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1949/03/29 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第4号
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1949/03/29 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第4号

#1
第005回国会 法務委員会 第4号
昭和二十四年三月二十九日(火曜日)
    午後四時十分開議
 出席委員
   委員長 花村 四郎君
   理事 鍛冶 良作君 理事 北川 定務君
   理事 高橋 英吉君 理事 石川金次郎君
   理事 梨木作次郎君
      佐瀬 昌三君    田嶋 好文君
      松木  弘君    大西 正男君
      猪俣 浩三君    田万 廣文君
      上村  進君
 出席政府委員
        法務廳事務官
        少年矯正局長  齋藤 三郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 村  教三君
        專  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 少年犯罪防止に関する件
    ―――――――――――――
#2
○花村委員長 これより会議を開きます。
 本日の議題は少年犯罪に関する事項であります。齋藤少年矯正局長が出席されておりますから、御質疑があれば御質疑を願いたいと存じます。
#3
○梨木委員 一般に終戰後少年犯罪が非常にふえておるのでありますが、このふえておる原因について、当局の側ではどういうふうに見られておるか、それをひとつ聞かせてもらいたい。
#4
○齋藤(三)政府委員 お答え申し上げます。終戰後少年の犯罪の絶対の件数は非常にふえております。しかし警察官の人数がふえておらない関係上、実際に表面化しておるのはそれほどでもございませんが、特に私どもの心配いたしまするのは、強盗とか、そういうような凶惡な犯罪が非常にふえておることであります。結局警察官の手が足らないために、さような重大な凶惡な犯罪に檢挙の重点を集中しておるのでありまして、その原因についていろいろ研究いたして、考えさせられておるのでありまするが、第一に氣がつきますることは、非常に簡單な動機でさような強盗等の重大な犯罪を犯しておるという点であります。また少年刑務所とか、あるいは少年院等に收容されておる少年について調査をいたしてみますると、さような少年は、尊敬すべき人物を書けと言われても書くことができない。白紙で出すというような現況であります。ひつきようそれらの少年が夢を持たない、理想を持つていないということが一番根本的な原因ではないか。さらに考えますると、終戰後一般の道徳観念が、革命的な変革によりまして、從來理想としておつたものがすつかり失われてしまつて、しかも世間を知り社会生活に入ろうとする少年、しかも非常に複雜微妙な反抗的な感情を持つておる年代の少年が、さような指導すべき道徳観念を持たずにおとなになりかけておるというところに、根本の原因があるのではないか、かように存じておるのであります。さらにかてて加えて社会の一般的な混乱、やみ市であるとか、また娯樂にいたしましても、健全な娯樂がない。かような関係から、内外ともに少年がさような重大な犯罪を、さしたる惡事とも思わないで平然として犯すという現況に相なつておると思うのであります。從いましてさような惡いことを、惡いと思わないで犯罪を犯す者に、いたずらに刑罰を科することは、決して賢明なる方法ではないと考えまして、前々國会において少年法の御改正を願いまして、さような少年は刑罰の対象とは見ないで、教育の対象に見たいというような考え方で家庭裁判所が創設され、さらにそれらを教育すべき少年院等を新設することに努力して参つたのであります。しかし遺憾ながら予算の関係等において思うにまかせませんで、いろいろな点で非常な隘路を感じておるのでありますが、さような考えで、私どもは今後ともこの少年問題の解決に努力いたしたいと存じておる次第であります。
#5
○梨木委員 今の御説明で納得のいつた点もあるのですが、まだ私には納得の行かない点が多々あるのであります。たとえば少年の親たちが生活的に非常に困つておる。そういうことが少年が犯罪に走る一番大きな原因の一つになつておると思うのでありますが、そういう点についての突つ込んだ説明を聞くことができなかつたのでありますが、今の御説明の方の考え方の中には、少年犯罪が非常にふえておる原因の中に、そういう経済的な窮迫、またそれに対する社会的な施策の貧困さから來るものがないのでありましようか。そういうものを否定しておるのでありましようか。この点を伺いたいと思う。
#6
○齋藤(三)政府委員 もちろん青少年の犯罪のうちに家庭の貧困、親たちが経済的に行き詰つておるという点も決してないとは考えておりませんが、しかしながらそれが最大の、しかも一般的な原因というべく、あまりに少年犯罪のいろいろな統計から見ますと、いろいろな要素が含まれておるように考えるのであります。たとえて申しますると、犯罪を犯した少年の家庭の環境といいますか、社会層といいますか、さような調査を見ますと、農村の子弟が非常に犯罪を犯しておるという統計になつております。しかも終戰後ある期間ではありましたが、相当農村に金があつたというような点を考え合せますると、かえつてかような、ある程度余裕のある所がいろいろな遊びを覚えさせる原因になつておるということも考えられるのではないか。一概には言えない。もちろん親たちが経済的に困つておるという原因も、決してないとは私も考えておりませんが、ただそれだけであるというふうには考えておらないのであります。
#7
○梨木委員 それでは農村と都会地の少年犯罪の量といいますか、対比、それはどういうことになつておりますか。
#8
○齋藤(三)政府委員 実はあまり科学的に突つ込んだ研究はいたしておらないのでありますが、統計で見ますと、農業、それから無職というのが非常に多くなつております。この無職というのは、おそらくやみ屋というふうな正規の職業のないものがその中に入つておるのだろうと思つております。これは國家地方警察でつくつたものでありまして、これについてまだ研究が十分行き届いておりません。ことに学生の人口がいくら、農村の人口がいくらというふうに対比して、パーセンテージをきめて出すまでに研究が進んでおりませんので、あまり御参考にならないと存じまするが、農村の少年の犯罪者が、昭和十九年には、小さな数字は拔きますが、八千人であります。それが昭和二十二年には二万一千人というふうに相なつております。それから無職というのが、昭和十九年には一万六千人という数字でありますが、昭和二十二年には七万七千人というふうな数になつております。ところがまた工場労働者というのを見ますと、昭和十九年には四万二千人という数になつておりますが、昭和二十二年には二万三千人という数になつております。これは工場労働者、ことに戰爭中の少年工、少女工、そういつたものの制度がなくなつたという点にもあると思いまするが、さような数字になつておりまして、これを正確に各社会層の少年の人口というものと対比しないと、断定的なことは言えないと思いまするが、はなはだその点私ども研究が不行届きでございまするが、現われた数字はさようなわけになつております。
    ―――――――――――――
#9
○花村委員長 ほかに御質疑はありませんか。――御質疑がないようでありまするから、左の事項について委員長よりお諮りいたします。いまさら申し上げるまでもありませんが、日本の再建復興は、一にかかつて心身健全な青少年にまつところが多いと存じます。しかるに現下青少年の不良化、犯罪化の傾向はまことに憂うべき、恐るべき事柄であります。東京観護所におけるあの放火逃亡の事件等より見ても、はたして政府は十分なる少年保護の施設を行つているか、またその教化の方針も完全であるか等、いろいろ考えさせられるものがあります。本委員会においては、少年犯罪には深い関心を持ち、さきに少年犯罪に関する國政調査の承認を議長に得ているのでありまして、今後とも調査を続けて行きたいと考えております。しかしこの際とりあえず政府を鞭撻する意味で、青少年に対する強力なる矯正保護の施策を実施すべきであるという趣旨の決議を提出いたしたいと思うのであります。幸い法務委員各位の御賛同を得ますれば、共同の提案ということにいたしたいと存じます。一應委員長の手もとに準備してある案文を朗読いたします。その後の字句の変更等については、委員長に御一任願いたいと存じます。
   青少年犯罪防止に関する決議案
  新日本の再建復興は心身の健全なる青少年の育成教化にまつべきものであるが、現下青少年の不良性、犯罪性激化の傾向にかんがみ、政府はこの際青少年が民族の原動力であることを強く認識して、すみやかに青少年の健全なる育成教化、ことに不良化した青少年に対する強力なる矯正保護の施策を実施すべきである。
 右決議する。
右のごとくいたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。
#10
○梨木委員 強力な措置とありますが、それは何か少年保護の方面において、自由を非常に権力的に束縛するような措置を意味しているのでありましようか。どうもその点がちよつと心配なので伺いたい。
#11
○花村委員長 それはそういう意味でなく、政府の施策を強力にやつてもらいたいという意味なので、青少年に対する保護施設の上において強力なる手段を弄するという意味ではございません。
#12
○梨木委員 それならよろしゆうございます。
#13
○花村委員長 御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○花村委員長 御異議なしと認めます。それでは本決議案の提出については、法務委員各位の共同提出とし、案文はさきに朗読いたしたところにより、ただ字句その他の修正は委員長に御一任を願うことにいたします。
 本日はこれで散会いたします。
    午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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