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1965/06/08 第51回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第051回国会 運輸委員会 第41号
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1965/06/08 第51回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第051回国会 運輸委員会 第41号

#1
第051回国会 運輸委員会 第41号
昭和四十一年六月八日(水曜日)
   午前十時十八分開議
 出席委員
   委員長 古川 丈吉君
   理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君
   理事 田澤 吉郎君 理事 久保 三郎君
   理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君
      有田 喜一君    上村千一郎君
      浦野 幸男君    小渕 恵三君
      高橋清一郎君    高橋 禎一君
      南條 徳男君    長谷川 峻君
      松浦周太郎君    山村新治郎君
      井岡 大治君    小川 三男君
      勝澤 芳雄君    泊谷 裕夫君
      野間千代三君    山口丈太郎君
      内海  清君    竹谷源太郎君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 中村 寅太君
 出席政府委員
        運輸政務次官  福井  勇君
        運 輸 技 官
        (船舶局長)  芥川 輝孝君
 委員外の出席者
        専  門  員 小西 真一君
    ―――――――――――――
六月八日
 委員川野芳滿君辞任につき、その補欠として上
 村千一郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員上村千一郎君辞任につき、その補欠として
 川野芳滿君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小型船造船業法案(内閣提出第一二〇号)
     ――――◇―――――
#2
○古川委員長 これより会議を開きます。
 小型船造船業法案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。内海清君。
#3
○内海(清)委員 小型船造船業法案につきまして、前回に引き続いて質問をいたしたいと思います。
 最初にお伺いしたいと思いますのは、御承知のように合理化臨時措置法は四十二年の三月までの時限立法になっております。先般来の参考人の意見によりますと、大体臨時措置法の対象は中小の鋼造船業ということになっておるのだが、いわゆる小型についてはそれが一切適用されていない、こういうことのようでありますが、これはどういうことであるか、まずお伺いいたしたいと思います。
#4
○芥川政府委員 中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の適用の範囲は、三千トン以下二十トン以上の鋼船は全部適用になっておりますので、法律上適用になっていないというのは間違いでございます。これは適用になっておるものでございます。
 ただ、これから先私の意見になりますが、せんだっての参考人は、この中でも特に小さなもの、あるいは木造船からの転換業者でございましたので、木造船は対象になっておりませんので、そういう印象をもちまして参考人の陳述になったものではないかというふうに考えております。
#5
○内海(清)委員 中小型の鋼造船は当然対象になるべきものである。これは法律的に私どももそう解釈いたしております。ただ、先般承りましたのでは、実際問題としては、小型の造船工業会ですか、この会員も一切適用を受けていないという話であったと思うのでございますが、そういうものには適用されていないのかどうか、対象になっていないのかどうか、もしそれがあるならば、その辺のところをお知らせいただきたいと思います。
#6
○芥川政府委員 中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の対象になっておりますと申し上げましたが、それの一つの御説明を申し上げる材料といたしまして、たとえば三十四年から三十九年までの六年間の累計の指定設備の投資額、そういうのがございますが、それが全体で七十三億になっておりまして、五百トン未満につきましては、そのうちで約三億八千万。こまかな数字までわかっておりますが、概数で申し上げますと、全体が七十三億に対しまして、五百トン未満の工場につきましては三億八千万の実績がございます。
#7
○内海(清)委員 そういたしますと、あるいは先般のは工業会の会員の中でこの適用を受けておらぬということかもしれませんけれども、私自身の理解としては、いままで受けておったというふうにも聞いておるわけでございます。同時に、小型のほうからもやはりこれの存続を望みたいという声も聞いておるわけです。それでわかりました。
 そこで、この臨時措置法というものは、今日まで中小の鋼造船に対しまする寄与は非常に大きかった。ただいま、今日までの総額もあげられましたが、七十三億というふうな相当のものであります。ところが、今回のこの小型造船業法の制定されたゆえんのものは、小型造船所におきまする、特に技術方面のレベルアップということを意図しております。そういう点から考えますならば、促進法の指定業種になったということで満足すべきでないので、小型の造船業界からもこの臨時措置法の存続ということが当然要望されておるわけであります。これは先ほど申し上げましたように、四十二年の三月までの時限立法になっておりますが、その後に対しまする運輸当局の御方針というか、これを存続せしめるか、それとも、促進法の適用のみで中小は終わらせるのか、その辺のところの御所見を承りたいと思います。
#8
○芥川政府委員 ただいまお話しのとおり、おかげさまで中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の効果によりまして、本法は対象を三千総トン以下の鋼船をつくる造船業にしておりましたところ、船型の大型化とそれから合理化の進展に伴いまして、三千トンをこえましていわゆる一万トン程度というところまでつくれる業者が多々出てまいりました。そこで、そういうものをかりにいわゆる卒業生といたしますと、これらの卒業生を除きました分につきましては、臨時措置法の再延長によってやるかどうかということは、中小企業近代化促進法との利害得失の検討もございますので、今後さらに検討を重ねまして方向をきめたいと考えておるものでございます。
#9
○内海(清)委員 いまお話しのように、中小企業の近代化促進法というのは、いわゆる中小の木船、鋼船を含めた造船業である。資本金の五千万以下、従業員の三百人以下、これが対象になるわけであります。そういたしますと、この中小の鋼造船の中で、この促進法は適用されないのが当然出てくるわけでありまして、これらに対する措置から申しますと、これは中小の鋼造船業に促進法は適用されないが、合理化臨時措置法は適用される、こういうことになるのでありますから、そこの関係が今後非常に重要な問題になってくるだろう。そこで、促進法の適用されないものは、もしこの臨時措置法がなくなるならば、そういう助成、育成と申しますか、そういうことがなくなってくるわけでございます。これらの点は十分お考えの上臨時措置法にも対処されると思いますけれども、いま措置法は適用されるけれども促進法は適用されない、こういうふうなものが大体どの程度ある見込みでございますか。
#10
○芥川政府委員 中小型鋼船造船業合理化臨時措置法の適用を現在受けておりまして、中小企業近代化促進法の適用を受けない業者、これは先ほど私が卒業生という妙なことばで申し上げましたが、企業者の数では十九ございます。
#11
○内海(清)委員 したがって、もし臨時措置法がなくなるならば、この促進法の適用を受けない十九、これはいわば中造船所であります。これに対しては、もし措置法がなくなればどういうふうにされるというお考えでありますか。
#12
○芥川政府委員 先ほど申し上げましたが、臨時措置法の延長につきましては、今後いろいろの問題を検討してきめてまいりたいと思うものでございます。ただ中小型鋼船造船業合理化臨時措置法が制定されました当時の事情は、昭和三十四年でございますが、三千トンで一つの断層を設けまして、それから下のものを振興しよう、こういうことだったかと存じます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、この十九業者は現在すでに三千トン以上の船舶をつくる能力を持っておるわけでございますので、この措置法をそのまま延長するということが法制定の基本精神と合致するかどうか、この辺は十分検討いたしまして措置を考えたいと思っておる次第でございます。
#13
○内海(清)委員 いまお話しの点は全くそのとおりだと思います。今度の本法施行によりまして、小型の造船業については対処できる。さらに従来中小型といわれた三千トン以下については、これまた育成の道があるわけであります。一番問題になるのは三千トン以上、一、二万トン程度まででありまして、いまお話しのとおりだと思うのであります。しかしこの中小の造船所から、措置法の存続ということは強く要望されておるのであります。ただし、いま申しました三千トン以上一、二万トンまでの造船所に問題が残りますので、今後措置法は当然存続されなければならぬと思いますが、その際には従来のままの措置法の適用でよいかどうか。これは造船業全体から見ましても大きな問題である。この点を十分勘案されて、三千トン以上一、二万トンまでの造船業もその対象になるように考えられなければならぬと思う。ということは、三十四年にこの臨時措置法が制定されました当時よりも、船型が急速に変化してきている。これは世界的な傾向であって、すべて大型化しつつある状況でありますから、その造船界の大勢に順応して法というものを考えて、これを施行していかなければならぬのじゃなかろうか、かように考えるのであります。これらについてはまた後ほど多少触れるかもしれませんが、そのことをひとつ強く要望しておきたい。すなわち臨時措置法の存続を強く要望いたします。と同時に、従来のままでいいか悪いかという点は、この際あわせて慎重に御検討いただきたい、こういうことであります。
 次に、本法の施行によりまして、小型造船所におきましては、かなり近代化等を行なわない限り本法の登録を受けられない、本法の違反になるようなものが出てくるのではないかというふうに想像するのでありますが、この実態はどういうふうになっておりますか、お伺いいたしたいと思います。
#14
○芥川政府委員 御指摘のとおり、本法適用にあたりましては、二カ年の経過措置を設けておるわけでございます。私どもの現在の調べによりますと、的確な数字はまだつかんでおりませんけれども、工場数の二割ないし三割は、この経過期間のうちに設備の整備あるいは主任技術者の養成ということを行なう必要があるのではないかと思っております。
#15
○内海(清)委員 経過措置があることは、お話しのとおりであります。この間におきまして、少なくとも現在の小型造船所がすべて登録を受けられるように十分なる御配慮を願わなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。
 次に、特にこの際お伺いしておきたいと思いますのは、先ほど話の出ましたいわゆる臨時措置法、それから促進法、これの対象外になるであろうと思われるものであります。いわゆる中級の造船所の問題であります。本法の施行によりまして五百トン未満の小型の造船所については、近代化への助成指導が積極的に行なわれるわけであります。また三千トン未満の中小の鋼造船所については、現時点においては臨時措置法のほかに、資本金五千万円、従業員三百人以下のものについては促進法が適用されることになるわけですね。したがって、これらの造船所については、設備の近代化、造船技術の水準の確保、あるいは経営の合理化というふうなことが行なわれて、企業がだんだんと健全に発展するであろう、こういうことを考えるのでありますが、先ほど申しましたように、一番問題になるのは、これらのいずれにも適用外であり、しかも開発銀行からも顧みられないという層、すなわち三千トン以上一、二万トン級までの、いわゆる中級の造船所の問題であると思うのであります。特に今日、東南アジアその他におきます国々の船舶の需要というものがだんだん出てきつつあることは、御承知のとおりであります。その船舶需要が増加するにあたりまして、この重要な時期に、これらの中級造船所といいますか、これの近代化、合理化あるいはさらに技術確保、こういうことがきわめて大切な問題になってくると思うのであります。これが本法施行後における造船界の一番の問題になる点だと私考えております。これらについてはどう考えておられるか。また、今後助成、育成指導等をどういうふうにして行なわれようとしておるのか、これをひとつこの際明確にお答えいただきたいと思います。
#16
○芥川政府委員 御指摘のとおり、いわゆる中級造船所、具体的に申し上げますと、たとえば大阪の川筋の造船所であるとか、あるいは函館にある造船所であるとか、いわゆる大工場の末尾のほうに位する造船所につきましては、われわれのほうではこれを一括中級造船所と申しているわけであります。そこで中級造船所につきましては、ただいま御指摘のとおり、最近に至りまして非常に輸出船の受注が盛んになってまいりました。そこで技術の向上あるいは設備の近代化という問題につきまして、この際大いに力を入れたいと存じまして、実はこれの設備近代化資金につきましては、開銀に対しまして開銀融資を行なわれるようにただいま折衝中でございます。
#17
○内海(清)委員 開銀融資が行なわれるように折衝中ということでございますが、従来もこの開銀融資の道が開かれるべきであるということはいろいろ論議もされてきたわけであります。しかし開銀におきましては、この中級造船所に対しては、いままでほとんど顧みられなかったというのが実情であります。そこでこれが問題にもなり、業者自身としては一番心配しておるのであって、私どもが地方に出ましても、この中級造船所から、常にまま子扱いにされて助成、育成、指導が国から行なわれないということを耳にいたしておるわけであります。今回も開銀から融資を行なわれるように折衝中ということでありまするが、これは実際問題として今回は十分見込みがあるかどうか、その点いかがですか。どうお考えになっておりますか。
#18
○芥川政府委員 従来開銀から顧みられなかったという点につきましては、事実はそのとおりでございます。そこで私のほうも何とかこれを開銀の融資対象にしてもらいたいと考えまして、たとえば開銀の地方ワクの適用、つまり中央ワクでなくて、地方ワクになりますと、若干その地方の資金ワクからも融資が受けられると考えまして、地方ワクの対象にするとかいろいろ努力をしておるわけでございますが、ただいま開銀がとっております金融体系の考え方と、われわれの申しておる中級造船所のおくれを取り返すという点、この点につきましてまだ若干歩み寄る点がないものでございまして、ちょっと難航しておるわけでございますが、今後とも何とか開銀融資の道をつけたいというふうに考えて、努力を継続してまいりたいと考えております。
#19
○内海(清)委員 開銀融資はなかなか難航しておるということでありますが、これは従来からの開銀の態度から見て当然だと思うのであります。そこで、これはよほど運輸当局で強力に働きかけられなければ見込みが薄い問題ではないか、こういうふうに私は思うのです。しからばこの中級造船所において、開銀の地方ワクから多少の融資があるとしても、これがきわめて不十分である場合は、やはりこの三千トン以下の措置法が適用され、促進法が適用される中小の造船所よりも、そこに国の手を伸ばすのに格差が出てくる。もしそうなった場合には、運輸当局はそれらに対してさらに何かお考えになる考えがあるかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。これは仮定の問題のようでありますけれども、一応そこまで考えてもらわなければ、現在の業者はすでになかなか納得しない段階ではないかというふうにさえ私は考えておるのであります。
#20
○芥川政府委員 中級造船所に対します開銀融資の問題につきましては、これは御承知のとおり昨年からの懸案でございまして、それで開銀といろいろ折衝しておるわけでございます。先ほどやはり先生の御指摘のとおりで、この中級造船所は、この一年間に輸出受注が非常に伸びまして、したがいまして、企業としての採算性もそれだけよくなっておるわけでございますので、そこで開銀に対しましては、融資対象として資格がそれだけ増進したのではないかというふうなことをもちまして、本年強力に交渉しておるわけでございますが、開銀の考えておりますいわゆる金融のあり方というものに対しましては、それでは開銀がなかなか納得するようなことに相ならないわけでございまして、われわれとしてもさらに開銀のいま行っておる方向で考えるか、あるいはもう少し別のことを考えるか、ただいまいろいろ検討中なわけでございます。と申しますのは、中級造船所は幸い事業が繁忙でございますが、この中級造船所の中で中級同士の協調体制をこの際確立するとか、今後いろいろ検討すべき問題が残されておると存じまして、その方向で今後十分検討しまして、さらに開銀と強力に交渉したいと考えております。
#21
○内海(清)委員 昨年来、今回まで折衝が難航しておるということ。ことに中級造船所におきましては、最近いろいろ輸出船その他の問題、船型が大きくなるというような問題で、今日までドックの拡張とか、あるいは船台の拡張とか、いろいろ政府に申請を出しておる面が多いわけです。こういう点から考えまして、今後のわが国の造船界の実情から見るならば、この中級造船所も大いに育成強化していかなければならない、技術レベルをアップしていかなければならない段階でありますす。設備も合理化していかなければならない段階であります。その際にこれが不十分であるならば、なかなか技術レベルのアップもむずかしい、設備の合理化もむずかしいということになると、そこに再び問題を起こすわけであります。この点はひとつ十分お考えいただかなければならぬと思う。そういう意味合いから、先ほどの臨時措置法を存続するにあたっては、もし開銀との折衝がうまくいかない、開銀融資が十分でないという場合には、措置法の手直し等によってこれを補っていくか、何かの方法を考えなければならぬと思いますが、措置法の存続にあたって、そういうふうなこともお考えになっておる向きがあるかどうか、この際お伺いしておきたいと思います。
#22
○芥川政府委員 ただいま御指摘の問題は非常に具体的な問題でございまして、臨時措置法の手直しをして、そして中級造船所もこれらの対象にするように考えておるかという御質問であったと存じますが、臨時措置法本来の立法の趣旨から申しまして、三十四年当時立法されたときも中級造船所は対象になっておりませんのでございまして、したがいまして今後臨時措置法の存続を検討する場合も、中級造船所を対象にする方向で検討することはないというふうに考えております。そこまで大型のものを臨時措置法にかりに含めますと、やはり法の焦点もぼけてまいるのではないかというふうに考える次第でございます。
#23
○内海(清)委員 それは、そういう御答弁があるかとも私は考えたわけであります。臨時措置法の性格から申しまして少しどうかということは考えるのでありますが、いずれにしても、中級造船所に対する開銀融資が十分でない場合に、これを補うものが必要だということはお考えだと思うのであります。それがいま具体的になかなか示されない、そういう方向で考えようということはわかったわけでありますが、これはいまの段階でこれについてお聞きいたしましても、十分なる回答が得られないことは当然だと思うのでありますが、これはすでに局長も十分おわかりになっている点でありますから、ひとつこれにつきましては、もちろんこれは開銀との交渉の経過によって考えられるべきものでありましょうが、この中級造船所が他の大手なりあるいは中小の造船所とそういう点について差がないようにお考えいただく、このことを強く要望しておきたいと思いますが、それに対します御決意をひとつお伺いしておきたい。
#24
○福井政府委員 御指摘の点につきまして、極力開銀との話もつけ、そして御要望の向きに沿って努力したいと考えております。
#25
○内海(清)委員 ただいまの次官の御答弁、少しどうかと思いますけれども、運輸当局におきまして強力に開銀と折衝して、中級造船所に対する融資が十分できるようにということが第一でありますが、それが不十分である場合にはこれを補うものを何か考える、そういう御決意であるということに理解いたしたいと思います。
 それでは、最後に、このわが国の造船業界におきます中小型の造船所の問題、これは海運におきます内航海運とともに最も早急に育成、立て直しをやらなければならぬ問題、こういうふうに私ば考えております。本法の施行されますのを契機といたしまして、問題の打開に真剣に取り組んでいただきたい。同時に、この中級の造船所に対しましても、今後十分なる配慮も強く要望いたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
#26
○古川委員長 久保三郎君。
#27
○久保委員 法案の内容について先にお伺いいたします。
 この法律案の内容は、一つには小型船造船業というものを運輸大臣というか、そういうものの権限で登録制にしよう、登録というものは届け出あるいは許可、そういうものの一つの形でありますが、登録によるメリットというか、効果というのは業界にどの程度及ぼすのか、小型船についてのいまの法案ですから、それについてどういう利益をもたらそうとするのか、これをまず第一にお伺いしたい。
 第二点としては、この法案の骨子である小型船造船業の近代化、合理化、そういうものに対して一定の基準を設けて、基準に合うものについてのみ登録をする、しかし現在やっておるものは経過措置として二年間の猶予を与えるということであります。全体でいま千幾つかあると思うのでありますが、そういう小型船造船所の体質改善というか合理化、近代化をするには、おおよそどの程度の資金が必要であるのか、そしてここで言及されるように、政府の資金いわゆる政府機関における資金としてどの程度これは投入すればよろしいか。さらには、当然全額政府投資というわけにはまいりませんでありましょうから、自己資金、そういうものでどの程度の資金を見ているのか。
 それからもう一つは、第三点になりますが、この造船業法というか、こういうものが出てきた由来のものは、先年内航二法の改正によって、内航船舶の船腹量の最高限度あるいは適正船腹量策定、これを現実に引き直せば、特に木船においては船腹過剰である、よってスクラップ・アンド・ビルドいたすにしても、これはたしか五百トン以上になるかと思うのでありますが、そういうものの鋼船化を大きなねらいとしております。よってもって特に問題となるのは、第一には小型の中でも木造船事業、こういうものが問題になってまいったわけであります。それに加えて小型鋼船については、それに転換するというか、建造船腹量に比較して小型鋼船の造船能力は非常に過剰ぎみであるから、そこで過当競争が行なわれているやにも聞く。だとするならば、そういうものをひっくるめて登録制度を実施するということに相なりますれば、当然のごとく現在その業に携わるもののいわゆる事業所というか、そういうものの数は減っていかなければならぬと思うのであります。この造船能力が減るかどうかは別として、企業の数としてはまず第一に減っていくだろうと思うのであります。ついてはそういうことを予想して本法はできているのかどうか、そういうことであります。
 第四番目は、言うまでもありませんが、本法だけでは、いま私が申し上げたような要求にこたえるわけにはいかぬと思う。すなわち、現在の小型造船所が企業としてはもう成り立たぬから、これは転換する、あるいは廃業するというようなものも中には出てくるだろうと思うのであります。出てくるだろうと思うから、これに対しては出たとこ勝負で、言うならば運輸省の施策の中では出てこぬが、政府全体、いわゆる通産行政の中でこれは解決しようと考えているのかどうか。
 第五番目としては、言うまでもありませんが、いままで私が申し上げたようなことを頭に置いてこの法律を制定しようとするならば、少なくとも二年後におけるところの小型造船業のビジョンというか、青写真のしかるべきものがあっていいと思うのであります。しかし今日ただいまなくても、これは二年間の猶予期間の中においてさような青写真をきめながら、現実にその尺度に合わせて、今日はやりことばになっておりますが、近代化、合理化、集約、合併、そういう方向にいくのかどうかということが私の聞きたい重点であります。
#28
○芥川政府委員 初めに、登録制としたメリットということでございましたが、これは御承知のとおり、従来届け出でやれたものを登録制にいたしまして、これによりましてわれわれのほうは、まずできてくる船質を改善いたしまして、そして御承知のとおり非常に多い海難を防止するというふうなことから、いわゆる小型船としての経済分野を確立いたしまして、小型造船業を近代化産業として進めてまいります場合に、まずそのできる製品をせめて船舶安全法には十分合格するものにしたい、そういう趣旨の技術向上を考えた面が第一点であります。
 それからさらに、御承知のとおり小型船もいろいろ種類がございます。内航船、漁船、その他一般船舶多々あるわけでありますが、やはりこれを発注されます船主さんの中にも、必ずしも企業の大きな方ばかりでもないわけでございます。そこで登録業者に発注すれば安心して自己の期待する性能の船が得られるというふうなことを考えまして、そこでこの登録というものをいわゆる公開しておきまして、これに注文すれば質のいい船が安心して得られるというふうなことから、したがいまして、まず各種の振興措置をやる場合の基礎として、優秀な船舶を、しかも技術の近代化と相まちまして低廉な価格でつくる素地をつくるということが、この登録制を採用いたしました第二点でございます。
 それから近代化資金としてどれだけ要るかというお話でございます。それはただいま木造船につきまして、近代化促進法によりまする基本計画ができましたので、その数字を申し上げます。それで木造船業につきましては、ただいま策定いたしました近代化計画によりますと、今後五年間で総額二十五億という数字になっています。それから鋼造船業につきましては、本年四月に指定を行ないましたので、まだ基本計画に基づく数字を申し上げる段階に達しておりませんで、ただいま基本計画を策定中でございますけれども、本年度の見込みといたしましては、木造船を除きまして、鋼船の分だけ申し上げますと、約七億五千万の見込みでございます。
 それからこれの自己負担分についてでございますけれども、自己負担分につきましては大体半分、五〇、五〇というのが原則でございます。
 次に近代化促進法によりまする基本計画の考え方でございますけれども、これは御指摘のとおり、協同組合の活動の強化あるいは工場の集団化あるいは共同施設の利用というふうなことでございまして、いわゆる小さな企業が散在しておる分につきましては、やはり企業の合同あるいは合併ということも行なわれるかと存じますので、企業数で勘定いたしますと、しばらくたちますと、これは若干減少するのではないかと想像しております。
 次に転換の問題でございますけれども、それは近代化基本計画の線に乗りがたい業者につきましては、これはそのままで造船事業を存続するか、あるいは他の業種に転換するか等は、各企業自己の判断によるものでございまして、ただいま私はそれの方向につきましては、ここで申し上げる材料を持っておらないわけでございます。
 さらに二年後のビジョンはどうであるかという点の御質問でございますが、これは先ほど申し上げましたように、木造船業につきましては近代化促進法による基本計画をただいま持っておりますので、概略先ほど申し上げたとおりでございますが、鋼船につきましてはただいま策定中でございますので、二年後のビジョンにつきましてはいましばらく、近代化計画のできますまで、その点はここではちょっと申し上げかねる実情にございます。
#29
○久保委員 お話を承りましたが、この登録といい、あるいはその裏づけになる設備の改善というか、そういうようなことは一応わかるのでありますが、そういうことをしながらいわゆる造船業、特に小型造船業の集約体制をはかろうとするのではないだろうかと私は思っているわけであります。極端なことを言うならば歴史的な過程、そんなに古い歴史じゃありませんが、過程を振り返ってみても、あるいは造船工業会の趨勢、それは船舶の事業の趨勢でありますが、それから見て、当然これは時代に適合した方向で戦線整理がなされるということだと思うのです。いままではそういう何らの手当てなくして、船の数のほうで締めてきた、あるいは船の構造というか、そういうもので事業分野を縮小されつつあったので、これではたまらぬということで、せめて自発的、と言っては語弊があるが、造船工業界全体の立場からも、これは先ほど申し上げたように、将来のビジョンを書きながら、それに必要な金もくめんしてもらう、あるいはそのためにはやはり雨後のタケノコと言っては語弊がありますが、それぞれの形でそれぞれのかって気ままの、いま見られるような造船業を防遏しよう、それは言うならば、現在ある造船所そのものの立場を擁護しなければならぬというようなこともあるのではなかろうかと私は思うのです。そういうことは全然ねらっていない、いままで御説明があったように、造船技術を近代化し、少なくとも安全性を持った船をつくるんだ、そのために登録にし、登録の要件としてはかくかくの資格要件を備えさせる、その裏づけとしては近代化資金の基本計画にものせて金を出していく、ほんとうにそれだけなのかどうか。それだけやっていくとするならば、もちろん製品は需要に応じての製造計画というか、そういうものはあるとは思うのでありますが、おおよそ考えてみるのに、木造船についてはもはや絶対量は少なくなってくるだろう。現に少なくなっていると思うのです。漁船についても大半が木船――大半でもありませんが、木船の需要が非常に多い。多いけれども、今度は来年の八月になれば一斉更新の時期にもなるので、いままでの小型の船による問題点なども、おそらく一斉更新によって解決しようという気がまえはあろうと思うのです。そうなると必然的に木船から鋼船に乗り移るということも出てくるだろうと思うのです。それからそれ以外に、小型のいわゆる漁船以外の木船、これは何回も御指摘があったように、鋼船に切りかえていく。しかも運輸省というか政府全体の姿勢は、いままでわれわれが知るところでは、木船から鋼船への転換というのが政策の中心であったと思うし、ことしもそうだと思うのです。そうなると、木船についてはもはや近代的設備をするという基本計画をそれぞれが立ててみたところで、近代化するために多少は設備が改善され、技術もよくなったけれども需要は少なくなるというのでは、かえってその企業に対して政府の施策があだになるという心配もひとつ出てくるわけであります。これは小型鋼船についても同様だと思うのです。あとから申し上げますが、大中の造船所が小型造船所の分野にまでそれぞれ入ってくることをそのままにしておいては、残念ながらそうでなくてさえ小型造船所の数は、というよりは造船能力は、いまのままでは非常に需要を上回るところの供給力になっている、こうわれわれは見ているのです。そうなると、だれかがやめてもらう以外に方法はないし、国からもう少し救ってもらわなければならぬのじゃないかと思うのです。つくっても売れない、こういうことがその裏には出てくると思うのです。だから単純な登録と設備改善、近代化の方向を打ち出しただけでは、私は十全ではないと思うのです。だから質問の要点は、十全ではないと思うから、ついてはこれは集約、合併の方向もねらわざるを得ないのか。そうだとすれば、さっき申し上げたように二年後のビジョンというのを書きながら、二年後にはそのビジョンに到達するのだという政策を持っているのかどうか。もしそういう政策を持って臨むとするならば、この造船業法の制定だけでは、これは残念ながらできかねる。もう一つ、いま申し上げたようなすべての点を含むところの、いわゆる一つの法律というか、そういう制度をつくる以外にないだろうと思うのです。しかし、そういうことが今日ただいま小型造船業界に直ちに当てはまるかどうかについては、私もよくわからぬ。わからぬけれども、しかしそういう方向についてはどなたも知っておると思うんですね。だからそういうことになると、この法案を出してもこれは宙に浮かんでしまうし、へたにこれは政府の施策に乗っけて、さっき申し上げたように、恩があだになるということも考えられる。非常に消極的な立場からこの法律の中身を推進するということも出てくると思うんですね。だからこの際私は、いろいろなこまかい点は抜きにして、私がくどくどしく申し上げるような点が、政府当局としてきちっとしているのかどうか、していなければ、これからそういうふうにするという気がまえなのかどうか、そういう点を聞きたいのです。これはもちろん船舶局長だけの問題じゃなくて、通産行政の中にも入るかもしれません、いかがでしょう。
#30
○芥川政府委員 今回、この小型船造船業法によりまして、それだけで小型造船所の振興全部をやるということではなくて、今回ここへ提案いたしました小型船造船業法は、先ほどから申し上げておりますように、まず技術の向上あるいは一定基準の施設の整備ということを考えまして、できまする船が技術的に安全であるというところをねらっておる法律でございます。それから企業の振興につきましては中小企業近代化促進法のほうに大部分を譲りまして、そこで企業の振興を行なう、こういうことでございますので、大ざっぱに申しますと、まず技術基準の確立を今回の法律でやりまして、それから企業の振興は中小企業近代化促進法による、こういうことでございます。船ができまして、その船が非常に粗悪でございますと、結局手直しあるいはその船に対するいわゆる罰金のようなものを取られますので、造船業自体が弱くなるという点につきましては、これは私詳しく申し上げるまでもないところでございまして、まず造船業としては安全な船をつくるということが第一歩ではないかと存じまして、小型造船業者を登録業者にして、まずその基礎を築きたい、続きまして、中小企業近代化促進法によりましてその企業の振興をはかる、そういう二段階で考えておるのでございます。
#31
○久保委員 船舶局長にお尋ねすればいまのような回答だけしか出ないのではなかろうかと実は思っていたのです。あなたの職務は船舶技術の向上をはかって、より安全な、より経済的な船をつくらせる、そのためにはこの法案が必要である、これはわかるのです。あなたの立場というか、法案の趣旨はよくわかるのでありますが、さっき申し上げたように、この法案ができるまでの過程というものが非常に大事だと思うので、むしろそういうものを歴史とこう言ったんだが、歴史じゃなくて、先年内航二法をつくったときから顕在化しできたところの小型造船所の実態、それを救済といったら語弊があるかもしれませんが、まあ一つには救済、そしてあなたが御説明なさるような近代的な造船業、こういうものをするというふうに今日なってきたのだろうと私は思うのですから、そういうあなたが御説明になったこと自体だけを、ああそうですか、けっこうですねというだけでは、何か腹の中が少し満ち足りないわけなんです。もしほんとうにそれだけしか考えていないとするならば、これは問題だと思うのですよ。いや実は考えているんだが、まだその辺まで作業はいっておらぬというのならば別ですが。そうでしょう。局長、これはざっくばらんに言って、小さい造船を何とかしようということでしょう。何とかしようというのは、特に木船などは受注量も少なくなってお手あげだ、小型鋼船は過当競争でこれも困る。だからせめてきちっとした業態にして、あと出てきたのは少しこういう登録で――まあ免許となるとぐあいが悪いから登録でひとつ押えよう、新しく出てくるのは押えよう、いままでのやつは登録でひとつ何とか確保しよう。しかしそれだけでは意味のない話だから、さっきお話があったように、造船技術なり何なりを向上させたり、企業として近代企業になり得るような設備基準を設けて、この際技術的にも設備的にも近代産業の仲間入りをさせようということだと思うのです。だけれども、業界から私はよく聞いてませんけれども、おそらく近代化を考えていることは十分考えていると思うのですが、もっと真剣に考えているのは、どうして生き残ろうかというのが、率直にいって小型造船業の実態ではないかと私は思うのです。これじゃたまらぬ。おっつけこの委員会の審議にも回りますが、内航海運の問題がまた出てまいります。これはまだ全部お話を聞いておりませんからなんでありますが、今年度一ぱいに、余っていると称される船は全部スクラップする、しかし建造のほうは三年とか五年とかいっていますから、まあ言うならばだんだんに建造していこう、つくっていこうというんですよ。あとは係船もあるが、係船というのは、これは説明を聞いてませんが、売船につながるものではないだろうかと思うのです。売船というのはどこかへ売ることでありますから、その分だけ、極端な言い方をすれば、日本の船会社は輸出船新造は減ってくるとも考えます。新しい船をつくって輸出するということが一つあるのですが、古い船を係船するのでありますから、これを輸出しようというのですから、そうだとするならば、極端な言い方でありますが、それだけ新造が減ってくるというようなこともだんだん考えられてくるのです。内航海運業法の改正がすでにここにかかっているのでありますから、これとのかね合いにおいてこの問題が取り上げられない限りは、私は十分ではないだろうと繰り返し申し上げるわけです。どうでしょうか、局長、さきのお答えで大体終わりですか。――終わりならば通産省を呼んでもらって、通産省からも意見を聞かなければいかぬと思うのですよ。私らはそうとっている。いい悪いは別ですよ。そういうことをしたほうがいいか悪いか、これはまた別だと思う。しかしこういうことをやってくるからには、これは玄関口であって、奥座敷はまだ書いてないがあるのだという前提だと私は思うのです。それがないというならば、これは単に玄関だけつくって、奥座敷は御自由にどちらへでもどうぞというぐあいにいくのか。そうだとすれば意味のない話で、言うなら業者の登録制だけで終わりにしたらいいじゃないか、基準なんか設けて二年間猶予というようなきびしいことを言わないで、すきかってに、ぼろな造船所はお得意さんがついてこないのだから、優秀な業者についてくるようになるから、それは造船所が多過ぎるから当然そうなるのだから、ほっておいてもそういうかっこうになりはしないか、こういう論法も出るわけですよ。くどいようですが、いやそれまで考えていないとか、それはおれのきょうの答弁にはならぬとかいうなら、それはそれでいいです。
#32
○芥川政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、木造船業者がたくさんございまして、そこで鋼船化の勢いに乗じまして非常に粗悪な鋼船が多々出てまいりました。これは実情御承知だと思います……。
#33
○久保委員 局長、答弁中相済まぬが、それはあなたのお話で十分理解しておるんだ。だからぼくが言うのは、先の奥座敷はこしらえるのかどうかということですよ。
#34
○芥川政府委員 そこで本法とは直接関係ないと存じまして、その分野につきましては近代化促進法に譲っておるという点は、先ほど申し上げたとおりでございます。近代化促進法の奥座敷という点でございますが、これは近代化計画の中で、近代産業としての造船業の発達を考える上で企業合併なり共同化なり、そういう点が多々取り上げられると思うわけであります。これについていけない業者、あるいは地域的にそういうことができない業者は、そのまま造船業を続けるか、あるいは他の業種に変わっていかざるを得ない。これは各業者のおのおのの判断にまつということを先ほど申し上げたわけでございます。その転換先についてはこうであるべきであるというふうなところまでは近代化促進法は触れておらないのでございます。
#35
○久保委員 ぼくが質問したようなことはこの法案の中に含まれるものではないとおっしゃいました。これはそのとおりです。これは造船業法でありまして、そういうものを臨時的にどうするかとかいうことは、常識的にいえば別途臨時措置法というか、そういうものができてくるべきはずでありますから、あなたのおっしゃるとおりであります。しかしそれが今日ないから――ほんとうならばこれと二本立てで、私が考えておるようなことだとするならば、これは審議していかなければならぬだろう。幸い二年という猶予期間があるから、その間半年というか、来国会になったらばまたそういうことを考えて出てくるのかと私は思うのですが……。それから近代化促進法というかそういう中で考えられることであって、だめなものはそこでだめになっていく、こういうふうにお述べになったのでありますが、ほんとうにそうだろうか。私は造船業法としてはこれでいいと思っているのです。これでいいが、先年からの内航の対策と表裏一体として出てきたようにどうしても思っておりますから、先ほど来しつこいようでありますが、申し上げたわけであります。そういうことがないということならば、これはあなたのおっしゃるとおりですっきりすると思うのです。それでは逆に聞きますが、内航の問題というか対策というか、そういうものとはあまり関係はない。全然関係ないわけじゃないですよ。船をつくるのと浮べるのとの関係ですから、関係はあります。しかしそんなに密接不可分の関係はありません、こうとってよろしいのですか、どうですか。
#36
○芥川政府委員 内航との関係という問題でございますけれども、その点につきましては、内航の方向といたしましては、これは鋼船化の方向にあるのではないかと考えております。そこで、先ほど申し上げましたような粗悪な鋼船というものでは、内航業法の成果も得られないのではないか。したがって、そこらの面について補完的役割りをこの法律はする次第でございますけれども、内航業法によります需給関係から直接これが出てきたものではございません。それでわれわれのほうは造船業を強くしておきまして、そして内航船なり、漁船なり、あるいはさらに需要の増大しつつある小型船の輸出なりにこれを振り向けて、事業の発展の方向に資したいと考えておるものでございます。
#37
○久保委員 それじゃ木船及び小型鋼船の日本における今日ただいまの造船能力と、それから最近の需要の傾向、こういうものは数字的には別として、ことばの上ではバランスがとれているのかどうか、あるいは能力が過剰ぎみであるのかどうか、これはどうなんですか。
#38
○芥川政府委員 内航業法によりまして、適正船腹量が押えられ、最大船腹量が押えられましたことは、この小型造船業にいたしましても非常に大きな影響が出ております。若干の将来を見通せば内航船はそう伸びないのではないかということはだれしも言うことでございますが、ただ実情につきましては、幸い意外に受注が多くて、そのために、非常に経営が苦しくなったというような業者も若干はございますけれども、大半はさほど業態は悪くなっておらないというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
 さらに、今後の東南アジア地区におきます船舶の需要も相当伸びるのではないかというふうに考えられます。たとえば韓国につきましても、相当の造船輸出を期待している向きもございます。したがいまして、今後の需給を想定いたしまして、それによって企業規模がこのくらいであろうというふうなことにつきましては、いわゆるビジョンと申しますか、そういうものはまだ確定をしておらない状況でございます。現在のところ、幸い業界としてはさほど企業不振にあえぐという状況はないと存ずる次第でございます。
#39
○久保委員 いま造船業界が不振に悩んでいるということはないとおっしゃったので、それは私の認識違いであったと思います。しかし将来の傾向その他を考えれば、少なくともいままで申し上げたような木船なり小型鋼船なりというものは、それぞれの特に能力と需要の面での問題が私はあると思います。きょうはこの法案を通すためだけの話だとするならば、いままでの話でけっこうであります。しかしながら再びこの裏づけをしなければならぬような事態は必ずくると私は思うのであります。
 それからもう一つは、輸出船のお話をされましたが、私も輸出船について関心を持っております。しかし残念ながら、小型船造船業界の力は、大手の造船会社と違いまして、国内においてももちろん、国外におけるところの活動も十分にできるような力は持っておりません。私はそう思う。かたがた政府の、運輸省ばかりでなく通産行政も含めてでありますが、輸出体制、いわゆる小型船の輸出体制というか、そういうものはいままであまり聞いていません。運輸省がどういうふうに具体的な手を打った、通産省がどういう手を打ったということは、私は寡聞にして聞いていない。業界では何かこの間じゅう韓国へ行ったそうでありますが、引き合いがあったのかないのかわかりませんけれども、業界自体が行ってそういうものが解決するかどうか、私はなかなか問題があろうと思うのです。ですから、あなたがおっしゃったから食いついたわけではないけれども、輸出船というものに希望を持つならば、これは言うならば、日本の小型造船業界の能力というか、いまは商売のプラスアルファの部分に最小限置くべきだと思うのです。これはプラスアルファだからどうでもいいということではない。できるだけそういうものに対する対策を立て、政府も手を打ってやっていくということは必要だと思うのです。しかしそれを含めた造船能力を考えてこれこれということには、非常に危険性があると思う。なぜならば、大手の造船業者ならばある程度の危険負担の能力があるけれども、小さい企業では残念ながらそういうものの負担能力はないだろうと思う。だからプラスアルファとして日本の小型造船業界の能力に輸出船を加えることはけっこうだと思うのですが、そういうものの考え方の上に立って、それじゃ具体的にどういう施策を考えておられるか、あるいはやっているか、これをお聞きしたい。
#40
○芥川政府委員 ただいま御指摘のとおり、輸出につきましては、これは中心に考えてはならない。生産額のごく一部をなすものではないかという点でございます。それは三十九年度につきまして申し上げますと、お説のとおりでございまして、大体生産総額が三百億に対しまして、輸出が二十七億、約一割に相なっておるわけでございます。四十年度につきましては、輸出が急に伸びまして、約五十億円に達しております。したがいまして、輸出の分野も今後相当期待できるのではないかというふうに考えまして、先ほどのようなことを申し上げたわけでございます。
 なお、この輸出振興という面につきましては、政府がこれに介入いたしまして、こうせよああせよという点につきましては、ただいま一般的な輸出振興方策も出ておりませんが、今後十分業界とも相談いたしまして、具体的な措置を講じてまいりたい。たとえばモーターボートの売り上げ利益金の一部の流用による輸出振興等いろいろ考えられるわけでありますが、これらの具体策につきましては、今後考えてまいりたいと存ずる次第でございます。
#41
○久保委員 この法案を通した二年後の姿というものに対しては、何らの関心といっては語弊があるが、お答えがないのでありますが、私は先ほど来申し上げたような考えを持っておるわけであります。やはり本法が成立後においても、いわゆる近代化資金ということだけで機械的にやっていけるものではないだろうと私は思うのです。おりを見てまたいろいろその他の関係者にもお伺いをせねばならぬと思うのでありますが、業界もこの法案に期待をかけているそうであります。どういう点に期待をかけているのかわかりませんが、期待をかけると言うから、われわれもそうかなということにはなります。しかし私はしろうととして、一つ留保的な意見を申し上げておかなければならぬ。というのは、これはさっき申し上げたように、中小型造船所の起死回生をはかるものはこれだけではない。もしやろうとするならば、資本主義体制の中では、いわゆる集約、合併、転廃業というものが出てくる。それについては近代化促進法というか、そういうものでやるんだという船舶局長の答弁があったが、それだけではひどいではないか。なんぼ資本主義の世の中でも、いままでの近代化促進法によるところの転廃業の中で処理されるというのでは、将来に向かっての小型造船所のあり方について無責任ではないだろうか。なるほど船舶局として、船舶を建造する、いわゆる造船技術としてはりっぱで安全な船はできたが、そのつくる業態自体についてはあんまり関心を持たないというのでは、海の水じゃないが、ちょっと冷たいではないだろうか、こういうふうに考えているわけであります。時間もないところでそれ以上のことを出させるということも無理かと思うのでありますが、福井政務次官は政治家ですから、いかように考えましょうか。
#42
○福井政府委員 先ほど来の詳細にわたってのお尋ねにつきましては、局長が誠意をもってお答えしたとおりでございますが、御注意の面でありまする政策について、冷たいことがないように、特にあたたかい気持ちで今後の政策を進行させていきたいと考えております。
#43
○久保委員 次にお尋ねしたいのは、造船業法にいうところの五百トン以上の造船所が、この種中小型造船所にまかせられるべき事業をやるのについては野放しと思うが、さように考えてよろしいのか。
#44
○芥川政府委員 法律的には何ら制約をしておりませんけれども、われわれのほうでこれらのシェアの確立ということにつきましては、行政の一つの大きな主題と考えまして、先年から、大きな造船所は小さな船を受注しないようにということを基本にして行政指導を行なっておるものでございます。たとえば官庁船あるいは特定船舶整備公団等で財政資金によってつくります船等につきましては、以上申し上げました原則を貫いておりまして、次第にシェアの確立ということが行なわれつつあるものでございます。ただ特殊船その他につきまして、小型でも技術的に非常にむずかしい船等につきましては、いわゆる大造船所で受注をしている例はございますけれども、どこでもできるような船につきましては、大造船所をして受注させないように行政指導をしているものでございます。
#45
○久保委員 行政指導をするというお話でありますが、その前に、私が聞いておることは、大型、中型造船所というものは、五百トン未満の鋼船それから木船はおそらくつくってないと思います。特殊なモーターボート等はあるいはつくるかもしれませんが、しかしこれは一部だ。特に小型鋼船を何で大、中のところでやるか。これは登録しなくてもよいのですね。今度の法案からは適用除外になるのです。先ほど来の局長の御答弁によりますれば、なるほど大型なり中型の造船所は、それぞれ優秀な設備と技術を持っておるから、そんな登録は要らない、こういうことになると思うのであります。けれどもやはりこれは先年内航二法を改正して船腹量を策定したときから表にあらわれた造船所の問題だとして受け取る限りは、どうもこの適用除外の方針というのは納得しがたいものが最後まで残るわけです。それは、いま局長の答弁のように、行政指導でやっていくのだということは一つの方法ではあるが、いま提案されておるような法律までつくろうという現実であるとするならば、少なくとも大型、中型造船所の分野というものを小型造船所と同じ条件にしてもらいたい。何で登録も何も要らないというのか。それでは何も意味をなしませんとおっしゃるかもしれませんが、登録を拒否するということは一つには行政的なものがあります。だから、全然大きい造船所は小型の船はつくれないということでは多少法律的にも問題があるとするならば、行政的な立場でものごとを処理するというならば、登録をさせる法律にはなっておるが、行政的には登録についてはかぶりを振るようなこともできはしないか、せめてそのくらいのことはできないのか、こう思うのであります。これはもっときっちり言うならば、大型、中型の造船所は五百トン未満あるいは木船については一切手を出してはいけないということにはできないかどうか、どうなんですか。
#46
○芥川政府委員 五百トン未満で線を引くかあるいは――中小型鋼船造船業合理化臨時措置法が三十四年に成立しましたときは三千トンで線を引いたわけであります。どこで線を引くか、これは非常に重要な問題でございます。ただいま私のほうでは中小型鋼船造船業合理化臨時措置法で引かれました線を基準にしまして、そして先ほど申し上げました行政指導を行なっているものでございます。
#47
○久保委員 いまの答弁ではなかなか納得しがたいところがあります。だから私はこだわるわけじゃありませんが、小型の造船所に対する政策の一環として出したとするならば、やはり仕事を多くしてやるというたてまえはとってやるべきだと思うのです。いかなる法律をつくろうとも、最終的には仕事がなければつぶれていくのでありますから、つぶれていくのにかっこうだけいったって、仕事にならぬければ何にもならぬのでありますから、そういう指導が非常にゆるくてはかえって業法があだになる、こういうふうに私は思うのです。だから、いまのような御答弁でありますが、これは船舶局長だけの御努力ではできないと思うのです。追って内航の問題を審議する際にもこれは一応話に出しますけれども、皆さんのお考えとしては非常にどうもかたい、かたい答えであって十分情を尽くしての話ではないと私は見ておるのです。いずれにしてもそういう点を十分考えてほしい、こういうふうに思います。
#48
○古川委員長 本案に対する質疑はございませんか。――ほかに質疑もないようでありますので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#49
○古川委員長 これより討論に入ります。
 別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#50
○古川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○古川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 なお、地方公営企業法の一部を改正する法律案等について地方行政委員会との連合審査会は、明九日午後二時開会することに決定いたしましたので、お知らせいたします。
 次会は、明後十日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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