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1949/04/09 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第6号
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1949/04/09 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第6号

#1
第005回国会 水産委員会 第6号
昭和二十四年四月九日(土曜日)
    午後二時四十九分開議
 出席委員
   委員長 石原 圓吉君
   理事 小高 熹郎君 理事 鈴木 善幸君
   理事 玉置 信一君 理事 林  好次君
   理事 砂間 一良君 理事 小松 勇次君
      五島 秀次君    千賀 康治君
      田口長治郎君    冨永格五郎君
      永田  節君    夏堀源三郎君
      早川  崇君
 出席政府委員
        文部事務官
        (学校教育課
        長)      日高第四郎君
        水産廳長官   飯山 太平君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (水産廳次長) 藤田  巖君
        農 林 技 官
        (水産廳調査研
        究部研究課長) 伊藤いさみ君
        專  門  員 小安 正三君
        專  門  員 齋藤 一郎君
四月八日
 委員佐竹新市君辞任につき、その補欠として山
 口シヅエ君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
四月八日
 羽幌漁港修築促進の請願(玉置信一君外三名紹
 介)(第一八七号)
 燒尻漁港築設の請願(玉置信一君紹介)(第一
 八九号)
 天賣漁港修築の請願(玉置信一君紹介)(第一
 九一号)
 漁業制度改革に関する請願(石原圓吉君紹介)
 (第二一〇号)
 假屋漁港施設拡充の請願(保利茂君紹介)(第
 二一五号)
 名護屋漁港施設拡充の請願(保利茂君紹介)(
 第二一六号)
 落石漁港修築促進の請願(林好次君紹介)(第
 二五九号)
の審査を本委員会に付託された。
同月六日
 漁業法並びに水産協同組合法の一部改正に関す
 る陳情書(岡山縣水産業会長永井寛次外一名)
 (第七七号)
 漁業手形制度実施の陳情書(福岡縣議会経済常
 任委員長野田貫造)(第九三号)
 養蠣水産用針金特配の陳情書(廣島縣牡蠣株式
 会社取締役社長森澤雄三外六名)(第一二九
 号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 水産動植物保育に関する件
 水産物輸出情況に関する件
    ―――――――――――――
#2
○石原委員長 これより会議を開きます
 本日は水産動植物保育に関する件及び水産物輸出情況に関する件を議題として、当局より説明を聴取いたします。なおただいま御出席の政府委員は文部省学校教育局長日高第四郎政府委員、水産廳飯山長官、回藤田次長、水産廳調査研究部長藤永元作説明員、水産廳研究課長伊藤いさみ説明員、以上であります。
#3
○砂間委員 少し部分的なことになるかもしれませんが、のりの養殖につきまして、あの種といいますか、胞子というか知りませんが、種の養成ということはどんなふうに行われでおるか。ひとつ現状を教えていただきたいと思います。
#4
○伊藤説明員 私からお答え申し上げます。もちろん縣によつていろいろ違いますけれども、たとえば東京におきましては、非常に種のつく所と、つかない所がありますが、つくような所に大体しびを立てまして、そこにのりの種をつけまして、さらに種のつく場所と、それが発育する場所と、水分その他によつて違つておりますので、そのつけたしびを非常に発育のいい所に持つて行つて、そこで発育させる。所によつては、種のつく場所と発育場所と同じような場合には、初めからそこに木を立てて、そこで種をとつて、さらに発育させて、だんだん養殖するのであります。
#5
○砂間委員 それは民間の業者に一任されておる形ですか。それとも國で何かそれを補助するとか、保護するとかいうような施設があるのですか、ないのですか。
#6
○伊藤説明員 全部民間にまかされております。
#7
○砂間委員 実はこの間のり業者の会合に出席したのですが、そのときに業者の方が申されるのには、戰時中は相当保護があつたけれども、最近ではほとんどなされていない。そのためにこののりの事業が、非常に種が足りないため、荒廃しておるというふうなことを申されたのですが、こういう問題に対しましては、個々の業者にまかしておくというのではなくて、もつと國が手厚い保護をする必要がないのか、というふうに考えておるのですが、なかなかのりの種を養殖している人が、非常に養殖する所が限定されているために、非常に独占的になつて行く。それでほしいけれどももらえなかつたりして、これが非常に円滑に行かないというふうな声もちよつと聞いております。のりということは、單に一つの例にすぎないのですが、もつとほかの魚族あるいは海産動植物全般につきまして、國として、日本の水産業の発展のために、そういう方面に力を注ぐ必要があるのではないか。これまでのところは、部分的にはさけ、ますなんかでは、いろいろ保護があるかもしれませんが、全体に関して、そういう方面の國の施政の努力が非常に欠けておるように思うわけです。
#8
○千賀委員 ただいまの議題に対しまして、若干質問をいたしたいと思います。これは水産ではありませんが、やはり動物にちなんでおるのでございますが、かつて日本につぐみ網の猟法があつたのであります。進駐軍が日本に進駐をされて、やはりこれもアメリカの天然資源局の支配を受けるようになつたのでございますが、その当時、アメリカの人が日本のつぐみ猟を研究したいということであつたので、日本のつぐみ網のとや場を持つておられる方々は非常に大得意で、オースチンなどという鳥類の学者とか、アメリカの人々をつれて行つて、その現場で大いにとつて、大いに痛飲して、御馳走をした。そうすると、すこぶる御機嫌がよいかと思いのほか、これがあべこぺの現象を來しまして、日本はかくのごとくあらゆる鳥類、たとえば武器なき味方に対して、殺戮をたくましくしておるのかというようなところに注意を引きまして、あの、日本で世界的のつぐみ猟法であるというとや場がとうとう制限を受けまして、日本でたつた二十箇所の試験とや場を許してやるというようなことで、ほとんど全滅してしまつたのでございます。これはまことに笑うに榮えないようなナンセンスでありまして、私は狩猟の関係上、その後つぐみ網の業者から、おれたちはそういうつもりで、進駐軍の諸君を御歓待したわけではなかつたが、こんなふうになつてしまつたという泣きごとを聞かされたのでありますけれども、まつたく考えてみれば、日本の猟法というものは、殺戮だけであつて、かれらを一方からは保育しようというような観念がまことに薄いのであります。これは單に陸上の狩猟ばかりにあらずして、淡水魚族に対しても、あるいは鹹水魚族に対しても、日本の漁という漁は、ことごとくこのつぐみのとや場と同じように、原始的な色彩を多分に持つておる。その習慣が脱し切れず、自然界の動植物をわれわれが利用しようとする前に、まずかれらを自然界の力をたくみに誘導してふやしながら、しかもわれわれの漁をやつて行こうという、この文化のにおいを織り込むことは、日本では非常に閑却をされておつたと思うの一ございます。ただいま北海道で、にしんであるとか、たらばがにであるとかいうものが大分漁期になつて、われわれの食膳にもにしんが上せられるのでありますが、この食膳のにしんを見ますと、数の子が一ぱい入つておるとか、白子が一ぱい入つておる。これはまだかれらがいわゆる成魚としての――この地球上に生をなして死んで行く、その前の最大の偉業を果さずにわれわれの食膳にこれが上つてしまつておるのではないか。あの持つておる白子と数の子をみな外に出してから、われわれの食膳にのぼせたらどんなものかというふうな感じもするのですが、これはもつと大きな目で見ますと、にしんの漁法なるものが、にしんが繁殖するために群集をしたときでなければ一番よい漁果があがらない。たからそのときのにしんの腹に子があるからといつて、あえてそれだけを言うことはできますまいが、さればといつて、日本の中で、それではどこに一箇処にしんの繁殖のために、禁漁区をうくつておいたか。そんな話をなかなか聞かない。これなどは、大いに將來にしんの増殖のためにはからなければならないのではないか。あるいは北海道の水域を、一区劃を区切つて、あるいは数区劃にいたしましても、ここはにしんの繁殖のために残す所だ。またここはたらはがに、ここはさけのため、たらのためという、適当な水域があれば、かようなものはつくつて行く方がいいのじやないか。これの最も適切な例といたしまして、愛知縣も伊勢も、一つの伊勢湾という内湾を持つておりますが、その入口が伊良湖崎と伊勢の鳥羽とで向い合つている狭い海峡であります。ここは潮流も早いし、また軍事的の地勢上の要点になつておりましたが、また内湾に住んでいる魚族の繁殖場としても非常にこれは意義の深い所であつたのであります。ところが戰爭の当時、日本の軍部がその地方にたくさんの魚雷を敷設いたしまして、これよりこの魚雷の敷設地帯は絶対に網を入れることを禁止されてしまつたのでありました。当時漁民は、あんな所を禁止をしやがつて、おれたちの飯の種がなくなるのだというので、非常に激昂いたしまして、私は漁民の先頭になつて、シリをたたかれ陳情したものでありましたが、これはまつたく小さい見方でありまして、その後数年の結果を見まずと、その所が非常に場所もよかつたせいか、各魚族が繁殖いたしまして、内湾の漁獲の供給が非常に爾來よくなりました。戰爭中労力がないというのに、伊勢湾の各魚族は常に豊漁を続けでおるというような実情で、われわれは全水域を必ずしも漁場として荒しまわらなくても、相当な保護と相まつて行けば、繁殖のためにある水域を犠牲に供するような形になりましても、かえつてその方がゆたかになるという実際の例も目のあたり教えられたわけであります。かような意味におきまして、昔は各河川のあゆの産卵につきましても、非常に厳重に禁漁の監督をせられたのでありますが、戦後の道義の廃頽とともに、法律もへちまもあるかというような考えが、社会のいろいろな方面を汚涜して参りまして、このごろはあゆの産卵場も、その禁漁期におきましてもみんないろいろな漁法で産卵すべき種あゆを濫獲してしまうということで、なるほどその当時の漁獲は多少上るにいたしても、全体の河川のあゆというものがどんどん減つて参りまして、それを補充するためにわざわざ琵琶湖から持つて來なければ、ほとんどあゆの顔を見ることができないような現況になつて來るのであります。かような意味から申しますれば、房州の鴨川の前に鯛の禁漁地、これは宗教上の目的からの禁漁地でありますが、実際ああいう所は実にほほえましい効果を上げておるのであります。各漁族それぞれその習性に從つて、どこのどうした所が適当だということは、これは技術的に見てだんだん鑑定がつくでありましようが、ただ宗教的に残されておる、たとえば伊勢の五十鈴川の各淡水魚族にいたしましても、あそこの手を洗う所で、うぐいや、あゆが人を恐れるところなく泳いでおるのも、実に好ましい風景でありますけれども、ほんとうにわれわれが魚を利用するために、まずその元をつくるというような大目的のために、こうした魚族の安住地をつくるということも、非常に私は必要なことだろうと思います。かような精神から日本の漁場を再編成といいますか、精神的に組立て直すことがありますれば、アメリカの諸君も日本の漁業に対しまして、もつと積極的な理解援助を與えてくれるものだろうと思います。今までで大体私の考えたところは盡きたかもしれませんが、これからちりめんじやこ、あるいはにぼし等、小さい魚が食膳に上りますが、あの魚も大体檢討してみますといわしの子もあじ、こうなごの子もあり、中にはあゆの子があつたり、もつと保護しておけば、相当に成魚になつてわれわれの食膳をもつとにぎわすべきいろいろな魚の子が、十ぱ一からげに濫獲せられて食膳に上るということはどうかと思う。それを保護するということになると、その漁業に從要する人々はあるいはかんむりがまがるかもしれませんが、やはり民族のために最大の能力を発揮し得る漁業を考え直すという点に至れば、ある程度の禁制も必要じやないか。こんなことも痛感するのであります。かような点につきまして当局のお考えはいかがか、お伺いをいたしたいと思います
#9
○冨永委員 関連して。今千賀委員から北海道のにしんの問題を取上げられてお説がありましたが、私も同感の意を表明するものであります。私どもの考えをもつてすれば、にしんの現状については、産卵孵化については大体六、七百万円程度の予算をもつて人工孵化をやつておりますが、むしろああしたことに予算を使うよりも、今千賀委員からお話があつたようにある一定の地域を禁漁地域にして、これに保護政策を加え、ほつけ漁業、これは現在補助をしなても漸次隻数がふえておりますが、これを奨励すればにしんと同じくらいの漁獲さえあげ得るような見通しを持つておるが、この現実の事態をながめられまして、当局はこれに対してどんなお考えを持つておられるかという点を、一点伺いたいのと、それからこの繁殖保護、濫獲防止、保育の問題について、必ずしも政府当局も投げておるわけでないでしようし、また都道各府縣それぞれの立場から、それぞれの廳令、縣令を出して取締つておるようではありますが、この場合濫獲防止、繁殖保護、保育の問題に関し、全國一律的な單行法をもつて、これに筋金を入れるようなお考えが、当局にはないかどうかという二点をお伺いしたいと思います。
#10
○小高委員 繁殖保護をはかりながら漁獲をして行く。これはただいま水産を語る場合の根本的な問題であろうと思うのであります。ただいま先輩からいろいろ御意見もございましたが、私は一例を貝にとつてみます場合に、昭和十五年において東京湾の千葉縣寄りの貝類がどのくらいあつたかと言いますと、はまぐりが六百万貫、あさりが八百万貫と記憶しておるのであります。それが最近においては一割五分ないし二割になつてしまつた。八割ないし八割五分はどこへ行つてしまつたか。これは経戰以來繁殖保護をはからなかつたために稚貝のまきつけをしなかつた、また稚貝を養うだけの資金もなく、稚貝をせつかくまいても、これを盗みとられてしまう。漁業会や漁業組合では、とうていこれを管理して行くことができなかつたこと等から、次第々々に減少いたしまして、遂にかくのごとき数字の結果を來してしまつた。これはただ單に東京湾の千葉縣の一角の問題でなく、全國的にまたがるところの大問題と思うのであります。この貝類を蛋白源として数字的に全國的に見まするとき、これまた繁殖保護の法よろしければ、最もこれは数字の出やすいものである。回遊性の魚に対していろいろの保護法はございまするけれども、これがなかなか区画がしにくい。しにくいけれども、やらなければいけないというのが、ただいまの御議論の焦点であるのでありますが、こういうような貝類あるいはのりというようなものに対して、種苗保護法案というような一つの法律を、ただいま冨永委員から全國一律の法というお言葉がありましたが、私もまことに賛成でありまして、一つの種苗保護法というような法律をつくつて、國が保護育成して、繁殖保護をはかると同時に半面においてこれを合理的に採取して行くというようなことにして行きたいことを考えております。これについて政府はいかなるお考えをお持ちになつておられるか。その所信をお伺いいたしたいのであります。
#11
○飯山政府委員 ただいま千賀委員、冨永委員、小高委員の方々の御意見は、禁漁区域設定の問題と、養殖に関する全國を通じた單一法の制定の見解いかん、この二点に帰するように思います。
 第一の禁漁区域を設けるということは、水産界における多年の懸案でありまして、しらすのごときは地方によつては区域が設定されておる場所もあると思いますが、ただこの問題は、これらに從事しておるところのその区域の漁業者をどうするか、漁民をどうするかという問題が、一番これは難関なのであります。場合によれば、社会問題を惹起するというようなことになりますので、この対策がはつきりしなければ、禁漁区域を設けるということはきわめて困難であります。從つてこの対策を政府として確立するためには、やはりそこに財源を必要とする、こういう結論になると思います。この財源は相当のものを用意しなければ、全漁区にわたつて、そのような禁漁区域をつくるということは非常に困難じやないかと思います。しかし先ほどからお話がありまするように、ことに占領下における現在といたしましては、ことごとく資源論におおわれておるのであります。何をもつてしても、資源の問題に触れない限りは、我々の要望は通らないというような実情であります。実は昨日もそういう問題で以西底引の問題が出たのでありますが、これに対して減船というようなことはやめて、漁獲の制限をしたらどうかということまで実は言われているのであります。かようなわけで、どうしてもこの際政府といたしましても、この資源の擁護及び漁獲量を上げて行く対策を立てなければならぬ事態に追い込まれておりますので、御承知のように、皆様のお力によつて調査研究部が水産廳の一部門として置かれたのも、けだしそこから出発しているわけであります。これらの区域を設けることについては、もちろん概括的には明らかでありますが、しかしいよいよこれを設けるということになれば、相当科学的の研究基礎を持たなければならないようにも考えるのであります。從つて調査研究部において、皆さんの御意思を体して十分に調査研究を加え、また一面においては財政関係もこれと並行して考えて善処いたしたい、かように考えているのであります。
 それから法律制定の問題でありますが、今具体的にこういう法案をというような用意はありませんが、しかし國会における御要望等にかんがえまして、私どもとしましても、その必要性は十分に感ずるのであります。その要望にこたえるように今後対処して行きたいと思います。
#12
○冨永委員 大体了承いたしました。ただ禁漁区の問題は、確かに長官の言われる通りだと思います。從つて今長官が言われた社会問題と、いま一つは禁漁区に決定したその箇所が必ずにしんの地域かどうかという問題も伴うことでありますから、これはずいぶん無理が伴うと思います。しかし御承知の通りにしん漁期に際会しますと、ほつけと漁期を同じゆういたしますために、どうしても同じ地域の漁業者はにしん漁業に重点を置くことはきわめて当然な結果になるのであります。しかしこのにしんの稚魚を保育し、害魚であるほつけ漁業を奨励することは、いわゆるにしんの人口孵化以外に、天然産卵せしめる保護政策として当然考えなければならないのでありますが、同じ地域におきましては、やはりほつけ漁業を顧みないような傾向が非常に強いのであります。これに対しては、水産廳当局はどういう御意思を持つておられるか。今まで全然そういうことをお考えになつておらないのか。もしお考えになつているとするならば、何かお漏らし願えればけつこうだと存じます
#13
○飯山政府委員 ほつけとにしんの関係につきましては、御説の通り、産卵の保護をするよりもほつけをとれ、これがにしん漁業の保護だという定説になつておるのであります。しかし今ほつけ漁業についてだけ特別当局として処置は考えておりません。しかしほつけ漁業が食糧の増産の上にも大きな使命を持つておるという点から考えまして、また一面いわゆる一石二鳥というようにも考えられますので、ほつけ漁業については実は北海道には問題があるのでありますが、われわれはこれは暫定的であますけれども、内地のあぐり網も、ある時期はほつけの漁業に從事することが適当ではないかというようなことも考えておるのであります。これは漁場にいろいろ関係がありますので、簡単には解決が困難かと思いますが、ほつけ漁業についてはさように考慮しておるということを申し上げておきます。
#14
○夏堀委員 日高政府委員に伺います。文部省の水産教育に対する今後の方針はどうなつておるか。なお二十四年度の支出は一体どういうことをやられるのか、これに対する予算関係、それから水産研究会というものをつくられていますが、これは一体どういうことをやつておるか、そうして今後この水産研究会をどう持つて行こうとするのであるか、これに対する予算関係、今後の方針をお尋ねいたします。
#15
○玉置委員 私も水産教育についてお伺いいたしたいのです。ただいままで各委員からの御意見がございました水産、養殖あるいは禁漁その他の問題も、ことごとく水産科学という面から発した一部門において解決される問題じやないか。かような見解を私はとつておけます。にしんの禁漁区設定というようなことは、北海道においてすでに実施もされております。しかしながらこのにしんの回遊状況等からながめまして、はたして濫獲によつてにしんがだんだん來なくなつたものであるか、あるいは海流変化によつて來なくなつたものであるかということは、いろいろ学説あるいは專門家等によつて論議を闘わされて今日に至つておけます。從つてこういうような問題を解決するのにも、この水産科学というものが非常に大事ではないか。しかるにわが國の水産教育という面は非常に軽視をされておる。ことに重要であると思うことは、敗戰後非常に漁区が制限されまして、この限られた魚田において今日なお原始的な漁業をやつておるという状態でありますから、もう少し水産科学のメスを振つて、そうして漁田を開拡するためには、どうしても学校教育機関の増設が必要であると思うのです。礎つて全國を各ブロック別にわけまして、水産單科大学の設置が喫緊の要事ではないか。かように思いまして、私十数年來実は北海道におりまして、北海道の水産單科大学設置を要望して來た一人であります。かかる見地から、私文部省に対して、將來この水産單科大学を日本に増設する意思があるかないか。それから予算関係におきましては、ただいま夏堀委員からの御質問でありましたので、これも承りたい。かように考えるわけであります。
#16
○日高政府委員 私は水産のことについてはまつたくのしろうとでありまして、專門の方の前でお話申し上げるのは氣がひけるのでありますが、ただ私は常識的に考えて、七千八百万人の日本人が四つの島に閉じ込められて、ここで生活をする。しかもけんかをしなで仲よくやつ行くことは、非常にむずかしいことの一つであると考えております。一面においては日本人が世界のどこへ行つても信頼を得、また尊敬され、愛されるような世界的な日本人をつくつて、將來海外に大手を振つて出られるような日本人を養成しなければならないと考えますのと同時に、私のまつたくしろうとの考えでおりますけれども、日本は海國でありますから、海を根本的に研究して、開発することが、日本が自立して行くために最も必要な方針ではないかと考えて参つたわけであります。終戰後日本の学校の轉換につきましては、各地から、たとえば農業專門学校を建てるというような要望もおりました。その中には非常に学校というものを簡單に考えまして、場所と建物があれば学校ができるようにお考えになる方もあつて、兵営のかわりに学校にするという、比較的簡單なお考えの方もあつたようであります。私としては、それも確かに一つの道ではあると思うのでありますけれども、同時に日本の海の開発ということを考えなければならないと考えて参つたのであります。ところが水産の教育については十分な考慮が拂われていたとは私には考えられませんので、できるだけ水産の教育については、文部省としても力を入れるように、敗戰後のことでありますから、理想的なことは何一つできないのでありますけれども、せめて水産の方面については、できるだけの便宜と考慮を與えて行きたいと、同僚たちと考えて來たわけであります。しろうとでわかりませんけれども、從來の水産教育は非常に技術的であつて、たとえば漁獲ということに大きな力を入れ、あるいは遠洋漁業にしても、そういう捕獲をするという技術的な面が非常に重要視されまして、今專門の皆さんから伺つたような意味においての保護とか、あるいは増殖とか、そういう面において十分考慮が拂われておらなかつたのではないかというのが、私のしろうとながらの推測であります。こういう点から、水産の教育については、私は海に対する十分科学的な研究をできるだけ奨励する。その研究もただ興味に從つて研究するのではなくて、研究した結果が同時に技術的な日本の水産業に貢献するような方向に向つてもらいたいということを念願しておつたわけであります。こういう点で実は私は思い出すのでありますけれども、純粋な、たとえば動物学的の研究というものが漁業に役立つたこともあるのではないか。これは私はまだ高等学校の生徒のときでありますけれども、たしか大正三年に琵琶湖にいるあゆと、岐阜の長良川にいるあゆは種類が違うのか、あるいは環境が違うので、種類は同じあるかということで学界で論争があつたときに、石川千代松博士が琵琶湖から多摩川までセメント樽に琵琶湖のあゆを入れて、それを殺さずにもつて來るということで、私の実兄にその設計なんかを相談されまして、それは酸素を下からぶつぶつ上げまして、死なずに澁谷の駅に届いたあゆを私は見に行つたことがあります。これは石川さんのお考えでは、ただ種類が違うか違わないかということの学問的の実験の例にすぎないと思うのでありますが、それが今お話にも出ましたように琵琶湖のあゆが各地の河川に放たれて、増殖のために役に立つ。こういうようなことを一例ではありますけれども思い浮かべますと、私は直接の利益を目標に考えない学問の研究が、かえつて非常に大きな産業の開発にもなることがあるのではないか。こういう考え方から終戰後も、私が文部省に行きましから、水産方面の研究には特別な考慮を拂つてもらうように、文部省の中でも同僚たちと骨折つて来たわけであります。どういう方針でやつておるかというお尋ねでございましたが、これは專門のものでございませんので、りつぱな方針があるわけではございませんけれども、おもに考えましたのは、まず第一に舞鶴のもと軍港であつた所に日本海方面の魚族が非常に集まつておるということを聞きまして、京都の大学の農学部の方で、そこにぜひとも水産の研究所もしくは研究科を置きたいという御要望がありましたので、それは非常にいい考えだと思いまして、そのために農学部に水産学科を設けることにいたしたわけであります。それから鹿児島の水産專門学校を、今度の大学においては水産学部としてこれを立てるように考えまして、それを助長するようにはからつております。それから函館の水産專門学校は、從來の主として技術的な研究に学問的の裏づけを與えたいというようなわれわれの希望といたしまして、北海道の大学の水産学部というような形であれをできるだけ発展させて行きたいと考えております。それから水産廰の方でお骨折りになつて、長い間農林省のお世話になつて來ておりました水産講習所は、名前は講習所でありますけれどもれつきとした專門学校でありますので、これも最近の機会に大学になるように御計画がありましたので、できるだけこれを助長するようにいたしておる次第であります。それから長崎の大学に水産学部を置くように努めまして、これもできるだけ助長して行くように努めております。廣島には今度できます廣島の大学の一部分に水畜産学部を設けまして、そこで瀬戸内海の漁業についての研究並びに増殖や、漁撈等についての研究をしていただくようにとりはからつておるわけであります。終戰後下関にできました第二水産講習所というようなものにも、文部省としてはできるだけ御援助をいたしたいと思つておるのですが、これは不幸にして大学設置委員会の審査においては合格いたしませんでしたけれども、しかしこういう方面でもまた力を入れて行つていただくように期待をいたしておけますそのほか終戰後これは委員長としておいでになる石原さんが最近にごめんどうを見てくださいました三重縣の私立の水産学校も、私は内々大いに期待をもつて應援をいたしたのでありますが、不幸にして学校の経営は非常にまずいことになりまして、石原委員長の特別な御援助を得なければ学校が行き立たないようなことになつておりますけれども、これも私は皆さんの御援助によつて行くのではないか。私はしろうとでありまして、どこにりつぱな漁場があるか、どういうところにどういう特徴があるかわかりませんので、こういうことについては水産廳の方々の御意見も伺つたこともありますし、水産方面の学者の御意見を伺つたこともあるのですが、こういうふうにして乏しいながらも水産の教育に対しては、できるだけ力を注いで行きたいという意図をもつておるのでございます。こういう点で、現在の日本では御承知のように新しい大学として出発いたしますのにつきましては、いわゆる九原則の制限によりまして、現内閣では新しい事業は始められないというような方針に縛られておるのですが、その制限の中を融通して、できる限りにおいては、水産の教育について特別な考慮を拂いたいと考えております。予算のお話もございましたが、予算につきましては、御承知のように日本の教育にとつては「いわば背骨とも申すべき六・三制の予算すらも滞つておるようなわけでありますから、大学程度の教育に十分な予算をとることは、今のところ遺憾ながら不可能な状態でございますけれども、幸いにして直轄学校の定員の整理はいたさないで済むようになつておりますので、その定員の中でできる限りの操作をいたしまして、乏しい予算の中でも水産の方面については決して無関心であるわけでございませんので、その辺御了承いただきたいと思います飯山政府委員 先ほど夏堀委員の水産研究会についての御質問にお答えいたします。水産研究会は、民間の篤志家とそれから役所の方との協力で実は出発したもので、すでに三年の間相当研究の効果を收めておるのでありますが、その後の経過を見ますると、これは全図的不漁の結果とも思いまするが、民間からの研究費の提供が、最初の第一年には二百五十万円、第二年目には百万円というふうなことになつて参りまして、実はその提供が少くなつて参つたのであります。しかしながら研究会そのものの使命はきわめて重大なるものがありまするので、実は二十四年度の水産廳の予算の中にも、約千二百万円補助費として計画しておるのであります。しかしこの補助費は研究費が主体でありまして、実は人件費は大蔵当局の査定において削られておるようなわけで、私どもといたしましては、研究会当事者の御努力によつて、できるだけ民間からの御寄付というか拠出金と申しますか、それを多額に集めていただいて、ますますその機能の発揮ができるように期待しておるのであります。研究の内容その他についてはここに資料を持参しておりませんが、現在までの研究の結果から見ますると、アメリカ式のきんちやく網漁業、これは研究会のもたらした顕著な功績だと私は考えております。その他輸送上の漁獲物の鮮度の問題、これもたとえば海水冷却によつて漁獲当時の鮮度を落さないというような研究もいたされておる。これもりつぱな研究の効果と考えておるのであります。あるいは加工方面におきましても、魚粉ぺーストの製造、あるいは最近では魚油の悪臭を絶つたところの食用油ができる、こういうようにあげますれば相当数があると思うのでありますが、とにかく將來とも水産廳といたしましては、できるだけの努力をもつてその財源もつくるようにして行きたい。但しこの際実は夏堀委員にも特にお願いがしたいのでありますが、民間方面の拠出につきましては、あまり役所から強制的にするような疑いを受けましても、はなはだ遺憾に存じますので、ひとつこの点は有力なる夏堀委員初め、皆さんの御配慮をいただいて民間拠出の資金が相当豊富に相なるように、あわせてお願いしたいと思います。
#17
○夏堀委員 ただいま日高政府委員よりの御答弁伺いましたが、水産教育重要性、それはその通りでありまするが、私ども大きく見た場合に、日本の水産は今後人口の過剰、こうした問題の解決策としていわゆる移民政策としての第一歩を踏み出す場合に、漁業は非常に大きな役割を演ずるのではないかと思います。そこに水産教育というものが附帯する。どこの國へ行つても笑われないような人を送るべきである。いわゆる技術を送るべきである。そうしたことが発展いたしますとどこの國へ行つても、非常にいい製品、いい技術によつて、また日本との関連性においても大きな役割を演ずるのであつて、移民政策としても大きな役割を演ずることになるのではないだろうか。農業の移民政策ということは、これは輸送の面においても非常に経費がかかり、かつまた土地を選定しなければなりません。だからどつちかというと、私は漁業方面から第一歩を踏み出すことが非常にいいのではないか、こう考えております。そうした理由からも、水産教育によつて、漁業技術を植えつける。これは日本の産業との関運性において重要性を認めざるを得ないと思つております。ただ水産教育といつたところで、大学が方々にできるのだというが、一体その大学に教授としてすわる人があるか。私聞くところによると、その人がないのだということを聞いておるのであります。もしそうであれば、その教授を教育する機関がまず必要になるのではないか、このようなことも考えるわけであります。こうしたことは政府においてもお考えになつておるかどうか。なお農林省関係の講習所、これは大学に昇格するということになつているが、その所管は農林省に、そのままであるか、あるいは文部省の方へ、移るかということでございます。この点もお伺いしたい。それから水産研究会のことでありますが、水産研究会は今長官のおつしやつたように、民間からの出寄付、このことについて私は第九十議会で提唱いたしました。当時八百万円だと存じております。四百万円は民間から、政府が四百万円ということに決定したと記憶しております。なるほど民間の方の出資ははなはだ運び方がまずい。なお現在において、その当時よりも非常に苦境になつた漁業團体あるいは諸会社、これは当時でさえなかなか容易ではないのであつて、現在においてはなお容易ではない。しからば民間からの出資はできないから、今改組中の團体からと言つたところで、これはやはりできないことはできないのであつて、それよりもむしろ方針として、今捕鯨事業で全盛をきわめておるいろいろな会社もあるでありましようから、そうした方面からの援助を受けるということもお考えになつていいだろうと存じております。なお水産研究会のこれまでのあり方は、なるほどさんちやく網とかいろいろな面もあるでありましようけれども、それは水産研究会の研究によつてということよりも、むしろアメリカの方からその技術を輸入したということであるので、人まねをすることは研究の資料としてはどうかと思います。私はほんとうに、日本人は日本人の頭から生みした研究ということまで持つて行かなければならないのであつて、そうするには、若い人方、特に研究心の強い若い人方を集めて、十分な研究の機会を與えることがいいのではないかと考えますが、今の研究会の人事を見ますと、とうていそういう面は見ることはできない。いわゆるお役人の方々の前で、役人の悪口を言うことはどうかと思いますけれども、役所上りの方々がアメリカの水産研究会のようなあり方をまねてやろうとしたところで、これはアメリカは若い人方が、非常な勢いをもつて熱心に研究してやつておるので、日本のように老人が何かしらその日暮しにそのいすにすわつていては、こうした大きな目的を達成する器としては、非常に不適任だと考えております。そうした意味から今後の水産研究会は非常に大きな役割を演じなければならないので、今後の事業面においては、やはり事業は人が行うことであるから、人事の問題は、相当水産廳においてもお考えになつてしかるべきであると存じます。合せて予算の面も、改組の途上にある團体に呼びかけたつて、できないことはできないのですから、少し大きい方に呼びかけて、たんまりと予算を持つて、十分に活動あることを私は希望として申し上げておきます。
#18
○小松委員 戰後水産業の振興が重要な國策として推進されておることは、申すまでもなく食糧問題解決の一つとして、海中より多くのかてを求めんとする意図にほかならぬと存じます。從いまして食糧増産のために陸地を開墾すると同様に、海原を平和的に延長して、沿岸を耕地化し、大海を田畑としてゆたかな水産の天恵を享受して、同胞の腹を満たすということを考えねばならぬと思います。しかしながら太洋の資源は無盡臓ではないのであります。よつてこれを保護することは当然のことだと存じます。ただいまも禁漁区を設けるというようなお話もございまして、しごく私はこれに同感の意を表するものであります。行政の面において禁漁区を設けて、その手続をもつて海区を交代せしめるということは、最も魚族を保護し、魚族の繁殖をはかる一つの方法とも任じます。この点はぜひとも適当なる処置をとつていただきたいと思うのであります。現に戰爭中に数年休漁しておつたために、非常に魚がふえたという実例があります。しかしながら今日のごとく濫獲主義に走つでおります場合には、二、三年にして魚が滅びるということを私は憂うる一人であります。この資源の枯渇、消耗を私は憂うるのであります。よつて水産廳においても、今までは水産の振興をはかるために、多く行政面にのみ力が入つておつたように考えられますが、行政の面に力を入れるとともに、いま少し水産を振興させるためには、科学的の方面に今後力を入れていただかなければならぬ。それには水産に科学性を持つた研究を進めてもらう。そうして科学的な計画生産的な水産の同上をはからねばならぬと思うのであります。これがためには海、魚あるいは漁、こういう方面を科学的に研究するために、今日水産試験事場もあります。いろいろありましようが、そうい方面を現在のごとき冬眠状態に置かずして、活発にこれを活動させるような刺戟を與えて、この試驗験事場を十分に充実して、科学的な方面に試験場の活動を促したいと私は思うのであります。ゆえに試験場をより以上充美せしむるところのお考えがあるかどか、そういう点をお尋ねしたいと思うのであります……。
    〔委員長退席、玉置委員長代理着席〕
 それと同時に、水産教育の問題でありますが、日本は世界における水産國と言われております。世界において日本及びノルウエーが水産の代表國と言われておる。しかるに先ほど來お話のあつたことく、水産に対する教育方面の指導がきわめて乏しいと思うのであります。ゆえに小学校教科書から始めて、水産教育に対していま少しく文部省が力を入れるように、教科書の編纂等にあたつてもお考えを願いたいということを、私は希望を述べておきます。同時に文部省あるいは水産廳において、水産教育を普及する意味において、國立でもよろしい、適当な水族館を兼ねたところの水産試驗場というようなものを、設ける御意思があるかいなやということを、重ねてお伺いしておきたい。
#19
○飯山政府委員 ただいまの小松委員の質問は、水産試驗場を拡充する考えはないか、かように申されたのであります。先ほど來科学に立脚した研究によつて、水産を將來発展させなければならぬということは、各位の御意向でもあり、また水産廳といたしましても、先ほどお答えしましたように、そういう考え方でおるのであります。そういう考え方に基きまして、調査研究部の設置と同時に、従来中央水産試驗場というものが東京にあり、その分場が全國の各地に八箇所あるのでありますが、これをいろいろ批判もありましたので、二年にわたつてこの試驗機関をいかにすればいいかという、関係方面のサゼスチョンもあつたのでありますが、機構改革委員というものを設けて、二年にわたつて研究されて、そう結論に基いて本廳おいては調査併究部、それから從來の中央試驗場制度を廃して、これを調査研究部で全國の各研究所を連絡して行く。東京の中央試驗場はこれを東海区の研究所、こういうことに改めた。北海道の水産試驗場、これを北海道海区研究所、それから東北海区の研究所を塩釜に――まだこの塩釜の方は大体予定でありますけれども、塩釜に設ける。それから西海区の方は長崎に研究所を設ける。それから瀬戸内海の区が廣島、それから日本海区が七尾、こういうふうに予定をしておるのでありますが、本年度において実施できるのは、東海区、北海海一区と、東北海区もできるたろうと思います。これは目下宮城縣において敷地あるいは建物というようなものについて、いろ、御心配を願つております。それから長崎は設けられる、瀬戸内海の廣島も設けられる。この五箇所が本年度内において設けられる。その他の三箇所は來年度においてこれをやる。そうして從來の試驗場のあり方を一新いたしまして、ほんとうに科学を基礎にしたところの研究を加えて行く。それから各縣にありまするのはまだはつきりいたしておりませんが、従来の試驗場というものが、各縣区々で特別会計というようなことになつておりまする関係上、十分な研究試驗ができないのであります。むしろ予算をとるというようなために漁業をやるというような、いわゆる一般業者と競走するというような立場に置かれるものもあるのでありますこういうことではとうていその目的を達することができませんので、これらは指導所というような形でかえて行きたい、こういうふうになつております。この研究機関につきましては、特に関係方面におきましても重大な関心を持つて、農業、山林、水産というものに対して一定の方針を持つておられますので、大体その機構はその方針に基いたような内容になつておるのであります。今ただちにこれが御要望に沿えるような結果を得られるかどうかは疑問でありますけれども、近い將來においては科学に立脚したところの調査研究によつて、水産業の基本的な確立ができるだろう、こういうことを私は期待しておるわけであります。
 それから研究と合せて國立水族館の設置についての考えはどうかというお尋ねでありますが、これはまことに着想といたしましてはけつこうなとであります。これは私どもも世界の水産を誇る以上は、やはり世界に誇る水族館を持ちたい、かような考えは持つておるのありますが、しかし研究所まで附属させるというようなことになれば、少額な予算ではできかねるのではないか。聞くところによると、二十億というものがなければできぬ、少くも一、二億いるだろう、こういうふうな專門家のお話を伺つておりますので、ただちに國家が研究所附属の完備した水族館をつくるということは、できるならばしたいという行えは持つておりますけれども、ただちにこれを実現する、具体的にいつ実現するかというようなことについては、はつきり申し上げかねると思いますから御了承を願いたいと思います
#20
○鈴木(善)委員 私は質問をきわめて簡明にいたしまして、相当廣汎に質疑をいたしたいと思います。
 まず第一点は、水産教育の今後の運営につきまして、水産教育が産業教育であるという要素が非常に強いのでありますが、その面におきまして、今後文部省と水産廳とが、いかなる緊密な連繋を保ちながら水産教育の適正化をはかつて行くか、これについていかなる御措置をとつておられるかということが第一点であります。
 第二点は、文部省が今後水産教育に力を入れて行かれるという日高さんからの御説明がありましたが、特に希望いたしたいのは、從來の文部省の水産に関する教育の方向が、学究的な面が非常に強く尊重されておりましたけれども、実務的、実際的な、ただちに産業の第一線に立つて指導するに足る人材を養成する点におきましては、何らかもの足りない点があつたように思うのであります。この点を補いますために、どうしても実習場あるいは試驗船、練習船その他の実驗機関の施設が必要と思うのでありますが、単なる机の上の学問の研究だけでなく、実際の教育、実習を通じて、業界の眞の指導者になり得るような養成の設備が欠けておるように思うのでありますが、これに対しまして今後文部省はいかなる対策をお持ちになつおるかどうかという点であります。
 第三点は、先ほど夏堀委員からの御質問に対して、まだ答弁がなかつたように思うのでありますが、水産講習所の帰属問題につきまして、文部省並びに水産廳の間に明確な話合いがついておられるかどうかという点であります。
 それから第四点は、漁船の技術員の養成ということがきわめて重要であります。今日百万トンに近い漁船が操業いたしておるわけでありますが、これを効率的に、しかも安全に運営いたしますためには、どういたしましても漁船船員の養成が肝要と考えるのであります。この点につきまして、政府は從來から若干の補助をやつているようでありますが、今後五トン以上の船には、全部簡易免状を持つたところの資格者を、乗船させなければならないというようなことに相なりますと、船員の養成は非常に厖大なものが必要であるのであります。これに対して当局は万全の措置を講じておられるかどうか、それに対して、民間の團体等に船員の養成、講習等を委嘱されるとするならば、これに対する十分なる補助の御用意があるかどうかという点であります。
 第五点は、漁船船員の資格試驗制度の問題であります。これは現在海上保安廳がやつておるようでありますが、單なる船を安全に運航するという見地からのみでなくて、漁業を効率的にやつて参るという見地からも、どうしても水産廳がこれに強くタッチして行く必要があると考えるのであります。しかも資格試驗の日取り等のきめ方を考えますと、海上保安廳の旅費予算の関係と思うのでありますが、きわめて官廳の御都合主義によつてその日程をきめておる。御承知のように、漁村におきましては、漁閑期等でなければその資格を受けるために船員が集まらないのであります。だから官廳の便宜のためでなく、むしろ多くの者に資格試驗を受けさせるという観点に立つならば、漁村の要望するところの時期におきまして、漁閑期等を選んで、できるだけ多く各地におきまして、資格試驗が受けられますように配慮することが必要と考えるのであります。この点海上保安廳が漁業の実体を知らざるがために、きわめて不親切であり、官廳の御都合主義によつて日程がきめられておるのはきわめて遺憾であります。
    〔玉置委員長代理退席委員長着席〕
#21
○鈴木(善)委員 この点を十分連絡をとりまして、適正な方法を講じてもらいたい。要すれば水産廳においてこの漁船船員の資格試驗はやるべきであると私どもは強く要望するのでありますが、これに対する水産廳長官の所見はどうでありますか。
 次に第六点ありますが、先ほどの長官の御説明によりますと、東北海区に対しまして、試驗場を設置されると言う、たいへんけつこうなことであります。東北海区とはどこからどこまでを東北海区とお考えになつておるのであるか。しかも塩釜に設置の予定であるそうでありますが、どういう條件におきまして塩釜に設置されることにおきめになつたか、この点もお聞きしたいと思うのであります。
 それから次に地方の水窪試驗場の今後の運営についての指導の問題であります。今日までの地方の水産試驗場は、きわめて微々たる試驗調査費をもつてやつておりますので、ろくな調査も研究もできない、ほとんど漁村並びに漁業関係の会社等がすでに試驗済みの問題を取上げまして、お茶を濁しておるというようなのが現実であります。このようなことではむしろ有害無益でありまして、これをいかに活用するかといことが非常に大事な問題と思うのであります。今後海区別に設けられるところの國の試驗場と、各府縣に現存しておりますところのこれらの試驗機関とをいかに有機的に結び、それを業界の実情に即しまして、活発なる、有効なる運用をして参りますためには、政府はいかなる施策を持つておられるか、この点も伺いたいと思うのであります。
 次に水産の資源と漁業施設の関係であります。終戰後漁船の建造、改修等が予定通り進行いたしておるのでありますが、今日資源の関係は、漁場が制約を受けておる。このわが國に與えられたところの水産資源の有効な開発、しかも継続的な資源を培養しつつ漁業を安定維持発展せしめて参りますためには、この漁業施設と資源との関連性というものが、きわめて重大と考えるのであります。この点を当局はどういうぐあいに現在見ておるのであるか、將來どういうぐあいにこの資源と漁業施設の調和をはかつて行こうとするのであるか、この点も御方針を承りたい。
 次に水産の各種の資源の分布状態と、許可漁業の操業区域の調整の問題であります。今日許可漁業は國の許可漁業あり、あるいは各都道府縣の許可漁業もあるわけであります。特に縣の許可漁業の操業海区の問題で、隣接せるところの府縣との間に、漁場の紛争摩擦が絶えない。しかも今日は漁業の経営が苦しくなつて参つておりますために、どうしてもこれが調整を必要とするわけであります。今後資源の分布と許可漁業の操業海区の調整の問題に、いかにして当局は対処される御方針であるか、この問題もお伺いいたしたいのであります。
 次に新漁場の開拓の問題でありますが、新漁場の開拓は、現在漁場が制約を受けております今日としては、きわめて大切な問題であります。深海の漁場の開拓の問題等、これに対していかなる対策をお持ちになつておるかどうかという点であります。
 次に繁殖保護の政策であります。これは消極的な面と積極的な面と両面あると考えるのでありますが、消極的な対策の面で特に重大な点は、漁業取締り制度の確立の問題であろうと考えるのであります。政府は漁業法の一部を改正されまして、漁業権制度の民主化と、漁業生産力の発展とを考えておりますが、これはわが國の全漁業の生産高から見まするならば、約四十パーセント程度を支配する漁業権であると思います。ところがわが國の漁業の六割程度を占めておるところの漁業は、大部分が許可漁業である。この許可漁業に対するところの許可制度の民主化の問題、あるいは漁業生産力を維持発展せしむるための対策というものが考えられなければ、片手落ちに相なるわけであります。水産廳は漁業法の改正との関連において、漁業取締制度をいかに改革なさる御方針であるかどうか。これははつきりした一つの方策を確立すべきであると考えるのでありますが、單行法等を出すお考えであるか。あるいは漁業法改正法律案の中にこの点を取上げられる御方針であるかどうか、この点を明確にされたいのであります
 次に繁殖保護の積極的な面であります。具体的に申しますと、鮭鱒の孵化事業等は、國営によつて今後積極的におやりになるという方針をお聞きしたことがあるのでありますが、昭和二十四年度は北海道の河川においてこれを実施されよ、なお今後内水におきましても、鮭鱒孵化業の国営問題等について引続いておやりになる御方針を持つておられるかどうかという点であります。なお内水面のあゆとかこいとかいうものの、稚魚の養成を國営事業としておやりになつて、適正な餌料の配付をおやりになる御方針があるかどうか。以上大分多方面にわたりますが、明確なる御答弁をお願いいたします。
#22
○林(好)委員 孵化事業の問題でちよつと付随しておりますから……。ただいま鮭鱒の孵化事業の問題で御質問がございましたわけでありますが、御承知のように北千島あるいは南千島の漁場を喪失いたしまして、鮭鱒の大生産地はなくなつたわけであります。それで北御通の鮭鱒の孵化事業というものは、御承知のように芦別は七十年前に建設されております。先般私もその現地に参りまして、芦別の孵化場を見て参りました。まことに復旧しておるわけであります。さらに北海道の鮭鱒の孵化事業というものは、ある程度官営でございましたけれども、まずもつて民営から通常に移し、さらに國営に移つておるわけであります。しかしながら最近國営に移りましてからの状態を見てみますると、新設及びこの復旧の工事がさらにできておらないわけであります。むしろ民間で経営をいたしておりました時代よりも非常に内容が悪くなつておるように私は考えておるのであります。從いまして最近北海道では、もとの民営へもどした方がいいのではなかろうかというような、非常に強い御意見もあるわけであります。従いまして今後これらの仕事に対しまして、積極的に水産廳としてやつて行く御意思があるかどうかということと、また湖沼関係の大水面の孵化におきましても、これも國営に移譲して、積極的にやつていただきたいと私どもは考えております。もう一つ鮭鱒の孵化事業に関連して、昨年は鮭鱒の塩魚は一應統制のわくがはずれたわけでありますが、鮮魚は統制をいたしておるわけであります。從いまして鮮魚の價格と塩魚の價格とは非常に價格差があるわけであります。すなわち鮮魚を塩魚にいたしましたときは、四倍にも五倍にもなるわけでありまして、あの鮮魚の統制をはずされるならば、國家の收入も非常に増大すると私は考えるものであります。收入はうんと増大するものは増大させて支出面は大いに積極的に出していただきたい。かように考えるのでありまして、あわせてこの問題につきまして、お答えをいただきたいと存じます。
#23
○飯山政府委員 ただいまの鈴木委員の御質問は非常にたくさんで、十一かになつておるように感じますので、あるいは頭の悪い私には落ちる場合があるかもしれませんから、どうか御注意を願いたいと思います
 まず第一に水産講習所の問題でありますが、これが文部省との緊密な連絡の点においてどうなつておるか、具体的に示せという質問と考えました。実は水産講習所は長い間の歴史関係もあり、また技術を主としておるといような関係から、できるならば從來のように農林省所管としてこれを水産大学に昇格してほしいということが農林省の意見であつたのであります。この点につきましては文部省にもいろいろ折衝を加えまして、御同意を求めたのでありますが、大学設置法の精神から見てこれは非常に困難だというようなことで、長い間大分もんだのでありまするが、結論において共管で行こう、つまり教養方面についてはこれは大学に一定の條件がありますので文部省が管理する。それから技術関係の方は特殊訓練、そういうような面は農林省ということで話合つていたのであります。ところがその後行政管理廳と申しまするか、そこの意見がありまして、水産講習所の現在の生徒が卒業するためには、將來さらになお四年を要するのであります。本年は一年生はなくなりますが 四年半になりますので、三年半残るわけであります。この水産講習所の生徒のある間は、大学の方を農林省の所官として專管でやつたらどうか、こういう行政管理廳の意見が出た。最初の両省の一致したところの共管案は、そういう関係で水産講習所の生徒として入つた者が卒業する今後三年半約四年の間は大学、講習所とも專管とする、こういうことできまりましたので、これは文部省においても同意を得まして、文部省から関係方面にその案を出したのであります。ところが、関係筋ではその案を認めないのであります。農林省の專管の期間を一年にせよという相当強い話だつた。それに対しては文部省も御協力いただいて、原案に同意していただくように相当の努力をし要請したのでありますが、どうしてもその要望はいれられなかつた。現在といたしましては、その一年の專管で、昭和二十五年度からは文部省の所管ということに大体の意向はなつております。水産廳といたしましては、水産講習所の生徒が卒業する。つまり残す約四年の間は同じ施設、――先生はかわりますけれども、そういうふうなところで大学と両方が別々になるということでは困る。それで文部省の方に対しましは、関係筋の一年案はやむを得ないから、せつかく共管あるいは專管というようなことで御了解を得ましたので、國内的に両省において協力するような形をまもつて行けないだろうか、こういうことを実はただいま文部省の方に御相談をいたしている次第であります。おそらく最後決定として申し上げてもさしつかえないのかもしれませんが、そういう事情になつております。その点だけ申し上げます
#24
○日高政府委員 文部省の関係部門を申し上げますが、御承知のように新制大学なりますのには、学校教育法の六十條によつて設置されました大学設置委員会の審査を受けることになつております。そしてその大学設置委員会の審査は、國立の学校も公立、私立のものも一様に受けることになつておりまして、そうして新制大学の一つの特徴は、從來の專門学校やあるいは大学のように、一つの專門を深くうんと貫くというようなものでなくして、どの大学においても人間的な一般的な教養を基礎に持つて、学問や研究の將來の素地を養うために基礎的の学問をやる、たとえば理科的の方面ですと、数学とか、物理学とか、あるいは化学とかいうものを、どの学校でも十分にやる、こういうところに新制大学の特徴があるのでございます。こういう面から、私としては水産講習所が從來の專門学校の規定でとどまつておやりになることも、一つの案ではないかというふうに考えておつたのでありますが、農林省の方では、これはぜひ新制の大学にしたいというようなお話で、前々からお打合せがあつたわけであります。私はそこに多少の不安を感じまして、ある時期まで少しお見合せになつたらいいのではないかということを個人的には申し上げたこともあるのでありまするが、しかし農林省の方では、ほかの学校がやはり大学程度の学校になるのだから、水産だけをおいてけぼりにするということは非常に残念でもあるから、せひ大学の規格にあてはまるようないい大学にしたいという御希望がありまして、大学設置委員会に申請をお出しになつたわけであります。私どもとしては、国立の学校を文部省で担当いたしますか、あるいは農林省その他の省でもつて担当いたしますか、そのことについてはできるだけいわゆるなわ張り爭い的なことを避けたいと思いまして、今長官からのお話にも出ましたように、共管の制度を考えまして、学校教育の一般的な教養面と基礎学科の方面については、おもに文部省がおせわする、そして同時にその教官は農林少省の教官でもある。それから技術的の面は主として農林省の方で選択もなさるし、受け持つていただいて、それが同時に形式上は文部省の教官でもある、こういうような面で、形式的な、教育の基礎的な面においては文部省がおせわするし、実質的な技術的な施設その他の点においては、農林省でせわしていただくというような方式を考えまして、両方の官廳の間でその点では大分いろいろ意見の相違等もありましたが、話がまとまつたものですから、実は私どもそれで行けばけつこうだと思つて喜んでおつたのでありますが、先ほどもお話がありましたように、行政管理廳の方で、これはどうも責任の所在が明確でないから一本にしろ、こういうような行政管理廳としてはもつともな意見として批評があつたわけであります。それで初めはともかく政府の学校で、学校教育法による学校であるならば、文部省が統轄するのが当然であるといような、いわば法制的な形式的なお話があつたものでありますから、それに基きまして今お話のありましたように、昭和二十八年三月三十一日まではとりあえず農林大臣が文部大臣のする所管事項を所管されるということでもつて話をきめまして、今度の國立学校の設置法の中に載せて出す段取りまで至つたのでありますが、最後に了解を得に行きましたときに、今お話のあつたような修正を求められまして、一應二十五年の三月三十一日まで農林大臣が所管をされ、その後に文部大臣の所管に移すということにただいまのところなつておるのであります。これは長い歴史もありますし、特殊の事情もありますので、実際の運営について、できるだけの協力体制をとりたいというふうに考えております。その辺御了承をいただきたいと思います
#25
○鈴木(善)委員 たくさん申し上げたので、水産教育の面で御答弁が落ちておるように思うのであります。それは日高さんに重ねてお尋ねいたすのでありますが、文部省が水産教育を小学校から大学まで管理なさつて参ります場合に、産業教育でありますので、水産関係の面と十分緊密に連繋を保ち、水産の面から教育に対する教養を十分とり得て参りますために、水産廳と文部省との間に水産教育の運営について何か連絡機関でも設置なさる御意向があるかどうか、あるいは文部省内に水産教育審議会というようなものでも設置されまして、水産業界の指導者を委員に任命されて、十分水産の実態にマッチするような水産教育をおやりになる御意思があるかどうか、それが第一点。
 もう一つは、從來文部省でおやりになつて参つた水産教育の方針が、今新制大学の規格はこうだというお話もありましたが、学問的な、学究的な面におきましては非常に重点が置かれておりますが、世の中に出てただちに水産の第一線の指導者として働いていただくには、実務的な面が軽視されておる感があるのであります。今後水産教育機関に実習施設、実驗施設等を十分整備してやらなければならぬと思うのでありまするが、これに対する対策はどうであるかという二点が落ちておりますので、御伺いいたします。
#26
○日高政府委員 まず大学の方からお答え申し上げますが、先ほどもどなたかお話がありましたように、水産の大学、あるいは高等教育機関というものをつくつても、教師が不足ではないかというお話でありました。その点はまつた私どもも同感でありまして、そういう意味でも総合大学と十分結びつけてりつぱな教師が出るようにとりはからいたいというふうに考えております。
 それからお話のございましたように、從來の日本の学校というものが、生活とか産業というものから遊離して、学究的な方面にだけはしる傾向があつたということは、單に水産ばかりではございませんで、ほかの方面でもそういう欠陷が非常にありましたので、こういう方面ではいわばドイツ流の研究機関というものでなく、そのドイツ流の研究機関というものも私は尊重すべき長所があると思いますけれども、それを應用したり、生活と結びつけたりする点を閑却するということは、一つの大きな弱点だと思つておりますので、一方では理論的な学術的研究も奨励するのと同時に、應用や実際化ということを軽視しないようにいたさなければならないということを、強く考えております。そういう点では今の御指摘にありましたように、実際的な技術面を十分尊重して行かなければならないという方針をもつて、文部省の直轄学校については推進をして行きたいと思つております。それから今のお新の実際面においては、文部省の学校は何しろ非常にたくさんあるものですから、船とか港湾とかいう施設を使います点においては、農林省、あるいは特に水産廳等ができましたあかつきには、その方面で御配慮願つた方が、正直に申して日本全体のためにはいいと思つておるのであります。そういう意味で共管というようなことも考えたわけであります。しかし共管が法制上むずかしければ、実質的にはできるだけ密接な連絡をとりまして、むしろ文部省の足りないところを水産廳の方から御協力いただいて、たとえ形式上は文部省の所管になりましても、その弊害を伴わないように、できるだけ御援助いただきたいと考えておる次第であります。
 それから高等学校以下の水産教育ということにつきましては、多少從來の文部省と違いまして、文部省は大体の基準を示すだけでありまして、今後は各地方の教育委員会がその地方の実情に應じて指導できるようになつておりますので、北海道の漁業と九州の漁業とはおのずから違うでありましようし、ただ教科書的にものを教えるのではなく、環境、社会の実情に應じた教育ができるように、各地方の教育委員会にお骨折を願うほかいたし方がないのではないか。教科書等につきましても、現在のところは国定教科書も一つの基準としては編纂いたしておりますけれども、將來はいろいろの教科書ができるようにいたす方針でありますし、それは檢定制度でもつて、特色のあるものができるようになつておるかと思います。それから新制の高等学校におきましては、一般的な普通教育のほかに、必ず職業的な実践的な教育をするように建前がなつておりまして、その職業的な方面は各地方の教育委員会、あるいは学校、父兄等の要望によりまして、十分選択の余地が残されておりますので、今後は皆さんの御努力によつて、特色のある実行的な、力のある教育がなされ得るのではないかというふうに期待いたしております。
#27
○飯山政府委員 今の水産教育について補足して申し上げておいた方が了解が得られるのではないかと思つて申し上げます
 水産講習所の大学昇格の経緯は先ほど申し上げた通りであります。それについて國内的に何らかのそこに操作もして、従来の産業教育の実を失わないようにいたしたい。この点は共管ということを主張しのもその一点にあつたのでありまして、実は申合せが公式にはなつておりませんが、次官同士の覚書にしたい。水産廳の案でありますが、文部省の方に出したのであります。その中に國内的の体制をなんとか維持して行きたいというふうに考えております。同時に將來もし文部省の所管になつた場合でも、農林省としては何らか水産教育に関して予算を獲得する根拠を持ちたい。たとえば船をつくるとか、あるいは調査をするとか、そういう場合には教育に関して農林省が予算をとれるようにしたいということ、これは文部大臣もこれを承認しております。將來水産講習所というものが水産廳から消えた場合に、水産教育に関して予算をとる根拠がないのであります。そこを実はそういう方法を講じたいということもつけ加えて申し上げておきます。
 それでは教育に関しては大体終つたようでありますので、鈴木さんの言われる漁業技術者、船員養成所の問題、これは御承知の通り大日本水産会に漁業技術者船員の養成所があつて、そこにわずかない補助があつたというようなことであります。ただいままで二千余人の養成者が出ておるという程度であります。先ほどお話のように、五トン以上の漁船にみな資格者を乗せるということになれば、先ほども漁船の数が出ましたが、三十万トンの船がありますと、これを充たすということは非常に困難だと思うのであります。他の項目もそうであリますが、二十四年度の予算に計上しておる内容は、われわれの現在持つておる考え方なのであります。それによれば漁船船員に対しましても、本年の予算は大体、しつかりしたものではありませんが、百五十万円になつておるのではないかと思いますが、そういう程度の補助金しか計上しておらぬのであります。鈴木委員の言われるような事態に対してこれが対策は現在持つておりません。しかし資格を得るとか得ないとかいう問題よりも、日本の漁業を堅実に発達させて行くためには、どうしても船員の再訓練、再養成ということはゆるがせにできない問題だと考えております。できますならば、たとえば現在あります漁業会学校というようなものも、石原委員長が主催されておりますが、この方面なども非常に重要性を持つておると思つております。これに対しては本年度の予算には計上いたしておりませんが、われわれとしては現在の額はきわめて少額であることを承知しておりますし、そのような程度では、とうてい目的に沿わないということも十分了承しておりますので、今年度はすでに予算も内定しておるようなわけでありまして、遺憾ながら計上もできませんが、今後においては、できるだけ船員の養成について努力を拂いたい、かように考えておる次第であります。
 第四に漁船船員の試驗という問題でありますが、これはお話のように船員の養成なり、漁船船員の所管を水産廳にするということが、水産行政を進める上においても、また水産業の発達のためにも非常に重要な問題であります。しかしながら所管の問題になりますと、長い歴史もありまして、なかなか現実の問題といたしまして、ただちにこれを実施することも困難であります。しかし試驗の手続、方法においての御指摘はまことにごもつともだと思うのであります。それで水産廳といたしましては、保安廳に対して漁閑期に実施する、地方の実情に應じて試驗を実施してもらうというような要望をぜひいたしたい。しかしこれはおそらく予算というような関係があるのではないか、こう想像されますので、何かそれらの係官の派遣に対しての経費というものが問題になるのではないかと思うのであります。これが保安廳において余裕があれば、ただちに要望し、すぐ実施されると思いますが、これらの点については、あるいは漁村において多少の負担をするということであれば、この事柄は非常に早く行われるのではないか、かように出えておりま
 その次には東北海区の研究所の問題であります。東北とはどういうところを言うかということでありますが、これはいわゆる通常社会通念と申しますか、普通言われておる青森、岩手、宮城、福島、普通の觀念では福島以北であります。この場合の東北海区には関東の一部茨城縣の海区まで入つてそれだけになつております。
 塩釜に選定した理由いかんということでありますが、金華山の漁場が東北海区における中心漁場をなしておると考えられるのであります。あそこの漁場は世界三大漁場の一つだということを昔から言われておるのでありますが、これらの漁場において科学的研究が今日まで行われておらないのであります。漁獲の上から見ましても、あそこの海区を完全に研究調査をするということが最も重要じやないかということと、もう一つは、施設を地元において負担するのに遺憾ながら予算がありませんので、そういう点から塩釜にしたのであります。さよう御承知願いたいと思います。
 地方の試驗場の使命を果すのに一体どういう考えがあるかというお尋ねでありますが、御承知の通り、從來の試驗場は、地方財政の関係から特別会計になつて以來、地方の試驗船の活動、あるいは陸上試驗が非常に不十分になつて來たのではないか。少くも日本の水産業の初期においては、地方の試驗場が大きな役割を果しておつたことは否定できないと思うのであります。從來日本ではとかく調査研究というものが軽視されておつた。國会においても、縣会においても、私はおそらくその弊があつたと思うのであります。とにかく地方においては調査研究と言えば非常に不要なものだ、こういうことのために財源がなかつた。それが振わなかつた大きな原因をなしておつたのではないか。これを十分活動させるためには、やはり相当の財源を必要とするのであります。しかしながら從來中央との結びつきにおいて、遺憾な点がなかつたかということを考えてみますと、相当考えさせられるものがあるのであります。それはどういうことかと申しますと、中央試驗場が東京にあつて、その分場が地方にあり、結局中央の試驗場を主体に考えておつたのであります。今度はそういう分場というのではなくして、各地のものが独立した海区の研究所になるのであります。從つてそれが地方のブロックの中心になつて、研究すべき事項、あるいは試驗すべき事項を、海区々々の実情に即したものを選んでやることになれば、從來よりはよほど実績を上げ得るのではないか、かように考えております。もし財源が許して補助ということができますれば、さらにその効果が上つて來ると思いますが、中央の研究所自体が財政上十分でないという事情がありますので、技術的あるいは調査の項目、あるいは人の連絡というようなことによつて実績を上げて行くより、現在としてはいたし方がない、かように考えております。
 漁業施設と水産資源との関係いかんというお尋ねであります。これは根本的に考えますと、日本の漁船は百十万トンになんなんとするのであります。ところがこのトン数が一体漁獲の上にどう反映しておるかということを考えてみますと、選憾ながら一トン当りの漁獲率は低下しておるのであります。一人当りの漁獲もおそらく低下しております。漁船のトン数については非常に誇るべきことでありますが、漁獲経済から見たときにはむしろ憂うべき傾向にある。漁船が漁業資金の大半を占めておるので、資金をこの方に向けてしまうために運轉資金も得られない。船はふえて行く、資材はますます要る。そして漁獲能率は低下して行く、こういう事態から根本的に檢討を加えなければならぬと私は考えております。從つて現在の漁獲を維持するのに、一体どれだけのトン数があればよいかということから出発しなければならぬ、かように考えております。一トン当りあるいは一隻あたりの漁獲がもつと増せるように、資金も考え、資源も保護する、あるいは資源を活用すると言いましても、漁船の現在の数をそのままにして置いて、これを達成することは非常に困難ではないかと思います。もちろん漁船でありますから、ある老齢に達すれば代船をしなければならぬがその建造の上において根本的な方針を考えなければならぬと思います。
 次に資源の保護と許可漁場の問題、これは漁業法でやるのかそれとも單独な取締りでやるのかというお尋ねのようでありますが、地方による許可と中央による許可とあるのであります。ところがこれは、今御指摘の通り非常に混乱しておるのであります。少くも相当の海区にわたる回遊魚の漁場は、やはり中央で考えるべきではないかと私は思つております。地方廳が許可されるものは。他の海区と共通しないようなものにしないとそこに問題が起る。たとえば底引漁業のごとき、あるいは現在のさんま漁業のごとき、許可制の所もあれば自由の所もある。こういうことで、資源保護というような見地から、許可を非常に厳格に実施している所があるかと思うと、隣りの縣ではこれを自由に許すということから、非常に混乱する。從つて共通的な漁業はどうしても中央で許可制度を考えなければならぬ。地方は大体地方の海区で営まれるものに限つて行かなければならぬと考えます。取締りの問題でありますが、現在無許可のものが相当ありまして、われわれ当局としてはまことにめんぼくがないのであります。かような事態のできましたのは、戰事中における生産第一主義というようなことと、もう一つは、各縣の取締船に燃油の配給がないというような関係から、船はあるけれども取締りができない、あるいは船が大半戰災をこうむつている。こういうことが原因で、今日非常に混乱を來しておるのであります。これを民主的に取締るかどうかというような御意見もあつたようでありますが、この取締りについては、政府のみあるいは地方廳のみということでは、とうてい完全な期待はできないのであります。從つて各業者の協力によつて、民主的と申しますか、そういう方法で、これを完全に取締るように当えて行かなければならぬのではないかと思つております。
 新漁場開拓の問題でありますが、これは御承知の通り、限られた現在の海区におきましては、いかに合理化しても、現在以上に生産を増強して行き、しかも資源の保護をするというようなことは非常に困難であります。從つて深海漁業、つまり立体的な漁場の開拓ということよりほかに現在としてはないのではなかろうか。この点について最近私の伺つたことが非常に参考になりまするので、つけ加えたいのでありますが、日本海の能登半島の沖合七十マイルくらいのところに瀬がある。從來日本海は御承知の通りさばもいわしも四、五月が大体漁期になつておる。ところが七月二十四日にその瀬のところで漁をしてたところ、さば、いわし、いかがとれた。それはつまり電氣の光をもつてやつたのであります。從來はそこではそういうものはとれないのであります。しかも相当深いところである。そういうところを発見したというので、深海漁業というものは大いに考えなければならぬのではないかという示哀を、私ある人から受けたのでありますこれは一つの例でありますが、とにかく新開拓の方向は立体的に考える。北海道の油がれいというようなものがその一例だと思いますが、これはぜひそういう方向で新漁場の開拓をいたしたい。かように考えております。
 それから繁殖保護の積極的な取締りと消極的な取締り、こういう点であつたと思いますが、取締りの方法については、先ほど申し上げましたように、法律をつくつて、それで一体そういう完全な取締りがやつて行けるかということになるのでありますが、私はこの点は先ほど北海道の孵化事業のお話もあつたのでありますけれども、取締りという問題を、單に役所の問題としてのみ扱うということでは、とうてい目的は達せられないのではないか、ここにやはり民主的な行き方を考えるということが、取締りの効果を十分にあげて行く基本になるのではないかと思つております。從つて今後は繁殖保護の取締りについては一そういう方向に進みたいと考えております
 それから鮭鱒孵化場を、北海道に限らずに内地に行う意思ありやという点であります。これは内地も、岩手縣のごときは相当有名な河川をもつております。しかし総生産額から見てこれをただちに国営で孵化放流をするということは、非常に困難じやないかと考えおります。しかしわれわれとしても、実は孵化放流によつて増産がどれだけできるかというようなはつきりした檢討は加えておりません。從つてこれを十分な檢討を加えて、もし北海道でやると同様もしくは以上の成果がそこにあがるという見当が立つ場合には、これをやるべきものだと考えております、
 それから内水面の種苗の問題であります。これは先ほども大分出た問題でありますが、これは皆さん多数の御意見のようにも拝廳いたしますので、全國的な一つの考え方が必要であるということは、私も痛感しております。從つてこれをどういうふうに実施して行くかということについては、調査いたしまして、ここで具体的に全部の魚種に向つて実施するということは困難でありますが、最も必要な、最も適当なものからこれを実施して行くという考え方で行かなければならぬと考えております。
 もう一つ林さんから御質問があつたと思いますが、民間の時代が一番よく、國になつたとぎに非常に悪い。この御指摘はまことに恐縮なのでありますが、これは日本全体の産業界の実情が反映しているのではないか。これは逃げ言葉ではありません。大体民間の当時の経済事情、あるいは日本の産業の全般の実情が、よほど反映しているのではないか。なぜかと申しますれば、おそらく民間でやつておつた時代の貨幣價値と申しますか、そういう点から考えましても、実は予算さえあれは十分に復旧もいたして、そうして國家が経営する以上、少くも民間よりも効果があがらないんだというようなことであれば、これは國営にする必要はないのであります。しかしそういう事情もありますので、一應せつかく國営としてこれを移したのでありますから、私どもは國営で十分な成績をあげ得ない場合には、考えられますけれども、できるだけ御指摘もありましたように、十分な注意をいたして、成果があがるように努めて行きたい。もう一つは生と塩さけとの價格の点でありますが、これは御説の通りなのであります。生が出ない、出せないのあります。しかしこれは鮮魚の統制價格関係になりますので、御指摘の点はよくわかるのでありますが、今さけだけを取上げてどうであるというようなことは、過日來いろいろ申し上げたような事情もありますので、御意見はもつともと思いますが、ただちにこれをどうするということは非常に困難かと思います。
#28
○鈴木(善)委員 私の質問の答弁に明確を欠く点が二、三あります。私の質疑があまりに簡略であつたためかと思いますので、その点をお尋ねしたいと思います。
 第一点は漁業法中一部を改正する法律の制定によりまして、沿岸漁業の相当部附はここに根本的な改革を見るわけであります。そうして漁業の民主化並びに漁業生産力の発展がもたらされることが期待されるのでありますが、この漁業権から漏れる許可漁業の面が相当大きな比重をわが國は占めておる。そこで漁業法の改正と並行いたしまして、許可漁業制度の確立を根本的にこの際考えてみる必要はありはせぬかということが、私の質問の要点であります。操業海区の問題、あるいは許可のやり方につきましても、いろいろ檢討を要する問題がある。それから地方廳の許可漁業として存続すべきもの、現在は地方廳にやらせておるが、中央官廳に移すことを適当と考えるような事態に立ち至つておるもの、いろいろ実情は現在かわつて來ておるわけであります。でありますからこの際水産廳は漁業権制度の根本的改革と相並んで、許可漁業制度を根本的に改正なさる御意思があるかどうかということであります。これに対して明確な御答弁を願いたい。
 もう一つは、漁業の取締り制度の問題であります。現在漁業取締りは海上保安廳でやつておる。ところがこの海上保安廳は、密貿易であるとか、あるいは船の安全航行であるとか、そういう面については確かに適格者であるのでありますけれども、漁業の取締りの画につきましては、多大の疑問を持つものであります。どうしてもこれは漁業行政を所管なさつておるところの水産廳が、漁業の実体に即した取締りをやる必要がある。はたして当局が許可されたような條件のもとに、漁業の操業が行われておるかどうかという面は、やはり現業官職の取締りが第一線に立つべきであると私は考えます。現在取締船等の問題について、水産廳には予算関係でその余力がないというような点がもしありとすれば、今後において大いに努力して、水産廳自体が取締船を整備すべきであるし、またそこまで行く暫定的な措置としては、水産廳から漁業取締りの係官を海上保安廳の船に乗せて、そして眞に漁業の実情に即する取締りをやるべきであると思うが、この点について当局はいかにお考えになつておるか、この二点を重ねてお伺いいたしまして私の質疑を終ります。
#29
○飯山政府委員 お答えいたします。許可漁業の非常な重要性のあることはお話の通りであります。從つて水産廳といたしましては、この際許可漁業全体についての根本的な対策を立てなければならぬということについては、過日來いろいろ問題としておるのであります。この点は何らか近く具体的に進めたい、かように考えております。同時に許可の点については海区調整委員会と全國連合会というものが生れるのでありますが、ここにおいて許可の調整をするというような権限も生れるわけであります。それらとあわせ考えて、何らか具体的に一日も早く実現したい、かように考えております。それから海上保安廳の取締りの関係でありますが、これは実は以西底引の取締りのごときも海上保安廳がやるべきだというような論があつた。実は水産廳において千五百トンの相当優秀な取締船の計画を立てて、予算の提出をしたのであります。その際に関係方面においていろいろな問題がありまして、保安廳と水産廳とのいわゆる所管爭い、それについては、遠洋漁業については水産廳ということが関係筋できめられたのであります。しかし近海については御承知のように、水産廳は船は遺憾ながら現在持つておらぬ。そのために予算を獲得すべく二十四年度に相当額計上したのでありますが、遺憾ながら全部削除されたということで、実現はできなかつた。私どもとしては、いやしくも漁業に関することは、單に取締りといつても、取締りの内容にあるのでありまして、ただ警察的な考え方でなくして、漁業をほんとうに振興して行こうという考えが中身になければならぬのであります。この点については当然水産廳でやるべきだ、かような見解を持つておるのでありますが、海上保安廳の取締りについて関係方面が非常に錯綜しておりますので、ここでははつきり申し上げられない点もあるのでありますけれども、今のような考え方で、もし船がないならば係員を乗せるという手も確かにあるのでありますが、実はいろいろの関係もあることでありますので、こういう点はできるだけそういう方向に進める考えであります。この程度で御了承願いたいと思います
#30
○砂間委員 時間がおそくなりましたけれども、少し緊急の問題でありますので、しばらく時間をお借りして、飯山長官にお尋ねしたいと思うのであります。実は水産業会の資産処理に関する問題であります。この水産業会の資産の処理ということは非常に重大な問題でありまして、もしこれが不当に処分されるならば、今度できる協同組合の実体が非常に薄弱なものになるということは、私が申し上げるまでもなくわかり切つたことでありまして、そういう点を考慮いたしまして、農林省は昭和二十二年九月十日ですか、農林省省令の七十二号をもつて、これに関する指令を出しておると思う。これは水産業会の資産譲渡、あるいは賃貸とかいうふうなことは原則として認めない。それをやむを得ざる事情により譲渡する場合においては、農林省の認可が必要である。認可の條件として、いろいろな條件が付されておる。これを譲渡する場合には、第一には時價をもつて譲渡すること、次に協同組合の連合会ができたとぎには、これに譲渡した價格で回收させるというふうな、契約書の写しをとるということになつておつたと思う。これらの点につきまして農林省におきましては、この省令の実行を十分に完全に監督なされておるかどうかという点を、まず最初にお尋ねいたします。
#31
○飯山政府委員 ただいまの砂間委員の御質問は、漁業会の資産処分について水産廳が認可の際に、十分なる処置をしておるかどうか、こういうふうな御質問と考えますが、從來省令によつて何ら問題なく今日まで來ておるという事実をもつてお答えしたいと思います。
#32
○砂間委員 ただいまの長官の答弁ははなはだ不満足であります。これが十分に行われておれば問題ないのでありますけれども、決してそうではない。ということは現にそこにおいでになる藤田次長が、一昨日四月七日でありますが、全水労の委員が行つて面会をした場合に――私あとで千葉縣水の問題を申し上げる予定でありますが、これは千葉縣水の問題だけでなくして、そういう例は全國にたくさあるということを、現にここにおいでになる藤田次長が言明をしておられる。その事実をもつてみましても、漁業会の財産処理が実に不当になされておるということは、もう当局自身が知つておられるはずであります。ただいまの飯山長官のお話は、はなはだもつて人を食つた話だと思います。私はその一例として、千葉縣水の問題を申し上げるのでありますが、特にきようこれを持出したということは、十四日が解散総会となつておつて、きようここではつきりしたお答えを得ておかなければ、この解散総会で決算書が通過いたしますと、あとで問題にすることができないという事実の関係がありますので、少し時間がおそくなりますけれども、はつきりした責任あるお答えを聞いておきたいというふうに思うわけであります。千葉縣水におきましては、房総漁業株式会社というのがあるのでありますが、この社長の山越氏は元千葉懸水の専務をやつておられた方であります。この房総漁業株式会社に千葉縣水が資産を讓渡しておる。たとえば自動車にいたしましても、これを時價で讓渡するということが認可の條件になつておると思います。にもかかわらず、これを一台六万円、八万円、最高十四万円というふうな、まるでただみたいな價格で讓り渡しておる。これに対して農林省といたしましては十分なる監督をやつておつたかどうか。さらに、聞くところによりますと、現に水産廳の協同組合口課におる庄司事務官のごときは、うわさによりますと、世田谷におる山越氏から三十五万円の住宅を建築してもらいまして、そうしてこの山越氏と庄司事務官と通謀いたしまして、ああいう禁止の農林省令が出るのを見越しまして、その以前に電話をもつて、山越氏の方へ、早く処分をやつてしまえというふうなことを官廳の役人がやつたといううわさもあるのであります。またこの千葉縣水の資産の処分は、單に自動車だけではないのでありまして、たとえば平館の冷蔵庫のごときも、これもその当時見積り價格千五百万円、これはそれで買手があつたのですから、それくらいの價値があつたと思う。それを百万円で讓渡しておる。しかもそれを買つた代金の百万円は全額まだ支拂われておらない。しかもこれは金田村の漁業会が縣水へ預金しておるのを、預金者には全然無断で、その預金の中の五十万円をもつて拂つたことにしてあるというふうな、きわめてインチキな不正がたくさんあるわけであります。なおそのほかにも造船修理工場だとか、あるいは共同販賣所とか、あるいは機関修理工場等の賃貸委任経営等についても、はなはたいかがわしい事実があるようであります。こういういろいろな不当処分があるということに対しまして、水産廳内の役人が、そういういかがわしい風聞を立てられておるわけでありますが、これに対して長官は知つておられるのかどうか。もしまたそういううわさがあるとすれば、これを徹底的に調査する意向があるかどうか。もしその事実がはつきりしたならば、どういう処分をとられるかということをはつきりお伺いしたい。
 それから千葉縣水におきましては、この十四日に解散総会をやるわけでありますが、この解散総会において、こういうインチキな資産の処理が決算報告において承認されてしまつたならば、まつたく資産の内容がからつぽになりまして、次にできた協同組合がそれを引受けようと思つても、何にもなくなるわけであります。こういう問題に対して、水産廳としてはどういう態度をとろうとしておるか。この点をはつきりお伺いしたいと思います。この千葉縣水の例は、一例にすぎないのでありまして、藤田次長も言つておるように、こういう問題は全國にあるのだということが言われておるのですから、これは全國的な問題であります。これについてはつきりした御答弁をお伺いしたい。水産協同組合を設立するにあたりまして、この旧漁業会の資産の処理の問題は非常に重大でありまして、特にそのために農林省は省令を出して、嚴重にこれを監督し、取締ることになつておる。またこのいろいろな契約書の写しは、ちやんと添えて官廳に出すことになつておる。それがはたしてとつてあるかどうか。そしてとつてあるとしたときに、それに違反の事実があつた場合にどういうふうにするかということを、はつきりお伺いしたい
#33
○飯山政府委員 詳細については次長より補足していただきますが、今砂間さんのお尋ねに対して、私から大体のことをお答えいたしたい。千葉縣水の例は、私どもは現在承知しておりません。一昨昨日か、ここへ全水労の方々が陳情に來られたときに、その話を初めて聞いた。その聞いたことを私どもとしては、そのまま現実であるとかないとかいう判断は下せないわけであります。從つて、そういう事実がもし確実にあるということになつた場合には、もちろん法の命ずるところによつてそれぞれ責任の所在も明らかになることと、かように考えております。実は本日も廳内で、廳内の全水労の会員の方方が私の所に参りまして、この問題が出たのです。私はそのためにここに來る時間を遅れたというような事情でありますが、その際にいろいろ今砂間委員からお話になつたような点を指摘された。しかしわれわれとして、それをただちに受入れるということはできかねる。一應縣の当局及び千葉縣水の職員または責任者、こういうものについて各別に事情を調査したいということを、きよう返事したわけであります。おそらく明日千葉の方から、その関係者を呼んで別個にその事実を確めたい、かような態度をとつておりますその結果――庄司事務官云々というようなこともありましたが、これは私どもこの席で初めて聞く話でありまして、もしそういうことがあるならば、これは水産廳がどうするということでなく、問題は、いわゆる法律上の問題にもなることと思います。その結果に基いて、われわれ行政廳としては考える、こういうことになるのでありまして、その事実があるかないかということを確めることは、現在としてはできませんから、一應現在のものの調査をする、こういうことに相なつております。
#34
○砂間委員 少し話が違うようでありますが……
#35
○石原委員長 砂間君、腰間はもう盡きたではありませんか。今次長が答弁されるようです。
#36
○藤田説明員 房総漁業に千葉縣水から貸付あるいは讓り渡しました資産の問題についての御質問でありますが、ただいま砂間委員からのお話は、ちよつと私の申しましたことを間接的にお聞きになつております関係上、少し誤解しておられる点があるのじやないかと思いますので、この点を弁明しておきたいと思います。この資産の処分の認可をいたしましたその認可の内容について、非常に不当な認可をしだ問題か、あるいは認可をいたしました事実と相違をいたしまして、それ以上にその認可の條件に違反した行為が行われておる問題か、この二つにわかれるのでありますが、取上げられております問題は、認可したこと自体が当不当という問題でなくて、認可の内容に違反をいたしましたところの事実が現われておる。たとえば自動車を五台認可したにかかわらず、六台、つまり一台だけ余分に賣られておる。こういうふうな点を指摘しておるわけであります。それからまた時價によるべきものについて、これを時價によらずして安く賣つておる。つまり認可の内容に違反した行為が行われておる、こういうふうな点であろうと思うのであります。この点につきましては、私どもといたしましても、これは單に一方的に聞きましただけでははつきりいたしませんので、十分調査をしたいということで、そのことは全水労の方が來られましたときにも、調査は必ずするということはお約束をいたしたわけであります。今日また重ねていろいろ問題がございましたので、長官から早急に調べるということにいたしております。事実が判明次第、それに対して適当な処置をとるというふうに考えたいと思います
 それからなおこういう事実はたくさんあるのだというふうな御意見でございますが、私はこういうふうな違反の事実が全國にたくさんあるという意味で申したのではないのであります。つまり資産処分の認可をいたしましたような事例が各縣々々でたくさんございます。そしてそういうふうなものについて、私どもといたしまして、これはやはり認可をいたしましたことが現実にその通り行われているかということをよく調査しなければならぬと考えます。これは千葉縣のみでございません。從つてこういうふうな問題については、あるいは調べました結果同じような事実が出て來る所もあるかもしれぬと考えます。この点はやはり監督官廳としては十分な取調べをしなければならぬという意味合いから、これは別個私どもといたしましては、予算と人の許す限り千葉懸のみならず、調べて行きたい。こういうことを申し上げたのであります。御了承を願います。
#37
○砂間委員 また聞きに聞いたので、今藤田次長の申されたように少し行き違つた点もあるかもしれませんが、その点は取消します。認可した以上はその認可の條項が嚴重に守られておるかどうかということについては、それはやはり監督官廳として、十分その実行を監視する責任があると思います。いやしくもこういうことが言われておれば、これに対して徹底的に調査していただきたい。十四日の解散総会でうやむやのうちにこれが通つてしまわぬように、十四日までにはもう日にちがいくらもありませんから、それに間に合うようにやつていただきたい。
 それから協同組合の連合会ができた場合におきましては、その讓渡した償格をもつて最初の農林省のあの省令を出すときの方針に即しまして、連合会に回収できるようなおとりはからいをお願いしたいと思います。いろいろまだ関連して申し上げたい点もありますが、今日はたいへん時間も遅くなりましたので、一應これで打切つておきます。
#38
○石原委員長 本日は水産輸出に関する件は、貿易廳長官その他関係の方が関係方面に招かれて出席ができぬそうでありますから、次の機会に讓ります。
 この機会に水産廳当局に申し入れて置きたいのであります。それは漁業法案であります。最近に漁業法案が提案されるとか、されそうだとかいううわさがあるのでありますが、会期が延長されぬ場合にはあと十日ばかりよりないでありまして、この問題は全國的に漁村の漁業権に重大関係がありまして、とうてい短時間では審議はできまいと思うのであります。從つて提案をされて審議未了に終るようなことのないように、よく御檢討されて、提案するならばされたい。こういうことをここに御注意を申し上げたいのであります。
 それから漁区拡張の問題、それから漁船保險の問題につきまして、当局の最近の方針並びに現在の状態等も、適当な機会になるべく早く説明を願いたいと思います。この二つを申し上げて置きます。
 本日はこれをもつて散会いたします。
    午後五時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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