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1949/05/25 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第39号
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1949/05/25 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 本会議 第39号

#1
第005回国会 本会議 第39号
昭和二十四年五月二十五日(水曜日)
 議事日程 第三十七号
    午後一時開議
 第一 議員立花敏男君懲罰事犯の件
 第二 議員小西寅松君懲罰事犯の件
 第三 大藏省設置法案(内閣提出、参議院回付)
 第四 地方自治廳設置法案(内閣提出、参議院回付)
 第五 経済安定本部設置法案(内閣提出、参議院回付)
 第六 運輸省設置法案(内閣提出、参議院回付)
 第七 農林省設置法案(内閣提出、参議院回付)
 第八 特別調達廳設置法案(内閣提出、参議院回付)
    〔請願日程は本号の末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 國会の会期延長の件(議長発議)
 日程第一 議員立花敏男君懲罰事犯の件
 日程第二 議員小西寅松君懲罰事犯の件
 元警察官の恩給及び扶助料増額に関する請願外千四百九十八請願
    午後六時四十七分開議
#2
○議長(幣原喜重郎君) これより本日の会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(幣原喜重郎君) お諮りいたします。今回の会期は本日をもつて終了することになつておりますが、明二十六日より五月三十一日まで六日間会期を延長したいと存じ、これを発議いたします。
 まず質疑の通告があります。これを許します。聽濤克巳君。
    〔聽濤克巳君登壇〕
#4
○聽濤克巳君 政府は、今までにすでに三回も会期を延長して参りました。ところが、またまた会期を延長しようと策しておるのであります。大体本議会におきましては、吉田内閣は與党の多数を擁しております。この多数を擁しながら、こういうふうに何回ともなく会期を延長しなければならないというのは、まことに醜態の限りであります。(拍手)この事実は、吉田内閣が多数を擁しながら、まつたく議会を運営する能力がないことを示しておるのであります。(拍手)
 ところが、これにつきまして、去る二十三日付の時事新報によりますると、増田官房長官はこういうことを放言しておるのであります。「重要法案の審議を妨害する動きが野党の一部にみられる。」こういう途方もない放言をしておりまするが、まことに主客顛倒もはなはだしい、無礼千万な言い振りであります。
 皆さん、この議会は、会期の末に至りまして非常に紛糾して参りました。また事実、本会期の議会の特徴は、いろいろな法案の審議に対して野党対與党の紛糾の非常にはげしかつたことが特徴であります。一体これは何がほんとうの原因でありましようか。皆さん、私はここで第一にあげなければならないのは(「共産党の妨害だ」と呼ぶ者あり)吉田内閣がこの会期を通しましてやりつつあるところのあらゆる政策が、まことに國民の利益を蹂躪しておるというところに根本の問題があるのであります。(拍手)あの取引高税の撤廃から、供出後の自由販賣から、あるいは所得税の軽減などと、選挙のときに與えましたいろいろの公約が、もののみごとに全部破棄されてしまつた。これなどは、第一に何と皆さん方は申訳がつくでありましようか。國民を愚弄するもはなはだしいものである。(拍手)
 しかも、このたびの議会におきまして非常に大きな問題になりましたのは、あの七千億予算並びに労働法規の改惡問題であります。ところが皆さん、ここにはつきり現われましたのは、この七千億予算と労働法規の改惡に対してましては、実に全野党各派を通じて、一齊にこれに反対しているのではありませんか。皆さん、われわれは何のためにこういうものに対して反対したのでありましようか。
 あの政府の予算の通過によりまして、あの地方税の半減や、六・三制予算の撤廃や、あらゆる公共事業費の大幅の削減や、こういうことによりまして、実際地方財政は破綻し、学校はつぶれて行くし、あるいは河川や耕地の荒廃はだんだんその極に達しつつある。われわれ、これに対してどうして反対せずにいられるでありましよう。また、あの國民の税金は実際数倍に達しております。また、一方における実質賃金の低下とともに、一方では賃金や米價の引上げが行われる。こうなりましては、まつたく税金地獄はますますはげしくなる。國民の生活の破滅は実に深刻な状態になつて來つつあります。われわれはこの点からしてもあの予算に対して反対さぜるを得ないではありませんか。あるいはまた、政府があの惡名の高い集中生産方式なるものをあらゆる産業に適用して、このために実際いろいろな産業にわたつて、中小企業はまつたく音を立てて破滅しつつあるではありませんか。われわれは、こういうものに対してどうしても反対せざるを得なかつたのである。しかも、一方におきまして政府はこうやつておきながら、労働法規の改惡、またそれに続きまして警察あるいは徴税機構の強化、まつたくこれは、一方で人民をたたきつけ、たたきなぐりながら、一方でこの彈圧の企図を、きわめてろこつに現わしているのであります。これこそが、野党各派がこの二つの問題に対して一致して反対せぜるを得なかつた理由であります。
 こういうふうになりまして、実際今や吉田内閣の政策に対して、國民の不満は各階層にこれが波及しつつある。また全國津々浦々にこの不満が蔓延しつつある状態であります。皆さん、この間から行われておりました炭鉱や金属鉱山の数十万の労働者の全國的ストライキは、明らかにこういう吉田内閣の政策によりまして生活を破滅させられ、賃金はどんどん押えつけられる。こういう状態のもとにおいて失業の問題も出て來ておる。これに対して自分の生活を守る。ところが、これだけではありません。実際は、炭鉱における中小炭鉱の壞滅する状態、あるいは金属鉱山などにおける産業の崩壊に対して、労働者はストライキをもつて鬪わざるを得ない状態に來ているのである。あるいは今日全國の大学、高專の学生諸君は、教授までも参加いたしまして、今ストライキをやつているではありませんか。彼らのストライキは何のためであるか。あの吉田内閣の買弁的愚民政策に対する判然たる鬪爭にすぎないのであります。(拍手)
 皆さん、あるいは昨日の本議場におきまして、社会党の婦人議員が何を皆さんに訴え、政府に訴えたのでありましよう。それは、日本全國の家庭の主婦の要求を代表して、主食の掛賣を認めろということを要求したが、吉田内閣は、にべもなくけとばしてしまつた。(拍手)あるいは、最近の新聞を皆さんごらんになつて御記憶でありましよう。全國において、新聞はこういうふうに傳えている。逃げ出す村長二千名、首をくくる者さえあると報道しているではありませんか。実際に全國各地の市町村長の辞職であるとか、あるいは地方議員の総辞職すらも現われているのは、これは一体何のためであるか。その他全國各地におきまして、いろいろな階層の人が参加して、地方の産業を防衛する会議がつくられている事実、あるいはいろいろな地方議会が政府の政策に反対する決議を行つた。この中には民自党の議員が参加している事実を皆様何と思われているか。(拍手)
 実際こういう状態の中で、私がこの壇上からあえて言うのでありまするが、こういうことをやつているからこそ、今や國民の不満は非常に高まる。それが、この間行われました鳥取市の市長選挙、あるいは市議の補欠選挙において、民主戦線の候補者と共産党の候補者が勝利をして、民自党の諸君が……。
    〔「それが質問か」と、呼び、その他発言する者多し〕
#5
○議長(幣原喜重郎君) 聽濤君――聽濤君……。
#6
○聽濤克巳君 惨敗を喫している事実が、ここに現われているのではないか。
#7
○議長(幣原喜重郎君) 聽濤君、議長は会期延長問題に関する質疑を許したのであります。
#8
○聽濤克巳君 それをやつているのであります。
#9
○議長(幣原喜重郎君) それ以外の問題は許しません。
#10
○聽濤克巳君 これから質問に入ります。――かくして労働者、学生、農民、主婦、中小企業者あるいはいろいろな産業資本家も、こういう政策に対して、今や全國的に立ち上りつつある状態である。つまり皆さん、私がここに申し上げたいことは、こういう國民の各層あるいは全國津々浦々に起つているところのこの國民の政府に対する不満が議会に反映しているのにすぎないのである。今日議事が紛糾している。こういうことは、この國民の大きな不満が背景にあるからこそである。その証拠には、この政府の政策に対して、議事の運営に対して反対しているのは、共産党と社会党、労農党だけではありません。民主党の野党派も、あるいは新政治協議会もこれに反対している。事実、民自党の一部の議員においてすらも、反政府的な空氣がはつきり出ているではありませんか。(拍手)
 今やここで、今日参議院におきまして、あの議事の運営について大きな爆発が起つて來たというのも、この國民の不満を考える場合には、まことに当然なことと言わなければなりません。事実、今日問題になつているのは、あの定員法あるいは食確法、あるいは大学校、あるいは地方税法、この四つの法案が中心になつている。参議院でかかる爆発が起つて來ているのも、事実数を頼みとしてすべて議事を強行しようとしているところの政府の横暴に対して行われているのである。各野党が一致して、われわれがこにこういう横暴に対して鬪うのは、われわれこの法案の性質を考える場合に、この院内において許された、あらゆる合法的手段をもつてこういう横暴に対して鬪うのは、われわれの当然の権利であり義務である。(拍手)人民のためにどうしてもやらなければならぬことだと考えているのである。
 こういうふうにしまして、今や政府の政策は、実際國内的にも実行不可能の状態に陥つておる。しかも皆さん、一方におきまして、國際的にも新しい情勢がどんどん発展しつつあるではないか。皆さん、本日の新聞には、アメリカの援助資金の削減が報道されておる。あるいは貿易の見通しはきわめて困難になつて來た。そのために、中國貿易に対する要望はどんどんふえて來ておる。また一方、中國における中國共産党の勝利が傳えられているではないか。上海は、本日の外電によれば陥落したと報道しているではないか。こういう状態の中で、今や内外の情勢は、吉田内閣の政策がますます実行不可能になつて來たことを示しておるのである。つまり、今日われわれの前に出て來ておる問題は、決して議会を延長するかいなかにかかつておるのではないのである。
 その実際背後にある問題は何か。それは、まさに内外の情勢から言つて、もはや日本は吉田内閣のもとでは一歩も前進し得ない状態に來ておるのである。これは明らかに政局の危機、日本の國運の危機というものが背景にあるのである。われわれは、こういう中でこそ、今日政府の会期延長のこの横暴に対して断乎反対して鬪わざるを得ないのである。
 しかも、吉田内閣にもとにおける本國会こそ……。
    〔発現する者多し〕
#11
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛にお聞き取りを願います。
#12
○聽濤克巳君 憲法を無視し、法律の手続を蹂躪し、多数の横暴をもつて一貫して参つたところの議会は、わが國議会史上にかつてない事実でございます。しかも皆さん、こういう状態は、今日ただいまでも行われておる。本日の大藏委員会におきまして、わが党の委員が大藏大臣に質問いたしましたところ、大藏大臣は、あの貿易特別会計法、これの一部改正を、本國会開会中であるにもかかわらず、われわれの審議権を無視して、一片の政令をもつて行うことを言明しているではないか。(拍手)これは明らかに、今なお政府はあくまで多数を頼んで、かかる重要な議会の審議権を無視してこれを強行しようとしておるのである。今や、政府のこういう横暴に対しましては……。
#13
○議長(幣原喜重郎君) 聽濤君――聽濤君、時間もあまりありませんから簡單に願います。
#14
○聽濤克巳君 はい、やります。――こういうことこそは、実は会期延長問題の背景にある問題であります。
 そこで私は、以上の論拠に立ちまして、政府に対して三つの点を質問したいのでございます。ここに吉田首相が出て來ておらぬようでありますが、私は吉田首相に対して特に責任のある答弁を要求するものであります。
 第一の点は、議事が今日のように紛糾し、またたび重なる会期の延長の行われておるのは、これはあげて吉田内閣の責任であると思うのであるが、政府はこれについて何と考えておるか、第一にお伺いしたいのである。
 第二の点は、会期の延長はすべてこれ政府の無能と無責任による。事実われわれ議員は、この政府の尻ぬぐいをすでに三たびもやらされて來ておる。われわれは、こんなことをたびたびやられるのではかないません。世間にも、彿の顔も三度ということがある。もう三度はがまんして來たが、これ以上私たちはがまんができない。こういうことに対して、事実政府のこのやり方で参りますれば、單に第三回、第四回の会期の延長だけではなく、第五回目の会期延長すらも行われる可能性が見えるのである。政府は、はたして第五回目の会期延長は決していたしませんということをわれわれの前に誓い得るかどうか。このことを第二の点としてお伺いしたいのである。
 第三には、すでに申しましたように、実は会期延長の問題ではなくして、事態はもはやこういう小手先きのことで收拾をされないほど深刻になつておるのだ。内閣の輿論は……。
#15
○議長(幣原喜重郎君) 聽濤君、お打合せの時間はすでに過ぎました。
#16
○聽濤克巳君 内外の輿論は、吉田内閣の総辞職にありと断定しておるのである。われわれ野党は、実際共産党は、吉田内閣がこの際ほんとうに総辞職をする意思ありやいなや、これこそ問題の解決点であると考えまして、吉田首相の明確なる答弁を要求する次第であります。(拍手)
 以上をもつて終ります。
    〔國務大臣林讓治君登壇〕
#17
○國務大臣(林讓治君) お答えいたします。國会の会期を延長する権限は一に國会に専属するのでありまして、國会法に明らかに規定するところであります。旧憲法時代と異なりまして、政府は会期延長につきまして何らの権限を持つておりません。お答えいたします。
#18
○議長(幣原喜重郎君) これにて質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。土井直作君。
    〔土井直作君登壇〕
#19
○土井直作君 私は、日本社会党を代表いたしまして、会期の延長に対しまして反対の意を表するものであります。
 大体会期が三回にわたりまして延長せざるを得なかつたその大きな原因は、政府の高慢にあると申し上げて過言ではないのであります。すなわち、法案の提出に対しましても、過ぐる四月十八日に議院運営委員会を開きましたとき、官房長官が、大体において二十日間会期を延長してもらえれば事足りるということを言明されておつたのであります。しかるに、その当時官房長官の意見をわれわれは信ずるわけに行きません結果、これを二十五日間延長いたしたのであります。しかして、さらにその後一週間を延長し、さらに二日間の延長をし、さらに今回六日間の会期延長をいたそうとしておるのであります。
 しかもこの間におきまして、実に会期の延長をせざるを得なくなつたところの大きな原因は、何と申しましても、政府の責任者であるところの吉田総理大臣が、百数十日の議会開会中、わずかに十数日しか議会に出ない。政府の全責任を負うて議会運営のために、政府の法案通過のために努力しなければならない当の責任者が、これが議会に出て來ないということ、また各委員会に出席して十分なる答弁をしないということが、法案審議の上に支障を來したところの最大なる原因である。(拍手)
 しかも、吉田総理大臣の議会軽視の態度と相呼應するがごとく、民自党の諸君は、その多数を頼みまして、多数横暴の力によつて一切を支配せんとする――民主主義の法則は、もとより多数政治には相違ないけれども、しかしながら、われわれから言わしめまするならば、それはあくまでも懇切丁寧に、お互いの間における了解、納得の上において議事が運営されて行くことが、これが正しいことでなければならないのであります。(拍手)しかるに、ややもすれば多数の力を頼みまして、議事をむりやりに進行せしめようとするところに、大きな混乱が巻起つて参るのであります。かくのごとき結果は、すなわち政府自身の怠慢と民自党の横暴が議案審議を遅々として進めざる結果に相なるのであります。
 われわれが議院運営委員会において官房長官の意見を徴しまするならば、さらに一昨日の会期延長の場合においても、政府の方針は一日を標準としてということでありました。その当時におきまして、われわれは、一日の延長によつてはたして法案を予定通り通過させる見込みがあるかどうかということをただしましたときに、大体においてその確信があるがごとき態度を示したのであります。議院運営委員会または委員長会議においては、これに対しまして、衆議院独自の立場から二日間延長をいたしました。
 しかるに、今回さらに六日間の延長を要請して参つておるのであります。しかもこの延長に対しましては、当然衆議院議長は委員長会議に会期延長の是非を徴しまして、しかる後参議院の議長に相諮らなければならなかつたのでありまするが、委員長会議に諮る以前におきまして、参議院事務総長の参議院の議院運営委員会における発言によりまするならば、衆議院の議長からすでに六日間の延長を申し込まれて來たということを言われておるのであります。すなわち、衆議院の委員長会議に諮ることなしに、これに意見を徴することなしに、これを議長独自の立場において参議院の議長に諮るがごときことは、議長の國会法を無視した行為であると申し上げてもあえて過言ではないのであります。(拍手)
 われわれは、あげて政府自身が法案審議の上に熱意を欠き、しかして事実の上において会期を二回、三回延長せんとするこの態度に対しましては、あくまでもこれに反対の意思を表明するものであります。(拍手)
#20
○議長(幣原喜重郎君) 椎熊三郎君。
    〔椎熊三郎君登壇〕
#21
○椎熊三郎君 わが党は、從來二回の会期延長にも反対して來た。その理由は、共産党などが言うような反対の理由とまつたく違う。(笑声)そこで私は、この反対の理由を簡明率直に申し上げます。
 大体、この國会が始まりまして以來、政府の提案の仕方が非常に遅れたことが一つ、それから政府提出の議案を成立せしむることに政府当局はすこぶる冷淡拙劣、これが原因をなしておる。参議院における今回の騒擾のごときも、今度の会期延長の原因になつておりまするが、これをなお掘り下げて考えてみますると、このほんとうの原因はどこにあるか。主として内閣官房長官の増田君にあるのであります。(笑声)
 増田君は、旧官僚出身であるが、國会の議席を占めること――二度も選挙をやつておるから、もういくらか國会議員としてなれそうなものだが、いつまでたつても官僚主義が抜けません。われわれの衆議院に参りまして、運営委員会などにおける態度、その言辞、その弄する言葉、内容等ことごとくが官僚的でありまして、われわれの納得のできないことばかり言つておる。(拍手)はなはだしき失言に至りましては、本國会における議案審議の遅延は主として参議院の一部に議事を妨害する者があるためであるということを言つておる。これがいたく参議院の一部を刺戟いたしまして、遂にはあの乱鬪事件まで起すに至つておるのであります。
 諸君、國会会期の決定は、何も政府の嘆願によるとか要請によるとかいうものではなくて、國会自身が決定するものである。從いまして、この情勢を見て会期を眞に延長したいとならば、この六十何件、参議院で未だ決定せられざる議案を、どうしたら幾日で上げ得るかということを、ひとり参議院のみならず、多数たる民主自由党の方は責任をもつて考慮すべきはずである。從つて、この会期を決定するためには、まず参議院の意向というものを尊重しなければならぬと私は思う。
 前回の会期延長の際も、私は民主自由党の運営委員の一部の人にも忠告した。参議院が十日間延長したいとういのに、なぜちびつて短かくしなければならぬか。参議院の言う通りにのんでやれば、それは参議院の責任になるから、どうしても参議院はその会期中に上げなければならぬといつて努力をするのに、それをちびつて短かくしてやるものですから、そのちびられた部分だけは参議院の責任でないということになる。(拍手)これは主として民主自由党の運営委員の主任たる石田博英君以下数名の人々の責任だと私は思う。(笑声)非常にへたなのであります。
 今回の会期の延長も、参議院ではあのような乱鬪を続け、けさから議長不信任で堂々めぐりを六回までもやつておる。すなわち、参議院の議事運営は軌道に乘つておらぬ。そこで、まず参議院の議事の進行を軌道に乗せることに與党側は努力しなければならぬのであります。そうして、参議院は残余の議案を何日くらいまでに確信をもつて審議が完了できるかというねじめを聞いて、それならばそうしてやるという態度を衆議院がとるべきだと思う。それをやらずして、ただかつてに、こつちが向うの意向も聞かずして、六日間延長するなどという軽率なことをやるから、再び、三たび、四たびやらなければならぬということになるので、絶対多数党といえども、與党として議会運営におなれにならぬ悲しさがこの状態を呈しているのであります。
 そこで私は、共産党とこの会期延長に反対する理由を簡單に述べたい。共産党の聽濤君の今の質疑の内容を承りますると、今度の責任は政府の出した法案にあるという。たとえば首切りを内容とする定員法であるとか、大学校であるとか、予算であるとか、そういうものを出すから議会が紛乱して延期さぜるを得ないように立ち至るという意味のことを、聽濤君がたつた今この席上で言つておつた。それなら諸君、私はあえて共産党に聞きたい。諸君は定員法をつぶしたいというので反対したのだ。もし二十三日の晩、諸君がそれだけの人数をもつてこの議席についておつたなら、あの二日間の会期の延長というものは、時間が足らなくてできなかつたのですぞ。ほんとうにつぶしたいのなら、ほんとうに諸君が労務者のために首切りの案に反対なら、なぜこの二日間の会期の延長に対して敢然反対しなかつたか。しかるに、奇怪至極にも、これはわれわれ野党側から共産党に交渉して徳田球一君ほか賛成しておるにもかかわらず、いざ本会議を開くとなつたら、こそこそと議場を逃げ出して一人もおらぬ。そうして、この議場を逃げ出した理由は、(発言する者あり)もつと聞きたまえ。もつとひどいことがあるんだ。この議場を逃げ出した理由は、それは驚くべき卑劣千万なんだ。というのは、先般衆議院で行われたる騒擾事件、立花何がしという不謹愼なる同僚が、われわれの同僚小西君の頭をなぐつたということから端を発して、これが懲罰問題にかかりました。なんぞはからん。この懲罰であるいは除名されるかもしれないということを予想して、民主自由党に哀訴嘆願して、こうべきをたれてなぐつてもらつた。それでもまだ安心ならずして、民主自由党の要求である会期二日間延長に同調したならば、あるいは懲罰委員会で罪の裁定を軽くしていただくことができるのではなかろうかというところでサービスした。(拍手)それかあらぬか――これは必ずしも私の想像ではない。それかあらぬか、後刻懲罰委員長の報告を聞くと、あれだけの不当なことをやつておる議員が、懲罰委員会の決定によると(発言する者あり)うるさく言うと、しずまるまで待つておりますぞ。議長整理してください。徹底いたしません。
 そこで懲罰委員会の決定を見ますると、当然除名でもさるべきはずだと思つて、わが党も除名を主張したのに、これがなんと、意味のない登院停止ということになつたという。実にこれは驚くべき共産党の卑劣とやみ取引の結果だ。そうして、民主自由党に頭までなぐられて、手打式までやつて……。
#22
○議長(幣原喜重郎君) 椎熊君……。
#23
○椎熊三郎君 罪を許してもらつて、その議場に入ることをやめたという、共産党一流の卑劣千万な行動が暴露せられたのであります。
#24
○議長(幣原喜重郎君) 椎熊君……。
#25
○椎熊三郎君 こういう者どもとは、会期延長の案に対して私は同調するわけにいかぬ。われわれ社会期延長に反対するのは、本質的にあの暴力主義の卑劣千万なる共産党とはまつたく意味が違いますということを申し上げまして、会期延長には反対するものである。(拍手)
#26
○議長(幣原喜重郎君) これにて討論は終局いたしました。
 本件につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。会期を五月二十六日から六日間延長するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。これりよ氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#27
○議長(幣原喜重郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#28
○議長(幣原喜重郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 三百二十九
  可とする者(白票) 二百二十五
    〔拍手〕
  否とする者(青票)    百四
    〔拍手〕
#29
○議長(幣原喜重郎君) 右の結果、会期は六日間延長するに決しました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 会期を五月二十六日から六日間延長するを可とする議員の氏名
   青木 孝義君  青木  正君
   青柳 一郎君  淺香 忠雄君
   淺利 三朗君  天野 公義君
   有田 二郎君  井手 光治君
   井上 知治君  飯塚 定輔君
   生田 和平君  池田正之輔君
   池田 勇人君  石田 博英君
   石原 圓吉君  稻田 直道君
   今泉 貞雄君  今村 忠助君
   岩本 信行君  岩川 與助君
   宇田  恒君  宇野秀次郎君
   植原悦二郎君  内海 安吉君
   江崎 真澄君  江花  靜君
   遠藤 三郎君 小笠原八十美君
   小川 平二君  小川原政信君
   小澤佐重喜君  小高 熹郎君
   小淵 光平君  尾崎 末吉君
   尾関 義一君  越智  茂君
   大石 武一君  大泉 寛三君
   大内 一郎君  大澤嘉平治君
   大西  弘君  大村 清一君
   大和田義榮君  岡延右エ門君
   岡崎 勝男君  岡田 五郎君
   岡野 清豪君 岡村利右衞門君
   押谷 富三君  加藤隆太郎君
   鹿野 彦吉君  鍛冶 良作君
   角田 幸吉君  風間 啓吉君
   柏原 義則君  片岡伊三郎君
   門脇勝太郎君  上林山榮吉君
   神田  博君  川野 芳滿君
   川端 佳夫君  川村善八郎君
   川本 末治君  河原伊三郎君
   菅家 喜六君  木村 公平君
   菊池 義郎君  北澤 直吉君
   金原 舜二君  倉石 忠雄君
   栗山長次郎君  黒澤富次郎君
   小平 久雄君  小玉 治行君
   小峯 柳多君  小山 長規君
   五島 秀次君  河野 謙三君
   佐久間 徹君  佐々木秀世君
   佐瀬 昌三君  佐藤 榮作君
   佐藤 重遠君  佐藤 親弘君
   坂田 英一君  坂田 道太君
   坂本  實君  志田 義信君
   清水 逸平君  篠田 弘作君
   澁谷雄太郎君  島村 一郎君
   白井 佐吉君  周東 英雄君
   鈴木 明良君  鈴木 仙八君
   鈴木 善幸君  鈴木 正文君
   瀬戸山三男君  關内 正一君
   千賀 康治君  田口長治郎君
   田嶋 好文君  田中 啓一君
   田中  元君  多武良哲三君
   高木  章君  高木吉之助君
   高木 松吉君  高塩 三郎君
   高橋 英吉君  高橋 定一君
   高橋  等君  高間 松吉君
   竹尾  弌君  玉置 信一君
   玉置  實君  塚田十一郎君
   塚原 俊郎君  土倉 宗明君
   辻  寛一君  圓谷 光衞君
   坪内 八郎君  飛嶋  繁君
   苫米地英俊君  冨永格五郎君
   奈良 治二君  内藤  隆君
   中川 俊思君  中島 守利君
   中野 武雄君  中村  清君
   中村 幸八君  中山 マサ君
   仲内 憲治君  永井 英修君
   永田  節君  夏堀源三郎君
   二階堂 進君  丹羽 彪吉君
   西村 英一君  西村 久之君
   根元龍太郎君  野原 正勝君
   野村專太郎君 橋本登美三郎君
   橋本 龍伍君  幡谷仙次郎君
   畠山 鶴吉君  林  讓治君
   原田 雪松君  樋貝 詮三君
   平澤 長吉君  平島 良一君
   廣川 弘禪君  福井  勇君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福永 一臣君  福永 健司君
   藤枝 泉介君  渕  通義君
   船越  弘君  星島 二郎君
   細田 榮藏君  本多 市郎君
   本間 俊一君  眞鍋  勝君
   前尾繁三郎君  前田  郁君
   前田 正男君  牧野 寛索君
   増田甲子七君  益谷 秀次君
   松井 豊吉君  松浦 東介君
   松田 鐵藏君  松永 佛骨君
   松野 頼三君  松本 善壽君
   丸山 直友君  三浦寅之助君
   三宅 則義君  水田三喜男君
   滿尾 君亮君  南  好雄君
   宮幡  靖君  宮原幸三郎君
   村上  勇君  村上 清治君
   森 幸太郎君  森   曉君
   藥師神岩太郎君 山口喜久一郎君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山村新治郎君  山本 猛夫君
   龍野喜一郎君  若林 義孝君
   若松 虎雄君  渡邊 良夫君
   亘  四郎君  逢澤  寛君
   大西 正男君  大西 禎夫君
   金光 義邦君 木村小左衞門君
   小坂善太郎君  小松 勇次君
   鈴木 幹雄君  田中伊三次君
   田中不破三君  田中  豊君
   橘  直治君  坪川 信三君
   寺島隆太郎君  寺本  齋君
   中村 又一君  永井 要造君
   原   彪君  保利  茂君
   山本 利壽君  吉田  安君
   早稻田柳右エ門君
 否とする議員の氏名
   足鹿  覺君  井上 良二君
   猪俣 浩三君  石川金次郎君
   稻村 順三君  大矢 省三君
   加藤 鐐造君  勝間田清一君
   上林與市郎君  川島 金次君
   久保田鶴松君  佐々木更三君
   佐竹 新市君  坂本 泰良君
   鈴木茂三郎君  田中織之進君
   戸叶 里子君  土井 直作君
   前田榮之助君  前田 種男君
   松井 政吉君  松岡 駒吉君
   三宅 正一君  門司  亮君
   森戸 辰男君  八百板 正君
   米窪 滿亮君  有田 喜一君
   稻葉  修君  小野  孝君
   大森 玉木君  金塚  孝君
   川崎 秀二君  北村徳太郎君
   小林 運美君  坂口 主税君
   志賀健次郎君  椎熊 三郎君
   清藤 唯七君  園田  直君
   高橋清治郎君  千葉 三郎君
   床次 徳二君  中島 茂喜君
   中曽根康弘君  並木 芳雄君
   長谷川四郎君  畠山 重勇君
   林  好次君  福田 繁芳君
   藤田 義光君  増田 連也君
   宮腰 喜助君  村瀬 宣親君
   井之口政雄君  池田 峯雄君
   江崎 一治君  加藤  充君
   風早八十二君  春日 正一君
   上村  進君  柄澤登志子君
   川上 貫一君  河田 賢治君
   苅田アサノ君  木村  榮君
   聽濤 克巳君  今野 武雄君
   志賀 義雄君  砂間 一良君
   田島 ひで君  田代 文久君
   高田 富之君  竹村奈良一君
   谷口善太郎君  土橋 一吉君
   徳田 球一君  中西伊之助君
   梨木作次郎君  林  百郎君
   深澤 義守君  米原  昶君
   渡部 義通君  石田 一松君
   今井  耕君  金子與重郎君
   吉川 久衛君  小林 信一君
   小林  進君  河野 金昇君
   笹森 順造君  高倉 定助君
   竹山祐太郎君  早川  崇君
   平川 篤雄君  船田 享二君
   松本 瀧藏君  三木 武夫君
   岡田 春夫君  黒田 寿男君
   玉井 祐吉君  松谷天光光君
   浦口 鉄男君  北  二郎君
     ――――◇―――――
#30
○議長(幣原喜重郎君) 日程第一、議員立花敏男君懲罰事犯の件、日程第二、議員小西寅松君懲罰事犯の件、右両件を一括して議題といたします。立花敏男君、小西寅松君の退席を求めます。委員長の報告を求めます。懲罰委員会理事大西弘君。
    〔大西弘君登壇〕
#31
○大西弘君 ただいま議題となりました議員立花敏男君懲罰事犯の件及び議員小西寅松君懲罰事犯の件につきまして、懲罰委員会の審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本件は、去る二十四日の本会議において、平川篤雄君提出の懲罰動議可決の結果、懲罰委員会に付託されたのであります。懲罰委員会におきましては、二十一日から三日間委員会を開きましたが、二十一日にはまず動議の提出者である平川篤雄君から提出の趣旨の説明を聞き、次いで立花敏男君及び小西寅松君の身上の弁明を聞いたのであります。
 平川君の説明の要旨は、二十日、本議場で述べられたのと同様の趣旨でありますから、これを省略させていただきます。
 次に立花敏男君の弁明は、当日の議場混乱の際に、自党の議員神山茂夫君が人々に取囲まれて危險な状態に陥つたものと解し、神山君を助けようとして思わず自席よりかけよつたものであつて、その際ほとんど無意識に小西君の頭部に手を加えたことについては、決して故意に出たものではないが、たとい前後の事情がどうあろうと、自己の行動の惡い点はこれを率直に認めるというのでありました。
 また小西寅松君の弁明するところによると、当日の議場混乱の際に、神山茂夫君が大きな声をあげるので、自席から立つてこれをとめようとしていたところ、だれかにうしろから頭をたたかれたので、そのたたいた人をつかまえようと追跡をしたものであつて、議員としてその行動の非は認めるが、その際自分としては暴力を用いた覚えはないというのでありました。
 二十二日は、立花君の弁明に関連して、本件に関する共産党議員團の声明について、林百郎君より説明を聽取いたしました。
 なお本件は慎重審議を期する意味で、二十三日は委員会を開かず、各派において種々御研究を重ねられました。昨二十四日の委員会においては、新政治協議会の小林委員より本委員会に議長及び法務総裁の出席を求むべしとの動議、及び社会党の石井委員より関係議員の出席を求むべしとの動議が提出されましたが、本件はすでにその客観的事実については明白にされたことであり、かつまた懲罰委員会の審査の対象は付託された懲罰事犯の範囲内に限られるべきであつて、それ以上に及ぶべきではないとの民主自由党渡邊委員よりの反対意見がありまして、採決の結果、両君の動議はいずれも否決されました。
 次いで、立花、小西両君について懲罰を科すべきかいなか、懲罰を科するとすれば國会法の定めるどの懲罰條項に処すべきかについてお諮りいたしましたところ、民主党大橋委員より、立花君に三十日間の登院停止、小西君に七日間の登院停止を命ずべしとの動議が、また社会党石井委員よりは立花、小西両君ともに三十日間の登院停止を命ずべしとの動議、また民主党小野孝君よりは両君をともに除名すべしとの動議がそれぞれ提出せられました。次いで、これについて討論が行われましたが、ここにその要旨を御紹介いたします。
 まず民自党の大橋武夫君から、そもそも民主政治は國会の威信によつてのみ保たれ、國会の威信は議員の品位ある行動によつて國民の信頼をかち得ることによつて存在する、ことに言論の府たる國会における暴力の行使は議会政治の破壊的行為と言わねばならない、この意味で、立花君の行為は議員の品位を傷つけ、秩序を乱すこと最もはなはだしいものであると言うべきであるが、他方第一に、同君の弁明によれば、同僚議員の危険を感じてこれを救出せんとしたとつさの行動であつて、意識的のものではなく、第二に、同君のその後の改悛の情顯著であること、及び第三に、共産党議員團の声明もはなはだしくこれを遺憾とし、立花君の反省を厳重に求める一方、かかる暴力の行使は絶対に排撃するという從來の方針を再確認された点等を勘案し、三十日間の登院停止を妥当と認める、また小西君に対しても、前述の趣旨から、たとい立花君の行為が原因であるとしても、議場内において秩序を乱した点は許すべきではなく、七日間の登院停止を妥当と認めるとの意見が述べられました。
 社会党の石井繁丸君よりは、從來共産党は暴力革命政党であるとうわさされ、また民自党も往々保守反動政党と言われることがあるが、このたびの事件は両党にとつて一層誤解を招くおそれがあり、自分としては、両党において両君に対ししかるべき処置を講ぜられるのが至当と思うが、議院の品位を傷つけ、秩序を乱した点は厳に処罰すべきであつて、両君とも三十日の登院停止を妥当と認めるとの意見が述べられました。
 次に民主党の小野孝君より、國会の権威を守り、その威信を保持するために、われわれは党派を越えて院の秩序確立をはからなければならない、われわれとしては、この懲罰事件の背後に何か恐るべきものの存在を感ずる、この際両君の行為に対しては、社会の平和と秩序のためにも、また國会の威信と秩序を実現するためにも除名を妥当と認めるとの意見が述べられました。
 また共産党の春日正一君からは、この事犯は議院運営の未熟という根本的な問題に起因するのであつて、常にりつぱな國会をつくろうという議員各自の決心、反省が先決であり、共産党としては、自党からも國会からもかかる混乱の雰囲氣を除くよう努力すべきものと考えるが、両君の処罰については積極的な意見はないとの意見が述べられ、次いで民主党の大西正男君からは、両君の行為が議場の秩序を乱し國会の権威を失墜せしめたことはまことに遺憾であつて、特に立花君のごとく不意に暴力を用いるに至つては、まことにひどい所為であるし、また小西君の場合も、その行為は決して軽く見らるべきではない、從つて、立花君に対しては三十日間、小西君に対しては七日間の登院停止を妥当と認めるとの意見があり、次に新政治協議会の小林進君及び労働者農民党の玉井祐吉君から、両君の除名に賛成するとともに自発的な善処を求める旨の意見が述べられました。
 次いで採決の結果、大西正男君及び大橋武男君提出の動議が多数をもつて可決せられ、議員立花敏男君に対しては三十日間の登院停止、また議員小西寅松君に対しては七日間の登院停止をそれぞれ命ずべきものと議決した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#32
○議長(幣原喜重郎君) これより討論に入ります。藤田義光君。
    〔藤田義光君登壇〕
#33
○藤田義光君 私は、ただいま審議中の本件に関しまして絶対反対するものであります。(拍手)
 過般の本議場における乱鬪事件に関し、ある外人記者は、吉田総理が外人記者との会見において、民主自由党は保守反動にあらず、超國家主義にあらずと陳弁これ努めたその舌が乾かぬうちに、その愛する党員の中からその本性を現わしてしまつた、と皮肉つております。(拍手)また一方、人民のため人民の政府をつくると、きれいな標語を掲げております共産党が、暴力を振るい、その主義と宣傳の間に重大なる矛盾をはらんでおるという現実を示したのでございます。(拍手)まことに両極端主義のあるべき姿、笑えぬ悲劇を露呈したものとして、われわれはこの両名の行動に対しまして深甚なる遺憾の意を表するものであります。
 この両名の行動によりまして、内、國民大衆の國会蔑視の風潮を招き、外、國際信用を失墜せしめたことを思うとき、両名の責任はまことに重大深刻であります。(拍手)しかるに、奇怪にもその量刑は軽きに失し、しかも両者の量刑において差等を付したに至りましてはまことに言語道断でありまして、多数の横暴も事ここに至りましては何をか言わんやであります。懲罰あるいは考査は、事の性質上、多数決の原理を是正し、これを修正して適用することが理の当然でありまして、今回の動議決定は、その事件の内容決定のいきさつと相まちまして、國会の歴史に一大汚点を印したものであると言つても過言ではないのであります。(拍手)しかも、奇怪千万なことには、両名の措置に関して幾多のやみ取引が白晝公然と、しかもこの神聖なる國会内で行われたとの情報を聞くに至りましては、まさに唖然たるものがあります。(拍手)
 われわれは、もちろんその罪を憎んで人を憎まないのであります。われわれは、この不祥事件を契機とし、議場内の暴力行為を永久に徹底的に否定せんとする悲壯なる決意のもとに極刑を要求したのであります。しかしながら、多数の横暴により、われわれのこの誠意ある要求は否決されたのであります。
 新聞紙の報ずるごとく、國民大衆はすでに公正明確にこの両名の裁定及びその前後処置に徹底的なる批判を下しておるのであります。われわれは民主政治の眞面目を堅持し、國会の権威を死守せんとするものであることを、ここに声を大にして天下に公表せんとするものであります。(拍手)
#34
○議長(幣原喜重郎君) 小林進君。
    〔小林進君登壇〕
#35
○小林進君 私は、新政治協議会並びに同罪極刑論を主張する野党を代表いたしまして、このたびの懲罰委員会における決定に反対せる理由を述べたいと思います。
 私は、民主主義下における國会は、二つの基本的原理を掲げて、この二つを常に擁護し、これを暢達するために不断の努力を拂うべきであるという信念を持つているのであります。その二つとは、すなわち言論の自由であり、その一つは暴力の徹底的排撃であります。あくまでも言論の自由を高度に守り抜くという信念、あくまでも暴力を徹底的に排撃するという信念、この二つを全うして初めて理想的な議会政治の実現を期することができると思うのであります。この基本的な考え方をもつてこのたびの暴行事件を見る場合に、私はこのたびの裁決にとうてい承服しがたいのであります。
 明治二十六年十二月、第五議会において、議員の体面を汚したる場合として、第一回の懲罰がこの議会において行われて以來今日に至るわが國の國会は、議員の自由な発言に対する言質をとらえてこれを懲罰に付している事犯はまことに多いのであります。われらは、今その前例を調査してみて、かつてわれらの先輩が築き上げた國会が未だ眞の民主政治に徹底せず、封建的残滓を多分に残していたという事実を、この懲罰の一点より充分に察知し得るのであります。特にこのたびの戦爭初期における西尾末廣君の、その当時の近衛首相に対する質問演説において、ヒットラーのごとく、あるいはスターリンのごとく果敢であれという激励の辞に対しても、スターリンの四字がいかぬというので除名処分にせられたごときは、わが國の國会の歴史上における重大なる汚点であると思うのであります。
 かくのごとく言論に対して至厳なる態度をもつて臨んだわが國会が、翻つて暴力の問題になると、はなはだその処置が緩慢であつたという感を抱かざるを得ないのであります。(拍手)議場の騒擾をかもしたる場合としてこれが処分を受けた事犯も相当ありまするが、いずれもこれは、われらの考える以上に軽き処罰をもつて行われているのであります。特に大正中期において、当時の民政党鈴木富士彌議員に対して、当時の政友会の鳩山一郎議員その他の議員がこれを院内において殴打した事件があります。この当時の政友会というのは、もちろん今の民自党の前身であります。このたびもまた、院内における暴行事件がこの民自党によつて行われている。代々この党はこのようなことをおやりになる先天的危險性を備えているのではないかとわれわれは疑わざるを得ないのであります。(拍手)
 ともかく、かような殴打事件がいずれも軽き処分によつて行われていることは、これは一にわが國の國会が眞の議会政治に徹底しなかつたこと、また暴力というものを日常茶飯事のごとく考えていたということの二点にとどまると思うのであります。こうした暴力軽視の考え方がいかに社会全般に惡い影響を及ぼしたか、想像にあまるものがあるのであります。だんだんこの思想を徹底して行くところ、國民の中には、議会内に暴力を振う議員をむしろ英雄視する、人氣の焦点とする、かような風潮にまで至つて、今なおこの残痕が全然なしとは言えないのであります。かような暴力肯定の氣持、暴力を軽く考える氣持、暴行者を英雄視する氣持は実は恐るべき氣持でありまして、これがひいては議会政治を否定する思想となり、あるいは独裁的権力を礼讃する思想となり、あるいは戰爭を挑発する氣分ともなるのであります。われらは断固としてかような暴力是認の封建的性格を完全に國会から追放し、かつてわれらの先輩がつくつた國会のこの懲罰事犯に対し、まつたく新しい角度より、新しい先例をつくり上げるという角度から、この問題を取上げなければならぬのであります。(拍手)このたびの懲罰事犯に対しましては、かくのごとき至厳なる態度が必要であつたのであります。
 翻つてこのたびの問題を見まするに、共産党の立花君が民自党の小西君を殴打したのがそもそも事件の発端であります。この問題は、これをもつて終りとすれば、これは実に單純な暴行事件であります。むしろ被害者たる小西君は罰せられざるが至当であるかもしれません。しかし、問題はその後幾多の派生的事件を勃発いたしておるのであります。
 第一に、殴打された直後の小西君の議場内における追跡行為の中には、單に議場を騒擾せしめただけにとどまらず、その行為の中に、すでに將來の問題を予測せしめるに足る危險性が多分に含まれていたのであります。もし、刑法にいうところの客観説と主観説の問題、行為そのものよりも、その危險性を包含するその意思に重点を置くという主観説の刑法論によるならば、小西君の議場内における行為は、危險なる意思の表現として、すでに何らかの処置を講ずべきであつたにもかかわらず、これが放任せられていたところに第一の問題があるのであります。
 第二の問題としまして、小西君が民主自由党の代議士会において、これは直後有志代議士会に名称がかえられたそうでありますが、そこで侠客道を説き、私的報復を説き、加害者を懲罰するな、みずからの手でこれに報復するということがごとき言葉があつたのに対し、民自党の代議士会も――有志議員諸君は、これに急霰のごとき拍手を送られたという問題であります。
 第三の問題は、共産党の志賀君が立花君を帶同して小西君に面会して、そこで立花君が小西君になぐられているという問題であります。これが不問に付されている。
 第四の問題は、これらの殴打事件に関して、その翌日、院外のある封建的勢力とみなされる者が議院内に現われて、仲裁の労をとつたということであります。手打式をやつたかいなかは問うところではありません。ただ、この侠客道と称する院外の勢力によつて仲裁されたことは明らかなる事実であります。國会議員がなぐられて、なぐり返されて、院外のある種の封建的勢力によつて仲裁せられるという、この睡棄すべき行為が問題の第四であります。
 この四つの問題がそれぞれ眞相を明らかにされて、その責任の帰属を明確にしなければ、われわれ懲罰委員としては、これらの一切を総合しての公平なる裁定を下すわけにはいかぬのであります。(拍手)從つて、わが党といたしましては、まず第一の小西君の議場内における危險性の表徴の問題、第二の、控室における報復的暴行問題について、議長の意見、ひいてはその責任を問わんことを提議いたしたのであります。もしこの問題を懲罰動議の範囲内にとどめておくならば、小西君の立場から言えば、議場内の責任だけとれば、あとの廊下、控室、食堂における行為は、全然責任なしということになるのであります。またわれわれ第三者よりすれば、議場における暴行あるいは傷害行為については、いわゆる懲罰動議によつて身を守られる。あるいは一歩議場の外に出れば、警察権によつてわが身を守られている。しかし、院内の廊下や控室や食堂においては何ら身を守られないというところの結果になるのであります。
    〔「時間々々」と呼び、その他発言する者多し〕
#36
○議長(幣原喜重郎君) 小林君、そろそろ時間が來ましたから簡單に願います。
#37
○小林進君 從つて、これに対しまして議長はいかなる見解をもち、いかなる処置をとらるるかということは、われわれにとつて重大なる問題であるとともに、この事件の裁定のためにも重大なる関連があるのであります。しかるに、議長がこの懲罰委員会の証人に出頭せらるることを、民自党の役員諸君と共産党の諸君が否決してしまつたのであります。また法務総裁に関しましては、院外のかような封建的な侠客道と称するものの存在を肯定するかいなかの問題であります。國会の正式の機関によつて諮らるべき問題に関し、國会外の侠客道と称する勢力の立会いのもとに問題の解決をはからんとしたこの事実を、いかに法務総裁が解釈せらるるかを問わんがために、証人にお願いしたのでありまするが、これも民自党と、あるいは共産党の代表によつて否決せられてしまつたのでありまする。(拍手)
    〔発言する者多く、議場騒然〕
#38
○議長(幣原喜重郎君) 小林君、……。
    〔発言する者多く、議場騒然、聽取不能〕
#39
○小林進君 結論を急ぎます。――次にわれわれの最も遺憾とするところは民自党、共産党の態度であります。かような懲罰問題は、その個人の問題にあらずして、その人の所属する党としても十分に責任を感じ、責任ある……
#40
○議長(幣原喜重郎君) 小林君――小林君……。
    〔発言する者多く、議場騒然、聽取不能〕
#41
○小林進君 公党として当然であります。しかるに、その後の両党の態度は実は不可解千万にして、問題を國会の公的機関に付して、自分たちは一歩退いて自粛反省するがごとき態度は、一つも身受けることができないのであります。民自党のごとき、前述した小西君の代議士控室における侠客道、私的報復論に拍手をもつて賛成しておられるのであります。この拍手は、ただの拍手とは違うのでありまして、民自党本來の性格からはみ出た、心からなる拍手でありましよう。(発言する者多し)しかも、この拍手は國際的に影響する拍手であります。日本の議会政治をして國際的にまつたく否定せしめるところの恐るべき拍手であります。一方にこうした恐るべき拍手を送るとともに、この問題を小さく取扱い、院外の勢力をもつてあくまでも私的にこの問題を取扱い、しかも絶対多数を擁する自分たちの力によつてこれを解決せんとしているのであります。
 共産党のごときは、日ごろの崇高な理論には完全にほおかむりして、ただ私的取引のみによつてこれを決定せんとしたごときは、実に言語道断というのほかないのであります。院内における報復的暴力行為にもほおかむりし、彼らの最も排撃する封建的勢力……。
    〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕
#42
○議長(幣原喜重郎君) 小林君――小林君、議場の言うことを聞かぬのですか。――いけません。
#43
○小林進君 もう少し……(議場騒然、聽取不能)さようなことはしばしば言われるところであります。このたびの懲罰事犯ほど、民自党と共産党が眞に仲むつまじく、さながら十年の知己のごとく、相寄り合つた夫婦のごとくおやりになつた問題はないのであります。委員会においては、まずこの問題を議場内の暴行のみにとどめて、議場外の問題は一切不問に付すということにまつたく同調せられた。第二に、社会党の委員が提出せる神山、志賀、廣川三君の証人尋問の動議も、民自党と共産党の委員が反対せられてこれを否決した。第三に、われわれの提案した……(発言する者多く、聽取不能)民自党と共産党の委員が否決した。かくして、われわれの要求するところの意思とはまつたく相反し、共産党と民自党の委員からのみ賛成を得て、このたびの懲罰が決定いたしたのでありまするが、第三者たる社会党も、民主党野党も、わが新政治協議会も、共産党あるいは労農党も……。
    〔発言する者多く、聽取不能〕
#44
○議長(幣原喜重郎君) 小林君……。
    〔発言する者多く、聽取不能〕
#45
○小林進君 第三者の公平なる意思を何ら通じていないこの懲罰動議にわれわれは眞向から反対であることを申し述べて降壇いたします。(拍手)
#46
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの小林君の発言中……。
    〔発言する者多し〕
#47
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。ただいまの小林君の発言中事実に相違した点があるという申し出がありますから、調査の上、速記録について適当に処理いたします。
 これにて討論は終局いたしました。採決に入ります。議員立花敏男君、小西寅松君の懲罰事犯の件を順次採決いたします。
    〔発言する者多し〕
#48
○議長(幣原喜重郎君) 靜粛に願います。これより議員立花敏男君懲罰事犯の件を採決いたします。この際小西寅松君の入場を許します。立花敏男君懲罰事犯の件委員長報告に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#49
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数であります。よつて議員立花敏男君懲罰の件は委員長報告の通り議決いたしました。
 次に議員小西寅松君懲罰事犯の件を採決いたします。この際小西寅松君の退席を求めます。立花敏男君の入場を許します。小西寅松君懲罰事犯の件委員長報告に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#50
○議長(幣原喜重郎君) 起立多数。よつて議員小西寅松君懲罰事犯の件は委員長報告の通り議決いたしました。
 これにて懲罰事犯の件は議了いたしました。小西寅松君の入場を許します。
    〔「なぜ入場を許すか」と呼び、その他発言する者多し〕
#51
○議長(幣原喜重郎君) ただいまの議決に基づき宣告いたします。五月十九日の議場内における議員立花敏男君の行動は不穏当なものと認め、同君に対し國会法第百二十二條第三号により三十日間の登院停止を命ずる。五月十九日の議場内における議員小西寅松君の行動は不穏当なものと認め、同君に対し國会法第百二十二條第三号により七日間の登院停止を命ずる。
     ――――◇―――――
#52
○山本猛夫君 日程第三から第八までを本日は延期されんことを望みます。
#53
○議長(幣原喜重郎君) 山本君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程第三ないし第八は延期するに決しました。
#55
○議長(幣原喜重郎君) 本日の日程に掲載された請願全部を一括して議題といたします。各請願は委員長の報告を省略して採択することとし、同種の議案議決の結果採択と見なすものの処理については議長に一任するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○議長(幣原喜重郎君) 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。
#57
○議長(幣原喜重郎君) 本日はこれにて散会いたします。
    午後八時十五分散会

ソース: 国立国会図書館
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