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1949/04/05 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第12号
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1949/04/05 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第12号

#1
第005回国会 本会議 第12号
昭和二十四年四月五日(火曜日)
 議事日程 第十号
    午後一時開議
 一 國務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 國務大臣の演説に対する質疑
    午後一時十三分開議
#2
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(幣原喜重郎君) 國務大臣の演説に対する質疑に入ります。淺沼稻次郎君。
    〔淺沼稻次郎君登壇〕
#4
○淺沼稻次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、総理大臣の施政演説に関連をして、吉田総理大臣並びに四、五の閣僚に対して質問を試みんとするものであります。
 私は、昨日議席におきまして、吉田総理大臣の施政演説を伺いました。演説は短かかつたのでありますが、院内三百余名の與党を背景に、持たざる階級、労働者、農民、中小商工業者の犠牲の上に、大資本に奉仕せんとする意欲は、相当深刻なるものがうかがわれたのであります。(拍手)そこで私は、政府反対党として、働く階級の側に立つて質問を展開して参りたいと思います。
 第一点は、憲政運用に関する事項であります。去る一月総選挙の結果は、民主自由党を二百六十九名の院内絶対過半数たらしめたのであります。從つて反対党たる私どもも國民も、また民主自由党の方々も、当然民主自由党の單独政権ができるものと期待しておつたと思います。しかるに、從來單独政権の主張者でありました吉田総理大臣は、この道を選ばずに、総選挙前に自己内閣に不信任案をつきつけた民主党の一部を引入れまして、保守連立政権を組織して遂に民主党を分裂せしめ、総選挙後明朗であるべき政界に、一抹の暗雲を低迷せしめつつありますつ(拍手)
 民主自由党と民主党とは、その組織的基盤が、ともに持てる階級の上に立つていることは同じでありまするが、その現実政策については、民主自由党は自由主義経済の立場に立ち、民主党は修正資本主義という立場から、計画経済の必要性を認めており、経済安定九原則に対する態度についても、必ずしも一致しておりません。しかも前に述べた通り、民主党は第二次吉田内閣不信任案提出者であります。それが一緒になつて内閣を組織したことは、國民の了解に苦しむところであります。この憲政運用に対する総理大臣の考え方について、言明を得たいと考えるものであります。(拍手)このことは、野
党たるわれわれのみならず、全國民の聞かんとしておるところと存ずる次第であります。
 また吉田総理大臣の保守連立政権の構想に関して、一部には吉田内閣が憲法改正を意図し、そのためには院内三分の二の勢力の確保の必要性からと説く者がございます。新憲法実施せられまして、まる二年になんなんとしております。ある意味においては再檢討の時期に到來しておるとも言えましよう。はたしてしかるか、ここに明快なる御答弁をいただきたいと存ずるものであります。(拍手)
 第二点は、昭和二十四年度予算編成に対する政府の態度についてであります。政府は組閣後、二月下旬に至つて予算編成を完了、関係方面と折衝を開始したようでありますが、その後ドツジ声明が発せられ、内示案なるものが提示されるに至りました。その結果政府は、客観的情勢と自己政党の公約との板ばさみとなり、遂に内示案に基き予算案を編成せられたようであります。もちろん現在わが國の置かれておる立場からいたしまして、やむを得ないと言うかもしれませんが、國民の立場からいえば、そう簡單に、やむを得ないというだけでは済まされないのであります。(拍手)私は議院運営委員会において、いわゆる内示案なるものは強制力を持つ勧告案であるかということを聞いたところが、大藏大臣はこれに対し、それは非公式なものであり、まだ交渉の余地があるやに承りましたが、出て來た予算案は、内示案によるものであります。これまたやむを得ないと言うかもしれませんが、これはいまだかつてないことでありまして、吉田内閣の予算編成に対する自主性の喪失といつても過言ではないと思うのであります。すなわち民主自由党の公約なるものが現実に即せざることを、客観的に指摘されたものであるといつても過言ではありません。(拍手)まさにその責任重大といわなければなりません。
 予算案には、民主自由党が総選挙の当時公約せる取引高税の撤廃、所得税の軽減、運賃、逓信料の値上げ反対、供出後の米の自由販賣、公共事業費の増額等、重要政策はたな上げとなつております。経済安定九原則の指令が発せられたのは十二号十八日で、総選挙前であります。しかもそれは経済十原則、企業三原則、経済安定九原則と一貫せる方針で貫いておるのであります。從つて吉田総理大臣が九原則の指令を受けたときから、九原則のもとにおいては民主自由党の自由主義経済政策は実行不可能なることがわかつておつたはずであります。(拍手)経済安定九原則はマツカーサー元帥から日本政府に対して発せられた重大な命令であります。そのすべては敗戰後の日本経済再建のために、そうしてまた日本民族が平和と安定と自由を獲得するための前提として、必ずなし遂げなければならない日本人みずからの問題であり、國民ひとしくその責に任ずべきものであります。(拍手)しかるに民主自由党は、経済安定九原則が発表された当時、経済安定九原則は自己の政党の政策に一致すると声明をして、総選挙の際幾多の自由主義政策を掲げて投票を集め、絶対過半数になつたのであります。問題はここに存ずるのであります。すなわち民主自由党の客観的情勢とその公約との板ばさみは、選挙に臨む前に経済九原則を軽視し、党利党略の見地より自由主義経済政策を掲げた結果であるといつても過言ではありません。(拍手)日本経済の再建に関する認識の欠如、無方策を示すものでありまして、國民を欺瞞して投票を集めたといつても断じて過言ではないと思うのであります。(拍手)しかも天下の公党として、総選挙の結果院内絶対過半数を制して、重要政策をたな上げしなければならないことは、民主主義政治確立のために一大汚点を残すものにして、その責任は重大といわなければなりません。(拍手)吉田内閣は予算編成に関し、その自主性の喪失、公約実行不可能なることになつた現実にかんがみまして、その進退について考慮すべきであると、こう考うるものであります。いな総辞職を行うことが当然と思うのでありまするが、この点について総理大臣の見解を承りたいと存ずるものであります。(拍手)
 次に、所得税の軽減、公共事業費の増額は、國民的要望であります。これらの問題は全然考慮の余地はないか、また衆議院の修正に應ずる考えがあるのか、この際承つておきたいと思うのであります。
 公共事業費中、災害復旧費、土地改良費等、これらは國土保全に関する費用であります。六・三制の費用は文化國家再建の基礎となるべきものであります。失業救済費は現下の情勢よりいたしまして、当然増額されなければなりません。今ここに六・三制の徹底並びに教育予算について、文部大臣の答弁を求めたいと思います。
 わが國の民主化が、新憲溝の制定、それに基く諸法令の制定に從つて、一つの軌道に乗つたということは言えるのであります。しかし國民の多くは、新憲法の精神並びに幾多の法令を身につけておりません。これらの精神をその生活の中に生かして行かなければならないのであります。これが徹底のためには、教育が振興されなければなりません。教育文化の振興こそは、日本民主化の礎石であります。すなわち予算編成の上に教育文化費の優先性が保持されなければなりません。しかるに、新学期実施のために最も重要なる新制中労校の建設費の大部分は削除され、ために中学校の教室不足は度を加え、小学校の教室不足と、新制高等学校の整理統合を強化しております。すべての生徒、兒童の学力低下を必然ならしめ、義務教育費國庫負担法による涜職員の経費を大幅削減した結果は、涜職員の首切りと賃下げが開始されんとしております。定時制高等学校の経費の削減は、勤労青少年の希望を踏みにじり、育英資金の削減は勤労者の子弟の勉学を押え、科学研究費の削減は科学技術の進歩を妨げ、まさに教育は危機に瀕しておるのであります。(拍手)教育の危機は日本民主化の危機であるといつても過言ではございません。(拍手)この日本民主化、教育の危機に対して、文部大臣はいかようなるお考えを持つておるか、この際承りたいと存ずるのであります。(拍手)
 さらに、政府が四月十五日までの暫定予算を提出するにあたつて、財政法の改正案が提出されなかつたゆえをもちまして、その審議が紛糾いたしたことは、お互い御了承の通りであります。しかるに本日の予算委員会におきましても、予算審議の途上において、これと並行審議すべき地方配付税の一部改正法律案の提出なきために、遂に與党を含む滿場一致をもつて審議は繰延べられたのであります。これすなわち政府の國会無視に対する國会側の一致せる反撃であるといつても過言ではないのであります。(拍手)かくのごとき國会無視の傾同に対して、政府はいかようお考えになつておるか、答弁を承りたいのであります。
 加えて総理大臣にお伺いをしておきたいと思いますることは、総理大臣は、現在出されておる予算案につきまして、更正するために臨時議会の召集を意図されるやに、談話で発表されているのであります。すなわち税制改革の断行、あるいわ國有財産拂下げの調査ができ上つた後においては、更正予算を議会に問うと一言つておるのであります。しからば現在出されておりまする予算案は、まさに暫定予算案であるといつても過言ではございません。(拍手)暫定予算案を出して、將來すべきところの案をまだ持つて、臨時議会を予想しつつ議会の運営に当つておる政府の腹の底は、これまた國会無視の傾向の現われであるといつても、断じて過言でないと思うのであります。(拍手)かかる傾向に対して、総理大臣はいかようなお考えを持つておるか、この際承つておきたいと思います。
 第三点は、行政整理と失業対策について質問をいたします。旧憲法のもと、國会の機構は民衆弾圧の機関であるといつても過言ではありません。すなわち新憲法のもと、國家の機構は國民に対するサービスの機関となり、官公吏は國民全体に対する奉仕者となりました。この根本方針に基きまして、片山内閣は官僚内閣の総本山といわれた内務省、司法省を解体し、労働者に対しまするところのサービスの機関として労働省を設置するに至りました。しかし他の官廳は戰時中の組織そのままであります。日本において民主化の最も遅れているものは、この官廳の機構であるといつても過言ではありません。從つて行政機構の改革、行政の民主化が前提となつて、行政整理が行われて参らなければならぬのであります。しかるに吉田内閣の行政整理は、主として財政的見地より計画され、天くだり的に現業二割、非現業三割、教員一割、合計五十七万という首切り行政整理を実施せんとしておるのでありまして、われらの納得のできないところであります。
 現在官公廳の組織は、終戰後新設されたもの以外は、大部分が明治三十一年の制度を基準として、これに若干の修正を加えて機械的膨脹を來したものにすぎず、新憲法下國民のサービス機関たるためには、その要請に應じない幾多のものを持つておるのであります。第一には機構の膨脹と、特に高級官吏の過剰であります。昭和二十三年には中央百八十万、地方百二十三万、特に高級官吏の膨脹ははなはだしく、昭和七年を一〇〇とすれば、三級官の二一四に対し一級官は六四〇という指数を示しておるのであります。行政事務の煩雜、非能率、さらには責任体制の欠除、重複監督機構の弊、人員配置の乱雜等をあげることができるのであります。從つてこの欠陥を克服するためには、その目標を行政の民主化、簡素化、能率化に置き、改革はその行政の系統化、分業化、統合化、科学化が行われなければなりません。この見地より、政府は現在の内閣制に対し、各省の廃合、各省内の部局の整理を行うべきであると信ずるが、行政機構の改革に対しいかなる見解を持つておるのか、お伺いしたいと思うのであります。
 たとえば文部省の解体、文化省の新設、建設省の拡充、すなわち建設省に農林省の開拓局、運輸省の港湾局、商工省の電力局が包含られ、建設行政の一元化をはかるべきであり、経済安定本部は企画廳として、その実施は各省をして当らしめ、地方出先機関の徹底的整理を行うべきであると思うのであります。また大藏省の主計局は予算局として総理廳に移管さるべきだと思つのであります。
 右のごとき行政機構の改革を行いますれば、必然的に過剰の人員を現わして來るのでありまするが、これはただちに首切りを意味しないのであります。職務の繁閑に應じて人員の合理的な配置を行うことをも意味するのであります。改革が能率化を目的とし、究極的には産業の振興を期するものである以上、そのためにたとい一人でも飢える人を出すことは、改革の本旨に縁遠いといわなければならないのであります。(拍手)從つてやむを得ず離職する場合にも、他の一般産業の発展と結合せしめて、國家的規模における配置轉換の趣旨を貫いて参らなければならぬと存ずるのであります。すなわち行政整理の精神は積極的な首切りにあるのではなく、積極的に行政機構の改革と産業の発展を期するところにあると存ずるのであります。(拍手)
 しかるに政府は、行政整理は行政機構の民主的改革に伴つてやむを得ず生ずる処置であるにもかかわらず、現内閣の方針は、歳出削減を機械的首切りに求める單なる天くだり整理であつて、全然その本末を顧倒せるものであります。(拍手)第二には、整理による経費の節減はわずか四十数億に過ぎず、退職手当、失業保險、失業対策としての公共事業費を勘案すれば、むしろ歳出増になるおそれがあるのであります。第三には、政府の失業対策はきわめて粗雜であります。しかも金額は寡少であつて、あふれる失業者を救うには、あまりにも貧弱であるといわなければなりません。第四は、政府の企図する天引行政整理は、民間企業の首切りを誘発し、一時に多量の失業者群を生み、社会不安を激発して、かえつて産業復興を阻害する結果になります。これらに対し政府の所見を承りたいと存ずるのであります。政府はいかなる失業対策を持つておるか。行政整理から生ずる失業者と企業整備より生ずる失業者、引揚者、さらには潜在失業者の現われて参りまする者を加えますならば、百七十万になんなんとするといわれております。この失業者は働く意思と働く能力とを持ちながら、働く場所なきために困つておるのであります。これらの人たちは明らかに國家の政策の犠牲となつて現われて來ておるものでありますから、これに仕事と職を與えることは当然國家のとるべき態度でなければならぬと思うのであります。(拍手)
 第四点は、吉田内閣の労働政策についてであります。第二次吉田内閣は、第三國会、第四國会を通じて、全官公廳で働く労働者より團結権、團体交渉権に制限を加え、罷業権を奪いとつたのであります。その後選挙中には、全官公廳において働く労働者に対して四十八時間の強制労働、賃金の調整を行い、さらには五十七万の首切り行政整理をやらんとしておるのであります。これらのことは企業整備を必然ならしめて、先ほど百数十万の失業者が出ると私が申し上げた通りであります。また所得税の軽減はこれをたな上げをいたしまして、あらゆる面においてその反労働者性を暴露しておるのであります。
 そればかりではなくて、労働組合法をも改正して團体交渉権、罷業権に制限を加え立ち上る労働者の運動に制限を加えんとしております。日本経済の再建は、労働者の協力なくしては期せられません。吉田内閣の労働政策は労働者を抑圧して、ただ單に一方的に耐乏生活を要求して、労働階級を闘爭にかり立てるようなものであります。各地に頻発せる労働爭議の傾向はこれを雄弁に物語つておるのであります。また去んぬる大阪において行われました産別系の人民大会、あるいは労働総同盟を中心としてなされた労働者大会並びに示威運動に対する断圧は、最もよくこの内閣の反労働者性の暴露であるといつても過言ではないのであります。(拍手)そこで政府は一体いかなる方策をもつて労働階級に手を差延べて協力を求めるのか、具体的なる政策を私は承りたいと存ずるのであります。
 また労働組合法の改正については、一方的に官僚が案を作成して形式的に公聽会にかけ、現在議会に提出せんとしておるのであります。案の取扱い方が非常に非民主的であります。労働組合法は労働組合の正常なる発展を保護助長する保護法であるべきにもかかわらず、経済安定九原則の実施に名をかつて、労働階級の一方的犠牲を強要する取締法にすりかえんとしておるのは、労働組合法の改惡であります。
 この労働省より示された試案について申し上げまするすらば、第一には、組合員の範囲を不当に制限し、幹部労働組合をでつち上げて、労働組合の分烈、弱体化を意図しております。第二には資本家に対しては團体交渉を拒否する口実を與え、不当労働行為の違法性を緩和して、その惡逆行為を使嗾しておるのであります。第三には、労働委員会の権威とその自主性を蹂躪しております。第四には、総理大臣にかつての緊急勅令にもひとしい公共企業の独断的指定権を與えております。第五には、あらゆる労働爭議に予告期間を設けて労働者唯一の武器である罷業権を不当に抑圧しておるのであります。まさに憲法において保障せられておる労働者の基本的人権に対する制限を加えんとするものでありまして、労働階級の断じて承服しあたわざるところであります。もし政府がこれを強行せんとすれば、日本民主化の前進も、働く者の手による生産の復興も、祖國の再建も期待できません。政府はその改正試案を一旦撤回をいたしまして、労働代表を加えた労働法規審議委員会ともいうべきものをつくつて再檢討する意思を持つておらざるか、この際承つておきたいと思うのであります。(拍手)
 第五に、農地改革に関連をいたしまして、一、二点質問を申し上げます。農地改革は一部の地主の強力なる反対があつたにもかかわらず、昨年末をもつて百六十万町歩の土地が解放せられたのでありまするが、いまだ六十万町歩の小作地が存在し、不耕作地主の存在を見るのであります。また田畑を解放せしめられました地主階級は、山林によつて封建的勢力の維持に汲々たるものがあります。申すまでもなく、農地改革は農村における封建勢力打倒のための土地改革であります。農村民主化のためにも、生産増強のためにも、農地改革はさらに推進せしめて参らなければなりません。(拍手)そこで農林大臣に対して、現政府は第二次農地改革のでこぼこを調整するばかりでなく、不耕作地主の耕地の解放、開墾適地林野の計画的開放、耕地の交換分合について、いわば第三次農地改革についていかなるお考えを持つておるのか、承りたいと思うのであります。(拍手)
 さらに新聞の報ずるとろによりまするするば、政府は小作料の値上げを意図されておるということが一言われております。はたしてしかるや。もし小作料の値上げを行いまするならば、それは必然的に米價の値上りを生ずる結果となりまするが、これらに関して農林大臣の所見を承りたいと存ずるものであります。
 最後に総理大臣にお聞きしたいのは、戰爭の危機に対する御意見並びに現在の國際環境に対するわが國の態度であります。昨日総理大臣は戰爭の危機問題に触れまして、海外情報に迷わされるなという警告をされました。これについては、國民を納得せしむるだけの國際情勢に対する具体的説明がなければたりません。私はこの席上において、この具体的説明を総理大臣に求めんとするものであります。
 第二次世界大戰後、世界は民主主義國家群と共産主義國家群の二つの陣営にわかれ、冷い戰爭の名によつて呼ぼれる二大國家群の対立は深刻なるものがあるのであります。北大西洋同盟條約の締結は、さらにこの対立を激化しつつあります。戰爭準備は急速に行われつつあります。米ソを初め、世界は第二次戰爭後わずか三年にして再軍備時代にあるといつても過言ではありません。かかる世界情勢の中にあつて、戰爭を放棄したわが國はいかに処して日本の中立性と平和を守つて行かんとするか、具体的施策を私は伺いたいと存ずるのであります。(拍手)
 しかもかかる情勢の中にあつて最もわれわれの要望するものは、講和会議の促進とと民族の自主性の回復であります。終戰三年有半、無條件降伏したのでありまするから、現在祖國の置かれている立場はやむを得ないと存じます。しかし八千万國民は一日も早く民族の自主性を回復し、日本のことは日本人みずからの手によつてきめて行きたいという念願に燃えておることであろうと思うのであります。(拍手)それには早く講和会議が成立をしなければなりません。私どもは去る第三國会において対日平和会議促進懇請決議案を上程、民主自由党から共産党に至る各党各派の賛成を得て、この議場において滿場一致可決を見たのであります。その際吉田総理大臣から、大いに努力する旨の言明があつて、力強く感じたのであります。また社会党はこの問題を取上げまして、去んぬる三月二十二日、マツカーサー元帥あて講和会議促進に関する懇請書を提出いたしました。二十三日マツカーサー元帥はホイツトニー將軍を通じてわが党に対し、自分は早期講和会議成立のために努力して來た、今後も大いに努力するはずであるが、すべては連合軍の決定によることを承知せられたいという言明がありました。われらはこれに感激をいたしまして、八千万國民署名運動を展開しておるのであります。しかし諸君、講話会議促進の運動は断じて一党一派の問題ではございません。國民全体の問題であります。これが完成のためには、もちろん日本の民主化が徹底をされて参らなければなりません、経済の自立が行われて來なければならぬのであります。しかしそれと同時に一日も早く講話会議が促進されるよう努力することは、日本の國民に與えられたる務めであるといつても過言ではありません。これに対して総理大臣はいかようなお考えを持つておるか、この際承りたいと存ずるのであります。以上申し上げまして、総理大臣初め各省大臣の明快する答弁を要求する次第であります。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#5
○國務大臣(吉田茂君) 淺沼君にお答えをいたします。民主党の一部と連立いたしたことについて攻撃でありますが。私は常に政見、政策を同じくする者とともに政局に立ちたいということは、終始言つておることであります。すなわち私の民主政治確立の理想は、二大政党が相対立して民主政治の基礎をなしたい、この考えから、いやしくもわれわれと志を同じゆうしている政党政派は、ひとり民主党の諸君のみすらず、その他の政党の諸君においても、同じく政局に立つて天下のまつりごとをなしたい、こう考えるものであります。なぜわれわれはこう言うかといえば、今日日本の現状を見ますと、インフレーシヨンをとどめ、また今日における幾多の情景を改めるためには、よほどの決心をいたさせなければならぬのであります。敗戰後において日本政府はこれらの庶政革新をするために、断固たる政策をとるべきであつたのでありますが、遂にその時機を得ずして今日に至つたのであります。しかしながら民自党の内閣は、絶対多数をとつたこの機会において庶政刷新をいたして、日本の経済、日本の政治の建直しに直進いたしたいと思うのでありますから、(拍手)かりにわが党が二百七十名になんなんとする多数を擁しても、多々ますます可なりなのであります。なるべく同志を多くして、同志とともにこの政局に立つて、日本の復興、日本の再建に協力いたしたいと考うるのであります。(拍手)
 また、ただいま浅沼君から憲法改正の意思ありやといわれましたが、憲法改正の意思は、今日において持つておりません。今日われわれの念願いたすところは、経済の復興であり、日本の再建であるのであります。このためには議会において所要の多数をもつて幾多の難関を排してこの難局に立つ必要があるがゆえに、われわれと志を同じゆうする諸君と政局に立ちたい、こう考えたのであります。
 また予算案については、九原則もしくはドツジの声明を根幹といたしておりますが、わが党はこの声明、この九原則は衷心よりこれに賛成いたし、これによるにあらずんば日本の復興は不可能なりと考えるがゆえに、この線に沿うて予算を編成いたしたのであります。やむを得ずとか客観情勢とかいうことは、わが党の内閣にあらざる内閣においてよく繰返されたことでありますが、(拍手)わが党内閣においてはこの予算案は政府の責任において実施いたすのであります。
 または公約云々ということを始終仰せになりますが、昨日私の施政演説において申した通り、緩急よろしきを得て漸を追つてこれを実行する。のみならず取引高税あるいは所得税の軽減等は、税制審議会において審議を盡してこれを実行いたすということは、申した通りであります。(拍手)今日の税制は戰爭以來十何年間の星霜を経ており、その間に改正いたすべき点は多々あると思うのであります。しかしながら税はおのおの連関いたしておつて、税制全体について研究いたすにあらずんば、ある一税をとらえてこれが惡税なりといつて、ただちに全廃せよということは、これは財政に通ぜざる者の言と思うのであります。また臨時議会を召集して行政整理あるいはその他の歳入歳出の是正をして、そうして現予算の欠陥を補う、そのために臨時議会を召集する、これは議会政治を重んじ、民主政治を重んずるからであります。(拍手、発言する者あり)
 また國際的情勢について私が施政の演説の中に申し述べておきましたが、今日いずれの國といえども、平和を愛さない者はない、戰爭を希望する者はないのであります。ゆえにこの情勢に顧みて、この世界の輿論からいつてみて、再び戰爭がただちに起るということは、私は信じないのであります。(拍手)ある大きな戰爭のあとには、必ず一時再び戰爭が起るがごとき機運が生ずるのは普通であります。これは歴史上の事実であります。ゆえにこの第二次世界戰爭のごとき大戰のあとにおいて、平和の機運がときに怪しくなつて戰爭機運が起り、いろいろな利害が衝突する、平和になつてみて戰爭中考えられないがごとき利害の衝突が現実に発生するということは、今日においてのみすらず、今日までの歴史において大きな戰爭のあとには必ずこういう機運が生ずるのであつて、あえてこれは怪しむに足らないのであります。しかるにもかかわらず軽々しく戰爭を云々するということは、私は日本の國民の常識を疑わざるを得なくなるのでありますから、國民諸君は海外情勢のためにするところの情報などは、軽々しく御信じにならないように希望するものであります。(拍手)
 講和條約については、私もなるべく早く促進するように希望してやまない一人であります。私は絶えず連合軍司令部当局に対して、講和会議の促進、もしくは講和会議がただちにできないとするならば、これにかわる何らかの処置を講じて、よつてもつて講和條約にかわる実績を得たいということは、これはこの演壇において私が常に御報告いたしておるところであります。しかしながら講和会議なるものは世界の情勢に上ることであり、列國の間の関係によることであつて、いたずらに懇請いたしても、これは実現はむずかしいのであります。(拍手)日本が経済的に独立して、眞に属際の一員として國際の平和に寄與し、國際関係に貢献するだけの資格が列國から認められて、ここに初めて講和会議は促進せられるのであります。いたずらに議場において騒いだり、議場において━━なすがごときことは、私は講和会議を促進するゆえんではないと思います。(拍手)
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#6
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの総理大臣の発言につきまして、抗議を申し込まれておりますが、速記録を調べました上で、議長は適当に処置をいたします。
    〔國務大臣高瀬荘太郎君登壇〕
#7
○國務大臣(高瀬荘太郎君) 淺沼議員の御質問にお答えをいたします。
 わが國の民主化を期するために、教育の振興が基本的な條件であるという点は、まつたく御説の通りであります。これがために必要な文教予算の獲得のために、私としては全力をあげて盡したつもりであります。しかし現下政治的、経済的條件のきびしい制約を受けまして、非常な困難に直面しておるのであります。從つて予算における、お説のような教育文化費の優先性を保持できなかつたということは、まことに遺憾にたえないところであります。
 次に、六・三制の建築費補助予算につきましては、まだはつきりと確定したとは申し上げられません。なお関係方面と折衝継続中であります。しかし非常に憂慮すべき状態にありますことは事実でありまして、これにつきましては、なお引続き最善の努力をいたすつもりでおります。
 義務教育費國庫負担金及び定時制高等学校経費の一部削減が行われましたことは、はなはだ遺憾でありますが、お話にありましたように、これがために現職の教員が首切られるとか、賃金が下げられるというおそれはないと私は信じております。しかしこれがために、教員の時間的な負担が相当増加いたしますことは、避けられないのでありまして、この点遺憾ではありますが、現在の窮迫した財政状態から申しまして、教員各位の御理解を得、積極的協力を得まして、何とかこの危機を切り抜けたいと考えております。
 育英資金の削減が、勤労青年の進学に困難な事情をもたらすことも事実でありますが、與えられた予算の範囲内におきまして、最も有効適切な運営方法を講じて、この困難に対処して行きたいと考えております。
 科学研究費につきまして、削減されたというお話がありましたが、これは事実ではありません。昨年の予算は二億五千万円でありましたが、二十四年度予算は、約倍額の四億五千万円を計上しておるのであります。國家財政の最も困難な現状下におきましても、科学研究の重要性につきましては、政府としてもこれを十分に認め、相当の努力をいたしたわけであります。
 要するに教育が財政的原因によつて重大な危機に当面しておるということは、否定できないのでありますが、與えられた惡條件のもとにおきまして、全國民の協力を得て、あらゆる努力くふうを盡しまして、この危機を克服したいと考えておるのであります。(拍手)
    〔國務大臣本多市郎君登壇〕
#8
○國務大臣(本多市郎君) 淺沼君の御質問にお答えいたします。
 今回政府は行政整理を行わんとしておるのでありますが、戰後わが國の行政機構は厖大化し、複雜化しておるのであります。これを何とかして、國力に相應する行政機構に改めたいという考えであります。その行政整理の目標は、どこまでも事務の簡素化、作業の合理化によりまして、能率発揮のできるようにというのが目標であります。(拍手)この行政整理を実施するにつきまして、民主化の線に沿うて実施すべきであるというお考えは、まことに同感であります。從つて高級官吏についても、一律に整理の対象とするのであります。今回の行政整理の方針は、これは当面の方針でありまして、根本的には淺沼君の言われましたような観点からも、研究をする必要があると思いますので、さらに行政制度審議会を設けまして、相当の日時を置いて十分研究して、根本的にも解決いたしたいと考えております。(拍手)
 またこの行政整理が民間の人員整理を誘発しはしないかというお話でありましたが、これは不健全なる企業におきましては、合理化の過程において人員整理を余儀なくせられる面もあろうかと思われますけれども、やがて健全なる産業の勃興となつてそれを吸收する面を開けて來ようかと思うのであります。(拍手)
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
#9
○國務大臣(鈴木正文君) 失業対策の最終的の終熄の形が、結局國民経済の中における新しい雇用量の増加と、從つてそれを対象とした積極的な配置の轉換であるべきであると言われる淺沼議員の考え方には、私もまつたく賛成すのであります。私たちの考えるところでは、主自由党の年來の主張であるところの幾多の政策及び九原則を通しての新しい國民経済の組みかえ、その中から生れて來るところの雇用量の増加という面に、最終的に失業者を吸收さして行くという段階にまで至つたときに、初めて失業対策の問題が解決するのであつて、その方式ほもちろん重視すべきであると考えておるのであります。
 問題はその段階に至るまでの時間的の措置をいかにすべきかという点にあることは、もちろんであると思うのであります。今百四十万ないし百七十万という失業者が一應算定されております。これはもちろん一つの推定でありまして、絶対的のものではありませんけれども、一應の推定はそうなつておるのであります。これに対しまして今年度、貿易その他自由産業方面において、雇用量が増加するであらうと推定されるものは、大体四十万前後ではないかと思うのであります。そういたしますと、そこに百万前後のものが残つて來る。れがただいま申しました段階的に措置して、そうして來年度以後の雇用量の増加をもつて、最終的に吸收して行くべき対象であるということにすると思うのであります。私どもの準備しておりますのは、一つは当面に出て來るところの失業者に対して、現在幸いに充実しておるところの失業保險の制度をもつてこれに当つて行く。大体五、六十万の人がこれに当て得ると思うのであります。それからそのほか職業補導等をもつて当つて行く。最後にある程度の直接的な失業救済をもつて当らなければならない層が出て來る。これに対しまして御指摘の通りに今予算が十分とつてないことは事実であります。この問題につきましては政府全体の責任といたしまして、予算的措置をとるか、あるいは近く開かれる臨時國会において、責任をもつてこの予算的措置をとつて、そしてその当面的の段階にこたえて行きたいと考えておるのであります。(拍手)
 次に吉田内閣の労働政策の問題についてお尋ねがありましたけれども、吉田内閣の根本的な労働政策に対する考え方は、労資対等の原則の上に、健全な民主的な組合運動を質量ともに展開すると同時に、破壊的、政治的な組合運動に対しては断じて反対であるとうのが、民主自由党の考え方なのであります。労働法規の改訂につきましても、幾多御指摘がありましたけれども、現段階において、條件の許す限りにおきまして公聽会、その他を通じて、十分民意を聞いたのでありまして、その法規の根本もただいま申しましたような、自由にして建設的な民主的な組合を育成援助する――援助するというよりは質量ともに展開して行くという点に基点が置かれておるということは、近く今國会に提案されるであろうところの最後の法案をしさいに吟味していただきましたならば、御了解を得られると思うのであります。(拍手)
 なお審議会その他をこの場合につくつてそれにかけて行く、あるいは法案の提出を見合せるという考えは、現在持つておりません。(拍手)
    〔國務大臣森幸太郎君登壇〕
#10
○國務大臣(森幸太郎君) 淺沼議員の御質問にお答えいたします。
 農地調整後のでこぼこを直す意思があるか、こういうお尋ねでありましたが、この問題につきましては、土地の交換分合によりましてこのでこぼこを調整いたしたいと、かように考えております。残つておるところの小作地に対して、これを解放するかという御質問でありましたが、この小作地の解放は考えておりません。
 なお開墾地について、林野の計画との問題をお尋ねになつたのでありまするが、未墾地の買收がややもすればその方針を逸脱するような場合もできて参りましたので、昨年の末、未墾地買收予定設定の基準を定めまして、この基準に基いて、國土保安の上からこの未墾地は農地に開放してもいいか惡いか、愼重なる審議を経ました後において、これを買收し耕地にして行きたい、かように考えておるわけであります。(拍手)
 なお小作料を値上げするということについて、米價や農産物に対して値が上るようなことになるではないかという御質問でありましたが、今日の小作料は、今日の物價の情勢から考えてみまして、決して妥当とは考えられません。目下愼重に研究を重ねておるのであります。よしこの小作料を値上げいたしましてもパリテイー計算によつて米價を起算するのでありますから、決してこの米價を上げるというようなことはないと、かように考えておるわけであります。(拍手)
    〔淺沼稻次郎君登壇〕
#11
○淺沼稻次郎君 大藏大臣は私の質問を聞いておらなかつたようでありますが、私はこの演説の中で一番重大な問題を聞いておるのであります。それはあとで申し上げることにいたしまして、まず第一に総理大臣の御答弁に対して、二、三点私は自分の考えを述べながら、さらに答弁を要求したいと思うのであります。
 第一点は、保守連立政権をつくることは、いわば二大政党確立のためにやつたんだということでありまするが、私は政党の離合集散というものは、いわば日本における客観的な條件というものが整つて、それにわれわれが政党をいかにするかという主体的條件から政党の離合集散を行うべきだと思うのであります。人為的に他党を割つて、そしてそこに新しい内閣をつくつて、それによつて連立政権を通じて二大政党をつくるということは、私は吉田さんのような人のとるべき、態度ではないと考えるのであります。(拍手)
 さらに最後に、私は講和会議の問題について一言触れたいと思うのでありまするが、まあこれはあとで議長が、いたずらに騒ぐという言葉について調査の上にこれを処理するということでありますから、言葉の問題について私はとやこう言うのではないのでありますが、わが社会党、微力ではありまするけれども、講和会議といつたような重大な問題を、一党一派の問題に使おうというような、けちな考えは持つておらないということを、御了承願いたいのであります。(拍手)從つて私は、講和会議は一党一派の問題ではない。総理大臣みずから先頭に立てということを申し上げたのでありまして、この点を御了承願いたいのであります。
 もちろん講和会議促進の前提として、日本の民主化が徹底して参らなければなりません。日本の経済の自立が行われて來なければなりません。國民は日本の民主化の徹底のために努力し、経済自立のために努力し、政府みずから先頭に立つて、日本の民族の自主性を回復することが、吉田さんといえどもとるべき態度でなければならぬと私は言いたいのであります。(拍手)かかる意味合いにおきまして、私は吉田内閣は、もつと講和会議に積極的でありたいということを要望するものであります。
 さらに本多國務大臣の答弁によりますと、原則的には私の申し上げたことを容認しておるということでありますが、しかし結果から申しますと、りくつはそうだが、首は五十七万人切るということでありまして、やほり天くだり的首切り行政整理であるということになるのであります。やはり原則に立つて、聡明なる本多國務大臣でありまするならば、結局失業者は出さなくても、問題が処理できるという態度こそ望ましいと、私は考えておるのであります。
 さらに大藏大臣にお聞き申し上げたいことは、これは過日この議場におきまして暫定予算が問題になりましたときに、いわば財政法の改正法律案が出て來ないうちに、暫定予算を審議することは財政法に違反し、憲法の精神にも違反するということで、紛議があつたのであります。それと同じようなことが、本日予算委員会において繰返されておるのであります。從つて今のような状態で行きまするならば、十五日までに予算の審議を議了しようと考えても、なかなかなか行かないのであるが、一体これに対していかようなお考えを持つておるかということを聞いておるのであります。加えて吉田総理大臣並びにただいま労働大臣がこの席上において、臨時議会を召集して、さらに予算は修正すると言つておるのであります。しからば今提出されておりまする予算案というものに対しては、いわば暫定予算と解すべきであるかどうか。そういうように修正を予想して予算案を提出するということは、明らかに議会の審議権無視であるが、大藏大臣はいかようなお考えであるかということを伺つておるのであります。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#12
○國務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。私は繰返して申し上げるように、この経済危機を突破するためには、政府の後援たる政党はなるべく多数でなければならない。ゆえに政見を同じゆうする政党政派と一緒に政局に立ちたい、これは繰返して申し上げておる通りであります。しかして人為的に他党を破壊するとか何とかいうような術策は、私においてこれを行うがごとき意思は毛頭ないのであります。
 また講和條約について、講和條約の問題は政党政派を超越しておる問題である。その通りであります。私はこの点に対しては滿腔の敬意を表するものであります。また総理大臣が陣頭に立つてやれ、これは総理大臣としてのみならず、総裁といたしまして、も、今日まで講和会議の促進には、ずいぶん努力をいたして來たのであります。陣頭に立つて講和條約の促進をするということについては、異存はないのでありますが、ただ私が申したことは、講和條約に到るまでには、経済の独立もいたさなければならぬ、日本が國際間の一員として、世界の平和に貢献するだけの資格を持たなければならぬということをつけ加えた次第であります。この点は御了承を願います。(拍手)
    〔國務大臣池田勇人君登壇〕
#13
○國務大臣(池田勇人君) 淺沼議員の御質問にお答えいたします。
 先般政府が暫定予算を提出いたしました場合に、駐政法の改正がないから、それは違憲であり違法であるということが本会議で議論になりました。その時に違憲にあらず、違法にあらずと決議になつたと解釈しております。(拍手)つきまして、今日の予算委員会に、二十四年度の本予算案を提出いたしましたところ、配付税法の改正なき限り審議しないという議論がありました。皆樣御承知の通りに、予算案の提出をするときには、おおむね配布税法の改正があつたのであります。このことは過去十年來あるのであります。從いまして、私といたしましては、予算案を提出し、なるべく早い機会に配布税法の提出をする予定を申し上げたのでありますが、委員会におきまして早く配付税法の改正案を提出する要求がございましたので、今日閣議決定をいたしまして、関係方面の了解を得て、今日中にも提出する予定でございます。なお二十四年度の本予算案を提出いたしまして、この予算を執行するにあたりまして、できるだけ歳出を押えて、そうして國民負担の軽減に充てることを、首相並びに私は先ほど申し上げたのであります。從いまして、予算の実行上においてこれを將來改めることがあれば、臨時議会を開いて協賛を得ることは当然でございます。(拍手)しかし、ただいまは御承知の通り、昭和二十四年度の予算案を提案しているのでございまして、將來かかることがありましても、提案いたしました予算は、絶対に暫定予算ではないのであります。御承知願います。(拍手)
#14
○淺沼稻次郎君 ただいま総理大臣、大藏大臣の御答弁を伺いましたが‥‥(発言する者多く聽取不能)
#15
○議長(幣原喜重郎君) 北村徳太郎君。
    〔北村徳太郎君登壇〕
#16
○北村徳太郎君 私は民主党を代表いたしまして、先般行われました國務大臣の施政方針演説に関し、吉田首相並びにその他の閣僚諸君に、若干の質問を試みたいと思うのであります。
 質問をいたします前に、まず先般の総選挙におきまして、吉田氏の民主自由党が衆議院において、絶対過半数を占められた、かような結果になりましたことに対しては私は敬意を表するのであります。
 國民が何はともあれ、絶対過半数を民主自由党に與えたことは、その強力な單独内閣の出現を期待しておつたのであることは、投票の結果がこれを実証しておると思うのであります。この國民多数の意思を尊重せられまして、民主自由党の單独内閣を組織せらるるということは、けだし当然であります。何人も十分に納得の行くところであります。しかるに本來簡明直截を本領とせられる潔癖性の吉田首相が、今回組閣に対してとられた態度は、その本來の性格とも合つていない。きわめて不明朗な複雜怪奇なもので、從つて國民ひとしく納得の行かないところでございます。この点はわれわれのみならず、民主自由党の諸君の間においてさえ、とかくの論議のあることは、先ほど淺沼君も論及せられた通りであります。われわれのかつての同志であつた三十数名の諸君は、連立内閣に参加することを主張し、現実にその一派から二名の閣僚を吉田内閣に送るの結果となりましたために、遂に私どもと、たもとをわかたなければならなくなつたのでありますが、今日総選挙に現われている明白な事実を、すなおに認めるならば、この際連立などと申すことが、國民の前に許さるべきことではない。むしろ眞劍な、嚴粛な氣持で一票を投じた選挙民の意思を蹂躪するものと申さなければならないのであります。組閣にあたつて、これほど無用な波澗を政界にまき起した現実の事件があるにかかわらず首相の昨日の演説の中には、一言もこのことに言及されていない。また昨日青木、池田両君の演説も、わが党の政策、わが党の主張、わが党内閣というような言葉を繰返して、連立の相手方は完全に雲散霧消しておる、連立の相手方はまつたく消えてなくなつているのであります。はたして第三次吉田内閣は、單独内閣であるのか、あるいは連立内閣であるか。連立内閣であるといたしますならば、これは私党ではない。私の党ではない。公党としてのいかなる政党と連立しておるのか。この点を明らかにすることが、政界の不明朗をこの際一掃するために、きわめて必要である思うのであります。(拍手)
 私は昨年十一月十九日、本議場において吉田首相に対して緊急質問をいたしたのであります。その際私は、民主自由党がきわめて盛りだくさんの政策を並べ立てておられるが、その中に一貫した財政政策が欠けている点を指摘いたしました。また今日の客観情勢、特に財政事情からして、その政策の中に、おのずから、できることとできないことがあるから、できないことは、早くはつきり男らしく、できないということを言明されることが、吉田氏のためにも、また民主自由党のためにも、さらには全國民のためにも必要であることを力説いたしたのであります。当時私は強くそのことを勧告いたしたのでございます。しかるにその後選挙が行われまして、しかもその選挙の一箇月も前に、経済安定九原則がマツカーサー元帥の書簡の形式でもつて指令されて來たのであります。しかるに吉田氏も、民主自由党も、すでにかかる明白な事実、かかる明確な情勢が具体的に発生しておつたにもかかわらず、依然として、できもしないことをできるかのごとく宣傳をされ、はなはだしきに至つては、経済安定九原則はわが民主自由党の政策と完全に一致するなどと、臆面もすく主張されて、しやにむに総選挙に臨まれたのでありまして、その結果は絶対過半数という頭数は獲得されましたけれども公約たな上げという、政治道徳上実にゆゆしき問題に直面されておるのであります。(拍手)あるいは占領下にあるのだから、やむを得ないとの釈明をされるかもしれない。しかし私は事実今回予算編成の過程において、占領下にあるという袞龍の袖にかくれて公約の履行が不可能となつた責任の一切を、ここに轉嫁せんとするがごとき印象を與えておる。今や民族の独立を目ざす経済の自立に、日夜精進しつつあるところの日本國民の品位と名誉が、このことによつて踏みにじられたことは、私ども衷心残念にたえないところであります。すすわち二月二十三日組閣後、まだ日も浅い吉田内閣は、総額五千七百八十億円の予算大綱なるものを閣議で内定し、これを天下に公表せられておる。しかもこれは民主自由党の選挙において約束された公約を一應織り込むために、相当苦心をされたものでありまして、私どもは当時まことにみごとなお手際であると思つたのであります。しかもその後ドツジ公使との折衝のことが、一々新聞に発表せられ、昨日提出せられた予算案なるものの、その大綱が内示せらるるという結果になつたのであります。これは九原則の線を嚴格に、かつ強力に推進するという意思がきわめて明確なものとなり、公約と九原則とは、明らかに矛盾するという事実が、國民の曇りのない眼によつて、はつきり確認されたのであります。
 かつて昨年末九原則がマツカーサー元帥から指令せられたとき、吉田首相はこれを忠実に実行いたしますとの書簡を、マツカーサー元帥に送られたやに承るのであります。今回の予算案はもとよりこの九原則の線を、忠実に行おうとするものであり、またこの線以外には日本再建の道はないのだと、吉田首相もみずから言明をされておるのであります。しかしながら民主自由党がみずから掲げた公約に基く予算案を破棄しなければならない悲運を招いたことは、首相が九原則を誠実に実行すると関係方面に確約しておきながら、いざ選挙となるや、九原則をほとんどまつたく無視したところの投票獲得第一主義の、甘い公約を平然と掲げつぱなしにしておる、うまうまと國民の投票をつり上げた結果であり、もともと民主自由党が客観情勢、特に九原則に対して意識的にかどうかは知りませんが、きわめて鈍感であつた。認識不足であつた。また誠実を欠いた当然の帰結であつたと申さなければなりません。今となつて初めてあわてふためいて、この公約不履行を、公約調整の美名のもとに、今日のきわめて大切な時間をいたずらに空費したということは、いまさら笑うにも笑われない悲劇と申さねばなりません。私はこう思うのであります。政策は政党の生命である。從つてその政策は單なる人氣取りではない。思ひつきの羅列ではない、一つの体系と一貫性がなければなりません。そのことはすでに申し述べた通りであります。しかしてその政策は実行が可能であり、実行の意思の裏づけと熱意がなければなりません。これは吉田翁の、とに御承知のところであると思うのであります。
 もとより今日占領下にあるという事実は、動かすべからざるものであります。また九原則という至上命令がわれわれの上に課せられておることも、動かすべからざる嚴粛する事実であります。しかもこうしたわくの中でも、もし叡知と、誠実と、努力とがあるならば、われわれは当然日本人としての感覚と認識において、その基本線を確認して、自主的にその道をみずから切り開いて行くことが許されているのであります。またむしろ今日内外から要請せられておるところであると思うのであります。またここにこそ今日の政党の生きる道があり、使命があると私は信じておるのであります。このことが今日の予算編成問題をめぐつての民主自由党の苦悶を通じて、吉田翁初め民主自由党の諸君の、新たな反省の契機となり、國民の深い理解を得るに至りますならば祖國再建への協力態勢を強くする上に、はなはだ意義深いことと思うのでありますが、ただ今日に及んでも、なお公約にとらわれ、今なお今後の公約の実現を、継続手形の濫発で切り抜けようとされるような印象を國民に與えておることに、國民に耐乏を要求しておる内閣として、この上國民を去就に迷わせ、事態を安易にあまく見させ、再建への熱意をにぶらせる結果となることを私は深く憂えるのであります。健全な民主主義の発達を念願されておりまする吉田首相は、事ここに至つた不明を、國民の前に率直に陳弁して、その道徳的責任を明らかにせられることが何よりも必要である。またそうすることが、実は民主自由党を救い、國民に眞に協力を求め得る正しい態度であると思うのであります。この点もまた全國民、特に民主自由党に投票した一千三百三十余万の有権者が、今や耳をそばだてて聞かんとしておるところであり、私はこの機会に、あつさりと首相からその弁明を承りたいと思うのであります。
 次に質問の第三点は、財政政策の基本理念に関してであります。民主自由党とその公約の問題が、政治道徳上の重大問題であることは、すでに述べたところであります。それにも増してより重大な、しかも今や國民をして不安のただ中に置いておる大きな問題、すなわちそれは財政政策についての根本的な立場の問題であります。元來民主自由党はその本來の性格からいたしまして、また從來掲げ來つた各般の政策の面から見まして、むしろインフレーシヨン政策的な立場において、自由経済主義に立脚し、もしくは少くとも機会あるごとに自由経済主義への復帰を強く主張されて來たのであります。しかし今ごろ自由経済主義への復帰を恋い慕うことは、あたかも動脈硬化の老人が、かつてはなやかだつた若い時代を追憶して、再び青春の昔に帰ろうとする、むだな努力に似ておることは申すまでもありません。民主自由党は、第一次吉田内閣以來、かかる立場にありながら、その場その場の思いつきで、統制をがんじがらめにし、あるいはちよつとやめてみて、國民大衆を右往左往させて來たのであります。しかもかねて自由経済主義へのあこがれを持ち続けて來た民主自由党が、今回政府の責任において提出したというところの予算案について見ますと、まつたく驚くべきところの豹変ぶりである。突如として、デフレ政策への急カーヴを切つたのであります。いかなる時代でも、特に今日強力な政治力が要望せられ、今や数の上ではそれが実現して來ておるのでありますが、しかし強力な政治力が行われるためには、強い政治的信念を持つことが必要であり、それと同時にその信念が正しい科学的な判断によつて裏づけられていなければならないと思うのであります。そこで民主自由党年來の基本線ともいうべきインフレーシヨン政策的な自由経済主義と、今回予算を通じて強行されようとしておるデフレ政策への驚くべき飛躍、すなわちそれはまつたく文字通り百八十度の轉回であります。その間にはたしていかなる科学的な根拠があるのであるか。まずこの点を明らかにするために、関係大臣の明答を求めたいのであります。けだしこの点は、國民がひとしく聞かんとしておるところであり、民主的にまず國民に納得させなければ、耐乏や協力のお説教だけを聞かしても、協力のしようがないからであります。(拍手)
 私どもはまずインフレーシヨン收束に主力を傾注し、そのためにはデイスインフレーシヨン政策に立脚して、インフレの緩慢化から、漸次経済の安定へと努力して來たものであります。それが生産水準の今なお低い日本の経済の現段階として、一挙に急激に安定第一を行おうとするならば、勢いデフレ政策とならざるを得ないのであります。今にしてもしデフレ政策を急に行うことになりますならば、日本経済は生産手段と流通手段とのバランスを失い、資金特に流動資本のはなはだしい不足を中心として極端な金融難に陥り、これをきつかけとして安定恐慌を惹起するおそれが多分にあるからであります。しかもデフレ的な政策に移行すればするほど、資本の蓄積がいよいよいよ困難になることは、デフレ政策とまでは行かなくとも、デイスインフレーシヨンを強硬に行つたイギリスにおいて、一九四八年の貯蓄が、前年度のわずかに四〇%にまで激減しておるという事実を見のがしてはならないのであります。資本蓄積の可能限度を圧縮されること、経済水準の向上を將來に望む明るい希望が、蓄積ができないことから失われやすく、かような観点から見ただけでも、デフレヘの轉回は、経済自主をむしろ困難にする危險をはらんでおる点、特に注意を要することはいまさら言うまでもないところであります。また財政面から來るインフレを抑止すことに、もとより私どもは異論はないのであります。しかしながら國家財政と企業と個人の家計と、しわを寄せ合つていたのが、まず急激に財政のしわだけを伸ばす。そのために企業と家計とが、ここに突如としてその重圧下に置かれるという点、しかもその財政政策とともに、接極的かつ具体的な産業計画がまつたく示されていない点等等、重大問題を未解決に残しておることも、また國民の不安を大きくしておるところであると申さねばなりません。
 一方において耐乏を求めても、他方生産活動は、あとう限り活発に推進しなければならない。しかるにこれに要する長期資金の計画は、まつたく立てられていない。あるいは貿易資金の黒字の運用を云為されるかもしれませんが、これは今ただちに活用できるわけでもない。また主として既発債券の償還に充てられることになつておるのでありますから、多くは日本銀行の金庫に返る結果となりましよう。当面急速に求められておるところの産業金融は一体どうするのであるか、特に復金の活動停止に対処すべき具体策を示していないのは、生産活動の低下またやむを得ずとする考えであるかどうか。これも関係大臣からはつきり伺つておきたいのであります。
 國民の担税力は今日すでに限度に達しておることは、一般に称せられておるところであります。予算面に現われた所得税のみについて檢討しましても、前年度の所得税額に対して、今年度はさらに約七割の増徴ということになつているのであります。私の深く憂うるのはこの点であります。追加購買力の造出は強く抑止せられており。また各般のデフレ的施策から、生産活動も一應低下傾向をたどらざるを得ないであろう。行政整理、企業合理化の断行、為替レートの決定に伴う一部産業の圧縮等々が予想せられております。さらに國民購買力はほとんど税に吸收されざるを得ない現状から、私は今年度の実質的國民所得というものは減少せざるを得ないと思うのであります。しかるにもかかわらず、かつて税の軽減を看板にしていた民主自由党内閣において、税の大増徴を、特に所得税の七割増徴を行おうとしている。政府はその可能に自信を持つているかどうか。單なる自信でなく、一体今年度の國民所得をいかなる根拠から、いかに割出しているのであるか。これまた國民生活上の重大問題でありますから、池田藏相の率直な答弁を求めたいのであります。(拍手)
 第四に、私は教育問題について高瀬文相の所信を伺いたいと思います。元來私ども民主党は、困難する財政事情の中にあつても、教育立國の主張のもとに、六・三制完全実施を目ざして努力して参つたのであります。この点においては、今日いかなる政党といえども、御同感のことと思うのであります。しかし今日財政緊縮政策への急激な轉換は六・三制の実施に重大なる圧力を加え、その將來に暗影を投じているのであります。わが國において民主主義革命が、政治上の形式面において行われているけれども、人間そのものが眞に民主的に改造せられるのには、教育の力にまつほかはないのであります。時にわが國の將來をになう青少年諸君の思想的動向に対して、われわれはその指導上重大な責任を感じているのであります。今日、窮乏の中で学生、生徒諸君が学業を放棄して、各種のアルバイトに從事し、わずかに活路を開いている者が非常に激増しつつあるのであります。今後財政の教育への圧迫は、次第に青少年学徒諸君に自暴自棄の念を起させ、ひいては過激な思想に走る結果を招來することを、深く憂慮しなければならないと思うのであります。今日高瀬文相の立場に対して、私は心から御同情を禁じ得ませんが、しかしその同情をもつて、教育危機の現状に目をおおうわけには行かないのであります。教育問題はわれわれの次のゼネレーシヨンへの重い責任であることを思えば、いたずらに攻撃するのではなく、私はまつたく党派を越えてこの問題と眞劍にとつ組まなければならないと信ずるのであります。(拍手)私は高瀬文部大臣が、この際率直に教育の現状に対する所信を披瀝せられることが、不安に脅かされている青少年多数学徒諸君のために必要であると考え、あえて一言いたした次第であります。最後に私は健全な民主政治を確立するために、第五國会開会以來、しばしば痛感せしめられておる点について所見を述べまして、吉田首相の所信を伺いたいのであります。民主政治が多数決を原則とすることはいうまでもないところでありまして、その意味で、民主政治は数の政治であることもまた当然であります。しかし、それはまた同時に理の政治、道理に基く政治でなければなりません。すなわち單に多数が量的に力として動いて、道理を軽んずるがごときことがありましたならば、それはやがて暴力にもひとしいものに堕してしまうのでありますから、ここに多数決の倫理性が強く求められなければ、眞の民主政治とは言えないと思うのであります。
 逆にもし何でも数にものをいわせるというならば、それはフアツシヨ勢力の臺頭にほかならないものであることは申すまでもありません。またかりに國会の中で、多数のゆえに一時横暴が許されることがありといたしましても、國民の批判力が‥‥。(「芦田内閣はどうした」と呼ぶ者あり)私は申し上げたい。今日この神聖な國会の議場において、低劣な、恥ずべきやじが起こつておることは、さらに私のこの発言がいかに必要であるかを明らかにするものである。(「君は言う資格がないよ」と呼ぶ者あり)数にものをいわせる、数にものをいわして、それによつて何でもできるというならば、これは暴力である、暴力政治というのほかはないのである。從つて私は國会において、たとい多数のゆえに一時道理に反した、倫理的ならざる政治行動が許されるといたしましても、國会の外には多数の國民の批判の目が光つていることを考えなければならないのであります。言論の自由が國会の中においてさえ確保されぬということであるならば――もし言論の自由が國会において妨害され、國会において抑圧されるというならば、その結果は実に恐るべきものであるといわねばなりません。(拍手)正しい道理は共同の論議から発見せられる。誤謬は眞劍な批判を通じて初めて是正せられるのであります。ここに言論の自由の確信が生れて來るのであります。
 私は今日わが國の現状を直視して、この國と、この民族のためには、進んで現内閣へも協力を決して惜しむものではありません。しかしながら、われわれの協力とに、決して一つの党の主体性を失うものではない。もとより断じて多数への盲從ではないのであります。いかに多数であつても、いな、ときに多数であるがゆえに、しばしば誤る場合がないとは言えないのであります。ゆえに私どもは常に全國民にかわり、全國民的視野に立つて、歪しき批判を行わんとするものであり、國民のための光栄ある健全野党として一貫せんとするものであります。この多数決の原理が万一倫理性を失うならば、言論の自由という民主主義の光り輝く玉が瓦礫と化するのであります。もしそうなれば、民主政治は悲しむべき衆愚政治に堕する危機を持つているのであります。民主政治はどこまでも言論が尊重されなければなりません。また多数原理の倫理性が強調されなければならぬ。しからざれば、まつたく衆愚政治に陥ることは、歴史の証明するところである。(発言する者あり)やがてこのことは國会の尊嚴が否認せられ、フアツシヨヘの道をたどるおそれがあることをわれわれは深く警戒しなければならぬのであります。多数党の諸君、この際大いに自省をされ、かりそめにも先日の予算委員会等で行われたような理不盡が繰返されてはならない。私はこの機会に首相のこの点に関する民主政治への所信を伺つて、私の質問を終りたいと思うのであります。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#17
○國務大臣(吉田茂君) 北村君にお答えいたします。
 單独内閣、連立内閣についての弁明は、先ほどあるいはその以前におきましても、淺沼君その他に説明をいたした通りでありまして、これによつて御了承を願いたいと思います。(拍手)
 それから、公約は一体どうするかというまた重ねての御質問でありますが、九原則にいたしても、あるいはドツジ氏の意見にいたしても、要はまず予算の均衡をはかれ、歳出入の均衡をはかれ、また日本の経済としては自主経済が立つようにせよ、そのためには通商貿易を盛んにせよ、こういうことが主なるものであります。この予算の均衡をはかるがために、取引高税その他について、いわゆる公約と称するものと反するかに見えまするが、これは私がしばしば説明する通り、税制なるものは一貫した相連関した関係にあるのであつて、税制全体について檢討すべきである。しかるに日本の税制は、長い間の税制に関する古い観念の結晶であつて、これを改めるためには、ある一箇所に手をつければ自然他の所にも響くのでありますから、税制全体についてまず檢討する必要がある。これがすなわち税制審議会を起すゆえんであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 税制審議会において、將來いかなる税制を立てて行けばいいかということを、愼重に審議いたす考えであります。他面歳出においては、なるべくこれを実施予算において節減して行く、あるいはその他國有財産の処分をいたすとか、あるいは官営事業の処分をいたすとかいうことによつて、歳出の余剰を現実においてはかる。その実績が上るたびに議会を召集いたして、議会において審議する、こういう考えをもつておりますることは、昨日の施政演説において言明いたした通りであります。
 また、ただいまのお話に、数を、もつて押し切るということはよろしくない。ごもつともであります。またわれわれも絶対多数を得たからといつて、数をもつて押し切るというような考えは毛頭もつておらないのであります。(拍手)それゆえに、われわれはたとい絶対多数をとつても、われわれと主義政見を同じゆうする政党政派と御一緒に参りたい。これがわれわれが衆をたのんで、いわゆる多数の暴をいたさない考えの発露の一端であります。(拍手)
    〔國務大臣池田勇人君登壇〕
#18
○國務大臣(池田勇人君) 北村さんの質問の要点は、第一が民主自由党は從來インフレ政策であつた、今回はデフレにかえた、百八十度の轉換である、これが第一点でございます。第二点は、徴税強行によつて金融が梗塞し、産業資金はどうなるかという問題であります。第三は、國民所得から見て三千百億円の租税収入がとれるか。この三点に盡きると思うのであります。
 第一の、わが民主自由党は、お話のように決してインフレーシヨンをあおります政策ではございません。(拍手)今回の予算が示すごとく、絶対均衡予算をとつておるのであります。もし日本にインフレ政策がありとせば、片山内閣、芦田内閣は、予算面においては均衡予算をつくりながら、政府関係諸機関におきまして赤字をやつておつた
のであります。私はあれらがインフレ政策であつて、わが吉田内閣は絶対にインフレ政策を行うものではないことを言明いたします。(拍手)
 第二は、徴税強行によつて産業資金が枯渇するのではないか。予算を表面的に見ますならば、相当の税収入になり、産業資金は枯渇するかに見えまするが、今回既発行の復金債の三百億円を償還し、また特別会計において四百億円を充足して、金融の円滑をはかりますとともに、御承知の千七百五十億円というアメリカの援助資金特別会計から、十分産業資金を繰出す考えでおります。從つてインフレでないと同時に、デフレ政策はとりません。これがいわゆるディスインフレ政策であります。
 第三に所得税について申し上げますが、今の租税制度から申し上げますると、昭和二十四年度の國民所得二兆九百七十億円から考えまして、三千百億円は十分とれると確信いたしております。ただ問題は、それだけの税をとることは過重になるおそれがありますので、最近の機会に税制を改正せんとするものでございます。(拍手)
    〔國務大臣高瀬荘太郎君登壇〕
#19
○國務大臣(高瀬荘太郎君) お答えいたします。教育に対する財政的圧迫が教育の危機を招來し、これがひいて思想的危機をもたらすおそれがあろう、こういうお話でありますが、その点私も同感であります。しかし教育の、内容、教育の方法などの改善、それから涜職員各位の熱烈なる協力というような、精神的な條件をもちまして、物質的欠陥を補い、現在の教育的危機を克服することによりまして、思想的危機をもよく回避し得ると考えているのであります。そして國民各位の協力を得まして、この教育的危機の試練に耐え、將來の発展への基礎をつちかいたいと考えている次第であります。(拍手)
    〔北村徳太郎君登壇〕
#20
○北村徳太郎君 吉田首相の御答弁は、顧みて他を言うような点が、あつたのは残念であります。均衡財政はつとにやつて來たと言われるのでありますけれども、私は昨年十一月十八日、九原則が出る前に、強く本議場において御勧告をしておる。できないこととできることは今の客観情勢においてちやんとあるのだから、できないことをできるかのごとく言うことは、これは國民を誤るものであるという点を力説したのでありますが、その当時の民主自由党の政策は、依然としてきわめて放漫なる生産第一主義、一にも生産、二にも生産といつたようなことで、安定に対しての定見がなかつた。この点を私は強く指摘したのでありまして、今や九原則の実施によつて、まず安定への方向をかえなければならないことになつたことは、日本國民のために慶賀すべきことであると思うのであります。
 なおこの財政整理等によつて、國民負担の軽減をするというお話であります。これは國民経済の実態を忘れた話でありまして、私どもは技術的な方法によつて不公平が是正せられることは望ましい。しかしながら國民負担は國の財政並びに経済の実態から來るものでありまして、單なる納税技術や税制度の研究だけでは負担が軽くならない点を、今まで指摘しておるのであります。これについてもまことに甘い、今なおそういうことで、もうしばらくすればどうかなるだろうというような安易な氣持を與えることは、一方において耐乏を説きながら、また九原則の冷嚴なる実行を約束しながら、そういう態度は今もつてはなはだ解しがたいのであります。
 なおまた大藏大臣の答弁でありますが、石橋財政がインフレーシヨン‥‥。(「総理も大藏大臣もおらぬ。質問留保」と呼び、その他発言する者あり)それでは私の質問は保留します。
    〔「総理大臣も大藏大臣もいないじやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
#21
○副議長(岩本信行君) 靜粛に願います。少々お待ちを願います。
    〔「時間超過」と呼び、その他発言する者あり〕
#22
○副議長(岩本信行君) 靜粛に願います。――お靜かに願います。
#23
○北村徳太郎君 それでは総理に対する再質問は留保いたします。ただいま池田藏相から、われわれの政策はデイスインフレーシヨンである‥‥(発言する者あり)デイスインフレーシヨンであるという話を聞いて‥‥
    〔発言する者多し〕
#24
○副議長(岩本信行君) 靜粛に願います。
#25
○北村徳太郎君 吉田首相への再質問は私は留保します。ただ、今まで伺つたところでは、税制整理をやると、國民の負担がただちに軽くなるような見解は、私はいたずらに國民に安易感を與える。國民の負担は安易に軽くならぬ。(発言する者あり)この点がはつきりわかつておるのであります。なおまた池田藏相はデイスインフレーシヨンであると一言われた。私は安心した。そうなければならぬはずである。ただこのデフレ傾向への極端なる移行が、今回の予算案に示されておるから、産業界といわず、一般財界は非常な不安を持つておるのであります。デイスインフレーシヨンの線においてやるということならば安心であるけれども、石橋財政がインフレーシヨン政策であつたことは顕著な事実であります。また泉町藏相はその就任のあとにおいて、建設公債を発行して大いに生産を振興すべきであると言われた。かような事実から考えて、これはインフレーシヨン政策であつたということはむりではない。そのほかの閣僚においても、常に生産第一主義というような言葉で、まず安定への考え方が中心になつていなかつたという点は、まことに遺憾であります。
 なお、吉田首相がお見えになりましたから、私は吉田首相の御答弁に対して再質問をしたい。(発言する者ありとかくのごときお答えであつたことは残念である。私は均衡財政において昨年の十一月に御勧告申し上げておる。そのときに均衡財政主義であつたならば、公約違反の問題は起つていないはずである。さような点において、御答弁に対してなお不滿足の点がございますので、もう少し御丁寧に御解読を願いたいと思うのであります。
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#26
○國務大臣(吉田茂君) 重ねて公約云云についての御質問と考えますが、この公約は先ほど申した通り、大体において私は、民自党の政策と必ずしも違反しておらないのみならず、私としても、九原則にしても、ドツジ声明にしても、初めからこの線にあらずんば日本の経済再建はできがたいと、滿腔の賛意を表しておるわけであります。要するにさつき申した通り、九原則にしても、それからまたドツジ氏の声明にしても、財政の独立、財政の均衡を得ること、経済の独立を得ること、輸出入の均衡を得ることの線を出ないのであります。これは私としては多年考えておることであり、多年主張しておることであり、これにあらずんば日本の再建復興はできがたいのでありますから、十分これは予算においても、政策面においても実行する考えであるのであります。また民主党の稲垣商工大臣においては、輸出の振興のために、われわれと協力して全力を盡すという意向であるので、われわれとしては、まことにいい商工大臣を得たと考えておるのであります。(拍手)
    〔國務大臣池田勇人君登壇〕
#27
○國務大臣(池田勇人君) 御質問の点が十分間きとれませんでしたが、大体北村議員のお話は、いま少しく詳しくというふうにとれました。從いまして私はわが財政政策につきまして申し上げます。
 大体一般会計のみならず、特別会計も、また特別会計に限らず、政府諸機関を通じまして、絶対的のバランス・バジエツトをつくつたのであります。從いまして一面には五千百数十億円の税の徴収を計画いたしました関係上、この点から見れば非常なデフレ政策のように見えますが、他面復金債券の償還、あるいは特別会計の繰入れ、あるいはまたカウンター・パート・フアンドの千七百五十億円を適当に産業資金に使いまして、わが國経済の再建をはかりたいと念願しておるのであります。從いまして、インフレでないと同樣、デフレではございません。このごろアメリカでもいわれておりまする両者の間を行くデイスインフレ政策に乗つかつて行こうとするのであります。(拍手)
#28
○副議長(岩本信行君) 徳田球一君。
    〔徳田球一君登壇〕
#29
○徳田球一君 吉田総理大臣は本議場におきまして、今度の総選挙は、保守政党に日本再建の重任を與えるために投票をせられ、これが圧倒的に勝利しこの支持を受けていると言われておるのであります。しかしながら、それは保守政党自体に対してではなく、保守政党が約束した、すなわち民主自由党が約束したところの公約に対して投票せられたのである。断じて民主自由党自体に投票せられたのではない。かかることは政治においても社会に、おいても同樣である。こういうふうに自分の党に投票せられたと考える吉田首相であるがゆえにこそ、吉田首相は実に横暴きわまることをやつておるのである。(拍手)これは社会を知らず、政治を知らざるものである。公約を履行しないことになれば、今や実際人民諸君は憤怒に燃え、民主自由党内部にさえも反首相の氣運が十分みなぎつておることは、諸君の知つておる通りである。
 さて施政の中心は、復興を犠牲にして、経済を安定しようというのである。しかしながら安定というのは、復興を伴わずしてはできないことである。戰時中及び戰後におきまして、経済は不正常な状態にある。この不正常な状態は、復興なくしては、これは整理することはできない、整理することなしには安定はできないのである。でありますから、これはすでに基本的にいつて、政策の内部に矛盾があることははつきりしている。現に片山内閣、芦田内閣におきましても、この安定を目ざしてこれを徐々にやつて來たのである。しかるにこれは実際上経済を閉鎖し、まつたくいかんとも収拾のできないところへ來たのである。失敗したのである。それだからこそこの総選挙が行われまして、これに反対したところのインフレーシヨン專門――第一次吉田内閣当時からインフレーシヨンの石橋財政でやつて來たのである。これによつてやみとインフレをあおり、十分なる利益を占めたこの味が忘れられないためにこそ、今の吉田内閣に対してもまた投票が集中せられたのである。であるからして、吉田内閣がこれに反して急轉直下安定の方向に向うならば、これはまつたく谷底へ落ちるであろう。ずうたいが大きいだけに、その落ちる速度も早い、こうごうたる音を立てて、諸君はいましばらくしたら崩壊することは明らかである。
 しからば事実はいかん。諸君の目ざしている第一の政策は貿易を促進するというところにある。昨年十一月、私は質問演説におきまして、今度の貿易というものは不等價貿易であり、外國資本に利益を與え、民族を奴隷化する貿易であるがいかん。これをどう考えるか、いかに処理するかということを質問しましたけれども、吉田首相その他の閣僚諸君は、一言もこれに対して答えをしなかつたのである。しかるにこのたびの政策は、この貿易政策を一層強化しようとしておる。このためにいかなることが起るか。実際輸入價格におきましては、國内の公定價格の三倍以上である。石炭におきましては、独占的な製鉄会社に拂い下げまするものは、公定價格で拂い下げます――これよりなお下に拂い下げますために、輸入價格の九分の一というのである。輸入價格がこの拂下げの九倍という驚くべきものである。しかもこのときに最も注意しなければならぬのは、運賃が独占的な運賃で輸入される点、これは驚くべきものである。輸入價格の全体の二一・五%というものは、これが運賃であるのである。しかもこのうちで最もはげしいものをあげますと、地中海塩は運賃が原價の四・六七倍である。海南島から來ますところの鉄鉱石は一・三二倍である。カナダ・コークスさえ八〇%という驚くべき運賃を拂つている。さらに輸出を見ますと、國際價格よりもきわめて安價でありまして、人絹のごときは國際價格のわずかに二分の一弱、トヨダ自動織機におきましても二・五分の一である瀬戸物のセツトなどは四分の一、七倍率の双眼鏡におきましては十分の一以下の價格で賣つているのである。そのためにこの二十四年度末までの入超は、十二億三千万ドルということになる。これを三百三十円に換算いたしますれば、驚くなかれ四千五十九億という、まつたく一年の歳出の予算と同じ額だけの負債がすでにできておるのである。かくのごとき貿易をいたしますれば、輸入で損し、輸出で損し、日本人はまつたく干物同樣に枯れて行くことははつきりしているのである。(拍手)でありますから、この点をわれわれはぜひとも改めなければならないが、それに対しましては、貿易における自主権をぜひ確立しなければならぬ。(拍手)現在の貿易はまつたく自主権を持たない貿易である。そうして貿易を國営人民管理にし、最も大事なソビエト同盟、中共、北鮮、その他極東一帶に対しまして、自主的な貿易をすることが最も大事である。(拍手)そうしてこれを一層促進するために、講和條約をどうしても促進しなければならないのである。この点につきまして、首相、安本長官並びに商工大臣の明確なる回答を求めたい次第である。
 第二点、輸出貿易を強化しますために、独占資本に対して産業を集中しておるのである。時にこれが鉄鋼に対して集中されている。戰爭の危險はないといわれますけれども、國際的の鉄鋼に対する需要ははなはだしいものである。今やこの鉄鋼に集中して、これを輸出に振り向けようとしているのが日本政府の方針である。しかもこの鉄鋼が日鉄、日本鋼管並びに中山製鋼に集中せられまして、この三つの大会社は三倍にふくれ上つているけれども、その他の会社はほとんど壊滅状態に瀕しつつある。現に名古屋の大同製鋼のごときは、半分の首切りが起き、次第々々に壊滅して行くことははつきりしておる。それがすでに昨年の第三・四半期から実行し始められておるのである。しかるに一方鋼材の國内需要におきましては、実に悲しむべき状態になつておるのである。一月におきましては掛賣代金の残高が二十一億あるのである。さらに引取らないものが三万八千トンという驚くべき数になつておる。この傾向は二月、三月、四月と毎月毎月非常な速度を、もつて増加しておるのである。日本経済が破壊されつつあることがはつきり現れている。また鉄製品も同樣である。そうしてこの状態は独占資本のすべてが、外國資本の下請になつているということをはつきり表わしているのである。(拍手)現に鉄製品について一例をあげますれば、造船は三菱、川崎、三井、浦賀ドツクに集中せられておりますが、それらは外國の一万五千トン級以上の造船に集中せられているのでありまして、日本船はほとんどこしらえておらぬ状態である。さらに紡績機械におきましても、トヨダ、豊和等の五大メーカーに集中せられておりますが、これまたほとんどすベて輸出向きでありまして、國内向きのものは、賣れましても金がとれないという悲しむべき状態に陥つているのである。さらに自轉車におきましても、三菱重工業、宮田、岡本の三社にほとんど集中せられ、これさえもほどんど大部分が輸出向きに向けられているのである。
 さらにこのほかにアルミの問題であるが、アルミは昨年に比しまして九二%の増産計画を立てておる。しかるにこれの需要は日本には非常に少くなりつつある。これが昭和電工、日新化学、日本軽合金に集中せられまして、これらはまたほとんどすべてが外國に輸出せられているのである。そうして七六%の配電増加をこのアルミにいたしますために、硫安に対するものは電力が不足しつつあるのである。肥料はこれは非常にきゆうくつになることは、はつきりわかつているのである。さらに石炭のおきましては、A級の大資本家経営七十一炭鉱に対しまして、所要資金の九〇%が投下せられ、B級の百二十九炭鉱に残りのわずか一〇%しか與えておらぬ。それに対しまして、C級の三百九十一炭鉱は、まつたく資金がないために今や壊滅しつつあるのである。驚くべき状態が発生しております。
 第三点は、独占資本の支配を促しますために、第一、三百三十円の單一レートを設定して、多くの中小輸出企業を壌滅させる結果になるのであります。独占資本だけが生き残ることははつきりしているのである。
 第二は價格補給金でありますが、これが大体二千億に達している。これは歳出の約三〇%弱になつている。しかるにこの補給金は安定帶物資、すなわち鉄、石炭、ソーダ、銅、化学肥料等と輸入食糧だけにとどまるのでありまして、実際独占資本、大資本にのみこの價格補給金の二千億がくれられるという、驚くべき事実があるのである。(拍手)さらに船舶運営会の補助金は六十三億となり、政府出資金また六百三十億でありますが、合計二千七百四十億、歳出の四〇%、これが独占資本のために使われることははつきりしておる。
 さらに第三は対日援助特別会計を設けるといつております。これは千七百五十億でありますが、これは輸入物資を拂い下げた金でありまして、借金です。これを黒字だなんと言うに至つては、まつたく経済を知らないあほうの言うことでありまして、何と驚くべきことではないか。(拍手)しかもこれに援助されますものは、安定帶物資の生産と鉄道、通信事業の建設費に限られているのである。しかしこの鉄道並びに通信事業の例を見ますれば、逓信省の有線通信機械は、これは國内における九〇%まで逓信省が需要しているのである。しかるにこの逓信省に納めるものは、日本電氣、沖電氣、富士電機、東芝の四社以外にはない。この四つの会社に民主自由党が奉仕しているという、驚くべき結果が現われているのである。
 第四点、独占資本のための價格政策が行われている。この点におきまして独占資本の生産物が價格が高く、中小企業、農業、漁業等の生産物は價格が一体に全部安いのである。これを昭和十一年に比べまして、昨年の七月の物價を見ますと次の通りである。一般農産物價は六十倍ないし九十倍に上つた。米價は百三十二倍に上つた。しかるに硫安は二百六十倍に上つた。石炭は三百十七倍に上り、銑鉄は四百六十二倍に上つているという驚くべき事実、これを諸君が驚かないというならば、それは諸君が独占資本家にまつたく飼い殺されていると同じことになるのである。(拍手)鉄鋼、肥料等を安くするというけれども、民主自由党は約束したことは一つも実行しておらぬ。これまで実行しないことを吉田首相は誇りとしている状態でありますから、これはとても当てにはならぬ。(笑声)なぜならば現に物價を上げているからである。その上げているものに対しまして、綿花は現に三・八倍、綿糸は三倍、織物が二倍というものを引上げている。これがいかに労働者、農民、中小商人諸君のいかに苦しいものになるかははつきりしている。(「いつ上げているのか」と呼ぶ者あり)日本政府が今上げている、四月一日現在に上げている。(笑声)そういうことは明らかに綿花が独占資本に有利である。綿糸は中小企業に、織物は買う者の消費に当りますために、人民のためにはいよいよいよますますます痛烈、独占資本のためにまつたく奉仕していることは、この事実によつてはつきりしているのである。石油、鉛など値段を上げることになつた。これまた独占資本のためである。そしてマル公割れを演じているものは、中小企業、農林、業漁等の生産物でありまして、これは人民の購買力が著しく減退したことを意味するのである。
 さてわれわれは運賃について、もつとはつきりしたところを見ましよう。鉄道の貨物運賃は原價の半分で非常に損をしている。旅客運賃は定期券を含めまして二〇%もうかる。定期券は大体奉仕的にやつておりますから、これを除きますれば驚くなかれ四〇%もうかる。この四〇%もうかつているもの、すなわち大衆が非常に損をしているもの、これへさらに吉田内閣は六割を値上げすることになつている。どうだ。貨物運賃を上げずして、旅客運賃を上げることは、人民に対して痛烈に搾取し、独占資本に対しては奉仕している、この驚くべきことがあるのである。これが郵便料金においてもはつきりしている。郵便料金においては、われわれの使うものが四割値上げされるのに、電信、電話料、会社で使うものはすえ置きだ。さて昭和十一年の石炭價格に含まれておりまする運賃を見ますれば、一三・四%でありますのに、昭和二十三年におきましては五・二%となつている。すなわち運賃にかかるものはずつと安くなつている。これだけ独占資本に有利であるのである。加うるに全産業にわたりまして、予約クーポン制、予約割当切符制、これをやることになつた。これをやりますと、金を持つている大資本家に有利で、中小企業者が壊滅することははつきりしている。大資本家が支配を確立しようというこの野望に対しまして、吉田内閣は至れり盡せりだ。
 さらに課税方針に見ましてもそうだ。課税方針はまつたく人民を死に瀕せしめ、独占資本家、大やみ業者をこやすところの課税政策になつている。現に予算全体に関しまして、これを通常予算から特別会計その他を加えますれば、三兆一千億以上になる。昨年に比較しまして、まさに二倍である。昨年よりも今年は生産が増加する云々といいますけれども、中小企業が壊滅する、農民も漁民も壊滅しつつある状態におきましては、決して生産は増大しない。独占資本家のみは幾らか増大するかしらぬが、これは損をして輸出するのであるから、國内における担税力、金を出す力は非常に少くなるにかかわらず、昨年に対して二倍の税を課するということにおきましては、まつたく吉田内閣はあきれ返つたものである。(拍手)経済を知らないことおびただしい。法人税は租税のわずか三・六%でありまして、しかも法人税の大部分は中小企業家が負担するのである。大資本家は赤字赤字でごまかして大脱税を試みている。さらに所得税におきましては、民主自由党はこれを軽減すると言いながら、実際においては昨年に対して七〇%増加している。この点も大資本家や大やみ業者が脱税いたしますから、実際は中小企業家が二倍以上に課税せられることは明らかである。軽減すると約束して、これで二倍以上をぶつたくるというに至りましては、吉田首相がいかに大衆の支持があるといつても、これは一ぺんにひつくり返ることは明らかである。(拍手)かくのごとき公約の違反、それは勤労所得税におきまして、免税点を上げ、税率を下げると言いながら、これはすえすえ置きであり、農民、漁民、中小企業家の事業所得税におきましては、必要経費を認めると言いながら、これをほとんど認めない状態である。かくして実際上農民の課税が毎年累増されておるが、この驚くべき事態を見まするに、昭和十一年におきましては、農民の課税は、総所得に対しまして、わずかに五%である。しかるに二十三年度は五六%が税をだすことに使われている。しかるに二十四年、今年は推定でありますけれども、八〇%前後になるであろうといわれているのである。これではとても農民は生きて行くそらはない。さらに取引高税のごときも、いろいろ緩和するするとは言いながら、昨年に比しまして、全体の價額としましては二倍以上とることになつておる。取引は今やどこを見ましても大体減少しつつある。マーケツトだつてどこへ行つたつて、みんなさびれている。だのに取引高税を二倍以上もとるに至つては、これは全人民をまつたく破滅させる結果になることは明らかではないか。
 さて地方への配付でありますが、この地方への配付はわずかに五百七十七億でありまして、昨年よりも百十三億減少しておる。一般の予算はうんと増加しております。大体七〇%増加しておるのに、この地方への配付は百十三億も減少しておる。それは去年は歳出の一〇・八%であつたのに、今年は八・二%に引き下げられる。この点につきましては、法律上課税の三三・一四%を地方に渡すことになつておるのに、実際は法定の半分しか渡さぬ。知事会議におきましても各市町村の会議、縣の議会におきましても、この政府のやり方に対しては徹底的に反対しておるのである。(拍手)そうしてこれを補うために、民主自由党の内閣は地方税を大幅に引上げておるのである。住民税を引上げた上に、なおかつ権利なき社團並びに財團に課税するということを臆面もなく言うておる。これは労働組合、農民組合、その他の民主團体に課税することを意味するのである。これは驚くべき残虐であるといわざるを得ない。かくのごときは民主主義を促進するのでなく、まつたくフアツシヨの独裁を強化することになるのである。(拍手)それから地租や家屋税は六倍に値上げする。そのためにこそ小作料を値上げしようとしておるのである。地主は小作料をとつても、こんな税を課せられたんでは一層苦しくなる一方である。今や地主といえども、民主自由党に対しては断固反対しつつあるのである。入場税のごときにおいても、免除せられた部分が今度は課税せられることになる。一層苛斂誅求求されるのである。そのほかに、くだものの引取税、ガソリン税を新設する。今や長野縣などのごときは、りんごの木をどんどん切り倒しておるということになつて來ておる。こういうでたらめをやらせるようになりましては、民主自由党ももはや生命は長くない。(拍手「何を言うか」と呼ぶ者あり)かような点におきましては、六月にさらに公約を実行するように、いろいろ檢討するということを、本日吉田首相並びに大藏大臣は約束した。しかしながらこれも、実際それならば、今の民主自由党のように、独占資本のためにのみ奉仕するようでは、ほかに税金のとりどころがない。とりどころがないのに、いくら約束して見たつてだめだ。今度だつて諸君が公約を果そうとするならば、大口の脱税をとる、大資本家からどんどんとるようにしさえすれば、諸君は公約を果されるのに、独占資本に奉仕することになるから、こういう公約は果されなくなつたのである。
 だからして六月にといつても、諸君がいくらがんばろうとも、吉田総理大臣がいくらがんばろうとも、こんなことは当てにならぬがゆえに、わが党の政策はかくのごとくなければいかぬと思う。こうして初めてよくなる。すなわち独占資本のために資金と資材とを集中することに徹底的に反対し、大やみ、横流しに反対し、官僚統制を廃止し、人民のためにする價格統制をやり、さらに大衆課税の即時廃止、大口脱税の即時取立て、高度累進所得税を設定いたしまして、このことによつて物價を三分の一に引下げ、人民の購買力を四倍に引上げる。そうして独占資本による重要産業の國営、人民管理を実行することによりまして、將來脱税を防ぐとともに、これらの利益を國家のために全部使わなければならないと思うのである。かくして初めて不正常の状態から正常の状態になり、これを土台といたしまして初めて復興政策が行われる。この復興政策を行つてこそ、初めて安定に向うのである。(拍手)この点に関しまして、特に地方税のことに関しては、地方財政を担任されまする木村小左衞門國務大臣に答弁を求め、税その他の問題に関しましては、大藏、安本、商工大臣に対して答弁を求めるものであります。(「答弁する價値なし」「何だかわからぬ」と呼ぶ者あり)理解にならない方は、何を尋ねておるかわからぬそうだが、これは議会演説の本筋でありますから御安心願いたい。
 第六点におきましては、金融資本の支配権を確立されようとしておることである。すなわち國家が握つておりました金融支配権を放棄いたし、産業復興金庫の廃止、公債、地方債の発行を停止いたしまして、かえつて償還をしようとしておる。そのことによりまして金融力は九大民間銀行に集中せられ、産業と農業と漁業は官僚統制でありますために、この金融資本が官僚統制を支配し、日本における経済の支配権は、九つの民間銀行の手に握られる結果になるのであります。そうしてこれがまた政治をも支配することになるのである。現に吉田内閣の政策は、この独占資本に支配されておる政治といつて、だれがこれを否定することができるであろうか。この民間の大銀行外は國独。占資本と結合することは明らかである。すでにこれに対しましては、ニユーヨークに本店を置きまする大銀行は、虎視眈々として日本に支店を設け、この日本に、おける金融資本との結合をはかつておるのである。でありますから、かかる状態をもつてすれば、民族は外國資本の奴隷にならざるを得ない。(拍手)自立精神だとか、いや自主的な経済だとか言いましても、これではまつたく身動きのできない、外國資本の奴隷にならざるを得ないではないか。それゆえに金融資本を打倒し、労働者、農民、林民、漁民、中小商工業者、民族資本のために、金融の國営、人民管理をすることのみがこれを解決すると信ずるのであります。(拍手)安本長官、大藏大臣はいかなる意見を持ち、いかにしてこの独占資本の支配を打破り、人民のために金融を処置するかという点を、特に明らかにしてもらいたいのである。
 第七点は、國家並びに民族企業の荒廃のことに関し、同時にこの荒廃を利用して、外國資本を導入しようとする一大悲劇が起りつつあることに対しまして、特に質問しなければならないのである。國家企業の荒廃しておる実例に対しまして、最も重大なものは國鉄でありますために、國鉄から申し上げる。國鉄の非常な危險に瀕しておる箇所が、駅舎及び駅構内におきまして五十二箇所ある。トンネルが三十六箇所、橋梁が三十箇所、線路におきましては三百七十四箇所が危險である。その他の施設におきましても五箇所が危險である。こういうことのために幾多の大惨事が起つておりますが、このうちでも岩手県の山田線のごときは風水害によつてまつたく今後いかにこれを回復するかの予想さえもつかないほどにこわれておる。そのためにこの奥におります山林の民は、入るものが入らず、出すものが出せないために、非常に困難をしておる、さて二十二年度の國鉄の資材の最低需要量は、國鉄から書き出ておりますものは二十一万三千トンでありますのに、実際配給されたものは三万五千三百トンで、二八%である。だからこそ國鉄は荒廃しておるのである。そこで実際鋼材の使用は、施設にまわすこともできないで車輌に移つて來ておる。昭和十一年におきましては、鋼材の使用量は、施設に七四%、車輌に二六%でありましたのに、二十三年度におきましては、施設が三七%、車輌が六三%ということになつておる。これは車輌が傷んでおりますために、大惨事が発生するので、やむを得ず應急手当をした。この惨事の実態を見ますと、昭和十一年に対しまして、二十一年は、線路が二・六七倍、車輌に至りましては二十九倍弱という驚くべきものだ。だからこれを車輌にまわしましたが、その結果今度は線路がどんどん弱くなつて、荒廃いたしまして、現在におきましては、この線路から起こる事故というものは驚くべきものになり、昭和十一年の十倍ということになつておるのである。これは実際驚くべきものである。さてこの國鉄は、独立採算制をとりますればどうなるかということでありますが、事実旅客運賃を六割値上げをいたしましても、國鉄事務当局の意見によりますれば、一千億という驚くべき赤字が出ると言われておる。だからして大藏大臣などが、やあ三十何億なんだと言いましても、それはほんとにでたらめであります。こういう勘定ではとてもだめです。ですからどんどんどんどん荒廃して行くのである。さらに電信電話のことにつきましては、焼けたもののいまだに復旧しないものがたくさんある。二十四年度におきまして技術家は、改良拡張費に三百七十四億と、復旧公債費におきまして一千億を要求しておるのである。しかるに改良費は半分になり、公債は絶対に発行できないということになりましたために、電信電話の復旧は望みなきものになつたのである。そのために篠原工務局長並びに鈴木工務局市内課長は辞職を申し出ている。彼らはもう自信がない。高級官僚といえども、彼らの言うには、修正資本主義に頼つておつたらこれもだめ、民自党もいいと思つたらこれはなおだめだから、辞職して行くというのである。今や彼らは共産党を支持する方向に向いつつあることは明らかである。(拍手)專賣局におきましても、外資の導入が実際できるかどうかはきわめてあぶない。なぜならば外國のタバコ・トラストは日本における專賣局の施設が腐り果てておるから、こんなものは買う必要はないと言つている。それよりも自由競爭をさせる。自由競爭をさせたらわれわれが徹底的に勝つと言つておる。吉田首相は、この專賣高を賣りまして、大きくもうけようとしておるかもしれぬけれども、とてもとても、外國人が笑つておる。それどころか実際上は專賣権を賣り渡すという悲劇が來なければならないのである。吉田首相はこの点につきまして特に考えなければならない。愼重に考慮すべきであると考えるのである。民間企業もこの通りに荒廃しているのである。この荒廃していることを理由にいたしまして、民自党を中心にして國鉄拂下げ運動が非常に盛んである。もと私鉄を拂い下げ、バスを拂い下げるといいますが、さてこの拂下げの條件が、二十七億円の財産に対して、民自党の側から拂おうというのは十分の一である。そうしてこれを長期年賦――これでは何にも拂わないと同じだ。ただ利権をかせいでこれを外國資本に賣り渡す結果にならざるを得ないのである。(拍手)かくして專賣局、電信、電話も外資に賣り渡したならば、一体日本人は何になるのだ。かくのごとき外國資本に隷属するような政策、まつたく賣國奴といわざるを得ない。スタンダード・オイル会社は帝國石油を支配し、スタンダード・オイルはさらに東亞燃料の和歌山における港湾施設を支配したのである。それからカルテツクス石油会社は日本石油に投資し、鶴見の精油所を支配するようになり、すなわちすべての株式の五一%を外國資本に賣り渡したのである。かくのごときは中國の腐敗した國民党政府でさえも行えない、あの江兆銘反民族政府でさえも行わなかつた驚くべき賣國奴的の政策であるといわぎるを得ない。(拍手)
 しかるに吉田首相は何と言つた。植民地になつてもよろしい、國家もたけのこである。何を言つておる、人民を賣り渡して、この数十年にわたつて日本人がたくわえた財産を外國に賣り渡す、こんなことでどうなる。わが共産党は人民を外國資本の奴隷にするような外資導入に対しましては絶対反対である。(拍手)外資の利用は、貿易を國営人民管理にすることによりまして、專念人民のためにのみする貿易でなければならない。そうして初めて外資は利用されるのである。この事実に対しまして、吉田総理大臣、運輸大臣並びに逓信大臣安本長官、商工大臣は何と考えられるか。
 さて民自党の政策の結果はいかなるものをもたらしたか、これを質問したいと思うのである。人民のためにする経費と思われるところの公共事業費、失業対策費、地方への配付税は千九十八億にしかすぎない。昨年に比しまして五百九十七億を減少し、全歳入出に対しまして昨年二一・二%であつたのが、今年は一五・六%に減少している。これすべて独占資本のために、人民のことなんかどうでもいい、いやなら出て行け、自分に反対なら、民主自由党の諸君も自由にしろ、という、吉田首相の横暴きわまる政策によつてこそ、これが生れて來たのではないか。(拍手)このために災害の復旧はほとんど放棄されておるのである。治山治水の復旧と將來のための建設工事に関しまして、技術者諸君は千五百億必要であると言うのに、予算はわずかに二百二十億しかない。これはわずかに一五%にすぎない。これでは國土が崩壊して行くのはあたりまえである。
 さて政府は金がないないと言つておる。金がないからしようがないじやないかと言うておる。だが事実はどうだ。日銀に対する政府の預金は三百四十億ある。これをあんまり多過ぎるというので、民間銀行に百六億を移そうというのである。資金は豊富である。ただ吉田内閣は人民を崩壊させるために、民間資本、中小企業を崩壊せしめ、これらを独占資本の手足に使うために、この資金を支拂わないのである。実にひどいことをやつている。だからして民族防衛大会が起り、独占資本に対して闘うために、民族資本、中小企業家諸君も、労働者、農民その他の全人民と統合して、一大反政府闘爭に移つて來ているのである。実際農林におきましても、漁業などにおきましても、実に大きな崩壊が起つておる。これは國土の荒廃のための大打撃があり、生産費を伴わない物價を設定しているためである。さらに土地改革は進行しているのではなく、逆行しつつあるのである。土地取上げは農林省の調べによりましても十万件ありますが、実際はこれの十倍、百万件あると思われる。この土地を賣り渡して、小作民からとつた金は三十一億ある。しかるに地主に渡した、買收した金はわずかに十億しかない。二十一億を政府がねこばばをきめまして、これを大藏省の預金部に黒字といつてたたき込んでいる。おどろくべきことだ。(拍手)一体こういう賣買の途中に立つて、政府がどんな金を一日とても持つていてはいかぬのではないか。今や農民は非常に苦しんでいるのに、この金を二十一億も拂つてやらぬというのは、一体何ということだ。
 その上にさらに重税はひどくなつているのである。そのために二十三年度におきまして、中農の上層農家におきまして、平均耕作面積一町七反もありますりつぱな農民が、一箇年一万二千六百円の赤字を出しているという状態、これでは農民が崩壊するのもむりはない。この結果は耕地を放棄しているのである。昨年の夏作におきまして、農林省の調査によりますと、二万五千町歩を放棄し、関係農家は五万戸ということになつているのである。非常にこれは悲しむべきことだ。食糧が足りない足りないというのに、農民が耕すことを放棄するに至りましては、日本はどうなる、これこそ外國資本にまつたく生死を握られる結果になるではないか。その結果人身費買は起りまして、十二、三歳前後の子供たちが三年ないし五年の年期でわずかに二千円で賣り渡されているのである。これは主として東北、北陸の單作地帶に起つておりまして、一箇年一万人を下らない数である。この大きな数字に上つておりますが、これに対しまして賣つている農家諸君は何と言つているか。実際にこれは食えない、家に置いておけば子供は死ぬのだから、まあこれは食うだけでもいいから賣るといつて、二千円などの賣つた金をとるのはもつたいないくらいだと言つている。かくのごとく農民は疲弊しているのである。漁民において、中小網元を加えまして、全面的に大体同樣な危機に瀕しているのである。
 さて労働者に対してでありますが、これまた驚くべきことでありまして、経済白書によりますと、実質賃金は向上していると言うけれども、実際はこれはみんな低下している。たとえば一公務員法成立の後に官公廳は六千三百円ペースに上りましたが、時間が強化されておりますために、実質上は四千七百円でありまして、副業をすることができないために、非常な苦しみに陥つているのである。そのほかに号俸の切下げ、年末調整などがありましたために、一、二月の給與は半数以上が千円以下である。全然とらなかつた者も多数いるのである。これを中央郵便局の例にとつて申しますれば、夜勤手当が三十八円五十銭であつたのが、わずかに四円五十銭に切り下げられている。このために深夜業の加配米の代價である五円十銭が支拂えないのである。こうして厚生課の物品取次所におきまして、一日六万円賣り上げておつたものが、わずかに二万円、三分の一に減少した。こんなに労働者は実際苦しんでいる。実質賃金が上つたなんていうのは、どこを押せば出るのか。青木安本長官はどこを見てそんなことを言うのか。(拍手)しかるに警官や刑務所の職員は同じ号俸でも五〇%高い。暴圧をもつて人民をなぐるこの連中は五〇%高い。そうして首切りもなく、予算はだんだんだん増額されまして、警察費だけでも百億に増加する。吉田内閣がいかに警察政府であるかをはつきりと示しているではないか。(拍手)現に大阪市の鈴木警察局長は、大阪におきまして先月の二十七日と今月の三日に、産別会議の所属の労働者諸君に対してどんな暴行を加えたか。かれの命令は何だ。じやまするような者があれば、けとばしてしまえ。文句を言うような者があれば、殺してしまえ。何でもかんでもやつつけてしまえ。非常に重大な問題になつている。今や大阪市長もこの鈴木の暴行に関しまして非常に怒り、これに徹底的な抗議を申し込んでいる。しかるに政府は何もしないじやないか。こういう者を檢挙しないどころか、こういう者をむしろ増長させる政策をとつておるのである。(発言する者あり)この点に関しましてはさらに詳細なる調査を法務委員会でやるでありましようから、諸君が騒がなくても大丈夫だ。
 生産は戰前の六〇%に上つておるという。これも紡績を除きますれば、実に九六%に上昇しております。しかるに賃金はわずかに二七%しか上つておらぬ。その点におきまして、いかに大資本家に政府が献身しているか、はつきりしておるのである。これは私鉄労働組合が調査したのでありますけれども、昨年の十一月の全收入におきまする賃金の占める部分は、都会におきましてわずかに六六%であり、郡部におきましては八〇%にすぎないのである。どうして生きているかといいますと、これすべて内職をして生きておる。そうして賃金だけでは毎月四千円から五千円足りない。これが三・七人の家族においてそうである。從つて衛生費や娯楽費は全体のわずか五%にすぎない。これで労働者が健全であり得るか、労働者意欲が出て來るか。出て來ないのはあたりまえではないか。さらに賃金を遅配させ、不拂いをしておるものは非常に廣汎に及んでおるのである。これは中小企業ばかりではなく、この遅配と不拂いは実に大企業にまで及び、炭鉱におきましては全國に平均いたしましまして、二〇%は拂わないのが普通で、これがいい方である。そのあとにもつと拂わないのがうんとたくさんある。この石炭においてさえそうである。そのために労働強化をするために危險率はきわめて多くなつておるのである。炭鉱を代表的にあげますれば、二十二年度の上半期と二十三年の上半期を比較しますれば、出炭量は六%上つておりますのが、災害は二・二三倍になつております。非常に災害が多くなつておる。実数から申しましても、三万人のけが人が六万七千人に増加しておる。しかもこれは官憲が干渉いたしまして労働強化をしておる。労働者側は炭鉱の特別調査團に対しまして、非常な不滿の意を表しておる。この労働強化に対して特に官憲が干渉していることに関し不平の意を表している。こんな状態では四千二百万トンをあげるというこの予定はとんでもない、とてもあがるものではない。從つて日本の全生産は非常に崩壊し、諸君の計画とはまつたく違つたものになるのである。しかして企業整備、行政整理によりまして二割、三割の首切りを始めておりますが、これでは民族資本、中小企業の崩壊に一層拍車をかけることになり、すでに失業者は三百万と推定されるのでありますが、さらに潜在失業者が一千万人もおりますために‥‥
#30
○副議長(岩本信行君) 徳田君に申し上げます。割当時間があと三分しかありませんから、結論を急いで質疑を終るように願います。
#31
○徳田球一君 この千三百万の失業者に対し、二十一億ということでは、とてもやつて行けない。從つて労働者が反抗するのは当然だと思う。
 さらに徴税におきまして、莫大な徴税をしながら、きわめて残認なことを行つている。このときにおきまして、特に税金を五〇%もげたばきしているという違法はたくさんあるのであります。それから教育におきましては、学生は四分の一しか実際登校をしておりません。皆副業をしなければ生きて行かれぬ。六・三制におきましては、二十六億を公共事業費から捻出すると言つておるけれども、これも当てにならぬ。私立大学に対する貸付も八億ぐらいのものを三億ないし五億といつているけれども、これとてもだめだ。すべて教育に関するものは必要量の六分の一にしか当らぬ。從いまして、実際上教育は荒廃せざるを得ないのである。かくして小学校から大学までに至りまして、この教育の内容はまつたく荒廃せざるを得ない。このことに関しまして、全人民が反対しておる。地方議会、各團体も全部反対している。どうしても人民の文化と教育のための優先的支出をしなければならないのに、文部大臣、大藏大臣は、この点に関して何と考えるか。こんなことをしましては、日本民族は滅びてしまう。
 さて第十二点といたしまして、民自党は、政治、経済、社会の安定をすることでなく、彼らの政策はまつたく一層の壊乱をすることになる。耐乏生活耐乏生活とこれをしいておるけれども、この耐乏生活は片山内閣以來やつて來た政策であり、そうしてわれわれ人民を破壊したものである。だからして、全人民はこれに対して徹底的に反対している。(拍手)公約を実行できなければ、内閣を放り出すがよろしい。内閣にしがみついているという点、これこそ吉田内閣が実際恥ずべきものであることははつきりしているのである。吉田首相は自分の政策のあやまちをたな上げして、そうしてわれわれに対して破壊者だ破壊者だと称して、そうして弾圧する。そのために考査委員会または非日委員会をやる。しかるに実際はどうか。外國資本に依存し、專制的であり、勝手なことばかりやつている。これでは自立政策もなければ、自立経済もあり得るものでない。すベて吉田内閣は独占資本のために全人民を奴隷にする。フアツシヨ的な性格である。なるべく早く吉田内閣を打倒し、民主人民政権を樹立してこそ、初めてわれわれは生き返ることができる、民族を保持することができる。(拍手)この点に関しまして特に吉田首相の明快な回答を望む次第である。(拍手)
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#32
○國務大臣(吉田茂君) 徳田君にお答えをいたします。
 いろいろお話がありましたが、まず第一に私からお答えをいたすベきと考えるのは、自主的貿易論であります。これは現在においては――講和條約以前においては、いたし方ない状態でああつて、望むべくしてできないところであります。また船運賃のことについては、お話はごもつともであり、また私も常にこの問題については頭を悩ませておるのでありますが、これはかつて外國から船をチヤーターいたしたいと上計画いたしたこともあるのであります。しかしこれも船主船員等の反対を受けて実行ができませんが、現在においてはなるべくアジア地方から、近距離からの輸入に対しては日本船を用いて、そうして運賃の低下をはかることといたしております。
 またただいま独占資本云々といつて、あたかもわれわれが独占資本を援護いたしておるようなお話でございますが、吉田内閣におきましては、資本集中排除という政策はとつたことがあります。しかしながら独占資本に特に利益を與えたということは自覚がございません。(拍手)
 また外資導入に対して、民族の独立を害するというようなお話であるが、私は日本の経済独立のために、外資導入が必要と考えるものであります。(拍手)外資導入によつて日本民族は独立を失うような民族ではないと考えて、この点は少しも心配いたしておりません。(拍手)
    〔國務大臣青木孝義君登壇〕
#33
○國務大臣(青木孝義君) ただいま徳田さんの御質問の中で、こういう点が御質問になつたところだと存じます。安定は復興の結果であるから経済復興を犠牲にして安定を求める政策は矛盾であると思うがどうか、この点だと思います。そこで私はお答えをいたします。生産の向上は確かに経済安定の根本であることは言うまでもございません。しかしながらインフレーシヨンの進行は、勤労者の生活を不安ならしめ、あるいは企業をして経営の方途を失わしめるものであります。経済の復興をはかるのには、まず、現在の不安定な経済を克服して、安定の基盤の上に復興をはかるということが正しいと存じまして、その所存で進む次第であります。(拍手)
    〔國務大臣稻垣平太郎君登壇〕
#34
○國務大臣(稻垣平太郎君) 徳田議員の御質問に対してお答えいたします。まず貿易の不等價決済という問題でありまするが、御承知のように日本におきましては、現在多くの食糧品と原材料を輸入しておりまする関係上、またできるだけ輸出の振興をいたさなければならぬわけであります。そこで貿易におきまして、一見輸入品が高く、輸出品が安いように見えるのでありますが、御承知のように輸出品はFOBの計算建に相なつております。輸出品はCIF勘定に相なつております。從つて高いのはあたりまえだと私は存ずるのであります。今後單一為替レートが設定されました場合におきましても、われわれはできるだけ輸出の振興をいたさなければなりません。そのためには、ある程度國内産業の耐乏ということも必要であろうかと私は存じております。
 その次の御質問は、集中生産と独占資本といつたようなことだつたと思うのであります。私は日本の現在の産業界において、独占資本というものはないと存じまするので、これをまず集中生産と、大企業と置きかえて御返事をいたします。そこで置きかえて御返事をいたすのでありますが、その例にいろいろなものをおとりになつたのでありますが、私も例をもつてお答えいたそうと存ずるのであります。日本軽金属へ注文を集中するというお話でありますが、御承知のように今アルミの精錬業者は三軒しかございません。しかしてこの三軒に全部おのおの注文をいたしておるのであります。そうしてそのアルミの生産のために、昭和電工の肥料の電力が不足であつて、昭和電工の肥料の生産に影響する、こういつたお話であつたかと思うのでありますが、これは工場を全然異にいたしておりまして、立地を異にいたしておるのであります。從つて電力の影響は私なかろうと存ずるのであります。
 その次に御質問でありました点は、中小工業の問題であつたかと存ずるのでありまするが、なるほど為替の單一レートを設定いたしましす場合におきましては、どうしてもわれわれは生産品のコスト安、また同時に優秀生産品を出さなければならぬ。そうでなければ輸出ができないことはもちろんであります。それがためには集中生産方式もまたやむを得ないと存ずるのでありまするけれども、しかしながら日本の現在の経済機構におきましては、中小工業というものが非常に重要なる位置を占めておるのであります。從つて中小工業はまた大企業というものとはその分野を異にいたしまして、また業種を異にし、またその機構を異にいたしておりまして、それぞれのものに対して、われわれはこれを育成しなければならぬと考えておるのであります。ことに中小工業におきましては、量よりも質の向上をわれわれは考えなければならぬと思つております。それがために近く中小企業協同組合法を出しまして、これによつておのおの中小工業が相依り相助けて、質的に向上することを企図いたしておる次第であります。
 最後に民間の外資導入の問題についてでありまするが、これは先ほど総理からもお答えがありましたが、私からもというお話でありますからお答えいたします。まず民間の外資が導入される形態といたしましては、原料として入つて來て、これを製造いたしまして出すところの、いわゆる單なる加工の場合における民間の外資導入が想定されます。また技術設備その他の導入の点もあります。また資本の導入の点もあります。これはことごとく日本の産業の発達のために、私は必要欠くべからざるものだと存ずるのであります。でき得るだけ多く民間の外資を導入いたしたいと君えております。(拍手)
    〔國務大臣池田勇人君登壇〕
#35
○國務大臣(池田勇人君) 徳田君の御質問にお答えいたします。
 まず第一点は、予算が赤字に膨脹した。三兆二千億に達し、昨年度の倍になつたというお話でございます。これは公團その他特別会計がふえました当然の結果でございます。
 次に税收入が非常にふえた。取引高税について、取引が減つておるにかかわらず倍額になつた。これは御承知の通り、取引高税は昨年の九月一日からの施行でございまして、六箇月分しか入つておりません。今度のは一年分でございます。
 次に金融機関の專横に対しまして警告がございましたが、昨日の本会議におきまして、私は財政演説に金融機関の公共性を主張いたしております。今後はもちろん公共性を発揮するように努力するつもりでございます。(拍手)
    〔國務大臣大屋晋三君登壇〕
#36
○國務大臣(大屋晋三君) 徳田君にお答えいたします。徳田君の私に対する質問の第一点は、運賃のことだと思います。つまり鉄道は旅客にしても、貨物にしても、もうかつておるのに、なぜ運賃の値上げをするかというような御趣旨であつたと思うのであります。鉄道の実際が、徳田君の言われるように参つておれば、しごくけつこうなのでありまするが、現状は遺憾ながら輸送のコストの方が收入よりも高いのでありまして、赤字を出しておるのであります。今回いわゆる均衡予算で独立採算制を立てまする上におきまして、國鉄のあらゆる面におきまする合理化、能率の向上をはかりましても、なお採算が合わないという場合には、やむを得ず運賃の値上げをいたさねばならぬということに相なるのであります。
 次に徳田君の第二点の御質問は、國鉄がいかにも非常に荒廃をしておるということでございます。いろいろな事実をあげて御指摘になりましたが、いささかこれは話が少し大き過ぎると思うのであります。國鉄は昨二十三年度をもちまして、戰時中の大体の應急復興はできました。御承知のように昭和二十三年度は、輸送力におきましても、一億三千万トンの輸送を完遂いたしました。今年も十分ではございません、予算を他の費目は削減をいたしまするが、車輌やレールのとりかえ、あるいは防災の設備というような面には、うんと費目を計上いたしまして、輸送力の確保と安全性に努める考えでおります。
 次に徳田君の質問の第三点は、私鉄の拂下げの問題だと思いまするが、私鉄を拂い下げて、國鉄財政の面の一つの補いにいたそうという考えはございまするが、目下その私鉄を幾ら幾らに評價して、幾ら幾らでそれを拂い下げるというような点までは話が行くつておらないのであります。さよう御了承を願います。(拍手)
    〔國務大臣小澤佐重喜君登壇〕
#37
○國務大臣(小澤佐重喜君) お答えいたします。逓信事業の復興、復旧がわれわれ國民生活に、あるいは生産の増強に重大な影響のあるということは、徳田君の御指摘の通りであります。從いまして政府といたしましては、本年度におきましては、大体三百二十億程度の建設費を予想いたしたのでありまするが、諸般の事情から大体百二十億に節滅されました。しかしながらこれに対しましては、さらに損益の勘定から四十六億、進駐軍関係から二十五億というので、合計百九十億の建設費が充てられることになります。この百九十億になりますというと、金額におきましては大体昨年度の建設費と同額でありまするが、御承知のように物價の値上り、あるいは賃金の値上り等によりまして、大体事業量では三割減になるのではないかと思うのであります。しかしながらこれは從來のストツクその他のものを極力利用いたしまして、この節減の度を少くし、すなわち一割五分減程度で目標額を達したいと考えておるような次第であります。
 なお徳田君がただいまの問題だと思いまするが、一千億を最初建設費に要求をいたしまして、二十二億に削られたために、逓信省内の課長連中が総辞職をするといばつておるがどうかというようなお話でありまするが、ただいま申し上げた通り一千億などということは全然寝耳に水でありまして、私の知らぬことでありまするから、從つて課長が辞職するというような問題も、全然そういうことはございません。なお電氣通信事業を民間に拂い下げることがいいか惡いかというような問題につきましては、あらゆる角度から檢討中でございます。從つてこの問題に対する明答はできません。
 さらに外資導入の問題について、特に私の意見を求められましたが、これはただいま吉田総理大臣の仰せられた通り、まつたく私も同じ考えを持つております。(拍手)
    〔國務大臣高瀬荘太郎君登壇〕
#38
○國務大臣(高瀬荘太郎君) わが國現在の実情が、教育、文化、学術の振興に対しまして、重大な経済的圧迫を加えておるということは事実であります。しかし文化、学術の発展は、決してひとり経済的條件にのみ依存するものではありません。從うて今日の非常な経済的惡條件のもとにおきましても、幸いにしてなおわが國文化学術の水準は漸次回復向上を見つつあるのであります。なお一方におきまして、國内における学術研究の体制も、漸次回復完成して参りますとともに、海外学会との連絡、海外学術文献の輸入等も漸次回復に向つておりますことを思いますとき、重大な経済的圧迫にもかかわらず、わが國文化の発展に対しては、はなはだ明るい希望も、また一面において認められると思うのであります。(拍手)
    〔政府委員堀末治君登壇〕
#39
○政府委員(堀末治君) ただいま徳田さんから地方財政に関する御質問がございましたが、折あしく木村大臣が病氣で欠席いたしておりまするので、かわつて私からお答え申し上げます。
 第一番の御質問は、地方税の大幅引上げについての御質問でございましたが、これは現在の地方税の窮乏の実情にかんがみまして、また物價格騰貴に伴う國民所得の変動等、種々の情勢を勘案いたしまして、ある程度の増税は眞にやむを得ないものと存じまして、府縣民各位に対してはまことにお氣の毒の至りでございまするが、ぜひごしんぼう願いたいと存じております。
 続いて配付税の減額の問題でございます。これは地方財政の実情にかんがみまして、まことに遺憾にたえないのでありまするが、國家財政の現状と九原則の実施とによる経済安定の施策と関連いたしまして、本年度予算としてはまことにやむを得ないものがあると思うのであります。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
    〔徳田球一君登壇〕
#40
○徳田球一君 政府の答弁は大体においてなつていない。大体自主貿易ができないというならば、貿易をしない方がよろしい。もし自主貿易ができないような状態でありますれば、これはすべて外國資本にやらずぶつたくりにぶつたくられてしまうのである。事実今そうだ。それをしも忍んで、今この輸出貿易に産業を集中しようとすることにおきましては、日本をまつたくからからにして、すつかりの干物にしてしまう結果になるのだ。(「うそをつけ」と呼ぶ者あり)事実それはそうではないか。一年々々われわれが窮乏しておるところの最も重大な原因は、この不等價貿易にあるのである。(拍手)
 さて次に、集中排除があつたから、独占資本だとか、大資本などというものはないと言いますけれども、この集中排除は表面だけである。すでに集中排除は実際上において停止されているのである。それゆえに三井、三菱その他の元の根拠は一層強化され、新興財閥もここに大きく幅をきかすようになつたのである。そしてまた外資導入に関しまして吉田首相は、外資導入をすれば、復興するからいいのだ。こう申しますけれども、現に帝國石油、日本石油、東亞燃料に対するスタンダードオイルその他の独占はどうなつているか、かえつて石油の今後の日本における生産を非観的方向に向けているではないか。これを眞に日本人の手によつて堀りますれば、もつともつと有望になることは明らかである。今は堀り方が少いからこうなつているのである。これをもつと堀りさえすれば、どんどん石油は出る。これはカリフオルニアの石油地帶と大体同等な性質を持つているのであつて、世界におきましても、日本におけるこの石油地帶というものは、決して下等なものではない、非常に上等の豊富なものである。この点を忘れて、これを外國資本に渡して、実際この外資導入によりまして、外國資本に攻められますれば、これは外國資本が日本の資本を占領し、外國資本の言いなりにならざるを得ない結果に導くのである。かつての滿州を見、かつての上海、かつての奉天を見るならば、われわれはこの外資導入のやり方が、日本人を滅ぼすところの最大なものになることははつきりしているのだ。(拍手)しかるになおかつ吉田首相は、わが國民は独立を失うことはない、こう言つている。しかしながら資本が実際外國資本に圧迫されますれば、独立を失うことははつきりしている。これは歴史の上ではつきりしている。(「滿鉄はとうだ」と呼ぶ者あり)滿鉄しかり。滿鉄は日本軍閥と日本独占資本家の手中にあつたために、そのためにこそあの滿州は日本の実際上の植民地になつたではないか。滿州人の生活は実際悲惨そのものであつた。日本人の生活はこれより下に向くことははつきりしている。
 その他政府の答弁はまつたく問題にならない。でありますから、これらの問題にならない点は、青木安本長官以下それぞれ委員会において明らかにするでありましよう。実際これはやはりこまかく討論しなければならない次第でありますから、委員会において討論しましよう。
 しかしいずれの大臣諸君も非常にふまじめだ。ことに青木安本長官はたくさん尋ねておるのに、ほんの一つしか答弁しない。これはまことに不勉強であると信ずるのである。
#41
○今村忠助君 國務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明六日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて、散会せられんことを望みます。
#42
○副議長(岩本信行君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
#43
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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