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1947/10/16 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第39号
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1947/10/16 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第39号

#1
第001回国会 本会議 第39号
昭和二十二年十月十六日(木曜日)
   午後一時十六分開議
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 議事日程 第三十八号
  昭和二十二年十月十六日
   午後一時開議
 第一 財團法人理化学研究所に関する措置に関する法律案(内閣提出)(委員長報告)
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#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。日程第一、財團法人理化学研究所に関する措置に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。商業委員長一松政二君。
   〔一松政二君登壇、拍手〕
#4
○一松政二君 只今議題に上程されましたる財團法人理化学研究所に関する措置に関する法律案につきましては、九月十五日内閣から本院に先に提出せられたものでありまして、十六日に商業委員会に付託された法案であります。商業委員会におきましては、本審査を開くこと五回、実地に理化学研究所を視察すること一回、及び小委員会を一回開きまして、熱心に審査に当つたのであります。今その審査の経過並びに結果について御報告申上げることにいたします。
 先ず順序といたしまして、この法案に対する政府からの提案の理由についての説明の要旨をここに申し上げて、御参考に供する次第であります。財團法人理化学研究所は、大正六年に設立せられましてから、爾來理化学の研究並びに発達に対しまして、多大の貢献をなして参つたのでありますが、戦時補償特別措置法の施行による戦争保險金の打切り、その所有いたしまする有價証券の終戦による値下り等の事由に基ずきまして、経理上の損失が少くない現状でありまして、この損失の適正な処理と事業の再建を図ることは、是非とも必要と考えるのであります。
 この法律の要旨は、財團法人理化学研究所の事業を承継いたしますところの株式会社を新たに設立いたしまして、事業内容の継続に必要な資産及び負債をこれに移し、財團法人理化学研究所はこれを解散せしめる等の措置を講ずることにあるのであります。産業の平和的且つ民主的な再建は、今日の我が國におきまして最も基礎的な政策の一つでありますが、財團法人理化学研究所が再建整備せられました暁におきましては、我が國産業の回復並びに科学技術の振興に資するところは極めて大なるものがあると期待されるのであります。
 以上が大体政府の提案の理由の説明でありまして、法案はただ財團法人理化学研究所を株式会社に変更するというところに……從來ならばこれを或いは政令でやつておるのでありまするけれども、特にそういう行き方を取らずに、特に單行法を設けまして、そうして議会の審議に俟つたというのがこの法案の行き方であるのであります。財團法人の理化学研究所を今後これを株式会社にするという場合におきまして、この経営の形態を特に株式会社に求められたというところに、この商業委員会としては、先ず何故にそれをそういう株式会社にしたか、或いは從來の財團法人の形態ではいけないのか、或いは又綜合的な研究機関として、國立として、予算も十分にやつて、本当の意味の綜合的な研究所にしたらいいのではないか、あらゆる角度からこれを審議いたしたのでありまして、特に研究所の所長の仁科博士を煩わしまして、本心から一体株式会社がいいのか、或いは外の形態ではいげないのかという点につきまして、委員の各位から度々その方向を変えて質問をいたしたのであります。それに対しまするところの政府の答弁、或いは仁科博士の答弁によりますると、國立にすると、予算上、財政上の見地から、いろいろの拘束があつて、今日の財政面その他の関係から、國の援助には却つて限度があるのであつて、研究の使命を果すと同時に、必要な経費は自分で賄うという体制にするのが現在では適当である。又理化学研究所は民間の綜合研究機関として民営の特色を持つておるから、この從覆來の長所、特色を活かすためには株式会社組織が適当であるという答弁があつたのであります。又株式会社にすると、とかく営利主義の弊に陷つて、従來理化学研究所が行なつていた純学術的研究をおろそかにする虞れがないかとの質問に対しまして、理化学研究所の設立及び今日に歩いて來たその今までの行き方が、これからやつて行こうというのと大体同じ趣旨の下にやつておるのでありまして、從卒十分学術的な研究もできておつたのでありまして、公共性を失うということはない。又利益を度外視した研究を行うことに何らの差支えがないのである。こういう答弁もあつたのであります。又新会社は純然たる民間会社で、今後官廳とは無関係となるのかどうかという質問に対しましては、法律上は関係はないが、新会社の使命に鑑み、新会社が自立の経営のできるまでは過渡的措置として適当な國庫補助を行ないたい。特に二十二年度においては三百万円の補助の予算を考えておるというようなことでありまして、監督官廳としては十分新会社に対して関係を持つことになるのであります。又或る委員から、更に亦現物出費となる理研の資産の評價は安過ぎはせぬかという質問に対しまして、政府の答弁は、新会社の基礎を健全にするため、企業再建整備法に基ずく資産評價基準に則り、固定資産は帳簿價格により、流動資産は時價を原則としてこれを評價しておるのだという答弁なのであります。
 ここに一言申上げて置きたいことは、特に社会党の中平常太郎委員から、この経営状態についてはこれを國営にするのが至当ではないか、特に大臣からその点についての答弁を要求するという御発言がありまして、特に商工大臣の出席を求めてその点を質問いたしたのであります。その大臣の答弁を御紹介申上げたいと存ずる次第であります。商工大臣の曰くには、理化学研究所のごときものを國立にすべきではないか、片山内閣としては当然このようなことを國立にすべきではないかという國立國営論の御意見は、片山内閣に対する聊か贔屓の引倒しのような感がありまして、少し面映いのであります。現内閣といたしましては、何もかも國営にするということはございません。六月十一日の緊急経済対策、更に又片山内閣実現前の四党政策協定におきましても、基礎産業、重要産業にしてその所期の目的を達することができないものに対しては、國家が直接責任を取れる形態を取るということを言いましたので、こういう研究所のようなものを言つたのではございませんので、それは飽くまでも基礎産業、而も従來の経営形態では所期の目的を達することができないものというような政策を採つた次第であります。尚又この研究所のごときものは研究を主として、営利を從として十分に成立つて行くというものを、一つの株式会社の形態でやつて行くということも、我が國としては一つの新らしい試みである。我々はこの決意の下にこれをやつた次第であります。從つてこの研究を主、営利を從とすることは、定款にもその趣旨をはつきりさして行きたいと考えますし、商工大臣としても、監督官廳として右の方針の下に監督指導をやつて行く覚悟であるというような答弁であつたのであります。
 尚いろいろ質疑應答があつたのでありますけれども、その詳細は速記録によつて御了承をお願いすることにいたしまして、ここに申上げて置きたいことは、定款にも研究が主で、あるということははつきり謳う建前になつておりますけれども、我々商業委員会としては、これは理想的な一つの研究所に持つて行かなければならん。將來の運営についても何か特別の機関を必要とするのではないかといういろいろな議論が出まして、とどのつまり、小委員会を設けてそれを研究することにいたしました結果、小委員会におきましては、なるべく当事者の責任において自由に任した方がよろしい。この際我々としては、この法案を議決する以前にその趣旨を盛り込んで置きたい。從いまして附帶決議を附することにした方がよろしいという見解に到着いたしまして、そうして附帶決議をこれに加えるということに意見が一致したのであります。今その附帶決議を申上げます。
  本措置は我が國現下の事態において止むを得ないと認めるが、本研究所に課せられた重要使命を達成のためには、その運営、人事及び財政等に関して周到な考慮を拂うことが必要である。
  よつて次の如き諸点に関し適切な処置を講ずることを強く要望する。一、本社の事業は科学研究に第一義的重要性を置き、研究部門の活動及び成果を本社の主たる目的とすべきである。
 二、研究部門の自主独立性を認め、その組織、人事及び運営については、研究部門幹部にこれを一任して、会社役員は濫りに容喙すべきではない。
 三、事業収益をもつて重要な研究費を賄い得ない場合には、政府は必要な研究補助金の支出は勿論金融上の便宜をも図るべきである。
 以上の附帶決議を附して、そうして今後の運営の指針にさせたいというのが、委員全部の希望であつたのであります。
 かくて質問應答を終わりまして、そうして討議に移つたのであります。この討議に移りましてから、民主党の油井委員から、今回の処置は民間の創意工夫を完全に活かし、而も政府はこれに対して協力するという新らしい行き方を行おうとするものであり、この方法が満足の成果を挙げ得るならば、今後他の事業にも採用されて日本の再建に貢献するものと信じ、その措置に心から賛意を表する旨の発言があつたのであります。外に発言もありませんので、直ちに採決に入りまして、本案に附帶決議を附して、そうして全員一致可決すべき旨の決定に到達いたしたのであります。これを以ちまして委員長の報告を終る次第であります。(拍手)
#5
○議長(松平恒雄君) 別に発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#6
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(松平恒雄君) 報告をいたさせます。
   〔青木参時朗読〕
今十六日委員長から左の報告書を提出した。
 國家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏の任免等に関する法律案可決報告書
     ―――――・―――――
#8
○議長(松平恒雄君) この際議事日程に追加して、國家公務員法案及び國家公務員法の規程が適応せられるまでの官吏の任免等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。決算委員長下條康麿君。
   〔下條康麿君登壇、拍手〕
#10
○下條康麿君 只今議題に上りました國家公務員法案外一件に対する委員会における審議の状況につきまして御報告申上げたいと存じます。この両案は行政機関を所管する決算委員会に付託せられたのでありまするが、官廳職員組合等の関係もありますので、労働委員会と連合委員会を開きまして、又衆議院の決算委員会との間に合同審査会を開きまして、公聽会に代る十人の証人の出頭を求めまして各方面の意見を聽いたのであります。九月二十五日に政府から提案趣旨の説明を聽取いたしました。今朝に至るまで十三回の委員会を開きました。愼重審議を重ねたのであります。この間政府からは片山総理大臣、齋藤國務大臣その他政府委員が多数出席されまして、答弁説明があつたのであります。
 先ず國家公務員法の内容について申上げたいと思います。官吏制度の全般に亘りまして根本的改正を要することは、すでに久しき以前から問題となつておつたところでありますが、新憲法の実施に伴いまして所要の改正がいよいよ切実を加えることになつたのであります。要するにこの法案は國家公務員に対して適用すべき根本の基準を定めたものであります。即ち民主主義的な方法で公務員を任命し、これを指導し、これによつて公務の能率的運営を保障せんとするものであります。この法案は先ず両家公務員を一般職と特別職に分ちまして、その一般職にこの法律の規定を適用せんとするものであります。案の中心的事項は人事委員会の設置、職階制の確立であります。人事委員会と申しまするのは、主として人事行政を統合調整するものでありまして、内閣総理大臣の所轄の下に設けられまして、三人の國務大臣級の人事委員を以て構成し、その人選は両議院の同意を要することになつているのであります。職階制というのは、すべての公務員を縦に職務の種類によりまして先ず区分し、更に横に職務の複雑さと責任の程度に應じまして等級を細分するものでありまして、隣家公務員をそれぞれ分類いたしまして、職務の種類と等級の同じな官職には資格と給與を同じくしようとするの、が目的であります。今日まで我が國に行われましたところの任官手続や、或いは身分的上下によつて区別したものとは、全然異なつた仕組に相成つておるのであります。その外試驗、任免、給與、分限等、凡そ國家公務員に関しまするすべての人事規定を一纏めにしておるのであります。國家公務員法の適用を受けまする人員は、本年五月現在で二百二十二万九千余人に達します。そうしてこの法律施行のために要しまする経費は、法律実施と共に設けられまする臨時人事委員会事務局の経費が年額三百五十万円近いのであります。
 もう一つの法律案、國家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏の任免等に関する法律案、これは官吏の身分、給與、服務に関する事項につきましては、今申した國家公務員法の規定が適用せられるまでは從前の例によるということを規定してあるのであります。以上が法案の大体の説明であります。
 これから法案の審議の経過につきまして御報告申上げます。國家公務員法案は何分官吏制度全般に亘る根本的改正でありまして、極めて複雑多岐に亘つておりまするが、特に問題となりますのは、人事委員会に関する点であります。これにつきまして人事委員は三人、これは少いではないか、若し可否同数の場合におきましては、委員長の専断となりまして弊害があるから、人数を殖やしてはどうかというような意見が出たのでありまするが、政府の答弁は、人事委員会というのは執行機関である、その組織は多くない方がいい。又責任の自覚の点から言いましても小人数の方がいいというような答弁があつたのであります。更に國家公務員制度は、アメリカの人事行政に関する先例に倣いまして、いわゆるスポイル・システムを一掃して、能率本位のメリツト・システムを採用することになつておるが、これは我が國の行政の現段階におきましては、少し行過ぎではないかというような質問があつたのであります。これに対しまして政府の答弁は、成る程アメリカでいわゆる職階制度を採用された動機は、政党の猟官運動を防止せんとするものであつたことは分つておるけれども、我が國ではかようなわけではない。一國の行政能力を最大限に発揮するために、積極的な措置としてこの法案を立案したものであるというような答弁でありました。
 次に、この法案中には、何となく職員が政党や政治運動に関係することを毛嫌いするような條項があるが、それは國民の憲法上の権利を抑圧するものではないかという質問に対しましては、政府から、政治と行政とを正しく分離したい、又職員は全体の奉仕者としてその本務に専念從事すべきものであるという答弁があつたのであります。
 右申達べました質疑應答の外に、いろいろの角度から、政府側と委員側とに質疑應が交換されましたが、これは速記録によつて御承知を願いたいと存じます。これらの質疑應答は殆んど予備審査中に終りまして、又更に進んで予備審査中に修正点につきましても協議を遂げまして、逐次衆議院側とも打合せをいたしたのであります。從いましてお手許に配付してございますいわゆる衆議院の修正案の中には、参議院の委員会の意見が多分に盛り込まれております。又衆議院独自の修正意見、もありまするが、それに対しましては委員会として賛意を表しておる次第であります。
 修正の主な点を申上げますと、人事院を人事委員会に改めまして、いわゆる人事官を人事委員に改めるのであります。人事委員の任期は六年を四年にいたしまして、最大限十八年まで任期の継続されるのを十二年に改めたのであります。次に、出先官廳たる地方の事務所は、國会の承認の下にこれを設置ができる。事務総局の名称を事務局と改める。事務総長を事務局長に改めるのであります。職階制は法律でこれを決めることにいたしまして、この計画もこの法律実施前に國会の承認を要することにいたしておるのであります。又職員に対する國民の彈劾の権利を認めたのであります。政治活動に関して多少緩和いたしておるのであります。職員の営利事業等に関係することや、職務に密接なる関係ある企業に、退官後天降りすることにつきましては、単に所轄廳の協議だけでなく、所轄廳の申出によりまして、人事委員会の承認が要ることに改めたのであります。人事委員の任命につきましては、この両議院の同意を要することにいたしたのであります。これらの修正点につきましては、両議院の間に意見の一致があつたのであります。
 質疑應答を終りまして討論に入りましたところ、賛否両論がありまして、反対は人事委員の人数が少い、これは相当増員する必要があるではないかという点から、又後で申しまするが、第五條第二項に関する点につきまして、その点に反対であるために本案に反対の意思を表明せられたのであります。その外、数名賛成の御意見がありましたが、或いは職員の再教育、官紀振粛、國民彈劾については成るべく簡素の手続でやつて貰いたい。或いは人事委員会の運営の曉において、必要と認めた場合においては、人事諮問委員会を作つて貰いたい等の希望意見を附せられまして、賛意を表せられたのであります。
 かくて採決に入りまして、衆議院から送付せられましたこの両案は、衆議院の修正通り多数を以て可決せられたのであります。この案につきまして探決のあと、私が委員長して述べたのでありまするが、この國家公務員法案は、官吏制度の改正に関する全般的且つ画期的のものでありまして、官廳職員組合側並びに各方面から注視の的となつておつたものであります。而もその内容は極めて複雑でありましたにも拘わらず、委員会におきましては非常な努力を以て殆んど逐條的に意見の開陳をいたしまして、この最後の修正意見までに到達したのであります。併しながら実は修正案の程度では或いは完全とは申されないというような批評があるかも知れません。併しながらわが國現下の事情からいたしまして、この程度の修正に止めることにつきましては、よろしく各位の御了承を願いたいと思うのでります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)例えば第五條第二項に、人事委員の任命につき両議院の同意を要する場合におきまして、衆議院と参議院の意見が一致しなかつた場合には、これは衆議院を基礎として議院内閣制を探りております関係上、参議院の意見は最も尊重すべきものと考えるのであります。この立場からいたしますれば、衆議院の決定通りとはせず、これは國会法第三十九條第二項の例に倣いまして、その任命を適当ならずと決定すべきものと考えられるのでありまするが、この修正も法案の実施を見た上で、他日を期することになつたのであります。又職階制は能率本位で、誠に優れた制度ではありまするが、職員をその職域に釘附けにし、人事交流の点に遺憾がないか、又関係職員の視野、見識を狭くする虞れはないか、更にこの職階制の確立によりまして、新らしき官僚制度ができるのではないかというような批評もあるかと思います。(「同感」と呼ぶ者あり)、又人事委員の権限は極めて強大でありまして、その乱に流るることなきやを懸念するものでありますが、從いまして今後この新公務員制度につきまして各般の計画を立案せらるる場合、又その実施を進められる場合におきまして、十分細心の注意を拂い、我が國情に適應するようにしなければならんのでありまして、(「遅いぞ遅いぞ」と呼ぶ者あり)この点は執行に当る政府に対して強く要望したいと思うのであります。以上を以て委員会の報著を終ります。(拍手)
#11
○議長(松平恒雄君) 國家公務員法案に対し討論の通告がございます。中野重治君。
   〔中野重治君登壇、拍手〕
#12
○中野重治君 日本共産党は、この法案に対し包括的且つ根本的に反対するものであります。諸君のすべてが読まれたでありましようように、私もこの法案を読みました。諸君のすべてが研究されたでありましようように、私もこの法案を研究しました。私は両院決算委員会の連合審査会における十人の証人の意見をも聽きました。又私は決算労働の連合委員会のすべてに参加して、この方面の体験と知識と二つながら深い委員諸君から極めて多くを教えられました。又多くの官公廳労働組合の諸君が法案反対のデモンストレーシヨンに立たれたのを見、且つその代表者が、決算委員長の手を通して、法案反対の決議を我が議長に渡される場面にも立会いました。そうしてそのすべてを通して、法案を読めば読む程、これを研究すればする程、又委員諸君の専門的なお話を聽けぱ聽く程、この法案に対する不愉快な疑いが深まりました。特に連合委員会における片山総理大臣、齋藤國務大臣、法制局関係の二三の官吏の、私並びに多くの諸君の質問に冠する答えを聽くに及んで、私の疑いは決定的なものとなつたのであります。今決算委員長から極めて行届いた報告がありましたが、にも拘わらず私はこの法案に対する全面的反対の意見を述べんわけには道理上いかんのであります。私は手短かに語りますが、どうかすべての諸君に、それぞれの党、会派の精神において聽いて頂きたい。
 先ず私は、私の反対意見を苦痛と悲しみとを以て訴えるものであります。それは、この法案がこういう姿、こういう不十分な討議手続において現われたことは、日本の民主化がいかに遅れておるか、我が民主革命の仕上げが、いかに前途程遠いか、日本の天皇制官僚組織がいかに險悪に且つ根深く残つておるかを、あからさまに示しておるからであります。この法案の根本性格が、日本從來の官僚組織をば、その主な特徴の殆んどすべてを残しつつ、民主化の名において國民に押付けるところにあるからであります。我々は日本の官僚組織の徹底的民主化を欲する。併しそれは中味を欲するのであつて、看板を欲するのではない。人民の要求するのは薬であつて、能書ではないのであります。即ち清盛に衣を着せるのが問題ではなくして、彼を武装解除するのが問題なのであります。(拍手)若し我々が清盛のために、鎧の上に衣を羽織る手傳いをし、かくて清盛は鎧を脱いだのであると國民に思い込ませるように万が一にも手傳うとすれば、我々は人民の信頼を裏切ることになる外はないと私は固く信じます。(拍手)
 我々は日本の官僚制度の徹底的民主化を欲する。この法案もそれを欲するかのごとくうわべには見えます。そこで仮にこの下書を書いた人々が心からそれを欲していたとしましよう。その際最も大事なことは、目的のために手段を誤まらぬということであります。若し手段を誤まるならば、主観的にはいかようにもあれ、恐るべき結果が生れるのであります。では正しい手段はどこに求められるか。それは日本歴史の中に求められる。日本歴史の具体的現実を踏まへること、これが正しい方法手段を見出すための最初の又最後の基準であります。然るにこの下書は全面的、且つ根本的に日本歴史の現実に背いておる。いうまでもなく我々が徹底的に民主化しようとするのは、日本の官吏制度である、数十年、数百年來すでに民主化された諸外國の官吏制度ではないのであります。では我が官吏制度はどこにその歴史的特徴を持つておるか。その一つは、例えば服從すること、秘密を守ることなどの服務規定の面であります。我が過去の天皇の官吏は、上役人に服從することにおいて人民に抵抗し、人民に公開せらるべきすべてを秘密として独占して、これを一握りの人々に公開し、分けても早耳システムを通してこれを賣捌きさへしたのであります。今この法案を見ますと、これらの服務規定に更に宣誓の規定を加えて、すべてこれを残そうとしておる。從つてその宣誓ほ國民に対する宣誓ではなくて、直属上官乃至最高裁判所長に対するものであります。成る委員の言葉を借りれば、参謀総長、陸軍大臣、教育総監の軍事コンビにさも似た三人委会を更にその頭に戴き、この全ピラミツドによつて人民の利益を抑えようとするものであります。もう一つ更に目を止めて見なければならんのは、労働者階級、農民、この農民というのは、日本の天皇制官僚組織が日本の農民の半農奴的状態に対應していたために、私は特に言い及びたいのでありますが、労働者階級、農民、労働組合、及び民主的政党に対する過去の日本官僚機構の歴史的関係であります。これを我々は見なければならない。併しながらこのことは、我が勤労階級及び議員諸君がその体験を通してよく御存じのことだろうと思います。ただ私は次のことを強調したいと思います。それは準備及び遂行の全戰争期間を通じて、我が官僚組織が完全に軍閥と結託して我が國民に言おうようなき犠牲を強いたという事実、あまつさへ戰後引続きこれを強いておる事実であります。而も同時に一方連合諾國の民主主義的占領政策の助けをも得つつ、我が労働組合及び民主的諾政党が、苦痛に満ちた長い沈黙の後再びその活動を開始したことであります。労働組合及び民主的政党の活動開始は、世界民主主義の方向を日本歴史の現実の上に実現しようとするものである。いわば外からの連合諸國の民主的占領政策、これに内から應ずるところの民主的諸政党及び労働組合の活動、これを措いてどこに日本官僚組織、日本官吏制度の民主化の基本線があるか。(拍手)又あり得るか。労働組合、政党及び議会活動を我々が重んずるのはそのためであります。然るに今この法案は、その全部に亘つて民主的諸政党の官吏制度への影響を閉め出し、苦痛と犠牲とを拂つて得たところの給與その他に関する労働組合の既得権を抹殺しようとして力を集めておるのであります。(拍手)私はこれが日本の歴史に対する叛逆でないかを恐れます。議会制度の前途に忌わしい影を投げるものでないかを恐れます。國民の公僕の名において、この法案は我が全公務員を特定の入の群の奴僕としようとするのではないかを恐れるのであります。私は曾ての警察官のあのサーベルが、いわば民主的な現在の棒に比べてよかつたということ、現在の棒は人を打つのに彼のサーベルよりも現実に力強いということをこの際思い起すものであります。先進民主主義諸國の姿を学ばねばならんということは、これは勿論であります。併しながら我が民主的諸政党と労働組合は、実のところ、まだ幼な兒であります。我々はこれを保護しなければならない。冬を前にしてこれに重ね着をさせねばならんのであります。然るに、冬の後には春が來るであろう。春が來たならば綿入れを脱がして袷に着せかへねばなるまいということを時間的に逆轉させて、今日へ引戻すことによつて、それを目の前の幼な兒に実施しようとする。こういう法案には、我々は農民をも含むところの全勤労君のすべての組織、及びすべての民主的諾政党の諸君と共に、徹底的に反対せざるを得ないのであります。(拍手)これは第一回の國会でありまして、第一回國会の決定は、第二回以後の無数の國会、及び日本人民の將來の全政治生活の運命に非常に大きい影響を及ぼす点において、極めて責任が重大であります。私はこの法案に日本歴史の上に立つて反対するものであります。私の反対意見に耳を傾けて下すつたことを感謝します。(拍子)
#13
○議長(松平恒雄君) 小野哲君。
   〔小野哲君登壇、拍手〕
#14
○小野哲君 私は國家公務員法案外一件に対しまして賛成の意を表するものであります。私は決算委員といたしまして、終始冷静且つ公平な態度を以て審議に從事して参つたのであります。御承知のごとく、官吏制度が明治初年來我が國に擡頭して参りまして以來、諸種の戰争を通じ、又種々の時代に直面いたしまして、いろいろの場面を展開いたしましたことは、諸君の御承知の通りであります。先程中野君が種々反対意見の中に申述べられました歴史的事実、の中にも、或いはこれらの点に触れられたものと私は考えるのであります。而して今日私共が直面しておる我が國の現状を考えて見ますると、太平洋戰争の結果に伴いまして、ポツダム宣言を受諾いたしまして、我が國における諸制度が民主的に急速に改革せられざるを得ない、又なすべき義務を我々が負担しておるということを、この際再び確認いたしたいと思うのでございます。特に官吏制度の問題はこの種の制度改革の一環として取上げられなければならないことは勿論、我が國の民主化におきましては、最も重要なる役割を演ずべきものであるということを私はつくづくと考えるのであります。從つて官吏制度を一日も早く改革をいたすということは、ひとり官吏自体の責任ばかりでなく、國民全体として、これに多大の関心を寄せ、又その責任を果すべき義務を感じなければなるまいと存ずるのでございます。かかる情勢下において、我々國会議員が國家公務員法案の審議に当りましたということは、歴史的に極めて重大なる恩義を持つているということを申さねばなりません。我々は官吏制度の改革が、少くとも國家公務員法案の成立によりまして、又その後の運用によりまして、速かに実施いたされまするように念願いたしますと共に、これらの諸制度の改革が適切なる方法と、又公正なる方向に向つて進まんことを、強く要望いたさざるを得ないのであります。
 次に申達べたいことは、この法案を通じまして、官吏制度に関する新らしい構想の下に、新らしい制度が樹立されたということであります。即ち從來の任用制度とは異なつて、又官吏の職務に関する制度とは違つて、或いは職階制を採入れ、又は試験制度による任用を認め、その地諸般の事項が導入いたされておるのであります。この法案を全体的に通じて観察いたしますると、進歩的なものであるということは、諸君と共に断言じて憚らないと思います。「賛成だ」「ノウノウ」「頭を冷やせ」と呼ぶ者あり)次の点は、今回の國家公務員法案は、官吏をして特権的な身分と地位とを與えているものではないということであります。官吏も亦勤労者である。この前提の下に國家公務員法案が形造られているということを私共は認めざるを得ないのであります。ただ國家公務員は國民全体の奉仕者であるという立場において必要最小限度の規定が挿入されておりますることは、(「そこだそこだ」と呼ぶ者あり)諸君が法案を御覧になれば十分に御理解ができると思います。(「それは全体主義だ」と呼ぶ者あり)從つて勤労者の立場における官吏諸君の、即ち國家公務員の適切なる保護に関しましては、何らこの國家公務員法案によつて制約を受ける点はないと私は認めるものであります。(「冗談を言つている」「ノーノー」と呼ぶ者あり)さような点から考えまして、極めて概括的な説明ではありますが、(「そうだろう」と呼ぶ者あり)私はこの法律案に対して諸君と共に賛意を表したいと存ずるものであります。(「それは駄目々々」と呼ぶ者あり)併しながらこの國家公務員法案は決して完全無欠とは言えないのでございましよう。(「勿論」と呼ぶ者あり)すでに委員長がその報告の中に詳細申述べておりまするように、將來これが実施後において、その運営に当つて十分な檢討を加え、又國会といたしましても十分な監視をいたさなければならないことは、申すまでもないのでございます。特に私はこの際政府に対して要望いたしたいことは、國家公務員制度が確立されることによりまして國家公務員の能率の増進を図る目的を達成することは、誠に望ましいことてございまするが、併し國家公務員が公務員としてその能率を十分に発揮いたしまするためには、同時に行政組織の能率的な運営に俟たなければなりませんし、若し現在の行政組織において多くの改革をいたさなければならない点があるとするならば、政府は國家公務員制度の確立と相俟つて速やかに行政組織の改革に手を着ける責任があると存ずるのであります(拍手)(「そうだ」と呼ぶ者あり)これによりまして、官吏諸君が單に官吏たるの故にのみ責任を負うべきであるということを申しますことは余りに苛酷でありまして、官吏諸君が眞に能率的な奉仕をいたしますための組織の面においても、十分に政府がこれに思いをいたして、改革の手を伸ばさなければならないと私は存ずるのでございます。(「それで終り」と呼ぶ者あり)それにつきましては、勿論國家公務員法自体においてのみこれを達成することは困難だろうと存じますが、官吏そのものの、再教育の問題その他の点につきましても、政府が格段な措置を採られんことを要望するものであります。尚我々國民の立場におきましては、從來いわゆる官尊民卑という言葉を我々小さい頃から耳にいたしているのでありますが、かような思想がいかにして起つて來たかということは、十分に反省をいたさなければならないだろうと思うのであります。我々が官吏の行動を批判し、又その責任を追及いたしますことは勿論当然でありますが、同時に官吏をしてかくあらしめないように、國民全体が眞に官吏制度の民主化のために熱意と協力を惜まない。この態度を取るべき必要があろうと私は存ずるのであります。(拍手)さような意味におきまして、國家公務員法が成立いたしまして以後において、これが実施の曉におきましては、我々國民もそういう官吏諸君と共々、又政府と共々に、國家公務員制度が眞にその実を結び得ますように十分なる協力をいたさなければならないと、かように存ずるのでございます。最後に私は官吏諸君に対して一言申上げたいと存じます。今回の公務員制度が確立いたしました場合において、或いは種々の意見がございましよう。又批判もあることは、重々お察しいたすのでございます。併しながら今日の情勢を十分に我々が認識いたしますことによつて、官吏諸君が國民全体の奉仕者である立場を十分に御了承を願つて、國家公務員制度が官吏諸君の力によつて、又官吏諸君の協力によつて、又將來における立派な公務員制度が確立するために、官吏諸君の格別なる又熱意の籠つた自重されたところの行動によつて、國家公務員制度がその実を結ばれるように努力されますことを切に希つてやまないのであります。これを以て私の賛成の言葉を終りたいと思います。御清聽を感謝いたします。(拍手)
#15
○議長(松平恒雄君) 岩間正男君。
   〔岩間正男君登壇、拍手〕
#16
○岩間正男君 國民の代表としての我我國会議員の責任の名におきまして、私は遺憾ながらごの國家公務員法案に全面的な反対をせざるを得ないのであります。(拍手)今日終戰後の軍閥がすでに解体し、又財閥も形の上ではありますが、解消を遂げつつあるさ中におきまして、日本の官僚制度は國民の前にぎりぎりその対応を迫られておるのであります。過去の官僚制度がこの戰争中にいかようなことをなしたか、そうして又その原因はどこにあつたかということについては、國民は余りにもよくこれを了解しておるのであります。從いまして、この度民主的な措置によつて國家公務員法案が新らしく設けられるとするならば、当然そのような過去の弊害を一掃し、眞に時代にふさわしいところの、現実に適應したところの法案の制定こそが望ましい次第であります。彼の今次水害によつて発生しましたところの櫻堤の決壊におけるところの官僚の取つた措置のごときは、國民が余りにもこれを知つておる。僅か一時間半か二時間の時間を有効に使うならば、あの江東におけるところの五十万の罹災者を出さなかつたということの反省は、國民としましては何とも言えないところの一つの後悔の念であり、残念に堪えない次第であると思うのであります。(拍手)從いまして、このような官僚のセクシヨナリズム、縄張主義、更にいろいろそこから発生し來たつたところのあの涜職問題、人民に対する越権、こういうものを根本的に除去するところの法案の制定を、今日國民大衆は要望しておると私は考える。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)(拍手)然るにこの公務員法案はこの要望に果して應え得ておるのであろうか、私は断じて否と言わざるを得ないのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)
 先ず第一に、今次のこの國家公務員法案における骨子となるものは、正に人事院の行政機構並びに職階制にあると思うのであります。然るにこの人事院の構成を見ますと、先程も述べられたのでありますが、その人員が三人の寡少な委員によつて構成されている点、而もそれが越権に対しましては、僅かに総理大臣の訴追によるところの彈劾によつて免職するというところの、甚だ國民大衆の意向を全面的に反映しない方式を取られております。然るにその事務局、事務総長の権限というものは、そういうようなものはすべて人事院規則によつて独断的にこれがなされるような方式を取られておる。これを過去の日本の官僚政治の欠陷から見ますときに、今日十分にその弊害が除去されない現在において、この形が若しも取られますときには、明らかにそこに官僚勢力の一大厖大なものが残存されるこいうことを私はここで鋭く指摘したいと思う。恐らく今までのこの官僚政治のあり方については、國民自身がこのことを痛切に今日批判しておるのでありますが、これについて十分なる措置が今のような人事院の構成によつて私はなされるものとは断じて思えないのであります。こういう点について或いは穿つた言い方かも知れませんけれども、今國民の前にさらされておるところの過去の官僚の勢力を、何らかの形で合法的に温存しようとする一つの現われであるということを私達は指摘せざるを得ないのであります。(拍手)こういう点におきまして、而もここに私のはつきりした見通しを以てするならば、厖大な人事院を中心としたところの官僚の一大勢力が発生するであろうということ、そうしてそこから、今まで從來最も官僚を貧血に陷れ、みすぼらしいところの、いじいじした卑屈な姿に導いたところの強大な権力関係が発生するであろうということ、そうしてその権力関係は人民の公僕であるところの今後の官吏自身の民主化の問題とは、非常に深い関係があるということ、つまりその強大な権力の下には、恐らく下級官吏諸君の権力というものは圧倒され、今までのような権力関係の下に連なつた服從の義務だけが強いられる。そうしてそこから官僚自身の眞に根強いところの活動がなされない。そのようないじくした関係に置いては、それは対人、國民との関係において恐らく権力を信ずる者は又同時に権力を濫使するものである。從つて恐らくそれらの官僚諸君は満たされないところの一つの権力関係を、國民大衆の前に依然として推し及ぼすであろうということ、そこに國民に対するところのいわゆる越権が、依然として離れないところの機構が、官僚、人事院構成との一連の連関において発生することを私は憂えざるを得ないのであります。こういう点から考えて、この人事院の構成そのものに私は断じて承服することができない。
 次に、この法案の反対理由の第二の要点としまして、私はこの実施を受けるところの公務員諸君、この公務員諸君は同じく先程から申されましたように、勤労大衆であるということ、而も勤労大衆の目覚めを以てここに立ち上つておるということ、而もこれら勤労大衆であるところの公務員諸君に対して與えるところの基本的ないろいろな権益に対しては、甚だ薄く、これを強い、服從を強いる点において非常に厚いということ、つまり分限令、服務規程、その他政治上の制限拘束、その他いろいろこれを挙げることができるのでありますが、そういう面において非常に首枷を強力に加えながら、而もその基本的な生活権の上におけるところの、更に基本的な人権の上においての拘束が余りにも多いということ、この事柄は、決して日本の眞の公務員の民主化は招來されないということを私は考えるものであります。今日全官公二百五十万の諸君は労働組合を以て立ち上つておる。このことは日本民主化の中において最も特筆すべく、而も重要なる事柄であります。而もごの自覚は何であるか、つまり過去の官僚制度の仲において彼等自信が権力の下に縛られ、服從を強いられ、がんじがらめにされ、そうりして貧血に陷り、人間的な基盤を失い、積極的な姿をとつていたことに対し、これに対しましての基本的な人権の復活を目指し、豊かなる人間性を回復し、人間革命をなさんとするところの熱意の表現であると思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)このような労働組合の基本的な立ち上りに対して、当然この公務員法案は、先程中野議員からも申された点でありますけれども、十分にこれを育つて行くところの親心の発動としての、この公務員法案が制定されなければならないに拘、わらず、これを双葉のうちに摘み取るところの方式によつて、この公務員法案が與えられておるということは、私の断じて承服することのできないところであります。(「然り」と呼ぶ者あり)(拍手)今日勤労公務員諸君の自覚はどの点に達しておるかということを申上げるならば、例えば今次公務員法案に対する全面的な反対が、公務員の労働組合を通じてなされたのでありますが、その中で彼ら自身が、いわば自分の不利益になるところの涜職、若しくは自分の勤務怠慢に対するところの國民大衆の彈劾権をみずからにおいて要求しておる。更に過去の官僚制度の腐敗の一つの原因であつたところの恩給制度の全面的な廃止を、彼らが率先してこれを主張しておる。このような進歩的な立ち上りがなされておるのでありまして、こういう面を我々は十分に取入れ、この意見を率直に聽いて、これを活かすところの方式をこそ確立しなければならないのであるのに対して、これがこの公務員法案には十全になされていない。こういう観点からいたしまして、時間の関係上、尚細部に亘つては申上げないのでありますけれども、以上のような観点におきまして根本的な立場において、今日この公務員法案が適用されるならば、恐らくこの公務員諸君の今後の自覚的な立ち上りに対して、大きな障害をなすであろうということを私は思うのであります。果してこの法案が、現実的な一つの把握からなされておるかどうか、我々は現実に即應しないところの法案を、我々の責任と自覚の名において十分な審議をなさずして、これを通過させることはできないと思う。その例を申上げまするならば、例えば今日社会の一大混乱を捲き起しておりますところの六・三制の実施であります。これがもつともつと当局者において見通しのある眞に現実に即應した方式を授けられるならば、この混乱はなかつたと思うのであります。然るにこの方式を単に鵜呑み的に、経済的な基盤のないところに、十分な準備のない上に適用されたばかりに、今日校舎がない、机がない、腰掛がないというところの、あの悲惨な、いわば教育の崩壊的事実が発生しておる。この愚かなる姿を我々は再び繰返してよいであろうか。これと同じようなことを、この公務員法案において今日我々は憂えざるを得ないのであります。我々は政治の任に当る者としまして、現実に対するところの的確なる措置をなすと共に、一つの遠い見通しの下に立つて、知的な、眞に透徹した判断の上に立つて、日本の民主革命の現代のさ中にあつて、いかなる公務員法案をこそ制定となければならないかということを、率直に反省しなければならないと思うのであります。そこにこそ我々の職責があり、又國民大衆の期待もあるということを冷静に反省することによつて、私は最初申上げました通りこの法案に対して全面的な反対を表明せざるを得ないのであります。
 以上を以ちまして、私の反対理由を終ります。(拍手)
#17
○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告は終りました。討論は終局したものと認めます。
 先ず國家公務員法案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立君多数〕
#18
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#19
○議長(松平恒雄君) 次に、國家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏の任免等に関する法律案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#20
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
 これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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