くにさくロゴ
1947/10/31 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第42号
姉妹サイト
 
1947/10/31 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第42号

#1
第001回国会 本会議 第42号
昭和二十二年十月三十一日(金曜日)
   午前十時三十九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四十一号
  昭和二十二年十月三十一日
   午前十時開議
 第一 臨時人事委員会の臨時人事委員長及び臨時人事委員の任命に関する件
 第二 自由討議
    ━━━━━━━━━━━━━
 一、所見開陳の範囲
   家庭用燃料対策
 二、発言者の数及び発言時間
  1 各派の発言割当時間 緑風会五十分、社会党、民主党、自由党各二十分、無所属懇談会、共産党各十分
  2 各派は、右割当時間の範囲内において、発言者の数を決定すること。
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。議長は水産委員に川村松助君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(松平恒雄君) 次にお諮りいたしたいことがございます。昨三十日、川村松助君より理由を附して鉱工業委員辞任の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましてはその補欠として木下盛雄君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#6
○議長(松平恒雄君) 日程第一、臨時人事委員会の臨時人事委員長及び臨時人事委員の任命に関する件、去る二十五日、内閣総理大臣から國家公務員法附則第二條第六項及び同法第五條の規定に基ずき、浅井清君を臨時人事委員長に、上野陽一君及び山下興家君を臨時人事委員に任命することについて、本院に同意を求めて参りました。本件につきましては、議長は予め議院運営委員会に諮りましたところ、同委員会は右三名の任命に同意することに異議がない旨の決定がございました。本件に関し同意を與えることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#8
○議長(松平恒雄君) 日程第二、自由討議、本日の自由討議は本院規定第百四十七條によるものとし、所見開陳の範囲を家庭用燃料対策といたします。会議時間は二時間三十分でございます。各発言者はそれぞれ発言時間を遵守せられんことを望みます。これより発言を許します。
   〔中西功君発言指名の許可を求む〕
#9
○議長(松平恒雄君) 中西功君。
#10
○中西功君 日本共産党は板野勝次君を指名いたします。
#11
○議長(松平恒雄君) 板野勝次君に発言を許します。
   〔板野勝次君登壇、拍手〕
#12
○板野勝次君 政府の本年度下半期綜合家庭燃料確保対策を検討して見ますると、結局は思い付きの行政措置を羅列するだけでありまして、これで燃料危機を救い得るものとは考えられないのでございます。闇とインフレを消滅することに拔本寒源的の政策を講ずることをサぼつておりまするところの現片山内閣は、その政策のあらゆる面におきまして破綻しつつありますることは、現下の社会情勢そのものが雄弁に物語つておると思うのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)生産は破滅の方向を辿つており、國民生活は日日にその不安の度を濃くしておりまるのにも拘わりませず、千八百円ペースを堅持すると称しまして、ひとえに耐乏生活を勤労大衆の上に強要いたしまして、生産の復興を図らんとしておるのでありまするから、勤労者の生産意欲が低下いたしまするのも亦当然のことでありまして、從つて産業の破滅も亦当然の結果であります。こうした中に家庭燃料の危機が叫ばれまするのは、むしろ不思議とするには当らないのでございます。本年度下半期の五人家族一世帯の燃料配給計画が木炭換算僅かに九俵という数量は、計画数量それ自体がすでに最低必要量を割つておるのでございまして、これが完全に配給されたといたしましても、各家庭は結局薪炭の闇と電氣の超過使用に頼る外ないのでございまして、すでにこの計画面からも綜合燃料対策は破綻を示しておると思うのでございます。家庭燃料の一日一人当りの月別の基準熱量をさえも科学的に檢討し得ていない政府なればこそ、思ひ付きの配給計画数量をただ一方的に、天降り的に決めてかかりまして、電力の面から見た家庭燃料不足は薪炭で補つて行き、薪炭の面から眺めまする燃料の必要量は電氣、ガスで補うより外なくなるのは当然でございまして、薪炭、煉炭、豆炭、電氣、ガスがおのおのその一定の比率によつて補い合うということができるようにしておりますのも、その供給責任数量というものが定められていないので、勢い無責任極まる綜合対策という結果になつておると思うのでございます。從つてこの綜合計画を立てても、これを突詰めて行きますると、結局机上計画以上の何ものでもなくなつておるのでございまして、耐乏生活を無理強いいたしまするところの政府は、この燃料対策についても無責任であり、無能を暴露しておると思うのでございます。先般農林委員会におきまして、或る政府委員は、十二月末日までに最低限度一世帶当り木炭一俵、薪五束程度を配給したいのだと、こう言つておつたのでありまするが、それでもできる自信があるかと尋ねて見ましたところが、東京都の炭の現在のストックは僅かに三十万俵で、九十万俵が不足するのだ。これを輸送しなければならないのだが、現品はまだ北海道の山の中にある。梱包材料も菰二十万枚が必要なのだけれども、それさえも入手困難で輸送ができるかどうか分らないというような答えであつたのでございます。この答えから推して見ましても、上半期に相当輸送して置かなければ冬の間に合わないのに、それができていない点からいたしましても、無計画であり無責任であると言うことができるのでございます。薪炭は生産、集荷と同時に、輸送面におきましても重大な隘路がありますることは、すでに皆さんも御承知の点でございまして、特に水害以後の輸送の停滯は殊に甚だしく、生産地はもとよりのこと、駅頭滯荷も相当ある現状におきましては、最低必需量を割る計画数量の輸送さえも困難であり、而もこの計画を策定するに当りましては、運輸省と十分なる連絡が取られておつたものとは考えられないのでございまして、綜合燃料対策と言いながらも、各担当官廳のセクシヨナリズムは何ら清算されず、綜合性がない現状でございます。本日の新聞紙を見ますると、薪炭専用列車も漸く十一月一日から運轉されて、十二月末日までに東京都内に木炭約六十万俵、薪約二百万束を送り込むということが報道されておるのでございまするが、この計画が若し一〇〇%実行されたといたしましても、本年の十二月末までにおける都内の燃料事情は、実に乏しい限りでございます。又更に政府の綜合計画によるますると、家庭用の薪炭を確保するために、ガス用、石灰窒素製造用、製塩用等の薪炭を節減しまして、ガソリン、塩等の輸入を懇請することになつておるのでございまするが、この輸入が果して下半期に実現できるかどうかは甚だしく疑問であると思うのでございます。從來薪炭の大闇はこれら産業用の消費者であつたのでございまするから、この輸入が実現できなければ勿論のこと、或る程度できたといたしましても、これらの大口の闇は現在の政府の手では如何ともする術がないので、從つて家庭用割当を決めましても、この面からも崩れて行くことは当然であると思われるのでございます。以上のことから、薪炭配給は到底計画通りに実行できないで、その需要は当然電力にかかつて來ると思われるのでございます。メーター需要家の超過使用、定額需要家の盗用は從つて必至でございまして、これを罰金、送電停止等の罰則で取締を強行いたしますれば、市民生活は完全に破綻してしまうと思うのでございます。これに対して、電力は産業用割当を確保し、而もこのような家庭用の需要に堪え得るだけの供給力があるかと申しますると、すでに皆さんも御承知のごとく、豊水期でさえも電力制限をやつておる電力危機の現状では、現状のままどころか、渇水期に向つて電力危機がいよいよ深まつて來ることは避けることのできない事実でございます。これらの矛盾は、官僚が机の上でできもしない割当計画を作つて、必要量を無視し、その使用制限のみを狙つて、必需量を満さなければならない生産復興に重点を置いていない当然の結論でございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)前に申述べました通り、思い付きの行政措置を羅列するだけでは、燃料危機は断じて救い得ないのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)闇とインフレを消滅し、経済機構の根本的な建直しと生産復興の促進を徹底的に行うことなしには、日本の民主的再建は不可能であり、燃料危機突破も、この枠外にあるものでは断じてないのでございます。ここに基本の方向があるのでございまして、この方向を外れたいかなる燃料対策も、遂に画に描いた餅に終つてしまうと思うのでございます。
 当面の緊急燃料対策として考えられますることは、第一に薪炭の大口の闇の徹底的取締を断行すること、第二に薪炭生産者の生産費の保証、第三に闇物資輸送の取締と薪炭輸送の強化、第四には要確保電力の使用状況を徹底的に調査し、闇生産に使用されておりますところの電力の供給を断つこと、この闇生産の電力を家庭に振り向けるだけでも、下半期の家庭用燃料は確保されると思うのでございます。第五にキヤバレー、ダンスホール等、奢侈的な電力需要の禁止をやること、第六に自家用発電の動員、第七に現在の官廳のセクシヨナリズムを廃棄し、計画から実施に至るまでの綜合機関の設置等が考えられるのでございますが、これを眞に効果的ならしめるためには、民主的組織によりまするところの監理、即ち人民管理の方式によらなければ、これらの対策も水泡に帰するであろと思われるのでございます。
 以上の緊急対策と同時に、恒久対策といたしましては、第一に國有林、私有林の徹底的開放、第二に國鉄の復興、第三に電力設備の徹底的補修と電源開発、四番目に石炭の増産等が挙げられるのでございますが、併しこれらは我が党の主張する重要企業の國営、人民管理を中心として推進されなければならないので、この線に沿つてのみ我が國の人民的再建もその一歩を正しく踏み出すことができ、燃料危機もこの線に沿つてのみ初めて解消することができるのでございます。これ以外に採るべき方法は断じてないと確信するのでございます。(拍手)
   〔木檜三四郎君発言者指名の許可を求む〕
#13
○議長(松平恒雄君) 木檜三四郎君。
#14
○木檜三四郎君 民主党では小畑哲夫君に発言を願います。
#15
○議長(松平恒雄君) 小畑哲夫君に発言を許します。
   〔小畑哲夫君登壇、拍手〕
#16
○小畑哲夫君 家庭燃料の問題は、冬を目前に控えまして、國民のひとしく不安と関心を持つておるところであります。特に、家を失い、衣服に惠まれないところの人たちにおいては、時として食糧以上の重大問題であるのであります。政府もこの点を重大視しまして、今回綜合家庭燃料確保対策なるものを発表いたしました。先程共産党の板野君からお話のありましたごとく、‥‥但しこの発表の中に、下半期五人家族一戸当り確か五俵と発表されましたが、九俵の間違いでないかと存じます。かくして綜合家庭燃料、即ち電熱、ガス、薪炭、煉豆炭、これらのものを需要方面ら最低限度の計画を立てたようであります。その中、電熱並びにガスは、今回の石炭事情或いは電力事情から推して、私の考へでは、政府が立てておりまする全家庭用燃料の一〇%、これ以上を望むことは今日無理であろう。止むを得ないと考えるのであります。但し先程も申されましたごとく、この使用については、最も嚴正に適正管理するところの方法を講ずることが必要であろうと思うのであります。從つてここに家庭燃料として中心問題になるところのものは、どういたしましても薪炭であろうと思うのであります。毎年当局は、今年の冬は一戸当り木炭何俵、薪何束配給を確保するというような発表をするのでありまするが、実際これがその通り配給があつたためしは殆んどないのでございます。國民も亦この点希望は持ちながらも信頼をしていないというのが事実であろうと思うのであります。(拍手)そこで、この机上において計画されたそのことが、実際にどういうふうにすれば実現するかという点が、今日我々の研究すべき問題で、力強く推進しなければならないところだと存ずるのであります。
 そこで先ず薪炭はどうすれば増産できるか。これが重大なる問題であつて、(「山を伐るんだ」と呼ぶ者あり)山を伐る。勿論山を伐ることが必要でありましよう。我が國の林力が、林の力がどれ程あるかということの調査も、勿論根本の問題であります。ところで私の今論じたいことは、この目前に冬を控えて、緊急対策として先ずどういう手を打てばいいかということが大事だと思うのであります。そこで、逆に申しますると、薪炭の生産を阻害するものは何であるか。これを研究して見たいと思うのであります。それは一言にして結論的に申しますならば、私かく信ずるのであります。政府の統制が必要以上に度を越しておるのではないか。(「反対だ」と呼ぶ者あり)やや不明瞭かも知れませんが、どういうことであるかと申しますと、一は價格の面において、一は機構の面においてかく感ずるのであります。今例を木炭に取つて見ますると、御承知の通り墨炭の雜と申しますのが生産者價格五十三円であります。そうして消費者價格が九十一円、但しA地区即ち大都市においてであります。白炭の堅と申しますのが生産者價格六十九円五十銭、消費者價格百七円五十銭、いずれもこの間三十八円の開きがあるのであります。率にしまして、墨炭は七割以上の値開きがあります。(「それは運賃と手数料」と呼ぶ者あり)勿論運賃、手数料というものについて、去る七月三十日、林野局長名を以てこの三十八円の内訳を発表いたしました。ところがこれは政府が全國的にプール計算をしておりますために、消費者にも生産者にも釈然としないところがあります。で、今生産者の原價計算を申上げますると、先ず所によつて違いまするが、原木代が二十円乃至三十円いたします。包装費が十円見当であります。山から下しますのに、場所によつて異なりまするが、これも十円見当のものであります。尚燒夫の労賃が非常に高騰いたしまして三十円、良い場所になりますと四十円にも行つております。かくして合計いたしますと、七十円から九十円程度の原價になるのであります。これを五十三円で持つて行こうというところにも無理があるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこで、いかにすれば、この中間の三十八円というものが多少なりとも生産者の手取りを多くすることに振り向けられるかということが、一つの研究問題である。そこでこれは統制機構の問題と絡んでおりまするが、例を挙げて申上げますると、兵庫縣におきましては、統制規則の第二條、三條の但書を以て、知事の権限において自家製炭を許可する。而してその生産しましたところの五割は強制的に供出せしめる。後の五割は自分のところへ持つて帰る。その後の五割というものには三十八円の中間経費がかからない。これを以て山元の損失の一部をカバーしよう。こういう方策を講じておるのであります。尚新聞紙で見まするに、大阪府においては一千八百万円かの融資をいたしまして、各生産地の山々に前渡しとして金を預ける。山は高く、労賃は高いというときに、金融の面からこうした方策を取つておる。又或る都市においては、同じような方法を以て、この前渡ししました金額と入荷するところの数量に食い違いがあつたときでも、先ず辛抱をしようというようなところにおいて生産者の手取りを十分ならしめよう。先ず出にくいところの一つの問題は、生産原價と統制価價と比較しましたときにこれが釣合わないという点であります。尚機構の問題から申しまして、政府は、薪炭特別会計法と申しますか、需給調節特別会計法なるものによつて、各都道府縣に木炭事務所を置いて、この下に全部の薪炭を一手に買い上げて、そうして指定する機関によつて販賣を委託しております。この間、手続においても、尚代金の決済においても、非常な手数が掛るのであります。一例を挙げますと、木炭を取りに一枚の指令書を持つて参ります。一文の金も置かずに持つて行く。金が入つて來るのは、時としては三ケ月、六ケ月の後になることもあるのであります。生産者にしますると、非常な苦心をして金を掛けて拵え上げたものであります。今日物を買うのに現金も拂わないで持つて行くという方法はどうかと思うのであります。そこで、今回政府もこの特別会計法を改正して、短期証券を発行するという案を提出されておるようでありまするが、金拂いを早くするというためにも、この統制機構なるものを單純化する必要がある。かく信ずるのであります。そこで結論的に申上げますると、私の考えは、どうすれば生産を向上し、出荷を易からしめるかというと、先ず消費地と生産地を直結する。これは政府の統制を強化して然るべしと思うのであります。直結いたしまして、それから先の取引は地方廳の間に適宜に相談をせしめる、尚價格の点におきましても何とか生産者價格一本といたしまして、輸送の面において先程板野君のお話のごとく、これは運輸省方面と十分の協議の上、國家の責任において援助する、こういう方法を以つて來るならば、今日日本にはまだ十分滯荷はあると信じております。政府の調査によりますと、現在十八万トンの滯荷があるということでありまするが、十分なる調査をいたしましたときには私これ以上のものがある、尚生産の増強を援助したときには、少くとも政府の計画通りの薪炭は確かに出るものなりと信じておるのであります。
 尚又國有林の拂下問題も先程論じられましたが、國家の財源との関係を以ちまして、この際大いに考えるべき問題であろうと思うのであります。尚薪炭の増強を図るために、政府は供出リンクの特配をしようと計画をしております。これも誠に結構なことではありまするが、実際問題としましていつもこのことが遅れ勝ちになつたり、或いは実現しなかつたりというようなことが、今日生産者をして政府を疑わせる点であろうと思つておるのであります。こういう点においてどうかこの際力強く薪炭の増産という点に全力を注いで、何とかこの冬の生活を少しでも樂にさせることが、我々國民の代表としても大きな責任があると存ずるのであります。以上を以て終ります。(拍手)
   〔岩崎正三郎君発言指名の許可を求む〕
#17
○議長(松平恒雄君) 岩崎正三郎君。
#18
○岩崎正三郎君 社会党は太田敏兄君を指名いたします。
#19
○議長(松平恒雄君) 太田敏兄君に発言を許します。
   〔太田敏兄君登壇、拍手〕
#20
○太田敏兄君 家庭燃料の問題は、今や寒さの季節を迎えまして、我々の生活上にとりまして最も重要なる課題の一つであることは申すまでもございません。私はこの燃料問題につきまして、先ず生産部門から申上げて見たいと思うのであります。
 家庭用燃料といたしましては、ガス、電氣、木炭、薪その他各種の加工炭があるわけでありまするが、この中でガス、電氣は御承知の通り石炭その他の資材関係から、急に生産を増強するということは極めて困難でありまするので、私は今日差迫つた燃料危機突破のためには、最も一般的な燃料であり、且つ又無限の資源とも言えるところの山林を対象とする薪炭に主点を置きまして所論を進めたいと思うのであります。
 即ち今燃料問題解決の焦眉の急に應ずるためには、薪炭、特に木炭の増産、出荷の促進を図ることが何よりも必要であると思うのであります。ところでこの木炭が我々消費者の手に満足に入りまするためには幾多の隘路があるのでありまして、即ち第一には生産の問題、第二には輸送の問題、第三には配給機構の問題、第四には價格の問題等々が十分の檢討が加えられなければならんと思うのであります。
 第一の生産につきまして、その先決條件となりまするものは原木の確保であります。もとより立木はどこの山にも沢山にあるのでありまするが、現在ではこれを十分に確保いたしまするところの方法が全然ないのであります。從前には薪炭林需給調整規則といつたようなものがあつたのでありまするが、現在は廃止されておりまして、製炭業者はみずからの計算におきまして原木を入手するの外はないのであります。ところで最近薪炭のマル公が引上げられましたが、折角製品のマル公が上りましても、これと同時に原木がそれ以上に値上りいたしますれば、製炭業者は少しも有難くはないのであります。これまでの例から申しますれば、原木代は大体生産者價格の二割程度が普通であつたのであります。即ち木炭のマル公が二十四円六十銭当時には、原木は五、六円で買えたのであります。ところが今度木炭が平均五十三円になつてからは、原木は急に暴騰いたしまして、宮城縣当りでは石七十円もしておるということでありまするし、又長野縣では一五年林を石百二十円で買つておるという話も聞いておるのであります。といたしますると、原木が実に生産費の半ば以上を占めるようになるのであります。では何故生産者がかような高い相場で買うのであるかと申しますると、それは労働力を遊ばすのが困るからと言うのであります。かくして炭の値段が高くなりますれば、これによつて儲けまするのは、実は生産者ではなくして山持の資本家であるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)これでは生産が一向上らないのも無理はないと思うのであります。だから眞に生産増強を図らんとしまするならば、よろしくかの農地改革の例に倣いまして、山林開放が必要であると痛感するのであります。ここで私は、木炭の原價計算を申上げ見ますると、買上げ價格の五十三円の中から、原木代、包装費、炭窯の償却費等の約三十六円を差引きますと、残りの僅か十七円程度が労働賃に当るのであります。炭燒一人一日の工程は、大体平均二俵半くらいでありまするから、一日の労銀は四十二円五十銭にしかならんのであります。十一月からピースが五十円に値上げされるというのでありますが、炭燒人夫一日の報酬が煙草一個にも値いしないのであります。かようにどこから見ましても生産の面は非常に圧迫せられておるというのであります。であるから、かねて生産者の切実なる声でありまするところの炭燒労働者の加配米、それから作業衣、地下足袋、毛布などを定期的に配給して貰いたいという要求がありまするが、至極尤ももであると思います。又同時に包装材料の俵や繩の割当やカーバイト等の配給も十分考えて欲しいのであります。
 次に、現在生産において多大の支障を與えておるのは、水害による被害であります。特に東北地方ではその被害が甚だしいのでありまするが、窯や、小屋、林道、小橋等が相当流出した所があるのであります。こういう所を放つて置いて、いかに口に増産を叫びましても何らの効果はないと思うのであります。
 次に、薪炭買上げ代金の支拂方法でありまするが、從來どこでも延滯が多く困つておるのであります。現に岡山縣などでも、六月には二千万円からの支拂が滯つていたのであります。又木炭を貨車に積込まなければ支拂はないというところも多いのであります。現在のように非常に滯荷の多い時には生産者は誠に困るのであります。故に私は買上代金の即時支拂を行うのみでなく、原木購入資金の低利貸附、或いは製炭資金の前渡し、窯築き費の補助等も行うべきであると思うのであります。
 第二に、輸送の問題でありまするが、山元には、先程もお話がありましたが、到る処夥だしい滯荷があるのでありまして、最近聞いたところによりますると、岩手懸には四貫俵で百三十万俵滯つておるのであります。又秋田縣には八貫俵で五百万俵もあるというのであります。その外の生産地においても相当持つておるのであります。ところで消費地ではなくて困つておる、生産地では滯荷に困つておる、こういつたような大きな矛盾を我々は何と見ていいのであるか。今東京都内では四貫俵一俵が闇で三百五十円もいたしておるのであります。千八百円ベースにひびが入ろうとしておりまするのも、こういうところからでありまするから、この山元に山と積まれている炭を消費地に送り出すためには、政府はあらゆる努力を拂うべきであると思うのであります。尚この輸送につきまして、特に問題となりまするのは、山元から麓の集荷場までの小出しでありまするが、前申しましたように、水害のために林道や小橋が流出してそのままになつておるところが多いのであります。そのためにトラツクが集荷場まで行けないで、ずつと下の方に集荷場を移轉したために、今度は山の上から小出しするのに非常に手数が掛かるのであります。而もその小出し賃が非常に少いので、或る地方では小学生に一俵ずつ背負わせて運んでおる状態であります。
 第三には、配給機構の問題であります。東京都でもそうでありまするが、他でも聞いて見ますと、統制組合では五円五十銭の配給手数料を取つていながら、家庭持込をしないで、店先まで取りに來さしておるところが多いのであります。こういう点は実に不親切極まるのでありますが、元來配給機関で取つております手数料は、駅からの引取料が二円五十銭、配達賃が五円五十銭で、合計八円であります。これを生産地におきまする輸送代行手数料の三円四十銭に比較いたしますると、非常に歩がよいのであります。この点でも私は政府のやり方はどうも生産に辛くて、配給に甘いような感じがいたすのであります。
 次に、價格差の問題でありますが、これも先程お話がありましたが、生産者價格は全國平均五十三円で、消極者價格は八十円七十銭でありまするが、その差は実に一俵につき三十円七十銭であります。極端な例を取りますと、製炭農家では自分の窯で燒いた炭を五十三円で政府に供出して、そうして一方では同じ炭を八十円七十銭で購入して使用するといつたような大きな矛盾があるのであります。かような矛盾はつまり薪炭價格の全國プール制のためであるのでありまして、特に生産地の消費者にとりましては非常に割が悪いのであります。故に私はこの際全國プール計画制を廃しまして、各地の実情に即したる方法に改める必要があると思うのであります。又今後における配給機構といたしましては、農業会、森林組合若しくは林産組合が取扱うような複数制が最も適当ではないかと考えておるのであります。
 尚この薪炭に関係あることで一言いたして置きたいことは、農業協同組合法案の第九條の三項の規定の中に、薪炭の業務はこの法律の適用については、農業者とみなすという一項があるのでありまして、一部の業者はこれに反対いたしておりまするが、大体の炭燒の八六%までは農家が兼業でやつておるのであります。故にかような反対論は單に山の所有者であり、そうして又一部の炭燒資本家の声でありまして、私は取るに足りないと思うのであります。(拍手)
 以上は薪炭を中心といたしました家庭用燃料について述べたのでありまするが、更に私はこれに附け加えまして、家庭燃料問題解決の一つの方法といたしまして、太陽熱の利用のことにつきまして簡單に言及いたして見たいと思うのであります。これは関東地方では從來余り見なかつたのでありまするが、私共の関西では昔から盥や釜を天日に出しまして、いわゆる日向水というものを作りまして、夏の行水等に使つておつたことを子供心に覚えておるのでありまするが、ところでその後ずつと物質文化の向上によりまして、電氣或いはガスというような便利なものができましたので、いつの間にかそれが廃つておりまするが、併し私はこの折角の太陽熱というものをもつと利用することが望ましいと考えるのであります。アメリカのように電氣、石炭或いは石油といつたような、何でもそういうような物資が棄てる程ある國におきましてすらこの太陽熱の研究は盛大に行われておるのであります。スミス・ソニアン・インステイチユートという有名な太陽熱の研究所もできておるのであります。而して多年の研究の結果は、米國の南部フロリダ州あたりはやはり家庭に利用されておるということであります。燃料源に事欠かないアメリカですらこうした研究が盛に行われ、そうしてすでに家庭におきましても相当廣く利用されておるというのでありますから、私は日本でも今後大いに研究すべきではないかと思うのであります。緯度の関係から申しますると、日本はこのアメリカのフロリダ州よりも少し北に寄つておりますから、幾分不利な点もありまするけれども、併し日本ぐらいのところでありますれば、これが利用するのには十分であると私は思うのであります。これは私の或る友人の実驗の結果でありまするが、例えばビール瓶に水を入れて縁側に放つて置くだけでも、天氣のよい日には、昨今の氣候でありまして三時間ぐらいたちますると、攝氏の四十二三度ぐらいに昇るのであります。この装置に少しく工夫を凝らしますれば、六十九度から七十度ぐらいまでは容易に昇るのであります。例えばその瓶の下に黒い布を敷いて、そして又瓶の上にガラス一枚を載せるといつたような、簡單な装置をいたしますればいいのであります。アメリカでは更にかくして得ました太陽熱を蓄熱いたしまして、そうして夜パンやビスケットを燒くのに使つておるというのであります。凡そこのあたりでいたしまして、地上一坪ぐらいの面積で受ける太陽熱は、電力にいたしますれば一キロワツトあるというのであります。故に都会では或いはバルコニーとか屋根の上にそうした装置を作りましてこの太陽熱を利用いたすならば、相当の熱量が得られると思うのであります。政府も民間も、燃料が足りない、足りないと言つてかこつてばかりおるのでありますが、こうした無限にあるところの太陽熱を一般に利用するように仕向けることも、今日の燃料危機を突破する一つの方法になりはしないかと思うのであります。これは器具も機械も要らないで、ただあり合せのバケツとか或いは手桶の類があれば事足りるのであります。こうしたことも私は将來一大國民運動にまで展開させるべきではないかと時節柄考えておるような次第であります。これを以ちまして私の討論を終ります。(拍手)
   〔星野芳樹君発言者指名の許可を求む〕
#21
○星野芳樹君 無所属懇談会は佐々木良作君を指名いたします。
#22
○議長(松平恒雄君) 佐々木良作君に発言を許します。
   〔佐々木良作君登壇、拍手〕
#23
○佐々木良作君 現在の家庭用燃料の問題は極めて重大な問題でありまして、私共の電氣委員会におきましては、この八月以來眞劍にこの問題と取り組んでおるのであります。併しながらまだ私の力至りませんためか、はつきりした今年の冬乗り切りの結論は絶対に得られないのであります。にも拘わらず政府におきましては、本当に眞劍にこの問題に取り組んでいないのを残念に思うどころか、実に心配に堪えんのであります。現実にこの冬の家庭用燃料の問題は電氣の問題に置き換えられております。そうしてその電氣の問題は、諸君が御承知のように、この都会地方におきましては、すでに或る変電所に対して町民が押し寄せて電氣にスイツチを入れろという、ここまで具体化しております。この問題を放つて置けば、今年の冬はとんでもない状態になります。私はここに本当に愬えいい。石炭國管案の問題よりは、今年中の冬における問題の方が大きくなつて來る。そうしてこれによつて最も大きな社会的の混乱をさえも惹き起す可能性があるということを氣を附けて頂きたい。そうして本当に眞劍に取り組んで頂きたいにも拘わらす、政府の連中がちよつとも來ていないということは甚だ遺憾であります。特別に出て來られないということでありますが、よく傳えて貰いたい。と同時に本当に我々眞劍に取り組みたいと思うのであります。
 今年の家庭用燃料の問題はいろいろな根本的な問題から論じられております。炭で何とかしなければならん。併しながら今ここに掲げなければならん問題は、飽くまでも今年の冬をどうして乗り切るかという問題であります。從つて私は、今ここでは基本的な恒久的な問題は飽くまでネグレクトいたしまして、そうして今年の冬の燃料対策、現在政府が出しておるところの今年の冬の綜合燃料対策、これで行けるか行けないか。行けないならば‥‥これは時間がありませんが、そういうことを中心にポイントを衝きたいと思います。政府が発表しておる今年の冬の下半期の綜合燃料対策の要点は、要するに全部のいろいろなものすべてを含めて、木炭に換算して都府縣市部全部引つくるめて大体九俵を割当てる。そうしてそれによつて賄つて呉れということであります。同時にこの九俵を割当てる結論の、誰がどうして一番しまいになるかということは、その中に含まれておる電氣であつて、そうして電氣がうまく割当が行かなかつた場合の措置としては、次に出ておるのが、物凄い高い罰金で以てこれをやめさせよう。それでもいけなかつたら送電停止をしようというような、強硬な措置が講ぜられておる。九俵の割当に対してはつきりと掲げておる措置は今の二つだけであります。もう少しこの問題をはつきり言いますと、第一には、計画の九俵ということに絶対に大きな問題がある。九俵は、聞くところによりますと、九俵ぐらいで何とかなりそうだということで出て來ておる。九俵の基礎は年間炭換算十六俵ということから出て來ておる。併しこの実績から見て、決して九俵ではできません。普通の年で、昭和十五年度におきまして、全國の一人当りの総有効発熱量、そういう換算が行きますと十六万五千キロカロリー、昨年二十一年度に実際に配給から使つたとみなされるのは六万三千キロカロリー、大体今のを合せると四〇%、十五年に対して四〇%であります。そうしてこれをさつきのような炭の問題で言い換えると、これはペースが違うのでありますが、今のやつは、木炭換算にして、全國の都市ということにして、標準の世帶当りということにしますと、やはり十五六年が平均ですが、四十俵で、それに対して昨年のやつが、普通で配給したと称せられるのが十八俵、これが電氣が盗まれてしまつておるのが、これは計算がむずかしいのですが、或る程度入れると二十二俵、ここから見ましても、幾ら辛抱しても、幾ら檢約しても、現実に我々の生活を保つて行くためには、何としても年間にして一世帶当り二十五俵乃至三十俵は必ず要る。これを下期に配給しておるのであります。冬ですから、これが大体六割程度になりますから、十五俵乃至十八俵ということになります。十五俵乃至十八俵で、何としてもこれを使わなければ、命が恐らく保たないだろう。九俵ということに一番大きな問題がある。これが計画が崩れる因になる。今やろうとしておるのが九俵である。実際に我々が使わなければいかんのは、幾ら檢約しても十五俵乃至十八俵、それが第一で、それから今のところ、冬に当面して計画の変更とか何とか処置ないという観点に立ちましても、九俵が現実に我々の手許に割当てられるよようになつておるか。九俵割当の問題はどうなつておるか。九俵の内訳は細かくなりますから、参考資料を政府から取つてありますから、見て頂けば分ると思いますが、それにしても、九俵は現実に確保する対策を政府が持つておるかどうかという問題。第一には、その一番大きな問題であるところの薪炭、薪炭におきましては、現在私共が電氣委員会で度々デイスカスいたしましたけれども、その中で出て來るものは、これはとても薪炭は予定通り入つて來ないだろうという結論であります。なぜならば先程から盛んに言われましたところの輸送力との見合いが絶対にはつきりしていない。むしろ先ほどから炭の生産が盛んに言われております。併し、根本的の問題は、決して炭の生産ではありません。輸送の問題、滯荷の問題であります。滯荷は、聞くところによりますと、薪炭の滯荷は十八万トンというのは、今割当てようとしておるところの六大都府縣の、これの消費しようとしておるもの二倍になるわけです。七万二千トンですから、その分は今滯荷であるのです。だから炭の値段を上げてこれから造ろうという問題はもつと先の問題で、これは今最も直接になつている、今日の大きな問題です。それから二番目には、計画のこの九俵という計画の非常なズレなしならば、この三月に、あの計画によるというと、東京で現実に一万トン入ることになつております。それに対して五千トン三月に配給されます。今年の冬には絶対に間に合わんのである。配給の時期のズレ、これは二番目に最も重要な点、それから三番目には、現実に入つてくる炭の中で、家庭用に廻されなくて、外の方へ廻つて行つて、自動車など産業用、一番実力で行くのは自動車で、ぶうつと持つて行かれてしまう。これは実力で行くのですから、僕らのように家でじつとして待つていては追い附かん。必ず持つて行かれてしまう。從つてこの薪炭の配給の炭換算の中、トータル九俵の中で、薪、木炭というようなものが大体三俵程度、豆炭というのが三俵程度ですが、この三俵程度のもの、この三俵が絶対に確保し得ないということは、輸送の問題とか、それから配給のズレの問題、それから外の産業に持つて行かれてしまうというようなことで、今年の冬の問題には実際間に合わんということです。
 それから二番目にこの燃料の中心問題は電力問題。電氣の今の割当の大体七億キロワツトアワーを出そうというのですが、そのためには、飽くまでも下期の火力用石炭百四十万トンが絶対に必要であると言わなければなりません。これが又危なくなつて來ておるということ。それから七億キロワットアワーを家庭用に配給しようとしても、外の産業用の部分がはつきりと分らないのです。これが足りなければ家庭用に喰込んで來て、この家庭用以外に火力電氣の確保は非常に危ない。そうして家庭用に喰込まれて來る危險性も非常にあるということ。第三番目には、その七億キロワツトアワー以上に使つたりなんかした場合に、別に盗用として出て來る電氣、この防止策は現実に考えられていない。それは技術的にも経済的にも……技術的にはメーター器を附けるとか、変圧器の中にいろいろな仕掛をするとか、こういつたメーター・リミツターというようなもので監視する工夫もあります。その他経済的に監視する工夫もあります。併しながらそれは現実的に採られていない。今のような大体三つの事情からして、電力の七億キロワツトアワーの確保さえも、これは又極めて困難になつております。こういう状態で今の計画はあるわけです。從つて今最も市民の中心的な問題になつているこの家庭用燃料の問題に対しましては、飽くまでも、本当に実施し得る具体的の内容は何にも今はないというふうに判断してよろしい。要するに九俵という計画自身が非常に不備であり、同時にこれは殆んど実行不可能なふうになつている。從つて今年の冬の最も重大なる燃料に対する困難が出て來る。必ず困難が出て來る。皆さん、こいつをしつかりと肚に入れて、僕はこの問題に対して貰いたいと思う。併しながら困難が來るということ、今我々がこの場合で、議員として考えなければならないことは、現在のところ、こんな根本的な大きなことを言つておることはできない。今必然に今年の冬出て來るところの混乱を、いかにして、どれだけでも少くしようか。どれだけでもこの混乱を少くしようという点に、すべての対策が集結されなければならない。そのためには飽くまでも、第一には、燃料の中心は飽くまでも薪炭であるというこの根本原則を絶対に曲げてはいかん。電力にこれを持つて來ればそれから必ず引繰り返つて來ます。家庭用の燃料対策の中心は飽くまでも薪炭に置かなければならない。この基本原則をはつきりと掲げること。それでなければ、これは逆に廻つて行つて、電氣にくい附いて行くと、電氣は緊急停電をやらなければならない。そうすると、この計画自身も滅茶苦茶になつて行くということであります。
 そうしてこの薪炭を、飽くまでも一番燃料中心に今年は持つて行かなければならないという場合に、一番中心にしなければならないのは、先程申しましたところから分るように、薪炭の緊急輸送、優先輸送を今すぐに著手しなければなりません。これより外に手がありません。値段を上げるのもいいけれども、そんなことは待つておられません。十八万トンの滯荷がある。これを必ずどんなことがあつても東京に持つて來なければなりません。それから二番目には、先程申しましたように、ここに持つて來たものは、自動車その他に持つて行かれてしまう。配給面の確保、これを家庭用の燃料として必ずがつちりと、今持つて來るとすぐに押さえなければならぬ。配給機構の確立というわけです。これより外に手がない。炭を守るためにこの二つに一番重点を置かなければならぬ。新らしい策もありません。恐らくないと思います。これが飽くまでも結論としての対策である。第一番目である。
 それから第二番目には、こういうことをやるために、現実に今やる役所がありません。中心的の、これを支配する力を持つておるものがありません。だからこれには最も強力な実行本部を、実行機関を持たなければなりません。これは絶対です。例えば今炭の問題を出しましたけれども、今家庭用燃料として一番重大な炭の問題の場合に、一番重点は私は輸送力と言いました。これが十月の計画の中においては、全輸送量の、運輸省で扱つておる全輸送計画の中で、家庭用炭の輸送は三%しか占めておりません。全輸送計画量の三%、現在官僚機構の最も強い今の政府といいますか、役所のやり方の中で、現実に一省の力が三%のものにどれだけの精力を注ぎ込まれるか。これはもう初めから計画量がうまく行かないことになつておるわけです。だからこれをはつきりと実施させるために、この綜合燃料対策本部といいますか、こういつたものを今年の冬だけの臨時措置でもいいから、ここではつきり立てなければならん。そうしなければとんでもないことになる。だから第二番目の対策としては、飽くまでも実施機構の強力な設置。
 それから三番目には、こういうふうにやりおつても、いろいろ民衆から問題が出ております。そうして民衆からできつつある力は、飽くまでこれを民衆の力で何とかしなければならんという、非常に自主的な、自立的の目覚めであります。先程申しましたように、変電所にも電氣のスイツチを入れろと言つております。而もそれが最も実質的に一番よき方法であるわけであります。ああいうように、今東京都におきましても、大阪府におきましても、現われつつある民衆的の動きをはつきりと捉えて、これの活用方法を考えるということであります。時間が参りましたからこれで止めますが、要するに今年の冬の問題は、私に取りましては、或いは全國の國民に取りましては、石炭國管問題どころじやありません。最も重大な、生きるか死ぬかの問題であります。この問題に対処するところの今の政府の力、政府の対策は、殆んど実行の面において皆無と言つてもいい。むしろ我々は國民の代表としてこれを救わなかつたなら、僕はもうとんでもないことになると思う。そういう意味で、はつきりと、本氣になつてこれと取つ組んで頂きたいということを、皆樣にくれぐれもお願いして置きたいと思います。(拍手)
   〔河井彌八君発言者指名の許可を求む〕
#24
○議長(松平恒雄君) 河井彌八君。
#25
○河井彌八君 緑風会は佐藤尚武君を指名いたします。
#26
○議長(松平恒雄君) 佐藤尚武君に発言を許します。
   〔佐藤尚武君登壇、拍手〕
#27
○佐藤尚武君 家庭用燃料の面につきまして、全く門外漢であります私が、かようなことを申上げるのも異なものでありますが、併しこの問題の行き詰りに関しましては私も非常な大きな関心を持つておりますので、聊か所見を開陳させて頂きたいとかもうのであります。但し私が述べんとしますることは、この冬をどうするかというような、目前に差迫つた問題ではないのでありまして、目前の問題につきましては、先程來、各会派の代表者諸君からそれぞれ意見の開陳がありましたし、これらの点につきまして私は全然賛成であります。殊に輸送の点に重点を置かなければならん。かくして山元にある滯荷を急速に運び出さなければならんというような御意見に対しましても、私も全然そう考えるものでありまして、これらの点について、政府の深甚なる注意を喚起することにいたしたいと思うのであります。又この家庭用燃料の問題につきまして、我々の参考資料として安本の生活物資局から貴重な材料が提出されておるのでありますが、その政府の計画を見ましても、この急場の対策としましては二三の案を持つておられるようであります。第一がガソリンをこの際連合國に懇請をして輸入をしたい。そうしてそれによつて木炭を浮かしたい。こういう案であり、若しくは石炭窒素の製造用として、無煙炭の輸入を許可して貰いたいとか、或いは製塩の方に使つておる薪材を浮かすために、外國から塩の輸入を計画したいとかいうような、そういう対策があるようであります。これも亦私は目前の急場を凌ぐためには必要なことと思うのでありまして、これらも政府において実行できるように念願しておる者であります。それはそれといたしまして、私はこの際是非國民としてもつともつと根本的に注意をしなければならんことがあるのではないか、そういう点につきまして私の考えを述べさせて頂きたいと思うのであります。
 実はこの家庭用の燃料問題につきましては、私は年來非常な関心を持つておりまして、そうして又日本ではまだ余りに試みられておらない、そういう方面にもつと力を注ぐべきものではなかろうかと、かく考える者でありまして、これ即ち本日聊か卑見を開陳したいと考えた所以であります。この政府の調書によりまするというと、諸君もすでに御覧になつておることと思いますが、誠に寒心に堪えない現状であるわけであります。例えば昭和十二年の家庭用燃料としての木炭の生産高を見まするというと、百四十五トンに止つております。その当時人口は七千万そこそこであつたのであります。然るにその後十年を経ました今日、つまり今年の計画にいたしましても僅かに七十七万トンに過ぎません。つまり十年前の百四十万トンに比べまするというと、この計画高といたしましても半分きりしかに過ぎないのであります。而して人口はその当時よりは六百万も殖えております。七千百万ということになつておる。薪の方で行きますというと、尚更その足りない不足分がひどいのでありまして、昭和十二年の家庭用に廻されました薪は二千八百六十九万トンということになつております。然るに本年の計画で見まするというと、僅かに九百二十万トン、即ち三分の一の生産を見積つておるということに過ぎないのであります。去年の生産高は六百五十一万トン、これは正に昭和十二年度の四分の一にしか当らなかつたと、こういうことになつておるのであります。いかにこの家庭用燃料というものが不足しておるか、かくして國民の生活が脅かされておるかということが、これでよく分るのであります。更に進んでこの調書を見まするというと、この勢いで伐採を続けて行きまするならば、薪炭用の林力というものは今後十五ケ年と四ケ月で以て枯渇してしまう。つまり薪炭用の林材が伐採し盡されてしまう、こういう数字が出ております。民有林のみについて言うならば、これは九ケ年と四ケ月で以て枯渇してしまうのである。こういうわけで、誠にこれは由々しき大事と言わなければならないのでありまして、これだけでも我が國にあります薪炭用の林材は伐採されてしまうので、これに代るべきものがなくなつてしまう、こういうことであります。のみならず、御承知の通り都市の大部分を燒かれてしまつた今日、非常な大量の建築材料を要求するわけでありまして、それが一つ、それから又石炭の増産等から言いまするというと、坑木の増産も又必要でございますし、その外に枕木等のこともありましようし、これを考えて参りまするというと、日本の林材に対する要求は非常に大きな額に上るのでありまして、從つて日本の森林というものは、早晩伐採し盡されることになりまするので、その結果がいかなることになりまするかということは、先般の大きな水害の惨害を見ましても、我々の想像に余りあるところでございます。これは我々としましても甚大なる注意をしなければならん。又何とかこれに対して対策を講じなければならんということになるわけであります。
 そこで考えられますることは、我々が現在まで使つておるような木炭或いは薪、そういうものを使わないで済む、換言すれば他のものを以てこれに代替せめるということを考えなければならんと思うのであります。然るに幸いなことには、我が國には殆んど無盡藏と称せられる亞炭があります。この亞炭というものは最近に至つて漸く世間から注意されて來る模樣になつたのでありますが、この亞炭を我々が完全なる薪炭の代用として利用することを考えなければならん。これが私の本日申述べたいと思う要点であります。
 私はドイツの例を見まして、久しい以前からそういうことを考えておつたわけでありまするが、ドイツに行かれた方は勿論御承知だと思いまするが、あちらではこれ亦殆んど無盡藏に埋藏されておりまする褐炭を利用しまして、そうして非常に火力の強い立派なブリツケツト、煉瓦石のような、こういう形をしておる物でありますが、こまのブリツケツトを拵えて、それで以て家庭用の燃料に供しておるわけであります。部屋の隅々には小綺麗な瀬戸物で拵えましたストーブがありまして、そうしてそれに朝二つぐらいブリツケツトを放り込んで置きますれば、一日中適当な温度が保たれて、嚴冬の最中でも愉快に暮されるというような仕組になつております。この褐炭からブリツケツトを拵えるということは、ドイツではすでに五十年も六十年も前から始められたことでありまするし、現在におきましては誠に立派な物ができておるのであります。これをソヴイエトの方に行きまするというと、そういうことはすでにやらないで、薪をぼうぼう燃やしておる。ポーランドあたりでは同じロシア風のストーブ、ペーチカと申しまするが、このペーチカに石炭を焚いておる。こういうことをやつておりますが、さすがに科学の進歩しておりますドイツにおいては、そういうことはやりません。石炭の十分に採掘されておるドイツではありますけれども、石炭は他の用途に向けて、石炭自身の用途に向けておつて、そうして家庭用の燃料等には石炭は使わずに、今申しました褐炭から拵えたブリツケツトを以て代用しておる。こういうことになつております。私はこれを見まして、日本にも亞炭というものが無盡藏に埋藏されておるとすれば、この亞炭を利用しない法はないではないか。而してドイツ流の方法を以てすれば、木炭よりはずつと火力が強く、火持ちが長く、且つ又扱いよい品物ができるということが、はつきりと考えられるのでありまして、殊に私の存じておりまする或る研究所、これは東京にある石炭の研究所でありますが、その研究所におきましては、すでに亞炭からコーライト、今私の言いまするのは亞炭から拵らえたコーライトのことでありますが、そのコーライトの製造に成功しております。つまり亞炭から立派なコーライトができるということが、その研究所の研究によつて、はつきり示されておるわけであります。こういうことを私は是非國家的にこれを考えて、そうして我々の家庭燃料の行詰つたこの状態から脱却するということ、これは眞劍に考えなければならん問題であろうと思うのであります。とかく日本は研究というものに力を盡さない、十分に力を盡さないという欠陥があるのでありまして、すべての方面における研究が遅れておる。例えば一例を申しまするならば、今後莫大な建築を必要とするでありましようが、その建築の材料に関しましても、一向研究が進んでいないように思われるのであります。住宅の建築、それを見ましても、山から木を伐り出して來て、それを挽いて鉋をかけて、そうして昔ながらの方法で以て家を建てんとしておるのが現在の状態であります。このようなことでは到底行けるものではなくて、どうしてもこうしても山を坊主にしてしまわなければならんというような結果になるのでありまして、この建築材料としての木材の代替品を拵えることを、是非考えなければならんと思うのでありますけれども、日本に帰つて参りまして、そうして現状を見ましても、一向そういう点の研究が進んでいないのを見て、実は驚くような次第であります。令の亞炭の研究ということに関しましても、正にその通りでありまして、一向まで緒に着いていないというようなわけであります。私はこういう問題については、是非とも國民の大きな注意を喚起しまして、そうてし亞炭からコーライトを拵え、そのコーライトで以て家庭用の燃料をすつかり代替させて、木炭なり薪の大部分なりを、今後使用することを止めてしまう。そういう方面が我々としては進まなければならん問題であると、固く信じておる次第であります。而してこのコーライトを造ることに成功しまするならば、それは單に家庭用の燃料として炭の代りに使うことができるばかりでなくて、自動車もこれによつて動かすことができますし、又これも外國で実行されておるところを二三見受けたのでありますけれども、やはり先程申上げましたような特殊のブリツケツトをそれから拵らえまして、そうして機関車の燃料に使うということさえも考えられるのでありまして、こういうことは私は、日本として正にまじめに且つ迅速に、そういう研究を進める必要のある問題と固く信じております。石炭の増産等が最近呼ばれておりまするが、これには毎日何百本或いは何千本かの坑木が埋められて行くのでありまして、その坑木は再び役に立たない坑木になつてしまうのであります。山はそのためにも非常な大きな量が伐採されなければならんということになります。建築材料としても先程來上げた通りであります。或いは枕木などもこれから先どんどんやはり造つて行かなければならん。そういうことを考えて参りまするというと、日本の森林の保存という問題は非常な困難な、又重大な問題にもなつて來るわけであります。少くとも家庭用の燃料に関する問題におきましては、只今申上げましたような、亞炭から製造するコーライトによつてこれを代替しまして、そうして若木を片端から伐つて行くというような昔ながらのやり方、随分非科学的なやり方、そういうやり方はこの際止めなければならんというように感じます。又亞炭からコーライトを拵えるということも、実はそれほどむずかしい技術上のプロセスを必要とするのではないのでありまして、僅かばかりの努力をしさえすれば、比較的近い将來においてそれを実現させることは、決して不可能ではないと私は思うのであります。目下のところにおきましては、研究所におきまする技術的の研究は、すでに遂げられておると申しても差支ないと思うのでありまするが、問題はこれをいかにして企業化するかという点にあると思うのであります。これらにつきましても、私は一つの大きな國家的の問題としてこれを研究する必要があろうと、こういうように感ずる次第であります。聊か卑見を開陳いたしまして、諸君の御参考に供する次第であります。(拍手)
#28
○議員(松平恒雄君) これにて午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十九分開議
#29
○議長(松平恒雄君) これより会議を開きます。午前に引き続き自由討議を行います。
   〔小林英三発言者指名の許可を求む〕
#30
○議長(松平恒雄君) 小林英三君。
#31
○小林英三君 自由党は発言者といたしまして遠山丙市君を指名いたします。
#32
○議長(松平恒雄君) 遠山丙市君に発言を許します。
   〔遠山丙市登壇、拍手〕
#33
○遠山丙市君 家庭燃料は、これを薪炭、電氣、ガスに分けまして研究を要し、而もこれが統合したるもの、即ち綜合計画を樹立しなければならんのであります。併しながら限られておりまする時間の中でありまするから、要点のみを抽出いたしまして、私の意のあるところを盡して見たいと考えておるのであります。併しながら午前中において同僚各位よりこの問題について相当各般に亙つて触れておられますので、重複いたしまするという部分だけはこれを努めて除きたいと考えておるのであります。
 先ず私はこの例を東京に取つて見ますると、木炭の本年度配給割当量は八百三十万俵であります。こういうことに相成つておるのでありまする。家庭用一世帶は先程來いろいろ話があつたのでありますが、大体四俵之至五俵であります。而して四月から九月までの上半期の配給量は僅かに二百三十万俵であります。その比率は配給割当量の二割六分にしか達しておらないのであります。家庭用の標準ガスなし世帶では、この間僅かに一俵だけ辛うじて配給しておるという実情であります。然るに政府の下半期計画案の内容を見て見ますると、配給割当量は下半期は三百六十四万俵でありますが、実際の配給は驚くなかれ当初計画の六割に切り詰めようと、政府は懸命の努力を拂つておるという実態であります。家庭用については、ガス、電氣、薪炭を合せてこの間九俵分確保するといたしましても、木炭は一世帶当り一俵半に過ぎないという状態でありまする。この僅か一俵半の木炭で今後半年に亙りまする実際冬季間使用いたします燃料であるというに至りましては、全く驚くより外に途がないのでありまする。又本年度の綜合計画は、電氣、ガス、薪炭類はおのおの異なつたる立場で、異なつたる事情の下に、各部面ごとに責任のなすり合いであつて、全く収拾すべからざる状況でありまする。更にこの実施計画が予定通りに行われたといたしましても、絶対量は遺憾ながら不足をいたしておるのでありまする。その結果國民は生きるがために、金力の続く限りは、不本意ではありましようが、闇生活をやらなければならんのでありまする。而して金の切れ目がいよいよ窃盗となり、或いは臓物故買、強盗若しくは脅喝というようなことに追い込まれて行かなければならんという状態に陥つてるのであります。尚政府の一枚看板でありますところの千八百円ペースは、先ず光熱費から総崩れに崩れると考えておる次第であります。尚薪炭類は米と密接不可分の関係にあるに拘わらず、食糧対策だけに政府は汲々といたしておるのであるまする。これが重点的に、否、超重点的に遂行せられまして、薪炭類は全く継子扱いで、生産、輸送、配給、あらゆる分野において跛行的に劣弱に施策されておるのは遺憾至極であります。人間は鳥や動物と異なりまして、煮炊きしたるものを食することによつて生命を全うしておるものでありまする。故に食糧と燃料は並行的に施策せられなければならないのでありまする。この跛行的燃料対策は全國都市國民を脅かし、殊に水害を契機といたしまして、京浜地区における燃料は現在のごとく放漫政策は断じて許し得ない段階にまで達しておると言わなければならんのであります。故に政府は少くとも食糧と同樣な施策を行う用意をしなければならんのでありまする。過ぎまする七月以來改訂せられましたる薪炭價格内容でありまするが、生産者價格と政府卸賣價格との價格の差が驚くべき大きな開きを見せておるのでありまする。その價格の差が消費地において、例えば木炭、墨炭でありまするが、これが生産價格が五十三円でありまして、政府卸賣價格が八十五円、その差額は実に三十二円に及んでおるのであります。薪の雜が生産地價格六円二十銭、政府卸賣價格が十四円十銭であつて、その差額は七円九十銭であります。かくのごとくに、木炭は生産地價格より六割四厘高く、薪は生産地價格より驚くべし十二割七分四厘高く、消費者へ配給の美名の下に背負わされております状態であります。この價格の差について政府の弁明はいろいろ言つておるのでありまするが、その重要なる点は輸送途上経費の増と、昨年七月より十二月に至る價格の改訂までの生産供出補給金の支出による欠損の補填であると説明をいたしておるのであります。價格差の補給金はこれは当然に國庫が負担いたすべきものでありまして、その後の値上りに便乗いたしまして消費者に轉嫁するがごときことは政府の怠惰であり、政府の横著でありまして、又政府が公然この経費を徴収する惡習は地方に反映いたしまして、諸都市において協力費と称して公價に振り掛け徴収しておることも黙認しなければならない結果になり、生産者たると消費者たるとを問わず、怨嗟の声正に巷に漲つておるという状態であります。(拍手)この價格差は民有林の賣買にも災いいたしまして、山主は消費者價格から割り出しまして原木を手離す関係上、生産者は原木の取得が容易でないというような状況であるのであります。政府は原木の確保につきまして、最近國有林の開放に著手いたしましたが、このような措置は公定價格改訂の裏附けといたしまして直ちに実施されなければならんのでありまするが、今日これを行うということは正に時期を外れておると言わなければならんのであります。又民有林の開放は他の物價との関係上からも非常に困難なる問題を含んでおるのでありますから、先ず根本の價格差から解決するのが緊要であると思われるのであります。生産者の最も不審に考えておりますることは、産地地場の配給品が目の前で驚くべき價格差を附けて賣買されておることでありまして、生産者の價格差に対する反感となり、且つは生産供出意欲を鈍らしておるということに相成るのであります。各産地では、薪は生産地價格に五六円プラスいたしましても、勿論消費價格より著しく低廉でありまするから、直接の取引が行われ、配給を拒否しておる実情でありまする。よろしく同一部府縣内においても最終價格の段階を附けて配給させなければならんと考えておる次第でありまする。これを要するのに、價格の差は全面的且つ地区的段階圧縮を行う必要があるのでありまして、政府所管の物資に巧妙なる課税を断行せるものでありまして、國民を毒するもの甚だしいと言わなければならんのであります。この陰險なる徴収的行爲を断乎排斥せなければならんのでありまする。而もその金で出先官廳の拡張等を行つておるという噂さえ立つておるのでありまする。当面する重大懸案といたしまして、政府は早急に解決すべきものであると思われるのでありまする。
 公價の改正と共に生産者一時的負担は増大しておるのに拘わらず、現在まで不問視されておりまするのは誠に不可思議千万でありまする。これは岩手縣のごとくに森林事業により生活する縣民の多い所では死活問題であり、價格差の問題と共に默過されておりまする結果がブローカーの跳梁となり、又横流れの主因になつておるのであります。これが解決策といたしましては、金融機関の資金の貸出については政府補償の挺入れを行い、融資を速やかにすると共に、薪炭代金のいわゆる前渡し乃至は概算拂の併用によりまして、この問題を解決しなければならんと思われるのでありまする。
 薪炭供出報償につきましては、米と同樣に重要であるのに拘わらず、米程関心が拂われていないのは誠に遺憾といたしておるのであります。生産者登録勿論結構でありまするが、供出促進に裏附ける所の報償物資、特に生産資材の放出については、魚類集荷に対する船舶用の油の裏附けのごとく、時期を失うことなく一定生産過程において行われるべきであると考えられるのであります。薪炭生産地は、御承知のようにいずれも山間僻地でありまして、食糧事情は極めて緊迫をいたしておるのでありまする。山元は年々に奥地に追込まれて参ります関係上、食糧の携行は特に必要であるのであります。加配米は都道府縣内の食糧事情によりまして毎年制約され、現物入手が大変遅れておる地区があるのであります。加配米及び一定限の携行食は、政府において責任を以て必要なる時期において確保しなければならんのでありまする。食糧生産縣と薪炭生産縣との間のバーターなどは、断じて行わしめないようにすると同時に、生産者に対する背信行爲、即ち政府の約束は必ず責任を持つて実行すべきことは論を俟たないものでありまして、これがいわゆる責任政治の実を挙げるか否かの運命にかかつていると言わなければならないのであります。
 今秋の台風による水害は誠に甚大でありました。幸いにも先般運輸大臣の御説明によりますると、鉄道幹線の大部分は復旧いたしたいということは喜びに堪えないのであります。今年の冬の燃料対策は、第一に駅頭滯荷の一掃に置かれなければならんのであります。然るに幸いにも被害から免れましたる北海道の道外移出木炭の港頭集積に要する貨車輸送は極度に制約され、而も種馬鈴薯、木材等の輸送の競合はいよいよ深刻であると聞き及んでおるのであります。その他内地においても米を含む主食等の競合は必至でありまして、このために薪炭の移出入に與える影響は又甚大であります。このような輸送状況の場合は、先ずいろいろな考え方はあるのでありまするけれども、海上輸送轉移というものは、先ず第一に考えなければならんのであります。それから北海道、岩手縣、福島縣等の大生産地から大消費地との間に行う汽車便であります。新聞によりまするというと、相当これがために運行すると書いておるのでありまするが、いわゆる泥繩式のやり方ではいけんと考えておるのであります。一年間無休の薪炭列車を或る程度運行して、消費地國民生活の安定を図らねばならんと考えておるのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
 結論的に申上げますれば、政府燃料の対策は、炊くに何物もない六大都府縣に第一段といたして施策を集中することが、やがて全國各都市の燃料解決の途ともなり、且つ寒中の治安維持上重大要素であると考えられるのであります。これがために政府は移出道縣並びに消費部府縣の生産在荷並びに配給状況を常に把握いたしまして、特に六大都市向の移出については、報償或いは特別の措置を講ずることが絶対に必要であると考えられます。政府はこの対策については全然公算がないのは遺憾といたしておるところであります。近來消費都府縣内に、荷引競争のために、協力費として木束一俵につき十円以上、薪一束につきまして三円以上を消費者から取立て、これを生産地に注ぎ込んでおります向もありまするが、これは昨年次官通牒によりて禁止されておることでもありますし、半面、政府買上物資に半ば公然と闇を認めるものでありまするから、薪炭價格差の問題と関連して速かにこれが措置を採るべきものであると考えておるのでありまする。
 時間が來たようでもありまするので、結論だけ一二点申上げまして御免を蒙らして貰おうと考えておるのであります。現在主要都市において、自動車ガス発生用木炭の配給量は、月によりますれば家庭用木炭配給量を越えておるというようなる実情であるのであります。東京におきましては、上半期において家庭用配給量は百七万俵でありまするが、自動車ガス発生用木炭は四十五万俵となつておるのでありまする。この自動車ガス発生用木炭の節約は必然的に家庭への増配となるは当然でありまするが、要は政府のガソリン確保に対する熱意が本問題解決の鍵であると言われておるのであります。政府は誠意これに当るべきものでありまする。米につきましても一言触れて見ますれば、米については二キロまで縣外旅行用を認めておりまするが、木炭についてもこの際一定量を大都市間旅行用として速かに認めなければならんと考えておるのであります。政府はこの下半期からガス、電氣、薪炭等の綜合配給を計画しておりまするが、そのおのおのに非常なる隘路をなしておりまして、現実はじり貧に陥つておるのであります。電熱について見ますれば、定量及び從量程度の区別でありまするが、メーターを持つた世帶にのみ経済的負担が増加いたしまして、定額世帶の人々は盗用御自由という状態でありまする。又進駐軍関係供給線に連なります家屋は不当なる恩惠を受けておると新聞は書いておるのであります。その他の地区は需要時ごとに停電しておる現況でありますが、これを公平に消費せしめますには、供給線の変更等相当資材を要すると思う面もありまするが、資材の見透しを付けまして実行しなければならんと考えておる次第であります。ガスは現在東京では中央地区約四万五千世帶が二十四時間供給を受けております。この外周地区を入れますると、三十五万世帶がガス供給如何によつてはカバーすることができると考えるのであります。故に現在の石炭事情から二十四時間供給はとても望めぬでありませうけれども、朝晩二三時間の供給には、一日六百トン乃至七百トンの発生炭の増加によつて可能なのであります。この問題は現在の薪炭類の事情から推定いたしまして、政府の熱意如何によつては実施できるものであると考えておる次第であります。その他薪炭の穴を加工炭でカバーする問題、並びに原料炭の確保対策、及び炭團の問題、岐阜縣より亞炭を入手する等の問題がいろいろあるのでありまするが、時間の関係上打切らして頂くことにいたします。(拍手)
   〔河井彌八君発言者指名の許可を求む〕
#34
○議長(松平恒雄君) 河井彌八君。
#35
○河井彌八君 緑風会は井上なつゑ君を指名いたします。
#36
○議長(松平恒雄君) 井上なつゑ君に発言を許します。
   〔井上なつゑ君登壇、拍手〕
#37
○井上なつゑ君 南アメリカの南端に火の國という意味のテイエラ・デル・フエゴという土地がありますが、そこに住んでおるフエゴという土地がありますが、そこに住んでおるフエゴ人という人種は、今日知られておる人種の中で最も文化の程度の低い人種ということになつております。家を造ることも知らず、南極に近い所に住みながら、衣服らしい衣服も用いておらんこの文化的に最も低級なフエゴ人も、火を利用することだけは知つております。ところが一方において、人類以外の他の動物にあつては、その中で最も進歩している高級な動物と言われている類人猿類でさえ、火を利用することを知りません。言葉を換えて申せば、人類と他の動物との第一の差は、火を使うか使わないかの一点に存すると言うことができます。火を利用することは、人類としての最も基本的な生活條件の一つであると言つてもよいのであります。家庭生活は火を中心としての團欒の生活であり、又火を原動力としての活動の根源であります。特に戰後物資の窮乏の下にある國民の生活に、光明を與えるものは燃料であり、國家再建の氣力を鼓舞するものも亦燃料であります。併し現在の國家の情勢では、この燃料も食糧同樣、非常な賢明な対策を以て、できるだけ速かに解決いたさなければならない重要問題なのでございます。これは先程から皆樣すでにその積極的解決方法について述べられましたので、これから私はその消極的な部面の解決方法について、少し述べさせて頂きたいと存じます。
 今東京都に割当てられました木炭換算九俵分の配給の内訳を見まして、私は先ず第一にどうしたらこの少い燃料を、限りある燃料を最も合理的に使用することができるかということを申述べたいのでございます。而もこの乏しい燃料の殆んど全部が、私共の生命を直接維持する食糧の調理に用いられるものであることを思うとき、國民の保健、國家再建の氣力養成の上より、眞に憂慮に堪えないのでございます。
 さて、これから燃料の合理的な使用方法について少しかいつまんで申上げたいと存じます。第一に、挙げたいのはガスでございます。木炭一俵をガスに換算いたしますと二十六立方メートルでありますから、仮に政府の配給予定の九俵分の木炭全部をガスで使うといたしますと、二百三十四立方メートルになります、これを六ケ月に割当てますと、一ケ月三十九立方メートルとなります。この三十九立方メートルの使い方には、先ず予算を立てて一日の使用量を定めまして、これを又朝晝夕の三つに區分して、ガス・メーターとよく相談して使用することが肝腎であります。ガス焜爐の使用上第一に注意すべき点は、焜爐の入口にある空氣孔の調節をよくして、ガスの完全燃燒図ることであります。ガス栓の使用に際しては、焔の調節に注意することは皆樣の御承知のことと存じます。次いでガスに点火する際には、最初に鍋を焜爐にかけておいてマツチを擦り、それからガスを出すという順序にしないと、ガスを使う都度一二リツトルの損をいたします。点火の都度一二リツトルの損を一日十回繰り返すせば、一ヶ月三百乃至六百リツトルの損になります。東京都の使用者を数百万とすれば、一ヶ月三十万乃六十万立方メートル、その料金幾十万円、それはまだしも、今日貴重な石炭の消費量は莫大なものとなるのであります。鍋底は必ず拭いて、水氣を取つて焜爐にかけることなど、誰もが知つていることではございますが、実行は決して容易なものではございません。
 次は電熱であります。これは衛生上から見て非常に有難いものでありますが、メーター制の世帶にのみ電氣焜爐の使用を許されるのであります。これにも制限があります。殊に昨今夜間燈火用としての電氣でさえ不足し、二三時間ずつの停電を見ることがしばしばであります。故に電氣による調理などは殆んど補助的と考えなければなりません。燈火親しむべきこの秋の夜長に燈火を失う市民の生活は実に淋しいものがあります。読書や娯樂のなごやかさを奪われて、冷たい寢床に入る以外に致し方がないということは、市民生活を精神的に暗く、冷たくすること測り知られざるものがあるのであります。千八百円の俸給生活者には、一晩十五円の蝋燭は消費できないのが実情であります。電氣焜爐の使用に際しましては、先ずメーターをよく読んで、一日の使用量を定めることはガスと同じことであります。
 第三は、炭と薪であります。日本の家庭に最も普遍的に使われております燃料は、何と言つても薪炭でございます。これは運搬の都合上、農村で多く使われ、都市では比較的配給が少いということは、これまで皆樣がお述べになつた通りでございます。併し炭も使い方一つで、経済上少からざる差が生ずるのであります。その要点を二三申上げますと、七輪の選択でございます。細長い、空氣のよく入る七輪を用意して、手早く火をつけて、用意した鍋をかけるのでございます。主食の鍋を下せば副食の鍋、次はお茶というように、一秒も炭火を遊ばさないようにしたいと思います。薪は焚く竈の構造に注意し、空氣がよく入つて、完全に燃燒することが必要であります。二〇%しか効率がないと言われます薪と竈との寸法をよく測りまして、決して竈の入口で燃やさないように注意しないといけません。
 次に考えたいことは、火なし焜爐であります。煮上つたお鍋を入れて、余熱でよりよく蒸し上げ、且つそれを二三十分間も下げないようにすれば、火なし焜爐の使用は、冬季燃料の不足の折柄家庭の主婦の何よりも喜ぶものであります。醤油の空樽、又はみかんの空箱を外箱にして、籾殻、鉋屑、藁、ぼろ布、綿、新聞紙等を詰め入れまして、その中へ煮上つた鍋釜を入れます。そうしてその上へ別に作つた保温蒲團をかけて、蓋をいたします。この保温火なし焜爐の中へ六十ワツトぐらいの電球一個を入れますように工夫すると尚更結構であります。よろしく皆樣の研究を願つて止みません。
 次に取り上げたいことは、ガスの漏洩ということであります。政府では、この冬のガス供給量五千三百万立方メートルと言つておられますが、戰災都市では、戰災ガス管の破裂個所から漏洩するガス量は決して少くないのであります。戰災直後は、二分の一のガス量が使用されずに、自然に放出されたと言われております。資材不足の折柄でありますが、これらガス管の修理は、どうぞ一日も早くして頂きたいと念願するのであります。
 衣、食、住の三つとも、我々の生命を保護するには余りにも不十分な現状にある今日、殊に來るべき嚴冬を前に控えての燃料対策の一助として、蒲團の日向干しをするとか、戸障子の修理、隙間の目張り等をいたしまして、最少の燃料と最少の割当食糧を以て、最大のカロリー補給を私共の身体にいたしたいと思います。冬季にあつて身体を寒さにさらしますと、筋肉は非常に緊張するという作用のために、私共の取つた栄養量の四〇%乃至五〇%が費やされるのでございます。この意味におきまして冬季におきましては、夏季のカロリーの五〇%を余分に攝るべきであるとさえ言われておるのでありますから、今後はこの少い燃料は申すに及ばず、食糧の遅配、欠配のないように取計らわれたいことを念願するのであります。それに関連して、特に一言いたしたいと存じます点は、病人と燃料との関係であります。凡そ病氣回復の三大原則は、清潔と安靜と栄養とであります。この三つのものは一として燃料と関係のないものはありません。然るに近來の病院は、この保温の設備はおろか、中央炊事の設備さえなく、入院する患者自身が家庭燃料を持参して各自の病室内で自炊するというのが実情でございます。不潔さは申すに及ばず、空氣汚染の原因となり、病氣に影響するところも少くはありません。せめて病院へは石炭その他の適当なる燃料の配給を十分にして、決して僅少な家庭燃料の持出しをすることのないように策を講ぜられるよう切に念願いたします。
 次に、誠に消極的な対策ではありますが、家庭燃料問題に関連して電氣の不正使用を絶滅せねばならんということであります。ここに申します不正使用とは、盗用というような不正を含まないこともありませんが、それよりも一層非難せらるべき電氣の利己的濫用を指すのであります。即ち電氣の窮乏は今やその極に達して、頻繁な停電のために家事は全く停頓を余儀なくされ、家族は團欒と慰安を奪われまして、学生は予習も復習もできず、街のランプの下や電車の中で辛うじて読書を続けている者さえあるという電氣飢饉の今日でございますのに、朝から晩まで電氣を風呂沸しに使用している家庭もあるのであります。こういう公徳無視、公益蹂躙の家庭はどういう方法で電氣を供給され、利用しておるか不明でありますが、会社をして調査せしめ、或いは適当な機関によつて取締らせ、これが絶滅を図ることが必要であると考えます。燃料対策の一つとして、國家がこういう方面にも努力を惜しまんときは、一面においてそういう不正を除くという効果があり、更に他の一面において政府の眞劍な態度なり、努力なりが一般人の燃料に対する関心を深からしめて、各人の注意を燃料の節約に向わしめるという大きな結果を生ずることと思われるのであります。
 この外申上げたいことはございますが、私の申上げたいことはこれで終りでございます。御清聽を感謝いたします。(拍手)
#38
○議長(松平恒雄君) 自由討議は終りました。これにて本日の議事日程は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
   午後二時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト