くにさくロゴ
1949/04/30 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第24号
姉妹サイト
 
1949/04/30 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第24号

#1
第005回国会 本会議 第24号
昭和二十四年四月三十日(土曜日)
 議事日程 第二十二号
    午後一時開議
 第一 自由討議
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 國立博物館評議委員会の評議員に参議院議員團伊能君を充てる件
 観光事業振興方策樹立に関する特別委員会設置の動議(山本猛夫君提出)
 鈴木労働大臣の労働組合法案、労働関係調整法の一部を改正する法律案の両案の趣旨説明及び趣旨説明に対する質疑
 森農林大臣の東海、近畿地方に一部における雹害についての報告
 政府支拂促進に関する特別委員会の委員の指名
    午後一時二十三分開議
#2
○副議長(岩本信行君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○副議長(岩本信行君) 去る四月二十一日、内閣より、國立博物館評議委員会の評議員に参議院議員團伊能君を充てるため議決を得たいと申し入れがありました。右申し入れの通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。
     ――――◇―――――
 観光事業振興方策樹立に関する特別委員会設置の動議(山本猛夫君提出)
#5
○山本猛夫君 特別委員会設置の動議を提出いたします。すなわち、観光事業の振興方策を樹立するため委員三十名よりなる特別委員会を設置せられんことを望みます。
#6
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて動議のごとく決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
 労働組合法案、労働関係調整法の一部を改正する法律案の両案の趣旨説明
#8
○山本猛夫君 この際運営委員会の決定に基づき労働組合法案、労働関係調整法の一部を改正する法律案の両案の趣旨説明を聽取するの動議を提出いたします。
#9
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。
 労働組合法案、労働関係調整法の一部を改正する法律案の両案の趣旨説明を求めます。労働大臣鈴木正文君。
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
#11
○國務大臣(鈴木正文君) ただいま議題となりました労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。まず労働組合法案につきまして申し上げます。現行の労働組合法は、御承知のごとく昭和二十年十二月二十二日に公布、翌昭和二十一年三月一日から施行せられたもので、終戰直後、日本の民主化促進と経済の再建のためも最も重要かつ不可欠の要素である労働者の権利を保障する画期的意義を有する法律として制定せられたものであります。爾來早くも三年有余を経過いたしまして、その間に生れ出た労働組合の数は三万に達せんとし、一般組織労働者数は五百三十万に及び、日本の労働組合運動は終戰直後の空白の状態から一躍他にその例を見ない急激な発展を遂げたものでありまして、この点より見ますれば、本法の功績はまことに偉大なものがあつたのであります。しかしながら、一面三年間のど右方施行に結果を顧みまするに、本法は立法の当時わが國に労働組合がほとんどなかつた状態において立案制定されました関係上、その後の実施の過程において、当時予想せられなかつた不備な点が現れて参つた次第であります。
 例を申し上げますると、労働組合の正当な行為というものが、当時においては健全な社会通念によつて判断すると説明されていたのでありまするが、その後において、必ずしもその範囲がすべての人に明確に認識されるに至つておらず、また労働組合の自主的、民主的な組織運営が立法当時予測せられました通りに行かない点も一部に現れ、そのためかえつて本法の本來の目的に背馳するような種々の弊害を生じたうらみもあつたのであります。また使用者の労働組合に対する妨害、干渉が必ずしも十分に排除されておらず、労働協約の締結、運営の状態も必ずしも所期のごとくには行われていない状態であり、労働委員会についても、その顯著な功績にもかかわらず、一部その運営機構等の上におきましても不備の点があつて、必ずしも所期の目的を十分に達成できない面もあつたのでありまして、これらの点につきましては、從來労働教育及び行政運営において極力この補正に努めて参るとともに、その中の若干の点につきましては、昭和二十一年及び昭和二十二年、労働関係調整法及び労働基準法の制定の機会に僅少の改正が施されたのでありますが、今日においては、三年間の実績にかんがみ、これらの不備の中に労働教育ないし行政運営をもつてしては的確に補いがたい点があることが痛感せられ、これらの緒点について立法上の措置を施す必要があることが明らかになつたのであります。これが提案理由の第一点であります。
 次に、今日この時期においてこの改正を行わんとする理由といたしまして、第一に、現行労働組合法施行以來の三年間は、いわば労働組合の搖籃期ともいうべき時期で、ともかくも労働組合がわが國において発達することを促進するのが急務であつたのでありますが、三年を経過し、國際的に労働運動場裡にも近くその参加を緩さ練とする機運に至りました今日では、かかる発達を遂げた労働組合が、眞に自主的、民主的であり、かつ経済再建に対してその責任をみずから負うところの自由にして建設的な労働組合となることが何よりも要請されるのであります。
 第二には、今日わが國に課せられた至上命令である経済九原則の励行のためには、経済再建の最大の担い手としての労働者の組織となり、眞に組合大衆の盛り上る総意をもつてわが國再建の方途に協力することが不可欠最大の基盤をなすのでありまして、かかる態勢確率のための必要な立法上の措置を講ずることが喫緊の急務となつたことであります。これが手難理由の第二点であります。
 最後に、現行労働組合法は言うまでもなく旧憲法下において制定せられました法律でありますので、たとえば第一條の目的は憲法第二十八條と重複のきらいがあり、その他裁判所による組合解散命令のごとき監督取締り的旧思想の形骸が残つていること、新憲法及びその成立後に行われました緒立法との調整をはかる必要が生じて來たこと等にかんがみ、この際これらの点についても整理を施す必要があるのであります。これが提案理由の第三点であります。
 次に、本法案提出に至ります経過を概略申し上げますと、労働組合法の改正は過去においても考慮せられたこともあつたのでありますが、その後労働組合法の改正は次第に各方面から強く要望せられ、その必要がいよいよ痛感されるに至りましたので、吉田前内閣におきましては、連合國軍総司令部の示唆に基づき、当時の増田労働大臣のもとに、労働省において昨年十二月初めからこれが本格的研究に着手し、本年当初より、事務当局の手によつて本法案の立案に着手したのであります。爾來、GHQ労働課の協力な指導と援助のもとに作業を行い、去る二月十四日一應の事務当局案を得ましたので、これを労働省試案として発表したのであります。現内閣の成立後も引継き作業を継続し、二月二十日から十日間にわたり、全國七箇所におきまして十五回及ぶ労働省主催の公聽会を開催し、その後公聽会における労働者、使用者、学識経験者の意見その他政府または労働省に対して寄せられた各方面の意見を参酌し、試案に数回の改訂を加え、遂に今回提案の運びに至つた次第であります。
 次に、かくのごとき経過を経て立案いたしました本法案の大要を申し上げます。
 本法案の立案の基本方針といたしましたところは二点であります。すなわち第一点としては、労働組合法施行三箇年間の経驗に徴し、かつ緒般の情勢の推移にかんがみ、自由にして建設的な労働組合運動の助成を一層推進し、これにより公正な労使関係の維持促進をはかつた点であります。
 第二点としては、この目的のためには幾多の点につき改正を要するものが認められるのでありますが、公聽会その他各方面の意見と、経済九原則の円滑な実施のための緒情勢を考慮いたしまして、改正は漸進的に措置することとし、本法案には当面の情勢から特に必要とせられるもののみを規定することといたした点であります。
 次に、改正法案の要点とその趣旨とを簡單に申し上げます。
 第一章総則につきましては、本法の目的を、憲法第二十八條との関係から、現行法よりもより具体的に規定し、労働省の團結権、團体行動権の保証を明確化しております。労働組合の正当な行為は罰せられないということは現行法に明示してありますが、これがややともすればほしいままに解釈されていた從來の経驗にかんがみまして、労働組合の暴力の行使は正当な行為でないことを明らかにいたし、さらに労働組合に加入し得る者の範囲を明示するとともに、使用者の財政上の援助を禁止して労働組合の自主性を保証したのであります。
 第二章労働組合の章につきましては、現行法の規定中届出、規約変更命令、組合解散命令等行政聽ないし裁判所の関與に関する規定をいつさい廃止して、労働組合の一層自由な発展を期すると同時に、組合員の平等権、公共な会計監査及び役員選挙、同盟罷業、規約改正における無記名投票制等を組合規約の必要的記載事項とすることにより労働組合の民主性、責任制の保証をはかり、かつ労働組合の資格を備えないもの、またはその規約が必要な要件を満たさない労働組合に対しては、本法及び労働関係調整法の手続に参與できず、救済が與えられないことといたしております。さらに使用者が正当な理由なくして團体交渉権を擁護し、その不当労働行為の範囲を拡充して、使用者の労働組合に対する一切の干渉妨害を排除することにより團結権及び團体行動権を保証いたしたのであります。
 第三章労働協約の章につきましては、労働協約の不合理な延長を排除することにより合理的な労使関係の保証をはかり、また現行法の條文中從來ほとんど実情のなかつたものおを削除いたしまして法の簡素化をはかることといたしました。
 第四章労働委員会の章につきましては、その職員、権限、組織を法律上明定することにより労働委員会の性格を明確にし、かつその使命と職責とにかんがみ、その権限を強化するとともに、準司法的協約につきましては、労使委員の参與のもとにおいて公益委員のみによつて行うこととし、その公正妥当な運営を保証いたしました。また不当労働行為に対する労働委員会の原状回復等の命令、裁判所の緊急命令その他労働者及び労働組合の権利の回復のための迅速な処分手続きを定めることにより不当労働行為の防止及び是正のための有効適切な措置を講じたのであります。さらに中央労働委員会に地方労働委員会の処分に対する再審議権、規則制定権等を加え、かつ全国的な問題の優先的管轄権を明確にすることにより労使間の紛争議の合理的解決をはかつたのであります。
 第五章罰則につきましては、不当労働行為の性格にかんがみ、これが行為を直接に罰する方針を改め、労働委員会及び裁判所の命令違反に対し有効かつ強化された罰則を科することにより正常な労使関係の確保をはかることとしたのであります。
 最後に附則として施行期日その他必要な経過規定を定めております。
 以上全文三十三箇條、現行法に比して4箇条だけ條文の数が少なくなつておりますが、現行法の條文の約半ばが、そのまま本案中に取入れられておるのでありまして、形式的に新しい法案となつておりますが、実質的には現行法の一部改正となつておるのであります。
 次に、労働関係調整法の一部を訂正する法律案について御説明申し上げます。
 今回この法律案を提出するに至りました理由と立案の経過及び改正案の基本方針につきましては、さきに申し上げました労働組合法におけるそれとおおむね同様でありますが、とうに労働関係調整法につきましては、労働爭議、なかんずく公益事業の爭議行為と公共の福祉との調整にその改正の重点を置き、形式上にも労働組合法と異なり、一部改正といたしております。
 次に、その改正のこの改正の要点について御説明申し上げます。
 第一には、公益事業の追加指定は現在行政機関のみで行うこととなつておりますが、公益事業の範囲は法律に主要な事業を明記しており、これが追加指定も新憲法との関係から立法的手続きによることがより妥当な措置であると考えられますので、國会の承認を経て行うことといたしたのであります。
 第二には、調停案を当事者双方が受諾した後においては、調停委員会の見解を聞かなければ、その調停案の癇癪または履行については爭議行為をなし得ないことといたしまして、労使の当事者間に了解が成立したにもかかわらず、その了解の解釈または履行に関しまして爭議行為をもつて双方が相爭うというような、從來往々見られた不合理な事態を合理的かつ平和的に解決し、労使間の無用の紛淆をつとめて除去するようにいたしたのであります。
 第三には、公益事業における爭議行為の制限についての改正であります。現行法は、公益事業の労働爭議をつとめて防止し、早期かつ平和的に解決しようとするために、これに三十日の冷却期間を設けているのみでありますが、從來の経驗に徹しますると、必ずしも所期の目的を達成し得ず、一度冷却期間を経過いたしました後いたずらに爭議解決が遅延されるきらいもありましたので、本改正案におきましては、冷却期間経過後六十日間を経た後には、さらに調停手続きを経て冷却期間を経過しなければ爭議行為をなし得ないことといたし、労働爭議の防止と、その早期かつ平和的な解決に一層有効ならしめたのであります。また、当事者が調停案を受諾した以上、その調停案中に團体交渉を継続すべき旨が定められている事項があるときは、これらの事項を理由とする爭議行為は新たに冷却期間を経過しなければならぬものといたしまして、無用の爭議行為をできるだけ防止することといたしたのであります。その他、從來調停とあつせんとが混用され、かえつて事態を紛糾させることもありましたので、調停とあつせんとの本質を明確にし、かかる紛糾を避けようとした点、正当な爭議行為に対する保護はすべて労働組合法中に規定することとした点等について改正をいたしております。
 以上が、労働組合法案及び労働関係調整法の一部を改正する法律案を提案しました理由及びその大体の公正であります。経済再建、特に九原則の実行のために労働者及び労働組合の責任がきわめて重大であることは言うまでもないことでありますが、もちろん、事労働問題に関しましては、法律の改正によつてすべての問題が解決するものであるとは、もとより考えておらないのでありまして、行政運営、労働教育、特に政治全般の総合施策にまつところがきわめて大であり、労使の自覚と努力及び公正な世論の批判と協力とが何よりも肝要なことであると考えております。政府並びに労働行政当局におきましては、後來とも最大の努力を傾注して参つたのでありますが、さらに今回提案いたしましたこの法案が御審議の結果通過成立を見ましたあかつきには、労働者の地位の向上、自由にして建設的な労働組合の発達及び労働運動と公共の福祉との間の調整につきまして一段の努力を傾注し、法的措置と行政と相まつて、労使各方面の協力のもとに日本経済再建の目的のために邁進いたしたいと存じます。
 何とぞ御審議の上すみやかに可決あらんことをお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 労働組合法案、労働関係調整法の一部を改正する法律案の両案の趣旨説明に対する質疑
#12
○副議長(岩本信行君) これより労働組合法案、労働関係調整法の一部を改正する法律案の両案の趣旨説明に対する質疑に入ります。吉武惠市君。
    〔吉武惠市君登壇〕
#13
○吉武惠市君 今日日本において最も緊要なることは経済の再建でございます。しかして、経済の再建は勤労者の生産力にまたなければならないことは言をまちません。終戰以來四年を経過いたしまして、破局に瀕しました日本の経済がようやく立ち直ろうといたしておりますその陰に幾多勤労者のご努力のあつたことを衷心より感謝するものでございます。しかしながら、これら幾多のまじめなる勤労者の中に巧みに入り、これを煽動し、おのれの政治的野望をたくましゆうしようとして、いたずらなる無謀の爭議を引起しましたために、いかに日本経済の再建が妨げられたかということは、万人の認むるところであろうかと思います。(拍手)さればこそ、八千万の國民はこれを憂い、これを嘆き、何とかしてこの無謀なる労働運動を正しき軌道に立ち返らすことができないかということを切望して來たのでございます。(拍手)これがすなわち、今日世論として労働組合法改正の問題がやかましく叫ばれたゆえんであろうかと思います。(拍手)今日わが党内閣になりまして、ようやくこの問題を取上げ、本日この本会議に上程されることになりましたことは、私どもの衷心より喜びとするところでございます。
 言うまでもなく、労働者がその労働條件を維持改善し、その地位の向上をはかりまするために労働組合えお結成し、そうして使用者に対し團体交渉権を行う、そしてその要求貫徹のためには、あるいは爭議に訴えることもできるというこの基本的人権は、今日世界の民主國家におきましては、いずれもこれを認めるところでございまするし、またわが新憲法におきましても、第二十八條において、明らかにこの基本的人権を保障しておるところでございます。しかして現在の労働組合法は、御承知のごとく新憲法の制定をまつまでもなく、幣原内閣のときにすでに制定を見ておつたものでございます。
 本來この組合は、労働組合法にも明記してございまするごとく、労働条件の維持改善、その他経済的地位の向上をはかることを主たる目的として組織する團体でございまして、もしそれが政治的目的のために利用されるといたしましたならば、かくのごとき権利を新憲法が保証するはずはございません。(拍手)しかるに、終戰以來わが國の労働運動の実際の過程を見ますると、一部思想を異にする人々によつて指導されております組合は、これを單に組合主義あるいは経済主義と称して、労働運動をあくまでも政治的達成のための下部組織として政権各区徳の政治行動にかり立てて、無謀なる労働爭議を行わしめして來たのでございます。(拍手)このことは、日本共産党の大会におきましても次のごとく言つておるのでございます。すなわち、日本共産党の大会では、われわれは労働爭議の目標を必ず政治権力を握るというところに置いて、あらゆる闘爭をこの高度の目標に結びつけて組織し、これを指導しなければならぬということを、はつきり言つておるのであります。(拍手)すなわち共産党は、労働組合を共産主義を育成する学校と考えまして、共産主義育成のためにストライキを頻発させて來ておつたのでございます。もし日本の労働組合指導者にして眞に正しい道を歩んで参りましたならば、今日労働組合法なり、あるいはまた労調法の改正を見ずに終つたことでございましよう。しかし遺憾ながら、過去三年間の日本の労働運動の歴史を顧みますと、その全部とは申しません。幾多まじめなる正しい労働運動をなされておる方々もありますが、その一部の中には、明らかにこれを濫用し、これを悪用して來たことは、否定することのできない事実でございます。(拍手)
 労働組合法が施行せられましてここに三年の間、労働組合の数といたしましては約三万、その組織労働者は約六百余万に上つております。しかしながら、これらの労働組合の中には、いまだ健全とは思われない組合が少くないのであります。それは、わが國の労働組合が敗戰という特殊の事情のもとに生れ、急激に発展いたしましたために、組合員の一人々々の眞の自覚の上に打立てられずして、一部少数の人々の独裁的な、あるいは全体主義的な、あるいはまた労働ボス的な人々によつて指導されたからでございます。(拍手、発言する者多し)今回の「政府の改正案は、過去三年のこれらの実績にかんがみまして、その欠陷を是正せんとして幾多の努力を拂われておりますことは、祖國再建のためにまことに喜びとするところでございまするが、以下四、五の点について労働大臣にお尋ねを申し上げたいと思うものでございます。(拍手)
#14
○副議長(岩本信行君) この際一言申し上げます。ただいまは特に動議によりまして政府より提案理由を聽取して質疑が行われておるのでありますから、各位自重して御靜粛に願います。(拍手)
#15
○吉武惠市君(続) 第一は、労働爭議の爭議権の限界について承りたいのでございます。労働者が團結をし、使用者と團体交渉をし、その経済的要求貫徹のために行う爭議、正当なる爭議は、わが國労働組合法におきましてもこれを保証しておるところでありまするが、そのいわゆる正当なる爭議行為とはいかなるものをさすものであるか、この点を承りたいのであります。從來、この正当なる爭議行為はこれを罰せずという規定がございます。そのために、一部の指導者はこれを惡用いたしまして、いやしくも爭議行為であるならばすべて刑法の適用がないかのごとき解釈をいたすものがあるのでございます。(拍手)すなわち、他人の生命や身体に危害を加え、中には殺人、放火すらも爭議であれば違法ではないのいうがごとき解釈をなすものがあるのでございます。(拍手、「だれが殺人、放火をしたか」、「殺人、放火とは何だ、取消せ」と呼ぶ者あり)これがために過去三年間の日本の労働爭議の中に幾多の障害事件を起しておることは、はなはだ遺憾とするところであります。今回の政府の改正案によりますと、暴力の行使は労働組合の正当なる行為と解釈されてはならない旨の規定がされておりまするが、從來とかく基本的人権の名に隠れて暴力を行使せんといたしました一部組合指導者に対し明快なる指針を與えられたるものとして大いに賛意を表するものでございますが、この暴力の行使とはいかなるものをさすものでございますか、この点についての御所見を承りたいのであります。(拍手)また刑法にいわゆる暴力犯のみならず、たとえば他人やその家族の身体の自由を拘束し、または財産に対して侵害を加うるがごとき行為もまた正当ならざるものと考えられるのでございまするが、これらについての詳細なる限界を承ることができれば仕合せと思うものでございます。
 特にこの際お尋ねしたいことは生産管理についてでございます。終戰後の新しき爭議戰術として生産管理なるものが生み出されたのでございますが、いやしくも新憲法下において企業権を保持されておる以上、その経営者の同意なくして苦お上を占領し、これを管理し、経営権を排除して、労働者みずからの手によつてこれを管理運営されようとすることが是認されるはずはないと信ずるものでございます。(拍手)第一次吉田内閣の際、すでにわが党はこの生産管理者法を声明いたしました。その後芦田内閣におきましても、社会党出身の鈴木法務総裁並びに加藤労相はこの声明を再確認いたしまして、生産管理は違法であると言つたにもかかわらず、(拍手)今なおその生産管理の跡を断たないのは、はなはだ遺憾とするものでございます。今回の改正案におきまして、この点についての明瞭なる規定を見ないのでございますけれども、現内閣が生産管理を是認されるはずはないと思いますが、この点について、あらためて明快なる御答弁を願いたいのであります。(拍手)
 みなさまも御承知のごとく、先年大阪吹田市の山田鉱業所に行われましたる生産管理なるものは、あらゆる機会、資材を持ち出し、あるいはまたその支配人に対して暴力行為を加える等きわめて乱暴なる生産管理が行われたのであります。その際第一審におきましては、これが違法にあらずという判決を下されたのでありまするけれども、第二審においてはこれを有罪とし、懲役六箇月の判決を受けたのであります。司法権は独立とは申しまするけれども、第一審においてこれが無罪と判決されたごときことは、いわゆる政府当局において生産管理に対する明買うなる指導を欠いたうらみがないでもないと主今するが、この点について、労働大臣よりあらためてはつきりした御意見を承りたいのであります。
 なお正当なる爭議行為に関連いたしましてお聞きいたしたいことは、爭議行為自体の違法性の限界のみならず、爭議行為の目的より來るところの限界についてお伺いしたいのであります。すなわち、内閣の打倒、政権の獲得または政策や法令の改廃等に反対をして行いまする爭議行為、すなわち政治目的のために行いまする爭議行為というものは、これまた正当なる爭議行為とは考えられないのでございまするが……。
    〔発言する者多し〕
#16
○副議長(岩本信行君) 靜粛に願います。
#17
○吉武惠市君(続) 今回の労働法規の改正につきましても、すでに二十四時間ストなどということをやつておるやに聞くのであります。これに対し政府はいかなる御所見をお持ちでございまするか、明快なるお答えを願いたいものであります。
 第二にお伺いいたしたいことは、労働組合の自主性についてでございます。労働組合が健全でありまするためには、眞に民主的であり、自主的でなければならあないことは言うまでもございません。今回の改正におきまして労働組合の範囲を明確にし、使用者の組合の経費の援助を禁止いたしました点は、この組合の自主性の確率のために、まことに喜ぶべきことであると存じます。ただこの際お聞きしたいことは、組合の專從職員の給與のついての明記がございませんが、これに関し政府はいかなる御所見をお持ちでございまするか。これは現行法においてもすでにその解釈上当然禁止さるべきものであると思いまするが、この組合專從者の給與の問題について、労働大臣のはつきりした御見解をお聞きしたいのでございます。
 第三にお聞きしたいことは、労働組合の民主的運営についてでございます。労働組合は、自主的でありますると同時に民主的でなければなりません。労働者の各人の意思が自由に表明され、その上においてこそ初めて運営さるべきものでございます。しかるに、労働組合の從來のあり方を見ますると、一部少数者の独裁にまかされておつたということであります。(拍手)すなわち、多数の労働者の意識の高まらないところに乗じまして、一部の者どものフラク活動によつてこれが運営されて來たということでございます。極東委員会の十六原則におきましても、すでに労働組合の役員及び常任委員は関係労働者により無記名投票と民主的方法とによつて選び出さなければならないということを、はつきりと言つておるのであります。今回の改正案におきまして、役員の選任は組合員の無記名投票によらなければならないということと、同盟罷業を行いまする際は組合員の直接無記名投票によらなければならないという点に改正を加えられましたることは、民主化のためにまことに喜びとするところでございます。(拍手)しかしながら、要は單に法文の改正にとどまることなく、眞に組合の民主化のために組合教育の徹底を期しなければならないと思うのでございまするが、労働大臣はこれに対していかなる所信をお持ちでありまするか承りたいものでございます。
 第四にお尋ねいたしたいことは、團体交渉のあり方についてでございます。元來團体交渉は、労働者が労働組合を組織いたしまして、使用者と対等の立場に立つて賃金、労働時間その他の労働條件について交渉することが本旨であるのであります。從つてその方法は、秩序ある、公正な方法によらなければならないことは言をまちません。しかるに、終戰後日本の労働組合の團体交渉のあり方は、全部とは申しませんけれども、一部にきわめて乱暴であり、無秩序なものがあつたのでございます。
 その最も著しい例を申し上げますると、終戰翌年の二月、北海道の美唄炭鉱において行われましたる團体交渉のやり方は、実に言語道断のやり方であつたのであります。すなわち、ある一部の思想を持ちまする指導者によつて、数百の坑夫が鉱長の住宅に押しかけて参りまして、巧みに鉱長をおびき出して、一丁ばかり離れました公会堂に引ずり込み、鉱長を壇上に擁し、その周辺を組合の幹部十数名が取巻きまして、坑夫数百名の面前において一々尋問を始めたのであります。これはすなわち團体交渉とは言つておりまするけれども、いわゆる人民裁判のやり方でございます。(拍手)約三日三晩の間かつくのごとき状態が続けられまして、遂に鉱長は疲労の余り卒倒してしまつた。その倒れた鉱長を病院にかつぎ込みまして、病床において團体交渉をなお続けて、そうして捺印をさせたという事実があるのでございます。しかもこれらの指導者は、当時共産党員であつたのであります。(拍手)憲法第二十八條は労働者の團結を保証し、團体交渉その他の行為を保証しておることはもちろんでございますけれども、かくのごとき無謀な行為を保証するはずはございません。政府は、これらの團体交渉のあり方につきまして、いかなる御見解をお持ちでございまするか。
 政府の発表されました第一次試案の中には、これらの團体交渉のあり方について、たとえば不当に多数の労働者が押しかけて、脅迫めいてこれを行おうとする場合、あるいはまた著しく喧噪にわたり、連続して長時間にこれを行わんといたしまして、業務の運営を著しく阻害いたしましたような場合、または不必要に個人の身辺につきまといまして、その生活を脅かそうといたしましたような場合、また故意に團体交渉を長引かせまして、妥結しようとする誠意のなかつたような場合におきましては、團体交渉を拒否していい旨の規定があつたのでありまするけれども、今回政府の御提出になりました法文の中にこれらの規定が見受けられないのでありまするが、これは当然今回の第七條において、使用者は正当なる事由なくしては團体交渉を拒否することができない、しかし正当なる事由があればこれを拒否していい旨の規定がございますが、今列挙いたしましたような事項は、当然正当なる事由としてこれを拒否することができるものと解せられるのでございまするが、この点についての労働大臣の御意見を承りたいのでございます。(拍手)
 第五に、爭議権と國家公共の福祉との調整についてお尋ねをいたしたいのであります。團結権と團体交渉権は、先ほど申しました新憲法第二十八條によつて保証せられておるところでございまするが、同じく新憲法第十二條におきましては、この憲法が國民に保証する自由及び権利はこれを濫用してならぬのはもちろん、常に公共の福祉のためにこれを利用しなければならぬ責任を負う旨の規定があるのであります。労働法はこの点に関しまして、公益事業については強制調停の規定なり、あるいはまた冷却期間を設くる等の規定がございますが、全國的に計画されましたようなゼネスト、あるいはまた重要なる産業の停止が直接またか立ちに「國民の安全、健康、福祉に著しき脅威を及ぼすごとき爭議に対しましては特別なる処置がとり得るようにする必要があると思うのでございますけれども、この点について労働大臣はいかなる御処置をおとりになるつもりでございますか、お尋ねしたいのであります。
 皆さんも御承知のごとく、二・一ゼネストは、その前夜マツカーサー元帥の声明によつて危くこれが停止されたのであります。また昨年三月の労働攻勢は、マーカット経済科学局長の勧告によつて、危うくもこれが阻止されたのでございますが、かくのごとき全國民の保健または安全を危殆に陷れるがごとき爭議に対しましては、日本政府みずからの手によつてもこれが処置できるようにしなければならないと思うのでございますが、この点についての労働大臣の御所見を承りたいのであります。アメリカにおいては、かくのごとき爭議に対してはインジャンクションなる制度がございまして、事前に裁判所においてこれを一時中止し、その間に調停に持つて行くという制度があるのでございますが、政府はこれらの点についていかにお考えになつておりますか、御意見を承りたいのであります。
 以上の緒点についての労働大臣の明確なる御答弁を期待して終ります。(拍手)
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
#18
○國務大臣(鈴木正文君) 吉武議員の質問に対しましてお答えいたします。
 第一は、労働組合の行為の正当性の限界についてのお尋ねでありました。労働組合の行為について正当性の限界がおのずからあることは、御質問にもあつた通りもちろんのことでありまして、労働組合の行為はいかなるものといえども正当なりというがごとき、法を無視し社会秩序の破壊を顧みないな言辞を弄する一部少数分子の存在は、労働組合を破壊するものでこそあれ、断じてこれを助長するものではないと言わざるを得ないのであります。(拍手)現行法第一條第二項の規定は、決して不法な実力をも是認するものではないのであります。すなわち、組合または組合員の行為といえども、いかなる暴力犯罪、たとえば傷害、暴行、略奪等を処罰から逃れしめるというような意味ではもちろんなく、その他暴力犯罪にあらずといえども、人の身体の自由または財物に対して直接に有形の侵害を加える行為、たとえば放火、監禁、逮捕、誘拐、建造物の破壊、器物の損壊等、また行為の性質上当然の結果としてかかる侵害を生ぜしめるような行為、たとえば溢水、交通に危險を及ぼすような鉄道施設もしくは標識の破壊等は、現行刑罰法規に」該当する限り処分を逃れしめるものではないのであります。さらに、民事訴訟の仮処分命令等裁判所の執行に対して反抗する行為も、刑罰法規に該当する限り労働組合の正当な行為なりとして処罰から逃れしめるものではないのであります。これらの原則または例示いたしましたものに該当しない罪であつても、不当なものはなおこれから逃れしめるものでないという場合が來ると思います。改正法案第一條第二項において但書を設けまして、暴力の行使のみを掲げておりますが、これはもちろんその代表的なもののみを掲げたものでありまして、現行法の解釈と何ら相違するところはないのであります。以上し申上げましたような犯罪となる行為を正当なものとして処罰から逃れしめるようなふしに解釈されるべきものではないのであります。
 次に生産管理の違法性についてお尋ねでありますが、ご指摘にありました通り、先年芦田内閣次代において、鈴木法務総裁が加藤労働大臣と同席のもとに参議院において表明されました生産管理違法論につきましては、今日政府もまつたく同意見でありまして、経営者の財産権は労働者の労働権とともに憲法において尊重されておるものでありまして、いずれも軽重があるはずがなくして、労働権のゆえをもつて不当に財産権を侵害するような生産管理のごとき行為は違法なるものという解釈であります。(拍手)判決例におきましても、その大体の趨勢は生産管理を違法としておることは疑いのないところでありまして、改正法案において特にこれを明記いたさずとも、当然その違法性は明らかなものがあると解釈しております。(賃金不拂いはどうだ」と叫び、その他発言する者あり)
 次は、政治的ストは正当なる爭議行為とは考えられないというご指摘の御意見は同感であります。
 その次に、組合事務專從者の経費についての御質問でありますが、組合事務專從者の生活費その他の経費を使用者が負担いたしますことについては、御説にまつたく同感であります。およそ労働組合の自主性を保持いたしますにいは、使用者から特に自由でなければならぬのでありまして、組合事務運営の中心的立場にある組合役員その他の組合事務專從者の生活費その他の経費を使用者の援助に仰ぐなどということは、世界のいずれの國においても、過去から今日に至るまでない事実でありまして、ひとりわが國にのみ心材したのであります。自由にして自主的な労働組合のために、この風潮は断じてとることのできないものだと思うのであります。現行法においても、かかる使用者の経費の補助は妥当でないという原則は、すでに加藤前労働大臣も、公開の席上で原則としてこれを認めておられたのでありまして、その用事の説明は、日本労働組合の発達現過程においてはなおしばらくの猶予を願いたいという意味であつたのであります。私どもの見解をもつていたしますれば、今日の段階におきましては、まさにこの問題について最終的の解決をはかるべき時間的段階に達したという見解を持つて折るのであります。(拍手)近く國際労働社会に復帰せんとする我が國の労働組合の名誉のためにも、当然この方針は実現すべきであると考えております。(拍手)改正法におきましても、第二條第二号に「國体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの。」と規定して、但書においてその例外を認めなかつたのは、当然これを禁止するの趣意なのであります。同時にこれと平行いたしまして、行政的にも六月をもつてこの問題は全國に徹底せしめるという方針をもつて臨んでおりますことをお答え申し上げます。(拍手)
 なお労働教育の根本方針について、つまり組合民主化のための労働教育の根本方針についてのお尋ねがありましたが、今回の改正法案におきましても、政府は自由にして建設的労働組合を助長し保護するため、現行法にあります行政機関及び裁判所の組合干與のおそれのある規定の削除につとめて細心の注意を拂い、労働組合の届出、解散命令の廃止を企図いたしておるのであります。労働教育においても、その基本方針は、この自由にして責任があり、かつ民主的労働組合の助成にあることはもちろんであります。すなわち政府は、労働者が自由に考え、民主的に責任を持つて労働運動を推進して参ります方向に助長して行きたいと思うのでありまして、一部の專断的、独裁的な組合指導という行き方に根本的に反対なのであります。(拍手)
 第四に、試案の中の團体交渉の点についてのお尋ねでありました。この試案の中には團体交渉を拒否する場合を規定しておつたのでありますが、ただいま提案いたしました改正法案において、正当の理由ということのみをきめておるが、その具体的限界はどうであるか、こういう御質問であつたと思います。團体交渉は、労働者が團結して交渉することにより使用者と対等の立場に立つことを保証するため必要なのでありまして、その必要を越えて團体交渉を行えないような場合においても、なお使用者に團体交渉に應ずる義務を課するということは條理に反するところであります。すなわち、團体交渉は平和にして秩序を保つて行われてこそ初めて労資双方の理解を深め、無用の粉議を生ぜしめることがないのでありまして、狂暴喧噪にわたる、あるいは團体交渉の当事者が求められても権限の明示をしない場合とか、團体交渉の継続不可能、あるいは交渉が歪曲され混乱されるがごとき場合には、正当なる理由として團体交渉の拒否を使用者に認めることになるのであります。すなわち團体交渉につきましては、本來その目的を達成するため平和的に、秩序整然として行われる限りにおいて、その実行を保証いたしておるのであります。
 第六点、公益事業に対する特殊の措置でありまするけれども、現段階におきましては、労調法の改正法等に盛られました面をもつて一應十分であると考えるのであります。インジヤンクシヨンという制度につきましては、現在政府は考えておりません。なお將來の推移いかんによりましては、この問題が檢討されるときがあるかもしれませんけれども、現在におきましてインジャンクションの制度をただちに取上げようという立場を持つておりませんことをお答え申し上げます。(拍手)
#19
○副議長(岩本信行君) 次は前田種男君。
    〔前田種男君登壇〕
#20
○前田種男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました労働組合法案並びに労調法の一部改正案に対しまして、以下数点をあげて政府の所信をただしたいと思うものでございます。
 戰爭に負けた日本の再建途上、戰爭終決まで日本の指導階級であつた軍閥、財閥、官僚、政界人等々がすべて戰爭の責任者として再建日本の指導的地位を失つたことは、あまりにも当然でございます。新しい日本の指導者は、長い間弾圧と迫害に苦しめられた労働者、農民、小市民層の中心となつたところの、大衆組織の上に立つたところの主体性が確立されることによつて初めて日本の再建が推進されるものと深く信ずるものでございます。そのためには、日本再建の中核体となり得るりつぱな労働組合の組織運動に成功しなくてはならぬのであります。そのりつぱな労働組合は、一朝一夕に成るものではございいません。五年、十年、いなそれ以上の歳月を費して献身的に努力されるところに初めてその成果があるのであります。政府は、また労働組合の健全なる発達を助け、國家再建に寄與せしめる主体勢力に対して指導育成すべきは当然であろうと思いますが、その点に対する、吉田内閣の労働行政全般に対する方針を明確にしていただきたいと思うものでございます。
 過去三箇年の労働組合運動の実績は、十分な労働組合の組織が完成されていなかつた過程は、敗戰により國土は廃墟に化し、工場・事業所は破壊され、社会秩序は混乱、極度の國民生活の窮迫、思想の混乱等々の惡條件のために、労働組合もまた矯激なる運動を展開せざるを得なかつた事情は、十分認めてやらなくてはならないと思いますが、一部に、敗戰のどさくさまぎれに、労働組合を衷心にする矯激なる破壊的方向にかり立たされ、そうした一部の行き過ぎに行動が、せつかく敗戰直後與えられた、世界にもまれに見る自由と権利と團結権等基本的権利が制約されようとする一因をなしたことは、率直に認めざるを得ないのでございます。さようなさ中にあつて、眞に國家再建のため健全な労働組合運動を堅持しつつ民主的労働組合の組織に精進された結果、今日では多数の労働組合が組合運動本來の姿に立ち返り、日本再建の主体勢力に成るよう努力しておる現段階において、労働法規の改惡案が提出されるということは、はなはだ遺憾なことと思うものでございます。(拍手)
 労働法規の改正問題が過去一、二年來しばしば話題になつてきましたが、吉田内閣は、去る一月の総選挙に大勝するや、余勢をかつて一氣に日経過を中心にする資本家團体の労働法規改惡運動と呼應して、突如として二月十四日、労働法制審議会その他各方面の意見を徴することなく、一部官僚の手によつて労働省第一次試案をでつち上げ、無謀にも國会を押し切ろうとする積極的態度をもつて、今第五國会における予算案とともに、政府の重要政策として天下に声明されあたのであります。
 労働省試案が発表されるや、全國的輿論は内容の不信を指摘し、吉田内閣の反動性を暴露したるものとして、果敢なる反対運動が熾烈に展開されるに至つたのでございます。わが党は、無謀な労働法規改惡案が提案されることは、せつかく三年間の組合運動の経験から多くの労働組合が自主的に健全な組合運動に向いつつある方向を、逆行せしめるおそれがあり、全國的な組合組織に及ぼす影響が大なることに思いを置き、どうすれば反動的な労働省試案をやみからやみに葬ることができるかという点についてまじめに検討をなし、独自な態度を堅持しつつ、総同盟、全労会議その他の労働團体と密接なる反対闘爭の態勢をとりつつ、今日まで有効なる方法をもつて、理論的にも現実的にもいかに無謀な試案であるかを指摘し、あらゆる手段方法をもつて反対闘爭を続け來つたのでございます。その結果、さきにも申し述べましたことく、現内閣は重要政策であつたところの労働法規の改正が一頓挫を來し、政府の懸命なる努力にもかかわらず、第一次、第二次試案のような反動的な根本改惡案は葬り去られたのでございます。政府並びに民自党は、心ならずも資本家階級笑視のうちに、今議会末期に現行法規の部分的改正案を提案せざるを得ない運命になつたのでございます。(拍手)かような政府の態度、組合運動に対する認識、対策、抱負等に対して、この機会に明確にされたいと思うものでございます。
 次に、本提案の内容について二、三の点を指摘いたしまして、政府の所信をただしたいと思うものでございます。
 組合法第一條は、言うまでもなく基本的な理想、目的を掲げるべきであります。しかるにもかかわらず、現行法の「経済の興隆に寄與する」條項すら削除されまして、ただ單に事務的な問題を取上げたに過ぎないのでございます。われわれは、労働組合が國家に寄與する根本方針を第一條に表わさなければその意義がないと思います。すなわち、社会的、経済的、政治的地位の向上をはかり、世界の労働組合法案宇津尾階級に伍して日本の労働組合並びに労働組合員の人格の向上を規定し、目標を明確にすることによつてのみ第一條の目的が達成されると思うものでございます。しかるにもかかわらず、現行法にある「経済の興隆に寄與する」という條項すら削除せれたところのその理由いかん、明確に御答弁を願いたいと思います。
 さらに、第一條第二項の刑法上の免責規定のうちに「暴力の行使」という字句を挿入されたことは、いたずらに官憲をして労働組合に干渉する口実を與えるものであつて、何人といえども暴力の行使を認めるものはないはずでございます。さような字句を挿入されなくても、現行法において十分惡質名暴力行為は当然取締らるべきであつて、そうした字句を挿入すべきものではないと信ずるのでございますが、政府当局の所信をさらに明らかにしていただきたいと思います。
 さらに組合專從者の問題等につきましては、ただいま御答弁もございましたが、日本の労働組合の発達の現状のような過程におきましては、急激なる変更を強行するために、かえつて健全なる労働組合までも混乱に陷える危険性があるのでございます。少くとも相当の猶予期間を與えて漸次改めさせる施策を講ずべきであろうと思いますが、当局の所信を明確にしていただきたいと考えます。
 さらに、第二十七條の不当労働行為の労働委員会の法的措置は認められたようでありますが、実際的には使用者がそれに從わず、相当引延ばすことができるのであります。從つて、現行法第十一條のような規定が絶対に必要であると思いますが、労働大臣の所見を承つておきたい。
 さらに労働委員会の権限の問題でございますが、改正案を見ますと、公益代表のみに特権を與えたことになつておるのでございます。私は、公益代表の資格が第一不明瞭で、いかなるものを公益代表というかにつきましても多くの疑義があるのでございます。私は、過去三箇年の実績から、三層構成になつておりますところの現行の労働委員会構成害地番妥当な現実の問題だと考えるのでありますが、この点に対するところの当局の答弁を願つておきたいと考えます。
 さらに、労調法の公益事業の指定中、総理大臣が國会の議を経て指定することができるようになつておりますが、私は、総理大臣が國会に提案する事前に、中央労働委員会の議決を経て國会の承認を得る手続きをするような方向にしなくてはならぬと思いますが、当局の所信を明らかにしてもらいたいと考えます。
 さらに、冷却期間中六十日の爭議期間を認めておりますが、公共企業に六十日の日数を限つて爭議を認めるということは、今日不必要だと私は考えます。現行法で十分だと考えるものでございます。
 結論といたしまして、わが國は敗戰により國土は半減し、すべてのものを破壊し盡し、あまつさえ資材資金を喪失し、ただ残されたものは八千万の人口、労働力のみでございます。その労働力を百パーセント活用することによつてのみわが國の再建があることを政府は深く銘記すべきであります。経済九原則の実施、為替レートの設定、二十四年度予算の成立から來る経済界の変動、事業の縮小整理から、当然労働條件の「改惡」、首切り、失業不安等全面的労働不安が助長される申告な経済状態のもとにおいて、政府は一般労働行政の問題、失業対策、賃金問題、老需物資、労働基準法の完全実施等のためにベストを盡し、経済の復興、経済の安定に労働階級の協力を求める万全の対策をなすべきに、何を好んで労働階級の反撃を買つて、今提案されたような労働法規の改惡を強行しようというのか、政府の眞意を疑わざるを得ないのでございます。(拍手)
 労働法規の改正は慎重を期さなければならないことは、いうまでもありません。もう一、二年先に、労働組合の正常な発達と経済界の安定をまつて、各方面の意見を聽取しても遅くはないのでございます。わが党は、憲法第二十八條の規定並びに極東委員会の十六原則、労働省の團結権、團体交渉権及び罷業権等の保証による現行労働組合法、労調法を改正する必要は絶体にないと思うものでございますが、政府の所信を明らかにしてもらいたいと考えます。政府がただいま提案された改正案は、政府も民自党も不本意であるのでございます。資本家陣営はこぞつて判定し、全労働者階級は全面的反対運動を展開しておるのでございます。そのさなかに、一部官僚の意を満たすような無意味な改惡案は、すみやかに撤回すべきが妥当と思うが、政府の所信いかん。
 さらにただいま労働大臣が吉武君の質問に対して答弁されました中に、法的にいろいろなことを申されておるのでございますが、私は、今日の労働組合運動に対して法的なわくをはめて指導するということは相当注意しなければならない問題だと考えます。今日、せつかく労働組合が自主的に健全なる歩みをしようとするさなかにおいて、今日のような改惡案を提案するということは、労働組合ン動を政府みずからが逆行せしむるものなりと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 私は、そうした問題を考えて見ましたときに、民主自由党が幾多の公約を棚上げしながら、ただ一つ労働組合法の改惡案のみを急いで提案するという眞意がはたして那辺にあるかということを疑わざるを得ないのでございます。明日は五月一日で、メーデーでございます。メーデーの前日である本日、吉田反動内閣が労働法規の改惡を強行しようとするこの態度は、全日本労働大衆に対するところの挑戦的態度なりと言わざるを得ないのでございます。
 私は、以上を申し上げまして政府の所信を明確にただしたいと思うものでございます。(拍手)
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
#21
○國務大臣(鈴木正文君) 前田議員の御質問にお答えいたします。
 吉田内閣の労働行政の基本は、すでにしばしば申し上げました通り、民主的、建設的、自由な労働組合の質量両面にわたる活發な活動を中枢といたしまして、労使の双方の対等関係の上に日本再建の道をはかつて行こうとするところにあることは、しばしば申し上げた通りであります。
 それから、一部の行き過ぎの人たちの政治的、破壊的の指導によつて、せつかくの労働法が再吟味の過程に帰着した傾向があるという見解に対しては、私どもも同様であります。
 中途半端な案をなぜ出したという御質問でありまするが、もし組合を圧迫、彈圧するような徹底案をなぜ出さなかつたかという御質問でありまするならば、社会党の質問としては、きわめてふしぎな質問であると思うのであります。もしまた民主的な自由な労働組合の発援助長をはかるべき労働組合法案を出すべきであつたという御意見でありまするならば、ただいま提案されておりまするところの労働組合法案を公平に読みとつていただきまするならば、その御主旨御趣旨に沿つて立案されておるということを認めていただけると思うのであります。
 それから、労働運動が單なる階級闘爭ではなくして、労働者の地位の向上をはかり、経済の再建に資すべきものであるという御見解に対しましては、私どもも、まつたく同感であります。なぜそれを書いておかないかということに至りましては、今日の段階におきましては、それはすでに國民だれもが――労働組合関係の方々はもちろんのこと、國民だれもが知つておる、周知の事実であり、かようなことは、全部を常に貫くところの根本的の原則でもあるという意味から、これを省いてもよろしいという意味であつたのであります。その根本的な御趣旨についきましては、常にその方向に沿つて進んで行くという考え方には、いささかの違いがないのであります。
 労働組合法改正案の第一條第二項に、新たに暴力の行使はいかなる場合においても云々と書いたことは、ときに警察権その他の濫用になるのではないかという御質問と思いますけれども、この点につきましては十分運営上注意を拂いまして、もともと立法の趣旨がさようなところにあるはずのないこと、及び今日の現段階におきまして、さようなことが行われ得るはずもないことは明らかなことでありまして、その專に沿いまして十分の注意を拂つて参りたいと考えております。
 労働委員会は階級闘爭の場ではない、そうして全國の労働委員会中あるいは運営を誤つたものもあつたかもしれませんけれども、その建前上中立の代表者にのみこの重要なる部分の審議権、決定権を與えたことは不当ではないかとうい御質問もありましたけれども、これは三年間の経驗に徹しまして、この方が公正妥当であると私どもの結論が到達いたしましたがゆえに、その線に沿つてこういうような解決をいたした次第でございます。
 なお公共事業、公益事業の三十日、六十日のこの冷却期間を繰辺して行くという点につきましての御質問もありましたけれども、いたずらに公共事業を――そのまま漫然と公共事業の爭議状態を遅延するというようなことは、関係各労働者諸君にとりましても、経営諸君にとりましても、國民にはもちろんのこと不利益なことでありまして、從來の例からいたしましても、九十日をもつてすれば大体公共事業の酢議のような國民一般の鋭い批判を受ける立場に立つておるところの事業が、九十日以上にわたつて爭議をつづけるて、國民の輿論に抗してかち得るというようなことも、私たちには考えられないのでありまして、九十日をもつてしますれば、双方に誠意ある解決の努力が拂われる以上、これをもつて無事に解決され得ると私どもは考えておるのであります。
 労働階級の反撃を買つてまでも、なぜ今日この法案を提案したか、という御質問でありまするけれども、私どもは、ただいまも提案理由の説明に申しましたように、三年間の経驗、現在の情勢に照らしまして、これは必要最小限の改正であり、この改正はわが國の組合を民主化せしめ、一部政治的、破壊的の分子の手から守つて、正常なる位置にこれを進行せしめるために筆應な改訂であり、決して不必要な、ときを得ない改訂ではないと思つておるのであります。皆様にも、社会党の方々には、この点について御了解を得られるのではないかと思つておるのであります。(拍手)
#22
○副議長(岩本信行君) 川崎秀二君。
    〔川崎秀二君登壇〕
#23
○川崎秀二君 労働法規改正の是非が世論の対象となりましてから二年ほどになります。ここに吉田内閣によりまして労働組合法、労働関係調整法の一部を改正する法律案の提出を見たのでありまするが、この改正案は、去る二月中旬労働省試案として一般に公表されたものとは、著しい変貌を見ておるのであります。私は、まず政府はいかなる心構えと方向に基いて労働法規改正に手をつけ、さきに反労働者的性格の濃厚な試案をし、その後一轉して、今次の改正案になつたか、改正の重点をどの点に置いたか糾明いたしたいと思うのであります。
 現行の労働三立法は、終戰後倉皇の間につくられたものでありますから、もちろん完璧な法律とは言いがたいものであります。運用上問題の多い点や解釈の判然としない点、これらはもちろん改正を要します。また社会情勢に照合して改正すべき点はあると存ずるのであります。しかしながら、去る二月十四日発表された労働省試案なるものは、当時の増田労働大臣によつて正式のものであるということで輿論に問うたものでありまするが、その試案は一言にして評するならば、労働二立方を労働者の保護立法から労働者の取締法に堕せんとしたものでありまして、まさに現政府の性格を露骨に暴露したものと言わねばならぬのであります。(拍手)
 すなわち第一に、あらゆる爭議に予告機関を設けまして、抜打爭議を全面的に禁止し、労働者の基本的管理を抑圧したこと、第二には、組合員の範囲を不当に制限し、幹部労働組合なるものを――これを発明しまして、労働組合の分裂、弱体化を企図したこと、第三には、労働委員会の権威と自主性を蹂躙したこと、第四には、総理大臣に公益事業指定追加の独断的措置の権限を與えんとしたこと等、驚くべき反動立法を強行せんとしたものであります。
 この試案が発表されたればこそ、労働界の不安と動搖は深刻なものがあつたのであります。全國の組合は、あげて労働法規改惡反対の運動を展開するに至つたのである。今改正案が穏健なものになつたからと言いながら、不必要の摩擦を波紋を投げたことの責任は断じて糾弾されなければならぬと考えるのであります。(拍手)
 公聽会を開いて、労資双方の反撃を浴びた関係当局と十数次にわたる折衝の結果として現れ出でたこの法案は、遂に労働省の試案とは似ても似つかぬものとなつて提案されたのでありますが、もしこれが、経済九原則の実行による経済復興の途上においては経営者、労働者ともに大きな負担をおわされておる、種々なる制約をうけるのであるから、この際は復興よりもまず安定である、この困難な時期において労働者を無用に刺激すべき改正案は出すべきではない、労働者の協力を得なければ安定も復興も期待し得ない、こういう考え方で、政府が自発的に今度の改正案に変更したというならば、まずまずその椎と感覚は買わなければならぬとわれわれは思う。しかし、これは自主的な変更ではない。客観情勢のしからしめたところである。関係当局の示唆によつて、やむなく最低必要のものにした、というならば、われわれは労働政策の方向に疑惑を抱かざるを得ないのであります。これは、ちようど先ごろ二十四年度予算の編成に現れました政府の態度の変化と同じコースをたどつておるのも、ふしぎな現象であります。
 元来、インフレーション的な政策を羅列していた民自党の財政政策が、ドツジ・ラインの價格なる要請によつて、その基本的政策や公約を放棄しなければならなかつた、あるいは棚上げして一挙にデフレーシヨン的政策にまで轉換を余儀なくされたのとちようど同じコースで、この労働法規についても、かつて民主自由党の政調会が発表したもの、あるいは民主自由党それ自身の責任において発表したものとはまつたく内容の異なつたものを提出するに至つたことは、驚くべき無定見であり、イージー・ゴーイングであると言わざるを得ないのであります。(拍手、発言する者あり)自分の意志とは全然違つたもんを出すならば、無思想、無政策と言わなければならない、一体労働大臣は試案を放棄したものであるか、あるいはその辺で声をあげておられるように、民自党かつての主張に從つて逐次試案の線を実現して行くものかどうか、この点伺いたいと思うものであります。(拍手)これは労働行政の方向に重大な影響を持つものであります。政策は言うまでもなく政党の生命であり、眞随でなければなりません。從つて、この際明白に労働大臣の見解を伺つておきたいと思うのであります。(拍手)
 七百万組織労働者の感覚は、今日きわめて鋭敏なものがある。良識ある穏健なる労働組合の指導者は、労働法規に手をつけることがすべて改惡であるとは断じて思つておらないのであります。ただ、これを運用し、これをつかさどる責任者が、いかなる思想をもつてこれに対処しているかということを靜かに見つめていることを忘れてはならない。國会に圧倒的多数を擁する民自党政府は、法案通過にいかなる手を打つて多くの労働者の共鳴を得んとするか、この点に関する労働大臣の所信を伺つておきます。
 次に、法規改正の重要点一、二についてお尋ねします。組合法の不当労働行為の問題については、吉武君からすでに質問がありましたので省略することとし、今前田君から質問されたところの労調法第三十七條、公益事業の冷却期間について、いま少しくつつ込んだ答弁をいただきたいと「思うのであります。
 今日、一般事業はもとよりでありますが、公益事業の爭議は、國民大衆に及ぼす影響と産業復興に重大なる支障を與える関係から、極力回避しなければならない。さればこそ、現行法においても、抜打爭議を禁止して三十日間の予告冷却期間を置いている。三十日たつてなお粉爭が解決しないで爭議に入つて一日でも二日でも公益事業の爭議が行われるということは、國民生活を脅威することであるから、早急にこれを解決しなければならぬのであつて、現に解決を見ておる。しかるに、六十日の爭議有効期間を区切つて置いておることは、かえつて私は労働者を刺激するもとになりはしないかと憂うるのであります。また、一度得たる爭議権を六十日後といえども禁止するということは、これは基本的権利の剥奪であります。このような、なくもがなの條項は撤廃するにしかず。一体、先進世界各國のどの労働法規に、このようにあつためたり冷やしたりするような法律があるか、この点、つつ込んだ御答弁を願いたいと思うのであります。
 次に、現行労働問題の最大問題は企業整備、行政整理、それに伴う受入態勢を整備する失業対策の確立であることは、言うをまたないのであります。法規の部分的改正よりも、これがもつと重大な懸案であると言わなければなりません。為替レートの設定によつて、いよいよ企業の整備は拍車をかけられる段階となつたのであります。企業整備も生産の厖大も、目的とするところはコストの引下げということになりましよう。そこで問題になつて來るのは、コストの引下げといえば、経営者側にとつては常に人員の整理、労働の強化、実質賃金の引下げというようなことしか考えておらないものが多いのであります、終戰直後、経営の民主化を叫び、労働者を尊重する労資協力態勢を主張して参りました経済界が、將來産業擁護をはき違えて、企業整備を労働者の一方的犠牲によつて行わんとする傾向は、反省を促す必要があると思うのであります。関係方面のヘプラー課長も、きのうの新聞紙上において、新しい労資協力態勢とういものは、企業整備や賃金問題における経営者側の反省によつて起る企業合理化をまつこうから反対する一部組合指導者の排除でなければならぬと強調いたしております。從つて、労働者側にのみ負担をしいる傾向を是正し、経営者に向つて合理化を断行することを強要し、資材資金の冗費の節約を促さなければならぬのでありますが、労働大臣は、この難問題の解決にあたつていかなる抱負を持つておられるか、方向を指示さるべきものと考えるのであります。
 また、將來産業復興に大きな推進母体になつておりました労資競技会というものがあります。最近とんと開かないようでありますけれども、おそらく労働大臣におきましては、労資協議会を復活して産業復興の原動力たらしめることについては御異存のないことと思いますけれども、関係当局ばかりが力を入れておつて、労働者自身は何らの積極的な熱意と対策を持たないことは、大いに反省をする必要があると思う。私は、労資協議会の復活助成について労働大臣がいかなる見解を持つているか、お伺いしたいと思います。
 さらに、現在問題になつている緊要な問題に石炭労働者の賃金問題があります。新聞紙上報道するところによると、統一賃金制を主張する組合側と、標準賃金制で名張るところの鉱業連盟ありて、いまだ妥協点に到達せず、石炭生産の前途に大きな影を投げているのでありますが、これらの点に関しまして、最近の情報と考え方はどういうことになつているか、労働大臣の見解をお伺いしたいのであります。
 今後に來るべき労働問題の大難関は、言うまでもなく失業対策であります。すでに緊急失業対策法は本院を通過いたしまして、一應法的対應措置はできているのでありますが、本年度予算の僅々二十一億という程度の失業対策費では、まさに佛つくつて魂入れず、心細き限りであります。
 諸君、戰爭が文明社会における最大の罪惡であるとするならば、平和時代における社会的犯罪の大規模なるものには失業の続出があると言わなければなりません。当局の言うごとく、本年は百七、八十万人に及ぶ失業者が出るとしますれば、潜在失業者の顯在化が激しくなるにつれて、世はまさに失業次代の暗黒期を迎えるのではないかと憂慮されるのであります。鈴木労働大臣は、失業問題の答弁に、しばしば、失業問題は究極においては國民経済の中におけるところの新しい雇用量の増加がこれを決定すると表現されておりますが、問題はこの雇用量増加をいかに具体化して行くかであります。また、本年度輸出産業に二十万、その他の産業に二十万を吸收するという方針を発表せられておるが、その内訳、内容についてこの際御言明を願いたいと思うのであります。
 さらに政府は、失業対策審議会を設けてこの問題の解決に努力すると言つておりますが、失業対策審議会の内容を見ると、與党ばかりで形成している。失業体策委員会が與党の役員の失業救済事業であつては断じてならぬと私は思う。(拍手)國民のだれもが最も憂いの眼をもつて眺めている失業対策問題について、失業対策審議会に労働者の代表、経営者の代表を参加させる医師があるかどうか、この際御答弁を願いたいと思うのであります。
 最後に私は、今回の改正案のうち特に労働組合の自主化、民主化を目標としたる箇條が含まれていることだけは私どもの意を得るところであつて、組合役員の決定や爭議に入る際の組合の意思を無記名投票によつて決定すること、暴力行為の禁止、專從者給與の組合支拂いの法律化等は、労働組合の民主的発展を阻害しておつた過去三箇年の極左労働運動を強く排除することができるものであつて、双手をあげて賛成をいたします。(拍手)
 しかして、法規の改正よりも労働運動の方向を正しき軌道に乗せることは一層緊要の問題であります。今や全國の労働組合の内部において、民主化の叫びは実際行動となつて進展しておる。留お堂を資本の搾取から開放し、その人格制を尊重して、常に労資対等の原則を守り、労働組合に巣食う破壊的分子の策動を強く排除して、祖國復興の基盤たらしめるよう、労働大臣の断固たる信念と決意を御披瀝を願いたい。米窪労政、あるいは加藤労政といい、労働大臣に就任したるところの両労働大臣は一應その持味を発揮いたしておつたのでありますが、われわれは不幸にして鈴木労政の持味と輪廓を知らない。この際労政全般にわたつての意見の開陳を願いたいと思うものであります。
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
#24
○國務大臣(鈴木正文君) なるべく労働組合法及び労働関係調整法の法律の線に沿つてお答え申し上げます。なおそのほかの詳細な数字等につきましては、委員会その他別個の適当なる機会に適当な方法をもつてお傳え申し上げたいと思います。
 先に労働省の試案として発表したものと今日の案との間にあまりに相違があるではないか、その間に労働大臣として自主性をもつて終始したかという意味のお尋ねであつたと思います。最初にも申し上げました通り、この改正の最終案は、現段階において必要にして最小限なるものをまずきめて、そして実行したというところに一点があると同時に、根本的には組合の民主化、自由化、建設的組合の助長、この点が中心であるということは、しばしば申し上げて來た通りでありまして、この最も中心的な点におきましては、試案におきましても最終案におきましても、いささかの後退もなければ変更もないということを、はつきりと申し上げ得るのでありますが、そのほかの手続きその他につきましては、緒般の情勢を考慮いたしまして、與えられたる條件のもとにおいて自主的に改訂を加えたのでありまして、その改訂の一つ一つのケースは、公聽会において労働者諸君あるいは経営者諸君、公益関係の諸君から指摘され要望されたものが、消極的には削除となり、積極的にはそれを加えてこの案ができ上がつているという点におきまして、衆智を入れた、民主的な方向でもつて仕上げをしたという点について御了解を願いたいと思うのであります。
 さらに、いかなる方向によつて労働者諸君の共感を得てこの法律の有終の美をなすかという意味の御質問でありました。私たちは、この法案はしばしば繰返して申しますますり、正しい、眞に働く労働者の組織するところの、自由な、建設的な、民主的な組合の育成にあるのでありまするから、その点は間違いがないのでありまするから、この点を十分國会を通じてなり、あるいはすべての機会を通じてなり、あるいは成立後の運用を通じてなり、眞に正しい心ある労働者に理解していただくことができましたならば、必ず共感を呼び得るものと確信を持つているのであります。
 それから、公益事業に関しての、先ほどとやや似通つた御質問でありまするけれども、公益事業に関して爭議調整のため三十日、六十日の新しい規定を設けたところの合理的の理由はどうであるかという御質問でありまするが、公益事業は國民の日常生活に多大な直接の影響を與える事業でありまして、これに関する爭議行為について、いかにして公共の福祉との関係を調整するかは、世界各國においてもきわめて愼重な研究がなされながら、未だその結論を得ておらない状態であります。世界にその例がないではないかという御質問でありましたけれども、今日われわれの祖國日本の立つているところのこの複雑多難の実情もまた世界にその例がない実情であるというこの現状と照し合わせましてこの方式を取入れた点を一應考えていただきたいと思うのであります。このように世界各國の研究の結論が一致するところを知らないのは、この調整が決して一つの方式、手段によつてのみなされるものではなくして、その國、そのときの具体的情勢に即應して考慮する以外にその方法がないということを物語つているものだと思うのであります。改正法案におきまして、公益事業について現行法の冷却期間経過後六十日の爭議行為を許すことにしたのも、今日の実情に即應せんとしたものでありまして、最近の情勢と過去の経驗を勘案して決定したものであります。すなわち、調停委員会における調停案提示の期間、調停前における労使当事者の團体交渉の実際現在の経済事情のもとにあつて、九十日の期間の持つ意義、労使双方の冷却期間経過後の爭議解決に対する熱意の度合、公益事業爭議に対する世論の動向等を勘案いたしまして、公共の福祉を擁護するとともに公益事業の労働組合自体を世論の嚴しい批判の中から守るためにも、この新しい方法を運用するを適当と考えたのであります。
 さらに労使協力の面において國家再建をはかるべきであり、そういう意味において労資協議会というふうなものをどう考えているかという御質問でありました。これは御承知のごとく、政府自体のやつたことではありませんけれども、この方向においてこそ新しい祖國経済再建の方途があるのであり、この法律案の点はまつたく同感でありまして、名称その他は別といたしまして、こういつた方向を実現すべき機関、組織というものにつきましては、急速に政府は誠意をもつて努力をいたしたいと存じます。
 次に石炭関係の爭議の問題であります。これは目下中労委であつせん中でありまして、二、三日中にはその解決の緒につき得るのではないかと期待して――今晩も実は徹夜的の作業をもつて努力するという状態であります。
 それから失業問題についてのお尋ねでありましたけれども、特にその重点は、輸出方面に新しい雇用が二十万ぐらい予定されておると前に答弁したけれども、その二十万の内容を示せというお話でありました。実は、ただいまここにその詳細なるものを持つておりません。政府はそれを安本及び商工省と檢討いたしまして、すでに詳細なる数字と部門別の数字とを持つております。この点、別の機会に川崎議員にお傳え申し上げたいと存じます。(拍手)
#25
○副議長(岩本信行君) 土橋一吉君。
    〔土橋一吉君登壇〕
#26
○土橋一吉君 ただいま議題となつておりまする労働組合法の原案並びに労働関係調整法の一部改正に関しまして、日本共産党を代表して鈴木労働大臣に質問を呈するものであります。
 私は、本案がこの國会に上程せられるまでに、労働者はいかなる経過をとりまして補何が議会に上程せられておるかというその中身を申し上げ、この内容についても本法案と関係ありや否やについて労働大臣の明確なる御答弁を願いたいと思うのであります。
 この法案を上程する以前におきまして、昨年の十一月二十二日、労働省発三十二号の次官通牒をもちまして、全國の資本家並びに労働組合の諸君を集めまして、労働組合の育成に関する問題において、特に労働組合規約並びに労働協約に関する指針を與えたのであります。その内容をつぶさに檢討いたして参りますると、この中には、極東委員会十六原則の第九項の規定を故意に歪曲し――この内容につきましては、労働省労働大臣官房総務課においてつくつておりまする労働総覧の内容の第九項を見ていただければ、いかにこの飜訳があやまつているかとういこともきわめて明白でありまするが、さらにこの内容を曲解いたしまして、單位組合の強化を主張する点をおもな骨子といたしまして、從來の労働組合規約内にあるところの必要以外の事項を強硬に出しておるのであります。あるいは労働協約の内容につきましても、從來われわれが考えておる以上の強硬な悪規定をどんどん入れまして、これを労働者側に強要するような態勢を資本家側の諸君に強要しておつたのであります。また越えまして本年の二月二日、同じく労働次官通牒をもちまして、將來の労働組合における特に第二條の資格審査に関する要項あるいは基準を決定いたしまして、これを強行せんとしたのであります。
 かかる状態において、全國におきましては、東芝あるいは日立、三菱重工、日本セメント等におきましては、都道府縣知事が労働次官通牒によつて発して來るところのいろいろな傷害は、特に労働協約無効論を主張し、そのために非常な難澁に全国の各労働組合が置かれているさ中に、二月十四日、第一次試案を政府は発表したのであります。
 こういう内容を考えて参りますると、私は特にこの法案は、簡單に例を申し上げるならば、まつたく外面は菩薩のような口語体になつておりまするが、内心は夜叉のような法律であるということを断言せざるを得ないのであります。(拍手)なおその立法過程においても、一部官僚諸君が、よく世間にも言われまするように、小人閑居して不善をなすとか申しますが、この法案の制定過程においても、單に十四日以降十日間程度の全國公聽会を七箇所において開いた以外においては、特に労働階級なり、あるいは市民一般に何ら公聽することなく、これを本日ここに提案をいたしておりまするようなやり方は、いかに一部独裁的な政党の諸君並びに一部高級官僚、一部資本家の諸君が作り上げたところの日本の民主化に対する暴令であるかということを明らかに趣汚名しておるのであります。
 これに対しまして、先ほど一部の政党あるいは一部の諸君が、労働組合連合を通じて日本の再建を破壊するとか、かようなことを申しておりまするが、これは院内において多数をしめる一部保守反動的な政党が、この法案を通じて、全日本の勤労階級及び労働者、全人民に対して一大彈圧の橋頭堡を築かんとしておるのであります。(拍手)かようなものは断じてわれわれは承服できないのであります。
 またこの肺葉につきましては、私が申し上げるまでもなく、ポツダム宣言の第十項の後段においては、明らかに、日本國政府は日本國民の間における民主主義的傾向の復活強化に対する一切の傷害も除去すべきことを宣言せられておるのであります。(拍手)從つて、基本的人権においても動揺にここが尊重せられることは、明瞭に規定してあるのであります。また憲法の前文においても、御承知の通り前文後段においては、専制、隷従、圧迫、偏狭というものは、わが國土及び全世界からこれを拂拭することを明言いたしておるのであります。かような観点から、わが日本憲法においても、憲法第三章第十一條において、基本的人権の享有はいかなることがあろうともこれを妨げられないということを明記し、さらにこの基本的人権が永久に侵すことのできない権利であることを保証しておるのであります。(拍手)ここに全労働階級の権利といたしまして憲法第二十八條が明記いたしまして、團結権、團体交渉権、さらにあらゆる團体的行動権、特に爭議権に関しても、これを保証いてしておるのであります。かような観点から、私は憲法の規定についても、鈴木労働大臣にとくと御所見を承りたいと思うのであります。
 一体憲法第九十八條においては、この基本的人権に反するところの政府のいかなる措置も、いかなる法律も無効であることを明記しておるのであります。かような状態において、昨年の十二月二十二日及び今年の二月二日の次官通牒というものは、いかに憲法違反であると同時に現行労働法規の蹂躙であるかということが、きわめて明白なのであります。(拍手)これに対して労働大臣の明白なる御答弁を願わなければなりません。少くとも御承知のごとく、この國会においては、憲法第四十一條の規定に基いて國家最高の意思を決定するのであります。一部の資本家、一部の保守反動的な正当、かような諸君の相迎合するところのこの法案をこの國会において可決せんとするような状態は、一部資本家階級、保守政党の独裁と言わずして何でありましようか。(拍手)その点について、明確なる労働大臣の御答弁を私はお願いしたいと思うのであります。(拍手)
 さらに私は、各條項にわたりましてお聞きしたいと思うが、まず基本的な方針につきまして、労働大臣も、労働組合法並びに労働関係調整法の体驗と現在までの推移にかんがみてこの法律を制定する旨を声明されておりますけれども、はたして一体いかような客観的情勢の推移を考えているか。これは明らかに現在の日本の資本家中心的な保守反動的政党、高級官僚、かようなものの政策によりまして日本の政財が強度に貧困を來し、全労働階級が飢餓と窮乏と低賃金、さらに尊重労働が強要せられる段階に至りました。この根本的な原因は歴代の政府であるということを私は断じたいのであります。(拍手)かような場合においてこの法案をつくらんとする政府の意図は、明らかに全労働階級の、ただいまも私が申し述べますような基本的な團結権、團体交渉権、さらに罷業権、爭議権等の正当な権利を、これを法律の規定によつて圧殺せんとする、明瞭なる彈圧法規であるのであります。かような点についても明確に御答弁を願いたいと思うのであります。
 さらに、まず第一條の規定であります。第一條の規定は、去る十七日におきましても労働大臣の答弁があつたのでありますが、この規定は何を書いておるか、ほとんどその本旨がわからないのであります。もし憲法第二十八條の規定を具体的にしかも明瞭に規定するならば、まず労働者の團体交渉権、團結権、罷業権を十分保証するとともに、労働者の社会的、政治的、経済的、文化的地位の向上を明記すべきことが当然であるのであります。(拍手)ところが、本條文を見ますれば、何らさようなことは書いてない。もし諸君がこの内容を見るならば、何を書いておるか、何を言わんとしておるか、ほとんど五里霧中の法文であるのであります。
 さらに第二條におきましても、およそ團体法の建前におきまして、私は労働立法に対する労働省当局の明確なる見解と所信のないことを指摘したいと思うのである。なぜかなれば、この法案の内容を見ましても、この内容がいかに使用者側の範囲を拡大し、特に第一次試案においては、先ほども川崎君から指摘いたしましたように御用組合幹部をつくらんとするような態度が、いかに勤労階級に対する明買うな彈圧であるかということは明らかであります。こういう内容においても、使用者側については、御承知のごとく人事監督権並びに使用者的立場を有するものを明確に規定すればよろしいのである。何らかような冗慢にわたる法文は必要としないのであります。
 また第二章の規定におきましては、第五條でありますが、この必要記載事項についても、必要以横部に労働階級のあらゆる面を制限し、特に基本的な團結権を阻害する事項を並べておるのであります。かようなことは、とうていわれわれ承服できませんが、労働大臣はいかなる所見を持つておるか、この点につてお聞きしたいと思うものであります。
 特に現在起こつておりまする東芝においては、かような労働省次官通牒を発し、あるいは第一次試案が出たために、現在新開廣作社長がつくつております労働協約破棄の問題、あるいは西部鉄道株式会社において労働組合員に対していろいろな制限をし、特に特定正当、わが日本共産党に所属する党員につきましては誓約書を書かせ、会社に勤続中においては入党もいたさせないし脱党をさせるというような、明らかに労働者の政治的自由を拘束する誓約書を書かしめておるのであります。この点についても、本條においては――團体協約に違反するところの労働契約というものは無効であるとくことを現行法第二十二條ですら明記しておるのであるが、なぜかような法文を意識的にこの原案から取除いておるか、労働大臣の明確な答弁を願いたいと思うのである。(拍手)
 特に労働委員会の問題につきましては、労働委員会中特に中央労働委員会は、爭為状態におけるあつせん、調停その他の重要なる権限を行うものであります。この中央労働委員会は、爭議状態におけるあつせん、調停その他の重要なる権限を行うものであります。この中央労働委員会を労働省の外局とし、しかも政府の所管内に置いて、行政組織法の内外で運用せんとすることは、明らかに労資双方の爭議状態における公正妥当なる調停、勧告、あつせんをする地位を行わしめないものであります。かように官僚化するような中央労働委員会の態度をとらしめるこの内容について、労働大臣はいかなる考えを持つておられるか、この点について御所見を承りたいと思うものであります。
 また先ほど、資本家側諸君の不当労働行為について、法文を嚴密に列記しておるからよろしいというような態度がありましたが、この法文の適用を受けた場合には、御承知のごとく労働委員会は、第二十七條の規定によつてあらゆる手続きが行われ、最後に司法的処分まで行われて、その結果、資本家側がもし惡いならば、規定の第二十八條によつて一年以下の禁錮及び十万円以下の罰金に処するという、きわめてなまやさしい條文をもつているのであります。ところが、実際に労働階級は、この法文以外に現在の刑法のあらゆる緒條項、あるいは軽犯罪法その他あらゆる処罰の対象となりながら、飢餓賃金と加重労働にあえいで、なおかつ保証がせられないというような状態に置かれておるのである。かような状態においても、この労働法規が労働階級の諸君のためには非常な彈圧法規であることを私は明確に申し上げたい。これに対して労働大臣の明確な御答弁を願いたいと思うのであります。(拍手)
 また労働関係調整法の三十七條の規定でありますが、これはいままでの各政党の代表の諸君が質問をいたしましたことく、公共企業体に関して労働者の冷却期間が設けられて、正当なる爭議権が行使せられない責任を労働階級に負担せしめるというような態度は、明らかに労働大臣及びこの与党である民主自由党の諸君の重大なる過失であることを私は申し上げたいのである。(拍手)これに対して労働大臣はいかなる御所見があるか、明確に答弁をしていただきたいと思うのであります。
 これを要するに、この現在の労働法規の改惡は、多数をたのみとする與党、民主自由党の諸君並びに一部保守政党の諸君が、この労働法規の改惡を國会の名において全勤労階級に強要し、將來の基本的人権、さらに労働階級の生活を困窮せしめるところの一大陽東穂を今や投入せんとしているのである。(「経済九原則を実行するにはそれ以外にないじやないか」と呼ぶ者あり)かようなことは、実に日本の民主化及び労働組合の民主化のためには許し難い罪惡でありますので、これに対して労働大臣の決定的な御答弁を承りたいと思うのであります。
 なお、ただいまもそこで言われましたように、経済九原則に便乗して、全労働階級の犠牲と負担の上にこの法規を上程せんとするがごときことは、明らかに民主自由党の諸君及びその政府が、いかに労働階級の苦難と労働者の現在の窮乏をよそにいたしまして、一部資本家の諸君、高級官僚のために盡しているか、明白なる事実をこの議場において証明するものである。(拍手)かようなことは、およそわが國の法治國原則における憲法の規定、極東十六原則の規定、ポツダム宣言の規定に対する重大なる違反行為を労働大臣が議場において上程しているものと断ずるのである。特に官報第九十八條に規定によつて、かような行政措置あるいは法案の上程をいたすこと自身が官報の違反であることを労働大臣にお聞きしたいのである。(拍手)
 從つて、かような憲法違反行為を多数の民主自由党の諸君及び一部保守政党の諸君が行わんとすることは、まさにわが國の將來の民主化に対する一大転換であると同時に、働く者の権利が保障せられない法律であることを繰返して私は申し上げ、これに対して大臣の明快なる御答弁を願つて後段する次第であります。(拍手)
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
#27
○國務大臣(鈴木正文君) 土橋君の御質問の第一は、外面は菩薩で内面は夜叉だというようなことを言われましたが、さようなことは絶対にありませんから、どうぞご安心を願いたいと思います。
 それから、立案にあたつては民主的でなかつたという問題につきましては、先ほどからるる申し上げました通り、與えられた條件の中で、でき得る限りの方途を盡して各方面の意見を聽取し、ただ單に聞いたばかりではなしに、現実にこれを取入れておることは、この法案自体を冷静にごらんになればわかると思うのであります。
 次に、次官通牒は現行の労働法規の解釈の範囲内において当時必要な措置をとつたにすぎないのでありまして、それ以上のものではないのであります。
 次に、憲法との関係であります。今回の改正案は憲法第二十八條及び第十二條、第十三條の精神を最もよく具体化したものでありまして、こうも憲法違反ではないと信ずるのであります。このことは、労働組合法改正案第一條の目的におきまして、憲法第二十八條の規定よりも具体的かつ明確にうたつている点からしても、御了解を得られると思うのであります。(拍手)
 労働組合法改正案第二條におきまして、労働組合に加入し得る者の範囲を明確に定めておりまするが、これは現行法の規定と同趣旨のものでありまして、一に労働組合の自主性を擁護せんがための規定であります。憲法違反でないことはもちろんであります。(拍手)また、一般労働者の組織する労働組合の加入し得ない部課長等の者も、それが労働者である限りは、部課長のみの労働組合をつくりますことは少しも妨げないのでありまして、勤労者の團結権を奪うものでないことももちろんであります。
 第五條におきましては労働組合の規約に定めらるべき事項を規定いたしておりまするが、これは民主的な労働組合として当然に規定しておくべき事項を列挙したのにすぎないのでありまして、組合の自主性、民主制のための規定であり、憲法第二十八條の精神に少しも反するものでないのみならず、かような規約を備えない労働組合に対しまして、組合解散命令とか、あるいは規約変更命令というふうなものを発するような規定はまつたくないのでありまして、單に手続きに参與できず、救済を與えられないというにすぎないのであります。憲法第二十八條にいう團結する権利の保障の最低限たる團結権の自由は、本來はごうも害しておるところではないのでありまして、さらに法の規定するところの特別の保護を與えるがためには、また法の規定するところの一定の要件を備えることを法が要求することは、きわめて当然でありまして、憲法第二十八條に抵触するものではないのであります。
 第十八條は労働委員会の組織公正に関する規定でありまして、労働者の團結権、團体交渉権その他團体行動権を擁護する本法の施行を最も実情に適切なものたらしめるために、第十九條以下において労働委員会の規定を設けたものであり、これは憲法第二十八條の精神をより生かすものでこそあれ、毛頭これに違反すべきものではないと思うのであります。第二十七條及び第二十八條につきましても、憲法第二十八條を受けて労働者の團結権、團体交渉権、團体行動権を擁護し、使用者の不当労働行為の禁止を規定する第七條の規定を実効あらしめるためのものでありまして、労使の正常なる労働関係の回復を迅速かつ簡易な手続きをもつて行うために、現行法体系において許される限りにおいて、その最前と考えられる工作をとつたのでありまして、これまたごうも憲法違反ではないと信ずるのであります。(拍手)
 なお労働委員会を外局にしたことは、これは一に國家行政組織法との関係でありまして、労働引火委はそうであつても、あくまでも法の定めるところにより置く立の立場において職権を行うことに、いささかもかわりはないのであります。
 その他のこまかい点については、委員会においてお答え申し上げます。(拍手)
    〔土橋一吉君登壇〕
#28
○土橋一吉君 ただいまの私の質問に対しましての労働大臣の答弁のうち、非常に遺憾な点が多いのであります。原案は第十二條において民法の規定及び非訟事件手続法の準用を考えておるのでありますが、こういうような点について、民法は少なくとも明治二十九年にできまして、当時團体法の規定すら有しない取引関係における基礎法であるにかかわらず、かような規定をなぜ準用しなければならないか。特に民法第四十二條、四十三條における法人の権利、能力の規定においてこの規定が準用せられるということは少くとも誤りでありまして、かようなものは、憲法第二十八條の規定の範囲内において労働者が團結権、團体交渉権、罷業権、さらにあらゆる團体上の権利を持つておるにかかわらず、定款または寄付行為によつてきめられた範囲内において権利、権力を有するようなかような規定を準用するところに、労働者が十分な研究と労働立法に対する熱意を持つていないことを表明するのであります。これに対して労働大臣の明確な御答弁を願いたいと思う。
 ただいまの答弁にも、憲法第二十八上の規定には違反しておらないということをるる言つておりまするが、憲法第二十八條は少くとも奪うべからざることは、憲法第十一條及び第二十八條、第九十七條――第九十八條においては、かような憲法の規定に反するところの法律、命令及び政府の行為及び詔勅は無効である。しかもそれは、一部あるいは全部が向こうであることが明確になつておるのであります。かような点について、この法案をこの國会に上程せんとすること自身が漢方第九十八條の違反であることを労働大臣は明確に答弁すべきであると思うのであります。
#29
○副議長(岩本信行君) 島田末信君。
    〔島田末信君登壇〕
#30
○島田末信君 私は、民主党を代表いたしまして、この際提案されました労組法及び労調法の改正法案に対しまして若干の質問を申し上げたいと思います。もつとも、詳細にわたりましては委員会におきまして十分論議を盡したいと考えますがゆえに、この際はこの労働法規改正に対する根本的な労働大臣の所見を二、三お尋ねしたいのであります。
 まず第一番にお尋ねいたしたいのは、元來現行労働組合法は、終戰直後マツカーサー元帥の指示に即應いたしまして制定実施されたものでありますが、当時國際的に見ましても、きわめてこの労働法規は進歩的な府立といたしまして、労働階級を初め国民の圧倒的支持を受けたのであります。爾來、この法律を背景といたしまして、わが國の労働組合運動は世界に比類のない驚異的な、まことに異常な発達を遂げたのでありまして、この意味におきましては、本法の功績はきわめて重かつ大であつたと申さねばなりません。
 しかるに、今回政府は本法の改正を企図するに至りまして、一部少数の指導者によつて、組合員大衆は形成法案の内容を十分検討もすることなくして、頭から一途にこれを改惡と称し、反対を唱える向きもなきにしもあらずであります。(「職場大会で言つておるのだ」と呼ぶ者あり)われわれも、ある程度認めておるのでありますが、一体本改正はいかなる意図に基いて立案されたものであるか、かつまた労資双方に対しましてはいかなる利害関係を持つておるものであるか、この際十分これを鮮明しておく必要があると考えるのであります。
 先ほど來も、この点に対しましては多少質問があつたようでありまするが、まことに重大な点でありまするがゆえに、特にこの改正に臨んでの根本的な理念並びに労資の利害関係について政府の所信を披瀝する必要があるとかんがえるのであります。すなわち、現行法第一條には團結権及び團体交渉権を擁護すべき旨を明記してあるにもかかわらず、本改正案におきましてはこれを削除いたしておるのであります。改正案第一條の規定は、やや技術的に規定されておるために、その焦点がいささか明瞭を欠いておるのではないか、かように考えるのであります。
 およそ法律の改正は、現行法が実情に照して不備であるとの認識に基いて、いかにこれを是正するかということが改正の要件であるとの認識に基いて、いかにこれを是正するかということが改正の要件であることは申すまでもありません。私どもの見るところでは、諸外國と違つて、わが國の現行法は、労働運動の現実的発展という基盤がなくて、机の上において立案いたされたものであります。労働者にとつては、いわゆる與えられた法律といわねばなりません。しかして、この間一部少数の指導者の乘ずるところとなつて、はなはだしい量的な発展は大いに見受けられたのでありますが、質的に見ましては、多くの不健全なる要素が包藏されておるのであります。一部不健全組合に行き過ぎがあつたということについては、國民一般の顰蹙おかざるところであります。しかして、わが國の現状を観察した諸外國の識者がその欠点を指摘いたしましたことも一再ではなかつたのであります。われわれは、こういう実情に臨みまして、法の運営上幾多反省すべきものを認めざるを得ないのであります。
 私は、今日の労働組合が一見きわめて強固であるように見えながら、実はその基盤が脆弱であり、一般組合員大衆の團結権が十分にまだ確立されておらないということを認めざるを得ないのであります。從つて、現行法を改正する第一の要点は、区々たる組合の行き過ぎ行為の是正ということではなくして、一部少数指導者の專壇を排除し、もつて眞に一人々々の組合員の自由にして民主的に表明されたところの意思に基く團結権及び團体交渉権を保証助成し、さらに労資双方がおのおのその自主性を保持しながら相提携してわが國経済の興隆に寄與せしむることにあると信じておりまするがゆえに、この点について政府の明確なる所信をまず第一番にお尋ねいたしたいのであります。
 第二番目には、法律と現実との調和をどうすべきか、この問題であります。特にこのことは、労働問題におきましては特殊の重要性を持つておる次第であります。すなわち一面においては、労働問題は法律の規定のみで左右されるものではありません。同時に労働者諸君の生活の困窮をいかに救うかということが最も主要な問題でありまして、法規の可否を論ずるとともに、どうして計税的にこのインフレーシヨンを克服し、また労働者の生活を少くとも一歩々々ゆたかにして行く、こういう問題が重点として取上げられなければなりません。一部の政治的意図を持つ少数の指導者によつて支配される組合は別といたしまして、健全なる労働組合について見るならば、時と場合によつては、この経済的観点からいたしますならば、まことに労働爭議もゆえなきにあらずというような実情をしばしばわれわれは見るのであります。われわれは、こういう実情を率直に同情をもつて十分確認するにやぶさかではありません。
 政府は、当面これら労働運動の根源として見ねばならぬところの、あるいは低賃金、あるいは首切り、あるいは賃金遅配、こういう緒種の問題に対しまして、はたしていかなる政策をお持ちであるか。すなわち、戰後次第に生産は回復して参つたのでありますが、戰前に比べますならば、今日のわが國の経済状態は、いかなる政党が政権をとつてみましても、すわつていて飽食できるような事情にはありません。これを打開する道は経済九原則の励行という一大手術を必要とするのでありますが、かかる状況下におきまして、その苦難を文字通り國民各階層が均等に分担するということは、原則的にわれわれは十分これを実現しなければなりません。同時に、経済再建のためには、その経済活動の基本となり原動力となつておるいわゆる労働なるものが、ここに根幹として十分國のために活躍ができないならば、とうてい経済の復興はあり得ないのであります。すなわち、労働者諸君が十分に得心ができて、愛國の情熱をここに奮起せしむることが必要なのでありまして、政府はかくのごとき労働者の得心と愛國の情熱とをここに十分に発揮していただくために、これにこたえ得る経済政策似ついていかなる準備をお持ちであるか、これを明らかにしていただきたいのであります。
 第三番目には、私は今回提案されました本提案は決して基本的には不当なものであるとは、考えておりませんが、この当不当とは、本國会におきまして、何者にも拘束されない、まつたく自由な立場におきまして愼重に審議されなければならぬことは申すまでもありません。この愼重に審議し得る自由なる立場、これこそ新憲法の趣旨に基く議会民主主義の原理に即應するものであると固く信ずるのでありますが、この間いやしくも衆を擁して脅迫がましい態度に出て、その審議の自由を拘束するようなことがありましたならば、まことに新憲法下世界に恥ずべき不祥事であると思うのであります。
 世上往々傳えられるところによりますると、直接何ら関係のない経営者に対して、労働法改惡反対の名目のもとに、いわゆる政治ストをなさんとの声がしばしば聞えるのでありますが、かくのごときストは、はなはだ條理を逸脱し、世界各國において疑いなく違法であるとされておるところのものであります。はたしてわが國におきましては、政府はかくのごとき政治ストを正当なものとして認められるかどうか、これに対して所信を明らかにしていただきたいのであります。
 私は、かくのごとき爭議行為を決して妥当なものと思いませんし、同時にまたこれをおそれるものではありません。むしろ一部の不健全な指導者によつておどらされるところの組合員に対しましては、衷心より同状を禁じ得ないのであります。これらの一部不健全な指導者に対しましては、われわれは心の底から忿懣を禁じ得ないのでありますが、無辜の組合員回収のために、かくのごとき行為があります以上、われわれは断固として闘わざるを得ないのであります。今やわが國の実情は、労資の対立ではなくて、労資相ともに提携し、一体となつて協力し強調して、この九原則の重荷を突破して、経済再建を目指して進まねばなりませんが、かくのごとき際に、ここに労働法規を改正すると同時に、その裏づけとなる労働政策のいわゆる表裏一体的な運営が必ず必要になるのであります。私は、かくのごとき意味合いにおきまして、まことに簡單ではありまするが、右労働大臣の所信をただすことによつてこの質問を打切ることにいたします。(拍手)
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
#31
○國務大臣(鈴木正文君) 島田議員にお答え申し上げます。御質問の第一点は、本会製法案の要諦は單なる取締法ではなく、一部少数者の組合支配を排撃し、ここの労働者の自由な團結援、團体交渉権の擁護にあるのではないかという御趣旨でありましたが、改正法案の要諦につきましては、まつたくお説の通りであります。労働組合法三箇年間の施行の結果は、三万の労働組合、五百六十万の組合員を数えるに至りまして、その功績はまことに顕著なものがあつたのであるが、その反面、いわゆる労働運動の行き過ぎがあつたことも、またいなみがたい事実であります。現内閣の労働政策の根本方針は、自由にして建設的な労働組合の発達を期することにあるのでありまして、この目的のためには、單に行き過ぎの行為に対して法律をもつてこれを律するというのみで足りないのでありまして、むしろ労働教育、指導の面において、労働者の心からの理解と協力とを得ることが何よりも必要であるのであります。経済九原則の実施が目下焦眉の急務であり、そのために自由にして建設的な労働組合が不可欠の基盤であることにかんがみ、その発達を促すために、一部少数者による非民主的な組合支配を阻止して、労働者の個人々々の眞に自由な意思に基くところの團結と、その組合員の総意に基く自主的かつ民主的な團体交渉権その他の団体行為のの行使を擁護するための最小限の立法を行つたのであります。
 次に御質問の第二点は、当面の人員整理、賃金遅配などをどうするか、及び経済九原則の実施が一方的に労働者のみに負担をしいるがごときことがあるかという点でありまするが、労働運動におきましては、一片の法律をもつてこれが全き解決をはかるということは期しがたいので、まつたくこの点御説のとおりであります。政府におきましては、従来労働教育、行政指導の面におきまして労働者の協力を得、自由にして建設的な労働組合の発達を促すことに努力するとともに、御質問にありましたことく、労働問題の根源は経済問題にあることを認識いたしまして、緒般の政策におきましてこれが合理的解決をはかり、産業の平和を招來すべき施策に苦心して参りたいのであります、特に、当面の企業整備に伴う人員整理と失業問題、賃金の遅配に対する対策につきましては、一段と努力をいたす方針であります。
 さらに、政治的のストの認めがたいことは、先ほどからしばしば御答弁申し上げた通りであります。
 なお、先ほどの土橋議員の御質問に御答え申し上げます。民法の規定の準用は現行法を制定するにあたりまして研究した結果であり、今度の立案にあたりましても同様であります。憲法第九十八條の違反ということは毛頭考えておりません。(拍手)
#32
○副議長(岩本信行君) 石田一松君。
    〔石田一松君登壇〕
#33
○石田一松君 私は、ただいま議題となつております労働組合法並びに労働関係調整法の一部を改正する法律案に関しまして、國民協同党を代表して、労働大臣に二、三の点について質問をしたいと思うものであります。
 まず私は、先ほどから労働大臣と各同僚議員との、特に労働勢力を代表すると思われる方々との質疑應答のありさまを見ておりますと、さながらけんか口論をしていらつしやるような感じであります。特に、何だか一部政党を目標としてこの法律が改正されたというような説明をされたおうに受取られることは、まことに遺憾なことであると思うのであります。こういう際に、私たち國民協同党は、ほんとうに冷静な立場から、この法案に対して質問をしてみたいと思うのであります。労働大臣におかれても、私の質問の言葉等におきまして、あるいは一應お気に召さない言葉がありましても、私もやわらかにやりますから、あなたの法もぜひお手やわらかに御答弁を願いたいと思います。
 今年の春ごろから、労働者諸君が、労働関係法規の改惡という言葉を盛んに叫びはじめたときに、その当時私たちは、いまだ労働省の試案なるものを入手することができませんので、内容のほとんどわからなかつた私たちは、たぶんこれは労働者諸君が一方的に思い過ごしていらつしやるのじやないか、あるいはまた一部には、このことの宣傳によつて何か目的があるのじやないかというふうに、実は内心苦々しく思つていたものであります。しかるに、二月の中旬、全労働大臣増田氏のもとにおいて発表されました労働省の試案なるものをつぶさに檢討しましたときに、私は、今までは労働者諸君が改惡だと言つていたことを苦々しく感じて、それはおそらく労働者諸君の一方的な思い過ごしであると思つていたのでありますが、私はこの試案を見たときに、決して労働者諸君の改惡だという言葉が思い過ごしでなくて、改惡だと言つたのは労働者の思い過ごしであると思つた私自身の思い過ごしであつたことを私は知つたのであります。実に私は、この改正試案を見ましたときに愕然としたのであります。
 私は、労働大臣に特に第一番にお尋ねしたいと思います。世間では吉田内閣を反動だと言つておりますが、たとい、もしそれが事実反動であつたといたしましても、労働大臣は少くとも、この反動だと呼ばれる内買うにおいて、自分は労働者の慈父である、労働行政によつて労働者の利益を守つてやるのだという、ほんとうに慈父的な眞心をもつて労働行政に対処なさらないと、それこそ私は取返しのつかないゆゆしい大事が起るのではないかと思うのです。そこで私は、鈴木労働大臣にちよつとお伺いしますが、現行法に比較しまして、たとえばこの改正案なるものが、どこが民主的に、どこが自主性を帯びた案に改正されているか、それを一々例をあげて説明していただきたいのであります。
 たとえば、おそらく労働大臣は、この改正案のまず第一條第二項などをおあげになつて、いわゆる労働爭議、いわゆる労働者が労働運動の目的を達するためにやつた行為はこれを罰しないというような條文をおあげになるかもしれませんが、その最後に「正当なものについて適用があるものとする。」、もちろんこれは正当なものでなければなりませんが、私は、前にぐる、いわゆる前項の目的を達成するためにする行為であつたならば、これはもちろんもな正当なものであると思うのであります。ことに、この正当などどいう文句をここに出したことは、この正当の解釈について今後相当の問題が起こるのではないかとおそれます。労働大臣が、こうした問題は、もしこういう点が労働者の地位の向上をはかる、あるいは民主的な、自主的な方向に持つて行つたという引例であるならば、そういう点はもう御説明はいらないと思います。
 さて私は、今の質問に関連しまして、労働者のいわゆる地位の向上をはかるということを言つておりますが、はたしてこの法案のいずこに現行の組合法より労働者の地位の向上をはかつたということが現れておるのでありましようか。これを現行法を比較するならば、先ほど川崎議員も指摘しましたように、取締法的な法案に改正されている。改正よりは改惡されているといわねばならぬと思うのであります。
 さて私は、院外におけるあの労働者の本案に対する熱心なる建設的意見が公聽会あたりで述べられておりますのに、労働者自身のための法律であるこの法律に、労働者諸君の――ただいま労働大臣の説明による日本全國五百六十万全部そろつての労働者諸君の声であるところのこの改正案に対する反対意見というものが、この法案のどの点に盛られておるのでありますか。私は、試案とこの提出された火何を比較検討してみますと、この改正案は、労働者諸君の切なる要求というものはほとんど取上げないで、使用者側の公聽会で意見を吐いたその意見が大部分これに用いられておるということであります。(拍手)これでは、何のための團体檢の保証であり、あるいは爭議権の保証であるかというのであります。その点について、もしそうした箇所がこの法案にありますならば、一、二條文を遺尿して御説明を願いたいと思うのであります。
 さて私は、労働者諸君のこの強い、全國的な根強い熱心な主張を無視して、民主自由党の諸君並びに各與党の議員緒公が、現内閣の多数の力によりまして、この法案を本國会で強引に通過させました結果は、まことに恐るべきことを私は憂うるのであります。私は、労働大臣の見通しを承りたいのでありますが、労働大臣は、あの院外における労働者諸君が、地をしぼるような叫びをあげて本案の改正というものを改惡だと言つて反対しておりますことを、何らそれに耳をかさず、使用者側の公聽会における意見のみをこれに取上げておるが、これを強行して立法化することによつて、はたして困難なる九原則を実施し、自立経済に立ち返り、しかも労働者諸君の勤労意欲を盛り立てて眞の産業の復興があるかどうか、もし労働大臣がそうした見通しをお持ちならば、その根拠と理由、また信念をここに私たちに御説明を願いたいと思うのであります。
 私がここに申し上げたいことは、敗戰後四つの四万川に閉じこめられ、しかも莫大な物資を消耗した現在の日本においては、祖國を再建する唯一の資本は労働者諸君の燃えるような勤労意欲以外には残つていないとおもうのであります。その勤労意欲を阻害するかのごとき條文が本案の幾箇所にも現れております事実は、今後労働者諸君が現内閣の労働政策に落胆をいたしまして、自分たちのせつかく燃え上がつた最近のいわゆる爭議の減少、生産の復興、こうした面がまた急カーブの下降線をたどり、しかもある時期においては、その労働不安が社会不安にまで助長され、しかも國民生活に影響を及ぼすことがあつたならば、この重大なる責任は、あげて本案を強引に與党の多数の力をもつて通過させ、内閣の力をもつて強引にこれを押し通したところの現内閣とその与党の責任であるということを銘記してもらいたいのであります。
 私は、以上のことを申し上げまして、二、三の重要なる点の質問といたします。どうそ御答弁を願います。
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
#34
○國務大臣(鈴木正文君) 石田議員にお答えいたします。誠意があるかどうかという抽象的な御質問でありますが、これは誠意を持つて降りますとお答えするほか、だれが申し上げても答えのしようがないと思います。どこに自主性を高めたかという問題は、先ほどの提案理由の説明から、ただいままでの御答弁の中に、随所にその実例をもつてお答えしたつもりであります。
 それから、労働者側の意見をちつとも聞かずに、使用者側の意見を聞いて第一次試案から最終案をつくつたではないかという御質問でありましたけれども、この点については、決してそうではないのであります。さきに発表いたしました労働省試案に対する各方面からの御意見は、公平の立場から、これを十分取入れられるものは取入れたのであります。たとえば、組合側の主張いたしました幹部労働組合の明文の廃止、團体交渉の單位の制度の廃止、労働委員会の委員資格の簡素化、不当労働行為の手続の簡易迅速化、爭議行為の予告制の廃止等は、すべてこれは取入れておるのでります。なお、これらの点につきましては詳細なる表をもつてお答えすることもできるのでありまして、使用者側の意見よりも労働者側の意見をより少く取入れておるという事実は絶対にありません。この問題につきまして、さらに必要でありましたならば、一つ一つの具体的の表をもつて、別の機会にどれだけ〇入れておるかということをお答えしてもいいのであります。(拍手)
#35
○副議長(岩本信行君) 次は石野久男君。
    〔石野久男君登壇〕
#36
○石野久男君 私は、労働者農民党を代表しまして、ただいま上程されておりまする両案に対しての質疑を行います。質疑に先立ちまして、私どもは、今度示されました改正法案の試案に対しましての党としての質問を行う立場を明白にしておきます。
 私どもは、現状におきまして、憲法第十四條におきましては、國民はすべて法のもとに平等であるといつておりまするけれども、労働者は決して平等な立場に置かれていないということをはつきり申し上げたい。労働者は、権力のもとにおいては不平等なる彈圧を受けております。資本主義社会のもとにおきまして、無慈悲なる不平等をしいられておるのでございます。昨年の八月二十四日、日立市におけるあの労働者に対する官憲の彈圧、また去る大阪におきましての官憲の彈圧のごときを諸君らが見まするならば、決して労働者は法のもとにおいて平等を與えられておるとは言えないのである。(拍手)また、今日この生活が逼迫しておる時期において、労働者の諸君は、給料がいまだその月の通りにおいても三分の一さえも拂われていないという事実、このような次いつは、はたしてわれわれに対して十分なる保証が與えられておると言えるでしようか。これは絶対に與えられていないということを建前としなければならない。私たちは、そのような建前から、労働者が眞に憲法の第十四條におけるところの平等を保証されるためには、一層法的には擁護され育成されなければならないというたちばをとることを、はつきり申し上げるのでございます。
 また第二には、経済の安定と再建のために行われる一再の試みは、労働者に対する最低生活の保障なくしては絶対にその目的を達成することができ得ないということを申し上げたい、私たちは、最低生活の保障が労働者に與えられない限り、いかなる再建方策も、日本の復興方策も達成し得られないということを主張するものである。
 また第三には、憲法第十一條におきまするところの基本的人権、あるいは團体権あるいは團体交渉権、團体行動権は、いかなる場合においても守られなければならないし、またそれは制限が加えられてはならない。この三つの観点から今日の改正法案を見るのでございます。
 私どもは、そのような観点から、まず政府はその改正の基本方針として、労働組合法及び労調法施行の経驗と緒般の情勢の推移にかんがみ、こういうふうに言つておられるのでありますが、この「緒般の情勢の推移に」ということについては、先に土橋君からの質問がありましたが、十分なる説明を聞きとつていないのでございます。私は、これに対しまして、労働大臣に改めてはつきりした御答弁をいただきたい。なお、この三年間にわたるところの経驗という言葉が使われておりますが、平常あり來たりの経驗という言葉、この言葉の中に、明らかに民主自由党の反動性が隠されておる。(拍手)また吉田内閣のその反動性が暴露されておると言わなければならない。
 私どもの経驗えおもつてすれば、三年間の労働運動の経驗においては、むしろわれわれはもつともつと法的に労働組合の育成が保証されなければならないと感じております。はたして政府が施行の経驗にかんがみという、その経驗とはいかなるものを指すものであるか、具体的に、はつきりと、われわれの了解の行くような点を示してもらいたいのである。これは全国の労働大衆が最も関心を持つて民主自由党の反動性の所在を確かめようとする二つの文字であると私たちは思つておるのであります。この改正の基本方針の、経驗にかんがみということは、私どもの党といたしましては、権利を剥奪したり、あるいは制限すべきではなくして、むしろ現行の法令、労働法が一層強く労働者に対しての権利を保障され、またその権利が伸張させられるべきものであるということを、私たちはこの基本方針として示された文字に対して、はつきり党の立場を申し上げておきたいのでございます。
 第二には、「自由にして建設的な労働組合運動の助成を一層促進し」ということがこの改正方針として述べられておるのであり、また法の趣旨として述べられておるのであり、また法の趣旨として申されておるのでございまするが、しかし、法の第二條あるいは第五條、第十一條、第十二條のその内容は、決して建設的な労働運動の助成を一層促進するものではないのである。ことに第十二條におきまするところの内容は、かえつて憲法第二十八條に保証されておりまするところの組合の團結権あるいは團体交渉権あるいは團体行動権に対する干渉、介入を意味しておるものと信ずるが、労働大臣はどのように存じておるか、はつきりした答弁をいただきたいのでございます。私どもの感ずるところによれば、むしろ憲法第二十八條の精神が改正案の全部を通じてゆがめられて貫かれておると信ずるのでございまして、これは民主自由党及び吉田内閣が故意に勤労大衆を押えつけんとするところの意図的な策謀を現わしておるものであると信じておるものでございますが、この点に関して、はつきりした答弁をいただきたいのでございます。
 次には、法の第一條には「労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより」ということが言われておりまするが、私どもは、先にも言つたように、労働者は今日使用者との間においては決して対等の立場に立つておるのではなくして、むしろ逆に今後一層強く対等の立場を保証され、あるいはまた育成されなければならない立場に立つておると存じております。しかも、過去三年間の経驗をもつてすれば、われわれは一層その感を強くするものであります。
 しかるに、法の改正が巷間に傳えられるに至りましてから、特に資本家側からの声といたしまして、過去の労働運動におけるところの労働組合の行過ぎということが主張され、それが押えられなければならないということが日経過の諸君から強く主張されたのであります。政府は、この法の中に盛つております「対等の立場に立つことを促進することにより」という、この対等の立場という意味は、はたして日経過の諸君が言うがごとく、労働組合の運動が行き過ぎであるから押えなければならないという意味においての対等であるか、あるいはまた、われわれが意味するところの、もつともつと育成され保障されなければならない、労働者の低い立場を引き上げて行かなければならないという意味であるかということを、はつきり御答弁願いたいのでございます。
 われわれには、この法の全体を通じまして、労働者の対等の立場を保障されるどころか、一層強くその團結権や交渉権が制約される姿が見られるのでございます。はたして第一條の趣旨がそのようなものであつたとするならば、労働法が労働者に対する保護法ではなくして、取締り彈圧法であると言つても過言ではなく、そのことがもし政府の趣旨であるとするならば、これこそ労働者に彈圧的な民主自由党の反動政策の露骨な現われであると言つても過言ではないと思うんでございます。はつきりした御答弁をいただきたいと存じます。
 次には、第一條の労働者の地位の古城をはかるということの関して、「経済の興隆に寄與する」ということが省かれておることに対する先ほどの質問に対して、労働大臣は、もちろんそのようなことは常識化されておるから書かなくてもいいのだと御答弁なさつております。はたしてそれでこの國会の諸君が納得するでしようか。われわれは、そのようなことでは納得できない。全國の勤労大衆は、そのようなことでは納得できないのであります。(拍手)われわれは、現行法における第一條の目的規定におきましても、すでにその規定の範囲が狭小であり、これを一層廣めなければならないという主張を持つておるのでございます。しかるに、新しい改正法によりましてのは、ただ單に労働者の地位の向上をはかるということのみに限定され、政治的に、社会的に、文化的に、われわれの要望するそれらの地位の向上をはかるべきことを規定するはもとより、すでに現行法においてはつきりと規定されております「経済の興隆に寄與する」ということさえもなくしておるということは、われわれの主張を故意に肩すかしするためのみの意図をもつて削除されたものであるかどうかということを、はつきりと御答弁願いたいのでございます。
 私たちは、いろいろと各般についての質疑を持つておりますけれども、本改正案が、その最初から末頃にわたるまでの全部を通じて、民主自由党がただ單に資本家陣営の代弁者としての政府のあり方を規定しているものであつて、それ以外の何物でもない法案である、このように見るものでございまして、吉田内閣は、はたしてそのような意図のもとにおいてこの法の改正をなされるのであるかどうか、最後にはつきりと御答弁願いたいのでございます。
 以上をもつて私どもの党派の質疑を終るものでございます。(拍手)
    〔國務大臣鈴木正文君登壇〕
#37
○國務大臣(鈴木正文君) 石野議員にお答え申し上げます。
 労働組合法施行後の三年間においての経驗という意味は。決して御指摘のような意味だけではなくして、一方におきまして労働爭議の行き過ぎというような面もあつた。たとえば、ある場合にはマツカーサー元帥の声明を煩わさなければならないような場面もあつた。これらも一つの経験であると同時に、こういう面のみでなく、たとえば使用者側の不当労働行為というものにつきましても、現行法では十分にこれを防止し得なかつた点もあるというような、両面を意味しておるのであります。また彈体交渉、労働委員会の活動党に対する手続、慣行等の上におきましても、経驗と教訓の多くが三年間に残されたのでありまして、そういつたものを取入れるという、ごく表面から見た通りの平面的な意味に違いないのであります。
 それから、労働法第五條、第七條、第十二條等は憲法第二十八條違反ではないかという御質問は、先ほどから繰返して申しました通り、改正法案の第五條その他は組合の自主性、民主性を保障するための規定でありまして、憲法第二十八條、第十二條、第十三條の精神を最もよく連絡して生かしたところの表現であり、決して憲法違反とは考えておらないのであります。
 なお「経済の興隆に寄與する」という言葉を削つたことにつきましても、先ほど申しましたような意味にほかならないのでありまして、それ以上の御指摘のような意味は決して含んでおらないのであります。(拍手)
#38
○副議長(岩本信行君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#39
○副議長(岩本信行君) 農林大臣より東海、近畿地方の一部における雹害について報告のため発言を求められております。この際これを許します。農林大臣森幸太郎君。
    〔國務大臣森幸太郎君登壇〕
#40
○國務大臣(森幸太郎君) 四月二十一日の夜に、東海、近畿地方の一部に雹害があつたのであります。この問題につきまして、川本末治君、多武良哲三君、早稻田柳右エ門君より、書面をもつてその状況ならびに善後処置についての御質問があつたのでありまするが、政府といたしましては、本日その大体の状況を御報告いたしたい考えを持つておりましたので、この機会に皆様にお聞き取りを願いたいと存ずるのであります。
 いまだ全部の報告がまとまつておりませんが、二十五日付において、おもな地方の報告が参つておるのであります。岐阜、愛知、和歌山、滋賀、石川方面、また福井もたぶんその範囲と考えておるのでありまするが、まだ報告は参つておりません。岐阜縣におきましては被害町歩が千百八町歩、愛知縣におきまして二千八百二十町歩、和歌山縣において五十町歩、そのうち皆無と認め得られるものが、岐阜縣において三百町歩、愛知縣において八十七町歩でありまして、石川縣はすでに苗代の播種をいたしておりまして、この損害面積が百五町歩と推定されておるのであります。
 これらの問題は、御承知の通り雹害はただちにその被害の状況を決定することはできませんので、むしろ一週日ないし旬日を経過した後において、ほんとうの状況がわかるのであります。政府におきましては、ただちに調査委員を派遣いたしまして、目下実情を調査いたしておるのであります。石川縣は、縣より職員が参りましてこの実情を訴えられましたが、さつそく苗代の播種をしなければなりませんために、硫安二十三トン、過燐酸石灰二十三トンを特に配合いたしまして、苗代更正を期待いたしておるのであります。なお調査に参りました結果において善後処置を講じたいと考えておるのであります。
 すでに麦作が中途において挫折いたしたのであります。また今後作付けいたしますものは、かんしよ、もしくは夏作でありますので、それらに対しましても地方に十分適切なる肥料等の加配も考えておるのであります。また災害等におきましても、この雹害等の災害に対して保険制度の活用等も考慮いたしておるのでありますが、この調査の結果によりましては、あるいは課税方面に対しましても考慮を拂わなければならぬと思うのでありますが、將來この調査の結果によりまして、さらに具体的な方策を立てたいと存じておるのであります。
 とりあえず、今日わかつております報告に基きまして以上の処置をとりましたことを、この機会に御報告いたす次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
#41
○副議長(岩本信行君) 政府支拂促進に関する特別委員会の委員を指名いたします。委員の氏名は参事をして報告せしめます。
    〔参事朗読〕
 政府支拂促進に関する特別委員
   大上  司君  岡野 清豪君
   鹿野 彦吉君  小峯 柳多君
   小山 長規君  澁谷雄太郎君
   島村 一郎君  庄司 一郎君
   首藤 新八君  高間 松吉君
   田中 啓一君  飛嶋  繁君
   中村  清君  平島 良一君
   平野 三郎君  南  好雄君
   村上  勇君  今澄  勇君
   上林與市郎君  西村 榮一君
   荒木萬壽夫君  千葉 三郎君
   川上 貫一君  河田 賢治君
 逢澤  寛君  早稻田柳右エ門君
   内藤 友明君  羽田野次郎君
   河口 陽一君  石野 久男君
#42
○副議長(岩本信行君) ただいま指名いたしました委員諸君は、本会議散会後第十一委員室に御参集の上、委員長及び理事を互選せられ、その結果をお届けあらんことを望みます。
    ―――――――――――――
#43
○山本猛夫君 議事日程は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#44
○副議長(岩本信行君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト