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1949/08/10 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 経済安定委員会 第19号
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1949/08/10 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 経済安定委員会 第19号

#1
第005回国会 経済安定委員会 第19号
昭和二十四年八月十日(水曜日)
    午前十一時七分開議
 出席委員
   委員長 小野瀬忠兵衞君
   理事 首藤 新八君 理事 多田  勇君
   理事 中村  清君 理事 前田 正男君
   理事 森   曉君 理事 森山 欽司君
   理事 高田 富之君 理事 金光 義邦君
      足立 篤郎君    志田 義信君
      中村 純一君    永井 英修君
      細田 榮藏君    勝間田清一君
      高橋清治郎君    横田甚太郎君
      田中不破三君
 委員外の出席者
        專  門  員 菅田清治郎君
五月二十三日
 委員坂本泰良君辞任につき、その補欠として勝
 間田清一君が議長の指名で委員に選任された。
七月十八日
 委員高田富之君辞任につき、その補欠として柄
 澤登志子君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十一日
 委員柄澤登志子君辞任につき、その補欠として
 高田富之君が議長の指名で委員に選任された。
八月十日
 高田富之君が理事に補欠当選した。
    ―――――――――――――
五月三十一日
 重要物資の需給計画、資金その他経済の綜合計
 画に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 派遣委員の調査報告に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小野瀬委員長 それではただいまから会議を開きます。
 去る七月十八日理事高田富之君が委員を辞任されましたので、これより理事の補欠選挙を行いたいと存じますが、先例により委員長指名ということに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小野瀬委員長 それでは七月二十一日高田富之君が再び委員に選任されましたので、同君を理事に指名いたします。
 本委員会は去る五月三十一日議長の承認を得まして、東北班、中國、四國班、九州班、北海道班の四班にわかれまして、各地の経済安定局あるいは管区経済調査廳、地方経済調査廳、物價事務局、そういう安定本部の出先官廳につきまして調査をするとともに、石炭、石油、電力などの重要地下資源の需給状態に関しまして、いろいろと御調査を願つた次第であります。その他経済の総合計画に関する諸問題につきまして、國政の調査を行つたのでありますが、その調査の結果を見ますと、非常に緊急を要するものが多いのでございます。そこでお暑さの中でございましたが、ここに委員会を開きまして、特に皆樣にお集りを願い、その調査の結果を御報告していただくことにした次第でございます。何とぞ皆樣におかれましては、各班ともごらんになられました各般の経済状況につきまして、詳細なる御報告をお願いいたしたいと思うのでありますが、まず東北班からひとつ調査の御報告をお願いしたいと思います。東北班の代表永井委員からひとつお願いいたします。
 ちよつと永井委員に申し上げますが、議長あての正式の報告は國勢調査報告書によつてお願いいたしますが、きようのはそれとは別にそれにこだわりなく御報告願つてけつこうだと思います。
#4
○永井(英)委員 私は大体九州で育つた人間でありますので、特にお願いして東北地方をまわしていただいたのであります。最初六月十二日に仙台へ参りまして、仙台の地方経済安定局並びに経済調査廳、それから仙台地方の物價局等に参り、所管事項についていろいろ聽取いたしました。その席上には仙台通商産業局の局長、それから東北産業振興会の会長も見えておりまして、おのおのその所管事項、それから東北産業振興会については今後の東北地方の産業のあり方等について聽取いたしました。それから塩釜港を視察いたしまして、塩釜港の東北における重要性等について調査いたしました。それから十三日に三菱の細倉鉱山を視察いたしました。この細倉鉱山においては時間も非常に少かつたので、十分な視察ができなかつたのでございますが、戰時中非常に荒したため現在確定鉱量は三箇年分しかない。それで資金がなければこれ以上の採鉱はできないということ、それからその製錬所が非常に腐朽いたしておりまして、このままで行くならば、一、二年の間にほとんど崩壞するような状態になつております。この方面においても設備資金の要求が非常に叫ばれておる状態であります。それから六月の十四日には松尾鉱山へ参りましたが、御承知の通り松尾鉱山は日本の優秀な硫化鉱の鉱山であるのみならず、世界でも第一と言われるような大きな硫化鉱の鉱山でありまして、今日肥料の増産が非常に叫ばれるときに、やはり資金の面、それから輸送の面、このために十分なる採鉱ができないというような状態でありましたが、少しあそこに金をかければ百万トンぐらいの鉱石を掘り出すことができるような状態になつております。ことに鉱量は一億五千万トンというような大きなものを持つておりまして、しかも最も低廉に掘り出すために今露天掘りを計画中であります。これに相当の資金を要するということであります。一億五千万トンと申しますと、百万トンといたしましても百五十年間掘れる鉱山でありますので、この点は政府においても十分檢討される必要があろうということを痛感いたしました。それから六月の十五日には十和田湖の水力発電所を視察いたしましたが、その十和田湖から流れている水流は、まだ落差を利用して発電することができる箇所がありますので、一箇所はその計画中でありましたが、まだほかにも水力発電所を設けられるようなところがあつたように見受けられます。それから十六日には同和鉱業の小坂鉱山、それから三菱の尾去沢鉱山を視察いたしました。ここでは両方とも亞鉛、鉛、硫化鉱を出しておりますが、両方とも製錬所がありまして、その製錬所から発する硫黄というものは相当の量であります。これは細倉鉱山でも同樣でありますが、日本に非常に足りない硫酸をこの煙からとることが計画されておりますが、いずれの鉱山も資金がなくてそれをキヤツチすることができない。おそらく煙から硫酸をとる設備をいたしましたならば、日本の需要を十分にまかなうだけの量があるのではないかと考えられたわけであります。
 それから銅に対して今トン当り約八万円近くの補給金が出ておりますが、これが打切られた場合には、約八万円くらいの赤字が出ることになりますので、この銅の問題については政府は助成金を出すか、あるいは政府が銅を買い上げるかいずれかの方法をとらなければ、銅の生産というものはほとんどなくなるのではないか。いかに優秀な技術を持つていても、トン当り八万円の経費を切り詰めるということはとうていむずかしいのであります。ですからこの銅については補給を廃止するとすれば、特別な措置をとることが緊急なる問題であります。
 十七日には同和鉱業の花岡鉱山、それから帝石の八橋油田を見学いたしました。花岡鉱山はほかの鉱山と同じような状態でありまして、八橋油田は御承知の通り新聞紙上でも発表されましたが、私どもが参つた時にその八橋油田の有望性をそこの所長から聞いておりました。私どもが視察いたしました時にはちようどその石油をボーリング中でありましたが、それが非常な噴油をいたしたそうで、日本の將來のために非常に私は喜ばしいことだと考えている次第であります。それは第八層から出たわけであります。これが非常なたくさんの量を持つているそうであります。
 それから十八日の同じく帝國石油の庄内油田、それから酒田港のそばにある鉄興社の酒田大浜工場及び酒田港を視察いたしましたが、鉄興社は大体いろいろの有機化学の製品をつくつておりますが、非常にりつぱな工場であつて、これも東北における豊富低廉な電力が入れられるから、ああいうことができるのでありまして、私どもここにおいて痛感いたしましたことは、東北地方の非常に民度の低いところに、どういう仕事を起して東北地方の民度を十分に高くするかということを考えますときに、やはり東北地方には、水力電氣を開発すれば相当の電力が各地に開発されるので、この低廉豊富な電力を利用する事業を興すということが最も必要なことではないか。東北は一毛作でありますので、私ども九州地方に比較いたしますと、その半分の労力が利用されないという状況にありますので、どうしても農業自体から見れば、非常に労力が余つておつて、それだけ生活状態も苦しい、こういうことになるのであります。從つて村の財政等から考えますれば、どうしても向うで相当な事業を興して、労力を吸收し財政をよくして行く、こういう以外にはないのじやないかと考えられたのであります。從つて東北においては、この豊富低廉な電力を利用する事業を興すということが、最も緊要ではないかということを痛感いたしたものであります。
 それから、同じく十八日に、三菱の油戸炭鉱及び東北炭鉱という二つを見ました。この東北地方には非常に炭田が少いのでありますが、この油戸炭鉱というのは、東北地方で最も有望な炭田であります。しかしこの油戸炭田の石炭は強粘結炭でありまして、製鉄業に最も必要な石炭であります。現在日産五十トンくらいしか出しておりませんが、日本に非常に少い強粘結炭を出すという点については、國家として相当な設備資金を投ぜられることが最も緊要ではないか、こういうように考えたわけでございます。日本における強粘結炭というのは、全國で八十万トンくらいしか出ませんが、アメリカから今年度輸入する強粘結炭は約百万トンであります。この強粘結炭は日本に非常に少いのであります。こういう炭層が発見されたということは、國家のために非常に慶賀すべきことであつて、どうしてもこれには相当の力を盡すべきではないかと考えるわけであります。
 それから六月の十九日には新潟の経済調査廳へ参りました。六月の二十日に新潟の天然ガス開発会社に参りましたが、私は天然ガスは石油のボーア・ホールから出るガスと思つておりましたが、これは四期層にあるいわゆるメタン・ガスであつて、ちようど千葉地方に出るガスと同じものであります。しかもこのガスは非常に豊富でありまして、相当な量が出るようであります。目下そのガスをパイプでもつて東京へ持つて來るという計画もあるようであります。しかし私はその際に申し上げましたが、利根川の下流地方もちようど信濃川の下流地方、あるいは新潟地方と地層としては同じような状況でありますので、利根川の下流方面にもあるいは天然ガスがあるかもしれない。だからそういう方面もよく調査して、それからいよいよその方面にないということであれば、パイプをひつぱつて東京へ持つて來られるということもよいのではないか、こういうことを私は申し上げたのであります。現在新潟の天然ガスはボンベに詰めて東京へ持つて來て、自動車の燃料として使われております。
 それから新潟の交通会社、帝國石油の新潟の工場等を見まして、それから福島へ参りまして、日東紡績の内野工場を拜見しました。それから猪苗代の第一発電所に行つて、労働組合員にも会いましたが、その労働組合側の言われるには、時間外勤務手当というものの予算が非常に少い。そのために十分な修理ができないということを非常に訴えておりました。
 それから六月二十一日に福島の経済調査廳及び日東紡績の福島工場を視察いたしました。日東紡績の福島工場はガラスの紡績をやつておる工場でありまして、それと同時に鉱石から耐火材料に使われるいろいろなものを生産いたしておつたようであります。
 以上が視察をいたしました概略がありますが、概括して申しますと、東北地方の農業というものが一毛作である。從つて農民の生活が非常に苦しい。だから何かそこに工業を興さなければならない。それには東北地方は非常に地下資源が多いのであるから、その地下資源の開発をやるということと、先ほど申しました豊富でしかも低廉に得られる水力電氣を利用して工業を興す、こういうことに結局帰着いたすようであります。それと今問題になつておりますのは、只見川というのがありますが、この只見川は、日発の調査によりますと、二百三十六万キロの未開発水力資源がある。ところが一方新潟縣においてはトンネルを堀つて、只見川の水を新潟縣へ直接落す。そうすると約百五十万キロくらいのものが起りますが、日発の計画しておる只見川に沿うて発電所をつくるか、あるいはトンネルを掘つて新潟縣へ水を落して発電所をつくるかということが、現在新潟縣と福島縣の両方で問題になつております。これは現在ほとんど政治問題になつておりますが、新潟縣の主張による開発は、まだ技術的に相当檢討を要するものがあると思われるのであります。只見川に沿うて開発する方面は、日発が二千五十万円の経費と数年の日子を費して、研究に研究を重ねておるものでありまして、その点から考えますと新潟側の発電計画は、まだ調査も十分でない、その計画を始めてからの日子もまだ非常に少い、こういう点から新潟縣の主張には相当疑問があるように思われる次第であります。
 以上が大体の東北地方における調査の概要があります。詳しいことは調査書に書いてありますので、ごらん願いたいと思います。
#5
○小野瀬委員長 東北班の方で高橋委員、志田委員の方から何か補足的なことはございませんか。
#6
○高橋(清)委員 大体永井委員から詳細に御報告があつたようでありますが、調査中において最もわれわれ痛感いたしましたことは、各地方とも金詰まりで弱つておるから、何とか金融の道を開いてもらいたいという声、要望が非常に盛んであつたのであります。それからもう一つは、日発の七ブロツクの分割ではどうしても困るから、これをもつと緩和されて、あるいは三ブロツクくらいにしてもらいたいという各事業家、業者の要望が非常に強かつたのであります。
 次にはただいまも永井委員から御報告がありました只見川開発の問題でありまするが、これにつきましてはわれわれの調査した後におきましても、昨今非常なる政治問題と化しまして、すでに民自党の石田氏のごときは、一昨日仙台へ行つてこの問題をいろいろ解決すべく努力しておるようでありまするが、日発案によつて只見川を開発するか、新潟縣案によつてこれを開発するかということが非常に重大化し、尖鋭化しつつあるようであります。これをわれわれはどうしても國家的見地から見て、何とか合理的な正しい方法によつて解決することをやらなければいけないと、私は昨今の情勢から見て痛感しておる一人であります。
 それから私は一人であと釜石鉱山と釜石製鉄所を調査いたしましたが、あの釜石製鉄所におきましては、來る九月に六百トンの溶鉱爐の火入れ式をやることになつておるが、まだあのアイオン台風による山田線不通が回復しないために非常な不便を感じておるから、この点を何とか國会においても考えて、すみやかに今着手しておるところを完成するようにしてもらいたいという要望、請願が非常なものでありました。大体そんなふうなところを申し上げて、皆さんの御参考に供したいと思います。
#7
○小野瀬委員長 ありがとうございました。志田委員別に御発言はございませんか。
#8
○志田委員 ただいま高橋委員からお話がありましたように、東北の電氣の再編成の問題につきましては、非常に地元においても問題になつておるのでありまするが、その後私が中央に帰りまして、この問題について内閣及び関係省の事情を聞きまするに、まだ七ブロツク案というものは別段どこから出たというような確然とした筋のものではなくして、むしろ関係方面の五人委員会で將來そういうことに行くのではないかということを心配するあまり、出て來ておるような状態が非常にあるのであります。それでその点については中央におきましても、どこからそういうものが出て來ておるのか、配電会社も実はわからない。日発でもわからない。経済安定本部でもわからない。内閣でもわからない。どこからともなく七ブロツク案というものが出て來ておる。しかし業者及び東北民に聞えておるものは、非常に具体的のものであつて、福島と新潟というようなものは関東ブロツクの中に入るのだというようなことまで、うわさされておるのであります。この点につきましては從來ともわれわれも内閣の総合國土審議会等におきまして、十分内閣のこれに対する考え方等も聞くのでありまするけれども、まだ判然としたものが出ておらない。それでこの問題は非常に重大な問題になる。たとえば東北における工業電力、農事用電力に対しましては、非常に大きな影響を與えるのでありまして、また一般電力使用者にとりましても、電力料金の値上げということが必然的に考えられる。これは内容を御承知と思いまするから、われわれとしてもその編成計画の案の出所につきまして突きとめたいと思つておるのであります。近い將來にそういう問題が必ず具体的に出て來ると思うのでありまするが、本委員会におきましても、ぜひそういう点にお考えをまとめられて、どこからそういう問題が出て來るかということについての追究もする必要があるのではないかと思つております。以上補足を申し上げます。
#9
○小野瀬委員長 各委員の方からいろいろ質問や他の班からの御意見もあろうと思いますが、一昨日の理事会で本日の委員会の運営について協議してありますので、それは最後にまわして、東北が済みましたので、その次に中國四國班の代表首藤委員から御報告願います。
#10
○首藤委員 それでは近畿、中國、四國、東海この四部の視察に当りました委員を代表して、私から調査の概要を御報告申し上げたいと存じます。
 われわれ中國班は六月十六日名古屋を振出しとしまして、翌十七日は大阪、尼崎、十八日は神戸、十九日は岡山、倉敷、二十日が高松と宇多津、坂出、二十一日が三島町、新浜、これはみな愛媛縣であります。二十二日が今治、松山、二十三日に廣島、二十四日に廣島縣の大竹、並びに山口縣の岩國、二十五日に宇部、小野田、これらの地区を調査視察いたしまして、二十五日に終つたのであります。調査委員は森山委員、小西委員、中村清委員、福井委員、中村純一委員、この六名でありますが、名古屋から最終まで調査を続行いたしましたのは森山委員と私の二人でありまして、中村清委員と福井委員は名古屋から神戸まで、小西委員は大阪から山口までの視察に加わつたのであります。名古屋におきましては経済調査廳、安定局、物價局、並びに愛知縣廳、官廳はそれだけ調査いたしました。産業界としては日本陶器を視察いたしました。爾來各地におきまして地方管区経済調査廳、並びに地方経済調査廳、それから安定局、物價局さらにその地方における有力な各産業会社を視察して参つたのであります。そこでその詳細は報告書に譲ることにいたしまして、調査の概略、さらに結論的に感じましたおもなものを四、五申し上げてみたい、かように存ずるのであります。
 経済安定局設置の目的はここで申す必要はないと思いますから省略いたします。ただ安定局の側からは、どうも表面にわれわれの仕事が現われていない。そこで安定局というものの廃止論がしばしば起る。しかしながらわれわれは主観的に考えて、現在の日本経済が安定するまでは、どうしても安定局というものは必要であると考える。そうしてその理由といたしまして地方の各ブロツクの各官廳の総合調整、それから中央の経済安定局の企画に対する宣傳、あるいは官廳に対する趣旨徹底、あるいはまた地方におけるところの摘発物資の処分。これは復興公團と相談いたしまして、地方で処分できるものは、その地方の各官廳と緊密な連絡をとつて、しかも早急にこれを有効的に配給しておる。その他その地方におけるところの総合的計画、あるいは産業の開発とかいろいろな問題に、常に経済安定局が中枢となり、指導的立場をもつて各官廳の計画を総合推進しておる。こういう申出であります。と同時にわれわれに手によつていろいろその面の調査をいたしたのでありますが、その結果はやはり外面的には非常にじみである。あまり仕事の面が現われていないけれども、実質的には相当の働きをしておる。なお現在の情勢では、当分の間は安定局なるものの機関は設置する方がよいのではないか、というような氣持を深くいたしたのであります。
 次に経済調査廳であります。これは目下のところひとり東海、近畿、中國、四國のみならず、全國的に批判されておる最もはなはだしい官廳だとわれわれは見ておるのであります。言うまでもなく経済調査廳は法令の徹底、宣傳あるいは予防あるいは指導ということに主力を置いて、そうして経済安定のために重要な役割を果させるということが目的であるにもかかわらず、今日までの経過を見ますと、この目的を逸脱いたしまして、ほとんど地方の経済警察と何らかわるところがない。むしろ経済警察よりも過激な檢挙を続けておるということが、一般批判の対象となつておるのであります。そこでこの点を各管区並びに地方経済調査廳につきまして調査いたしたのでありますが、この間四國の高松の管区調査廳並びに高松の地方調査廳及び松山の地方調査廳は、大体経済調査廳の趣旨を了解しておりまして、業界の隘路を打解する。官廳の監査に主力を置く。また業界の違反が主として官廳の行政上の欠陷にあるということをよく認識しておりまして、この隘路の打開のために上級の官廳に陳情する。あるいはまた地方の官廳に勧説をする。そうして隘路の打解に努めておる。從つて査察よりも監査の方に重点を置いておる。なお業者に対しては隘路打開の相談所としてもらいたいという趣旨で努めておるということで、非常に私は経済調査廳の設立の趣旨を了解し、その目的に協力しておるものというふうに考えたのでありますけれども、その他の調査廳は総じて檢挙主義であります。しかも業界の隘路は行政官廳の行政上の欠陷にあるということがはつきりしておるにもかかわらず、その行政官廳の欠陷を補正することをあとまわしにして、業界の檢挙に主力を注いでおるという方向が顯著でありますので、どうしてもこれだけは一日も早く是正しなければならぬということを痛感したのであります。ことにこの檢挙主義になつたところの最大の原因はいろいろありますけれども、何といつても警察官を多量に採用した。しかもその警察官は多く前職において何らかの欠点あり、いわく付でやめておつた者が大部分採用されておる。これらの者が過去におけるところの職業意識というか、いわゆる点数をかせぐというような、昔のままの意識を強く働かして、どうしても檢挙に走りたがり、行政官廳の行政上の欠陷の補正には、いずれかというと非常に消極的であるというように感ぜられましたので、今後は調査廳は職員を採用いたすにあたりましては、当然の設立の趣旨に合致するような素質のいい者を採用する。しかもそれは前歴が警察に関係のない者を採用することが、一應これらの弊害を除くために有効な措置ではないかというふうに考えられますとともに、現在のような過去一年におけるところの調査廳の成績から申しますると、調査廳の存続をなお必要とするかどうかという点については、大いに檢討の余地ありというふうに考えられるのであります。もつとも調査廳が今日までやりまして相当効果をあげた面もあります。それは全國的に電力の方の監査をやる。あるいは食糧公團の監査をやる。あるいはまた衣料品の生産配給の監査をやる。リンク用、労務者用衣料品の監査をやる。油脂の方の監査をやる。それから石炭の方の監査、主要輸出品の行政上の監査、さらにまた原皮、あるいはまたみそ、しよう油あるいは供米の事前割当、薪炭の供出状況であるとか、さらにまた労務加配米もやつております。こういう点に全國的に一貫したところの調査をやつたことは、相当効果をあげておると存じまするので、こういう面に今後主力を注いでやるならば、調査廳の設置の効果も大きいと存ずるのであります。
 物價廳でありまするが、これまた外面から見ますとまことにじみな官廳であります。ことに統制が相次いで廃止されます今日、一層地方の物價廳の存在ということが問題になつて参るのであります。しかしながら実際的にはなお地方における特殊物價の設定、あるいはまた地方において中央の決定しましたマル公がそのまま実行されておるかどうかという調査、こういうような面から考えますると、これもまた現在の場合なお当分は設置をした方が、経済安定行政のためにいいのではないかというような氣持がいたしておるのであります。
 各縣廳も調査いたしましたが、大体今度の調査は安定局並びに調査廳、物價廳の三つを対象といたしました関係上、各縣廳は一應あいさつという程度にとどめておいたのであります。
 さらに各地の産業であります。大体二十七、八工場を連日調査いたしたのでありますが、概括いたしまして、われわれが予想しておりましたよりも各地の産業は非常に復興しておる。案外復興しておるという感じを受けました。しかしながら個々について見ますと、なお相当各産業とも隘路がある。特に共通的な一番当面した大きな問題は、先ほども東北の調査の結果、報告としてありました金融梗塞であります。政府支拂いの遅延であるます。金融梗塞は特に中小工業が最もはなはだしいのでありまして、なかんずく四國方面におきましては、もしこのままの梗塞が続くならば、ここ一、二箇月を経ずして四國の中小工業はまつたく恐慌状態に陷るであろう。すでにこの春から商取引が昨年に比較しまして、半分あるいは三分の一程度に減少した。しかもそれがことごとく手形で決済され、さらにその手形が非常に不渡りされるようになつたのみならず、六十日の手形が九十日になり、しかもその九十日の手形を平氣で不渡りする。道義の低下ということもあるかもしれませんけれども、とにもかくにも金融梗塞がいかにはなはだしくなつて來ているかということは、こういう面から見ますと、驚くほど詰まつているのであります。從つて金融梗塞に対しましては、早急に何らかの対策を講ずる必要ありということを痛感いたしたのであります。さらにまた、実は倉敷レーヨンでビニロンを拜見いたしたのでありますが、これは言うまでもなく石灰石と石炭で纖維をつくるのでありまして、日本では初めてであり、まだアメリカでもビニロンとしては糸になつていないようであります。これは現在日産が二トンであります。しかしながら二トンの日産では非常に原價が高くなりますので、商品價値としては非常に範囲が狹いから、これを十トンまで拡張いたしたい。それがためには七億五千万円程度の融資をぜひお願いしたいという陳情を受けたのでありますが、七億五千万円という向うの要求通りには参りかねましても、できる限りこういう産業には融資すべきであるというふうに、委員一同痛感いたしたのであります。と申しますのは、もしこのビニロンが大量生産されるということになりますと、当然絹花の輸入を相当削減することができ、いわゆる外貨を支拂う必要がなくなつて参るのであります。原料は全部國内産であります。しかも品質は非常に強く、触感は人絹と異なりまして、纖維製品あるいは羊毛と何らかわらないのであります。しかも耐久力は人絹よりはるかに強いのみならず、水の中では綿製品の十倍の強さを持つている。從つてとりあえず漁網その他について最適品であるのみならず、洋服といたしましても申し分のない品であります。ただ現在のところ高熱をもつてアイロンをかけると生地が縮むおそれがある。それから染色が非常にこみいつたがら模樣などは現在のところできないのであります。それでやむなく洋服生地などを主として製造しておりますが、科学の進歩ということを考えますと、早晩これらの隘路は打開できるのじやないかというふうにも考えられます。
 新居浜で井華鉱業の問題について陳情を受けました。先ほど東北の調査報告にもありましたが、ここの銅山でも、補給金を今ただちに全部打切られると、山を閉鎖しなければならぬ。一たび閉鎖いたしますと復興は容易でない。しかも何倍かの費用を必要とするから、閉鎖しない範囲内において、できる限りの処置をとつてもらいたいという要求であります。井華鉱業の要望は、大体現在のマル公をある程度引上げてもらう。しかも輸出向きといたしまして、現在十二万五千円あるいは十三万円くらいなら引合うそうでありますから、マル公が十万円と存じておりますが、ここでマル公を十二万円なり十三、四万円まで引上げてもらう。それで補給金を一應半分ぐらいにしてもらう。そうして今後生産の合理化によつてだんだん原價を安くして行つて、來年あるいはその後において全部打切られるというような方向に向つてくれるならば、おそらく閉鎖せずして営業が持続するであろうというような要望でありました。その後この役員会にはその旨報告しておきましたが、大体穏当な処理としてはこの際半分くらい補給金を打切つて、半分くらいは存続するという対策がいいのではないかというふうに考えるのであります。
 さらに硫化鉱でありますが、これは申すまでもなく銅鉱を掘りますれば、それに付随して出るものでありますとともに、またさらに別個に硫化鉱としての鉱山が存在するのであります。ところが從來におきましては大体銅に付随して出るものという考え方から、労銀その他が非常に安いのであります。從つて硫化鉱そのものの價格は非常に安い。そこで銅山におきましては今の安いマル公でも行けますけれども、硫化鉱を專門とするところの鉱山では、非常に採算が引合わないという状態になつておるのであります。しかも輸入品は相当高値で輸入しなければならぬという状態になつておりますので、これまた対外決済の観点から考えましても、硫化鉱のマル公を相当引上げて生産を促進しまして、もつて輸入を一日も早く防遏するということが、目下における緊急な処置というふうに考えるのであります。
 さらに人絹でありますが、これも各地を見てまわりました結果、大体倉敷の人絹が最も進歩した設備を持つております。聞くところによりますと終戰後において新しく設備をしたそうでありますが、とにもかくにもほかの人絹会社に比較しまして非常に設備が完備している。從つて原價が他社より当然安くできるというような状態になつておりますので、他の会社の設備を早急に改善する必要ありというふうにも考えます。
 もう一つは窯業でありますが、名古屋の日本陶器、松山の伊豫窯業を視察いたしました。日本陶器を見た場合、実に設備の完備と優秀な製品、おそらく世界的に競爭い得るであろうという氣持で、非常に意を強くいたしたのであります。松山の伊豫窯業においてはほとんど原始的な製造方法をやつておりまして、日本陶器の製品とまつたく比較にならぬ粗惡品であります。日本の農家においても今ごろこんな粗惡品は使つていないだろうと思われるような粗惡品であり、ただ赤いいろいろな模樣を書いた器にすぎないという状態でありまして、ただ見たところはこんなところにこんなものがという感じを非常に受けたのでありますが、その伊予窯業がすでに生産の増強に非常に努めておるが、注文は幾らでもあるということを聞きまして、私らは二度びつくりしたのであります。日本陶器の方は関係筋の好意によつて社員をアメリカにわざわざ派遣し、北米、カナダ、南米を親しく調査して、現地の状態を把握して商賣しておるにかかわらず、最近は為替レートの関係もありまするが、輸出は思わしくないにかかわらず、この原始的な粗惡品である伊予窯業の品が非常に大量の注文がある。戰前の日本の輸出品は惡かろう安かろうということで非常に賣れた。しかし終戰後の日本の産業はよかろう高かろう。要するに値段は高くてもいいから品物をよくせねばならぬという大方針のもとに、産業の指導をやつて來ておりますが、この現実の姿を見た場合にこの考え方に変化したのであります。というのは結局需要國の群済問題、あるいは利用國民の生活水準によつて決定するものである。アメリカに非常に行くという日本陶器の品物を、南洋あるいはインドあるいはアメリカというような所にいくら持つて行きましても賣れないのであります。やはりこういう水準程度の低い、経済程度の水準の低いところの利用國に対しましては、それに相当するところの品物を賣ることが一番適当だ。これは実はほかにもあるのであります。柳ごうりが兵庫縣からたくさん出ておるのでありますが、これも終戰後いい品物をつくらなければいけないということで、縣の方でも檢査に相当嚴格な規格をつくつて、いい品をつくらしておるのでありますが、最近アフガニスタンの方からそんないいものはいらない。惡くてもいいから安いものを送つてもらいたいという要求がありました。アフガニスタンにおけるところの需要の用途を聞きますと、向うでは商品を入れて陳列するのに使うのだ。決してものを入れて包装して送るのではない。ただ店の陳列棚のかよりに使つておるのだということで、そんなに強くなくてもいいのだという要求があつたということを聞いておりますが、これもまたその一例でありまして、高くかかつてもいいからいい品物をつくるという方針は、必ずしもいい結果を來さないという点において、この方針については再檢討する必要ありというふうに考えるのであります。さらにまた金融拘束が各地とも全面的な共通な問題で、強い要望もありますとともに、電力の不足、これがまた各地とも非常に大きな問題でありまして、電力の開発は何といつてもこの際緊急な措置であるということを深く感じたのであります。特に四國におきましてはすでに開墾できるところのものは全部開墾いたしまして、今後残された所はどうしても電力の開発をやつて、工業の振興をやるよりほかに四國復興の方法はないのであります。現在四國におきましては四縣の総合復興計画を推進いたしておりますが、その一番大きな目的はやはり電力の開発であります。中國においてもまたしかり、近畿においてもしかり、電力さえあればという声が至るところに非常に高いのでありますから、電力の開発についてはこの安定委員会といたしましても、今後十二分に努力する必要ありと考えます。ところが今の東北振興の調査報告の結果として、分割案に非常に反対されておりますが、しかし近畿その他の方面におきましては分割案に大賛成であります。今のような一元的な電力の配給状態では非能率である。しかもこれがために開発も遅れる。電力は高いというようないわゆる独占企業としての弊害が、あまりにもはつきり露呈しておるのが今の現状であります。かるがゆえに今後はどうしてもこれを分割いたしまして、各地で競爭させる、サービスをさせるという面に指導して行くことが、今後の大局的から見た電力行政の根本的政策である。こういうふうに各地で要望しておりますし、またわれわれもそういうふうに考えております。
 もう一つは木炭でありますが、これは電力にも関係いたしますが、木炭は各地におきまして非常に多量にストツクしておるのであります。各地とも調査廳あるいは経済安定局、いずれもが木炭の対策に対しましては非常に苦慮いたしております。從つてこれが統制を一日も早く撤廃いたしまして、自由賠賣にする要ありということを深く感じたのであります。ただここに一應考慮せねばならたと思いますのは、木炭がなぜこういうふうにたくさん出るかということでありますが、これは中國方面におきましては先年農地改革をやつた結果、この貴重な田地をマル公というただのような價値でとられた。これがために地主は非常な苦境に陷つた。やがてまた山林の改革があるかもしれない。これは現在われわれの時代におきましてはやらないということをはつきり言明しておりまするけれども、一部の思想的関係者の面からは、早晩やるのだということをしきりに宣傳しているということでありまして、もしこの上山林に改革をやられてはたまらぬ。今のうちに山をはだかにして、はだかの山を國に賣り渡す。その方が得策じやないかというような考え方から、しきりに美林を伐採して、そして炭なり木材の方にまわしておるということであります。これは今後非常な大きな問題だと思いますので、かように誤つて貴重な山林を伐採し、そしてむざむざ木炭を多量に生産しているような措置は、一日も早くやめさせるような方法をとる必要があると考えます。
 もう一つは貿易、これに対しましても最近九原則の実行から為替が三百六十円設定前までには、五百円あるいは五百五十円あるいは六百円というような為替でなければ引合わないということで、貿易廳が経済的知識のないのに乘じて、かなり水を入れたところの原價計算をいたしている形跡が多分にあつたのであります。ところが三百六十円という為替がはつきりきまりまして、そしてしかも一方九原則の実行から、各産業とも非常に経営はまじめになつて來た。むだを排除して來たということから、原價は非常に安くなつておるのであります。從つてこの春におきましては、三百六十円の輸出なんかは思いもよらないというような産業も、近來におきましては相当輸出が可能となつて來たというふうな方向に向つておりますので、それにもかかわらず輸出が不振である。これは網外の購買力が低下したことにもよりますが、一つはフロア・プライスが維持されている。これが非常な障害となつておりますので、フロア・プライスを撤廃する必要があるというふうに考えたのでありますが、幸い先般四、五日前ですか、フロア・プライスを撤廃するということに安本の方針が決定したということでありますので、大体この処置によつて相当効果があるものと存じます。ただ、今のFOBの商賣をCIFにしてもらわなければならぬ。それにはどうしても日本船を使つてもらわなければならぬという声が、造船界を初め各貿易業者からも非常に強い要望があつたのであります。これは造船から見ましても、非常に有益なことでありまして、日本の貿易を振興し、外貨を獲得するためにも、一日も早く日本船舶を使い、そしてFOBをCIFに切りかえる必要があると存ずるのであります。
 もう一つは各地における陳情の効果が一つもないという苦情であります。今日まで衆議院、参議院が幾たびか調査に行く。そのときに地方民は眞劍になつてその地方々々の問題を打開していただくべく、熱心に陳情するのであるけれども、そのときに非常にできるような返事をしながら、帰つてからあとは一向沙汰がない。何らそれが反響がないという苦情が相当あることを耳にいたしまして、これは國会の権威のためにも、またせつかく各委員が現地を調査いたしたのでありますから、できないものはできないといたしましても、できる限りこの地方民の要望に沿うて陳情を有終の美あらしめるような方針に、お互いが勉励努力しなければならぬと存ずるのであります。
 もう一つは視察團が一應行くということを前もつて知らせて、そこで各府縣におきましてもこれが準備に万端の考慮をして待ち受けておる。にもかかわらずそれが半分になつたり、三分の一になつたり、あるいは全然來なかつたりというようなことで、非常に地方の各官廳に迷惑を與え、失望を與えるというようなことも各地で承つたのでありますが、今後は前もつて通知をいたしましたならば、なるべく委員は万障繰合せて、そうして約束通りそろつて視察するという方向に向うことも、また國会の権威のために必要じやないかということを痛感いたしたのであります。
 それでは長くなりますから大体この程度で概略の御報告をとどめまして、なお他の方から補足していただき、そうして詳細なことは調査報告書によつて申し上げるということにいたしたいと存じます。
#11
○小野瀬委員長 それでは近畿、中國、四國班で何か補足御説明の方がありますか。ありましたら御発言願います。――ないようでありますからそれでは今度は北海道班の森君。
#12
○森(曉)委員 北海道班の調査概況を報告いたします。
 北海道班は六月十一日に東京を出発いたしまして、十三日の朝札幌着、ただちに日程に從いまして視察を始めて参りました。私はちようどあいにく病氣になつたので、二日ばかり遅れて一行に参加しました。一行は多田、前田、足立、それに私を加えましてこの四委員と專門員室から菅田、古谷の両君が参加いたしました。
 調査の詳しい報告はいずれ書類で出しまするがために、ただいまは非常に簡單にごく大ざつぱな、しかも一番目についた事柄だけを御報告いたします。
 最初に北海道班が視察いたしました日程を申し上げます。
 六月十三日は札幌地区でありまして、札幌地方経済安定局、同管区経済調査廳、同通商産業局、北海道廳、それから北海道酪農協同株式会社、帝國石油株式会社石狩油田、石狩地区灌漑施設、篠路村種蓄場、大日本麦酒札幌工場、これらを視察、調査いたしたのでありまするが、十四日には夕張地区へ参りまして、北海道炭鉱汽船株式会社清水沢発電所、同社の夕張鉱業所、夕張市役所、十五日には東洋高圧の北海道工業所、日本発送電の石狩火力発電所、それから砂川地区に参りまして、三井鉱山の砂川鉱業所、新十津川開発地区、十六日は旭川地区経済調査廳、それから日本発送電の石狩川電力開発計画を聽取いたしました。それから昭和電工の旭川工場、國策パルプ工業株式会社の旭川工場、北海道協同紡績の旭川工場、合同酒精株式会社、十七日は北見の市役所、日本発送電の眞勳別発電所、十八日には太平洋炭鉱株式会社、釧路地方経済調査所、釧路埠頭倉庫株式会社、配炭公團の釧路支所、北海道化学肥料株式会社、釧路市役所、二十日には王子製紙の苫小牧工場、千歳第一水力発電所、二十一日には日本製鉄輪西製作所、日本製鋼所の室蘭製作所、二十二日には通商産業局において北海道における電力事情その他を、それから北海道配電株式会社等から電力事情を聽取いたしました。そのほかに北海道廳の方々にお会いしまして、北海道の総合開発計画につきまして詳細に一應説明を聞いたのであります。二十三日には函館地方経済調査廳、函館船渠株式会社、日魯漁業株式会社、函館定温倉庫株式会社、こういうところを調査視察いたしまして、私どもの日程を終つたのでありますが、北海道班が調査いたしました行政部門の視察概況や、そのほか各種の産業のおのおのにつきましては、いずれ書類をもつて提出いたしますので、ここではその各個別の問題には触れません。しかしながら私どもが北海道に渡りまして、朝から晩までだれに会つても聞いた問題は、電力の問題と資金の問題でありまして、北海道は今日でもまだ、当時一年中で一番水の多いときだつたのでありますが、それでもなおかつろうそく送電あるいは電力三段規制というふうな状態で、夜になるとほとんど字も読めないという状態であります。もちろん各種の産業におきましては、ほとんど操業の半分以下の電力しかもらえないという状態でありますので、どこへ行つても電氣が足りないということで、内地で私どもが想像しましたよりもはるかに大きな氣力の不足を、私ども現に行つて見て痛感して参りました。從いましてただいまの報告はまず水力発電所の状況について御報告申し上げます。
 電力関係では水力におきまして眞勳別、虻田、千歳の各水力発電所を視察いたしました。眞勳別は御承知の通り、石狩川水系に属します発電所の一つでありまして、最大の出力が一万六千四百キロワツト、常時五千二百キロワツトであります。虻田は長流川水系の洞爺湖から導入いたしまする発電所で、最大の出力が一万九千五百キロワツト、常時九千九百キロワツトで、昭和二十五年八月の竣工を目指してただいま取入設備の増強等、電機施設の組立工事を急いでおります。千歳の第一発電所は、支笏湖から千歳川に流れまする水路に建設されました五つの発電所の中の一つであります。王子製紙が水利権を持つておるのでありますが、この最大出力は二万キロワツト、常時一万一千キロワツトの能力を持つております。
 その次に火力におきましては北炭の清水沢、石狩火力、三井砂川鉱業所、そのほか各産業付設の設備を視察いたしました。北海道の北炭の清水沢発電所は北炭の自家発電設備が常時出力四万九千五百キロワツト、発電機は六千キロワツト二台であります。一万二千五百キロワツト一台、二万五千キロワツト二台を持つておりますが、ただいま二万五千キロワツト一台は修理中で、完全な運轉体型ではありませんでした。清水沢での問題は、火力発電コストが水力の約三倍に上る。從つて外部に送電いたしましてもそのコスト高の補償のないことが非常な問題だということであります。故障設備の補修資金が得られないこと、これらが陳情のおもなものでありました。すみやかに何とかこれを解決してほしいということでありました。その次に石狩火力でありますが、これは東洋高圧の構内にありまする未完成設備であります。この発電所は完成寸前に戰爭のために設備をよそに持ち出されたものでありまして、五万キロの火力発電計画であります。建物もそのままただいま残つておりますが、昭和二十六年末までには完成の予定と開きました。その次に三井砂川鉱業所の火力設備は、出力が五千キロワツト、認可出力が四千五百キロワツト、目下の出力は一八%減と聞きました。老朽設備の復旧を計画しておるのでありますが、これは今日御多分に漏れず資金面に悩んでおります。どこの自家発電設備を見ましても、みな一樣に発電コストが受電に比べまして非常に高いという点で苦労しておるのであります。しかも保安電力確保のためにどうしても発電しなければならないという当局の方針は、自家発電設備所有者に非常な犠牲を求めるものであります。この点がはなはだ不合理であるというふうに主張しておりました。
 その次に炭鉱ならびに油田関係について申し上げます。私どもは炭鉱では北炭の夕張、三井砂川、油田では帝石の石狩油田を視察いたしました。北炭の夕張は一万二千名の從業員と年産百万トン以上の出炭力を持つています。計画の遂行率は八五・五%、これは二十三年度であります。清水沢に自家発電設備を持ちまする夕張鉱での問題は、開発問題と、炭住問題と、夕張市火災復興の問題とであります。これらの諸問題はすべてが資金の問題に帰一するのであります。四千二百万トン達成のために夕張鉱が負担すべき企業工事予算は十七億二千二百万円、トン当り二千五百円で、第二平和鉱の日産が七百トンを越えたときまでの費用であります。このうち見返り資金で一億七千二百八十万円の支出査定を受けておるのでありますが、あとの資金調達が大問題で、そのほかに前に申し上げました清水沢火力の補修費があります。炭住問題も一部建設を見ておりますが、これも資金の問題で行き詰まつております。火災復興の問題は、市内目拔きの享樂街を燒失いたしましたために、從業員の慰労、娯樂の設備完備のために融資を陳情しております。三井の砂川炭鉱は埋藏量が二億二千万トン、出炭量が七十二万三千トン、日産二千三百五十トンで、二年後には日産三千トンを目指して増産対策を立てております。砂川炭鉱の問題はさつき申し述べました通りに、自家発電に対しまする補償の問題と、新坑開発資金の問題であります。新坑開発は三井の奈井江炭鉱の開発資金問題で、埋藏量が一億七百万トン、炭質が六二四五から七七〇〇カロリーであります。昭和三十年度の出炭五十万トンを目ざすものであります。
 その次に石狩油田でありますが、これはすでに老衰期で、帝國石油といたしましては、むしろ天塩、北見の新坑視察を希望しておつたのでありますが、私どもの日程の都合でもつて石狩油田だけを見ました。現在坑井数は石狩地区が八十七坑、厚田が八坑、生産量が原油日産五〇・五キロリツター、ガスが一八五〇キロ立方メーター、揮発油が〇・五キロリツターで、貯槽能力は原油槽が八〇〇キロリツター、水槽が二〇〇キロリツター、揮発槽が一〇〇キロリツター有しております。八の沢地域からポンプ施設とパイプ・ラインで函館本線の軽川まで送油しております。石狩油田自体といたしましては、さらに深い層の探坑を望んでおりますが、新しい希望を北見、天塩にかけて、見返り資金計画にもこれは織り込まれております。
 その次に製鉄、造船その他の報告は報告書に讓りまして、現在日本がいくさに負けて非常に國土が狹隘になつた。しかしながら北海道はその面積におきまして全國の二一・二%を占めております。しかも人口はわずかに五・一%の四百二万であります。全國の人口密度一方キロ当り二百十二人に比べまして、四十九人にすぎない状態であります。このことは今後日本がどうしても四つの島の中にとじこもらねばならないときに、この廣大な比較的人口密度の少い、しかも割合に地下資源を持つておる北海道というものに、どうしても私どもはその目を強く注がねばならないと思います。今日各種の産業につきましても、その置き去られました状態が、あまりにもはつきりとしております。産業別の人口を見ますると、農林業で四五・五%、工業では一一・七%、水産は八・〇%、運輸通信で七・七%、鉱業で七・六%、商業で四・九%程度であります。農業について見ますと、北海道の耕地面積は全國の一四・八%程度で、その特徴は水田に比べまして畑が多いことであります。全國では田と畑の割合が五十七対四十三でありますが、北海道では二十対八十であります。そのほか一戸当りの経営面積が多いこと、小作農家の多いこと、酪農の多いことなども、北海道農業の特性を示しているのであります。寒地農業地の北海道では、開拓の可能面積が七十八万七千八百七十三町歩、これがただいま資金と人力と熱意を待つておるのであります。今日北海道の開拓は日本の人口問題解決の一策として、今までのような自立的要素を欠く無責任な開拓政策を強く反省しながら、強力に推進すべき時期に來ておるのだということを私ども確信いたします。そのためには泥炭地帶の開墾に対しまする積極的な助成と、開拓入植者が多角的な農業経営の基礎を確立して自立のできるまでは、どうしても國家的援助を積極的に與えなければならないと思います。
 その次に水産業について見ますれば、かつては世界の三大漁場の一つでありました北海道は、戰後の漁獲が戰前に比べましてその半分、つまり一億七千万貫に減少しております。開発計画は第一に未開発魚田の開発、沿岸漁業の改革、水産加工の増進、これらを取上げておりまするが、要は制限された沿岸地帶におきまする一部濫獲と、海流変化によりまする來遊魚群の減少に備えて、魚田の培養と開発に積極的な施策を講ずることが、目下の急務であると思うのであります。
 その次に工業について見ますれば、北海道の工業は全國に比べまして、まことに低水準にあります。わずかに食品工業が二十二年において全國化一二・四%、これに次ぐものは製材工業が九・二%、化学工業が四・五%、金属機械は三・〇%にすぎないのであります。しかも製鉄、製鋼、製紙、肥料など特殊な施設を除きましては、ほとんど設備技術の水準また能率におきまして、非常に小さなものばかりであります。開発計画では道内資源を道内で消化いたしまするために、食料品を主とする消費工業、そのほか廣く化学工業の急速拡充、金属機械工業の勃興、これらに基本を置いておるのでありますが、それとともに遊休大施設の活用が強力に要望されるのであります。
 もう一つ私ども感じましたことは、ただいままでは北海道というところは、内地からは距離的に言つて大分離れたところで、北海道でたとえば製鉄、製鋼事業が興るという場合に、北海道の特質、特長をとらえて仕事が起つたのでありますが、この統制経済のさなかにありまして、その特長をほとんど特長として生かし得ず、むしろそうしますると、逆にかえつて割の惡い仕事になつたのであります。たとえば石炭の必要な工業が石炭の近くにある。あるいは電氣の必要な工業だから電氣の近いところへ工業を興すというような状態なのに、そばの石炭がやはり一般の状態と同じ形に置いておかれるというようなことになりますと、かえつて立地條件が逆に惡くなるという状態でありますので、これらの状態を一刻も早く取除かなければ、北海道における特殊な産業は、とうてい発展でき得ないことだということを私は見て参りました。たびたび申し上げました通り、北海道のただいまの工業は、電力不足と金詰まりの二つの隘路に非常にあえいでおります。電力問題の解決は、少くとも北海道工業の最大の重要問題であると私は考えております。
 次に動力資源につきまして申しますならば、電力問題の解決は北海道発展の今後を決定するものと言えるのでありますが、現在の発電設備は、水力が二十八万キロワツト、火力が二十二万五千キロワツトであります。電力の需要量は、採炭、化学工業、金属工業等の復興とともにますます増大し、全道にわたりまして、先ほども申しました通り、豊水期にかかわらずろうそく送電、三段規制など、深刻な樣相を呈しているのであります。本道発電の特質は、火力が全体の四四%を占めております。そのために水力に比べまして、きわめて大きな役割を持つておるのでありますが、水力の包藏目標は百五十三万キロワツト、未開発百二十五万キロワツトを計画しております。電源は水系の勾配緩漫と雨量に災いされまして、火力発電はコスト高と補修費用の問題に悩みまして、早急な措置をとれない実情にあるのであります。開発計画は、新規電源開発計画と設備改善計画、特別改修計画、この三つを立てておりますが、應急の間に合わない現状であります。いずれにしましても、北海道の電力問題は急速な解決を要します。まず火力発電施設の復活をはかり、あわせて水力電源の開発に着手すべきものであります。なお北海道の地理的條件にかんがみまして、地方團体によりまする小型の発電施設の設置を奨励して、政府の補助制度を確立すべきじやなかろうかと思います。
 その次に商業金融について申しますれば、北海道経済の性格は、原料供給地でありまする農本主義的育成の域をまだ出ていないのであります。從つて商業の分野も問題外に狹いのであります。資本蓄積の弱いこと、資金流動性の過小なこと、しかも蓄積資本の零細なこと、これら地元資本の貧困から、内地資本への依存が相当に強いのであります。全道が至るところ金詰まりの今日、道内産業金融の主点は、北海道開発の特性に基きまして、公共性を持つた資本の特殊なる金融措置が望ましいのであります。見返り資金並びに國家の直接投資、あるいは裏づけ資金の登場が特に要望されるわけであります。
 その次に北海道で忘れられない問題は交通事情であります。合計四千百七十四キロの鉄道はあまりにも貧弱であります。ことに内地から北海道への距離については、連絡船あるいは乘りかえ等に要しまする時間は、北海道の開発を必要以上に遅らせるのではなかろうかと思います。私は昨年アメリカへ行つたのでありますが、ロスアンゼルスまで三十時間、ただいま函館までが約それくらいでありまして、アメリカ大陸までのことを考えますると、函館まで行く時間には往復してしまうというような遠い距離であります。どうしても北海道の開発にはもつと距離を縮めることが、ぜひ必要ではなかろうかと私は思います。
 以上目ぼしい産業についてそれぞれの概観と特質と計画と要望とに触れましたが、これを集約いたしますると、最初にも申し上げました通り、北海道の問題は電力と資金の問題――ただいまではまず電力と資金の問題に盡きると申し上げたいのであります。
 まず第一に電力の問題を、資金計画とにらみ合せながら、最も手近で具体的に即効をあげ得る改補修の段階から始めて、あわせて恒久計画の実現に入ることが最も着実な施策と言えるのであります。この意味におきまして火力設備の改修が、発電コストの引下げ問題とともに最優先に取上げらるべきだと思うのであります。その次に資金の問題につきましては、見返り資金そのほか中央関係資金の動員と、北海道開発の推進に役立つ特殊な金融措置を講ずべきことは、言うまでもないのでありまするが、弱小でも地元資金の積極的動員策が当然考慮されるべきであります。
 いずれの見地から見ましても、採取産業段階を遠く出でない北海道の産業経済の開発は、ただいまはまだ資本投入の時期でありまして、果実採取の域にはほど遠いのであります。投資と努力のない実りは無暴であります。それとともに道内開発の計画は、日本経済の全般的な必要性と関連いたしまして、國際経済との交流をも十分に考慮に入れながら、さらに新たなる意義と意図とをもつて地域的発展への偏向を補正して進むことが必要と思います。この見地から、北海道の発展を日本経済の発展の総合的一環として進めるとともに、経済安定本部の出先諸機関もできる限りの努力を集中して、復興の隘路打開に努むべきであります。
 これで私の報告を終りますが、要を盡さない点が多々ありますので、同行の各委員から補正をしていただきたいと思います。
#13
○小野瀬委員長 この際お諮りいたします。時間はすでに零時四十分を越しておりますが、先ほど申し上げました通り、速記の方が十二時半までという約束であつたのでありますが、すでにその時間も越えておるのでございますけれども、午後の会議の都合上、できることならば九州班の御報告まで済ましていただきたいと思うのでございますが、いかがでありますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○小野瀬委員長 それでは九州班の代表の方に、ひとつ御報告を願いたいと思います。
#15
○細田委員 それでは簡單に九州の御報告を申し上げます。こまかくはまた調査書によりまして御報告を申し上げることにいたしまして、簡單に概要を申し上げてみたいと思います。
 六月二十六日に東京を出発いたしまして、二十七日に門司に到着いたしました。ただちに戸畑の火力発電所、黒崎の三菱化成工場、八幡製鉄所をその日に拜見いたしました。二十八日には直方の爆発試驗所、三菱鉱業の新入炭坑、金丸鉱業の大隈炭鉱、日本鉱業の高松炭鉱を、また翌二十九日には福岡の経済安定局経済調査廳の調査をいたしました。三十日には杵島炭鉱を拜見させていただきました。七月一日に長崎地方経済調査廳並びに長崎縣廳に伺いまして、さらに三菱重工長崎造船所、三菱電機長崎製作所を拜見させていただいたわけであります。翌七月二日に日発の港第一発電所、第二発電所、三井化学の三池染料工業所、三井鉱山の三池鉱業所を見せていただきまして、次に七月三日が熊本縣水俣の日本窒素水俣工場、七月四日に鹿兒島縣廳、鹿兒島経済調査廳、日本澱粉工業株式会社を見まして、七月の五日には宮崎縣の延岡に参りまして、旭化成の延岡工場、宮崎縣の地方経済調査廳を見たのでございます。翌々日の七月七日に佐賀関精錬所を見まして、大分地方の経済調査廳を見まして、九州地方の視察を終了いたしたわけでございます。
 これを要しまするに、九州の一番大きな産業としての炭鉱を――大きな炭鉱だけではという考え方をもちまして、ちようど二十八日の日に金丸鉱業の大隈炭鉱を拜見させていただいたのでありますが、炭層がおよそ一尺五寸ないし二尺以下の炭鉱でありまして、この炭鉱を経営しても、はたしてほんとうに耐え得るであろうかどうかということを、経営者にも質問いたしましたところが、私の方はそのことについては非常に自信を持つておるから、あるいは一應もし補助金が打ち切られるようなことがあつても、何とかやりくりをして行くつもりだという言葉を聞きまして、私どもも実はびつくりしたのであります。その他の炭鉱の杵島炭鉱の三尺有余の炭層、さらに大きな三池の炭鉱のような六尺以上一丈もあるようなところ、ことに三池のボタの少しも入つておらない優良炭、それらのものは非常に今後経済上有利であろう。しかるに片一方はそれだけでも何とかやつて行こうという意欲に対して、私どもも一應の敬意を拂いましたわけであります。九州の石炭は御承知のように、全國の出炭量の割合から申しますと、非常に大きな割合を持ち、また九州全体から申しましても、重要産業でありますために、九州の石炭に要する電力並びにその他の資材、金融等があまりにその分量が大きいので、むしろ他の産業を圧迫しているのではないかというようなことを、経済調査廳などでも盛んに申しておるのであります。統制中におきましても、食糧に至るまで相当な圧迫が石炭のためにあつたということを申しておるのでありますが、これはけだし今までの日本の炭鉱の重要性から見て、やむを得なかつた実情であると考えておるのであります。八幡へ参りましたところが、やはり先ほども各班からお話のありましたように、一番困つておりますのは、電力と金融の関係でありまして、八幡でも関連産業の方々、安川電機を初め数社の組合の方々がおいでになりまして、どうも金融上困つておるから、何とかこれを処置してくれなければ困るという陳情がありましたが、私どもが参りましたあの当時は、実に金融事情がひどうございましたので、これは目下極力その方面について心配されておるようであるから、近く解決するであろうということをそのときにもお話したのであります。その当時三十億円あると言われておりましたが、北九州の関連産業だけで、三十億という金は非常に厖大な金でありまして、私どもは同情をいたさなければならぬ。ぜひとも解決を早くいたしたいとそのときも考えたのであります。その点炭鉱の方面から見ますと、炭鉱方面では、先般五月の労働爭議がありましてから以來、むしろ人も減つておりますにかかわらず、出炭量は非常にふえているような状況でありまして、その後の作業状況は非常によろしい。本年度における政府の出炭計画については、必ず断行できるであろうということを、各炭鉱とも申合せたように申しているのであります。しかしながら先ほども申し上げる通り、各資材面における問題の一部と、なお今後の新しい坑道をつくつて行く、またつくりつつある問題などに対する長期産業資金的な面の確保を十分にしてやりませんと、予期の生産が上らぬばかりでなく、また日本の石炭の出炭に対する將來性について、重大な問題が起るということを強調しておられたのであります。これは高松炭鉱におかれてもそうでありますし、また三池炭鉱においても、そのほかの炭鉱においても、だんだん坑道が長くなるために、坑道の距離を短縮する上から申し上げても、新しく坑道を施設するということは非常に必要でありまして、その問題についての解決がつかないと、出炭量の面において將來の出炭に大きな支障がある。これをぜひ解決していただきたいということをみな要望されておつたのであります。しかも中途でそれをやられるということになりますと、水の出る関係などもありますし、非常に経済的な不利をかもすのであるから、もうすでに始めているようなところは、つとめて迅速に解決をしていただかなければならぬということを、強調しておられたのでありますが、ごもつともなお説と拜聽したのであります。
 それから化学工業の問題であります。三菱化成の黒崎の工場でございますが、三菱化成の黒崎工場では、高松炭鉱からだんだん炭坑が延びて來るに從いまして、目下持つている貯水池の下に当然それが來なくてはならぬ結論になるので、その貯水池が落磐いたしますと、貯水池がなくなつてしまうことによつて、水の補給路を断たれるということになりますと、この三菱化成の工場は非常に困るということを、ぜひ何とか強調願いたいと盛んに言うておられました。今他に水を求める方法がないということを言うておられましたが、これまた化学工業として重大な問題であるように私ども拜察をして参りました。なお化学工業問題のこと、三井染料なども最近の実情によりますと、やはり品物がむしろ余りかげんでありまして、輸出の問題なども、人造藍の輸出もインドに盛んに行つているのだが、それも最近あまり活発でない。そのためにすべての染料ともに余りつつあるような状況で、ことにそのためには金融の圧迫も相当にひどいので、ぜひともそういう方面の解決を願わなければならぬということと、どうも化学工業は、一部の施設に対して非常に磨滅する大きな施設があるので、そういう問題について長期産業資金的なものか、さらに將來的に申しますと、資産の再評價のような形によつて解決する道を開いていただかないと、化学工業としては將來の経営に非常に打撃が起るのではないかということを、強調しておられたのであります。
 それから次に電力の関係でありますが、九州では御承知のように、火力が五二%、水力が四八%というような比率で、火力発電が非常に多いのであります。從つてこの七ブロツク制の問題については、強い業界の反対、また電力以外の業界からもぜひこれは七ブロツク制はやめてもらいたい。九州は火力が多くて、ことにそうでなくとも非常に値段を高くならなければならぬ状態にあるのだから、ぜひともこの点についてはブロツク制に対する十分な檢討を願いたいという、強い反対の意見があつたように考えます。それで中國の方との関係についても電力関係から申しますと、いま少しく連絡を十分にするようにして、現在の不足量もぜひ補つてほしいという希望もたくさんありますが、戸畑火力発電を拜見しますと、約二万五千キロくらいのものが五基あるにもかかわらず、大体三基休んでおりまして、二基は解体になつておるように思いました。從つて二台が完全に運轉をしておりますので、おそらく五万キロ程度の発電能力であつたと思います。もう一つ今新設されておりますが、これらを急速にやらなければいけないということと、さらにむりをすれば動くのではないかと考えられるような節のあるものも、石炭が高くて價格が引合わないとか、あるいは資金難のために急速に修理をすることができないとかいう難点があると言うておられましたが、これらは日発の性質から申しましても、急速に解決をする必要があるのではないかという感じをもつて見て参つたわけであります。從つて水力方面の解決というようなことは、やはり北海道と同じように非常に必要性があるわけでありまして、最近宮崎縣下におかれましても、縣の計画としてそういう計画をお持ちになつているようでありますし、鹿兒島縣でも屋久島に開発をするというような計画を持つておられますし、さらに大分地方におきましても、各所に水力の開発計画を持つておられるのでありますが、これは極力助成をすることにいたしまして、この水力開発に当らなければならないのではないかという感じがいたしたのであります。それから佐賀関精錬所に参りまして、佐賀関精錬の電氣銅あるいは電氣鉛なども、これまた最近生産がむしろ非常に上つておる関係と、需給の関係、金融の関係等から品物がむしろ停滯をしておるような実情でありまして、これまた輸出の面の開拓その他によつて、金融の道の開拓をしていただかないと非常に困るということを、佐賀関精錬所でもことごとく言うておられましたが、まつたく今の電氣銅、電氣鉛の重要性にかんがみましても、その面の解決はぜひ一日も早くしなければならぬものだと考えられたのであります。なお長崎造船に参りまして、フイリピンの貨物船三隻を今起工しようというような計画になつているのを拜見して参つたのですが、やはり今のところではいろいろな資材面の、ことに塗料のようなものなども非常に優良品がないので、ぜひそういう面のあつせんをしてもらわないと、ほんとうにいいものができないのではないか。またあそこで強く所長初め要望しておられましたことは、ぜひとも衆議院などでもお力添えをいただいて、一日も早く日本の船をつくつて、現在の運賃関係を解決する方向に乘り出してもらわなければならぬのではないかという、当業者としての意見を述べておられましたが、まことにその通りでありまして、日本の現在の運賃関係の解決こそ、一日も早くいたさなければならぬものだと私らも反省させられたわけであります。
 大体以上のようなことでありまするが、こまかい問題は、先ほど申し上げました通り報告書によることにして、これを要しまするに、九州もやはり電力と資金の問題が一日も早く解決しなければならぬ問題に迫られておりまして、化学工業にしても、石炭にしても、その他あらゆる重工業方面にしても、その解決がなくては強い増産ができないのであるというような感じがいたします。資金と電力の問題を解決することが焦眉の急であると考えます。はなはだ簡單でありますが以上をもつて九州の報告を終ります。
#16
○小野瀬委員長 ありがとうございました。
 以上をもつて各地方に派遣せられました委員からの班を代表しての御報告は、終了いたしたのでございますが、この詳細なる報告については、後日議長に文書をもつて報告いたしたいと思います。ただいま派遣委員各位から視察報告の概要を伺いましても、今回の実地調査の結果は非常に重大な、また意義の深いものがあつたのでありまして、明日の議題となつております対日見返資金の運用等にも、経済再建のため非常に緊急を要する点が多いと思うのでございます。今回の視察によりまして、長い日子とそれから少からぬ費用をかけて得たこの実際の経済状況を、このまま聞きつぱなし、見つぱなし、言いつぱなしであつてはまことに遺憾だと存じますので、これを政府の施策の一助にしたいと思いますので、この際進言すべきものは進言し、あるいは勧告すべき点は勧告し、何らか当委員会としての決議をつくりまして、これを政府に送付したらいかがか、かように考えますが、各位におかれてはいかようにお考えになられますか。
    〔「賛成々々」と呼ぶ者あり〕
#17
○小野瀬委員長 もし御賛成が得られるとするならば、この四地区からの御報告をとりまとめまして、委員会の決議として政府に送付したいと思いますが、その決議書の作成は委員会においてつくりますか。それとも各班から二名ぐらい、そのほかに各派から少くとも一名ぐらいに入つていただいて、その代表の間でつくりまして、これを本日中にとりまとめまして、明日の議題に入る前に、それを皆樣にお示しして御了解を求めてから政府に送付し、また口頭でも政府に向つて御注意申し上げたい点は、御注意した方がいいじやないかと考える次第であります。なおその文案作成の前に、今度は代表報告でなく、派遣されました委員の方が、ほんとうに目から見、耳から聞いたことをフリー・トーキングのような形で自由に御発表願いまして、その御発表になつた意見を、今度の決議の中に盛り込みたい、かように考える次第でございますので、たとい派遣委員として現地に行かれない方でも、ただいまの御報告を伺つていろいろと御意見があると思いますが、そういう方々の御意見もやはり貴重なものだと思いますので、この決議の中にとり入れて行きたい、かように考えておりますが、いかがですか。
    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#18
○小野瀬委員長 それではその方法はどういたしましようか。全員でやることにしますか。
#19
○前田(正)委員 全部出て自由に話していただいた方がいいでしよう。
#20
○小野瀬委員長 それではそのように決定いたします。二時から再開することにして暫時休憩いたします。
    午後一時十三分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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