くにさくロゴ
1949/04/21 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第20号
姉妹サイト
 
1949/04/21 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第20号

#1
第005回国会 本会議 第20号
昭和二十四年四月二十一日(木曜日)
 議事日程 第十八号
    午後一時開議
 第一 地方配付税法の特例に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 地方配付税法の特例に関する法律案(内閣提出)
 図書館運営委員長の國立國会図書館法第十一條第二項による審査の結果報告
 横浜地檢問題に関する法務委員の現地調査の結果報告
 選挙法改正に関する特別委員会設置の動議(山本猛夫君提出)
    午後一時二十七分開議
#2
○議長(幣原喜重郎君) これより本日の会議を開きます。
     ―――――・―――――
 第一 地方配付税法の特例に関する法律案(内閣提出)
#3
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、地方配付税法の特例に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長中島守利君。
    〔中島守利君登壇〕
#4
○中島守利君 ただいま議題となりました地方配付税法の特例に関する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、地方配付税法第二條に規定されておりまする地方配付税の繰入率百分の三三・一四を昭和二十四年度に限り百分の一六・二九に変更することを内容とするものであります。政府は、経済九原則にのつとり、國・地方を通ずる総合予算の均衡をはかることがわが國の経済的自立態勢の確立にとつて必須の要請であることにかんがみまして、地方財政が深く窮乏している折柄にもかかわらず、なおこの趣旨に基きその歳出の徹底的縮減を行い、歳入の最大限の拡大をはかるとともに、國庫財政の都合により、地方配付税額を、本年度に限り地方配付税法に定める繰入率に基く額によらず、総額五百七十七億円にとどめることとしたため、その繰入率を変更したいというのが、政府説明の要旨であります。
 本委員会は、本法案の地方財政に及ぼす影響の重大なるにかんがみまして、四月十三日、十五日、十六日、十八日、十九日及び二十日の六回にわたつて愼重審議を重ね、特に木村國務大臣、池田大藏大臣の列席を求め、各委員から熱心な質疑が行われたのであります。また十六日には関係各方面の代表者十名を参考人として招致し、その意見を聽取したのであります。
 質疑の詳細は速記録に譲ることをお許し願いまして、ここにそのおもな点のみを御紹介申し上げます。
 その第一点は、地方自治團体に対する國の委任事務が年を追つて増大し、ことに本年度は六・三制の完成、自治体警察の整備等のため多額の経費膨張が予想せられるときにあたり、地方歳入の根幹である地方配付税の大幅の削減を行うならば、窮乏の極にある地方財政は六百億に近い赤字を生ずることとなるのであるが、この欠陷をいかにして補填するつもりであるか、政府には確固たる見通しがあるのであるかという点であります。これに対しまして政府は、今ただちに確信ある具体的対策を用意していないが、國の委任事務を簡略にし、その他あらゆる面において経費の節約を行うとともに、近く予定されている税制の全面的改革に際して地方財政の独自の立場を確立したい意向であり、なおいまだ発表の時期ではないが他にも方策を考えているという答弁があつたのであります。
 次に第二点として、元來地方自治團体の固有の財源であり、かつ地方財政の自主性を確立するという目的をもつて設定せられた地方配付税を國の都合によつて一方的に削減することは、地方財政法第二條第二項に「國は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共團体に負担を轉嫁するような施策を行つてはならない。」とある條章に違反するものであるとともに、國の健全財政を樹立するために地方を犠牲とし、地方自治を國に隷属せしめる結果となるのではないかというのであります。これに対する政府側の答弁は、予算は國と地方とを通ずる総合的見地に立つて編成されたものであつて、地方に対してのみ難きをしいるものでなく、國もまた大幅の削減を甘受しているのであり、九原則にのつとつた國策が決定した以上やむを得ないところと思う、地方財政法第二條においても、第一項には「地方公共團体は……いやしくも國の政策に反し、又は國の財政若しくは他の地方公共團体の財政に累を及ぼすような施策を行つてはならない。」という規定があつて、同第二項はこの項との関連において考えられるべきであつて、従つて今回の措置は財政法違反ではないということでありました。
 質疑の第三点は、所得税及び法人税の徴収額が政府の予想額より不足する場合にもなお五百七十七億円の絶対額を地方配付税のため確保する意思であるか、また國の予算に余裕が生じた場合これを優先的に配付税に繰入れる意思はないかというのでありましたが、政府はこれに答えて、五百七十七億円は絶対に確保する、國の歳入に余剰を生じた場合には、まず第一に所得税等の軽減を行い、次に地方配付税額の増額、公共事業への繰入れを考慮したいと言明しているのであります。
 第四点として、地付配布税は地方財政の基本をなすものであつて、その率がそのときどきの財政事情によつて変更されるとするならば、地方財政はきわめて不安定な状態に置かれるのであつて、その率を法律で定めた意義をも失うのではないかという意味の質疑に対しまして、木村國務大臣は、今回の変更は、政府がドツジ案の線に沿つて予算編成を行うことを國策として決定した結果、まことにやむなく行われた変更であつて、今回のごとき思い切つた特別な措置は將來もたびたびあつてはならず、またあり得ないものと思う、という趣旨の答弁をせられたのであります。同様の質疑に対しまして、池田大藏大臣は、地方配付税の三三・一四という率は必ずしも既得権と解すべきでなく、一應の標準に過ぎないものと思う、將來の例から見ても、これをくぎづけにしておくことは適当でない、國と地方との財政均衡を実現するためには、率の変更は常に起り得ると考える、地方財政の確立のためには地方に独立に税源を付與すべきであつて、税制審議会において檢討いたしたい、かように答えられているのであります。
 次に、先ほど申し上げましたように、本委員会は、去る四月十六日に、地方自治の運営に直接携わつている者並びに地方自治に深い関心をもつている者を参考人として招致し、その意見を聴取いたしたのでありますが、いずれも地方財政の極度の窮乏を訴え、地方配付税の減額に対しまして強く反対の意を表明されたのであります。詳しくは、これまた速記録についてごらんを願いたいと思います。
 質疑の終了後討論に入つたのでありますが、本法案の地方財政に及ぼす影響深甚なるものがあるのでありまして、ひいては地方自治の確立、政治の民主化の上に憂慮すべき結果をもたらすことが深く懸念せられ、この観点から眞劍な論議が行われたのであります。日本社会党の門司委員、民主党の藤田委員、日本共産党の谷口委員、國民協同党の井出委員及び農民新党の小平委員の各委員は、あるいは法律上、政治上の見地から、あるいは地方の現実の認識から、それぞれ、強く反対の意見を述べられたのであります。
 民主自由党の野村委員は、その討論において、本法案の趣旨を深く遺憾とし、政府は今後機会あるごとにその是正に努むべきことを要望し、次の四項目の希望意見を述べ、これに対する政府の所信をただしましたところ、木村國務大臣から、その全項目につき同意の旨の答弁がありましたので、本案に対して賛成をいたしたのであります。その希望意見は、
 一、もし本年度予算に計上した所得税や法人税等国税徴収額が減少した場合には、地方配付税額五百七十七億円を確保するために、本特例法に定められた比率を変更する法律案を政府は國会に提出せられたい。
 二、もし本年度において歳入に余剰を生じた場合には、優先的にこれを地方配付税額の増加に補填せられたい。
 三、昭和二十五年度以降においては、地方配付税法に規定せられた現行法定の割合による地方配付税の額は、地方財源としてこれを確保することとせられたい。
 四、政府はすみやかに國税と地方税との区分を明かにし、税制の整理を断行して、地方材政の確立を期せられたい。
以上四項目であります。
 かくて採決に入り、多数をもつて本法律案を可決すべきものと決定いたしました次第であります。これをもつて御報告を終ります。(拍手)
#5
○議長(幣原喜重郎君) 本案については討論の通告があります。その発言を許します。まず門司亮君。
  〔門司亮君登壇〕
#6
○門司亮君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました地方配付税法の特例に関する法律案に対しまして反対の意思表示をするものであります。以下、ごく簡單に反対の理由を申し述べたいと思うのであります。
 本法案は、地方配付税法の第二條並びに第三條に規定してありまする所得税並びに法人税の三三・一四を地方配付税とするというこの嚴然たる規定があるにもかかわりませず、その規定に基く配付額を配付しようとしない案であります。数字を申し上げますならば、現在の政府が予定いたしておりまする所得税の総額は三千百億であり、法人税は二百七十億であるということは御承知の通りであります。從つて、この三千三百七十億の三三・一四、すなわち千百十六億数千万円のものは、当然地方配付税として配付され、地方自治体の運営のために使用されなければならないものを、これを今回に限るとは申されておりまするが、この嚴然たる規定を無視して、五百七十七億に減額しようとするのであります。
 わが國が敗戦後における日本再建のために、また日本民主化のために最も必要なるものは、地方公共團体、いわゆる地方自治体の円満なる発達であるということにその重点を置かれて、新憲法におきましては、ことさら自治に関する諸項を設け、九十二條以下の規定において、日本民主化のために自治体の円満なる発達を規定いたしておるのであります。この憲法の定めました精神に対する一つの大きな障害とならざるを得ない本法案に対しましては、憲法の精神を蹂躪するものとして、まず反対をしなければならないのであります。(拍手)
 さらに、地方自治体の円満なる遂行をいたしますることのためと、同時にまた日本民主化のために、この憲法の精神にのつとつて、わが國の從來の官僚政治、官治行政・中央集権を廃することのために、官僚の大本山であつた内務省を昨年一月一日に解体をし、内務省の持つ多くの権限を地方都道府縣並びに市町村に委讓して参つたのであります。そうして、従來のわが國の官治行政を民治行政に引直すことにおいて眞の民主化がはかれるものといたしまして、かくのごとき処置をとつて参りましたことは、御承知の通りであります。さらに教育の民主化のために、教育委員会制度において、また地方にその権限を委讓いたしましたことも御承知の通りであります。従いまして、これらの多くの地方に委讓されて参りました一切の事務ないし仕事を運営することのために多額の費用を要するということは当然であります。
 そのために、昨年七月五日、第二國会におきましては、これらの運営の裏づけとしての財源といたしまして地方配付税法、地方税法、さらに地方財政法の三法案を設けまして、この日本民主化と自治体の円満なる発達のために寄與して参つたのであります。従いまして、本配付税法は、それを財政的に裏づけする唯一の地方財源であるのであります。
 さらに、その財源を確保することのために、地方財政法の第二條に、その國の持つ財政の範囲において、あるいは國はその國の都合において地方自治体に財政的に轉嫁するようなことがあつてはならない、地方の自治体の健全なる発達に寄與しなければならないということは、先ほど中島委員長から法文を朗読された通りであります。この財政法の第二條第二項は、明らかに國が國の予算の都合において地方自治体にその財政的処置を轉嫁してはならないということを明記いたしておるのであります。しかるにもかかわらず、今回の処置は、当局、大藏大臣並びに地方財政委員会の委員長である木村國務相は、國の財政の都合によつて、地方、中央の財政の均衡のためにやむを得ざる処置と申されて言い訳をいたしておるのであります。しかるに、われわれが見のがすことのできないものは、財政的の負担を地方に轉嫁しておるという事実であります。それは、やがて本國会に提出されようとしておる地方税の増徴である。すなわち、従來九百円であつた住民税を千四百五十円に引上げようとし、さらに従来賃貸價格の百分の二百であつた地租を五百に引上げ、さらに二百五十であつた家屋税を五百に引上げようとする案が今政府当局において考えられておるということであります。もし國が、國家財政の見地から、單なる均衡上の問題で本問題を処理するというならば、何を好んでこの地方税の増徴をはかるか。もし地方税の増徴をはかるということが事実であるといたしますならば、國は國家財政の運営のために、國家財政確保のために、明らかにその財政的負担を地方に轉嫁しておるものであるということを、われわれははつきり知らなければならないのであります。(拍手)従いまして私どもは、大藏大臣並びに木村國務相がいかに詭弁を弄するといえども、この嚴然たる事実は明らかに地方財政法第二條の違反行為であるということを、はつきり申し上げるのであります。
 以上の理由は、單に憲法の精神並びに法的解釈による反対の理由でありまするが、さらに地方公共團体の今日の窮乏せる状態を、いま少しまじめに見ていただきたいと思うのであります。本年三月二十八日には、都道府縣知事並びに市町村会、市町村長代表者、これらのわが國地方行政に携わるすべての機関が、あげてこの配付税の減額に反対の意思表示をしておるということは、御存じの通りであります。公選による地方公共團体の執行機関並びに議決機関の全員の反対は、とりもなおさず國民全体の反対であるということを、はつきり御認識願いたい。(拍手)もし民主自由党の諸君がこの法案に賛成されるならば、諸君は國民全体の意思を蹂躙して、単なる議場内にのみその賛成を求めたものであるということを、われわれははつきりと申し上げるのであります。(拍手)
 私は、今日の地方行政がいかに窮迫しておるか、卑近な例を申し上げますならば昨日の新聞紙でも御承知の通り、神奈川縣における十五箇町村は、財政窮迫のために自治警察の返上論すら申し出ておるのであります。さらにまた、一昨年四月、総選挙後行われました都道府縣並びに市町村の選挙において、一万有余の知事並びに市町村長の選出がいたされましたが、本年のただいままでに約一割の辞職を見ておるのであります。その辞職の大なる原因は、あげて地方財政の行き詰まりから來る。自己の持つ抱負と地方住民の要望が財政的に実現し得ないという悩みと、公約いたしましたものの要望に対する良心的な決意から、やむを得ざるものとして、町村長並びに市長あるいは縣知事を辞任せざるを得ない状態になつておるのであります。もしそれ、かくのごときことが将來持続して参りまするならば、その手腕において、識見において、力量において十分地方公共團体の長としてやり得る練達の士ありといえども、財的信用なきことのために、金融処置ができないという理論において、その職を去らなければならないとするならば、日本の地方行政は再び財政を握る地方ボスの跳梁跋扈を見るということを、はつきりとわれわれは知らなければならないのであります。(拍手)私どもは、かくのごとき観点から見ますときに、当然本法案に対しましては反対の意思を表明しなければならないのであります。
 私は、時間に制約を受けておりますので、多くを申し上げることができないのでありまするが、最後に、私の最も憂慮するものは、政府はかくのごとき処置をとつて、地方財政の極度の行き詰まりと地方自治体の財政的破壊をするがごときことをいたしますならば、やがて地方公共團体が中央政府に対する信頼の度を失うであろうということであります。(拍手)地方の公共團体が、地方住民が、日本の國民が、もしそれ政府に対する信頼感を失つて参りますならば、いかなる結果になるか。政府の威令と申しますか、政府の施策がもし末端行政機構にまで完全に行きわたらない、完全にこれらの遂行ができないといたしますならば、日本の政治行政はただちに混乱に陥るでございましよう。日本の現在において、この地方行政と、さらに日本の政治運営がもし混乱に陷るような事態がございますならば、あげてその責任は民自党の内閣が背負うべきであるということを私はここではつきり申し上げる。時間に制約を受けておりまするから、これ以上は申し上げませんが、どうか民自党の各位も、政府とのつながりにおいていろいろな事情があるとは思いまするが、眞にあなた方の選出母体であり、あなた方の最も有力なる支持者である地方首長並びに町村会議員等の反対を押し切つてまでもこの法案に賛成される勇気ありやいなやということを私は疑うものであります。われわれは、かくのごとき意味においてここに、日本社会党を代表するというよりも、むしろ全國の地方公共團体の首長並びに……
#7
○議長(幣原喜重郎君) 門司君、申合せの時間が参りましたから簡單にして下さい。
#8
○門司亮君(続) さらに地方公共團体の首長並びにこれの決議機関である市町村会議員もあげてこの問題に反対しておるということを銘記いたしまするときに、それらのすべての代表者を代表いたしまして、ここにはつきりと本案に対する反対の意思表示をするものであります。(拍手)
#9
○議長(幣原喜重郎君) 次は千葉三郎君。
    〔千葉三郎君登壇〕
#10
○千葉三郎君 私は本案に反対せんとするものであります。反対せんとする第一の理由は、配付税の本質に関する点であります。憲法の八章におきまして地方自治が確立せられ、その裏づけとしてここに配付税が制定になつたので、いわば地方自治團体にとりましては、この配付税は固有の権利であるのであります。しかるに、政府特に大藏大臣におきましては、この固有の権利を誤解いたしまして、去る三月三十日の地方行政常任委員会におきましては、次のごとき言葉を述べておるのであります。すなわち、この配付税は、今までのやり方は、大体これを配付するということがきまつてから率を動かすようになつておるのが習慣であります。――かくのごとく、一片の習慣をもつてこれを片づけておるのであります。こういうような思想をもつてするならば、地方自治團体は一定の目標を失いまして、自分の力によつて財政の歳入を確保するという目安を失う。その結果、地方自治團体はからまわりをする結果になるのであります。この一事はまことに大切なことでありまして、木村國務大臣におきましても、大藏当局の態度に対し遺憾であるという言葉を発しておられるのであります。私は、政府のこの配付税に対する考え方は全然地方の自治を無視しておる証拠であると思いまして、第一に反対にするのであります。
 反対する第二の理由といたしましては、政府の地方財政に対する認識が不足しておるということであります。本年度の政府の地方財政の歳入に対する決定が三千四百六十五億、すなわち昨年度に比べまして一割七分の増加である、こういうふうに説明しておりまするが、同じ政府部内の地方財政委員会の推定によりましては三千三百八十八億でありまして、七十七億の相違があるのであります。この三千四百六十五億のうちで、人件費は三割と計上されております。しかし、この人件費の中には土木費、官業費は入つておりません。それに加うるに、昨年の三千七百円ベースから六千三百円ベースにはね上がつたのでありまするから、おそらくは本年度の地方財政におきましては、人件費の占むるところの率は六割以上になるであろうと思います。従つて、事業費はごく少額に切り詰めざるを得ない。ここに公共事業費の増額の必要が生ずるのであります。私は、政府が今回計上いたしましたところの食糧の輸入補助金、これに対して四百五億円を計上しておりますが、もしこの二割をさいて、八十億を地方の事業費、特に災害復旧費、あるいは土地改良費に上げましたならば、本年度の出來秋において、おそらくは一割ないし二割の増産を來し、政府の輸入食糧費並びに食糧の輸入補給金を節約し、逆に黒字を生ずるのではなかろうかと思うのであります。こういうような面を考えてみますると、政府特に大藏大臣におきましては、地方に対する認識、思いやりがまことに不足しておるのであります。こうした人々に地方財政をまかせることは、いかにも危險である。どうしてもこの法定率をこのまま存置して地方自治体の安定をはからなければならないと思うのであります。(拍手)
 第三に反対の理由といたしましては、配付税の減額に伴う地方財政の欠陷に対し補填の道を講じないということであります。先ほど來門司委員が述べられました通り、いかに強弁いたしましても、地方に対しましては自然増ではなく、明らかに増税であります。縣民税、家屋税、土地、鉱区税の大幅の値上げによりまして新たに百七十億円の増税をすることになつておるのでありますが、この欠陷に対して、大蔵大臣は、料理飲食税をとれということを過般の知事会議に勧告したのでありますが、この料理飲食税は、人口二万以上の都市ならいざ知らず、東北のごときあの寒村におきましては、ほとんど料理屋の再開というものは役に立たないのであります。地方の財政と何ら関係がないのであります。こうした貧弱町村を助けるのが地方配付税の目的でありまして、配付税の欠陷を、料理屋の再開に伴う飲食税の新設によつて調整をはかるということは、およそ無意味もはなはだしきものがあるのであります。
 さらに政府におきましては、この地方の財政の欠陷を補うために、今回の切り詰めたる予算のうちで重点的にこれを行うということを、建設大臣も仰せられております。しかしながら、その重点的という言葉はどういう意味であるかといえば、地域的でなければならない。地域的にこの予算を施行いたしますがためには、そこに矛盾が起つて來るのであります。と申しますのは、國家の補助率は法律で決定されておるのでありますから、たとえば河川費にいたしましても、六五%は國家で補助する。これに対して、三五%は地元で負担しなければならない。そういたしますると、重点的に、地域的に考えるならば、この率を高率に引上げて、度重なる災害に災いされたる地域におきましては、この六五%を八〇%ないし九〇%まで引上げるならば、初めてそこに地方に対する親切、思いやり、地方に対するほんとうの愛情がわかるのでありまするが、そうした率を変更するという意思は全然ないのであります。
 こんなことでは、地方民は苦しむばかりであるのみならず、本年度の地方の税金、昨年十二月三十一日の現在を見ましても、地方税は未納といたしまして五〇%残つておるのであります。おそらく、この三月三十一日におきましても、二〇%くらいは未納になつておるのではなかろうかと思う。その原因はどこにあるかというと、國税に先取りされるのであります。地方におきましては、皆さん御承知の通り、この國税を納めまする結果は、現在は肥料代金にも報奨物資の代金にも事を欠いておる。このつなぎ資金をどうするか、これが政府においては何ら考えられておらない。近く農林中央金庫を通じて十億円の融資をするということを言つておりますが、現実の問題として、つなぎ資金をどうするか。政府の支拂い遅延のために、今や迷惑をこうむつておるのは実に國民である。なかんずく地方民であるのであります。こうした点に参りますると、政府は何ら考慮せぬ。ただ六大産業の重点にのみ当つておるのであります。
 私は、こういうようなことを考えまして、民主党を代表し本案に反対せんとするものであります。(拍手)
#11
○議長(幣原喜重郎君) 次は谷口善太郎君。
    〔谷口善太郎君登壇〕
#12
○谷口善太郎君 私は日本共産党を代表いたしまして、本案に賛成――反対の意見を申し述べます。(「賛成か反対かはつきり言え」と呼び、その他発言する者あり)もう一度言い直しましよう。反対の意見を申し述べます。
 第二國会におきまして地方配付税法がきめられました趣旨は、從來の地方分與税におきましては、常に政府の都合によつて増減せられた結果、地方財政に不安定な状態を與える、こういう弊害を生みましたので、これをなくするために、地方へ分與する金、配付する金を一定不変のものにするために、この法律ができたのであります。從つて、本法によります配付金は、地方がこの法律によつて國から受取るべき権利を得たものであり、國が地方に対して配付すべき義務を負うたものであります。從つて、本法に規定されました三三・一四%という率は軽々に変更すべきものではないのでありまして、もしその変更の必要があるという場合があるとすれば、それは地方に対してより有力、確実な財源を與えた場合か、あるいは地方公共團体が現に行いつつある國家的公共事業に対し國の財政がこれを全額負担する、こういうふうにきめた場合にのみ変更の余地があるのでありまして、それ以外には軽々しく変更すべきものではないのであります。しかるに政府は、このたび突如として、國庫財政の都合により、こういう一方的な理由によりまして、一挙に一六・二九%にこれを削減しようというのであります。これは明らかに地方自治の本旨にもとり、地方自治の本旨を財政的に裏打ちするためにこしらえたこの地方配付税法の趣旨に反する行為であるのであります。私どもの反対する第一の理由はここにあるのであります。
 第二の理由は、この特例は國の財政的負担を地方公共團体に轉嫁するものであつて、先ほど來すべての発言者が申しましたことく、地方財政法第二條第項の規定に違反する不法行為だということであります。政府は最初昭和二十四年度の國家予算を五千七百億と組みましたときに、地方予算を四千三百億としたのであります。しかるに、ドツジ公使のいわゆる内示案なるものが出ますと、不見識にもただちに國家予算を七千四十六億と組み直し、一方地方予算を三千四百六十五億と切り下げたのであります。すなわち、当然必要な地方予算を不法に切り下げその切り下げた分を國で収奪して、國家予算膨脹の穴埋めをしたわけであります。予算をまず決定し、後法律をそれに合せるやり方、これは、この國会において吉田内閣の幾たびか犯したやり方でありまして、私どもの当然反対して來たところでありますが、本法におきましても、つまりこの特例法におきましても、このやり方であります。すなわち政府は、この不当手段を、あとから法律をきめることによつて合法化しようとする。そういう非常手段をとつておるのでありまして、明らかに多数をたのむ民自党政府が、今や――――――不法を行いつつあることを示すものであります。(拍手、「――――――とは何だ」と呼び、その他発言する者あり)
 地方財政法第二條第二項には、「國は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共團体に負担を轉嫁するような施策を行つてはならない。」と規定してあります。本特例法がこの條項に違反するものであることは、地方行政委員会において、與党を除くすべての政党のひとしく認めたところでありますが、多数をもつてすれば何事もできます。しかし多数必ずしも正義ではないのでありまして、地方財政法も、地方配付税法も、わが人民大衆が長き天皇制的支配、専制的中央集権と闘いつつ、地方自治を確立するために、ようやくかち得た、今のところ最高のよい法律でありこの民主的立法を、民主自由党は多数をたのんで破壊している。かくて、かれらは明瞭に人民の敵になり下つたものである。
 第三の点は、國家予算の内容から見まして、地方配付税を減額しなければならない理由は毫もないということであります。七千四十六億に及ぶ國の予算は、一体何に使われているか。全予算の五〇%、実に三千五百億円になんなんとする巨額の金が、独占的大資本家を救う價格調整費、貿易補助金及び土建業者を太らす終戰処理費などに使われているのであります。國民の血税によつてまかなわれるこれらの大資本家擁護のむだ金を全廃すれば、地方配付税などはその全額を配付してもなお余裕綽々たるものがあり、大衆課税の軽減、治山治水、保健、教育等々の公益事業が十分にできるのであります。重要なことは、民自党政府はこのことを百も承知していながら、むしろ大資本家に奉仕するためにこそ地方の財源を不法にも収奪したというこの事実であります。民自党政府は、全地方公共團体を、まさに一握りの大資本家のために犠牲に供したものといつても過言ではないと、私は信じているのであります。
 第四の理由といたしまして、この配付税削減によつて、全國の地方公共團体は今や完全に崩壊の中に陷つたのであります。この点は非常に重要なことでありますが、私は多くを言う必要がないかと思います。政府、國会、各政党、これらに対する、毎日々々の各地方公共團、PTA、教育委員会、各種民主主義團体からの本案反対に関するあの血の叫びに似た陳情を、諸君は忘れておるのではないか。のみならず、この無法な配付税減額のために、政府はこのほかになお地方公共事業に対する國庫の支出金を極度に減じ、かつ地方起債を圧縮し、おまけにこの穴埋めとして住民税、地租、家屋税、これを無謀なるまでにも高い額をもつて値上げしようとしている。かくて地方公共團体は、同様にまた國民大衆も、今やまつたく深刻な窮乏に陷つております。
 町村長にして、地方財政の窮乏から責任を感じて辞職した者のあることを先ほど門司議員も申しましたが、中には自殺した村長さえある。自治警察を返上する村、食糧供出には、政府がこのようなことをやるならば、もはや協力しない、こういうことを言つている村すら出かけております。つまり地方自治体は、まさに民自党のこの恐るべき収奪政策によつて崩壊しつつある。民主自由党の諸君も、もちろんこのことは知つていられる。知つていながら、なおかつあえて大資本家に奉仕し、地方公共團体を蹂躪しようとするのである。諸君は一体どのつら下げて選挙区に帰る自信があるのか。私はこれを言いたい。
 日本共産党は、以上の理由から本案に絶対反対すると同時に、最高の憎悪を込めて吉田内閣と民自党を弾劾するものであります。(拍手)
#13
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの谷口君の発言中、━━━━━━━云々というお言葉がありましたが、不穏当の言葉と認めまするから取消しになつたらいかがですか。
#14
○谷口善太郎君 ただいまの私の発言中不穏当と認める言葉があるようでありますから、その点は取消します。
    ―――――――――――――
#15
○山本猛夫君 これにて討論は終局せられんことを望みます。
    ―――――――――――――
#16
○議長(幣原喜重郎君) 山本猛夫君外二十四名より討論終局の動議が提出せられました。この動議を採決いたします。山本君外二十四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#17
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて討論は終局いたしました。
    〔「議長、今の宣告は何だ」「異議あり」と呼び、その他発言する者多し〕
#18
○議長(幣原喜重郎君) 議長の宣告に対して異議ありとのことでありますから、異議ある方の起立を求めます。
    〔異議申立者起立〕
#19
○議長(幣原喜重郎君) 出席議員の五分の一以上と認めます。議長の宣告に対し成規により異議の申し立てがあります。よつて記名投票をもつて採決いたします。山本君外二十四名提出の討論終局の動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#20
○騒長(幣原喜重郎君) 投票漏れはありませんか。投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#21
○議長(幣原喜重郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
  投票総数 百八十九
  可とする者   白票 百五十七
  否とする者   青票  三十二
    〔拍手〕
#22
○議長(幣原喜重郎君) 右の結果、討論は終局するに決しました。
    〔参照〕
 山本猛夫君外二十四名提出討論終局の動議を可とする議員の氏名
   阿左美廣治君  青木 孝義君
   青木  正君  淺香 忠雄君
   淺利 三朗君  天野 公義君
   井手 光治君  井上信貴男君
   伊藤 郷一君  池見 茂隆君
   石田 博英君  石原 圓吉君
   石原  登君  今泉 貞雄君
   岩川 與助君  植原悦二郎君
   遠藤 三郎君 小笠原八十美君
   小川 平二君  小川原政信君
   小澤佐重喜君  小高 熹郎君
   尾関 義一君  越智  茂君
   大泉 寛三君  大澤嘉平治君
   大西  弘君  大村 清一君
   大和田義榮君 岡 延右工門君
   岡崎 勝男君  岡西 明貞君
   岡野 清豪君  押谷 富三君
   加藤隆太郎君  鹿野 彦吉君
   角田 幸吉君  片岡伊三郎君
   甲木  保君  門脇勝太郎君
   上林山榮吉君  川西  清君
   川野 芳滿君  川端 佳夫君
   川本 末治君  河原伊三郎君
   木村 公平君  菊池 義郎君
   北川 定務君  北澤 直吉君
   金原 舜二君  倉石 忠雄君
   小金 義照君  小平 久雄君
   小西 寅松君  小山 長規君
   河野 謙三君  佐々木秀世君
   佐々木盛雄君  佐瀬 昌三君
   佐藤 重遠君  佐藤 親弘君
   齋藤 隆夫君  坂田 英一君
   坂本  貴君  志田 義信君
   塩田賀四郎君  篠田 弘作君
   島村 一郎君  白井 佐吉君
   周東 英雄君  鈴木 明良君
   鈴木 善幸君  關内 正一君
   千賀 康治君  田嶋 好文君
   田中 角榮君  田中 啓一君
   田中  元君  田中 萬逸君
   多武良哲三君  高木  章君
   高木吉之助君  高木 松吉君
   高塩 三郎君  高田 弥市君
   高橋 權六君  高橋  等君
   玉置 信一君  玉置  實君
   塚原 俊郎君  辻  寛一君
   坪内 八郎君  冨永格五郎君
   内藤  隆君  中川 俊思君
   中島 守利君  中野 武雄君
   中村 幸八君  中村 純一君
   中山 マサ君  仲内 憲治君
   永田  節君  二階堂 進君
   丹羽 彪吉君  西村 久之君
   野原 正勝君  畠山 鶴吉君
   平井 義一君  平澤 長吉君
   平野 三郎君  廣川 弘禪君
   福井  勇君  福田 篤泰君
   福田  一君  福永 健司君
   渕  通義君  淵上房太郎君
   船越  弘君  細田 榮藏君
   牧野 寛索君  益谷 秀次君
   松浦 東介君  松田 鐵藏君
   松野 頼三君  松本 善壽君
   丸山 直友君  三池  信君
   三浦寅之助君  三宅 則義君
   水谷  昇君  南  好雄君
   宮幡  靖君  宮原幸三郎君
   守島 伍郎君  八木 一郎君
  藥師神岩太郎君  柳澤 義男君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山本 猛夫君  吉田吉太郎君
   吉武 惠市君  若松 虎雄君
   渡邊 良夫君  天野  久君
   大西 正男君  奧村又十郎君
  木村小左衞門君  島田 末信君
   鈴木 幹雄君  田中  豊君
   坪川 信三君  中垣 國男君
   原   彪君  山本 利壽君
 早稻田柳右エ門君  
 否とする議員の氏名  
   荒木萬壽夫君
   有田 喜一君  稻葉  修君
   川崎 秀二君  小林 運美君
   坂口 主税君  笹山茂太郎君
   清藤 唯七君  高橋清治郎君
   千葉 三郎君  並木 芳雄君
   畠山 重勇君  林  好次君
   福田 繁芳君  森山 欽司君
   柳原 三郎君  石田 一松君
   河野 金昇君  笹森 順造君
   竹山祐太郎君  内藤 友明君
   平川 篤雄君  船田 享二君
   三木 武夫君  飯田 義茂君
   河口 陽一君  小平  忠君
   寺崎  覚君  中村 寅太君
   衞藤  速君  小林  進君
   早川  崇君
    ―――――――――――――
#23
○議長(幣原喜重郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#24
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    ――――◇―――――
 図書館運営委員長の國立國会図書館法第十一條第二項による審査の結果報告
#25
○議長(幣原喜重郎君) 図書館運営委員長より、國立國会図書館法第十一條第二項による審査の結果を報告したいとの申出があります。この際これを許します。図書館運営委員長早稻田柳右ェ門君。
    〔早稻田柳右エ門君登壇〕
#26
○早稻田柳右エ門君 お許しを得まして國立國会図書館の近況を御報告申し上げ、各位の御理解と御協力をいただきたいと存じます。
 國立國会図書館は、一昨年第一國会の当時、文化國家建設の一環として創設されたのであります。当時、両院議長が連合軍総司令官にお願いいたされたのに基いて、アメリカよりクラップ、ブラウン両図書館使節がわざわざ來朝せられまして、その御指導と御盡力によつて具体的な構想が立てられ、昨年二月國立國会図書館法の成立公布となり、初代図書館長の任命があり、旧赤坂離宮の建物を利用して、いよいよその業務を開始したのであります。「眞理がわれらを自由にする」、この確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和に寄與することが、わが國立國会図書館設立の使命であり、またこれが國会図書館法の全体を貫いている根本精神であります。そもそも図書館が一國の文化の建設にとつて必要であるゆえんは、知識の泉ともいうべき豊富な資料を収集いたし、立派にこれを整理保存して國の立法、行政及び司法の各分野の活動に資するとともに、学校教育に即應して、社会教育の分野において一般的かつ民主的な教養の施設であるからであります。このために、たとえばアメリカの例をとりまするならば、アメリカにおいては、床面積四万四千坪、二十の閲覧室と四百マイルに及ぶ書架並びに藏書八百万冊、地図百五十万を持つた議会図書館があります。各州及び主要都市、農村にまで整備された公共図書館が普及し、各大学その他の学校には学校図書館があります。また特殊の蔵書を持つた専門図書館あるいは研究図書館も設けられまして、しかもその上に、専門の図書館人を養成するための図書館学校も完備いたしておると傳えられております。
 翻つて我が國の現状を見ますと、いまだ創設の初期にある國立國会図書館のほかには、去る四月一日支部図書館に併合された上野の國立図書館を初めとして、大学、学校図書館、府縣市町村立の公共図書館がありますが、約八十年の歴史を持つ上野の図書館ですら、わずか百七万冊の藏書ときわめて貧弱な施設持つにすぎないのでありまして、地方の市町村立の公共図書館は、建物それ自体はもとより、経費にはばまれて藏書も少く、非常に弱体でありますために、一般公衆のせつかくの利用を阻止している現状であります。國立國会図書館は、このような現状を將來に改善して行くことを目的に創設されたものでありますが、その構想は、約二十五年後に延坪四万五千坪、藏書一千万冊、職員一千五百人という大規模のもので、國会の建物に近接した最適の敷地を求めて建設の計画を進めておるのであります。しかして、この廣大な施設の実現は、もとより國の財政の現状より見て容易ではありませんが、その許す限りにおいて、また建設の順序を明らかにして、その実現を期すべきであることは申すまでもないのであります。
 國立國会図書館は、創設以來ちようど一箇年を経過いたしました。この間種々の困難を克服して、数々の業績をあげて参りました。その一つは、法律に定められました行政及び司法の各部門に二十箇所の支部図書館と、法律には定められておりませんが、静嘉堂及び東洋文庫を支部図書館として設立いたしたことであります。この行政及び司法各部門の支部図書館の設立は、図書館法立案の当初におきまして、米國の図書館使節の意見としても、米國においてすら設立ができなかつたものでございまして、これに関連して非常に困難ではないかと考えられたのでありますが、これを成し遂げるに至りましたことは、まことに同慶にたえないところで、これによつて行政及び司法の各機関に立法資料を整備し得るばかりでなく、これらの大部分の資料を國立國会図書館に一應集積して、國会の活動、國民の利用に公開し得るのであります。また進んでは総合目録の編纂によつて資料の所在と一元的な活用を期し得ることになるのであります。
 この支部図書館の活動のほかに、國立國会図書館には國際交換業務として國及び地方公共團体の諸機関の出版物を受入れますとともに、外國政府及び民間出版物を受入れまして、交換あつぜんをい免しております。すなわちユネスコ活動の一環として、学術文献の交換及びスミソニヤン協会による資料の交換等の業務が加わりましたので、現在すでに外國図書の六万七千冊を仮整理状態において持つておるのであります。また司令部の御好意によつて二十数種類の日刊外國新聞も受入れられております。國内の雑誌、新聞等の事情は、毎月千五百種の雑誌と二百三十種の日刊新聞とが受入れられ、雑誌についてはこのうちの人文科学関係四百八十種について、昨年九月分以降論文の記事索引を編纂しており、また新聞についても、中央及び地方の主要新聞について記事分類を行い、たとえば北大西洋條約、経済九原則等の記事を集録して世論の動向を知り得るようとりまとめてあります。
 國会の立法活動に即應するための業務は調査立法考査局が担当し、ここでもわずかの職員が、議員の要望を受けて、また自発的に各種のサービスに当り、多くの資料を出版しているのであります。
 新憲法により、國会が國の最高唯一の立法機関として国民の安全と幸福を守つて行くために、従來のように官僚が立法し、これを命令するというような状態を完全に脱却して、人民主権によつて選挙せられた國会の任務を果すためには、確固たる立法の基礎となる調査機関を完備しなければなりません。これまでの日本においては、議会は調査機関を備えず、行政各部のみが調査機関を備えておつたのであります。しかし、行政各部門の調査機関は事実上各部の専門にわかれ、ややもすればセクショナリズムに陥り、総合的な政治を行うことができず、国民の現実と遊離して、いわゆる官僚立法の弊害をはなはだしくしたのであります。國民の現実を無視し、総合的見地をまつたく欠いた調査によつて國策を樹立し、非現実的な、非総合的な、すなわち眞理によらない立法によつて全國民を誤り導いた事実は、実に戰慄すべきもりであります。今日わが國民を救うべきあらゆる立法の大前提として、國民の現実に即し、かつ総合的な調査をなすことができるのは、もつばら人民主権によつて選挙せられたるわが國会あるのみであります。わが國会は、國民よつて選挙せられたものでありますから、常に國民の現実と離るることはできません。しかして、常に國民生活の現実を把握し、総合的見地から調査し立法することができるのであります。この点に基いて國会図書館の必要が痛感せられ、さきに國会図書館内に立法考査局の設立を見たのであります。しかれども、創設後日なお浅く、立法考査上の設備も不十分で、利用者も少く、完全に機能を発揮することのできないため、國会立法の原則がいまだに実現せられず、依然として官僚立法が続けられ、かつ拡張される傾向さえあることは、まことに遺憾とするところであります。この点については、本院においてもしばしば痛烈に議論され批判されているのでありますが、アメリカを初め先進諸國のごとく急速にその機能を整備し、図書館の使命を十分果し得る日の早からんことを望んでやまないのであります。
 國際的には、すでに御承知のごとく、アメリカ合衆國の議会図書館、コングレス・ライブラリーは、これらの施設において世界的の成績をあげ、各国の模範となつております。コングレスライブラーにおいては、議院が法案の審査にあたり必要なる資料または調査を図書館に要求すれば、ただちに、あるいは数分、あるいは数刻の後にはその資料を手にすることができると承つております。米國の國会をして、米國國民のみならず世界に重きをなしているゆえんも、またここにあると存じますが、まことにこの点はうらやましい次第であります。
 次に図書館の藏書について申しますと、さきに衆参両議院の図書の移管を受け、また旧満鉄、東亜研究所、支那文庫等の図書を購入し、次いでこの一箇年間に納本あるいは購入で新刊書を加えましたので、現在合計三十万余冊になつております。このほかに、支部上野図書館の図書が百七万冊、行政及び司法の部門にある二十の支部図書館の藏書の合計が百二十万冊であり、静嘉堂に十九万冊、東洋文庫に三十八万冊の和漢書があり、KBS図書室のものが一万冊でありますから、総計三百十五万冊が國立國会図書館の管理のもとにあるわけであります。また新聞雑誌と外國交換による図書その他の資料のありますことは申すまでもございません。
 以上は、國立國会図書館の業務の一端を述べたのでありますが、これに従事する職員は、図書館長以下三百六十九名、支部上野図書館が百三十五名になつております。この一箇年間に、このように比較的順調に発展いたしました業務を責任をもつて遂行いたしますには、個々の職員の負担がきわめて大きいのであります。第一は一般図書の整理についてであります。第二には、國際交換業務によつて受入れております外國政府出版物の整理であります。また各支部図書館の図書その他の資料について計画せられている総合目録の編纂や、國会の立法活動に直接関係のある調査立法考査局の業務等に非常な人員の不足を來しているのであります。このような事業を促進するために人員を増加いたしますことは國家の財政の現状から見て困難ではありますが、何らかの措置の必要であることは申すまでもないと存じます。
 國立國会図書館の今年度の予算は総額一億五百四十万円で、そのうち本館の純経費は七千八百五十万円であります。二十三年度には純経費が五千四百八十四万円でありましたから、差引二千三百六十五万円、すなわち約四割三分の増加になりますが、物價の値上りを見込みますと、今年度には新たな業務を計画することはほとんどできないのであります。過日、この予算について両院の図書館運営委員会は合同の会議を開き、事情の聴収をいたしましたが、全委員一致して、そのはなはだしく僅少であることを遺憾としたのであります。すなわち委員会は、國立國会図書館法第二十八條の規定によりまして、強力な勧告を付して両院の議長に善処せらるるよう要望いたしたのであります。
 われわれ議員は、國立國会図書館の創設に責任を明らかにいたしました。しかもその後、一般の文化水準を高めるために公共図書館を全國津々浦々に普及しなければならないという世論も次第に大きくなりつつあります。すなわち、公共図書館法制定の議もその現われの一つであります。從つて、その中央図書館としての責任を持たねばならない國立國会図書館の創設の意義がいかに大きかつたかを承知いたすわけであります。今後これを順調に発展させ、國会の活動に即應させるばかりでなく、全國民の図書館利用の便を拡充いたしますために、われわれは一層の責任と義務を負わなければならないと存じます。
 以上、國立國会図書館の運営の概略を御報告申し上げまして、議員各位の御協力と御活用御願いする次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 横浜知檢問題に関する法務委員の現地調査の結果報告
#27
○議長(幣原喜重郎君) 次に、横浜地検問題について現地調査の結果を報告のため、法務委員田嶋好文君より発言を求められております。これを許します。田嶋好文君。
    〔田嶋好文君登壇〕
#28
○田嶋好文君 私は、検察当局不正防止のため、去る三月二十五日法務委員会が國会の承認を得まして國政調査をいたしたのでありますが、その國政調査の報告をここにしようとする者であります。
 最近、われわれの人権を擁護いたしてそうして社会の秩序を維持するところの総元締である検察当局の不正事実がひんぴんとして世人の口に上つておるのであります。また新聞紙上をにぎわしておるのでありまして、この点は、まことにわれわれの衷心にたえない事実となつておるのであります。つきましては、國政の最高機関である國会の法務委員会といたしましても、これを黙視するに忍びず、憲法第六十二條に基きまして國政の調査を開始いたすようになつた次第でございます。
 まず取上げました具体的な事案は、横浜地方檢察廳を中心としたものでありますが、この事案は一、二となつておるのであります。第一は、横浜地方檢察廳におきまして、経済事犯を担当いたしまして被疑者の取調べに当つております木船という事務官が、昭和二十三年八月上旬から本年一月の末日までの間に、被疑者または関係者から十回にわたりまして合計七万数千円を収賄または恐喝したという事実が被疑事件になりました。この被疑事件の取調べ中に、木船事務官が手記を係檢事に提出いたしまして、自分ばかりが悪いことをしているのではない、自分以外に檢察官が一名と事務官が十七名、この十八名の者も同様なる事実があるのだから、自分のみでなく、これらの人も取調べをしてくれと訴えた事実なのであります。第二は、有名な女だそうでありますが、後藤という女性が横浜地方検察廳にいつも出入りをいたしておりまして、検察官または檢察事務官等に対しまして住宅を提供したり、また斡旋し、あるいは酒さかなや金品を贈與いたしまして、事件のもみ消しとか、検事の求刑の減刑とか、身柄の釈放等の斡旋をしておつたというところの芳しからない事案なのであります。この二つの事案は、現在横浜地方検察廳と東京地方検察廳におきまして捜査取調べ中でありますが、われわれ法務委員会といたしましては、この取調べとは別個に右関係事案につきまして取調べをいたすことになりました。横浜地方検察廳並に名古屋地方検察廰並びに名古屋地方検察廳岡崎支部に調査班を派遣いたしまして調査をいたしました。その結果、こういう事実が判明するに至つたのであります。
 まず横浜地方檢察廳に参りました調査班は、地方検察廳の検事正以下係りの檢事に面接いたしまして、種々の関係書類その他証言等によりまして取調べをいたしたのでありますが、まず第一に調査の対象になりましたのは、事件の受付簿であります。この事件の受付簿と申しますのは、ちようど人間の戸籍に匹敵するものでありまして、検察廳にとりましては、何ものよりもこれが一番大切なものであります。この大切な事件の受付簿を取調べいたしましたところがまつたくわれわれが想像もしなかつたような、じだらくな受付簿になつておつたのであります。事件番号は第一から最後まで整つておるにかかわりませず、百番の次へ持つて行つて二百番の番号が出、また事件番号が続いていないことはいいといたしまして、あるところには事件が連続しておるにかかわらず白紙が入つておる。その白紙には、まつたく事件が記載されていない。またその中には、被疑者の名前が抹消されて、抹消された被疑者は遂に記載されてない。こういうように、まつたくでたらめな事件簿が作成されておりまして、われわれ調査員は、この事件の受付簿に対して疑惑の念をもつて見なければならないところの結果に立ち至つたのであります。
 第二といたしまして、木船事務官の取調べにあたりまして、木船事務官が関係者としてあげたその十八名の取調べにあたりまして、当初木船事務官から出た事件でございますから、木船事務官取調べの検事がこの派生事件の取調べの担当検事として当るべきはずでありますのがわれわれの常識であるのにかかわりまぜず、木船事務官取調べの檢事は、いつの間にか檢事正の命令によりましてすりかえられ、新しい檢事がこの木船事件の派生事件について取調べをいたしておるのであります。この取調べの結果を検事正に報告をいたしておるのでありますが、検事正への報告は、まつたく事実を隠したものとは申しませんが、最小限度にとどめまして、世間の人を納得さすことができなかつたという事実がうかがわれるのであります。
 また後藤事件にあたりましては、取調べの結果、檢察官二名、事務官一名が後藤から住居の提供を受けておる。また後藤なるものは常に檢察廳に出入りをいたしておりまして、十名前後の検察官が後藤と交際を保ちまして、しばしば飲食を共にいたしておるというところの不愉快な事実が上つておるのであります。また、こうした後藤事件は、東京、横浜の檢察首脳部においても十分認知せられておるのでありまして、昨年一月ごろ行われました行政監察官におきましても、この問題をはつきり認めて帰つておるという事実であります。その後、後藤は檢察廳への出入を厳禁せられ、うわさに上るところの検察官は東京その他に逐次轉任を命ぜられておるのでありますが、この轉任は、世に言うところの栄轉に終つておるようなきらいになつておるのであります。
 こういうように、横浜地檢におきましては、われわれはまつたく芳ばしからざるところの事実の結果を得るに至つたのであります。
 次に、名古屋地方検察廳並びに同岡崎支部方面に派遣された調査班の報告でありますが、この名古屋地方並びに岡崎支部に派遣されましたところの派遣員の調査目的といたしますものは、やはり横浜地検に係属をしておる事件でございまして、被疑者は岡崎に在住いたしますところの花園繊維株式会社というのでございます。この花園繊維株式会社が、昭和二十三年の四月ごろ、横浜市の交通局ヘガラ紡を多量に横流しいたしました。だが、この事件がいまだに終了いたしてない。しかも、この事件がどうなつたか結末すらわからないという事案の調査であります。名古屋地方檢察廳におきましても、同様に係官に会いまして調査をいたしたのでありますが、この花園繊維株式会社の事件は、どうしたことか、横浜の地方検察廳に係属いたしたにかかわらりませず、昭和二十三年八月九日に、横浜地方検察廳から名古屋地方検察廳に対しまして、被疑者の住所地が岡崎市だという理由のもとに移送をいたしておるのであります。名古屋地方検察廳におきましては、被疑者の住所地が名古屋でなく岡崎支部の所在地にあるということで、昭和二十三年九月三日に、名古屋から岡崎支部に向つてこの記録を移送いたしております。ところが、突然昭和二十三年の十二月二十五日に、東京高等檢察廳を通じまして、名古屋地方檢察廳に対しまして、無電をもちまして、本事件は一活処理の必要があるのだから至急に横浜地方検察廳に移送されたいというところの通知が到達いたしました。名古屋地方検察廳におきましては、無電による再移送の通告でございますので、とりあえず急ぐ問題だというので、すぐに岡崎支部に連絡をいたしまして、この記録を岡崎支部から横浜に移送を完了いたしておるのであります。
 次に、岡崎支部におけるところの調査でありますが、ちようどこの事件が名古屋から岡崎に参りましたのが、今御報告申し上げましたように昭和二十三年九月の三日でございました。その間横浜に再移送いたすには、十二月でございますから、相当の期間を経過いたしておるのでありますが、これは当時岡崎地方におきまして暴力團の檢挙があつたために、一時この事件に手をつけることができずに、十二月まで延期をいたしたという理由を発見いたしました。十二月十日に至りまして、暴力團の検挙を一應完了をいたしましたので、岡崎支部におきましては、この関係者であるところの深谷由松、平岩良三という会社の代表者並びに営業主任を呼び出しまして取調べを開始いたしておりました。この両被疑者とも、その事実に対しましてはこれを承認いたしましたので、岡崎検察廳におきましては、これが承認の結果に基きまして調書の作成をいたしておつたのであります。それだのに、この調書作成の途中、突然名古屋地方検察廳から、東京高等檢察廳から無電があつたから至急に横浜にこれを返せという通告があつた。取調べの最中、しかも半年以上経過いたしました事案に対しまして取調べをし、調書の作成途中で、無電をもつてこの事件を横浜に返せというような連絡があつたという、私たち派遣員といたしまして理解することのできない、まことに疑わしいところの結果を調査するに至りました。
 以上が、派遣されましたわれわれの調査の結果報告でありますが、私は、ここで結論といたしまして、こういうことを申し上げたいと思います。檢察当局に対する今までの世評や今までの新聞紙上の報道は、少なくともわれわれの治安維持に当る檢察当局であつてみれば、そうしたことがなかれかしと念願いたすのが普通なのであります。だが、なかれかしと念願いたしましたわれわれの前に現われましたものは、火のないところに煙は立たないのだという、まことに遺憾なことでありますが、この事実と一致するということなのであります。
 申し上げるまでもなく、私たちは國家を愛するものでありまして、その愛する國家の治安を維持するものはこの檢察当局でなければならぬのであります。その檢察当局が、この調査の結果によつてもおわかりになりますように、まことに明朗性を欠いておると言わなければなりません。そうして、世間に言い触らされている事実からいたしますれば、信用を失墜しておるということを言わなければならぬのであります。
 検察当局が明朗性を欠き、信用を失墜いたしておるということは、われわれ國民にとりましては悲劇中の悲劇なのであります。どうしてもこの悲劇は、われわれの國家の現状から抹殺をしなければなりません。このためには、抹殺の方法といたしまして、檢察当局によりよい調査、よりよい追究を願うことも一つでありましようが、現在の機構をもつていたしまして、檢察当局にこのままの状態において取調べを願い、よりよい追究をさすということは不可能ではないかと思います。
 最後に許された問題は、捜査の秘密を守らなければならぬということはもちろんでありますが、われわれ國会におきまして、この捜査の秘密を守りつつ、國家最高の機関たるわれわれの威信によつてこの失墜したる検察当局の信用を回復し、日本國民の治安維持のために立たなければならないとう熱意なのであります。(拍手)
 どうか皆様、こうした意味におきまして、今後われわれ法務委員会がこの種問題を取上げまして徹底的に調査し、徹底的に糾明することに御賛同を願いたいのであります。(拍手)それがためには種々の経費も要することと思うのでありますが、それらの点に対しましても議員諸君の格段の御援助をここにお願い申し上げまして、私の報告を終る次第であります。(拍手)
    ――――◇―――――
 選挙法改正に関する特別委員会設置の動議(山本猛夫君提出)
#29
○山本猛夫君 特別委員会設置に関する動議を提出いたします。すなわち、選挙法改正に関する調査をなすため委員三十一名よりなる特別委員会を設置せられんことを望みます。
#30
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト