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1965/04/27 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第19号
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1965/04/27 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第19号

#1
第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第19号
昭和四十一年四月二十七日(水曜日)
   午後一時四十一分開議
 出席委員
   委員長 原   茂君
   理事 纐纈 彌三君 理事 中曾根康弘君
   理事 西村 英一君 理事 前田 正男君
   理事 石野 久男君 理事 岡  良一君
   理事 田中 武夫君
      秋田 大助君    大泉 寛三君
      加藤 高藏君   小宮山重四郎君
      三木 喜夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 上原 正吉君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       田川 誠一君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   小林 貞雄君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局長)   村田  浩君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       有澤 廣巳君
        原子炉安全専門
        審査会会長   山田太三郎君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  式田  敬君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子力行政に関
 する問題)
     ――――◇―――――
#2
○原委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 原子力行政に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
#3
○岡委員 原子力委員会が、動力炉懇談会あるいはワーキンググループまたは海外調査団等いろいろな御活動で、一応今後におけるわが国の原子力開発計画を軌道に乗せようとしての御努力には、私は心から敬意を表するものであります。
 ただ、しかし、この際お伺いをいたしておきたいことは、たまたま私どもの委員会としては、原子炉等の規制に関する法律の一部を改正する法律が成立をいたしました際に、与野党一致で原子炉の安全性等を中心とする附帯決議を採択いたしておりますが、一体これをどのように取り扱っていただけるのか、この点をひとつはっきりとお答えを願いたい。
#4
○村田政府委員 原子力発電株式会社の第二号炉としまして、先般、福井県の敦賀に設置いたします原子力発電所についての設置許可申請が参りまして、昨年の十月十一日に申請書が出てきておりますが、法律の定めるところによりまして、総理大臣あてにまいりましたこの申請書を受け付けて後、直ちに原子力委員会の意見を求めておるわけであります。原子力委員会では、これまた法律の定めるところによりまして、直ちに原子力委員会に置かれております原子炉安全専門審査会に科学的、技術的な安全性の審査を依頼いたしております。それが昨年の十月二十九日でございます。自来、原子炉安全専門審査会では審査会長の主宰のもとに慎重なる審議検討を進められまして、本年の三月十四日に審議の結果をまとめ、原子力委員会委員長へ審査結果を答申されたわけであります。この間には部会等合わせまして五十数回の会合を開いておられます。原子力委員会では、三月十四日に安全専門審査会からの答申を受け取られまして、さらに原子力委員会としての諸般の見地から審査を進められ、設置許可についての必要な事項を十分検討された後、去る四月七日に原子力委員会委員長の名において総理へ本件についての設置許可に関する委員会の審査結果を答申しておられるわけであります。その後、これも法律の定めるところによりまして、電気事業法関係を所掌しております通産大臣の同意を得る手続をいたしまして、この同意が去る四月二十二日正式に文書をもって得られましたので、総理大臣の設置許可は同日付をもって日本原子力発電株式会社になされております。
 ただいま岡先生から御質問のございました昭和三十四年三月に規制法の一部改正の法律に対する附帯決議といたしまして、三項目あがっております。この三項目の附帯決議につきましては、もちろん原子力委員会におきまして、敦賀炉の安全審査を進めておりまするにあたりまして、検討の際に十分御配慮をいただいたわけでありますが、原子力委員会といたしましては、今回敦賀炉の審査をいたしまするにつきましては、この附帯決議にございますところの項目の中で「公聴会の開催等」ということがございますが、今回このような手続を踏むことは、特にその必要はないものと判断されまして、ただいま申し上げましたような手続を経て総理大臣に答申をいたしたのであります。
 以上が今回の敦賀発電所につきましての原子力委員会のとられた措置の経緯であります。
#5
○岡委員 なぜ、われわれが決議をした資料の公開、公聴会等の手続を経ろという附帯決議をとる必要はないと判断されましたか。
#6
○村田政府委員 三十四年三月の附帯決議は三項目からなっておりますが、その前書きにございますように、当時原子炉等規制法の一部を改正する法律案を御審議いただきますときに、御審議のポイントとなりましたのが、国が審査をいたしまして設置を許可しました原子炉が何らかのことで事故を起こす、そういうようなことから災害が生じました場合――まず、災害が起こらないようにするということに関連して原子力委員会でもいろいろ御検討されるわけでありますが、万々一委員会のそういう慎重な検討にもかかわらず災害が起こりましたときには、その補償ということが問題になるというような点から、特に三つの項目についての附帯決議をされたわけであると承知いたしております。
 その第一は、このような趣旨にかんがみまして「原子炉に関する万一の災害に対し、その責任の所在を明確にし、民間保険の負担の限度を超える分については、国家の補償責任を明かにするため、立法その他必要な措置を講ずべきである。」こういうことになっておる。第二には「国家補償に関連して、大型実用原子炉の安全性に対しては、資料の公開、公聴会の開催等の手続を経て決定すべきである。」こういう趣旨が述べられております。第三番目には「国際原子力機関憲章の趣旨に基づき、原子力災害の賠償については、国際的規模における保険プールの設定に努むべきである。」このような三つの項目が附帯決議されておるわけであります。
 このうち、第一の項目に対しましては、すでに御承知のとおり、その後政府のほうで原子力委員会の専門部会を設けて御検討いただきました結果をまとめ、昭和三十六年六月に原子力損害の賠償に関する法律ということで制定されて、わが国としての一つの原子力損害に対する賠償の補償のシステムが法的に確立されておるわけでございます。
 それから第二の点につきましては、ここで申されております「資料の公開、公聴会の開催等の手続」ということは、当時の原電の東海炉の設置許可に関しまして、原子力委員会では、原子力委員会に設けられました専門部会にお願いして、安全性について種々検討いたしておったわけでございますが、専門部会の先生方の別な方々、外部にあられる大学の先生その他の方々からも、いろいろ安全性についての御意見が多々あったわけでございます。そういうような外部における御意見を、安全を審査いたします際には、十分聴取すべきである、こういう趣旨と解されますので、そういった点から、現在の東海炉の設置等に関しましては、御存じのとおり公聴会を開催いたしまして、学界等の各方面の方々の御意見を十分伺って、その上に立って委員会の判断をつけられたわけでございます。これはもちろん、ただいま申し述べました衆議院科学技術振興対策特別委員会の附帯決議の趣旨にもかんがみまして、かつまた、この東海原子力発電所の炉は、わが国としましては全く未経験な最初の大型発電炉であるというような特殊性を考慮いたしました結果行なったものでございます。
 しかるところ、その後、原子炉の安全審査につきましては、この附帯決議の御趣旨にもかんがみまして、法律によりまして原子炉安全専門審査会というものを特に設置いたしました。原子炉等規制法を改正いたしまして、その第十四条の二項として安全専門審査会の条文が入ったわけでございますが、これによって国及び原子力委員会といたしましての原子炉に対する安全審査の体制が整備されたものと考えております。これは昭和三十六年の四月の改正によるものであります。その後、新しく法律的な制度として設けられましたこの審査会では、京都大学の原子炉あるいは原研に置かれました大型の材料試験炉等、こういった原子炉の安全審査を行なってまいりまして、安全審査につきましては大いに知識経験を積み重ねてきておるわけでございます。とういう状況で、この三十四年三月の附帯決議の際の状況と最近は著しく状況が変わってきております。いろいろな意味で体制が整ってきております。
 さらに、つけ加えますならば、安全審査に際しまして非常に大きな問題である技術上の問題でございます。立地の件につきましても、去る三十九年五月には、原子力委員会の安全基準部会におきまして立案されたところの原子炉立地審査指針というものができまして、それが広く公表されております。さらにまた、立地審査指針と関連いたしまして、安全性の解析上非常にむずかしい問題でございます気象問題の技術的な取扱いにつきましては、昨年の十一月に、原子炉の安全解析のための気象手引というものが同じく安全基準部会の検討の結果まとめられまして、原子力委員会でもこれを決定しておられるわけであります。
 今回の敦賀炉の安全審査にあたりましては、法律上その制度を確立しております安全専門審査会において、これらの立地審査指針あるいは気象手引というものを十分活用されまして、慎重に審議検討されたわけでございます。
 なおまた、先ほど申し上げたように、三十四年当時懸案でございました原子力損害賠償制度も、賠償法の施行により実施されるに至っておる、こういうような状況があるわけでございまして、その点で当時決議が行なわれましたときよりは非常に体制の整備というものが行なわれてきておるということが一つ、さらに、原電の敦賀原子力発電所につきましては、審査会が慎重に検査検討いたしましたところでは、この炉型はすでに米国等において多くの運転経験を持っておるいわゆる沸騰水型軽水炉でございます。安全性の判断にあたっても、この審査会におきましても、専門の先生方の間で、特に議論の生ずるような問題はなかったわけでございます。このような事情から、原子力委員会とされましては、その安全性について十分な確信を得られまして、さらに公聴会を開催するまでもないものと、このように判断されたものでございます。
#7
○岡委員 あの附帯決議は、実は私も直接作業したのです。なぜ特に公聴会、資料の公開等の項目を入れておるかというと、これは現在でも行なわれておるように、アメリカにおいて原子炉の設置の許可申請から運転の認可に至るまでに七段階ある。その七段階の中で特に大きな役割りを占めるものはいわゆるACRSの仕事である。これはアメリカの原子力委員会と独立した存在として、すべてアメリカで設置される原子炉については、AECと独立したこの原子炉安全諮問委員会というものが  これは国会が指名した練達の士をもって構成されておる。これが提出された資料等を審査し、その結果も含めてこれを広く公開をし、一カ月ないし二カ月のあとに公聴会を開いて大方の意見を求めて、いよいよ設置の許可へ安全諮問委員会が大きく踏み切るというこの手続規定が原子炉の安全を期するためには一番重要な段階であろう、こう考えまして、あの附帯決議になっておるわけです。
 私どもは、何も原子炉の安全性を疑おうという気持ちは少しもないけれども、しかし、原子炉もまだ完全に安全だと言い切れる人はどこにもあり得ないと私は思います。そういう意味で、特に日本のように経験が乏しい国、しかも広島や長崎における被爆経験という国民の潜在的な感情を考えた場合に、日本における原子力の平和利用を推進するためには、やはり国民の理解と協力を求めるということが一番根本ではないか。それにはやはりあの決議事項にうたわれておるように、資料の公開と公聴会の開催をして、そうして国民の理解と協力を求める、その趣旨のもとに原子力の平和利用を発展せしめるということが、当分日本における原子力政策の一つの基本的なファクターであろう、こういうことであの附帯決議になったわけなんです。
 そのときの事情は、いまもちっとも変更されておらないと私は思う。村田さんの言われた御説明は単なる事務的な説明にすぎない。私はそのことは十分知っております。単に事務的にあの附帯決議をつけたのではなくて、むしろ日本における原子力平和利用の推進のために、この程度の親心ある措置があって初めて日本の原子力の平和利用の推進がより大きく前進をするのだ、こういう考え方で私どもはあの決議を起案しておるわけです。したがって、その説明もそういう説明をしておるはずです。だからそれが、いま局長の言うような事務的な解釈で無視されるということは、委員会の決議を原子力委員会としては無視しているものだと申し上げても差しつかえないと私は思う。これは私は事務的な御答弁ではなく、むしろ原子力委員会として委員長なりあるいは有澤先生なりから御見解を承りたい。
#8
○有澤説明員 原子炉の設置許可にあたりまして、資料の公開、それから公聴会を開くようにという附帯決議があったことは、私ども十分存じておるわけであります。先般の原子力委員会におきましても、この炉の申請の取り扱いにつきましていろいろ議論をいたした次第でありますが、そのとき附帯決議の問題も、むろんわれわれの間で十分考慮されました。その考慮にありましては、第一号炉、東海原子力発電所の場合には、何と申しましても日本では最初の大型の動力炉の導入であり、世界的に申しましても、大きな炉は、イギリス、アメリカでは一つ、二つ動いておるようですけれども、まだそう動いていない、言ってみますれば、世界的にいって動力炉に関する知識経験というものは必ずしもまだ十分であるとはいえない、そういう事情のもとにおきまして、東海村の原子力発電所に導入されて設置されることになったわけであります。それで、むろん私どもの委員会の専門部会――安全審査専門部会がありまして、そこにはわが国における優秀な、すぐれた専門家がお集まりくださって、資料に基づきまして、この炉の安全性について十分御審議を願ったわけでございますが、しかしその当時は、それでもなお学界の方面におきましても批評がかなり行なわれておったと存じます。そういうわけでございますから、この際は東海村の発電所につきまして、資料を公開し、かつ、そのもとにおいて広く各方面の意見を聴取する、その上で決定をしたほうがいいだろう、附帯決議にもそういうふうになっておりますので、その線に沿って公聴会を開かせていただいたわけでございます。
 自来、この原子力発電所、ことにいわゆる在来炉型の発電所は、世界の各方面に続々建設されてまいりまして、それ以後の原子炉に対する安全の技術とか、そういうものも著しく進んでまいりました。事実この東海村の東海発電所の第一号炉の設置の場合の事情とは、在来炉型につきましては、もう非常に大きな違いが生じてきているというふうにわれわれは判断をいたしました。また事実、その後国会のほうの御要望もありまして、安全審査に関する専門部会を、今度は原子炉安全専門審査会というきちんとした組織をつくりまして、この機関をもって十分に御審議を願うことにいたしましたし、また附帯決議の場合に、ついておりました災害補償に関する制度も十分整ってまいりました。
 こういうふうな事情の変化のもとにおきまして、今日第二号炉の敦賀の発電所の建設という問題につきましては、学界におきましても、世論におきましても、この炉についての安全性について特段の意見が出たように私どもは見受けなかったのであります。そういう次第でございますから、この国会の附帯決議を尊重するにあたりましては、ケース・バイ・ケースにこれを考えていっていいのではなかろうか、こういうふうに判断をいたしたわけでございます。
 むろん資料の公開は、今日においても行なっておるのでございます。敦賀の発電所の資料につきましても、いつでもこれはだれでも見ることができますが、そのほかに、さらに公聴会を開いて世論を聞くことが必要であるかということになりますと、いま申し上げましたような事情の変化、これはわが国における原子力発電の発展のためには国民が非常に大きな理解を持つようになったことの証拠だと思いますが、そういう理解の高まってきた今日においては、すべての原子炉の設置について常に公聴会を開くということは、必ずしも必要ではないのではないか。場合によりましては、それが必要なこともあろうと思います。ことに新型の炉でありますとか、あるいはその他の原子力施設につきましては、これを開く必要はあろうと思いますが、しかしいかなる場合においても、原子炉の設置につきましては、その安全性を中心にした公聴会を開くということは、それはもう──前の段階には確かに必要であったと思いますけれども、国民の原子力に関する理解が進んできた今日におきましては、すべての炉の設置についてそれを行なうということは、必ずしも必要ではない。したがって、ケース・バイ・ケースにこれを考えていくべきであろう、こういうふうな判断になった次第でございます。
 ですから、今後におきましては、この原子炉の設置については、一切公聴会をやらぬとかいうふうなことをきめたわけではありません。国会の御決議は、われわれ常に心しておる次第でございます。ですから、今後新しい型の炉が、初めて日本でつくられるというふうな場合には、むろん原子炉安全専門審査会の御判断は御判断でありますけれども、なお、私どもが必要と考えた場合には、これを公聴会その他の方法で広く世論あるいは専門家の御意見を十分聞いた上で判断をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 敦賀の第二号炉につきまして、特にこの際公聴会を開くことを、附帯決議があるにかかわらずあえてそれをしなかったのは、以上のように、国民の在来炉型についての安全性についての認識、理解が高まってきた今日においては、もはや必要はないのではないかというふうに考えたわけでございます。
 以上でございます。
#9
○岡委員 まあ一応有澤先生の御意見も村田局長の御意見も、集約をすれば、原子炉の災害については災害賠償法もできておることでもあるから、万一の事故に対しての体制は整っておる。原子力委員会には安全専門審査会が独立してできて、これでその道の権威者が集まって十分審査をしておられるから、その審査の結果を信頼をするという方針でこの際はいきたい。特にこの際という意味は、いわゆる軽水型はすでに実証炉として各地において安全運転が開始されておるので、いまさらこの安全性について問題はないのではなかろうか、大体こういうふうな御意見のように承りました。しかし、でははたしてアメリカでいわゆる実証炉といわれておる軽水型が安全であるということについて、何らの懸念なくアメリカの政府当局が取り扱っているのかどうかということについて、私は先般ニュークレオニクスウイークの二月十七日号をちょっと拝見したのですが、これを見ると、アメリカ政府は炉のメーカーに対して、プレッシャーベッセルが破壊されたときはどの程度の放射能災害が起こるかという点は、もっと明確にしてくれなければ困るという強い要求を出しておるという記事があります。そういうふうに、まだやはりアメリカにおいても、実証炉のそうした仮定し得る最大災害の事故等についても、具体的なデータの要求をしておるというような状態である。しかもいま日本では、動力炉がだんだんとふえてくるばかりじゃなく、人口の多いところへ接近をする傾向がある。アメリカにおいてさえも、政府としては一段と細心な注意をメーカーに喚起しておるというときに、経験も乏しく、また国民感情の現状にかんがみても、単に外国のメーカーの提供するデータをうのみにして、安全である、これでは日本の自主的な原子力政策の確立という観点から見ても、決して正しい方法ではない。これはきわめて安易につき過ぎておる。こういういわゆる国民不在の動力炉開発なんというような考え方じゃなくて、真に国民の協力と理解のもとに原子力の平和利用を推進するという立場から、当然世論の理解と、そしてその基礎の上に立って協力を求める、これがほんとうではないか、こういう点について、山田審査会長も御出席でございますが、審査会長の御見解を承りたい。
#10
○山田説明員 岡先生の先ほどからのお話を伺っておりますと、アメリカのやり方と日本のやり方とどうも違うじゃないかというようなお話のように思います。これには確かに違う点がございますが、それではアメリカのほうがいいかどうかという点については、明確な答えを出すことは必ずしもできないと思うのであります。アメリカの場合におきましては非常に新しい炉、まだどこも経験したことのない原子炉をともかくつくっていくという考え方が入っておるわけでありまして、その点日本の場合は少し後進国的な形になっておると思いますが、ある程度わかっておる原子炉を審査する、そういうたてまえになっております。したがって、許可の順序がアメリカと日本とでは違っておりまして、日本では最初に許可を与えるわけでありますが、アメリカの場合には建設認可を与える、しかもその資料たるや非常にお粗末な資料のもとにやっておるのであります。日本の場合には、こういうものができる可能性があるといったような程度ではとてもだめで、それが実際にほんとうにできるということが技術的にも確認される段階までの審査を行なっておるのでありまして、その意味では、もしも全く新しい原子炉についてそういう方式をとるといたしますと、若干むずかしい点が出てまいると思いますが、先ほどからのお話にありますように、コールダーホール型であるとかあるいは軽水炉であるというものは全く最初のものではございませんので、そういう点は資料としてはわりあいに得られるところが多いのであります。そういう意味では、いつまでもこの体制でいいかどうかは別といたしまして、現状のいわゆるプルーブンタイプリアクターについてはむしろ日本のほうがいい形であるというふうに考えております。
 それから今般の敦賀発電炉につきましては、これは現在動いている原子力とすべて同じものであるということは申し上げられないのでありまして、もう少し進歩した点を入れておるということはもちろんでありますが、それらは、近い機会におきましてどんどんでき上がってくるであろうという原子炉が世界じゅうにたくさんありまして、それと全く同じ範疇に存在いたしております。
 なお、今回の審査にあたりましていろいろ問題になった点がございますが、まず地震の問題につきましては、あの地点が地震の面からいって非常に運のいい地点であるということが、大体調査の結果わかったのでございますし、それから地震に対する設計につきましても、日本としては相当――これはまだ公表された報告にはなっておりませんけれども、設計の方法が確立されておるのでございまして、それに従って行なうということになっております。
 それから、そういう地震とかなにかの対策にかかわらず、大きな事故、たとえばパイプの破断といったようなものが起こりました場合にどうなるかということが一番大きい問題でございますが、これにつきましては、日本でもささやかながら原子炉の安全研究をやっておりまして、それらの結果から若干のデータが得られております。この破損の起こったあとでコアスプレー装置が動作するといたしましても、その効果についてはまだ全世界的に認められておりません。しかしながら、その中の一番プリミティブな範囲においてはこれを認めることができる。すなわち事故後に水をかける装置がうまく働いて、事故になった燃料にちゃんと水がかかれば、確かに燃料は溶けないのでありますけれども、そういうことまでは期待できない。しかしその中に霧状になって存在した水があることはだれも否定できないわけでありまして、その意味ではそれだけの冷却を考えた場合には決してメルトダウンには至らない。多少の燃料の質の破損はあり得ても、燃料の全体的な破損にはなり得ないということがわかっております。
 それからなお、この敦賀の沸騰水炉におきましての特徴といたしましては、タービンに行く蒸気のパイプが原子炉の格納容器の外に出ておりまして、これが事故が起こります場合に非常に問題が起こるわけでありますが、それにつきましては、そういう際の蒸気及び水の量を制限する装置、これも格別むずかしい装置ではございませんで、ただベンチュリーチューブがあるだけでございますし、そういったようなもので制限ができるというようなことになっておる点が、われわれが前から知っておりましたよりも少し進歩した点であります。御承知のとおり、沸騰水炉におきましては、いわゆる圧力抑制型という格納容器がついていることはもちろんでございますけれども、それに加えていまの二つの点を考え合わせますと、安全であるということについての意見は大体一致いたしました。
 最後の、いま御指摘のありましたプレッシャーベッセルラプチャーにつきましては、これはまだ世界的に意見の一致を見ておりません。しかしこれにつきましてはいわゆる脆性破壊の問題におきまして、ある温度以下にならなければ、いわゆるこつ然としてプレッシャーベッセルのようなものが破れるというようなことはないということがいわれて、これは定説でありまして、そういう状態になっておらぬということを常に検査をするということにしております。そのための特別の設備も今回のものには設けられてございます。いまの御指摘のパイプラプチャーの点は、確かにまだ世界的に意見の一致を見ておりませんが、すでにパイプラプチャーでさえほんとうにあり得るかということを、逆にいま盛んに研究をなされておるわけでありまして、それに比べてなお過酷な事故が多々あると警告をしたにすぎない段階であるというふうに私は考えております。
#11
○岡委員 それでは、とりあえず第二号炉が建設されようとしている敦賀周辺の設置個所における地震を中心とする地質的な解明、これが安全であると結論づけられた地質的な解明、それから気象関係、それからその炉のいわゆる仮定し得る最大事故の場合の放射能災害の実態、また、そこまで至らないまでも、あるいはダクトなりその他の支障あるいは破損による小規模災害というようなもの、あるいはまた、自然にそれが運転されているときにおいても環境を汚染しない放射能しか放出しないのであるかどうかという点、こういう点は相互不可分的な問題なので、ぜひひとつ――その他、なお多少つけ加えて御意見があれば、それを含めて、われわれしろうとですから、わかりやすく資料として委員会に御提出を願いたい。また、委員長においても、この提出された資料に基づいて委員会としても、原子力の今後における平和利用を進めるという立場において、これを適切な方法でぜひ取り上げていただくように要求しておきたいと思います。
 繰り返して申しますが、私どもは何も政治的な偏見によって動力炉の設置に反対しようなどと思っていない。むしろ、これが健全に発展し得るという立場からこういう問題を皆さん方に善処をお願いしておる。
 それから、有澤委員長代理のお話にもありましたが、やはりケース・バイ・ケースで公聴会を開くという御意図は、私もぜひそうあってほしいと思います。何しろ、在来炉だといい、プルーブンタイプだといったって、アメリカにだってまだ幾つもあるものじゃない。それから、日本でいえば初めてつくるものだ。だから、そう在来炉だから安全だなどという結論をお出しになるのは、私は少し非科学的だと思うので、こういう点は、原子力委員会としても、十分世論の協力を得るという立場から、ぜひ前向きの姿勢で公聴会のようなものを開いて、そうして国民の納得を得る機会を積極的に持たれていただきたいことを強く私は要望しておきます。
 それから、原子炉の安全性は、その構造あるいはそのことばかりではない、万一の事故の際における組織の問題、いわば命令系統なりその他の、事故に対して対処する訓練あるいはそのための責任体制というようなものがやはりなければならないと思うのだが、こういうものもやはり提出をされ、安全審査会では審査されましたか。
#12
○山田説明員 いまのお話の、あとの処理、保安規定あるいは運用規定等につきましては、設置申請書中にあらわれておるものは、主として機器関係でありまして、あとは、管理といたしましては、先ほどの放射線の常時的な問題等でありますが、それらの点から導かれてまいりました大きな結論に対して、実行上原子力局においてやっておるわけでありまして、ただいまの点まで全部安全専門審査会では審議しておりません。
#13
○岡委員 問題はやはり安全審査会の重要な安全確保のための要件ではないでしょうか。したがって、保安規定を幾ら厳重にしてみたところで、きびしくすればするほど守りがたいという事情さえも起こらないとは保証しがたいわけです。だから、やはりそれぞれの事故に対する実情に合った対策、事故を処理する実力、判断、こういうようなものが災害対策として十分にそろっていなければならぬ。こういうものは安全審査会として十分に審査されてしかるべきだと思う。ただ外国からきたデータだけを見て、それに日本の特殊事情で地震があるからとか風向きがどうだとかいうような現地の特殊事情だけから見て、主として外国のデータを中心に、これは安全だと事もなげに片づけられるということは、私は真の責任ある安全審査とは言えないと思う。特に先般のスペインの飛行機の墜落事故なんかを見ると、まあこれと一つにはなりませんが、しかし、万一にも大きな事故が起こった場合、一体わが国自体の現状において保健物理の人員が全部そろっているのか、あるいはそういう場合における資材は用意があるのかどうか、やはり念には念を入れろという立場から、そういう点までも十分用意されてそこで安全であるという結論が下されるのが妥当だと思う。そしてまた、そういう経過が国民に公開をされ、国民に納得をされ、ここに初めて国民の協力が得られるわけなんです。こういう点、単に外国のデータや若干の地域の特殊事情だけの調査ぐらいに済まさないで、厳重にひとつこういう点も安全審査会の重要な課題としてやはり責任を持って取り扱っていただくのが妥当だと私は思うのです。山田さん、どう思われますか。
#14
○山田説明員 ただいまちょっとことばが足りなかったのですが、いまの設置許可の申請の際におきましては、あとに起こるであろういろいろな事柄を十分やっていくことができる能力をその組織が持っておるかどうかということにつきましては、もちろん十分な調査をいたしまして、技術的能力としてあるいは経験として十分であるということを確認いたしております。しかし、その後の処置をどうするかというようなことについては全部をやっておらない。しかし、そういう問題が起これば、やり得る技術的能力を検査しているというふうにお答えさせていただきます。
#15
○岡委員 いま申し上げました諸点についてもぜひひとつ資料として本委員会に御提出を願います。本委員会としても、また独自の立場で、その取り扱いについては理事会等でぜひ委員長としても御検討を願います。
 それから、いよいよたいへんなお骨折りで日本の今後における動力炉開発の計画も一応軌道に乗ろうとしております。これには、冒頭に申しましたように、委員長、委員長代理をはじめ各委員の方々に私は心から敬意を表します。ただ、しかし、私どもが手元にいただきましただけの資料では、どうもやはり動力炉開発懇談会あるいはワーキンググループあるいは原子力委員会そのものの中にも、何か一部に強い利益代表的な主張、意見があって、少しやはり妥協的な結論になっておるというような感じが率直のところ私はするわけです。やはりわが国の原子力政策を企画し、決定をするという権限を与えられておる原子力委員会のことであるから、こうした利益代表的な意見に安易に妥協するということは許されないはずだ、こう私は思いますが、これは私の思い過ぎかもしれませんので、この際御決意のほどを委員長なりまた委員長代理から承っておきたい。
#16
○有澤説明員 動力炉開発計画につきましては、いま御指摘のありましたように、ようやく委員会といたしましてもその基本方針を決定いたしました。その動力炉開発の基本方針につきまして、どことなく利益関係者との間に妥協があるというようなお話でございますが、私どもは、この動力炉開発、皆さん御存じのように、新型転換炉と高速増殖炉、この二つの炉をここ十五年くらいの間に原型炉を建設したい。したがって、新型転換炉のほうの原型炉はわりあいに早く、高速増殖炉の原型炉にいたしましても、もう十年を待たないで建設に着手をしたい、こういう考え方になっております。これはわが国といたしましては、開発プロジェクトといたしましてはほんとうに大きな、言ってみますれば、まだ日本ではあるいは経験もしないような大きなプロジェクトであろうと思います。こういう大プロジェクトを国のプログラムとして推進をしていくにつきましては、単に政府だけの力で達成し得るとは考えません。日本の国じゅうの技術、能力、知識、経験、資金、そういったものをここに集中いたしまして、この大開発計画に当たらなければならないと思います。そういう趣旨から申しまして、民間なら民間の御意向、学界なら学界の御意向、またナショナルインタレストの立場を持っておる政府自身の考え方、そういうものをつき合わせて、このナショナルプロジェクトにすべての人々が協力していける、その場合にも、むろん中心の動き方をするのは国でありましょうけれども、、その国が単に上から命令をするとか指揮をするとかいうのではなくて、民間のあらゆる各界の力を総合し得るような形において国がナショナルプロジェクトとしてこの開発計画を推進していく、そういう体制、そういう考え方のもとにこのプログラムを作成しなければならないというふうに、まず私どもは考えたわけであります。それがために、動力炉開発懇談会というふうなほんとうの懇談会を持ちまして、約一年近くもこの懇談会でいろんな各方面の御意見も聴取いたしました上で、委員会でこれならばいま申し上げましたような考え方でこの開発計画を推進できる、こういう自信を得ましたので、先般の委員会の決定と相なった次第でございます。でありますから、岡委員が御心配くださるような妥協の産物であるというふうに私どもは考えていなくて、むしろ各方面にいろんな利害関係のある――むろん利害関係はそれぞれ違っておるかもしれませんけれども、そういう立場においてもなおこのプロジェクトに大きく協力をしてもらえる、また協力してもらわなければならない。そういうプロジェクト、体制というものを考えているわけでございます。その点どうぞ御了承をお願いいたしたいと思います。
#17
○岡委員 有澤先生のお人柄を私もよく存じ上げておりますので、御趣旨は十分わかるわけですが、これは局からいただいた資料で、西ドイツにおけるいわゆる連邦原子力計画、一九六三年に始まって六七年に終わる五カ年計画、この中でこういうことがいわれております。簡潔にその部分だけを申し上げますと、「ここに原子炉全体の開発が、発注者の現在の経済的観点から非常に制約を受けて、長期的にみて必要な開発が好ましくないような方向に向いてしまうという危険が存在する。したがって、現在考えられるよりもより多くの促進措置によって、連邦の企業の開発による原子炉プロジェクトを実現化し、関連企業を振興することは政府の役目である。他の諸国におけると同様に、プロトタイプの原子炉やその装置については、投下資本の全額を政府が負担し、その運転に際しては、私企業の参加を一定限度に限り認めることが必要であろう。」とあるわけであります。もちろんこれはその後に訪日された科学研究省のカルエリテリ博士のお話によると、西ドイツの大蔵省では、この措置に対する予算の裏づけについてはまだ十分回答が与えられておらないようであります。しかし、いわゆるナショナルプロジェクトとしてナショナルインタレストのもとに動力炉開発を進めようとした場合に、やはりこれが民間における利益代表との間には摩擦は当然あり得ると思う。こういうような場合に、やはりき然として、発注者の経済的観点から制約を受けて、長期的にはその開発が好ましくないような方向にいかないようにコントロールする、これが原子力委員会の大きなお仕事である。特にまたわれわれの信頼する有澤委員長代理に期待する私どもの大きな期待だ。その点から考えますと、妥協の産物ですべてがあると私は申し上げたのではないが、若干そのにおいがするということを、私の臭覚は敏感なのかもしれませんが、申し上げたわけであります。だから、やはりナショナルプロジェクトとしては、いまここにうたわれているドイツのような、しかもドイツは、海外調査団の報告にありますように、ほぼ日本と同様な時期に占領軍から原子力の研究開発が認められて、しかもその発展のテンポは日本に比べて非常にピッチが早い。というのは、こういうナショナルプロジェクトをきめる、きめたら、それに対してはあらゆる業界が全体で一致してこれを支持するという方向に強い指導力を、これはおそらく西ドイツ原子力委員会の首脳ではあろうと私は思うのでございますが、やはりそれだけの指導力を持つということ、ただ協調、協調ということで、おのれをむなしゅうした協調では、真のナショナルインタレストの達成、プロジェクトの推進にはならないので、私はその点についてもう一度有澤先生の御所見を承っておきたい。
#18
○有澤説明員 御指摘をいただきました事柄は、私も全く経験しないわけじゃありません。それがためにこの動力炉開発懇談会も予定より半年以上も延びまして、ついに原子力委員会の決定となった次第でございます。しかし、いま岡委員がお話しいただきました国の指導、私自身は、エネルギー政策の上において、ナショナルインタレストにつきましては、これはいかに業界の経済性とかりに反することがあろうとも譲らないつもりでおります。また、いままでの主張におきましてもそれを貫いてきたと私は思っております。しかし指導という場合には、どうしても相手を説得する必要があると思う。説得にもかかわらず、どうしても聞き入れないということもあろうかと思いますけれども、しかしお互いにナショナルインタレストの立場に立って話し合いをする、理解をするということになれば、私はやはりその論理、その主張が勝つと思います。相手のほうはしぶしぶながらでもその論理にはついてこざるを得ないと思うのです。動力炉懇談会におきましても、高速増殖炉の開発についてはほとんど異議がないところでございますけれども、新型転換炉もあわせて並行して開発するということにつきましては、かなりいろいろの反対的な意見がなかったわけじゃありません。けれども、そういう反対的な意見をもついに私どもは説き伏せて、そして国のインタレストから申しますと、この新型転換炉をもこの際並行して開発しなければならないという主張を貫き通して、今日におきましては、民間の方々におきましてもやはりその必要を認めるに至っておるわけであります。ですから、時間から申しますとたいへん長い間すったもんだしたということはありますけれども、私どもは私どもとして考えたナショナルインタレストの立場を貫き通し得たものと考えます。それはただ貫くということだけでは意味があまりないので、すべての方々がそれに協力するという形においてこれを貫くことができたことを私は非常に喜んでおる次第でございまして、岡委員の御注意は十分私ども心にとめまして、しかも自分自身としましても、その点であくまでも趣旨は貫くという決心を持っておる次第でございます。そのことをどうぞひとつ御了解願いたいと思います。
#19
○岡委員 そこでこれは私も私的に先生に少し抗議を申し上げたのですが、いわゆる核燃料物質等民有化の方針をめぐる日本の原子力政策のこの十年の足取りを見ると、二つの曲がりかどがあった。最初は、初代の原子力委員長が突拍子もなく〇・六ペンスの動力炉をやると言ったので、とうとう湯川秀樹博士が原子力委員をやめられた。これはやはり日本の原子力委員会ないし原子力政策の推進における大きな人材を失った大損害だ。第二の曲りかどは何かというと、日本原子力発電株式会社の誕生――少なくともまだまだ新しい草創の分野である原子力の発電というものは、国が直接国の責任において推進されることが必要だ。それを直ちに民間企業体に譲るというようなことは、将来における原子力発電の推進のためにはおそらくたいして意味がないのではないかというので、当時私もずいぶんこの委員会で抗議申し上げたことがあります。この湯川さんの場合にしても、あるいは原子力発電株式会社の発足にいたしましても、ひっきょうするところいわば実用化を急いだ、あるいはまた、いわゆる自由主義的にあり過ぎる考え方に押し切られた、こういうようなことで、この二つが日本の原子力政策、特に発電の場合には大きな曲がりかどとして、このあとにはむしろ停滞が起きてきたというような感じさえ持つわけです。
 それは別といたしまして、そこでいよいよ新型転換炉、高速増殖炉のプロトタイプの建設ということになるわけですが、これはやはり国策として政府の責任において推進をする。原則はあくまでもここになければならぬ、こう私は思うわけです。この点について御所見を承りたい。
#20
○有澤説明員 新型並びに高速増殖炉の動力炉の開発についての推進の主役と申しましょうか、あるいは先導になるものは国でなければならぬということについては、全く私もそのように考えております。したがって、今後二つの炉の開発について、たとえば資金がかなり巨額のものを必要といたしますけれども、そのRアンドD、それからプロトタイプの炉の建設につきましても、その大きな部分を私は国のほうでめんどうを見てもらいたいと考えております。しかし原型炉の建設につきましては、これは一部は民間のほうで――民間となりますか、政府出資というような形でない金も取り入れていっていいのではないか、こういうふうに考えておりますが、しかしこの計画を推進するというか、主体になっていくもの、あるいはそれを引っぱっていく、これは国でなければならないというふうに考えております。
#21
○岡委員 私はやはり、国産技術の育成という立場から、これにふさわしき日本の国内のメーカーに対して補助なり助成なり、それは思い切って国が出されていいと思う。しかし問題は、最後の手綱を握って馬を前進させていくのはやはり国の責任である。具体的には原子力委員会の企画決定がそれであるという、この基本的な筋はあくまでも貫いていただきたいということをわれわれは考える。
 それでこの核民有化が私はどうも早計に失する。何回か先生のところへ抗議を申し込みに行きましたが、私はどうもそう思えてしかたがない。特に一九六九年にはいわゆるトールエンリッチメント、一九七三年には全面的な民有化、いわゆるシングル・パッケージ・フュエル・システム、その場合、日本では濃縮と言ってもなかなかたいへんなことですから、先般この委員会でも、やはりエネルギー源の分散化ということがエネルギー安定供給の大きな要素であるということを先生もおっしゃっておられましたが、少なくとも当初においてこうしたシングル・パッケージ・フュエル方式の中に包括される危険があるのではないか。民有化してしまいますから、そのときに日本の施設でなくアメリカで燃料再処理をしてはいけないという条件をつけられるということになっておりますけれども、やはり問題は実際の力関係において包括されてはたいへんだ。この点について原子力委員会としては私どもにその明確な保障をお与え願いたいと思う。
#22
○有澤説明員 核物質の民有化に伴いましていま御指摘のありましたシングル・パッケージ・フュエル・サービス・システムという、まあ言ってみますれば日本の核燃料サイクル、特に特殊核物質ですか、濃縮ウランでございますか、濃縮ウランのサイクルが、アメリカに拠点を置いたサイクルの中に取り込まれるという心配があるということは、確かに私ども最も大きな心配の種といたしたところであります。それがためにシングル・パッケージ・フュエル・サービス・システムの中に取り込まれるそもそものもとになりますものは使用済み燃料でございます。使用済み燃料と引きかえに濃縮ウランをアメリカから供給してもらうという形では、いま申しましたような心配が出てまいりますので、使用済み燃料の再処理は、公社で行なう再処理工場で再処理をする。それがために公社の再処理施設をも早く建設するように私どもは取り計らっておりますし、また現に敦賀の原子力発電所も、あれは軽水炉でございますけれども、軽水炉の使用済み燃料も公社の再処理施設において処理をするということで、許可申請の書類の中においてそういう取りきめになっておるわけでございます。
 それでも、日本で軽水炉がだんだん多くなってまいりますと、それがために必要な濃縮ウランが主として──もっぱらと言ってもいいかもしれませんが、ほとんど大部分がアメリカから供給を受けることに相なろうかと思います。そういう事態をそのまま放置しておくということは、やはり核燃料の供給源の分散化という点から考えまして、日本の立場がおもしろくない、こういうふうに考えましたので、一つは、どうしてもこの際、天然ウランを使うところの動力炉、これを開発する必要がある。これが日本のいわゆるナショナルインタレストと合致した動力炉開発計画の一部をなすというふうに私どもは考えたわけであります。
 それから第二は、いま申しましたように、国内の再処理施設で処理をいたしますから、それから出てくるところのプルトニウムあるいは減損ウラン、こういったものを国内においての原子力発電所の燃料として使い得るように、たとえばプルトニウムを、サーマルユースとして、これを燃料として使い得るように早く燃料の開発をする。そういうふうに、燃料そのものの開発製造におきましても、また動力炉そのものにおきましても、いま申しましたような民有化になりましても、私どもは、濃縮ウラン一辺倒という形にならないような十分の配慮をしなければならない、こういう考え方から、いまの動力炉開発計画――これは燃料も当然含まれておりますが、動力炉開発計画が生まれてきておるわけでございまして、民有化になりましたからといって、すぐいまのような措置を講じますれば、いまのような政策を強力に遂行いたしますれば、アメリカならアメリカに燃料を非常に高い率で依存する、一辺倒的な依存になるというようなことは避けることができるように考えております。
 燃料の問題は、将来、原子力発電が国内においてますます大きく展開されるとともに、きわめて重要な問題になろうと思いますので、その点をわれわれは十分配慮して今後の政策の展開を行なっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#23
○岡委員 ただいまおっしゃったように、これはどの国をも通じていえることだと思うが、結局、原子力発電を前進させようとするならば、一番重要なきめ手は燃料政策です。いわばその国の独自の立場に立った燃料サイクルを確立することが、その国の動力炉開発計画の重要な基本的な方針であることは言うまでもない。それが先ほど申しましたような形で、日本の核燃料が石油の二の舞いをするようなことになって、燃料サイクルの自主的な確立が思うようにいかないというようなことになってはたいへんだという懸念が非常に強いわけです。ジュネーブでも、先般村田局長も話しておられましたが、アメリカは核兵器を解体して六万キロの濃縮ウランを出そう、ソ連も四万キロ出してくれというような具体的な提案をしているが、いまのジュネーブの会議でなかなかこれがまとまるとは私は思いませんが、しかし、そういう日を持ち来たさなければならないし、またそういう日は必ず私はやってくると思う。そういう場合に、これは国際原子力機関に供与するものであるから、日本が民有化して、ただ、希望するものにはそれぞれ政府がオーソライズして、これらの原料あるいは核燃料物質が入手されるというふうな道を開くことについても、国としての立場においてやはり考えなければならない問題があるのではないかと思う。国際原子力機関の議長国でもあるわけなんですから、そういう点で、いずれにしても民有化の方針を打ち出されたというのはどうも早計ではないかと私は感じますが、これはこの程度でいいです。
 そこで、問題は、民有化ということになると、これは民有化でなく国有化でいこうとすると、武田委員あるいは吉村委員会の報告、燃料公社の資料などを見ても、ばく大な燃料を濃縮ウランで輸入する。何でも、これは一説には、アメリカにおける一カ年間に製造する濃縮ウランの輸出向けの三分の一以上の額になるだろうというような数字も聞いているわけで、非常にたいへんなことになりますので、そういう意味で、いま有澤先生がおっしゃったように、この燃料の効率的な運営という点から、天然ウラン重水型といったようなものについても、ぜひこれは考慮する必要があると思うわけであります。
 そこで、天然ウランの効率利用という点について、天然ウラン重水型の機関部と称されておりますが、セミプルーブンと申しますか、コストについてはまだ問題を残さているようでありますから、いわゆる実用炉としてはまだ未解決の問題があるといたしましても、諸外国においても、燃料の効率的な運営という立場から、これを導入し、また建設するという方向に多くの国が動いているということは私が申し上げるまでもないと思うのであります。そういうことでありますが、こうした燃料効率のいわば転換期において、効率が高く、また外貨節約においても有利ではないかと想像されるような天然ウランの重水型の炉の建設というようなことについては、具体的に何か御方針を持っておられるか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
#24
○有澤説明員 天然ウラン重水型の炉につきましては、この間の海外動力炉の調査団の結論、報告並びに新型転換炉のワーキンググループの調査報告というようなものを土台にいたしまして、カナダのBLW型、またイギリスのSGHWですか、われわれのタイプとしては一応そういったタイプのものがいいだろうというふうに考えておりますが、これにつきましてはなお武田委員が、そのタイプになお日本的なくふうを入れた形のものを開発すべきであるというような見解を持っているのでございまして、そういう問題につきましては、これから十分煮詰めていかなければならないと思います。また、いまのカナダの炉にいたしましてもイギリスの炉にいたしましても、できればそのデータといいましょうか、計数その他のデータは、場合によりましては国際協力によりまして入手して、そのデータを土台にして、さらにわれわれの国内において研究開発を進めるというふうに持っていきたいわけでございますので、これは相手のあることでございますから、カナダなりイギリスともお話し合いをしまして、その上でだんだん天然ウラン重水型の炉の設計を進めていく、こういうふうな考え方に相なっておるわけでございます。
#25
○岡委員 ともかく転換率が、軽水炉では〇・五、重水炉では〇・八、しかもあと二十年もたてば高速炉時代に入る。多量のプルトニウムを必要とするが、その不足が懸念される。わが国の燃料資源の現状から見て、天然ウラン重水型炉というものもやはり一つの高い評価を置くべきではないか。武田さんのシンポジウムにおける報告を見ても、原研で重水減速炉型の燃料特性に関する研究について触れておられますが、こういうものは具体的に取り上げて、そうして日本としてもこの天然ウラン重水型炉の改良型と申しますか、こうした日本型を建設するという方向で、やはり御用意があってしかるべきではないかと私は思います。外貨の節約という点では、私の得た資料で見ると、濃縮ウランと天然ウランではたいへんな差異になるような結果になっておりますが、こまかい数字は申し上げません。
 そこで、原子炉発電株式会社なんですが、今度敦賀に二号炉を建設したあと、原子力発電株式会社は一体どういう形でとどまることになるわけですか。原子力委員会で何かお考えがありましたら、お聞かせ願いたい。
#26
○有澤説明員 原子力発電株式会社並びに電源開発株式会社、この二つはいずれも同じような将来性を持っているといいますか、電発のほうもだんだん水力発電の大きな仕事はもう将来に期待はできない。むろん、なお少しの水力開発はやると思いますけれども、期待はできないと思います。原子力発電会社のほうも一応二号炉の完成をもって仕事が終わるというように考えられております。
 ところが他方から申しますと、いまの動力炉開発計画から申しますと、最初は新型の原型炉が建設されましょうし、やがて高速増殖炉というふうな開発が進んでまいります。むろんこれがみな実用化という段階になりますれば、これはあるいはむろん民間の電力会社がそういうものをとり入れて建設をするという段階になろうかと思いますけれども、それまでの中間の時期にはこの原型炉あるいは実証第一号炉というものをどういうふうに運転をするか、経営をするかというふうな問題が考えられます。そういう問題を考えるとすると、いまの電源開発でございますとか原子力発電でございますとかというふうな会社も、この際考えの中にとり入れていかなければならないのじゃないかというふうに私は考えておりますけれども、まさにいまそういう問題について委員会の中でも議論をしている最中なのでございまして、委員会としての方針はまだ決定的になっているわけではありません。しかし御指摘のありましたような問題は十分考慮して審議を進めているところであります。
#27
○岡委員 新型転換炉から高速増殖炉へと一つの基本計画は一応まとまった。そうなると、だれがこれを担当して進めていくかという体制の問題が、これが一番困難な問題として、しかも当面の問題としてわれわれの目前にいま迫ってきております。私は、それについて新しい特殊法人をつくられるというような構想も承りました。しかし、原子力研究所も特殊法人である、電源開発株式会社も特殊法人である、新しいものも特殊法人、一体これまである現存する特殊法人、これらの関係はどういうものなのか。その機構運営等についてまだ煮詰まったお考えというものはないのでございましょうか。
#28
○有澤説明員 動力炉開発の体制としましては、特殊法人を新設するということになると思います。この特殊法人と原研、公社、それからいま述べられました原子力発電株式会社、電源開発株式会社、こういうものとどういうふうに取り組みをするか、いろいろ議論が行なわれておりましてなかなか確定的にはなっておりませんけれども、しかし考え方といたしましては特殊法人的な、研究開発を促進し、推進し、担当していくという何かの仕組みがなければならないのじゃないか。その主体としては、すぐさま原子力発電株式会社になるか、電源開発株式会社になるか、あるいは原研そのものでやるか、その主体そのものとすることはいろいろな事情からいってむずかしいのじゃないか。だから、主体そのものはこれはいまいろいろの角度から検討を加えまして、だんだんはっきりしてきつつありますけれども、特殊法人というものを新設する。その新設された特殊法人の中にどういうふうな関係で参加してもらうか、これが問題になってくるのではないかというふうに考えております。
#29
○岡委員 原子力発電株式会社は、私も若干見解を異にした点もあります。しかし、原子力発電の鬼として、実に熱意を込めて今日まで精進してこられたこの原子力発電株式会社、またこれらの熱心な諸君の花道をつくるといったら表現が悪いかもしれませんが、熱意をもっと積極的に生かしていくという方法で何か問題の解決ができないかということを、私個人としてはいつも考えるわけなんです。ところが原子力発電株式会社についていえば、やはり資金問題などが大きな制約になっておる。ところが、一方の電源開発株式会社についていえば、資金の関係においては――事業量はこれからだんだん少なくなってくるのだが、何でも聞くところによると、一カ年間にここ四、五年で大体二百億くらいの社内留保というか余裕金を持つ可能性もあるということを私は間接に聞いております。一方は仕事はやりたいけれどもお金がない。一方も仕事をやりたい。少なくとも原子力発電には手をつけたいし、金もあるという状態になっておる。こういう新特殊法人というものはやはりもっと調整のとれた機構として、こうした資金というものを思い切って活用していく。御存じのとおり何といってもいまの大蔵省というのは頭がかちかちで、さいふのひもを締めることにきゅうきゅうとしております。こういうものを大いに活用して、転換型あるいはその改良型というようなものが原研で開発されればプロトタイプはこの金のあるほうにつくらしてやるというような、そのほうも意向は持っているに違いないから、やはりそういう方向で、それを阻害する要因というものは越えてナショナルインタレストの立場から活用するという方向で、新たなる特殊法人の形態というものをぜひひとつ考えていただきたい。
#30
○有澤説明員 この特殊法人の設立並びに今後の運営の問題を考えていく面におきまして、いまお話のありましたような点は十分考慮するつもりでおります。
#31
○岡委員 それから、これはこの間ある専門家が私に申しておったことだが、この新型転換炉を一つにきめるのはちょっと早計に失するのではないか。これは国際協力という立場から考えてみると、各国においてもいろいろな新型転換炉への研究開発が進められておるようで、日本は一つのものにきめないで、もう少し一つのものは二つにするなりしながら、国際協力の点を考慮しながら新型転換炉の炉型についてはきめていくという方針が常識的に一番有利なのではないかという意見がございました。この点はいかがなものでしょうか。
#32
○有澤説明員 私どもが一つに一応きめましたのは、実はいままで、天然ウランを燃料として使う動力炉につきましてどれがいいかということをかつて原研なんかに諮問しましてやらそうとしましたけれども、どれにきめるかということについて一年も二年もかかってなかなかきまらない。そして結局それがきまらぬものですから動力炉開発懇談会というものを設けましてさらに原子力委員会自身できめざるを得なくなったわけです。それがために私ども海外にも調査団を派遣いたしましたり、他方におきましては新型転換炉に関するワーキンググループもつくってもらいました。そして、それはむろんなかなかきめにくいことには違いがないけれども、技術的なフィージビリティー、可能性その他の点から見ましてどれが最も開発しやすくまたいいか、技術的に見ても有利性を持っているかというような観点からこれに順位をつけてもらったわけです。そうしますと重水天然ウラン沸騰水型という炉がまず第一位、それからガス冷却型が第二位というふうなことになってまいりました。さらに、これはむろんこれからなるべく早く新型炉の実用化がはかられなければなりませんし、したがって開発のテンポを早める必要があるわけですから、国際協力を大いに進めていかなければならぬ。それかといってコマーシャルベースで導入するというふうなことをするのは意味がない。ですから基本的なデータは、これは国際協力で入手することは必要であろうけれども、ノーハウその他のものまで導入するというのはどうかというふうなことも考えられます。これは一ぺん国際協力の折衝をしてみないとまだはっきりしない。情報はいろいろの情報が伝わっておりますけれども、ほんとうにそうなのかどうかというようなこともまだ明らかでなく、確定的でないものですから、これは至急に国際協力の折衝を始める。国際協力の折衝を始めるとなりますと、何か一つの炉にきめてそれで協力関係を打診しないと事柄がはっきりしないものでございますから、われわれのほうにおきましては、動力炉、特に天然ウランタイプの動力炉の開発のいままでの長い経過から申しましても、この際委員会がとりあえず一つにきめなければいかぬ、そのきめることがまた国際協力を進める上において必要であるということから一応一つにしぼったわけでございます。ですから、重水天然ウランの型になっておりますけれども、これはたとえばコマーシャルベースでなければ技術あるいは資料も提供できないというようなことになりますと、また考慮し直さなければならないかもしれません、あるいは、そうじゃなくてあくまでも日本の自力でかなり早く開発ができるということでございますれば、それを推し進めていきたいというふうに考えております。そこらあたりはもう少し国際協力の実際に当たってみないと確定的なことは申し上げることができないと思いますが、それかといって確定するまでは何も言えないでは事柄が始まりませんので、ワーキンググループや海外調査団の報告を採用いたしましていま申し上げました重水冷却天然ウラン炉にとりあえずきめた、こういうことでございます。何が何でもそれに密着してあくまでもそれで押し通すというつもりはございません。
#33
○岡委員 私も全然しろうとでございますから、あまり専門的なことはわかりませんけれども、もちろん十分専門家の御検討を経たことだと思いますが、ただ常識的に、ドイツでは五つの型を新型転換炉として選んでおる、イタリアはこの上にまたフォッグ冷却というようなものを考えておる、アメリカでもいろいろなくふうがこらされているようだし、そういう点を考えてみると、いまから一つに定着してしまうというような考え方でいかないでも、もう少し融通性を持っていっていいのではないか。いずれにしても、これは国際協力を得なければならないとすれば、そういう場合に、これまでのように一人か二人がちらっと見てくるというようなことでなしに、これならこれとある方針をきめたら、やはり一つのグループが行って、一年なら一年、二年なら二年、十分勉強して、その成果を持ち帰って、それが日本の新型転換炉の前進の大きな推進力になっていくというような体制も今後の問題として考えてみなければならぬのじゃないかと思うわけです。ただ、聞くところによると、この新しい特殊法人のいわば構成について私はこういうことを聞いておるので、これはちょっと聞き捨てならないと思ったのでお聞きするのですが、要するに、新型転換炉のプロトタイプは新しき特殊法人がつくるわけですね、その場合、プロトタイプはドイツのほうを見るとたいてい一万キロ、一万五千キロ、二万キロワット程度の出力規模ですが、日本の場合は二十万キロワット程度の出力規模です。そうすると、これは実用動力炉としても十分に役に立つことになる。東海発電所が十六万五千キロワットですから、二十万キロワットといえばりっぱな実用動力炉です。そこで、このプロトタイプのいわば残存価値に相当する額というものを計算してこれを民間が出資をするように期待をしておるのではないか、こういう話を聞いたのですが、これは一体事実なのですか。
#34
○有澤説明員 私どものほうでは、新型転換炉につきまして、プロトタイプの建設費につきましてはできれば半分くらいのものは民間のほうのお金を出してもらいたい、こういうふうに考えております。そして特殊法人のほうは、言ってみますれば、いつまでも存在する法人ではないので、この原型炉の開発が終わりましたら、委員会が必要と認めた場合に、この特殊法人の解散をするというふうに考えております。その解散をするにあたりましては、特殊法人が持っております原型炉は二十万キロですからかなり大きな発電所でございますが、この発電所をどういうふうに資産処分をするか、また、それをだれに引き受けてもらって運転をしてもらうか、そういうふうな問題はまだ十分は考えておりませんが、しかし、いずれにしましても、あるいは電源開発が引き受けるか、あるいは原子力発電株式会社に引き受けてもらうか、あるいは九電力のどこかに引き受けてもらうか、いろいろの考え方があろうかと思います。しかし、いま私どもの考えておりますのは、原型炉の建設費の約半分ぐらいのものは民間も協力してもらっていいじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#35
○岡委員 私は、その場合に民間に出資をさせるということは、原型炉というものそれ自体から見ても妥当ではないような気がするのです。やはり非常に大きなリスクを負担しなければならない。しかも民間に引き受けさせるとまた、進水前に遭難をする原子力船の二の舞いをするということになる。それでその発電炉としての残存価値を前提として民間に出資させるというやり方は非常に安易なやり方なので、原型炉の実用性にあまり期待し過ぎますと、結局それなら国産よりも輸入のほうがいいじゃないかという、民間においても最近横行しておる論理がまたここにも持ち出されてくる。私はそういうことも心配するので、それは民間九電力に引き渡すということじゃなくて、やはり電源開発などというお金を持っている、ますます余裕が大きくなる会社あたり、また、新しい意欲を燃やして新型転換炉等に取り組みたいという原子力発電株式会社あたりが、何か皆さんの政治的な御手腕で一本になって、そうしてあくまでもこれは国策として最初の原型炉の運転をしていく、こういう方向にぜひお進みを願いたいということを私は強く希望しておきます。
 それから、私が心配するのは、そういう特殊法人でいよいよ新型転換炉が、またほとんど同時に高速増殖炉だということになりますと、人がいるのかいないのか。私は、野に遺賢を求めれば十分あると思いますけれども、原研からひっこ抜くということになりますと原研が非常に弱体になるといっては悪いが、機能にも非常に大きな影響がありますが、そういう点の考慮はしておられますか。
#36
○有澤説明員 その点は人の問題でございますが、人の問題はたいへん重要な問題でございまして、これは民間の方々、特に原研の理事長ともいろいろお話を申しておりまして、原研のほからも、この特殊法人のほうに出向という形になりますか、あるいは一部の方は移ってくるということになろうかと思いますが、そのために原研全体が弱体化しないように配慮しなければならぬということは理事長からも私言われておりまして、全くそのとおりだと思っておりますが、しかし現時点といたしましては、動力炉の開発ということは原研の一つの大きな任務なんです。本来ならば、原研をしてこれをやらしめてもいいということに少なくとも原研法からはなろうかと思いますが、しかし、それでは原研としては、たとえば、エンジニアリングの面とかその他の面においてなお不自由な点がたくさんあります。それがために、ここに新しい法人をつくろうというのでありますから、原研も一つの大きな任務をこの特殊法人を通して実現するというふうな形で原研の人的な参加を求めたい、こういうふうに考えております。民間のほうも、電力会社あるいはメーカーという方面から、この特殊法人につきましては、高速増殖炉とともに新型転換炉の両方の開発研究のために人を出してもらうことになっております。
 それから研究であるとかあるいは試験的な政策、そういうものは、この特殊法人がメーカーとかあるいは研究所とか、むろん原研も入りましょうが、そういう方面と研究契約あるいは製造契約というものを結びまして、そうしてそういう形で人を動員していく、こういうことに相なろうと思います。ですから、特殊法人の持っておる中核的なスタッフというものはそう非常に大きなものでなくて済ませるようにいたしたいと思います。そのためには、いまの研究契約、研究委託あるいは製造試験政策というようなものを非常に広範に、しかも総合計画的に推進してもらわなければならないと思いますので、特殊法人の中枢の人々のやることは、たいへん弾力的といいましょうか、総合的に弾力的に動いてもらわなければその仕事を十分果たすことができないのではないかということを考えておる次第です。
#37
○岡委員 結局これは、原子力委員会として勇断をもってこの交通整理をしてもらわなければならぬと思う。一つは、先ほど来問題となっておる電源開発なり原子力発電の問題と民間電力の関係です。やはり日本の共同の基本計画を完全に推し進められ得る体制をとるためには、どういう交通整理が必要か、非常に困難なことでもあり、非常に抵抗のあろうことも私は十分想像いたしますが、ぜひひとつこれは原子力委員会が勇断をもって善処してもらいたい。
 もう一つは、いまの特殊法人と原研等との関係でございますが、私が聞いたところによると、原子力研究所は新型転換炉にどの程度取り組んでおるかと聞いてみましたら十名弱だというお話でした。原研はどちらかというと、やはり基礎的な研究に重点を置いておる。しかし、原研と大学との関係というものは、ほんとうに緊密にはまだいっていないようです。しかし、これは別に仲が悪いというわけではなく、制度上の問題があって、どうも共同利用と申しますか、そういう関係が十分にいっていない。これはやはり交通整理をして、大学の利用にうんと供しながら、大学の基礎研究も大いに尊重しつつ、基礎研究を充実しつつ、もう一方では今度は動力炉開発で、新型転換炉の方向にも現在のあの原研の諸施設というものが非常に大きく役立っていく。だから、理想的に言えば、基礎研究は、イギリスの場合ならハーウェルがやる。フラスの場合ならサクレーがやる。そうすれば今後はほかで開発をやるというふうにちゃんと組織がきまっておるところはいいけれども、日本はこれから新しくやらなければならぬ。既存のものがあって、これを交通整理をしながらさらに内部充実をはかっていくということは非常に大切なことではあるが、しかし、これも原子力委員会としては非常な勇断をもってぜひ善処していただきたいと思いますが、重ねてこの点についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
#38
○有澤説明員 お説のようにこの動力炉開発計画の推進ということと原研というふうな問題でございますが、原研は仕事といたしましては、一つはファンダメンタルなリサーチ、それから研究開発、それからもう一つは、事業といいましょうかサービスといいましょうか、材料の試験炉いたしましてもあるいはアイソトープの製造にいたしましても、そういうサービス事業があります。ですから、原研の仕事はいま大きく分けて三つに分かれておりますので、この三つとも私は原研としては必要なことだと思います。燃料につきましては燃料公社、ファンダメンタルな研究は原研でやっておりますが、それの開発とか製錬とかいうようなことは公社がやっている。ところへいま動力炉開発というために新しい特殊法人ができて、これが開発の衝に当たる、こういうふうな事態になったときには一体どういうふうにこれを考えていくべきか。私は、原研としましては、その原研の開発部に当たるものはこの特殊法人と非常に緊密な関係に置かれるべきじゃないかと思います。それかといって、ファンダメンタルなものがすぐ取り残されるということじゃなくて、むろん開発研究を進めていく上において常に基礎の研究に立ち戻ることが必要であろうと思いますので、やはりファンダメンタルの研究が下積みといいましょうか、背景になっていなければならないというふうに考えております。ファンダメンタルな研究にしましても、開発の研究にいたしましても、大学との関係がまた重要であるということはむろんのことでありまして、先般東京大学のある教授に会いましたときにも、その問題が非常に重要だと思う、それについては今後自分たちは新しい提案をするつもりである。ここでその提案の内容は、立ち話でございましたので、詳しいことは聞くことはできませんでしたけれども、とにかく原子力の研究のためのファンダメンタルな研究については、大学と原研との間でもっと緊密な関係に入れるような形に考えなければならぬ、こういうふうなことを申しておりました。そういうふうな動きがだんだん一般的にも出てきておるようなわけでございますし、他方から申しますと、動力炉の開発の事業がこれから始まろうという段階ですので、お話にありましたように、この問題について原子力委員会がきちんとした方針を打ち出して、そうしてその態勢を整えなければならない時期にきているように私は考えております。
#39
○岡委員 先生の次の会議がおありだそうでございますから、またしゃべり出すとだいぶ時間がかかりそうですから最後にひとつ先生に私は心から御要望と申しますか、申し上げたいと思います。
  一言に申しますと、あまりお急ぎめさるなということ、ことばをかえて言えば、先生は御自分の原子力委員の任期にこだわられて、せっかく基本計画をつくられながら画竜点睛を欠くでは、私はやはり先生の御本懐ではないと思う。これはきちんとした基本計画を図上プランにしないように、その後も責任を持っていただかなければならぬということは、単に私だけの希望でなく全委員の希望だと思うので、どうぞお急ぎめさるなということをこの機会に申し上げて、私の質問を終えたいと思います。
#40
○原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる五月十一日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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