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1949/05/23 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第30号
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1949/05/23 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 農林委員会 第30号

#1
第005回国会 農林委員会 第30号
昭和二十四年五月二十三日(月曜日)
     午後二時四十二分開会
 出席委員
  委員長 小笠原八十美君
   理事 坂本  實君 理事 野原 正勝君
   理事 松浦 東介君 理事 山村新治郎君
   理事 八百板 正君 理事 小林 運美君
   理事 深澤 義守君 理事 寺島隆太郎君
   理事 吉川 久衛君
      遠藤 三郎君    河野 謙三君
      坂田 英一君    原田 雪松君
      平野 三郎君    渕  通義君
      村上 清治君   藥師神岩太郎君
      石井 繁丸君    井上 良二君
      大森 玉木君    竹村奈良一君
      中垣 國男君    寺崎  覺君
 出席國務大臣
        農 林 大 臣 森 幸太郎君
 出席政府委員
        農林政務次官  苫米地英俊君
        農林事務官
        (総務局長)  平川  守君
        食糧管理局長官 安孫子藤吉君
 委員外の出席者
        專  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
五月二十三日
 委員八木一郎君辞任につき、その補欠として小
 淵光平君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 家畜商法案(小笠原八十美君外十五名提出、衆
 法第二一号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 委員派遣承認申請に関する件
 家畜商法案(小笠原八十美君外十五名提出、衆
 法第二一号)
 食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第七三号)(予)
    ―――――――――――――
#2
○小笠原委員長 これより会議を開きます。
 前会に引続き食糧確保臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。村上滿治君。
    〔委員長退席山村委員長代理着席〕
#3
○村上(清)委員 本案については、まだ大分質問者があるようでありますから、私はきわめて簡單に総括的な二、三の点を農林大臣にお尋ねしたいと思います。
 御承知の通り、この法律案が出る以前から、本年の春以来、食糧確保臨時措置法が改正されるであろうというようなことは、大体農村でも想像しておりまして、これが非常に問題になつておつたのであります。それがために、農民の増産意欲を減退せしめたということは、争われない事実であります。今日これがいよいよ法律案として國会に提案されましたので、ほとんど全國の農民の眼はこの國会に注がれておると言つても過言ではないと思います。それで第一に、私がお伺いいたしたいと思いますのは、本法律案を通観しまして、ピンと感じますのは、現在の食糧問題、食糧自給と申しますか、自給ができるかできないかということは、これは別問題ですが、少くとも食糧確保の必要性は、何人も承認しておるのであります。現在の日本の立場は農民といえども承知しております。しかしながら、この食糧確保の責任を、この法律案を通観しまするに、單に農民の責任として考えておるのではないか。こういう感じが第一番にいたすのであります。私はおそらく農林当局はさようなお考えは持つておいででないと思いますけれども、この法律案に現われた印象はさようでありまして申すまでもなく、この重大な政策はひとり農民であるとかあるいはその他の職域にある人というような、局部的な責任ではあり得ないのでありまして、國民全体の責任である。行政の任に当る政府が一番その責任を負わなければならない重大な問題であるのであります。このたび総司令部の指令によりまして、この法律案を出さなければならなくなつたことは承知しておりますが、立法の際にあたりまして、まずもつて農民だけにこの責任を強いるというようなことのないように、立案しなければならないと私は思うのであります。この点について農林大臣はさような点をいかにお考えになつて立法せられたか。この点をお伺いしたいと思います。このたびの指令の根本は明瞭にうたつております通り、食糧のあとう限りの集荷を徹底する、そのためにこの法律案を出したということになつておるのでありまして、言葉をかえて申しますと、現在やみ米が横行しておる。このやみ米の横行しておる間はまだまだ供出の余裕がある。であるからこれを法文化して、もつと供出を厳重にして農民から取立てるということにあるのであります。現在アメリカから多額の食糧の援助を受けておることは何人も承知しております。從つて理論的にはこれは一應成立つのでありますが、やみ米の横行そのものは、はたして農民の責任であるかどうか、この点が私は根本だろうと思う。この点については農林大臣は私より以上に御研究なすつておることでありますから、あまり申しませんが、払は結論を申しますと、やみ米の出るのは單にいわゆる農民の悪のみではない、むしろ政治のしからしめるところである。行政の結果にある。その政治の悪、行政の悪――悪と言えば言い過ぎかもしれないが、少くとも政治の貧困、行政の貧困、これがやみ米を横行せしめる根本の原因であります。これを解決せずして、單にたまたま食糧を生産しておる農民のみにその責任を転嫁し、しかして供出をさらに強化するというようなことは、はたして政治の面からいつて妥当であるかどうか、私は多大の疑いを持たざるを得ないのであります。私は農民と政府とが共同責任をもつて、このやみの根拠を探り、やみをなくするにはどうすればいいか。結論は農民にやみ米を賣らなくてもよろしいような政策を講ずることであり、消費者の面から申しますれば、やみ米を買わなくてもよろしいという政策を講ずるに尽きるのであります。これをやらずして、單にやみ米が出るからこれを正常なルートに乗せる。あるいは出せば出ると簡單にそう考えることは、私は政治の面からいつても行政の面からいつても、あまりに短見ではないかと考えるのであります。この点についてまずお伺いしたいと思いす。
 時間を節約するために一問一答を避けまして、ただ一回の御答弁でお聞きしたい思います。
 次は現行法によりまして、はたして現在の農村で供出が政府の予期しておるように望み得ないかどうかという問題であります。私らの考えるところでは、現行法そのものを完全なものとは思いませんけれども、この運用によりましては、少くとも現在提案いたしております改正法律案よりは、集荷の点においてかえつて効果的であるのではないかと考えておるものであります。このたびの改正法律案を、かりに國会が通過せしめて成立しました場合、所期するところの最大限の集荷ができるかどうか、私はむしろ逆効果を見るのではないかということを憂えるのであります。この点について農林大臣の所見を承りたい。
 それから第三点は、先ほどもちよつと触れましたが、米の供出はいろいろな点において不十分なことがあるでしよう。しかしながらその根源は何と言つても、農民が生活に困る、再生産ができないというところにあると思う。しかるに今年度の予算の措置を見ましても、その他の行政面のいろいろな政府のやり方を見ましても、農村に対する考慮はまことに貧弱である。結論から申しましていろいろ御苦心なさつたことは承知しておりますが、結果において現われたものは、はなはだ貧弱である、かような、一面において農村の生産意欲を増強するための政策が貧困であり、農民の生活を確保する点においても多大の考慮が拂われておらぬというような状態において、米の供出だけを強行せんとするということは、やむを得ざる立場とは申しながら、まことに私は特に現農林大臣にお氣の毒に思うのであります。しかも森農林大臣は、わが党のホープとして送つた農林大臣でありまして、わが党のみならず全農民は非常な期待を持つて農林大臣を迎えたはずであります。しかるにちようどかような境遇に立たれまして、私はまずもつて農民の期待を裏切られたということよりも、大臣に対してお氣の毒に存じます。けれどもただ單にお氣の毒であるということでは済まされないことでありまして、日本の國民の半分を占めておる農民が、これによつて生産意欲を失い、結果においてこの法律案を出したその趣旨と違つた結果になりますと、これはゆゆしき問題であります。そこでお聞きしたいのは、これは國会においてどういう運命になるかは知りませんが、一應御提案になりましたからには、これを御提案になると同時に、詐す限りの範囲内において、農業政策に対して十分な御決心があるはずであり、あつて欲しいと思います。具体的なことは申しません。
 最後にこれはいささか本論をはずれるようですが、大体私の感じますのに、総司令部は農村行政に対してすこぶる認識が足りないと思います。今まで予算折衝その他法律案の折衝について、大臣はたびたび向うと折衝されたと思うのですが、私どもは單に外から見た感じでそう思うのですが、なるほど予算はある一定のわく内でやらなければならぬので、思うことができなかつたことはやむを得ないといたしまして、他の面と比較して、特に農業方面における予算措置に現われた結果を見ますと、他の方面に比較して、どうも日本の農業に対する認識が足りなりのではないかとしか考えようがない点が多々ある。日本の農業の特異性及び実態を認識しておれば、他と比較していま少しく予算的措置、あるいはその他において見方があるであろうというふうに、これは外から見た感じであります。この間私はあるアメリカの人と会つたときに、その話をしたところが、アメリカの農業というものは――私も本で読んだり聞いたりしておりますけれども、あまりに日本の農業とは違うと思う。アメリカ人は日本の農業の実態を知らないのではないか、現われた政治の面、行政の面においても、向うさんの言うことは事実とかけ離れたことばかり言つておられるようであります。一つの例をとつて申しますが、ある作家が知合いのアメリカ人と話した一つの笑話のような話がある。あなたの商賣は何か、私は小説を書く作家であり、それからフアーマーである。こう言つたところが、そのフアーマーというのは二坪か三坪の家庭菜園を自給自足のためにやつておつた。アメリカ人はあなたはたいへんいい身分である。作家であつてフアーマーだというのは非常にいい身分だが、その農場はどこにあるのですかと言うので、その作家はここにあるのが私の農場です。ところがそれを信じなかつた。というのはアメリカのフアーマーというのは、私申し上げるまでもなく、日本で言えば二百町歩ないし三百町歩ぐらいの農場を持つておる。機械を入れ、科学を入れた経営をどんどんやつておる。これがすなわちフアーマー、こういう概念を持つておる。これを五反、六反のお百姓さんの生活、ことにそういう者の集團の日本の農村に対して、土地改良にしても、國家補助によつてはいかぬ、自分の仕事は自分でやれというような概念は、そこから出て來るのではないかと思うのであります。私申し上げるまでもなく、日本の農業はそんな力強いものではなく、藩制以來、明治以來、藩制時代は藩主に、明治以降は國にすがつて、國の補助政策に依存して、公共的な事業をかろうじてやつて來たみじめな農村なのでありますが、その状態が私はわかつておらぬと思う。私の想像でありますけれども、もしその想像が事実であるとするならば、農林当局においては、これからの大きな仕事として、あらゆる機会に向うさんに日本の農業の実態を認識してもらうことに対する努力が必要ではないか、これは政府だけでなく、私どもも同じ責任を持つわけでありますが、その点について御感想の一端を承りたい。大体これだけをお聞きします。
#4
○森國務大臣 村上さんにお答えいたします。食糧の確保につきましての責任を農業者にのみ負担させるというやり方ではないか、責任をどこにおいておるかという御質問でありますが、もちろん食糧確保の問題は政府自体の責任であります。政府の責任である以上、確保の方法といたしまして、生産者である農民諸君に、十分今日日本の食糧事情を理解していただきまして、政府の施策に協力していただきたいのであります。こういうふうな立場から、今回立法をいたしたのでありますが、もとより先方から指令が発せられましたその指令に基づいたのではありすが、申し上げるまでもなく、年々アメリカより食糧の補給をお願いいたしておりながら、日本の食糧の状態はどうであるか。今お話のように、あちらにもこちらにもやみの食糧が働いておる。そうして一方には転落農家としてはだか供出をして、あとの食糧に困つておるという間がある。つまり……(「食糧行政が悪いからだ」と呼ぶ者あり)ぼくは答弁をしているんですよ。討論会ではありません。
#5
○山村委員長代理 委員外の発言をしないでください。
#6
○森國務大臣 こういう面から食糧問題をどうして行くか。これは日本の食糧がアメリカの援助によつて救済されているにもかかわらず、一面においてこの食糧が十分に確保できていないということそれ自体が、今日の情勢であるのであります。この米の供出制度というものを設けられましてから、歴代の内閣はいろいろの施策を講じて來たのであります。本來生産者に供出をお願いいたしまするその数値が妥当であるか、妥当でないかということがここに問題にされるのであります。アメリカ側から申しますれば、日本にこれだけ食糧をやつているんだ、それにやみの食糧が流れておるということは、はなはだ日本政府として、日本自体の食糧事情に対してやり方が悪い。それであるからあらゆる手段を講じて、生産者から余裕を生じた食糧を政府の手に確保すべきであるというのが今回の指令の考え方であります。それがなぜそういうふうになつておるかということは、在來の政府がいろいろと心配をして参りましたが、供出制度に不備な点があるということも考えられるのであります。それでどうしても今後この制度を根本的に研究をして、改善して行かなければならぬという段階にすでに入つているのではないかと思うのであります。しかしこれは在來の内閣が考えました容易ならざる問題でありますが、しかし容易ならざる問題としてこのまま継続することは、食糧事情から申しましても許されないので、政府といたしましては、この問題について十分なる研究を遂げて、一日も早く生産者が納得し得るところの供出制度に方式をかえて行きたいという考えを持つておるのであります。なぜこのやみ取引をするかということは、今村上さんのお話になつた通り、いわゆる行政間において欠陷があるということに帰属するのでありますが、この点を考慮し、研究をいたして是正して行かなければならぬと思うのであります。再生努力が欠乏しており、それに対して対策を立てて行かなければならぬ。こういう御質問でありましたが、今日の農村におきましては、非常に生活の上においていろいろの問題が考慮されなければならねのでありまして、農産物の価格の点において、あるいはまた納税の程度の上において、是正して行かなければならぬ問題が相当あるのであります。農産物の価格については、輸入しておりまする食糧と比較してということがよく論じられるのでありますが、輸入されておるところの食糧は、為替レートの関係からこれを清算いたしますと、相当高価なものになつて行くのであります。この高価に評価された食糧をそのままの価格において國内に放出し、また日本の國内の生産いたします農産物もこの水準まで引上げて行くということにいたしますれば、非常なる生活費を高めるということになつて、賃金を上げなければならぬという、いわゆる悪循環をここに生ずるのでありまして、今日の農産物の価格は決して妥当とは考えておりません。これは適当に是正して行かなければならぬと思うのでありますが、そういう事情に置かれておりまするから、でき得るだけ再生産に要する資材等を安くいたしまして、この生産力の維持に努めて行かなければならぬ。かように考えておるのであります。しからばこういう重大な食糧増産に対して、政府としてあまりにも政策がないではないか。こういうことでありますが、予算の間については先般來たびたび申し上げました通りでありますが、現在における農業の施設におきまして、今日の許される予算の範囲内におきまして、まず今日考えておりますることが最大限度である。今後におきましては、この是正のために農業政策を推進して行きたい考えを持つておるのでありますが、今日の予算の編成が一つの鉄則にくくられておることを御承知と思いまするが、そういう関係で、十分考えましたところの政策ができ得なかつたことは遺憾でありまする。今後におきましては、さらにこの方面に特に注意をいたして行きたいと思うのであります。
 なお連合國の日本の食糧事情に対する考え方でありますが、これは私もかつて考えたことでありまするが、連合國が日本へ進駐されまして、わずかの期間に日本の農業対策をきめられた。そのきめられたことにして、はたしてそれが精巧なる基礎を持つた調査であつたかということに、相当われわれは疑問を持ちまして、当時連合國の方に交渉いたしたのでありますが、連合國といたしましては、日本政府から堤供いたしたる廣汎なる統計によつて、日本の現状を調査し、そうして対日理事会等の意見等も合せて、この農業政策を立てたのである。こういうことであつたのであります。何分連合國といたしましては、科学的にすべてを批判されまして、ただ六感をもつて申し上げたり、あるいは想像をもつて申し上げては、これは問題にならないのでありますが、その当時日本政府の持つておつた統計がはたして妥当であつたかどうかという問題であります。戦争中日本の統計は全部秘密にせられまして、何もかも國民にこれを知らさず、そうして指示された統計であつて、それが戦争のために相当数焼失しておるというようなあとを受けての日本の國勢でありますから、十分なる調査がほとんどできておらない。農林省におきましても、昭和十六午以後のほんとうの農産物の農業統計というものはなかつたというような現状でありましたがために、私は、その間に日本の農業政策を樹立する根本が、そういう不確実なものによられた部門が幾らかあつたのではないかというようなことも、想像されるのであります。われわれは今日の現状をよく認識してもらうように、あらゆる努力を機会あるごとに進めておるのでありますが、今村上さんのお話になりました通り、日本の農業という観念と、連合國の考えられておられるような農業という観念と、非常に思想そのもの、考え方が変つておるという点も幾らか影響すると思いますが、赤裸々に日本のこの農業の実体を把握し、これを向うに披瀝して、適切なる農業政策を立てられるように協力をしていただく、かような考えを持つておるわけであります。何分農業政策と申しますことは、そう一夜づけで参るものではありません。これは長き時日と相当の経費を要するものでありまして、ひとり政府の考えのみならず、國民一般の諸君に日本のこの現状、食糧の事情等をよく理解して協力していただきまして、日本再建に努力してもらうということを、私はお願いしてやまないのであります。この米の取引においても、いかに法をつくつても、いかにしてこの法をくぐるか、こういう考え方を持つておられては、幾たび法制をいたしましても、その法の効果が現われて來ないのであります。また百人のうちただ一人この法を犯す者があつても、その人のために法をつくつて行かなければならぬのでありますから、日本の現状を國民諸君がよく理解していただくことによつて、政府と國民協力した農業政策が行われて行くのではないか、かように考えておるわけであります。
#7
○村上(清)委員 もう一つ具体的なことを、これは食糧管理局長官にお尋ねいたしたいのであります。先ほどちよつと申し上げましたが、指令によりますところの集荷の最大限の実行が不可能か、それをどうお考えになつておるか。現行法によつては、政府の所期する集荷の最大限の実行ができないか。もし不可能とすれば、現行法のどこに欠陷があるかという点。もう一つは、改正案によりましたならば、指令によります通り集荷の十二分の実行ができるという確信があるかどうか。むしろ法でしばつて、今まで八百万石のやみ米と言われますが、さらにやみ米が上まわるような結果になりはしないか。本年の作柄等も関係しますが、昨年のような豊作ならとにかく、今年は少くとも昨年よりは作柄が悪いと見るのが常識であると思います。作柄ともにらみ合して、この法でしばる改正案でかえつてやみ米がふえないかどうか、その点の見通し、すなわち指令の目標に相反する逆効果にならないかという点についての、食糧管理局長官の見解を伺いたいのであります。
#8
○安孫子政府委員 改正法案の結果、かえつて指令にございまするような、最大限の集荷ということが期待できないのではないかというお尋ねでございますが、大体この改正法案の趣旨は、從來申し上げておりまするように、年間の受給計画を作定して、その基礎になります内地の集荷量は事前割当数量によるわけであります。ところが日本のような土地においては、必ずどこかに災害がありますために、減額補正をいたしますということは必至であります。そういたしますと、この事前割当数量よりも、常に集荷数量が低いというのが一應結論になるわけであります。これはその年の日本における全体の作況によることでありますけれども、たとえば非常に一部地帶は災害で悪いが、一部の地帶は非常に豊作に恵まれた。こうした場合には、この豊作地帶において集荷をすることのよつて、この減りました数量を補填して、事前割当数量の程度を確保するということが可能であります。全体が非常に凶作であります場合は別論として、以上申し上げましたような場合には、それが最大限の数量の確保になるという考えをいたしておるのでありまして、この点から申しまして、今回の改正法案は司令部の指令に沿うものであるというふうに考えておるのであります。
 また改正法案を実行いたしました結果、かえつてやみ米がふえるのではないかという疑問についてのお尋ねでございますが、私はやみ米のよつて來る原因はいろいろあろうと存じますが、やはり農業経済の窮迫ということも大きな原因の一つとなつております。この点は農業政策の総合施策によつて、農家経済を向上せしめて行くことによつて解決すべき問題ではありますけれども、この法案を実施いたしますことによつて、やみ米がふえるということはございません。むしろ減るという方向に向くものではなかろうかという考え方をいたしておる次第であります。
#9
○八百板委員 この法律に対する改正は非常に重要なる意義を持つものであることは、各位によつて述べられました通りであります。この供出に関する法律案に対して、私どもが考えまする場合に、これは一つの作付命令とも言うべきところの性質の法令であると言わなければならないのでありますが、かようにして計画的な作付を農民に対して命令いたします場合においては、ただいま村上委員によつても述べられましたように、当然に國の大きな責任がこれに伴つて起るものであるということは言うまでもないことであります。從つてこの生産計画の農民に対する割当は、同時にこれに必要なる資材のあらゆる裏づけを條件といたさなければならないのでありますが、そのことは、農民に対してこの計画を割当て示しますると同時に、國が相関的義務を負うものであつて、いわば國家が連帶責任を割当と同時に背負うものであるというように考えるべきだと思うのであります。さように考えて参りますならば、こういうふうな一つの考え方というものは、單に農業場面に対してだけ法制的にわくをはめらるべきものではなかろうと思うのであります。すなわちわが國の憲法によつて、法律の前に平等なる立場を與えられておりますが、そういう考え方は、同時に法律を定める場面においても同様に考えられなければならない考え方でありまして、從つて農業場面に対してさようなる計画生産、割当生産、責任制というふうなものが法制化せられて行きますならば、同時に日本の全産業に対して、同様の考え方が法律的にきめられて行くべきものでなければならないと思うのであります。そういう意味合いにおいて、この法律がここに一段と強化せられるということは、さような意味における大きな責任を農業に対して課することでありまして、從つてわれわれはほかの産業面に対しても、同様の生産責任制というような態勢がとられなければならないということを考えるのでありますが、さような点について農林大臣は、農業に対してかような生産責任制をもつて臨むと同様の態度をもつて、その他の産業にも同じような考え方を進めようとする意思があるかどうかということを、この際伺つておきたいのであります。これは農林大臣のみでなく、内閣の責任においてお答えを願つた方が適当であろうかと思うのでありますが、この際農林大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#10
○森國務大臣 まことにお説ごもつともでありまして、政府が生産に対する責任を強要いたす場合におきましては、その強要いたしましたことに報ゆるべきこともまた政府自体が当然考えるべきであると考えております。(「法律案に明記してないじやないか」と呼ぶ者あり)答弁中であります。
#11
○山村委員長代理 北君、静粛に願います。
#12
○森國務大臣 從つて重要産業として今日日本において考えられておるものにつきましては、石炭、電力等のごとく、あるいは肥料のごとく重要物資として、基礎材料として、いわゆる安定帶物資としての生産に対しましても、補助金をやるとか、特別なる資材の確保をなすとかいうことをとつておるのでありますが、それと同時に、この食糧ということが実に國家として重大なものでありますので、この食糧を生産してもらうことを強要する上におきましては、肥料の生産の上におきましても、また農機具の生産の上におきましても、政府は世金を持つて生産者に迷惑がかからないように、これをして行かなければならぬと考えておるわけでありまして、これは國としてのあらゆる産業にも考えられることでありまして、政府はさような施策を物資の面において、あるいは資金の面において考慮を拂つておるわけであります。
#13
○八百板委員 大臣の御答弁によりますと、農業に対する生産責任制というような考え方は、その他の全産業に対してもとらるべきであり、漸次そういうふうに法制的に体系づけられて行くべきものであるというような御返事のように自ら伺つたのでありますが、さように考えてよろしうございますか。
#14
○森國務大臣 今お答えいたしました通りであります。
#15
○八百板委員 そこでこの措置法につきまして考えて参りますに、われわれは國家が全体の責任において当然履行すベき義務を行つたときに、初めて農民に対して供出を求める國の権利と申しますか、権限と申しますか、そういうものが発生する性質のものであろうと思うのであります。從つて、そういうふうに考えて参りますならば、一面から言えば國は農民に対して食糧生産のおたのみをする、國の委託行為であるというふうに考えるべきだと思います。そういうふうに考えまするならば、もしその責任を國が部分的に履行し得なかつたような状態が起りました場合においては、その履行しなかつたところの國の責任と同時に、供出を農民に対して求めるという権利を失うものであるというふうに考えられるのでありますが、そういうふうに考えて行きますれば、今回ここに用意せられておりますところの改正案の内容は、まつたくそういう趣旨とは相反する方向になると私は考えるのでありますが、この点どういうふうにお考えになつておられるか、大臣の所見を承りたいと存ずる次第であります。
#16
○森國務大臣 食糧を委託して、その委託したお互いの権利、義務といつたようなむずかしい考え方ではなしに、今日の食糧事情によりまして増産をしなければならない。つきましては増産の直接責任の衝に当つておられるところの農業者に増産をしてもらう、これより道がないのでありますから、その増産してもらうことについて、政府が責任上そのお願いしておることに対してできるだけ政策を持つて行く、こういうことを考えて行かなければならぬと考えておるのでありまして、それが十分やれなかつたから供出を拒んでもいいのだというような権利、義務という考え方ではなしに、日本の食糧増産を担当してもらつておる農業者の労苦に対して、政府はあらゆる便宜をはかり、あらゆる政策を持つて行かなければならぬと考えておるわけであります。
#17
○八百板委員 そういうふうに伺つて参りますと、國の要請の前には農民の義務は絶対であるが、國が農民に対して果すベき義務については、できるだけのことはやるが、できない場合にはしかたがないという意味にとれるのでありますが、さようなことになつて参りますと、この法律の全体を流れるところのものは、一方的なものと言わなければならないのでありまして、ことに供出数量の割当等につきましては、文字通り一方的、天くだり的なものであると考えなければならないのであります。しかも今回の改正は農民に対して無制限に供出を要求する権限が法律上付與せられるように考えられるのであります。こういうふうに農民に対しては、制限なく國の必要の前には供出の義務をどんどんおいかぶせて行く、こういうふうにこの法律が改められて行きますならば、この法律そのものの特長でありますところの事前割当というものは、全然意味をなさなくなつて來るのではないかと思うのであります。從つてこの食糧確保臨時措置法の今回の改正は、まつたく意義をなさないものではないかと考えますが、聞くところによりますと、本法案に対しては、與党であられるところの民主自由党の中においても、相当大きな反対、異論があると伺つておるのであります。いろいろの点を考えてみまするに、この法律は諸般の情勢を考慮いたしまして、この際出すことをおやめになつた方が一番賢明ではなかろうかと思うのでありますが、大臣はさようなふうに本案の取扱いを進めて行かれる御意思があられるかどうか、この際お伺いいたしておきたいと思います。
#18
○森國務大臣 與党がどう考えておられるか私はわかりませんが、今日の食糧事情といたしましてこの法案を出さなければならぬ、出すことが日本の食糧問題解決のために妥当であると確信いたして提案いたしたのでありますから、決して今さらこれを撤回するというようなことは考えておりません。どうかひとつ日本の食糧事情をよく認識していただきまして、法案のすみやかな御可決を願うのみであります。この法案に対して今お述べになりましたように、無限に農業者から食糧を供出せしめるというようなことは考えておらないのであります。この事前割当にいたしましても、これが完全に納められまして、食糧の需給推算をいたしている予定が、アメリカからの援助も予定通りに許されて、政府の当初考えました供出量が完全にできますれば、何ら追加割当をするとか、あるいは超過供出を強要するというような必要はないのであります。これは先ほど食糧長官も申しました通り、日本の国内の氣候情勢が、必ずというわけではありませんが、たいがい一月に一回、二回地方的に天災をこうむるような國柄になつておるのであります。当初事前割当をいたしました分量が完全に収穫され、完全にこれが供出される場合におきましては、農家に対しても相当の保有食糧も認められるということになるのでありまして、あえてこれを補正するということもいらなければ、あるいは超過供出を強要する必要もないのであります。これが万一事前割当を変更せざるを得ない、いわゆる補正しなければならないというような場合によつてこの問題が起るのでありまして、今日まではこれを自主的に超過供出といつて出してもらつておつたのでありますが、これを今回法制化いたしまして、そうして集荷の完璧を期したい、こういう氣持を持つておるのでありまして、無限にこれを供出せしめるというようなことを考えた法律では毛頭ないのであります。
#19
○八百板委員 この点につきましては、後ほどまたお伺いいたすことにいたしまして、どうしてもこの法律を通さなければならない、通したいのであるという大臣の御意向でありまするので、通すということになりますと、こり法律の持つ影響というものはきわめて重大なのでありまするので、相当詳細にいろいろの点にわたつてお尋ねをいたさなければならないと思うのでありまするが、こまかい点にわたつてのお尋ねをいたしまする前に、一言はつきりこの際お伺いいたしておきたいと思うのであります。從來民主自由党は、昨年の党大会におきまして、御承知のように民主自由党の大きな政策の一つとしまして、供出後の米の自由販賣ということを党議によつて決定せられておるのでありまするが、おそらくはこの問題は、この食糧確保臨時措置法を一應今回は通して、次の機会において実現せられる御意思があられるのであろうと思うのでありまするが、この食糧確保臨時措置法の改正と、供出後の食糧の自由販賣とを時間的にどういうふうにつなぎ合せて行かれるお考えであるか、この際にまずお伺いいたしておきたいと存ずるのであります。
#20
○森國務大臣 たびたびお答えいたしておりますから、すでによく御承知になつておられることと思いますが、重ねての御質問でありますから申し上げます。自由党の政策のうちに、供出後の自由販賣をやるということをかつて政策として揚げたのでありまするが、これはその用いました言葉の表現が私は非常によろしくないと思う。私といたしましては、かつてそういうことを申し上げたことはないのであります。この供出制度は実際どれだけとれたかということを調べて、その立毛の成績によつて割当をいたすということが今日までなされて來たのであります。それでありますから、いい田をつくつて米をよけいとれば、それだけ保有量は一定されておりますから、より供出しなければならない、努力すれば努力するだけより供出をさせられるというのが、この供出制度のできたときであります。それでありますから、そこに生産意欲が起つて來ない、自分の食糧が相当確保できて、割当のものさえできればというような、まことに水くさい氣持になつて來るのであります。それでありますから、この土地の力を一應評価いたして、それを基準として供出の基準を定める、いわゆる事前割当にいたしましても、事前割当の基礎がその土地の力に割当てられなければならない、そうしますれば、その土地の力に割当てられた数量を確保すればそれで普通でありますが、その地方以上に活躍せしめて努力いたしますと、そこに事前割当をされた以上の供出の余裕が生じて來るとも考えられるのであります。そうしますと、それを超過供出として今までは自由意思にやつておつたのでありますが、その生じた余裕をその生産者が自分の意思によつてこれを自由に処置して行く、こういうことに考えたら、生産力を落さずしてますます働いたら働いただけよけい自由に処置するところの分量が出て行く、こういうことを私は考えて、過去においてこの立毛のいかんによりまして、あるいは坪刈りするとか、あるいは檢見するとかいつて騒いでこの供出の制度をつくつたことがいかぬ、やはり耕地というものの地方を吟味して、そうしてその地方からさらに自分の努力によつて生産量を上げて來た、上げて來たものがそれだけ事前割当以上のものをつくり出したときにおいて、生産者が自由意思によつてこれを供出するような供出制度が、いわゆる生産力をふやし、働けば働いただけそこに楽しみのある農業が営まれる、そうしてその米の処置というものは決してどこへ賣つてもよいというのではありません。それはその生産者の意思によつて政府にこれを供出する、こういう考え方が私の持つておるいわゆる俗にいわれておる供出後の自由販賣というふうに表現されておるのであります。さようにに私は考えております。
#21
○八百板委員 供出後の米の自由販賣につきましては、大臣は言つた覚えがないとおつしやるのでありまして、この問題について大臣にこれ以上追求してもいたし方がないと思うのでありますが、しかしわれわれの通常の常識といたしましては、その所属するところの党の公然たる政策として発表いたしましたものを、かりに一党員である人が口に出したことがないといたしましても、やはりその責任はとらなければならないものではないかろわれわれは常識上考えるのであります。しかも民主自由党の代表として農林行政を担当する立場においでになる大臣の言といたしましては、私は何べん聞いてもどうも意味がわからないのでありますが、その点についての議論はこの程度にいたします。
 食糧確保臨時措置法に対する諸般の施設につきまして、具体的にお伺いいたしたいと存じます。農林大臣は、農民に対して供出の割当をいたしますと同時に、國の負担すべき義務をも忠実に、しかも確実に実行するものであるということを先ほど述べられたのでありますが、私はその点について食糧確保臨時措置法第三條によりますところの政府の諸般の処置について、少しくお尋ね申し上げてみたいと思います。
 まず第一に私は資金の面についてお伺いいたしたいと存じますが、今日日本の産業資金計画の中で、対日援助見返り資金に期待するところが非常に多いことは御承知の通りでありますが、この点につきましては経済安定本部の御意見を伺いたいと思うのでありまするが、見えておらないようでありますから、從いまして、安本の名において発表せられましたところの計画は、同時に農林省の責任において発表せられたこの裏づけとしての計画と承知いたしまするので、この点についての御答弁をいただきたいと存ずるのでありまする。まず見返り資金の運用につきまして、われわれが今日承知いたしておりまするところは、一千七百五十億の見返り資金のうち、鉄道建設公債に対する百五十億、通信に対する百二十億、復金債の償還に対して六百二十四億、合計八百九十四億の一應の決定をみたということを聞いておるのでありまするが、残りの使途につきましては、今日安定本部並びに大蔵省等々において目下意見の一致をみるに至つておらないという話であります。ところで、これを農業資金の点について考えて参りまするに、先ほど先般の土地改良の問題についてお尋ねいたしました際にも、農林当局よりの御答弁を願つたのでありまするが、大体百八億くらいの資金をその方面から振向けたというような用意をいたしておりまして、預金部資金等を加えまして、さような計画を立てておられるというふうに伺つたのでありまするが、聞くところによりますると、最近対日援助資金の融通につきましては、農業面に対して融通するということは不適当であるというような考え方が有力になつて來たというふうに伺うのであります。すなわち日本の農業の生産力はすでに限界点に達しており、かような日本の農業に対して、長期の巨額の資本を投ずるということは、採算上不利益である。それよりも、むしろ輸出産業の方面にそれらの資金を流しまして、そうして輸出代金によつて外國の食糧をあがなつて行くというような行き方の方が、いいのではないかというような考え方にかわつて來たということを私どもは聞くのでありますが、さようなことになりますると、この見返り資金に依存しておりましたところの、莫大なる農業関係の資金に大きな狂いが生じて來るということは、御承知の通りであります。そういうふうになりまして、当てにしておつたところの資金が全然農業場面にはまわつて來ないということになりますると、この裏づけといたしまして、政府がわれわれに発表せられましたところの計画の一環は、大きく崩れて行くということになるわけでありまするが、さような点につきまして、ただいまの状況並びに見通し、もしそういうことになりました場合の代案等等につきまして、具体的なる御説明をこの際伺つておきたいと存ずる次第であります。
#22
○森國務大臣 対日援助物資の資金として千七百五十億円の使途についてでありますが、これは今お述べになりました通り、運輸、通信等のはつきりしたものもありますが、そのほかの問題につきましては、いずれにこれを使うというようなことは、いまだはつきりいたしておりません。これは予算編成の当時、日本政府の一方的考えによつてこれを決定することはできないということになつておるのでありまして、一應こちらが案を立てて、そうして了解を求めるという筋になつておるのであります。いつか新聞に出たようでありますが、決して安定本部におきまして、これこれにこれだけのわくをやる、これこれにこれだけのわくをやるというようなことはきまつておりません。ただ、今政府の閣議で決定いたしておりまするものは、まだ公表はする次期に達しておりませんが、どういうふうな順位にこの金を使用すべきであるかということを檢討を加えたのであります。從つて、この檢討を加えました順位において、金の額を今後きめて行くのでございまして、いまだにはつきりとできておりません。これが事実であります。つきましては、農林資金に対しては、どういう考えを持つておるかということでありますが、これは昨年は九月から規定されたのでありますが、三十億のわくをきめまして、中金を通じて農業、水産の復興金融をいたしたのであります。それが二十一億ばかり融通ができておるのでありますが、中金を利用いたしますとすれば、中金は御承知の出資金が四億円でありまするから、その二十倍をその貸付のわくとせられますので、八十億円ということになります。その八十億円のうち、すでに二十一億というものが貸し付けてありますから、そうすると約六十億ということになるのでありまして、今日とうていこの六十億というような僅少な金では農林水産の資金としては不都合を來しますので、今政府におきましては、預金部等の結果にももちろんよりますが、相当の資金をこの農林、水産方面にまわして行きたい、かようなことを考えておるわけでありまして、今お話になりました対日見返り物資の資金に対しましては、今申しましたような段階で、ただこれの融資する順位を大よそ考えただけであります。しかし一應これらに対しましては、どういうふうな金額を與えたがいいかといことも近く決定いたしまして、その原案についてさらに了解を求めることとなろうと思うのでありますが、ただいまはそこまでの運びに至つておらぬことを御承知を願いたいと思います。
#23
○八百板委員 私どもが政府より、食糧確保臨時措置法改正法律案の資料として頂戴いたしましたものを見ますると、農業長期資金計画案として安本の発表がございまするので、農民に対する具体的なる供出の割当をするその裏づけとしての農業計画の一環でありまするから、さだめし具体的にして実行性のあるものであるというふうな考え方をもつて、私どもは拜見いたしたのでありまするが、ただいま伺いますると、單なる案であつて、はたして実行できるかどうかということについては、わからないものであるといことを伺いまして、まことに残念に存ずる次第でありまするが、この発表いたしましたところの案によりますると、かんしよに対する貯蔵の施設の費用であるとか、あるいは農業水力発電の施設であるとか、その他灌漑、排水、土地改良、干拓、災害復旧等のものにつきましては、金額を見返り資金に依存しておるというような資金の計画になつておるわけであります。かような不安定な基礎に立つて資金計画を立てられて、一方においては具体的にして強権を伴うところの割当供出をせられるというような、そういう行き方というものは、先ほど來の大臣の御答弁とは大きく食い違つて來るように考えられるのでありまするが、この点につきまして、どれだけの具体的な見通しがあるかということをもう一ぺんはつきり伺つておきたいと思うのであります。もしどうしても見返り資金を通じてこれらのまかないがつかないものであるといたしまするならば、それにかわるどういうふうな農林資金調達の具体的な案があるかということ、そういうふうな点につきまして構想なり見通しなりを伺つておきたいと存ずる次第であります。
#24
○森國務大臣 全然見込みがないというようなことはないのであります。見返り物資としての資金の運営計画が、先ほど來申し上げましたような段階にあるということを申し上げたのでありまして、今これだけのものを予想するということは、はつきり申し上げられないのであります。しかし、少くとも百億以上、百四、五十億の資金というものは、この農林、水産方面にはぜひとも資金として考慮しなければならないということを考えまして、財務当局とも交渉をいたしておるわけでありますなおキユアリング施設に対しましては、すでに発表いたしております五億円程度でありますので、これは特別会計でやりますか、あるいは見返り資金の方から繰入れられますか、これは非常に興味のある仕事であり、また効果的な仕事でありますので、これはすでに見返り資金の方からまわしてもいいという承認は得ておるようなわけでありますが、その他の問題につきましては、今安本において、このくらいはいいだろう、これだけはまわさなければならぬというような計画を進めておるのであります。安本からどういう資料を出しましたか知りませんが、それは、安本としてこのくらいのことは確信を持てるという一つの予測ではないかと思うのでありますが、農林省といたしましては、できるだけの資金を確保いたして、農林、水産事業の発達に役立たせたいと、かように考えておる次第であります。
#25
○八百板委員 大臣から、いもの貯蔵につきましては責任のある資金調達の方法をとるというような御答弁を伺いまして、その熱心に大いに敬服するわけでありますが、聞くところによりますと、農林省はこの際農業の経営面の資金についても何らかの考慮を拂う必要があるというので、たとえば農家経営維持資金の融通に関する法律というようなものを用意いたしまして、そうして農民の蓄積部分の資金は農民にというような、つまり農民の蓄積分は農民に還元するという考え方のもとに、たとえば自作農創設特別会計によつて三十億とか、あるいはその他の特別会計の手持ちの余裕分として三十五億円とか、そんなものを合せまして、そういう農業経営の上の金融の法律をつくるというような考え方もあるように聞くのでありますが、こういうふうな点につきまして、どの程度に具体的な話が進んでおるか、この際伺つておきたいのであります。
 なお、農林金融の面につきましては、農林省がいろいろ骨を折つておられるということは承知いたしておるのでありまして、從いまして私は、むしろ安本に対してお尋ねした方がよろしいと思うのでありますが、おりませんのでこの際農林省の御意向、それからなおとかくこういう際には、安本や大蔵省がどうも気乗り薄でありまして、実現しない場合が從來多かつたのでありますが、そういう点に対する見通し、熱意のほど合い、そういうふうなものを、ちよつとこの際伺つておきたいと思います。
#26
○平川政府委員 農業関係の営農上の流通資金につきましては、およそ主食に必要な本年度の年間資金としましては、約三百五十億くらいがいるんじやなかろうか、これは肥料、それから農機具、農薬というようなものの資金でございますが、これに対しましては、昨年來実施をいたしております農業手形の制度によりまして、各協同組合において手形を発行いたしまして、中金から系統信用組合を通じまして流して行く、中金の資金繰りが苦しい場合におきましては、日本銀行においてこれを担保にして貸付をする、こういう制度をとつております。これにつきましては、農業保険の保険金の限度というような制限、それから買う資材が、ただいま申しました肥料、農機具、農薬というような配給資材に限られるわけでありますけれども、金額といたしましては別に制限がありませんので、それらの費目に合致するものでありますれば、手形を組んで参りますと、組合系統としては総額には別に制限なしに貸出しをするわけであります。現在までのところ、大体五十億くらいの金額が手形に組まれて中金に來ておるような状況でございます。短期の資金の方は大体そういうことで間に合うだろうと考えておるのであります。
 それから長期の方の資金につきましては、まだ政府部内におきましても正式の決定を見ておるわけでございません。司令部の内々の意向を聞いておる程度でございまして、確定的な数字はまだきまつておらないわけでありますが、およそ農業関係といたしましては、大体総額にいたしまして、農業だけで五十五億程度のものと、十五億程度の國営の事業とでありますから、大体七十億くらいの見当になります。そのくらいの見当のものを一應の案といたしまして、小渡りに当つておるような状況でございます。司令部の方におきましても、全然それに対してはつきりしたことを申しませんで、これはなお檢討中という状況でございまして、はたしてどの程度に認めてくれるものであるか、まだ何とも申し上げかねるような状況で、安本、大蔵省方面においても、まだ内相談を続けておるような状況でございます。
#27
○八百板委員 いろいろ伺いますと、ますますわからなくなつて來るのであります。先ほども申し上げましたように、農民に対する供出責任の方は、具体的にがつちりときめておいて、それと一緒に行うべきはずの第三條の農業計画のその他の面については、いずれもこれは不確定。未決定であるというようなお話でございまして、どうも片手落ち、一方的なやり方で、あまりにひどすぎるのではないかと思うのでありますが、私は、この政府からいただきました食糧確保臨時措置法改正法律案資料というものは、それぞれ第三條の規定に基くところの、農業計画の一環としてちようだいしたものであるというふうに理解したのでありますが、これはそういうものではなくて、全然責任の持てないものでありますか。その点ひとつはつきり伺つておきたいと思います。
#28
○安孫子政府委員 私からお答え申し上げます。この法律案の参考資料の中には、確定いたしたものと、目下交渉中のものとあるわけであります。ただいまの営農フアンドについては、交渉中のものと御了解願います。
#29
○八百板委員 農業手形の問題について、先ほどお答えがありましたから、この際その点につきまして、少しくお伺いしておきたいと思うのでありますが、ただいまのお話によりますと、確定したものと未確定のものとあるというお話でありますが、ここに示されましたところの四の資金措置というものは、確定の分に入つておるようでありまするからして、おそらくこれについては決定的な用意がせられておるものであろうと思うのでありまするが、これについて考えて見まするに、二十四年度の主要食糧農産物に対する割当生産資材の購入所要資金は次の通りであるというふうにして、表示せられておるわけであります。これによりますると、二十四年度の生産資材を購入いたしまするために必要なる所要金額は、三百五十一億円というように記載せられておるのでありまして、その調達の方法といたしましては、貯金の拂いもどしによるものが二百二十一億円、農業手形によるものが八十億円、協同組合一般貸付によるものが五十億円というふうに示されておるのであります。これを拜見いたしまするに、私どもはどうもこれまた非常に数字的に不確実なもののように考えられてならないのであります。まず第一に、貯金の拂いもどしにつきまして、二十三年度との比較を見まするに、二十三年度の百四十億に対しまして、二十四年度は二百二十一億というものを見積つておるわけであります。二十三年度よりも二十四年度がいかに金融の面において手詰まりを生じておるかということは御承知の通りでありまして、金繰りのより以上困難な状態のもとにおきまして、農民の自己資金というものを昨年の倍にも見積つたというふうな点は、非常に根拠が薄弱ではないかというふうに考えられるのであります。政府から発表せられましたところの、たとえば経済白書などによりまして考えましても、たとえば通過の滞留状況の調査などによりましても、二十二年の六月において二八%であつたものが、二十三年の六月には二〇%に減少しておるというような状態でありまして、おそらく今日、二十四年の六月の数字は、あるいは昨年の半分、あるいはもつと下まわるような通過滞留の状況を、調査の結果は示すのではないかと私は思うのでありますが、そういうふうに、どんどん金は減つて行く。ところが一方農民の所得はどんどん同時に減つて行く。また政府発表の資料によりましても明らかなように、日銀の消費財の、たとえばやみ物価指数などを見ましても、食糧品の値上りは、やみの面につきましても、昭和二十年に比して六倍くらいにしか二十三年の十二月になつておらないのでありまするが、一方必需品の方は、日用品につきましては七倍、繊維品につきましては十三倍というふうになつておるのでありまして、その後一段とこの傾向は強まつておるであろうと思うのでありまして、どの面から見て参りましても、農家のふところぐあいが去年よりいいという数字は出て來ないのであります。さらに農業経営の面につきましても、経営の規模はますます零細化の傾向をたどつておるのでありまして、農民の自己資本によるところのまかないが、昨然よりもよけいに見積られるという根拠は、どこから見てもないのでありまするが、これを資金調達の面において、去年よりも自己資金を倍見積つて、そうしてつじつまを合せるというふうなやり方をとつておられるように、私には考えられるのであります。この点につきまして、この資金措置について計画せられましたところの当局は、いかようなる見解を持つておられるか、その点明瞭にお答えを願いたいと思うのであります。
#30
○平川政府委員 この資金計画は、御指摘のように相当確定で計算せざるを得ないわけでありまして、かなりにそこのところの確実性については、事態の推移とともにいろいろ訂正を要するところもあろうかと思うのでありまするが、一應こういう算出をいたしましたのは、二十三年度に比べまして、二十四年度においては穀物価格の値上り等もありまして、たとえば中央金庫に対する預金のごときものも、昨年度に比べますと、ずつと百億以上もふえておるような状況でございます。ともかく金の単位が全体として大きくなつておる。もちろん一面においては、消費物資が非常に高くなつておりますから、ただ單にこの営農上の必需資材だけでなしに、全体的に高くなつておると思うのでありますけれども、一回穀物価格の値上り等によりまして、組合に対する預金がふえておるという面もあろうと思います。これがこの時期におきまして、中金あるいは懸の協同組合連合会等から、協同組合等を通じまして拂いもどしの形で行くものも、金額としては相当にふえるのではないかという見通しを一應立てまして、前年よりも百二十億くらいの増額を見たわけであります。農業手形等につきましても、これがどのくらいの金額出るかということにつきましては、実は非常にはつきりした見通しがあるわけではありませんけれども、しかしことしの状況等を見ますると、昨年度は実施早早の関係もありまして、東北、北海道方面が主でありましたが、本年は西の方でも相当利用しておられるようであります。先ほど申し上げましたように、一應こういう推算は立てましたが、しかしこの農業手形の分につきましては、もし貯金が非常に足らなくなつた、どうしても手形で借りなければならねという金額におきましては、この八十億という金額に必ずしも制限せぬのであります。この三百五十億までの、ここにあります肥料、農機具、農薬につきましては、かりに極端に申して全額手形で行かなければならねというような状態になりますれば、全額でも行き得るような措置になつておるのであります。そこで大体救済ができるのじやないか――一應の推定としましては、前年に比較しまして全体的に單価が上つておりますので、こういう推定をいたしましたけれども、万一貯金拂いもどし、一般貸付の方面においてこれだけ行かない場合においては、手形で全部救済する道だけは開いておく、こういうことになつておるわけであります。
#31
○八百板委員 資金調達の面につきまして、計画の上に齟齬が生ずるような場合においては、農業手形制度の無限の活用によつてそれを救済することができるというお話を伺いまして、ほんとうにそういうふうになつて行きまするならば、まことにけつけこうだというふうに伺うのでありますが、それにつきましても、私どもは期待いたし、お願いいたさなければならない点は、農業手形によつて、金融の道がほとんど制限なしにつけて行くことができるということになるといたしますならば、ここに重点を置くということが一番的確な方法であろうと私は思うのでありまするが、さてその農業手形の実際の状況についてこれを考えてみまするに、これにはいろいろの制限がありまして、実際上とかく事務的なものをめんどうがるところの農民にとつては、利用せられない傾きが非常に多いのであります。漸次農業手形が活用せられまして、割引の高が上つて行くということは、ただいま述べられました通り、傾向としては現われておるのでありますが、考えてみまするに、農業手形というものを、特にこの食糧確保臨時措置法の裏づけとしての資金計画のその具体的なものとして考えまする場合においては、やはり相当思い切つた農民のための便利な取扱いをするということが、農業手形を取扱つて行く上においてとらなければならない方法ではなかろうかと思うのであります。私はさような意味合において、ことに農民に対して供出の責を國の責任においていたします建前上、農業手形の運用にあたりまして担保を付するというような考え方を、この際やめられることが一番いいのではないかと思うのでありますが、そういう点につきまして無担保に、しかも簡素に農業手形を利用させられるような方法を、農林当局は考えておられるかどうか、この際伺いたいのであります。御承知のように農業手形は最近幾らかその点緩和せられまして、若干便利になつたようでありますが、しかしながらまだいろいろの不便が伴つておるわけであります。非常に手続が煩雑でございまして、農家がこれを利用いたしますためには、たとえば農業金融証明書であるとか、あるいは借用証のほかに市町村長の、あるいは協同組合長などの証明を必要とするというようなことで、書面がいろいろ厄介になつて参るのであります。ことに小人数の農家などは利用できないということが起つております。こういう点につきまして、ほんとうに簡單に約束手形一本やりで融通できるように、農業手形を農民の実情に合つたように取扱つて行かれる御意思があるかどうか、この点を伺つておきたいと思うのであります。
#32
○平川政府委員 まことにごもつともでございまして、私どもも実は農民のことでございますから、できるだけ簡素な形でやりたいということは、前から念願もいたし、主張もいたしておるわけでありますが、何分にも最後には日本銀行で割引をしてもらわなければならぬというものでございますので、日本銀行の建前からいたしまして、たとえば担保をなくするというようなことはどうしても認められないのでありまして、そのために借用の範囲が農業保險金の限度に限られるというような、お話の点の不自由もあるわけであります。これにつきましては何らかの形で担保を提供しませんと、無担保の貸出ということは日本銀行の根本に触れる関係もありますので、それはどうしてもできないわけであります。ただし、たとえば農業保險金の限度に限られる、こういうことについては、たとえば保險にかかつておらないような作物は困るというような関係もございまして、本年は北海道のいも、豆類等に対しましては、これにかわるべき制度として一定の積立金をいたしまして、その積立金によつて災害等の場合の危險担保をするということによつて、新たにこれを農業手形の範囲に入れてもらつたというような状況もございまして、銀行の方の堅い建前と、農業の方のなるべく便利に簡素に、しかも範囲を廣くという要素とがそこで衝突をいたすわけでありまして、私どもといたしましては、日本銀行も実はこれが創設間もない関係上、必要以上に堅くしておりはしないかという点も見受けられますので、一年々々の実行によりましてできる限り簡素にしてもらうように改善をして参りたい、こういうことに十分心がけておるわけであります。
#33
○八百板委員 農業手形の点につきましては、簡素化し、農民のために便利なように努力して行きたいというお答えでありまするが、まず具体的には配給品に限定いたしますと、たとえば農機具などになりますと、実際農民の立場から申しますと、農機具などはその地方々々の実情によりまして、いろいろ農機具の型等もありますので、配給品では実際やつて行けない場合が非常に多いのでありまして、そんなことのために、せつかく農機具の農業手形による融資の道がつけられましても、これがほとんど利用せられておらないという結果になつておりますから、そういう面については、今後農業手形の運要の上に、万全の処置をとつていただきたいということを希望いたすものであります。なお農業手形の利用状況を見ますと、御承知のように單作地帯が非常に多いのであります。戸山、石川、新潟、福島などが、非常に数字の上で金額が多くなつておるようでありまして、このことは單作地帶が今日農業経営の上に資金的に最も困難な状態に追い込まれておるということを、一面において物語るものだろうと思うのであります。そういうような点につきまして、たとえば自家保有量の決定等について、あるいはまた価格等につきまして、主食の特別のとりはからいを積雪地帶あるいは單作地帶に対してとられる考えがあるかどうかということを、食糧管理局長官の方からこの際ちよつと伺つておきたい。
#34
○安孫子政府委員 生産費その他の関係からいたしまして、單作地帯の米価を、ほかの地帶と別にいたしまして、価格を特に有利にきめるというような措置を考えておるかどうかというお尋ねでございます。生産費調査に基きまして米価を決定いたしました際も、これは御承知だと存じまするが、計数をかえた価格というものはなかなか実際問題といたしまして設定が困難でありまして、当時におきましても、中庸生産費をとりまして価格をきめておつたわけであります。一本の価格にしておつたわけであります。北陸地帶、東北あるいは北海道等につきまして特殊の米価を設定する考えは、ただいまのところ持つておらぬわけでございます。しかしながらその辺の事情につきましては、十分考慮を必要とするという考えもございまして、ただいまのところ早場奨励金等によりまして、ある程度の解決を見るような結果になつておるのではないかというふうに私は考えておるのであります。なお保有量の算定によつて特に早場地帶、積雪地帶について考慮する必要ありや否や。ただいまのところ保有量は総合保有の考えをもちましてやつておりますために、特に積雪地帶であるがゆえに保有量を増加して認めるという考えはいたしておらぬ次第でございます。
#35
○八百板委員 改正案の條項についてのお尋ねをいたします前に、もう少し農業計画その他の面につきましてお伺いいたしておきたいと思うのでありますが、決定事項といたしまして、その生産確保の措置といたしまして肥料の点をあげられておるのでありますが、これを見まするに、昨年の報告によりますと肥料の生産は二十二年に比べまして、それぞれ相当の増産があつておるように伺つておるのであります。ところがたとえば硫安に対しては四〇%、石灰窒素に対しては二〇%というような数字を昨年伺つたのでありますが、今回の肥料計画を見ますと、その生産増加の割合いがちよつと減つておるように伺えるのでありますが、肥料生産状況は今日どんなふうな経過を辿つておりますか。この際御説明願いたいと思います。
#36
○安孫子政府委員 その点は商工省から御答弁願つた方がいいと思います。
#37
○八百板委員 それではその点はのちほどお伺いすることにして、直接食糧管理局長官に関係いたしまする点についてお伺いいたしたいと存じます。まず食糧確保臨時措置法の改正の第六條についてお伺いしたいと思います。第六條によりますと、市町村長が異議の申立てを受けた場合は、市町村農業調整委員会の議決を経てこれをきめなければならないということになるわけでありますが、その際に第四條第一項または第二項の規定により支持された農業計画、またはその実施に関し必要な事項の変更を生ずるときは、市町村長はあらかじめ都道府縣知事の承認を受けなければならないということになるのでありまして、実際上この異躍の申立てを受理いたしますためには、変更のない範囲内においてのみ市町村長はその異議を受理することができるという結果になるのでありまして、このわくの中で異議が出た場合にやりくりするということになると、末端の場合においては、甲から異議が出れば、その分は乙にかけなければやりくりができない。乙から異議が出れば、その分は丙の方にまわるということになるのでありまして、結局意義をなさないことになるのではないかと思うのでありますが、こういうふうな点の運用につきましては、どういうふうにお考えになつておられますか、お伺いしておきたいと思います。
#38
○安孫子政府委員 第六條の規定から申しますと、ただいまお話がございましたように、その町村内において、供出数量について申し上げますと、全体の供出数量が変更のない場合において、初めて市町村限り異議の申立てを受理して訂正ができるという形になりますので、実際問題として非常に運用しにくいことは認めざるを得ないと存じます。從つてこれをどうしても府懸の段階にまで持ち上げて來たければならぬ。場合によりましては、國全体の需給の関係にも影響いたして参りますので、國全治まで持ち上げて來なければならぬということが、多くの場合の事例になるのではなかろうかと存じておるわけであります。そんな関係もありまして、末端において異議の申立期間が、公表のあつた日から十日を経過したときはそれができなくなるということは、各町村ばらばらに公表をいたしますために、実際の運用が非常にまずくなるという考えをもちまして、異議の申立てがそろいまするように、そろうことによつて府縣において調整し得るという場合が出て参りますから、そのためにこの第六條の変更を、「都道府縣知事の定める期間内」ということに改めて、その間の運用を適切にいたしたいという考えを持つておる次第であります。
#39
○八百板委員 そうしますと、大体においてふやしてくれというような異議は考えられないのであります。從つて大体においてその計画数量よりも減らしてくれという場合が多かろうと思いますが、それを懸段階に持ち込めば何とかなるということになると、懸段階においては割当以外の何か予備的なわくでも用意しておかなかつたならば、実際上そういうようなことが不可能じやないかと思いますが、そういうような用意をあらかじめいたしておくことを考えてよろしいのでございますか。
#40
○安孫子政府委員 その点は、今回の改正法案におきまして、第八條の3で地方補正制度を認めておりますので、この地方補正を農林大臣の承認を受けまして、一定のわくをとつておきますと、その限りにおいて府懸においてそうした処置ができるということになるのであります。そうした弾力性を持たせようという一つのねらいをもつているわけであります。
#41
○八百板委員 そうすると、そういうわくを利用しないと損だということが起つて、そのわくを利用するために、必要以上に政治的に加減されるというようなことが考えられないでしようか。この点どうですか。
#42
○安孫子政府委員 そういう考えも一應できるかと思います。それでこれを農林大臣の承認を受けないで、府縣ごとに勝手にやられますと、大体作況のいい懸と悪い懸とで補正の点について非常に不均衡が生じますので、農林大臣の承認を受けてそこを均衡のとれるものにしたいという考えをもつて、農林大臣の承認を受けるということにいたしておるのであります。これを認めました結果、いろいろ府縣から中央に対しまして政治的な働きがあるということも一應は考えられるわけでありますけれども、これは各種の資料等によつて、実態をできるだけ正確に把握いたしまして処置をいたしますならば、その弊害は相当除去し得るのではなかろうかと存じます。
#43
○八百板委員 次に第七條の点についてお伺いいたしたいと思うのでありますが、第七條の5を見ますと、市町村長は時期を失しないで当該生産者に割当てをしなければならないということが義務づけられているようでありますが、市町村長にだけその時期を失しないで当該生産者に割当をしなければならないときめてあつても、その上の知事、大臣、そういう方面にこの責任が明確になつておらなかつたならば、何にもならない文句ではないかというふうに思うのであります。下にだけ義務を持たせて、上の方にはそういう義務を明瞭に條項の中に書いておらないということになると、この点うなずけないのであります。これはどういうふうに考えてよろしいのでありますか。
 なおまた割当というものは、單なる計画の帳面上における割当でなくして、現物の割当、現物の調達というふうに考えるべきものかどうか、その点もあわせてお答え願いたいと思います。
#44
○安孫子政府委員 この割当と申しますのは、計画上の割当でありますので、現物の意味ではないというふうに御了承願いたいと存じます。
 それから中央から地方、地方から市町村という段階で、農業計画が割当られて参るのでありますけれども、府懸知事はやはり農林大臣から割当を受けました際は、それをすぐ市町村の割当をきめなければならぬということは、第四條に規定いたしているわけであります。
#45
○八百板委員 そうすると、計画割当というか、帳面の上の割当は明確になつておりますが、現物の計画については、どこにそういう規定をいたしておりますか、お教えをいただきたいと思います。
#46
○安孫子政府委員 現物につきましては、この生産計画を立てまして、各方面の協力を得て、適期に配給ができるように努力をして参るということになると思います。
#47
○八百板委員 そうすると、何か袋だけつくつて、中身のないもののように伺えるのであります。ずいぶんへんなものになるように思われます。しかしこれはちよつとそれ以上お伺いしてもらちがあかないと思いますので、次の第八條をお尋ねいたしたいと思います。
 第八條については、これを読んでみますと、とれないときに減らすというふうな意味でありますから、よけいとれたときにはふやす、とれないときには減らすのだから、とれたときにはふやす、こういうふうな考え方だと思つて拜見いたしておりますと、そうでもないようでありまして、とれたとれないにかかわらず、均衡保持上、必要な場合にはふやすことができるというような規定のように認めるのでありますが、そういうことになりますか。
#48
○安孫子政府委員 根本的な考え方は、やはり凶作といいますか、作況が悪い場合にはそれを減らし、作況がいい場合にはそこから増額して出してもらうというのが、根本的な考え方でございます。
#49
○八百板委員 法文の上から見ると、とれないときでも、均衡保持のために、必要とあればさらに追加割当ができるというふうに解釈できるのでありますが、そういうことにはなりませんか。
#50
○安孫子政府委員 私は通常の状態におきましては、ただいま申し上げましたような方針で、この需給の均衡を保持するためということは、そういう意味において解釈いたしてさしつかえないと考えております。たとえば日本全体の需給が非常に緊迫した状態にあつて、海外からの輸入が杜絶してしまつたというようなことでもあれば格別、通常の状態においては、やはり原則として事前割当制度の数量を保持するということが、一つの需給の均衡の目安というふうに考えて適当だろうと思います。しかしながら先ほども申し上げましたように、全國的な凶作でありまして、この事前割当の予定の供出数量を維持することが困難である場合には、もちろんこれはそういう場合にもその線を維持するためにとるのだ。こういう意味ではないというふうに私は読んでおります。
#51
○八百板委員 なほいろいろお尋ねいたしたいことがありますが、この第八條の問題は本改正の基本をなすものでありますので、暫時休憩していただいて、なお質問をいたしたいと思います。
#52
○坂本委員長代理 この際暫時休憩いたします。
    午後四時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後七時五十八分開議
#53
○小笠原委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。
 この際御報告いたします。本日小笠原八十美外十五名提出による家畜商法案が本委員会に付託となりました。以上報告いたします。
 この際閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。先日本委員会より閉会中の審査の申出をしたのでありますが、この調査の方法といたしまして、全委員を五班にわかちまして、各地に委員を派遣いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。つきましては、衆議院規則第五十五條によりまして議長の承認を得なければなりません。そのためには委員派遣の目的、氏名、期間、地名を記入して、委員派遣承認申請書を議長に提出するのでありますが、これらを皆様に決定いたしていただかねばなりません。その目的、北海道、東北、中國、四國、九州の各班につきましては、特殊農業地帶並びに農政一般に関する調査、及び木材及び薪炭の需給対策に関する件といたし、中部、四國班は右二件のほか、中京競馬場設置予定地の実地調査といたしまして承認をとるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決しました。
 次に氏名、期間等の具体的なことは委員長及び理事に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは後日理事会において決定いたしまして、委員派遣の承認申請書を議長に提出いたします。
    ―――――――――――――
#57
○小笠原委員長 それでは次に家畜商法案を議題とし、審査に入ります。まず提出者の提案理由の説明を求めます。松浦君。
#58
○松浦委員 ただ今議題と相なりました小笠原八十美外十五名提出にかかりまする家畜商法案につきまして、提案理由の大要を御説明申し上げます。
 從來家畜商の取締りに関する法制としては、昭和十六年に施行された家畜商取締規則があつたが、新憲法の施行に伴い、昭和二十二年法律第七十二号をもつて、同年末日をもつて失効し、その後の家畜取締りは、各都道府縣においてそれぞれ区々に條例による試験免許制度や登録制度、届出制度等の方法による取締りが行われている都道府懸があるとともに、放任状態にある都道府懸も多い現況である。かような状況のもとでは、一方においては家畜商取締り制度の無統一によつて、廣汎な区域を地盤とする家畜商営業に多大な支障を生じ、ひいては家畜取引の円滑なる運営を期しがたく、また地方においては、まつたく放任の状態にある結果、家畜商に家畜取引の担当者としての資質、特に家畜衛生に関する関心や智識に欠くるものがある。これがため家畜の傳染性疾患の予防制度の見地から遺憾の点が多いのであります。
 また家畜取引に重要な役割を演ずる家畜商の品位の向上をはかり、公正な家畜取引を実現するためには、家畜商に一定の制度を具備する必要があるのであります。
 以上のような、現行家畜商取締り制度の無統一による欠陷を是正し、かり、家畜の傳染性疾患の予防制度のために寄與する効果的な措置を講じ、あわせて、家畜取引の担当者の品位の向上に資する見地から、次のような骨子をもつて家畜商法案を堤案する次第であります。まづ第一に、家畜商たるの資格要件については、欠格要件に該当しない者はすべて免許を受けることができるものとし、從つて家畜商にならうとする者は、欠格要件に該当しない限り、千円を越えない範囲内で、省令の定める手数料を納めて、住所地の都道府懸知事の免許を受けることとなる。欠格要件については、禁治産者、準禁治産者を除いては、もつぱら家畜衛生の見地から、この法律または家畜傳染病予防法に違反し、罰金以上の刑に処せられて一箇年を経過しない者、または免許の取消しを受けてから一箇年を経過しない者に対してのみ免許を與えないこととし、都道府懸知事のいわゆる自由裁量による免許制をとつていないのであります。
 第二に、家畜商の営業の取締りについては、都道府懸知事に家畜商の免許の取消し及び業務の停止をなし得るものとしておりますが、その取消しをなし得る場合は特に制限されており、実際に免許の取消しまたは業務の停止の処分をする際にも、家畜商に聽聞し、それに対し家畜商が意見を述べ、及び証拠を提出する機会を與えているのであります。
 その他家畜商の業務の取締りの必要及びこれと取引する者を保護する必要上二、三の補足的規定を設けているのであります。
 以上述べた事項を骨子とした法律案を提出した次第でありまして、何とぞすみやかに御審議の上可決せられんことを願いいたします。
#59
○小笠原委員長 これにて本案に対する提案の理由の説明は終ります。
 引続き本案に対する質疑及び討論に入ります。
#60
○坂本(實)委員 この際質疑及び討論を省略して、ただちに採決せられんことを望みます。
#61
○小笠原委員長 ただいまの坂本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それではこの際質疑及び討論を省略して、ただちに本案に対する採決を行います。賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
#63
○小笠原委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。(拍手)
 この際本案に関する委員会の報告について、お諮りいたします。これは先例によりまして、委員長び理事に御一任を願いたいと思いますが、御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○小笠原委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長及び理事において作成の上、議長に提出いたします。
 それでは九時まで休憩いたします。
    午後八時九分休憩
     ――――◇―――――
 休憩後は開会するに至らなかつた。
ソース: 国立国会図書館
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