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1949/05/24 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 懲罰委員会 第7号
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1949/05/24 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 懲罰委員会 第7号

#1
第005回国会 懲罰委員会 第7号
昭和二十四年五月二十四日(火曜日)
    午後三時二十分開議
 出席委員
   委員長 松木  弘君
   理事 大西  弘君 理事 河原伊三郎君
   理事 高木 松吉君 理事 渡邊 良夫君
   理事 石井 繁丸君 理事 小野  孝君
   理事 春日 正一君 理事 大西 正男君
   理事 小林  進君
      大橋 武夫君    田中  元君
      内藤  隆君    中川 俊思君
      福永 一臣君    福田  一君
      吉武 惠市君    稻村 順三君
      林  百郎君    島田 末信君
      玉井 祐吉君
五月二十三日
 委員中原健次君辞任につき、その補欠として玉
 井祐吉君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 議員立花敏男君懲罰事犯の件
 議員小西寅松君懲罰事犯の件
    ―――――――――――――
#2
○松木委員長 これより会議を開きます。
 議員立花敏男君懲罰事犯の件及び議員小西寅松君懲罰事犯の件を一括して議題といたします。この件につきまして、小林進君より議長及び法務総裁の出席を要求したいとの動議が出ております。この動議について趣旨弁明をしたいとのことでありますから、時間を三分以内ということにいたしまして、これを許可いたします。
#3
○小林(進)委員 この問題につきまして、われわれはいろいろ討論をして最後の結論をださなければならないのでありまするが、わが党といたしましては、ここにどうしても議長と法務総裁のこの問題に対する偽らざる心境を聞かないと、その罰の量定の上において支障があるというわけで、この動議を提出したのであります。こういう意味において、ここに私は議長と法務総裁の御出席を得たいというのであります。
#4
○松木委員長 小林君の動議を採決いたします。小林君の動議のごとく議長及び法務総裁の出席を要求するに賛成の方の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#5
○松木委員長 起立少数。よつて議長及び法務総裁の出席を要求しないことに決しました。
 次に石井繁丸君より、事実を明らかにするため、関係議員神山茂夫君及び佐々木秀世君の出席説明を求むべしとの動議が提出されております。動議の趣旨弁明を許します。
#6
○石井委員 時間の関係から要点を申し上げたいと思います。大体私は泉山三六君の懲罰及び外崎君の懲罰、林君の懲罰等に常に参加しておるのであります。大体これらの事情におきまして、本人の言うことだけを聞いて最後の結論を見出したことはないのであります。大体裁判というものは、本人が自白いたしても、やはり傍系の証拠というものを調べて、納得行くところで判定を下さないと、いかに本人が陳述しましても、本人の陳述だけに頼るということは間違いを來すのであります。特にあの議場におきまして目撃をしておつたという点から、もう事理明白として論断を下そうといたしておりますが、あの議場にいないところの懲罰委員もありますので、事実の発端であるような人々を呼んで取調べてみなければならぬのは明らかである。特に記録を見れば明らかな通り、小西君は神山君の胸を軽く押えたというのであります。あとでいろいろと林君から誘導されたような形において本人が論述した点がありますけれども、これはある意味におきましては、本人ははなはだ考えがまとまらないので、思いつきを言つたような形になつておりまするから、事実を論定するのには、どうしてもあの議場に居合せたところの人人を呼ばなければ、ほんとうの結論は出ないと考えます。その意味におきまして、神山君や佐々木君を呼ぶことは当然であろうと思う。
 なおこの際一言いたしたいことは、裁判の判決を下すのには、この実体だけを見ないで、なるべく廣く傍系的なことを調べて、そうして正しい結論を得るのが裁判の本質であります。懲罰委員会に、なるべく各党においていろいろと論議の強いという人ばかり集めて來て、眞相を追究するということについて誠意が欠けるように思われるのでありますが、そのほんとうのところを確かめるということが、党派を超えて懲罰委員会の任務でなければならないと思う。特にこの事件に、懲罰委員会に與えられた探究の範囲がきめられておりまするが、懲罰委員会は、世間から見ますと、院内におけるいろいろな懲罰的問題は、幅を廣く取上げてそうして國民に、國会はかようにして民主主議の確立に努力したという論拠を示さなければならないという立場から、神山君並びに佐々木君を呼び出して、そうして眞相――現場を確かめるのはもちろんのこと、それらの点を十分に調べて、そして國会の懲罰委員会の審議権を確立しなければならない。かような立場におきまして、私はとりあえず、神山君、佐々木君を呼び、そうして眞相を探求いたすことを提案いたす次第であります。
#7
○渡邊委員 石井君のただいまの発言でございますが、事件発生以來すでに五日も経過しておりますし、今日はわれわれはこの議場内における各議員の目撃によりまして、各人も十分にこれは承知しておることでありますから、この際は、いたずらに議事を遅延するようなことを避けまして、すみやかに私どもは議事の進行を進めるために、この石井君の動議に対しまして反対するものでございます。
#8
○松木委員長 採決いたします。事実を明らかにするために関係議員として神山茂夫君及び佐々木秀世君。出席説明を求めることに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○松木委員長 起立少数。よつて動議は否決されました。
 本懲罰事犯、両件につきまして、付託以來今日まで各委員諸君において種々御協議を願つて参つたのでありますが、この際立花敏男君、小西寅松君の両君について、まず懲罰を科すべきやいなや、及び懲罰を科するとすれば、國会法の規定する懲罰のどの條項に触れるかについて、大西正男君及び大橋武夫君より、立花、小西両君については、いずれも懲罰を科すべきものとし、立花君に対しては、國会法第百二十二條第三号により三十日間の登院停止、また小西君に対しては、同じく七日間の登院停止を命ずべしとの動議が提出されております。また石井繁丸君よりは、両君とも懲罰を科すべきものとし、立花君、小西君とも、三十日間の登院停止を命ずべしとの動議が提出され、さらに小野孝君よりは、両君とも懲罰を科すべきものとし、両君とも、國会法第百二十二條第四号により除名すべしとの動議が、それぞれ提出されております。ただいまの動議を一括して討論に入ることにいたします。討論の時間は申合せによりまして、一人五分以内に平均いたしたいと思いますが、御異議はありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○松木委員長 御異議がなければ、討論の時間は五分以内とすることに決しました。
 討論は通知順によつてこれを許可することにいたします。大橋武夫君。
#11
○大橋委員 私は民主自由党を代表いたしまして、本件に関する意見を申し述べたいと存じます。
 立花君に関しまする懲罰事犯は、議場におきまして交渉中の神山君が、押し合つて危險であると思いましたために、思わず自席から飛び出してその場所に接近し、同君と向き合つていた小西君の背後から頭部を強打したという点であります。これは神聖なるべき議場における明白なる暴力の行使であります。そもそも民主政治は、議会の威信によつてのみ保たれるのでございまして、また議会の威信は、議員の品位ある行動によつて國民の信頼をかち得ることによつて、初めて全かるべきものと存ずるのでございます。ことに言論の府でありまするところの國会内における暴力の行使ということ、議会政治に対する破壊的行為であるといわなければならないのでございます。かような意味におきまして、同君の行為は、議員の品位を傷つけ、秩序を乱すこと最もはなはだしいものといたしまして、將來この種事犯を根絶するためにも、ぜひともこれに懲罰を科するものとし、そうしてぜひとも懲罰をもつて臨むべきものと思うのでございます。わが党におきましても、これに対し極刑たる除名を至当とするという意見が多かつたのでございまするが、第一には、立花君の場合は、本人の陳述にありまするごとく、同僚を混乱から救い出すためのとつさの行動であつたということが第一点、またその後の立花君の態度は、この委員会において、われわれも認ます通り、きわめて改俊の情にあふれておるということが認第二点、また共産党におかれましても、これをはなはだしく遺憾とせられまして、このたび自粛の声明をいたし、今後絶対に暴行の挙に出でざる旨を明らかにせられますとともに、立花君に対しましても、眞に嚴重に反省を求めておられることなどを勘案いたしまして、このたびは罪一等を減じて、登院停止三十日をもつて至当と認めた次第でございます。
 次に小西君は、立花君により背後から不意打ちを受けたために、思わず衛視の制止を排してこれを追跡したる行動が事犯となつておるのでありまして、その動機は一應むりからぬことではありますけれど、議場内における秩序を乱した点に、これまた許すべきものではないのでございまして、懲罰をもつて臨むべきものであると存じます。すなわち登院停止一週間を至当と認めた次第でございます。
#12
○松木委員長 石井繁丸君。
#13
○石井委員 社会党を代表いたしまして討論いたします。私はこの事実につきましては、懲罰委員として懲罰の討論をいたすものでありますが、その前におきまして、私はこういうことを信ずるものであります。共産党は世間においては暴力革命の政党であると、かように思われておるのでありまするが、しかし前回私が質問したところによりますれば、立花君も、また林君も委員としておりまして、われわれは民主的に万事をやる、暴力は一際否定する、こう言つておる。たまたま立花君がこの問題を起した、こういうことは世間におきましては、共産党に暴力革命を旨とする政党であるから、その端的の現われとして、かようなことがあつたのであろう、こういう誤解を招くと思うのであります。これにつきまして、共産党の人々が國民に対しましてて、共産党は最も民主的な政党であるということから、立花君に対し、党議をもつて適当なる処置をいたすであろうと信ずるのであります。また民自党は世間におきましては保守反動的の勢力、あるいはまた非常に古い政党であるといわれておりまするが、最近努力をいたしまして、そうして民自党も最も民主的な政党とならんというところの努力をいたしておるのである。さような関係でありまするから、國民に対する関係におきましては、両党がその党の責任において事を決するであろうということを、確信をいたすのでありまして、われわれといたしましては、ただ二人の國会議長が議場において、そうしてたまたまあの雰囲気おいて、なぐるとかなぐり返された、この範囲におきまして事を論ずる次第になつたわけであります。先ほど私は論じたのでありまするが、この問題はすべからく事の懲罰の軽量というよりは、國会がどうあるべきか、あるいは國会議員がどうあるべきか、並びに國会議長が暴力的なことに対して疑いを受けたときにおいては、どういう処理をすべきか、こういう点万般にわたりまして、懲罰委員が國民の納得の行くように事の解決をはからなければならない、こういうふうに論じたのでありまするが、会期切迫の関係上当事者だけを尋ねまして、それらの傍証並びに関係者の陳述を聞くいとまがなくして論断するということは、われわれといたしましては不本意に思うものであります。私どもは小西君の初めの陳述並びにその後林君によつて誘導され、反対尋問によつて申したことによりまして、大体懲罰事犯に現われたことが明らかであつたろうと思うのであります。また立花君は率直に事実を述べておりまして、またこの懲罰委員の中にも目撃者も多くありますので、それらの人々の旨を信じまして、懲罰の事犯はこれは事実間違いなしと認定をいたすものであります。そういう立場に立ちまして、社会党は、懲罰委員会は求刑されたる範囲、動議の範囲において事を決するという立場よりしまして、ただいま委員長において申した通り、両者に対しまして一箇月の登院停止の懲罰を求めるものであります。
 先ほども申しましたが、われわれはこの一箇月の懲罰の動議に対しまして、これは懲罰委員会の問題である。対してしかるべき嚴正な処断を下して、公党の面目を保つであろうということを確信し、また國民もその点を確信しているであろうと思うのであります。懲罰委員会各位は各党に帰りましてそれらの点を建言いたされまして、懲罰委員会において盡し得なかつた点を十分に盡され、そうして政党の面目を保たれ、議会政治の高揚のために御建言あらんことを心からお願いをいたしまして、私の討論を終る次第であります。
#14
○松木委員 小野孝君。
#15
○小野委員 私は民主党を代表しまして、われわれの考えを簡單に申し述べたいと思います。平和的で秩序ある社会組織をつくらなければならないことはもちろん申し上げるまでもない。しかもそのことを果すためには、まず國会の権威と品位を保たなければならぬとは明らかであります。わが党はこの点につきまして、從來常に不断の努力を拂つて來たのであります。思い越しますと、第三國会においてわが党所属の生方大吉君のいわゆる小便事件なるものを越しました。しかもただちにわれわれは生方大吉君をして國会議員を辞職せしめたのであります。その当時の情勢をもつてすれば、幸い友党の力を借りれば、いかなる懲罰事犯が他党から持ち出されましても、これを押し切るだけの数はあつたのでありますけれども、いやしくも事柄が國会の権威を保つ問題であるならば数の問題ではないと考えまして、われわれは涙をのんで同君の辞職を勧告し、これを実現せしめたのであります。
 懸つて今回の事情を考えてみますると、議場に現われましたあの行動だけでも、國会の権威を傷つけるという点においてきわめて重大なるものがあります。しかも形式的には、本委員会の懲罰事犯の対象となる行為は、あの議場における問題だけに限定されるようにはなりましたけれども、われわれとしては量刑にあたつては、その行為の背後にひそむものに目をおおうわけには参りません。われわれは今回のあの乱闘事件なるものは、左右両院の政党にひそむある恐るべきものの露頭であると考えざるを得ないのであります。それらの点をもあわせ考えれば、両君にははなはだお氣の毒でありますけれども、日本の平和的な秩序ある社会を建設するために、また日本の國会の権威と品位を保つために、この際は犠牲になつていただくつもりで、両君とも除名の処分に付するのを至当と認めまして、われわれはあえてこの動議を提出した次第でございます。諸君の後賛成を得ることをお願いする次第でございます
#16
○松木委員長 春日正一君。
#17
○春日委員 共産党の態度は、すでにこの前の委員会でここで披露しました声明書に出ておる通りでございます。こういう問題を一つの刑事事件のように扱つて、根掘り葉掘り探して、本人に責任を負わせるというような解決はしたくない。問題はやはりああいう事件が起つたということは、議事の運営とかそういう点にまだ非常にうまくないところがあつた。あるいはそういう議場の空氣全体がああいう事件をつくり出したのだ。そういう面から事をただして行かなければ、今まで何回かの議会でちよくちよくそういう事件が起つて、懲罰はしても、やはりそれでは根が盡きないという状態から見ても、決して問題の根本的な解決ではない。要するに議員全体が今後こういうことを起さないように協力してやつて行くという腹を固めることが先決である。しかしとにかく一應そういう事件が出て來て國民の前に明らかになつた以上、これは一應何とか片をつかなくちやならない、そういう意味でこの問題は取扱つて行きたいと思う。しかし共産党に対していろいろこれを機会に暴力を振るう政党であるから、ぶんなぐつたというような非難がいわれておるけれども、われわれは今までかつてそういう事件の中に巻き込まれたこともなかつたし、そういうことをきらつておつた。たまたまああいう事件が起つたために、あらためて今後絶対そういうことはやらない、自分たちがやらないだけでなく、こと國会全体の空氣がそういうことを決議するようなふうになるように今後努力しなければならないと思つておる。そういう意味で今度この問題については私は二人の量刑というものを出さなかつた。なぜ出さなかつたと言えば、できるだけ二人の人に負わせる責任を軽くしてもらいたかつたという意味で出さなかつたわけです。そういうわけで私どもとしては今後この國会内における政治的な活動及び國会外における政治的な活動を通じて、われわれが常に揚げておるところの人民の生活の向上、日本の独立、民主化というために戰う、その努力の中においてこの問題の根本的な解決をして行きたい。こういう立場を表明しておきます。
#18
○松木委員 大西正男君。
#19
○大西(正)委員 私は民主党を代表いたしまして本件に対しまする態度を簡單に申し上げたいと思います。
 今回平川君の御提案によりまして本委員会に書かれましたところの立花並びに小西両君の議場内における行為が、議場の秩序を乱し、國会の威信に対しまして汚点を印しましたことは、まことに遺憾であります。と同時に、その事実はこれをおおうことのできないところであると思います。かような意味合いにおきまして、両君とも懲罰事犯に該当いたしますことは異論のないところであると存じます。從つて次の問題といたしまして、いかなる罰條によつてこの両君を処罰すべきかという問題につきましては、わが党といたしましては、ルールに從がい公正に、かつお互いに信義を守つて行かなければならないところ議会政治におきまして、かような暴力が行使されたということは最も遺憾とすべきであります。しかも立花君に至りましては、不意に小西君の背後よりその頭部を殴打したというのでありまして、その行為たるやまことに極刑に値するものと考えるのであります。しかしながら同君の弁明並びに当時の議場の客観的な状況等を勘案をいたします際におきまして、そこにやはり情状を配量すべき点が存ずると考えるのであります。また小西君の立場におきましても、その行為ははなはだ軽からざるものがあると思うのでありまするが、しかしながら平井君の御提案になりました、そうしまして、またわれわれ委員が與えられておりまする権限の内部におきまして、小西君の行動というものはいわゆる誘発されて、そうしてとつさの間に、興奮の間になされたものといわざるを得ないのであります。從いまして立花君と小西君とのこの事犯に対しましては、その間に差等を設けることは当然のことと考えるのであります。さらに情状の点につきまして、先ほど小林委員並びに石井委員よりそれぞれ法務総裁あるいは議長の出席を求めて、あるいはその他の証人の喚問を求められたのでありますが、事柄は先ほど申し上げましたように、また民主自由党の渡邊君より先ほど反対の御意見がありました通りに、本件につきましては本委員会の成立いたしておりまするその問題の範囲を逸脱するものでありまして、私は本件の情状を考える点におきましても、われわれが今日まで委員会におきまして審議をいたして参りました程度において必要にしてかつ十分であると考えるのにあります。ことに法務総裁あるいは議長の答弁がいかように相なろうといたしましても、その議長並びに法務総裁の態度いかんによつて両君の責任はいささかも加重されることもなく、また軽減されることもない、すなわち何ら左右されるところがあるべきではないと存ずるのであります。かような意味合いにおきまして、わが党といたしましては大橋君の御動議、すなわち立花君を登院停止三十日、小西君を同じく七日間に処するというこの動議に賛成をいたすものであります。
#20
○松木委員 小林進君。
#21
○小林(進)委員 私は民主政治あるいは議会政治というものは二つの原則の確立を常に心がけていかなければならないということを考えております。その一つは言論の自由であります。徹底的なる暴力の否定と、徹底的なる言論の自由、この二つを獲得することによつてのみ眞の民主政治が、あるいは議会政治が確立せられると思うのであります。こういう観点から私は今一つの暴力の問題を扱つておるのであります。これに対して私もこの議会における前例をわずかながら調査してみたのでありまするが、惜しむらくはわが國会は明治の創立以來、まだこの言論の自由と暴力の否定というものに対する努力がいささか足りないような感じを受けるのであります。最近の例をもちましても、單なる一つの営業のやりとりで西尾末廣氏が除名になつておる。「スターリンのごとく」というたつた一つの言葉で除名になつておる。こういう言論の大きな自由の圧迫は、私自身考えて、これは議会政治の一つの汚点である、永久に残る汚点であると思うのであります。このたびの議会においても、林君が單なる一つの「その部分だけは」という言葉の漏洩が彼を懲罰動議にかけた。これも私は極力反対をいたしました。正しい言論の暢達のために、われわれはこういう無批判な行動をあくまでも避けて行かなければならないという主張でありますが、一方この暴力に対しましてわが日本においては、これを軽視しあるいは英雄視するような傾向がある。これに文化日本の達成、あるいは暴力を否定したわが日本の將來のために、こういう國民的な思想は徹底的にこの議会においてまずこれを排撃するところの主張に向わなければならぬと私は思うのであります。しかるにこの懲罰の前例に対しまして、先ほども言われた外崎君あるいは泉山三六君、こういう方々は議会内における、あるいは議会外における酒を飲んだ上の悲痛なる一つの失態である。けれども、その失態を社会の非難に耐えかねて、彼らはみずから身を引いた。この酒の上の失態と今日の暴力をわれわれが正しく議会政治を育て上げるという観点からながめた場合に、どちらの罪を重く考えるべきか、そこに論点の差があると思う。單なる酒の上の失態というよりも、むしろわれわれは暴力というものは、この議会政治の上から徹瀞的に排撃して行くところに、眞の新しい議会政治の使命がある思う。
 こういう観点からこのたびの両者の問題は、特に第一の立花君の問題は、同僚立花君をむちうつ点において、私ははなはだ忍び得ないけれども、眞に正しい議会政治の暢達のために泣いて馬謖を切るという氣持で、百二十二條第四号の除名の処分、それからもう一つの小西君の問題でありまするが、これにわれわれの動議提案の範囲内という事件のわくをきめられた。そのわくの範囲で行くならば、議場内の小西君の行動だけに限定しなければなりませんが、先ほども民主自由党の方々が言われたように、その場の行動、あの議場における小西君の過重なる防衛行動に基いて、その後の行為というものは、われわれに十分あそこで予見できた。だからこの問題について、もしも先ほど私が動議を提出いたしましたごとく、議長と法務総裁がここに現われて、その後の行為に対して職権に基いて正しくこれを処置してくれるというならば、われわれはそういうその後の行為については、ここに一應ピリオドを打つて、そうして一つの判定を下さんとしたのでありますけれども、動議が敗れて議長も現われず、法務総裁もこれに対して言質を與えないということになるならば、われわれはいやがおうでもその後のことも心理的な影響として考えなければならぬ。先ほどそういうこと毅然とわけるべきであるということを民主党の野党の方が言われましたけれども、われわれは裁判官ではないけれど、事を議決する場合には、やはり情状酌量の資料として、あるいはまた前科がその資料になるがごとく、あるいは社会的批判がその資料になるがごとく、すべての問題を総合提案して結論をださなければならぬということは、これは決して誤つた行為ではない、そういうことから私は小西君にもはなはだお氣の毒ではありますけれども、これまたひとつ除名の処分に付すべきであると思うのであります。
 ただここで一言つけ加えたいことは、泉山、生方両君においても、先輩はそういう行動について彼らはみずから身を処決せられた。私はこの問題も、十九日に起つてしかも今日二十四日に相なる、その間に賢明なる同僚議員諸君を擁せられておる民主自由党、共産党においても、前例にならつて、ただちに自決の態度をとられるものとほのかに期待しておつたのにかかわらず、事ここに至らずして、われわれがわれわれの、同僚に対して最後の判決を下さなければならないということになつたことは、はなはだ残念ではありまするが、どうかこの後でもよろしうございますから、りつぱにひとつ自決をとつて、この議会政治の前途のために御努力あられるようにおとりはからい願いたいと思いますが、それはそれとして、両氏の除名を私は要求するものであります。
#22
○松木委員長 玉井祐吉君。
#23
○玉井委員 労働者農民党を代表いたしまして討論をいたします。
 今般の事件は、單に共産党の立花君と民主自由党と小西君の一人々々の議員の問題では決してないのであります。今まで討論された方々においても言われておるように、この問題は日本の國会の問題であると同時に、日本の現在の政治の中における民主化の程度の現われであります。現在の日本の各政党は、もちろんわが党も含めてでありますが、いまだになおデモクラシーの公理さえもわきまえておらない面が非常に多い。こういうことから見て、國会は進んで民主政治議会というものをつくつた。今回のごとき態度をとらないように、むしろ進んでこれらの二人の人たちに対して、公平にまつたく同じ立場において、全然処罰しないか、もしくははつきりとただいま提案のあつたように除名するか、いずれかの方法を考えなければならないと思うのであります。現在の國会におきましては、言うまでもなく國会の議場内において、またこの院内において暴力行為があるべき性質のものではない。しかるにかつて進歩党といわれておつた時代に、守衛の人たちに対する暴力行為が問題にされたことがあつたように、現在の國会の中において今まで幾たびかあつたのであります。そうして幾たびもあつたのだからこれはやむを得ないというような考え方に卑怯な考え方だと思う。むしろこの際は進んで日本の國会を構成しておる各議員諸君並びに各政党は、進んでこの問題を勇敢に解決することを要求するものであります。特に國会の中において自由なる発言というものについて、いろいろな面から制約を受けることは、これまたやむを得ないのでありますけれども、しかし先ほど一應の弁護の理由として、とつさの間であるとか、あるいは突然やつたんだというように、意思を働かすだけのひまがなかつたのだからやむを得ないというような御意見があつたのでありますが、むしろ意見を働かすことができないでやつた行動にこそその本質である。こういうような行動をとる人こそ、むしろ危險だと私は思うのであります。日本の國会をほんとうにお互いに理性に訴えた意思に從つて行動をするということをとらせるために、これが意思に基いたものではいという理由によつて甘く考えてはいけないと思う。しかも議院の一人としてこの國会を一つの社会と考える場合には、社会防衛論の立場から断固として処分しなければならぬ。また他方において、そういう意味とは別に、現在日本の國の刑法を支配しているところの應報刑論の立場においても、悪いことをした者はその立場においてはつきりと処分するということを、すべからく議院は決定すべきであると考えるのでおります。
 以上のような理由から、わが党におきましてはこの際御両名に対してはまことにお氣の毒ではありますが、日本の國の民主主義を日本の國民の人々の上に、國会から進んでその範をたれて植えつけて行くために、また國会自身をほんとうに平和に論議することのできる殿堂とするために、あくまでもこのお二人に対してまことにお氣の毒ではありますが、この際進んでやめていただくというような形において方針がとらるべきであり、それがとられない以上は断固として除名の処分をして、日本を守らなければならぬ、國会を守らなければならぬという理由において、ただいま申し上げたような討論をする次第であります。
#24
○松木委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。まず大西正男君及び大橋武夫君提出の動議について採決いたします。小西君及び大橋君の動議は、立花、小西両君について、いずれも懲罰を科すべきものとし、立花敏男君に対しては三十日間の登院停止、小西寅松君に対しては七日間の登院停止を命ずべきものと決すべしというのであります。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#25
○松木委員長 起立多数。よつて動議のごとく決しました。
 これにて両件に関する審査を終了いたしました。両件に関する報告書は委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
#26
○松木委員長 御異議がなければさように決します。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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