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1949/06/15 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第31号
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1949/06/15 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 地方行政委員会 第31号

#1
第005回国会 地方行政委員会 第31号
昭和二十四年六月十五日(水曜日)
    午前十一時二十一分開議
 出席委員
   委員長 中島 守利君
   理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君
   理事 川本 末治君 理事 菅家 喜六君
   理事 福田 篤泰君 理事 久保田鶴松君
      清水 逸平君    野村專太郎君
      門司  亮君    千葉 三郎君
      谷口善太郎君    田中  豊君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 樋貝 詮三君
 委員外の出席者
        國家地方警察本
        部長官     斎藤  昇君
        國家地方警察本
        部部長     柏村 信雄君
        專  門  員 有松  昇君
        專  門  員 長橋 茂男君
五月二十八日
 委員小平忠君辞任につき、その補欠として寺崎
 覺君が議長の指名で委員に選任された。
六月一日
 委員寺崎覺君辞任につき、その補欠として小平
 忠君が議長の指名で委員に選任された。
同月十五日
 小平忠君が理事に補欠当選した。
同日
 小平忠君が委員長の指名で地方財政に関する小
 委員に補欠選任された。
同日
 小平忠君が委員長の指名で地方自治に関する小
 委員に補欠選任された。
同日
 小平忠君が委員長の指名で警察及び消防に関す
 る小委員に補欠選任された。
    ―――――――――――――
五月三十一日
 地方財政に関する件
 地方自治に関する件
 警察及び消防に関する件
 地方税法の一部を改正する法律案
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 小委員の補欠選任
 警察に関する件
    ―――――――――――――
#2
○川西委員長代理 それではこれより会議を開きます。
 本日は中島委員長が地方自治委員会に出席されておりますので、もうじき帰られることと思いますが、それまで私が代行いたします。
 本日は閉会中の審査として初めての委員会でありまするが、閉会中の審査案件中、稲委員会といて常々審査いたしております地方財政、地方自治及び警察行政に関しまして協議いたしたいと思います。なお議題に入ります前に、あらかじめ御報告申し上げます。去る五月二十八日委員小平忠君が辞任され、その補欠として寺崎覺君が委員に選任されましたが、六月一日委員寺崎覺君が辞任され、その補欠として、小平忠君が委員に再任されました。
    ―――――――――――――
#3
○川西委員長代理 次に小委員の補欠の選任を行います、すなわち去る五月二十八日委員の小平忠君が辞任され、それに伴い地方財政に関する小委員、地方自治に関する小委員、警察及び消防に関する小委員に欠員が生じましたので、これが補欠の選任を行いたいと思います。これは委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○川西委員長代理 それではさきの三つの各小委員にそれぞれ小平忠君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○川西委員長代理 次に小平忠君の委員の異動に伴いまして、理事に欠員を生じておりますので、これより理事の補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○川西委員長代理 御異議なしと認め、小平忠君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#7
○川西委員長代理 それではちようど樋貝國務大臣が來ておられますので、これから警察に関する件を議題にいたします。質問に先だちまして、まず樋貝國務大臣から、最近の警察行政の現状について説明を聽取いたしたいと思います。
#8
○樋貝國務大臣 警察に関しましてのいろいろな制度等についても長所もあるし、短所もあるわけで、その短所に向つては、これを是正したいという考えで研究はいたしております。しかしまだそれの提案とか、あるいは発表とかいうような段階には達しておりませんので、從つて内閣といたしましての態度はどうであるということは、申し上げることがまだできない状態であります。いずれ欠点についてはこれを改正することについて皆樣の御助力を仰ぎたいという考えでおります。
 なお現在において各地方から、ことに地方自治体から財政上非常に苦痛を感じておるというような陳情がありました。なお自治体警察がよろしいということは、わずか一箇所ばかり地方の新聞に現われましたけれども、大多数のものは地方自治体では警察を維持することが困難である。それから場合によつて五千人を上まわつておるような市街地町村におきましても、分村計画をして、五千人以下となつて、自治体警察を持つて行くことの義務を免れようということさえも、最近出て來たような状態であります。たとえば神奈川縣におきましても、村の租税の全額が百九万円であるのに、警察費用が百八十万円かかつたというような昨年の例をあげまして、從つて自治体警察については財政上十分の考慮を與えてくれ、それからまた人事の異動等に関しましても、これは他の方と交流することについて考えてくれというような陳情が非常に多くありました。もとよりわれわれにいたしましても、それらの点を含めたる考慮を十分拂つておるようなわけでありまして、ただいま申し上げたごとく、全体についての御考慮を願う時期も、またあるかと存じておる次第であります。その他この問題は非常に微妙な点がありましたために、皆さんにどう考えておるという考えを申し上げることができないのを遺憾といたしますけれども、しかも今のような点が今日最大の煩わされておる点でありまして、これらについて十分考慮をいたしておることを申し上げます。
 なお御質問に應じて必要な限度において、またさしつかえない限度において申し上げる次第であります。
#9
○川西委員長代理 御質疑はございませんか。
#10
○千葉委員 この警察制度の問題で、最近地方の小さい町村の方で、犯罪事実が起つて來たときに、旅費がなくてどうにもできないという現実の姿がある。何とかひとつ旅費だけでも、地方自治体に補助してあげるというような道はないものか。今実際地方自治体としては、その町村の警察官の給料だけに追われて、それで一ぱいなんです。ところが突然の犯罪が起つて來ると、それを追跡するとかなんとかいうと、相当の旅費がかかる。それが臨時費になるものですからどうにもできない。それでみすみす犯罪の捜査もできないというような結果が起つておるようですが、この点を何とか特別の補助を與えて、機能を発揮していただくことはできないかどうかということをお願いしたいと思うのです。
#11
○樋貝國務大臣 今の小さい自治体ですが、これらはお説のごとくに財政上今日非常に苦しんでおります。それで政府でもこの点は早くから氣がつきましたし、また陳情も受けましたような次第で、今日の状態ですからなるべく國家も節約したいけれども、しかし集團をなした兇惡な犯罪に対して、それを手をこまねいておるというようなことはできませんので、これはどうしても十分な手当をしなければならぬ。それについては自治体警察についてもなお制度の欠陷もあるのではなかろうか。それからまた財政的措置においても、今日の状態でありますから、十全を期せられないことがあるのではないか。それらの点も十分に綿密に研究いたしておるわけで、それらの点については、近く何らかの形をもつてひとつ御考慮を願いたいという考えでおりますが、たとえばこの間も、その話が出ましたけれども、結局ふだんにおいては警察官、ことに自治体警察官は人が実に余つておるというような状態で、いざことがあるというと足りないという状態ですから、これでは警察本來の目的が達せられない。ふだんはどちらかと言つたらば、警察官はひまであるぐらいが理想で、いざというときにさつと出るというのが理想ですから、そういうふうな機動的に動ける形にしなければならないし、また同時に財政的な方面に考慮を拂わなければならぬ、非常に地方でも御承知のごとく差迫つておりますから、六・三制のあの教育問題の補助をやめた点とともに、この警察方面の負担が事実は割合に多いですから、そういう点について考慮をめぐらしておるわけであります。財政の点につきましては何か具体的なお考えがあればぜひ皆さんのお知惠も拜借したりして、考慮を拂いたいと思つております。
#12
○千葉委員 もう一つお願いしたいのですが、地方自治体の警察と國家警察との人事の交流問題です。これが地方自治体で小さいところへ行つた警官はくさつておる、將來の望みがないのでくさるという傾向がある。そこでやむを得ず付近の顏役におじぎをする。そこにボスの発生ということが起る。そこで現在の法規を改正しないでも、その点は何か運営で、地方自治体と國家警察との間の人事交流をもう少し円滑にやれないものか。昨年の第一回のときにまだ十分な試練がなかつたわけですから、試みに人員を配置したのだろうと思つておりますが、その結果において必ずしも適材適所の配置ではないようですが、今この一年間の経驗にかんがみて、適材適所主義に随時配置して行かなければならぬ。また若い警察官にしても非常に勉強する者は拔擢しなければならぬ。一定の地位に決定してしまつて、それから動かないということになると、本人はどうしても先行き勉強しない。そういう結果が随所に現われておるようであります。新しい改正にはむろんこのことを織り込んでいただきたいのですけれども、同時に現在の状態で何か特別な処置ができないものであろうかということをお伺いしたい。
#13
○斎藤(昇)説明員 自治体警察と國家警察との人事の交流問題につきましては、お話の通り実際問題としましては相当大きな問題で、ただ自治体警察というものをつくつて、國家、地方警察と二本建にやるというこの制度の根本趣旨から考えまして、自治体と國警の間の人事交流を無制限に頻繁にやるということは、その制度の趣旨を沈却するということからいたしまして、自治体警察自体の存立のために必要な人事の交流、すなわち自治体の方の要求、自治体の方から國警に人をもらいたいという要求がありまする場合には、これは現在出すことにいたしておるのであります。自治体警察にいたしましても警視廳のごとき大きなものになりますと、他の自治体または國警からとらなくても、それだけの世帶があればみずからまかないが当然できるという建前から、これは原則として國警から警視廳の方にとるということはいたさないような制度になつております。ただそうでありますと、ことに小さい自治体におきましては仰せの通り昇進の希望がないというようなことからいたしまして、自然に自治体警察の警察吏員がくさるということは人情の常だと思うのでありますが、しかし自治体警察というものは他の制肘を受けないで、そういう性格を持つ、そういうと申しますのは、自治体みずからでやつて行く。從つてもちろんそのときに自治体警察に配置をされた人は、いつまでも小さな自治体にくぎづけをされるということは、これは希望による場合は格別、希望によらないでむりに制度改正の際にそこに配置されて、そのまま將來一生の間そこにくぎづけになるということは、これまたいかがかとも考えられるのであります。從いまして原則は私の申し上げましたような原則で、最初から臨んでおつたのでありますけれども、昨年一年間は手直しの期間を與えるということで、一年の間にできるだけ本人の希望、適正配置ということからいたしまして、当初昨年の三月に出発いたしましたときに配置をされておりました人事の是正をやり、今年の三月からはその是正はいたさない、こういう方針で参つておるのであります。ただ必要やむを得ない場合は、自治体から國警の方にごく狭い例外を設けて交流することを認める、こういう建前になつておるのであります。制度がかわりますれば格別、今日のあれといたしましては、これを無制限に交流を認めるということは、制度の建前から非常に困難なことだと思つております。
#14
○門司委員 この機会にちよつとかわつた方から聞きたいのであります。先ほどの樋貝國務大臣のお話で大体了承はするのでありますが、なお少しつつ込んで聞いておきたいと思いますことは、自治体警察の返上論、あるいは町村の分村あるいは分村の空氣のあるということは事実でありますが、これが主たる原因は財政的の処置だと私は考えております。この財政的の処置がうまく行かないということのために、もし警察制度が從來のような形にかわつて、國家権力のもとに警察が使われるようなことになると、また再び日本は警察國家になるような憂いが非常に強くなるのであります。從つて私どもはせつかくできた制度によつて、日本の警察制度というものを行つて行つて、國家警察にならないように、あるいは警察國家にならないようにすることのためには、やはり現在の制度を守つて行くことがいいと、こういうふうに考えておるのでありますが、しかしその間にあつて今ジレンマに陷つておりますのは、先ほどの財政的の問題と、それから同時に警察行政というものが單に自治体のみの行政でなくして、多分に國の行政が含まれておるということもまたいなめない事実である。從つてその間に十分に財政的の処置が講ぜられればいいが、今回國会できめたように非常に地方財政を圧迫して参りますと、地方財政法の九條にはつきり地方自治体の警察はそつちでまかなえということが書いてあります。こういう面を勘案いたしますると、何か割り切れないものが出て來るような感じがするのでありますが、この点に対して当局からもう少し明確にお話が願えるならば、当局の御意見をこの際承つておきたいということであります。
 それからもう一つは、これはすでに第五國会で決定したのでございますが、いわゆる都道府縣の持つておりました財産が國に移讓されたということに法律できめて参つたのでありますが、この点については、いわゆる憲法第二十九條の國民の財産権の問題に私はかなり大きく抵触するのではないかというように考えられる。國民の財産権の問題は、その内密は法律でこれを定めるということが憲法に書いてある。さらに私有財産については相当の價格をもつてこれを買收しなければならないということが書いてありますが、たまたま私有財産ではなかつた。いわゆる公共の財産であつたことのために、單なる一片の法律でこれが取上げられておるということになつておると思いますが、憲法の精神から言いますと、私有財産ということが特にうたつてありますので、公共團体の持つております財産は別だという解釈がつけば別であります。しかし見方によつては、やはり一つの公共團体という個人といいますか、一つの資格を持つ法人といいますか、團体の持つております財産であるということにおいては間違いはないのであつて、これをただちに一つの法律で何らの補償をしないで國が取上げたということは、この第二十九條の財産権との抵触があるように私は考えるのでありますが、一應本委員会で議論がされ、さらに本会議においても議論がされて、國会を通過した問題でありますが、私どもはそういう点に疑念を持つておるのであります。この点に対する当局のお考えをこの際明確にしていただきたい。こういうふうに考えております。
#15
○樋貝國務大臣 小さい町村が財政の面において非常に苦しんだからというのも事実でありますし、また分村計画も企てておる町村さえあるということを申し上げたのでありますが、実際今日苦しんでおる状態である。それから政府といたしましてはまだ具体的な処置はとつておりませんけれども、少くも私の考えでは今の制度として救えるものなら救つて行きたいという考えを持つておりますし、それでも足らない部分は財政的な処置をとらなければならぬという考えを持つております。また警察の性質からして、平常よりかむしろ強惡犯人とか集團犯人などが出ました場合において、それを処置して行くだけの力を持たなければならぬと思つております。今日陸軍を持つておるわけでなし、海軍を持つておるわけでなし、また空軍を持つておるわけでないところの日本といたしましては、過去にヨーロツパでたとえばドイツが警察軍から発達いたしまして軍隊を持つたような、列國の脅威になるというようなことはないだろうと思うのであります。從つて警察の方面が今の強惡犯人や、あるいは集團強盗等に対する整備をいたしましても、その間に心配になることはない。今の仰せの通りに明るい警察を立てて私どもは行きたいと思うのでありまして、再び昔の暗い警察に帰つて行くことは、どんなことをしても防ぎたいと考えておるような次第であります。この点はまつたく仰せの通りであります。
 なお公有財産等の点については、どうも憲法第二十九條ではむずかしかろうと考えております。同じ趣旨でありますが、ただ終戰後までは國家が警察のために使つておつた財産でありまして、この間の法律も決して本質においては不当な法律ではないというふうに考えておる次第であります。從つてあの法律が通過いたしましたことに対しても、私どもは実質の点において異論がなし、それから法律の点については、今申しました私有財産でないという、どうも今日の憲法においてはそう解釈するよりしようがないことですから、從つて法律にも抵触しない、かたがたもつて実質の点においても、形式の点においてもよいではないかという考えであります。
#16
○谷口委員 私も樋貝さんに一、二点お尋ねしておきたいと思うのですが、今の門司君に対するお答えと、さつきお話しになつたことから考えますと、小さい町村では財政上非常に困る。五千人程度のところは分村してでも返上しようじやないか、そういう傾向があるという点を強くお話になつたわけでありますが、つまりどう改正するかという点については、まあ若干の考えを持つていても微妙なことだから、ちよつと話せない、こういうお話のように聞いたのでありますが、もう少しどうでしようか、それをお聞かせ願えないでしようか。これが一つであります。それから今集團的な犯人というふうにおつしやつたが、これについて私ども今非常に大きな実際上の問題として疑問を持つておるわけです。この集團的犯人とかおつしやつた言葉は、これは私どもの考えておることと違う。集團強盗とかなんとかいうことは、そういうことであるかもしれませんが、それとは別としましても、実は私今度國会が終つてからきようまで京都へ帰つておりまして、京都で幾つもの集團的な民主運動に対する警察の態度の実例を見て來たのでありますが、よく考えてみると、戰爭が終つてから民主化が非常に進みましたころの警察の態度と、それから最近、特に最近になつて顯著に現れております警察の態度との間には、全然本質的に違つた考えが新しく生れて來ておるのではないかという疑問を持たざるを得ないような状態があると思うのであります。つまり京都事件の例を申し上げますと、この前國会開会中に樋貝國務大臣にお会いしまして、京都大学の事件の実情を申し上げて、これについてのお考えを伺つたこともあつたのでありますが、從來なら、つまり一年ほど前なら少しも犯罪にならない、犯罪とせられない、取締りの対象とならないような、そういう学生たちの行動が犯罪と認められて警察権が発動されて、数百名の警察官が学生の大衆行動に向つてこれを犯罪視して取締る。京都の場合は暴行を加えた事実があるのであります。その後に起つた問題としましても人文学園という学校の女学生、これが自分の家に寢ておる最中に、川端警察署からパンパンガールの疑いがあるというのでやつて來まして、深夜たたき起して強制的に局所を檢査する病院へ連れて行きまして、これを檢査しました。そういう事件が起きまして、これはそういう人でないという証人が出まして帰されたわけでありますが、このために非常に学生諸君が憤激しまして、警察のやり方に対してどういう証拠があつてこういうことをやつたか。あるいは間違つたとはつきりわかつたから、ただ間違つたから帰れでだけでは済まぬ。これに対する責任はどうだということを学生が代表を選んで警察へ抗議と申しましようか、交渉と申しましようか、参りました。これに対して交渉途中においてたくさんの警官が來て、なぐる、けるで突き出す。こういうことをやつておる事実があるのであります。つまり國務大臣のおつしやつた大衆の犯罪ということが、こういうふうなことを意味するとすれば、人民の基本的人権を守るために、あるいは憲法で保障された大衆運動をすることそれ自身を犯罪として取締るという傾向になつて來れば、なるほど現在の警察力では足りないかもしれません。しかしこれは私どもは犯罪と警察が考えられることそれ自体に非常に異議があるのでありまして、もしそういうことから――國務大臣のお言葉から私は推測するのでありますが、制度の改正というのは國家地方警察をもつと大きくするとか、あるいは警察力を強くせられるということを考えられると思いますが、そういうふうなお考えであるいは國家地方警察をもつと強力にするというふうにお考えになつていらつしやるとすれば、これは門司君が今おつしやつたように、明らかにかつての警察國家への逆もどりになると私どもは思わざるを得ないのでありますが、こういう点について警察行政の方向についての現在の内閣のお考えをお伺いしておきたいと思うのであります。
#17
○樋貝國務大臣 私が警察のことに関して、特にまだきまつていない今日として、私の意見を申し上げることはできないということを申しましたが、まあ言いかえれば事柄として微妙であるから、あまり申し上げられぬということを申しましたのは、確かに今のお話の通りでありますが、その後特に閣議におきましても、総理大臣にいたしましても、その意見を聽しておられぬような次第でありまして、從つて内閣としての意見は今日きまらずに私にまかされておるというような状態でありまして、從つてまだ申し上げる段階には達しませんということを申したようなわけでありまして、この点は御了承願いたいと思います。
 それから集團ですが、たとえば私も一週間ばかり前に群馬縣に参つたのでありますが、そのときもトラツクへ乘つた人たちによりましての白晝の強盗も市の警察にはありましたが、どうもそれをあげることはできなかつたというようなわけですから、その集團強盗――そのときは集團強盗でしたが、そういう場合に車の番号まで知つておりながら、遂にあげ得なかつた、手配は十分したのだけれども、そのときになると、十人や二十人の職員ではどうも手がつかぬ、荒しに荒して逃げてしまつたというような状態でありまして、もしあれが自動車ですぐにあとを追つかけることができれば、そういうような強盜などの集團的なものが現われないとともに、また現われればすぐにそれを捕捉することができる状態になつて來ると思います。あの地方においても戰々競々としているというような実例に出会いましたが、世をあげてそういうようなのもずいぶんあるようですから、それに対しての檢挙のパーセンテージが落ちました今日、言いかえれば普通の刑事事犯に対しても十分に手配をしなければならぬ、現在の状態では十分でない、こういうようなことを考えております。それから先ほど例におあげになりました京都の事件ですが、これが違法であるか違法でないかはなお具体的に見なければわかりませんけれども、事いやしくも違法であり、集團を頼んで暴力に訴えるというようなものならば、それに対しては断固たる処分をせざるを得ないのでありまして、違法であるかどうかという疑問の点ならば、それが十分に違法であるということがわかつていなければ、警察を発動してはならないのですけれども、しかし明瞭に違法であつたような場合にはやむを得ない、相当の処置をとる。警察の理想としましては法まで持つて行かずに、それ前に事なく平穏で行くことが望ましいことであり、もしまた制度としていろいろな改正をするならば、國会を通じて皆樣の御意見のあつたところで多数によつてそれを決定していただく、それに基いて警察が実行して行く。こういうようなことが理想であると考えておりますので、いやしくも國会できめられましたことならば、私どもは十分にそれを実行して行きたいという考えをもつて進んでおるようなわけであります。現在におきましてもそういうようなわけで凶惡な犯人とか、あるいは集團をなしている、そういうものに対して十分に小さい自治体でも活動できるようにしたいと思つているわけであります。もとよりあるいは東京とか、京都、大阪というような大きなところであれば、十分に自治体警察もその機能を発揮できますけれども、地方の大都市の間にはさまれた小さい都市になりますと、必ずしもそういうように参らぬものです。双方を通じて同じ考えで警察を充実して行きたい、そういう考えであります。目的は治安を維持する、現在治安を維持するということだけでそれ以上の昔の政治警察というようなものはただいま考えておらぬような次第であります。
#18
○谷口委員 今のお答えで了解したところもございますが、まあ集團強盜など、これはほんとうに農村にもよくあるようであります。それに対して自治体警察で五、六人しかおらぬというようなところは手がつかないという事実もあるのでありますが、これはやはり住民が警察に協力をするような態勢が、警察の側に、つまり民主警察としてのほんとうの姿ができておれば、十分喜んで住民も協力するだろうと私は思うのですが、その点はしばらくおきます。そこで京都の問題でありますが、これはやや詳しくなりますので他の委員の皆樣に御迷惑だと思いますけれども、しかし警察行政上大問題でありますので申し上げます。この前、樋貝國務大臣に私と河田委員とがお尋ねしまして、まあ抗議をいたしました。あのときには、実は十分な実情を私もわかつていなかつたし、國務大臣の側も御承知でなかつたようであります。京都に帰つていろいろ調べてみますと、学生諸君が六名の看護婦の採用、不採用の問題で、職員組合の組合員でもない、厚生女学院の女学生でもあるから学生の團体のメンバーであるはずだが、それでもないというような立場に女学生がおつたので、学生の方で便宜これを取上げて交渉をした。その交渉の結果、病院長がほとんど会わないで、いつも交渉を逃げているのをやつとつかまえて面会し、再び逃げられては困るので、相当長時間強引な交渉をしたようでありますが、これはそれまでの実情から考えて、一度つかまえたら話をつけなければまた逃げられるという実情があつたのであります。この点に問題があるとすればあると警察が認められた、こうおつしやるなら私は讓つてそうでもいいと思うのですが、あくる日病院が約束をたがえて調印しないという態度をとり、学生の分際で教授側と対等の態度で交渉するなどはけしからぬという立場から、約束の調印をしない。それで学生が騒いでいる最中に、前の日の交渉は面会強要であつたというので檢挙に向われた。こういう点は一歩讓つて、警察が正しいとしましても、それでは同樣に現在の刑法上明らかに犯罪事実と認められる事実を、病院側及び学校当局側がやつていることに対して、警察は何らの手も打つていないという点、このことが問題になると思います。どういう事実があるかと申しますと、女学生諸君が交渉がうまく行かないのでハンストをやつた。ハンストの善惡につきましては私ども共産党員も実は考えております。考えておりますが、しかし事実ハンストをやつた。このハンストをやる原因になりましたものは、病院に採用しないという一方的な態度でやつた、それでは困るという交渉中に、採用しないのだから出て行けということから、寄宿舍で受けておつたところの食糧通帳を強制的によそに轉出の形でやつてしまう、そうしてその轉出証明を強制的に病院がやるので、それでは困るというので再びこつちでもらつて來て、病院で受継いでもらうようにしたが、お前たちを出す予定だからこれは受取れぬというので、約一週間ばかり病院の寄宿舍におりながら、轉出証明書をつくつて病院の立場からかつてに異動さしたことから食糧が與えられなかつた。つまり一週間ばかり看護婦の一人が糧道を病院のために断たれた。こういう状態に置かれたことについて、これを警察は知つていて知らぬ顏をした。それからハンスト中に、親の名をかたつて病院の一人の瀕死の看護婦を自動車に乘せて、そうしてその看護婦を親類の家まで連れて行つた。しかしこれは親の名を病院がかたつていたことが明らかとなつて、看護婦は非常に憤慨して、ふらふらして帰つたのです。こういうことは一種の誘拐にわたると言つていい。これらにつきましては京都の警察局次長の小川君に会いまして、京都市警として、こういうことがもし諸君らの言う通り、学生の面会強要の犯罪が成立するなら成立すると、それは私ども認めていい。そういうことについて忠告をするのに警察権を発動することが必要だとおつしやるなら、それはけつこうであるが、同時にこういう大学側のとつておる、私どもの考えによれば明らかに刑法上の犯罪と思いますが、糧道を断つて一週間も食を與えない。こういうことをやつている。あるいはまた瀕死の娘を誘拐にひとしい詐術を用いてよそへ連れ出す。こういうことをやつていることに対して、一体君たちはどうしたのだ。これは何をやつているのだ。学生諸君を面会強要だと言つて取締るときには、その辺をぶちこわしたり、あるいは燒夷彈のような何か照明彈なんかを投げ込んで、大きい音のするものを投げさせて大衆を威嚇して逮捕している。ところが病院側のこういう人権蹂躙、生命に関するようなことをやつていることに対して何らの対策をしていない。こういう片手落ちをやつている。警察行政がもしそういう方針をとつているとすれば、これはたいへんなことだ。こういうことにつきまして、私どもは今日の警察、特に京都の地方自治体警察のやり方は、警察法のあの精神にまつたく反する一方的な、あまりに大衆の側を彈圧し、そうして病院の側に犯罪事実があつても、これは知らぬ顏しているというやり方、こういうことについて私どもは非常に憤慨しているのでありますが、これについては、どういうふうに樋貝さんはお考えになつておりますか。これもここでお聞きしておきたいと思います。
#19
○樋貝國務大臣 京都の事柄、大学内に起りました事柄の詳細は私も存じませんが、大よそのことはすぐ後になつて聞きました。これは御承知の通りですが、しかし面会強要は今お認めの通り、どうも私らも、大学当局がいやだというのをつきまとつて学生が面会を求めているというのは、ただいまでは面会強要になると考えております。それから本來から言うならば同情もありましよう。若い者が若い女に同情するのはもつともだと思いますけれども、しかし学生なら学生らしくふるまつてもらいたいと思います。つきまとつて面会を求めるというような態度に出てもらいたくないと思います。おそらく、それだから面会を避けておつたのではないか。これは想像ですけれども、その間の事情も考えられるわけであります。それからハンストの方も、ハンストに若い女が出るということも、これはやむを得ないことかもしれませんが、みずから自分で食わないというのですから、そうでなくても、自分の主張があるならば相当の係の者に申し出るなり、あるいは総長だか部長だか存じませんけれども、その方に申し出るなり、方法はいくらもあると思いますが、ハンストの挙に出るということはかなり穏当を欠いていることだと私どもは考えております。それについては、こういうわけだからこうだという話を学部長なりあるいは総長なりに話しても、十分に目的は達せられるだろうと思いますが、そのこともなさずに、集團でハンストをやつたということは、かなり穏当を欠くのではなかろうかと考えております。ただいまの一週間轉出を命じて食を断つたという話は、具体的には存じませんからお答えをしかねるような事情にありますけれども、しかし想像してみるに、そんな非常識のことをやつたとは考えられぬから、何かその間に双方に間違いがあるのではないかということを考えておるような次第であります。
#20
○谷口委員 大臣は御承知ないとおつしやるのでありますが、こういうことはただでたらめに人のうわさや何かで私ども申し上げませんので、事実轉出証明書というものは、たとえばどこそこにある者をこつちへ轉出させる。それがこつちへまたもどつて來ると、そのときは受入れなかつた。つまり大学にあつた者をよそへかつてに大学で出して、こつちに看護婦がおるから、それは交渉中で困ると言つて看護婦が持つて來た。そうしたら受けつけない。こういうことでその間一週間たつている。これは書類が明らかに証明してございますから、はつきりすると思う。そうして一週間ほども、その看護婦諸君に――看護婦のうちの一人か二人かと思いますが、食糧が出ない。こういうふうに糧道が断たれて、そうして宿舍からたたき出すような状態になさるなら――それまでに何回も交渉をやりまして、一應手を打つたのであります。梅林君という市職労の委員長が中に入りまして採用する、よろしいと言つて手を打つたのに、こういうことをされた。そうして後に誠意のない態度で今のようなことをやりますから、結局糧道を断たれて苦しめられるならば、いつそ食わずにということになろうと思う。それでハンストをやつた。今樋貝國務大臣は、学部長なりあるいは病院長によく話をすればわかると言いますが、話に言つても受付けない。中に入つて話をつけてきめたにかかわらず、実行しない。いろいろ手をかえ品をかえて行つても、入れない。これが実にハンストをやつてから一週間続いて、やつといろいろみんなで探しまわつて、病院の廊下でつかまえた。あああなたがいらしやるなら話をしたいというので、病院長の部屋へ入つてそこで交渉を始めた。なぜかというと、なかなか交渉がつかない。きようつかまえたのを放せば、また再び一週間も二週間も面会ができないというので続けたのであつて、私どもは決して面会強要とは思わない。そういう実情であるから、これは解決したいという一心からやつた。事実その日に長くかかつたが解決して、喜んであした調印しますと言つて両方握手してわかれている。こういうことになつておる。ところがあくる日になつてひつくり返している。ひつくり返す前には、永田警察局長の官舍で病院長と鳥飼学長と永田局長とが会つて、その会つたという祕密会談のあとにひつくり返した。それでひつくり返すのでみな学生はわあつと、これはけしからぬと言つて集つたところを、きのうのことは面会強要だと言つて出て來て扱つている。こういうことは、私は常識から言つてもたいへんだと思う。私がこの問題を問題にしておりますのは、こういう事件が幾つも幾つも重つて、つまり取締るべきでないものを一方的な解釈から取締つて、そうして警察力が足らないといつて、今のような民主運動を圧迫するような警察力を大きくしようということを種に政府がもしなされるのならば、私どもは大ごとだと思う。そういう点についてここで政府のお考えを明らかにしておく必要があるというので、今この問題を一例としてあげておる。その点で、今のようなおつしやり方でなく、樋貝さんはなかなか答弁がお上手だそうで私どもはごまかされると思いますが、ごまかさずに、眞劍な問題として、民主國家の民主警察の確立という見地から話していただきたいと思う。
#21
○樋貝國務大臣 京都のことは、今申し上げた通り、実際こまかいことは私は存じません。ことにたびたびあなたの党でもある志賀君からも、プライベートに会いました場合にも、それを言うては困るよということをよく言われますが、実際のところ、市の自治体の警察に対しては、法律上から開き直られると、私ども平常は指図をする権限を持つていないというわけで、実情の連絡くらいで聞くよりほかにはないことですから、そういうようなこまかい事情についてはよくは存じなかつたのは事実です。從つて今谷口さんのおつしやつたのがそのままであるか、あるいはその辺の違いであるかということは全然存じておらないような次第でありますけれども、政府全体としてはもとより今日の治安を保てるところの警察力を持ちたい、そうしてそれがどこか制度やあるいは財政の上に欠陷があるならば、その点を補いたいということを考えておるとともに、また今日以上に暗いところの警察に復活しようというような考えは毛頭持つておりませんので、明るい警察、言いかえればわれわれ國民のための警察ということを念願に置くと同時に、強い警察でなければならない、正しいことを強く発露できるところの警察でなければならないということを考えておることは事実でありまして、今のは非常に抽象的な言い分であるけれども、それよりほかに、じや具体的にどうしたらよいかということについては申し上げることができないのを遺憾とするような次第であります。ただいまの制度は京都のことに対して十分な價値を持ち得るのかどうか、言いかえれば自治体警察をああいう自治体ごとに独立させて行く現在の制度において、監督もできない、また同時に今までのようなことではないけれども、指導をすることは事実上は別として、法律上はないというようなこの状態がよいか惡いかということは、十分考究しなければならないことだと思つております。
#22
○久保田委員 ただいま大臣から今日の警察の治安を守れる云々というお話がございましたが、私のお尋ねいたしておきたいと思います点は、今日じやなくして、これから先に事が起きてからではおそいのであります。そのために首切り法案も通りましたし、また三原則に基きまして企業整備も行われて行く、そのために失業者がどんどんとふえて來る。結局食つて行けない場合には惡いことをしなければならぬのだ、惡いことをする者が惡いのか、あるいは惡いことをせぬでも食つて行けるようなすべての制度その他の方法を政府は考えてやらなければならないのに、それを考え得ずして、そうして今後起きて來る治安の問題に対する警察の行き方を考えました場合に、非常にわれわれは心配するのであります。ですから警察部面を担当しておられます樋貝國務大臣に、今後これから先必ず私は警察といたしまして、また治安上の大きな問題がたくさん起きて來ると思いますので、これに対する大臣の意見を一應伺つておきたい。
 それからもう一つは、東京都における公安條例の問題でございますが、議会が終ります前にこの公安條例の問題について、委員会においてこういつた問題をどうするかということのいろいろ御意見がございました。だがあれから今日までは相当日もたつております。一應われわれの委員会といたしましてこの報告をしていただきまして、そうしてこれに対するいろいろまた御質問を申し上げたい、こう思うのであります。この二点だけ承つておきたいと思います。
#23
○樋貝國務大臣 第二の点についてはさらに國警長官からお話することにいたします。
 それから最初の食つて行けるようにという御質問でありましたが、警察のことは私の考えでは最後のものだと、こう考えております。もとより私のあとに、警察のあとに続くものとして法務の方がありましようけれども、まず大体警察ぐらいでとめたい、事前に雨が降らぬようにしたいというのが警察の目的で、事故が起つてからこれを取締るというようなのはどちらかと言えば下手なことだと考えております。そこでただいまとしては、有機的に各種の政策が行われて行かないとそういうわけに参りません。だから今の御説のごとくに、まことに食つて行けるようにしなければ、國民の大多数というものはどういう政治を行いましてもついて行かないと思います。從つて税におきましても、あるいは支出の方面にいたしましても、これらの点に十分に考慮を拂つておるような次第でありまするし、私の方の内部でも繰返し繰返し申し上げました通り、どうかしばらくの間は待つていてくれないか、それでもまた待てないような事情がありますれば、政府はもとよりそれに対して十分に対策を考えておりますけれども、しかし待つてくれないか、日本民族が再び産業の方面から立ち返るために、そうむりに破壊するような行動には出てもらいたくないということを考えておりますので、なるべくがまんできるだけはしてくれないか、そうして政府部内におけるところの不平等その他惡いことがあるならば改良しようということを考えておるようなわけで、今度の行政整理に対しましても決して何も首切りが目的じやないので、結局國民の大多数が今日の官吏は多過ぎるということ、他面においては行政の数も多過ぎるということ、そういうことを整理してくれということが國民の今日の声でありますので、その声に應じて行こうということを考えたような次第でありまして、その結果といたしまして首切りのために食えない者があるならば、それが食えるような道をとつて行こう、だから今度の行政整理にしても、なるべく配置轉換の方法によつて失業者を出さないということを考えておるような次第でありまして、この間もちようどある停車場へ参りましたところが、これに対して何かわれわれが多数を頼んで專制するというような声もありますが、國民の大多数が考えて、多数を與えて、國民から政治をわれわれに委託してやりました以上は、われわれはその國民の考え、その氣持に應じて、そうして政治をとつて行きますのを、いきなり初めから反対しようというような少数者の意見を暴力をもつて通そうというようなことがあるとするならば、それは避けてもらわなければ困る。どこまでもそれに対して排除的行動をとつて行かなければならぬから、もしそれが多数に対してかすに時をもつてして、なおかつ政治が惡いというならば、あるいはそれに対して担当しておるところの人間をかえるなり、あるいは根本的な考えをめぐらすなりしても、また適法の手段で方法があるではないかということを申し上げるような次第であります。少数者の考え通りに行かぬから、すぐ暴力をもつて行こうということになつたら、國の治安というものはとうてい保てませんし、民族というものが一團となつて行くことはとうていできませんから、それに対しては一人、二人のあるいはまたごく少数の人間が異論をとなえたところで、それはしばらくだまつておれというほかにはしかたがないと思います。警察の発動もそういうときになればやむを得ないことだと考えておるような次第でありまして、原則といたしましては、私どもは警察を発動しないことが理想的である。またこれも技術的な一環として警察法を考えなければいけないということを思つておるような次第であります。
#24
○斎藤(昇)説明員 ただいま久保田委員からのお尋ねの問題はわかつたのでありますが、何か前にちよつと委員会で問題になつておつたのですが、その後どうなつておるかというお尋ねだと思いますが、どういうお答えをしてよいのか、私は前の点を知りませんので、御質問の趣旨をもう少しはつきりしていただきたいと思います。
#25
○久保田委員 それは前に本委員会で東京都の公安條例をしかれるときに起しました問題、われわれの同志である橋本金二君がなくなられましたときの警察官の問題等に対して本委員会でそれをどうするかというようなことのいろいろな意見があつたのであります。これは日も早いことでありますし、問題も檢察廳の方でいろいろ調べているけれども、委員会は委員会としてこの問題を十分調査する。そしてそれに対する方法をとらなければならぬじやないかというようなことであつたのです。ところがそのとき警察側では、この問題をまだ十分に本委員会において報告できるだけの資料はないということであつたのです。ですから今日は大分日もたつておりますので、その結果を一ぺん知らせてもらいたい。こういうのが私の考え方なんです。
 それから続いて今樋貝國務大臣から御答弁いただきましたが、樋貝國務大臣は、これはひがんだ御答弁をなさつたと私は感じておるのです。それはむろん食うて行く、行けないということは、安本その他の経済的な問題でありまして、よくわかつておりますが、そうでなしに今後三原則その他いろいろの問題が起つて参ります。これによりまして、今日ではなしに、これから先起つて來るいろいろの警察の問題等に対して、樋貝國務大臣の抱負を私は一應聞かしていただきたい。國民は、首切り法案も通つたし、また三原則に基いて起きて來るいろいろな問題について、治安がどうなつて來るかということを心配いたしております。この國民が心配しております問題に対して、警察の責任者である國務大臣は、そういうことはどう取締つて行き、また考えておるかという抱負を私はお伺いしておるわけであります。
#26
○川西委員長代理 橋本君の件に関する答弁は樋貝國務大臣からあわせて行うということであります。
#27
○樋貝國務大臣 今も申し上げましたように、大体警察は最後に出たという考えでおります。從つて経済の関係におきましても、今日の非常に税が高いとか、あるいはまた失業者が出るだろうということに対して、失業者が出ないようにする。それでも出ました場合においてこれを救いたい。たとえば発電所にいたしましても数十箇所に対して、ちようどあなた方の内閣だつた時代に出願したのが、今日許されたのもありまして、次々に今年から着手して行く。いろいろ配置轉換をやることによつて、そう実人員を首切るということがなくても十分にまかない得るのではないか。それでもなおかつ失業者を出す場合におきましては、十分に手当を盡したいというように思つております。それに対してどうもこれ以上警察の方面でどうするということは、ほかの関係もありまして、警察だけで一本で進めるわけではありませんので、その点を御了承願いたいと思います。しかし最後には明るい強い警察であるということだけは申し上げますけれども、なるべくそういうふうに行きたくない、それでなくて收めることが理想でありますが、しかし必要であればしかたがない、どこまでもそういう態度で行きたいと考えております。
 それから東京の方はまだ條例がかかつていないうちに騒いだのです。この間ちようど委員でない方までおいでになりまして、たしか共産党に属しておる方でしたが、のどのところに巡査の暴行したあとがあるというようなお話でありましたが、解剖の結果においても現実においても、それはそんなあとなどはないそうであります。それからまた窓から三人投げ落したような、見て來たようなことを言われましたが、事実はそれも窓ではなかつたというような話も聞いております。何にいたしましても、私の方から照会できない自治体警察になつておりますから、從つて事実を傳え聞いただけであります。その後においても、たしか中澤君と志賀君と、若い、名前を知りません人と三人で私に面会に來たのであります。そしていろいろなことを言うから、見て來たようなそういうことを君言うては困るじやないか、見て來たのなら自分がそばでついていて見たんだろうから、自分が起訴しないことはないだろう。聞いたことなら聞いたことだと言つてくれ、こつちも聞いたことであるから聞いたことだと言つたので、現に一時間前に警視廳の課長が答弁したのに、答弁しないことを君ら答弁したというようなことを言つては困るじやないかというようなことを申したような次第であります。その点反省を促したのであります。そういうようなわけで自治体の方につきましてはなお機会を得てさらに詳しく申上げることにいたしますが、ただいま申し上げたような事情で、自治体の方には私の方からどうということになりませんから、もう少し事が大きくなれば私の方で檢討するつもりであります。御了承願います。
#28
○中島(守)委員 時間がおそくなりましたから簡單に御質問申し上げます。わが國の警察は最近に至つて根本から形がかわつて、いわゆる自治体警察になりました。私は理想としては日本全國、全部自治体警察にしたいという考えを持つておつたのであります。しかしいろいろな関係で現在のように、一部は國家地方警察が受持つておるような形であります。ただ政府並びに警察に從事しておる幹部は、自治体警察に対して非常に不安を持つて、心配されておつた。なるべくならば限られたものを自治体警察にしてなるべく多数を國家警察にしたいという考えが強かつた。ところがだんだん現在のような状況になり、自治体警察が非常に動搖しておるのであります。私どもの信念と異なつて非常に遺憾に考えておるのであります。日本の國家から申せば、私から申せば警察はあげて全体を自治体警察に移したいのであります。そうしてこれの連絡を十分完全なものにして、國家全体の治安を維持して行く、こういう建前であります。ところが現在の自治体警察というものは極端にばらばらであり、また政府の指導も足りないのではないかと思うのであります。財政面では自治体の財政を極端に圧迫し、そうして警察官はとにかくその地方においても比較的優位な立場におるために、警察官に対しては地方自治体が相当に遠慮しておるような形が多いのであります。ここに非常な地方自治体に苦痛を與えておる結果として、現在のような空氣になつておるのであります。私から申せばこの地方自治体警察は、政府がこれをなるべく完全なものに育成しようとしたならば、いろいろな方法も手段もあると思うのであります。何となれば地方によつてはもう少し定員の減少をはかり、あるいはまた現在のような切り詰めた財政においては、特に次の國会などには補正予算も出ると思いますが、そういう自治体に対しては幾分でも今年に限つて援助をするというような形において、この自治体警察を完全にするというような建前で行く方法もあるのではないか。その他各種のことにおいてあるのではないかと私は思うのであります。先ほども小さな警察においては、まつたく集團犯罪人のようなものは取締りができない。こう言つておりますが、これも政府の指導によるので、私どもの考える自治体警察の本旨は、國民全体が警察であります。私ども一人一人が警察のことに從事しなければならぬ。その第一線に立つておるのが警察官であるという観念で自治体警察をつくり、これに共鳴しておるわけであります。そういう方法もあるのではなかろうか。指導的立場におらない小さな五人か三人の警察官のおるところには、必要な場合においては協力するものをつくるように指導することが当然ではないか。私ども國民の方の立場からいえば現在の政府は自治体警察を欲しないのではないか。こういうふうな極端なひがみを起すような観念を持つのであります。かようなことでは私は日本の國家全体の上に、治安を維持することは困難になるのではないかと思う。今のうちに私は自治体警察に対して十分政府がこれに関心を持つて、そうしてその地方の治安が維持できるようにし、また各自治体警察が連絡をとつて、そうして大きな警察力を発揮するような方法をとるということが、私は政府の責任であると思うのであります。地方自治体に対して、各種の仕事に対しては、ずいぶんこまかに指導しておりますが、自治体警察に対してはまつたく私は等閑に付しておるように見るのであります。この点政府としてはこれらの方針はどうか。またこのごろ閣議において警察問題を相当に御協議になつた模樣でありますから、その信念を伺つて、私ども立法府におります一員としても、考えてみなければならないと思うのであります。これをお伺いいたしたいと思うのであります。樋貝國務大臣から遠慮のない御答弁を願いたいと思うのであります。
#29
○樋貝國務大臣 今中島さんの、はなはだ失礼かも存じませんが、理想論と申しましようか、その点については私どもも同感で、もつと國民の警察をほしいということは同感であります。ところで現実を見ますると、あの警察法によりますと、自治体は自治体一つ一つみんな独立ですから、市と町村の中の市街地をなす人口五千以上の土地というものには警察を置くことになつておりますが、みんなそれがばらばらに独立しておりまして、公安委員会の任命で高級の職員が置かれる。それから公安委員は、國家のものならば総理大臣から、また地方のものならば知事から、議会の同意を得て任命されるという形になつておりますので、お互いにばらばらで行くということになり、自治体相互の間においては援助がなく、各自治体で進めということになつております。それから大体は自治体警察が中心になりまして、その補充的地位に立つて國の警察があります。その警察に対しては公安委員を通じて援助を求めることができるという規定になつております。そうして國の警察が三万、自治体が九万五千。これだけに限定されておるわけでありますが、それでありますと、大きな事件が起りますと、大きな六大都市あたりにおいてはよろしいが、小さい所におきましては、事件が起ると人数が足らない。ところが最近におきます事件は大きいのが多くて、そういう所に対しては人数が足らないという状態になるし、またふだんにおいては数が多過ぎるというので、自然ひまだから思わしくないような行動のある地方もあるというようなことで、不平が非常に多い。言いかえればふだんは多過ぎるし、事が起れば足らなさ過ぎるということで、從つて今の制度ではどうしてもその点について補いがつかぬから困るというような事情もあります。これらの点については十分に考慮を拂わなければならぬし、今の御説のごとく、自治体警察がいいか、兼職をせられるところの國の警察がいいかということについては十分な考慮が必要であります。財政上かりに助かつたとすれば國の警察より自治体警察がいいということも考えられるのですが、また地方においては今の日本の財政状態から言うならば、財政を第一としていろいろ考えを進めなければならぬという点もありますし、また監督の点におきましても、事実上の指導は別といたしまして、実際において自治体がばらばらでありますために、監督するということも、その自治体のほかには行けないという状態になりまして、監督の面から見ますと困るというような事情になりますけれども、また自治体によりますと、地方のボスと連合するというような公安委員もあり、たまたまボスが公安委員を兼ねるというような場合には、その者の一顰一笑によつて警察官が左右されるという状態にもなる。從つてその辺から弊害を現わして來るという点のある自治体もありますようなわけで、それらの点についても今日は監督のしようがないという状態であります。これらの点を考慮に加えまして、よろしきに從つて行かなければならぬと今日考えておりますような状態で、今のいろいろの御説をも参酌いたしまして、よく考えてみたいと思います。
#30
○中島(守)委員 樋貝國務大臣のお話でありますが、とにかく私どもから申せば、ただいまの自治体に対しては國では監督権もないのであります。しかしながら現状においては府縣といい、市町村といい、政府の意の赴くままに、國政あるいは地方自治体の仕事をやつております。ひとり警察は自治体警察だから指導することも困るという建前でなく、やはり現在の市町村と同じように、國の大事な唯一の機関である。ことに治安を維持するという重大な使命を持つておるのでありますから、國としてもう少し力を入れて、この自治体警察の育成をしたらどうだろうと私は思うのであります。ただいま例をあげて申し上げましたように、補助をし、金を出して本年は助けてやり、あるいは地方によつては相当に減員をやつたらいい所もある。たとえて申せば自治体警察として維持ができなくて、離村して自治体警察の責任をのがれようとする者があるから町村を合併して、自治体警察にしようというのに、それができないというようなことも、私は政府の指導方針が惡いのではないかと思う。一体完全な自治体は自分の地域の治安を維持することが主要な目的なのである。これが國全体の治安が維持せられることである。それからまた自治体警察ができました後も、ずつとその自治体警察に対して連絡するような指導もなさらないように見ておるのでありますが、もそつと指導的立場に立つたらどうか。府縣ごとであるとか、あるいは府縣以上に自治体警察の連合をさせる方法も、國では指導できるのではないかと思う。先ほども申し上げましたように、小さな町村に対しては、協力委員のようなものをつくつて、警察が自由に活動し得るという方法もとれるのではないかと思う。これは議論になりましてはなはだ申訳ないのでありますが、國家地方警察も、小さな町村はなるべく組合をつくらして自治体警察にしたいのであります。國家地方警察は地方自治体警察の力の足りない分だけを補うというような組織にしたいように考えるのであります。たとえれば現在の東京都における定員のごときものは、相当に減らしてもいいのではないか。そして國家地方警察に持つて來てよろしいのではないか。いなかの駐在所のようなものをまとめて國家地方警察が扱わないで、枢要な、ただちに應援ができるという場所に國家地方警察を駐在さして、各地方における治安の援助をやる。かりに大きな犯罪などに対してはその捜査もしてやるというような建前で、私はこの地方自治警察に対して國家が非常に大なる力をいたして、これが完全なるものにするという方向に向つてもらいたいことを希望するのであります。今のような形でなく、ばらばらだからどうもしようがないというような、まるでまま子扱いのようなことにしないで、もそつと自分のふところに抱いた大事な警察であるという観念のもとに、指揮、監督はしなくても、指導調整の労はとつてやることがいいのではないか。またその吏員に関しての交流問題もさつき出たのでありますが、それらもそつと立ち入つて、そしてただいまのこの幼稚な自治体警察に対しては國が力をかしてやつた方がいいのではないかと思う。こういう点についての樋貝國務大臣のお考えを伺いたい。
#31
○樋貝國務大臣 今中島さんのいろいろな御説の通り、一々うなずける点もあるのですが、ただ國で指導をするとしても、指導をある程度にとどめないと、どこまで指導するかどうかということが問題になつているゆえんなので、あまりやつて、國の指導が極端になるといけなかろうというのが声でして、現在ではなまけておるとおしかりを受けるかもしらぬけれども、その指導もある程度遠慮いたしておるというような実情にあります。その結果がこの警察法を施行してまだ一年とちよつとしかならないにもかかわらず、各地方團体が決議その他をもつて、これでは財政上困るということを言つて來ておるゆえんでして、私のところには実に出積しております。このような状態で行くと、警察官をふやさない限り――自治体九万五千ときめられ、さらに國警の三万を加えましたところで、総体にして十二万五千ですが、これだけの頭ではとうてい今日の犯罪状態を防ぎ得ないし、いわんや警察本來の犯罪なき状態をつくり出すことはむずかしかろうという状態で、願わくば今の人数につきましても、せめて今の倍もわれわれに與えてくれればまた自治体もどうにかなろうと思います。それらの点についていろいろ不足も感じておるような状態であるし、また科学的の捜査とか、あるいは電話とか自動車というようなものに関しましても、それら補助的な文明的なものを十分に與えていただかないと、さしあたつては実現が非常に困難だろうというような事情を考えております。ことに日本全体が、アメリカで申せば一州とかあるいは一州よりも小さいというような状態でありますので、この点も御考慮になつていただきたい一つであります。また警視廳等、すなわち東京都の自治体にしましても、首都が自治体になりましたことは、ほかには例がなく、日本だけが初めての試みでありまして、ヨーロツパにおいてもアメリカにおいてもその例はない。國の政治と密接な関係があるからということで、首都はみな自治体でなく、國の警察となつているような状態でありますので、これらもまた参考にしなければならないことであるし、現在の状態でもまた参考にしなければならぬし、いろいろと考えなければならぬことがひそんでいることを申し上げておく次第であります。ただいまの御意見に対しては十分の考慮を拂います。
#32
○門司委員 私ちよつとお聞きしておきたいのですが、ただいまの樋貝さんの御答弁の中に、何か警察官をふやして行くというようなお考えがあつたように私は聞き取れたのでありますが、これは少しお考え違いじやないかと私は思うのです。今ですら警察官の数が多い、少いということは議論になつておりますが、しかしわれわれから考えますれば、今の警察官の数であつて、これに装備と連絡が十分つきますならば十分だと思う。何を好んでこれ以上に警察官を必要とするかということであります。その点については議論になりますので、私は議論はいたしませんが、そういうお考えのもとにもし警察制度の改革が行われるということになつて参りますと、これは必然的にまた警察國家にもどる非常に大きな危險性を持つていると思います。その点については質問はいたしませんが、非常に遺憾なことであるということを、私は私の立場から意思表示をしておきたいと思います。
 それからその次に聞いておきたいと思いますことは、世の中の現状から見まして、爭議が非常に起りやすい現状に立ち至つていると私は思う。たとえば先ころの國電の爭議のような状態があります場合、労働組合その他の團体からこれに対する應援その他が非常に行われて参りまして、ややともいたしますならば、警察の取締りの対象になるかのような現状を來すであろうということは一應言い得ると私は思いますが、その場合に警察のそれに対する取締りの方針を國警としては一應明らかにしておいてもらいたい。これを私が申し上げるのは、たとえば一つの爭議がありまして、それに対して友誼團体その他が應援に非常にたくさん出かけて行く、これが外から見ますならば、非常に大きな脅威が感じられるようなことになつて参ると思いますが、しかし今日の労働組合が許された範囲で應援をし、さらにそれがいろいろな援助をするということは、決して違法でもなければ何でもないことであつて、当然行う労働組合の一つの任務であり、また仕事であると考えている。しかるにこれらのものに対して、往々にして断圧がましい行為が行われると思いますので、それはそのことのためにいたずらな紛爭を巻き起す危險性を多分に持つていると思いますが、そのことに対する当局の取締り方針がもしきまつておいでになりますならば、この際ぜひお聞かせ願いたいと思います。
#33
○樋貝國務大臣 ただいまも申し上げたのですが、私の答えた警察増員ということを、私が望んでいるようにあなたからおつしやられましたが、決してそういうことはないのですから、そこは聞き違いなさらないようにお願いしたい。もし中島長老の言うごとくに、自治体がみなまかなうというならば、増員でもしてくれれば別だけれども、そういう増員をしないと、――私はむしろそういうことは腹の中に置いたのですが、そういうのであれば、とても自治体だけでは困るから、自治体の、たとえば横に連繋をする、あるいは國警と連繋するというようなことを考えないと、それがまかないきれないということを申し上げたので、どちらかと言えば、逆のことじやないかと思う。その数をただちに今ふやしたいとか、そういうことを申し上げたのじやないのでありまして、その辺は私の申し方が足りなかつたかどうか知りませんが、ひとつ誤解のないように願いたいと思います。
 それから今の取締りの点につきましては、むしろ國警長官の方がいいと思いますから、國警長官から申し上げます。
#34
○斎藤(昇)説明員 ただいま御質問の、今後起るであろういろいろな労働運動、また紛議というものの取締り方針でありますが、われわれといたしましては、この取締りにつきましては、從前から申しておりましたことと何ら変更を考えていないのであります。許された労働爭議は許された範囲内で堂々とやつてもらう。われわれはそれに全然関與しない。しかしながら許された範囲を逸脱する場合、また違法な爭議、これについて違法性があり、あるいは起るというような場合には、警察としてはやるべきことはどしどしやつて行く。今までと何らかわりはない。今後格別強くなるであろうから特にどうこうという対策は持つておりません。今まで通りやつて行きます。
#35
○門司委員 至つて型通りの答弁であつて、私はおそらくそういう答弁以外の方法はないと思います。断圧するとはおそらくむりにも言えないと思います。ただわれわれが憂慮いたしますのは、現在の状態から見ますと、從來の爭議のように一つの会社、工場、あるいは一つの職場のみの爭議というようなことでなくして、おそらくこれは今日の経済界のもたらす現象といたしまして、全部の労働組合に対する一つの問題として取上げられて参ります。從つて一つの爭議を有利に解決することが、やはり全体の労働階級の利益を擁護する上にきわめて重要な問題になつて参ります。從つて爭議自体は從來のような形でなくして、相当深刻な、しかも全部の労働者の協力を求めるというような形のもとに私は必ず行われると思います。そういう場合に往々にしてその取締り方針といいますか、これは私は取締りということは惡いと思いますが、これを指導するといいますか、そういう角度から見ましても、往々にして行き過ぎた警察の行為がいたずらな事件を瀕発するおそれが多分にあるのであります。從つて当局の態度というものが――労働組合の持つております與えられた権限の範囲の解釈の差異が、私はそういう事件を引越す原因になつて來ると思う。一例をあげて申しますと、たとえばこの間の東神奈川の爭議の場合におきましても、八百名あるいは千二百名もの各種の労働團体の應援があつたように聞いております。これらの諸君がたくさん集まつて氣勢をあげておりますが、それが取締り関係からいたしますと、その爭議自体が不安な状態に陷るのじやないかというような氣分がするのじやないかと私は考える。こういう場合に正当な爭議行為であり、正当な應援行為であるということが混同されて、たとえば外部から應援しておりますと、爭議團との間をさくような行為が、警察当局において往々にして今日まで行われておつたと思う。もしそういうことが將來あるといたしますならば、いたずらな紛爭を起すと思います。その辺の具体的なことを私は心配しておるのでありまして、今御答弁のようなことは、これはわかりきつたことでありまして、だれでもそういうことであつて、それ以外に私の聞いておりますのは、そういう具体的の事実に対して、ほんとうにそういう労働組合の持つておる正しい権利で應援されるような場合に、警察の、むしろこの爭議を取締るというよりも、指導するという立場に立つてのお考えを聞いておるのでありまして、その辺をひとつ明確に御答弁を願つておきたいと思います。
#36
○斎藤(昇)説明員 私も同樣なことを非常に心配いたしておるわけでありますが、ただこの際特に申し上げておきたいと思いますのは、先ほども申しますように、労働関係の法規で許された範囲で堂々とやつていただきたい、そして暴力で自由を拘束したり、あるいはそういうおそれの生じないようによく御指導を願いたいのであります。それは経営者側も労働者側も、自由な立場で、少くとも身体に拘束を加えるようなことのない立場において指導してもらいたいのであります。さようであります限りにおいては、われわれの方はこれを取締るとかなんとかいうことはないということをはつきり申し上げておきます。
#37
○門司委員 爭議自体のことはそれでいいと思いますが、私の聞いておりますのは、應援その他に関する指導の方法です。爭議そのものの実態でなく、應援その他の取締りということが往々にして行き過ぎる結果を來しますので、その辺はつきりしてもらいたいというのです。
#38
○斎藤(昇)説明員 應援につきましても、何らそこに違法の状態がない場合には、警察の方は関與いたしません。
#39
○大泉委員 私はいろいろ聞きたいこともあつたのですが、時間がないので聞けませんが、とにかく今後この委員会の発言は、きわめて公平にやつてもらいたいことを私は提議します。とにかく一人五分なら五分と、二十五人なら二十五人の委員に割振つてやつてもらいたい。各派の代表意見なら代表意見として取上げるなら、それでもよろしいが、とにかく発言の要求者がたくさんあるにかかわらず、一方に偏したのでは公平な審議も正しい審議も行えないと思いますから、この点地方行政委員会の終つた後に懇談会でもして、今後何らかの方法を講じてもらわなければ、われわれ十分な意見を述べることも、あるいはお聞きすることもできないので、どうかこの点を……。
#40
○川西委員長代理 今回これは初めてやつたので、あるいはそういうこともあるかもしれませんが、次会からは通告順にやるようにします。
#41
○大泉委員 警察問題についてお聞きしたいのは、自治警察の人員の割振りというか、定員の配置というか、これが地方と都会でおのおの人口割において相当開きがありますけれども、この基準は何を根拠としてやられたか、これをお伺いしたい。
#42
○柏村説明員 現行法におきましては、自治体警察の定員の割振りについては、とりあえずは政令の定めるところによるということですが、その後施行になつた後においては、國会で定める法律によつてのみ定員の基準をきめるということになつておりますが、現行法においては政令でその基準を定めているわけであります。それで大都市におきましては、人口に対する犯罪の割合がどうしても多い、いわゆる警察の対象になることが多いということで、人口の多いのに從つて累進的に警察官の定員の比率をふやしているわけであります。しかしながら実際やつてみました結果、はたしてこの通りで將來ともいいかどうかという問題は、十分檢討されなければならないと思います。たとえば大阪市について見ますと、大阪市は百五十人に一人の割におります。ところがその付近の十万以上二十万未満の市ということになりますと、五百人に一人ということになりまして、事実上大阪とくつついておるような町において、三分の一以下に急激に減つておるという状態になつております。こういう点はやはり將來考えなければならない問題かと思うのであります。しかしながらこういうことについての是正策を考えまして、現行の政令におきましても、「大都市の周辺その他特別の事情ある市町村で、前項の基準による定員では警察事務の執行に支障ある場合は、その必要な限度でこれを増加するものとする。」ということをきめておりますので、九万五千という範囲内においてお互い融通して、特殊事情のあるところはふやすようにはいたしておりますが、なかなか各自治体の希望通りの定員を配置するほどの余裕がないということで、必ずしも警察に必要な程度に割振りが実際に行われておるということは申し上げにくいかと考えております。
#43
○大泉委員 当然犯罪檢挙とかあるいは予防とかいうような犯罪件数の多いところには多く配置しなければならぬと思いますが、ともかく自治体警察の設置というものは、先ほど中島先生がおつしやつたように、自治体の住民一人一人が警察の心になつて、いわゆるどろぼうとか、凶惡犯人とかいうものの住みどころがなくなるというように徹底したものでならぬ。こういうように、とかく都会地は犯人の隠れ場所になつたり、あるいは旅行者がたくさん集まつたり、大きな問題がみな都会に集中するという建前から、当然前項の比例にばかりはいかぬと思う。そこでやはり実態に即應した一つの融通性を保たれるような方式にこれを改めなければならぬのじやないかと思うのですが、これは自分の希望であります。またどうしてもそれでなければならぬと思う。それから人事の交流でありますが、以前は警部補以上の俸給、月給というものは、みな國家がやつておつた。今は地域的にあまり自治あるいは國家という区分でなく、人の上においてもやはり区分する必要があるのじやないか。警察署員の幹部級の者はこれを國家が交流権を持ち、あるいは任命するというような方針に改めなければ、先ほどの御意見のように、一ところに長くやつておるということは、人心の沈滯を來して、まことに成績が上らない。特に自治体が完成することになりますと、府縣知事そのものは選挙によつて長くそこにとどまる者と、また急激に変化する者、こういう建前から非常に地方において人心の変革を來しておる。こういうことを考えてみたときに、警察制度においてもやはり自治警察の幹部級の者が、あまりそこに長くとどまるということは、かえつて警察行政の成果が上らない。こういうことが随所に現われております。この点において幹部級の警察吏員だけは國家が人事の交流権を持つという方針にできないものか、これは繰返して言われている言葉でありますけれども、この点何らかの改善方法を見出さなければならぬじやないかと思うのであります。せつかく國務大臣がお見えになつておりますから、その点お伺いしたいと思います。
#44
○樋貝國務大臣 ただいまのお説のごとく、まことに人事権のないところに指揮権のないのは事実でありまして、今お説の点についての交流ということも、ただいま脳中を去來しておるようなわけでありまして、これらについてはとくと御意見を拜聽しておきまして参考にいたしたいと思います。
#45
○清水委員 先ほど來お話がありましたが、一年有余の経驗にかんがみて、新警察法の欠陷と申しますか、改正すべきところがたくさんあるだろうと思います。そのうちで、先ほど來論議されておるように、自治体警察との連絡――指揮命令といいますか、こういうものができない。自治体警察との連絡を断ち切られておるということが、一番の警察の障害になつていやしないかと私は思うのであります。それで、こういう警察制度ができて、それを実施しておるときにあたりまして、警察制度の改革増強の必要があるというような外國電報などがちよいちよい傳わつております。こういう面から今後の警察法の改善について、自治体警察の指揮命令とか、連絡協調を十分にできるような、警察制度の改革ができるような客観情勢に立ち至つておるかどうかということを、ひとつ大臣から伺いたい。
#46
○樋貝國務大臣 何にしても昨年三月七日に新警察制度が出発いたしましたようなわけで、お説の通りにまだ一年とちよつとしかたたないようなわけでございますから、いい点も惡い点も十分には結果を発露したわけではないと思います。しかしもう苦しいということが傳えられており、またいろいろ事情が申し述べられておるようなところに対しましては、特に厚い考慮を拂わなければならぬと思います。從つて今日の警察の推移がどうなつているかということは、今見守つておるような状態でありまして、頭の中ではいろいろこうではないか、ああではないかと考えたこともありますけれども、ただいま申し上げたごとくに、政府といたしまして何とも申し上げる段階にまで、達しておらないということを申し上げたわけであります。今のお説のごとく、私どももこれに対しては十分いろいろな方面から檢討して参りたいと考えております。自治体警察についての御意見も承り、また同時に先ほど申しました中島長老のお説のようなものも出て参りましたし、いろいろもつてわれわれの頭の中を洗練される機会を得ることと、深く喜んでおる次第であります。
#47
○大泉委員 警察吏員の待遇の問題であります。これが都会地はきわめて待遇がよろしい。そのごく側近したところの町村が惡いという不満を非常に訴えられるところがあるので、今度委員会があつたら聞いてみようと思つたのですが、そういう点は全國どういうような待遇の標準になつておりますか、ちよつとお伺いいたしたい。
#48
○柏村説明員 ただいまお話になりましたように、各自治体の警察吏員の待遇は、それぞれその自治体において定めることになつておりますので、財政の事情とか、あるいは警察に対するその自治体の態度というようなものから、相当に開きが出ておるというのは事実のようであります。特に貧弱な財政を持つておるところにおきましては、事実関心があつて、待遇をよくしようと思つても、できないというようなところもあるように聞いております。私どもの調べた範囲だけについて申しますと、大体大都市とか、あるいは経済のゆたかな自治体は、國家地方警察の警察官よりは、よほど待遇はよくなつております。それから小さい自治体においても、大体國家地方警察の警察官と俸給等においてはあまり開きがない程度に行つておるようであります。この待遇の問題は、警察官のみならず、自治体における吏員の待遇全体の問題として、相当考えなければならないことかと思うのでありますが、一般の吏員が大体において自治体においては高いのでありまして、從つて警察官よりも警察吏員の方が、今までのところは一般的に高くなつております。具体的にはちよつと申し上げられませんが、大体の傾向はそういうことであります。
#49
○谷口委員 議事進行について。このまま終つたのでは、私は残念だと思います。せつかくけさから皆いろいろ意見が出た。中島さんなんか、意見を申し上げて申訳ないとおつしやつたですが、ほんとうは意見を出さなければいかぬのじやないかと思う。外國電報がどう言つているとか、これは清水さんでしたか、そんなことを政府がどう思つているかよりは、警察制度を改正するか、改正する余地があるかどうかという問題は國会がきめるべきで、どんどん意見を出すべきだと思う。いろいろ意見が出ておりますので、これはやはりこの委員会を小委員会として続けて行くのだろうと思いますが、ここに專門員室の参考資料として警察関係の調査事項ですか、こういうものをここに九項目書いてあります。これは非常にけつこうだと思いますが、今後この委員会をどういう方向で行くかということについて、一應きよう見通しがつくのじやないかと私は思う。たとえば現在政府が警察行政に対して、はたして現行法の範囲内及び現行の警察制度の上で、十分にそれを生かしているかどうかという問題を調べて私どもは論議する必要があると思う。中島さんのおつしやつた地方自治体警察というものを中心にするという御意見、これは私は非常に進歩的なりつぱな御意見で、この点やはり私どもは十分民主國家として、ああいう御意見を中心にして、あの御意見に沿うて、もつと研究すべきではないかということを考えております。それから自治体警察という組織上の自治制だけでなくて、特に今後は警察行政というものと民衆とのつながり、これは中島さんの御意見の中に警察官は民衆の先頭に立つて闘う、民衆全体が警察の仕事をやるべきだ。警察官はその先頭に立つのだというお言葉があつたと思いますが、これは民衆と警察の結びつきの上に非常に重要な御発言だと思う。はたしてそれはどうしたらそういう形態にできるかということ、現在それができていないのはどこに原因があるかということは、私の考えによりますと、この問題は民衆運動と警察行政という点から、警察行政の究明、研究がこういう問題を解決する糸口になるのじやないか。こういうふうに、今日われわれが論議しておる間に、今後とるべき方向といいますか、あるいはテーマと申しますか、そういうものが幾つか出ておると思います。そういうものを委員長の方でまとめていただいて、雜然とした論議にならないように、一つ一つ解決して行くような委員会の持ち方をやつていただきたい、こう私は思うのであります。
#50
○川西委員長代理 これから一週間ごとにやるのですから、大体そういう線に沿うて、それぞれの部門ごとにまとめてやつて行くものと考えております。
 午前の会議はこの程度にいたしまして、午後二時から再開することにいたします。それまで暫時休憩いたします。
    午後一時十六分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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