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1965/05/12 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第21号
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1965/05/12 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第21号

#1
第051回国会 科学技術振興対策特別委員会 第21号
昭和四十一年五月十二日(木曜日)
   午前九時五十四分開議
 出席委員
   委員長 原   茂君
   理事 菅野和太郎君 理事 中曽根康弘君
   理事 西村 英一君 理事 前田 正男君
   理事 岡  良一君 理事 田中 武夫君
      大泉 寛三君    加藤 高藏君
     小宮山重四郎君    河野  正君
      山内  広君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 上原 正吉君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       田川 誠一君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   小林 貞雄君
        総理府技官
        (科学技術庁研
        究調整局長)  高橋 正春君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局長)   村田  浩君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       駒形 作次君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局次長)  武安 義光君
        総理府技官
        (科学技術庁原
        子力局放射能課
        長)      大町  朴君
        厚 生 技 官
        (環境衛生局水
        道課長)    大橋 文雄君
        厚 生 技 官
        (環境衛生局食
        品衛生課長)  石丸 隆治君
        運 輸 技 官 村山 信彦君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子力行政に関
 する問題)
 小委員長からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○原委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 この際、上原国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。上原国務大臣。
#3
○上原国務大臣 実は本日これから中共の核実験に対します放射能対策につきまして閣僚会議を開催するから出てこい、こういうことでございまして、担当の大臣でございますので出なければなりませんので、この委員会におれませんことをおわび申し上げますとともに、御了承いただきたいと存ずる次第でございます。
 きょうの会議の内容につきましては、昨日役所の事務当局からあらまし伺っておりますので、その内容は大体承知をいたしておるわけでございます。そして、きょうの小委員会からの御報告を御採択になられ、これが委員会決定となる、こういうことでございましたら、この御趣旨が生かされますように、私といたしましても努力を重ねてまいりたい、かように存じておりますので、あらかじめ御了承をいただくとともに、私がおれませんので、政務次官に残ってもらいますから、どうかそれで議事を進めていただきますようにお願いする次第でございます。
#4
○原委員長 動力炉開発に関する小委員長及び宇宙開発に関する小委員長より、それぞれ小委員会の調査の経過について報告いたしたいとの申し出がありますので、この際これを許します。
 最初に、動力炉開発に関する小委員長菅野和太郎君。
#5
○菅野委員 動力炉開発に関する小委員会の結果を御報告申し上げます。
   動力炉開発に関する小委員長報告要旨
 本小委員会は昭和四十年五月十二日(第四十八回国会)に設置され、以来関係各分野及び学会等から参考人を招致し、その意見を求め、また関係団体(原子力産業会議、産業計画会議、電力中央研究所等)の公刊した資料、あるいは、原子力委員会の中間報告(動力炉開発の進め方について)、動力炉開発調査団の報告を参考として検討した結果、次のごとくわが国の動力炉開発のあり方に関する意見をとりまとめ本委員会に報告する。本報告に関してその具体的な推進方策および所要の予算措置については、原子力委員会はじめ政府が専門技術的な見地をも考慮し、責任をもって措置すべきである。
 一、将来に予想される飛躍的なエネルギーの需要増加に対応するため、総合的エネルギー政策においては原子力発電の重要性を高く評価すべきである。
 また、その推進にあたっては、安全確保に特に留意すべきである。
 わが国における一九五八年から一九六三年までの年間平均経済成長率は一一・二%であり、これに対しエネルギー需要の伸びは年間平均一三・七%を示し、国民総生産に対するエネルギー需要の弾性値は一・二二という値を示している。これらの数値に対し、ラピー報告によれば、一九六〇年から一九六五年におけるヨーロッパ六カ国をもって構成するEEC全体の経済成長率四・九%、エネルギーの年間需要増加率四・三%、弾性値〇・八八であり、わが国の数値がいかに大きいものであるかを知ることができる。また、将来の経済計画およびエネルギー計画については、経済審議会および総合エネルギー調査会においてそれぞれ検討中であるが、一応見送りになった中期経済計画では次のごとく推算している。
  年次 経済成長 エネルギー 弾性値
     率    需要増加率
 一九六三−六八 八・一%  九・九% 一・二
 一九六八−七五 七・六%  八・〇% 一・〇五
 一九七五−八五 六・一%  六・〇% 〇・九八
 したがってこれをまかなうためには石炭換算で、
 一九六三年   一億七、八〇〇万屯
   六八年   二億八、六〇〇万屯
   七五年   四億九、二〇〇万屯
   八五年   八億八、〇〇〇万屯
 という巨大なエネルギー資源を必要としている。現在の情勢では、この経済計画の数値は若干スローダウンすることが予想されるが、現在における国民一人当りのエネルギー消費量が国際的にみて低位にある事情を考えると、エネルギー需要のいちじるしい増加は避けがたいとみてよかろう。しかもエネルギー需要における電力の需要の増加は極めて高く、一九六三−六八年の間で、年間一〇%程度の伸びが見こまれている。
 また、わが国における石油を中心とする輸入エネルギーの事情は次のようになるものと予測されている。
      エネルギーの 総エネルギーのな
  年次         かにおいて占める
      輸入依存率  石油の供給率
 一九六三  五八・四   五二・四
   六八  七一・三   六五・三
   七五  八一・二   七五・〇
   八五  八八・九   八一・四
 しかも一九六四年においては石油の八七%は中東に依存している状況である。
 エネルギーの安定供給を確保することは、エネルギー政策の大前提であり、EECにおいてすら、その供給源の分散化を図り、六一年の中東石油依存度八五%を、サハラ、リビア、ナイジェリア等からの輸入にきりかえ、六四年度においては中東原油の輸入を七〇%台にきりさげているのである。ヨーロッパ諸国がエネルギー資源の確保のため集団的保障をすることのできる条件にあるのに対し、わが国はその現在および将来にわたりエネルギー事情はまったく孤立無援の状態にあるといっても過言ではあるまい。
 このような事情から、また、今日における電力の火主水従の趨勢よりみたときわが国にとっては、燃料資源……原子力発電の緊要性はいよいよ大であるというべきであろう。
 また原子力発電を推進するにあたっては、原爆被災国であるわが国の国民感情をも充分考慮し、原子力委員会、ならびに政府は、施設の安全確保については、引き続き万全の措置を講ずるとともに安全性確保に必要な研究を促進すべきである。
 二、エネルギー政策としては供給の安定とコストの適正化は必須の条件である。しこうして石油の現状をかんがみるとき、この条件を満たすためには、動力炉の自主的開発を推進することが当面の課題であろう。
 われわれは各国のメーカーの声として、しばしば驚くほど低廉なコストを聞かされ、またその文献を送られる。しかし、いずれの国にしてもこのように安いコストで原子力発電を行ない得るまでには、国としても大きな研究開発の努力と資金の投入があったことを忘れてはなるまい。
 たとえば、現在各国においても、もっとも新しい実用炉として建設されつつあるものについて見ると、次のとおり推定されている。国名炉型 発電コ (円/KWH)研究開発費 原型炉建     スト               設費アメ PWR  一・八〇 (巨額と推定さリカ BWR  一・四四  れるが、軍事
              費から分離し
              がたい)イギリス AGR  一・九二 五〇〇億円 九〇億円カナ CANDU−Wダ        H
         P
        二・一二 八〇〇億円 二九〇億円フランス  EL―4
       不 明 二一〇億円 一五〇億円
 右のうち、アメリカのPWRはコネチカットヤンキー、BWRはオイスタークリーク、イギリスのAGRはダンヂネスB、カナダはダグラス・ポイントの発電コストを取った。また、研究開発費については、アメリカは不明確であるが、一説には約五四〇〇億円(十五億ドル)といわれており、原型炉建設費についてはインディアンポイント、ドレスデン等の数基の原型炉の建設費の合計を計上した。イギリス、フランスは黒鉛減速ガス冷却炉の基礎技術の上にたつもので、実質的な研究開発費はさらに巨額なものと推定され、しかも研究開発の資金は、ほとんど国が支出しているのである。
 原子力発電を行なうにあたって、各国で低廉なコストで原子力発電ができたとして、これを無計画に自主性を捨てて安易に導入するようなことがあれば、石油産業の現状をそのまま原子力にもちこむこととなり、日本を各国の動力炉メーカーの市場として提供することとなる可能性をはらんでいる。これは長期にわたるエネルギーの供給の安定性を確保する観点からみるとき、けっして望ましいこととはいえないであろう。
 発電コストについても同様のことがいえるはずである。すなわち、経済性の確立は、国情に適した動力炉が国産化されたときにはじめて可能となるものである。かつて、〇・六ペンス(二円五〇銭弱)で発電ができるというヒントン卿の示唆にもとづいて東海村にコールダーホール改良型炉を建設した。これについては当委員会においても多くの批判が行なわれたのであるが、この動力炉は工期が一年余も遅れ、建設費も一〇〇億円近く上回り、その発電コストも伝えられるところではキロワット時当り六円余になったという。いまさらその責任を問わんとするものではないが、このことは、わが国の今後の原子力発電政策等にとってはこよなき教訓である。
 わが国と同じく占領軍の制約のもと、十年の遅れをもって原子力開発利用に着手した西ドイツにおいては、在来型導入炉の国産化を急ぐ一方、ドイツ独自の動力炉の開発にも努力を傾けている。ドイツ原子力委員会はその原子力開発五カ年計画のなかで、新型転換炉の開発を中期開発計画として、増殖炉の開発を長期開発計画としてとりあげ、これらにおいては国家がきわめて大きな役割を果すこととしている。特にドイツの原子力技術の水準を向上させる見地から、各種の炉型(新型転換炉六種、高速増殖炉二種)を並行的に開発し、それぞれに対し連邦および州は積極的に助成しており、また原子力産業界もたんに当面の利益のみを追求することなく、長期的な立場から動力炉開発に意欲的に取り組んでいる。このように動力炉開発において官民が有機的に協力し、その実をあげていることは注目に値する。このように動力炉の開発を進めている各国はおおむね長期の展望に立つ計画を樹立し、すべての関連分野の研究開発を正しく評価しつつ、その計画を推進していることは、動力炉開発調査団の報告に徴してもあきらかである。原子力発電の本命は高速増殖炉であり、高速増殖炉の開発の前には、ぜひとも実証炉から一歩前進した新型転換炉の開発がとりあげられ国内技術の造成と、国内における核燃料サイクルの確立をはかる、一貫性のある自主的開発計画を策定する必要がある。要するに動力炉開発は常に連続性をもって発展すべきであり、かりそめにも無計画であったり、いたずらに外国炉の導入に依存しては、長期計画の策定などできるものではない。
 このような諸外国における開発計画ならびにその推進の方策にかんがみても、わが国においても、高次の国家的利益から動力炉を自主的に開発する方針をもって対処すべきことを強調するものである。
 三、動力炉の本命たる高速増殖炉は、一九八〇年代には実用化を見んとしている。したがって、わが国の自主的開発計画もこれを最終目標とし、核燃料政策上一貫した長期計画を策定すべきである。その前進拠点としての新型転換炉は一九七五年に実用化し得る目途のもとにその開発にとりくむべきであり、自主的な燃料サイクルの確立に意をもちうべきである。
 ことに資源の乏しいわが国にとっては、原子力発電の有利性を最高限に発揮させるためには、核燃料の安定供給と効率的利用をはかることが必要であり、燃料サイクルを自から確立することにつとめねばならぬ。したがって核燃料入手の多様化をはかるとともに、その有効利用に意を用い、かつ、再処理事業を確立し、再処理の結果抽出されるプルトニウム、減損ウランなどの利用を含め総合的、かつ効果的に核燃料を活用し得る燃料体系を国内にもたなくてはならない。アメリカは一九六九年には委託濃縮を開始し、一九七三年には特殊核物質が完全に民有化され、いわゆるシングル・パッケージ・フューエルサービスの名のもとに、民間業者が一切燃料の供給から再処理までを含めて、軽水炉の導入者にサービスすることが可能となるといわれている。この方式を前提とし、またこれに依存してはわが国における燃料サイクルの確立および、動力炉開発計画の自主的確立が失われてしまうことは明らかである。したがって、わが国における特殊核物質の民有化の実施にあたっては慎重な配慮のもとにこれを行なうべきであり、また、ウランの有効利用の面で不利な濃縮ウラン一辺倒の現在の軽水炉導入の傾向は、将来計画の枠内で調整される必要があろう。ウラン資源はもとよりエネルギー資源に乏しいわが国としては、高速増殖炉が完成し、真に核燃料問題が解決しうる時点までの期間において前述のごとく国内で核燃料サイクルを確立するために必要たしかも、将来のウラン・コストの上昇等に対処しうる新型転換炉を早期に開発することが緊要と考える。したがってこの機会に、日本として天然ウラン重水炉に対して積極的な関心を示すべきである。同時にウランもようやく売手市場の傾向を示しつつあることにかんがみ、日本としても国内はもとより海外における探鉱、精錬に関する技術協力、あるいは海外のウラン資源の長期確保についても、その対策を早期に検討する必要があろう。
 いずれにしても動力炉の開発方針は核燃料政策からみても連続的なものとすべきであり、一貫性をもたねばならぬ。したがって真剣に新型転換炉ととりくみこれを踏まえて高速増殖炉の実用化に進むべきである。
 四、動力炉の開発はひとり将来のエネルギー政策にとって緊要であるのみならず、わが国の科学政策の重要な一環である。このため理論的、基礎的研究体制の充実と整備を期すべきである。
 開発プロジェクトを支え、これを発展させるための支柱として基礎的研究体制が整備され、ここに若い意欲に充ちた研究者が集結して新らしい科学の分野、原子力にいどむことは、国の科学政策の推進においてもっとも重要視されねばならぬ。むしろ湯川博士、朝永博士を継ぐ若き世代をそだてることは、国の責任であり、またわれわれはこれらの世代の有する潜在的な可能性に対し、信頼と期待をもっている。
 現在の日本原子力研究所は世界でもっとも多くの炉をもつ研究所のひとつであるが、その人員は炉の数の割には少ないと思える。国が基礎的研究体制をととのえるとすれば、原研のもつ若干の施設はこれを大学を中心とする基礎研究の用に移し、また共用に供することも可能なはずである。現在も原研は大学の利用の道をひらいているが、しかし現状ではけっして十分ではない。したがって、理論的、基礎的研究の充実をはかるための体制を確立し、その推進をはかり、原研はその成果にも常に関心を払いながら研究開発のプロジェクトをととのえ、動力炉開発にあたるべきである。もちろん理論的研究の分野においては自由領域もあるのであるから、この点に関しても予算的に考慮されねばならぬ。躍進する近代科学においては、その専門分野がますます細分化され、しかもそれぞれの分野における研究はさらに深められている。一方こうした研究の成果は正しく評価され、これが研究開発の基礎的データーとして生かされねばならぬ。こうして近代科学の有機的結合を阻む要因は、つとめて排除されるべきであり、同時に原研の運営においてもプロジェクトを細分化し、それぞれの分野における成果を正しく評価し、これを総合しつつ、推進する体制をととのえなければならぬ。
 五、動力炉の研究開発は原子力研究所の重要なる任務の一つである。しかしながら動力炉開発の重要性に鑑み、場合によっては所要の体制を整備し、同時に国内の関係企業もまたそれぞれ任務を分担し緊密な有機的協力体制を固めることを考慮すべきである。
 もちろん、国はそのための長期的計画を策定し、これに対し責任ある予算措置を講ずることを要望する。
 動力炉の開発は四項に述べたごとく、わが国の科学政策の一環として取りあげられ、理論的基礎的研究の水準を高めるとともに、民間企業における科学技術水準の向上のためにも大きな効果を期待すべきである。
 今日まで日本の原子力産業界はかなりの費用を投じて研究、開発の努力をつづけてきた・その研究投資総額は約二四五億円、これに対し受注総額は四二〇億円程度と推定される。しかし、動力炉のごとき長期にわたる研究開発を必要とし、また、かなりのリスクをおかさねばならない高度の新分野において、その工業的開発を産業界のみに委ねることは、それ自体無理である。もともとわが国の研究投資は他の先進国とは逆に民間の研究投資が政府のそれの倍額に達している状態である。しかも、原子力のような大きな技術的危険をともなう分野における開発を自主的に行ないうる状態に日本の産業界が達していないことは当然のことであり、強力な政府の補助、育成によって、はじめて先進国に追いつくことができるのである。
  主要国における研究投資額に占める政府予算
  の割合
 国名 研究費    政府支出
    (億円)   分(億円)  割合% 調査年度
 米国  六二・二〇〇 四〇・八〇〇 六五 一九六三
 英国  六・三四〇  三・八五〇  六一 一九六一
 フラン
 ス   三・一〇〇  二・三〇〇  七四 一九六二
 西ドイ 四・九〇〇  二・八五〇  五七 一九六二
 ツ
 日本  三・二一一  九六〇    三〇 一九六三
 (注) 西ドイツは連邦政府と州政府予算の合計額
 同様のことは電力企業の立場からもいえるはずである。原子力発電を電力業者に委ねているわが国の場合、企業の経済的観点から非常な制約を受けて長期的な観点に立つ一貫性のある自主的開発にとって好ましくないような方向を取る危険もある。したがって、動力炉開発を国策として取り上げ、国の責任においてこれを推進し、かつ関連産業をも振興しその技術水準を高め健全な原子力発電の推進をはかるためにも、国の積極的援助は当然必要となろう。
 この点から日本原子力発電(株)の現状は必ずしも適切な運営が図られているといえないので、日本原子力発電(株)、電源開発(株)のあり方について検討を加え、動力炉の開発を積極的に推進することを考慮すべきであると考える。
 要するに、今日の段階においては、国が最終的責任をとる決意のもとに、民間業界も、研究開発を担当する原子力研究所も、開発を支える基礎的研究分野も一体となった協力体制を作るべきであり、これが原子力委員会に与えられた課題ともいうべきであろう。原子力委員会は原子力政策を企画し決定する権限をもっている。したがって、この権限のもとに衆知を集めて高速増殖炉および新型転換炉の開発プロジェクトを設定し必要な予算措置を講じ、その実施に当って、場合によっては新特殊法人の設立を考慮すべきである。
 しかしてその運営においても研究成果の正しい評価と、それに基づく進め方についても民主的に総合的に行なわなくてはなるまい。
 六、動力炉の自主的開発を進めるためには、国際協力の緊密化とともに、原子力委員会の運営を刷新しなくてはならない。
 第一項の説明においてもふれたように、各国とも動力炉の開発の発足にあたって、アメリカは経水炉を、イギリスは天然ウラン、黒鉛減速ガス冷却型を、またカナダは天然ウラン、重水減速型とそれぞれ一定の炉型を定めて、今日までその研究開発につとめ、その結果、今日ではさらに多様な構造の動力炉が実用化の道を求めて開発されている。このような現状を見るとぎ、十年以上の遅れをもって発足したわが国としては、各国との協力関係を緊密にすることは当然である。しかし、協力は無批判な従属であり、追随であってはなるまい。国際協力のためには、みずからもある程度達成した成果を与えるなり、またその他の条件をみたして、つとめて対等に近い関係において協力を求めるべきである。日本に潜在する科学的能力は、それにふさわしい科学政策をもってすれば、必らずこれを育てることができるものと、われわれは信じている。物乞い協力や、物真似国産ではなく、すでに西ドイツやインドが示しているようにわが国の科学者の創意、工夫を育成し、活用しつつ自主的協力につとめるべきである。
 また、核燃料物質の入手等につき国際原子力機関を活用することも考慮さるべきことである。ウラン資源に乏しいわが国としては、機関のこの面に関する積極的な活動を期待することは、きわめて有意義であると考える。
 原子力委員会の運営においてしばしば原子力委員会が十分その機能を発揮できぬうらみがあるといわれている。そして、原子力委員会への批難は、国の科学技術政策そのものに対する批判であるお考えられる。われわれは平和目的のためにのみ原子力開発を行なっている国々、たとえばカナダ、インド、西ドイツ等において各国の原子力委員会の意見が政府をうごかし、その国の原子力政策を大きく前進させてきた事例を、しばしば現地において見る機会をもった。この機会に原子力委員会に要望したいことはその運営を刷新し、さきに述べたごとく動力炉の開発について新型転換炉から高速増殖炉にむかって、一貫した長期計画をすみやかに策定すべきであり、政府は閣議決定等必要な措置を講じ政府の開発方針を確立せしめるべきである。国会はそれにともなう予算的措置等についても党派をこえて協力することにやぶさかではないであろう。
 以上であります。
#6
○原委員長 次に、宇宙開発に関する小委員長中曽根康弘君。
#7
○中曽根委員 宇宙開発に関する小委員長報告を申し上げます。
 本報告は、過般、科学技術庁、東京大学、その他関係方面の参考人の公述をもとにいたしまして、大体大学、政府関係機関の一致した線を総合的に取りまとめた内容になっております。
 なお、昨日の宇宙開発に関する小委員会におきまして、本小委員長報告は、満場一致を持って承認せられたものであります。
 以下、内容を申し上げます。
   宇宙開発に関する小委員長報告要旨
 世界の主要先進国の宇宙開発は急速な進展をとげ、特に人工衛星による実用面への進出はめざましく通信衛星、 気象衛星、 測地衛星等が開発され、実用化され、又放送衛星等が開発と実用化の対象に上っている。
 これら先進諸国の動向に照らしてわが国においても宇宙開発を国の重要施策の一となし、強い決意と明確なる重点開発目標及び三十年から五十年に亘る長期的予測と長期的年次計画をもって至急に効率的な開発体制を整え、宇宙の開発及び利用を強力に推進すべきである。
 これがため必要な推進方策及び予算措置については、政府において責任をもって措置するものとする。一 当面の宇宙開発の目標
 世界の宇宙開発の進展に対応し、宇宙科学技術の発達、国民福祉の向上等を図るため、宇宙平和利用の原則の下に、国は、その重要施策として強力に宇宙開発を推進する必要がある。
 政府は、差し当たり昭和四十二年度に科学衛星を、昭和四十五年度に実用人工衛星を打ち上げることを目標とし、次の事項について開発を進めるものとする。
 (1) 人工衛星打上げ用ロケット
  現在開発中のミューロケットを更に改良発展させるとともに硝酸ヒドラジンロケットおよびFRPロケットを開発し、取り敢ず重量約一五〇キログラムの人工衛星を高度約一、〇〇〇キロメートルの円軌道にのせるロケット能力を開発し、順次打上げ能力を発展させてゆくこと。
 (2) 人工衛星について
  放送配給、通信、気象等広く一般の利用に役立つ実用人工衛星を中心に検討し、具体的な用途及び実用衛星の種類を早急に決定して、その開発を推進すること。当面は、実用人工衛星に関する基礎的、共通的事項の開発研究および科学衛星の開発研究を進めること。
 (3) 射場設備
  実用人工衛星の打上げに必要な適当な条件を備えた発射場を調査、選定して、早急に新設し、必要な関連施設設備を整備すること。
 (4) 誘導制御、追跡等
  人工衛星打上げに必要な誘導制御技術、追跡技術、電波割当等について、開発研究を進め、必要な施設設備を整備すること。
  これがため国際的協力を必要とする場合に備えて予め研究と調査を進め、実施に関する諸般の対策を講ずること。二 宇宙開発体制の一元化
 宇宙開発を急速かつ効率的に推進するためには、各方面における知識、技術、資金等を計画的、組織的に動員し、強力かつ一元的に実施することが必要である。このため、次にのべる開発体制の整備方針により、今後の宇宙開発を推進すること。
 (1) 人工衛星打上げのための宇宙開発の体制としては、昭和四十二年度までは科学技術庁および東京大学が中心となって、現在進めている開発・研究を引き続き行なうが、その後の実用衛星の開発は、科学技術庁、宇宙開発推進本部が中心となって一元的に推進すること。この一元的国家的機関(特殊法人設立を検討する。)には、企画の総合調整、計画評価、決定、実施、結果整理等の機構を整え、システム・エンジニヤリングの体系を確立する必要がある。この場合において、科学技術庁は、政府機関、東京大学および民間企業等と協力し、各界の研究者の技術的能力を結集して、宇宙開発の体系を整えるものとし、従来東京大学等が進めてきた宇宙開発の成果を充分活用し、効率的な開発を行なうこと。また、従来東京大学において宇宙空間物理を主とする宇宙研究開発に携ってきた研究者が一元的体制のもとにおいて引き続きその研究を進められるよう配慮すること。
 (2) 大型ロケットについては、東京大学は、昭和四十二年度まで、直径一・四メートルのミューロケットの開発を行ない、以後これを超えるロケットの開発は行なわないものとする。その後、前項の原則のもとに、宇宙空間物理等研究及び開発のため、直径一・四メートルのミューロケットの改良を引き続き行なうことおよび科学衛星を利用して宇宙の科学的研究を行なうことは、従前通りとする。
 (3) 直径一・四メートルを超えるロケットおよび液体燃料ロケットの開発およびこのための射場追跡施設等の整備については、科学技術庁が中心となって推進すること。
 (4) 人工衛星およびロケットの追跡、技術施設(データ・センター、計算センター等も含む。)の研究開発については、科学技術庁が中心となり、政府機関、東京大学その他の協力を得て推進すること。
 (5) 宇宙開発の国際情報交換、人工衛星追跡の国際協力等についても、科学技術庁が中心となって政府機関、東京大学その他の協力を得て積極的に推進すること。三 宇宙法の制定促進
 国連及び列国議会同盟を中心にして宇宙法の制定が推進されているが、特に我国は列国議会同盟会議における同法制定促進の提案者でもあり、本法制定に関する諸般の国内研究体制を整え、又国際的に制定促進のための努力を更に積極的に推進すべきである。
 以上であります。
#8
○原委員長 以上で両小委員長の報告は終わりました。
 両報告を了承するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○原委員長 御異議なしと認めます。よって、了承するに決しました。
 ただいまの両小委員長報告に関して、田川政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。田川政務次官。
#10
○田川政府委員 ただいま御報告のありました動力炉開発に関する小委員長の報告並びに宇宙開発に関する小委員長の報告につきましては、科学技術庁といたしましては、その御趣旨を十分尊重して努力してまいるつもりでございます。
     ――――◇―――――
#11
○原委員長 次に、原子力行政に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
#12
○岡委員 まだ時期が少し早いかと思いますが、昨日夕刊を拝見しますと、日本海沿岸の都市を中心にかなり放射能の高い粒子が降下しているということでありますが、これはいろいろな意味で私どもとしても重大な関心を払わねばならないと思います。
 そこで、現在までに放射能対策本部としてお集めになった情報をこの機会にお知らせを願いたい。
#13
○村田政府委員 去る九日の現地時間で午後四時ということでありますが、行なわれました中共の核実験の影響が、昨日あたりからあらわれてきておりますことは、ただいま岡先生の御指摘のとおりであります。内閣に置かれました放射能対策本部といたしましては、実験の行なわれました翌日、一昨日の午前、直ちに幹事会を開催いたしまして、従来もやってまいった放射能調査をさらにこの際十分精密に、かつ緊密なる協力のもとに行なうよう協議いたしまして、現在その線に沿って綿密なる調査を、分析を続けておるところでございます。
 すでに一九六一年のソ連の核実験の際にも認められて、その後中共の第一回、第二回の核実験でもそうでございますが、今回も一万メートル以上の高空にありますジェット気流に乗りました放射能を持ったちりが、昨日の朝からわが国の上にも降ってまいっております。
 対策本部に入りました情報によりますと、一番初めに見つかりましたのは、新潟におきまして、新潟の医大の屋上に設けられました放射能ちりの収集装置におきまして、いわゆる巨大粒子、ジャイアント。パーティクルと呼んでおりますものが、午前中に、合わせて二十数個見つかったという連絡がございました。同様の巨大粒子は、その他の場所、東京におきましても見つかっております。
 これら巨大粒子と申しますのは、御承知のとおり、核実験が行なわれます際に、爆弾の構造材料が非常な超高温にさらされて一瞬にして気化いたしまして、爆風とともに高空に上りまするにつれてこれが冷却され、そして溶融固化いたしまして、これに爆発の結果できました放射性物質も一緒になりまして粒子をつくり運ばれてくるわけでありますが、高空においては非常に速度の早いジェット気流がございますために、相当大きな粒子が運ばれてわが国にも達したものと見られております。同様の現象は、これまでの何回かの実験でも見られたところでございます。
 測定の結果によりますと、ただいま入っております一番新しいところで申しまして、十一日に降りました雨水中にあります放射能が、その前日、十日に比べて急速に高まっておりますが、その数値をちょっと申し上げてみますと、これは全国十三カ所の気象台で測定しておるわけでございますが、仙台では四・三ミリキュリー平方キロメートル当たり、以下単位は同様でございますので省略いたしますが、秋田で四六・〇、東京で一三・〇、輪島で二・二、大阪で七三・五、米子で九三・〇、室戸岬、福岡、鹿児島ではいずれもまだゼロとなっております。
 こういうような放射能のあります雨が降ってきておりますが、この数値を前回及び前々回の中共核爆発の際の数値とちょっと比較してみますと、一昨年十月の第一回中共核実験の際には、影響があらわれてまいりましたのは実験後三日の十九日でございまして、それ以後測定しましたところ、十月二十三日に最高値として二百ミリキュリー平方キロメートル当たりというのが出ております。それから第二回の昨年五月の際には、実験の行なわれました十四日からちょうど一週間たちました二十一日に最高値が出ておりまして、これが四百三十ミリキュリー平方キロメートル当たりという数値になっております。
 今回のものは、まだこれから漸次粒子の小さいものを含んだ雨が降ってまいると思いますので、この測定は、先ほど申しましたように、関係機関におきまして綿密に測定し、その結果を対策本部に報告してもらいまして、対策本部で取りまとめ、至急発表いたすという方法をとっておるわけでございます。
#14
○岡委員 東京の防衛庁の発表によると、一平方メートルに数個のいわゆるジャイアントパーティクルというものが落ちたということが出ておりますが、このジャイアントパーティクルはどの程度のものか、それからまた一平方メートルに何個くらい落ちておるか、またそれは類推的に考えれば、東京全土に落ちておるものとも考えられるのであるが、その点どういう見解を持っておられるか。
#15
○村田政府委員 先ほど申し上げました新潟の場合は、大体一平方メートル当たり一個ぐらいの割合でございましたが、ただいまお話がございました防衛庁の防衛技研の構内ではかりましたものは一平方メートル当たり二個ぐらいの割合になっておるようであります。その一個当たりの放射能の強さは、これはガイガー計数管ではかりましたのでカウントになっておりますが、大きなもので四十万カウントぐらいのものが出ております。従来の、普通のといいますか、これまでの経験でございますと、大体二十万カウントぐらいのものは毎回見ておりますから、それよりか若干粒の大きいといいますか、そういうものがまじっているようでございます。
#16
○岡委員 そうすると、カウントにして一平方メートル当たり八十万カウントということになると、東京全土では相当な放射能ちりというものが降下しておる。さらにまた、ここ一、二日すれば偏西風でもってさらに大きな粒子が降下するということも考えられるが、この放射能の降下の実態というものは、私どもとしてもなかなか看過し得ない問題であろうと思うが、一体その点についてどういうふうに考えておられるか。
#17
○村田政府委員 この巨大粒子を構成しておる物質は何かということを、さっそく放射線医学総合研究所等に分析してもらっておりますが、発見されております核種は、モリブデン九九、ジルコニウム九七、ニオブ九七、テルル一四三等でございまして、いわゆる放射能の半減期からいいますと、大体短寿命のものでございます。それで採取しましてから約一日くらいでかなり急激に減衰いたしております。
 先ほど申しましたカウント数でございますが、これをキュリーに換算いたしますと、大体大きいもので百四十ミリマイクロキュリーくらいでございまして、先ほど申しました核種の放射能は、たとえばごく一般に見られますジルコニウム九七あたりのICRPで定めました許容値から見ますと、この巨大粒子が一面に一平方キロ当たり降ったと仮定いたしましても許容量のまだ二百分の一あるいは三百分の一くらいのものでございます。かつまた、先ほど申しましたように減衰が非常に早うございますから、との状態で特に障害というような点で大きな問題になることはなかろうかと思います。
#18
○岡委員 きのうの新聞で拝見したところによると、大町君は直接さわったりなめたりしなければ障害はないんだ、こういうふうなことを言っておられましたが、一体ジャイアントパーティクルというのは、どれくらいの大きさのものを言うのでしょうか。
#19
○村田政府委員 パーティクルによって多少の差はございますが、大体一ミクロンから十ミクロンくらいの間でございまして、つまり千分の一ミリから百分の一ミリくらいまでの間のものが発見されております。
#20
○岡委員 そういう顕微鏡的な存在であってみれば、なめたりさわったりと言うけれども、なめたりさわったりも何も、もう全然目にとまらないものなんです。これが直接人体に降りかかるだけじゃなくて、野菜にも降りかかるであろうし、あるいは牧草に降りかかって、それがお乳の中に放射能として濃縮化されるかもしれない。海に落ちればもちろん魚にも非常に濃縮化されるというようなことであり、しかも、これはこれからまた偏西風でもってやってくるという計算になる。こういうような事態であまり国民を不必要に刺激する必要もないが、やはり学術的な科学的なデータというものはそろえる必要がある。そういう点で、一体なめたりさわったりしなければそうたいした影響もないというようなことは少し軽はずみな言い方である。もっと、先ほど申しましたような諸点について、やはり放射能対策本部としては調査をし、そして対策を立てるというような積極的なかまえが必要なのじゃないかと思いますが、どういうことでありますか。
#21
○村田政府委員 国内で核爆発が起こったというような戦争事態を別といたしまして、かなり遠方の地におきまして核実験が行なわれ、そこで生じた放射性のちりが高空及び中高空で気流に運ばれてまいります、それによる汚染ということを考えますときには、放射能対策本部のほうで去る三十七年の四月に定めましたように、ある程度の期間をみての放射能汚染というものに対しての対策を考えるべきである。科学的な判断としてはそのように考えております。それで、ただいまございます放射能対策本部の暫定指標では、今回のごとき核実験に伴う放射能の量の高まりに対処しまして、国として措置すべき一つの暫定指標が与えられておるわけでございますが、その大きさは、引き続きます三十日間以内におきまして、その合計の放射能の量が一平方キロメートル当たり二千五百ミリキュリーに達しましたときを第一段階といたしまして、さらにこれが高まって、この十倍の二万五千ミリキュリーに達しますときを第二段階とする。第一段階におきましては、環境の放射能の汚染の状況をそれまで以上さらに厳密に調査し監視をするということであります。第二段階に達しますときに初めて、たとえば天水を常用しておりますような向きには、これをろ過して飲用するような指導を行なう。あるいはただいま岡先生からお話しございましたように、そのまま飲食します生鮮食料、あるいは放射能の影響を最も受けやすい乳幼児に対する牛乳の摂取等について必要な行政指導を行なう、このような基準が定められております。現在まだ十一日一日だけの測定しか出ておりませんので、今後の経過は厳密にこれを測定して追跡いたすわけでありますが、第一段階の二千五百ミリキュリーという段階を越えたことは、これまでソ連がノバヤゼムリアにおきまして非常に大型の数十メガトンクラスの水爆の実験を連続して行ないました際に、米子でたしか三千二百ミリキュリー・パー平方キロということがございましたが、これまでの結果ではまだそれ以上に達したことはないようでございまして、まして二万五千ミリキュリーというレベルに達したことはございません。しかしながら対策本部としましては、一番早急に問題となります天水の飲用ということを考えまして、すでに昭和三十八年には全国の天水飲用者、約十万ございますので、これに対しまして一万八千個の天水ろ過器を作製いたしまして、厚生省がそれを必要なところに配付いたしております。今回も、この実験の影響が今後どのようになりますか厳重に監視しまして、必要が認められるような事態が予想されますときには、直ちに厚生省のほうから各戸へそのろ過器の使用を指導するという措置をとるように協議済みでございます。
#22
○岡委員 小山誠太郎博士が新潟のほうで調べておられるようですが、その発表によれば、ジルコニウム九七、モリブデン九九、ネプツニウム二三九というような、わりあい減衰期の早いものである。同時に今度のロプノル湖畔といわれている中共の核実験というのは、前回とあまり変わらないいわば原爆ではないかといったふうな想像であります。もちろん新聞を見ると、アメリカ側の発表とすればそうではない。三重水素の特色を持つ、こういうことです。そうなりますと、いわゆるきたない水爆ということで、まわりを天然ウランで包まなければならないから、これが分裂していろいろな放射能、かなり減衰期の長い放射能が当然あるということが考えられる。特に私か心配するのは、偏西風、ジェット気流、特に偏西風の場合、タクラマカンのロプノル湖畔で実験されますと、日本列島は大手を広げてこの放射能を待ち設けておるというような地形になっておるのではないかというふうに思うのだが、そうじゃないのだろうかね。
#23
○村田政府委員 実験地が、伝えられるごとくタクラマカン砂漠の東端に位置しますロプノル湖付近であるといたしますと、地図で見ますと、この緯度は大体わが国の北海道の南あたりのようでございます。先生のお話しございましたジェット気流あるいは偏西風というものは、確かに緯度に大体沿って吹いておるようでございますから、わが国のほうへいわば比較的直接に方向としては流れてくるかと思います。しかしソ連の核実験のとき、あるいはクリスマス島における核実験等、緯度がかなり異なったところにおいて行なわれました際にも、やはり微粒なものは空気中で拡散といいますか、まじり合いまして、緯度と必ずしも直接に結びつかず各方面に降っておるようでございます。ただ、ただいま御報告申し上げましたようないわゆる巨大粒子といいましょうか、そういうものは比較的早く落ちやすいものでございまして、そういうものが運ばれてきておりますのは比較的直接的なルートに当たるところが多いのではないかと予想されます。
 なお、お話がございましたように、放射能の対策としては、寿命の短いものよりも寿命の長いものに対する対策というものが肝要でございまして、そういう意味から、対策本部としましても、ただ単にグロスの、全体の放射能の調査をいたすだけではございませんで、どういう核種が含まれておるかということを、先ほど申し上げましたように放射線医学総合研究所、気象庁の気象研究所等で綿密に機器分析並びに化学分析を行なっております。特にこの核種分析につきましては、放射性のちりの中で最も障害がおそれられますストロンチウム九〇、セシウム一三七というような長寿命の核種の分析を中心にやっていただいております。先ほど申しましたように、最初にジェット気流に乗ってまいりましたいわゆるジャイアントパーティクルの分析では、ストロンチウム九〇とかセシウム一三七のようなものは入っておらないようでございますが、いずれ、従来の例から見ましても、偏西風に乗りまして本日あたりから雨が降りますと落ちてくると思われる通常の粒子の中には、これらの長寿命の核種も入ってくるものと予想されます。全体の放射能の強さを一方で十分監視いたしますとともに、対策本部としましては、これら長寿命の核種の今後の出方を十分厳重に監視していかなければならないと思っております。
#24
○岡委員 ラルフ・ラップ博士の説によると、第二回の原爆実験からすでに水爆の予備実験をやる。これは非常に早いテンポである。これはやはりアメリカのように回り道をしないで、すぐリチウムの無限の破壊力を活用しょうという着目からきているに違いないと推定をしておる。しかも、これはごく小規模な予備実験であって、必ず本格的な水爆実験があるに違いなかろうということも言っておられる。そういうような事情を考えますと、今回のこの実験に対する対策は、次に来たる本格的な水爆実験のための非常に重要な参考というか、それを前提としてよほど慎重な対策が必要である。そういう心がまえでこれと取り組まれる御意思があるかどうか、この点をひとつ伺いたい。
#25
○村田政府委員 私どもといたしましては、中共の核爆弾の技術的な開発がどういうように進められておるか、これを知る由もなく、また、そういうことを調査する直接の任務を持っておらないわけでございますけれども、米国等の発表したところから類推しますと、今回の核実験は中共の発表にもございましたように熱核反応を含む核爆発ということであろうかと想像いたします。
 ただ、従来の経験からいたしまして、全国八カ所にございます気象庁の微気圧計によりまして、九日の爆発の行なわれました時刻のころのデータを見てみますと、この爆発の影響と思われるようた結果は出ておらないそうでございます。ソ連でございましたような大きな核爆発でございますと、この微気圧計で感じております。私どもの承知しておりますところでは、大体微気圧計に感ずる限界が、距離にもよるわけでございましょうが、エネルギーの大きさと比例いたしますので、大体一メガトン相当以上であると感ずるというふうに聞いております。そうした点からいたしましても、今回の中共の核実験は一メガトン以下の規模のものであろうと予想されますが、米国の発表等では、二十キロトンから二百キロトンくらいの間ではなかろうかというようなことがいわれております。第一回、第二回のものも大体長崎、広島級の原爆ということでございましたから、規模としては二十キロトンとか、要するに数十キロトンであったかと思うのですが、そういう点で比較いたしますと、規模といたしまして非常に大きなものということではないのではなかろうかと思われます。
 しかしながら、岡先生のお話にございますように、一般的に申しまして、核爆発に伴う放射性のちりの発生は、大体爆発のエネルギー規模に比例するようでございますから、今後中共がさらに水爆実験、大型の水爆実験、より大型な水爆の実験というように重ねるようでございますと、その放射能の影響は倍加することが予想されるわけでございまして、いわゆるきれいな水爆ということもございましょうが、そういうふうに直ちにいきますかどうかわかりませんから、やはり規模の大きな核実験が行なわれるにつれ、しかも、放射能というものは減衰いたすわけでございますけれども、この実験の期間が縮まって短い期間に何回も行なわれるということでございますと、その影響はますます大きくなるわけでございます。そういった点から、先ほど来申しましたように今後の動きを十分監視して厳密な測定をやってまいるということに努力いたしたいと思っております。
#26
○岡委員 環境衛生局長がお見えになっておらないが、食品衛生課長がお見えだからお尋ねしますが、食品衛生の立場からこの放射能灰の降下についてはどのような調査をしようというお考えでございますか。
#27
○石丸説明員 厚生省といたしましては、やはり科学技術庁等関係の官庁と一緒になりまして、この対策本部の測定結果を待ちながら、それに応じての対策を講ずるつもりでやっております。
#28
○岡委員 いや、さきにも申し上げましたように、特殊な事情が食品衛生の問題においてはある。たとえば海の上に落ちた放射能灰というものは魚によって非常に濃縮化されるということ、あるいはその放射能によって汚染された牧草を食べた牛の乳にもやはり濃縮化されるということがいわれておる。そういう意味で単に牧場に落ちた放射能のちりの結果から観察するというのではなくて、やはり食品衛生という立場から、直接に――このあたりのこれからの問題ですが、ジェット気流、偏西風がやってくる、この場合、そうした食品そのものについての調査を独自におやりになる。もちろん参考としては張りめぐらされた放射能測定機関の数値を参考となさる、しかし、食品衛生の立場からは当然食品そのものについて、いま申しましたような事情にあるから調査をすべきものだ、こう私は思うわけです。その点でどういうふうな対策を持っておるか、伺いたい。
#29
○石丸説明員 全国の保健所に約五千名の食品衛生監視員を配置いたしておりますが、その各保健所に現在大体ガイガーカウンターを備えております。もちろんただいま先生がおっしゃいましたように、一般の放射能物質の降下と違いまして、食品の中では、特に魚介類におきまして濃縮されるという特殊性を考慮いたしまして、特別にその測定が必要だと思っております。従来ビキニマグロの事件のときの対策といたしまして、これは非常に幼稚な方法でございましたけれども、十センチメートル離れて一分間に百カウント以上の場合には、これに対する措置をとれ、こういう通牒が実は出してございまして、その後これがそのままになっておるわけでございますが、なお今後こういった問題につきまして、新しい方法を導入いたしまして、測定をより厳密にしてまいりたいと思っております。
#30
○岡委員 本格的な水爆実験がわりあい短期間のうちにあるんじゃないか、中共のこの核開発のテンポを見るとそう思われるので、私は、この予備実験的なこういう機会によほどしっかりした調査をしてもらいたいということを要望しておきます。そういう点は、皆さんは今度のこの水爆の予備実験について、大体どの程度の予算を組んでおられるのですか。
#31
○村田政府委員 四十一年度におきます放射能調査関係の予算としましては、総額で約七千四百万円を組んでおります。これを関係省庁別に申し上げますと、防衛庁が三百万円、運輸省関係、これは気象庁が入るわけでございますが、九百万円、それから農林省が一千万円、ただいまお話のございました厚生省が四百万円、科学技術庁、私どものほうとしましては二つございまして、一つは、私どものほうにございます放射線医学総合研究所で研究いたします分といたしまして、約二千万円、それから全国二十五都道府県衛生研究所等に委託して行なっております調査に二千八百万円の予算が振り当てられております。このような放射能調査を始めましたのは、昭和三十二年からでございますけれども、昭和三十二年度から、このただいまの四十一年度を除きます昨年度、昭和四十年度までに放射能調査関係で支出いたしました金額は合計して約六億五千万円にのぼっております。
#32
○岡委員 アメリカの予算を見ると、国防総省の放射能の調査予算は大体一億ドル、三百六十億円、もちろんこれは村田君も御存じのとおり、ああしてニューヨークにりっぱなセンターを設けて、世界的なネットワークの中で、特殊なフィルターから集まってきたものを全部特殊なるつぼで焼いて、灰にして、放射能測定をやるという非常に大がかりな軍事的な意味を持った調査であります。それだけに金もかかるだろうと思います。それにしても、たとえば厚生省四百万円というようなことでは、なかなかやはり食品衛生というような関係においては手が回りかねるのではないか。きょう臨時にこれらの対策の閣僚会議が開かれるということだが、やはり相当な予算をもって次の本格的な水爆実験に備えて厳重な調査体制、ひいては警戒体制というものをつくらなければならぬと思うのです。大臣もおらないので非常に答弁にお困りだろうと思うが、たとえば担当の局長として、あるいは担当の課長としてどう思われますか。
#33
○村田政府委員 御指摘の点は十分理解できることでございます。政府におきましては、去る昭和三十六年に、当時の米ソを中心とする核実験の連続的な実施というような点からして、特にこの調査並びに対策を強化するという観点から放射能対策本部を置かれまして、自来この放射能対策本部がいわば行政的な指導実施面、これに対する基本的な研究調査というもののあり方等につきましては、御記憶のとおり、原子力委員会設置法の一部を改正しまして、そして原子力委員会の機能の中に、そのような基本的な方針の検討を行なえるようにいたしまして、直ちに原子力委員会に放射能専門部会というものを設け、この専門部会に、必要な研究はどういうことであるか、必要な研究調査はどういうことであるかという諮問を発しまして、それに対する一応の案をいただきました。
 自来その線に沿って政府として調査研究並びに分析、追跡、これの対策研究というものを実施してまいっておるわけであります。今日まで四年余りになるわけでございますが、もとより米国等の国に比べて使っております予算は決して多いと申されないわけでございますが、一応これまでやってきましたところで、必要な研究所あるいは地方の機関等に必要な測定器具等も行き渡りまして、かつまた、専門家の意見を十分入れました測定方法、分析方法も確立いたしております。そういった専門的な指導のもとにできるだけ十分な測定、分析をやっていこうといたしているわけでありまして、さらに、万々一のことも考えまして、先ほどの暫定指標に照らして何らかの行政的な措置が必要となる場合も絶対ないとは申せないわけでございますから、たとえば牛乳中に入りましたストロンチウムの除去方法等につきましても、国のほうから委託費を出しまして研究をやってまいっております。さらにまた、先ほどちょっとお話がございました魚介類に対する放射性物質の濃縮という点につきましても、決して大規模とは申されませんが、一応これに関する基礎的あるいは応用的な研究を委託して専門家の手で進めてもらっておるわけでございまして、今回のこのような実験、あるいは今後行なわれるかもしれない実験等を、今回のこれからの測定の結果等も十分勘案しつつ考えまして、さらに必要とあればいままでやっておりました、あるいは今年度やっております計画に検討を加え、しかるべき措置をとるように努力したいと思います。
#34
○岡委員 局長も知られるとおり、放射能に許容量はないという概念になっていることは御承知のとおりです。しかし実際問題とすれば、国民の日常の水なりあるいは食品なりについて許容量、許容限度は考えられないから、少しでも放射能があったら食うのはやめろ、飲むのはやめろということはとてもできるものではないのだから、一応の限度をつくられることはやむを得ないと思うが、しかしその限度は、健康を保持する上においてどういう根拠でそれでいい、こう認められておるのか、その点少し伺わせていただきたいと思います。
#35
○村田政府委員 放射能の対策研究につきましては、先ほど申し上げましたように過去数年来合計して六億数千万円の金を出しましてやっていただいているわけですが、当初におきましては、どちらかといいますと、主として測定技術、分析技術等の開発、統一ということが中心でございました。さらにそういった技術及び機器を使っての実際の調査、測定、分析ということが中心でございましたが、先ほど申しました原子力委員会の放射能専門部会等の御意見も十分勘案いたしまして、ここ一両年は、ただいま申し上げましたような従来から行なっている点ももちろんでございますが、重点を、われわれが日常摂取します飲食物あるいは飲料水、そういったものにどのようにこの核実験に伴って生じました放射性物質が入ってくるか、われわれの体内に実際に摂取される形でどういうふうに入ってくるかという点に重点を置いた調査を行なうように指導してまいっております。先ほども申しました地方の衛生研究所等に対しての委託におきましても、日常その地方で食しております飲食物につきまして、野菜、魚介類あるいは牛乳等、それぞれ個々についての測定、分析はもとよりでありますが、いわゆる標準食というものにつきまして、その中に含まれる総合的な放射能レベルをチェックしていくという調査研究を強化してまいっております。
 さらに、いかなる形であれ体内に取り入れられましたものがどのように影響していくかということが一番のポイントでありますので、放医研等を中心といたしまして、人体の骨あるいは歯といったところに入ってまいります、主として長寿命のストロンチウム九〇になりますが、そういったものの年々の増加のぐあいがどうなっておるかということのチェックに重点を置いた研究を進めてもらっております。
#36
○岡委員 ストロンチウム九〇が実際解剖の結果骨にどの程度沈着しておるかという数字は、大学などでしばしば発表されておる。年々かなりふえておるというふうな結果を聞いておる。
 そういうことは別として、さてそれでは、気象庁の方がお見えだが、気象庁では微気圧計等に全然何らの反応もなかったですか。
#37
○村山説明員 ただいまの先生の御質問にお答えいたします。
 今回は気象庁にあります微気圧計には核爆発と思われる振動は全然記録いたしませんでした。
#38
○岡委員 タクラマカン、ロプノル湖畔、これと微気圧計の所在地との距離の関係、あるいは爆発は上空とだけ言っているが、飛行機で落としたものかタワーにつるしたものか、それはわからない。具体的にどこでやったか明確なことはわからないのですが、しかし大体の規模は、けさの新聞を見ると、アメリカの国防総省の発表では大体百三十キロトン、こういうふうに言っております。あの程度のものはこの程度の距離では微気圧計で探知できないものですか。
#39
○村山説明員 いままで気象庁にございます微気圧計で、核爆発によるものと思われる気圧の振動を記録しました例が約百例ございます。それについていろいろ解析しました結果によりますと、数千キロ離れました距離において爆発が起こりました場合、日本に到達しますのに数時間かかります。気圧振動の明らかにそれと思われるものを認められますのは、局地的な気象条件によって多少変化はございますが、少なくとも一メガトン以上の規模のものだけしか記録してございません。いままでのソビエト、アメリカなどで行なわれました核爆発地点は、日本から約六千キロぐらい離れてございます。今回の中国の核爆発地点は東京まで四千三百キロくらいございますので、もう少し規模の小さいものについても、気圧振動が記録されるかもしれませんが、今回については認められておりませんので、その点から、実際の核爆発の条件によっていろいろ変わると思われますが、一メガトンよりも小さいであろうということは一応の推定ができます。現状としましてはそのような状況でございます。
#40
○岡委員 この前の委員会でたしか地震関係の課長さんがお見えになって、それで核探知クラブに関連して御質問申し上げたが、現在英国の原子力公社が開発した精密な器械によると、スウェーデン、イタリア、そしてインド、日本、カナダ、ここにこの器械が据えつけられれば、国内の査察を待たなくても米ソ両国の地下核実験の探知はできるというふうな御説明があった。そういうふうな状態のところまで測定の器械が進歩しておるときに、大気中で行なわれる核実験というものは、それこそもっと敏感にキャッチできるものじゃないかと私など想像的に思うのですが、どうなんですか。
#41
○村山説明員 微気圧計に振動を記録します現象は、爆発による気圧の振動だけでなくて、大気の乱れによって起こります振動も一緒に記録いたします。現在の微気圧計は、数千キロ離れた地点における爆発、これは核爆発だけでなくて、火山爆発などにおいても同じような振動が生ずるわけでございますが、そういうものに対して感じやすいように、周期その他器械の性能をあわせてございますけれども、それでも実際は風が強ければその風の振動、局地的な振動をたくさん記録しまして、全体として遠地から伝わってくる振動の波がそれに隠れてしまうというような事態が非常に多うございます。現在のいわゆる気象に使われる微気圧計と称するものにおいては精度を上げた――精度と申しましても、振動の増幅を大きくするというような意味において精度を上げたといたしましても、明らかにそれだと認められるものを必ずしも得ることができないのではないかと考えております。したがって、もっと器械を別の形のものにして観測すれば、大気中の現象である限り記録なりできるようになるとは思っております。
#42
○岡委員 いま、器械を改良すればそういう可能性もあり得る、こうおっしゃった、そういうことですか。
#43
○村山説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。しかし、気象庁といたしましては、現在微気圧計で観測しますデータは、気象庁の放射能観測のための予備資料にいたしておりまして、過去におきまして、公表なしに核爆発が行なわれました時期におきましてはかなり役に立ったと思いますが、現在においては、先ほどもお答え申し上げましたように、気圧波の伝播には、伝播速度が一秒間に三百二十メートルぐらいでございまして、数千キロ離れた地点から日本に到達しますのには数時間かかりますので、現状におきましては、探知という意味ではあまり役をなしておらなくて、むしろ実際に核爆発を行なった国ないしその他の報道からその情報が得られることのほうが早いようでございます。
 補足的なことでございますが、お答え申し上げます。
#44
○岡委員 私がこういうことを申し上げるのは、いま日本の政府はいわゆる核探知クラブというものにかなり積極的な意欲を持っている。さてスウェーデンなり、インドなり、カナダなり、イタリアなり、日本が参加して核探知クラブをつくったりする。また、ジュネーブにおいては核拡散防止協定がかりに成立した。しかし核拡散防止協定に入らない国もあるとする。その場合、核探知クラブというものは地下核実験だけの探知ということでは相済まぬと思う。そうなってくると、やはり大気圏内外の爆発をも、これは局地において特殊に大きな振動を伴う爆発なんですから、これも選択的にキャッチし得るような、そういう器械というものは開発し得ないものなのか、あるいはまた、努力をすれば開発し得るものなのであるか。もしし得るものであれば、あるいはし得るものである器械を開発するように努力をするということも、やはり今後核探知という政策の上から非常に重要なテーマになってくる、こういう点についてどう考えられますか。
#45
○村山説明員 先生の御質問になりましたように、実際、核爆発の探知という目的から器械を開発すれば、さらに現在あります器械以上の精度なりを持ちます器械をつくることは可能だと思います。しかし、それには気象技術者のみではなくてほかの分野の協力を得まして、開発を必要とした場合はしなければならない筋のもの、またそうであろうと信じております。
#46
○岡委員 やはり行く行くは、この核実験の全面禁止ということから始めて、核軍縮へという道をどうしてもわれわれは要求しておるわけです。これは日本全体の悲願である。しかしながら、核拡散防止協定に入らない国もあり得るし、これらの国は大気圏内においても核爆発をやるであろうし、そういう場合に大気圏内外における核爆発をも探知できるような、そういう装置がほんとうに開発できるものなら、予算をもってぜひそういう方向への努力をすべきだと私は思う。これはやはり放射能対策本部としての大きなお仕事ではないかと思う。
#47
○村田政府委員 外国で行なわれました空中における核実験を迅速に探知する、こういう目的には、ただいま御指摘のとおり非常に精密な微気圧計というものの開発が必要であろうかと思うのでございますが、現在まで対策本部として考えておりますのは、むしろその結果わが国に生じます放射能汚染、これをどのように的確に精密に測定し、そして所要の対策を講ずるかということに重点が置かれてきておるわけでございまして、予算をどの方向へ使うかということは、結局重点の置き方によるのではなかろうかと思います。
 私ども承知しておりますところでは、もちろん一刻を争って空中における核実験が行なわれたかどうかということを承知することも大事ではございましょうが、従来地下核実験についていろいろ議論がなされておりますのは、空中における核実験はキャッチする時間のおくれとかいうことは別としまして、非常に小規模なものでもこれを空中で爆発させますと、それによって生ずる放射性のちりが必ず国外に流れて、国外の国々の測定網にひっかかるということから、隠れて空中における核実験はまずできないということが現実にあって、その上に立って部分核停も結ばれ、今日地下核実験の探知方法の議論も引き続いて行なわれておるのではないかと私は了解しておるわけであります。
 したがいまして、わが国として、特に空中における核実験の迅速なる探知ということに重点を置いて今後研究開発を進めるかどうかということは、一つの方針にもかかわる問題でございます。今後対策本部としまして関係機関と相談いたすことにしたいと思います。
#48
○岡委員 これはぼくはやはり対策本部の重要な仕事だと思う。いち早く察知するということ、そしておそらくその場合、グラフに出てくる波の形で規模もある程度まで推定できるだろう。
 さて、そこで、今度は落ちてきた放射能灰というものの分析をやる、こういう立体的な完全な科学的な調査を通じて、やはり降下する放射能に対処して何か見通しを立てるということが放射能対策本部としての大きな仕事だと思う。特にまた、これからも本格的な水爆実験がある。しかも、日本列島というのは、ジェット気流なり特に偏西風が来るので、まともに手を広げてこれを受けようというような地形にあるのですね。こういうことの問題は、対策本部としても放射能が落ちてきてから調べればいい、こういうことであってはいかぬと私は思うので、十分気をつけてもらいたいと思う。
 それから、この中共核爆発の問題について特に放射能を中心にしていま緊急関係閣僚懇談会が開かれて、もうそろそろ済んでいると私は思うのだが、一体その結果はどうなったのか。これは長官が来られなければ原子力次長かだれかついて行っているはずだが、至急来てその結果を報告してもらいたいと思うので、ひとつ向こうの様子を調べてもらいたい。
#49
○村田政府委員 私こちらに出席しておりますので、長官には原子力局の技術担当次長がついてまいっております。そちらのほうの会議が終わりましたならば直ちにこちらに参るように指示いたしてございますが、なお、どのようになっておりますか連絡をさしてみたいと思います。
#50
○岡委員 いますぐ連絡をとってください。まだやっているのですか。
#51
○原委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#52
○原委員長 それでは速記を始めて。
#53
○岡委員 いま、中国の核爆発に基づく放射能についてこの十時から緊急に関係閣僚の懇談会があったと聞きましたが、これの結果はどういうことに相なりましたか。御出席の大臣が都合が悪いと言われるならば、ひとつ武安君から報告願いたいと思います。
#54
○武安説明員 本日十時から、院内におきまして、今回の中共核実験に関連しまして関係閣僚の懇談会が開催されました。出席されましたのは、官房長官、両副長官、自治大臣、防衛庁長官、それから科学技術庁長官、そのほか関係省の文部省、厚生省、農林省の各事務次官、運輸省事務次官、気象庁長官等の方々であります。大臣は叙勲の授与式のために中座されまして、科学技術庁事務次官から、従来の放射能対策につきましての対策本部のいたしました仕事、それから今回の核爆発による現在までにあらわれた所見等につきまして、報告、説明いたしまして、あと関係大臣間で協議されました結果、今回の影響につきましては、まだ全貌が明らかに出ておりませんが、いずれにしても注意してその推移を見る必要があるということで、すでに三十六年に内閣に設けられております放射能対策本部の会議を、本日午後急遽開きまして、その後の状況あるいは今後とるべき対策等について、あるいは基準等、特別の事情を考え直す必要があるかどうかという点について協議をすることとしたい、こういう結論でございます。
 それから、なお席上説明がありましたことにつきましては、厚生省のほうからは、従来地方に配置しております天水のろ過装置等が使用できるような状態になるように都道府県を通じまして準備をやっておくこと、あるいは生鮮食料品等はなるべく洗って食べるようにという行政指導を通達をしてあるというような報告でありました。
 本日の会議の経過としましては以上であります。
#55
○岡委員 いまのお話を聞くと、結局何もなかったというわけですな。現実問題は何もなかった。
#56
○武安説明員 まだ今回の原子力核実験の結果の推移というものが、従来の経過等との比較におきましてもはっきり出ておりませんし、いずれにしましても具体的対策を早急に講ずる必要があるかどうかということは、まだ明らかでありませんので、その点を対策本部の会議で調べたい。
 なお申し落としましたが、対策本部等のメンバーにつきましても、所要の関係者を追加したらよかろうという話でございます。
 ですから、本日の会議では、直ちにとる具体的の措置というのはなかった、こういうことでございます。しかしながら、この問題は閣僚会議としまして、国民生活にも非常に影響のある問題であるし、現在における調査等を的確に行ない、状況を見よう、こういうことでございます。
#57
○岡委員 とにかく、繰り返し申しますが、このタクラマカン砂漠の一隅にあるロプノル湖というところにおける実験、特に現在は予備実験であるとすれば、本格的な実験というものが当然予想される。これはエニウェトク環礁とかジョンストン島よりも距離が近いし、しかも天水等、日本列島はまともに影響を受けるという地形にあるので、そういう条件を考えた場合に、今回の予備実験における調査並びに対策というものは非常に重要な意義を持ってくると思うので、そういうなまぬるいことじゃなくて、ひとつこの際もっと周到な調査並びに対策というものを、やはりおくれないでぜひ立てておかれる必要があると思うのです。このことを最後に申し添えて私の質問は終わりたいと思います。
#58
○原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる五月十八日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。
   午前十一時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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