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1949/04/02 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第4号
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1949/04/02 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第4号

#1
第005回国会 厚生委員会 第4号
昭和二十四年四月二日(土曜日)
    午前十時二十七分開議
 出席委員
   委員長 堀川 恭平君
   理事 岡西 明貞君 理事 松永 佛骨君
   理事 床次 徳二君 理事 福田 昌子君
   理事 田代 文久君
      青柳 一郎君    今泉 貞雄君
      高橋  等君    西村 直己君
      畠山 鶴吉君    丸山 直友君
      岡  良一君    堤 ツルヨ君
 出席政府委員
        厚生政務次官  亘  四郎君
        厚生事務官
        (藥務局長)  慶松 一郎君
        同
        (社会局長)  木村忠二郎君
        同
        (医務局長)  東 龍太郎君
        同
        (予防局長)  濱野規矩雄君
 委員外の出席者
        厚 生 技 官 一丁田健一君
        厚 生 技 官 近藤 宏二君
        厚 生 技 官 館   稔君
        專  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 厚生行政に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○堀川委員長 これより会議を開きます。
 本日は、前会と同様に最近の厚生関係に対する種々の事件を議題に供しまして審査をいたすことにいたします。前回の福田委員の質疑に対する医務当局の御答弁が保留されておりますので、この際その答弁をまず聽取いたします。
#3
○東(龍)政府委員 患者自治会なるものに対して、地方的にこれを解散するような命令が出されておる。これに対していかなる具体的な事実をもととしてさような処置がとられたか。そういうことについての御質問であつたと承つております。この九州の自治会の問題につきましては、前國会におきましても厚生委員会で御質問等がございまして、私からお答え申し上げたと記憶いたしておりまするが、この九州地区の解散の問題は、厚生省といたしましては九州地区における特殊の事情に基いてなされたもの、医務局の九州出張所長がそのみずからの責任と権限の範囲内において、関係方面と十分なる折衝の結果、さような処置をとつたものとして、いわゆる地域的の局地的な問題として、私どもは報告を受けてそれを是認したのであります。その後問題は一九州地区にとどまらず、各地へ同じようなことに波及しつつあるというふうなお話でありました。しかもそれが主として厚生省関係の方面からではなく、関係方面からむしろ積極的なる指示があるというふうなお話がございました。私ども厚生省といたしましては、九州の問題は九州地区の特殊事情とその具体的の事実が幾つかあつて、いかなることが取上げられたかの全部に承知いたしておりません。しかしながら一箇所の一つの事件ではなく、幾つかの事件を総合いたしまして、その結果がああいう処置になつたものとして私どもは了解いたしております。しかしながら問題が全國的になつて來ておりますので、厚生省といたしましても、厚生省それ自身のはつきりした態度を表明する必要を認めております。と同時に、中央の関係当局におきましても、やはり各地の軍政当局からの要望もあるものと見えまして、これまた私どもは別個の立場で資料を集め、そうしてそれに対する処置についての研究をいたしておるのであります。私どもがいろいろと打合せをいたしました結果、厚生省は一應中央の関係当局の意向を十分に参酌して、そうして厚生省としての態度を表明するということになつておりまして、目下その連絡を待つて居る状況であります。私どもといたしましては、一月も早くはつきりとした態度を示したいと思つておるのでありますが、まだそれをいたします時期に至つておりません。それでどういうような事柄が、一体患者自治会としてはその範囲を逸税した行為であつたと認めるかというふうなことを一、二申し上げてみたいと存じます。
 私どもが厚生省に参りまして、直接関與いたしました問題のうちから拾い上げてみるのでありますが、一つは昭和二十二年の二月、埼玉療養所において起りました事件でございます。そのもととなりましたのは物資――患者に対する栄養物資、特にバターの配給についての患者側からの要求がもとでありまして、そうして所と患者側との間がだんだんと尖鋭化いたしまして、遂には所長に対して集団的にデモンストレーシヨンが行われ、また目的を貫徹するためにいわゆるハン・ストというふうなことも行われまして、このときもやはり埼玉地区の軍政部の方から注意を受けて、本省からももちろん事情の調査に参りましていろいろと実情調査をいたしました。患者側から申し立てられましたような事実をそのまま証明することができなかつたのであります。もちろん所の方にも非難を受けるべきような事柄も二、三ございましたが、結局患者側といたしましては、所長あるいは職員の辞職をも強要するというふうな事柄で、相当騒擾を惹起したのであります。これも相当の期間はかかりましたが、いろいろと折衝の結果一應解決することになつたのであります。この場合において、物資の配給等について正当な要求をされることは当然患者としてさしつかえない事柄でありますが、それが少しく嵩じまして、所長に対する集団的の行動、あるいは所長、職員に対して辞職を強要するというふうな事柄は、これは自治会として私どもとしては行きすぎた行為である、そういうふうな考えをもつて、その当時患者と所との間に入りまして、いわゆる調停をいたしたのであります。
 それから昭和二十二年の六月でありましたが、廣島療養所におきましてもやはり患者用のカン詰の配給という事柄、また所長が患者に対して封建的な、独裁的な行為をするというふうなことを原因として、やはりこれも集團的なデモンストレーシヨンあるいはハン・ストがありました。このときは患者の側から、療養所の運営に参加すること並びに所長の辞職ということを強要したのでありますが、この最後の事柄は、現在の患者自治会も認めております通り、これは自治会としては行き過ぎた行動であると言わなければならぬと思います。
 その次は比較的近い事件でありますからまだ御記憶のことと存じますが、二十三年の一月に茨城懸の晴嵐莊の事件というのがございました。これはいろいろな事柄が原因になつておりますが、その発火点となりましたのは、一つは療養所に保管しております患者用の被服を永久に貸與する、言葉をかえれば、それを患者にわかち與えよという事柄がその導火線であります。そうして結局この場合におきましても、所長が封建的な態度をもつて患者に臨むというふうな事柄から、攻撃が所長、庶務課長の方に及びました。このときもやはり集團的なデモが行われました。このときは、私の知つております限りでは、今までのうちで一番激しかつたのではないかと思いますが、所長、庶務課長等の宿舎、官舎にまでそれが波及いたしました。なお所長、庶務課長の辞職並びに経営への参加を要求するというふうなことで、この際も第元並びに軍政部その他各方面をお騒がせいたしました。厚生省としてはその処置には非常に頭を悩ましたのでありますが、これも結局平静には復したのであります。今までありました患者自治会の動きにおいて、明らかに患者自治会の行動が療養所における患者の療養生活をよくするという方向を逸脱して、病院の運営参加というふうな問題に及び、あるいはまた病院の人事の問題に及ぶ、そういうふうな事柄がありましたことは、どう考えましても患者自治会としての正当の行動とは思われませんので、かような事柄が大小幾つとなく各所の療養所においてあります。それらの事実がやはり各方面に知れておりますので、そういうふうな結果が結局患者自治会の解放というふうなことになるのであります。しかしながら私は、しばしば現在の患者自治会の幹部の人々と会つて話をいたしております。少くとも現在の患者自治会の幹部が私に言われるところは、患者自治会というもののあり方は療養生活というものの内容を向上させるということにある。労働協約によつて定められておるいわゆる経営協議会というふうな性質のものを患者自治会が要求するのではないということを計つておられまして、その筋でありますればこれは明らかに患者自治会としての正当の動きと私は存じております。ただしかしながら過去にありました思考自治会という名前のもとで行われました行動の中に、今の正しい患者自治会のあり方を逸脱した行為のあつたことは事実でありまして、將來においてももしかようなことが起る懸念がありますならば、それは患者自治会そのものの前途に対して私は暗影を投げるおそれがあると思うのでありまして、患者自治会の幹部の人々とは十分に話し合つておりますので、この点について特に留意せられるようにお願いいたしておく次第であります。私としては九州地区にありましたこの問題については、これ以上申し上げることを差控えたいと思うのでありまして、將來に厚生省として患者自治会に対する態度を表明いたします時期を少しでも早くできますように努力いたしておる次第であります。
#4
○福田(昌)委員 ただいまの御説明によりまして大体御説明いただきました点は了解いたしましたが、GHQの当局の何分の命令を待つて厚正省の態度をきめたいというように私には聞えたのでありますが、そういうGHQの命令を待たないまでも厚生省当局としてはどういうお考えであるかという御意思を承りたいと思います。
#5
○東(龍)政府委員 厚生省は患者自治会に対していかなる考えを持つておるかということは、すでに関係方面から質問せられております。医務局長としてその意見を関係当局には示してあるのであります。それはただいま申し上げましたように、患者自治会というものは画くまでも患者の療養ということを中心に結成せられるものであり、このために存在する價位のあるものである。從つて患者の療養生活に障害を及ぼすような組織もしくは行動があつてはならないのであります。一々具体的なことは申し述べませんが、厚生省としては患者の療養生活に貢献するようなものであるならば、患者の自発的の意思で民主的に療養所内に組織せられるものでありますならば、厚生省としてはそれを反対するとか、あるいはまたそれもいかぬとかそういうふうな態度は持つておらない。ただ過去においていろいろな行き過ぎのあつたことは当局としても認めておるし、そういうことのないように努めて来ておるが、患者自治会としてはあくまでも患者の療養生活をよくするという方針と、その行動の中で終始すべきものであるという意見を申し述べてあります。
#6
○福田(昌)委員 それほどのお考えをお持ちくだすつておるのでありましたならば、過去におきまして自治会の行き過ぎたものがいくつかありまして、その行動が行き過ぎであつたということは、今日においては自治会においてもすでに認めておることでもあるし、反省しておることでもありますから、厚生当局がこの自治会をその限定において、自治会自身もまたその範囲を守るということが確約されますならば、いまさら自治会の解散という問題をめぐつて厚生省がいかにも消極的な態度をおとりになつておられる、総司令部からの命令を待つて、それによつて行動しようと消極的な態度をおとりになつておられるということに対して、非常な不満を感ずるのであります。厚生省当局がすでに自治会というものはその範囲を逸脱しないで患者の治療の内容を豊富にし、また患者の治療に幾分でも貢献する点があれば非常にいいのであるというお認めがあれば、もう少し積極的に総司令部に向つて、自治会なるものについて今まで二、三非難があつた点も、これは例外的な自治会の悪いところであつて、自治会そのものは決してそういうものではない、これほど患者の療養生活に対してゆたかにしておるということを、むしろこちらから内容を御説明があつてしかるべきものと考えます。今日の國立病院の患者に対しては政府としては物資の配給の面においても、また医療施設の面においても、非常に乏しい政府の恩恵しか與えていない。こういう療養所におられる忠君の方々に対して、せめてその療養生活を豊富にするために自治会が少しでも役立つておるということを厚生当局が認めておられるならば、どうかそれだけの熱意を持つて自治会というものを正しく善導し、自治会の解放に対してそういうことをGHQから命令を受けない前に、厚生当局から積極的に自治会の存置に対して運動していただきたいと願うのであります。聞くところによりますと國立病院の特別会計制が実施されるということでありますが、こういう特別会計制度が実施されるというあかつきにおいては、なおさら入院患者の経済的な負担も過重になつて参ります。従つて今までの自治会の内紛がすべて物をめぐつて足らないがゆえに起つた問題であるということを考えてみます場合において、特別会計制でもひかれました際においては、なおさらこういうような患者の要求は大きくなつて参るであろうと思うのでありますが、そういう問題が大きくなつて参るであろうというやさきにその自治会を通しての声を封じてしまうということは、私はまつたく血のない冷血な処置であるということを考えなければならないのであります。今後の特別会計制その他をめぐつての問題を考えてみました場合においても、少くとも患者の療養生活をゆたかにするものであるならば、自治会を今後とも厚生省の力によつて存続していただくくらいの積極的な御援助を願いたいということを要望するものでございます。私は國立病院療養所に関する自治会の問題に対して、どうか厚生当局のあたたかい血のある積極的な御援助身願いたいということを切に要望しまして、この問題に対しては打切りたいと思います。
 引続き人口問題についてお尋ねいたします。日本は御承知のように終戰後領土の四割三分を失いまして、國土は非常に狭められた環境の中にありながら、外地在住の同胞もどんどん引揚げられますし、なおかつ復員者の御帰還をまちまして、日本國内の出生率はいやが上にも高まつて参りまして、昨年のごときは御承知のように年間百五十六万の人口増加があつたのであります。館さんの御統計によりましても十三年度は最高であろう、その後はおそらくは下り坂になるであろうということはおつしやつてはおられますが、日本の人口増加はおそらく今後とも百五十大方には及ばないにしても、百五十万前後の自然増加があるということが推定されます。そういうことになりますと昭和三十年をまたないうちに人口はすでに一億を突破するというような現状になるかに想像されるのでございます。日本の今日を考えてみました場合に、あらゆる問題の根本をなすものは結局人口増加ということにかかりておるのでありまして、人口が多過ぎるがゆえに物資が足りない、從つてあらゆる紛糾が起つておるということが言えるのであります。今日の労働攻勢にいたしましても、また失業対策というようなことも考えてみましても、これはとりも直さず二、三十年前の日本の人口対策が誤まつておつた結果が今日こういうようないろいろ生活の惨壯を呈して参つたのであります。そういうようなことも考えてみます場合に、今日ただいま人口問題ということに、積極的に政府が法律案をもつてお臨みになつたとしても、すでにおそいとさえ思われるのでありますが、それだのに今日でさえもなお政府当局は、人口問題ということに対して、何ら積極的な意思をお示しくださつてないということに対して、非常な不満を覚えておるのでございます。私はこの人口増加というものの解決に当つては、それは移民の問題もありましようし、産兒制限の問題もありましようが、厚生当局としてどのようなお考えのもとに、この人口政策を取扱われる考えでおられるか、そういうようなことについてまず承りたいと存じます。
#7
○館説明員 ただいまのご質問につきまして、私から簡單に御説明をさせていただきます。ただいま御指摘がございましたように、私ども人口問題なり、人口趨勢の研究をいたしております者の立場から見ますると、ただいま日本の人口趨勢は大体御指摘の通りでございます。ただごく最近の状況につきまして、二、三つけ加えて申し上げますならば、前々から予測をいたしておりました通りに、昨年昭和二十三年五万から出生率ははつきり下る傾向を帶びて参りました。そうしまして、大体昨年五月以來の出生率の減退傾向は、いろいろの特徴を持つておるのでございますが、その一つの大きな理由は、戰後復員等によりまして、一時的に急激に増加いたしますところの出生増加の原因が、大方消えて來たということと、さらにそれに加えまして、産兒制限が普及しておると認められる徴候がはつきり出ておるように思われるのでございます。大体この傾向で参りまするならば――死亡率も下りましたことは御承知の通りでございますが、死亡率の昨年の下り方は相当顯著な下り方でございまして、今後それほど大幅に下るとは見通せないような状況でございます。それでただいま御指摘がございましたように、昭和三十年ごろの人口は、ただいまの見通しでは約九千万をちよつと越えたところになるのではないかと思われるような状況でございます。それから先ほど御指摘のございました自然増加も、大体昭和三十年を少し過ぎましてから、自然増加百万の水準を割りまして、自然増加が百万以下になるものと考えられるのでございます。ただいまのような人口趨勢でございますから、いろいろと人口対策が各方両にわたつてとられなければならないことは御指摘の通りでございまするが、人口対策といたしましては、工業化その他――もちろんこれは厚生省の所管ではございませんけれども、廣く工業化をいたしますとか、あるいはその他経済的な人口の收容力につきまして、各方面の対策が必要であることは申すまでもございませんが、人口自体に対する政策といたしまして、いわゆる人口政策でございますが、産兒制限の顯著な普及の現状にかんがみまして、指導を必要とすることは明らかでございます。この点につきまして、厚生省といたしましては、保健所その他の厚生省の機関を利用いたしまして、指導を行う方針を持つておるのでございます。
 なおもう一つ御指摘の労働事情の圧迫に対する問題につきましては、ただいま御指摘の通り、これは過去の出生率の適用を受けました多数の人々が、今後近い将来におきまして、死亡率が下るために、よりたくさん十五歳の生産年齢層に到達するのでございまして、これは定見制限の普及によりましても、いたし方のない部分でございまするが、先ほどの御指摘の通り遠い將來に及びますところの人口趨勢の結果は、ただいま申し上げましたように、産兒制限普及の指導につきまして、考究をいたしておるような次第でございます。
#8
○福田(昌)委員 厚生省が産兒制限というものを全面的に取上げられたことに対しましては、非常に同感でございますが、その具体的な処置について、またどういう方法をもつてどれだけの効果率があるものか、そういう科学的な説明をお願いしたいと思います。
#9
○館説明員 ただいま御指摘の点につきまして、簡單にお答え申し上げます。私から申し上げますまでもなく、産兒制限の普及によりまして、出生率がどれだけの影響を受けるか、あるいはまた指導その他の対策によりまして、出生率がどれだけの影響を受けておるのかということにつきましては、これは実は非常に困難な問題でありまして、列國ともいろいろの研究結果がございますけれども、まだ確たる証明はできないような状態でございます。但しただいままでのいろいろの学説なり研究なりの結果といたしまして、わかつておりますることは、産兒制限の普及の速度を決定いたしますところの最も根本的な條件が、社会生活の実態的な変化と申しましようか、社会生活自体が産兒制限を受入れる態度を人々がとるようになるような社会生活の実情というものが産兒制限の普及を決定する、こういうふうに考えられておるようなわけでございます。具体的に申しますると、一つは工業に従事する人人が多くなりまして、いわゆる工業化の程度が高まることが一つと、もう一つは都市生活を憎む軒が多くなりますところの、都市化という二つの生活の実態的条件の変化が、最も産兒制限の普及を促進いたしまするところの根本であると申されておるのでございます。現在の状況から判断いたしますと、ただいま都市化の傾向は、戰前とは違つた意味でございますけれども、非常に急速度な都市化が行われている。しかも大都市は崩壊いたしましたけれども、中小都市に非常にたくさんな人口が集まつて参りまして、そのために人口の分布が非常に変つて参りました。そのために從來は大都市に集中いたしておりましたのが、今度はむしろかえつて中都市に集りまして、しかも農村の人口が減つて来る、こういうような状況でございまして、そのために都市化はただいま急速度に進んでおると考えられるのでございます。それで人口を養うという点からも、どうしても工業生産力の拡大、拡充ということが必要でございますが、この工業生産力の拡充に伴いましてさらにまた工業化や都市化が促進されて参りますと、産兒制限の普及によりますところの出生率の減退がそれだけ促進されて來る、こういうことに相なるわけでございます。政策によりましてその生活條件の実態的な変化がどれだけ速度を加えられるかということにつきましては、実は非常に困難な問題でございますが、日本の現在の情勢におきまして一應考えられますことは、ただいま申し上げたような都市化の情勢が進んでおりますところへ、今度これまで行われて参りましたような工業化が進んで来る、さらにこれに対しまして民間團体等の産兒制限普及についての活動がますます盛んになつて來る。こういうようなことを考えてみましたならば、昭和三十年におきまして、出生率が二十二ぐらいのところまで下るのではあるまいか、そうしまして、先ほど私は昭和三十年に九千万を少し超えたところまでと申し上げたのでございまするが、もしも産兒制限の普及が、ただいま申し上げたようなことで促進せられて参りまするならば、昭和三十年には八千七百万少しぐらいのところまでの増加でとどまるのではないかというふうに考えておる次第でございます。従いまして、ただいま指導の方策がとられますことは、産兒制限普及の実態條件を根本的にかえるとは申し上げられないのでございますが、それに対して促進する力を與えることは確かであると考えられます。大体産兒制限の相当程度の普及を予定いたしまして、昭和三十年に八千七百万少しくらいになる。そんなふうにわれわれは押えておる次第でございます。
#10
○福田(昌)委員 産制につきまして、避妊薬に関する厚生当局の許可の方針をお聞かせ願いたいと思います。
#11
○堀川委員長 今薬務局長はGHQへ行きましたので、午後に保留していただきたいと思います。
#12
○福田(昌)委員 では人口問題に関しまする質問は午後に続けさせていただきまして、次にもう一つお伺いしたいのであります。医療関係者が今日の労働基準法に縛られておりまして、非常に不便を來しておるのであります。これは医者や看護婦側の不便もさることながら、一番不便をこうむつているのは、患者自身でありまして、私の知つております病院で最近起つた例でありますが、時間外勤務をして、一つの手術をお医者さん看護婦さんが終つたあとに、引続き腸捻轉の患者が入つて参つたのであります。そのときはすでに午後の七時でありまして、これからなお引続き手術していいかどうかということが、労働基準法の線に沿つて問題になりました。從つてこれから手術していいかどうかということを地方の基準局に尋ねに行つたのであります。ところが係官がいないとか、していいとか悪いとか、すつたもんだのあげくに時間が遅れてしまいまして、非常に急を要する手術をしなければならなかつた患者が、生命の重篤の状態に陷つてしまつたというような事態があつたのであります。こういうような、非常に危險な状態を來さないまでも、この労働基準法に縛られるがゆえに、早く治療を受けなければならない患者が捨ておかれておるという場合が多々あるのであります。從つてこういう医療関係者に対しまして、私は労働基準法の特例を設けるべきであるということを考えておるのでございますが、この点につきまして、厚生当局の御意向を承りたいと思います。
#13
○東(龍)政府委員 医療関係者と労働基準法の問題は、今は患者の方の例をおあげになりましてお尋ねがあつたのでありますが、患者の側から、あるいはまたそれらの医療関係者を持つております病院等の側から、また医療関係者それ自身の側からと、それぞれの立場に從つて、いろいろとこれに対する批判なり、要望なりがあることは私どもも承知いたしております。もともと労働基準法というものは、その労働の内容を向上する、あるいはその労働者の権利、利益を保護することのために設けられた法律と私は了解しておりますので、從つて医療関係者がその医療を完全に行うことは、まさに労働基準法の精神と相反するものではないと思うのでありまして、人命救助のような問題にあたりまして、今のように労働基準法に違反するかどうかというので、あちらこちらを聞いて歩かなければならないということそれ自身が、私には少し了解が行きかねます。しかしながらどうしても今のような特例を設けなければ、そういうこともできないのだということでありますならば、私どもといたしましても、どういうような方針で、あるいはどういうような方法で基準法の特例を設けてもらうかというような案を練るべきかを考える程度に至つておりません。本日御質問もあつたことでありますし、今まで私どもの得ております資料、あるいはまた要望等をよく検討いたしまして、適当な方針を至急に立てて、今の御質問の趣旨にこたえるようにいたしたいと存じます。
#14
○福田(昌)委員 ただいまの御答弁によりまして、その特例が早く決定されることを切望いたしておきますが、ただいま局長の御説明にありましたように、医者の立場から申しますと、こういう重篤の患者を挟んで、手術していいかどうかということを聞きまわることは、非常に非常識きわまることに考えるのでありまして、もし私でありましたら、聞かずにやつているかもしれません。当然医者としてやるべきことではありますが、私がそのときその医料に聞きただしたところが、そのお医者さんが言うには、そういうことをやると基準局から違反だということで非常に問い詰められますから、そのために今までもつまらない心配をして來た。こういう法規で縛られて、やりたいこともやれない。こういうことでは困るから、一刻も早く医者の良心に從つて行動ができるように、労働基準法の特例を設けてもらいたいということを希望しておりましたから、その点申し上げておきたいと思います。医者の側、医療関係者の側から申しましても、また患者の側から申しましても、また病院側からしましても、医は仁術の線に則つて、正しい医療行橋ができるように、この労働基準法の特例を設けていただきたいということを切望して、お願いしておく次第でございます。
 それから引続き恐縮でございますが、身体障害者の福祉法というものが出ることを、この前から聞き及んでおりましたし、また身体障害者の方がこの予算の出現を非常に鶴首して願つておつたのでございますが、今回の厚生当局の御予定になつております法律案を見せていただきますと、これが入つておらないように思われますが、厚生当局はこれに対してどういうお考えであるか、承りたいと思います。
#15
○木村(忠)政府委員 身体障害者の福祉法につきましては、昨年の秋以来これが研究を進めて参りまして、ただいままでに一應の事務側の成案は得ているのであります。しかしながら現在考えておりますものの、まだ十分とは言い得ない身体障害者の福祉法を施行いたしますためにも、相当の予算を必要といたすのでありして、現在の財政状態から、この予算化が今日までに見込が立つておりません。まことに遺憾ではございますけれども、なお引続きごの問題は検討して参りたいと考えているような次第であります。
#16
○福田(昌)委員 結局ものは全部予算の問題になつて参りますが、今日予算が非常に逼迫した現状にあることは申し上げるまでもないことであります。しかし私にこういう弱い立場におられる、一番不幸な立場におられる方々に対して、予算がないから、あるいは何がないからというような理由をもちまして、一日延ばしにその援護を怠つているというようなことが続きましたならば、やはり忍耐ということにも限度がありまして、こういつた方々が精神的に破滅して行く。また思想的にも非常に悪化の一路をたどるのではないかということが考えさせられまして、非常にその結果を恐れるのでございます。今日予算がないということは百も承知いたしておりますが、厚生当局はそういう言葉のもとにおきまして、こういう施設に対する法律の立案を遅らし、またその施設もほんとうに申訳的に、全國にたつた一箇所をつくるというような申訳的なことでない、もつと血の流れた、温情的な措置をおとり下さることを望むものでございます。声が低いがゆえに、力が弱いがゆえに、しいたげられなければならないということは、民主政治に反するものでございますから、そういう声のない、力の弱い者に向つてこそ、積極的に厚生当局は血のある政策をおとりになることを要望いたします。今後この身体障害者に対する福祉法が一日も早く法律として出て、世の中の身体不自由者の方方のお役に立つ日が來ることを切望して私の質問を終りたいと思います。
 もう一つ引続いて質問させていただきます。遺族に対しまして、殊に戰争によりますところの不幸な立場におられる遺族に対しまして、今日まで厚生当局といたしましては、何ら特別な措置がとられていなかつたのであります。遺族も今日のこの生活苦の中におきまして、何とか切抜けて参つており、とにかく露命をつないで参つておりますが、しかし今日のこの暴騰いたしましたインフレーシヨン下の生活におきましては、もう力も盡きたという現状に見受けられるのであります。私たちは戰争に敗けましたが、しかし戰死された方というものは日本國民にとつてどれだけ尊い方々であつたか、また出征されるときにどういう気持をもつてその家族の方々にお約束しておつたかということを考えた場合に、遺族に対しまして、今日占領下にありポツダム宣言によりまして一應しばられておるとは言いながら、私は今日まで何らの措置をとられなかつたことに対して非常な不満を覚えます。從つて今後こういつた遺族に対しまして、厚生当局としてはぜひ積極的な措置をとつていただきたい。また今後どういうふうなお考えを持たれておるかということについてお伺いいたします。
#17
○木村(忠)政府委員 遺族の方々、特に戰争による遺族の方々に対しましては、われわれとしましては、非常に精神的には敬虔な態度をいたさなければならぬと考えておるのでありますけれども、その生活援護と申しますか、物質的の援護の面につきましては、現在におきましては、生活困窮に至りました原因のいかんを問わず、またいかなものでありますかを問わずに、平等無差別に援護するということに相なつおりまして、これの方針に基きまして、特に遺族であるがゆえに特別の援護の方法を講じてはいないのでありますが、特に遺族の中で生活にお困りになります方々は、主としてその生計の下心を失いました方々であろうと存ぜられます。夫を失いました妻、子供を失いました年寄り、これらの方々につましては、特にその援護に遺憾のないようにいたさなければならぬ、かように考えておるような次第であります。こうした生活保護法を適用いたしております世帯の中で、約七割は女子の世帯でございます。実際にこれらの方々の大多数は未亡人の方々であるとわれわれは考えておるような次第であります。なおこれらにつきましては援護の手が延びない、つまり援護から漏れておつたというようなことのないよに、十分徹底いたして参りたいと考えております。なおわれわれの考えておりますことは、これらの方々が実際に援護せらるべきであるにかかわらず、援護せられずにあるといつたような状態がなくなりますために、何と申しますか、現在生活保護法の適用につきましては、救済の道が開かれておらないのでありますが。これの救済の道を開くようにいたしたい。かように考えまして、ただいま司令部側と折衝いたしております。また特に子供をかかえました母につきましては、従來兒童局といたしまして母子寮を設置いたし、また保育所をつくり、授産場というものも主としてそれらの方々を対象といたしますように指導いたして参つておるのでありますが、なおこれらの方々につきまする生活保護の適用につきましても、できるだけ生活作護法の事情に合つたように、具体的に申しますれば子供をかかえました母親が、子供を迷いながら生活が続けて行かれるという建前を原則としてとるようにいたしたい。これは現在の法の運用で十分できることでありまするけれども、この点さらに明確にする措置を講じなければならぬのではないか、かように考えております。なお子供をかかえまして働いております母の生活保護費といつたものにつきましても、今後の生活保護法の基準を改訂せられます際につきましては、できるだけその面につきましても考慮いたしたいと考えておる次第でございます。
#18
○福田(昌)委員 ただいまの御説明を承りますると、非常に私どもの、希望しておる点でございまして、まつたく同感に感する次第でございます。しかしこの問題は昨今に始まつた問題でもなく、ずつと以前から、終戰直後から続けられた問題でありますが、終戰後二年を経ました今日におきましても、相変らず考慮中であるという言葉のもとにおいて、一向に積極的な援護を受けていないという過去の歩みに対しましても、今後も同じような歩調がとられはしないかということを懸念いたしまして、非常に心配するのであります。どうかただいま御答弁くださいましたように、その趣旨に沿いまして、積極的なほんとうの遺家族、ことに女子の世帶の一家族に対しまして、熱意のある、好意のある、積極的な援護を早急にお願いいたしたいと思うのでございます。たとえば今母子寮の増加というようなことを考えて、女子の世帯の遺家族を少しでも援護してあげたいという言葉がございましたが、御承知のよりに兒童福祉法の予算というものは大幅に削られておりまするし、ああいうような点から考えましても、お言葉のように母子寮というものが、はたしてお言葉通りにできるかどうかということを痛切に考えさせられるのでございます。社会局におきましてもそれほど御熱意がございましたならば、この母子家族のために、母子寮建設ということに対して、どうか予算の面におきまして、もつと積極的な御熱意をお示しいただいて、各地方にどしどし母子寮というものをたくさん増設していただき、ほんとうの母子家庭の遺家族のために御援護いただきたいと思います。私はこのような積極的な御援護をお願いすると同時に、消極的な面になるかもしれませんが、今日のこの行き詰まつた予算から考えました場合、消極的な援護ということもまたとらなければならない一つの措置ではないかということを考えるのでございます。たとえば農村におきましては女子の世帯におきましても、供出の割当に対しましては一向に差別がないのであります。しかし農村の労働というものは男手がなければできない仕事がたくさんあります。そういうところに女子が可及的努力を拂つて、一生懸命男の仕事までやつて行くにしましても、どうしてもやれない範囲があります。そういうところで男の方を雇えば、日当その他に非常な費用がとられてしまうのであります。それなのに、そういう女子家族対しまして税金の面においても供出の面においても一向考慮が佛われてない。今日の供出制度には、そういうことに対して特別な考慮を佛うような條文もあるにはあるのでありましようが、一向にそういうことが実行されてない現状でございます。從つてこれはほんの農村だけのことになりますが、農村におきましてもそういうような状態でありますので、農村の遺家族、殊に母子家族に対してはそういつた供出の面においても、税金の面においても、特例を設けて、この末梢の取扱いに当局においてどうか温情のある措置とつていただくように厚生当局から通達していただきたいと思うのであります。また都会に世帯を持つておられる家族においてもまつたく同様でありまして、今日生活保護法というものはありますけれども、女子の世帯というものはどうしても声が低い。またそういう社会的な事情にうといというようないろいろな事情からいたしまして、生活保護法も正しい方に必ずしも十分使われていないということもたくさんございますから、こういうような点も、民生委員を通じ、あるいはまた地方官廳を通じまして女子の世帶に対しては特別考慮を拂うように、そうして積極的に女子の世帯を援護する措置はとられないまでも、こういうような今日ある法律を生かしても、取扱う人の精神的、またこの母子に対する思いやりいかんによつて、いかようにでもあたたかい処置がとられるわけでありますから、そのような方面に向つて今後とも厚生当局の積極的な御命令を地方の官廳に向い、また民生委員に対し、はたまた農村の当局に向つて御指示あらんことを希望するものでございます。そのほか遺家族の問題のこまかい点につきまして一々申し上げておりまするときりがございませんが、遺家族のすべてが今日ではもう忍耐の限度に達している状態でございますから、どうかそういう点を御考慮の上にあたたかい措置をとられることを切望いたす次第であります。
 人口問題につきましてまたあとで質問させていただきたいと、思いますが、私の質問はこれで打切ります。
#19
○堀川委員長 通告順によりまして青柳君に質疑を許します。
#20
○青柳委員 ただいま福田委員から戰歿者の遺族につきまして御質問がありましたが、私もまた戰歿者の遺族の問題を取上げて御質問いたしたいと存するのであります。
 御承知のように自然の手でなく、むごたらしいことでほんとうの肉親をなくなした遺族、また自分たち一家の生計を培つておつたほんとうの大黒柱であつた働き手を奪われた遺族は、私は戰争の犠牲者の中でも一番気の毒なものであると固く信ずるのであります。遺族はかような気の毒な点から非常に積極的になり、引込み思案になつておるのであります。精神的な打撃だけでなくて非常に大きい物質的な打撃を受けて、非常な引込み思案、消極的であります。しかも婦女子が多いのでありましで、ますます消極的ならざるを得ないのであります。従いまして遺族はものを言わない、権利を主張しないという傾向があるのであります。民主主義の政治が施かれている世の中と言いましても、政治は殊に弱い苦しんでいる者を助けることを任務とする厚生行政におきましては、声なきに聞かなければならないと固く信ずるのであります。しかるに最近遺族の中からはまだ弱いながらもだんだんと声をあげて來たのであります。これはいよいよほんとうに精神的に物質的にせつぱつまつて来たからであるように思うのであります。精神的には從前から引続いた心の痛手がまだ消え去らないばかりでなく、たとえば昨年でありましたか本省からの通達が府縣廳に達せられました。それによりますと、もつと前であつたかもしれませんが、遺族の葬式は公務員は参列してはならぬ、弔辞を読んではいけない、花束を出してはいけない。その公務員が私の資格において葬儀に参列し、花束を捧げるのもいけないというようなことであります。こういう通達が実際に各村には行われているのであります。そうしますると、あの父、あの兄の葬儀のときには村長さんも出られなかつた、村会議員も出なかつたということになりますると、村などにおきましては、遺族全般が現実に戰犯者扱いを受けている傾向を見られるのであります。私は聞いたのでありますが、小学校の生徒の中で、あいつのおやじさんの葬式がこの間あつたが、村長さんが出なかつた、村会議員が出なかつたというような声は子供の心の中にも遺族を戰犯視する傾向を次第々々に押し拡めているのでありまして、まことにおそるべき気の毒きわまることだと思うのであります。戰死した者は好んで戰場に出た者ではありません。しかもその家族は何ら戰場において働いた者でもなし、悪いこともしておらないのであります。私はこの戰歿という事実は、りつぱな公務であるということを固く信じております。私は決して遺族ではないのでありますが、從前地方において遺族の援護に当らせていただいておりました関係から、よく地方において聞かれるのであります。自分の夫の死んだのは公務であつたかどうか、言葉は違いますが、ほんとうに公務で死んだのかどうかということを問われるのであります。決して皮肉や、不平や、不満からの声ではなく、ほんとうに遺族は迷つているのであります。私はそういうことを聞く際には、遺族についての哀話、悲話を聞くよりも悲しいのであります。遺族は戰争にすつかりこりております。從つて平和を欲しているのであります。死んだ人のためにも平和を再建することを責務と感じていると思うのであります。私は遺族を断じて日陰者にしたくないのであります。遺族を戰犯者視し、あるいは戰犯者扱いするのは、大きい道徳的な犯罪であると私は思うのであります。何とかしてこの精神的の打撃をやわらげて上げたいものと思います。しかも物質的に考えますると、先ほども福田さんからお話がありましてお答えがありましたが、生活保護法についても最近いろいろ運営の面において改善せられるということを聞きましてはなはだ喜ばしいのでありますが、遺族に対して與えられる生活の援助は生活保護法だけであります。しかるに現在未復員者の留守家族に対しては一定の手当があります。文官の恩給、傷痍軍人の恩給も増額されました。これに比べてあまりに顧みられないのが遺族であります。生活保護法があつても、留守家族や傷痍軍人と同じように、遺族にも特別に援護の手が差押べられても決して不合理ではないと思うのであります。死ぬということは傷痍を受けるということよりも大きい犠牲であるということはここに言をまたないと思います。傷痍を受けた人に、年金あるいは一時金が渡つているならば、死んだ人の家族に対してもまた同じことがあるべきであると思うのであります。あるいは関係方面においては、傷痍軍人は生きておるのだ、食うに必要だ、それだから金を出すのだ、戰歿者は死んでしまつたから必要ないじやないか、ということを言われておつたやにも聞くのであります。しかしながら厚生行政の面においては、人間の生活の面を見るのであります。生活の道を失い、心に痛手をしよつておる遺族には、傷痍軍人と同じように、どうしても生活保護法以外の國家の処遇があるべきはずだと固く信ずるのであります。先ほども申し上げましたように、今日の遺族は平和を再び、平和の再建のために心から析つておるのでありますが、せつぱ詰まつて参りますと、またいつ乱を好むようになるかわからないと思うのであります。
 私はここにおいて御質問をいたしたい。まず第一に、厚生本省から府縣に対して遺族の援護について出される通牒には、関係方面からの指令あるいは勧告、勧奨があつたかどうか、あつたならばその全部を知りたいのであります。そしてこの是正方を関係方面に陳情いたしたいと思います。
 第二の点は、先ほども申し上げましたように、生活保護法以外に特別な國家の処遇、年金または一時金を給するお考えがあるかどうかという点であります。私はこれを物質的な面からのみ考えるのではありません。遺族に対してかかる年金、一時金というような國家の処遇が與えられますならば、一般の人が遺族に対して國家の恩典があるということで、遺族を普通の人並みあるいはそれ以上に氣の毒な人であるというので、愛する気持になると思うからであります。
 第三には、さらに遺族の援護を実情に即して完全ならしめるために、遺族の生活の実態の調査をしていただきたいのであります。その御意思があるかどうか、この三点についてまず御質問をいたします。
#21
○木村(忠)政府委員 ただいまの御質問の御趣旨はまことにごもつともでありまして、われわれしごく同感に存ずるのであります。厚生省から遺族援護に関連して出した通牒について、関係方面の指示があつたかどうかという御質問でございますが、ただいままで、われわれとしては関係方面の指示に基いて遺族に関することでもつて通牒を出したことはないのであります。現在社会局において出しておる諸般の援護関係の通牒は、すべて國民全体の最低生活を維持するために、無差別平等に援護する、その援護のやり方について指示、通牒をいたしておるような次第であります。特に遺族に対してどうこうするというようなことは指示はいたしておりません。ただ諸物資の配給の点については、引揚者あるいは戰争犠牲者という者に優先的にやるというか、そういうような者については特別な考慮が拂われておるというような趣旨でもつて通牒をいたしております。しかし特に遺族に関してどうこうするといつた通牒はいたしておらないのであります。これはわれわれのいたしておる最低生活の維持のためにする生活保護法、その他の公の援護というものは、総司令部の指令の七七五号というものがございまして、これによつて原因のいかんを問わず、無差別平等に援護しなければならないという制約を受けておるのであります。これによりましてすべての措置をいたしております関係上、特に遺族の者についてどうするというようなことはいたしておりません。ただ身体に障害があるとか、あるいは未亡人であるとかいつたような意味をもちまして、特別な措置を講ずる、つまりそういうハンデキャップを補うという意味において、特別の措置を講ずるという点においては、これは何ら阻止せられておらないのであります。そういう意味をもちまして諸種の指導を行つております。
 それから生活保護法以外に、特別な未復員者の給與法と同じような性質の処遇ができるかどうかという点でございますが、これにつきましては、われわれのとつておりますところの一般生活援護につきましては、先ほど申し上げましたように、総司令部の指令第七七五号によりまして、原因のいかんを問わず無差別平等にやらなければならないことになつておりますので、特別な処遇をわれわれとして考えることは困難であろうと思われます。ただ未復員者の給與法であるとかいつたような特別な事由によりまして、國の義務として、つまり公務に起因したものとして考慮されるものでありますならば、これは全然別途國家が國民に対する負担として、何らかの措置を講ずるということは、理念としてはできるのではないかと思うのであります。これは公の援護とは全然別個の関係になりますので、社会局といたしましてはその措置を積極的にとることは、若干現在事務的には困難ではなかろうかと考えております。
 遺族の実態調査につきましては、特に遺族だけの実態調査を現在するかどうかという点については、さしあたり現在は考えておりませんが、生活保護法の施行に関連いたしまして、生活に困窮いたしておる者についての全國的な一斉調査をいたしております。これによりまして、遺族において生活に困難いたしておる方々のほとんど大部分、つまり遺族の大部分の方々は、その調査ができるであろう、かように私ども今考えております。特に遺族について今調査することは、諸般の関係もございますので、実施が少し困難ではなかろうかと考えております。
#22
○青柳委員 ただいまお答えを得ましたが、まず第一点の遺族の取扱いについて通知を出しておらぬということははつきりわかりましたので、私どもとしては非常に安心をするのであります。ただ葬儀の場合のいろいろな取扱いについての通牒が出ておつたように私は思うのであります。それによりまして、公務員の葬儀の参列及び弔辞、花輪の贈呈というようなことができ得ないことになつていると思うのでありまして、この点もせめて個人として、できれば公務員としてやりたいのであります。その点につきましてそういう指令があつたのかどうかということを、もう一遍お尋ねいたしたいと思います。
 次に年金、一時金の問題につきまして、遺族だけについて特別の処遇を考え得るけれども、事務的にはちよつとむずかしいというお話であります。その点も了承いたしました。今後國会として相当なる決意をもつて、この実現に努めたいと思つております。さらに遺族の実情調査につきまして、生活保護法の対象となる人につきまして、全般的の調査をするというお話であります。その際に遺族だけを引き拔いての統計もとつていただきたいと存じます。
#23
○木村(忠)政府委員 ただいま御質問のありました、葬儀の際において公務員が出てはならないという趣旨の通牒は、これは厚生省からは出ておらないと思います。これはたしか文部省の方から宗教関係の点でそういう通牒が出ておつたということを承つております。それによりますと國の公務員が――つまり官吏等公務員が宗教の行事に一切関係してはならない、そういうような趣旨から、いかなる宗旨の儀式でありましても、これに公人の資格として参列してはならないということに相なつております。その趣旨でもつて葬儀等に公の資格で参列することはとめられておるというふうに聞いておるのであります。私の所管でございませんので存じませんけれども、大体そういう趣旨のものであつたかと聞いておりますが、私の方からはそういう通牒を出しておりません。なお遺族にあたりますもの、つまり主として未亡人関係の数字は、はつきりわかるように一斉調査におきましても出すようにいたしたい、かように考えております。
#24
○青柳委員 葬儀参列に際して、公人としてはいけない、私人としてはよかりそうなことがわかりましたので、その点はなお文部当局に聞いてみたいと思います。また私は遺族の生活の実態がほんとうにわかることが、遺族の援護の徹底を期する根本であると思うのでありまして、その点から遺族だけを取上げての生活の実態の調査が不可能であるならば、厚生省の責任において生活保護法の対象たる人々の、全般的の生活の実態の調査をされまして、その中から遺族の生活の実態を出し得るような措置を考えていただきたいと存ずるのであります。
 次に遺族の人々が現在では非常な窮境にあるために、身をどんなに落としてでも働こうとしておるのであります。しかしながら現在の日本に残つておりまする家族制度の関係などが大きく響いて、働くすべがなかなか容易に見つからないのであります。私は遺族、ことに未亡人に適当な職業を與える施設の完璧を期したいのであります。従いまして、まず第一に職業安定所に、その人よろしき得なければなりませんが、婦人の係を相当設ける必要があるように思います。また授産所、婦人のみの職業補導所の増設をしなければならないと思います。さらに母子寮――母子寮というものは決して住宅問題を解決するだけではないのでありまして、母子寮の増設によりまして、職業方面の補導が非常に効果的になるのであります。そういう観点からいたしましても、母子寮の増設をいたしたいのであります。遺族だけを対象として行うことが関係方面の意向からむずかしいというならば、せめて戰災者の遺族と一緒にして考えて、あるいはまたほかの生活困窮者を入れてもよろしゆうございまするが、婦人でもつて困つているのは遺族が多いのでありますから、私はそういうふうに職業安定所に婦人係を設けること、婦人の授産所、職業補導所を増設すること、母子寮を増設することを願いたいのでありまするが、これにつきましての御所見並びに現在の実情を知りたいと思います。
#25
○木村(忠)政府委員 職業関係の方は労働省の職業安定局の所管でございまして、実際の実態は、私の方にははつきりわからないのでありますが、大きな職業安定所におきましては、大体女子の係が設けられておるように承知いたしております。それから職業補導、授産等につきましては職業補導の関係は主として失業者を対象としていたしておりますので、木工等が多く、婦人に適合いたしました職業が割合に少いようにも聞いておりまするが、これも私の方の所管ではございませんので、はつきりしたことは申し上げかねまするが、授産所につきましては、われわれといたしましても現在の授産所に対する指導精神といたしましては、主として一般の職業と申しまするか、一般の産業に從事し得ない特殊な境遇にありまする者、これは主として未亡人、あるいは家庭婦人ももちろんこれに入りまするが、そういう婦人の方々を対象にする場合が最も多く、それからあとは身体その他に障害のある人というように、一般の産業におきましてはどうしても競争して入つて行くことのできないような、諸種の社会的並びに身体的その他の実情にありまする者を対象といたしまして、この授産所は運営いたして行くようにしなければならぬ。授産所そのものが成立ちますためには、そういう者以外の一般の競争できる者を入れました方が運営はよく行くのでございまするけれども、えてしてそういうふうに流れやすい授産所を、そうでないように引締めて参りまして、そういう遺族の方々につきましては十分この方面におきまして勤労ができますようにいたしたい。今度の授産所の指導につきましても、また今後設立しまするものについても、また現在ありまするものにつきましても、大体そういう趣旨をもちまして運営して参りたい、かように考えております。
 母子寮につきましては児童局の所管でありまして、私からお答えすることはできないのでありますが、そういうような線に沿いまして全体としてわれわれといたしましては進んで参りたい、かように考えております。
#26
○青柳委員 ただいまの御答弁の中にもありましたが、職業安定所の問題、あるいは職業補導所問題はいかにも労働省の所管でありますが、遺族援護の立場から厚生省からも労働省の方に十分な強い圧力を加えて実現をはかられたいのであります。またその他の施設につきましても、今後とも十分な御努力を願たいのであります。われわれもまた厚生当局とともに努力をいたしたいと存じます。
 最後に委員長に対し要望があります。私はこの際遺族の援護の徹底を期するためにできるだけ早い機会に、本委員会に遺族援護のための小委員会を設けられたいのであります。各種の考慮から戰歿者の遺族だけを取上げることができませんならば、戰災者の遺族などを一括して、そういう小委員会をつくられてもよろしいのであります。その方法等につきましては委員長に一任いたしたいと思います。以上御要望申し上げます。
#27
○堀川委員長 ただいま青柳委員の御申出に対しまして、委員長といたしましてもこの遺族問題に対しましては重大な問題だと存じます。つきましては一應理事会に諮りまして何とか御趣旨に沿うように決定いたしたいと存じますので、さよう御了承を願いたいと存じます。
#28
○床次委員 人口問題に関して数点お尋ねいたしたいと思います。先はど日本の将来の人口の趨勢に関しまして御意見がありましたが、日本の人口の趨勢は今後日本の復興経済計画の実現、あるいは日本文化の興隆に関しましては、まことに重大な関係を持つておる問題であります。今回経済九原則を実施するに必要な予算上においても苦心を拂われておられるのであります炉、國民全体が將來の日本をいかにして再建するかということを考えました場合に、人口対策をいかような態度をもつてきめるかということは、まことに関係の深いことであります。先ほど御当局の御答弁によりますると、大体將來におきましては人口増加がとまつて来るから、それで何とかなるのではないか、民間その他でやつておりまする座完調仰運動、その他の関係上、何とかおちつくところになるのではないかというような比較的楽観的なお考えを持つておられるように聞えましたのでありまするが、私はこの際政府といたしまして、あるいは國家といたしまして、われわれの漿來の人口対策に対してはつきりした態度を持つて進まなければいけないときになつておるのじやないかと考えまするが、まずこの点に関しまして御当局の御意見を伺いたいと思います。
#29
○館説明員 私からただいまのお尋ねに対しまして簡単にお答えをさしていただきます。ただいまの人口問題につきましては先ほど福田先生からも御指摘がございましたように、人口趨勢それ自体についての問題と、それから人口を收容し養つて参りまする收容力と申しますか、その方面と二つの問題があるかと存ずるのでございます。現在の状況におきましては、御指摘の通りに、現在の人口の趨勢が人口の收容力に対しまして過度に増加する傾向を明らかに示しておるということは事実でございます。従いまして、問題に対する対策といたしましては、收容力に対しまするところの非常に廣汎な対策が必要であることは申すまでもございませんが、人口趨勢それ自体に対しましても、対策を必要とする段階にあることを認めるものでございます。従いましてその点に関しましては、死亡率はもちろん当然引下げて参らなければならないといたしますれば、残る問題は人口の質の問題と出生率との二つの問題でございます。出生率の傾向といたしましては、現在相当われわれの予測以上に急速皮に産兒制限が普及することによりまして、出生率が下るような氣配を見せておるのでございますが、何分にもただいま出生率といたしましては非常に不安定な時期でございます。いずれにいたしましても、出生率の傾向に対しまして、産兒制限に対しまずる適当なる指導の必要なることは申すまでもございません。その点につきまして、厚生省といたしましては、現在所管いたしておりまするところの機関を通じまして、産兒制限の指導につきまして、十分に考究をさせておるような次第でございます。それからなお質の問題につきましても、ただいま優生保護法その他の運用によりまして、厳格な態度をもつて質の向上に向つておるような次第でございます。
#30
○床次委員 ただいま御答弁がありましたが、ただいまの御答弁は單なる厚生省の立場からのお答えのように考えております。國家といたしましては、やはり先ほどお話がありましたように、この過剰の人口をいかように将来処置するか、また文化の向上に役立てるかという問題を考えなければならないと思います。別の言葉をもつて申し上げまするならば、人口の移植、また、産業方面から申しますると、輸出定業の振興、あるいはできる限り國内において人口の收容力を増加せしめるという対策が残つておることと思います。これにただいまの厚生省方面の人口数の問題と三者合されまして、初めてほんとうの人口対策ができるものではないか。この意味における人口対策を國家といたしましても当然考えなければならぬときではないか。この点を私はお尋ねいたしたいのであります。先に國会におきまして、人口対策審議会をつくりたいというような御意見もあつたように承つておるのであります。今日はたしてかかる審査機関と申しますか、審議機関というものを設置いたしまして、國家の対策について御考慮になるというお考えをお持ちになつておるかどうかということもあわせてお尋ねしたいと思います。
#31
○館説明員 ただいま御指摘の点につきまして、簡単にお答えさしていただきます。まことにただいま御指摘の通りに、人口問題に関しまする対策は、ただに厚生省の所管に屈する問題ばかりでなしに、非常に廣汎な各省の所管にまたがつておりますことは御指摘の通りでございます。厚生省といたしましては現在の人口趨勢をしさいに検討いたしておるのでございまして、関係方面に入口対策上の要求を機会あるごとに極力お願いをし、また提示をいたしまして、各省とも人口対策というこの根本問題をめぐりまして相携えて進み得るように極力努力をいたしておるような次第でございます。特に先ほど御指摘のような工業化その他輸出の促進というような問題に関連いたしましては、経済復興計画等に対しまして厚生省といたしまして人口の趨勢に対する一定の見解を披瀝いたしまして、十分の御考慮を仰いでおるような次第でございます。
 なおもう一つ御指摘がございました移民の問題に対しましても、厚生省といたしましては現在の入口趨勢からその意味をはつきりとさせておるのでございまして、ただいま御指摘のございました通りに、移民につきましてはいろいろの困難な問題もあり、また理論上いろいろ指摘される点もあるでございまするが、その移民についての一つの問題といたしまして、移民によつて人口の圧力が減るならば、今にそれを埋め合せるように出生率がまた高まつて来はしないか。せつかく移民ができましても、その移民によつて生じたところの空隙がすぐ埋め合されまして、効果がないのではないかというような御意見がございまするが、これに対しましては、日本の現在の入口の発展段階がすでにそのような段階は経過し去つておるのでございまして、現在ではむしろ移民によつて空隙が生じ、そのために人口の圧力が減り、生活水準が高まれば、むしろかえつて産兒制限の普及が促進されるような段階にあるということを明らかに証明し、これを、はつきりとさせておるような状況でございます。
 なおまたもう一つの点といたしましては、終戰後現在までの人口増加の中におきまして、海外からの六百十四万人を越えるところの引揚げが非常に大きな地位を占めておるのでございまするから、この点にかんがみましても、もしも実現の可能性があれば移民が効果的であることは十分に認めるものでございます。但し現在の國際情勢なりその他からいたしまして、その時期が熟しておるとは決して考えておらないのでございまして、入口対策上の意義とそれの実現についての國際政治情勢並びに國内的のこれに伴うところの情勢といたしましては、現在明らかに成熟はしていないというふうに考えておる次第でございます。
 かように重要な一、二の点について申し述べました通りに、厚生省といたしましては現在の入口趨勢を分折いたしまして、その立場から関連のある主要事項につきまして関係各省にそれぞれこの問題を中心といたしましで協力し、また入口対策としてそれらの政策が統合せられますことを切に希望し、また努力をいたしておるような次第でございます。なお先ほどお尋ねの人口対策審議会が世上に傳えられておるのでございまするが、率直に申し述べまするならば、さような機関の必要であることは申すまでもないと存じます。従いましてこれは厚生省の所管を超えた各省にまたがる大きな問題でございますから、厚生省といたしましてはさような機関の設置につきましては、ぜひとも積極的に協力をいたしたいと考えておるような次第でございます。但し最近の情勢といたしまして、審議会がいかように進展しておるか私は承つておりませんので、その点につきましてはあらためて進行状態を取調べまして、お答えすることにいたしたいと思います。
#32
○床次委員 入口問題の対策に関しまして、国家の方針をきめるために機関を設けるという問題に関しましては、これはひとつ関係方面とよく協議し、ほんとうに國民の将来の感情と申しますか、日本再建に対する國民の熱意というものを、十分発揮できるがごとく御考慮をお願いいたしたいと存ずるのでありまして、委員会を設置して方針をきめるならば、一日も早くこれを実現せられたいと希望するものであります。
 なお移民に関しましてお話がございましたが、今日の国際情勢におきまして、ただちに日本が移民を入口対策の一つとして考えることの困難なことはよく私ども承知しておるものでありますが、しかし将来の日本の人口問題を考える上におきまして、移民という対策を除きましては、日本の人口対策あるいは日本の再建というものも成立たないのではないかと私は考えておるのであります。この意味におきましてわれわれは常に將來の移民を期待するということをお互に考える必要があるのではないか。このためには今日より移民をなし得るがごときわれわれの心構えをつくつておくことが必要だと存じます。現在の入口状態をそのままに放任しておいて、他日移民が認められましたときに、一應移民として出て行くことができるかもしれぬということを期待するよりも、私どもはまず國内におきまして十分な人口を消化する対策をとりつつ、しかもその足らない部分を移民によつて補う。日本文化の向上のためにも、また世界の幸福増進のためにも、この移民が役立つたのだという考え方におきまして、今日より移民に対する心構えをきめておきたいと思う。このために政府におかれましてもあらかじめ將來の移民対策、これを今日においてその心構えのもとに懇請しておくという方針が必要なのではないか。私が特に先ほど人口対策委員会等のことを申し上げましたのは、かかる政府の態度を今日はつきりきめまして、世界に対しましてわれわれの希望、國民感情を申し述べておくということが意義があり、かつ必要ではないかと存じておるからであります。新聞紙上におきまして、近時アメリカにおきましても、過去の排日法以来久しぶりに日本の移民帰化法が上程せられ、これが可決せられているという報道を聞きまして、われわれ日本國民として非常に、感銘を覚えるものでありますが、この私どもの感銘、これは現在の日本國民に大きな光明を與えるものと信じます。この立場におきまして、政府においては一日もすみやかにわれわれの進むべき態度、人口問題に対する考え方というものをはつきりと決定せられて、政府において決定困難であれば、あるいは國会においてきめるべきものであるかとも思いますが、すみやかにこの態度をきめまして、対処いたしたいということを申し上げたい。政府のこれに対するお考えを承りたいと思います。
#33
○館説明員  ただいま御指摘の通り、移民の効果につきまするいろいろな多角和的な御見解、特に現下の情勢といたしまして、その社会的、心理的な影響につきまして、私はまつたく同感に存ずる次第でございます。この移民の問題につきましては、直後の所有が外務省の管理局に相なつておりまするので、さような立場から厚生省といたしましても人口問題研究所を通じまして、現在の人口趨勢その他の点から、ただいま御指摘のございましたような点につきまして、すでにお話をしておるような状況でございますが、ただいまの御趣旨に従いまして、なお直接の所管でございますところの外務省に対しまして、緊密な連絡をとりたいと考えておる次第でございます。
#34
○床次委員 次に将来の産兒調節運動という問題に関しまして、御質問申し上げたいのでございます。先はど御説明によりまして、将来日本の各地におきまして、都市、農村、あるいは工業化の原因によりまして、相当産兒出生率が減少するのではないか。また今日の農地法の改正等におきまして、農村におきましても私は相当出生率の低下が、あるいは行われるのではないかということを考えておるのでありますが、今日におきましてこの産兒調節なる思想に対しまして、適正なる指導を與えなければ非常な社会的な害毒がふえるのではないかということを懸念するものであります。現在まですでにふえておりまする兆候として、いわゆる堕胎とか、あるいは妊娠中絶が非常に行われておるということは、今後この妊娠中絶あるいは出生率の低下というものが、農村等において行われる場合を考えますると、その害毒はまことに大きなものであると信じます。この点におきまして、同じ産兒制限の方法につきましても、もつと適正なるこれに対する受胎対策というものを実施することが必要ではないかと考えます。この点に関しまして御見解を承りたい。なおすでに新聞紙上等におきましては、受胎調節に関する薬品普及等につきまして、それぞれ政府におきましても取扱つておるかのように承つておるのでありまするが、これか今日いかようなるお取扱いになつておるかもこの機会にお伺いいたしたいと思います。
#35
○堀川委員長 床次委員に申し上げますが、その避妊薬等につきましては、福田委員と同じように薬務局長が午後から参りますから、一緒にひとつお聞き願いたいと思います。
#36
○館説明員 ただいまお尋ねの薬品関係以外の全般の出生対策につきまして、簡単にお答え申し上げたいと思います。ただいま御指摘のございました通りに、いわゆる妊娠中絶その他の堕胎が普及いたしまする傾向あることは、われわれ現在の死産その他出生の統計等からこれを確認しておるような状態であります。しかもただいま御指摘がございましたように、好ましくない影響を伴つておることもまた推測せられるところでありまして、たとえばただいまいろいろの死因による死亡が下つておりますにもかかわらず、特に昨年母親の死亡だけがふえておるというようなところからも、この点については愼重に考えなければならないものがあると存ずるのでございます。大体ただいまの考えといたしましては、人工妊娠中絶につきましては、現行の國民優生保護法その他一定の限度内においてこれを認めるという考え方でございます。但し健全な受胎調節につきましては、ただいま何らこれを禁圧する処置をとつておらない、こういうような状況でございます。
#37
○床次委員 ただいままで人口問題の一環といたしまして受胎調節ということが話題に上つたのでありますが、現在の日本におきましては、なお受胎調節という問題に関しましては、むしろ母性文化の向上という立場において考慮する必要があるのではないか、かように私は考えておるのであります。今わが國におきましては母親の希望しない、あるいは両親の希望しないところの子供が生れるということによりまして、あらゆる禍根が出て参つて張ります。個人、家庭、社会、これにそれぞれの大きな禍根を今日残しておると思いますが、また同時にかかる子供の出生というものが、家庭文化の向上から申しましても、また婦人の解放と申しますか、女性の地位の向上というような立場を考えてみましても、すこぶる影響の多いことでありまして、この点に関しましてやはり当局においては適当に、むしろこの面における積極的な指導が必要なものではないかと考えておるのであります。單なる受胎調節云々というようなことでなしに、積極的な母性文化の向上という立場の指導が必要なのではないかということを考えまするが、御意見を承りたいと存じます。なおただいまの受胎調節あるいは産児制限思想が社会にいたずらに広まるということがありましては、まことにこの害毒は大きなものであります。このためにはぜひとも健全なる性道徳の確立ということが伴わなければならないと存じます。また同時に適正なる性教育の実施ということも必要なりと考えます。これは単なる厚生省の問題ではないのであります。廣くこれを国家という立場において御考慮を願うことが必要であろうと思います。なお先ほど優生問題のお話がありましたが、やはりこの機会において優生思想を十分に普及していただくことも、すこぶる重要なものと考えまするが、どういうふうに考えておりますか、この点も承りたいと思います。
 次に保健婦規則が改正になりまして、今後保健婦の檢定試験を受けますためには、五箇月の講習を必要とするということが規定せられておるようでありまするが、このために地方においては相当困つておるところがあるように承つておるのであります。これは省令にきまつておることであるようでありますが、特に現在保健婦の不足の実情にかんがみまして、多少御考慮をいただける余地はないものか、すみやかに保険婦を充実するために、本年度におきましては特例を認めるお考えがなかろうかということにつきまして、御質問をいたします。

#38
○堀川委員長 関係の政府委員がおりませんから、この程度で休憩いたしまして、午後一時半から続行いたすことにいたします。
    午後零時十三分休憩
   ―――――◇―――――
   午後一時五十分開議
#39
○堀川委員長 これより午前に引続き再開いたします。
 行政方町に対しましての最近の事情につきまして審査することにいたします。では保留になつておりました福田委員から続行願います。
#40
○福田(昌)委員 午前中の質問に引続きまして、避妊薬の件についてお尋ねしたいと思います。厚生当局が産兒制限ということについて法的にどうするかというようなお考えはまだ承つておりませんが、厚生当局が産制ということに非常に関心を持たれて、その結果避妊薬というものを、厚生省の認可において適当な製品を賣出すというように言われておりますが、その認可される場合の基準、またそれによつて主としてどういうように産兒制限をやるか。具体的な方法及びそれによつて生ずるところの結果、そういうものに対する推定のお考えを聞かしていただきたいと思います。
#41
○一丁田説明員 藥務局長がよんどころない用事で欠席いたしましたので、かわりまして私が御説明申し上げます。ただいまの御質問に対しまして、藥務局といたしまして、この避妊薬について取扱つております措置にいつて経過並びに進行状況を御報告申し上げます。
 昨年の七月に藥関係の法律としまして藥事法が新しく公布され、その新しい藥事法の規定によりますと、前の藥事法で禁止規定となつておりました避妊の効果を標榜する医薬品の製造ができるようになりました。――禁止規定が除かれたのでございます。従いまして昨年の末ごろから避妊を目的とする藥の製造許可申請が出て参りまして、現在二十数件に及んでおります。この避妊を目的としまする医薬品は、藥の定義と申しますか、藥の範疇と申しますか、そういう規格の点から考えて申し上げますと、公定書外医藥品となります。つまり日本藥局方等、法的に根拠のあります藥以外の藥でありまして、われわれはこれを公定書外の医藥品と申しておりますが、その医藥品に該当しております。そういたしますと、新しい藥新法では公定書外の医藥品とか、特に最近現れれまする新しい医藥品につきましての許可にあたりましては、厚生大臣は藥事委員会というものの建議によりまして、それを許可するという手続規定になつておるわけであります。でありますから、この避妊藥の取扱いにつきましても、愼重を期しまして、昨年末藥事委員会において審議を願うことにいたしました。その後藥事委員会の中に避妊藥に関する特別訓委員会が設けられまして、本年の二月及び三月の二回にわたりまして、内容等について調査を進めて、目下進行中でございます。藥務局の立場といたしましては、避妊藥につきましては、衛生上の見地から見て、その内容、使用方法等、藥としてのあり方につきまして、一應檢討を願つて参つておりますが、その調査委員会において大体今日までにきまりましたところの方針といたしましては、こういう藥については外國で早くから認められ、実行されておりますので、その國々の明らかにされている処方、規格、使用方法というようなものに標準を置きまして、そういうものに準ずるものを、わが國においても取上げて行こうというような方針になつておるのでございます。そういう方針に基きまして、さらに詳しく目下調査をいたしております。その他人口問題とか、あるいは使用をした後の結果がどういうことになるかというようなことにつきましては、厚生省内の関係の局ともよくお打合せをして万全を期したいと考えておるのでありますが、避妊藥の許可につきましては、そういうように調査が進行しておりまして、具体的に、こういう処方の藥であればよかろうというような問題は、今月中にはきめられ得るかと、かように考えておる次第でございます。
#42
○福田(昌)委員 今月中と申しますと、四月中でございますか。
#43
○一丁田説明員 さようでございます。そのように目下調査委員会の方でも進めております。
#44
○福田(昌)委員 大体この種類は幾種類または数において幾つぐらい許可になるお見込でございますか。
#45
○一丁田説明員 先ほど申し上げましたように、申請になつている件数は多分二十五、六件かと思いますが、少し藥のこまかいことを申し上げますと、藥の効能を一番表わしますものは、おもなる藥、いわゆる主藥と申しますか、主藥として目下申請にかかつておりますものは、オキシアン水銀系統のものと、フェニル水銀アセタート、別の名前ではフェニル醋酸水銀、それからオキシヒノリン系統のもの、化学的な主成分としましては、以上申し上げました三つが、大体おもに使われる主成分でございます。この中でなおこまかく申しますと、オキシアン水銀系統のものは從來性病予防藥の主成分として使われておつたものでございます。後に申し上げましたフェニルアセタートあるいはオルトオキシヒノリン系統のものは、新しく避妊藥の主成分として外國の文献あるいは文書によく現われておるものでございます。権威者の方々の御意見によりますと、外國の処方などによく出ております、今申し上げたフェニル水銀アセタート系あるいはオキシヒノリン系の方はよさそうだという御意見の方々が相当あるように私ども伺つております。そういう標準的な処方あるいは剤形――剤形と申しますのは、錠剤とか、あるいはゼリー状のものとか、または坐薬のようなものとか、そういうものでございますが、剤形の点では、権威者の方々の中では、ゼリー状のものあるいは坐薬のようなもので、特にその坐薬なりゼリーを構成しております軟膏成分が害がなくてよい品質のものであることが望ましいから、その点を注意するようにという御意見がありました。その点についても調べておるような状況であります。
#46
○福田(昌)委員 薬品の許可の基準というものは大体わかりましたが、避妊器具というものに対しての厚生当局の許可の方針についてお伺いいたします。
#47
○一丁田説明員 私避妊器具の詳しいことを存じませんので、ちよつと申し上げられないのであります
#48
○福田(昌)委員 今度の厚生委員会で聞かしていいただきたいと思いますので、政府当局の方の御出席をお願いいたしたいと思います
 それでは避妊藥のことに関してもう二つお尋ねいたしたいと思います。お藥の内容は今いろいろ雑誌にも出ておりますし、皆さんも御承知の通りであつたわけでありますが、いろいろ聞かせていただきましたが、こういうような医藥品を使わせるような場合に、民間にどういう方法をもつて使用させるか。一般に市販に供するだけであるか、あるいは保健所として、こういうことにあまり関心をもつていない、しかしながら入口対策あるいはまた性病予防の見地から必要な方面にこれを使うように、積極的な普及方法をとるか。またそれを使いまする場合においては、何といたしましても医藥品でありますから、医藥品というものは適当に使えばこそ効果があるのであつて、使い方を誤つた場合においては公認避妊藥におきましても、医学上悪い影響を及ぼすこともあるわけでありますから、そういうことに対する考慮をどういうふうに考えておるかということを伺いたいと思います。
#49
○一丁田説明員 ただいまのお言葉ごもつともでありまして、この使用にあたりましては弊害を來さないようにということにつきして、いろいろ注意いたしております。それで公衆衛生局ともよく連絡をとつておりますが、本日は局長も参つておりませんので、なお局長のお考えもあると思いますけれども、私どもが今まで打合せましたり、考えておりますことで申し上げさしていただきますならば、使うことに対しましてはなるべく指導いたしまして、使用方に誤りのないようにしたい。それには相談所と申しますか、保健所、そういう方面の適切なる指示によつて使うようにするというようなことをまず第一に考えたいと思います。
#50
○福田(昌)委員 ではその藥はそういうような監督指導機関を通して賈り出すわけですね。一般の市販には出さないのですか。
#51
○一丁田説明員 販賣系統につきまして、まだ詳しくは考えておりません。それで使用させる方法をきめまして、そして販賣の方法についても研究したいと思いますが、そういう指導所と申しますか、そういうところで賣り出すという限定した考えも持つておりません。これにつきましては誤りのないような方法にしたいという考えを持つております。
#52
○福田(昌)委員 避妊藥が適当な、最も必要な個所に使用されて、しかもその使用方法において身体的に障害のないような使用方法をとるということについて十分たる御考慮を拂われたいと思いす。その線に沿つていろいろな器具もおつくりいただくことを希望いたします。
 それからこれは避妊藥のことでありませんが、藥に関したことでありますので一つ追加質問をお許し願いたいと思います。私最近の不良藥を持つて参りましたが、ここにお目にかけます通りカルシュームにおきましても、ぶどう糖におきましても、あるいはまた神経痛の藥であるザルソグレラン、ザルソブロカノンまた解熱剤であるムルチン、また最も多く使われるビタミン剤におきましても、実に多くの不良品がでておりまし。これは一昨年藥事法が制定になりましたときにおきまして、その中において藥事監視員というものができておつて、不良医藥品というものは民間から一掃されて、大衆に御迷惑をおかけすることはないということを承つておつたのでありますが、実は残念ながらそのお言葉に反しまして、最近は不良藥品がふえる一方でございます。医者の側におきましても、看護婦の側におきましても、まず注射をします前に、一体これは不良であるかしら、注射していいかしらということを、全部買つて来た藥について檢査をしなければ、不安でしようがないという状態になつております。ただ混濁もないし、不純物もないと認めるからという観点のもとに注射いたましても、発熱したり、蜂巣識炎を起したり、化膿したり、悪寒が來たりというような現象がたくさん起つておるのであります。さきにジフテリアのああいうような不祥事が起きましたが、これはひとりああいうジフテリア予防藥に限らずすべての医藥品が非常に不良である。これはとりもなおさす厚生当局の監督の怠慢のしからしめるところと言つては言い過ぎかもしれませんが、そういうことも残念ながら考えなければならないじやないかと思うほど、非常に不良品がたくさん出ております。從つて私は当局がこれに対して何らかの積極的な方法をとつていただきたい。また藥事法にきめましたところの藥事監視員なるものが、昨年、実質においてどれいただきたいと思います。これに関しましては藥務局長もお見えございませんから、次の厚生委員会において御答弁願いたいと思います。これは保留しておきます。
#53
○堀川委員長 それでは午前の保留の件につきまして床次委員。
#54
○床次委員 午前中にお尋ねいたしましたことにつきまして重ねて簡単に質問いたします。ただいま福田委員から御質問がありましたので大体わかりましたが、なお将来この受胎調節関係が普及せられると、都市におきましても農村におきましても、相当行われることが予想せられるのであります。從つてこの指導はよほど適切を要することは、先ほどもお話があつた通りであります。今日産兒調節上におきまして妊娠中絶が非常に行われておるということにつきまして、特に御当局の御関心を持つていただきたいのであります。従つてその半面におきまして受胎調節思相の普及につきましては、よほど努力していただかなければならない、ということを私は申し上げたいのであります。すなわち保健所を動員されることもよろしい。あるいはいわゆる社会保険の保険給付として必要な向に対しては受胎調節、産兒調節の普及について、適当なところに指導するということが必要でないかと思います。この点につきましても御意見を伺いたいと思います。
 なお人口問題の反面といたしまして、この受胎調節の問題、産兒調整の問題はこれは当然母子衛生の問題と申しますか、母性の文化の問題に関係があると思います。私はむしろ厚生省自体がこういう方面において、積極的な宣傳活動をされることが必要だと考えます。すなわち今日におきまして、自己の欲しない子供ができるために生ずるところの個人の障害、あるいは家庭の障害、あるいは社会の問題というものがいろいろあるのであります。別の言葉をもつて申しますと、これが女性の向上にも、婦人の解放にもなるのであると思うのであります。同時にこれは母性、乳幼兒の大きな保護になると考えるのであります。從つて女性文化の向上という廣い面におきまして、今後受胎調節、産兒調節の問題を積極的に取上げ、正しく指導されることが必要ではないかと思います。これに対して御意見を承りたいと存じます。
#55
○近藤説明員 兒童局長がたまたま他出中でございますから、母子衛生課長の私から御答弁申し上げます。ただいまの床次委員の御意見を加えた質疑に対しまして、その御意見の点にはまつたく当局におきましても、同感いたしておるのでございます。すなわち、これに一言つけ加えまするならば、受胎調節という問題は、一つには母体の健康保護という面におきまして、あまりに近目に出産をいたしまするための体力の損耗、あるいは軽症ながらも病気を持つておりまする場合の妊娠による悪影響というような面を考えますと、母体の健康保持からまず、取上げなければならぬと思いまするし、また兒童の保護という面におきましても、負担能力を超えまして非常に多数の子供を持つておりまするために、子供たちの養育、これは健康に対する注意あるいはまたいろいろ教養に対する親心としても、気持はありましても、その能力がないために届かないというふうな面におきまして、たとえば赤ちやんが早く生れたために、その上の幼兒に対する哺育が行届かないという面におきましても、これは兒童のためにもある程度必要ではないかと思いまするし、また経済の面におきましても、家庭経済において、あまり多数の子供を持つておるために、経済の面もあろうかと思いますし、職業婦人としての家庭婦人におきましても、同様なことが考えられると思うのでありまして、そういう方面におまして、母子の衛生保護の面におきまして、その問題は当然取上けなければならないし、ある意味においては積極的に指導の面に出なければならないというふうに考えておるのでございますが、それにつきまして今日まではまだその行政の事務としてこれを取上げる段になつておらなかつたのでありまするが、先ほど來のお話もありましたように、避妊薬あるいは避妊器具という方面が正式に認可されるというふうな時期になつて参りましたので、これと歩調を合せまして、母性の文化あるいは母子の保護という面におきましても、これは行政的に指導の手を進めて行かなければならない。その方法といたしましても、あるいは保健所におきましてそういう相談と、母子の健康相談と一つの形になりましてそういう訓育を取扱う。あるいは医師、また医師監督下における助産婦、保健婦というような面につきましても、必要があればその面の指導もしなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
#56
○床次委員 この機会に重ねてお尋ね申し上げたいと思います。先ほど來人口問題、人口対策に関しましていろいろ御質問申し上げましたが、そのお答えは大体厚生省という立場に限られての御返事のように承つておるのであります。しかしながらわが國の目下の人口問題なるものは、わが國の再建、産業復興あるいは国民文化の向上という立場から見まして、これはまことに関係しておるところが多いのでございます。また今日私どもの烈々たる國民感情であります将来の移民という問題に関しましてもこれは重要な問題であるのであります。この点におきましてはどうか政府は各関係方面の意見を総合せられて、ほんとうにわが國の復興計画ができるにさしつかえないところの人口に対する意見を確立していただきたい。また將來はたして、海外に発展できるか。それにさしつかえないだけの準備を今日においてすでにすることが必要かと思いますが、この点に関しましても將來において悔いのないところの人口政策をつくつていただきたいと思うのであります。幸い林厚生大臣は内閣の副総理という重要な地位に立つておるのであります。從つて各関係省の意見を総合し、ここに將來の日本の人口対策に対する政府の御意見、はつきりとした立場をお示しを願いたいと思います。なおこの機会におきまして、政府の方のお考えもいろいろあると思いますが、また國会は國会として将来の人口問題に関しまして、いろいろ意見を立てることが必要なのではなかろうかと思います。この点に関しましていずれ機会がありましたならば、小委員会の設置等につき特に委員長の御考慮を賜わりますれば幸甚と存じます。以上を要望して私の質問を終ります。
#57
○堀川委員長 ただいまの床次委員の人口問題につきましては、これも事重大な問題でありますので、政府委員の方もできるだけ調査を急がれまして、近い日にちにいろいろな問題が解決されるよう御努力願いたいと思います。なお小委員の問題は、遺族の問題と合せまして、理事会で打合せまして、何とか御相談いたしたいと考えます。どうぞさよう御了承願います。それでは次は丸山委員。
#58
○丸山委員 宮城縣における百日咳予防接種に伴う事故の発生について、二、三の質問をしたいと考えます。予防接種法が昨年の六月できましてから、はからずも京都市地方におけるジフテリア事件を起し、なおまた引続いてこの百日咳予防注射における事故が発生したことは、國民の予防接種に関する恐怖あるいは不審の念を抱かしめるという点において、これはまことに遺憾とするところと考えておるのでありますが、すべてこういうような過失が起りました場合には、その責任を問うということはもちろん必要でございますが、しかし將來この失敗を繰返さないためには、その失敗の眞相を究明することが最も必要ではないか、かように考えます。この宮城縣の事件については、現地において私が調査したわけではございませんので、主として出されました書類を拝見した面からだけで質問したいと考えております。第一番目に、私がこの書類の面から見て、そのやられたことでこういうことを考えます。初めの方の事故発生の説明に、注射の際に混入した結核菌に基因したものと想像される、かように示してありますが、その後の調査の経過等の説明において、結核菌という言葉は一つも出ておりませんで、抗酸性菌という言葉で示されておるのであります。もちろん抗酸性菌の中にはたくさん種類がございますので、それが結核菌でありや否やということに対しての御調査に進行中であるとは考えますが、その檢査の方法及び迅速を私は希望するのであります。第一番目に、この報告書の三枚目の表に書いてございますことを見ますと、三月十日培養試檢の実施中である、かように書いてありますし、X線撮影を行つたが、電力不足のため失敗した、かように書いてあります上、それからツベルクリン反應に強陽性であつたということは、結核菌と疑われるものでありますが、培養試檢の結果が判明いたしておるのかいかがでございますか。この原因となつたものがはたして結核菌であつたかなかつたということが、今日もなお決定未了になつておるのですかいかがであるかということであります。私の考えといたしましては、これは至急決定を要すべく、それに対して努力せられるのが当然であると考えますが、もう相当の時日を経過しておりますのにこの書類においては、なおその決定を見ておらぬのであります。これに対する檢査の進行状況をお伺いしたいと考えます上、あわせてその迅速を希望すると同時に、X線の撮影が力不足のため失敗したというようにやり放しでなく、さらにその後X線檢査が行われているのかどうか。今日に至るまで電力不足が続いておるとは考えられませんので、その点に関するもう少し詳しい、迅速なる御檢査の結果及びその成績を承りたいと考えます。
 第二番目の点は、この結核菌に類似しているであろうと思われる抗酸性菌の混入したところの過程の関係であります。この過程をここに書いてありますところから見ますと、人型の結核菌を疑われましたものと認めまして、その注射をなされました佐々木医師の健康状態、あるいは従事者の健康状態、あるいはその佐々木医師が自宅または診療所と考えられますが、人型の結核性疾患の患者の症状が現されれております。しかし私どもの医学的の常識から考えますと、人型の結核菌がその注射液の中に混入したというようなことは比較的考えにくいことであると考えます。私どもが常識で考えますならば、BCGの混入があつたのじやないか、BCGが混入されたために起こつた事故ではないか、かように疑われる節があるのであります。それの事情は注射器が学校に備えつけてあつた注射器を使つたというようなことが前のページに書いてあるのであります。近ごろBCGの注射は学校において頻繁に行われる機会が多いのであります。どうも私がこのいろいろな記載から見ますと、BCG混入ということを疑わなければならぬと思われるにもかかわらず、この記載の中においてはBCGをやつたかやらなかつたか、最近その学校において取扱つたか取扱わなかつたかという調査事項が何も記載してないのであります。この点に対しては考慮が拂われたのでありましようか、いかがでありましようか。もつともBCGの注射をいたしましたその注射器を使いましても、そのときに注射器の消毒は煮沸云々ということが書いてありますので、混入したとしても、その注射器を使用しても、いろいろなかなかのごとき障害を起すりくつはないと考えられますが、とかくこういう事故を起しましたあとで調査いたしました場合には、その当時消毒は完全であつたというような答弁を得ることが多いのでありまして、はたして沸騰云々ということが実際に行われておつたかということの立証性を私は多少疑うのであります。この点に対してはどういうふうな御見解を持つておられますかということであります。
 第三番目には、これは医学的の問題ではなく、被害者の治療云々ということが最後のページに書いてありますが、これも治療費その他についてはどういうようなお取扱いになつておりますか。もちろん國費をもつてこれを支弁せられているとは思いますが、現在どういうふうに取扱われておりますか。また将来障害を受けた人たちに対する慰問の方法はいかようにおやりになるお考えでありますか。ジフテリア事件におきましては、死亡というようなことがはつきりしておりますのと、もう一つはその理由がもうすでに判然としておりまして、責任の帰着点もはつきりしておりますので、賠償その他に対してはその措置がとられ得るのでありますが、この事件はその眞因がなおはつきりしておりません。從つて責任の帰着点もはつきりしておりません。そのためにいつまでも首相を探り出すことは不可能で、うやむやの状況にまで持つて行かれるような、あるいは非常に長期にわたるようなことが考えられるのであります。その場合においてはその責任の帰着点はいずれであり、その慰問の方法はいかような処置をおとりになるかということをお考えであるかどうか、あわせてお伺い申し上げたいのであります。その二点であります。
#59
○濱野政府委員 私からお答え申し上げます。宮城縣におきます百日咳の注射後におきまして、結核菌が感染した疑いで事件を起しましたことは、われわれとしてまことに残念に存じますが、ただいま御指摘になりました皮膚の腫脹したところから膿をとりまして、それを調べた菌が抗酸性菌であり、これと同時にまた残つたびんを持ち帰りまして、その他いろいろそういう資材を持ち帰りまして、ただいま予研の柳沢所員のもとにおいていろいろ実験をいたしております。同時にこれは相当時間がかかりますので、患者を中心にいたしまして、その患者の重症者三名をただちに仙台の抗酸性菌病研究所、熊谷教授のもとに送りました。あと続いてほかの患者も移送し、また現地の岡本病院にも運びまして診断の結果りつばな初期結核であることがわかりました。從つて抗酸性菌は初めの考えのごとく結核菌である。人型であることが臨床上においてはつきりといたして参つたのであります。同時に臨床上においてはつきりいたしましたので、ただちにストレプトマイシンを治療に使うことを開始いたしております。京都地方にたまたま押収されておりましたストレプトマイシンを進駐軍の了解のもとに、進駐軍とともにこれを現地に運びまして、ただいま申しました重症者は熊谷教授のもとに仙台に連れて行き、軽い者は現地において岡本病院に收容して治療いたしております。きわめて順調な経過をたどつておりますが、これはますますはつきり文書であることがわかつたわけであります。先に御指摘になりましたX線の電力不足は現地でポータブルでいたしました。今度その関係者を仙台へお連れいたしまして、仙台でレントゲンを当てましたが、同時に注射されました先生のスプーターを調べてみますと、ガフキー二号であります。しかし御本人は今まで無自覚性結核で何も御存じなかつた。同時にそれに参加いたしまして衛生の方を手傳つていた事務員並びに保健婦さんの胸に病巣のあつたのを発見いたしたのであります。注射いたしました先生からはガフキー二号という報告を受けております。現地に行きましては、この事件の起きると同時に熊谷教授そのほかここには結核の大家がおります、縣会の方々その他を集めまして、委員会を設けてこれについて原因の究明並びに治療にあたつておられます。私の方からも柳沢博士その他係官を派遣してこれに参加いたしまして、菌の培養その他をいたしておりますが、私たちの責任において予防の措置を講じておるのであります。どうして子供たちに感染したかという問題については、まだ実際において総合的な判断が今のところついていないのであります。兵庫縣でやはりこういう事件が起きました。チフスの予防注射をいたしましたときにその後に子供さんが同じく結核の初期症状を現わして同じ症状を呈したことがありますが、このときはやはり注射せられた女医さんがガフキー五号であつた。まだはつきりと申しかねますが、注射した順番に見ていきますと、女医さんの針をもつて注射された方から出ておる。助手をいたしました保健婦がやつた順からは菌が出ておりません。それがだんだんと針が急がしくなつて、交互になつて來て入り乱れのものが出ましたのと、並びにその女医さんのやつた患者さんの中に、やはり注射された後に変化のあつた方があつたという縣廳の調査報告に基きまして、女医さんの注射のときに原因があつたのではないか。こういう推定をしております。一方そのときに一般の関係官が考えましたことは、しきりに痰をとりとり注射をされておつた。だからそのスプーターが今言つた脱脂綿その他について、それで拭かれたのではないかという疑いを持つのであります。この点はつきりしたものがつかまえられませんでした。今度の場合においても痰を拭き拭きということはないのであります。それからツベルクリン皮内反應をいたしておりますと、初めからある程度まで陽性が出て、それがぽつと消えてこれがまた出る。こういうかつこうで液の中にもともと初めから入つておるものでなくて、何か器物についておつたという推定ははつきりするのであります。要するに二百七名の方が注射をされたのでありますが、その内で六十四名がツベルクリン皮内反應が陽性であり、そのうち一名は家族感染をせられたのです。あとの六十三名というものがこういうかつこうで反應が出ておりまして、全体の患者さんは七十六名であります。そのうち局所の腫脹が七十四名それから淋巴腺の肥大が二名。子供さんのレソトゲンのフイルムを取寄せて見ましたところ、確かに結核だと思うのですが、どういうところから入つて来たのか、これは問題だと思います。それから兵庫縣の衛生部長をしております玉木という人が群馬縣におりました時分に、やはりこういう事件があつたということを言つておられました。こんなような関係で今現地において調査会ができまして、熊谷先生が中心で縣会の人その他の人々も入つて調べておられます。また警察当局も今入つて調べております。そういう関係でまだこれというはつきりしたものは申し上げかねるのです。ただいま注射器の問題が出ましたが、佐々木氏は新しい注射器を二本持つて来て、おろして使つたというお話を最近しておられるように聞いております。あとで伺いましたところ、その注射器は学校にあつた膿盆で消毒している。これは相当の時間火にかけたのでありますからこれも心配はない。それでこちらの調査班が、それじや佐々木先生が見ておられた患者さんに結核患者があつたのかということで、佐々木先生の患者を調べてみましたが、報告書の通りで、その患者から注射器が汚染されたとも考えられません。そういう点でただいまのところいろいろ調査しておりますが、まだ断定を下すまでに至つておらないのであります。
 それから次の問題の費用ですが今申し上げましたように進駐軍の好意によりまして、ストレプトマイシンの注射をいたしまして、治療内容については極力現地宮城縣において努力いたしております。この費用の問題でございますが、これはただいま縣と私の方と協議中なのでありまして、京都の場合は予防接種法並びに傳染病予防法に関係いたしまして、先般御承知のように多額の補助費の形においてこれができたのでありますが、百日咳予防接種はまだ予防接種法の中に載つておりません。百日咳は届出での傳染病ではありませんが、ほんとうの傳染病の中に入つておりません。何とか國としてはお世話してあげたいというわけで、関係官が願を集めて縣からの陳情を聞いて考…死しております。しかし何とかしてこちらもできるだけ今申し上げたように、ストレプトマイシンその他をどんどん取寄せてもらうことを進駐軍に頼みまして、その治療万般に遺憾なきを期したいと考えております。費用の問題その他についても、もう少し法規その他により好意的に考えて御迷惑にならぬようにしたいと思つておる次第であります。
#60
○丸山委員 最後の責任は……。
#61
○濱野政府委員 責任は予防予防法にまだ載つておりませんので、檢定その他の問題も審議中でありまして、檢定がきまりますれば、これによつて予防接種法の中に入ります。また製造工程もきまつて参ります。現在は任意にする形になつております。もしつくりました、北里研究所において何か過失があれば、北里研究所は藥事法によつて先般の京都と同じように罪せられることになります。先般柳沢所員、その他の係官が行きまして、一應北里研究所の部屋全部を調査しておりますが、何ら間違いはなかつた由であります。なお注射は強制的でなく任意的と申しますか、半ば相対ずくでいたしますが、寒いときでありますから保健所を通じて、全部注射を行つた事案もあります。縣におきましては、いろいろ調査委員会で調査をし、その上で処分があるものと存じております。今のところそういう状態であります。
#62
○丸山委員 私の質問に対する御答弁で、人型の結核菌であつたということは判明しておる。この点の進行に対しては満足いたします。X線の檢査も行われておるということですが、混入して事故を起した原因が多分注射を取扱つた医者の結核、それに関連性を持つのであろうという見通しで、実際に入る過程がはつきりしませんでも、ほぼその点にあるのではないかというところまで進んでおることに対しては満足いたしますが、将来の事故を防ぐ必要上、厚生当局として注射に従事するところの医師あるいは保健婦、看護婦、その他に対してはどういう処置をおとりになつておるか、あらかじめ檢診でもなさつて、その方が実務に携わるという方法をおとりになるおぼしめしがありますか、なお費用の点についても、ストレプトマイシンは相当金額がかさむものであります。実際において今支拂つた支拂額はどういう方法でやつておるか、思考そのものに何らかの負担をかけておるのではないかということをただ心配しておるのであります。思考に対してどういう負担がかかつておるかということをもう少し明瞭にお示し願いたい。
#63
○濱野政府委員 お答え申し上げます。費用の点については縣と私の方と心配しておりまして、患者には負担をかけておりません。たいへんな金をかけて縣も恐縮いたしまして、できるだけの方法を講じております。現在ストレプトマイシンは非常に高いものでありますが、今度アメリカから入つて来るストレプトマイシンは一本五、六百円ぐらいでありますから、たいへん安く思います。そういうようにできるだけ縣に対して厚生省としてめんどうを見るように全力を盡してやつております。また縣も全力を盡して患者にはちつとも負担をかけておりません。栄養品その他はすみやかに運んでおります。患者の將來の問題でありますが、次々と注射によつてこういう事件が出たときの責任ですが、昨年は消毒のしかたが悪くて、二十数名化膿させた、その医者は刑法で処罰された例も栃木縣にありました。私たちとしては予防注射の徹底を期していただきたいのであります。特に一時間で何人注射ができるかということを一應医師会でおきめ願いまして、その数字から若干でもごむりがあつてはいけないと思いますので、人数を減らして、患者の人員を一時間にきめまして、その他注射の方法を全部省令でお願いしております。でありますからわれわれとしてはそれを遵奉して参れば間違いないと思つております。今度の事件を見て一番先に直観しましたことは、たいへんなことになつた。レントンゲンの写眞をとつて無自覚性結核の方も初めて氣がつかれた次第で、こんなような問題がありますれば、医師法による予防診断その他も必要であろうと思いますが、そのことについては私どもは道場村の事件もあり、このような事件については、注射するときにおいてマスクをもしてもらうより処置がないのではないかと考えます。ことに今仰せのように、同時にお医者さん全体としては注射に当るのでありますから、診断を当然医師の務めにおいてお互いにして行きたいと思います。それから注射されますときにはマスクをされますれば防げるのではないか、こういうふうに私たち直感いたしたのでありますが、今度の経験に基きまして、現地の調査委員会並びに近々、厚生省にできます調査委員会において、重ねてこれを考究いたしまして、予防衛生研究所の所員とも相談いたしまして、一番よい方法を講じて行きたいと考えております。
#64
○丸山委員 最後に注射に携わる人たちが結核を持つておる場合に、ただマスクをして従事させるというような御意見のように承りますが、これをもう少し徹底的に巌重な処置を講ずるように私は希望するのであります。あらかじめその都度その人をレントゲンないしその他の方法で檢査してから委嘱するということは困難かもしれませんが、定期的に檢査いたしまして、この人たちは比較的いい人であるというような人を登録するなり何らかの方法でやられることを希望いたします。これをもつて質問を打切ります。
#65
○堀川委員長 福田委員に申し上げますが、藥務局長がお見えになつておりますが、保留になつておるのをお聞きいたしますか。
#66
○福田(昌)委員 もしお許し願えますれば、そうさせていただきたいと思います。
 それでは重ねてお尋ねいたしますが藥事法が通過いたしましてから、今日までの状況をよく見ておりますると、相かわらず藥事法にきめられた医薬品に対するいろいろな取締りという言葉の裏をくぐつて、市販に多くの不良医藥品が流れておる。この現状に対しまして、藥務局長はいかなるお考えを持つておられるか、また取締りはどういうふうなことをなされるお考えであるかということをお伺いいたしたいと思います。きよう持つて來たのですが、ざつと集めてもこのくらいのものが集まる。ザルソグレラン、ザルソブロカノン、ムルチン、カルシウム、インテレニン、ビタミンB、葡萄糖というように、あらゆる方面の不良品が流れております。注射する場合に、大体目で混濁があるかどうか、不純物があるかどうかというようなことを檢査いたしました上で注射しましても、なお発熱したり、化膿したり、ひどい場合には蜂巣識炎を起したりすることが再三あるという現状であります。昨年藥事法におきまして藥事監視員というものが生れたにもかかわらず、しかも今日こういうような不良品がたくさん流れておるということにつきまして、当局の対策を伺いたいと思います。医療品というものは、またそういう衛生的な見地からはもちろんでありますが、なお今日のこの物價高の経済的な面から考えましても、非常に経済的に犠牲を拂つて、各患者や医者が医藥品を手に入れておりまするが、せつかく高い代金を拂つて買つたお藥が、そういう不良品であつては使えないということになりますので、経済的な方面から見ましても、非常に打撃が大きいと思うのであります。從つてこういう不良藥品は、経済的な面からいたしましても、どういうような回收方法をとつていただくか、厚生当局におかれては先般そういう不良品が出た場合には、厚生当局のお口添えにおいて、どんどん製造元に返却する、またとりかえてもらえるような便宜な処置をとつていただきたいと思います。それらのことについてお尋ねいたします。
#67
○慶松政府委員 仰せの不良薬品のことにつきましては、かねがね私どもはその撲滅につきまして、できるだけの努力をいたしておるのでございますが、なおかつ今日のいろいろ社会情勢から、その跡が断たないことは、まことに申訳なく存じておる次第であります。昨年七月藥事法が改正されまして、九月から施行されましてから藥事監視員の制度がはつきりいたしまして、これにつきましてかつても申し上げたと存じますが、昨年中に地方廳で約七百名、本省員で百数十名の藥事監視員が任命されまして、そうして昨年の暮れに一回、本年に入りましてからすでに一回、全國的な取締りを開始いたしております。なお先般國会におきましても御要望がございました通り、各地方々々別に不良藥品を撲滅いたしますための協力会のごとき組織を各地方廰の衛生部につくつていただきまして、そうして衛生部における関係官、あるいは各その地方の医師会、あるいは歯科医師会、あるいは藥剤師会、あるいは大学の教授等にこの委員になつていただきまして、そうしてこの不良藥の発見に対して協力していただき、またその地方におきまする製造工場に対しまして、注意を喚起すべく、すなわち民間側、あるいは地方廳側の強力な組織をつくつてもらうことにいたしましたところ、すでに四十都道府縣の中で三十九府縣におきましてはこの組織ができまして、この活動がぼつぼつ開始されておる次第でございます。また私どもといたしましては、すでに悪いのが発見されましたところに対しましては、その営業の停止を命じておりますところもございますし、また当然不良品につきましてはその廃棄処分をどしどしやつておる次第でございます。しかしながらなおかつ最初に申し上げましたように、今日の情勢においてその跡が断たないことは、なお私どもの努力が足らないところと、さらに私どもはより以上の努力をいたす所存でございます。なお厚生省におきましても不良藥品あるいはいろいろな器具等の取締りをいたす組織を厳粛にいたしますために、三月十日に監視課なる課をつくりまして、本格的な取締りに專心いたします人員を課長以下定めた次第でございます。事実上この國会の方々におかれましても、また一般の方方におかれましても、不良品の御発見がごさいましたならば、どうか府縣なりあるいは私どもの方に直接おつしやつていただきますれば、嚴重に処罰をいたしますとともに、その品物とよい品物との交換につきましては、責任をもつて御斡旋いたす所存でございますから、さよう御承知願いたいと思います。

#68
○福田(昌)委員 ただいまの御説明でよくわかりましたが、私はさらに具体的にこの藥事委員会なるものが生れましてから最近に至るまでの正確な実績と申しますか、そういうもののお示し願いたいと思います。不良藥品を出したところの製造業者に対して、はたしてどういう処罰をしたか、またそういう処罰をしたものは何件あつたかという具体的の実績を示していただきたい。いかに藥事委員会が不良藥品の取締りに働いたかということに対して、厚生委員会の全委員の認識を深めていただきたいと思うのでございます。
#69
○慶松政府委員 ただいま数字を持つておりませんので、いずれ印刷いたしまして書いたものでお示しすることにいたします。さよう御承知願います。
#70
○福田(昌)委員 どうかこういう不良品は一つでも早急に、迅速になくなるように、今後とも相かわらず藥事委員会の非常なる御活動をお願い申し上げまして、私の不良医藥品に対する質問を打ち切らしていただきたいと思います。
#71
○床次委員 保健婦の檢定試験に関する特例を今度限り認めていただきたいという意見が地方から出て参りましたので、当局にその御意見を聞きたいのであります。一月の省令の改正におきまして、保健婦試験が、都道府縣の知事の行う五箇月以上の講習を終了した者でなければ受けられないことになつたのであります。従つて各地方において、これより短かい期間の講習を受け、受驗をしようとしておつた者は、まことに狼狽をしたようでありました。この春に限りまして過去の経験その他をしんしやくされまして、今度の新しい規定に対しまして、若干の特例を認めることに関し何かお考えはなかろうか。今度の改正規則通り励行されましたならば、この春におきましては、相当受験する者が激減するのではないか、あるいはないのじやないかということも保健婦の関係者はおそれておるのであります。御当局の御意見を承りたい。何か便法を講じていただいたらいかがか、これは私の意見であります。
#72
○東(龍)政府委員 ただいまの御質問並びに御意見でございますが、結論的に申し上げますと、今の仰せのような特例を設けることは不可能と考えております。そのために何名かのまことに不幸な、氣の毒なお方のできることは、私も十分御同情はいたしますが、もともと今回の改正は、保健衛生の重要な第一線に働く保健婦の資質を向上させ、しかも從來の檢定試験制度が、この点において相当の欠点をすでに示しておる。つまり保健婦としての正しい働き方を十分に心得えない保健婦が相当数すでに世の中に出ておることにかんがみまして、この資質の向上を唯一の目的としたのであります。從つて二箇月の教育と申しますが、これももちろん長いほどいいことはわかつておりますが、しかしながら現在の日本の経済状態その他を考えまして、厚生省といたしましては必要最小限度の期間と見て五箇月といたしたのでございます。こまかくなりますが、保健婦として必要にして十分な最小限度の教育をいたしますのには、単科の授業にどうしても四百四十四時間必要になるわけでありまして、五箇月と申しますと大体二十週間になりますが、そのうちの十六週間を学科の方に充てます。そうすると一週間十分の時間をとりますと大体四百六十二時間とれるわけでありますが、そのうち四百四十四時間を学科の課程に充て、あとの十八時間を見学にまわすことになつております。残りの四週間は保健所の実際の仕事を実習いたします。ちようど医師、内科医師等に対するインターンのようなぐあにそこで実際の教育をしていただく。これで五箇月になるのであります。これでも決して十二分とは申せませんが、最小限度これくらいの教育をしなければいけないというのが厚生省の保健婦の担当事務当局の考えでございます。待つて五箇月を縮めることはできないと存じます。それじや実際問題として五箇月よけいの時間がいるのかと申しますと、実情はそうではないのだそうでありまして、現在の檢定試驗といえども、檢定試驗を受けただけでは保健婦の免状はただちにはいただけないので、三箇月間の実地の修練を経まして、初めて保健婦の免状をいただくのでありますから、結局は三箇月と五箇月とその差二箇月延びたことに相なると存じます。と同時に、保健婦の数が少いということもお説の通りでありまして、われわれとしては一方質の向上をはかりつつ数の充足をしなければならない。二つのやや矛盾した方向をとらなければならないのでありますが、この際御参考までに保健婦対策について当局の考えておりますことを一言つけ加えさしていただきますと、現在保健婦が何人くらい必要であろうか。この数は、大体都市におきましては人口五千人について一人、郡部においては人口三千人について一人というふうな計算を基礎にいたしますと、二万五千七百九十四名という保健婦が一應必要だという数字になつております。ところが現在保健婦として免許を得ております人の数は総数二万二千八百八名ございますが、そのうちで九千百九十四名は保健婦としての業務についておりません。從つて就業いたしておりますのは一万三千六百十四名であります。從つて必要数と現在との差は一万二千名以上に上つておるわけであります。これに対して将来の保健婦の充足見込数と申しますと、まず正規の養成所を修業して参る者が二十三年度の実数は千十三名でありまして、二十四年度の推定数が六百七十五名、二十五年度の推定数が五百六名、合せて全部で二千百九十四名であります。これはいわゆる高等女学校を出てから二年なり三年なりの養成所を出るという推定のものであります。それと、このたび改正規則によりまして、資格を得る見込みのものでありますが、この推定は一つの縣で一回に十五人平均受けるものといたしまして、昭和二十六年の八月まで四回の教育をするものとして、全部で、二千七百六十名、なおそのほかに未就業者が九千何百名今までもございますが、これらの人々の中から適当な条件さえ與えれば、待遇その他の問題もありますが、保健婦業務にたずさわろうという人が相当あるわけでありまして、そういう人の中から四千五百名ぐらいを獲得する、その上に今度は自然による消耗と申しますか、減耗して行きます者を千五百名と見積りまして、昭和二十六年の八月に総数二万一千五百六十八名の保健婦の就業を見るという数が一應出て参ります。そういたしましても、実際に必要数から言えばまだ四千人足らず不足はいたしておりますが、とにかくここまで行けば一應保健婦の数はある程度満足できるのではないかと考えるのであります。ただいま御質問にございましたし、またそういう御意見もございましたが、現在改正いたしました保健婦の五箇月教育を省略するような形のものを特例として認めろというお考えに対しましては、遺憾ながらそれはいたしかねるということをお答えいたしたいと存じます。
#73
○堀川委員長 堤さんこの次になさいますか。
#74
○堤委員 私の質問は後に譲ることにいたしますが、急ぎます希望だけをこの際申し上げておきたいと思います。
 國立病院の特別会計に関する法案が提出されるらしいというのでございますが、これに関しまして、共産党の方からも申し入れがあつたようでございますが、この席上において、委員長ははつきりと予算委員会との連合審議のもとに委員会としての対策をとるという御言葉をいただきたいということ、それからもう一つはこの委員会の低調ぶりであります。大した会でないというような御見解かもしれませんけれども、関係方面の方にもたくさん来ていただき、たくさんの職員を擁してのこの会議が、このように低調であるということ自体に、厚生問題が山積しておりながら事実具体的な手が延びないというところの実態がこの辺にあるのではないかと思います。私の方の党は毎回出席いたしておりますが、数を要する採決のときだけ出ればよいというような態度をとられては、厚生委員会の権威にかかわると思いますから、次の会合からはもう少しまじめな御出席方を委員長の手によつて方策をとられたいと思います。
 それから、もう一つは、戰争未亡人の問題に関しましての質疑應答がこの委員会で何回ぐらいもたれたかということ、これは速記録によつてわかると思いますので、私の参考のためにこの次の機会までにお調べを願つて、御返答を願いたいと思います。あとは次の機会にまわします。
#75
○堀川委員長 今申されました連合審議の件でありますが、あれは予算委員会に法案が出るのでありませんで、大藏委員会に出ると思いますので、大藏委員長にはただいま申し込んでおきました。よつて私の方から運営委員会にもさように通知いたしまして、連合審査をいたしたいと、かように考えております。決定いたしましたら、そのときには御通知いたすことにいたします。なおこの法案はまだ付託になつておりませんから、運営委員会に申し出るのも付託になつてからと思います。さよう御了承を願います。それから出席の方の件はさようお取次ぎいたすことにいたします。
 それでは本日はこの程度で散会いたします。次会は公報でお知らせいたします。
    午後三時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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