くにさくロゴ
1947/08/30 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第29号
姉妹サイト
 
1947/08/30 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第29号

#1
第001回国会 本会議 第29号
昭和二十二年八月三十日(土曜日)
   午前十時四十五分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十八号
  昭和二十二年八月三十日
   午前十時開議
 第一 会期延長の件
 第二 昭和二十二年度一般会計予算補正(第一号)(委員長報告)
 第三 生命保險中央会及び損害保險中央会の保險業務に関する権利義務の承継等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 労働者災害補償保險特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第五 復興金融金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第六 罹災都市借地借家臨時処理法の一部を改正する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
    ―――――――――――――
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。農林委員長から、農地等の水害状況実地調査のため、北海道に木下源吾君及び岡村文四郎君を、九月四日から十三日まで十日間の日程を以て派遣したいとの要求がございました。これら二名の議員を派遣することに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 日程第一、会期延長の件についてお諮りいたします。議長は衆議院議長と協議の結果、國会の会期を更に五十日間延長することに協定いたしました。議長が協定いたしました通り決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて会期は五十日間延長することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(松平恒雄君) 日程第二、昭和二十二年度一般会計予算補正(第一号)を議題といたします。尚本案については少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長櫻内辰郎君。
   〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
#8
○櫻内辰郎君 只今議題となりました昭和二十二年度一般会計予算補正第一号案の予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。去る八月十八日から八月二十八日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、八月二十八日討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。本案審議に当り、議案の審議に先立ち、來栖大藏大臣は特に発言を求められ、官廳職員給與に関する経費につき重要なる御報告があつたのであります。その要旨をここに朗読いたします。
 八月十八日予算委員会における官職職員給與に関する大藏大臣説明要旨
 官職職員の給與に要する経費につきましては、近く本國会に補正予算を提出する予定でありますが、それに先立ちまして予め今日までの経過を御報告申上げ、各位の御了承を得たいと存じます。本件につきましては、その主要な事項はすべて前内閣当時組合と折衝し、決定したものでありますが、総選挙その他の事情のため、今日まで國会に対し御報告をいたします運びとなつておらなかつた関係上、便宜私から申上げる次第であります。御承知の二・一スト中止命令が司令部から発せられました当時、政府と組合との間は対立した状態のまま、なんら妥結に達した事項はなかつたのでありますが、その後政府側から給與改善に関する試案を提出し、組合側も遂にこれを承認し、これによつて政府職員の給與水準は從前の平均月収六百円から千二百円に引き上げられ、本年一月分に遡及実施せられたのであります。ここまでの経過につきましては、先きに第九十二回帝國議会に右千二百円水準の実施に必要な昭和二十一年度追加予算及び昭和二十二年度総予算を提出しました際、その御了解を経たところであります。右の千二百円水準政府試案は組合側が一應承認いたしましたものではありますが、二・一ストによつて提起された問題は必ずしもこれによつて完全に解決せられたわけではなかつたのでありまして、更に残された各般の問題を取り上げ、政府側、組合側が引続いて協議をするために、妥結の條件として、官公職員待遇改善委員会準備委員会が設置せられたのであります。この委員会は昨年第九十議会において労働関係調整法案が議決せられました際、衆議院の附帶條件としてその設置方を決議せられました本格的の待遇改善委員会の設置に至るまでの準備委員会たるの形式をとつているのでありますが、実質的には二・一スト後残された未解決の問題を処理する政府、組合間の團体交渉の機関たるものであります。從いまして政府としましては、この委員会で決定せられた事項については、これを実行に移すために必要な順序を採る義務を組合に対して負うものと了解しております。この準備委員会は今日までにすでに八回の委員会及び十六回の小委員会を開催し、政府側、組合側の各委員相互間に協議が行われているのでありますが、この委員会におきまして政府と組合の間に折衝が行われ、その結果妥結に達しました重要な事項が二件ございます。
 その第一は、四月十五日決定いたしました暫定加給の改正であります。これには三つの要素を含んでおります。その一つは、職員の年齢に應じた最低給與が定められ、これによつて職種のいかんを問わず各人の最低生活を確保せしめるという二・一スト以來の組合側の最も強い要望を、同じく組合側の希望する年齢給の形において取り入れたことであります。その二は、先きの政府試案に某ずいて定まつておりました臨時家族手当の定額に若干の増額が行われたことであります。又その三は、新たに特別地域が設けられ、生計費の特に高い地域に勤務する職員には三割の臨時勤務地手当が支給せらるることと相成つた点であります。
 その第二は、五月七日決定いたしました月収千六百円水準の件であります。給與水準の問題はかねてから準備委員会の議題となつていたのでありますが、政府側、組合側が愼重に審議検討を重ねました結果、遂にこの水準を以て両者間に話合いが付いたのであります。終戰以來、爭議行爲による賃上げ闘爭の結果、給與の改善が行われたことはむしろ一般的でありましたが、かように使用者側と労働者側とが爭議行爲によらないで、直接お互いに論議を盡した結果、話合いによつて給與改善案が妥結せられたことは、終戰後の労働界にとつて劃期的な事実であります。千六百円水準の基礎は、内閣統計局が司令部の指導の下に全國主要都市において調査しておりまする消費者價格調査によつているのでありまして、この調査は各階層、各職業を通ずる平均的な生計費として最も客観的な信用のできる数字と認められるのであります。この水準によりまして、必ずしもすべての官公職員が一人残らず完全に生活を保障せられるものとは言い切れないのでありますが、併し少くとも全國民の平均生計費程度の、それよりも多くも少くもない程度の念願は、これを官公職員に、対しても支給することが公正且つ妥当な措置であると信じ、政府としてもこの千六百円水準案に同意いたした次第であります。この千六百円水準は新基本給の決定によりまして初めて完全に具体化されるわけでありますが、新基本給の決定は、その方針につきまして政府、組合間に意見の一致を見ない点が残つておりまするために、未だ実行せられておりません。併しながら最近の職員の生計の逼迫は、これをそのまま放置して置くわけにもまいりませんので、政府は既定の予算を差繰り、本年一月分以降千六百円水準と千二百円水準の差額の一部を概算拂的の意味を以てすでに支給済みであるのであります。而してこの分を含めました昭和二十二年度全年分の必要な予算につきましては、近く本國会に提案される補正予算案に計上し、各位の御審議を仰ぐ手配となつております。
 以上はいずれ補正予算におきまして、具体的な計数によりまして各位の御協賛を仰ぐこととなるわけでありますが、事柄の性質上ここで予め今日までの経過を御報告し、各位の御了承をお願いいたした次第であります。
 今回関係予算の実施といたしまして、政府職員に対し超過勤務手当を給することといたしたいと存じまするので、この際皆様の御了解を得て置きたいと存じます。右は昭和二十二年勅令第百六十一号に基ずきまして政令で実施し得るのでありますが、事柄が給與という見地から相当重要と存じまするので、特にここに発言をいたしまして御了解を得んとした次第であります。という御報告であつたのであります。
 さて昭和二十二年度一般会計予算補正第一号は、労働省設置に関する予算でありまして、急速処理を要するために、追つて提出せらるる昭和二十二年度一般会計本予算の補正案と切り離し先ず提出せられたものであります。本補正案により追加又は修正増減の結果、歳入歳出共、三千六百四十万九千円の増加となるのであります。即ち歳出におきましては、七千二百九十四万九千円を既定予算額から修正減額すると共に、五千九百三十五万八千円を既定予算額に対して修正増額を加うるの外、新規に五千万円を追加計上しましたので、差引三千六百四十万九千円を増加計上することとなつたのであります。而して本補正のための財源は、昭和二十年度剰余金よりの受入れ三千六百四十万九千円であります。尚新設労働省所管の定額は、本補正による計上額一億九百三十五万八千円の外に、昭和二十二年度一般会計本予算の実行上の措置によつて厚生省所管から労働省所管へ移し替えする予算額が二億六千六百二十一万余円ありまするから、その合計額は三億七千五百五十七万円となるのであります。
 本案審議に当り各委員からは熱心な質問があり、政府亦これに対して懇切なる答弁がありました。今その質疑應答の主なるものを申上げますれば、一委員より、給與問題に関する政府の施策についての質疑に対し、政府は、千八百円基準によるも、尚この新物價体系の確立、闇の撲滅、勤労所得税基礎控除額の引上げ等の諸政策を実施し、更に各人の節約耐乏を要望する旨の答弁があり、又一委員より、労働省設置には異議なきも、その運用方針いかんによつては却つて予期の成果を挙げ得ざるべく、政府のこれに対する決意いかんとの質問に対し、政府は、労働組合運動の善導、労働者の福祉増進等により生産力の増大を図り、国家再建に役立たしむべき旨の答弁があつたのであります。又一委員より、労働省新設が刺戟となり、或いは建設省或いは水産廳等の新設とならざるか。更に行政整理を考慮せざるやとの質問に対し、政府は、新省の設置、新機構の増設は國費の増加を伴う故に、必要止むを得ざるものを除き極力その増設を避ける方針である。又行政整理は各般の部面より綜合的に決すべきものであるが、單に経理画のみから見るならば、その必要を認めるとの答弁がありました。又一委員よりの公定價格改訂が予算に及ぼす影響についての質問に対し、政府は、後日提出すべき一般会計予算補正第二号提案の際に詳細説明すべき旨の答弁があつたのであります。更に又一委員から、敗戰の結果、政府も國民とひとしく耐乏生活を必要とする。人員の整理縮減は当然行われなければならない。政府はこの点いかに努力しおるやとの質問に対し、最近における政府職員の増加は主として新規事務の増加に基因するものであるが、國有鉄道及び通信特別会計等においては目下数万人という数を減ずる計画が進行中である。政府は機会あるごとに人員の膨脹を阻止すべく努力し、今後もこれを継続するものであるとの答弁がありました。又一委員から、事業経営者を困惑せしめおる賃金値上問題のごときは、爭議に至らざる以前、何らかの形の委員会に付託して処理せしめ、経営者をして專ら生産業務に当らしむるようにすべきではないか。新設労働省においてはこの種の施設を講ずることなきや。又労働者に対し生活必需品その他物資の配給機構ありやとの質問に対し、政府は、前者については経営協議会、労働委員会等の機構あり、又後者については経済安定本部において計画することとなつておるから、將來これと協議し、その他適当の方法を講じて善処する旨の答弁がありました。更に一委員より、本予算委員会においては、労働省設置により本年度に要する予算合計額は、三億七千五百五十七万余円と報告せられおるが、下條決算委員長の労働省設置法案についての審議経過の報告には五億九千四百十一万九千円の予算なりとして報告せられおるが、その差あるは何故なるかとの質問に対して、政府は、特別会計の支出予算額が計上せられおるためなりとの答弁がありました。最後に一委員より、労働組合運動がいわゆる労働ブローカー、労働貴族、労働ボスによつて支配せらるる虞れなしとせざる、これに対する政府の所見いかんとの質疑あり、これに対し政府は、労働組合が民主的に行動し、少数者の意思を以で多数者の意見のごとくに振舞うところのいわゆる労働ボスに支配せらるるがごときことなきよう指導する方針でありますとの答弁がありました。その他重要なる質疑應答がありましたが、詳細は委員会の速記録により御承知を願いたいのであります。
 而して八月二十八日討論に入りまして採決をいたしましたところ、ただ一人の反対ありたるのみで、多数を以て原案通り可決に相成りました。両八月十八日の官聽職員給與に関する大藏大臣の報告に対しては、これを聽取したるのみでありますが、一委員より、官廳職員給與に関する経費につき、議会の承認なくして実行されたる事情、並びにいかなる形式において國会の同意承認を求めんとするやとの質問に対し、政府委員より、当時の事情につき詳細たる説明がありましたけれども、未だ審議を盡す能わず、これが審議は後日に譲ることにいたしまして、取敢えず急を要する昭和二十二年度一般会計予算補正第一号に対する審議の経過と結果のみを御報告いたしたる次第であります。(拍手)
#9
○議長(松平恒雄君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は二十分間に制限いたします。中西功君。
   〔「無駄だ止めろ」と呼ぶ者あり〕
   〔中西功君登壇、拍手〕
#10
○中西功君 我々共産党は労働省の設立には大賛成なのであります。それにも拘わちずこの労働省を設立しようとする昭和二十二年度一般会計予算補正第一号に対して、何故に賛成できないのでしようか、それは我々が反対せんがために反対するのではなくして、眞に労働省設立の意義を、その予算面においても解決したいと思うからであります。労働基準法の第一條にははつきりと、労働條件は労働者が人間として生き得るに足るだけのものを與えなければならない。そういう意味のことがはつきりと明記してあるのであります。ところでこの労働基準法を守つて行くところの官公廳の職員諸君が、果して、その基準法に掲られた條項を充足し得るような條件が與えられておるかどうか。この度の予算におきましては、千八百円ベースの問題が首を出しております。この補正第一号には以前からの、即ち千百円ベースのものが大半でありますが、或る一部新規要求の中には千八百円ベースがあるわけであります。で、私の問題、或いは質問質疑、そうしたものはすべてこの千八百円ベースに集中したわけでありますが、暫くこの千八百円ベースの内容について、私の開陳するところをお聽き願いたいと思います。
 この千八百円ベースにつきまして安本当局かち詳細な資料が出されました。それを私たちが見ました時に、結局從來まで我々共産党が主張して來たこと、即ち千八百円ではどうしても現状では食えないのだということがいよいよはつきりしたのであります。例えば一番最後の項目でありますが、その交通通信費という項を見ますと、労働者の通勤距離は僅かに六キロであります。それは新宿澁谷間の距離でありまして、これ程近距離に住んでおる労働者は殆んど一人もないと言つてもいい程であります。更にその他の交通費を見ますと、一ヶ月二十九円何がしであります。この政府の統計表の中にも相当部分を自由購入する、即ち闇買いをするわけでありますが、この二十九円何がしでは一回戸塚あたりへ行つて帰ワて來るとそれで全部消費されてしまいます。そうするならば一ヶ月の間その他の家族、それは電車にも何にも乘れないという数字なのであります。言い忘れましたが、この統計は四・二家族の統計であり、東京を基準にしております。更に葉書或いは切手、そういうものを見ますと、葉書は三ヶ月に一回書けることになつております。手紙は二ヶ月に一回であります。更に電報代の項を見ますと、これは二十一年に一回であります。二十一年に一回であります。教育文化施設費というものを見ますと、雑誌は三四ヶ月に一冊、子供の教科書は一年に三冊であります。参考書は実に驚くなかれ十七年に一冊買えるわけであります。更に映画は三四ヶ月に一回、理髪は三ヶ月に一回、パーマネントは三年に一回であります。(笑声)皆様一体三ケ月に一回の理髪の頭、三年に一回パーマンネントをやる頭、それは一体どんな頭でしようか、これが人間でしようか、それとも動物でしようか、これは人間ではないのであります。その他いろいろ細かい点を突けば、沢山そういうふうな支離滅裂な統計でありますが、その特に重要なのは生活費の主要内容を占めるところの飲食費でありますが、その飲食費は一日一人平均千五百カロリーというのが基準になつております。皆様御存じのようにこの千五百カロリー、これは平均でありますが、これでさえもやつと人間が生きて行けるという病人のカロリーであります。当の安本物價当局が発表したもの、並びに我々に渡された経済白書、その四十七頁に書いてある、日本人が最少限度必要なカロリーは二千百四十カロリーであります。政府自身こういうことを発表して置きながら、実際に千八百カロリーを決める。労働者の賃金水準を決めるという時には、勝手に千五百カロリーで間に合うだろうというふうにやつておるのであります。勿論誰しも今日この千五百カロリーで生きておる者はないのであります。もつと沢山取つております。この点につきましては我々の野坂參三氏が、衆議院の予算委員会で非常に適切な表現をいたしました。これ正に屍を基準にしたカロリー量である、全くその通りであります。ここに至りまして労働者は、今や動物になることさえもできないという状態なのであります。ところが政府の説明におきましては、この問題について非常に沢山な詭弁が弄されております。何故ならば、それは今は苦しいだろう、併しその丙に流通秩序を確立し、闇部分をなくして配給部分を多くすることになつて、実質賃金を上げる、こういうことを言つておるのでありますが、併し幾ら配給がよくなりましても千五百五十カロリーは変らないのであります。更に又二十年に一回の電報代は変らないのであります。從つて実質賃金の上りようもないわけであります。要するに政府のこの数字というものは全く実情を無視しております。我々はそういうもので現に食つておるのではありません。誰しももつと沢山なものを食い、又消費しております。であるにも拘わらず、その僅かな部分を取つて來てこれが配給量である、これで食えとごう言うておるのでありまして、これはむしろ数字上の闇であります。こういうふうに闇数字の上に立つて闇を撲滅しようといたしましても、それは無理であります。而もこのことは單に労働者だけの問題ではありません。二百六十万の官公廳の労働者の直接の問題であると共に、日本の全労働者の問題なのであります。私は事が非常に重大であると考えましたので、あらゆる点かちこの問題を追及したのでありますが、尚簡單に二三の点について補足して置きます。
 第一は、政府はこの千八百円基準という問題を定める時に、統計上のペテン、インチキをやつておるということであります。先に委員長から大藏大臣が予算委員会で報告した給與問題の報告をなされました。あの時に、千六百円を決めます時、これは以前であります、その時には司令部の指導の下に可なり詳細な調査がなされました。それは大藏大臣がはつきり言つておりますように、達観性のある信頼のできる数字と、こう言つておるのであります。ところがこの度千八百円の問題、即ち労働賃金の基準を決めますときは、そういう権威ある調査は一擲いたしまして、極めて杜撰な、即ち業種別平均賃金という算定法を採つたのであります。これに対しましては、民間の、給與審議会自身二千六百円案を強硬に突つ張つて遂に物分れになるというような事情もありましたわけでありまして、こういう事情を見てもいかに政府が天降り的なことをやつておるかということが分かるのであります。
 更に又第二の問題は、政府自身が自分の出しておる統計に対して責任を負わない、むしろ無視しておるということなんであります。私たちに渡されました八月から十一月に至るあの生計費の概算の見積りの中でも、はつきりと千八百円の下において八月には百五十三円の赤字、九月には百四十八円の赤字、更に十月にも多少赤字であります。こういうふうに千八百円基準のものでも政府自身が現に赤字があるということを認めておるわけでありますが、この赤字に対して、それならば適当な策を講ずるのか、適当な用意を持つのか、これを保障するところの用意を持つのか、そう申しましてもそれに対する誠意ある回答はないのであります。
 第三に、政府自身が言つておることは非常に矛盾をしております。又非常に不公平であります。例えば千八百円というのは決して実質性のあるものではないのだ。実際の賃金ではない。これは單に計算の基礎として決めたのに過ぎないのであつて、若し民間の企業でそれで食えないというのならば、労働者諸君は堂々と團体交渉権を使つてそうして取つてくれ。それで構わないのだ。こう言つておるのであります。決して政府としては千八百円に釘付けしようとは考えていないのだ。こういうことを堂々とあらゆる所で開陳しておりますが、併しこれが官吏の場合になりますと、予算面になりますと、そうではなくして実際の賃金になつてしまうのであります。これは非常に不公平であると思われますが、とにかくこういうふうな極めて杜撰な架空の数字がこの千八百円なんであります。勿論我々は、労働者が單に賃金値上げ運動をやつておればそれで救われる。そういうことは毛頭考えてないのであります。併し眞に日本の経済復興を策し、又諸政策の具体的な政策を本当にやろうとするならば、決してそのような架空の闇的な数字によるのではなくして、本当に実際に要る数字、例えば食糧で言いますと、千五百五十カロリーではなくして、二千百カロリー以上の数をはつきり探つて、そういうことによつてその数字の基礎の上に政策を立てて行く。そうすることが私たちに必要であると考えるのであります。そういう問題について政府に答弁を求めましたが、それもやはり誠意ある回答は得られなかつたのであります。かくてこの補正第一号には、非常に少部分ではありますが、とにかく千八百円というものが首を出しておる。これが非常に問題でありまして、私たちはこの千八百円について、次の第二号において、少くとも誠意ある政府の、これを補正するとか、或いはもつと真剣に考えるとか、そういう誠意ある態度が示されるならば、我々としても大いに満足ができたわけでありますが、結局それも十分な誠意あるものは得られなかつたのであります。かくて私といたしましては、この千八百円問題ついてはどうしても承服することができない。こう考えたのであります。同時に又この千八百円については、現に官公廳の労働者諸君、二百六十万の労働者諸君は決して承服しておりません。今はこの官公廳の労働者諸君がいかなる態度をとつておるか。いかに活動しておるかはすでに皆さんも御存じの通りであります。大阪の官公廳の連合会におきましては三千三百円の要求を現に出されて上京しております。全逓の中央委員会では、私が現にこの演壇に登つて喋つておる時、長野縣の諏訪で中央委員会総会を開いて、この問題を中心に討論しております。從つてこの二百六十万の官公廳労働者が承認し得ないようなこの千八百円ベースを、いかにして政府は維持することができましようか。若しこれを無理にでも押し通そうとするならば、それを契機として重大な社会問題が勃発するということはこれは必然であります。從つてこの予算案はなかなか実行できない。そういう意味で、私はこの点この予算案に賛成できなかつたのであります。勿論私は更に一番最初申しましたように、労働省の設立には賛成であります。從つて若しこの千八百円について政府の誠意ある回答、或いは次の補正第二号において十分考慮するというふうな保證があるならば、勿論私たちは賛成できたわけであります。併しそれが得られなかつたのでありまして、私の反対は主としてそこに集中したわけであります。ここには労働組合出身の方々も沢山おられます。同時に又良識を持つておる名高い参議院議員諸公において、果して誰の説が是か非か、はつきりと諸君の明察を、皆様の明察を仰ぎたいと思うのであります。私の報告はこれで終ります。(拍手)
#11
○議長(松平恒雄君) これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は可決報告でございます。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#12
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#13
○議長(松平恒雄君) 日程第三、生命保險中央会及び損害保險中央会の保險業務に関する権利義務の承継等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。
   〔黒田英雄君登壇、拍手〕
#14
○黒田英雄君 只今議題となりました生命保險中央会及び損害保險中央会の保險業務に関する権利義務の承継等に関する法律案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告を申上げたいと思います。
 先ず本法案の内容を申上げまするが、この法案は御承知の通り、生命保險中央会並びに損害保險中央会、この両中央会は、戰時におきまする戰爭の危險が増加して参りまして、保險会社の保險金の支拂をする場合において、継続することは相当の経理上の圧追であつたのでありまするが、これを除くために昭和二十年四月一日に設立されたのであります。然るに終戰と相成りまして、それらの業務は非常に縮小し、その業務は大体主として再保險の業務を行なつておつたのでありまするが、これらが非常な減少をして來て、整理の段階に入つて参つたのであります、尤も又これらの中央会は戰時色の誠に濃厚なものでありまするので、関係方面における意向もあり、この両中央会を解散をして、そうして整理をするということに相成つたのであります。併しながら両中央会は、両保險金の未拂のものもあり、又借入金等もあるのでありまして、保險業務に関しまするいろいろな残務があるのでありますから、これを生命保險中央会におきましては協榮生命保險株式会社にその保險業務に関する権利義務を承継せしめ、又損害保險中央会におきましては東亞火災海上保險株式会社に承継をさせまして、そうしてこの両会社におきまして、他の業務におきまする收支と区分いたしまとてこれらの整理をいたさせることにしようというのであります。尚これらにつきましては、若しこれらの業務によつて損害がありました場合には政府がこれを補償するということに相成つておるのでありまするから、これらの両会社におきましても、これを区分整理いたしまして、そうしてそれによつて損害があれば政府がこれを補償し、利益があればこれを政府に納めさせるということに相成つておるのであります。協榮生命保險につきましては、外國会社の業務を中央会において承け継いでおるのがあるのでありまして、それを今度協栄生命保險に承け継がせるのでありまするからして、これにつきまして、やはり他の業務と区分いたしまして、そうしてこれはカナダ・サン及びマニユフアクチユラス、この両会社であるのでありますが、これらの保險契約者の利益を保護しようとしておるのであります。尚中央会にありました時と同じように、税法上の特典等を與えるというような規定を設けておるのであります。これが大体内容であるのであります。
 ただこの解散の生命保險中央会法及び損害保險中央会法の廃止につきまして、衆議院において修正があつたのでありまするが、これは原案におきましては、この廃止の期日は政令で以て定めるということに相成つておるのでありまするが、法律を廃止するのにこれを政令で以て規定するということは適当でないというので、これは大藏大臣の指定する日において両中央会が解散をし、その日を以て本法律が廃止されるというような意味に修正ができたのであります。尚法律が廃止されまして、そうして清算が続くのでありまするから、法律なくしての清算でありまするから、これはその法律が尚それについては存続するものとみなすというふうな規定を設けたのであります。
 質疑應答につきましては速記録によつて御覧を願いたいと思いまするが、ただその主なるものを申上げますれば、両会社の戰争保險から受けた損失は政府が補償することになつておるのであるが、この損害はどういうふうになつておるかというふうな意味の御質問があつたのでありまするが、これにつきましては、すでに両中央会に対しましてその損失を補償する部分は二百十億円に相成つておるので、これは昭和二十一年度の追加予算にすでに計上されてあるのであります。尚これを両会社に引継ぎまして整理しまする上におきまして將來生ずべきところの損失は、大約四十億円あるという見込であるのであります。この四十億円は、或いは次の議会、又は通常議会に提出をして御協賛を得たいということであつたのであります。尚この二百十億円の支拂は、大体すでに支拂い済みでありまするが、尚幾分か残つておりまするが、これは両会社に支拂うことに相成るのであります。尚何故にかくのごとき私立の両会社に整理させるか。国家の責任で國営的にこれを処理する方が適当ではないかという御質問があつたのでありまするが、これは両会社は、協榮につきましても、東亞海上にいたしましても、全体の保險会社が出資して集まつておるものでありまして、又中央会ができましたときに、この両会社がいたしておつたところの仕事を中央会が引継いでいたしたような閥係もあるのでありまして、それ故に、又この両会社は今日再保險をやつておるのでありまするから、これらの会社にこれをやらせることが適当であると考えたのである。尚私立の会社にやらせる上におきましては、いろいろな保險会社の集まりであるからして、自分らの都合の好いように政府の損失を多くするようなことがありはしないかというような御質問もありましたが、これに対しては、政府は監督を十分にして、中央会がやつておつたと同じようにこれに監督を加える。ただこの会社を手足に使うというような観点からこの法案を提出したというような説明であつたのであります。
 かくて討論に入りましたところ、共産党の中西君からいたしまして、共産党は残念ながら賛成ができない。それは、こういう私的機関で整理させることは非常に危險を含んでおる。將來この会社が再保險業務を行なつて行つても、結局現存の状態では、國家から莫大な援助を受けなければやつて行けない事情があるように思われる。我々は現在の政情において銀行國有を主張したように、やはり私的な個人的な会社で行くというような方向に対しては、時勢に逆行するものであるという考えを以て反対するということであつたのであります。次に民主党の木内君からいたしまして、本案には賛成である。いろいろ議論はあるが、過去の保險業務の整理をこの二つの会社に任すことについては、別にこれがために國家機関を設ける必要はない。殊に両会社の性質、從來からの経験から見ても、止むを得ない適切な処置であると思うから賛成をする。ただ政府は今後とも特に監督を十分注意してやつて貫いたいということを希望するということでありました。日本社会党の森下君からいたしまして、我々はこの法案に賛成する。衆議院の修正も誠に妥当な修正であると思うから、その修正をそのまま承認してよいと思われるので、本案に賛成するということであつたのであります。
 かくて採決に入りまして、多数を以て本案は衆議院の修正通り可決すべきものなりと決定をいたした次第であります。報告を終ります。(拍手)
#15
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は可決報告でございます。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#16
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#17
○議長(松平恒雄君) 日程第四、労働者災害補償保險特別会計法の一部を改正する法律案、内閣提出、衆議院送付を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。
   〔黒田英雄君登壇、拍手〕
#18
○黒田英雄君 只今議題となりました労働者災害補償保險特別会計法の一部改正する法律案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告を申上げます。
 先ず法案の内容を申上げますが、極めて簡單な法案であるのでありまして、労働者災害補償保險特別会計法中の、厚生大臣とあるのを、労働大臣に改める、これは現行におきましては厚生大臣が所管大臣になつておるのでありますが、これを労働省ができました場合におきましては労働大臣に改めるというのであります。
 尚附則の改正に追加があるのでありまするが、これは労働者災害扶助責任保險法というのがあるのでありまして、この労働者災害扶助責任保險特別会計法というものは、この労働者災害補償保險特別会計法ができました際において、施行されましたときに、六月の末日を以てこの特別会計法が廃止されておるのであります。然るに労働基準法の施行が遅れましたために、労働者災害扶助責任保險法というものは廃止されないで続いておるのであります。從いまして労働者災害扶助責任保險法の收支を取扱いまする特別会計が、すでに廃止されておるのでありまするから、これを今度改正されまする労働者災害補償保險特別会計においてそれを取扱うようにするのであります。そのために保險法が廃止されるまでは、この会計で取扱うということの規定を附則においておるのであります。そうしてこの労働大臣に改めるのは、六月三十日に特別会計が廃止になつておりますから、七月一日から遡つてこれを適用するというのであります。これは実際においてはすでにもうそれで処理しておるのであります。前の特別会計の残余金等はこの会計が引継いでおるのでありまするから、ただ法律を適法にするに過ぎないのであります。労働大臣の方は労働省設置の日から施行されるということに相成つておるのであります。
 本案につきましての質疑應答につきましては速記録を御覧を願うことにいたしまして、ただ労働基準法の施行が遅れておるのは、労働省の設置が遅れた結果であるかという御質問に対しましては、これは労働基準法によりましては、労働基準局というものが各府縣に設けられるのでありまするが、これらの設置の準築いろいろ遅れておるし、尚労働者の標準報酬その他各種の調査が遅れておるために、遅れておるのであるということであつたのであります。
 その他國民健康保險法等につきまして、掛金、保險料等の率が高過ぎる、これを引下げる考はないかというような御質問もあつたのでありますが、これらは速記録に譲りまして省略さして頂きたいと思います。
 かくて討論に入りましたところ、別に御発言もなく、採決をいたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものなりと決定をいたした次第であります。御報告を終ります。(拍手)
#19
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。委員長の報告は可決報告でございます。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#20
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#21
○議長(松平恒雄君) 日程第五、復興金融金庫法の一部を改正する法律案、内閣提出、衆議院送付、先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。
   〔黒田英雄君登壇、拍手〕
#22
○黒田英雄君 只今議題となりました復興金融金庫法の一部を改正する法律案に関しまして、委員会の審議の経過並びに結果について御報告を申上げます。
 これは法案は極めて簡單な法案でありまして、復興金融金庫の資本金の二百五十億円とあるのを、五百五十億円に改めるというだけの改正であるのであります。即ち三百億円を増資しようという法律案であります。本案は御承知の通り、復興金融金庫は本年の一月末にその設立を見たのでありますが、今日に至りまするまで経済再建に必要なところの重要なる基礎産業につきまして、資金の需要が非常に増加して参り、又これに加えまして公團等の貸金の融通拙守も加わりまして、非常に資金の需要が多いのでありまするが、すでに本年の七月末に発行余力でありまする百八十億円も貸出が出ておるような事情であるのでありまして、今月の末になりましては、もはやその発行余力もなく、資金が枯渇するというふうな状態に相成つて参つたのであります。それにつきまして本年の融資の計画によりますというと、総額が五百二十億ぐらいの債券を必要とするのであります。それに繰越金、或いは回収等もありまするから、それを引きますというと、結局三百四十億円ぐらいの資金を今後要するのでありまするが、四十億円は先ずこれは次の機会に譲ることにして、差当り三百億円だけを、来年の一月までを賄うために必要であるので、ここに三百億円の増資をしようというのが政府提案の理由であるのであります。
 これに対しまして質疑に入りましたところ、各委員から非常に熱心な御質問があつたのであります。金融金庫の貸出等についても、いろいろ御質問があり、いかなる方面に資金を使うか、例えば本年度の計画におきましても、一般産業資金としては三百八十三億で、公團資金に百九十一億というものを見込んでおるようなわけでありまして、これらについていろいろ御質問があつたのであります。又貸付をする場合において、これを調査する機関はどういう機関を設けておるか、これに対しましては、五千万円以上の大口については復興金融委員会、又それ以下のものには融資懇議会というものを、関係各省の財務担当者が寄つて作つて、それが調査をする。尚具体的のものは審査部で調査をするというような説明もあつたのであります。又公團の融資も問題になつたのでありまするが、公團が、政府が予想しておるような公團が設置されないような場合において、大体政府は公團は第二四半期において成立のものと見て、第三、第四は漸次減ずるものと見ておるようであるのでありますが、この公團が政府の予期すなように進まなかつた場合においては、それだけ資金が要らなくなるわけである。それに対してはどういうふうに考えるかということでありましたが、政府は、若し公團の設立が少くなり、又これの融資が少くなるようなことがあれば、これは他の、後に要求をする追加を差控えるとか、或いは他の重要なるものに振り向けるという答弁であつたのであります。又この三百億の債券を発行する場合においての消化をいかにするかという御質問に対しましては、今日までの消化の実際は約一割が市中一般消化になつておるのでありまするが、九割は日銀の引受に相成つておるのであります。これは今後貯蓄を増強し、奬励し、そうして成るべくこの方面に向ける資金をお願いしたい。日銀の負担を成るべく少くしたい方針で以て努力をするつもりであるというような答弁であつたのであります。尚金融金庫につきましてはいろいろ御質問があり、又論議された点が多々あつたのであります。貸付についてもいろいろ貸付の個々のものについての御議論もあつたのであります。併しながらこの復興金融金庫法の改正、即ち増資の問題だけは差当つて急に迫つておるものであるから、先ずこれを切り離して、これだけは進行するということに委員会は方針を決めたのであります。
 さようにいたしまして質問を終りまして討論に入りましたのでありまするが、波多野委員から三百億の増資は、これは急なことで必要であるから、又これによつて産業界の所要の資金を賄うものであるから、増資については賛成をする。併し復興金庫の今後の運営方針、機構等の問題につきましては、今後も引続いて本委員会において問題として取上げて、これが考究審議を続けて貰いたいという御希望を附けて賛成をされたのであります。委員会におきましても先程申上げましたように、復興金融金庫の運賃等につきましてはまだいろいろ御論議があるのであります。ただこの増資の問題だけをこの際切り離して急ぐために、審議を別に切り離して進めたのでありまするが、その他の問題につきましては、尚今後本委員会において十分に考究をいたすことにいたしておる次第であります。
 かくて討論を終りまして採決に入りましたところ、多数を以て本案は可決すべきものなりと決定をいたした次第であります。報告を終ります。(拍手)
#23
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。委員長の報告は可決報告でございます。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#24
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。議事の都合により休憩いたします。午後は二時より開会いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時十七分開議
#25
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き会議を開きます。この際お諮りをいたします。橋上保君から病氣のため会期中請暇の申出でがございました。許可をいたして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#27
○議長(松平恒雄君) 司法委員長から民法の一部を改正する法律案及び刑法の一部を改正する法律案の審査に関し、日本國憲法の施行に伴う民法、民事訴訟法、刑事訴訟法の應急的措置に関する法律及び刑法の運用状況、司法警察官の職務執行状況及び司法保護事業の状況を調査するため、伊藤修君、鈴木安孝君、松井道夫君、大野幸一君、齋武雄君、奥主一部君、鬼丸義齊君、岡部常君、小川友三君、來馬琢道君を、九月八日から九月十四日まで名古屋高等裁判所管内に七日間の日程を以て派遣したいとの要求がございました。これら十名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
#28
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#29
○議長(松平恒雄君) 日程第六、罹災都市借地借家臨時處理法の一部を改正する法律案、衆議院提出を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。司法委員長伊藤修君。
   〔伊藤修君登壇、拍手〕
#30
○伊藤修君 只今上程になりました法案につきまして、その内容並びに委員会の経過及び結果につきまして御報告申上げます。
 御承知の通り、戰災によりまして多数の人々が家を失いまして、住むに住む所ないというような状況でありましたので、これらを救済するために、罹災都市借地借家臨時処理法というものが施行せられた次第であります。この法律はこれら戰災に罹つた借家人を保護するために、又疎開によりましてその家を失つた者を保護するために、これらの人が元の住居に帰つた場合に、その土地に対するところの借地権がないのでありますから、再びそこに住まうことができない。これを救済するために、借地権がない場合におきましては、その所有者に対しましてその借地を優先的に求めることができる。又借地権がありました場合におきましては、この借地権者に、即ち元の家主の持つておる借地権者に対しまして、その借地権の譲渡を求め得られる。而も優先的に求め得られる。こういうことを規定せられましたところの各條項であるのであります。然るにこの法律は昨年の九月十五日に施行いたされまして、これらの優先的に保護せらるべき規定の有効期間は、本年の九月十四日を以て終了する次第であるのです。併し現在日本全國のこれらの不幸な罹災者諸君の現状から見ますならば、いずれも完全に復帰いたしまして、そこに住居の安定を得たという者は、その全数から申しますれば幾割でもないのであります。これは復興状況の現状から申しましたが、又都市に轉入を許さざるところのあの規定から申しましても、交通難の事情から申しましても、資金、資材のこの逼迫したる時代におきまして、容易に建築をなし得ないという現状にあるのであります。又過般当院におきまして住宅問題で御討論がありました際に、皆様のお説の中にも多々拝聽せられましたが、現在の建築制度のあの制限規定というものが非常にこれを阻害しておる次第であります。これらの幾多の條件によりまして、事情によりまして、法律が当初期待いたしました一ヶ年間では、これらの罹災者が元の土地に帰つて住もうということができないという現状であるのであります。即ち具体的に申しますれば、先に住まつておつた所に自分の住む家を作るということができなかつた。こういう事情にあるのです。かくてはこの法律を作りました目的、又多数の罹災者を救済するという大きな目的が達せられない事情にあるのでありまして、この法律を今一年延長いたしまして、以て東京都を始め全國百八箇所に亘るところの市町村の各罹災者諸君の住居の安定に対しまして資することを期したいと、かような意味合からいたしまして、この法案は提案された次第であります。(拍手)
 この法案の内容につきまして簡單に申上げますが、第二條の第一項中に、先程申上げました一ヶ年の賃借申入期間、即ち優先権を獲得するところの申入れ期間を、この法律施行の日から二ヶ年とするという変更であるのです。故に今日から申しますれば、この九月十四日から申しますれば、更に一ヶ年延長するということになるわけであります。それから「第七條第一項及び第三項中「六箇月」を「一箇年」に改める。」この條項は、当時法律が六ヶ月として予定しておりましたが、これ亦先程の趣旨からいたしまして、これを一年に延長いたします。「第十二條第一項中「一箇年」を「二箇年」に、同條第四項中「區裁判所」を「地方裁判所」に改める。」これは御承知の通り裁判所法が施行されまして、從來の区裁判所というものが廃止いたされまして、地方裁判所若しくは簡易裁判所ということになりましたので、この場合におきましては地方裁判所の管轄に属するという意味におきまして、当然区裁判所を地方裁判所と改められた次第であります。「第十八條申「區裁判所」を「地方裁判所」に改める。」これも前申上げました理由でありまして、第十九條第二項中「地方裁判所長」を「地方裁判所」に改める。」これは所長個人の推薦、鑑定委員の推薦を所長個人であつたのを裁判所がこれを推薦すると改められたわけであります。「第二十二條中「勅令」を「政令」に改める。」これは勿論でありまして、今日勅令というものがございません。あり得ないのでありますから、これを政令に改める。こういうことになつたのであります。ここに第二十五條の二として新たなる規定が設けられた次第であります。この條文は非常に分りにくい條文でありますが、「第二條乃至第八條、第十條乃至前條、」即ち二十五條です。「及び第三十五條の規定は、別に法律で定める火災、震災、風水害その他の災害のため減失した建物がある場合にこれを準用する。」即ちこの法律は戰災による罹災者のために設けられた法律であるが、今日まで我々の知るところにおきましても、関西における風水害或いは飯田市の大火災、その他全國において数回大きな火災があるのでありまして、これに対しましては戰災による被害と殆んど同一のような状態にあるのでありますから、これを同様にやはりこの法律を以て保護してはどうかと、かような意味からいたしまして、この新らしい規定が設けられた次第であります。続いて「この場合において、第二條第一項中「この法律施行の日」及び第十條中「昭和二十一年七月一日」を「第二十五條の二の法律施行の日」と、第十一條中「この法律施行の際」を「第二十五條の二の法律施行の際」と、第十二條中「この法律施行の日」を「第二十五條の二の法律施行の日」と読み替えるものとする。」と、非常にややこしい規定でありますが、これは先程申しました「別に法律で定める火災、震災、風水害、」これに対しまして別にその都度法律を出す。その出した法律の施行される日、発布せられる日を基準にいたしまして、その日から起算するとこういう意味合でありまして、でありますから、この條文中にあるその日を只今新らしく出るところの、今後出る法律の発布せられます日と読み替えるというのであります。かような意味合でございますから、第二十五條の二はただ期間の起算点を定めた次第でありまして、且つ又本法を戰災による以外の災害にも適用しようという趣旨であるのであります。
 次に「第二十七條 この法律(第二十五條の二の規定を除く。)を適用する地區は、法律でこれを定める。」「第二十五條の二の規定を適用する地區は、災害ごとに法律でこれを定める。」「第二十九條第一項中「一箇年」を「二箇年」に改める。」それから附則といたしまして、「從前の規定によつて定められた地區は、これを第二十七條第一項の改正規定によつて定められたものとみなす。」こういう内容であります。
 ここに先程申しました東京を初め全國百八つの地区が昨年の勅令、即ち昭和二十一年の四百十一号の勅令を以てこの地区が指定せられておるのであります。併しそれは勅令でありますから、この法律によつて改めてこれを法律の内容とするということを二十七條の第一項に定めた次第であります。第二項におきましては、今後例えば飯田市にこの法律を適用する、或いは大阪にこれを適用するというように、新らしく適用する地区は、その都度法律を以てこれを定める、こういうふうにいたした次第であります。先に当院におきまして労働省設置法案につきまして、すべて政令を排除し法律を以てするという当院の見解は、正に衆議院においてその後かような法案として現われて來たことを非常に欣快とする次第であります。(拍手)つきましては委員会としてはこれに対しまして、審議を予備審査といたしまして二日、本審査として一回開いた次第でありますが、予備審査の時におきましては、只今申上げました法案と異なるものであります。殆んど内容が違つておると言うてもよいくらいの法案が出ておるのです。即ち第一條に、風水害及び震災、火災というものを規定いたしまして、第九條に、疎開建物に対する取扱規定を設けて参りまして、その他法案が、只今申上げました法案とは多少異同のあるところの法案が出て参りました。当時委員会といたしましてこれに対して質疑が重ねられまして、第一條の矛盾と第九條の各矛盾と、それから附則においての矛盾と、こういうものを指摘いたしましてこの法案に対するところの政府の意見も質しましたところ、政府もこれに対しまして反対の意思を表示せられました。故に委員会といたしましては、提案者に対しまして法案の整備を図つて頂いて、改めて提出して頂く、こういうことを御希望して予備審査はそのまま審査を中止しておつた次第でありますが、昨日衆議院におきまして、この参議院の意思を体しまして修正せられまして、本会議に上程し可決して、昨日午後四時に参議院に回付せられた次第であります。直ちに委員会を開きまして審査をいたした次第でありますが、委員会といたしましては、この期間の延長に対しましてはすべて了承せられるのでありますが、二十五條の二の規定に対しましては非常なる疑義を持ち、これに対しまして質疑應答が盛んに繰返されまして、遂には懇談会に移りまして、約一時間余に亘りまして、これに対して審議をいたした次第でありますが、結局委員会におきましては、これに対しまして或る点の了承を得まして質疑を打切り討論に入つた次第でありますが、討論の場合におきまして松村議員より、この二十五條の二に対しまして反対の意見を強く主張せられた次第であります。その理由は、元來かような臨時法規の内容に恒久的性質を有するところの法規を盛込むということは、立法の技術から申しましても、立法の建前から申しましても不穏当であるということが第一点であります。又この二十五條の二をここに挿入することによつて、來年一年を以て権利関係はその後十年続きますけれども、少くも法律の実体といたしましては、來年一年を以て終了すべきこの法律が、この規定によつて災害ごとに運行して來ることの実情に至るではないか、然らば永久法律となる。さような永久法律ならばむしろこの法律の体制に便乘せず、單行の法律として改めて提出することが妥当ではないか、こういう御意見でありまして、ただ前段の期間の延長に対しましては、これは賛成する。こういうふうな趣旨の御意見がありまして、本案に対するところは絶対に反対するという強い御意思の表明がありました。その他齋君或いは松井君、小川君、來馬君、各議員の御意見は大体におきまして松村議員の只今の御主張に対しましては賛成である。併しながら今日この法律がすでに旬日にしてその効力を失うことに立至つておる場合におきまして、若しその点を以てここにこの法案を握り潰す、若しくは否決する、修正するということに立至りますれば、この法案全体が潰れることになり、延いて以て本法がその施行の効力を失うことに至りますから、多数の全國の罹災者諸君に対するところの迷惑は測り得べからざるものがあり得るものと考えらるる。故に理論としては松村議員の御主張に賛成はするけれども、今日の実情といたしまして、この法案に対して賛成せざるを得ない実情にある。尚松村議員の御主張にかかるところの御懸念は、将來この法律に対しまして、例えば飯田市にこの法律を施行するという場合においては、別に定める法律、即ち政令を以てはできないのでありまして、改めて立法形式を以て上院、下院にこれを提案されなくてはならん。その場合において我々はこれに対して十分檢討をして、この法律を施行することの適否を決定すれば足るのではないか。正に我々が立法権を握つておるのであるから、その時においても遅くはない、故に本法においてその原則を定めるという、かような災害に対して戰災者と同樣な立場において保護するという原則を定める程度であるから、これはこの場合においては我々はこの改正案に対して賛成せざるを得ないというような御趣旨の御意見があつたのであります。採決の結果過半数を以てこの衆議院の修正可決通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。以上御報告を申上げる次第であります。(拍手)
#31
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより採決をいたします。委員長の報告は可決報告でございます。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#32
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#33
○議長(松平恒雄君) 御異議がなければこの際議事日程に追加して休会の件につき、お諮りいたします。
 議長は参議院議長と協議の結果、九月一日より十四日まで國会の休会をいたすことに協定いたしました。議長が協定いたしました通り決定することに御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて九月一日より十四日間國会の休会をすることに決しました。これにて本日の議事を終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト