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1947/10/20 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第40号
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1947/10/20 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第40号

#1
第001回国会 本会議 第40号
昭和二十二年十月二十日(月曜日)
   午前十時四十八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第三十九号
  昭和二十二年十月二十日
   午前十時開議
 第一 会期延長の件
 第二 政府職員に対する一時手当の支給に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略致します。
#3
○議長(松平恒雄君) これより会議を開きます。十月六日本院に予備審査のため送付せられました経済力集中排除法案に関して、特にこの際和田國務大臣の説明を求めたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。和田國務大臣。
   〔國務大臣和田博雄君登壇、拍手〕
#5
○國務大臣(和田博雄君) 経済力集中排除法案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。
 政府は連合國の対日占領に関する基本方策に則りまして、すでに財閥等の解体に著手し、又いわゆる私的独占禁止法を制定実施いたしまして、國民経済の民生的で健全な発達を図るため、その障害となりまする不当な行為を排除し、独占的企業集中体の発生を防止する等の措置を講じておる次第でございます。併し我が國経済の現状を見ますると民主化のための各般の措置が所期通りの効果を挙げまするためには、免ず以て急速に且つ徹底した手段によりまして、いわゆる経済力の集中を排除しなければならない必要を痛感する次第でございます。即ち我が國経済の現状におきましては、過去の軍國主義的な乃至封建主義的な経済の残滓とも言うべき、いわゆる経済力の集中が堆積いたしておりまして、先ず以てこれをできるだけ速かに排除するのでなければ、私的独占禁止法等による恒久的措置につきましても、到底所期の効果を期待し得ないと存ずる次第でございます。言い換えますと、目前に堆積しました経済力の集中を排除しまして、始めて我が國がすでに採つておりまする、又これから採ろうと思いまする各般の民主化のための措置が、その実効を挙げることができまして、本当の経済民主化の基礎が作られるのでございます。尚この点につきましては、かねがね連合軍総司令部全体よりも、右のような方針の下に各般の指導を受けつつあることは、すでに御承知のことと存じます。
 経済力の集中の排除は、その目的から申しまして、徒らに我が國の産業経済を細かに解体、分割しようとするものではなくして、國民経済を平和的且つ民主的に再建しますための基礎を作ろうとするものでありますから、それは又將來の民主的な秩序に相應ずる経済の合理的な再編成を行うという、積極的な件用を持つものでなければなりません。この意味におきましても、この法律は民主的で健全な國民経済再建の基礎を作ることをその目的といたすものでございます。もとより経済力の集中の排除は、我が國産業経済に廣汎な変動を與え、國民の権利に重大な影響を及ぼすものであり、又相当大きな権限を政府機関に委任しようとするものでございますから、その実行につきましては極めて愼重でなくてはなりません。そのやり方いかんによりましては、経済界は不安動揺に陷り、企業は萎靡し、生産は沈滞し、金融は梗塞するという虞れがないとは言えないのでございます。政府といたしましては、経済力の集中の排除につきまして、あらゆる角度から種々檢討を重ねて参りましたが、なかんずくこの法律の運用面の檢討には最も慎重を期した次第でございます。政府はあらゆる手段を盡しまして経済界に悪影響を及ぼすことを防ぎ、飽くまで國民経済の合理的な再編成を行なうという建設的な趣旨において、この法律を運用して行きたいと存ずるのであります。次に法律案の内容につきまして簡單に御説明申上げます。この法律は本文二十七條と附側一項から成つておりまして、第一條はこの法律の目的を、第二條は用語の定義を明らかにした総則的な規定となつております。第三條から第六條及び第十七條に経済力の集中の指定に関する事項を規定し、第七條乃至第十二條及び第十八條に、指定された経済力の集中の排除に関する事項を規定しておりますが、これがこの法律の本質的な規定でございます。第十三條乃至第十五條は、利害関係人の総理大臣に対する不服の申立に関する事項を、第十九條、第二十六條及び第二十七條は、この法律と他の法令との関係、持株会社整理委員会と他の機関との関係について規定しております。その外に第二十一條乃至第二十五條に罰則を規定し、附則において施行期日を規定いたしております。
 以下順を逐いまして御説明申上げます。第一にこの法律の目的でございますが、今まで御説明いたしたところで明らかなように、平知的な、且つ民主的な國家を再建いたしますための方策の一環として、できるだけ速かに経済力の集中を排除して、國民経済を合理的に再編成することによりまして、民主的で健全な國民経済の再建の基礎を作ることにあります。第二條ではこの法律におきまする用語について、その定義を割合詳細に亘つて規定しております。
 第二は経済力の集中の指定であります。指定の対象となる経済力の集中は、第三條の各号に掲げられております通り、一つは独占的性質の企業、二番目は関連性のない事業を兼営する企業、三番目は役員の兼任、株式の保有等の方法で、他の企業を支配する企業、四番目はカルテル、シンジケート、トラスト等の制限的若しくは独占的な協定、契約等、第五は個人又は家族の富の集中で独占的企業を支配するもの、以上のいずれかに該当するものでありまして、且つこの法律施行の日において現に存するもの及び昭和二十年八月一日からこの法律の施行の日前において存したものであります。
 この指定を行いますのは特殊会社整理委員会でありまして、同委員会は第六條各号に掲ぐる事項その他必要な事項を考慮して、指定の具体的基準を定めてこれを公示し、この基準に從つて、昭和二十三年九月三十日までの間に指定を行うのでございます。指定の期間は、この法律施行後約一ヶ年間となるのでありますが、指定の遷延が経済界に與える不安を考慮いたしまして、実際は成るべく、短期間に大体の指定を終るようにしたいと思つております。要は迅速に指定を終了しまして、企業等の再建整備の進行に支障がないようにすることにあると存じます。指定は文書で利害関係人に通知して行うことになつております。この場合、利害関係人とは、当該会社その他の團体又は個人、株主、債権者、社債権者の外に、当該会社等の從業員も含んでおります。利害関係人が多数であり、個々の通知が実際上困難な事情もありますから、この通知ほ公告して行なうこともできることに相成つております。指定につきましては、或る特定事業について指定を行わないといつた意味の適用除外の規定は別にございません。併し國、地方公共團体公團、労働組合につきましては、指定を行わないことになつております。又この法律は配給統制に関しまする法令の適用を妨げるものでないことが、規定の上に明らかにされております。指定されました経済力の集中を公共の利益のために排除することが必要と認められるときは、持株会社整理委員会は、当該会社その他の團体又は個人に対しましてその排除の措置を採らなければなりません。併し指定されたものについて必ずしも全部が全部排除の措置が採られるとは限らないのでございます。指定されたものについて詳細に檢討されました結果、特に排除の措置を採る必要のないことが明らかとなりますれば、勿論排除の措置を採る必要はないわけでございます。この場合には指定の取消が行われるのでございます。
 持株会社整理委員会は、指定された経済力の集中の排除につきまして、この法律の目的を達成するのに必要な措置を採らなければなりません。その措置に関しまして必要な範囲内において、第七條第二項各号に掲げるような権能を持つのでございます。持株会社整理委員会は、指定されました経済力の集中の排除につきまして、この法律の目的を達するのに必要な措置を採らねばなりませんし、又以上申述べましたような権能を持つのでございますが、その中、第五号乃至第八号が主たる権能であり、第一号乃至第四号及び第九号乃至第十一号は從たる権能で、概ね右の主たる権能の一般的若しくは個別的前提として、その他その実効を確保する手段として採られる権能でございます。第七條第二項は、持株会社整理委員会の権能の態樣について並列的に掲げておりますが、排除の典型的な進行は概ね次の通りになるのでございます。
 先ず持株会社整理委員会は、会社その他の團体又は個人に対しまして経済力の集中の指定をいたします。指定された経済力の集中が公共の利益のために排除されねばならないときは、整理委員会は、当該会社その他の團体又は個人に対しまして、排除の計画、即ち企業再編成計画或いは財産処分計画の提示を求めます。提示を求めて計画の提示がなかつたとき、又は計画が著しく不適当のときは、持株会社整理委員会はみずからこれらの計画を作成することができます。排除の計画を承認し又は作成しようとするときは、その指令案を文書で利害関係人に通達いたします。この通達は公告をしてこれを行うことができます。指令案を通達した日から十五日を経過した後に、持株会社整理委員会は利害関係人に対しまして、聽聞会を開き、この聽聞会で利害関係人の指令案に対する異議の申立や意見の具申を聽くのでございます。そうして持株会社整理委員会は、利害関係人の異議の申立、意見の具申に基ずいて、指令案に必要な変更を加えて決定することができます。指令を決定しましたときは、決定指令を利害関係人に文書で通達し、又は通達に代えて公告しなくてはなりません。持株会社整理委員会の指令の決定に際して、事実の認定が実質的な証拠を基礎としていない場合、又は実質的な証拠を採用していない場合は、利害関係人は決定指令が通達又は公告されてから六日以内に、内閣総理大臣に不服の申立ができます。内閣総理大臣は、利害関係人の不服が至当であると認めますときは、事件を持株会社整理委員会に差し戻すのでございます。又右の不服の申立の期間及び不服の申立のあつた場合は、その事件が確定するまでの間は当該決定指令の執行は停止されます。
 次にこの法律は公正取引委員会について数個の規定を設けております。この法律が独占禁止法とその目的、作用を異にしておることは、今までの説明で明らにしておると思うのであります。第十六條の規定中の「他の法令」の中には当然に独占禁止法を含んでおり、又第二七條には、独占禁止法の規定はこの法律の規定によつて変更されることがない旨の規定がございます。この二の法律は、それぞれの目的に從つて独自に運用されるのであります。脅しながらこの法律は独占禁止法とその目的において密接な繋がりがあるのでございまして、その発動の対象において実際上競合する場合がございます。尤もその発動の角度は相違しておるのでありますが、対象において競合する場合において、その調整の必要は起つて來るのでございます。そこで持株会社整理委員会が再編成計画の承認その他の処分の指令案を承認しようとしますときは、その指令案を公正取引委員会に対してこれを通達し、公正取引委員会はその指令案について、独占禁止法の規定と違反する場合は、その旨を持株会社整理委員会に指示し、その指示に基ずいて持株会社整理委員会は指令案の変更をなすことができ、又公正取引委員会は、決定指令の執行を掌り、決定指令の変更の申立を受け、持株会社整理委員会は、職権の一部を公正取引委員会に委任することができ、持株会社整理委員会は臨時的機関でありますから、一定期間の後、この法律の権能を公正取引委員会に移すこと等の規定を設け、独占禁止法とこの法律の調整乃至関係を明らかにするようにいたしております。最後に、最後に第二十一條乃至第二十五は罰則の規定となつております。
 次にこの法律と企業再建整備法との関係につきまして簡單に御説明申上げます。この法律の第十二條に企業再編成計画による債権者、株主等の権利の変更に関する規定がございます。併しこの法律によりまする企業再編成計画は、企業を実体的な見地から再編成して行くのが目的でありまして、又その内容でございます。從つてこの再編成計画による債権者、株主等の権利の措置等、企業の経理面の処置は、すべて企業再建整備法又は金融機関再建整備法等に委せるのを適当と考えております。このため必要としまする法律案は、これを本國会に提出する予定で、目下立案中でございます。
 以上によりまして提案理由の御説明を終りましたが、この法律は、その立法の経緯上、法の構成、規定の表現において從來の法律と趣きをやや異にいたしております。併しこの法律の運用についての政府の見解は総司令部の見解と一致しており、又この法律の速かなる施行が日本の國際的信用を確保する上に極めて望ましいことは明らかでございます。從いまして政府といたしましでは、この際末節に拘泥せずに、できるだけ速かにこの法律を制定実施することが、現下最大の要望でありまする経済民主化を非常に推進するものであり、且つ國家大局のためであることを確信いたしておる次第でございます。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことを切望いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#6
○議長(松平恒雄君) この際お諮りいたして決定いたしたいことがございます。國土計画委員長より、水害対策に関する実地調査のため、千葉縣、埼玉縣、茨城縣に原口忠次郎君、岩埼正三郎君、平沼彌太郎君、安部定君、國井淳一君及び石川一衞君を來る二十一日、二十二日の二日間、又文教委員長より、体育界の実情実地調査のため、金沢市に安達良助君、鈴木憲一君及び松野喜内君を來る二十九日から十一月四日までの七日間、又労働委員長から、労働基準局等の実地調査のため、愛知縣、大阪府、京都府に川上嘉市君、赤松常子君、天田勝正君、竹下豐次君及び深川タマヱ君を來る二十三日から二十八日まで六日間、山口縣、福岡縣に栗山良夫君、山田節男君、松井道夫君、姫井伊介君及び中野重治君を來る二十三日から二十九日まで七日間の各日程を以て派遣したいとの要求がございました。これら十九名の議員を派遣することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。
     ―――――・―――――
#8
○議長(松平恒雄君) 日程第一、会期延長の件についてお諮りいたします。議長は衆議院議長と協議の結果、國会の会期を更に四十日間延長することに協定いたしました。議長が協定いたしました通り決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて会期は四十日間延長することに決しました。
     ―――――・―――――
#10
○議長(松平恒雄君) 日程第二、政府職員に対する一時手当の支給に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。
   〔黒田英雄君登壇。拍手〕
#11
○黒田英雄君 只今議題と相成りました政府職員に対する一時手当の支給に関する法律案につきまして、委員会の審議の経過並びに結果について御報告をいたします。
 今日政府職員の生計のますます困難を加えておりまするのに対しまして、臨時應急の措置といたしまして、総平均一人当り六百円をこの際一時手当として支給をいたしたいというのが本案の目的であります。この支給につきましては、最近地域的に生計費の差が誠に大になつておるのでありまして、これに感じまして、地域の区別を更に殖やしまして都市の中で京阪神を別といたしまして、これに対しては給與の十四割、その他二割までの差を附けまして、支給をいたしたいというのであります。それがために要しまする費用は、一般会計並びに特別会計を通じまして、十一億二千二百余万円に相成るのであります。尚地方費負担といたしまして四億四千六百万円を要するということであります。この金額を算出いたしましたのは、基礎は千六百円の水準を七月に千八百円の水準に引上げることに決定をいたしたのでありまして、その差額二百円の七八九の三ケ月分、即ち六百円を以てこれを支給するということに相成つておるのであります。これは全く臨時の、一時の手当であるのであります。これは千八百円の水準とは直接関係を有しないということの説明であつたのであります。尚これにつきましては、官公職員待遇改善準備委員会と團体交渉を政府はいたしましたのでありまするが、この交渉におきまして、組合側においてはいろいろ議論があつたのでありまするが、九月十九日に協議が纏まりまして、覚書が作られたのであります。それによりますと、組合側におきましては、千八百円の水準については不満である。併しこれはこの場合においてこれに拘わらず政府職員の生計は誠に窮迫を告げておるのであるから、その不足の幾分でも補う意味において、臨時の應急の措置としてここに政府が支給しようという金額を受領することは異議がない。併しながら基本給の問題については更に協議をして貰いたい。この千八百円の水準については承認をするわけではないのである。それから支給の方法等につきましては、これを承認することは千八百円の水準の承認と見られる虞れがあるので、これは政府の責任において、政府でこれが支給の方法は立てて支給してくれということであつたのであります。それで、政府は今回の法案を提出し、尚その支給の手続、又基礎となるべき給與、或いは支給の方法等につきましては、大藏大臣がこれを定めるということに相成つでおるのであります。
 かくして質疑に入つたのでありまするが、各委員におきまして熱心に質疑が行われたのであります。その重点は、千八百円の水準の適否、又千八百円の水準を政府は更に檢討更訂する意思があるかどうか。又この法案と千八百円水準の関係等が問題と相成つたのであります。
 その質疑應答の二三を御紹介いたすのでありまするが、先ず七、八、九月と言えば政府の遅配、欠配の行われた時期であると思うのであるが、その穴埋めとするにおいては、これだけの金額では誠に少額に過ぎるではないか。又千八百円の水準では今日の状況において到底普通の生活を営むことはできないのである。從つて政府が綱記の粛正、或いは吏道の刷新ということを叫んでも、これを実行することは無理ではないかというふうな質問があつたのであります。政府としては、この法案によりまする一時の手当は全く應急的の措置であつて、これと千八百円の水準とは直接関係はないのである。又千八百円の水準は、これは堅持するつもりである。即ち物償と賃金というものを同時に安定せしめる目的からいたしまして、新物價体系を拵えたのであつて、それによつてインフレーシヨンに対しまする一つの要塞としてこれを維持して行きたい。これを変更いたしますることは、即ちこれに罅が入ることに相成るのでありまして、どうしても千八百円の水準はこれは維持するつもりであるのである。尚実質的にその収入を殖やす目的といたしましては、配給面において努力をして、マル公によりまするところの配給の部分を多くし、又勤労所得税の軽減等も図つて、そうして実質收入を多くすることによつて、この新物價の体系というものを守り立てて行くことに努めたいのであるという説明であつたのであります。然らば物價に影響をしないところの賃金の引上げは差支ないかという質問に対しましては、一般的、或いは支配的の賃金は若干引上げることによつても物價に影響するのであるが、個別的或いは部分的企業或いは産業において増産をしたような場合において、それに対する報酬としての賃金の増額等は、物價に影響がないと考えるのであるから、それは差支えないと考えるのであるという答弁であつたのであります。尚この法案を承認することにおいて千八百円水準の承認をしたというにとに見られる虞れはないかということにつきましては、前申上げました通りこれは臨時應急の措置であつて、これによつて千八百円水準の御承認を得たということには考えないのである。全く直接関係がないという答弁であつたのであります。尚地域において差を設けたところの根拠並びにその資料というものはどういうものであるかという質問に対しましては、政府において詳しい資料によつて説明があつたのでありまするが、これは速記録で御覧を願うことにいたしまして、要するにこの基準は、昨年四月総理廳の統計局におきまして、司令部の統計課の指導の下に新らしき方式によりまして生活費の調査をいたしておるのであります。これによりまして、最近地域間において著しい差ができておることを認めるのである。それに基ずいて今回の地域差の区別を設けたのであるという説明であつたのであります。尚政府は、十一月においては生計費に三百九十九円の黒字を生ずるということを言つておつたのであるが、自分らの所で、政府が言つたところの資料をそのままを用いて今日の物價において見ても、千百余円の赤字になる状況であるのである。これに対しては誰がその責任を一体取るべきであるか。尚この窮迫の状態に對しては、政府はいかなる措置を取るつもりであるかという質問であつたのでありまするが、これに対しましては大蔵大臣は、將來のことについてはこの際どうも申上げることはできないのである。今回の措置は全く特別の特例で、あると解釈して貰いたいということであつたのであります。尚國家公務員給與法案というようなものが、國会に提出されるということは聞いておつたのであるが、近頃或いは政令によりこれを設けるというような噂もあるがどうであるかということに対しましては、大藏大臣からいたしまして、目下國家公務員の給與法案というようなものを立案中であつて、相当廣汎なものに相成るのであるが、憲法の規定に基ずきまして國会に提出するつもりであるということであつたのであります。その他熱心なろ各種の質問があつたのでありまするが、これは何とぞ速記録において御覧をお願いいたしたいと存ずるのであります。
 かくて質疑を終りまして討論雇入つたのでありまするが、共産党の中西君よりいたしまして、次の理解の下に自分は本案に賛成する。即ち今回の法案によりまする給與は全く臨時應急の一時的の措置である。それから第二に、この法案に賛成をすることによりまして千八百円水準を承認したものではない。尚これは特例であるということであるが、これは一回限りのものではないと考える。尚成るべく早く職員に実際に支給ができるようにして貰いたいという希望であつたのであります。次に社会党の波多野委員、木村委員、又無所属懇談会の川上委員、日本自由党の山田委員からいたしまして、大体中西委員の理解されたと同じような理解の下に、自分はこの法案に賛成をする。そうして特に税務官吏の待遇改善について希望を述べられたのであります。税務官吏の待遇は一般官吏に比して悪いということは事実である。税務官吏が第一線において財政收入について努力をいたしておるのであるが、これの給與が悪いということであれば、從つて財政運営の上に至大の関係を有するものであると思うのである。尚税務官吏をして熱意を以て、興味を以てその仕事に当るようにするにおいては、どうしてもその待遇を改善しなければならない。今日脱税は相当に多いと思う。その脱税金額は、むしろ徴收しておりまする金額と比して多いのではないかとも思われるのであるからして、十分に税務官吏の待遇を改善し、これらの努力によつて脱税を防止し、國民負担の公平を期するように考慮して貰いたい。尚今回の一時手当につきましても、政府において税務官翼についても考慮して貰いたいのである。両税務官吏をして一般官吏並の給與を得るように特に政府において考慮をされたいという希望を以て本案に賛成をするということであつたのであります。かくて、討論を終りまして、採決に入つたのでありますが、全員賛成、全会一致を以て本案は可決と決定をいたした次第であります。これを以て報告を終ります。(拍手)
#12
○議長(松平恒雄君) 別に御発言も融ければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#13
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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