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1947/09/15 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第30号
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1947/09/15 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第30号

#1
第001回国会 本会議 第30号
昭和二十二年九月十五日(月曜日)
   午前十時三十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第二十九号
  昭和二十二年九月十五日
   午前十時開議
 第一 自由討議
    ━━━━━━━━━━━━━
  一、所見開陳の範囲
    行政機構の改善策如何
  二、発言者の数 十三人
    緑風会五人、社会党、民主党、自由党各二人、無所属懇談会、共産党各一人
  三、発言の時間
    発言の総時間 三時間三十分
    一人の発言時間 十五分間
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。議席第百七十二番、地方選出議員、鹿兒島縣選出、前之園喜一郎君。
   〔前之園喜一郎君起立、拍手〕
#4
○議長(松平恒雄君) 次に、議席第百三十六番、地方選出議員、鹿兒島縣選出、岡元義人君。
   〔岡元義人君起立、拍手〕
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 日程第一、自由討議、本日の自由討議は本院規則第百四十七條によるものとし、所見開陳の範囲を「行政機構の改善策如何」といたします。会議時間は三時間半とし、各発言者の発言時間は十五分間でございます。発言者は制限時間を遵守せられんことを望みます。これより発言を許します。
   〔小林英三君発言者指名の許可を求む〕
#6
○議長(松平恒雄君) 小林英三君。
#7
○小林英三君 自由党は中川幸平君を指名いたします。
#8
○議長(松平恒雄君) 中川幸平君に発言を許します。
   〔中川幸平君登壇、拍手〕
#9
○中川幸平君 かねて痛切に感じておりまする行政機構改善問題に対し、所懷の一端を披瀝する機会を與えられましたことは、私の最も欣幸とするところであります。
 現内閣、殊に栗栖大藏大臣は事ごとに健全財政を堅持すると申されまするが、いかに國費が膨脹いたしましても、いかに國費を濫費されましても、一面増徴増税、いわゆる苛斂誅求するところにおいて一應健全財政は成立つのでありまするが、それでは國民は日日に疲弊困憊の極に陷るの外はないのであります。
 先般労働省設置法案の審議に当りまして、私は労働行政の完璧を期するためには労働省の必要なことは認めまするが、現在の國内情勢からいたしまして、我が敗戰日本は官廳の数が多過ぎる、官吏の数が多過ぎる、大々的の行政整理をせんければならんということが國民の声である。政府も先般内務省の解体を発表されましたが、これは官僚の根源を絶つという意味のみならず、行政整理の第一歩を踏み出すものと私共は大いなる期待と関心とを持つておるのでありまするが、この内務省の解体も実現せない今日、労働行政のみに大きな予算を使つて一省を設けるということが、果して当を得ておるかという質問に対しまして、齋藤國務大臣は、大々的の行政整理を断行し、官吏を半分乃至三分の一に減すべきであると考えておるが、これには大きな力が加わらなければ実現できない問題だ、その筋とも協議して実現したいと考えておる。但し官廳を減ずるのみが行政整理ではなくて、必要なる官廳を新設しすることも亦止むを得ない。労働省の問題は前内閣以来の懸案で、米窪國務相は労働行政の権威者であり、熱心にやつておられるから委せてあるので、行政調査部の議には掛けておらないという答弁であつたのであります。苟くも厖大なる予算を必要とする労働省の新設に当つて、行政調査部の議に掛けておらんと申されましたが、然らば行政調査部はどのようなことを審議する所であるかと伺いたいのであります。察するところ齋藤國務大臣は、労働省の新設には反対ではあるが、米窪國務相が余り熱心だから止むなく委せたと聽き取られたのであります。又労働基準法の施行を前にいたしまして各府縣に労働基準局を設けられました。その又傘下に三百何十かの嚴めしき而ち非民主的な名前の労働基準監督署を設けられたのであります。労働行政をさように幾つもの窓口にされましては関係業者は非常に迷惑である。尚全國どこへ参りましても適当な難物のない今日、職業安定所と合体して労政署とでもして運営した方がよろしくないか、又地方労働其準局設置に当りまして、業者に多額の寄附を申付けておることは不都合である。これらは國庫において支弁すべきではないかとの質問に対しまして、米窪國務大臣は、職業安定所や労政事務は府縣でやつて貰つておるが、労働基準法は中央と一貫した行政をするために別に設けたものであつて、設置に当り業者に迷惑を掛けておることは申訳がない次第であつて、直ちに調べて注意をするという答弁であつたのであります。私は調べて注意をして頂くために申上げたのではありません。百万月入用のところへ八十万円國庫の予算があるが、残りの二十万が会社業者の寄附に待とう。これならば協力であります。然るに國庫の予算は十六七万円しかないが、自動車の一台も入用であり百二三十万円必要であるから、百万円余り寄附して貰いたいということは何事であるか、府懸の役人に任せて一貫した行政が行えんから、直接官廳を設けたと申しまするが、かような心掛けの役人で果して一貫した行政がとり得るかと申上げたいのであります。政府は先に行政の大幅地方委讓を声明されましたが、高度民主化の今日当然の処置と思うのであります。併しながら何を地方に委讓されたのでありましようか。府縣農地部、或いは農務課が國の方針に從つて、農地の改良拡張、或いは農地調整法の実施に大童の努力をしておるにも拘わらず、農林省は地方に農地事務局や、その他の出先官廳を設けて、却つて処々に摩擦を起しておるのであります。商工省は地方商工局を設け、近くは各府縣に大々的な出張所を設けて、府縣の商工課の仕事を取上げて、これで一貫した而も公正なる配給統制ができると申しておるのであります。又戰災復興院は、各府縣に而も地方事務所にまで出張所を設けて、建築制限法の実施をやつておるのでありまするが、これらの事柄は出張所まで設けなくも、法規規則などを示して府縣建築課に一任すれば十分にできることと信ずるのであります。小さな建物を建てるにも縣から復興院まで、殊に工場関係になりますると、その上に地方商工局を経由し復興院へ廻りますと、商工省と会議というようなわけで、早くて半年、その中に書類が紛失したというようなこともあるのであります。又経済安定本部は、現片山内閣成立以來非常な厖大なる機構と人員を以て君臨されましたことは、ただただ驚くの外はないのでありまするが、尚その上にこれ又地方局を新設されましたことは意外とするところでありまして、安本はこの上何をせんとお考えであるか了解に苦しむ次第であります。実際片山内閣の実体が何れにあるかをお尋ねいたしたいと思うのであります。
 戰時中は勝たんがためにあらゆる不自由を忍び、統制々々に甘んじて参つたのでありまするが、終戰になると同時に、これら統制は一應解消すべきであると思うのであります。然るに終戰直後、主食は固より纎維製品、鉄鋼、油等重要物資十七品種は尚統制の必要がある、而も從來の民間統制より官統制に強化するという発表のあらました際に私共はこれも一應尤もな処置と考えたのでありましたが、その後次から次と余り重要物資と思われんものまでも統制を増加されることは意外とするところであります。最近は魚の登録、野菜の登録、漬物の登録、近くは衣料切符制による小賣店の選挙、或いは輸送証明制度や各種公團の濫設等、全く官僚政治の本領を顯現しつつあることに内閣諸公はお氣付きでないのかと思うのであります。これらの事柄が果して消費者大衆に喜ばれるでありましようか、さように縱横十文字に縛ばられて、それで中小商工業者の進展を望み得るでありましようか、実に由々しき社会問題であると考えるのであります。統制や配給制度を廃止すれば、役人は飯の食い上りだと國民は言つております。これは役人を整理されるという意味合のみではないのであります。誠に寒心に堪えない次第であります。武士は食わねど高楊枝、この古來傳來の高潔なる役人が果して何十パーセントおるでありましようか、官吏の待遇改善には私共は双手を挙げて賛成する者であります。併しながら政府は官吏や官吏たらんとする失業者救済の慈善團体ではないのであります。故に本國会におきましても行政監査を兼ねて行政機構改善に関する特別委員会を設け、あらゆる角度、観点から愼重檢討いたしまして、成案次第次々と政府に実行を要望し、(拍手)この行政整理によつて余つた人員は食糧増産に、或いは生産部面に挺身して頂くことが、敗戰国家再建に最も近道なりと考えるのであります。
 以上申し述べまして各位の御批判をお願いする次第であります。(拍手)
   〔中西功君発言者指名の許可を求む〕
#10
○議長(松平恒雄君) 中西功君。
#11
○中西功君 日本共産党は板野勝次君を指名いたします。
#12
○議長(松平恒雄君) 板野勝次君に発言を許します。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
#13
○板野勝次君 行政機構改革の中心課題は、何と申しましても人民の政治勢力というものから常に独立しました勢力として古い型の官僚機構が今日まで温存されておる点でありまして、從つて人民から離れて、而も人民の生活を支配するところの官僚政治の弊害を取り除くという点に、問題の中心点があるのでありまして、言い換えますると、この古い型の官僚機構をできるだけ弱めて、これを解体して、そうして人民に眞に奉仕し得るところのものたらしめるところの制度でなければならないと思うのであります。人民から独立した勢力の結集というものを断乎として排撃して行く、これが我々に與えられましたところの政治的な緊急宿題でありまして、而もこの緊急宿題は今日の政治的な、経済的な危機を突破し、我が國の人民的な、民主的な再建を図つて行くというその線に沿つて、行政機構の改革をどういうふうに行うかといる点にあると思うのであります。曾て戰時中におきまする天皇制的な官僚機構の状態を見ますると、当時におきまする我が國の生産人口は、曾て第八十八議会終戰臨時、議会におきまするところの発表によりますると、労働者と農民と漁民を含めまして約二千五百万人の生産人口に対しまして、約二百万の官僚群と八百五十万の軍隊、合計千五十万の不生産的な人口を養つて來たのでありまして、これはただに軍隊と官僚群に過ぎないのでございまするが、これだけでも厖大な人口を養つて参つたのでありまするが、而もこれらの厖大なる機構が人民の上にのしかかつており、そうして寄生的な、非生産的な状態を終戰まで続けて参つたのでございまするが、この状態が今日どの程度まで変つておるかと申しますると、少しも変つていないのでございます。成る程軍隊は解体された、軍隊の中職業的な軍人は身分的な結合によつていろいろな新興会社を作つて行き、これが將來反動勢力として擡頭して行く姿勢を整えつつあるし、尚官僚機構を助けて参つておりましたところの準官僚群と目せられる統制会等も、或いは公團の形式等によつてこの官僚機構を強めて行くという形になつて参つておるのでございます。而もこの天皇制官僚機構は幾分変貌して参つたのでございまするけれども、その姿は実に独占金融資本に挙げて奉仕するところの組織となり、ますますこの姿は強められる傾向が最近急速に助長されつつあるのでございます。(拍手)而もこの官僚機構の中最も指導権を握つておるものは何かと申しまするならば、それはすべての官僚群が特権を握つておるというのではなくして、極めて少数の官僚がこの実権を握り、この実権によつて独占金融資本に奉仕さしておる我々の調べたところによりますると、僅かに〇・三五%、一%にも満たないところのこの特権官僚がいろいろなことをやつておる。そうして九九・五%の下積みな官僚は安い俸給によつて生活を余儀なくされておるのが現状でございます。
 かくのごとき状態の中において、いつも行政整理の問題が叫ばれて参りますると、先ず首を切られる者はこの特権的な地位を利用しながら、戰時中においていろいろなことをやつて來たし、今日におきましても各種の特権的な地位の中にあつて、あらゆる民間の團体と取引するところの媒介体をなしておるこれらの人々に攻撃の矢が向けられるのではなくして、日夜営々としてこの特権官僚の意のままに動かされておるところの下級官僚がいつもその犠牲になつて行つておる。これは我々のどうしても断乎として反対しなければならないところでありまして、ここに行政機構の改革問題があるのではない。今までのごとく我が國の経済危機の状態はますます深刻に急速なる危機の方向に進んで参つておる、而も我が國の生産力はインフレと闇によつてますます破壞されつつある中に、ただ行政機構のみを問題にしてこの我が國再建を図り得ることは断じてできないことは皆さんもよく御存じのことでございます。從つて行政機構の改革の基本問題は先程も申上げましたように、我が國の経済再建ということを基本にしてこれを枢軸としてのみ行政機構の改革をなし得るのでございまして、この経済の再建の方途にはおのずから二つの途があるのでございましよう。その一つは資本的な再建の方向でございまして、この方向は自由党の時代においても、更に又現片山連立内閣におきましても、すでに再建の方向ではなくして破壞への方向に進みつつあるという事実は、國民全体が身を以て体驗しつつある事実でございます。(拍手、「違う」と呼ぶ者あり)今一つの方向は、我々はなんとしても人民的な方向によるところの再建の方途に向うより外ないのでございます。人民的な再建の方途とは何か、これはすでに重要なる産業に勤めておりまするところの從業員諸君によつても叫ばれております重要産業の國営の問題でございます。重要産業を國営に移して行く、ここに私は我が國再建のキイポイントがあると存ずるのでございます。この重要な産業を國営に移して行き、我が國の再建を着々進めて参りますためにも、從來の安本の機構や商工省の機構等では到底この重要な産業を國営に移して再建の方向に向けて参ることはできないので、我が党はこの危機を突破するためにどうしても最高経済会議を置いて、この最高経済会議を中心として、我が國の重要な産業を再建の軌道に乘せて参らなければならないと存ずるのでございます。而もこの最高経済会議は我が國の重要なる産業の再建のための計画、その議決等を行い、この最高経済会議は労働組合、農民の組織、中小企業團体を初め市民の組織を選挙母体として、それらの人が、それを選挙一母体として選出された人によつて構成されて行く。ここに中央に民主的な機関が置かれて参りまするならば、その他の細かい問題は別といたしまするも、國営人民管理の方法はここに確乎として決まつて参ると存ずるのでございます。この國営人民管理によつて國営化されたところの我が國の重要なる産業が、官僚化しない眞に人民的な方向に進み得るのでございまして、この最高経済会議を置くことによりまして現在我が國の独占資本と結び付き、これに奉仕しておりますところの経済安定本部の機構を解体して参らなければならないと思うのでございます。この経済安定本部の機構を解体することによつて、挙げて國会の権威を高め、國会の機能を拡充する方向に持つて参らなければならないのでございます。固より法制局も亦國会がこれをすべて掌握すべきでありまして、かくして國会を最高決議機関として官僚の独断專行をさせない体制を作つて参らなければならないのでございます。
 更に行政機構の第二の改革の要点は、先程も申しましたように特権官僚の問題でございます。この特権官僚をなくして行く、この特権官僚は戰爭に協力し戰爭を推進して参りましたところの戰爭事犯罪人が、今尚沢山つくつておるのでございます。この特権官僚をなくするためにも、内からの改革が必要でございまして、内からの改革は下級官僚の爭議権、團結権をあくまでも確保して行く、最近上程されようとしておりまする、國家公務員法のごときものではなくして、眞に人民的な公務員法に基ずいて、この下からの下級官僚が保護されて行くところの方向を見出して行かなければならないのでございます。かくして内部の下から盛り上つて参りまするこの力は、この特権官僚の腐敗、堕落を救い、これをその機構の外部に追い出して参ることによつて、中からの改革を行なつて行き、
 第三番目には、この勤労官僚の待遇の改善の問題、現在の千八百円のごときものでは到底食つて行けない。從つて多くの貪官辱吏のような者が続出して参りまするのも、偏えに下級官僚の待遇が惡いからであります。この待遇を外から良くして行き、人民的な公務員法を制定して行く、そうして主要なる官廳の人事には、必ず原則的に選挙制とすることによつてこの改革を断行して行かなければならないと思うのでございます。固よりリコール制等の問題は嚴に実行されるべきでございますけれども、常設的な監視、監督の機関は必ず置かれなければならないと思うのでございます。
 以上のような方向により我が國の経済再建の方途と相俟つて、我が國の行政機構の思い切つた改革の方向こそ正に必要な問題でございまして、ただ形式的な行政機構の改革、行政整理等は、徒らに我が國の眞に働いておる下級官僚の生活を困難ならしめる以外の何ものでもないのでございます。今日民主主義は極めて自由な形式において法律的に宣言されておるのでございまするが、眞に社会生活の物質的な諸條件が成熟することによつて、事実上この民主主義的な自由が保障されてこそ、初めて我が國の再建もでき、我が國の行政機構の改革もでき得ることを確信するものでございます。(拍手)
   〔鈴木清一君発言者指名の許可を求む〕
#14
○議長(松平恒雄君) 鈴木清一君。
#15
○鈴木清一君 日本社会党は堀眞琴君を指名いたします。
#16
○議長(松平恒雄君) 堀眞琴君に発言を許します。
   〔堀眞琴君登壇、拍手〕
#17
○堀眞琴君 自由党の論者は、行政機構の具体的な改革案についてはお述べにならずに、ただ僅かに行政整理の必要を叫ばれておるのであります。又共産党の板野君は、人民から遊離した官僚によつて運営される行政機構の欠陷を指摘されて、そして行政機構としては人民か遊離しない本当のものでなければならんということをお話になつたのでありまするが、行政機構の具体的な改革案については十分にお述べにならなかつたのであります。私は行政機構の改革問題は現実的な問題であり、これを具体的に述べるのでなければ、到底改革案としての意味を持つことはできないという工合に考えますので、行政機構の問題を具体的に申述べて見ようと思うのであります。
 先ずどこに現在の行政機構の欠陷があるか、内閣制度と行政官廳とに分けて見るというと、先ず内閣制度の問題でありまするが、新憲法と共に内閣制度は一應確立いたしまして、從來内閣制度について論議されておりました諸欠陷は排除されたのでありまするが、併しそれは果して根本的に内閣制度の一切の欠陷を排除したかと申しまするというと、決してそうではないのでございます。先ずその運用について、特に國務大臣と行政長官とのこの二つの面の調整について、必ずしも今日の内閣制度はこれに解決を與えていないのであります。それから又行政官廳の問題としましては、例えば一連の行政事務について幾つかの省に跨つてこれが行われているというようなことや、或いは各省割拠主義と呼ばれる各省間の相互の繩張り爭い的な争いがある。或いは新らしい社会事情に應じて新設の省を設けなければならんとか、或いは省の廃合を行わなければならんとか、建設省の問題だとかは、その具体的な例だと見ることができるのでありますが、そういうような問題がある。或いは又板野君も触れられたのでありますが、前の自由党の論者の方も触れられたのでありますが、安本の機構をどうするかというような一連の行政官廳に関する問題があるのであります。これらの問題について私は具体的にその改革案を申述べて見たいと思うのであります。
 先ず國務大臣と行政長官の分離の問題であります。國務大臣としましては一般の國務に参画し、行政長官としては專門的な知識を以てそれぞれの主任の事務を行うのであります。從つて國務大臣としては廣い識見を必要とするが、行政長官としてはそういう識見よりもむしる專門的な知識を必要とする、この行政長官と國務大臣の地位が同じ人々によつて占められているということは、今日の情勢においてはなかなか困難なことでありまして、どうしてもそこに行政長官としての專門的な知識を有する部分と、一般的な廣い識見を必要とする國務大臣とを分離せよ、こういう要求が起つて参るのであります。尤もこの分離論に対しましては欠点もないわけではありません。例えば國務決定の責任者と行政部門の責任者とが同じ人によつて占められないという結果、そこにおのずから國務の徹底的な遂行が妨げられるということが認められる。それから又行政長官として大臣を第二義的な地位に押しやる結果、責任感の点について、ともすれば薄らぐのではないかというような欠陷が指摘されるのであります。併しこの行政官廳が社会事情の複雜化に伴つて分化して行くということは、これは避けられない事情であり、自由党の論者は、最近官廳が新設されることは甚だよろしくないというような御意見のようでありまするが、私は社会事情が複雜化すれば、決してそれを顧慮することなく、これに應ずるだけの行政官廳を作つて差支えないという工合に考えるのでありまして、ただその分化して行く行政官廳に対して、これを綜合するという面がどうしても必要になつて來る。若し行政長官と國務大臣とを分離するならば、そういう細分化する行政官廳と、これを統合する面とが十分にそこで以て達成されるのではないかという工合、に考えるのであります。尚この問題は組織技術上の問題であるばかりでなく、政治原理上の問題でありましてさつき共産党の板野君が述べられましたように、最近の政治段階においては、もはや自由経済的なものではなくて、國有國営というものを前提とした高度の企業形式に発表しなければならないということが要請されておる。いわゆる社会主義化が今日の世界史的な要請となつておる。こういう段階において、國民の代表の機関である國会の下に政治を運営して行くのでありますが、併しその責任において國家統制、政府統制というものを強化せねばならぬ、こういう必要に追られておるのでありまして、從つてその点から見ましても、國務大臣と行政長官の分離の問題は十分意味を持つて來るのではないかという工合に考えられるのであります。
 それから第二の行政官廳の問題でありますが、行政事務が不統一であるとか、割拠主義が行われているとかいうような問題、それから又新しい省を設けなければならんというような問題、或いは現在の行政官廳を改組せよというような問題は、大体行政官鷹の再編成の問題として私は取り上げることができると思う。然らば我々はその行政官廳をどういう工合にして再編成するか。再編成するためには、私はそこに一つの基準を設けなければならない。その基準としては、先ず行政職分の科学的な分類を行わなければならぬ。第二には行政事務の統一を図らなければならぬ。第三には各官廳をして行政職能を十分に発揮せしめる。この三つの基準から行政官廳を再編成する必要があるという工合に考えるのであります。第一の基準である行政職分の科学的な分類、これはどうするか。これは要するに、行政は政治の目的を達成する手段であります。從つてその目的に應じて行政職能を分類するのでありますが、國家の機能という面から見まして、大体基本的な行政職分としては、治安に関する職分、経済に関する職分、文化に関する職分、社会に関する職分、大体こう四つに分けて見ることができると思うのであります。で、イギリスのオツクスフオードのアダムス教授は、大体私が今申上げた四つの分類に相應するような分類を挙げておるのでありますが、それによりまするというと、秩序法制の維持が第一の職分であり、第二には生産流通の統制、第三には社会的な福祉の確保、第四番目には財政及び金融、こういう四つの行政職分を挙げまして、これらの職分を独立の官省一つ、或いは二つ、或いは三つになるか、これはそれぞれその職分の有する内容によりまして異なるでありましようが、ともかくこの四つの職分をそれぞれの官省をして行わしめるということによつて、行政職分の科学的の分類が可能であるということを述べておるのであります。その外イギリスにおきましては多くの行政機構の改革案が現われておるのでありますが、これはイギリスの行政機構が御承知の通りに時代の必要に應じて後から後からと作られて参つたものでありまして、今日では四十幾つもの行政官廳が並立しておるという状態でありまして、從いましてその間には何の統一も連絡もなく、雜然として今日イギリスの行政官廳が存在しておる。こういう状態でありまするので、この雜然たる状態に統一を與えて、少くとも科学的な分類に堪え得るような行政機構を作らなければならぬというところから、各種の改革案が行われて参つておるのでありますが、アメリカにおきましてもやはり同様に、ワシントンの政府機構調査研究所の報告によりまするというと、國家の行政職分の科学的分類に基ずいて官省を設けなければならぬといたしまして、例えば一九二三年に発表された報告によりますと、國務、國防、大藏、司法、逓信、農務、商務、労働、営繕、文部、衞生というような十一の職分を挙げ、これらを担当すべきところの行政官廳を設くべきであるということを主張しておるのであります。私は以上の観点から見まして、今日の行政官廳を再編成するというためには、三つの基準により、そうして諸外國において行われているところの諸改革案を参照いたし、大体日本において、外務、大藏、司法、文部、農林、商工、逓信、運輸交通、労働、厚生、建設という十一の独立の科学分類によるところの行政職分を担当する行政官廳が可能ではないか。勿論それぞれの官廳の部局制度につきましても、やはり以上の基準から、一連の行政事務の統一を図るという観点に立つてこれを再編成する必要があるという工合に考えるのであります。それから共産党の板野君が述べられたのでありますが、最高経済会議を設置して日本の経済再建を図らなければならぬ。綜合的な計画を図るためにはどうしても最高経済会議が必要であるということを主張せられたのでありますが、私もこれに対しては至極賛成であります。この問題は当然安本の機構の改組問題に関連するのでありますが、自由党の論者も言われているように、安本の機構は最近極めて厖大となり、その権限も亦独立の省以上の勢力を持つに至つておるということは、我我も十分認めることができるのであります。私共はこの安本をどうするかという問題に対しましては、最高経済会議を設置しまして、そうして経済再建、基礎産業の國有國営に対しての綜合的な計画樹立の機関として、強力なものとしてこれを設置する。そうして安本はその事務機関として改組すべきであるという工合に考えるのであります。(拍手)
   〔木檜三四郎君発言者指名の許可を求む〕
#18
○議長(松平恒雄君) 木檜三四郎君。
#19
○木檜三四郎君 民主党は中井光次君に御指名を願います。
#20
○議長(松平恒雄君) 中井光次君に発言を許します。
   〔中井光次君登壇、拍手〕
#21
○中井光次君 終戰後我が國における行政機構の改革は、第一次地方制度の改正、新憲法及び地方自治法の制定実施により、すでに中央、地方を通じて根本的且つ重要な改革が行われているのであります。目今中央におきましては、労働省の新設は終り、内務省の解体に関連する機構改革の諸問題等の外に、官吏の職階、分限の確立を中心とする國家公務員制度の問題がその解決を待つているのであります。地方行政の面におきましては、すでに知事、市長などの公選制度、身分の切替等一連の改革より第二次地方制度の改正即ち地方自治法の実施が行われ、我が國民主化は著しい速度で行われておるのでありまして、我々はこれが運用実践に習熟することを肝腎と考えるのでありますが、尚若干の解決を要すべき問題が残されているのであります。中央の問題は暫らく措きまして、私は地方行政に関する二箇の問題について所見を申述べて見たいと存じます。
 その一は中央官廳の地方出先機関設置に関する問題、他の一つは特別市指定に関する問題であります。本年六月二十七日の調べとして先に内務省より配付せられましたる政府直轄地方特別官廳表というものを見まするに、出先官廳を有する関係中央官廳は実に内閣外七省に亘つて、出先地方官廳の数は四十五、これは東京都の調べによりますると五十八に及ぶ有様で、最近その数を著しく増加して、地方民は應接に邊なく、その濫設の弊に悲鳴を挙げておる有樣であります。これを地方側から見るに、東京都、五大府縣等におきましては、この出先機関の数は三四十の多きに上つておるのであります。誠に人民こそ迷惑至極のことと言わねばなりません。これらのものはそれぞれ相当の理由があつて設置せられたものには相違ないのでありまするが、つぶさに見ますれば、鉄道、逓信等現業的なもの、特殊の技術的のものなどを除いては、その事務を府縣に任せて然るべきものも亦少くないと認められるであります。府縣側は十六箇の出先機関の整理を主張しておるようであります。そもそも行政機構は、人民のために便利と簡易とを図り、官廳事務の合理化、能率化を本旨とすべきであるにも拘わらず、知らず識らずの間に官廳の自己本位――人民のためよりもお役所の都合のよい易き遂に就きたがるものであります。かくのごとき勢いを放置するにおきましては、折角立憲政治の基盤、行政民主化の源泉として地方自治を尊重し、これが発展強化を図られましても、地方は空虚なる自治を與えられ、官廳は出先官廳を駆使しておのおの勝手に官僚政治を行う結果となりて、ただに人民の不利不便のみならず、遂には自治の破壞ともなる虞れありと思われるのであります。これ故に出先機関の新設は当分の間これを禁止すると共に、現存機関についても再檢討を加えて、成るべく地方團体に委ねるように措置すべきものと考うるのでありますか。くて一面人員の整理もでき、徒らなる官吏の増加をも防止し得るのでありまするから、これが断行を望んで止まないものであります。
 その二は、特別市制に関する問題であります。そもそも特別市制に関する今日の問題は、本年三月、第九十二議会において画期的な地方自治法の制定を見、この法律中の一編に特別市制の制度が確立されたのでありまするが、京都、大阪、横濱、神戸及び名古屋の五大都市は、この際法律による指定を受けて府縣より独立せんとする熱望を有するのに対し、俄かに関係府縣知事がこれを阻止せんとする挙に出たところにあると存ずるのであります。而して反対の理由は、時期尚早論と特別市反対都市制論との二つに大別することができるのであります。尤も初めは、或いは食糧事情の困難を以て理由とし、或いは都市の財政が立ち行かんだろうと、戰災都市の自立不可能を理由とし、或いは又反対に残存府縣が自立困難なりとするなど、幾多の所説の推移がありました。又特別市制は肯定するが、投票の方法について府縣民投票にせよという主張もあつたのであります。
 そもそも大都市制度の必要性については、すでに地方自治法において法定確認せられたるところであり、又それ以前におきましても、大体世論は一致しておると思われるのでありまして、法は大都市の國家的重要性を認め、府縣の束縛から解放して、大都市の自由な経営を行わしめんとする、而もこれを自主的、民主的に、眞の自治の精神を尊重して行わしめんとするものであります。從つて今や問題は立法政策の論にあらずして、人口五十万以上を有する五大都市に対し特別市制を実施することの可否が現実具体的な問題であります。五大都市に特別市制を布くべきか、都制を探るべきかということについては、すでに幾多の論議研究の盡されたところで、都制論の最大の欠点は大都市の自治の破壊にある。これは正に封建的な、官僚的な行き方であるばかりではなく、実に愛郷愛市の念に燃えるそれぞれの市民の到底忍び能わざる所であります。時期尚早を唱うる者は、食糧事情その他社会不安定の時相に籍口するのであります。成る程今日は占領下、目前極めて艱難の時であり、あらゆる方面が困難山積の有樣であります。さりながら日本の民主化は着々として休むことなく各方面に推進せられており、又休むことなく推進すべき義務があると考えます。この過ぐる四月には七つの選挙を一挙にして断行したのでありますが、当時は大分危まれたものでありますが、見事にやつてのけたのであります。かくあるべきことは、準備のできたとき、事の定まりたるとき、逐次どしどしと断行すべきであります。尚早という漠然たる理由を肯定するには事柄が余りに明瞭であり、重大であると考うるのであります。かくて私は、特別市指定の問題は目下衆議院において研究せられておりまするが、速かに且つ明らかに國会は國家最高の意思を決定して、無用な策動及び動揺を鎮靜せしむべきであると信じ、且つ念願するものであります。
 かく申す私は、過去におきまして大阪府総務部長として府の行政に携わり、後、轉じて大阪市助役及び市長として大都市行政を担当いたし、府市双方の立場をもよく理解し、又その表裏を知り、経驗を通じて、大都市が府縣との二重行政、二重監督のために、國家的にいかに不合理、不経済なる実情にあるかということを痛感しておるものであります。大阪市は本年度当初予算が十六億円、一万七千名に上る職員を擁して各般の都市行政を執行しておるのでありまして、その行政、財政の実力は遥かに府縣を凌駕するものがあるのであります。然るにこうした大都市も、三五万の都市も同様に一律に府縣行政の支配に服せしめておりまするために、種々の弊害、不利、不合理となつて現われるのであります。例えば大阪市の臨海地帶は、季節的にしばしば高潮のために浸水の災害を被むるのでありまするが、これが対策として徹底的な防潮工事を実施することとなつたのであります。ところが市内の重要なる河川は府の管理に属しておるという関係上、防潮工事の施工もその地域によつては府市分割して施行するというようなことになつたのであります。かくて市の工事は竣工したのに、府担当の部分は竣工しないというようなことも起り、非常の場合に、折角の工事が一体同時性を失つておるために何らの用もなさんという危險に曝されたこともあるのであります。
 更に教育行政の面におきましても、大阪市は、上は大学、專門学校から下は幼稚園に至るまで、合計三百近くの学校を経営して、これに從事する教職員はその数七千名に達するのであります。御承知のように学校の設備は市に義務を負わされておりますが、教職員の任免や学級の編成につきましては知事が一切の権限を有しておるのであります。從いまして、小学校の教官一人を任免いたしますのでも知事の許可を取らなければならないといつた実情は、むしろ噴飯ものでありまして、かくては都市の教育行政の円滑なる遂行は期待できないのであります。
 次に大都市は、各種病院、保健所、診療所など各般の市民医療施設を持つておりますが、保健衞生の面におきましても、大都市の市長には何らの権限がないのであります。そのために恐るべき傳染病の発生時に際しましても、府の係官の指示がなければ府としては適切なる何らの予防措置をも講ずることができない実情にあります。先年発疹チブスが流行したことがあるのでありますが、本邦屈指の傳染病院と称呼られる大阪桃山病院の院長が患者を発疹チブスと診定いたしましても、府の係官の認定未だしという理由のために、久しく收容その他の適切なる措置ができなかつたため、発疹チブスが市内の一部に蔓延したという笑えない実例もあつたのであります。又電車、バス、地下鉄などの市営交通事業或いは上下水道の建設経営は、科学的の資料に基ずきましで市のそれぞれの專門的技術によつて行われておりますが、この監督は專門的には素人とも言うべき府の係官の常識によつて左右されるといつたような実情であります。
 以上は著しい二三の例に過ぎないのでありまして、大都市行政のあらゆる面におきましてこういう弊害は枚挙に遑ないのであります。これらの弊害を芟除するのでなければ大都市行政の眞の活溌円満なる発達は望み得ないのであります。これが改善救済の途は大都市に対する特別市制の実施にありと考えられるのであります。これを要するに、特別市制の問題はすでに一應制度上解決したものであり、今更その可否を論じ、制度そのものの反対を唱えることは当らないと考えるのでありまして、この前提の下におのずから打開の途を見出すべきものと信ずるのであります。ただ五大府縣市における両者の対立激化の状況を見るに、誠に悲しむべく又憂うべきものがあります。この際、主張する者も反対する者も冷靜に立ち返つて大きい國家的見地に立つて、双方話せば分る、話し合つて進むという態度こそ望ましいものと存ずる次第であります。(拍手)
   〔駒井藤平君発言者指名の許可を求む〕
#22
○議長(松平恒雄君) 駒井藤平君。
#23
○駒井藤平君 緑風会は來馬琢道君を指名いたします。
#24
○議長(松平恒雄君) 來馬琢道君に発言を許します。
   〔來馬琢道君登壇、拍手〕
#25
○來馬琢道君 明治維新は我が國行政機構の大なる改革であつた。弱い徳川幕府でもあれ程簡單に崩壞しようとは世人が思わなかつた間に完全に王政の復古ができた。併し朝廷は未丁年の天皇を君主に戴き、三條、岩倉等の公卿に薩長土肥等の家臣が協力して新政府を樹てたので、朝敵を討伐するという間にも、京都その他における苦戰の敵討をするというような氣分あるを免れず、又思想上においても亀井氏の一門のごとき人々の意見が採用せられ、佛教排斥、神道至上を主とした運動で、眞に日本國民の精神の帰趨を定むるという点には余り注意しなかつた。故に王政復古を標榜し、神祇官を諸官省の上に置き、神の威を以て朝命に服從せしめんとしたが、その企画が我が國の実情に適しなかつたから、直ちに失敗に終り、神道と佛教とを併せて大教院を置き、三條の教憲を定めて体面を繕つて見たが、明治八年に神佛分離となり、思想上の指導力は欠けてしまつた。この思想上の失敗と同じく、維新当時の一時的勢力で日に進み行く日本を治めて行こうとしたから、いわゆる民権運動が起つた。日本帝國憲法の発布によつて立憲君主國となつたが、伊藤博文公の憲法起草の述懷談を讀んで見ても、徳川時代の遺物を温存するに相当努めたことが分る。初期の衆議院議員選挙法のとき、直接國税金十五円以上と選挙権を制限したので、私の父などは東京市内の人家稠密の地の三百坪程の宅地の地主でありながら、僅かに二円程の地租が不足であるので選挙権を得られずに、不満の間に死亡したくらいである。即ち担税力のない國民には選挙権を與えられなかつたのである。貴族院においても、皇族は議席に着かれないのを常としながら議席は差上げてあつた。公侯爵議員は世襲的であり、伯子男爵の三爵議員は殆ど少数者の推薦がそのまま当選する組織であつた。勅撰議員は内閣によつて多少銓衡の方針に変化があつたが、大体官僚の養老院たる観があつた。松方内閣が衆議院を解散して選挙干渉により多数の官選議員を作らんとし、山縣内閣が陰險なる方法によつて議員をして我が意に從わしめんとしたるごとき、皆官僚は議員よりも優れたものなりとの信念から來たもので、その後大分民主化して來たけれども、明治以来の弊風は依然残つておる。我々はこの新憲法施行に伴う國会並びに政府の機構の大変革の時に一大改革をなすことが最も必要なりと思う。推古天皇の朝、本邦の聖人と言われた聖徳太子は憲法十七條を制定して政治の方針を示された。即ち施政の方針である。それには各章典に官吏たる者、人民たる者の心得を示された。これが日本政体の特色である。今片山総理大臣が頻りに発表せらるるところは、高度民主主義といい、耐乏生活主義といい、その國民に望むところは精神的覚醒即ち道徳的反省である。換言すれば聖徳太子憲法の要諦である。元來眞の民主政治は、徳を以て國民を化し、國民も官吏を尊敬し、同胞相讓り、以て円満なる國政の運営を実現して行くべきである。然るに民主政治ということが説き出されてから、官吏及び公務員は国民の選んだものであるから尊敬するに足らず、その言うところを無條件に受入れることは何か國民の品位を低くするというような考えを持つておる人が大分ある。これは非常な間違いである。同一人間に生れて來て、或る国体の長等に推される人、或いは総理大臣等に選ばれる人は、皆佛教で言うところの昔善根を植えた人である。日本國の象徴であり、日本國民統合の象徴である天皇は、その福と徳とを備え給うのである。天下の信奉を集めて総理大臣となり、國務大臣となり、知事となり、市長になるという人々は、皆福分あり、徳分がある人で、國民はこの人を尊敬し、信頼し、政治家たると同時に徳者として尊敬すべきである。同時にその地位に登つたことは、実に父母の恩、師長の恩、国家の恩なりと思い、政治三昧に政治家として精進すべきである。古い文献によれば、東洋の或る國のごときは、官吏はその職を黄金で買うものであるから、在職中にその資本金に数倍する黄金を得て利殖の目的を達して置かなければ一身の安定を保てないということを考えて、盛んに不当の利得を狙つたという。今日我が國の官吏及び公務員が、自分が勝ち取つた地位であるという考えで、古い東洋の某國の官吏のようなことをしてはならん。即ち選挙による官吏及び公務員も奉公の至誠を盡すということに專心すべきである。政務を放つて置いて次の選挙の支度をして歩くというごとき非難は、國民の耳に響いて甚だ不愉快である。(拍手)
 今後の行政機構の改善ということは徳化を主としてすべてのことが考えらるべきである。内閣を乘取つたという観念で作らるべきではない。國民精神の指導を文部省という力の弱い一省に任せて置いて新らしい政治ができる筈がない。政府は須らく私の只今申した方針で思い切つた新らしい行政機構を立案すべきである。各省の配置その他の細目については、片山総理大臣の徳義的政治の理想に一任したい。
 次に地方制度の改善であるが、交通機関絶無の時代において全國が六十余州と言われていたことを思うと、今日のごとく交通網の発達整備したときにおいて尚五十に近い府懸に分たれておるということは、私の不可解とするところであります。これは昔有力者が知行を分取り合つた関係もあり、武力を以て隣國を兼併した関係もあり、近代においては徳川氏が大藩と小藩と、又譜代と外樣とを適当に配置する必要にもよつたことであるが、各種の現在の情勢を考うるとき、都道府縣の区画は甚だ狭小に失するものである。伊賀、志摩、和泉、若狭等の小腰が隣縣に接収されたごときは当時の勇断であつたと思うが、今日においては九州のごとき地方は一州又は二州となし、東北六縣も一州となし、なし得べくんば雪害國の北陸地方と太平洋沿岸の地方とを一州として、山陰山陽両道の区別のごときもむしろこれを横断して一州となし彼此の産物を交易するようにすることが、食糧その他各種の問題を解決するに多大の利益あるを信ずる。佐賀、熊本等の米は、何らの手続を要せずして迅速に長崎、福岡等の消費地を賄うこともできる。日本海の荒れるときに瀬戸内海の魚が直ちに伯備山間の食膳を賑わすことができる。而して知事にはいわゆる大臣級の人物を選挙することとし、現在の府縣廳はこれを州の出張所……これも十分整理を要するが、州の出張所として、特別市制のごときはこれを後廻しにしてすべての割拠主義を打破すべきである。(「異議なし」と呼ぶ者あり)或いは選挙地盤等のことを憂慮せらるる方も相当あろうと思うが、議員の椅子を独占しようとする考えがすでに頭脳の改造を要する一要件であると思う。(拍手)眞の徳望家は又必ず当選できるに相違ない。この案の実行方法については、國会は両院が全院委員会のごときものを設け、地方別に主査を置き、更に両院の協調を得て一大改革をなすべきものと思う。以上要領を述べて、実現の方法は諸君の研鑽を期待する次第であります。(拍手)
   〔駒井藤平君発言者指名の許可を求む〕
#26
○議長(松平恒雄君) 駒井藤平君。
#27
○駒井藤平君 緑風会は岡部常君を指名します。
#28
○議長(松平恒雄君) 岡部常君の発言を許します。
   〔岡部常君登壇、拍手〕
#29
○岡部常君 大分時間もたちましたし、又数人の弁士によりまして、かなりに廣い範囲において論じ盡されたように思います。私は重複を避けまして私の所見の一端を述べたいと存ずるのであります。今までお立ちになつた皆さんのお話を聞いておりまして、この問題解決の必要は十分に認められておるのでありますが、皆さんの御懸念になつておりまする元といたしましては、どうも新憲法が実施せられ、新國会が生れ、新らしき形式によつて内閣が成り立つておる今日において、今尚古き形が存して、それがどこやらに底力となつておるということを御心配になつておるように受取れるのであります。私は本問題につきましても、やはり同樣の疑念を持つ者であります。言葉を換えて申しますれば、例えばここに行政整理を行うといたしましても、その行政整理がややもすれば從前の形に堕するのではないか、いわゆる御都合主義の、天引主義の、又按分比例的なその場逃れの整理をやるのではないかという懸念がいたされるのであります。私は若しかくのごとき御都合主義の整理でも行われるというようなことでありまするならば、私は絶対に不賛成、又皆樣も定めし御同樣であろうと信ずるのであります。かくのごとき点につきましてはその道の練達堪能の齋藤國務相を待つまでもなく、これは算術のうまい人、算盤の上手な人、技術家に託すればよろしいのでございまして、齋藤國務相のごとき立派な政治家を要しないと考えるのであります。私はそういう意味から申しまして、今後行われまする行政組織の改革におきましては、先ず科学に立脚せよ、かように申したいのであります。合理主義によれと、かように叫びたいのであります。私はすでに数氏から述べられておりまするから、それらの具体的の点につきましても、僅かに数点に亘つて私は意見を開陳いたしたいと存じまするが、差当りにおきまして考えられますることは、今回新たに生れましたる労働省、この機構等についてはすでにこの議場において論じ盡されまして、でき上つたことでありますから、今更ここに新たに申述べる必要はございませんが、この労働省の新たに誕生いたしましたることによつて厚生省が変貌いたしたのであります。この厚生省をいかに今後運営して行くかという問題、又近く内務省がその影を隠すということでありますが、その内務省の後始末はどうなるか、地方に権限を委讓した後をどうするかという問題、この点につきましてはすでに前の方々がお触れになつておりますが、この点は從前の日本の政治体系から申しまして極めて重要なる政治であると私は信ずるのであります。(拍手)又更に今回新たなる三権分立の形といたしまして、裁判所が、從前においても独立はいたしておりましたが一今回新生面を得まして、新たなる三権分立の一つの鼎の足として裁判所が外に出ました。その後の司法省の問題、そういう問題もあるのであります。それらにつきまして、政府者は勿論お考えのあることと存じまするが、相当重大なる問題が横たわつておると存ずるのであります。私は時間が長くなりますから、その中で司法省に関連する問題で一二申して見たいと存じます。
 皆さんすでに数日來の新聞におきまして、靜岡の刑務所において忌わしき事件が勃発したことは御承知の通りであります。誠に我が行刑制度、新らしき行刑制度生れて以來の大珍事でございます。私も曾てその方面に関係いたしました者として誠に残念に考えております。今行われておりますることが先に職を奉じておりまする我々の責任でないとは申せません。その点から申して私は祕かに慚愧の念に堪えない者であります。併しながらこれがどういう原因によつて起つて來たかというようなことは、これは皆樣によくお考えを願いたいと考えるのであります。從前この方面のことは司法省に任せればいい、行刑者に任せればいいというふうに簡單に考えられておつたのであります。或いは誤まつて裁判所の判決に任せればいいのだ、或いは檢事局のみに任せればいいのだというような誤まつた考えさえも行われておつたのでありますが、併しこの國家重大なる形勢がしかく簡單なことで片附けられよう筈は絶対にないのであります。これは先程申しましたように重要な政治なのであります。人の命を預かる否、人の魂までも預かる大事な行刑なのであります。これに対して單に牢番と蔑すまれる刑務官に、或いは行刑局に、或いは司法省のみに委しておつてできる筈はないのであります。(拍手)然るに從前はそれを以て世間の方は晏如としておちれたのでありますが、今やこれは皆樣の足下に火がついて参つたのであります。一つの刑務所の、一つの縣のでき事としてのみお考えになつたならば、これは大変なことでありまして、あの一つの波はいかなる波動を起すかということを考えますると、誠に寒心に堪えないものがあるのであります。(拍手)私は詳しいことは外の機会に述べさして頂きたいと思いますが、どうぞあの大事なる行刑、それを皆様の頭に入れて、又國家の政治の本道にこれを取戻して頂きたいと考えるのであります。本日は傍聽の御方も少いですが、傍聽の人々に対してもこの國会を通じて皆樣がよく考えて下さるということを知つて頂きたいと私は考えるのであります。これは我々だけでなく、世間全体が打つて一丸となつて、我々の悩める同胞を救うという大きな立場に立つて、始めて解決せられる大問題なのであります。この重大なる問題、この問題を解決するに今までの司法制度で足りるかどうか、又更に裁判という大きなものを引き拔かれた後の司法省の姿そのもので処理して行けるかどうかということも、これは重大なる問題であろうと思うのであります。この点皆樣の御考慮、深き御考慮をお願いいたしたいと存ずるのであります。更に司法保護の問題であります。私は司法保護という、司法という字が冠せられておることが、誠に不思議だと考えるのであります。その点は私は今回内務省が姿を消す、又厚生省が形を変えたこの機会におきまして、すべての保護事業を打つて一丸とする必要があるのではないかと考えるのであります。否、私はこういう際に拔本塞源的にこの問題を解決すべきものであると信ずるのであります。更に國家治安の問題であります。警察権の問題であります。これは内務省と地方との関係、而して更にこれは司法警察権の関係に及ぶと思うのでありますが、これは従前度々唱えられて、計画もせられたことで、尚実行に移り得ないところでありますが、この機会を利用いたしまして根本的な解決の途を見出したいと、かように考える次第であります。
 時間も迫りましたから私は司法省の関係の点はこれに止めまして、その外一つ、もう一つ附け加えて置きたいことは、これは私が偶然知つた一つの事例でありますが、かの六三制問題などで、又三十何億の予算問題と言つて皆様がお骨折りになつておりましたが、その教育部面におきまして、今尚戰時中の残り物があるのじやないか、相当な設備、相当の予算というものが今尚そのままにされておるのではないかという一点であります。戰時に要求せられましたるお医者さん、それらの養成機関、これは私具体的には申しませんが、速成のお医者さん養成の機関というようなものが、形は変つておりましようかも知れませんが、今尚それを守るだけの必要があるかどうかということであり、又工学方面におきましても相当大きい設備が無駄になつておるのではないかということを、私は具体的の例で申したいのであります。これなども早く戰時色を拂拭して、その力をよそに持つて行つて然るべきものだと考えるのであります。更にここに根本問題として考うべきことは、從前の予算におきまして日本の予算の大部分を占めておりました軍事予算、陸海軍予算が戰爭放棄という理想國実現によりまして予算面から消えたことであります。現在におきまして、それが或る形において必要でございますが、而もこれはやがて予算面から影を消すべき筈のものであります。この大なる予算もいかなる方向に使うべきかという問題でありますが、私はこの点につきましては、先程行政整理でもやるならば科学的にと申しましたが、この大なる予算を使うことにつきましては、これを科学振興に使用しろ、全面的に科学振興の点に注入せよということを絶叫いたしたいのであります。(拍手)科学者天皇を載く日本において、正に科学立國の声が挙がるべき絶好の機会であると私は確信するのであります。(拍手)かくてこそいわゆる高度文化國家の建設もここにできると私は考えるのであります。從前行われましたところの政治におきましては、いわゆる官僚、軍閥、或いはいわゆる既成政党という力によつて行われました関係からいたしまして、いろいろな制約を受けて思うように行かなかつた点があろうと思います。時代の影響もありましようが、今やそのあらゆる障害物は取り除かれたのであります。而も今まで綺麗なことを言つて來た、清節を持し来たりしところの社会党首班内閣においては、私は綺麗なる整備が、政治の整備ができることを私は確信するのであります。どうぞ立派な行政機構の改革ということが、この機会において達成せられることを祈念して止まないのであります。(拍手)
#30
○議長(松平恒雄君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十七分開議
#31
○副議長(松本治一郎君) これより休憩前に引続いて会議を開きます。午前に引続いて自由討議に移ります。
   〔小林英三君発言者指名の許可を求む〕
#32
○副議長(松本治一郎君) 小林英三君。
#33
○小林英三君 自由党は石坂豊一君を指名いたします。
#34
○副議長(松本治一郎君) 石坂豊一君に発言を許します。
   〔石坂豊一君登壇、拍手〕
#35
○石坂豊一君 本日の討議に付せられておりまする行政機構改善策如何という問題でありますが、只今まで同僚諸君からこれを実際の問題から、又これを理論の上から具さに論議されておりまするので、私は最早これに議論を加える必要はないように感ずるのであります。併しこれは非常な大きな問題でありまして、言うことは頗る易いのででありまするけれども、これを実際に行うということはいずれの國においても亦いずれの内閣においても、徹底的に行われてはいないのであります。戰時に膨脹したるところの機関を縮小する、こういうことは戰勝國におきましても、戰敗國におきましても、必ずその必要に追られておるのでありまするけれども、成功しておる國は滅多にないのであります。我が國におきましても一昨年内閣におきまして戰時体制を急激に変更いたしまして、軍需省を廃してこれを商工省に吸收し、大東亜省を廃して外務省に吸收する、或いは又農商省を分けて元の農林省、商工省に分ける、又運輸通信省を改めまして運輸省と逓信省に分ける、いろいろに盡しております。又その人員の整理におきましても、二十年の十二月十九日におきまして、閣議で以て中央は五割八心も減員をなすことに決し、随分思い切つた整理であります。又地方は二割七分、現業官廰におきましては、これは数が多いのでありますから、三十万以上に対してやるのでありますから約八分、それからこの補助員に関しましては一割七分という大幅の整理を断行するに至つたのでありますから、最早綺麗さつぱりと整理がついておるかのごとく見えるのでありますけれども、なかなかそうではないのであります。今更申上げる必要はないのでありまするけれども、終戰後の我が國の制度文物の変更と申すものは非常に深く且つ匿いのでありまして、皆樣にこれを繰返す必要はないのでありますけれども、かの維新の大業は古今無類の大業であつたと称せられておりますけれども、今日の我が國の制度の変更は、これに到底比較のならん大なる事業であつたのであります。併しこれは極めて急激に、極めて円満に行われておるのでありまして、表面はこれでさつぱりとしておるのでありますけれども、國民の頭にはそれ程綺麗に切替えられておるかというと、さようには感じません。殊に行政官廳におきましてはまだまだ多くの戰時体制が残存をいたしておるのであります。その証拠には我々が最近において受けたところの諸般の制度の改正、即ち武装解除の結果当時威勢隆々として各省を凌ぎ、飛ぶ鳥を落す程の陸海軍省がなくなつておる。又九重雲深き内大臣府も止めさせられておるのであります。宮内省も改革になつた。憲法が実施された結果三権分立は確立し、裁判所が独立して、枢密院、行政裁判所、又貴族院がなくなつて参議院ができておる。公侯伯子男の五爵がなくなつて四民中等になり、農地制度が実施せられまして地主が消滅し、財閥が解体し、挙げ來れば実に廣い範囲に亘つて深く改革せられまして、めまぐるしい程の変革であります。併し國民がこの改革に対して実際生活の上にどれだけ幸福を受けたかということを顧みるときに、どうもその生活状態において、この制度が改まつたがために成る程政治生活において廣き権限を得たに相違ない、男女同権となり、又丁年に達した者は悉く選挙権を得ておるのでありますけれども、日常生活の上においては却つて生活が困難となつて來ておるのでありまして、これらの制度改革の恩惠にあまり浴していないのであります。それは何のためかと申しますと、これは全く政治の力によることでありますけれども、その政治の力なるものは実際治める者、即ち行政の運営如何に懸つておると私は信ずるのであります。ここにおいて我々は好むと好まざるとに拘わらず、現在の行政機構を改正しなければならんのであります。先程來お述べになりました皆様も、今こういう混乱せる際に機構の改正などはやらんでもいいというような御議論は一人もなかつだ。悉くこれを大綱細目を挙げ來つて、是非共改革の必要に追つておると仰せられるのである。さてどうしてこれを改革するかということは時間の都合上お触れになつておらない。私はこの点について二三実例を挙げて、皆樣の御賛成を得たいのであります。
 その第一は、現在やかましく又皆さんからも仰せられた経済安定本部であります。これは我が國の混乱せる経済界を、又切迫せる危機を突破するために、臨時に設けられたる制度でありまするけれども、このままに放つて置きますると、ややともすると恒久的制度にならんとも限らないのであります。内閣に力強い政策を立てて國民を幸福の境地に置くためにやつた制度でありまするが、どうもこれは内閣が馬鹿になるか、安定本部がとぼけるかしなければ、どつちにもいい工合に行かない制度と相成りておるのであります。私は敢えて和田長官を非難するつもりでも何でもありません。たといどなたがおやりになつても、今日のごとき経済安定本部の強大なる力を以てしましては、内閣が居眠りをする外はないと思います。でありまするから、この制度はよろしく内閣に調査の資料を供給する程度に止めまして、内閣をして安んじて思う存分の政策を立てしおるということにしなければならんと考えるのであります。(拍手)先程内閣の大臣は國務大臣を当てて、行政各部の長官はそれそ、專門の人を当てるという御意見もございました。一應御尤もでありまするが、併し我が國の内閣は決して偶然にできたものではないのでありまして、これを科学の方面より研究し、それを内外の情勢より見、我が國の歴史より参考いたしまして、これがよろしいというところに落着いておるのでありまして、決してこの制度は陳腐なものでも、何ら國情に合わんものでもないのであります。ただ今日の場合において浮き足になつておる省のごときは改廃する必要もございましようが、併しながら大体において、我が國の國情といたしましては、入つては国権の大体を審議し、出でては行政各部の長官となるという、この制度が最もよろしいではないかと考えるのであります。昔より賢者位にあり、能者職にあり、余り專門的の知識の者を長官に据てますると、どうしても各省割拠の弊害は今日よりより以上に募るばかりではないかと考えるのであります。次に私はその実例に尚論及したいと思いますが、第二におきましては労働省のできたために、厚生省が変貌しておる。又地方廳の各権限が拡張しましたがために、地方の教育制度などが違つて参りましたために、文部省の機能も変更しなければならんのであります。労働省と厚生省の間、又逓信省と運輸省との間、又商工省と農林省との間に、重複して國民の迷惑しておるところの部局が少くないのでありますから、この点にも相当改革を施す必要がありと考えるのであります。
 又第三には、現在國営になつております、これは社会党の諸君との政策は相反するのでありまするが、我々は鉄道、電信、電話のごときは、これを民営に移しまして、民業の知識技能を十分に採用し、その民営の長所を発揮せしめまして、國民の幸福を招来しなければならんと信ずるのであります。これによりましてインフレの克服、赤字の征伐ということの今は絶好の機会なりと確信をいたすものであります。その次は、多分に戰時体制を取入れておりまするところの、かの日本発送電を民営に移しまして、而してその運営を円滑ならしめ、各地方の電力を十分開発するということにしなければならんと存ずるのであります。又その五は中央集権の弊を速やかに撤去し、地方分権の制を確立しなければならんのでありますが、先程來中井君その他から論ぜられたるごとく、逆に地方に中央官聴が進出いたしまして、地方自治の権限を縮小し、妨害しておる実働が少くありません。これらも速やかに撤去しなければならんと存ずるのであります。
 最後に私は内務省の解体の結果、治安局が設けられおるのでありますが、これについて考うべきことは、余り中央の機関を多くして、第一線に働くべき者の力を殺ぐということはよろしくないと思う。これは何としても治安の維持は第一線即ち地方に重きを置くべきものであり、この方面において十分の力を與えるような構成をしなければならんので、頭でつかちの弊に陷らざるようにしなければならんと考えます。又國土局と戰災復興院を合わせて建設院を置くということになつておりますが、これは極めて姑息である。どうしても我が日本のごとく、日夜に摩滅するところの国土を保護し、又交通、利水、治水、その他四百万戸に上るところの住宅の建設、百十九に上るところの戰災地の復興に対しましては、強力なる建設省を設けて管理する必要ありと信ずる者であります。(拍手)これを要しまするに、我が國の行政機構は未だ熟成されておりません。又営團、統制会社にしても、國民に迷惑を掛けて、おるところの機関は頗る廣いのであります。これを撤去しまして、現在の混沌たる情勢を安定せしめ、国民の全智全能を発揮せしめて、國家再建に盡さしむべきことが最も必要と考えるのであります。これは我が国民が先ず似て嘗めなければならんところの國民的努力であります。我々はこれを両院の決議に訴えまして、どうしてもこの改革が必要なりということを決し、一度びその決議が現われましたならば、これは即ち國民を背景とする世論でありますから、この世論に刃向う者は、人触るれば人を斬り、馬触るれば馬を斬るの概を以て、断々乎として決行すべきものであると信じます。(拍手)而してこれによつて生ずるところの剩余員に対して、即ち失業者に対しましては、別途大々的失業対策を樹立いたしまして、國民の生活安定に資すべきは勿論なりと考えるのであります。私の所見は以上の通りであります。(拍手)
   〔駒井藤平君発言者指名の許可を求む〕
#36
○副議長(松本治一郎君) 駒井藤平君。
#37
○駒井藤平君 緑風会は帆足計君を指名いたします。
#38
○副議長(松本治一郎君) 帆足計君の発言を許します。
   〔帆足計君登壇、拍手〕
#39
○帆足計君 先程来の御討議によりまして、官廳機構の刷新という一点につきましては、民主政治の確立を念としまする議会の各位、殆んど意見の一致を見ておるということを承わりまして非常に心強く感じた次第でございます。このような次第でありまするので、私は角度を聊か変えまして、現在の官職機構の根本に遡りまして、第一には、立法に対して、行政の比重が非常に大貫なものになつておる。これはいかなる理由であるか、これに対して我々はどう措置すればいいか、これを第一点といたしまして、第二点は、官僚の独善、又は行政の過重、これを裏から見まするならば、政党並びに議会及び國民機構の無力弱体を反映するものでありまするが、この点についていかなる改善策が必要であるか。第三には、我が國の官僚機構の基盤をなしております一つである厖大なる國営事業の民主化を、どのようにいたし、又これらの事業を行政から分離し、独立採算、能率経営にいたすのには、どのようにすればいいか。この三点につきまして考えておりますことを述べたいと存じます。申上げるまでもなく、議会が最も華やかなコースを辿りましたのは、資本主義の黎明期並びにその発展期でありました。当時議会は封建專制政治に対抗いたしまして、憲法並びに法律を楯といたしまして、國民の自由を守りました。行政は簡素な程よいとされましていわゆる安價なる政治が要求されました。國民生活並びに経済活動には廣汎な自由が與えられました。議会政治の確立は正にこのような社会的基盤の下においてのみ円滑に行われたのでございました。然るにその後歴史は移りまして、資本主義は発展し、成熟し、そうして独占的段階に達し、又はいわゆる帝國主義的段階に達しました。この段階に達しますると、一方におきましては恐慌が勃発し、又資本主義体制は國際的に大きな危機に面しました。かくして一方におきましては労働問題が起り、社会問題が起り、又は社会化その他の問題が日程に上りました。他方におきましては、この矛盾を強行的に解決しまするために、いわゆる独裁政治並びにフアツシスムがその勢いを盛り返しました。かくして一時議会政治並びに自由主義は下火になるかのごとく見えまし先。今や独裁政治とフアツシズムは倒れました。独占と軍閥は倒れました。而してその廃墟の中から再び議会主義と自由主義が歴史の脚光を浴びるに至りました。併しながら、然らば現在、過去において資本主義経済が十分に驥足を伸ばし得た時代とそのままであるでありましようか、敗戰の結果、経済界は混乱に陷り、そうして好むと好まざるに拘わらず国民生活の末端に至るまで、統制その他が行なわれておりますが故に自治経済の華やかなりし頃に比べまして立法は比較的小さな機能を果すものとなり、而して行政の権能は実に大きなものになつております。これは一つの客観的事実でございます。例えば物價統制につきまして議会が法律を決めます。それに從いまして何千何万の物價につきましては、これは官廳が独断的に決めることになつております。物資調整につきまして簡單な法律が決まります。厖大なる物資需給計画は官廳の手にあまねく委ねられてあります。先般來この議会におきまして生鮮食料品の問題が討議されました。これにつきましての国民並びに町議会の世論は概ね一致しております。然るに現実の政策におきましては殆んどこれらの國民の要望は無視されております。(拍手)國民生活に至大な関係のある一切の事項は立法の直接の監督下に置かれると申しまするよりも、厖大なる官廳機構によりまして運営されております。これに対しまして議会も國民も殆んど発言の機会を持たないというのが現状でございます。
 このような点から考えますると、私共は民主憲法の伴奏の下に、厖大なる官僚警察國家を作りつつあるのではなかろうかという不安の念にすら襲われる現状でございます。(拍手)ドイツにおけるワイマール憲法の悲劇が、異なる形態において我が國において成熟しつつあるのではあるまいかというような氣さえするのであります。私はこのように過大なる行政権力の下におきましては、議会の職能も、欝蒼たる官僚機構という大樹の上に止まつた蝉ぐらいのものではあるまいかというような感じすらするのでございます。然らばこのような現状を改革し、眞に憲法の精神に基ずく民主議会を確立し、民主政治を確立しまするためには、どのような手が打たれなければならんか、それには先ず議会の権威を確立することであります。議会の運営、機構、それを技術的にも実際的にも充実することでなくてはならんと思います。私はこれにつきましては、先ず選挙制度の合理化、議員の常勤制、歳費の適正化、調査費用の支出特に交通機関の完備、統計資料の十分なる把握、これらの点が急務中の急務でありまして、即刻議院運営委員会におきまして、これらの問題を取り上げて頂きたいと思うのであります。(拍手)現在厖大なる物資需給計画、祖國再建の経済計画は、殆んど数人の事務官によつて握られております。國会議員の中の一人としてその全貌を把握しておる方があるでありましようか。このようなことで國会の任務が果せるでありましようか。資料統計の蒐集把握、これは先ず我々がなさねばならんことであると思います。これと共に民間の機構を見て参りますると、民間の経済圏体は今や民主化の途を辿りつつありまするが、併しながらこれらの民間経済團体の活用につきましては幾多の難関に逢着いたしております。從いまして、若しこれらの民間経済團体を活用することができません事情にありますならば、一歩進んで、これらの民間團体が單に経営者代表のみならず、労働代表、科学技術代表、消費者代表等を参加させまして、業種別の産業協議会を設け、これらの国民の自活能力の補助によりまして官僚独善統制を牽制し、そうして調整する必要があろうと存じます。
 更に私は皆樣と今後是非御討議して頂きたいことを痛感いたしておりまするのは、本來三権分立の思想と申しまするものは、それ自体としては極めて重要な且つ曲ぐべからざる原則でありまするけれども、それ自体はやはり相対的なものでございます。その中心となるものは飽くまで議会でなくてはなりません。然るに現在におきまして議会政治、政党政治は確立しておりまするけれども、政党が内閣を取りました場合には、厖大なる官僚機構の禿げ頭の上に一匹の蠅が止つている。このような状況を呈しているのでございます。即ち大臣だけが官職に入りましてもどうすることができましよう。これに対しまして、私共は立派に権威を確立する必要から、曾ては参與官の、廃止、次官の廃止すら主張いたしました。先般も松岡さんが行政制度調査会に参加されますことも、我々は皆樣と共に否定いたしました。併し私はその後この問題をつくづく考えました。これにつきまして若干懷疑的になつているのでございます。私は議会内閣であり、政党内閣でありまする以上は、政党内閣は議員並びに党員を引連れて参與官、次官と共に、行政の責任をもとるべきではなかろうかと存じております。又行政と議会との関係を審議すべき重要なる委員会、又は物資需給計画の委員会、物價統制の委員会等には、或いは專門家として或いは議員として出席することも、議院の議決の下に或いは必要ではあるまいかという氣さえする次第であります。この点は先般議決されました趣旨にも若干反することでございまするので、愼重なる御審議を願いたいと存じます。これを要しまするのに、官僚独善は官僚のみの責任ではございません。官僚をして相対的に独善的ならしめている我々政党、議会並びに國民各團体の無力の表明であることを知らねばなりません。この点につきまして、一大刷新が行われない限り、我が國における民主政治の確立する日も亦遠いと私は痛感いたすものでございます。
 これと並びまして國営事業の問題がございます。現在官僚機構の最も大きな基盤となつておりまするものは、厖大なる國営事業、國策会社並びに國有財産でございます。これらのものを國民の手に移し、能率的な経営に切り替え、相して行政から完全に分離した独立採算制度を採ることが必要であろうと存じます。(拍手)安價なる行政というプリンシプルは不滅の眞理であると私は信じております。つまり鉄道、電信、電話、預金部その他の金融機関、電力、その他の国策会社、又曾て農民から收奪したところの厖大なる國有林、これらのものは行政から分離し、独立会計に移し、民主的経営に移し、科学者、技術者の能力を借り、そうして模範的経営をすべきものであると存じます。行政とビジネスとは範疇が異なつておると存じます。ビジネスには能率が第一でございます。サービスが第一でございます。責任も亦守らねばなりません。私は現在の國営事業の非能率をよく存じております。然るが故に無條件で官僚國営に賛成するわけには参りません。併しながら歴史の現段階におきまして、國営事業を完全なる営利民営にすることは不可能であろうと存じます。然るが故に、民営と官僚國営の丁度中間であるところの能率的な民主的国営の形態を我々は皆樣方と共に愼重に探究せねば私はなるまいかと存じます。國営問題につきましては全面的批判の声も我々は聞いております。併し曾てアダム・スミスが、個人金業ならば個人の利益と一致するから非常に能率が挙るが、お雇重役の経営するところの株式会社は到底能率が挙るまいということを断じたことを書物で見ました。この一点だけは確かにアダム・スミスの錯覚でございます。アダム・スミスの存命中は、殆んど株式会社は倒れました。そうして個人会社、合資会社が発達しました。併しスミスの歿後三十年、英國の紳士道が普及し、コンモンセンスが高くなり、その教育と文化が高くなるに連れまして、いわゆる紳士道の確立となり、産業騎士道の確立となりまして、偉大なる株式会社制度が発達し、そうしてやがて全世界を席巻するに至りました。教育と科学と文化の進歩によりまして、企業形態も亦進化するものであろうと私は観察いたして、おります。現在日本の大多数の加工工業におきましては、明らかに国営は時期尚早であります。当面民主化、能率化が必要でございましよう。併しながら從來の国営事業等につきましては、これを簡單に民営に移すというのではなく、模範的の新タイプの民主國営を我々探究せねばならんと存じます。
 結論といたしましては、いずれにいたしましても一面におきましては政党並びに議会運営の強化が急務中の急務であります。即刻議院運営委員会におきましてはこの問題を取り上げて頂きまして、我々の自由討議を自由討議として終らしめず、議会政治確立のための一歩前進にして頂きたいと存じます。同時に労働組合、経営者團体、文化團体等の機能を強化し、国民が自主的にみずからを処理し得る問題については、みずから自発的に処理することが必要と存じます。同時に厖大なる國営事業その他を独立採算制度に移し、行政から完全に分離することが必要であろうと存じます。そうして残りました官僚機構を国民の公僕とし、簡素なる行政難関とし、こうして初めて民主政治の確立が行われるものであろうと存じます。
   〔駒井藤平君発言者指名の許可を求む〕
#40
○副議長(松本治一郎君) 駒井藤平君。
#41
○駒井藤平君 緑風会は姫井伊介君を指名いたします。
#42
○副議長(松本治一郎君) 姫井伊介君の発言を許します。
   〔姫井伊介君登壇〕
#43
○姫井伊介君 今日の課題は行政機構の改善策いかんでありますが、私は改革と考えます。行政改革の必要なることは申上ぐるまでもない。そこで先ず中央、地方における行政機構の改革につきまして抽象的、概論的に申しますと、この機構はどうあるべきか。申すまでもなく新日本を一日も早く建設するために先ず民主化されなければならない。能率化されなければならない。簡素化されなければならない。而して粛正化されなければならない。これらのことは機構そのものよりも人そのものに存在をする。機構は人が作り、機構は人がこれを運営する。そこで現在の行政官、公務員に対しましては、精神と事務的な教育というものが日常常に自然の中に行われて行かなければならないのではないか。縱と横と、常に共に学び共に励んで行く。それがためには、さつきお話がありましたが、國務大臣といたしましても、亦行政長官といたしましても、その人みずから公私の生活におきまして、それらの道を指導するのに十分な用意がなければならないと考えるのであります。次は官僚化の概念についてでありますが、ともすれば官僚々々と叫ばれるのであります。併しながらこの官職の仕事をやつて行く上におきましては、やはり官職的の事務並びに技術の必要なことは無論であります。何も役人が常に官僚だと概念的に目して行きますならば、いつの時代になつてもやはり官僚的対立の観念が失われないであろうということを心配されるのであります。私は実質の上から、それは官僚個人の問題といたしまして、又それらの個人がグループを作つているそのものといたしまして眺め、改めるべきは改めさせなければばらないのではないか。要するに誠実であつて責任を負う本当の國民の公僕といたしまして、行政的智能と技術の実力を十分に発揮し得るように活用しなければならない。それらの人を使つて行き働かさなければならないと思うのであります。無論その背後におきましては、それらの人々の誠実さと能力手腕とに対しまして、正しく報ゆるの給與並びに恩賞制度が設けられなければならないことは無論のことであります。粛正化のことにつきましては、私は國会自体の機能といたしまして、行政部面を監察するの力を持つておる筈とは存じますけれども、併しそこに何らかの組織、機構を持たなければ、この力が十分に発揮されないのではなかろうか。内閣自体におきましても行政の監察制度を設けられるようでありますけれども、それは行政機構の中のみずからの監察、監査に過ぎない。國会といたしまして私共は立法する。即ち政治の種を蒔く。種を蒔いたならば、その育て万や花が咲くこと、実ることを、ただ漫然と行政部門に任せておつたのでは何にもならないと思うのであります。その選んだ良き種を本当に花を咲かせ実らせるために、私共は監察しなければならない。(拍手)それは徒らに非難攻撃するのみでなくして、良き花を咲かせ、実らせるための一つの協力であり、推進、鞭韃なんであります。そういう態度におきますところの一つの委員組織、それは幸い今日常任委員制度ができておりますが、これらのものをうまく活用いたしまして、ここに今申しますような行政の監査組織というものを携える必要はなかろうか。これは課題といたしまして皆さんの御研究を煩わしたいと思うのであります。
 第二は地方におけるいわゆる通常公共團体に対する機構問題で、これを廣い意味において考えて見ます。その中の一つは民主化の完成であります。政治並びに経済的の民主体制というものは漸次に作り上げつつあるのでありますが、未だ経済部門の細部に亘りまして、尚一般の社会面におきましては、封建制の残滓が相当濃厚に残つておることは御承知の通りでございます。これを一日も早く拂拭せしむるという方法、手段は、やはり何と言いましても教育であります。廣き意味の教育であります。これが現在のみに安心をしないで、今申しました動向に向つてこれが強力に進んで、立派な日本國を造ることに役立つ教育制度が展開されなければならないと思うのであります。
 今一つ民主化完成につきまして阻害となつておりますのは、同僚各位の申されましたところの出先機関の問題であります。第二番といたしましては自治力の充実でありますその中Aは区域、これは歴史、地理、交通、産業経済、教育施設関係並びに國土計画の上から、從來の地方公共團体の区域が適当に廃置分合乃至は境界を変更する必要のあるものは、そういうふうに進めて行かなければならないと考えます。Bといたしまして機構と行政であります。先ず地方における議事機関即ち議会を正しきものにするためには、現在の選挙制度というものを一層公営化しなければならない。
 これが一つと、さつき申しました政府各省の出先機関でありますが、近くこれが統合機関が作られるといつたようなことを地方ではまちまちに噂をいたしております。どういうことになるか存じませんが、この機関を一概に私は排撃はいたしませんが、併しながら行政の二元的処理になるという慮れがあり、行政の複雜混乱化を來し、官吏の増員と経費の増額並びに自治体制の分裂と自治力の弱化を來すことは明らかであります。若しこれが公選知事に対する何らかの心配からといたしますならば、民主的に、公選的に出ましたところの知事そのものに対するところの一つの不信用であつて、これは即ち國民の投票に対する或る不信用を意味し、やがて政府はみずからの不信用事態を惹起するの慮れがないとは言えないのでありまして、ここによく考え直さなければならない点がある。又地方分権と申しながら、これも先程申されましたようにこれと逆行のコースをとつておることも考えなければならない。中央地方の行政は互いに相信じ相監視し合うところ関係を作るために、差支えのない或る程度までは地方の知事にこれを委任することの必要を考えるのであります。(拍手)地方自治法の施行機関の規定にもありまするが、この権限の関係規定を活用いたしまするならば、その辺のことも按配よく行くと考えるのであります。更に地方局部の問題でありまするが、時間がありませんから内容は申上げませんが、次にCといたしまして財政の問題で、地方におきまして又健全財政の自立化を図つて行かなければならないのでありまするが、縣内起債の自由ということにつきまして地方自治法におきましては二百二十六條、二百五十條におきまして、いろいろな制限がありますが、これ又大いに考うべきことなんであります。更に私は教育を拡充進展せしむるという重大なことからいたしまして、教育税なるものを設けましてこれを目的税とする。そこに非常な意義がありまして、教育のためにこの課税は使うのだということが限定されまするならば、この教育のために多くの人々は喜んで、今までのような税金を取られるという考でなくて、税金を納めるのだ、我々の子弟のためにこれを良く使うのだという課税観念の非常なる轉換が行われると存じます。その次にDといたしまして人事であります。これ又中央との交流をうまくしなければ、從来のように天降り引拔きといつたようなことがありまして、適材適所は失われ、常に異動が行われまして、晏如としてその職に盡すことができないということではいけませんので、これは飽くまでも自治力の充実につきましては十分なる注意を拂わなければいけないと考えるのであります。(拍手)
   〔駒井藤平君発言者指名の許可を求む〕
#44
○副議長(松本治一郎君) 駒井藤平君。
#45
○駒井藤平君 緑風会は市來乙彦君を指名いたします。
#46
○副議長(松本治一郎君) 市來乙彦君の発言を許します。
   〔市來乙彦君登壇〕
#47
○市來乙彦君 インフレーシヨンが猛烈な力を以て各方面に食い入りまする今日におきまして、行政機構の問題はむしろいわゆる内濠、うち濠の関係であります。行政機構を支えておるところの行政費並びに予算の問題、それが外濠、そと濠の関係であります。この外濠の関係がインフレーシヨンの攻勢に対して直ちに取組みをする関係持つております。私は先ず以てインフレーシヨンの問題について言申述べたいのであります。本年度の総予算はその内容において頗る不徹底なる関係を歴然として残しておるのであります。更に追加予算は今日に至るまで恰かも暗中模索の樣相を露呈しておるのであります。即ち財政はインフレーシヨンの波に漂うておるのであります。前後を通じていずれも健全財政を実質的に認めることはできないのであります。むしろ財政は行詰つておるということを暗示しておるのであります。今日において断乎たる大いなる手術を施すにあらざれば、財政は遂に破綻に陷ることを免れないのであります。更に行政機構に対する費用、即ち行政費の増加がインフレーシヨンの昂進と互いに原因となり結果となつて、インフレーシヨンの進行を勇氣付け、ますます経済事情を惡化し、行政の運営を困難ならしめ、殊に行政費の増加はインフレーシヨンを勇氣付けるところの最も大なる原因であることは申すまでもないのであります。かくのごとく観察すれば、先ず以てインフレーシヨンを克服することが絶対必要であります。インフレーシヨンを克服するには国費を緊縮することがこれ亦絶対必要であります。國費を緊縮する大筋といたしまして、私の卑見によれば、一般会計、特別会計を通じて大体人件費の約三割を緊縮する。これに関連する物件費その他の経費を削減する。所得税、消費税、鉄道運賃、郵便電信料並びに專賣煙草等につきましても、一面においては大衆の生活に対する脅威を除くため、一面においては資材の増産を妨げるものを除くため、相当の整備を行い、殊に適当なる程度の値下を断行する。この値下を模範として一般物價の値下を決定する。即ち高物價政策より低物價政策に轉換するのであります。この緊縮の結果は通過の増発を喰い止める。インフシーシヨンの進行を抑制する。財政の破綻を予防する。物資の増産並びに住宅の建築等が効果的に正常のルートに乘つて来る。大衆の生活が次第に安定する。殊に輸出貿易を発展せしむるために最も必要であるところの輸出品の價格が低下する。ただこの緊縮によりまして失業者の幾らかを生ずるのであります。これがためには予め失業者を受入れる態勢を完備することが必要であります。即ち内閣の計画に属しますところの失業対策を成るべく急速に、成るべく大幅に拡充することが必要であります。講和条約の成立後において外國移民の行われるべきことも想像して、その構想を今日より練るべきであると思います。失業者を生ずることは誠に忍びない事実であります。併しながら国家の財源を正しき方向に導くためには誠に止むを得ない辛い事柄であります。失業者に対しては申すまでもなく十分なる待遇をいたさねばなりません。幸いに緊縮の事業が完了いたしまして行方価の事業が調子よく進行するならば、これに從つて就職の途もおのずから開けるのであります。私はこの國費の緊縮が講和條約の成立する前、連合軍の駐在している中に実行されることが最も時宜を得たるものと考えます。最近食糧の一部の價格が低落しておるという情報があります。それは例年の例によれば、この季節に常に起るところの一時的の現象であります。併し年末に近ずくに從つてこれが暴騰するのであります。從つてこの現象を以て將來に向つての樂観材料と見ることはできないのであります。高物價政策を以てしては通貨の増発を食い止めるという見通しは絶対にあり得ないのであります。
 次に内濠の問題、即ち行政機構の変更につきましては外濠の関係即ち國費を緊縮する結果として多小の制約を受けるのであります。即ち以前には十人を以て処理した事柄を七人を以て処理する結果になるのであります。この点において一層の努力を要請いたすのであります。機構の変更につきましては、格段に大きな希望を持つて実行する必要はないと考えます。ただ局課の廃合等につきましては、当局者の愼重なる考慮に俟つべきことは申すまでもないのであります。
 以上行政機構のむしろ消極的改善の大体の筋であります。私は諸君がこの方針に対して御賛同下さいますることを偏えに希望いたします。(拍手)
   〔佐々木良作君発言者指名の許可を求む〕
#48
○副議長(松本治一郎君) 佐々木良作君。
#49
○佐々木良作君 無所属懇談会は川上嘉君を指名いたします。
#50
○副議長(松本治一郎君) 川上嘉君の発言を許します。
   〔川上嘉君登壇〕
#51
○川上嘉君 私は参議院に出て来る間際まで、税務署の第一線で働いて來た者でありまするが、この第一線の職場の体驗を通じまして、行政機構の改善策につき、組織、制度、運用の三つの面に分けまして、限られた時間内で簡單に所信を披瀝して議員各位の御批判に訴えます。
 先ず組織の面でありまするが、中央集権主義を排撃して第一線の出先官職を拡充強化すべきであります。今回内務省は解体されました。併し新憲法下におきまして、眞に行政官廳が、行政機構が民主化され、基本的人権の保障が守られるかどうかということは、内務省は解体されるというごとき、單なる形式上の事実からでなく、地方自治の原則により、又第一線の出先官廳を拡充強化することによつて、中央に集権されておるところの政府権力の分権がいかに民主的に行われるか否かということにかかつておるのであります。最近得体の知れない存在として経済安定本部があります。経済安定本部は政府の機能を左右し、内閣をすつかり虜にしてるとの噂が專らであります。これがために現内閣の筋金であるべきところの社会正義政策はぺしやんこになり、尚このままに行けば官僚政治再現の虞れあるとの噂さえ專らであります。かくのごときは民主日本の再建途上におきまして誠に遺憾の極みであります。
 次に今回上程されましたところの國家公務員法案でありまするが、官廳を民主化しよう、官吏を從來の天皇の官吏から國民の公僕に民主化しようとの目的の下に作られたこの重要にして民主的なるべき法案が、眞劍な大衆討議もなされず、ただ一回の公聽会も開かれずに、一方的に天降り的に閣議決定にてなされることは、誠に不可解至極であります。(拍手)又この法案の重要なる骨子である人事院の組織は全く中央集権主義であります。一体政府は行政機構の民主化にどれ程の眞意を持つておるかどうか疑わざるを得ないのであります。次に制度について申上げまするが、これを人的な制度と事務上の制度とに区分します。先ず人的な制度の面におきましては、文官任用令、高等試験の撤廃、一級官、二級官、三級官の身分制度を撤廃、そうして民主的な職階制度を樹立すべきであります。而してこの場合職階の区別によるところの給料の差額なるものは、勿論現在の官吏制度のように大きかつたのでは、これ亦不都合であり非民主的であります。尚國家公務員法案によりますと、任用及び昇進の場合全面的に試驗制度を採用しておるのでありますが、これは現段階におけるところの実情を無視するも甚だしいおのであります。一部は試驗採用、一部は民間よりの自由任用、一部は内部において下積みとなり、こつこつと働いておる有能な経驗者を拔擢採用というように大別するのが、最も民主的な対策であると思います。(拍手)
 ここで参考までに税務署の実例を申上げますと、どんなに優秀な有能な人でも、刻苦二十年以上勉強しなければ、勤続しなければ、署長になれないのでありますが、高文合格の法学士は僅かに二十六七歳の若輩で、而も実務に何らの経驗もなくして署長の地位に就き、ここを出発点として、その後は二十二三歳の頃高文に合格したというただそれだけの一事実が一生涯の守り本尊となつて、行く手を遮るものもなく、本省の課長、局長、次官への街道を進む、こうした連中が学閥を作り官僚閥を固めておるのでありまする(拍手)こんな封建的な馬鹿げた制度が今日存在しておるのは、誠に遺憾であります。官吏任用令、高等試驗令を排撃するは勿論でありますが、これに類したところの一切の任用方法、試驗制度を断乎として排撃するものであります。
 次に、事務上の制度の面でありますが、目下朝野を挙げて官職事務の能率を高めよ、窓口事務を簡易化すべし、綱紀粛正、吏道刷新すべしとの声が頻りに叫ばれておりまするが、先ず官廳事務の能率について申上げまするというと、一つの要件を解決するのに、農林省に走つたり或いは商工省に走つたり、或いは大藏省に走つたりするがごとき廻りくどい非能率的な行政手段は、即刻に改廃すべきであります。尚手続樣式がなかなか面倒であり、例えば戸籍届とか、或いは警察への届、或いは税務署等への申告書等も、もう少し民主的な簡單な方法を採るべきだと思います。第二は一窓口事務の簡易化でありまするが、窓口は不親切であるとか、或いは繁雜であるとか、或いは非能率的であるとか、いろいろ非難されておりますが、最近古参の経驗者を窓口に出して應対させるといつたような便法を講じておりますが、これは竹槍でB二九に向うようなものであります。第三に、綱紀粛正、吏道の刷新については、政府は非常に力んでおるようでありまするが、掛け声ばかりで、まだ何らの具体的な対策を講じておりません。要するに官廳事務の能率増進にしましても、更に窓口事務の簡易化にいたしましても、綱紀の粛正、吏道の刷新にいたしましても、勿論官吏自身の勉強、自粛が必要でありまするが、行政機構の組織、制度を民主的に改善すると共に、更に次に述べるごときような面において、根本的な対策が講ぜられない限りは、旧態依然として單なる掛け声に終つてしまうでありましよう。
 次に運用の面でありまするが、組織や制度がいかに民主化されましても、これを運用する面に封建的なところがあれば、結局何にもなりません。そこで組織、制度を民主的に運用するためには、先ず官職職員の待遇改善、即ちその最低生活を保障すること、事務費をけちけちせずに大幅に引上げること、各官公廳間における給與の不均衡、即ち凸凹を直すこと、人員は不足しておる所もあり、余つておる所もある。かようなわけで、人員の配置轉換を即時行うこと、更に官吏素質の向上を行うこと。以上のごとき対策を講ずることは目下の急務であります。尚外部からだけでなく、内部から官公廳の民主化を強力に推進し、而もその將來を期待されるものは実に全官公廳職員によつて組織されておるところの労働組合を除いて外にないのであります。(拍手)そこで労働組合の民主的な発展を図ることは、官公廳民主化の途上におきまして不可欠の要件であります。然るに政府は國家公務員法案の中に、労働組合を抑圧するがごとき條文を挿入しようとして、へまをやつたり、尚最近労働協約の内容を骨拔きにするがごとき閣議決定を発表したりするのは、明かに労働組合の民主的発展を抑圧し、延いては官公廳の民主化を妨害するものと断ぜざるを得ないのであります。
 次に、同樣に重要なことは天降り的な机上計画を排撃し、第一線の実情に印したところの科学的な計画を樹立することであります。参考までに、終りにもう一度税務署の実例を申上げますというと、現在税務署は非常に人手が不足をしております。仕事の負担は過重であります。徴税費は非常に少く、尚一般に官公吏の待遇は惡いのでありますが、この官公吏の中で又税務職員の待遇は更に二号俸も遅れておるのであります。戰爭中は勝ち拔くためにとの理由で、新らしい税法が次から次に現われて、無理な仕事を続けて來ております。尚終戰後は財産税、戰時補償特別税、増加所得税、尚我が國初めての納税申告制度の採用等、その他大小雜多な間接税等によつて、仕事の負担はますます過重になつておるのであります。この結果はあれもこれも手を付けなければならないことになり、結局二兎を追う者は一兎も得ずの形となり、これまでの課税漏れ或いは申告漏れなどの脱税分を調査して、課税するだけでも相当の税收入を見込むことができるのであります。併し遺憾ながらこうした面に重点的な力を集中することができず、次から次へと新らしい仕事に追込まれておるのが現在の実情であります。然るにこの実情を無視して、御承知の通り政府は今回非戰災者特別税という徹底的な大衆課税、而も事務上におきまして非常な煩雜を予想されるところの惡税を実施しようとしておるのであります。これは第一線の実情を全く無視したものであります。こうして次から次へと税務職員に無理を強いたならば、ますます官民離間し、税務行政の信用は全く地に落ち、この結果租税制度というものは崩壞し、國民経済は近き將來において必ず崩壞するの止むなきに至るのでありましよう。第一線の実情を無視した天降り的な机上計画を眞向から排撃し、第一線の実情にとつかりと基礎を置いたところの科学的な計画を樹立せよと強調するゆえんは、実にここにあるのであります。
 最後に分り切つたことを申上げますが、行政機構の改善、即ち官公廳の民主化を促進する最も重大な役割りを果すものは、やはり國民の代表である國会議員であります。相手がいかに強かろうとも、相手の目の色や顔の色を見て機嫌を取ることに汲々とせず、長いものに巻かれる主義でなく、徒らに権力に屈せず、大地にしつかりと足を踏み付けて、行政機構の民主化に盡力すべきであります。以上を申し上げまして各位の御批判に訴えます。
#52
○副議長(松本治一郎君) これにて本日の自由討議は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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