くにさくロゴ
1947/11/05 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第44号
姉妹サイト
 
1947/11/05 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第44号

#1
第001回国会 本会議 第44号
昭和二十二年十一月五日(水曜日)
   午前十時三十六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四十三号
  昭和二十二年十一月五日
   午前十時開議
 第一 農地開発営團の行う農地開発事業を政府において引き継いだ場合の措置に関する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第二 重要肥料業統制法等を廃止する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第三 薪炭需給調節特別会計法を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。片山内閣総理大臣より発言を求められました。この際許可いたします。片山内閣総理大臣。
   〔國務大臣片山哲君登壇、拍手〕
#4
○國務大臣(片山哲君) この際政府から皆さんに御報告いたしまして御了解を得たいと思う点があるので、発言を求めたわけであります。これは新聞紙上で大体御了承のことと存じますが、平野前農相に関する問題であります。憲法上によりまする罷免権を発動いたしました経過について、次のような事情があるのであります。私はできるだけ罷免権の発動を避けて、平野君に対しまして自発的な辞職を求めたのでありますが、應ぜられなかつたものでありますから、止むを得ず最後の手段といたしまして罷免権の発動をいたしたのであります。辞職を求めました理由は、この非常危機突破のためには、閣内一致協力いたしまして、聊かの罅もないやり方で進んで行かなければならないことは言うまでもないと考えておるのであります。近時における平野君の言動が、現内閣のこの方針に対しまして、甚だ遺憾でありまするが、非協力な態度であつたのであります。これに対しまして反省を求めておつたのでありまするが、遂に事ここに至りましては、止むを得ず政策遂行上遺憾の点あることを考えまして、平野君に辞職を求めたのであります。ところが同君は辞職勧告に應じなかつたものでありまするから、止むを得ず憲法上による罷免権を先程申しましたように発動いたしたのであります。これは内閣総理大臣に與えられておりまする薪憲法による新らしき権限であることは、諸君の御了承の通りであります。併し法規上においてはかようでありましても、やたらにこれを濫用することは愼しまなければならないと思つております。今後におきましても、この罷免権は愼重を期して、十分注意に注意を加えた上において行使しなければならないと考えておる次第であります。尚この問題につきまして世上幾多の疑惑がありまするから、この際これを明らかにいたしておきます。平野君は追放者として決定いたしておるわけではありません。追放問題は、御承知の通り資格審査委員会において審査いたすのでありまして、その決定を待ちまして最後の決まりが分つて來るのであります。政府とは関係がないわけであります。今回の辞職理由も、追放者と決まつたからというような理由で辞職を求めたわけではないのであります。又世上傳えられておりまする裁判上の問題、告発問題があるのでありまするが、これも告発の結果、起訴と決まつておるから、これを以て辞職を求めるというような理由にはなつていないのであります。これも別個の問題でありまして、檢事局が法規に照しまして公正な立場に立つて処置されることと信じておるのであります。追放問題及び告訴問題には関係なく、政府の問題、閣内の問題、閣内の強力なる遂行をやつて行かなければならない問題としてこれを取り上げておるのでありまして、罷免権発動は一に内閣総理大臣の責任においてこれを処置した点であります。こういう経過を十分に皆さんに申上げまして、そうして諸君の御了承を仰ぎたいと存ずるのであります。何ら策謀とか或いは威嚇とか、そういう関係のないことを改めてここに申上げまして、皆さんの十分なる御了解を仰ぎたいために発言を求めた次第であります。(拍手)
#5
○遠山丙市君 議長、議事進行について発言を求めます。(「はつきりせい」「無用」と呼ぶ者あり)議長、議事進行について……。
#6
○議長(松平恒雄君) よろしうございます。
   〔遠山丙市君登壇〕
#7
○遠山丙市君 (「各派交渉会はどうした」と呼ぶ者あり)只今平野農相問題につきまして、首相からその経緯についてのお話を承わつたのでありまするが、その御説明内容では了解に苦しむ点がありまするので、一二点お伺いして見たいと思うのであります。(「話が違う」「何だ」「議事進行でない」議事進行しろ」と呼ぶ者あり)
#8
○議長(松平恒雄君) ちよつと御注意をいたします。議事進行の範囲は越えないように願いたいと思います。
#9
○遠山丙市君(続) 承知いたしました。(「もう越えておる、発言停止だ」「議事進行に関係がないぞ」「議事進行」と呼ぶ者あり)本問題につきましては、御承知のように、世上非常なる騒ぎを惹き起しておるであります。(「議事進行に関係ないぞ」「発言取消」と呼ぶ者あり)この問題は、(「議長何しておるか」と呼ぶ者あり)議会において……(「議事進行」「何だ」と呼ぶ者あり)議事進行であります。これを解決するに非ざれば議事は進行できない。國民の疑惑、議員の疑惑等が沢山あるのに、これを不問に付して進行するということは、誠に(「違う」と呼ぶ者あり)我々議員としては職責を完うすることができないのであります。(「議事進行と違う」「議長発言を停止しろ」と呼ぶ者あり)
#10
○議長(松平恒雄君) ちよつと御注意をいたします。議事進行の範囲を越えておるものと認めますから御中止あらんことを希望いたします。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)(拍手)議事の都合によりこの際暫く休憩いたします。
   午前十時四十五分休憩
     ―――――・―――――
    午前十一時三十一分開会
#11
○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き会議を開きます。遠山丙市君より片山総理大臣の発言に対し質疑したい旨の通告がございました。これより許可いたします。遠山丙市君。
   〔遠山丙市君登壇、拍手〕
   〔「しつかりやれ」、「間違わんでやれよと」呼ぶ者あり〕
#12
○遠山丙市君 先程平野農相問題に対しまして、首相よりこれが弁明的釈明を承わつたのであります。本員はこの弁明に対しまして幾多の疑惑を持つており、而もこれを十分に解決するにあらざれば、國民全体が新らしい憲法によつて認められましたるところの議院制度そのものに対しても幾多の疑惑を招くであろうと固く信じておる者であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)故に二三極めて簡單に御質問を申上げ、明快なる御答弁を煩わす次第であります。
   〔議長退席、副議長著席〕
 先程の片山首相の釈明によりますると、閣内不一致、平野農相の言動が現内閣に非協力的態度であつたので、止むなく新憲法によつて與えられましたる罷免権を実際に行なつたと、こういうようなことを言つておられるのであります。併しながら我々の知る限りにおいて、殊に一般國民の知つておる限りにおいては、理由は外に沢山あつたであろうと考えておるのであります。そういうような形式的なる、本当の通り一遍的なる首相のその態度と、その言動、こういうものに対しましては我我はどうしてもこれを深く究明しなければならんと考えておる次第であります。(「究明とは何だ」と呼ぶ者あり)勿論幾多の新聞にも現われたことであり、而もその新聞に現われた一二を申上げますれば、勿論西尾官房長官は中央公職適格審査委員会には関係はないということは法規上明瞭でありまするが、私の知る限りにおいてはこの委員会において纏まりましたる意見というものは、長官に報告をするということに相成つておると聞き及んでおるのであります。報告するということに相成りますれば、勢いこれが首相に傳達するということは女房役として当然のことであると考えておるのであります。而もこのような追放問題ということが、全然この関係外に置かれておるというのに拘わらず、これが西尾長官によつて幾多発表を見ておるのであります。こういうようなことは全くその適格審査委員会の運営、これが委員会に懸つておりまする問題が、伏せてある問題を委員会の手を通さずして、そうしてこれがどんどんと発表せられるというようなこと、而も今日に至つてその追放問題にあらず、閣内不統一、不一致の結果これを首にしたというようなることは、これは誰がどう考えましても納得のできないことでありまして、こういうようなことをいい加減に御説明を願い、而も無責任な御説明を願うことは、この議事の進行においても誠にまずい。議院としていろいろな進行上まずいと考えましたので、先程私はいろいろこの点で申上げようと考えたのでありましたが、これが中止である。こういうようなことでありまするので、止むなく立つた次第であります。(「もつと勉強しろ」、「交渉会で謝罪したのになんだ」、「はつきりしろ」と呼び、その他発言する者多し)かくのごとくいたしまして、私は何と首相が御答弁になりましても、これは追放問題と刑事問題と絡んで來ておる問題であると考えておる。そういたしますると追放問題に出まして、而も或る新聞には号外まで出ておる。こういうようなる問題については、もう少し掘り下げて、そうしてここで釈明をして貰うにあらざれば明瞭を欠くのであります。而も半年以前に最も立派なお方として推薦せられましたる平野農相が、半年経たない内にただこれが追放である、これが首であるというようなことを以てしては、とても満足ができ得ないのであります。而も傳うるところによりますると、進んでこの資格審査の枠まで拡張するというようなことも出ておりますが、こういうようなる問題についての今までの経過等も承わりたいのであります。又この告訴問題について鈴木法相は、これは新聞に出ておることでありますが、辞職すれば不起訴になるであろうというようなことを言つておられるのであります。勿論刑事訴訟法に定めておりまする点では、いわゆる起訴、不起訴というようなことは、犯罪あれば必ず起訴しなければならんとは、今日の規定はなつておらんのであります。いわゆる任意主義を採つておる、便宜主義を採つておる我が訴訟法の実体といたしましては、これは止むを得んことでありまするけれども、併しながら犯罪があるといたしますれば、犯罪があることを前提といたしますれば、あるんだけれどもこうこういうわけでこれを不起訴にする。辞めれば勘弁してやる、辞めなければお前の首を取るというようなる言葉を濁らせられるということは、全く実に驚くべきことでありまして、これは閣員の一人に対して恐喝を行うものであると言わなければならんと思うのであります。(「本人に聴け、事実は……」と呼び、その他発言する者多し)
#13
○副議長(松本治一郎君) 靜粛に……
#14
○遠山丙市君(続) こういうようなる意味におきまして、私は只今首相が申されましたるように、いわゆる閣内不一致ということの一言を以て述べておられましたことについて満足ができない。(「そこを突つ込め」と呼ぶ者あり)故に、いわゆる起訴、不起訴の問題並びに追放上の問題というものが、只今抽象的に申されましたようなことでは満足できませんので、具体的に、而も協力できない、いかない人間である、不都合な人間であるといたしますれば、どの点が不都合であつて、そうしてこれを追つ拂らわなければならんかという点を明瞭にいたして貰いたいと考えておるのであります。我々自由党は常に反対党の立場におると言われておりますけれども、平野君がこの農村問題について非常なる御苦労になつておるということについては、敬意を拂つておるのであります。ところか寝耳に水で、これが不都合千万であるということは誠に当を得ないのであります。故にこの点については今も御発言がありましたように、簡単に一言を以ちまして御答弁を願う次第であります。(「答弁必要なし」、「審査委員会と裁判所に聽け」と呼ぶ者あり)
#15
○副議長(松本治一郎君) 片山首相より発言を求められております。これを許します。
   〔國務大臣片山哲君登壇〕
#16
○國務大臣(片山哲君) 只今の御質問はいろいろの問題を一緒にしてご質問になりましたので、混線いたしたと思うのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)私の平野君に対して辞職を求めた理由は、私自身が申したのでありまするから、極めて明白であります。即ち非協力では政策遂行に遺憾の点がある、その意味において辞めて貰いたい、こういうことを理由にして辞職を求めたのであります。外のことは理由にしていないのであります。でありまするから恐喝的なる言葉を使つたり、或いは又追放を以て威嚇したり、こういうようなことは辞職を求める理由にいたしていないのであります。その点は極めて明らかであります。この辞職勧告に対しまして應じられないということになりましたのでありまするから、甚だ遺憾であつたけれども、罷免権を発動したこの筋は、極めて明白に何らの混線なく通つておるのであります。但し告訴問題或いは追放に関する資格上の問題が別個にあることは事実であろうと思います。それは告発はすでに提起せられて檢事局の取調べ中であるということであります。又こういうことが明らかになつておるのであります。資格問題は衆議院の立候補の当時であるとか、或いはその他重要なる地位に就きまする時において審査し、パスをいたしましたとしても、これは終了ではない。いつでも更に調べられる。大臣であろうと一般の人であろうと、同様に法規に照して調べるというような状態になつておるということも明らかであります。そういう問題が別個にありますが、私の辞職を求めた理由の中には、それは入れていないのであります。こういう関係を明らかに御了承願い得るならば、全体の問題がすべて明瞭になつて來ると思うのでありまして、只今の御質問に対するお答えは、その線を明らかにすることによつて十分お答えになるだろうと信じております。(拍手)
     ―――――・―――――
#17
○副議長(松本治一郎君) これより日程に入ります。
 日程第一、農地開発営團の行う農地開発事業を政府において引き継いだ場合の措置に関する法律案、(内閣提出)、日程第二、重要肥料業統制法等を廃止する法律案、(内閣提出、衆議院送付)、日程第三、薪炭需給調節特別会計法を改正する法律案、(内閣提出、衆議院送付)、以上三件を一括議題とすることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。
   〔楠見義男君登壇、拍手〕
#19
○楠見義男君 只今上程せられました三つの案件につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ず農地開発営團の行う農地開発事業を政府において引き継いだ場合の措置に関する法律案について御説明申上げます。この法律案は御承知のように、去る九月二日附を以ちまして農地開発営團が閉鎖機関に指定せられましたので、從來農地開発営團が行なつておりました農地開発事業を政府において引き継ぐことといたしまして、その場合の善後措置を内容といたしたものでございます。元來農地開発営團は昭和十六年法律第六十五号を以て制定せられました農地開発法に基ずいて設立せられました特殊法人でございまして、この農地開発法は当時の食糧需給状況に鑑みまして、國内における食糧自給力の増大を企図いたしまするために、農地の造成及び改良を促進する目的を以て制定せられた法律でございます。而してこの目的達成のために政府代行機関といたしまして、農地開発営團が資本金三千万円、内半額政府出資により設立せられ、爾來営團は法律の規定に從いまして、農地の造成及び農業水利改良の事業を実施して参つたのであります。又一昨年緊急開拓事業が國の大方針として決定せられまするや、この事業の相当部分をこれ亦政府代行機関として実施して参つたのでありまして、農地の開発のためには從来相当の功績を挙げて参つたのでありますが、今申上げましたように、今回閉鎖機関に指定せらるるに当りまして、もともと政府の代行機関でございましたが故に、その代行の仕事は勢い委託者である國の事業に吸収せられることが極めて自然でありまするし、旁々大規模な開拓事業のごときものは、その性質上やはり政府の責任において実施することが必要でございまするので、これらの観点から、営團の施行して参りました農地開発事業を緊急開拓事業と合せて、すべて政府においてこれを引き継ぐことといたしておるのであります。而して一面において、現在政府みずからが行なつておりまするところの開拓事業におきまする土地或いは物件の取得処分につきましては、自作農創設特別措置法及び同特別会計法によつて行なつておりまするので、今回営團から引き継ぎましたこれらの土地物件につきましても、同様に自作農創設特別措置法によつて買収したと同一の取扱いをいたすこととしておるのであります。又営團が現在農業水利改良事業について事業をいたしまする場合に、その利益を負担いたしまするいわゆる受益者負担の制度が農地開発法において認められておりまするので、今回営團から政府が引き継ぎまするこれらの農業水利改良事業につきましても、同様の受益者負担の制度を存続せしめることといたしておるのであります。
 以上が法案の内容でございまするが、委員会におきまして質疑の主な対象になりましたのは、政府が事業を引き継ぐに当りまして、往々にして生ずることのある事業実施上の空白状態や工事の遅延が、差し迫つた食料増産の観点から大きな支障を來すことのなきや否や、或いは引き継いだ後における政府の機関の活動について、從來の営團との比較上その間大なる支障、或いは懸隔がなきや否やというようなことが中心でございましたが、これらの問題につきましては、政府よりそれぞれ善処する旨の答弁があつたのであります。又開拓と治山治水との関係につきましても重要な質疑がございましたが、これは先般開拓関係の法案について委員長報告をいたしましたところと大同小異でございますので、ここではこれを省略いたしまして、詳細は速記録によつて御覧を願うことにいたしたいと存ずるのであります。質疑終了後討論に附しましたところ、別に御発議もなく、直ちに採決に入りまして、その結果は全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に、重要肥料業統制法等を廃止する法律案について御説明申上げます。この法律案の内容は、重要肥料業統制法と日本輸出農産物株式会社法を廃止する法律案でございます。
 重要肥料業統制法は御承知のように昭和十一年に制定せられまして、その目的といたしまするところは、肥料の需給の円滑及び價格の公正を図り、以て肥料製造業及び農業経営の改善発達を期するにあるのでありますが、その内容といたしまするところは、全く肥料製造業組合に関するものでございます。即ち硫安、石灰窒素、過燐酸石灰につきまして、それぞれ製造業者をして組合を設立せしめ、この組合の主なる目的は、肥料の製造総数量の決定、或いは組合員に対する製造量の割当決定、肥料價格の決定等の事業をなすことにあつたのであります。然るにこれらの重要な事業は、その後の情勢変化に伴いまして、すべて政府がみずからこれを行うことになりましたので、組合は事実上單に政府の決定に参画するのみで、法律所定の本來の機能を喪失するに至つておるのであります。又一面「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の趣旨にも反しまするので、本年三月三十一日附を以て各組合はそれぞれ解散をいたしたような次第であります。從つて現行法は全くその存在の理由を失つておりますので、今回この法律を廃止せんとするものであります。
 又日本輸出農産物株式会社法は昭和十五年に制定せられたものでございまして、この法律によつて、当時いわゆる國策会社として一千万円、内、政府半額出資の日本輸出農産物株式会社を設立いたしまして、「じよちゆうぎく」「はつか」について一元的な集荷及び配給を行なつて参つたのでありますが、同様に私的独占禁止法の趣旨に反しまするので、今回この法律も廃止せんとする次第であります。
 以上の二つの法律の廃止につきましては、その理由からいたしまして極めて当然でございまして、さして問題もないわけでありますが、法案審議に際しまして、これと関連して、例えば肥料需給の現状及びその將來の見通しその他に関し、種々質疑が行われたのでありますが、これらの点につきましては、或るものは速記録に割愛し、或るものにつきましはて、更に他の関係法案の審議に際して一段と掘り下げた上で別の機会に御報書いたしたいと存ずるのであります。
 本件につきましても、討論においては別に御発議もなく、採決に入り、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 次に薪炭需給調節特別会計法を改正する法律案について御報告申上げます。
 先ず法律案の内容を御説明いたします。御承知のように現在、政府は薪炭の需給調節のために特別会計を設けまして、これによつて販賣用薪炭の買入、賣渡又は貯藏の事業をいたして参つておるのでありますが、これらの事業の実施上必要な資金は、現行法におきましてはすべて特別会計の借入金によつて賄われており、而もその限度は据置運轉資金一千万円を含めて総額五億一千百万円に限定せられておりまするために、事業分量の割合に、据置運轉資金が少額に過ぎることは勿論でありますが、全体としても事業運営の上から申して資金繰りは極めて窮屈でございまして、これがため最近においては本來の機能発揮上遺憾の点が多いために、今回現行法を改正いたしまして、薪炭の買入資金調達のために一年内に償還する証券発行の途を開き、又買入代金支拂上、一時現金に不足を生じましたときは、当該年度内に償還する証券を発行し得ることといたし、尚、借入金、一時借入金及び証券の借換のためにも更に証券を発行し又は借入金をなすことのできる途を開きますると共に、これらの証券、借入金、一時借入金の最高額は、通じて三十億円とせんとするものでございます。尚これと同時に、財政法及び改正会計法の施行等に伴いまして所要の改正をも併せ行うことといたしておるのであります。
 改正法律案の趣旨といたしまするところ及びその内容は以下申上げました通りでありして、現在の薪炭供給不円滑のいろいろの原因の中の一つとして政府の薪炭買入資金の不足のために支拂が惡く、それによつて供出にも惡影響を與えておることが挙げられており、從つて供給確保対策の一つとして、この買入資金の充足が必要とせられておりまする実情からいたしまして、本法案の制定亦必要と言わなければならないのであります。併しながら御承知のように本年冬の燃料問題は、国民生活の安定というよりは、むしろ最低限維持の観点から、極めて重大な問題といたしまして、すでに本院の電氣委員会におかれましても、ひとり電力の観点からのみでなく、綜合的燃料対策の観点からいろいろご心配になつておられるのであります。又先日の自由討議におきましても、各議員の方々から眞劍な討議が行われた通りでございます。農林委員会といたしましても、石炭不定の実情からいたしまして、本年の冬季渇水期における燃料事情が非常に憂慮せられておりましたので、本年七月、研究会の形式を以ちまして、冬季の燃料対策について農林当局から説明を聽取いたしまして、同時に必要な助言及び推進をして参つたのでありますが、当時やや好轉を期待せられました薪炭事情も、東北、関東水害を契機といたしまして、最近とみに惡化して参りましたことは御承知の通りでありまして、本法案が付託せられました機会に更に愼重且つ熱心なる審議が重ねられた次第であります。
 而してこの委員会の審議を通じて明らかにいたしましたところを以下御報告を申上げたいと存じます。これらの経過を、最近における薪炭需給状況と今後の見通しという形に取纏めまして以下申上げまする次第でございまするが、これは法案審議に際して政府委員の説明、各委員と政府との間における質疑應答の結果をコンデンスしたものと御承知願いたいのであります。
 先ず最初に本年との比較の便宜上、昨年度の事情から振返つて見たいと存じます。即ち政府説明による昨年度の薪炭配給実績は、木炭が百八万二千トン、普通燃料用薪……ガス用薪の外に普通燃料用薪と称しておるのでありますが、これが千五百三十五万九千層積石でございまして、計画に対する実績比率は、木炭が五二%、薪が二八%の成績でございます。而して右の全体の配給総量の内、家庭配給の実績は、木炭が六十一万二千トン、薪が千四十七万八千層積石でございます。これを東京都の例によつて家庭配給の実績を見ますと、家族五人を標準世帶として、一世帶当り木炭三俵、薪が十二束及び豆炭、煉炭等の加工炭が三包で、木炭換算にいたしまして約七・四俵で、年間計画の七四%に当つておるのであります。先ず以上のことで我々の直ちに氣付きますことは、第一に、計画と配給実績との間に極めて大なる相違があるということであります。第二に、東京都の例に徹しましても明らかでございますように、全國の状況と比較して大都市に相当の重点的配慮がなされておるということであります。第三には、木炭にしましても又薪にいたしましても、家庭用以外に輸送用とか重要産業用その他の用途向けが相当大量のものが充てられておるということであります。第四に、綜合燃料対策の観点から、各種の熱源についてその間完全な綜合対策の実行が必要でありますると共に、本年度の見通しと昨年の実績及び経験とを比較いたしました場合、本年は薪炭に余程大きな負担が掛つて來るということでございます。
 次に本年度の状況でございますが、薪炭の供出計画は、年間木炭において百八十七万一千トン、普通薪は四千二百五十九万五千層積石で、配給計画もほぼこれと同数量でございまして、この配給計画は、昨年度の配給実績に比較いたしますると、木炭において約八割の増、普通薪において約二倍半の増でございます。併しこの計画は、後程述べまするように、その後産地に水害その他の困難な事情が起りましたとはいえ、昨年度と同様、実績から振返つて見ました場合に、余りにも架空な計画数字でございまして、今後の問題といたしましては、確乎たる基礎の上に立つて実行可能性ある計画を立て、その計画を一〇〇%完遂することに最善の努力を拂うというやり方が最も大切であるということを示唆いたしておるのであります。(拍手)而して本年度第一四半期の状況は、農山村における労務者の増加、前年の冬山増産運動の影響、特に前年度なかつた食糧加配制度の実施等のために、供出実績は計画よりは遥かに及ばなかつたのでりますけれども、それでも前年同期に比較いたしますと、木炭において約二〇%、薪において約一五%増加を見ておるのであります。併し第二四半期に入りましてからは、折角の食糧加配制度も生産縣における食糧事情等から継続が困難になりました。又その他のいろいろの事情に伴つて漸次実績が挙らなくなつて参りました。結局上半期を通じての配給実績は、東京都の例を取つて見ましても、木炭、薪及び加工炭を通じて木炭換算で標準一戸当り三・三三俵で、昨年度の上半期の実績と比較いたしますと、昨年は三・一四俵でありまするから、約〇・二俵の増加を見た程度に過ぎぬ実績でございます。
 次に最も問題となる本年下半期の状況でございますが、通常の年におきましても、この期間は新穀の出廻り或いは石炭輸送等と競合いたしまして、輸送面において著しい困難を伴うことは御承知の通りでありますが、前半期の不成績のために消費地に在庫として見るべきもののない実情から致しまして全國的に問題でございますが、特にその供給背後地でありまする東北、関東の大水害の影響を受けておりまする京浜地方の需給の状況は、結論的に申上げますと極めて悲観的でございまして、政府の計画でありまする綜合燃料対策において、例えば東京都については、一戸当り電氣、ガスを含めて木炭換算九俵と申しておりますが、その中、木炭一・四俵、薪一・二俵、加工炭三俵、合計五・六俵を予定しておりますが、この数字は、昨年度下半期の実績でありまする木炭、薪、加工炭を合して四・三四俵に比較いたしますれば約三割の増加でございますけれども、先日の自由討議におきましても種種論議のございましたように、この計画数字は冬季において暖を採るというような程度のものではなくて、食生活をするに漸く間に合う、即ち煮炊きのための最低の熱源でございまするから、経済安定本部は勿論、農林、商工、運輸の眞に強力なる実現完遂への努力が望まれる次第でございます。而してこの計画実現のために、その対策として政府は一面現在の隘路打開方策をも兼ねまして、例えば食糧加配制度の復元とか、供出リンク報奨物資の放出、或いは生産者及び消費者價格の差額の縮減、國有林官行製炭及び立木処分による薪炭増産、豆炭、煉炭等の加工炭の増産とこれが都市への集中、薪炭輸送力の増強と滞荷の一掃、横流れ防止とその取締強化等のいろいろの対策を立てておりまするけれども、委員会の質疑を通じ最も重要視せられましたことは、差当り当面の問題として薪炭輸送力の増強と滞荷一掃の問題でございます。即ち差し迫つた問題として資金と輸送の問題が挙げられるのでありますが、資金の問題はこの法律案の施行によりまして解決を見るわけでございまするから、輸送強化によつて、現在生産地方に夥しく滞荷いたしておりまする薪炭をこの際全力を挙げて消費地に輸送することが、最も重要とせられておるのでございまして、委員会の審議に参加せられました一松商業委員長から、輸送計画の立つまで今後の生産を止めるべきではないかというような質疑が出た程でございます。政府は輸送計画については、現在北海道において釧路に集結し、それを海上輸送するために、釧路集結のための特別配車計画、或いは岩手、福島地方に対しまする臨時貨物列車の増発、秋田縣における船川、土崎港集結のための特別の配車計画、その他青森、山形、関東、信越等の諸縣に対する配車計画等を種々計画されておるのでありますが、それらの計画の中で未だ確定実行にまで至つていないものも少くない実情でありまして、積雪地方におきまする今後の小運送問題と共に、將來一層の努力が強く要請せられました次第でございます。
 以上のような経過を経て質疑を終了いたしまて、去る十一月一日討論に付しましたるところ、別段の御発議もなく、次いで採決に入り、全会一致本案は原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。以上御報告申上げます。(拍手)
#20
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言の通告もありません。これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の御起立を請います。
   〔総員起立〕
#21
○副議長(松本治一郎君) 総員起立、よつて三案は全会一致を以て可決せられました。これにて本日の議事日程は終了いたしました。次回の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト