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1949/04/07 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 予算委員会 第6号
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1949/04/07 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 予算委員会 第6号

#1
第005回国会 予算委員会 第6号
昭和二十四年四月七日(木曜日)
    午前十時十五分開議
 出席委員
   委員長 植原悦二郎君
   理事 池田正之輔君 理事 上林山榮吉君
   理事 庄司 一郎君 理事 西村 久之君
   理事 水田三喜男君 理事 三宅 正一君
   理事 中曽根康弘君 理事 志賀 義雄君
   理事 圖司 安正君 理事 今井  耕君
      天野 公義君    井手 光治君
      井上信貴男君    小金 義照君
      小平 久雄君    小峯 柳多君
      尾崎 末吉君    鈴木 明良君
      周東 英雄君    高塩 三郎君
      高橋  等君    田中 啓一君
      玉置  實君    中村 幸八君
      西村 英一君    野原 正勝君
      平島 良一君    松浦 東介君
      松野 頼三君    松本 一郎君
      山本 久雄君    若松 虎雄君
      有田 喜一君    小坂善太郎君
      笹山茂太郎君    鈴木 幹雄君
      奧村又十郎君    稻村 順三君
      勝間田清一君    西村 榮一君
      川島 金次君    風早八十二君
      野坂 參三君    米原  昶君
      中野 四郎君    松本六太郎君
 出席國務大臣
        内閣総理大臣  吉田  茂君
        大 蔵 大 臣 池田 勇人君
        國 務 大 臣 殖田 俊吉君
        厚 生 大 臣 林  讓治君
        農 林 大 臣 森 幸太郎君
        商 工 大 臣 稻垣平太郎君
        逓 信 大 臣 小澤佐重喜君
        労 働 大 臣 鈴木 正文君
        建 設 大 臣 益谷 秀次君
        國 務 大 臣 青木 孝義君
        國 務 大 臣 本多 市郎君
 出席政府委員
        内閣官房長官  増田甲子七君
        大藏政務次官  中野 武雄君
        総理廳事務官
        (経済安定本部
        財政金融局長) 内田 常雄君
        大蔵事務官
        (主計局長)  河野 一之君
        大藏事務官
        (主税局長)  平田敬一郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 小竹 農治君
        專  門  員 小林幾次郎君
四月七日
 委員東井三代次君辞任につき、その補欠として
 奧村又十郎君が議長の指名で委員に選任され
 た。
同日
 理事東井三代次君の補欠として圖司安正君が理
 事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 昭和二十四年度一般会計予算
 昭和二十四年度特別会計予算
 昭和二十四年度政府関係機関予算
    ―――――――――――――
#2
○植原委員長 これより会議を開きます。
 議事に入るに先だちまして、理事諸君の御配慮によりまして申合せ決定しておる事項をこの際に委員及び政府当局者に御了解を願つておきます。政府の希望もありましたので、つとめて審議を来る十五日に終る予定で、プログラムをつくりました。五日に政府の説明を聞き、六日、七日、八日、九日、十日を質疑と定め、十一日に公聽会を開き、十二日に各賞代表最終質疑を行いまして、十三日に各党の態度をきめ、十四日討論採決し、十五日に本会議に上程する予定でありました。しかるにすでに、政府の予算に関連する法律案の提案が遅れましたので、最初において少しくずれを生じておることも、あらかじめ御承知を願いたいのであります。また質疑の割当時間は、理事において御了解をお願いいたしましたのは、民自党六時間、両民主党が五時間、社会党が三時間半、共産党が二時間半、他派が三時間という割合で理事の御了解を得たのであります。なお、理事の御了解事項としておりますことを申し上げますが、予算案については、各委員の協力によつて愼重審議を期すること、時間に関しては委員はもちろんのこと政府当事者もつとめてこれを厳守すること、質疑は政党員数割当の慣例に従い、通告順によりてこれを許すこと、通告順にあたりて出席せざる者は、その権利を一時放棄したるものとして、次の機会に質問の機を與うるまでお待ちを願うこと、同一の質疑は繰返してこれを行わざること、他の質疑者と同一の質疑が行われた場合には、委員長はこれに注意を與うること、かような理事の了解のもとに、政府の御希望につとめて沿うという方針を定めたことを、どうか御了承を願つておきます。
    ―――――――――――――
#3
○植原委員長 これより昭和二十四年度一般会計予算、昭和二十四年度特別会計予算及び昭和二十四年度政府関係機関予算の各案を一括して議題といたします。まず提案の説明を求めます。池田大藏大臣。
#4
○池田國務大臣 昭和二十四年度予算の大綱につきましては、過日本会議において説明いたしましたが、予算委員会の御審議をお願いいたすにつきまして、あらためて説明申し上げます。
 昭和二十四年度本予算の編成は、各般の事情により遅延いたしましたため、先般四月半ばごろまでにかかる暫定予算を提出いたしまして、御審議を煩わしたのでありまするが、その間鋭意本予算の編成に努力し、去る四日関係方面の手続を完了いたしまして、國会に提出する運びと相なつた次第であります。本予算編成の方針につきましては、過日の本会議において御説明申し上げましたので、予算の内容について申し上げます。
 まず一般会計について申し上げます。一般会計の歳入歳出予算総額は、歳入七千四十九億三千四百余万円、歳出七千四十六億六千七百余万円、歳入歳出差引、歳入超過額二億六千七百余万円と相なつておりまして、これを前年度予算額、歳入歳出とも四千七百三十一億四千五百余万円に比較いたしますと、歳入において二千三百十七億八千九百余万円、歳出において二千三百一五億二千百余万円をおのおの増加いたしております。
 まず歳出のおもなる事項について申し上げますれば、終戦処理関係経費として終戦処理費千二百五十二億三千万円、賠償施設処理費二十六億六千三百万円、特殊財産処理費十七億千七百余万円、解除物件処理費一億九千八百余万円、計千二百九十八億九百余万円、公共事業費として、事業費五百億円、事務費十八億六千九百余万円、計五百十八億六千九百余万円、政府出資及び投資として、復興金融金庫出資金三百億円、公團基本金出資六十九億四千七百万円、貿易特別会計繰入れ四百億円、貴金属特別会計繰入れ二十六億三千三百万円、国民金融公社出資金十三億円、印刷局運轉資金八億円、開拓者資金十七億余万円、その他十億千三百余万円、計八百四十二億千七百余万円、地方配付税配付金五百七十七億円、義務教育費国庫負担金三百十九億四千四百余万円、生活保護費及び兒童保護費百二十四億七千五百余万円、失業対策費として、失業保険費二十一億六千五百余万円、失業対策事業費補助八億八百余万円、計二十九億七千四百余万円、同胞引揚費六十二億八千九百余万円、農地改革費四十億八千九百余万円、食糧供出関係費三十九億九千六百余万円、政府機関等損失補填金として、大藏省預金部特別会計繰入れ三十七億五千百余万円、食糧管理特別会計繰入れ二十八億九千八百余万円、船舶運営会補助六十二億六千六百余万円、計百二十九億千六百余万円、價格調整関係経費として、安定帶物資價格差補給金千百五十二億円、輸入物資價格差補給金八百三十三億円、塩價格差補給金三十七億円、計二千二十二億円等がおもなる経費と相なつております。
 次に、歳入について申し上げます。租税及び印紙収入において五千百四十六億六千万円を予算いたしておりまして、前年度予算に比較しまして、千九百八十五億六千三百余万円を増加いたしております。その増加いたしておりますおもなるものは、所得税において千二百六十七億三千四百余万円、法人税において九十二億千五百万円、酒税において百九十二億五千九百万円、織物消費税において七十二億二千三百万円、揮発油税の創設のため四十億五千二百万円、物品税において九十五億三千六百万円、取引高税の平年度化のため二百三十七億円等であります。官業益金として、タバコ專賣益金千二百億円、しようのう專賣益金七千九百余万円、アルコール專賣益金八億九千七百余万円、計千二百九億七千七百余円を計上しておりまして、前年度に比較して二百四十六億三千七百余万円を増加いたしております。
 その他の歳入のおもなるものを申し上げますれば、復興金融金庫納付金八十五億九千万円、價格差益納付金百一億八千五百万円、特別収入として七十九億三千八百余万円を計上いたしております。
 以上、一般会計について重要なる事項、金額について申し上げました。
 次に、特別会計予算について申し上げます。特別会計予算は、地方配付税配付金特別会計外二十九の特別会計に関するものでありまして、そのうち米國対日援助見返り資金特別会計及び國立病院特別会計は、本年度新たに設置することといたしたものであります。また從來の金資金特別会計は貴金属特別会計と改め、貿易資金特別会計は廃止しまして、新たに貿易特別会計を設置することといたしました。なお專賣局及び國有鉄道事業特別会計は、それぞれ六月より專賣公社、日本國有鉄道と相なる予定となつております。通信事業特別会計も六月より郵政事業特別会計及び電氣通信事業特別会計に分離される予定となつておりますが、予算には、いずれも、年間通ずる全体の予算が計上せられてあります。
 以上三十の特別会計の歳入歳出総額は、歳入二兆五千五十億四千三百余万円、歳出二兆三千五百六十億九百余万円でありまして、前年度に比較いたしまして、歳入において一兆三千七十五億千五百余万円、歳出において一兆二千五百五十四億千五百余万円を増加しておりますが、この増加いたしましたのは、前申し上げました特別会計の新設と、各特別会計における業務量の増加等によるものであります。
 次に、本年度より新たに、公團等の政府関係機関の予算につきまして、今次國会に提出いたしました「公團等の予算及び決算の暫定措置に関する法律」に基きまして、法令による公團、復興金融金庫、庶民金庫、船舶運営会、持株金融整理委員会、閉鎖機関整理委員会及び証券処理調整協議会に関する収入、支出の予算を提出いたしました。これらの公團等は、政府関係機関として國務を代行いたしております関係上、その経理の明確を期するため、各機関の収入支出予算について、國会の議決を必要とすることといたしました次第であります。
 以上をもつて昭和二十四年度予算の説明といたします。なお詳細については主計局長をして説明いたさせます。何とぞ御審議をお願いたします。
#5
○植原委員長 お諮りいたします。質問に入るに先だつて、河野主計局長の説明を一應聞くことが便宜だと思いますが、いかがでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○植原委員長 御異議がなければ、さようにとりはからいます。河野主計局長。
#7
○河野(一)政府委員 それでは多少大臣の御説明を敷衍いたしまして、私から申し上げます。お手元に「昭和二十四年度一般会計歳入歳出予算重要事項別前年度比較表」という資料が行つておると思いますが、その書類で御説明申し上げたいと思います。
 まず歳入の方でありますが、税が五千百四十六億というこことになつております。この税の中身の詳細につきましては、主税局長がおりますから、その方から便宜御説明申し上げることにいたします。
 官業及び官有財産収入でありますが、まず官業益金の中の專賣局益金が千二百億七千九百万円となつております。そのうちタバコ関係が千二百億円であります。計画は、製造が六百六十四億本、販賣が六百五十六億本ということになつております。七千九百万円がしようのう関係の益金であります。アルコール專賣益金は八億九千万円でありますが、これは三万二千キロリツトルを製造する予定であります。印刷局益金は、今年はございません。官業収入――刑務所収入は、これが前年に比較いたしましてふえておりますのは、賃金その他の関係でありまして、構外作業の関係が約六億、構内作業の関係が約七億になつております。病院収入は、國立病院と、療養所と、学校附属病院、それから宮内府に一部病院があります。この四つにわかれてありまして、このうち國立病院は、本年の七月から特別会計に移行するという建前で組んでございます。國立病院で大体患者四万六千人、療養所で四万二千人程度に相なつております。学校農場及び演習林につきましては、特に申し上げることはございません。官有財産収入、このうちに國有財産関係の貸付、拂下げが、約二十六億ほど含まれております。前年度の八億程度に比較いたしますと、三倍以上に増加いたしております。そのほかは住宅復興資材の賣り拂いでありますとか、ワクチンその他の藥品の拂下げ代金であります。
 雑収入でありますが、納付金のうち日本銀行納付金、これが前年度に比較いたしまして、非常にふえておりますのは、前年度は二十三年度の上半期分のみが計上されておつたのでありますが、今年度におきましては、二十三年度の下半期と二十四年度の上半期の両期分が入つた関係と、利益金が増加したためであります。公團納付金は、前年度の納付未済のものでありまする復興金融金庫納付金は、貸付の回収に相なりまするものの一部を國に納付するわけであります。その他は、自轉車競技の納付金その他であります。特別会計受入れのおもなものは、財産税からの二十六億、國営競馬からの二十二億、不正保有物資の一億であります。弁償及び返納金、この中に延滯金が三十六億ほど含まれております。價格差益納付金でありますが、これは二十二年度の物價改訂の分が三十六億、二十三年度、すなわち昨年七月の物價改訂の分が六十五億ということに相なつております。電力超過料金が相当減つておりますのは、前年度の予算におきましては、二十二年と二十三年の両年度分が予算の関係上入つておりましたが、今年度は二十四年度分だけを見た関係であります。特殊物件収入は、物件が減つたために減つたわけであります。
 特別収入のうち終戰処理費関係の収入でありますが、これは從來バイヤーその他が國内旅行をいたしますときに、ドルを円に交換いたしておつたのであります。これは便宜終戰処理費でやつておりましたのを、今回それをはつきりいたしまして、貿易特別会計の方からそれを交換してもらう。そしてその関係の経費を一般会計の方に納めるというようなかつこうに相なつたのが主たる原因であります。解除物件処理関係収入と申しますのは、連合軍で今まで持つておりました物資のうちこれを解除するもの、それから納入予定のもので不適格品として納入ができないもの、そういつたものが指定生産資材として約七万四千トンほどございます。セメントもありますし、その他家具、什器、いろいろございますが、そういうものの解除を受けまして、今回賣り拂おうとするものであります。
 次は歳出の方について申し上げますが、歳出につきましては終戰処理費、これが前年度に比較いたしまして、百八十億ほどふえております。しかしながらその実質的な内容につきましては相当減つておるのでありまして、このうち事務費をとりまして、その他の事業費関係で申しますと、建設的な経費が九十一億三千五百万円、維持的な経費が九百五十八億四千三百万円、その他が百七十七億四千三百万円ということになつておりまして、その他と申しますのは、すでに契約済みになつておりまして、概算その他の関係からまだ債務が支拂われておらない、いわゆる前前年度繰越しの関係になつております。この割合を見ますと、建設的な経費が七・四%維持的な経費が七八%その他が一四・五%ということに相なります。その他のうち大部分は維持的な経費でありまして、大体維持的な経費は九〇%以上ということに相なるのであります。過去のこの沿革を考えてみますと、二十一年度におきましては、建設的な経費が六七・五%、維持的な経費が三二・五%で約二対一の割合になつております。二十二年度にはこれが半々になりまして、四九%が建設的関係でありまして、維持的な関係が五一%になつております。昨年度は二と八の割合でありまして、二〇%と八〇%というふうに減つております。さらに今年度はこれが減つておる、こういう状況に相なつております。
 それから賠償施設処理費でありますが、これは今年度においては新たに大きな撤去はないという見込みで予算が編成されております。
 特殊財産処理費と申しますのは、前年度の連合軍特殊財産の返還費でありまして、このほかに拿捕船舶の返還というようなものが入つております。
 解除物件処理費は、先ほど申し上げました終戰処理費関係の解除物件の賣拂いに要する保管費、運搬費等であります。
 物資及び物價調整事務取扱費――公團の交付金でありますが、これは二十三年度の事業費の不足分を一般会計から補填してやるものであります。その他は、各省におきまして物資、物價の関係で統制事務をやつている人の人件費、事務費等であります。
 公共事業費でありますが、このうち五百億が事業費でありまして、その他は各省の事務費、人件費等であります。大体六十五万トン程度のセメントを使用することになろうと思います。
 出資及び投資金でありますが、復興金融金庫は同金庫に対する政府出資金であります。公團というのは、このうち船舶公團に対する出資金が五十三億九千七百万円、油糧公團に対しまして十五億円、食糧公團に対して五千万円ということになつております。船舶公團は從來復金から融資を受けておつたのでありますが、これがやめになります関係上、出資の形で行くわけであります。油糧公團は、從來貿易資金におきまして、運轉資金の融通を事実上受けておつたような形でありましたが、これをやめることになつた関係であります。食糧公團においては、秤であるとか自轉車であるとかいう備品什器を整備するためであります。貿易特別会計、これはすでに御存じの通りであります。貴金属特別会計というのは、從來の金資金特別会計でありまして、從來は金を運用によつてやつておりました。経つて歳入歳出に立つておりませんでしたものを、全部歳入歳出に立てることになつたのであります。金のほか銀、白金等がございます。その他は、これは各特別会計、國民金融公社、閉鎖機関等に対する出費あるいは投資に類似するものでありまして、一番大きなものは國民金融公社に対する出資金十三億、開拓者資金融通特別会計に対する繰入れ十五億等であります。
 地方配付税配付金、これは大体明年度の地方財政を三千五百億程度に考えております。
 小学校教員國庫負担金、これは小学校の児童数は大体千八十三万人程度であります。これは五十一学級といたしまして、一学級当りの教員一・三五人といたしましての教員数二十九万二千人であります。中学校は、生徒数四百九十五万人、五十人一学級といたしまして、一学級当り一・七人の教員といたしまして十六万八千人というような計算になつております。定時制高等学校、これは特に申し上げることはありません。新制大学、これは今回本年度から新設されます新制大学六十七校でありますが、教員数六千九百人であります。
 生活及び兒童保護費については、この中に生活保護の経費が百十五億あるのであります。児童保護の関係が九億五千万円程度になります。生活保護におきましては、現在百七十六万人程度の生活扶助をやつております。児童保護におきましては二十八万人程度であります。生活保護の方で、六大都市における五人世帶の生活費扶助額は、大体四千四百円程度であります。
 失業対策費――この失業対策費の中には、失業保險特別会計への繰入れが二十二億ほどございます。残りのいわゆる失業應急事業費、これは知識階級につきましては、調査、統計をやらせ、あるいはその他のものにつきましては清掃塵埃除却というような仕事をやつておるわけでありますが、労賃に対して三分の二補助をやる金が入つております。
 同胞引揚費、これの帰還輸送費は船舶運営会の輸送の経費でありますが、その他が元軍人の留守宅渡し、あるいは帰還後における援護その他の経費でありまして、大体四十六万人程度が明年度残つております。これが全部引揚げされるという予定で予算が組んでございます。四十六万人程度のうち、大体三十万人程度がシベリア、七万人程度が満州、その他千島、樺太、関東州等に相なつております。
 農地改革は賣渡しの事務がまだ残つておりますので、それほど減りません。
 食糧供出関係経費、これは農業調整委員会関係が十五億、作物調査報告が二十四億というような計算であります。
 政府機関等損失補填金、その中の預金部の繰入れ、これは現在資金コストが八分八厘程度でございますが、現在の國債の利廻りは五分五厘でありますし、地方債は九分でありますので、その差額を繰入れてあるわけであります。食糧管理、これは農業共済保險に関する保險料の繰入れであります。船舶運営会、これは運賃を押えました関係上、やむを得ず補助をする必要があるのであります。
 次に價格調整費、いわゆる安定帶物資の関係でありますが、この内訳は、石炭が三百六十五億、鉄鋼が四百十六億、非鉄が二十八億、肥料が百七十四億、ソーダが十九億というふうに考えております。それから前年度分でございますが、これは前年度の三月分とそれから生産増加に伴う不足分でありまして、石炭が五十三億、鉄鋼が五百億非鉄が三億、肥料が三十一億、ソーダ七億ということに相なつております。これは一應の見込みでありまして、実行上において相当調整を要するものがあると考えます。輸入物資の八百三十三億の内訳は、食糧及び飼料が四百六億、肥料が百十八億、石炭、鉄鉱石の重要原材料が二百四億、繊維品が六十五億、その他雑品が三十七億ということに相なつておるのであります。それから塩の價格差補給金、これは國内塩四十万トン、輸入塩百二十五万トンの予定であります。
 矯正保護収容費、從來の刑務所の費用でありまして、平均年間十万五千人の収容を考えております。前年度は九万五千人であります。
 徴税費はふえております。
 國債費は相当ふえておりますが、これは前年度の剰余金の二分の一の額、約三十億円がふえておるわけであります。
 恩給は、前年度におきまして恩給の額が臨時特例によつて改訂されまして、それが平年度化したわけであります。
 政府職員の宿舎施設費、これは公務員宿舎の法律案を今回提案する予定でありまして、これによりまして政府職員の有料の宿舎をつくつて行きたい。借入れもございますし、建設もございますが、大体建設の分は一万人程度、一人当り六坪程度に考えております。
 難件は約三千件以上ありますので、こまかい説明は省略させていただきます。
 予備費は前年六十五億でありましたが、今回は組んでありません。
 特別会計でありますが、特別会計の数は二十九ございます。今年度新設のもの、廃止のものいろいろ整理いたしました結果、昭和二十四年度末には二十九に相なります。特に申し上げることはないかと思いますが、食糧管理につきましては、今まで麦は一一〇のパリテイー、米は一三二のパリテイーでありますが、これが最近の状況を見ますと一四三になつておりますので、そこまで生産者價格を引上げ、從つて消費者價格もこれに即應して上げるというような計画で、この予算が組まれております。基礎となりまする食糧の数字は、米が三千二百万石というような数字であります。
 國有林は、素材におきまして約千五百万石の伐採であります。
 貿易でありますが、貿易は從來貿易資金という特別会計になつておりました。從つて賣買の分は運用として現われておつたのでありますが、今回これを全部予算に現わすことにいたしまして、賣買の関係を事業費勘定に入れております。それから貿易廳の事務費、貿易公團の経費等を経費勘定に現わし、さらに三月三十一日限り廃止になりました食糧貿易公國及び原材料貿易公團の清算関係を清算勘定に入れておるわけであります。援助物資関係の輸入が千七百五十億、それから國内物資を輸出しまして、それによつて輸入できる金額が千三百八十五億ということに相なつております。
 それから國有鉄道でありますが、國有鉄道は、貨物におきまして一億四千万トン程度の輸送計画であります。旅客は三十五億万人、旅客収入が七百四十三億、貨物収入が三百八億、本年度の旅客につきましては、五月一日より大体六割程度の値上げをするということで予算が組んでございます。一キロ当り現在九十銭が、一円四十銭程度に相なるかと存じます。歳出におきましては、このうち使います石炭が、七百六十万トン程度であります。うち輸送用が七百二十万程度に相なると思います。
 通信につきましては、これも電氣通信すなわち電信、電話の方は値上げはいたしませ心が、郵便につきましては、四割ないし四割五分程度の値上げがある予定であります。
 政府機関関係の予算でありますが、これは從來國の事務を代行いたしておりまして、特に予算にはなかつたのでありますが、今回公團等の予算、決算等の暫定措置に関する法律というのを別途提出いたしておりますが、それによりまして、全部國会の議決を得ましたところによつて、予算を実行いたすということが建前になつたのであります。公團は從來十五公團ありまして、このうち原材料貿易公團、それから食糧貿易公團及び石油公團が廃止に相なつております。今後廃止になり、あるいは合併に相なるものが相当あると思うのでありますが、これは法律案ができまするに從いまして、この予算の移用その他によつて使うことができるように、予算総則で御承認を得る建前になつております。
 復興金融金庫でありますが、これは新規の貸付は大体五十億程度にとどまる予定であります。
 船舶運営会でありますが、これは内航大体千五百万トン程度、外航約三百万トン程度の輸送計画に相なつております。ここでは収入、支出が合つておりますが、先ほど申し上げました通り、六十二億程度の一般会計よりの補助か予想されておるわけであります。
 大体御説明申し上げた次第であります。
#8
○植原委員長 これより通告順により質疑を許します。小峯柳多君。
#9
○小峯委員 安本長官がお見えになつておられぬようでありますから、大藏大臣から先に伺います。
 二十四年度の予算に関しましては、政府側では、これが唯一無二の安定策であつて、國家再建の基盤はこれに求める以外にないということをおつしやるのでありますが、その成立ちを考えますといかにもとつぴな感じがいたすのであります、いわば忽焉としてこの予算が生れたような感じがいたします。政治的な理由その他につきましては、われわれも一應了承はできるのでありますが、それだけに、なるべく丁寧にこの予算の性格なりあるいはその経緯なりを、國民に知らせる必要があるだろうと思います。そういう意味でこの予算の性格について、総括的な御意見を大藏大臣から承りたいと思います。
 まずこの予算の性格なのでありますが、デイスインフレを予想されるか、それともデフレまでなるか。このデイスインフレという言葉、あるいはデフレという言葉は、学問的にいえば非常に問題がありましよう。しかし一應通念上で区別なさいまして、大藏大臣はこの予算がどつちの方向に日本の経済をひつぱつて行くものであると思つておられるか、この点をまず承つておきたいと思うのであります。
#10
○池田國務大臣 今回の予算は、先般も本会議で御説明申し上げましたごとく、大体三つの目的があると考えております。それは從來のインフレは、大体財政がその主因をなしておつたように考えております。ことに一般会計においては大体つじつまを合せておりましたが、特別会計あるいはその他の政府関係諸機関においては、相当の赤字を出しておつたのであります。どうしても過去のインフレをさしとめるためには、財政インフレをとめなければならぬというのが第一点でございます。
 第二は、これは関係方面からの要請もありましたし、また自立経済の点から申しまして、対日援助資金をはつきり現わすことが必要である。そうしてわれわれは自分の力で経済を立てて行く態勢をとらなければならぬ。それで足らないところは、アメリカの援助によるということを、明確にしたいというのが第二点でございます。
 第三点は、対日援助資金によりまして、從來輸出補助金に相当するものを出しております。これではいつまでも測量経済の域を脱しませんので、輸出補助金を一切やめて行こうというのがその三であります。
 これによりまして組みました予算が、七千四十六億の歳出になつたわけでございます。かく絶対的均衡予算をとりますとデフレになるのではないか、そういう考え方がすぐ起るのでありますが、これは徴税の強行その他によつて、相当デフレの現象を起すことは、予期しなければならないのでありますが、御承知の通り予算の内容をごらんいただきますと、既存の國債の償還とか、あるいは貿易特別会計でただいまも三百億円ばかり借入金でやつておりますが、これを相当輸出の増加を見込みまして四百億円をもつて充足する、また対日援助見返り資金特別会計の方に千七百五十億円の資金が予定されますので、これを使つて行きましてデフレを緩和し、インフレにはしないけれども、いわゆるデイスインフレでやつて行きたいという所存でございます。
#11
○小峯委員 結論的にはデイスインフレというふうにお考えだろうと思いますが、予算そのものから考えても、デフレになるだろうと思うのであります。インフレをとめるためには、どうしてもデフレまで持つて行きませんと、インフレはとまらぬというふうに私ども考えるのでありますが、ただ予算のプロパーテイはデフレであるが、それに対する緩和の方法として、今大臣の申しましたような、対日援助見返り勘定の活用とか、あるいはその他の方法があるのでありましようが、それについても対日援助見返り勘定の運用の仕方、それに対するお心づもりをお話願いたいと思います。
#12
○池田國務大臣 援助資金の使用方法につきましては、ただいまのところきまつておりません。ただ鉄道、通信特別会計の建設資金として発行いたします公債二百七十億円だけは向うと話が済んでおけます。御承知の通り西ヨーロツパ諸國とアメリカとの間における援助資金は、アメリカ対相手國の間で協約を結んで使途方法をきめております。しかし日本は占領治下でございますので、この協約はできておりませんが、大体西ヨーロツパ方面で使用されておる状況を申し上げますならば、イギリスにおいては、ほとんど全部が國債の償還に充てられております。フランス、イタリアにおいては、原則として長期復興資金の方面に使われておるのであります。私といたしましてはただいま申し上げました関係上、復興に対する資金が相当必要でございますので、この方面にまず使つて行く、そうして残り――と申し上げると語弊がございますが、國債の償還にも充てて行く、その間の緩急よろしきを得たいと思つております。ただいま関係方面と折衝中でございますが、千七百五十億円の特別会計を設けることは議会に提案いたした通りでございます。ただこれを運用いたしますについては、大藏省に特別の機関を設けてやつて行きたいという考えを持つております。
#13
○小峯委員 それに関連して伺つておきたいのでありますが、千七百五十億円の計算はどういう根拠で立てられておりますか、お伺いいたします。
#14
○池田國務大臣 これは関係方面からこの程度見込んでさしつかえないだろう、これは御承知の通り一九四九年から五〇年にわたるアメリカの予算に対日援助資金が載るわけでございます。そうして載りましても為替相場がきまらないと、ちよつと換算ができないのでございますが、大体千七百五十億円程度のものが來ると予想されております。一九四九年から五〇年の予算に載るものは、おおむね物資で参るのでありますから、十月と十一月になりがちでございます。しかし今年度において四億数千万ドルの物資が來ることになつておりますから、これが今ごろ入つて來ております。今ごろ入つて來る物資の賣拂代金が貿易会計に載ります。そうしてこの会計に移つて來るわけでございますから、もう四月からこの会計には收入が入つて來ることになると考えております。
#15
○小峯委員 そうしますと、この四月からすぐに金が使えて四九年、五〇年の援助費との間の切れ目というものはないと申されるのでありますか。
#16
○池田國務大臣 さうでございます。金額の多い少いは別でございますが、時間的ずれはないと考えております。
#17
○小峯委員 千七百五十億の使途は、通信、運輸の特別会計に使う分は判明しておるだろうと思いますが、そのほかに先ほどのお話では國債の償還に充てるというお話でありました。あるいは復金債の償還にも充てるのだと思いますが、その場合の國債及び復金債の償還に充てたあとの、その資金のひものつけ方いかんで非常に産業資金としての影響があるだろうと思いますが、そういう点までお考えになつておられますか、伺いたいと思います。
#18
○池田國務大臣 それは非常に重要な点でございまして、私といたしましてはひもをつけると申しますか、運用に万全を期したいと思います。從つてこういうときでございますから、今までよりも、もつと強力に信用統制をやつて行きたいという考えでおります。從つて日銀の機構につきましてもこれが改正を考究中でございます。
#19
○小峯委員 大体そのお話でデイスインフレに持つて行く御意図がわかつたのでございますが、なお先ほど大臣の御答弁にもございましたように、税の問題で非常にデフレの氣分を濃化すると思います。税の軽減に対しては、大臣も本会議においてしばしば言明いたされましたが、たとえば近く來朝を予想されておるシヨープ教授一行がお見えになりますと、税の問題を根本的に改革して、税の軽減をなさるのだということを、しばしば言つておられるように承知いたしております。それでそれに対する実際問題として、單に氣安めでなくて、どの程度までどの方面でその軽減が考えられるかということ、これはむずかしいだろうと思いますが、國民が一番心配しておりますのは、この点でありますから、税負担軽減の問題に関連して、大臣の抱負、見通しを伺いたいと思います。
#20
○池田國務大臣 お答え申し上げます。私は今年度当初から、所得税の軽減並びに取引高税の撤廃をいたしたいと努力いたしたのでございます。所得税の今の負担状況から申しますると、非常に高いのでございまして、アメリカで家庭の平均収入は二千八百八十ドル程度に相なつております。この一人の負担が、大体所得に対しまして一%程度であります。日本で家族三人半、すなわち一家族四人牛の家庭で、今の平均收入は十三、四万円程度に相なります。かくいたしますと、大体十%を越えるような状況であります。イギリスはアメリカの一%余りに対しまして、その半額程度。日本はいかにも負担がきつうございますから、どうしてもこれを引下げたい。引下げる方法は、まず第一に基礎控除の問題、そうして扶養家族の問題これを先に取上げ、しかる後に收入等を見込んでの税率の引下げ、こういうことを考えておつたのであります。しかしこの点につきまして、関係方面と折衝いたしまして、大体了解は得ましたが、こういう大きい問題は、やはり一應外資導入とか、あるいはいろいろな点から総合的に考える必要がある。從つて早く向うの使節團をよこして、ともに研究してみろということに相なりまして、一、二箇月待つて研究の上、根本的な整理をいたしたいと思うのであります。負担の問題は間接税にもございます。酒類につきましては、今回ある程度軽減の法案を出しております。全般を通じまして、かなり日本の税は高いのでございますから、軽減に邁進したいと思つております。そうしてその財源はどこから出すかと申しますと、私は、本会議で申しましたように、今度の予算で、今後できるだけ切り詰めて行きたい。その切り詰められるところはどこかといいますと、やはり價格調整補給金等につきまして、いま少し檢討してみたいという氣持を持つておるのであります。なお昨日も、口ばかりで、なかなか減らされないのじやないかという質問がございましたが、私はここで減らし得る、減らさなければならぬ。しかも財源も、ある程度腹にはあるのでございます。どうぞもうしばらくお待ち願いまして、案ができましたら本年度中におきましても、できるだけ早い機会に軽減の措置を講じたい、こう思つております。
#21
○小峯委員 非常に頼もしい御答弁をいただいたのでありますが、その通りになつていただければまことにけつこうであります。ただ大臣の御答弁の中に、價格調整金の問題がありましたが、この價格調整金を減らすという問題は、たとえば生産の増加による、コスト低下というふうな問題に関連して、補給金を減らしてもいいというふうにお考えになつておられる。その生産の量の増加に伴う生産原價の引下げに伴つて、補給金が減るというようなこともお考えになつておりますかどうか。
#22
○池田國務大臣 そういうことも考えております。
#23
○小峯委員 税の問題に関連して、最近税務署と納税者の間にいざこざのありますことは、大臣もいやというほど御承知だろうと思います。そうして税の問題に詳しい大臣であるだけに非常に御心配になつておられると思いますが、われわれの党で、徴税技術の中の一環として、徴税調整委員会のようなものをつくつて、税務署と納税者との間の意見の食い違いを調整するような方法を考えたらどうか、というようなことをかねがね主張して参つております。大臣もわが党の出身でありますから、当然御承知だと思いますが、その問題がどの程度に進行しておりますか、伺いたいと思います。
#24
○池田國務大臣 所得税が申告納税制度にかわりました関係上、從來の実績課税による所得調査委員会の制度が一変いたしまして、申告納税制度が日本に行われて、うまく行くか行かないか、なかなか疑問であつたのでありますが、どうしてもこのインフレ時期においては、申告納税制度が最もいい、合理的であるというので施行いたしたのでございます。昨年、一昨年徐々に申告納税制度が行き渡りまして、一昨年よりも昨年の方がよくなつて來ておりますが、まだまだ納税者に十分徹底いたしません。從いましていざこざが起つて來るのであります。ただ予算申告納税制度になると、從來のように前もつて所得調査委員会等に付議して決定することが非常に困難でございます。從いましてこれが緩和策といたしまして、更正決定をしたあと、異議の申立て等が出ました場合に、民間の意見を聞く制度を設けてはどうかという考えのもとに、関係方面と今話をいたしております。しかし税というものは、國と國民、納税者の利害が相反しておるものであるから、それを審議するのに、納税者の代表が審議するということはりくつに合わぬ。こういう非常に強い意見がございまして、なかなか交渉に手間取つておりますが、今の現状を見まして、何とか、ここに緩和機関を設けた方が、施行が円滑に行くという考えを持つておりまして、その線に沿つて今話を進めております。シヨープ・ミツシヨンが参りましたら、まずこういう問題も論議してみたいと考えております。
#25
○小峯委員 本年度の税の問題でありますが、昨年に比べて、地方税までひつくるめ、專賣益金の収入までひつくるめると、六割ぐらいふえておると思います。國民所得の方は、昨年に比べて二割余ぐらいの増加にとどまつておると思います。大臣はその方の專門家でありますが、國民所得のふえ方に比べて、税の負担の率が非常に高い、この食い違いをどういうふうに御説明なさるおつもりか、その点御説明を願いたいと思います。
#26
○池田國務大臣 國民所得は安本の計算によりますと、大体二割程度ふえることになつております。しかし所得というものは、御承知の通り、超過累進課税でございまして、所得が二割ふえれば、現行税法で行けば、五割も六割もふえるようにそろばん上出て來るのであります。だから、そろばん上は誤りはございません。ただこれだけの負担が國民にどうかという問題は、別問題でございますが、所得が二割ふえれば、税額は税率、控除を動かさない関係上、六、七割はふえることに相なるのでございます。
#27
○小峯委員 專門的な御説明をいただきましたが、その中には專賣益金の收入なども含んでおりますから、正式に、たとえば累進でこれだけふえるという数字が多分計算できると思います。これはあとで政府委員にでも計算させて一度お見せ願いたいと思います。
 なお、今度のこの予算を見ますと、國民経済を構成しておる家計、企業会計、そうして國家地方財政、こういうものを比べてみまして、財政だけバランスをとりますために、家計にも、あるいは企業会計にもことさらに赤字を押しつけるような感じがいたします。私どもの考え方では、同じ赤字ならそれぞれ分担してやることの方が、國民経済を持つて行く上にはいいのではないかと考えますが、一方の犠牲において強行するということは、どうしても実際上の生活の上に、あるいは事業経営の上に、大きな影響が出て來るように思うのでありますが、それに対するお考えを伺いたいと思います。
#28
○池田國務大臣 國はバランス・バゼツトをつくりましたが、やはりなかなか困難な問題もございまして、公共事業費とか、いろいろな点で非常に切詰めまして、非常に苦しい立場になつているのであります。また企業の方につきましても、輸出補助金を出さない、関係上、相当整理が行われると思います。これは伸びるための悩みと申しますか、よほどここで考え方をかえて、立直りを計画して行かなければならぬと思います。また一般家計におきましても、將來は税の軽減も考えられますが、ただいまのところは考えられませんし、またある程度主食も上つて來たり、運賃も上つて來るのでありますから、よほど耐乏して行かなければならぬ。企業や一般國民家計が苦しゆうはございましようが、國の方も苦しまぎれにこういうことをやつたのでございまして、三者一体苦しまねばならぬと思います。
#29
○小峯委員 資金計画について大藏大臣はどういう策定をなすつておられるか、そしてそれに関連して、今年度の貯蓄目標をどの程度のところに置いておられるか、伺いたいと思います。
#30
○池田國務大臣 先般予算ができ上りましたままでございますので、ただいま資金計画を策定中でございます。何と申しましても、資金計画を立てます場合には、貯蓄がどの程度上つて來るかということが一番大きな問題でございます。昨年は國民の協力を得まして、三千億円の貯蓄目標が、大体三千七百億円程度に達したのでございます。今年は徴税強行その他であまり多くを期待し得ないのでございますが、大体私としましては、二千五百億程度の貯蓄目標を立てて、これに邁進して行きたいと考えております。
#31
○小峯委員 二千五百億の貯蓄目標は、少し実は高いような氣がするのであります。先般これは新聞紙上の座談会で拝見したのでありますが、大藏大臣はそのときは三千億というようなお話をしております。日銀の総裁が二千億ぐらいで、どうもそういうふうに少ければ困るというような、大臣頭をかいたような座談を実はやつておられます。皮肉を申し上げるのではありませんが、私はこういう食い違いが、今度の予算全般にあるのではないかと思います。大臣非常に自信が強く、非常に樂観的であるように思いまして、何かにつけていいブライト・サイドだけを見るような氣がするのでありますが、二千五百億の貯蓄は、実際上から言うと、非常に困難だと思います。私が先ほど申しましたようにバランス・バゼツトが家計にも、そしてまた事業会計にも、非常に大きな圧力を加えておりますので、実際はずかしかろう、こういうふうに考えるのでありますが、その目標を達成いたしますためには、よほど思い切つてその運動なりあるいは計画が必要だろうと思います。私どもも貯蓄運動の方の係をやつておりますので、その点で実は悩んでおりますが、今までのようにインフレの余波で貯蓄ができるのではなくて、今度はほんとうに素裸になつて飢餓貯蓄をしなければならぬだろうと思います。貯蓄運動に対する何か新しい構想でもありましたら、伺つておきたいと思います。
#32
○池田國務大臣 貯蓄運動につきまして新しい方法は、ただいまのところ持ち合せておりません。ただやはり國民に貯蓄の必要なことを十分納得していただくことが一番でございます。私は今度の予算が日本再建のために必要だ、それにはどうしても貯蓄をしなければならぬということを植えつけるべく、最善の努力をいたしたいと思つております。
#33
○庄司委員 ただいま貯蓄に関する同僚の質問に対する大藏大臣のお答えがありましたが、貯蓄を徹底させるためには、ただいまようやく燃え上つて参りました小学校生徒の貯蓄組合、あるいは小学校生徒の銀行、あるいは新制中学生の銀行あるいは母の会、主婦会等の貯蓄組合等に対する利子税を撤廃をして、利子税を特免するというような方法も、奨励の一方法ではないかと考えておりますが、それに関して通貨措置が、あるいは單一為替レート設定直前において、断行されるのではないかというような危惧の念が、相当國民の各階層の間に瀰漫しておるようなただいまの状態のように察知されます。こういうことが貯蓄増強の上において非常ながんをなしておる、阻害しておるというような事実を地方において私は発見しております。過般もドツジ公使は、通貨措置の断行というようなことは、ただいまの状態においてあり得ないという声明があられたようでありますが、この際大藏大臣は、さような措置をとられる御計画、御決心がないとするならば、あらためて全國民に宣明されることが、貯蓄増強の目的達成の上において適当なことではないか。かように考えておりますが、御所見はいかがでございましようか、私の関連質問はこれだけであります。
#34
○池田國務大臣 庄司委員にお答え申し上げます。貯蓄増強に対しましては、お説の通りただいま貯蓄組合で三万円までは免税いたしておりますが、これも限度を引上げまして、できるだけ増加に努めたいと思つております。
 第二の通貨措置の問題でございますが、ここ二、三年來大藏大臣の財政演説には、通貨措置をやらないということを常に言つておられたのであります。私は今回あえてそれを抜きました。それはこういう予算をつくつたのは、通貨措置なんかをやる必要がないような予算でございますから、あえてそんなこともやる必要はないというので、当然のこととして言わなかつたのであります。ここであらためて御質問がございましたから申し上げますが、私は通貨措置は全然やる考えはございません。この予算を國民とともに施行していつたならば、そんなことは全然考える余地のないことでございまして、ここにはつきり申し上げておきます。
#35
○小峯委員 関連質問の関連でおかしいのでありますが、通貨措置を絶対にやらないというお話ですが、これは少し愼重におつしやられなければいけないだろうと思います。と申しますのは、為替レートが一本になる。きようから少くとも輸入レートは一本になりまして、輸出のレートもだんだん一本になつて來るということになりますと、そのうちにこれはやはり安定通貨の問題と関連して参るだろうと思います。もつとも平價を切下げるというような問題は、これは町で言つているような、いわゆる通用價値の切下げとは全然違うのであります。しかもそれは為替相場がだんだんできるようになりましたときに、その為替相場を追認して行くような形で切下げることをやるので、実際上の影響はなかろうと思いますから、こういう問題はかりにやりましても、一般の生活や一般の経済生活に変化はないと思います。しかし、と言つて、そういう正しい意味の平價切下げということは、必ずやる時期があるじやないかと私は考えております。今までの大藏大臣は平價切下げはやらないということをしよつちゆう言つておりました。私は委員会の席上でも、前の栗栖大藏大臣だと思いますが、平價切下げはやらないということだが、それは間違つている。いわゆる平價切下げはやらないとおつしやるなら意味は通るが、正しい意味での平價切下げはやらないと言うのはおかしいと言つて警告したことがあります。以後栗栖さんはいわゆるという言葉をつけて新聞紙上で再三発表されておつたように記憶しております。今大藏大臣はきつぱり言われましたが、私は正しい意味での平價切下げという問題は、われわれが四年間政権を担当するとすると、きつとその時期が來るだろうと思います。そういう意味でよほど言い方をお氣をつけにならないと問題が起るじやないかと思います。その点御所見いかがでありますか、伺いたいと思います。
#36
○池田國務大臣 小峯君は非常に物事を深くお考えになりまして、平價切下げに二様ある。一つの分はやらないけれども、正しい意味の部分はやることがあるのではないかというようなお考えでございますが、私はいずれにいたしましてもややこしいことではなしに、とにかく今國民の心配している、庄司委員の御質問の答えといたしまして、通貨措置は全然考えておりません。これで御了承願いたいと思います。
#37
○小峯委員 大藏大臣の立場を考えて今の答弁で一應了承することにいたします。しかし問題はいろいろあることをなおもつけ加えておきたいのであります。
 それから貯蓄の問題に関連してでございますが、なかなか貯蓄は集まらない。そうしますと金融の問題は、自分たちでまかなう金融方法を立てて行かなければならぬと思いますが、非常にじみでありますが、端に寄つている金融機関の問題であります。たとえば無盡会社のごときはそれでありますが、こういうものはいわゆる相互金融でありまして、自己金融でありまして、こういうときにこそこういう問題を正しく育成して、正しい監督をして行くことが必要だと思います。無盡の金融に関する大藏省の所見を伺います。
#38
○池田國務大臣 お話の通り、銀行ばかりでなしに信用組合、無盡の方にも相当力を入れております。おかげで最近無盡も非常に伸びて参りまして、いい傾向だと思つております。貯蓄目標達成のために、あるいは貯蓄増加のために、こういう方面にも今までに増して力を入れて行きたいと考えております。
#39
○小峯委員 大いに力を入れるということはわかるのでありますが、具体的に何かこれを引上げて行くような方法をお考えになつているかどうか。どうも端に寄つておりますが、中小企業金融といたしましては、そのくらいかゆいものに手の届くものはなかろうと考えております。私ども最近の勉強でありますが、どうしてもこういうものを利用しないと、中小企業の金融はあり得ないというところまで実は考えているのであります。これに対しましてたとえば復金はああいう形になりましたが、産業復興資金代理貸付、こういうものを利用するとか、こういうものまでぜひ考えていただきたいと思います。
 なお関連いたしまして、これは最近私どもの手に入つた陳情なのでありますが、福岡地方で庶民金融会社というものが相当あるらしいのであります。これは殖産会社という名前をつけているようであります。無盡は月掛でありますのに、日掛で金を集めまして、納税の積立金などにもこれが相当活用されているようであります。しかしこれはどうも何か業法などと抵触するということで、多少これに対する地方の財務局あたりからきつい監督というか、注意があつて、営業もできかねるような話ですが、そんな例もあつて、先般府縣の業者が大挙して党の方に陳情に参つております。もしそういうことかあれば、ぜひ独立の法律か何かにしていただく、金融業法の中に織込むなりして監督はしていただいていい。ほんとうに業法的な金融機関で仕事をしているのであるから、これに対する特別な考慮をしていただきたいということが陳情でありまして、あわせて御所見をお伺いいたします。
#40
○池田國務大臣 中小企業金融に対しまして、無盡の発達はわれわれは期待しているところでございます。具体的の徴税方法も考えて行きたいと思います。なお福岡あるいは廣島方面のいわゆる金融会社、これに対します処置はただいま研究中でございます。
#41
○小峯委員 産業資金の問題に関連してでございますが、どうしても有價証券市場というものを、積極的にもり育てる以外に方法はあるまいと考えます。有價証券市場の育成に関しましてはいろいろあると思います。たとえば正規の市場の再開はいつごろを予定されているか、大臣もしばしばそういうことに言及されているように考えますが、いつごろどういう形で再開されるおつもりであるか伺いたいと思います。
#42
○池田國務大臣 産業資金の問題につきましては、やはりその会社が、自己資本をふやして行くということが第一だと思います。自己資本をふやして行くためには、やはり証券取引がその元をなすものでございまして、私としてできるだけ早い機会に取引所を再開し得るように懇請いたしておるのであります。その時期ははつきりは申し上げられませんが、そう先ではないと思つております。案外早く再開の指令がくると私は期待いたします。
#43
○小峯委員 大藏大臣への質問は以上で終りましたが、安定本部長官に質問がありますので、これは保留して質問を打切りたいと思います。
#44
○植原委員長 鈴木明良君。
#45
○鈴木(明)委員 私が質問したいことは、今回提案された予算は、ドツジ公使の内示案を採用したということであります。しかしながら大臣が前に考えておつた事柄は、こういう予算ではなかつたはずであります。そこでこの予算が、小峯君からもちよつと出たのですが、最もいい予算だというふうに最近は申しております。しかしながら大臣の腹の底は私はそうじやないのだと思つておりますが、その点についてドツジの案が最上のものであつて、そして政府が提出されたものは、日本再建にとつて最良のものでないのではないかというふうな印象を私は受ける。そこで大臣が最近はそうかわつたのだと申せば、それまでであるのですが、大臣の心の底はどうか。公約したことは全部盛られていないこの予算、しかも政府が用意された予算が、日本再建に最も役立つものと私たちも信じておつたし、大臣も信じておつたと私は思います。そこで最近の大臣の心境はどういうふうになつておるかということをまず私は伺いたいと思う。同時に大臣は重大決意のもとにその筋に懇請する、こう申したことはしばしばあります。私の感じで言うならば、その重大決意というものは、これは目的完徹せざればやめるのだというふうに私は感じた。その責任の所在について率直にひとつ聞かしてもらいたい。
#46
○池田國務大臣 日本再建、経済自立につきまして、関係方面とたびたび折衝いたしました。その点で前に私が考えておつたよりも、今度の予算がいいと考えてかえたのでございます。私が折衝の都度最も力を入れた点は、所得税の改正と取引高税の撤廃であります。所得税の改正につきましては、先ほど申しましたように、一、二箇月待つて根本的にやろうということになりましたので、私はそれまで待とうということにいたしたのであります。從いまして繰返して申し上げますが、向うからシヨープ・ミツシヨンが來ましたならば、必ずや私の考えておりました税の軽減ができることと期待いたしておるのであります。
#47
○鈴木(明)委員 先ほど税の軽減ができるということを小峯君の質問に答えた。私が心配をするのは、この税金はとれる自信があるということを、しばしば言明されているが、どうも税金が私はとれないように思う。前年度の予算と比較すると、おそらくこれは二倍程度になります。納税者一人当り一万円ずつこの機会に政府にまかせるというような結果になると思います。ただとれるという言明。それからもう一つは、そういう税金は重いということも大臣承知なんだ。そして五月に專門家がやつて來て、税の軽減をはかるということを、先ほど小峯君の質問にもお答えしておつたのですが、これは鮮明でない。どうもぼやけておる。ただ軽減をするのだということの程度では、私たちはどうも納得が行かないように思われる。大体どの程度軽減ができるか、この前政府が内定した二千何百億かの線まで下げられる自信があるのかどうか。その見通しを私は大臣の抱負としてはつきり伺つておきたいと思います。
#48
○池田國務大臣 この前私が大体二千四百億円ぐらい所得税の徴収を見込みましたときは、基礎控除一万五千円を二万円程度、扶養家族の控除月百五十円を二百円程度、しこうして税率を二万円以下百分の二十を五万円以下百分の二十程度の改正をいたしまして、大体二千四百億円程度に收入を見込んでおりました。しかしこれは昨年の十一月から十二月ごろの物價基準でやつておつたのでありますが、本年の一月の基準で参りますと、それよりちよつとふえるのであります。しこうしてかかる税制改正による減收はどのくらいかと申しますと、大体五百億円程度でございます。もし今度私の考えておつたような軽減を所得税でいたしますとすると、五百億円の財源を見つけなくちやならないということになるのであります。そこで私は歳出をできるだけ今後きちんといたしまして、切れるものは切つて行こう、それに近い金を出して行きたいと今では考えております。
#49
○鈴木(明)委員 歳出をできるだけ切り詰めるということですが、その歳出を切り詰めるということは、どの部面をどういうようにして詰めて行くかということも伺つておきたいのです。
#50
○池田國務大臣 まず日当にいたしておるものは、價格調整費等の補給金でございます。その他各般にわたりまして、今回は歳出につきまして細心の注意を拂つて行きたいと思つております。
 もう一つここに申し上げたいのは、私は二十三年度におきまして相当の自然増収を期待いたしております。金額は申し上げられませんが、相当の自然増収があると考えております。(「苛斂誅求だ」と呼ぶ者あり)これを財源の一つに充てたいと考えております。
#51
○鈴木(明)委員 私は昭和二十三年度の予算の執行に際して、所得税の点を考えてみるならば、この税金でさえも一家心中をしたというような、かわいそうな実例が最近の新聞にひんぴんとして起つております。その上に差押えの強行、こういうことで、徴税におびえている今日の状態であります。そこで考えなければならないのは、大臣がいかにも安易に――今の御答弁に現われておりますが、一体この三千百億というような税金がとれるのかどうか、この点について私はどういうふうにしてどんなふうにやるのか、具体的に確実な措置をひとつ宣明されたいと思うのであります。
#52
○池田國務大臣 御承知の通り所得税は、二十三年度におきまして千八百三十億円を予定いたしております。この内訳を申しますると、千二百億円が事業所得、六百二十億円が主として俸給生活者の勤労所得に対する源泉課税の税であります。しかして今苛斂誅求の問題がございますが、この勤労所得に対しまする源泉課税の所得は、大体これは六百二十億円のところが、二十三年度の收入が七百五十億円ぐらいあると予定いたしております。問題は千二百億円の農業者に対する所得税あるいは事業者に対する所得税、これはなかなか予定通り入つて來ないのではないか、苛斂誅求の声を聞きますが、予算通りなかなか入つて参りません。事によつたならば二十三年度の予算において赤が出るのではないか。極力大所得者あるいはやみ屋の方面を調査して査察してやつておりますが、これはよく行つてとんとんだという状況であるのであります。從いまして、今年度の三千百億円につきましても、勤労所得に対する源泉課税の分を千二百億円、事業所得に対するものを千九百億円、こういうように見ておるのでありますが、大体物價の値上り、あるいはまた米價その他の値上りを考えてみますと、千九百億円は樂ではございませんが、とれる自信はあるのでございます。
#53
○鈴木(明)委員 どうも私には頭が悪いせいか、のみ込めないのです。去年の税金でさえも赤字を予想しておるのだ、とれないのだというのですが、今年の予算を見ると、それより相対的に考えると、大体倍くらいに勘定される。こういうものはますます私はとれないのではないかと思うのです。それをますます強行してやるというと、結局私が先ほど申したように、今でさえも税金のために一家心中するというような現状になつておる。この上に税金が加重されては、われわれの生活はもう破産する、こういうことになると思う。そうするとそのすきに乗じて、いろいろの思想的な部面も私は現われて來るのじやないか、こういうように非常に心配しております。世界の各國の例をとつてみるならば、世界の國々においても、徴税の強行によつて暴動が起きたというようなことも、歴史の示すところであります。私はこういう結果になることは、再建ではない、滅亡だと考えます。このように信ぜられるのでありますから、その点について大臣の所信を伺いたいと思うのであります。
#54
○池田國務大臣 お話の通り、革命その他は徴税の強行、むりな税金で起つた例は、歴史の示す通りであります。われわれ徴税の任に当つておる者は、常にその点は考えております。しかして今回の三千百億円の徴収が可能なりやいなやということにつきましては、主税局長より詳細に数字的に御説明いたさせましよう。しかして三千百億円をとることがいいかどうかという問題は別でございます。その点につきましては、私小峯委員にお答えいたしましたように、今の國民負担はかなりきついから、できるだけ早い機会に軽減の措置をとると言つておるのであります。その点は繰返して申し上げますが、三千百億円は現行税制のもとにおきましてはとれます。しかし過重の点が考えられますので、早い機会に軽減したい、こういうのであります。
#55
○平田(敬)政府委員 では所得税の算定の基礎につきまして、御説明申し上げたいと思います。所得税は御承知の通りに源泉所得税におきまして、前年度予算に比べまして五百八十億、申告所得税におきまして六百七十二億、合計いたしまして千二百六十億という増加を示しております。六割九分の増に相なつております。これにつきましては、所得の計算その他相当各種の統計に基きまして、算定いたしているのでございますが、まず税法によりましても、実は何ら改正いたしませんでも、前年の改正の平年度化によりまして、基礎控除と扶養控除につきましては若干の引上げになります。昨年は御承知の通り年額から申しますと、基礎控除は一万三百二十五円の控除をいたしたのでございますが、それが本年度は一万五千円になります。それから扶養控除におきましては、昨年は千百九十五円控除しておりましたのが、本年は千八百円になるのでございます。從いまして事業所得等の場合においては、これは完全に適用になります。ただ勤労所得税の場合においては、源泉でございますので、すでに本年度の額を毎月の月給から昨年の六月十五日以後差引いております。從いまして勤労所得に関しましては、実質的に今までの毎月の課税額に比べますと変化はございません。年額で見ますと、さようなことに相なるのでございます。さような点も一部においては計算の要素に入れて算定いたしたのでありますが、まず給與所得税でございますが、給與所得税におきましては、大体二十三年度の課税見込み人員及び所得金額を基礎にいたしまして、雇用、賃金、その他の点を考慮して、二十四年度は五割五分の所得の増加を見込んでおります。このうち雇用を見る場合におきましては、通常で行きますならば、大体百四パーセントぐらいになるじやないか、こういう見方をとつておりますが、本年は行政整理等の関係もございますので、若干低目に見ているのでございます。賃金につきましては最近までの工業平均賃金等をもとにして推定いたしたのでございます。それによりまして計算いたしまして、大体課税所得を推定し、それに対して平均所得に対する税率を適用しまして税額を求めて、それに対してさらに累進率の適用を受けます結果若干の増になりますが、それを一〇%増と見込みまして計算して参りますと、さつき申しましたように予算額において千二百二億という数字が得られるのでございます。最近の状況から見ましても、勤労所得税は月に大体百億ちよつと足らずぐらい現実に入つておりますので、この金額は今後賃金水準が現在で安定すると考えましても、確保できるのじやないかと考えております。
 問題はむしろ申告所得税にあると考えますが、申告所得税についても、同様な方法で算定いたしたのでございます。まず所得におきましては、農業所得においては生産と物價との関係を考慮して、昨年に比べて二割七分の増を見ております。課税が暦年になりますので、昨年の暦年に対して二割七分の増を見ております。営業におきましては、農業のよりも生産の増が若干よけいに考えられますので、三割一分の増を見込んでおります。そういたしまして申告所得税全体で二割九分、約三割の増加を見ております。それによりまして課税所得を推定いたしまして、それに対して先ほど勤労所得税について申し上げましたと同じように、それぞれ税額を求めまして算定いたしたのでございます。一番問題になりますのは、算定しました税額のうち、何パーセントがはたして当年度の収入になるだろうか、この点が先日の予算委員会におきましてもお尋ねがあつたのでありますが、本年度におきましては大体七十六パーセント程度徴收可能という計算にいたしております。この七十六パーセントがはたして可能であるかどうかということにいろいろ問題があろうかと思いまして、実際のところにおきましては、私どもあらゆる方法によりまして、徴収確保に努力しなければならないと考えておりまするが、大体この程度に見込みますれば、数字といたしましてはさような数字が出て参るのでございます。
 結果から申しまして、どのくらいのものになるかということを御参考に申し上げますと、勤労所得者の納税人員の見込が千百四十万人程度になるように見込んでおります。一人当りの平均所得が年額九万円、それに対しまして本年度の課税所得金額が一兆二百九十億程度を見込みまして、税額は先ほど申し上げましたように千二百億になるのでございますが、そのうち配当利子等に対する分が約三十八億ございまして、純粋の勤労所得税だけの分は千百六十三億という数字に相なるのでございます。それから農業におきましては、大体課税人員を三百五十四万人ほど見込んでおります。平均所得が八万六千円、課税所得におきまして三千六十八億、それで先ほど申しました方法で計算いたしまして、本年度の収入見込み額が四百九十七億程度農業における所得税を見込んでおります。それから営業におきましては、課税人員が二百二十八万人で、平均所得が一人当り十七万三千円、課税所得におきまして三千九百五十三億、そういたしまして先ほど申し上げました方法で税額を計算いたしまして、本年度の見込みは千百七十億ほど見込んでおるのであります。その他の分も若干合せまして、申告所得税の税の総額におきましては千九百億、勤労所得税の源泉の分を合計いたしまして、三千百二億という数字を一應算定いたしたのでございます。
 從いまして一番問題は、先ほど大臣もお話いたしましたように、申告所得税をいかにして徴収するか、というところに問題があると思いますが、今までの経験にかんがみまして、私どもとしましては、極力ひとつ本年度は申告指導と申しますか、申告によつて税が納まるような方向に、全力を上げて行きたいと考えております。そのやり方といたしましては、農業所得等につきましても、昨年度は標準率を公開いたしまして、ところによつては相当いい効果を上げているところもあります。現に北海道のごときは、納税者の九十パーセントぐらいが申告で納まりまして、更正決定をいたさなかつた事情もありまするが、本年度はひとり農業のみならず、営業等におきましても、極力事前に申告の指導をいたしまして、それによつて納まるようにいたしたい。しかしながら最近の状況からいたしますると、なおやはりそれだけでは完全な目的は達成し得ないということが考えられまするので、この方におきましてはできる限り、納税者の実地について税務官吏がよく調査するように、このことをさらに徹底いたしたいと考えております。ただ遺憾ながら熟練した税務官吏が多数いないというところが非常な難点でございますが、しかしその点も今まで二年の経験があつた者が三年になりますと、よほどまた程度も違つて來ますし、さらに全般的に組織等につきましても、でき得る限り有効な労法を考えまして、極力納税者の実地について調査を徹底いたしまして、実額をとらえて、それによつて賦課をいたしまして、紛爭を少くして納税するようにいたしたいと考えております。それから申告所得税の実際の納税上におきまして一番問題になりますものは、結局最後まで税金を納めないで、更生決定が來た際に一ぺんに納める。そこで非常に無理があるというところに私ども難点を感じておりますので、本年は特に納税準備預金という制度を設けまして、この預金の制度を極力事前に利用していただきまして、たとえば收入金の一部を必ず毎月預金するようにしておくというような方法を、納税者にやつていただきますならば、今までに比べまして、よほど納めやすくなるのじやないかと考えております。さようなことにつきましても極力普及をはかりまして、円滑にしかも適正に徴収するように心がけたいと存じます。
#56
○中曽根委員 今の平田主税局長のお話に、私ちよつと納得し得ないところがあるので、関連して質問を申し上げます。平田さんは今年度の國民所得の二兆九千億というあの数字をお認めになりますか。
#57
○平田(敬)政府委員 本年度の國民所得は、経済安定本部で大体推計したのでございますが、お手元に配りました資料にもございますように、二兆九千何百億ということになつております。
#58
○中曽根委員 二兆九千億というものをお認めになつて、大体安本が考えている國民所得の算定の計数を、やはり課税の場合でも同じようにお使いになるのだろうと思いますが、そうするとただいま申告所得の中で、農業関係が二・七割、営業関係が三・一割、こうおつしやつているのですが、農林水産関係は、安本の計算では大体一一六%、去年の十一月水準に対して、一割六分増しということになつておる。それで初めて二兆九千億という國民所得が出ておる。営業関係は大体一一七%、一割七分増である。取引高においては、大体一一〇ないし一一五ですから、一割五分見当増しということになつておる。ところが課税の場合には、取引数量や、あるいは生産数量というものが、こういうふうに水増しに増しているということは、私は大藏省の基礎と、安本の基礎と非常に変なところがあると思うのでありまして、三千百億というものをぶつつけるために、わざわざそういう取引高や、生産数量の増加というものをおつくりになつたのではないかという濃厚な疑問が起るのでありますが、その点はいかがでありましようか。
#59
○平田(敬)政府委員 私どもが見込みましたのは、増加の計数としましては、國民所得を見込みます場合と同様な方法で見込んだのでございます。ただその基本が違うのでありまして、私どもの申告所得税の場合におきましては、二十三年度の所得税において、実際に決定した見込額、それをもとにいたしまして、それぞれ生産、物價等の割合を乗じまして、課税所得を算定したのでございます。方法は國民所得を見る場合と大体同じ方法でやつております。
#60
○中曽根委員 二十三年度の國民所得の実績も大体安本が出しました数字と違つていないようです。從つてこの計数は両方とも食い違いがあるはずはないと思つている、にもかかわらず、このように八分くらいの水増しがしてあるということは、私はまだ疑問が解消しない。この点はいかがでありましようか。
#61
○平田(敬)政府委員 どういうもので御計算になりましたか、よくお聞きした上でお答えしたいと思いますが、方法といたしましては、大体國民所得を見込む場合と、ほとんど同じ方法で見込んだのでございます。先ほど申しましたように、基礎が私どもの方では課税所得の推計でございますので、二十三年度の実際の決定見込額、これも大体実績に近いものが出ていますが、それをもとにいたしまして、それぞれ算定いたしておるのでございます。お話のように、特段大きな差別はないはずだと考えておりますが、なおさらに後ほど資料をいただきまして、その上で御回答いたしたいと思います。
#62
○中曽根委員 この國民所得算定の問題は、財政のスケールを決定する上に一番重大な問題でありまして、こういう数字が安本その他で調べたところと齟齬するということは、予算の基礎に重大な欠陥があることを示すものであろうと思います。そこで課税所得と國民所得の場合に違う計数が出るようなお答えでありましたけれども、しかし生産の増加数量や、その他のものについてはお話の通り違うはずはないと思う。その点がどうもまだ疑問が解消しないのですが、平田さんの方でおつくりになつた基礎資料の詳細なるものをひとつ私の方にお出しくださるようにお願いいたしたい。
#63
○鈴木(明)委員 先ほど申告納税者の問題についても説明があつたのですが、この申告納税者は、店舗を張つておる人々には適用しておるがやみをしておる、店舗を張らないで商賣をしておる人には、どうも適用しておらない。そこで大口脱税者というような問題が起きて來る。けさの新聞にもそういうことが出ておつた。日本一の金持ちが一銭も納税しなかつたというようなことが出ておつたのですが、そういう点に対する処置は、どういうふうになされるかということをひとつ伺いたいと思います。
#64
○平田(敬)政府委員 本日の紙上に出ておりました個人の一番所得の大きい人についてのお尋ねですが、あの調査は実は財務局の査察部で、今まで全然わかつていなかつたのを発見しまして、調査いたしたのであります。その結果相当大きな抜けがあつたということを発見いたしまして、それに基いて更正決定もやり、それに対しまして税額も確保するというので、目下着々進行中でございます。ごく最近に決定いたしましたので、また税額が納まつておりませんが、相当な差押えもいたしつつあるような次第であります。近いうちに納まり得るものではないかと考えておるのでございます。
#65
○鈴木(明)委員 次にお尋ねしたいことは、この予算が実行された場合に、産業界にどんなふうに影響するか、こういう問題であります。先ほども小峯委員が触れたのでありますが、私はここで最も心配になるのは、長期産業資金の問題であります。この資金はどんなふうに調達しているか、政府はどうまかなうか。私はこの点についても非常に疑問を持つておるものであります。すなわち長期産業資金は、今まで復金が大体まかなつておつた。それも復金が半身不随の状態になつた今日、どんなふうにやられるか。市中銀行でまかなうということが新聞にも出ておつたのですが、長期の産業資金、たとえば石炭の部面、肥料の部面、こういつた長期の産業資金はどんなふうにまかなつて行くのか。その点をひとつ明確にしてもらいたいと思います。
#66
○池田國務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、ただいま資金計画を策定中でございます。基本的の考え方といたしましては、対日援助資金の方を主として持つて行きたい。そしてまた貯蓄奨励によりまして出ました貯蓄を、信用統制などをやりまして、なるべくたくさん長期資金に持つて行く計画をいたしております。
#67
○鈴木(明)委員 対日援助資金によつてこれに充てるということも、一應うなずけるのです。しかしながらこれも米國の監督下に嚴重に行われると私は思う。しかもその資金は、貯蓄によつてもやられると申すのですが、どうも納得が行かないのです。もう少し具体的にこうして、こうするのだ、この程度まかなえるのだということを私は伺いたかつたのです。
 まずその点はそれといたしまして、次にお伺いしたい点は、單一為替レートの問題であります。この單一為替レートは、これをはつきりといつ決定されるのか。またそれが産業界に及ぼす影響について、ひとつ御説明願いたいと思います。
#68
○池田國務大臣 單一為替レートの設定の時期は申し上げるわけに行きません。それは私も知らないのでございます。それから産業界に及ぼす影響という問題につきましては、レートが幾らにきまるかによつて、よほど違つて参ると思います。また大体におきまして、從來相当円安で外國に輸出された部面の企業は、よほどの打撃を受けることと思うのであります。過渡的措置といたしまして、ただいまは四百二十五円程度にまで落して参つておりまするが、輸出補助金を一切出さないという建前をとりました関係上、わが國産業界には單一為替レート設定と同時に、相当の影響があるということは覚悟しなければならぬと思つております。
#69
○鈴木(明)委員 私どももそう考えます。そうすると結局この問題が決定したあかつきには、あらゆる産業界において大手術をしなければならぬと思います。中には経営不能になる産業界も出て來ると思います。思い切つた大手術をやることは社会不安を引起す。しかしながらやらなければならない。経営が不能となるものもある。その一方為替の利益をかせぐ者も出て來るのじやないかと思うのです。この利益は無條件に認める考えかどうか。これらに対する技術的措置を私はひとつ伺つておきたいと思います。
#70
○池田國務大臣 為替レート設定によりまして、片一方では相当の利益を上げる企業もあることは予期できるのであります。これに対しまする措置は、今考えておりまするが、私はそういう措置をとることがいいか悪いかという基本的問題につきましても、今考慮中であります。
#71
○鈴木(明)委員 大藏大臣に対する質問はこの程度でけつこうです。
#72
○植原委員長 それではここで休憩します。その前に資料の点について松本君より発言を求められております。
#73
○松本(一)委員 先ほど中曽根君の関連質問でほぼわかりましたが、もう少し詳細に私ども調べたいと思うのは、この所得税算定の基礎になる國民の総所得の総額であります。これは二十三年度予算のときは、一兆九千億で、追加予算のときは二兆五千億、今度は二兆九千億となつておりますが、この予算を施行することと、二十四年度の経済事情の見通しからいつて、あるいは相当深刻なデフレに入るのではないか。そうなつたとき、この二兆九千億余りという所得は、どこから見出せるかということについて、先ほど一應の御説明があつたのですが、いま少し詳細な資料を数学的に御提出を願いたい。ことに事業所得の内容でも、そのうち商工業、あるいは農業、あるいは漁業についてこれまで詳細な資料が出されておつたのであります。それについてこの資料の御用意を願つておるのか、あるいはまだならば急いで御用意を願いたい、こう思うのです。大藏大臣にお願いいたしておきます。
#74
○植原委員長 なお政府に御注意申し上げておきます。かなり多数の委員の方から各方面にわたつて資料提出の要求があります。つとめて迅速にその資料を整えて御提出を願います。
 これにて休憩いたしまして、午後は一時より開会いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時七分開議
#75
○植原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 この際お諮りいたしますが、理事東井三代次君が理事を辞任されましたので、その補欠をいたしたいと思いますが、これは委員長において指名することに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○植原委員長 異議なしと認めます。それでは圖司安正君を理事に御指名いたします。
    ―――――――――――――
#77
○植原委員長 これより質疑に入ります。小峯柳多君。
#78
○小峯委員 本年度予算の性格に関しまして、先ほど大藏大臣に伺つたのでありますが、安定本部の長官になお重ねて伺いたいのであります。
 経済政策は前進と停止、復興と安定、この関係が交互に上手に織り合わされて、初めてその効果の全きを得ることは当然なのでありますが、今回今まで復興計画の中に安定を盛り込んだ、いわばなしくずし安定を考えて來ました安定本部のやり方をがらり一変いたしまして、そして一挙安定を考え、予想するような二十四年度の予算を組みましたことに関して、政治的意義は私どもにも一應納得はできます。しかし安定本部長官は経済的にこれをどういうふうに説明されるか、またどういう考えでこの一挙安定を考えるようになつたか、その辺の御所信を承りたいと考えます。
#79
○青木國務大臣 小峯委員の御質問にお答えいたします。御承知の通り財政の均衡、それから通貨、物價の安定ということは、國民経済上最も望ましいところであります。西欧のフランスであるとか、あるいはイタリアであるとか、これらの國々の外國の援助を受けておる状態を見ましても、共通に見られるところでありまして、わが國におきましても、経済九原則の第一の目的としてあげておりますことは御承知の通りであります。日本経済の回復も、政府の発表いたしました経済現況の分析に示しておりますように、大体あの程度の段階に達しております現在では、安定政策を遂行することは、まず可能であるという考えのもとに、安定によつて経済の基盤の正常化をはかるということであります。從いましてこの安定の経済基盤を形づくる時期に、ようやく到達しておるのではないかというふうに考える次第であります。またこの経済安定政策の最終的目的であります経済自立達成のための資本蓄積については、今回提出いたしました予算案におきましては、あるいは政府出資の中にも、援助見返り資金の中にも、インフレを高進せしめない程度において、最大限の産業資金の用意があるのでありまして、この点についても努力いたしておる次第であります。從つて現在立案中の復興計画は、今日の安定政策の実施によりまして、昭和二十四年度初年度に属する計画として多少の変更をこうむることは、いたしかたがありませんが、日本経済の長期的な自立、復興の見通しについては、ほぼ当初の線に沿つて立案しようと努力いたしておる次第でございます。
#80
○小峯委員 安定を必要とするお考えは、一應お言葉の上でわかるのでありますが、しかし安定本部では、二十四年度を初年度とする五箇年計画を策定していたはずだと思います。この一挙安定の計画と五箇年計画の調整の問題でありますが、それをどういうふうにお考えになつておるか。今それをあまり動かさなくていいという意味のお言葉もありましたが、五箇年計画はそのままでいいのか。かえるとすればどういう点をかえて行くか。私どもの考え方では、この安定を早期にやろうといたしますと、復興の目標に対しまして、多少これを下げるとか、あるいはずらすようなことが必要となつて來ると思うのでありますが、その五箇年計画との調整の関係の御説明を願いたいと思います。
#81
○青木國務大臣 私どもといたしましても、今回の予算の表面を見ますと、多少復興の計画に齟齬を來すのではないかという懸念を持つたのでありますが、しかしながら御承知の通り、援助資金の見返り勘定といいますか、その方面から日本産業に対する復興計画の相当額を見積ることができるのではないかという考え方から、この点は大体予定に一致して進めて行けるのではないかというふうに考えて、ただいませつかくこの方面に努力をいたしておる最中であります。
#82
○小峯委員 安定計画に関連いたしまして、安定通貨との関連はどういうふうに考えておられるか。為替のレートが一本になることが比較的近く予想されるのでありますが、時期の問題はなかなか明言ができないかとも存じます。しかし為替のレートが一本になりますと、安定通貨とのつながりがどうしても一般の人の頭にも浮んで來るのでありますが、今度の二十四年度の予算による一挙安定は、安定通貨との結びつきを考えておるのか、おらないのか。この点を伺いたいと思います。
#83
○青木國務大臣 お答え申します。ただいまのところ、まだ御承知の通り一本為替レートというものが決定されておりません。從つてかりにこの標準がきめられたといたしましても、ここで必ずしも安定通貨と関係があるというふうには考えない次第であります。
#84
○小峯委員 なお安定本部長官に伺いたいことは、今度の予算は、私先ほども申し上げたのでありますが、非常に忽然としてつくられたような感じがするのであります。政治的な理由がいろいろあるのでありましよう。從つて今度の予算に対する國民の啓蒙運動というか、実際これをやらなければ日本の再建が不可能なんだという意味で、廣くこれを知らせるような運動が必要であると思いますが、安定本部でそういうふうなことに対する考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
#85
○青木國務大臣 お答え申し上げます。なるほどこの予算を拜見いたしますると、あらゆる点におきまして、お言葉のようなことも考えてみなければならぬというように、私も考えるのでありますが、ただいまのところ、私どもはまだそういうふうな特別な啓蒙運動というようなことは考えておりません。しかしながら、なお今後その必要を認めた場合においては、ぜひとも御助力を願いたいと存じております。
#86
○小峯委員 商工大臣に伺いたいのでありますが、為替一本レートの問題が非常に接近しておるように考えます。この為替一本レートの採用ということは、商工行政の方向にも、いろいろな面から大きいさし響きが來ると思います。為替一本レートに関連いたしまして、商工行政の方向の問題で伺いたいと思います。最初に貿易の問題でありますが、一体商工省では、このレートの設定をいつごろと想定しておられますか。明言はできないと思いますが、一應目標を立てていろいろなことをお考えになつていると思いますので、その点を伺いたいと思います。
#87
○稻垣國務大臣 お答え申し上げます。お話の通りに、レートの率がいくらであり、また時期がいつであるかということは、お答えがいたしかねるのでありますが、ただ御指摘のように、為替の單一レートが設定されるということに相なりますると、商工行政の面に影響が大きいのであります。そこでできるだけ為替レートが設定されるまでに段取りをつけて置きたい。こういう意味で、たとえば輸出に対しましては、從來四百二十五円以上のレートのありました分も、四百二十五円を限度としてこれを承認する、こういつたような漸進的な措置を講じたい。輸入につきましては、三百三十円の一本レートにより、生活物資その他の必要品については、補給金を支給するという形をとつて行きたいと存じておるのでありますが、ただそう遠くないうちにこれが実施されるものとして、われわれは準備を進めているのであります。
#88
○小峯委員 一本レートになりました場合、輸出の補助金は形のいかんにかかわらず、あるいは名目のいかんにかかわらず、全然やらないつもりでありますか。またできないとお考えになつておりますか。
#89
○稻垣國務大臣 ただいまのところ、輸出補助金は出さぬことにいたしております。
#90
○小峯委員 補助金がないと、たとえば生糸の問題のように、すぐに当面困る問題が多々出て來るだろうと思います。私ども原則としまして、こういう補助金を考えるべきでないと思つておりますが、今度の予算がかなり唐突の間にこういう方向をとつていることと関連いたしまして、過渡的にしかるべき方法が必要ではないかと考えております。それに身がわるべき方法もお考えになつておりませんか、伺いたいと思います。
#91
○稻垣國務大臣 御指摘の生糸につきましては、かりにこれが三百三十円といつたようなレートがきまります場合においては、はなはだ輸出が困難になるのではないか、かように私は考えております。ことに生糸が輸出の非常に重要な部門を占めておりましただけに、これに対しては何らかの適当な措置をとりたい。ただ先ほども申し上げましたように、輸出は輸出補給金を出さない建前になつておりますので、その間に適当な処置をとつて輸出をできるようにいたしたいと今考究中であります。
#92
○小峯委員 ただいま生糸の問題に関連して適当な措置をとおつしやいましたが、その適当な措置の方向はまだお考えにあがつておりませんか。実はこれは非常に大きな問題なものですから、何か構想がありましたら、一端でも伺つておきたいと思います。
#93
○稻垣國務大臣 この問題につきましては、農林大臣ともいろいろ協議いたしておるのであります。しかしながらまた繭についての繭價の問題、そういつた場面のいろいろな関係もありますので、今農林大臣と協議いたしておりますので、ここでどういう方向ということもはつきり申し上げかねるのであります。御了承願います。
#94
○小峯委員 レートの決定によつて、当面非常に利益を得る産業も相当あるだろうと思います。こういうものに対する対策、先ほど同僚委員から大藏大臣への質問がありましたが、商工大臣はどうお考えになつておられるか。これから過渡的にこういうものを上手に使えば、一本レートの設定によつてあおりを食う産業の補助には使えるだろうと思います。もちろんこれも過渡的な方法でありますが、これに対するお考えも伺いたいと思います。
#95
○稻垣國務大臣 御指摘の通り、これによつて利益するところの産業もあると存じます。ただこれに対しては、考え方が二つあると思うのであります。今小峯君の御指摘のように、これの余裕金を他の産業に均霑せしめるという考え方もあると存じまするが、また同時に、そういつた十分輸出できる余裕のある産業は大いに育成すべきである。それがためには、その産業に資本の蓄積を許して、そうして將來の建設資金にまわさしめるという考え方もあると存ずるのであります。今日のところにおきましては、これに対して何らその差益金を他に均霑さすという考えは持つておりません。
#96
○小峯委員 一本レートの設定は、國際的な自由貿易への、一歩も、二歩も前進だろうと思います。それに照應して、國内の商工行政も自由主義的な面をもつと拡大して行つてしかるべきだと思いますが、その線に沿つて商工大臣はどういう方向を、またどういう範囲のことをお考えになつておるか。大分最近そういう線に沿つて行政が改善されておることは承知いたしておるのでありますが、なお今後の大臣のお考えを伺いたいと思います。
#97
○稻垣國務大臣 御指摘の通り、まつたく御同感であります。ただ御承知のように、現在の貿易は主としてバーター・システムによつております。本年度の計画は、バーター・システムを中心とする貿易協定におきまして、大体二億ドルでありまして、本年の輸出の総計画五億五千万ドルの大半を占めておるわけであります。これは御承知のように、各國のドル貨の不足という面、それからまた日本でどうしても輸出を増進したいということから、必要な物資をバーター的に輸入する、こういう面から主として貿易協定が行われておるのでありまして、自然バーター・システムをとらざるを得ない形に相なつておるのであります。しかしながら理想といたしましては、自由貿易の立場に立つことが最も必要でありまするので、われわれとしては、できるだけその方向に向うようにいたしたい、かように存じております。その準備といたしましても、できるだけ海外に人を派遣する。あるいは海外市場の調査を行う。あるいは海外よりいろいろな製品に対するところの文献を取寄せる、こういつたようなことを、できるだけ早きにわたつて実行して行きたいというので、その点は十分心得てやつてるおつもりであります。
#98
○小峯委員 國際貿易についてのお考えはわかつたのでありますが、それに照應して、國内の産業に関しても、自由経済に沿つた線が拡大して來なければならぬと思います。そういう線で今お考えになつておる方向をお聞きいたしたいと思います。
#99
○稻垣國務大臣 これに照應して國内でどういう政策をとつておるか、こういう御質問でありますが、どうしても輸出を、できるだけ多くするということのためには、原價安でなければならぬことはもちろんでありますると同時に、また優秀なる製品をつくるということが必要であります。その意味におきまして、まず第一番に考えられることは、コストの安い製品をつくり出すということでありまして、コストの安い製品をつくり出すということは、自然安いところに集中せしめる集中生産方式をとらざるを得ないだろうと考えておるのであります。もつとも集中生産方式をとるということは、また各般の支障を起すのでありますが、今生産方式といたしましては、商工省といたしましては、できるだけ民主的に注文者の意思を反映するような還流クーポン制を採用し、そしておのずから注文者をしてその生産会社を決定せしめる、できるだけそう方向に持つて行きたい。しかしながらまた大企業でわずかしか数がない、こういつたようなものについては、ある場合選定方式をとらざるを得ない場合もあるだろうと思います。ある業種については予約注文方式によつて、ある程度の予約をし、その標準は、あるいは同じような、製品に甲乙のないような種類のものでありましたならば、前年度消費税の高に應じて割当を試るとか、いろいろ方法があるだろうと存じておるのでありますが、大体において集中生産方式をとつて、これに應ずるようにいたしたい、かように考えております。
#100
○小峯委員 今大臣の御答弁にもありましたように、一本レートの問題と、集中生産方式の問題が出て参りました。この一本レートの採用で、そういう意味で中小企業の問題がまた新しい構想で考え直されなければなるまいと思うのでありますが、その中小企業の問題に関して、大臣の御抱負経綸を伺いたいと思います。
#101
○稻垣國務大臣 御説の通り、集中生産と中小企業との関係は非常にデリケートな問題でありまして、むろんある種のものは、大企業だけの間におのずから選択が行われるという業種のものもあると思うのであります。それからまたある製品につきましては、中小企業だけで選択が行われる業種もあると思うのでありますが、ただ両方にまたがつている場合が非常な問題になると思うのであります。これにつきましては、できるだけ量よりも質的に中小企業を育成して行くことが必要で、どうも両方にまたがつておる中小企業につきましては、とかく品質の問題が第一に取上げられまするし、また同時にコストの問題も取上げられるわけであります。こういう意味におきまして、できるだけ中小工業の負担を軽くするということも考えなければならぬ。そういう意味で、今度皆様の御協賛を得たいと存じております中小企業協同組合法案等は、これの一助に相なろうかと思うのであります。その中にはある意味において合作社の構想を取入れまして、そして企業組合というものを構想の中に入れておるのであります。この企業組合はある意味におきまして、いわゆる事業者所得でなしに、勤労者所得の割合で税金を取上げさす、こういう意味におきまして、ある意味においてよほどいわゆる中小工業の救いになる、かように考えるわけであります。
#102
○小峯委員 ただいま大臣のお話の中小企業組合の提案は、今國会、しかも非常に近く提案される予定でありますか。
#103
○稻垣國務大臣 多分二、三日うちに提案できるだろうと存じております。大体関係筋の了承を得ておりますので、二、三日うちに……。
#104
○小峯委員 それから中小企業の問題に関連いたしまして、金融の問題が非常にやかましくなるだろうと思います。そうでなくても、デフレだとか、あるいは不景氣だと言われておるのでありますから、一般の金融機関が非常に警戒をするだろうと思います。そうでなくても狭い門である。中小企業者にとつては、この問題はまずまずきゆうくつで、しかも今まで市中銀行が一應代理貸付のようなものをやつておりますが、こういう問題も今後復金の問題でむずかしくなるとしますと、中小企業金融の問題がますます困難になると思いますが、これをどういうようにして解決なさるおつもりであるか、お伺いいたします。
#105
○稻垣國務大臣 御指摘の通り、中小企業の金融については、從來とも非常に苦心いたしておるのでありまして、これについてはできるだけ市中銀行なり、あるいはその他に連絡をとつてやるつもりでございますが、また同時に先ほど申し上げました中小企業協同組合法案の中に、信用組合なるものを想定いたしております。この信用組合は、御承知の從來の市街地信用組合であります。これとの間の関連におきまして、金融の措置も講じ得るのではないかということを期待いたしておるわけであります。
#106
○小峯委員 中小企業金融の問題は、今までの普通の金融機関を利用しようとしたところに、大きな間違いがあるだろうと思います。一体この金融の原則は、安全で有利ということが資本の臆病性からいつて当然だと思います。そういうものに依存している限り、表面はいろいろのことを言われますけれども、実際問題としては、中小企業がいつまでたつても展開できない理由だと思います。今信用組合の話が出ました。これに力を入れることは当然だと思いますが、これに関連いたしまして先ほど大藏大臣に伺つたのですが、新しい金融機関、いわゆる無盡会社のようなものをもつと中小企業対策として、商工省あたりでもり立ててお考えにならなければならぬと思います。またこれに似た庶民金融会社のようなものがあるのでありますが、これは法できめられたものではなくして違法のようなことになるかもしれませんが、こういうものもやはり取上げて育成して利用するように、要は中小企業金融というものは、資本主義的な意味からいうと、金融以前のものだと思います。まるきり構想をかえて、違つた意味でやるようにしなければならぬと思いますが、この点に関する御見解を承りたいと思います。
#107
○稻垣國務大臣 小峯君の御意見にまつたく同感であります。先ほど私が信用組合を利用しようと言つた意味合いも、今の無盡会社を利用しようと言つたことと同じような構想で考えておりますので、今の御注意は非常にけつこうだと思います。
#108
○小峯委員 中小企業の問題に関連いたしまして、系列整備の問題があると思います。戰爭中に親工場と協力工場の関係、それから集團工場のような例もありました。必ずしもその例をならうのではありませんが、問屋と工場との関係、あるいは平和産業に対する親工場と子工場の関係、こういうように系列の問題を、新しい角度から考え直しませんと、中小企業というものがいつになつても生きて來ないと思います。よく中小企業に資材をやり、金をやるが、これを個別に行政の対象としたのでは非常に困難だと思う。そこで系列が整備されておりますれば、大工場を対象としてもまた中小企業に恩惠は及ぶのでありまして、そういう意味で、系列をどうしても考え直さなければならぬと思います。そういうふうに系列というか、順序というか、配列をお考えになつておるかどうか、伺いたいと思います。
#109
○稻垣國務大臣 御意見の通りでありまして、敗戰後、從來の戰爭中の親会社、子会社あるいは下請工場、そういう関連が全然切断されてしまつたのでありますが、これは從來の親会社、子会社という関係が産業復興の上に非常に役立つておつたと私は思うのであります。系列をつくつて行くといいますか、あるいはその間におのずから関係をつけて行くというような方式をぜひとりたいと思うのであります。ただいわゆる独禁法の関係などで、つつ込んだ從來のような関係は結びにくいのではないかというふうに考えておりますが、しかしながら商工省としては、できるだけ一つの系列をつけた指導をいたしたいというふうに考えております。
#110
○小峯委員 今独禁法の話が出ましたが、そういう意味の独禁法の改正はお考えになつておられないかどうか。私どもはそういう意味の独禁法の改正だけは、ぜひしていただきたいと思うのでありますが、その点の御用意はいかがでありますか。
#111
○稻垣國務大臣 独禁法につきましては、われわれ商工行政の担当者としては、大分いろいろ改正したい点があるのであります。今の点などもまさにその一つでありますが、これにつきましては関係筋との折衝を要しますし、そればかりではありません、独禁法には種々商工業者の方で改正してもらいたい点がありますので、あわせて考えて行きたいと思います。
#112
○小峯委員 最後にもう一つ伺いたいのでありますが、商工省の機構改革が近く行われるように承知いたしておりますが、その中で、機械行政に対して特別のお考えはないか。私がこんなことを伺いますのは、機械というものの重要性が、非常に高くなりつつあるように思うのでありまして、大臣のメンタルテストをするようで恐縮でありますが、そういう総括的な質問に答えていただきたいと思います。
#113
○稻垣國務大臣 今度の機構改革の問題でありますが、これは商工省は機構改革というよりも、從前の商工省貿易廳というものが廃止になりまして、新しく通商産業省をつくるという建前でやつて來ております。これは主として輸出産業――輸出といいますか、貿易を中心としてものを考えて行こうとする。それと同時に基礎産業であるところの資源を、別にこれにつけて行くという建前でやつております。そこで今の御指摘の機械工業についてでありますが、機械工業が從來とかわりまして、輸出に占めるところの割合が非常に大きくなつていることは御指摘の通りでありまして、この機械工業については、十分重点を置いてやらなければならぬと考えております。
#114
○小峯委員 今御答弁いただいたのでありますが、実は私の予想したメンタルテストから言えば、これは少し落第なのです。はなはだ恐縮でありますが、なぜ私が機械行政の問題を伺つたかというと、これから貿易が盛んになり、どうしても日本の輸出を盛んにしなければならぬ点からいいまして、昔のようにソシアル・ダンピングは絶対にできないと思います。どうしても日本の商品を安く出しますために、低賃金の恩惠で安い商品をつくつては絶対にまかりならぬと思うのであります。それではどうして商品のコストを安くするかというと、結局機械設備の問題だと思うのであります。機械設備の能率をよくして、いい商品を安くつくる以外に方法はないのではないかと思います。かような意味で機械類は單に商品として考えるのではなく、日本の産業構成の中で最も基礎的な意味として考うべきだと思います。商品としての機械もありましようが、一般の軽工業製品は、世界の環境からいいましてなかなかもう輸出が盛んにはならないだろうと思う。紡績一つを考えましても、諸外國の紡績の状態が非常に早く復活いたしておりまして、昔のような状態で日本の紡績の輸出は考えられませんそういう意味で機械の輸出も非常に大切なのでありますが、私はそれよりも、どうしても日本が輸出で立たなければならぬのであるとすれば、安い、よい品物を――安い労銀によるのではなくて、つくるためにも、そのもとになる機械のよい生産設備をつくらなければならぬという見地から、機械行政に対しては、私は特別の関心を持つておるのであります。そこで商工省の機構改革の際には、できればこれは機械廳ぐらいの外局にして、特別の力を入れて、日本の機械というものを推進していただかないと、以前のようにまたソシアル・ダンピングの二の舞をしなければならぬということになれば、民主主義の看板を下さなくてはならないと思います。そういう意味でお伺いしたのですが、この点特別にお考え直しを願つて、また商工省で御研究を願つて、機械は日本の貿易の上で、あるいは産業構成の上で非常に重大であるということを特に御承知願いたいと思うのであります。これは答弁を求めません。それだけを申し上げまして、私は質問を打切りたいと思います。
#115
○植原委員長 商工大臣はまた本会議へ行くそうですから、安本長官に対する質問をお願いします。
#116
○鈴木(明)委員 私は商工大臣に対する質問を留保いたしまして、安定本部長官にお尋ねしたいと思います。
 経済九原則を忠実に実行した場合、國民生活に與える影響はどうなつて行くかという問題であります。この意味において、先ごろの施政方針演説にもありましたが、この九原則を忠実に実行した場合には、われわれの生活に対してどういう影響があるか、その内容について具体的にひとつ御説明を願いたいと思うのであります。すなわちこの問題を解決するために、まず第一番に考えられる点は、インフレの収束、生産及び貿易の振興、國民生活の安定保障、あるいは失業者、生活保護を求める者の救済、こういう仕事があると思います。私はこの四つの問題に対し、総合的な解決策を持つてこそ、初めて眞の解決があると信ずるものであります。ただ一面的な解決策あるいは時間的ずれのある傾いた解決策であつては、断じて私は経済の再建はできないと信じます。しかるに私の見るところによると、あるいは私の曲解かもしれません。むしろそうであることを希望いたしますが、御答弁の中に、政府の施政におきましては、九目標の中のインフレ収束のための施設、これにあまり力を入れ過ぎて、正しく申しますならば生産の施設、これを閑却するおそれがないではない、こう考えられるのであります。そこで私がお尋ねしたい点は、この二つの面に対する総合的などういう解決策があるかということをまずお尋ねいたします。
#117
○青木國務大臣 お答えいたします。この九原則を実施するということについて起つて來るいろいろの関係は、日本國民経済の全般にわたつて相当大きなものだということを承知いたすのであります。ところでまず御質問の、これを実行するということの目的がどこにあるか。日本経済がようやくインフレを緩慢化して來た。これは先ほども申し上げました通り、経済現況の分析にも掲げておりますように、大体戰後の日本の生産関係は、昭和五――九年の六割二、三分程度に回復して來た。こういつた程度でこの強い安定策を行うわけであります。安定するということは少くともインフレを收束するということになりますから、それから來るべきものは、まず一般勤労者、國民にとつて、経済が安定することによつて生活の安定が一應形づけられる。また企業面においては、この安定の目的を達するためにいろいろな犠牲がある。その犠牲はいわゆる経済性を貫徹するということであつて、すなわち合理化が行われる。從つて企業上における非常な不適当、あるいはまた具体的に言えば、操業度の悪化、あるいは機械設備が腐朽して來た、あるいはその他いろいろ不適当なものは相当犠牲になることが考えられなければなりません。しかしその程度がどれくらいであるかということは、もちろん明瞭ではございません。しかしながら安定によつて得られることは――その企業の合理性と、國民生活の一應の安定ということは、理論的に望み得ることだと思うのであります。從つて実際的にも、その線に沿つて進み得るものだと考えておるのであります。しかしながらさらにそれによつて起る犠牲をどうするか、たとえば失業問題でありまするが、今政府は御承知の通り、行政整理を実行しようとしております。これらのことを考えまして、一体日本にどれくらいの失業者が出るかということについても、いろいろ意見があるのであります。百二十万とか、百四十万とか、いろいろ立てておりますが、ともかくも現在の日本におきましては、その起つて來た失業者をどう処理するか、これはきわめて大きな問題であります。またそれと同時にわれわれは失業保險法であるとか、あるいは生活保護法であるとかいつたものを十分活用することによつて、できるだけそういう面の生活関係の維持をはからねばならぬと考えますし、また経済九原則を実施する上におきまして、たとえば企業面におけるところのいろいろな金融上の操作という問題も、御承知の通りに復金債の買上げとか、あるいはまたその他國債の市中金融機関からの買上げということによつて、市中金融機関の資金は、一應その意味において充実するということも考えられますので、やはりこれはいわゆる正常な経済活動のもとに、優秀なしかも操業度の高い、能率の高いような企業、あるいはそうなるべき企業に対しては、相当に適当な融資がなされるべきものとも考えますし、またそのほかに、御承知の通りに日本に対する救済資金であるとか、その見返り勘定におきましても、今後國内の復興産業並びに生産に対して、相当な金額の援助を與えるというようなこともできると考えまするので、まずこの安定計画が実行に移されて参りますれば、経済安定という意味で、何とか私としては解決して行けるのではないかというふうに考えております。しかしこの点について、もちろんこれからのことでありますから多少の危惧はいたしておるのであります。
#118
○鈴木(明)委員 私はただいまの大臣の答弁では納得しかねる点もあるのですが、さらに突き進んで、インフレ收束の施策のみについて伺いたいと思います。このインフレ対策を先行的に考えて重点的に取上げる私の理由は、経験以來の奢侈、浪費、結局は正しい所得の不均衡、ことにその大きな所得が必ずしも正当な理由によつて取得されたものではない、こういうことを考えなければならないと思います。現在日本人がアメリカの租税負担者の犠牲において生存いたしておる、こういう今日であります。日本人の一部が浪費と奢侈の中に生活している。こういうことであるから、経済における復興の面よりは、節約の面が問題となることは当然であります。世の中ではこの対立をば復興か安定かというふうに申すのでありますが、これは決して私は正しい見方ではないと考えます。もしいわゆる安定のために多数の事業、なかんずく中小商工業が破産する。何十万、何百万の失業者も出て参ります。生活保護を受ける者もたくさん数がふえて來る。これこそ経済も社会も極度の不安定に陥り遂にはいろいろの思想問題もからんで來ると思うのであります。経済が安定するどころか、結局私は現在の社会情勢においては、社会全体が撹乱するのではないか、こう考えられます。そこで私はこの奢侈と浪費を取除いて、九目標の実施を全体として調整された姿で行い得る基盤をつくられる必要があると思うのであります。そこで安定本部長宮は、今までのこの奢侈と浪費、結局はその原因であるところの所得の不均衡、不正、これを是正するために、どういう政策を用意されているか、この点を具体的に明確に示してもらいたいと思うのであります。
#119
○青木國務大臣 お答えいたします。ただいまの鈴木委員の御質問は、奢侈とか浪費という問題がどうして起るかといつたような原因の問題になつて來ると思うのでありますが、それはインフレーシヨンの過程にあるからそういうことが行われているので、このインフレが一應收束いたしますれば、奢侈とか浪費というものはまずなくなつて來るという考え方が、必然の考え方だろうと思うのであります。從つて私はこの安定政策がわれわれの予定通りに成功するという見方――もちろん見方にはいろいろございましよう。しかし國民の負担及び國民の貯蓄、そういうものを土台として、日本の國民経済を運営して行けるという見通しが、一應ついておるといたしますならば、やはり今日のこの予算面に現われておりまする、インフレ收束、安定の行き方が、一つの行き方であろうというふうに私は確信をいたしまするので、その方向をたどつてわれわれが推し進めて参ります間に、いろいろなジグザグもありましようけれども、しかし大体この方向でやつて行けるということであれば、御指摘のふうな奢侈とか浪費というものも、自然になくなつて來る、たとえばわれわれが貯蓄するということは、貨幣價値が安定して來る、あるいは物價が一定の程度にともかくもとどまつておるというふうになつて來れば、その安定に從つて貯蓄をするという心理は当然起つて來るのであります。明日の價値がわからない、貨幣の價値も物價もどうだかわからないということであれば、結局今日使用してしまうといつたような氣持になるのは当然であります。それでありますから、私はこの安定政策が成功しさえすれば――成功させさえすれば、当然今おつしやつたようなことは、解決せられるのではないか、こう考えておる次第でございます。
#120
○鈴木(明)委員 次にこの問題に関連するのですが、徴税の強行によつて社会不安が起きるということは、これはどの委員からもお話があるのです。経済九原則の遂行のために、何よりもまず考えなければならないことは、歳出の圧縮――これは先ほど大藏大臣からも御答弁がありました。この問題について大藏大臣は價格調整費を圧縮して行きたいのだというような意見も出ております。私がこの問題を取上げる理由は、まずこういうことであります。復金に対して政府が出資することもわずかな金になつて來た。一切復金債券の発行も認められない、從つて復金の今年度の貸出し能力は、これはもう微微たるものであると申してもよろしいと私は思います。建設公債も地方債も同様になる、公共業費も極度に削られてしまつた。いわゆる積極的な復興計画の遂行に対し、手を縛り足を縛ることとなつてしまつた。まさに設定されんとする為替レートの問題も、いつになるかまだ見通しがつかないという商工大臣のお話であつた。こういうことから考えて來まして、少くとも本年度一ぱいは日本の経済界は沈滯時期に入るのではないか、こう考えられます。こういう整理のための経済の沈滯期を迎えることが、今の時期にはたして適当であるかどうかということは別といたしまして、ともかくこういう予想をいたしても。私は誤りがないのではないかと思うのであります。そこでこの経済の沈滯期間において、財政の経済に対する負担は、極度に軽減しなければならないことはよくわかります。私をして言わしめるならば、これらの廣い意味の復興費を節約すること以上に、廣い意味の行政費を嚴に引締める必要があると思います。そこで政府は行政事務を簡素化する、特に不必要、不適当なる統制は思い切つてこれをはずす、官廳並びに人員のごときは、いかなるりくつがあつても、新設増加ということは、私は断じていけないと思います。公務員の能率を高め、あるいは経費の節約をはかる必要があろうと思うのであります。もちろん行政整理を断行されることは承つておりますが、この問題も具体的に発表する段階に現在達しておらないように考えられます。歳出を嚴に引締められた結果は、本年度を通じて一般会計においてどうしてもこれは五千億程度、從つて租税の徴収額も三千億内外に制限されることを必要とする、こういうことになつて参りました。しかしながら今回の予算は歳出が七千億以上、租税の徴収は全部合せて五千百億、こうなると思うのであります。経済界の整理の一時期であつても、ともかく今年度は経済の沈滯期である、これに対し昨年度の二倍の租税がかけられる、こういうことははたして可能であるかどうか、私の見るところによりますと、これは断じて不可能だと考えるものであります。この徴税の強行によつてわれわれの生活は非常に苦しめられ、破産する人も出て來るでしよう。こういう結果に対して、安定本部としてどういう方針で進むのか、これは國家存亡の重大問題だと思いますので、具体的にひとつ國民が納得するように解明せられたいと思います。
#121
○青木國務大臣 お答えいたします。ただいまの鈴木委員の御質問の、今年度の税の増加しているということについては、私としても多少の懸念も持つてはおります。しかしながら一面また賃金の引上げがありましたのと、その他の收入というものを考えた結果、こういう計算が成立つておると存じまして、大藏大臣も何とかその予定の收入を得て参るというふうに言つておりますし、またわれわれとしてはそれに信頼もいたしておる次第でありますが、もちろん税の徴收等の関係につきまして、われわれもそういうことを主張して参つたのでありますが、やはり昔の所得税調査委員というものでもつくつたらどうか、といつたような考え方も持つております。そういう方法によつて、できるだけ負担の公平というようなことを見て行きたいと考えておる次第であります。当該大臣の大藏大臣がいかように考えられているか、私はその点は承知いたしておりません。しかしこの税の問題もわれわれとしては、これを本年國民の御協力を得まして、ひとつ苦しいところを忍びながら、日本の経済安定に努力を願いたい、こう考えておる次第であります。
#122
○鈴木(明)委員 次に、先ほどのお答弁にも出たのですが、企業の合理化の問題についてお尋ねしたいと思います。私は企業の合理化の問題を取上げる前に、一例といたしまして、日本銀行について考えてみたいと思います。御承知の通り現在企業の合理化に対し、日本銀行当局者が最も熱心であります。その熱心である日本銀行の当局者が、まず日本銀行から企業の合理化を始めなければいけないのではないか、こういうふうに私は考えます。なぜそういうことを申すかというと、日本銀行は補償打切りの際にも、少しも損害を受けておりません。債権はことごとくこれを取立てております。戰前の十億ないし二十億の発券額に対して、今は三千五百億になつております。この発券額は一つとして利子をとらないものはありません。しかるに戰前すでに千万円台の、貢納金があつたにかかわらず、戰後初めて、昨年ですか、貢納金は八億余円だつたと私は記憶しております。もちろん業務も幾分複雑になつたでしよう。今日の発券高に対しましては、どうしてもこれは数十億あるいは百億円台の貢納金があつてしかるべきだと私は考えております。企業合理化の前に、政府みずから財政あるいは公共事業について合理化をするとともに、事業界においては、日本銀行を率先して合理化せしめて、模範を示すべきだと考えるものであります。この点について安定本部長官としてどういうお考えがあるか、承つておきたいと思います。
#123
○青木國務大臣 日本銀行の企業合理化ということも一應ごもつともであります。私の記憶しておることが正確でありますれば、多分本年三十七億くらい予定されておつたと思いますが、それが十五、六億か十七億ぐらいに行つておると聞いております。その点は不正確でありますから、なお取調べまして、お答えをいたしたいと思います。ただ今後この九原則の実施に伴い、金融上における日本銀行の地位は、きわめて大きな役割を演ずるという形になるように思うのであります。それはなぜかと申しますと、これから民間金融機関の資金の充実ということが考えられます限り、当然ここに日本銀行のオープン・マーケツト・オペレーシヨンといつた仕事が考えられなければなりませんし、また金融上におけるなお多くの仕事が加重されて來るのではないか、こう想像をいたしますので、日本銀行の企業の合理化という面から申せば、御説の通りなお考えなければならない余地がたくさんあると存じますが、今のところそういうことについては、私は考えておりません。
#124
○鈴木(明)委員 そうすると、政府は民間に対してのみ企業合理化を押しつけて、政府みずからの企業合理化は、あとまわしだというふうに解釈してよろしいのですか。
#125
○青木國務大臣 それは必ずしもそうばかりとは考えておるわけではありませんが、今のところその点は考えておりません。
#126
○鈴木(明)委員 そうすると、今申したように伺いとれるのであります。こういうことは私は率先して政府みずから企業合理化の模範を示して、そうして民間にこういうふうにやるのだという指針を與えられたいと思います。
 次に外資導入の問題に移ります。わが党の公約の中心とも申せる外資導入に対する貿易あるいは生産の振興政策を推進しながら、九つの目標についての施策のプラスの面について、私は考えてみたいと思います。生産技術及び経営方法等を世界の水準に到達せしめ、またその正当の利益をアメリカ並びに世界に認識してもらうために外資を導入する。外人をしてその経営に参加せしめることは絶対に必要だと思うのであります。いかに大言壮語しても、外國、特にアメリカの援助と理解なくして、敗戰日本の経済は復興し得ないと考えるものであります。しかし外資導入と申しましても、芦田内閣におきましては、主として原料、食糧あるいはわずかの機械とかいうものを受領した、もしくはきわめて短期間について借入れたにすぎないと思います。これだけではとうてい私の申すような経済復興のため十分でなかつたと考えられます。すなわち戰時中縮小されました平和産業部門におきましては、設備、機械を数倍にし、あるいは軍需産業より平和産業に轉向いたすものについては、おそらくその機械設備の半分を入れかえるために、数十億ドルの外資の導入が必要であると考えられる。しかもかくのごとき規模の外資導入は、日本の重要産業を外國との共同経営にすると考えられる商業的基礎の上にのみ、これは可能であると信ずるものでありますが、この点に対してどういう方針で進むお考えか、ひとつ具体的に承つてみたいと思います。
 さらに進んで、最近の新聞紙上に発表されましたタバコの專賣事業を、英米タバコ・トラストまたはそのほかの外國資本に対して開放する、これを日英米の民間共同事業となすということ、これはかつて吉田総理大臣がそういう説を発表したことがあります。私はこういうことは日本経済再建のために、よろしい方法であると思いますが、外資導入はこの形式でなければならないと思います。この形式における外資導入のきつかけをつくろうとする形を、まず政府、次いで民間の独占事業に試みなければならないと思います。私が申しましたような意見に、安本長官として御賛成であるかどうか。またどういう具体的な方法があるか。この点についてひとつ承つてみたいと思います。
#127
○青木國務大臣 外資の導入は、もちろんわれわれの非常に期待いたしておるところでありますが、外資と申しましても、資金あるいは資材、設備、機械といいますか、そういつたようなものもその中に入つて來るのでありますから、ただいまのところでも、日本の戰爭中におけるいろいろな機械設備、施設等の遅れておるもの、あるいは老朽したもの、そういうものから考え、また生産技術という点でも大いに改善し、合理化を行わなければならぬというような点については、外國人、日本人との間にいろいろな話合いも進行しておる向きもあるのであります。またその他一般的には外國援助の見返り勘定等によつて、國内の産業の合理化に伴い、また生産面の促進を資金的にもはかるというようなことについて、先ほども申し上げましたようにせつかく檢討中でもあります。從いまして、外國貿易を振興して、そしてわが國の製品をできるだけ多く海外に輸出するという線に沿つて、國内の合理化を行いますと同時に、集中生産といつた関係もそこに起つて來ると考えます。なおそのほかに、わが國が外國投資以外に、貿易勘定の上で純粋な形をとることの目標に向つて進むためには、たとえば船舶についての製造、すなわち造船等のことも考えられ、その他保險事業といつたような問題をも今後考えながら、國際收支に対して、できるだけ逆を埋め合せて行くような、方策を講じて参りたいということを考えておる次第でございます。なお御説のようなことも、大いにわれわれは考えて行きたいと存じております。
#128
○鈴木(明)委員 午前中の大藏大臣の御答弁の中に、價格調整費を思い切つて節約して行きたいのだという考えがありました。その中で特に安定帶物資の諸経費、そういつた節約の用意がある、あるいは石炭とかそのほか安定帶物資以外のものも節約をしたい。総合的に五百億程度節約したいという意見がありましたが、安本長官としてこの價格調整費を節約するという面について、どういうお考えがあるか、ひとつ長官としての態度を宣明していただきたいと思います。
#129
○青木國務大臣 ただいまの鈴木委員のお言葉は、大藏大臣は五百億ぐらい節約したいというお言葉だつたそうでありますが、それは私はまだ少しも聞いておりません。ただ問題は、われわれも從來考えておりましたように、いつまでもこの補助金、價格調整費などに依存する、すなわち温存するというような考え方は、できるだけ早くわれわれはなくしたいということを、今日でも考えておるものでありますが、しかしながら現在の日本の要請されておる姿から考えてみますと、物資を上げたくない。あるいは人為的にともかくも統制方式によつて、安定帶物資にいたしましても、その他一般物價の問題に対しましても、物價体系を維持して行きたい。こういう試みからは、なお依然として、相当な價格調整費を保つて参らなければならぬということは当然であります。從いましてわれわれの考えといたしましては、できるだけそういう方面は節約して行きたいということは、私も考えておる者の一人であります。しかしながら数百億の節約がそれでできるかどうかということについては、今日ただいまのところ私には見通しは得られません。
#130
○鈴木(明)委員 大藏大臣は節約すると言う、安本長官は節約は聞いてない。やりたい氣持はあるが、まだ聞いてない。そうすると結局この予算遂行の上に、非常に私は齟齬を來すのじやないかと考えます。一体どれを採用してよいのか、私たちは非常に困る問題だと思うのであります。そこで私がさらにつつ込んで伺いたい点は、國民の負担を軽減するためにいろいろの施策がある、まず五月にりつぱなアメリカの方が來て、税制審議会をつくるというようなお話もあつたのですが、どこをどうしてやるのか、ひとつ長官として具体的にその点もあわせて説明されたいと思います。
#131
○青木國務大臣 お答え申し上げます。私が申し上げたのは、價格調整費を少しも節約しないということを言つておるのではありませんので、やはり大藏大臣と同じように、そういう氣持を持つて参りますけれども、まだどれだけの額を節約するというようなことは考えていないこういうことであります。なお私といたしましては、今後企業の合理化を推進して、その状況に應じて四半期ごとに補給金の單價を再檢討して、節約できるものは節約して行く、こういう考え方で進んで参りたいと存じております。
#132
○鈴木(明)委員 安定本部長官にはその程度です。これで打切ります。あと商工大臣に対する分は保留しておきます。
#133
○西村(久)委員 関連して……。今の價格調整費の問題でありますが、予算に計上されております調整費は、どういう物資にいかようなる金額を御予定になつておられるのでございますか、その点をお尋ね申し上げます。
#134
○青木國務大臣 ただいまのところ、いかなる物資にどれだけのものをきめるということがきまつておりませんから、企業合理化を推進して、その状況に應じて四半期ごとに、その補給金の單價を再檢討して行くと申し上げたのでありますから、もしそういう点がきまりますれば、できました機会になるべく早く御報告をいたします。
#135
○西村(久)委員 関連しているので、ちよつとまたお許しを願いたいのであります。今の安定本部長官の御意見を伺いますると、一千幾ばくかの價格調整費はその内容がまだはつきりしない。こういうふうに聞きとれるのでありますが、はなはだもつて私は不可解に思うのであけます。すでにこの予算を編成された予算説明書の内容の中に、調整費を含んだ物資を明記されているのであります。そうしてそれに対する振当ての金額がわからないというはずは私はないと思うているのであります。その振当ての金額の蓄積がつまり一千数百億のものになるのじやないかと思うのでありますが、この点に対する御説明を願いたいと思います。
#136
○河野(一)政府委員 先ほどお手元に配付いたしました書類の中に出ておりますが、ただ一應の算定でございまして、今後において相当移動するという考え方でございます。
#137
○西村(久)委員 そうすると安定本部長官の御答弁が間違いであつたということに承知してよろしいのでありますか。
#138
○青木國務大臣 私は別段間違つたとは存じておりません。ただそれを承知していなかつただけであります。
#139
○植原委員長 次に西村榮一君。
#140
○西村(榮)委員 私はまず安本長官から始めますが、なるべく私の質問が終らないうちに、総理大臣と大藏大臣が出席できるよう、おとりはからいを願いたいと思います。
 これは総理大臣と安本長官と両方にお伺いするのでありますが、予算の細目の質問に入る前に、大まかな総論として一應意見を伺つておきたいと思います。それはほかでもありません、過去の歴史を考えてみますると、占領軍の経済政策というものは、短期的な感覚からいつも出発しておるのであります。と申しますることは、占領というものは十年、二十年の長きにわたつて占領はされないのでありまして、從來の先例によりますると、たかだか二年か三年で占領軍はあとの民政の何かに切りかえられるのであります。從つて占領軍の経済政策は、大体二箇年か三箇年の短期において成績が上り、一應の成果を上げる。一つの実を結ぶということが、占領軍の経済政策の感覚になつておる。特にその國に駐屯する係官の任期におきましても、たかだか一年か半年、長くて二年であります。経つてその人の在官中に、自分のなしたことに一つの実を結んで帰りたい。これは古今の歴史をひもといて見て占領軍特有の感覚であります。しかし戰爭によつて荒廃に帰した國が、その國の経済を再建し、國民経済を再建して行くには、十年、二十年の長期計画を必要とするのであります。從つて被占領國家自体における十年、二十年の國家復興の長期計画と、占領軍の経済政策とは、相当食い違いを生ずるのであります。占領軍の経済政策が一体いかなる感覚において進められておるかということは、寡聞にして存じません。しかしかりに現在行われておる占領軍のこの経済政策も、占領軍の経済政策という歴史の法則、一應の軌道にのつとり、制約を受けておるといたしまするならば、わが國が將來遠大なる計画をもつて、民主主義平和國家を建設しようとする十年、二十年の長期計画との間において、一應行き違いあるいは食い違いを生ずるのではないか。この日本國民自体の有する將來の計画と、占領軍特有の性格、短期的な感覚から來る経済政策との矛盾と行き違いを、どう調節して行くかということは、政治の最大なる現下の任務でなければならぬ。この調節をいかにしてなされたか。これは政党政派を超越して、虚心坦懐に安本長官の御意見を承りたい。しかしてその努力をいかになさつたか、安本長官でもあるいは大藏大臣でもけつこうでありまするから、総理大臣の出席されるまでお答えを願いたいと思います。まずこの総論からお伺いいたします。
#141
○青木國務大臣 ただいまの西村委員の御質問はなかなかむずかしい御質問だと存じます。過去の歴史を見れば、占領軍の政策というものにはいわば一應歴史的法則というか、あるいはその限りがあるというお話でありましたけれども、私ははたして歴史的な、法則的なものがあるかどうかということはよく存じません。しかしながら、われわれはこの占領軍の占領政策というものに対しましては、日本の立場として、この事態を被占領國としての立場において、これを十分認識して参らなければならぬと思うのであります。從いましてそういう立場から考えてみますれば、われわれとしては、その占領目的に遠慮しながら、われわれの國の回復をはかつて行くということは、当然な行き方であると考えますので、そういう考え方をもつて今日われわれは政治の衝に当つておるのであります。少くとも私の考え方として、それ以外に特段の考え方を持つておるものではございません。ことに今回の施策につきましても、政府はともかくも責任を持つて國民の御協力を得て、これを実行して行くという立場をとつて進んで参るという確信でありますので、別段それ以外にお答えする事柄がないと存ずるものであります。
#142
○西村(榮)委員 私は青木長官よりもう少し率直な答弁を承り、かつまた政府が当面せられた幾多の難問題があれば、國会はともに解決すべく協力するつもりで質問したのでありますが、今の答弁ははなはだ中心に触れないので遺憾と存じます。別な観点から考えて、これはあとから大藏大臣に承りますが、現在の均衡予算は輸出に重点を置いて、そうして國民経済を維持して行くというのでありますが、その輸出に重点を置くのに対して、世間は本年度の予算を通ずる産業計画について、いわゆる飢餓輸出であると称しておるのであります。現在機械設備は戰前の七割以下に磨滅しております。これに何らの補修改善を加うることなしに、今後五箇年間これをフルに使いまするならば、おそらく五箇年以後においては、日本の生産施設は壊滅に帰して行く。私の指摘したいところは、これらの点を考慮してこの予算を組まれたかどうか、目前の輸出能率を上げるために、將來五箇年後に壊滅に帰するこの生産状況を現実に見て、はたしてこれで日本の眞の復興と調和するかどうか。私どもの考え方からいいまするならば、國民経済を培養し、しかる後に均衡予算を組むのがほんとうではないか、こう思うのでありますが、先ほど安本長官の説明によりますと、まず第一に安定化する、こういうことですが、それは眞の安定にはならぬと思うのであります。こういう点はどうお考えになつておるか、一應承りたい。
#143
○青木國務大臣 西村委員の御質問は、御質問であるか、御希望であるか、私よくわからぬ点があるのでありますが、われわれはもちろん日本の復興計画についても眞実に考えまするし、また当面の安定計画についても同様眞実に考えておるものでありますが、この際わが國は緩慢になつて來たとはいえ、インフレの進行過程にあるのであるから、昨年から今年にかけまして、ようやく緩慢化して來たこの機会に、ぜひひとつ経済安定を得たい、要は安定にある。そういう目的を達成するために、あらゆる努力を拂つて参りたい。こういうことでありまして、もちろん安定計画のうちに、復興が徐々にでも進んで行くものは、できるだけこれを取上げて参りたいという配慮も、もちろん件つておるのでありまして、おそらくこの安定と復興ということについて、もし問題を大きく取上げまするならば、しばらく不安定な状態のもとにおける復興計画は反省しながら、一面安定をすみやかに実現したい、こういうことであります。
#144
○西村(榮)委員 もう一点お伺いしますが、今度の予算の内示案においては、外國筋の見方が、日本の潜在経済力の中においてはもつと余力があるという見解のもとに、この内示案が示されたというのでありますが、はたしてそうお考えになるかどうか、外國人が見るように、日本の潜在経済力はなお余力がある、と安本長官はお考えになつておるかどうか。私の聞くところによると、外國筋では余力があるというので、政府原案よりも別な内示案を政府に突きつけられたということですが、安本長官は日本の國民経済になお潜在的余力があるとお考えになるかどうか承りたい。
#145
○青木國務大臣 お答えいたします。わが國の経済力に余力があると先方では見ておられるというのでありますが、私どもの國民生活から見て、そんなにたくさんの余力があるというふうにはもちろん見えないのであります。ただ國民所得とにらみ合せて見て、こういう予算が考えられたものと一應判断をいたすのでありますが、お説のように、はたして日本に余力があるかどうかと言われれば、われわれにはそんなゆとりは日本にはないが、しかし現在の與えられた状態のもとにおいて、われわれが國民所得を勘案しながら、この予算を実行して行くという決意はいたしておるものであります。
#146
○西村(榮)委員 しからば政府が当初立案された五千七百億円の予算から、この七千億円の予算に変更せられた理由を、少し詳細に述べていただきたいと思います。
#147
○池田國務大臣 先ほどの御質問の点につきまして、私補足いたしたいと思います。日本にまだ余力があるかという問題について、関係方面はどう見ておるかという点でございますが、関係方面のある有力な方は、西ヨーロツパその他の交戰國の事情と、日本のそれと比べてみると、確かに消費物資は相当多い。まだ日本においては耐乏生活をし得る余地がありと考えておられるようであります。しかもまた相当消費物資に資金が行つている、長期生産方面への資金の融通が十分でなく、消費物資の方に行つているという意見は直接に聞きました。
 なお、私に対する質問の、私が当初考えた案と、今度私の出しました案との違いはどこにあるかという問題でありますが、これは一にアメリカの援助物資を明確にしたという点にあるのであります。
#148
○西村(榮)委員 大藏大臣が今答弁せられたので、大藏大臣に関連してお聞きしますが、私は、これは意見になりますが、日本の國民経済の中に、まだ潜在的な余力があるという見解において、政府原案を五千七百億から七千億に修正された、そう諸般の事情において解釈するよりしかたがない。從つて、その潜在余力ありという認定の根拠はどこにあるかといえば、それは耐乏生活を強要する中において料飲店の再開、あるいは財政窮乏の中にあつて取引高税の撤廃等、一面において耐乏生活を強要しながら、一面において民心の歓心を買うと申しますか、その甘い政策というものが、一應千三百億円の予算の増である内示案に突きつけられたのじやないかと思うのでありますが、これは私は意見にわたりますから省略いたします。そこで大藏大臣にお聞きします。先ほど中曽根君から、大藏省が今回推定した國民所得の二兆九千億円は、いかなる根拠によるかということを質問されたとき、安本の統計とは違つておつたのであります。そこでさつき大藏大臣はきれいに逃げたようなかつこうでありますが、しかし今度私は大藏省の統計によつて質問したい。大藏省の統計によりますと、昭和五年――九年の國民生産所得に比較して、昭和二十二年はわずかに五一%しか生産所得はないと大藏省の調査局は発表いたしております。この五一%しかないと調査している大藏省の統計から見まするならば、二兆九千億というこの國民所得は厖大なものである。政府がそれだけの歳入を予定して、それがためにむりにこの数字をこじつけたと見なければならないのでありますが、しかしそれは別として、一体この二兆九千億円の國民所得とかりにいたしましても、これに対する國民の負担額は二七%です。しからば昭和五年の、わが國が戰前における一番経済危機と言われたときにおける國民の負担額は六・九%、これを比較して、はたして二七%の税というものが、これを徴收するに可能かどうか、この点を一應大藏大臣に承りたい。
#149
○池田國務大臣 國民所得の計算につきましては、各國ともいろいろな問題があるのでありますが、一應ただいま安本で計算せられました二兆九千七百億円の國民所得が正確なものであるといたしまして、この國民所得に対して、税の割合が何割であるかという問題が、これまた別個の問題として檢討しなければなりません。私は國民所得に対して二〇%だから非常に樂であり、三〇%であるから非常につらいということは、絶対的なものではないと思います。國民所得も税に相当関係がありまするが、國民所得の分布状態が問題であるのであります。從いましてただいまの御質問の、昭和五、六年ごろは國民所得に対して五・六%、今回は二七%、非常に重くなつて來た。お話の通りでございます。非常に租税は重くなつております。でき得るだけ早い機会に軽減を講じたいと思うのでありまするが、均衡予算を絶対使命といたしまする関係上、國民の耐乏と納税協力によりまして、これだけを徴収いたしたいと考えております。しこうして三千百億円の所得税が絶対にとれるかという問題でございまするが、今の税制のもとで計算いたしますると、三千百億円とれます。とる結果非常な耐乏になる。そこでできれば歳出をできるだけ減らしまして、早い機会に所得税につきまして軽減措置を講じたいと考えておるのであります。
#150
○西村(榮)委員 三千億の所得税は一体どこから大藏大臣はとられますか。それをひとつ承りたいと思います。
#151
○池田國務大臣 けさほど主税局長より詳細に御説明いたしたのでございます。あとから主税局長を呼びまして、再度御説明してもよろしゆうございます。
#152
○西村(榮)委員 けさの説明によりますと、本年度の租税收入は大体昨年度の七〇%増を予定した、こう説明されましたが、大藏大臣もそうお考えですか。
#153
○池田國務大臣 これは賦課課税の所得につきましては、暦年を單位にいたしております。徴收割合は大体今回は七六%程度徴收見込みにいたしております。
#154
○西村(榮)委員 政府委員の説明によると、一千二百億が源泉課税、あとは申告課税で大体千九百億円と申されましたが、その通りですか。
#155
○池田國務大臣 七六%の徴収歩合は、賦課課税の事業所得等に対するものでございます。
#156
○西村(榮)委員 勤労所得税はどれだけ見込まれておりますか。
#157
○池田國務大臣 月税の関係上、源泉徴收の関係上、ほとんど全部が入つて参ります。
#158
○西村(榮)委員 率はどのくらいよけいに見積つておられるのですか。
#159
○池田國務大臣 率とは何の率でございますか。
#160
○西村(榮)委員 昨年度に比べての増徴の率。
#161
○池田國務大臣 お答え申し上げます。勤労所得に対しまして増徴はいたしておりません。
#162
○西村(榮)委員 昨年度より増收七〇%と書いてあるが、その通りですか。
#163
○池田國務大臣 勤労所得税に対して七〇%とは言つておりません。
#164
○西村(榮)委員 昨年度に比較して、本年度の予定額です。
#165
○池田國務大臣 勤労所得税の予定額ですか。
#166
○西村(榮)委員 そうです。
#167
○池田國務大臣 御承知の通り、昨年度の勤労所得に対する源泉課税は、中途で改正いたしまして、改正後の分は六百十億円と心得ております。しこうして今日は千二百億円を見込んでおるのであります。そうしますと、きようも本会議で質問がありまして、勤労所得税が倍額になるというのはこれいかんというのでありますが、私は昨年の予算額六百十億円は実績から申し上げますると、相当ふえますので、その実績を加味いたしますと、倍額にはならぬとお答えいたします。
#168
○西村(榮)委員 勤労所得税の増徴は、大体賃金の値上げによつて、それだけよけい見込み得るとけさ御説明になつたのですが、その通りですか。
#169
○池田國務大臣 御承知の通り、役人の俸給は三千七百九十一円から六千三百円に上りました。それが本年はフルに動きますから、相当基本が上つて來ることになるのであります。また工場労務者につきましても、今の状態は、昨年ある程度上りましたのが、フルに上つたところで考えられまするから、この程度の收入は見込み得るのであります。御参考に申し上げますが、最近は一月大体百億円の源泉課税所得税があります。
#170
○西村(榮)委員 ただいまの大藏大臣の御答弁は、一應名目賃金が上つたから、それだけ増收を見込み得るという答弁であつたので、答弁のつじつまは合つているようですが、しかしこういう点は考えられたことがありますか。政府はこの予算の中で、近く鉄道運賃を六割値上げされる。同時に米とかタバコとか、その他の專賣益金を大幅に増徴される。從つて勤労者の実質的賃金は大体二割五分から三割低下する。しかも税をとるという予算の対象は、運賃の値上げだとか、專賣品の酒とかタバコとかの値上げを加味していないで、ただ名目賃金だけ見ておられる。結局労働者の実質的賃金は低下するわけでありますが、こういう点を見込まれて考慮に入れてやれておるのかどうか。
#171
○池田國務大臣 今回の三千百億円の收入見込みは、現行税制のもとにおいて見積つたのであります。しこうしてお話の運賃の値上げとか、あるいは主食のある程度の値上げがあるからといつて、税法をかえない以上は、これによつて見積るほかはございません。從いましてわれわれは運賃の値上げ、主食のある程度の値上りもありますが、また根本的に今の國民生活の状況からいつて、税制改正の必要ありと認めまして、実は当初予算からその計画で行きたかつたのでありますが、しばらく一、二箇月待つて、十分調査した上で、今のお話のような点を考慮して、所得税等の軽減措置を講じたいと考えておるのであります。
#172
○植原委員長 西村さん、総理大臣がお見えになりましたから、総理大臣への質問を留保されておる方がありますし、あなたも総理大臣に質問がおありですが、総理大臣は五時ごろなお御用でいずれかへおいでになるようですから、その間に総理大臣に対する質問を、この機会にしていただきたいと思います。鈴木明良君。
#173
○鈴木(明)委員 私は総理大臣に二、三お尋ねしたい点があります。その第一は、わが國の人口問題であります。現在四つの島國に限定されて、引揚民はどんどん引揚げて來る、こういうことを考えて参りますと、わが國の人口が年々増加の一途をたどりつつあることは、わが國再建のため、また民生安定のために、重大な問題だと存じますので、この機会にお尋ねいたしたいと思います。それにはいろいろの解決策もあると思いますが、総理としてどういう方針でこの問題を解決して行くお考えか、まずこれをお尋ねしたいと思います。
#174
○吉田國務大臣 お答えいたします。お話の通り今のような國土が狭くなつて、そうして人口がますますふえ、しかも海外から引揚げて來る。この結果人口問題が一層大切な問題になつて参りましたが、この問題の解決のためには、あまりたくさんの方法はないので、ことに外に行くとか、内において工業化するといいますか、あるいは國土、耕地を開発するとか、あるいは新しい工業を起すとか、輸出産業を起すとかいう方法以外に名案はないだろうと思います。ただ外交関係については、外に行くことについては多少話もございます。またこれは結局海外に出て行くよりほかしかたがないのでありますが、これは講和條約締結後において、あるいは講和條約締結前において、日本人の海外渡航が、一層自由になるというような暫定條約もできるようにしたいという希望もあります。幸いにして、この間の施政方針演説で申した通りに、海外渡航はだんだん許されるような傾向になつております。たとえば國際会議であるとか、あるいは商業使節團の派遣であるとかいうことが、漸次許されて参りますから、多少時間はかかりますが、いずれこの問題は解決されるのではないか。つまり海外渡航は一層自由になるのではないか。すでにアメリカ方面においてもこのような議論が起つております。ただこの人口問題はあまりに自由に議論をいたしますと、日本の移民が圧迫を受けるという危險を感ずるような懸念があるものでありますから、外交問題として、あまり大きく今日は議論いたしたくないのでおります。
#175
○鈴木(明)委員 次にお尋ねいたしたいことは、かつての新聞紙上に非日活動委員会というものが報道せられております。この問題について、いろいろ法務廳関係で、その内容について檢討しておるということも報道されておりますが、まず私はその内容についてひとつ総理から方針を伺つてみたいと思います。
#176
○吉田國務大臣 政府としては、ただいまの状態から考えまして、國際情勢及び國内事態から考えてみまして、いろいろなそれに関係した問題がだんだん出て來ております。ついてはアメリカ、イギリスその他において、どういうふうな法制的の措置をしておるかただいま研究中で、その研究の結果を待つて、われわれの態度もきめようと思つて、関係方面において研究いたしておりますが、研究の結果、成案を得ましたならば、提出することにいたしたいと思います。今日はまつたく未定であります。
#177
○植原委員長 松野頼三君。
#178
○松野委員 総理大臣に二、三御質問申し上げたいと思います。かねて総理大臣は、政治は二大政党が理想であると言われておるが、私も同じ考えであります。ただ一つ、総理大臣の談話としてたびたび発表されておりますが、將來社会党の育成ということをたびたび私は新聞その他で見ております。二大政党の対立、二大政党の運営ということは私まことに同感でおりますが、どの政党がわれわれの相手の政党になるかは、自然にその時代の國民によつて選ばるべきものであつて、あるいはわが自由党がこのたびの総選挙によつて過年数を獲得したのであるが、將來ほとんど全員獲得になる時代が來たならば、自然われわれと同じ思想の保守二大政党の対立する時代が來ると考えますが、総理大臣のお考えを一應お伺いいたしたいと思います。
#179
○吉田國務大臣 私の言葉の使い方が悪いので、社会党を育成すると申して、社会党に御迷惑がかかりましたそうでありますが、それは取消します。二大政党対立ということは理想的に申すと、ある共同の基盤の上において、二大政党ができれば幸福であると思いますが、はたしてアメリカ等におけるような共同の基盤ができて、その上に対立ができるかどうか、これは私においても確信がないのであります。ただ私の漠として考えておるところは、民自党を中心といたしまして、保守と進歩といいますか、過激はおかしいですが、急進党と申すか、人間の考え方は結局年齢によりまして、若いときにはだれも共産主義になり、そうして、これもあるいは失言であるかもしれません。失言であれば取消しますが、年をとれば保守になる、これは人間の天性でありましよう。おのおのその立場により、年齢により、職業により、自然考え方が保守的になつたり、急進的になるのが、これが人生であろうと思います。ゆえに二つの進歩、保守といいますか、あるいは急進というか、そういう対立ができるのが、人間の天性に基く政党の自然の対立ではないか。そういうふうな対立に持つて行きたいものであるというのが、私の理想であります。しからばどうしてするかといつても、これはお話の通り、私一人がそう考えてみても、こねあげるわけに行かないのでありますから、單に希望として持つておる理想であります。
#180
○松野委員 社会党育成問題はそれでおきまして、次に現内閣の性格であります。私は與党の一員とし、また閣僚の言葉の中にも、現にわが党の政策によりという言葉をたびたび使われております。現内閣は單独内閣であるという観念が、自然閣僚の精神にあつて言われることであると思いますが、外形的には必ずしもそうとは言い得ない、私たちのいう單独内閣は、いわゆる政策的における強固な單独内閣である。しかし現内閣には籍は異なるけれども、志を同じうする者の外形的な連立が見受けられるのでありますが、総理は腹の底から單独か、連立かということをお答弁願いたい。
#181
○吉田國務大臣 私は腹の底から主義、政見を同じゆうする政党政派と一緒にやりたいという考えで、それで單独というものが、單独の独なるものがどういうものか、定義にもよりますが、いやしくもわれわれと政見を同じゆうしておる政治家は、かりにそれが民主党であろうと、あるいはその他の党であろうと、政党政派を区別せず、國家のためこの経済危機を乗越える、あるいは日本の復興のために協力して参りたい、こういう考えでおります。
#182
○松野委員 それから第三点は、外資導入を総理は非常に推進されておるように承ります。最近できました外資委員会というものの性格において、日本の國民の経済安定と申しますか、日本の経営権を脅かされるという心配を多少抱くのでありますが、この外資委員会を通し、將來外資導入について、日本人の経営権の保護という点において、一層御留意の御意見があればお願いいたしたい。
#183
○吉田國務大臣 ちよつと御質問の趣意が私にはわかりませんが、外資を導入した結果、日本の産業がすべてさらわれて行きはしないかという心配であるように思いますが、私はその危險は少いと思います。というのは、日本人の勤勉な素養から申しまして、よその國民と競爭して負けるような劣等な國民ではないと思うのみならず、過去におきましても、外資を導入した結果、日本の重工業にしても、造船業にしても、電氣事業にしても、外資導入の結果興つたのである。最近の工業においても、ことごとく外資によらざるものなしと言つてもいいくらいに外資が入つておる。その結果、外國と競爭をし、あるいは造船技術のごときにおいては、相当優秀な結果を現わしておる。また製鋼業等においても、日本独特の製鋼ができるというようなわけであつて、外資を導入することによつて、日本の生産力、あるいは日本の工業力が発達はしても、外國のために吸収せられる、そのために亡國論というようなことは、これは昔の話で、あるいはエジプトその他においてはそういうことがあつたかもしれませんが、わが民族の將來においては、かくのごときことは杞憂ではないか。ことに松野君のような有為な少壮議員においては、どうぞわれわれと同調せられるように切に希望するのであります。
#184
○松野委員 ただいまの御答弁で十分なのですが、私が心配いたしましたのは、現在占領下にありますので、昨年設置されました外資委員会というものが、どちらかというと、日本政府の主導権、発言権がはなはだ薄く感じられるのであります。これは現在の状況下においてしかたのないものでありましようが、將來においては、ただいまの力強い総理のお言葉に十分満足して、私の質問はこれで打切ります。
#185
○中曽根委員 先ほど松野委員から御質問になりました点をもう少しお聞きいたしたいと思うのでありますが、今わが民主党がこのような悲劇にあるという原因は、実はこの内閣が連立内閣であるか、あるいは單独内閣であるか。こういうことが非常に大きな問題になつて割れた。それでこちらにいらつしやる方々は、連立であるということをお信じになつて、この内閣に参加された。われわれは政策協定も結ばないし、また党員多数の意思を無視して結合するようなことは連立どころではない、そういうことは天下のためにも許せない。こういう考えでわれわれはこの内閣に閣内協力をしなかつたわけであります。当時民主自由党の正式の声明といたしましては、保守統一内閣であるとか、あるいは保守連合内閣であるという言葉が使われ、この解釈はわれわれ議員総会において非常に問題となつたのでありますが、一体保守統一というのか、保守連合というのか、連立内閣というのか、この点を、私は今後ここにおいでになる方々と行動を共にするか、しないかの参考のために、ぜひ伺いたいと思います。それが根本問題です。というのは、もし保守連立であるというのであれば、ここにおいでになる方々は、たとえば修正資本主義というような構想を、現内閣の政策に織り込むこともできるだろうと思う。しかし單独内閣であれば、民主自由党の政策が行われるのみであつて、こちらの方の政策は行われないことになり、内閣の性格を決する上にも重要なことでありますので、その点をまず伺いたい。
#186
○吉田國務大臣 お答えをいたします。ちよつとこの席において民主党の両派の諸君を目の前にいたして、あまり議論をいたしたくない氣持でありますので、私の方で遠慮いたします。私の申すのは、今日まで私の懇意というのはおかしいが、今まで接触した民主党の政治家諸君には、われわれと何ら氣持においてかわるところがないのであります。たとえば九原則は実行するものである、修正資本主義というのはどういうことであるか知りませんが、結局は資本主義であるというなら、これまたあえて議論をする必要もなし、あつても話をしてみた上において、氣持においてあまり違いはないとするならば、いわゆるわれわれと政見を同じうするものであるから、御一緒にこの経済危機を突破しようということになつて、民主党の諸君の全部ではないでしようが、私はそういう氣持で、できれば民主党と御一緒に行きたい。またわが党においてもいろいろ議論はありましようが、私は初めからして、主義政見を同じうする政党政派と政局に立ちたいということは、選挙の前から、また党内外においても常に言つておるわけであります。それが連合という名前になりますか、連立という名前になりますか、合と立とどこが違うか知りませんが、氣持において一緒に行こう、こういう氣持で始終考えておつたのであります。
#187
○中曽根委員 総理のお氣持はよくわかるのでありますが、ただ天下國民の前に、どういう性格の内閣かということは、單に氣持だけで総理がお考えになつたのでは、はなはだ國民は迷惑をすると思うのであります。ただいまの総理の御言明によりまして、氣持を同じくする、政策を同じくする、つまり、單独内閣であると私は認識いたしまして、一應この質問は打切ります。
 その次にもう一つ、松野さんがお聞きになりました二大政党対立の問題であります。私も実は二大政党対立論者なのでありますが、大体今の情勢で、二大政党対立ができるとどうなるかというと、これは民自党と共産党との対立のようになりはしないか。このことは現にきようの新聞に、アメリカの國務次官補が、超保守派と共産党との進出傾向は云々と書いてある。この予言は当つておるだろうと思います。こういうような過激な二大政党の対立を避けて、どうして進歩的な、また穏健な二大政党対立に持つて行つたらよろしいか、今のまま行つたら革命と反革命の連続になるのでありますが、そういう悲劇を生まないように、しからばどういうふうにして穏健な二大政党対立へ持つて行つたらよいか、その総理のお考えをぜひお漏らし願いたいのであります。
#188
○吉田國務大臣 これは少しむずかしい話であつて、共産党と対立しようということは、共産党の諸君においても御迷惑でありましようし、われわれにおいてもはなはだ迷惑しごくでありますから、そういう考えはいたしておりません。すなわちただいま申したように進歩と保守、その進歩の中に共産党が入られるか入られないか、それは進歩政党をこしらえる方の御自由でありますが、私の考えておりますことは、ただいま繰返して申しましたように、進歩と保守という線で参りたい、こういう考えであります。それではどうしてこしらえるか、これは先ほど申した通り、こね上げるわけにも行かず、人為的にこしらえるわけにも行かず、強制してこしらえるわけにも行かず、自然に日本の政治の流れがそこに帰着するということ、これらがすなわち民主政治であろうと思いますが指導する政治家諸君が、そういう二大政党論が正しいと考えられるならば、そういう方に輿論なり、國民なりを導くように御協力を希望いたします。
#189
○野坂委員 簡單にちよつと……。ただいま進歩とか、保守とか、二大陣営とか、こういうふうに言われましたが、総理のお考えでは、保守とはどういう條件で、どういう政策のものが保守というのか、進歩とはどういう條件で、どういう政策のものが進歩であるか、この点をちよつとお伺いしたい。
#190
○吉田國務大臣 こういう議論をしておりますと切りがない話でありますから、これは私の方で御免をこうむります。
#191
○中曽根委員 総理大臣に一点重要なることをお聞きしたいと思います。この間本会議で海外の情報に迷わされるなとおつしやいました。ところが最近日本へ入つております情報を見ますと、あるいは傳えられるところのロイヤル氏の言明といい、あるいはドレーパー氏が辞職して、五箇年計画の前途が悲観されておるということ、あるいはマツカーサー元帥は日本を永世中立國にする、こういうことをおつしやつておるのであります。おそらくこういう線から考えますと、ある時期にアメリカ軍が撤退して、日本を中立國にしてくれて、ソ連が入つてくれば、アメリカも入るが、ソ連が入らない限りアメリカも入らない。こういう構想で日本を將來自立させようというお考えではないかと思います。そういうことになりますと、われわれはすみやかに食糧の自給態勢を確立して、もし戰爭でも起つて日本に補給がつかない場合に、自分でこういうことをやらなければならぬと思います。従つて政策の最も基盤に存在する問題であろうと思うのでありますが、この点に関して、われわれ日本國民並びに日本の政治家として、どういうふうな情勢判断をなさつておりますか。この点親切にお答え願いたいと思います。
#192
○吉田國務大臣 國際情勢については悲観論と樂観論の両説があつて、私は樂観に過ぎるということを言われておりましたが、私は樂観論というわけでもありません。が私の見るところでは戰爭を前提としてものを考えるべきでない。むしろ敗戰後においては、平和を基調として平和を土台として、世界の態勢は平和に向いつつあるものである。たとえば北大西洋條約にしても、これは戰爭を前提として考えたという考え方よりも、平和を維持するという考え方を土台にしてできたもの、こう考えるべきではないと思うのであります。ゆえに近く戰爭があるとか、あるいは平和は維持できないというような考え方をもつて政治家が國民に臨んでは、世論をしていたずらに危惧の念を起さしめ、ようやく安定せんとしておる日本が、安定を欠くというようなことになりますから、いやしくも代議士諸君、國民を指導せられる政治家諸君においては、言論を慎重にお考え願いたいと思う。また私自身としても、樂観論については、決して根拠のないことではないと思つておるのであります。
    〔委員長退席、西村(久)委員長代理着席〕
#193
○中曽根委員 総理大臣の御希望はそうあろうと思うのであります。また日本人もそう考えておるだろうと思うのです。しかし客観情勢は必ずしもそのように行つておるとは判断できません。從つてわれわれが経済政策をやる場合には、万一ということに備えて、それに対應するようなステツプを踏み出さなければならぬ場合もあることだろうと思います。特に日本の場合は、食糧その他の問題があるだろうと思いますが、そういうような考慮を、政治の上に多少とも反映する必要のないような客観情勢にあるのかどうか。その点を総理大臣にもう一度お伺いいたします。
#194
○吉田國務大臣 客観情勢、あるいは國際情勢についての判断は、終局すれば勘ということになり、あるいは平和を好むという考え方から平和論をとなえ、戰爭を好むという側からして戰爭論になるような傾向があるので、これは終局するところ、戰爭を好むか、好まないか、平和を愛するか、愛しないか。見通しからいえば、平和は維持されるという見通し論になりまして、ちようど医者が試験管で試験をするようなわけに参らないものであります。結局どちらを信ずるか、どちらに輝くべきか、これは終局は議論になつてしまうと思いますが、私は樂観論を終始維持しておるものであります。
#195
○中曽根委員 ほかの方がおいでになりますから、ほかの質問は留保して、もう一つ伺います。
 この間近藤外務政務次官が外人記者團に、日本も早く太平洋同盟というものができ、反共同盟というものができたら参加したいという、個人的希望でありますか、外務政務次官としての希望でありますか、お述べになつた記事が載つております。私は吉田総理大臣が外務大臣の外務政務次官でありますから、吉田総理大臣があげた軽氣球ではないかという氣も一部の國民はしていると思います。ところがこの言明は、私は日本の憲法に対する重大な侵犯というか、少くとも精神を侵犯している言明であつて、相当問責されなければならぬものであるだろうと思うのであります。マツカーサー元帥も日本を中立國にするといい、われわれ憲法第二章で、武装を放棄して戰爭しないという約束を世界にした子、の日本人が、少くとも同盟國に参加したいというような希望を、公式に発表するということは、憲法の精神を冒涜するものであり、かつまた國際的にも、はなはだ日本の民主化の上に、悪い印象を與える言葉ではないかと思うのであります。こういうことは、吉田総理大臣ははたしてよいとお思いになつているのかどうか、これを放置しておかれるのか。日本の中立に対する総理大臣の御見解もあわせて承りたい。
#196
○吉田國務大臣 私は太平洋條約問題を、近藤君がどういういきさつから話をせられたかまだ承知をしておりませんが、思うに、平和を前提とした條約なりと考えて言われたことはないと思います。いずれにしても、あまり固くお考えにならずに、寛大にお取扱いを願いたいと思います。(笑声)
#197
○中曽根委員 今総理大臣は御寛大云云という言葉を言われましたが、しかしこれは、われわれ日本人が営々として世界に対して民主的な國民になつている、平和的な國民になつている、こういう努力をしている成果を、外務政務次官は一挙にくずすような行為ではないかと思うのであります。從つて單に御寛大とか何とかいう言葉では、済まされない問題であろうと思うのであります。私は吉田総理大臣が、外務政務次官に対して相当な責任をとるような措置をおとりになることを希望するものでありますから、この際総理大臣としても、あの言明に対して遺憾であるというような意思表示を、すみやかに日本國民のためにしていただきたいと思うのであります。これだけをお願いしておきます。
#198
○西村(榮)委員 関連だと思つていたところが、政治問題から外交問題にまで入つている。私は率直に言えば、敗戰國民の義務として、お互いに政党はわかれておつても、祖國の再建のために協力すべきものは協力すべきだ、特に外交に関しては國内一致してなすべきだ、私はこう考えておる。(「きのうは反対したじやないか」と呼ぶ者あり)しかし先ほど來御指摘されたように、吉田民自党総裁の社会党を育成するという言葉は、今後断じて愼んでいただかなければ大きに迷惑する。吉田さんはどういう考え方から言われたか知りませんが、選挙にあたつてはこういう手がある。彼は絶対最高点で出るからわしにまかしてくれと言うて相手の方を落選せしめる、ほめておいて落すという手があるのであります。私は吉田総理が悪意から出発して、社会党を育成するということを言われたとは思いませんが、考え方によつては、社会党の内部撹乱政策だとも考える。(笑声)こういうことは慎んでいただきたい。私どもは、少くともわが党は、祖國再建のための具体策を立てて、國民の信任において將來今日の悲況を挽回して行きたい、こう考えておるのでありまして、失礼ですが、年寄りの冷水と申しますか、とにかく吉田さんは外交界の長老として、政党政派に関係なければ、外交上の問題について、あるいは社会党は教えを受けるかもしれませんが、いわゆる育成をするとか何とか言うことはやめてもらいたい。これは絶対にお願いしておきます。
 昨日外交問題についても反対したではないかというのでありますが、これはあとから申し上げたいと思います。ただ簡單に一点吉田総理大臣の心境を承りたい。それは政府がつくられた原案の五千七百億円の予算と、今回の内示案の七千億円の予算との間には、確かに開きがあるのであります。先ほど私は安本長官に申し上げましたが、率直に言えば、占領軍の経済政策は短期的感覚から出発しております。というのは、吉田さん御存じの通り、その國を占領しておる占領軍の政策は、三年か四年かたがた五年で占領軍が引揚げたときに、実を結んでおるという考え方から、その経済政策はきわめて短期的です。しかし現在日本の置かれておる祖國再建政策というものは、二十年、三十年にわたる長期の経済的対策を必要とするのである。現在日本の機械生産はほとんど磨滅しております。いわばこれを回復して國民生活の力を培養して行く、國民経済を培養して行く、その培養された、力のふえた國民経済の上に立つて税金をとる。その中から資本の蓄積を求めて機械の補修、改善をする。その上に立つて輸出貿易を振興して行く。これが現在日本に置かれたる正しい意味における日本経済の再建政策である。ところがこの日本人自身が考える日本再建政策と、三年か五年であるいは軍政から民政、あるいは全然独立國になるという建前において、短期に実を結ばなければならぬという占領軍の経済政策との間において相当矛盾が生じて來る。
    〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕
その矛盾を一体どう調和するかということが、現下の政治の大きなる任務であると私は考えておる。吉田総理大臣がこの問題をどう解決するかということについては、單にこの予算だけではなしに、將來の國政上に重要な影響を持つものでありまして、一應率直なる御意見を伺いたい。
#199
○吉田國務大臣 これは私のごとく、司令部と終始接触しておる者と、あるいはその他の者との間においては、自然感じが違うだろうと思いますが、私は司令部の考え方が單に二、三年の間に、引揚げるまでに成果を上げようというような氣持でないと思う。マツカーサー元帥にしても、あるいはドツジ氏にしても、真に日本の経済の自立――またこれはアメリカ側から考えてみても必要なことでありまするものでありますから、決して短かい時間に功を急いで、引揚げのための用意としての考えの援助政策ではないと思います。これは直接接触をした感じと、そうでない感じとではよほど違いますが、私の感じとしては、決して短期の経済政策として内示案をつくつておるわけではないと思います。私は親切に日本の將來を考えて忠告されたものと了解して、喜んでドツジ氏に賛成したのであります。またいずれにしても、終戰後においてすみやかに切開手術を行うべきであつたろうと思いますが、しかしながら終戰後のどさくさでそういうこともできず、またそういう考えもつかず、この二、三年は終戰の善後策に没頭をしておるような始末で、將來を考えてどうというようなことは、財政当局においても考え及ばなかつたか、あるいは考えてもできなかつたか、今日において多少余裕ができたところで、さて今後どうするか、そのためにはこれくらいなことはしなくちやいけないということになつたのが、実際の状況ではないかと思います。
#200
○西村(榮)委員 総理と私の見解は全然違うのでありまして、私は七千億の予算は消化する能力が、今日の國民経済の上にない、こう考えておるのでありまして、その意味において政府の所見をただしたいと思つておるのであります。経済の問題でありますから、総理に対する第一の質問は打切ります。
 第二点として、吉田総理は多年外交官として外國の事情に通曉しておられるのであります。先ほど民自党の席から、私は敗戰國の日本として、政党政派を超越して協力するものは協力する、特に事外國に関する問題は協力すると申し上げたときに、昨日はどうしたというやじがその半ばから飛んだのでありますが、これに関連して私は総理の率直な意見を承りたい。昨日の阿波丸事件において國会はこの請求権を放棄するという決議をなしたのであります。國会多数の決議によつてこれが可決されましたことは、私はこれに從わざるを得ない。しかしこれは將來日本が独立した後において、重大なる悪例を残すものである。同時に民主主義をたつとび、権利を尊重し、義務を完全に履行するというアメリカ國民の心理から行きまして、この決議をアメリカ人が、はたして民自党の諸君が考えられたような取り方をするかどうか。私は正当なる権利を放棄する人は、義務をも怠るものであるという心理が、アメリカ民衆の中に植えつけられますならば、日本の將來の発展上まことに障害があると思うのであります。特にこの権利の放棄は義務の放棄に附随して参ります。國民から信託を受けて、生命と財産との保護の任に当つている政治家が、この義務を怠るということは――権利の放棄は義務の放棄であります。これが一体権利を尊重する観念、義務を完全に履行するという観念の民主主義を基調とするアメリカ人心に與える影響はどうであるか。同時市このことは、將來の日本の独立した後における外交上一大不利となるのではないか。同町に日本國民の識見と能力を疑われるのじやないか。戰い敗れたる國民とはいいながら、主張すべき権利は主張し、守るべき義務は同時に守らなければならぬ。敗戰國といえども、主張すべき正当の権利は、主張しなければならぬというのがわが党の主張でありますが、吉田総理大臣は、昨日の決議に対して、いかなる心境を有せられるか。
#201
○吉田國務大臣 私は昨日の決議は外交的に考え、政治的に考えて、まことにいい結果をもたらすものと考えるのであります。この点はまたあなたと見解を異にしますが、今お話のような論拠に対して、一つお考えを願いたいのは、アメリカは近ごろ私の承知しているところでは、日本人に市民権を與えたそうであります。これは從來拒んでおつたところであります。しかしながら最近において日本に対してやり過ぎといいますか、日本に対してずいぶんひどいことをしたという感じからかその点は知りませんが、とにかくアメリカに行つた人の話を聞いてみましても、対日感情ははなはだよくなつたそうであります。かつてカリフオルニアにおいて、御記憶でありましようが、学童問題とかいろいろな問題が起つたときには、ずいぶん権利というか、義務というか、日本人に対して相当ひどい待遇を與えておつたことは、諸君御承知であろうと思いますが、それに対して日本政府は條約に基いて抗議を申して、いわゆるグレーヴ・コンセクエンスという問題にまでなつたのでありますが、そのときの日本人に対するアメリカ人の考え方と、今日戰後において、ことに二世の軍隊のイタリアにおける功績といいますか、アメリカの何とか師團を窮地から非常な危險を冒して救い出したというようなことが、たまたまそれがテキサス出身の師團で、テキサスに行くと、日本人に対して非常な好意を持つて、対日感情はまつたく一変したそうであります。また戰時中西海岸の多数の日本在留民を強制的に移送した、轉居せしめた、その結果すいぶんむりもあつたでありましようが、日本人に相当の迷惑をかけた、お氣の毒であつたというような感じが今各地に高まり、ことに從來日本人に対してあまりよくなかつたシカゴ地方においては、最近は対日感情は一変して、二世その他が樂に生活を得、職業を得ることになつて、対日感情は非常にかわつておるということは、二、三日前に帰つた毎日新聞の高田君と言われましたか、その話を聞いてみましても、実情はそうなつております。これは暴をもつて暴に報いるより、あるいは敵対行為をもつて敵対行為に報いるよりは、やはり敵に対しては愛をもつて報いるという方が政治的であり、外交的であるのではないか。私は昨日の決議が、政府提案とせずして、議会が提案せられたということは、アメリカ國民に対して、ことに民主政治の國民に対して、非常にいい感じを與えたものと確信いたします。
#202
○西村(榮)委員 この問題は吉田さんとしてもお答えにくいでありましようから、私の主張が正しいのか、吉田さんの答弁が正しいのか、いずれ二、三年の後の歴史がこれの勝負をつけるであろう。ただきのうの決議、これは卑屈外交であるということだけを申し上げておきます。おそらく吉田さんは心の中では、これに賛成しておられないだろうと思うのであります。二、三年のうちにその実際は明らかになると思います。同時に総理にお聞きしたいと思いますことは、九原則を実際に適用して、日本の経済を再建して行こうというためには、どうしてもここに一つの大きな障害があります。それはほかでもありません、貿易自主権の回復であります。現在のように買う物は非常に高い、賣る物は非常に安い。同時にその貿易の管理を政府がして、外國人がその取引をしておるという現状から來るならば、これはどうしても買う物は高くて、しかも日本政府の必要のときに必要の量が入つて來ない。賣るときも同様、多大のハンデイキヤツプがつく。これはいなめないのであります。從つて、これに全経済の二割ないし一割五分のハンデイキヤツプがついておるといたしますならば、日本の國民経済はこれだけ圧迫される。從つてまず第一に、九原則を忠実に実行しようとするならば、この障害を撤去しなければならないと私は思います。そこでこの貿易問題をひつさげていろいろ交渉しますのに、一つの障害は、最後に行き詰まると、日本の國と他の國は、これは交戰國で戰勝條約である。だからそんな待遇は與えられないということを、最後に押しまくられてもやむを得ない状態になつて來る。ここで私は外交官。である吉田総理にお聞きしたいことは、今日の戰爭の状態から、少くとも講和会議が当分望みがない、近い將來この九原則が実行の段階に入るというときにおいても、なおかつ講和條約が望み得ないといたしますならば、私は敵國條約よりも、むしろ無條約の時代になつて、商品それ自体、経済の法則それ自体に從つて、通商貿易をするの状況がつくり出されなければならない。結論から言いまするならば、政治的講和が不可能であるならば、暫定講和として経済の問題だけの條約が結べないかどうか、この点をお聞きいたしたいと思います。
#203
○吉田國務大臣 これは速記を中止していただきます。
#204
○植原委員長 速記をやめて。
    〔速記中止〕
#205
○植原委員長 速記を始めて……。
#206
○西村(榮)委員 そこで私は総理に、続いてこれは希望ですが、こういう点が可能かどうかということを承りたい。
 第一に急速に講和條約ができなければ、政治的條約が累積されて実質的な講和條約を結んで行くということであります。とりあえず経済の面から行きますならば、今日、日本の政府の管理貿易ということがいわれておりますが、この政府が管理している貿易の事務を、もつと民間を入れて民主化する。といつて総合経済の立場から、政府もこれに大まかな参画をする。しかし実際は計画だけ立てて、貿易のエキスパートにまかせる。これ以上の含みはわかると思いますが、こういう意味において、日本の現在やつている政府の貿易機関を改革できないものか。
 第二点は、急速に輸出市場の主要なる都市に向つて、日本の業者の研究、調査、これを派遣することはできないか。
 第三点においては、主要なる外國の日本の得意先に向つて商品陳列所をつくる。その商品陳列所に附随して、あるいは商務官というようなものができなければ、GHQ嘱託とか何とか、名目はいずれでもけつこうでありますが、実質的にそういうものを設けられないか。
 第四点は為替の取扱い、為替銀行の復活ができないか。
 第五点は、現在大体外國に対する船賃の支拂いは、一億七千万ドルから一億ドル前後であります。これは現在の日本の貿易の量から行きまして、この外因に支拂う船賃二億ドル前後というものは、非常な日本の経済の負担になつて來ている。日本の船員は一箇月五十ドルです。アメリカの船員は一箇月五百ドルです。十倍の生活です。しかも日本の船員は遊んでおる。この状態を打開するならば、おそらく私は船賃は現在二億ドル前後を支拂うものが、四分の一ぐらいで済むのではないか。何とかこれが努力をしていただくことはできないか。
 以上五点、近く解決の見込みがあるかどうかという点であります。
#207
○吉田國務大臣 お答えいたします。私の記憶では、最近南米地方に実業視察團が出るはずになつております。それから私の記憶が確かでないかもわかりませんが、インドにこのごろ新しくできたパキスタンとかという、その代表者が私のところに來ましたが、技師を雇いたい、またいろいろな車両その他の注文がしたい。私にはそこが非常に豊富なところで、極樂のような、金が余つてしようがないような話をしていましたが、その金が余つてしようがないような國から、技師とか機関車とかいろいろなものを注文したとかしないとか、これは私はつきりいたしませんが、その代表者が私にそのことを申しておりました。そういうことがだんだん行われて行くことを希望もし、またそうしようと盡力しております。
 それから船の話になりますが、從來は私の記憶では、数字ははつきりいたしませんが、五千トン以上の船はつくることができないとかという規則になつておつたのが、六千トンになつたとか七千トンになつたとか、船の注文も相当あるし、なるべく日本の貿易は日本の船によらしめたいという考え、これはGHQの意見とは申しませんが、係官はそういう意見を述べております。
 それから駐在の商務官、貿易官でありますが、これはぜひとも置きたいと思つて、実は外務省の外交官研修所ですかで、將來貿易官あるいは商務官になる人を養成したいと思つております。それで、この駐在員を置くということは、こちらのためでもありますが、向うのためでもあるので、やがてそういう機運になるようにいたしたい。少くとも今年八月、終戰五箇年後においては新しい、何か希望を持つような、光明のある話をしたいと思つております。またそういう希望の実現するために、アメリカにおいて努力している人もあり、GHQ内において非常に熱心に考えてくれている今もあることを御報告しておきます。
 それから為替銀行の問題は、為替レートを設定するということが大事であろうと思います。それから、これは為替銀行ではありませんが、為替のフアンド等については相当当局は考えているそうであります。これは專門に属して、私には少しわかりにくい話でありますから、大藏大臣にお聞きを願います。
#208
○植原委員長 総理大臣は五時にお約束があつて、おいでにならなければなりませんので、総理大臣に対する質問は後日に願います。なお西村さん、あなたの質問は大藏大臣、労働大臣、行政管理廳長官に対してでありますが、御継続なさいますか、労働大臣も、大蔵大臣もその他の大臣もみなここにお見えですから、やつていただければたいへんいいのですが、本会議とあわせてですから、大臣がそろうことは非常に少いと思いますから……。
#209
○西村(榮)委員 それでは継続いたします。先ほど大藏大臣は三千百億円の所得税の徴収は可能である。こう言われたのでありますが、私はそのうち源泉課税千二百億円の予定は困難だということを申し上げておきました。これは見解の相違でありますが、しからば残余の所得税、事業所得税その他の申告税の千九百億円は、昨年度の七割六分の増收を見込んでおられるのでありますが、これは実際に徴收可能との確信を持つておられるかどうか。この点を承りたい。
#210
○池田國務大臣 納税者の協力を得、また税務機構の運営を改善いたしまして、可能と考えております。
#211
○西村(榮)委員 税務機構を改革して可能だ。こういう答弁ですな。
#212
○池田國務大臣 納税者の協力を得、また税務機構の運営を改善いたしまして可能と考えます。
#213
○西村(榮)委員 それは少しおかしな話であります。昨年の状況においてさえも、あれだけの納税に対して反税闘爭、その他國民との間に政府は衝突を來した。それが今度は七割六分という増税を見込んでおられるのでありますが、はたしてその増税の基礎があるかどうかということを檢討してみなければならぬ。たとえて申しますならば、昨年度は復興金融金庫から長期資金として八百億円支出されております。また政府は帶入金として産業資金に一千億出しております。その結果、通貨の増発は一千百億となつて、生産は三〇%上つて來た。八百億円の復金債と、政府支出と通貨の増発により三〇%という生産が上つて來た。これで辛うじて昨年度は祝金を拂えた。しかるに本年は八百億円の復金債はなくなり、政府の借入金はなくなり、同時にそれのみならず、今度は逆に復金債三百三十億円というものを償却しなければならない。そこに著しいデフレが起つて來る。このデフレの最中において、二千億円という増税である。特に一千九百億円の申告所得税の七割六分という増税が、どこに根拠があつて見込むことができるのでありますか、具体的な説明を承りたい。
#214
○池田國務大臣 お答え申し上げます。今年度におきましては、復金債において三百億円を償還いたしますし、また貿易特別会計で二十三年度二百五十億円の借入金をいたしておりましたが、これをはずします。またカウンター・パート・フアンドの千七百五十億を使いますので、そう御心配はいらないと考えております。なお事業所得税の見込みにつきましては、主税局長より詳細に御説明申し上げます。
#215
○平田(敬)政府委員 申告所得税の算定方法につきましては、本日午前中に御説明申し上げたわけでありますが、増税額は御承知のように、昨年度予算千二百二十一億に対し、本年度は千九百億でありますから、差引増額六百七十八億で五割五分の増であります。それから各税の内容につきましては、先ほども申し上げましたように、大体最近の水準は、前年一箇年を通算いたしました数字に対しまして、すでに相当高くなつておりますので、その部分を見込みまして所得を計算いたしたのであります。從いまして今後財政金融政策のいかんによつて、もしも物價が相当下るということになりますならば、あるいはなかなか困難なところもあろうかということになると思いますが、大体現在の水準がそう大きく動かないということになりますならば、計算といたしましては、さほどむりな計算じやないと確信いたしております。ただ問題は、先ほどもちよつと指摘しましたように、計算上出て來ました額に対しまして、七割六分が今年度の歳入になる、かような計算をいたしております。税率が大分高くなつておりますので、七割六分の徴收がはたして可能であるかどうか、これは非常に疑問があるところだと思います。私どももさような点を考えまして、税制をできるだけ合理化いたしまして、極力歳入を確保するというのが、一つの有力なる案と考えまして、そういう研究もいたしたのでございますが、とにかく最高の方針といたしまして、現行税制は動かさないということになりましたので、今の税制で計算いたしておるのでございます。昨年度は大体七割一分見込んだのでございます。現在の状況からいたしますと、大体予算額のところまで何とか行きやしないかと思つておりますが、勤労所得税はすでに予算を相当越えております。法人税もある程度越えておりますが、しかし申告所得税はまだ予算に達しない状況でありまして、さような点から考えますと、この徴收額はやはり私どもといたしましては、相当な努力を要することは間違いございません。しかしながらこの点につきましては、私ども先ほど申し上げましたように、でき得る限り早いうちから申告して納めてもらう運動を展開いたしたいと考えます。
 一方におきましては、納税準備予金をしていただきまして、それによつて各期ごとに納税を容易ならしめるような措置を極力やりたい。それからいま一つは、これはなかなかそう申しましても、理想通りには参りませんが、しかしながらベストを盡しまして、実際の所得を的確につかむということに、あらゆる努力を傾けてみたいと考えております。それから税務官吏になれない官吏が非常に多いのでございます。それにいたしましても、昨年二年の経驗のある者は、本年は三年の経驗になる。昨年一年の経驗のある者は、本年は二年の経驗になるということでございますから、全体として指導いかんによりましては、私は相当能率を発揮し得る方向に行くのではないかと確信をいたしております。またさような方向に持つて行くよりほか、この際としてはいたしかたがない。從いまして一方職員の訓練等につきましては、その講習費も相当勉強いたしまして、一億数千万円の予算を、御承認を仰ぎたいと思つておりますが、こういたしまして、なるべく早く熟練した官吏をつくりまして、それによつて適正所得を捕捉して行くということをいたしますれば、これは私は徴收は今までに比べまして、よほど円滑に行き得る可能性が多いのではないかと考えております。現在の実際の状況を見ますと、やはり課税の不公平ということが、納税に相当阻害を來しておることは、御承知の通りでありますが、この点につきまして改善を加えますならば、相当重いことは私ども認めまするが、重い負担を何とか納めていただくことができるのではないか、万全の態勢をもつて臨みたいと考えておる次第でございます。
#216
○西村(榮)委員 私の問いたいのは、先ほどの勤労所得税においても、相当の――七割の増徴を見込んでおられるのでありますが、賃金ベースの改訂、その他の賃金の値上げによつてこれは可能だという説明であつた。これに対しては、運賃の値上げ、專賣品の値上げ、その他食糧の値上げによつて、実質的賃金は三割前後低下するから、この徴税は不可能である。こういうことを申し上げたわけでありますが、それは別といたしまして、私は今の局長の答弁においても、大臣の答弁においても満足し得なので、もう一ぺん念を押して聞くのでありますが、たとえ五割五分の増にいたしましても、昨年度よりも六百八十億円増という厖大な申告税の予定が、はたして立てられるかどうか。今年度は復金債を八百億円返済し、一千億円の政府出資を返還し、同時にその中から別に復金債は三百三十億円償還し、あるいは日銀の借入金も償還する。日本においては著しくデフレーシヨンの傾向が目前に迫つている。この中に中小企業は倒産し、大きな企業としても引合つて行かない。特に為替レートの決定いかんによつて場は、日本の輸出貿易の上において重大影響がある。このデフレ恐慌の予想されるまつただ中において、昨年度よりもよけいとれるという経済的な根拠はどこにあるか。徴税事務の訓練であるとか、徴税機構の改革であるとかいうことでなしに、この不景氣のどん底の中において、昨年度と逆な結果を來すであろうことが予想されるこの予算の前において、國民からはたして五五%増の千九百億円というものを、とれるだけの経済的な基盤が、日本の経済の中にあるかどうか。この説明を承りたい。
#217
○池田國務大臣 西村君のはデフレを前提としての議論でございまするが、今年度においてデフレ政策を強行する考えはございません。たびたび申し上げましたように、デイスインフレで行くのであります。通貨は大体今の状況を続けて行くでありましようし、カウンター・パートの資金等を使いますれば、これだけの收入はとり得ると確信しております。
#218
○西村(榮)委員 それは重大なことです。昨日大藏大臣は、日本の経済の前途には、デフレ來ると答弁された。今の答弁と全然食い違いを來している。私はインフレーシヨン恐怖病患者ではありません。同時にデフレ恐怖病患者でもありません。しかし日本の置かれた條件は、ドイツのインフレーシヨンの時代と違う。これは大藏大臣詳しく御存じの通り、生産が過剰で、政治的不安のために海外に資産が逃げて行き、その結果がインフレーシヨンを起している。しかもドイツは政府自身が賠償金の踏み倒しをし、あるいはルールの占領事件等によつて、政府みずからがインフレーシヨンを起した。日本は違う。過小生産の中に、國民窮迫の中に財政の膨脹し、生産は上らない。ますます國民経済は衰弱して行く。この中にインフレーシヨンとデフレーシヨンとの最も悪質のものがかち合つて、しかも九原則の急激なる実行のために、この九原則を実行するところの前提條件を整えずして、竹馬経済であるといたしますならば、ちようどたけが足らないといいますか、竹馬をはずして首つりの足をひつぱつておるというふうな状況が、將來の経済の姿であるとしたならば、その中において千九百億円のこの申告所得税がどうしてとれるか、その経済的な基盤があるかどうか、條件が整つておるかどうか。この点をお聞きしているのであつて、將來デフレーシヨンにはならないとか、そういう樂観論を聞いておるのじやない。あなたのきのうの答弁と食い違つています。きのうの本会議においては、この傾向はデフレーシヨン的傾向でありますということを明言したではありませんか。私は経済的基盤を聞いております。
#219
○池田國務大臣 お答え申し上げます。昨日本会議での答弁で、デフレーシヨンになるとは決して申し上げておりません。それは経済九原則を施行いたしまして、徴税を強行いたしまして、徴税を強行いたしますると、一應デフレーシヨンという考え方が起るのであります。これは歴史の示すところでございまして、そういうふうなことになりがちであるから、カウンター・パートその他の方策によりまして、デイスインフレに持つて行くのだ、こうお答えしておるのであります。しこうして私は今の経済状態が、個々的にはいろいろの変動は起こりましようが、大体これで安定に向つて行くと考えております。
#220
○西村(榮)委員 私は具体的にとれるかどうかという基盤を聞いておるので、しかも経済観測から行きますならば、あなたとは別な観点です。本年度は中小工業者は倒産するし、輸出貿易もやつて行けない。一般の金詰まりが深刻になつて、日本の経済はにつちもさつちも行かなくなり、今年の六、七月ころから十二月ごろには、どうしてもやつて行けないという前古未曾有の深刻なものが見舞つて來る、私はそう思つておる。しかしそれは議論にわたりますし、質問の範囲を脱しますから別にして、もう一点大藏大臣にお聞きしたいと思うことは、対日援助見返り資金千七百五十億円は、これを別に積立てておいて、鉄道会計並びに通信会計に対して二百七十億円の建設費を出す、あとは旧情券の償還に充てると言われておるのでありますが、この千七百五十億円の対日援助費と関連して考えなければならないことは、政府は一般会計から――この勤労所得税、申告所得税のとりにくい中から、八百三十三億円を輸入品の補給金に充当されておるのであります。この輸入品の補給金の八百三十三億円を、なぜ千七百五十億円の対日援助費の中から支出されないのか、その間の事情の説明を承りたい。
#221
○池田國務大臣 われわれの経済はわれわれの力でやつて行くという観念でございます。アメリカの援助を食つて行かない。しこうしてそれだけではできませんので、必要な資金を、一應援助物資としてこちらに送つてくれたものを、長期再建に使つて行こうというのであります。
#222
○西村(榮)委員 われわれの経済は日本人の力で支えて行くということは、議論の余地がありません。しかし現在日本の置かれた経済状態は封鎖経済、封鎖経済は補給経済。この封鎖経済を打破しようとするならば、まず第一に貿易の自由が確立されなければならぬ。日本が貿易が自由になり、海外との通商が自由になりますならば、自分で食つて行ける、自力で立ち得るだけの條件が整えられる。自力で行動を起すだけの條件を整えられないこの封鎖経済はすなわち補給経済。補給経済なるがゆえに五億何千万ドルというものが、対日援助費としてわが國に送られて來ておる。これが千七百五十億円、しからばその千七百五十億円というアメリカからの援助費が日本に來て、それを日本の國民に賣つて、それを積み立てたものが五億何千万ドル、すなわち千七百五十億円。しからばそれは日本國民の生活救済費です。生活安定費です。その千七百五十億というものが、日本國民のいわゆる封鎖経済から來るところの補給経済であるという原則に立つて、日本國民の生活をここに養つて行くというところに五億ドル來た。それを國民に賣つて千七百五十億円を回收して來た。ところが食糧であるとか、衣料であるとか、あるいは農村に対する肥料であるとかいうものが、輸入代價よりもべらぼうに高い。すなわち三百三十円の為替レートで行けばべらぼうに高いから、これでは國民の生活費が向上して、もう一ぺん賃金改訂、あるいは生活水準の改訂をしなければならぬというところに、八百三十三億円の補給金を出さなければならぬという必要が生じて來る。しからばこれを援助費の千七百五十億円の中からなぜ出さないか、税金から出すということは違法ではないか。この点を承りたい。
#223
○池田國務大臣 われわれの食糧を、あるいは生産に必要なる物資の代金を、アメリカの納税者に出してくれ、この希望は希望として言つてもいいかわかりませんが、向うでは、そういう金を別にとつておいて、日本人の食糧は日本人で支拂うべしという考え方でございます。從いまして私は自立経済の立場から、われらの國はわれらの力で立つ。そうして足らざるところ、しかもそれは復興資金その他に千七百五十億円を使おう、とこう思つておるのであります。
#224
○西村(榮)委員 それは少し大藏大臣おかしいじやありませんか。五億何千万ドルというものの輸入は、日本國民の飢餓状態を救うための救済費として送られて來た。中には一億五千万ドルの復興資金が入つております。三億七千万ドルあるいは六千万ドルというものは、これは日本國民の飢餓状態を救うために、対日援助物資として送られて來ておる。しからば復興援助費を別に積み立てて、これだけを別にするということであれば、これは一應わかります。しかし日本國民の飢餓状態を救うための目的をもつて送付されて來た品物であるならば、これは本來なら日本國民にただで配給してもよい。しかしそれではあまり甘やかすというので、一定の代金をとつている。今度は三百三十円の為替レートになれば、名目的な値段が著しく高騰するというので、その補給金のつじつまを合している。しからば飢餓状態を救うために送つて來たものを、その差額を補給するために、なぜ税金から出すのか。三百三十円の差額をここに流入するという理由がわからない。
#225
○池田國務大臣 西村君は、われわれの食糧をただでもらうことを前提にして、お考えになつておるようであります。私はそうは考えていないのでございます。
#226
○西村(榮)委員 どうも少し話が違う。私はただもらつておるとは言わない。日本の経済が封鎖されている。封鎖されているという経済は、これは補給経済だと私は考える。從つて補給する義務があるのか、権利があるのかということは、これは別です。しかし私から言いまするならば、貿易の自由を許され、日本の政治の自主性を許されて、海外にわれわれが対等の力で取引する。対等の立場で馬力をかけることができるようになれば、あるいはこの対日援助費を辞退するの段階が遠からず來ると思う。しかしそれでなければ封鎖経済である。封鎖経済は補給経済である。從つて補給経済であるがゆえに、日本の今日の状態においては、アメリカから援助物資が送られて來ておるのである。名目的には私はそう解釈しておる。しかし事実においては、それは援助費だからただで來ている。ただで來ているのを政府は國民に賣つておる。國民に賣つた結果、千七百五十億円というものは返つて來る。だからその差額は、私は一般所得税から出さないで、そのもらつたものから出して行つたらどうか、こういうことを聞いておるのであります。私はただでもらいたいとか、もらつておるとか考えていない。ただそれが違法かどうか、できるのかできないのかということについて答弁を聞きたい。
#227
○池田國務大臣 アメリカの援助物資はただではもらえないことになつたのであります。從いまして、封鎖経済であるから、管理貿易だから、ただでくれという前提ならば、お話の通りになりまするが、ただではもらえない。これには適当の代價を拂う。そしてその代價に相当する部分は特別会計で積み立てて復興に充てろ、こういうことになつておるのであります。
#228
○西村(榮)委員 水かけ論になりますから、これは別な機会にまた讓りましよう。
 次に大藏大臣にお聞きしたいのは、今日の状況から言えば、非常なデフレーシヨン的傾向を助長激化して、中小工業者は倒れるし、同時に多くの失業者が出る。特に政府は行政整理というものを看板にしておられるのでありまして、この行政整理のやり方については、いろいろ議論がありますから、あとから労働大臣の御意見をも承りたいと思いますが、予算に関する問題においては、政府は大量な五十何万人かの整理を予定されておる。一般企業界も多数の失業者が出る。先ほど安本長官の説明では、大体百二十万から百四十万の失業者が本年度予定されているという説明でありましたが、デフレーシヨンの中に洪水のごとく出て來るこの失業者。政府みずからが百二十万ないし百四十万という失業者を予定され、しかも政府は行政整理において多量な失業者を出す、その中にあつて、この予算を見ると、失業保險を別にして、わずかに八億円しか失業救済費というものを組んでないのでありますが、これは一体どういう意味ですか、この八億円をもつて百二十万ないし百四十万の失業者を救済できるとお考えになつておるか。この八億円の予算というものは一体どういうように使われるか、承りたい。
#229
○河野(一)政府委員 失業保險につきましては、一應六十億ほどを失業保險特別会計に繰入れてあるのでありますが、それを同額程度のものを予備費に計上してありまして、機動的に運営するつもりであります。八億円は、これは從來やつておりまする失業者の、知識階級でありますとか、日雇関係の失業者につきまして、調査統計の事務をやりますとか、清掃事業をやりますとか、そういうような公共團体でやりまする事業に対して、三分の二程度を充てて行く、從來の事業の継続であります。
#230
○西村(榮)委員 失業救済費を予備費で組んであるというが、予備費がどこにありますか。
#231
○河野(一)政府委員 私が申し上げましたのは、失業保險特別会計に予備費が組んである、こういうことを申し上げたのであります。
#232
○西村(榮)委員 それは幾らですか。
#233
○河野(一)政府委員 六十億でございます。
#234
○西村(榮)委員 あと労働大臣と、本多國務大臣のお話を承つて、その上、大藏大臣に対する質問を重ねていたしたいと思つたのですが、きようは理事会の申合せで、五時までやるという話でありますから、私は一應あとの私の質問は留保いたします。
#235
○植原委員長 それではきようはこの程度で散会いたします。
 明日は午前十時から開会いたします。政府においてもつとめて御出席を希望いたします。
   午後五時十九分散会

ソース: 国立国会図書館
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