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1949/05/16 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第19号
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1949/05/16 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第19号

#1
第005回国会 文部委員会 第19号
昭和二十四年五月十六日(月曜日)
    午後四時二十二分開議
 出席委員
   委員長 原   彪君
   理事 伊藤 郷一君 理事 佐藤 重遠君
   理事 千賀 康治君 理事 圓谷 光衞君
   理事 水谷  昇君 理事 松本 七郎君
   理事 稻葉  修君 理事 今野 武雄君
   理事 長野 長廣君 理事 船田 享二君
      岡延右エ門君    甲木  保君
      黒澤富次郎君    田中 啓一君
      庄司 一郎君    平澤 長吉君
      若林 義孝君    受田 新吉君
      森戸 辰男君    小林 運美君
      渡部 義通君    松本六太郎君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
 出席政府委員
        文部政務次官  柏原 義則君
        文部事務官
        (学校教育局次
        長)      剱木 亨弘君
        文部事務官
        (社会教育局長)柴沼  直君
 委員外の出席者
        專  門  員 武藤 智雄君
       專  門  員 横田重左衞門君
    ―――――――――――――
五月十六日
 千賀康治君及び船田享二君が理事に追加当選し
 た。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 國立学校設置法案(内閣提出第一三〇号)
 社会教育法案(内閣提出、第一五八号)(予)
    ―――――――――――――
#2
○原委員長 これより会議を開きます。
 これより理事の追加選任を行います。
#3
○水谷(昇)委員 理事の選挙は、その手続を省略いたしまして、委員長において御指名あらんことを望みます。この動議を提出いたします。皆さん、御賛成を願います。
#4
○原委員長 ただいまの水谷君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○原委員長 それでは千賀康治君及び船田享二を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○原委員長 國立学校設置法案の質疑を継続いたします。
#7
○庄司委員 委員長より発言のお許しをいただきまして、ただいま議題と相なつておりまする國立学校設置法案の一部を、この際次のように修正することを決議するものでございます。すなわち本法第二條國立大学、第三條左表包括学校の中の仙台工業專門学校、宮城師範学校、宮城青年師範学校を削る。しかして別表第四に次の三校を加えます。仙台工業專門学校一七三人、宮城師範学校二〇九人、宮城青年師範学校二一人と、以上のごとく修正動議を提出するものでございます。
 理由は、この三校はそれぞれ沿革、歴史及び傳統等を有しております。今囘宮城地方議会及び仙台市会の決議要望等もございますし、かつまた三校の教授、学生、生徒及び卒業生同窓会等の渾然一体化せる強き熱望等もございます。この後、もしそれを以上のごとく削るという御承認を頂戴した場合は、一層学校内容、施設等の改善及び充実をはかり、大いに將來有為なる國家的人材の養成のためにそれぞれこの三校を経営せんとするものでございます。何とぞこの際先輩同僚諸君の御理解を賜わりまして、この修正動議に御賛成あらんことをお願い申し上げたいのであります。
#8
○原委員長 ただいまの庄司君の動議に対し、当局の御意見を承ります。
#9
○剱木政府委員 東北大学の中に、ただいま仙台工業專門学校、宮城師範学校、宮城青年師範学校を入れてございますを削つて、旧制のまま存置するというような御動議だと考えますが、この点について一言申し上げておきたいと思います。
 ただいまの御提案理由の中で、仙台工業專門学校、宮城師範学校、宮城青年師範学校の生徒、教職員全部、これに一致して同意しているというお言葉でございましたが、これにつきましては、先般正式に文部省には、工業專門学校の方につきましてはその以前に、それから宮城師範の方からはその後に、東北大学との間に合併の話がまとまつたというはつきりした理由がありまして、この原案をつくつたのでございまして、その後内部的に多少の動議を來しておりますこと、特に宮城師範におきまして動揺を來しておりますことは存じておりますが、正式に学校からは、いまだ文部省に対しましてこの前の申入れを撤回する申出は今日までないのでございます。この点をひとつ申し上げておきたいことと、それから、文部省といたしましてはできるだけこの切りかえに際しまして、各学校を大学に切りかえて行きたいという熱意を持つて参つたのでございます。特にこの併合の形式におきまして、むりな点があることに認められますけれども、この際大学に昇格して行きたいという熱望を持つておるものでございまして、特に教員養成の学校におきまして、もし日本中の全部の教員養成期間が、教育学部もしくは学藝学部になります場合に、宮城縣だけ一つ教員養成所として残りますことは、私どもとしてまことに残念なことでございます。特にこの点にるる國会におきましても申し上げましたように、一昨年でございましたか衆議院の文教委員会におきまして、將來の教員構成、師範学校の切りかえのあり方につきましては、原則として総合大学の教育学部にすることを御決議になつたのでございまして、私どもは多少のむりがありましたが、その御決議の線に沿いまして今日まで努力して参つておるのでございます。いろいろな経緯がありまして今日その実現を見ようとするまぎわにおきまして、これが修正になりますことは、日本の教育全体から申しまして、私どもとしてはきわめて遺憾に存ずる次第でございます。なおこの御提案になりました修正動議が、もしこの通りに通過いたすようなことがございますれば、現在これらの学校におりまする先生その他を入れて合せて定員は約五百名でありますが、この定員の総額から言いますと四百七名になるのでございまして、九十三名の人がこの法律公布の日からその学校におきましては予算がないので、出血のやむなきに至るのでございます。もちろんこれは具体的な人事といたしましては、全体として定員が減るわけでございませんで、他の学校に轉任なり、もしくはいろいろな方途をできるだけ講じて、私どもはもし國会がこの御決議をなされますれば、文部省もその意味におきまして十分一任を感じまして、実際先生方の行き場所につきましては、最大の努力をいたす覚悟でおるのでございますけれども、もし万一これがそのようになりました際には、やはり具体的な人の問題でありますと、これはいかに努力いたしましても、必ずしも短時日の間にその措置をとることは非常に困難であると私ども想像するのでございまして、その際のことを考えますと、押し迫つてそういうような状況になることに対して、非常に困つた状態が起ると考えるのでございます。以上のような関係におきまして私どもといたしましては、できるだけこの際原案通り通していただきたいというふうに念願をいたすものでございます。
#10
○庄司委員 ただいま政府委員の御意見の発表がありましたが、予算関係は政府が予算に関する適当な措置をとればいいのであります。たとえば大学関係の予算は、先般私がこの委員会におきましてお尋ねしたように、それぞれの予算を獲得されておるのでありますから、それらの予算より分割の予算支出をすればいいのであります。不肖私長い間予算委員の体驗を通して、そういうことができるのでありますから、予算の上において鉄筋コンクリートにぶち当るおそれがあるじやないかという御発表がありましたが、それは政府の善処によつて、いかようにも解決のできる問題であると思うのであります。また行政整理関係、その他において教員の出血を見るような不幸な事態がありました場合は、これは余儀ないことであるけれども、できるだけ有為なるところの教師諸君を適当な学校に配置することに、文部省があくまで善処されることによつて、ある程度食いとめることができると考えるのであります。それから文部省方面に、ただいま修正動議の議題となりました件に関して、三校よりそれぞれの報告があつた。そういうお答えであるけれども、それは文部省という官の力をもつて、当該校長とか、そういうものを圧迫したと言えば語弊があるから、圧迫したとは申しませんけれども、それは自由なるところの自由意思の発露によるところのものでないのであります。現に私は各校長さんや教授團にあつて、そういうことを聞いております。また卒業生の諸君、同窓会の諸君、あるいは学校の生徒諸君、いずれも私の力に電報をくださつておるのであります。それらによつて、宮城縣は私の郷土でございますから私に何人よりもよく宮城懸の事情を承知しておりますが、学校当局、卒業生の同窓会、生徒学生諸君も、三位一体になつての請願であります。現に本國会に衆議院議長あてに、仙台市長及び学校長は、それぞれの会長という肩書のもとに請願が出ておるのであります。それらの請願がまだ本委員会の御都合によつて上程されておりませんけれども、それらの請願をもし文部当局が國会の方より借覧されてごらんになりますれば、いかにただいま本員が提案した修正通りに、熱烈なるところの要望を彼らが持つておりますかということも、御了察を得ることができると思うのであります。
#11
○剱木政府委員 文部省が圧迫しておるという点でございますが、私ども何とかして大学にしたいという熱意から、相当お願いをいたしましたり、またお話合いをいたしましたので、客観的に一面文部省の圧迫であるというようにお考えになりますことにつきましては、私ども強く弁解は申し上げないつもりであります。ただ仙台工業專門学校につきましては、最初に東北大字と合併するという案がととのつたのでございます。その後学校の事情等によりまして合併を断念いたしまして、そこで文部省といたしましては関係方面ともお話合いの末、もし合併することが困るならば、いわゆる九十八條の規定によつて、從來通りの專門学校として残ることについてはさしつかえないということをはつきり申し上げまして、それに対して学校からも、そのようにいたしますというしつかりした返答を得たのでございます。その後何ら文部省では東北大学との合併を慫慂した事実はないのでございまして、これに対しまして学校から突然自発的に、合併の話合いができたからというので、東北大学と両者が参りまして、私どもの方に合併案を提示したのでございます。少くともこの工業專門学校の第二回目の合併につきましては、何ら文部省は積極的に合併を慫慂したという態度には出なかつたことだけを、ここではつきり申し上げたいと思います。
#12
○水谷(昇)委員 ただいま劒木政府委員から御説明があつたのによりますと、ただいまの三校を分類いたしますと、教員の数が九十数名これを整理しなければならぬというようなことであつたのでありますが、それはただいま庄司委員からの修正意見によつてそういう整理をしなければならぬ人が出て來るのでありますか。そういう場合には分類するのでありますから、元のままの教員数にしておくことはできないのか、この点をお伺いいたします。
#13
○剱木政府委員 旧制のまま残りますと、たとえば師範学校について申し上げますと、師範学校の現在の二年生と三年生だけの学級組織になりまして、その三分の一は当然これは学級減になりますから、その関係におきまして現在の教授数は当然にそのまま持つておることができません。今度新制大学全体といたしまして、旧制の分につきましては、一般の学校につきましては二割、高等学校におきましては五割減という人員を減少いたしまして、その分だけが今度は新制大学の新しい教授組織を構成するという形になるのでありまして、宮城師範とか工專とか、それだけにつきましては、実際学級編成がないのでありますから、予算上落さないわけには参りません。またただいま庄司委員から御提示になりました予算案につきましては、今お読み上げになりました数字は、明確に現在の全部合せました五百人の数から二割落した四百三名に事実なつておるのでありまして、これは具体的な事実としてそういう結果が起つて來るということを申し上げたのてあります。
#14
○圓谷委員 今劒木政府委員の説明によりますと、二年以上の学級組織というのでありますが、旧制の一年の募集はできないのですか。
#15
○剱木政府委員 九十八條において残ります專門学校は、從來の通りで参りますと、入学資格が旧制の中学校五年終了をもつて入学資格としておるのでありますが、新制高等学校ができましたので、新制大学及び旧制の專門学校におきましては高等学校の終了者を入れることになります。從つてその下の一年がどうしても切れるのであります。從つて三年を置くということはできないのでありまして、もしやるとすれば二年生に対する補欠募集とかいうような程度でありまして、一年生の募集はいたさないことになつております。
#16
○原委員長 ほかに庄司君の動議に対して御発言がありますか。
#17
○松本(七)委員 庄司委員にちよつとお伺いしたいのですか、これを除いたあと、この問題についてさらに大学設置委員会等で審議をしてその結論が出るまで、この國立学校設置法案の審議の結論を出すのを待てというお含みがあるのでしようか、この点ちよつと伺いたい。
#18
○庄司委員 お答え申し上げます。ただいま私の提出しておる修正意見のごとくもし幸いに各位の御賛成を得て、この三つの学校が残つたような場合――先ほどはきわめて抽象的な言葉をもつて最後の結論を申し上げましたが、この三校がそれぞれ各学校の内容を改善充実し、将來大学設置委員会等のお認めを受け得る場合に幸いに逢着した場合には、むろん單独の三校合併の大学ができ上ることであり、またそういうことを宮城縣において、あるいは関係者等ことごとく熱望しておる次第であります。
#19
○伊藤(郷)委員 庄司委員のただいまの動議は、その採決に関しましては本日は留保していただきたい。
#20
○千賀委員 留保とともに希望があります。私も留保に賛成するものでありますが、文部当局と民自党の間にもまだ十分了解がついておらぬように思います。各派おいでになりますが、実際問題として民自党が多数でございますから、民自党と文部当局との了解は、この問題をスムースに進めるのに非常に大きな力になるのでございますが、この調整がまだ滿足についておらぬということになりますと、ここに非常に大きな問題になるのでございます。庄司委員もわれわれの親愛なる同僚であるとともに、文部大臣も文部政務次官もわれわれが送つておるのでございます。われわれがただいまここで強引に庄司氏の提案に対して無了解のまま賛成をするようなことがありますれば、非常にその結果は憂慮すべきものがあると思います。いま一日ここに時間を與えて、ただいま発表せられました條件の上に立つて、さらにわが党内の調整ができればそれに越したことはないと、地元にも関係なし、また文部当局にもわが党という関係以外に何もない、われわれはまつたく純正な立場にあるものとして、そうした取扱いを希望するものであります。
#21
○原委員長 ただいま伊藤君、千賀君から御発議がございましたが、同じ党派でございますので、庄司君、その動議の採決を留保することを御了承願いたいと思います。
 伊藤君及び千賀君の庄司君の動議を留保すべしという動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○原委員長 それでは留保することにいたします。
#23
○小林(運)委員 國立学校設置法に関連をいたしてはおりますが、私は委員長にこの際議事の進行に関しましてお尋ねを申し上げたいのであります。またこの件に関しましては文部当局もももし必要があつたら御答弁を願いたいと思います。
 われわれは議会におきまして、先般來いろいろ問題がありましていろいろの法案につきましてその筋の了解を得ることになつておりますが、われわれ國会はその筋のGSとの関係だけにしたい。というのは、これはわれわれ國会側としてもそうでありますし、また関係方面の意向としてもそういうお話し合いがあつたことを聞いております。從いましてわれわれは本案の修正であるとか提出等につきまして了解を得る場合にはGSの了解だけで進みたいということが、すでに委員会会議あたりでは決定されておると考えておりますが、その通りで間違いないかどうか、委員長にこの際確かめておきたいと思います。
#24
○原委員長 小林君にお答えいたしますが、過日の常任委員長会議におきましては、國会より法案を出す場合、その他修正の場合には必ず渉外課を通じ、法制局長を通じてGSに折衝しろ、その他のセクションには單独で行つては困るということをその筋より申し傳えられたということを、常任委員長会議の事務総長より発表がございました。そのことは過日の委員会におきましても皆様に申し上げたつもりであります。その線に沿つて進んで行きたいと思います。
#25
○高瀬國務大臣 お答えいたします。ただいまの御質問は國会と関係方面との関係でありますから、政府と直接関係がないことじやないかと思います。
#26
○小林(運)委員 この國立学校の問題に関しまして、私は上田繊維專門学校を上田繊維大学にするように原案を修正すべく関係方面に正規の手続をとつて了解を求めましたところ、本日國会の正規の手続を経て関係方面の了解を得て参りました。この問題につきまして本日これが修正の動議を出してここで御審議を願うということにつきましては、いろいろ委員会の委員の方々とお話合いの上決定をいたしたいと思いますが、事実におきましてはさような経過になつておりますので、委員長はこの際これを確認しておいていただきたいと思うのであります。
#27
○原委員長 小林委員よりの御発言は承つておきます。その手続の衝に当つた渉外課長を呼びまして明確に承りたいと思います。
#28
○小林(運)委員 ではこの委員会において渉外課長を呼んでいただきまして、公開の席上で確認をしていただきたいと思います。後刻でもけつこうです。
#29
○原委員長 法制局長もお呼びすることにいたしましよう。――ただいま小林君から御意見のありました法制局長に発言を許すことに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○原委員長 それでは法制局長。
#31
○入江法制局長 ただいまの件につきましては、私の方は経由せずに、当委員会とそれから渉外課を通じて関係方面に意思の表示があつたものと考えます。大体関係方面からは委員会に対する意思表示は法制局長を通じてすることになつておりますが、委員会側の方から関係方面への連絡は從來通りということで、おそらくこの委員会でおきめになつたことを渉外課を通じて從來の手続で向うへ折衝したものと思いますので、その間の経緯は渉外課の担当の者にお聞きを願いたいと存じます。
#32
○小林(運)委員 ただいま法制局長からのお話は了承いたします。先ほど私が委員長にお尋ねしたことも了承いたしましたから、さらに渉外課長が参りましたら、そのときにここに呼んでいただいて、その関係をはつきりしていただきたいと思います。以上お願いいたします。
 なおこれに関連いたしまして、私は先般國立学校設置に関しまして、質疑を継続いたしておりますので、委員長はお忘れないように、留保しておくことを重ねて申し上げておきます。御了承を願います。
#33
○原委員長 了承いたしました。
 國立学校設置法案に対する本日の質問はこの程度にとどめて、社会教育法案を上程いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○原委員長 それではさようとりはからいます。
    ―――――――――――――
#35
○原委員長 社会教育法案について御質疑はございませんか。
#36
○松本(七)委員 せんだつての文部大臣の説明にも述べられておりましたように、学校教育に並んで、社会教育を大いに伸張しようという趣旨にのつとつて、この法案が出ておると思いますが、この第三條にも「すべての國民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない。」こういうふうにまことに理想的に掲げてあるわけであります。第四條におきまして、「予算の範囲内において、財政的援助並びに物資の提供及びそのあつ旋を行うことができる。」という規定もあります。そこでまず第一にわれわれが指摘しなければなりませんし、また大臣の御決意を伺つておきたいのは、りつぱな設備を法案で掲げても、実際にいつも法案の裏づけとなるところの予算的措置が遅れている。この社会教育をりつぱに行うために、その設備の充当をはかるに足るだけの予算的措置を、今後いかようにされるかという点、またせつかく予算が伴つて設備がりつぱにできましても、現在学校にも行かれない。学生自体もそうでありますが、青少年、成人たちは、日常の生活がが非常にきゆうくつである。休み中といえども、あるいは家の仕事をやらなければならぬ、あるいは畑仕事をやらなければならないというので、生活にゆとりがありません。せつかく施設ができても、これを利用するだけのゆとりがなければ何にもならないわけであります。そのり人たちの生活の余裕をどのようにしてつくつて行こうとするか、そういう條件が整つて、初めてこの法律も生きて行きますし、その施設もその目的を達成することができると思うのであります。これらの点についての文部大臣り御所見を伺つておきたいと思います。
#37
○高瀬文部大臣 お答えいたします。まず予算の点でありますが、予算的措置が十分でありませんと、せつかくこういう法案ができましても、十分の効果をあげ得ない。これは私もまつたく同感であります。しかし御承知のような今日の日本の経済財政の状態におきましては、文部省が考えておるような予算的措置は非常に困難な状況にあるわけであります。從いまして最初から予定された通りの予算的措置を講じ、十分の効果をあげることは、実は非常に困難ではありますが、しかしいかに少くても、できるだけのことで始めて、できるだけのことをやるということが、この際は必要ではないかということで、この法案を早く提出したわけであります。日本の財政経済といえども、今日のような状態がいつまでも続くというわけではございませんので、これが改善されるに從いまして、予算的措置もだんだんに文部省の計画に沿つてできるようになるだろうという予想を特つておりまして、それに余力を注いで行きたい、こう考えております。
 それから社会教育を実施するにいたしましても、地方の青年の生活の余裕が今日のようでは、とうてい十分できないだろうというご質問でありますが、確かに今今日の日本の関係のみじめな実情から申しますと、そういう懸念が非常にあるのであります。しかしこれもやはり日本経済が今非常な危機にあり、これを再建しなければならない重大な時期に臨んでおる際でありますから、十分のことはでさないのであります。この危機を乘り切つて、再建がだんだん効果を現わして行くに從いまして、自然余裕も出て來るだろう。しかし今一のような状況のもとにおいても、決して全然そういう余裕がないというわけではないと思います。はなはだ不十分ではありましようが、やはりその少い余裕を十分に生かしまして、社会教育的な効果をあげて行きたい、こう考えてやつておるわけであります。
#38
○松本(七)委員 なるべく急いで重点的に質問したいと思います。次に第七條であります。この規定で「地方公共團体の長は、その所掌事項に関する必要なこう報宣傳で視聽覚教育の手段を利用しその他教育の施設及び手段によることを適当とするものにつき、教育委員会に対し、その実施を依頼し、又は実施の協力を求めることができる」と規定してありますが、これはむしろ第八條が主にならなければならないのではなかろうか。教育委員会がその必要な場合に関係行政廳に対して必要な資料の提供を求めたり、あるいは協力を求めるということが、主体でなければならない。第七條の方でこういう規定がありますと、教育委員会が自主的に発達することを阻害するおそれがありはしないか。現在でも教育委員会がせつかくできましたけれども、まだまだ行政廳の配下にだんだん置かれるような傾向が強いのであります。こういうときに、何としてもこの教育委員会を自主的に工場発展させなければなりません。そういうときにこの社会教育の面でも、地方公共團体の長が教育委員会を牛耳るというようなおそれが生ずると思うのであります。これらの点について御意見を伺いたいと思います。
#39
○柴沼政府委員 第七條と第八條はちようどうらはらの規定でありまして、地方公共團体の必要といたします弘報宣傳のうち、たとえば供米の奨励であるとか、あるいは貯蓄の奨励というような事柄についても、その実際の実施上の方法は教育委員会の方でいろいろな便宜或いは機材を持つている場合が多いのでありまして、その実際の手段、施設等は教育員会に依頼する方が便宜である場合が、非常に多いのでございます。從いまして第七條のような規定がありませんと、地方公共團体の長がその施策の実施に非常に困るであろうという意味で、第七條が規定されておるわけであります。第八條の方はちようどその逆の場合でありまして、この場合はむしろ社会教育を向上せしむるためには、実際に一般の社会人の社会公民生活が向上して参ることが、また社会教育が進歩するゆえんでもありますので、從つてその間に切り離せない関係があるというので、こういう規定が生きて参つたのでありまして、いずれが先、いずれがあととは申せない関係に相なるわけであります。第七條と第八條とを入れかえましても、別段地方公共團体の方が優先し、あるいは教育委員会が優先するというような、そういう特殊な関係に立つものとは実は考えないのでありまして、むしろこういう規定によりまして教育委員会の持つております有効な手段というものが第七條によつて端的に示されるということを考えまして、こういう規定の仕方をいたした次第であります。
#40
○松本(七)委員 それと同じような問題ですが、第二章の社会上いく関係團体のところの第十一條には「文部大臣及び教育委員会は、社会教育團体の求めに応じ、これに対し、專門的技術的指導又は助言を與えることができる。」としてあります。ところが第十四條の方には「文部大臣及び教育委員会は、社会教育関係團体に対し、指導飼料の作成及び調査研究のために必要な報告を求めることができる。」となつております。社会教育関係團体が、もしも文部大臣あるいは教育委員会に対して何か技術的あるいは專門的な指導と助言を得ようという希望がある場合にには、当然それに必要な指導資料の作成或いは調査研究に必要な報告は、進んで関係團体の方からすると思います。もしそういう助言を得ようとするならば、当然そういう資料を提出してして助言を求めて來ると思うのであります。そこでわざわざ報告事項として第十四條に文部大臣がこれを求めることができるという規定は不必要だと思うのですが、この点に対する御意見を承りたい。
#41
○柴沼政府委員 第十一條に「求めに応じ」ということをわざわざ入れたのは第二章の社会教育関係團体におきましては、文部大臣及び社会教育委員会が、求めもしないのに進んで指導あるいは助言を與えるというようなな形で干与を行うことを避ける意味でございまして、いわばその干渉等を事前に防止する意味を多分に含んだつもりなのであります。それから第十四條の方は、なるほどお説の通りこういう規定がなくてもサービス・センターとしての活動をいたします文部大臣及び教育委員会につきましては、報告資料等は十分集まつて來ると思うのですが、サービス・センターとしての活動をいたしますために、各種の團体がこれを利用するためには、各種の團体から漏れなく網羅的にに資料が集まつて來なければならないのでありまして、そのためにそれらの團体が恣意的に資料の提供をするようなことをぜひ避けてもらいたいという趣旨なんでございます。そういう意味でこの両方の條文ができておる次第であります。
#42
○松本(七)委員 次は第十五條に「都道府縣及び市町村に社会教育委員を置くことができる。」二項に「社会教育委員は、教育委員会が委員長の推薦により、社会教育関係團体の代表者及び学識経験者のうちから委嘱する。」となつております。ここで問題になるのは、「教育長の推薦により」ということが條件になつておる点であります。これは教育委員会法と矛盾いたしますし、教育委員会長の趣旨に反すると思われる点があるのであります。すなわち教育委員会法の第四十九條には「教育委員会は左の事務を行う。但し、この場合において、教育長に対し、助言と推薦を求めることができる。」こういうふうに教育長の方はごく受動的になつておるのであります。そうしてそのいろいろな項目をあげてその第十四号に「社会教育に関すること。」という規定があるのであります。これはやはりこの「推薦により」という條件を除かなければならないのではあるまいか。またこれと同じことが第二十八條にも言えるのであります。すなわち「市町村の設置する公民館の館長その他心要な職員は、教育長の推薦により、当該市町村の教育委員会が任命する。」となつております。これも教育委員会法四十九條の一項の六号に「教育委員及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること。」は教育委員会が決定する。しかしその場合において「教育長に対し、助長と推薦を求めることができる。」となつておるのであります。この間に矛盾があると思うのですが、この点についてお伺いします。
#43
○柴沼政府委員 ご指摘の三箇條におきまして教育長の推薦ということが出て参りますのは、社会教育委員の性格によるのであります。第三章の社会教育委員の建前におきましては、教育委員会の諮問を受ける会議体ではありますが、教育長を通じて助言を教育委員会に申し出るような形になつておるわけであります。そのためにいわば教育長の作用の一部分を分担する形、そういう意味で教育長の推薦という形をとつておるのであります。
 それから公民館の職員の場合は、これは官廳その他の職員と違いまして特別な資格のある職員ではございませんで、その他一般の地方公務員と同様に、これに教育委員会法にありのと同様の地方公務員の任免の規定に合せまして、教育長の推薦によつて任命するようにいたしておるのでありして、その間に教育委員会が同じ任命をいたしますにしましても、社会教育委員と公民館の職員との間に差があるのであります。なおこの二つの場合について、教育長の推薦によるということを用いることがいいか悪いかにつきましては、本質論としては相当議論の余地のあることは、私どもも実は感じておるのであります。原案としては一通り筋が通つておるとは考えておるのでありますが、なおかつその間に檢討すべき余地のあることは私どもも十分感じておる次第でございます。
#44
○松本(七)委員 大体この程度にしておきまして、あとは次会に讓りたいと思います。
#45
○圓谷委員 境教育法案の審議は明日に継続することにして、本日はこれにも散会されるよう動議を提出いたします。
#46
○原委員長 圓谷君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○原委員長 それではこの程度で散会いたします。明日は午後一時より開会いたします。
    午後五時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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