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1949/05/16 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第23号
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1949/05/16 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第23号

#1
第005回国会 地方行政委員会 第23号
昭和二十四年五月十六日(月曜日)
    午前十時四十七分開議
 出席委員
   委員長 中島 守利君
   理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君
   理事 川本 末治君 理事 菅家 喜六君
   理事 福田 篤泰君 理事 久保田鶴松君
   理事 藤田 義光君 理事 立花 敏男君
   理事 小平  忠君
      大内 一郎君    河原伊三郎君
      清水 逸平君    野村專太郎君
      龍野喜一郎君    足鹿  覺君
      門司  亮君    千葉 三郎君
      谷口善太郎君    田中  豊君
      井出一太郎君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 樋貝 詮三君
 出席政府委員
        國家地方警察本
        部部長     武藤 文雄君
        國家地方警察本
        部部長     樺山 俊夫君
        國家地方警察警
        視
        (防犯課長)  間狩 信義君
        國家地方警察警
        視
        (交通課長)  中野 正幸君
 委員外の出席者
        專  門  員 有松  昇君
        專  門  員 長橋 茂男君
五月十六日
 大泉寛三君及び小平忠君が理事に追加当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 古物営業取締法案(内閣提出第一六三号)
 道路交通取締法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一九七号)
    ―――――――――――――
#2
○中島委員長 これより会議を開きます。
 この際、議題に入ります前に、去る五月十三日の議院運営委員会において、各委員会ごとに理事を、民主自由党及び新政治協議会よりそれぞれ一名増加することに決しましたので、これより理事の追加選任を行いたいと存じますが、これは投票の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中島委員長 御異議なきものと認め、委員長より指名いたします。民主自由党より大泉寛三郎、新政治協議会より小平忠君を、それぞれ理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○中島委員長 これより古物営業取締法案、内閣提出第一六三号を議題といたします。本法案につきましては、質疑は前会において大体終了いたしたのでありますが、ただいま一、二の質疑の希望があるようでありますから、この際許したいと思います。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○中島委員長 足鹿君。
#6
○足鹿委員 先日來問題になつております第一條の古物の定期について門司委員なり久保田委員からも、再度にわたつて御質疑が行われたのでありますが、当局の御見解がはつきりいたしておらないようであります。その後日時もたつておりますし、いろいろ御研究になつたと思いますので、いま一應この点をはつきりさせていただきたい。これについての御見解を伺いたいのであります。
 それは、あらためて申し上げる必要もないのでありますが、物調法第一條の定義による國民所得の物を除く、こういうことになつておりまして、新品といえども、一ぺん國民の所得になつた場合は、これを古物とみなして取扱うかどうかということは、現在の生活状態から見まして、相当問題があるように考えられるのであります。薄給官吏あるいは公吏、その他一般國民の間におきましても、配給を受けておりましても、とうていそれを使用するにたえないで、そのままの姿においてこれを賣渡しをするというような実情はたくさんあるのであります。特に取締りの任に当る警察官というような人々の間においてすら、そういう事情があるのであります。從つて、これについては、はつきりさしておかないというと、あとで疑義があつてもならないと存じますので、今一應、しつこいようでありますが、当局の御見解をこの際承つておきたい、かように存ずるのであります。
#7
○間狩政府委員 ただいまの御質問でございますが、物調法第一條におきましては、具体的に今お話のような規定はないのでありますが、物調法第一條の規定に基きまして、各種の配給規則が制定されておるのであります。たとえば衣料品配給規則におきましては、その第一條におきまして、ただいま御指摘になりましたような規定が存在しておるのであります。衣料品配給規則は、衣料品の配給を統制することになつてはおりますが、その衣料品の中で、生産資材、中古品及び消費者の所有するものを除くということに規定されております。中古品がむろん除かれておりますし、從つて消費者の所在するものが新品でございましても、配給規則より除外するという趣旨に解釈すべきものだと思うのであります。ところで消費者の持つておりまする新品が、古物商なりあるいは小賣商、そういう業者の手に再び渡りました場合にどうなるかという問題を生ずるのでありますが、そのものが新品でありますれば、消費者の所有するものを除くとなつておりますので、業者の所有するものを除くとなつておりませんから、新品でありますれば、法律的解釈といたしましては、衣料品配給統制規則の適用を受けると見るべきだと思います。但し実際問題といたしまして、あるものが新品であるか、それとも中古品であるかということの認定になつて参りますと、これは非常にむずかしいのでありまして、たとえばはおりのごときを、全然使つてなければ、むろん新品でございます。ところが一度手を通したものでありますれば、中古品と言わざるを得ない。しかしながら、一度手を通しただけでは、外見上はまつたく何ら汚損もありませんし、全然新品と同じであります。從いまして、消費者の持つておりましたものが、さらに業者に渡りました場合に、それが新品であるか、中古品であるかということは、現実の問題といたしましては、ほとんど不明瞭であるという場合が多いのであります。そこで、実際どういうふうに取扱うかということに進んで参りますれば、衣料品配給規則の建前から申しまして、消費者の手に一旦渡りましたものは、もう配給の目的を一應達しておりますので、それからさらに業者に渡りましても、その消費者の手を通じて業者が取得したものであるということが明瞭でありますれば、衣料品配給規則の適用から除外するという取扱いにいたしまして、さしつかえないと思います。いかにしてそれを明瞭にするかということが、次に問題になるわけでありますが、これは中古品につきましては、價格査定規則がございまして、價格査定を受けて査定証紙を張るというような制度がございます。これを励行いたすことによりまして、中古品と新品との区別も明らかになりますので、そういうことの励行によりまして、これを中古品として衣料配給規則の適用から除くというような、取扱いと申しますか、取締りの基準にいたして参りたいと思います。
#8
○野村委員 本法案の全体にわたつては、質疑も大体において終つたと思うのです。この機会において、先般谷口委員からも指摘されておつたのですが、本法案によつて取締られるところの古書籍についてであります。このことは終戰後において、特に貴重なる價値のある新刊の図書が非常に少い折柄、古書籍を通して國家再建に寄與する点は、非常に大きなものがあると考えておる。特に古書籍に対しては、欧米先進文化國家においても、かような古物の取締りの中に、この関係は置いてないような状況であります。特に本法案は、いわゆる防犯という観点から提案されておると思うのであります。しかも現実においては、古書籍等を通しての犯罪は、きわめて事例は少いと私は考える。むしろこの法案に古書籍を包含しておること自体が当らないと私は考えるのです。政府においては、こういう観点から、今國会において、これを実現し得ないとしても、これは將來の臨時國会等において、必ずやこの取締りの中からはずすべきだろうと私は考えておるのであります。しかも業者自体が、いわゆる年少者からの買入れ、こういう点にさらに注意いたしますならば、全然そういう杞憂はない。しかも本案の施行によつて取締られる業態においては、第十七條によつて、買入れ、あるいは交換について、相当こまかい手続、あるいは記帳等をしなければならぬわけでありますが、ことに古書籍の場合には非常に数が多い。こういう点からこのことは実際行われない。また行う必要がないと思うのでありまして、こういう点に対しては、運営の面において政府は十分実情に即したような方途によつて行くべきだろう。この國会においてこれを取除くことができないとすれば、取除くものは運営の面において、現実に即した、しかもこの書籍の國家再建に対する大きな役割を考えて、その運営においては十分留意してやるべきであろうと思う。しかもこの法案が出ております関係上、非常に貴重なそれらの書籍が市場に乘らないで、これを廃棄されておるような実情を考えるときに、ことさらに痛感いたします。これらに対する政府の御所見を承りたい。
#9
○武藤(文)政府委員 古書籍につきましては、やはり盜難等の事故は相当発生しております。從つて本法の意図しております趣旨から考えましても、この際古書籍を除くということは適当でないと存じます。実際問題といたしまして、また古書籍の中にも非常にいろいろの種類がございます。非常に貴重なもの、鑑賞的美術品に相当するようなものがあるわけでございまして、種々雜多なものが含まれると思います。從つて通常の書籍につきましては、ただいまお話のようにその確認あるいは帳簿記載等において、運営上十分御意図に沿うように留意をして参りたいと存じます。すでに十七條の帳簿の中で相手方の住所、氏名、年令、特徴等を記載するとございますが、そつちでも古書籍については、われわれも深く意図を持つております。かように運用上においては十分御意図に沿いたいと存じます。
#10
○野村委員 ただいまの説明によりまして大体了承することができましたが、どうか運用の面におては十分実情に即するように、寛大なお取扱いを考慮の上施行にあたられんことを希望いたします。なお今犯罪も相当あるというお話でございましたが、他の古物に比較しますと――私は今資料を持つておりませんが、非常に少いのではないかと考えるのでありまして、將來はこれをこの取締法案からはずすか、あるいは別に鑑賞的の古美術品等とにらみ合せて、別途へ行くべきだろうと考えておるのです。これを希望いたしまして私の質疑を終ります。
#11
○谷口委員 今野村委員の御質問に対する政府の御答弁は非常に大事なことでありますので、もう一つ念を押しておきたいのであります。古書籍のごく普通なものに対しまして、運営上手心を加えたいというお言葉でありましたが、これは本法の施行細則か何かに明らかにお書きになるのであるかどうか、その点をはつきりしておきたい。
#12
○武藤(文)政府委員 お答えいたします。確認あるいは帳簿記載というものについては命令で定めることになつております。その命令において十分御意図に沿いたいと思います。
#13
○足鹿委員 四條と二十四條の点でありますが、禁錮以上の刑に処せられ、いわゆる刑罰を受けた者に対する規定が載つておりますが、刑罰と申しましても範囲がきわめて廣いのでありまして、これは破廉恥罪、いわゆる道徳的にも許しがたき破廉恥罪によつて刑罰を受けた者、大体こういう取扱い方が妥当ではないかと考えております。政府において他の規定その他で、この問題を何か御処理になる意向がありますかどうか、この点を最後にお伺いいたしておきたいと思います。
#14
○武藤(文)政府委員 御意見でございますが、実際古物営業を営む方というのは、この仕事の性質上法令の遵守という点が、非常にその人の信用という点から言つても期待される点でございます。從つて本法に規定いたしますような趣旨が適当ではなかろうか。破廉恥罪と申しましてもはたして破廉恥罪でよいかどうか、またその範囲いかんというような疑義も起るわけでございます。從つて本法の運営についてはこの案によつて参りたいと存じております。
#15
○間狩政府委員 ただいまの点でちよつと私からつけ加えさせていただきます。第四條の関係におきましては左の各号の一に該当する場合は許可することができないということになつておりますので、これは運用の余地がありません。但し第二号におきましては「罰金の刑の処せられ改しゆんの情の認められない者」ということでございまして、この「改しゆんの情の認められない者」ということにつきまして、ある程度客観的な基準を運用の上におきまして與えたいと思いますので、さような場合には今御意見のございましたような御趣旨に沿いたいと思います。それから二十四條の関係におきましては、取消すこと、または停止することができるということでございますので、必ず取消しまたは停止をするということでございませんから、御希望に沿うような運営ができると思います。
#16
○谷口委員 今の足鹿君と政府委員との間の問答の点も非常に重要なことでありますので、もうひとつ私から念を入れてお聞きしておきたいと思います。第四條の欠格條件の中の問題でありますが、「改しゆんの情の認められない者」という言葉の中で、実際の問題の上で、なるべく足鹿君の質問された点を考慮したい、そういうことのように思つたのでございますが、一例を申し上げてはつきりしておきたいのであります。例はあまりよくないかもしれませんが、たとえば前に社会党の西尾國務大臣が、昭和電工事件で百万円の賄賂をとつた。賄賂をとるような人間はこの四條に規定された中に入つても私はいいと思うのであります。しかしもし賄賂を持つて來た場合に、それをとらないと言つて相手をなぐりつけて追い帰した。そこで暴行事件で西尾君が刑務所に入れられたとすれば、これは見上げたもので、これは本法の精神からいつて、そういう罪を犯した人間ほど信用できると思う。後者の場合はつまり「改しゆんの情」、この言葉はよくありませんが、まあこの言葉の中で大いに除外して行きたい、こういうふうに政府委員の方では考えていらつしやるのであるかどうか、その点をはつきりさせていただきたい。
#17
○間狩政府委員 ただいま引例されましたような場合でございますと、あとの場合のごときは、おそらく禁錮以上の刑に処せられるということはないと思います。まず大体罰金の程度ではないかと思います。むろん刑法の罰則から申しますと、傷害には体刑がつくことにはなつておりますが、実際の判決は情状を十分に見ますから、大体は罰金以下の刑で済むであろうと思います。罰金以下の刑でありますれば、今御意見のように第四條の適用の上におきまして取扱いをいたしたいと思います。
#18
○門司委員 今の問題は私は二度も三度も申し上げておるのですが、政府委員の解釈が非常に狹い解釈と申しますか、そういうことでは困ると思うのです。営業の自由は憲法で規定された國民の自由であり、権利であります。從つてその國民の持つておる基本的な人権を抑制しようとする法律を定めようとするときには、相当愼重な態度が必要だと思います。この法律によりますと、誤つて罪を犯した者に対してもおそらく適用されると思います。先ほども谷口君から申しましたように、刑法によつておそらく懲役以上の刑に処せられる者がたくさんあると思います。それは個人の信用上――いずれ刑に処せられる者は悪いといえば悪いに違いありませんが、その営業に対する信用に対して、そう指彈すべきものではないいうような者はたくさんあると思う。從つてこういう基本的人権に触れる條項に対しては、もう少し当局は親切であつていいと思う。今の御答弁のようにそういう犯罪があろうというお考えならば、罰金とかあるいは体刑何年というように具体的に、はつきり書いた方がまだいいと思う。こういうことについて取消しができるならば、この際禁錮以上という字句の上に、たとえば破廉恥罪によつて禁錮以上の刑に処せられた者というようにしたらいいと思うが、この営業に比較的関係の薄い犯罪まで、この中に持ち込んでしまうということは、基本的な國民の持つておる権利に対する一つの大きな抑制だと思う。この点一体どうお考えになつておりますか。
#19
○武藤(文)政府委員 御意見の点われわれ了承できるのですが、先ほどから申し上げておりますようなこの種の営業につきましては、法令の遵守といつた点が特に要望され、その人がほんとうに正しい人であるということが、強く要望される業態であります。從つてその情状においていろいろ見るという場合において、なおかつ判決で禁錮以上の刑に処せられた人があるとすれば、やはりそれ相当の理由があることだろうと思うのであります。かような意味からいたしまして、この業態が特に法令の適正な遵守が要望され、その人の信用が特に基礎をなす業態においては、この程度の制限はやむを得ないのではないかと思います。
#20
○中島委員長 大体質疑はこれで終了いたしました。討論に入るに先立ちまして、委員長よりちよつと政府委員に確めておきたい点があります。公益上の必要によりまして、公共團体または公益團体において行う物の交換、讓渡し、及び斡旋事業については、本法案においては営業の取締でありますから、このものに対しては取締の対象にならないと思うのですが、この点に対して政府の御説明を承りたいと思います。
#21
○武藤(文)政府委員 御意見の通りでございます。
#22
○中島委員長 なお一点政府の所信を伺つて置きたいのであります。先ほど以來御答弁がありましたが、その他の物品に対して、いわゆる配給品が一たん消費者の手に渡りましたものが、さらに古物商の手に移るという問題に対して、これは実際においてその量とか、各状況とかで解決されるものと思います。とにかく消費者の手に渡りましたものは、消費者の自由処分に私はまかしてよろしいと思うが、その量の少量のものが古物商の手に渡つて、それが物調の違反として取扱われておる例があるのであります。ごく簡單なものはそのまま処理してよろしいと私どもは思うのでありますが、この点に対して政府の所信を確かめて置きたい。
#23
○武藤(文)政府委員 配給を受けたものであつても、統制を受けているものでないものであれば、もちろん問題はないわけでありますが、統制を受けておるものの場合につきましては、先ほど衣料について申し上げたようになるべく消費者の便宜も考えて、法規の運用にくふうを凝らしたい。他の法規の関係においていろいろ困難な点があると思いますが、先ほど衣料について申し上げましたように、ただいまのお話に沿うように、なるべく考えて参りたいと存じます。
#24
○中島委員長 私の手元に民主自由党、日本社会党、第九控室の民主党、第十控室の民主党、及び新政治協議会より共同提案の修正案が提出されておりますので、これが提案の趣旨説明を求めます。菅家喜之君。
#25
○菅家委員 今回内閣から提出されました古物営業取締法案については、ただいま委員長から宣告がありました通り、四党共同のもとに左の五点について修正するを適当と認める次第であります。
 まず第一に、本法の名称を、法案に「古物営業取締法」とあるのを「古物営業法」に改め、「取締」の二字を削除いたしたいと思うのであります。その理由は、本法の目的が正当な業者を保護し、犯罪の防遏を期したものであつて、決してすべての業者を悪徳業者と見るものではないのでありまするから、旧來の「取締」の語は誤解を避けたいためと、正当な業者の立場を尊重する意味から、本法の名称から削除するのが適当と思考されるのであります。
 第二点は、第一條第一項中「一度使用された物品」の下に「(鑑賞的美術品を含む。以下同じ。)」を加えることにいたしました。その理由は「古物」の定義として、法案のごとく「一度使用された物品」とするだけでは、使用の語義について、政府の説明のように最も廣く解することもできようが、一般にわかりやすい観念としては、鑑賞用の美術品が古物の中に入るかいなか、すなわち使用の言葉の中に鑑賞が入るものとは、常識的には必ずしも明らかでないのであります。わかりやすくするためにこのように修正することが必要であると思うのでありまして、法文には使用という文字が使われておりますが、一体美術品は使用というよりは、むしろ鑑賞する意味において、その存在價値があると思われるのであります。それゆえに法文に、古物の中に美術品も含む意味において、鑑賞的美術品と加え、法文の誤解を避け、かつわかりやすくするためにかく改正する次第であります。
 第三点は第八條第二項の「三人をこえない範囲において」とあるのを削除することにいたしました。その理由は、古物商が他人を使つて行商や露店を出させる場合は、その從業者は「三人をこえない範囲において」と法案は人数を限定しているのでありまするが、特にその必要をみとめないからであります。
 第四に、第二十一條但書中「二年」を「一年」に改める。これは盗品または遺失物を、善意で讓り受けた古物商からでも、被害者または遺失主が、無償で回復することを請求することができるのであるから、その期間があまり長くては業者の保護に欠けるところがあり、かえつて弊害もこの間に生ずると思われるのであります。法案は民法百九十三條の規定との関係を顧慮して、その期間を「二年」としたのであるが、被害者の利益の保護と正当な業者の保護との調和の観点から、この期間を一年とするを相当とするゆえこのように修正する次第であります。
 第五に、第二十三條第二項中「関係者の請求があつたときは」を「関係者に」改めるのであります。これは警察官または警察吏員が必要があると認めるとき、古物商に対し立入及び調査をすることができることになつておりますが、その際当該の警察の官吏、吏員はその身分を証明する証票を携帶しておつて、本法案によりますると、「関係者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない」ことになつております。しかし、警察官等に対し、その呈示を請求することは、通常業者や監督を受ける側のものからは、まことにしにくいことであります。この間官権の濫用や不徳の者の犯行の発生のおそれもありますから、業者の保護と人権擁護の立場から、以上のごとく、証票の呈示は関係者の請求をまたず、逆に警察官及び警察吏員の方からするように修正することが適当であると考えましたので、かく修正いたした次第であります。
 以上修正五点について、趣意を申し述べた次第であります。
#26
○中島委員長 これより原案及び五派共同提案の修正案を一括して討論に付します。
#27
○谷口委員 共産党は原案並びに修正案に反対するものであります。
 本案の目的としているところは、最近非常に多くなつた窃盗、強盗などによる犯罪の捜査、あるいは檢挙のために、藏品がその営業内で取扱われる習慣が非常に多い古物商を取締ることによつて、犯罪の檢挙、もしくは捜査を容易にしようとすることを目的とする法律案でありまして、そういう意味ではそれは必要な法律であるかとも一應思われるのであります。しかし考えて見ますと、犯罪者があつて藏品が盛んに流れるということと、古物を賣買する営業をやるということとは、おのずから別個のことであります。中には非常によろしくない悪得業者があつて、犯罪者と結託しているような事例もあるようでありますが、これは一部分の特別な場合でありまして、多くの古物業者は、犯罪とは別個にりつぱな業としてこの営業を営んでいるのであります。從つてもし藏品をその営業中に取扱うような場合がありましても、業者のほとんどがそれを知らずに、犯罪者にごまかされたり、あるいは悪得業者にごまかされたりして、これを正当な商品として取扱つているのでありまして、犯罪の見地から見ますと、繰返すようでありますが、全然別個の立場に立つているのであります。犯罪者に対する捜査あるいは檢挙ということは、あらゆる手段を盡してなすべきでありまして、これを全然別個の立場を持つている営業者に対して、その協力を求めるということは非常によいことでありますが、協力を求めることの必要が急にして、むしろ業者に不当な義務を負わしたり、あるいは嚴重な刑罰を加えることを前提としてこれを取締るようなやり方は、正当な業者の行為を警察の一方的な都合から束縛し、圧迫するものでありまして、本法の建前から考えても、やはり大きな間違いではないかと私どもは思うのであります。今修正案が出まして古物営業取締法というのを古物営業法というふうにかえられました。その中で説明者は、すべての業者を悪得業者と見るものではない、こういうことを主張されましたが、すべての業者を悪得業者と見ないというのならば、警察が犯罪捜査のために業者の協力を必要とする場合、業者を取締るとか、あるいは不当な責任を負わして、それに反した場合にこれに嚴重な刑罰を加えるとかというような、かつて旧憲法下におけると同樣の取締法をつくることは、非常に間違いなのであります。その上これをこまかく見て行きますと、この間來、本委員会で問題になりましたように、新憲法に保障されておりますところの営業の択選の自由、あるいはすべての國民は、法の前に平等であるという平等権、これらが侵害されておるかに見えるのであります。第四條のいわゆる欠格條件の点につきましても、禁錮以上の刑に処せられて、それが終つた者が三年以上経たないと営業の許可をされない。あるいは本法に違反した者ばかりでなく、他のすべての法律に違反した場合でも、罰金刑が二度科せられた人は、また営業権を許可されない。あるいはまたこういうような條件の人間が、その親族の中におるというだけで、営業を許可されないというような規定があるのであります。これは憲法に保障されておりますところの職業選択の自由あるいはまたすべての人間が法の前に平等であるという、いわゆる基本的人権を侵害するもはなはだしいものでありまして、第一この許可するという、許可を前提としての欠格條件を設けておること、そのこと自体にも、非常に重大な欠陷があるわけであります。また立入りあるいは調査という点でありますが、警察官は必要に應じて、必要と認めた場合は、営業中であればいつでも、古物営業者の店舗あるいは住宅あるいは倉などに立入つて、商品や帳簿を強制的に調査することができる。あるいはそこの店員なり、主人なりに尋問を加えることができるというこの條章も、これまた憲法における犯罪捜査の規定、つまり責任ある司法官憲の令状をもつてしなければ、住居やあるいは持物の捜査押收などはされないという、あの條章に反するものであると私どもは思うのであります。もし犯罪捜査のためあるいは犯人檢挙のために必要とあれば、本法に規定してありますところの品触の状況、つまりこういう盗難品があつた、これが君のところに來ていないかというような、この品触の状況は、相当具体的なことが書いてあるのでありますが、こういう形でそれぞれの営業者に警察はこれを調査を依頼することができ、また調査に行くことができるのでありまして、こういうふうに非常に具体的にその條件を決定して、そして調査あるいは立入りをするというならわかりますが、ただ必要に應じて常にこれをやる、こういうあいまいな状態では、業者は非常に恐しい立場に追い込まれるかと思うのであります。この委員会で繰返して申し上げたのでありますが、警察官吏の訓練の点から見まして、また日本の警察官吏と人民との関係の立場から見まして、常に人民は警察官吏の支配下にあるかのごとき観念を持ち、弱者のような観念を持つて來ております。今もその点が問題になつて、警察官であるということを証明するために、業者の方から身分証明を要求して見せるというのでは、言いにくかろう、警察官の方から進んで、自分が警察官であるということを示すべきだというふうに修正されたのでありますが、これはつまり警察官吏に対する場合、業者が、廣く言つて人民が、いかに隷属されたような状態に置かれておるかをどなたも認められたと思うのでありまして、こういう立場にある業者に対して、警察官吏が必要に應じていつでも行けるというような、あいまいな形で、この権限が與えられておりますと、そこにいろいろ恐しい弊害が生れて來ることは、これは今日までの経驗によつて明らかなことであります。こういう点が業者をして非常に恐しい窮地に追い込むことになるのでありまして、從つてまた憲法におきましては、このような一行政官が、しかも末端の警察官吏が、どこにでも入つて行くというような、從來の旧憲法におけると同樣なことを嚴重に制限したのでありまして、つまり責任ある司法官憲の令状によらなければ、家宅捜索などは受けることはいらない、こういうふうにきめた根本の精物はここにあると思うのであります。それを本法におきましてはすつかりくつがえすというこういうやり方。これはやはり憲法の條章に反するものではないかと私どもは思うのであります。おとといの委員会におきまして、この点を殖田法務総裁にお尋ねしましたところ、自分は憲法に違反するとは思わない。しかしこの法律を施行してみて、そこに不都合が生じた場合には、これはまたそのときはそのときとして改めればいいと、こういうお答えであつたかと思うのであります。非常にあいまいな確信のないお答えでありまして、私どもはこういう形で、あたかも國民を法律の試驗台にするがごとき法律はつくりたくないと思うのであります。また取締法という名称を、單なる営業法にかえましたが、実は内容は依然として取締法にすぎないのであります。明治二十八年に制定されました古物商取締法、あの精物、あのやり方、あの方法が、そのままこの新しい法律にも盛られておる。営業者は自分の営業についての、たとえば営業範囲、品物の範囲を変更した、あるいは從業員を雇い入れた、あるいは主人が死んだ、あるいは店の移轉を行つた、そういう場合に一々警察に届ける義務がある。もしこれを怠つた場合には、営業を取消されたり、あるいは懲役、罰金等に処せられる。また帳簿につきましては、特に古書籍の場合について先ほど論ゼられたのでありますが、その年月、品物の数量、あるいは特徴はもとより、相手方の住所、姓名、年齢、性別、あるいは職業、またその人間的特徴に至るまで、これを帳簿に記載しなければならない。こういう煩雜なことが業者の責任として課されて來る。これまた非常にやりがたいことでありまして、業者の叫びの中には、正当な大事なお客樣をまず犯罪者として取りかかるというようなこういうやり方は、とうてい耐え切れないというような言葉もあります。そうだろうと思うでありまして、賣りに行く者、買いに行く者も同樣に、自分を犯罪者のごとき取扱いをする営業者に対して非常に悪い感じを持ち、ひいて警察の支配ということが、人心に與える悪い影響というものが、廣く強く深まつて行くだろうと私ども思うのであります。こういう恐しい取締りと、責任を業者に課ししかも何かと言えば、営業取消しとかあるいは罰金懲役によつて脅かすということは、これは正当な業をなしている人に対する基本的人権の侵害にあると私どもは考えるのであります。冐頭に申しましたように、犯罪搜査のために必要とあり、あるいは犯人檢挙のために業者の協力を求められるならば、そういう見地から、業者をあらかじめ悪徳業者のごとく認めておるような、そういうようなふうにすら見える。こういうひどい取締りをやらなくても、十分になし得る余地があると私どもは思うのであります。まして犯人檢挙あるいは犯罪の防止、犯罪の搜査ということは、これは警察官吏に負わされた責任でありまして、古物業者も含めた國民大衆は、つまり主権者として、自分の社会生活を非常に安心なものとし、愉快に営業し、生命、身体、財産等の必要なものを守り、基本的人権を擁護する、そういう必要から、國民の機関として警察をこしらえたのでありまして、言つてみれば、警察官吏は、この古物業者も含めた人民の、いわゆる從僕であります。この從僕たる機関が、主人である人民に対して、自分に課された任務が十分に果されない。どろぼうをつかまえる任務を持ちながら、よくつかまえないというので、逆に主人に対して、あたかも從僕が主人のごとく取締り、自分の必要のために、基本的な人権や営業権すら剥奪するような取締法をつくるということは、まさに本末顛倒でありまして、とうていたえられないものだと思うのであります。私どもは、こういう嚴重なる取締法をつくらなくても、業者に自由な商賣をやらせつつ、しかも喜んで警察の予期するところの犯人の搜査、あるいは犯人の檢挙という仕事に協力してもらう道はあると思います。これはひとり古物業者のみならず、そういう意味では國民の全体が警察に対して協力することにやぶさかでないのであります。常にこういう取締りで、罰則で脅かして、警察の言いなりほうだいに人民を縛りつけるというやり方は、これは根本的に新しい憲法下においては間違いであると、私どもはこれを強く主張したいのであります。今度の國会を通じまして、私どもの知り得たことは、憲法によつて新しく規定されました國民の基本的人権が、いろいろの名目のもとで破壞されつつある事実であります。今度の場合は、警察行政の一方的な必要から、この國民の基本的人権が破壞されたのでありますが、たとえば労働組合法におきまする改正によつて見しても、これまた、たとえば九原則というものは絶対の至上命令だ、こういう名のもとに、すべての労働者が反対するにもかかわらず、労働組合法が改悪される、そうして憲法に保障された労働者の権利が縮小されて來る、こういうこともあつたのであります。こういうやり方は、絶対多数をとつた民主自由党の内閣は、絶対多数で何事もできるという、驚くべき專制的な観念から、旧憲法下におけると同樣に、政府あるいは政府機関が人民の上に立つて、その必要のためには、基本的な人権として憲法に規定されたことまで、破壞しても、一向かまわないのだという、恐ろしい非民主的な観念の上に立ての行為としか私どもには思われないのであります。こういう点から、この法律に対しまして、全体的な反対を私どもはするものでありまして、今修正されました二、三の、そういう点はなるほどごもつともだと思つておりまして、必ずしも反対はいたしませんが、この修正だけでは、とうてい今申しました根本的な本法における欠陷は、救済されていないのでありまして、從つて原案並びに修正案に絶対に反対したい、こう考えておるものであります。
#28
○足鹿委員 日本社会党を代表いたしまして、大体ただいまの五項からなる修正案に対して賛成をいたすものであります。
 賛成の理由等は、すでに盡きておりますので、申し上げませんが、ただいまいろいろ御意見がありました。しかし大体において、現在の治安の状態から見まして本法が提出されたゆえんであろうと思うのでありますが、問題は、直接関係を有する方面において法自体を理解し、納得しているかどうかということが、われわれの法案に対する取扱い方の根本でなければならぬと思うのであります。先刻労働組合法の改正等を引例されて、谷口君が申されましたけれども、これと本件の問題を同一視して行くということは、私でも社会党といたしましても考えておりません。労働組合法に対しては、関係の厚い方面が全面的に反対しておるのであつて、この古物営業取締法案に対しては、直接関係を深くしている筋においても一應納得している。こういう点において、ただいまの修正案が大体妥当適切なものであろう、かように考えるものであります。しかしながらこの問題につきましては、私は強く当局に二つの要望をいたしておきたいと思うのであります。それは、先刻の懇談会の際にも、各党各派の意向が一致を見ておりますように、第四條の点につきまして、ただ漠然と、禁錮以上の刑に処せられた者というような、廣汎できわめて及ぼす影響の廣いものにつきましては、先刻質疑の際にも申し上げしたように、当局の解釈だけでは満足できないのでありまして、この点については、次の議会等において愼重に当局でも檢討せられまして、適当な修正または削除の方途を講ぜられたいということであります。
 第二点は、本法を運営して行く場合におきまして、附随する政令、命令にゆだねておる点がきわめて多いという点であります。これは法案そのものの運用の面から言いまして、あるいは必要であるかは知れませんが、あまりにも運用面を複雜にし、國民なり、あるいは業者なりが、法そのものを理解して行く上において、非常に遺憾な点があるやに見受けられますので、この点についても関係の政令、命令にゆだねておる事項については、これを整理して、なるべく簡素化せられたい。
 この二点を強く要望いたしまして、ただいまの修正案に賛成の意を表するものであります。
#29
○龍野委員 私は民主自由党を代表いたしまして、修正案を含めた原案に賛成の意を表するものであります。
 私が申し上げるまでもなく、政治の理想は安居樂業にあるのであります。われわれ政治家たる者は、國民がその途に安んじて、明朗なる社会國家を建設するに努力しなければならぬことは当然であると存ずるのであります。しかるに今日の世相は、敗戰の結果によるとは言え、まことに嘆かわしいような状態にある。人を見たらまさにどろぼうと思えというような、いやな言葉を、われわれは認めなければならぬような実情にあるのであります。たとえば停車場において、ちよつと便所に行つておる間に自分のトランクが盗まれる。またちよつと家をあけておる間に家財道具一切を盗まれるというようなことでは、まことに國民たるもの戰々きようきようとしておるような実情にあるのであります。かかる現象をできるだけ少くして、明朗なる社会をつくることは、最も喫緊の要務ではなかろうかと存ずるのであります。しかしながら、これは單に取締りの警察官のみをもつてよくすることではない。國民全般がこれに協力しなければ、かかる社会をつくり上げることはできない。從いまして、防犯ということは國民の社会的義務であろうと存ずるのであります。しかも盗品の大部分が、いわゆる古物に非常な関係を持つておるとするならば、その古物に関係する営業を営む者が、特にその基本的権利をある程度制限されることは、まことにやむを得ない次第ではなかろうか、またこれらの者が特に防犯についての責任を有することは、これも社会的責務であろうと存じます。從いまして、なるほど古物の営業ということは國民の基本的権利でありますけれども、かかる見地から、公共の福祉のために、この國民の基本的権利もある程度の制限を受けることはやむを得ない。こういうような見地から見ますならば、かかる法案は、一方においては國民の基本的権利を尊重しつつ、いわゆる社会的要請にこたえるという意味において立案しなければならぬと思いますが、この修正案を含む本法案を見てみますと、まことにその二つの見地から調和を保つておると存ずるのであります。かかる意味において、私はこの法案が一日も早く成立することを希望するものでありますが、しかしながらまた、法律はその運用にあることは、これは申し上げるまでもないことであります。先ほどもいろいろ議論があつたのでありますが、ややともすれば、この協力を求める地位にある者を犯罪人視するということは、これはまことに行き過ぎであり、かかる考え方は許されないのでありまして、実際面において古物営業者を犯罪人視するというがごとき取締りの方法は、これは断固として排除しなければならぬと存じます。あくまでも協力を求める立場においてこれが運用に当らなければならぬ。この見地から、今後法の運用にあたりましては、あくまでも古物営業者の人格を尊重するという立場において、またその基本的権利を尊重するという意味において、法の運用に当られんことを切に希望いたして、この修正案を含む原案に賛成の意を表するものであります。
#30
○大泉委員 私も修正案並びに修正以外の原案に対して賛成するものであります。
 現在商業界においては、古物商の存在というものは、國民生活上、きわめて重要なる位置を占めておるのであります。戰災をこうむつた國民も、またこうむらない人々も、このインフレのときにあたつて、いわゆる生活の安定を失つておる。こういうときに、お互いに古物に依存しなければならない面が多分にあるのであります。まつたく古物商の手を煩わさなければならないのが今日の生活であります。かくのごとく多数の國民が古物商を通じて古物を賣買しなければならぬ。從つてこの古物を通じていろいろな社会問題が起つて來る。從つて古物商品に対する犯罪行為がきわめて激増して來ることは当然であります。またこれを防止、摘発するには、結局古物を取扱う古物業者の協力を求めなければならぬということは当然であります。当局も古物営業者の迷惑とは思いながら、犯人の檢挙、その他防犯上の協力を求められているということは、わかつておりまするが、われわれはこの犯人の檢挙、あるいは犯罪の防止に対して、どこまでも業者の協力を求めるのでありますから、先ほど各委員から申されましたごとく、業者の人格をどこまでも尊重しつつ、しかも業績をあげるということに万全を期してもらいたい。
 特に私の申し上げておきたいことは、この法の執行者である末端の警察官あるいは警察吏員が、この法の精神を自己の精神に置きかえて、いわゆる感情に置きかえて取締られるようなことがあつてはならぬ。どこまでも立法の精神を、末端の取締りに当る現場の職員に対して、また業者の方々に対して、徹底せしめていただかなければならぬ。これが希望であります。また、この委員会においてたびたび繰返されたところによつても、また政府委員の説明されたところによつても、これが立法の精神は開づけられておるものと私は思いますので、將來末端の執行者がいろいろな取締り上の疑義を生じて問題を起し、あるいは訴訟等にまでなつた場合、あるいは裁判上の爭い、あるいは判決上の問題に対しても、この政府当局者の説明なり、あるいは法の精神をここで定めたことは、將來これが解決に唯一の材料になると思うのであります。この意味において、特に法の精神を末端に徹底せしめられ、万遺憾なきように努められたいことを切望してやまないのであります。
 以上本案に対して心から賛成いたすものであります。
#31
○中島委員長 討論は終局いたしました。
 これより古物営業取締法案、内閣提出第百六十三号について採決を行います。まず民主自由党、日本社会党、第九控室民主党、第十控室民主党及び新政治協議会よりなる、五派共同提案の修正案について採決いたします。この修正案に賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#32
○中島委員長 起立多数。よつて五派共同提案の修正案は可決されました。
 これよりただいまの修正の部分を除いた原案の採決をいたします。賛成者の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#33
○中島委員長 起立多数。よつて本案は修正議決されました。
 なお、本案に関する委員会報告書の作成に関しましては、例のごとく委員長一任に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○中島委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
    ―――――――――――――
#35
○中島委員長 次に、日程を変更しまして、道路交通取締法の一部を改正する法律案、内閣提出第百九十七号を議題にいたします。
 本案に対しましては、大体質疑を終了いたしておりますが、この際なお質疑がございますれば、ごく簡單なものだけ許します。
#36
○久保田委員 一昨日でございましたか、政府委員の方より説明がございました。その説明を伺つておりますと、田村町における実情が非常にあぶない。こういうような説明をされたのであります。そういう説明を伺いまして、私東京都においてはまだやつておられないと思うのでありますが、神戸、大阪、京都において行つておるようなことは、東京都においては主として軍政部の方の車のみだと思いますが、その点どうでありますか。一應伺つておきます。
#37
○中野(正)政府委員 東京都内におきましては、進駐軍の車と、日本側の車も、日比谷、田村町の二箇所において右小まわりを実施いたしております。
#38
○久保田委員 御説明を伺えば、実際において一般の車はやつておられないということでありますが、そうなりますならば右内まわりと申しましようか、神戸、大阪、京都において行つておりますのは、これは正式な公安委員会等を通して、今三府縣において行つておることが非常によろしいということのために請願に参つておるのであります。ですから一應東京においても政府委員の方々は神戸、大阪、京都のようにやつてみて、後においてこれをやるということにしても、遅くはないのじやないかと考えるのであります。その点どうなんですか。
#39
○中野(正)政府委員 ただいまの自動車の右小まわりのことにつきまして、内まわりをとるか、外まわりをとりますかにつきましては、右まわりの方法を初めて採用いたしましたアメリカにおきましてもいろいろ実驗済みでございまして、実は現在何パーセントが内まわり何パーセントが外まわりであるかという資料を持ち合せておりませんが、アメリカにおきましても州によりまして、または州と申しますよりも各都市、各交叉点におきまして、どちらか一定しない方法をとつているようであります。アメリカの各州の交通法規によりますと、右まわり――あちらでは右側通行でありますから左まわりでありますが、その場合はバトン、つまり鋲マーク、つまり道路標識に從うということが、大体の州の交通法規に規定されておりまして、各交叉点におきまして、交叉点のその所々の状況によりまして、大体鋲を打ちまして内まわりか外まわりかを指定しているそうでございます。それで実を申しますと一番完全と思われますのは、日本でも経済的に、また資材的にそういうことが許されますならば、鋲なり、消えない道路標識なり、そういう方法をもちまして、その交叉点の独特のまわり方をきめてもよろしいわけでありますが、御承知のように日本におきましては一番大事な横断歩道の鋲すらも、また道路標識の線すらも、鋲もあまり打つてございませんし、線すらも消えたままに放つておかれているという状態でありますから、この急激な変化であります右小まわりを、道路標識、鋲、そういうものにゆだねることはまことに危險であると思います。そういたしますとアメリカ流にいたしまして、各公安委員会が各交叉点で、独自の右小まわり方法――と申しましても、外まわりか内まわりでありますが、それをきめてもよろしいということにいたしましては、御承知のように運轉手は各都市各縣を自由に走るのでありまして、ここでは内まわり、ここでは外まわりということでは、まことに運轉手にとつて迷惑千万であります。從いましてとにかく一定はしなければならぬ。しかも各交叉点に完備した道路標識が期待できないという現状におきましては、どうしてもどちらかに一定しなければならない。その場合に外まわりをとりますか、内まわりをとりますかの問題でありますが、大阪ほか二市の請願にありますようにしますと、あの内まわりは内まわり同士、右まわり同士が接触しないという点では確かにいい点でありますが、そのかわり欠点といたしましてはまず信号が青になつた場合に軌道車も、いろいろな自動車も、一齊にスタートを始める。從いましてその場合にはスタート初めには心理的に余裕がございませんし、スタートしかけに内まわりで右に折れる、そういうことをあせりますと、どうしてもそこに事故が発生しやすい。特に軌道車があります場合におきましては、軌道車つまり電車と自動車とがゴーになつたとき同時に出発いたしますので、急に右側に切れますと非常にあぶない。それからもう一つは外まわりをいたしますと、カーブの角度が鋭角になりますので、どうしてもスピードをよけい落さなければなりません。内まわりの利点は、右まわり同士が接触しないことと、それからスピードを相当ゆるめないで済むことでありますが、逆に日本交通状況、特に一般の交通に関する意識が遺憾ながら低い現状におきましては、まわる場合にスピードがあるということは、かえつて弱点であります。自動車に乘つている者からすればその方が早くていいのでありますが、歩行者等から考えますとかえつて弱点であります。それからもう一つは横断歩道を同じ方向に歩いております歩行者を、どうしても右小まわりは突つ切るわけでありますが、そういう場合にも横断歩道を通行する歩行者に対しても、非常に危險が多いわけであります。こういう理由によりまして初めてこういう右小まわりを採用する日本といたしましては、しかも一定しなければならぬという実情におきましては、外まわりの方が現況におきましてはすぐれておると確信しておる次第であります。
#40
○久保田委員 内まわりの神戸、大阪、京都においてやつていることがいいことではあるが、これが危險性が多い、こういうお話でありましたが、神戸、大阪、京都においてはこれが非常にいい、実際にやつた結果いいということを請願して來ておるわけであります。東京都においてはそういうことをやつておらずして、これが危險性があるというようにただいま申されますが、われわれはそうしたことが受取れない。次にアメリカにおいて云々と言われましたが、アメリカと日本とは道路の実情が違います、交叉点等においても日本のような交叉点とはアメリカは違います。非常に数も少いし、根本的に事情が違います。私はこういうような意味から、アメリカのまねを今しいてしなければならぬ理由がないと思う。日本において実際に三縣においてやつておることがいいということなら、このことを東京においても一應やつてみて、そうしてやつた府縣等のいろいろの調査、打合せ等をやつて、しかる後に悪ければこの法の改正をすべきであると考えるのであります。よつてお尋ねいたしまするが、この改正法に対しまして軍政部の方から強い要請があつたのですか、どうなんですか。
#41
○樋貝國務大臣 この点に関しましては、ただいまのところでは、自動車の数が非常にふえるから、一日も早くやつた方がよろしいということで、いろいろと打合せをしましたようなわけであります。今の小まわりの点も東京で進駐軍の方面でやつたのもありますれども、どうも結果はアメリカの例によつてやつた方がよいように思います。それから、京都は知りませんが、ごく最近に神戸に参りましたが、内まわりと外まわりと両方進駐軍の方でやつているのを見ましたが、やはり向うでやつた方がいいし、さしあたりとしては信号機を右に見たようなまわり方がいい、すなわちこの法律案のようなやり方がよろしいと考えております。これで実行した方がよろしいと考えております。
#42
○久保田委員 今樋貝國務大臣からお話がありましたが、この問題につきましては、改正の必要がないという考え方から、過去の官僚の型というか、改正をしようと考えたなら、どうしてもそれを改正を行わなければならぬ。それをやりたい。ぜひ反対があつてもやり通そうというその考え方が残つているのであります。よつて、私はこういつたような考え方はこの場合かえてもらいたい。実際において先ほどから申しますような意味において、三府縣ともにいいと言つているのでありますから、官僚型の考え方を捨ててもらいまして、一應この問題は撤回してもらいたい、かように考えるわけです。
#43
○川本委員 この法案は各委員からいろいろな御意見が出ているようですが、結局はこれは附則にありますように、二十四年の十一月一日から施行するということになつておりますので、その間多少の日時もありますから、これを実際に指導する方面の方が、これから十分な教養を積まれて行かれれば、さして弊害はないのじやないか、かように思つております。ただこの際一言私当局に希望を申し上げておきたいことは、現在の警察官の教養の程度では、おそらくこの法律をただちに実施いたしますならば、非常な弊害が生ずるということと、非常な迷惑を大衆がこうむるという点だけは、これははつきり申し上げることができると思います。実は私ども昨日これを体驗したことなんであります。簡單に申し上げますが、実は世田ケ谷の畑中の道路を、私ども同僚四人で横断したんです、わずか十メートルばかりのところをはすにこう歩いた、そうするとそれを巡査がわれわれを追つかけて來て、交番に呼ばれた。何かと思つて聞いてみると、横断の標識も何もない道路をなぜ通るか、それを若いのが威猛高になつて、われわれが身分を明してもなおつべこべりくつを言つているんで、私どもは、君たちのような人間にはおそらくほかの人も迷惑しているだろうと言つていると、そこに一人の人が走つて來て、実は自分も先ほど交番に呼び出しを受けた、この横断のところをはすに歩いたら交番に呼ばれた、私は生れて初めて警察に呼ばれたんだが、皆さん方國会議員だとお見受けするから、どうか今後こういうことのないようにひとつお願いしたい、とこういう。時間を申し上げますと、昨日の午後四時三十分でありましたが、その巡査は世田ケ谷の池上と言いますか、駅の脇に來た所の、左の手に繃滯をしておつた巡査です、いま一人は同じような同僚が出て來てやつたんですか、私はよく君たち考えなければならぬ、と言つて、ほかの諸君も大分憤慨していましたからなだめて來ましたが、かようなことはおそらく全國各地で行われていると思います。この警察官の心理というもの、戰爭中から巡査の教養というものがごく低いということ、これらの点を十分当局においてはお考え願つて、この法案の実施をしていただきませんと、大衆が迷惑することは非常だと思いますので、幸い十一月一日までの日がありますので、各方面のいろいろな御意見も聞いて実施しなければならぬと思います。私もこれに対しては相当の異論は持つておりますけれども、大勢がそういうところにあるのを、われわれが水を逆に流すような話はしない方がいいと思います。ただ実施にあたりましては、十分今後の期間において教養にひとつ意を用いていただきたい。これだけを私当局の方にお願いを申し上げておきまして、この案は日にちもないわけでありますから、修正する点がなかつたら、すみやかに通していただくようにお願いしたい、かように考えております。
#44
○谷口委員 簡單に二点だけ御質問したい。結論から申しますと、私どもは習慣的な問題で、今さらこういうことをやつたんでは混乱を起すので反対をしたいと思うのでありますが、これはかつて戰爭が起つて間もないときに、一ぺん実行して大混乱を起して、たちまちこれをもとに直した経驗があるのです、それをなさるのはよくよくの理由があつてのことだろうと思うのでありますが、その理由をまずお聞きしたいと思うのであります。それから実際上大きな道路あるいは電車の通つているような交叉点などでは、そんなに問題はどつちでも起らぬ。またこれは非常に技術的なことになつて來ると思うのですが、しかし日本では歩道と車道とのわかれていない細い通りが多い。こういう場合に、車が左側を通行して人間が右側通行で、いわゆる対面交通ということをやりますと、いずれにしても車、特に自動車などは、その道の眞中を通るから左側も右側もない。つまり人間が歩いていると、前から來る自動車と、うしろから來る自動車にも注意しなければならない。だから左側を右側に直すということはナンセンスだと思う。それから小さい交叉点では右側を通つている人間が曲る場合に、こつちから來る自動車なり自轉車なりが、今度は左側ですからまともに衝突するおそれがあるわけです。角を通るときには、人間は距離の経済をやると見えて、たいていぎりぎりのところを通りますが、その場合にたとえば右側を通つて右に廻る、車は相手を見ないで左側を通つて左に廻りますからぶつかる。むしろ右側を通つて対面交通をとる方が事故の度合が多くなろうと思います。そういう点があるので、長い間の左側を通る習慣までぶちこわしてやらなければならぬというのには、よくよくの事情があるのだと思いますが、この間からの政府委員の御答弁では納得行かない、そういう点をお聞かせ願いたい。もう一つは取締りの点でありますが、改正法ではいろいろな罰則の規定が複雜になり重くなつている。こういう点を私どもは実は腑に落ちない。今川本委員から巡査の最近の態度についてお話がありましたが、これは私どもはまつたく同感で、民主自由党と共産党とが期せずして一致したわけでありますが、今ここに一つ私どもの方から資料が出ております。これは長野警察署の発行したものでありまして、交通違反通告書という、おそらく川本さんあたりがもらわなかつたのは、國会議員のおかげで、普通の人ならこういうものをもらうんで、お前はこういうことをやつているからいつ幾日までに出頭せいということを書いて、もし出頭しなかつたら逮捕状を発すると書いてある。一々逮捕するとか、出頭せよとかいうようなことでなくしていただきたい。ここ一、二年前までは交通巡査もなかなか朗らかで、おばあさん、そこを通つちやいけませんといつて注意をして釈してくださつたので、みな好感を持つて交通道徳が進歩した。ところがこのごろはそうではなくて元の通りになつてしまつた。國会議員でも交番へつれて行かれて油をしぼられる状態でありますから、普通の人はどれほど油をしぼられるかもわからない。ましてこの取締り法案で嚴重にして、罰金も國会議員の歳費では拂えないような状態ですから、これは明らかに時代に逆行するものである。もし違反行為をしておつたら、あなたのヘツドライトはつかんじやないか、つくようにして來ないかという程度で、すぐ罰金とか何とかしないようにして直してもらつた方がよいのではないかと思う。こういう点について警察と民衆との間に和氣あいあいと交通道徳が高揚するような方向に改正される御意思がないか。この二点をお尋ねいたします。
#45
○樋貝國務大臣 今のお尋ね、まことにごもつともですが、ただいまのところでは去年の三月から自治警察と國家警察とが別になりましたために、非常事態に入らない限り、私どもは個々の事項については命令をされぬようになりましたわけで、ただいまちようど警視廳、自治体警察でやつておるところの交通安全週間にあたつておりますので、特にやかましく言つておるかと思つております。平常そういう谷口さんのおつしやつたような傾向があるかもしれませんが、よく警視総監にも会いましたらその点は注意をしておきましようけれども、しかしただいまはそういうようなわけで、ことにやかましくさわいでおるのかもしれません。それらのことについてはよく注意をいたすことにいたします。
#46
○谷口委員 どうしても右側にされることは、長い間左を歩くようにされておつて、今急にこういうことをなさるのは納得が行かない。國民がみな左の方へ行くから、急に右へというわけでもないと思いますが、(笑声)これは習慣で左の方がいいのではないかと思います。しかしどうでもやらなければならぬというのは私どもふに落ちません。そういう点で私ども保守主義です。(笑声)
#47
○樋貝國務大臣 いろいろこの間らかもその点について御質問がありましたが、半年ばかり研究いたしました結果、この結論に達しましたようなわけで、だんだん車もふえるから、対面交通の方がよろしい。車を左側といたしておるし、アメリカは右側を歩かして、どちらもアメリカは対面交通の慣習が成立しておりますが、日本で車を右に歩かせることは、世界の例に一致するのでしようけれども、非常にたくさん金がかかりますので、仕方がないので、車は左を歩かせる。それと対面交通させるためには、人間の方が右側を歩くということは、危驗防止の点からやむを得ないという結論に対しましたようなわけで、從つて法案の御審議を願うことになつたわけで、決してそう急の思いつきでやつたわけではない。ずいぶん長い間研究いたしましたわけであります。御了承を願います。
#48
○門司委員 この法案の採決を非常に急がれておりますが、十一月までにやればいいということで、別に急がぬと思います。当局の説明をいろいろなされておりますが、現在内まわりをやつております都市から反対の陳情が出ており、さらに反対の請願の出ていない横浜、名古屋でも同じだと思いますが、ほんとうにこれらの機関と打合せになつた事実が疑わしいのであります。研究されたと言つておりますが、それは警視廳だけの研究で、全國的の打合せが行われていないのじやないか。もし行われて妥結点が見られておるならば、同じ警察の管下にあつて、そう反対は出て來ないと思うが、もう一度お聞きをしておきたい。
#49
○樋貝國務大臣 國警の方面とか、警視廳の方面、主として東京の方面と打合せはいたしました。しかしあらためて京都、神戸と打合せはいたしませんが、某方面の示唆がありまして、それから一應の意見を徴したわけであります。一堂に会して打合せをするというようなことはいたしませんでしたけれども、しかし今のところでは手続もそんなに落ちておることはないつもりであります。どういう陳情が参つたか存じませんが、現在においては右大まわりの主義によつて、全部日本人は交通を一ぺんとめて、それからするということになつておりますが、某方面の示唆はかなり強い希望を盛り込んでおります。
#50
○門司委員 せつかくの御答責ですが、この問題を主として取扱いますのは大体都市でありまして、國家警察が今日所管しておりますものの中で一番大きいものは、ほとんど警視廳ぐらいのものであつて――警視廳も実際はそうでないと思いますが、國家警察の、この問題と直接関係のない警察と打合せをいたされましても、法案をきめる場合にはどうかと思う。だからもし実際に都市の自治体警察との完全なる了解のできないときに、この法律で警察行政を取締ろうとすることは非常に危險があるのではないか。警察行政がおのおの今日のように別個になつておりまして、その地方々々で適当な処置をとつておりますときに、こういう一本の法律を出して、自主性をこれによつて束縛してやつて行くことは、大きな非民主的なやり方だと思う、なるほどサゼツシヨンはあつたかもしれませんが、しかし強いそういう御注意がありましても、それは一應当局のサゼツシヨンとして、やはり國内における態度は十分愼重を期して、おのおの自治権を侵害しないようにしていただきたいと考えますので、ただいまの國務大臣の御意見には養成しかねる。從つていま一應各都市のこれに直接関係のある自治体警察の意見を十分取入れて、われわれにそのまとまつた意見をこわしてもらいたい。その後にこの問題を審議することが私は妥当だと考える。
#51
○樋貝國務大臣 その点については意見はかなり交換しております。一堂に会しての意見の交換はないけれども、事実上の交換はしております。意見はいろいろ都市の方面でもありますし、人道、車道の区別のないところでの対面交通の関係はことに問題になります。それから小まわりの関係につきましては、お説のごとく都市ですが、しかし進駐軍方面で小まわりをやつておりますだけで、日本では全部車が待たねばならないというような状態になつておりますので……。(「ほかの都市はみな小まわりをやつている。」と呼ぶ者あり)いや、それは全部がやつているわけではないのでありまして、やつているところとやつていないところとあるのです。そういうわけで、異論もありましたけれども、打合せて、大部分がこのようなことになりました。
#52
○立花委員 これは結局十一月からやればいいので、臨時國会があるのですから、そう急がないと思うのです。今門司君からお話がありましたが、各自治体警察との御連絡も必要だと思います。ところが実際事にあたつている運轉手あるいは路面電車の運轉手、こういう者にも事情をよく聞いていただきたいと思う。それから政府委員の御説明では、自動車がふえるからということがおもな原因らしいのですが、自動車がふえましても、まだ二十万で、そのために八千万人の歩き方を全部かえなければならないということは非常に不合理だと思います。八千万國民の声をよく聞いていただきたい。十一月までの期間に、こういう國民一般の習慣に関する問題は、公聽会でも開いておきめになる方がいいのじやないかと思う。特に大阪方面から出ておりますあの内側まわりの問題にいたしましても、あれは取締りの方からの御意見でありまして、実は路面電車の運轉手などはあれで困る。一諸に行く場合に、輝き出した電車の前を横切られるので、あれではかなわぬと言つておる。だから單に取締りの衝にあたられる方だけの御意見ではなしに、都市交通の労働者の御意見とか、あるいは実際の市民の歩いておる者の御意見もよく聞いていただきたい、そういうふうに思うのです。十一月からやるのに、何もきようきめなければならないことはない。そういうふうな國民一般の習慣に関することは、單に法律で紙の上だけできめましても、それでことは終りません。かえつて混乱を招くということは当然予想されて参りますので、十分そういうふうな民主的な手続を経ておきめ願いたいと思うのです。この際そういう立場からもお聞きいたしたいと思いますのは、もしこの案がきまつたとして、具体的には十一月までにどういう宣傳方法をお考えになつておるか。これば非常に重要な問題だと思うのです。單に法律が國会を通過しただけで決して習慣は改まるものではありませんので、徹底的な宣傳を行わないと、かえつて混乱が予想されると思う。その宣傳に関しては、どういうふうな具体的な手続を今お考えになつておるか、お尋ねいたしたいと思いますし、それから事故が起るとおつしやるのですが、現在の事故は、決して対面通行をやつていないから起る事故じやないと思うのです。事故の原因は決してそういうところにあるのじやなしに、たとえば車の腐朽とか、ブレーキの故障とか、そういう問題が主たるものであるし、あるいは横断の場合の事故などがおもなものでございまして、対面通行をやつていないから起る事故というものは、そうたくさんないと思うのです。そういう点も十分御調査願いたいと思います。
#53
○樋貝國務大臣 私は一言だけ、十一月一日の施行期限になつておりますことだけ申し上げておきますが、実は初め施行期日は八月一日だつたのです。それを特に十一月一日まで延ばしてもらつたのでして、周知の時日を置きたいということで、十一月一日にいたしましたようなわけで、なるべく民衆によく知らして、今までの長い習慣を改めさして、実行して行きたいという考えで、ことに対面通行の場合だけにそうなんで、右小まわりをするとか、左小まわりをするとかいうことについては、別にひまはいりません。その日のうちに一日もあれば実行できるのですけれども、しかし対面通行の点については、今までの慣習を打破るのだから、長い期間を要するというわけで、もし臨時議会になれば、またそれから先半年なら半年置かなければ相当でないということになりますので、結局非常に先に延びてしまう。車がだんだんふえますから、今のうちに実行して行きたい。車がふえてからあそこへたまつたのではどうするわけにも行きません。そこであまりふえないうちに、早く実行して行きたい。去年の倍近くになりましたから、これからだんだん車がふえるから、今のうちに実行して行きたいという考えであります。
#54
○野村委員 長い間の習慣づけられておることですし、今國務大臣のおつしやつておるように、相当な準備期間も置かねばなりませんし、少くともこの法案は、現状においては現実的には從來のより私はよいのではないかと考える。しかし神戸、大阪、京都、こういつたところの公安委員から請願を出されておつて、久保田委員と同樣のことは全部やつたのですが、東京都の実状から見ましても、今の交叉点の大まわり、進駐軍は小まわりをやつておりますが、こういう点から見ても、お互いが試みてその場面にぶつつかれば、今の原案の方が非常に私は進歩的だろうと思う。しかも今の交叉点のあの面積等を考えるときにおいて、一應原案で行くことがよいと思います。それから人車道の区別のないところの対面交叉、こういうことの方が事故が非常に防止されるのじやないか。最近特殊な車がスピードをもつて、対面交叉をやつていないために、五感の少し不自由な人は非常に事故が多い。こういう点から考えて、私は將來研究する余地は多分にあろうと思う。特にさつき川本さんからもお話があつたバスの問題等については、十分この運用にあたつては第一線に徹底をしていただかなければならないと、こう思うのです。そういうある程度の準備期間を置かねばいかぬ。長い間かかつた習慣でございます。しかし根本的に切りかえる必要は、実際面から見て私は認められないと、こう思うのでして、この問題に対しては質疑等も相当一應は出たのですから、この機会に、討論を用いず、原案に対して採決されんことを希望いたします。
#55
○大泉委員 これは鉄道とか軌道の方面はどうなるのですか。踏切等もありまするので、この点の調整がもうできておるのですか。あるいは船舶などはどうなるのですか。
#56
○樺山説明員 鉄道軌道につきましては、この法案を実施いたしました結果、何も影響はございません。
#57
○中島委員長 ただいま野村委員より質疑打切り採決に入ることの動議が出ておりますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」「反対」と呼ぶ者あり〕
#58
○中島委員長 御異議がありますか。
#59
○門司委員 私は反対の意見なんです。
#60
○立花委員 これはそう急がないのじやないかと思うのです。やはりさいぜん申し上げましたように、今出ておる意見は、大阪から出ておる意見も、取締りにあたられる方だけの意見で、取締られる方の意見はちつとも出ていない。たとえば自動車の問題にいたしましても、二十万台と言われましたが、そのうちのほんの一部分だけの運轉台が右側についている。日本のやつは左側についているので、一部分だけが右側についている。その二十万台のうちの特殊の部分の自動車だけの有利な方に考えられるおそれがあるので、そういう問題を、たとえば自動車の運轉手とか、路面電車の運轉手とか、あるいは実際の市民の交通の問題とか、そういう問題を公聽会でもやつておきめになる方がいいのじないか。私たちはその人たちの直接の意見は今まだここに聞いておりませんので。それを拔きにしてきめるということは、どうも手続上急を過ぎるうらみがあると思うのです。そういう点を御考慮くださいまして、本日きめなければならないということはないと思います。まだあとに一週間も会期もありますので、きようおきめにならないでもよいのじやないとか思います。
#61
○福田(篤)委員 野村委員の動議を決をとつてください。きりがないから……。
#62
○中島委員長 ちよつと速記をやめて……。
    〔速記中止〕
#63
○中島委員長 速記を始めてください。
 野村君が質疑打切りの動議を主張いたしますから、これを採決いたします。野村君の質疑打切りの動議に賛成の諮君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#64
○中島委員長 起立多数。質疑は打切られました。討論に入ります。
#65
○野村委員 これは委員長からも仰せられましたし、一應今御意見を述べられた方々の、私らの考え方と反対の御意見もいろいろ伺いたいということも、これもごもつともだと思うのです。しかし、いずれにしても、見方、考え方によつて來ることだと思いますので、そこでこの問題は、討論の手続をやめまして、原案に対して採決されんことを望みます。
#66
○中島委員長 それでは採決いたします。原案に賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#67
○中島委員長 起立多数。よつて原案は可決されました。
#68
○門司委員 ただいまの原案は可決されましたが、私どもはこの法案に対してはまだ十分審議が盡されていないということを理由といたしまして、ここに意見の保留をいたします。
#69
○中島委員長 本法案に対する委員会の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○中島委員長 御異議なしと認めます。
 部屋の都合がありますので、本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。
   午後零式四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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