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 中村 梅吉君
        国 務 大 臣 上原 正吉君
 出席政府委員
        内閣官房長官 橋本登美三郎君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   小林 貞雄君
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局長)    梅澤 邦臣君
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      杉江  清君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(科学技術の基本
 問題)
     ――――◇―――――
#2
○岡委員長代理 これより会議を開きます。
 本日は、委員長所用のためお見えになりませんので、委員長の指定により私が委員長の職務を行ないます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 科学技術の基本問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
#3
○田中(武)委員 まず最初に、科学技術庁長官にお伺いいたします。
 長官は、本国会の当初にあたりまして当委員会において科学技術振興に関する所信の表明をなされたときに、科学技術基本法を提出し、それに基づいて云々というごあいさつをしておられます。ところが、今日聞くところによると、政府内部か与党内部かにいろいろ問題があって科学技術基本法が出されないという状態にある。そこで科学技術庁長官とすれば、当委員会においてそういうごあいさつをなさり所信を表明せられたわけなんですから、この科学技術基本法の国会提出に関していまも同じ気持ちを持っておられるのか。もしそうでないとするならば、どこでそういうふうに気持ちが変わったのか、少なくとも当委員会において本国会の冒頭に所信を述べて約束せられた、こういうように受け取っておりますが、いかがでございますか。
#4
○上原国務大臣 仰せのように、この国会の劈頭におきまして、この国会に科学技術基本法は提案したい、こう申し述べたわけであります。そうしてそれにのっとりまして熱心に努力を傾けてまいりましたが、九分通り進捗をしておりながら、最後のところでまだ法案をまとめて国会に提出するまでの運びに至っていない、こういうことでございまして、たいへん心持ちは急いでおりますのですが、最初のお約束が実施できませんことをたいへん残念に思って苦慮を続けております。また努力も続けております。
#5
○田中(武)委員 中村文部大臣にお伺いします。
 科学技術庁長官は、いまお聞きのとおり、当委員会に本国会当初その決意を明らかにして、いま言っているように基本法案を提出するために苦慮し努力を続けておる。だがなかなか思うようにいかない、そうするとどうやら文部省の側にその理由があるかのごとく伺っておるのですが、文部省は科学技術基本法に対してどう考えておられるのですか。
#6
○中村(梅)国務大臣 ただいま上原長官が申されたように、私どもも科学技術基本法はぜひ取りまとめをして提案の運びにいたしたい、かように考えておる、その点においては一致いたしておるのでございます。
 ただこの難航しております実情を率直に申しますと、二つほどございまして、一つは科学技術会議が小委員会をつくりまして、茅さんが小委員長として取りまとめをされた案の中では、今度法律でできる事務局は専属のものにしてもらいたいということがありまして、その一項について非常に強調をされております。この点は私どもも実は同感なんでありまして、文部省の所管をしております人文社会科学等も入っていくということになれば、新しくできる機関の科学技術会議の事務局は専属の機関であることが望ましいというように考えております。この点が若干調整がつかないでおる問題点の一つでございます。
 もう一つは、与党の内部におきましても、一体この科学技術基本法の中に人文社会科学まで入れるべきかどうかについては疑問がある、たとえばあの法案の中に基本計画というような章があるようでありますが、自然科学には基本計画というものは成り立つけれども、人文社会科学にはなかなか基本計画というものはそぐわないのではないか、それを一まとめにして基本計画というものの考え方で、一体これは一緒でいいのかどうかという議論があるわけであります。私どもとしましては、茅さんが小委員長になったところで、人文科学も含めるべきである、含めることになった、調和をとっていく上において含めたほうがいいのだ、こういう御報告がありまして、了承した形になっておりますから、文部省としてはこれについては何ら異存を持っておるわけではありませんが、やはり政府として法案をまとめ上げる上におきましては与党内の意見も調整しなければなりません。そういう意見が与党内にもございます。さような点で難航しておる。したがって、この法案の所管をされております科学技術庁長官としては、いまお話しのとおり気持ちはそういう気持ちに変わりはないが、非常に苦慮しておられるというのはお察しができるわけで、私どもも何とか調整をしてまとめ上げたいという気持ちであることは変わりがないわけであります。
#7
○田中(武)委員 いま文部大臣の御答弁によると、大体問題点が二点ある。その第一点は事務局を専属にする。それは賛成である。その点でなおまだ話が一致していないということは、その事務局を、ずばり言えば、科学技術庁に置くのか文部省に置くのか、こういうことなんですか。そうするならば、これは政府部内というか、役人相互間のいわば権力争いといいますか、なわ張り争いとでもいいますか、そういう受け取り方をするんですが、そうなんですか。
#8
○中村(梅)国務大臣 文部省に置くというような考えは毛頭ございません。問題は、前の科学技術会議で出た結論の考え方からしますと、非常に範囲が広いので、したがって科学技術庁が事務を担当するよりは、独立の機関のほうがいいだろう、こういう観点におそらく立っているのじゃないかと思うのですが、私どももその点については同感の気持ちを持っておるということでございまして、別段所管争いとか、そういうことじゃないのでございます。
#9
○田中(武)委員 そうしますと、問題は、事務局を科学技術庁内に置くのか、総理府に置くのか、こういうことですか。
#10
○中村(梅)国務大臣 科学技術会議という機関ができましたら、その科学技術会議の事務を取り扱う機関は独立の機関が望ましいというのが茅小委員長の報告であり、それが全体会議で了承されたわけでありますから、そういう趣旨に受け取っております。
#11
○田中(武)委員 その独立というのは、国家行政組織法による第三条、いわゆる行政機関という考え方の独立なのか、第八条の附属機関という考え方の独立なのか。と申しますことは、事務局を独立させる、そして科学技術会議というものが現在では国家行政組織法第八条の審議会のような性格だと私は思うのです。それを国家行政組織法の第三条の行政機関にまで上げろ、こういうことを茅答申は言っておるのですか。そういう意味なんですか。
#12
○中村(梅)国務大臣 そこらの点は、まだ煮詰まっておりませんから、私もよく理解しておりませんが、これからの煮詰めの段階の問題点だと思っております。
#13
○田中(武)委員 これは相当長い間の懸案なんですね。あとで与党内部の問題についても触れますが、まず問題の二点の一つが、事務局の独立ということですね。これをめぐって話がつかないということならば、何だが役所間になわ張り争いというか、セクト主義というか、そういうものがあるような感じを持つのです。
 そこで、現在この科学技術会議の事務局は一体どこに置いてあるのですか。科学技術庁長官のお答えが適当かと思います。
#14
○上原国務大臣 科学技術会議は、御承知のように総理大臣の諮問機関でございまして、法制上は独立したような形になっておりますけれども、その事務局は科学技術庁の中に置いてある、こういうことなのでございます。
#15
○田中(武)委員 文部大臣、文部省と科学技術庁とはちょっと違うのですね。かりにこれを総理府に置くとしても、科学技術庁も総理府の一部なんですね。それじゃ総理府の中に置くということで、たとえば文部、科学に意見の対立があるのですか。まだ省じゃないですから、庁ですから、科学技術庁も総理府の一部じゃないですか。
#16
○上原国務大臣 科学技術会議の事務につきましては、文部省とも共管になっておる、こういうふうに私、理解をしておるわけでございます。
#17
○田中(武)委員 現在は共管と言うが、これは内閣に設置せられた科学技術会議ですね。そのお世話というか、事務局は科学技術庁が担当をして文部省が協力しておる。それでは今度の答申に基づいて基本法を定めた場合、その事務局をどういうふうにしようという問題があるのですか。いま話を聞きますと、独立する、専属にする、こういうことについて科学技術庁長官も文部大臣も意見は変わらないように聞こえるんですね。一つの問題点だというのは、どういうことなんですか。具体的に問題になっているのは独立した――先ほど文部大臣は、そこまで煮詰まっていないと言うのですが、それは国家行政組織法第三条の委員会のようなかっこうで置くということなのか、八条の附属機関として置くということなのか。現在は総理府にあるけれども、その置き方は八条の置き方ですね。それを三条にまで持っていこうということで争いというか議論があるというのなら、一応理解できないことはないのですが、その問題ではなくて、置こうということでそれが問題になっているということなら、やはりなわ張り争いじゃないですか。文部大臣どうですか。
#18
○中村(梅)国務大臣 そういう趣旨ではないと私どもは思っております。茅小委員長が報告されました際に、独立の事務局ということばを使っておられたわけでありますが、その独立の事務局とはどういう意味なのか、あるいは独立とはいうが、大体内閣として総合的な調整をすべき機関としては総理府がありますから、安井総理府総務長官の担当している総理府がやってもいいという意味なのか、あるいはそうではなしに、科学技術会議に純然たる独立の事務局を置かなければいかぬというのか、そこまでは、その席上でも突き詰めた話はいたしておりませんから、私は明確ではないように思うのです。そういう取り扱いについては、関係省で十分に協議をして煮詰めていかなければならぬと思っておりますが、もう一つは、それだけ煮詰めれば万事が解決してしまうというのではなくて、人文科学、社会科学と自然科学との関係などについても、まだ相当に議論がございまして、その取りまとめには、私どもも何とかひとつ一致して意見の統一をしたらどうかという希望を持っておりますが、まだそういう大勢になっていないというのが現状でございます。特に私どもの立場としては、役所の権限争いのような意味のことは毛頭考えておらないわけでございます。
#19
○田中(武)委員 官房長官、きょうは実は総理という希望をしたところが、総理が出られないということであなたに来てもらったので、いわゆる内閣の番頭、総理のかわりに来たという立場で御答弁願いたい。
 そこで、あなたが来たときから大体お聞きのように、科学技術基本法について、上原科学技術庁長官は、本国会の冒頭、本委員会においてその提出を公約した。ところが今日に至るも出ない。それは、どうも政府部内というか役所間に、あるいは与党内部にいろいろ問題があるらしい、こういうように理解をしているので、その問題についてきょうはお伺いしたい、こういうことです。
 そこで、あなたは総理大臣ではないが、そういう意味において伺うのですが、科学技術会議設置法の第二条によると、総理大臣は諮問することになっておりますね。そこで去る三十五年の十月ですかに諮問第一号というのに答申をせられた。それに対して設置法の第三条では、その答申を尊重する。これはちょっとおかしな条文のようでして、内閣総理大臣が諮問する。そして科学技術会議の議長は内閣総理大臣。そして三十四年の十二月に諮問を受けて、三十五年の十月に第一回の答申をしておる。その後科学技術会議は部会その他を経て、いわゆる科学技術会議案というものが、茅案というものが出てきた。そういったような経過をたどっておるわけなんです。これはなるほど、諮問の当時は池田さんであり、あるいは答申を受け取った当時の総理大臣も池田さんである。だからといって佐藤内閣になったんだからおれたちは知らないとは言えないでしょう。
 まず第一番に、二条における総理大臣の地位はどんな地位なんですか、どういう地位でやって、今度は三条ではどういう地位で受けるのですか。
#20
○橋本政府委員 これは法律に書いてありますように、内閣総理大臣はいわゆる関係行政機関の主たる行政を行なう必要があると認めるときは当該事項について会議に諮問しなければならない。これは意見の相違があった場合だろうと思うのです。また、たとえば具体的の例で申せば、科学技術庁は科学技術庁としての意見があり、文部省は文部省としての意見があった場合、総理は次の各項に掲げる事項として、四項目ございますが、これらについて総理が諮問する場合があると思います。また第三条には諮問があった場合、原則としてこれを尊重する、まるまる尊重するという意味ではありますまいが、いずれにせよ政府でつくった審議会でございますからして、その審議会の答申に対しては原則的にはこれを尊重して処理をする。私は、法律的な知識は弱いほうですから、法律理論でなく、御承知のように科学技術振興、これは近代政治の根本だろうと思います。それが科学技術庁というものを発足させた原因であった。ただ、科学技術庁というものは生まれてからまだ年限が浅い。それがために従来、御承知のように、あるいは文部大臣がこれを担当したり、今回は上原国務大臣が兼任の担当の国務大臣ですが、そういう意味で近代産業の面から考えて、その他、近代化の面から考えて科学技術庁が尊重されなければならぬ。また、科学の振興が近代国家育成の基本条件である、こういうことは政府も十分認識してきたし、特別委員会が設置されましたのもその趣旨であり、皆さんからの御鞭撻を得ておるのもわれわれはたいへんに心から意を強うしておるわけです。
 そういう意味で、問題になりましたいわゆる基本法の問題ですが、数年間専門家が検討せられて昨年の十二月の一日に答申を得たわけでありますが、この答申に従って所管省であります科学技術庁では鋭意努力をして、一応の成案を得たわけでありますが、これは何と言いましても十年後を目標とするという大きな目標でありますからして、いわゆる念には念を入れよといいますか、最善の知識を集め、そうして十年間これが指標として間違いないものをつくりたいということで成案を得ようとして努力しておるのでありますが、なお、政府部内におきましても十分な調整ができておりませんために、この国会に提案する予定でありましたものがまだ提案を見ておらない。しかし、政府としては決してこれをこの国会に出すことをあきらめたわけではない。非常にむずかしい状態にあることは、御承知のように事実です。しかし、たてまえとしては、いま申しましたように科学技術が尊重されなければならないことは、これは当然近代国家の使命であり、かつまた、将来への指標として、この基本法が非常に必要であることもよく承知しております。ただ……(田中(武)委員「簡単に要点だけ」と呼ぶ)いろいろの意見のあることは御承知のことと思います。かようなことで調整に手間どっておることは相済まぬと思っておりますが、考え方は皆さんと全く同じ戸ある、こう御了承願いたいと思います。
#21
○田中(武)委員 だいぶ長く答弁をせられましたが、要は三十五年の十月に第一回の答申があった。そうして昨年末、四十年十二月にいわゆる原案として最終答申が出た。私が伺っておるのは、第二条、第三条でいう内閣総理大臣は、内閣の首班としての地位において諮問をし、答申を受けておるのだと思うのです。そうして答申をするほうは、科学技術会議の議長たる内閣総理大臣の地位において答申をしておるわけです。いわば内閣総理大臣が諮問をし、内閣総理大臣が取りまとめをして答申をし、そうして内閣総理大臣が受け取ったのです。しかも、科学技術会議には、設置法の第六条において、大蔵大臣、文部大臣、経済企画庁長官、科学技術庁長官といったような有力な閣僚メンバーが入っておるわけです。もちろん学術会議の会長とか、その他学識経験者もおられますが、このような有力なる内閣のメンバーも入って出した答申が、今度は政府内において、法律にも「尊重しなければならない」となっておる。ところが、あまり尊重せられていないような結果を招いておるのはどういうわけなんですか。
#22
○橋本政府委員 おっしゃることがよくわかりました。要するに総理大臣が議長で、その議員の中には関係各省の大臣も入っておるから、そのまま法律になってもいいのではないか、極端に言えばそういうことだろうと思うのですが、これは総理大臣が議長になりますこういう性質のもの一いわゆる各省にまたがっておるものは、各省にまたがっておりますために文部大臣が議長でもこれは片手落ちになるわけです。したがって、各省にまたがっておるために総理大臣が議長になるわけでございます。大体そういう性質でもって、あるいはそれ自体一省で行なわれるようなことであっても、それが全体に影響を与えるような場合、あるいは輸出会議のような場合、やはり総理が議長になる場合がございます。したがって、総理が議長になる場合は、二つの場合があります。各省にまたがっておるために専任大臣を必ずしも置くことができない場合がある。また実際は専任大臣で大部分片づくが、それが国際的に国内的に大きな影響を持つ場合は、総理みずからが議長になる、こういう二つの場合がありますが、この科学技術会議は、いま申しましたように、もちろん国全体にも大きな影響があると同時に、科学振興という大きな目標が一つあります。それと各省にも関連しておる。こういうことで議長の席についておるわけですが、いわゆる議長はみずからの発言によって事を処理するのではなくして、議員の御意見に従って答申が出てまいるわけであります。その答申が出てまいりましたものが、当然必要な所管庁にその答申が回されるわけでありますが、さような意味でこれは審議会それ自体が総理大臣の調整の役割りというよりは、いま申したような理由が主たるものとなって処理されていくということでありますからして、いわゆる意見の相違があった場合、法案作成の上ではなお総理が調整に当たるということになります。その点は官房長官の職責でもあると考えております。
#23
○田中(武)委員 私は何も条文だけから論議をしておるわけじゃないのですが、この科学技術会議設置法の第五条は、「議長は、内閣総理大臣をもって充てる。」第二項で「議長は、会務を総理する。」第三項で「議長に事故があるときは、あらかじめその指名する議員が、その職務を代理する。」おそらく通常の場合は第三項によって行なわれておるのだと思います。しかし、あくまでも科学技術会議の「総括」じゃなくて、これは「総理」ということばを使っておりますね。会務を総理するのは内閣総理大臣、議長たる内閣総理大臣の法によって与えられた権利であり義務であります。したがいまして、当然各議員の発言によって一応の方向が出る。議長である総理大臣がかってにきめるのじゃない、それはわかっております。しかし、いよいよ最終答申の場においては議長であり、会務を総理するところの内閣総理大臣は全然知らなかったとは言えないはずであります。そして答申をしておりながらそれが実行されないということは、何らかほかに原因があるように思うのです。一体その原因はどこにあるのか、そして内閣の番頭としてのあなたはいままでどういう努力をしてきたのか、なお今後どういう努力をし、そしてどのような見通しがあるのかをひとつ的確に、内閣の番頭たる官房長官の責任において、佐藤総理大臣にかわって答弁を求めます。
#24
○橋本政府委員 第五条はおっしゃるとおり「議長は、会務を総理する。」ということでありますからして、具体的にいえば答申案を出す出さぬまで持っていくのが――内容の問題は、いまおっしゃったように各議員の意見によってまとまるわけであります。これを一方的に処理する必要はありませんが、諮問が出された場合、答申を出すか出さぬか、そこまでの会務は当然これは議長がやるべきだと思います。当然この場合は答申がなされたわけであります。したがって、なされた答申に対して、これを尊重して法案作成をやっておるのが現段階である。ただ、いわゆる日本の技術者といいますか学術界、これは皆さんよく御承知のとおりでありまして、いままでいろいろ攻撃されたと言っては変かもしれぬが、ある方面は文部省の所管であったり、ある方面は科学技術庁の所管であったり、あるいはまた他の省の所管という、日本の学術界といいますか、その方面にはいろいろ複雑な状態を持っております。したがって、いま一本の答申案があり、これを一つに法制化するということになりますと、そういう関係方面の十分なる説得、理解ということによって、いわゆるこの十年間日本を指導しようとする大法案をつくる場合にはかなり慎重にそれらの調整をやっていく、その必要があるわけであります。しかしながら、政府としては答申されました内容、これを尊重して目下関係方面を調整しつつある、こういうことで、先ほど来文部大臣も、調整といいましょうか、決してこれに努力を惜しむものではない、怠っているものではない、こう申されましたとおりに、もちろん政府としては答申を尊重してまとまった一本の、しかも答申案を尊重された内容のもとに法案の策定をいたしたい、かように考え、またその方針のもとに目下努力中である。この国会中何とかしてまとめる努力をいたしますが、たとえこの国会にまとまらぬようなことがありましても、できるだけ早い機会にこの基本法は制定しなければならぬというたてまえで努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
#25
○田中(武)委員 おっしゃるように、各省庁間にいろいろ科学技術の行政に関して意見があろうと思います。それを調整する、そういうことを任務として科学技術庁ができたのじゃないのですか。科学技術庁設置法のその目的なり任務を見ますと、そうなんですね。そうして総理府の中に技術庁ができたわけであります。ところが、いまおっしゃるように、口ではいろいろと申されておるのですが、何らその調整がつかないといいますか、そういうことで、あなたが番頭をしている佐藤内閣の一国務大臣である科学技術庁長官が当委員会において国会の当初公約したことが、まだ出されないということは、ひとり科学技術庁長官の問題だけでなく、私は内閣の問題であると考えるわけなんです。
 そこで文部大臣から伺うと、専属の事務局をどう置くかということ、一つは与党の内部にいろいろ事情がありまして、そういうことで言っておりますが、結局私は与党なり、現在の政府に科学技術についてほんとうに取り組むという、口ではいろいろと政治の基本だとか、国民生活のもとだとか言っておるが、真剣に考えていない証拠だと思うのです。また、先日あるところで聞いたのですが、日本の数学の専門的な学者グループを百人抜き出して、そうしてその中からトップレベルの二十人を抜き出した場合に、その人たちがアメリカへ行っておるという事実を政府はどう考えていますか。日本はこれから平和国家とし、そして国民生活の向上をはかるためには、技術ということを一番尊重しなくてはならないし、大事にしなくちゃいけないのです。ところが政府が科学技術に対してあまりにも冷淡である。ということは、技術者に対して冷遇である。そこで優秀な若い学者が外国へ行ってしまう。そうして向こうでやった結果が、今度は産業界を見るとどうなんです、高いロイアルティーを払って技術提携だの、あるいは特許を使わしてもらっているのが実情じゃありませんか。そういうことに対して政府は一体何を考えているのか。この科学技術基本法が出てきたからといって、われわれは直ちに全面的に賛成するか、それはわかりません。少なくとも科学技術基本法が提出段階において、答申を得ておりながら、難航しているというところに政府自体の姿勢の問題があると思うのですが、どうでありますか。
#26
○橋本政府委員 基本的な考え方は全く同じようでありまして、私もこの官房長官の職になりましてから、実はいろいろ科学技術に関する具体的な諸問題につきまして、各方面の学者にも会って、そうしてやはりこの科学技術の一本化といいますか、いわゆる科学技術庁を中心とする行政ということを強くそういう関係者に、懇談会でありましたか、話したことがあります。いまおっしゃったいわゆる日本における技術者に対する待遇が十分でないじゃないか、こういうお話、全くそのとおりでありまして、私たちはこれで十分であるとは考えておりません。それも一つの原因となって日本の頭脳が海外に流れて出ておるということも、決していい現象だとは思っておりません。できるだけやっぱり日本の頭脳は日本の国内で消化したらよろしい。これはおっしゃるとおりでありまして、それがためには政府ばかりでなく、民間あるいは関係諸団体、私もちろん官房長官としてでなくても、従来ともにこの問題については個人的にもいろいろ関係方面で努力をいたしてまいりましたが、日本の学術界、技術界というものははなはだうるさい面があるということは御了承のことと思います。しかしながら、そういうことを越えて、いまこそ日本の頭脳が一つにならなければならぬ、そういう意味で科学技術庁ができ、かつまた、基本法をつくろうというときでありますからして、おっしゃるような考え方のもとに、政府としては全力を尽くして科学技術の一本化、その基本となるべきいわゆる科学技術基本法というものを一日も早く制定いたしたい、かように考えておる次第であって、当初上原国務大臣がこの国会に出すという予定でありましたものが、まだ出せないでおる状態については、はなはだ相済まぬと思っております。ただ、その間においても非常な努力を続けておる。しかも将来ともに出す方針であるという点を御了承願いたいと思います。
#27
○田中(武)委員 官房長官も何か十分か十五分で帰りたいと言っておる。文部大臣は十一時半から十二時までの間にだれかと会うから出たい、こういうメモがきたわけです。当委員会において本日文部大臣あるいは官房長官に来てもらってこの問題についていろいろと論議をしたいということは、一週間も前から申し出てあったはずです。ほんのお義理のように顔を出して帰るということ自体が、当委員会を軽視しておる、そのこと自体に政府なり各閣僚の科学技術に対する態度があらわれておると思うのです。しかし文部大臣は約束があるならやむを得ませんから、文部大臣に対する質問を列記的に並べます。したがってそれに対して答弁をいただきたい。
 まず、先ほどの質問の続きなんですが、この科学技術会議は、設置法ではっきりと総理府の附属機関、すなわち行政組織法第八条の規定でこううたってある。その事務局をどうするかということでもめておる。意見の一致を見ないということですが、それに対して文部大臣はどうあるべきが正しいと考えるかということが一点。
 それからもう一つは、昨年の十二月に答申を受けてから本年の三月までに、文部省と科学技術庁を中心として各方面において十回にわたって会合を持っておる。ところが、その十回にわたっての会合でなお結論が出なかったというのは、一体どこに原因があるのか、それが二点。
 それから第三点、ちょっと変わりますが、きょうの毎日新聞の社会面をごらんになったかどうか知りませんが、二十日開かれた日本学術会議の第四十六回の総会の初日に、いわゆる待遇改善と言えばおかしいのですが、朝永会長に対してせめて旅費ぐらいは何とかしてくれ、こういうような決議が出されたということは御存じでしょうか。これは学術会議です。いわば学術会議は日本の頭脳であります。しかも旅費規程等において支払いがきまっておる。しかも学術会議法の第一条第三項は、「日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする。」となっているのです。ところが都内の人の電車賃も出ない、こういうことが三十九年以来続いておるようです。それは支給するということの規定があります。それから遠隔の地方の人には一等急行料金と日当七百円、宿泊料が二千九百円ということがきまっておるが、忙しい日本の頭脳といわれるような学術会議の人たちが、新幹線があるんだから新幹線で出てきたいと思っても、それは乏しい自分のふところから出さねばならない、こういうことで、せめて新幹線に乗れるような程度、あるいは都内の者にも旅費ぐらいは出してくれというささやかな決議がなされ、朝永会長、これは日本の誇る、日本で二人目のノーベル賞を受けた大学者ですね。この人のもとに要望書が出されておるのですね。そして朝永さんは、ノーベル賞を受けたような人ではあるけれども、金には弱くて苦笑いしておるといったような意味の記事が出ておるのです。このことについて文部大臣、あるいはこれは総理府の関係でありますので、あいは官房長官が適当かと思いますが、事務局は文部省でやっているのでしょう。どう考えますか。文部省じゃないですか、どこがやっているのですか――総理府ですか。じゃ官房長官、どう考えますか。
#28
○橋本政府委員 総理府は総務長官ですが、旅費規程等がありますれば、それによって支弁することは当然でありますから、事務的なことは承知いたしておりませんが、なお調べてから関係者に答弁させます。
#29
○中村(梅)国務大臣 この事務局の問題は、実は私どもが考えたのではなくて、いままで学術会議でいろいろ検討をし、その検討段階で茅さんを小委員長とする少数の人が取りまとめをいたしまして、その茅小委員長が全体会議に報告をしました中で、この構想からいきますと科学技術、ことに人文社会も入るし、基礎的学術研究から利用面の科学技術から、非常に範囲が広いわけです。そういう意味で独立の事務局ということを強調されたのだと思うのです。そういう答申があったわけですから、私どもは答申を尊重する意味で、その点は考慮を払うべきじゃないか、こういうように考えておる次第でございます。
 それから、その後十回も会合をやっておるがまとまらぬじゃないかという御指摘でございましたが、何とか意見の一致点を見出し、調整をはかろうと思いまして、数々の会合をいたしまして、関係官が協議を続けてきたことは確かに事実でございますが、いまのような点と、もう一つ人文社会科学も含めるということについては、学術会議でも相当これは議論があったらしいのです。しかし最終的にはやはり調和をとっていく上において含めたほうがいいだろう、こういうことになったらしいのですが、まあ政府としては法案を仕上げますのについては、出してしまってから与党修正ということは困難であるし、なるべくすべきではないので、与党の方々の意見調整も大事なことでございますから、そういうことを続けてきたわけでありますが、どうもこれは範囲が広過ぎるじゃないかというようなこととか、あるいは基本計画の関係とか、いろいろな議論がありまして、これは議論を尽くすことは当然なので、それぞれの立場、それぞれのものの考え方、議論があるわけです。そういう議論がまだ煮詰まらないというのが現状で、数々の熱心な努力は続けてきましたが、最終的な結論を得ていないというのが現状でございます。
 最後の問題は、これは総理府の学術会議の所管でございますが、昨日日本学術会議の総会がありまして、総会の席上で旅費とか手当とかについて、これはあまりひどいじゃないかというような決議が学術会議の朝永会長に提出されたということは、私も新聞で拝見しました。こういう点は政府全体としても、非常に大事な方々の機関でございますから、考慮を払うべきだと、私は所管でございませんが、そういう感じを持って新聞を見ておったような次第でございます。
 それと、最後につけ加えさせていただきますが、実はきょう文化人関係と十一時半から懇談することになって、これはずっと前から予定されていた会合で、この委員会とかち合ってしまったようなわけで、決して委員会を軽視しているわけではございませんので、この点をあしからず御了承いただきたいと思います。
#30
○田中(武)委員 そこで、あなたも科学技術会議のメンバーの一人なんです。政党政治の上に立てば、政府と与党とは法律上どうとかこうとかは別として、意見が一致しなければならぬということはわからぬこともないです。そこで、一体めどをどこに置けば調整ができる。これは、あなたがそう思ってもできないかもわからぬが、あなたとしては、どういう決意で、めどをどこに置いてやるかだけを最後に一言お答え願います。
#31
○中村(梅)国務大臣 私は、事務局の問題は、茅さんがあれだけ力説されたのでありますから、何とか答申の線に沿って政府部内で調整をいたしたい。
 それからもう一点の、人文科学、会会科学の点は、これは確かに、私も議論を聞いておりますと、基本計画との関係では、そういう議論を言う人にも相当理屈があると私は思うのです。しかし、これは茅小委員長の報告の中にも、人文・社会科学も入っておったのですから、われわれは答申を受けたわけですからそれを了承したわけです。したがって、これは要するに、法案のつくり方といいますか、基本計画などについて――基本計画というものは、自然科学についてこういうことをやる、あるいは人文・社会についてはどうするという構造のつくり方で話し合いが折り合えるのじゃないか。また、そういうような折り合い方につとめなければならぬというように、私自身は率直にいえば考えておりますが、しかし、ものを言う人は、いろいろものの考え方がありまして議論をされるので、その議論だけ聞いておりますと、この議論ももっともだ、こっちの議論ももっともだという感じがしまして、私もいま最終的なことは申しかねますが、そういう現状にあるわけでございます。
#32
○田中(武)委員 これは総理府総務長官でないといかぬと思うのだが、いまの学術会議の問題については、やはりこういうところに問題があるのじゃないかと思うのです。だから、これは、政府を代表したということになるとどうかと思うが、そういう立場でひとつもう一度はっきりしてもらいたいのと、それから、総理の代理だという上に立って――総理みずからが答申しておるのです。それを総理が受け取るわけだ。それがなぜもたもたしておるのかとわれわれは言いたいわけなんです。そこに政府自体あるいは内閣自体が、科学技術の振興ということに対してどれだけの熱意があるのかということに対して、ちょっとわれわれ疑問を持つわけです。あなたはこの問題について、どういう決意で、めどをどこに置いて調整をしていこうとしているのか、これだけ伺っておきます。
#33
○橋本政府委員 御承知のように総理は、今回の国会劈頭の総理の演説におきましても、科学振興は力強く、これは皆さんに申し上げております。したがって、佐藤内閣、佐藤総理は非常に科学振興を大事にしております。関係者たちにはよく会見をして、各意見を聞いております。
 いま問題点は文部大臣あるいは上原国務大臣からお話があったと思いますから重ねて申し上げませんが、とにかくこの科学技術基本法の非常に重要なこと、必要なことはよく承知しておりますので、私としては、できるだけ早い機会に各関係方面の調整を終わって皆さんの御審議を得る機会を得たい、かように決意を固めておりますので、御了承いただきたいと思います。
#34
○田中(武)委員 ちょっと聞くだけ聞いてほしいのです。この科学技術基本法について上原国務大臣はわれわれに提出を約束した。ところが、問題はどこにあるか知らぬが、今日まだ提出に至らない。出てきたからといってわれわれは直ちに全面賛成するとはここでは言いかねますが、ともかく約束したことをやれ、別に私は上原さんを応援するわけじゃないが、あなたは出せないのだったら出せるようになるまで科学技術庁長官をやめなさるな、こう言っておるのです。そういうことをちょっとあなた総理にかわって聞いておいてください。
#35
○橋本政府委員 わかりました。
#36
○岡委員長代理 三木喜夫君。
#37
○三木(喜)委員 田中さんがいろいろ質問をされましたので大体のことはわかるのですけれども、しかし、科学というものは、科学技術振興対策特別委員会でも、事を明確にして、そして冷ややかな観点に立ってものごとを論ずる、こういうことも大事だと思うのです。そこで、田中さんは、設置法、それから日本学術会議法、こういうものの上からいろいろ質問をされました。そして、いま非常な疑問になっておるところ、あるいはまた、世間にいろいろ言われておること、こういう点を質問したわけですが、私はこれをもう少し明確にしておく必要があるのではないかと思う。
 事の次第は田中さんが言ったとおりで、今日科学技術基本法というものが、国会に出ることにどうも難渋しておる。いわゆる難産である。その難産であるところの理由は、率直に言って何であるかということをやはり明確にしなければいかぬと思うのです。いまの話では、まだはっきりしていない、焦点に触れていないと私は思う。いや慎重にやるとか、いや事務局の問題がどうとかこうとかいうことだけ言われておるのですが、そのガンは何かということを明確にしておかなかったら話は進まないと思うのです。私は、しかし冷静に考えまして、官房長官が言われたように、十年後を目標にするところの計画といわれておりますから、なるほど率直に言って出なくてもいいです。出なくてもいい理由がそこにはっきりすればいいと思うのです。
 そこで二つほどあげてみますと、いままで私たちが参画した会議におきましては、難渋しそうな原因は大体除去されたと思うのです。いわゆる日本学術会議と科学技術会議とそれからここの会議といいますか科学技術振興対策特別委員会、三者合同でいろいろな問題を検討して、この中には当然自然科学だけでなくして人文・社会科学の振興も含まれなければならないという問題の焦点には触れていままでいろいろやってきたのです。しかし、これがやられないということは、一つの原因はやっぱり自由民主党の中に問題が一つある。それは何かということをもう少し明確にしてもらわないと、いまのでは何かくつの上からかゆいところをかいておるような気がする。それからもう一つは、学術会議のほうから私もこうしていろいろ書類を取り寄せてみましたが、やはり問題があるようです。それも学者の純真な意見でありますから尊重しなければならぬという立場からいいと思うのです。東大の三宅さんあたりからも御意見を聞きました。そういう意味合いからいえばそれもいいと思うのです。しかしながら、もう少し事を明確にしておいて、そして話を進められないですか。このガンは二つ――ガンと言うと学術会議のほうは悪いですけれども、政治的なガンが一つあり、純粋な学問的な支障が一つあると思うが、その二つに分けて上原長官に御答弁いただきたいと思う。
#38
○上原国務大臣 いま難渋をしておりまする原因は、先ほど文部大臣が田中委員にお答え申し上げたように、一つは事務局がどこへ行くかということにあるわけでございまして、これは独立の事務局をつくって独立の機関にしようということでございますから、田中委員の御指摘もあったようにあるいは第三条機関の事務局でなければならない、こういうことかと思うのでありますが、そこまではっきりおっしゃっていないのでございまして、そしてこの問題につきましては科学技術会議設置法で新しく定められるわけでございますから、この点の各省間の話し合いのときに具体的にきまってまいると思うし、またそうなりますると、各省設置法にも関連をいたしてまいりますので、臨時行政調査会の答申になるべく近いものにしなければならぬ、こういう御要請は行政管理庁からもございますので、これは大事な問題でございまするから、見当だけはつけなければなりませんけれども、差しあたり問題になることではない、こうも思っておるわけなのでございます。しかしそれは進捗をいたさない重大な原因の一つであることは間違いないように感じております。
 それから、人文・社会科学を一緒に基本法の中に盛り込むべきではないという意見が党内にございますことは、御案内のことと思うのでございます。この意見はもう至るところで、学術会議の中でも、科学技術会議の中でもあるいは当委員会の相談の中でもいろいろ出たことで、数年間かかってこれが論議され、結局煮詰まって、一緒でいい、こうなったと伺っておるわけでございます。私は、就任しましてまだ一年たちませんから、歴史のことはよくわかりませんが、そういうふうに理解をいたしております。したがって、自民党の政務調査会あたりの意見が煮詰まってくるのには、ほんとうに多少の時間が必要なのではないか、こうも思っておるわけでございまして、これは大きな障害ではございますが、克服し得ない障害だとも思えないのでありまして、やはり相当時間をかけて熱心に努力を重ねてまいる必要があろう、こう思っておるわけでございまして、致命的な障害が伏任しておるとは私には思えないのでございます。
#39
○三木(喜)委員 そこで、私は問題の焦点に触れたいと思うのですが、一時三者が寄って、その中には自民党の方も入っておられたわけです。そうして人文科学を含めよう、こういうことを決定して、それでよわろうということでみんな手をたたいてそれを入れたわけなんです。そうしたら、いまの段階になって、またそれが悪いと言う理由がわからぬ。それをもう少し明らかにしていただかなかったらいけないということと、先がた言われました事務局をどうするかということは、これは内閣の中で調整できないはずはないわけなんです。こんなことは易々たることで、そのために科学技術庁というものができておるのです。科学技術庁長官のやるべき仕事というたら、私はそういう仕事じゃないかと思うのです。それが、事務局みたいなことで文部大臣にああいう答弁をさすところに私は問題があると思うのです。それよりも、一ぺん全部が寄ってこれを入れようじゃないかということをきめておいて、またそれをはずしたらいいという理由を明らかにしてもらいたい。それが焦点だろうと思うのです。いわゆる与党の中の問題点はそれだろうと思います。それを明確にしなければ、きょうのいろいろな論議をやりましてもから回りをすると思うのです。それをひとつ明らかにしていただきたい。
#40
○上原国務大臣 これは政府部内のことなのでございまして、お答えしにくいことなのでございますが、思い切って申し上げますと、われわれの努力が足りていなかった。皆さま方とよく相談をして、社会党の方とも、また学問、技術の専門の方々ともよく相談をして、素案を固めてまいったのでございますけれども、自民党内の話し合いが十分に尽くされていなかった。結局科学技術庁が担当省でありながら、科学技術庁が自民党全体に対して――これはあらゆる部門にわたることなのでございますから、自民党の政務調査会は御承知のように幾つも幾つも分かれておりますので、およそ関係が多少なりともあるという政務調査会の部会とは十分話し合っておかなければいけなかった。それが話し合いがついていなかったのが根本的な原因であって、結局これは時間をかけて誠意を傾けて努力をする以外にない、こう感じておる次第なのでございます。
#41
○三木(喜)委員 手続や順序やそういうことで、話がそういうところを回っておるのですが、それだったら新聞にもきちっと書いてあるのです。「科学技術基本法案を十八日の閣議一で決定し、今国会に提出する方針だったが、見送られる情勢となってきた。」もう少し読みますと、「科学技術基本法は、科学技術の振興を図るため国が財政上の裏打ちをするというのが主眼点で、科学技術会議は当初、振興の対象としては自然科学だけを想定していたが、日本学術会議や文部省などの意向もくんで人文科学をふくめることとした。」こういうふうになっておる。「このため、政府は関係省庁間の連絡会議を設け、科学技術庁を中心に法案の作成を急ぎ、十八日に閣議決定する段取りとなっていた。ところが、自民党文教部会は「科学技術」という場合は、自然科学を指すことは学問体系上当然の理であり、人文科学はふくめるべきでない、」こういうようにいっておる。こういうような結論が出たんですか。科学技術という場合には、自然科学をさすことは学問体系上当然である、大臣もそう思っておられるのですか。そうでないと思っておられるのですか。それによって調整の糸口が見つかるわけですから、そう思っておられるようだったら、このとおりです。具体的に申し上げます。
#42
○上原国務大臣 私は、政府部内でまとめましたように人文・社会科学もやはり科学というものの範疇に入るわけでして、全体に調整のとれた研究開発が必要だろう、それはたとえば美学などといように長期計画が立てにくいものもありましょううけれども、それはそれでそれにふさわしい、長期計画が立たなければ立たないように、立つものならば立つようにやればよいので、全体を全部ひっくるめて対象として研究開発を進めていくのがよかろうと私自身は思っておるのでございます。そして最初は、先ほど申し上げましたように、各方面に人文・社会科学は加うべきでない、こういう御議論が激しくあったことは私も聞いておるのでございます。話し合っておるうちに、それでいいのじゃないか、こうなって話がまとまったのでございます。ところがいま文教部会で反対が起こりましたのは、われわれの科学技術特別部会で起こったような順序で起こったので、そうういう反対論が起こるというのは、つまりわれわれの根回しが足りていなかった、こうなることだと思うのでございまして、これから誠意を傾けて努力を重ねてまいる以外に方法がない、こう考えておる次第でございます。
#43
○三木(喜)委員 そうしますと、科学技術という場合は自然科でなくて人文科学も含む、これは大臣の確固たる信念、こういうように解釈していいのですね。
#44
○上原国務大臣 そうです。
#45
○三木(喜)委員 そうして自民党文教部会もそれを含めてよろしい、こういうことになったわけですね。
#46
○上原国務大臣 自民党文教部会でそれを含めてよろしいということにならないから困っているのです。ならないのでございます。
#47
○三木(喜)委員 それならもう一言聞きましょう。そうしたら、その中に人文科学も含むという学問の体系上の問題については了承したのですか。
#48
○上原国務大臣 それを了承してくれないのでございます。新聞に書いてあるように、それは除くべきであるという御議論が盛んなのでございます。
#49
○三木(喜)委員 政治的にはそうかもしれませんけれども、これは学問の体系上の問題をいうのです。学問の体系上当然これは自然科学だけをさすのであって、人文科学なんて入れるべきでない、こう解釈しているのですか、こう言っておるのです。
#50
○上原国務大臣 私はそう解釈しておりませんけれども、文教部会ではそう解釈をする方が優勢なのでございます。人文科学、社会科学は加えるべきでない、こういう御議論が優勢のようでございます。私どもは長い間の討論の結果、加うべきである、科学と名のつく限り、人文科学も社会科学も全部加えるべきである。そうして全部の調整をとって研究開発をはかるべきである、こういう御議論に政府部内が固まって素案をつくったわけでございますけれども、これを党に御相談申し上げましたら、それはいかぬという御議論が出てきたわけでございます。
#51
○三木(喜)委員 科学技術庁の大臣として政治判断や政治情勢はもうそれでけっこうです。自民党の中でこの法律には含めてはいけない、こういうことですけれども、私の聞いておりますのは、いまここに書いてありますように、「科学技術という場合は、自然科学をさすことは学問体系上当然の理である」、こういっておるということが書いてあるのです。そのことは大臣は違う、人文科学も含めてやるべきだ、こういうようにおっしゃっておるわけなんです。そういう学問の体系上の問題なら、これはだれが言おうと、自民党が言おうが社会党が言おうが、真理じゃないですか。これを聞いておるわけなんです。
#52
○上原国務大臣 私は学問の体系上というふうな高等な理論は私には適切な判断が下し得ないと思うのでございます。科学技術基本法というものは、社会科学も人文科学も全部含めて一緒に均斉のとれた、調和のとれた発展をはかるために同じ法律のもとで議論されるべきである、こういう長い間の討論の結果の結論を出しておるわけでございます。
#53
○三木(喜)委員 いろいろ科学技術基本法を出した経緯から考えての考えは、大臣の言われるとおり私はいいと思うのです。しかし、科学技術庁の長官なら、純理論的な立場から、この二つを含めて科学技術というかいわないかということははっきりしていただいて自民党に迫っていただかなかったら、文教部会に迫っていただかなかったら、そこは説得力がないのじゃないですか。そこが支障になっておるのですから。科学技術庁の局長さんもまた官房長もどうですか。これはどういうように解釈しておりますか。
#54
○梅澤政府委員 私たち事務局といたしましては、科学技術は、すでに科学技術庁の設置法におきましても人文並びに大学のことを除くということになっております。それで私たち学問的に見ましても、やはり科学技術の中には人文というものが入ると解釈しているほうが当然ではないかという考え方でおります。
#55
○三木(喜)委員 事務局はああいうように言っておるわけなんですが、自民党の中では、科学技術には人文科学は入らないのだということで、純粋な立場から言えばそうじゃないかということで大臣を困らしておるわけなんでしょう。それで調整がとれないわけじゃないですか。
#56
○梅澤政府委員 いま大臣の申し上げましたように、基本法というものを、科学技術といういまのことばの問題と別に、日本でただいま基本法をつくりますというときに解釈いたしまして、その際に人文をその中に入れたほうがいいだろうか、したがいまして、科学技術と書いたものの読み方をそこで規定いたしまして、その中から人文を除いたほうがいいかどうか、そういう点の問題でございます。したがいまして、基本法の中にいまの際人文を入れて総括的に考えていったほうがいいか、あるいは除いて考えていったほうがいいか、その点は約四年間にわたって私たちが論争して一応入れたわけでございます。その点の観念の持ち方というところに異論のある方がいらっしゃるということでございます。
#57
○三木(喜)委員 もう一つわからないのですね。基本法をつくるときにも、あるいは基本法の中に入れるか入れないかということは政治判断ですから、これはいいですよ。その政治判断をいたします場合に、大義名分をかざしてきたわけなんです。学問的にいうと、科学技術とは自然科学と人文科学と二つを並列してこの中に入れるべきでないということで、これを攻めてきたわけです。この攻めてきておる人に対しての説得力というものは、純然たる学問的な立場からいえばこの二つが入るのです、こう言うておかなかったら説得できないじゃないですか。私はその立場を言っておるのです。そうしてこれをどうするかという問題については、除くなり入れるなり、それは政治判断です。その中の科学技術とはこれだけを狭義でさします、こういうぐあいに規定すればいいので、この科学技術基本法というもの、何年も何年もかかってやったものに対してけちをつけておるそのけちのつけ方の一番の大義名分は、学問的に科学技術とはこうだ、一本だけだ、二本も三本も入らないんだ、こういうぐあいに攻めてきているので、この科学技術庁としての説得力は――当然これを説得しなければいけない。こんな政治判断のところだけしておってはから回りするのではないですか。これは私たち長い間この問題についてこの席でやりました。前田さんもここにおられます。岡先生もここにおられます。そういうことでずいぶん論議をしてもらったのではないですか。その経緯は納得がいかぬと言われるならばわかります。しかし本質的な立場から攻めてこられておって、それを納得していただかなかったら、私はちょっと意味がないと思うのですがね。計画局長どうですか。
#58
○梅澤政府委員 私たちは法律が一番最初かかりましたときに「科学及び技術」、「科学技術」、「科学、技術」、それから「学術」、その関係の範囲はどうであるかということは非常に議論のあるところでありまして、ある人たちは科学技術を、サイエンティフィックテクノロジーというのが科学技術であるとしていらっしゃる方もあったわけであります。したがって、この点を今度の基本法でもはっきりしておこうということでございまして、前文のところで「科学及び技術」で始めたわけであります。それで「科学及び技術」で、いまや人文もみな入ることとして、それを第一条のところで「以下「科学技術」という。」ということで、科学技術というものは大体そういう考え方で一定していきたいということをここで明らかにしたいというようなことを入れまして、本質的に科学技術の中には人文が入るんだという形を皆さん一定にしたいということでそこに入ったわけでございます。
#59
○三木(喜)委員 自民党の中の様子はそうでしょう。それでけっこうだと思いますけれども、それならこれはもう少しさきにさかのぼって考えてみたいと思うのですが、三十七年からこちらですけれども、科学技術研究基本法とすべきか科学技術基本法とすべきかという基本的な面で並行したわけなんです。そこで先がた私が申し上げましたように、文部省、日本学術会議、それから科学技術会議、これらの意見を調整したそういう場があったわけでしょう。だからそういう論議は済んだわけですけれども、しかし自民党の中でもう一回そういう論議を巻き起こすならそれもけっこうです。科学技術憲法をつくるんですからね。その立場からいえば、そういう紆余曲折を経て論議を巻き起こすことは、科学のために喜ぶべきことだからいいと思うのですけれどもね。その論議はそのくらいに置いておいて、その向こうにあるものが、この新聞に書いてあるものです。これは私、大問題だと思うのですが、「強い反対を表明した。その反対のウラには「人文科学をふくめることは、左翼に偏向している日本学術会議の意見を受入れることになる」とする一部自民党議員の意見が強く反映しているとみる向きもある。」こんなことになれば、これはまたもとへ返ってしまうわけなんですね。人文科学を入れるべきか、あるいは研究基本法とすべきか、技術基本法とすべきかというような、そういう論議は、これは純粋なものであって私はいいと思うのですけれども、それがずっと向こうへ飛び離れてまいりますと、これは非常に問題があろうと思うのです。その間、もう歯にきぬ着せずして言いますという科学技術庁の長官のお話もありましたけれども、まだ歯にきぬが着せられているように思うのです。こういう論議があったのですが、なかったのですか、それをひとつ聞かしていただきたい。
#60
○上原国務大臣 そういう論議はございません。私の耳には入っておりませんから、そういう論議はなかったと思います。現在もないと思います。それはおかしいと思うのです、そういう議論は。左翼に偏向する意見というものがどこにあるかは存じませんけれども、それはもう学問の分野や職業の分野とは関係ないと思います。だからそういう議論は、議論自体が私はおかしいと思う。だからそういう議論があったとは信じられません。ただ私どもの庁内でありましたり、党の科学技術特別委員会や、社会党さんや自民党の部会で話し合うときに、人文科学、社会科学を入れるべきでないという、それと同じ議論が出たと私は思っております。そして科学技術庁が党内の根回しに十分でなかったということがそこにある。これは三年、四年かけて話がまとまったように、これからは三年も四年もかけなくてもまとまるだろうと思っておりますが、まとまるに違いないという確信を持って説得に当たる――説得というとなまいきになりますから、御理解をいただけるような努力を積み重ねてまいろう、こういう覚悟をいたしております。
#61
○三木(喜)委員 そういうことがあってはいけないと思います。もちろんそういうことがあるということなら、私はもう一ついわゆる科学技術会議並びに日本学術会議の設置法から説き起こさなければいかぬわけです。どっちも総理大臣が主管しているわけでしょう。ある総理大臣のときには、日本学術会議が原子力潜水艦の問題について言うことはけしからぬ、おまえらいわば政府の役人じゃないかというようなことを言ってきめつけたこともある。それがいまになったら、学術会議が何か左翼の巣であるかのごとく、左翼思想の中心であるかのごとく考えられるということになると、日本学術会議を冒涜することになるから、私は一番根本から問題にしていかなければならぬと思うのであります。幸いに、ないということであれば非常にけっこうです。しかしこの新聞にはこう書いてある。「「人文科学をふくめることは、左翼に偏向している日本学術会議の意見を受入れることになる」とする一部自民党議員の意見が強く反映しているとみる向きもある、このような情勢から上原科学技術庁長官は十五日の閣議後、基本法要綱を答申した科学技術会議の議長である佐藤首相に会い、事情を説明、判断を求めたところ、首相は「党内で十分意見を調整してほしい」と述べ、結局、党にゲタがあずけられた。」結局「意見を調整してほしい」ということと「このような情勢から」と、この二つを考えてみたいと思うのですが、その情勢とは、先がたから言うておられる人文科学を入れるか入れぬかということですか。
#62
○上原国務大臣 それだけが情勢でございます。
#63
○三木(喜)委員 調整はどういうことになりますか。
#64
○上原国務大臣 つまり人文・社会科学を入れるべきであるという意見に同調してもらうという努力を重ねて、同調していただく、それが調整だと思っておるわけであります。その調整はいままでも必要であったわけで、根回しの足りなかったところはわれの失策でございますから、もう一ぺん努力を重ねて、誠意を傾けて調整してまいらなければならぬ、こう考えております。
#65
○三木(喜)委員 その調整の期限的なめどですね、もうわかれば一発じゃないですか。それがむずかしいですか。つまりこの法律案はこの国会では日の目を見ないのですか。
#66
○上原国務大臣 まだあきらめてはおりませんし、そう簡単でないことは、過去三年もかかったということを私聞いておりますけれども、どうもそう簡単にはいかないようでございますが、やはり努力を重ねてまいれば意見が一致するに違いない、こういう確信は持っております。それからもう一つ、提案すればすらりと通してもらえるという自信もございますから、是が非でも提案したい、こう考えておるのでございます。
#67
○三木(喜)委員 もう一つ念のために聞いておきたいのですが、それならば十五日からこちら、「意見調整は一両日中にも始められるが、」云々と書いてあるのですが、この調整の努力に当たられましたか、また当たられたときにどういう意見が出ましたか。
#68
○上原国務大臣 私は主として文部大臣と話し合ったのでございます。それが順序だと思いますから、文部大臣に文教部会と話をいただくようにいろいろとたび重ねてお願いをして、文部大臣もそのとおり努力をしてくだすっておるのでございます。また、党の科学技術特別委員会も文教部会の方々といろいろとお話をいただいて、努力を重ねていただいておるわけなんですが、急には進展しない、こういうことなのであります。これをあまり急いで、激しくなりますと、かえってよくならないということも考えられますので、誠意を傾けて熱心に努力を続けてまいるというのが一番だろうと思って、それをやっておるわけでございます。
 ついでに申し上げますけれども、先ほどのこれが真理であるということを主張しますと、これはいたずらな論争が起こるということにならないとも限りませんから、やはり意見の違うときにはあまり激しくかみ合わないで、ゆっくりと申し上げては過言でしょうけれども、静かに、根強く、誠意を傾けて話し合うということが大事だ、こう思ってやっておるわけでございます。
#69
○三木(喜)委員 政治情勢のほうは大体どこまでいっておるかということがそれでわかりました。
 もう一つの問題は、日本学術会議のほうから意見が出ております。それについてはどうお考えになりますか。
#70
○上原国務大臣 学術会議から直接科学技術庁に対しまして、あるいは科学技術会議に対しましてお申し出のあったことはあらまし組み入れて、そして御了解を得ておる、こう聞いておるのでございます。私は直接学術会議からお話を伺ったことはございません。ただ十二月一日の科学技術会議の総会のときに茅先生からと、その後、朝永先生から、学術会議の御意見を伺ったことはございますけれども、これはそのあらましそのままちょうだいして盛り込むことができるか、あるいはすでに盛り込まれておるか、こういうことのようでございましたので、その内容をしっかり記憶しておりませんけれども、いまの科学技術会議でまとめました案につきましてはいまは御異論がない、こう承知をいたしております。
#71
○三木(喜)委員 大学学術局長も見えております。文部大臣に聞きたいのですがおられませんから、あなたにお聞きしたい。
 日本学術会議のほうからこの基本法について待ったをかける、こういうことはないのですか、文部省のほうとしてはどういうように考えておられますか。
#72
○杉江政府委員 日本学術会議からの御要望につきましては、待ったをかけるというよりも、いろいろな点について要望してこられたというふうな性質のものだと私は理解しております。それらの具体的な点、あるいは御承知かと思いますけれども、これらの点をどのように組み入れるかということは、いままでもいろいろ御相談していただいておるわけでございます。
#73
○三木(喜)委員 その内容を、どちらの省庁からでもけっこうです、いろいろ今後論議を進める上に大事だと思いますので、念のためにひとつお聞きしたいと思います。
#74
○梅澤政府委員 それでは私のほうから大体内容を述べさせていただきます。
 学術会議には十二月一日に答申をいたしましたときのその線をくずさなければけっこうであるというのがもとで要望書がきております。それの一つは、人文科学を除くことには反対するということが一つはっきり出ております。それから、もしそういうことになるならば白紙に戻って出なければならない、こういうふうに書かれております。それから内容につきましては前文に書いてあります「高度な文化をもつ福祉国家」というようなことばを使っておりますが、できればそういうものの解釈からいえば前の「文化国家」でもいいのじゃないかというような内容の解釈、ことばの解釈というものをもう少し説明文等ではっきりしてくれという問題がございます。それから「学問の自由の保障」ということを書いてあるけれども、どういう範囲のことをするのか、そこをはっきりしてくれ、それからこの法律で「国の責務」と――大体国の責務だけをこの法律できめていくべきではないかというような意見が出ております。しかし、これは国の責務並びに基本的事項と書いておりました。私たちがそのあと国の責務以外に、国としての基本的な事項もきめてはどうかということをつけ加えました点につきましては、必ずしも要らないのではないか、しかしそう強い意見ではないということで出ております。それから基本計画、七条でつくりますが、その基本計画のところで、研究の育成というのを第一号でつくっておりますが、その研究の育成の中には研究の土壌を肥やす基盤を確立する、研究のやりやすい基盤を確立するということが入るということで、基盤ということばを前に使っていたけれども、それをできるだけやはり使ってくれてはどうかという意見が出ております。それから第七条のやはり基本計画の中で、政府としてナショナルプロジェクトとして取り上げてやるもの、それがあまりにナショナルプロジェクトに片寄ってはいけないので、もう少し技術の育成といいますか、そういう表現がはっきり読めるところの解釈を十分入れておいてくれというのが出ております。学術会議のほうにあらかじめ基本的なことを聞きますが、学術会議に聞くところのこと、それにつきましては全般的なことも言えるような考え方で聞いてくれということがいわれております。
 基本法につきましては大体そのことでございまして、なお科学技術会議の設置法の問題でございますが、私たちのほうは先ほど長官の御説明にございましたように、行政機構の問題全般の問題として考えて、いまのところは科学技術会議を一時一部改正でもっていって、本格的に全般の行政体制がきまりましたときにはっきりしていきたいということでいたわけでございますが、学術会議のほうでははっきりとした単独立法で新しいものをつくってはどうかという意見と、それからそれに伴いまして独立の事務局を置いてはどうかという意見が出ております。それから議員が八名、現在六名でございますが、それを八名にふやしてくれ、そういう点がおも立って学術会議からの要望として出ております。
#75
○三木(喜)委員 そこでまとめに入りたいと思うのですが、文部省はいま中村文部大臣の御意見もありました。しかしこの科学技術基本法の法案の原案によってこれでいいとされておりますか、まだ了解していない点があるのですか。
#76
○杉江政府委員 基本法それ自体につきまして、基本的構想については私どもこれを了といたしまして、ただその条文の書き方等についてはいろいろな観点から吟味し、できるだけ正確な、そして誤り解されることのないような表現に心がけたい、こういうふうな観点でいろいろ相談を進めてまいったのであります。基本法の性格からやはり一般的抽象的な表現が多いのでありまして、その点についていろいろ運営面での疑問が生ずるのでありますけれども、それらの点はできるだけ御相談の上正しく表現されるような条文にしたい、こういう点でいろいろ相談をいたしておるわけであります。
 それで設置法につきましては、先ほど大臣から申し上げましたような観点から私どもは独立の事務局を設置するということを主張をいたしております。それから、その両方の問題は、実はかなり実際の面においては相関連して考えなければならない点が多い。そういう点でいろいろ相談を進めておるわけでございます。
#77
○三木(喜)委員 そういたしますと、上原長官、あなたは文部大臣に対して自民党の文教部会を説得してくれ、そういう御努力をお願いしたいということを言われておるわけでありますが、文部省自体にもまだ問題をかかえておるのじゃありませんか。それであなたは十八日の閣議に大体これを了承していただいて法律案として出そうと考えておられるということでありますが、文部省との間の調整もできていない。いま杉江大学学術局長は、条文の中でも、こういうことを言われました。誤って解釈せられるものを直していきたい、こういうことばを使った、杉江さん、どういうことですか、誤って解釈せられるということは。
#78
○杉江政府委員 いろいろ細部にわたっては問題がありますが、第七条の基本計画のこの表現が適当であるかどうか、そしてまた、こう書きましたときに、それの解釈はどのようになるかという点がやはり一番大きい問題だと思います。
 この条文はお持ちであろうかと考えて、私、この一応の案に即して申し上げるわけでありますけれども、たとえば第二条国の施策とそれから基本計画の関連とか、それから研究の育成とか、それから研究の促進に関する長期計画、それから次に「科学技術に関する施策を総合的かつ計画的に講ずるために必要な事項」というところの解釈、これはなかなかいろいろ運用面について問題を含んでいるかと思います。その点についていろいろお話し合いを進めてきて、だんだん煮詰まってまいりましたけれども、なお私ども最後の詰めをいたしたいと考えて相談してまいっておるのでございます。
#79
○三木(喜)委員 そうすると、これが閣議にかからずして、十八日の閣議においてこれが決定されずして見送られるという情勢になったことは、そうすると、文部省としてはむしろいまの問題では幸いであったという二とになりますね。もう少し明確にしていただきたいのですが、第七条なら「政府は、科学技術に関する基本計画を策定しなければならない。」「基本計画は、次の各号に掲げる事項について大綱を定めるものとする。」その中に、やはり「基本計画を策定しようとするときは、科学技術会議の議を経なければならない。」こういうふうな項目があるわけです。文部省はいろいろな研究に対して一々そういうところを通ってくるのではまどろっこしいじゃないか、こういう意見なんですか。それから科学技術庁にいろいろな研究を全部総合されて首の根っこをつかまえられる、こういう心配が依然として残っておるのですか。残っておるとすると、これは科学技術基本法の一番中心となる問題で文部省と技術庁の間に調整がとれてないということになるでしょう。なわ張り争いということだけでは済まぬと私は思う。研究の基本に関する問題が、いまだ四年たっても五年たっても両者の間に何ら進展を見ていない、依然として平行線であったということになると、結局自民党の文教部会という名前を着せて、そして文部省自体が反対しておるんじゃないかということにもなると私は思うが、その点どうですか。なまはんかにこんなものを私聞いておるわけじゃないです。文部省どうですか。きょうは文部大臣におってもらいたかったのですが、大学局長、あなたは学術研究全部についての責任者ですから、その点をひとつはっきりしてもらいたい。
#80
○杉江政府委員 最初に申し上げましたとおり、この基本法については、科学技術会議で答申されており、そしてその基本精神、骨子については、大臣もこれを了とされたのであります。そういう見地から、私がいま申し上げたことは、そういった基本線に沿ってこれをどのように整理し表現するか、実態が正しく表現され、解釈にも疑義の生じないようにする努力を私は申し上げているわけであります。そのまとめの結果、あるいはこれは法制的にももっと適当な表現がある場合にはそれを取り入れることも必要でありましょうし、また、それは運営面の問題として了解ができれば、そういうことで措置するものもございましょう。そういうような点について、なお最終的にいろいろ話を詰めたいと考えたわけでございます。
#81
○三木(喜)委員 上原大臣、ああいうように文部省から意見が出てきた。そうすると、私たちはこの自民党の内部の政治情勢だけじゃないと思うのです。一番根底をなす省庁の間の調整がとれていないように私は思うのですが、それならこの法律をもう十八日に了解を得て出そうとしたことは非常に早計の感があるのじゃないですか。それを非常に心配しますね。これだったら、まだ今後難航しますよ。
#82
○梅澤政府委員 いま大学学術局長から御説明申し上げましたが、私たちは十八日に出す予定で前々からやっておりまして、それでおもに基本法の問題につきましては、実際にあとの省令なりそういうところの段階としまして、非常に文章の解釈がむずかしい条文になっております。したがいまして、あの条文を読んだ場合に、どういうふうな読み方になるか、その解釈をはっきりしょうというのが一つと、もう一つは、学術会議等にあらかじめ意見を聞く、こういう点につきましても、どういうことを聞くか、これは並行してはっきりしておきませんとあとで困るのではないか、したがいまして、そういうことを早急にやったわけでございます。大体大詰めまできておりまして、そして自民党の御意見をそこで聞くという段階と並行してそれをやっていて、十八日に間に合う予定でその解釈のところも進めていきたいということで進んだわけでございます。ただそのときに、途中の段階で人文の問題が出まして、その解釈の問題について少し延びているのが現状でございます。それからそのときに、文部省と一番私たちが問題になりましたのは、やはり基本法のほうと一緒に設置法も出すわけでございますが、その設置法の関連と相まちまして、独立の事務局のことについては確かに文部省と私たちのほうで問題がございました。その点につきましては、いざ出すとなりましたときに、行政管理庁その他の関係のところと一緒にほんとうの判断をしてもらって、そして事務局のことは解決していこうじゃないかという段取りを立ててやっていたわけでございますが、その間に人文の問題の大きな問題が出てまいりまして、それでそれがはっきり片づいたらすぐにその点を解決して出そうというところでいたのがいま保留になっておりまして、その点をいま大学学術局長が言われたわけでございまして、完全無欠な形でその解釈その他をしていない点は現状でございますが、その点につきましては、出すときまれば早急にその点の解決は、法制局その他を含めまして、それでやっていけるという自信を持ってやってきたわけでございます。
#83
○三木(喜)委員 もう委員長もだいぶお疲れのようですから、私はこれで終わりたいと思いますけれども、問題点の一番焦点だけははっきりしておきたいと思うのです。そうすると文部省のほうではこの法律案の基本的なものには賛成である、その解釈については両省庁寄れば法律が出てからでも政令とか省令のほうでできるじゃないか、こういう解釈のように科学技術庁から聞けば聞くわけなんですが、文部省もそうですか。
#84
○杉江政府委員 詰めましたときにその実態をどう処理するかということ、それからどういう運営をするかという点を考えまして、ただ私どもはそこでそれが正確に表現されているかどうかという点については最終的にやはり吟味する機会を持ちたい、こういうふうな考えを持っております。
#85
○三木(喜)委員 それから次の障害になる点は、設置法によって事務局をどうするかという大きな問題にぶつかる。なるほどそれはわかります。それから自民党内におけるところの人文科学の問題ですね、こういう問題にぶつかってくる。次々と三つの障害にぶつかってきたわけでありますね。そうして今日になった。それならそれで慎重に審議されることは私は賛成です。こういう反対を押し切って、そして科学の憲法というものを早急の間にやってしまうことはこれはいろいろな問題が残るだろうと思いますから、それはそれなりでけっこうですけれども、そうなりますと、今後こうした法律にのっとって諮問し、答申し、こうして何カ年もたったというようなこの問題については、私はやはり省庁の間の完全なる連絡調整を早くとらなければならぬ、スムーズにとらなければならぬという問題が残ってきた、これは大臣もずっと言っておられましたが、こういう問題が残ってきた、こう思いますことと、もう一つこういう重要な問題については、与党だけじゃなしに――私は野党の立場は何も言っていないのです。ただ、いままでの一連の経過を聞いただけです。野党がこういうことについて問題にしたときには、これは学問の基本の問題ですから、あなた方はまた考えるべき前例をしいたわけですから考えられるだろうと思います。そういうことも問題になってきますからよくお考えおき願いたいと思います。
 それから最後にお聞きしておきたいのは、日本学術会議がもろもろの要請をしておられる。特にその中で科学技術会議のあり方、構成、こういう問題について意見を出されております。これについては私たちも一ぺん検討してみなければならぬと思っておりますが、技術庁のほうではこれを取り入れられる用意があるのか、あるいはまた、これについては検討しようというお考えがあるのか、その辺をひとつ大臣、はっきりしておいてください。
#86
○上原国務大臣 国全体の政治組織、科学技術に関しまする各省庁間の分担をかりにするといたしますれば、分担の組織、こういうようなものは、やはり臨調の答申に沿って進めてまいりたいというのが根本的な考え方でございます。そしてその臨調の答申と一致しない御要望につきましては、よく御相談を申し上げて、臨調の答申になるべく沿うように、これを御了解を得るように努力をしたい。そうして臨調答申のような行政組織ができますように科学技術庁としても努力をしたい、これが根本的な考え方でございます。
#87
○三木(喜)委員 臨調、臨調と大臣はよく言われますけれども、臨調の答申を尊重しなければならぬところはあるでしょうけれども、その中には検討しなかったら危険なものがありますよ。これは私どもみな検討済みで、この前三者の会合のときにもこれは問題になった。臨調の、研究費を一括するというのは、これは文部省、臨調の答申のとおりでいいのですか。研究費を一括計上するというのは危険性があるし、科学技術庁を強化すれば科学技術の振興であるというような錯覚が中にはありますし、それは科学技術庁の長官はそれでいいかもしれません。しかしこの臨調の中にも一つの錯覚がありますよ。そういうことなら、文部省はあげて反対してきますし、何でも臨調、臨調と言うて臨調が憲法か何かのように、科学の憲法でも出してくれるように思われるとこれは困ると思うのです。科学は科学者の意見を聞かなかったらたいへんなことになりますので、そっちの寸法に合わせて、それに合ったら取り入れます、合わぬものはみなほうるのですというような考え方なら、科学者は問題にするでしょう。さしずめ文部省は問題にしてくると私は思います、研究費を一括して計上せいということになると。私たちも、最初はそれがいいと思いました。やはり科学技術庁を強くしていく、科学を振興するためには、そういう考えも持ったのですけれども、だんだん考えてみましたら、問題があるのですね。だから十ぱ一からげで、臨調という寸法でさっと割り切ってもらうということになると、今度は文部省との間がうまくいかなくなってきますよ。一番根源はそこにあるわけですね。その点ひとつ御警戒をいただきたいと思うのですが、どうですか大臣、臨調ばかりを尊重されますか。
#88
○上原国務大臣 いまの申し上げようが悪かったか足りなかったかと思うのでございますが、骨格は臨調の答申を尊重していくのが筋だと思います。しかしそれでは都合が悪いことがどうも各省庁にあるようでございますから、これはよく話し合って現実に即した解決策を考えていかなければ行政機構の改革はできなかろうと思うのでございます。臨調の答申だからそのとおりやれるとは私も思ておりませんけれども、臨調の答申はどうでもいいというわけにもまいりません。結局は臨調の答申の精神をくんで、そうやればこういう結果になるということは別にして、何をねらって臨調が答申の骨組みを立てたかということをよく理解して、その精神に沿うように運んでまいるということでないと進行はできないと思うのでございます。そうする必要があると思います。
#89
○三木(喜)委員 これはいろいろ問題をあとへ残したと思うのです。科学技術振興対策特別委員会としても十分検討しなければ妙な方向へいくおそれもあるし、あるいは政治的にこれが処理されてしまうということになれば、われわれいままで何をしたのかという非常に深い悔悟の念にかられるわけです。そこできょうは自民党、社会党とも委員が少なくて話にならぬと思うので、こういう基本的な問題に関してはもう少しみなが論議を出し合って、縦からも横からも検討しなければ、一面しか見ないおそれが出てくる。私も独善的な言い方になったと思います。先ほど田中君も指摘しておりましたように、芸能人が来るということも大事だと思いますが、十五分で官房長官は帰る、文部大臣もそそくさと帰ってしまわれるということでなく、この次には全部のメンバーをそろえていただいて、国の行政のあり方は一体どうなのか、あるいは諮問と答申の関係は一体どうなのかを明かにして、官房長官も言っておりました科学技術を振興するという国の大命題に対しましてはそれなりの姿勢で取り組む必要があると思いますので、再度この問題を取り上げていただくことを要望しまして、きょうは終わりたいと思います。
#90
○岡委員長代理 ただいまの三木委員の御発言につきましては、理事会において十分尊重して具体的な機会をつくりたいと思います。
 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる四月二十七日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。
   午後零時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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