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1949/04/23 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第15号
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1949/04/23 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第15号

#1
第005回国会 地方行政委員会 第15号
昭和二十四年四月二十三日(土曜日)
    午前十一時三十四分開議
 出席委員
   委員長 中島 守利君
   理事 生田 和平君 理事 川西  清君
   理事 久保田鶴松君 理事 立花 敏男君
   理事 圖司 安正君
      井上 知治君    大泉 寛三君
      大内 一郎君    川本 末治君
      菅家 喜六君    清水 逸平君
      野村專太郎君    龍野喜一郎君
      足鹿  覺君    門司  亮君
      谷口善太郎君    田中  豊君
 出席政府委員
        総理廳事務官  荻田  保君
        國家地方警察本
        部長官     斎藤  昇君
        國家地方警察本
        部次長     溝淵 増己君
        國家地方警察本
        部部長     柏村 信雄君
 委員外の出席者
        議     員 河口 陽一君
        專  門  員 有松  昇君
        專  門  員 長橋 茂男君
        調  査  員 丸山  稻君
    ―――――――――――――
四月二十二日
 地方自治法の一部を改正する請願(中島守利君
 紹介)(第四八四号)
 地方公務員法案に関する請願(門司亮君紹介)
 (第五二六号)
の審査を本委員会に付託された。
同月二十一日
 都道府縣選挙管理委員会に対する経費援助の陳
 情書(都道府縣選挙管理委員会連合会長松崎権
 四郎)(第二一二号)
 選挙法令に関する陳情書(都道府縣選挙管理委
 員会連合会長松崎権四郎)(第二一三号)
 市町村消防費國庫補助増額の陳情書(愛知縣議
 会議長大見為次外六名)(第二二〇号)
 衆議院議員選挙法一部改正の陳情書(東京都議
 会議長石原永明)(第二二四号)
 地方配付税並びに地方起債に関する陳情書(中
 津市長淺沼義男)(第二三三号)
 地方産業行政と産業金融の協調促進を図る金融
 制度樹立の陳情書(福岡縣議会経済常任委員長
 野田貫造)(第二五五号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 大阪市におけるデモ取締事件に関する報告聽取
  請願
 一 町村吏員恩給組合に対する國庫補助増額の
   請願外一件(井出一太郎君紹介)(第五
   号)
 二 町村吏員恩給組合に対する國庫補助増額の
   請願(植原悦二郎君紹介)(第三九号)
 三 同外一件(佐竹晴記君紹介)(第四二号)
 四 同(塩田賀四郎君紹介)(第五八号)
 五 地方税法の一部改正に関する請願(川野芳
   滿君外四名紹介)(第八八号)
 六 地方債の償還期限延長及び利率引下に関す
   る請願(足鹿覺君紹介)(第一一三号)
 七 地方公共團体の國家委任事務費全額國庫負
   担等に関する請願(河口陽一君紹介)(第
   一六二号)
 八 町村吏員恩給組合に対する國庫補助増額の
   請願外一件(小坂善太治君紹介)(第一八
   三号)
 九 同外六件(佐々木盛雄君紹介)(第一八四
   号)
一〇 盲人に対する地方税減免の請願(林好次君
   紹介)(第二六〇号)
一一 助産婦に対する特別業務税廃止並びに再教
   育費國庫補助の請願(近藤鶴代君紹介)(
   第二六三号)
    ―――――――――――――
#2
○生田委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長の指名により私が委員長の職務を代行いたします。
 まず派遣委員より報告聽取の件を議題といたします。すなわち本件は、去る三月二十七日及び四月二日に、大阪市において発生したデモ取締りについての事件を、本委員会としてきわめて重視いたしまして、四月十三日より四日間、河原伊三郎君、菅家喜六君、久保田鶴松君、立花敏男君を派遣いたしまして、その眞相糾明にあたつていただいたのであります。派遣委員より報告が委員長の手元に提出されております。まず久保田委員より本件調査に関する理由について一應御報告があると思います。久保田君。
#3
○久保田委員 ただいま委員長からお話もございました通り、本委員会といたしまして、三月二十七日と四月二日の大阪市における労働者に対しての警察の彈圧事件に対して、委員会がこれを取上げて、いろいろと審議をしていただいたのでございますが、このことにつきまして私たち四名が、十四、十五、十六の三日間にわたりまして、各方面とのいろいろの連絡もいたし、大体至れり盡せりの調査をいたしたつもりでございます。いろいろこの調査の内容につきまして報告をいたしたいのでございますが、大体私たち調査委員の意見が一致いたしております。その点につきまして大綱は、一應菅家さんからひとつ御報告していただきたい、かように存じます。
#4
○菅家委員 ただいま委員長のお手元まで、大阪治安事件の調査報告書を印刷にしまして各委員にお配りいたしてございますが、大体の経過と結果を、簡單に私より御報告申し上げたいと思うのであります。
 去る十三日より十六日まで四日間、大阪デモ取締り事件に関する調査團として、われわれ四名は大阪におもむきました。大阪府廳の御好意によりまして、府廳の應接間を調査團の調査室にお借りをいたして調査をいたしたのであります。
 まず調査の箇処を先に御報告申し上げたいと存じます。三月二十七日、四月二日の両日行われました大会の主催者側の意見を聞くことが第一であると存じまして、両大会におけるところの主催者側のお集まりを願いまして、われわれ調査委員は主催者側の意見を聽取いたしたのでございます。次に大阪府の公安委員、大阪市長、大阪市会における警察委員会がちようど開かれておりましたので、この警察委員会に全調査委員が臨みまして、その経過を傍聽いたしました。次に大阪警察局長、公安部長、消防局長、これらにつきましてその眞相を聞きただしたのでございます。
 次に大阪市における各政党支部の幹事長の意見を求めることにいたしまして、民主自由党、民主党、共産党、社会党の各党の代表者の方に御参集を願いまして、各政党支部の代表意見を聽取いたしました。
 次に大阪市内に発行いたしておりまする各新聞社の代表の方々の御参集を願いまして、輿論機関の意見を聽取いたした次第でございます。なおデモ行進路の実地踏査をいたしまして、その際両大会において負傷された負傷者にも直接会つて当日の事情を聽取いたしました。さらにまた両日檢束された者がありましたので、それら檢束をされた人々にも、直接われわれ調査委員は面接いたしまして、当日の模樣を詳細に調査をいたした次第であります。その調査に基く詳細は報告書にすべて書き連ねておいたのでありますが、結論として私どもは本調査に基いて警察に行き過ぎがあつたという点において、全調査委員の一致した意見に相なつたのであります。その警察の行き過ぎの点はいかなる点であつたかと言いますと、まず第一に大阪の鈴木警察局長は新聞紙を通じて、大阪市民に警告文を発表いたしております。この警告文の内容は先ほど印刷されたものがお手元に配られておるはずでありますが、この警告文というものは、まことに重大な文字を連ねてあります。すなわち三月二十七日に行われましたところのデモは、暴動化するおそれがあるということを前提として、あの警告文を書いてあるのであります。私ども四名の調査委員の調査によりますと、三月二十七日の大会、もしくはデモ行進等は暴動化するおそれがあつたということは、認め得なかつたのであります。かかる前提のもとに四項目にわたるところの、制圧の方法手段を書いてあるのでありますが、この重大なる警告文を市民に発表する前に、その警告文を公安委員会に諮つておりません。また市長の決裁も経ておりません。取締りの権限内において発する警告文であつたにせよ、これは公安委員会に当然かくべき筋合のものである。また市長にも一應決裁を受けて、しかる後に発表することが、穏当なる処置とわれわれ調査委員は考えたのでありますが、鈴木局長がこの挙に出でず、自分一個の考えで重大なる警告文を新聞紙を通して、大阪市民に発表したということは、警察の大きな行き過ぎであるということを考えたのであります。その次には消防局長とわれわれが面接いたしたのでございますが、消防局長と警察局長の意見が対立しておるということを発見いたしたのでございます。消防局長は、消防組織法の二十四條に掲げておるところの行動以外に、ポンプ、タンクの使用というものをいたしたくない。すなわちデモ行進等にポンプを備えることはよろしいのであるけれども、放水するがごときことは、なるべく差控えたいということを強く主張いたしておりました。しかも三月二十七日のデモ行進の際も、警察局からの要求によつて、二台のタンクを出しましたけれども、これを使用しないでしまつた。しかるに四月二日のデモ行進には、二台のタンクを使用して、大会終了後、デモ行進の一番最終地点において、デモ隊に放水しておるのであります。消防当局はできるだけかくのごときことに、消防タンクを使用せざることを、消防局長は口をきわめて言つておるのであります。警察の鈴木局長は、もし消防がかくのごとき事柄にタンクを出動せしめることを拒絶するならば、警察は單独にタンクを購入して、デモ取締りに使用するということを、われわれの前に明言いたしておるのであります。もし警察が單独にタンクを購入する。しかもその購入したるタンクをデモ行進等の取締りの武器にするということになりますれば、法律的にこれは一つの改正をしなければならないことでありまして、しかもそのタンクを購入するにあたつて、公安委員会、市会等の決議を経なければならないのでありますが、それらのことも経ずして、自分單独でタンクを購入して、それに備えるというがごときことを國会代表の調査委員の前に明言するがごとき態度は、まさに警察当局の行き過ぎの態度であるとわれわれ調査委員は看取して参つたのであります。
 次に当日の警棒とポンプの使用の件でありますが、大阪警察局においては、当日の模樣を十六ミリに收めて映画にしておりましたので、われわれ調査委員は警察局の地下室において、その映画を見て來たのであります。この映画にはつきり現われておりますものを見ますと、取締りにおいて警棒を持つてやりましたが、むしろその使用方法が民衆を刺激したように感ぜられるのであります。デモ行進の行進路を実地踏査いたしました点においても、ことさらに狹い道路を行進に使つたということを、われわれは発見することができる。その点を警察に質してみますと、これは関係当局よりの命令によつてその道路を行進路にしたということを言つておるのでありますが、実地を調査したるところによりますと、その狹い道路を行進せしめず、むしろそれよりももつと取締りに適当な道路が数本あつたように感知されるのであります。関係方面よりかくのごとき命令がありましても、警察としてはその事情をよく述べたならば、その狹い道路を通らずして、もつと適切な道路を行進せしめることが、当日の取締りとして最も急務であつたと思うのでありますが、その挙に出ず、むしろ警察が狹い道路を選ばせたというようなことも、われわれは看取できたのであります。これも一つの警察の当日の取締りの手落ちで、行き過ぎのように考えられるのであります。その他こまかい点は調査書に記入いたしておりましたが、結局行き過ぎがあつたということは、全調査員の一致したる意見であります。しかも公分委員、市長、大阪市会における警察委員会、各政党の代表、各新聞社の代表、これらの人々に会つてみましても、ことごとく異口同音に叫ぶのは、鈴木警察行政に行き過ぎがあるという点を一致して述べておりました。これを否定する何らの意見も、われわれは聞くことができなかつたのであります。
 ここにおいて私ども四名は、最後の十六日に大阪市内の各新聞記者立会いのもとに、大阪市長、公分委員と大阪市役所において会見いたしました。しかしてこの三日間における調査の結果を見ると、結論として警察に行き過ぎのある点を述べまして、さりながらこの解決の方法は、われわれ調査委員は、解決に來たのでもなければ、糾彈に來たのでもないのであるから、あくまで自治警察は自治体においてこの解決の道を急いでもらいたい。また各新聞が連日にわたつてこの事件を大きく取扱つている経過等を見ても、大阪府民が両日におけるデモ取締りに対する騒擾事件より非常なる不安を抱いておる。すなわち五月一日のメーデーを控えて、またかくのごとき事件が起るならば、大阪市民の非常なる不幸であると非常に重大視しておるのであるから、捨て置かず、市当局、並びに公安委員というものがこの解決に当るべきであると思う。この点において警察の行き過ぎ等を十分しんしやくされて、これに善処されんことを私ども調査委員四名はこもごも市長並びに公分委員に申し述べたのであります。それに対して大阪市長、公安委員道をそろえまして、國会の問題までになりまして、地方行政委員より調査團までの派遣を見たことはまことに恐縮にたえない。ことごとく今お述べになつた点を私どもも認める。よつて御忠告によつて、ここ二、三日中にわれわれ公安委員と市長は協議を開いて、この問題の解決に当るので、御安心を願いたいという御あいさつを得た次第でございます。
 大体の結果と結論は右のような次第であります。なおわれわれが今後一つの残されたる疑問として考えなければなりませんことは、消防組織法の第二十四條でございますが、この消防組織法の二十四條に基いて、大阪警察局と消防局というものは、一つの協定を行つておるのであります。今度の四月二日におけるタンクを出動せしめて、放水したるところの法的根拠は何かということを調査いたしてみたのでありますが、警察当局は消防組織法の二十四條によつて、タンクを出動せしめたのではない。これは消防局と警察局との協定に基いたる職務の執行範囲におけるところの契約によつたと鈴木局長は述べております。さりながら消防組織法は、明らかにかくのごときことに消防タンクを使用することを書き連ねておりません。この消防組織法に基く両局の協定なるものは、法的根拠において、かくのごとき行動をすることは許されるかどうかということは、残されたわれわれの一つの疑問であり、研究課題であるということをわれわれ調査委員四名は考えて來た次第であります。
 なお調査資料としては、警察局長の大阪市民に配れるところの警告文、各新聞の切拔き、三月二十七日、四月二日に行われました大会当日の写眞数枚、大阪市の警察委員会と消防委員会の速記録、両日大会の経過書、両主催者より提出になりましたもの、なお各團体よりわれわれに対する陳情書が、三日の間に数通提出されましたので、これらを調査の参考書類として、この調査書につけ加えた次第でございます。
 以上簡單でございますが、大体調査書に基く大綱の結論の御報告を申し上げた次第でございます。なお本委員会として、右の報告書は各新聞紙上をにぎわしておりますだけに、重大問題であると思います。また調査委員を地方行政委員会が、わざわざ大阪に派遣したという事柄から考えてみましても、これは委員長の方において議長にこの報告書を提出され、さらに本会議に、この報告文書を全員に配りまして、さらに口頭をもつて本会議に御報告をいたしておきたいということを、われわれ調査委員四名は委員長にお願いいたしておく次第でございます。
 以上をもちまして報告にかえたいと思います。なお本報告書は丸山調査員より御朗読になるのでありますが、速記録にこれをとどめておく必要があると思いますので、その点もお願いいたします。
#5
○生田委員長代理 朗読はすべて速記録にとどめます。それでは丸山調査員をして朗読いたさせます。
    〔調査員朗読〕
   大阪治安事件調査中間報告書
  大阪治安事件に関する調査については後日詳細な報告書を提出いたしますが、不取敢別紙の通り中間報告を致します。
  昭和二十四年四月二十日
    衆議院地方行政委員
           菅家 喜六
           河原伊三郎
           久保田鶴松
           立花 敏男
       調査員 丸山  稻
   地方行政委員長中島守利殿
   大阪治安事件調査報告
  去る三月二十七日及び四月二日大阪市に惹起した治安事件について、地方行政委員会から現地調査の為派遣せられました委員菅家、河原、久保田、立花の四名は丸山調査員を帶同して四月十三日東京を出発し、同十四、十五、十六日の三日間に亘り大阪市に滯在、両日の事件の直接の関係者は固より大阪府及び大阪市当局、大阪市公安委員会、同警察局、同消防局等について当時の事情を詳細に調査すると共に両日の事件発生の現場を視察し、更に大阪市会警察委員会の審議の情況を傍聽、或い各政党大阪支部幹事長の会同を求めて本件についての政界の意見を聽取し或は新聞報道関係各社主脳部の会合において一般社会の輿論の動向を伺ふ等、本事件の眞相を把握し、各方面の本件に対する意向を聽取察知するに遺憾なきを期して出來得る限りの調査を為し又各種の関係資料を蒐集、十六日午後三時新聞記者との最終会談を以て調査を卒へ、同夜大阪発、翌十七日帰京いたしました。
  調査の具体的内容即ち調査箇所、調査項目及其の結果の詳細については別紙日程に依る報告書に讓りますが結論とする処を極めて概括的に申しますれば、本件は大阪の治安上及び労働運動指導の面からも極めて遺憾な不詳事件であつて今後再びかかる事件の起らない樣に関係当局は固より大阪市民も又充分考慮せねばならぬ所と思います。
  調査に依りますと市警察当局の説明と示威行進の責任指導者側の言分との間には、若干の齟齬がありまして、その原因或は罪が何れにあるかは遽かに断定はいたし難いのでありますが、両日の大会後の市中示威行進に於て之が取締りに当つた警察との間に、数ケ所に於て衝突があり、為に双方に負傷者の出た事は事実であります。
  ピストル(拳銃)の使用はなかつたのでありますが警棒の使用による打撲、傷毆打或は又プラカードの破片等に因る怪我の為に流血の惨を見た事、更に警察が消防の應援を得、四月二日の示威行進の解散地点に於て消防ポンプが放水した事は事実であります。鈴木大阪市警察局長は法の執行は対象の如何に依つて、之を二三にすべきでなく、嚴正公平に法に從ひ之を行つてゐるのであつて法規違反を制圧したに止り、決して労働者なるが故に之に彈圧を加へたわけではなく、亦今回の処置は違法とは考えない。將來も同じ方針で取締りに当る積りであり、消防の協力も促がすし、放水もする。消防が協力を肯んじなければ警察自ら將來はタンク自動車も購入し出動させる。取締の方針としてはあくまでも法の前には凡てが平等でなければならぬ。さもなくば法の権威や警察に対する信頼はなくなる。法を感情を以て考えるのは、民主主義ではなく、相手に依つて取扱を二三にし、法に幅をもたせる事はいけない。
  法を励行する為には多少の摩擦があつても止むを得ぬのである。四月二日の取締についても警察側が挑発的であつたといふけれども、寧ろ三月二十七日の例に鑑みて工夫をこらし警察隊員は目立たぬ所に配置或は待機させ衝突の機会を少くしたのであるが、問題の起つた場所に一時多数の隊員が集つたので挑戰的に見えた処があり、之が為甚だ多数出動した樣に見えられ、非常に誤解されたのである。消防ポンプの放水や警棒の使用も示威行進隊側が法令乃至指示にも許されていない。
  ヂツグザツグ行進や据り込みを為し、警察吏員の制止或は指導に從はなかつた為に実力行使して、之を制圧したまでであつて負傷者は警察隊員側にもあるし、労働者の負傷もプラカードの破片によるものもあるのである警察としては、その職務執行権に基いて不法越軌の行動を取締つたのにすぎないと弁明し、或はその所信を言明したのであります。然し乍ら一方人民大会及び労働者大会の責任者等の説明する処に依れば、市警察当局は必要以上多数の警備員を出動配置し或は消防自動車まで待機させる等彈圧が計画的であり、行進進路も狹隘で解散場所も適当でなく、摩擦を生じ易く、混乱を誘発したのであり、警察吏員の警棒の使用、挑発毆打は行進隊列を混乱させる原因であつたのである。即ち警察当局の態度は挑戰的であり、苛酷であつて為に今回の負傷者或は犠牲者を生ずるに至つたのであり、之一に鈴木警察局長の態度と指導方針とによるものであつて、労働運動乃至民衆運動に理解なく猥りに警棒を振つて流血の惨を演じ或は消防ポンプを以つて、放水する等警察の暴挙は、到底許し難く一日も早く其の責任者たる局長の非違を糾彈し其職を去らしめるべきであると主張して居るのであります。
  之を大阪市当局即ち市長、公安委員会、同消防局長等の直接関係当路者についてその意嚮を訊し、警察委員会に表はれた市会の空氣を洞察し、事件発生の現場を視察し又事件当日の記録映画或は寫眞、其地新聞記事歎願書等の諸資料を点檢し、更に大阪市に於ける政党各支部の意見或は新聞、放送等輿論代表機関の意嚮を徴し、之等を綜合判断して得たる結果によれば、今回の事件に於いて警察当局は法の百パーセント実施或は違法行為の初動に於ける完全鎭圧の指導方針によるものか法規の励行に急且嚴であつて準備或は取締の実際に於いて相当に行過ぎがあつたかに思はれ、鈴木警察局長は関係各方面とも充分なる連絡了解を遂ぐるに欠けた所があり、其の警察行政は市民の完全なる協力、輿論の全幅的支持を得てゐないものと認められるのであります。
  即ち四月二日の大会に先たち、之が取締方針について、「不法越軌の行動を継続する者は警棒其他の方法に依り徹底的制圧を受くること」等四項目を含むデモ行進に関する警告文を発表するについて警察局長は公安委員会と事前の了解なく、又消防組織法第二十四條の規定に基いて警察消防両当局の間に相互協力に関する協定を結んでゐるのでありますが、その警察消防應援協定の成立乃至四月二日消防隊の出勤要請についても手続或は執行に於いて関係者との間に完全な了解と円滑な発動を見てゐないのであります。
  何故に大阪にかかる事件が起つたか、固より示威行進隊の側に於いても自粛すべきものがあつたであらうし又其の他の原因もあつたでありませうが鈴木局長の人其物即ち彼の取締方針と態度が與つて力ありといふことは多くの人々の異口同音に認める所であり本調査團もかく看取したのであります。即ち局長は法の執行に嚴であり自己の所信には信念的に堅持する所があるとしてもその態度に独善的高踏的なものがあつてその所信を充分に関係方面なり輿論或は市民に徹底納得させるだけの用意を欠いてゐると思はれます。市会の警察委員会に於ける本件審議の情況より察すれば市の輿論、市民代表の局長糾彈の空氣は峻嚴であつて局長の警察行政は一般市民の協力を得てゐないものと認められます。即ち今回の事件に於いて警察は明かに法規違反を為したとは断定し難く又市の警察委員会もかく認定はしておらぬけれども局長の態度に対しては不満と不信の色濃く警察が行過ぎを為したものとして將來に向つて善処しようとしてゐる模樣であります。
  政党各支部の意向としては民主党が警察局長の非違乃至進退について現在中立白紙の態度であるの外他は凡て或は從前より局長の経済事犯取締の峻嚴なる嚴罰主義に怨嗟の声を放ち或は労働運動に対する無理解を痛罵し其糾彈を続けようといふに一致して居ります。又新聞放送等報導関係に於いては独り一有力紙幹部が取締の技術はとも角警察が違法の行為をなしたとはいへず、從來の経済取締に対する反感と結合して局長を彈劾し政治的に之を取扱ふことは注意すべきだとの自重説をのべた外他は殆んど一致して当日の警察側の取締りの苛酷であつたこととその行過ぎを認めまだ違法とは認められるまでには至つてゐないが取締りには尚工夫があるべきである、当日の警察の態度には挑発的な所があり勤労者に対する思いやりがなく其取締は強圧的であつた、鈴木局長が退職して貰ひ度いといふのは輿論であるといふ意向であつたのであります。
  以上各般の事実を綜合して考へますとき、固より本調査團の各委員は各その見る所に差違はありましても、その共通する処は今回の事件に於いて大阪市警察当局に於いて取締の態度方法に遺憾の点がありたとへ明白なる法規違反はないとしても妥当を欠き行過ぎを為したことを認めないわけにゆかないのであります。例へば示威行進の進路の選定は必ずしも警察当局の思ふに任せぬ事情もあつたでありませうがあまりにも狹い街路線が選ばれてゐたり又屈曲が多くして轉回点に於いて衝突を招き易く、或は誤導による折返しもあり、警戒を嚴重にして多少の動搖にも警棒の使用或は警戒車の威圧等によつて可成示威行進体に刺激を與へたかに見うけられますし警棒の使用によつて流血を見、消防車によつて放水したことは実に遺憾であります。
  如何に法を正確に遵守、嚴正公平に執行し励行しようとも、民主警察の実を挙げる為にはよく相手の理解を得、納得のゆくような態度を以て工夫をこらして警察権の実行に当らねばなりません。大阪市民の警察である自治体警察に於いては市民各層の協力援助なくしては警察行政の円満な運行を計りその目的を達することが出來ないことは明らかであります。
  鈴木警察局長が從來一般警察行政に対して採つて來た態度方針及び今回の取締の実際について見る時、今回の事件の発生も又故なしとは思はれぬのでありまして此点については局長は警察側の違法は固より行過ぎも認めず彈圧どころか寧ろ警察が被害者であつて相手方の今後の自粛を求め度いといつてゐる位で固より局長自らの方針の非は認めず自己の責任は問題としてゐないのでありますが、鈴木局長自らこの点に関して再省三思すべきものがあると思ふのであります。抑も本調査團は現地に於て事件の眞相を調査し合せて彼地の各方面の意嚮と輿論を察知いたしまして本事件の解決或は関係法規の改善等について國会としても為すべき事がありますれば其の参考と致すべく地方行政に関する國政調査の為に之が調査に当つたのであつて、直接に地方の自治行政の内容に干渉して当該事件の黒白を決し事件の解決に当らうとするものでないことは固より云ふまでもありません。
  事件当日の負傷者側からは警察の職権濫用傷害を理由として鈴木警察局長を相手どり告訴をいたしてをりますが之は檢察と司法の問題であつて本調査の干與すべきことでないことは之又いふまでもありません。それ故本事件は司法上の関係は別としてそれ自身、大阪市自治体警察の問題であつて先づ第一に直接の所管責任者として大阪市公安委員会がその解決に当るべきであり又消防との関連に於ても大阪市長も関心を有つべきであります。それ故調査團の各委員は現地に於て得たる所により、又輿論の動向に察し鈴木警察局長が態度を改めずして其職に止ることの適当でないように思はれるのでありますが、局長自身に対しては、將來民主警察の実を挙げる為に充分なる反省と考慮を要望する所があり、又大阪市長及び公安委員会に対しても之と最後の正式会見の際右の趣旨を説明して希望を述べたのであります。労働團体は固より、府及び市の関係各当路者は一樣に今回の事件に鑑み近くに迫つたメーデーの取締に対し重大関心を寄せ心配をして居るのでありますが、之に対し市長及び公安委員会に於ては近きメーデーにそなへ関係各方面当事者とも協議して万全の策を立て遺憾なきを期し度、又今回の事件についても深甚の考慮を拂つてをり出來るだけ早く解決する樣努力するが、市民の声をきき市民の納得の行く樣にするのが民主警察だから何れにしても市民代表としての市会の空氣によつて善処したいと思ふ旨の挨拶があつたのであります。
  本調査團が現地に於て調査した事実及びとつた処置は大樣以上のようなものでありますが、本件については関係法規に若干研究を要すものがあらうかと思ひます。
  即ち警察当局が法規に基いて不法越軌の行動を正当なる職務執行の権限内で取締を行つたといふその根拠諸法令或は規則、及至協定等が其れ自体に欠陷或は疑義がないかどうか又その解釈運用に於て誤がなかつたかどうかといふ点であります。
  その第一点は消防組織法第二十四條の規定による警察と消防との協力が此種大衆運動の取締にも及ぶか否かの点であり、從つて消防組織法の此の規定に基いて大阪市警察並びに消防両当局間に結ばれた協定が正当であるかといふことであります。
  第二点は相当に嚴重な罰則を附した此種運動を取締る為の昭和二十三年大阪市條例第七十七号行進及び示威運動に関する條例及びその運用の適否であります。
  第三点は警察官等職務執行法第四條及び第七條の実際の解釈及び適用に誤がなかつたかどうかであります。
  第四点は大阪市警察当局の警棒取扱要綱中の使棒方法の適否及びその運用如何の問題であります。
  第五点は四月二日の示威行進等の取締に関して大阪市警察局長が発した警告中に掲げられた四項目の取締方針中の第一項「警棒其の他の方法に依り徹底的な制圧を受くること」といふは果して妥当であるか否かといふことであります。
  之等の諸点は充分今後研究を要するものがあると思ふのであります。
  本調査に基きその結果を如何に処理するかは本委員会の決定いたすべきことと思ひますから然るべく充分審議される樣希望いたします。
  尚今回の調査については後日関係文書並びに参考資料をそへて詳細な報告書を提出いたしますが取り敢えずここに以上を以て中間報告といたす次第であります。
#6
○生田委員長代理 ただいま派遣委員よりの報告及び丸山調査員の朗読を聽取したのでありますが、本委員会としては、以上の報告を承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○生田委員長代理 御異議ないと認めます。
 次にお諮りいたしますが、本件はきわめて重要であり、その眞相を公表いたした方がよろしいと存じます。よつて本委員会としては、警察制度に関する國政調査をなすように議長の承認を得ております。その一環として、大阪市におけるデモ取締りに関する事件調査報告書を議長に提出いたしたいと存じます。御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○生田委員長代理 御異議なしと認めさようとりはからいます。なお右議長宛報告書の作製その地については、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○生田委員長代理 御異議ないと認め、さようとりはからいます。
#10
○立花委員 幸い國警の長官が來ておられますので、この問題に関連してお伺いいたしたい点があるのですが、よろしゆうございますか。
#11
○生田委員長代理 よろしゆうございます。
#12
○立花委員 重大な問題だと思うのですが、実はこの問題を最初この委員会へ提案いたしまして、國警の長官に調査方を依頼いたしまして、國警の方から調査の報告書をいただいております。これにつきまして私たちはこの國警から提出されました調査報告書は相当権威があり、事実を報告されておるものと考えまして、
    〔生田委員長代理退席、委員長着席〕
これに基きまして、大阪に参りまして鈴木警察局長にただしましたところが、これには鈴木警察局長は責任が持てないという言葉を聞いたのであります。國警からお出しになりました書類には、明らかに大阪市警察局という署名が入つておりまして、長官の当日のお答えの中でも、大阪と電話で連絡をして報告したのだということをおつしやつたのでありますが、当の鈴木警察局長は、これは全然責任がない、内容においても責任が持てないということを言つておりますので、その点を御答弁願いたいと思います。
#13
○斎藤(昇)政府委員 先般お取次いたしました大阪市警察局からの報告書は、私の方で調べた調書とか報告書ではなくて、大阪市警察自身の報告書を、そのままお取次いたしたのであります。しかしてただいま立花委員から、大阪市の警察局長は、この報告書について責任を持たないというお話がありましたが、私の方としましては、大阪市の警察局から、公文書を添えて報告をもらつたのでありまして、そのままこちらにお取次をいたしたのであります。從いまして大阪市の警察局長の申しますのは、どういう意味かわかりませんが、自分が留守中に部下がつくつた報告書だという意味でありますか、その点はわかりませんが、いずれにいたしましても、大阪市警察局の名前で、警察局から報告をもらつておるのでありますから、その点申し上げておきます。
#14
○立花委員 これは非常に重要な問題だと思うのです。そういうふうに私たちも了解いたしまして國警の方から責任をもつて大阪の警察局と連絡をとつてお出しくださつたものだろうと思つておりまして、これに基きまして大阪警察局長にただしましたところ、内容には責任が持てない。全体としても責任が持てないということをはつきり申しておりますので、一度鈴木警察局長に御連絡願いたいと思います。とにかく内容におきましても、さいぜん菅家委員の方から申し上げました、デモ行進の狹隘なところを通らないこと、あるいは解散場所の指定、それが主催團体で任意に選んだということに対しましても、明らかに團体側と局長側に意見の食い違いがありますが、私たちが両方に聞きました上で判断いたしたところによりましても、局長の方が明らかに事実を曲げておるというところがあります。これは報告書と明らかに違つておるところがあるのであります。こうなつて参りますと、政府から提出していただいた報告書が、何ら権威のないものということになりまして、今後委員会といたしましても、非常に審議の進行上困ることになると思いますので、嚴重にこの点調査願いたいと思います。
 なおその他の点につきまして、多少この報告書をミス・プリントだと言つて、局長みずから訂正したところもありますので、そういう点もお含みの上御調査くださいまして、もし鈴木局長がこの内容なり文書全体に責任が持てないというならば、明らかにこのこと自体が、國警の政府を軽んじ、あるいは地方行政委員会、あるいは國会全般に対する彼の不信行為であると思われますので、嚴重に御調査願いたいと思います。
#15
○菅家委員 ただいまの問題でちよつとお尋ねしておきたいと思います。先般御提出を願いました大阪市警察当局の、あの印刷物の当時の御説明には、電話をもつて大阪市警察当局に聞いて、その報告文をこちらで作成したというようなお話に承つておつたのでありますが、あの文書そのものは大阪市の当局で作成された公文書でありますか、その点をはつきりしていただきたいと思います。
#16
○斎藤(昇)政府委員 電話で報告をこちらに出すようにという連絡をしたのであります。そして報告書は向うで印刷されて、それを向うが持つて参りました。公文書をつけて持つて参つたのであります。こちらの方で書いたものではないのであります。電話といいますのは、こちらから、こちらの委員会でこういう要求があるから、特にこれこれの点について詳細に調べて報告をしてくれるようにといつて、電話でその旨を連絡したのであります。報告書は向うでつくつて、向うで印刷して、そしてこちらに持つて参つたのであります。大阪市が私の方に持つて参つたのであります。
#17
○菅家委員 そういたしますと、今立花委員から言われました通り、これは非常に重大な問題になります。われわれ調査團一行は、あの文書に基いて質問をいたしましたところが、この文書はいかなる所にも発表したことがない。こういう文書を出したことがない。もちろんこの文書による質問その他は、われわれの責任の存せざるところであるとはつきり言いまして、あの文書をことごとく否定されたのであります。私はその当時これは電話で照会になつた事件を國警の方で印刷されたものかと思いまして、それ以上追究、糾彈に行つたのではないのでありますから、一應向うの話をそのまま了承して來たのであります。今承りますと、大阪市警察当局が作成したる文書であつて、しかもそれは印刷文書をこちらへ公文書で持つて來たと言いますと、われわれ行政委員会の正式な、衆議院規則五十五條等に基くところの調査團に、大阪市警察というものは虚偽な申立てをしたという結果になろうかと思います。その点はつきり國警の方より、なお大阪市当局の方に御照会になりまして、本委員会に御報告を願いたいと思います。
#18
○斎藤(昇)政府委員 なお照会をいたしますが、ここにおります私の方の警備部長が、大阪の公安一課長から直接その公文書を受取つたのであります。ここにおりますから証明をいたします。
#19
○久保田委員 今立花委員と菅家委員からお話がございましたが、いろいろ両委員から話されましたようななまやさしい鈴木局長の話ではなかつたのです。それからこういつたようなものをもつてわれわれに話をするなら、國警の方には何ら通知もしてやらぬ。またこういう連絡もとつてやらぬ。こういう言葉でありました。しかも委員会に國警の方からこれを公文書として出されまして、この公文書に基きましてわれわれはいろいろ話をいたしましたのに対しまして、立花委員と菅家委員の話の中に食い違いがございます。というのは、電話によつてというお話がございましたが、多少電話であるならそういう行き違いもあつたのかなというような、われわれの考え方もあつたわけであります。ところが今伺いますればそうでない。大阪市警から出されたその報告書、それが委員会に出されて公文書としていただいた。それを持つて大阪に参りました場合に、これが問題とされない。されないどころかもうこれから國警には何らの連絡も資料も與えてやらぬ。こういうような言葉を使われておつたのであります。われわれはこの場合ははつきりいたしませんので――そのはつきりしないということは、電話であつたか、あるいは大阪市の方でつくつて出した書類であるかということが、はつきりしなかつたというような点もあつたわけであります。これからわれわれがいろいろの面にわたりまして調査に行く場合、公文書として出されて、それがこういうような場合であつたら困ると思う。一應われわれの方に出された書類は公文書でございますから、また委員会としてわれわれが公務を帶びて調査に参つておりますにもかかわらず、そういうような行き違いの場合には非常に困る。そういう点は今後におきましてもはつきりしておいてもらいたい。われわれは今話を伺いまして、これは大阪市警から出された書類であつて、はつきりした公文書ということになつておりますけれども、市の方に参りましたら今のような行き違いがございましたので、今後そういうことのないようにお願いしたいと思うのであります。
#20
○立花委員 この際これと直接関連がありませんが、本質的に関連があると思いますので、もう一つ長官にお尋ねしたいと思うのであります。これはこの間内閣とこちらとの合同審査会でも緊急質問しましたが、この問題の鈴木局長が、大阪のあの公安條例を出しまして、二、三日して撤回をいたしまして汚名を残しましたあの公安條例、それの燒直しが現在市條例となつて残つているのでありますが、その市條例をモデルにいたしまして、大阪府の地方課が、大阪府下の全都市の市長、公安委員、警察委員を招集いたしまして、十九日に会合をいたしまして、いわゆる大阪公安條例をモデルにいたしまして、二十七日までに各都市で公安條例をつくれという指令を與えております。これは明らかに地方自治体の自治を踏みにじるものであり、地方自治の侵害であると思いますが、この問題に関しまして長官から御意見を承りたいと思います。
#21
○斎藤(昇)政府委員 ただいまのお話は私初めて承つたのでありますが、大阪府の地方課でそういうことをやつておるというのですか。
#22
○立花委員 そうです。
#23
○斎藤(昇)政府委員 これは地方課は御承知のように知事の下にありますので、どういう考えでやりましたか私の方は直接聞いておりませんし、私の方で答弁するのは適当でなかろうと思います。
#24
○立花委員 これは單に私がさいぜん申し上げました大阪の知事の所管に属する一地方課の出來事であれば、局長にお尋ねすることもないかと思うのでありますが、実は石川縣におきましては縣の公安條例が、やはりこれも四月末日を期しまして、メーデー対策として、強行的に公安條例を通過させようとする意図が報告されております。全國各府縣各都市でこの形が出て参ろうとしておるのでありますが、特に大阪におきましては典型的に、こういう東條軍閥下でも見られなかつたような、一地方課が、各都市の市廳に公安委員を集めて、モデルを見せ、日を切りまして、二十一日までに通過さすという、こういう形は國家治安の上から行きましても、あるいは國家全体として見ましたところの警察行政の上から見ましても、看過することができないのであります。一知事の所管とかそういう問題を離れまして、これは読賣の社説にも取上げておりましたから御存じだと思うのでありますが、すでに一地方、一部分の問題を離れまして、國家全体の警察行政の問題、あるいは公安條例の問題になつて來ておるのではないかと思いますので、もし長官の方でこの事実をお知りにならず、あるいは対策をお持ちでないならば、今後十分調査の上、愼重な態度をもつて臨んでいただきたい。私この間は自治課の方に報告を求めておきましたが、もし長官の方で調査できましたならば御報告願いたいと思います。
#25
○久保田委員 先ほど公文書としていただきまして参りましたと申しましたが、それについて國警の方で、それを出せとか、報告せいということを大阪の警察の方に言われまして、鈴木さんの言われるように、そんなかわつたものを持つて來て文句言うのなら、あるいは聞くのなら、これから國警の方に出してやらぬ、あるいは報告してやらぬ、連絡してやらぬ、こう言われた場合、國警としてそれを出せと言うことはできないですか。また自治体警察としてこれは國警に報告せぬでもいい、出さぬでもいい、拒めば出さぬでもいいものですか、この点はつきり伺いたい。
#26
○斎藤(昇)政府委員 ああいうような報告書は、もし自治体警察が出さないといつて拒めば、私の方は出させる法律上の方法はありません。出さないと言えばそれきりでございます。
    ―――――――――――――
#27
○中島委員長 それではこれより請願の審査に入ります。三月二十六日、四月二日及び四月八日にそれぞれ本委員会に付託されました請願十一件を議題といたします。日程第一、第二、第三、第四、第八、第九、この請願は同一趣旨であります。町村吏員恩給組合に対する國庫補助増額の請願、同じ趣旨でありますから、これを一括して議題といたします。紹介議員が多いのでありますが、どなたも御出席になつておりません。代理説明を聽取いたします。川西君。
#28
○川西委員 紹介議員が御出席でありませんので、かわつて御説明申し上げます。町村吏員恩給組合に対する國庫補助金増額方の請願書であります。趣旨を申し上げます。町村吏員にも他の官公吏教職員同樣の恩給増額を、昭和二十三年七月より実施し得るよう、町村吏員恩給に対する國庫補助金を増額し、また町村吏員恩給組合の事務費にも、國庫補助の道を講ぜられたく謹んで請願申し上げます。
 理由を簡單に申し上げます。昭和十八年三月内務大臣の命により、町村吏員恩給制度整備要項に基き、全國都道府縣各町村において都道府縣單位に町村吏員恩給組合を設置し、町村吏員に対し、おおむね官吏に準じた恩給制度を実施し、これが財源については吏員納付金、町村納付金、縣補助金、國庫補助金を充て、事務費については町村分賦金と補助金をもつて、ようやくにしてその運営を維持して來ましたところ、昭和二十二年度以來、國庫補助金中には、逐年インフレのため人件費、物件費の高騰に基く増嵩をまかなう部分が認められていなかつたため、運営が困難を加えて來ておる現状であります。なお今回恩給法臨時特例の制定により、官吏の恩給が十二倍ないし二十六倍に増額せられましたので、町村吏員の恩給も同樣に増額の必要に迫られたのでありますが、これが財源措置といたしましては、菲薄な待遇にある町村吏員、財政の窮乏せる町村の納付金の増額については、とうてい多くを期待し得ない実情にあります。なお近時地方自治警察職員その他町村経常的経済に属する吏員も相当増加しており、國家出先行政機関の増加に伴いまして、諸般の事務もまた非常に増加しておるのであります。つきましてはその重責と待遇などについて、右実情を十分御賢察の上、國においては町村吏員に対しても、他の官公吏、教職員同樣の恩給増額を、昭和二十三年七月以降実施し得るよう、町村吏員恩給組合國庫補助金を増額し、また財政難にあえぐ組合の事務費に対しましても、國庫補助金支出の道を講じ、もつて町村吏員をしてその任務の遂行に專念し、地方自治の振興に、日本の再建に寄與せしめたいのであります。これが理由であります。何とぞ御採択あらんことをお願いいたします。
#29
○中島委員長 次に政府側の意見をお聞きいたします。――政府側は自治課の担任で、ただいま出席がないそうであります。この恩給問題は相当な考慮を煩わさなければ、これが解決は現在ではむずかしいと思いますから、これは政府の御意見を聞かないで、このまま採択して、内閣に送付することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○中島委員長 御異議なければさように決定いたします。
    ―――――――――――――
#31
○中島委員長 次に第七、地方公共團体の國家委任事務費全額國庫負担等に関する請願、文書表第一六二号を議題といたします。河口陽一君。
#32
○河口陽一君 國の事務及び國と地方公共團体の事務に要する経費負担等に関する請願について、まずその要旨を申し上げます。
 地方公共團体が処理する事務のうち、主として國に利害関係のある事務に要する経費は、全額國庫が負担し、かつ経費支出時期以前に交付せられるとともに、地方財政法による負担区分の追加規定をすみやかに措置せられんことを要望する次第であります。
 その理由といたしまして、地方公共團体が処理する事務のうち、主として國の利害に関係のある事務に要する経費は、社会通念上、当然國庫が負担すべきものであるにもかかわらず、從來制度上明確を欠いていたので、昭和二十三年、法律第百九号をもつて地方財政法を公布し、同法第十條及び第十八條をもつて、國庫がその全額を負担すべきことを明定し、かつその負担額は、同法第十九條により経費支出時期以前に交付すべきものと規定せられあるにもかかわらず、別表のごとく、政府は本市が、昭和二十三年度において、すでに支出し、または現に支出しつつある経費で、いまだ交付額を決定しないもの、あるいはすでに交付額を決定したが、その所要額の著しく不足するものがあるははなはだ遺憾である。地方財政は今や極度の窮迫を告げ、まさに瀕死の状態にあるのであつて、これを拔本的に矯正し、その健全性を確保すべく制定せられた地方財政法の規定により、國庫の義務に属する負担は、政府みずから率先実行せられんことを要望するものである。
 次に地方財政法に明確を欠いているものに左のごとき事務がある。戸籍事務、馬籍事務、選挙管理委員会の事務、行旅病人、同死亡人及び精神病者看護事務、海外からの引揚及び復員者に関する事務、民生委員会の事務、これらの事務は、國と地方公共團体相互に利害関係あるものと認められるをもつて、すみやかに地方財政法に追加規定せられんことを要望するものであるという、北海道留萠市議会議長伊佐津和平氏の請願であります。
 なおこの機会に申し上げておくことは、いまだ交付額を決定しないものとして、1、物資及び物價の統制に要する経費、2、食糧薪炭その地生活必需品の供出に要する経費、3、農地関係の調整に要する経費、4、國の計画により行う開拓に要する経費、二、すでに交付額を決定したが、所要額の著しく不足するもの、1、國会議員の選挙及び國民投票に要する経費、2、國の統計事務に要する経費等があります。よろしく御審議の上御採択あらんことをお願いする次第であります。なお別表は省略いたします。
#33
○中島委員長 政府側の意見を聽取いたします。
#34
○荻田政府委員 ただいまの請願の趣旨は、地方財政上まことにもつともな請願でありまして、政府といたしまして二十三年に法律をつくつたのでありますが、必ずしもその法律通り実行されていないというような点があるようでございまして、この点われわれとしまして、非常に遺憾に思つておるのであります。この点は至急政府部内において連絡いたしまして、改めて地方財政法通り施行されるように努力いたしたいと思います。なお地方財政法自体に対しまして、追加改正を要する項目が数項目掲げられたようでございますが、この点につきましても、中にはもつともな点もございまして、われわれの方で研究いたしている点もございますので、至急この点についても解決をはかりたいと思います。
#35
○中島委員長 本請願はこれを採択いたしまして、内閣に送付することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○中島委員長 御異議なしと認めまして、さように決定いたします。
    ―――――――――――――
#37
○中島委員長 次に日程第六、地方債の償還期限延長及び利率引下に関する請願、足鹿覺君紹介、文書表第一一三号を議題に供します。紹介議員足鹿君。
#38
○足鹿委員 まず請願の趣旨を申し上げます。今回政府においては、政府資金の貸付について、償還期限の短縮と利率の引上げを実施せられましたが、この措置は極度の財政窮乏にあえぐ地方自治体の苦悩にますます拍車をかけるもので、市民福祉のために行う自治体の事業を、実施不可能に陷れるものであります。平和民主國家の建設は、地方分権の強化なくしては達せられないということは、もはや何人も異論のないところでありまするが、地方財政の確立なくしては、地方分権の強化はあり得ません。願わくは自治体の財政の現状を御賢察くださいまして、すみやかに起債償還期限の延長並びに利率引下げの方途をお講じくださいますよう市議会の議決を経て特にお願いいたします。
 以上が提案の趣旨でありますが、以下理由について、申し上げたいと存じます。米子市の問題でありますが、單にこれは米子市のみの問題ではなくして、地方自治体全体の問題であろうと存じます。例を米子市にとつて御説明申し上げたいと存ずるのであります。すなわち米子市の昭和二十三年度の起債計画は別表の通りでありまして、都市計画、街路事業を除く事業については、地方財政委員会の承認を経て起債も許可済みであります。また一方事業面におきましても、預金部の短期資金等の借入れによつて、着々工事完成に進みつつある現状であります。かかるときにあたり償還期限の短縮及び利率の引上げを一方的に実施せられることは、それでなくても財政窮乏にあえぐ自治体の財政は一頓挫を來し、市民福祉のために行う自治体の事業は実施不能なる結果になります。以下事業別に申し上げまするならば、一、庶民住宅建設事業につきましては、本年度は八十戸建設、これに対する起債は四百二十七万五千円でありますが、これは今回の償還期限の短縮及び利子の引上げによつて計算すれば、この元利償還所要額は年約百十万円となり、これを家賃をもつて償還することになれば、一戸当りの家賃は月千百四十円ということになり、この維持、修繕費並びに火災保險料を見ることになれば、さらに莫大な家賃となつて、これをもつて惠まれざる引揚者、戰災者その他一般勤労者のためにつくる庶民住宅とは言い得ないことになり、彼らを苦しめることとなり、ひいては自治体の住宅行政も成立し得ない結果になるのであります。二、水道拡張事業につきましては、現在本市給水状態より考え、絶対に不可避的、かつ急施を要する工事でございます。しかも本市水道は特別会計であつて、独立採算の原則に基き、かつまた一般会計の財政需要面から、一般会計よりの繰入れも予期できない状態でありまして、償還財源としては、もつぱら使用料にまたざるを得ないのであります。実に本市現在の使用料は、一般社会通念よりいたしまして、その極点に達したるものと考えられるのでありまして、値上げの余地なき現状であります。償還期限の短縮並びに利率引上げによる一箇年の償還所要額は、二百万円にも達することになり、予算総額六百五十五万円に対し、約三分の一の額にも達するのであります。なお本事業は継続事業である関係上、二十四年度においても五百五十万円程度の起債が予想せられ、二十五年度以降の償還所要額は、年三百七十万円程度にも達するのであります。しかも前述のごとく、これがためこの際さらに給水使用料の引上げを行うことは、とうてい不可能と考えられるのであります。從つて借入金の償還はまつたく頓挫せざるを得ない状態に陷るのであります。三、新制中学校建設設備事業費及び小学校建築整備事業費につきましても、新学制の実施に伴い、一度に、しかも急にこの設備をしなければならぬために、本年度の起債総額は、千八十四万円でありまして、償還期限短縮及び利率引上げによる償還所要額は、年約二百七十万円を要し、さらに二十四年度は、引続き新学制実施に伴う新制中学校建築整備費、及び小学校の災害復旧事業費の起債総額の四千百二十五万円程度が予想せられ、二十五、二十六の各年度とも、新学制実施に伴う建築整備費起債額は、二十四年度とほぼ同額程度となる予定であります。從つてこれに伴う償還所要額は、年々増加の一途をたどり、遂にすべての事業を打切り、財源の大半をその償還に充てなければならぬ結果が招來し、地方財政はまことに身動きならぬ結果となることは火を見るよりも明らかであります。
 以上の項を追つて本市の実情について、引例いたしたのでありますが、この問題は決して單なる米子市の問題ではなくして、全國の地方自治体にとつての大問題であることは申すまでもありません。すなわち償還期限の短縮、並びに利率の引上げの政策は、窮乏にあえぐ地方財政をいよいよ窮地に追い込むべく、拍車をかける以外の何ものでもなく、惡政この上もないのであります。地方自治体をして、破滅に陷れて、どこに國家の進展があり、國民の幸福が期待できましよう。すみやかに償還期限の延長と利率の引下げを断行し、一日も早く地方財政の救済をはかるべきことを至当とするのであります。この引例しました別表につきましては、省略いたします。
 以上の趣旨並びに理由に基きまして御採択を煩わしたいと存ずる次第であります。
#39
○中島委員長 日程第六、地方債の償還期限延長及び利率引下に関する請願は、非常に重要な問題でありますので、政府の意見も聽取したいのであります。それで委員長としては、本日はこれくらいにいたしまして、この次の常任委員会のときに政府の出席を求めてこれに対する所見を聞いて、採決いたしたいと考えますが御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○中島委員長 それではそういうことにとりはからいます。
 なおその他第五、第一〇、第一一が残つておるのでありますが、これは次の委員会に讓りまして、本日は一時半から内閣委員会との連合審査会がありますので、これで散会いたしたいと考えるのでありますが、いかがでありましようか。
#41
○立花委員 合同審査会の問題でありますが、地方自治廳の問題は非常に重要だと考えますので、聞くところによりますと、きようで打切るというような話があるのですが、ああいう形のお座なりのような審査会じやなしに、もつと実質的にやつてもらいたい。これは内閣委員会よりもむしろこちらの方がほとんど恒久的な関係のある問題だと思いますので、もう少し愼重に、また期間をかけてやつていただいたらどうかと思います。
#42
○中島委員長 内閣委員長としては、きようは質問の大体を終りたいということを申しておりまして、打切るまでに行つておりません。
 それから当委員会としましては、この自治廳設置法案は非常に重要な問題でありますから、この次の委員会にはお互いに研究しまして、これをいかに処置するかということをきめたいと思うのであります。そういう順序にはかりたいと思いますから御承知を願います。
 本日はこれで散会いたします。
    午後零時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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