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1947/11/29 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第59号
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1947/11/29 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 本会議 第59号

#1
第001回国会 本会議 第59号
昭和二十二年十一月二十九日(土曜日)
   午前十時四十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第五十八号
  昭和二十二年十一月二十九日
   午前十時開議
 第一 会期延長の件
 第二 昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)(委員長報告)
 第三 昭和二十二年度一般会計予算補正(第八号)(委員長報告)
 第四 昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)(委員長報告)
 第五 今冬の電力危機突破に関する請願(委員長報告)
 第六 電気事業の優先取扱いに関する請願(委員長報告)
 第七 電力需給調整に関する陳情(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。この際お諮りいたすことがございます。去る二十八日橋上保君より理由を附して鉱工業委員辞任の申出がございました。許可することに異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として岩木哲夫君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松平恒雄君) 日程第一、会期延長の件についてお諮りいたします。議長は衆議院議長と協議の結果、國会の会期を更に十日間延長することに協定いたしました。議長が協定いたしました通り決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(松平恒雄君) 御異議がない認とめます。よつて会期は十日間延長することに決定いたしました。
     ―――――・―――――
#7
○羽仁五郎君 本員は、秘密地下政府の眞相を明らかにすることにつきまして、緊急質問の動議を提出いたします。
#8
○藤田芳雄君 只今の羽仁君の動議に賛成いたします。
#9
○議長(松平恒雄君) 羽仁五郎君の緊急質問の動議に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#10
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。羽仁五郎君。
   〔羽仁五郎君登壇、拍手〕
#11
○羽仁五郎君 議長並びに議員諸君、尊敬すべき皆様のお許しを頂きまして、私は最近問題になつております秘密地下政府の問題について片山首相の所見を質したいと存ずる次第であります。
 國民は暗い気持になつております。國際世界は疑惑を抱いております。この國民の暗い気持及び國際世界の疑惑に対して、日本の政府及びわが國会に持つておる重大な責任を痛感いたしまして、この際私は、現在日本の民主政治を脅しておると指摘なされました秘密政府、秘密支配、秘密政治、秘密経済あらゆる暗黒の勢力を一掃されることを要求する者であります。
 内外新聞紙の報道によりませば、本月十日日本占領軍総司令部は、「日本の民主化のあらゆる努力を覆えす陰謀を持つ秘密政府」というものについて発表をいたしております。そうしてこれは、「先に日本をこの戰争に導いた黒龍会などよりも危険なものである。」としております。この発表は次のようにいつております。「今年七月、又特に九月十二日以來、総司令部は、日本を支配する秘密人物が存在することを知り、これを突止める仕事に全力を注ぎ、講和條約調印以前に、これらの人物及び組織を壊滅しようと努力しておる。」といつております。尚続いて、「全日本を蔽うこの網の中心には、約十人の追放された軍人たちと財閥、独占金融資本家たちとの組織がある。」と指摘しております。そうして「この支配には、前首相たち、海軍及び陸軍の将官たち、旧及び新の財閥たちから、神風特攻隊員たち、農夫、漁夫、政治家、藝者、請負師、判事、ギヤング、殺人犯などが参加しており、死ぬまで主從の関係を結ぶ誓いをしている。この組織の下に、東京だけで四万五千人に上る露天商が支配され、ギヤング的秘密政府は、これら下層人民から搾り取つた金を、種々の政党やボス政治家に注ぎ込み、又ボスたちのために暴力を提供し、その代わりにボス政治家は、彼らが逮捕されないように手を廻し、行動の自由、非公式の便宜まで與えている。総司令部は、これらの組織をあらゆる方面から調査した。追放された人物が相変らず巨大の政治力を揮つている。恐喝的な土木請負業者たちは闇價格を請求し、日本経済を破滅させつつある。然るに日本政府は、彼らに対し何らの措置をとることなく傍観している。一年前総司令部は、二万人の日本労働者が北海道炭鉱の監獄部屋へ送られようとしているのを発見して、阻止した、これらの実例は、秘密政府が支配権を行使している証拠である。秘密政府は、古い日本の家族制度の延長ともいうべき親分子分の関係によつて縦に貫かれ、日本社会機構の最上部に近いところから下部にまで達している。日本の反民主勢力は、昔からあるこの統制方法を利用して、旧日本を維持し、あらゆる変革を防止しようとしている。総司令部は、調査の結果、この事実を知つた。」以上は日本占領軍最高司令部の発表であります。國民は暗い気持におります。こうした事実が、司令部において調査され、國際的に報道されたのであります。
 西尾長官は、一片の否定声明をされましたが、暴力團組織が秘密の組織でないならば、何故にこれを絶滅しないのか。旧陸海軍人らの活動が、日本の民主主義にとり重大な脅威をなすものではないといわれるが、元の帝國主義植民政策の大学において、現在どういう教育が行われているか。又選挙に際し、國民が自由なる投票をなし得ないで、ボス、暴力團的人物が選挙されるような状態が、民主主義にとつて脅威でないといえるでありましようか。暴力團が闇市場の相当の勢力を握つているが、政治的勢力を持つていないと断言せられるでありましようか。政府は、一片の否定を以て國民の気持を明るくし、國際世界の疑惑解くことはできない。政府は、秘密政府について、司令部以上の調査を、これらの一一の事業について、具体的に、國会を通じ國民の前に発表し、秘密政治、秘密経済を一掃する責任があるとお考えになりませんか。
 いかにも日本人にとつては怪しむに足りないことかも知れません。日本において議員が守衛を殴打しても怪しまないのかも知れません。併し欧米においては、アメリカ第五軍司令官が一兵卒を平手で打つただけで、司令官の地位を罷免されたのであります。日本の怪しむに足りないことが、國際世界の進歩の眼からは正に怪しむに足るのであります。いかにも長い間の積弊であります。日本人にとつては、今俄かに一掃できんと考えられるかも知れませんが、併し國際世界は、日本がこの際積弊を一掃せねば一〇〇%の信愛は回復されないのであります。五・一五前後、やはりこのような悪弊が怪しむに足りないこととされ、或いは積弊一掃されがたい、どうすることもできん、といつていた間に、暗黒勢力が増大し、いつも個々の事件である、背後関係はない、重大な脅威ではない、という政府の説明は、國民の不安を納得させず、日本を平和に導こうとした我々の先輩、尊敬すべきこの議会の先輩たちが暗殺され、二・二六となり、遂に日本をこの残酷な戰争に導いた事実を、國民及び國際世界は忘れることができないのであります。さればこそこの第一回國会開会に当り、本参議院において、佐藤尚武議員、また私は、日本を戰争に導いた右翼的勢力の残存に対する政府の適切な処置を希望いたしました。然るにその後十月七日、日本占領軍総司令部の代表者が、日本に暗黒のカーテンが残存し、日本の政党の中に暗黒経済に支持されているものがあることを警告しました。これに対しても政府は何らの声明も発しなかつた。次いで再び十月二十四日、総司令部は日本の検事に向つて、この國の政治及び経済の秘密支配を企てている政治家たちとギヤングたちとの組織に対し、断乎たる態度に出ずべきことを声明し、表面上に尤もらしい政治的、財政的、外向的の仮面を被つておる暗黒のカーテン、黒幕に注意を集中せよと警告を発せられたのであります。そして十月二十七日、東京朝日紙上に、中華民國の代表者の一人がこれらの日本占領軍の声明を引いて、このような恐るべき事実は、日本人のすべてには極めて明白なことであろう。これらの事実は中國人にも分からない筈はないのである。連合國による日本管理二年、日本の潜伏政府の力がかくも大であつては、我々は日本軍國主義が何時又魂を呼び戻す可能性がないとは信ぜられない。その故に中國は対日平和会議に拒否権の保持を主張し、日本の工業の水準を一九二八年の基準に下げ、平和條約後も何年か日本を管理すべきことを主張しておると声明したのであります。これらに対しても日本政府からは何らの声明も聞かれなかつた。かくして遂に三度今度の占領軍総司令部の発表となり、その國際的報道となつたのであります。
 昨日ニツポン・タイムスは、この日本の秘密政治について、本日参議院において私が緊急質問を行うであろうと國際的に報道し、その下に、INS極東総局支配人ホワード・ハンドルマン君が署名して、この問題につき報道しております。そこに去る九月十二日日本占領軍総司令部のインダストリー・デイヴイジヨンその他十の部課の責任者の合同会議の報告が報ぜられております。「親分子分関係が占領政策、日本の民主化を阻害している事実が結論された」のであります。インダストリー・デイヴイジヨンは、「親分らがその部下をして九州炭鉱において鉱夫、労働者にテロルを加えしめている事実、親分共が請負業を組織し、占領軍工事を請負い、建築資材を自分たちの間で賣買して、インフレ價格を煽り、政府がそれらを支拂つていた事実等を指摘しておりました。アンチ・トラスト・エンド・カルテル・デイヴイジヨンは、「露店商人が組の親分に法外な金を搾られ、公の市の税金をまで彼等の手に納めている事実、そしてそれらの道路は東京都市の公有地であるのに、その借地代を組の親分に納めている事実、これらの親分が政党との関係を持ち、多くの選挙に立候補している事実」を挙げ、フアイナンス・デイヴイジヨンは、「親分が政府の税を取扱い、露店商から毎日税を取りながら、平均半数しか毎日店を開かないとして、その税の半ばを不正に処理している事実」を挙げ、ガヴアメント・セクションは、「政府の上の親分」について報告し、労働課は、「親分たちが健全なる労働組合を破壊している事実」を挙げ、第八軍物資需給部は、「ギヤングの土木請負業者と政治ボスとのリンク」を指摘し、天然資源部は、「農村における地主、漁村における親分」を指摘し、公共保安課は、「ばくち打ちと暴力團の露店商組合ギャング組織」「警察とギヤングとの関係」「ギヤング」、親分たちによつて物資の正規ルートによる配給までが左右されている事実」を指摘しております。
 形式的な問題ではありません。國民の知り得ない所で、國民がどうすることもできない暗黒政治、暗黒経済が行われているのでないか。そうして中央政府も地方政府も、ここに手を着けることができないのではないか。十月七日、日本占領軍総司令部の発表にも指摘されていたように、敗戰東久邇内閣の下に陸海軍の物資が大量に、不正に処理された。最近大阪造兵廠事件、呉工廠事件と、続々暴露され、引き揚げ援護物資、復員等に関する暗黒の事実は、浅野物産事件、神奈川事件國民の眼前に曝されつつあります。先きの軍國主義者が会社に入り、御用組合を作り、その外暗黒の手段を以て労働組合の民主的発達を妨害している事実は、九月十二日占領軍総司令部の会議にも報告されておりましたし、政府はこれらの詳細を労働組合に聴くことができましよう。
 戰争責任者の追放の不徹底は、林氏の場合にも痛感されたところでありますが、昨朝、鈴木法相がラジオを通じ、ドイツのナチス粛正について説かれ、ドイツにおいては占領軍の命令を待つだけでなく、ドイツ人民自身の手により、ナチス清掃が徹底的に行われ、五十万人が牢獄に送られ、百五十万人が裁判され、多数の人々の市民権が奪われた事実を示され、これらに対する日本の追放が全く不徹底であることを認められ、これが徹底を期せられたことに敬意を表します。日本では追放陸海軍将官等が自由に活動しております。追放者の中で戰争責任の重大なものなどついては、日本において市民権を停止すべきではありませんか。戰争責任者の執筆活動は放置せられるべきものでしようか。在外商社の支店長、支配人等は追放されたのに、それ以上の権限を持つていた大使館関係、各省在外課長などの軍國主義活動につき何ら責任が問われないのは、フエアということはできません。又復員、賠償、陸海軍関係の施設、又閉鎖機関等の処置に関し、必要の限度と期間とを越えて、いつまでも多数の陸海軍が公職にとどまり、それらの事務の急速の処理に対し却つて逆に作用して、納税國民の負担となつているのみではありません。これらすべての暗黒関係が、隠匿物資、闇、なかんずくインフレーシヨン政策の継続と関連して、國民にやはり世の中の不合理がどこまで行つても変らないという暗い気持を與えているのであります。親分子分、組の組織は解散された筈ですが、依然残存していることは、この二十二日の東京朝日新聞紙上に報じていたところでもあり、警視庁管下だけで、昨年中露天商が組に徴収された金額は六千万円に上り、中一割は税金などに納められておるが、その九割五千四百万円はどこに行つたのでありますか。警察が旧來の組の組織を依然として黙認していないか、愚連隊の減少は人民の感謝しているところでありますが、まだ根絶されてはいないのです。政府はギヤングを一掃したとお考えありますか。警察とギヤングと醜関係は先日群馬縣において自己暴露されたところでありますが、中央の警視庁において、又地方の警察において、警察とギヤングとの直接又は間接の関係を、政府はまさか知らないのではないでありましようか。いかなる処置を考えているか。現在、國会に提出されておる警察法案は、警察の権限が人民に由來することを明らかにしていないではないか。日本の警察の反民主主義的傳統の鞏固に対し、新らしい警察のあらゆる組織の中心部を我々國会議員と同じく人民の直接選挙とすべきではないか。第一線警察官の数を増すよりも、その実質的給與を特別に考慮し、待遇を改善すべきでないか。これを要するに、政治上、経済上、あらゆる意味における暗黒勢力を一掃することを、三党連立社会党首班片山内閣のなすべき、又なし得る最大の政治的使命の一つとはお考えになりませんか。これが一つの必要なる全権限を、この國会は片山首相、あなたを首相に指名した時にあなたの手にお渡ししたのであります。その決意、そのための調査、その結果を示されたいのであります。日本の再建の條件を決定される講和会議を前にして、十月以來再三日本の秘密政治について指摘されたのであります。これらがやはり暗黒政治の問題として、講和会議に臨む日本に取つて國際的に重大の悪影響があるのみか、(「時間超過だ」と呼ぶ者あり)政府ははつきり態度を示されたいと思います。あらゆる暗黒に対して我々が最後に頼りとすべき唯一の光明は、言論の自由による輿論の批判であります。言論報道の自由、輿論の批判、この一條のサーチライトの光線の照らすところ、あらゆる暗黒政治は遂に退くのであります。日本の秘密支配、暗黒勢力の根絶において、政府は言論機関の自由の協力を得るとき百万の味方を得るのです。(「長い長い」と呼ぶ者あり)
#12
○議長(松平恒雄君) 羽仁君、時間です。
#13
○羽仁五郎君(続) この点において本年六月六日東京朝日新聞紙上に、連合軍総司令部の日本における人権擁護の政策に協力するため、日本に來られたアメリカ市民自由協会理事ロジヤー・ボールドウイン君がその四日、司令部民間情報教育部において新聞記者と会見し、日本の新聞雑誌の言論に対する検閲の緩和の可能性について発表された記事を我々は読むことができたのでありますが、この線に沿うて政府は懇請努力せられたいと考えます。
 以上私の質疑の各項について首相はいかにお答えになりますか。参議院は、國民は、或いは世界は、これによつて現政府、又日本を判断するでありましよう。(拍手)
   〔國務大臣片山哲君登壇〕
#14
○國務大臣(片山哲君) 羽仁君から詳細に亘りまして御意見を述べられ、御質問がありました秘密政府の問題でありまするが、現在我が國には秘密政府ごときものが存在いたしていないと私は考えております。さようなものが存在して、暴力によりまして議会で決定いたしております政党政府を顛覆したり、或いは極右的な立場を以て政権を樹立せんとしておるような事実は、今日においてはないと考えておるのであります。その理由は我が國における民主主義の基盤は、軍閥の崩壊、極端なる國家主義團体の解散、財閥の解体等によりまして、又他面新興勢力でありまするところの労働組合の結成、又は農民組合の発達等によりまして、最早事実の上において民主主義の基盤は確立せらるるようになつておるのであります。國民が再び全体主義、又は國粋主義に共鳴いたしまして、さような暴力を以て政権を握ろうとするような團体に共鳴するようなことはなかろうと思つておる次第であります。併しながら我が國の民主化の過程は未だ終つているものではないのでありまして、國民の不断の努力によつて、民主主義の達成を図つて行かなければならないことは言うまでもないのであります。その過程におきまして、今日尚封建的な残滓があることは、お互に認めなければならないと思うのであります。その点において羽仁君が詳細に指摘せられたと思うのであります。即ち町の親分であるとか子分であるとか、封建的な組織によりまして、いろいろ蠢動いたしておりまするようなこと、或いは顔役とか何々組と称しておりまするいわゆる暴力團が、今尚暗躍しておりまする事実はないとは言えないのでありまして、これらに対しましては政府は最も強い指導をいたしまして、これらの絶滅を期しているような次第であります。私は組閣当初におきましても、我が國に残存しておりまする封建的勢力を一掃すること、軍閥的な残滓を拂拭すること、軍國主義の精神をなくして、眞に民主主義の徹底を図る政治が私の最も強く要望しておるところである。(拍手)そのために政治をしなければならないということを強く主張したのであります。(拍手)今日いろいろの政策を立てまして進んでおりまするのは、皆その線に沿うておるのでありまして、断じて封建的勢力に屈服することなく、これと戰うことが現政府の生命であります。(拍手)司法当局におきましても、これら暴力によつて事を解決しようとか、自分の気に入らない点がある場合には、法律を無視して力ずくで、或いは暴力を以て目的を達成しようと考えております團体に対しましては、最も強く対抗いたしまして、その絶滅を期しているような次第であります。從いまして思想の如何に拘わらず政権を握ろうとする場合に、暴力を以てやる、非合法的な手段を以て政権を争奪しようと考える團体、或いはそれらの動きに対しましては、断乎たる処置を取ることを、ここに明かにいたしたいと思う次第であります。(拍手)
 民主主義の政治を最も具体的に申上げまするならば、議会政治であると考えております。その意味において國会を尊重いたします國民の総意による政治が、民主主義の形で現われて來なければならないのでありまして、この意味においては、國会を尊重し、國民の総意が我が国の民主政治を具体的に現わしてもらうことを私は心より念願いたしておる次第でありまして、羽仁君の指摘せられました暴力團、或いはそれら非合法の封建的残滓の動きに対しましては、できるだけ政府は力を盡したいと思うのでありまするから、國会の諸君におかれましても十分なる御協力あらんことをここに希う次第であります。(拍手)
 尚この機会に先般の國会におきまして、小林君から御質問になりました林問題についてお答えいたしたいと思います。この問題につきましては、鈴木司法大臣の答弁と、林前國務大臣の答弁とが喰い違つていることについて、私に説明を求めるという御趣旨であつたと思いまするが、この問題の経過につきましては、鈴木司法大臣がお答えいたしました通りであります。政府といたしましては、閣内におる人が気に入らないとか、或いはその人を追い出したいというようなことを考えまして、追放をそこへ持つて参つて、方便的にこれを使うというようなことは断じてありません。殊に林國務相はそれまでは十分に内閣に協力せられておつたのでありまして、何も林君を特に閣内不統一とか、或いは非協力とか、こういう名前をつけまして、追い出す考えは毫もなかつたのであります。たまたま公職資格審査が大臣であろうが、誰であろうが、公職に就く者については、いつでも資格審査が始まるということによつて、林君の二つの著書の審査が始められたような次第でありまして、この問題が政府と別の方面で動いて参りましたので、そのために林君の資格が新らしく重ねて審査されるということになつたのであります。中央資格審査会は公正な立場で、而も民主的な立場で公職者の資格を別個に審査されたのでありまして、その審査の結果、先般決定いたしましたようなこととなりましたので、この事実によりましても、諸君は十分にお分りのことと思うのであります。即ち林君の問題は政策とか或いは閣内問題とか、そういうことでは全然ないのでありますから、林君の言われますることは或いは誤解ではなかろうかと私は信じておるような次第でありまして、詳細の点は鈴木法相の御答弁の通りであります。以上重ねて私よりお答えをした次第であります。(拍手)
#15
○小林英三君 議事進行について……
#16
○議長(松平恒雄君) 小林英三君、何でありますか。
#17
○小林英三君 只今羽仁君の地下政府に対しまする緊急質問の中におきまして、國内の事情に副わざる不適当な言辞があつたと考えますから、この点は議長において、速記録を十分調査せられ、善処されんことを希望いたします。
#18
○議長(松平恒雄君) 只今の小林君のお申出の通り取扱うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(松平恒雄君) 御異議がないと認めます。
     ―――――・―――――
#20
○議長(松平恒雄君) 日程第二、昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)、日程第三、昭和二十二年度一般会計予算補正(第八号)日程第四、昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(松平恒雄君) 御異議がないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長櫻内辰郎君。
   〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕
#22
○櫻内辰郎君 只今議題となりました昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)並びに(第八号)及び昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)案の予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
 去る十一月十日より十一月二十八日まで総会を開くこと九回、分科会を開くこと十五回に外に、二十一日及び二十二日の両日公聴会を開きます等、愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、十一月二十八日討論に入り、採決の結果多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしたのであります。
 先ず第一に、昭和二十二年度一般会計予算補正(第七号)案について申上げます。本案は先に本國会において大蔵大臣の説明にもありました通り、本年度当初予算編成後におきまして、新物價体系の制定、賃金水準の引上げ、貿易の再開、その他の財政の基盤をなしております経済的諸條件に著しい変化を見ましたために、これが全面的補正をなし、歳入歳出共に八百五十六億二百三十六万八千円を増額せんとするものであります。
 先ずその歳出について概要を申上げますと、終戰処理費において総額三百九十億円の増額を必要といたしますが、先に一般会計予算補正(第五号)により決定いたしました五十億円と、賠償施設処理費に組替えられます十七億二千七百万円とを差引きまして、三百二十二億七千三百万円の増加となり、又賠償施設処理費においては、旧軍工廠の機械類の撤去に伴いまして、終戰処理費より組替えられます十七億二千七百万円を含めて四十億円の増加となり、又公共事業費においては六・三制実施に伴う校舎の新築、その他災害復旧工事等によりまして、五十二億四千六百二十二万一千円の増加となり、又價格調整費においては、新物價体系の制定に伴いまして石炭、鉄鋼、肥料等基礎物資の生産價格を、いわゆる價格安定帯の限界まで引下がるために要する價格差補給金五十八億円の増加となり、又政府職員等の待遇改善費においては給與水準の引き上げにより総額五十四億円七千九百八十一万六千円を必要といたしますが、先に一般会計予算補正(第四号)並びに(第五号)にて決定せられました分を差引きまして、三十八億六千八百四十八万九千円の増加となる外、租税収入の増加に伴う地方税分與税分與金の増八十一億七千六百三十八万八千円、欠損補填のため国有鉄道事業特別会計への繰入れ五十億円、並びに通信事業特別会計への繰入れ二十五億円、復興金融金庫に対する出資四十億円、その他貿易資金への繰入れ、生活保護費の増と金融再建補償金の減を差引き、四十七億円三千八百二十七万円の増加となり、以上を合計いたしますと、八百五十六億二百三十六万八千円と相成る次第であります。
 次に、これが財源といたしましては、税制の改正及び自然増収による租税及び印紙収入の増五百七十五億二千百万円、煙草の値上げによる専賣局益金の受入れ等による官業及び官有財産収入の増二百六十億六百九十四万五千円、新物價体系実施に伴う價格差益納付金の受入等による雑収入の増六十九億四千六百九十五万百千円、当初予算に計上した公債金収入を普通歳入により賄うこととなりましたため公債金収入の減四十八億七千三百万円、前年度剰余金の受入れの増四十六万九千円、以上合計八百五十六億二百三十六万八千円を充当するものであります。
 次に昭和二十二年度一般会計予算補正(第八号)案について申上げます。本案は規定予算の節約に関する事項を主体として、只今説明いたしました一般会計予算補正第七号案に計上するに至らなかつた経費の増加を見込んだ予算補正案であります。即ち歳出において規定予算の人件費、物件費等に対し、原則として一割程度の節約をなす外、補助費の減等によりまして十五億一千四百六十九万八千円の経費減となりますが、経理の現況に鑑み、大蔵省預金部特別会計への繰入れの増その他によりまして十三億一千五万一千円の経費増となりまするので、差引き二億四百六十四万円七千円を修正減少し、又歳入において前年度剰余金受入れの減少等により二億四百六十四万円七千円を修正減少するものであります。
 而して以上説明いたしました補正予算第七号及び第八号案と、すでに決定いたしました予算とを総計いたしますと、本年度一般会計予算は歳入歳出共二千六十六億一千十七万六千円と相成る次第であります。
 次に昭和二十二年度特別会計予算補正(特第三号)案について申上げます。特別会計予算においても一般会計予算の場合と同様、鉄道運賃及び通信料金の改正、新物價体系の設定、職員の待遇改善、既定経費の節約等により、歳入歳出共著しき変動がありました外、失業保険特別会計の新設、船員保険特別会計の独立等に伴いまして、この際全面的な予算の補正をなさんとするものであります。
 先ず増加金額の主なるものを会計別に申上げますと、食糧管理特別会計において歳入歳出共六百六十五億九千八百十二万九千円、國債整理基金特別会計においては歳入歳出共三百四十七億三千四十八万六千円、鉄道事業特別会計においては歳入歳出共二百六十八億四千九百九十六万三千円、通信事業特別会計においては百億二千三百六十六万三千円、專賣局特別会計においては歳入二百八十億八千百六十一万四千円、歳出四十三億一千五百六万四千円、その他の特別会計においては歳入二百六億四千五万一千円、歳出二百八億五千九百九十五万三千円でありまして、以上を合計いたしますと、歳入一千八百六十九億二千三百九十万六千円、歳出一千六百三十三億七千七百二十五万八千円の増加となるのであります。尚鉄道事業特別会計の損益勘定においては去る七月約三倍半の運賃引上げを行いましたに拘わらず、諸経費の増加によりまして年間を通じ百十一億九千百三十六万七千円の欠損となりますので、臨時特別の措置として一般会計の普通歳入より五十億円を繰入れ、又通信事業特別会計の損益勘定においても去る四月約四倍の料金引上げを行いましたが、鉄道の場合と同様の理由によりまして、年間を通じ四十三億六千二百六十三万六千円の欠損となりますので二十五億円を一般会計より繰入るることになつているのであります。而して本補正予算とすでに決定いたしました予算とを総計いたしますと、本年度特別会計予算は、歳入四千四百八十六億四千七百四十一万円、歳出四千七億円八百十八万四千円と相成る次第であります。
 扨て本案審議に当りましては各委員より熱心なる質疑があり、政府又これに対して懇切なる答弁がありましたが、今その質疑應答の主なるものを申上げますれば、一委員より今回の予算は健全財政、健全金融を根本方針として編成せられたとのことでありますが、復興金融金庫証券、鉄道その他特別会計の赤字公債並びに借入金、一千三百億に上る租税収入の徴収の困難及び時間的ずれによる大蔵省証券等、相当多額に上り、一般金融市場における消化が困難なるために日本銀行券の増発となり、健全金融どころか、日本銀行券が單なる支拂用具たる不換紙幣となる虞れがないかとの質疑に対し、大蔵大臣より、政府としては一般会計において収支の均衡を図るのみならず、特別会計の赤字の相当額を一般会計にて負担することとし、止むを得ず発行する證券も、貯蓄の増強、金利水準の引上げ等によりまして、極力一般金融市場において消化に努め、又税務機構の拡大強化等によりまして徴税事務の進捗を図り、日本銀行券の増発を來さないようにする積りである。又生産の増強、資材の輸入等によりまして貨幣に対する物の裏附けをなし、日本銀行券の眞に通貨たる信用を維持することに努めたいとの答弁があり、又一委員より、現在までの徴税成績は良好でないとのことであるが、政府においては果たして千三百億円に上る租税収入を完納せしめ得る用意があるかとの質疑に対し、政府委員より、納税の成績如何は健全財政の鍵でありますので、徴税機構の拡充強化、税務官吏の待遇改善、徴税費の増額等によりまして、活溌なる税務官吏の活動を期待いたしますと共に、納税を怠る者に対しては罰金、場合によりては体刑、又は第三者の通報制の活用等、あらゆる手段により徴税の完璧を期したいとの答弁がありましたが、又六・三制の予算につきましては特に熱心なる質疑がありましたが、一委員より、七億円の予算はいかにも僅少であるが、これを増額する見込みはないかとの質疑に対し、政府委員より、最初予定しておつた十四億円中、差当り七億円を追加予算に計上いたしましたが、残りの七億円につきましては、資材その他の状況を勘案して、別途何らかの形でこれを補足したいとの答弁があり、又一委員より、六・三制は理想として結構であるが、國家も個人も破産の状況にあるので、これが実施を延期したいとの意見もあるが、政府のこれに対する見解如何との質疑に対し、文部大臣より、六・三制の実施は國民に対し相当の負担を掛けることになりますが、新らしい日本が立直るには新らしい次代を育てて行かなければならないのであつて、この窮乏の間にも新らしい日本を作ることを怠つてはならない。殊に日本が将来世界に尊ばれ、愛せられる國民になるにはどうしても苦しい中にも次代を育てて行く教育制度を完備しなければならないとの答弁があつたのであります。又一委員より、金融機関再建整備法により、当初の予算に計上せられておつた補償金百億円が削減されて、これに引当てられておつた財源が他に流用されておるが、これはどういうわけかとの質疑に対し、政府委員より、金融機関再建整備がなかなか進捗せず、本年度中に支出する見込がないので削減いたしましたが、勿論明年度に必要となるわけであります。又補償金は交付公債で処理することになつておりますので、金額公債の発行によりますか、又は別途歳入を調達して公債を買入るることにいたしますかは、明年度予算編成の際決定したいとの答弁がありました。又一委員より、健全財政の建前からも、亦給與改善をなすためにも、この際行政整理を断行せねばならんのではないかと思わるるが、これに対する政府の所見如何との質疑に対し、齋藤國務大臣より、行政整理の内容は行政機構並びに公務員制度の改革とその運用、及びこれと併せて人員の整理による経費の節約等となる思いますが、目下行政調査部で調査中であり、すでに中央官庁の地方出先き機関整理等、具体的立案の域に達しておるものもありますが、人員整理にはこれが受入れ態勢をも併せ考える必要があるのみならず、各方面に重大なる影響がありますので、明年度予算とも睨み合せ、政府全体として具体案の決定をいたしたいと思いますとの答弁がありました。更に一委員より、健全財政の要件は第一に収支の均衡、第二に國民生活の安定、第三に再生産を助成することであろうと思うが、この第二の観点から現在の物價高においては千八百円水準を引上げる必要があるのではないかとの質疑に対し、和田國務大臣より、物價体系を崩さない範囲内において適当に是正することは必要であると思う。即ち一般賃金においては、企業の合理化による生産増加に伴い、物價に影響なく賃金の引上げができるし、又政府職員等の給與についても、予算の範囲内又は妥当なる歳入により一般賃金と均衡を失しない程度に引上げを行うことは支障ないとの答弁がありました。又一委員より、現在の世相におきましては、不良少年少女の保護事業が特に大切であるのにも拘わらず、予算の不足のために十分な保護ができないのではないかとの質疑に対し、司法大臣より、少年の犯罪並びに不良化は実に憂慮すべきことでありまして、これが保護を徹底的にやるためには相当の増額を要すると思いますが、差当たり少年の一人一日当りの委託補給金を三円から四十円に増額するつもりであるとの答弁がありました。更に又一委員より、明年度の予算編成に際しては、先ず財政の長期計画を立て、これに基ずき終戰処理費その他諸般の費用を綜合調整して、積極的に日本再建に資することが必要ではないかとの質疑に対し、大蔵大臣より、本年度の予算は戰後の應急的処置に重点を置かざるを得なかつたのでありますが、明年度におきましては、新らしい日本再建の諸政策の一環として財政の長期計画を立て、平和産業の振興、文化の建設等、積極的方面をも十分に織り込んだ予算を編成するつもりでありますとの答弁がありました。その他重要なる質疑應答がありましたが、詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。
 而して十一月二十五日、各分科の主査より分科会の報告がありましたが、第一分科においては、中西委員より予算返上の反対意見がありましたため多数決となり、他の分科においては、全会一致原案通り可決すべきものと決定したとの報告であります。尚租税徴収の成績如何が予算の実行上重要な関係がありますので、予算委員会においては、特に「徴税機関の予備調査に関する小委員会」を設けまして、調査をお願いいたしたのでありまするが、木村小委員長より次の通りの報告があつたのであります。即ち本年度における徴税の実績は、九月末現在において、調査決定済額五百四十九億円に対し、収納済額は三百七十七億円であつて、本年度租税収入予算額約千三百億円対し僅かに二八%に過ぎず、滞納額は、昨年度末四十九億円であつたが、本年七月末は九十九億円に激増しており、而も税務署職員は、定員約六万七千人に対し、実員約三万七千人、即ち約五五%に過ぎないような実情でありまして、政府も種々対策を講じておるようでありますが、本小委員会においては、第一に、税務官吏の待遇に関しては、一般官吏に比し著しく悪い部分については至急是正をなすと共に、その職務の重要性、特殊性に鑑み、特別なる考慮をなすこと。第二に、昭和二十二年度予算の徴税費は不十分と思わるるから、事情の許す限りこれを考慮すること。第三に、政府の計画せる全國的納税運動の際しては、租税の性質内容等につき十分理解せしむる機会と資料とを提供して、國民が納得して納税する態勢を取ること。右三点を政府に要望する旨の決議せりとの報告でありました。
 又文教委員長田中耕太郎君より特に発言があり、六・三制の問題については、当初予定せられた十四億円に対し本予算においては七億円計上せられたとのことであるが残りの七億円に対しても是非共予算の割当を受けるようにとの強い希望がありましたが、特に大蔵大臣よりも発言を求められ、田中文教委員長の御希望については十分考慮するとのことでありました。
 十一月二十八日討論に入りましたが、中西功、藤田芳雄両委員は、本案に反対する旨を述べられ、姫井伊介委員は、本案に賛成なるも、これが実行及び明年度予算編成に当りては、租税徴収の共同責任制度を樹立し、生産の増強、特別会計の赤字克服等、徹底的な政策を実施すべきであるとの希望を述べられ、又石坂豊一、木村禧八郎、西郷吉之助、木内四郎、川上嘉市、服部教一諸委員は、いずれも原案に賛成の旨を述べられ、且つ賛否両討論者は、その論旨は各党より本会議において行う代表討論によりて明らかにすべしとのことでありまして、討論を終局いたし、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。ここに御報告申上げます。(拍手)
#23
○議長(松平恒雄君) 討論の通告があります。これより発言を許します。中西功君。
   〔中西功君登壇、拍手〕
#24
○中西功君 先に委員長から報告がありましたごとく、我々日本共産党はこの追加予算に全面的に反対する次第であります。この追加予算の内容につきまして、我々がいかなる見解を持つておるかということについては、すでに大蔵大臣の演説に対する質問において非常にはつきり述べておるところでありまして、今更詳しく述べる必要はないと思います。私が今日述べます点は、主としてこの重要な追加予算法案を繞る諸問題でありまして、これに関する我々共産党の見解を表示したいと思います。
 第一は、この追加予算予算案は極めて重大な法案であると思います。私が言うまでもなく、この第一回國会に提出された最も中心的な法案であります。然るにこの重要な追加予算が、どんなふうに審議されたか。これは石炭國管案と比較されれば非常にはつきりすると思うのであります。石炭國管案に対しては、どんちやん騒ぎから、或いはいろいろな問題さえ惹き起し、或いは離党、脱党という問題さえ惹き起し、そうして大いに論議されました。これに比較してこの追加予算案は、それではどれだけ論議されたか。私はこの現実の中に、追加予算案と國管案の深刻な差異、又同時にそれを繞る各党派の本質が非常に現われておると思うのであります。言つて見ますれば、國管案は、結局において現在の日本の支配階級内部の勢力の角逐の好個の題目となつたのであります。(「予算の話だよ」と呼ぶ者あり)殆どこれに対しては大衆は関心がない。むしろこれよりももつと直接に大衆が死ぬか生きるかの問題、これが、この追加予算である。然るにも拘わらず、今回石炭國管案に対しては、あれだけの騒動をして置きながら、この問題に対しては少しも大衆の前に本当のことが示されない。これが今の日本の現実でありまして、而もこの追加予算に対しましては、自由党を始め社会党の人々までが大体において賛成をしておる。この大衆が死ぬか生きるか。これを実施されるならば、首を吊らなければならない。こういうような深刻な予算案に対しては、殆んど各党派が一致して賛成をしておる。そうして國管案に対しては、どんちやん騒ぎをしておる。これが日本の現在の政治であります。たとい國管案にが通りましても、或いは通らないにいたしましても、この追加予算が若し通りましたならば、全くインフレは激化し、生産は破壊される。そうした場合に、何の國管であり、何の増産であるか。この追加予算を平気で通して置いて、そうして國管で増産をしようとなどということは、全くおかしな話であります。我々は日本の人民大衆を死地に陥れたり、或いは日本の國民経済をインフレと破壊に突き落すような、こういう追加予算に対しては、徹底的に反対いたします。これこそが人民大衆の党としての日本共産党の眞の本髄であり、精髄であると思うのであります。
 第二の問題は、この追加予算案は片山内閣の失政を全くよく示しておると思います。生産はいよいよ減退し始めております。インフレはますます悪性化しておる。この情勢は追加予算の通過によつていよいよ拍車づけられることは、もうすべて万人が認めておるところであります。この追加予算に対して、公聴会が衆議院、参議院においても開かれております。その公述人の殆どの意見は、決してこれが健全財政でもなく、又日本の生産に寄與するものでなく、反対にますますインフレを激化するものであるという点を認めておることは、皆さんも御存じの通りであります。而もこういうふうな公述人の意見は國民の意見であります。同時に又新聞雑誌、輿論機関に現われておる意見そのものにおいても、幾多危險信号が発せられておる。こういうふうな國民の声、これは國民の声でありますが、而もこの追加予算に対しましては一銭の修正さえ実際に行われていなかつた。修正を行おうとすれば、幾多修正の個所はある筈でありますが、一銭の修正も行われていない。このことによつて私は皆さんに問いたいのであるが、一体諸君は、この國民の國会といわれるこの國会が、何故にこうした國民の声に少しでも耳を傾けることができないのであるか、これはすでに國会人の無為無策ということでは済まされない。これはすでにこの國会の大多数が日本を破局に追込みつつある片山内閣と一心同体であり、この破局の責任を分ち合うものであるということを國民の前に示したのであります。(「つまらんことを言うな」「自分だけそう思つているのだろう」と呼ぶ者あり)
 更に第三には、この予算案に対しては不健全であるということを認め、不本意ながら賛成しようとしておられる方がいられることを私は知つております。併し私はその人たちに告げたい。結論的に言えば、現下のようなこの危機的の情勢にあるが故にこそ、徹底的に税制やその他のものが解決されなければならないのであります。或る人々は不本意ではあるが、現在の情勢を止むを得ずにこれに賛成するという意見が非常に多いのであります。果たしてそういう人々が、眞に國民の代表として國民から選挙されて來て、そうして言う言葉であるかどうか、私はそのことをはつきり聴きたい。例えば歳出面において余儀ない経費があります。そうしてその項目が非常に大きな比重を占めておる。そうしてそのことが又歳入面にいろいろの負担を掛けておる。これは事実であります。併しこういうふうに歳出面において余儀ない経費が多ければ多い程、我々はその負担の公平を期するために、万全の処置を取らなければならないのでありますが、併し税制その他の問題において、何らこういう処置をとられていない。徒らに、ある、出す、出るところから搾り取る、出させる、そういうふうにとにかく現実には大衆課税が非常に強化されておる。そういうことも皆さんはよく知つておられるところであります。又或る人々は、これは非常に不本意ではあるが、片山内閣としては追加予算を組むという形式に追いやられたために、止むを得ない事情である。こういうふうな意味において賛成されようとする方がある。併しこれは本当に何らの口実にならないのであります。片山内閣はこの税制のために一体何ヶ月を要したでありましようか。何回組み直したでありましようか。ともかくも片山内閣としてはこれを精神を打込んで編成したのでありまして、決して單なる追加予算というふうなことで編成していないことは、皆さんも御存じの通りであります。而して國会人としても、これを本格的に審議する余裕が十分にありました。現にまだ会期は十日もあります。又或る人々はこう言うでありましよう。終戰処理費や官吏の給料の支拂いが、このままで行くとできないから、止むを得ずにこれに賛成すると、恰かも官吏の給料の支拂いをするためにこの予算案に賛成するというふうな御意見を述べられる方もあると思います。併し終戰処理費に対してはすでに我々は緊急支出の処置を取つております。更に又官吏の俸給も千八百円だけは今後暫くずつと拂えるだけの法律をちやんと通過さしておる。問題は千八百円を支給するかしないかというところにないのであります。問題は千八百円ベースでは足りない、この千八百円ベースを認めるか認めないか、これがこの追加予算の本質であります。私はそういうふうな不本意ながらいろいろ物を考えておられる方々の責任が極めて大きいと思います。諸君の一票には非常な責任がある。私は諸君が軽卒な投票によつて、諸君の政治的生命を葬ることのないよう、切に希望したいと思うのであります。(「余計なことを言うな」「心配せんでいいぞ」と呼ぶ者あり)
 更に私は自由党の方に少しお伺いしたい。諸君の衆議院の同僚諸君は、臨時農業生産調節法その他の点について、すでに修正案を出されました。それは今後自由党としては、新聞の報道するところによれば、この臨時農業生産調整法に対しては、石炭國管に次いで大々的な反対運動を起こして、そうしてそれを保守新党の一つの旗頭にするという話であります。或いは自由党の綱領には中小工業者の利益を守るというような宣傳が沢山なされておりますが、一体この追加予算は重税によつて中小工業者を大量的に没落させないかどうか。尚参議院においては衆議院の修正動議に拘わらず、自由党の諸君は賛成されようという話を聞いておりますが、一体諸君は本当に農業生産調整法に反対なのかどうか、反対ならばこの予算案にはちやんと農業生産調整費が二億円も計上してある。それを鵜呑みにして何の反対か、一体諸君の反対が八百長でないのかどうか、その点をはつきり示して貰いたい。私はこう思うのであります。
 最後に我々日本共産党は、この追加な予算案が石橋予算案よりも更に甚だしいインフレ予算であり、大衆重圧の予算であり、徒らに大資本家だけを擁護し、経済復興は勿論できず、反対に生産を崩壊の危機に陥れるが故に反対するのであります。すでに石炭危機は電力危機となり、十月の鉄の生産は今日の新聞が報じますように、九月に比較して二割の減少であります。この追加予算に賛成できる人々は、労働者に千八百円ベースを押し付け、飢餓と窮乏に追い込み、大量首切りを承認し、生産の減退を認める人々であります。この追加予算に賛成する人々は、中小工業者を大量に没落されることを平気で認め、都市市民の悪税反対運動を抑圧することを認める人々であります。この追加予算に賛成できる人々は、農業生産を撹乱し、供出意欲を鈍らし、食糧危機の激化を認める人々であります。この追加予算に賛成できる人々は六・三制が崩壊し、自分たちの子供らが校舎をなくし、学用品をなくし、巷に彷徨するのを見て見ない振りをすることができる人々であります。(拍手)我々日本共産党はこれを認めることができない。故に我々はこの追加予算に反対するのであります。諸君、電燈は消え、盗人が横行するのに賛成するころができるかどうか、我々は明るい家庭を要望いたします。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)汽車や電車が止り、燃料を運べず、寒い冬に凍えていなければならないような状態に賛成できるかどうか、我々は汽車や電車が確実に動き、燃料が運ばれ、温かい家庭を望むのであります。これを一億の國民と共に望むが故に、我々共産党は断乎として、この追加予算に反対し、これを返上するのであります。(「同感」と呼ぶ者あり)(拍手)我々は我々のこの主張が、國会において多数の人々の賛成を得られないことを決して悲しいとは思わない。これはこの追加予算が実際に実行され、この予算案の本質が大衆に本当に理解されたとき、國民諸君は誰が本当に勤労者の代表者であるかをはつきりと知つてくれるだろうということを確信して、私はこの予算案に反対する者であります。終り。(拍手)
#25
○議長(松平恒雄君) 小畑哲夫君。
   〔小畑哲夫登壇〕
#26
○小畑哲夫君 私民主党を代表しまして、昭和二十二年度一般会計予算補正第七号、同八号並びに特別会計予算補正特第三号に対して賛成の意見を述べたいと存じます。
 元來追加予算なるものは、当初予算編成後において、内外の諸情勢が経済の基本條件を覆えした場合、或いは又政府が新らしき政策を実施せんとするときに編成さるべき性質のものであります。即ち片山内閣が成立しました当時と本年度の当初予算を編成しました当時と比べますときに、財政の基盤であるところの社会的経済的諸條件に相当大きな変化を生じて來ましたために、政府は本年六月経済緊急対策なるものを発表して、物價と賃金の悪循環を断ち切ろう、そこで新物價体系を定めて、基礎的な物資の價格の引き上げをやりました。尚賃金の引上げを行つた。それがために人件費並びに物件費の増加によつて当然追加予算を提出しなければならなくなつたということが最も大きな原因であろうと思うのであります。恐らく政府は全力を傾注してインフレーシヨンを防止しよう、そうして國民生活を安定し、延いて産業の復興、経済の再建を図ろうと渾身の努力を拂つておると思われるのであります。見方によつては、現政府の政策遂行の鍵は、物價と賃金の悪循環を断つということにあるといつても敢て過言ではないと思うのであります。即ちこれが成功するか否かは、実に内閣の運命に懸かつておると思うのであります。片山首相はその施政方針演説の終りにおいて次のようなことを述べております。「誠に時局は重大であり、危機は深刻であります。この危機を突破し、來るべき講和会議を迎えて祖國を再建するために、全國民の並々ならぬ努力と忍耐を必要とするのであります。政府は新憲法の下、國民の自由なる意思によつて選ばれたる最初の民主主義政府として、國民の政府として、否國民の公僕として、眞に決死難局に当るの覚悟を以て祖國再建に邁進する決意を固めておる」と言つております。私は今次の追加予算を眞に健全妥当なるものとは思つておりません。國民生活が一般に著しく窮迫を告げておる今日、大衆の租税負担にもおのずから限度があり、殊に間接税の増徴は國民生活を脅かすものであります。併しながら私は現内閣の使命とする物價の安定と経済再建を実現せんがために、現内閣に協力する意味において本予算に賛成する者であります。即ち現内閣が、眞に國民のために、身命を賭して危機突破に邁進するの決意と責任を持つことにおいて支持するのであります。若しそれ物價体系は破れ、流通秩序は紊れ、水準賃金は崩壊し、労働問題の解決もなし得ずというがごときならば、むしろ一日も早く退陣することが國家國民のためだと言わなければなりません。どうかこの機会に再び決意を新たにして、政策遂行に最善を盡されんことを希う者であります。
 尚本予算実行に当つて、特に深甚の考慮を煩わしたいと思う点を二三申上げたいと存じます。本予算は、一般会計においては一應形式的には収支の均衡が取れておりますが、一歩誤れば非常に危険な点が窺われるのであります。即ち赤字公債こそ発行しないが、他の方面から通貨の膨張を來す素因が多分に含れておることであります。先ず歳出面において價格調整費であります。追加が百三十一億円になつておりますが、基礎物資の消費者價格の昂騰を適当な程度に抑制するというために、生産者價格に対して國庫補給を加えるというのでありますが、これは通貨の膨張となり、一般物價の騰貴を招來することを警戒せねばなりません。又復興金融金庫資金並びに貿易資金の運営については、これは金融上万全を期せねばなりません。特に復金債券の消化如何は日銀券の増発を招く虞れが多分にあるのであります。この点は最も注意を要すると思うのであります。
 尚歳入の面から検討しますと、徴税状況は甚だ寒心に堪えないものがあります。今年四月以降九月末までの國税の徴収状況を見まするに、収入未済額は実に百七十一億円に達しております。而も収入済額は今年度租税の収入見込額千三百十億円に対して僅かに二八%に過ぎません。この残額一千億に近い徴税を今年度内に行うのであります。そこに税の滞納と収納の時間的ずれは多額の大蔵省証券の発行を余儀なくさせる結果となり、通貨の面から又インフレーシヨンを來すことになるのであります。
 以上要約するに、金融面から生ずる通貨増発によつて、健全財政を無意味ならしむることのないように注意を喚起する次第であります。
 特別会計において独立採算性の建前を堅持して、來年度予算編成に当つては徹底したる企業の合理化を望む者であります。
 以上簡単ではありますが、本予算に賛成するに当り、政府の政策遂行の決意を促すと同時に予算実行に当り最大の注意をせられんことを希望いたします。(拍手)
#27
○議長(松平恒雄君) 池田恒雄君。
   〔池田恒雄君登壇、拍手〕
#28
○池田恒雄君 私は今回の予算案に対して反対いたします。そうして反対の理由を若干申し述べたいのでありますが、私の反対理由の大体のことは、只今民主党の小畑さんがお述べになつておるのであります。で、それに対して蛇足を加えるようでありますが、この予算は静態、平面上で観察いたしますというと、均衡の取れておる健全予算であると、こういう工合に見ることができるのであります。又さように政府の委員諸君が説明されておるのであります。併しながらこれを動態的に観察いたしまするというと、支出というものには極めて確実性を持つておるのでありますが、併し収入の方には確実性が極めて乏しいのであります。私は収入と支出の確実性の差異が最小限度に孕むところに、本予算の矛盾があるとこういうふうに考えるのであります。
 次に収入と支出の速度の差と言うことを見落とすことはできないのであります。つまり当初予算の実施過程におきまして、徴税というものを見ますると、甚だ以て不成績であるということは、これは政府各位も縷々我々に説明したところなんであります。私はこの追加予算におきましても同様の不成績が続くものであると、こういうふうに考えるのであります。この点は政府の委員各位も、自信は持つておらないように私は承るのであります。これに対して支出はどうかと申しますると、これは一定の速度を以て進行するというよりも、私は加速度的に発展するのだと、こういうふうに考えるのであります。こういうふうに観察いたしまするというと、支出は加速度的に発展して行く。収入の方は極めて緩慢に進行して、ときに渋滞する、こういうふうな工合なんであります。從つてこの緩慢と渋滞は事実上時間的に欠損症状として発展するものである、私はこう思うのであります。食料の遅配が何時か欠配になつて現われますると同様なことが、私の収入の面において現われるものである、こういうふうに観察しておるのであります。從いまして私はこの予算において、収入支出の確実性の差異、或いは速度的発展の時間的な逆進行、こういうものが私は大きく鋏状の開きを拡大して行くのであると見るのであります。このことが先程小畑さんも虞れられたような一つの赤字の財政としての内容を持つてくるものである、こういうふうに私は思うのであります。そうしてこの追加予算説明書の冒頭において揚げられておつたように、あのようなことが再び繰返されて、この追加予算は実勢膨張でなくして、虚勢膨張を再び行わなければならないというような工合になるのではないか、こういうふうに見るのであります。
 更にこの予算を健全財政として維持するためには、千八百円賃金体系、新物價体系が堅持されなければならない。そうして堅持すると、こう政府はおつしやるのであります。又流通秩序を確立すると、こう政府はおつしやるのであります。或いは耐乏生活の國民運動というようなことをおつしやるのです。私はこれらの施策は、この予算を健全に維持されるために、健全予算を堅持するために必要なことであると私は思うのであります。
 ところが、私は千八百円ベースというものは堅持できるものかどうかという問題がここに起つて來ると思うのであります。これは米窪労働大臣は労働賃金は雇主とそれから労働者の間の労働協約によつて決まるものである、こう言われておるのであります。これは米窪大臣が言うまでもなく、当然な法則であると思うのであります。從つて政府が、一個の雇主とせず、労働賃金を千八百円に堅持するといつたつて、そんなことはいわゆるナチスの指導者原理に基ずかざる限りできないことであります。(拍手)政府は一個の事実雇主に過ぎないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)こんなべらぼうなことはないのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)從つてこれは労働者と政府との労働協約によつて決まるのであります。若しそうであるとするならば、この面において千八百円ベースは崩れるのであります。(「結構だ」「その通りだ」と呼ぶ者あり)
 それからもう一つ、政府の千八百円ベースというものは官公労働者の世界において現在堅持されつつあるのであります。併しながら民間企業の労働者についてはこの問題は関係ないのであります。だから今日の労働賃金体系は二つある。政府が堅持するところ、堅持したいと思つておるところの千八百円ベース、これはこの役人の世界に堅持されつつある。そうして民間企業においてはそれに拘束されることなく、とにもかくにも別個の労働賃金体系が育成されつつあるという実情を見なければならない。而も千八百円ベースに釘附される労働者の数よりも、民間企業の労働者の数が多いということを見なければならないのであります。こういうことになりますれば当然労働賃金の相場というものがより高く競り上つて行くことは明らかであります。遺憾ながら千八百円ベースはここで維持されないのであります。堅持されないのであります。而も私は同じこの官業関係におきましても、通信関係において、鉄道関係において、税務関係においても、今直ちに手当を施さなければならないところの事態が進行しつつあるのであります。こういうことを見まするならば、私は極めて近い将來にこの千八百円ベースは崩れる、恐らく労働者諸君は何とかしてこの年末には千八百円ベースを崩さなければならないと考えておるでしよう。政府がそれを堅持しようとしても、私は來年の一月には有無を言わさずこの千八百円ベースは崩れるものであると言わなければならないのであります。
 更に新物價体系の問題でありますが、このことについて私は商工当局の人にも若干の意見を聞いたのでありますが、石炭がないために汽車の回数が減るだろう、こういうことが予想されておるのであります。それだけでもこの年末からお正月にかけての消費地の物價は上がるということは、商工当局が申しておるのであります。私はこの新物價体系というものは政府が堅持すると言つておるが、堅持されるとは思つておらないのであります。ただ新物價体系を設定したということは、政府が單に予算編成のための希望的数字を設定したに過ぎない。(拍手)而もその新物價なるものが基点となつて、スタートとなつて、その後どんどん物價が上がりつつあるということを、我々は事実として認めなければならないのであります。ここに私は政府自身が希望するところの物價対系と、國民自身が今國民経済の中に、非常なる力強い勢いを以て育成しつつあるところの物價体系と、二つの物價体系が対立しておる。而もこの民間の物價体系に対して、政府の物價体系は抵抗すべき力が極めて弱いということを認めなければならないと思います。(「同感」と呼ぶ者あり)
 第三に新らしい流通秩序が政府によつて確立されたとは私は思わないのであります。政府は何遍か、殊に和田先生のごときは我々に対していろいろな説明を下さつたのであります。併し依然として私はハンケチ一枚配給を受けておらないのであります。靴下一足の配給も受けておらないのであります。私は政府によつて保障されておる二合五勺という、内容的には極めてインチキな米の配給を受けております。その他の何物が政府によつて保障されておるか。そのほか日常生活必需品は殆んど第三的な勢力によつて保障されておるのであります。私はこの事実を政府も我々も正直に見なければならないと思うのであります。併し第三勢力は、経済勢力は、政府の勢力を押潰すような勢いを以て今日発達しつつある。これに対して政府は何らの物的な準備をしておらないということを認めなければならないのであります。
 私はこうして健全財政を維持すべきところの政府の施策というものは、皆空念佛だということだけは、何人も認めざるを得ないものであると、こういうふうに思うのであります。
 それから財源の問題でありますが、財源は酒を自由販賣をする、これは非常に儲かる話でありますが、これは政府の耐乏生活國民運動を破壊するのであります。而も闇屋を非常に膨らすものであります。
 これは明らかであります。更に煙草で利益を上げる、結構であります。けれども國民の最低の配給煙草の一本を減らすということは、國民の中にある浮動購買力を吸収することにはならないのであります。これは大衆購買力を強制的に吸収するという意義しか持たないのであります。(拍手)更に競馬税、宝くじ、入場税、こういうものを財源として厖大に見積られておるのであります。これはモナコ的財源であります。私はこういう財源は結構な財産であるとは考えられません。
 こうして概観して見ますると今回の予算に盛られた財源は、殆どが大衆課税であります。且つ賭博的課税であります。私はこういう観点から、この財政の財源というものは大衆の生活を混乱させます。闇やインフレーシヨンを煽るものである、そして勤労大衆に対して重税とインフレーシヨンとの二重の犠牲を負わせる所のものであり、且つ地主や資本家や闇家に対して奉仕するところのものである。こういうふうに私は言わなければならないと思うのであります。(拍手)
 大体時間が参りましたので、その他のことは申上げないことにいたします。とにかく私は更に食糧について井上農林次官にいろいろ話を聴きましたところが、井上農林次官は、來年度における三千五十五万石ということにつきまして、農村の民主化が徹底しておらないために骨が折れる、こういうことを言われております。而も配給についても、連合軍に懇請した結果如何によつていろいろとこれはあるということを申されておるのであります。このときは速記が入つておりません。こういうようなわけでありまして、農林省自身確信を持つておらない、こういうことなのであります。私はこの予算と食糧事情その他とが相関連いたしまして、非常な勢いを以てこの予算が爆発する時が來る、こう思うのであります。この予算が爆発する。この爆発は極めて大きい破壊力を持ち、その破壊力は我々勤労大衆の生活を破壊するものであります。祖國再建の偉業を破壊するものである。こういうふうに私は考えておるのであります。(拍手)從つて私はこのような大なる破壊力を持つところの、それは戰争よりもつと大なる破壊力を持つところの爆発物の製造に対して私は賛成することはできないのであります。徹底的に反対せざるを得ないのであります。而も今年の春の選挙には、社会党が第一党を制したのであります。社会党第一党は一体何かというと、あのときまでのインフレーシヨンに悩みつつあつた國民大衆が、インフレを止めてくれというこの意思表示を社会党第一党の形において現わしたと私は理解しておるのであります。(拍手)私はこれは社会党が勝つたとか、民主党が負けたとか、一党一派の勝負の問題として考えるべき問題じやないと思つております。社会党第一党に表現されたところのこの國民の救助の声を、すべての議会人は聴かなければならないのであります。すべての政治する者が聴かなければならないのである。確かに政府はこれを裏切つておるのであります。私はこのような政治のやり方はです、今日行われておるところのいかなる罪悪よりも悪いところの政治的罪悪である。而もこの健全財政が、健全財政というものが、不健全であると知りながら健全財政と謳うということは、官僚諸君が知識と技術を濫用して三百代言的不徳行為を犯したものと、こう言わざるを得ないのであります。(拍手)私はこのような政治悪に対して、そうして智能犯的罪悪(笑声)に対して徹底的に辞を國民大衆を代表して投げ掛けるのであります。
#29
○議長(松平恒雄君) 石坂豊一君
   〔石坂豊一君登壇、拍手〕
#30
○石坂豊一君 私は日本自由党を代表いたしまして、只今上程されておりまする予算各案に対して賛成をいたす者であります。時間がございませんから極めて簡單にその理由を申上げます。
 その第一は我が党は衆議院におきまして修正意見を出したのであります。即ち歳入物品税におきまして六億一千八百万円を減じ、前年度剰余金において二百三十六万七千円を追加をいたしまして、差引六億一千五百六十三万三千円といたしまして、これを歳入より減額いたし、歳出におきまして産業経済費中の生産調整費一億九千五十万四千円及び行政共通費中の三万九千円、合計六億一千五百六十三万三千円を減額する修正意見を出したのであります。然るにこの修正案は不幸にして少数を以て敗れ、ここに政府原案の通り衆議院を通過いたして只今この審議をいたしておる次第であります。凡そ予算は他の法律案と異なりまして憲法上衆議院が先議議決をなすところの優先権を持つておるのであります。この点より考えまして、参議院の本質に鑑み本案に賛成を表するのであります。
 又第二点としては、本予算に対して歳入歳出各款各項に亙り頗る不満の点を多くありまするけれども、本予算を速かに実行に移すということが我が國の再建途上において極めて緊切なりと考えるからであります。さて片山内閣がその政策を実行するがために財政上の手段として提出された本案は、先ほど予算委員長の紹介せられた通り巨大なものでありまして、蓋し我が國始つて以來の大なる追加予算であります。片山内閣は組閣早々八大項目を天下に公表したその理由のうちに健全財政を堅持する方針を示し、歳出の増加は成るべく避ける。若し止むを得ざる増加と雖も極力現行税額の範囲内において補正する。併し止むを得ないものは増税を考慮するという極めて増税については微温的な意思を示したのでありまするが、扨て現われたこの追加予算は逆でありまして、殆んど追加予算なるものは本予算の壘を摩さんといたしておるのであります。かくのごとき手段をとるの止む得ざるにいでたることは要するに終戰処理費の激増、又昨年の物價より非常な高物價になりましたがために財政諸般の施設において、非常な激増いたしたることと、一つは人件費を千二百円より千八百円に引上げたその点が非常な追加予算の原因となつておるのでありまして、現内閣の政策によつて新らたに盛上げた予算は僅かに失業保険制度を設けたる点にあるものと信ずるのであります。さればその他において生産増強とか、或いは輸出増進とかに振向ける経費が割方に少いのであります。
 扨て私は概括的詳論はこの程度で措きますが、我々の述べんとする要点は、國民諸君に対し本議場を通じてこの予算に賛成する中からも、我々はかくかくの点において要求を持つておるのである、かくかくの点において政府に警告をしておるのであるということを示したいからであります。その要点の第一は、歳入における租税収入が只今仰せられたがごとく過大なる見積もりであり、又その項目につきましても種々の悪税を含んでおるということは我々も同感であります。さりながらこの再建途上における日本がこの破壊を復興するがために非常なる財政支出を要するのでありまして、これを支弁するがためには、洗いざらいの財源を掻き集める必要が又存在すると信ずるのであります。かようなわけでありまして、この過大なる歳入に対して政府はどれだけの用意があるかということを我々は警告したいと存ずるのであります。政府の発表するところによりますと、國税徴収状況は本年四月以來九月まで、調定済額が五百四十九億に対して、収納済額が先程來皆様から申されておるがごとく三百七十七億円であつて、収入未済額は実に百七十一億に達しております。さすれば当初予算の六百九十五億千四百万円調定済額の差額百四十六億円、今回の追加予算額五百七十五億二千百万円、これにプラスの百七十一億の未納金を合計いたしましたならば実に八百七十二億二千百万円となりまして、今後四ヶ月間におきまして、毎月二百二十億に及ぶところの巨額の徴税をしなければならんのです。この計算に基ずくところの徴税を完全に収納するにあらずんば政府はいかに健全財政を自画自賛いたしましても遂にこれが破れるのであります。政府はよろしく徴税機関の拡充及び能率の増進と共に、他面一般國民に対し極力納税上の協力を求むることに努力すべきであると我々は警告いたすのであります。
 又歳出の面におきまして、第一は、政府は戰災復興に対して頗る冷淡である。單刀直入に申します。なかんずく住宅問題は深刻なる社会問題であるに拘わらず、本追加予算には当初予算七億円の復興資材費はそのまま据え置かれてあるのです。かくては單價増の今日、所要の住宅を建設することは不可能に陥ることは明らかであります。政府の経済実相報告においては住宅の不足は実は四百万戸に達すると発表いたしております。かくのごとく戰災復興に対して手の及ばないということは、我々頗る現内閣に対して不満の意を表する次第であります。我々はかの戰時中、実は敵の空襲に怯えまして、全國百十九の都市が全く灰燼に帰しておる。幾十万の同胞が熱火の中に黒焦げとなつておる。何百万の家が悉く燒け、家財を失い、而して今において四百万の住宅が不足しておるところの事実を、時と共に忘れてはならないのであります。
 又第二におきましては、戰時戰後を通じまして國土の荒廃が非常に憂うべき状態に達しております。殊に本年に至り北海道、東北、北陸、関東と相次いで水災の損害に見舞われました。その惨害は今において國民の記憶に新たなるところでありまして戰慄を覚えるところのの大災難であつたのであります。これに対して、本院の決議に対して、片山首相はこの席より、政府は根本的対策を樹立し、再びかかる災いを繰返さないよう誓つて努力するというところの誠意を示されたのでありますが、追加予算の公共事業費中これに相当する金額は三十四億九百七十五万円であつて、当初予算と合せまして四十八億円余に過ぎないのであります。内務省の調査によりますと、直轄河川工事費だけでも十一億二千万円を超しておるのであります。又地方自治團体における工費の高は、工事の場所において三万四百六ヶ所に及び、工費は八十二億を要するということに相成つておるのであります。然るにこの追加予算に対しては多くこれに触れておらないようでありますが、政府は大蔵大臣のつい先日新聞に発表になつておるところを見ますると、二十三年度に十分に追加を要求すると称しておられます。さもあるべきことと考えまするが、治山治水は一日遅るれば百年の悔を胎すところの恐るべき大自然の破壊を目の前に迎えておるのであります。実に寒心に堪えない次第であります。二十三年度予算に盛り上げましても、その二十三年度予算なるものは來通常議会おいて議決せらるるものであつて、その成立は明年を待たなければならないのであります。そもそも水害復旧は、明春の農耕の開始前に、破壊せる用水路、良田保護の堤防等を完成するにあらざれば、食糧の増産も得て望むべからざる実情にあることは、誰しも分つておる次第であります。政府はよろしくこの点に留意し、次年度において本追加予算の足らざるところを補われんことを要請いたします。
 次に第三点といたしましては、政府は六・三制を一挙に実施しながら、これが設備費に対しては極めて姑息なる手段を取つておる。六・三制は口頭を以て一片の訓辞を出し切りで実行できるものでは断じてないのである。然るに戰災都市にして小学校の設備さえできていないところの地方に対し、これを一律平等に強制し、その設備費として少くとも三十億を要する見当であるに拘わらず、僅かに公共事業費において七億円を繰入れ、又漸く他の予備費において七億円を加えるということでありますが、これを合しても十四億に過ぎません。その余は悉く地方の負担となるのでありまするが、今日の地方の財政状態は極めて貧弱なるものであつて、この巨大なる設備費を負担するに堪えないのであります。論より証拠、本院に対して六・三制設備費の全額國庫負担せよとの請願が各地より殺到いたしております。(拍手)政府はこの事実を何と見ておりますか。政府は明年において考慮すると言うておるけれども、本問題は單に考慮す、ということでは済まないのである。根本対策としては、六・三制に対する経費全額國庫負担の決意をなし、而してこれを全國に及ぼすのでなかつたならば、到底六・三制の実行はむずかしいのである。よろしく政府はこの点に認識を新たにし、國民教育の向上、國民教養の普及等に一大決心を拂われんことを勧告する次第である。(拍手)
 次に第四点においては、歳出八百五十五億円中、人件費は三十一億三千二百万円に及びまして、当初予算と併せて実に百二十一億五千四百万円に上つております。これは千八百円ベースによるのでありまするが、今後物價騰貴等を予想するときは財政の一大脅威となります。政府は明年度において根本的行政機構の改正と人員の整理を断行することを要請いたします。
 第五には、政府において鉄道、通信に対して、五十億、二十五億の合せて七十五億円の補給金を出しております。さなきだに困難なる一般会計よりかくのごとき支出をなすことは果たして適当なりや否や。大蔵大臣は、今回限りのもので、後日返還せしむると言つておられるが、身代持直り次第お返しするというがごとき空証文を当てにすることができないことは、大学を出られて算盤を片手に多年金融界に立つておられたところの玄人の栗栖大臣として、かくのごときことを御信用になつておる次第ではなかろうと思います。我が一般会計は、かくのごとき独立性を持たせなければならんところの特別会計に、五十億、二十五億という大金を注ぎ込む余地はないのである。この点に対して政府はよろしく今後に一大革新政策を施されんことを要請いたすものであります。
 第六には、補助費等において、事業費よりもこれを取扱う間接の事務費が多額に上つておるのがある。即ちその例は育英事業費の補助費において、事務費の方に追加をして、学生に給與するところの給與金については手が触れてないのである。又我々両院議員で組織しておりまする民主主義教育連盟に対しましても、何らの仕事を始めておらないのに拘わらず、今後五ヶ月間に二千六百万円を與えんとするがごときは、國費の濫費と見られる心配が余計にございますから、政府はこれが仕事の監視を十分にいたされなくてはならんと感じます。その他挙げ來れば大小枚挙に遑ありませんが、時間の都合上これを省略します。
 これを要約いたしまするに、本追加は政府が國民に公約せる施設の要請に副わざること遠きものでありますけれども、我々は一面戰災処理費及び賠償施設処理費、又價格調整費等、緊要なる支出を控えておることを認めまする。又その他においても、講和條約を控え、貿易再開を眼前にしておるところのこの際において、生産方面、國土再建方面等においても、若干この予算に含まれておりまするが、政府において速かにこれが実行方面の運営をいたされんことを切望するの余り本案に賛成するものであります。さりながら今後政府がその行政的運営において我々の期待に背くことがありましたならば、我々はその時において一大決心をなさんことを決意するものであります。我々は予算の運営に対して刮目張耳して監視せんことを期するものであります。これを以て私の意見を終ります。(拍手)
#31
○議長(松平恒雄君) 木村禧八郎君。
   〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
#32
○木村禧八郎君 私は日本社会党を代表いたしまして、本追加予算案に対しまして賛成をするものであります。実は賛成せざるを得ないものであります。(拍手)併しながら我々がこの追加予算を承認すると申しましても、この予算が政府が言つておりまするように、名実共に健全予算であるという意味合において我々は承認するのではないのであります。又この予算案は、未曾有の日本経済の危機突破に対処する予算案として適切であると、そういうことを認める意味合において承認するのではないのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 勿論敗戰日本の厳しい客観情勢の下において、大蔵当局、事務当局その他の政府各員がこの困難なる予算編成に当られたその苦心と努力に対しては、一應の敬意を表するに吝かではありません。併しながらそういう苦心努力を拂つたということと、この予算案は正しい追加予算案であるかどうかということは全く別問題でありまして、我々参議院に席を置く者として少くともかかる実質的に申しましても不健全であり、そうして非民主的であるところのこの追加予算を無批判にこれを鵜呑にするということは参議院の鼎の軽重を問われやしないかと思います。そういう意味において我々としては厳正にこの予算案を批判し、そうして承認いたしたいと思うのであります。
 率直に申しますれば、この予算案は石橋財政の延長に過ぎない。これは大蔵大臣も認めております。石橋財政に物價騰貴率を掛けたに過ぎない。從つて我々が石橋財政に反対し、攻撃し、そうして石橋財政と本質において余り異ならないところのこの追加予算案に賛成するということは、甚だ心苦しい次第であるのであります。(拍手)
 なぜこの予算が非民主的であり、不健全であるか。その理由の第一点は、敗戰後の日本のこの今の経済の危機は誠に深刻であり、そうしてその危機は、この経済危機はインフレーシヨン、過小生産恐慌、この二つを内容としたところの危機でありますが、この追加予算案は、この危機打開のための適切なる政策を反映してない。この深刻なる危機の認識に対して政府が十分にこれを持つておるかどうか。この危機の認識に対する反映がこの予算にはなされておらない。これが第一点不健全なる理由であると思います。
 その第二点は、この予算編成方針が根本的に私は間違つておるのじやないか。と申しますのは、先ず予算を編成いたしますためには、これこれの政策をやらなければならんから、これだけの費用が要るのだ、そうしてその費用を、そうしてその財源を求めるという形において、予算は編成すべきであると思います。併しながら、この予算の編成過程を見まするに、先ず大体財源は、この程度しかないだろう、先ずそれの枠を決めて、それからいろいろな予算を編成しておる、そういう形跡が見受けられるのであります。これは予算編成の根本の態度として私は正しいものではないと思います。
 第三に、この予算案が不健全であると申しますのは、この予算案は名実共に健全財政と言われておりますが、併し形式からいつてもこれは私は健全ではないかと思うのであります。この追加予算及び本予算を合計して二千六十六億、その外に特別会計として公債及び借入金七百六十六億あるのであります。又地方財政として、地方債の起債が百一億、復興金融金庫の債券の発行予定されておるものが四百六十億あります。こういう全体を通じて三千九百三十億というそういう予算なんでありまして、これは形式からいつても二千六十六億は租税及び煙草の益金によつて賄いますけれども、その他は公債、債券、借入金によつて賄うものでありまして、形式から申しましてもこれは健全とは申せないと思うのであります。
 それから第四に、この予算案自体が健全でないと申しますのは、この予算案はマル公を以てこれは実行しなければならんのであります。從つて政府はこの予算案はマル公を以て、公定價格を以て実行し得るという政策を具体的に示さなければいけなかつたのでありますが、この予算審議に当たりまして、その対策が明確に示されなかつたことは非常に遺憾であつたと思うのであります。
 それから第五に、この予算が不健全であることは、これはその他の各位が申されましたことでありますが、果して今後一千億円の徴税が確実にできるかどうかという問題なんであります。この点につきましては、先ず税務職員の待遇につきまして欠けるところがある。税務職員は御承知の通り普通の職員と違いまして、普通の職員は能率を挙げれば挙げるほど褒められるのでありますが、税務職員は能率を挙げれば挙げるほど國民にいやがられる、そういういやな職業なんであります。こういう税務職員に対する待遇は、これは極めて低いのでありまして、一般官吏に比較しても低いということが徴税機関の予算に関する小委員会を開きまして検討した結果明らかになつたのであります。そういう実情にあり、税務の第一線を担当する人の生活がそうである。而も徴税費におきましては千三百三十億の税を取るのに、約十九億九千万円程度でありまして、税額に対して一・何%。諸外國の例を見まするに税額に対して大体三%四%ぐらいであります。そういう点から申しましても、こういう税務機構で果して今後一千億円の税が取れるかどうか非常に不安心でありまして、これに対する政府の徴税対策は十分でないと私は認めるのであります。
 このようにこの予算案につきましては非常に不健全な要素があるのであります。健全財政というのは、予算自体が先ず均衡を取る均衡予算なのであります。ところが健全財政の第一の予算であるということと、國民生活を安定せしむるということと、再生産を確保する、この三つの條件が備わらなければ健全財政だと言えない予算の均衡についても欠けるところがあり、而も第二の國民生活の安定につきましては、これは今の税制の下におきまして國民最低生活が脅かされておるような状態であります。これは公聴会を開きました結果、そういう論述がたくさん現われておるのであります。又税は、その他の各位が言われましたように、大衆課税、これを基礎にしておるということは、蔽うべからざるこれは事実であります。從つて國民生活の安定という面から行きましても、健全財政の條件に欠けておる。それから第三に、再生産確保の問題でありますが、この予算案の裏附けとなつておる物の面において非常に多くの非生産的な消耗があるのであります。この非常に大きな非生産的消耗を前提としてこれを認めて、そうして果たして政府には再生産を確保する自信があるかどうか、これは予算委員会においても具体的に示さなかつたのであります。若しか自信がないならば、政府は再生産を確保するために非常な決意を以て努力をすべきであつたのではないかと思うのであります。果たして再生産を確保する自信があるかどうか、この点について私は非常に危惧があると思うのであります。
 以上述べましたように、この予算案はその本質から行きまして、石橋財政の延長予算であり、そうしてその内容は非民主的であり、而も不健全な要素を含んでおるということを認めざるを得ない。遺憾ながら認めざるを得ない。それならば何故この予算案を我々は承認するかと申しますれば、今この際我々はこの予算案に反対しまして、或いは又これを修正した場合、又衆議院に廻つて行く。そうして時日を経過する場合、実際問題として、國庫の支出ができなくなる。官公吏に対する給與の支出もできなく、終戰処理費に対する支出もできない。そういうようにこの予算案の審議は時間的に非常に追い詰められて來たのであります。我々に與えられた審議期間というものは、非常に僅かに短期間なんであります。從つて我々としては、時間的に言つて、時目的に申しまして、この際これを修正したり或いは反対することができない状況に追い込まれて來ておる。從つてその國務の澁滞を來さない、混乱を起させない、そういう意味合におきまして、我々はこれを認めざるを得ないのであります。我々として希望するところは、今後即ち二十三年度の予算編成におきましては、政府におきましても國会に対して十分の審議機関を與え、そうして今回のごとくぎりぎりに追い詰められて、そうして止むを得ず承認せざるを得ないような自体に追ひ込まないように、そうして又健全財政の三原則であるところの予算の均衡化と國民生活の安定と、それから再生産の確保、この三点におきまして十分その趣旨を取入れるように、二十三年度予算においてはこの趣旨を十分に体して編成されるように、政府に勧告してこの予算案を承認する次第であります。(拍手)
#33
○副議長(松本治一郎君) 西郷吉之助君。
   〔西郷吉之助君登壇、拍手〕
#34
○西郷吉之助君 私は追加予算に対しまして所見を述べたいと存じます。
 我が國は今や重大な時期に直面しております。即ち來年は講和会議を控え、いよいよ新日本が再建への首途となる時であります。敗戰日本に更正の機会が與えられんとしておるのであります。併しこの好機をただ單に漫然と迎えても何にもならんのでありまして、この好機をしつかりと把握しまして、再建への糸口とせねばならんと考えるのであります。この國際情勢の轉移に対処しまして、これを迎える十分なる体制を用意する必要があると考えるのであります。然らばこの体制は何であるかというならば、それはいろいろなる角度から、即ち政治、経済、労働の各見地から検討されねばならんと考えるのであります。これを経済的見地から見るならば、日本の経済が速かに安定せるポイントに立つということであろうと考えるのであります。政府は先般國会におきまして、國家も企業も家計も皆赤字であると言つておるのでありますが、赤字が出るということは即ち不安定を意味すると考えます。國家も企業も家計もこの赤字を拂拭することが安定への第一歩であると考えるのであります。この赤字の続く限り、我が國は國際経済への仲間入りはできないのであります。赤字があつては外國資本家の信用が得られないことは勿論であり、再建に必須な外資の導入は赤字が続く限りできないと考えるのであります。赤字が続く限り企業は外國資本戰において競争する能力がない。この赤字の克服が当面の再建に際しまして國際情勢に対処して、我が祖國の持つべき先ず第一の態度でなければならん。さように考えるのであります。今回の予算におきまして、國家が先ず率先して赤字の克服に努力し、多々不満はあるが現下の情勢上、先ずできる限りというに近い、財政赤字の克服が顯現されたことは、先ず原則的に申しまして正当な処置であると思うのであります。この意味におきましてこの予算編成の趣旨には賛成するのであります。
 併しながら予算を検討しますのに、不十分なる点が多々あると考えるのであります。私は今回の予算に賛成はいたしまするが、将來この不満を是正し、更に完全なる予算を編成し、この重大な國際時局に臨み、我が國民といたしまして歴史的なる任務を完全に達成して貰いたいと考えるのであります。将來我々が次のジエネレーシヨンから決して非難を受けるようなことがないようにして貰いたいと考えるのであります。この意味におきまして、左の諸点につきまして当局に要望したいと考えるのであります。
 第一点といたしましては、今回の予算は本予算を通じまして、赤字はないと言われておりますが、特別会計とか、復興金融金庫におきまして多大の赤字があるのであります。この方面の赤字が解決されなければ、完全なる健全財政とは言えないと考えるのであります。今後特別会計の赤字、復金の日銀依存、この両者を止めて貰いたいと、さように考えるのであります。
 第二点としましては、今回の予算は國の財政についてのみ努力が拂われておりまするが、財政全体といたしましては地方財政を無視することはできないと考えるのであります。地方財政の実情はどうであるかと申しますれば、財源は全く國に取られてしまいまして、財源が枯渇いたし、借金をしようとしても貸手もない。地方財政の窮乏はその極に達しておると考えるのであります。國家の財政に健全財政を唱えましても、地方團体の方がかような始末では國家全体の財政が地方の一角から崩れる虞れがあるのであります。政府はもつと眞剣に地方財政の実情を直視しまして研究を要すると考えるのあります。
 第三点におきましては、國家財政の健全化を図るためには、歳入におきまして増徴を行うことは國民の負担を増加し、再建を阻害すると考えるのであります。そこでこれを減らす努力を必要といたしまするが、この努力を不十分であると、さように考えるのであります。政府は又人件費一割の節約を計上いたしておりまするが、これは空定員二八%の中僅かに一〇%を減したのみであります。こんなことで誠に不十分である。この際もつと徹底的に行政整理を断行する必要がある。さように考えるのであります。
 第四点におきまして、この予算は無理な歳入が掲げてあると考えるのであります。特に租税収入が問題であると思います。租税収入は上半期には二百六十億しか取れなかつたのでありまするが、下半期におきまして一千百億の収入を挙げねばならんような状態であります。そんなことが一体今後できるかどうか、非常に懸念せざるを得ないのであります。今まで月四十億円の租税が今後一躍月平均二百億円となるのでありまするが、果してこれができるかどうか非常な疑問でありまして、これは單に机上の計画といわなければならんと思うのであります。この無理な予算を計上した以上、政府は非常の覚悟を以てこれが実行を期さなければならんと思うのであります。
 第五といたしまして、金融の情勢も楽観を許さないと考えるのであります。年末の日本銀行券発行高は、安本長官も大蔵大臣も千九百二十億円ぐらいと言つておりまするが、私はこれを信じ得ないのであります。二千億を遙かに突破すると考えるのであります。場合によると十二月中の通貨発行高は四百億円ぐらいにも上ぼる可能性がある、さように考えるのであります。そうなれば物價は急に昂騰いたしまして、この予算自体が非常に危険に瀕する、さように考えるのであります。政府はこの追加予算の施行に当りまして、常に金融と一体的な見地に立つて年末の危局を回避して貰いたい、さように考えるのであります。
 私は以上の諸点をこの際特に政府当局に要望いたしまして、私はこの追加予算に賛成の意を表する者であります。(拍手)
#35
○副議長(松本治一郎君) これにて討論通告者の討論は終局いたしました。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を請います。
   〔起立者多数〕
#36
○副議長(松本治一郎君) 過半数、よつて予算案三案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
#37
○副議長(松本治一郎君) 日程第五、日程第六の請願、日程第七の陳情を一括して議題とすることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者があり〕
#38
○副議長(松本治一郎君) 異議なきものと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電気委員長佐々木良作君。
   〔佐々木良作君登壇、拍手〕
#39
○佐々木良作君 只今議題となりました請願の第四百六十九号外一件、陳情の第五百八十六号の委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。時間の関係上極めて簡単にいたしますから御了解を願います。
 請願の第四百六十九号、今年の冬の電力危機突破に関する請願は関東地区における現下の電力事情の窮迫に鑑み、火力発電力増強、燃料確保及び電力の民主的配分を東京都電力協議会準備会より要望せられたものであります。
 それから請願の第五百二十八号は、電気事業の優先取扱いに関する請願でありまして、現下の電力事業緩和のためにも、又産業の復興の基礎確立のためにも、先ず電力設備の復旧強化は絶対必要であるのにも拘わらず、石炭、鉄鋼中心の傾斜生産方式の埒外に置かれた電気事業は、資金、資材、労務者用物資等の調達に極めて困難を来たし、電力需給不均衡と相俟つて、正に重大危機に直面しておる。これが打開策としては、資金、資材及び労務者用物資等について電気事業を石炭、鉄鋼、肥料等に優先する特別重点産業として取扱われたいと趣旨であります。
 又陳情五百八十六号電力需給調整に関する陳情は、電力の甚だしく不足する現状においては、その割当に当つて地域的に認められた民主團体の意見を尊重すると共に、民主的方法により或る限度において割当量の修正変更を認められたいとの趣旨であります。
 委員会は、これらにつきまして愼重審議をいたし、又同時に政府関係者の意向を聴取し、又電気事情の逼迫せる現状をも勘案いたしました結果、これらを議員に報告し、必要なる意見を附して内閣に送付するのが至当であるということに全会一致可決した次第であります。
 どうか詳細は文書表、速記録又は議事録を御参照願いします。
 以上請願第四百六十九号外一件、陳情第五百八十六号の委員会におけるところの経過並びに結果を御報告いたします。終ります。(拍手)
#40
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければこれより採決いたします。これらの請願及び陳情は採択し内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
   〔総員起立〕
#41
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定せられました。これにて本日の議事日程は全部終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
   午後一時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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