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1949/04/26 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 逓信委員会 第9号
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1949/04/26 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 逓信委員会 第9号

#1
第005回国会 逓信委員会 第9号
昭和二十四年四月二十六日(火曜日)
    午前十時五十一分開議
 出席委員
   委員長 辻  寛一君
   理事 飯塚 定輔君 理事 加藤隆太郎君
   理事 松井 政吉君 理事 金塚  孝君
   理事 田島 ひで君 理事 大西 禎夫君
      宇野秀次郎君    大和田義榮君
      風間 啓吉君    高塩 三郎君
      坪内 八郎君   橋本登美三郎君
      松本 善壽君    土井 直作君
      浦口 鉄男君
 出席政府委員
        逓信政務次官  武藤 嘉一君
 委員外の出席証者
        専  門  員 吉田 弘苗君
        専  門  員 稻田  穣君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 郵便法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
 六一号)
    ―――――――――――――
#2
○辻委員長 これより会議を開きます。
 郵便法等の一部を改正する法律案を議題として、討論に入ります。討論は通告順にこれを許します。飯塚定輔君。
#3
○飯塚委員 私は民主自由党を代表いたしまして、本法案に対する修正案を提出いたします。すなわち本法の附則に「この法律は、公布の日から起算し五日を経過した日から施行する。」とありますのを「この法律は、昭和二十四年五月一日から施行する。」と修正いたしたいと思います。
 修正を必要とする理由は、第一に実施の時期であります。すなわち原案のごとくいたしますれば、本日本院を通過し、ただちに参議院に送付され、参一議院においていかにスピーデイーな審議をいたしましても、一両日を要します。そういたしますと、本法の実施は何としても五月三日ごろになると考えられます。同じ独立採算制をとり、同じような理由によつて運賃の値上げをいたしました運輸省関係の法律は、五月一日実施の含みとなつておりますので、これと歩調を同じうする方がよろしいと考えられるのであります。
 さらに第二は、経理関係からの点でありますが、五月に入つて中途半端な時期に実施するよりも、五月一日から実施するということになりますと、それだけ郵政関係の実收の増加を來すこととなります。たといその額が数千万円の少額であるといえども、これが從業員の生活安定に幾らかでも役立ち、あるいはサービスの改善に役立ちましたならば、受益者の面においても結局益するという結果になると考えられます。何とぞ右修正案に御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。
 次に私は右附則の修正案を除いた以外の部分、これに対して民主自由党を代表いたしまして、原案に賛成するものでございます。すなわち本法案は逓信省といたしまして、いわゆる完全なる独立採算制確立のため、その財源捻出の一途として、郵便料金の値上げを断行せんとするのであります。これに対してあえて蛇足を加えんとするものではありません。きわめて簡單に賛成の理由を述べたいと存じます。
 そもそも逓信省発足以来、まことに堅実なる発展を遂げ、特別会計として相当なる收益をあげ、一般会計に対しては年々相当一顧の財源を繰入れておつたのでありますが、昭和十九年鉄道省と合併いたしまして、運輸通信省となり、さらに通信院となつて以來、かつての黒字財政は赤字財政に転落し、昨昭和二十三年度においては、一般会計より、逆に七十億円を逓信省に受入れなければならない状態となつたのであります。ことに独立採算制の確立とともに、この一般会計より受入れました多額の財源も停止せられ、どうしても逓信省みずからの力をもつて立ち上らなければならなくなつたのであります。この自力更生の方法として、このたび郵便料金の値上げを計画せられたのであります。もとより当局においても、また受益者といたしましても、戰後年とともに諸物価の高騰を来し、いやが上にもインフレが助長せられました今日、郵便料金の値上げが断じて喜ばざることは、論をまたないのであります。今申しました独立採算制の立場から、また他に財源捻出の道なきこの場合、ただその方法は郵便料金の値上げあるのみであることは、これまた申し上げるまでもございません。しかしながらこのたびの値上げは、一般大衆の最も利用度の高いはがきの價格はそのままのすえ置きとし、さらに通信教育、すなわち僻陬の地において向学心に燃える人々のために、唯一の勉学の方法たる通信教育のための料金は、これを低下せしめたることなど、これらは相当当局の苦心の現われとして、われわれも認めるところであります。しかしながら平均五割に上る、郵便料金の値上げは、必然的に一般大衆の生活に影響するところでありまして、われわれもこの点十分檢討したのでありますが、今日祖國復興の基準年度と考えられます太平洋戰爭直前の物價と、今日の物價との対照を見まするに、大体その上昇率が郵便料金上昇率と相前後いたしおりますので、われわれといたしましても、この程度の値上げはやむを得ざるものとして認めるに至つた次第であります。しかしながら、この値上げをもつてして、はたして從業員各位の生活安定ができ得るやいなや、この点特に憂慮にたえざるところであります。ことに昨年末の賃金ベースの切りかえによつて、今年一月はほとんどからにひとしい俸給袋を渡され、その結果遂に生活の補給として、他にアルバイトの道を追わなければならぬ窮状を見るとき、同じ血の通うわれわれとしては、これを黙視することはでき得ないのであります。しかるに逓信大臣初め当局の御説明によりますれば、この値上げによつて、受益者たる一般大衆へのサービスの強化はもとより、從業員の生活安定についても十分考慮し、特に来年度以降は、從業員に対する福利関係においても、相当の経費が計上せられるという説明がありましたので、その眞摯なる言葉に信頼して、その実現の一日も早からんことを祈念して、この案に賛成した次第であります。以上率直に私の意見を申し述べ、賛成の意を表する次第であります。
#4
○辻委員長 次に松井政吉君。
#5
○松井(政)委員 私はただいま議題になつております、郵便料金の値上げを内容といたしております郵便法等の一部を改正する法律案に、日本社会党を代表して反対の意見を申し上げたいと考えておるのであります。
 第一の理由は、御承知の通り、郵便事業は純粹の國営事業でありまして、国民全般がその利用者となつておるということであります。こういうような事業におきましては、國民全体が利用者になつておる場合におきまして、料金の低廉ということが國営事業としての本質だと考えております。從いまして、その本質を曲げてまで、料金の値上げをしなければならないという場合におきましては――現在の経済状態、さらに値上げによる利用者の負担が増しましても、それに対するもろもろの裏づけのない場合には、國民大衆を利用者としております國営事業の料金等は、軽々に値上げすべき性質のものではないと考えておるからであります。
 第二の問題は、國民所得と物價と郵便料金との三者の指数比較の点につきまして、はたして今回の値上げの内容が、この三つの指数の上に立ちました科学的料金の値上げであるかということになりますと、見解の相違でありましようが、私は承服できないものがあるのであります。その内容につきましてはいたとえば昭和八年から二十三年までにおきまする卸売物価、小売物價の騰貴率と、郵便料金の騰貴率とを比べますと、この指数においては、値上げしてもよろしいという数字が、政府の方からいただいた資料によつても明瞭であります。しかしながら今日におきまする國民所得は、昨年來極度の物價の値上りと、実際生活に必要といたしまする実態生計費との面において減少し、値上げをすべき條件というものが全然ないのであります。前回の値上げをやりました当時におきましては、三千七百円ベースの従業員の賃金をきめて、それを維持し、さらにその上に物價が値上りした場合におきまする実態生計費をどうして生むかということになりますると、その用意のためにも、値上げをしなければならない客観情勢があつたのであります。政府の方の見解にいたしますると、五十億に近い今回の値上げは、賃金にまわすものではないという見解をお聞きしたのであります。さらにまた五十億に近い値上げをすることが、利用者の立場に立つて考えた事柄ではないという見解もお伺いしているのであります。そういたしまするならば、この五十億に近い値上げの問題は、働いておる方々の手当、賃金を増して、サービスをよくするためにも、使用できないということが明瞭であります。六千三百七円ベースを維持するためにも、やはりいろいろの意味において、値上けが必要であるという見解もお伺いしたのでありまするが、この問題につきまして、六千百七円ベースというものがきまつて支拂いをした場合に、はたして從業員の方々の賃金が値上げになつておつたかどうかということになりますると、これは六千三百七円ベースがきまる当時におきまして、あるいはきまつてから、六千三百七円ベースの計算によつて賃金をもらつた從業員の方々が、はつきり承知しておりますが、実際は値上げになつておらないのであります。そういたしますると、三千七百円べースから六千三百七円ベースまでの間におきまする從業員の手当等は、あるいは賃金等は、あるいは実際の生活費というものは、以前に値上げしたものによつて、何とか赤字を出しながらも、まかなつたということが明瞭であります。従いまして、今回の五十億の値上げの内容が、利用者に対する利益の裏づけがあり、さらに從業員の方々に対する生活確保のための値上げならば、われわれは考慮する余地があるのでありまするが、政府の見解にいたしますると、どちらでもないようにお伺いしているのであります。利用者の立場も考えない、從業員手当にも充てない、ただ單に独立採算制になつたために、それのみによつて値上げをしようという理由になつているのであります。そういうことになりますると、われわれはその独立採算制を維持するために値上げをして、五十億に近い負担を利用者の國民大衆にかけるとするならば、その裏づけをわれわれはやはり必要とすると思うのであります。その裏づけが今日の逓信事業においてないかと申しますると、私は例を引いて申し上げまするが、今日簡易保險、あるいは郵便年金等の積立金の運用の実権が、大藏省に握られているのであります。もしこれを逓信省に移管することが、この値上げと並行して行われるということになりまするならば、料金値上げによる五十億に近い負担を國民大衆にしいても、この運用の技術的妙味によりまして、公共團体その他に貸付をなし、あるいは國民大衆の利益になるような投資を行つて、半面において値上り負担の裏づけをすることが可能であります。しかしそういうことも考えないで、重要なる積立金運用を逓信省にかえすということは、あとまわしにいたしまして、料金の値上げによつて負担だけをしいるというような考え方には、賛成できかれるのであります。
 さらに第三の問題につきましては、戰後非常に利用者が激減したので、赤字が出たという御見解もお伺いしたのであります。もし利用者が減つたから收入が減つたので、從つて値上げをするということになりまするならば、値上りによつて、さらに利用者が減るという危險があると考えるのであります。そういうことのないように取扱いたいという政府の御見解をお伺いしたのでありまするが、私は値上りによつて必ず利用者の数は減ると考えております。そういたしますると、五十億を見積つて値上げしたものが、事実において二十億程度になる危險性があるのではないかということを憂慮するのであります。從いまして、國民大衆を利用の対象としておりまする純粹なる國営事業におきましては、やはり低廉にして数を増すことによつて、赤字を補填するという方法が、値上げよりも、政治的に見ても、実際的に見ても、当を得た方法であると考えるからであります。値上りのために利用者が減ることによつて、收入はふえないという考え方を持つからであります。さらに第四番目に考えたいことは、今回の値上げの内容が、きわめてでこぼこであります。あるものは七割五分上つておりまするし、あるものは二割から下つております。この郵便料金のいろいろのでこぼこというものは、やがて近い時期において是正をされなければならないことか、必然的に約束されているのであります。大臣の御見解によりますると、このでこぼこを平均化する場合には、高い料金のものを安くして平均をとりたいという御見解でございまするが、この見解につきましては同感であります。しかしながら今日の経済情勢から推しまして、安くしてバランスをとることが、近い時期においてできるかということになりますると、私は近いうちに郵便料金を下げて、平均化するというようなことは、断じてでき得ない経済状態だと考えるからであります。從いまして、このでこぼこを是正するためには、やはり低いものを上げて、近い時期においてでこぼこを訂正しなければならない危險性があるので、再び値上りを約束されているように考えられるからであります。
 さらにまた第五の理由といたしましては行政整理等と、うらはらの関係があるということを私は考えるからであります。三万八千人からの行政整理による首切りをいたしまして、人件費を浮かそうといたしましても、事実は浮かないのであります。なぜかと言いますと、行政整理をやるには、やはり行政整理に対する経費が必要だからであります。今年一年におきまして、行政整理をして人件費を俘かすということは困難でありまして、来年度は独立採算制の上に立つて、健全財政がつくられるように行政整理をやり、人件費を浮かすことを、今年から考えるというような政府の御見解でありまするが、そういうことになりますると、國内的に逓信省だけを考えても、國民大衆のふところを考えますと、きわめて余裕綽々たる考えであります。これも見解の相違ではありまするが、私は今日の日本の経済状態というものは、さようなのんきな余裕のある状態ではないと考えております。逓信省関係だけでも、いわゆる三万八千からの行政整理による首を切ろうとしておるのであります。從いまして、労働者あるいは賃金俸給生活者、給料生活者の方々は、行政整理と企業整備によつて、一年先を見越すどころではない、今後一箇月、きよう一日自分の首が保つかどうか、生活が耐え得るかどうかという状態が賃金、給料、俸給生活者の実際の生活内容であるのであります。さらに中小企業体におきましては、九原則その他の実施により育て、今や崩壞の危機に当面しておるというのが、日本の中小企業のあらゆる場面における状態であります。さらにまた農民大衆は、税金が増額されましたので、それに追われまして、零細農業といわれる日本の農業の経営が、非常な困却に陷つておるという状態であります。どれほど一日一月の余裕のない國民生活、國の経済状態から推しまして、来年度の独立採算制を樂にするために、今年から行政整理をやり、今年から料金の値上げをして、来年度に備える余裕はないのであります。從いまして、今年度どうにかやりくりして、國民が納得して行く裏づけを提示して、値上げをするという政策を講じなければならぬので、余裕のあるような状態において、來年度のために値上げをして、來年度のために行政整理をやるというがごとき見解には、われわれは反対するのであります。從いましてこういう考え方からいたしますると、私は今回の郵便料金の値上げが、その取扱いの技術的の面から見ましても、あるいは今日の日本國民生活の経済状態から見ましても、あるいは國の経済状態から見ましても、当を得たものであり、行届いた方法による國民大衆の納得の行く値上げの方法でないという見解をとるために、反対するのであります。
#6
○辻委員長 田島ひで君。
#7
○田島(ひ)委員 私は共産党を代表いたしまして、反対の意見を申し上げます。
 まず根本的な点におきまして、本案に対しまして、本年度の予算との関連の面から反対するものであります。一般会計收支七千四十六億という厖大な予算の内容を見ましても、その歳入の面におきましては、大部分が國民大衆の犠牲によつて取上げられ、歳出の面の四〇%以上が、惜しげもなく独占資本のふところに入り、消費されております。その詳細にわたりましては、すでに予算の審議にあたりまして、わが党の代表によつて述べられておりますので、ここでは私は省きまするが、公共事業として当然國家の一般会計よりまかなうべき逓信予算の不足が、本案によりまして、またしても人民大衆の負担において、犠牲においてなされるからであります。この意味においてまず私どもはこの案に反対するものでありまするが、通信事業におきましては、創立以來ずつと黒字を続けて参つたのでありまして、年々八千万から一億円前後の金額が、特別会計の收入から一般会計に入れられまして、戰前また戰時中を通じまして、一般会計を補填して参つたのであります。ところが戰爭によりまして破壞され、さらに戰事中の苛酷な使用によりまして、設備が老朽化し荒廃したままの姿で、一般の会計からの復興のための十分な助力もなくして、切り離されてしまつておるのであります。加えて戰後の歴代の政府によりますインフレ政策のために、一層犠牲をしいられているのでありまして、この公共事業を考えますならば、逓信予算の編成そのものに、すでに本予算との連関において、私どもは反対をしなければならないのであります。國民経済全般から賃金を考え、その上に立つて料金が決定されるべきで、一般会計を離れて、郵便料金のみを考えることはできないのであります。現在の人件費の基礎は、六千二百七円の食べられない飢餓ベースでありまするが、大衆課税、諸物價の値上り等で――おそらく三〇%から四〇%程度の物價の今後の値上りにおきまして、またしても郵便料金の値上りは明らかなのであります。從業員によきサービスの提供を促すためには、待遇改善をなさなければならないのでありまして、特に逓信従業員の厚生福利施設は、他官廳に比しまして非常にみじめな状態にあります。本年度の予算におきましても、その費用はほとんどまかなわれていない状態にあるのであります。この意味から言いまして、まず根本的に本年度の予算の組み方に関しまして、私はその観点におきまして本案に対して反対いたしますのであります。
 次には公共事業として、逓信省のこの独立採算制の面から反対いたすものであります。逓信省の独立採算制につきましては、わが党は当初以来反対して参りまして、昨年の料金の値上げのときにも、強く反対して参つたのであります。これを人間にたとえますならば、若くて健康なうちは、さんざん利用しておいて、老いぼれてしまつて、病気になり、傷ついた者を、一人でかつてにやつて行けといつて、ほうり出して、そのままにうつちやつて置くのと同じでありまして、サービズ事業を本來の使命といたします逓信事業におきまして、このような状態のもとに独立採算制をとられますならば、とうてい参通信事業の復興は期することができない。むしろ崩壞の一途をたどるのは明らかなのであります。このような点から、独立採算制の立場からこれを強行いたします本予算に対しましては、私どもは反対いたすものでありまして、この独立採算制強行がさらにはベース賃金を一層苦しいものにし、四十八時間の労働強化、あるいは三万八千人の首切りというような問題とも関連いたしまして、一般の人々の間には、この五十億円の値上りに対しましては、額の上ではあまり大きくないから、あるいは反対しない人々もありましようが、今日の逓信事業のサービスの面では、もはやこれ以上のサービス低下は忍びがたいが、郵便料金が値上げになりましたならばサービスが改善されるのではないかというような期待を持つておる方々が相当多いのでございまするけれども、この郵便料金の値上げによつてその結果を見ましても、サービス改善はまつたく望まれないのでございます。と言いますのはこの料金の値上げによりましても、改善が望まれないばかりでなく、すでに大量の首切りという点から見ましても、いろいろな面においてサービスの低下が現われておるからでございます。
 さらに反対理由といたしまして、この五十億の大衆負担をもつてするところの、今年度の逓信予算の上から見ましても、今年の通信事業の復興はまつたく望まれないという点から、私どもは反対いたしておるのでございます。安本通信局の昭和二十四年度通信サービス目標によりましても、相当の人員と資金と資材を必要とするという点で、本年度においては現在以上の復旧を望むことは、困難のようにいわれておるのでありまするが、すでに首切りによつて、いろいろなサービスの低下を見ておる現在といたしましては、一層國民大衆の期待を裏切る結果になるのではないかと思うのであります。
 具体的な人員整理によりますところの二、三の例を引きます。もちろんこれは通信事業全般にわたつて現われておるのでありますが、その全体についての例を申し上げますと長くなりまするから、私は郵便局の集配の面だけについて二、三の例を引いてみたいと思います。從業員二割整理によりまして、どのようなサービスの低下が現われて参るかと申しますと、都、市内通信力の低い地域の集配度数――市制施行地域の約一〇%ほどの地域の集配度数は、二度が一度になるので、午後に配達されるものが、翌日の配達となるような結果になります。また交通不便、かつ物数の少い地域の集配度数は、現在一日一度の所は隔日集配となり、また月十二度集配されておるような所では、配達がまつたく休止となります。これらの地域の郵便は、一日から三日遅れとなり、または全然配達されないということになるのであります。また郵便局所在地以外の地域の、市外二度地の案配は、一度に減らされます。市外二度地と言いますと、町村役場等重要な施設の所在地の六百区の地域の郵便局が、午後に配達されておりましたものが、翌日の配達となるのでございます。また郵便局における夜間作業が停止されまする結果、減員対象局が三百八十七局にも上りまして、夜間到着の郵便物は、半日程度遅れまして午後の配達となる。なおこれらの局を経て配達されるものは翌日配達になるのでございます。日曜の郵便集配の休止によりまして、日曜に配達される普通郵便物が月曜に配達される。また市外の集配は隔日になりまして、一日一度配達の最低施設が維持できなくなる。市内外の全地域の六割程度にわたつて、郵便物が一日以上遅れる。例をあげますればたくさんございまするが、郵便事業関係の一例を見ましても、いかにサービスが低下するかということが、これで明瞭でございます。電信、電話、爲替貯金、保險年金等の事業面におきましても、より以上のサービス低下の例をあげることができるのでございます。また本年度予算による物價の値上り、あるいは今まですでに食べられないところの給與の面からいたしましても、從業員の生活はますます苦しくなりまして、從來内職をやつていた從業員が、もう内職しても食べられなくなる。あるいは職場放棄する人々が相当出て来るのではないかというようなことをも、われわれは心配するのでございます。こういうようなサービスの低下の点から見まして、郵便料を値上げするのはやむを得ないけれども、サービスが改善されるのではないかと期待しておられる國民の、その期待をまつたく裏切る結果になることが明らかであろうと思うのであります。
 さらに、約五十億の郵便料の値上げにつきまして、これを反対いたしますならば、結局税金となつて一般の予算から、國民の上に負担がかかつて来るからという小澤大臣の御説明もございましたが、何らかの形で大衆から収奪しようとし、大衆の犠牲によつて、少数の独占資本の利益を守ろうとする予算の組み方によりますならば、そのような結果となるのは当然でありまするが、反対に、少数の独占資本の負担による犠牲において、人民大衆に奉仕しようとするところの、わが党の予算の編成よりいたしまするならば――この点の詳しい説明は、予算のときに讓りますが、大衆の犠牲によらずして、しかも國内における需要を一層満たすことによつて、自主的に通信事業を復興することができるのでございます。通信機器の中小メーカーにおきましても、予算における建設面の削減、あるいは機器に対する規格の嚴重化された結果によりまして、すでに崩壞していることは、先ほど松井委員が申された通りでございますが、國内における需要を満たすことによつて、これらの中小メーカーをどんどん振興させ、自主的に自力によつて、國内の通信事業を復興することが可能になるのであります。通信を眞に國民のものとし、その本来の使命であるところのサービス事業の面目を発揮いたしますためには、どうしても労働者に生活の保障をいたしまして、生活できるだけの賃金を與えるということ、それから合理的に人員の配置をいたすということ、このような状態のもとで、独立採算制を強行することなく、むしろ独立採算制はこれをやめて、一般会計から補助することによりまして、その運営の仕方としては、國営をむしろ強化して、人民管理の方式をとりますならば、私どもは十分この通信事業の復興を期することができると思うのでございます。
 最後に、この予算の面から、あるいは独立採算の面から、あるいはその他の面から反対して参つたのでございますが、日本國民として特に憂慮いたしますのは、それらの面から、通信事業が日本の経済によつては成立たないという口実のもとに、外貨依存に向けられまして、遂には日本の神経ともいうべき重要なる通信事業が、外國資本の手によつて握られて行くのではなかろうか、その地ならしの準備と見ることのできるいろいろな現象を、私ども見受けているからでございます。この意味におきまして、本案の額そのものは五十億で大ではございませんが、本年度予算において、大衆課税によつて人民を苦しめておりますその上に、またしても人民の犠牲こおいてなされようとする本案に対しまして、全面的に徹底的に反対するものでございます。
#8
○辻委員長 浦口鉄男君。
#9
○浦口委員 公正倶楽部といたしまして、一言その立場と希望を表明して賛成いたします。
 さきに公正倶楽部は、昭和二十四年度の総予算に対して、修正案を提出の意向でありましたが、それができなかつたために、反対を表明したのであります。從つてその関連において、根本的には、この料金値上げを主とする郵便法等の一部改正案に対しては、そのまま賛意を表明し得ないのであります。しかし現段階における経済情勢並びに吉田内閣の性格としてなし得る施策の最善なるものとして、一應これを認め、養成せんとするものであります。ただ今の実施にあたりましては、大臣は幾たびか確信をお表しになつたのでありますが、われわれその確信を必ずしもそのままに受取ることはできないのであります。すなわちその予定された收入の確保において、現在以上サービスを下げない点において、とりわけ従業員が、惡條件のもとにおいても、よくその職場を守つて安定して働き得るような、現在可能なる範囲においての対策を樹立、実施されまして、所期の目的を達成されんことを切望いたしまして、賛成討論といたします。
#10
○辻委員長 これにて本案に対する討論は終局いたしました。なおただいま民主自由党から修正案が提出されましたが、本修正案に対する討論は省略いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○辻委員長 御異議なしと認めまして、これを省略いたします。
 これより採決いたします。まず民主自由党提出の修正案について採決し、次に原案について採決いたします。それでは民主自由党提出の修正案について、賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#12
○辻委員長 起立多数。よつて民主自由党提出の修正案の通り決しました。
 次にただいまの修正部分を除いた原案について賛成の諸君の御起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#13
○辻委員長 起立多数。よつて本案は修正議決いたされました。
 この際お諮りいたしますが、衆議院規則第八十六條による報告書の作成に関しましては、委員長に一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○辻委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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