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1949/03/31 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第3号
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1949/03/31 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第3号

#1
第005回国会 厚生委員会 第3号
昭和二十四年三月三十日
                床次 徳二君
が理事に当選した。
    ―――――――――――――
昭和二十四年三月三十一日(木曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 堀川 恭平君
   理事 松永 佛骨君 理事 床次 徳二君
   理事 福田 昌子君 理事 田代 文久君
      青柳 一郎君    今泉 貞雄君
      高橋  等君    奈良 治二君
      西村 直己君    畠山 鶴吉君
      原田 雪松君    丸山 直友君
      岡  良一君    堤 ツルヨ君
      苅田アサノ君    河野 金昇君
      松谷天光光君
 出席政府委員
        厚生政務次官  亘  四郎君
        厚生事務官
        (藥務局長)  慶松 一郎君
        同
        (社会局長)  木村忠二郎君
        同
        (児童局長)  小島 徳雄君
        同
        (医務局次長) 久下 勝次君
        厚 生 技 官
        (予防局長)  濱野規矩雄君
 委員外の出席者
        厚生事務官   安田  巖君
        厚 生 技 官 石橋 卯吉君
        專  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 厚生行政に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○堀川委員長 これより会議を開きます。
 本日は昨日に引続きまして、委員諸君よりも御要望のありました主として厚生行政面の最近における種々の事件に関しまして審議をいたしたいと存じます。発言は通告順にこれを許すことにいたします。田代委員。
#3
○田代委員 第一番は、御承知のように全國の國立病院、あるいは療養所などで患者諸君が相互の利益をはかり、あるいは文化的な教養の向上をはかるというような民主的な目的をもつて團体を組織されておることは御承知の通りと思いますが、そういう患者團体に対して政府が解散させるというような指示を出されておるかどうか。またそれを出されたとすれば、それはどういう理由で、また実際に実情を調査の上、出されたかどうかというような点について御回答をお願いしたいと思います。
#4
○堀川委員長 本日は大臣は運営委員会の方に出られて、ちよつとここへ御出席がありませんから、亘政務次官にお願いいたします。
#5
○亘政府委員 お答えいたします。患者自治会につきましては、從來ややもすればその本來の使命を逸脱するような行動がないとは申されませんでしたので、各方面からいろいろと批判があつたのでございます。これに関しまして関係方面から直接患者自治会の代表者に対し、解散について勧告がなされたように承知いたしておるのであります。これにつきましてはなお目下関係方面と連絡して、調査をいたしておるような次第でございます。
#6
○田代委員 そうすると、実際においては解散ということになつていないのでありますか。
#7
○亘政府委員 また本省といたしましては、何ら正式の解散すべきであるというようなことについて通知を出してはおりません。
#8
○田代委員 そうしますと本省としましては、この問題については解散すべきである、あるいは解散すべきでないとすればそれは撤回すべきであるというような、明快な見解はお持ちにならぬ、こういうことですか。
#9
○亘政府委員 御承知のように自治会がただいま田代委員が言われたように、その本来の使命であるところの相互扶助とか、あるいは教養とか、そうした方面のことにつきまして会ができておりまして、その範囲内で行動をしているということであれば、まつたく理想的な團体であると私は思うのであります。ところが往々にしてその範囲を逸脱いたしまして、そうして療養所その他國立病院運営自体、行政権のことについてまで、これに関與しようというような行動は、療養者としてそこにある以上許されないことだと考えているのであります。從つてそうした点につきまして、自治会本來の使命を逸脱しない範囲内においては、われわれは本省といたしましては、何らこれに対して意見をさしはさむものではないのであります。しかしすでに御承知のように、山形、九州、あるいは奈良等の好ましくない結果からいたしまして、そうした解釈からいたしまして地方軍政部におきまして解散を命じたというようなことも承つておるのであります。本省といたしましては、これにつきまして療養所課長、國立病院課長の地方出張所長に宛てまして、解散を要求したという指示があつたことを課長の名をもつて通達したことがあるのでございます。その程度でございます。
#10
○田代委員 ただいまの御答弁に、よりますと、地方の軍政部が解散を命じたというようなお話でございますが、地方軍政部が日本の政府を通じないで、直接に解放を命じるというようなことが実際にされているかどうかという問題です。この点につきましては、私はどうも理解ができないのでありますが、そういう解散命令に対して、地方軍政部が直接こそういう民主的な團体に対しまして、しかも患者さんなんかのような、労働組合でも何でもないような團体に対して、解散を命じられるというようなことはないように考えられますが、この点いかがでございますか。
#11
○亘政府委員 地方軍政部はやはり御承知の通り占領下におきまして、その担当管轄区のすべての行政その他の治安、そうしたものの総持について多大の関心を示して今日まで参つておるのでありまして、それらの軍政部の見解におきまして、そうした患者自治会の行動を見ましたときに、これが好ましくないものと認めたときにやられたことだろうと考えるのであります。当然そのことの調査の結果に基きまして、あるいは日本政府に対しまして何らかの手続を要求するのではないかとも考えられるのであります。單に口頭をもつてそうした解散を命ずるという程度に現在ある、こういうふうに解釈しておる次第であります。
#12
○田代委員 そういたしますと、こういう解散を命ぜられたということは、患者の方々に対しましては重大な問題でありますが、政府当局は当然解散を命ぜられるという事態にあたりましては、実情をよく調査され、また実際に私たちが直接患者の方々から伺いますと、非常にこの組織はよい成果をあげております、そういう面につきまして軍政部に対して、この自治会という組織は非常に民主的な組織で、当然これはいろいろの面において、非常に日本の民主化あるいは文化という面で効果をあげておるという材料を、十分お話しになつて、こういう決定がなされる、あるいは口頭命令が出るときに、十分あつせんされたかどうかという点であります。この点についてお伺いしたい。
#13
○亘政府委員 まだそうした点につきまして、詳しいことは調査完了いたしておりませんので、目下関係方面のとられたことに対しまして、こちらから研究し、また連絡もいたしておる次第でございます。なおこの問題は今後に残された問題として考えておるのであります。
#14
○田代委員 二月十日に厚生省の病院課長、それから療養課長が全國の出張所長等に対して、患者自治会はすみやかに解散することを指示された由云々という内報を、医発第四十一号として発しておられるそうでありまして、これによりますと、もう患者自治会というものは、非常に非民主的な、また患者さんの文化的な生活、あるいはその他の社会生活に対して有害なものであるというような、一方的な見解のもとに、そういう指示なり発令がなされておるように考えられますので、この点はよく実情を研究していただきまして、私たちといたしましては、むしろこういう組織こそは育成すべきである。事実御承知のように、たとえばこういう療養所あるいは全國の病院なんかにおきましては、一面不正が行われておる。そうして患者に対して十分納得の行くようなやり方がなされていないという場合もあるのでございまして、そういう面でこの患者自治会というものが存在しまして、一切の治療に対しまして、公明正大に、だれに見せても暗い所がないという形で運営されるということは、治療効果を十分にあげますし、社会的な全体の立場からいつても非常に結構なことでありまして、そういう点で私たちは大いにこれを歓迎すべきであると考えておるのでありますが、そういう面も十分理解されずに、ただ何か患者自治会というものが、一方的にそういう機関とけんかするような機関であるというふうに理解されるような形で行かれることは、非常に遺憾でありまして、私たちは当然これはむしろ歓迎、育成して、もしあるいは行き過ぎというような点があれば、こういう解散命令を出される前に十分にお互いに話し合つて、その上で処置されるのが、ほんたうであるというふうに考えております。ですから私は政府といたしましては、そういう指示なりをなされておりますならば、当然即刻これを撤回していただきたいと考えております。以上であります。
#15
○久下政府委員 ただいま田代委員からのお話につきまして、私から補足してちよつと申し上げて御了解を得たいと思います。
 先ほど政務次官からお答え申し上げましたように、病院課長及び療養課長の連名で出しましたものは、單なる事実の内報に過ぎないのでございます。これを出しました理由は、これを出します前に、一月に各出張所長を定期的に集めて打合会を開いておるのでありますが、その席上で出張所長全部から、患者自治会の問題についていろいろ関係方面でも意見もあるようであるが、その後どういうような措置をとるのか、こういう質問があつたときに、この問題についてはまだ今日までのところ状況がわかつておらないから、いずれ状況がわかり次第連絡をするからという約束を、一月の中ごろの会合のときにしてあつたのでございます。そうしておりますときに、直接患者自治会の代表の方が関係方面に参りましたときに、解散したらどうかというような勧告があつたように聞いたのでございます。そのありましたという事実を内報しただけでありまして、何ら厚生省としての積極的な意向を盛つたものではないのでございます。私どもとしては、同時にその内報の中に追つて書きに書いてございますように、詳細に関しては追つて正式に指示を待つて通牒するというふうにつけ加えてあるくらいでありまして、その後私どもとしてとらなければならない処置につきましては、関係方面と連絡をいたしておるのでありますが、実はまた今日までのところ正式な話が何もないという実情でございます。さよう御了承いただきたいと思います。
#16
○堤委員 ちよつとそれに関連して発言さしていただきたいと思います。医発第四十一号によつて、療養課長並びに病院課長から患者同盟に渡されました内報につきましては、私はこの件についてもいろいろ考えさせられるものがあるのでございます。詳細については追つて正式の指示を持つて通牒するとおつしやいましてから、すでにもう三月も終りでございますが、患者とりましてはやはり重要な問題でございます。なぜかと申しますならば、たとえば各府縣の意向によつて出しておりますところの共同募金の問題なんかにいたしましても、当然もらえるものが、この内報あるがゆえにもらえないという苦情を訴えておるのでございます。共同募金などはこうした弱い人たちのためには当然私は手に渡つてほしいと思うのでございますが、こうした内報がいやしくもこれらに関係して、もらえないということになりますならば、大いに私は省としてももう少し権威をもつてその筋に対抗してもらいたいと言つては変でございますが、何らかの処置をもつと早く講じて、患者の人たちの納得の行くような方法を早くとられたいと思うのでございます。この点につきまして、いつごろこれを結末をおつけになるような見通しがついているかというようなことも、お聞かせ願いたいと思います。
#17
○久下政府委員 ただいまのお尋ねにつきまして私からお答え申し上げます。私どもといたしましてもこの状況を知りましてから、お話の通り大分日がたつておりますので、一日も早くはつきりした措置をとりたいと思つて、その後引続き連絡をいたしておるのでございます。最近は向うでうるさがるほど行つていろいろ話合いをしておるのでありますが、もう少し持つてくれというようなことで今日まで延び延びになつておりましてたいへん申訳なく思つておるのでありますが、最近の話によりますと、もうちよつと待つてくれという程度でございますが、もう遠くない時期に何らかの正式な話があるものと思つておりますから、さよう御了承願いたいと思います。
#18
○堤委員 そのうちにそのうちにという言葉をお使いにならずにひとつ早くお願いしたいと思います。
 それから大阪厚生園の問題で、ララ物資とか配給品の横流しなどで問題を起しまして、これを自治会で取上げて告発をいたしておるようでございます。これにつきましても私國立病院の課長さんなり、療養課長さんのところへ御質問を申し上げましたのでございますが、これは檢察廳の権限でありまして、官廳と申しますところにはいろいろななわ張りがございますので、私の方でタツチするわけには参りませんので、今具体的な聽取方をやつておるのであつて、具体的な報告を今下命しておりますが、何らいたしてないとの御報告であつたので、私は非常に残念に存じておりますが、こうした問題はたとい檢察廳の問題でございましても、いやしくも厚生省の管轄下にある國立病院の課長なり、療養課長がまだ具体的な報告が来ていないといつたように言われて、じつと見ておられるということは、今日あちらこちらに起る社会問題の原因がごの辺にあるのではないかと思つて、私ははなはだ遺憾に感ずるのであります。いやしくも新聞紙上で騒がれたり、いろいろな事柄が取上げられましたときには、即刻本省から調査に出られまして、世間に対する責任ある回答を省としてなさるべきが当然であろと思うのでございますが、大阪厚生園の問題にいたしましても、單に自治会が取上げているだけであつて、この自治会に関しては内報もあつたことだからといつて少し横を向いていらつしやるような氣がいたしますが、これに関しましてもそのうちに通告が来るでしようというようなことでございましたが、この問題に関しましても、もしか御承知のところがございましたら少し私たちに御報告願つたらけつこうだと思います。
#19
○久下政府委員 厚生園の問題につきましてはその公私の方としても調査をいたしております。私も報告を受けて承知をいたしておるのでありますが、ララ物資の横流し問題なり、ララ物資に関しまして不正の事実が厚生園の職員にあるというようなことで、自治会の一部の人から告発がなされたということも承知しております。その後私どもの方から係官を出しまして調査をいたしましたが、このことに関しましてはララ物資の関係でもありまするので、さつそく大阪府当局から関係者が現場にも出向きまして、その調査の結果を私どもは聞いておるのでありまするが、大阪府当局の調査によりますると、病院側には何ら不正はない、多少数字的な間違いがあつたようでおりますが、これはむしろ大阪府当局の数字の間違いでございまして、大阪厚生園には何ら不正がないということを一應大阪府当局は言つておるということも聞いております。なおこの問題につきましてはその後もまだ完全な解決に至つておりませんので、実は私どもの事務官が本日大阪厚生園の方に行つておるはずでありまして、なお重ねて調査をいたしておりますので、さらにその後の状況がわかりましたら御報告申し上げたいと思います。
#20
○堀川委員長 田代委員に申し上げますが、通告が相当ありますが、通告順にやつていただきたいと思いますので、あなたの方でまだお残りになつておるならばどうぞ。
#21
○田代委員 ジフテリア問題です。京都及び島根で起りましたジフテリア予防の接種に関しまして、中毒大惨害を起しておる事件でありますが、先日政府側から資料としていただきました昭和二十三年十二月三十二日参議院議決の予防接種による災害事件に関する決議に基く報告書によりますと、これに対しまして政府当局がなされた経過が報告されております。この点で御質問いたしたいのでございますが、第一番は、財政措置としてとられた政府の措置であります。第二番目は責任問題についてであります。この八十数人の死亡者を出して世界にも類のないような大惨害が起り、これに対して死亡者に対しまして一人五万円、重傷者に対しては三千円、軽傷者に一千円あて弔慰見舞金を出しておられる。その後これに幾ら追加されたかどうか、もし追加されてないとすれば、これは実に常識を逸しました額でありまして、死亡者に対しまして現在五万円ばかりの弔慰金をやる、あるいは重傷者に三千円くらい出すというようなことは常識をはずれた低額であります。その後において政府はどう考えておられるかという点について質問をいたしたいのであります。
 次は責任問題でありますが、これによりますと、十二月十一日に厚生省は藥務局長の名をもつて大阪地方検察廳に対して、大阪日赤医学研究会理事長の秋山靜一を告発しております。同時に製造責任者の工藤忠雄氏外二人をやはり業務上の過失として取調べ中であります。次には大阪府の細菌製剤地方監視員山口氏を現在取調べ中であるというようなことになつておりますが、大体この責任問題といたしましては、藥学研究会の製造者を中心に非常に責任が追及されておるにもかかわらず、政府の厚生省なり、あるいはそういう研究所長というような直接の責任者の責任問題はあまり出ていないのでありまして、この責任問題に関しまして大体厚生省としましてはどういう処置をとられたか、また責任を感じておられるかという点であります。
 それからそれに附随しまして地方の現地の状況を聞きますと、京都におきましては死亡者の遺族の方々、あるいは重傷者の方々を中心として国家賠償請求の訴訟をしなければならないというような運動が起つておるようでありまして、これは当然そういう賠償問題としても発展する状況でありますが、そうすると当然法務関係からもその内容をよく調査される必要があると思いますが、法務廳関係からこの問題に関しまする調査に行かれたかどうか、調査に行かれたとしますと、その内容はどうであつたかというような点を御説明願いたい。以上であります。
#22
○亘政府委員 京都並びに島根におきまして起りましたジフテリヤ予防接種の事件でございますが、これはまことに近来の不祥事件でございまして、遺憾にたえないのでございます。またこの被害を受けられた方々に対しては、まことに申訳ないことをした、かように考えておるのでございますが、本省といたしましては、患者のそうした治療に対しまする処置といたしましては、東京並びに京都におきまして、学識経験者からなる対策委員会をつくりまして、最善の方法を決定してその治療にあたつたような次第でございまして、この点につきましては遺憾のない処置をとつたと考えておるのであります。なお弔慰金、見舞金は死亡者に対して五万円、重傷者が三千円、軽傷者が千円という額は、お説の通りまことに少いということも言われるのでありますが、本省といたしましては、大藏省といろいろ折衝いたしまして、できる範囲の処置をとつて参つたのでございます。なるほどこれは金額で査定することのできない問題でございまして、かりに百万円お拂いしても、二百万円お拂いしても、患者の方または子供をなくされた方から考えまするならば、とうていこれは金額では償うことのできない尺度のない問題なんでございまして、要するに誠意を披瀝して、そうして勘弁していただくよりほかに私は方法はないと思うのでございます。それで本省といたしましてもできるだけのお見舞をしたいということで、今日もなお努力いたしておるのでございますが、御承知の通り大藏省の方はやはり國家財政全体の見地からいたしまして、なかなか私どもの案に対して満足な処置をとつていただくことができないというのはまことに遺憾ではございますけれども、これもやむを得ない。しかしこれで打切つたことでなく今後も十分努力をして、そうしてこれらの患者に対しまして、本省といたしまして誠意ある善後処置を講じたい、かように考えておる次第であります。この責任問題につきましては、今検察廳の方でこれを調べておりまするし、なおまた法務廳からも主任課長が現地に参りまして、やはり十分調査いたしておつたのでございます。大体以上でお答えといたします。
#23
○田代委員 ただいまの御説明によりますと、大体政府当局はこの重大な事件に対しまして、誠意をもつて片づける。なおこの言葉を理解いたしますと、誠意ということは精神的な問題によつてこれを片づけるというふうに理解いたされます。金額で査定できないような問題てありますということは、より以上せめて金額の面においても遺家族に対しまして、十分誠意を披瀝すべきである。この死亡されました方々の中におきましては、十数年來子供ができなかつたのに、やつとできてたつた一粒種の方々もおられる。そういう人たちが命をなくしておるというような実情の訴えもあります。そういう問題に対しまして、政府当局が誠意でこれを片づける、当然考えまして現在の炭鉱の災害におきましても、あるいは工場方面における災害におきましても、人の命が五万円や六万円の金で解決されるというような非常識なことは現在断じてないのであります。それに対しましてただ金額で片づけられないから誠意でもつて片づけるということは、金額の面においては誠意を披瀝しないというような結果になつておるのでありまして、大藏省と折衝して金が出ないからやらないというようなことになりますならば、これまた言語道断である。こういう問題に対しましてはあらゆる金を割いても当然物質的な誠意を披瀝すべきであるとわれわれは確信いたします。また当然のことであります。もし現在大藏省がそういう態度をとられますならば、現地の被害者が非常に憤慨されることは当然であります。ところがそういう点に対しましても、今のごとくわずか五万円、三千円というようなことで、結局これはやむを得ないというようなことで逃げられるという態度がありありと見えておるのでありまして、私はほんとうに名実ともに、物質的にも誠意のある政府の態度、それに対してなお重ねて質問申し上げます。
 それからこの責任問題でございますが、中心的の責任といたしましては厚生省の予防局長なり、あるいは檢定課長なりが自分の責任問題として当然天下に責任を負うということをなすべきであります。ところがそういう点は全然なさずして、藥をつくつた人、あるいはそういう人たちに対して告発をし、その人たちを徹底的に責任を追究して、そうしてその業者に対しては営業を停止させるというようなことも出ておるのでございますが、一面それは当然の面もございますが、最も中心的な責任を負わなければならない政府当局の責任の所在かちよつとも出ておらない。この点に対しましては今の御答弁ははなはだ不満であります。それから法務廳より調査に行つたということに対しまして、これは事件が発生して現在まで約六箇月を経過しておるのでありまして、こういう簡單な問題について大体どういうふうになつておるかという内容がわからないはずはないのであります。こういう社会的にも重要な問題に対しまして、こういう点がこういうふうになつておるからこの点がいかぬというようなことを天下に明快にしませんならば、疑惑はますます深まるばかりであるし、また実際被害者といたしましては満足できないのであります。ですから当然今言いました法務廳から調査に行かれたならば、その内容はどういうふうになつておるかという点も発表していただくようにお願いいたします。
#24
○亘政府委員 法務廳から調査に行かれました主任課長は、今事件が向うの現地の問題と相なつておりますので、それと関連いたしてのことだと思うのでありますが、この問題の責任の所在につきまして、あるいはまた解決策といたしましての意見の一部を承つておるのでありますが、それによりますと、大体こうした問題の解決に当りましては、國家賠償法の規定もあるのであるから、それによつて解決すること以外にほんとうの適当な解決策はないのではないかというような意見を聞いておるのであります。また本省といたしましても、今のように明確にどれたけの金額をもつて十分であるかという判定は至つて困難なことでございまして、一般に國家賠償法の判定によつて解決ができれば一番明瞭になつていいのじやないかとも考えられるのであります。ただしかし、一方精神的の意味において、先ほど申されたように、かわいいたつた一粒種をなくしたというような点につきまして、本省としてはいろいろ見舞の言葉をもつて、大臣あるいは局長、それらの方が次から次へと現地に行かれまして、個々の家庭を訪問しておわびやらお見舞をして参つた次第を申し上げたのでございます。
#25
○田代委員 まだ御答弁に納得ができないのでありますが、法務廳からの調査について一部漏れ承りますと、実際の現地の予防接種での死亡者の遺族が遺族会というものをつくつておられます。また被害者は被害者同盟をつくつておられて、遺族会では大体三十万円見当、被害者同盟の方では大体十万円見当の要求をされておるそうでありますし、それからもし病氣が治つても五年間は健康管理を要求するというようなことを、実際現地当局においてはなされておるのでございますが、厚生省並びに法務廳の態度としてははなはだ誠意を欠いておるのじやないか。という点は、現地の遺家族あるいは被害者のそういう運動に対して、実際國家賠償の請求がなされると、当然その責任は政府が負わなくてはならない。これはせんじ詰めるとどうもこの責任を回避することができないように考えられる。そして慰藉料の請求をされると困るので、その慰藉料請求の権利を放棄させるというような意図のもとに、五万円ではあまり少いから、もう十万円ふやして十五万円見当、あるいは被害者に対しては三千円や二千円ではあまり少いから五万円見当に、とにかく言わぬ先から政府は出して、下からの要求が出ないようにしようじやないかという意見もあるやに承つております。もしこれが眞実とすると、はなはだ言語道断のことでありまして、また事実こういうことは当然私は厚生省当局においてはわかつておるはずだと思います。かりにあなた方政府当局の方の子供が死に、あるいは妻が死んだ場合において、こういう不正きわまる逃げ腰の答弁によつて満足できるかどうか。私は実際に過失であり、あるいは責任があれば、はつきり天下に、自分たちが悪かつた、こういう点がいけなかつた、今後日本の人権を守り立てるために、はつきりすべき点を腹を割つて声明すべきである。ところが実際逃げ腰であり、責任の轉嫁というようなことが今の政務次官の答弁にもはつきり出ている。なお私はこの点に対し明快に御答弁願いたい。それから責任をはつきり追究したいと考えます。
#26
○安田説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。法務廳がこの事件の責任について取調べているというのは、これはいわゆる檢察当局として取調べますのは、現在京都の地檢その他で取調べておるところでありまして、ただいま政務次官がお話になりました、法務廳の当局と申しますのは、民事訟務局というのがございまして、これが御承知と思いますけれども、國家賠償法で國が國民から訴えを受けた場合に、被告の立場になるのが國でございますから、それのいわば弁護士みたいな仕事をしておるところでございまして、從つてそういつた法務廳の民事訟務局の者が行つて調べましたのでいこれが國家賠償法の適用になるだろうかどうだろうかということを、むしろ被告の立場に立つて調べたことでありますからして、法務廳が調べた調べたと申しましても、別に権威のあるものでもなければ、國として責任をもつてそのことについて発表するというものでもないのであります。そこは誤解のないようにしていただきたいと思います。國家賠償法は御承知のように、故意または過失によりまして、行政官廳が國民の権利または利益を侵害した場合のことが書いてあります。この場合それに当るかどうかということも一つの問題になり得るわけであります。この事件の核心と申しますか、一番の原因は、実は十分御承知のことと思いますけれども、藥をつくります過程においてあやまちがあつた。その藥をつくる過程にあやまちがあります場合に、國家の予防衛生研究所で檢定をいたしますが、普通のものでありましたならば、惡い藥があればその予防衛生研究所の網に必ずかかるようになつております。それを藥をつくります所の過失と言いますか、結果的には予防衛生研究所の檢査にかからないようにされたために、予防衛生研究所としては少しも過失がなくて、実はああいうことになつたという事件になつております。國といたしまして、もちろんそういつた刑事上の責任のことについて、かれこれ言つているのではありません。今お話のような実に氣の毒な事例がたくさんあるのでありまして、これは何とかしてひとつそういつた法律論を拔きにいたしましても、謝すべきは謝し、また補償すべきものは補償したいということで努力いたしておる。そういつたことを政務次官がお話になつたのでありまして、ちよつと一言申し上げておきます。
#27
○苅田委員 それに関連した御質問を申し上げたいと思います。一つは先ほどの政務次官の御答弁のうちに、事件発生後の処置は万全であつた、こういう御見解であつたのですけれども、私どもが現地からの調査を聽取したところによると、事件が発生して以後の処置についても、非常にたくさんの手落ちがあつたということを聞いております。具体的に一、二の例を申し上げますと、先ほど政務次官のお答えの中に、学識経驗者をもつて組織した團体がこの中毒事件に対する対策に当つたとおつしやいましたが、現地からの報告は、むしろこういう機関があつたために――これは医者であれば一見して毒素による症状だということがはつきりしておるにもかかわりませず、たとえば京大あるいは府立医大のあまり臨床には関係のないような医者を並べて、その組織でごたごたしているうちに時日を経過いたしまして、実際診断したときはもうどうにも処置がつかなくなつておる状態ができた、こういうような訴えがあつたのであります。また民衆團体からこの事件に対しましては、すぐにこの死体を解剖して、死因を究明すべきである、こういう処置を要求したに対しまして、これが非常に遅れまして、死体解剖までに三週間もかかつた。そのために原因がはつきりしましたときには、すでにワクチン等の処置によつても治療ができなくなつておつたというような沢山の欠陷が出ておるわけであります。それから私が昨日医師法の改正でお聞きいたした点にも触れますが、こういう事件に対しまして、当局の方は、そういう予防注射をした者ですでに麻痺状態になつたものは届け出るようにというような公告をなさつたそうでありますが、実際の権威者から申しますと、麻痺状態になつたのではすでに処置がない、そうしなくても、だれかそういう予防注射をしたかということはわかつているわけで、そういう人たちに対して即刻医者を動員して檢診をするだけの処置をとつておるべきであつたにかかわらず、当局としては現在の医師法ではそういうふうにして一般の医師の協力を求める方法がないのだという逃げ口上のために、そういう処置も遅れまして、必要以上にたくさんの被害者を出したというような、処置に非常に不十分な点が現地から訴えられて来ておるのであります。こういう点について厚生省としては、十分調査をされましたかどうかということもひとつお聞きしたい。私どもが聽取しておるものがはたして事実に違つておるかどうかという点、これをひとつお伺いしたいのであります。
 それからただいまあとからの御説明によりますと、予防衞生研究所の方では、この事件に対して責任がないという御答弁であつたのでありますけれども、私どもが承知しております資料によりますと、そうではなくて、確かにこの製造過程に非常な間違いがあつたことは事実でありますけれども、これを檢査する立場から申しましても、もう少し周密な檢査がなし得たのだ、たとえばこの調査書にも書いてありますように、大阪の日赤の医藥の研究所では、一つの藥をつくるために四つの容器を使用しておつたという。そのためにその中の一つの容器でつくられた藥だけを檢査したために、あとのものが、それを全部まぜ合せて同一の質のものにしておらなかつたために、そういう災害が起つたと言うのでありますけれども、このときの日赤の研究所の方の作業記録を見ると、無毒試驗のためにはモルモツト二匹を使用したのであるというのですか、この点を檢査する側から言えば、自分の檢査したものは正確でないということがわかる。こういう手落ちがあつたということを、私どもが入手しているものでは見ておるわけであります。こういう点から考えますと、檢査当局の方の責任も全然ないというただいまの御返答は、やはり間違つているんじやないか、こう考えているわけであります。
#28
○石橋説明員 ただいまの問題について私から説明させていただきます。原因について、これはジフテリアの毒素が残つていたのでありますが、この藥はジフテリアの毒素にホルマリンを入れて無毒化して予防液に使うのでありますので、元は確かに毒素であります。しかしその毒素が全然ないことが藥になつたという証拠になりますので、この藥をつくりますときには、その毒が残つていないかどうかということを必ず見きわめて、藥になつたことによつて初めて製藥会社がこれを藥として精製するのであります。從つてジフテリア予防液に毒素が残つているということは、一般医学常識から、また一般の関係している人たちの頭からは、必ず残つていないものだ――残つていれば藥にならないのですから、残つていたいものだという頭が、これは学界においても始終注意され、また檢査も嚴重にやることが常道になつております。從つて今回京都に起つた事件で、向うで委員会がありまして、ただいまの京都大学の木村教授のごとき優秀な細菌学者が、やはりその原因について非情に迷つたのであります。そうして、毒素だということをだれも言い出す人がない。またそれを疑う人も少かつたのであります。この注射は四日、五日にされたのでありますが、私は十七日に行きまして委員会に臨んだのでありますが、だれ一人として毒素だと言う人はない。ことに京都の病院長などは、これはほかの細菌があつて、その細菌がおれの所で培養できたと主張しているのであります。そういう状況でありますので、毒素だということは予研から黒川博士が行つて初めて言いだしたことでありまして地元の大勢の学者はやはり原因についてどうしてもわからないというような状況で、ことに一番混迷を起したのは、京都で試驗に供されたワクチンの中に毒素がなかつたのであります。それは、この一〇一三号というワクチンの、これは千本あるのでありますが、初め五百までは毒素がないのでありまして、五百以下に毒素の入つたものがあるのであります。ところが、この五百以上のものが使用されて残りの五百以下のワクチンが残つておりまして、その残つておつたものからこの檢査の材料を取りましたので、毒素のないワクチンを檢査材料に使つたというわけもあるのであります。從つてジフテリアの毒素がこの原因であることをはつきりつかみましたのは二十日過ぎであります。また先ほど治療の関係が問題になりましたけれども、この問題が起つたならば、当然ジフテリアの治療血清を早く使えばよかつたということを民間で言われておりますが、これは人間としての実驗ではありませんけれども、動物実驗におきましてはジフテリアの毒素をさしたあと、四十時間も経ちますれば、もうその治療血清を持つて行つても全然効果がないのであります。ですから四、五日に打たれたものを、その翌日毒素だということを発見して血清を使つたならば、血清は治療効果があつたのでありますけれども、すでに二週間以上もたつておりますので、治療効果はないのであります。私どもも関係方面に、血清を出してくれないかという陳情をいたしまして、それはアメリカの血清は非常に量が少くて單位が高く、強力でありますので、頼みに行つたのでありますが、やはり同樣な意見で、それは時間がたつているから全然無効であるという結論であつたし、また私どもの方の対策委員会においても全然無効であるという決定があつたのであります。しかし万全を期する意味において、私どもは血清をできるだけ集めて、そうして子供たちに使うように現品を現地に送り、また指示もいたした次第でございますが、時期的にはすでにそういう状態であります。
 それから原因の解明についての死体解剖の点でありますが、これは地元の関係官もそれを勧めばいたしました。勧めばいたしましたけれども、こういう事情でありますので、その子供をひとつ解剖させてくださいということについては、なかなか言いにくい関係もありまして、第六例目の子供が初めて死体解剖を特志で許してくれました。それはやはり十一月の十七日であつたと思います。京都の府立医科大学で実施いたしまして、そのときの解剖所見におきまして、多少原因について毒素を疑つた方がよいだろうというような解剖所見が出て、それから予研から参りました黒川博士のその後の徹夜作業によりまして、大体毒素であろうかということがわかりましたのは十一月の二十日前後ということになつております。從つて治療については、当時は治療血清をもちましても何ともいたし方ないので、特殊の治療はないという状況であつたのであります。
 それから予研の責任の問題でありますが、これは引抜かれたワクチンが八本とも無毒のものであつた。これは非常に不幸な事実でありますけれども、無毒なものが八本引抜かれて來たので、実際は國家檢定を合格したのであります。そのためにこの一〇二三というワクチンの使用許可が出たのでありまして、この点については予研の方に手落ちはございません。そして先ほど申されました製造所において、たとえばモルモツトの試驗をやつて、その間いろいろの操作をするのでありますが、そのことに関してなぜ監督する立場からそれだけ氣がつかなかつたかという質問はごもつともなのでありますけれども、この点についてはアメリカの当時関係していた專門家も、このワクチンのつくられたころやはりまわられております。そして私どもの方としても相当な学者が一緒について見ております。そしてそれはわからないのであります。これはどうしても製造者が良心をもつてつくるという点がございませんければ防止できないので、その点はたとえば食品の中にちよつと青酸カリを通りすがりに入れられるというような関係と全然同じでありまして、それは製造する人の良心によつて初めて間違いのない品物ができる。檢定の方法にも限界がありまして、そのすべてのものを防止するだけの檢定は学問的にはありません。しかし私どもの過去の実績におきましても、昭和二十一年においては一千万からの小児に予防接種をいたしております。二十二年には三百万の児童に予防接種をいたしておりまして、その間そういう事例はありませんし、過去においてこういうジフテリアの予防液でもつて、かくのごとき惨事を起したことは世界の防疫史にもないのであります。從つてそこにやはり原因の究明について毒素を考えなかつた。それは一般の同業医の方はあるいは無責任に申すかもしれませんけれども、実際責任をもつて集つた日本の有数な細菌学者、あるいはそれに関連した学者の全部の頭を集結いたしましても、やはり毒素であるという結論を得ますには相当の時日がかかつたということは間違いのないことであるのであります。以上で私の説明を終ります。
#29
○安田説明員 最後の私が申し上げましたことにつきまして重ねてお答えいたします。今後のジフテリア予防接種の事件は、まことに悲しむべき事件でありまして、今ここでまた責任があるとかないとか申しますことは、私としてははなはだ本意でありません。また私御承知のように一事務官でございますので、そういうことに対してきわめて事務的な御答弁をいたしまして、あるいはお氣にさわつたことかと思いますが、お許し願いたいと思います。檢査をいたしますときに、一ロートと申しておりますけれども、二十リツトルのでき上りました藥に対して一つの製造番号をつけるわけであります。從つてこれからできたものに対して一つの番号をつけまして、これから千本ほどできるわけであります。そうして、大阪府の吏員でありますけれども、監視員というのが任命されて、それが行きましてその中から八本とつて来るわけであります。その八本を拔取るということは科学的にはそれは正しいのだということになつておるのでありますが、拔取りましてそれを予研に送るわけであります。予研はそれを見るわけであります。ですからこの八本がこの中からとられたものであれば、その八本の中になければこの中には聞違いはないということになるわけであります。ところが今度の事件におきましては、この中から二本とる、こちらから二本とる、こちらから二本とるということになつて、結局一つのこの番号だけということになるわけでありますが、從つてこれはいいということが出て來ましても、あとの方がいいということは出て來ないという結果になつたわけであります。そこで苅田委員が御指摘になつたように、そのインスペクター、監視員が行つて、これは同一番号のものでないのだ、実は四つのものだ――それは少くとも四つつくつていいわけでありまして、最後にそれが均質化されておれば問題ないわけでありますが――その四つのものからとつてあるので、一つのものでないということが見破られなかつたかどうかということが、議論なさつておるところでないかと思います。これは非常にむずかしい点でありまして、結局刑事上の責任になりますと、そういつた立場にあつた普通の人の技術なり知識をもつてしても、そのときにそれが見破られたかどうかということが、過失の有無というか、責任の有無の問題になつて來ると思います。そのことは実は先ほども田代委員からお話になつたように、山口という檢査員が現在檢察廳の方で取調べを受けておるわけでありますが、責任問題になると非常に微妙な点があります。私の方でいろいろ予研でありますとか、北里研究所でありますとか、その他の專門家を集めて聞いたところによると、それはわからぬだろうというのであります。当然この中から持ち出したのですから、これがいいのだということは、これはわれわれは專門家じやありませんけれども、常識的に考えるのであります。それが一つの前提になつております。そこで私は予防研究所には責任がないと申したのであります。その拔取るときに当然発見さるべきではなかつたかということを申されましても、また私の方でそういう見解を持つておりましても、それが世間で通るかどうか。それは先ほどお読上げになつた参議院への報告書にもあるのでありまして、それはいずれきまるだろうと思うのであります。そういうようなつもりで申し上げた次第であります。
#30
○田代委員 それに関連しまして、ジフテリア事件の結果BCG、ツベルクリンの製造が禁止されておるそうでありますが、これは結核予防上きわめて重大問題と思われますが、これに関しまして、これを解除するというような意図がおありであるかどうか。おありでなければ結核の方から申しますと重要な問題でありますので、適宜これを解除していただきたいという考えであります。それが一つであります。
 それから先ほどの次官の答弁に対しましては、はなはだ不満足でまた誠意を欠いておるように考えますので、これは私本会議で質問いたしたいということを委員長に申し上げておきます。
#31
○慶松政府委員 ただいまのBCG接種のためのBCGの製造の再開をするかどうかという点でございますが、これはひとりBCGだけでなくほかのワクチン、たとえて申しますと、腸チフスのワクチンとか、あるいは発疹チフスのワクチンとか、いろいろございますが、これらにつきましてもすべて製造所の整備を待ちまして再開をさせることになつております。大体ただいまの予定では今からもう二月半くらいの後には、私どもの方でここでつくらせることが確かであると考えられますものにつきまして、ただいま関係方面と折衝いたしておりますので、その了解が成り立ちましたならば、ただちに製造の再開をいたすことになつております。その時期は大体今日から申しますと、一月半ないし二月のうちにはできることと存じております。
#32
○苅田委員 ただいまの政府側の御答弁によりますと、とにかく世界に例のないようなこういう災害に対しまして当局のとつた処置はやむを得ない手段であつて、これ以上できなかつたというような御説明だつたと思うので、この点は私どもといたしましては、これ以上申しましてもやはりどうにもならない、押問答にしかならないと思うので、私は先ほど申しましたこちらの質問に対しまして、ただいまの御返答ではまだ非常に不十分であつて、こういう突発的な大きな災害に対しましてとられた処置として、決して妥当でなかつたということを重ねて申し上げたいのでありますが、これ以上御答弁願うことは考えていないのであります。それからまた結論といたしまして、こういう問題はただ製藥業者の良心にまつしかないのだというような結論に聞えるのでありますけれども、そういたしますと、今日のように製藥事業が営利事業として任せられております場合、私ども國民はそういうことであつては安心して國家の檢定を受けた注射一本受けられないという結果になると思うのであります。しかし今日の御答弁がそうであれば、これもやむを得ない。私どもとしては不本意でありますけれども、これ以上質問を続けることは私は打ち切りたいと思います。
#33
○慶松政府委員 ただいまの製藥業者の良心うんぬんの問題につきましてお答えいたします。もちろんこれはあらゆる事柄が人々の良心にまつべきであることは確かでございますけれども、一面においては、それらの監視を嚴重にすることは政府の責任であると私どもは信じております。その意味におきまして、昨年の七月に國会を通していただきました新しい藥事法に基きまして、藥事監視員なる制度が確立いたしました。それでこの藥事監視員なるものを全國地方廳とそれから本省に置きまして、今日まで任命されましたのは、地方廳と本省と合せまして約九百名ばかりございますが、これらの人々の活動を十分にいたすことにいたしまして、その点ただ單に良心にまつということだけでなく、監視の点におきましても遺憾のないようにいたすべく私どもは努力しておる次第でございます。なおこのワクチンの檢定につきましても、從來の檢定におきましても、先ほど來石橋防疫課長等の説明にもございましたように、学問的に申しますれば、これはまつたく誤りがなく檢定され得るはずでございますが、しかしそこに手続上の誤り等が生じますことを見まして、この檢定のことにつきましてもいろいろな改正をやつておりますことは、参議院に対しまして私どもが報告いたしました中にも書いてございますし、またただいまいろいろやつておりますので、近い將來におきましてあらゆるワクチン類の檢定につきまして確然たる指示をすることになつておりますことを御承知願いたいと存じます。
#34
○苅田委員 私から質問を打切つたはずですけれども、ただいま御答弁があつたので、それに対して一言申し上げたいのですが、どういう結構な法律ができまして檢査の方法がきめられておるかしれませんが、それが施行されて以来こういう非常に大きな悲惨な事件が起きて、しかもそれについて檢査上には何ら手落ちがないということになりますと、私先ほど申しました点はやはり同じだと思うのです。これだけ申し上げておきます。
#35
○堀川委員長 それでは福田委員。
#36
○福田(昌)委員 時間も追つておりますので簡単に質問させていただきますが、私は兒童福祉法について、ことに今日いただいております書類の範囲内で質問いたしたいと存じます。児童福祉法が実施されまして一年になりますが、日本の社会情勢から見ますと、はたして兒童福祉法がどれだけ兒童の生活を幸福にし、また兒童がそれによつてどれだけ守られて来たかということについて実に考えさせられる多くの点があるのでございます。今日の新聞の三面記事を見ますと、毎日兒童福祉法に何らかの関連のある記事が必ず出ておるという状態でありまして、兒童福祉法をいろいろと考え、またこの施行を望みました私どもといたしましては、非常に慚愧にたえないものがあるのでございます。そういう意味におきまして、兒童福祉法の改正案も近いうちに出るということを聞いておりますから非常に期待いたしておりまするが、その改正案に関しまして私の方の希望を二、三申し上げてみたいと思いますが、その前に一、二質問させていただきたいと存じます。
 この栃木縣及び福島縣におけるいわゆる人身賣買事件についてという書類に関してでありますが、厚生当局、ことに児童局の今後の対策として、最後のページにありますように、対策の一に書いてありますところの兒童の最大の幸福は両親の膝下で育つことであり、兒童の基本的人権を尊重しなければならない、この思想を徹底させ、いわゆる兒童賣買の惡弊の根源を絶つということを書いてありますが、この具体的な御説明を願いたいと思います。
#37
○小島政府委員 最近新聞紙上で論議されました栃木縣、福島縣地方におきますいわゆる人身賣買事件、この問題は今お話になりましたように非常に大きな問題でございまして、われわれといたしましてもこういうことが起きましたことはまことに遺憾に考えておる次第でございます。この問題はただいまお話がありましたように、そうしてまた皆さまのお手元に資料も配付してありまする通り、非常に大きな問題で、しかも長い歴史の古い傳統が今日まで残つている。惡い傳統があればこれを徹底的に打破しなければならぬ。こういう問題になつて来ると思います。これらの問題の措置につきましては、いろいろの措置を考えておるのでありますが、ただ今回の事件の根本の法令の違反の問題が、その説明にあります通り中間的な搾取の問題、いわゆる中間営利職業紹介の問題、あるいは労働基準法の違反の問題、こういうような問題が非常に大きく出まして、現在それらの兒童がどうして保護されているかというような問題、またそういう兒童がなぜ両親のもとを離れてそういうところに行かなければならなかつたかという根本問題につきまして、あまり論議が盡されなかつたのでありまするが、われわれの考えるところによりますると、この問題はそういう問題が根本問題になるのではないかというふうに考えているのであります。その意味におきまして、今日どういう関係でこれらの兒童が、東北六縣から栃木縣の方面に相当雇用または養育の形で出されているかということについて、原因をいろいろ実地について調べているのでありますが、一つには今申しました通り、長い封建時代から東北方面の農家は單作地帶で、平均いたしますと、從來多子家庭においては家庭経済的にも非常に貧困であり、同時にまた親がその子供に対する考え方がほんとうに子供の人権を尊重する考え方において欠くる点があつた。こういうような古い傳統から自分の子供をいろいろの人の手を通じて他人の家庭に養育あるいは雇用を依頼する。こういうようなことに相なつておつたのであります。それが終戰後の今日におきましても、長い傳統の歴史がまだ十分に断ち切られませんで、多少そういうような考え方を持つて子供を他人の家に預けることについて、それほどの関心を持つていないというような考え方が一部にまだ存している。こういう点が親として自分の子供に対する人権尊重の問題について非常に欠ける点である。この問題をひとつ大いに取上げなければならぬという意味で、兒童の人権尊重の思想を大いに普及しなければならぬ。こういうことであります。
 もう一つはなぜそういう家庭では今まで子供をたくさん他人の家にやらなければならぬかということについては、今経済的の問題がきわめて関係が深いのであります。この問題については、われわれといたしましても生活保護法の問題と関連いたしまして、大いに研究を重ねているのでありまして、結局一つはそういう親の考え方の問題と、一つは経済的な問題についての政府の保護の問題と、あわせて対策を講じなければならぬ。かように考えているのであります。
#38
○福田(昌)委員 兒童の最大の幸福は、両親の膝下で育てることである。それはもう何人も疑うところのない点でありますが、両親のない子供、殊に母親だけの兒童を幸福にするには、何と申しましても、まず母親の生活を樂にしてやらなければいけない。母親の営むところの家庭生活を少しでも樂にして上げなければならない。その母親の生活を樂にすることがひいてまた子供を最も幸福にすることになるのであります。そういう意味におきまして、母子寮とか、またさらに関連したところの託兒所、保育所というようなものが、兒童福祉法を生かす意味において、子供を幸福にする意味において、今日最も緊急を要しておるところの施設になつておるのでありますが、そういう施設をつくります予算が今回大幅に削減されてしまつておる状態であります。こういう状態では兒童福祉法の精神を生かした子供の幸福を願うというようなことは、およそ望まれない状態と考えられますので、私はこういうような兒童福祉法をめぐるところの施設に関する費用の大幅削減ということに関して、厚生省はどういうお考えを持つておられるかということをお伺いしたいと思います。
 次に同じく予算に対しての問題でありますが、こういう社会施設に関連した予算が全面的に削られておるとは言いながら、今日社会局と兒童局との予算は、いただきました資料の上から見ますと、たとえば生活保護にとられております予算は、大藏省の査定額がほとんど要求した額が認められておるにもかかわらず、兒童局の保育所、母子寮の予算は御承知のように大幅に創られておる。こういう点におきまして、私は非常な矛盾を感ずるのであります。今日こういつた社会的な混乱時代にありましては、生活の保護に要する予算というものは、当然最低基準のもの今日のこの予算においてもなお十分でありませんし、非常に微々たるものでありますが、その微々たる少量のものでも、これは必要やむを得ないのでありますけれども、しかし考えてみますと、これはほんの当面の消費的な一時凌ぎのものでありますが、この同じ金額をもし兒童福祉法のこういつた母子寮、保育所の施設に生かしたといたしましたならば、この施設は今後三年後、五年後、十年後に幾倍かの大きな收穫として、精神的、物質的また國家的な收穫として、兒童福祉の線に沿つた兒童の幸福のために生きて來るのでございます。そういう意味において同じ金額にしましても、生活保護費の予算を削つて兒童局にまわしてほしいというわけではありませんが、生活保護の予算に対して重点的に考えられて、同じ率をもつてなぜ兒童局のこういつた保護施設の面に対する予算に対して熱意をお持ちくださらなかつたかということに対して非常な不満を感ずるのであります。兒童福祉法が、生れましても、なお政府当局のお考えの中において、子供の面、また今日弱い、声のおとなしいところの面に対しては非常に積極的な熱意の薄いというようなことが感ぜられて非常に残念に思います。この点に対して厚生当局の御意向を承りたいと存じます。
#39
○小島政府委員 ただいま予算の問題につきまして御質問がありました。われわれといたしましてまことに同感でございまして、御説の通り兒童福祉法ができ上りましても、予算がこれに伴わなければほんとうの兒童福祉法の実現ということはほとんど不可能であると考えておるのであります。この意味におきまして、われわれといたしましても最大の努力を重ねておるのであしまするか、しからば生活保護の関係は要求通り行つているのに、どうして兒童福祉の方は行かなかつたかというような問題については、ここでいろいろ御説明申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、いろいろ関係方面の御意向もございまするし、今日におきまする経済九原則の実施に伴ういろいろな制約下における現存の予算の執行でございますから、そういう点においてわれわれとして十二分の努力をいたしたのでありまするが、残念ながら公共事業費におきまして、ほとんど全部削減されるというようなはめになつたのであります。この点はわれわれとしても非常に遺憾に考えているのでありまするが、將來においてはできる限りこういう方面についても、御説の通り十二分の努力をいたしたい。かように考えているのであります。
#40
○木村(忠)政府委員 ただいま福岡委員からお話のありました生活保護の問題でありますが、生活保護費が要求と査定とが同じであるということはわれわれの要求が從來の実績と從來の基準に基いて要求いたしておりますから、これは全然査定する余地がありませんので、要求通り査定されているということにも相なつているわけであります。ほかの経費は大体新規のものが考えられております。私どもの方におきましては、新規のものが考えられておりません。從來の基準で從來の実績をもつて査定をいたしているわけであります。
#41
○福田(昌)委員 社会局長の御答弁はまことにけつこうでございましたが、ただ私が申し上げました生活保護法の予算が要求通りとれたということは、いかにもこの生活保護法だけの予算が要求通りとれて、これだけがうまいことをしたとお考えいただいたように聞えましたが、私は決してそういう意味では申しておらないのでありまして、生活保護法が要求通りとれたということは、非常にけつこうで、これは当然でありますけれども、これをもつてしてもまだ足りないのでございますから、私はこれに対してどういうというような意味で申し上げたのではないのでございます。ただ同じ費用であるならば、一時的にも消費部面に使うよりも同じ熱意をもつて建設的な、將來二倍にも三倍にもなつて返つて来るところの施設に使つていただきたい。そういう点から見てその熱意が足らなかつたということを申し上げたのであります。今後とも兒童局の一局のみの御努力にお願いすることなく、われわれ厚生委員も協力いたしまして、こういう面の兒童福祉施設を生かすための予算の増額について協力して運動させていただきたいと考えている次第であります。そういう意味においても兒童局の今後の御懇切な報告がほしい、そして協調してこの予算の増加ということに向つて大藏当局の覚醒を促して、予算の増額をお願いしたいと念願している次第であります。
 次に私は兒童福祉法の改正について希望意見を述べたいと思います。兒童福祉法というものができて、一應法規の上では兒童福祉というものがきまりましたが、私たちはいわゆるおとなの心の兒童福祉ということに対して非常に悲しいものを感ずるのであります。法律の上で、またいろいろな施設の上では多少プラスになつた兒童福祉法の生きた面もありますが、おとなの心の兒童福祉法に対しては、まだまだ非常に封建的なものを多分に私たちは感じております。從つてこの兒童福祉法を十分に生かすためには予算を大幅にとることも必要でありますが、それと同時にもつとおとなの啓蒙運動を起して、おとなの心にほんとうの兒童福祉というものを感じさせる必要がある、そういう意味で今回の兒童福祉法の改正にあたりましては、どうかそういつた啓蒙運動の面においても極力改正の趣旨を生かしていただきたいと思うのであります。どうも私は日本のこういつた兒童福祉法を扱う人々の心には宗教心がないと思います。宗教にもいろいろありましようが、どういう宗教によるという限定をすべきではないと思いますが、眞に宗教心に徹した人がこういう兒童福祉の当面の担当者になつていただきたいということを念願いたします。そういう意味でおとなの心の修養というものをこの兒童福祉法の改正にあたつてはうたつていただきたいと思うのであります。私は最近長崎の原爆によつて原子病に冒された永井博士の「この子を残して」という本を読みましていろいろなことを感じたのでありますが、その感じました中におきましても、特に精神的な面において強く感しましたことは、兒童福祉法においては子供の人権の尊重をうたつてありますが、もう一つ私は足りない面があると思うのであります。それは子供を子供の世界に返して天眞爛漫に育てる精神が兒童福祉法では欠けておるのではないかというふうに考えております。子供をかわいがる場合におきましても、兒童福祉というその言葉の内容の基礎において、おとなの立場から子供の幸福を私たちは考えがちであり、おとなの側からいつて子供の施設を考えがちであるというところそもそもの間違いがあるのでありまして、子供を幸福にするためには、子供をそういつたおとなの世界から見るのではなくして、子供の世界に立つて子供を眞に子供の世界に返らせる。そういう見地からこの兒童福祉法を取扱つて行かなければならないということをしみじみ考えたのであります。從つて今日永井博士の言葉を借りますと、兒童福祉施設の託兒所とか保育所とかの中においても、借りて來た世のおじさんおばさんをお父さんお母さんと強制的に呼ばれておるが、そういううそを子供のときから教え込んではいけない。そういううそを教え込むことによつて、敏感な子供の思想に対して非常な疑惑を起さすと言つていますが、私はまつたくその通りであると思うのであります。私たちはそういうこまかい現象的な面におきましても、託兒所とか保育所、あるいはその他の兒童福祉施設の全般的な面にわたつて、おとなの世界から見た家庭のままごとをさせるのでなくして、ほんとうの親のない子供としての子供の世界の中の流れとして、眞に子供の生活という面から見た兒童福祉法の生かし方をしなければならないと感じたのであります。そういう意味で今回の兒童福祉法の改正にあたりましては、ただいま申し上げましたように子供を子供の世界に返すということ、この氣持に立つことと、また兒童福祉法で取扱います担当者に宗教的な氣持を持つていただきたいという、この二つを強調していただきたいと思うのであります。これをもつて私の兒童福祉法改正に対しまする希望意見とさせていただきたいと思います。
 それから一つ追加になりますが質問させていただきます。先ほど田代委員が最初に質問されたことでありますが、結核療養所患者の自治会の解散の問題であります。これに対して私は非常にわからない点が一二ありましたのでちよつと伺いたいと思うのであります。山形、奈良、福岡の患者自治会が行き過ぎた点があつたから地方軍政部の勧告を受けたということでありますが、どういうような具体的な例があつたのか、ちよつと聞かせていただきたいと思います。
#42
○堀川委員長 事務局次長がちよつと出て、おりませんから次会にでも答弁させたらどうでしよう……。
 では本日はこれにて散会いたします。
    午後零時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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