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1947/08/29 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第28号
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1947/08/29 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第28号

#1
第001回国会 本会議 第28号
昭和二十二年八月二十九日(金曜日)
   午前十時二十五分開議
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 議事日程 第二十七号
  昭和二十二年八月二十九日
   午前十時開議
 第一 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二 金融機関再建整備法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
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#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際新たに議席に著かれました議員を御紹介いたします。議席第百六十七番、地方選出議員、徳島縣選出、紅露みつ君。
   〔紅露みつ君起立、拍手〕
#4
○議長(松平恒雄君) 議長は紅露みつ君を労働委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 日程第一、特許法等の一部を改正する法律案、内閣提出、衆議院送付を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。鉱工業委員長稻垣平太郎君。
   〔稻垣平太郎君登壇、拍手〕
#6
○稻垣平太郎君 只今議題と相成りましたる特許法等の一部を改正する法律案につきまして、鉱工業委員会における審議の経過並びに結果について御報告を申し上げます。
 審議の経過を御報告するに先立ちまして、本法律案の内容を簡単に御紹介申し上げますると、本法律案は4箇條より成つておりまして、第一條におきまして特許法関係、第二條におきまして実用新案法関係、第三條におきまして意匠法関係、第四條におきまして商標法関係でありまして、おのおのその一部を改正せんとするものであります。尚附則といたしまして、施行の期日並びに経過措置について規定いたしておるのであります。
 特許権等のいわゆる工業所有権法は大正十年の制定以來、その特許料或いは登録料或いは罰金等につきましては、殆ど改正を見ていないのでありまして、現在の経済上の大きなる変革、なかんずく物價の趨勢から勘案いたしまして、甚だ不合理なものが生ずるのでありまして、この機会にこれを適当に改正せんとするのが本法律案の狙いでございます。即ち現在の物價の趨勢と比較考慮いたしますると同時に、又半面発明を奬励することを妨げない程度におきまして、特許並びに登録料を約五倍に引上げようとするものであります。尚罰金につきましては大体五倍乃至十倍程度に引上げを行わんとするものでありまして、これは他の法令の処罰規定との均衡を保ち、且つ工業所有権者を擁護するという建前を取つておるのであります。以上が大体本法案の内容でございまするが、本委員会におきましては、本法律案の付託以來二回に亘りまして審議を重ねたのでありまするが、その審議の詳細につきましては、何卒速記録によつて御覧を願いたいのでありまして、ただその質疑の中主たるもの三、四を拾いまして御披露申上げたいと存ずるのであります。
 先ず第一の質疑は、工業所有権者に対して事実上保護が十分ではないのではないか、例えば特許権が侵害された場合におきまして告訴をする。その場合に司法処分におきまして檢察官なり或いは司法官なりが特許法に通曉せず、又特許の内容について知識を欠いておるがために、往々にして特許権者に対して十分の保護を與えない場合があるのであるが、この点はどうであるかという質問であります。右に対しまして、司法処分の不充分であるということには、從つて特許権の保護が十分でない、完全でないということでありまして、延いては特許制度そのものの発達を阻害することに相成りまするのでありまするから、当局とされましては司法省と緊密なる連絡を取りまして、司法処分に対し関係官の知識の涵養に今日まで大いに努めて來たのでありますが、今後共この点については尚十分の努力をするという回答でありました。第二の質問は、特許法において罰則規定を設けて、特許権者を保護しておるのでありまするが、併しながらこれら消極的の保護に止まらず、政府は進んで積極的に発明その他に対しまして、何らかの実質的な表彰をする意思はないかどうかという質問であります。これに対しましては、勿論この点は非常に結構なことではありまするけれども、現在の予算の関係においては遺憾ながらそれを実行することはできないのであるが、御趣旨の点は十分考究いたしまして、できるだけこの御希望に副うようにいたしたいという答弁でありました。尚第三の質問は、戰争のために貿易が中絶して、彼我特許権の有無が非常に不明になつておる今日におきまして、特許権を侵害すべきものを輸入したる者に対して、五年以下の懲役又は五万円以上の罰金を科するということは、実際問題として非常に困難を惹起するのではないか、延いては又貿易再開の途上に大きな暗い影を投ずるのではないかという質問であります。右に対しましては、外國の特許が日本において特許になつていない場合におきましては、原則論として差支えないのでありまするけれども、通例交戰國間におきまして、終戰後特許権の取扱につきましては、講和條約に附帶して決定せらるるのでありまして、その決定がいかに相成るかということは、今日から的確に申することはできないのでありますが、例えば外國において特許を取られまして、戰争中のために日本においてこれを出願し得なかつたというような特許権に対しましては、外國において出願した日を以て日本に出願したものとみなすといつたような取決めが行われ得る可能性が強いのでありまするからして、実際に日本において特許権がないからといつて、これを実施するということは多くの危險が伴うのではないかというような回答でありました。最後に特許法の中の全般に亘りまして、他の法制との関係上種々手続上の問題について改正をすべき点があるのではないか、又字句等の上におきましても、例えば第四十條における祕密特許のことでありまするとか、或いは第百二十九條におけるところの「輸入」といつたような字句、そういつたものにつきましては、これは当然改正さるべきものと思うのであるがどうであるか、という質問にたいしましては、今回のこの提出されましたところの法律案は、専ら金額についての改正をお願いいたしたのでありまして、將來民事訴訟法等の改正と相俟つて根本的の改正を企図しておるのである、こういう回答でありました。
 大体右のごとき質疑がありました後に、採決に入つたのでありますが、全会一致を以ちましてこの法律案は可決すべきものといたしたのであります。
 以上を以ちまして鉱工業委員会におきまする特許法等の一部を改正する法律案の審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。(拍手)
#7
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。委員長の報告は可決報告でございます。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#8
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(松平恒雄君) 日程第二、金融機関再建整備法の一部を改正する法立案、内閣提出、衆議院送附を議題といたします。尚本案については少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田秀雄君。
   〔黒田秀雄君登壇、拍手〕
#10
○黒田秀雄君 只今議題に相成りました金融機関再建整備法の一部を改正する法案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告をいたしたいと存じます。
 先ず本案の内容について申上げますが、金融機関の再建を円滑にいたしまするために、新勘定によりまして増資をすることを認めまして、その増資いたしました分につきましては、金融機関の再建整備法によりまして、確定損失を負担する場合におきましても、その株主はその負担をいたさない。又新たに増資ししました資本は、その損失を負担しないというふうにいたすことによつて、新らしき増資を促進するというふうな規定であるのであります。又これと同時に、これらの機関が若し市街地信用組合であるとか、或いは農業会でありましたような場合におきまして、それらの機関が資本の全額を失いました結果といたしまして、組合員又は会員がその資格を失うような場合におきましても、六ヶ月を限りまして、その間において新たなる組合に加入する等の措置を取り得る便宜を與えまするために、その間は貸付又は施設の利用等については、組合員又は会員と同じような待遇を受けるということになつておるのであります。
 これが本案の内容であるのでありまして、本案の提出の理由といたしましては、ご承知の通り金融機関は、再建整備法によりまして整備をいたしまする上において、損失が多い場合におきましては、資本の全額をこの損失に充てまする場合ができて來るのでありまして、その場合におきましてはその金融機関は別の第二会社を作るとか、又は他に合併をするとか、又は解散をするより外に途はないのであります。併しながら今日の経済界の現状におきまして、かくのごとく解散をするというようなことは、金融機関の信用、延いては通貨の信用に及ぼす影響が誠に大である、又今日のインフレーシヨン防止の段階におきましては、貸付又は融資によつて、これらに貢献をしなければならん時において、さようなことに相成りますことを避けまするために、この新勘定によりまする増資を認めまして、その再建を容易にいたすというふうな趣旨でできておるものであります。又農業会、市街地信用組合等につきましては、前申上げましたような理由によつて、その組合員、会員の便宜を図ろうとする理由に出でおるのであります。
 委員会におきましては質疑應答は極めて熱心に行われたのであります。今そのただ主なるものだけについて御紹介をいたしたいと思いますが、先ず第一に、評價基準の問題であつたのであります。金融機関が再建整備をするために整理をいたす場合においての資産の評價基準は、簿價主義、即ち帳簿價格によるのであるか、時價によるのであるか御質問であつたのでありまするが、政府は、これは今日においてまだ法的には確定いたしませんが、大体帳簿價格によるということに決まつておるという答弁であつたのであります。然らば帳簿價格によるとすれば、時價が非常に騰貴しておる、高いものにつきましては預金者の利益をそれだけ害して、金融機関の利益を擁護することに相成るのではないかというふうな意見もあつたのであります。又再建整備の現状についてのお尋ねもあつたのでありますが、再建整備は今日御承知の通り暫定評價基準によつて大体の整理をいたし、更に確定評價基準によりまして、最終的の整理を終るのでありまするが、今日大体これらの基準は決まつておるのであるが、未だ法的にこれが決定をしていないのであるが、調査は進捗しておる。その結果どういうふうな影響を及ぼしたかという御質問に対しましては、重要なる金融機関について一々これを申上げることは、信用に関することであるから避けるのであるが、大体の種別についての数について説明があつたのであります。御参考までに申上げまするが、金庫につきましては、四つある中の二つが資本の全額を失う、そうして政府が更にその資本を補償するものが、やはり二つあるのであります。特殊銀行につきましては、四行ある中の二行が資本の全額を失つて、その中の一行だけは補償を要するものであります。普通銀行につきましては六十一ある中の二三が資本を全額失つて、補償は必要ないのであります。貯蓄銀行につきましては、四行ある中三行が資本の全額を失つて、その中の二行が補償の必要があるのであります。信託会社につきましては、六会社ある中の三会社が資本の全額を失いますが、補償の必要はないのであります。農業会は一万九百七十八ある中の、大体三分の一がその資本の全額を失うのでありますが、これらはほぼ同数が補償を要するのであります。無盡会社につきましては、五十七あるその中の三十八が資本の全額を失つて、これは全部補償を要するのであります。市街地信用組合は三百十一ある中の三分の二が全額を失つて、その大部分は補償を要するのである。生命保險会社は二十一ある中の大部分が資本の全額を失つて、又その大部分が補償を要するのであります。損害保險会社は十六会社の中、一会社が全額を失つて補償は必要なないというふうな状況であるのであります。さような全額を失うもの……これは別の質問でありますが、全額を失うものについて全部増資を認めるのであるかということにつきましては、これは全部ではないけれども、將來再建をして発展をして行く見込みのあるものだけについて許すのであるということであります。又日本銀行の整理はどうなつておるかという御質問があつたのであります。日本銀行につきましては、戰爭によつて多大損害を受けておるのでありまして、これの整理の必要はあるのでありますが、日本銀行は金融機関の親銀行のような形でありまして、他の銀行の整理の尻が参るのであります。さような他の銀行の整理の如何によつて影響することが大きいのでありますから、今回の再建整備からは切り離しまして、別個にこれについては整理をするつもりである。又その機構についても檢討をするつもりであるということであつたのであります。興業債券の問題につきまして、興業債券が今第一封鎖に大体なつておるのでありますが、これは金融機関が持つておるもが第一封鎖であつて、個人の持つておるものは未だ決まらないのであります。これを何故に第一封鎖にしたかということについての質問もあつたのであります。これは預金であるか、債券であるか、或いは社債であるかの問題はあるのでありまするが、併しこれを金融機関が持つておりまするものは預金と見まして、そうしてそれの第一封鎖として取扱う。それは金融機関にも利益であるのでありまするが、又預金者にもそれだけ利益になることであるのであります。個人のものはいかにも名寄せができないために、取扱上預金とみなすことは困難であるために、研究中であるとのことでありました。その他集中排除法の関係において、金融機関がどうなるかという問題もありましたが、これも時々新聞に出ておりまする通り、これにつきましては未だ決定はいたしませんが、併し金融機関は特別の機能を持つておるものであり、信用を以つて立つて來ておるものでありますから、これについては個別に考える方針であるというような答弁がありました。詳しいことは、これは速記録で御覽を願いたいと思います。
 その他産業方面に対しまする資金の融資計画のことであるとか、或いは株式の民主化の問題であるとか、或いは金融、貸出の場合におきまして、借入の場合におきまして金利の外に非常な経費を要することは不都合であるというような問題、或いは資金を整備によりまして、減資したような場合におきまして、資本と借入金とのバランスを失する場合においての処置、或いは政府が支拂を遅延するために、民間の資金が非常な圧迫を受けておる、融資ができないような場合があるが、これについての説明を求め、いろいろ非常に有益な御論議が重ねられたのでありまするが、これを一々御紹介を申上げますというと非常な時間を要することに相成りまするので、何卒速記録において御覽を願うことにいたしまして、省略することをお許し願いたいと思うのであります。
 かくて質疑を終わりまして討論に入りましたのでありまするが、討論におきまして共産党の中西君よりして本案に反対の意見が出たのであります。これは質疑應答の中でも御意見がありましたが、これは中西君より少数意見として後でお述べになるそうでありまするから、その反対の理由は省略させていただきたいと思います。又先程の質疑應答の際にも特に省略をいたしたのであります。
 次に民主党の木内君から賛成の御意見が出まして、過去は別として、新たな資本を集めて、それによつて金融機関の信用を維持し、延いては通貨の信用を維持せんとするものであつて、要するに金融機関再建整備の途上におきまする一つの障害を除去する法案であつて、適切な改正と認める。併し希望として、評價基準を速かに確立して、必要な措置を講ぜられて、整備を促進をされたいということであつたのであります。又次に自由党の松嶋君からも賛成の御意見が出まして、今日金融機関が不況に陥つたのは、要するに戰爭の結果である、昭和十二年頃におきましては、資本は市中銀行の自主的な金融であつたのでありますが、戰爭が苛烈になるに從いまして、政府の干渉が極度に激しくなり、殆んど市中銀行とか特殊銀行におきまする金融というものは、自主性を失つたのであります。今日莫大な損失を生じたのであります。市中銀行とか特殊銀行のときは、連合しまして殆んど政府の要請を鵜呑みにしたような結果であるのである。今日終戰後におきましても、例えば今日は賃金の支拂が大事であるから、今暫く賃金の支拂は各銀行窓口でやつてくれという命令があつて、やがてはそれは政府が面倒を見てやるというふうなことであつたのであるが、それも実行をされなくて違約に終るというようなことであつて、到底自分の判断では出せないような痛手を受けた会社にも無批判に融資した結果、今日のように相成つておるのであるから、今後これからの金融界をどういうふうに建直しまいるか、或いは中小商工業に対しては、今後どういうふうに金融の方法を取るかというようなことは別個に考えたいのである。從來の考え方、やり方はいけないという考えを持つておるが、これは別論といたしまして、今日のこの措置は止むを得ない処置であるということで賛成をされたのであります。次に社会党の木村君からいたしまして、社会党としては本案に賛成をするが、併し本案は應急的緊急措置として止むを得ないものとして認めるのである。中西君が後に言われるだろうと思いますが、中西君の言われるようなことは、今後日本の金融機関をどういうふうに再整備して行くかという根本の考え方については、日本社会党は綱領を示しておるのであるが、こういう根本的の考え方については、社会党としては何ら変えないのであるけれどもそれについてはいろいろの條件、又はその他いろいろ檢討して行かなければならないと考えるのであるからして、本案については、根本的な金融機関の再建の問題を一應切り離して、應急の緊急措置として本案を認めて賛成をするというような御意見の発表があつたのであります。
 かくて討論を終りまして採決に入りましたところ、中西君の反対を除きまする外、大多数を以つて本案を可決すべきものと決定をいたしたのであります。御報告を終ります。(拍手)
#11
○議長(松平恒雄君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は十五分間に制限いたします。中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#12
○中西功君 本院最初の少数意見の報告を申上げます。私並びに共産党は、この法案に対して反対せざるを得ないのであります。何故かならば、これは徒らに私的銀行を救済するに止まるに過ぎないからであります。そもそも金融機構の整備は、これは戰時中並びに戰後に蓄積された厖大な擬制資本を徹底的に整理するというところに根本の眼目があるわけであります。ところが從來その根本方針が常に曲げられて來ている。保守勢力は事ごとにこの根本精神に対して抵抗を加えて來ている。軍需補償の打切に反対したり、或いは又折角捕捉した第二封鎖をいつの間にか流してしまつた。その他いろいろのことがあります。水ぶくれ評價によつてやろうとするのも、その一つの手であつたわけであります。ところでこの改正案が何故に必要になつたか、これの本当の眞実を話せば、結局これは以前の整備法案が通過する時に、大体時價評價で通るだろうという考えがあり、從つて又銀行が十分救済されるそう考えておつたわけでありますが、突然その評價基準が帳簿價格に変つたということろで、非常に大きな恐慌が來て、結局これじやいかないというので、この改正案が出たわけであります。こういう経緯を見ましても、そもそもこの本案の眞意がどこにあるかということが非常にはつきりしていると思います。從來戰爭中において、多くの國民が非常に大きな犠牲を拂つて來ている。又金融のこの整備を見ましても、多くの預金者が実際犠牲を拂つております。戰災並びに引揚者その他の戰爭犠牲に至つては、非常に甚だしいのであります。こういうふうなものに十分な考慮を拂わずに、最も積極的に戰爭協力した銀行資本に対してだけは、今までの保守勢力はあらゆる手段を盡して保護し救済しようとして來ているのでありまして、こういうふうなことはまつたく現在の世相に反するわけでありまして、私たちといたしましては、どうしてもこういう措置に対して賛成することができないのであります。更にもう一歩進めて言いますれば、現在すでに私的な銀行の存在の意味がなくなつている、こういうことであります。
 重要産業に対する融資にいたしましても、殆んどすべてが復金によつてなされてゐる。而も最近この資本を更にもつと厖大しなければならない、そういう事情に当面している。その際、それじや市中銀行が今まで何をして來たか、市中銀行には一つの原理がある。それは儲かるものには貸すが、儲からない企業には貸さない。こういうふうなはつきりした建前があります。(「事実と違う」と呼ぶ者あり)そもそも銀行の人々は、預金を預かつている銀行は公器である、こう申します。確かにそうであります。現在においても二千七百億を超える國民の預金を銀行は預つておる。これはまさに社会的に大きな仕事であります。而もそういうふうな事柄が僅かに現在では十億以下の資本、この資本を持つておる人々に動かされておる、このことは全く大きな矛盾であります。この矛盾の結果からいろいろの現在の不都合な状態が起つて來ておる。從つて銀行は今までのところただ儲かる所、闇屋さんだとか、或いはインフレ産業その他にばかり投資しておる。そうして貸す場合にもさつき委員長の報告がありましたように、莫大な手数料を取つておる。これは全く金利をべらぼうに引上げたのと同じであります。こういうことをしておる。こうして重要な産業は皆融資を復金に委しておつて何もやらない。現在の市中で申しますれば、結局重要なところには國民の資金を使う。而もその資金から、その融資から流れて來た資金を銀行は集める。集めて以てそれを自己の打算的な目的のために使つておる。こういうふうな仕組が現在の仕組であります。從つて現在いわゆる市中外銀行、私的な銀行の存在というものは日本の経済復興には殆んど意義はない。反対に言えば非常な障害である。こういう障害物を今日強化するということが果たして妥当かどうか、これは全くそういう意味においても、現在の必要から逆行しておると我々は考えざるを得ないのであります。(「宣傳は止めろ」、「独断だ」と呼ぶ者あり)それではいかにすればこの金融界の整備を徹底的に行い、又産業復興に役立て得るか、これはもう言うまでもなく即時國有國営を実現するものであります。二千七百億のこの國民の預金を、個人の資本家に委せて勝手にさして置くのではなくして、はつきり國家が預つて、そうして責任を持つて必要な時に必要な所に必要な量を供給して行く、そういう体制を採ることであります。而もこういうことは決して我々共産党だけの主張ではありません。社会党の綱領にもはつきりとそういうことが掲げられてありあますと共に、日本の勤労者の非常に多くがこの考え方に賛成しております。而もここで問題になるのは、こういうふうな國有國営をやるといたしましたならば、現在が絶好のチャンスであるということであります。何故ならばこの度の企業再建、金融機関整備によりまして、政府委員の報告によりましても七割以上の資本金が飛んでしまう。即ち從來までの日本の金融資本、銀行資本は拂込によりますと二十三億くらいしかないのであります。それが七割以上も飛ぶ。結局におきましては五六億の資本金しか残らない。若し我々が金融機関を本当に國有にする氣があるならば、この時にやれるわけでありまして、僅かに五六億の金、こういうものは現在のインフレ時代におきましては、端た金であります。こういう端た金によつて國有ができ、これによつて日本再建の基礎が定められる、こういう時機であります。今日を措いて外に時機はないのあります。眞に國有國営を考えておる人ならば、今日必ず断行しなければならないのであります。で、私は社会党の人々にお聴きしたいのです。皆様が本当に考えてやろうとしておられるのかどうか、自分の掲げられた綱領を実行する氣があるのかどうかという点なんであります。併し勿論今日、或いは明日によつてこの機会が去つて行くわけではない。今後大いにまだ時期は待つておると思いますが、良識ある社会党の人々に猛省を期待して止まないのであります。
 以上のような次第でありまして、私たちは即時銀行、金融機関を國有國管にすることが、眞に日本経済の再建復興、そうして又この闇とインフレの克服のために、最も妥当な、而もも非常に容易な策であると考えますが故に、銀行を救済しようとする、勝手に國民の預金を使い減らすような、そういう私的な銀行を救済するという本案、この法案はそういう時流から見ますれば、明らかに逆行する法案であります。從つて私たちはこの法案に対しては絶対に反対いたします。そういう次第であります。私の報告を終ります。(拍手)
#13
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は可決報告でございます。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#14
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。これにて本日の議事日程は議了いたしました。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
   午前十一時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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