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1949/04/02 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第4号
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1949/04/02 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第4号

#1
第005回国会 水産委員会 第4号
昭和二十四年四月二日(土曜日)
    午後二時四分開議
 出席委員
   委員長 石原 圓吉君
   理事 小高 熹郎君 理事 鈴木 善幸君
   理事 平井 義一君 理事 小松 勇次君
   理事 佐竹 新市君 理事 砂間 一良君
      五島 秀次君    千賀 康治君
      田口長治郎君    林  好次君
      足立 梅市君    今井  耕君
 出席政府委員
        経済安定本部副
        長官      野田 信夫君
        大藏事務官
        (主計局次長) 阪田 泰二君
        水産廳長官   飯山 太平君
 委員外の出席者
        総理廳事務官
        (経済安定本部
        生産局水産課
        長)      稻村 桂吾君
        專  門  員 齋藤 一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員及び小委員長選任に関する件
 水産行政に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○石原委員長 これより会議を開きます。
 前回の委員会において水産金融に関する小委員会を設置することに相なり、その小委員及び小委員長の指名は委員長に御一任願つておりますので、
  小高 熹郎君  田口長治郎君
  冨永格五郎君  夏堀源三郎君
  長谷川四郎君  足立 梅市君
  砂間 一良君の七名を水産金融に関する小委員に指名いたします。
 なお夏堀源三郎君を水産金融に関する小委員長に指名いたします。なおこの水産金融小委員会に漁業保険に関する諸般の問題を、あわせて付託をいたしたいと思うのでありますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○石原委員長 それでは水産金融と漁業に関係する一般の保險に関する問題をあわせて御付託することに決しました。
 次に昨日参議院の水産常任委員会と衆議院の常任委員会の合同懇談会を開催いたしまして、当面の問題について長時間の審議を重ねたのであります。そしておもなる問題といたしましては、水産金融に関する件、漁業法案に関する件、漁業保險に関する件、漁業行政機構に関する件、漁港法案に関する件、統制に関する件、物品税、事業者税に関する件、これらの問題が熱心に付議されたのでありまして、殊に水産金融の問題や統制に関する問題、税金、行政機構の点に対しては、相当両議院委員のうちより不満の声も聞えたのでありまして、今後の善処を申合せた次第であります、梗概だけをここに御報告を申し上げておきます。
 なお本日はこれよりただいま申し上げた各種の問題にわたつて御審議を願いたいのであります。政府委員といたしましては飯山水産廳長官、藤田次長、安本野田副長官、稲村政府説明員等が御出席になつております。なお安本長官、大藏大臣の出席も約束はしてあるのでありまするが、まず主としてこの出席の政府委員の方に対する御質疑に重点を置いて御発言を願いたいと思います。
#4
○鈴木(善)委員 安本当局に対しまして、水産の産業資金の問題につきまして、数点にわたつて質疑を行いたいと存じます。
 まず第一点は、水産の産業設備資金の今後の融資の問題でありますが、仄聞いたしますに、復興金融に今後依存することがきわめて期待薄のように存ぜられるのであります。今後水産に関する設備資金をいかなる方法によつて融資せらるる御意向であるか、また復興金融金庫等が実質上機能を失うといたしました場合に、原始産業の復興と振興のために、農林漁業復興金庫等の特殊の金融機関を設置せらるる計画を持つておらるるかどうか、まずこの点から伺いたいと思います。
#5
○野田政府委員 ただいまの点につきましてお答え申し上げます、この産業設備資金の計画が今のところまだほとんど緒についておらぬ状況なのであります。と言いますのは、今回から予算の組み方がかわりましたために、産業資金全般が貿易資金の黒字をもつてまかなうほかに方法がないように限定されてしまいまして、しかもその上に見返り勘定の使い方というものについては、いまだにその細目なり具体的な面が何らきまつておらぬ。盛んにそれらの点についての質問、折衝は続けておりますけれども、先方においてもまとまつておらぬために、何ら具体的の相談をいたしかねるような状況で今日まで参つております。しかしこの見返り勘定の使い方というものは、非常に嚴格な管理下におかれることは、今ヨーロツパでやつておりまする実例から見ましても予想に難くなく、現在の様子では、やはり同様なくらいの嚴格な管理下においてこれを運用させようと思つておるらしいのであります。してみますると、関係方面の方針なり方向なり、具体案が確定いたしませんと、こちらとしては自分の考えの案をいくら立てたところで、それに乗つて來ないような状況でございますから、この具体的細目の決定し、指示されるのを目下のところ待つておるような次第であります。しかしこれはここ数日中には指示すると言つてはおります。実は今週中という話がありましたが、昨日の話では、きようは少くとも出ないというわけですから、結局今週中は間に合わなかつたということらしい、しかし來週初めにはおそらく出ることと存じますから、それが出て参りますると、一体このうち國債の償却にはどのくらいのパーセント当てろとか、それには日銀に集中するのか、市中銀行を主としてするのか。それからこれを固定資金にまわすには、どういう方法でまわすのか、運轉資金はいいとしましても、固定的な、ことに農林漁業金融のような方面の金融は、一体どういう措置をとらんとしておるのかというような点につきまして、われわれはわれわれの意見を出してはありますが、それを一体どのくらい取入れて寄越すのか、それらの点がまだはつきりいたしません。今のお話のように、從來のような方法は非常にむずかしいという予想をいたしておるのであります。われわれとしては、心配していろいろなことを言つてはおりますけれども、それをどのくらい取上げておるか、ふたを開けて見なければわからぬというような状況であります。今のところどうもわれわれも何も言えぬというような状況を非常に遺憾に思います。
#6
○鈴木(善)委員 安本御当局におきましても、水産の深刻な資金の行き詰りのために、このままで参りますならば、二十四年度においてわが國の漁業は壊滅的な打撃をこうむるであろうことは、十分御承知のはずであると思うのであります。私どもの調査によりますと、二十四年度の水産業を健全に維持発展させて参りますためには、最低少くとも捕鯨を除いて、約百二十億、協同組合を通じて融資されますところの、零細漁民に対する融資が少くとも三十数億、また漁業團体以外の主として法人、あるいは大漁業家等の重点漁業に対する漁船の建造、あるいは製氷、冷凍工場の設置、これらの資金が八十数億必要でありまして、なおこのほかに南氷洋の捕鯨その他を合算いたしまして、二十億円の資金が絶対に必要であるのであります。この百四十億の資金をまかなうことができなければ、わが國の水産業は非常な難関に逢着するわけであります。今日各種の漁業が、この資金難のために、配給される資材の入手につきましても、あるいは代船の建造の面につきましても、非常な行き詰りを來たしておるわけでありまして、食糧の確保の面からもきわめてゆゆしい事態であるとわれわれは考えておるのであります。この点をいかに解決するかという問題が、いかなる対策よりも最も優先して措置されなければならぬ問題であるわけでありますが、ただいまの御答弁によりますと、いまだはつきりした政府当局の御方針を聞かしていただく段階にないことを、きわめて遺憾に思うものであります。ただいまのお話によりますと、見返り勘定の面についての強度の管理が行われることがわかるのでありますが、預金部資金等を水産の設備資金にお使いになる御方針が立つておられるのかどうか、この点もぜひお伺いしておきたいと思うのであります。
 次にもう一つの問題は、今度の予算の内示案を見ますると、復金債の償還に充てるための予算が組まれておるのでありますが、この復金債の償還によるところの市中銀行に出されたところの資金源、これからの融資に対して何か特別な措置を講ぜられるお考えを持つておられるかどうか。融資について政府から一定の方針を示されるなり、規制なりをなさつて、これを設備資金等に重点的に融資せしめるというような方針を立てておられるかどうか、この点もお伺いしたいと思うのであります。
#7
○野田政府委員 預金部の金は、もちろん從來通り産業資金その他の財源としまして使うことはできると思うのです。ですから、それが見返り勘定の方の資金と、新しい市中銀行に生ずる貯蓄の増額などと合せまして、それを全体として産業面に注ぎ込まなければならぬ。その中の一部として預金部資金を使い得ることは從来通りと思います。それから復金債が返つた金の使い道、これもわれわれの今の考えとしましては、從來通り融資規制をしまして、必要な面に向けて行きたい。そういう希望でおるのであります。この復金債が返る財源というものが、先ほどお話にありましたように、見返り資金から來るものですから、その先までも統制するつもりでおるのか何かがさつぱりわからぬというところなのです。もしそうでなければ從來通りの規制方針を重点的に持つて行こうと思つております。
#8
○鈴木(善)委員 二十三年度におきまして、非常な御配慮によつて漁業手形制度の道が開かれたのでありますが、これは常磐、三陸のいわし揚繰網漁業という特定の漁業に対しまして、二億四千八百万円程度の融資が行われておるのでありますが、これは漁業者の非常なる理解と熱意とによりまして、大体において円滑に融資がされておるのであります。この制度を定置漁業あるいはかつお、まぐろ漁業、機船底引網漁業その他の各種の漁業に対して廣く拡大して活用なさる御腹案があるかどうか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
#9
○野田政府委員 漁業手形そのものの制度が、御存じの通り復金が今回非常な縮小過程に入つております関係上、このままの形で続け得るかどうかということは、今非常な疑問になつて来ておる点なのであります。その点も今非常に心配しておりまして、それに対する対策を考えなければならぬということで、目下研究中であります。從いまして以西トロールその他に対する拡張問題というようことは、漁業手形そのものの問題と同時に考えなければならぬと思いますが、手形そのものの制度を考え直さなければならぬという状況に來ておりますので、対策を勘案中であります。
#10
○鈴木(善)委員 為替レートの設定が日程に上つて参つておるのでありますが、この為替レートがかりに三百三十円程度に決定を見ました場合に、二十四年度において輸入を予定されております燃油、あるいはマニラロープ、綿漁網等の原料の綿花、それらのおもな漁業用資材の輸入量から算定いたしまして、大体七十億程度の差額の値上りをここに見るわけであります。この資材の厖大なる値上りを來しました場合に、今日漁業の経営も非常に危殆に瀕しておるのでありますが、資材の値上りに伴うところの魚價の大幅な値上げということも、国民の購買力の現状からみまして多くを期待できない。また食糧という特殊な面からいつて、大幅な魚價の値上げは不可能だと考えますが、その場合に、今日さえ魚の値段と資材、諸経費等のアン・バランスのために、非常に漁業の経営が困難になつておる場合に、この為替レートの決定によつて出て來る七十億前後の大きな資材の値上り、この問題は今後の漁業経営に非常に致命的な打撃を與えることが予想されるのでありますが、これに対して政府としていかなる対策を持つておちれるか、補給金その他の措置を考えておられるかどうかということをお伺いしたいのであります。
#11
○野田政府委員 輸入物資の拂下げを新しいレートで換算するということから來る値上りの問題は、各方面に起りつつありまするが、いかなる物資に補助金をつけるか、またどの程度つけるかというような点は、目下物價廳で調査研究中であります。近いうちにはきまると思いますが、まだすべての物資について確定に至つておらぬように聞いております。でありますから、その様子によりまして、今お話のような点を考えなければなりません。もちろん物價廳は今お話のような点は考えておると存じます。よく私の方からも連絡をいたしておきたいと思います。
#12
○小高委員 総体論といたしまして、水産行政の整備について伺いたいのであります。それから関連しまして、金融関係が生じて來ますので、一應総体的に水産行政の整備について質問いたします。
 わが國の國内資源を開発して、経済復興をする諸問題を考えますると、結局わずかな石炭と農作物、あるいは水力資源等のほかは、この島國をめぐる海洋資源が唯一の復興資源でございます。この資源を極力開発することによつて、乏しい國土の上に入れる人口八千万への動物蛋白の補給路を見出し、さらに進んでは近き先の貿易再開にも備え、水産物の輸出振興をはかり、文化国家として眞にふさわしい活動も期せられるのであります。ことに國民の資性が漁業に適し、國民の嗜好が水産物であり、四囲また優良漁場を控えておる状態なるがゆえに、これを育成し開発することは、最も緊喫の問題であると思うのであります。しかしながらこの重大な國策である海洋資源を開発するには、まず第一に強力な行政機構のもとに諸種の施策を講じなければ、なかなか実現できるものではないのでありまして、水産業を戰前またはそれ以下に発達させ、國家百年の計を立てるには、現水産廳の機構ではとうてい実現を期することは不可能であります。どうしても水産業の実態に即した機構として、現水産廳を水産省に昇格させ、農林、商工運輸の諸部門と対等の立場にこれを置き、専任の大臣の直轄下に周到、綿密なる諸企画を立案し、これを強硬に行うことによつて初めてなしとげられるものと確信いたすものであります。また現水産廳の権限について考えてみまするとき、あとに述べまするように、当然水産廳に属さなければならない重要な事項が、他省または他局に属しておる関係上、國民ははなはだしく不便を感じているわけでありまして、今般の行政整理な機に、これをことごとく水産廳に一元化することによつて、事務の簡素化をはかることがどうしても必要であります。かような意味をもちまして、私はまず第一に水産復興五箇年計画の実行を提唱せんとするものであります。すなわちさしあたつて水産業の現状を昭和十年度と同程度まで引上げ、國民に動物蛋白の補給を増大させようとする経済安定本部水産業復興五箇年計画、その実現を望むものでありまして、それにはぜひとも行政、産業、金融の各部門にわたり強力な施策を施すべきであり、しからずんばせつかくの立案も空論に終るおそれがあります。現在の機構をもつてしてはわずかに農林省の一外局にすぎず、これが先遂はとうてい望み得ないばかりでなく、当面の水産業に対する独自の各種対策すら十分に行い得ないうらみがあることを痛感しておるのであります。
 次に漁船行政の面について申し上げるならば、漁船の造修については海運総局の、所管であるのでありまして、とかく漁業の実態から遊離し、行政上徹底と敏速を欠くばかりでなく、すべて法規的手続にも、漁業に対するはなはだしい不便を與えられております。そこでこれを水産廳に一元化して行うことにすれば、漁業の企業許可、建造許可、漁業許可、資金のあつせん等一連的に手紙を運び、すこぶる簡便に処理できるということは、何人も認められるところであろうと思うのであります。また一方漁船の檢査は、同じ運輸省でありながら海上保安廳の所管であり、しかもこの檢査は船舶の安全性のみの檢査で、漁業に適するかどうかということは考慮されず、漁業能率の増進を目的とする水産廳及び業者の要望と、はなはだしく遊離しております。そればかりでなく漁船の造修用の資材の割当計画、配給事務は、これまた海運総局が行うており、漁船の特殊性が無視されております。かような状態でありまして、これを解決するには、資材の割当計画は経済安定本部で一般船舶と分離して行い、資材の配給事務は水産廳で行わせるということが最も適切妥当であると信ずるのであります。
 次に資材行政の点について申し上げますならば、漁網工場は、ほとんど漁網製造一本であり、漁業者と密接な関係を有することはもちろんでありまして、漁撈技術の向上をはかるためには、主要官廳である水産廳の監督指導に服さなければならないはずであります。しかるにこれを繊維工業の一部門として商工省の管下に置くということは、きわめて不自然なやり方であり、よろしく水産業の従属産業として、水産廳の所管に移すことによつて一元化することが必要であると思うのであります。
 次に漁船船員の面に関して申し上げますならば、慨して漁船船員の労働問題ほど複雑多岐にわたつているものはないのであります。すなわち船員法の適用を受ける三十トン以上の漁船の船員については運輸省、船員保險については厚生省、海技免状については海上保安廳、一般的には労働省が監督しております。従つていずれの場合でも漁業労働の特殊性と漁業の実態については、まつたく考慮されていないのが目下の状態であります。十五万の船員のために船員法が考慮されている際、六十万漁業労働者のためには何も用意されていないことの大きな原因は、所管の多岐とそれら官廳の漁業労働に対する無理解によるもので、ぜひとも水産廳の所管とし一元化をはかるべきであります。
 水産輸出産業について述べますならば、輸出産業として水産業は重要な役割を演じておりますが、輸出水産物の檢査は貿易廳で行つております。しかしこれが檢査はむしろその事情に通じておる水産廳に行わせるべきであり、また水産カン詰は食品局の所管でありますが、漁業生産の状況から判断して、生産計画も考慮されておるものでありますから、水産廳へ移管することが最もよいと思うのであります。さらに冷藏庫について一言いたしますならば、冷藏業は一般に製氷冷凍事業と附帶して営まれるのが普通で、しかも冷藏貨物の七〇%は水産物であるにかかわらず、冷藏庫が倉庫業の適用を受けておるという單なる形式的理由から、運輸省の所管にあるということは、業者にとつて不便であるばかりでなく、水産物の集荷、配給、統制上、また漁港の附帶施設として考えますとき、実に不便と言わなければならないのであります。
 次に金融の問題であります。金融課の設置については、しばらく当委員会においても各委員から相当強烈な意見が出ております。水産の諸問題には必ず金融を伴うので、金融の対策なくしては水産政策はあり得ないのであります。しかしながら現在水産廳内には金融課として専門にこの金融を取扱う部門を欠いておるために、とにかく金融諸問題について不便を感じておるのであります。それぞれ食品局、商工省、運輸省、貿易廳等にわかれて取扱われておるのであります。前述の諸事項を並行してどうしても金融課を設置いたしまして、本問題を専門的な立場から十分檢訂し、かつ水産金融経済の実態を把握して、一般産業者の要望にもこたえたいのでおります。この点について特に細目なる御計画あるいは將来に対する企画がございましたらお聞かせ願いたいのであります。
 次に將來の要望として一言申し上げたいことは、水産廳としては現在の水産廳調査研究部を拡先いたしまして、水産科学局のごとき機関を設けまして、現中央水産試験場、各府縣水産試驗場とも緊密一体の組織をつくり、すべて科学に立脚して現在の水産業を整備開発する必要に迫られておるのであります。たとへば漁業の許可や免許は、單に從來経驗や概念によりまして定めておるので、濫発、濫獲の弊に陥り、漁業者自体身動きできぬ窒息状態に呻吟しておるのでありまして、これを一定海区にはある期間どの漁業を幾ら許可または免許したらよいか、ある種の魚はどこからどこまでを一定期間禁漁したらよいか等のことを、科学的に究明することが必要なのであります。昨年のようにいわしがとれない原因についても、海洋、氣象、生物、数学、地球物理等廣汎にわたり、学者を動員して調査研究することが、恒久的漁獲には絶対條件なのであります。いわしをとるには網を用いねばならない、かつををとるにはつらねばならないという從來の観念を脱却して、水産業の機械化、電化等のことも考へねばなりません。現水産試驗場や水産廳の調査研究部では、こういう大規模の調査研究が行えないばかりでなく、各縣の水産試験場は縣費で大部分まかなわれておりますので、収入予算に追われ、これら機関と一体となつて活動することができません。これ等の研究機関を一元化し、科学局が最高の方針を立て、あらゆる機関を動員して、眞に科学的に研究するならば、初めて漁況の予報、的確なる計画生産、沿岸漁業の恒久的魚田化等の大目的が完成し、不安定の水産業から轉じて安定した水産業となり、金融の道もおのずから開け、大水産工業が興り、最小の労力と経費をもつて最大の漁獲をあげ得まして、世界的水産國に達することができるのであります。
 以上水産行政整備について私の意見を開陳いたしましたが、それに対しまして、各省大臣の適当なるお答えを願いたいのであります。
 今日はお見えにならないのでございますが、おのおのそれぞれの関係官から適当な御答弁を願いたいことを申し上げます。
 以上をもつて質問といたします。
#13
○飯山政府委員 ただいま小高委員の御指摘になりました諸点につきましては、水産廳長官としてはお答えのできない点が大分あるように存ずるのであります。從つてこれらに対する正式の回答は、農林大臣の御出席の際に申し上げていただかなければならぬことと思います。しかしながら事水産廳の内容に関する点もありますので、私の卑見をお答えしたいと思います。
 先ほど來詳細に、しかも各般にわたつての御指摘の点はまつたく私どもも同感であります。しかしながら現在の水産廳の機構におきまして、現在の逼迫せる水産業界の対策が十分であるとは私どもも考えておらぬのであります。しかしながら一面御承知の通り予算の関係があり、ことに政府においては目下行政整理の案も進んでおるように承知しておるのであります。かような還境下に置かれましては、遺憾ながら先ほど來述べられた理想的な施策は、非常に実現が困難ではないかと思うのであります。從つてわれわれといたしましては現機構において先ほど來御指摘をいただきましたところの諸点に、遺憾ながら微力でありますけれども、この面に向かつてさらに一般の努力を拂いたい。かように考えておるのであります。殊に行政一般につきましてはあるいは漁船、あるいは繊維資材ということは私どもの所管外になつておりますので、ぜひ國会の御協力をいただきまして、將來これらの多岐にわたるところの所管が一元化することが、水産業のためにまことに重要かつ必要なことと考えるのであります。將來において行政整理が一段落した後には、この機構の改善もおのずからまた起ることと考えるのでありまして、その際に私ども事務当局としては、立案をいたしまして、この御趣旨に沿うように努力を拂いたい、かように存ずるのであります。
 なお科学に立脚するということの御趣旨につきましては、これは私どももまつたく同感であります。日本の水産業も御承知のようにまつたく従來の慣行、因習によるという現状は、これは打破するにあらざれば、とうてい水産の発展は期せられないのであります。科学に立脚するということについてはまつたくその通りでありまして、現在の機構におきましても、この点については相当の努力を拂つておるのであります。二十四年度の予算につきましては、いまだ確実な御報告はできませんけれども、今まで私どもが大藏当局より内示されたところの数字によりますると、この範囲で考えましたときに、水産試験、研究並びに海洋の基礎的調査という点については、相当の額を計上しておるのであります。これが科学に立脚しようとする片鱗を示したものであります。相当の予算は計上したのでありますが、財政関係からそれが非常に削減されておるということは私どももまことに遺憾に存ずるのであります。しかし予算に計上された範囲においてはできるだけ科学的に水産を持つて行くということについては、最前の努力を拂いたいと考えております。なお金融課の設置につきましては、前國会以來非常に要望が強いのでありまするが、御承知の通りむしろ課の縮減あるいは部の縮減というような問題が起つておりますので、一面においては國会の各位の特段の御協力を仰ぎまして、目下これについても私どもも内部的には努力しておるのであります。課を新しくつくるということは、今の状態におきましては、ただちに行われないのであります。しかしながら、必要な事態にありますので、漁政課の現在の機能といたしましては、もつぱら漁政課の仕事の中に金融に重点が置かれておるのであります。漁政課と申しましても、最近の実情から申しますれば金融を重点中心として漁政課の運営に当つておる、かような状態でありますので、これも金融課の設置は事情が許すならば、一日も早く実現をしたいと考えております。
 なお漁船船員の問題につきまして水産労務の問題を御指摘になつたのでありますが、この点も今の金融と同様に水産廳内に水産從業員の労働に関する課を置けということは、前國会においても御要望があつたのであります。これも課を置くことは金融課と同様でありますが、事務官をこの方に置き、特に労働に関する調査に当らせることにいたしまして、今経済課の中に労働係というものを置いております。これも重要性におきましてはお話の通りでありまするので、われわれも近き機会において金融と同様にこの労働の係はぜひ設けたい、労働課の設置もいたしたいとかように考えておるのであります。はなはだ廣汎な、しかも高遠なる御意見と御質問に対しまして、これが適切なるお答えのできないことはまことに遺憾と存じますが、いずれ農林大臣に一つ御回答を求めていただきたい。かようにつけ加えて簡単でありますがお答えといたします。
#14
○砂間委員 いろいろお尋ねしたいことがありますが、順を逐つて御質問して行きたいと思います。私は一年生の議員でありまして、水産の方面は非常にしろうとで何にも知らないのですから、たいへん愚問につくようなことが出るかもしれませんが、お許しを願いたいと思います。
 ただいま水産廳の飯山長官の方から労働の点について、一言申されましたが、まず最初に労働関係の方面からお尋ねして参りたいと思います。いろいろ水産の問題がたくさんありますが、資金の点あるいは資材の点、あるいは設備の点というふうにいろいろありましても、実際魚をとつて來るのは働く労働者であります。この労務員の保護ということが一番重要な根本の問題だと思うのでありますが、水産廳の中で労働方面を扱つておられる労働係がこれまでどういうふうなことをやつて來たかということを、まずお尋ねしてみたいと思います。
#15
○飯山政府委員 ただいまの砂間委員の御質問でありまして、どういうことをやつて來たかということでありますが、労働係を設けましたのは水産廳が発見の際であります。松本法学士をその方に当てておるのであります。松本係主任は特にそういう方面に対する研究と熱意とを持つておりますので、最も適任と認めてその係にしたわけであります。從來松本事務官がどういうふうな経歴を持つているかということは、学校を出てまだおそらく三年くらいしか経つておらない。從つて労働に関する体験を持つているとは私は考えないのであります。しかし松本君が從来そういうふうな熱意を持つて労働に関心を持つているという点を特に取上げてその係といたしております。なお先ほ、ど申し上げましたように、將來においてはこれを拡充して課にいたしたい。かように考えているのであります。
#16
○石原委員長 ちよつと参考に申し上げますが、ただいま主計局次長阪田政府委員が御出席になりました。
#17
○砂間委員 松本法学士がどんなりつぱな御意見を持つておられ、労働にどういう熱心な方か存じませんが、これまで水産廳でやつて来た漁業労働者の保護については、ほとんど何もやつておらないように私には思えるのです。日本の漁業労働者ほどみじめな、かつ悪い状態に置かれているものは私はないと思う。これは非常に封建的な船頭だとかあるいは網元だとか、いろいろな親方制度みたいなものがありまして、一般労働者に対しましては、労働法だとかあるいは労働基準法というのがありまして、労働組合もつくられ、いろいろな保護がされているのでありますが、漁業労働者に対しましては、そういう法律があつても実際においてはほとんど保護されていないというのが現状だと思うのです。たとえば労働基準法なんかがありまして、労働時間や何かのいろいろな規定があるのでありますが、海上労働者に対する但書、特例というふうな点で、ほとんど適用されていない。労働組合をつくろうとしましても、歩合制度になつておつたりあるいは一株、二株株を持つているというふうなところで、これは純労働者じやなくて共同経営者であるというような解釈をいたしまして、労働組合をつくることそれ自身を非常に妨害し、阻害しているのです。そのために漁業労働者が労働組合をつくるという熱意がありましても、いろいろな網元やあるいは資本家團体や何かの反対や妨害がありまして、なかなかつくれない。そのために日本の漁業労働者というのが非常に遅れていて、最も劣惡な條件に置かれているわけであります。これに対して監督官廳はほとんど放任している。何にも積極的な努力を拂つていないというふうに見えるのであります。ただいまの水産廳の長官のお答えによりましても、これといつた労働係のやつた事業の内容は何にも報告されておらぬようなわけであります。一体この水産廳の中で労働係が、労働の方を受持つておる人が何人ありまして、年間どのくらいの予算をとつて、どういうふうな事業計画をやつておるか。それを去年はどれくらいやつた、ことしはどれくらいの予算でどういうことをやろうとしておる計画であるかというような点につきまして、もう少し詳細に御報告をお願いしたいと思います。
#18
○飯山政府委員 ただいま労働係の予算並びにその事業計画内容について御質問がありましたが、先ほど申し上げましたように、現在の労働業務係は経済課の一係でありまして、予算を特に労働だけのためにとるという計上には現在なつておりません。
 それからもう一つは、労働の事業計画でありまするが、これは現在の水産労働者の実態を把握するということに重点を置いておりまして、事業内容としましては、調査が主体であり、指導あるいは施設というような点については、まだ計画は持つておらぬのであります。
#19
○石原委員長 砂間委員にちよつと希望します。なるべく安本関係、大藏省関係の御質疑をひとつお願いします。
#20
○砂間委員 これからだんだんそちらにまわつて行こうと思います。
 まず活動する前に調査するということはけつこうでありまして、十分な御調査をやられたらいいと思うのでありますが、しかし日本の漁業労働者や、あるいは勤労漁民がどんなひどい状態でいるかということは、普通の常識を持つている人であつたら、そう今さらあらためて調査しなくてもわかると思うのであります。聞くところによりますれば、今年あたり労働関係法規の適正な実施について、二百万円かの予算を――これもほんの鼻くそほどの予算でありますが、要求したそうでありますが、それも何だか全部削除されたというような形らしい、今の長官のお答えの中にもありますように、経済課の中で何か寄合世帶みたいになつておりまして、そうしてだれか一人か二人の人がほんの申訳的に置いてあつて、そしてただ机の上でごちやごちやした、調査ということに名をかりて、わけのわからぬ仕事をやつておるようでありますが、こんなことではとても私のさつき申し上げましたような目的を達することはできないと思うのです。いろいろな設備や、船をこしらえたり、漁港を築港したりするのもけつこうでありますけれども、実際に働くのは人間でありまして、その人間の働く條件が非常に悪い状態にある。これでは水産の復興といつても、漁業の発展といつても、これはとてもできないと思うのです。まず第一に水産関係で重点を置くべき点、一番予算をたくさんとつて、一番りつぱな人を充実して活動をやつて行く重点は、この労働関係の方面ではないかというふうに私どもは考えておるわけであります。現状のようなこんな状態ではとてもだめだと思うのでありますが、この際ひとつ思い切つて一大英断をいたしまして、この労働方面の係を、これを労働課ないしは労働部くらいに拡充いたしまして、積極的な労働組合の組織だとか、あるいはこの労働基準法の適用とか、労働者の保護育成に努力して行くという御意向があるかどうかということを、もう一ぺんお尋ねしたいと思います。
#21
○飯山政府委員 ただいま水産労働に関しまして、部もしくは課を置くような考えがあるかどうかというお尋ねであります。先ほど來、小高委員にも申し上げましたように、われわれといたしましては、これら水産労働問題の重要性については、微力ながら、関心は人後に落ちないと思うのであります。しかしながらこと機構、予算に関しますると、私どもだけの力では解決のできない問題でありまして、將来におきましては、現在の調査に基き、また御承知のように、水産の労働問題は他の工業に比べると、たとえば南極捕鯨というようなことになりますれば、これはりつぱな大企業として、おのずから経営と労働というものがはつきり分化いたして、おそらく海員組合もありまするし、相当陸上に比べてもその組合、の内容は遜色がないものがあるのではないかと私は思つております。しかしながら他の事業になりますると、純労働者であるか経営者であるかという限界がきわめて不明確な部分もあるのでありまして、一様にこれを律することは非常に困難である。それらの複雑な事態をできるだけ調査いたしまして、これに適切に対処いたしたいというので、調査を進めておる現状でありますが、將来において部あるいは課をつくるかどうかということは、ただいまのところ、できれば私どもは課をつくりたいということは先ほど申し上げたのでありますが、それをさらに部にするということは、現在としては考えられないのであります。できるだけ課を設けたい、そしてその上で將來その必要があれば、また部なり課ということになると思うのでありますが、現在としては、課をつくることもただちに今これを行いがたいというような状態であります。御承知願います。
#22
○砂間委員 今御説明のあつたように、漁業の雇用関係はまことに複雑でありまして、いろいろな形態があるのでありますが、しかしその根本は、やはり最低賃金が確立していないという点にあると思うのです。今飯山長官は、こういう方面のことについては、その熱意においては決して人後に落ちるものではない、しかし予算関係でなかなか思うようにならぬ、というようなことを申されましたけれども、ただ氣持だけ持つておつたつて、これはどうにもならぬ。結局予算でも何でもどんどんふやしまして、積極的な仕事をやつて行くということがなければ、ただ一片の申訳にすぎないと思うのです。予算がとれないと言いましても、これは農林大臣がやつぱり閣議に出ていて、削減されることを承諾しているわけでありますから、これは実に農林当局が漁業労働者の保護というふうなことについて、何ら熱意を持つていないという証拠になると思うのです。この点につきましては、追つて大臣が出席の場合に、あらためてはつきりと御意見を聞きたいと思つております。それでこの問題はこれで一應打切ります。
 その次に、輸入資材の問題についてでありますが、先ほど鈴木委員から、輸入資材の値上りが、爲替レートがかりに三百三十円になつた場合に、七十億とか何十億とかということを言われましたが、私はしろうとでありまして、どんな資材が、どのくらいの量で、どのくらい入つて来るかということはよく存じませんが、これをひとつ当局の方に、輸入しておる漁業資材が現在どのくらいの價格で、そしてかりに三百三十円になつた場合には、幾らくらいの値上りになるか、そして、その資材が漁業生産の生産費中に占める割合はどれくらいであるか。さらに大きな資本漁業の場合と、沿岸の零細漁業の場合との資材の持つウエートというふうな点につきまして、御説明をお願いしたいと思います。
#23
○飯山政府委員 ただいま輸入資材の点について御質問がありましたのでお答えいたします。御承知の通り、二十四年度の輸入計画はありますけれども、これは計画でありますので、二十三年度の実況を申し上げます。二十三年度におきましては、大体燃油においては四十七万キロリットルを輸入いたしております。それから綿糸におきましては八万梱――もつと詳細な数字につきましてはいずれ資料を提供いたしますが、大体を申し上げます。それからマニラが五千万ポンド、染料が六千ポンド、こういうことになつておるのであります。これが重要水産の資材であります。それらをただいまの為替レートで見ますと、燃油関係は二百九十円から三百三十円ぐらいになつておるのであります。従いまして單一為替レートが三百円ないし、三百三十円であれば、その開きは大したことないのでありますが、綿糸になりますと、これが八十四円になつております。從つてかりに三百三十円という、傳えられるようなレートになりますと、八十四円でありますから約四倍になるのであります。それからマニラの方はさらに低位でありまして、七十八円になつております。七十八円と申しますればさらに四・五倍ぐらいになるのではないかと思います。タンニンの関係の方は今数字を私覚えておりませんので、これはあらためて資料提供の際に出したいと思います。さような数字によつて昨年度の概数を当つてみますと、大体経営費において、三百三十円レートといたしますと、三割ぐらいの諸経費の増加になるのであります。もし三割の増加になりますと、現在の魚價では、結局経営諸経費のマイナスが三割さらに加わるというような勘定になります。從つてこれをカバーするためには、少くとも、漁獲を大体一定のものと考えた場合には、まず魚價を三割以上上げなければつまり収支相償わぬ。もちろん從來収支償つたとしての考え方でありますが、大体そういうような数字になります。こまかい数字は資料を今日持つておりませんから、これはあらためてお答えいたします。
#24
○砂間委員 この漁業経営の中で資材の占めるウエートと言いますか、パーセンテージは大体どれくらいですか。
#25
○飯山政府委員 御承知のように、あぐり網とか、あるいはきんちやく網というようなものになりますと、大体網というものが漁具の主体になりますので、私どもの計算では、あぐりでは、大体綿糸がその経営費の固定経費の三、四割になるかと考えますが、一本づりというようなことになりますと、これはほとんどさおとテグスということになつて、これは何割というようなものにはならぬと思います。概括しての数字は、大きなものから小さい一本づりまであつて、総括しても意味をなないと思うのであります。大体総経費から申しますと、平均すれば資材の占める割合は、先ほど経費が三割増す、こういうことを申し上げたのでありますが、つまり綿糸、マニラが四倍ないし四倍半になつておるときに三割増加するという勘定になるわけであります。私どもの概数では燃油、それから綿糸、マニラ、これは底引とか、あぐりによつていろいろ違いますけれども、少くとも資材が全経費の四、五割は占めておるのではないか。人件費は、これは歩合ということになるとはつきりいたしませんが、大体水揚げの半分がつまり給與ということになる組織もあります。それからまた総支出の中の三割ないし四割というようなものもあるのでありますから、大体それでわかると思います。
#26
○砂間委員 大体資材の方が輸入の関係で三割くらい上つてくるというお話でありますが、魚價の万は――魚價のきめ方にも非常に問題があるわけでありますが、この間物價廳の方に資料を要求しましたところ、まことに不親切な、人を食つたような資料しかよこさないのでありますが、魚價のきめ方について、生産費の算出が可能な漁業については生産費を基準としてやるとありますが、この生産費を基準として出しておるところは大体資本漁業であります。トロールとか、底引とか、ああいう大きなところでありますが、それが資材をリンクでもらうということを前提として、そうして漁獲がどれだけある。これだけに魚價をきめたら自分のところは引合うというような点で出しておると思うのですが、物價廳においては、大体それを中心にしてやつておるらしいのです。從つてそれ以下の零細漁民がとつてくる魚なんか、いいかげんのクラスにつつ込んでやつておるようであります。そのために零細漁民の場合なんか非常に割を食つておるわけです。全体として魚價が非常に生産費を割つて安い。特に資材やその他の買う方面の物價と、それからとつて來た魚の價格が非常に大きな開きがあるということは、これは明らかな事実だと思うのです。現在全体として魚價が非常に安いということが言えると思うのですが、しかもこの間の農林大臣の御答弁によりますと、大体上げないらしい。資材が値上りになつて、魚價がすえ置かれると、漁業者の経営困難なことは、これまで以上に非常に窮迫して行くということが目に見えておると思う。それに対して政府当局としては、これまでの政府委員の御答弁によると、具体策はほとんど何も立つておらぬ。これではまるで水産業全体をますます窮地につつ込んで行くようなことになると思う。この点について、もつと政府当局は確固とした具体方策を立てて、この次の委員会あたりには責任ある大臣が出て、はつきり御報告をお願いしたいと思います。
 次にお伺いしたい点は金融の点についてであります。漁業手形が先だつてからいろいろ問題になつておりますが、漁業手形は手続が非常に煩瑣でありまして、大体出荷機関の保証とか、いろいろややこしいことがありまして、実際に中小以下の零細漁民の金融ということには何にもなつておらねのです。今日もらつた手形の資料もありますが、この内訳をもつと明確にお尋ねしたいのですが、ここには何口々々で幾らやつたというような、ごく概括的なものしか出ておりません。これを見ましても、大体一口が何百万円平均かになつておるようでありまして、相当な企業化した漁業に対してだけしか出ておらぬということが言えると思うのです。この金融の面について今一番逼迫しておるのは、中以下の主として沿岸でやつておる零細漁民です。こつちの方にこれまで政府の施設というものは……
#27
○石原委員長 砂間君に御注意申し上げます。金融は前委員会以來しばしば論議の結果小委員が設けられたのでありまして、あなたもその小委員の一員でありますから、小委員会において十分審議せられんことを希望します。
#28
○砂間委員 承知いたしました。対策の方につきましては小委員会において審議いたしたいと思いますが、ここに政府委員の方からもひとつ御意見や御答弁を、後に小委員会におきましていろいろ研究して行く上に必要でありますから、承つておきたいと思うのであります。政府当局といたしまして、金融の面なんかについて、特に一番今貧窮しておる零細漁民に対して、何か方針を考えておられるか、これは協同組合なんかをつくりまして、先だつての水産協同組合法によりますと、協同組合の全國的な連合と言いますか、全國的な組織というものは禁止せられておる。しかも連合会の信用事業という面は禁止されておるというふうな点で、組合はつくつたけれども、佛つくつて魂入れずで、実際の活動の上には何もならぬわけです。今後の漁業法なんかで協同組合にいろいろ優先順位なんかをきめてありましても、資金の裏づけがない限りは何も活動ができない、こういうふうな点でもつとつつ込んだ具体的な金融の措置を講じていただきたい。この点はいろいろ先だつてから言われて來ておることでありますからこれ以上申しませんが、とにかくもつと眞劍に熱意をもつてやつていただきたい。
 それからまだ税金の問題だとかいろいろありますけれども、あまり長くなりますからこのくらいにしておきます。
#29
○飯山政府委員 ただいま漁業手形の件について御質問があつたのでありますが、お手元にも差上げてありますので御承知のように、この漁業手形は関東以北のあぐり漁業者に設けられた特別な措置であつたのです。從つて零細漁民に手形の方が行かないということはお説の通りでありますが、その何口というものも、あぐり漁業者でなければこれが融通ができなかつたのであります。その内容は大体一口二百万円ぐらいになつておると思いますが、そういう事情であることを御了承願いたいのです。それでは零細漁業者に何か案があるのかというお尋ねでありまするが、漁業協同組合ができましたときに、金融の点については、第四國会においても、また本國会においてもいろいろ論議されておりますように、お説の通り私どもも、今具体案として予算、資金というような点がまつたく目鼻がついていないというような事情でありますので、ここで具体的に金融の対策を申し上げる段階になつておらぬのはまことに遺憾なのでありまするが、われわれといたしましては、協同組合の発足のためには金融の裏づけがどうしてもなければならぬということは御同感であります。今後協同組合を通じて零細漁民の金融をはかつて行く。直接零細漁民に金融の道を講ずるということの対策は、これはなかなか困難だと思うのであります。しかしお考えがあればまた御教示をいただきまして、私どももさらに研究して行きたいと思います。
#30
○石原委員長 お諮りいたします。本日は政府の都合によつて大藏大臣、安本長官、農林大臣等が出席できにくいそうでありますし、また時間の関係もあります一ので、一般審議はこの程度にとどめたいと思います。
    ―――――――――――――
#31
○石原委員長 この場合漁業権等に関する小委員会、漁港に関する小委員会、この二つの小委員会を設けたいと思いまするが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○石原委員長 この小委員会の委員の数及び委員長等の選挙はいかがとりはからつたものでしようか。
    〔「委員長に一任」と呼ぶ者あり〕
#33
○石原委員長 委員長に一任という御発言がありますが、さよう決して御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○石原委員長 それではさよう決定いたします。
#35
○五島委員 大分補給金の問題で非常に心配されて、生産者側からいろいろな魚價などの問題が出たようでありますが、わかりやすく言いますと、どこがかつぐかということが補給金の問題なのであります。そこで私は資材面から行つて、補給金を紡績がかつぎさえすればよいと思う。現在紡績から漁業の方に出ております原料が二万一千円、貿易に出る原料が七万二千円であります。当然これでは内地の方の漁業資材としてまわつて來るはずがないのであります。よつてここに補給金という問題がかかつて参りますが、漁業者に高い資材を買わせないという根本的な問題は、二万一千円のこの資材を――麻においてもしかりでありますが、この資材を二万一千円の價格において、漁業者の手に渡すというふうにして、紡績の方に補給金を支拂うようにすれば、補給金によつて高い資材を漁業者が買わなければならないという理論は成立たなくなると思います。これに努力すべきが当委員会の絶対的使命でございます。今まで資材行政の伴わない水産行政を行つていたということは、そもそも非常に片ちんばの行政であります。從つて商工省とどれほどまで長官は打合せをしてあるかということをお伺いしたいと同時に、資材の根本的なわくを――二十三年度におきましては八万梱、本年度におきましては六万梱と推定されておりますが、この六万梱の絶対量を水産廳が握つたとき、初めて今の補給金の問題も解決するし、漁業生産者が心配している点も解消すると思うのであります。この点商工省との今までの打合せと、水産廳が資材を握るということについて、どの程度の手が打つてあるか、あるいはまたこの水産委員会がこの件を取上げて將来進んで行くか、進まないかということについても、長官のお考えを承りたいと思います。
#36
○飯山政府委員 五島委員の御質問にお答えいたします。補給金について水産廳は商工省とどのように折衝したかという御質問でありますが、補給金調整という問題は安本において根本を立てるのでありまして、私どもが直接商工省と補給金の問題を折衝するということはやつておりません。
 それからもう一つ、二万一千円というつまり價格の差を、水産廳が六万梱をしつかり握ることによつて繰作ができるのではないかというお話であると承るのでありますが、これは先ほど小高委員からも御意見並びに御質問がありましたように、水産用の繊維資材が水産廳の主管になるということが前提問題だと思うのです。この所管の問題につきましては、水産廳が生まれたのも、この当時の事情から申しまして、漁船行政と水産に関する繊維の行政を、水産廳に一任するというふうなことが土台になつて生れたように存ずるのでありますが、水産廳が直接商工省に向つて折衝すべき性質のものではないのでありまして、農林大臣と商工大臣が折衝される。これは折衝したように伺つておりますが、どの程度にやつたかということは、私どももはつきり承知いたしておりません。
#37
○五島委員 しからばただいまの七万二千円、二万一千円の格差の問題であります。これもおそらく五万円から違いますこの金を水産生産者にしよわせましたら、いずれは魚價の問題となつ來るのであります。よつて私は、願うことならば二万一千円の價格をもつて水産生産者に渡しさえすれば問題はないと思います。と同時に、それは今言う六万梱という大わくを、要するに水産廳が握らない以上は、絶対にこれはうまく行かない。主管が商工省であります以上、とうていできません。よつて水産委員会でこれを取上げて、その資材の大わくを水産廳が握るという一つの例をここにつくりますれば、油もしかり、麻もしかり、造船問題もしかりという例がつくれますので、ぜひ水産委員会において、たくさんでなく、少数の委員でもいいからつくつていただきまして、これについて商工省としつくり話し合うようにお願いしたいのであります。
#38
○小松委員 簡單に伺います。安本の方にお伺いしたいのですが、魚の統制を撤廃する御用意があるかどうかということをまずお伺いしたいのであります。
#39
○野田政府委員 魚の統制撤廃の方は、非常に見込みがありません。実は野菜の統制を撤廃したのと同時に、野菜の方は撤廃するが魚の方の統制は強化すべしという附帶條件がついて来たようなこともありまして、それというのも結局野菜ほどまだ需給状況がバランスしておらぬからだろうと思いますが、そういう状況であります。
#40
○小松委員 魚の統制は強化すべしという附帯條件がついておつたというのですが、しからば強化するにはどういうような御準備をもつて強化されるのでありますか。昨年の五月二十二日に高級魚の統制を解除いたしたのでありますけれども、こういうものを再び統制を強化するというような御意思であるかどうか、こういう点も伺いたいのです。
#41
○野田政府委員 今のところ、範囲拡張は考えておりません。ただそういう注意を受けたということを御報告申し上げただけです。
#42
○千賀委員 統制の点で私からもお伺いをいたしたいのでありますが、統制の強化ということは至上命令でいたし方ないといたしましても、統制の種類について、移動をする自由はわれわれにあると思うのであります。現在におきましても、相当に高級魚でいいと思うものがまだ統制のわくに入つたまま窮屈なものがあるのであります。かような点は、魚の名を指摘すれば、たとえば黒皮まぐろのごときだとか、またはかじき類のごときだとか、市場價値におきましては十分これは高級魚族であり、まだ魚價から申しましても高級なものでおります。ただ遠洋でとれることはとれるにいたしましても、これが保存は他の遠洋魚族のごとくに、むぞうさに冷藏庫にぶち込んで來るようなものでなしに、これは相当大事にして持つて参るものであります。かようなものは、高級魚族として統制をはずしてもいいと私どもは思つております。私は戦争中でありますが、六箇月ぐらい遠洋漁業にみずから從事いたしておりまして、そういう漁には体驗を持つておるのでありますが、現在の統制では、まだ高級であるべきものが一般民需用の方にぶち込んである。こういうものの統制のわくをはずして行きますれば、相当にまだ魚の供給は十分になり得ると思うのであります。ほんとうに統制してしかるべしと思うものは、たとえばいわし、さんま、さば等のごとき、だれが常識的に見ましても大衆魚族であると思うのでございますが、この魚の品種別に対する統制のごときは、おそらく私は、これはこちらの取扱いで行くんだろうと思つておりますが、この点に関しましでは、高級魚の方へもう少し繰入れて行くという取扱いが可能であるかないか。この点、御意見いかがですか。
#43
○野田政府委員 高級魚の範囲の問題、魚種の指定の問題も実は自由ではありませんので、この前高級魚をはずしましたときにも、相当この選択範囲につきましては議論しました。結局あれだけに限定されたというような経緯もあるように聞いております。かようなわけで自由にまかされておるというわけではないのであります。今のお話のような点は、今後も研究いたすことにいたしたいと思います。
#44
○砂間委員 さつき五島委員から資材の点について御質問がありましたが、私は商工省でやつていても水産廳に持つて來ても、どこでもいいと思うのでありますが、資材の配給や割当について不公正な、不明朗な、インチキのないように、ひとつ公正にやつていただきたいと思うのであります。たとえば網を織ると言つて、より糸なんかをとつておきながら、それを織屋で横流しにしたり、それからより糸のよりをほぐして流したりなんかする、そういうようなうわさをたびたび聞くのであります。現に静岡縣の方では、そういうようなことで問題になりまして、檢察廳の方で問題となつている刑事事件までもあるのでありますが、そういうような点を厳重にもつと監督していただきたい。
 それから割当なんかにつきましても、たいへん不公正な点があるようであります。たとえば二十三年度の第四・四半期の綿糸の割当なんかにしましても、水産廳の中に諮問委員会なんかができておりまして、供給したものとリンクするとかいうことになつておるらしいのでありますが、それをある有力者なんかが行きまして運動して、その実績とは無関係に、やたらにふやしてみたり、それからほかの方で運動しないような人は、実績があつても減らしたりするというようなことがあるやに聞いておりますが、そういうふうな、ある有力者に運動したからどうするとか、こうするとかというような、そういう不公平の絶対ないように、それというのも官僚統制でやつておりまして、官僚が上の方でぼそぼそ権力を握つてやつておつた。そういうことからこういう弊害が起るのだと思いますから、これはひとつ優先的に民間の代表者などもどんどん入れまして、そうして明朗な、より民主的な割当てをやつていただきたいというふうに希望するわけであります。
#45
○千賀委員 その点に関連してちよつと発言させていただきます。
 ただいま砂間委員の発言がありましたが、もちろんさようなことが事実あるとすれば好ましいことではありません。これはきわめて唾棄すべきことでございますが、われわれは大体政治の運行上かようなことはないと思つてやつておるのであります。しかしながら大勢の人間の中でありますから、特別な例外としてかような事実が過去にあつたかもしれません。しかしながらあつたという事実があれば、將來もあるということになるかもしれませんが、これはあつたということを確認した方が、それぞれ國民の責任として檢察廳に告発なり、何なり適当な方法をとつて、利益を侵害された國民のためにこれは救済してやればいいことでありまして、私どもはかようなことが必ず必然的にあるものと思つておるならば、かような政治をここで議することの必要はないのであります。私どもは必然的にかようなことはあるまじきものと思つて政治を運行しております。
 それから統制でありますが、もちろん私どもはなるべく早い機会にこの統制はやめることを希望いたしますが、これを官僚の統制から、いわゆる共産党の申しまする、人民の手による統制になつた方がいいなどということは毛頭考えておりません。統制をやめるならば自由経済の線にこれを引きもどして行くことが、一番世の中の能率が上つて、大多数の人が早く幸福になる。かように考えております。そこで官僚の統制が惡いということでありますが、もちろん今まで官供の諸君が多く統制をやつておつた。そこで惡いことがあつたから、官僚の統制が惡いと言えば言えるかもしれませんけれども、官僚によらずして、たとえば人民から求めたいろいろな委員等をあげてやりました統制は、むしろ官僚以上にだらしがない。この点で私は官僚を礼讃するわけではありませんが、長い間の歴史と、長い間の訓練を持つ官僚が今日あるのでありまして、例外のひどいものを除きますれば、やはり全体としては日本の官僚は、一番こういうような公事に携わらしめるのに一番信頼するに足る。私はかような信念を持つて今官僚の統制を迎えておるのであります。さればと言うて例外があるからということは、もちろん例外は例外でありまして、かような例外のために全体を否定するということは私はとらざるところであると思つております。砂間君の先ほどの御意見に対しまして、この意見に私どもが黙つてこれを迎えるならば、わが水産委員会の意見が同様だということになつてはたいへんだと思いますから、私の信念をここに披瀝をいたす次第であります。
#46
○五島委員 それに関連いたしますから申し上げますが、砂間委員は長官の答弁を求めると言われますので、長官の答弁の前に私は御注意をしておきます。
 綿糸の配給は商工省であります。しかし需要者の切符のことは水産廳の長官のところでやるのだというように言われる砂間委員の質問は、どこか的をはずれておりますから、それを御了承の上御回答を願います。
#47
○飯山政府委員 先ほど砂間委員が、所管がどこであつてもさしつかえない。現在非常に不正があるが、この不正をなからしめるようにというようなお言葉に拜承したのでありますが、もちろんわれわれがその席にあつて、不公平な割当をするというようなことがあつては相ならぬのであります。現在までに私どもはそういううわさは聞いておるのでありまして、最近も各地方廳に伺つて御注意を促しております。しかし具体的な事実はまだ遺憾ながらつかんでおりませんので、不正があるということを私どもとしては、これは確認するわけには参りません。しかし今後割当その他について最も公正な期すべきであるという御注意に対しては、これはもう私どもも心から運用し、そうして公正を期したい。さように考えております。
 それから今五島委員からお言葉がありましたが、実は私どもは所管がいずれにありましても、水産の面に支障を來すようなことをもしわれわれがやつておるならば、これは重大でありますが、かりに商工省との関連において問題がありますならば、これも水産に影響することでありますので、所管というよりは水産業の立場から、そういうことについては十分な注意を拂いたい。かように考えております。
#48
○田口委員 先ほど小松委員の質問に対して、野菜の統制を撤廃し、魚類の統制は強化しろというような指示があつたという安本副長官の御答弁でございますが、その際何か魚の統制についてどうするということを伺い立てられて、それに対する回答として、野菜の統制を撤廃し、魚の統制は強化する。こういう指示があるはずはないと思います。その伺われた趣旨をお伺いしたいと思います。
#49
○野田政府委員 私の聞いております範囲ではそういうことはありません。別に書類で交渉を始めたわけではありません。私が知つている限りでも、昨年の秋以來の交渉の問題でありまして、それがようやく今度決定されたのであります。長い問のことでありますから、あるいは魚の問題もその間に並行して出たことがあるかもしれません。詳しいその間の交渉経過までは存じませんが、少くとも同時に持出したということは聞いておりません。
#50
○田口委員 私はその指示が九原則の出た当時の話であるか、あるいはごく最近の話であるか、その時間の関係を実は知りたいのでございます。これは非常に重大問題であると思います。
#51
○稻村説明員 私安本の生産局の水産課長の稻村でございますが、その点につきまして、これは生活物資局の所管でありますので、私正確にお答えすることができないかと思いまするが、私の大体知つておることにつきまして一應参考的に申し上げてみたいと思います。
 ただいま田口委員からのお話のことでございまするが、私が聞いておりますることでは、直接関係方面からいただきましたものの中にそういつたことが入つておるかどうかは、ちよつと承知しておりませんが、その後に新聞発表という形におきまして御発表になりました文書がございますが、その中にははつきりと魚の統制はまだその時期ではないのだということがあります。その文書がはたして公文であるかどうかは問題でありますが、新聞発表として発表したと思われるものも、私ども拜見しておりますものの中に、その点がはつきり強調してあるように思います。
#52
○田口委員 それはいつごろですか。
#53
○稻村説明員 私の手もとに参りましたのが一昨日か、一昨々日です。
#54
○田口委員 今の問題は大体わかりました。
 次にお尋ねいたしたい問題は、先ほどのいろいろな金融問題からいたしまして、水産の設備資金につきましてはなかなか目鼻がついていない、これ以上つつ込んでお尋ねいたしましても要領を得ないと思いますから、その点はやめます。
 この前水産委員会で小松委員から、今水産金融が最も困つておる問題は運轉資金の問題だ、こういうことをるる述べられたのでございますが、私も現在の実情で最も行き詰まつておる問題は運轉資金と思います。この運轉資金の金融方法といたしまして漁業手形を採用されましたことは、非常に賢明な策でございました。漁業者の関係から申しますと、大体漁船は担保物件に入つております。從つて漁業者の金融担保見返りとなるものは、とつて來る魚の問題でありまして、この魚を見当にされた金融措置を講じられたことは、非常にいい方法だと思います。從つてこの漁業手形の問題は、ひとり東北のあぐりばかりでなしに、全面的にぜひ取上げていただきたいのでございます。それについてこの手形の運用上、実際に困る問題といたしましては支拂保証の問題、それから市中銀行に実際に資金がないという問題であります。この支拂保証の問題は、今まで復金関係でやつておつたのでございますが、復金がああいう状態になりますれば何か支拂保証方法をほかにぜひ求めていただきたい。それから市中銀行に実際に金がない、この問題につきましては、何か日本銀行でスタンプを押してくれたものに対しては、日本銀行から七割でもあるいは八割でもよろしゆうございますが、その銀行に融資をしていただく、こういうような問題を考えていただかなければ解決しない問題だと思うのでございます。この漁業手形をぜひ拡充強化してもらいたい、こういうお願いと、これを実行されるにおきまして、二つの難点があることを特にひとつ御研究を願いたいと存ずるのであります。
 それからもう一つの問題はちようど主計局からも來ておられまして、実は少し的はずれでございますが、大蔵省の関係でもありますし、野田さんはかつて大藏省にもおられた関係もあり、ちようど安本副長官をやつておられますから、漁業者の税金についてぜひ御考憲を願いたい問題があるのであります。漁業者は御承知の通り三年あるいは五年、こういう長い期間の平均によつて、初めて経営ができておる産業でございます。一年々々の勝負でなしに、少くとも一箇年程度の平均収入に、よりまして、大体地ならしで経営しておる。こういう特殊産業でございます。この産業に対しまして、最近の税金の取立ては、前年の実績によつて、ほとんど上つた金を全部取つておられる。しからば二年、三年後に参ります不況のときにどうするか、こうなりますと、結局不漁のときは政府も知らない。利益があつた場合に税金はそつくり取つてしまわれまして、不漁の際は何ら政府はそれにタッチをされない。こういうような実情でございます。これは各漁業を少し御研究下さいますとすぐわかることと思いますけれども、少くとも三年ないし五年の平均によつて、前年度のマイナスを今年度の利益で埋めて行く、こういうような状態で経営しなければならぬ産業でございますから、何か税金の徴収方法を平均によつて徴収していただく。こういう問題について、ぜひ將來研究していただかなければならぬと思うのでありますが、その点日本の漁業家の今の状態では、もうにつちもさつちも行かなくなると存じますから、ぜひこの税金の徴収方法について、つつ込んだ研究をしていただきたい、この点をお願いしたいのでございます。
#55
○小高委員 税金に関係してでございますが、のりの物品税の撤廃をしてもらいたい。この意見について主計局次長さんの御答弁を願いたいのであります。のりの中で焼のり、味つけのり等の加工品は仕方がないが、普通の生のりについての物品税はどうしても撤廃してもらわなければならない。時間の関係上、内容を簡單に御説明申し上げますと、現行の課税率は、のり生産高が確実に算定できないために、一柵二千円ないし三千円の割で定めまして、天候のいかんにかかわらず、またその生産の状況とか、價格の高低にかかわらず課税されてしまうのであります。そのためにのり業者は非常な困窮をしておるのであります。この不合理性をただすとともに、困窮を訴えておるのであります。何ゆえに困窮を訴えておるかと申しますと、九つの税が次々と加重されておる。第一が所得税であり、二が事業税であり、その上住居税、あるいは家屋税、漁業権税、水面使用料、採藻税、舟税、登録税、かような幾つもの税の負担をしております。その上に一柵幾らというような、豊凶のいかんにかかわらず課税をされておる、こういうことから加工のりの、味つけのりとか、焼のりに対しては仕方がないが、普通ののりに対しては、どうしてもこれは断固として撤廃してもらいたいという強烈な意見が出ておるのであります。これに対して主計局次長さんの御答弁を伺いたい。また御答弁のいかんによつてはその次の希望を適当に開陳いたしたいと思つておるのであります。
#56
○砂間委員 税金が資本漁業については所得税が法人税として納められているのですが、零細漁民の場合なんか所得税の計算の必要経費のときに、自家労働だとか、家族の労賃だとか、そういう生活費の部面が全然考慮されていないのです。この点をひとつ必要経費に入れるようなふうにはできないか。それから所得税が今下に非常に重い。この免税点をもつと大幅に引上げることができないかというこの二点を一緒にお尋ねしたいと思います。
 それからなおそれに関連して、事業税だとか、船税だとか、いろいろな地方税の負担が非常に重いのですが、これは直接國税ではありませんけれども、やはり税金に関連しているので、大蔵省の方で地方税のことにちよつと触れていただきたいと思います。
#57
○阪田(泰)政府委員 ただいま税金のことにつきまして、いろいろお尋ねがございましたが、実はこの委員会の方から御連絡があつて、主計局の方に出て參れという話でありましたので、所管の方は主税局の方でありますので、明確な責任おる御答弁はいたしかねますが、一應承知しております程度のことを申し上げます。
 漁業の税金につきましては数年間を平均したところでとれというようなことは、一應お話を伺いますとごもつともな点もございますわけでありますが、御承知のように先ほど前年度の実績によつて課税するとかいう仰せでありましたが、最近はさような形でありませんので、当年度の実績によつて予算課税をして行くというような建前をとつております。それでさようなことに相なりましたのは、結局終戦後におきますいろいろの物價の変動、そのほか経済の実情は非常に変つておりまして、前年度の実績によつて課税して行くというようなやり方では、経済の変化に対処しきれない。そういう事情がありまして、そういう制度に変つたものと承知いたしております。さような経過からいたしますと、今日におきまして数年間を平均したところを見て課税をきめて行くというやり方をとることは、漁業自体の利益の増減というようなことのほかに、経済界の変動という要素も入つて参ります。これは主税局の関係の当局の方にもよく話を傳えまして、研究をしてもらおうと思いますが、実際問題としてなかなか至難ではあるまいかと考えます。
 のりの方の物品税のお話でありますが、これは実情を十分承知いたしておりませんので、関係の税務当局の方にお話をお傳えいたしまして、しかるべく御返事するようにいたしたいと思います。所得税の必要経費として、自家労賃を引く、この問題でありますが、これは最近いろいろの税金が相当重くなつてまいりましたので、そういうところも切実に感ぜられるようになつて参つたわけであります。從來から自家労賃というものは営業損益の計算上経費としていない、これは税法上の建前であります。これはもちろん勤労所得というものに対して税金がかかつている。そういうふうな振合いからいたしましても、理論上は当然のことだろうと思いますが、ただ実際問題として最近税金の負担が相当重くなつて來ているというような情勢からいたしまして、実際の課税面の上において相当考慮して行くというようなことが研究せらるべきであると思います。詳細の点は私直接その方をやつておりませんので、この際御答弁いたしかねる次第であります。それから免税点の引上げ等についてもお話がございましたが、これはいろいろ新聞紙上等にも出ております。大体の経過は御存じのことと思いますが、前年度に比較いたしまして、今年度は物價の水準その他も変つて來るわけでありますから、そのような点からいたしましても、免税点の引上げ、控除の引上げというようなことをはかつて行くことは、あえて漁業に限らず全般的に認められているところであります。ただそういう税法の改正をいたしまして、今日におきまして税収を減らすということは、九原則に示されました絶対に均衡を得た予算をつくるという面から行きまして、今日におきましてはまだ無理である。そういう段階にあるというふうに関係方面の強いいろいろな意向がございまして、今日におきましてはそういうことが実現できるということは、われわれの方から申し上げかねる立場にあるわけであります。これはしかし今日このまま問題が済んだわけではありません。今後十分に研究いたしまして、今後の情勢に應じて何らかの税制の改正案等も考えて行きたいと思つております。
#58
○石原委員長 お諮りいたします。漁業用資材に関する小委員会をつくりたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○石原委員長 その委員の数、氏名、小委員長等はいかがな方法をとつたものでありましようか。
    〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
#60
○石原委員長 それではさよう決します。
 本日は大藏大臣、安本長官の出席なきことをここに不満の意を表しておきます。これをもつて散会します。
    午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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