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1947/09/18 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第31号
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1947/09/18 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第31号

#1
第001回国会 本会議 第31号
昭和二十二年九月十八日(木曜日)
   午前十一時十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十号
  昭和二十二年九月十八日
   午前十時開議
 第一 皇室経済法施行法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第二 日本國憲法第八條の規定による議決案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第四 六・三教育制度の経費を全額國庫負担とすることに関する請願(二十三件)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際議長は常任委員の選任をいたします。前之園喜一郎君を水産委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(松平恒雄君) 日程第一、皇室経済法施行法案(内閣提出、衆議院送付)日程第二、日本國憲法第八條の規定による議決案(内閣提出、衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。両案を一括して議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。皇室経済法施行法案特別委員長徳川宗敬君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔徳川宗敬君登壇、拍手〕
#6
○徳川宗敬君 只今議題となりました皇室経済法施行法案外一件の特別委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。これらの両案は去る八月十五日から予備審査を行なつておりましたが、同月二十九日衆議院より送付せられましたので、休会明けの昨十七日委員会を開催いたし、前後三回に亘り愼重審議の結果、全会一致、内閣提出原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 先ず両案の内容につき、その概要を御説明申上げます。皇室経済法施行法案は、皇室経済法の施行に当り同法中に「別に法律で定めるもの」と規定してあります事項を規定する等の必要上、本法案が提出せられたのでありまして、この法案の内容を明らかにいたしますために、少しく皇室経済法に言及することをお許し頂きたいと存じます。新憲法施行以前、皇室の経済は、皇室費として年額四百五十万円を國庫から支出せられておりました外は、独立の経済として國の経済の外にありましたことは申上げるまでもないのでありますが、新憲法におきましては、第八十八條に「すべて皇室財産は、國に属する。すべて皇室の費用ば、豫算に計上して國會の議決を經なければならない。」かように規定せられ、皇室に関する経済が國の経済の一部となることを明確にしているのであります。又憲法第八條には「皇室に財産を讓り渡し、又は皇室が、財産を讓り受け、若しくは賜與することは、國會の議決に基かなければならない。」と規定しております。即ち皇室を一方当事者とする財産の授受について制限を設けておるのであります。只今申述べました新憲法の第八十八條並びに第八條に基ずきまして、皇室経済法は、これに必要なる規定を中心として、皇室の経済関係に関する事項を取り纏めて規定しておるものであります。従いまして皇室経済法第二條におきましては、憲法第八條を受けまして、皇室を一方当事者とする財産の授受に関し、一件ごとに國会の議決を要せずに行い得るものと、國会の議決は要しないが、皇室経済会議の議を經ることを必要とするもの、この二種の規定を設けまして、それぞれその一件の價額は別の法律を以て規定すべきものといたしておるのであります。更に同條におきまして、一件ごとの價額としては今述べました一定の制限額を超えはしないけれども、若しもこれが短時日の間に反復して行われるようなことがありますと、法の趣旨を沒却するに至るべきことを考慮いたしまして、かかる事態を防止するための規定が設けられておるのであります。即ち別に法律で定める一定價額に達するに至つた場合は、その一年の期間が満了するまでのその後の期間において、財産の賜與又は讓り受けに関し國会の議決を要するというのであります。次に第四條以下の三ヶ條におきましては、皇室の費用即ち内廷費、宮廷費、皇族費の三種の費用につきまして、それぞれへ規定を設けております。その初めの内廷費と申しますのは、天皇並びに皇后、皇太后、皇太子、その他内廷にある皇族の日常の費用及びその他の諸費に充てられるものとして、國庫から支出せらるべき費用でありますが、その年々の定額は別の法律で定めることに規定してあります。又次に皇族費は、皇族に対する年額として支出されるものと、皇族がその身分を離れる際に一時金として支出されるものとの二種がありますが、その金額につきましては、やはり別の法律によつて定められる定額を基礎として計算せらるべき旨を規定しておるのであります。
 以上述べました皇室経済法の中に別の法律で定めらるべきものと規定してあります諸点を規定すると共に、同法施行のために必要なその他の事項を規定してあるのが今回提出されました皇室経済法施行案でありまして、齋藤國務大臣の御説明によりますと、この施行法は、政府は先きの第九十二回帝國議会に提出すべきものと考えておつたが、事柄の重要性に鑑み、且つ又会期の都合その他をも勘案いたしまして、本案を今回の第一回國会に讓り、前回は取り敢えず暫定法たる皇室経済法の施行に関する法律案を提出し、これが議決を見た次第であるということであります。従いまして本格的な本法案が成立いたしました暁におきましては、昭和二十二年法律第七十一号即ち、皇室経済法の施行に関する法律は当然廃止せらるべきものであるのであります。
 以上で皇室経済法と今回提出の施行法案との関連明らかにいたしましたが、次にこの皇室経済法施行法案の内容を、逐條的に極めて簡略に申し上げたいと思います。施行法案第二條には、皇室を一方当事者とする財産の授受の中、その一件ごとの價額として、國会の議決も皇室経済会議の議決も、両者とも必姿としないものの金額を五万円とし、皐室経済会議の議決は必要とするが、國会の議決は要しないものの金額を十万円としております。第三條は前に述べました皇室経済法第二條第三項によつて、一件ごとの價額としては、この法律に規定した金額の制限を超えないが、これが反復して行われ、一年に満たない期間内にすでに一定の、價額に達した場合、それ以後においては個々の授受ごとに國会の議決を要すると規定してお参りますが、その点に関し、皇族一人についてその一定價料を十五万円と定めてあるのであります。第四條におきましては、天皇及び皇后、太皇太后、皇太后については、第二條において十万円と定めた金額即ち國会の議決を要せず皇室経済会議の議決のみで授受し得る助産の慣額を、十万円の三倍即ち三十万円と定めてあります。第五條におきましては、天皇及び内廷にある皇族については、個々の授受に関し國会の議決を要せずして行われ得る賜與進献の通計額の一年内の限度を百二十万円再と定めてあります。かように天皇及び内廷にある皇族については、一般皇族と異なり、御一人御一人でなく全員を通じて計算するものとしてあります。これは天皇を中心とする一つの御代帶におきましては、すべての事柄を総括して考えるのが適当であると認めたからであり、且つ又その金額は、第二條に規定した一年間における財産議り受けの通計額の限度である十五万円に、天皇及び内廷にある皇族の方々の数を乗じて、これを算出したものであるということであります。次に第七條及び第八條は内廷費及び皇族費の定額を規定したもので、内廷費は八百万円、皇族費は二十万円と規定してあります。以上の各條におきまして具体的に規定せられました金額は、いずれも従前の実情、現下の物價状況その他諸般の事情等を十分に考慮して決定せられたものであるということであります。
 以上で皇室経済法施行法案の御説明を終り、次に日本國憲法第八條の規定による議決案について御説明を申上げます。
 先きに述べました通り、憲法第八條には、「皇室に財産を讓り渡し、又は皇室が、財産を讓り受け、若しくは賜與することは、國会の議決に基かなければならない。」旨を規定しておりますが、この天皇及び内廷に属する皇族の賜與に関する議決案は概略次の理由によつて提出せられたものであります。皇室経済法施行法案の第五條によりますと、天皇及び内廷に属する皇族方の一年内になされる賜與又は讓り受けの財産の價額は百二十万円、尤も本年は五月から計算いたしますので八十万円でありますが、この價額に達すれば、一年の期間が満了するまでの、その後の期間においてなされる賜與又は讓り受けについては、その價格の多寡に拘わらず國会の議決を経ることを必要とするのであります。然るに本年度即ち明年三月末日までの期間においては、天皇初めこれらの皇族が災害の場合の罹災者に対する御見舞或いは各種の御奨励のために賜與される價額は、実際のところ百二十万円近くに上ることがすでに見込まれておるのであります。従いまして前に申しました通り本年度の八十万円をその他の一般的な賜與に充当されるものといたしますれば、これら御見舞或いは御奨励のための賜與は、その都度個々に國会の議決を求めることに相成り、かくては災害に対する御見舞の場合など、その度ごとに一々國会の議決を経るということは事実上困難である場合が多く、予め價格を限り一括して國会の議決を求めることが適当であると考えられた結果、本議決案が提出せられたのであるということであります。
 以上のごとくこれらの両案は極めて密接な関係にありますので、一括して議題に供し、審議を継続したのでありますが、以下特別委員会における質疑應答の主なるものを御紹介申上げたいと存じます。
 先ず第五條の、天皇及び内廷にある皇族が行われる財産の授受につき國会の議決を要せずして行われ得る賜與進献の通計額の一年内の限度を百二十万円とした点に関する質疑と、日本國憲法第八條の規定による議決案に対する質問とは、その性質を同じくしておりますので、これらを一括して申上げたいと存じます。一委員より、議決案に百二十万円を要求した根拠いかんとの質問がありましたが、これに対し、年額百八十万円の見込のところ、本年は五月から起算してその三分の二即ち百二十万円としたとの答えがありました。次に、この種の賜金は従來は内帑金から支出されておつたが、今後は國の予算から出ることになり、從つて國民の税金を使用することとなる。宮内府は從来と意味が違つて來た点に鑑み、賜金に対する考えを変える意思はないかとの質問に対し、時勢の変化を考え、憲法の精神に從い、賜金に関しても國会の議決を経ることになつたので、御意見は十分に尊重するが、天皇から賜與される賜金が、國民を特に慰め或いは励ます上において非常に力強いものであることを考えるならば、この程度の支出は至当であると考えるとの答弁がありました。又他の一委員より、この賜與に関する金額は、第七條の内廷費の金額と共に少額に過ぎると思う。或いはこの種の賜金は封建的なりとの説もあろうが、自分としてはこれを現下の物價に相当するだけ増額して、更に有効に使用されることを希望する。これに対する政府の見解いかんとの問に対し、政府より、衆議院の委員会においても同じ趣旨のお尋ねがあつたが、只今のところ、過去の経験から考えて、先ず一般の賜與に対しては百二十万円の程度で十分であると思う。併し実際にはこの外特に百八十万円程度の御見舞金又は御奨励金を要すると考えられるので、議決案においてこれを要求しておるのである。尚進献の面においては、著しく高價なもの、財産的なもの又は献金などは、これを受けられない方針であるとのお答えがありました。次に議決案に要求される百二十万円の内容いかんとの問に対しまして、その額は從來の実績を考慮して決定したものであるが、御見舞としては風水害、火災、津浪等の災害に対する資金がその主なるものであり、御奨励としては紀元節、年末等の社会事業賜金、日本赤十字社その他への賜金、学士院、発明協会等、学術御奨励のための賜金である旨の説明がありました。第七條及び第八條の内廷費並びに皇族費に関しましては、昭和二十二年度の計上額いかんとの質問がありましたが、これに対し、本年度は内廷費七百三十三万円、これは八百万円の十二分の十一に当る金額であります。皇族費の方は六十八万八千円、その外に追加予算として百四十二万三千余円を計上しておるとの答えがありました。尚この額で國会の休会中など乗り切れる自信があるかという問に対し、通常の変化では先ずやつて行けるとの答弁がありました。次に今回の皇族の身分を離れらるべく予想される皇族に対し一時に支出せらるべき金額の具体額を問われましたのに対しましては、只今皇族の身分を離れられることを希望しておられる皇族方は十一宮、五十二方であつて、宮内府としては、大体御当主は年金の一一・五倍、その他は七・五倍を考えておるとの答弁がありました。予定金額の詳細につきましても説明がありましたが、その数字はここに省略いたしたいと存じます。尚二三の委員より、皇族がその身分を離れられた後の御生活には各種の困難が生ずると推察されるが、これらに対し宮内府としてはいかなる態度を取るやという意味の質問がありました。これに対しましては、宮内府としては、これらの方々の私的御生活を法的に拘束し、又は特に援助することはできないが、皇族の身分を離れられても、それらの方々が常にその品位を保たれ、國民の敬愛を受けるに十分なるごとき生活を営まれることを切に希望しておるものであるとの答えがありました。尚一委員は、この度提案せられた内廷費、皇族費等は、現在の物價高に比して極めて遠慮がちなように思われるが、將來はもつと時宜に適した金額を要求されてはいかがであるかという希望的意見をも申述べられたのであります。その外、各地御巡幸に関連しての質問、皇族並びに各宮家の財産に関する質問など、熱心な御質問或いは示唆に富む御意見が数多く開陳されたのでありますが、詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。
 かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、一委員より、原案に賛意を表するものであるが、他日今回の提案に不自由を感ぜられるような場合の生じたときには、政府は直ちに適当にこれを処理せられたき旨の希望を述べられ、直ちに表決に付しましたところ、全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたしました。以上を以て御報告を終ります。(拍手)
#7
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。委員長の報告は両案とも可決報告でございます。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#8
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(松平恒雄君) 日程第三、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。司法委員長伊藤修君。
   〔伊藤修君登壇、拍手〕
#10
○伊藤修君 只今上程になりました法案につきまして、委員会の経過並びに結果について御報告を申上げます。この法案は只今可決せられました両法案に関連いたしました法案でありまして、委員会といたしましては、予備審査及び本審査に二回費しまして、愼重審議いたしました次第であります。御承知の通り新憲法施行に伴いまして、旧皇室典範並びに皇室親族令、皇族身位令、又明治四十三年法律第三十九号「皇族ヨリ臣籍ニ入リタル者及婚嫁ニ因リ臣籍ヨリ出テ皇族ト爲リタル者ノ戸籍二關スル件」、これらの法律がいずれも廃止せられた次第であります。従いましてそれと同時に新皇室典範が施行せられましたその皇室典範の第二章におきまして、皇族の身分を離れられた方及び皇族以外の女子が皇族となられた場合におきますところの身分関係につきまして、数ヶ條に亙つて規定せられておる次第であります。これらの身分の変更せられましたお方の戸籍に関しまして、その処理をいかにするかということに当りましては、先に廃止せられましたところの明治四十三年法律第三十九号に相当するところの法律が必要となつて参る次第であります。この法律案はこの必要を充たすために新たに提案せられました次第でありまして、言い換えますれば皇統譜令と戸籍法との橋渡しをなすところの役目をなす法律案である次第であります。かような次第でありまして、この法案の内容は極めて簡單でありますから、法案につきまして簡單に御説明申上げて置きたいと存じます。
 第一條は、皇族がその身分を離れた場合の規定でありまして、皇室典範第十一條の規定によつて皐族の身分を離れた場合には、そのお方について新らしく戸籍を編製する、こういう原則を定めた次第であります。更にこれと同時に皇室典範第十三條の規定により皇族の身分を離れた方の妃及び直系卑属並びにその妃がりおありになる場合は、これらのお方も何時にその戸籍に入るということを第二項に定め次第であります。
 第二條は、皇族以外の女子で親王妃又は王妃となられた方が、その夫を失いたる場合又は離婚により皇族の身分を離れた場合におきましては、結婚前の戸籍に復せられるのであります。第二項におきまして、皇族女子で他の皇族の妃となられた方が夫を失い又はそのお方が離婚せられた場合には、前の編製せられました即ち第一條の第一項によつて新戸籍が編製されておりますから、その戸籍に入られる旨を規定した次第であります。前二項の場合にきまして入るべき戸籍がないそういう場合におきましては新らしく戸籍を設ける、こういうことを規定した次第であります。
 第三條は、皇族の女子の方において天皇及び皇族以外の方と結婚した場合におきまして、皇族の身分を離れた場合には当然戸籍法の適用を受けられるのでありますが、その方が離婚になつた場合に、それ以前にすでにそのが直系尊族の身分を離れておられた場合におきましては、その入るべき戸籍がない場合がありますから、その場合におきましては、即ち第一條で定めたところの戸籍に入られる一日を規定した次第であります。
 それから第四條は、皇族以外の女子が皇后となられ、又は皇族男子と結婚したときは、その戸籍から除かれる。これは従來さような規定であつたので、そのままここに表現られた次第であります。
 第五條乃至第七條は、只今まで申しましたところの戸籍の得喪変更に関しまして、その手続及び手続の期間、手続をなすべき者、その様式等を規定した次第でありまして、これは條文に現われたそのままである次第であります。
 かくて委員会におきましては質疑應答をいたしましたが、これらの詳細につきましては速記録を御覧下さいまして、御報告に代えたいと存じます。
 討論は別に御意見もありませんでして、直ちに採決に入りましたところ、満場一致原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。以上簡單ではありますが、御報告申上げます。(拍手)
#11
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。委員長の報告は可決報告でございます。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#12
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#13
○議長(松平恒雄君) 日程第四、六・三教育制度の経費を全額國庫負担とすることに関する請願(二十三件)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。文教委員長田中耕太郎君。
   〔田中耕太郎君登壇、拍手〕
#14
○田中耕太郎君 議題となりましたところの六・三教育制度の経費を全額國庫負担とすることに関しまする若木勝藏君外二十六名を紹介議員といたしまする請願、これは第十六号でございます。並びにこれと趣旨を同じうしておりまするところの二十二件の請願の審査につきまして、簡單に御報告申上げます。
 いわゆる六・三教育制度は、御承知のように教育の機会均等、義務制の延長によりまする國民の教養の向上、その他或いは余りに早期に職業教育を施すことから生じまする弊害、師範教育或いは青年学校教育の改革、その他いろいろな要求からいたしまして、新憲法の精神的の裏附をなす意味合いを以ちまして非常な困難を賭し、又犠牲を覚悟いたしまして、この四月から実施に着手せられたのでございます。従つて文教委員会といたしましても六・三制実施の現況はどうなつておるか、又施設上の欠陥がどこにあるか、どの程度であるか、又予算的措置の問題、又六・三に続きまする上級の学制、その年度計画等につきまして多大の注意を拂いまして、文部、大藏両当局に具さに実情を質し、批判すべきものは批判し、当局に対しまして一層の熱意を要望いたしまして、これが完全実施のために大いに当局を激励鞭撻して参つたのであります。本請願の趣旨は、崩壊寸前にある六・三制を完全に実施するため絶対に必要な予算を全額國庫負担として計上可決されたいというのであります。委員会といたしましては、本問題の國家的超党派的重要性、並びに請願の趣旨が教員組合及び一般の公論になつておりますことに鑑みまして、序でに申上げますが、今日まで続々同じ趣旨の請願が沢山出て参つておるのであります。さような一般の公論に鑑みまして、愼重審議を重ねまして小委員会に付しまして、具さに研究を遂げました結果、日本教育の民主化に絶対に必要である六・三制度の実施は、國家全体の責務に属するという見地からいたしまして、その経費は單なる國家の補助でなく、原則的に國家が負担すべきものであるという結論に到達いたしました。尤もこれに対しましては地方教育の自治とか、或いは教育の地方分権というような見地からいたしまして疑義を挟まれた向もございましたが、日本の経済の現状におきましては、教育を地方なり或いは個人なりの創意に委せて置いたのでは、教育の機会均等が完全に実施できないという理由で以て、委員会といたしましては本請願の趣旨を熱意を以て支持することに相成りました。かくて本請願につきまして採決いたしましたところ、全会一致を以てこれらの請願を本会議において採択せらるべきものと決定いたしました。又全会一致を以て内閣において措置するを適当と認めまして、内閣に送付すべきものと決定いたしました。
 尚極めて簡略でございますから、内閣総理大臣宛て参議院議長名義の意見書案を朗読いたします。請願の趣旨については先程申上げました通りであります。で略しまして、「参議院は、願意の大体は妥当なものなりと思う。よつて右に併せ内閣は、六・三・三・四を含む統一的な学制改革を作成し、それに基ずく年度計画を樹立し、鋭意これが実現に努力されたい。ここに國会法第八十一條により別冊を送付する。」以上を以ちまして御報告を終ります。(拍手)
#15
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これら二十三件の請願は委員長報告の通り採択し、すべて内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#16
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本請願は全会一致を以て採択し、すべて内閣に送付することに決定いたします。
     ―――――・―――――
#17
○議長(松甲恒雄君) 今次関東地方水害状況報告のため、内務大臣、厚生大臣及び農林大臣より発言を求められております。この際発言を許可いたします。木村内務大臣。
   〔國務大臣木村小左衞門君登壇、拍手〕
#18
○國務大臣(木村小左衞門君) 今回の関東、東北地方水害の状況に関しまして、私の所管に属しまする部分について御報告を申上げたいと思うのでございます。
 九月八日マーシヤル諸島附近に発生いたしましたる台風は、漸次発達しつつ北上いたしまして、十五日の夕刻頃では中心示度九百六十ミリバールとなりました。東海地区において本土に上陸の氣配を見せていたのでありまするが、その後進路を東北に轉じますると共に、これが二分いたしまして、房総半島南方洋上を三陸方面に通過いたしましたるために、関東地方一体の風速は概ね二十メートル内外に止つたのであります。この風によりまする被害は思いましたよりも極めて軽微でありましたが、今回の台風が多量の降雨を伴つておりましたことは、各地に水害を発生いたしましたことは誠に遺憾でございます。関東、東北各縣に亘りまして雨量は二百ミリ乃至六百ミリの多きに上つたのであります。六百ミリという雨量は実に稀有な数字に上りまする雨量でありまして、このために各河川、特に利根川及びその支流は各所において氾濫いたしまして、群馬、栃木、埼玉を中心とする地区に甚大な被害を與えるに至つたのでございます。その概要を現在までに入手いたしました報告に基ずきまして、綜合いたしますれば次の通りであります。
 第一は埼玉縣であります。埼玉縣におきましては十四日來の豪雨で水量は未曾有の激増を來し、遂に十六日午前零時三十分頃、利根川中流の栗橋上流地点におきまして堤防が約四百メートルに亘つて決壊いたしたために、水位約八メートル九十九に達していた利根川の濁流は、一時にこの決壊個所より流入いだしまして、栗橋より幸手に至る一帶は忽ち泥海となり果てたのでございます。一方十五日午後十時過ぎ荒川の上流熊谷附近の堤防決壊による氾濫は菖蒲、久喜方面に至り、この両者は杉戸附近で合流し、帶状となつて漸次南下いたしまして、現在同縣東南隔に達せんとしておる状況でございます。そのため同縣下の約四十ヶ町村は泥水に被われております。この中、栗橋及び幸手附近の逃げ遅れました住民は、附近の高所又は堤防上に孤立するに至つたのであります。以上の状況を生じた被害の概数を申上げますると、死者が四十三名、傷者が十六名、行方不明が三十四名、家屋の倒壊及び流失三百五十九戸、家屋の浸水が六万六戸田畑の流失五百八十五町歩、田畑の冠水三万六千百六十九町歩、道路の決壊が多数、これは水の下になつておつて正確な数字がまだ判明いたしません。橋梁の流失が三百四十九、堤防の決壊が四十八ケ所に及んでおるのであります。この数字は被害の最も著しい栗橋、幸手附近の浸水地区のものを含んでおりません。これはまだ水の下になつておりまして詳細を知ることを得ないのであります。これが判明いたしましたるときには、被害は更に今少しく大きいものと予期しておる次第でございます。
 次は栃木縣であります。栃木縣の被害の中心は縣南下都賀郡の渡良瀬川及び巴波川、いずれも利根川の支流であります。この合流する地域でありまして同所附近部屋村、生井村の両村は堤防の決壊と同時に忽ち九メートルの水底に没しまして、約一万余の住民は身を以て逃れ附近の堤防に蜿々三里の長きに亘つて難を避けておる状況でございます。次いでこの被害の著しい地区は足利及び宇都宮附近でありまして、これらの被害を総計いたしますれば、死者が百六十大名、傷者が五十七名、行方不明が千四百九十八名、家屋の倒壊及び流失が一千七百八十六戸、家屋の浸水四万二千二百九十戸、田畑の流失三十五町歩、田畑の冠水一万千二百八十八町歩、道路の決壊は一千六百十八、橋梁の流失百四十、堤防の決壊一ヶ所でありまするが、この数は前同様被害調査の進むに連れまして更に増加するものと思われます。次は群馬縣であります。群馬縣の被害は主として赤城山麓から西部高崎に通ずる線以東でありまして、殊に渡良瀬川流域の被害が大きい模様でありますが、縣下全般に亘り交通と通信が全く只今でも杜絶いたしておりまするため、被害害詳細を知ることは甚だ困難の状態であります。群馬縣当局が徒歩連絡その他あらゆる方法で行いましたところの調査の結果、只今まで判明いたしておりまする数を申上げますると、死者が二百九十四名、傷者が二百九十三名、行方不明が三百五十八名、家屋の倒壞及び流失三千二十戸、家屋の浸水七万二千九百四十八戸、田畑の流失冠水が五万六千町歩、道路の決壞が百八十六、橋梁の流失が二百七、堤防の決壞が七十三ケ所であります。これも前同様調査の進むに從いまして数字は更に増加するものと思われるのでございます。以上の外に茨城縣では死者が四十名、傷者が十三名、行方不明十七名、家屋の流失及び倒壞が二百六十三戸、家屋の浸水が一万四千四百七十八戸、田畑の冠水一万五千百七町歩、道路の決壞百十七、橋梁の流失百三十一、堤防の決壞百十六、尚宮城縣では死者が一名、行方不明九名、家屋の流失二十五戸、家屋の浸水が一万千三百八十三戸、田畑の流失が五百八十町歩、田畑の冠水が三万二千四百五十七町歩、道路の決壞が八ヶ所、橋梁の流失が七百八十六ヶ所、堤防の決壞が百二十五ヶ所でありまして、尚岩手縣では家屋の倒壞及び流失が六戸、家屋の浸水が一千百六十八戸、田地の流失が百三十九町歩でありまするが、この外一関方面に相当の被害を蒙つておるような模様であります。これも東北は只今のところ十分なる連絡が付かないような状態であります。福島縣では死者が七名、家屋の浸水三千二百一戸、田畑の流失百二十六町歩、田畑の冠水が三千八百四十五町歩、道路の決壞が二十六、橋梁の流失が三十二、堤防の決壞が九十二の被害が発生しておりまして、その詳細は目下急いで調査を進めておりまする次第でございます。尚東京、千葉、神奈川、山梨、長野、新潟、靜岡、愛知、山形、北海道、その他にもかなりの被害がある模様でありまするが、その程度は先に申上げましたる六縣に比してやや軽微である模様であります。
 次に以上の被害に対処いたしまして、各府縣のとりました警防、救護等の対策について簡單に申上げます。今次水害によります被害を蒙りました各縣におきましては、それぞれ被害の甚大な地区に対策本部を現場まで前進いたさせまして、各縣廳幹部職員を出張いたさせますると共に、関係現地諸機関と緊密な連絡の下に、給食、避難、医療その他各種の救護措置に当つておるのであります。又台風に伴う豪雨の襲来に備えて、各縣では逸早く警察官、警防團員等を召集し、危險地域の住民に警報又は避難命令を発し、或いは防水作業に当らせる等、万全の事前措置を講じておりましたために、堤防の決壞により濁流に呑まれました地域におきましても、被害を相当範囲に軽減することができた模様であります。尚未だに埼玉縣栗橋、幸手方面におきましては廣汎な地区に亘つて濁水に被われておりまするために、逃げ遅れましたる住民の一部は水中に孤立して救いを求めておりまするので、埼玉縣当局におきましてはこれが救出にあらゆる苦心を拂いつつありまするが、二ヶ所の決壞部より流入する水勢に妨げられまして、救出作業は思うように十分にできかねております。併し幸いに現地進駐軍の非常な厚意によりまして、昨十七日より軍用舟艇数隻の出動による強力な援助を受けることになりましたために、救い出し作業は大なる威力を加えて来たのでございます。更に又岩手縣下一関におきましては、交通通信杜絶のために罹災者の救護及び連絡等が全く不可能に陷りまして、これが対策に窮していたのでありまするが、現地軍当局の大なる厚意によりまして、直ちに大型飛行機三機を出動せしめて落下傘による食糧の投下連絡等に当つておる状況でありまして、これらの措置により示されましたる進駐軍当局の厚意は誠に感謝に堪えない次第であります。又埼玉縣東部を栗橋、熊谷方面より南下しつつありますところの濁流は、最悪の場合には東京都の足立、葛飾、江戸川の各区にも及ぶ虞れがありますので、警視廳におきましては、これに対しすでに万全の対策を講じておるのでありますが、尚中央においても、被害府縣の救援につきましては視察連絡員等を各地に派遣いたしまして被害の実相を把握するに努め、強力な救援に全力を挙げておる次第であります。決壞いたしました堤防その他公共土木施設の復旧につきましても、極力迅速にこれを行う所存であります。又中央には水害対策本部を今日の閣議で決定いたしまして、関係各省相互に緊密なる連絡を取つて万遺憾なきを期しておる次第であります。
 最近山林の過伐に加うるに、戦時中における河川工事の縮小、繰延又は維持補修の不十分なるため、河川は極めて危殆に瀕しております。現に今回決壞いたしましたるところの栗橋約四キロの上流の箇所は、この大利根の改修ということにつきましては、内務省は御承知の通り殆んど三十年に亘つて心血を注いでこれを努力いたしました。計画水位初期からありまする限りの記録を取りまして統計を取つた水位、これを計画水位と名づけまして、計画水位の高さの堤防を築いて來たのでありまするが、今回決壞いたしましたる所まで参りまして戰爭となりまして、遺憾ながらそこで繰延べられて打切らざるを得なかつた状態になつております。今回決壞いたしましたのはその辺から決壞いたしたのであります。こういう極めて危殆に瀕しておりますことを承知いたしておりますので、先ず河川の維持管理をできるだけ十分にいたしまするために、本年度は前以て河川の災害防除施設補助費を、前年は一千万円でありましたのを五千百万円に増額いたしまして、河川改修費も追加予算等にできるだけ増額に努めて参つたのであります。尚又府縣に対しましては、河川愛護観念の徹底及び水防活動について遺憾なきを期するよう、機会がありまするごとに指示督励をいたして参つて来たのであります。尚只今の水災の應急対策としてどういうことをいたしましたかというと、取敢えず應急の策といたしましては、決壞個所の水位が低下いたしまするまでは手が着けられません。約四百メートル乃至四百四十メートルという決壞個所の切断の幅員でありますから、もうすこし水位が低下いたしませんと手が着けられません。この水位低下を待ちまして一刻も早く決壊の切り崩れました個所を締切りますことを急がねばならんと思つております。これが刻下の対策でありまして、各方面に手配いたしまして、これに要する資材の蒐集に努めております。利根川の決壞個所の締切り用といたしましては、すでに空俵、土俵二万俵、丸太杭二千本の手当を各その所に置いてあります。これに対する緊急処置といたしまして、公共事業費より取り敬えず一億円を支出いたしまして、人夫五百人、一週間の予定を以てこの切り崩れ個所を締切りたいという考えでおります。水位が低下いたしますれば、多分その作業も完了することと信じます。以上簡單でございますが、御報告申上げます。(拍手)
#19
○議長(松平恒雄君) 一松厚生大臣。
   〔國務大臣一松定吉君登壇、拍手〕
#20
○國務大臣(一松定吉君) 只今内務大臣より御報告のありました点は省略いたしまして、厚生省として直接関係あります事柄について報告さして頂きます。先ず水害対策本部を本日の閣議において決定をいたしました。これを関東北水害應急救助対策委員会と名ずけました。その対策委員会は内閣官房長官を委員長とし、厚生次官を副委員長といたしまして、関係各官職の次官及び関係局長などを委員として、委員会に幹事を置き、関係各聽の担当官をしてこれに充て、厚生省の社会局長を幹事長とするという機構でございます。そういたしまして、これらの委員会は当分の間頻繁にこれを開催いたしまして、政府部内の施策の綜合調整を行い、必要の事項は閣議にかけて即時これを決定するという方針でございます。委員会は官制によらずして、行政運営の一時組織といたしまして、懸念救助以外の災害復旧等に関しまする一般対策は、更に別途委員会を拵えましてこれを取扱うこととし、今回の委員会は臨時鷹急の措置であるということに御了承を賜わりたいのでございます。次には水害救助の取扱方針でございますが、今次の水害に当りまして緊急措置として、目下國会に提出中の災害救助法案と同様の取扱をするということが適当であると考えまするので、適当なる措置によりまして、これらの方法によりたいと考えております。罹災救助に要しまする経費、食糧、衣料、医薬、小屋掛等罹災救助に要しまするところの経費に対しましては、国庫補助につきましても、同じく災害救助法案の補助率と同様の取扱をいたしたいと考えております。次に鷹急救助対策、先ず水害府縣知事に対する指示でございますが、現地における懸念救助対策は、知事において適切な措置を迅速に講ずるように指示いたしまして、そうして各知事は只今内務大臣の御報告にありましたように、それぞれ急速にその任務に盡力をいたしておるのでございます。情報蒐集及び連絡に関しましては、厚生省において直ちに、晝間は勿論夜間も所要の人員を宿直せしめまして、内務省その他関係各省と情報の蒐集連絡に当らせます。GHQとも絶えず緊密なる連絡をとるべく措置いたして、続続それらの行動を開始いたしております。調査班の編成につきましては、調査班を編成いたしまして、昨十七日埼玉縣には物資課長外二名、群馬、茨城、栃木にはそれぞれ二名づつの関係官を派遭いたしまして、それらの應急対策を講じつつあります。救護物資調達の措置に関しましては、食糧、衣料、厨房用品、その地救援物資中、縣自体で調達の可能なるものは縣自体においてこれを調達し、不可能な分につきましては、現地調査及び知事の要請によりまして、交通運輸機関の回復次第に即時それらの品物を発送できまするように、商工省、農林省に対してそれぞれお願いをいたしまして、各省共至急これを実施することにいたしておられるようでございます。又現地軍政部の要求によりまして、GHQの指示もありますし、十七日以下述ぶるような数量の衣料、石鹸等を直ちに現地に送付付するように商工省に交渉いたしまして、その了解を得て実施いたしております。男子のスボンが二千着、男子の上衣が一千着、男子のシャツが二千着、女子の被服が一万三千六百着、兒童の被服が二万七千着、石鹸が一万三千六百個、栃木縣以外の罹災縣に対しましても、本日各省に折衝中でございます。埼玉縣の舟艇策でございますが、厚生大臣から運輸大臣に対しまして埼玉縣向けの舟艇輸送方を依頼いたしまして、運輸大臣は直ちに昨夜その手続に従事いたしまして、それぞれそれらの行動が開始せられております。一方神奈川縣より取敢えずモーターボートを、只今内務大臣の御報告にありましたように、相当なものを埼玉縣に輸送いたしまして、すでに現地に到着して活動序と承わつております。尚GHQに対しましても、飛行機による食糧その他救援物資の投下、上陸用舟艇等の送付方を懇請いたしましたが、これ亦内務大臣の御報告の通りに、関係方面におきましては非常なる熱意を以ちましてこれを快諾せられ、でき得る限りの協力を惜しまないという旨の回答を得まして、それぞれ急速に適当な措置を講じつつあることは、誠に感謝に堪えないところであります。ララ物資の救援品を急送するごとに取決めまして、明十九日これが委員会を開催いたしまして、最大可能のララ物資、食糧及び衣料、これらのものを現地に送付するように手配中でございます。明日の委員会というと、いかにも手緩いようでございますが、このララ物資の放出に関しましては委員会の議を経なければならないことになつておりますから、急速にそれらの手続をとることにいたしたのでございます。防疫対策といたしまして、浸水家屋消毒のためにクレゾール石鹸液十五トンを発送いたしました。井戸消毒晒粉一ケ所二百グラム、総量四十下ンを発送いたしたのであります。消化器傳染病、パラチブス、チブス対策のために、すでにワクチンを配給済みでございます。又未だ注射を受けていない者に対しまする注射液を必要量現地に送付いたしました。ズルフアチアゾール錠百万錠、一人四十錠、二万五千人分を現地に送付いたしました。懸念医療対策といたしまして、救護班を編成派遣いたしまして、関東地区の國立病院が十三ヶ所、療養所が十ヶ所、合計二十三ケ所のこれらの医員を総動員いたしまして一班の医者が二名、看護婦五名、事務員一名、これらを以て一班を組織いたしまして、必要なる資材、自動車を準備し、随時出動態勢を整えしめたのでございます。医師会に対しましても至急に救援対策を講ずるよう指示いたしました。日本赤十字社におきましては、本社において救護班を編成すると共に、東京、神奈川、千葉各府縣市部に救護班を編成して、直ちに発動するように指示をいたしました。衞生資材、前に申上げました外、衞生資材は以下申述ぶる通りでございます。クレゾール石鹸液が十五トン、二十万戸を目標として百万人分、晒粉が四十トン、DDTが八百トン、脱脂綿が百グラム三千個、五十グラム包一万個、繃帶、ガーゼ、その他必要に應じて出せるように、只今手配中でございます。GHQとの連絡は絶えず緊密にやつております。GHQにおきましては、非常な関心を拂つて、でき得る限りこの救援をしてくれるということに快諾せられておりまして、直ちに昨日以來から大活動を開始せられております。GHQの公衆衛生福祉部におきましては、各縣一班ずつ三班を編成して埼玉、群馬、栃木、茨城各縣にメーヂヤー・レオルダン、ミスター・ネフ、ミスター・マーガソン、その他社会局庶務課齋藤通訳等も同行いたしまして、本日未明現地に出向せられたのであります。
 日本赤十字社、同胞援護会等民間團体の活動について御報告申上げます。が、政府の活動に対應いたしまして、日本赤十字社、同胞援護会等の私設團体は政府に協力して、本部及び各地支部に積極的に活動を開始いたしております。その他時宜に應じまして急速にすべての手続を取ることに対策本部におきまして目下研究中でございます。この段御報告申上げます。
#21
○議長(松平恒雄君) 平野農林大臣。
   〔國務大臣平野力三君登壇、拍手〕
#22
○國務大臣(平野力三君) 今回の関東の大水害に関しまして、專らこの食糧問題に及ぼしまする影響について、所管事項について御報告をいたしたいと思います。
 御承知の通り、関東一円には輸入食糧を製粉いたしまするところの工場が散在いたしておりますので、これらの工場と輸送関係につきまして非常に心配をいたしたのであります。只今まで判明いたしております大体の概況について申上げますると、高崎線は今明日中に大体開通の見込であります。従いまして高崎線が開通いたしますならば、信越線も大体において全通する見込のようであります。常磐線は十六日に運轉をいたしたようであります。「上の方から観察をいたしました結果によりますると、水戸まで大体開通見込が付いておるようであります。東北本線は栗橋、久喜の間において非常に損害がありまして、この復旧の見込は現在立つておりません。上越線は岩本、敷島間の鉄橋が流失をいたしまして、復旧までには尚三週間を要するという報告であります。中央線は大月、初狩間において鉄橋が流出いたしまして、約二十日間の復旧を要するという報告を受けております。以上の交通関係から見まして、現在輸人食糧の配給がどういうことになるかということを檢討して見ますると、先ず千葉縣に存在いたしておりまするどころの製粉工場の主なるものは、船橋近辺にあるのでありまするが、この近在は健全でありまして支障がないのであります。埼玉縣の川越近在にありますところの製粉工場は、この地帶が水害より免れておりまするので、先ずこの点は安全であります。茨城縣におきまするところの工場地帶として、赤塚附近は水戸まで開通いたしまするならば、輸送上支障ない見込であります。群馬縣高崎近在にある工場につきましては、先刻申上げまするように、高崎線が開通する見込が立つておりますので、これ亦支障がない見込であります。問題と相成りまするのは東北本線及び両毛線の沿線にあります所の小山、太田、館林、佐野、この近辺に存在いたしますところの工場等が、現在明確なる報告を受けておらんのでありまして、この点については多大な心配をいたしておるのが現在の状況でございます。
 次に、重大でありますところの早場米の問題について、この影響を申上げますると、富山、石川、新潟の西部、この地点に関しましては信越線が大体回復の見込が付いておりますので、先ず支障ない見込であります。併しながら上越線が不通になつております関係上、新潟及び山形の早場米の輸送に関しましては、現在非常に心配をいたしておるのであります。尚東北線開通が非常に遅るるということになりますれば、青森、岩手、宮城等の早場米に影響がありますので、この点大いに運輸省に対して我々は督励をいたしておる次第でございます。
 以上の状況でありまするが、尚ここに御報告申上げたいと思いますることは、かような状況ではありまするが現在京浜地区に配給をいたしますところの食糧については、現在営團が持つておりますところの手持が八日分あります。尚政府が持つておりますところの手持が三万石、約三日分あります。この外横濱に現在着いておりますところの輸入食糧が十一万石九日分ありますので、先ず京浜地帶に対しては合計いたしまして二十日分の食糧を保有いたしておりますので、今直ちに京浜地帶に重大なる影響があると思いません。併し二十日間の手持を持つておりまする間に、各地の交通機関及び早場米等を督励いたしまして、かような問題について停頓なからしむるように盡力をいたしたいと考えております。尚長野縣、山梨縣におきましては中央線が不通でありますので、名古屋方面から輸送計画を立てまして、この両縣についても大体心配のない見込であります。
 次に申上げたいと思いますことは、今回この水害によりまして関東一円において受けましたところの食糧関係から見まするところの作物の被害及び耕地の流失等に関しまして、今朝まで到着いたしました数字をそのまま御報告申上げまして御参考に供したいと思います。この数字は農林省から直ぐ水害と共に派遣をいたしました調査班が今朝未明に帰りまして、これを取纏めた数字でありますので、固より正確を期することは困難であるということを前提として御聴取りを願いたいのでありまするが、大体の概況を申上げることによつて、この水害の規模を御承知を願う意味において申上げる数字でありますので、この点よく御了承の上お聽取りを願いたいと思います。
 埼玉縣において浸水いたしましたる田畑合せての面積は四万七千二百町歩ということになつております。栃木縣におきましては四万一千三百町歩、千葉縣におきましては二千町歩、群馬縣におきましては三万二千町歩、神奈川縣におきまして四千七百五十町歩、茨城縣は調査員がまだ帰還いたしませんので、数字がないのはお許しを願いたいと思います。
 次に重大なる耕地の流失及び埋没、つまり耕地が使えなくなりましたところの面積は、埼玉縣におきまして一万八百町歩、栃木縣におきましては三百六十町歩、千葉は五十町歩、群馬二千町歩、神奈川九十六町歩。
 次に申上げたいのは、農作物、殊に米と甘藷の被害の見込数であります。埼玉縣におきまする所の米の被害は五十四万六千石、かような数字が出ております。栃木縣におきまして四十万石、千葉縣におきまして一万五千石、群馬縣におきまして二十六万三千石、神奈川縣におきましては千百二十石、甘藷につきまして埼玉縣におきましては千三百万貫、栃木懸におきましては六百万貫、千葉縣におきましては三十万貫、その他の縣は不明であります。
 以上が大体今朝までに到達をいたしましたる農耕地及び農作物の被害でありまするが、この点に関しまして明日招集をいたしておりまするところの知事会議において、現在政府は日本全國の総生産量というものを、米について六千百十六万石、農家の割当といたしまして三千百十六万石というものを割当てまして知事会議に臨む準備をいたしておるのであります。このことについては、この被害によつて知事会議を延期すべしという意見もありましたが、現下の食糧問題の重大性に鑑みまして、單に関東の被害のみによつて全國の知事会議を延期すべき理由はないと考えまして、明日は既定通り実行をいたすのであります。従いまして固より政府が持つておりまするところの総生産量の六千百十六万石、及び三千百十六万石の供出割当等については、多少の変更をせざるを得ないことは止むを得ないと考えまするが、これらの具体的数字に関しましては、よく所管の縣知事と相談をいたしまして善処をいたしたいと思います。併し大局から申上げまして、この関東及び東北等の被害によつて相当作物に被害のあつたことは御承知の通りであります。併し日本全國を通観いたして見ますと、被害のない土地におきましては、相当の豊作でありますので、私は今回の水害は誠に遺憾でありますけれども、これによつて日本全國の食糧問題に対して極めて重大なる影響を及ぼさないように、地方の縣知事諸君と相談いたしまして、現下の食糧問題の打開につきまして善処いたしたい、かように考えておる次第であります。一言所管事項につきまして御報告申上げます。
     ―――――・―――――
#23
○議長(松平恒雄君) 議員派遣の件につきお諮りいたします。関東地方の水害について、その被害状況を調査するため埼玉、栃木、茨城、群馬の各縣に明十九日から三日間の日程を以て議員二十名を派遣することとし、その派遣議員の指名は議長に一任されたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。尚治安及び地方制度委員長及び司法委員長よりそれぞれ今次の靜岡刑務所における脱獄事件の眞相を実地調査するため静岡縣に濱田寅藏君、岡本愛祐君、齋武雄君、鬼丸義齊君及び岡部常君を來る九月二十一日から二十四日まで四日間の日程を以て派遣したいとの要求がございました。これら六名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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