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1949/09/10 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第26号
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1949/09/10 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 水産委員会 第26号

#1
第005回国会 水産委員会 第26号
昭和二十四年九月十日(土曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 石原 圓吉君
   理事 小高 熹郎君 理事 鈴木 善幸君
   理事 玉置 信一君 理事 松田 鐵藏君
   理事 林  好次君 理事 砂間 一良君
   理事 小松 勇次君
      川村善八郎君    田口長治郎君
      冨永格五郎君    夏堀源三郎君
      長谷川四郎君    奧村又十郎君
 委員外の出席者
        水産廳長官   飯山 太平君
        農林事務官  松任谷健太郎君
        農林事務官   久宗  高君
        農林事務官   松元 威雄君
        農 林 技 官 高橋清三郎君
        專  門  員 小安 正三君
        專  門  員 齊藤 一郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 漁業法案
 漁業法施行法案
    ―――――――――――――
#2
○石原委員長 これより会議を開きます。
 前会に引続き漁業法案並びに漁業法施行法案を議題として質疑を続行いたします。漁業法案第四章全部を一括して議に付します。
#3
○玉置(信)委員 第七十四條に規定いたしてありますこの「漁業監督官又は漁業監督吏員は、必要があると認めるときは、漁場、船舶、事業場、事務所、倉庫等に臨んでその状況若しくは帳簿書類その他の物件を檢査し、又は関係者に対し質問をすることができる。」ということになつておりますが、せんだつての御説明のときに、はつきり説明の内容を聞くことを落したようでして、実はよく記憶がないのですが、帳簿を見るというような場合の監督官の権限はどういう点に発して行うのであるか。
#4
○松元説明員 監督吏員の権限は、別に統制等の違反を見るわけではありませんで、漁業法違反という点を見るわけであります。從つて帳簿等を見る場合も、その経営内容を直接どうこうというのではなくて漁業法違反の事実があるかどうかという点に関連して見る場合だというふうに考えております。たとえて申しますと、違法の漁獲物をとつておるかどうか、そういう点を帳簿上記録してあつた場合それを見る、そういうような見方になつて來るだろうと思うのであります。
#5
○玉置(信)委員 そうしますと、帳簿によつて漁獲物の種類を見る、こういうことになるわけですか。
#6
○松元説明員 もちろん違反したかどうかを帳簿だけで見るというのではありません。実際問題といたしましては、違反した場合に帳簿に書いたのはそうはないのでありまして、ただそういう手段も使える、そういう場合も必要であろうというので入れた次第であります。
#7
○玉置(信)委員 帳簿書類ということになると、一体どういうようなことが関連して來るのですか。
#8
○松元説明員 帳簿と書類とは嚴密に使われておりませんし、一般に帳簿書類というふうに他の法律でそのまま使つておりますので、言葉としてはそれを準用したわけでございます。ここが帳簿であり、ここが書類であるというふうに、嚴密に考えて書いたわけではございません。一般に一括して帳簿書類と呼んでおりますから、そのまま踏襲いたしたわけであります。
#9
○玉置(信)委員 事務所と事業場というふうに言つておりますが、この事務所という対象はどういうふうにお考えになつておりますか。
#10
○松元説明員 この事務所と事業場の関係でございますが、事業場と申しますと、一般にはその中で事務的な仕事を扱うのが普通でありまして、そのほかに現場以外に、いわゆる本社の事務所というふうに、事務所を持つておる場合があるわけであります。そういう場合がありますので、事業場のほかに書いたわけであります。
#11
○玉置(信)委員 帳簿書類を見るためには、事務所に行かなければむろん見れないのですが、特に事務所と規定したのは、帳簿と書類と事務所というものが分離されてどこかにある場合を想像されてこういう区分ができたものかどうか、どうもこの点はつきり呑み込めないのですが、もう一度御説明を願いたい。
#12
○松元説明員 これは別に嚴密に帳簿書類の位置が事業場にあるか、事務所にあるかという点を考えまして、ある場合には事務所にあるだろうということを予想してはつきり書きわけたわけではなく、一括して漁場以下ずつと列挙して、また一括して帳簿その他の檢査というふうに書いたわけで、そこまで嚴密に、これとこれと結びつく、これとこれと結びつくというふうには使つていないのでございます。
#13
○玉置(信)委員 司法檢察のような権限を持たせることになりますが、そうした場合の普通の司法官の司法権の権限と、こうした監督官、監督吏員の権限の範囲はどういうふうに規定されておりますか。
#14
○松元説明員 お答えいたします。ただいまの御質問は重要な点でございますが、從來監督吏員というのは行政権限と司法権限併せて持つていたわけです。それを今度はある程度区分いたしたわけです。実際上事務所に臨んで調べるという点は、行政権限も司法権限もその点はそうかわりないわけです。ただその結果から証拠物になるかどうか、つまり行政権限の場合には、それをそのまま証拠物件としては使えないわけです。嚴密な証拠調べはこれではできないわけです。
#15
○玉置(信)委員 最近行政面で税務署の吏員が――これは私は特別考査委員会か、あるいは國会の問題にでもしたいと思つて資料を持つて來ておるのですが、こういうことがありますので、特に念達しておきたい。午後日没後に税務署員が漁場の経営者のところに來まして、しかも夜明の日出前の午前五時ごろまでいすわりをして調査をし、強要したという事実がある。こうした司法権を持つた吏員が、一体どういう時期にどういう時刻までそうした権限を行使できるのかということをあらかじめお伺いしておきたい。
#16
○松元説明員 監督吏員が司法権限を行います場合には、ただいまの御質問の調べる時間その他は、刑事訴訟法に規定してあるわけでございまして、特に漁場等の檢査の場合には夜も多いということを考えまして、あえて日出から日没までと明記しなかつたのであります。むしろこの必要の方が多かろうと思います。
#17
○玉置(信)委員 そうすると、この監督官並びに吏員に限り、時間のいかんにかかわらず、いつでも任意に調査し得る。また相手方が承諾をする、あるいは拒否するにかかわらず、これを調査し得るまでの権限を與えた、こういうわけでありますか。
#18
○松元説明員 ちよつとただいまの私のお答えが惡くて、あるいは誤解を招いたかと思うのでありますが、刑事訴訟法におきましても、やはり日出から日没後でも檢査できるようになつております。特に漁業の場合にはそういう必要がほかよりも多かろうという点で、少し強調し過ぎたので、あるいは誤解を招いたかと思うのでありますが、ほかの場合でもやはりそうなつておるのもございます。それから相手が拒否できないかというと、拒否されては意味がないのでありまして、相手がうんと言つたら檢査するのでは、この意味はないのでありまして、拒否した場合には罰則を科しております。そういうような檢査の権限であります。
#19
○砂間委員 いまの第七十四條の規定についてでありますが、漁業関係の法規の嚴密な実施を監督するために、こういう取締り機関が必要であるということはもとよりでありますが、この七十四條によりますと、漁業監督官または監督吏員を都道府縣知事が任命するということになつておるのであります。ところが都道府縣知事が任命した監督吏員というものは、これまでの実績、経験に徴しますと、ほとんど役に立つておらない。先日來もいろいろ実例をあげて申した通りでありまして、大きな機船底びきだとか、あるいはトロールだとかいうのが、近海の漁場を、まるでかつて氣ままに横行して荒らしまわつておるのでありまして、そういうものをせつかく零細漁民がとつつかまえましても、むしろ監督官廳の方で逃がしてやるというような傾向さえ見えるのでありまして、どうしてもそれだけでは不十分であると私は考えるわけであります。そこで漁業の監督につきましては、一切の監督の権限を海区の漁業調整委員会に讓りまして調整委員会は本来漁民の民主的な選挙によつて構成されている機関でありますから、漁民自身に取締らせるということにしなければ、実質上の効果がなかろう、こう考えるわけであります。そこでこの監督の権限を知事の任命する監督公務員というのでなく、これらの一切の重要な権限を調整委員会にゆだねる、そういうふうに改正する意思はないかどうか、その点をお尋ねいたします。
#20
○松元説明員 ただいまの御質問の、役所の任命いたします監督吏員があまり取締る能力がない、さらにはなはだしきは取締る意思もないというような点は、先日來しばしば議論になつた点でございざすが、たしかに漁民みずからに取締る権限を認めてほしいという点は、私実情としてはわかるわけであります。しかしながら漁民自身に認めるとなると、みずから力で守るという点になりまして、秩序の点からもどうかと思うのであります。しからば委員会にこれをまかせるかという点でありますが、これは法律全体の仕組から申しまして、この点も根本的に議論はあるわけでございますが、委員会にすべて最後の決定権を持たしなないのであります。たとえば免許権にいたしましても許可権にいたしましても、最後の決定権は知事が持つておる。そういう全般の仕組の点もございまして、この点をそのままにして、この監督を委員会にまかせるということは、ちよつとできかねると思います。
#21
○砂間委員 その点に関連して特に第六十七條が問題になるわけでありますが、この六十七條によりますと、海区漁業調整委員会がいろいろな問題につきまして指示をすることができるというように第一項ではなつておりながら、他の項におきましては、知事は必ずしもそれに從わなくていい、最後の決定権は知事にあるというふうなことになつておる。
    〔委員長退席、玉置委員長代理着席〕
先日來いろいろ御説明を聞いておりますと、実質上はこの調整委員会が相当の権限を持つてやるので、法的な根拠は知事が決定権を持つておることになつておるけれども、実質上はこの調整委員会に從つて行くからいいじやないかというので、はなはだあいまいであります。しかしここに本法が民主主義ということを第一條においてうたつておりながら、それが貫かれていない、あいまいな点がはつきり現われておると私は考えるわけであります。從つて漁村の民主化とか、あるいは民主主義というこの精神をもつて貫くならば、こういう官僚に最後の決定権を與えるというようなことは、これは訂正しなければならぬ。後に調整委員会の点につきましても触れるつもりでありますが、この調整委員会を決定機関といたしまして、そうして知事が最後の権限を持つというふうな点を、第六十七條においてひとつ修正した方が私は本法の精神が生きると思うのであります。今の監督の問題についてもそうでありますが、漁民の監督にまかせると、実力行使というようなことになつて、秩序の上から言つてもおもしろくないというふうな御意見もありましたけれども、何もそれは漁師がかつて気ままにむちやくちやにやるわけではないのでありまして、法規に從つて、法律に違反したことを民主的に自分で取締つて行くというのでありますから、そう無政府主義的な乱暴な乱鬪を起すということもないと思います。第七十四條をそういうふうにかえることがむずかしいのであるならば、その精神を全條を貫きまして、たとえば第六十七條なんかにしましても、そういうふうに改めた方が私は本法が一貫した精神によつて貫かれて行くと考えるわけてありますが、第六十七條をそういうふうに修正する意思はないかどうかという点を重ねてお伺いします。
#22
○久宗説明員 ただいまの問題でございますが、これは現場におきまする取締りの能力との関係の問題が一つ別にあると思うのでありますが、御指摘になりました六十七條の指示の問題につきましては、これを最終的な決定にしない理由といたしまして、われわれは次のように考えておるわけであります。縣の規則で漁場の秩序を規定いたします場合に、その海区の個々の実情をまで細部にわたつて書けないという問題と、それから季節的に起つて來るような問題について非常に書きにくいわけでございます。そこでそういうふうな海区そのものの個々に起つて参ります調整上の必要はいろいろあるわけでございまして、そういうようなものを指示でやつて行こう、つまり規則よりもつと廣範な内容を持ち得るし、もつと具体性を持つわけであります。ところでそれを決定的なものにするということになりますと、これは個々の人間の権利義務に非常に関係がございますので、そんなあいまいな形はできない、どういうことについてどういう指示をするというところまでこまかに規定しなければならないことになるわけであります。そういたしますと、この指示でもつと具体的な内容まで規定して行こうというほんとうの必要と背馳するわけでありまして、しかし現実には、その漁場においてはそういうふうな指示がまつたく必要だという場合が現実の問題だと思うのであります。そこでこの指示は非常に具体的ないろいろな問題についてできるが、その中で、特に絶対的にそれに從わせなければ漁場全体の秩序が保てないといつたよりな問題、こういう問題につきまして、それを別に法的に裏づけるわけであります、つまり指示がいろいろ出るわけでありますが、それでもつて実際は治まつて行く場合があるだろう。しかし非常に大事な指示であるにかかわらず、それに從わない人たちが出て來た、こういう場合に、最後に知事が具体的にその從わない方々に対して個別的に命令を出す、あのいついつの指示に從えという命令を出すわけであります。しかもそれを出すにあたつては、双方の御意見、つまりそれによつて縛られる方々の御意見も聞いて判断した上で、それに対して最後の法的な決定的な裏づけをするということにいたしたわけであります。これによつて指示そのものも非常に具体性を持つて廣範囲にできるし、またそれによつて漁民が不当に権利を束縛せられるということもないであろう、こういうふうに考えたわけであります。
#23
○砂間委員 今の御説明を聞いておりますと、知事がいかにも第三者的な立場にあつて、公平な、もう神樣であるように考えておられるようでありますが、しかし現実の知事なんというものは、大体その地方における有力なる水産資本家、あるいはその地方の水産関係のボスだとか、そういう連中に動かされておりまして、いつでも資本漁業の味方なんです。これは実例はもうたくさんあります。三重縣におきましても、その他の縣におきましてもたくさんありますが、こういう連中に絶対公平であるような幻想を持つて、そうして廣大な権限をまかせておくということ自体が間違つておる。これはもう官僚が抽象的に頭の中で考えるからしてそういうふうに見ておるのであります。実際問題におきましては、北海道でもどこでもそうですが、みんな資本漁業の一方的な型ばかりの連中に、こういう大きな権限を持たしておくよりも、それは少くとも漁民の選出した機関に、もつと決定機関として大きな権限を持たしたらどうか。これはよほど民主的に行くというふうに私は思う次第でありまして、これは意見になりますから、またあとで討論等で十分申し上げるつもりでありますが、とにかく今のような御説明では私ども納得できないということだけ申し上げておきます。
#24
○小高委員 ただいまの七十四條に関する問題でありますが、私は今砂間君から意見のありました、われわれの民選知事の紬権限を認めないというような、そういう知事を否定するような議論ではありません。この知事のある程度権威を認めるということはけつこうでありますが、それに関連いたしまして、私はこの立法の趣旨において、はたして新憲法下において民主主義を唱えておるところのこの漁業法の精神に準拠して、かようなものがあることが正しいかしからずかというこの根本問題に対して、多分な疑義を抱いておるのであります。この点についてあらゆる法令から考えまして遺憾なきかどうか。ことに漁夫なんというものは漁があると夜寝ずに、どんどん操業しておる。操業して夢中になつて働いているときに、その現場を見なければいかぬからというので、ちよつと待つてくれと言つても、そのときこそ調査の必要があるので、そのときをおいては調査の時期を失うというようなことでありとするならば、ある意味においてこの監督官が、書入れどきであるところの寸刻を爭う船頭をよこし、そうして早く消費者の口へ入れようと思つて夢中に働いておるところのこの操業に対してじやまに相なりはせぬか、支障に相なりはせぬか、私は漁民に対してことごとくさような猜疑心を持つて、罪を犯さないうちから罪人扱いに見るということ自体が、間違つておるのではないか、ある程度待つてくれと言つたら待つだけのゆとりがあつていいわけだと思うのでありますが、この法の根本的理念において遺憾なきやいなや、その点をただしたいと思うのであります。
#25
○松元説明員 お答えいたします。ただいまの御質問、問題は二点あると思うのであります。一つはかかる権限を持つことが新憲法上の問題とからみまして、はたして違法でないかどうかという問題が一点あります。もう一点は、監督吏員のやり方、運用の問題であろうと思つております。後者の運用の問題につきましては、おつしやる点は十分認めたのであります。現在までもし監督吏員のそういう問題があれば、今後の監督方針といたしましては十分気をつけて、何も法律上権限を認めておるから、それをそのままいつてもかつてに振りまわしていいのではないと思つております。この点は運用の問題でやるべきが至当であろうと考えております。
 もう一点、はたしてこれが憲法との関連においていかがであるかという点でありますが、確かに新憲法では使用権限の令状なくして他人の家へ立ち入つたり捜索できないという規定がございます、この新憲法の規定とからみまして、確かにただいまの小高委員の御質問のように、当初かかる臨檢的な規定を置く場合も問題になつたのであります。これはこの法令ではございませんが、たしか臨時物資需給調整法と記憶しておりますが、その場合に違憲ならずやいなや非常に議論があつたのであります。当時美濃部博士等の意見によりましても、憲法にうたつてあるのはあれは司法権のことであつて、行政権でないという解釈をとられまして、それでこれは違憲でないというふうに落ちついて、物調法以下の規則も規定されているのてあります。しかしながらたとい違憲ならずとも、新憲法の精神といたしまして、かかる使用権の権限を模範に持つということは、おつしやる通り問題があるのでありまして、この点は一應私どもといたしましては、根基法規はやはり必要であろう、現在の問題は、きまつた漁場秩序が守られていないという点、まさに今や無政府状態になつておる、その状態を秩序通りにやはり取締るということ――取締ると言いますと少し強うございますが、きめた秩序通りやらせるということが、やはり重大な問題だと思います。そのため根基法規といたしましては、かかる檢査の点はいるのではないか、しかしその運用につきましては、おつしやる通りに十分な注意を拂つて行きたいと思つております。
#26
○小高委員 ただいま松元説明員のお話でありますが、ある程度新憲法の精神にのつとつて考えるとき、この点研究すべきものがあるというようなお答えであるのであります。私も多分にその点は疑義を抱いておりますがゆえに、ただいまお話になりました漁業が比較的ルーズに流れておる、それを取締る意味においてもこういう條項があつた方がいいのではないかというのであるとするならば、これは漁民の教育を徹底的に行うとか、あるいは漁村文化の向上をわれわれが率先垂範するとか、いろいろの手もあろうと思うのでありましで、一應御答弁は得ましたが、私どもにおいても、ただちにその答弁をもつて了承するわけには参りません。よつて研究の上でまたあらためてこの点は質疑に入りたいと思つております。以上をもつて私の質問を終ります。
#27
○川村委員 第六十五條には水産動植物の繁殖保護、漁業取締りに関して、すなわち漁業調整のために一号から七号まであげて、そうしてただ單に禁止と制限のみをしておるような條文になつております。そこであらゆるものが法に、最近人工養殖とかいうようなことを織り込んでおるのですが、この場合年々魚が減つておる時分に制限と禁止をすることも、これは考えなければならぬのでありますけれども、こういう法の一大改正の場合に、人工養殖の必要をここに織込まなかつたということは遺憾にたえないのでありますが、この点を全條文のどこかに織込んでおるか、また織込む意思が將來あるかということをお尋ねしたい。
#28
○松元説明員 単なる消極的な制限禁止ではなくて、積極的な増産と申しますか、積極的に魚をふやす方法の規定がないという御指摘でございますが、これは実体といたしましては、確かにその通りであります。ただ私たちがここに條文としてそれを規定いたしませんでしたのは、大体法律と申しますのは、人民の権利義務を制限することが主として普通でございまして、從つて制限または禁止については書いてありますが、積極的にここまでしろということは書かないで、それは実際の行政の運用としてやつて行きたいと思つたので、実は條文には書かなかつたのであります。しかしその趣旨は当然のことと思つております。
#29
○川村委員 もちろん法律は制限と禁止に重きを置くのだとあなたがお考えになればその通りでありますが、いやしくも法というものは、すべてのことを全般的に大きく見て考えなければならぬから、私は織り込んでおきたいという意見をさし加えておきます。
 それから次にこの七号に盛られたところの、制限禁止の省令または規則をつくる場合に、当該都道府縣内の海区に設置された海区調整委員会の委員をもつて組織する連合海区調整委員会で大体それをきめるということになつて、そのきめたことで、主務大臣か都道府縣知事がこの規則をつくることになるのでありますが、説明によると――また説明ばかりでなく、この本文を見ますのに、連合海区調整委員会というものは必要に應じてつくる、こうなつておるのでありますから、必要でない場合にはつくらないでもよいのであるが、さらにこの法文は必要な省令または規則を定めることができるというふうに、絶対的のものでないという考えから、つまりこの條文からいたしまして、連合海区をつくらなければ、当然この制限に関する問題は、省令あるいは規則として取上げることができないというふうになつておりますが、これはどういうお考えからこの條文がこういうふうになつたのですか。
#30
○松元説明員 先ほどの御説明は少しまずうございまして、法律というものは、制限、禁止的に考えるという趣旨を申しましたが、一般的には法律というものは人民の権利義務を主として制限するので、積極的にそうしろとまで命ずるのはどうかと思つて書かなかつたのですけれども、確かに必要によりましては、政府に義務を負わせるという書き方はできる。政府は毎年予算の範囲内においてやれということはできると思つております。その点においては確かに考慮の余地があると思つております。あとの問題ですが、これは取締規則をつくるのには、必ず連合委員会の意見を聞かなければならぬのにかかわらず、連合委員会は随時必要に應じて設ける、これは條文の通りですが、從つて連合委員会をつくらないから取締規則はつくれないというふうになるのじやなくて、取締規則はできるとなつております。実際問題としては、つくるとすれば逆に連合委員会をつくらなければならぬ。從つてつくるときには、あとで規定してつくろう、こういうことであります。連合委員会は常置の機関としてつくろうと考えたのでありますが、正面切つて書くと、委員会の数も多くなり、他にいろいろ問題もございますので、正面切つては書かなかつたのであります。これは実際問題としては、縣の連合委員会というものは置こうと考えておるのでございます。
#31
○川村委員 それでは必要でない場合には、連合海区漁業調整委員会をつくらなくてもいいということに解釈していいのですか、かりにこれを別な角度から言うと、つまり海区の調整委員会の意見がつくらなくてもよろしい、こんな制限だとかあるいは禁止だとかは省令あるいは規則につくらなくてもいいのだということになると、そこで連合会もつくる必要はないとなつた場合できないことになるのですが、そうすると強制的に主務大臣なり道府縣知事がつくれということを命ずる御意思でありますか、この條文からすると、できるとあるのだから、必要がなければつくらなくてもいいということになると思うが、どう解釈したらいいのですか。
#32
○松元説明員 お答えいたします。連合委員会は海区委員会が自発的につくる場合と、知事がつくる場合と二つありますが、もちろん條文といたしましても、知事つくる場合も、知事が必要あると認めるときにはつくるとなつておりますから、府縣知事が恣意的につくるか、つくらぬかというふうに見えるわけでありますが、そこまで書いてあるのであります。知事がサボつたら問題になりますが、一應海区委員会からでなくて、知事からつくれることになつておるわけであります。
#33
○川村委員 その問題はその程度にして、第七十一條にある「さく河魚類」というのはどういう魚を言うのですか。私ちよつとわかりませんから御説明を願います。
#34
○高橋説明員 技術的な事項のようですから私からお答えいたします。さく河魚類と普通言われておりますのは、海から川に上つて、ある時期に生活する魚という意味でございまして、たとえば川に産卵のために上つて來るさけ、ます、あゆ、あるいはうなぎとかいうものを通常さしております。
#35
○川村委員 そこで第二項にその通路を害するときは、「主務大臣は、その所有者又は占有者に対して、除害工事を命ずることができる。」こうなつております。そうなると、もつともなことになりましよう。しかし第三項に、「別項の規定により除害工事を命じたときは、主務大臣は、工作物について権利を有する者に対して、相当の補償をしなければならない。」この場合は補償させておつて、きのう問題になりました主務大臣のする制限のために、漁業許可の取消しといつたようなことになつた場合に補償しないということと、非常に矛盾がありますが、その点はどういう観点から一方を補償する、一方を補償せぬということになつているか、どういう理由か御説明願います。
#36
○久宗説明員 昨日お話いたしました補償と関連しての御質問だと思いますが、第六十四條そのものに補償の規定を設けませんでしたのは、先日も御説明いたしました通り、漁業権というものであれば、実権として非常に明確なものであるのでありますが、許可と申します場合に、許可そのものを補償するかどうかという問題につきましては、その許可によつて行われておる営業の内容が、いわゆる営業権として認められるものであるかどうか、それが憲法第二十九條に申します財産権の内容をなすかどうかという実体判断が必要になつて來るわけであります。そこで六十四條に、一般的にそういう場合に補償すると書くことは不当でありまして、むしろここに整理法といつた特別法が出ました場合に、その内部でその場合に問題になる。許可の内容がはたして補償を要するかどうかということを、憲法第二十九條との関連において具体的に規定すべきである。またその損害がありとすれば、その損害の内容を具体的に規定すべきである、こう思うのであります。それで個々の特別法に讓つたわけであります。
#37
○川村委員 その説明だけはわかりますが、どうも納得が行きません。というのは先般來この漁業法の制定に関して、何ゆえに全部の漁業権すなわち免許漁業にしろ区画漁業にしろ、この法案に織り込まなかつたかという強い問いに対しまして、長官は近い將來においてその方の漁業法を制定する、しかも一年以内にやりたいという考えを持つておると御答弁があつたのであります。その場合におきまして、現在は免許漁業権には補償するということになつておりますが、今度は長官の申された一年以内に区画漁業権を全部國家賠償にするかどうするかはまだはつきりしていないのでありますが、その場合に補償するかどうかということもあわせて承りたいのであります。今久宗課長の説明によりますと、許可漁業権は物権であるとみなされないということであるならば、これは今度織り込みますところの区画漁業権は、漁業法に制定する場合に当然補償ができないということになるのですか、この点との関連をひとつ長官から御説明願います。
#38
○飯山説明員 許可漁業の場合にその許可を取消すというときに補償をするかせぬか、こういう問題でありますが、この許可を取消す内容によつて考うべきものではないか、それが國家の必要上許可権者と申しますか、許可を受けておる者が何らそこに不正のことがない場合、妥当な理由がないにもかかわらず、國家の事情からこれを取消さなければならぬというような事態の場合には、これは國家が補償する責任がある、かように私は解釈しております。從つてその取消しの内容によつて考えなければならぬ、かようなことでございます。
#39
○川村委員 長官の答弁はまことに妥当な答弁だと思いましてこの程度にいたします。それから第七十二條におきまして「都道府縣知事は、漁業者、漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に対して、漁場の標識の建設又は漁具の標識の設置を命ずることができる。」こうなつておりますが、漁場の標識それから漁具の標識は、当然今まで慣例としてわれわれ民間で、すなわち漁業者が立つておるのでありますが、漁場の標識の建設ということは技術を要する問題であります。すなわち檢地にしろ、あるいは左右の距離にしろ、いろいろそこに誤てば大きな支障を來す問題があるので、今までは北海道であるならば北海道廳が建設をしておるのであります。これらに対して、今度の法案が漁場の標識の建設というのは、標識という見解も私はわかりませんし、もしわれわれが特に言つておる免許漁業権のいわゆる標杭ということになりますと、國家が今まで建設しておるのでありますが、これは標識という見解とそれから建設に対して、漁業者その他漁業者の團体が建設すると、もしかつてに建設していろいろな測定を誤つた場合に、一体どういう責任になるか、この三点であります。すなわち標識というものの見解、それから次に民間すなわち漁業者その他漁業團体が建てた場合に、その経費は当然持たなければならぬでありましようけれども、誤つた場合にどういうふうな処置をとるか、その責任のありかであります。
#40
○松元説明員 この七十二條は現行法と同じ規定でありまして、從つて標識もただいま御質問の通りと了解していただきたいと思います。この規定は現行法にもあるわけでありますが、何も行政官廳が一方的に命じてそれきりでいいという意味ではなくて、もちろん行政官廳といたしましては、命ずる場合にはその実際のやり方も当然指導するわけでありますから、またその運用でやつて行きたいと思います。條文の書き方が、一方的に命ずるので、非常にきつく見えますので、御心配の方があると思いますが、そういう技術的な指導は当然役所としてやるべきだと思います。
#41
○川村委員 命じて建てることはいいのです。当然定置漁業のごときは建てなければならぬのでありますが、われわれ漁業者や漁業團体にやれと言つても技術を持つておりません。すなわち測量の機械に一度間違うととんでもない所に漁業の標識が建つわけです。そうなりますと必ず周囲との関係で紛擾をかもさなければならぬ。そういう場合に、われわれ漁民に標識を建てさして、そうしてあやまちがあつたとした場合に、だれが一体責任を負うのだ、こういうわけであります。
#42
○松元説明員 お答いたします。ただいまの御質問ごもつともでございまして、この規定の上には、むしろ実際上の費用の負担というふうに了解していただきたいと思います。もちろん大体が免許いたしますのは行政官廳でありまして、その場合漁場の位置を実際に測定してきめる、これもやはり行政官廳でございます。從つて当然漁区の実際の標識につきましては、実質的には行政官廳がとるべきである。この費用は漁業者の負担と了解していただきたいと思います。
#43
○川村委員 そうするとこの書き方がまことにあなた方の考え方だとまずいのです。結局都道府縣知事は漁場の標識の建設または漁具の標識の設置をしなければならない。その場合に漁業者または漁業協同組合、漁業協同組合連合会がその経費を持たなければならぬ、こういうふうに言つたならば一番はつきりするのを、あなた方法文の博士だからこう書いたかもしれないけれども、私はそう考えない。あなたの説明から言うと、経費だけ持たせるというならば、私が今申し上げたように、この條文を書きかえればはつきりするのであるが、この点はどうです。
#44
○松元説明員 私も確かに気持はおつしやる通りだと思います。從つてこの條文の現行法をそのまま持つて來た。これは現行法上今までずつと使つております。あえてかえるのはどうかと思いますので、そのままを使つたのでありますが、もしこれで不安があり、疑義があるということであれば、われわれは書きかえてよいと思います。
#45
○松田委員 質疑または御答弁によつて、大体私は質問はないのでありますが、説明員の言葉の中に、この法案には漁業を営む者、漁業從業者というようになつておつて、つまり漁業者となつておる。また漁民という言葉も使つておる。しかるに説明員は先ほどから二度も人民という言葉を使つておる。これは共産党が世界人類を指して人民という言葉を使つておるのであるが、この法案は日本國民の漁業者に対する法案であるのであつて、共産党のごとき世界人類を指しておる人民とは違うのである。大体においてこの法案をつくり上げておる原案そのものに、われわれ今まで論議してぴんとして來ないのは、それは人民なる言葉と同樣な思想を持つてやつておるからぴんとして來ないのだと私は考えておるのであつて、この法案に対する疑義がここにある。今日この法案を出したものは民主自由党内閣であるが、ここに立案者の思想が人民という言葉をもつて表わすようなことであつたならば、とうていこれからもこの審議に当つていろいろな錯覚をわれわれが持たざるを得ない。この点説明員に御忠告を申し上げたいと存じます。
#46
○松元説明員 ただいまは、私人民という言葉で実は非常に恐縮でございますが、使いました意思は決して――この人民という言葉をたしかにおつしやるように共産党は共産党で使つておりますが、私の申し上げましたのは、われわれ法律家が使います場合には、憲法でも人民と呼んでおりますので、それをそのまま踏襲いたしまして使つたのでありますから、あるいは誤解がありましたらひとつ御了解願いたい。
#47
○玉置委員長代理 第四章はこれで打切つて第五章に移ります。
#48
○冨永委員 「沿岸漁業の漁業権者又はその許可を受けた者は、命令の定めるところにより、毎年、政府に免許料又は許可料を納めなければならない。」とあるのでありますが、これは一体毎年納める額をどのくらいにお考えになつておるか、それを伺いたいと思います。
#49
○久宗説明員 お答えいたします。これはお配りしました資料にも書いてございますし、たびたび御説明いたしたのでありますが、現在のところまだ二年後にとるわけでございましてそのときの行政費の負担がまだ確定しないということと、それからまた補償の金額も、これはそれから補償委員会を通じて全部計算いたしますので、確定いたしませんが、推計で参りますと、沿岸関係の総計が年額といたしまして、補償の償還関係が十一億三千六百五十万七千円ということになつております。それから行政費の関係では本年の標準予算の計算で参りまして、通常の年に約三億三千万円程度というふうに考えておるわけでございます。その合計が毎年踏襲すべき沿岸関係の免許料、許可料の金額になるわけでございます。
#50
○冨永委員 たしかにお配りになつた資料にもあるのでございますが、それを特に念を押してお伺いしたのですが、その金額が一項、二項、三項に要する費用と大体見合いになるものと思われるのですが、しかしながら私どもの予想では、おそらく二項の経費なども相当の額になるように思われるのですが、これは大体見合いになると今御算定になつた数字でまかない得るとお考えになつておられますか。また最初の年などはずいぶん非常な大きなものが要るように思うのですが、その場合の考え方などについて伺つておきたいと思います。
#51
○久宗説明員 お答えいたします。これはたびたび誤解があるわけでございますが、免許料の方はこれは一ぺんに五箇年の権利のものを支拂つてしまうのではないのであります。つまり漁業権を買い取るということではなくて、漁業の免許を受けますと、その権利を買いとつたのではなくて、免許を持つているということによつて年々免許料を支拂うわけですから、御説明の際にもたびたび申しましたように大体賃貸料というふうに、実際上は賃貸料をお拂いになるということと同じようにお考えになつていたたきたいと思います。毎年幾らずつ納める、こういう形になる。ただ毎年の額が、補償だけでございますとはつきり固定するわけでありますが、そのほかに行政費がここでは入る形になるわけでありますので、行政費が物價その他の関係で動きました際に、毎年の免許料にも少しずつの変化が來るわけでございます。
#52
○砂間委員 今の問題についてでありますが、第七十五條の「命令の定めるところにより」という、この命令の定め方でありますが、この免許料、許可料は漁業権の種類によつてとることになりますか。それともその漁業権を持つている主体つまり協同組合、水産組合であるとか、あるいは個人というのによつて、たとえば協同組合が持つている定置の漁業権についてはいくらか割り安でみてやるとか、個人が持つておる場合には割り高にするとか、あるいは同じ定置でありましても、その漁場が非常に優秀な漁場であつて、漁獲があるようなところだつたらばたくさんとる。そして小さい漁区のところからは少くとる。もつと突き詰めて簡単に申し上げますと、とにかく大きくやつて資本的に経営している人に対しては、同じ漁場でありましても、これが協同組合が経営しているときよりも少し高い料金をとるというふうに、税金で言えば累進税的にとるような仕組に、命令を定められるつもりでありますか。それともこの漁場や漁業権の対象によつて、固定的にだれが持つても、ここの漁場はこのくらいであるというふうに、漁獲高なんかを見合いにしてつけられる予定でありますか。その辺はいかがでしよう。
#53
○久宗説明員 経営者がだれであるかということによる差等は設けておりません。ただ御質問のありましたように、漁業権漁業でございますと、漁場が特定いたしますから、漁場の間に甲乙の差が出て來るわけでありまして、從つて定置漁業は幾らというのでなくして、個々の漁場によつて、その漁場の良否によつて免許料の内容はかわつて來るわけであります。ただ御質問のありましたような、経営者がだれであるかということによる差等は設けておりません。それから許可漁業の場合には漁場ごとの差というのでなく、大体一件幾らという形になると思うのであります。ただその場合にトン数、馬力によつて当然生じる差等というものが考えられると思うのであります。
#54
○砂間委員 私は免許料、許可料の定め方が、沿岸漁業に関する部分は、沿岸漁業に特に関係している人からとる。許可漁業の方は許可漁業からとる。内水面は内水面でとるというように別別になつておりますが、むしろこれを一本にし、プールにしまして、南氷洋捕鯨だとかあるいは機船底びきであるとかいうようなものを大げさにやつている資力のある企業の方々からはうんとこさ出してもらう、そしてなるべく協同漁業だとかあるいは零細漁民の諸君のものなんかについてはとらぬようにする、とつても軽くとるというふうにするのが、いわゆる漁村の民主化、民主々義の原則にかなうものだと思う。これを許可漁業の方法は幾くらに定められるか知りませんが、許可漁業の方は調整委員会の費用も補償もないわけですから、割合軽くなるのではないかと思います。それでは沿岸漁民の方が非常に割を食うわけでありまして、この定め方は非常にまずいのですから、もしやむを得ず免許料、許可料をとるとするならば、全水産業を一体としまして、そうして資本のある、まうけの大きいようなところからたくさんとりまして、協同組合なんかは、漁村の民主化をはかる上に一番重要な組織でありますから、これが経営した場合にはとらないようにする。そういうふうにかえた方がより合理的だというふうに考えるわけでありますが、その点についての当局の御見解をお尋ねいたします。
#55
○久宗説明員 零細な漁民の負担を軽くするという問題は、当然免許料をきめる際に、漁業権の種類によつて負担能力を考え、許可については、許可の内容をどんなふうに整理するかという問題とも関連いたしまして、考えるわけでございます。しかしながらここには補償の関係というものがございますので、あとでも出て参りますように、内水面のものは内水面関係、沿岸関係は沿岸関係というわくがございますので、全体をプールするという形はとつておらないのであります。
#56
○砂間委員 とつておらないそうでありますが、それはたいへん不合理だと思いますが、意見になるから差控えます。
 第七十五條、第二項の二号及び三号の点でありますが、この行政費をまかなうという点は、これは先般來たびたび論議されて來たことでありますが、こういう行政費をとらなければならぬということが、どうしても私どもにはふに落ちない。そのほかにわれわれは一般に税金を納めるわけでありますから、その税金の中から、國費の中からこんな費用は当然出した方がいい。どうしても合点が行かないのでありますが、幾度説明を聞いても同じでありますから省略いたしておきます。
 その次に七十六條の減免の問題であります。ここに「経済状況の著しい変動、不漁天災その他やむを得ない事由により漁業者の負担能力が減退したために免許料又は許可料を納めることが著しく困難であると認められる場合」というふうなことが書いてありますが、この免許料、許可料は前年度の実績に対してかけられるものでありますか、あるいはその年の予想といいますか、その年の実績といいますか、それによつてきめられるものでありますか。その辺はどこが標準になりますか。
#57
○久宗説明員 これはその年の状況をいうのであります。すなわち免許料のとり方の問題でありますが、漁の前に納めるかどうかということが問題になるわけであります。これは現在の漁業の姿からみましても、賃貸料の場合の実際問題からみましても、漁が終つてから納める。こういう形になるのであります。それで補償の方との関連も時間的につけられると考えますので、漁が終つてから納める。從つてその年の事情ということになるわけであります。
#58
○砂間委員 そうすると、補償の方は年末のあとまわしにされましても、行政費の方がそれでまかなつて行かれますか。その年の状況によつてつまり漁、不漁によつてきめるということになりますと、確定的な料金というものは、年末にならなければわからないと思いますが、行政費はどうなりますか。まかなつて行きますか。
#59
○久宗説明員 ただいま七十六條に関する御質問でありまして、減免する場合の問題でございます。從つていよいよとるという場合に減免の事情をどう考えるかというと、その年の実際の漁を考えるわけでありますが、ただあらかじめこれを免許料として規定いたします場合には、補償金の方は固定してきまつているわけでありますから、行政費はその年の予算に計上されたものが加わるわけでございます。
#60
○砂間委員 そうすると、税金と同じように、前年度の実績によつて免許料、許可料がきまるわけですか。それともそういう許可の実績とは全然無関係に、補償料と、それから行政費と、それをまかなう部分はとにかく必要であるというので、天くだり的にぶつかけて來るのですか。
#61
○久宗説明員 具体的に申しますと、かりに補償の方の額が百だといたします。それに対して行政費がかりに三十といたしまして、百三十というものをとらなければならぬといたします。それがその年にきまるわけであります。しかしながらそれを拂うかどうかという問題について、減免の事情が起つたものについて、どういう事情によつてそれを拂うかどうかというのをきめるのは、その年の漁不漁といつたことによつて減免の関係をきめる。こういつた意味です。
#62
○砂間委員 大体この補償料とか、行政費というものは、そう変動のないものだと思うのです。ところが漁業というのは漁不漁の非常に変動の激しいものでありまして、もし幸い豊漁のときには、若干の免許料、許可料を拂つてもまだ余裕があるかもしれませんが、不漁の年などは、ごく低い費用でも拂う負担がないという場合が必ず出て來ると思う。ところが免許料、許可料をもつておおむね行政費や補償料をまかなうようなことにするというわくをはめますと、不漁の年などは、ない者に税金と同じように、免許料、許可料を拂えということで、非常に大きな負担になつて業者を圧迫することは、今から予言できると思う。その辺のところの考えはどうなさるつもりでありますか。
#63
○久宗説明員 そのためにこの減免の規定を置いているわけでありますし、また長期の経済変動につきましては、第七十五條の第二項の但書に入れてあるわけであります。
#64
○砂間委員 減免しまして、それが足りなかつたときにはどうしますか。行政費を加えたもののうち、十分の一は拂つたが、不漁のために免許料、許可料はとれないという場合には、あとの十分の九は何でまかないますか。
#65
○久宗説明員 これは最初に書いてございますように、「おおむね等しくなるように、」というところで調節するわけであります。ただその調節が現実にその年だけでは調節てきないという場合には、次年度にずれるということも起り得るわけでございます。
#66
○砂間委員 その点が実際問題としましては、とんでもない天くだり更生決定となると思うのであります。全國的に不漁の場合なんか、とても漁民が生活すらできないという状況であるにもかかわらず、一方においては補償料、一方においては行政費をとられる。この委員会の費用というものは、不漁の年であつても、やはり相当かかると思うのです。それを免許料、許可料によつてまかなつて行くということになれば、とれてもとれなくても、一定の金額はどうしても押しつけなければならぬということになりまして、ここにかりにれいれいしく減免の規定は書いてありましても、これを空文化するという心配が非常にあると思うので、この減免の規定を、もつと具体的にはつきり規定しておかないと、あとで非常に大きな負担となつて、天くだり的に押しつけられて來る可能性が非常に強いと思うのですが、もう少し何とか具体的に、必ず不漁のときには減らしてやる、ある場合にはとらぬのだというような規定まで、入れて置くことが必要じやないかと思うのですが、その点についてはいかがお考えですか。
#67
○久宗説明員 この減免の場合どこへ線を引くかという問題につきまして、現在ただちにこれを数字的に表現するということは、現在の漁業の経営内容が今までインフレとやみと統制という問題と関連いたしまして、非常に捕捉しにくいわけであります。しかもそれをもつて各種の漁業について一律にこれを行うということは、非常に画一的になる問題でありまして、むしろ減免の根拠規定を置きまして、その内容を具体的に今後かためて行くべき問題だと思います。これを今ただちに数字的に表現するということは、むしろ漁民にとつて危檢であろうと思うのであります。
#68
○砂間委員 私、念のために申しておきますが、大きな人たちは帳簿を二重、三重にそろえてつくつておきまして、そうして不漁だ不漁だというふうにして減免の申請を持つて來るに違いない。ところが零細漁民になると、帳簿をそろえも何もできないものですから、漁がなくとも、とれただろう、お前はやみをやつたろうというようなことで、うんとこさ免許料、許可料をふつかけて來る。これは今までの税金を見ても明らかでありますから、私は反対であります。それだけ申しておきます。
#69
○川村委員 ただいま砂間委員は、漁業者は――つまり漁業者というのは、資本漁業と言つたのか、われわれ沿岸漁民の中のやや資本を有しておる漁民という意味を指したのであるかはわからぬが、二重、三重の帳薄をつけてごまかしておると言われた。こういうことは開き捨てにならないことであります。いやしくもわれわれ漁民がそういう帳簿をつけるふうになりましたならば、これは本当に罪惡を犯すためにやる人であつて、必ずしも私は全部が全部だとは考えられません。從つてその問題の記録だけは削除せられんことを、この席から要望しておきます。すなわち失言と言えばやかましくなりますから、その点だけ速記録だけは取消しを要望いたします。
#70
○砂間委員 それは私は資本漁業の方が一人残らず全部二重帳簿をつくつてごまかしていると申したわけではないのでありまして、資本漁業の人たちの中にはそういう人もあるということを申したのであります。一例を申し上げますならば、静岡縣の富士郡大昭和製紙におきまして脱税の摘発がありました、そのときに、今通産省の政務次官をやつておる民自党の宮幡靖代議士が、あすこの顧問をしておるのでありますが、何と申したかと申しますと、今どこの会社だつてやみをやつていない会社はない、二重、三重の帳薄をつけて税金をごまかすぐらいはあたりまえだというような談話を新聞記者に発表しておるのでありまして、民自党の政務次官さえも認めていることでありますから、私はそういうことが水産界において絶無であるとは信じません。それて水産業の資本漁業の人が、一人残らず脱税のために二重、三重の帳簿をつくつているという意味で申したのではないのでありますが、そういう者も中にはあるという意味であります。
#71
○川村委員 今製紙会社の例を引いて、二重、三重の帳簿をつけているということでありますが、法案の審議は製紙会社の法案を審議しているのではありません。すなわち漁業法の審議に当つておるのであります。砂間君もいやしくも漁民の代表として衆議院議員となつて、そうして水産常任委員となつている以上は、私は漁民の代表だと考えております。その漁民の代表が漁民を非議するがごとき暴言を吐くということは私は不穩当であると思います。もちろんあるかもしれません。あるかもしれませんが、砂間君の言うことは全部が全部といつた表現であります。從つて全部でないということを言つて、あとで取消しのような言辞を弄しておりますが、そうでなくこの際砂間君はすなおにその前の発言を取消したらどうだろうか、こういうのでありますが、訂正しておくということに相なりますれば、あるかもしれないという予想のもとにお話しておるのかどうか。あることであるならば、ここでその現実をとらまえて御発表願われれば私が納得することもできますから、どうかそのことを明らかにせられたいのであります。
#72
○玉置委員長代理 私からちよつと砂間委員に御相談的に申し上げますが、今までの水産委員会は、ほんとうに超党派的に円満のうちに議事がすらすらと進行しておるわけであります。從いまして、今の問題のために將來紛糾の種がかりにできるということになると、お互いはなはだ遺憾に思いますから、大した問題でもないですから、率直に取消しておかれたらどうですか。
#73
○砂間委員 先ほどの私の発言の中に、資本漁業の人たちが二重、三重の帳簿をつくつて税金を皆ごまかすというふうなことがありましたけれども、その点につきましては、やや不適当なところがあつたかもしれませんので、あとで訂正したような意味で申したのでありまして、その部分については訂正いたします。
#74
○小松委員 免許料、許可料は、ただいま政府委員の御説明では賃貸料の意味において納めてもらいたいというお話がございましたが、私は、七十五條その他七十八條等、この章全体の條文を通じて見ましたときに、この免許料及び賃貸料は、國が買收すべき漁業権の補償額、その他水産関係の行政費において負担する費用に当てられるものでありますがゆえに、さような当然國が國民から税金を徴收して、その税金によつてまかなう、その他の行政費、さような費用も特にこの賃貸料のごとき性質を帶びたものからこれを負担せしめるということははなはだ不合理だと思います。そこでこの條文を見ますと、税金の性質を帶びておるものだとしか私は断定できないのであります。この税金の性質を帶びておるかような免許料、許可料を、この七十五條を見ますと、「命令の定めるところにより、毎年、政府に免許料又は許可料を納めなければならない。」ということが書いてあります。かような税金と等しい性質のこの料金を、命令の定めるところによつて納めるというのは、法律的にどういう根拠があるか。税金と等しいものであるから、法律にはつきりと定めなければならぬと私は思う。この法律的根拠を伺いたい。
 それから漁民の立場から申せば、昨日來いろいろお話があつたごとく、漁民は他の業者と同じように所得税も納めており、事業税も納めており、取引高税も納めており、舟税も納めており、あらゆる税金を納めておる。実に過重な税金を負担せねばならぬことになるのであります。そういう現状はよく政府当局も御承知のことだと存じます。ゆえに私はこの過重な負担を避けるために、結論から申せば、かような免許料、許可料をとるということは、実は反対の意見を持つておる。しかし今ここでお伺いしたいことは、税金に等しいものを徴收するのに、單なる命令で定めることの法律的根拠、それと同時に、なおその第四項に「主務大臣が中央漁業調整審議会の意見をきいて定める一定割合を乘じて得た額をこえないように定めなければならない。」この一定の割合という文字がありますが、この一定の割合というのはどういうことを言うのであるか、その点を伺いたいのであります。
#75
○久宗説明員 先ほど私の説明の中で、これは賃貸料のような性格を持つておるものだ、こう御説明したのでありますが、これは主として漁業につきまして実際の負担の内容を経済的に見た場合の御説明をしたわけでございます。そのために誤解を生じたと思うのでありますが、法律的に申しますと、これはやはり御説の通り税金と性質を同じくするものなのであります。そこでその根拠の問題でございますが、これにつきましては他の税でも同じような問題がございますが、ここでは総額が規定されておるわけであります。つまり何と何をもつてこの税額が構成されるか――税額と申しますか、金額がきまるかというわくがきまつておるわけであります。そうしてその内部の問題をこの規定によりまして命令に委任したわけであります。すなわち総額が限定されておりますという点において、おつしやる意味の不当と申しますか、そういう点はないと思うのであります。
 それから第二の点でございますが、第四項の「一定割合を乘じて得た額」というのは、これはこの前にも御説明いたしましたように、沿岸漁業で負いました負担度合とほぼ一定のところに同じくらいの負担を負うということなのであります。ただその場合に、その数字というものは、ここに掲げました漁業の漁獲高というものから見まして、それだけの金額が加わつた場合に同じような負担度合になるという計算が必要になりますので、それを現在の不完全な統計でただちに数字的に割出すことは危檢でございますし、今後の漁区の問題なんかも考慮に入れて行かなければならぬという点から、そういうものは中央漁業調整審議会の御意見を聞いて、そこで具体的にきめて行くということなのであります。内容的に申しますと、ここで考えておりますのは、沿岸漁業で負いました負担度合と、個々の経営についてそれがほぼ同じになるような率をきめるということでございます。
#76
○川村委員 第七十五條の漁業権の免許料、許可料のことについては、各委員からそれぞれ相当の強い意見があつたのであります。私も同感であります。そこで大体補償料と調整費とを合せますと、大体十五億程度漁民が負担をしなければならぬということに相なつておりまして、これに対して各委員も私もどうも過重な負担であるということはもうはつきりしておるのであります。ただこの場合調整費が三億二千万円、まことに大きな支出になりますけれども、これを全國的に見た場合に、はたしてこの三億二千万円ぐらいの調整費で完全な漁業調整をやつて行けるかどうか。すなわち調整委員、あるいは中央漁業調整審議会の委員の満足の行く待遇をして行けるかどうかということを、私は懸念するものであります。そこでこの調整審議会の委員あるいは漁業調整委員会の委員等に與える費用と言いましようか、あるいは報償金といいましようか、これらは、昨日承りますと、ほんの旅費かタバコ銭くらいのものであるという御説明があつたのでありますが、そうしたようなわずかの調整費用を與えまして、はたしてその調整委員が、まじめに眞劍に漁業調整に参與することができるかどうかということを私は心配するものであります。せつかく漁業調整の完璧を期そうということで、海区漁業調整委員会なり、中央漁業調整審議会なりをつくりましても、いわゆる魂を入れなければ、とうていその十分の意を盡されないと私は心配するのであります。意を盡されないとすれば、むしろやめた方がよいのだという結論を私は持つております。そこできのうはただわずかの費用、タバコ銭くらいのものであるというような意味に私は解釈しましたが、漁民から出ました委員に対する待遇と、さらに都道府縣知事が選んだ委員の待遇、もう一つ中央審議会に選ばれて來ました委員の待遇とは、おのずから、かわらなければならぬと思いますが、この点においてもう少し具体的に費用の点を御説明を願いたいのであります。
#77
○久宗説明員 この問題は、おつしやる通り非常に重要な問題でございまして、ことにわれわれといたしましては、海区の漁業調整委員会というものは漁も犠牲にして出なければならない場合が多い。またそれに相当の負担がかかるわけでございます。そこでこの委員会だけは非常に特別な委員会なのだから、ぜひ漁業の実体に即して委員会費用、ことに委員の手当といつたものについて考えてもらいたいということは、財政当局との間に長い交渉をもちまして、執拗にこの要求をいたしておるわけでありますが、御承知の通り現在の予算関係から申しまして、相当苦しい状態ということがある上に、また各種の委員会も、それぞれ伺つてみればやはりいろいろな事情があるわけでございます。そこで大藏省の方におきましても、大体各委員会におけるやり方は統一しておりますので、それとかけ離れた特別な措置ができないのであります。そこで大体委員会のやり方を見ますと、出席しました場合の手当、旅費と日当を與えるのは原則になつておりまして、年に幾らといつたぐあいにはならないのであります。その関係は他の委員会においても同樣な形になつておりますので、この場合だけすつかり漁から離れるから云々というぐあいにはできないのでございます。そこでわれわれといたしましては、現在認めておられます委員会の内容をいろいろ檢討いたしまして、特に出席の回数が多いとかいろいろの理由によりまして、できるだけ増額するように交渉いたしておりますが、そのわくをはずして、特別にその委員会だけどうこうするということは、おそらく客観的に見て不可能であろうと思うのであります。
#78
○川村委員 そこで多大な待遇はやはりし得ないということははつきりわかつたのであります。しかし他の委員会云々と久宗課長は説明されておりますが、今度のこの漁業調整委員会で漁業権の再分配の終らぬうちは、ほとんど自分の仕事を投げてかからなければとうていできない、かように私は考えております。あなた方は簡単に漁業調整ができる、漁業権の再配分ができる、こうお考えになるのは大きな誤りであります。私はあまりに漁業の内容を知り過ぎておるだけに、委員会の委員になることをおそれております。というのは、この法から行きますと一應全部とつてしまうのだ。そうしてこの規則によつて再配分をするのであるから、もし自分の今までの経営者がその漁業権が当らないとすれば恨みを持つことは当然のことであります。そうしたようなことから絶対的に漁民の喜ぶようにするためには、これはほんとうに自分の漁業を投げて毎日かからなければ、とうてい十分な漁業調整ができ得ないものだと私は考えておるのであります。從つて三億という費用はまとめれば大きいけれども、これではとうてい調整委員会の委員が、喜んで調整をするように待遇はできない。從つて待遇の上から不平が出るならば、その仕事を怠るということは当然であります。皆さんが官吏でありまして、食えないから待遇の改善をしろと言つて赤旗を立てて歩くのもその一つです。委員会の委員も、自分たちが漁業調整をりつぱにして、この法にのつとつて漁村の民主化と増産をはかろとして熱心になりましても、待遇ができないと自然に投げ出すということになつて、当然これは漁業調整がうまく行かないということになるのであります。とにかく法にはこうして一應織り込まれておりますけれども、この三億二千万円でまかなえると思つたら大きな間違いであります。これは修正の意見になりますから簡単に申し上げておきますが、全額國庫負担にするか、もしくは大幅に増額して、漁業調整の完璧を期するように計画を立てなければ、計画倒れになりますから、一應御考慮を願いたいという意見を述べまして私の質問を終りといたします。
#79
○玉置委員長代理 それでは本日は第五章はこれをもつて打切りまして、明後十二日午前十時より第六章を引続いて審議することにいたします。
 本日はこれで散会いたします。
    午後零時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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