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1949/05/12 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第12号
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1949/05/12 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第12号

#1
第005回国会 水産委員会 第12号
昭和二十四年五月十二日(木曜日)
    午後一時四十七分開議
 出席委員
   委員長 石原 圓吉君
   理事 小高 熹郎君 理事 鈴木 善幸君
   理事 玉置 信一君 理事 平井 義一君
   理事 林  好次君 理事 砂間 一良君
   理事 小松 勇次君
      川端 佳夫君    川村善八郎君
      五島 秀次君    田口長治郎君
      冨永格五郎君    夏堀源三郎君
      二階堂 進君    西村 久之君
      松田 鐵藏君    奧村又十郎君
      早川  崇君
 出席政府委員
        水産廳長官   飯山 太平君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (水産廳次長) 藤田  巖君
        農林事務官
        (水産廳経済課
        長)      久宗  高君
        衆議院法制局長 入江 俊郎君
        専  門  員 小安 正三君
        専  門  員 齋藤 一郎君
    ―――――――――――――
五月十一日
 八幡浜漁港修築工事継続等の陳情書(八幡浜市
 長菊地清治外四名)(第四五二号)
 漁業法改正案に関する陳情書(富山縣定價漁
 業協会長大西亮三外一名)(第四六八号)
を本委員会に途付された
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 漁業法案(内閣提出第一八六号)
 漁業法施行法案(内閣提出第一八七号)
    ―――――――――――――
#2
○石原委員長 これより会議を開きます。
 本日は漁業法案及び漁業法施行法案の両案を、一括議題として質疑に入ります。質疑は通告順により、これをお許しいたします。夏堀君。
#3
○夏堀委員 漁業法改正の問題は、わが國の漁業の革命的な大事業であります。この方法を一歩誤つたならば、わが國の漁業はむしろ――目的も民主化とか、あるいは漁業生産ということをうたつておりますけれども、その反対に非民主化的に、あるいは生産を阻害さるる面に行くのではないだろうかということを、私どもは憂慮するものであります。政府においてもこの面はお考えになつておるだろうと思いまするが、それは政府の方でもすでに一片の法律では漁民の民主化、生産増強の目的一を達成できないのであつて、政府は漁業経営の安定、漁民生活の確保に関する諸施策を行うと言つております。こうしたようなことは、非常に具体的にこの法案を生かして、目的達成のためにどうするかということを、今議会においで十分に審議することは当然でありまするが、私は次の数点に対して、この目的達成のために政府にいかなるお考えを持つておるかいうことを、お伺いしたいのであります。
 農業の場合に農地改革が行われ、大地主の犠牲において、働く農民に耕地が與えられた。漁業の場合においては、同じく働く漁民に漁業権與えて、民主化と生産増強をはかるということにその通りでありますけれども、農業に土地を與えて、みずから働くその立場を法律の擁護によつて確立することができたのでありますけれども、農業と違つて漁業は莫大な資金を要するのであります。こうした場合に政府が農業と比較して、金融措置、これをどの程度にお考えになつておるか。われわれの考えるところでは、農業の場合においてさえ農業保險法がありまして、その保險の保護によつて金融が認められております。農業の場合にも漁業保險、あるいは災害保險その他の金融措置がなければ、せつかく民主化のために、そうして協同組合の強化のためにできた法律も、目的の達成に非常に困難なのではないかと考えておるのであります。この点に対して、政府にいかなる措置をおとりになるか、まずこれをお伺いしたい。
#4
○藤田説明員 問題は非常に大きな問題でございまして、むしろ農林大臣からお答えいただくのが適当かと考えておりますが、事務当局として考えておりますところを申し上げたいと存じます。御意見の通り漁業法の今回の改正案によりまして、漁業の生産力の増強と漁業の民主化という問題を取上げておるのであります。しかしながら一方資材、資金等についての表づけをする措置がない場合には、せつかく法律上この特別的な待遇を講じておりましても、漁民團体はそれを有効に利用することができないというふうな結果になることは、私どももこれを憂えておるわけであります。從つてこの問題につきましては、この漁業法の改正案が施行され、実施されるのと並行いたしまして、漁業金融の問題、特に協同組合の金融の問題について、從來より一層はつきりした、また特別な措置を講じなければならねかように考えております。やはり水産金融の問題は一概には論ぜられないのでありまして、水産業は御承知の企業的な大きな会社によるものもあり、それから協同組合によるものもあり、あるいはまたその間、いわば中小の企業者によつて、個人によつてやられるものがあり、それからまた資金の性質から申しまても、長期の資金があり、あるいはまた短期の資金がある。それぞれその対象とするもの及び資金の性質も違うわけであります。それぞれに應じて適切な処置を講じてやらなければならぬ。かように考えております。現在意見の出ておりますのは、結局協同組合に対するいわば半長期的な資金というふうなものを対象にしておられたと考えております。その問題につきましては、私ども現在の考え方は、現在ございますところの農林中央金庫のあの制度を拡充して行きまして、さらに水産に対する資金のわくというものを拡大いたしまして、廣く協同組合の、特に漁業権の切りかえ時におきます金融について、特別の措置を講ずるような方法で考えて行きたい。そういうふうに思うております。
#5
○夏堀委員 政府は本法案を施行するに当つて、特別な金融措置がなければ、この目的は達成困難であろうということを認めておるようであります。よつてこれと並行してという街答弁がありましたが、並行するということであつたならば、この法案を提出する前からすでに研究して、金融措置をいかにするかということを十分に本委員会に説明し、すでにそれが発足してなければならぬと思うのであります。協同組合は今改組中であります。そのためには金融は非常に困難である。改組が完了してからでも、なお併合ではなく、あとまわしにしての金融措置は、結局これは何にもならぬのであつて、協同組合のせつかくの出発の第一歩を誤るものであるとわれわれは信じております。先ほど私の質問したことは、金融措置といわず、それをもつと大きく、農業協同組合、あるいは農地改革、この面において政府が考えたように、漁業保險、災害保險までも考えておるかということを質問したのでありますが、これに対する御答弁はまだないようでありますから、あわせて答弁をお願いします。
#6
○藤田説明員 御質問のように、農業方面における農業保險と同様、漁業保險、災害保険について用意があるかということでありますが、私どもといたしましても、将來水産業というものが安定をし、しかも金融機関をして、安んじて水産業に融資せしめる裏づけ措置としての漁業保險度はきわめて必要なものと考えております。ただ御承知のように、いかなる場合にこれを保險事故にするかという点になりますと、この漁業保險というものは、非常に、なお研究を要する点があるのであります。またこれを当初からすべての漁業について適用して行くかという問題につきましても、資料その他の関係で非常にむずかしいものもあろうかと思います。私どもの考え方といたししては、漸進的にこれを進めて参る。全体的にかりにできませんでも、そのうち保險として取上げられるような部門からこれを漸進的に取上げる。しかもその保險事故というものについても、当初はできるだけこれを限定をいたして、そうして一應制度をつくつたあとで、さらにそれを完備して行くという方向へ考えて行く必要があろう從つて私どもが現在研究をいたしておりますのは、定置漁業につきまして、その災害のありました場合の漁具の災害保險、こういうようなものについてまず災施して行くというふうな考え方から、現在いろいろと研究いたしております。
#7
○夏堀委員 ただいまの御答弁では私満足することはきません。やはり研究の過程より一歩も進んでおらぬのであつて、先ほどの答弁のうちに、並行してやるという御意思があつたようでありますけれども、これは実は不可能であると私は考えております。この重大な問題を、いいかげんな一片の答弁によつてその場限りにされるということでは、私は満足することはできませんので、今議会中に、この漁業保險法、災害保險及びこの裏づけとなる金融措置について、責任のある御答弁を農林大臣より承る機会を、委員長においてつくつていただきたいということを申し添えておきます。なお漁業権は一應國で全部買上げるという建前になつておりますが、先ほど申しました通り、働く農民に耕地を與えるという根本の考え方に立つての農地改革と、現在漁業を営んでおる漁業者から漁業権を買取つて、これを再分配するということは、理論的には一應考えられる点もありますけれども、実際の面においては一時的でも生産を阻害するではないだろうか。そして漁業協同組合に優先的に順位を定めておりますけれども、漁業協同組合に今のような金融措置の裏づけがないうちに、法律においてこれを認めたところで、漁業協同組合はおそらく事業に着手することは不可能であろうと思います。そうした場合に、ただいたずらに法律によつて、せつかく漁業に挺身しておるものを取上げて、生産を減退させるということは、漁業の民主化というはやり言葉にとらわれて、いたずらに日本の漁業生産を混乱させることになりはせぬかということを私どもは憂慮しておるのであります。よつてこの措置の方法については、注文を生かし、また運営をどういう方法でもつて行くかということは、各委員からも今後十分意見の発表がありましようけれども、非常に重大な問題でありますので、この法律の精神はわかつておりますけれども、実質においては反対の方向にもつて行かれるおそれがありますので、この際運営方法について、今私の申し上げましたようなことがあり得るかあり得ないか、政府は一体考えておるかおらないか、この法律で定めたことによつて必ず民主化と生産増強ができると考えておるかどうかということを質問いたします。
#8
○飯山政府委員 今夏堀委員の御質問の趣意は、この漁業法の改正によつて、改正の目的としておる生産の増強、漁業の民主化、これは精神としてはとられるけれども、実際にこれができないでにないかという御意見と拜聽するのであります。この点につきましては漁業法が今日まで三年の日子を費して、ようやく本國会に御審議を願うというように運んだ経過から見しても、その点は当局といたしまして相当苦心いたしたのであります。しかしながら必ずしも從來の漁業権者が、今後この改正によつて、從來の漁業に從事できないのだということではないのでありまして、一應再分配をするけれども、適格性によつてこれを付與するということになつておることは御承知の通りかと思うのであります。その際にもし生産に影響を來すという場合には、おそらくこれは官廳ではありませんけれども、調整委員会においてそれを適当に処置され得ると私どもは期待しているのであります。從つて付與するかせねかということに、大体調整委員会において――これは最後の決定ではありませんけれども、主としてその機関において決定に至らしめる。こういうことになつております。從つて調整委員会に適当な方々が選ばれることと私どもは信じておりますが、その方々によつて、ただいまの生産を逓減する、あるいは混乱させるという事態を來すようなものについては、漁業権の付與は行われないのじやないか、かように私は考えております。
 なお協同組合が優先であるが、これが生産に從事することができないのじやないか、生産が実際において行われないのじやないかという点についても、一應そういう考え方もあると思いますが、実際において力を備えない場合には、協同組合としても漁業権を付與することはできないのではないかと思います。少くも協同組合が漁業権を受ける場合には、漁業権を十分に行使して生産をあげ得る、こういう基礎がなけれげば付與されないのではないか、かように私は信じております。
#9
○夏堀委員 飯山長官は事業家であつて、この内容については十分におわかりになつておりながら、かなり苦しい御答弁をなさつておること私もよくわかつております。しかし一片の答弁で、こういう方法によつてもつて行きたいということは、あなたの希望であつて、経済の大きな動きはそう簡單には行きません。たとえば先ほど申し上げました通り、漁業協同組合に金融の裏づけのないうちにこの法律を発動したところで、金がない者にその事業ができようはずがないのであります。適格性とか何とか言いますけれども、これは結局力によつてすべてが結末がつけられる。払の憂慮することは、漁業協同組合はなるほど金がないから、名前だけ出すということでは、その裏において何かしらここに資本閥が働くおそれがありはしないか。この前の委員会でも私は農林大臣に質問いたしました通り、たとえば漁業財閥――あるいは捕鯨によつて莫大な利益を収めたその余力をもつて機船底引及び沿岸漁業のあらゆる方面において強力に推進しておることは御承知の通りであります。その内幕になつて、命を支出して内容のよいところを資本閥に吸い上げられ、金がないために、ただ表面に立つていわゆるおどらされるということは、この法律の最も大きな問題である漁業の民主化とどういう関係をもつているかということを私は伺いたいのであります。長官のおつしやる一應表面に現われたことと、経済の非常に苦しい、金融の行き詰りの状態において行われる実際の面とは、今長官の御答弁になつたそれとは遠く離れたものとして現われることを憂慮するものであります。この点に対して長官はどういう御感想を持つておるか、もう一ぺん御答弁を願いたいと思います。
#10
○飯山政府委員 ただいま商業資本、あるいはその他の大資本によつて、協同組合の名において、これが行われるというおそれが多分にあるのではないか。むしろそれが非常に大きな事実となるのではないかという御見解と思うのであります。この点については、私の理論をただ申し上げるのではなく、少くも漁業法の改正は、そういう点を是正しようというのも内容としておると思うのであります。現状のままで置くことは、かえつてそういう状態を激化して行くというように私どもは考えておるのであります。私もそういう傾向を、この改正によつて是正して行こう。この点は見解の相違と思いますが、私どももこの見解の相違でこれをお答えしようというような考えは持つておりません。現実においてこの漁業法の成果が、あがらないということになりますならば、これはひとり私どもの資任というような小さい問題ではありません。從つてこれが運用に当つては、皆様の有力なる方面の御協力も仰いで、そうしてこの点を是正して行きたい、そうして民主化によつて初めてそれがほんとうに防止できるのだ、かように私どもは考えておるのでありまして、これ以上は意見の相違になるんじやないかと思うのでありますが、この程度で御了承願います。
#11
○夏堀委員 この問題は非常に大きな問題でありますので、今ここで長官といろいろ質疑應答したところで割切れる問題ではありませんので、また次の機会に――金融の裏づけのあることによつてそれが防止されるという見解に達するだろうと思いますので、あわせてこの点は今議会中に、水産廳としてこういう方法をもつて金融の裏づけによつて、私どもの今申し述べましたことを防止することができるというはつきりした見解を明らかにして、本委員会に農林大臣より答弁を願いたいと思います。藤山次長の一昨日でありましたが、説明のうちに、漁業権の保証金額を三百億とうたつております。そうして三・七%の徴収去々ということを述べられたようであります。三百億円の補償金額を承認するために三・七%の漁獲高を徴収するという意味でありますか。それとも三・七%の漁獲高が大体その評價に該当するという程度のお考えでありますか、これをお伺いいたします。
#12
○藤田説明員 御説明をいたしましたのは、補償金額をそれから利子を合計いたしますと約三百億になるのでありまして、法律に基きまして、この三百億の補償金額、それから行政諸費、漁業調整委員会の費用その他のものでありますか、そういうものに当てるために免許料、許可料を徴収するということになつておるわけであります。從つてそれを充当するための費用といたしましては、平均いたしまして漁獲高の三・七%、それを免許料または許可料として徴収いたしますれば、大体補償金なり行政諸費をまかなうことができる。こういう数字になつております。
#13
○夏堀委員 三・七%を徴收して補償金額に充当するということでありますが、漁業は一定の確定的な数字を現わすものではないのである。しかるにこの補償金額ということは、これは予算面にすでに計上しなければならぬ問題であります。不確定な金額を予算に計上して、はたして政府がこのバランスをとることができるかどうか、これは私はできないだろうと思います。現在漁区の拡張はまだ行われない。漁場は年々荒廃すべき非常なる悲しむべき段階に置かれておる。この際に現在の漁獲をはたして維持することができるかどうかということは、これは非常な不安のうちに私どもは考えておるのであります。そうした漁業経済のうちに不確定な三・七%を徴収して、はたして三百億の補償金額とバランスをとることができるかどうか、この点に対してお答えを願います。
#14
○藤田説明員 これは現在の状態をちよつと想像していただけばわかるのでありますが、現在では漁業会が漁業権を持つておりまして、実際の経営者は、これを借りている。それで借りる場合につまり賃貸料を拂つておるわけでありまして、それには私どもの資料で考えますと、大きくは一割、平均いたしましても六%程度のものは拂つておるというふうに考えられるのであります。今度漁業権制度の改革によりまして、みずから経営する者に権利を與えるというかつこうになるわけであります。從つて私どもといたしましては漁業権者に対して補償をして、そのかわりに從來漁業権を借りて経営しておる者は漁業会に対して拂うべき賃貸料はなくなるわけであります。われわれといたしましては、そういうものを補償の財源といたしまして、これで補償金額をまかなつて行くということは可能でもあるというふうに考えるのでありますが、実際問題といたしましての御質問は、おそらくそういうことでなく、現在の漁業経営が非常に行き詰つておる。高額な税が講せられておる。それにもかかわらずさらにここに三・七%の免許料が徴收せられるというふうな場合になりますと、漁業経営の基礎が危うくされるのではないかというふうな意味の御質問かと想像するのであります。その点につきましては私ども十分研究いたしたのであります。われわれといたしましては、將來漁業に関する税は根本的にこれを檢討して、そうして水産業が安定するような方向に持つて行かなければならぬ、適当な税は当然拂うべきであるけれども、それが水産業としての基礎を危うくするような高額な税になつておる場合には、これを是正しなければならぬと思うのでありますが、実際問題といたしまして、そういう点についてのはつきりした基礎資料が非常に少いのであります。從つて私どもといたしましては今回の考え方によつてそういう免許料をとつてこれを経費として落す、経費としてこれを見て行くべきでありますが、現在のような税が課せられた場合に、はたしてそれが合理的であるかというような細部にわたつての檢討をむしろやつて行く。つまり免許料をとることによつてそういうふうに経営内容の分析もやつて行く。そうして税制についても実際に徴税方法あるいは徴税額等についての改善に関する資料をつくりまして、これを進めて行きたいというふうな考え方でおるわけであります。そのことを御了承いただきたいと思います。
#15
○石原委員長 ちよつとお諮りいたします。入江法制局長が漁業法案について発言を求めておられるのですが、夏堀君の質問が長いのならば、時間の関係がありますから……。
#16
○夏堀委員 よろしゆうございます。
#17
○石原委員長 それではこの際入江衆議院法制局長より発言を求められておりますのでこれを許します。入江衆議院法制局長。
#18
○入江法制局長 最近私に対しまして関係方面からただいま御審議中の漁業法について、こういう点を修正してみたらどうであろうかという参考意見の呈示がありまして、これを当委員会にお傳えするようにということでありましたので、ここにお傳えを申し上げまして御参考にまで供したいと思います。関係方面でも、この参考意見はほんの参考意見であつて、それをとるとらないは議会において自主的に判断をしていいのだ。しかしながら自分たちの考えるところによると、こういう点は原案に対して十分考慮をしてはどうかというような参考意見であります。
 数点にわたつておりますけども最も要点に触れておると思いますのは、第十六條の第八項に定置漁業に関する免許の場合の優先順位の規定を北海道に適用しないとあります。この規定は不合理ではないか。この規定は削除して、北海道においてもその他の地区におけると同様に、定價漁業免許の優先順位の規定を適用すべきではなかろうか。北海道についての特殊事情は種々研究したが、この規定を置いて適用を拝除するほどに特殊の事情は認めがたいというのが第一点であります。
 第二点は五十八條の規定でありまして、五十八條の第六項に、「前五項の規定は、大型捕鯨業には、適用しない。」とある。この規定はやはり不合理ではないかというのであります。五十八條の新規許可の場合の許可の数であるとか、あるいは申請者の数が多いとくじ、引きできめるとか、こういう方法について大型捕鯨業についでは適用しないことになつておりますが、かようにしておきますと、結局行政官廳が事断でその選択をすることになつて、捕鯨業の民主的な発達にはたしてこれでいいかどうか、考慮すべき余地があるというのであります。この二点が実質的に担当重要な点であると思いますか、このほかになおこまかい点で数点ございますから簡單に申し上げます。
 第一点は、この法律の規定の方法におきまして、できるだけ民意を聞くという機会を與えること。それからまた委員会等で審議をするという場合にも、公聽会の制度を採用すること。また相手方である本人に不利益を與える場合にはあらかじめ本人にその事項を通知するなり、または本人がみずからそこへ出て来て十分その主張を述べる機会を與えること。それらの点について考慮をしたらどうか。これらこの法律の十一條、十二條、十三條、十四條等に関連しております。なおこの十四條の規定で、十四條の第三号に免許をする場合の適格性について「海区漁業調整委員会における投票の結果、総委員の三分の二以上によつて漁村の民主化を阻害すると認められた者であること。」とありまして、そういつたような適格性がないようになつておりますが、漁村の民主化を阻害するという簡單な書き方でもつてかたずけてしまうことは、どうも漁民の権利を不当に侵害するおそれがある。もつと的確に法律で標準を書くべきであるということを言つておりました。それからなお第二十四條の規定であるとか、あるいはまた七十六條の規定であるとかという点につきましても、やはりこの規定はもう少し條件を法律で書いて、その趣旨を明確にしてみたらどうであろうかと言つておりました。それからもう一つ七十四條でありますが、七十四條の第三項に臨檢檢査の規定がございます。この臨檢檢査の規定は漁業監督官は必要があると認めると、個人の事務所等に立入り檢査をすることができるようになつておりますが、こういうふうなことはどうも人権を阻害するおそれがあるので、できれば何か裁判所の許可を受けるとかなんとかという方法をとつてはどうかということを言うておりました。こういう規定はほかの法律にもたくさんあるのでありますが、最近私に呈示されましたその方面の意見はほかの法律についてもこの方面について多々意見がありまして、これは憲法の三十五條の精神に反する規定であるということを言つておつたのであります。
 それからなお漁業法施行法につきまして二、三意見がございましたからちよつとそれを申し上げさせていただきますが、漁業法施行法の第六條の第二項、これは「前項の規定により新法に基いてしたものとみなされた処分の有効期間については、別の命令で特別の定をすることができる。」とありますが、命令でもつて有効期間をどうきめるのか、全然行政官廳の命令にまかしてしまつたような氣がするので、これはどういうふうな特別の定をするのかについて法律でもう少し明定できないであろうか。それから今の施行法の九條と十條の関係でありますが、補償金を交付するということはけつこうだが、その補償法についてさらに規定をこまかくする必要がないかと言つておつたのであります。
 以上し上げました点は法制的見地から見ますと、もちろんこれはすべてその通りにしてさしつかえないわけでありますけれども、その実体につきましては十分御研究を願いたいと思うのであります。それだけ申し上げまして御参考に供したいと存じております。
#19
○石原委員長 これに対して何か御質疑があれば簡單に御発言を願います。
#20
○川村委員 ちよつとお尋ねいたします。第十六條の第八項に「第六項の規定は、北海道においては適用しない。」とあるのは、なるほど生産組合の場合を指しておるのでありますが、これは北海道の事情などについて、あなたに、ただ單に北海道も全國一律にしなければおもしろくないというだけのお話でありましたか。さらにもう少しつつ込んで、北海道の事情はそう特殊性を持つていないというような具体的の言葉をあなたに話されて、適用しないということは不当でしあるということを言われておりましたか。この点について伺いたい
#21
○入江法制局長 その点につきましては相当詳細に理由を言つておりました。先ほどは簡單に結論だけ申し上げたのでありますが、お尋ねがありましたので申し上げます。関係方面では各種の方面からの意見を聴取しておるが、北海道を除外したいということの理由には、大体五つほどの理由があるように聞いておる。その第一の理由としては、こういう規定を置かないで、北海道を全國と同じようにすると、生産組合が漁業権者に――定價漁業の権利を持つことになる。そうすると思想的にもおもしろくない結果が起るのではないかというふうなことを言う人がある、これが一点。またかようにしておきますと、極端な思想を持つた者であるとかあるいはボス的の勢力がこの海区漁業調整委員会の中に入つて來て、おもしろくない結果を起しはしないかというのが第二の理由。生産組合を第二順位として権利を與えると、生産組合を、わけなくつくつて、実施の伴わないようないわゆる幽霊組合をつくるおそれがある。これが第三の反対理由。第四の反対理由は、北海道には内地から出かせぎの漁民がたくさん行けれども、そういうものが組合をつくりまして、実際において組合の運営なり、この定置漁業の権利というものをそういう出かせぎ人が運用してしまうおそれがあるという点、第五の反対理由は、北海道の定價漁業の状況は、漁業権者が実際に漁業をしておるのが多い。内地においては、この定置漁業の漁業権者と実際にそれを行つておる漁業者というものとが違う場合があるのだけれども、北海道は同じ場合が多い。それだからして個人たる漁業者に権利を與えるのがいいので、組合はよくないという理由、この五つの理由を大体聞いておる。しかしいずれについても、関係官はあまり賛成できない。第一点の思想問題云々ということは、これはそういうことを言い出せば切りがないというので、そういうことでこういう権利を特別に制限をするというふうなそういう行き方で解決すべきものでない。それからまたこの調整委員会にボス的勢力が介入するというようなことは、これは委員に対してリコール制度とか、あるいはその他の監督の方法もあるから、それで十分規制して行くことができると思う。幽霊組合云云については、この生産協同組合というのはわずかの人数でも組織ができるようになつておる。七人ということを言つておりましたが、七人でできるわけだからの組合をつくることはきわめて簡單なことで、何その中にこういう規定を置く置かないにかかわらず、簡單にできるのであつて、幽霊組合がこのために多くできるという心配はないと思う。四番目の出かせぎ漁民に実体を奪われるという点は、これはもう組合自身がそういう出かせぎの漁夫を使うということを必要とするならば、すればいいのであつて、そういう出かせぎの人を必要とするのが北海道の現実の事情であるから、それを否定する必要はないのでさしつかえないと思う。最後の漁業権者が実際に漁業を行うという事実が内地より北海道の方が多いということは、これにむしろ反対である。向うで調べた調査によると、現に行われておる定置漁業権の数字を基礎にして考えるというと、自分で実際に運営をしておるパーセンテージは、北海道においては五〇%ないし六〇%の間である。ところが全國平均においてもやはり五〇%ないし五五%くらいであつて、今の点は自分たちの調べたところでは北海道が特殊事情があるとは思えない。そういうような理由からこの條項に反対をすると言つておりました。
#22
○冨永委員 簡単にお尋ねいたします。この漁業法は第四次で、三次までの案をいろいろ修正して來て、今度の提案になつたわけであり、しかも水産廳当局、農林省は関係方面とも相当折衝をせられたやにも今まで承つておりますが、この北海道の問題は非常に重大であつて、ようやくことここに落ちついたもののように考えておりましたが、今のような御見解を承りまして、また出直る形にもなるのであしますが、その点については、一体從來そういう方面の了解なしにこういう提案になつたものかどうか、了解があつたけれども、さらにそういうふうになつたか、そういう点を一應お伺いしたいと思います。また修正をお考えになられる箇所か多いように考えられますので、今の質問をいしたす次第であります。
#23
○飯山政府委員 この法案が了解を得た場合に、今の修正の問題は関係方面において必ずしも一致していなかつたようであります。しかしGSとしては、これは一應了解をする、こういうことであつたわけで、私どももこの法案が了解を得た後に関係方面とり折衝におきましても、この問題を論議をしておつたのでありますが、私どもと関係方面当局との意見は最後までこれは一致しなかつたのであります。それで私どもはこのただいま提案ておりまするものを出したのであります。さようなわけで、了解は全文において得たのでありますが、関係方面の一部にはそういう意見がやはりあつて、解決しなかつたという事情であります。
#24
○石原委員長 この問題はこの程度でとどめます。次に夏堀君先の質問の継続をどうぞ。
#25
○夏堀委員 いろいろ質問いたしたいことはありまするけれども、きようは今の予算措置についての意見をもう一つ伺つて、あとの質問に次にまわします。やはりこの三百億円という料金のバランスをとるためには、漁獲高一本で行くことに私は危險であると思います。これにはもつと確定的な何かをお考えになる必要はないだろうか、もちろん三・七%の漁獲高ということ、これに全然否定するものではありません。もう少し確定的に持つて行く線を、もう一歩何か研究する必要がないか、こう考えております。これもまだ私研究をいたしておりまするから、これは次の機会にいたします。この免許料及び許可料で、補償金あるいは調整委員会の費用、また本法施行に伴う費用となつておりますが、本法施行の費用といものは、行政面に現われた費用だと私は考える。特に私ふしぎにたえないことに、業者の負担において行政済務の費用を負担しなければならないという理由はどこにあるか、これに対する御答弁を求めます。
#26
○藤田説明員 その点はまことにごもつともな御意見だと思います。これは率直に申しますと、農地の改革の場合には、それらの行政費というものは國が負担をいたしておる。水産の場合において免許料として特別にとらなければならぬ理由については、私どもも同じような考え方をもつております。もちろんこの補償金に見合いになりますものは、われわれの考え方といたしましても、國家財政がこういうふうな場合でございますから、これを免許料のような形でとつて行くことも、漁民諸君に納得をしていただけると思いますが、行政費の分につきましては、御意見のような質問が必ず出るであろう。私どもといたしましてもその点につきましては、從來できるだけそういうふうなものについては、一般の方からも出していただき、どうしても財政上それのみで足りない部分については、一部免許料をもつて負担をする、こういうふうな考え方で進んでおつたのであります。しかしながらずつと交渉の最後の結果に至りましてきまりました点は、ここにございますように補償の費用、それから行政の費用とちようど見合いになりますように、免許料、許可料といものをとろうということに相なつております。ただずれがございまして漁業権制度改革は、今後二箇年はまだ現在通りであるわけであります。その間における行政諸費につきましては、これは予算に別途計上しております。その以後におきますところの分につきましては、一應それが見合いになつております。私どもといたしましては、でき得べくんばこの免許料または許可料の収入というものを、かりにこれをとるならば、廣く沿岸漁業の振興、そのほか水産業の振興等のためにこれを支出する基金として、財源として備えたいというふうな考え方を持つておつたのでありますが、それは遺憾ながら実現をいたしておらないわけであります。これは私どもといたしましては、今後の問題として解決をして参りたいと思つております。その点は十分本國会においても御審議をいただきたいと思います。
#27
○夏堀委員 ただいまの御答弁に対しては、どういう関係であるか知りませんけれども、私はこれに承服することはできません。組合事業に対してでさえ、これまで若干補助を與えてこれを助長するというようなことであつた。こうした時代になつて、それはいかぬということに、これはやむを得ないことでありますけれど、國家がこのような大きな大改革を断行する場合に、行政事務までも業者が負担をせんければならぬということに、どうしても私どもは承服することはできません。むしろ反対に、この面に対しては負担を軽減するという面がうたわれております関係上、国家がこれに対するある程度の事務的の補助をすべきではないかしかるに業者の負担においてなお行政事務までも負担するということは、絶対に私は承服できないと思います。これは審議の進む過程において私も研究いたしまするが、政府当局においても十分に御研究をお願いいたしたいと思います。いろいろ質問いたすことにありまするけれども、きようにこの程度でとどめて私の質問を打切りますが、次には農林大臣の御出席を願つて、先ほど質問した項目に対する御答弁を願うとともに、次に質問せんとするそれに対して、農林大臣から直接御答弁を願いたいと存じますから、私は本日の質問はこれで打切ります。
#28
○砂間委員 関連して――今の問題につきましていろいろ意見があります。意見は討論になつたときにゆずりますが、これはどう考えても不合理だと思います。免許料、許可料の料金の問題ですが、これに個人が経営するときにとるといたしまして、協同組合経営の場合には、これを免除するというふうに修正する御意向があるかどうか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
#29
○飯山政府委員 ただいま夏堀委員に対して説明員から申し上げたように、財政が許すならばもちろんわれわれはこれを主張するものでありますが、今ここでただちに協同組合の場合にその免許料、その他許可料をとらないというお約束はできかねるわけであります。
#30
○小高委員 この漁業法案は、おそらく今回の國会におけるところの最大法案の一つであると私は考えておるのであります。内容において百四十五條に達し、そしてこれが画期的なる使命を考えますと、この法案によつてまたわが國が眞に漁業を民主的に建設して行こうということを考えまするとき、そこに幾多の疑義が生ぜざるを得ないのであります。先ほど夏堀委員からお尋ねになりましたその点に多々関連するのでありまするが、先ほどの藤田次長の答弁あるいは飯山長官の答弁においては、とうてい私ども了承いたすことができない箇所が多いので、重ねて別な観点から、あるいは意味は同じかもしれませんが、御質問いたしたいと思うのであります。
 第一にただいま問題となつておりまする免許科、許可料の問題でございます。免許料、許可料として取立てる金額は、漁業権の補償料並びに漁業制度改革に要する費用ということになつておりますが、一体その金額は何ほどに相なつておるか、まずこれをお尋ねいたしたい。なお配付されした参考書類によりますと、漁業権の補償料及びその利息が合せて三百一億七千二百万円と相なつております。その内訳はおそらく漁業権証券というようなものでお出しになるかと思うのでありますが、元金が百七十億五千二百万円、利子が百三十一億千二百万円、かようなことになつておるのであります。なおそのほかに漁業制度改革に要する費用も加えられておるのであるかどうか、この点を次に伺いたいのであります。さらにこの金額は漁獲高に対して何%に相当するか、およそ國がいやしくも法律を制定する以上、そして一定の見込みを予算として組む以上、この基礎数字はどのくらいにお見込みになつておるかということを次に伺いたいのであります。
 第二の問題として御承知のごとく現在における漁業経営というものは、非常な高騰を示しておりまするが、これをかりに税金だけについて考えてみましても、所得税あり、事業税あり、さらに船舶税あり、漁業権税ありというぐあいに、きわめて多種類の課税を負担しているのでありまして、私の調査いたしましたところによりますれば、所得税は漁獲高から必要経費を引いたものの二〇%ないし八五%、これは所得額に対して累進しているゆえもありますが、なお事業税は所得額の二〇%、船舶税は取得の場合二〇%のほか年税として保有税があります。漁業権税は各府縣まちまちであるのでありまするが、一例を四静岡縣にとつてみまするならば、最高三万円程度に逮するものもあるやに聞いております。このほか取引高税、物品税等を課せられたるものもありまして、これらを合計いたしますと、実に容易ならぬ数字に相なるのであります。きわめて過重な負担をかけられておるのであります。ことに事業税について見ますと、農村における米とかあるいは麦とかいう供出食糧に対しては、全然課せられておりませんしかるに同じく統制を受け、出荷割当を受けておる水産漁獲高に対しては、全面的に事業税を課せられているということは、そこに大きな矛盾が存在しておることを認めざるを得ないのであります。なおまた漁業権税のごときも、権利というものに対して課税するということに、おそらく他にその例を見ないと思うのであります。たとえば農民にとつて最も重大な耕作権に対しては、何らの税金も課せられておりません。また旅館あるいは料理店等におきましても、その営業権に対しては、何らの課税も実施されていないはずであります。しかるにもかかわらず、ひとり水産においてのみこうした負担をこうむるということは、まつたく了解に苦しむところでありまして、これは他日税制改革の際に論ずべき問題であろうと思うのでありまするが、要するにその他水揚手数料、あるいは船舶税、あるいは労働資金の高騰等によりまして、現在における漁業経営はまつたく危機に瀕しておる状態であります。かような状態において、なおかつ三・七%の免許料なり許可料なりを課するこは、あまりにも酷に過ぎはせぬか、これはよろしく國費をもつて支弁すべきものであるということは、先ほどの夏堀委員と同意見であります。ことに調整委員会の費用のごときにおいては、農業においてはまさに國費から支出しておるのでありまして、これらをあわせ考えまするとき、ひとり水産のみにおいて自弁ということは、はたしてこれが妥当であるかどうか。この点私をして言わしむるならば、現水産当局があまりにも税務当局に対して遠慮をしておるがゆえに、かかる問題が惹起したではあるまいか、仄聞するところによりますと、あちらの農林省政局においては、農業の税金の負担について、十余名の係官が農業税はいかにして課すべきか、いかにしたならば合理的であるかということを研究して、パンフレツトさえ出ておるということを聞いておるのでありまするが、わが國の水産当局においては、かかる調査研究機関がないために、かような一つの過重に対する加重、そして危機に瀕するところの負担を負わされているのではあるまいか、これらに対してこの法案と関連して、今後当局がいかなる処置をお考えになつておるか。その点をお伺いいたしたいのであります。まだ質問がございまするが、あまり長々しく相なりまして、答弁をこちらで聞きそこなつてもいけませんので、重要案件ですから第一の質問はその程度で打切りをいたしまして、御啓弁によつてまた次に移りたいと思つております。
#31
○石原委員長 ちよつと答弁を待つていただいて、速記をとめていだだいて緊急にお諮りしたいことがあります。
    〔速記中止〕
#32
○石原委員長 速記を始めてください――それでは会議を続行いたします。
#33
○飯山政府委員 小高委員の質問にお答えいたします。最初の免許料、許可料その他に対する御意見については、きわめて重大なものでありまするので、これについては相当資料を整えております。この資料について詳細経済課長から説明いたしたいと思うのであります
 第二点の税務、大蔵当局に対して、水産廳が遠慮をしておるのではないかといようなお話があつたのでありまするが、もちろんわれわれの努力が十分でないために、かような重大な責任義務を漁民諸君に負わせるという点については、私どもはなはだ忸怩たるものがあるのでありますが、しかしわれわれの徴力が遺憾ながら財政的にこれを支出せしむることができなかつたのであります。今後におきましてぜひとも國会の御配慮もいただきまして――私どもはこれで当然だというような考えで出しておるのではありません。今後といえども、機会があればこれが是正に努力を拂うべきだと考えております。なお農政局において農業税その他に関して、特に多数の人を擁してこれが檢討を加えられているというお話は、まことに私どもの耳に痛いのであります。私ども同感ではありまするか、昨年來漁業関係の税金制度につきましては、それぞれ檢討を加えておるのであります。現在経済課に漁業税の係も設けておるようなわけでありまするが、何分にも人手がないために、今御説がありましたように、弱いのではありませんけれども、十分な努力ができない、この点について私どもまことに相済まない。しかし今後においてできるだけ――この税制の問題は先ほど次長からも申し上げましたように、漁業の経営の睡疫に関することが大なのでありまするので、ぜひともこれが妥当公正な制度に改善されるように、今後努力いたしたい、かように考えておるのであります。
#34
○久宗説明員 命によりまして免許料の内容につきして御説明申し上げます。その前にお配りしました資料を見ていただきたいと思います。漁業権の所有並びに行使状況に関する資料というのをこの前のときに差上げてございますが、それの二枚目に漁業権等の補償に関する参考資料というのがございます。あるいはお持ちにならない方があるかと思いますが、内容だけ詳細に申し上げますと、ただいまお話がありました通り、免許許可料の内容は、補償の償還に要する費用と、それから今度の制度改革の行政費に要する費用と、この二つにわかれておるわけでごいます。從いまして漁業権の補償に要しました費用の償還につきましては、たびたび御説明いたした通り、総額といたしまして沿岸漁業約百六十億、内水面では約十億というものが補償の元の金額になりまして、それを利率五%、二十五年間の元利均等償還という方法をとりますと、利子が加わりまして約三百億の償還総額になります。從つて年に約十二億の償還をして行けばいいという数字を御説明いたしております。あと行政費が加わりまして毎年の免許料をとつて行くことになるわけでございます。それの仕組みは簡単に申し上げますと、農地の場合と非常に似ておるわけでございますが、漁業権の場合には、漁業権の免許を受けました場合に、その漁業権を買いとるのではなくて、漁業権の免許を受けた人は、毎年免許料を拂つて行く、これはわかりよく申しますと、國に対して賃貸料を拂う、今まで漁業権者に対して賃貸料を拂つたのに対應いたしまして、國に対して賃貸料を拂うとお考えになつていただけば一番わかりいいかと思うのでありなす。そこでその免許料の内容の御説明でございますが、ただいまお配りいたしました免許料、許可料、要徴収金額推計を御説明いたします。先に数字を申し上げましたあとで、両方の関連を申し上げたいと思います。
 まず免許料の構成内容から申しますと、補償の償還分に相当するものが毎年約十一億だと申し上げましたが、この内訳は定置漁業、区画漁業、特別漁業、専用及び入漁とありまして、そこに内訳が書いてあります通りでございまして、総計が約十一億でございます。それに対して次に漁業制度改革の費用、行政費でございますが、これは大きくわけますと委員会関係の費用と、これを動かして行きますに必要な費用、人件費あるいは事務費というのが加わるわけでございまして、平年の年で約三億二千万円という推計が立つのでございます。これは大体本年度許されました予算から推計いたしました。普通の年には大体三億三千万円ぐらいかかるであろうという推計でございます。從つてこれを免許料でまかなうといたしますと、この合計、すなわち十四億五千八百万円程度のもの、これが毎年免許料を徴収すればいい金額にかるわけでございます。ところで先ほど漁獲高の三・七%をとるのだというふうに御説明申し上げたのでありますが、これは内容から申し上げますと、まず十四億五千八百万円というものが毎年徴収をしなければならぬというりが出て参りますと、それを漁業種類にずつと割りつけるわけでございます。これに確定した金額を個々の漁業者に割り振るわけであります。たとえば何千円、何万円というように割りつけられるわけでございます。その結果が実際その年にとれます漁獲高に対しまして、三・七%程度の平均の負担になるであろというであります。漁獲高の何パーセントというふうにかけるのでにないのであつて、割りつけられた結果が、平均して三・七%程度の負担になるだろうということであります。この数字の方を見ていただきますと、免許料、許可料の年額と漁業者の負担度の推計がどういうふうになつておるかという推計でございますが、ただいま申しましたように徴收額は今の推計で申しますと、毎年沿岸では約十四億五千八万円ということになるのでございますが、その負担の方法に二つが考えられるわけでございます。ここにリンク制負担と共同負担と書いたのでございますがリンク制負担と申しますのは、たとえば定價漁業を例にとつてみますと、定價漁業権では漁場を整理いたしました場合に、ある海区で幾ら幾らという数字が出て参ります。その数字は新しい免許の場合に與えられて行く定價漁業権の免許に大体リンクして行く、個々の漁業権を單位にリンクということは考えられませんが、大体定置関係のものは定価漁業権で納めて行くという考え方でございます。漁場が固定いたしますものについてはこういうような負担関係がリンクすることは合理的であろうと思います。その次に共同負担というのがございますが、これはどういうのかと申しますと、たとえば專用漁業権がとりはずされると、こういつた補償料はだれが支拂うかということになると、これは受益者が相当廣範囲にわたるわけであります。從つてこういう場合には、これを直接結びつけるわけにいかない。從つてそれによつて受益すると思われるのは、沿岸漁業で言えば企漁業でありますが、大体負担能力に應じて割り振るわけでございまして、これが加算されて、ここに全体の負担になつて、ありものは共同負担だけのものもございますし、あるものはリンクされたものとその他に共同負担として当然負うべきものというものが加わつて来る場合があるわけでございます。それによつて二つの負担度合いが出て來るわけでございまして、ここに(ハ)のところに負担される要償還年額というのがございますが、これは内訳としてここでは省略させていただきます。結論から申しますと、(ホ)のところに負担度というのが出て参ります、この負担度というのは、補償の関係だけでどのくらいの負担になるかというのが書いてあるわけでございます。まずリンク制によるものというのは、漁業高に対しまして、約二・八%くらいの負担になるであろう。それから共同負担と言われるものが一・七%くらいの負担になるだろう。それから改革費の負担、つまり行政費の負担が漁獲高に対してどのくらいの負担になるということは、約〇・八%の負担になるだろう。この三つのものが組み合わされて、個々の漁業者の負担というものがきまつて來るわけでございまして、総括して申しますと、一番下に出ておりますが、この二つの部分、要償還年額の負担度というものと改革費負担度というものと二つあつて、これが総計されて出て参ります。この場合定置を例にとつてみますと、要償還年額で新しい漁業権に当然リンクされるもの、こういうものが約二・八%の負担になる、その他に共同負担というのがございますが、これは漁獲高に應じて負うのでございます。これを合わせますと、償還年額すなわち補償と直接関係があつて、負つて行くものは、リンク制によるものでは四・五%くらいの負担、それから共同負担だけによるものが一・七%くらいの負担、平均いたしまして約二・九%約三%の負担になるわけでございます。これが直接補償と関係のある負担度合いでございます。このほかに今の改革の行政費〇・八%の負担が加わります。そこで平均して三・七%の負担ということになるわけでございます。この場合にリンク制のものでしありますと五・三%それから共同負担によるものでありますと、二・五%、こういうことになるわけでございます。この負担度合の推計でございますが、これは現在の補償の額につきましては、基準年度が一應きまつておりますので、大体補償でどのくらいの金額になるかということが推計せられておるわけでございますが、行政費の負担は本年度の予算單價に基きました。負担度は、現在の公定價格である漁償に対してこれを推計いたしましたので、こういう計算になつておりまがすが、今後の物價の変動というものをかりに考えてみますと、この額はかわつて來るわけでありまして、現在のままでいたしましても三・七%ということになりまして、かりに物價が変動して参りますと、補償金額の方は固定するわけで行政費の方はふえて來るというかつこうになるわけでございます。しかしながら漁獲金高もふえるわけであります。補償金の方の負担におきましても、三十五年の償還期というものを考えておりますのは、これは現在の物價におきましてこの償還年限を幾らにするかということをきめる場合に、一應價格に変動なしと見ますと、負担度があまり大きくなつては、償還をきめました場合に非常に困るということで、二十五年の推計をいたしておりますが、これがかりに物價がもう少しかわつて来るということを考えますと、必ずしも二十五年にする必要がない、もう少し償還を縮めるということも可能になつて来る。それから次に、この負担度合がたとえば三・七%というようなものではなくて、もつと低い度合になることもあり得ると考えられるわけでありまして、現在の物價がもう少し見通しのつく時になりませんと、長期の見通しが立てられないわけであります。現在におきまして一應推定できますのは、現在のマル公を動かないものと見まして、そうして三・七%程度の負担を越えないということで考えれば、今言つたような数字になるという程度の推定でありまして、今後の物價の変動その他の状況とにらみ合わせまして負担度を考えて行く必要がある。從つて法律においても、この償還年限につきましては一應大事をとりまして、三十年以内ということが書いておりますが、もつと具体的の見通しがつく場合になつたら、何年というものを考えて、それによつて漁業者の負担度合いも考えて行く必要があると思つております。
 これが数字的の説明でありまして、その裏に内水面の関係がございます。これは関連いたしますから御説明申し上げますが、内水面の方におきましてはやや趣きが違いまして、これに漁業権の内水面の方における補償と、それから料金制度との関係です。料金制度というのはむしろ漁業権の制度をもつて河川を封鎖するという考え方でなしに、一般の遊漁者からも料金をとる。從つて内水面におきましては増殖事業とリンクして考える必要があるわけであります。從つて料金制度におきましては、これは漁業者ももちろん拂いますが、一般游漁者も拂つて参りますので、負担度合いについては沿岸のように非常に嚴密に考えてみる必要はないわけであります。むしろ増殖事業とバランスのとれるようにということが重大な問題になるわけであります。そこで内水面の方の関係から申しますと、料金収入におきまして年に約二億七千九百方円程度のものがごく内輪に見積つてとれると思うのであります。これによりまして、補償の償還分に充てます、これが約年にいたしまして七千百万円程度であります。それと行政費約六千三百万円程度、つまりそれと両方合せまして一億三千四百万円程度のものがいるわけであります。そういたしますとそのほかに約一億四千五百万円程度の余りが出るわけでありますが、これが直接増殖費用に充てられる、こういう形になりまして内水面の方は、増殖費用が料金制度と見合いましてリンクされておる。もしも料金制度がずつと進んで行きますと、この増殖の規模もずつとふくらんで行くという仕組みになつておるわけであります。
 数字的の御説明はそういうことになるわけでありますが、この料金免許制度と補償との関係、特に行政の負担という点については、いろいろいきさつがありましたので、関連してちよつと御証明申し上げますと、農地制度におきましては、もちろん先ほどお話がございましたように、行政費というものは全部一般会計でまかなつたわけであります。それで農地の買上げ費渡しといものは、実際買つた人間の方から金が入りまして、ただそれが國を通して土地を失つたものの方に流れて行くという形だけになつておつたわけでありますが、そういう制度を実行して行きます行政費というものは、全部一般会計でまかなわれておるわけであります。それとの関連において考えられますことは、この二年間の切りかえの措置でありまして、二年間の準備期間を終えて漁場を整理いたしまして、新免許をするまでの段階というのが一應農地における買入れ賣り渡しに相当するわけであります。そうしてそのあとの関係は、農地におきましては一應それによつて農地制度改革というものは終了するわけでありまして、その後に新しい問題が起つて来るわけであります。しかしながらこの漁業制度改革というのは、所有と同時に経営まで調整いたしておりますので、権利を新たに唱えました結果、それをどう調整して行くかということを委員会中心にやつて行くわけでありまして、從つて委員会の費用というのは、制度改革を二年間でやり上げるために臨時的にできるものではなくて、その後も引続いてこれを実施して行くわけであります。從つてその場合の受益者という点で、その行政費を負わしたらどうかという問題が出たわけでありまして、それが今度の免許料の中に行政費の入つて來た大きな理由なのであります。これはもちろん全額を負担すべきであるかどうかという点にいろいろ問題がありますが、行政改費を入れました点では、農地改革におきましてはそれでもつて一應農地改革が一段落つくというのに対しまして、漁業制度改革におきましては、そこから初めて調整という恒久的な仕事が始まるという点に違いがあるのであります。しかしそれが実際上漁民にどういう負担になつて行くかという問題は別の問題でありまして、ただそれを考えました建前は、恒久的なものと臨時の二年間の措置というものとわけてあるわけであります。從つて今の二年間の準備期間におきましては一般会計でまかない、あとのは免許料と見合いになつて行くという形になつておるわけであります。一應数字的な御説明はその程度になるわけであります。
    〔石原委員長退席、鈴木委員長代理着席〕
#35
○小高委員 ただいま飯山水産廳長官からの答弁によりますと、漁業者の負担の税については、遺憾ながら農政局のように十分に手が届いておらない、また手も少い、これについて大いに國会議員が協力してくれというような意味に了承いたしましたが、この点は今後大いに私ども協力いたしますから、遠慮なく問題があつたら御相談を願いたいのであります。いま一つの点いろいろ私が数字をあげてお尋ねいたしました点について、ただいま水産廳の経済議長から御答弁がありましたが、私の言わんとしておるところは、何ゆえに計数を追求したか、それは漁業者があまりにも從業及び他の業種に比して、かくのごとく苦しんでおるにもかかわらず、なおかつ過重の苦しみのために危殆に瀕しておる、これをどう解決するかということが私の質問の突きどころであります。この質問に対して、遺憾ながら今のお答えにおいては了承するわけには参りません。私においても質問する以上相当の研究をしてかかつ、おりますので、非を改めてまた修正していただかなければならねような事柄も多々出て來ようと思いますので、それはときを改めていたそうと思うのでありますが、もう三回繰返してお尋ねいたしたいことは、かくのごとく過重なる漁民いろいろな税の負担に対して、これを緩和して、この法案とにらみ合せて行くというようなお考えを持つておるかどうか、その点を重ねてお尋ねいたします。
#36
○久宗説明員 ただいまの問題につきましてお答えいたします。免許料をとることにつきましてそれが経営に非常に過重な負担になる関係をどう考えるかという点であると思うのであります。この点はもちろんこの免許料というものは補償との関係でその部分だけはどうしてもとらなければならぬわけでありますが、その免許料そのものの考え方につきまして、これを漁業経営とどう結びつけて考えて行くかということにつきましては、水産廳といたしましても一番大きな問題になるかと思うのでありますが、これについての考え方といたしましては、まず現在の重い税金の問題でございます。これは結局税の率その他の問題もございますが、むしろかけ方にかかつておる場合が多いのではないかと思うのであります。つまり免許料との関係を理論的にだけ申し上げますと、それは経費として差引けばいいという問題になるのでありますが、さらに從来のかりに所得税なら所得税というものと、この免許料というのがダブルのではないか。免許料というものは所得の計算上は経費として当然差引かるべきものである。こういうことが言えるのでありまして、ただそうではなくて、実際は所得というものが、はつきり経営から出て申告されて行つた場合にも、その数字に対して具体的な税率がかかつて來るのではなくて、割付けられるというふうなことが多いこと思うのであります。その場合は経費として差引いたということは意味がなくなるわけなりでありまして、もちろん率が高いということもありますが、壽際問題としてはそういう徴収方法が問題になると思うのであります。それに対しましては、今後水産廳といたしましては、こういう免許料をとるという以上は、漁業経営が成立つかどうかということについて、はつきりした見通しをつけなければなりません。しかしその間におきましてはたとえば所得税のような一番大きな問題につきまして、その徴収方法というものについて具体的な資料によつて、その徴収方法の惡い点を突いて行くよりほかないと思うのであります。また先ほどお話の出ましたような地方税でございますが、免許料と競合するような税金につきましては――免許料というのは今度の法律でとらざるを得ない。それを拂つた上になおかつ地方の税をかけるかどうかという問題。これにつきましては、この免許料をとりますことについて、今度こういう制度になつたから、これとこういうふうに競合する点については軽減していただきたいというような、行政官廳としての連絡はいたしますが、これの最後の決定権は地方の議会にあるわけでございます。つまり免許料は拂つておる。そのほかに地方税のこういうものをかけて、漁民が負担ができるかどうかということについては、その決定権は、地方の議会がお持ちになるわけでありますので、それをやめてしまうということはできないのであります。ただそういう場合を通じまして、われわれといたしましては漁業経営の実態というものを正確につかまねばならぬと思うのであります。これは今まで税金におきましても、つねにわれわれが最後のところでこの問題が通らないというのは、漁業経営というものをつかんでいないためであつたと思うのであります。これではいけない。これはもちろん調査機能が不十分であるという問題だけではなしに、今の特殊の経済事情から、やみとか税金という問題がありまして、一番正確な資料がつかめない。最後にとことんのところへ持つて行つた場合に、漁業経営の実態はこうだというものを持つておれば、それによつて目的を貫徴をし得る。ところがいつもたらいまわしにされてしまうというのが実状なのであります。私たちとして、この制度改革の準備期間中に今の漁業経営の状態はひどくなつて行くということは目に見えるようでありまして、これを正確につかむことに万全の努力をいたしたいと思います。しかし一々それをつかむためには、今までは原價計算というものをとりましても、もちろん数字は出て参りますが、正直のところそれは最後に税金の問題でかけ合つて聞かれた場合に、やはりそこに欠陥があつて押し切れないというような問題があるわけであります。今後はおそらくそういうような事情を全部さらけ場出して來るくらいに漁業経営というものが詰つて來ると思いますので、そういうような漁業経営の実態というものについて、私たち自身が自信の持てるような資料をまずつかむことによつて、この税金の問題を解決して行きたいと思います。免許料の問題は繰返して申し上げますように、経費として差引けばいいのでありまして、税とダブルことはないのであります。またそれについて競合するようなものにつきましては、当然これについてかけるかどうかの判断は、一應負担力があると思へばかける。ないと思へばかけないという問題になるのでありますが、実際問題はそういうことではなく、経営の実態を抜きさしならない形で表へ出して行つて、それによつて税の問題を解決をするという方法しかないと思うのであります。大体そんなふうに考えて準備いたしたいと思つております。
#37
○小高委員 ただいまるる答弁がありましたが、私の言わんとするところは、世界経済に通ずる祖國日本の産業、この重要産業中の水産、これが本法の内容いかんによつて振興をはばまれるようなことがあつてはならぬ。ここを突いて論議しておるのでありますから、またときを改めて農林大臣直接にお尋ねいたしたいと思いましてこの項にそれで打切つておきます。
 次にもう一つお尋ねいたしたいことは、指定遠洋漁業権に関する問題であります。元來この漁業法はどこを中心として、目的として立法されたものであろうか、こういうことを考えますると、それは沿岸漁場の全面的整備を行うことをもつて目標としておるのではあるまいか。かようなことを考えますると、しからば沿岸の許可漁業権の整備を規定すべきが至当であるにもかかわらず、現在における許可漁場の整備を行う、そうして漁場を整備し漁獲物の増産をはかることが最大のねらいである。そうしてこそ現在悩んでおる底引と沿岸漁業との問題、あるいは網漁業とつり漁業との問題等もみずから解決できるわけであると思うのであります。現にいわし揚操網対さば一本づり等で種々紛争をかもしておる事実があるのでありますが、まさに漁業整備こそ緊急の問題であるにかかわらず、これをあとまわしにして遠洋漁業の問題を本法中に組込まれておるということは、私のまことにもつて了解しがたいところであしまして、この点政府委員の明快なる御答弁を願いたいのであります。
#38
○藤田説明員 お話のように、漁業制度改革の根本的なねらいは、ます沿岸漁業の整備、いわゆる漁業権を中心とし沿岸漁業におけるものをまず手をつけるということが、その根本的なねらいであるわけであります。全体を通じましてそういうふうな構想でこの漁業法はできておるわけでありますが、その後いろいろと審議を重ねて行きますうちに、漁業権の問題だけでは必ずしも完璧を期し得ない、つまり許可漁業というものをどうするのかという問題が関連して起つて來たわけであります。しかしながら許可漁業と申しましてもいろいろの種類のものがあるわけであります。それのやり方については、これはそれぞれの地方の実情もございます。またその許可漁業の特殊な事情がございまして、漁業権制度のようなやり方では、これをやつて行くわけには行かない。またそれは不適当であろうと考えております。從つて許可漁業全体といものを一本にここに取上げておるわけではございませんで、ただこのうちで特に國際的な性質の強いもの、たとえば大型の捕鯨でありますとか、あるいは以西トロールでありますとか、以西の底引でありますとか、遠洋のかつお、まぐろでありますとか、これはいわば國際的な性質の強い漁業であります。この四つの漁業だけを特別に指定遠洋漁業といたしまして、それについての方針を揚げておる。そういうふうに考えております。なおそれ以外の許可漁業の問題についてはこれはもちろん取上げないわけではございません。それぞれの各調整委員会が漸次それぞれ必要に應じて取上げて行くべきものである。法律としては全体を通じまして、やはり沿岸漁業の整理ということが中心をなしておるということには御了解できると思います。
#39
○小高委員 ただいま藤田局長から御答弁がありましたが、私のお尋ねしておりますのは、移動漁業等沿岸漁業に対して、漁業権を設定することがやりにくいというようなことでありまするが、いろいろ全般的にあれやこれや関連的にこれを見ますると、その必要があるのでにないか、不合理性を発見した場合に、これを是正するのが政治であり、その政治はまた常識によつてこれが險査されるのではあるまいか、そこに並行して、常識を裏づけるものとして、法律が生れて來るのではないか、かようなことを考慮して申し上げておるのでありまして、ここにやりにくいからといつてそのまま放任しておいていいか、こういう点を申し上げておるのであります。これについては、まだまだきようは総論的に質問をいたしましたので、細目にわたりましては、相当多岐にわたつて質問して行かなければならない資料があるのでございまするが、これにまた時を移してあらためて御質問いたすことといたしまして、本日の私の質問は以上をもつて打切つておきます。
#40
○砂間委員 今の小高委員の沿岸漁場の問題に関連いたしまして、簡單に質問したいと思うのであります。今度の漁業法案全体を見まして、非常に大きな手落ちといいますか、欠陥と思われます点は、許可漁業なかんずく地方許可の問題について全然触れておらない、この点が現に千葉縣あたりでもさばの一本づりと揚繰網との問題が非常に紛擾を起しておるようでありますが、これに類した漁場紛争というものが非常に多いのです。なかんずく今度の漁業法案によりますと、從來の專用漁業権から浮魚をはずすということになるのですが、この浮魚の占めておる部分は、全國の専用漁業権の六%、金額で七五%にも上る非常に大きな部分を占めておるのであります。これをはずしてしまつて、一体これをどうするのか。地方の各府縣の漁業調整委員会の問題もあると思うのでありまするが、この地方許可をどうするかという点が、全然触れておらないわけであります。またこれを地方許可をする場合に、どういう資格のある者に、どういう順序でどういう方針で許可するかという点にも、全然触れておらない、この点に非常に大きな欠陥があるのではないかというふうに考えておるわけであります。私どもといたしましては、浮魚をむしろ今度の新しい共同漁業権に含めておくことが望ましいというふうにも考えておるのでありまするが、この点について、地方許可の問題を何でこの漁業法案に扱わなかつたか、それをはずした理由と、それからこの浮魚を共同漁業権の中に含める修正意向はないかどうかという、この二点について今の問題に関連して質問したいと思うのであります。
#41
○藤田説明員 この浮魚を從來の專用漁業権の中からはずしたということが、今度の漁業制度改革の大きな改正の点であります。從來はそれを漁業権の内容とし認める、そういう関係であつたわけでありますけれども、御承知の通り、漁業権というものが古い旧幕時代からの旧償によりまして設定されて、特殊なその当時の事情から設定されたものが、いつまでも引続きそのままの形で現在まで來ておる。その後の漁船の動力化の問題、あるいは漁村の人口構成が変化しておる問題、さらにまた最近は終戰後特にこの人口の問題が漁村にいろいろ変化を來しております。そういう点が合わないというような事情があるわけで、從つて私どもといたしましては、この浮魚を主として運用漁具でとる、このやり方のところは、むしろこれは從來の漁業権という内容からはずしまして、これをむしろ独占排他せしめるような考え方からはずす。そうして、これは決して放任をするという意味ではないのでありまして、これにその海区の事情から、その海区の漁業調整委員会が、その調整委員会の組織によつて、それぞれの事情に應じた秩序をつくつて、その秩序に從つて地方長官が許可する。こういうやり方にしたいというのが、この制度改革の根本的なねらいであります。それで私どもといたしましては、許可漁業について全然この規定を置かなかつたわでございませんで、ただ御承知のように、許可漁業というのはいろいろの種類のものがございまして、それの事情もまちまちであります。それを画一的に法律で書くことができないわけであります。從つて、たとえば漁業権のような全面的な再編成をやるということも適当ではありません。また指定遠洋漁業のように、一ぺんすべての許可漁業について許可の定数をきめる、そして再審査するといつたようなやり方も実はとれない。ある漁業については、さらにまだ発展の余地のあるものもあります。ある漁業については現状維持ものもあります。ある漁業についてはさらに整理をしなければならぬというようにまちまちである。從つて法律的には画一的にこれが規定できませんので、私どもといたしましては、これを漁業調整委員会によつて適当にその地方々々の事情に應じて、これを調整して行くというようなやり方にまかす。決して放任しておるわけではないのであします。もちろんこの調整委員会の最も重要な問題というものは、この浮魚漁業の調整をどうするか、それに関連しての許可漁業をどうするかというような点が、もちろんその主限になるというふうに考えております。
#42
○玉置委員 私はたくさん質問要項がありますが、時間も非常に経過しておりますので、定置漁業の買上げ、それに伴う條件、免許料、この三点について簡單に御質問いたします。
 漁業法によりますと、從來の定置漁業権は、一應自営賃貸を問わず、政府買上げとしてその権利が消滅することになるわけです。從つて本法施行によつて定置漁業者は非常に不安定な地位に置かれておることは御承知の通りであります。この漁業生産力を発展させ、漁業の民主化をはかるということにつきましては、先だつて農林大臣に質疑をいたしたときにも、アウト・ラインを申し上げて賛意を表したのでありますが、ただ問題の焦点は、農地調整法によりますと、自作農を保護して、その育成強化をはかろうというねらいから、不在地主と一定数以上に農地を所有する者から農地の買上げをして、眞の耕作農家にこれを與え、全部を取上げないで、その農地の改革をはかつておりまするが、ひとり漁業権に対しては全部取上げる、そうして再分配をするというこの方法は、どう考えても納得ができないのであります。先般藤田次長からの簡単な御答弁によりますと、漁業施設の面には國費が大分つぎ込まれておるというようなお話がありましたが、しかし農業面におきましてもひとしく國費が出され、また助成費が出されておる実例等を考えて見まして、しかも漁業面におきましては、非常に危險が多いという点から、これに対してひとしく農地改革と同様な方策をもつて臨むべきではなかろうか。かように考えるのでありますが、この点に関してあらためて御所見をお伺いしたいと思います。
 第二点は漁業権の買上げでございます。地方によりましては、特に北海道の例をとつて見ますると、一昨年あたりに、すでにこの新法によつて漁業権が消滅するおそれがあるというので、大会社の所有漁業権を貸出している眞の漁業者に、強制的にというと語弊がありますが、相当強い意味でこれの賣收方を慫慂し、もしこれに應じなかつた場合には、他に轉賣をするというようなことが、――もしこれを他のものに買上げられると、せつかく長い間漁業をやつて来た面からオミツトされるというので、相当な負債をしても、漁業権一つに対して七、八十万から百二十万という高額な金で賣収をするという実例がたくさんあるわけであります。こういうものを今一概に政府買上げによつて、政府の証券による二十五年間の年賦をもつて交付をされるということになりますと、その損害というものは実に莫大であるのであります。しかもまた先ほど課長の御答弁にありました、國に対する賃貸料を拂うという面におきまして、新たに免許をされたものと、そうした多大の犠牲を拂つたのが、さらに一定の賃貸料を拂うということによつて、二重の非常な犠牲を拂うことになるのでありますが、これに対してどういうような保護の道を講ずる考えで出るかということを、まず先にお伺いしておきます。
#43
○藤田説明員 第一点の農地との相違は、これは農地と漁業権との本質的の相違から來るのではないかと考えております。つまり農地というものは可分でございますが、漁業権というものは不可分でございます。從つて農地においては地主に一定の土地を保有せしめる。その残りのものは他の耕作農民に自営のために渡すということが可能でございますが、漁業権はそういうふうなやり方が許されませんので、やはりこれを與えるとか、あるいは與えないとかいう、この二つの方法以外は方法はとれない。こういうふうに思うわけであります。しかしながらただ御懸念のございましたように、從來いろいろと苦心をしてここまで経営した人が、全部一度に取上げられるというふうにお考えであるかと思いますが、私どもといたしましては、全面的に從來のものは全部取上げられるというような結果になるとは想像いたしておりません。ただこのたびの適格性、並びに優先順位に從いまして、これを判断して、從來の経営者に再び與えることがしかるべきものについては、これは当然漁業調整委員会の決議によつても、その方に行くようになるのじやないかというように思つておるわけであります。それから一つの大きな会社が漁業権改革を控えて、先に自己の持つておるものを手放します。そのために多額の金をやつて買つたものは、再び今度は取上げられるのではないかという御心配でございますが、当時すでに漁業制度の改革がいろいろ議論になつておつたわけでございますが、おそらく買われた方は漁業制度の改革の方向というものは御承知の上で、それをお買いになつたことであろうと私どもは想像しております。その当時も私どもといたしましては、將來はこういうふうな方向に行くことになるから、その点をよく御注意の上で御措置を願いたいということを、お尋ねになつた方には答えておつたのであります。從つてそういうふうな問題については、先ほども申し上げましたように、今度の法律の規定によりまして、当然再び免許されるであろうと考えられる方々が、おとりになつておるような結果になつておるのじやないかと思います。そうでないような方がとられておるものについては、これはやはりある程度の漁業制度改革の方向を御存じの上でこれをやられたわけでありますから、われわれといたしまして、特別にそういう方に対して保護をするということも、この法律ではできにくかろうと考えます。ただこれは二重の損害になるのじやないのでありまして、やはり建前といたしましては、買価に相当するものが補償費として行くかどうかは別問題でありますけれども、正当に評價いたしました補償費というものは、当然支拂われるわけであります。ただ特別な扱いはちよつとできにくかろうというふうに思つておるわけであります。
#44
○玉置委員 ただいまの御答弁で私満足することができませんし、引続き関連してお尋ねしたいこともありますが、本会が控えておるようでありますので、時間の関係上、本日はこれをもつてやめまして、次会の劈頭に申し上げることをこの際あらかじめ申し上げておきます。
#45
○鈴木委員長代理 それでは本日はこれにて散会いたします。
    午後三時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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