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1949/05/18 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第32号
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1949/05/18 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第32号

#1
第005回国会 本会議 第32号
昭和二十四年五月十八日(水曜日)
 議事日程 第三十号
    午後一時開議
 第一 大藏省設置法案(内閣提出)
 第二 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 電氣通信省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 郵政省設置法及び電氣通信省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案(内閣提出)
 第五 國家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 國立学校設置法案(内閣提出)
●本日の会議に付した事件
 日程第一 大藏省設置法案(内閣提出)
 日程第二 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 電氣通信省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 郵政省設置法及び電氣通信省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案(内閣提出)
 日程第五 國家行政組織法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 國立学校設置法案(内閣提出)
 貸金業等の取締に関する法律案(内閣提出)
    午後四時十二分開議
#2
○議長(幣原喜重郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、大藏省設置法案、日程第二、郵政省設置法の一部を改正する法律案、日程第三、電氣通信省設置法の一部を改正する法律案、日程第四、郵政省設置法及び電氣通信省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、日程第五、國家行政組織法の一部を改正する法律案、右五案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長齋藤隆夫君。
    〔齋藤隆夫君登壇〕
#4
○齋藤隆夫君 ただいま議題となりました大藏省設置法案、郵政省設置法の一部を改正する法律案、電氣通信省設置法の一部を改正する法律案、郵政省設置法及び電氣通信省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案及び國家行政組織法の一部を改正する法律案について、内閣委員会の審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 まず、大藏省設置法案について申し上げます。
 本案は、國家行政組織法の施行と行政機構改革の根本方針に基き、大藏省の任務及び権限を明確に定めるとともに、その所掌事務及び事業の遂行に能率的な組織を定めようとするものであります。すなわち内部機構としましては、現在より二局、一次長、五部を減じて、一官房、主計、主税、理財、管財及び銀行の五局、四部とするほか、財務行政に関する渉外事務が複雑多岐にわたり、特に今回新設される米國対日援助見返資金の管理に関する事務の重要性にかんがみ、財務官一人を設置して渉外事務の総括に当らせることとし、地方支分部局としては、税関六箇所及び現在の財務局から徴税関係事務を除いたものを所掌する財務部八箇所を設置することとなつております。外局につきましては、專管局が日本專賣公社となり、会計士管理委員会及び同事務局を理財局に吸收して証券取引委員会、國税廳、造幣廳及び印刷廳の四外局とし、証券取引委員会は事務局の部制を廃して次長一人とし、印刷廳は一部を減じて一官房、二部と相なつております。國税廳はもつぱら徴税事務を所掌する行政機関として今回新設しようとするものでありまして、現在の主税局から徴税部面を独立せしめたものであります。内部部局は総務、直税、関税及び調査査察の四部から成り、税務講習所のほか五つの審議会等を附属機関とし、地方支分部局として十一箇所の國税局を設け、税務署をその下部機関とし、本年六月一日から施行しようとするものであります。
 本案は、四月十八日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、大藏委員会と連合審査会を開いて質疑を行つたのでありますが、五月十三日、本案に対する政府の修正が本会議において承認されましたので、ただちにその説明を聞き、質疑を行つたのち、五月十七日討論採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 次に郵政省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、行政整理を目的とする機構改革の根本方針に基いて、第三回國会において成立を見ました郵政省の機構を簡素化しようとするものであります。すなわち、監察、郵務、貯金及び簡易保險の四局の部制を廃するとともに、これらの局の長には理事をもつて充てることになつているのをとりやめ、局長の補佐として次長一人ずつを置くことになつております。さらに人事、資材、建築の三局をいずれも大臣官房の部に縮小し、人事、経理二局の次長及び官房長を廃止しまして、從來の機構より十二の長を整理して、本來六月一日から施行しようとするものであります。
 本案は、四月十九日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、逓信委員会と連合審査会を開いて質疑を行つたのち、五月十七日討論採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 次に電氣通信省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、行政整理を目的とする機構改革の根本方針に基いて、第三回國会において成立を見ました電氣通信省の機構を簡素化するもので、本設置法の基本構想である、いわゆるライン・オルガニゼーシヨンの完徹の理念との調節をはかるとともに、從來の組織段階を一齊に一段づつ繰下げたのであります。すなわち、総務長官を電氣通信監に改め、長官官房を電氣通信監室とするほか、業務部門、施設部門担当の理事二人を廃して業務局、施設局とし、両部門の各局を部とするとともに、人事局を大臣官房人事部とし、業務部門及び施設部門の総務室をいずれも廃止しまして、結局從來の機構より理事二人、七局を減じ、また外局につきましては、電波廳では四部を三部に、航空保安廳では二部を廃止して次長一人を置くこととして、本年六月一日から施行しようとするものであります。
 本案は、四月十八日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、逓信委員会と連合審査会を開いて質疑を行つた後、五月十七日討論採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 次に郵政省設置法及び電氣通信省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案について申上げます。
 本案は、郵政省設置法及び電氣通信省設置法の施行に伴い、逓信省官制以下諸官制を廃止するとともに、関係法令中における字句の読みかえを規定しようとするものであります。
 本案は、四月二十二日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、質疑を行つたのち、五月十七日、討論省略、採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 次に國家行政組織法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、各省等における行政事務の総合化と能率化とのため特に必要ある場合においては官房及び局に部を置くことができることとし、國家公務員法の改正に伴い各省次官を一般職とし、その権限をもつぱら事務の総務に当らせることとするほか、内閣総理大臣秘書官二人を三人に改め、六月一日から施行しようとするものであります。
 本案は、四月十八日、本委員会に付託され、ただちに政府の説明を聞き、審査を進めて参りましたが、本案に対し、法務府、各省及び法律で内閣総理大臣その他國務大臣がその長に当ることと定められている行政機関に特別職たる政務次官各一を置くことができること、その総数は内閣総理大臣その他の國務大臣の総数を越えてはならないこととし、從來の各省次官を事務次官と改めるほか所要の改正を行う修正案が提出され五月十七日討論採決の結果、多数をもつて修正案の通り修正議決いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#5
○議長(幣原喜重郎君) 質疑の通告があります。これを許します。田中織之進君。
    〔田中織之進君登壇〕
#6
○田中織之進君 私は、ただいま齋藤内閣委員長より御報告になりました大藏省設置法案につきまして、齋藤委員長に対しまして御質問申し上げるとともに、これに間違いいたしまして、政府当局に数点についてただしたいと思います。
 私は、齋藤内閣委員長が老躯をひつさげて、本國会の特徴でありまする内閣委員会における多数の法案に対して熱心にその審査に当られておることに対しましては、敬意を表しておるものでございまするが、今回内閣委員会において審議せられました大藏省設置法案につきましては、四月上旬に本國会に提出せられましたところの大藏省設置法案が、五月の中旬に至りまして、政府側から國税廳の設置に伴う修正を行う必要から、特に本会議の承認を求めて政府は修正案を提出せられたのであります。從いまして、この大藏省設置法案にきわめて関係の深い委員会としての私の所属する大藏委員会といたしましては、すでに齋藤委員長のただいまの報告にありました通り、内閣委員会との連合審査会を一度開いておりまするけれども、重大なる修正が行われたことに関連いたしまして、重ねての連合審査会の開催を大藏委員会一致の決議をもちまして内閣委員長に申し入れたのであります。これは去る十六日に大藏委員長を通じて正式に申し入れを行つたのでございまするが、遂にこの連合審査会が開かれなかつたのであります。
 私の承知しておりますところによれば、各省設置法案について内閣委員会が主として審査に当るにあたりましては、関係委員会との連合審査会を開くということが運営委員会における了解事項になつておつたということでございます。從いましてわれわれは、本会議の承認を求めて修正案が提出せられる以上、当然連合審査会が開かれるべきものだという見解を持つておつたのでございまするが、いかなる理由でか、この連合審査会が開かれなかつたのであります。
 さらにわれわれは、昨日に至りまして、せめて連合審査会が開かれないならば、委員外発言によつてわれわれのたださんとするところをただしたいということを申し出で、さらに委員外発言が不可能といたしまするならば、大藏委員会においてまとめつつありましたところの大藏委員会の大藏省設置法案に関する要望事項を内閣委員会へ申し入れたいから、討論採決はしばらく猶予してもらいたいと、委員会正式の決定をもちまして内閣委員会に申し入れをしたはずでございます。それにもかかわらず討論採決が強行せられまして、――昨日の本会議に緊急上程をせられるという予定でありましたならば昨日の午前中に討論採決を行うという必要も了解せられないではありませんけれども、昨日緊急上程せられず、本日午後のこの本会議に上程せられまするならば、少くとも大藏委員会の一定の要望は内閣委員会において取り上げられてしかるべきであるとわれわれは考えるのでありまするが、(拍手)この点に対しまして、齋藤内閣委員長より、われわれ大藏委員会一致の要望が入れられなかつたことにつきまして、この際御答弁を煩わしたいと思うのであります。
 連合審査会が開かれなかつたために、私が政府当局にただしたいと考えておりました点につきまして、この機会に政府当局に御質問申し上げます。
 まず第一点は、第四條の十三にございますところの國の予算、決算及び会計に関する制度の統一という問題に関連いたしまして、現実に予算事務は大藏省の主計局が中心でございますが、各省にばらばらである。ことに安定本部との関係がきわめて複雑になつておる実情から、われわれは、かねがねこの予算事務を統一しまして、主計局をむしろ内閣に移管して、予算廳的な統一あるところの制度たらしめなければならないということを主張して参つておるのでございますが、この点につきまして、政府の中におきましても、増田官房長官が別の委員会において、このことについては大いに研究をされる旨の約束をされたと聞いておりまするが、大藏大臣は、この点につきまして、予算行政の一元化のために、この際大藏省の主計局を内閣に移管する意思ありやいなやということを、まず伺いたいのであります。
 第二点といたしましては、大藏省設置法案によりますると、金融行政に関する分野が、あるいは銀行局、あるいは理財局にまたがつて規定せられておるのであります。私は、今回の二十四年度の予算を見ましても、金融行政を一元化して強力なる金融政策を実施しなければこの予算の実施が不可能であるということをたびたび強調して参つておるのでありまするが、この際大藏省の中におきましても、理財局あるいは銀行局に分散しておりまする金融行政を一元化いたしまして、同時に先般日銀法の部分的改正がなされましたが、金融機関の再編成の線とともに、この際大藏省の中、あるいはできれば大藏省から金融部門を分離いたしまして、民主的な金融管理委員会のような制度を設けるべきであると考えるのでありまするが、この点に対する大藏大臣の所見を伺いたいのであります。
 第三は、今回連合國最高司令官の要求に基き、とわざわざ理由書の中に加えられて設置せられましたところの國税廳の新設に関する大藏省設置法案の内容でございまするが、もちろん連合國最高司令官の要求のあつたことはわれわれも承知いたしておりまするけれども、もしも連合國最高司令官の要求がなかつたならば、徴税機構の強力なる一元統一という点について、大藏大臣はあくまで主税局をもつて進もうとする腹であつたのかどうか。私は、國会に提出せられる法案の理由書の中に、連合國最高司令官の要求に基いて政府が提出するというような理由が明示せられたことは、この國税廳設置に関する大藏省設置法案の修正案が初めてであると了解するのでありますが、かくのごときことでは、一体占領下にあるとはいえ、日本の政治の自主性が認められていることに対して、國民をして私はいたずらに疑惑を持たしめるゆえんであると思うのでありまするが、(拍手)この点に対する大藏大臣の明確なる所信を伺いたいのであります。
 さらに大藏省設置法案によりまするならば、本省にはなお主税局を置き、一方外局として國税廳を設置するのでありまして、その間徴税に関する行政機構の一元化という点につきまして、私はきわめて不徹底であると考えるのでありまするが、これをさらに強化する意思ありやいなやという点をただしたいのであります。ことに國税廳の機構に関する問題につきましては、從來の財務局を総務部に格下げをいたしまして國税局を設置せられまするけれども、徴税の第一線官廳でありますところの税務署が、一面において國税庁の出先官憲であると同時に、なおそれ以外の大藏省の出先官廰をかねるがごとき規定がございます。さらに税務署の内部の構成につきましては大藏省令をもつて定めるということでございまするが、徴税第一線の役所としての税務署の内部機構については、いかなることを大藏省令をもつて定めようとしておるかということを、この際明らかにしていただきたいのであります。
 さらに國税廳の設置の問題に関連いたしましては、当然定員法がこの線に從つて修正されなければならないのでございまするが、いまだ國会に提出せられておりますところのこの定員法には、國税廳を外局とすることに対しまする何らの修正が行われておらないのでありますが、所管大臣としての本多國務大臣の明確なる答弁を煩わすものであります。
 さらに第六條にあります財務官の設置でありまするが、ただ單に大藏省だけに渉外事務を扱うために特別職的な財務官を設置する理由は、われわれはうなずけないのであります。もちろん、先ほどの委員長報告にもございましたように、先般國会を通過いたしました見返資金特別会計の関係の渉外事務を主として扱うということでございますが、これは明らかに、大藏省設置法案によりますれば理財局の所管になつており、りつぱな理財局長が現在でもおる、また有能なる大藏大臣もおられるのでありますから、これらの渉外事務は大藏大臣みずから当ればよいと考えるのでありますが、この財務官を置かれました眞の理由を大藏大臣から御答弁願いたいのであります。
 さらに第四條の三に、所掌事務の遂行のために直接必要な事務所を設置するということが規定されておりますが、これはいろいろ出先官憲の整理等が問題になつておるやさきでございますので、いかなる事務所を設置せられるかということを、この際明らかにしていただきたいのであります。
 次には、第四條の十九に規定しておりますところの地方財政に関する問題と地方財政委員会との関係についてお伺いをいたしたいのであります。地方財政に関しましては、木村國務大臣を委員長といたしまするところの地方財政委員会が今日嚴として存在しておるのであります。しかるに、大藏省設置法の中におきましては、あるいは主計局、あるいは理財局、あるいは主税局に、なお地方財政に関する分担事項を規定しておりまするがこれは行政機構を単純化して行く、また簡素化して行くという線から、地方財政委員会に統一すべきであると考えるのでありますが、この点に対する木村國務大臣並びに池田大藏大臣の所見を伺つておきたいのであります。
 次は、第八條の十七にございますところの國家公務員に対する福利厚生に関する施設を大藏省の所管事項といたしておることは、たとい國家公務員を対象とするものであるといたしましても、これは私は当然厚生省の所管であらねばならないと考えるのであります。当然これに伴う財務に関する事項は大藏大臣が扱つてもよいと思うのでありますが、これは本來ならば厚生省に移管すべきものであると考えるのでありますが、この点に対する政府の所見を伺いたいのであります。
 同様な関連におきまして、第十一條の管財局の規定の中に、賠償に関する事項をなお大藏省が取扱つておるのでありますが、これまた山口國務大臣を長といたしまするところの賠償廳が今日嚴然としてある限りにおきまして、しかも賠償関係は、まだ確定的ではございませんが、これは中止せられるというような関係が明らかになつておりまする矢先でございまするから、当然賠償廳に一元化すべきであると考えるのでありまするが、この点に対する関係をあわせて伺つておきたいのであります。
 最後に、第十二條の八には、信用協同組合の免許に関する事項を大藏省設置法が規定しております。しかし、信用協同組合という制度は、今日われわれは法的な根拠を持つたものとしては見受けることができないのであります。むしろ大藏省の所管に属しておるのは、私は市街地信用組合であると考えるのであります。ところが、市街地信用組合は大藏省の所管からはずされておつて、いまだないところの信用協同組合が大藏省の所管になつておるということは、われわれの納得の行かないところであります。現に本日おそらく上程せられるでありましよう貸金業等の取締に関する法律案の中には市街地信用組合に関する規定も含まれておるにもかかわらず、いまだ法律の制定せられておらない信用協同組合というようなものを大藏省の所管事項の中に規定し、当然大藏省が所管しなければならない市街地信用組合を大藏省の所管事項からはずしたということは、私は納得ができないのでありまして、この点に対して、大藏大臣から明確なる所信を伺つておきたいのであります。
 私の質問は、当然連合審査会が開かれておつたならば、本会議でわざわざなす必要のなかつたものでございまするが、第一番の委員長に対する質疑にありまするように、連合審査会が開かれなかつたために、本会議場を煩わして関係各大臣の答弁を要求する次第であります。(拍手)
    〔齋藤隆夫君登壇〕
#7
○齋藤隆夫君 田中君にお答えいたします。御承知の通りに、内閣委員会は、議案審査の必要上より各省の委員会を連合審査会を一回開いたのであります。これによつて、委員諸君からいろいろな質疑が出、また意見を述べられまして、十分に議案審査の実を盡したと思つておりましたところ、さらに大藏委員会からして、もう一ぺん連合審査会を開けという申込みがあつたのであります。むろん委員長の独断でこれをとりはからうことができませんから、委員会に諮りましたところ、委員会の多数によつて、その必要なしと、こう決定いたしましたから、委員長といたしましては、それ以上何事もなすことの権能を持つておりません。さよう御承知を願います。(拍手)
    〔國務大臣池田勇人君登壇〕
#8
○國務大臣(池田勇人君) 田中議員の御質問にお答えいたします。質問が盛りたくさんにありますので、簡單にお答えいたしたいと思います。
 第一の、主計局を内閣に移管することについての所見いかん。ただいまのところ、内閣に移管する考えは持つておりません。御承知の通りに、最近の経済情勢から申しますると、歳入歳出並びに金融財政は一体として考えなければならぬ重要な問題でございます。各國の例を見ましても、アメリカにおきましては予算は大統領直属になつておりまするが、イギリスにおいては大藏大臣のもとにあるのであります。私は、歳入と歳出は常に見合して行かなければなりませんし、歳入歳出のスケールは金融に相当重要な関係を持ちますので、ただいまの制度がよいと考えております。
 第二に、金融行政におきまして、大藏省の方においては銀行局並びに理財局の所掌になつておつて、二元的ではないか、この御質問でありますが、二元的ではございません。銀行局は主として金融機関の監督に当つておるのであります。理財局はその字の示すがごとく理屈でございまして、内容は國庫、外資、あるいは一般産業経済の事務を所掌いたしておるのであります。今回の見返資金の事務につきましては、お話にもありました通りに理財局でやることになつておりまして、決してこれは金融の二元化とは言えないと考えております。
 第三に、國税廳の設置につきまして、設置理由に指令があつたということを述べておるが、その通りかという御質問でありますが、その通りでございます。実は國税廳設置につきましては、シヤウプ・ミツシヨンの税制改革等の結果をみまして根本的に考えようと私は思つておつたのでありまするが、早急に設置する要ありとして指令が出ましたので、修正によつて御審議を願つた次第であります。
 なお主税局と國税廳との問題につきましては、設置法案に示しておりまする通りに、主税局は税制の立案企画をなす所であり、また別に税関行政、いわゆるカストム行政の方をやります。つまりブレーンの仕事をやつておるのでありますが、國税廳の方は主として國税一本に、國税廳、國税局、税務署と、実施方面に專念するために、かく機構を改めた次第であります。
 その次に、財務官設置の理由いかんという御質問でございますが、御承知の通り、アメリカの西ヨーロッパに対しまする、いわゆるマーシャル案につきましては、西ヨーロッパはおおむね國務大臣を置いてこの仕事をやつておるのであります。私は行政機構の簡素化という点から申しまして、國務大臣を置く必要はありませんが、最近のごとく財政経済事務に対しまして関係方面との折衝が非常に盛りたくさんになつておる場合には、一人の財務官を置いてやることが適当と考えて置いた次第でございます。
 次に、賠償事務を賠償廳と大藏省とわけ合つてやつておるのではないかとの御質問でございますが、賠償廳は御承知のように賠償に関する企画あるいは総合調整をやる官廳でありまして、実際の賠償事務におきましては、國有財産については大藏省、商工業関係の賠償事務につきましては商工省、いわゆる企画面と実施面をわけて行うことが適当と考えて、わけてやつておるのでございます。
 次に、地方財政の問題につきまして、大藏省の主計局、主税局等に地方財政を監督する意味の規定があるではないか、こういう御質問でございますが、昔は大藏省の主計局あるいは主税局が所掌の事務によつて直接監督を加えておりましたが、今回はそれを改めまして、連絡調整程度にとどめたのであります。総合財政官廳といたしまして大藏省が地方財政に関係を持ちますことは当然でございまして、関係を持てば、その間の調整をはかることはまた当然の帰結と考えております。
 次に、國家公務員法に関する事務は厚生省でやるべきであつて、大藏省でやるべきでないではないかという御質問でございますが、國家公務員法の厚生施設につきましては予算を伴う仕事が多いので、臨時的にやつておつた次第でございます。今後この問題については研究いたしたいと思います。
 最後に、大藏省の事務に信用協同組合に関する事務が載つておる。そして市街地信用組合に関する事務ははずしておるじやないか、そういう御質問でございまするが、御承知の通りに、今國会に信用協同組合法が係属いたしておりますので、その通過を予定いたしまして、設置法にかく規定を改めた次第でございます。ご了承を願います。
    〔國務大臣本多市郎君登壇〕
#9
○國務大臣(本多市郎君) お答えいたします。國税廳の設置に伴う定員法案の修正につきましては、関係方面の承認等を得るためにたいへん遅れておりましたが、本日提案いたしたような次第でございます。(拍手)
    〔國務大臣木村小左衞門君登壇〕
#10
○國務大臣(木村小左衞門君) 田中君にお答え申し上げます。地方財政及び地方税制に関しましては、今回設置せられまする地方自治廳においてこれを所管いたします権限のありますことは御承知の通りでございます。一方、大藏省は國の財務を総括いたしております立場から、地方財政に関しましてこれの調整をはかるところの権限を持つことになつておるのであります。從いまして、地方自治廳と大藏省との権限の間に重複をいたしまするようなことは決してないものと思うのでございます。御答弁申し上げます。(拍手)
    〔國務大臣山口喜久市郎君登壇〕
#11
○國務大臣(山口喜久一郎君) 大藏省設置法の第十一條の九項に対する御質問であつたと思いますが、先ほど大藏大臣から御答弁申し上げた通りであります。(拍手)
#12
○議長(幣原喜重郎君) これにて質疑は終了いたしました。
 討論の通告があります。これを許します。勝間田清一君。
    〔勝間田清一君登壇〕
#13
○勝間田清一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案せられました大藏省設置法案、郵政省設置法の一部を改正する法律案、電氣通信省設置法及び電氣通信省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案並びに國家行政組織法の一部を改正する法律案に対しまして反対を申し上げたいと存じます。
 これは、先ほど田中委員より各大臣に御質問申し上げたことに対する答弁でもわかつておると考えまするけれども、およそ行政組織の改革は、現内閣の、あるいは民主自由党の大きな公約であつたと存ずるのであります。そして、その大きなねらいとするところは、現在の日本の國情から見て、いかに行政組織を簡素化し、あるいは能率化して行くかという、一つの合理性をどこに見出すかということであつたと思うのであります。それと同時に、現在いろいろな意味で官吏の力が増大いたしておりまするけれども、國民の立場からいたしまするならば、これをいかに民主化して、そうして國民のための行政組織を運用するかに私はあつたと存ずるものであります。この二点の面から見て、現在の行政組織をいかに改革して行くか、それが國民のひとしく要求しておつた問題だと私は存ずるものであります。
 しかるに、このたび提案されましたところの各省の設置法、あるいはそれの基本をなす行政組織法のいずれを見ましても、そこに何らの合理性も見出すことができないのであります。(拍手)これは各委員会においての各大臣の答弁にも明確に現われておつたように、いわゆる定員法によつて首切りを実行しなければならない。その首切りの要求に基いてこの法律を制定せざるを得ない事情にあるということ、(拍手)これを明確にわれわれは看取できたのであります。これはまことに本末を轉倒した政策と言わざるを得ません。すなわち、首切りの一定の人数をきめておいて、それを各省に割り当てて、そうしてここにでき上つた一つの妥協案がすなわち各省の設置法として生れたということ、われわれはこれを信ずる次第であります。こういう條件のもとに、いかに大言壮語されましても、われわれは、この中に眞劍な行政組織の改革案が盛られておるものとは断じて考えることができないのであります。(拍手)
 たとえてみまするならば、ここに提案されておる大藏省の設置法にいたしましても、從來常に重大な問題になつておつたところの主計局をどうするか、こういう問題にいたしまするならば、これはまことに重大な問題と言わざるを得ないのでありまして、先ほど大藏大臣は、歳入と歳出を一緒のところで扱つておつた方がよろしいというように簡單にこの問題を扱われましたけれども、事実はそういう簡單な問題では断じてない。それなるがゆえに、私も当時増田官房長官に対してこの点を質問いたしましたところが、主計局の処理の問題をも含めた行政組織の改革を考えて行きたいという点を明らかに答弁をいたしておるのでありますが、そういつた問題に対する何らの考慮も拂われていない一つの案でございまして、現在、あるいは農林省、あるいは商工省、いろいろな省の面から見て、おそらく私が想像いたしますならば、現在の大藏省以外の各役所は、この主計局を内閣に移して、そうしてりつぱな予算編成方針を立ててもらいたいと考えておるに違いないのであります。
 今度の予算の編成を見てもよくわかる通り、これほど日本の現実の社会に重大な影響を及ぼすところの予算の編成、將來の日本の建設に重大な影響を及ぼすところのこの予算の編成が、一大藏省の主計局の扱いによつて処理されて行くというところに、大きな無理があるのであります。(拍手)それなるがゆえに、いわゆる予算の編成ができず、内示案というものをもらつてまで、ここに予算のつじつまを合せて行こうという事務的処理しか考えておらない。実際に、現在の日本國の再建いかんという問題は、おそらく民主自由党の諸君にいたしましても、党全体の問題であり、内閣全体の問題であると信じておられると私は思うのであります。その大所から予算が編成せられ、金融措置が考えられ、再建方策が考えられて行くというところに今後の大きな道筋があると存ずるのであります。それを考えずに、一大藏大臣の便宜主義によつてこの予算の編成権というものが考えられておるといたしますならば、われわれは、この將來の編成が大藏大臣の一つの考え方によつてゆがめられるおそれも多分にあると存ずるものであります。(拍手)あらゆる省の、あらゆる分野の納得の行ける、透徹したところの日本政府の方針を決定する、その重大なる面が主税局にあるとするならば、これはアメリカのように大統領直属によつて予算の編成権というものが持たれることが当然であると私は信ずるのであります。その意味に、あらゆる面において考えることができる。
 すでに通過した問題でありますけれども、これらと安定本部とどういう関係に置くか、あるいはその他の省とどういう関係に置くか、いかに立体的に日本の行政機構を組み立てて行くかという面について、何らの熱意なしに、單に首切りに基いたところの、いわゆる設置法というものをつくるということは、これは断じて許せないものであると私は信ずるのであります。しかも、私どもの考えておりますところの、いかに官廳を民主化し、官僚制度を拂拭して國民のための官廳をつくるかという点については、何らの考慮が拂われていないのであります。
 先ほどの答弁によりますれば、司令部の命によつていわゆる國税廳をつくるということを今度初めて言われたそうでありますけれども、現在それならば税務機構をいかに民主化して行くか、いかに能率化して行くかという問題も、ずいぶん大きな問題であり、各省の出先機関をどう民主化して行くかということも大きな問題であります。それらが、日本のあらゆる國民が一番要望しておるところの重点と言わなければなりません。この点についての明確な方針を確立することなしには、私は行政機構の改革は絶対にあり得ないと思うのであります。そういう意味で、ぜひこれらの問題を眞劍に考えていただきたかつたけれども、それがたつた首切りのための便宜主義で組まれたという点において、根本的な欠陥をこの中に指摘することができると思うのであります。
 さらに、この案と他の案との関連を考えて見ると、われわれはさらに重大なることを考えざるを得ません。それは言うまでもなく、現在提案中のいわゆる参政官制度を設置するということがすでに提案になつておる。それから、この次にいわゆる定員法というものを設置することになつておる。これと現在のこの案とを考えて見まするならば、そこに私どもは重大な問題を見出さざるを得ないのでありまして、民主自由党の党内の事情についてどういうことがあるか十分私はわかりませんけれども、聞くところによりますると、参政官というようないすを設けて党内の事情をまとめて行こうというような考え方が傳えられておるのでありまするけれども、もしそれが眞実であるといたしますならば、これは行政機構に名をかりて、もつと極端に言うならば、首切り行政整理を行うことに便乗して、それにプラスするところの参政官をつくつて行こうというのであつて、これは行政機構の改革というものを党利党略のために利用するということになつて参るのであつて、行政組織改革の眞の精神を冒涜する結果になると私は思うのであります。私は、そういう含みをここに考えまするがゆえに、いよいよもつてこの案の動機を疑わざるを得ないのであります。
 さらに、今後提出いたされる定員法に至りますれば、これはわれわれとして重大問題であります。現在われわれは、各労働組合や各職組等の方々から、定員法に対する大きな反対と同時に、この行政組織に対する大きな反撃の陳情を常に受けているのでありますけれども、この案は、先ほども言つた通り、定員法並びに首切り法の前提の機構であるといたしまするならば、これに賛成することは同時にわれわれが首切りに賛成することに相なるのでありまして、これは断じて賛成することのできない点であります。
 私は最後に申しますけれども、從來民主自由党の諸君は常に官僚制度の打破を叫ばれて参りました。しかるに、今度のこの案は、下僚の、現地の、末端の、汗して働いている官僚諸君を首切つて、高級官吏と提携して旧官僚制度の温存をはかろうとする制度であることを私は如実にくみとるのであります。その意味におきまして、私は日本社会党を代表いたしまして絶対に反対するものであります。(拍手)
#14
○議長(幣原喜重郎君) 井之口政雄君。
    〔井之口政雄君登壇〕
#15
○井之口政雄君 ただいま一括提案されました郵政省設置法の一部を改正する法律案、電氣通信省設置法及び郵政省設置法及び電氣通信省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、この三案に、日本共産党を代表いたしまして反対するものであります。
 元來通信省を両省に分離したのは、これはさきの國会でありまして、すでに成立しておりますが、いまだ実施に至つておりません。今回実施にあたつて、さらに一部分の改正を企図しているわけであります。二省分離の方式によつて達しようとした目的は、ライン・オーガニゼーシヨンをさらに強化しつつ、これに伴つて行政整理をも断行し、かつ機構を縮小しようとするのが、これは政府の目的だと言われているところであります。今度の改正は單なる縮小の点が眼目となつておりますが、しかしながら、元來このライン・オーガニゼーシヨンなるものは、新しく実施する上に、現実的にいかなる特質が生じて來るでしようか。その結果いかんによつては、單にこの縮小部分の檢討に局限するというものではなくして、全般的な檢討を必要とする次第であります。
 まず第一、この法案によつて実現される機能の特質を見まするに、事務が簡素化されます。任務と責任が明確になります。これを遂行するにあたりまして、しかしながら現実において公務員法、人事院規則が苛酷に適用される結果になり、また特別会計法及び標準実施方式、標準指令、逓信職員訓練法などという苛酷な圧迫が從業員を悩ます結果に立ち至るのであります。こうした圧迫的な事実を排除する、民主的な何らの保障がないのであります。從いまして、労働の強化、非人間的な服從が要求されて來る。責任量未遂行の場合には超過労働が強制されます。また強制や半強制の居残りとか残業とかというものが課せられる危險が十分にあるのであります。
 第二番目に、今までの旧式の機構であつた、千なりびようたん式のものはなくなつてしまう。たとえば電氣通信省において見まするに、業務局とか施設局とか、本省から現業局まで系統的に一貫して機能別に局が運営されるという点はある。しかしながら、このために中央集権が強化されまして、これを民主化する他の施策がないために、新しい独裁的な官僚機構がまた樹立されるという結果に立ち至り、下部機構は極端に機械化され、專門化されて参るのであります。運営の指揮命令は、大臣、次官の手から技術的な監察官の手に移ります。会社の重役にも匹敵するようなこれらの新しい官僚が、最終的な承認権、指令権を完全に掌握する結果に立至るのであります。これでは、この事業が公共性を持つておるにかかわらず、利潤追求の單なる商業機関に失墜するの危險性が將來濃く押しかぶさつて來るわけであります。民主主義的な様相を持つたところの電氣通信審議会でも、表面そうなのでありまして、これに外人の参加する懸念が濃厚なのであります。反対に、需要者とか、労働者とか、電氣器具のメーカーというような人たちの参加がこの審議会にないのであります。
 第三番目といたしまして、行政整理との関係を見てみまするに、元来ライン・オーガニゼーシヨンは事務の局部的な簡素化をなすことは当然でありまするが、人員の整理をぜひともやらねばならぬという建前ではないのであります。荒廃した通信事業は、むしろ復興と拡張を必要としておる。それを独立採算制あるいは財政の節約とむりに結びつけて、首切りを実行しようとすることは、本末を轉倒したものと言わなければならない。予算人員で三万八千名の首切りということになつておりますが、実際やる人員は、生首で四万八千名を切ると言つている。これでは労働の強化となり、労働時間の延長とならざるを得ないのであります。これが本法案の目的とするところと矛盾することは明らかである。局とか部とか係とかいうふうな数はやはり同じでありまするから、政府の言う通りに必ずしも機構の簡素化や財政の節約にはなりません。ただ上部機構の一部分に、單に見せかけだけの廃合が行われるというにすぎません。
 第四番目に、最も氣をつけていただきたいことがある。日本全体の電信電話回線の二七%が警察用回線でありまするが、それが電氣通信省に移管されます。この施設は、今日もうボロボロになつている。しかも、これを移管するにあたりましては、ただ單に設備だけを移管するだけで、人とか金は移管しない。これから電信電話の費用はますます安くさせられるでございましよう。それゆえに、一方において警察力の強化が隠密の形でなされるのであります。電氣通信の採算の基礎は非常に悪くなつて参るでございましよう。
 第五番目に、最も重大なることで、日本の全國民に聞いていただきたいことが一つある。それは、外資の導入が上げ潮のようにこの通信事業にしみ込んで來る危險性であります。これは今から確実に予想されるところである。元來電氣通信事業というものは、昭和九年の特別会計法の制定以來、当時の金で毎年一億円、あるいはそれ以上の利潤を上げておりました。二十四年度にも推定約五十億の利潤が上るだろうと、もう今からすでに予想される。この最も有利な投資部面に、未の百二十億というものが投資される予定になつている。その結果、日本の通信事業が將來はたしていかになつて來るでありましようか。ライン・オーガニゼーシヨンを今急速に実施するためには、國内産の機械をもつてしては間に合わない。急速に輸入するか、外國のパテントを持つた外資と結合しておるところの日電とか東芝とか住友電工とか藤倉とか、こういうところの製品を必要とする。しかして、中小のメーカーは当然発展する余地がなくなつてしまう。國営企業というものは、元來これを民主化して、さらに人民管理に移す、從業員の賃金を引上げる、單價を切下げて初めて公共事業としての本務を達せしめることができるのでありますのに、これとまつたく対蹠的な政策をとつて、首は切るわ、労働は強化するわ、機構は独裁化するわ、外資は導入して來るわ、そしてそれに奉仕するわ、こういうふうな結果に立至る本法案に対して反対せざるを得ないのであります。
 次は大藏省設置法案に対する反対でございます。ごく簡單に申し上げます。その反対理由といたしまして、第一に、もしこの法案を実施するといたしますならば、事務が具体的に規定されるという利点はある。しかしながら、他面大藏大臣の権限が非常に強化されて、官僚機構が依然として温存されるという点に立至るのであります。大藏大臣の権限は、昭和十七年の大藏省官制第一條の規定に比較いたしまして、今度は比較にならないほど強化されるのであります。
 第二番目に、財務官という特別職が設置されます。これは次官と局長の間の地位を占めるのでありまして、この財務官の所掌事務は、官房にも局にも属せず、さらばといつて課と同じ機構に置かれるものでもありません。これは國家行政組織法の第二條及び第七條に違反する、きわめてあいまいなものであります。さらに財務官は、千七百五十億円の見返資金の運用にあたりまして渉外的な役割を負わされておりまするが、こうした役割をこれに負担させることは、財政の自主性を危くする原因となつて來る。
 第三番目に、この財務官が日銀に新たに設置せられることになりましたならば、日銀の政策委員会における大藏代表にでもなろうものならば、それこそ國家と金融資本との結合のシンボルとならざるを得ない。考えますと、見返資金運営の背景を見て、財務官こそは予算運営、資金運営の自主性を喪失せしめるための機関となると言わざるを得ないのであります。
 第四に、徴税機構の強化をねらつておるのであります。國税廳が設置されて、税務署が増設され、税務講習所が拡充され、國税監査部が強化される。行政整理を敢行して首切りを一方に実行しているのに、こうした徴税機構をどんどん拡充されることは、國民ひとしくこれには賛成しかねるところであります。浦和事件とか、あるいは中野税務官吏の收賄事件だとか、全國至るところに巻き起こつておる税務署の不正事件を粛正して、人民からの徴税の合理化をこそはかるべきであるのに、かかる官僚的な收奪機関の強化拡大をはかることには反対せざるを得ないのであります。
 第五に、附属機関がやたらに増加されます。中央において二十四、各財務部に二つ、税務署に三つ、あるいは審議会と称し、さまざまな名前で増設されることになる。これらの機関によつて人民の自主性はまつたく押しつぶされてしまつて、圧制はますます激しくなり、收奪はますます進み、國民は悩むという結果に立ち至るのであります。
 かくして、この法案にわれわれは全面的に反対せざるを得ないのであります。(拍手)
#16
○議長(幣原喜重郎君) 小林進君。
    〔小林進君登壇〕
#17
○小林進君 ただいま提案されました大藏省設置法案、郵政省設置法案の一部を改正する法律案、電氣通信省設置法の一部を改正する法律案、郵政省設置法及び電氣通信省設置法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、國家行政組織法の一部を改正する法律案、以上につきまして、私は新政治協議会を代表いたしまして反対の意見を述べんとするものであります。(拍手)
 その反対理由の第一とするところは、これらの法律案がいずれも下級官吏の首切りを唯一の前提としてでき上つた改革案であるということであります。第二番目は、これらの法律案はいずれも行政の簡素化を標榜しながら、その実は行政機構をさらに複雑怪奇ならしめているということ、第三は、これらの行政改革はあくまでも高級官僚の勢力の温存に終始し、これが開國にあたつて、むしろ高級官吏が過分に勢力を張る傾向が強いのであります。第四に、現在の官僚機構に対する國民の世論というものがこの改革案に一つも盛られていないということであります。働く從業員諸君の氣持もまた少しも反映していないということであります。以上の四つの点において、われわれはこの改革案に反対せざるを得ないのであります。
 第一、國民は眞に行政改革を要望いたしております。しかし、國民の要望する第一の行政機構の改革は、すなわちわが國は敗戰國として國が小さくなつた、貧しくなつた、從つて、これほどの厖大なる行政機構は、これを敗戰國らしい簡素な行政機構に改めてもらいたい。そうして、願わくば國民負担の軽減をはかつていただきたいというのが、行政機構に対する第一の要望であります。
 第二は、現在の官僚機構は、これまたいずれも硬直化して、あるいは事務が複雑多岐にして、その能率は非常に緩慢であります。從つて、こうした行政機構をすべからく改めて、國民の求めるがごとく簡素迅速に行政事務を処理していただきたいというのが、國民の要望の第二であります。
 第三の問題といたしましては、終戰後高級官吏の不正、腐敗というものが人口に膾炙いたしております。こういう高級官吏の不正や腐敗を防止する意味においても、この角度から根本的に行政機構を改めていただきたい。これが國民の第三の要望であります。
 第四の問題といたしましては、現在わが國は、いまだ民主政治とは言いながら、事実の面において官僚政治ではないかという疑念と色彩が濃いのであります。この点に着眼して、すべからく官僚政治に陥りやすいところのこの行政機構を改めていただきたい。これが國民の第四の要望であります。
 しかるに、このたびの行政機構の改革は、國民諸君のこうした希望、こうした要望が一つも反映いたしておらぬのであります。この点において、われわれはまつこうからこれに反対せざるを得ないのであります。
 たとえて言えば、大藏省の設置法案におけるがごとく、財務官などという、あるいはまた主計局に次長を二人置くなどという、こういう必要がはたしてあるか。財務官制度は、先ほどもよくお話がありましたが、これは私は御殿女中の政治だと思う。こんな奥女中式、御殿女中式の政治は、私は不必要だと思うのであります。
 それから、審議会あるいは審査会等等というものが、大藏省だけで二十三も設置せられるのであります。これが月に一回ずつ会議を開くとすれば、一体これをだれが統制するのか、大臣が統制するのか、次官が統制するのか。月一回この会合に出るとしても、月の二十三日はこの委員会で暮さなければならない。こういう現実に運営困難なるものを幾つも羅列することは、すなわちこういう審査会、調査会というものを民主的な姿に仮装して、高級官僚の自己の防壁をつくる陰謀にほかならぬと私は思うのであります。それから今一方には、こうした審査会、調査会には、えてして古手の官僚、ボス的政治家、あるいは特殊の企業家がこういう中にはまつて、利権屋あるいは名誉欲獲得のどろ場にする危險が多分にあるのであります。この意味においても、私は、こうした多くの審査会、調査会に対しては、その必要なしとして反対せざるを得ないのであります。
 次に郵政省の問題でありますが、郵政省におきましても、このたびの行政改革は、眞に働く從業員諸君四万八千人の出血の犠牲においてこの改革案が持たれて來ておるのであります。しかも上層部に至つては、いわゆる監察局を強化する、あるいは行政審議会を新たに設けるといつたような形で、どこまで行政の責任をだれが分担するのか、わけのわからぬような、あるいは独善的企業家に多分の利益をもらたすおそれのある、そういう審議会などというものが設けられ、一方には首を切られて動揺する下級官吏にさらに強力なにらみをきかせるような、そういう監察局の力が強く描き出されておるのであります。
 われわれ國民は、こうした働く下級官吏諸君、從業員諸君の一人でも首切られるところの行政整理を要望いたしておるのではありません。高級の官吏を一人首を切ることは、すなわち下級官吏の十人、五十人、百人を養うに値するのであります。國家が貧乏しておるこのときに、高級の自動車で乗りまわして、機密費や交際費などの國の経費で生活するぜいたく官吏は、一人よりも二人、二人よりも十人、できれば半分以上これを首切つていただいて、その分を眞に働くこの從業員諸君にわかち與えて、お互いに貧しきながらも、貧しき中に手をとり合つて祖國を再建しようじやないかというのが、國民の眞の世論であります。そういう形が少しも出ていない。この反動的、官僚的、高級官僚の勢力を温存して、何ら國民の世論を一つも反映せしめざるところのこれら行政機構の改革案に対し、われらはまつこうより反対することを繰返し述べまして、私の討論を終りといたします。
#18
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 日程第一ないし第五を一括して採決いたします。日程第五の委員長の報告は修正でありまして、その他はいずれも可決であります。五案を委員長の報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて五案とも委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#20
○議長(幣原喜重郎君) 日程第六、國立学校設置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。文部委員会原彪君。
    〔原彪君登壇〕
#21
○原彪君 ただいま議題となりました國立学校設置法案につきまして、文部委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案の趣旨といたしまするところは、國家行政組織法に基きまして、國立の大学、高等学校及び盲教育、聾教育に関する國立の各種学校の設置を定めるものであります。從つて、本法案の内容といたしましては、まず第一に、國立大学につき各大学の名称、位置、学部と、そこに附置せらるべき研究所並びに研究施設を規定いたしました。次に第二には、三つの電波高等学校の名称、位置、第三には、國立盲教育学校及び聾教育学校の名称、位置及び目的をそれぞれ規定いたし、最後に各國立学校に置かれる職員の定員を各学校ごとに明らかにいたしております。
 本法案は、去る四月二十七日文部委員会に付託され、五月七日文部大臣より提案理由を聽取して以來、前後七回にわたつて審議を重ねました。特にこの法案にいわゆる國立大学は、旧制の大学、大学予科、高等学校、專門学校及び教員養成諸学校等二百六十七の官立学校をもつて編成せんとするものでありまするが、これこそは、昭和二十一年親しくわが國の教育を調査しましたアメリカ教育使節團の勧告と、教育刷新委員会の答申に基いて、わが國民主化の基本方針として樹立せられまして六・三・三・四の新学制の最終段階を画する、いわゆる新制大学でありまして、地方分散的な計画に基いて各地に設置することとなつております。そのために國民注視の的となつておつたところのものであります。從つて、政府もこの設置には愼重を期し、学校教育法による大学設置委員会に諮問し、できるだけ地方及び学校の意見を尊重して立案した模様でありまするが、二、三の学校については遂に成案を得ず、未解決になつておりましたので、かたがた本委員会の審議も、毎度場内にあふるる傍聴人を前にして、眞劍活発に行われました、その詳細はすべて速記録に讓り、ただ修正案について御説明申し上げたいと存じます。
 まず、民主党第九控室の小林運美君より修正案が提出せられました。これは上田繊維專門学校を基盤として上田繊維大学を設置せんとするものでありましたが、少数で否決せられました。次に、民主自由党の水谷昇君より修正案が提出せられました。これは東京文教大学を名古屋工業大学にそれぞれ名称を改め、信州大学には繊維学部を置いて上田繊維專門学校を包括せしめ、秋田縣には新たに秋田大学を設け、学藝学部と鉱山学部を置いて、秋田鉱山專門学校、秋田師範学校及び開いた青年師範学校を包括せしめることとするものでありますが、この修正案は多数をもつて可決せられました。かくし、本修正案の修正部分を除く原案も多数をもつて可決せられ、本法案は修正議決と相なりました。なお民主自由党水谷昇君より、新制東京芸術大学に邦樂科設置の強い要望が提議せられ、多数をもつて可決せられましたことを、あわせて御報告申し上げます。
 諸君、ここに六十九の國立新制大学の設置を見て、わが國教育民主化の根幹をなす六・三・三・四制が一應確立するに至りましたことは、まことに御同慶にたえぬところであります。本法案についての審議は僅々十日に過ぎませんでしたが、この新制大学設置問題自体は、旧文化、文教、現文部各委員会を通じて、すでに久しく檢討されて來たところであります。私は、この間における新旧委員各位の終始一貫御熱心なる御審議と、委員外の議員各位より寄せられました非常なる御関心と御鞭撻に対しまして満腔の謝意を表しまして、私の報告を終りたいと思います。(拍手)
#22
○議長(幣原喜重郎君) 討論の通告があります。その発言を許します。受田新吉君。
    〔受田新吉君〕
#23
○受田新吉君 ただいま上程されておりまするところの國立学校設置法案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして反対の意思表示する次第であります。
 そもそも敗戰直後において、わが國のあらゆる制度が根本的に切りかえられた中におきまして、その最も大きな構想によつて進められたものは教育制度の改革でありました。そうして、第一に六・三制が義務教育として新憲法にはつきり規定せられ、さらに新制高等学校、新制大学と漸次進められて來たのでありますが、今やその最終段階の國立新制大学を規定する設置法がここに上程せられるに至りましたことは、その根本精神においては私たちは十分賛意を表せざるを得ないのであります。しかるに、この重大なる教育の民主化の最後を飾るところの新制大学を國立として規定するこの重要なる法律案の内容が、あまりにも早急の間に立案計画され、そうしてわれわれの前に提示されたものが非常にずさんな結果をもたらしているということにおいて、私たちはここに断固反対を表明する次第であります。(拍手)
 第一に、この法律案の内容を見ますると、その本則とするところは、わずかに十五條であります。この十五條の中に規定されてあるところの、その命令への委任事項がいかに多いか。今一々挙示するまでもなく、第七條におきまして「國立大学に附属の学校を置く場合においては、その組織その他必要な事項は、法律又は政令で定める。」とされております。「國立大学に附属の学校を置く」という重大な規定を、單なる政令で発した場合に、いかなる結果が起るでありましようか。その学校の独特の性格及びあらゆる角度から見て最も安全と思われるものは、やはりわれわれ國会の審議を経た法律案として規定する以外に断じて許されないのであります。
 また第八條の、國立学校の学部に置かれる講座とか、あるいはこれにかかわるべき種々なる重要事項を文部省令で定める、これまた大きな委任をしておるのであります。さらに第十三條におきましては、「各國立学校に置かれる職の種類及び定員については、文部省令で定める。」と規定されておりまして、現在大学に置かれておりまする教授、助教授、事務職員、技術職員あるいは教務職員のごときものを、單に文部省が大臣の権限において命令を発するという規定を設け、特に定員においても、これを命令に委任しておるのであります。現に内閣委員会に上程されておりまするところの定員法と関連する問題でありまするが、少くとも各國立学校の職員の定員については國会の審議を経た後においてなさるべきであつて、文部大臣がかつてに各國立大学の適当なる定員を独断で規定するようなことは断じて許さるべきことではないのであります。
 さらに第十五條に、はつきりと命令への委任事項として、「この法律又は他の法律に別段の定めのあるものを除く外、國立学校の組織及び運営の細目については、文部省令で定める。」とされておりまして、学校内部におけるところの組織及び運営を、大学の自治性を尊重することなくして、大臣の権限において規定するというようなことは、これまことに、われわれ國民の最も憂えて來たところの大学の自治及び研究の自由を侵害する重大な規定であるのであります。
 私は、わずか十五條にしか及ばないこの本則的な規定の中に、かくも数項にわたるところの根本的命令委任事項があるということにおいて、最も現在憂慮されるところの官僚統制の強化、文部官僚が依然として各國立学校を統制し、かつ國立学校に対してその大いなる権限を振りまこうとする、憂慮すべきものがひそんでいることを憂えるのであります。(拍手)
 皆さん、この重大なる大学自治の尊重、学問の自由、この規定を單なる官僚統制によつて十ぱ一からげに縛り上げようとしたこのやり方そのものにわれわれは非常なる不愉快を感じます。政府当局は、もう少し研究審査の結果において、いま一歩進んだこれらに対するところの親切なる規定をなぜ設けなかつたか。たとえば定員関係におきましては、國立学校定員法のごときものを設定するとか、もしくは大学自治法、あるいは大学を設置する基準、根本法のごときものを同時につくつて、これらを並行的にこの設置を進めらるべきではなかつたか。この点において、文部当局、政府当局は、いま一歩進んだところの親切な研究をしていただきかつたのであります。
 今や祖國日本が平和的に文化的に高らかにその巨歩を踏み出そうとするときに、新制大学が、その名ばかりを得るにとどまつて、その実が、かの六・三制そのもののごとく、あの一昨年出発したばかりの六・三制度が今や重大な危機に瀕したるごとく、この誕生とともに、あるいはその轍を再び踏まんとすることを私は深く憂うるものであります。
 最後に、特にこの教育危機と言わるるときに、新制大学を國家が保障する立場において予算的措置を十分に講じてしかるべきである。昨日、本会議において遂に可決せられましたるところの文部省設置法案の大学学術局の事務の規定の中において、大学教育及び学術の研究に対して國庫が補助をすることができるという規定が掲げられてありましたが、少くとも國立の学校に対してその経費の一部を補助するごとき精神を文部当局が持つているということに対して非常な不満を抱くのであります。國立の学校の経費は、義務教育とともに全額これを國庫が負担するくらいの大きな勇氣を持つべきである。同時に、この新制國立大学のあまたの学校の中には、各府縣において非常な爭いの結果生れた学校があるのであります。そして、いろいろな陳情、請願、あらゆる政爭の結果、遂にやつと目標に到達して、この設置法の中にあげられたのでありまするが、このような困難なる段階において、地方各府縣が教育の地方分権という立場からも総合大学設置に猛烈なる運動をして生れたこの大学が、教育の根本的な根拠であるところの予算的措置を得られないために生みつぱなしの運命になることは、まことに憂うるに足るところの元凶が私は十分この法案の中にひそんでいることを憂えるのであります。(拍手)
 皆さん、與党の各位は、この法案に対しましてほとんど無條件で御賛成をなさつたのでありまするが、私は最後に一言申し上げたい。今や世界に最も誇るべき文化高き國家となる立場からは、大学の研究はより高度でなければならない。しかるに、新制大学の学制の研究がいささか低下する懸念があり、しかも今度の学生募集において、その定員に達せざるところが相当あるやに懸念される現段階において、何ゆえこの法案の中に、あの大学の最も研究に蘊蓄を傾けるところの、学校教育法に規定されている大学院の設置を規定しなかつたか、そうして勤労者のために、晝間の働きの疲れの中にもめげずに努力しようとするこれら勤労國民のために、学校教育法に規定されておるところの夜間学部の設置を何ゆえ行わなかつたか、これらの点についても政府当局に非常に不用意があつたことを遺憾に思うものであります。
 なお、文部省直轄の諸学校のほかに通信省及び運輸省、農林省等のそれぞれの所管の学校をこの國立学校の文部省所管に移そうとする努力をせられたことに対しては心より敬意を表し、國全体の教育に統一あらしめるというその苦心のあとを十分認めるものでありまするが、しかしながら、以上申し上げました、この法案全体を流るるところの大学の自治性破壞及び学問の自由、教育の機会均等を侵害する諸種の規定、並びに文部官僚の統制の強化が非常に憂慮されるような、あらゆる命令への委任事項に対して心から遺憾の意を表するとともに、予算的措置において十分でなき根拠をここに確認して、少くとも政府は、この法案に対して予算の考慮が拂われておることが少かつたと断言せざるを得ない意味において、新制大学の將來にいささか暗影を投ずるその結果を確認するものであります。
 私は、ここに新制國立大学が輝かしきスタートをすることを心より待望した一人である。しかるに、その輝かしきスタートに当つて、その運営の点において、その予算的措置の上において非常に遺憾の点があつたことにおいて、この法案に賛意を表することができないのであります。ここにわが社会党を代表いたしまして、少くとも政府は、この法案が多数をもつて成立せらるるにせよ、これに対して十分これを生み育てるところの努力がなさるべきことを心から覚醒し、自覚し、反省する用意を要望し、同時にわれわれ勤労國民に対して教育の機会均等を十分付與することを熱望し、よつてもつてこの法案の根本的なる修正をなさるべきことを念願したのであつたが、その修正をするのにはあまりにも多量の修正を要するをもつて、修正を省いて反対の意思表示をした次第であります。
 以上簡單でありまするが、國立学校設置法案に対する反対の討論を終る次第であります。(拍手)
#24
○議長(幣原喜重郎君) 次は若林義孝君。
    〔若林義孝君登壇〕
#25
○若林義孝君 ただいま上程されております國立学校設置法案に関し、民主自由党を代表いたしまして二、三の希望を申入れ、本案に賛成の意を表明せんとするものであります。(拍手)
 六・三・三・四制の学制改革は、新日本建設途上の重要なる事項でありまして、戰争放棄を宣言し、文化平和國家を目ざすわが國としては、世界に対してわが國の性格を立証する根本的学制改革であつたのであります。六・三制は、平和樹立の目的と輝かしい希望とによつて出発したのでありますが、今日諸般の事情により、國民の文教に対する熱意に完全に沿うだけの施設を欠くところのあることは、はなはだ遺憾とするところでありますが、今日國立学校、特に新制大学を主としての國立学校設置の方針を確立することができたことを喜ぶものであります。
 第一、この設置法案に盛られております大学の配置などは、委員長報告の通り、大学設置委員会が十一項目の原則を立て、その要項に從つて愼重なる審議を続けられたのでありまして、各府縣、各学校独自の歴史的傳統を生かし、同時に將來の発展と当該学校の使命を尊重するの意図をもつて、專門的、技術的の考査の結果、地方の輿望を調査し、その答申に基いているのでありまして、あくまでも大学設置委員会の答申を尊重し、全國各府縣の均衡を得て、その苦心のあと歴然たるものを見るのでありまして、大学設置委員会の答申を妥当と認められるところのものなのであります。
 第二、文部委員会としてその修正をいたしました箇所について、委員長報告に漏れておる二、三を申し上げて賛意を表したいと思うのであります。委員会のその修正自身も、学校教育法に基く大学設置委員会の答申を基礎といたしました修正なのでありまして、すなわち上田繊維專門学校を信州大学の繊維学部とすること、秋田鉱山專門学校ほか二校を秋田大学といたしまして、秋田鉱山專門学校をその鉱業学部と定めましたことについても、まさしく設置委員会の答申に根拠を置いたものなのでありまして、それに附随いたしまして一言特にご了解を得ておきたいと思いますことは、この秋田、上田両專門学校の特異性を特にその学部において生かすこと、また自主性を認めつつ、すでに初級年度より專門的教育を特に施す等の希望條件が盛られてあることを御了承願いたいと思うのであります。なお文教大学を教育大学と改めましたことについては、その学校の構成、学校の歴史的な傳統を如実に生かし、教育学研究という最高峰を目ざす希望を盛るために、独自の立場から教育という名前に修正をいたしたのであります。
 現在六十九になんなんとする新制大学を目ざす、まじめなる学制諸君が、この法案の一日も早く成立せんことを、つるのごとく首を長くして持つておるのでありまして、私たちこの審議に当りました者も、この教育の、文教の神聖、尊重を心といたしまして、この審議に当つたのでありました。今日この御審議を願い、成立することを喜ぶものなのでありますが、一、二のこれに対する反対を見るのであります。元來この法案は、永久にこの学校に学ぶ学生諸君が、言葉は悪いが、けちをつけられた法案に基く学校で習うという氣持がもしありますならば、永久にこの学校に学ぶ者の氣持の暗いことを考えますので、私たち心から満場一致、何の反対もなくこの法案通過を念願したのでありますが、先ほど來社会党の方から述べられ、また次に反対意見が述べられましようが、その反対の一、二をとつてみますと、こういうところに理由を持つておられます。
 第一、民主党の一つの部屋の反対の理由といたしましては、この大学設置委員会がつくられましたところの大学設置に関する十一原則に不満を持たれておるのであります。
 第二の理由といたしまして、先ほど受田議員の表明せられました反対理由は、五條、七條、八條、十三條、十五條のいわゆる政令、省令によるという根拠は、非民主的であり、大学の自主性を損ずるものであるからという意味の反対なのであります。これは皆さん御存じの通り、從來もこの政令による方式をとつて來たのでありますが、決して大学の自主性を損ずるようなことなく、教授会その他の学校の自主性を尊重する慣例に基いて來ておるのでありまして、この慣例を破り、圧迫的に、いわゆる官僚行政の強化をはかるということは、曲解をするものであろうと考えるのであります。
 第三の反対は、大学の程度の低下をおそれるところから來る反対意見なのであります。まさしくこの反対の御意見に対しましては、私たちも同感の意を表する箇所もあるのであります。最高の学問研究を目ざす最高学府として、將來この大学を盛り育てて行くという希望を盛り込むのに、私たちもやぶさかでないものであります。しかしながら、しいて全面的に國立大学設置法案に反対をする理由にはならないと考えるのであります。
 第四に、財政的の根拠がないということについての反対なのであります。この財政的基礎の貧困であることは御指摘の通りであります。これは御承知の通り、四十二億円の予想をもつて出発したところの新制大学でありますが、遺憾ながら諸般の事由により九億円ということになつておるのであります。この点、私たち文教を尊重するという意味において、將來この拡充に一層の努力を拂つて行かなければならぬと考えておるのであります。しかしながら、いろいろな理由をもつてこれに対し全面的に反対をせられる野党各派の方々に対して、一言申し上げておきたいと思うことがあるのであります。
#26
○議長(幣原喜重郎君) 若林君、申合せの次官が参りましたから簡單にお願いいたします。
#27
○若林義孝君(続) 野党の諸君は、この法案に対して全面的に反対を表明せられるのでありますが、もしこの法案がこの國会を通過せざる場合はどういう結果を引き起すかをお考えになつたかどうかを尋ねたい。もしこの法案が一日遅れ、二日遅れ、三日遅れするようなことがありましたならば、十幾万という新制大学を目ざす学徒諸君が、その行くべきところを失いまことにこの文教を憂えられる心持はわかりますが、まことに憂うべき現象を來すおそれがあるのでありまして、おそらくこの法案に反対をしたといえども、與党が多数であるから大丈夫通過するのを見込んで、ただ單なる反対のための反対であつたろうと考えるのであります。(拍手)文教という神聖なるこの法案に、かくのごとき陋劣なる心事をもつて反対をし、妨害をするのは、ある種の意味においてこれを利用しようとするものであり、この陋劣なる心事を改められんことを希望してやまない次第であります。(拍手)
 ここにつつしんで、將來のわが國文教のために最大なる敬意を表しつつ、本案に対し民主自由党の賛成意見を表明した次第であります。(拍手)
#28
○議長(幣原喜重郎君) 小林運美君。
    〔小林運美君登壇〕
#29
○小林運美君 私は、ただいま上程になつております國立学校設置法案並びに同修正案に対しまして、民主党を代表いたしまして全面的に反対の意見を表明いたすものであります。
 新学制の完全実施が現下喫緊の要務でありますことは論をまたないのでありますが、本法案は、新学制六・三・三・四の最終的段階であり、わが國文教の最高学府、新制國立大学を設立する重大法案であります。しかるに、政府提出の本法案を檢討いたしますと、私は次の重要なる三つの点から反対をいたすものであります。
 その第一点は、大学の自治の問題であります。先ほど社会党の議員から、この問題に関しては、るる御説明もありました。第三條によりますと、國立大学の名称、位置、学部及びその國立大学に包括される学校は左表によつて決定されることになつておりますが、学部の設置のごときは、將來においてそれぞれの学校においての変動があるべく、そのたびごとに國会の議決を要するということは、まことに手続上煩雑でございまして、大学の自主的運営を妨げるものではないかと思われる点であります。また第十四條、第十五條の、國立大学の職員の任免、懲戒その他人事管理、國立学校の組織及び運営等については、國歌公務員法及び教育公務員法、文部省令で定めることとなつておりますが、これらも大学の自治にまかすべきではないかと思われるのであります。第七條、第八條も同様でありまして、この件に関しましては、文部委員会において、大学自治に対しては文部大臣も大いに認めておつたのであります。このおのおのの條文によりまして金しばりをするということは、まことに遺憾に存ずる次第であります。
 次に第二の点は、この國立学校設置にあたりまして文部当局がとつた処置でありますが、文部当局は、何ら法律の根拠のない十一原則なるものをかつてに振りまわされ、また原則なるものは、ときによつて非常に変更をいたしております。ものさしを曲げているのでございます。すなわち、十一原則と称するものの中には、一府縣一総合大学というような條項がありますが、ある場合にはこれを非常に嚴格にやる。またある場合には、文部当局の御都合のいいように非常に寛大に取扱つておるのであります。この十一原則の問題につきましては、ただいま民自党の若林君からお話がありまして、民主党だけが反対しているというようなお話がありましたが、あなた方の民自党の有力なる議員が、委員会において、この十一原則に強力に反対しておつたという事実を、私はここに表明したいのであります。かようなことは、文部当局の相もかわらぬ御都合主義であつて、官僚統制の悪弊をそのままに現わしておるものであります。なお、大学設置にあたりまして大学設置委員会に諮問をする場合でありますが、設置委員会は、当該の学校がその設備や教授陣容その他において大学としての資格ありやいなやを檢討し、諮問に答申するのが本來の使命と信ずるのでありますが、当局の御都合主義によつて、これらの諮問にあたりまして、はなはだ遺憾なる行動があつたように思われるのであります。
 次に第三点といたしまして、修正案中、信州大学の繊維学部の件であります。わが國は世界屈指の繊維産業の國でありまして、繊維は久しくわが國輸出貿易の大宗でありました。戰後國民経済の構想は一変するに至つたのでありますが、繊維類の輸出は依然として輸出総額の六〇%を占めておるのであります。國民経済上圧倒的重要性を持つておりますことは、先般本議場におきまして、民自党の植原議員より蚕糸業に関する緊急質問において明かにされたのであります。國民経済の再建、新学制の完全実施は現下喫緊の要務でありまして、これがためには繊維産業の振興にまつものが多いのであります。この際、斯業の技術的指導の最高学府といたしまして古き傳統と幾多のたつとい学術研究を誇つておりました上田繊維專門学校を独立の大学として設置することを、地元長野縣はもちろん、全國関係業者の熱烈なる要望もありまして、世界にただ一つの繊維に関する権威ある独立大学を設置いたしたく考えまして、私は成規の手続を経まして修正の手続をなしました。その筋の了解を求め、修正案を委員会に提出したのでありますが、残念ながら少数をもつて否決されたのであります。このことは、わが國繊維業界、繊維産業の発展のために、國民経済の再建上まことに遺憾であることを、ここに表明いたしておく次第であります。(拍手)
 なお最後に一点、國立学校の名称に関しまして、政府原案の東京文教大学を東京教育大学に修正したことであります。これは東京文理科大学と東京高等師範学校との両者の間にいろいろ意見の対立があつたようでありますが、かような問題は学校当事者間におきまして自治的に決定すべき問題でありましてこれを國会に持つて参りまして政爭の具に供するようなことは、大学の自治の建前からいつて、まことに遺憾なことと存ずる次第であります。(拍手)
 以上を申し上げまして、私は政府の原案並びに修正案に民主党を代表いたしまして反対の意思を表明した次第であります。(拍手)
#30
○議長(幣原喜重郎君) 今野武雄君。
    〔今野武雄君登壇〕
#31
○今野武雄君 私は、日本共産党を代表いたしまして、この法案並びに修正案に対して反対の意向を簡單に申し述べてみたいと存じます。
 第一の反対点は、この法案が提出せられるに至つた経過に関するものであります。元來、この國立学校、特に國立大学を設置するに際しましては、國立学校設置基準法、大学行政法その他のものを基礎とすべきでありまして、そういうような計画は、文部当局としても持つていたはずであります。ところが、これらの大学関係の全法案に対して、昨年以來大学の学生並びに教授諸君の間から非常に大きな反対運動が起つて参つた。反対運動というとおかしいようでありますが、実は昨年の秋に文部省から大学校試案要綱なるものが出され、それがまさに今日幾つかに分割されて出て來ているのでありまして、それに対する反対が去年からずつと起つていたわけであります。この反対運動は、今日においては全國民的な規模に拡大されて参りまして、一昨十六日までにわかつているだけでも全國で六十の学校がこのためにストライキに入るというような不祥事まで起しているわけであります。それからまた、先日関西の学生諸君並びに教授諸君の代表が、國会に、四十万の署名を集めて持つて参りました。みな反対の意向を表明した署名でありますが、そういうふうに、この問題に対しては非常に大きな輿論が動いている。しかもそれが、大学の教授とか、あるいは大学の学生とかいうような、日本においては有識者に属する人々の間において非常に熾烈な反対の輿論が動いているのであります。
 しかるに文部省当局においては、そういうふうなことにおかまいなしに、特にこの設置基準を定める法律などをきめないで設置しようというのでありますが、これは実は非常に重大な意味を含んでいると思う。と申しますのは、この敗戰を機といたしまして、日本は新しく生れかわることになつたわけです。こういうふうに世の中が生れかわろうとするときには、おのずから学術に対する態度もまたかわつて來るはずであります。從つて、新しい学制といつたようなものが定められて來ているわけでございますが、特にこの大学というものは、その國の学術の基本を定めるものでありまして、從つて西洋諸國においても、あるいは過去の日本においても、大学が設けられるというのは、いずれもその時代、その社会の切実な要求に基いて起つているのであります。日本の例で申しましても、かの明治初年に慶應、早稻田ができた事情を考えても、あるいは札幌の農学校ができた事情を考えてみましても、いずれもその時代の要求をになつてできている。ところが、そういうような、大学はいかにあるべきかというような点についての輿論をまつたく無視し、そういうものについて論議を盡さずして、ここに大学を出発させようとしている。こういうことは、將來の日本の学術を誤るおそれが十分あるわけであります。
 そこで第二の点に移りますが、第二に私の申し上げたい点は、この新しい新制大学を本法案に從つてつくりますならば、これは実におそるべき日本の学術の低下をもたらすという点についてであります。この戰後における日本の学術の地位というものについては、皆さんもおそらく御承知でありましようが、諸外國と比べまして、まず十年の遅れがあると言つてもよかろう。ところが戰後において、日本の学術の研究所並びに大学においては、研究費の不足等のために、まつたく研究施設は荒廃に帰し、また研究者も生活にあえぐという有様で、学術の研究というものがまつたくなされていないような状態であります。これは大きな意味で言うのです。たとえば東京大学の物理学教室においては、実驗物理の研究室に、一年の研究費がたつた一万円であります。理論方面の研究費は一年間三千円というようなことになつておる。これが一つの研究室の予算であります。これは昨年、二十三年度の予算であります。こういうようなことでは、まつたく学術の研究はできない。たとえば東北大学には、世界に誇るべき金属材料研究所があります。御承知のように本多光太郎博士が設立したものでありますが、この金属材料研究所も、今まつたく研究の機能を停止しておるわけであります。その他電氣試驗所、通信研究所、あるいは傳染病研究所その他あらゆる研究所が現在解体またはストップしておるわけであります。こういうように、日本の学術というものは現在荒廃に帰しつつあるという事実、これは將來日本がほんとうに自立して、産業の上でも繁栄して行くということから考えまして、まことに寒心すべきことであります。学問というものは、一旦根が絶えましたならば、なかなか芽が生えないものであります。日本が戰前までの学術の水準に達するまでに実に長い苦心を要したということ、これは皆さんも御承知のことでありますが、その先輩の苦労が、ここでもつて誤つた政策のために消え去ろうとする、このことに対しては、われわれは非常に重大な関心を抱かざるを得ないわけであります。
 今度の新制大学の案によりますと、これは修業年限が四年でありますが、そのうちの二年は一般学科をやつておる。現在の高等学校を、もつと程度を低くしたようなものだ。そうして、あとの二年で專門学科をやるというのですから、結局現在の專門学校、あるいはそれ以下のものにしかならないのであります。せつかく実力がある、あの東京大学にせよ、ああいうような大学が、全部そういうように、わざわざ程度が引下げられてしまうのであります。こうすることによつて、先ほど申しました学術研究施設の荒廃と相並んで、日本の学術というものは永久に植民地的な段階にとどまらざるを得ない。(拍手)こういうようなことに相なる次第であります。
 第三に私が申し上げたい点は財政に関する問題であります。これは先ほどからも申されておつたのでありますが、今度の新制大学の予算九億のうち、新たに施設費として支出されるのは、わずかに三億であります。これを六十九で割つてみますと、一校当りわずか四百三十万円、四百三十万円で総合大学をつくろうというのです。こんなばかなことはできるはずがない。事実は数千万円の金がかかるわけでありまして、これはみんな地元の人達が負担するという建前になつておる。こうして、結局六・三制の問題と同じように、地方の負担というものは非常に重くなりまして、またのたれ死にするに違いない。それで、いよいよもつて日本の学問の荒廃を持ち來すに違いないのであります。こういうような次第で、私どもは、とうていこのような案に賛成することはできないのであります。
 先ほど若林君から、これが出発できなかつたらどうするかという話でありましたが、文部省は輿論を無視して、今までずつと既成事実をつくつて、教授なんかの任命まで行つて來て、そうしてこの法案を突きつけておる。こういうような態度こそ將來を誤るものだと思う。われわれは、たとい一年かりに遅れても――これはもう非常に極端な場合ですが、たとい一年遅れても、もつとりつぱなものをつくらなければいけないと考えておる。なぜならば、学術の問題は、さつき言つたように將來長く日本を支配する問題だから――そういうようなわけでありまして、私ども、とうていこの法案に賛成することができない。
 その他いろいろ文句もあるのでありますが、それは今までもうすでに申し述べられておりますから、私は省いておきます。(拍手)
#32
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決に入ります。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長の報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#33
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#34
○山本猛夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、貸金業等の取締に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#35
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加されました。
 貸金業等の取締に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大藏委員会理事宮幡靖君。
    〔宮幡靖君登壇〕
#37
○宮幡靖君 ただいま議題となつております貸金業等の取締に関する法律案について、大藏委員会における審議の経過並びに結果をきわめて簡單にご報告申し上げます。
 この法案は、貸金業等の取締りを行い、その公正な運営を保障するとともに、不正金融を防止して金融の健全なる発達をはかろうとするものであります。
 次にこの法案の要旨について申し上げますと、第一は、貸金業者の届出制及びその業務運営の監督に関するものでありまして、貸金業を行おうとする者は、あらかじめ大藏大臣に届出書を提出し、その受理書を受けた者でなければ貸金業を行うことができないものとし、また貸金業者は預かり金をしてはならないこととし、さらにその金銭貸借上の利息及び媒介の手数料については臨時金利調整法の規定に準じて定め得ることといたしております。
 第二は、営業とし行われていない無盡、すなわちいわゆる頼母子講の取締りに関するものでありまして、そのうち規模が大きく、公共の利益に影響を及ぼすと認められますもので、大藏大臣の指定するものにつきましては、貸金業者の例によつて取締りを行うことといたしております。
 第三は、いわゆる日掛貯金による貸付業務に関するものでありまして、この業務を無盡会社の業務のうちに採用いたしまして、この業務を行う会社のうち健全良質なものは、無盡会社の免許を受くることにより正規の金融機関として営業することができることといたしております。
 第四は、いわゆる浮貸し等の禁止に関するものでありまして、金融機関の役職員その他の從業者は、その地位を利用して不正金融等をしてはならないことといたしております。
 以上がこの法案の要点でありますが、この法案は、五月十三日、本委員会に付託せられたものでありまして、翌十四日提案理由の説明を聽取いたし、同日以後本日まで四日間にわたり質疑を行いましたところ、宮幡委員、小峯委員、田中委員、前尾委員、塚田議員、内藤委員、三宅委員等よりそれぞれ適切なる御質問がありましたが、その内容は速記録に讓りまして、この際省略いたします。
 次いで討論に入りましたところ、宮幡委員は民主自由党を代表して、希望條件を付して賛成、田中委員は社会党を代表して、希望意見をつけまして同じく賛成、河田委員は日本共産党を代表いたしまして全面的に反対を述べられました。続いて採決に入りましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 右御報告申上げます。
#38
○議長(幣原喜重郎君) これより採決に入ります。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#39
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 明日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後六時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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