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1949/03/25 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第4号
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1949/03/25 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第4号

#1
第005回国会 本会議 第4号
昭和二十四年三月二十五日(金曜日)
 議事日程 第三号
    午後一時開議
 第一 皇室会議の予備議員の選挙
 第二 皇室経済会議の予備議員の選挙
 第三 自由討議
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 海外同胞引揚に関する特別委員会及び災害地対策特別委員会設置の件
 両院法規委員辞任の件
 両院法規委員の補欠選挙
 弾劾裁判所の裁判員辞任の件
 弾劾裁判所の裁判員の補欠選挙
 日程第一 皇室会議の予備議員の選挙
 日程第二 皇室経済会議の予備議員の選挙
 日程第三 自由討議
    午後一時十五分開議
#2
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○今村忠助君 特別委員会設置の動議を提出いたします。すなわち、海外同胞引揚げに関する調査をなすため委員三十名よりなる特別委員会、災害地対策樹立のため委員四十五名よりなる特別委員会の両特別委員会を設置せられんことを望みます。
#4
○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとくに決しました。
     ――――◇―――――
#6
○副議長(岩本信行君) お諮りいたします。古島義英君より両院法規委員辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#8
○副議長(岩本信行君) つきましては、この際両院法規委員の補欠選挙を行います。
    ―――――――――――――
#9
○今村忠助君 両院法規委員の補欠選挙は、その手続を省略し、議長において指名されんことを望みます。
#10
○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて議長は両院法規委員に高橋英吉君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#12
○副議長(岩本信行君) なおお諮りいたします。高橋英吉君より弾劾裁判所の裁判員辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
#14
○副議長(岩本信行君) つきましては、この際弾劾裁判所の裁判員の補欠選挙を行います。
#15
○今村忠助君 弾劾裁判所の裁判員の補欠選挙は、その手続を省略し、議長において指名されんことを望みます。
#16
○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて議長は弾劾裁判所の裁判員に古島義英君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 第一 皇室会議の予備議員の選挙
#18
○副議長(岩本信行君) 日程第一、皇室会議の予備議員の選挙を行います。
    ―――――――――――――
#19
○今村忠助君 皇室会議の予備議員の選挙は、その手続を省略して議長において指名せられ、その職務を行う順序は議長において定められんことを望みます。
#20
○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて議長は
   松岡 駒吉君  井上 知治君
を皇室会議の予備議員に指名いたします。なおその職務を行う順序は、ただいま指名した順序によることといたします。
     ――――◇―――――
 第二 皇室経済会議の予備議員の選挙
#22
○副議長(岩本信行君) 日程第二、皇室経済会議の予備議員の選挙を行います。
    ―――――――――――――
#23
○今村忠助君 皇室経済会議の予備議員の選挙は、その手続を省略して議長において指名せられ、その職務を行う順序は議長において定められんことを望みます。
#24
○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて議長は
   松岡 駒吉君  井上 知治君
を皇室経済会議の予備議員に指名いたします。なおその職務を行う順序は、ただいま指名した順序によることといたします。
     ――――◇―――――
 第三 自由討議
#26
○副議長(岩本信行君) これより自由討議に入ります。
 石田博英君、発言者を指名願います。
#27
○石田博英君 民主自由党は栗山長次郎君を指名いたします。
#28
○副議長(岩本信行君) 栗山長次郎君、発言を許します。
    〔栗山長次郎君登壇〕
#29
○栗山長次郎君 二十三年度の所得税、取引高税の徴收にあたり、全國各地に苦情が続出し、不穏なる空氣さえあるのであります。このときにあたりまして、政府から、いかようにこれを処置すべきかの、まだ明らかなる方針も出ておらぬようでありますが、もとより税制その他のよるべき法規によつて律することでありますので、政府としても考えるところはあろうと存じますが、國会は何をしておるのであるかという声を聞かぬでもありません。地方によつては、個人的な團体もしくは少少やかましい諸君があつせんをしておりますが、これはいずれも法的根拠がありませんために、個々の判断に終ることが多いのでありまして、私はここに、自由討議ではありますけれども――
自由討議に必ずしもさような立法的な発言に触れてはならぬということもないのでありまして、むしろこの討議に身を入れますために、かような税務苦情に対して緊急臨時に措置をつけるべく、法的な考慮を皆様に御考慮願いたく存ずるのであります。
 仮称として税務苦情処理臨時特別法案、こういうものを出すことをお許し願えれば、その運びにいたしたいと存ずるのでありますが、内容といたしまするところは、この法律で緊急臨時に扱いたい事柄は、今年度――
二十三年度の所得税、取引高税等の徴税に関し全面的に続出しております苦情を臨時に調停することを目的としたいのであります。
 次には、そのために税務署ごとに税務調停委員会をこれも臨時緊急に設けて、税務署と納税者との間で話合いのつかない苦情をその委員会で取上げて聽取し、すみやかに調停――
その調停は仮調停といたしたく存じますが、仮調停を行い、とにもかくにも徴税の円滑をはかりたい。
 第三点は税務調停委員会の構成であります。これは私の試案でありまして、いずれも仮称でありますけれども、市町村長とか市長村会議員は、法にかなつて公に選ばれたる立場の人々でありますから、緊急措置としては、こういう法的立場の人に目をつける以外にないと存じます。從つて委員会の構成は、市町村長及び市町村会議員の中から互選された者三十五名をもつて組織する。相当の員数が要ると思ひますのは、一税務署管内にある町村の数さえ二十くらいに上るところがあるからであります。但し、一市町村から、小さな村であつても一名以上を出す。残つた員数は人口に比例して割当てるように措置する。大都市の区はむろん市町村に準ずるようにせねばならぬと考えております。
 第四点は、税務調停委員会はやはり委員長を互選して、委員長によつて運営を進行して行くこの運営について、こまかい規定を設けると長たらしい法文になりますから、この運営は類似の委員会の運営規定を準用したらばよろしいと思います。時間がございませんから、これは省略いたします。税務調停委員会は地区別及び業種別の部門を設けて審査することができる。
 第五点、調停額が問題になると思います。本人が申告した額よりも安く調停するとか、税務署と納税者との間に紆余曲折を経て、いやな思いをして、ようやく妥協案ができたのに、それを下まわる調停をするということも常識でないと存じますので、調停額は中間期において税務署と納税者との間に協議され、双方一致の所得額ある場合にはその額を下らないようにする。
 第六点、異議の申請をしておる者がずいぶん多いのであります。もよりの一税務署について、ちよつと聞き合しただけでも、二千数百件の異議の申立てがある。これらの始末はなかなか時間のかかることであるし、放つておけば結末はつきにくいし、罪人をつくるだけのことになるのでありますから、われわれ國会議員たる者、緊急臨時の措置をとらねばならぬことを痛感するのでありますが、この異議申立てをした納税者は、調停額が決定した日から三日以内にとにかく完納する。税務署は、その期間以後について延滞利子なり追徴金なりをとる。今では、一方的にきめておいて、まだ納税者が承知もしないのに、もう期限だぞ、これから先は日歩二十銭をとるぞ、追徴金をうんととるぞといつて、非常な強圧的な事柄になつておるのでありますが、これは措置しなければならぬことと存じます。但し納税者‥‥(発言する者あり)だまつて聞きたまえ。
        ―――――
納税者は、調停のあつた後でも、それが不服ならば行政訴訟をすることができるようにしておくことがよろしいと思います。
 また税務署は、調停がありましても、その後に根拠をつかんで、何の何がしの所得額はこれ以上あるというはつきりした根拠をあげ得るならば、調査をしてもよろしいということを残しておきたいと思います。これは堂々たる法人に適用すべき臨時措置ではないと存じます。字も書けない人がたくさんある。少しそちらでやじが出ますから挿入いたしますと、大工八十人について調べてみましたところが、引算のできない人が十一名あつたのであります。從つて、帳簿を完全につくれということが、どのくらいむずかしいことであるか、よくわかるのであります。納税者には、自分の立場を擁護するためにどうしても帳簿をつけてもらわなければなりませんが、そういう個人個人の納税者について主としてこの法を適用したらばよろしかろうと思いますので、私の私見としては、本法は法人所得に適用しないことにする方がよいと思います。
 第八点は、その委員会をどうしてつくるかということであります。なかなかむずかしいことであると思いますが、急の思いつきといたしましては、都道府縣選挙管理委員会にこれをつくらしたらいいと思います。つまり、この法が皆さんの御協賛によつてできて、そうして施行された日から十日以内くらいに、その都道府縣選挙管理委員会は税務調停委員会を成立させなければならぬという指示をしたらばよろしいと思いますが、そこで緊急の問題でありますから、税務調停委員会が成立したならば、五日以内に調停の事務を開始しなければならぬ。そうして緊急でありますから、調停事務を開始したら二十日以内くらいにそこの税務署の管内のものを調停すればよろしい。
 第九点、本委員会の経費については、これは定めるところがなければなりません。私どもは、民主自由党として税務調停委員会の構想を持つております。やがて皆様の前に堂々と政調でつくつたものを出しますが、それまでの緊急措置としてこれをやりたいというのが私の趣旨でございます。
 以上が、この考え方を持ち、かように進めたいという構想の概略でございます。賛成の方もあり、不賛成の方もあるようでありますけれども、私どもとしては、ぜひやりたく存ずるのでありまして、この機会に、わが党のものが考えておりますこと、そうして迷つている納税者諸君に、かような措置の講ぜられるであろうということを、この壇を通じて申しておきたいのであります。以上であります。(拍手)
#30
○副議長(岩本信行君) 石田博英君、発言者の御指名を願います。
#31
○石田博英君 民主自由党は菊池義郎君を指名いたします。
#32
○副議長(岩本信行君) 菊池義郎君、発言を許します。
    〔菊池義郎君登壇〕
#33
○菊池義郎君 世界連邦建設運動と日本國会の参加と題しまして自分の卑見を披瀝し、議員各位に訴えるとともに、大臣はおられませんが、大臣諸公の御答弁を願いたいと思うのであります。
 世界連邦建設運動と日本國会の参加協力世界連邦建設の運動は、今や欧州を中心として全世界を風靡しております。すでに英國を初めフランス、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、スイス、スウーデン、ノールーウェー、ベルギー、デンマークその他合せて十二、三の國々には、おのおのその國会内に連邦建設のための委員会が設けられ、世界憲法の立案に関する研究討議が続けられておりますが、その数はますます増加しつつあります。さらに米國においては、四十八州のうちすでに十七州の州議会が世界連邦賛成の決議を通過させたのであります。すなわち米國連邦は、今のところ三分の一だけ世界政府を支持しているのでありますが、遠からずして合衆國の國会自体が世界政府賛成の決議をするであろうと観測されております。
 一昨年七月、米國上下両院の議員たちは、國際連合を強化して世界連邦政府に修正すべしという決議案を提出しまして、その決議案は、それぞれ上下両院の外交委員会の審議に付せられたのであります。第一次、第二次の世界大戰に大なる惨禍をこうむつたわれわれ人類の最大最高の使命は、戰爭を地上より一掃することでありまするが、一発にして五百万、千万の人命を奪う原子カの惨害より免れるがためには、世界を打つて一丸とした連邦國にするよりほかに方法はないと存じます。
 現在世界には、御承知のごとく十ばかりの連邦國があります。すなわち米國、ソ連、濠洲、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、スイス、南アフリカ等であつて、英國のごときも、形をかえた連邦であるといえば言えるのであります。しかして、これらはいずれも政治組織としてみごとに成功しているのであります。この連邦制度をさらに全世界的に拡大して戰爭のない法治社会をつくり、各國民が自由に通商移民等の利便を享有し、未利用資源の開発等も徹底的にやつて人類の幸福を増進しようというのが、世界連邦運動の目標であります。
 ところで、そんなことができるものか、それは單なる空想であり夢であると言う人があるかもしれませんが、すでに前述のごとき数々の連邦ができ上つておる以上、これを一押し押せば必ず実現可能なることは、世界の識者が確信して疑わざるところであります。また、かりに一部國家群が反対して入らないとしても、強大なる國家群が大半結合すれば、それで世界の力の均衡が破れるのでありますから、戰爭を未発に防ぎ得る効力は十分にあるのであります。私は、世界連邦の成立を支持する同志がわが國会内にその数を増し、これが集まつて一つのグループを組織し、委員会をつくり、わが國における連邦運動推進の一勢力たらんことを念願して、本運動に関する所信を述べたいと存じます。
 戰爭を予防せんとする平和運動には、宗教家の運動があり、最近はユネスコの運動もありますが、かくのごとき精神運動が戰爭の防止にほとんど役立たないものであることは、これまでの幾多の戰爭の事実が明らかに証明しております。また、第一次大戰後に國際連盟ができ、第二次大戰後に國際連合ができましたが、これら集團保障の制度も、要するに武をもつて武を制する方法であつて、戰爭に訴えた一國を他の國々が集まり寄つて打ちのめす組織であるにすぎないのであります。これに反して世界連邦は、最初から戰爭の起らない法治社会であります。國際連合は無制限に主権を行使し得る國家と國家との條約であるが、世界連邦は制限主権の國家群より成る世界組織であつて、それは世界の法律体制であります。
 連邦政府は、世界的事項について立法、司法、行政の任に当り、何々を世界事項とするかは世界憲法において定められるのであります。しかして世界会議によつて制定される世界法は、國家を対象とするとともに個人を対象とするのでありますから、たとえば北米合州國においては、連邦政府の法律は米國の市民全部に適用され、從つて米國市民は各州の法律の適用を受くると同時にワシントン連邦政府の法律の適用を受くるのであります。ゆえに連邦政府のもとにおいては、全世界の各國民はおのおのその國の法律に從うと同時に世界法の適用を受けるのであります。
 世界政府の立法、司法、行政に属する世界的事項をいかに定めるかは世界憲法において決定せられるのでありますが、世界政府に移すべき各國主権の廣狭大小は、前もつて深く考える必要はあまりないであろうと思います。交通、通信、経済、資源等について、いかなる部門がいかなる程度で世界政府の権限に属することになるかは、憲法の立案当初において決定されるわけでありますが、いずれにしても、世界政府の出発当時においてその主権に属する事項は一定の世界的事項であり、その分量はおそらく各國政府の主権事項の二分か三分に過ぎないであろうことは想像に難くないのであります。これによつて戰爭の起り得ない機構ができ上るとしますれば、その結果として、從來実現せんとして実現できなかつた全世界の科学的、技術的、文化的の協力がたちまちにして無制限に実現するであらうことは言うまでもありません(発言する者あり)労働不安もおのずから解消されるのでありますから、最後まで御清聽願います。
 今、世界にこの運動團体は百以上存在し、その中のおもなるもの五十余團体は、相連合して一つの共同戰線を張る目的をもつて世界的に結合しております。その本部及び事務所は、これまでジユネーブにあつたのが、昨年十二月一日以來、本部はルクセンブルグになり、事務所はパリーに移りました。
 しかして、この運動は目下のところ民間運動であるけれども、各國の政治家の中で個人として強力に支持している人々は、英國にあつてはアトリー、ペヴインであり、前首相のチヤーチルも熱心なる共鳴者で、彼は一昨年五月十四日、ロンドンにおいて次のように声明しました。すなわち、「戰爭防止のための有力なる超國家組織ができるのでなければ、平和と人類進歩の前途は暗澹たるものである。もし近き將來に平和確保のための強力なる権限を持つ世界組織ができるならば、人類の享有すべき幸福は無限であろう」と言つていますし、さらに米國のトルーマンも共鳴者の一人でありますが、彼は一昨年一月二十一日、米國の議会に対する教書の中において、「われわれの安全保障は、われわれが國際連合を一つの社会としての世界の代議体にまで進展せしむることを要求している」と述べており、前述の英外相ペヴインも、かつて英國の議会におきまして、「平和の目的のために世界議会を構成することにおいて、自分は何人とも胸襟を開いて協議する用意を持ち合せておる」と言い、ローマ法主ピウス十二世は新聞に意見を発表して、「各國はその主権の一部を縮小したがよい云々」と言つております。これに加えて、フイリツピンのロムロも、國連総会において世界連邦支持の演説を行い、キユーバの代表も、同様の趣旨を述べております。インドのネールも、隣邦の蒋介石も同じく世界連邦主義者であり、各國の議会内に多くの同志が政党政派を超越して世界政府委員会をつくつていることは前述の通りであるが、そのメンバーの数は日に日に増加しつつありまして、イタリアの議会内グループは三百名、フランスが二百名、英國も百数十名に達しております。昨年の夏において、議会内委員会を結成した國の数は十三に上ると傳えられ、目下増加の一途をたどりつつあります。
 しからば、世界連邦の建設に必要な世界憲法はこれをどうしてつくるかであるが、第一は、國連の総会を世界憲法起草採択の会議とする案であります。ところが、これは手続上は可能であるとしても政治的に困難であろうとの見通しが一般的になつて参りました。他の方法は、人民の代表をもつてする世界会議において目的を達することであります。この方法は、昨年九月のルクセンブルグにおける第二回の総会、すなわち世界政府運動第二回の総会で、これを実行に移すことが決議されたのであります。從つて、名國における世界連邦政府運動の團体は來年度の人民代表選出の準備を始めつつあるのであつて、その方法は、各國から百万人に対して一人の割合で代表者を送り、それらの人々が來年九月ジユネーブに会合し、世界憲法が起草されるまで半年でも一年でもがんばり続けて審議しようというのであります。かくしてできた憲法案は各國の政府に示され、その批准を求めるのであるが、あるいは情勢によつては、その前に國連の総会によつてこれを採択させようという案もあるわけであります。かくすることによつて第一に國際連合を修正した形式にすることができるし、また各國の批准もこれによつて容易であると見るのであります。もちろん、その点には反対の意見もあります。
 すでに世界に数千万の同志を有するこの運動は、來年憲法会議を始めて、五年の後には連邦をつくり上げる目算で突進しております。これこそは眞に希望に滿ちた運動であらねばなりません。過ぐる西欧同盟、今度の北大西洋條約等次々と生れて來るこの時において、地上に戰爭の種を断たんとするこの運動こそは、全世界の人々が滿腔の感激をもつて参加すべき大事業であると信じます。特に敗れて軍備なきわが國の立場においては最も痛感されることでありますが、この運動に関し、連合軍総司令部においては十分の理解を有し、好意を寄せておるのでありまして、わが國におけるこの運動は終戰当初より続けられて、ただいま二、三の團体が生れております。昨年のルクセンブルグの決議による來年の憲法会議を準備推進するために國際連絡評議員会が設けられ、わが國における本運動からは、アインシユタインと親交ありといわれる稻垣守克氏などが主として連絡に当つているようであります。百万人に一人の割合として、日本からも八十名ばかりの代表を派遣し得られるわけでありますが、経費の都合上それが二十人になるか十人になるか、また選挙の方法等はどうすればよいか等について、目下識者の間に意見が交換されておるわけであります。
 世界の情勢は平和の希望に対しては樂観を許さぬものがありまして無制限主権の國家間の約束である國連のごときは決して平和を保障するものではないのであるから、われわれはただ一筋に世界連邦に向つて突進するあるのみであると存じます。あえて同僚議員諸君に訴えて賛意を求め、全世界の連邦運動に御協力を願うとともに、日本の國会におきましてもこの連邦建設のための委員会を設けまして、われわれが今日よりこの運動に参加すべく御準備あらんことをお願い申し上げたいと思います。
 以上簡單に申し上げまして、私の自由討議にかえる次第であります。(拍手)
#34
○副議長(岩本信行君) 石田博英君、発言者を御指名願います。
#35
○石田博英君 民主自由党は河野謙三君を指名いたします。
#36
○副議長(岩本信行君) 河野謙三君、発言を許します。
    〔河野謙三君登壇〕
#37
○河野謙三君 私は、肥料行政の一元化の問題について、皆様にしばらくお聞取り願いたいと思います。
 最近の國際情勢を考えましたとき、食糧増産の問題がますます尊重要性を加えて來たことは、私がいまさら申し上げるまでもないのであります。この食糧増産の裏づけであるところの肥料の問題もまた食糧と同様にますます尊重要性を加えて來たのであります。この機会に、從來の肥料行政につきまして大いに反省し、大いに再檢討をしなければいけないと私は考えます。
 一昨年の六月でありましたか、七月でありましたか、從來の農林省一元の肥料行政が、その当時重要資材の配給の問題を理由といたしまして、生産を商工省に移し、配給を農林省に残して、配給と生産がわかれまして、肥料行政はまつ二つにわかれて二元化されたのであります。その後約二箇年の経過を見ますと、この二元化によつて、あまたの惡い事例が現われて來ております。これを簡單に申すならば、商工省に生産が移つて以來の肥料行政というものは、肥料の生産は消費者を忘れての生産である。たとえば品質の惡いものが続々として出る。また肥料の價格の決定にいたしましても、常に生産者の擁護であつて、消費者農民の立場を考えないところの肥料の生産行政が行われたということは、数々の事例があるのであります。
 この場合におきまして、私は、どこに一元化するかは別問題といたしまして、とにかく肥料の行政を一元化いたしまして、肥料の行政は、一方において生産、一方において配給消費を両手に握つたところの、一本において肥料の行政をやるにあらずんば、肥料の完璧なる行政はできないと思うのであります。たとえば、從來の惡例を二、三申し上げますと、一昨年の夏以來、すでに前議会にもこの議場において問題になつたと聞いておりまするが、数々の工場において非常に惡い肥料が生産され配給されたという事例が問題になつております。また價格の問題にいたしましても、常に生産者擁護の肥料價格の決定の仕方であります。一例を申し上げますならば、硫安の生産價格の決定は、硫安製造業者個個のいわゆる個別價格をいまだにやつております。この機会におきまして、硫安の價格を一本にはできないまでも、少くともガス法による價格、また一方において電氣法による價格、この二つの價格にするように價格の決定を改善しなければいけないと思います。
 要するに、今後の肥料におきましては、消費者農民にできるだけよいものを、できるだけたくさん、しかも安く配給するためには、從來の二元制をただちに改めて、肥料の行政を一元化することが絶対に必要であると私は考え、特にこの問題をとらえて皆さんにお訴えする次第であります。(拍手)
#38
○副議長(岩本信行君) 石田博英君、発言者を御指名願います。
#39
○石田博英君 民主自由党は、次に篠田弘作君を指名いたします。
#40
○副議長(岩本信行君) 篠田弘作君、発言を許します。
    〔篠田弘作君登壇〕
#41
○篠田弘作君 私は、北海道の総合開発計画につきまして、いささか所見を述べ、党派を超越して議員諸君の熱烈なる御支援を得たいと思うのであります。
 敗戰以來ここに三年半を迎えました私たちは、狭小なる國土の中に八千万という驚くべき多数の國民をかかえ、はなはだしき窮乏と廃墟の中に、祖國日本を民主的にしてしかも文化的な平和國家に建設するために努力を続けて來たのであります。申すまでもなく、日本の再建は経済の再建から始まらなければならないのであります。日本経済再建の原理につきましては、各党各人の立場において、あるいは社会主義的なるところの方式をもつて再建せんと欲する者もあるでありましよう。あるいはまた進歩的なる資本主義の形態においてこれを行わんとする者もあるのであります。しかしながら、そのいずれにいたしましても、日本が戰爭に負けて、そうして連合國によつて占領せられておるというこの現実を無視しては、いかなる日本の経済計画も成り立たないのであります。
 いかに現実というものが大切であるかということは、小さな家を建てる場合においても、その土地の実地測量を過つたならば家は建たないのであります。もちろん、敗戰という段階の上に八千万の國民を入れる日本という大きな國家を再建するために、その山の高さ、谷の深さというものがいかなるものであるかという実地測量を誤ることは根本的に間違いであります。しかしながら、いかにまた現実が大事であるからと申しましても、國民的な理想を忘れて現実にのみ引きずりまわされるその日暮しの方便政策であつてはならないとともに、景氣ばかりよくても、独善的な破壌論をもつてしては、日本経済の再建はできないのであります。
 この意味において、日本経済再建の設計図は、深刻なる敗戰の現実を認識するとともに、日本國民としての理想と意氣とをもつたところの、雄大にしてしかも実現の可能性あるものでなければならないと思うのであります。
 そのまず第一は、國内に包藏する資源の開発であります。國内に眠つておるところの資源を開発いたしまして、そうして生産力を増強し、國民の生活を充実し、安定せしめなければならないのであります。今日はたして、たれがその役割を演ずるでありましようか。私は北海道こそこの歴史的役割を演ずるものであると申し上げて過言ではないと存ずるのであります。
 北海道は、開道以來八十有余年たちました。現在農耕地の面積は七十四万町歩であります。四百二万の人口を有して、日本の経済上並びに政治上に占むるところの位置はまことに重要であります。
 しかしながら、私をして言わしむるならば北海道の使命はむしろ今後にあると申したいのであります。北海道には、いまだ幾多の未開発なるところの資源が、自然のふところに抱かれたまま眠つているのであります。わが國に残されたるところの唯一の資源地帶であります。敗戰によつて多くの植民地を失つたところの日本におきまして、この資源を開発せずして、どうして経済の再建があり得るでありましようか。私は北海道の開発こそ日本再建の一環として強力に推進されなければならないと存ずるのであります。
 また、北海道にやつて來たことのない人は、現在でも北海道は非常に寒くて住みにくい所であると思つていらつしやる方があるかもしれませんけれども、これはまことに認識不足でありまして、北海道こそ日本において最も住みやすい土地であります。私は北海道に参りまして、まだ八年間しかたたないのでありますけれども、三十年間生活した東京よりも、はるかに住み心持がいいのでありまして、今回原籍も北海道に移しているような状態であります。
 また、國家並びに個人の投資の対象としましても、北海道の環境はまことに有利であり、かつまたきわめて理想的なる状態にあるのであります。この北海道を開発して、内地における過剰人口問題を解決するとともに、産業的にも將來日本の経済復興の担当者たらしめねばならないと信ずる次第であります。
 從來北海道は、原料の生産地といたしまして、常に植民地的な扱いを受けたのであります。しかしながら、今後北海道の総合開発に必要なるところの経費をもし議会が承認いたしまして、十箇年計画ぐらいでこれを総合的に開発するならば、現在七十四万町歩の耕地面積は百二十五万町歩となり、現在一億八千万貫の水産漁獲高は四億万貫となり、優に全國の配給を滿たすに足るような蛋白給源を補給することができるのであります。しかして、現在生産に必要なるところの電力は五十万キロであります。けれども、これを十箇年計画によつて百万キロとなすことができるのであります。その他林業、鉱工業というものをあげて参りますれば、枚挙にいとまはありません。すなわち、北海道の開発計画こそ國土計画の一環として愼重に考慮せられ、その緩急に
應じてこれを行わなければならないと考えるのであります。
 もちろん、北海道だけを主張するものではなくて、全國の國土計画との関連性においてこれを開発しなければなりませんけれども、今日のごとき状態におきまして、北海道ほど有望なるところの未開発資源を持つている土地はどこにもないということは、皆樣御承知の通りであります。
 まず第一に食糧問題であります。今日アメリカから食糧をちようだいしているような状態でありますけれども、しかし何か問題が起つたとき、一朝天候の不良などによりまして世界に飢饉が襲つた場合におきましては、日本は外國から輸入するところの食糧を当てにすることはできないのであります。すなわち北海道を開発して、現在の食糧の自給態勢の一端を担わせるとが最も必要であります。
 しかしながら、現在の北海道における未開発の原野というものは、泥炭、濕地もしくは火山灰、あるいはまた酸性土壌等が多いのであります。これに対しまして客土を行う、あるいは暗渠排水を行う、あるいは炭酸石灰を施すといつたような物理的、化学的なるところの改良方法を施すならば、現在の経験をもつていたしましても、優に二倍の増産を期待することができるのであります。そのほかに、酸性土壌の改良ということは國民保健の上に重要なる影響を及ぼすのであります。また北海道の特異性たるところの酪農農業の発達に貢献することもできるのであります。これによりまして、牛は現在の七万六千頭から三十五万頭に、馬は現在の二十五万頭から三十七万頭に、農家は現在の二十万戸から三十万戸に、そして食糧は主食換算三百九十八万石から八百二十二万石に増加することができるのであります。
 さらに、道内膽振、日高方面の漁港あるいは船入澗、その他全道にわたるところの船入澗、漁港というものを浚渫改修し、これに伴うところの漁船の整備をいたすことによりまして、現在の一億八千万貫の漁獲高は四億万貫となるのであります。敗戰の結果、沿海州の漁場を失い、かつまた千島の漁場を失つたところの日本におきまして、万難を排してなさなければならないところの事業であると固く確信いたすのであります。
 林業におきましては、現在年伐採量は約四千万石であります。しかし、この計画を実行することによつて、十年後からは年六千万石を伐採することができるのであります。造林におきましては、現在年二万町歩の造林をいたしておるのでありますけれども、この計画を実行することによつて、年十万町歩の造林を実行することが可能となるのであります。すなわち、治水治山の面から見ましても、この計画は実に國家百年の大計を立つるものといわなければならないと信ずる次第であります。
 水カ電氣の問題にいたしましても、今申し上げた通りであります。また苫小牧と石狩港をつなぐところの運河の開鑿によりまして、勇拂原野を初め、その両岸数千方キロにわたるところの不毛の原野というものは、日本の工業地帶として最良であり、最高の工業地帶となるのであります。これによつて輸出産業を興し、輸出貿易を振興して、日本を今日の困難なる状態より脱却せしめることはまことに簡單であると私は信ずるのであります。
 そのほか、道路の延長その他によりまして、あの登別、洞爺、あるいはまたニセコ、羊蹄山麓をつなぐ一大観光地帶をつくるならば、阿寒國立公園とともに世界的観光地帶となるのであります。日本は敗戰の結果、観光事業において外資の導入をなし、また外客の誘致をなさなければならぬという面が多分にあるのであります。この意味において、この観光地帶の持つ役割というものはまた実に重大であると考えるのであります。
 その他工業におきましては、タール、油脂、ソーダ、肥料、セメント、用紙パルプ、機械、何でも北海道においてできないものはないのであります。特に肥料工場は、現在砂川にあります東洋高圧と、瀧川にある瀧川化学をいわゆる硫酸アンモニア工場に轉向することによりまして、北海道の肥料の自給自足はもちろんのこと、全日本の肥料に貢献することができるのであります。
 また、日本再建に必要なるところの石炭は、この計画によつて現在の七百七十万トンより千七百万トンに増加することができるのであります。そのほか金、銀、鉛、亞鉛、硫黄、マンガン、クローム、石油、石灰等地下に眠るところの鉱物資源を開発するならば、実に日本経済の再建にとつて欠くべからざるところの重要なる産業が隆々として興つて來ることは、火を見るよりも明らかであります。すなわち、北海道の総合開発計画こそ日本経済再建のかぎでなければならないのであります。
 今日まで北海道がいかに植民地的な取扱いを受けたかという一例といたしまして、北海道の河川がことごとく原始河川のまま残されておるのであります。すなわち、明治初年開道以來八十年間に北海道の全河川に投ぜられたところの國費の総額は、わずかに八千万円であります。実にこれは利根川一本に投ぜられたところの國費にも及ばないのであります。こういう状態で、どうして日本の経済の再建をすることができるでありましようか。北海道をして、どうしてその重要なる役割を果さしむることができるでありましようか。私は、一日も早くこの総合的なるところの開発計画を実行いたしまして、今年度において内閣に北海道総合開発計画審議会を設け、また独立なる法案といたしまして、今議会に北海道総合開発計画法案を提出しなければならないと思うのであります。なぜならば、今日北海道の開発経費は公共事業費の中から出されておるのでありまして、これに対しては、道会議員、町村長というものが、予算獲得のために、年度がわり年度がわりに東京に殺到しておる状態であります。実に時代錯誤の現象であると申さなければならないのであります。そういう意味合いにおきまして、私は北海道開発計画法案というものを独立法案として、でき得るならば議会に提出し(発言する者あり)今そこでやじつておられるところの徳田球一さん初め共産党の諸君はもちろん、民主自由党の諸君多数の賛成を得まして、ぜひこれを実現したいと思つておる次第であります。何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
#42
○副議長(岩本信行君) 石田博英君、発言者を指名願います。
#43
○石田博英君 民主自由党は、次に佐藤親弘君を指名いたします。
#44
○副議長(岩本信行君) 佐藤親弘君、発言を許します。
    〔佐藤親弘君登壇〕
#45
○佐藤親弘君 私は、院内でいわゆる一年生議員と申さるる者であります。いささか私見を申し上げて、先輩諸士の御考慮に供したいと存ずるのであります。
 皆樣がすでに御案内のことではありまするけれども、公團の問題についてはいろいろ議論がある。同時に、その搾取削減を考慮せねばならぬと存じておる一人であるのであります。私は、例をたくさん申し上げますと時間をとりましておしかりを受けますから、簡單に例をとつて申し上げておきたいと思うのであります。
 食糧関係の問題については、すでに食糧管理法にありますから申し上げるまでもないのでありますけれども、ただ特にわれわれの生活上必要なところの物資のうち、かくも多く生産價格と配給價格とに差があることに考えを及ぼすときに、どうかしてこの限度を縮小せしめなければならないことは、われわれが日常生活上痛切に感じているものであります。
 その一例といたしまして、たとえばみその配給公團というものがあります。さようなことを言つても、私はみそ屋ではないのでありますが、生産者の供出するところの價格と、末端配給者から配給を受ける者に対するところの差額がはなはだしくあるということを申し上げておくものであります。何となれば、生産者は生産者の協会に手数料をとられ、また配給公團に同樣手数料をとられ、そうして指揮命令するところの全國の公團に同樣の手数料を拂わなければならぬのであります。そうして末端の配給に至つて、ここでわれわれが受配するのでありますけれども、簡單に申し上げれば、われわれ一人一箇月のみその配給は百八十目あります。かような次第であるのが、ここにその單價を考えてみると、四十六円七十銭の金額をもつて生産者が供出する場合において、自分らの手元に配給を受けるときには七十七円の價格を出さなければならぬような状況であるのであります。こうしますると、一貫目につき三十円三十銭の差額ができるのであります。かような状態であるのは何ゆえであるかと申し上げますと、公團が手数料を搾取するのでありまして、もしこれに一割の手数料を認めるとしましても、われわれは一貫目に対して二十六円六十三銭もの損害をこうむるのであります。だから、総額一億二千貫もの生産者に対する生産指示を農林省はいたしておりますけれども、これに実際の配給を受けるところの今の幅の計算をいたしますと、三十一億九千五百六十万円という差額が出てしまうのであります。
 かような搾取をいたしますることが、われわれといたしまして非常に困る。この搾取機関に対するところの課税関係がどうなつておるかを考えなければならぬのであります。これに対して課税をしてあるかどうか、こういうことを考えるときに、実に配給を受けるために金の都合がつかぬという状況になつておるわれわれ同胞があるのであります。こういうときにあたつて、ただ拱手傍観して、うまい汁を吸つておる、いわゆる搾取階級があつてはならない、こういうことを私は申しておるのであります。だから、どうかこの公團関係については、その中間の搾取関係をなるべく除いて、そうして一般民心から生活上の不安を除いて行く方法を講ぜねばならぬと考えておるということを、先輩並びに同志の皆樣たちに申し上げておく次第なのであります。
 いま一つは、各都道府縣に存在いたしておりまするところの價格査定委員会というものがあるのであります。これは、建具から家具から玩具から中古自動車から、中古自轉車、古衣に至るまで、價格査定委員が價格をつけなければマル公ができないのであります。このマル公をつける價格査定委員会なるものは、それぞれ業者から委嘱されるのでありまして、この委嘱に基く査定委員会なるものがそれぞれ手数料をとるのでありますけれども、この手数料の額たるや、軽々視することのできないものであります。
 すでにその檢査に属するところの物資の数は百数十種類から二百種に近いのであります。そうしますと、数額が多くなり、物資の種類が多くなるのでありまして、はなはだしきに至つては、一縣のその價格査定委員会の手数料に属するところの收入は厖大なるものがあるのであります。すでに皆樣たちも御案内と思うのでありますけれども、ある縣においては、その手数料の額が大きくなつて、使うのに困つて役員会を温泉場で開き、一回の役員会の費用が百万円にもなつたということを言われるような状態になつておるのであります。私はかようなことを考えるときに、障子一本買うについても困つており、子供におもちやを買つてやるについてもなかなかなか容易でないという時期にあたつて、百分の一の手数料をそのものにのせて、そうして簡單なようでありますけれども、種類が多くなり数額が多くなりいたしますと、この金は莫大であるから余剰金が出て來てしまつてここにそういう豪遊をきわめなければならぬような使い道をする状況になつておるということを考えねばならぬのであります。
 だから、かような場合において、一方は先ほど申し上げた公團の搾取階級について考慮を煩わしたいということを申し上げると同時に、一方は價格査定委員会の不可思議なるところの收入をつかさどつておるその收入の行方を嚴重にいたさなければならぬということを申し上げるのであります。しかして、これらに対するところの課税と――
もしその物が安く手に入ることであるならば、引揚げて來るところの同胞並びに戰災者は非常に利益するのであります。かようなことを考えるときに、私は、特にこういう機関がどうしても廃止することのできないものならば別であるけれども、中には考慮に入れて廃止されてもしかたのないものがあり、また中にはその手数料をまつたく減らしてもさしつかえないという余裕のあるものもあるのではないかと思うのであります。こういう点を特に御考慮願いまして(「簡單々々」と呼ぶものあり)ただいま先輩の方から簡單簡單というお言葉がありましたが、要は、價格査定委員会全國連合会がこの廃止に対して反対運動をするとか、公團の廃止に対して反対するのは、どうしてもこれはうまい汁がどこにかあるので反対するのだということを言いたいのであります。
 ですから、私はかような趣旨において、どこまでも大勢の利益になることであるからできるだけかような問題は探究して、課税の点について、ある程度まで引下げることができるような範囲内にある人はそれで助かる、また一部の特権階級が多大な利益を得て、知らぬ顔をしておることについては、これを追究しなければならぬということを考えておる一人であるのであります。さような趣旨において、要するに公團の搾取階級を廃せよということの一言に盡きるということを申し上げて、皆さまたちの御考慮、御批判を乞いたいと存ずるのであります。(拍手)
#46
○副議長(岩本信行君) 北村徳太郎君、発言者を御指名願います。
#47
○北村徳太郎君 民主党は椎熊三郎君を指名いたします。
#48
○副議長(岩本信行君) 椎熊三郎君、発言を許します。
    〔椎熊三郎君登壇〕
#49
○椎熊三郎君 私は、この機会に、民主党を代表いたしまして、吉田総理大臣の施政方針の演説に関してと題しまして所見を披瀝したいと存じます。
 第二次吉田内閣は、去年の暮に國会を解散いたしまして、本年一月二十三日をもつて総選挙を行いました。その結果は、民主自由党は二百六十九名という絶対多党になつたのであります。私は、この選挙の結果は國民の嚴粛なる審判の結果であつて、國民の意志の明らかなる表現であると思います。
 國民は、過去一、二年間の日本の政治上の情景を見て、連立内閣では徹底した政策を実行することができないということを考えておられたようであります。そうして、選挙の結果から私ども考えますと、民主自由党という絶対多数の勢力を持つ單独内閣で徹底した日本復興のための政策を実現してもらいたいということが國民の希望であつたと思うのであります。これは全國民の非常に重大なる決意の結果現われた現実でありまして、民主自由党に対する日本國民の期待は実に厖大なるものがあると思われます。
 この結果を獲得するにあたりまして、民主自由党はもとよりわれわれとは立場が違いますが、まず取引高税の撤廃、供出後の米麦の自由販賣、料理飲食店の即時開始、あるいは統制経済の大幅なわくの取はずし、そういうことが今度の選挙の題目でございまして、これを全國民は非常に期待しておつたようでございます。ところが、選挙の結果できました今日のこの吉田内閣は、民主自由党の單独内閣ではないようであります。そして、二人ほど民主自由党でない者が閣僚の中に入つておる。そこでだんだんだん私どもの党内事情もそれでわかつて参りますから、しばらくお聞きを願いたい。
 私ども民主党は、残念ながら今度の選挙では七十名よりとれませんでした。ところが、今度の吉田内閣ができるときになりまして、党内にいろいろの議論がございまして、それは人おのおの見解が違うからやむを得ませんが、國民がこれほど單独内閣を期待しておつたにもかかわりませず、どうしても連立内閣でなければ日本の復興ができないという考え方の人が三十二、三名あつたようであります。ここに私どもの党内では意見が対立いたしまして、今日では党内に二つの派ができたという現実でございます。
 私は、この連立内閣に反対の立場を堅持しております。それは、民主自由党が國民からあれだけの信頼を受けて二百六十九名も得て、大臣の数は十四、五名よりないのですから、もう大臣のいすが三十あつても、民主自由党としては足りなかろうと思われるこの状態の中に、わずか三十二、三名の者が連立だと称して入つて行つても、その人々の意見が実行されるはずはございません。現に今日新聞を見ますると、経済閣僚会議の懇談会などをやりまして、閣議の後には、民主自由党の閣僚諸君は意氣揚々と本部へ連絡に帰られるということである。二人の、民主党と称して入つた木村小左衞門氏や稻垣平太郎君のごときは、閣議の済んだあと、どこへ帰るでありましよう。三十三人の所へしよんぼり帰つて來ても、内閣には微動だも與えないという状況、こういうことは、日本の政治を明朗化せしめるゆえんではございません。
 吉田総理大臣は、かねがね本会議のこの議場において、政治の行動は國民が納得できるような簡單にしてはつきりしたものでなければいかぬと言われました。私どもは、その言説には敬意を表します。
 吉田さんは、去年の選挙を行う際には、おそらくこれほど多数とれるとは思われなかつたかどうかはわかりませんが、犬養さんに、この次はひとつ連立で協力を頼むということを言われたと、犬養さんから私どもは聞いております。それで、今度の選挙の結果を見ると、民主自由党としては、ほんとうは、犬養さん一派の人々から閣僚を入れるということは反対の意見がたいへん多くて、百五十名から調印をして反対する人さえ党内にあるということで、これは至極ごもつともなことだと私は思うのであります。それですから、選挙の結果としては條件が変つているのに、さすが吉田さんは大政治家ですから、選挙の前に考えたことと情勢はかわつておつても、政治家の仁義として、一月二十六日には犬養さんの所に行つて、ぜひ協力を頼むということを言われたには相違ないと思います。けれども、そう言われましても、犬養さんも天下の政治家ですから、この選挙の結果というものをよく達観せられて、なるほど御親切はありがたいが、今度は二百六十九名だから、あなた方單独内閣をつくつて、思う存分日本復興のためにやつていただきたい、われわれは閣外において大いに協力いたしますとやつてくれれば、これは政治家の仁義が通るのです。
 入つた閣僚も閣僚です。稻垣君のごときは、実業家上りの、しろうとと申しては失礼ですが、再び閣僚になる機会があるかどうかわからぬから、この機会になつた方が、本人にとつてはたいへんけつこうなことでございます。(「やめろ」と呼ぶ者あり)私は、今日は政策の演説をしているのではない。そういう題目で言つている。それが自由討論である。稻垣さんなどは、個人的にはその方がいいのだ。木村さんに至りましては、政界に苦労すること三十年、あれほどの人が、二度も大臣になつておつて、この内閣にむり押しに閣僚にならなければならぬというこの心事は、私には了解が参りません。
 そこで、そういう状況でこの内閣ができて、二人ほど目の中にごみの入つたような大臣がおつても、ともあれ民主自由党が絶対多数を持つておるのだから、この緊迫せる時局に向つて堂々たる総理大臣の御演説を聞いて、日本再建のための予算の御説明も願われるだろう、それが日本全國民の期待であつたと私信じます。しかるに、予算編成の都合で――
これは私どもも與党としての体驗を持つておりますから、よくわかります。今は占領治下にある日本ですから、かつての日本の政府のように自由な考えで予算をつくるということは、おそらく不可能なことです。いろいろ関係方面との折衝もございましよう。そういう点は、よく私どもは了解いたします。
 そこで、その結果といたしまして、今月の二十二日に関係方面から予算の内示があつたということが新聞に出ております。先刻議会の運営委員会でも議論になりましたが、今まで終戰後でも、國会に提出する予算は、政府がまつたく責任を持つて國会に提出するので、関係方面の折衝等は表面には議会には現われてまいりませんでした。今回は、内閣官房長官から公開の席上で、予算の内示を受けたということを私どもは報告された。これは日本の國会にとりましては重大なことでございます。そこで、この重大なる内示を受けるその内示の内容についてはどうかということが、今運営委員会で問題になつております。後刻大藏大臣から説明を聞くことになつておりますが、ともかくも内示を受けた。これもやむを得ません。
 そこで、民主自由党の政策、すなわち料飯店の再開であるとか取引高税の撤廃であるとか、そういうことが、新聞に傳えられる予算面から見ると、どうも私どもは、民主自由党旧來の主張のごとく完全にはできないのではないかという心配を受けるのでございます。民主自由党は、目下せつかく関係方面と折衝中だということでございます。それは当然のことでございましよう。折衝を願います。そこで官房長官の言明を聞くと、内示を受けてからあと二、三日中には予算の大綱が閣議で決定せらるる段階にあるということ。私の言わんとするところは、これからのことなんです。
 それならば政府は、予算案の大綱が決定したならば、そのとき即刻本会議に総理大臣が出られて、政府の施政の大方針を披瀝せらるるのでなければ、國会は軌道に乗つて審議が進んで行かない結果になる。ことに今回の場合はそうなんです。会計年度に関係いたしまして、三月三十一日でもつて効力をなくしてしまうという法律がございます。現に臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案のごときは、二十二日にすでに國会に提案になつております。予定としてはなお二十三件今月中に審議してもらいたいというものが出ておる。これらはことごとく國民の生活と密着しておる。日本の財政経済と離るべからざる法案のみでございます。これを審議するにあたつて、どうしても三十一日までに完了しなければ、政府としては行政上に非常な支障の起る問題で、私どもは何とかそういう政治上の空白ができないように、三十一日までにはこれを愼重審議して完了してしまいたい。完了してしまうためには、この絶対多数党の吉田総理大臣の施政方針が明らかでなければ、私どもは予算に関係ある法律の審議を進めることはできないのです。
 私は、これは何も政府につら当てを言つたり、政府を困らせようとするとか、そういうけちな量見を持つておるのではありません。私どもといたしましては閣僚は送らなくとも、この民主自由党という政党が、二百六十九名もこの時局において國民の信頼を受けたというならば、日本再建のためには、この内閣が三月や半年でつぶれるようなことがあれば、それは國家の非常な不幸でございます。私は、この絶対多数をもつて、三年、四年の長期にわたつて、足を大地に踏みつけて日本再建のために努力していただきたいということを、國家のために念願しておるのです。それですから、たとい閣僚は送らなくとも、私どもは健全なる在野保守党の立場をもつてこれに協力して行きたいというのが、私どもの偽らざる心情であります。それですから、三十一日までに仕上げなければならぬという法律のためには、この議事を進行せしめ、ほんとうの愼重審議をするためには、政府の大方針というものを一日も早く承つておかねばならぬわけであります。
 本日内閣官房長官の言明するところによれば、來月の二日か三日には予算書が完成するであろうということでありました。それを私どもこの間から運営委員会で研究したところによりますと、予算書のでき上るのは、かりに官房長官の言われるように來月の三日だとすると、これを逆算いたしまして、政府が大綱を決し、予算を決定いたしまして印刷にまわす、そうして技術的に最小限五日、普通でも十日――
五日から一週間の間にはできるということです。それを政府もせつかく努力中ですから、最小限五日くらいで仕上がるとすると、逆算して見ましても、二十八日には印刷の手元に予算書を出すということになる。そうすると、二十七日か八日には、政府の方針というものは、財政的には明細な点まで確定しなければならぬ。それならば、なぜ二十七日か八日というその機会に國会に向つて大方針を宣明せられないのか。私どもは二十六日と言いたいところだが、せめて二十七日か八日に総理大臣の施政の演説、一般の方針を承ることができれば、晝夜兼行でも三十一日までに仕上げねばならぬ法案の審議には私どもは全力をあげて協力したい、こう考えるのであります。すなわち、私ども大臣を送らざる閣外協力の立場とはおよそかくのごときものなのであります。この点はどうか御了承を願いたい。
 それで、これはひとりわが民主党の意見だけではございません。社会党からも先般來の意見が出て、どうも民主自由党に交渉しても、あまり在野党の方が不足だから相手にもせられぬだろうから、國会の決議として二十六日に総理大臣の施政の演説を聞こうじやないか、こういう申入れがわが党にありました。私どもは幹部と相談の結果、それに同意をいたしましたけれども、その総理大臣の施政方針の演説を二十六日になすべしという決議案の提案者の中に共産党も加わつておるということです。そこで、私どもの党派といたしましては、共産党とはまつたく政治上の理念を異にしております。それで私どもは、健全保守党たる建前から、遺憾ながらこの政治行動を共産党と一緒にすることだけは断じてできない。そこで、各派の交渉会を開きまして、共産党が提案者の一人に加わるなら、われわれは別個の行動をとります、それよりも共産党は提案者などにならずに、われわれの決議案に賛成するということなら、賛否は議員の自由ですからそれは結構だ、提案者として政治行動を手を結んでともにやるということだけは、まつぴらごめんくださいというのが、私どもの考えでございます。そこで、それは各会派におかれましても円滿なる了解がつきまして、それでは健全保守党たる民主党は自由の立場に立つてこの目的を達していただきたい、こういう了解のもとに、私どもは昨日、來る二十六日本会議において吉田総理大臣は施政方針の演説をなすべきものだという決議をやり、関係方面の了解も得まして、現に事務局には提出してございます。後刻運営委員会でこれの取扱いを決定することとなつておりますが、形は総理大臣の演説をなせとのことであるが、共産党とは、その動機目的において全然私どもとは反しておるのであります。この点を明らかにしなければならぬ。
 共産党の徳田君は、選挙の直後、天下に声明を発せられまして、吉田内閣などはもう三月くらいで崩壊するであろうということを発表せられました。(「そんなことは言いやしないよ」と呼ぶ者あり)それは共産党としては、そうなつた方が御都合がよろしいのかもしれませんが、私どもは、國家のためには、そういうような状態になることは日本民族としての悲しみであると思う。(「喜びだ」と呼ぶ者あり)すなわち、現在のような政治組織を是認しないというところに共産主義本來の立場があるのでございます。
 大体共産主義者が、議会主義者のごとき状態をもつて選挙で選ばれて、ここの席にいるということすら、私は本來の共産党からいつたら変なものではなかろうかと思います。(拍手)共産党というものは、民主的な議会主義占者ではない。そこで私どもは、共産党とは同調いたしません。二百六十九名の絶対多数党たる民主自由党の諸君は、諸君も保守党側の方々であります。どうか健全なる在野党の立場に立つて國家復興のために協力して行こうというわれわれ民主党の立場というものを御了解ください。
 なおわれわれのほかに、民主党とあえて僣称する者三十三名ほどございます。そうでございます。(笑声)これはすでに控室等も分離してございますが、本部事務所も分離してございまして、命令系統は一切違つております。かつては修正資本主義を唱えたる同志ではあつたが、吉田内閣成立に際して、閣外協力を是とする者、閣内協力を是とする者が意見対立して、今日どもは、ほんとうの民主党はわれらであるということを全國大会で確認していただきまして、その他の者は民主党と申しておりましても、あえて僣称しておるだけだと、私どもは黙認しておるのであります。
 すなわち本日、私はこの機会において、吉田総理大臣は、天下の輿望をになつて、絶対多数二百六十九名の権威にかけて、日本再建復興のために堂々たる施政方針の演説を來る二十六日か七日の間に断固としてやるにあらずんば、期限付の法律案を審議するのに重大なる支障が起るということを、諸君の前に披瀝したい。なお、絶対多数をもつてこの施政の演説をやらずして、無理押しに三十一日までにこの重大なる法案を可決確定せんとするならば、それは多数をたのむ精神的暴力行為とでも申すべきことだと私は断ずるのであります。願わくは、天下の輿望をになわれましたる民主自由党の諸君におかれましても自重自愛、もつて國民全体の御負託にこたえるごとき正々堂々たるお立場を堅持されんことを、國会の権威のため、日本再建のために、こいねがう次第であります。
 以上私の卑見を披瀝いたしまして、吉田内閣総理大臣の施政方針の演説を強く要求しておく次第であります。(拍手)
#50
○副議長(岩本信行君) 米窪滿亮君、発言者を御指名願います。
#51
○米窪滿亮君 日本社会党は堤ツルヨ君を指名いたします。
#52
○副議長(岩本信行君) 堤ツルヨ君、発言を許します。
    〔堤ツルヨ君登壇〕
    〔発言する者あり〕
#53
○堤ツルヨ君 一年生の初登壇でございます。あまりひやかさないでお願いします。
 終戰後第四年目に入つたのでございます。全國に今おりますところの戰爭未亡人の数は約六十万を数えるのであります。しかも、これが連れますところの小さな戰爭遺兒は、一人平均二人ないし三人と見まして百五十万前後に上るのでございます。今日國家的にいかなる救済の手が差延べられておるかということは、議員諸公も御存じの通りでございます。今生活保護法の適用を受けているところの世帶のうち六〇%の三十八万世帶は未亡人世帶であるといわれるのでございます。この母子家庭、未亡人世帶というものを見ましたときに、大黒柱を持つところの、大の男をかかえるところの世帶は、終戰後三箇年半の間にやや立ち直つたと見られるのでございまして、生活保護法の適用を受ける者の六〇%が母子世帶であるということを考えましたときに、最も立ち上り得ないで今日の世相下にあえいでいる者が戰爭未亡人世帶であるということが言い切れると思うのでございます。(拍手)今日いかなる急務がございましようとも、私はこの戰爭未亡人、遺兒を捨てておいて、いかなる喫緊事があるかと言いたいのでございます。
 御存じの通り、働きたくても働けない者は未亡人でございます。子供は手と足についた石のおもしでございます。母子寮の施設、授産所の施設、さらに保育所の施設等横の連繋を持たない今日のこれらの施設が、いかほどこの人たちを救つているかということは、想像に余りがあるのでございます。
 私は、四日前にも、あるパンパンガールの病院というのを視察いたしたのでございますが、三十八歳の四人の子供をかかえたところの未亡人が毒薬を飲んで、かつぎ込まれたところでございました。なぜならば、この未亡人が賣春婦となつて四人の子供を育てているというがゆえに、近所隣はこの未亡人世帶を追い出すということの決議をいたした。窮しましたところのこの人は毒薬を飲んだという結果でございます。未亡人は完全に死に切れましても、はたして四人の子供はいかがなりましようか。私は、この戰爭未亡人、遺兒をこのまま捨てておかれましては、愛國心あるところの健全なる思想の持主として育つことはむずかしかろうと思うのでございます。しかも、この百五十万前後の今後の遺兒の思想が日本の將來の思想を左右することを考えましたときに、何がゆえにもつと國家的な救済事業が充実せられないかということを、未亡人の一人として叫びたいのでございます。
 遺族に関するおもな問題は、遺族への保障の問題ないし遺族年金、つまり前に遺族扶助料と呼ばれていましたものの復活の件もございます。
 さらに、遺族の生活についてもつと実態調査をして、それに即したところの救済の手を差延べなければなりません。
 さらに第三には、遺族、ことに未亡人に適当な職場をあつせんせられたいという切なる希望を持つております。
 さらに、授産所、職業補導所、託兒所、母子寮というようなものは増設をし、しかもこれが公営であらねばならないということ。
 さらに五番目には、生活保護法の適用というものが今日いかに運営されているかということを議員諸公に御研究を願い、さらに政府に反省を促して、これが改正を要する点は要求をしていただきたいと思うのでございます。学問のないところのおばあさんや、さらに小さな子供ではとても手続のできないところの複雜な今日の生活保護法の運用というものが、はたして眞に困れるところの未亡人世帶の上に適用されているかどうかという問題。
 さらに第六には、遺族の住宅の問題でございます。一軒を持ち得ないところの未亡人世帶は、四疊半、六疊に間借りをいたしておりますが、これ無言の圧迫を加えられまして、きよう出て行け、あす出て行け、いや一月先に出て行けという問題に迫られておるのでございます。安住の地がないのは最も未亡人にはげしいと私は考えるのでございます。
 さらに、遺兒の育英の件でございます。私は、今日大学ノートが三十円、四十円いたしますこの世相において、國家は、なき英霊のかわりに育てるべきところの遺兒に対して、全額を負担して子供の養育をすべきであると考えるのでございます。
 さらに八番目、遺族への農地の返還の件でございます。
 さらに九番目は、遺族への愛の運動の件でございますが、ともすれば遺族をかばつてはならないというところの、ある筋からの指令があるという言い訳のもとに、各市町村に参りましても、至つて冷たいところの大衆の態度であります。天皇陛下万歳を唱えて死んで行つたところの祖國の英霊に対して何たる國民性ぞやと私は嘆かざるを得ないのでございます。
 さらに私は、遺族の問題を研究いたしますところの小委員会をこの國会内に持つて特別な調査研究をなすべきであると思うのでございます。他の部門に対してはいろいろ議員連盟ができておりますが、遺族援護対策議員連盟というようなものは、この中にできていないようでございますが、即刻私は実現すべきであると思うのであります。
 さらに最後にもう一つ、申し落しましたけれども、女手で子供をかかえる世帶に今日いかに税金のはげしいところの圧迫があるかということでございます。戰爭によるところの未亡人世帶には免税をされてしかるべきだと私は考えるのでございます。
 わずかに婦人議員は十二名でございまして、お見えになつている婦人議員の数は少うございますけれども、ことに私は、政党政派を越えて、封建的な社会に教育され育つて参りましたところの声なき女性の代表として、大いに御協力あらんことを切に願いまして、どうか即刻この対策をこの議会内に持たれて、急速なる実現を要望いたしたいと思うのでございます。(拍手)
#54
○副議長(岩本信行君) 佐々木秀世君、発言者を御指名願います。
#55
○佐々木秀世君 民主自由党は足立篇郎君を指名いたします。
#56
○副議長(岩本信行君) 足立篤郎君、発言を許します。
    〔足立篤郎君登壇〕
#57
○足立篤郎君 私が申し上げたいと存じますことの中で、ただいま社会党の堤君のおつしやられましたことは非常に重複しております。それで私は、ただ在外同胞の引揚げ促進の問題につきましてのみ一言申し上げたいと存ずるのであります。
 昨年來、本議場におきまして、あるいは参議院におきまして、引揚げ促進の問題は数回にわたつて決議され、國民運動も活発に展開されたのでありまするが、今日なお遅々として進まない現状でありますことは、皆樣よく御承知の通りであります。ポツダム宣言によりまして明らかになつておりまする、このわれわれの同胞を一日も早く家庭に引取り、生産業務につかせて國家再建に寄與せしめるということは――
幸いにして、こうして今日國家再建に少しでも寄與し得ますわれわれといたしまして、この人たちの帰還を促進いたしますことは義務であると考えるのであります。ただ問題が、ソ連あるいは中共地区に限定されておりまするので、はなはだやりにくい、デリケートな問題を含んでおるわけであります。私どもといたしましては、國民的な熱意をもつて、眞に議員諸君が腹の底からこの問題を取上げていただきまして、眞劍になつてぶつかつていただきます以外に解決の道はないと存ずるのであります。
 本日幸いに引揚げ促進に関する特別委員会が議決を見まして、まことに心強いのでありまするが、從來のごとく單に形式的な決議をしたり、あるいはまた微々たる弥縫策を講じて、わずかな援護の手を差延べるというやり方であつては、百年河清を待つにひとしきものであると存ずるのであります。私は、この機会に皆樣方にお諮りをし、委員会等で檢討し、あるいは関係筋と折衝しましたあかつき、許されますならば、この際本年度引揚げ完了を目途として、ソ連に、あるいは中共地区にわれわれの代表を直接沿つて、スターリンの膝下にこいねがい、あるいは毛沢東の手を握つてお願いをするというところまでこの問題を徹底的に展開いたしたいと存ずるのであります。
 幸いに、議席を連ねておりまする野坂氏――
今見えなくなりましたが、野坂先生は、中共地区におきまして岡野先生と呼ばれ、私ども滿州で抑留生活をいたしておりますときに、中共の人々からよく聞いたのでありますが、絶対的な信頼をかち得ております元の岡野進先生であります。(拍手)野坂參三氏が、中共地区におきまして、あのような神樣のような扱いを受けておる方でありますので、この問題について、ぜひ熱心に御研究願い、場合にによりましては、われわれの代表として中共地区に出かけていただいて、十数万のわれわれの同胞を一日も早く引揚げさしていただきますよう、熱心な御活動をひとつお願いしたいと存ずるのでございます。(拍手)私は、この問題は眞に政党政派を超越して、この問題につきましては、共産党に表面に立つていただいて、持味を発揮していただいて、ぜひ展開していただきたいと、切にお願いするものであります。私は、野坂參三氏が向うにもおきましてきわめて枢要な地位を占めておられ、政治的な指導者であられた、また内部の事情にも通じておられるということをよく承知しておりますがゆえに、この壇上からどうかと思いますが、切にお願いを申し上げる次第であります。(「笑つておつちやだめだよ」と呼ぶ者あり)私はまじめでありますから、どうかお願いいたします政党政派を超越してもこの問題の解決のために、全國津々浦々にわたつて生活苦にあえいでおります引揚げ促進を待つ家族の人々の氣持、あるいはかの地において忍苦の生活をしております人々の氣持をお察し願いまして、議員諸君一人残らず、何とぞこの問題について眞劍に御勘考願わんことを、この機会に切にお願い申し上げる次第でございます。
 準備もありません。きわめて私の眞情のみ吐露いたしましてお願いにかえる次第であります。(拍手)
#58
○副議長(岩本信行君) 高田富之君、発言者を指名願います。
#59
○高田富之君 日本共産党は神山茂夫君を指名いたします。
    〔神山茂夫君登壇〕
    〔「品よくしやべれ」と呼ぶ者あり〕
#60
○神山茂夫君 不正取引委員会の問題について品よく一言しておきたいのであります。(「ヒヤヒヤ」)それは今ヒヤヒヤと言われた石田君あたりが、どういうお考えで述べておられるかしりませんが、この不正取引委員会を、何とかしてこの世に姿を見せないで、これにかえるに考査委員会という化けものみたいなものを持つてこようという計画が行われておるのであります。
 民主党の内閣がつぶれまして、吉田君が民自党の第二次内閣をつくられたときに、たくさん公約を並べられたのでありますが、その大きな公約の中に、一、財界、官界及び政界における綱紀の粛正ということがあつた。このごろ全日本人と全世界の人々が知つておりますように、民自党の公約というものは片つぱしからはげておりますから、いまさらこの公約がはげても何ら驚くことはないかもしれない。しかし、財界、政界及び官界における綱紀の粛正にとつて大きな役割をやりました不当財委を何とかつぶしたいといつて、みずからが公約を破るのには、何かこんたんがあると言われてもしかたがないと思います。(発言する者あり)大いにやりたい。
 そこで申し上げたいのでありますが、一番痛いのは、不正取引委員会が過去の実際の活動において何をやつたか。(「議長、注意してくれ、聞えないから」と呼び、その他発言する者あり)それはすでに事実が立証しておりますように、辻献金問題、土建献金問題その他の事件において一番大きな打撃を受けたのは、まことにお氣の毒でありますが、民主党と民自党でありました。(「ノーノー」「われわれは何を受けたか」と呼ぶ者あり)民自党と民主党が受けた。しかも、ここで大事なことは石炭國管事件その他についてすでに明らかなように、もしもこの活動が行われるならば、その打撃をますますます受けるのは一体だれかということが、ひとつ問題であります。大分興奮されておりますが、興奮する原因がなければ仕合せであります。
 さらに、この考査委員会の問題に関連して、善行をほめるという、まことにけつこうだ。しかし、これがこの不正を摘廃するという事実をおおい隠すものでなければ仕合せだと思うのでありますが、さらに問題なのは、最近の報道によりますと、この考査委員会の中に、民主主義的な運動を取締る云々ということがいわれておるのであります。(発言する者あり)もしも事実が違つていたら、本日の朝日新聞に出ておりますから、朝日新聞に抗議していただきたい。現に諸君が問題にしておられますところの非日委員会の事実については、増田官房長官その他、あの吉田総裁初めいろいろな形で論議している事実であつて、あるとかないとか、そこからやじつていたところで始末のつかない、滿天下知つている事実であります。この事実をあなた方がここで言葉によつてごまかそうとすることはできない。
 その内容を今から説明します。そして、その非日活動委員会の内容そのものを、民主主義に反するという名前によつて織り込もうとしている。(発言する者あり)文句があつたら朝日新聞に行つて抗議してもらいたい。供米の阻害者、あるいは労働不安の不法な誘発、あるいは納税の妨害、あるいは納税の勧獎(「その通り」と呼ぶ者あり)納税の勧獎じやないよ脱税の勧獎。その通りだろう、その通りと言つたことが問題であります。
 供米の妨害と言つたが、日本における、日本の農民の状態を知つているならば――
供米の妨害をたれが行つているのか。これこそ、すでに諸君が知つておられます一九四五年十二月九日に発せられました農民解放に関する連合國軍総司令部の覚書の精神に反する地主的な政策を行つている一部の勢力、これこそが現実に農民の生活を破綻し、供米を阻害する根本的な原因になつているではないか。(拍手)さらに芦田内閣及び吉田内閣がとつている農民に対する諸政策、これこそが農民の供出意欲を阻害しているではないか。ことに重大なのは農民に対する課税がますます農民生活を破壊しているという事実であります。この事実があるからこそ、農民諸君が立ち上るのを押えつけようと――
今その通りだと言われたが、まさにその通りなんで、民主自由党内閣こそが、その立ち上る農民を押えつけようとしているのだ。これが第一であります。(発言するものあり)三町歩をまけてくれと言つたのは吉田で、やつと社会党の諸君ががんばつたじやないか。(「あまりやじにかまうな」と呼ぶ者あり)少しからかつているんだよ。
 さらに労働政策であります。ストライキを禁止するという、しかし、労働者諸君が立り上つてくる最大の根拠は何によつてか。まさに労働者階級の生活そのものが現に破綻しつつあるからではないか。労働者階級の生活を守るために労働者階級がストライキに立ち上ることは、すでに諸君も知つておられるところのポツダム宣言によつて保障されている、極東委員会の十六條原則によつて保障されているところの、日本人民が闘い取つた民主主義的な大きな基本的権利であります。(拍手)
 さらに問題なのは、日本の今日の経済的な危機の根底をなすものは、戰後次々に摘発されて――
今も摘発されるのを恐れている人がいるところの、あの千五百億に上る隠退藏物資であつて、これこそ日本の復興を妨げ、日本の人民的再建を阻害する最大原因であつたことは、民主主義的な人々は何人も知つている。この事実を諸君は何と言つてごまかそうとするのか。(発言する者多し)
 さらに納税の妨害の問題がある。納税の妨害をしているのは一体たれなのか。現に納税が人民生活に破壊を及ぼすほど重大な負担になつていることは、三月十五日に吉田首相それ自身が言つたと、新聞にこれも書いてある。さらに増田官房長官そのものが言明しているではないか。こういう現実を私たちが見ます場合に、この納税の問題は、單に共産党に対する一部の誹謗の道具にはなつているが、現実にわれわれが行つているものは、適正な、民主的な納税であることを強調せざるを得ない。
 さらに脱税の勧獎の問題であります。脱税の勧獎はどなたがしておられるか。たれがしているか。このことは、最近に摘発されておりますところの、また新聞紙に次から次に発表されている事実を見れば明らかなように、かえつて反動的な、保守的な勢カが行つていることも明らかな事実ではないか。
 こう数えて來ますと、この不正取引委員会を何とかごまかしたい、何とかして考査委員会という美名のもとに隠れて、実は最も反動的な、保守的な政党の立場を守るばかりではなくて、現に経済的な生活そのものを破綻して、みずから立ち上らざるを得ない労働者諸君、農民諸君、さらに中小工業全体が、今日行われんとしておるところの集中生産によつて全滅しようとしておる。從つて、ここから立ち上つて來ようとする中小工業者諸君、さらに日本の教育そのものが文字通り危機に瀕しておることは、民自党の諸君といえども痛感しておる事実ではないか。
 これらの事実をわれわれが考えるとき、さらに日本の独立をほんとうに遂行しようとするならば、たれが眞に民主的にポツダム宣言の精神を生かすか生かさないかという問題こそ、かぎなのであります。(「それは民自党がやる」と呼ぶ者あり)民自党がやると言うが、その民自党こそ最も横暴な、最も反人民的な、最も独占的な、最も惡虐な大資本家の手先なのである。(拍手)そして彼らこそが、二百六十九の絶対多数を誇りながら、その内面においてすでに今日危機に瀕しているではないか。そして、今やまさにこの考査委員会というような形によつて、盛り上りつつあるところの人民的な大運動を弾圧しようとしておるのであります。
 私たちは、こうした観点から不正取引委員会の設置を要求するばかりではなく、さらに考査委員会のような名目によるところの、最も反人民的な、これこそ最も反日本的な活動に対して重大なる反対意見を強調するものである。(拍手)
#61
○副議長(岩本信行君) これにて自由討議は一通り終わりました。
    ―――――――――――――
#62
○今村忠助君 この際暫時休憩されんことを望みます。
#63
○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて暫時休憩いたします。
    午後三時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時三十四分開議
#65
○副議長(岩本信行君) 休憩前に引続きまして会議を開きます。
    ―――――――――――――
#66
○今村忠助君 自由討議は延期し、明二十六日午後三時より本会議を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#67
○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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