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1949/04/25 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第13号
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1949/04/25 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第13号

#1
第005回国会 農林委員会 第13号
昭和二十四年四月二十五日(月曜日)
    午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 小笠原八十美君
   理事 坂本  實君 理事 山村新治郎君
   理事 深澤 義守君 理事 寺本  齋君
      河野 謙三君    坂田 英一君
      平野 三郎君    渕  通義君
      村上 清治君   藥師神岩太郎君
      長谷川四郎君    竹村奈良一君
      中垣 國男君    吉川 久衛君
      寺崎  覺君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (畜産局畜政課
        長)      伊藤 嘉彦君
        專  門  員 岩隈  博君
四月十五日
 委員芦田均君辞仕につき、その補欠して長谷川
 四郎君が議長の指名で委員に選仕された。
    ―――――――――――――
四月十三日
 競馬法の一部を改正する法律案(早稻田柳右エ
 門君外十五名提出、衆法第一号)
 競馬法の一部を改正する法律案(原健三郎君外
 六名提出、衆法第二号)
 農地調整法の一部を改正する等の法律案(内閣
 提出第一〇四号)
 農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一〇五号)(予)
四月十日
 平根村地内國有林拂下の請願(植原悦二郎君外
 一名紹介)(第四五〇号)
 水力発電事業増強のための森林対策に関する請
 願(小笠原八十美君紹介)(第四五八号)
 宇津内原野開発事業施行の請願(松田鐵藏君紹
 介)(第四八六号)
 農地法の改正反対並びに土地使用税の新設及び
 地租、小作料引上反対の請願(川島金次郎君外
 二名紹介)(第四八八号)
 同(三宅正一君外二名紹介)(第四八九号)
 同(勝間清一君外二名紹介)(第四九〇号)
 同(坂本泰良君外二名紹介)(第四九一号)
 同(西村榮一君外三名紹介)(第四九二号)
 同(戸叶里子君外二名紹介)(第四九三号)
 同(土井直作君外三名紹介)(第四九四号)
 同(中崎敏君外二名紹介)(第四九五号)
 同(田方廣文君外二名紹介)(第四九六号)
 同外一件(淺沼稻次郎君外二名紹介)(第四九七号)
 同(加藤鍛造君外名紹介)(第四九八号)
 同(足鹿覺君外二名紹介)(第四九九号)
 同(松澤兼人君外名紹介)(第五〇〇号)
 同外五件(稻村順三君外一名紹介)(第五〇一
 号)
 小清水、上砥草原間植民軌道開設の請願(松田
 鐵造君紹介)(第五〇九号)
 岩手縣の山林復旧に関する請願(山本猛夫君外
 六名紹介)(第五一〇号)
 岩手縣水害地の農業復旧に関する請願(山本猛
 夫君外六名紹介)(第五一一号)
 下常呂原野に軌道客土事業施行の請願(松田鐵
 藏君紹介)(第五一二号)
 引揚春の開拓及び帰農に関する請願(足立篤郎
 君紹介)(第五一三号)
 荏薙用水改良工事完成促進の請願(平野三郎君
 紹介)(第五二三号)
 乳製品の品質及び包装の改善に関する請願(大
 矢省三君紹介)(第五二五号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十三日
 食糧増産施策に関する陳情書(東京都港区芝西
 久保巴町三十五番地金國町村会内吉澤仁太郎)
 (第七六号)
 治山事業に関する陳情書(廣島縣豊田郡戸野村
 長藤原隆外百三十六名)(第二八六号)
 農業災害補償制度拡充強化に関する陳情書(高
 知縣農業共済保險組合長山崎正辰)(第二九一
 号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 獸医師法案(内閣提出第四四号)
    ―――――――――――――
#2
○小笠原委員 これより会議を開きます。
 議事に入る前に御報告いたします。
 本日委員の芦田均君が委員を辞任せられ、同日長谷川四郎君が議長において委員に指名せられました。
 次に去る十三日、早稻田柳右エ門君外十五名提出による競馬法の一部を改正する法律案及び原健三郎君外六名提出による競馬法の一部を改正する法律案並びに内閣提出による農地調整法の一部を改正する等の法律案が、本委員会に付託になりました。また同日予備審査のため内閣提出による農業協同組合法の一部を改正する法律案が本委員会に付託になりました。以上御報告いたします。
 それでは前会に引続き獸医師法案を議題に供し、質疑に入ります。坂本實君。
#3
○坂本(實)委員 今回制定せられんとしておりまする獸医師法に関連しまして、昭和十五年に出ておりまする獸医師法の臨時特例によつて、獸医手の制度が設けられておつたのでありますがこの際獸医手に関しまして政府当局はいかなるお考えを持つておられるかということを詳しく聞きたいと思います。御承知のように、すでにこの制度が実施されましてから十年にあまるのでありますが、この長い年月の間の尊い経驗を持ち、実際の仕事をいたしておりましたこれらの獸医手を、このまま葬り去りますことは、私たちはまことに遺憾であると思うのであります。これに対しまして今回の新しい獸医師法の制定に伴つていかなるお考えを持つておられるか、この点政府の御所見を承りたいと思います。
#4
○伊藤説明員 御説明申し上げます。獸医手の制度についてはただいまお話のあつた通りでありますが、当時獸医師の数の不足等に対処いたしまするために、戰時の特例として設けられた制度でありまして、この終戰になりましてからは、戰時特例であるということからいたしまして、実はすでに昭和二十三年当時ただちに廃止をしなければならないという状況にあつたのでありますけれども、ただいまお話がありました通り、長い年月を経過いたしておりますので、ただちにこれを廃止いたしますということはなかなか困難な点もありますので、この間この処置につきましていろいろと考慮をして参つたのでありますが、まず将來におきましては、いろいろ関係からいたしまして、これが廃止になるということはまぬかれない事情でありますので、できるだけこれらの方々が獸医師になられて行かれるというようなこと、及びこれが不可能の場合におきましても、畜産の経驗あるいは技術を持つておられるのでありますから、その方面に活動をせられますようにという心がけで参つて來ておつたのでありますが、特に昭和十二年におきましては、從來の獸医手が獸医師の試驗を受けますにつきましては、獣医手の実務を三年以上やつておらなければならないというような條件につきましても撤廃をいたしまして、三年実務に從事しなくても獸医師の試驗を受け得るというようなふうにいたしまして、二十二年以降の試験をして、獸医師にできるだけなつていただくように処置をして参つたのであります、なお十二年以降、十分にいろいろな報酬等につきましても、できるだけのことをいたしまして、受驗のための便宜をおはかり申し上げて参つたのでありますが、時に今回の法律を提案いたします際におきましては、この法律の施行も、提案におきましては、実は十月というような非常に妙な時期になつておるのでございますが、これもことしにおきまして試驗を受けていただきまして、獸医師としての学力、適性のある方は獸医師できるだけになつていただきたい、こういうような意味におきまして、法律の施行時期もそういうふうに、案としてはいたしたわけであります。また特に本年におきましては、全國的に、特別に講習会等につきましても、念を入れた講習会を実は実施をいたしておるのでありまして、そういうような経過及び從來の状況からいたしますと、この提案におきましては、実は獸医手の制度は、この法律施行と同時に廃止をいたしますることになつておりまして、その後におきましては、獸医手から獸医師にすでに本年までにおきましてなられた方以外におきましては、將來獸医師になる機会を学校等を卒業をせられません限りは與えないような、はなはだ何と言いますか酷なようなふうになつておるのでありますけれども、今までのそういう経過等からいたしまして、どうも今日に至りましては、特にまた戰時的な制度でもあつた関係からいたしまして、状況上やむを得ないようなことになつておるのでございます。今までにおきまして、約三千人余が獸医手にたしかなられたと思うのでありますが、そのうち獸医手の方から、今年の試驗を除きまして、六百六十七人の方が合格をされましてこれは法律がかおりましても、將來ともに獸医師としての業務を継続いたし得るようになつておるのであります。
#5
○坂本(實)委員 ただいま、獸医手制度はもつばら戰時特例によつてつくつたものであるというようなお話であつたのでありますが、その仕事の性質から見まするならば、必ずしも、いわゆる戰爭行為というものとは何らの関係がないのでありまして、むしろわれわれは日本の畜産の奨励振興のために非常に顯著な実績をあげておるものだ、かように実は考えておるのであります。なおまたその間いろいろ政府としても、格段の処置を講じて、受驗すべき機会も與えたのだ、こういつたお話もありましたが、いろいろ実務を担当いたしておりまする者といたしましては、必ずしもその試驗の機会に受驗することが困難な事情もあり得ると思うのであります。今回のこの法案制定にあたりましても、もう少し経過的な余裕を置く御意思はないか。そして何とかこの多数の経驗者を生かして使うということを、ひとつお考えを願いたい、かように希望するものであります。さらにまた今日まで獸医手があらゆる方面に活動しておりました状況は、われわれもつぶさにこれを承知いたしておるのでありまするが、畜産組合あるいはまた共済組合、その他各種の関連國体に奉職いたしまして、その実務を担当して参つたのでありまするが、これが今回のこの新しい法律によりまして、すべて診療あるいは治療に当ることができないということになりますれば、そこに相当な欠陥が生じて來る、欠員が出て來る、かように考えるのでありますが、全体の人員等から見本して、はたしてそれで十分な措置がとり得らるかどうということについてひとつ御所見を承りたいと考えます。
#6
○伊藤説明員 一つは経過的な措置をとる考えがあるかないかという問題でありますが、この点につきましては、ただいまお話し申し上げました通りの次第でありまして、考えようによりますと、はなはだ酷なような点もありまして、たしかにそういう感じもいたすのでありますが、この制度の関係実体等から、また從來からのいろいろな関係からいたしまして、今日におきましては経過的措置をとることが、残念ではありますけれども、できないような状況にあります。また獸医師のこの制度を廃止した場合の診療行為に及ぼす影響の問題でありますが、この点は大まかに申し上げますと、大体アメリカの例をとつて申し上げますと、アメリカにおきましては、家畜の数が、大体いわゆる大家畜に換算いたしまして七千万家畜單位、七千万頭ということがありますが、日本におきましては、約三百万家畜單位、三百万頭であります。それに対しましてアメリカにおきましては、獸医師の数といたしましては、七千万家畜單位に対しまして約一万二千人くらいであるということであります日本におきましては、昨年の十月末現在におきまして、獸医師の資格を持つておる者が一万三千人あるわけでありまして、これはいろいろな関係はありましようけれども、総体の家畜と獸医師との関係から行ますと、日本におきましては獸医師の数は相当に多いというようなことが言えると思うのであります。実際問題といたしましては、組合等で現に診療しておる者が、すぐ診療がでなくなるということになりますと、これは不便な点が確かに出る場合もあろうかと思うのでありますけれども、この点につきましては、実は家畜の診療と申しましても、やはり非常にむずかしいものでありまして、総合的科学的な学理を知りました上で診療いたしました方が理想的であるということはもちろんのことでありますので、今回獸医師法におきましては、逐次獸医師の素質というものを向上して参りまして、ほんとうの診療をして行くようにいたしたい。なお診療の行為に対しまする不便等につきましては、家畜保健衞生施設と申しておりますが、毎年大体百箇所くらいの保健施設を、五箇年計画をもちまして、それぞれの地方に設置をして参ります。こういうような施設、その他共済施設等も助成をいたしまして、設置をいたしで行くというようなことからいたしまして、私どもとしましては、おおむね大きな影響はない。また各縣の報告等を見ましても、おおむねそういうような報告もあるようであります。
#7
○坂本(實)委員 ただいまの答弁によりまして、大体さしつかえないものだというようなお見通しのようでありますが、この獸医師なり獸医手の各府縣の分布状況を見ましても、相当むらがあるようであります。從つて、かような凹凸がありますることは少くとも是正しなければなりませんし、またすみやかに補つて行かなければならい部面もあると思うのでありますが、これらに対しまして、いかなるお考えを持つておられるか。少くとも今日の非常な嚴密な意味におきまする獸医師のみを要求するといたしましても、事実上は困難ではないか、こういうことを考えるのでありますが、これに対して御所見を承つておきたいと思います。
#8
○伊藤説明員 その点につきましては、ただいま申し上げましたように、政府の施策といたしましては保健衞生施設と申しますか、そういうものを大体毎年百箇所程度を設置いたしまして、それらの点につきましての緩和をいたしまして、そういう施設を設置して参りたい。また農業共済組合の家畜診療施設というようなものにつきましても、これを活用して参りたいと思つております。
#9
○小笠原委員長 藥師神委員。
#10
○藥師神委員 問題は、要約すると現在の獸医手をどうするかということに帰着するのではないかと思うわけでありますが、現在の米國の側などをあげられたけれども、大体集團飼育をやつておる所は、獸医師は少しで済むわけです。日本のごとく、ほとんど無家畜農家のないように、一戸ごとに家畜を使用して行くという所において、現地におつて調べて行くと、かりに一村一人の獸医師があつても、これは実際問題として行き届かない。実に困るわけです。ただ問題は、人間を扱う医師や何かから見ると、收支の関係から言つて、相当町村で補助しなくては獸医師を置けないようなところもあるわけですけれども、われわれの希望するところは、組合に獸医師を置いて、個個の家畜の診療かできるような方法がとれればけつこうだと思うわけですけれども、そういうとができないような場合においても、その町村に実際に足を落ちつけて、一面においては農業をやるなりしながら一面において獸医帥の免許を持つて診療に当るということが、われわれ現実に村におつて見る場合においては、行われなくてはいかぬと思うの下す。ただ獸医師の看板を掲げて食つて行くことはなかなか容易な問題ではないけれども、それは昔の伯樂のような状況に、一面において今の農業なり畜産なりをやるかたわら、獸医師を十分にやれるというような制度が、実際において行われなくては私はいけないと思う。それで問題としては、戰時における臨時特例だから、これを廃止して、獸医師のレベルを上げるという目的については、われわれは養成するわです。これは異存があるわけではないのですけれども、御承知のように弁護士法などが改正された当時を想起してみると、あの時分には初めは語学というものは全然なかつた。ところがこれをかえるについてはずいぶん問題があつて数百人の試驗、通らない者が年々押しかけて行く。それを緩和するために、最後はほとんど大部分の者が総花式に通れような機会を政府は與えたはずであります。現在人間に対する医療の方面においても、こういう制度になつておるかしりませんが開業医などを調べてみると、藥剤師というものはおらないで、單に看護婦や医者の細君が投藥を盛んにやつておるわけです。人間の大事な体を扱うのにさえも、賣藥さえ藥剤師でなくては扱えないような状態になつておるところに持つて來て、開業医などは、ごらんになつたらわかるわけだが、何も免許のない看護婦なり医者の妻君が投藥をどんどんやつておる。こういう点から見ても、この過渡期において、獸医手の数が二千人いるか、二千二百人いるか知らないけれども、これに特典と言つては語弊があるけれども、最後の段階において、何らかの方法をもつてこれらの生活を維持せしめると同時に、技術を実際に悪用することは、人物経済から言つても、私はいいんじやないかと思う。むしろ学校出のほやほやの者よりは、実際に体験を積んだ者の方が、われわれは効果があると思う。今の獸医師のレベルを上げるという問題については、これは一つも異存はないわけです。將來は相当な学歴を持つた者をもつて充てるということ、これも異存はないわけです。この過渡期においては、今の獸医手というものを幣履のごとく捨て去るということは、これは相当考えものじやないかとわれわれは思う。それと同時に、冒頭に申し上げたように、実際において協同組合でも、今どの町村でも一人ずつ置くということは、組合の経費から言つて許されないような事情がたくさんあるから、結局今言うように、農米のかたわらでも獸医をやれるというような、もつと簡易な、もつと実際に適合したような方法をあわせて考えられることが、最もこれは人物経済の上から言つても当然のやり方ではないかと思うのですが、この点に対する政府の御意見を伺いたい。
#11
○伊藤説明員 ごもつともな点も、僭越でありますが、多々あるかと思うのでありますが、問題は獸医業務と申しますものは、ただいまお話がございました通り、やはり一定の技術を前提としての行為であろうかと思うのであります。やはり獸医業務というなものを、制度として制定いたします場合には、いろいろな段階に獣医そのものをわけるというようなことは、これはおかしいかと思うのであります。それで、なお過渡期の問題といたしましての問題は同じことを繰返すわけでありすすけれども、実は制度の上におきましても、二十年の三月に、先ほど申しましたように試驗規則を改正いたしまして、三年の実務というようなものを要しないで獸医手が獸医師の試驗を受け得るというようなことに改正いたしておりまして、これらも、とりようによりますと、將來におきましては獸医手という制度はなくなつて行く。でありますから、漸次できるだけ試驗を受けまして、獸医師になつていただきたい、こういうような予告的な氣持もあつたのでありまして、前から実は経過的に起つて來ておるような問題でもあるわけでありまして、その間は、私どもといたしましては、経費の許す限り、あるいは手数の許します限りのことはして参つたわけであります。それでなおことしの試驗等におきましては、できるだけ何と言いますか、試驗がそれらの方々の実情に合いますようにできるだけ実際のいい試驗を行いたいというような氣持も持つて計画も持つておるおるようなわけありまして、そういうような意味で御了承をお願いいたしたいと思うのであります。
#12
○小笠原委員 長谷川四郎君。
#13
○長谷川委員 私が申し上げようとすることは、大体同じでありますけれども、現在の獸医手が、いかに農村の実情に根をおろして、その中心的な指導力になつておつたかというとは、よく政府委員としてもおわかりであろうと思うのでありまして、なお今後の日本が相当畜産の発達をしなければならないということは、私もよくわかるのであります、しかしながら、現在まで長年獸医手として続けて來た方々が、三千有余名と申されましたが、その人たちに、この際一應講習をするとか、あるいは三年とか年とかやつておつた方には、この際無試驗において獸医師の資格を與えてやるべきではないか。私としては與えてもらいたい。今までの既得権と申しましようか、この人たちの並々ならぬ苦労であつたことも買つてやらなければならないのじやないか。さらにまた、現在シベリヤ等に行つておる方々もあるのでありまして、この人たちが帰つて來たときも、やはり同じに取扱つてやつていただきたい。またそうやるべきが至当ではないかと私は信ずるのでありまして、申し上げることは、その人たちに一應講習を行う、あるいは二年、三年続けておつた方には無試驗において獸医師の資格を與えてやるべきであるというこを申し上げたいのでありまして、一應それらの点につきまして御答弁をお願いいたしたい、こう思うのであります。
#14
○伊藤説明員 申し上げますことは同じになるかと思うのでありますが、まことにいろいろな点からいたしまして、たしかに情におきましては忍びがたいような問題もあるのでありますけれども、これまで申し上げましたような事情等によりまして、私どもといたしましてはこの法律案を提案いたしておるような次第であります。
#15
○長谷川委員 よく事情はわかつておるのでありまして、これをどうしてもあなたがおつしやるように行わなければならなという理由は、どこから來ている理由なのかいうことを、はつきりしていただきたい
#16
○伊藤説明員 この問題につきましては、先ほども申し上げました通り、終戰直後といいますか、昭和二十一年におきまして、こういう制度は関係方面におきましても廃止するように勧告を受けておるのでありまして、その後いろいろとこの問題ついては折衝を重ねたわけでありまして、その間、先ほどから申し上げておりますように、できるだけ経過的に緩和せられますように、できるだけの措置は講じて参つたのでありまして、今日の状況におきましては、そういうような次第からいたしまして、やむを得ない事情になつておるわけであります。
#17
○長谷川委員 あなたのおつしやることもよくわかるのだけれども、どうしても委員の大半がこれを訂正しなければならない、してもらいたいということを、あなたがどうしても訂正できないという理由はどこにあるのだ、これをお聞きしたいのであります。これは私どもの申し上げた通り、またあなたもお考えになつておるという、その通りでありまして、私はぜひとも二十一年の特例だというので、二十二年にもうすでにこれを撤回しなければならなかつたというお話でありますが、すでにその間、二十四年の今日まで、さらに一層この人たちは技術を獲得しているのでありまして、新しく学校を出た人たちより以上の技術者だと私は信ずるのであります。この技術者をただ葬るのはどういう理由か。ただ戰時特例であるというだけでは納得か行かないのであります。これに対してのはつきりした御答弁を願わなければならぬ。
#18
○伊藤説明員 実質的な理由といたしましては、前々から申しておりますように、この際におきまして獸医師制度というものをしりかり確立をいたしたいというようなことでありますが、法律案の制定の実際におきまして、この問題は関係方面とも、実はいろいろな考えをもちまして、何べんも交渉をいたしたわけであります。その結果におきまして、こういう状況になつておるわけでありますので、その辺御推察をお願いいたしたいと思います。
#19
○長谷川委員 よく話もわかつて來たのでありますから、この実情をよく傳えていただいて、三年間なら三年間その実務に從事しておつた者は、こういうような資格を現在持つておるということを、いま一度関係方面に十分納得の行く連絡をしていただいて、そうしてわれわれが申し上げるように希望に從うように、ぜひし向けていただきたいということを最後にお願い申し上げておきます。
#20
○小笠原委員長 深澤委員。
#21
○深澤委員 獸医師法の制定が大体政府の考えておるところは、獸医師の技術の最高水準を確保して行くというようなところに重点が置かれていると、われわれは解釈できるのであるが、今日の日本の実情といたしまして、日本の農業と畜産業との関係を深く考えなければならぬ。未曽有の荒廃の時期当面しておる日本の農業が復興するためには、多角的な農業を考えなければならぬ。そのために畜産業というものを必要とする。その畜産業を擁護し、発達させるために、この畜産に関するところの技術が必要である。ここに重点が置かれなければならないと思う。獸医師の技能の最高水準を確保するということも、理想的には必要であるが、今日日本の農業が非常事態に当面しておる場合においてはこの畜産技術を十分に日本の農業のうちに生かして行くというところに重点がなくてはならない。まずこういうぐあいに考えるのでございますが、この点についての政府の見解をお伺いすると同時に、今まであるところの獸医師というものか、アメリカの例なんかに比較して、十分にあるのだというような見解のようでありますが、現在日本にあるところの獸医師の一万三千何百かは開業者が五千幾つ、あるいは縣に勤めておる者が二千六百、あるいは團体に勤めておる者が二千七百というようなぐあいに、その八〇%はほとんど農村の畜産の実際面から離れておる。わずか獸医手の三千何百かが町村あるいは團体におりまして、日本の農業の畜産関係に非常な努力をしておるということが言えるのであります。そういうような関係から申しまして、数字の上では十分あるように考えられるが、実際の畜産業に役立つておる技術者は非常に少い。それを補つておるのが戰時中からやつておるところの獣医手の三千何百名で、ほんとうに日本の畜産に実際に努力しておるということが言えるのであります。そういうような意味において政府は一体どこに重点を置かれておるか。獣医師の最高水準を維持して行くというところに重点を置かれておるか、日本の畜産を新しく復興しなければならないというところに重点を置かれておるか、この法案立案の趣旨をまずお伺いしたいと思う。
#22
○伊藤説明員 この法案の立案の趣旨でありますが、日本の農業のために畜産をふやして行かなければならない。この点はその通りだと思いますが、農業と畜産が結びつくというような関係において獸医の関係する場合におきましては、それであればこそよけいに獸医技術というものはりつぱな科学的なものになつて行くことが、ぜひ必要であろうと思うのであります。そういう意味からいたしまして、この獸医師法におきましては、一方畜産の発達をはかるため、一面におきまして獸医の技能を高めるということと、なおこの獸医師の職務と申しますものは、いろいろな法律にもあります通り、公衆衞生に非常に関係するところも大きいわけでありますので、それから両面からいたしまして獸医の技能を高めて行くことに考えの重点を置いておるわけでありまして、ただいま数字等のお話もありましたが、一面不足な点につきましては、保健衞生施設、その他の施設の活用をはかりますとともに、一面におきましては大まかな見当でありますけれども、かりにただいまお話になつたような数字になりましても、家畜の総数等との比較におきましては、相当に獸医の技能を高めて行く現在の余裕はあろうかと思うのであります。なおこの計画は、一方におきましては学校制度の改革というようなこととも関連をいたしておるわけでありまして、今回の学校制度が改革されますと実は六・三・三・四ということになるわけでありまして、その四におきまして、体系的な学術を教えることになつておりまして、六・三・三までは教えないということになつております。それで私どもの大体の見通しといたしましては大体毎年五百人ないし四百人ぐらいの新しい制度の獸医師が、学校等の関係から出て來るのではないか、またその程度で一應十分ではないかというようなことからいたしまして、実行可能か不可能かという問題につきましては大体可能であろうという考えであります。
#23
○深澤委員 日本の農業と密接結びついておる獸医手の諸君の問題につきましては、各委員の方々が、すでにこれは何とかしてその資格を確保しなければならないというような意見でありますから、これ以上申しません。
 次に法案の内容でありますが、大体今度の法案は、旧法と比較して非常に苛酷な内容を持つておる。それは第五條の免許を與えないことがあるというような條件の中に、罰金以上の刑に処せられた者はだめであるというような一つの條項がある。旧法においては六年未満の懲役または禁錮に処せられた者はとあつたのでありますが、それ以上の刑に処せられた者はそういう資格を與えられないということになつておるのであります。弁護士やその他の資格者にいたしましても、現在の法律において、罰金まではとにかくその資格が喪失されない。ところがこの獸医師法案においては、罰金以上の刑に処せられた者はその免許を與えないことがあるというような條件になつておる。その点が一つと、もう一つは獣医師道に対する重大な背反行爲とか、著しく惡性を欠くことの明らかな者であるとか、あるいは第八條において獸医師としての品位を損するような行為というようなぐあいに、道徳的な判断をするような條件がこの法律の條文の中に挿入されておる。こういうことは法律を運営する人によつて左右される危險性が多分にある。道徳的判断によつてそういうものを決定するということは、少くとも法律というものと非常に相反するものではないか。道徳的判断を法律の條文の中に入れるということは、われわれは法理学上から言つても、これははなはだ不適当であると考えるのでありますが、この点についての見解を承りたい。
#24
○伊藤説明員 第五條の罰金以上の刑に処せられた者はこれは免許を与えないことがあるというのでありまして、免許を與えないわけではないのであります。大体他の法律特に医学に関係のありますものはこういうぐあいになつておるのでありまして、そういう点からいたしまして、実際の運用において、たとえば獸医師に関しまして特にこの罰金以上の場合におきましては傳染病予防法であるとか、獸医師法であるとかいうような場合におきましては、罰金というような刑が軽い場合でありましても、不適当な場合があるわけでありますので一應幅廣く、しかし審議会の意見を聞いて免許を与えない場合がある。こういうことにいたしたわけであります。なお他の法律におきましても、たしかこういうふうになつておつたと思うのであります。
 なお御指摘の通り、道徳的な判断の幅のあるような問題があるのでありますか、この点につきましては、一方におきまして、これは私どもの考えといたしましては、非常に技術的な分野でありますので、そこにおきましては、これまたアメリカの話を申し上げて申訳ないのでありますけれども、倫理綱領というようなものが、一應慣習法のごとく確立されておるようなものもあるのでありまして、こういう特別な技術の場合におきましては、そこにあるところの一定の道徳というようなものがあろうかと思うのであります。そういう点と、他の一面におきましては、こういう規定の運用につきましては、一方において積極的に審議会等が、品位を汚したかどうか、あるいはそういう背反行爲があつたかどうかというようなことを、自分の方から積極的にどうこうするというようなことは、運用の実際においてはむずかしいかと思うのであります。何かの事例がありました際に、それがただいま申しましたような技術的な色の濃い社会でありますので、特殊なそういう方面におきまするエシツクスというようなものに対して、どうであろうかというような判断をして行くというようなことに、運用の実際としてはなるのではないか、こういうふうに思いますので、かような條項もまた必要であり、また適当に運用ができるのではないか、こういうぐあいに考えておるわけであります。
#25
○深澤委員 それから十七條に、「獸医師でなければ、家畜の診療を業務としてはならない。」という問題があるのでありまするが、現在日本の農村においては、非常に獸医師あるいは獸医手の数が少いために、経驗者やあるいは巧者の人が近隣のやつをめんどうを見るというような事例が多々あると思うのであります。ところがこの業務という字の解釈によりましては、そういうものが、この十七條違反として二年以下の懲役、十方円以下の罰金に処せられるというような結果になるのでありますが、一体この業務というものは、どういうことを内容とするか。今言うように、その村の巧者な人やあるいは経驗ある人が、非常に困つておる近所の者のめんどうを見てやつたということが、業務として見られるのかどうかそういう点をひとつはつきりしたいと思います。
#26
○伊藤説明員 その場合につきましては、業務と申しますと、継続して集團的な行為を行うわけでありますので具体的な実際の場合を当つてみませんと、すべてについてそれが業務になるというふうには申し上げかねますが、多くの場合には、私はこの條項におきましては、利益を得る目的をもつてということはないのでありますので、業務に当ることになりはしないかと思うのであります。その問題は、よけいな問題になるのでありますが、家畜の場合におきましても、一面家畜自体におきまする非常にこわいところの傳染病もありまするし、また他方それらが人間に関係をするという部面も多いおけでありますから岡目八目というようなこともありますけれどもやはりこれらのことついては、そういう危險を予想いたしまする際には避けることが適当であろう、こういう考えであります。
#27
○深澤委員 それから審議会の構成でありますが、この審議会の構成の中には、獸医師か組織する團体を代表する者、学識経驗がある者、あるいは関係行政廳の職員というようなぐあいになつておるが、もう一つこの中へ、畜産関係の團体の代表者を入れるという必要があると思う。それは先ほど申し上げましたように、農業の関係、畜産というものの必要な関係からいたしまして、そういう農業と畜産という関係に十分熟知しておる者を、代表者として審議会に参加させる必要があると思うが、この点についての見解はどうですか。
#28
○伊藤説明員 ただいまの問題につきましては、正面から申し上げますと、この獸医師審議会は、この法律に基きまする権限を行う機関でありまして、審議会自体は一面國家試驗を施行いたしまして、その國家試驗の結果、その受驗をした者が獸医師として適当であるかどうかということを判断するところの、何と言いますか、獸医学における技術的な審議会でありますし、それに付随をいたしましての問題を取扱うわけでありますので、ここにありますように、その技術的能力というものが中心になつて考えられておるので、ありますから、正面から申しますと、畜産の團体というようなものは必ずしも必要でないと思うのであります。ただそのような場合に、もしもそれらの方が獸医師の資格をもつております場合であれば、学識経驗がある者という意味からいたしまして、二号に該当する場合に実際にはあるわけでありますけれども、ただいま申しましたような意味からいたしまして、畜産團体の代表者というようなことは必ずしも必要ではない、こういうふうに考えるわけであります。
#29
○深澤委員 最後に先ほどから申し上げておるように、獸医手の問題でありますが、農業と非常に密接な関係を持ち、町村末端において、この畜産技術のために非常に努力されておる諸君が、この法案の施行によつて、まつたくその技術を生かすことができないという結果になる。これに対して政府として何らかの救済方法を設ける必要があるということを申し上げまして私の質問を打切りたいと思います。
#30
○中垣委員 私はこういう新しい制度が立法化されるという場合、基本的な問題として、この法律が、実際の家畜飼育者にどういう影響を與えるかということが問題でなければならぬと思うのであります。ところが実際は、本法案の内容の將來性をとやかく言うのではないのでありますけれども、農山村の僻地等におきましては、実は獣医手でさえない所もある。從いまして、どうしても緊急を要するような診療の場合におきましては、これは非常に大きな問題だと思う。しかも今日の獸医手というものは、合理的に配分をされておるのでありまして、今度の國家試驗をやつて免許を出すという場合に、これに無試験で免許を與えても、悪影響というものは一つもない。從つて悪影響もないのに、しかも実際の農村における関係者、特に食糧増産に直結しておるこの獸畜農業の問題から考えても、これを歓迎しておるのであるから、一体これはどうして悪いのか、私は根本的な問題を、慎重に政府委員の方では取上げていただいて、そういう処置をとつていただきたい、こういうふうに実は考えておる次第であります。それにつきまして、政府委員はどういう点がそういうことをやつて悪いのかということを、ひとつ御答弁願いたいと思います。
#31
○伊藤説明員 大体今までお話申し上げたことで、事情につきましてはおわかりをいただいておることだと思います。
#32
○中垣委員 まだ質問をしたいことがたいへんあるのでありますが、これは小委員会でもつくつていただいて、ひとつ十分に檢討さしていただきたいと思います。
#33
○小笠原委員長 最後におやりになつていかがですか。――それでは竹村君。
#34
○竹村委員 先ほどから獸医手の問題その他について、いろいろ各委員から言われておりますので、私は重複を避けて第十二條だけを聞きたいと思う。
 第十二條を見ますと、「左の各号の一に該当する者でなければ、獸医師國家試驗を受けることができない、」その一つは、「正規の大学において獸医学の四年以上にわたる課程を修めて、これを卒業した者」、その二としまして、「外國の獸医学校を卒業し、又は外國で獸医師の免許を得た者であつて、獸医師免許審議会が前号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有すると認定したもの」、こうなつておるのです。ところがこれは外國で大体大学を出なくても、同等以上の技術と、そういうふうに思われる者は試驗を受ける資格はあるが、内地において、いわゆる國内におけるそういう同等の技術を習得した者は試驗を受ける資格がないというようなこと自体は、大体日本の内地の農村で実際働いている人、実際技術を持つている人をどう考えているか、これは実にばかにしている。外國の大学は出なくても、外國であつたら実際の技術を修めた者には資格を與えて、内地でそういうことをやつておる者に対しては試驗を受ける資格さえ與えないということは、大きな問題だ。そういう考え方に対して、内地でもそういう同等の技術を持つている者には、試驗を受ける資格を與えるというふうに訂正する御意思ないかどうか、それからもう一つ、先ほどから聞いておりますと、どうも皆さんはそういう意見であつても、これは何か一つの方があるから、絶対改められませんというような答弁が出ている。そういうべらぼうな話はないと思う。少くとも改めていいわけです。政府はいつでも一方から制約されているからというので、むり押しをしようというような考え方が非常に強い。その点について、これはみなが改めるべきは改めろと言つた場合には、改めるべきであると思う。そのことについてひとつお伺いしたい。
#35
○伊藤説明員 日本の場合におきまする今度の学制の改革によりますと、獸医学と申しますのは、六・三・三のあとの三におきまして四・五單位程度の獸医学の大網でありますか、要領でありますか。そういう程度のものがいわゆる新制実業高等学校におきまして教えられるのでありまして、これはいわゆる学校の講義の單位等から申しますと、大体四單位から五單位くらいの講義になろうかと思うのであります。それに対して新制大学におきましては、專門の獸医学を少くても八十單位くらいを学ぶ。それから実習等も相等に含めまして学ぶというようなぐあいに、非常に内容が違つておるのであります。新制実業高等学校の場合におきましては、いろいろな一般の学問も、特に農業関係におきましても農業の一般、畜産の一般等もいろいろとやる関係から、そういうぐあいに非常に講義の單位が少いので、これはどうもぐあいが悪いのであります。それで外國の場合を入れております関係は、これは外國の場合におきましては、それぞれの場合において実情が違うと思うのであります。今申上げました程度の四谷、五單位というようなところの獸医の講義をやつておるということであれば、やはり外國の獸医学校でありましても、これは同等以上の学力及び技能を有するというわけには参りませんが外國の獸医学校の場合には相当に獸医の專門をやつておつて、こちらの大学の場合とほとんど遜色がない講義をしておるというような学校がある場合に、これを認めるというのであつて、決してばかにしておるとか、そういうような意味ではないのであります。
#36
○竹村委員 今言つたことは、あなたの答弁では満足できない。というのは、私は日本の大学の六・三・三・四とかそういう問題を言つておるのではなしに、実際学校を出たからやれる、学校を出ないものは全然やれないというような規定はない。試驗をするのだから試驗を受けさすという資格は学校を出た者をするとか、出ていない者は受けさせないとかいうのではなしに、実際試驗をするという制度は合格した者は学校を出ようが出まいが免許を與えるのが本旨である。ただ單に試驗を受ける前提からして、学校を出ていなければ受けさせないというようなことは不合理である。それだつたら私は試驗も何もなしに、大学を出た者に免許を與えることにしたらよい。ところが片方で試驗をする試驗を受ける資格をこしらえておるということ自体に、大きな立法の矛盾がある。試驗をする以上はどんな者でも試驗を受けて、その資格がなかつたら試驗で落第するのだから、やめさしたらよい。試驗をする前提として大学を出た者しか試驗を受けさせぬというところに問題がある。この点をはつきりしてもらいたい。
#37
○伊藤説明員 少しまわりくどくなるのでありますが、「正規の大学において獸医学の四年以上にわたる課程を修めて、これを卒業した者」と申しますのは、一体もう少し内容的に申しますと、どういうことであるかという点を、少し時間がかかりますが申し上げます。学科課程といたしましては、いろいろの基礎的な物理とか、化学とか、植物とか、動物とかいうものを、三十六單位を一般教養課目といたしまして習得しなければならない。それから專門課目といたしましては、解剖学、生理学、藥事、実驗、内科、外科、博染、衞生学、畜産学、それから臨床その他の学問を実習を含めまして八十四單位取らなければならない。そういうふうになつております意味は、前から申し上げました通り、獸医学といものは、一面において非常に畜産上にも重要な傳染病を扱うことができ、またその者でなければ扱つてはならないところのものなのであります。御承知だと思いますけれども、そういうような点から行きますと、私どもの考えとしては、組織的に、また総合的に勉強をしないと、一定の技術的な基礎ができない、こう思うわけであります。試驗を受ければ何でもいいじやないかということは、たしかに抽象的にはそうだと思います。しかし獸医学というようなものになりますと、そういうわけには参らない範域だという見解であります。
#38
○竹村委員 どうもこちらの言つていることがわからないらしい。それでは試験制度はいらないじやないか。大体ここに書いてあるように獸医師國家試驗を受ける。つまりこのことだけを私は問題にしている。獸医師國家試驗をやるのであつたならば、あなたのおつしやるように、もちろん簡單にできるとわれわれ思つておらない。専門的な知識もいるし、傳染病の問題もいろいろある。しかし試驗を受ける以上は、その試驗に落第した者は免許を與えない。それであつたらそれを受けるときにもうすでにその差別をつけなくともいい。あなたのおつしやることだつたら、試驗制度はいらない。免許を持つて学校を卒業した者にやればいい。だから問題は、実際やつている者が試驗を受けて、パスするかしないかで獸医師になれるかどうかきめるということがこの法律に出ている。それであつたならば、現在別に大学を出た者だけに限定することなく、一般からも試驗を受けさして、あなたが今説明したようないろいろな資格を具えて、これは適当だと思う者に與えるということにせなければ、試驗制度というものと矛盾すると私は考える。
#39
○伊藤説明員 ただいまのお話の点多少討論みたいにわたりまして恐縮でありますが、大学を出まして一定の組織過程を持つたところの学問――臨床・実験等を修めた者でありましても、さらに今度は私どもの考えでは、獸医学を実際に診療業務に適用する、こういう場合になりますと、必ずしもすべての卒業生が適当であると、こういうわけには参らないと思うのであります。そこに適性試驗なり、特業試驗というような性質のものを加味する必要がある、こういうわけであります。
#40
○竹村委員 どうもこつちの言うておることがわからない。もちろん大学を卒業した者に全部與えよというわけではないが、試驗制度がある以上、今の獸医手の人であろうと、またその他の人であろうと、試驗を受ける資格を付與するのが試驗制度の根本的問題だと私は言つているのです。これがわからなければ私はこれでやめます。
#41
○吉川委員 私のお尋ねしようと思うことは大体皆さんから盡されておると思いますけれども、政府委員の御説明を伺いますと、どうもアメリカ的な考え方が非常に強く出ており、戰時特例であるから廃止しなければならないとか言うようにおつしやるのですけれども、日本のこれからの農業の経営状態を考えますならば、どうしても畜産を切離しては考えられないことは、もうはつきりしております。そういうときに、御説明の中にもありますが技術者が不足しないというような考え方かあるようです。これは非常に事実に沿はない考え方でありまして、実際は非常に不足しておる。最近家畜が農村に導入されまして、いろいろな傳染病やその他の故障が起きておる際に、事実問題として、技術者が不足するために非常な不都合を生じておることをわれわれ見ておるわけであります。こういうような問題を解決し、今後の新しい農を建設するためには、いよいよますますこの方面の技術を必要とすることは、だれしも認めておる事なのであります。こういう点について十分の御配慮がなされていないということは、はなはだ遺憾であると思いますか、しかしこれはひとり農林省畜産局に限らず、政府の各部門において、ことごとく関係方面ではというようなことでもつて片づけられておるのであります。こういう問題はいくらお尋ねしてもはてしのないことでありますから、私はむしろ議員側で小委員会を設置しまして、関係方面と折衝して、この目的達成のために進まれるべきであると考えるのでありますが、その前に、ただ一つ日本の農村の今の事態を考えますならば、かつて昭和十五年に戰時特例が制定された事実を考え、今の日本の実情を考え合すならば、むしろ農村再建特例というような新しい措置が講ぜられてしかるべきだというくらいに、私はこの問題を重要視しておるわけであります。今までのお話を伺いますと、各党ほとんど例外なしに、本問題については強く要請をされておりますので、すみやかに小委員会を設置されて、具体的な有効適切な措置をとられることを、委員長においてとりはからわれんことを要望いたしまして、私のお尋ねを打切ります。
#42
○小笠原委員長 次は寺崎君。
#43
○寺崎委員 大体話はわかつたようでございますが、私は竹村委員の質問と同様でこの第十條における資格はほとんど御答弁が私にはわからない。ことに獸医手は昭和十五年度の制定において國家試驗を通過したものである。こういうことから考えてみますときには、六・三・三・四の学校の課程を通過したものと同等に見ていいと私は思います。それほど権威ある國家試驗であると思う。そういう國家試驗を通過して、実務に三年も四年も携わつて來た獸医手に対しては、相当の考慮を拂つてしかるべきだと思います。この十二條においては獸医手の受驗制度を認めてよいと私は考えます。
#44
○小笠原委員長 それでは皆さんにお諮りをいたします。質疑は今日はこのままにしておきまして、各自党にお帰りになつて、党の方の事情をまとめまして、明日午前十時半からまた継続することにして、その場合には十時から理事会を開いて方針をきめて、十時半から委員会を開いて皆さんにお諮りをする、こういうことにしたらいかがでございましようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○小笠原委員長 それでは本日はこの程度にとどめまして次会は明二十六日午前十時半とし本日はこれにて散会いたします。
    午後五時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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