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1949/05/07 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第16号
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1949/05/07 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 法務委員会 第16号

#1
第005回国会 法務委員会 第16号
昭和二十四年五月七日(土曜日)
    午後二時二十八分開議
 出席委員
   委員長 花村 四郎君
   理事 北川 定務君 理事 金原 舜二君
   理事 高木 松吉君
      押谷 富三君    佐瀬 昌三君
      田嶋 好文君    牧野 寛索君
      眞鍋  勝君    武藤 嘉一君
      猪俣 浩三君    田万 廣文君
      上村  進君    三木 武夫君
 出席政府委員
        法務廳事務官
        (調査意見第一
        局長)     岡咲 恕一君
        法務廳事務官
        (少年矯正局
        長)      齋藤 三郎君
 委員外の出席者
        專  門  員 村  教三君
        專  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公述人選定に関する件
 少年法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
 七号)
 少年院法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 六八号)
 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出第九六
 号)
 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第九七号)
 民法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第
 一一四号)
 犯罪者予防更正法案(内閣提出第一二四号)
 犯罪者予防更生法施行法案(内閣提出第一二五
 号)
 公判前の証人等に対する旅費、日当、宿泊料等
 支給法案(内閣提出第九四号)(参議院送付)
 司法警察職員等指定應急措置法等の一部改正す
 る法律案(内閣提出第九九号)(参議院送付)
 弁護士法の改正する法律案起草に関する件
 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法
 律の一部改正に関する件
    ―――――――――――――
#2
○花村委員長 これより会議を開きます。
 弁護士法を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○花村委員長 ただいま上程に相なりました弁護士法を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
 まず立案の経過を簡單に御報告申し上げます。弁護士法改正法案が正式に國会に論議されたのは第一國会の末期であります。爾來司法委員会において法案の立案を法制局(当時の衆議院法制局)に命じ、草案を得ましたのが第二國会の当初でありました。しかし内容は在野法曹の運命に関する重要性を持つておりますので、全國弁護士連合会と密接なる連繁を保ちつつ裁判所側、法務廳側、学界側等の意見を徴しつつ、成案を急いだのですが、種々の事情のため第二國会でも第三、第四國会でも上程されるに至らなかつたのであります。第五國会においては、開会劈頭に弁護士法改正法案起草に関する小委員会を設け、三月二十八日以後十数会懇談会を開いて、四月二十七日成案を得て、これが小委員会を通過し、以後関係方面の折衝に入り、おおむね了解を得、本日法務委員会に正式に提案することになつた次第であります。
 今弁護士法改正法案を提案するに当つて、あらためて現行弁護士法と比較して、その差異を簡單に申し上げます。
 第一に現行法においては弁護士及び弁護士会に対する法務総裁の監督が嚴重でありますが、これを廃しまして、改正法案においては弁護士会自治の原則に基き、自由に活動し、同時にみずから責任を負うことになつております。すなわち弁護士会連合会が強い推進力を持ちながらも、懲戒委員会、綱紀委員会の規定を設けているのは、この建前の基くのであります。
 第二に、現行法においては弁護士の懲戒裁判がありますが、これを廃止して、弁護士会内に懲戒委員会を設けました。弁護士に非行があつた場合には何人も懲戒の請求をなすことができることにして、國民に対する責任追究にこたえることにしたのであります。その反面、みだりに懲戒申入れの弊害を防止するため、綱紀委員会の選択の後に懲戒委員会を開くことにしたのであります。
 第三に、改正法案では弁護士の地位が一段と向上しているのであります。すなわち私益の擁護という観念から轉じて、憲法上の基本権擁護の地位に向上し、これを裏づける品位保持、信頼裏切りの禁止、不適正なる者の入会拒絶等の規定があります。ただ第十二條第三号の、判檢事がその就職地において二箇年以内に入会申出をしたときは、入会巨絶かできるという案文について最も議論があつたのでありますが、裁判所側、法務廳側の意見を取入れまして、これを公務員として、さらにその年限を一年に短縮し、これを第三号とせず第二項としたのであります。これは最も関係の深いところでありますから、修正の條文を朗読いたします。
 第十二條弁護士会は、弁護士会の秩序若しくは信用を害する虞がある者又は右の場合に該当し弁護士の職務を行わせることがその適正を欠く虞がある者について、資格審査会の議決に基き登録又は登録換の請求の進達を拒絶することができる。
 一、心身に故障があるとき。
 二、第六條第三号にあたる者が、除名、業務禁止、登録まつ消、許可者消文は免職の処分を受けた日から三年を経過して請求したとき。
 2 登録又は登録換の請求前一年以内に当該弁護士会の地域内において常時勤務を要する公務員であつた者で、その地域内において弁護士の職務を行わせることが特にその適正を欠く虞があるものについてもまた前項と同樣とする。
かようにでき上つたのであります。
 第四に、弁護士会に加入することは現行法でも改正法案でもそのままであります。しかし自由職業において組合に当然加入することは、終戰後めずらしいことであります。これには長所短所相伴うので、その弊害除去に特にくふうしてあります。ことに弁護士の資格を得ながら不当に入会を拒絶されることがないように、資格審査委員会においては判檢事、学識経驗者を入れて公平を期し、一度は入会を拒絶されても最後には裁判所に訴訟を提起して救済されるようにくふうしてあります。
 第五に、弁護士名簿、弁護士の権利義務、憲護士会法律事務の取扱いに関する取締り、いわゆる三百代言禁止については、おおむね現行法の通りであります。
 なお本法案は在野法曹の運命を左右し、わで國司法行政の一部をも包含した重要なる内容を有し、條文数も九十二箇條に及ぶ大法案であります。しかし立案の経過は数年にわたり、審議は法務委員会の内外において延人員百数十名によつて審議し盡されたものであります。よつて提案者としては、本委員会において審議を了した原案通りの案文にて本日中に採決に入り、可決されるよう希望する次第であります。
 以上で弁護士法改正法案の提案理由の説明を終ります。
 何か御質問はございますか。――質問がないようでありますから、討論に入りたいと思いますが、いかがいたしましようか。――討論を省略することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○花村委員長 御異議なしと認め、討論を省略いたします。ただちに採決に入ります。
 本案に賛成の方の起立を願います。
    〔総員起立〕
#5
○花村委員長 起立総員。よつて本案は可決されました。
 なお本案は関係方面の了承がいまだ参つておりませんので、その了承を得次第、ただちに本会議に上程いたしたいと思いますから、さよう御了承を願います。また本案の報告書は委員長に御一任を願います。
    ―――――――――――――
#6
○北川委員 この際公判前の証人等に対する旅費日当、宿泊料等支給法案並びに司法警察職員等指定應急措置法の一部を改正する法律案、この二つの法律案につきまして議題とされましてただちに討論、採決に入られんことを望みます。
#7
○花村委員長 ただいまの北川定務君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○花村委員長 御異議なしと認めます。よつて公判前の証人等に対する旅費日当、宿泊料等支給法案司法警察職員等指定應急措置法の一部を改正する法律案の二案を一括して議題に供します。
 何か御質疑はありませんか。――御質疑がないようでありまするから、ただちに討論に入ります。討論はいかがいたしましようか。
    〔「討論省略」と呼ぶ者あり〕
#9
○花村委員長 討論省略に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○花村委員長 御異議なしと認めてさように決定いたします。右両案に対しまする採決をいたします。右両案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔総員起立〕
#11
○花村委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。右両案の報告書は委員長に御一任願います。
    ―――――――――――――
#12
○花村委員長 次に少年法の一部を改正する法律案、少年院法の一部を改正する法律案、刑法の一部を改正する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、犯罪者予防更生法案、犯罪者予防更正法施行法案の各案を一括議題といたします。まず犯罪者予防更生法案について質疑の通告がありますので、これを許します。猪俣浩三君。
#13
○猪俣委員 この犯罪者予防更生法案につきまして総論的なことと、各論的なことにつきまして二、三御質問にいたしたいと思います。総論的なことといたしましては、この犯罪者予防更生法案の目的を見ますると、犯罪の予防及び更正、犯罪者の更生というふうになつておりますから、両方の意味がありましようけれども、そのねらいとするところは犯罪者の犯罪予防が主であるのであるか、犯罪者の更生をはかるということが主目的であるのか、なぜ私がこの質問をするかと申しますると、予算の関係がどうなつておるのであるか。これは実は私どもが調べなければならぬことでありまするが、なまけておりまして、政府委員の方にお聞きするのでありますが、もし更生させることを主といたしまするならば、予算ということが第一に頭に來なければならぬと思うが、それからみ合いにおきまして、犯罪者の犯罪予防が主であるか、更生が主であるかお答え願いたいと思います。
#14
○齋藤(三)政府委員 お答え申し上げます。犯罪の予防ということを廣く考えますと、これは單なる法務廳だけの問題でありませんので、警察あるいは裁判所、それらと全部関係が非常に多いのでありまして、この法律ではもつぱら犯罪者の更生ということを主眼といたしております。予算につきましては、法案が関係方面の意向がいろいろございまして、固まるのが非常に遅れましたのと、経済九原則の関係上、新規事業は認めないということでありまするので、從來これに関連いたしまして少年審判所、これは昨年末の改正によりまして、家庭裁判所の観察に付した少年を保護観察する。仮釈放、仮退院になつた少年の観察をいたしておりました少年審判所、あるいはおとなにつきまして、全國司法保護委員会に職員が若干数おられます。それらを統合いたしまして、予算ができたのでありまして、本年度はきわめてわずかな予算であります。
#15
○猪俣委員 どのくらいになつておりますか。
#16
○齋藤(三)政府委員 予算は総額で、たしか九箇月で二億円くらいだつたと思います。職員の数は大体少年審判所と保護委員会の職員で、中央廳におきましては、法務廳の成人矯正局及び少年矯正局、檢務局の恩赦に関係する職員がこれに統合せられますので、專從の職員は五十一人の中央委員及び地方委員が新たに加わりまして、全部で千二十何人かであります。さような数で、予算は從來少年審判所あるいは司法保護委員で認められて來ましたものを九月分組み入れまして、総額で二億円ちよつとであります。なおとうていこの專從の職員だけでは、多数の退所者を保護監督することは不可能でありますので、條文にもございます通りに、司法保護委員というものを今回やはり使うことにいたしております。ただ人選につきましては特段に留意するつもりであります。
#17
○猪俣委員 犯罪者の更生をはかるという意味が重点になるということになりますと、今二億円ぐらいのものはただ係の職員の俸給のようなことになつておりますが、更生をはかるために犯罪者自身に施すことについての施設、その他、助産、そういう意味での何か予算というものはないのですか。
#18
○齋藤(三)政府委員 私どもの方から大藏省に対しましては相当の予算を要求したのでありまするが、先ほど申し上げましたようなことで、若干の援護費というものを認められておりまするが、きわめてわずかなんでありますこの法律のねらいといたしておりますのは、刑務所なり少年院なりの收容施設において、きつく自由を束縛されて長くおつた者を、無條件で社会に復帰させるという場合に、再犯の率が非常に多いのでありまして、これが刑務所に入りますると、できるだけ早く將來社会に復帰して更生して行く計画を、受刑者あるいは少年自身も参画させて立てさせまして、それに向つていろいろ教育を施し、その成績がある程度上りますると、これをできるだけ早く仮釈放、仮退院させまして、そうして今度は保護委員あるいは專從の職員が相談相手になりまして、いろいろな関係の福利施設あるいは衞生施設、学校施設あるいは職業安定の施設、そういつたところと十分連絡をとりまして、そうして本人を一番危險な刑務所あるいは少年院から出た直後の半年、一年、二年、こういつた期間無事に過させて、そうして完全に社会に復帰させる、こういうねらいでございます。
#19
○猪俣委員 今更生をはかるのが主である法律であるということになつておるのでありますが、予算がはなはだ乏しい。この法案の第三十六條を見ますると、なるほどいろいろありがたいことが書いてあるのでありますが、これだつて全然金がなくて一体やれることであるかどうか。「医療及び保養を得ることを助けること。宿所を得ることを助けること。」もちろんそれは予算の関係でこういう消極的な文字をおつけになつたのか知らんが、宿所を得ることを助けること。あるいは医療や保養を得ることを助けること、こういうようなちよつとわかりにくい文句でありますが、それにいたしましても一体この保導援護の方法、更生をはかることよりも、まず経済環境を改正してやることが重大問題だと思いますが、まして予算がないのにそういうことが一体おやりになれるのかどうか。ただ法律だけできて、委員だけができて、そうしてそれが大して何もやつておらぬというようなこと、そうすると結局予防ということが中心になつて、たとえば執行猶予を受けた人間をしよつちゆう監督し、監視をするというようなことが中心になつてしまうのではないか。それで私はどこに中心を置くかということを最初にお聞きしたのは、その意味であります。もちろん更生に中心を置くと言つていながら、更生をはかるべき予算が何もない。そうしてただこれを監督する。見まわりに行つてはただ監督するという、ただ監督が主になつてしまう法律案ではないか。その点についてお聞きしておりますが、その点のお考えはいかがでありますか。
#20
○齋藤(三)政府委員 この法律はただいま御指摘のように、何か冷たい監督というようなことをねらいにしておるのでないのであります。どこまでも退所者をあたたかい氣持で保護して、そうして社会に復帰させる、こういうことが主眼になつておるのであります。ただ本年度遺憾ながら諸般の事情で予算が要求した何分の一しか頂戴できませんので、與えるところが物質的には不十分であります。しかしながら運用にあたりましては、できるだけ精神的に社会から冷たい目で見られがちなかような退所者を間違いなく社会に復帰させるように、十分職員一同さようなつもりでやるようにいたしたいと存じております。
#21
○猪俣委員 そうするとこれがあなた方の立法の目的に沿うように十分活動するためには、どのくらいの予算がほしいということで大藏省に御交渉なさつたか、それをちよつと聞かしていただきたい。
#22
○齋藤(三)政府委員 國立の收容する場所を考えました時代には、建物の費用が相当かかりますので三十億円ほどの予算が組まれたのであります。その後いろいろな関係方面の意向がございまして、さような國立の收容施設ということは不適当であるというような御意見がありまして、その後さような收容施設を拔いた予算では、約十億円ほど要求いたしたのでございます。
#23
○猪俣委員 ただ私どもは、予算が大してないのにこういう法案を出し、結局犯罪者の更生が主だと言いながら、お説教と監督、監視というようなことに陷るのじやないか、それがいわゆる執行猶予制度にこの保護観察を條件に付するということと関連いたしまして、私ども最も危惧するところなんであります。そこで私第一番にお聞きしたのでありますが、どうもあまりぴつたり了解ができないのであります。しかしそれはそれ以上は議論になりますから、これで打切りまして、次に地方の成人保護委員会あるいは少年保護委員会、この最高の責任者は何人なんでありましようか。
#24
○齋藤(三)政府委員 これは地方の機関といたしましては、合議体の委員会が責任者ということに相なつておるのであります。中央におきましても同樣に、中央の委員会が主宰者、責任者ということになつております。
#25
○猪俣委員 これは一種の行政事務だと思うのでありますが、そうするとこの地方の委員会と中央の委員会の関係及びその責任問題については、内閣とは何ら関係がないのであるが、内閣に何らか関係があるとすれば、その責任者は何人であるか、そういうことについてお尋ねしたい。
#26
○齋藤(三)政府委員 お答えいたします。委員会は中央の委員会が地方の委員会を監督することに相なつております。地方の委員会のなした処分について不当と思う場合には、審査を求め、中央がさらに再審査をするということになつております。中央の委員会は法務廳の外局になつておりまして、これは法文にも出ておりますが、第三條で「法務府の外局として、中央更生保護委員会」ということになつておりますので、内閣についておる行政官廳であります。
#27
○猪俣委員 法務廳の外局であるけれども、法務総裁には、責任がないという建前になつておるのでありますか。
#28
○齋藤(三)政府委員 法務総裁が責任を持つておられると思います。
#29
○猪俣委員 だから私は質問した。あなたは委員会が責任者だとおつしやるので、そこでお聞きしたのですが、結局行政事務でありますから、内閣かあるいは法務廳、法務総裁か、あるいは何人かが、最後の締めくくりの責任者でなければならないと思いますが、それが何人であるかをお尋ねしておるのであります。法務総裁でありますか。
#30
○齋藤(三)政府委員 法務総裁だと思います。
#31
○猪俣委員 次にこれは條文の問題になるかもしれませんが、この法案を見ますると、至るところに「政党に属する」という文字がある。二人以上同一政党に属することができないというようなことになつておりますが、そこでこの政党に属するということの法律的な意義、どういう状態がある政党に属したことになるのであるか。これはまあ常識上明らかだといえばそれまででありますが、法律上考えますと、多少そこに疑義があるのであります。立案者はどういう定義をこれに下しておられるのか、お聞きしたいと思います。
#32
○齋藤(三)政府委員 結局常識の問題だと思いますが、入党しておるということが一つの大きな目安になると存じております。
#33
○猪俣委員 入党しておるということですか。客観的に政党員であるかないかということを規定する何か基準があつてやつたのじやないですか。これは委員会の構成資格としてたいへん重大なことになつておるようであるが、政党に入党するとやめなければならないということにまでなつておるが、その政党に属したということの意義について、何かはつきりした標準をおきめになつたのであるか。あるいはただ漠然と今言つたように入党したという場合だ、こういうのであるか。これは代議士になるとか、あるいは中央で相当な人ならはつきりとしておりますが、地方の場合におきましては、たいがいあいまいな場合が多いのであります。どういうのが一体入党したことになつておるのであるかということは、あいまいの場合が多い。それはだれが判定し、どういう標準で入党ときめるのか、もしその人が、おれは入党していないのだということになつたら、それはどういうことになりますか。そういうことについて何かお考えになつたことがあるかどうかお伺いいたします。
#34
○齋藤(三)政府委員 お答え申し上げます。この法律で政党に所属ということについて別に定義はございませんので、結局條文によつて判断するものと存じております。その場合にやはり入党ということが目安になるものと存じております。
#35
○猪俣委員 そうすると政党に属したかどうかということの最後の判定者は法務総裁になつておるわけですか。
#36
○齋藤(三)政府委員 第七條の第五号で「中央委員会の委員は、弁明の機会のある審間を受け、且つ有利な証拠を提出するに足る期間を與えられた後でなければ、解任されることはない。その解任は、両議院の同意を経なければならない。」かようにいたしておりまして、実際問題において不当のことのないように配慮いたしております。
#37
○猪俣委員 それからもちろんこれは念のためにお聞きするだけでありますが、この委員会の委員は、刑法第七條の公務員であることは間違いないと思います。なお刑法の百九十五條の特別公務員にあたるのであるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#38
○齋藤(三)政府委員 公務員であることは間違いないと存じておりますが、百九十五條には「裁判、檢察、警察の職務」ということになつておりますのでこれには該当しないと存じます。
#39
○猪俣委員 それからこれは刑法あるいは刑事訴訟法の改正と連関するのであります。これはそのときになつて御質問してもよしのでありますが、犯罪者の犯罪の予防のために保護観察に付する、ことに成人について保護視察に付するということであります。執行猶予を付するような状況にある者に対して、保護観察に付するという新たな條件をそこに持ち出すということの可否の問題であります。一体執行猶予に付するような状況は、情状酌量の余地があるものとして執行猶予を受けるのでありますが、さような犯罪者に対しまして始終観察に行く、付された者から見ると、いつも監視をされておるというような心持を抱かせることが、はたしてほんとうにその人を更生させ、あるいは心機一轉をせしめることに相なるかどうかということは、非常にこれは重大問題であると思うのであります。よほど保護委員にその人を得なければ反対な現象を起すのではないか、やはり始終前科者であるということを近所の人に知らしめるような、あれは犯罪をやつた男だということを知しらめるような形になるのではないか。ある犯罪をやつて執行猶予がついた場合に、東京あたりではわざわざ家をかえる者がある。そうしてなるべく世間から犯罪を犯したことのないように見られて、まじめに生活したいと思う人間が、そういう場合に始終委員会から妙な人がやつて來て、妙な説教をやらされておると、自分が執行猶予になつたことが暴露するというようなことで、ほんとうにまじめに立ち返らう、あやまつて罪は犯したけれども、まじめに更生しようという者の努力、精進の心持をくじくようなことになるのではないか、私はこれを非常におそれるのであります。抽象的観念的に考えましても、執行猶予を受けるような状況にある者に対して、なおその上に保護観察をするということが一つの矛盾した観念じやないかというふうにも考えられるのであります。その点についての御配慮もあつたことだと思いますが、一体そういうことに対する心配がないのだという御確信のもとにこの立案をされたのであるかを承りたいと思います。
#40
○齋藤(三)政府委員 運用についてはただいま猪俣委員の仰せられたように十分惡影響がないようにしなければならぬと存じております。ただこの法律におきましては、無條件で執行猶予をしてよい場合もありましようし、無條件では執行猶予にしないが、ある條件を付すれば執行猶予になるという者が、現在執行猶予にならないでおる場合もあるのじやないかと思うのであります。從いましてこの法律案においては裁判所が特に必要ありと認めた場合に、保護観察に付するという條件をつけて執行猶予に付する、こういうようにいたしております。またその裁判所において適切にその間を洞察せられまして、猶予せられることもあります。また運用についてはただいま猪俣委員が仰せられましたように、不必要なおせつかいはやらないようにいたしたい、かように存じでおります。
#41
○猪俣委員 今の問題はなお私は意見違いの点がありますが、その程度にいたしまして、本法の三十四條に「左に掲げる事項を遵守しなければならない。」いわゆる保護観察に付されている者の遵守事項が書いてある。そこで「一定の住居に居住し、正業に從事する」というのでありますが、この正業ということは、常識といえば常識なんでありますが、一体正業というのはどういう範囲まで認めるのであるか。今ブローカー業などがたいへん多いのでありますが、ああいうのは一体正業に入るのがどうか、そういうことについての御見解を承りたい。
#42
○齋藤(三)政府委員 これは結局常識によつて解釈せられると思います。從いましてブローカーの中でも、経済違反になるようなものは正業と認められないと思いますが、犯罪にならないものは正業に入れてよいのじやないかと思います。なおこの遵守事項に反したから、それを全部取消すというようなことは毛頭考えておりません。これは一つの手段でありまして。まつたく本人の更生を促す一つのてことして考えておるのであります。それに違反しても、本人のほんとうの意味の究極の更生に役立つかどうかという観点で運用されなければならないと存じております。アメリカのパロール・アンド・プロベーシヨンと同じものでありますが、それらの宣言などを見ましても、これに反したらどうこうというよりは、本人が今取消した方がよい、將來このままに置けばまた再犯を犯す、それよりも取消して執行した方が本人のためになる、本人の更生に、役立つかどうかという観点で運用すべきでありまして、二一天作の五というようなそろばん的な、機械的な運用はぜひとも避けなければならない、かように存じております。
#43
○猪俣委員 今の御説私もまことに同感でありますが、ここに三十四條が特設されて條件が出ておる以上は、とにもかくにもこれを遵守しないと一應取消される、その候補者に上ることは事実でありますから、これはしつかり固めておかんといかぬと思うのでありまして、私が正業についての見解をただしたことは、これは時の政府の性格いかんによつてはたいへん弱められる場合がある。戰時中は弁護士も正業ではないと言うた憲兵司令官がある、君も弁護士をやめて正業についたらどうかと言われた有名な話がある。それですから、ある性格を持つ時の政府が妙に解釈せられると、妙なことになる。もちろん正業の解釈は、政府はそれにいたしましても、私ども行政府から出された法案を審議するについては、よくその意義をただしておかなければならぬと思うのであります。たとえば労働運動あるいは農民運動を專門にやつておる人は、これは正業に入るのですか入らぬのですか。
#44
○齋藤(三)政府委員 正しい意味での運動ならば正業に入ると思います。
#45
○猪俣委員 それから一定の住居でありますが、これは別に時間を限つた意味ではないと思いますけれども、念のためにお聞きするのであります。今住宅難でありまして、轉々としてその住居を移す場合があるのでありますが、昔はそれをみな住居不定だというように言われた場合がある。そこで一定の住居の居住するということは、時間的な関係があるのかないのかということをお伺いいたしたい。
#46
○齋藤(三)政府委員 轉々として放浪して、どこへ手紙を出しても届かない、こういうものは一定の住居と言うことはできないと思いますけれども、現在のような住宅難である期間ここにおり、また事情によつて他の場所に移るというようなものは、やはり一定の住居というふうに申してよいかと存じます。
#47
○猪俣委員 次にその二号に「善行を保持すること。」とありますが、普通の生活をしておる人が特に善行なるものを保持していなければならぬというのであるか。「善行を保持する」ということはどういうことになるのでありますか。毎日一日一善みたいなことをやらなければならぬというのであるか、ただ普通の市井の人として、平凡の生活をやつておればいいというのであるか、ちよつと伺いたい。
#48
○齋藤(三)政府委員 必ずしも一日一善をやるというようなことは考えておりませんので、普通の市民として信用のあるような生活をしておる、これだけで十分であると存じます。
#49
○猪俣委員 そうすると「善行を保持すること。」はさつき御説明のように、一定の生活の指導の標準をあげたというような説明ならばよろしいのですけれども、これが固い意味の取消しの條件だということになると、この文句ははなはだ誤解を招くおそれがあると思うのであります。今政府委員の御答弁のように、これを成就しないからただちに取消しの條件になるという固い意意でないならば、さしつかえないと思います。善良な市民的生活をやつておればいいのであるという意味でお認めになつたろうと私ども了解いたします。
 次に「犯罪性のある者又は素行不良の者と交際しないこと。」これはすでに犯罪をして裁判所の判決があつた者ならば客観的に確実性があるのであるが「犯罪性のある者」ということは、あいつは惡いことをしそうだということでありますか。これは一体どういう標準で犯罪性のあるなしを決定するか、またそれを決定するのは何人であるか。これも常識論といえば常識論かもしれませんが、本人としては知らず知らず交際した人が、ある人から見れば犯罪性のある者、あるいは素行不良の者という烙印を押される。そうするとこれは取消しの條件ということになつて來るとはなはだ困るので、この「犯罪性のある者」というのはどの程度のものであるか、それは一体何を標準にして考えておるか、その点についてお聞きしたい。
#50
○齋藤(三)政府委員 結局この條文は猪俣さんの言われたように、普通の平凡の信用できるような市民生活を守つて行く。こういう性質のものでありまして、「犯罪性のある者」ということも、必ずしも法律の判断のように嚴格に考えておるのではありませんで、普通の札つきの常習的な人間とつき合つて、ああいう者とつき合つてはまた間違いを起すということが、世間の常識ある万人が認めるという場合に本人に注意を促す、それがどうしてもいけなくて、また再犯のおそれが顯著であるという場合に取消しする。またその取消しにつきましては、地方の少年委員会あるいは成人委員会が取消しますが、その取消しについて不服のある場合には、中央の委員会に再審査を求めることができることになつております。中央の委員は、國会の両院の同意を得て、何人も十分信頼できる人を選定いたすということになつておるのでありまして、運用については御心配の点は起らないのではないか、かように存じます。
#51
○猪俣委員 本案の第十六條でありますが「中央委員会は、左の事項について権限を有し、その権限に属する事務をつかさどる。但し、第四号に掲げる事項は、この委員会の專権に属するものではない。」こういう但書がついておるのでありますが、第四号に掲げるものは委員会の権限に属さないということが書いてあると、その四号を除いた、第一号からその他の各号は、この委員会の專権に属するというふうに解釈するのでありますかどうか。
#52
○齋藤(三)政府委員 第四号につきましては、立法の経過から申し上げますと、当初は、この前の國会でもちよつと御説明申し上げたことがありますが、内閣総理大臣を委員長として、関係各大臣及び民間の方がお入りになつて、全面的な防犯についてもこの委員会がやるという建前であつたのでありまするが、その後いろいろな関係で、研究を進めました結果、犯罪予防ということについては、この法律は從としての立場においていたすことに相なりました。もつぱら警察あるいは裁判所その他社会施設のすべてが犯罪予防に一面大きな関係を持つておりますので、第十六條の第四号において防犯のことを書いておりまするが、これは何もこの委員会の專権に属するものではない。この委員会だけがやるのではない。かように注意的に書いておるのでございまして、実はこの但書も当然のことでありまして、この委員会が犯罪予防をやるといつて、ほかの警察なり裁判所が犯罪予防をやつてはいかぬと解釈上ならないと存じておるのでありますが、関係方面の意向もございまして、かような但書を入れた次第であります。その他の條文についても、それぞれの分野においてそれぞれ適法に、関係のある方がおやりになることについて、別にこの法律が拒否しておるとは存じていないのでありますが、しかし保護観察の制度を管理するというようなことは、この委員会だけが現在においてはやることに相なつております。
#53
○猪俣委員 なお今の第十六條の十号でありますが「その他この法律及び他の法律により中央委員会の権限に属せしめられた事項」こうありますが、他の法律というのは、皆さんが予定なさつておつたのはどんな法律がありますか。
#54
○齋藤(三)政府委員 ただいまでは恩赦法がその他の法律に入りますし、また刑法の今度の執行猶予の制度というようなことによつて、やはり中央委員会の権限に属することができると思います。さらに今後研究によりまして、宣告猶予というような制度も設けられれば、やはり中央委員会の保護観察という分野に入つて來ると思います。
#55
○上村委員 猪俣委員が質問されたので大体盡きておりますが、保護観察制度というものは、昔の思想犯、特に治安維持法の出獄者に適用した有名な制度でございまして、出獄人を保護監督するということは名のみでありまして、その実いろいろの掣肘を加え、そして五年も七年も入つていた出獄者の自由を相当拘束した法律制度でありますが、それが今日治安維持法などの惡法の廃止によつてその制度がなくなつているときに、この少年法に名をかりて保護観察制度を設けることは、われわれのように現にその保護観察制度を体驗した者から見ますと、はなはだおためごかしの法律でありまして、いわゆるこの保護を受ける人は相当人権の自由を束縛されるのではないかと思う。そこでほんとうに少年を保護する。あるいは出獄、執行猶予せられたような者を保護するというありがたい條件にするならばいいのですが、そうでなく、ややもするとこれを思想的方面の人もしくはそういつた犯罪に適用して、それがためにかえつてその少年の將來を、むしろその制度によつて誤つて行くということが十分危惧されるわけでありますが、そういう思想犯的、政治犯的、あるいは人にとりましては、社会主義思想その他の政治思想を持つている者にこれが適用になるおそれがあると思いますが、当局においてはその点をどういうふうにお考えになつておりますか、この際承りたい。
#56
○齋藤(三)政府委員 この前梨木委員からも同樣な御質問があつたそうですが、この立案に当りましては、私ども全然さようなおためごかしに、ある種の目的をもつて彈圧するというようなことは、全然考えたことはありません。この條文の三十三條の二項にはつきり書いておりますが、この保護観察は、思想犯保護観察のように、裁判所がある刑期を言い渡して、満期が來て出た者を、さらに將來のおそれがあるからというて保護観察するというようなことではございませんので、裁判所が三年なら三年という言い渡しをした、その三年の刑を全部務めさして、あのきゆうくつな、自由を拘束されたところからいきなり社会の荒波に直接無條件で出してしまうということが、非常に今日までの行刑なり強制保護の実績から見て危險千万である。それで入つたならばすぐに將來の立ち直りの計画を、本人も参画させて立てさせまして、そしてそれに向つて教育を施して行く。そしてできるだけ早く出して、ある期間本人が社会に復帰するまでのめんどうを見る。しかもその保護観察の期間は、結局裁判所が三年なら三年を言い渡したその期間を絶対に越えない、結局三年の言い渡しを受けて二年で仮出獄になれば、残りの一年間だけ保護観察をするということが、三十三條の二項にもはつきりと書いてございます。從つてこの條文は私どもから言うと不必要じやないかと思います。と申しますのは、仮出獄中、仮退院中という言葉は、残つている期間という意味でありますから、その裁判所の言い渡した期間以外には出ないということは、解釈上出て來るのでありますが、さらに三十三條の二項におきまして、重複をいといませんで、はつきりとこの裁判所に言い渡された刑の終期の経過後まで及ぶものと解してはならない。かように書いてございますので、さような思想犯保護観察法とはまつたく趣を異にした発足からいいましても、ねらいからいいましても全然別個のものであることをはつきり申し上げたいと存じます。
#57
○上村委員 趣旨は了承いたしましたが、そうすると、とにかく彈圧に利用しない。ほんとうに法の命ずるところの精神に基いて保護するということであればけつこうですが、刑法の二十五條の改正と関連して一應お尋ねしたいのですが、刑法は、むろん執行する場合においては裁判官が、丁寧に法を――つまり住居のない者や、監督者のない者に対しては、明文ではありませんけれども、われわれが実際弁護にあたりましては、そういう條件がそろわなければ執行猶予しないのです。特に今度は刑法を改正して、保護観察に付する。そうすれば今までの刑法で何十年か行われて來たところの執行猶予に本質的にはならないものを、こういう制度によつて執行猶予にして保護観察に付する、こういう趣旨に承つてよろしいでしようか。
#58
○岡咲政府委員 上村委員のただいまお述べになりました通りに解釈いたしております。二十五條の二の改正によりまして、從來であれば、裁判所は、執行猶予の言い渡しをせないだろうような犯罪者に対しましても、保護観察に付するならば執行猶予を言い渡すことが本人のために非常に更生を助けると考える場合が相当多いと考えますので、そういう場合には、裁判所は進んで執行猶予に付すると同時に、保護観察の手続をとつて保護観察に付する、こういうことになろうと考えます。
#59
○上村委員 その点念のために確かめておきます。そうすると今までの法律では執行猶予にすることのできないものを執行猶予にする法律である、こういうふうに解釈してよろしいでしようか。
#60
○齋藤(三)政府委員 一つの新たなる條件が加わりますので、執行猶予の幅が廣くなる、そういうふうに運用されるであろうと私ども考えております。
#61
○上村委員 そこのところの境界線を確かめておきたいのですが、今までの刑法でも執行猶予があり、いろいろむずかしい條件、特に保護的なことを要件としておるのですが、ところがこれをつけたということになりますと、今までの裁判の事情、犯罪者の事情によつては絶対に執行猶予はできないというのでも、こういうことが可能になつて來れば、そのことを裁判所に申し出れば執行猶予を受けることができる。こういうふうに解釈してよろしゆございますか。
#62
○岡咲政府委員 さように解釈してよろしいと考えます。
#63
○上村委員 それならばけつこうであります。大体これは猪俣君が質問されたのでよろしゆございますが、三十四條の四号ですが、猪俣さんが聞き残しましたからこの点聞きたいのですが、居住を轉ずるとか、あるいは長期の旅行をする場合には、あらかじめ保護観察を行う者の許可を求めるということですが、これは近ごろ地方において問題になつておるところのデモ條例と似たような成文であると思うのです。犯罪を犯して執行猶予になつたものであつても、やはり憲法によつて居住権はあると思います。そしてこの長期というのはどのくらいの期間でございますか、長期の旅行をすることもさしつかえないのでありますが、それを一々観察者の許可を求めるということになると、これは憲法違反ではありませんか、この点ひとつ……。
#64
○齋藤(三)政府委員 お答え申し上げます。これは住居を轉ずることを禁止するのではなくて、轉ずる場合に保護観察を行う者の了解を得るということでありまして、現在の監獄法の第十二章の釈放というところの六十七條にも同じ文字が使つてございます。なおこの條文については、猪俣委員からお尋ねの際にも申し上げた通りに、これを形式的にちよつと破つたからというだけのことで、本人の更生の見込みが十分あるのに取消しをするというような運用をするならば、むしろこのような法律はない方がけつこうだ。私はこう考えておりまして、アメリカの仮釈放等の原則というようなものにもはつきりとこのことが書いてありますが、仮釈放の規則は、仮釈放のすべての場合に、犯罪者を施設にもどすということを常例とすべきでなく、実際にはでき得る限りこれの監督の任にあたる人人の裁量にまかすべきである。かように申しておりまして、ほんとうに本人の更生をはかるという人道主義的な愛情をもつてこの法律の運用をいたすべきである。かように存じておりますので、これは單なる一つの目安、健全な平穏な市民生活をだれでもやるようにという程度に私は考えております。さような憲法違反というような問題はないと思います。
#65
○上村委員 今政府委員の方はそういうふうに解釈すると言うのですけれども、こういうふうな文字を使つて許可制にしておけば、事実許可をしなければその人は居住の移轉ができないし、旅行もできない。そんな居住の移轉もできないし、旅行もできないようなことをして、その人を保護すると言うが、全体その人の何を保護するのか、それをひとつ聞きたい。
#66
○齋藤(三)政府委員 観察をする者が本人がどこにおるかということを知らないということでは、裁判所では普通ならば執行猶予はできない。それを観察をやるからという條件で裁判所からお預かりした大事な対象者がどこに旅行しておるか、どこに行つておるかもわからないということでは、まことに申訳ない。裁判所のみならず、社会に対しても、また本人に対しても申訳ないことでございますので、あらかじめ保護観察をする者の了解を得てと、こういう程度に了解いたしております。本人の何を何のために保護してやるかということは、本人が一旦誤りを犯して、そうして前科者というような冷い目で見られておる者が、ややもすればまた再犯の淵に追い込められるのを救つて、そうして健全なる社会人に復させる。そうして本人のみならず、社会もまた犯罪から保護されるということを願つておる趣旨であります。
#67
○上村委員 大体趣旨はそういうことだということですけれども、この文句ではその通りには行かないのです。ですからそれならば、これは許可を求めるとあるけれども、許可をするとか、せぬとかいうことでなくて、申請したら必ず許可をするのだが、一應届け出る意味になるのですか。その点はつきりとひとつ……。
#68
○齋藤(三)政府委員 この法律案におきましては、こまかい点は中央委員会がルールをつくりまして、そうしてそれによつて、実際に保護観察をされる方を取消しをする場合の心構えを、手落ちなく詳細にルールできめる、こういうことにしておるのでありまして、無理解に必要もないのに了解しないとか許可しないとかいうことは、万々ないようにいたすつもりであります。
#69
○上村委員 そうすると許可制であつても許可をするというような意味に解していいわけなんですか。
#70
○齋藤(三)政府委員 統制を著しく阻害するような場合にはとめると思いますが、そうではない場合には原則として許可をするということであります。またさような手続をいたしておきませんと、他府縣に轉ずるときなどの場合には、また他府縣の保護観察所に連絡いたしまして、関係書類等を向うに渡してめんどうを見る、おせわをするということをいたさなければなりませんので、あるいは煩瑣と思われるかもしれませんが、やはり一つの責任をもつて仕事をいたすためには、かような制度は必要であると存じております。
#71
○上村委員 そうするとこの規定で彈圧するとか、眞の法の意味を阻害するとかいうことは、その管理の委員会においてはしないという精神でありますか。
#72
○齋藤(三)政府委員 上村君の仰せの通りであります。
#73
○北川委員 少年院法の一部を改正する法律案につきまして、二、三の点について質問いたしたいと存じます。
 実は私は福岡の國立少年院を視察して参つたのでありますが、九州に少年院が――これは初等、中等の少年院でありますが、一箇所しかない。そういう状態で、各家庭裁判所で審判しておる事件によるところのものを收容することができない。從つてなるべく送致をしないようにといつて、拒否しているような実情にあることを知つたのでありますが、現在少年院法によるところの少年院が全國にどのくらいありましようか。
#74
○齋藤(三)政府委員 本院と分院と合せまして五十ございます。そのうち女子が北海道に一つ、東京に一つ、名古屋に一つ、大阪に一つ、四國に一つ、九州に一つ、これは本院と分院と合せてでございますが、六つございます。それから医療特別少年院はわずか一個しかございません。九州には御指摘の通り、現在実際に收容いたしておりますのは福岡市の郊外にございます福岡少年院一箇所でございますが、人吉に海軍の特攻隊のバラツクでありますが、雄大な、天然に惠まれた高台の上に、相当廣大な敷地を持つた人吉農藝学院という名前で少年院を、建築は全部完成いたしまして、ただ寝具であるとか食糧であるとかいうものの手当がつきませんために收容を開始しておりませんが、六月一日ころから收容を開始することになつております。そのほかに大分に一つ、これも間もなく收容を開始することができると思います。それから佐世保に一つございます。それから福岡の近くに小さなものではありますが、分院が二つほどできる予定になつております。しかしこれらが全部完成いたしましても、現在のような情勢下においては不十分である。しかもその施設が昨年一ぱいで急に從來の保護團体とか軍の施設とかいうものを轉用いたしまして、若干の工事をしてやつておりますが、まだまだ非常に不備で、今後その整備に努力を拂いたいと思つております。
#75
○北川委員 特別少年院の施設の現状の一端を伺いましたが、これに関する本年度の予算、特別少年院の完成する時期、女子の少年院の完成の時期についてお伺いいたします。
#76
○齋藤(三)政府委員 從來はほんとうに犯罪性の強い子供は、少年刑務所に入れておりまして、少年院にはどちらかというと、まだ犯罪性の比較的薄い子供だけを收容しておりました関係上、從來の少年院は構造がどちらかというと脆弱なものでございました。やむを得ず、福島に明治十三年かにできたたいへん古い刑務所が、戰爭中に受刑者が非常に減つて多少あきましたので、それを借りて東北少年院というものにいたしておりました。それをとりあえず特別少年院といたしたのでありますが、刑務所と申しましても非常に古い建物でございますので、施設がはなはだ不完備でありまして、始終事故を起しましてまことに申訳ないと存じております。本年度は二億四千万円ほどの予算が公共事業費で少年院のために認められたのでございますが、まだまだ特別少年院として從來の少年刑務所に入つておつたような子供を收容する施設をつくりますのには、木造だけではとても足りない。そういたしますと、本年度内にも十分の特別少年院の施設はできないと思います。御参考までに申し上げますが、本年の一月、二月、東京だけで申しますと、檢察廳に参りました事件は本年度は昨年の二倍弱になつておりますが、起訴した数は昨年の十分の一というふうな状況に相なつております。これは從來拘置所や少年刑務署に送られた者が、観護所あるいは少年院に送られて参りまして、ちようど堤防の不十分な川と堤防が高い川があつたのを、施設が十分できないのに水を切りかえて、堤防の脆弱な所に多量の水を流し込んだというのが現状でございます。そのために少年観護所が燒け、あるいは福島、廣島等に集團逃走がひんぴんと起つて來る一つの大きな原因になつておると存じております。これについては何らか應急の措置をつくり、手当をいたしまして、一方には本年度の予算を十分に全般的ににらみ合せまして建設をやつて行く。それ以外には方法はないと存じます。
#77
○北川委員 少年院に初等、中等、医療少年院を設けておるのでありますが、そのほかに特別少年院という制度を設けることは、かえつて少年の補導、矯正に逆効果があるようなことはないでしようか。
#78
○齋藤(三)政府委員 新しく少年法を改正しましてやりました趣旨は、申し上げるまでもなく、犯罪を犯す少年はできるだけ刑罰の対象とは見ない。そうして教育の対象として見るという大きな精神から生れているのであります。できるだけ前科者にしないで直すということが、現在においては最も賢明な方法である。それで特別少年院という制度をつくりまして、犯罪性の強い子供は強い子供で分類いたしまして教育をやる。惡い子といい子と一緒におりますと、どうしても惡い者から教わつたり、あるいは惡い者強い者に迫害されて、いろいろな事故を起すもとにもなりますので、少年院法におきましては、分類して收容する。混合收容の弊害を避けることにいたしまして、理想はたいへんいいと思うのでありますが、現在特別少年院が東北に一箇所しかありません。そのために、福岡あるいは廣島あたりから少年が送られて來る、かような状況になつておりますので、この特別少年院が一箇所しかないということは、非常に困つたことであります。さらに、実際に少年院の当局の者から聞きますと、一箇所だけでははなはだ困る。と申しますのは、共犯関係にあつたような者をわけて收容できないということが、非常に困ることだそうであります。また東北と関東の子供が一緒になれば、言葉の相違等から、やはりそこにいざこざを起す、爭いを起すというようなことがございますので、特別少年院が一箇所しかないということは、少年院の行政上非常に困つている問題でございます。
#79
○北川委員 ただいま逃走の問題がございましたが、実は福岡の少年院におきましても七名ほど逃走したという事実を伺つたのであります。少年にでき得る限り強制力を用いないということは好ましいこととは思いまするが、場合によつてはこれらを一定の場所に拘禁するという制度をとる方がいいのではないかと思うのであります。もつとも少年院法には、特別の場合には拘禁することができるという規定がありまするが、逃走した場合には、拘引状を出して逮捕するというような制度もないようでありまするし、また現在では逃走を防ぐために、出入口に刑務所と同じような施錠あるいはさくを用いてあるようでありまするが、これを法律で明らかに規定されて、一定の場合には拘禁することができるという制度をおとりになつた方が、人権擁護の立場からいたしましても妥当ではないかと思うのでありまするが、この点に関する御見解を伺いたいと思います。
#80
○齋藤(三)政府委員 少年院は厚生省の兒童福祉法による施設と違いまして、場合によつては強制力をとり得る施設と存じております。ただ実際の教育にあたりましては、大体入つた当初は考査室というふうな、なるべく他の者と接触を断ちまして、精神を安定な状態に置いて、いろいろ本人の身の上なり環境なり過去のことを十分に調べて、本人をどういう教育をしたらいいかということをきめまして、それから累進処遇制をとるようにいたしております。そこで当初はある程度拘禁性の強いところに入れまして、漸次上級に行きまして、一級になれば仮退院がもうほとんど近い。そういうものには家族寮をつくつて、職員と家族的な生活をさせるというふうにいたしております。そういうふうに、少年院は強制力を原則として持つておるというふうに解釈いたしております。
 それから逃走の場合につきましては、この第十四條に「在院者が逃走したときは、少年院の職員は、これを連れ戻すことができる。」というやわらかい書き方でありますが、強制力で連れ戻すことができるということを書いておるのでございます。それで少年院は強制力を持ち得る、こう現在でも解釈いたしております。
#81
○北川委員 それから少年院の職員、ことに特別少年院の職員の構成につきましては、十分御考慮を願つているとは思いまするが、これらを矯正しまするには、偉大なる宗教家をもつてこれに当らせる、あるいは施設につきましては、特別の考慮を拂い、農場、工作場、職業補導所などを十分に設けられることが必要ではないかと思うのでありまするが、私の視察いたしました福岡刑務所におきましても、施設がきわめて不十分でありまして、十分な補導矯正ができないという現状にあると伺つたのであります。これらに対しまして、いかなる構想を持つておられますか、この点について伺いたいと思います。
#82
○齋藤(三)政府委員 仰せの通りでございまして、少年院がまことにりつぱな理想を持つて全國にできておるはずでございまするが、実際はきわめて貧弱でございます。また職員の待遇も刑務官よりも月給なり特別な手厚い手当がない、三割の加俸がつかないというふうな現状でありまして、現在では、少年院には少年問題がすきでやつてみたいというような方が入つておられるような現状であります。かような篤志家のみを期待するというようなことは、少年院の運営上きわめて遺憾であると存じます。從來二十三年末まで全國に十二の少年院がございましたが、そのうち二箇所だけが國費で建つた。あとの十箇所は地元の寄附でできたというような現状であります。國家がこの少年院に十分めんどうを見ていなかつたということは事実でありますので、昨年は若干の予算をもらいまして、五十箇所ほどの少年院をふやし、また本年は、先ほど申し上げましたような予算を頂戴いたしまして、その整備に努めることにいたしまして、数年後にはやや理想に近いようなものにいたしたい、かように存じておる次第であります。
#83
○田嶋(好)委員 北川委員の御質問に関連いたしまして私の質問をしてみたいと思います。
 私は今回の視察で瀬戸少年院を視察して参りました。この瀬戸少年院は、さすが日本一と言われておるだけありまして、実に至れり盡せり。連合軍の方と一緒に見ましたが、連合軍の方も驚きまして、アメリカにもこうしたものはない。アメリカの少年院よりもはるかにまさつている、ただ遺憾に思うのは、教育設備、これをいま少し充実して、この少年院で教育ができ、卒業証書を渡せるというところまで行けば、おそらく世界一だろうと驚きの目をみはつておつたのであります。私も非常に感激いたしましたが、ただ私が視察して感じましたことは、医療施設だとか、その他厚生施設関係に非常に余裕がある。今瀬戸の少年院は、收容人員二百名であつて、百六十名の人間を收容しておりますが、あの厚生設備を見ますと、まだ二百人以上の收容能力がある。いま少し政府が瀬戸少年院に頭を用いまして、これを合理的に使うということになれば、もつと多くの人間を收容して、もつと多くの效果をあげられるというように私は見て参りました。このことに対して政府は調査をなさり、今後どういうふうにこの瀬戸少年院を利用されるお考えでありますか、もしおわかりでありましたらお答え願いたいと思います。
#84
○齋藤(三)政府委員 瀬戸少年院は、私どもごらん願うのならまだ瀬戸を見ていただきたいと申し上げるほどで、施設が輪奐の美はございません、木造ですけれども、経営者が非常に誠心誠意少年を、押えるところは押え、かわいがるところはかわいがる、それでやつておりますので、事故もなくたいへんうまく行つておりますので喜んでおる次第であります。なお現在百六十人ほどでありますから若干余裕がございますので、場合によつてはそれぞれの関係者の相談で、多いところから移すということも研究しなければならぬと存じます。また少年が親元とあまり離れまして、親がときどき來てくれませんと教育上困るし、また出す際にもたいへん始末が困るという点がございますので。あまり遠隔の地に移すということは遺憾の点があります。現在靜岡の子供が多摩の方に参つておりますから、さような子供は瀬戸の方にまわすということで、全國的に平均した收容の仕方をいたしたいと存じております。なお瀬戸はほかにもたくさんその近辺に今新設中のものがございますから、あの中京地区が一番余裕のあるところになつておりますので、これが利用方法についてはあるいは大阪方面、東京方面から漸次埋めて参るようにいたしたいと考えております。
#85
○田嶋(好)委員 お説は一應もつともでありますが、私が一番感じますことは、瀬戸少年院がそうした余裕を持つておるにかかわらず、名古屋の近傍にある全然設備のない、ほとんど前の民間とか公共團体等の設備的なものを利用して少年院にかえようというような傾向がある。政府が予算の使用にあたりましてこうした行き方をしておるということは、われわれが見ましたときに、まつたくむだな行き方をしておるというように考えられるのであります。むしろ新しきものをつくるよりも、こうしたりつぱなものを生かして予算面を重点的に使う、これがほんとうに國家の予算を生かして使うということになると思う。政府のやり方に機械的な党があつて、決して建設的な面がないということを本員は指摘するのでありますが、これに対していかにお考えになりますか。
#86
○齋藤(三)政府委員 御指摘の通りに、名古屋近傍において三重に一箇所、岐阜に一箇所、それから名古屋の市内に――市内と申しましても町はずれでありますが、そこに女子の施設を一箇所、それから知多半島の先の方に肺病の子供を入れる施設を一つ計画しております。ほとんどいずれも完成に近いような状況になつております。この計画については從來少年保護團体に收容しておりました少年の数、これが保護團体が廃止になりますと、その大部分は國立少年院に收容すべきものというふうに勘定いたしました。名古屋の瀬戸の少年院長が審判所長などといろいろ相談をされまして、その近傍で大体各府縣に一箇所くらいはやはり家庭裁判所に対應してさような收容施設が必要であろうというふうな見込みのもとで、以上申し上げましたような施設を計画いたしておるのであります。なお少年院は普通の学校のような対象者ではございませんで、普通の学校教育と違つて一ぺん落第したむずかしい子供を扱うのでございますので、どうしても画一的な集團的な教育ではなくして、個別的な教育――その本人のほんとうのひねくれた癖をのみ込んで、徐々によりをもどして行くというふうな個別教育を建前といたしておりますので、いかなる名院長が現われようとも、三百、五百というような数はとうてい收容し切れません。現在では百五十人くらいが一番よいのじやないか、大体二百人程度が最大限度というように考えております。瀬戸をもつと大きくして行つたらどうかということも一應考えられますけれども、やはり今後家庭裁判所が動き出した際の人数と考え合せまして、各府縣に一箇所くらいずつつくるというふうな計画で進みました次第であります。
#87
○田嶋(好)委員 やはりこれに関連しまして、今療養所の話が出ましたが簡單に質問をいたしますと、少年を療養する場合に、一日の副食物費が十円ということになつておるようです。その点を私どもよく調べてみたのでありますが、結局療養所はできても、一日の副食費が十円ということでは、できただけで実際やれないんだ、だから少くとも療養所であればこの点に対して何かの方策を講じてくれなければならぬという声があるのでありますが、この点に対してどんなお考えをお持ちでしようか、対策を伺いたい。
#88
○齋藤(三)政府委員 ただいまのところは十円でございますが、大藏省との話合いが大体できまして、四月にさかのぼりまして、一日十八円というところまで参つたのであります。この金額は厚生省の教護院とか療養施設等もやはり大体同じレベルであります。刑務所も大体同じであります。またこれは私ども一番むずかしいと思うのでありますが、一番惠まれない上に、よく世間には惡いことをした子供にいいことをしてやる必要はないじやないか、普通にまじめでやつておる者すら困つておるんだという話をたびたび承つておるのでありますが、私どもはそれについては多少考えを持つております。普通ならりつぱな親がある、しかし間違つた子供たちはりつぱな親がない、親を持たない子供たちはやはり國家が親にかわつて手厚く保護する必要がある。大藏省にもさような特別な意味を持つておることを強調いたして、できるだけ十分な食糧を與えたい、かように努力いたしたいと思つております。
#89
○田嶋(好)委員 なお先ほどの上村君の質問にも関連いたしますが、少年保護の今後の問題に対しては、保護の何にあたる少年院の職員の優遇ということが問題になつて参ります。今の程度の職員の俸給をもつていたしましてはなかなか人が來ない。これは先ほどの御説明の通りであります。いま一つ職員で非常に問題になつており、支障を來しておる点は、少年院の職員は危險職の中に入つてないが、これはどうせ少年で犯罪を犯すような者でありますから、御経驗でもわかりますように、これらの少年の取扱いは非常に危險を招く。現在私の調べました範囲でも、後ろから作業中に先生の頭を子供がなぐりつけて、そうしてほとんど白痴とまで行かないが、相当脳の障害を來しまして、そこに一生收容しなければよそに移れない者まである。それから瀬戸の少年院長、これも右手を少年にやられまして、非常に不自由である。こういうようにりつぱな少年院でありながら、少年院の職員が非常に危險にさらされてこの職にあたつておられるという形になつておるようでありますが、これに対して何か政府として施策を考えておるものがあるか。今のままで危險職にあらずとして、そうした面に対策を講じないでいいというお考えでありましようか。
#90
○齋藤(三)政府委員 同情あるお話でたいへん感謝しております。仰せの通りに各地でさような危險がありまして、最近も福島の方において、教官をなぐりつけて傷をこしらえたということもあります。しかし從來どうも少年院の実情が、声が小さくて十分のことができなかつたのでありまして、かようなことではりつぱな人を得られませんので、今後はさような点の是正に努めたいと考えております。
#91
○田嶋(好)委員 今の牽連質問はこれでおきまして、少年法の一部を改正する法律案に対する質問をいたしたいと思います。少年法の一部を改正する法律案の提案理由の説明はよく了承いたしたのでありますが、この提案理由の説明の中で、今までの家庭裁判所と都道府縣知事との権限は一應区別されておるけれども、その規定が簡素過ぎるために、その実際の適用におきましては、いろいろこんがらかつて、相互の連絡に対する規定が十分でなかつたといううらみがある、こういうことでありますが、実際上どういうようにこの両者がこんがらかつておりましたでしようか。この点に対しまして政府のお知りになつた範囲をお答え願いたいと思います。
#92
○齋藤(三)政府委員 実例はあまり適切な例を存じておりませんが、兒童福祉法で、保護者のない少年または保護者に観護させることが不適当な少年については、警察官のみならず、誰かが発見した場合には、兒童相談所に通告しなければならないという規定がございます。また一方においては、少年法第六條で、「家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、これを家庭裁判所に通告しなければならない。」かようなことになつておりまして、第一線の者は実際どちらに通告してよろしいやら、法律を十分にかみくだいておらない警察官が――法律的にこまかく分析しますと、一應区別がついておるのですが、なかなか困るということを警視廳その他から聞いております。この点は最近も衆議院の院議で御決議がございましたので、数回関係各省集まりまして、そのことについていろいろ協議をし合つておるのでありますが、その場合にも、警察方面からさような注文が出ておるのであります。しかしながら少年法と兒童福祉法とはやはりプロパーの、個有の違う分野がございますので、これを統合することはとうていできないのであります。ただそのはしつこの方がどうも重複しておるように見られて、実際の第一線の者が困るようなことがございますので、それをできるだけはつきりして、なるべく困らないようにいたしたいというのが、今度の改正の趣旨でございます。
#93
○田嶋(好)委員 それでは一應この点は了承いたしまして、次に刑事訴訟法の一部を改正する法律案でありますが、この刑事訴訟法の一部を改正する議案の中に、「第二百十八條第二項中「前項」を「第一項」に改め、同條第一項の次に次の一項を加える。身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写眞を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、前項の令状によることを要しない。」これはよくわかるのでありますが、身体の拘束を受けているということをいわれますと、受けていない者もあるように思いますが、身体の拘束を受けていない者についても、やはり指紋をとつたり、そうしたことをやるおつもりなのか。もしそうだといたしますと、身体の拘束をしていない者の指紋をとる場合には、これは令状はいらぬのか、いるのか、この点に対する御答弁を願いたい。
#94
○岡咲政府委員 身体の拘束を受けておらない被疑者に対しまする、ただいま、田島委員からお尋ねの措置をとりますためには、本人の承諾を得なければならないと考えております。もし本人が承諾いたしませんならば、身体檢査に関する令状を求めまして、それによつてなすより仕方がないと考えております。
#95
○田嶋(好)委員 身体檢査に対する令状というのは、どういう方法でございますか。
#96
○岡咲政府委員 刑事訴訟法の二百十八條に規定がございまするが、二百十八條の第一項に「檢察官、檢察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押、捜索又は檢証をすることができる。この場合において身体の檢査は、身体檢査令状によらなければならない。」こういうふうになつておりまして、三項に「檢察官、檢察事務官又は司法警察員は、身体檢査令状の請求をするには、身体の檢査を必要とする理由及び身体の檢査を受ける者の性別、健康状態その他裁判所の規則で定める事項を示さなければならない。」四項に「裁判官は、身体の檢査に関し、適当と認める條件を附することができる。」かようになつておりまして、一般の令状よりもきわめて愼重に取扱うというふうになつておる次第でございます。
#97
○田嶋(好)委員 その條文の趣旨はよくわかるのでありますが、私の質問は、指紋の場合に身体檢査の令状でやれるかどうかということですが、やはりやれると御解釈なさるのですか。
#98
○岡咲政府委員 さようでございます。
#99
○田嶋(好)政府委員 わかりました。
#100
○押谷委員 今の田島君の御質問に関連してお尋ねするのでありますが、少年院の副食は十八円になつたということですが少年刑務所はどうでありますか。
#101
○齋藤(三)政府委員 これは大体そういう了解が大藏省とついたのでありまして、四月一日にさかのぼつて十八円にするということであります。少年刑務所も同額であります。
#102
○押谷委員 副食の関係はわかりましたが、主食の関係につきまして、少年院は今平均どのくらい與えておりますか、また少年刑務所はどれくらい與えておりますか。
#103
○齋藤(三)政府委員 お答え申し上げます。少年刑務所も少年院も主食の量は同じでありまして、四合一勺になつております。ただ少年刑務所の方は、やります作業労働の量によりまして、一等食から五等食にわかれております。
#104
○押谷委員 浪速少年院の例は大体四合三勺と聞いておつたのですが、あるいは四合一勺かもわかりません。奈良少年院では、多いものは五合三勺くらい與えておるということでありましたがこのことにつきまして少年院なりあるいは刑務所の所長の意見を総合して考えてみますと、少年院あるいは刑務所に收容中の子供がその收容期間内において主食を四合三勺食べるとか、あるいは五合三勺食べるとかいうために、社会の主食の量と大変違つております。そこで收容期間中においてすでに胃袋が大きくなつておる。この人たちが社会に出て來たときに一番困るのは、主食の量が少な過ぎるためにお腹が減つてしようがない。そこで遂に惡いことをする例が非常に多いことでありまして、この点について何とか考えをめぐらしてもらわなければならぬというのが、奈良の少年刑務所長あたりの意見であります。もちろん発育盛りの子供でありますから相当のカロリーはとらしてやりたい、とらなければならないと思うのですが、しかし一面社会に出たとき、收容中の食の量との間にさように格段の隔たりがあつては、犯罪予防更正の上からも相当憂慮すべきものがある。從つて收容中におけるカロリーは食の量ではなくて、質で補うてもらいたいと言つておるのであります。それがためには今まで主食を基本にしてカロリーをとらしておつたのを、主食はなるたけ外の社会の量と大きな隔たりのないようにして、その不足を副食で補うような配慮が願えないものであろうかというような意見があつたのですが、私は犯罪予防更生の上から見るとごもつともな意見であり、中と外とにかような大きな隔たりがあるということは考慮しなければならぬことだと思います。この点についてどんな考えを持つておられますか。
#105
○齋藤(三)政府委員 まことにその通りでございまするが、ただ與えられておる予算が質のいいものをとるにはとうてい足らないのであります。また社会におきましては間食ということがございますが、ああいう施設の中にはほとんど間食がございませんので、與えられておる予算で十分なカロリーを與えるということになると、比較的安い主食をやる。肉とか魚とか卵とか、あるいは脂肪をやればそれほど主食を與えなくてもたしかにカロリーは十分であろうと思うのでございますけれども、予算上なかなかできませんで、漸次そういうふうに努力はしておりまするが、すぐそういうような状態に持つて行くということはなかなか困難であろうというふうに思つております。
#106
○押谷委員 次に一点、刑法の一部改正に関する法律案の関係についてお尋ねをいたしたいと思います。第二十五條の二の改正のうちに「懲役又ハ禁錮ニ付キ其執行ヲ猶豫スル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ遵守スヘキ事項ヲ定メテ」とありますが、この「遵守スヘキ事項」というのは大体どういうことをお考えになつていらつしやるのですか。
#107
○岡咲政府委員 犯罪者予防更生法案の第三十四條の第二項に法定の遵守事項がございまするが、この遵守事項のほかに、特に被告につきまして裁判所が犯罪者の更生をはかるために必要だと考えられる遵守事項があるだろうと考える次第でありまして、只具体的に申し上げることはちよつと困難かと思いまするが、各被告につきまして、たとえば就職についてとか、あるいは交友関係についてでありますとか、そのほか善行を保持するために特に必要な條件であるとか、いろいろ具体的に適当な條件が考えられるのではないかと思います。その條件を、当該の被告につきまして執行猶予を言い渡す場合に附加するわけでありまして、あるいは学校関係とか、あるいは居住の場所あたりにつきましては、特に具体的に條件を定めている場合が多いであろうと考えております。
#108
○押谷委員 今この條件について、具体的な場合を想定せられたことを伺つたのでありますが、それは第三十四條の二項の一から四までに書いてある範囲を出なかつたと思うのであります。保護観察を條件とする執行猶予の場合におきましては、必ずこの遵守すべき條項をつけなければならないのですか。あるいはそうでなくても、三十四號の二項の法定遵守事項だけでいい場合もあり得るのですか。
#109
○岡咲政府委員 その被告について、法定遵守事項だけで足りるという場合もあり得ると思います。
#110
○押谷委員 保護観察の最後にある猶予期間中においても、保護観察に付する必要がないと思うときには取消しができるわけですね。
#111
○岡咲政府委員 押谷委員のお尋ねの趣旨がよくわかりませんが、條件を取消すことができるかという御趣旨ですか。
#112
○押谷委員 三十三條の末項の場合に、保護観察はその期間中であつても必要がないと認められたときには停止し、または解除することができると書いてありますが、これなんです。これが執行猶予期間中でももう必要がなくなつて停止をしてやるとか、解除するということになるかというお尋ねです。
#113
○齋藤(三)政府委員 お答えいたします。三十三條の四項に「前項に」と書いてありますが、その前項を見ますと「第一項第一号」となつておりますが、これは要するに少年家庭裁判所、少年保護委員会の観察に付するという保護処分を設けたものだけを限つておりまして、ただいまのような場合には取消すということは考えておりません。これは法律で期間がきまつておりますので、さように考えております。実際問題といたしましては、運用の方で、必要がなければやらないことになるのではないかと思つておりますが、政府としては、期間中保護観察をやるというふうに裁判所がまず決定されましたので、やることにいたしております。
#114
○押谷委員 けつこうです。
#115
○高木(松)委員 大体同僚委員の御質問によつてわかりましたので、私はごく簡單に二、三の点を伺つておきたいと思います。
 少年院の教官を採用する方法はどういうようになつておりますか。
#116
○齋藤(三)政府委員 試驗でやるのが原則でございまするが、刑務所職員、少年院職員は別個の関係がございまするので、関係方面の了解を得まして、選考制度で現在採用いたしております。
#117
○高木(松)委員 教官の職務は相当重要で、しかもむずかしいように私は思うのですが、この教官を採用して、一定期間修習教育をするというようなことは考へてはおりませんか。
#118
○齋藤(三)政府委員 高木委員の仰せの通りに、だれもがもてあました少年を、あまり強制力を使わないで補育するのですから、非常にむずかしい職務であります。ただ実際上の待遇が稀薄でございますので、あまり高いことを言つても理想だけになつてしまいますから、大体常識的にほどのいいところで、中学卒業程度の者を選任採用いたしまして、中央矯正職員訓練所に入れます。それから各管区高等裁判所の所在地ごとに中間監督機関が本年一月からできました。そこに地方の訓練所がございまして、從來は刑務職員だけでございましたが、今度は少年院の職員も矯正職員という名前で統合して、そこである時期には少年院の職員、あるいは所在の職員、あるいは数年実地の経驗を積んだ人等を集めて研修をやり、さらに刑務所の職員や医官というふうに順ぐりに計画を立てて訓練研修をいたすことにいたしております。
#119
○高木(松)委員 東北少年院を特別少年院に指定した理由はどこにありますか。
#120
○齋藤(三)政府委員 多摩の少年院をごらんいただいてもおわかりの通り、普通少年院には拘禁にたえられないような刑は設けていないのが現状でございます。福島の少年院はきわめて不十分ではございますがもともと刑務所として建てられた建物でございますので、若干塀も高くなつておりますし、普通少年院よりは拘禁に適するようにできておりますので選んだわけでございますが、どうも事故が頻発いたしますので、何らかこれに対する應急の処置をとらなければならないと考えております。本年度の予算の許す範囲内において、特別少年院をできるだけ充実して行きたいと存じております。
#121
○高木(松)委員 事故表を見ると、東北少年院が最も多いし、最近では新聞紙上に傳えられたようないろいろな問題が起きておりますが、政府では設備が不十分なためにこういう事故が起きたとお思いになるか、それとも職員がふなれなためだとお思いになるか、あるいは特別少年院の子供が行つたから、特にそういう事故ができたとお思いになるか、その調査と監査とをあわせてお漏らし願いたい。
#122
○齋藤(三)政府委員 福島の事故が起つたことはまことに申訳ないと存じております。さつそく矯正総務局の拘禁課長が現地に参りまして、数日間滯在して調査いたしまして、今日帰つて來ることになつております。詳細なことは存じておりませんので、帰つて参りましたときに御報告いたします。
#123
○高木(松)委員 福島の市会と縣会とが、特にあの問題を取上げて決議をしている事実があるのです。その内容を見ますと、結局あの設備がああいう不祥事を起すもとになつたということと、あの位置は私どもも視察したのですが、山の中腹にあつて、山の上で櫻の花見をしていると、中がよく見えるような状態に置かれておつて、あらゆる点からまつたく適しないように私どもは拜見して來た。市会の決議にも縣会の決議にもこのことがある。私どもしろうとの常識判断でもあそこはまつたく適していないと思うが、政府はどういうふうにお考えになつているか伺いたいと思います。
#124
○齋藤(三)政府委員 福島の御山町にございます東北少年院は、場所といい施設といい、特別少年院として適当のものとは存じておりません。昨年から少年院をつくるべくいろいろ敷地等を探し求めておつて、せつかく仙台の郊外に適当なところが見つかつたと思つても、よく調べて見たら、亞炭山の鉱区で穴が明いているというようなことで、それもだめになつたのであります。幸いつい最近、仙台の郊外に相当の坪数をもつ條件のよい土地が手に入りましたので、予算がきまり次第さつそくそちらに新設する計画を立てております。
#125
○高木(松)委員 今政府のお話を聞くと、新しく近代的なものをつくつてその趣旨に沿うようなことにするそうですけれども、私ども視察した結果として、彼らの部屋のに中便所がありますが、この便所を新しくできるまで取除いて、適当な処置をするようなお考えがあるかないか。便所が中にあつて、臭くてたまらぬということを子供らが皆訴えておりますので、便所だけでも何か適当な施設ができないものか。何かやるお考えがあるか伺いたいと思います。
#126
○齋藤(三)政府委員 御指摘の点は、調査に参りました課長がきよう帰りますので、関係方面ともよく打合せまして、できるだけ善処したいと思つております。便所につきましては、実は東京の観護所も中にございまして、たいへん見苦しいので、昨年水洗式にいたしたわけでございますが、結局止めてしまつたような状態で、予算の許す限り、改善すべきものは躊躇なく改善したいと思つております。
#127
○花村委員長 本日の質問はこの程度にとどめ、質問の残つておられる方の御質問は他日に讓りたいと存じます。
    ―――――――――――――
#128
○花村委員長 この際お諮りしたいことがあります。去る四月二十三日の委員会において審査いたしました、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の一部改正に関する件につきまして、法務委員会といたしましては、社会党と共産党のほかは高橋英吉君の意見に賛成の旨議院運営委員会に申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#129
○花村委員長 御異議なしと認め、さようにとりはからいます。
 なお明後日開くことになつております司法試驗法案に関する公聽会の公述人の選定に関しましては、委員長に一任せられておりましたが、大体次のようにいたしたいと存じます。
   法務廳側
           天野 武一君
           岡  琢郎君
   裁判所側
           眞野  毅君
           前沢 忠成君
   学識経驗者
           我妻  栄君
           朝川 伸夫君
           永田菊四郎君
   弁護士側
           水野東太郎君
           伊勢 勝藏君
           柴田  武君
   新聞社関係
           西島 芳二君
 ほかに一般の申出人のうちより
           山本  巖君
           副島 次郎君
           上西 耀子君
           山口 攝郎君
 等を公述人といたしたいと存じます。なお少しの異動があるかも存じませんが、その点委員長におまかせいただきたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○花村委員長 御異議なければさようとりはからいます。
 本日はこれにて散会いたします。
 明後日は午前十時より、第二委員室で公聽会を開きますから、定刻に御参集を願います。
    午後四時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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