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1949/04/06 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第5号
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1949/04/06 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 厚生委員会 第5号

#1
第005回国会 厚生委員会 第5号
昭和二十四年四月六日(水曜日)
    午前十一時二十四分開議
 出席委員
   委員長 堀川 恭平君
   理事 大石 武一君 理事 岡西 明貞君
   理事 松永 佛骨君 理事 福田 昌子君
   理事 床次 徳二君 理事 田代 文久君
      青柳 一郎君    田中 重彌君
      中川 俊思君    畠山 鶴吉君
      丸山 直友君    岡  良一君
      堤 ツルヨ君    苅田アサノ君
      河野 金昇君
 出席政府委員
        厚生政務次官  亘  四郎君
        厚生事務官
        (社会局長)  木村忠二郎君
        厚 生 技 官
        (予防局長)  濱野規矩雄君
 委員外の出席者
        專  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
四月二日
 公衆浴場用燃料費補助に関する請願(松浦東介
 君紹介)(第九九号)
 妙高高原一帶を國立公園に指定の請願(塚田十
 一郎君紹介)(第一〇五号)
 看護婦会の営業継続等に関する請願(田口長治
 郎君紹介)(第一一〇号)
 保健婦檢定試驗に臨時特例設定の請願(吉田省
 三君紹介)(第一一一号)
 藏王山を國立公園に指定促進の請願(庄司一郎
 君紹介)(第二八号)
 片山病撲滅対策に関する請願(森戸辰男君紹
 介)(第一三七号)
 國立病院独立会計制反対の請願(船田享二君紹
 介)(第一四六号)
 帰還者更生に関する請願(岡良一君紹介)(第
 一八二号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員会設置に関する件
 厚生行政に関する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○堀川委員長 これより会議を開きます。
 まず本日の理事会で協議いたしました小委員会設置の件についてお諮りいたします。今回設置いたしまする小委員会の数は二つといたしまして、そのおのおのの名称は遺家族及び留守家族援護に関する小委員会、及び人口問題に関する小委員会とし、おのおのの小委員の数は十名とすることに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○堀川委員長 御異議なしと認めまして、さように決定いたします。
 なお小委員長及び小委員の指名は委員長において指名することにいたしまして御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○堀川委員長 それではこの次の委員会で指名することにいたします。
 次に前会に引続きまして、厚生行政について審議をいたしたいと存じます。岡良一君。
#5
○岡(良)委員 過般来新聞で拝見いたしております山形縣上の山温泉における幼い子供を中心とする性病の集團発生の眞相について、その原因、またその應急対策、またその結果、かつまたそれに関連いたしましてそうしたような事案が各所に起つておるかのようにも承知いたしておるのでありますが、全國的にこれらに対する予防の措置についていかなる措置をとられておるか。その点についてお聞きいたしたいと思います。
#6
○濱野政府委員 私からお答えいたします。山形縣の上の山町におきまして、昨年の十二月の初めころから本年の一月中旬の間におきまして、女の子の学童ないし学童以下の子供ですが、急性の淋病の患者が九名出ました。そのうち一名は目の方へ行きまして、膿漏眼を起しまして、医者を訪れましたことによつて多量の患者が出ましたので保健所においてただちに接触者調査、原因その他につきまして調べたのでありますが、上の山町の中におきましては共同浴場が七箇所ございまして、そのうちの一箇所の二日町という共同浴場の女湯において感染したと推定されたのであります。この二日町の共同浴場は一般町民が約千名から三千名くらい使用しておりますので、山形縣ではさらに蔓延されていることが考えられますので、徹底的の調査及び予防措置を講ずると同時に、私の方にも報告して参りました。性病予防法第十二條によりまして、いざというときには強制検査をして、健康診断の承認方まで連絡をとりまして、地方において大いに協力していますが、その中で一番問題でありますのは、小さな子供でありますので、小学校並びに新制中学校の女生徒約千四百名ばかりに対しまして尿の検査をいたし、混濁しております尿を調べたのであります。PTAその他とよく相談し、こういう問題はきわめてデリケートな問題がございますので、とりあえず各自の尿をとつて、この混濁を調べたところが、約二百九十八名ほど尿に混濁したものがありました。また就学前の子供で六百七十名ほどおふろに入つた者がわかりましたので、その子供さんをまた丁寧に調べましたところが、四名ほど淋病ということがわかつたのですが、同時に一般の婦人についても性病予防の必要の他につきまして注意をし、自発的受診を勧めて参りましたが、いろいろ調査して、そのふろに入つている約二千名内外の無垢の方々の中で感染された者が約九十六名ございました。ただちに町役場並びに金上の山の医師会等を動員いたしまして、治療の方も進んでおりますので、発見して間もなく約八十名ばかりがすぐ治療したという報告を重ねて受取りました。また参議院の方からも調査においでになりましたが、その調査の報告によりますと、浴場の湯か非常にぬるかつた、それから子供が冬寒いので、ゆすぎ場もなくて小さな子供が浴場にかなりの時間を入つている。お湯はきたないし、ごみが下水に流れきれないでたまつている。その上に坐つて遊んでいる。このような面白からざる事情を見付けました。それは衛生部長が早速参りまして、一日風呂に立つて見ておつたそうでありまして、その点はつきりいたしましたので、すのこ以下全部をかえさせまして、お湯が子供たちの前にたまらぬようにするとか、いろいろ方法を講じまして改良する。またおふろに入る人を少くしてほかのお湯にやるとか、またお湯の温度を上げて、淋菌を弱らせるとか、そういうような処置をとりました。問題はそこに入つて来る淋病を持つている職業婦人を調査することが一番であり、この調査をいろいろやりましたが、大概宿屋その他にいる人は内湯に入つており、そば屋その他の、流れて来た女性でそういうふうに入るのが若干つかまりました。これに対して強制治療をいたした次第でございます。現在のところ設備万端をかえまして、同時にお湯の量並びに温度を高めまして一應無事に解決がつきつつあります。
 なおこれに前後いたしまして鹿児島縣の日当山温泉という所で三十三名ほど、やはり無垢の子供が淋病にかかりました。これもただちにいろいろ調査いたしたのでありますが、保健所に患者が参りましたのですぐわかつてよく調べたそうですが、約三十三名ほどいる。この方は私にも解しかねるところがありますが、子供がおふろの中で何とか遊びとかいうことをやるらしい、それから次々とうつつて行つた傾向が多分にありました。なおまたそれと前後いたしまして、福岡縣の大牟田の三池工場の社宅におきまして、小さな子供が眼をやられたり、陰部を冒されたのが五、六名も出ました。これもやはり工場の中における御婦人の淋菌から出たようなことがはつきりいたしました。なお岐阜縣におきましても一、二こういう事件が起りましたので、特に花柳病を診察しているお医者さんたちが届出をして、同時にその患者に治療を徹底することを勧めますことが、先議会で御決定を願つた性病予防法の趣旨であります。この予防法を徹底的に実行してもらうことは医師会の協力にまつよりほかありませんので、医師会にただちに連絡をし、また重ねて医師会に警告を発し、お願いをいたしましたし、各府縣にもこの点特にきつく通牒をいたして、注意を喚起いたした次第であります。なお公衆衛生局長の方から、浴場に対しては浴場の規則も先議会に決定いたしましたので、そういう方面に対する注意も一層喚起いたしまして、こういうことが二度と起りませんように注意いたしたのであります。性病予防法をつくりますときにおきまして私たちが申し上げましたことは、甲府でこういうことが起きた。ないしは別府の温泉でこういうことが起きたというふうな例をあげまして、法の第十二條のところで御説明の資料にいたしたのでありますが、昨年から今年にかけまして、こういう事件が若干突発いたしましたことにおきまして、性病がより以上ふえたのではないか、ないしはこういう点についてみだらになつたのではないか、また藥で簡単に治療ができますので、菌がその薬に対しまして、だんだん抵抗力を持つて來て治りにくくなつたのではないか。このようなことも考えられますので、前に申し上げましたように、医師会その他に一層警告を発しまして、患者が来たならば必ず徹底的に治療してもらい、同時に共同浴場におきましては湯量を多くし、また温度を高くして、そういう問題の起りませんように特に注意を喚起した次第でございます。
#7
○岡(良)委員 性病の予防一般についてでございますが、最近法的措置等によつて、性病予防にいろいろ御努力されている点は多といたしますが、何と申しましても、性病の予防は青少年男女の大きな思想的対策が強力に用意されねばならないと思うのであります。ところが昨年石川縣におきましては、その予防のための政府の交付金が一万円、縣で一万円、合せて二万円でもつて千枚のポスターをわずかに張りめぐらしたにすぎない。それ以上の予防対策に対する思想的な啓蒙宣傳をなし得ないという状況にあつたのでありますが、こういうことでは、いかに法的措置によつて資材や患者の早期発見や徹底治療を今後せられましても、思想的な方面における啓蒙宣傳がこのように弱体では、とうてい所期の成果を得ることができないのではないかということを私は恐れておるのであります。かかる点につきまして当局の御見解を承りたい。
#8
○濱野政府委員 ただいま私たちとして大変ありがたいお言葉をちようだいいたしましたが、性病の予防は実際思想の宣傳にまつよりほかなく、それはきわめて大きなものがあるのであります。アメリカにおきましても、戰前は大変な数でありましたが、性病を恥かしがつてはいかぬということを、時の衛生長官のペロンという方が極力実行して、ただいまは非常に性病が減つております。そういうような関係で、保健所においても治療し、また保健所が主体になつて活躍するというように、保健所を性病予防の思想普及、治療をするというように大幅な改革を行い、また性病予防法によつて政府が予算も出せるようになつたので、大藏省とも相談いたしましたが、國家財政上なかなか金が出ませんので、ただいま御指摘のような金を、法の施行とともにようやくちようだいいたした次第であります。今年の予算の上においても相当勢力いたしたのですが、思うに任せぬものが多々あるのであります。しかし私たちも性病予防の教育は、今仰せの通りの思想宣傳であると思いますが、ただこれがちよつと流れるとわいせつ罪になりますので、その線をはつきりつくつて、各縣でそれをお願いしたい、こういうので第一に性教育読本をつくりまして、これはわれわれ自身がつくつて、この線以上はわいせつ罪、この線以下はよかろうということを示して各別懸に相当数配りました。またこれは特に読賣新聞の協力、あるいは性病予防協会その他各大学がこれに参加して、性教育展覧会というものを開きましたか、特に防犯関係の課長か参観されまして、この程度ならばこれから開かせる、こういう点で相当深刻なものを開きまして、そういうものがあまりに興行的にならずに、そうかといつて実効のありますものの線を一應引いたわけであります。並びに映画で「肉体と悪魔」というものをつくらせて、れを全國に相当持つて行つて見せたのであります。これは常設館にもかけて指導いたしました。そういう本、展覧会、映画この三つの大きなもので、範囲を法務関係と取りきめて、それを全國に流して、思想の普及徹底に努力していただくべく努力して参りましたが、お示しの通り現存まだきわめて微力でまことに申訳ないのであります。どうか御鞭撻、御指導いただきまして、一層これが充実をいたしまして、一日も早く性病を駆逐したい、こう念願しております。
#9
○岡(良)委員 私ども從來とも官廰の衛生方面に関する思想の啓蒙、宣傳等の実態を見ておりますと、單なる形式的な一片の行事に流れる傾向が少からず見受けられるのであります。從つて性病が特に日本の青年男女の重大な関心を招いておることは当然なことでありますが、何を対象としてこれを訴えるべきかという対象をはつきりつかみとること、そうしてその対象がみずからの力で、それらの疾病からみずからを解放しようというふうに、自主的に立ち上るような指導方法というものを、徹底せしめたいと念願するものであります。そういう観点から現在地域的には青少年男女の組織が、全國に各府縣連合会をもつてそれぞれ文化部なり啓蒙の組織を持つております。労働組合、農民組合等においても青年部が結成されておりますが、そういう青年部と縣の衛生部が密接な連絡をとつて、かつまたそういう組織の創意工夫というものを十分に尊重しつつ、また國なりあるいは地方の方針をこれにマッチせしめて、みずからの手でみずからが性病を駆逐して行こう、性病から自分たちを解放して行こうという精神が、まことに望ましいと思うのでありまして、かかる点において今後とも十二分に御努力をお願いしたいと思います。
 なお予防についてお尋ねいたしたいのでありますが、結核の予防対策であります。結核はまた最近ふえつつあるように聞き及んでおりますが、これに対しては本年度においても病棟の新設の予算等を削られたと聞いておるのであります。私ども石川縣においては、過去十数年來日本一の結核縣というありがたくない汚名をちようだいしておりまして、昭和十六年には万対死亡率が三十二名を数えておりました。ところが厚生省の御配慮によつて、結核予防の特別指定縣ということになりまして、私も当時縣会におりまして特別委員会にも参加し、また医師としてこの予防のための前線にも指揮をしておつたのでありますが、最近私ども石川縣は全國二十二位の下位になつております。これについてはあるいは療養所の拡張その他いろいろな生活環境の改善等においても、政府や地方当局の御配慮にあずかつたのでありますが、私どもの体験から感じて、何と申しましても最近において若年者の結核死亡が非常に大きく減退をしておるのは、國民体力法の厳正実施によつて、青少年男女に対してBCGを数箇年連続的に予防接種をしたのが最も効果的であることは、私どもの体験から得ておる一つの信念であります。このBCGの接種について本年度はいかなる御計画を持つておられるか、意見を承りたいと思います。
#10
○濱野政府委員 ただいまのお話の前段の衛生思想の普及の対象でございますが、先ほどお話しになりました一万円を厚生省から出したのは、ちようど私たちその対象をそういうふうに置いて、ポスターをはることは実は希望したのではなかつたのであります。そういう青年團の指導者並びに業者の指導者に性病を知つてもらわなければならぬので、それを全部集めて、それによく講習してもらつて、それがまた次の人を指導してくれ、こういう意味で私たちの方からその費用の一端に一万円を出して、それをはつきりして実はお願いしたのであります。今お話のありましたポスターに使われたようでありますが、ただいまわれわれがいたしておりますのは、仰せの通り指導者をそれに置きまして、その関係の指導者をまず呼出して指導して、その人たちがあつせんして、次の関係者の指導をお願いしたい。こういう意味でその集合費はみんなが持つが、会場費その他教材に少いが一万円を出す。こういうことで先般予算をとつてお送りしたわけであります。今後も御指摘の通り、極力対象者を青少年並びにそういつたことを業としている方に対して、一層努力して行きたいと存じます。
 次に結核の問題でございますが、結核の全体としましては、数年來にない減り方を傳染病と同じくいたして参りました。昨年の統計は速報によりますと、一昨年よりは若干減つておるのであります。しかし何せ世界で一番の結核の國が日本でございます。結核をよく治療し予防すれば減ることにつきましては、御指摘の通り日本一であつた石川縣が二十何番まで下つたことによつてよくわかります。特にその中でBCGの効果が石川縣のごときはきわめてよくわかりますし、また若年者の死亡率が減つて、欧米のごとく高年者の方にだんだん死亡率が移つて來ました。こういう死亡が減つた中で、若年者が非常に減つておることは、われわれうれしい統計と思つておるのであります。BCGについては、この六月から予防接種法の中に入りまして、予防接種法においてこれが全部実施せられることになる。從つてその検定その他についてただいま鋭意努力をしております。六月一日までには全部実施したい。從つて予防接種法に入ることによつて、二分の一という補助になつております。なお製造万端はきわめて危險性がありますし、また熟練を要しますので、結核予防協会にこれを初めから出しております。そうしてこれまでの予防接種は凍結しません。要するにつくつてから数日の間に使わなければならぬ予防接種であつたのであります。今度はこれを氷結して寒冷に置いてそれを乾燥させて長く生かして使う。それで効果を一層発揮させるように検定その他を実施して、六月一日からやりたい。しかし六月一日までの間に若干空白ができますので特に毀賑地区に対して、今の俘遊液でぜひBGGを少しでもすき間をつくりたくないというので、現在特にこれは貧乏の方だけに補助するということで、二百数十万円の予算を六月までの間の注射の液で加算しておりますが、検定方法その他において関係当局ともまだ意見の一致しないところが若干ございまして、ちようど今はBGGの製造をちよつと待つているわけでございます。しかし必ず六月までには全部法の施行にさしつかえないように努力をして行きたい、こう考えております。
#11
○岡(良)委員 BCGの接種につきましては、これか自然感染でマントー陽性轉化になつたものか、BGGの接種によつて陽性轉化になつたものかという判別について、いろいろ技術的な悩みがあるようでありますが、最近金沢の医科大学の結核研究所において自然感染の場合における陽性轉化と、BCG接種による陽性轉化を厳密に区別し得るような注射液が発見されたのであります。その点に着眼せられまして、今後のBCG接種について御留意を願いたいと思います。これは本月の結核病学会に発表になりまして、実験成績等につきましてもきわめて的確なるものということになつておるのでありますから御配慮願いたい。
 なおさらに私提唱したいのでありますが、最近成人の日というのが一月十五日を期して行われておるが、これは成人の日ということにただなつているだけで、青年の諸君が村や町で集まつて多少の行事をやつておるようであります。御存じのようにかつて戰争時代には、徴兵検査というものが結核ないし性病に対する防波堤として非常に大きな役割を演じておつたのであります。こういう観点からいたしましてもこの成人の日に対しまして、青年が結核や性病から解放された健康なからだをもつてお國の再建に邁進をして行くという氣持をもつて、その成人の日に満二十歳になつたところの青年男女に対して、結核に対する精密検診あるいは性病に対する血清学的、細菌学的な、検診等を國あるいは地方公共團体が卒先して実施していただきまして、そうして健康の証明というふうなものでもやつていただく。そうして性病と結核から解放された健康なからだをもつてお國の再建に再出発する。新しい人生に再出発する。そういうふうに國あるいは地方公共團体との協力の上において大きな思いやりのある措置をとつていただきたいと思うものでありますが、その点について予防局長の御意見を伺つておきたいと思います。
#12
○濱野政府委員 お示しの点まことにわれわれ普段念願しておる点でありまして、昔は体力法でしたかございまして、これによつていろいろな点が非常に有効にされておりましたが、戰後これが切れております。ただいま公衆衛生局の三木局長の方でこれに対する再検討をして、近いうちによく調べてそういうことについての法律その他をつくりたい、今のお話のようなことをして行きたい、こういう考えで公衆衛生局の方で立案を急いでおるように聞いております。一層これに対しましては努力して行きたいと考えております。
#13
○岡(良)委員 人口問題につきまして優生保護法の改正に対する私の考え方と、民生事業に対しての質問がありますが、当該局長がお見えになりませんので保留いたしまして私の質問は打切ります。
#14
○堀川委員長 予防局長にちよつと、岡委員の性病予防の質問に関連したことをお聞きいたしますが、今「肉体と悪魔」の映画を宣傳しておるということを聞いたのです。実はある地方の自治体から、私は見たことはないのですが「静かなる決闘」とかいう性病予防の映画があるそうですが、これは非常にいいと思うが厚生省として何か全國的に普及鑑賞さす意思はないかということを言つて来ておりますが……。
#15
○濱野政府委員 これは「静かなる決闘」と申しまして、「堕胎医」という題名で、日劇の舞台で上演をしておりましたものをもじりまして大映がつくりました。黒沢明が監督をしておりまして、これには性病の方の大家の宮田重雄氏も技術的指導をしておりまして、内容におきましては私たちも相談にあずかりましてこの映画ができました。実によく黴毒を現わし、青少年が見て非常によい映画であることはこの試写を見て実に感服いたしたのであります。これほど黴毒をわかりやすく、あまり暗くなく現わした映画はなかつたのであります。そういう意味におきまして厚生次官、大臣その他にもすぐ見ていただきまして、もし社の方で希望すれば推薦してもよい、こういうことまで申し出たのでありますが、厚生省推薦というとかた苦しい映画になつてしまうというので、初めは推薦を希望して來ておつたのでありますが、私たちもへたに首を突込んでもいけないと思つて逃げたのでありますが、こちらからも推薦もする、援助もしたいということを申したのであります。ところが聞いてみますと、大映映画は館が第一週はどこ、第二週はどこ、第三週はどこというので、あすこは自分で館を持つておりませんので、ずんずん流して行かないと、映画社は成り立たないのであります。東京あたりでも第一番館であまり客をとつてしまうと、二番館から不平が出るというかつこうで、他の映画社とは多少違う組織にありますので、普及の程度が若干おそいように思うのであります。これはひとつ私の方からも大映の方に話をいたしまして別途考えさせるように努力いたします。お説のようにたいへんよい映画であります。
#16
○畠山委員 ただいま児童の入浴から花柳病というお話がありました。いつも温泉場というものが出ますが、現在の浴槽はどこでもそういう傾向が多いようでありますが、殊に温泉場あたりではところによりますと、上り湯のないところ、つまり洗い水のガランの設備がないところがたくさんある。これはおふろの中で手ぬぐいを入れてからだを洗つたり何かするのでお湯がすぐよこれてしまう。早くいえばからだのきたない黴菌や何かをお湯の中で洗い落す、これが一番大きな原因なのであります。まずこれを任意事項として根本からその立場の業者に改善させる。それからまずお湯の中に入りましても、おけなどが五人入つても一つか二つしかふろの中に入つていない。そうするとめんどうくさいから湯に入つて手ぬぐいでからだをごしごしやる、すぐお湯はよごれてしまう。まずおけなども人数によりまして相当の設備をして、これをよく洗つて一日交替に日光にかわかして翌日使うようにしなければ、この衛生問題は非常に不結果になる。それからお湯を毎日とりかえない家かある。二日目、三日目にお湯をとりかえる。これなども非常に傳染病その他には大影響がある。これは必ず毎日とりかえさせる。そういうぐあいに何かの機会にこれを宣傳しておいたならば、今いろいろの点についてお話がありましたが、ただ一方に表からばかり衛生方面を普及しましても、実際問題を普及して行かないと効かない。今まではこういう点に実際氣づいていない。まず業者とすればお湯に入つたら洗うおけ、上り湯のお湯、それからからだを清める水。それからおけは毎日洗つてほす。それから手ぬぐいを使つて浴槽の中できたないからだを洗わないようにする。こういうようなことは実際問題として私は必要だと思います。余分のことですが、実際から見たことを申し上げて御参考に供したいと思います。
#17
○堀川委員長 答弁はようございますか。
#18
○畠山委員 そういう設備の点を伺えばけつこうです。
#19
○濱野政府委員 浴場法というものができまして、この前の議会でそういうようないろいろお話があつたように思いますが、三木局長の方でいたしております。
#20
○畠山委員 それではひとつお傳え願いたいと思うのは、あまりやかましいことでなく、必要な設備をするということに重点を置いていただきたいと思うのです。これは私もやつておりまして、自分が取締りを受ける方ですが、実際に感じることです。ここにおいでの方もお湯に行つておけがなかつたり、上り湯がなかつたりして、ずいぶん衛生的に悪いというお感じがあると思います。
#21
○堀川委員長 畠山委員のそのお話を、ひとつ公衆衛生局長にお傳え願いたいと思います。
#22
○濱野政府委員 よく申しておきます。
#23
○堀川委員長 それでは堤委員お願いいたします。
#24
○堤委員 先だつて皆さん方からお話の出た戰争未亡人の問題でございますが、今委員長の御努力によりまして、これがために小委員会が結成されますことを非常にうれしく存じます。ぜひ皆様方の強力な御協力をお願いいたしたいと思います。もう未亡人というものはぎりぎり一ぱいのところまで來ておりまして、今日と言わず明日と言わず生活苦に追われまして、ものを言うことを知らないところの未亡人ではございますけれども、これが全國的に非常な叫びをあげつつあるということは皆様御存じの通りでございます。それでここの事務局の方にお願いいたしましてお調べを願つたところでは、第一國会で山崎道子さん、武田キヨ子さんから未亡人について、生活保護法を受けるまで放置することは遺憾だという御意見が出、さらに未亡人のために授産所の設置をせよという意見が武田さんから出ておる。第二國会、第三國会では問題にされていないようでございます。第四國会に未亡人の子供の育英機関を設置せよという御意見が出たようでありますが、今日まで放つておいて、今この委員会でやかましく言つておるのはすでに遅いのでございます。子供は一日食わせずに置いておけない状況でございます。さらに学校へお友だちが行きますのに、お前は本が買えない、ノートが買えないから今日から一週間休みなさいというようなことを言うことは許されないのでありまして、生きものでございます。でございますから私は何といたしましても、今からでは遅うございますけれども、この委員会の小委員会を通して、今会期のうちにひとつ未亡人と、遺児の救済の具体的な方法を実現してもらいたいと思います。その中で最も切実なものは、未亡人に生業資金、さらに子供に育英資金というもの、これをこの委員会から大藏省の方に直接申し込んで、別な予算をとつて即刻與えてもらいたいということであります。お金がなくて、予算をすつたもんだいたしておりますけれども、何をさておいてもこれが先でございまして、これを今日まで捨てておいて、そうしていつまでたつても生活保護法の適用も受けられない。なお子供が五年十年後に成人しますまで生活保護法を受けさせて、何らその能力を養成してやれない、というようなままに放つておかないで、この一年間に生活保護法で使うところのものが百億ということになつておりますが、この百億をもつと生きた使い方をしてもらいたいというのであります。百億を投じましたとしても、來年もまた百億でございます、さらにまた百億でございまして、これを五年なり十年なり続けておりましたならば多額の金になるのでございます。それよりも生活保護法を受けなくてもよいような態勢をつくつてやるということが先だろうと思うのであります。子供があつて働けないところの未亡人に職をあつせんして與える。そして子供を預かるところをつくつてやつて、なおかつ働かない未亡人や自主性を持たないところの遺児は、これはいかなる時代におきましても人世の敗北者として捨ててよいと思うのであります。けれども何ら國家的な手を施さずして、働くに職のない、住むに家のないところのこれらの人々が、悪に落ちて行くのを非難するばかりで、何ら救いの手が伸ばされないということは非常に残念なことだと思うのであります。賣春婦のパーセンテージにどのくらい未亡人が入つているかということは、私まだ残念ながら統計をとつておりませんが、しかし変な因習をつくつてしまいましたので、男の方は二号、三号、四号というものをお置きになりますが、三号があるのを承知の上で四号になつておる。その四号の給料だけでは食つて行けないので、かけもちでもう一人旦那を探さないとしかたがないという世相でございまして、橋の上から子供をかかえて水に飛び込むよりは、子供をせめて学校にやつて行くだけのあなたに働く能がないならばしかたがないですね、という御返答をした未亡人があるのであります。子供だけならまだよいのでありますが、七十、八十の老母をかかえた未亡人、そういうものが今日社会悪の中心になりつつあることも考えて、ぜひこの厚生委員会でもつてこれを更生させてもらいたい。私はこの小委員会で皆様方に御研究願い、努力してもなおかつ及ばない場合には、本会議の緊急質問でもさしていただいて、外におります未亡人に呼びかけて、もつと結束してあの人たちを働かせて見たいと思つておるのであります。今までははなはだ不活発な戰争未亡人に対する御意識であつたように思います。しかしこれも予算の関係上いたし方がないことでございますが、議会に出ていらつしやる男の方々の中にも、相当この未亡人の母子家庭に対する御関心があり、政党政派を越えて努力すべきであるという御意見の方々かございますので、ひとつ小委員会を中心にいたしまして、私は母子家庭援護議員連盟というようなものを――せめて私たち婦人代議士でも中心になつて発起いたしましてつくる。そしてこれが未亡人たちの啓蒙運動に当つて、一ぺんでいけなかつたら二へん。二へんでいけなかつたら三ぺんというように波状的な攻撃を政府に対して加える。そんな方法をこの会がとるべきだと私は思うのあります。それでお答えによりますと「いつのお答えでも、いろいろなことを考えているが予算がないというお返事でございますが、今日目先に見えておりますこの未亡人の家庭に対する援護は積極的にどの辺まで実現してもらえるか。はつきりとした、可能な限界において――しかし戰争犠牲者の方をあまりかばつちやいけないというようなことから消極的な態度を厚生省並びにこの委員会あたりで持つということは、実にけしからぬことだと思うのであります。この間苅田委員でしたかの御質問に対しても、葬式に公人として加わつてはいけないというような通達があつたような御返事でございましたけれども、これなども、別にそうでないという慰めのような声明でもはつきり厚生省の方から出してもらうべきではないかと思つております。子供がけんかいたしましても、あげくのはてに、お前のお父さんは戰争で死んだんじやないか、戰犯ではないかといつて子供が口問答をするということを言つて泣かれる未亡人が、地方に行つてもよくあるような次第でございまして、決してこれはそうではないというところの態度を、もう一度はつきり示していただきたいということをつけ加えて、これをお願いしたいのであります。さしづめ戰争未亡人に具体的な救済の手をさしのべてもらえる可能牲がどれくらいあるかということを、局長さんから御説明願いたいと思います。
#25
○木村(忠)政府委員 ただいまの堤議員の御質問にお答えいたします。
 生活保護法がいまだにその趣旨が十分徹底しないでおるということにつきましてのお話がおもになるかと考えるわけでありますが、最低の生活は維持できるようにするというのが生活保護法の趣旨でありますから、この趣旨が徹底して、保護を受くべくして受け得ないという者ができることのないようにいたしますれば、未亡人の問題も十分解決できるのではなかろうかと思うのであります。もちろん働くことのできる者に対しましては、まず働くべき場所を與えて、その働きによる收入を得させますことは、当然なすべきことであることは申すまでもないのでありまして、ただいまお話しの通りであります。われわれといたしましては、生活保護法を適用するに際しまして、働く力のある者、働く余裕のある者に対しましては、まず働く場所を持たせねばならぬという見地から、公共職業安定所と密接な連絡を保つて、その方面に民生委員としては必ずごあつせんをいたします。なおその家庭の状況等からいたしまして、世の職場に出て働くことのできない人には、授産所を設けまして、授産所から家庭への内職のあつせんをするというような方法によりまして、できるだけ働いていただくということにいたしますが、なおそれでも收入が足りないという部面、あるいはその働く場所を與えられないという部面につきましては、生活保護法で保護をいたして行くということにしております。なお生活保護法におきましても、生業資金の給與あるいは貸付という方法がございまして、これによつて生業資金を給付し、あるいは貸し付けますれば、それによつて立直り得る、あるいはある程度の勤労ができるといつたような人に対しましては、その実情に應じてこれをいたすようにしております。なおもう少し規模の大きい事業として成立つようなものにつきましては、生業資金の貸付の制度がまた別途設けられておりまして、これらのいろいろな方法をあわせ考えまして、できるだけみずからの力で生活して行くようにいたさなければならないというふうに指導いたして参つております。
 生活保護法の現在の適用の状況を大体申し上げますと、昨年の暮から今年の春にかけての調査がまだ十分に集計できておりませんので、その前に一昨年の暮から昨年の春にかけて調査いたしました数字によりますれば、生活保護法によつて保護を受けている世帶が六十四万ばかりございます。そのうちで、男子でなく女子の世帶主の家庭が四十二万四千世帯ということに相なつております。大体六五%ないし七〇%というものが女子世帶になつておりまして、その大部分は未亡人であると考えられるのであります。なおそのうちで、子供や両親をかかえておりまして、ほかに働き手がいないという世帶が約十八万四千世帯ございます。この数字は本年の調査を見ても大体似たような比率が出ております。やはり現存においても生活保護法によつて保護しているものは大部分未亡人の世帯であると申してもさしつかえないのではなかろうかと思つております。從いまして、未亡人の保護対策といたしまして、われわれとしてなし得る限度と申しますれば、生活保護法による最低生活基準をどうしたらいいかということでございます。これにつきましては、われわれとしてはできるだけ実情に合い、しかも財政の面を見て、許す範囲において高いものを考えたいと考えております。
 この生活保護法が施行になつてから、すでに昨年の秋までに九回の改訂をしております。ことに昨年においては三回の改訂をいたしておりますが、本年もすでに近く改訂をしなければならぬのではないかと考えておるのであります。その改訂をするたびにできるだけ合理的のものにいたしたい、つまり各家庭の実情に合つたものにいたしたいと考えて参つておるのであります。御承知の通り昨年の七月までは五人世帯で千五百円が基準になつておりますが、昨年の八月一日にこれを改訂いたしまして、大体五人世帯で四千百円に切り替えたのであります。なお昨年の十一月以來さらに大きな改訂をいたしまして、各世帶の実情、つまり標準世帯によつて五人世帶なら幾らという漠然とした基準でなしに、世帯の構成人員のいかん、あるいはそれを構成している人の年齢、性別その他によりまして、各世帶の実情に合つたような基準による。これは実施の面においては非常にめんどうなのでありますが、それでも実情に合うようにいたしたいと考えてさようにいたした次第でございます。しかしながら現在定まつているこの基準においてもなお大部分が飲食費である。つまり生活の費用の大部分、八五%ばかりが飲食費であるという非常に高いものになつておりますが、これはできるだけ今後の基準の際に改めたいと考えております。
 なお特に未亡人に関連のあることといたしましては、先般も御説明申し上げたのでありましてこれはわれわれだけできめることができないものでありますが、未亡人として勤労している人と勤労しない人との間に、実際に目に見えない支出面における差ができて参る。むろん目に見える支出画における差は現在でも支給いたしておりますが、目に見えない支出面における差ができてくるのであります。これは何も未亡人だけに限りませんが、勤労した人と勤労しない人との間の最低生活費の違いが当然出て來なければならぬのではないかと考えまして、その資料を目下集めておりますが、これについて適正なる資料をもつて関係方面と折衝いたしまして、できるだけ最近の機会に基準の改定の際にはその方面も考慮いたしたいと考えておるのであります。特に戰争犠牲者に対してつれない措置をとるということは、われわれとして全然考えておらぬ。むしろ氣持の上においては戰争犠牲者に対しましては、十分にあたたかい氣持を持つて処置して行かなければならぬと考えておるのでありまするが、少くとも形式の上におきましてはこれはできないのでございまして、御承知の通りに政令七百七十五号というのがございまして、この範囲内におきまして保護をいたしております関係からいたしまして、すべて平等にしなければならぬ。しかもこの平等なるものは必要な最低限のものを確保するということにいたさなければならぬということになつておりますから、この最低基準というものをできるだけ適正なものにして行くことが、われわれといたしましてこれらに対処いたします最も重要なことではなかろうか、こう考えまして逐時その面におきまして努力いたして参つておるような次第でございます。なおその点十分な資料をいまだ集め得ないために、ほんとうに完全なものになつていないことはまことに遺憾でございますが、今後はできるだけ努力いたしまして、これを適正なものにいたして参りたい、かように考えておりますから、皆さん方におきましても、どうかこの点につきまして十分御協力くださいまして、適正なる最低基準ができまするように御援助願いたいと存する次第でございます。
#26
○堤委員 今の御返事でございますと、生活保護法の適用を受けておる者以外の費用は、大体において望み薄でございますね。でございますから、何とかこれをもう一つ破つて、これ以外の額を確保するようにできないものでしようか。なぜならば、ただいまおつしやいましたところの六十四万世帯のうち、四十二万四千というものが母子家庭ということでございますが、これと紙一重のすれすれの家庭でございます。これがどれだけあるかということを御調査になつたことがあるかどうかということが問題なのでございます。幸いにして生活保護法の適用を受けておりますところの母子家庭は息をすることができますけれども、これにかかつていないところのすれすれのもの、これは数が相半ばするのではなかろうか。この紙一重のすれすれの、生活保護法にかかり得ていないという家庭、これを見捨てておいてもらうことが私は非常に遺憾なのでございます。ひとつ小委員会の中で、今後新たにこのすれすれのところをもう一應統計でもおとりになつて、特別な手が施せるような策をとつていただきたいという考えを持つております。
 さらに母子家庭と税金の問題でございます。大の男がおりましたならば、それは一週間や十日間家を明けて金のくめんをどこかでいたして來るということもございましようが、子供をかかえた母子家庭は、どうしても税金のくめんができない。それであるのに一人前の百姓をしているからとか、商賣をやつているからというような名目で、相当な税金に悩まされておるのであります。この母子家庭に対するところの税金は――子供をかかえた奥さんが主人の戦死後子供を育てておるという家庭に対しては、私は税を全廃されるのがあたりまえだと思うのでございます。これが通らなければ、せめて負担の半分くらいでも減してやつてもらえないものだろうか。これは税金に対する問題でございます。
 次に國民健康保險法の問題なのでございますが、よく私たち未亡人なんかと座談会を持ちましても、皆申しますのには、なぜ入つておるかというと、かんじんかなめの主人のいない家では私が病氣になつたときにかなわぬから入つておる。ところが入つていても、もう主人である自分が入院したらびた一文どこからも入らないということがわかつていても、これに金をとられる。せめて子供のときには幾らかの入院費だとか、治療費というものは、自分が健康なときには払えるが、本人が病氣になつたときにはただで見てもらいたい、全額免除してもらいたいというような希望が非常に多いのでございまして、これも税金とあわせて、ぜひ私はこの機会に國民健康保險法の一部を改正していただいて、但書でもけつこうでございますから、未亡人世帶のために何とかしてやつてもらえないかという考えをもつておるのでございますが、これに対しては、全然今まで何らお考えがございませんでしようか。
#27
○木村(忠)政府委員 ただいまボーダー・ライン・ケースのお話がございましたが、これはまことにごもつともでございまして、われわれの方といたしましては、授産等につきましては特にボーダー・ラインの者につきまして十分考慮しなければならぬと考えております。なお医療保護の面につきましては、ボーダー・ラインのある程度の者は医療保護を受けておるのではないかと考えております。むろんこれは一般の生活保護を受けていなくても医療の保護を受ける、あるいは授産の保護を受けるということはあるのでありまして、大体ただいまお話のありましたボーダー・ラインに相当する者がこの中に入るのだろうとわれわれは考えております。なおこのボーダー・ラインの問題につきましては、今後一般の社会事業として相当なことを考えて行かなければならぬではないか。つまり最低生活までは國家が責任を持つてやる。しかしその上のボーダー・ラインにつきましては、社会事業として相当その面で見て行く。むろんこの最低線をどこで引くかということが先ほど申しましたように問題でございまして、お互いこの点につきましては、相当檢討して行かなければならぬと思つております。ボーダー・ラインの問題につきましては、やはりお説の通りに十分考慮しなければならぬというふうにわれわれは考えております。
 それから税金の問題でございますが、もちろん扶助を受けておりまする限度の者につきましては、当然税はかからないように相なつております。扶助者につきましてば税は絶対にかからないようにいたしてありますが、それ以上の、やはりボーダー・ライン以上のものにはかかつて來るのではないかと思つております。この点につきましては母子家庭のみならず、傷痍者につきましても相当考慮してもらいたい、かように考えまして、関係方面とはいろいろ折衝をいたしておりますが、なかなか免税、減税の問題はむずかしいのでございまして、ただいまのところ何ともなつておらないということは、非常にわれわれといたしまして力の至らないことを残念に思う次第であります。
 それから國民健康保險の問題でございますが、どうしても自分で出せないといつたような実情にありますもの、これにつきましては、先ほど申しましたように、生活保護の線でもつて行き得る面がある程度あり得るのではないか。ただ今までのところ、生活保護法における医療保護につきましては、的確な基準が立つておりません。從いまして非常に高い程度まで出しておるところがありますし、また非常にやかましく言いまして、厳密にしておるところがあるようであります。これらにつきましては、実際の実情に應じまして適切なる基準を早急に立てたい、かように考えまして、目下鋭意研究しております。できるだけ早い機会にこの結論を得たい、かように考えております。
#28
○堤委員 くれぐも申し上げておきますが、これは家で申しましたならば、建てかけて鉄筋だけでほつたらかしておいても、雨が降つたつて何ともなりませんけれども、未亡人や遺児は生きておるのでございますから、目下研究中というお言葉をどうか緊急に御審議くださいまして、生きものであるという観念を持つていただきたいのであります。いつも本省のやることは――どの省にしても、何だかんだ。映画のことについても、文部省推薦映画というものにはろくなものがない。厚生省のやつているのはいつもそんなものでありまして、健康保險をつくつてくれたのはいいけれども、医者はどうしてあれで食つて行げるのか。診断した金は、三月ぐらいあとでなければもらえないではないかというような声を聞くのであります。これが積り積つて、とどのつまりまで來たこの未亡人の問題は、如実にこの世相を物語つておると思うのでありまして、当然終戰直後にこうした対策を立てられて、今ごろすでに、生活保護法の適用を受けるというものは働く能力がない者だけに適用されてあたりまえではないかと思うくらいまで行つていいのであります。でございますから、私は議員の宿舎などはあとになつてもいいと思うくらいでございます。さらにいろいろなお仕事もございましようが、しかしあとまわしにしてもよいという問題はこれ以外に幾らもございます。一番緊急を要するものがこの戰争未亡人の問題でございます。私はこの遺児たちがすなおに育つてくれることを念願するものでございますけれども、思想的に非常に悪化していることは事実でございます。未亡人をこれだけ苦しめておいて、子供が成人いたしましたときにどんな人生観を持つかということは、お互い自分の身につきまして皆様おわかりのことだろうと思いますので、どうかこの小委員会は活発なる御活動を続けられて、未亡人が明るい希望を持つて生き耐え得るように、ひとつ大きな泉となつていただきたいということを御希望申し上げておきたいと思います。
 次にもう一つ性病対策の問題でございますが、これは岡先生が私が申し上げようと思つていたことを全部おつしやつてくださいましたので、もうここでは避けますが、ぜひ一年に一回か二回の、性病並びに結核を持つていないかというところの健康診断を、全國民にやらしてほしい。これは小さい子供は必要ないと思いますけれども、実に性病患者の数の多いのに驚くのでございます。パンパン病院も私視察いたしましたけれども、もうあそこにひつかかつてくる者は一番うといパンパンガールです。いなかから出たての、きようはやみの女狩りがあるということを知らない女がひつかかつて、そしてあの病院の中に收容されておる。はしこいのは全部来ておりません。しかもこれが世間にたくさんの性病を振りまいております。十七歳の学生が性病を持つているというところの事実を、私は幾らも知つております。高等学校の上学年になつたら、賣春婦のいるちまたに出入りしても、それはあたりまえだというような世の中でございます。でございますから待合だとか、あの紅燈のちまたに類するところの町の中の性病の蔓延は、私は非常に恐ろしいものがあると思つております。たとえば京都の町一つにいたしましても、平安病院の中に今おりますのは七十人ばかりでございます。これはいなかから出たてのぼつとした、ほんとうに一月か二月の初期の者でございまして、ろうたけた者は全部こんなものにはひつかからないのです。しかも猛烈な性病を持つていて、これが性病を蔓延させているというような事実でございますので、こういうような点をひとつお役人様方は頭を働かしていただきまして、昔の徴兵検査に相当するような、女の方は満十八歳、男の方は満十六歳くらいまで下げて健康診断をしていただかなければならないのではないか、これは非常に嘆かわしいことではございますけれども、青年層の方々と座談会をいたしましても、彼らは告白するのでございます。性病にかかつて親に言つたらしかられる、何とかして病院に行かないことにはひどくなつてしまうというときには、友達がアルバイトをして、その性病の治療資金をかせいでおる。それでもおつつかないでほつたらかしておる、学校へも出ないというような学生も相当に多いのでありまして、これは青年の日であろうと何であろうと、年に三回くらいの健康診断を受け、しかも受けたという証拠のカードをみなに持たせるような方策を厚生省がとつてあたりまえだと思いますので、ぜひひとつ実現していたたきたいということをお願い申し上げておきます。
 それからもう一つは結核病床の件でございますが、一昨年、昨年あたりから各府縣から希望して参りますところの結核病床新設につきまして、御許可になりましたところの、たとえば百なら百のベットを申請して來ましたときに、どのくらいお許しになつたか、たとえば百に対して予算の関係上二十とか三十とかいうような大体の統計がおありになるだろうと思いますが、それはどのくらいのものでありましようか。ちよつと参考のためにお聞かせ願いたいと思います。
#29
○堀川委員長 予防局長は今参議院に参りましたが、この次に答弁を保留しておくことにいたします。
#30
○堤委員 次は岡山厚生館の問題でございます。この参考書類としていただきました岡田厚生館の問題を初めからしまいまで読ましていただきますと、実に身ぶるいのする厚生館でございます。私たちが見る通りのものでございます。何だかお茶わんの中までもどろくさいようなものが彷彿といたしております。私は大体において各府縣にありますところのこうした施設というものが、直接の責任者たるべき人たちのあまりにも怠慢であるということを物語つておる事実をたくさん拜見するのであります。今度の岡田厚生館の問題にいたしましても、畳一畳敷に一・三人とこれには書いてございますけれども、しかし新聞なんかの眞相らしいと思われるものには、畳一畳敷に三人か四人、しかもみなかいせんを持ち、しらみを持つて毛布にくるまつて寝る。夜は逃亡するといけないからはだかで寝させるというような、実にこの世の地獄のようなさまでございますが、後ほどとられました御処置については一應ここに書いてあるのでございますが、これもやはり未亡人と一緒に生き物でございまして、四月現在の今日ではどういうふうな状態にあるだろうか、これだけの社会問題を投げかけたところの岡田厚生館の問題が以後いかなる経過をたどつておるか、ここ二十日間ぐらいの経過を非常に知りたいと思いますが、これについての説明を簡単にお願いいたします。
#31
○木村(忠)政府委員 岡田厚生館の問題につきましては、これが公の施設でありますることと、公の施設でおるにもかかわらず非常に設備が悪かつたという点、これらにつきまして、われわれといたしましては非常に遺憾に存じておる次第でございます。また非常に恐縮いたしておる次第でございます。これはお手元に差上げました書類にもあります通り、定員以上に人を收容せざるを得ないという状況になりました結果、実際に入り得べき人以上の人を收容したという点が最も問題の点であろうと思います。新聞紙上には相当はげしく書いてあるのでありますが、実際に実情を調査いたした結果によりますれば、新聞紙に出ているほどのことはなかつたのであります。お手元に配付いたしましたところが眞相でございまして、新聞紙上に取上げられたほどひどくはなかつたのであります。しかしながらわれわれといたしましては、少くとも社会事業として運営いたしておりますものがあの状態であつたということは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。もちろん收容人員に比して設備が非常に狭隘だという点につきましては、昨年の春ごろからその話を大体承知しておりまして、急速にこれが拡張しなければならぬというふうに考えておりまして、昨年の九月には拡張の経費を決定いたして縣に通達したのであります。ところが縣の議会の都合等もあつたのでございましようけれども、これも非常に遺憾に存ずるのでありますが、十二月になりまして、ようやく懸議会の議決を経まして、二月になつてこれが実施せられたという状況であつたのであります。先ほども仰せられます通り、生きた人間を扱うにもかかわらず、非常に敏速を欠いている、そういう状況でありまして、まことに遺憾に存じておる次第であります。なおその後の状況でございますが、その後は、館長は御承知の通りただいま收容せられておりますので、これに対しまして縣の主事を館長代理として派遣いたしまして、なお縣廰から係官を特に派遣いたしまして、現在これが運営に当らしております。なお收容者に対しましては、その收容者の出身その他引取先等を調査いたしまして、引取先のあります者は、できる限り引取らせるようにいたしております。また建物につきましても、ただいま申し上げましたように、近く拡張されたものが竣功の見込みでございます。なおそのほかに新たに縣といたしましては、別途二百万円の予算を計上いたしまして、衛生施設その他の改善に努めております。これも近くできることであろうと思います。縣には急いでやるように指示いたしております。それから從來の考え方を一変いたしまして、完全なる養護施設として立直つて行くというふうにいたしまして、現在では出入は自由であります。從いまして、逃亡が非常にふえまして、近所が非常に迷惑をこうむつておるというような非難がむしろ出るくらいでございます。また一時完全に一掃されました浮浪者が岡山の市内に相当出歩いておるというような状況に相なつておりまするが、犯罪等を犯しました者につきましては、それぞれその方面でもつて処置するようにいたしまして、ここは完全なる養護施設として今後運営して行くようにいたしておるような次第でございます。
#32
○堤委員 落伍者ならば落伍者としての処置がまたあると思うのでございます。でございますから、強制的に、地獄のようなひどいところに、まるで棒を持つて立つた鬼が監視しておるような今までのやり方に対しては、十分御反省を願いたいというのでございます。たとえば厚生館や、養老院を見学いたしましても、いわゆる孤児院というものを見学いたしましても、さらに、パンパンガールの病院を視察いたしましても、私たちは実につくづくと実情を知らなければいけないと痛感するのであります。たとえばあなた方はなぜこんなひどい蒲團を着せておくのかというような詰問を館長にいたしましても、そのようにおつしやいますが、夜、外部と連絡をとつて自分ではいで綿だけにしてしまつて、そうしてぼろぼろになつた蒲団の木綿の皮であるけれども、これが四百円になるというので、外部から來る人と連絡をとつて賣つてしまう、寒いのになぜガラスを入れておりませんかというと、やはり收容者自身がガラスをはいでしまうから、いくら入れても切りがないという御答弁を承つたのでございますが、それならそれらしいところの処置がとられると私は思うのでございます。なぜならば、私はもつとこの人たちを単なる施設の中に放り込むということでなしに、いかにすれば人間として生きてくれるであろうかということが、まず先決問題だと思います。この厚生舘の問題にいたしましても、たとえば出るにしても入るにしても自由だというようにすると、また街の中を荒らして困るということになるかもしれませんが、これはこれから打つ手があるのでございますから、もう一度考えを根本的に公営の施設に対してやり直す必要かあるのじやないかという考えを持つております。たとえばもつと学識経験者を網羅いたしまして、まず精神的な面からの救済、それから経済的な面からの救済、これを二つにわけまして、まず人間としてこの人たちをどういうふうにして指導して行けばまともに生きてくれるであろうかということの努力をしなかつたならば、いかにこれに財を注ぎ込み、地方の財政に悩むところの縣廳がこれに金を入れましても、流れる川に捨てるようなものだと私は思うのでございます。投じたからには非常に大切な金でございますから、これが生きなければならないと思います。でございますから、金を投じていながらこういう社会問題を起して、なおかつ收容しながら反感を起させるというような経路をたどらしている今日までのこうした社会施設というものに対して、私は根本的に省としての愛が足りないのではないかという考えを持つておるのでございます。でございますからこの厚生委員会におきましても相当な方々がたくさんおいでなのでございますから、こうした社会施設に対するところの再検討を、根本的になさしれてはいかがという考えを持つておるのでございますが、いかがでございましようか。
#33
○木村(忠)政府委員 ただいまの御意見まことにごもつともでございます。こういう施設につきまして、大体大事なものはこの施設の経営に当る人であると考えております。現在までの状況におきまして、特に終戰以来非常に急速にかかる施設を拡張いたしました関係上、この施設を運営いたしておりまする方々の中には、非常にりつぱな方々もたくさんおられますけれども、なかなかそういうりつぱな人が現在得られないために、いろいろと問題を起すことも若干あるようでございます。非常に古くからやつておりまする施設は、大体におきましてその施設を運営しております人は、きわめて平凡ではございますけれども、何と言いますか、長らくやつております面から申しましても、精神的にも技術的にも非常にすぐれておられる人が多いのであります。特に新興のものは非常な熱意はありますけれども、あるいは愛が足りない、あるいは技術的にも肯けないといつた面も若干あるようであります。これは経験以來急速に拡張いたしました関係から、十分な人が得られなかつたという点はまことに遺憾に存じております。現在われわれといたしましては、社会事業施設に從事いたしております人々の再訓練のために鋭意努力をいたしておるような次第でございます。これもまた先ほどからおつしやつておられる通りに、人を扱つている者がそう悠長なことではだめだとまたおしかりを受けるかもしれませんが、人は一朝一夕になかなか養成できないのであります。現在いろいろな方法を講じまして、これの施設に当る人を養成いたしますように努力いたしております。なお適当の人がございましたならば、できるだけその方面に行つて働いていただきますようにお願いもいたしたい。かように考えておるような次第であります。御承知の通りに特にこの施設の中では浮浪癖を持ちました者の扱いが一番むずかしいのであります。しかもむずかしい上に興味もなかなか持ちにくいといつたようなことでありまして、なかなかよい人が得られないような状況でございます。今後できるだけそういう面におきまして留意いたしまして、よい人をこの方面に迎えていただくようにいたしまして、遺憾のないようにいたしたいと思います。
 なおこの問題に限らず、現在各方面におきまして、社会施設の中でとかく問題を起しておるものがございますので、今日におきましては施設を拡張し新しくつくるということよりも、むしろ現在あります施設の内容を整備するというのが急務じやなかろうか、こういうふうに考えております。この点につきまして施設の内容の監査を行いまた指導も行い、その点もよく地方にも先般厳重に通知をいたしたような次第であります。できるだけこういう問題の起らないように努力いたしたい、かように考えます。
#34
○堤委員 もちろん私たち委員自体が、この問題につきましてはもう少し実体を知る必要があると思います。で、全國に散らばつておりますところの、こうした社会施設はひとつ手わけをしてでもよろしゆうございますから、この國会でも終りましたならば、貴重な時間ではございましようけれども、委員諸氏は時間をおさきになつて、皆で視察をし、その実体を知つてこれに御協力されるようなふうに委員長としてどうか御努力されたいということをお願い申し上げます。
#35
○堀川委員長 堤委員のお話は非常にもつともな点が多々あると存じます。また事重大でありますので、さようにとりはかろうことを何とか考慮いたしたいと考えます。この点で御了承願いたいと思います。
 なお本日は午後一時から本会議がありますので、質疑はあと一人か二人残つておりますが、これは次会に譲ります。次会は九日の午前十時からにいたしまして、皆さんの質疑の終りに、厚生省の機構問題や予算問題もあわせて質疑いたしたい、かように考えます。
 それでは本日はこの程度で散会いたします。
    午後零時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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