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1949/10/24 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 逓信委員会 第18号
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1949/10/24 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 逓信委員会 第18号

#1
第005回国会 逓信委員会 第18号
昭和二十四年十月二十四日(月曜日)
    午後一時四十五分開議
 出席委員
   委員長 辻  寛一君
   理事 飯塚 定輔君 理事 加藤隆太郎君
   理事 白井 佐吉君 理事 松本 善壽君
   理事 土井 直作君 理事 田島 ひで君
      宇野秀次郎君    大和田義榮君
      高塩 三郎君    坪内 八郎君
      井之口政雄君    江崎 一治君
 委員外の出席者
        專  門  員 吉田 弘苗君
        專  門  員 稻田  穰君
    ―――――――――――――
十月二十四日
 委員竹村奈良一君辞任につき、その補欠として
 江崎一治君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 派遣委員の調査報告に関する件
    ―――――――――――――
#2
○辻委員長 これより会議を開きます。
 派遣委員の調査報告に関する件を議題といたします。去る五月三十一日に議長の承認を得まして、逓信省分割後における両省運営状況調査の目的をもつて、関東、東北、北海道班、中部班及び九州班の三班にわかれて、現地に委員を派遣いたしたのでありますが、ただいまより派遣委員から現地調査の結果を報告していただくことにいたします。
 まず第一班、関東、東北、北海道地方の報告を願います。松本義壽君。
#3
○松本(善)委員 私から第一班の視察につきまして御報告申し上げます。
 六月二十六日小樽集合、同地を初めとし、札幌、室蘭、函館、仙台、福島、宇都宮を経て、七月六日東京郵政監察、郵政の各局及び関東電氣通信、電波管理の各局の視察をもつて、十一日にわたる視察日程を終了したのでありますが、視察の結果の詳細については報告書をごらん願うこととし、概様をかいつまんで御報告申し上げたいと存じます。視察目的は、逓信省分離後における同省運営状況調査となつておりまして、きわめて廣範囲にわたつておりますが、もつぱら視察の対象を地方機構に限り、分離の進行程度、分離に際して事業に及ぼした支障の有無、分離後事業運営は所期の目的を達し得るか、また分離と離れて両事業運営の現況はどうなつているか等を主眼とし、あわせて日本放送協会の事業をも調査いたしたのであります。
 両事業の分離はうまく行つているかどうかと申しますと、われわれは概括的に言つておおむね順調に行つていると見て來たのであります。
 何分革命的な機構改正を、しかも短期間の準備で実行に移したことでありますから、しさいに檢討すれば、多少の混雑や混乱があつたことは免れがたいところでありますけれども、心配していたような事業の澁滯や停頓を少しも見なかつたことは、祝福にたえないところであり、関係当事者の苦心と努力に対して、深く敬意を表する次第であります。進行状況はどうかと申しますと、郵政関係は、電氣通信関係に見るような根本的な改正がなかつたためもあつて、現業部門を合わせ、ほとんど完了の状態に至つております。ただ郵政監察関係は、新構想に基く改正から、一部の完成を残しているほか、独立早々のこととて、新機構に嘱望の効果を具体的に発揮するに主つていないため、單に店開きをしただけといつた印象を受けたのであります。これに反しまして、電氣通信関係にありましては、從來の営業経営形態を根本的に変貌し、組織態様もきわめて厖大かつ複雑な機構となつておる関係上、整備もかなり遅れ、六月、七月はいまだ準備期間であり、眞に動き出すのは八月以降ではないかと思うのであります。ことに電氣通信部、電氣通信管理所にあつては、六月二十日になつて課長級及び所長の発令があつた程度で、臨局当時は、現業部門に対する各管理部門の事務は、從來の逓信局時代同様電氣通信局が一括実施していたありさまであります。こう言えば非常に不成績のように聞えますが、この分離独立の仕事がきわめて難事業であることを思うならば、現進行段階はむしろ所期せられたところであり、拙速よりはかえつて愼重堅実をたつとんで、眞の整備完成には年余の時間をかしても、少しもさしつかえないと思うのであります。せつかくの画期的な改変でありますから、じつくり腰をおちつけて、所期の目的を遺憾なく発揮し得るよう、愼重最善の努力を希望いたしておきます。
 次に新機構に対する所見でありますが、何分分離施行早々の際であつて、形の上で二分された状態にすぎず、新構想に基く目的が十分現われて來ていない段階にありますので、具体的な批判はできないのであります。從つてやや抽象論を免れませんが、一、二所見を申し述べてみたいと思います。
 第一に、独立採算制の上に立つて、郵政事業ははたしてやつて行けるかということであります。戰後の社会経済のもとにあつては、各國とも郵政の赤字は避けられないところであります。ことに郵政施設のこうむつた戰災の傷痍が回復していない現状において、独立採算制を採用することについては、時期的に言つて論議のあるところでありますが、さらに高度の要請目的から言つて、眞にやむを得ない必要がある以上、関係者はこの制度下において、死力を盡してサービスの低下を阻止すべき責任があることは、申すまでもありません。しかしものにはすべて限界のあるもので、眞に避けがたい支障が起つた場合には、時の一般情勢とにらみ合せた上で、適切な処置に出ることも考えておかなくてはならぬことだと思うのであります。
 第二には、厖大な管理職の陣容であります。この傾向は電氣通信部門において特に顕著でありますが、いずれも理論的な要請に基くもので、いずれを可、いずれを否と決しがたいのであります。しかしこれがために、それだけ現業部門に圧迫を加えたことはいなみがたい事実でありまして、もしその設置の実効を十分あげ得なかつたならば、サービスの低下は必至であります。從つて管理職陣が、從來往々散見したような受動的執務態度に堕することは、とうてい許されないところであり、率先陣頭に立つて挺身することが、強く要望されるのであります。しかし陣頭挺身といつても、管理職員には管理職としての当然の職責があるわけで、要はその職責にもつぱらかけられたところの新要請の意義を十分に把握して、いかにより多くの失効を実現するかにあるのであります。
 次に新定員法関係、郵政局と郵政観察局との関係、電氣通信部、電氣通信管理所に対する問題、現業局におけや業務長と施設長との関係等についてでありますが、これらはすべて報告書に譲りたいと思います。要するに両省分離の方策は、理論的構想から着々実施面に移行し、その移行はおおむね順調な経過をたどり、今日までのところ何らの支障澁滯の跡を見ず、基本的問題で、將來の解決に残された部門が幾多あるにもかかわらず、管理部門、現業部門一致の体制のもとに、新構想理念の把握実践に務めるならば、必ずや所期の目的を達成するに、いささかの懸念もないことを看取いたしたのであります。
 次に事業運営状況についてでありますが、まず今回の郵便料金の値上げの影響について申し上げます。値上げ前の四月と値上げ後の五月と比較しますと、一種は各管内平均して一割八分程度減つております。二種はすえ置きですから大いに増加するだろうと予感していたところ、東京は二割六分増、札幌は大差なく、仙台はかえつて一割二分と減つています。一種が減つて、そのかわり二種が大いにふえるだろうと予想していたのでありますが、実績は予想と大分違つていました。小包は減つたところもありますが、おおむね大差なく、少しではありますがふえているところもあります。そして結局総物数において、仙台は少々減率が高くなつていますが、他の管内はともに七分程度の減を來しているのであります。利用減は最初の月に大きく現われ、数箇月後に平常に復元するのが從來からの実績でありますから、郵政省が初め見積つた年度内利用減率一割ないし一割五分という推定からは、大分下まわつておるわけで、収入予算には影響ないものと考えられるのであります。
 次に貯蓄業務等の成績でありますが、総目標に対し二割ないし、二割六分の実績を上げています。これまで積立貯金に全力を集中して來た関係上、いずれもすでに目標額を突破し、東京十八割、札幌十四割、仙台十一割の好成績を上げていますが、その反面、定額貯金は今までのところ不振であります。これは積立貯金に重点を置いて來た関係もありますが、定額貯金そのものにもとりにくい理由があるので、つまり裏づけの物資がいろいろの理由から魅力を失つて來たためだとも言われているのであります。簡易保險は至つて好成績で、東京は四割八分で全國郵政局中第一位を占め、札幌も全國平均を大分上まわり、東北も全國平均に近い成果を上げています。郵便年金もかなりの成績をあげ、東京はやはり第一位であります、
 次に通信施設の復旧状況とサービスの改善について申し上げます。郵便局舎の未復旧率は、東京管内普通局四割五分、特定局八割一分、仙台管内三割七分でありますが、施設を眞に必要とする箇所には、若干の場合を除き、おおむね復旧の実施を終り、他は住居の移動等の理由により復旧を必要としないので、廃局されたものであります。電氣通信同線も大いに復旧のあと見るべきものがあり、市外電話同線の復旧率は関東九割二分、電信同線は終戰時に比し、戰災のほとんどなかつた北海道を除き、東北二割、関東三割の増加を見ているのであります。加入電話については、東北、北海道は戰前に比し三割五分及び二割一分も増加しており、関東管内は、東京、神奈川を除き、おおむね戰前程度に復旧しているにもかかわらず、東京都、神奈川縣の復旧率が低いため、平均開通率は現在加入者数に対し七割三分になつているのであります。通信施設の復旧は以上のようであり、別紙報告書に記載のような、各種のサービス改善方策を採用し、各管内とも事業の細部にわたつて愼重な檢討を加え、著実周到な対策を講じているため、郵便、電信、電話を通じサービス面における改善は、相当見るべきものがありますが、その詳細については報告書に譲りたいと思います。
 福利厚生施設の現況及び労務状況に関しては、報告書について詳細ごらん願うこととし、次に行政整理に対する組合側の動きについて申し上げたいと思います。当時郵政、電氣通信両省とも、行政整理方針について何ら具体的な指示はなかつたのでありますが、組合はおのおの本部情報に基いて種々想定した上で、強力に反対運動を展開しようとする態勢にあつたわけであります。しかし当時までは、組合の動きは文書によつて反対を表明している程度を越えておりません。外部に現われた形としては、おおむね平静であるという印象を受けたのでありますが、同時にときあたかも國鉄整理の発表が始まつたころであつたので、國鉄は全逓をかつて自己の反対運動の一翼に巻き込もうとし、全逓もまた人ごとながら國鉄整理の発表に刺激されて、ようやく活溌な活動を起そうとする氣配が看取されたのであります。組合の陳情態度も名を要望にかり、諮問的態度に出たものも二、三ありましたが、これはいわば彼らの常套手段でもあり、内容も冷静に檢討すれば、おおむね首貫し得るものが多かつたのであります。ただ函館以前で、赤旗を擁した多数の全逓及び國鉄の組合員に囲続せられたときは、ちよつと驚きましたが、これも歓迎に出た全逓に合流した國鉄が、これにかわつて主導権を握つたためで、全逓のまつたく関知しなかつたところであることが判明し、了解した次第であります。
 次に各管内各地において、官側及び組合側からいろいろ要望や陳情を受けたのでありますが、その詳細は報告書または説明資料を見ていただくこととし、重要な事項について二、三所見を申し上げたいと思います。
 まず石炭手当、寒冷地手当についてでありますが、これにはいまだ予算措置ができておりません。この前の決定は予算の範囲内で認めるということであつて、必ずしも予算措置を講ずることになつていないのであります。これはぜひとも実現の要があると思います。採暖物資の入手については時期的に制限があるので、現金または現物入手について、特に便法を講ずる必要があります。この点も政府に強く要望したいと思います。また石炭手当は、東北地方には認められておりません。東北の北部と函館あたりとでは実情に大差ないので、北海道並にしてもらいたいという要望が強く、もつともなことと思われますので、研究の要があると思います。
 次に行政整理についてでありますが、北海道のように風雪の悪條件下にあつて、地域も廣大であり、電信電話同線の老朽なものが多い所では、保守の能率には大きい差異があり、保險募集、郵便物の集配についても同様でありますが、從來この点がやや閑却されていたのではないかと思われるのであります。こういう特殊事情に対しては、整理にあたつて特別な考慮が拂われなければならぬと思います。また多数の樺太引揚者を引受けている北海道の実情、普通局に対する特定局の比率の高い東北地方の実情などについても同様だと思います。警察電話の移管後の管理についても同様で、電氣通信省本來の施設の管理に、大きな累を及ぼさぬよう要望してやみません。
 次に簡易保險及び郵便年金積立金の運用についてでありますが、右運用権の郵政省移管については、第五國会で両院とも決議を見たのでありますが、このすみやかな実施を政府に強く要望したいと思います。郵便貯金についても同様の要望や陳情があつたのでありますが、われわれとしては趣旨に同感であり、今後実現方について研究したいと思います。
 次に勤務地手当でありますが、北海道管内にあつては、実態生計費の現状に照し、勤務地等級の不当に低い所があります。政府に対して研究方を要望したいと思うのであります。
 以上のほか、放送局関係も視察調査したのでありますが、ここでは取立てて申し上げることもありません。簡單でありますが、これをもちまして私の報告を終ります。
#4
○辻委員長 次に第二班、中部地方の報告は私がいたしたいと思いますが、この席からごめんこうむつてさしつかえございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○辻委員長 それでは私より第二班の調査の結果を御報告申し上げますが、詳細は先般お手元に配付いたしました報告書をごらんいただくこととし、ここには主要な点のみをなるべく簡單に申し上げるだけにとどめたいと存じます。
 先般私どもが全國にわたつて逓信事業の実地を視察いたしました主たる目的は、逓信省が郵政、電氣通信の二省にわかれた新しい機構への切りかえが、順調に行つたかどうか。また地方の実情から見て、新機構に再檢討を要するものはないか。さらに機構とは離れて、郵政、電氣通信両事業の運行状況はどうか、その運行状況から帰納して、現在の制度なり取扱い方法なりに改善すべき点はないか。この四つを眼目とするものでありまして、報告書にも第一から第四までにわかつて、以上の調査の結果を記載してございます。このほか各地で部外、部内の方々から、両事業に関するいろいろな陳情を受けましたので、これらは報告書第五に列記しておきました。なお日本放送協会の事業も各地で視察いたしましたか、これにつきましては別段取立てて御報告申し上ぐべき事項はございません。
 第一班の参りました地方は、中部、近畿、北陸、信越の四地方でありまして、名古屋、鈴鹿、大阪、金沢、長野、新潟の各地におきまして、郵政関係十七局、電政関係二十局、放送局五局、合計四十二局につき調査を行つたのであります。
 次に内容に入りまして、まず地方における新機構の実施状況でありますが、ごく概括的に申せば、郵政も、電氣通信も、新機構への移りかわりは順調に行われたと申してさしつかえないと思うのであります。何分にも七十年の傳統を打破する大改革である上に、電氣通信の方は從來の官庁組織観念をまつたく脱却した新機軸でありますから、実は私どもも過渡的には相当の混乱があり、事務澁滯があるものと思つていたのでありますが、実施準備期間もわずかしかなかつたのにかかわらず、中央、地方を通じ、また管理者側と一般從事員を通じての協力によりまして、少くとも最も懸念された現業事務の停頓澁滯がほとんど見られなかつたことは、喜ぶべきことだと思います。しかし電氣通信の方では通信局、特に通信部、管理所の方では、かなり整備の遅れたものがありまして、地方管理機構としては、法律上の発足は六月一日であるが、本格的活動に入つたのは八月以降であると見なければならない状態であります。郵政の方は、郵政監察局の整備がやや遅れた程度で、概して順調と申すことができます。
 次に新機構に対する意見でありますが、まず両省への分離と定員法による人員節減、この二つはすでに法律が制定実施を見た今日、その是非を論ずべき時期ではありませんが、調査班としては実地を視察いたしまして、法律のねらいはほぼ正確を得たものであるとの信念を強くした次第であります。新機構に伴う諸種の問題につきましては、報告書に数項目をあげておきましたが、特に管理職の数が著しく増加したので、新管理職は從來のように、部下の仕事を決裁する消極的な仕事のやり方をやめて、みずから部下の先頭に立ち、ペンをとり、職場に立つ、積極的なリーダーにならなければならないという点、地方郵政監察局が企画事務に関する調査まで立ち入ることは、郵政局との関係において種々摩擦を生ずるおそれがある点、電氣通信の五段に及ぶ管理段階は、あまりに多きに過ぐるのではないかという点、及び一般公衆と事業との接触面である電話局、電報局の長が、業務と施設に両分していることは、対公衆関係において、事業を代表する責任の所在が明確を欠くきらいがある点等は、將來恒久に値する点ではなかろうかと存ずるのであります。
 次に郵政及び電氣通信事業の一般的運営状況につきましては、調査班は特に過般の郵便料金値上げの影響、貯金、保險、年金等貯蓄業務の成績、電信電話の戰災復旧状況、サービス改善の状況、從業員の福利厚生施設の状況、労務状況等に、最重点を置いて調査に当つたことのみを申し上げ、詳細は報告書に譲ることにいたしたいと考えます。
 最後に両事業運営に関する所見でありますが、第一に電氣通信事業は今回の改正によつて、從來の行政官庁的機構から、企業官庁的機構に切りかえられたのでありますが、予算その他金銭物品会計、給與、職階等の諸制度になりますと、自然画一的な行政官庁的法規に拘束されて、能率的な企業経営ができない面が少からずあるのでありまして、これらはすみやかに再檢討をして、企業体に適合した制度に改める必要があるのではないかと思います。第二に郵政事業の収入は、過般の値上げによりましても、決して樂ではないようでありますが、各地方の実情を見ますると、戰災被害の復旧、郵便局の増設、サービスの改善など、わが國郵政を世界水準に持つて來るためには、まだまだ莫大な経費を要するのであります。これをどこまでも独立採算制の立場から料金に依拠すべきか、あるいはある程度一般会計からの補給を認むべきかは、むずかしい問題であり、理論よりもむしろ國家財政の状況からきまつて來る問題であると思いますが、現在の郵政施設の荒廃が、主として戰争に起因している事情、過去幾十年にわたり、わが國郵政は逆に一般会計に莫大な寄與をしていた事情等から、財政の状況が幾分でもこれを許す状態になつた場合には、郵政の独立採算制は再考を要するものではないかと考えるのであります。その他警察電話の保守問題、從業員の給與及び福利厚生施設改善の問題は、いずれも重要と考えるのでありますが、内容の御説明は省略いたします。なお先ごろ本院で決議をいたしました簡易保険、郵便年金積立金の運営移管の問題につきましては、各地においてこれが実現の促進につき、管理者側及び從業員側から、きわめて熱烈な要望のあつたことを、つけ加えて申し上げます。各種の陳情事項につきましては、來る議会に請願として提出されるもの、その他に分類いたしまして、それぞれ政府側に傳達する考えであります。以上をもつて御報告を終ります。
 最後に第三班の九州地方の御報告を願います。加藤隆太郎君。
#6
○加藤(隆)委員 私から第三班の調査の結果を御報告申し上げることにいたします。その詳細はお手元の報告書に譲り、ここでは主要な点だけを簡單に申し上げることにいたしますから、御了承願います。
 私どもの視察の目的、調査の重点は、ただいま御説明の第一、第二の両班と同様でありますが、たまたま九州地方がデラ台風に襲われた直後でありましたので、これについても一應の調査をいたして参りました。第三班の調査区域は中國、四國、九州の三地方で、廣島、松山、大分、熊本の各地におきまして、郵政関係十一局、電政関係十三局、放送局四局、合計二十八局につき調査を行つたのであります。
 私ども第三班の視察期間は、六月二十一日から六月末日までの十日間で、いわば新機構への移行早々で、その変革の内容が画期的であり、また複雑でもあり、加うるに準備期間が短かつたので、相当の混乱があるのではないかと懸念して参つたのでありますが、幸い上下一致の協力で、比較的順調に運行しておりました。当時未整備の機構も大分ありましたが、現業事務がとまつたとか、滯つたとかいう事実はなく、ことにデラ台風のような突然の事態に対しても、臨機に適切な措置が講ぜられていて、心強く感じた次第であります。
 新機構の可否、定員法に適否は、その実施後の事業の実態が正確に把握しがたい現段階で、云々すべきでないと思いますので、差控えますが、これらの法律の実施に伴う問題として、管理職の増加の問題、郵政局と郵政監察局の分掌事務の限界の問題、電氣通信関係の管理機構の問題、同じく現業機構の問題、定員法、新機構実施による共通要員、庶務要員の圧縮の問題等、いろいろ考慮せねばならない問題がありますが、これらはいずれも他の班でも触れておられるようですから、詳細は報告書に譲つて省略いたします。
 次に郵政、電氣通信両事業の一般的運営状況につきましては、郵便料値上げの事業に及ぼした影響、郵政貯蓄事業の状況、電氣通信の復旧状況、サービス改善対策、増収対策、從業員の福利厚生施設、労務状況等に重点を置き、あわせてデラ台風の被害とその対策について調査いたしましたが、詳細は報告書をごらん願うことにし、調査結果に対する所見のうち、二、三について御説明いたします。
 まず第一に、警察電話の移管問題でありますが、視察各地の当局及び組合から、警察電話の荒廃ぶりと、保守要員の不在について訴えられたのでありますが、熊本へ参りまして、デラ台風の被害の実情を承りますと、金額において應急工事費の九〇%が警察電話にとられるということで、ここにはしなくも警察電話の実態を、具体的計数に基いて承知いたしたのであります。かように脆弱な施設の警察電話も、その重要性にかんがみまして、きわめて高度の保守を要求されます。これは独立採算制を建前とする電氣通信事業にとつては、過重な負担ではないか、また定員法によつて縮小される保守要員が、さらに一層手不足になり、從來の所管施設の保守にまで悪い影響を及ぼすのではないか、十分檢討せねばならない問題であると思います。
 次は從業員の福利厚生施設の問題でありますが、これは一般的には予算の制約等があり、意のごとくならないと思いますが、報告書に取上げております共済組合の給付金の交付を敏速にするというような運用の問題は、單なる処理方法の改善でできることでありますから、当局においては実情に沿うごとく、すみやかに善処されたいのであります。
 次に郵便檢閲所の増設の問題でありますが、これは郵政省直接の問題ではありませんが、檢閲のため多数の郵便物が逆送されているということは、事業としても、利用者としても、まことに困るのでありまして、郵便の速達性確保のため、ぜひ檢閲所を増設していただくよう懇請されたいと思うのであります。
 その他事業運営に対する班の所見は、報告書によつてごらん願うこととして、説明を省略いたします。また各地でわれわれに対して提出された陳情事項は、その内容によつて適宜処置したいと存じます。
 なお電波監理局、放送局については、報告書においては触れておりませんが、これは次の國会において放送法案、電波監理法案の提出が予定され、これによつて所管業務にも大変革が予想されますので、ただいまの段階で批判いたすことは適当でないと思いますので、省略した次第であります。以上で御報告を終ります。
 なお同行の井之口委員より、この調査報告に関連して、発言したいとの申出がありますから、この際井之口委員の発言を御許可あらんことをお願いいたします。
#7
○井之口委員 加藤班長の御報告に対しまして、私からこれに補足する点が少しございます。二省分離の地方機関における実施状況、その各運営状況、並びにこれに対する調査團としての私の意見を、地方別に申し述べてみたいと思います。
 第一、廣島を中心として、中國地方を視察いたしましたが、特に電氣通信局について見ますに、二省分離により、とりわけ電通局の機構は、むやみに船長、係長等が増設され、從來の係が課になり、十人ぐらいいたのが四人ぐらいで課を形成するに至つておりますために、煩雑な組織となつております。視察当時は、特にやつとそれらの頭だけが任命された状態でございましたので、各人が自分のポストの問題だけに没頭いたしまして、仕事も手につかぬ状態でございました。機構はこのライン・オーガニゼーシヨンによつて、集中化が強化されましたが、これに伴わねばならぬ民主化が行われていないために、下からの総意は上に通ぜず、あたかも下向きになつているパルプのかつこうで、上からは命令が流れて來ますが、下からの意見はちつとも上に通じないという官僚機構が、強化されているような状態でございます。
 世話の施設が腐朽いたしておりますが、特に廣島、宇品間は、雨がちよつとでも降れば不通になるという状態でございます。
 電通局全体といたしましては、現在定員が三百七十五名のところ、実員は二百六名でございます。今でさえ五十名不足のところへもつて來まして、新定員では二百三十六名に減ずるのでございますから、まつたくむりと考えられます。交換台に働いております者が現在百八十四名で、うち三十名は療養欠勤でございました。これはむしろ二百四十名にしてほしいほどだつたのでございます。そういう状態でございましたために、午前中は休憩もないという電話交換手の状態だつたのでございます。
 工務関係を見ますと、現在の定員が四百七十七名になつておりますが、これは十分復旧工事を行うためには、千名くらいにふやさなければならないのに、かえつて新定員では四百二名に減ぜられる予想でございます。それでは運営に支障を來すほかはないと感ぜられました。
 給與の点は、現在の六千三百円ベースがどうなつているかと申しますと、四十二時制を四十八時間制に延長しましたために、超過勤務手当が普通に吸収されてしまつたから、四千九百円ベースにしかならなくなつております。かつ勤務時間が実に不規則で、寸断されておりまするために、通勤に時間を食われて、遠隔の地から通勤する者は電車、汽車の便を失い、しかも逓信局に近いところには宿舎の便がなくて、局内の宿直室の寝具はしらみやのみが繁殖して、不潔そのものでございました。從業員の宿舎の欠乏は、廣島において特にひどかつたようでございます。廣島逓信病院長の蜂谷道彦さんの語るところによりますれば、結核檢査についての結果は次の通りでございました。被檢査者三万二千三百四十一名でございます。但しこれは病臥中の者で、集團檢診を受けることができない者とか、あるいは馘首をおそれて罹病者でありながら檢診を回避した者が、相当あつたということを含まねばなりません。このうちで要注意者が千百六十人、要療養者が五百四十人、右の通りでありまして、これは明らかに過労と栄養失調と不潔のもたらした結果と言わざるを得ません。電話交換手佐藤ふじ子さんの語るところでは、生理休暇が一箇月三日から二日になつたが、これもなかなかとりにくくなつている。從來の通り三日にして、励行させるようにしてもらいたいとのことでございましたが、まつたく同情の至りでございました。
 次に第二番目に、松山を中心といたしまして四國地方を視察いたしましたが、二省分離についての実情並びに意見は、中國の場合とほとんど同様でございます。機構は複雑化し、二重になるのに、人員は削減される矛盾に、至る所悩んでいたようであります。警察電話は引受けたが、人員は削減される。これもまた深刻な矛盾でございました。この矛盾は労働の強化とならざるを得ませんでした。かくして慰労休暇も生理休暇も必然にとれなくなるだろうとの不安が、從業員に懸念されておりました。しかるにそれらの行政整理、機構改革のための人事が、当局の天くだり式でやられて、何ら相談も受けねば、希望の申出もできない状態でございましたために、仕事は停止して手につかず、ばらばらの状態でありました。時間が延長されるために、慰安設備を使用するいとまもなくなり、從つて慰安費は削られるというはめになつております。電通局で現にとられている生理休暇は〇・六となつていて、交換に從事する少女らが、三時間休憩なしで交換台にいすわり続けるという状態でありまして、從つて四國逓信局管内要保護者調査が、昭和二十四年の一月現在におきまして、調査場所は松山、宇和島、大州、八幡浜、三津浜、今治、西條、新居浜、松山電信、松山電話、松山工事、松山無線工事、東部、中部、南部、高松、観音寺、多度津、坂出、琴平、丸亀、高松鉄郵、善通寺、高松電信、高松電話、高松工事、東部、西部、後免、須崎、土佐中村、室戸岬、高知、高知電話、高知工事、東部、中部・西部・徳島、鳴門、小松島、徳島電話、徳島工事、北部、南部、これらを合計いたしまして要療養者が百七十六名、要注意者が三百二十四名、こういう状態でございました。
 特定局はいまだに封建的な制度になつているものが多くありまして、局長が魚屋の御主人だとか、不適格者が大分いるようでございます。什器、建物は局長の私物であつたりいたしまして、その中に四、五人の局員がたき火をしながら、金庫もないところで見張りをして、夜を過すというところがあるのでございます。特定局でさえこうでございますから、簡易郵便局におきましてはさらに危險であつて、これも当然出張所にすべきものだと監察されました。
 第三番目に熊本を中心といたしまして九州方面を視察いたしましたが、熊本の二省分離、行政整理、賃金等に対しましては、中國並びに四國とほとんど同じで、鹿児島、宮崎、大分、熊本、長崎、佐賀、福岡各地方より参集しておりました從業員の代表諸君の、異口同音に主張されるところによりますと、人員の不足は労働の過重となり、自宅に持ち帰つてまで仕事をせねばならず、住宅欠乏と勤務時間の不合理のために、これまで一回弁当持参で出勤すればよかつたところを、四回分を持参せねばならなくなり、月に二回の生理休暇でさえとれず、中には父親が死去したのに休めなかつたという例もあるとのことでありました。郵便配達夫もやつと人手が足りている状態であるから、これ以上に人員を減らされては、配達のサービスが低下せざるを得ぬと申しております。引揚者の多い同地方のことでございますからして、かれらを馘首するのはまつたく不合理と言わなければなりません。熊本郵便局の現場視察を行つたところが、支給された被服がすでに破れておるのを着て、執務していた状態でありました。そこで資材部長に、貸與被服類の檢査状態の報告を求めましたところが、ほとんど満配しているとの報告でありましたが、もし満配とすれば、支給物数の僅少によるものだと判断せざるを得ません。從業員の言うところによりますれば、國鉄などよりも被服類の貸與がずつと悪いとのことでありました。配達夫よりはゴム靴長、地下たびの配給増加が要望されておりました。なお福岡において逓信病院組合の解散を命じたとのことでございましたが、これは明らかに違法と言わざるを得ません。熊本訓練所の視察で感ぜられましたことは、教育せられる学生の学力の低下せることでございまして、訓練でかかる一般的学力の向上を企図せずして、ただに技術訓練に終始する状態があつたことは、將來の逓信事業を担つて立たねばならぬこれらの青年の前途に、暗い影を投ずるものと言わなければなりません。デラ台風の復旧には、一億数千万円を要するにかかわらず、わずかに四百万円を局長の権限において支出するのでありまして、應急修理は、電柱の倒れたるままにやつと電線をつなぎ合せた程度にすぎませんでした。しかも警察電話のごとき、明治三十七、八年ごろの電柱でさえ、そのまま残つているというがごときボロ施設でありますから、これが復旧に際し多額の費用を要し、民間の復旧にまではなかなか手が及ばない。いわんや被害を受けた從業員に対するところの救済は、きわめて微々たるものでございました。独立採算制によりますれば、この復旧もいつのことかわからないであろうと思われます。あるいは外國資本の導入によつてなされるといたしますれば、なおさらもつて感心すべき状態が実現されはせぬかと懸念されます。
 熊本鉄道郵便局の視察によつて次の要望事項を受付けました。これは全般の鉄郵事業の参考になりますから、この要望事項を読み上げて見ます。
   要望事項
 一、鉄郵局各地派出所を分局に昇格せしめられたい。
   熊本、門司、鳥栖、大分、鹿児島の各派出所を分局に機構を改正し、鉄郵業務を円滑に運営せられたい。
   なお、門司派出所は関門の重要性にかんがみ、門司鉄郵局に昇格せしむることについても考慮せられたい。
 二、郵便車の新車三十台配車されたい。
   管内所要台数は約八十台で現用車は郵便車七十三台(大型十三、小型六十)と代用車(客車または荷物車)約七台のところ、大型七台と小型約十台、計十七台は老朽車で、雨漏りひどく、運轉中動揺して車中事務執行に支障があるから、代用車のとりかえを含め次の通り新車を配車されたい。
   大型七台、小型二十台(予備三台を含む)
 三、鉄道便の選定について。
   郵便物の速達化をはかるため、鉄道側に対して便の選定を強力に要請し得るよう、ある程度の権限を認めてもらいたい。
 四、檢閲郵便物の速達化をはかられたい。
   でき得れば郵便物の檢閲を見合せられたい。
   占領軍の政策上必要ならば、各普通局に占領軍側の関係者を配達し、附近の特定局の分もその局に吸収して、郵便物の速達化をはかられたい。
 五、從業員の処遇について。
  1 固定給の引上げ。
    現在の物價に比べてあまりに給與が少な過ぎる、早急に固定給の引上げを要望する。
  2 勤労所得税の軽減。
    勤労所得税を引下げて生活安定の道を講ぜられたい。
  3 被服の改善。
    服装の良否は從業員の志氣を左右するとともに、事業の威信にも関係するから、品質を向上し制式を改良されたい。という要望が出ておりますが、この問題まつたく全國的に、郵便事業と鉄道方面に関係があることですから、この点はなお詳しくわれわれが取上げて、研究して見なければならないものだと思われる次第であります。これをもつて私の意見を終ります。
#8
○飯塚委員 井之口さんにちよつと伺いますが、四國地区の特定郵便局で、金庫もないので夜たき火をして警戒しているような状態だというお話がありまして、その後で、簡易郵便局においてはなおさらひどいというお話でありましたが、四國地区において簡易郵便局がひどいというのは、できましたら実施されております状況をちよつと伺いたいと思います。それはわれわれの方でも簡易郵便局を今盛んに申請しておりますから、参考にしたいと思います。
#9
○井之口委員 まだ簡易郵便局はありませんが、そうなるだろうという予測として申し上げたのであります。
#10
○辻委員長 以上をもつて現地調査の報告は終了いたしました。この際政府の御意見並びに委員諸君の御発言があればこれを許します。大臣は議院運営委員会に、次官は次官会議にそれぞれ出ておりまして、残念ながら出席できませんが、両省の事務当局は出ておりますので、御了承願いたいと思います。――別にございませんか。それでは本日の議題はこれをもつて終了いたしたのでありますが、明二十五日からは第六國会となり、この逓信委員会は、逓信省の分割とともに削減いたすことになりました。この際委員長より一言御挨拶を申し上げます。
 第五國会は五月三十一日で終りまして、この間一切の審査を終りましたのみならず、閉会中も現地へ出て参りまして、ただいま報告の通りそれぞれ調査をいたして、委員会といたしまして十分の活動を期した次第ではございますが、何しろ委員長の私、至つてふつつかでありまして、さだめし何かにつけてまだるい点も多かつたと思いますが、委員各位の心かなる御協力によりまして、どうやらつつがなくこの最後の委員会を閉じることのできましたのを、この上もない光栄に存じている次第でございます、二つの委員会にわかれまして、委員各位はそれぞれどちらへ参ることかわかりませんが、いずれにいたしましてもわが國通信事業復興のために、この上ともにお互いに努力して参りたいと存じます。一言お礼の言葉を申し上げて、おわかれのごあいさつといたしたいと思います。(拍手)
 それではこれをもつて散会いたします。
    午後二時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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