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1949/05/12 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第20号
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1949/05/12 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第20号

#1
第005回国会 地方行政委員会 第20号
昭和二十四年五月十二日(木曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 中島 守利君
   理事 川西  清君 理事 川本 末治君
   理事 菅家 喜六君 理事 福田 篤泰君
   理事 久保田鶴松君 理事 藤田 義光君
   理事 立花 敏男君 理事 圖司 安正君
      生田 和平君    大泉 寛三君
      河原伊三郎君    清水 逸平君
      野村專太郎君    龍野喜一郎君
      門司  亮君    千葉 三郎君
      谷口善太郎君    田中  豊君
      井出一太郎君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 樋貝 詮三君
 出席政府委員
        地方財政政務次
        官       堀  末治君
        総理廳事務官
        (地方財政委員
        会事務局長)  荻田  保君
        國家地方警察本
        部長官     斎藤  昇君
        國家地方警察本
        部部長     武藤 文雄君
        國家地方警察警
        視       間狩 信義君
 委員外の出席者
        文部委員長   原   彪君
        衆議院法制局長 入江 俊郎君
        專  門  員 有松  昇君
        專  門  員 長橋 茂男君
    ―――――――――――――
五月十一日
 道路交通取締法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一九七号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 選挙法の一部改正に関する陳情書(千葉縣野田
 町高木虎尾)(第四五六号)
 警察機構に関する陳情書(千葉縣野田町高木虎
 尾)(第四五八号)
 闇賣買取引に対する取締強化の陳情書(千葉縣
 野田町高木虎尾)(第四五九号)
 市町村吏員互助会に関する陳情書(全國町村会
 長伊藤幟)(第四六三号)
 地方税法に関する陳情書(仙台市長岡崎榮松)
 (第四八〇号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 古物営業取締法案(内閣提出第一六三号)
 地方財政法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一七六号)
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 一七九号)
    ―――――――――――――
#2
○中島委員長 これより会議を開きます。
 日程第一、古物営業取締法案、内閣提出第一六三号を議題といたしまして質疑を続行いたします。龍野喜一郎君。
#3
○龍野委員 本法案につきまして二つの点についてお伺いしたいと存ずるのであります。その第一点は第一條の古物及び古物商の範囲についてであります。元來新憲法によりまして、日本人はことごとく営業の自由を持つておることは疑義のないところであります。從いましてこれを制限することはよくよくの場合でなければならないということもあたりまえだろうと存ずるのであります。古物が犯罪と非常に関係がある。從つて犯罪の防止あるいは檢挙取締という面からこの古物を取扱う古物商に対して、ある程度の制限を加え、また警察官に対する権限を與えることはまことにやむを得ない次第で、この点もわれわれは了承いたす次第であります。しかしながらこれはあくまでやむを得ない例外でなければならない。そういう意味におきまして古物の意義も犯罪に直接密接なる関係あるものに限らなければならぬ。この古物の範囲はいたずらに廣くすべきものでない、限定して考えるのが当然であろうと存ずるのであります。この点から見まして、問題になるのは、まず第一はいわゆる美術品であります。この美術品は御承知の通り一般のいわゆる古道具と異りまして、藝術品と目されるものである。その美術品の價値はそのものの持つておる藝術的價値によつてきまる。その藝術的價値は一定の鑑識眼がなければ判別がつかんというような意味におきまして、たれでもかれでもこの美術品を取扱えるものでない。ときたまどろぼうでも鑑識眼のあるどろぼうもないことはあるまいが、しかしこれを賣りさばく点においては、鑑識眼を持つた美術品に委託しなければ、賣りさばきができないという点から考えますならば、この美術品と一般の古物との間には、截然として区別がなければならないと存ずるのであります。しかも美術品には多くは故事來歴等がありまして、その入手経路は大体において判然としておる。こういう見地から見ますならば古物を美術品にまで廣げるということは、おそらく憲法の解釈から行きましても、いささか行き過ぎの点ではないかというふうにさへ考えるのであります。私は御当局におかれましては古物の範囲を、ここにいわゆる古物とは云々というように、全部のものを包含されるかどうか、この古物の範囲は、あくまで限定的に考えなければならぬという意味に解されるのかどうかという点につきまして、美術品をいかに考えられるかということについてお伺いいたしたい。
 次は古鉄、古纖維品の問題であります。この法案の第一條の文句から言えば、ちよつと入つておるようにも見えたのであります。しかしながらこれを盗品の対象としてこれが取締りの中に入れるということは、現在の情勢から見て穏やかでない。こういうようなものまでも入れるならば、おそらく代理業を営むいわゆる商事会社等、ことごとくがこれに包含されるというような結果になるのではないか、この古鉄、古纖維というような統制品、これをどういうふうに扱われるか、その辺のことにつきましてもお伺いいたしたいと存ずるのであります。
 次にお伺いいたしたいのは第四條の事項であります。第四條におきましては古物営業の許可は、公安委員会において行うということになつておるのでありますが、この点であります。旧憲法時代と申しますか、新警察法ができる以前と申しますか、その時代におきましては廣義防犯あるいは廣義警察という意味におきまして、警察の権限がすべてのものに及んでおつた。あるいは衞生、あるいは風俗、あるいは営業というような方面の全般を包含しておつた。これがために、わが日本の警察が行き過ぎまして、いわゆる警察國家と言われておつたことは御承知の通りであります。しかるに新警察法ができまして、警察の限界というものがはつきり制限されたのであります。警察法の第一條に「警察は、國民の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ることを以てその責務とする。」また第二項には警察の活動は、嚴格に前項の責務の範囲に限られるべきであるということを、はつきり言つておるのであります。およそ許可とかあるいは認可というものは、警察法の第一條に掲ぐるどの項目にも属さない。こういうことはいわゆる行政処分に属するようなことは、これは警察の範囲であるかどうかということについて、私は疑いなきを得ないのであります。むろん冐頭に述べました通り、いわゆる古物が犯罪と密接な関係がある。從つてこれに対して法的な取締りを與えるということも、これはやむを得ない次第でありますし、從つて古物商を取締りの対象とするということもやむを得ないのでありますが、許可認可は、必ずしも公安委員会においてやらなくても、市町村長がこれにあたる。そうしてその市町村長の許可もしくは認可したものについて、警察官は一定の権限をもつて取締りの対象とするといつてもさしつかえなかろう。もしも警察と町村長との間に、密接な関係が必要であるとするならば、あるいは公安委員会の意見を聞いて許可するというような方法も講ぜられると思うのであります。しかるに一足飛びにここに公安委員会が許可認可をするというようなことは、かつての営業警察というものが再びここに再現されはしないかというようなことを懸念いたされるのであります。こういう一角からいわゆる昔の廣汎なる警察がここに再現されまして、警察國家が再び具現しはせぬかということが心配いたされるのであります。おそらくその辺のことを考慮をいたされまして、この許可の権限を直接警察署長に與えないで、公安委員会に與えられたのであろうとは存じますけれども、しかしながら市町村の公安委員会の権限は、その警察法の規定の中にあります通り、警察を管理することになつておるのでありまして、公安委員会の権限は要するにやはり警察の範囲に限定されるのであるというふうに存ずるのであります。この点につきまして御当局の明確なる御答弁を伺いたい。第一点は古物の範囲、その古物の範囲から論じましていわゆる美術品を含むのであるかどうか、また古鉄、古纖維のような統制品を含むのであるかどうか。第二点は公安委員会に許可権を與えたその根拠につきましてお伺いいたしたいのであります。
#4
○武藤(文)政府委員 お答えいたします。第一点の古物の範囲でございますが、これに対しましては御説の通り、営業の自由といつた見地から言つて、できるだけほんとうに制限すべきものであるということは御意見の通りでございます。そこで古物について美術品が入るかどうかという問題でございますが、先ほどのお話によりまして、いわゆる警察の見地からして美術品を入れない方が適当ではないかというお話でございました。この法自体といたしまして、いろいろ古物についての盗難といつたものを、何とか防止しなければならぬという問題の点からこの法律案ができておるのでありますが、その見地から申しますと、実際問題といたしまして美術品の盗難というものは非常に多いものがございます。ただいまここに東京と大阪の最近のものをちよつと持つて來ておるのでありますが、これを見ましても警視廳でも一ぺんに二十八点からの重要美術品なんかの手配が出ておるのであります。大阪についても非常にたくさんのものが出ております。かように美術品について盗難が多い、殊に最近におきましては金目のものといつたような点から、かような美術品にことさらに盗難といつたようなことが現われておるのであります。かように盗難防止という見地から美術品だけを除くということは、現下の情勢においては許されないものと考えます。從つて本法の目的としておる点から考えましても、この古物には美術品が入るものと考えざるを得ないのであります。第二の点の古鉄、古纖維のことでございますが、本項については、いわゆる廃品として扱われておるようなものについては本項の適用はございません。第三の公安委員会の許可ということが適当であるかどうか、むしろこれを市町村に権限を委讓すべきではないかというお話でございます。これにつきましては新しい警察制度になりましてから、できるだけいわゆる從來行政警察の名のもとに行われておつた、いろいろの方面に警察官が関與しておつた部面というものは、極端にこれを制限し、他に委讓して参りました。そうしてたとえば衞生だとか、あるいはいろいろな一般の営業に関するものは、すべて警察がこれを取扱わないことにいたして、眞に警察目的上必要な最小限度のものについてのみ、警察においてこれを関與する、それはこの警察法でも示されておりますように、犯罪の予防鎭圧、あるいは生命財産の保護といつた点から、警察上非常に重要であるというものについてのみ、警察においてこれを留保するという考え方をとつて來ておるわけでございます。たとえて申しますと、さきの議会で成立いたしました風俗営業取締法というものを考えてみましても、これも普通の飲食店といつたものは警察の対象とすべきものではない。しかし風俗犯に関係のある非常に密接な関係にある風俗営業については、やはり警察としてこれを扱うのが適当であるといつた点から、同じ飲食店であつても、普通の飲食店は警察では扱わないけれども、風俗犯に非常に関連しやすい業体については警察がこれを取扱う、これは犯罪の予防という警察の使命からこれを行わざるを得ないということになりました。この本法案につきましても同じような趣旨であります。現下の非常に多い盗難というものに対処して、犯罪の予防鎭圧といつた点から、警察としてこれを持たなければならないという意味で、警察で扱うが適当であろうということにいたしたわけでございます。從つて警察で取扱うという観点から公安委員会が許可をする。從來は警察署長がいたしたのでありますが、警察署長よりもほんとうに國民の代表として警察を管理されておるところの公安委員会において、健全な常識判断をもつてこの許可を定めて行かれるのが適当であろうというので、從來は署長が扱つていたのを、一應公安委員会の許可ということに改めたわけでございます。
#5
○龍野委員 ただいまの御答弁によりますれば、いわゆる美術品は本法案の古物の中に入るというような御説明と承つたのでありますが、実際問題として私も古物の範囲からいかなる点まで美術品として除外するかということは、法律技術上の問題として、はなはだ困離な面があることはよく了解するのであります。しかしながらいわゆる藝術品というものは、今日の文化日本建設の上において、特に大きな問題でなければならぬ。ことに観光日本として諸外國の往來がはげしくなるというようなことを考えらるる場合におきまして、この美術品の問題をいかに取扱うかということは、非常な重大な問題であります。われわれが諸外國をまわりました際におきましても、美術商というものの占めるところの社会的地位、あるいは美術品というものの價値、そういうものが非常に高く評價されておる。從つてわれわれ外來者はそこに行つていろいろな、その地、その國の文化、あるいは藝術に接する機会がある。そういうような仕組みになつておるのであります。わが國も今後は美術品については、おそらく全世界から日本に來るという場合に、一般の美術品及び美術商というものの品格を、より一層向上しなければならぬということは、別の見地から大きな問題でなければならぬと思うのであります。從いましてこの法律の條文から、古物から美術商を除くというようなことは、法律技術上の問題としては困難であるかもしれませんが、しかしながら美術品並びに美術商の社会的地位を向上せしめる。そうしてその使命を深く認識せしめるということにつきましては、適当なる処置を講じなければならぬ。これがいわゆる文化日本建設の非常な大きな使命でなかろうかというふうに存ずるのでありますが、この点について実際上の法律の取扱いについて、どういう御意見を持つておられますか、お伺いいたしたいと存じます。
#6
○武藤(文)政府委員 御説の通り美術品というものが國家の文化財として非常に重要である。あくまでこれをわれわれとしては大事にして、非常に尊敬をして取扱うべきものであるということについては、私も全然同感でございます。從つて美術品というものの重要性ということ、その貴重なものであるということについては、われわれも十分認識いたしておるものでございます。ただ実際法律問題といたしましては、ただいまお述べになりましたように他の物品との限界という点において非常に困難がある。また先ほどお話もあり、また私が申し上げましたように、実際問題として盜難が非常に多い、あるいは偽作あるいはこれをめぐつての詐欺といつたような犯罪も非常に世の中に行われておる。そういつた点から、この際美術品だけについて除外するということは不適当であろう、のみならずまた美術品について、しからばやはりこれを規制する、取締りをしなければならないといたしますれば、実際はここに出ている條文のように、やはり許可あるいは許可の取消しについて、同じようなものができることになるわけであります。そこでわれわれといたしましては、前に申し上げた通り、こういつた文化財を特別に尊重して扱わなければならないという御趣旨には全然同感でございます。從つてわれわれとしてもその扱いについては十分に注意して扱わなければならない、かように感じております。そこで本法におきましてもたとえばこの第十條において、許可証を與えることになつております。公安委員会は古物商の許可をした場合において、許可証を與えるということになつておりますが、その許可証については、命令でそのこまかい樣式等をきめることになつておるのでございます。大体許可を申請する場合におきましては、いろいろその扱う物品の種類等を書いて許可申請をすることになつております。從つてまた許可をいたす場合におきましては、それぞれのどういう物品を扱うのであるということを示して許可証を與えることになつておるのでございます。從つて美術品を扱う者については、特に美術商であるということを表記したところの許可証を與えるという意味において、美術商の重要性の点からかんがみて扱いをしていただきたい。許可証についてはかように、美術商については美術商として許可証を與えるという方途によつて、区別して行くことになるだろうと思います。また十三條でありますが、許可の表示ということがございます。営業所なんかの許可を受けているという表示をすることになつておりますが、これも命令の定めるところによつて、それを表示するということになつておりまして、表示の樣式等についても、美術商については美術商であるということが、はつきり示されるような表示の樣式を命令で定めて行く、かような方法によつて、文化財の貴重な点を十分尊重する意図を示して行きたいと存じております。
#7
○谷口委員 この前お聞きして、どうもちよつと食い違つて了解できなかつたのですが、第十四條の手数料の問題でございます。第十四條の第一項では許可手数料、更新手数料、再交付手数料を國庫に納めるということになつております。第二項その手数料金額は千円以下の範囲内だと書いてあるわけでありますが、その三項に至りまして「市町村又は都が、市町村公安委員会又は特別区公安委員会の行う第十條の規定による許可証に関する事務について、手数料を徴收する場合においては、その額は、千円をこえることができない。」この前私がお尋ねしましたのは、二重になるのではないか、つまり國で、許可願を出したものは手数料として千円以内のものを出すわけですが、市町村もしくは都が、それに対してさらに千円以下のものをとることができないのではないか、この点であります。
 それから第二点としまして、これは第四條第一項と、二十四條一項の一号二号に出ているわけでありますが、他の法律に違反しては三年以内に二度罰金をとられた場合には許可しない。あるいは許可したものに対しては行政処分を行うということが書いてありまして、この前の質疑應答の中で政府委員のお答えでは、たとえば交通違反のような事犯にかかつて罰金をとられた人に対しては、何か救済の道を講ずる必要があるので、まあまあこういうふうに改悛の問題なんかを入れて考えておるのだ、こういう御説明であつた。そのお答えから判断しますと、この古物取締法の目的とする窃盜その他という破廉恥罪を犯し、もしくはそういうものに関係するような罪でなくても、交通取締法とか、あるいは最近でも労働者に対するいろいろな保護法なんかもできておりまして、やはり罰則がありますが、そういう労働関係あるいは政治的な犯罪というような場合でも、やはりその他の法律の中に入るかどうか。どろぼうをやつたとすれば、これは一回でも再び許さないことはいいと思うのでありますが、しかし政治的な犯罪、あるいは労働関係の犯罪、あるいは交通取締りに触れたというような、そういう犯罪のものは、二度罰金をとられたから、これは古物商を許さないということになりますと、大分大きな問題になつて來ると思います。この点をもう少し明確にしておいていただきたい。これが第二点であります。
 それから三番目に、権力の濫用のおそれのある状態がたくさんあるのであります。二十三條では巡査の調査権の問題、二十二條では「盜品又は遺失物であると疑うに足りる相当な理由がある場合においては、警察署長は、当該古物商に対し三十日以内の期間を定めて、その古物の保管を命ずることができる。」とある点、これはさしとめでありますが、この場合、警察署長が命令を出す場合には、相当の理由がある場合ということになつておるのにもかかわらず、二十三條の調査の場合ですと、「警察官又は警察吏員は、必要があると認めるときは、営業時間中において、古物商の営業所、古物の保管場所、市場又は第九條のせり賣の場所に立ち入り、古物及び帳簿を檢査」云々とあつて、これは、必要があると認めた場合と、非常にあいまいなことによつて、巡査は調査権を執行することができるわけであります。その他同樣なことがあります。たとえば第四條に、先ほど申しました公安委員会が、罪を犯して改悛の情があつたというふうに認めた場合はどうとか、あるいはまた改悛の情がないと認めた場合には許さないとか、それから二十四條の第二項にもやはり同樣な、公安委員会なり、巡査なり、警察官の主観いかんによつては、どうにでもなるような状態で行政処分ができるように書いてある。このいくつかの例があるわけでありますが、最初に調査権の問題で申し上げますと、今までの慣例――慣例と言いますと語弊があるかもしれませんが、実情を見ますと、巡査が、こういう必要があると認めた場合というような、あいまいなところに立脚して権限を持つておりますと、不必要な場合でも、この権力を利用しまして、そして店へやつて來て、いろいろとそこに難癖をつける。古物商などでも非常にそれがありますし、これは特に古物商の問題ではありませんが、たとえば料飲店なんかでは、もつとひどいのがあることは、皆さん方御承知の通りであります。古物商の場合も、必要があると認めた場合というような、あいまいな根拠によつて規定されておりますと、どんどんやつて來て、そこに非常に困る場合が起きて來るのが事実であります。こういう巡査の権力濫用、もしくは公安委員会の権力濫用というおそれのある状態を、いかにして防止されるか、そういう手段をどういうふうに考えていらつしやるか、その点をまずはつきりしていただかなければ困ると思います。大体以上三点をお尋ねいたしまして、あとに続けます。
#8
○武藤(文)政府委員 第一点の手数料の問題でございます。第十四條、これは御承知の通り國家警察の管内であれば、そこの都道府縣の公安委員会の許可を受ける、それから自治体の警察官内でありますれば、そこの自治体の公安委員会の許可を受けるという、二本建になつておるわけであります。どつちか一方の許可を受ければよろしいわけです。從つて手数料についても、都道府縣公安委員会の許可を受けたものについては、一項、二項、自治体警察の関係について許可を受けたものについては三項というふうになつて、二重どりをする意味ではございません。それから次に、二度以上の罰金を受けたら、いかなる種類の法令に反してもいけないかという御質問でございます。これにつきましては、古物商といつたような業態のものについては、特に法令の遵守ということが非常に重要でございます。その人の人格、その人の信用というものが営業の基礎になつておるものでございます。從つて、さような方については、特に法令については、ほんとうにきれいな方が営業されるということが好ましい、かような意味から、ここに掲げておるような規定が現われて來たわけであります。もちろんお話の通り、非常に氣の毒な事情で、たまたま罰金に処せられた人もある。そういつた方を救済する道というゆとりをつける意味で、改悛の情あるときという言葉が入つたわけでございます。機械的に二度以上罰金に処せられたらもういけないというのでは、あまりに氣の毒な場合がある。そのゆとりをつける意味において、かような言葉を加えたわけであります。御説の通り、しからばその認定が非常に主観的になりはせぬかという御心配の点でありますが、ごらんの通り第二十六條等におきましては、いろいろ行政処分については行政事件特別訴訟法の適用があるわけでありまして、違法な行政処分については、救済の道も別途十分講じておるわけであります。
 第三点の、二十三條で、必要あるときには立ち入つて調査をすることができるということでございますが、これにつきましては、もちろんここに申しておりますのは、本法施行上必要と認めるときであります。他の目的のために勝手に入つて行く、あるいはこの法の目的を越えて勝手なことを調査する、そういうようなことは立法の趣旨ではございません。あくまでも本法施行について必要なことについて立ち入つて調査をするという趣旨でございます。從つて必要と認められるときというのは、あくまでも本法施行上必要なという場合に限られるべきものでありまして、かような意味において、決してこれを利用して、他の目的のために使つたりなどするということは、本法の趣旨ではございません。かような必要があると認めるときというようなことは、他のどの法令でも大体こういつた字句によつてその趣旨を示しておりますので、その趣旨によつて、本法をかように書いたのでございます。
#9
○谷口委員 そうしますと、第二の点では、やはり交通違反をやつて二度罰金をとられたという場合も、改悛の情とかなんとかいう問題は、また交通違反をやつたら困るというような場合には、古物商は許さぬということになりますね。そう解釈してよろしゆうございますね。
#10
○武藤(文)政府委員 どういう種類のものが犯罪か、先ほどは例示的に二、三のものをおあげになりました。これを実際上いろいろ区別して、こういうものの罰金、こういうものの罰金というように区別することは事実上困難でございます。從つて改悛の情というものによつてゆとりをつけ、そこにおいて救済の道を講じておるものというふうに御了承願いたいと思います。
#11
○谷口委員 この法案の内容からしまして、破廉恥罪なら、これはこういうふうに規定しておいてもいいが、そうでないものを、つまり他の法律という場合に、破廉恥罪でないもの、政治的なもの、あるいは社会的なもので、大したことでないような、そういう犯罪は当然拔くべきだ、そこを明らかにすべきだと、私はこう思つておるので、お尋ねしておるわけであります。
 それから第三点の問題でありますが、どうも法律に必要な場合と書いてありますから、必要な場合だけやつてくれればいいが、実情は、こういうあいまいなことをやつておくと、巡査が盛んにやつて來て、商人をいじめる。これが実情であります。こういうことに対して、何か商人を救済するような方法を考えておく必要はないか。この法律全体を見ますと、救済の方法がいろいろな点でありますが、しかしこの意味でどうするかという問題はないわけであります。この点は他の法令によりましても、もちろんそういう巡査は越権行為でありますから、取締る法律はあると思いますが、社会的な実情としては、常にそういうことに弱い商人は、脅かされておるのが事実であるから、これに対しては、これはこうだということを、單に必要と認めた場合というのは、他の法律に書いてあるからこう書いたというお答えではなくて、はつきりそういう不心得な巡査に対する頂門の一針を與えておいてもらいたいと私は思います。
#12
○武藤(文)政府委員 必要があると認めた場合という意味については、先ほど申し上げた御説明で御了承願いたいと思います。実際問題として、不心得な巡査がおつて、かつてなことをするのではないかということを御心配になつての御質問でありますが、これはわれわれといたしましても十分警戒しなければならない、十分この法の施行についてその点を戒めて実施いたしたい、かように存じております。もし必要の限度を越えてかつてにこの條項を利用してやるという場合においては、職権濫用というような問題も起つて來るわけであります。十分この條項の実施に当つては、御意図を体して、行き過ぎのないよう留意いたしたいと存じます。
#13
○谷口委員 これも古物商の人々がおつしやつておる言葉でありますので、お聞きしておきたいのでありますが、こういうように古物商全体をどろぼうの相手方だという立場から、まあこういう非常に残酷な取締り法律の中に古物商を置くということは、結局古物商に品物を持つて行つて賣る正しい國民が、今度は古物商からどろぼう扱いにされて、物の値段が正当に通らないで、たたかれるおそれがある。政府委員はそういうことはないだろうと思いますが、私どもなどは本屋さんに行きましても、大いにはずかしいから、安くたたかれても默つて帰るのでありますが、堂々と行けるためには、やはり社会的に考えて、法律でどろぼうの世界だというようなことを思わせる状態に置くことは非常に惡いのでありまして、やはり正当の値段で買い取らせるためには、この取締りにおいて、古物商の世界をこうした見地から見るということはよろしくないのではなかろうか。そこで私どもの考えておるのは、そういう点から見ましても、また從來古物商取締りの中でも、これと同樣のことが規定されておつたのでありますが、それによつて窃盗にあつた物が出て來たかと言えば、あまり出て來ない。盗られる人は山のごとくあるが、一向贓品が出て來ない。つまり從來のやり方、この法案に考えられておるようなやり方では、法案の目的とするところが、実際上、今日までの実績を見ると達せられていないというような実情であつて、古着または美術品、こういうものが盗難にあう。そういう犯罪を防止するために、古物商を通じて取締るというようなやり方ではなく、別の法律なり、あるいは対策を考えられた方が、この法案の目的を達する上によいのではないかと思う。こういう点について、根本の問題でありますが、政府の御所見として、これ以外にする道はないというふうにお考えか、それともこれはあまりよくないが、拙速主義でこれをやつて、將來もつとよい形において、そういう窃盗あるいは犯罪というものを防止できればやりたいというふうに思つておられるのか、その点を最後にお聞きしたいと思います。
#14
○武藤(文)政府委員 お話の点の古物商を利用する者として非常に困りはしないかということでございます。この点は、われわれといたしましても十分に意を用いたところでございます。ある意味におきましては、営業権の擁護という点において、現行法よりは今回の法律が数段とよくなつておるのではないか、おそらくこれは業界の方の認められるところではないかと思うのであります。たとえば從來営業許可というものについても、かように條文ではつきり列挙して方針を示しておらない。あるいは営業の取消しというものにつきましても、何ら確たる法律の條項がない。極端な言葉をもつて申しますなれば、警察署のかつてな判断によつてできることになつておつた。この現行法に比して、今回の法律においては、その点許可あるいは許可を取消すが明確になり、しかも取消しの場合においては、聽問制度まで設けまして、十分に商権擁護ということに意を用いておるわけであります。この点現行法に比して、業界の保護、擁護という点について十分意を用いておることが、御了承願えることと思うのでございます。また現在非常にもぐり古物商が多い。もぐり古物商が惡い贓品等を扱つて、それが非常に正当な、まじめな古物商の業者をも非常に困らしておるというのが実情ではないか、むしろ今回の法律によつて、かようなもぐり業者というものを撲滅する、そうして正当な、まじめな営業をしておる人々をあくまで擁護して行きたいという趣旨を、この法案から十分おくみ願えることと思います。かような意味において、本法については、むしろ商権擁護という点において、前よりも数段の進歩を示しておるという点を御了承願いたいと思います。
 それから、かようにやかましい法律の規制下に業者を置いても、そのために贓品の発見ということが從來大した実績が上つておらないではないかという御質問でございます。これは何と申しますか、われわれは現状において満足する状況にあるとは決して申し上げません。とにかく現在多い犯罪の中の八割を占める盗難というものについて、本当に被害品を発見して、被害者を安心さして上げるということに、われわれとして一層の努力をしなければならない。そのためにはあらゆる方途を講じなければならないということを考えております。かような意味において、この盗難の多いときに、國民に少しでも被害品を返して上げるということについて、業界の方々も共にこの法律のもとに協力をしていただきたいということを、切に私としては希望しておる次第であります。もし贓品をうんとあげるとするならば、この法律を一層きびしくして、届出等も嚴重に励行して行くということになれば、贓品の発見ということは、あるいは樂になるかもしれません。しかし一方商権の擁護ということを考えて、この法案のごときものにおいて、業界の全面的な本法遵守による御協力によつて、被害品の発見ということに、一層警察としては努力して行きたい、かように考えておる次第であります。
#15
○中島委員長 菅家喜六君。
#16
○菅家委員 先ほど龍野委員より御質問がありましたので、大体私のお尋ねしようと思うことも、それで盡きておると思いますが、なおお伺いいたしたい。
 第一條の古物の範囲でありますが、古物商というものを取締る法律的方法として、美術品を除いても取締法の制定に技術上さししかえないのではないかと思うのであります。そこで附則の第七に、美術品を営業の目的とする者の取締規則というものを、別に政令をもつてこれを定めるということにして、しかして美術品の内容を明らかにして、美術品とは絵画、彫刻、建築、工藝品等のうち、美術的目的で一品制作をしたものであるという定義をくだす附則をつけておけば、第一條の古物の範囲より美術品を除くという規則にしても、事実上差支えないのじやないかと思いますが、それらに対しての当局の御意見を伺いたいのであります。
#17
○武藤(文)政府委員 お話の古物から美術品を除いても差支えないではないかという点でございますが、これについては先ほども申し上げました通り、現在美術品の盗難あるいは遺失、あるいはこれをめぐつての詐欺といつたものが非常に多い。そういつた意味において、ほんとうにこれらの美術品を愛玩させておるところの國民に、できるだけ警察として御協力申し上げる意味で、盗難、遺失あるいは詐欺防止というものにお手傳い申し上げたいという点から、実際問題として美術品の盗難等が多いという点から見て、かえつて美術品だけを除外するということは適当ではないと考えております。次にお話の点でございますが、一應美術品を除き、しこうして附則で美術商については別に政令でこれと同じような取締りの規則を制定してやつたらどうかということは、これは御意見として非常に一理あると思います。美術商という特別の地位をこれによつて明らかにして行きたいという御意思のように承つたのでありますが、ただ実際の問題といたしまして、なるほど美術品というものは、一品制作でこういうものを表わせると思いますが、具体的にどこまでが美術品か、どこまでが普通の骨董になるかということになりますと、限界を表わすことは実際問題として非常に困難でありましよう。從つてまた品物を扱う者が美術商で許可を受けて、古物商で許可を受けなければならぬという二重手間ということも起るわけであります。さような意味においてかえつて二つのものにすることは二重手間になつて、いたずらに業界を混乱させ、迷惑をかけることになるのではないか。かように考えます。かように附則に基いて別個の政令をつくりましても、おそらくその政令の内容というものは、この法律に出ている許可の條件とか、あるいは許可の取消しのやり方という点、すべて本法と同樣であろうと思います。從つて別に政令で定めましても、内容的にはこの法律の本文と同樣であるという結果になる。かように存じます。ただお話の点、先ほども龍野委員にお答えいたした通り、文化財の保存、尊重という見地から、これを扱われる美術商の特別の地位というものはあるだろうと存じます。かような意味において先ほども申し上げました通り、許可証あるいは許可の表示というものについては、特別に美術商については美術商という表示、あるいは許可証――それぞれの業態について許可証を出すことになつておりますので、美術商については美術商という形で許可証を出して行くということによつて、美術商の地位をはつきりして行きたい。かように考えております。
#18
○菅家委員 もう一点お尋ねいたしますが、この十條によつて許可証を交付され、その二項に「前項の許可証は、命令の定めるところにより、」とありますが、この「命令の定める」という命令の内容というものを、本委員会に提示されることができるかどうか。その点ただいまの御答弁によれば、第十三條によつて許可を受けたことを証する表示をする。美術商ということを表示すればその美術商の社会的地位を向上することができるということでありますが、もしこの許可を受けた場合に、衣料品を取扱う者が衣料商という表示を掲げることになりますと、美術品と衣料品の表示が二つも行くようになる場合があるかと思うのでありますが、そういう点について当局の御答弁をもう一ぺんお願いいたしたいと思います。
#19
○間狩政府委員 第十條の第二項に「前項の許可証は、命令の定めるところにより、」ということにいたしておりまして、その命令の内容は、先ほど古物営業取締法施行規則要綱案を配付申し上げておるのでありますが、これはほんの案でございまして、一應こういうことを考えておることで御了承願いたいと思います。そこの第三にありますように、その期間満了一箇月前までに更新の申請をするということをきめたいと思つております。
 それから第二点の美術商の許可証あるいは店頭の表示に関連いたしまして、他の道具あるいは宝飾品というものの取扱いを兼ねる場合にはどうなるかということでございますが、店頭の表示と申しますと、美術品を扱う関係におきまして、美術商という表示一本であります。そのほかにさらに道具とか、宝飾品を取扱うことになりますれば、それは別の表示といたしまして、古物商の時計、宝飾品あるいは道具を取扱う者としての表示をしなければならぬというような取扱いになるだろうと思います。
#20
○大泉委員 私のお伺いしたいのは、許可、認可に対して手数料をとるというのは、何を根拠にして手数料をとるのか。この取締法案によつて当局が古物商に対していわゆる犯人檢挙、あるいは防犯に対して協力を求めなければならぬのにもかかわらず、あべこべに料金をとるということは、かえつてこの法案に矛盾しやしないか。大体この法案の趣旨は、申すまでもなく取締法によつて犯罪人の檢挙、不正品の回收、盗品の回收をすることだと思いますけれども、この目的を達成するために、古物商に協力を求めて行くのに、この法文を取上げると、古物商を疑いの目をもつて見たり、権力をもつて取締つておるように見える。自分が協力を求める者に、あるいは疑いをかけたり、信頼をしなかつたりしては、協力も援助もできぬじやないか。眞から信頼しておれば、あるいは眞から協力もいたしましよう。もし疑われるならば、こんなめんどうな間違いの起りやすいようなものに対しては、近寄らない。ごめんこうむるということになりやしないか。そこでこれはあまりにも物をもつて人を律するというようなきらいもある。大体見当違いな目的を持つておるように私は思う。先ほどの政府委員のお話によりますと、古物商はまず人格その他品行上の非常によろしい者をもつて、その認可許可の基礎條件とするというように言つておりますけれども、確かに目的はそうでありましようけれども、今日実際これを行つておるものは、私どもの常識から申しますと、そうでない結果を及ぼしておる。それほど政府委員の言われるように人格なり、あるいは操行なりのりつぱな人であるならば、こんな取締りなんか何もいらない。そういう小むつかしい取締規定を置く必要はない。ところが実際はそうでないからこれが必要なんだと私は思う。またそうしてみると、どこまでもこれは物を羅列して、そして物の動きを人によつて求めるのだから、まず人の人格を基礎としたところの営業、あるいは営業のやり方を、相当重要視しなければならないと思うのであります。そこで政府がこの取締法案のように、犯人の檢挙のでき得ないような法文をつくつて、これに臨むということは、かえつて成果が上らないことになる、むしろ私はもう少しこれの目的に近づいて、犯人の檢挙を容易ならしめるという方向に持つて行つた方がいいのではないかと思うのであります。それには取締り対象の業者に対しては、損害を與えないこと、むしろ協力者に対しては優遇するくらいの態度で臨んで行かなければならない。また傍観して、――つまり怪しいものが飛び込んで來た場合には、これに対して自分で接近すると、あるいは間違いのもとになるかもわからないからというので、これから遠ざかるような非協力者に対しては、何らかの方法をもつて積極性を持たした方がいいのではないか。この法文によりますと、むしろ犯人を追い返すような結果になるのではないかと私は思うのです。この点もう少し実際に即した法令に訂正したらどうかと思うのです。つまり私の言わんとするところは、認可許可の料金をとることをせずに、むしろ補助を與えるべき性質のものであるけれども、補助を與えることはなかなか困難であるから、あまり実際と離れた方向に持つて行かないようなことをする方がよろしい。それから先ほど政府委員の申されるように、指示する、あるいは命令するということになつておりますが、もしそういう点で実際上の取締りにおいて、現場の執行者の行き過ぎあるいは逸脱した行為に対しては、嚴重な指示もされましようけれども、その範囲を明確にして指示してもらいたい。これは末端の官吏が業者に臨むとき、いわゆる目的外のものを取上げてしまうというようなことが往々にあることです。これは大いに愼むべきことでありますが、こういうようにあまりに廣汎な権限を持たせるということは、現場の取締執行者に対しては、きわめて危險なものであるから、これを嚴重に指示してもらいたい。それからこれは私が現にぶつつかつた問題ですが、市民の中から公安委員を選定するときにあたりまして、たまたま公安委員に選定を受けた者が古物商であつたために、その資格が問題になつて、せつかく選定されたものが公安委員になり得なかつたという事実があるのであります。こういうように社会的地位においてさへ制限されておる古物商は、人格品行の高い人をもつて基礎とするというお言葉には、まことにあてはまらないように私は思います。この点は古物商なるがゆえに一般國民と差別すべきではないと思うのですが、こういう点について一言承つておきたいと思う。それで特に業者に対して自主的な協力の方面を求めなければならないのですが、それには業者には、おのおの組合その他の組織がありましようから、その組織を統轄する組合代表者に対しては、特にこの目的の存するところを深く了解せしめる。またよく意見を聞きとるということも必要だと私は思うのであります。この点において業者を代表する、いわゆる組合を代表するような人々に対しては、特に協力を求めておるかどうかということをお聞きいたしたいと思います。
#21
○武藤(文)政府委員 お話の点でございますが、古物商が警察に協力して犯罪予防、檢挙に貢献する、むしろつとめてもらうくらいにしてもらわなければならぬと思うのでありますが、これは古物営業にかかわらず、あらゆる営業、あらゆる國民が、ほんとうに新しい警察に打解けて行くという見地から、まことに望ましいことである。そういう意味においてひとりこの古物商のみならず、ほかの方々も、積極的に警察に協力していただくことは非常に望ましいことだと思います。そこで手数料をとることは、むしろこれに逆効果を來すことになるではないかという御趣旨だと思いますが、なるほど古物商にいろいろの協力を求めております。しかしまた一面におきまして、いわゆるもぐり古物商といつたものについては、嚴重な取締りをすることによつて、正規な古物商については安心して営業ができるようにして行きたいというのが、この法のねらいでもあるわけであります。かような意味において手数料をとることが、ただちに警察に関する協力感を失わしめることにはならないだろうと思います。いろいろの営業におきましても、最近の立法においては皆手数料をとることになつております。飲食営業あるいは興業場、旅館、あるいは浴場、お医者さん関係、藥剤師とか、いろいろなものが、最近は全部手数料をとることになつております。その例に從つて本法でも手数料をとつております。これによつて業者と警察の間にひびが入ることを、われわれは絶対に望みませんし、またそういうようにまずくなることは、われわれとしては考えてもみなかつたほどの問題であると思います。
 それから末端への指示をはつきりしてもらいたいというお話でございますが、これはわれわれとして特に意を用いておるところでございます。いろいろの立法が次々にできて参りますが、ほんとうに末端でその執行に当る警察官が、十分にその法の精神なり、法の解釈なりをよく知つておつて、適正に運用して行くことは絶対に必要でございます。かような意味において、われわれは末端の警察官の教養には、特別の意味を持たして力を入れておる次第でございます。本法案ができますれば、ただちにこれの、こまかい解説をつくり、その要領を示して、末端の警察官において適正な運営ができるようにとりはからう所存でございますので御期待に沿い得ると思つております。
 それから古物商が公安委員になれなかつたというお話でございますが、これはおそらく若干お話の意味において食い違いがあるのではないかと思うのであります。それは警察の直接取締りを受ける立場にある人が、警察の管理をするところの立場の公安委員に置かれるということは、いかなるものであろうか。むしろその人御本人としても非常に心苦しい立場に置かれるであろう、他からいらぬ誤解を受けたりすることもあるだろう、さような意味において、警察から直接取締りを受ける立場の人が警察の運営をするということは、避ける方がお互いのためではないかという意味から、公安委員にならなかつたのではないかと私は考えるのであります。それから警察に対して業界から自主的に協力する方途を講じてもらいたいということで、これは私全然同感でございます。現に本法をつくります際にも、相当業界の方の御意見をわれわれとしては聞いております。おそらく業界の方は驚くだろうと思いますが、非常に緩和された法案が出たので、おそらくびつくりされたのではないかと私は考えておるのであります。十分に業界の方の御意見も聞きまして、また今後本法を実施するについても十分に業界の自主的協力、卒先して警察に協力していただくという方法で運営して行きたいと、かように考えております。
#22
○大泉委員 ただいまの御説明で大体わかりました。古物商の取締法案ができてから五十年以上にもなるような状態であります。その間社会情勢はきわめて変化しておる。こういうような立場から一般に取締る方も、取締られる方も社会情勢に左右されて、きわめて時代に即應した一つの方策をとつて來られたのでありまして、ここであらためて法案を改正するとなると、やはり新しくなるのであるから、業者が非常に緩和された法案になつたので、びつくりしておるのではないかというような言葉は、とんでもない話である。むしろ五十年なり六十年なりの時代の流れが、現実的に、この法案よりも現実に即した取締りになつておるのではないかと思う。今政府委員のおつしやるような、びつくりしておるというような考え方は、まだ現実的に施行されていないからわかりませんけれども、おそらく見当違いであろうと思います。私は努めて業者の意見を聞いて、先ほど谷口委員から申されたように、何ら関係のない犯罪行為にまで引つぱり出されて詮議を受けるということは、きわめて妥当でないと思う。これらは業者の意見を織込んで、適正な運営をしてもらいたいと思います。今後の行政執行というものは、民間人と政府が一体になつて当つて行かなければならないのでありますから、特に業者の意見を重要視していただきたいと思います。
#23
○武藤(文)政府委員 私の言葉が誤解を招いたならば御了承を願いたいのでありますが、本法はごらんの通り現行法に基いて、非常に業者の営業権について法律上明確にしており、たとえば許可あるいは許可の取消しについて明確にしておるような点で、多分に本法は業界のためも考慮しておるという点は、お考え願えると思うのであります。かような意味で本法を今後運営するについては、一層業界の意見を聞くべきものは十分尊重し、積極的なその協力を得て運営して行きたいと考えております。
#24
○千葉委員 樋貝國務大臣に三点についてお尋ねをいたしたいと思います。第一に美術商の問題が先ほども論議されましたが、第一條に「古物」とは、使用のために取引されたものとあります。この美術ということになると、鑑賞の目的でありますが、はたして法律上の用語から使用の中に美術というものが入るかどうか、非常な疑問ではないか。普通の法律通念から申しましても、使用というのは一般に生活その他のために使用することになつておりますので、細則において美術商ということをいつておりますが、この点法律的にどういうふうにお考えになつておるかというのが一点であります。私どもは入らないと解釈しております。
 それから第二の四條の第六号「同居の親族のうちに前号に該当する者又は営業の停止を受けている者のある者」というようなことがありますが、これは非常な疑問ではないか。同居の親族とありますけれども、この「前号に該当する者」がほかの店に行つた場合にはどうなるか。結局同じことではないか。罪三族に及ぶというような、むしろ封建的な考えではないか。むしろこの六号は除いてしまつた方がよろしいのではないか。あまりに取締りに嚴にして目的を達しないのではないかと思いますが、この点について樋貝國務大臣の御意見を承りたい。
 それから第二十一條でありますが、これについてはいろいろ論議が盡されました。この中の「被害者又は遺失主」とありますが、被害者と遺失主を同一に論じておる。どろぼうにあつた人と物を落した人、それが原状回復を無償で求めるということは、同樣に論じ得られるかどうか。そこに注意力の差異があると思います。これを同一に論じて、無償で回復するということでなく、これは差別をつけなければならぬものではないか。少くとも遺失主であつたならば、半々にするとか、あるいは他の方法をもつて措置するとか、そこに法律上の差異が当然起つて來るように考えられますので、この点法律の権威者である國務大臣からはつきり御説明を願いたい。
#25
○樋貝國務大臣 ただいまお尋ねになりました第一点の「使用」の中に美術の鑑賞が入るかという問題ですが、使用ということは御承知のごとくわれわれの欲望に沿うように物質を利用することでありまして、從つてその範囲は鑑賞ももちろん入ることと思います。現実にわれわれの目をもつて眺め樂しむ、われわれの美術鑑賞の欲望を満足するという以外に、なおわれわれの精神的における非常な多数の欲望がありますが、物質によつてわれわれの要求するところを満足するものは、すべて廣い意味の使用ということに使われておりますから、從つてその使用という意味の中には、鑑賞も当然入るという考えでおりましたわけであります。從つて特に鑑賞だけをえり拔いて、その中から規定しなかつたようなわけであります。それから第二点の第四條ですが、同居の親族ということは、現在においては親族であつてもなくてもかまわない。家族と、それから同居者というふうに現行法は限定してありますが、それよりは少しゆるくなりましたようなわけで、親族であつて、かつ同居している者、経済をともにするであろうということを考えられる人だけについて限定いたしましたようなわけで、現在においては非常にゆるくなつておりますが、決して封建的な思想をここに表わそうという意味ではないのであります。從つてただいまお話のあつたような意味とはよほど違うと考えております。それから第二十一條の無償の点は、だれが被害者であるかということとも非常に関連いたしますが、現行法においては警察署長を通じて返すということになるわけであります。やはり無償でありますが、しかしこれは無償であるか、有償であるかということについて、仰せの通り考うべき点がありまして、だれがその場合における被害者であるかということでありますけれども、現行法における主義をとるとすれば、言いかえれば民法に対する例外であるとすれば、現行法のごとくに、警察署長を通じて取上げるということではなしに、直接返すということで、かえつてその方が警察の経由を省略するゆえんでもあろうかと考えております。今例でお出しになりました遺失物については、取得者が一定の報酬をもらうことになつておりますが、しかも物は本人に返るという態度をとつておりますし、それが今日においては妥当であると考えております。盜品につきましては、やはり現行法に考えていることが相当ではないかという点であります。從つてそれだけのことは経済上にまた現われて参りますために、実際においてはその危險をもおもんぱかつて、相当な價格で引取るということになるのではないかと考えております。從つてこの負担はむしろその当面のことに携わつた人にさせた方がよかろうというような考えでありました。それで現行法の趣旨をとりましたようなわけであります。別に今の憲法その他に違つたところもないと考えた次第であります。
#26
○千葉委員 ただいまの第三点の盜品、遺失品の差異につきましては、大臣もある点まで差異を認めておるようでありますが、むしろそうしたことは法文の中にはつきり書き入れた方が、將來の混乱を來さないのではないかと考えておるのです。それから第一條の今の定義でありますが、これも使用または観賞、美術を入れるとすればそういうことをここに入れないと、末端においていろいろ解釈の混乱が起るのではないかというふうにも察せられるのでありまして、こういうことに関しまして、法案全体におきましても、いろいろ混乱あるいは誤解が起る点が多々あるようであります。そうした解釈をはつきり業者に傳えませんと、かえつて有害になるのではないかと察せられるのであります。その点に対しては大臣は確信をお持ちになつておるかという点だけをお尋ねいたします。
#27
○樋貝國務大臣 お説の第一條で、たとえば鑑賞を入れましたところで、鑑賞からはずれたようなものはどうなるかという疑問は、依然として起るようなわけであります。使用についてもいろいろお説の通りに疑問が起ります。観賞を入れましたところで、たとえば香炉のごときものに至りますと見ただけでは満足できませんので、あれは香をたいて見ないと十分目的を達しないのですが、これは一体見たのか、使つたのか、その辺になるとわけがわからない。そういう境目に属しますものがほかにもたくさん出て参りますので、むしろ廣い観念に從つたらよかろう。それで物質によつてわれわれの欲望を満足する場合に、使用という言葉が一般的に使われておりますから、そういう観念によつたらよかろうと考えております。それから盜品の分については特別な規定を置かぬでも、例の遺失物については遺失物法があり、特別法として成立いたしますから、從つて拔けて行くだけは拔けて行くとして、ここに書き表わさぬでもよかろうというような考えを持つたような次第であります。お説のことはまことにごもつともであろうと考えておりますけれども、そんなわけで書き表わしませんでしたような次第であります。
#28
○野村委員 本法に対しては全体から受ける感じですが、古物商に対する取締りの法規は、明治二十八年に制定されて、それが非常に封建的なもので、今日まで施行されて参つたわけです。しかも新憲法によつては非常に民主的に飛躍をいたしております。しかも國民の基本的権利、自由というものを保障される、しかし新憲法が非常に民主的なために、現在の國民の道義から言つて、実際の面には本法を通じてもわかるように、非常に困難なる面があろうと思うのです。しかし國の秩序、國家的に考えて、やはり憲法を基底にしてやつて行かなければならぬ。こういうときにおきまして、今千葉さんから二、三國務大臣に対する質疑がありましたが、第四條の六項に対しましても、基本的な國民の自由という点から、家族制度というものは從來の憲法とはかわつた形になつているのです。しかもいろいろな昨年の統計によつても、百六十万を算する犯罪が記録され、しかもこの八割が古物商、あるいはもぐり業者によつてさばかれておる。こういう点に対して臟品の絶無、防犯という点に非常に急なために、先ほど政府委員の説明によると業者も非常にこの点に対しては寛大なものであるというようなお話もありましたが、私らが公正に白紙の立場で考えたときにおいて、なるほど営業の権利というものについては、公安委員会を通して確立しておる。こういうところは認められますが、必ずしも政府委員の説明のような寛大なものであるとは考えられない。今日の政治いろいろな状態から、結局このような苛酷な法案が提案せざるを得ないようなことだと思う。こういう問題に対しては政治なり、國の道義、國の秩序なりで根本的に解決しなければならぬと思うのであります。しかし何といつても新憲法がはつきり存在をいたしておるのでありますから、こういう点に対して憲法の精神にのつとつて、あらゆる法律案が考えられなければならぬ。國務大臣としてかような点に対しては、いかなる御所見をお持ちになつていますか伺いたい、こう思うのです。基本的人権というような立場から行きますと、同居の家族営業者に対して、許可をすべきであると思う。新憲法によつて家族制度は非常なる飛躍と、内容を異にいたしておりますが、今日の日本の現状から見まして、家長と同居者というものに対しては、日本独自の美風もあろうと思います。そういう点から形式は別にいたしまして、憲法が保障されておる基本の人権によつて許可さるべきものである、かように考えております。また同居なり親族のうちで、もしそういう禁錮以上の刑を受けた、そういう事態があつた場合の、何とか救済をする方途は考えられるべきだろう、こう考えるのであります。それから八條の二項の從業者を三人の範囲を越えない範囲において云々、こういう項目があります。私は一体本法を通しまして、この古物業というものが、道義においても、あらゆる点においても非常に地位を低く見て、また率直に言えば、これを保護助長することなくして、好ましからざる状態に置いて、犯罪の面などから考えて、なるべく数が多くない方がいい。こういうような考え方であるが、私は望むらくは営業の自由も認めて、規模によつては、相当日本のあらゆる都市が多くの戰災を受けて、貴重な物資を失つて、こういう業態を通して相当國民の生活に寄與するところも多いと思いますし、また業者自身は、相当過大な税金を通じて國の再建に協力しておる面も、私は等閑に付することができないと思います。こういう点に対しては、私は業態自体の中から労働組合でもできる程度の内容になつて、公正に運営する。從つてこういう人員を、いかなる根底から三人と規定して押えるかという理由に対して、先般同僚議員から御質疑がありましたが、明確にこれによつて了承することがまだ困難なので、こういう点をお伺いしておきたいと思います。それから今お話があつた第二十一條の問題でありまして、このことは大体百六十万の犯罪のうち、八割がもぐり業者によつてやつておる。こういうことが事実のようでありまして、從つてたとえば料飲店の再開によつて、その過程によつても考えられます通りに、あまりにやかましく言うと、結局表口営業をやめて裏口営業に移つてしまう。正当な商取引を避けて、不正な手段によつて、業態を通さずしてやるということを考えますと、あらゆる物資は、明朗な業態を通して市場なり、店舗を通して行くことが、私は犯罪捜査、檢挙の面においても好ましい、こう考えられるのです。しかも戰後において非常に古物商が多くなつております。あるいはまた経済事情いろいろな点において、しろうとの善意な業者もあろうと思います。こういう業者のうちでも善意な取引によつてもなおかつ無料によつて回收をせなければならぬ。このことは一体率直に申し上げますれば、國の政治、いろいろの根源から出て來ると思うのです。むしろこの点に対しては、ひとり業者にその責任の全部を負わせるということは私は正しくない、こう考えておるのです。從つて善意の取引については、なるほど國務大臣並びに先般來政府委員の説明によつても、一應運用によつてそういうような点は解決がつき得る余裕はわかりますが、しかし法律としてここに明記している以上は、私はこれによつて正しい業態というものが展開できなくなるだろう。こういうことをおそれるのであります。しかも商権の自由をこれによつて束縛することになります。
 以上の三点に対し、またそれに先立つて憲法の精神なりに対して、國務大臣の見解、御所見を合せて伺えれば非常に仕合せだと思います。
#29
○樋貝國務大臣 ただいまの憲法についてお尋ねの通り、まつたく與えられた憲法として、私ども同感の至りにたえないと思います。すべての方面において、非常に民主的になつて來たことは事実であります。從つてそれに沿いたいと思う。それから今日における実情ということと考え合せなければならないと考えております。從つて新憲法の趣旨には沿いますものの、しかもなお今日の実情を離れてというわけに参りませんようなわけで、從つてその間の調和をどこに発見するかということで苦しんでおるようなわけでありますが、その前提はまさにお説の通りであります。ただ同居の親族というものについて、現行法では家族と同居の雇い人ということになつておりましたが、非常にその範囲を狹めましたようなわけで、家族制度が廃止された今日といたしまして、家族ということは全然触れておりませんで、親族だけの身分関係だけで拾い上げたようなわけでありますが、実際においては亭主が罰金に処せられると、女房の名前でかわりになるということがたくさんありまして、実際の警察の取扱いの上から言つたならば、同居の、言いかえれば経済を一緒にする新族は、同じように取扱わねばどうしても困るという事情がありまして、そういう現実の事情と、ただいまお話がありました理想との間の調和が、この辺に落着くのではないかと考えておる次第であります。それからまた三人の從業者という点もそうでありますが、現在においては人数は制限しないけれども、そのかわり身分関係において非常に制限いたしておりましたのを、今度大分その点はゆるめて、かつ人数において制限いたしましたようなわけで、大体三人あれば、一、二の藥屋などのような資本主義というものは別といたしまして、これで大体いいであろうというような考えで、今まで大体見ましたところでは、ごく少数の例外を除いては、大体三人ぐらいが最高限度になつておりましたために、これでよかろうというような考えを持ちましたわけであります。それから盜品の点について、無償で回復するという点でありますが、業者を保護するか一般國民を保護するかという点で、この点はわかるだろうと思います。先ほどもお答えをいたしましたが、遺失物については拾得者に一割をやるというような規定になつておりますので、その辺を盜品に加味するかどうかということですが、これを立法の当時におきましても考えてみましたけれども、盜品については、盜まれた者の意思がちつとも加わらない。それから遺失物については、少くともなくした者の過失が伴いますようなわけで、一割の制限も、盜品については考えない方がいいだろう。多数の國民の方を保護して――業者の方にだれか知り合いでなければ、業者はもらわないのですから、順繰り順繰りに請求もでき得るようになつておりますから、從つて最初に盜んだ人から受取つた人は、その人を知らないで品物をもらつた、買つたというような場合には、その辺に過失が本人にあるものと見なければならない。ですから盜まれた人間の方を保護して、最初に不注意であつたかもしれない、あるいは知つておつたかもしれないけれども、その盜んだ人から物を買つた人の方に負担をさせたらいいだろうという考えであります。今のお説のように、業者を轉々として参りまして、最後に品物を引上げて参りましたという場合には、純然たる求償権がありますので請求ができる。そうした最後の段階に一番初めまで行きまして、盜んだ人から品物を買つた人が、名刺一つ受取らずに、それからまたあるいは別に手形一つ取らずに、その盜んだ人から物を買つたということがあれば、過失と見なければならぬ。ですからその人に負担させるのが相当だろうというわけで、こういうような処置を取りましたようなわけであります。從つて遺失物とは非常に性質が違うだろうという考えから、ただいま申し上げましたことに達しましたようなわけであります。現行法のとつておる、ただ警察を通じてということだけを改めたらよかろうというような考えを持つたようなわけであります。ひとつ御了承を願いたいと思います。
#30
○野村委員 大体政府の考えておられることはよくわかるのですが、二十一條の問題は、私も数回にわたつて盜難に合つたことはあるのですが、これはとられたものですから、無償で回復したいことは人間である限り人情であります。しかしその品物そのものをほしい。しかし本法のごとき峻嚴な形にいたしますと、正常な市場なり店舖を通さずしてやるから、やみからやみに業者によつてさばかれてしまう、こういうことを私はおそれるのであります。むしろ業者も本法を通して、犯罪防止の方面にも明るく協力をして、どんどんと正常に店舖、市場に通して行くように、こういうことの方が私は実際的であろう、こういう考えで質したのであります。角をためて牛を殺すようなことになつてはいけません。運用の問題にかかつておると思いますが、そういう点から御考慮の余地がないか、こう思うのであります。
 それから從業員のものは、どう考えてもこういう精神は露店的の性格以上に私は伸びて行かないと思う。むしろそれよりは自由にこれを認めて、内容を堅実にして、正しい、そういつたような犯罪が行われぬような形に保護助長し、これを処理して行つた方がいいのではないか、これをあまりに圧縮して行きますと、露店的の性格以上に私は伸びて行かないと思う。こういうことは今の説明によりましても完全に了解の域まで至つておらぬのでありますが、私の質問は以上で打切ります。
#31
○立花委員 今までちつとも言われていないことで、今野村さんから言われた意見と本質的に関係があるのですが、三十三條の罰則の問題です。この法案の全部を通観してみますと、使用人が小さい違反をやつても、使用人は罰金になり、さらにそれが雇い主の罰金になつて参ります。そうするとこの法案でははつきり罰金を二回以上やられると営業ができないのですから、使用人が小さい罪を犯しても、それが二度重なれば、営業権が奪われることになるのです。こういうことが、やはり憲法上の本質的な営業の自由というところから見まして正しいかどうか、大分問題になるのじやないかと思うのですが、國務大臣の考え方を伺いたいと思います。
#32
○樋貝國務大臣 お説のごとく両罰主義は、できればとりたくないのですけれども、現在の実情から見ますと、番頭がやつたので、あるいは主人が知つておらぬからということで、片方が逃げてしまうのを許してしまうことでは、どうしても目的は達成せられないわけで、從つて現在この両罰主義をとつておる。お尋ねのありましたような方面につきましても、両罰主義をとつたようなわけであります。もとより先ほど政府委員から申し上げたごとくに、本件に関しましての実情に即するような取扱いはしたいとは思つておりますけれども、しかしただいま申し上げたように、國民大衆を救うためには、業者においても注意してもらわなければ困るだろうと思います。從つてこういうような結果になりましたことは御了承願いたいと思います。
#33
○立花委員 それは非常に重大な犯罪だと、そういうことも考えられるのですが、三十條によつて、二十三條の違反が全部罰金になつておる。二十三條の違反と言いますと「関係者に質問することができる」とあるのですが、質問をされて返答しなかつた場合に罰金になると思う。その使用人が犯したそういう軽い犯罪が、同時に雇傭者にも罰金の刑になつておる。またこれが二回重なれば営業が禁止されるということになつておりますけれども、これは苛酷なものじやないか、内容の点ですが、この点はぜひ改めていただかなければならないと思います。使用人の犯した罪が両罰主義になることも問題でありますが、この法案の内容から見まして、非常に軽い問題でも、営業権の問題にまで響いて來るということがはつきり出て來ますので、御再考を願いたいと思います。
#34
○間狩政府委員 大臣から御答弁がございまして、今三十條をあげての御質問でありましたが、第三十條では警察官が質問をいたしました場合に、返答をしないということに対しまする罰則は実はございません。ここに罰則にそれぞれ二十七條から三十條まで規定いたしておりまする違反の行為は、本法案の趣旨から考えまして、それぞれ重要な項目ばかりでございます。そういうような違反の行為があつたという場合には、やはり取締りの上から重大なことになりますので、從つて二回重なれば三十三條の関係にまたなつて來るというようなこともやむを得ないかと思います。
#35
○中島委員長 午前中の質疑はこの程度にして、一旦休憩いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○中島委員長 それでは午後一時二十分まで休憩しまして、質疑を続行することにいたします。
 これにて休憩いたします。
    午後零時二十分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後一時四十五分開議
#37
○中島委員長 これより午前に引続き会議を開きます。
 この際、地方税法の一部を改正する法律案に関し、入江法制局長より発言を求められておりますから、これを許します。入江法制局長。
#38
○入江法制局長 私は衆議院の法制局長でございますが、最近の機会に、関係方面から、地方税法の一部を改正する法律案につきまして、こういう点を修正してみてはどうかという参考意見の提示が私にありまして、これを当委員会によくお傳えするようにということでありましたので、これを申し上げたいと思います。もちろんこれは関係方面の参考意見でありまして、そういうふうにしてくれとかなんとかいうふうなことでなくて、あくまで当委員会において自由に研究をしてよろしいのだという趣旨でありますから、お含み願いたいと思います。
 その点は一点でありまして、今度のこの改正法の四十五條の二ないし四十五條の三十五というところに、滯納処分に関して非常に詳細な規定が置かれてあります。ところがその四十五條の六の規定を見ますと、滯納処分に必要な臨檢、檢査をする場合に、行政廳の者がただちに臨檢、檢査をすることができる点はおもしろくない。何かこれは、たとえば裁判所の許可を受けるとか何とかいう、愼重な手続にするがいいのであるが、そうなつておらない。このようにこまかい規定を置いたとしても、その点を逸しているのでは何もならないから、これについてひとつ考えてみたらどうかというのでありました。
 これにつきまして、私の法律的の見解だけを一應参考に申し上げますと、從來は滯納処分につきましては、國税につきましても、別段裁判所の許可等を要しないことになつておりますが、そういうふうな行政上の臨檢、檢査について、そのまま行政官廳が個人の宅に臨檢、檢査ができるというようなことは、憲法の精神から見て、もう少し嚴重な制限をすることが望ましいという点は同感であります。それで、今度のこの地方税法一部改正の四十五條の二ないし四十五條の三十五というのは、非常にこまかい規定でありますので、これをただいま申しましたような線に沿うて檢討をして、修正して行くというのも一つの案である。あるいはまた、この際はこういうこまかい修正は一應やめて、現在二十四條というのに滯納処分の規定があるのでありますから、それはそのままとしておいて、近い機会にこの臨檢、檢査についての権利保護の手段を研究するということにして、この際は現行法の二十四條を生かして一應まとめて行くというのも、一つの方法かと思います。いずれの方法も法律上可能であり、これらの点につきましては、当委員会で適当に御判断願いたいと存ずるのであります。
 以上申し上げまして、御審議の参考に供したいと存じます。
    ―――――――――――――
#39
○中島委員長 何か入江法制局長の御話のことに対して御質疑はありませんか。――ありませんければ、午前に引続き、古物営業取締法を議題として、質疑を続行いたします。
#40
○立花委員 私は、谷口さんと二人ダブルので遠慮しておつたのですが、時間が少しあるようですから質問させていただきたいと思います。地方自治権の侵害になるかと思われる部分があるのです。たとえば一つの公安委員会で許可されたものを、そこで許可を取消せば、他の公安委員会の所轄の範囲内にあるものも自然的に取消されるという條項が二十四條の中にあるのですが、この点に関してどういうふうにお考えか、これをひとつお尋ねいたしたいと思います。それから根本的な問題なんですが、品触れの場合のさしとめとかあるいは無償で回復する場合の経済的な補償をお考えになつておるかどうか、これもあわせて御返答願いたいと思います。それから最後の罰則でありますが、罰則の問題は、さいぜん樋貝國務大臣が御返答になりましたように、両罰になつておりまして、たとえば二十三條のような非常に軽い問題で使用人が処罰される、その使用人の処罰に対しましても、三十條では罰金となつておりまして、罰金以外の刑は言つてないのですが、非常に軽い問題でも、使用人が罰金を受ける。しかもそれが本人の罰金になつて参りまして、しかもそれが二つ以上重なりますと、第四條の規定によりまして、営業が許可されない、こうなつて参りますのは、あまりにひどいやり方じやないかと考えられます。全体を通じまして、この法案の罰則は、もう何かといえば懲役でありまして、最後の三十條だけが罰金になつておるわけですが、これはあまりにひどい罰則であり、以下三十一條、三十二條、三十三條を通じて、罰則が普通のこういう取締法よりはきついのであります。たとえば三十一條の罰則などは、懲役と罰金を供科することができるというふうになつております。さらに三十二條になりますと、過失によつて二十條の第三項とか、こういう軽易な問題を引起しましても、拘留または科料に処せられるというふうになつておりまして、罰則がどぎつい形でやられております。特に今申しましたように、基本的な営業権の問題にまで、最後にはタツチして來るような條文になつておりますので、この点をどういうふうにお考えか、お答え願いたいのであります。
#41
○間狩政府委員 二十四條に、営業所を二つ以上設けております場合、一つの営業所について許可の取消しまたは停止の処分を受けました場合に、他の営業所についても情状により取消しまたは停止ができるという規定になつておりますことについての御質問でございますが、これは古物商が、先刻來申し上げております通りに、対人的信用を基礎としての営業でありますので、一つの営業所におきまして、相当重大な違反のありました場合には、その他の営業所につきましても、行政処分ができるというわけなのでございまして、対人的信用を重要視します古物商におきましては、これは必要な規定であると思います。なお現行法について申し上げますと、古物商の行政処分が全國に及ぶということになつておりますので、一つの営業所について違反がありますと、当然にすべての営業所の許可が無効になるというような建前になつておるのでありますが、それをさらに本法案におきましては緩和しておるということを申し添えておきます。
 それからさしとめの場合の補償でありますが、盗品または遺失物であると疑うに足りる相当の理由のあります場合に、三十日以内交換賣買をさしとめるということでございますので、これはむろん業者に対する負担になるわけでありますが、この程度の負担に対しまして、これに対する補償をしなければならないというほどのことでもないと思いますので、これにつきましては、業者の協力を願いたいと思つております。それから罰則の問題についての御質問でございますが、本法案の罰則につきましては、他の法令と十分に比較檢討をいたしました上で、他の法令と均衡を得るようになつておりますので、本法案が特に重い罰を科しておるということではないと思います。ただ非常に軽微な違反に対しましても罰金がかけられる。使用人の違反に対しても営業者自身が罰金の刑に処せられるというような関係になるのでありますが、法律的にこれを規定するといたしますれば、違反に対してそれぞれの刑を科するという規定を設けざるを得ないのであります。しかし実際の問題といたしましては、簡單な、しかも何ら惡意のない、形式的な違反があつたからというので、必ずしも事件として起訴するというようなことには、むろんならぬのでありまして、軽微なものはそれはそれで済むのであります。惡質なものに対して処罰するということは、これは一般的にさようでございますので、今御心配になりますように、常に罰則をしやくし定規に適用して、そうして業者の権利に重大な侵害を與えるというようなことは、絶対にないと存じます。それから三十一條の関係でございますが、これは情状により懲役と罰金を併科することができるという規定も、他の法律におきましてもすべて同樣の例があるのでございまして、本法案におきましても、やはり情状によりましては、体刑と罰金とを併科することが必要な場合もございますので、この規定を設けたわけでございます。それから三十二條の関係におきまして、過失による違反に対して拘留または過料に処するというようなことが、非常に行過ぎではないという御意見であります。これはつまり品触を出しまして、品触に該当する品物があつた場合に、古物商は必ず警察に対して届けをしなければならぬということになつておるのでありますが、これは犯罪捜査の上から申しまして、きわめて重大な事柄なのでございます。ぜひ業者が良心的に、しかも責任を持つて品触と同一のものがありました場合には、必ず警察に報告をしてもらわなければならぬので、ぜひそれを励行をいたしまするためには、やはり三十二條のような規定が必要なのでありまして、惡意ではなかつたが自分は全然知らなかつた。わからなかつたから届けなかつたということで、その責任を免れるということになりましたならば、品触によつて盗品または遺失物の発見ということが、とうてい十分に参りませんので、過失さへなければ、良心的に、また責任を持つて注意をしておれば、当然わかつたはずだということが立証できまする場合には、この三十二條によつて罰則を受けなければならぬということにいたしたのであります。この点も御了承をいただきたいと思います。
#42
○立花委員 先ほどの政府委員の説明では、現行法よりもこの法律が業者がびつくりするほどよくなつているというのでありますが、現行法よりもひどくなつておる点があるのであります。たとえば今の問題、罰金と懲役を併科するというようなことは、現行法にはないのではないかと思います。その点どうでございますか。
 それからもう一点、二十一條の遺失品または古物の二年以上経過した問題に対しまして、この二十一條では「二年を経過した後においてはこの限りでない」というように書いてあるのでありますが、現行法十七條によりますと、「二箇年ノ後被徴收者ニ還付スヘシ」とはつきりとうたつてあります。こういう点でも現行法よりもこの方が後退しておるということがはつきり言えると思う。この点に関しましてお答えを願いたいと思います。それからもう一点は、使用人の罪が本人に行く、あるいは罰金と懲役の併科の問題でありますが、現行法によりますと、現行法二十一條には、こういう種類の問題に関しましては、かえつて保護規定のようなものがありまして、「刑法ノ数罪倶発ノ例ヲ用ヰス」ということまでも書いてありまして、こういう点から考えましても、罰の点ではむしろこの改正法律案の方が強くなつておるということが言えると思うのであります。以上三点につきましてお答え願いたい。
#43
○間狩政府委員 現行法におきましては、何しろ古い法律でございまして、罰則の関係におきましてもはなはだ不完全、不十分な法律なんでございます。罰金が最高五百円以下ということでございまして、重い違反でありましても体刑は全然ないのでございます。從つて併科の問題は起らないわけであります。それでは非常に不十分だということの一番顯著な例を申し上げますと、古物商という業態の中で、防犯上一番困りますものは、無許可の古物営業者なのでありますが、これが現在正規の業者のほかに、全國的に多数のいわゆるもぐり古物商が跋扈いたしまして、それが犯罪の温床になつておるのであります。ところがそれに対しまして現行法では、檢挙いたしましても罰金五百円以下の刑しかかからないのであります。もとより営業の許可がありませんから、許可を取消しまたは停止するという方法もございませんし、もぐり古物商に対しましては、現下の経済事情から申しまして、罰金五百円の刑をもつて臨みましてもほとんど何らの効果がないので、しかし防犯の見地からいたしましては、これが撲滅を期することは最も重要な点でありますので、本法案におきましては、「三年以下の徴役又は十万円以下の罰金に処する」というこにいたしたわけであります。その他の関係におきましては、それぞれ均衡のとれるようになつているわけであります。
 それから二十一條につきまして、現行法ではなるほど二年を経過したならば古物商に返還するという規定がございます。但しこれは被害者または遺失主がわからない場合に、警察が徴收保管をいたしておりまして、しかも二年経つてもなおかつたれも被害者、遺失主がわからないという場合に、古物商に返還することになつておるのでありまして、さような警察が徴收するということも全然本法案においては考えておりませんので、重いか軽いか、ちよつと比較ができない問題でございますが、それに関連いたしまして、この法案において現行法よりも必ずしも緩和されてはいないという御意見は、まつたくその通りでありまして、緩和すべき点、また業者の権利を保護すべき点は十分に保護してあります。また一面責任を重からしめる点につきましては、それぞれ現行法よりもさらに嚴重にしたいという規定も問題がございますが、それぞれその必要によりまして規定いたしておりますので、御了承いただきたいと存じます。
 それから第三点の問題につきましても、現行法では「数罪倶発ノ例ヲ用ヰス」ということになつておりますが、現在の一般の例におきましては、さような規定はございませんので、この法案におきましてはそれを除いたわけであります。
#44
○大泉委員 この際一点お伺いして置きたいと思います。この前どなたからか御質問があつたと思いますけれども、その答弁がまだ得ておらないと思いますが、地方の公共團体が慫慂してできました物品交換所、やはり財團法人の組織によつて物品を交換しておる。こういう非営利事業の團体の業務は、この取締りの対象にならないというように聞いたような氣もしますけれども、この点はつきり御答弁を願いたいと思います。また法文の上にもこれを明確にしておいていただきたいと思います。
#45
○間狩政府委員 公益法人が経営いたしております日用品交換所のごときものに対して、この法案が適用になるかという御質問でありますが、第一條にありますように、営業ということになつておりますので、むろんその観念の中に、営利を目的としてそういう業を営むということがあります。從つて公益法人が営利の業を営むことはない建前でありますので、そういうものは適用がございません。但し現在公益法人の名前でもつて経営をいたしております日用品交換所の中には、名義は公益法人でありますが、実体は個人が経営いたしておるというものもございますので、そういうものについては、おのずから別であります。
#46
○大泉委員 もう一つお尋ねいたします。物品の種類ですが、類似品のことはわかりましたが、ただ古物として用途がはずれて、いわゆる材料になるもの、くず物になるもの、しかしくず物といつても範囲が廣いのであつて、たとえば鉄材のようなもので、用途が違つて、また分解されて材料化するというようなものがたくさんある。またあきびんのようなものは、そのまままた新品としても取扱われるというものもあります。これを政府委員の言葉では、廃品として簡單に片づけておりますが、こういうものは廃品というものではないのであります。廃品という簡單な言葉で片づけては、あとで取扱う警察官が、やはりこの点において相当問題化するとも思いますので、この点をはつきり区別をしていただきたい。
#47
○間狩政府委員 古物の中にはお話のようなくず物、あるいは廃品というものはもちろん含まないことは、すでに何回もお答えしたことであります。しかしなおどうも明瞭でないという御心配がございますが、現行法においても古物ということで、そういうものを含ましめておりませんし、なおかつもう一つは古物商の営業は、それぞれ取扱う古物の種類を定めて許可することになるので、その種類を定める場合に、くず物なり廃品というものが含まれないように、総理廳令において古物の種類を明瞭に定めるようにいたしたいと思います。
#48
○久保田委員 いろいろ同僚からも御質問がありましたので、私二、三ごく簡單にお尋ねいたしたいと思います。大体法の目的たる業者をできるだけまじめな業者たらしめまして、そこでいろいろ出て参ります古物に関する犯罪を撲滅することは、もぐり業者をどうするかということがこれが非常に問題と思うのであります。そういう点から考えてみます場合、この第十四條にあります手数料等の問題も一應考えてみなければならぬと思うのであります。私はこの手数料等に対しては、まじめな業者を指導するという意味から、またその法を生かすということから考えまして、こういうものはとらなくてもよいのではないか。この意味においてこの手数料等をなくしてしまう。こう考えておるのであります。この点どうお考えか。
 それから古物営業取締法といたしまして、劈頭第一條でありますが、「この法律において「古物」とは、一度使用された物品若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの云々」と書いてあるのであります。よく私は聞かされるのでありますが、古物と申せばよくわかるのであります。ところが統制品であつて――むろん統制品であるから配給を受けるのでありますが、そういうものが委託販賣として業者が頼まれる。その頼まれたものを警察の方からこれは古いものではないということで、よく警察にひつぱられて、助けてください、こうこうでございますというようなことを申されまして、業者の方々が署長や経済主任の前に泣きついておることをいつも見受けるのであります。この配給品等に対して古物と古物でないとの限界をどこに置いて行くか。今後こうしたことによつて困られるような人たちも、どの規定によればよいのか、また取締りの面に対しましても非常に警察は困るのではないか、これはどうお考えでありましようか。これをはつきりして置きたいと思います。
#49
○間狩政府委員 手数料徴收の規定は、もぐりの業者を撲滅するという観点から申しまして、ない方がよいという御意見であります。なるほど手数料を徴收いたしますれば、それだけ負担になるわけでありますが、しかし現在の経済事情から申しまして、千円以下、場合によりますれば二百円、三百円という程度の手数料でございますので、その手数料を納めないために許可を受けぬでやるという人も、万々ないと思います。むしろ手数料を納めて安心してやつた方が、業者としてはいいと思いますので、そうその点に対する弊害を生ずるということはないと考えております。なおしかし、根本的に手数料をとる方がいいかどうかという問題は、いろいろ意見もあるのでございますが、最近の立法におきましては、許可するものに対しましては、その許可のため、あるいはその事後におけるいろいろな監督上の経費に充てるために、それぞれ適当な手数料をとるという例になつておりますので、それにならつたわけであります。なお自治体警察の区域におきましては、これは地方自治法におきまして、この本法案における規定がなくても、條令を制定すれば当然手数料がとれるのでありまして、現に全國的に自治体警察において、その市町村が條令によつて手数料を徴收するようなことがだんだんと増加しつつありますので、そういう点か案に規ら申しましても、手数料の問題を本法定する方がむしろ適当だと思いまして、この規定を置いたわけであります。
 それから第一條につきまして、統制品との関係において、古物と新品との限界と申しますか、区別が混淆を來すという御質問でございますが、たとえば衣料品配給規則等におけるものと、それから本法案における古物との範囲が、これは必ずしも一致しておるのではないのでありまして、この古物営業取締法案におきましては、第一條の通りに定義をいたしておりますし、また統制法令におきましては、古物の範囲を若干違つた定義を設けてもおります。衣料品の問題について申し上げますと、古物商の取扱つております衣料品につきましては、配給規則の関係においては、それが新品であれば、やはり新品として配給規則の適用を受けるということになつております。本法案におきましては、古物商の持つております衣料品が、使用者から讓り受けました場合には、これは古物であります。販賣業者なりメーカーから仕入れました場合には、それは新品になる。本法案におきましてはそういう解釈になると思います。
#50
○久保田委員 第一條の規定に対してお伺いいたしましてよくわかりました。これではつきりしたと思うのです。今までは使用者が衣料品等を古物業者の方々に委託いたしまして頼む。そのときに警察から來られて、さらのものがあるからというので引張つて行かれた。しかしただいまの御答弁によりまして、使用者が衣料品等を配給を受けてこれを古物業者のもとに委託いたしましても、警察は今後これを問題にしないということになるわけですね。
 それから手数料等の問題でございますが、業者は手数料等を出しますることを喜んでおるというようなふうに私聞いたのですが、決して喜んでいない。そういうような手数料を、これが自治体警察あるいは自治体において自治体の財源になり得るのならまた別ですけれども、そうではないとすれば、國家の方にこれをとられたならば、國家はこんなこまかいことに目をつけぬでもいいじやないかということが、私の考え方なんです。よつてこんなものは廃止してしまえということなんです。ただいまの御答弁によりますと、そうじやない。とにかく手数料だ。業者をふやすことと同時に國家が商賣をするようなけちな考え方はよした方がいいんじやないかというのが私の考え方なのであります。この点はいかがでありますか。
#51
○間狩政府委員 第一点の方の関係でございますが、御指摘のような場合は、本法案におきましては、古物でありますので古物でいいわけでありますが、配給規則の方におきましては、それが新品であれば、やはり新品として配給規則の適用を受けるという建前でございます。もしそれがちよつと古いものでありますれば、古いものは價格の査定をそれぞれ受けることになつておりますから、査定した額で査定証紙を張らなければなりませんし、さもなければ今度は新品になりますから、新品で衣料切符と引きかえでなければ販賣できないことになるわけでございます。だから配給規則の適用の問題は、古物営業取締法案の方とは全然別でございまして、立て方がかわつておりますので、その点御承知をお願いいたします。
 それから手数料の問題でありますが、これはむろん自治体警察の場合におきましては、当該自治体の收入になるわけでございます。そういたしますと、自治体警察の区域内のものは、手数料をどんどん納めなければならぬことになるし、國家警察の区域内にありますものは、手数料を納めないでもよいということになることも、これもどうも少しおかしいように思いますので、やはりこれは國家警察、自治体警察と言わないで、全國的に大体同じような方法によつて取扱うことが適当だと思います。
#52
○久保田委員 そうすると、先に一應衣料切符を出して、使用者の手に衣料品の配給を受けた。しかしそれをいらないものだから、今度は業者に委託販賣を頼む場合、これはかまわないと先に御答弁されたのですが、それは間違いですか。あとの答弁と先の答弁と非常に違つておるのですが、どうなるのですか。
#53
○間狩政府委員 衣料品配給規則におきましても、委託の場合は必ずしも明瞭になつていないのでございます。たとえば、古物商か消費者から衣料品を買い受けて、そうしてまた他の消費者に賣るという場合は、配給規則の適用を受けるということになつております。但し業者が勝手に販賣するのではなしに、つまり委託して、消費者自身が賣るかわりに、ちよつとあつせんをしてもらうという問題でありますが、これは衣料品配給規則の適用はおそらくないと思います。
#54
○久保田委員 それは先に使用者の場合、使用者が古物業者にそれを委託した場合には、それはかまいませんと答弁された。それは間違いであつたかどうかということを私はお尋ねしておる。それが間違いなら、間違いだということを答弁してもらえば、次に話を進めるのですが、それはどうなんですか。
#55
○間狩政府委員 消費者から古物商に自分の持つておる新品を賣ることはさしつかえないのです。ところが古物商がそれを賣る際には、衣料品配給規則の適用を受けるわけです。
#56
○門司委員 すでに質問が全部終つておると思いますが、ずつと前の会議にかなり詳しく聞いておりますので、ごく簡單に一点だけお聞きしておきたいと思います。それは第四條の規定でありますが、この規定によると、あらゆる犯罪を犯した者が禁錮以上の刑に処せられた者は、三年以内にはできない。こういう規定になつておりますが、新しい憲法によつて御存じの通り、営業の自由は許されておりますし、われわれは犯罪との関連がございますので、必ずしもそう言い得るかどうかということは考えられないのであります。でき得るならば、これは許可制でなくして、届出制の営業にしたいというように、根本的には考えております。しかるにこの法律の第四條を見ますと、それとはまつたく逆な行き方であつてあらゆる犯罪を犯した者が禁錮以上の刑に処せられた場合は、三年間は営業ができないというようなことになつて、きわめて國民の自由な職業の選択をはばんでおります。もとより犯罪関係を非常に持つております業者でありますために、あるいはそれらに最も密接な罪を犯し、また罪を犯すようなくせのある者に対しては、多少の制限もまたやむを得ないかと思います。しかし全然関係のない犯罪、禁錮以上の刑ということになりますと、かなり多くの犯罪がこれに含まれて参りますが、その点はどうしてもこういうふうにしなければならないという、はきつりした根拠をひとつ示してもらいたいと思います。それからただいま久保田君から質問いたしましたが、この点はきわめて重要であります。私もふに落ちないのでありますが、買うことができて、それを賣ることができないという規則が、一体どこにあるかということであります。買うことができて、賣ることができないというのなら、最初から買うことのできないような法律をこしらえておいた方が、犯罪を起さないと思つております。一体どういうわけで当局はそういう御答弁をなさるのか、この点をはつきりしていただきたい。この第一條からいいますと、当然自分のところで使用する目的のために物品を買つた。しかしそれを使用しなかつたという場合には、これを販賣してもいいことになつておる。ところが業者の方では、賣れば、それは統制にひつかかるということになる。しかもただいまの御答弁では、衣料切符云々というようなお話がありましたが、配給切符はそうないはずです。求めようとしても求める権利はおそらくないと思う。そういう矛盾した御答弁では、われわれは納得が行かないのでありますが、その点を明確にしてもらいたい。
#57
○間狩政府委員 まず第一番の問題でございますが、対人的信用を重んじます古物営業におきまして、許可の際に一定の欠格條件を設けなければならない。欠格條件をここで設けるといたします場合、禁錮以上の刑に処せられたものということでありますれば、これは禁錮以上の刑にあたる罪を犯したという場合と、よほど違うのでございまして、現に体刑を科せられたということでありますれば相当重い犯罪でございますので、さような場合におきましては、その刑が終りましてから、さらに三年経過しなければならないというようなことにしたのでありますが、この点につきましては、他の法律におきましても、かような欠格條件には、同じような規定もございますので、ほかの法令等も研究いたしました上で、つくつたのでございます。
 それから第二点の問題でございますが、これは実は私自身も、少しりくつに合わないような点もございまして、苦慮いたしておる問題でございます。これは、古物営業取締法とは全然関係のない、配給規則の問題でありますが、この配給規則の関係におきまして、たとえば古物商が持つておる新品は、規則の適用を受けるか、受けぬかという問題が、以前からあるのでございます。最近いろいろ研究いたしました結果、さきに申し上げましたようなお答えをいたしたのであります。その規則におきましては、消費者が、自分が配給を受けたものを他人に讓る。また消費者が買うというような場合は、その規定がないのでございます。從つて古物商が賣つておるものを買うのは自由である。ところが、これは登録小賣店舖でなければ、新品は扱えないという建前になつて参りますので、新品ということになれば、衣料品配給規則の適用を受ける。その場合に消費者の所持するものは除くということになつておりまして、從つて消費者以外の業者の持つておりますものは、配給規則の適用を受ける、こういう建前になつておりますので、小賣業者が消費者から結局新品を買う場合は自由であるけれども、賣る場合には、やはり衣料切符と引きかえでなければ、販賣してはならないということになつておるのであります。少しりくつ上おかしいような点もあるのでありますが、檢察廳の方面ともいろいろ研究いたしました結果、そういうことになつておりますので、その点御了承いただきたいと存じます。
#58
○門司委員 もしそうだとすれば、これはただ、このままこの法律を行いますと、そういう危險性があつて、業者に非常に迷惑をかけることが多いと思います。それが新品であるかないかということの見境は、きわめて困難だと思います。たとえば物を持つて参りまして、ごくわずかの日にちしかたつていないものは、あるいは新品と見なされるかもしれない。しかし一年ないし二年たつているような場合には、これは一度も使用しないといつても、新品とは言えないと思う。その限界はきわめて困難だと思う。ところがこれを買入れる場合には、賣り主の住所、氏名その他が明確になつていなければ、地方の古物業者は買うわけに行かないという規定があります。從つてなにもこれが統制違反になるというようなことは、私には考えられないが、もし今のあなたのお話のようなことになつて参りますと、いたずらに犯罪人をこしらえる規定を設けるようなものであつて、從つてこの第一條に何らかの但書を加えて、業者の迷惑にならないようにすることが必要であると考えておるが、当局はどういうように考えておりますか。
#59
○斎藤(昇)政府委員 門司委員の御意見まことにごもつともだと思います。ただこの法律は、他の政府委員から御説明いたしましたように、古物営業法において、古物とはどういうものであるかということを規定し、その営業者の扱う品物の範囲を規定しております。その品物が他の法令によつて扱うことができないとか、違法になるというものの適用を受けることは、やむを得ないのでありまして、ただ、今の新品だけでなしに、古物でありましても、他の法律でこういうものは賣買を禁止だという法律が別に出れば、ここでは古物でありましても、これは賣買できない、こういう結果になるわけであります。ただ、ただいまのお尋ねの衣料品でありますとか、そういつたものが一應消費者に渡りまして、消費者がまだ一度も使わないが、これを古物商あるいはその他のものが賣つた場合に、配給統制規則を適用するのが妥当かどうかという問題は、別個にあると私は思います。ただいまの点もまことにごもつともだと存じますから、これは配給規則の方でさらに考慮をしてもらいますように、関係の方へ十分私の方から話をいたしたいと思います。
#60
○中島委員長 本法案に対する質疑は大体これで終了いたしました。本法案は各委員から修正の意見もあるようであります。明日委員会を開きますが、その初頭において理事会を開いて、それらの問題を解決いたしたいと思います。なるべく次の委員会で本法案の決定をいたしたいと考えますから、御承知を願います。
    ―――――――――――――
#61
○中島委員長 次に日程第二、地方財政法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一七六号)及び日程第三の地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七九号)を一括して議題といたします。右両案に対する提案理由の説明はすでに聽取してございますので、これより質疑に入りたいと存じます。
 この際地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、原文部委員長より当委員会に申入れがありまして、発言を求められております。申入れのありましたものをこの際朗読いたします。
   要望事項
  目下貴委員会において御審議中の地方税法改正案第七十五條においては、新たに博物館ないし動物園、植物園、水族館等に対しても、入場税としてその入場料金の百分の六十を課することになつているが、これは國民文化教育上きわめて重大な影響を及ぼすものであるから、本委員会としては全会一致をもつてこれが削除を要請するに決議した。よつてこれが善処を要望する。
  昭和二十四年五月九日
     文部委員長 原   彪
   地方行政委員長中島守利殿
 なお委員長が出席いたしておりますから、この要望に対する簡單な御説明を煩わしたいと存じます。原文部委員長。
#62
○原文部委員長 私は文部委員長の原彪でございます。実は文部委員会といたしまして、ぜひとも地方行政委員各位におすがりいたしまして、解決させていただきたい問題がございますので、文部委員一同の総意に基きまして、不肖私がここに御懇請にまかり出た次第でございます。会期切迫に際し、御多端の折柄まことに恐縮でございますが、きわめて簡單に申上げますから、しばらくお耳を汚させていただきたいと存じます。
 問題は、博物館等の入場料金に対する地方税の課程、いわゆる入場税のことであります。このたびこちらの地方行政委員会において付託をお受けに相なり、目下御審議中の地方税法改正案第七十五條によれば、博物館、美術館、植物園、動物園、水族館等に対しまして、その入場料金の百分の六十を入場税として課することとなつているようでありまするが、もしこれが実現いたしますると、賢明なる各位におかれてはすでにお氣づきの通り、せつかく教育的観覽施設として國民大衆の文化教育上に多大の貢献をなしつつあるこれらの施設から、かえつて足を遠ざかしめるという結果に相なり、文化國家の建設上まことにゆゆしい問題と存じますので、何とぞこれらの教育的観覽施設に対しては、從來通り無税として、本改正案より除外していただくよう折入つてお願い申し上げたい次第でございます。
 そもそも博物館等の教育的観覽施設として文部省に届出てあるものは、全國で二百三十七館を数えております。種類別にいたしますと、美術を主とするもの六十八館、歴史を主とするもの三十七館、科学を主とするもの三十六館、動物を主とするもの十五館、植物を主とするもの五館、総合博物館四十四となりますが、その利用度も最近増大いたしまして、一館平均一日約三百名を下らない状態にありますことは、國民文化上まことに御同慶にたえない次第であります。
 ところが、ここに注意すべきことは、各位におかせられても常に目のあたりごらんの通り、これらの利用者の大部分が、幼稚園、小学校と新制中学校、高等学校の兒童、学生であるということであります。御承知の通り終戰後わが國の学制は大改革が加えられまして、いわゆる六・三制の樹立を見るに至りましたが、そこで最も重く見られているものは、從來の國語に加えて社会科と理科であり、その研究と観察の場所が、一方においては図書館、他方においてはこの博物館、美術館、動植物園、水族館ということに相なりますが、図書館だけが今次の改正案におきましても、依然として無税でありますのに、博物館その他には入場税がかけられるということは、本を見せるか、物を見せるかという違いでありまするだけに、私どもといたしましては、まことに遺憾に存ずる次第であります。なおまたこの博物館、美術館、動植物園、水族館等の入場料は、昨昭和二十三年三月末日の調査によりますと、全國平均大人五円三十四銭、小人二円四十七銭、團体入場の際は一円五十五銭にすぎませんので、課税対象としても、実はあまり大したものではないと考えられます次第でございます。
 実は本日私がお願いに出ますにつきましては、文部委員会におきましても、むしろ連合審査をお願いする方が鄭重ではないか、ないしは文部委員全員でまかり出た方が礼を盡すゆえんではないか等の意見が出ましたが、お忙しい際でありまするから、あまり御迷惑となるのもいかがかということになりまして、不肖私が文部委員一同を代表して御懇願申し上げることになつた次第でございます。何とぞ私の言葉に足らないところ、ないしは押しつけがましくお感じの点がおありでございましたら、寛大なお氣持でお許しを願いまして、私どもの意のあるところをおくみとりの上御檢討賜わりたく、幸いにして全國三千八百万の兒童学生のために、この要望がお聞き届け願えますならばまことに望外の喜びにたえない次第であります。どうぞくれぐれもよろしいお願い申し上げます。
#63
○野村委員 ただいま原文部委員長のお話を伺いまして、まことにごもつともと思います。本來から言いますならば、両委員の共同審査の御希望というようなこともごもつともであります。今回地方税法を改正せんとするねらいは、いわゆる経済九原則の完成にある。こういう点から、地方の公共團体に対する財源を確保して行こうということであります。地方財政なり、國の経済が許しますならば、文化國家として日本を再建する、かような見解から、できれば從來の入場料金そのものも徴收することも好ましくない。このことは國家においても図書館の設備、文化に関する予算使途に対しましては、かなりきゆうくつな財政の中から、惜しまずこのことを考慮しながらやつておる。こういう点に対して動物園あるいは水族館、植物園、博物館、これから一般興行物の入場税とは別にいたしてはおりまするが、課税をすることは最も妥当でないと考えております。しかもこれらの施設そのものは、いずれも公共團体みずからがやつておることとして、税の面で徴收をいたしませんでも、地方公共團体においては、地方公共團体それ自体の入園料によつて、地方財政の一環を担つておるのでありまして、ことさらにここに税として取上げて行く必要は、どういう観点からこのことが考えられまするか、私はこの点についても了解に苦しむのであります。しかも文化國家としていわゆる教育に関係を持つこれらの施設に対しては、これらによつて入場税を適用することは、最も妥当でない、こう考えるのでありまして、この点に対して文部委員長よりの御意見ごもつともでありまして、われわれとしてもおそらくは各党の委員各位も御同感であろう、かように考える。こういう点から議題に入りまして、皆さんからの質疑なり應答の間に、所見を述べられると思うのでありますが、私らもまつたく同感でございまして、この問題をなぜほかの興行なりと並べてこれから税をとらなくちやならぬか、そのものにも私は不可解である。こういう点に対してこれらは陳情の要旨によつても徴税することの妥当でないことを痛感するわけであります。この点私らも御同感と同時に、政府の御所見を伺いたいと思う次第であります。
#64
○荻田政府委員 ただいま問題になつておりまする入場税に関しまする條文を改めました点につきまして、政府の考えておりましたことを申し上げたいと存じます。現在の法文によりますると第七十五條に、入場税は、演劇、映画もしくは観物を催す場所、競馬場、展覽会場、遊園地その他これらに類する場所への入場または云々とありまして、そこに展覽会というような字が上つておりまして、そのほかは「これらに類する」という言葉をもつておおうておるわけであります。從いまして入場料金をとるというようなところに入場いたす場合は、すべてこれを課税するということになつておるのであります。從いましてこれらに対しまして、入場税の課率は本税、附加税合せまして、入場料金の百分の百五十となつておつたわけであります。ところがその中で展覽会あるいは言葉に現われておりませんが、今問題になつておりますような場所への入場に対しまして、一五〇%の税金を課税いたしますことは重過ぎる、こう考えましたので、これを引下げる意味におきまして、特にただいま問題になつておりまする六つの場所をひつぱり出しまして、これに対しましては百分の六十の税率をもつて課税する。われわれはむしろこういう氣持で、施設に対しましては減税をいたしたい、こういう趣旨で書いたのであります。ただ現在の條文が先ほど読み上げましたように、展覽会という字があるほかは、その他これに類するという言葉をもつておおうておりますので、現実に博物館あるいは動物園等に課税をしていない團体もあつたわけであります。從いましてこういう團体に対しましてはここに明文をもつて書きますると、何か新しく税を課けるということがこの際起つたというような感じを與えまして、そういうような意見が出たことになるとわれわれは考えておるのであります。繰返して申し上げますが、こういう場所には、むしろわれわれとしましては減税する意味におきまして、つまり映画、演劇と一緒に取扱わないという趣旨におきまして特別に書き上げた、これがわれわれ條文を改めました趣旨でございます。
#65
○野村委員 ただいまの御説明によりましても、形式的にこれらに類するというお話ですが、全然性格を異にすると思います。特に今政府が行政機構を簡素化するとか、あるいは行政整理をするとか、こういうような点からにらみ合せて、さつき申し上げたように、從來でも地方公共團体では、入園料によつてそのまま地方公共團体の財源になつておるのですから、ことさらに今これを取上げて、これから課税するということは、いかにも私は法の形式にとらわれるものとして、まつたく当らない、こういうのでありまして、從來でもその通りでありまして、しかも列挙した他の観覽公共物とは全然内容を異にいたすのであります。この点はいずれ皆さんからもお話があろうと思いますが、政府側においても十分御考慮あらんことを希望してやまない次第であります。
#66
○立花委員 この問題はちようどこの間の大阪のデモ事件のときに、鈴木警察局長がポンプで労働者に水をかけたのでありますが、あのときにこれは消防組織法違反じやないかといつて質しましたけれども、消防法には水害、火災その他これに類するという言葉があつて、それによつて水をかけたのだというように表現いたしまして、これは非常に詭弁もはなはだしいという結論に達しまして、水害、火災エトセトラの中に入れて、それでポンプで水をかけたのだ、この場合とまつたく同じような考え方なので、これらに類するものの中に博物館あるいはその他の教育施設を入れるということは、根本的に考えが違うじやないかと思う。そういう考え方で、元の税法を敷衍なさるということは、非常に間違つた弊害を及ぼすじやないか、そうでおありならばこれはどういうことでもやれるので、法の精神というものは、よくお考えになつてやられないと、結局名前は入場税であつてもこれは教育税になつてしまつて、今度は新税をとらないといいながら、地方では実質的には新しいものをとつているということになるので、根本的に政府委員の考え方は矛盾しておるではないか、ちようど鈴木警察局長が、法の上ではそういうエトセトラの中に入れて、ポンプで水をかけたというようなことは、自分は正しいと考えておりながらも、全市民、全國民の非難を受けて、誤りであるということが事実をもつて表明せられたように、そういうような解釈をすると、これらに類するというような強弁をなさつても、結果においてはやはり青少年の教育に弊害を及ぼすという形になるんじやないかと思いますので、再考をわずらわしたいと思います。
#67
○荻田政府委員 いろいろもとの條文の解釈につきまして御意見がありましたようでありまするが、現在の條文におきましては、先ほど申しますような解釈が行われております。現に動物園等に対しましても課税している團体もあるのであります。しかしながらわれわれといたしましては、ここにこう書きましたからといつて、必ず今までとつてないところもとるというような趣旨は持つておらないのでありまして、文化的なものであり、公共的なものであるというような場所に対しまする入場につきましては、その團体におきまして免税することはさしつかえないと考えておるのです。
#68
○立花委員 しかしこれは明らかに七十五條では課税するとはつきり書いてある。免税するとかいう問題じやなしに、初めから除いておくのが妥当じやないかと思います。
#69
○荻田政府委員 地方税法の書き方は全部課するということになつておりまして、ただ十四條によりまして「地方團体は、公益上その他の事由に因り課税を不適当とするときは、課税をしないことができる。」この條文によりまして、免税の扱いをすることになつております。
#70
○立花委員 税をかけないのと免税するのでは問題が違うと思う。
#71
○龍野委員 ちよつと今原文部委員長がお出でになつておりますが、ここに博物館、美術館その他が問題になつておりますから、その点だけについてお尋ねしたいと思いますが、改正案の七十五條の三に列挙しておる博物館、美術館、展覽会場、植物園、動物園及び水族館、大体これらが幾つくらいあつて、そうしてその中で公共團体もしくは営利の目的でなく経営しておるものが幾つあるか、営利を目的とするものが幾つあるか。それの数をお示し願いたい。先ほど政府委員の御答弁では、現在の規定から言えば百分の百五十かけておるが、これが今度の改正によつて減税になるんだというお話であります。現にかけておるところもあるというお話がありますが、これらのもののうち、税金をかけておるのは何箇所あるのか。その数をまずお伺いいたしたいと思います。
#72
○荻田政府委員 ただいまおつしやいましたような統計資料は持ち合しておりませんが、たとえば展覽会場につきましては、東京都の美術館で行われます文部省主催の展覽会、これなどに対しましても一五〇%の課税が行われておりまして、これは減税しろというような御意見が各方面にあつたような次第であります。また動物園等でも熊本縣あたりにおきましては課税しておりました実例があります。
#73
○龍野委員 この問題は公共團体もしくは営利を目的としないものの経営するものであつてみますれば、これは完全に教育施設であると解釈しなければならぬと思います。その意味において先ほど野村委員から申し上げました通り、こういうものに対し、はたしてこれが課税対象物件になるという問題は、税という性質から考えておかしいものではないか。先ほども原委員長から御説明がありました通り、教科書みたいなものだ。今日の教育が暗記教育から観察教育に移つておるという意味におきまして、教科書以外の教育資料である。そういう見地から申しますれば、税金の対象になつていることがそもそもおかしい話でありますが、前の法律が少し苛酷であるから、今度は減税の意味でここに明らかに表示したというような御説明では、教育どの関係において非常に不徹底と思うのであります。この意味におきまして、政府御当局として、いわゆる國政、國全部の政治という意味におきましては、税金をとることも政治でありましようが、教育することも政治であるという見地から、こういうものを税金の対象にすることが妥当であるかどうかということについての御見解をお伺いいたしたいと存ずるのであります。
#74
○荻田政府委員 これは見る人の方にかけるのでありまして、たとえば國税時代から問題のありました、学生のスポーツに対して入場税をかけることはいけないじやないかというような議論もあつたのでありますが、今までこれだけは低い、つまり百分の六十という率で、課税しておつたのであります。必ずしも課税して不適当ではないと思つております。ここにわざわざ前に書いてなかつた例示をあげました点は、先ほどから申し上げております通り、原文ではその他これに類するものというので非常に廣くなりまして、從つて初めはかけていなかつたところにも、だんだん財政事情が苦しくなつて來ますれば、こういう場所にもかけるという傾向が現われて來ます。その場合に、原文のままですと一五〇%の高い税率をもつて課税しなければならない。それでわざわざ拔き出しましてここに具体的に示したのであります。具体的に例示する場合にも、特に拡げましたのは、実はこれは減税する方でありまするので、この項にやはりその他これらに類する場所というような字をかぶせまして、たとえば展覽会場だけを例示にあげておき、その他これに類する場所とする方法もあつたのでありまするが、この点につきましては減税する方であるから、限定しなければいけないという意見がありましたので、やむを得ず限定するとすれば、最小限度のところを具体的にあげる。こういう趣旨で、特に從前例示されていなかつたようなものを入れた次第であります。
#75
○龍野委員 私も統計資料を持ちませんから、はつきりした数字を申し上げられませんけれども、しかしこれらの経営は多くは公共團体もしくはそれに類似するものが経営しているのではないかと想像せられるのであります。從いましてその公共團体の財政的理由によるのならば、その見地から考えればいい問題であつて、それに入場する者から税金を取上げるというような方法で行かなくても、先ほど野村君からの御質問におきましても、入園料の料金の問題として考えるのが妥当ではないかというふうに論ぜられたのでありますが、この点について何ゆえに入園料の問題として解決しないで、税金の問題として、地方團体の財源にするというお考えになつておるか、その点をお伺いいたします。
#76
○荻田政府委員 その点は先ほど申し上げましたように、公益上必要な場合は課税しないことができるという規定を働かしたいと思つておりますので、たとえば上野の動物園のごとく、税をとりましても、入園料をとりましても、いずれも東京都の收入になるというものにつきましては、どちらでとりましても同じでありますから、そういうところでは、おそらく税はとらないということになるだろうという予想のもとに書いておるような次第であります。
#77
○門司委員 すでに議論も盡されておりますので、議論する必要もないかと思うのでありますが、ただ十四條の解釈であります。今の政府の解釈は、十四條を適用すればそれでいいじやないかというようなお話でありますが、十四條の解釈は私は必ずしもそういうことではないと思います。いわゆる公益上の必要な場合でありまするので、特にこれは特例を設けておる一つの例だと私は思います。從つて税をとることを建前とするのと、税はとるが、しかし公益上必要があつたり、あるいは小学校の子供であるから、これに税金を課さないで、別の取扱いをするという條項が、大体この十四條で規定されておつて、決してこれは根本的に税金をとるという建前の上には、何ら関係のない條文だと私は解釈するのです。從つてここに明らかにこういうものを明示して参りますと、どうしてもこれに税金を課さなければならないということに基本づけられてしまつて、そういう特例でやればいいということになると、その特例の範囲を受けるものは、きわめてわずかになる。それと同時に事務的にも非常に煩雜になり、ことにこの中に美術館あるいは動物園というようなものが書いてありますが、こういう美術館のようなものに対しましては、おそらく一定の人しか参りませんので、十四條を適用するような事態は私は非常に少いと思います。そういう点でこの十四條についてもう一應あなたの御見解を明らかにしてもらいたいと思います。
#78
○荻田政府委員 これは條文にあります通り、「公益上その他の事由に因り課税を不適当とするとき」とありますので、相当廣く解釈しております。從つてここに掲げておりまする、たとえば美術館とか水族館あたりでも、営利を目的とするようなものがあれば、これは課税してもさしつかえないと思います。免税するとすれば、公益的な、文化的な、かつ料金も安いというようなものを免税するという規定を置けば、それでこの十四條の趣旨に合うと思います。
#79
○立花委員 技術的な御答弁が多いと思うのですが、荻田さんは教育施設にも税金をかけていいと考えておるのかどうかという問題を、根本的にお尋ねいたしたいと思います。
#80
○荻田政府委員 これは教育施設そのものに課税しておるのではございません。
#81
○谷口委員 先ほどから聞いておると、どうも納得が行かないのですが、この博物館とか美術館、展覽会場というような所は、子供の教育のためにただでも見てもらいたい。それに税金をかけるのはいかぬというのは、こういうところから來ておる。これは單なる技術上の問題ではないと思います。私どもの考えでは、演劇、映画でも、非常に藝術的に高いものは、入場税などとらないで、多くの國民に見てもらいたい。今演劇や映画などに非常に高い入場税がかかつておりますので、日本でできておる映画は生産費が高くついて、興行界ではもうけが少いというので、むしろ外國の映画がどんどん入つて來て、日本の映画は圧迫されるというような状態になつておる。そういう点で映画、演劇に対する入場税も撤廃してほしいという要求が、映画関係者、演劇関係者、これは資本家も労働者も一緒になつて叫んでおる。私どもの考えによれば、この中にあるたとえばゴルフ場、舞踊場、あるいは競馬場とか、こういうところには、もつとこれの十倍くらいかけてもらつてもいいと思います。そのかわり子供たちに見てもらつて、りつぱになつてもらう博物館や、あるいは美術館、あるいは國民に非常に藝術的な喜びを與える映画や演劇に対しては、むしろ税金をかけない方がいいという考えを持つておる。そういう考えを政府は持つておるかどうか、ただ税金さえとれればいいというお考えであつては困るので、この点を聞いておるのです。
#82
○荻田政府委員 先ほどから皆さんのお述べになつておる氣持と、政府としてはまつたく同じでありまして、元の條文ですと、先ほどから申しておりますように、高い税金をかけてもいいことになつておりますので、これを防ぎたいために、もしかけるとすれば安い税金をかける、しかもそのかける税金も、公益上かけない方が適当と認めるものはかけないことができる。こういう道がありますので、むしろわれわれとしては改善の意味でこういう改正案を出した次第であります。
#83
○川西委員 先ほどから御説明によりまして、前の法律の競馬場、展覽会、遊覽地その他これらに類するもの、この中に現在の博物館、美術館、植物園、動物園、水族館が含まれておつて、百分の百五十でありましたものが、今度は百分の六十という――減税されるとおつしやつておるのでありますが、その他これらに類するものの中に入つておつて、減税になる場合もあるでありましようけれども、これがもし入つてなくて、今度新しくこういうことを書くと、実際問題として、今まで課税してなかつたものをどうしても課税することになりますから、減税の場合もあるが、新しく新税を創設するというような場合も両方あろう、減税一点張りではないと思うけれども、その点どういうふうにお考えになりますか。それから第一項の第二種によつて徴收せられるところの入場税の見込額は、大体どのくらいでありますか、それをお尋ねいたします。
#84
○荻田政府委員 地方税法全体の仕組がそうできておるのであります。一應地方税法としては、このように課税し得る場合、及び課税するとしてその制限、こういうことを書いておるのでありまして、実際に何々に課税する、どのように課税するかということは、この法律の範囲内において地方が條例できめるべきであります。從つてこれに類するものというような言葉が法律で使つておりますが、やはり課税するときには、何々に課税する、あるいは全部網羅できない場合には、もう少しくわしく書いて、あとでその他これに類するものをつけ加えるものもあるかと思いますが、具体的に書くわけであります。その場合に先ほどから申しておりますが、このように博物館以下の施設に対しまして、課税しない方がいいと考えるものは、地方がその條例に書かないわけであります。自然それで課税されないことになるのでありますが、政府としても、今申しておりますような、皆樣方のお氣持と同じなのでありますから、通牒による指導をもちまして、そういうものに対しては課税しないように、免税規定を置くようにという指令は、出したいと考えております。
#85
○河原委員 今の御説明によりますと、この法案を出すことは、地方の財政を裕福にすることでなく、地方の財政をきゆうくつにすることである。地方が財源として多くの税をとらないようにすると、こういうような御説明でありますが、今日地方の財源が非常にきゆうくつになつております折から、さらに地方の財源をきゆうくつにしようというお考えであるのか。またさようでありまするならば、地方の財政上、この法案が通れば不利な結果を來たすのであり、この法案が通らない方が、地方の財政上によい結果を來たすものである、こういうように政府はお考えであるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#86
○荻田政府委員 先ほど川西委員からおつしやつたのでありますが、動物園だけで推算いたしまして、七千二百万円ぐらいのもので、ここに規定を書きましたのは、特に地方團体の財政をきゆうくつにするとか、ゆたかにするというのではありませんので、むしろ負担の合理化をはかりたい、こういう趣旨であります。從いまして過去において一五〇%の課税をしておつたような團体におきましては、やはりそれだけ財源が奪われることになります。
#87
○野村委員 これは政府側の答弁によりましても、大体こういう法案が出て來たことそのことが、いわゆる法の眞の精神というものから見てどうかと思うのですが、こういうようなものが形式的に、いわゆる事務的に法案に現われた、こう思うので、われわれは與えられた権能において、これは決定をすべきである、かように考えております。現在のような状況でありますれば、文化の否定である。すでにこれらの諸施設は教育の一部、教室そのものであります。このことは最近起つた子供都議会などの例を見ましても、上野動物園の象を名古屋からぜひひとつ欲しいというような事実に徴しましても、とにかく今の非常に貧困な教材の不足している折から、さらに飛躍した文化國家を建設する上から言つて、これらはすべて通ずるのでありまして、こういう点から、これに対してわれわれは委員各位と、権能をもつて決定すればいい。今までの答弁によつても政府側の御趣旨も大体わかつたのです。
 それからこの際に入場税のお話が出たものですから、政府側の御意見を伺いたい。それは今谷口さんからもちよつと触れたのですが、映画、演劇に関する入場税、このことは最近の問題ではなく、從來からあらゆる國民の各層から、特に文化を愛好するあらゆる面において問題になり、敗戰後今日に至るまで、國の再建が困難な事情から、あえて一五〇%の入場税をとつて來た。この点についても非常にむりがある。映画演劇このもの自体がすでに國民の健全娯藥として切り離すことのできないものであります。しかも一五〇%という重税は、料飲食以外にはないのです。このことはあらゆる資料によつて、外國においてもこういう苛酷のことはない。まつたく文化の否定でございます。こういう点においてよろしく現在の財政状況とも勘案して行かねばなりませんから、一〇〇%程度、すなわち貴金属等のぜいたく品でさえ一〇〇%しか課税をしていない、こういう状態から見て、これを越えることは、常識上から許さない。こういう点から映画製作、あるいは文藝の方面において、非常にむりな面ができておる。しかも新聞、雜誌、放送、これらにつきましては無税でございます。性格においては全然わからない。しかも半面國の財政、地方の財政等を考えて行かなければなりませんけれども、これは現在の入場料金、これらをわくをはずしますれば、私は税收減にならなくて、むしろ今の最低の三十円の映画館、これらがもつと下まわることになると思う。また高級な映画演劇については、むしろ若干上るかもしれませんが、これらのあんばいによつて、五〇%を下りましても税收減にならず、そうして良心的な文化が生れるだろうと私は信じて疑わないのでありまして、こういう点に対して、これはもう一五〇%の入場税をとるなどということは、國民感情から、とうてい了解できないのでして、こういう点から政府はいかなるお考えを持つておりますか。この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#88
○堀政府委員 ただいまの野村さんの御説まことにごもつともでございます。実は私もこの政務次官をあずかりました当時、業者並びに関係の方々から、熱烈な陳情を承つたのであります。なおまた今の御説の通り、私も実業人でございまするから、それの低減によつて税收その他にかわりがないということは、自分の経驗から通して考えられるのでございますが、しかし今これを動かすということになりますと、地方税の全般に対して大きい動搖を來さなければならない、かようなことになりますので、さようなことで先般も財政委員会でいろいろ相談をいたしましたが、今このただ一つの税目をとつて減税をするということは、非常にあらゆるものの均衡を失することになるから、今度はしばらく見合そうじやないか、ことにシヤウプ博士が來て、いろいろと日本の税制に対して、一大改革を試みられるというときであるから、その時期を待つてやることにする方が妥当じやないか、こういうことに結論づけられたのであります。さようなことで多少増税を見込んだのではございまするが、今日の現状から見まして、こういう大きいものに対して手を染めるのは、しばらく待とう、こういう結論に到達したことを御了承願いたいと思います。
#89
○河原委員 ただいまの御答弁によりますと、この際一つのものを減税してはいけない、こういう御答弁でございまするが、さいぜんからの政府委員の御答弁によりますれば、動物園、博物館等の問題については、一五〇%のものを六〇%に減税するのである。こういう御答弁でありまして、その間非常な食い違いがあると考えるのでございます。それらの点について重ねて御答弁を願いたいと思います。
#90
○堀政府委員 お尋ねはごもつともではございまするが、しかし地方税の税收の上から見ますると、先ほどの第二種入場税のごときは、ごく少額なものでございます。ことにこれは先ほどからるる政府委員が答弁いたしました通り、條文の整理をいたしたにすぎない、私はかように存するのであります。入場税のごときに至りましては、非常な大きい影響を來しまするので、これはもう少し控えた方がいい、こういうのが根本の考え方でございまして、ただ單に私の申し上げた言葉だけを押えて仰せられれば、そういう御意見も成立つかもしれませんが、しかしそういうのではありませんので、どうぞその辺をよろしく解釈願いたいと存じます。
#91
○河原委員 ただいまの御説明によりますると、博物館等の税收というものは微々たるものである、こういう御説明であります。それらのことはあまり影響がないということでありまするが、今日日本は平和國家、文化國家として世界に立とうとする際でありまするから、よろしくこれらの法案を全廃するというところへ持つて行かれるのが正当であります。この辺に対する政府の御見解を承りたいと存じます。
#92
○堀政府委員 それも先ほど來政府委員が申し上げまする通り、第十四條の規定の運営によつて十分にできるのである。現にそれをとつておるところもあるのであります。先ほど政府委員が申しました通り、とつておるところもある。なおまた現に文部省あたりが行つておる展覧会などにおいても、すでに一五〇%の税をとつているという実例もございまするから、むしろこれはこういうふうにして整理する方が妥当ではないか、私どもはかように考えるのであります。
#93
○野村委員 先ほどのお話でしたが、この映画演劇は申すまでもなく、特に都会生活をいたしておる者は、むしろこういつたような健全娯樂は生活の一部と言つていいと思います。特に本案に関係法案においては、家屋、地租あるいは住民税、これらの改正もございます。これらとにらみ合せて行かなければなりませんが、とにかく実際において生活の一部になつておると思います。しかも從來國税でありましたものを地方に委讓して、地方公共團体においては有力なる財源の対象であろう、こういう点について政府側は愼重に行くことは、これはごもつともであります。しかしこの点に対しては入場料金、これらを、わくをはずして考えて行きますならば、十分私は收入減にならぬ見通しを立て得る、こう思うのです。こういう点から生き生きとした文藝、健全娯樂を把握しながら、地方の財政にも影響を來さずに行く見通しというようなことについて、もう会期もわずかですから、時間的にむりかもしれませんけれども、こういう方面の公聽会等を聞いてよろしく行くことも、一つの方法だとこう考えております。ともあれ、今日この問題はすでに常識になつております。この点政府側においても、さらに再考されんことを希望いたしまして質疑を終ります。
#94
○立花委員 入場税の使途についてでありますが、これは警察費に使われておる。警察費をふやさなければいかぬ事情があるということは、きのうの吉田総理大臣の警察状況の発表でも明らかだつたのですが、警察をふやさなければいかぬから、入場税をふやさなければいかぬ。だから結局教育施設である博物館や、美術館にもかけなければいかぬ。こういうことになつて來るのではないかと思います。警察費はもちろん今でも足りなくて、警察返上論さえ起つておるところがあるのです。これに対してはむしろその不足分は國家が全部負担すべきである。あるいは配付税のああいうふうな減額はやらずに、警察費が十分まかなえるだけの費用は國家から出してやるべきである。それを地方財政委員会は、あの場合は何らの努力もせずにおいて、しかもこういうふうな形で入場税をふやして來ようということは、これはいわば地方における警察フアツシヨ化の手足になるものだというふうにしか考えられないと思う。しかも政府委員のお考え方は最初のこの法案のお考え方の中にも、非常に末梢的な、事務的なお考えがありますし、さいぜん私に対する御答弁の中にも、博物館あるいは美術館の教育施設に税をかける考えがあるかどうかと言つた場合に、施設にかけるのではないとおつしやいましたが、こういうものを見ずにおいて、入場税をとるということは、結局そういうものにかけることになるのですが、そういう字句的な、訓話的なお考えをお捨てになつて、もつと大きな立場から、國民全体の教育という立場からお考えになり、しかもここに企図されておるものが、結局入場税の増加になり、それが全体として警察増強の方に使われて行くということを考えた場合は、絶対にそういうことをすべきではなしに、政府としてはもつとほかの方法で警察費の不足を補う方法をお考えになつていないかどうか。これをひとつ御質問したいと思います。
#95
○荻田政府委員 自治体警察の経費に充てるために入場税をとつておる、こういうことは政府といたしましてちつとも考えておりません。全体的の國庫、地方を通ずる財政の問題として入場税というものが考えられる。そうしてそれを國税よりも地方税に移した方が適当である、こう考えましたので、昨年地方税に、國税でとつておりましたままを移したのであります。ただその結果が自治体警察は御承知のように都市方面にありますので、この入場税もまた都市方面におきましてよけい上りますので、ちようど見合つたような財源になるということは考えられますが、何も自治体、警察を維持するために入場税を高くとるというような考えは、全然持つておりません。警察という行政が必要であります限り、その経費は税でまかなわなければならないのでありますから、これを入場税でとつたら警察がフアツシヨ化する。ほかの税でとるならそうじやない、こういう議論は成り立たないのではないかと思います。ただ自治体警察のあります市町村の財政が困つておりますこと、これは地方財政全体が困つておりますせいでもありますが、特にそのような方面におきまして、困窮の状態がひどいということは考えられておりますので、これはやはり地方財政全体の問題、もう少し小さく言えば警察費に対する改革の問題、先ほどおつしやいました國庫補助金を出すとかなんとかいう問題、こういう問題をあわせましてよく考えたいと考えております。
#96
○門司委員 私は総括的に一應質問しておきたいと思いますが、この法案が出されましたときの大臣の提案理由の説明でありますが、これは実は納得が行かないのであります。それで本案を提出せられました政府のほんとうの御意思を、一應この際伺つておきたいと思うのであります。それは本改正法案は條文の整備というような言葉も使われておりますが、決して私は税制に関する條例の、あるいは條文の整理だけではないと考えております。これは地方税に対する根本的の物の考え方から來た、一つの大きな改革法案であるということが考えられるのであります。第一の問題といたしましては、この中で例の住民税の値上げ、地租並びに家屋税の値上げ等を見込まれた理由がどこにあるかという点であります。その点をこの際明確にしておいていただきたいと思うのであります。それからそのほかに國税犯則その他をこれに適用するというその理論的の根拠をなおはつきりしていただきたいと思う。私がこういうことを質問いたしますものは、さきに配付税が非常に大幅に削減されておりまして、地方財政は非常に困つております。でありますが、その財政の困つておりますということのために、この法案によつてそれの穴埋めをするという御意思であるか、あるいは担税能力があるから、これだけとるというのであるか、その点を明確に御説明を願つて置きたいと思います。
#97
○荻田政府委員 御質問の第一点は、地租、家屋税、住民税を引上げましたことは、配付税が減額になつた穴埋めかという御質問でありますが、政府としてはそのようには考えておりません。配付税も予定通り支出し、しかも地方財源が不足いたしますので、このような税にして置きまして、増收を考えて行きたい、こういう考え方でおつたのであります。先般來ほかの法案の審議におきまして議論がありまして、御説明をしましたような次第で、配付税は減額されたわけでございます。第二の徴税確保の点でありますが、これは経済九原則実施の一つの項目といたしまして、徴税を強化するということがうたわれておりますので、これに即應していろいろ徴税確保に関する法文の整備を行つた次第であります。
#98
○門司委員 私はただいまの点は、はなはだおかしいと思うのです。私の聞いておりますのは、先ほどの御答弁によりますと、全然別個のような配付税と、これとはほとんど関連のないような形の上において御答弁がされておるように拜承いたすのでありますが、しかし地方財政といたしましては、これを切り離して考えるわけには参らぬのであります。当然法律で定められた定額を支給しておつて、なおかつ足りないということなら、われわれ一應納得はできるのでありますが、法律が定められた。定額を減額しなければならないということに相なつて参りますならば、それによつて地方財政がやつて行けるかどうかということであります。それで地方財政が当然完全に遂行できないということは、わかつておるということになると思いますが、今の御答弁のようにそのまま受取りますると、配付税法が改正されないままの姿で配付を受けても、なおかつこれだけのものは必要であつたのだということに解釈をいたしますと、そこに非常に大きな政府としての無責任さが、はつきり現われて來ると思うのであります。この点を一体どうお考えになつておるか。
#99
○荻田政府委員 この配付税を法定通り出すという問題と増税とは、並行して考えておつたということは、この委員会が本國会始まりまして以來の経過的事実をもつて申し上げておりますので、政府の今までとつておりました経過につきましては御疑念がないと思うのでありますが、ただ配付税が減額されたというこの問題は、やはり経済九原則の実施のため、國、地方を通じて歳出の抑圧をしなければならなかつた。その結果地方におきましても配付税減額に相当する歳出の抑圧をしなければならない、こういうような事情にあつた次第であります。
#100
○龍野委員 入場税のことはそれといたしまして、本法案の全般の根本的な取扱いについてお伺いいたしたいと思います。本法案の大臣の御説明によりますれば、この法律案の内容は二点からなつている。第一は住民税、地租家屋税等、現行税目の若干に対して賦課率を引上げる、いわゆる税收の確保をする、増税をするという点であり、第二点は、徴税方法の強化をはかつたという点にあるのであります。これらはいずれも重要なる案件でありまして、單なる字句的な改正とは考えられないのであります。しかるに、國の財政につきましては、先般も種々討議せせれたごとく、シヤウプ博士の來朝を機として國税、地方税の全般にわたつての改正が行われるであろう。從つてそれを見越してほとんど増税はいたしていないのであります。しかるにこの地方税に関しましては、第一点も第二点も非常な重要な問題でありまして、それは近く改正を見るであろうと予期せらるる今日、それをまたずしてやらなければならぬ緊急な必要がどこにあるかということを、まずお伺いいたしたいと存ずるのであります。と申しまするのは、今日この法案によるがごとくいろいろな点において改正を加えましても、あるいはシヤウプ博士が來朝せられて、どういうふうに変更するか、あまりそういうふうになると前に賦課した税金をさらに拂いもどし、あるいは追加するというような非常な混乱が生ずるのではないか、しかもシヤウプ博士がすでに來ておられるのでありまして、おそらくいくら遅くても、今秋までには何とか國税、地方税全般に対する改正ができ上るであろうということは予想せらるるのであります。今日こういうような重要問題について改正する法案を、急速に審議しなければならぬという点について、まずどういうふうにお考えになりますか、その点をお伺いしたいと存ずるのであります。
#101
○荻田政府委員 第一点の住民税、地租、家屋税等を増税いたしましたことでありまするが、これはお述べになりましたように、第二階段の税制改正を目前に控えておるから、それまで待てるじやないかというような御意見でございます。すでに二十四年度といたしましては、地方團体の財政は開始されておるのでありまして、現在の地方税法によりますれば、どうしてもそこに歳入、歳出のつじつまを合わすことができない、こういうような状態になつておりますので、將來改正のことは、たとえその時期がそう長い後のことでないにいたしましても、とにかく財政といたしましては、そのときの收支を合せておきませんでは不健全を招來しますので、このような増税を行つたのであります。ただ住民税、地租、家屋税、鉄区税、狩猟区、この五つが増税になつておりますが、これらの税の標準賦課率は、すべて定額をもつてきまつておるのでありまして、ただ地租、家屋税につきましては率できまつておりまするけれども、課税標準が古い賃貸價格でありまして、これは固定しておりまするので、このような税に対しまする賦課率を前年と同樣にしておくということは、その間におきまする物價水準の率の上りましただけが、かえつて減税になるというようなことになりますので、もちろん財政がやつて行ければそれでさしつかえないのでありますが、どうしてもある程度の増收を見込まなければならないといたしまするならば、そのような税におきまして賦課率を引上げるというのが、実質的に増税にならないですむのじやないか、こういうふうな意味におきまして、いわゆる本質的な増税、減税等は後のことにいたしまして、さしあたりかような意味におきまして、このような新税目を選びまして賦課率の改正を行つたような次第であります。
 それから第二の税收確保その他租税徴收の強化のための法律案の改正でありますが、これは國税地方税を通じまして相当負担が重くなつておる。從つて税務事務から見まして徴税がしにくい。ことに一方経済九原則の要請するところは、徴税の確保ということが唱えられておりまするので、これにマツチさせるために、このような改正を行つたのであります。ただ國税におきましては從來とも同樣の方法がすでに講ぜられておつた。大体同樣に今回地方税の改正をいたそうといたしますると、從來地方税の方は、むしろ独立財源が少いような関係でありましたので、このような強い規定がなかつたのでありますが、最近におきましては、相当地方税独自で徴收いたしまする税金が殖えました。やはりこれは國税並みに権限を引上げたい、こういう趣旨によりまして、今回改正案を作成したような次第であります。
#102
○龍野委員 第一点、さしあたり何とかしなければ、シヤウプ博士の來朝によつて税制を改革するまで待つておれぬというような、地方財政の危機の現状であるという御説明はよく了承いたしたのでありますが、しかしながら住民税の引上げというようなことは、相当考えなければならぬ問題ではないかというようにも存ずるのであります。ことに遊興飲食税が復活いたしまして、その方面より地方財政の財源はどのくらいあるか、どういう関係にあるか、はつきりは存じませんが、もしもこれを地方税として取上げるということになりますれば、相当の税收になるのではないかというようにも考えるのであります。いわゆる予期しないものが入つて來るのではないかというようにも考えられる。これは私の考えが間違つて、國税で地方税に関係ないというなら別でありますが、しかしながら地方税に関係ありとすれば、予定外の收入があるというようにもなるのではないかというように存ずるのであります。
 第二点の徴收方法の改正に対しましては、ただいまの御説明によつて見ましても、そう一日も待たれぬ、予算のつじつまが合わぬということならば、問題の第一点は、なるほどとうなずける問題もありますが、第二点の問題につきましては、何もそうあわてていろいろな変革を加えぬでも、連税徴收については徴税廃というような大きな機構をもつて強化するというふうになつております。おそらく地方税等につきましても、あるいは強化を要請されることは当然だろうと思うのであります。從つてどういうふうに強化するかということは、國税の徴收法と相マツチして行かなければならないじやないかというように存ずるのであります。從つてそれまで待てないというような積極的理由もただいまの御説明ではないのでありまするが、それでもなお今度の議会において、ぜひともこの徴税方法等を強化しなければならないというような、さらに積極的な理由がありますればお伺いいたしたい。
#103
○荻田政府委員 遊興税の問題でございまするが、すでに料飲店が再開することを予想いたしまして見積つておるのでありまして、具体的に申しますれば、二十三年度三十億円程度のものを、四倍の百二十億円に見積つておるのでありまして、この数字は昭和二十一年國税で遊興飲食税を現在同樣取つておりまして、その当時は政令がございませんで、野放しの時代でありましたが、そのときの國税の徴收額に対しまして、現在までの物價騰貴の倍率を乘じました額の、さらに五割増しというような額にあたつておるのでありまして、この徴收につきましては、非常にむりがかかると思いますけれども、この程度このような税金で見込みませんと、財政の收支が合わないのであります。増税をいたしますことについて、あらためて申し上げるまでもないと思いまするが、地方の歳出は、昨年度に比べてどうしても相当ふえるのであります。人件費の増、あるいは一般物件費の増、あるいは制度の改正によりまする六・三制の増、自治体警察関係の増、それに見合うものとしては、どうしても税が歳出と同じくらいなければならないわけであります。それが先ほど申し上げたように、住民税、地租、家屋税等につきましては固定いたしておりますので、現在のような税額をもつていたしますれば、從前の税額とかわらない税額くらいしか收入できない。片方は歳出がどうしても伸びている。どうしてもその歳出が伸びた程度に收入も見積りませんと、收支が合わないのであります。それから徴收確保の規定の整備でありまするが、これは今申しましたように、たとえば一例といたしましても、料飲店を再開いたしまして、昨年度の四倍からの税金を取るということになりますと、從來程度の徴收権では万全を期せられないと思うのであります。從いましてその一つといたしまして、國税の通告処分と同一の規定を地方税に持ち込んだのでありまして、少くともこの地方税におきまして、國税以外の新しい制度というようなことは、さしあたりは考えていないのでありまして、國税並の徴收権をこの際整備しようというのが、さしあたり今回のねらいでありまして、御説のように將來國税と並行いたしまして、徴收方法につきましての改善は行いたいと考えております。
#104
○井出委員 ごく簡單な問題でありますが、酒の消費税に関連しまして、酒の製造者がいわゆる自家用酒と呼ばれておつたものに対して、酒消費税がかかるわけに相なりますが、この場合、自家用に消費する、あるいは贈與に使つたという数量を一体いかにして査定されるか、それが一点。それから酒類には自由販賣酒と統制酒と、値段が二通りあるはずでありますが、そのいずれによつて價格を算定するか。これを伺つて置きたいと思います。
#105
○荻田政府委員 数量の点につきましては、大体生産額の二%内外におきまして、税務署の方ではつきり査定した額がございますので、その額によると思います。それから價格の問題でありますが、これは自由販賣のような高いものをとりませず、普通の安い方の價格によりたいと考えております。
#106
○井出委員 ただいまの御答弁の中の二%という数字は、何を基礎に出しておるのでありましようか。大藏省あたりから、そういうふうな数字が出ておりましようかどうか。
#107
○荻田政府委員 ただいま申し上げましたのは二%ときまつておるわけではないのでありまして、大藏省の方で方針が定まつておりまして、各税務署より、個々について決定があると思います。その平均が大体二%くらいで、ただ造石数に應じて相当変化があるようであります。
#108
○井出委員 もう一点、百二十條かと思いまするが、林道に関する事業その他の場合、林道ができることによつてその土地が開発されるので、その恩惠に対して、受益者に課税をする、こういうふうな構想のように考えられますが、これははたしてその受益者負担というものが明確に出ましようか。その点を伺つておきたい。
#109
○荻田政府委員 その点はすでにある縣においては行つておるのでありますが、これを法文上明確にするような意味におきまして修正を加えたような次第であります。そこでこの受益ということがはつきりするかどうかという問題でございますが、これはいわゆる受益者負担金とは違いまするので、嚴密に一人々々の受益ということを測定して考える税ではございませんので、一般的に一應ここに林道をつければ、その地域の者はすべて利益を受ける、こうなりますれば、その地域に関して課税する、個々に、ほんとうに、それによつていくら利益が上つたかというようなことは計算いたさないで課税できることになつております。
#110
○井出委員 今の林道でありますが、林道を一本設置したという場合に、その受益範囲が距離の遠近、あるいは山出しの便不便ということによつて、非常に違うと思うのですが、はたしてそういう点に対する御考慮が拂われているか、それを伺つておきたいのであります。それに関連しまして、この林道の開鑿というふうなものは、森林の團体であります森林組合というふうなものが、その間に介入して参ると思いますが、森林組合というふうなものを課税対象に考えらるるかどうか、これも伺いたいと思います。
#111
○荻田政府委員 これはここに書いてありまするように、地租割、反別割でありまするから、一定地域に対しまして地租に比例いたしまするか、あるいは反別に比例して課税するわけでありまするが、そのかけ方によりまして、もしその林道との遠近によつて差等があるというふうな場合には、もちろんそれはその縣におきまして條例で差等をつけて課税してもさしつかえないわけであります。それから森林組合に課税できるかというお話でありますが、これは税目が地租割、反別割でありますから、所有者に課税されるのでありまして、組合には課税できないと思います。
#112
○立花委員 地方税徴税見込調というお出しになりました数字についてお聞きしたいと思います。ここの中で入場税は増徴されていないのですが、これは間違いございませんか。
#113
○荻田政府委員 増徴は見込んでおりません。
#114
○立花委員 そういたしますと、改正されたからといつて増徴をやるのではなしに、そのままでおやりになると考えてよろしゆうございますか。
#115
○荻田政府委員 課率は先ほど問題になつておりました一六〇%にするという小さな部分は別にいたしまして、ほぼお説通りであります。ただその税額が非常に違つておりますのは、去年は八月からでありますが、ことしはまる一年課税されております。
#116
○立花委員 去年との比較でなしに、昭和二十四年度の数字が、現行制度による増徴分が出ておりませんので、新しい改正案では、たとえばさいぜんの博物館の問題が改正されて出ておりますが、これによる増徴はお考えになつていないと考えてよろしゆうございますか。
#117
○荻田政府委員 小さなものは課税計算に入れておりません。ただ逆に減税になる分がありますので、そういうことを考えまして計算には入れておりません。
#118
○立花委員 そういたしますと、今私たちの方で陳情を受けております上野の動物園、博物館、科学博物館等の從來取らなかつたところは、そのままで取らないお考えだ、こういうふうに考えてよろしゆうございますか。
#119
○荻田政府委員 取らないとしてこの数字を出しておるわけではありません。小さい数字でありますので、そういうことを全部ひつくるめまして、一應この数字を出しておるわけであります。
#120
○立花委員 私たちこの資料を見ますと、またあなたの御答弁を聞きますと、増徴分がないのですから、取らないものと考えるよりしかたがないと思うのです。また小さい小さいとおつしやいますが、動物園だけでも七千二百万円あるということは、あなたみずからさいぜんおつしやつたし、上野の博物館だけでも年に百四十四万円の入場税が予想され、動物園では約千八百万円の入場税が予想されるのです。全國では相当な額に上るだろうと思うのですが、これを増徴分としてお考えになつていないところを見ますと、こういうものにはおかけにならない。現在まで取らなかつたものには、十四條の公益の問題を適用いたしまして、取らないと考えてよいのか、取ると考えてよいのか。はつきり御答弁を願いたいと思います。
#121
○荻田政府委員 從來取つておりますところは一五〇%が六〇%に落ちますから減ります。そういうものを差引きまして、一應そのための計算はいたしていないということであります。
#122
○立花委員 そうするともつとはつきりと特殊的に御質問いたしたい。今まで取らなかつたところでも取る必要があれば取るようにするというお考えですか。御質問したいと思います。
#123
○荻田政府委員 今まで取つていないところでありましても、その種類に差があると思います。公益的なものはそのまま取らないでいいと思いますが、公益的でないもの、営業的なもの、そういうところは取つてさしつかえないと考えております。
#124
○立花委員 具体的にお尋ね申し上げます。上野の動物園、科学博物館、國立博物館は、どういうふうにお考えでありますか。
#125
○荻田政府委員 東京の博物館、動物園は取る取らぬは東京都にまかしたいと思つておりますので、具体的に今私がどうするということは申し上げませんが、ただ動物園のごときはどうせ都営でありますから、もし入場税を取るとすれば、それだけ入場料金を下げれば観覧者の負担は元通りで済むわけであります。
#126
○立花委員 もちろんあなたが取るということを御決定できるわけではありませんが、どういうお考えかということを聞いておるのであります。動物園の場合は具体的なお答えがありましたのでわかりましたが、博物館の場合も同樣に考えてよろしゆうございますか。
#127
○荻田政府委員 具体的に取るか取らぬか、博物館をどうするかということは、今考えておりません。その取る取らぬは先ほど申しましたように、公益的なものは取らんでもよろしいし、営利的なものは取つてよろしい。そういうものをひつくるめてこのような数字を出したということを申し上げたのです。
#128
○立花委員 あなたのお話非常に抽象的で、具体的な実際の例で私たち判断するよりしようがないのでありまして、公益的なものとか何とか、抽象的な言葉でなしに、上野の博物館をどうするかということを答えていただきましたら、ほかの抽象的な言葉は別にいらぬのですから、そのおつもりでお答え願いたいと思います。
#129
○荻田政府委員 上野の博物館を取るか取らぬかは東京都できめる問題です。ただ氣持を申しますれば、今まで取つていなかつた上野の博物館まで取る必要はないと考えております。
#130
○千葉委員 きようの委員会は國務大臣が御出席になりますか、もしなれば質疑をそれまで保留し、ならなければ、明日さらにお尋ねいたしたいと思います。
#131
○中島委員長 私さつき木村國務大臣に会つたときには、四時までには出席せられるというお話であります。まだお見えになりませんが、ほかに用事ができたのかわかりません。
#132
○谷口委員 私は質問が山のごとくあるのでありますが、まず第一に、今千葉さんもおつしやつたように、國務大臣の御出席を、できるなら樋貝國務大臣にも御出席願いたいと思う。というのは取締りの方面でいろいろお伺いしたいことがあるので、ぜひそういうふうに願いたいと思います。きようはだから質問はいたしません。あすでもさしていただきます。
#133
○川西委員 木村國務大臣もきようは御出席ないようでありますし、出席者も大分減じて参りましたので、本日はこの程度にして質疑を中止いたしまして、明日続行していただきたいと思います。
#134
○中島委員長 川西君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#135
○中島委員長 異議なければ、本日はこの程度で散会いたします。明日は午前十時から本委員会を開きます。
    午後四時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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