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1949/08/23 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第28号
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1949/08/23 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 文部委員会 第28号

#1
第005回国会 文部委員会 第28号
昭和二十四年八月二十三日(火曜日)
    午前十一時八分開議
 出席委員
   委員長 原   彪君
   理事 伊勝 郷一君 理事 佐藤 重遠君
   理事 千賀 康治君 理事 圓谷 光衞君
   理事 水谷  昇君 理事 松本 七郎君
   理事 今野 武雄君 理事 船田 享二君
      淺香 忠雄君    岡延右エ門君
      甲木  保君    高木  章君
      田中 啓一君    中山 マサ君
      滿尾 君亮君    若林 義孝君
      森戸 辰男君
 委員外の出席者
        総理府事務官  鈴木 俊一君
        総理府事務官  奧野 誠亮君
        文部事務官   久保田藤麿君
        文部事務官   福田  繁君
        文部事務官   稻田 清助君
        文部事務官   森田  孝君
        專  門  員 武藤 智雄君
       專  門  員 横田重左衞門君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 派遣委員の調査報告に関する件
 新制大学、六・三制問題に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○原委員長 これより会議を開きます。
 議題に入る前に、院議によりまして、休会中、地方の教育状況並びに文化財保護の関係を調査視察のために、東北、近畿、九州地方に議員の派遣を見たのでありますが、これに対してその結果の御報告を求めたいと存じます。まず九州班より御報告願いたいと存じます。若林君。
#3
○若林委員 ただいま議題となりました委員派遣に関する九州地方についての御報告を申し上げます。
 九州地方の國勢調査は、六月十三日より十日間にわたつて、若林、岡、松本、今野の四君によつて行われ、事務局よりは委員部の高原君が随行したのであります。最初福岡を出発点といたしまして、長崎、熊本、大分の四縣を視察いたしたのであります。
 視察の目的は、新制大学並びに六・三制の実施状況、教育委員会の状況、それから文化財、特に國宝などについての視察であつたのでありますが、地元教育委員会の熱心なる協力と、委員各位の熱誠なる調査の結果、その目的を十分に達することができたと思うのであります。新制大学につきましては、特に原子爆弾の影響を受けました長崎医大を中心として立ち上らんとする長崎大学のごとき、特にわれわれ視察團といたしましては、教育的見地に加うるに、この戰災にあつた間から、長き歴史をその中に再び打ち建てて行こうとする地方民の熱意を看取いたしたのでありまして、その調査の氣持におきまして、まことに崇高なる氣分を看取いたしたのであります。なお文化財その他につきましては、歴史的の由緒のある地方が多々あるのでありまして、これに関しても地方民の熱意をうかがうことができたのであります。日数きわめて短かかつたのでありますけれども大体その視察の目的を達し得たことを喜ぶものであります。詳しいことにつきましては、ここに報告書を作成しておきましたから、この報告書を御一読御尊覧を願いまして、御了承を願いたいと思うのであります。
 簡單ではございますが御報告を申し上げます。
#4
○原委員長 次に東北班の出張御報告をお願いいたします。水谷君。
#5
○水谷(昇)委員 私から東北地方に参りました報告をいたします。
 去る六月二十三日より七月二日の間にわたり、文部委員会から國宝保存及び教育制度の実情調査という件で、調査及び視察のために派遣させられました水谷、千賀、高木の各委員及び横田專門員、青木調査員の五名は、宮城縣においては仙台市を中心として大崎八幡神社、松島の端嚴寺等の國宝保存状況を視察するとともに、地方の当局者並びに識見者の会合を催し、國宝保存に関する現在の実情はもとより、廣く文化財に関する今後の措置や希望意見等を聽取することができました。岩手縣におきましても一関市に滞在いたしまして、平泉の中尊寺を中心として調査と視察をいたしまして、地元の当局者や識見者の意見を聽取して、派遣委員團一行の目的を達することができました。
 教育制度の実情に関する調査もまた、各地で教育委員会や教員組合や学校当局者やその他の識見者の意見を聞いて、その実情を示す参考資料をも得ることができました。
 次にそれらの概要を報告いたします。詳細は報告書がつくつてありますから、これを御高覧願いたいと思います。
 大崎八幡神社の特徴といたしましては、権現造りとして最も古いものとされておるのであります、修理を要する箇所は、屋根のふきかえ、社殿内の剥落どめ、これが最も必要と認めたわけであります。これらについては國庫補助百六十万円が定められ、地元負担金約三十三万二千円が予定されて、その運びにあるということでありました。社殿内の剥落の実情は、特に壁面はその形容さえも薄れていましたが、これは地元で総工費六十万円と見込んで、昭和二十五年度の事業予定としておる次第であります。
 次に端嚴寺は本堂、御成門、中門、庫裡及び廻廊が明治三十四年四月國宝指定となつたものでありまして、その特徴は、本道は桃山式書院造り、御成門すなわち玄関は武家屋敷の構造を取入れたものであります。庫裡の正面入口は、禪寺の庫裡として代表的なものであります。廻廊は本瓦葺短折接統家であるのであります。修理を要する箇所は、報告書の中に詳しく記載をいたしておりましたから、それをごらん願いたいと思います。最近の國庫補助による修理は、明治三十六年に行つたのみであります。修理を要する箇所についての工事費用は、千五百万円ないし二千万円と見込まれておるのであります。そのうち第一期、第二期と工事を分割着手の計画で、五百四万円を申請中であります。その他端嚴寺の経営内容等も報告書に詳細記載をしておきましたから、ごらんおきを願いたいのであります。
 次は中尊寺でありますが、これは御承知のように鎮守府將軍藤原秀衡父祖三代のころの建立であります。特徴は金色堂、経藏及び三千余点の藤原氏三代の遺宝は、その價値が法隆寺と並び称されておるものであります。修理を要する箇所は、金色覆堂の屋根、國宝安置堂の屋根及び建物の腐朽、倒壊の防止、剥落防止であります。これについての工事費は六百十万五千九百円を要すると見積られておるのであります。最近の國費補助による修理は、昭和二十三年十二月二十一日、文部省國宝保存審査会によつて三万円、それ以前の補助は明治三十年、大正十五年、昭和七年の三回ありました。中尊寺の経営内容については、報告書に詳細に記載してありますからごらんおきを願いたいと思います。それからその他詳細報告書に記載をしてありますから、これまた御高覧を願いたいと思うのであります。
 次に教育の実情につきましては、宮城縣廳に東北大学学長初め学識経験者、あるいは教育委員会の委員諸君、あるいは教職員組合の代表者、それらの方のお集まりをいただきまして、いろいろの問題について御意見も聞き、また私どもの意見も述べたのでありますが、その大要は定員制度と学校の現状、宮城縣の小学校に関したこと、あるいは中学に関したこと、あるいは大学に関係したこと等、これらに報告書に詳細記載をいたしましたから、これも御説明を省略することにいたします。
 それからこの際つけ加えて御報告を申し上げますが学生の政治活動についてであります。仙台の二高事件――事件の大要は、二校の学生が校内に共産党細胞を組織して、この細胞が先般前進座劇團の來他の際に、細胞の名を書き示したプラカードを掲げて歓迎した。これに対して学校当局がその指導者三名を追放処分にしたという事件であります。この事件に関して縣学務課長の説明がありましたが、それによりますと、学生が共産党であるから処分したのではない。教育基本法に基いて、学校は中立を守るべきであるのに、学生が校内に支部または細胞を組織した。しかもその名をプラカードに記して前進座一行を歓迎したこと、そのことが教育基本法に反することであるのであります。再三の戒告にもかかわらず、学生側の態度が強硬であつたために、学校の方針に從わぬ者として処断した。処断された学生は三名であつた。この問題は学生ストライキにまで及ぼうとしたが、結局大事に至らずに終つた。
 次に東北大学の件でありますが、去る五月に全國学生自治連盟の運動で、全國的学生ストの運動が行われ、その際に東北大学ではどうであつたか。これについて東北大学高橋学長の説明によりますと、一部少数学生のストがあつたが、取扱いを嚴にすることは、かえつて逆効果を招くので、学校としては放任しておいて、出校した学生にだけ授業を行つていた。そのうちに自然にストの氣配がおちついて事なく終わつた。ストの理由は大学校案反対と教育予算の増加ということであつた。右の事件に関連して御意見がありましたが、これもまた報告書に記載してありますから、御高覧を願いたいと思います。
 次には國立新制大学についてでありますが、東北大学は、第五國会の文部委員会で國立大学設置法案の審議の際に、種々論議された大学校の一つであつたが、結局宮城師範も含む東北大学が設立されたのであります。それについて高橋東北大学学長の意見と地元の意見を聽取したところ、大体において宮城師範の特色を生かし、両者互いに他の特色のよい部分を利用し合つて、総合大学としての実をあげることに努力するという見解で、現在は無事に運ばれているということでありました。
 その他教員免許法についての意見もありますが、これも報告書に記載しておきましたから、御高覧を願いたいと思います。
 なお不肖私と高木委員はさらに日光の方を視察いたしたのでありますが、これについて簡單に御報告申し上げますと、日光におきましては、二荒山神社、輪王寺、東照宮、この三箇所の國宝並びにその他の文化財について、詳細案内をせられて視察をしたのでありますが、さらに進んで中禪寺へ参りまして、立木観音、それから二荒山神社の中宮嗣等も視察をいたしまして、視察の目的を達したのであります。これまた相当多額の修理費を要するのでありまして、日光はご案内の通りにほかの場所と違いまして、極彩色、これらの剥落した部分を建築当時のようなふうに修理するということが最も必要なのであります。屋根や、その他の腐蝕したところもありますが、それ以外に特にこの日光はかわつた特異性があるのでありまして、その点に思わぬ莫大な費用を要するということでありました。大体申請しておる金額は一億五、六千万円ということを聞いて参つたのでありますが、將來外國人の観光誘致上から考えましても、相当の費用をかけてこれを修理する必要があろうと私どもは考えて参つたのであります。
 甚だ簡單でありますが、以上御報告申し上げます。足らないところは他の委員諸君から補つていただくことにいたします。
#6
○原委員長 次に近畿班の御説明、御報告をお願いいたします。圓谷君。
#7
○圓谷委員 六・三割とこれに関連する教育委員会及び國宝の実態調査に関する委員派遣の近畿班の報告をいたします。
 去る六月十四日より六月二十三日まで本院から表記の件に対して調査のために派遣させられたのは、文部委員長の原彪君、圓谷委員、森戸委員及び随行の大中臣調査員、松本調査主事の五人でありました。滋賀縣においてに大津市を中心として延暦寺、園城寺等の國宝保存状況を視察するとともに、地元の関係者との國宝保存に関する懇談会、及び滋賀縣教育委員会との教育関係懇談会を催し、それぞれ意見、希望等を聽取しました。また京都府においては京都市に滞在して桂離宮、二條城、西本願寺、大覚寺、東本願寺、平等院、妙法院等の市内外の各國宝の調査をなし、特に知恩院においては地元の各関係当局者、学識経験者及び各新聞社との國宝及びいわゆる文化財保存法についての懇談会を開き、さきに審議未了となつた文化財保護法案を中心として意見を聽取し、調査團一行の目的を達することができたのであります。國宝につきましては滋賀、京都を中心といたしまして、日本の國宝七百の過半数を持つておるという状況でございまして、調査状況につきましては文書によつてごらんを願いたいと思います。
 ここにただ参考となるべき委員会等との懇談について、統括して申し上げますれば、教育委員会については地方の声といたしまして、委員の選挙は、総選挙ではなく、選挙母体をつくつて行つた方が、よい人物が出るであろう。教育委員会を村ごとに設置することは人事の交流とその他経費の問題でやりにくいから郡單位ぐらいにしてほしい。委員は從來の視学にとつてかわる傾向がある。これは人事を扱うためによくない傾向が起るではないか、委員に大綱を見る程度でいいから三人くらいでよいじやないか。それから各教育委員会間の連絡機関が一人、現職の教員の立候補については考慮を要するというようなも台が起つたのであります。
 次に六・三制につきまして、新制中学校の建設については、今年度の予算が実施されないので非常に困難をしておる。どうしてもこの六・三制の予算については最大の努力をしてほしい。滋賀縣等では新制中学校は、初め各町村單位につくるような指導があつたが、それではとてもよい中学校ができないというので、組合立の新学校をつくるべく立案しているわけであります。
 定員定額法というものはやめてほしい。この算出の基礎に根本的誤りがあるではないかと思われる。
 それから学校財政法を法文化して出してもらいたい。学校財政法案、それから定員定額をきめるなら、その條件をきめてもらいたいというような問題がありました。
 さらに文化保存法案――今度議員提出で出そうとする法案、それから從來の國宝美術保存法案についての意見等がたくさんありましたが、これは長くなりますので省略いたします。この報告書によつてごらん願いたいと思います。
#8
○原委員長 ただいま東北、近畿、九州各班より、それぞれ御報告がございましたが、各班によつて作成されました報告書を議長あてに提出いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○千賀委員 異議ではございませんが、私は東北班に参加いたしておりましたけれども、これは九州班、関西班、どちらにも共通的に考えさせられるところがあり、またわれわれも大いに猛省をしなければならぬ点もあると思いますので、ここでお許しを得まして発言をさせていただきたいのであります。私はかつて文部委員会で金森國会図書館長が私見を発表せられまして、國宝の保存の中で、木造建築の保存なんというべらぼうなことがあるか、日本では金ばかりかかつてしようがないから、こんなものは國宝からやめてしまえ、取去つてしまえという暴言を吐きまして、私はこの点、ただ金森氏の不用意な言葉と思いましようか、思想から発した一つの乱暴な言葉と思つて当時は聞いておつたのでありますけれども、ほんとうによく考えますと、日本の木造建築物の國宝保存につきましては、この言葉は必ずしも当らざる暴言ではない、他山の石としてでも味おうべき点があると思いつつあるのであります。と申しますのは、國宝建築物を管理する人々が、最善の管理者としての知慧を働かせ、またあらゆる努力を惜しまずにあるかいなかという点になりますと、これはあぶないのであります。むしろ私は今回の施行によりまして、この信念が裏切られたといつてもさしつかえありませんペたをすれば國宝であることを奇貨として、國宝を食つておるのではないか、かような疑いまで持てるような状況もあるのでございます。たとえて申しますと、場所は遠慮しておきますが、かわらがえをやりまして、いまだ二十五年そこそこの國宝建築物が、すつかりかわらがずれまして、かわらとかわらとの間にすきができ、ここから雨漏りがいたしまして、屋根の材料はほとんど木部が腐つておる。今度はかわらのずれを直すだけではいけない、垂木から、もやから、すつかりかえなければ修繕ができないというようなものをはつきり見て参つております。戰災で燒ける前は、岡崎の東海道に面しておる古い家は、二百年、三百年という民衆の木造建築が幾らでもあつて、それが保存されつつある。しかもこれは数百年間にわたつ民家の生活に満足な状態で維持されておつたほどであります。國宝建造物といえば、建造物の中でもことさらに重要であるべきはずであります。またどの地方を問わず、最もよく管理が盡されておるはずであるのに、屋根板から垂木からすつかり屋根がえをいたしまして以來、二十五年にしてすでにかわらがずれて、屋根の下地がすつかり腐つておる。何の手も盡さずに、ただ腐つた腐つたと言うのは、何が何だかわからない。われわれのような観察團に対しまして、あるいは予算を切盛りしてくれるというような観察團に対して、かくのごとく腐つておるから早く予算をくれろという口実になつておるのではないかとさえ疑われるのであります。かようなことが公然行われておるということになりますと、金森さんではないけれども、実際かような木造建造物を國宝にすることが、はたして國民全体の仕合せになるかどうか、これは私は疑わしいと思うほどでございます。私は宿命でございましよう、日本人が数千年前から木造建造物によつておつた。であるから、この古いよいよできたものを國宝建造物に指定をいたしまして、これをお互いに保護し、お互いに観賞し、いにしえの文化を通じて、われわれが誇りと自信を持つということに、決して反対をするものではございませんが、さればといつて乱暴な管理のために國民の貴重な財幣がむざむざとこんなところでゆえなく消耗されるということも、これは絶対に戒めなければなりません。
 そこで將來國宝に対しましてわれわれは文化財としてひとしおの信念を深めようというこの関頭に立ちまして、かくのごとき管理者の態度というものはこれを一掃しなければなりません。ほんとうに一新をいたしまして、木造建造物に対する管理の注意の注ぎどころその他に関しましても、ほんとうにまじめに立ち返らなければならないと思います。こまかく申しますと、ほかの私どもが視察をいたしました國宝建造物全部に対しても、多少なりとも言い分をつけようと思えば、この方向から言い分がつけ得るのでありますけれども、若干これには程度がありまして、まずこの程度ならというものも見受けております。それだけでも、かなり保存の状態は違うのでございますが、私はこの際日本の木造建造物の維持管理という点につきまして、これは画期的に観念を改めなければならない。この点に関しましては、地方廳あるいは地方の有力者の諸君も、ここにほんとうに一新した氣持を注いでいただきたい。そうしてこそ、國が乏しい中からも経費をさいて、この國宝建造物の維持、管理、修繕等を続ける價値があるのである。こういうことを私は提唱をいたしたいのであります。
#10
○原委員長 各班よりご提出になりました報告書は議長に出すことを御了承賜わつたと了解してよろしゆうございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○原委員長 それではさようにとりはからいます。
    ―――――――――――――
#12
○原委員長 次に六・三制問題に関する縣を議題といたしたいと存じます。
 本日はこの件に関しまして、さきに第五國会において採択の上政府に送付いたしました請願のうち、特に六・三制予算に関連ある請願の書類について、文部当局の報告を承りたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○松本(七)委員 ちよつと委員長――六・三制と限定するよりも、教育予算全般ということで御報告願つた方がよいと思います。
#14
○原委員長 それでは教育問題全般をつけ加えることに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○原委員長 それではさようとりはからいます。
 まず六・三制予算に関連する請願の処理について概括的な報告を求めます。
#16
○久保田説明員 六・三制完全実施ということにつきましての請願関係では、昨日或る程度のことを申し上げておりますので、ごく簡略に申させていただこうと思います。
 これの始末の方法としまして、一つには関係方面の人々に六・三問題の実態を正確に認識し、把握してもらいたいという意味から、現実にその個々の事態を見ていただくということに努力を集中いたしました。続いて見返り資金の関係でも幾らかのわくを得たいという意味の努力を続けております。第三には、從來われわれが一應正確だと見ておりました府縣からの報告に基いた六・三予算の計数の整理を現実の個々の学校について、個々の市町村について一々これを洗い上げまして、彼此融通のできる余裕面積を実際この六・三制完全実施のために充当させて、なおかつ絶対に不足する関係のものを洗い出しまして、それの計数に基いて一應本年度の應急措置として、非常にみじめな状態にあります個々の学校を個々の單位の村について洗い上げましたものを、全國のうちで千九百七十二箇町村の單位にまとめまして、それの関係の分を一應処理をいたしたい。それを現実の姿で申しますと、今現在それぞれの学校が建つております現実の面積、校舎としての面積から算定しますと、一人についてあるいは〇・二四坪とか〇・三坪とかいつた非常低い程度でございますので、せめてこれを〇・七壺の線に引上げたい。これの始末をいたします関係が、本年度の分としてまず四十七億見当の費用がかかる。ますこれを補正予算の形で本年度措置をさせていただきたい。皆さんの絶大な御後援によつてこの予算の獲得のために眞摯敢闘したいと考えている次第であります、この六・三制の完全実施といつたようなことにから見まして、先般の議会で請願が御採択になつておりますものに、朝鮮人の学校についてその教育費を國庫でまかなえといつた意味の請願を採択になつているわけでありますが、これにつきまして私どもにこれからその処理をいたしますにからんで、まずその請願の御採択になりましたについてのいきさつなり、またその請願を御採択なさつたときの考えなり、また今度の考えなりについて私どもにこういう意味であつた、またこういうふうな処理をされるべきだといつた意味のご指示がいただけるならばまことに幸いだと考えておりますので、その意味のお示しをいただきたいのでございますが、ただいままでの一應の経過を申し上げますと、あの請願が一應採択されたことによつて、それぞれ地方の朝鮮人の学校を経営しております組合なり学校の関係者なりが、あるいは市町村に、あるいは縣当局に、あの請願が採択になつているわけであるから、今さら理由はないはずだ。即刻それに從つてわれわれの教育費をそれぞれの單位のところでまずまかなえ、それぞれの経費の支出をやつてくれろという陳情なり要求なりが盛んにございまして、地方の当局者は、まずその始末に困つたと申しますか、ことにその請願があつたこと、御採択になつたこと自体も、そのころはまだあまり判明しておりません関係もございまして、兵庫縣の知事からとりあえず私どもの方にそういう決定があつたのかどうか、またそれについての一應の文部省の見解を聞かせてくれろという意味の國会がございましたので、私どもとしましてはとりあえずそういうことがあつた事実をお知らせします一面、一應朝鮮人学校は、私どもの文部省の扱いとしてに、日本の私立学校と同一に扱うという財産がございますか、日本の私立けの経費に関係して、そういう予算的な、補助的な措置が一應できておらぬ今日の現状としては、ただいま申しました日本人の私立学校と同一に扱うという原則に照しまして、そうした予算的な措置ができ、ないという程度の回答を兵庫縣に出しました。そうして兵庫縣に向つてこういう回答をしたから、ほかの縣でも御承知おきを願いたい、御参考までにお知らせするといつた意味の通牒を出したのであります。しかしその通牒は各市町村なり縣なりの地方費の支出に関しては、一切触れておらぬのでありますが、たまたまそれが朝鮮人側の要求によつて、あるいは支出をしなければなるまい、あるいはまた支出をしようじやないかというような相談をしておられる地方の関係当局者の、その支出をするという積極的な方向に対して、これは非常にじやまになつた。ああいう事務的な回答を議会の院議を無視して、政府の機関が地方に通達するということはけしからぬ、即刻取消せといつたような意味の要求が、その後引続いて私どものところにも参つたわけであります。私どもは單にそういうことが事実であつたということを事務的に報告するにすぎないということ、また現在の予算的な措置から見て、日本の私立学校と同一に扱うという原則に対して、日本の私立学校に予算的措置がないにもかかわらず、朝鮮人の学校の分にだけ、今特別の措置をやるということもできないことを考え合せまして、また取消す意思がない、取消す必要を認めておらぬという回答をし続けて來ております。
 その後たまたま同じような問題が地方自治委員会の方にもございまして、この朝鮮人関係に補助金を交付してしかるべきかどうかというような関係のことが照会されて來まして、地方自治委員会からも、法規の精神から見て適当と思われないといつた意味の回答が出ておるのでございます。これらに関係して予算はともかく、そういう予算的な措置をして金を出せということと、私どもの通牒をまず取消せという要求は引続いてまだ行われておりますが、そうしたものの始末をいたします上において、御採択の当時の関係、それからその後の大体の御意図といつたようなことをお聞かせ願えればたいへん仕合せだと考えますので、その辺のことをお知らせいただきたいと思います。
#17
○原委員長 文部当局より請願の処理の経過につきまして報告を聽取いたしましたが、その朝鮮人教育問題に関する請願に関しまして、請願採択当時の眞の理由なり、議決の趣旨につきまして、多少明瞭でない点がありますので、ただいまの御報告に関連しまして、右請願採択の趣旨をこの際明らかにし、その線に沿つて政府当局がしかるべく処理されたらいいと思うのでありますが、当時の委員会の空氣等につき、水谷理事からこの際御説明を願いたいと思います。
#18
○水谷(昇)委員 当時委員長が何かの御都合で御不在でありましたので、私がかわつてその職責を果たしたわけであります。從つてその当時請願を採択いたしました趣旨を私から御説明申し上げて、足らないところは他の委員諸君から補足していただくことにします。
 この朝鮮人の学校に対する補助の請願をわれわれが審議いたしまして、これの採否を決定する場合に、私といたしましては、これを採択すると、予算的措置を講ずることが必然的に出て來ることを考慮いたしまして、今日の日本の財政状態から、今ただちに朝鮮人学校に対して、朝鮮人の諸君が希望するような補助に対して予算的措置を講ずることは困難である、こういうふうに考えましたので、同席の委員諸君に対して、特に私からこの点を御相談申し上げたのであります。そうして目下のところ実現の見込みが立ちにくいから、この請願は保留にでもしたらどうか、採択をすることは差控えたがいいじやないかということを御相談申し上げたのでありますが、そのときに委員の諸君から、これは日本の私立学校も同様である、私立学校に対しても財政的の余裕がなければ補助をしていない。であるから財政的に余裕を生じて補助の可能な場合に補助をしたらいいのである。また朝鮮人と日本人との從來の関係、將來の親善ということから、財政的に可能な場合に補助することがいいじやないか、將來のためにこの際この請願を採択しようじやないか、こういうふうに意見が一致いたしまして、この請願を採択することにしたのでありますから、先刻來久保田局長からのお話がありましたように、朝鮮人の学校を日本人の私立学校と、同様に取扱うことにおいて、私どもにそれでよろしいと考えておるのであります。そういう意味合いにおいて、この請願を採択したのであります。從つてわが國の財政面において補助が可能になつた場合には、せいぜい補助をしてやつていただきたい、これが私どもの採択の精神であります。
 以上当時の様子を御報告申し上げまして、足らない分は、他の委員諸君から補足をしていただくことにしたいと思います。
#19
○千賀委員 私は当時この案に対しましては、比較的明瞭に反対意見を持しておつた者であります。というのは、ただいまの内閣は、われわれ民主党員が支持をし、これを推進しておる内閣でございますがゆえに、支部政府委員が口をきわめて、これを採択してくれても実行が不可能だという説明をわれわれは尊重いたしまして、もしもこれを採択することが文部行政にトラブルを與えることであるならば、これは大いに戒めなければならない。かように私は思つて申し上げ、意見を堅持いたしておつたのでありますが、これはだれが言われたのか、今はつきり記憶がございませんけれども、かようなものは今までも何べんも採択されておるんだ、だから今これを採択したといつても、ただちに文部当局を窮地に陥れることにならないのだというようなことを聞いたと、今記憶しておるのであります。それは松本君であつたか今野君であつたかしれませんが、そんなような氣もするのです。御両君が、おれはそんなことは言わなかつたと言えば、私の何かの錯覚かもしれませんが、当時そんなことをだれかにささやかれました記憶がいたしまして、それならば支部行政に対する一つの示唆を日本政府に與えるために、われわれ國民はこういう希望を持つているのだということを表明することに決してやぶさかではない。ことに私は個人的の関係から申し上げますると、非常に朝鮮人には友人をたくさん持つております。おそらく曲りなりにも朝鮮語を話し得るのは、委員のうちにもたくさんないと思いますが、私などはその一人である。かように私は朝鮮人に対しまして非常に親しみを今まで待つておる一人だと思つておるのですが、決議をしてもただちに実行することが不可能だというような問題でも、多少なりとも日韓親善のお役に立てばけつこうだというようなことで、私も賛成をいたしたのでございます。しかるところ、文部当局からしばしば訴えられまするように、その後衆議院がこの問題を採択したことは、ただちに予算的措置をする裏づけがあるんだ、これが含まれておるんだ。だから文部当局は衆議院の意思に從つて予算措置をしろということを間がなすきがな迫られておるということを聞きまして、これにたいへんなことをしたという感じを、その後常にいたしつつあつたのであります。終戰後採択をされました、請願書の数だけでも数千に達しておると思いますけれども、この請願書なるものは、大体日本の政治の一つの習慣でありまして、いわゆる議員のおみやげなるものが請願書によつていつも表現をされる、こういうことでございましよう。軽い意味で今野君のおみやげだというような感じもいたしておつたのでございますが、私どもの感じは数千の請願と大体同じ感じを持つておつたのであります。もともとこれは予算的措置をただちにするものでない。ただ國民の希望をこの文章によつて表わしでおるという程度の認識であるのでございまするが、事いやしくもこの採択のために日本の文部行政がすこぶる迷惑を受け、このために費される時間が莫大であつて、本務の文部行政に費す時間との比率がまことに大きくなるというようなことになりますると、これに再び私どもは再認識をしなければなりません。この問題を採択したその精神は、ただちにわれわれは実行を迫るものでなかつた。日韓親善という根本に立つて、われわれの氣持をここに表現され、あるいはこれが盛られたのであるということを、再び私どもは採択した者の責任といたしましても、表明しなければならないと思うのであります。ただいま水谷君の御発言と大同小異ではありまするが、また私は違つた立場で採択をいたしましたその状況をここに表明する次第であります。
#20
○今野委員 ただいま水谷理事並びに千賀理事からお話がありましたが、私の記憶しておるところを申し上げて御参考に供したいと思います。
 当時この請願の採択については、理事会を開きまして、理事会の席で百幾つかの請願が審議されました。その席でたまたまこの請願が問題になつたのであります。私の記憶違いでないとすば、その席には原委員長もおられた。そうして水谷理事が委員長にかわられて、委員長において採択した際には、ほとんど論議が行われなかつたように思われます。もつともそれは私の記憶違いもありましようが、理事会の速記録はありませんけれども、委員会の速記録はあるはずでございますから、それについて見られたいと考えております。
 そこで、この理事会においてどういうようなことが言われたかと申しますと、大体この問題について千賀さんが今言われたように、若干の時期尚早ではあるまいかという反対意見もありましだので――ほかの請願に対してはほとんど論議なしにどんどんととるべきものはとり、捨てるべきものは捨て、また保留すべきものも保留いたしましたが、この請願に限りましてはそういつた意見もありましたので、特に私が発言を求めまして、この請願の趣旨を重ねて申し上げました。その趣旨をまた繰返して申し止げますると、第一にこのことは、日本と朝鮮とは昔からずつと歴史始まつて以來切つても切れない縁にあるし、お隣の國でもあるので、將來もずつと友好関係を保つて行かなければならない。不幸にして現在朝鮮はまだ十分に日本と――日本自身もそうでありますが、外交関係を結び得るような状態になつておらないけれども、しかもなお近い將來にそういうことも考えられるのであります、從つてこの親善関係を維持して行くために、このことについて特に考慮する必要がある。ことにその当時私も申しましたが、北朝鮮の平壌において、日本人の子供がやはりあちらの國費をもつて教育を受けておる、こういうような事情も訴えました。それでなお特にアメリカや何かにおいては、日本人はアメリカの学校に入つておるというようなこともありますが、これは当然アメリカの市民権があり、アメリカの國民でありますから、そういうことであるが、在日朝鮮人の場合には、これはあくまで外國人である。そういうような見地に立つて、子供を將來朝鮮の國民としてやつて行けるようにすべきだ、こう言うような見地から私は特にこのことを皆さんに訴えたのであります。それからなお現在在日朝鮮人諸君が教育の問題こそ非常に重要な問題であるとして取上げて、このことに熱心で、みずからの費用をもつて、今まで学校を保つて來たこと、教科書などもつくつて來たこと、そういうことを申しまして、それが現在の経済状態によつてたいへん行き詰まりを來しておる。だから現実の問題としてこれを処理していただきたい。こういうことをお願いして、その結果理事会の空氣が非常に友好的な空氣のうちにこのことが決定され、そしてそれが委員会において確認された、こういうような段階を踏んだのであります。
 なお私、今まで申しました趣旨をまとめて明瞭にするために、ここで重ねて申し上げたいと存じますが、大体日本の憲法の八十九條において、私立学校の締切ができない、あるいはできないこともないといつたようないろいろな論議のある問題になつておりまするが、しかしながら、この朝鮮人の場合には、ほかの税金あるいは刑罰というような点において暫定的に日本の法律に從つておるということ、これは当然であります。しかしながら教育という問題につきましては、その仕事、学校の授業というものは現在行われることでにありまするが、その教育の効果と申しますものは將來において発生するものであり、從つてこれについてはそういう適用についても相当われわれとしては加減して考えなければならないのではないか。こういうふうに考えるわけで、單に國内的な見地だけではなくして、そういうような國際的な考慮といいうものを考えて処置すべきである、こういうふうに考えるのであります。本日配布を受けましたこの昭和二十三年五月の覚書並びに各都道府縣知事に対する通牒などにおきましても、特に文部省の学校教育局長からの通牒において、こういうふうに言われております。「この際朝鮮人の教育並びに取扱いについては、善意と親切とを旨とし、両民族の將來の親善に寄與するよう取りはからわれたい。」――たいへんけつこうな趣旨で、非常にこの点は私たちとしまして、日本國民の襟度というものを十分に示すべきである、ことに將來日本は人にも非常に多いし、ことにお隣の國でありまするから、日本人が朝鮮に行つたり、あるいは中國に行つたりすることも、從來ほどではないにしても、やはり当然あり得ることと存じますが、そういう際にもやはり日人の子供たちが日本人としての教育を受けられるように十分考慮する必要もあるわけでありまするから、そういうような点も考えて、私としてはできるだけこの趣旨が貫徹できるようにお願いしたいと考えておる次第であります。
 なおその後の文部省の処置並びに各地方の状況につきましても私もいろいろと聞き及んでおります。しかしながらその際に文部省から最近本年六月二十九日付で出されました地管第二十五号と称する通牒でありまするが、この通牒を読んでみますると、前の場合の善意と親切とを旨とし両民族の將來の親善に寄與するようという趣旨からはずれて、私立学校であるから今度は教育費を出すとは適当ではないという法律解釈的な紋切型の通牒が出ております。これによつてその地方議会の意思や何かが非常に左右されたというような事実も聞き及んでおりますが、もしもそういう事実があるならば、何とかそれを取除くようにしなければならないのではあるまいか。こういう点について、せつかく今までの交渉において友好関係というものを考えてやつて來ておるのに、ここでもつて何かそれがつまずくようなことがあつてはならないというふうに考える次第であります。特に文部省がいろいろと申しますが、当時の森戸文部大臣と朝鮮人教育対策委員会の責任者との間に取りかわした覚書においても、教育費の問題はそこには出ておりませんので、ただ朝鮮人が日本の学校教育法並び教育基本法に從つて、私立学校として自主的な学校をつくることが認められて、それで認められた方でも、その趣旨を了として、文部省に対して許可の申請を行い、その法の支配を更ける、こういうことを一應規定しておるのでありまして、これがもしも法の規定を受けるということを極端に廣げますれば、日本の学校と同じことを教わつて、それ以外のことを教えるわけにいかないわけでありまするが、この通牒にもありますように、自主性がかなり認められておるわけであります。これに紋切型にこの法の支配を受けるということではなくして、さきの両民族將來の親善に寄與するという見地から行われるわけであります。從つて先ほども申したような見地からいつて、この教育費の問題は、ここにはあげてありませんが、その問題について、ただ單にこうであるからといつて、法律を盾にとつてやるのではなくして、相当考慮する必要があるのではないか、ことに最近の経済事情が悪化して、財政が非常に困難になつて來ておるということは、私も存じております。しかしこの財政の根本問題については、ここではあえて論議いたしませんが、しかしながら同時にそういうときであればこそ、朝鮮人学校の父兄たちもその負担に耐えることができない。そういうようなせつかく始めたものが非常に経営の困難な状態に立ち至つておる。こういうような事情をひとつ御参酌くださつて、ぜひともこの件についてこの事情を促進して行くように、そしていやしくもそういうような地方の動きを阻止することがないようにしなければいけないのではないか、こういうふうに考える次第であります。
#21
○原委員長 ほかに御質疑はございませんか。
#22
○岡(延)委員 議事進行ですが、実は昨日松本委員から幾つかの質問がなされたのでありますが、文部当局がいなかつたために、それは留保されておるりであります。そこで今日はちようど幸い稻田局長も來ておられるし、それから定員定額制の問題には地方自治廳が少し関係があるようであります。そこで昨日留保されておつた幾つかの答弁のうち、その問題だけ特にまた松本君から質疑を行つて答弁していただく。こうして午前中の議事は打切つたらどうか、こういうことの動議を提出いたします。
#23
○原委員長 ただいま岡君の御動議もありますが、一應ただいまの朝鮮人学校問題のけりをつけたいと思いますが、よろしゆうございますか。
#24
○岡(延)委員 そのあとでけつこうです。
#25
○原委員長 それではさようにいたします。
 ただいま各委員からご説明がありましたことく、朝鮮人教育問題に関する請願を本委員会が採択いたしました趣旨は、今だだちにあるいはまた必ず朝鮮人学校に教育費を支給するようにという趣旨ではなかつたようでございます。本委員会は朝鮮人学校教育費の問題に関しましては、民族特有の教育面のあることを認めつつ、一方において現在の國の財政状況が容易ではない点にもかんがみまして、教育基本法及び学校教育法に照し、また國の財政状況に應じまして可能な援助的処置ができるならば、これを考慮すべきものと認めまして、この請願を採択したのであります。われわれとしましては、政府当局においてこの採択の趣旨を理解されまして、政府として國の財政状況を考慮した総合的判断のもとに、適当に処置されてしかるべきものと考える次第でございます。ただいま申し上げたことに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○原委員長 それではさよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#27
○原委員長 先ほど岡君の御動議のあつた点について御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○今野委員 昨日松本委員から定員定額の問題について質問が保留されておつたわけでありますが、実は私もその点並びに教育財政全体について質問いたしたいと思いまして、委員長並びに文部当局の政府委員にはかつたところが、明日取上げるということであつたので保留し、なお地方自治廳の財政部長また長官をお呼びくださるようにお願いしておきましたが、その点もよろしくおとりはからいを願います。
#29
○水谷(昇)委員 私は個人ですけれども、午後の一時から社会保障制度審議会の運営委員会が厚生省でありますので、なるべくそれへも出席したいと思います。その点お考えあわせられまして議事の進行をしていただきたいと思います。
#30
○原委員長 承知しました。
 昨日質問の通告がございますので、それでは松本七郎君。
#31
○松本(七)委員 昨日四項目ばかり質問いたしましたが、政府の御答弁が今日に保留されておるので、あらためて質問することにしておきました。先刻の岡委員からの御道議によりまして、定員定額制の問題だけごく概略を質問申し上げたいと思います。
 第五國会で六・三制の予算の問題と並んで重要でありました定員定額制について審議いたしましたときに、文部当局の方ではこのために教員の人員の整理にはならないということを確言されておつたのであります。ところが実際にこれを行つてみた結果は、非常な人員整理が起つており、特に福岡縣のごときは全國で一番その犠牲が大きいというような大きな問題になりまして、どのようなことからそういう問題が起つて來たのかということと、今後これを文部省はどう処置されようとするのか、こういう点についてはつきりした御答弁を伺いたいと思います。
#32
○稻田説明員 ただいま松本委員から御質問のありました定員定額制に関しましてお答え申し上げます。第五國会の当時におきましてこの定員定額に関します予算が成立いたしたのであります。その際小学校について五十分の一・三五、中学校について五十分の一・七というわくについて考えました場合に、このわくは非常にきゆうくつなわくではありますけれども、当時の教職員の現在状況と比べ合せましたときに、予算作成当時におきましては、約八千人現在員の方が超過いたしておつたのであります。これを年度末までの見通しといたしまして超過が一万人をこえるといたしましても、年々の退職歩合が二万ないし三万にも及んでおることでありますので、欠員不補充という方策をもつて臨みますならば、別段行政整理を行う必要はない、こういうような見解をもちまして、当時の当局よりもこの委員会にそうした所見を申し述べた次第でございます。またこの予算が成立いたしますに從いまして、そうした処置をとつていただきたいということを、繰返し各府縣教育長にも御連絡いたしたのでありますけれども、中にはやはり相当欠員を補充された府縣もあつたわけであります。そうした点が第一でありますけれども、なおかつ今日のいろいろな社会情勢その他で退職数が例年に比して少いというような関係から、本学年の初めにおきましては、各府縣とも相当の過剰人員を擁しておられたのであります。文部省といたしまして各府縣の状況を調査いたしまして、御相談の上、この配分を行つたのでありますが、この定員を各府縣に配分するに際しましては、やはり年度内に欠員補充という方針を堅持されて、自然退職その他の方法によつてこの過員を処置していただきたいという旨を通牒いたした次第であります。各教育委員会におきましても、この線に沿うて今日実施しつつあることと考えられるのでありますけれども、自然退職の方法によつて過員を整理いたすといたしましても、その間この過員に対する財源を相当考慮しなければならぬ。そこで大藏当局あるいは地方自治廳ともいろいろ御相談いたしまして、過剰人員の約半数につきましては將來財源措置を講じたいと考え、もつぱらその方法について努力いたしておるような次第でございます。かような措置によりまして、各府縣ともこのきゆうくつなわくで、任命権者におかれては非常に処置がむずかしいとは存じまするけれども、今日諸般の情勢下におきまして、やはりこうした線に沿うて処置していただくほか、本年度としてはいたし方ない問題だと考えております、明年度以降につきましては、新しい予算編成の際に、われわれといたしましても教育の水準を維持するという必要上、十分この予算の問題につきましては善処いたしたいと考えております。
#33
○松本(七)委員 これはあとで今野さんの方から指摘される問題と関連すると思うのでありますが、第五國会での政府の答弁によりますると、地方自治体が自己の財源でもつてやる場合は、できればそういうことを希望するようなお話があつたかと思つております。その方針については文部省としてはかわりないのでしようか。
#34
○稻田説明員 第五國会において、ただいまお話のような答弁のありましたことは、私自身として、個人といたしましては伺つていないのでございます。
#35
○今野委員 ただいまの松本委員の質問と大体同様の趣旨でありまするが、とくとお伺いいたしたいのは、今簡單にお答えになりましたが、第五國会においてそういうことが言われた、言われないかは別として、現在のこの定員定額制が現在のまま行われて行つた場合には、教育上支障を來す。特に教育に熱心なある府縣、あるいはまた山などが多くて非常に小さな学級の多いような府縣において、このわくではどうにもできないということで各府縣においてどうにも教育の実際がうまく行かない。そういう場合に各教育委員会の独自の見解をもつて、そうしてこちらの國庫の補助以外の人員をとる、こういうことに対しては一体どういうふうにお考えになりますか。それがいいとお考えになるか、あるいは悪いと考えるか、その点はつきりと伺つておきたいと思います。
#36
○稻田説明員 地方財政の問題でございますし、ちようどここに地方自治廳からお見えになつておられますので、そちらの方からお答えいただいた方がいいと思います。
#37
○今野委員 いや、私は文部省としての見解を聞いておるのです。
#38
○稻田説明員 文部省といたしましても、この件につきましては、大藏省あるいは地方自治廳と緊密な連絡をもちまして、総合的観点のもとに、この問題を処置いたしておるのでございます。教育上の必要を充実するという見地からいたしますれば、現在のこの予算できめられましたわくを出発点としてのすベての処置は、非常にきゆうくつであると感じております。それがゆえに今後におきましては、できるだけこのわくをゆるめて、教育上の必要を充実いたしたいと考えております。
#39
○今野委員 実際にそのわくをゆるめる方法が一体どうであるかということについて実はお伺いしたいのですが、実際の実情をを見まするに、今年の一・三五でぎりぎりで大丈夫だというようなまあお話だつたのです。ところがその実際の配分の状態を見てみますると、どうも一・三五に達しない状態で配分しておいて、そうして若干の保留分をとつておく。そうしてあとは政治的折衝によつてそれを與えておるというような、実際まずいことをやつておるように思われるのです。定員定額というのをもし非常にぎりぎりな形でやるとすれば、どうしてもそういう不明朗なことが行われるのではあるまいかとわれわれ考えるわけです。ですから、もしも定員定額制が行われるといたしましても、もつと何か実際の配分とその計画が一致するような、そういう方法はないものか。一・三五というような概算、しかも実際を少し低目に見たような概算でそれを出しておいて、そうしてあと配分するというようなことになれば、自分はまた別個に実情に即してというようなことになれば、これは非常な大きな弊害を生ずることは明らかです。であるから、たとえば、いろいろな方法が考えられると思うのですが、一つの方法としては、その人口密度なども参酌して一クラスの人員を五十名と限らないで四十名とか、三十五名とかにするというような方法もとれるでしようし、あるいはその縣における今までの教育がどの程度の実績を持つておるか、どの程度熱心にやつておるかというような、そういうことも実際の問題として考慮できるでしようし、そういうふうにして最初から計画を立てそうやつて來れば、配分のときにそんなにめんどうな政治的な折衝なんというものは、起る余地があつたとしても非常に少くなるし、そいつを全部なくすることもできると思うのです。そういうように、定員定額を行うとしても、そういうような方法があり得ると思うのでありますが、同時にまた定員定額というものに対しては、先ほどの圓谷委員の報告にもありましたが、とにかくこれが非常に不評判である、せつかく教育委員会というものができても、それが財政的に少しも自主性を持たないために、その運営が阻害されているという例は、各地にあるわけでありますから、そういうようなものを思い切つて、やはり圓谷委員が報告の中でおつしやつたように、学校財政法というようなものを樹立して、ほんとうに教育予算というものを確固たるものにして、それによつて日本が看板通りの文化國家としてやつて行けるようにする、こういう意思があるかどうか。その点もまたお伺いしたい。
#40
○稻田説明員 本年度の配分につきましては、御承知のように、五十分の一・三五という数字は全國平均の数字でありますので、各府縣に配分いたしますものは、決してこの一・三五でわけたのではない。そこで、いかにしてこれをわけるかという方法でございますけれども、何分にもわくが狭いので、一應五十分の一・五を上の方の限度と考えるわけであります。その場合に、五十分の一・五以上に、現在員から推して計算いたしました場合に、上る縣が約十二縣ぐらいあります。これを一概に五十分の一・五に切り下げますと、相当そこに人員整理を強化しなければならない。また、こうした府縣は非常に小さい学級を擁しております、山間部等の多い府縣であります。小府縣であります。それらに対する当りが非常に強くなることをおそれまして、一・五以上の縣につきましては約五パーセントを減ずる。さらにまた最小の要求といたしましては、一・二五を保持いたしたいというような目途を立てまして、本格的に機械的に配分いたした次第でございます。かようなわけで、何分このわくが狭いと各府縣の事情に感じた教育上の理想を加味した配分が非常に困難であります。ことに今年の予算のごとき、現在教員というものを基礎にいたしまして、金額を算出して、その結果一・三五なり一・七が出て來た数字と考えられる予算におきましては、自然配分の場合に馘首を少くするということが第一に考慮される。結局長い年月各府縣は補充費の歴史の時代におきまして、それぞれ府縣の財政、それぞれ府縣の見解のもとに現在員というものができ上つて來ている。それは全國的に見れば、教育的の理想から見れば非常に凹凸があります。それを今後凹凸を是正いたしまして、それぞれ教育的な見地から適正配分をするということは、今後にかけてこの予算を獲得する場合に考慮して行きたいと思います。また予算にそういうゆとりができますれば、配分も教育的見地から見て、また合理的に行き得るものと信ずる次第でございます。さらに、お話のごとく、根本的にこの教育に関します財政を立て直すという問題は、この問題ばかりではないのでありますけれども、補充費の昔に返るといたしますれば、國家財政としては今日の地方自治法、地方財政法から見て非常に地方の統御がやりにくいという時代におきましては、当初予算よりも追加予算が大きくふえてしまうというような点で、國家財政の関係が困難になろうと思います。從つてある程度國の財政をもつて教育費全般を考慮いたしまして予算措置を講ずる。それが前提となります場合には、相当ゆとりある措置をいたしますれば、お話のような理想的な配分計画が成り立ち得ると考えられます。
#41
○今野委員 ただいまのお答えでありすが、私の定員定額制云々の趣旨は、どういう点にあるかと言うと、今まで文部省のいろいろな資金の関係についての予算の立て方でありますが、その立て方については國会で論議できるわけであります。ところがそこのところは非常にあつさりやつてしまつて、実際の配分を全部文部省におまかせしてしまうということは、文部省としても各地方の要望とかいろいろなことがあつて非常に御迷惑ではないかと思います。大体文部省の性格も今度はかわつて來ておるはずなのに、そういう管理的な仕事、しかも多分に政治性をたくさん含んだ仕事を文部省においてやるということは、文部省としても非常に不得策ではあるまいか、本來の使命を達成する上に御迷惑ではないか、こういうふうに考えるわけであります。そこで最初の予算請求の際に、そういうものをかなり織り込んであの案を立てるべきではあるまいか、こういうふうに考えるわけであります。そういう点から申しておるのでありまして、その点について当局者としては一体どういうふうに考えておりますか。重ねてお伺いいたします。
#42
○稻田説明員 明年度の定員定額に関します予算を積算いたします場合には、お話のごとく今日調査の結果、判明いたしております地方の各府縣の事情及び教育上の理想というような観点から出発いたしまして、積算をいたしたいと考えております。
#43
○今野委員 さらに地方自治廳の方にお伺いいたしたいのでありますが、六月三十日付の地方自治廳の財政部長から各都道府縣知事にあてた通牒によりますと、何か各地において定員以上の人員を單独地方費をもつて設置することは現下の財政事情にかんがみ、地方財政法第二條に違反し、同法第二十七條に該当することになるので、必ず年度末までには整理を完了し、來年度以降店員は義務教育國庫負担に基く配当定員以内とすること、こういうふうになつております。この定員定額ということがきめられた経緯について、なおそれが実施された経緯について先ほど松本委員も聞いておられましたが、私も文部省当局から何べんもそれは聞いたことでありますが、これはまつたくの予算的措置である。これによつて國庫補助というものが切りがない、各地でもつて給與の水準もあるいは定員も非常にばらばらであつて、これに対して一々半額の國庫補助をやつたのでははなはだ締りがなくて困る。それであるから事実一定の額を抑えてもらいたい。從つてそのことを実施するにあたりましても、そういう趣旨でもつてかなり時間をかけて調整をはかりつつ実施して來たと思うのであります。こういうような予算的な措置として行われるということであつたのでありますが、これによりますと、よつたくそういうことが何か地方財政法の第二條に違反するかのように言われております。第二條の條項も私睨んでみたのですが、何らわれわれとしては違反するということが見当らないのであります。この点について所見をお伺いしたいと思います。
#44
○奧野説明員 國庫財政も非常に窮乏しておりますが、それ以上に地方財政が極端に窮乏しておることは御承知いただけるところだと思います。その國庫財政においてすら從來は義務教育費関係の職員費につきましては、地方團体の支出した額の二分の一をそのまま負担しておつたわけであります。ところが國の財政の状況からしまして、そのような措置が許されなくなりまして、やむを絵図定員定額制がしかれたわけでございます。國庫財政よりもさらに困つております地方財政としては、國としてこれ以上は負担しきれないという限度以上のものを負担し得ないということも御了承願えるだろうと思うのであります。現在地方財政の計画をいたします場合に、教育費につきましては、定員定額制から割り出されますところの地方の負担額はまかなえるようにという考え方で、計画をいたしておるわけでありますけれども、今年度の財政計画からいたしまして、それすらもまかなえない、なお数百億円の赤字が通常の財政面では出るというような状態になつております。この定員定額制が地方團体の教育を改善するという意味で、高い所で線を引かれた定員定額制なら別でありますけれども、財政上負担しきれなくて引かれた線であります。從つて先ほど來お話がありましたように、定員そのものも非常にむりであります。定額制の問題にいたしましても、今日給與全体が――單に教職員の給與だけではございません、全体の給與そのものが生活を維持する上に十分でないようなむりなところで、ただ経済を安定させるために、がまんしてもらえるために、むりな線を引いておるわけであります。ある團体におきまして、このむりをしのげなくて、より高い給與を支拂う、より多いところの定員を置くということになりましたら、おそらく隣接の團体においても、同じような措置をとらざるを得ないようなことになるのじやなかろうかということを考えるわけであります。またそのような定員定額をこえた支出のできるような、いわば余裕のある経理を行える團体があるのなら、どうしても支出しなければならないところの財源さえも支出できないような團体のあるところに、私は相当の財源をまわして行かなければならないような地方財政の状況にあるのではないかということを考えるわけであります。それなら、この定員定額制はやはり全体としてむりを忍ばなければならないのじやないか、言いかえれば、ある團体がそのわくをこえて支出しますと、他の地方團体の財政に累を及ぼすというようなことになると思うのであります。そのことが地方自治廳から府縣に対して注意を喚起したゆえんでございます。この定員定額をこえて支出した場合には、地方財政法第二條の規定に違反するおそれがあるので了承してほしいという趣旨の通牒を出しておる次第でございます。ただわれわれの考えておりますのは、地方財政全体として、財源全体として國の計画に合せて行きたいという考え方を持つておるのでありまして、その全体の中から個々の地方團体それぞれの実情において、今、今野さんから言われましたように、それぞれの地方團体の実情に應じた定員定額を配当しなければならぬだろうと思います。その実情に反した定員定額制について是正をして行かなければならない問題だろうと思います。しかしながら文部省の計画におきまして、個々の團体の実情に應じた研究のもとに、定員定額制が個々の團体別に行われておるだろうと思います。從つてそれをはずれた場合には、やはり地方財政法の違反になるおそれがあるというふうな考え方をしております。しかしながら、もとより個々の地方團体に割り振られましたところの定員定額が実情に反したものであれば、総額の範囲内において漸次是正して行くべきものだということも、当然言われなければならない点だろうと思います。
#45
○今野委員 ただいまの御説明でかなりわかつたのでありますが、ただ重要な点で実情と反するところがあるように思うのでお伺いいたしたい。それは今日この定員以上に、はみ出したいという要求は、別に今日以上のいい状態に置こうというのではないのであります。実際には文部省では昨年は小学校においては五十分の一・五までの定員を認めておる、それから中学校においては一・八というような数字を認めておるわけであります。そして実際教員が足りないところは、それに基いて昨年の九月から補充したところもあるわけであります。しかるに文部省においては大体去年の九月の状態をもつて押えておる。それによつて定員をきめるというようなことをしたわけであります。だからその後のずれというものは現実に存在するずれであつて、それをしないと実際に首切り等が行われるから、ここで問題になつて來たわけであります。だから趣旨は現状以上に拡大しようというのではなくて、現状を維持することである。從つてこれが他府縣に波及するといつたようなことは、およそ考えられないところなんであります。現状以上に拡大しようというのなら、そういう影響も考えられますけれども……。それからなおこの定員定額が不十分であるということを、文部省自身が、先ほども言つたように認めておるところであります。從つてこれは將來改善する余地があるわけでありますが、そのときに備えて、それまで一時的に保つて行こう、そういうことなんでありまして、永久に各地方自治体において、そういうものを自分のところの費用でもつて維持しようということではないのであります。こういうような事情を考えてみますと、第二條に違反しているというようなその理由がはなはだ薄弱になると、われわれとしては考えられるわけでありますが、その点重ねてお伺いいたします。
#46
○奧野説明員 私は根本的には、今野さんの指摘されますように、定員定額制などをとらないでもやつて行けるような財政状態の早く來ることを希望しておるものであります。もう一つ全体としまして現在生徒数に対しまして百分の一・三五という先生数がとられておる。この数字がいいか悪いかというようなことも、いろいろ問題はあるかもしれません。文部省はおそらくもつと多ければ多いほどあるいはいいかもしれない、教育だけの立場から言いましたならば、そこに文部省としての苦しい立場もあると思うのでありますが、しかし財政上全体から見まして一・三五に押えなければならない。これを各府縣にどのように配分するかという問題なんであります。少しも定数を割らないように、実人員を割らないようなかつこうに定員を配当されればよいのでありますが、それが不可能であれば、どこかで問題が起きざるを得ない。しかし総体の一・三五が問題でありまして、個々の團体別は必ずしも問題ではないわけであります。從つて個々の團体の実情に最も適合するように、このわくの中で配分されればいいのであります。しかし一・三五がむりだとすれば、どこかである程度のむりが出て來なければならないようなことになるわけであります。その場合でも一・三五を基準にして財政計画を立てておりますので、これをこえるときは財政を混乱するような事態を招くものですから、地方財政法第二條に違反するおそれがあるという解釈をとらざるを得ないわけであります。
#47
○今野委員 ただいまの御説明、どうもまた十分に納得できません。第一やりぱりさつきの全体としてのというお言葉でありますが、全体としての地方財政が、一体何によつて困難になつておるか。実際私どもも地方をまわつてみますと、住民税などが去年の三倍、四倍、はなはだしきは六倍近くまで上つておるというところがあります。こういうことは、今度の地方配付税が削られたことにもよりましようし、それから特には自治体警察といつたようなものの圧力が非常に大きいということもあるわけであります。これの財政的な圧力が非常に大きいわけです。長野縣などにおきましてはそれゆえに、ある村では自治体警察の規模を少し縮めて教育費の方にまわすというような事実も出て來ているわけであります。そういうように地方財政が國難になつているということは、別に放吟興のためではないのです。それとは反対でありまして、教育費はむしろ食い込んでいる。そしてPTAの会費等をもつて、從來市町村の支弁しておつた費用を支弁している、こういうふうな事実すらあるのであります。從つてこういうことを認めますならば、どんどんと教育費は削られてしまつて、そうして義務教育が無料で行われるという原則に反するようなことになつてしまうわけであります。こういうことから考えてみますと、こういう通牒を出すことの政治的な意義は非常に重大でありまして、現在の政府にとつて決してこれは得策でないとわれわれは考えるのであります。それはよけいなことですが、同時に私たちの立場としては、あくまでこれは撤回してもらいたい。そしてもつと教育費に幅を持たせるように、そして義務教育法あるいは憲法にいうところにさからつて、教育を寄付金によつてやるというようなことがないように、一日も早くしなければならない、そういうように考えるわけであります。その手初めにこれをぜひとも撤回していただきたいと考えるのでありますが、いかがですか。
#48
○奧野説明員 先ほど來しばしば申し上げますように、定員定額内のきめ方にはいろいろ議論はあるかもしれないと思うのであります。しかしこれは國会において十分議論されてきめられた問題なので、地方財政の計画におきましてもこれを基本にして地方財源の計画を見たのであるということを十分御了承願つておきたいと思うのであります。
 それから教育費が削られているという問題でございましたが、私も教育費が財政上十分でない点が非常に多いので残念に思うものでございますが、御承知のように義務教育関係の職員の給與費は府縣が負担しております。現在府縣で地方税が一般に非常に重いということは、皆さんも十分お感じになつておられると思いますが、税を中心としました一般財源の半ば以上のものが、府縣において教育費に投ぜられているということも、これまた御了承願つておきたいと思うのであります。これだけ地方税を重くとつているにもかかわらず、しかも半ば以上のものを教育費に投じているにかかわらず、教育費において十分でない。私は同様にほかのものにおきましても十分でないものを感ずるのでありますが、根本はやはり國民経済の建直し、財政の健全化を早き機会にもたらしたいものと考えているのであります。
#49
○水谷(昇)委員 定員定額の問題でありますが、かつての委員会において私が教員の行政整理についてお尋ねしたときに、行政整理をする必要はないが、新卒業生の採用についてはただちにできかねる、それは一年の間には採用ができるだろうという御答弁でありましたが、現在新卒業生は全部採用せられたのかどうかということと、それから定員定額で勘案をいたしますと、各府縣に対してしんしやくをいたしまして日本中でどれくらい超過をしておりますか。それに対して超過をしているならばどういう処置をとるのか。この点お答え願いたい。
#50
○稻田説明員 ただいまお話の、水谷委員に対します前國会における政府委員の答弁については、私は詳細承知いたしていないのでありますが、ただその当時文部省としてとりました見解は、この定員定額制から超過いたしておりまする現在の教員数を考えました場合に、その超過数は年々の退職歩合から見て非常に内輪の数字でありすまので、不補充という方法をもつてすれば、自然退職等の方法でもつて処置がつく、こういう見解を持しておつたわけであります。その線に沿うてお答え申し上げたことだと考えております。お話のように教員養成諸学校の新卒業生が、全部採用になつたかどうか、これははなはだ恐怖でございますが、私承知していないのであります。多少その新陳代謝というような面から見まして、新規採用もあつたろうと思います。ただ先ほど私が松本委員にお答え申し上げましたのは、普通の新陳代謝以上に新規採用をなさつた縣があつて、そうした縣において今非常に困つておられる、こういう事実を申し上げた次第でございます。
 それから現在どのくらい超過しておるかというようなお話でございますが、これはだんだん整理も進行しておりますので、数字も動いておるのでありますけれども、ある時期においては、およそ二万三千人程度という数字を私どもつかんでおるのであります。今日はもう少し減つておるかもしれませんが、これもやはり先ほどお答え申し上げましたように、この超過人員の約半数につきましては、財源処置を將來考究いたしたいと考えて、関係諸省廳と今日相談をいたしておるような次第でございます。半数について財源処置をいたしますれば、年間を通じての自然退職が円滑に行われ得るものと考えております。
#51
○松本(七)委員 稻田さんに簡單に伺つておきたいのでありますが、全國的な配分を調整するという点では、文部省が非常に苦労されておることはよくわかります。それがむずかしければむずかしいほど地方においては非常にむりが生じておるところがあるわけであります。そういうところを何とか自己の負担によつてやつて行こう、しかもその地方自治体の議会でもそういう意向が強く出て來ている場合に、これを中央でできないようにすることは、これは教育を守る立場から重大な問題だと思う。そこでそういう場合に、文部省としては、これを積極的にそういうことができるような処置を講ずる意思があるかどうか、あるいは地方自治廳の先ほどのお話のような意見を是認されるかどうか、この点をひとつはつきり伺つておきたいと思います。
#52
○稻田説明員 文部省が今年度の予算関係におきまして將來とりたいと考えておりますのは、先ほどお答え申し上げました超過人員の約半数に対しまする財源処置を國庫予算で支出する、この線で今日努力いたしておる次第であります。
 それから地方財政に関しまする見解は、ただいま財政課長から原則的な御見解についてのお答えがあつたわけであります。私どもも十分この点につきましては、地方自治廳とも相談しながら事を処置して参り、また今後もそうして参りたいと考えておりますが、要するにこの通牒の趣旨とするところは、地方財政法違反のおそれがあるということで警告を発せられ、地方の方をそれで引きしめられる趣旨であろうと思います。それをいよいよその線に沿うて具体的に財政法違反というような角度から見て配付税を削減するというような措置をおとりになるにつきましては、私部外者でありますが、察するところ單にこの問題ばかりではなくて、こうした余裕財源があり、あるいは放漫財政の運営をやるというような点を諸般の点から御考慮になつて、御処置になる性質のものであろうと考えるわけであります。地方自治廳におかれても、非常に教育問題については御理解もあり、また御研究もあるわけでありますから、そうした実際の運用につきましては、それぞれ地方の実情に應じて御考慮されることと考えております。こういう点につきましても、今後とも地方自治廳に教育面に支障のないようにというような点につきましては、御協力を願つて行きたいと考えております。
#53
○千賀委員 動議を提出いたします。すなわち適当時間の休憩を宜せられんことを望みます。
#54
○原委員長 なお御質疑があれば午後から継続いたしますが、御質疑がなければこれで散会して、午後から文化財保護法の打合会をいたしたいと思いますが一―それでは暫時休憩しまして、二時より再開いたします。
    午後一時六分休憩
    ―――――――――――――
    午後二時四十六分開議
#55
○圓谷委員長代理 休憩前に引続いて会議を続行いたします。
 委員長はやむを得ない事情がありますので、命によりまして私が委員長の職を汚します。
#56
○松本(七)委員 昨日保留しておきました問題について繰返してごく簡單に答弁を求めます。
 第一は高等学校の学区制の問題ですが、各地で学区制を設置したために、今まで特に希望者の爭かつた学校に入つておつた者が、学区制を強制されて別の学校に進学しなければならぬというようなために、本人も希望しない学校に移らなければならないし、また受入れる方でもそれだけの設備能力がないというようなことで非常な不便を來されておるような点があります。こういう点はやはり何か一貫した方針を立てて、今入つておる者は一應その学校を卒業させて、新しく入る者から学区制を実施するという統一的方針を立てる必要があると思うのですが、この点について伺いたい。
#57
○稻田説明員 昨年新しい制度の高等学校が出発するに際しまして、新しい高等学校のあり方につきまして、文部省といたしましては、新制高等学校実施の手引というパンフレツトを作成いたしました。これに諸般のことを掲げたのであります。その中にお話の学区制及びこれに関連いたします高等学校の統合の問題を掲げておるわけであります。
 その趣旨といたしまする点は、新しい高等学校におきましては、普通学科のほかに各種の專門教育を施します專門学科を設置しなければならないのであります。しかしながら今日の財政状況及び施設の状況から見まして、ことに從來中等学校の数が非常に少かつた地方について考えますときに、こうした種々の学科に対しまして、学生、生徒の能力、希望に應じ、また地域社会の要求に適合するように進学の適正を期するというような意味合いから考えまして、そこに学区制をとり、総合制を設けることが一つの利便である、こう考えまして、その点についての指示をいたしたのであります。もちろんこの手引の中におきましては、こうした学区の設置、学校の統合の問題につきましては教員の問題もあり、設備の問題もあり、早急に実施いたしますときにに、かえつて高等学校教育を阻害する、漸次これを充実するのがいいという趣旨を明らかにいたしたのであります。その後各地方の状況について見まするに、義務制の中学校におきまする教室の不足というようなことから原因いたしまして、ややもすれば高等学校の統合が念に行われるという傾向が示されたのであります。從いましてそれについてこうした弊を是正する意味において昨年三月通牒を出しまして、こうした高等学校の統合といことは、望ましいことではあるけれども、よほど事情を考え、土地の住民の方々の意向を十分尊重して、むりのないようにしなければならぬ、中学校のために高等学校教育が著しく犠牲に供されるようなことがないようにということを注意いたしたのであります。その後状況を見ますに、ある地方においてはやはり相当高等学校の統合ないし総合が急速に行われておつて、その点教育上種々批判もあるわけでありますので、文部省といたしましては、会議その他地方の方々といろいろ協議いたします議会ごとにこの問題を取上げまして、高等学校の統合の問題については十分愼重を期するように、ただいま御質問の御趣意にありましたような弊害に陥らぬようにということを注意いたしておるような次第であります。
#58
○松本(七)委員 ただいま稻田局長の話、統合の問題ですが、ご指摘のように非常に急速に行われたために、普通科に希望者が集中して專門科の方の希望者が非常に少くなつて來ておる。これは日本のこれからの実務教育というような面が將來低下する、生産の第一線に立つ者の教育が非常に低下するおそれが非常に強いので、この点を何とか匡正する方法をどのようにして考えられるか、急速な統合を停止するというような処置でもされるつもりか、そういう点を少し明らかにしていただきたい。
#59
○稻田説明員 もともと統合につきましては馘首の実業学科の方にむしろ重点がありまして、実業学科に対する進学を利便ならしむる趣旨において通学区域を考慮して、通学区に実業的施設をあわせて便益を得せしめようというのが趣旨であります。お話のように実業学科の方が非常に経費がかかり、また教員が得がたいというような点もございまして、ともすると実業学科が振わないというような弊害がありますので、この点は根本的にはこうした趣旨を徹底する、さらにまた現在ごくわずかでありますけれども、実業教育費國庫補助もございますので、その補助の配分等を十分考えまして、さらにまた実業教育の進行に関します種々の方法を講じてだんだんに是正して参りたいと考えております。すでにもう統合ないし総合を終りまして、学生がおり、進学して参りますものをまたただちに解きもとして元に返すというようなことにつきましては、また混乱も起りますから、すでに総合いたしましたものにつきましては、一應総合した形において府縣と協力いたしまして充実を期したいと考えております。
#60
○松本(七)委員 現在行われております高等学校の設置基準の暫定案に対して、新しく設置基準法を制定するという話を聞いておつたが、その内容について承るところによると、教職員の定員数で在來の甲乙両方を抹消して、特に夜間過程定時制の教員の定員数が非常に減員になるというようなことを聞いております。現存でもすでに学校の運営に相当困難を覚えておる状態にあむのに、これがもし定時制が減員されるというようなことになりますと、勤労青年の教育の向上冠展に一大支障を來すのでなかろうか、こういう点が明らかに心配されるわけです。全日制に比較して定時制が第二次的な立場に置かれるようなことになりますと、せつかく教育の機会均等の恩典が減殺されることになる。こういう点を夜間高等教育連盟で非常に心配しております。この点の御処置をひとつ承りたい。
#61
○稻田説明員 具体的にはある地方におきます教員の定員は、教育委員会法によりまして條例できめるわけであります。ただいまおあげになりました学校基準法――仮称でありますが――におきましては、最低基準を掲げる予定であります。最低基準といたしましては現在の意図としましては、定時制高等学校について現在のレベルを下げるようなことに毛頭考えていないのであります。ただよくお話がありますことは、現在の高等学校設置基準には、たとえば定時制高等学校には主事を置くというような種類の規定がありますけれども、新しい設置基準法案には載つていない。その点を指摘されまして、今度は主事等を置かないことにするのかというような御心配もあるのであります。これは規定の性質上設置基準法の関係の規定に載せますよりは、むしろ別の系統の能率規定に載せた方がいい、こういう考えでありまして、主事等を廃する考えはないのであります。定時制高等学校の充実につきましては、今後立法の場合あるいはまた予算作成の場合、十分充実を考えて参りたいと思います。
#62
○松本(七)委員 そうすると主事の問題はこの基準という仮称の法律でなくするということを積極的にうたうわけではないのですか、うたわずに別のものでやる、かつ主事というものはなお存続する御意向ですか。
#63
○稻田説明員 主事は必要だと考えております。なくするのでなくて、別の方に規定いたすのであります。
#64
○松本(七)委員 その問題は、その程度にしておきます。例の教育基本法の第八條の解釈の問題ですが、われわれ從來からの一應の解釈としては、学校で正科において政治活動をやらないというふうに考えておつたのですが、最近のいろんな問題を見てみますと、一層解釈があいまいになつて來たように思います。今までもこの問題はしばしば指摘されたのですが、早くはつきりした解釈を示すベきだという要求を委員会としておつたのでありますが、法務廳の関係その他で依然としてそこがはつきりしておらなかつた。それが最近になつていよいよ不明確になつておるように思えるので、第一に学校の先生の政治活動の基準をどういうところに置くのか、地方の教育委員会あたりでもいろんなことを一々文部省に問い合せておるような実情にあります。そういう個々の問題について一々文部省が見解を明らかにしてやつて行くというような行き方を今後も続けて行かれるのか、それとも大体の基準というものを示す御意向があるのかどうか。
 もう一つは、学校の施設をいろんな政党に貸すというような問題についても、やはり学校々々によつて非常に違う。ある場合には縣の委員会の方から文部省の方に一々問い合せねばならないということで非常に混乱を來しておるような事件がたくさん起つておりますので、こういうものに対する方針をひとつ示していただきたい。
#65
○稻田説明員 私から総合的にお答え申し上げるのは、あるいは適当でない問題かもしれませんけれども、私の存じております限りお答え申し上げます。教育基本法第八條の関係でありますが、教育基本法第八條には、明らかに学校はこれこれのことをしてはならぬ。「学校は」という字句を使つております。從いまして個々の教員の行動でありましても、それが学校の行動として認められない場合に八條の問題には現われて來ないと思います。ただ学校の機関としての教員の活動、教員の活動が、ただちに学校の行動として働くように見られる場合でありますので、お話のように必ずしも正科教授には限らないと解釈いたしておるわけであります。正科でなくても、教員の活動が学校の機関としての活動と考えられる場合におきましては、やはり学校が行動したことになるので、教育基本法八條の問題になつて來ると考えられます。これについての見解は、先ごろ東京都教育委員会の照会に対して文部省が回答したものを参考として、各都道府縣教育委員会に送付いたしたわけであります。その以後におきましては、別段文部省としてさしあたりこの解釈を明らかにしようという意図は持つていないのであります。ただいま申し上げました東京都教育委員会への回答にもありますように、こういう問題は、各教育委員会において、具体的な個々の場合において判断すべきものであるということを明らかにいたしております。直接の責任者である各教育委員会は、教育基本法の條項にのつとりまして、個々の場合について判断せられるところであろうと考えます。それから施設の関係でございますが、これは学校教育法の中にも條項はございまして、学校の施設は社会教育あるいは公共のために使わせることができるというような趣旨の規定があるわけであります。從いまして、当該の場合は社会教育のためである、あるいは一團体のためではなくて公共のためというように解釈せられる、こういうような判定のもとに利用せしむべきものであろうと考えられます。なおそのほかに、御承知のごとくポツダム政令がありまして、本來の目的以外に使用せしめるものにつきましては、種々制約があることはもちろんであります。
#66
○松本(七)委員 それと関連して、学生政治運動の問題であります。これは主として大学が多いのでありますが、高等学校でも、最近学内に政党の支部を設けるというようなことで種々紛爭を起しているようなところがあるのであります。この問題につきまして文部省の見解を伺いたいと思います。
#67
○稻田説明員 この問題は主として高等教育関係に多い性質のものでありまして、現在大学学術局関係おきまして中心的に取扱つておるのであります。もしできますれば大学学術局長その他が出席いたしました場合に、そちらからお答え申し上げることにいたしたいと存じます。
#68
○圓谷委員長代理 さきに若林君から質問の通告があります。若林君に発言を許します。
#69
○若林委員 今朝稻田局長から種々学制に関して御答弁があり、また松本委員からはきわめて熱心な御質問があり、両者相まつて、短時間ではありますけれども、その事柄に関しまして、私たち非常に得るところがあつたと思うのであります。少し重複のおそれがあるかもしれぬと思いますが、もう少し詳しく突込んでお聞きをいたしてみたいと思うことがあります。
 昨日來種々問題になつておりますが、定員、定額が事実面において非常なる支障があるのであります。私、過般の九州方面の文教視察の御報告にも書いておいたのですか、長崎縣のごとく、離島のたくさんあるようなところは、一律に簡單なるところの定員でこれを律することはできないと思うのでありまして、文部当局におかれましても、その地域、地勢に應じて、適当なる処置を講ぜられた御苦心のほどはわかるのでありますが、全國的にどこはどういうような行き方をやつておる、大阪は一・二である、あるいは東京は一・一幾らであるというような表を具体的にわれわれにお示しを願えますれば、大体各縣の平均その他をわれわれも了得できるのではないかと思うのでありまして、その資料をひとつお示し願いたいと思うのです。しかし今日は大体基本となるような大きなところを、こういうところはこういうようにきめたらどうかということをお聞かせ願いたいと思うのであります。
#70
○稻田説明員 お話の資料は、用意いたしましてお目にかけたいと考えております。大体の配分の基準でございますが、小学校につきまして一・三五、中学校につきまして一・七を配分するにあたりまして、小学校につきましては、大体最高を一應一・五で抑えたわけであります。一・五につきましては、文部省といたしましても、地方財源を決定いたします場合に、一應一・五までは保証いたした次第もございますので、一・五までのところは最高のところといたしたいと思つて、一・五以上を檢討いたしました結果、約十二縣ばかりが一・五以上という数字になつたわけであります。その十二縣ばかりにつきまして、一・五まで落す場合において、そこに相当数の人員整理が必至になつて來る。大体從來の状況におきましてこうした一・五以上に上る府縣と申しますると、ただいまお話がありましたように、山間部があるとか離島があるとかいうことで、小さい学級をたくさん擁しておる縣ばかりであります。從いまして、それらの小さい学級をたくさん擁しておる府縣の実情を考慮して加減いたしたのであります。つまりそれらの縣においては約五%程度にその減をとどめ、そこで現われて参りました五%の減を今度は定員の少いところへ振り向けたわけでありまして、少いところの最小限度を一應一・二五と押えたわけであります。しかしながら、それらの府縣におきましても、大学級学校が非常に多いところは一・二五に達しないでもよろしい、あるいはその後疎開者の門人という特殊事情その他も考慮いたしまして、最低を一・二五、最高を一・五という幅を設けまして、大体各府縣の現在教員数を基準として配分いたしたわけであります。何分にもわくが非常に狭うございます。しかもその予算の基礎が予算作成当時の教員現在数を基礎にしておりまして、整理をやらないということを第一の出発として考えましたから、現在数によつて今の率を割出してみて、その結果一・五以上になつた、一・二五以下になつたというような條件を考えまして、多いところは削り少いところへ持つて参る。そのあんばいをいたします場合に、お話にありましたように、各府縣別の平均学級数というようなものを別に参考におきまして、一学級定員の非常に少いところには、なるべくよけいに配分するというようなことを操作いたした次第でございます。
#71
○若林委員 大体ただいまの御説明で、理論学級、あるいは実学級ということについての周到なる御勘案があつたことを承知するのでありますが、今度この定額の内示基準について、今と同じような意味におきまして地方別があると思いますが、これについてはどういうことを基準にせられたかをお伺いいたします。
#72
○稻田説明員 定額の方は、御承知のごとく昭和二十二年九月の千四百四十四円の平均俸給を基礎にいたしまして、それに対して三千六百円ベース、六千三百円ベース、このベースの切りかえの倍率をかけたものが予算になつておるわけであります。從いして昭和二十二年九月当時の各府縣別平均給にその倍率をかけたものが一應内示の定額になつております。ただ実際これを配付するにつきましては、各府縣の決算書を檢討することを中心といたしまして、各府縣が法規的にはたして正しく切りかえをやつて來たかどうか、この点を今日檢討いたしておる次第でございます。また直接係官を各府縣に派遣いたしまして、教育委員会あるいは府縣各様の帳簿に当り、また学校の現状を見て、そうしてその切りかえが法規通りできておるかどうか、これを一應調査いたしております。法規通り切りかえておりますものに対しましてこの予算を配付する、これが基本であります。かりにそれで予算を配付いたした場合に――これはあまり操作上余裕は出ないと思いますけれども、もし余裕が出て参りますれば、府縣間の差等、あるいは男女間の差等、そのほか種々の凹凸を是正いたしたい、こういうような氣持で今日調査いたしております。おおよそ來月の中頃までには各府縣の配付額をきめたいと考えまして、事務を急いでおる次第でございます。
#73
○若林委員 御説明のお心持は非常によくわかりますので、また私が次にお尋ねしたいと思う事柄をも御説明ができたように思つて、ありがたく思いますが、この定員の御内示の基準、定額の内示の基準をただいま承つたようでございますが、現在地方につきましてこれを基準とせられたとするならば、あまりにその差額が少し大き過ぎるという実情にある府縣がたくさんあると思うのであります。今朝來の御説明で大要は承知いたすわけでありますけれども、現実の問題としてこれを是正しなければならぬことがあるのではないかと思うのであります。今各府縣をまわらせておるということを仰せになりましたから、それによつて相当これが適正化されるのではないかと思うのでありますが、たとえてみますと、岡山縣の例をとつてみましても、小学校のいわゆる定員が、縣議会においてきめましたところの六千五百四十四名というのと、御内示になりましたところの六千七十二人というのとでは相当の開きがある、しかもこの率は一・三八になつておる。それから中学校の三千五百九十一名に対して、御内示は三千五百名になつておりまして、これは差がわずかであります。それから定時制の高等学校は四百四十か三百七十二名になつております。これは実際上、先ほど松本委員からの御質問にもあつたことでありますが、教授内容から考えまして、これを強行するということは、完全なる教育の実施という上からいつて支障を來すおそれがある。これは一つの例であります。それからなお定額の方におきましても、縣予算におきましての小学校の六千四十五円というのが、御内示では五千三百十六円ということになつております。中学校は六千五百七十円というのが縣の予算でありますが、御内示は六千二十三円になつております。定時制の方は省略いたしますが、そうなりますと、これと定員と両方かけたものがこの予算になると思うのでありますが、その差額は相当ひどくなつて参ります。これはとうてい地方予算をもつてしましては耐えることのできないことになるのじやないかと思うのであります。これは單に岡山縣だけの問題ではないと考えますので、是正をするというお氣持で各府縣をまわらせておられるというこのお心持をひとつ強く引き進めていただいて、相当量犠牲者の出るというよりも、財政的の負担に耐え得る定額あるいは定員に修正をせられる御意思があるのかないのか、その点もひとつお伺いいたしたいと思います。
#74
○稻田説明員 ことに定額につきまして、同じような條件の府縣の間に著しい差等があるという問題につきましては、これは教育上將來考慮しなけんばならない問題だと考えております。ただ今日こうした著しい差等が生じて参りましたのは、從來長い間補充費の制度をとつておりました間に、一應教員俸給は府縣自体が自分の財政を勘案して自分できめられる、それをあとから國が半分補給する、こういうことをやつて参りました間に、それぞれの府縣の財力なり、あるいは方針によりましてまちまちになつて参つたことだと考えられるのであります。ところがこの補充費の制度が一朝にして定員定額に切りかえられたわけであります。切りかえにあたりまして、非常に予測がきゆうくつであつて、定員はほとんど現状により、また定額も先ほどお答え申し上げましたように、昭和二十二年の現状にただ俸給切りかえの倍率をかけただけの予算しかとれてないのであります。從いましてこの定額を配付いたします場合にも、法規通りの切りかえをやつたかどうかを調べて配付いたしてしまいますと、ほとんどそれだけでなくなつてしまいまして、府縣間の差等を來年度の予算で是正する余地は非常に少いだろうと思われますけれども、私どもといたしましては許される限りそうした点について考慮を拂つて参りたいと思います。なおこうした定員定額制が実施せられまして、これが將來継続するということになりますれば、今後継続的に年次を追うてこうした問題を考究いたしまして、予算作成の際に將來府縣間の差等をなくすようにわれわれとしては努力しなければならぬ、こう考えている次第でございます。
#75
○若林委員 各縣をまわりまして視察いたして参りましたときに、大体地方の教育委員会の要望がこの二点にあると思うのでありまして、これからも続続この陳情要望が起つて來ると考えるのであります。松本委員が今朝來御質問になりましたことく、教育方面に限つては、当初文部省といたしましてはできるだけ犠牲者を出さない建前で進むという御方針を今後なお堅持していただきまして、この店員に過剰になります分も、その精神において、ひとつお取扱いになる時期を御考慮になることにより、犠牲者を少くし、教育尊重の実をあげていただきたいと考えております。まことにありがとうございました。
#76
○稻田説明員 御趣旨に沿うて努力いたしたいと考えております。
#77
○今野委員 私も昨日新制高等学校の学科程度について御質問したのでありますが、今日は責任者がおいでですから、なお重ねてその点だけお伺いいたします。先ごろ新制の東京大学の教授から聞いたところによりますと、旧制の二年から來た生徒と、新制を卒業して來た生徒と両方が同じように教育を受けておる。しかるに旧制から來た者に、こういうくだらないやさしい講義はつまらないと言つておるし、それから新制高等学校から参りました者は、とてもむずかしくてわからないということを申しておるという話であります。それでその原因などについてもいろいろ話が出たのであります。私も実は子供が新制高等学校に行つておるのでその実情を聞き知つておりますが、現在の新制高等学校の学科程度というものはあまりにも低過ぎる。昔の中学校よりもある場合には低いし、またその学科を教授する方針においても非常に劣つておるところがある。たとえば数学などにおきましては、今年は幾何をやる。幾何学をやれば代数をやれない。それから來年に代数だけをやる。こういうようなことは何と言つても非常に乱暴でありまして、数学教育といつたようなものを、日本においても長い歴史を通じてすいぶん研究して参つたわけでありまするが、そういう点から申しましても、まつたくその正しい教授法とは言えないわけであります。現在そういうような状態にあつて、さつきの食い違いも新制高等学校が非常に低いということのために起るのだというふうに考えられるのであります。この点について、第一には新制大学に入学した者あるいはこれから入学しようとする者に対して、早急にそのギヤツプを埋めて行く方策が考えられておるかどうか、またどんなような方策があるか。それから第二は、將來にわたつて日本の教員の水準をそういうふうにもう少し高めて行くことを講ずる意思はないかどうか。この二点についてお伺いしたいと思います。
#78
○稻田説明員 学制改革の年次に当面いたしまする兒童、生徒あるいは学生の諸君に対しましては、私ども常にお氣の毒に考えておるわけであります。申すまでもなく、教育と申しますのは小中校の初年度から上まで、下から上へ基礎のもとに、上の構造を築くというように組み立てられて参つたわけであります。新制の各学校における教育も、小学校の初年度から一定の目的のためにずつと築き上げられて参りましたあかつきにおいて、その学力を正当に評價せられ得るものだと考えられるのであります。ご指摘になりましたように、今日新制高等学校から大学に入るまで、旧制の制度である程度まで行き、しかもまた新制につきましては新しい学校制度が十分に教員にも習熟せられず、またそれに朗應する教科書もないあらゆる不良な條件のもとにある人々である。しかもまたそれらの方々がちようど小学校上級あるいは中学校時分に、例の強制疎開その他で非常に悪條件であつたというような点から考えまして、概括的には今日大学に受験せられる方々は非常に條件が悪いと考えられるのであります。高等学校の学力について、從來の中学校より低下しはしないかという話は収支承るのでありますけれども、これはやはり相当観点の相違することによつて論議の盡きない問題だと思います。從來のごとくいわゆるサイエンテイフイツク・カリキユラムの行き方で参りました場合には、その中に將られまする教材は非常に高い系統であるようではありますけれども、実際においてはたしてどれだけ將來にかけて学生生徒の身につくかというような点については、これは相当疑問もあろうかと思います。今新しい教授法において、小学校から高等学校にかけてとつておりますような行き方、いわゆるブロードラウンド・カリキユラム、廣範囲カリキユラムで行きまして、しかも経験を非常に尊重し、生徒児童自体の活動によつて画一的でなく教えて行く教育が下から積み上げられて参りました場合、われわれといたしましては、將來の伸びについて非常に期待いたしておるようなわけであります。それらの効果が正当に判定せられまするまでには、まだ時期が早すぎるというような点がうらみとされるわけであります。たださしあたりこうした変動期における学生生徒の処置につきましては、それは十分に考えなければならないと存じております。今日高等学校のカリキユラムも一應の指導目標はきめておりますけれども、從來のごとく非常にこまかい点まで、画一的にこれを学校に指示するわけではありません。從いまして学校の当局において生徒の能力を始終測定せられて指導目標に達するように、生徒の経験を中心として、適正な教育を行つていただきますれば、そうした欠点は是正せられるのではないかと考えます。なおまた文部省におきましても、あるいは関係教育研究所その他におきましても、そうした学力の測定というような点につきましては、今日も考えておりまするし、後年度の予算におきましてもいろいろ計画もございます。十分そうした学力その他の測定というような点を実施いたしまして、それに朗應いたしました適正な教育を將來研究いたして参りたいと考えております。
#79
○今野委員 大体了承いたしましたが、先ほど悪條件の中で育つたという話がありました。なるほどそうであります。ところが同じ悪條件の中で育つて、旧制の高等学校の二年終了、これは一年だけしか違わないのですが、その教授の言うところによると、まつたく程度が違うということであります。こういう同じ條件の下で二つの教育のシステムが比較されたわけであります。そういうところを見ると、遠い將來というようなことを言つておるときりがない話でありますが、何か新しい制度に対して、このままにしておけば不信用が生ずるというふうに考えられるのであります。重ねてその点については御盡力あらんことを希望いたします。
#80
○稻田説明員 十分研究いたします。今の点は、あるいは一貫性の問題から原因するとも考えられるのであります。旧教育における一貫性、それから旧教育から新教育のつながり、やはり相当歩どまりが違つてくると思います。
#81
○圓谷委員長代理 いかがですか、質問ありませんか
    〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
#82
○圓谷委員長代理 なければ午前中からの質疑はこの程度にいたしまして、文化財保存保安についての懇談をいたしたいと思いますが、いかがですか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○圓谷委員長代理 それではそういたしまして、委員会はこれで散会いたします。
    午後三時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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