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1949/04/28 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第23号
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1949/04/28 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第23号

#1
第005回国会 本会議 第23号
昭和二十四年四月二十八日(木曜日)
 議事日程 第二十一号
    午後一時開議
 第一 ハワイ並びに北南米在留同胞及び日系市民の対日援助に対する感謝決議案(松本瀧藏君外十二名提出)(委員会審査省略要求事件)
 第二 國民金融公庫法案(内閣提出)
 第三 揮発油税法案(内閣提出)
 第四 酒税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第七 教育委員会法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 飲食営業臨時規整法案(星島二郎君外六名提出)
 会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第一 ハワイ並びに北南米在留同胞及び日系市民の対日援助に対する感謝決議案(松本瀧藏君外十二名提出)
 日程第二 國民金融公庫法案(内閣提出)
 日程第三 揮発油税法案(内閣提出)
 日程第四 酒税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 裁判所法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 教育委員会法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 健康保險法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 厚生年金保險法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 職業安定法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 緊急失業対策法案(内閣提出)
 労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    午後一時十八分開議
#2
○議長(幣原喜重郎君) これより本日の会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員会理事關谷勝利君。
    〔關谷勝利君登壇〕
#6
○關谷勝利君 ただいま議題となりました國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案は、四月十九日、本委員会に付託され、越えて四月二十日政府から提案理由の説明を聽取して以來、委員会を開くこと六回、その間四月二十六日には利害関係者及び、学識経驗者の意見を聽取する等特に慎重審議をいたしたのであります。
 本法案は、経済九原則に從い國有鉄道事業の財政の均衡をはかり、その独立採算を確保するため、本年度において予想せられる約二百三十億円の収入不足額を補填すべく國有鉄道旅客運賃等の値上げをしようとするものであります。すなわち、現行旅客運賃を約六割引上げて、鉄道普通旅客運賃三等の賃率を、。営業キロ一キロメートルごとに、百五十キロメートルまでは一円四十五銭、百五十キロメートルを越える部分は一円五銭とし、航路運賃、急行料金もまたおのおの約六割引上げを定めておるのであります。なお本法案には現われておりませんが、定期旅客運賃については三箇月、六箇月の割引率を廃止して、一箇月定期運賃と同一の割引率とするとの政府の説明があつたのであります。
 次に、質疑應答のおもなる点を申し上げます。まず國有鉄道収支均衡のため運賃値上げをはかるに際して、著しく輸送原價を償わない貨物運賃をすえ置いた理由いかんとの質疑に対しては、政府から、経済九原則に基き現行物價水準の維持が強く要請されているので、この際は直接物價に影響を及ぼすおそれある貨物運賃の値上げを見合せたとの答弁がありました。
 次に、生計費に直接影響のある旅客運賃の大幅の値上げは國民生活の破綻を來すおそれはないかとの質疑に対しては、生計費に占める交通費の割合は昭和二十三年度においてわずかに一・三%であるから、その値上げの影響は少いと思うのとの答弁がありました。また三箇月、六箇月定期旅客運賃の割引率を廃止する理由いかんとの質疑に対しては、現行定期運賃の割引率は諸外國にも例のない高率のもので、独立採算の建前からも、また普通運賃との均衡を保つためにもこれを是正したい、なお定期運賃の賃金ベースに対する割合は戰前に比較して割安であるとの答弁がありました。
 その他、貨物運賃すえ置きによつて生ずる海陸輸送の調整をどうするか、國有鉄道独立採算の確立のためには、前提要件である経営の合理化をいかに行い、また行わんとしておるのか、運賃値上げに伴うサービスの改善を考えておるのか、また旅客運賃について遠距離逓減制の採用を考えてはいないか等の点について熱心に質疑應答がかわされたのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 かくて、本日質疑を打ち切り、ただちに討論に入り、日本社会党米窪滿亮君から原案に対し反対の意見を、民主自由党前田郁君から賛成の意見を、民主党佐伯宗議君から反対の意見を、農民新党飯田義茂君から賛成の意見を、日本共産党田中堯平君から反対の意見を、それぞれその党を代表して述べられたのであります。次いで採決の結果、多数をもつて政府原案を可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、簡單ながら御報告申し上げます。(拍手)
#7
○議長(幣原喜重郎君) 本案については討論の通告があります。その発言を許します。まず佐々木更三君。
    〔佐々木更三君登壇〕
#8
○佐々木更三君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になりました國有鉄道運賃法の一部を改正する法律案、すなわち旅客運賃を六割、定期券運賃二・二五倍ないし二・六五倍の大幅値上げ案には絶対に反対するものであります。
 政府は、旅客運賃の値上げについて、主として鉄道の独立採算制確立にその理由を求めておりまするが、鉄道の赤字は、軍閥、官僚、資本家等の旧支配階級が引起した無謀な戰爭によつてその施設及び機能を徹底的に破壊され、さらに敗戰の結果から生じたインフレーシヨンにその根源があるのであつて、この解決を大衆負担の運賃値上げにのみ求めることは、いわゆる有産者的解決であつて、わが社会党の絶対に反対するところであります。よろしく政府及びその與党たる民主党は、先ず、たとへば不当財産増加税を含む新財産税のごとき有産者税等の設定によつて一般会計より補填すべきことを、わが社会党は要求するものであります。
 さらに國民負担の重圧を避けるためには、不要物件の処理において、公正な價格による増収、鉄道施設請負金の嚴重な審査、傍系機関の徹底的整理等のいわゆる合理的経営の面において政府の努力は十分とは認めがたいのであつて、まず運賃の値上げ前にこれらの檢討解決をなすべきであります。特に負担の公平から鉄道運賃のみを取扱つて、鉄道貨物運賃及び海上運賃との総合的な檢討と解決をなさない政府の態度は、実にずさんきわまるものと言わなければなりません。(拍手)
 次に、旅客運賃、特に通勤通学等の定期券運賃は、いうまでもなく生活費の一部であります。從つて、賃金等の國民所得が格別に増加もしないのに、運賃だけを一般旅客六割、定期券運賃の二・二五、二・六五倍の大幅値上げをするということは、それだけ実質賃金の引下げになり、勤学大衆の生活費に食い込むことになり、窮迫せる國民生活のとうてい耐え得るところではないのであります。
 さきにわが党は、かかる無謀な運賃値上げを含む、そうして反対に失業対策費、災害復旧費六・三制を初めとする文教費、農業改良費等には、まるで問題にならないすずめの涙ほどの予算を計上して國民を欺瞞せんとする反國民的予算に反対して、これが返上をこの議場において主張いたしました。從つて、総体予算の組み直しを要求した予算の一部たる運賃だけを議論することはできないのである。しかもわれわれは、このような実体法を伴わない総体予算の審議決定は憲法及び財政法の精神に反する措置であることを指摘した。はたせるかな、総体予算の成立という既成事実をつくつて実体法の審議権を拘束するがごとき樣相を呈しているこの運賃値上法の非立憲的審議形式は、かつて総体予算を強引にも多数をもつて押し切つた吉田内閣と、その母体たる民自党の深い反省をなすべきものと考えるものであります。
 民自党の諸君、諸君は去る國会において、あのときの運賃値上げに反対したことを、よもやお忘れになつたわけではありますまい。しかも民自党は、運賃値上げをしないことを選挙において國民に公約したはずである。あの諸君が反対した高率運賃の値上げから、さらに六割ないし二・六五倍値上げするこの法案を、諸君の吉田内閣をして提案せしめてこれに賛成し、いままさに多数によつて無理押しに通そうとする諸君の態度は、民自党の政治的節操及び良心とどういう関係を持つことになるであろうか。私は諸君に同情する。諸君は定めしもだえ苦しんでおられるに相違がない。そして諸君は勇氣を振い起して、良心に從つてわれわれと同調し、本法案に反対することを期待するものであります。
 ここに私は、全國の勤労大衆を代表する日本社会党の名において、運賃値上げの本法案に絶対反対の意思を表明するものであります。(拍手)
#9
○議長(幣原喜重郎君) 田中堯平君
    〔田中堯平君登壇〕
#10
○田中堯平君 日本共産党を代表しまして、本案に反対の意見を申し述べます。
 政府は、本案の説明に当りまして、その要旨は独立採算制を維持するため、それから旅客運賃だけを上げて貨物運賃を上げないことは物價に悪影響を及ぼさないため、この二つにつきるのであります。まず、一体貨物運賃だけをすえ置きにして旅客運賃だけを引上げて、それで物價に作用がないかどうかということを考えてみたいのであります。旅客運賃を引上げましても、中小商工業者の多くは、大体交通費はおやじ持ちになつております。從つて、これをどうするか。やはり生産コストにこれを編入せざるを得ない。さもなければ、結局勤労大衆に対して実質賃金の低下をしいる以外に手はないのであります。また旅客運賃と申しましても、本店、支店間に頻繁なる連絡をとらなければならないような業種におきましては、むしろ貨物運賃を引上げる以上に、旅客運賃を引上げることによつて物價は引上がるのであります。それに貨物運賃をわずかに二%、三%引上げるという問題でありますならば、何もこれは大して物價に影響はないのであります。そういうことを一切やめてしまつて、ただ足代だけを引上げるということによつて、結局はどういう結果になるかと申しますと、ただ苦しむのは勤労人民だけであるという結果になるのであります。
 政府は、最初本年度の予算を編成するにあたりまして、二千四百四億円という予算を編成して、これでどうにか國鉄の経営をやろうとしておつた。ところが、にわかにこれを千三百億円に減らしてしまいまして、それでもなお赤字が三百六十億円出るこの予算を千三百億円に削るためには、いろいろな経費の節減をしなければならぬというので、まず大幅の首切り、低賃金、労働強化ということにこの逃げ道を求めております。それでもなお二百三十億円の赤字が出るからどうするか。この対策としまして、もつぱら旅客運賃の値上げということに逃げ道を求めておる。
 ごらんなさい。独立採算制を維持するために、一つには國鉄の從業員に対して首切り、低賃金、一つには國鉄を利用する勤労人民の足代に対して一挙六割というような大幅の値上げをやる。いずれもこれ勤労大衆に対する負担において、いわゆる独立採算制を維持しようとするものであります。すなわち言いかえるならば、大衆収奪によつてまことに少数の大資本家を擁護するという政策が露骨にこの一点に現われている。かかる政策に賛成することは、とうていできないのであります。
 旅客運賃を値上げいたしますならば、その結果は一体どうなるのでありますか。政府の説明によりますと、生活費の中で一・二%か一・三%形成しておるような交通費であるがゆえに何も生活にはさしさわりはないはずである、かように申しております。しかし、各種の労働組合の調査によりますと、今日の勤労階級の生計費の一〇%前後を交通費が占めておる。これをまた六割値上げということになると、どういうことになりますか。全く困りはてたことになる。
 また、戰爭前の昭和十一年においては、わずかに六・三%の家計費に対する比率であつたものが、今度値上げをしても、やはり六・六五%くらいになるのであるから、それで大した響きはないというような説明もありました。しかしながら皆さん、戰前における家計費に対する六%何がしと、今日の行き詰まつた勤労階級の生計における六%何がしとは、同じ六%何がしでありましても、まつたく響きが違う。戰前におきましては、何のかんのと言つても、交通費、交際費とか、あるいは文化費の余裕が幾らかあつた。それがぎりぎり一ぱいの生活をやつておりますので、たとい五%であろうが六%であろうが、まつたく殺人的な影響を勤労人民の生計に及ぼすのであります。こういうことにわれわれは絶対に承服できない。
 さればと言つて、それならこの赤字をどうするか。私どもは、むりなことは言わない。一体國鉄の独立採算制と申しますけれども、独立採算制そのものに私どもは反対をしておる。けれども、これについては深くは言いません。独立採算制を前提といたしましても、けつこうこの赤字を勤労人民の負担に置かなくてもやつて行ける方法がある。(「首を切ることだ」と呼ぶ者あり)違います。そうではない。あの厖大なる國鉄の世帶をごらんなさい。もうすでにあの厖大なる不要品の拂下げとか、あるいは工事の請負、こういうふうな面において莫大なるロスがあることは天下の常識になつておる。こういうものには一つもメスを入れようとはせぬ。
 また、一体交通事業というようなものは、不採算線がたくさん、あつちにもこつちにもある。現に収支償わず、支出の二〇%をまかなうことがやつとであるというような不採算線が、日本に二十数線もあります。こういうものは、國鉄はだてや酔狂で抱えこんでおるのではありやしない。そうでなく、交通の必要上、國家目的のために、そういうものを背負わされておるのであります。しからば、その損失は國鉄自身が負担するのではなしに、國家の特別会計から補助金を出すのが当然の建前であります。今日、安定帶物資に対してさえ一千百五十億という厖大な價格差補給金が出ておるではありませんか。しからば、交通という重要なる公けの事業に対して交通補給金というようなものを設定して、当然これを補給すべきが建前である。眞の独立採算制の精神に合致する方法であります。しかるに、こういうこいとをやらない。一切合財のマイナスを勤労大衆の負担に負わせようとする。かかる大衆収奪政策の一つの現われに対しては、日本共産党は断固反対するものであります。
#11
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 ただちに採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#13
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、星島二郎君外六名提出、飲食営業臨時規整法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#14
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 飲食営業臨時規整法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。経済安定委員長小野瀬忠兵衞君。
    〔小野瀬忠兵衞君登壇〕
#16
○小野瀬忠兵衞君 ただいま議題となりました飲食営業臨時規整法案について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、從來一部禁止されておりました飲食営業を今回全面的に再開せしめんとするものであります。御承知のように、現在飲食営業は旅館、外食券食堂及び喫茶店を除きまして、昭和二十二年政令第百十八号飲食営業緊急措置例によつて全面的に営業を禁止されております。ところが、この禁令にもかかわらず、事実は料亭、待合等の裏口営業が行われ、しかもこれを取締ることは経済的、社会的に困難な状態にあるのであります。それにもかかわらず、なおこの事態を継続して行くことは、國民生活を不明朗ならしめるばかりでなく、裏口営業のために主要食糧等にやみの行われる機会を多くし、食糧の流通秩序を紊乱することにもなつておつたのです。そこでこの際、飲食営業が國民生活の実情に沿うよう合理的な措置を講じ、國民生活の明朗化をはかるとともに、主要食糧の流通秩序を確立し、あわせて税収の確保に資するために提案されたものであります。從つて、この趣旨に基き飲食営業を全面的に再開するが、反面主食及びしよう油等の統制食料につきましては、流通秩序を紊乱せしめないと同時に、緊急なる食糧の浪費が行われあるいはやみ取引が助長されることを防止する措置を講ずる等詳細に規定いたしたものであります。
 本案につきましては、昨二十七日提案者より提案理由を聽取し、引続き審議に入り、高田、勝問田、平川、加藤、横田の各委員から、それぞれ飲食営業許可の範囲及び條件、営業の種類、主食券及び副食券、飲食物の調理加工、主食及び價格の統制等につき、きわめて熱心なる質疑がなされましたが、その詳細は速記録について見られたいと存じます。
 かくて、本日討論に入りましたが、民主自由党を代表して小西委員、民主党を代表して田中委員がそれぞれ賛成意見を述べられ、國民共同党を代表して平川委員は、高級料理店と大衆料理店とに課税上段階を設け、三食を外食券食堂によるものに対し特に配慮し、業務用配給が家庭配給を混乱せしめないよう注意し、この飲食営業再開によつて農家の供出意欲を阻害しないよう要望して賛成意見を述べられ、民主党を代表して高橋委員も、同じ趣旨の要望をもつて賛成意見を述べられました。また共産党を代表して高田委員が、本案は飲食営業の再開の法律として適当でないと反対意見を述べられ、社会党を代表して勝間田委員に、飲食業の再開は現在時期として適当でないとして反対意見を述べられたのであります。次いで採決に入りましたが、本案は多数をもつて原案通り可決されたのであります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#17
○議長(幣原喜重郎君) 本案について討論の通告があります。順次その発言を許します。加藤鐐造君。
    〔加藤鐐造君登壇〕
#18
○加藤鐐造君 私は、社会党を代表いたしまして、本案に反対するものであります。
 料理屋、飲食店の再開という声は、明るい響きを持つておらなければならないのであります。ところが、この法案を一読いたしますると、実に暗い感じがする。私は、そこにこの法案に非常なむりがあるということを考えざるを得ないのであります。
 料理屋、飲食店の再開という問題は、民自党にとりましては、取引高税の撤廃と米の自由販賣とともに、選挙に臨む三大公約であつたのであります。しかし、この民自党の公約が次から次へと総くずれになりつつある現在におきまして、私は民自党の諸君がそれほどむりをしてこの問題の解決を急がれなくてもいいのではないかと思うのであります。私は、民自党の諸君がこの問題だけはいくら歪曲されても一應形式だけは通そうと非常な努力をしておられるその気持ちはわかるのであります。しかし私は、民自党の諸君が今日の事態を正確に認識せられて、いたずらに面子のみにとらわれることなくして、料理屋、飲食店の再開という問題がきわめて自然な明るい姿で実現されるまで待たれたらどうかと思うのであります。國民はもうすでに、民自党の公約が実現の可能性のないから手形であつたということを認識しておるのであります。(拍手)私は、民自党の諸君があまりむりをされない方がかえつてよいのではないかと思うのであります。
 本案を見ますると、民自党の主張しておられる自由経済とはまつたく反対の方向をさしておるような方法において、すなわちきわめて煩雜な官僚統制の方式をとつておられる。その上課税の点でも、昭和二十三年度に比較いたしますると、本年度において約五倍の徴税を見込んでおられるのであります。私は、この事実だけをとらえてみましても、本法案が実施のあかつきにおきましては業界に大混乱を來すということを予想せざるを得ない。
 本案の眞のねらいは、私は高級料理店あるいは待合の再開というところをねらつておるのではないかと思うのであります。(拍手)しかも、それを言葉の上で軽飲食店という名称を付して國民の目をごまかそうとしておられることは、実に欺瞞もはなはだしいと考えざるを得ない。
 私は、もちろん勤労大衆に娯樂機関あるいは慰安機関を與えることは必要であると思います。私は、この際最も適切な方法といたしましては、大衆的飲食店、あるいは大衆的酒場とというようなもののみを許して、そうして高級料理店の建物のごときは、家のないところの氣の毒な戰災者あるいは引揚者の住宅に開放すべきではないかと思うのであります。(拍手)私は、提案者はこうした人々の反感をおそれて、いわゆる軽飲食店というような言葉でもつてごまかそうとしておられるのではないかと思うのであります。まつたく兒戯に類するやり方だと思う。
 経済九原則の実施にあたりまして、吉田首相は國民に耐乏生活を要求しておられる。しかるに、一方におきましては、ほんの一部の人々だけがぜいたくをするような機関を許すことを法律で設けるというようなやり方は、矛盾もはなはだしいと思うのであります。(拍手)
 耐乏生活は全國民の強い倫理観の上に立たなければならないのであります。耐乏生活は経済的な要求であるとも同時に倫理的な要求であると私は思う。そういう点から見まするときに、國内に階級分裂を助長するような、こうした高級料理店再開的な思想というものは、現在の日本といたしましては嚴に愼まなければならぬと思うのであります。私は提案者の倫理的な感覚を疑う。そうして、さらに一方において日本再建の上に挺身しておられまするところの勤労者の勤労意欲をはなはだしく減殺することを私は深く憂えるものであります。
 さらにこの法案は、大衆的飲食店、すなわち外食券食堂であるとか、あるいはめん類食堂、あるいは旅館というようなものには実に嚴重な、煩瑣な制約を設けておる。そうして一方におきましては、高級料理店には主食の持込みを許すというような大きな抜け道を設けておるのであります。私は、いわゆる高楼に酒池肉林を盛り、美妓を擁して高唱乱舞するところの姿というものが敗戰國として許さるべきものかどうか、これを他國から、すなわち莫大な経済的な援助を日本に與えておるところの、特に恩恵的に主食を供給しておる側の國から見まするときに、どういう感じがするかということを考えてみなければならないと思うのであります。そういう立場にあるわが國といたしまして、しかも冷嚴なるところの経済九原則のもとに險しい日本再建の道を歩まなければならない現在におきまして、私はこれが眞に正しい姿であろうかどうかということを考えてみなければならないと思うのであります。自己の税金によつて大きな経済的な援助を與えておるところの米國の國民がこれを見ましたときに何と感ずるであろうか。私は、おそらく恥を知らない國民であると考えると思わざるを得ないのであります。(拍手)
 私は、これが日本再建の上に大きな障害になることをおそれる。これは、ただ單に一政党の無責任な公約のしりぬぐいをするところの面子の問題では決してないのであります。しかも、この法案を正視いたしましたならば、現在料理屋、飲食店の再開を要望しておりまするところの業者といえども決して喜ばない。まじめな業者であつたならば、こんなことをやつてもらわない方がいいと考える。いわゆる法律の裏をくぐることの巧みな、ずるい業者のみが栄える法律である。まじめな業者はつぶれてしまう。私は、こうした建前におきまするところのこうした法律に対しまして、民自党の諸君が眞に愛國的な見地に立つて再檢討されんことを深く要望するものであります。私は率直に所見を述べまして反対の意思を表明するものであります。(拍手)
#19
○議長(幣原喜重郎君) 小西英雄君。
    〔小西英雄君登壇〕
#20
○小西英雄君 私は、民主自由党を代表いたしまして、飲食営業臨時規整法案に賛意を表するものでございます。(拍手)
 昭和二十二年、片山内閣は、國会開会中にかかわらず、一片の政令に名をかりまして十五万有余の営業権を剥奪し、それに從事するところのきわめて氣の毒な戰爭未亡人、戰災者、引揚者等の生業を一氣に奪つてしまつたのであります。(拍手)戰爭中國民に暴政をもつて任じたところの東條内閣ですら、飲食店営業を休業させるや、経営者及びその從業員には、細々とはいえ、轉業政策をもつてこたえたのであります。しかるに、新憲法下において営業の自由を與えられておる今日、社会、民主、國協連立内閣はこの暴挙をあえていたしましたために、去る総選挙におきまして嚴たる審判が下され、今日のような悲惨な状態になつたのであります。(拍手)
 わが党は、諸策を行なうについて天下に公約いたしましたが、輿論の支持に從い料飲の再開を期するものであります。料飲再開は國民大衆を明朗化すると同時に、この法案は税の適切な徴収、主食の横流れを防止する考えより提出したものでありまして、日本の置かれておる客観情勢より、やむを得ぬ法案でございます。野党の諸君においても、一應机上の空論を揚げて反対の意見を出しておられますが、輿論の審判によつていたし方ないと内心考えておられる。どうぞこの意味より、わが党のこの輿論を支持あらんことを切望いたしまして、賛成意見を述べた次第でございます。
#21
○議長(幣原喜重郎君) 横田甚太郎君。
    〔横田甚太郎君登壇〕
#22
○横田甚太郎君 政令によつて職を奪われたところの人たちが、あきれるほどあわただしい審議の中に料飲再開を迎えようとしております。共産党は、第一日本をゆたかにして、働く多数の人民がうんとうまいものを食つて、たらふく飲めるような、業者も喜び客も喜ぶような料飲の再開ならば望むところであり、歓迎するところであります。しかしながら、農村におきましては供米の事前割当がある。超過供出がある。そうして、農村自身が食う米さえも奪われねばならぬほどのひどい供出制度の改悪がありながら、また戰時戰後ともに働いたところの労働階級が、首切りで、あるいは失業で困らされながら、しかも文句を言うた場合には労働者は一々首だ、そうして投獄だというような、ひどい法の改悪をやつておきながら、一方におきましては小数の高級料飲業者を保護する。これは非常に間違つたやり方だと思うのであります。(拍手)
 町に出て見なさい。米のかわりに、むりにでもいもを食わされて困らされなければならない、一年間に数十日のおかみさんの泣く日があるのであります。この配給に対しては、皆さんは改めようとはしておられない。働く人民は非常に苦しんでおります。にもかかわらず、多数人民の苦しみをよそに、女とおどつて酒を飲み、やみ料理屋でいろいろなものを注文する。その料理は必ずしもその家でつくつたものではないのでありまして、一つのお膳の上にあるものでも、この料理は家の料理場でつくりますが、いま一つの料理は、どこか遠いところの、見えない官僚に氣がねの場所でこしらえるというような、実に不便、不愉快、不可解な敗戰後の料飲再開をしようとしておる。
 一体料飲店の保護なのか、税金を巻き上げるのが目的なのかということを、われわれは聞きたいのであります。もし税金を巻き上げるのが目的であるとすれば、どこに行つても官廳の家はたくさん新築されておるのであります。その居心地のよい官廳を一つ一つ料理店にして、税務署の役人を呼んで來て、そこに官廳自身が料飲店をやつて、政府自身いわゆる料飲政府となられた方がずつとよいのであります。
 町を見てごらんなさい。主食の取締りは嚴重であつて、大阪の駅のごときは、巡査が石塔のようになつて米を探し、交通妨害をやつておる。列車は一斉にとめられて、今日の新聞なんか見ますると、人権問題まで云々されておるのが日本の現状である。みそ、しようゆ、砂糖、バター、あらゆる一切の副食物というものは配給制であつて、非常にそれが煩雑であり、しかもそれが少量である。それゆえ、おかみさんは非常に困つておるのであります。農村から東京に出て來た人たちには、何を食つていいのやら、遵法の精神があつてもわからない。それほどひどい統制がある。だから、民自党の諸君は、これを食つてはいけないのだというように、禁令辞書をつくつて日本の人民の一人一人に渡さない限りは統制が守れないほど煩雑な統制の中に料飲店をやろうとしておる。
 英國なんか見てごらんなさい。昨日の新聞紙上に傳うるところによりますると、英國の娘さんなどは卵の料理法を知らない。コックそのものも卵をゆでる機会の扱い方を知らないと言われておるほど耐えて、がんばつておるのであります。さればこそ、配給統制がとれて、すべての人が飲んだり食つたりする日が來るのであります。わが党は、人民のまずい食生活を好みません。ほんとうの料飲店再開のために、日本の人民の不幸な食糧事情をまず第一に一変していただきたい。米のかわりにいもを食わすような配給は断じてやめていただきたい。みそ、しようゆ、砂糖を自由に使つてうんと食うものをわれわれ働く大衆に配給し、たくさん食つて、氣前のよい氣持でうんと働いてくれということをやつていただきたい。
 考えてみなさい。料理屋に行つたときに、副食券がなかつたならばやつて行けないということになつている。副食券の出所は一体どこか。家庭のかわいい子供の食いしろをしぼつて、奥さんが御主人の飲みしろに渡さなくちやならない。だんな様が非常な道樂をなさいますために、かわいい子供に食わすものを取り上げてどうして奥さんがそんなだんなさんに副食券を出すかということを考えていただきたい。第一、そういうふうなおかみさんは新憲法下にはいない。もし、そういうようなおかみさんがあるのだつたら、だんなさんに占領されておる個性のない奥さんである。從つて、かようなことがやられるということ、この法のもとにおいて料飲が再開されるというようなことは、一から十まですべてがやみと非常な不正な手段による料理をととのえる苦労によるところの再開、繁昌でしかないのであります。(拍手)
 また、最高價格制とか料理の制限ということが云々されておりますが、もし料飲店を民自党が許されるのであるなれば、何ぼ食つてはいかぬというようなことは言わずに、たら腹食わせて飲ませたらいいじやないか。制限しないで食わせたらいいじやないか。そうして飲んで食つた人は、戰時、戰後と、日本の多数人民が困つてみんな辛抱しているときに、日本の人民を裏切つてやみ利得をかせいで金をためて、たらふく食つて飲む金のできた人だから、そんな人からはうんと税金をとつたらいい。ところが、それに対しては本法では何の手も打つていない。(拍手)だから、私たちは今民主自由党がやられようとしておるこの料飲再開には反対なのです。
 第一、民主自由党は享樂を主張されるのか、耐乏をもつて勤労大衆にお頼みなさるのか。もし耐乏であるならば、何を好んで農村においては供米の強奪、町においては労働者の首切り、そして花柳界では戰後のやみ利得者大浮かれというようなことをやるのか。こんな耐乏が一体どこにあるか。この点においてわれわれは反対する。
 もし料飲再開をするというならば、一切の建築法、あらゆる法規に対する制限を撤廃して、氣樂にやつてみたらいい。砂糖も酒もみんなにうんと使わせ、あるいは砂糖の撤廃、塩の撤廃、あるいは魚の撤廃、あらゆるものを撤廃して自由にやらせてみろ。それをようやらないで、いまだに裏口でこそこそやるような、こんな料飲の再開はいけない。けちで、制限だらけで、杯の置き場にも困るような、こういうふうなやり方に対しては、われわれは断固として反対するものであります。
 大衆が食うために、大衆の食うものをよくするために、二百六十九の多数にものを言わせて、もつとまじめなことをやれ。それをようやらないのであるならば、今度の選挙に君たちはひつくり返る。料飲の再開によつて業者がみんな喜ぶのじやない。税金をとるための料飲再開、あるいは業者にこびるためのこういうやり方にし対しては、日本共産党は断固として反対し、正しい配給生活、食生活を守つて行く全人民のために、われわれは本法による料飲再開には反対するものであります。(拍手)
#23
○議長(幣原喜重郎君) 高橋清治郎君
    〔高橋清治郎君登壇〕
#24
○高橋清治郎君 私は、民主党を代表いたしまして、ある條件を付してこの法案に賛成をいたすものであります。
 この本案を見ますると、不完全な点が多いのであります。もつと完成したものをわれわれはほしかつたのでありまするけれども、この法案が昨日突如としてわれわれのところにまわり、昨夜までかかつていろいろ質疑應答がかわされたのであります。大体の方針におきまして、わが党はこれに賛成をいたすのでありまするが、次のごとき二、三の点につきまして重大なる警告を発して、私は賛成をいたすのであります。
 まず第一に、この法案を見ますると、その取締り方法が複雑をきわめております。そのために、その取締りの実行が不可能であるように思われるのであります。不可能でありまするから、二十四年度において推定されましたところの七十七億の徴税がはたして実行できるかどうかということを私どもは疑うのであります。しかして、その徴税の根拠がはなはだ不明確なのであります。
 次に、この取締りを経済調査廳にゆだねるというようなことを聞いておりまするが、かくのごときことは羊頭を掲げて狗肉を賣る結果になりはしないかということを私は思うのであります。並びにこの法案は、経済九原則に基きまして、わが國民の耐乏生活とこの関係がいかにあるか、國際関係も十分心すべきであると思うのであります。
 以上、提案者に重大なる警告を與えまして、わが党は賛意を表するものであります。(拍手)
#25
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決に入ります。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#26
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#27
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#28
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加されました。
 会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長花村四郎君。
    〔花村四郎君登壇〕
#30
○花村四郎君 ただいま議題となりました会社等臨時措置法等を廃止する政令の一部を改正する法律案につき、委員会における審査の経過並びに結果を簡單に御報告いたします。
 政府は、連合國最高司令官の覚書に基き、昨年十二月三十一日、政令第四百二号をもつて会社等臨時措置法及び同法施行令を廃止したのでありますが、その際同政令の附則において、右臨時措置法及び同法施行令中の若干の規定については、本年四月三十日までなおその効力を有するものといたしたのであります。
 元來同法は、大戰中の窮迫した社会情勢、たとえば交通通信の不便、物資の不足、戰爭による災害等に対処し、会社法人が、その公告方法、株主総会の招集方法、特別決議に必要な総会の定足数、罹災会社法人の総会招集の通知、日本興業銀行、日本勧業銀行等特殊会社の社債登記等につき、事態に即應する簡易簡略化ないしは緩和化をもたらし得ることを目的として制定せられたものでありますが、一面において、さきに述べましたような大戰中における諸事情は、同法を廃止した当時にありましても、また今日におきましても完全に解消するに至つていませんし、他面において経済界からも、以上述べましたような簡易化、緩和化は、現状にふさわしい制度としてその恒久化が要望されているのであります。政府は目下経済再建、外資導入等に資せんがため商法の大規模改正を考究中であり、その際これらの諸問題をも解決せんとするものでありますから、現に効力を有するこれら諸制度を定める規定につき、本法立案により、さらに本年十二月三十一日までその効力を維持させようとするものであります。以上が本案の要旨であります。
 さて、委員会における政府の答弁並びに説明によりますと、たとえば資本金二十万円未満の株式会社の数は、昨年三月末において九千余社数え、全株式会社の実に八六%という比重を示し、これらの群小会社にも商法の原則通りの官報または日刊新聞による公告を要求することになりますと、現在四百一回の広告料金は二千八百六十円で、貸借対照表のごとく二十行の広告料は一回一万四千円以上となるわけでありますが、本案によりますと、これら全國一万前後の群小会社は、官報、日刊新聞によらないで店頭広告によることができ、これによる経費の節約は莫大な額に上るのでありますし、また終戰後株式の民主化に伴い大会社の株式数は全國四万一千社という多数に上り、日発のごときは株主数十七万に近く、関東配電十四万、中部配電十万というがごとく、株主数の巨大な会社が続出しているのでありまして、これらの会社に商法の原則通りの通知による総会の招集方法、あるいは株主の半数及び資本の半額以上の特別決議方法を要求いたしますと、これまたすこぶる莫大な経費と手数とを要するわけでありますが、本案によりますと、招集の方法は通知にかえて広告によることができ、また特別決議の方法は資本の半額以上に当る株主によることができることになりまして、その経費の節約はきわめて莫大な額に上るのであります。
 委員会におきましては、わが國産業経済復興の現段階並びに経済界の要望等にかんがみ、本案は時宜に適切なるものと認め、本日採決の結果、全会一致をもつて原案通り可決した次第であります。
 右御報告いたします。
#31
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言がありませんから、ただちに採決いたします。本案は委員長の報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#33
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一は提出者より委員会の審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、ハワイ並びに北南米在留同胞及び日系市民の対日援助に対する感謝決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。松本瀧藏君。
    〔松本瀧藏君登壇〕
#35
○松本瀧藏君 ただいま議題となりましたハワイ並びに北南米在留同胞及び日系市民の対日援助に対する感謝決議案の提案理由を説明いたします。
 今日ややもすると、アメリカ、特に合衆國を、ただ單に裕福な、物のあり余つている國のように考え、そこに居住する同胞や日系市民を單に幸運な人人であるかのごとく考える風潮がありますが、これは大いなる偏見ないし誤解であります。アメリカ合衆國とて、今日の繁栄は決して偶然に成し遂げられたものではなく、長年にわたる苦心経営と努力の結晶であり、同胞並びに日系市民の今日あるのも、多年にわたる実に血のにじむような苦心と労力のたまものであります。
 しかもその上に、われわれが心に深く銘じ、この感謝決議を院議によつて披瀝するにあたり忘れてはならないことは、ハワイ並びに北南米の同胞も、またある意味においては戰爭被害者であるということであります。終戰以來今日まで巨額に上る援助を日本に寄せてくれた同胞の多くは、戰爭によつてその居住地から遠く未知の土地に移住して行かねばならなかつた人々が少くないのであります。あるいは戰爭の犠牲者として、その子弟全部を失つた同胞もまた決して少くありません。このように考えますと、ハワイ並びに北南米の同胞の多くも、生活更生の途上にあり、決して安易な生活を営んでいるというわけではなく、場合によつては日本の戰災者や引揚者と同様な苦しみに耐えて来ていると申すことが出来るのであります。
 かかる生活の中より、ハワイ並びに北南米の在留同胞並びに日系市民が日本に寄せてくれました援助は、まず昨年末までに届いた莫大なるララ物資中約三千五百トン、ケア物資は今年三月末までで二万五千個、救済小包が昨年末までで二百三万六千九十五組であります。この救済小包だけを旧レートで換算いたしましても実に五十億九千万円であり、その九十七%が日系市民の発送せるものであります。このほか、救済物資並びに資金として福井震災、南海震災及び廣島救済等があります。以上は直接数字面に現われたところのみでありますが、このほかに、直接あるいは間接に送られて來た、隠れた無数の援助があることを忘れられないのであります。
 なおこの機会に一言しておかなければならないことは、國際オリンピツク委員永井松三氏のローマ会議出席を可能ならしめたハワイにおける同胞並びに日系市民の援助であります。わが日本が一日も早く國際社会に復帰できることを念願することにおいて、海外の同胞もわれわれとまつたく心を一つにしているのであります。この切なる念願を実現するために最もすみやかに期待し得るものは、戰前世界的水準に達していたわが國のスポーツを通じてであると言うことができます。ロンドンの國際オリンピツク大会にわが國の選手が出場できなかつたことは、内外の日本人を失望せしめ、わが國の國際社会復帰いまだしの感を深くせしめたのであります。日本のオリンピツク参加の復活は國際オリンピツク委員会の採決にまたなければならないことは申すまでもないことであります。昨年の夏、ロンドン会議に資金難その他の関係で日本の國際オリンピツク委員を派遣し得なかつた日本スポーツ界は、今年こそローマに永井氏を派遣せんと努力したのでありますが、再度資金その他の難問題で、まつたく絶望となつたのであります。時あたかも、この瞬間にはせ参じてくれたのは、実にハワイにおける在留同胞並びに日系市民の諸氏であつたのであります。派遣絶望の報に接して、わずか二日間において、米谷克巳氏を委員長とする日本オリンピツク参加のための委員会なるものを結成し、所要の資金その他の問題を解決し、あまつさえ吉岡武雄氏を日本に飛ばせて、國内における出発の諸準備に当らせたのであります。かくのごとくにして、今日ただいまローマにおいて開催中の國際オリンピツク会議に永井松三氏を派遣し得たのでありまして、これはまつたくハワイにおける同胞並びに日系市民のあたたかい日本への同情と援助のたまものにほかならないのであります。
 この際特に銘記すべきことは、かくまでの努力を拂つてくれたゆえんのものは、國際社会に孤立せる日本を一日も早く復活させたいとの念願の発露であるということであります。われわれは、これら同胞並びに日系市民の好意を深く感謝し、彼らの激励に対しても祖國再建に挺身しなければならぬことを一層痛切に感ずるものであります。
 右の理由によつて本決議案を提出した次第でありますが、その本文を読みあげます。
  ハワイ並びに北南米在留同胞及び日系市民の対日援助に対する感謝決議案提案
 終戰以來、ララ物資、ケア物資、救済小包その他各種の形式により、ハワイ並びに北南米在留同胞及び日系市民のわれわれに示された援助は莫大な数量にのぼり、眞に感謝に堪えないところである。これらの厚意がいかにわれわれの慰藉と激励となつたかは今更いうまでもない。
 衆議院は、ここに院議をもつてこれら在外同胞並びに日系市民に深甚なる感謝の意を表する
 右決議する
 何とぞ満場一致をもつて本決議案を可決されんことをお願い申し上げまして、私の趣旨説明を終らせていただきたいと思います。(拍手)
#36
○議長(幣原喜重郎君) これより採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#38
○議長(幣原喜重郎君) 日程第二、国民金融公庫法案、日程第三、揮発油税法案、日程第四、酒税法等の一部を改正する法律案、右の三案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員会理事宮幡靖君。
    〔宮幡靖君登壇〕
#39
○宮幡靖君 ただいま議題となりました國民金融公庫法案の、委員会における審議の経過並びに結果について概略御報告申し上げます。
 まず、この法案が提出されました趣旨について申し上げます。すなわちこの法案は、金融機関再建整備法による最終処理の結果資本金の全額を切り捨てられました庶民金庫と、同じく資本金の九割を切り捨てられました恩給金庫との両金庫の業務を受け継ぎまして、新たに國民金融金庫を設立し、一般金融機関から資金の融通を受けることの困難な國民大衆に対して必要な事業資金を供給しようとするものであります。
 次に、この法案の内容の主要な点について申し上げます。すなわち第一は資本金に関するものでありまして、資本金は十三億円とし、政府がその全額を出資することといたしております。
 第二は業務の範囲に関するものでありまして、公庫の行なう業務は、生業資金の小口貸付、すなわち独立して事業を遂行する意思を有し、かつ適切な事業の計画を持つ者で、一般金融機関から資金の融通を受けることの困難な者に対する小口の事業資金の供給でありまして、生活困窮者に対する救済資金の供給でないことを明らかにしております。
 第三は國民金融審議会に関するものでありまして、國民金融審議会は、公庫の運営に関する重要事項につき大藏大臣の諮問に應じ、また進んで意見を述べるために大藏省内に設置され、その委員は関係官廳を代表する者二人、農工商業及び金融界を代表する者四人、國民大衆の利益を代表する者三人、合計九人といたしまして、通貨発行審議会の推薦に基き、内閣の承認を得て大藏大臣が任命することといたしております。
 第四は会計に関するものでありまして、公庫の予算決算については國会の議決承認を経ることといたしております。
 この法案は、去る二十二日、本委員会に付託されたものでありまして、翌二十三日提案理由の説明を聴取し、二十六日質疑に入りましたが、前尾委員よりは庶民金庫、恩給金庫の貸し出していた金額等について、塚田委員よりは両金庫貸付金の回収状態、國民金融公庫と通貨発行審議会との関係について、河田委員よりは公庫の貸付條件について、川島委員よりは公庫の資金内容、やみ金融の取締り等について質疑がありまして、愛知政府委員よりそれぞれ答弁がありました。
 次いで討論に入りましたところ、前尾委員は民主自由党を代表して、この法案は羊頭を掲げて狗肉を賣る感はあるが、恩給金庫、庶民金庫の跡始末をするとともに、その業務を受け継いで小口貸付を行つて行くために必要なものであるから賛成する旨を述べられ、田中委員は社会党を代表して、強い希望條件を付して賛成する旨を述べられ、その希望條件として、公庫は実際に運用される資金が微々たるものであるから、きわめてすみやかな時期に相当多額の資金を確保して公庫の使命が達成できるよう努力してもらいたい、またこれによつて両金庫が統合される結果起ると思われる從業員の整理が行われないようにしてもらいたいと申し述べられました。次に河田委員は共産党を代表して、賛成するものについて希望條件を付する旨述べられ、その希望條件として、田中委員の述べられた希望條件と大体同様の趣旨を申し述べられました。次いで採決に入りましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
 次に、酒税法等の一部を改正する法律案及び揮発油税法案について、大藏委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 今次の改正法案は、当面緊急必要とする税制の部分的改正であります。すなわち、本年度予算編成に際して極力税収減を防ぐため、さしあたり現行税制はそのまま踏襲せられておるのであつて、税制の全般にわたる改正、すなわち國民租税負担の軽減及び合理化については迫つて再検討せられることになつております。しかして揮発油税法案は、右改正による減収を補い、健全財政を確保せんがため新税を起さんとするものであります。
 次に各法案の内容についての概略を申し上げます。酒税法等の一部を改正する法律案は、酒税法、清涼飲料税法、物品税法、取引高税法、租税特別措置法及び昭和二十四年度の所得の四月予定申告書の提出及び第一期の納期の特例に関する法律の六法律の一部改正であります。
 まず第一條は酒税法の一部改正であります。酒類は現在配給酒と特別價格酒とにわかれ、特別價格酒に対しては高い税率を適用しているのでありますが、今回その配給の方法を変更し、家庭用配給はこれをとりやめ、労務者及び農村等に対し最小限配給を行うにとどめて、配給は極力その数量を圧縮し、残りは全部自由販売にしようというのでありまして、これに伴つて、その價格を配給酒價格においては現在の配給價格程度に、自由販売酒價格は原則として現行特別價格との中間程度にするよう税率を調整しようというのであります。そして、この際清酒に特級酒を、また合成酒に一級酒を設けて、特に特級酒、一級酒等はその價格をある程度高位にきめ、増税を負担せしめるとともに、しようちゆう等大衆用の酒については、その消費の性質及び密造防止の見地から、でき得る限り低價格にするよう税率の低下をはからんとするのであります。なおあわせて、近時密造の激増にかんがみ、密造酒類の所持犯、密造未遂について処罰規定を設ける等罰則の強化を行おうというのであります。
 第二條は清涼飲料税法の一部改正であります。サイダー、ラムネ等は昨年七月相当の税率引上げを行つたのでありますが、その後の課税の実情は、税率が高きに過ぎ、需要と生産を阻害するきらいがあるのであります。そこで、サイダーの税率を、一石につき現行九千五百円から八千円に引下げ、その他の清涼飲料についても、これに準じて税率の引下げを行おうというのであります。
 第三條は物品税法の一部改正であります。第一種物品中、照明器具、かばん、トランク、行季、乳母車、運動具等について税負担を合理的なものとするため一段階引下げ、緑茶につき、消費の性質及び課税の実情にかんがみ、從來の從價課税を從量課税に改め、その際税負担を若干軽減するとともに、乗用小型自動車、自動自轉車等若干の物品を新規に第一種物品として課税するものであります。
 第四條は取引高税法の一部改正であります。今回の改正は部分的改正であつて、根本的檢討は近き將來に譲るものでありますが、今次改正のおもな点をあげれば納付方法につき印紙納税制度を廃止し、営業者の毎月申告による現金納付とし、非課税範囲を拡張し、理容業、簡易旅館業、配給加工水産物の製造、取次、販賣、主要食糧及び蔬菜の種苗の販賣、取次、外食券食堂における販賣、葬儀の請負等を非課税とし、免税点を設け、毎月の取引三万円以下の零細な営業者について非課税とする等であります。
 次に第五條は租税特別措置法の一部改正であります。それは一、納税預金制度の創設、二、法人税に関する改正、三、輸入砂糖に対する消費税の免税であります。法人税については、法人の増資拂込みによる資本調達を容易ならしめることが今回の経済再建の急務なるにかんがみ、法人がプレミアムを積み立てた場合、現行の十分の五を改め当分の間全額を益金に算入しないこととし、これに対する課税を行わないこととするとともに、法人が法令または法令に基く命令によつてその所有固定資産を買収、収用または譲渡したる場合の課税上の特例を設けんとするものであります。納税準備預金は、その利子につき所得税を免除することにより納税を容易ならしめ、なかんずく申告所得税につきこの制度の活用をはからんとするのであります。砂糖消費税は、先般砂糖が主食からはずされた際課税を復活したのであるが、連合國の好意により、輸入砂糖に対しては再び非課税とすることとし、これに伴う必要な規定を整備せんとするのであります。
 次に第六條の所得税に関しては、先般三月三十一日法律第三十一号をもつて、昭和二十四年度の所得の申告及び納付につき第一期を六月とする特例を設けたのであるが、さらに第二期を十月、第三期を來年一月の三期とし、それぞれ年税額の三分の一ずつ納付することとするのであります。なお施行期日は、酒税については公布の日より一月以内に、他は五月一日より施行せんとするものであります。
 以上の諸点が酒税等の一部を改正する法律の内容であります。
 次に揮発油税法案は、揮発油に対し新税を課し、諸税の軽減に対処して税收をはかり、当面の財政需要に應ぜしめんとするものであります。すなわち、最近における揮発油の需給及び價格の状況にかんがみ揮発油に相当の租税力ありと認め、小賣價格の從價十割の税率によつて製造場または保税地域より引取る都度引取人から撤收しようというのであり、これに関辿して免税取締等緒規定をおおむね他の間接税に準じて定めるものであり、公布後十日を經過した日より施行せんとするものであります。
 両法案中、揮発油税法案は四月十九日、他は二十日大蔵委員会に付託せられましたが、二十日両法案につき一括議題とし、まず政府委員の提案理由の説明を開き、次いで二十一日、二十二日、二十三日、二十五日の四日にわたり、大蔵大臣、主税局長との間に熱心な質疑應答がかわされました。その詳細については速記録を参照願うこととし、ここでは主要なる数点についてのみ御報告申し上げます。
 まず第一に酒税に関しては、自由販責に密造が便乗するおそれはないかとの問いに対して、成規の醸造をふやし價格を下げるほか抜本的な方法はないが、財源の関係もあり困難である、取締りを強化するとともに、しようちゆう等の價格を低めて密造酒の横行しているところにさばき対抗するとの答弁がありました。
 第二に物品税に関しては、ほとんど全品目について請願が出ている、それはまともにかけられてはやつて行けぬからであり、物品税過重が脱税を誘発している、從つて税率を引下げても税收は減らぬと言われている。根本的な險討を加うべきではないかとの質問に対して、確かにそういう要素もある、將來財政事情がよくなれば順次税率を下げたい、しかし税率を下げて税收がふえることは期待できぬとの答弁がありました。
 第三に取引高税については、取引高税の非課税範囲の拡張はこの税の本旨に反する、大きな苦痛を伴うことなく相当の税收を毎日あげ得るのが取引高税であつて、今日敗戰日本において適当な財源である、印紙納付の廃止はむしろ脱線であるこれはむしろ脱税を多くする、印紙納付に罪があるのでなくて、その実行方法に欠陥があつたのではないか、三万円以下の免税も同税法の本質上不合理ではないかとの質問に対して、印紙納付は理想的な制度であるが、日本の現状では営業者にはめんどうがられ、消費者の十分な関心もないからやむを得ない、月三万円以下の営業者に対する課税はめんどうでもあり、その免税により営業者に不当な利益を與えるとも考えないとの答弁がありました。
 第四に法人税に関連しては、主として法人固定資産の再評價問題が質疑されましたが、この問題はなるべく早急に実現したいとの政府の意見の開陳がありました。
 次に砂糖消費税に関しては、酒、タバコの増税が断行せられる今日、砂糖のみ免税するのは不つり合いであり、むしろ專賈として増税をはかるべきではないかとの問いに対し、自力で輸入すればとにかく、ガリオア資金による救済物資である今日の事情ではできない、また為替率設定により國内價格が上昇するのに対処するためにも免税が必要であるとの答弁がありました。
 納税準備預金制度に関しては、同時に納税証券制度を考えないかとの質疑に対し、本年はまず準備預金制度で努力する、営業者は毎月、農業者は供出代金等の入つたときにこの預金制度を活用するよう指導したい、納税証券は発行に手数もかかり、なお今後の研究にまちたいとの答弁がありました。
 次に所得税に関しては特に熱心な質疑應答がありました。本年の税が重いとすれば、どこに重いと考えるか、また軽減の方向いかんとの質問に対しては、下の方に重いのであり、所得税は現在累進率の関係で事実上の増税になつている、從つてまず基礎控除、扶養控除の引上げを考え、次に税率を考えるとの答弁があり、また今まで勤労者が重いと考えられていたが、今日の段階では、むしろ農業者、事業者に対し重いのではないかとの質問に対し、税制の上では、差は主として二割五分の勤労控除である、制度としては大体現行で適当である、研究するとすれば、まず二割五分が適当であるかないかの問題であるとの答弁がありました。また超過供出による農業所得については、所得計算上超過供出に要する経費を考慮に加えるが、税の免除や源泉課税はむりである、匿名供出は供出に関しては匿名だが、税法上の匿名ではない等の答弁がありました。
 今日申告納税に関し大部分が更正決定であるが、各市町村に税務調査員を設ける意思はないか等の質問に対しては、それを正式に置くことは問題である、申告納税の本旨に反するからである、民間の意思を聞くことは必要である、事業者團体には諮問するが、しかしそれに責任を持たすことは適当でない、團体交渉も一がいに悪いとは言えぬが、原則としてはやらぬ、諸問は例外的に團体交渉となることもあるとの答弁がありました。
 次に、税務当局で努力目標を指示しているが、その設定は事実上割当課税となり、不当ではないかとの問いに対して、努力目標を指示してはいるが、それは單なる努力目標であつて、対納税者の関係は税法のみがよりどころであるとの答弁があり、次に今年度税收の見通しについての問いに対し、二十四年度は申告納税分を除いてはさほどの困難を感じないとの説明があり、最後に今後の軽減の問題について、シヨープ・ミツシヨンの渡來によつて税を軽くすると言われているが、今年中に軽減を期待し得るやとの問いに対しては、確約はできぬが努力する、また三百六十円の為替率によつて補給金支出はふえると思うが、それでもなお軽減の見込みがあるかとの問いに対しては、実現困難なりとは考えない旨それぞれ答弁がありました。以上が質疑應答の主要点であります。
 次いで、二十七日討論に入りました。前尾委員は民主自由党を代表し、両法案は妥当適切なりとして賛成の意を表するとともに、あわせて、一、一刻も早く適正な改正に努力すべきこと、二、威嚇的のきらいある税務行政を、指導に重点を置くやり方に改正すべきこと、の二つの希望意見を述べられました。次に川島委員は日本社会党を代表し、六箇の法律を一括一法律として提出するやり方ははなはだ不都合である、分割的に賛否を決する方法なきがゆえに一括反対せざるを得ない、國民生活の安定を考慮せず、輿論に背を向けたやり方には反対であるとして、両法案に反対の意を表され、次いで荒木委員は民主党野党派を代表し、來るべき全面的改正の機会には所得税の軽減等に十分な考慮を拂うべきである、また取引高税の部分的改正はむしろ改悪であり、ガソリン税については農業、漁業用及び輸出産業用の減免を講ずべかりしものであるが、両法案には残念ながら賛成すると述べられました。最後に河田委員は共産党を代表して、飲料税、物品税について賛成する点なきにあらざるも、税制の合理化を考えず、國民負担の増大を來す両法案には反対である、間接税を撤廃して累進直接税を選ぶべきであると主張されました。
 かくて討論を終り採決にはいりましたところ、起立多数をもつていずれも原案通り可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#40
○議長(幣原喜重郎君) 本案については討論の通告があります。順次これを許します。川島金次君。
    〔川島金次君登壇〕
#41
○川島金次君 私は、ただいま上程されました國民金融公庫法案及び揮発油税法案及び酒税法等の一部改正法律案に対し一部賛成、一部反対の意を、日本社会党を代表いたしまして表明するものであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 ただいま委員長から御報告になりましたごとく、この上程されました法案のうち酒税法等の一部改正法律案は、明確に申し上げますと、酒税法の改正法律案、清涼飲料税法の改正法律案、砂糖消費税法の改正法律案、物品税法の一部改正法律案、取引高税法の改正法律案、租税特別措置法の改正法律案及び二十四年度の所得税の四月予定申告並びに納期の特例に関する法律の改正案という、およそ七箇の法律案が併託されて一括上程されたのであります。こういう法案の上程のしかたにつきましては、少くとも民主的でないと私どもは考え、この七、八箇羅列されました法案のうちで、かりに審議の結果賛成するものがあり、あるいは反対の意を表せざるを得ない法案があるといたしましても、それを分割して賛否をただすということがまつたく不可能な方法によつて上程されておるという点は、ただいま申し上げましたごとく、きわめて非民主的であり、政府はこれら法案に対する議会の審議に対してはなはだしく誠意を欠いたものであると私どもは断ぜざるを得ないのであります。わが党におきましては、この法案の中で一部必ずしも反対せないものもあるのでありますが、冒頭申し上げましたような事情で、やむなく一括反対せざるを得ないのであることを了承願いたいのであります。
 まず第一に、この法案の中で最も重大なるものは、酒税の改正と取引高税の改正の問題であります。おおよそ政府においては、この酒税の改正を機会といたしまして、從來働く農村及び働く労働者に対して一定量の酒類の配給をいたしておつたものを、これをできるだけ取上げて行こうというのが酒税法改正のねらいであると同時に、國民に家庭的配給をいたしておりました從來の配給酒をもこれを根底から取上げて、その分量を自由販賣にいたそうというのがこの法案の大要であるのであります。
 およそ吉田総理大臣は、先般の本会議の席上において、國民勤労大衆にあまねく耐乏生活を要求いたしておるのであります。その場合におきまして、われわれの観点から言いますならば、労働者及び農民の生産力増強のために、あまねくそれらの階層の協力を求めるためにも、あるいはまた一般國民の能率と生産の増強にこれまた絶大な協力を求めるためにも、少くとも國家においては、その年度の酒の増石高の少くとも大半は、あげてこれを國民、労働者、農民に配給することを確保しつつ、その値段においても、できるだけ低廉な形において配給を確保することこそが、いわゆる労働者、農民及び一般國民勤労大衆の経済安定に総力をあげて協力せしむるゆえんであると私は断ずるのであります。しかるにもかかわらず、政府におきましては國民配給酒を廃止し、あまつさえ労働者、農民に対する從來の配給をも半減もしくは三分の一程度に取上げて行こうというのが、このねらいであるのであります。かような観点に立つところの酒税の改正は、われわれ社会党といたしましては、勤労者の名において、國民の名においても断固反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 ことに政府は、この酒税の改正の表看板は、從來の特價酒の値段と配給酒の値段との中間を行く改正だと言われておるのであります。このような改正を表看板にいたしまして、なるほど販賣價格は安くなるが、一方において飲めない階級が大量にここに現われて來るという事柄に相なるのであります。このようなことを考えてみますと、先ほどこの席上で通過したしました料飲店の再開と相まつて、政府は一方に働く勤労大衆には極端なる耐乏生活をしい、一方においては料飲店の再開を実現し、さらにまた酒税法等の改正によつて國民大衆から一般酒類のしめ出しを食わせ、一部白たび階級を中心とする富裕階級にのみその享楽とぜいたくな生活を開放するという結果に相なるであろうことは、言うまでもないのであります。(拍手)この観点に立ちまして、われわれ日本社会党は、遺憾ながらこの酒税法の改正に断固反対の意を明確にいたす次第であるのであります。
 さらにまた、第二の重要なる問題は取引高税法の改正の問題であります。この問題については、すべからく少くとも與党民自党の諸君によく聞いていただきたいと思うのであります。與党の諸君は、かつての総選挙において取引高税の即時撤廃を声高らかに主張し、これを善良なる國民大衆におごそかに公約いたしたではありませんか。しかるにかかわらず、政府はこの税法の改正にあたりまして、取引高税の廃止どころか、むしろ改悪のごとき法案を提出いたして、てんとして恥じないという態度は、すなわち政府及び與党民自党の人々はみずからを欺き國民を欺いたはなはだしきものであるということを言わざるを得ないのであります。
 この問題につきましては、私が言うまでもなく、この法案の提出の前に、少くとも十数日の間、與党の中においても相当論議が行われたということを傳えられておるのであります。私は、なるほど與党の中にも少しは健全なる良心的政治家があるということを考えたのであります。(拍手)しかるに、その良心的與党の諸君、あるいは責任感ある與党の政治家の一部をないがしろにいたしまして、あえてこの法案を提出し、國民を欺いたという責任は、断じて許さるべきものではないということは、この機会に断言いたしたいのであります。この意味合いにおきまして、わが日本社会党は、この取引高税の撤廃をば、民自党並びに政府が総選挙当時において公約した通りに、手形通りに実行すべきであるという重大警告を発しまして、むしろこの法案の返上的反対をいたすものであります。
 さらにまた第三は揮発油税の問題であります。この揮発油税につきましては、ただいま委員長から報告されました通り、一キロリットルに対して一万六千四百五十円の新しき税をかけることに相なつたのであります。われわれは、この揮発油税に対しましては、原則的には必ずしも反対ではないのでありまするが、課税をいたしまする場合に、われわれ、ことに政府が配慮をいたさなければならぬ問題は、今日経済的にきわめて困難を感じておりまする農村において、揮発油を原料とする動力を使用する面が相当廣範にわたつておるのであります。私の調査いたしまするところによりますれば、電力はいまだ徹底的な普及が相なりませんので、ガソリンを使用してその動力源といたしまする部面は、農村全体の使用量の大よそ四五%今なお残つておるようなありさまであるのであります。從つて政府は、この課税の場合におきましては、少くとも農村用揮発油あるいは漁業用揮発油、あるいはまた乗合交通自動車等に対する課税に対しましては減免的な処置を講ずることが至当であるにかかわらず、これらに対して政府は何らの配慮をいたしておらないという面は、われわれの絶対に承服いたしかねるところであるのであります。この意味合いにおきまして、わが党は揮発油税に対しましても同様断固として反対の意表を明いたす次第であります。(拍手)
#42
○副議長(岩本信行君) 川島君に御注意申上げます。時間が参りましたので、結論をお急ぎ願います。
#43
○川島金次君(続) さらにまたこの機会に申し上げたいことは、予算委員会でも問題になりましたが、政府はこの税法の改正に先だつて、最も國民の当面いたしました重要な問題をことさらにたな上げしておる点であります。今や國民の大半の中で、農村においては供出及び課税の過重のために貴重なる耕作権を放棄するもの、その戸数においては三万五千戸、その総面積はおよそ三千六百町歩にわたつております。なおまた都会地におきましては、先般東京都が調査いたしましたところによりますと、洋服屋、金物屋、青物屋、あるいはその他一般の営業について調査をいたしたところ、その調査対象の営業者について、税金の過重のためにやむなく閉店閉業いたしました営業者が、実に驚くなかれ三五%に及んでおるという事実があるのであります。かくのごとく、國民ことに廣範なる農民の諸君並びに中小営業者が過重なる税の苦難にあえいでおることをよそにいたしまして――政府はまずもつてこれら勤労大衆の苦難な税制の改正をなすことが第一先決の要件であり、同時にこれが政府の重大な責任であつたはずであるにかかわらず、これら重大な法案の改正をあとまわしにして、してもしなくてもよろしいようなこれらの粗末な税側の改正を臆面もなく提出したというこの無責任ぶりに対しましては、われわれは勤労大衆の名においても断固として責めざるを得ないのであります。(拍手)
 以上私は、日本社会党の立場から、ことに勤労大衆の立場において、これら税法がむしろ勤労大衆の收奪であり、勤労大衆の國民経済生活に及ぼす影響から見ましてきわめて改悪であるとの見解に立ちまして、あえて反対をいたす次第であります。(拍手)
#44
○副議長(岩本信行君) 申合せの時間は各派ともお守りくださるよう特に御注意申し上げておきます。島村一郎君。
    〔島村一郎君登壇〕
#45
○島村一郎君 私は、民主自由党を代表して、ただいま議題となりました酒税法等の一部を改正する法律案及び揮発油税法案に対し希望を付して賛成せんとするものであります。
 これらの法案は、先般すでに成立を見ました二十四年度予算の裏づけをなすものでありますが、この議場においてもしばしば述べられましたように、本年度の五千百四十六億円に上る租税收入は、もとより軽い租税負担ではありません。租税行政の運用よろしきを得なければ、國民租税力の限界を越えた、すこぶる過重な税金となるものと言い得るのであります。もちろん、政府もこの点に十分な認識を持つており、税制については、さしあたり現行の税制そのままで行くものでありますが、税制全般にわたる改正及び租税負担の合理化については、アメリカの税制使節團の來朝をまつて再検討し、最も早い機会に租税負担の軽減を行いたいと言明しておるのであります。從つて、ここに議題となつております改正案及び新税法案は負担の軽減を目的とするものではありませんで、緊急に改正することが必要であつて、しかも何人が考えてもむりのない、合理的なものに限られておるのであります。
 改正のおもなる点は、まず酒税法の改正でありますが、労務配給酒は現在程度の價格のままで存置いたしますが、家庭配給を廃して、すべて自由販賣とし、すでに限度に達していた特價酒の税率を軽減せんとするものであります。最近の家庭配給酒はあまりにも少量で、酒を必要としない家庭にも配給するために、実益がないのみか、むしろ弊害さえあつたのでありますから、これをやめて酒全体の價格の引下げに資したのは、策を得たものと考えるのであります。(拍手)
 取引高税については、遺憾ながら廃止の問題は將來に譲られたのでありますが、納税方法に重要なる改正を加えているのであります。すなわち、印紙納税の制度を廃止して現金納税の制度に改めているのであります。印紙納税は、りくつはいかにもよさそうでありますが、この方法が脱税防止に役立たぬ反面、納税者に非常な迷惑をかけていたものであります。もしも最初から現金納付の制度であつたら、本税もかくのごとき非難はこうむらなかつたものと考えられるのであります。從つて、この改正はまことに重要にしてかつ適切なる改正であると思うのであります。また非課税範囲につきましても、從來非難のありましたものを相当拡大いたしたのであります。その他法人税の改正にしても、物品税の改正にいたしましても、改正の範囲は大きくはありませんが、いずれも適切かつ重要な改正なのであります。また揮発油税は、現下の財政状況よりしてやむを得ぬ新税と存ずるのであります。
 要するに今回の改正は、改正自体には何人も反対しようのないものであると思うのであります。しかし、今回の改正により税負担の軽減が全面的には実現せられていないところに問題があるのであります。すなわち、三千百二億円を見込んでいる所得税は、とつてとれないことはありますまいが、あまりにも國民にむりをしいるものであります。現在の税率と基礎控除では、下にも重く上にも重い。しかも課税の方法は、調査委員会等の制度のないために、課税に対しはなはだ遺憾の点があるのであります。法人税にしましても、一時発表せられた資産の再評價の問題がたな上げせられているのでありまして、これではまつたく減價償却をせずに、資本の食いつぶしによつて納税しておる状態でございます。政府はまず第一に、これらの実情に照し一刻も早く適正なる税率に引きもどすべきであり、また民主的納税の行われるような制度をつくり上ぐべきであります。私は、この点を希望条件の第一とする次第であります。
 次に第二点として、現在の税務行政は、ややもすれば威嚇的となり、指導の点が閑却されているのであります。今後もう少し親切に徹税事務が行われなければならないというふうに考えるのであります。納むべき税金でも今のままでは納めたくないという、思想上非常に悪影響を及ぼしているのであります。政府はこの点に十分思いをいたされて、税務機構の刷新をはかり、從事員の指導訓練を行われるよう強く要望する次第であります。
 以上の二点を希望いたしまして、原案に賛成の意を表する次第であります。(拍手)
#46
○副議長(岩本信行君) 河田賢治君。
    〔河田賢治君登壇〕
#47
○河田賢治君 私は、酒税法等の一部を改正する法律案及び揮発油税法案に対して、日本共産党を代表して反対の意見を述べるものであります。
 本二法案は、政府及び民自党が過ぐる総選挙において國民の税負担の軽減及び取引高税の全廃等の公約をされたが、どれだけ公約が果されたか、あるいは公約と逆な方向に果されたか、このことを明白に物語るものである。從つて、きわめて興味ある法案であるばかりでなく、國民生活にも重大な影響があるという法案なのであります。
 人民大衆は過酷な税負担の軽減、取引高税の全廃を信じて、ひたすら税制の大幅な改革を望んでおつたにもかかわらず、政府並びに民自党は、人民大衆の要請を裏切り、税制改革による負担の軽減をはかるどころか、逆に負担を増加し、ますます人民大衆の生活を破壊する法案として提案されておるのであります。政府自身が、酒税法の改正についても、租税收入を確保することを目的とすると言つております。これは換言すれば、人民大衆の税負担の増大を意味するものなのであります。
 たとえば酒について見れば、最も端的にこの法案の性格を表わしておるのであります。すなわち、労務用、農村の報奬用等の大体二割を削減しておるのであります。また一般家庭配給を廃して自由販賣にしたのでありますが、これによつて一般家庭の配給が、四百八十円の一級酒は九百二十円、三百六十五円のしようちゆうが四百五十円、ビールの七十五円が百三十円とそれぞれ値上りになるのであります。今日、月々わずかの配給酒すら飲まずに、必要な主食あるいはその他のものと交換して家計を助けておるところの家庭が無数にあるのでありますが、配給酒がなくなることによつて、それだけ家計はまた脅かされるのであります。酒の製造石数は同様であるにかかわらず、政府の收入は昨年よりもこれによつて百九十二億を増徹し、人民からこれだけ收奪するのであります。
 またガソリンにおきましても、今回小賣價格の十割程度を新設しておるのであります。政府は、運賃に含まれる率はわずかに二%から六%という軽微なもので、影響はないと申しておりまするが、事実は運賃の引上げも、本日の議場においても行われたごとく、ガソリン税の新設がこれまた大衆の負担にかかつて來ることは明らかであります。この一、二の例から見ましても、政府の意図するものは國民の租税負担の軽減ではなく、その逆の過重なる負担となつておるのであります。
 本法案には、もとよりサイダーの税率の引下げとか、トランク、乳母車、運道具、こういう若干の物品税の引下げもありまして、その限りにおいては税負担の軽減となるので賛成するのでありますが、これらは全般的から見まして、業者にとつても人民大衆にとつても、実生活に影響するところはきわめてわずかなものなのであります。だから、このような法案を出されたということは、單なる申訳にすぎないのであります。
 現在、中小商工業者より物品税の税率引下げの請願がたくさん大蔵委員会にも参つております。物品税が高いために説税をして、商品のマル公を割つておる。そして横流しがされる。その結果、まじめな業者がどんどんと破産の運命に陥らざるを得ないという請願が参つております。このようにして、今日このような物品税があることによつて、日本のまじめな産業は破滅に瀕しておるのであります。
 民自党公約の取引高税全廃について一言するならば、政府の案では、印紙の撤廃、三万円以下の取引業者を非課税としたのであります。從つて民自党の公約は、取引高税に関しましては三万円を限つて実現したわけであります。これは三万円の公約であります。(拍手)大蔵委員会におきましても、民自党の委員諸君はたれ一人としてこの全廃を要求された方はないのであります。民自党が絶対過半数を擁されており、また大政党であるにもかかわらず、いかにも公約をあきらめることについての勇氣については、われわれは非常に敬服しておる次第であります。(拍手)
 しかして、この取引高税の三万円という限界については種々なる困難が生じるのであります。たとえば、月々の営業取引ぐあいが、課税の月もあれば、またそうでない月もある。あるいは三万円前後の納税者は、税務署の徹税方法によつて最も多くの苦痛を味わうに違いないのであります。すなわち、取引額はほとんど税務署の一方的決定によつて査定されるのでありまして、結局三万円を少し下る営業者でも三万円以上と認定されるであろうし、また三万円以下になつた月でも三万円以上の月として認定されるに相違ないのであります。
 今回の政府提案では、毎月取引高の額の申告を義務づけております。万一この報告を怠れば、十万円以下の罰金または科料が課せられるのであります。これによつて、今日の徴税機構のもとにおきましては、税務署にあつてはこの重罰を威嚇の手段として、十万円の罰金がいやなら税務署へ取引高税を納めろというような調子で、ほとんど眞実の税よりも高いところの天くだりの課税をかけて來るということは明らかにわかるのであります。從つて、こういう点から見ましても、この取引高税に対する営業者の怨嗟の波はますます今後高まらざるを得ないと私たちは断ずる次第であります。
 次に、今回の税法の改正に際しまして特に強調しなければならぬことは、政府及び民自党の公約たる課税負担の軽減に対する公約の棚上げであります。もちろん、民自党の諸君からも希望としては述べられておりました。第一、勤務者は昨年三千七百円ベースから六千三百円ベースに名目的に賃金が上つただけで、しかも勤労控除額はすえ置かれたため、たとえば三千七百円ベースの八千円の所得のときは一〇・五%の税が、六千三百円ベースで一万三千六百円では二〇%の税負担となつております。ほぼ二倍の増加となるのであります。從つて、実質上賃金は異常な低下になつているのであります。しかも、今回米その他の値上げ、運賃、郵便料金及び今回の酒、ガソリンの税金の値上げ、あるいは地方税の増徴、これによつてますます勤労者の負担は増大するのであります。現在アメリカの勤労者の税額は、わずかに一・五%に過ぎないのであります。これと比較するならば、いかにわが國の勤労者の税額が過重であるかということを、はつきりと物語るものであります。
 また、わが國人口の約四割を占める農民あるいはその他中小商工業者の所得税に関しましても、基礎控除額がわずか一万五千円、一箇月千二百五十円に過ぎない。農民、中小商工業者が月千二百五十円で最低の生活をなし得ないのは、もちろんなのであります。これとともに徹税の方法が……。
#48
○副議長(岩本信行君) 河田君に申し上げます。あと申合せの時間が一分でありますから、さよう御了承願います。
#49
○河田賢治君(続) 税務署本位の一方的なやり方のために、企業はつぶれ、店は閉じられ、農民は土地の耕作の放棄をさえあえてしているのであります。これは、総司令部の農業課長デヴイス氏が、昨年の六月十四日に、この点について「日本の農民は人口の四七%を占めているが、その收入は二一・六%に過ぎず、さらに世界まれに見る高率課税で、新たに入手した土地も旧地主に返還する例があり、土地改革の成果がなくなるおそれがある。批判さるべきものは大蔵官僚である。」こういうことを指摘しているのであります。
 政府は、以上のごとく生活費に食い込むところの重税を課し、この重税からの軽減を公約しながら、今回の税制改革に何一つ軽減の提案をしないのは明かに政府の公約破棄であり、國民の不信はこれによつていよいよ増大しつつあるのは、けだし当然のことなのであります。政府は、この公約違反の責任を回避するため、アメリカのシヨープ博士の來朝を期して税制の改革を行うと、また新たなる公約をなしているのであります。経済的愛國心を口にする吉田内閣は、この税制改革にも自主性の喪失を明白に表明しておるのであります。まことに吉田内閣は、みずからの手によつて租税負担軽減の公約を実施する能力のないことを表明しておるのであります。(拍手)
 重税によつて中小商工業を破壊し、商店を閉鎖し、農民に土地放棄をさせ、勤労者の労力の再生産を阻止せしめるがごとき低賃金を強要しておる政策が、吉田内閣の言ういわゆる経済的愛国心なのであります。われわれは、まことに変な愛國心といわざるを得ないのであります。今日労働者諸君が勤労所得税の撤廃、農民、中小商工業者諸君が基礎控除三十万円の要求をされておるのであります。昭和十五年当時免税点が千二百円であつたことを想起すれば、基礎控除三十万円は当然の額であります。日本共産党は、これら労働者、農民、中小商工業者諸君のほうはいたる要求を支持するとともに、取引高税、物品税、織物消費税、酒、タバコ等の一切の間接税を撤廃し、住民税と所得税の高度累進課税の一本税制に改正することを要求し、人民大衆の負担になる税金は、大資本に奉仕する價格補給金の廃止、警察、裁判所、刑務所、税務署等人民大衆の弾圧費の大削減、人民生活の安定、文化の向上のために使用さるべきことを要求するものであります。かかる観点から、わが日本共産党は、この酒やガソリン等の税の増徹によつて人民大衆の負担を増大せしめ、犠牲を強要するところの両法案に対して絶対に反対の意見を表明するものであります。(拍手)
#50
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず日程第二につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告の通り決するに御異論ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に、日程第三及び第四を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#52
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#53
○副議長(岩本信行君) 日程第五、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、日程第六、裁判所法等の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長花村四郎君。
    〔花村四郎君登壇〕
#54
○花村四郎君 ただいま議題となりました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案並びに裁判所法等の一部を改正する法律案につき、委員会における審議の経過並びに結果の概略を御報告いたします。
 まず下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げますと、この法律は、憲法第七十六條第一項及び裁判所法第二條第二項の規定に基き、高等裁判所以下の下級裁判所の設立及び管轄区域につき規定したものでありまして、制定以來二回改正されたのでありますが、今回さらに次のように改正しようというのでございます。
 すなわち、その改正の第一点は簡易裁判所の増設であります。簡易裁判所は全國に五百五十九箇所設置されたのでありますが、いまだ不十分で、その増設方につき全國各地より熱心に要請がありまして、その数二十数箇所に及んでいるのであります。よつて政府は最高裁判所と協議をとげ、このうちさしあたりどうしても必要なりと認められる六箇所だけ設置しようとする次第であります。その六箇所とは、岐阜縣武儀郡関町、廣島縣賀茂郡西條町、岡山縣兒島市、鳥取縣岩美郡浦富町、山形縣東置賜郡赤湯町及び愛媛縣新居浜市であります。
 改正の第二点は、土地の状況及び交通の便否等にかんがみ、簡易裁判所の管轄区域を是正しようとするのであります。すなわち、宇都宮簡易裁判所管内の栃木縣上都賀郡西方村ほか五村を栃木簡易裁判所の管轄に変更しました。また、尾道簡易裁判所管内の廣島縣沼隈郡山南村を福山簡易裁判所の管轄に変更したことであります。以上が政府原案の要旨であります。
 法務委員会におきましては、まず國会に請願や陳情が提出され、衆議院において採択済みのところで、右の六箇所に漏れているところはどうする方針であるか、という質疑がありました。これに対して政府より、財政の許す限り漸次要望ある箇所に設置し、やがて全國に一千箇所の簡易裁判所を設置したいという答弁がありました。
 次に、簡易裁判所の設置のために地元の市町村の寄付を仰いでいるということであるが、これは裁判所の権威のためにやめてもらいたいという希望がありました。
 かくて、四月二十六日この法案の採決に入りました。その結果、政府原案通り全会一致をもつて可決された次第であります。
 次に裁判所法等の一部を改正する法律案について申し上げますと、本案は、裁判所法と裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律の一部をそれぞれ改正せんとするものであります。
 まず、裁判所法に関する改正の要点若干を申し上げますと、裁判所事務官の中から裁判所書記を補する現行制度は、國家公務員法の採用しているキヤリア・システムに反しておりまするし、また裁判所事務官と裁判所書記との職務内容はそれぞれ全く異るものでありますから、その職務内容にふさわしい裁判所書記官制度とこれを補助する裁判所書記官補制度をつくろうとするものであります。補充裁判官の員数は現在一人となつているのでありますが、近時きわめて長時間の審理を予想させる事件も出て來ましたので、これを合議体裁判所の員数の範囲内に増加しようとするものであり、裁判所調査官、司法研修所教官は、その職務の性質上、裁判官または檢察官の経験のある者をもつて充てることが必要でありますが、現在裁判官または檢察官から教官、調査官への轉官はきわめて困難な実情にありますので、当分の間、特に必要がある場合に限り、裁判官または檢察官をしてその地位にありながら教官に、また裁判官としてその地位にありながら調査官にそれぞれ充てる道を開こうとするものであります。
 また裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律の改正は、要するに國家公務員法の改正に伴い官吏懲戒令の廃止となり、裁判官及び最高裁判所裁判官の祕書官以外の裁判所職員には、一般職として國家公務員法が全国的に適用されることになり、これら職員の逓減手續を定める右分限法第十四條はその必要がなくなりましたので、これを削除しようとするものであります。
 委員会におきましては、さきに述べました裁判所職員の職務の性質、人員配置関係、法規の改廃等にかんがみまして、これらの改正は必要にしてしかも適切なものと認め、討論を省略して採決の結果、全会一致をもつて原案通り可決確定いたした次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#55
○副議長(岩本信行君) 日程第五、同じく第六の両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#57
○副議長(岩本信行君) 日程第七、教育委員会法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員長原彪君。
    〔原彪君登壇〕
#58
○原彪君 ただいま議題となりました教育委員会法の一部を改正する法律案について、本案の概要及び委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、去る四月十一日内閣より本院に提出され、文部委員会に付託に相なつたものであります。すなわち、第二國会におきまして制定されました教育委員会法のうち次の二点につき改正しようとするものであります。
 その第一点は、現行法規によりますと、教育委員会は明年十一月一日までには必ずこれを設けなければならないことになつておりますが、現下の中央、地方の財政状況がはなはだ困窮を告げております事情にかんがみまして、その設置期限を昭和二十七年十一月一日まで延期いたそうとするものであります。一方、教育委員の選挙は二年ごとに行われるので、本年度の教育委員会の設置を延ばし、明年度の都道府縣委員会の委員の改選とあわせて実施し、本年度及び昭和二十六年度には教育委員会を設置しないことにしようとするものであります。
 次に第二点は、教科書の採択につきましては、すでに教育委員会は都道府縣及び相当数の市町村にも設置されております実情にかんがみまして、教科書の採択は市町村及び都道府縣の教育委員会でそれぞれ行うことが適当と考えられますので、檢定は文部大臣で、採択は各教育委員会で行うという方針に改めようとするものであります。以上が本法案改正の要旨と内容であります。
 文部委員会といたしましては、本改正案の趣旨を尊重いたしまして愼重に審議し、討論を省略して採決いたしました結果、全会一致をもつて原案通り可決いたした次第であります。詳しくは速記録によつて御了承願いたいと存じます。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#59
○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませすか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#61
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、健康保險法の一部を改正する法律案及び厚生年金保險法等の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#62
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 健康保險法の一部を改正する法律案、厚生年金保險法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長堀川恭平君。
    〔堀川恭平君登壇〕
#64
○堀川恭平君 ただいま議題となりました健康保險法の一部を改正する法律案及び厚生年金保險法等の一部を改正する法律案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず健康保險法の一部を改正する法律案について申し上げます。健康保險の制度は、昨年八月に法律が改正され、また社会保險診療報酬支拂基金法が制定されて、保險診療の円滑化がはかられて参つたのでありますが、以來被保險者の経済生活の逼迫と、他面診療担当者の全面的協力とにより、保險診療件数及び金額の異常な上昇を來し、保險経済は崩壊の危機に陥つたのであります。ここにおいて、保險経済の收支の均衡をはかることに主眼を置き、さらに最近の社会経済事情の変化に即應し、本制度運営の円滑化をはかろうとするのが、政府の本改正案を提案する理由であります。
 次に、本改正案の内容のおもな点を申し上げますれば、まず第一は、收入面について保險料率を千分の四十から千分の五十に引上げ保險料收入の増大をはかるとともに、他面被保險者の療養の給付について、一部負担金として初診料に相当する額を負担させることといたした点であります。第二は、被保險者の標準報酬を、給與の実情に並行して最低二千円から最高二万四千円の十九等級に整備したのであります。第三は、哺育手当金、家族埋葬料及び配偶者分娩費等現金給付の額を引上げたことであります。第四は、健康保險委員会を健康保險審議会と改め、その組織権限等を明確にいたしたことであります。第五は、被保險者の負担すべき保險料を納期限を過ぎても納付しない事業主に対して一定の罰則を認めたこと等であります。
 本改正案は、四月二十三日、本委員会に予備審査のため付託せられ、二十六日提案理由の説明を聴取した後、ただちに審議に入り、連日熱心な質疑應答が行われたのであります。
 次におもなる質疑應答を申し上げますれば、第一に、今回の改正は勤労者の負担増加を來すもので、いわゆる社会保障制度の方向に逆行するものではないかとの質問に対しまして、現在巨額の赤字を擁して、まさに危機に瀕せる保險経済建直しのため万やむを得ざるの措置であり、社会保障制度の確立等については將來社会保障審議会における総合的檢討にまつ意向であるとの答弁でありました。
 第二に、現在保險料の收入未済額は約八億余円の巨額に上るが、その原因並びに將來の対策いかんとの質問に対しましては、最近における被保險者の経済生活の緊迫と診療担当者の全面的協力等により保險医療費が異常の上昇を來したことが赤字の原因であり、政府は今回の立法的措置によるのほか、他面徹收の督励、監査の励行による濫診濫療の取締り、予備金支出等により保險経済の安定を期せんとするものであるとの答弁がありました。
 第三に、最も議論の焦点となりました点といたしまして、保險料率を千分の四十から千分の五十に引上げ、また一部負担金として初診料に相当する額を負担させることは、さなきだに重さ負担に苦しむ勤労者の生活を一層困窮せしめるのみならず、早期医療を阻害するものではないかとの質問に対しまして、一部負担のごときは政府としてもとより望ましいものではないが、將來引上げとともに健康保險が社会保險の形態をとる以上、保險経済における收支の均衡上、收入確保のため万やむを得ざるものであるとの答弁でありました。
 第四に、前問と関連して、保險料率の引上げ並びに一部負担は、將來保險経済状態の余裕を見るに至つた場合には料率の引下げないし一部負担の廃止を行うべきではないかとの要望的質問に対しましては、政府よりその意向である旨の答弁がありました。
 第五に、保險経済收支のためには健康保險事業に対する國庫補助金を大いに増額すべきではないかとの質問に対しまして、本年度においては事務費の三割の國庫補助を獲得することができたが、さらにその増額につき十分努力をするとの答弁がありました。
 その他診療報酬制度、監査実施機関等について政府との間に多くの質疑應答がかわされたのでありますが、本日、本法案が本委員会に付託となり、質疑を打切り、ただちに討論に入り、賛否両樣の趣旨が述べられたのであります。次いで採決に入りました後、多数をもつて原案の通り可決すべきものと決定した次第であります。
 次に厚生年金保險法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 厚生年金保險におきましては、標準報酬を基準として各種の保險給付を行つているのでありますが、現下の社会経済状況の変化に即應した適切な運営を行うため必要なる改正をいたすとともに、関係法令の改廃に伴い、若干の改正をもあわせて行わんとするのが、政府の本改正法律提案の理由であります。
 次ぎに、本改正案の内容のおもなる点を申し上げますれば、第一に、標準報酬の最低を二千円から最高限八千円に引上げ、その区分を健康保險におけると同樣に整備したことであります。第二は、現在支給している障害年金のうち標準報酬が六百円であつた当時を基準として算定したものを、できるだけ増額して実生活に適合した保險給付を行おうとしたことであります。第三は、標準報酬の算定方法及び延滞金の引上げ等について地方廰の事務手続を單一化し、あわせて事業主の事務負担を軽減したこと等であります。
 本改正案は、四月二十三日に本委員会に予備審査のため付託せられ、二十六日政府の提案理由の説明を聽取いたしました後、ただちに審査に入り、連日熱心なる質疑應答が行われたのでありますが、政府に対する各委員の質疑の焦点は厚生年金保險積立金問題に集中し、現在大藏省預金部に預け入れ中の積立金の利子三分五厘を引上げること、並びにこの資金を労働省の福利施設のため還元融資する措置を講ずる意思はないかとの質問に対しまして、政府は、現在まで本問題の実現せぬことは遺憾であるが、將來もこれが実現方に大いに努力する旨の答弁があつたのであります。次いで、討論の後採決に入りましたところ、満場異議なく本法案を原案通り可決すべきものと決した次第でございます。
 なおこの際つけ加えて申し上げたいことは、両法案に対し次の要望事項が本委員会において満場一致をもつて可決せられたのであります。すなわち
一、健康保險の一部を改正する法案中、保險利率の引上げ及び一部負担金制度の復活については、現下における健康保險の財政上一應やむを得ざるものと認むるも、労働者の生計きわめて困難なる実情にかんがみ、でき得る限りこれを避けたく、政府においては將來保險財政を健全化するの運営措置を講じ、その好轉次第可及的すみやかにこれを低減廃止すること。
二、厚生年金保險の積立金は相当多額に蓄積されておる実情にかんがみ、これを労働者の福祉施設に運用するの措置を講ずるとともに、現在の運用利率三分五厘は、あまりにも低額に過ぎるをもつて、これを引上げるように努むること。
三、各種社会保險の被保險者は、將來失業その他の原因に基づく生活の窮迫により、保險料の一部負担にも困難を感ずることが予想せられる。かくては國民保健上遺憾であるから、生活保護法における医療給付の十分な活用をはかり、一般大衆の医療に万遺憾なきを期すること。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#65
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。岡良一君。
    〔岡良一君登壇〕
#66
○岡良一君 私は、ただいま上程されました両案のうち健康保險法の一部改正に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対の意を表明いたしたいと存ずるものであります。
 本法案は、三百万の被保險者と、かつまた千数百万にわたるところの家族の生活の利害と最も深くかつ直接に結びついておるところの問題であります。にもかかわらず、一ぺんも公聴会を開くことなく、早々に審議を急がれまして、その成立を急がれたところの取扱い方につきましては、私は、その非民主的なる取扱いに対しまして、冒頭において衷心より遺憾の意を表せざるを得ないのであります。
 私どもは、この改正法案におきまして、被保險者が保險を拂いながら、医師の診察を受けて藥をもらうためには初診料を事故の負担において支拂わねばならないというこの措置に対しまして、最も強く反対をいたしたのであります。(拍手)
 その理由の第一点といたしまして、今日政府は憲法によつて國民の健康に対する保障の責任を持つており、かつまた最近におきましては、アメリカの調査團によりまして社会保障の実現が熱心に勧告いたされておるのであります。しかも、この社会保障あるいは社会保險の最も命と頼むべき精神的支柱は、補償適用の安心と、そうして制度の理解の上に芽ばえましたるところの被保險者の絶対的な信頼感が実に最も偉大なる精神的支柱であり、運営の中核であらねばならないのであります。従いまして、被保險者が一旦保險料を拂いましたならば、その保險の給付施設は無条件に自由に開放されていることが社会保障制度、社会保險制度の最も根本的な原則であるのであります。(拍手)であるにもかかわらず、今日保險料を拂いながら、労働者が診察を受けるためには、なおかつ診察料を拂わなくては医療給付を惠まれないというがごときは、実に社会保障の実現という時代の要請に対して逆行するところの行政的措置といたしまして、まず第一に反対をいたしたいのであります。(拍手)
 かつまたわれわれは、今日の労働者の生活の実態に即して反対をいたすものであります。現在至るところにおいて賃金の遅欠配が起つておる。賃金のくぎづけが一般的傾向となつておる。しかも主食の値上りが予想されておる。このようにいたしまして、今日勤労者の家庭におきましては、現在飲食物に対するところの支出が家計支出の七割を超えておるのであります。従いまして、医療等の文化的支出はいよいよますます圧迫されておるのであります。かかる段階におきまして、年間を通じて八億円という巨額が三百万の被保險者の自己負担に轉嫁されようとしておるのであります。これは明らかに被保險者に対する、労働者に対する実質的な賃金の切下げにほかならないのでありまして、(拍手)かかる観点におきまして、私は声を大にして反対をいたしたいのであります。なおかつ、診察料を拂わねば医療を受けることができないという結果は病人の病気を長引かせ、また病状を重くいたしまして、不慮の災害を起し、家庭の不幸を起し、ひいてはまた実質的に医療費の増大をかもして、かえつて自己負担をするために保險財政の危機を招くやもはかりがたいのであります。(拍手)
 次にわれわれが反対をいたします理由は、かかる制度というものが強制保險でありまするならば、その事務費全額を当然國庫が負担すべきものと信ずるものであります。これに関係方面の多年にわたる要望でありまするが、今年度の予算におきましては、その三割しか計上されておらない。しかも保險財政の赤字がただちに労働者の自己負担に轉嫁されて行く、その行き方が第一。
 第二には、かかる保險財政が窮乏を告げましたるところの根本の原因である医療給付の増加は、今日における保險診療に対する支拂い制度の本質にその原因が横たわつておるのであります。御存じのごとく、現在は保險の注射なり、あるいは内服薬なり、あるいは手術なりが点数によつて計算され、その算術和が点数の総和として要求されるのであります。これが支拂わられておるのであります。このような單位診療における料金制度をもつていたしましては、ともすれば濫診濫療は制度の不可分の運命として免れがたいのであります。(拍手)かかる制度の欠陥をもつて招來いたしましたるところの保險財政の窮乏を労働者の一方的な負担に轉嫁するというがごときも、われわれの断じて承服し得ないところであります。(拍手)
 第三におきましては、私は率直に指摘したいのでありまするが、現在における医療材料の値上りであります。医者の最も必要とする重曹やアルコールやクミチンキは、五百倍から七百倍の價格騰貴を來しております。医者が最も必要とする需要医藥材料は、昭和九、十、十一年の平均に比べまして、昨年十二月におきましては三百五十倍を上回る價格騰貴を來しておるのであります。その結果といたしまして、健康保險における一点單價はたびたびの値上げを繰り返されましたが、まだおちつきません。このようにいたしまして、結局濫診濫療を招き、あるいは医藥内容の低下を招き、しかも保險單價の切上げというものが保險財政の窮乏を持ち來らし、國民健康保險はそのために破産に瀕し、しかもまた今日政府管掌の健康保險におきましても財政の窮乏を招いておるのであります。この点に関しましては、医藥材料の價格騰貴の抑制につきまして、医師会の方面あるいは労働組合方面におきましても多年要望いたしておつたのでありまするが、さらにその措置がとられない。製藥会社は今日少数の大メーカーの手にその生産を依存しておるのであります。かかる事情を勘案いたしまするならば、この労働者に対する保險財政窮乏の一方的轉嫁は、大製藥メーカーと独占的なる資本家と官僚との結託による大衆収奪の最も露骨なる表現と私は断定せざるを得ないのであります。
 かかる事情によりまして、わが社会党は全面的にこの改正案に対して反対をいたすものであります。(拍手)
#67
○副議長(岩本信行君) 次は大石武一君。
    〔大石武一君登壇〕
#68
○大石武一君 私は、民主自由党を代表して、ただいま上程せられました健康保險法の一部を改正する法律案に賛意を表するものであります。
 わが國勤労者の医療保護機関は健康保險法にその基礎を置いているのであります。勤労者並びにその家族は、この健康保險の存在によつて安心して業務に從事し、完全なる病気の予防診療を受くることができるのであります。從つてわれわれは、勤労者大衆の福祉増進のためにこの健康保險制度を長く継続せしめ、近き將來において完全なる社会保障制度にまで発展せしむべき業務を感ずるのであります。しかるに、最近の急激なる社会的、経済的変化、ことに保險経済の逼迫によつて、健康保險は今や崩壊の運命に逢着いたしたのであります。
 健康保險が円滑に運営せられておつた昭和三年より十年までの期間と昭和二十三年度とを比較いたしますると、保險料の基礎たるべき標準報酬は約百七十倍の増加を來したのであります。しかるに、医療費は実にその二倍半の四百五十倍に達しておる状態であります。この関係は、よく共産党の方々が申されるような勤労者の賃金の低いことにその原因を求むべきでなく、医療費の急激なる膨張、すなわち医療内容の充実を物語るものと解釈すべきものでありまして、これはまことにけつこうなことでありますが、このアンバランスが積り積つて、昭和二十三年度においてはすでに八億の赤字を示したのであります。もしこのままに推移しましたならば、昭和二十四年度において健康保險は崩壊の運命に逢着すること必至であります。保險経済が破綻いたしますならば、ここに勤労者の医療保護の道はとざされ、重大なる生活の脅威を來すことに相なるのであります。
 ここにおいてわれわれは、この制度を継続せしむるために、今回上程されました保險料率の引上げ、初診料の一部負担制度の復活を認めざるを得ない結論に到達するのであります。もちろん、このたびの改正は、ひとり事業主のみならず、特に現今の困難なる経済状態における勤労者諸君の負担を増加することになりますので、極力これを避くべきであります。しかし、健康保險が社会保險の形をとる以上、その収入の確保のために、また国家経済の現状を考えます場合に、本案を承認する以外に道はないと信ずるのであります。なおこの法案に連関せる予算において、昨年度までは二割であつた健康保險の事務費の國庫の補助を三割にいたしましたことは、はなはだ軽少ではありますが、そこに社会福祉に対する進歩を認めることができるのであります。
 以上申し上げましたような理由によつて、われわれは本法案はやむを得ぬ処置と認めて贊成をいたすのでありますが、勤労者諸君の生計のきわめて困難なる現状にかんがみ、政府においては、近き將來において保險財政を健全ならしめるよう適切な運営措置を講じ、その好轉によつて勤労者諸君の負担を軽減し、完全な社会保障制度の完成へ努力せられんことを希望いたす次第であります。(拍手)
#69
○副議長(岩本信行君) 次は苅田アサノ君。
    〔苅田アサノ君登壇〕
#70
○苅田アサノ君 ただいま上程されました健康保險法の一部を改正する法律案に対しまして、日本共産党は反対を表明するものでございます。
 本法案の改正の趣旨は、委員長の報告にもありましたように、最近激増いたしました健康保險基金の赤字を、診療を受ける労働者の負担によつて初診料を拂わせたり、また保險料率を上げることによつてつじつまを合わせようという改正なのであります。問題は、赤字がいつたいどこから出るか、この赤字の原因は、委員長の報告にもありましたように、最近労働者の生活の逼迫とともに、やむにやまれずして、勤労大衆は差別診療等を言つておるいとまもなく、この健康保險に対して殺到いたして参つておるのであります。現在の治療の約八割が健康保險の診療であるという実情から考えましても、これは明らかなのであります。つまり、勤労者の生活の貧困が赤字の大きな原因となつておるのにかかわりませず、赤字をなくするために、貧困者の生活を樂にするのでなくて、かえつて初診料をとつたり、あるいは保險料を引上げたりいたしまして、さらに勤労者の生活を圧迫する。こういうことは大きな矛盾であります。(拍手)わが党は、この見地から今回の改正に反対いたします。
 次に赤字の原因は、保險料の査定の基礎になつておる賃金の値上りに対しまして医療費の値上りは三倍になつておる。つまり保險料に対して医療費が上まわつておるということが申されておるのであります。ここで明らかなことは、まず勤労者の賃金が安過ぎるということなのであります。しかるに、この安い賃金はそのままにしておきまして、そして保險料を上げたり初診料をとつたりすることによりまして、一体勤労者の生活はどうなるか、ここに大きな問題があると思います。
 また診療費の値上りということに対しましても、政府はただこれが藥價の値上りによる單價の引上げであるとか、あるいは医療の内容が向上したのであるとか、または必要のない、または受くべからざる診療を受けておる、つまり濫診濫療の結果であるというように申すのでありますが、ここに大きな事実を見のがしておるのでありますが、ここに大きな事実を見のがしておるのであります。それは現在におきまして、勤労者は食うや食わずの生活をいたしておるのであります。そのために健康が非常に破壊されておりまして、從來ならば四日、五日において直るようなけがであつても、一月も二月も長引く、こういう慢性的な栄養失調の状態をなしておるのであります。多かれ少なかれこういう状態に置かれております労働者に対しまして、そのために治療にひまをとり、また医療費がかさんで保險の基金がきゆうくつになる、これが大きな原因であるということであります。
 ところが、こういう勤労者から、さらに今回の改正は金をふくんだくろうというたくらみなのであります。これでは、労働者は病氣になりましても保險医にもかかれないのであります。政府は四十円は安いと言つております。しかし、御存じのように賃金の遅配欠配が行われておりまして、百円や五十円を小刻みに渡されております現状において、四十円は労働者にとつて安いということは暴言といわざるを得ないのであります。これではますます労働者の健康が破壞されて行く一方であります。いくら保險料が特別会計であると申しましても、これが國民の健康を守り、特に國家再建の基礎である勤労者の健康を守る社会保障制度の一環であるという建前から、ただ出入りの金の勘定さえ合えばよろしいというようなわけのものでは絶対にないと確信するのであります。こうした改正は、社会保障制度を進めようという現在の要求にまつたく逆行するものであつて、わが党はこの見地からもまた今回の改正に反対を表明するものであります。
 その反面に、政府は予算の相対的な縮小を理由といたしまして、初期においては全額支拂つておりまして事業費を、近年はその一部しか支拂つておらないのであります。二十三年度においては、先ほど報告されましたようにわずかに二割であり、本年度におきましても三割を見込んでおるのみでありますが、これは當然全額負担をいたしまして保險經済の赤字を埋めるべきものであると考えるのであります。政府は、一方におきましては一部の大資本家に対しまして幾百億円という補給金を放出しながら、その反面におきまして六・三制の実施に対します予算を削除するとか、あるいは人民の健康を守るためにわずか五億、十億の金の支出を切り捨てることをあえてしようとしています。私どもは、こういう政治のやり方に対しまして根本的に反対を表明するものでございます。わが党は、少くとも社会保険は全額國庫並びに資本家の負担によつて支拂われるべきものだということを強く主張いたすものであります。
 さきにこの國会におきましては國立病院の特別会計法案を通過させ、今回また健康保險法の一部を改正し、さらにまた社会保險診療報酬支拂基金の一部改正の法律案を提出することを予定しておるのでありますが、政府はこういう方法をもつて、今日生活の窮乏のために、それでなくても健康の不安におののいておるところの勤労者や生活困窮者に対しまして、さらに重い医療費の負担をかけ、また國家医療の道を狭め、実質上において医療の内容を切り下げ、そうしてだんだんと医療機関から勤労者や生活困窮者を締め出そうといたしておるのであります。この法案のごときは、政府はみずからこれが勤労者の負担になるということを認め、明らかに改惡であることを認めながら、これを九原則の実行や予算編成上のやむを得ない措置として強行しようとしておるのであります。私どもは、政治の責任をほかに轉嫁することによつてみずから独立を放棄する、そういうやり方を憎むとともに、一部の独占資本家の擁護の政策の犠牲として、國民が今や経済の破壊のみでなくて、健康の破壊、生命の破壊にまで脅かされているというこの現状に対しまして、わが党は全力をあげて反対の宣言をいたすものでございます。(拍手)
 政府は、この法案に対する産別初めあらゆる労働組合を先頭とするところの全勤労階級の強い反対を知つておりますために、われわれが提唱いたします正式の公聽会にかけることを、與党及びこれに同調する政党の力をかりて遮二無二否決し、わずか一日の不完全な審議のままに、これを一挙に通過せしめようとしておるのであります。この法案の通過によつて引起す重大な結果に対しましては、政府並びに與党、これに同調した人々の責任を負うべきことを警告して、反対の討論を終る次第であります。(拍手)
 なお、同時に上程されました厚生年金保險等の一部を改正する法律案につきましては、厚生年金保險の保險料搾取ともいうべき欺瞞的な性質につきましては後日根本的な改正を必要とすることを前提といたしまして、今回の改正それ自体には積極的に改悪がなく、多少なりとも給付の向上が見られるために、あえて反対せず賛意を表するものであります。(拍手)
#71
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず健康保險法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに贊成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#72
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に、厚生年金保險法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案は委員長報告の通り決するに異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○副議長(岩本信行君) 異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#74
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、職業安定法の一部を改正する法律案、緊急失業対策法案及び労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案の三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#75
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○副議長(岩本信行君) 異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 職業安定法の一部を改正する法律案、緊急失業対策法案、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員長倉石忠雄君。
    〔倉石忠雄君登壇〕
#77
○倉石忠雄君 ただいま議題となりました政府提出にかかる緊急失業対策法案、職業安定法の一部を改正する法律案並びに労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案の、労働委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 まず緊急失業対策法案について述べまするに、今般の経済九原則の強力な実施に伴いまして、今般の失業はいよいよ深刻化するものと予想せられ、一部の企業におきましては経営合理化のためにすでに失業者の発生を見ているのであります。このような情勢に対処いたしまして強力な失業対策を樹立し、社会不安の除去と経済の安定に奇與することを目的として本國会に提出せられ、労働委員会付託となつたのであります。しかして本委員会は、四月二十三日、同二十五日、二十六日、二十七日及び二十八日の五回にわたつて開催審議をした次第であります。政府からは鈴木労働大臣、青木経済安定本部総務長官、本多國務大臣、その他の政府委員が出席せられ、眞摯なる答弁、説明があつたのであります。
 以下その主要なる点を申し上げますれば、第一に、この法律は多数の失業者の発生に対処して失業対策事業及び公共事業にできるだけ多数の失業者を吸収し、その生活の安定をはかるとともに、経済の興隆に寄與することを目的とするものでありまして、從來行われて來た公共事業を失策対策事業及び公共事業の二つに分類したことであります。
 第二には失業対策事業に関することでありますが、これは公共事業における失業者吸収の過去の実績にかんがみ、將來の失業情勢に対処し、失業者吸収を主たる目的として、労働者の樹立する計画によりこれを行うこととしたのであります。
 第三には公共事業に対する失業者の吸収活用の方法でありまして、これについては、昭和二十一年五月に連合軍総司令部より発せられました日本公共事業計画原則に基き今日まで行政措置として実施して來た方針を踏襲し、これを法律に明記することとしたのでありまして、公共事業の事業主体は、その実施する事業について労働大臣と経済安定本部総務長官と協議して定める失業者吸収率に達する数までは、これを公共職業安定所の紹介により常に雇い入れ使用していなければならないこととし、公共事業の失業対策としての任務を明らかにしているのであります。
 第四には事業に対する監督でありますが、これは事業面に対する直接の監督ではなく、あくまでも失業者の吸収活用の面からの労働監督に限つておるのであります。
 次に、職業安定法の一部を改正する法律案について御報告いたします。
 職業安定法は、昭和二十二年第一回國会において通過を見、同年十二月一日から施行せられ、爾來一年有余を経たのでありますが、その間、公共職業安定所その他の職業安定機関は、この法律の完全な実施をはかるべく努力を傾注し、今日に至つたのであります。しかるに、今般の経済九原則の実施により予想される深刻な失業情勢に対処するため、学生生徒、学校卒業者等の職業紹介を円滑に行い、身体障害者の職業補導を強化整備し、その他職業安定業務の推進及び職業安定機関以外のものの行う職業あつせんの監督の強化をはかり得るよう職業安定法の一部を改正する必要が生じたのであります。かかる趣旨のもとに本法案は提出せられ、労働委員会付託となり、本委員会は四月二十三日より本日まで審議をした次第であります。政府からは鈴木労働大臣その他関係閣僚、政府委員が出席せられ、答弁説明があつたのであります。
 以下、その主要点について申し上げますれば、第一に、公共職業安定所と学校間の強力体制を確立することであります。
 第二に、学校がその在学生またはその学校卒業者の職業をあつせんしようとするときは、労働大臣の許可を必要とせず、労働大臣に届け出ることにより無料の職業紹介事業を行うことができることとしたのであります。
 第三に、失業者に対する短期の技能養成機関である職業補導についての規定を整備し、深刻な失業情勢に対処すべき職業補導事業の目標を明確にしたのであります。
 第四に、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業、労働者の募集等に関し、非民主的な職業のあつせんに対する弊害を根絶するためにその監督を強化する規定を警備し、さらに有料職業紹介所に関する國際労働條約の規定及び勧告の趣旨にかんがみまして、政府以外の者の行う有料職業紹介事業を実費及び営利の二種に区別し、そのおのおのに許可料、補償金に差等を設けるとともに、政府以外の職業紹介事業を行う者が料理店、飲食店、旅館業、古物商店等の事業を兼ね行うことを禁止することといたしたのであります。
 最後に、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案について御報告いたします。
 労働者災害補償保險法は、労働基準法の裏づけとして昭和二十二年九月一日施行されて以來、業務災害をこうむつた労働者を擁護するとともに、他面事業主の経済的負担を分散軽減し、産業安定のために役立つて参つたのでありますが、今回この法律の運営を一層容易ならしめ、本法の主張とする迅速かつ公正な災害補償を積極的に行うために、その一部を改正する必要が生じたのであります。
 以上の趣旨のもとに本法案は提出せられ、労働委員会に付託されたのであります。政府からは鈴木労務大臣、その他の政府委員が出席せられ眞摯なる答弁説明があつたのであります。
 以下、その主要なる点を申し上げますれば、第一に適用事業範囲の拡張であります。すなわち、從來船舶による旅客または貨物の運送事業は任意適用事業でありましたが、業務災害の危險率が相当に高いので、これらの事業のうち船員法の適用から除外されているものを強制適用事業に含めたのであります。
 第二に、保險料算定の基礎となる賃金総額を明確に規定したこと。
 第三に、保險料報告の義務を法律に規定したこと。
 第四に、政府が保險料の額を認定して徴収する規定を設けたこと。
 第五に、保險料追徴の場合にその的確を期するため納期限に関する規定を設けたこと。
 第六に、政府が保險料の額を認定した場合に、その徴収すべき保險料に対して追徴金を賦課すること。
 第七に、延滞金及び罰金を引上げたことであります。
 以上が緊急失業対策法案、職業安定法の一部を改正する法律案並びに労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案の大体の要旨でありますが、これら三法案に対する質疑は四月二十七日終了して、同二十八日討論に入りましたところ、民主自由党三浦寅之助君、日本社会党青野武一君、民主党川崎秀二君、同じく嶋田末信君よりおのおの三法案に対する贊成、労働者農民党石野久男君より、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案には贊成、その他の二法案には反対、日本共産党春日正一君より三法案反対の意見が述べられたのでありますが、採決に入りましたところ、多数をもつて原案を可決した次第であります。
 最後に、討論における主要なるものを簡單に申し上げれば、第一に、失業対策事業費用の予算計上の僅少なること、第二に、失業対策事業に使用する労働者の賃金が同一地域において同一地域において同一職種に從事する労働者に通常支拂われる賃金の額より低く定めていること等について十分なる考慮を拂う必要があることが強調されたのであります。
 以上簡單でありますが、詳細は速記録により御承知願うことにいたしまして、御報告を終わる次第であります。
#78
○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。春日正一君。
    〔春日正一君登壇〕
#79
○春日正一君 簡單に反対の理由を説明します。
 緊急失業対策法案につきましては、今出て來ようとしておる失業者をなるべく多く雇おうとする趣旨には大体異論はないのでありますけれども、この法案の裏ずけになる予算がない、金のない仕事ができるかという問題であります。これが一つ。
 それから第十條の第二項を見ますと、賃金の額を同一地域における第一職種の労働者の賃金よりも低くきわめなくてはならぬということが言われております。これについては、失業救済事業で普通の事業と同じ賃金を出しますと、そこへおちついてしまつて、よそへ行かないから、低めにきめるのだというふうに説明されております。しかし、失業救済事業といわれるようなものは、大体政府の説明によりましても應急臨時的なものでありまして、そういうものに、同じ賃金だからいつまでもくつついておるのだというような人間はないのであります。だから、現在のように一般の賃金すらその生活をまかなうに足らない、俗にたけのこ生活、赤字生活といわれておる時代に、失業救済事業であるから、その安い賃金よりもさらに低くきめなくてはならないというようなことを、しかも條文の中にはつきり書いておるというような精神でやられるならば、失業者の生活を安定し、経済を興隆するというようなことにはならない。ただ救済しますという申訳をするに過ぎないことになる。(拍手)この條文は削られなくてはならない。
 それから第十一條、これには、職業安定所が紹介した労働者は、事業主体において不適当と認める場合は雇い入れを拒むことができる、というようになつております。しかし、職業紹介所が失業者の救済のためにこれがよろしいといつて紹介した者を、しかも失業救済事業として國から費用が出されておる、あるいは補助されておるというような事業において、これをかつてに拒むことができるということになりますと、この失業救済の趣旨に反して來るし、もう一つ大事なことは、今までの経驗によりましても、そういう規定のために、たとえば今度出て來ますところの失業者の中に、労働組合で運動をやつたとかどうとかというような、使用者の氣に入らない労働者を雇うことを拒否するというようなことになるならば、実質的には思想、信條のいかんを問わず雇わなくてはならないという原則が破られて來る。(発言する者あり)こういう條項は削らなくてはならない。ただいま、そちらからも声があがりまして、それがなくなつてもいいのか――もちろんわれわれは、失業者を出す以上、救済するのは政府の責任だから、やらなくてはならぬと思うけれども、こういう不完全なものでは單なる絵に描いたもちになる、もつと完全な案を持つて來い、こういう意味で反対しておるのであります。(拍手)
 第二、職業安定法の一部を改正する法律案、これにつきましては、大体おもな点は、学校の校長に職業安定所長のやる仕事を代行させるというところに問題があるのであります。失業者がふえて就職がやりにくくなる。だから、学校の校長、職員、こういう人たちが学生、生徒の就職をあつせんしなくちやならぬ。これは非常にもつとものように思います。しかし、考えていただきたいことは、一方では同じ失業三法案を出して失業者の救済をやらなくてはならぬと言われておるときに、この失業救済の中心になつてやるべき職業安定所の人員が、まさに首を切られようとしておる。これについては、大臣も切らないというはきつりした言明はしていない。職業安定所の人員の首を切つておいて、人手が足らぬから学校にしりぬぐいをしろという結果が出て來ることになる。しかも現在の教員は、御承知のように受持ちの人数がふやされて來、全体としての仕事が多くなつて來ておる。こういうふうな状態のもとにおいて、さらに職業紹介の仕事まで押しつけて、学校に職業安定係を置くというようなことになりますと、ここからも多くの弊害が出て來るのであります。たとえば、そのために、特にそういう職業の紹介を受け持つものが、いわゆるボスになるという形が出て來るし、いろいろの情実というようなことが出きて來る。もう一つは、そういう專門家を置く費用を、この法律の中にはうたわれていない。從つて、少い文部省の予算が、労働省のやるべき職業紹介の事業に使われなくちやならぬというような、非常にうまくない点があるのであります。
 さらに職業補導の問題でありますけれども、職業の補導は無料にするということになつております。しかし、補導する、そこへ行く以上は、ただであつても飯は食わなければ習つておれない。しかも、この生活費が保障されていないために、大体補導所を利用し得る人は、その三箇月なり六箇月なりの期間まあ生活にさしつかえのない人であつて、最も仕事を與えてもらいたい、習いたいという、ほんとうにせつぱ詰まつた者は、その機関を利用することができない。だから、補導中の生活費を保障するように定めなくてはならないと思う。現在聞いてみますと、補導中の利用率は大体六〇%ないし六五%、いいところで七五%といわれております。これではならないと思う。
 第三に、工場その他における技術の指導をやるために、特別に訓練された補導員を派遣するという規定が出されております。しかし、これは聞いてみますと、技術といつても品物を作る技術の指導をするのではなくて、職長、組長の技術の指導をする。つまりこれは工場における作業の技術ではなくて、労働管理の技術である。こういうものが職場に派遣されると、またかつての産報的なものの基礎を職場につくるおそれがあるので、こういう点は削除しなくちやならぬと思う。こういう意味で、この職業安定法の一部改正というものは、改正という面よりも非常に多くの危險を含んでおる。從つてこれに反対する。
 その次に労働者災害補償保險法の一部改正、これは改正となつておりますけれども……。
#80
○副議長(岩本信行君) 春日君にちよつと申し上げますが、あと一分でございます。
#81
○春日正一君(続) これは改正となつておりますけれども、大体改正になつたのは船舶運送、これを強制加入にしたという点。これは範圏を廣げたので改正でよろしいけれども、あとは保險料金を実質的に引上げるということ、追徴金、延滞料及び納期の指定、罰則の強化、こういうものが含まれておるのでありまして、改正と言うよりは、むしろ現在の経済の混乱状態で滞納が起つて來る場合の徴収強化、そのために現在税務署でやつているような強権の拡大を含んでおるのであります。
 現在の状態を考えてみますと、たとえば第十七條、第十八條、第十九條を見ますと、使用者が不実の告知をしたとか、保險料の滞納をやつたとか、故意または重大な過失による場合は、労働者は保險給付を受けられないことになつている。つまり使用者が滞納した、使用者が過失をやつた、故意に惡いことをしたばあいは、その犠牲として当然保險金を受けるべき被保險者に押しかぶせておる。こういう惡い條文がある。
 それからさらに業務上の傷害というのは、昔は公傷といいまして、大体健康保險で六割、あとの四割は資本家が負担して、けがをすればその日から一〇〇%もらつて、十分治療ができるようになつておつた。これが現在では六〇%しかくれないということになつておるために、けがをしても非常に苦しい。しかし、珪肺というような病気になりますと、むりして働けば働けるので、一期、二期というようなごく軽いうちに直すことができずに、生活が苦しいためにむりをして、とうとうからだをおやしてしまうというような事情にあるので、改正するとすれば、むしろこのような諸点をまず第一に改正するべきであつて、政府の不始末、失敗によつて苦しくなり、滞納がふえたようなものを、官廰によつて強行的に取立てるというような点は、改正として意味をなさない。緊急なものでもあり得ない。從つて、このような改正案にわれわれは反対するものであります。以上。
#82
○副議長(岩本信行君) 三浦寅之助君。
    〔三浦寅之助君登壇〕
#83
○三浦寅之助君 私は、職業安定法の一部を改正する法律案、緊急失業対策法案及び労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案の三件に対しまして、民主自民党を代表し贊成するものであります。
 経済安定九原則を忠実に実施し、敗戰後のわが國経済を復興することは、きわめて緊要なことであります。かかる段階において、経済安定九原則の強行にあたつては、行政整理、企業の合理化を行うことは避くべからざることであります。さらに潜在失業の顧在化、引揚民の失業、学生の就職難等相当深刻なる失業の現出しますることは予想し得られることでございまして、わが党におきましては、早くより総合的失業対策の樹立を叫んで來ておるのでございます。その観点から職業安定法の一部を改正する法律案の内容を見まするに、学生、生徒及び学校卒業生の職業紹介に新たなる方式を採用いたしまして、学校の要請があつた場合に学校が公共職業安定所の業務の一部を行わしめ得ることとしまするとともに、学校が無料職業紹介事業を行うときは、労働大臣に届け出ることによつてこれをなし得ることといたしたのであります。学生の就職難に対処する方法を確立いたしたものでありまして、きわめて時宜に適したるものであるのであります。
 次に緊急失業対策法案は、將來の深刻なる失業の情勢に対処しまして、從來より行つて來ておつた公共事業に一定の失業者吸収率を設定するとともに、從來の公共事業における失業者吸収の実績にかんがみまして、今回新たに失業者吸収を主たる目的とする失業対策事業を起すことを規定したものでありまして、將來いかなる失業が発生するもこれに対処する法的整備を完了したるものであるということができるのであります。よつて、將來失業がいよいよ深刻化した場合におきましては、これに対処するために必要なる予算的措置を拡充する旨の政府の言明を依頼いたしまして、ここにわが党はこの法律案に賛成するものであります。
 労働者災害補償保險法は、労働基準法の裏づけといたしまして、業務災害をこうむつた労働者に対しまして迅速かつ公正な災害補償を行い、被災労働者の基本的人権を擁護するとともに、他面事業主の経済的負担の分散軽減をはかり、もつて産業安定のために少からず貢献をなし來つた所でありますが、今回この労働者災害補償保險法の運営を一層容易ならしめるために、政府におきましては、船舶による旅客または貨物の運送の事業を強制適用事業としまして、あわせて保險料の徴収の方法につきまして改正せられましたことは、まことにこの保險の本旨にかなつたものと思料いたしまして、民主自民党は本案の改正につきましては全幅の贊成をするものであります。(拍手)
#84
○副議長(岩本信行君) 石野久男君。
    〔石野久男君登壇〕
#85
○石野久男君 私は、ただいま上程されております三法案に対しまして、労働者農民党を代表して、緊急失業対策法案及び職業安定法の一部を改正する法律案には反対いたします。労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案に対しましては賛成するものでございます。
 まず緊急失業対策案にかんしまして、すでに委員会からも述べられておりますように、この法律案は現下の情勢から失業者がわれわれの予想以上に出て來るということを前提として組まれておるのでございます。法案の設定された趣旨に対しましては、私どもも、もとより反対するものではございません。けれども、この法案の裏づけになる予算につきましては、すでに失業者対策費としてとつております八億八百八十八万円という額が、いかに僅少であるかということについて、これは各党とも、すでにそのことを述べておるのであります。しかるに私どもは、失業の出て來る諸情勢に関しまして、特に最近において設定されました為替レートが三百六十円になつたということと、この予算が三百三十円の基準において編集されておるということとの差額、その差から出て來るところの失業の増大は、けだし私たちの想像以上のものであるだろうと思うのでございます。しかも、すでに八億円の予算においても少いと言われておるこの為替レートの設定によつて、より以上の失業者が出るということを考えますならば、一層この予算の僅少化が露骨に出て來るものと思われるのでございます。
 ことに、この法案の第六條におきましては、いろいろと法案の裏づけになるところの機構的なものが大きく予想されておるのでございまして、委員会におけるところの相当大臣の答弁をもつてしますると、この機構に対する予算的裏づけについては、はつきりした返事がいただけなかつたのでございます。私たちは、一般的な計画を労働大臣のもとにおいてしなければならないと規定しておるこの法律案が、予算的裏づけを持たずして、もし本会議で成立いたしましたとしますならば、それはおそらく壁に書いた餅と同じことだろうと思うのでございまして、從つて、そこからは何らの失業救済に対する活動は出てこないものと思うのでございます。かかる意味において、私たちは予算的裏づけのない観念から、第一番に第一点として反対するものでございます。
 なお次には、第十條の第二項におきまして、「同一地域において第一職種に從事する労働者に通常支拂われる賃金の額より低く定めなければならない。」と言うことが規定されておるのでございます。このことは、失業なるがゆえに、同じような労働力を持ち、同じような職種の立場において働いておるものに対して賃金を安くすると規定するそのことが、憲法に保障されているところの同一労働、同一賃金その權利をも放棄するということを法的に裏づけすることでありまして、これはわれわれの絶対に反対しなければならないことである。
 また第二は、失業者が、その失業事業において、同一の固定した職場における労働と同一賃金をもつて扱われるならば、失業救済事業に失業者が膠着するであろうという憂いは、さきに共産党の春日議員からも言われましたように、われわれは全然それは杞憂にすぎないものであるというように考えておりますので、このような條項は削除すべきものであるというふうに考えるものでございます。
 また第十一條に関しましては、この法律案においては、職業安定所の紹介する失業者がその者の能力から不適当と認める場合においては、事業主は当該失業者の雇い入れを拒むことができると規定されておるのでございます。しかるに、職業安定法の第十九條におきましては、職業安定所においては、その能力が適当であるものを紹介するということが規定されておるのでありまして、この法案と職業安定法に規定するところの原則とはまつたく相反することがここに書かれておるのでございます。このような点からいたしましても、この両法の間におけるところの矛盾があり、なおまた職業紹介所が紹介したところのそのものが、事業主のかつてな、氣ままな判断においてそれが適格でない、能力から見ても不適当であるというような認定を事業主に許すということにないますならば、憲法の保障しております職業選択の自由もまた奪われてしまうようにわれわれは考えるのでございまして、かかる観点からこれは削除すべきであるというように存じております。
 なお第十九條におきまして、「前條の進達が失業対策事業についてされた場合には、労働大臣は違反事項を審議し、その進達に正当な理由があると認めるときは、事業主体に対し、当該事業の全部又は一部について事業の停止又は補助金の返還を命ずることができる。」ということになつております。これは、このことによつてすでに失業が出て來るということを裏づけしておる。私は、この法案の第一條におきまして、失業者を目的として設定されましたこの法案それ自体の中において、このような失業者の放出されることを規定しているということは、法の目的に対して矛盾するものを内包しておると考えるのであります。これに対する裏づけにつきましては何ら規定されるものがございません。このようなことからいたしましても、この法自体に非常に大きな矛盾があると感じられるのでありまして、以上の観点から、われわれは今日の事態において失業救済に関する法案の必要性は痛感するものでございまするけれども、本法案に対しては反対するものでございます。
 なお職業安定法の一部を改正する法律案に関しましては、職業安定法が設定されたその趣旨は、人権の擁護という立場から、いわゆる桂庵をなくするということであつたと存じておるのであります。私たちは、それゆえに、有料職業紹介事業は行つてはならないということが職業安定法の根本理念であると存じております。しかるに、この法案において有料職業紹介事業が認められるということそれ自体が、法の趣旨に対しまして全然反対の方向に向いて行くという観点から、第一に反対するものであります。
 第二は、学校におけるところの職業紹介についてでございます。これは時間の関係がありますので、こまかく申し上げませんが、職業紹介事業を通じて職業安定所があるいは学校を援助し、あるいはまたそれに対するいろいろなお世話をするということから、職業安定所の学校行政に対する干渉が行われる危險を多分に持つものであるということを感ずるのであります。われわれは、これは大いに考えられねばならないと思うものでございます。また学校の行うところのいわゆる職業紹介に関する事業につきまして、第六十五條で規定いたしておりますところの罰則規定は、これは苛酷であると存ずるものでございます。第六十五條の第二項、第三項、特に第三項におけるところの規定は、六箇月以下の懲役を科し、あるいは五千円以下の罰金を科するということになつておりますが、学校長が子供たちのために熱心に考えてやるとか、ただ住所をかえてはいけないということによつてのみ、いたずらに刑を科せられるということは、実に苛酷であるというふうに存じておるのでございます。われわれは、これに対して反対するものでございます。以上の観点から、職業安定法の一部を改正する法律案に対しましては、労働者農民党として反対するものでございます。
 なお労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案に関しましては、労働者災害補償保險法の現行法に対しましても、まだ不十分なものがあり、抜本的に改正しなければならないものがあると存じております。今日の改正法案に対しましても、これが不十分なものであることは承知しておりまするけれども、しかしながら現行法からいたしまするならば、やや前進しておると感じております。それゆえに、私たちはこの改正法律案に対しましては賛成するものでございます。
 以上、労働者農民党としての意見を申し上げました。(拍手)
#86
○副議長(岩本信行君) 青野武一君。
    〔青野武一君登壇〕
#87
○青野武一君 ただいま上程せられておりまする職業安定法の一部を改正する法律案、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案、緊急失業対策法案に対しまして、日本社会党は等の機関の決定に從いまして、職業安定法の一部を改正する法律案は緊急失業対策法案に密接な関係がありまするので、これには贊成であります。同時に、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案に対しましては、船舶関係を現行法に追加いたしましたもので、これも党としては賛成することに決定したものでありまするが、最後に緊急失業対策法案に対しましては、強い三つの警告的な條件をつけて贊成することになつたのであります。
 さる二十六日の労働委員会におきまする質問の中で、第九條、第十條の二項、第十一條は私が質問をした條項であります。この第九條の失業対策事業の費用は、春日君も石野君も言つておりましたように、その費用は予算面では八億八百万円であります。これでは――たとえば一つの例をとりますると、北九州の人口十五、六万の一つの都市で、本年新制中学を卒業いたしました生徒が一千名おつたのでありますが、大工業都市でありながら、わずか一割の百名だけしか就職することができなかつた。これは最近の実例であります。この実例をとつて大ざつぱに計算いたしましても、全國の大学、專門学校、新制中学校の卒業生の未就職者を失業救済事業に動員いたしましても、八億八百万円では足らないのであります。
 この点に関しましては、民自党も、民主党も、各党とも、その予算的措置が十分でないという点は一致しておるのでありまして、少くとも五百億やそこらの予算は――超党派的立場に立つて、九原則を強制実行して行くために生まれる氣の毒な失業者を救済するためには、同胞的な友愛の上に立つて、でき得る限りの予算を決定するために、私は党派の対立から離れなければならぬと考えておるのであります。(拍手)この意味から労働大臣に対して質問いたしましたが、今の場合はどうすることもできない。しかしながら、この問題に関してはでき得る限り善処し、予算的措置を十分に取るためには各党も援助をしてほしいという意見があつたのでありまするが、この失業対策事業を執行して行きまする費用は、國家の出す費用、また地方公共團体がやつておりまする事業に対しても、その全部あるいはその一部を負担するという点につきましては、労働者自身が十分閣議を通し、関係の安本、大蔵省と連絡をとつて、國会で十分信任せられるような予算をとることを私は強く要求して言つたのであります。
 第二に強い要求をいたしましたのは、これは前に討論をいたしました人の意見と重複いたしまするから簡單に申し上げまするが、同一地域で同一職種の労働者が支拂われる賃金よりも、失業救済事業に関係しておりまする人の賃金が少いということは、一般産業に從事しておりまする労働者の賃金を実質的に低下せしめるものであるというところから、その差額をきわめて僅少にせよということを要求したのであります。
 第三は、失業者雇い入れの拒否であります。これは私どもも過去において苦い経験を持つておりまするが、各種の失業者を雇い入れますときに、責任を持つて公共職業安定所の人たちがこの雇い入れを許可した場合に、事業主体がこの能力なきものと認めたときにはこれを拒否するという條文は、それが労働に不適当なからだの弱い者であり、あるいは年寄りである場合は別でありますが、私どもは北九州における者でありますけれども、この條文はよほど注意しないと、これから先に、政党と政党の対立が激化して來る、労働組合の関係者が九原則実施あるいは行政整理の対象となつて馘首せられました場合に、こういう條文を運用いたしますと、公共職業安定所は承諾しても、この事業主体から永久に拒否されるという非常な危險率がある。これは大正五、六年から七、八年間北九州方面でも続いた実例であります。
 この点に対して労働大臣は、さようなことはないし、またあつてはならないから厳重にこれを統制して行く、また不当労働行為であるという意見でありましたので、私どもはこの三つの点を強く主張いたしまして、ここに社会党は賛成をするものでありますけれども、最後に一つつけ加えておきますことは、少くとも労働者を敵視し、氣の毒な失業者を冷遇するような態度が労働省の全國の出先官廰で起りますならば、そのときこそ、われわれの團結と組織の力が全面的に立ち上つて、そういつた反動政策に対しては敵えお粉砕るまでわれわれは戰いをもつて抗争するということを言つておきます。その意味から、この緊急失業対策法に関しましては、現在すでにたくさんの失業者がおり、たくさんの失業者が生まれて來るということを予想されますこの現実におきまして、私どもは條件をつけて贊成するものであります。
 申し上げることは以上の三点でありますけれども、先ほども申し上げましたように、党派を越えて、失業者に対する救済事業としてその職業の配置轉換とその失業者の受入れ態勢には予算的処置の伴うた万全の対策を政府に強く私どもは要求いたしまして、この案に贊成するものであります。(拍手)
#88
○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず職業安定法の一部を改正する法律案及び緊急失業対策法案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに贊成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#89
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に、労働者災害補償保險法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに贊成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#90
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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