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1949/05/17 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第31号
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1949/05/17 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第31号

#1
第005回国会 本会議 第31号
昭和二十四年五月十七日(火曜日)
 議事日程 第二十九号
    午後一時開議
 第一 経済安定本部設置法案(内閣提出)
 第二 文部省設置法案(内閣提出)
 第三 地方自治廳設置法案(内閣提出)
 第四 外務省設置法案(内閣提出)
 第五 古物営業取締法案(内閣提出)
 第六 道路交通取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第七 測量法案(内閣提出、参議院送付)
 第八 公認会計士法の一部を改正する法律案(宮幡靖君外二名提出)
 第九 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関出張所、税関支署出張所及び税関支署監視署の増設に関し承認を求めるの件
 第十 全國統一的土地調査促進に関する決議案(坂本實君外二十七名提出)(委員会審査省略要求事件)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第十 全國統一的土地調査促進に関する決議案(坂本實君外二十七名提出)
 日程第一 経済安定本部設置法案(内閣提出)
 日程第二 文部省設置法案(内閣提出)
 日程第三 地方自治廳設置法案(内閣提出)
 日程第四 外務省設置法案(内閣提出)
 阿波丸請求権の処理のための日本國政府及び米國政府間の協定等の違憲の疑義についての緊急質問(志賀義雄君提出)
 日程第五 古物営業取締法案(内閣提出)
 日程第六 道路交通取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 測量法案(内閣提出、参議院送付)
 日程第八 公認会計士法の一部を改正する法律案(宮幡靖君外二名提出)
 日程第九 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関出張所、税関支署出張所及び税関支署監視署の増設に関し承認を求めるの件
    午後一時四十五分開議
#2
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(幣原喜重郎君) この際一言いたします。去る五月十四日の本会議におきまして椎熊三郎君の討論中、不穏当なる言葉があつたと認められまするから、椎熊君において自発的にその点をお取消しになる御意思はありませんか。
#4
○椎熊三郎君 私が、十四日の本会議で不穏当なる発言をいたしましたが、議長のせつかくの御注意でございますので、この際これを取消します。
     ――――◇―――――
#5
○山本猛夫君 この際議事日程の順序を変更し、日程第十は提出者の要求の通り委員会の審査を省略し繰上げてこれを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#6
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程の順序は変更せられました。
 日程第十 全國統一的土地調査促進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を求めます。坂本實君。
    〔坂本實君登壇〕
#8
○坂本實君 ただいま議題となりました全國統一的土地調査促進に関する決議案に関しまして、私は各党各派を代表いたしまして趣旨の弁明を行いたいと思うものでございます。
 まず決議案の内容を朗読いたしましす。
   全國統一的土地調査促進に関する決議
  わが國経済の再建を自主的且つ効果的に進めるためには、わが國産業の基幹たる農業、林業に対する政策を積極且つ合理的に進めなくてはならない。かくて土地に関連する幾多の施策を必要とするのであるが、それが適切妥当にして、しかも能率的であるためには、立案の基礎資料となる土地調査そのものが、全國統一的に正確完全に行われていなければならない。
  しかるにわが國において現在用いられている土地台帳その他調査資料はいずれも古く、断片的又は杜撰であつて、土地の面積、地目、地方等に関する統一的な基礎調査がなく、歴代内閣の産業政策遂行上、多大の障碍をなしており、文化國家としてはなはだ遺憾とするところである。よつて政府は、これらに関する全國統一的調査を敢行し、これによつて山林、原野、耕地、牧野、河川、湖沼等の実態を把握し、その基礎の上に立つて、これらの綜合利用計画を樹立し、産業計画に科学性を期するとともに、土地に関連する一切の施策を具体的且つ効果的たらしめるよう速かなる機会において、強力なる措置を講ずべきである。
  右決議する。
以上が決議案の内容でございます。本案に対しまして、いささか趣旨の弁明を行います。
 いまさら申すまでもなく、日本は今次の敗戰によりまして、海外における勢力圏のすべてと、國土の四四%に上る領土を失つたのでありまするが、残された土地をいかに有効に利用すべきかにつきましては、國民をあげて眞劍に考究すべき問題であります。しかるに、今日残された土地はいかなる状態にあるでありましようか。現行土地台帳法は地目、地積等について正確なる事項を登録するよう命じてはおりますが、遺憾ながら今日の科学的技術をもつてその実態が明確に把握されているとは申されないのであります。
 日本で土地の面積等を測定いたしました歴史は、大化の改新当時と、豊臣秀吉によるいわゆる太閤換地と、明治初期に行われたものと、わずかに三回にすぎないのであります。しかるに、これらの調査も、当時の技術水準が低かつたこと等のために、科学的な正確さをもつて確認されたわけではないのであります。その結果、わが國においては科学的な総合計画は一つも立てられなかつた。國土計画、地方計画、産業立地計画、水利計画、交通計画等の総合計画がなかつたことが今日の日本の失敗を招いた大きな原因といわねばならない。しかも、小さくなつた日本は、今後は今まで以上に、國土全体について最も効果的な総合計画によつて復興再建をはからねばならないと思います。
 また当面の問題として食糧供出の問題があります。常に割当不公平が叫ばれておりますが、これが解決は全國統一的土地調査を早急に実施して、その不公平を是正する以外に良法はありますまい。從つて、この際土地に関連する総合的諸計画樹立の基礎でありますと同時に、当面の食糧供出、割当の公正その他各種土地についての政策を科学的に有効適切なものとするためには、全國的に統一的方法によつて土地面積、地目、地方等を正確に把握すべきであろうと思うのであります。
 本事業は日本再建の基礎をなすものであり、もちろん曠古の大業であります。しかし、今や國土の大半を失い、明治以來八十年の発展を一切御破算にして再出発をするわが國といたしましては、何よりもまず、みずからがよつてもつて立つ基礎であります土地の実態を明確にしておくことは、われわれみずからのためになすべきことであるばかりでなく、われわれの子孫のためにも当然今断行しておくべきであろうと思います。そして、かかる事業は早く着手すれば早く着手するほどその効果は大きいのであります。一時多少の困難がありましても、必ずやそれによつて日本の再建が成就するものと信ずるのであります。
 ところで、全國的に統一的な土地調査をなすには、まずもつて測量制度が確立していなければなりません。幸い、測量制度は本日の第七号議案になつております測量法が可決することによつて、その準備は整うわけであります。全國統一的土地調査促進に関する決議案を、測量法が可決されますと同じ会議に上程いたしましたことは、偶然とは申しましても、まことに意義深いことと思います。私は、全國統一的な土地調査の実施が当面の生産問題に解決の指針を與えると同時に、國家百年の大計の基礎となるよう二面の意義を指摘し、よろしく官民一致の努力の結果この大事業が一日も早く実施し得る運びとなるよう要望するものであります。何とぞ御賛同あらんことをお願いする次第でございます。(拍手)
#9
○議長(幣原喜重郎君) 他に御発言もなければ、ただちに採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
 この際農林大臣より発言を求められております。これを許します。森農林大臣。
#11
○國務大臣(森幸太郎君) ただいま全員一致をもつて御決議になりました土地調査の問題について、一言政府の所見を述べたいと存じます。
 ただいまお述べになりました通り、食糧問題を解決する上におきましても、その基本たるべき國土の実際がはつきりとしておらなければならないのであります。今日の國土情勢は戰爭のために非常に荒廃いたしまして、地目等のごときも、ほとんど混乱をいたしておるような情勢であります。今日食糧確保のために調査法をもち、あるいは森林法等におきましては施業案等によりまして調査はいたしておりますけれども、なかなか容易ならざる問題でありまして、その解決は簡單にこれをなし得ないのであります。しかしながら、一体日本の國土がどういう情勢にあるかというこの実態を把握せずして、はつきりしたこの食糧問題なりその他の政策をきめることは不可能なことであるのであります。
 政府におきましては、この点に向つて、ぜひはつきりいたしたわが國の現状を把握いたしたく考えておるのでありまするが、相当この問題には経費も要することでありまして、また画期的な大事業であります。このことにつきまして、本日満場の御決議によりまして、この調査をいたすべしという御決議になりましたことは、まことに今日日本の現状に対する、そのあらゆる施策をなすべき根拠を把握すべき基礎とされたものでありまして、政府の日ごろ考えておりますことと合致するのであります。政府はこの御決議を尊重いたしまして、すみやかにこの調査の基本を立て、皆様の絶大なる御協賛を得たいと考えておるわけであります。一言政府の考え方を申し上げる次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
#12
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、経済安定本部設置法案、日程第二、文部省設置法案、日程第三、地方自治廳設置法案、日程第四、外務省設置法案、右四つの法案は同一の委員会に付託された議案でありまするから、一括して議題といたしましす。委員長の報告を求めます。内閣委員長齋藤隆夫君。
    〔齋藤隆夫君登壇〕
#13
○齋藤隆夫君 ただいま議題となりました経済安定本部設置法案、文部省設置法案、地方自治廳設置法案、外務省設置法案、以上四種の法案につきまして、内閣委員会の審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 本案は、國家行政組織法の施行及び行政機構の改革に伴い、從來総理廳の外局でありました経済安定本部を、現下のわが國における経済安定の基本的施策の立案とこれに関連する各行政機関の事務の総合的調整の任務を遂行するため、國家行政組織法第二十四條に基きまして、昭和二十五年五月三十一日をもつて終る臨時的の機関として設置しようとするものであります。すなわち、総裁には内閣総理大臣、総務長官には國務大臣をもつて充てまして、その補佐として副長官一人を置くものであります。内部組織としては、四局、次長七人及び二部を減じて一官房、六局、次長八人及び一部として、さらに從來総理廳の外局であつた物價廳、経済調査廳及び外資委員会を外局として取入れておるのであります。これらの機構は、物價廳が一部を減じて四部となつたほかは、何らの変更を見ないのであります。なお、経済安定本部が本來の任務を遂行する上に民間有識者の見解を強くその施策に反映させるため、從來通り顧問及び参與をいずれも二十人以内置くことにいたしております。附属機関及び地方支分部局たる地方経済安定局には何らの変更も加えず、本年六月一日から施行しようとするものであります。
 本案は、去る四月二十二日、本委員会に付託されまして、ただちに政府の説明を聞き、経済安定委員会と連合審査会を開き審査を進めて参りましたが、本案に対し民主自由党の池田委員から、官房次長一人を二人に、生産局及び生活物資局の次長一人をそれぞれ二人に改め、物價廳長官には経済安定本部総務長官たる國務大臣をもつて充てることを定めるとともに、物價廳の権限についてこれを明らかにするほか、字句について所要の訂正を加えようとする修正案が、また民主党の有田委員から、次長は原案通りとし、物價廳長官には経済安定本部総務長官たる國務大臣をもつて充てること、物價廳の権限を明らかにすること、並びに所要の字句訂正のほか地方経済局と地方物價局とを統合し、地方機関を簡素化する修正案が提出されましたが、五月十六日討論採決の結果、多数をもつて有田委員提出の修正案は否決せられ、池田委員提出の修正案の通り終生決議したのであります。
 次に文部省設置法案について申し上げます。
 本案は、國家行政組織法の施行及び行政機構の改革に伴い、文部省における從來の中央集権的監督行政の色彩を一新して、教育、学術、文化のあらゆる方面について指導助言を與え、かつこれを助長育成する機関たらしめることを根本方針として機構を簡素化するとともに、その任務及び権限を明確に定めようとするものであります。内部部局におきましては、二局及び次長制を廃止して一官房、初等中等教育、大学学術、社会教育、調査普及及び管理の五局及び管理局内の教育施設部となし、國立学校については別途國立学校設置法において規定することとなつております。國立博物館以下八機関については大体において從來通りでありますが、國立博物館、國立教育研究所、國立科学博物館、國立遺傳学研究所、統計数理研究所の五つの機関については、民主的運営をはかるため、助言機関として二十人以内の学識経験者からなる評議員会をそれぞれ設けることになつております。なお地方支分部局といたしましては、現在の文部省教育施設局出張所を文部省教育施設部出張所と改称して、現在の通り設けることにいたしております。そのほか、新しい教育行政における過渡的事務については必要な経過規定を設けまして、本年六月一日から施行せんとするものであります。
 本案は、去る四月二十二日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、文部委員会との連合審査会を開き審査を進めて参りましたが、本案に対し民主自由党の池田委員から、文部省の所掌事務のうち他の行政機関に属する研究機関に関する事項を除くとともに、字義を明瞭にするため所要の訂正を加える修正案が、また民主党の有田委員から、字句訂正とともに体力振興のため社会教育局に体力部を設けようとする修正案が提出せられたのであります。五月十六日討論採決の結果、多数をもつて、有田委員の修正案は否決され、池田委員提出の修正案の通り修正議決いたしたのであります。
 次に、地方自治廳設置法案について申し上げます。
 本案は、國と地方公共團体との連絡及び地方公共團体相互間の連絡協調をはかるとともに、國家公益と地方公共団体の自主性との間に調和を保ちつつ地方公共団体の自治権を擁護して地方自治の本旨の実現に資する目的をもつて、現在地方自治に関する行政部面を担任しておりまする総理廳官房自治課と、財政部面を担当しております地方財政委員会とを統合し、総理府の外局として地方自治廳を設置しようとするものであります。これは、從來行政面と財政面とを別個の政府機関が掌理している不便を克服いたしまして能率的な行政運営を期するとともに、地方自治廳設置の趣旨に基く新たな地方自治に関する総合連絡に関する事務を処理せんとするものであります。
 この任務遂行の制度的保障といたしましては、地方自治に影響を及ぼす國の施策の企画立案及び運営に関し必要な意見を内閣及び関係行政機関に申し出ること、及び國家行政組織法案第十六條第一項の規定による地方公共団体の長の申出を受理し、これに関する調査を行い、関係各大臣に対し必要な指示をなし、その他適当な措置を講ずることが規定されております。
 さらにその組織につきましては、國務大臣をもつて長官とするとともに、衆参両院議員のうちから各院の使命した者それぞれ一人、全國都道府縣知事、市長及び町村長のそれぞれの連合組織がその代表者として推薦した者それぞれ一人並びに学識経験者一人、都合七人の地方自治委員をもつて組織する地方自治委員会議を置くことにいたしてありますが、地方自治廳は所掌事務の重要な事項については地方自治委員会議の意見を聞かなければならないこと、及び委員会は地方自治廳の所掌事務に関して関係機関に意見を提示することができることになつております。内部部局といたしましては、官房のほか連絡の事務及び現在の官房自治課の所掌事務を行う連絡行政部と、地方財政委員会の所掌事務を行う財政部との二部が置かれておりまして、本年六月一日から施行しようとするものであります。
 本案は、四月十八日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、特に地方行政委員会との連合審査会を二回にわたつて開く等慎重な審査を進めて参りましたが、本案に対し、地方自治委員会議の委員六人を十二人となし、学識経験者を三人増して四人とするほか、全國の都道府縣議会、市議会並びに町村議会の議長のそれぞれの連合組織がその代表者として推薦した者それぞれ一人を加え、かつ権限事項中に自轉車競走を行うことができる市町村を指定することを加えるとともに、地方自治委員会議を議決機関とする修正案が提出され、五月十六日討論採決の結果、多数をもつて修正案の通り修正議決いたしました。
 次に、外務省設置法案について申し上げます。
 本案は、國家行政組織法の施行と行政機構の改革に伴い、從來の外務省の機構を簡素化するとともに、外交再開のあかつきに備えての整備をはかり、その任務及び権限を明確に定め、かつ所掌する行政事務の遂行に能率的な組織を定めたものであります。内部部局におきましては、從來の一官房、五局、二部一所が一官房、政務、條約、調査、管理、連絡の五局、情報の一部となり、情報部は政務局内に、また外務省研修所及び中央連絡協議会が附属機関として置かれてあります。連絡局は総理廳の外局であつた連絡調整事務局を縮小整理したもので、從來の特殊財産局は賠償廳に統合されることになつております。また地方支分部局としての連絡調整事務局につきましては、入來の四十張所を廃止して十一局を存置することにいたして、本金六月一日から施行しようとするものであります。
 本案は、四月十八日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、特に外務委員会との連合審査会を開いて審査を進めて参り、民主党有田委員より、今後外務省は國際通商面に十分努力せられたく、政務局は政治経済局とすることを妥当とするとの強い希望が開陳されましたが、五月十六日討論採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#14
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。順次その発言を許します。門司亮君。
    〔門司亮君登壇〕
#15
○門司亮君 私は、ただいま上程されました経済安定本部設置法案並びに文部省、外務省、地方自治廳の各設置法案に対しまして、社会党を代表いたしまして反対の意思表示をするものであります。以下、反対の理由を申し述べたいと思います。
 第一の理由といたしましては、各省の設置法案と並行されて審議さるべき――昨日も成田議員から申し上げましたように、いまだ定員法が十分の見通しのついておりませんときに、これと密接不可分の関係を持つ本法案の審議に対しましては反対せざるを得ないのであります。
 以下、具体的に内容にわたつて、ごく簡單に申し上げたいと思うのでありますが、安定本部設置法案に対しましても、予算措置と実体の間には大きな齟齬を來しておる点が幾多あるということであります。
 さらに文部省設置法案におきましては、ことに從來ありました体育局を廃止してこれを社会教育局の一部局とするに至つたということは――現在の日本は國民体位の向上がきわめて重要であり、かつ諸般の事情は國民体位をややともいたしまするならばきわめて低い水準に追い込んで、日本民族の体位の低下を來しつつあることは御承知の通りであります。しかるにもかかわらず、この國民体位に関して最も重要な要素であるべき体育局を廃するに至つたということは、時代錯誤もまたはなはだしいものであるといわなければならないのであります。
 さらに第九條における大学教育並びに学術の研究に対しまして、國庫補助をもつてこれに当つておるのでありまするが、從來國立大学の設立されましたゆえんは、すでに諸君も御承知の通り、わが國の教育学術をきわめて科学的に高度化することのために、特にわが國においては大学を設立して参つたのであります。しかるにもかかわらず、これの費用を單に國庫補助にまつというような事態になつて参りまするならば、当然この大学設立の趣旨に反しまするとともに、自治並びに教育の研究のためにきわめて多くの支障を來すであろうということであります。從いまして、われわれはこれらの財政的処置に対しましては、当然全額國庫補助をもつて眞に学術の研究と科学の水準の向上に努めることこそが敗戰後の日本における平和國家建設の最も重要な要素でなければならないと思うのであります。しかるに、この点が本法案において補助金の程度にとどめられておりますることについては、きわめて多くの不満を持つものであります。
 さらに外務省の設置法案でありまするが、その内容といたしまするものは、やがて來らんといたしまするわが國の講和條約後における貿易の処置に対しまするところの幾多の欠陥を持つておるということであります。わが國が平和國家として立とうといたしまするならば、わが國の経済的自立と、最も大なるものは平和会議後における貿易の振興と、それらの施設でなければならないのであります。ことに平和國家であるわが國の外交は、この方面に全力を集中すべきであるにかかわりませず、本外務省設置法案におきまして、それらの点がきわめて微弱であるということは、われわれは遺憾に存ずる次第であります。
 さらに自治廳設置法案でありまするが、自治廳設置法案は、すでに説明にもありました通り、從來総理廳の内部における地方財政委員会と自治課とを統合いたしまして、これを一應にするという案であります。われわれは、かつて日本の官治行政、官僚の中央集権的政治を廃することのために内務省を解体いたしまして、かつての内務省の再建をはかるがごとき態度に対しましては、断固として反対せざるを得ないのであります。
 さらに、その内容といたしまするところの自治委員会の構成でありまするが、自治委員会の構成につきましては、原案よりやや進歩したとは申しながら、その委員の選出において、衆参両院議員の一名を認め、あるいは都道府縣並びに市町村の行政機関の代表者を入れ、さらにこれに決議機関の代表を加えたということは一段の進歩であるかのごとく見えますが、きわめてわれわれが遺憾に考えまするものは、その中に、当然加わるべき地方公共団体に所属いたしておりまするところの地方公務員の代表者が含まれていないということであります。これは多少の異論はあるかと思いますが、專賣公社法案の中にも、その職員の代表がその経営の中に加わる。さらに鉄道公社法案にいたしましても、同じように資本の代表者、從業員の代表者というものがおのおのの運営の機関に入つているということは御承知の通りであります。しかるにもかかわらず、この地方公共団体の運営は、これらの公共企業体とほとんどかわりのない、実際現場において仕事をやつて参りまする現業廳であるということを考えまするならば、あるいは專賣公社法案、あるいは鉄道公社法案とほとんど内容を一にするものであるということが言い得ると思うのであります。かくのごとき立場から検討たいしますれば、当然そこに働き、そこに從事いたしております地方公務員の代表者をこの中に加えることこそがほんとうの民主的な法案であるということを、私はここに強く指摘いたすのであります。しかるにもかかわらず、これらの諸君がその案の内容の中に入つていない。
 さらに、この自治委員会を決議機関といたしましたことにつきましては、政府原案の諮問機関よりも一應進歩した感じを持つておりますが、しかしながら、この自治委員会が決議機関に相なりますれば、当然この決議機関の議長は互選さるべきものでなければならないのであります。しかるにもかかわらず、本法の十二條には、依然として國務大臣をもつてその議長に充てるということが明記されているのであります。
 かつて本議場において申し上げました地方配付税の特例に関する法律案の際に、諸君御承知の通り、木村國務大臣は、一方においては地方財政委員会の委員長として、一方においては國務大臣としての立場にありますることのために、その態度がきわめてあいまいであり、ことに地方財政委員会の意見を強く閣議に反映することができなかつたという、この大臣みずからの経験に徴しましても、当然本法案の中の議長は互選さるべきものでなければならないのであります。議決機関の議長が官制による大臣でありまするならば、いかに議決機関において強く地方財政完備のために主張すると申しましても、大臣は閣議に列して國務大臣として審議いたしまするときに、おそらくは國の財政と國の処置に味方するであろうということは、過去の木村大臣の例をとつてみましても明らかな事実であります。かくなりまするならば、せつかくできて参りましたこの自治委員会が、決議機関でありながら、その実体は依然として諮問機関であるということをここにはつきりと暴露しておるものであると、私は申し上げます。
 以上の理由によりまして、きわめて簡單ではございましたが、ただいま提案されました四省設置法案に対しまして、日本社会党は反対の意思表示をするものであります。(拍手)
#16
○議長(幣原喜重郎君) 川本末治君。
    〔川本末治君登壇〕
#17
○川本末治君 私は、民主自由党を代表いたしまして、ただいま上程せられておりまする法案のうち地方自治廳設置法案につきまして、委員長の報告にかかる修正に賛成するとともに、修正以外の部分につきましては原案に賛成う表せんとするものでございます。以下、簡單に賛成の理由を申し上げます。
 御承知のごとく、内務省の解体によりまして一應地方公共団体の自主的体制は確立せられましたが、事実は、地方公共団体は中央において自己を代表し、自己の立場を主張してくれる正当な機関がありません。この点において、はなはだ心細いものがありましたので、地方自治に関する総合的連絡調整機関を政府部内に設置せられたいとの要望は、全國地方公共団体一致の主張でありました。
 思うに新憲法は、地方自治に関しまして特に一章を設けて、地方自治の保障はわが國の政治組織の基本原理であることを明記しております。この際地方自治の確立を期することの喫緊時であることは申すまでもございませんが、地方自治確立のためには、これが財政的裏づけなくしては、その完璧を期することはできがたいのであります。しかるに、今日の現状におきましては、地方自治行政を主管いたしておりまする総理廳自治課と、地方財政を主管しておりまする地方財政委員会とは別個の存在といたしまして、それぞれ独立した機関でありまするために、その不便はなはだしく、この両機関の併合強化こそは、地方公共団体が強く要望してやまなかつたことであります。本案は、これらの不便を除去いたしまして地方公共団体の要望にこたえんとするものでありまして、きわめて時宜に適した法案と存じます。これ私が本原案に対しまして賛意を表するゆえんであります。
 さらに私は、本案修正部分に対しましても賛意を表するものであります。すなわち政府原案によりますれば、地方自治委員会は單なる諮問機関であつたのでありますが、修正案におきましては、これを議決機関といたしたのであります。これに対しまして政府の意見は、地方自治委員会の中には國務大臣が入るので、これを独任制官廳とした、從つて、独任制官廳のかたわらに議決機関があつて大臣の行動を束縛することは適当でないというのでありますが、これをもし政府の主張するがごとく諮問機関といたしまするなれば、從來地方財政委員会が議決機関であつたときにおいてすらきわめて弱体でありましたものが、今回の措置によつてますます弱体化すると同時に、内務省再現のごとき中央集権の懸念なしと断ずることはできませんので、あくまでこれを地方自治擁護のために議決機関として、その議決を強く内閣に反映せしめることといたしたのは、まことに新憲法のもとにおける地方自治制度の根本精神に沿うものであると信ずるのであります。
 またこの修正案は、地方自治委員会の構成分子として地方公共団体の理事者代表のほか、議決機関の代表、すなわち都道府縣議会の議長及び市町村議会の議長をも加えたことは、とかく從來の理事者代表は行政面の都合のみにとらわれやすいものでありますので、地方民の立場を一層直接に代表するものとして立法部門の代表者を加えましたことは、まことに百尺竿頭一歩を進めた案として賛意を表せざるを得ないのであります。さらに、これら地方代表委員のほかに学識経験者より四人の委員を推薦することといたしまして、適当な人材があれば働く人々の組織からも委員を出すことのできる余地を與えた点などは、特進歩的な修正であると思うのであります。
 私は、依然の観点からいたしまして、本案については委員長の報告にかかる修正に賛意を表するとともに、修正以外の部分につきましても原案に賛成する次第であります。(拍手)
#18
○議長(幣原喜重郎君) 次は立花敏男君。
    〔立花敏男君登壇〕
#19
○立花敏男君 私は、日本共産党を代表いたしまして、修正案を含む自治廳設置法案に反対の意見を表明するものであります。
 御承知のごとく、新憲法におきましては特に一章を設けまして、わが國政治組織の基本原理として地方自治を規定しております。このことは決して偶然のできごとではないのでありまして、実にわが同胞数百万の血潮と、わが國家の数千億の財とをいたずらに費消した結果の、血の出るようなたまものであります。その結果といたしまして、日本のこのみじめな現状を導いたものは、あの恐ろしき戰爭であつた、しかも、その戰爭を支えたものの一つが実は官僚ファッショであつた、かつての内務省に象徴的に現われておりましたところの官僚ファッショこそが現在のこの恐ろしい状態を導いたものである、そうい結論に到達いたしました。
 思い起しますと、バケツを持ち、竹やりを持つて走りまわつた、あの恐ろしい隣組組織、下は隣組から上は内務官僚に至るまでの、あの太い力がわれわれ國民を縛りつけました。そうして、恐ろしい戰爭にひつぱり込んだことは、皆様も身をもつて御体験なされたことであろうと思います。八月十五日の終戰によりまして、私ども日本人は、惡夢よりさめたことく、いまさらのごとく内務官僚、官僚ファッショの恐ろしさに氣づきました。その結果といたしまして、最前述べましたように、平和確立のために、わが國の政治組織の原理といたしまして地方自治を規定し、その結果といたしまして内務省を廃止したのであります。内務省が從來やつておりました土木事業の面と、警察行政の面と、さらに地方財政委員会に象徴されます財政委員会、さらに連絡事務に当ります総理廳の四つに分割されて、内務省はなくなつたのであります。
 ところが、今回のこの設置法案は、その二つをさらに合せまして、もとの内務省の復活を企図するものであります。しかも地方財政委員会は、地方財政法の第一條に明らかに規定してありますがごとく臨時的な組織であります。地方財政が確立するまでの臨時的な組織であります。具体的に申しますと、地方財政委員会の使命は、地方財政を確立するための三法案、すなわち地方配付税法、地方財政法、地方税法、この三つができることを目的としてつくられたものでありまして、すでにこれらの三法案は昨年の七月に完備されておるのであります。これができましたならば、明らかにこの地方財政委員会の任務は一應終了したといえるのであります。これを今回の設置法案におきましては、自治課と統合いたしましてその温存をはかつておる。いわば旧内務官僚の勢力の温存であると断ぜざるを得ないのであります。
 しかも、單に旧官僚の勢力の温存ではなしに、今回の自治廳設置法案に対しましては、新しい要素が根本的な点でつけ加えられておるのであります。それは、たとえば配付税の地方配付あるいは地方起債の許可、こういうものに関しまして從來大藏省と会議でやつておりましたものを、今度は完全に地方自治廳が掌握いたしまして、財政的な面から地方を統制しよう、そういう意図が非常に露骨に現われて参つております。政府委員の説明では、財政委員会と自治課と合したもの以外に何ら新しいものをつけ加えないと言つておりますが、財政的な統制力をつけ加えておることは明らかであります。
 政府は、自治廳ができますと――ただいまの川本さんの賛成演説の中にも、自治廳ができますと地方の利益を中央において代表し得るということを言つておられますが、現在のような反動的な中央におきましては、決してその中に自治廳ができたからといつて地方の利益を守ることはできないのであります。このことは、單なる臆測ではなしに、この議場できめられました地方配付税の減額、あのときにあたりまして、地方財政委員会がいかなる態度をとつたか。中央において地方の利益を代表すべき地方財政委員会が、一言の返す言葉もなく、ただ唯々諾々として大藏官僚の言うままになつた。あのこと自体を見ましても、決して現在の反動政府の機構の中では地方の利益は代表されるものではないということは確信し得るところであります。しかも、配付税の無視によつてできました地方の穴を埋めるために、現在地方財政委員会は地方税の大幅増徴をもつてこれを救わんとしております。すでにその法案は私どもの地方行政委員会に出ておりますが、こういうやり方で、はたして地方の利益が現在の政府機構の中で代表できるかどうか、根本的に考えが間違つておるのではないかといえるのであります。
 しかも、現在の地方自治団体の行政を見ますと、ほとんど全國の地方自治団体の上層部は腐敗堕落をきわめております。たとえば、東京の近くにおきましては神奈川あるいは埼玉、あるいは関西におきましては標語、大阪、これらにおきまする地方上層部の腐敗は、実にその極に達しておるのであります。しかも、これに対して敢然とその不正を摘発して闘つておりますのは地方公務員の代表であります。この法案の根本的な組織であるところの地方自治委員会、修正案によりまして、これに六名の委員が追加されておりますが、この中に、敢然として地方の行政の腐敗に対して闘つておる地方公務員の代表が入るという何らの確約もされていないのであります。このことは、口にいくら地方の利益を代表すると言いましても、現在地方住民の利益を守つて闘つている代表をこの自治委員会の中から届いたということ自体が、この法案を完全に骨抜きにし、しかも羊頭を掲げて狗肉を賣る、ますます地方民を欺くものと断ぜざるを得ないと思うのであります。(拍手)
 一方吉田反動内閣は、昨日のこの議場における決議にも現われておりまするが、ひそかに警察力の増強、警察法の改惡を企図いたしておるのであります。その改惡の中心点は――これも新憲法の精神によりまして、警察を二分いたしまして國歌警察と自治体警察にわけて、民主的な警察の方向に進むべきことが明らかにされておるのでありますが、今回の警察法の改惡は、明らかにかつての特高警察の復活の形をとりまして、國家警察が地方警察を支配する、これが今度の改惡の中心眼目であります。この二つのことが実現されましたならば、すなわち一方における財政を通じての地方自治体に対する統制と、國家警察による地方警察の統制と、この二つのことが実現されましたならば、たとい形の上では二つにわかれておりましても、完全にその機能の面におきましては、もとの官僚ファッショ的な内務省の復活することは火を見るよりも明らかであります。
 法制的見地から申しましても、どんどんとすでにファッショ的な警察行政による統制が全國的にその芽を出しつつあります。たとえば、かつての治安警察法は葬り去られておりますが、しかし現在各都市、各市町村で上程され決議されつつありますところの地方の公安條例、あれこそは、全國的な規模で見ました場合に、明らかに、かつての治安警察法の全國的な再現であります。今や全日本の地方自治体は……。
#20
○議長(幣原喜重郎君) 立花君、申合せの時間が参りましたから、簡單に結論を願います。
#21
○立花敏男君(続) はい、承知しました。――今や全日本の地方自治体は、再びかつての、彼らを窒息せしめたところの官僚ファッショの網の目の中にとらえられようとしておるのであります。何となれば、今まで中央は地方に渡す金を多少は持つておりました。しかし、今回は配付税の削減にも現われたことく、地方に渡す金がないのであります。金を通じて統制することができなくなつて來た。今度は、ほんとうに暴力的な力のみで地方を統制するよりほかなくなつて來たのであります。從つて、今回の内務官僚の復活、かつての官僚ファッショの復活が――日本の歴史から見ました場合、かつての戰爭は内務官僚の力によつて推し進められたということを見ました場合に、日本共産党は、かつてわれわれをあのみじめな戰爭に引きずり込んだところの官僚ファッショであつたことを想起し、今かかる組織が復活することに対しましては絶対反対の意を表明するものであります。(拍手)
#22
○議長(幣原喜重郎君) 小林信一君。
    〔小林信一君登壇〕
#23
○小林信一君 私は、新政治協議会を代表いたしまして、ただいま上程されました四つの法案に対し反対の意見を表明するものであります。
 各省設置法案に対しては、行政の簡素化によつて能率を増進し、あわせて財政の確立をはかるものであり、從來の中央集権的、非民主的監督行政の色彩を一新することを目標に実施する等國民の要望するところに沿うものが多多あるのでありますが、実際にあたつてこれを検討するとき、はたしてその誠意に立脚し、忠実に企画されているかが不明でありまして、かえつて眞意が奈辺にあるか疑わざるを得ないのであります。もし政府が良心を持つなら、これら法案に盛られる内容が完全に実施されねばなりませんが、そのためには、さきに政府と與党によつて強引に決定された予算に修正がなされねばなりません。すなわち、予算を編成する政府の精神と、法案をつくる政府の精神とは別個であることが指摘されるのでありまして、予算の決定を見た以上、空文として検討するにすぎないのであります。
 さらに、重大なる失業対策が確立できないに至つては、政策の拙劣さを露呈したものと観ずるより以外にないのであります。さらに、やがて上程される定員法と関連して考究するならば、不可分の関係にあるべきものが、これまた別個の立場において企画されておるのであります。機構改革によつて必然的に生ずる行政整理であると主張するものが天引の馘首であり、しかも定員法に附随すべき退職金については、いまだに決定されておらない状態でありまして、一貫すべき政策が支離滅裂の形でなされておるのであります。
 しかも不可解なことには、上級官吏は整理されないように、巧みな措置によりましてそのポストが用意され、下級官吏にその被害を集中しようと計画されておるのであります。國民の機構刷新に対し要望するものはその民主化であつて、その禍根である官僚独善の中枢を一掃するところにありまして、國民の眞意を理解せず、行政整理の口約をかく歪曲して單なる首切りに終ることは、兒戯にひとしい行政と断定せざるを得ないのであります。かかる政略的、不合理な行政機構の改革は、國民に大いなる犠牲を招來させ、再建の方途を混乱させる以外に何ものもないのであります。十何万の官業からの失業者に対しては失業対策が確立されず、これにならつて実施される地方公務員、一般企業からの失業者は、この実情からしては、即日妻子をかかえて路頭に迷う悲惨な光景がちまたに展開されることは必定でありまして、政府の無謀と無責任に憤激するものであります。
 さらに不合理な行政機構は、あらゆる生産力を弱体化し、事務を停滯させ、公共事業の整備の段階を混乱させ、國民の耐乏生活に対して苦難が加重されることは火を見るより明らかであります。かかる見地から根本的に四つの法案に反対するものでありますが、以下簡單に各法案に反対の理由を申し述べます。
 まず文部省設置法案に対しましては、吉田内閣が本年度予算編成にあたり実質的に六・三制を放棄したところに、現政府の文教施策には重大なる欠陥が考えられるのであります。財政の確立あつて、しかる後文教政策を樹立する、と吉田総理は申しておりますが、これは明らかに文化國家の政治理念を忘却しているもので、國民の了解できないところであります。文化國家には常に経済的、思想的苦難がつきまとうのが当然であつて、この苦難の打開に対しては、國民個々の素質を高め、文化の高揚によつて打開するのが文化國家の使命であります。その試練の蓄積が文化國家の建設であることは論をまたないところであります。
 道義の頽廃、思想の混乱の現下の社会情勢は、いよいよ教育施策の拡充を必要としております。今また政府が掲げるところの経済安定の大方策も、生産部面において教育政策が要求されるのでありますが、これらはともかくとして、最もその基盤となるべき六・三制の実施を中止するに至つては、文教政策に対してでたらめというよりは、文化國家の放棄であるといえるのであります。敗戰後の生活困窮の中に、國民はあらゆる犠牲を忍んで新学制を容認し、新制中学の校舎の建築を急いだのでありますが、この國民の心情は、武器を持つことのできない運命のもとにおかれ、武器を持つ世界各國の中に伍して文化國家の完成を期せねばならぬ次代の國民を思うとき、一刻たりとも怠ることなく教育の整備を期しようとするところの國民的自覚、親としての心情からであります。これら國民の熱望をふみにじり、文化國家の理念を持たない現政府は、校舎もあてがわず、教具も與えずして、さらに教師をあの子供たちから奪い去ろうとしているのであります。(拍手)
 設置法案の内容からすれば、相当の教員増加が当然なされなければならないのに、全國五十万の教職員の約一割を整理すると本多國務大臣は言明し、しかも教育は十分できると暴言しております。行政機構を整理して人員を減らすという政府の言明は、この教員首切りによつて、その野望をはつきり暴露しているのであります。すなわち、学校のどこに行政の改革があるか。この教員の首切りによつて、はつきりと政府は首切りのために首切りをあえてしようとしておるのであります。
 ここにおいて、文化國家は吉田内閣のために完全に崩壊されるのでありますが、さらに大学設置法案、教育職員免許法案等、教員の教育に対する熱情と意欲を冷却させるような措置が次々に用意されておるのでありまして、教育による民主主義確立は否定され、國民感情は裏切られ、教育当事者には希望を失わしめ、実に文化國家行政を誤るもはなはだしいと断ぜざるを得ないのであります。かかる見地に立つところの、魂なき、空文にひとしいこの設置案に、どうしてわれわれ國民が賛成できようか。(拍手)政府はすみやかに本法案を撤回して、政府が掲げるところの経済安定の施策を実現するために、あらゆる社会教育の施設を完備し、その方途を確立し、また学校教育に対して眞に文化國家の基礎をつくるべき法案を用意すべきである。
 次に地方自治廳設置法案でありますが、政府の意図するところは、國と地方公共団体との連絡をはかり、相互の連絡協調にあたつて國家公益と地方公共団体の自主性との間に調和を保つことを第一の目的とし、しかも各自治体を擁護し、自治の本旨を実現するにあると申しておりますが、その機構運営について検討するとき、調和を保つことは実に一方的であつて、今回のごとく地方財政を破滅せしめるような措置に政府が出た場合、当然各地方廳はその責任を中央に追究しなければなりませんが、この抑圧の機関として利用され、政府の独裁が強化される危険性が多分にあるのであります。自治廳の擁護も、地方自治の本旨も、その民主的発展によるのでなく、政府のファッショ的統制によつて維持しようとするところが多分にあり、われわれはこの危險を憂慮して反対するものであります。
 経済安定本部設置法案におきましては、検察的機構の強化が考慮され、自由経済をスローガンとする現内閣の性格に逆行した統制強行の意思が表明され、関係各行政機関の総合調整あるいは基本的施策の企画立案の本來の性格を弱体化し、首切り措置にすぎない点が、われわれ新政治協議会の反対の理由であります。
 第二の外務省設置法案に対しましては……。
#24
○議長(幣原喜重郎君) 小林君、時間が参りました。
#25
○小林信一君 外務省設置法案に対しましては、外務省はただいま休業状態にあるのでありますが、しかし講和会議を控えて、これに対するところの措置が十分になされ、しかも通商貿易に対するところの措置が完全になさるべきでありますのに、何らこうした実際的な措置がなされない法案に対しては、われわれ新政治協議会は反対をせざるを得ないのであります。以上、四つの法案に対しまして反対の理由を申し上げます。(拍手)
#26
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず日程第一及び第二を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#27
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に日程第三及び第四を一括して採決いたします。日程第三の委員長の報告は修正でありまして、日程第四の委員長の報告は可決であります。両案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#28
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#29
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、志賀義雄君提出、阿波丸請求権の処理のための日本國政府及び米國政府間の協定等の憲法違反の疑義についての緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
#30
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 阿波丸請求権のための日本國政府及び米國政府間の協定等の違憲の疑義についての緊急質問を許します。志賀義雄君。
    〔志賀義雄君登壇〕
#32
○志賀義雄君 さきに本会議におきまして、阿波丸事件に基く日本國の請求権の放棄に関する決議があり、四月二十六日、吉田総理兼外務大臣からこれに対する報告がありましたが、その決議及びそれに基く報告について憲法上重大な疑義がありますので、その点について吉田総理兼外務大臣に質問する次第であります。時間の制限がありますから要点を申し上げます。
 第一点政府がかかる協定を結んだ法的根拠はどこにあるか。すなわち一九四五年九月二日の降伏文書及び一九四七年七月十一日の日本に対する降伏後の基本方針によれば、日本國政府は連合國最高司令官のもとに國内の統治に関する権限は持つておりますが、外國との交渉に関する権限はないことになつておるのであります。ところで、この点からするならば、日本の政府には國際法を行使する権限がないことになる。そのもとにおいて連合國の一國との協定を結ぶことは、一体どこに法的根拠があるか、われわれはこれを発見するのに苦しむものであります。(拍手)これについて、決議には、マツカーサー元帥は意見の一致を容易にするため日本國政府と米國政府との間の仲介者としてあつせんの労をとるということになつておるので、これは仲介者としてあつせんの労をとるだけで、協定を結ぶ主体は両國の政府であります。從つて、日本國政府にその権限がないとするならば、この協定は無効でなければならないことになるのであります。(拍手)この点について吉田総理の御答弁を求める次第であります。
 第二に、本決議は議案の議決ではないのであります。從つて、これは政府に対する決定命令でもなければ委任命令でもない。また決議は、これは政府に次のことを要望する、こういうふうに書いてあるのでありまして、從つてこれは議決でないから、政府がこれに基いて行政措置をとるということもできないのであります。條約、これは國際法の通念によれば、ただに條約と銘を打つばかりでなく、あるいは協定であつても、いやしくも二國あるいは数國の間に文書をもつて交換されれば、これは協約も條約の中に入ることは明らかでありますが、憲法第七十三條によれば、條約を結ぶについては、政府は事前、時宜によつては事後に國会の承認を得なければならない。しかるに、この決議に基いて、吉田総理兼外務大臣は本会議において報告はしたのでありますが、國会の承認を求めていないのであります。(拍手)この点は一体どうする。
 第三点は、國の債権を法律によらずして放棄したのは、これはいかなる理由であるかという点であります。(「そこが重大だ」と呼ぶ者あり)財政法第八條によれば、國の債権の全部または一部を免除し、またはその効力を変更するには法律に基くことを要するという規定があります。しかるに、吉田外務大臣はこの債権を放棄したことを報告した。これを國会に報告しただけでありますが、しかも事前にも事後にも、この債権を放棄した内容の明細はわれわれにとつて不明である。議院の議決もされていない。これは財政法第八條に違反するということを共産党は考えるが、首相の意見はいかがであるか、その点を第三に伺いたいのであります。(拍手)
 第四点、決議に全然関係のない了解事項というものが付属文書として出ておるのであります。御承知のように、了解事項には、日本が今日まで受けた信用及び借款は日本國にとつて有効な債務であるとなつておるのであります。(拍手)政府はなぜ特定の債務を負担するような事項を了解事項としたのであるか。憲法第八十五條によれば、國が債務を負担するには國会の議決を要するのであります。あるいは政府は、これに対して、これは有効な債務であるということをこの記録に載せたにすぎないと言われるとするならば、私はさらに質問したい。それは有効な債務とすれば、その債務の内容はいかん。債務の返済の期限はいかん。債務履行の條件はいかん。これらが、法案として、議案としてここに出され、そうしてこの國会の議決を経て初めてこれが有効になるのであります。しかるに吉田首相は、この條件を提示せずに、國会の議決を経ずに、これを報告しつぱなしになつておるのであります。
 この四点は、共産党としてきわめて重大なことと考えるのであります。吉田首相は、ただでもらつたと思つておる國民があるからだと報告しました。一体、こういう感情はだれが抱かせるようになつたか。第一次吉田内閣のとき以來、わが党の、わが内閣の意向によつて、こういうことが、日本に提供されたのである。こういうふうに自家廣告をやつておつたのでありますが、これがこういう感情を抱かせるもとである。共産党が反対したのは、政府が越権をし、議会を軽視する、こういう疑いのあることがこの決議及び報告によつて明らかであるから、当時反対したのであります。事は日本の独立と平和に関する大問題であり、もしも今後こういうことで協定を一つ一つつくつて行つて、それで慣例をつくり出し、将來講和が締結された後においても日本に外國の軍隊が駐屯するようなことまでが、こういう協定によつてやられるような事態があれば、これは将來にとつても一大問題なのであります。その意味において、私は右の四点に対して吉田総理兼外務大臣の明快なる御答弁をここに求めるものであります。
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#33
○國務大臣(吉田茂君) 総理大臣兼外務大臣として明快なる御答弁をいたします。(拍手)
 一体この阿波丸事件に対する協定への法的根拠はいかん。これは今御指摘の通り、日本は今日法的に外國との條約、協定を結ぶことはできないことになつておりますが、しかしながら、もし最高司令官がよろしいと許す範囲において日本國は協定を結ぶ権限があると私は解するのであります。(拍手)
 また、特定の債務、その債務を含んだ協定は議会の協賛を経べきものというお話でありましたが、しかしながら、これは事前において、すでにこの國会の協賛を経て、決議案として現われたものを、協定の中にそのまま繰入れたものであります。ゆえに私は、協賛を事前において経たものと了解いたすのであります。
 また、この阿波丸に対する請求権なるものは債権と思わるることが大間違いであつて、債権ではない、請求権であります。(「債権も請求権も同じじやないか」と呼ぶ者あり)待ちたまえ、請求権が債権になるかならないかということは、相手方が了解して後のことであります。のみならず、この協定において掲げましたこの請求権なるものは、自主的に日本國がこれを放棄したものである。さらに了解事項として書いてありますことは、すなわちこれを減額するかしないかは、請求権でなく、また日本政府の債権でないのでありますから、一に減額するしないはアメリカ政府の権限にある、こう了解すべきものであると私は考えるものであります。
 その他については別段お答えすることがないと思います。(拍手)
    〔志賀義雄君登壇〕
#34
○志賀義雄君 ただいま吉田総理兼外務大臣から、明快なる御答弁と初めに言われましたが、どうも一向明快なところがないのであります。
 第一に、特定の協定を結ぶ云々と言われましたが、百歩讓つて総理の言われるところに理があるとしましても、ではなぜこういう問題から始めたか。最も重大な問題は今、日本が、たとえば中國貿易に対してこれを開かなければいけない、これを開かなければ日本の経済の再建はできないというような非常に強い要望もあるのでありますが、その協定はあとまわしで、先日予算委員会で、野坂委員の質問に対して、そんなことは中共の政府にでも聞いてくれ、これでは、われわれ日本の首相としてははなはだ心もとない、決して明快でないのであります。
 第二に、決議案に基いてと言われますが、その決議案は決して政府の方に対して権限を委任したものでも何でもないのであつて、その中には、われわれはこの感謝の念を表現する一方法として次のことを政府に要望するといつてある。最後に、その結果を本院に報告することとなつておるのでありますが、報告してこれを本院において議決しなければならないのが憲法上の建前であります。それが、ただいまの御答弁では、ちつとも明らかになつていないのであります。総理は請求権と債権とは別だというが、債権があるからこそ請求権が生れるのであり、債権には不特定債権もあることを総理は忘れている。
 最後に、私が一番重要視した付属文書の了解事項については、首相の御答弁がない。そこでは、私の方は有効な債務を問題にしておるのですが、首相は第三点の質問の債権をこちらにつけて、そこを巧みに、あるいは老獪に切りかえられておる。これでは、どうしても明快な答弁とならないのであります。この債務については憲法上の規定がある、これについて政府はいかに考えられるか。こういう点を私は質問した次第であります。
    〔國務大臣吉田茂君登壇〕
#35
○國務大臣(吉田茂君) 私は明快にお答えしたつもりでありますが、はなはだ不明快という御批評を受ければ、それまでであります。
 今中共の貿易云々という話がありましたが、御承知の通り日本國は、今日中共との間に國際関係もなければ、あるいはまた國交も回復しておらないのでありますから、私としては答弁ができない、こう申したのであります。
 また了解事項でありましたか、あるいは要望でありましたか、要望と決議とどう違うか知りませんが、しかしながら、御要望の通り協約の内容ができておるのでありますから、特に議会の協賛を経る必要がない。(発言する者あり)まあ聞きたまえ。――手続を省くために申したのであります。
#36
○志賀義雄君 ただいま……。
    〔発言する者多く、聴取不能〕
     ――――◇―――――
#37
○議長(幣原喜重郎君) 日程第五、古物営業取締法案、日程第6、道路交通取締方法の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事川本末治君。
    〔川本末治君登壇〕
#38
○川本末治君 ただいま上程されました古物営業取締法案並びに道路交通取締法の一部を改正する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず古物営業取締法案について御報告申し上げます。
 本法案の内容は、古物の取扱いを公正かつ明朗にし、古物取引に際して盗品の発見に努めることによつて犯罪の防止を効果的ならしめようとすることを主眼といたしておりまして、これを本年七月一日より施行し、他方明治二十八年法律第十三号古物商取締法及び同年内務省令第八号古物商取締法細則を廃止しようとするものであります。
 本法案に関しては、去る四月三十日、本委員会に付託され、樋貝國務大臣より提案理由の説明を聽取して以來、委員会を開くこと六回に及び、各委員と政府当局との間に熱心なる質疑應答が行われたのでありますが、その詳細は会議録に讓りまして、以下申し上げますごとき民主自由党、日本社会党、第九控室民主党、第十控室民主党、新政治協議会の五派共同提出修正案が提出せられ、採決の結果、起立多数をもつて可決され、次に修正部分を除いた原案も起立多数をもつて可決されました。よつて本案は修正議決されたのであります。
 さて、修正の各項について簡單に申し上げます。
 修正の第一点は、本法案立法の趣旨よりいたしまして、法案の題名を古物営業法案と改めたことであります。
 修正の第二点は、第一條第一項中の「一度使用された物品」の下に「(鑑賞的美術品を含む、以下同じ)」という文句を加入し、鑑賞的美術品も本法案の適用を受けることを明確にいたしました。
 修正の第三点は、第八條第二項中「三人をこえない範囲内において」を削り、もつて営業の自由を無用に制限し過ぎないようにいたしたのであります。
 修正の第四点は、第二十一條但書中「二年」を「一年」に改めて、もつて営業者の保護と被害者の保護との間に適当な調整をはかつたことであります。
 修正の第五点は、第二十三條第二項中「関係者の請求のあつたときは」を「関係者に」ということに修正し、関係者の請求がなくても立入警察官吏が身分証明証票を呈示すべきものとし、もつて営業者の保護をはかつたことであります。
 右御報告申し上げます。
 次に道路交通取締法の一部を改正する法案について御報告申し上げます。
 本法案は、終戰以來自動車等高速度交通機関の増加に伴いまして交通事故の発生件数も急増しつつある最近の交通事情の現況にかんがみ、現行法に若干の改正を加え、事故の発生を可及的に防止し、交通秩序の円滑安全を期そうとするものであります。
 その要点としますところは、まず歩行者と車馬との間の事故を防止するために、歩行者は原則として道路の右側を通行することとし、車馬とは道路の同じ側で相対面して通行する方式、いわゆる対面交通を採用することであります。
 次に、交叉点において自動車が右折する場合に、現在行つているよりも交叉の中心点に一層近い位置で外まわりをする、いわゆる小まわりの方法を採用しました。これに伴いまする交叉点における車馬相互間及び車馬と歩行者との間の通行順位に関する規定を整備すること、その他現行法に所要の改正を加えることであります。
 本法案は、交通秩序に関するきわめて專門的技術に関する法案ではありまするが、また一般國民の社会生活に深い関係をもつ法案でありまして、特に道路の歩行者にとつては左側通行の長年の習慣を一変することになり、過渡期における混乱も予想されまするので、本委員会におきましては二回にわたり愼重審議をいたしたのであります。しかし、早晩かかる方式を採用するの必要ありとすれば、一日も早く予定された準備期間に入り、新方式について國民が理解習熟するを必要と認めましたので、本委員会といたしましては、六箇月間の準備期間中において政府は本法案改正の趣旨を國民に周知徹底せしめるとともに、本法施行の実際の衝に当る警察官等に対しても本法の精神を十分理解せしめ、その運用に遺憾なからしめて、可及的に過渡期の混乱を避け、國民に迷惑をかけぬよう万全の方途を講ずるよう要望しつつ、本法案を政府提出の原案通り可決すべきものと認め、討論を経て採決の結果、多数をもつて可決するに至つた次第であります。
 以上、簡單に御報告を申し上げます。(拍手)
#39
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。その発言を許します。足鹿覺君。
    〔足鹿覺君登壇〕
#40
○足鹿覺君 ただいま日程に上りました両案のうち道路交通取締法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表いたしまして反対の意を表示せんとするものであります。
 まず第一に、本法案は現行の左側通行制を右側通行制に変更し、対面交通の制度を新しくしこうとするものでありますが、現在の左側通行制の歴史について考えてみまするのに、遠くその濫觴は明治十四年十二月警視廳布達をもつて発布されて以來、明治三十三年、明治三十四年と相次いで、警視廳の通告によりこの交通上の一大原則は確立せられて今日に至つておるのであります。この國民の間に長く植えつけられた左側通行の原則を、たとい六箇月の準備期間を持つとはいえ、これを一挙に変更せんとすることは、國民の長い慣習を無視し、あえてこの傳統を破壊せんとするものでありまして、私どもは、この法案に対してはもつと愼重なる検討を加えるべきであることを主張いたしましたのにかかわらず、きわめて短期間の間に本法案を多数をもつて通過せしめられたことは、まことに不当であると考えるものであります。(拍手)
 第二には、本法案は交叉点におけるところの車馬交通の整理を目途としておるのでありますが、この交叉点における車馬交通の実況を見まするのに、現在大阪、神戸、横浜、京都等におきまして、現在内小まわり制を実施いたしておるのでありまして、この実績から考えて、何ら不合理、不都合は起きておらないのであります。地方行政委員会において、大阪、神戸、京都の三市公安委員会が要請をいたしておるのでありますが、この要請の内容について申し上げてみましても、大阪市においては、すでに長きは数年、短かきは半年間、全面的に、あるいは試験的に実施しておる。これが結果は、交通事故防止並びに交通の円滑をはかる上にきわめて良好であり、かつ自動車会の公聽会においても、これが一般化につき強い要望があると言つておるのであります。かくのごとく六大都市のうち五つの都市が現在施行しておるところの方法で何ら支障なく取締りが行われておるにもかかわらず、東京都における一事例をもつて他を律せんとするがごときことにつきましては、私どもの納得することができない点であります。なお、これらの公安委員会あるいは各都市の関係者と政府は十分打合せをしたと申しておりまするけれども、われわれは、その事実を十分認識することができないのであります。
 第三の反対理由といたしましては、取締りを受けるのは國民であります。しかるに、現在國民あるいは電車、自動車、自轉車等の運轉手の意見を眞に徴しておらない。この重大なる慣習を変更するにあたつては十分なる手続が必要である。すなわち、公聽会その他の適当な機会を設けまして、官僚の取締りの立場からする一方に偏した法律に終らないことを期するのが当然であるにもかかわらず、わずか二回の委員会をもつて一瀉千里にこれを可決し、本会議に急遽上程せられたのでありまして、私どもは、この点におきましても断じて賛意を表することができないのであります。
 以上、これを要しまするに、八千万の國民の日常生活にきわめて重大なる影響を伴うところの本法案を、きわめて不用意のうちに立案し、しかも、わずか二回の委員会をもつて、一回は説明を徴し、ただ一回は質疑討論を行わしめるというがごとき短期間をもつて本法案の審議に当り、これを通過せしめんとするがごときは、きわめて愼重を欠くものであると考えるのであります。これを多数をもつて押し切られるというその態度自体に対しましても、私どもは絶対に賛意を表しがたいのであります。
 以上四点をあげまして、私の反対理由とする次第であります。(拍手)
#41
○議長(幣原喜重郎君) 谷口善太郎君。
    〔谷口善太郎君登壇〕
#42
○谷口善太郎君 古物営業取締法案並びに交通取締法に関する一部改正の法律案につきましては、日本共産党はともに反対であります。
 まず古物法案の方から簡單に理由を申し上げます。本案は、委員会におきましてその名称を古物営業法と修正いたしましたが、その内容におきましては、依然として旧古物商取締法の精神を踏襲するものでありまして、実に苛酷な取締規定、義務規定、刑罰規定を業者に課しておるのであります。すなわち業者は、取扱う商品の範囲の変更、営業所の変更、あるいは休業、主人の死亡、行商、露店の経営行為等につきましても、一々これを警察もしくは公安委員会に届け出で、あるいは許可を受けなければならないことになつておるのでありまして、これを怠れば、ただちに営業を取消され、あるいは三年以下の懲役もしくは十万円以下の罰金等に処せられるのであります。営業許可は三年ごとに更新を命ぜられ、その都度千円以下の手数料をとられる。尚古品賣買には、その数量、特徴はもとより、相手方の住所、姓名、年齢、職業及び人相等実に繊細な点まで帳簿にこれを記載しておく義務を負うのであります。その帳簿の始末はもちろん勝手には許されない。のみならず、警察官吏は必要と認めた場合には、営業時間中ならいつでも古物商人の家や店や倉へ踏み込んで参りまして一切を捜査臨検し、かつそこに居合す人間に対して片つぱしから尋問する権限を持つておるのであります。もしこれを拒み、あるいは怠れば、これまた逮捕投獄の嚴罰でありまして、かくて全國六十万の古物商人たちは、本法によつて、あたかも自分自身が極惡の犯罪者のごとく、常に嚴重な警察の監視下に戰々兢々の日暮しをしなければならないのでありまして、まさにかの旧憲法時代の恐るべき警察政治がここに新装を凝らして再現されたものといつても過言ではないのであります。
 なぜこのように苛酷な取締りが必要であるか。政府の言うところによりますと、近時盗犯等の犯罪がおびただしく増加し、その臓品は大抵古物商の間でさばかれるがゆえに、これらの犯罪の捜査検挙のために業者の取締りもまたやむを得ないのだ、こう申しておるのであります。しかし、これは非常におかしいりくつであります。もしたとえば、民主自由党の諸君が党内に一人の犯罪者がおるという理由で常に警察から監視に付されておかれたら、諸君は一体何と言うでありましよう。かかる犯罪はまつたく業者と別のものでありまして、もしそれと結託する惡徳業者があるといたしましても、それはごく一部分であつて、他はすべてこれ正直な普通の業者にすぎないのであります。たとい臓品の一部がこれらの業者の間に取扱われておるといたしましても、それはそれと知らずして行う行為でありまして、断じて業者自体は犯罪者ではないのであります。旧憲法時代の、あの恐るべき官僚主義の時代ならいざ知らず、基本的人権の擁護を立國の原則といたします新憲法下にあつて、主権者國民を一行政機関たる警察がかくのごとくほしいままに取締るということは、断じて許されないところであります。もし警察が犯罪の捜査検挙のために業者の強力を必要といたしますならば、それはまたおのずから別途の道があるべきであります。かくのごとき専制的な取締、封建的な厳罰主義は、かえつて目的を誤るものでありまして、政府はよろしく新憲法を読み直して、もう一度出て來る方がいいのではないかと、私は考えるであります。
 第二に、かくのごとき政府の態度は――本法には違憲の疑いのある重大な箇所があるのであります。すなわち、本法第四條には、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終り三年を経過していない者及び一切の法令に違反して二度以上の罰金に処せられた者には古物営業の許可を與えないと規定しておるのであります。これは明らかに憲法第十四條の、すべて國民は法のもとに平等であるという規定、及び二十二條、何人も公共の福祉に反しない限り居住、移轉及び職業選択の自由を有するという規定に反するものであります。また本法第二十三條には、さきに申しました通り、警察吏員の一方的な権限から、無制限に家宅捜査、尋問をなすことの権利の規定があるのでありますが、これは憲法三十五條の、何人も権限ある司法官憲の発する各別の令状によらなければ、その住居、書類、及び所持品について侵入、捜索及び押収を受けないという、あの規定に反するものであります。この点に関し、委員会におきまして殖田法務総裁に質問いたしましたところ、法務総裁は、自分は憲法に違反すると思わぬが、本法を施行してみて、もし不都合が起つたならば、そのときになつて改正すればいいではないか、こういう答弁をしたのであります。この確信のない態度、このあいまいな態度――しかしこれは、あいまいな態度でも確信のない態度でもないのであります。吉田内閣と民主自由党は、かかる國民を愚弄する態度でもつて、本國会で、たとえば労働組合法を改悪し、阿波丸事件を決議し、また本法案のごときものをつくつて、次次と憲法を破壊しつつあるのであります。われわれは、憲法を破壊するいかなる微細な態度に対しても断固としてこれと闘うことをここに宣言するのであります。
 次に、道路交通取締法の一部を改正する法律案について簡單に反対の理由を申し上げます。
 われわれは、この法案が出ましたとき、実は最初はぼう然とし、次いで腹の底から怒りのこみ上げて來ることを押えることができなかつたのであります。道路交通上の習慣を左側通行から右側通行にかえ、かつ罰則規定を強化したこの法案は、いかにも正氣のさたとは思われぬのであります。一体吉田内閣は、左側通行という八千万國民の長きにわたる習慣を、一片の法律によつて一挙に変更できると考えておるのであろうか。しかも、委員会において追究しておる間に、われわれは驚くべきことを知つたのであります。すなわち、これは吉田内閣の思いつきでも何でもなく、実はある方面からの要請があつたからこれをやる、こういうことが明らかになつたのであります。ここにおいて私どもは、われわれ國民の習慣、風俗までも、ある方面の要請さえあれば卒然とし、これを変更するという吉田内閣の態度、この恐るべき態度に断固として反対せざるを得ないものであります。
 こういう点から、この道路交通取締法の一部を改正する法律案に私どもは反対するものであります。(拍手)
#43
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 ただちに採決に入ります。まず日程第五につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#44
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に日程第六につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#45
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#46
○議長(幣原喜重郎君) 日程第七、測量法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長淺利三朗君。
    〔淺利三朗君登壇〕
#47
○淺利三朗君 ただいま議題となりました測量法案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 現行の陸地測量標條例は、新憲法施行後の今日におきましては妥当性を欠く点がありますので、この際これを廃止し、これにかえて本法律案が提出されたのであります。
 次に本案の大要を申し上げますと、第一に、測量実施に不可欠な種々の基本的数値及び測量の原点等を明記し、わが國における測量実施上の基準を定めております。第二に、測量をわかつて基本測量、公共測量及びその他の測量の三とし、そのおのおのにつき必要な規定並びにその他の除外例について規定いたし、第三に、基本測量及び公共測量に從事する技術者は測量または測量士補として登録されたものであることを必要とし、その資格、試驗等について規定を設けてあります。第四に、この法律の運営を適切ならしめ、同時に測量全般の改善発達に資せしめるために測量審議会を設置することにいたしております。また、その他本法律の施行に必要な若干の経過的措置を規定いたしております。
 次に質疑のおもなるものは、第一に、この法律によつて水陸の測量を統一してはいかんとの質問に対して、当局より、これを統一することは有利であるが、水陸各特殊使命もあり、現段階においては、いまだその時期に至つていないとの答弁があり、第二に、食糧供出に科学的根拠を與えるためにも、廣範囲にわたる農耕地の測量が行われることは必死と思われるが、本法に規定する測量士等の資格の限定のために測量遂行に支障を來すおそれはないかとの質問に対しては、農耕地測量中局地的な測量は第四十七條の規定により本法の適用から除外されるが、廣範囲にわたる農耕地等の測量に應ずるためには、本法により有資格者の養成に努めるとの答弁がありました。
 かくて討論に入り、社会党前田君より、測量士等の資格規定については他の法案とその形式を統一するよう希望を付して賛成の発言があり、続いて採決に入り、全会一致をもつて可決いたしたのであります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#48
○議長(幣原喜重郎君) 他にご発言もなければ、これより採決をいたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#50
○議長(幣原喜重郎君) 日程第八、公認会計士法の一部を改正する法律案、日程第九、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関出張所、税関支署出張所及び税関支署監視署の増設に関し承認を求めるの件、右の両件は同一の委員会に付託された議案でありまするから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員会理事島村一郎君。
    〔島村一郎君登壇〕
#51
○島村一郎君 ただいま議題となりました、宮幡靖君外二名による議員提出、公認会計士法の一部を改正する法律案について、大藏委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、公認会計士特別試驗の実施遅延に伴いまして、計理士が財務書類の監査または証明を業とし得る期間を半箇年延長する必要がありますので、本法施行期日を規定する附則第五十六條中但書の「昭和二十四年十月一日」を「昭和二十五年四月一日」に改めようというのであります。
 本法律案は、五月十六日大藏委員会に付託せられ、同日提案者三宅則義議員の提案理由の説明を聽取し、次いで討論を省略し採決に入りましたところ、総員起立をもつて原案通り可決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
 次に、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関出張所、税関支署出張所及び税関支署監視署の増設に関し承認を求めるの件に関し、大藏委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 本提案は、最近における外國貿易の趨勢に対應し、税関行政の円滑な遂行を期するため、東京税関支署羽田飛行場出張所と大阪税関富島出張所の二十張所及び岩國税関支署上関監視署、嚴原税関支署の比田勝監視署、佐賀監視署の三監視署を増設しようというのであります。
 本件は、五月十六日大藏委員会に付託され、同日政府委員の説明を聽取し次いで討論省略、ただちに採決に入りましたところ、総員起立をもつて本件は承認を與うべきものと議決いたしました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#52
○議長(幣原喜重郎君) まず日程第八につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に日程第九につき採決いたします。本件は委員長報告の通り承認を與えるに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り承認を與えるに決しました。
 明十八日は定刻より特に本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後三時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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