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1949/04/22 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第19号
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1949/04/22 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第19号

#1
第005回国会 大蔵委員会 第19号
昭和二十四年四月二十二日(金曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 川野 芳滿君
   理事 島村 一郎君 理事 塚田十一郎君
   理事 宮幡  靖君 理事 荒木萬壽夫君
   理事 風早八十二君
      石原  登君    高間 松吉君
      岡野 清豪君    小山 長規君
      北澤 直吉君    佐久間 徹君
      前尾繁三郎君    三宅 則義君
      河田 賢治君    内藤 友明君
      河口 陽一君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 池田 勇人君
 出席政府委員
        大藏政務次官  中野 武雄君
        大藏事務官
        (主税局長)  平田敬一郎君
        大藏事務官
        (管理局財務部
        長)      内藤 敏男君
 委員外の出席者
        專  門  員 黒田 久太君
        專  門  員 椎木 文也君
    ―――――――――――――
四月二十一日
 政府に対する不正手段による支拂請求の防止等
 に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
 出第六六号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
 中共地区の一般未帰還者に対する給與の陳情書
 (引揚者團体九州地方連合会事務局長西山武
 八)(第二二七号)
 中小企業專門の金融機関設置に関する陳情書(
 愛知縣議会議長大見爲次)(第二三七号)
 養蚕業者に対する二重課税是正の陳情書外五十
 一件(新潟縣養蚕販賣農業協同組合連合会長森
 山善治郎外四千四百五十名)(第二三九号)
 製茶に対する物品税撤廃の陳情書(京都府茶業
 連合青年團長山田庄三郎外七名)(第二四九
 号)
 戰災都市に対する旧軍用地並びに建造物無償讓
 渡等の陳情書(千葉縣議会議長福地新作)(第
 二六七号)
 取引高税廃止に関する陳情書(函館商工会議所
 会頭相馬雄二外四十三名)(第二七〇号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國立病院特別会計法案(内閣提出第三八号)
 揮発油税法案(内閣提出第五七号)
 酒税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五九号)
 政府に対する不正手段による支拂請求の防止等
 に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
 出第六六号)
    ―――――――――――――
#2
○川野委員長 これより会議を開きます。
 税法の審査を続行いたします前に、昨日本委員会に付託されました、政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、まず政府の説明を求めます。中野政務次官。
    ―――――――――――――
#3
○中野政府委員 政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明いたします。
 昭和二十二年九月十二日付連合國最高司令官からの日本政府あて政府支出の削減に関する覚書の発出に伴いまして、政府はやみ價格と不当な高賃金による支拂いから免れ、直面している財政の危機を打開突破しようという異常な決意をもつて、同年十二月第一回國会に法律案を提出し、御審議並びに議決を得まして、この法律を制定せられましたことは御承知の通りでありまして、政府は爾來一年余りこの法律の円滑な運用につきまして非常な努力をいたして参つておりますが、施行の実情にかんがみまして、法律の改正にまたなければならない点について鋭意研究しつつありましたところ、今回連合國最高司令官から再び覚書が発せられまして、政府支出の削減の趣旨に沿うような競爭入札契約による政府支出の場合には、その契約額を公價として取扱うことができるよう指令されましたので、ここにこの法律の改正を必要とすることになつた次第であります。
 すなわち一般競爭契約または指名競爭契約に基いて、政府が物品、資材、建設または役務の給付を受けてその対價を支拂う場合は、政府があらかじめ予定價格を計算し、しかもその計算を合理適正なものとし、その範囲内で落札する以上、その額を一種の公價として取扱つても、決して政府支出の不当を來さないわけでありまして、覚書の趣旨もここにあるわけであると存じております。
 以上の理由によりましてこの法律案を提出いたしました次第でありますが、右に述べました覚書において、至急実施するようにとの指示のあつた関係もございますので、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。
#4
○川野委員長 本案に対する質疑を許します。河田賢治君。
#5
○河田委員 これまでこの問題につきましては、政府は総司令部の覚書によりまして、大体マル公原價計算ということが重点になつておつたと思うのであります。ところがこれについて、この前の政府委員の説明では、單に書類の手続上の問題だけでなく、マル公の原價計算によるとなかなか契約あるいは仕事の進捗が困難であるので、適正な價格ででもこれを買入れるようにしたいというようなお話があつたのでありますが、この点について明確な御答弁を、簡單でけつこうでありますからお願いいたします。
#6
○内藤政府委員 ただいまの点お答え申し上げます。本法律につきましては、先ほども政務次官から提案説明をいたしましたように、政府においてはマル公を中心に支拂いをして行け、こういうことであります。ところがマル公がないものもございますし、ことに最近に至りましては、いわゆる統制價格がだんだんはずされて行くという傾向にありまして、そういうマル公のないものにつきまして、業者側におきまして支拂いを請求する場合、労務、材料、諸役務というようないわゆる三要素に分割して、請求をいなければならぬという建前になつておるのであります。これは言葉としては簡單に申せますが、実際にやる場合には非常な苦労を伴うということで、この点の緩和についていろいろ研究をいたしておつたのでありますが、今回再び覚書が出まして、競爭入札による場合については、これは一般に競爭をもつて行うところに客観性があるという点から、この價格をマル公として考えてもよいのではないかというような考え方からいたしまして、これをマル公並に取扱いまして、先ほど申しました三要素にわけるということをやめたわけであります。ただこの場合入札にしますと政府側で予定價格というものを計算いたします。この計算の方法はマル公のあるものは、もちろんマル公によりますが、マル公のないものにつきましては、先ほど申しましたような三要素にわけるということを、今度は政府側で考えなければならないようになつたわけであります。この三要素にわけるということが、大体今お話のありました適正な價格に持つて行くということの一つの方法でありますが、性質上どうしても三要素にわけられないというふうなものがあります。たとえて申しますと、古い建物を買うというふうな場合には、これを三要素にわけるということは非常に困難でありますので、そういう場合には統制價格に基準をとりました評價によりまして、予定價格を立てる、こういうことになりますので、お話のありましたように、大体適正な價格を政府側で考えまして、予定價格というものを立て、その範囲内で落札した場合にはそれをマル公として取扱う。こういうかつこうになつた次第であります。
#7
○川野委員長 本案に対する質疑はほかにありませんか。――なければ本案に対する質疑はこれにて終了といたします。
    ―――――――――――――
#8
○川野委員長 次は昨日すでに質疑を打切りました國立病院特別会計法案を議題として、討論に入ります。討論は通告順にこれを許します。宮幡靖君。
#9
○宮幡委員 ただいま議題となつておりまする國立病院特別会計法案に対しまして、討論に入るに先だちまして、修正意見を申し上げます。本修正案は共産党を除きまする各派共同の提案でありまして、その修正案を申し上げますと、本法の附則第三項及び第四項はこれを本條の中に挿入すべきものである、かような趣旨でありまして、それを法文的に申し上げますと、第十七條に二項と三項を設けたい。その第二項は「政府は、この会計の歳出の財源に充てるため必要があるときは、前項に規定する場合の外、予算の範囲内において、一般会計からこの会計に繰入金をすることができる。」三項は「前項の規定により一般会計からこの会計に繰入金をした場合において、決算上剩余金が生じたときは、政令の定めるところにより、当該剩余金に相当する金額の一部を利益に組み入れず、翌年度の歳入の繰り入れることができる。」というのであります。
 その理由はすでに質疑の間にもしばしば繰返されたものでありますが、國立病院の事業は、特別会計が設けられております他の事業と異なりまして、必ずしも独立採算制のみをもつて押すべきでなく、公益的あるいは厚生的な面から考えまして、必要なものはこれを適切に処理して行かなければなりません。そのために生じました赤字は一般会計から補填することが、適当である。かような議論が本委員会においても、あるいは厚生委員会においても、一致するところの意見でありまして、本法の構成上、一般会計からの繰入れ処置が当分の間とありまして、しかもそれが附則に置かれておるということは、本法組立ての意味を曲解する面から行きますと、何か國立病院を切離して、あくまでも單純なる独立採算制に包含しよう、こういう傾向にあるもののごとく解せられるうらみがありますので、この際修正いたしたいと存ずる次第であります。
 なおこの法の運用の上におきましては、まずもつて單に経理面の切離しということだけでなく、また國立病院といたしましては病床を増加いたしまして、收容力を拡大するということが先決問題であります。各種の國立病院の実情を見ますると、その病院には病床数さえふやせればさらに收容力がある、もつと一般的な医療方面にも力をいたすことができるというような状態にありながら、放任されておる形でありまして、これらの設備の拡充は、かかつて國家の施設としてやるべきものである、かように考えられる次第であります。なお先般委員の質問のうちにありましたが、國立病院の民間拂下げということは現在の時勢に逆行しておる、かようなお考えもあつたようでありますが、私どもの考えでは逆な面も相当にある。むしろ國立病院の拂下げを懇願しておる向きが相当数あるのであります。たとえて申しますならば、熱海の國立病院というようなものはぜひとも民間に移していただきたい、そうしてもつと有効適切にこれを利用しよう、かような申告が切々としてあるわけでありまして、國立病院の拂下げをことさら拒否しなければならないというような理由は、全部についてないと思います。その土地々々の國立病院の実情に照しまして、拂い下げ得べきものは拂い下げ、拂い下げ得ざるものは國家において施設を拡充強化いたしまして、あくまで医療厚生のために努力していただくことが適切であろうと存じます。從いましてただいま申し上げましたような修正案を、日本共産党を除く各派共同提案のもとに提出する次第でありまして、修正案を除く他の原案につきましては、わが民主自由党は全面的にこれに賛意を表する次第であります。
#10
○川野委員長 河田賢治君。
#11
○河田委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本法案に反対の意見を表明するものであります。御承知のように、國立病院は、大体におきまして、昨年十月九日に、中央労働委員会から厚生大臣並びに大藏大臣に提出された建議書の中にも、これらの施設を利用する患者の構成を見るに、國家財政よりの補助なくしては医療のできない國民大衆が大半を占めているのが事実である、こういうふうに明確に示されております。このように國家財政の援助なくしてはできないような生活要保護者、あるいはその他全額を免除しなければならぬような非常に困窮な人が、大部分その施設を利用しておるのである。むしろ今後この方面の國家財政的な援助はますます急を要するものでありまして、しかもこういう病人がたくさん出るということは、すなわち現在の政府の、特に低賃金政策、労働の強化、こういうことによつて非常に病人がふえて來ております。從つてこういう責任のすべては政府が負うべきでありまして、こういう面から見ましても、今後この國立病院の拡大強化ということが望まれるのであります。しかるにかかわらず、政府は今度特別会計にいたしまして、もちろん独立採算制にはしないという説明がありましたけれども、しかしながらこれに行く一つの中間の段階として、たとえばこういうことが行われております。各病院においては、ちようど税務署が税金の目標額を設定して收奪すると同樣な方法で、各病院においても目標額を設定する。あるいは昨年よりも予算は約三億六千七百万円も減つております。それからまた附則において、これは他の党派の諸君から修正されました通り、当分の間というようなことを政府は入れておいて、できる限りこれを独立採算制の基礎の上に置こうとしておる。こういうふうにしてこの会計法によりまして、政府は今後独立採算制への移行の準備をしておるということは明らかなのであります。このために今日入院患者にしましても、地方財政の逼迫とともに続々と退院を強要されておる。また病院自体の施設におきましても、昔のきわめて古い施設を用いております結果、不十分な施設である。また医者その他看護婦の待遇などにおきましても、たくさんな病人が出て、定員数を昨年の夏あたり非常に欠いておつたというような事実がありまして、これは全從業員にとりましても、また一般患者にとりましても、今日の施設の内容あるいは療養の内容というものがきわめて低下しておる。また今後ますます低下して行くという方向にあるわけであります。從つてこれまで政府はこの独立採算制の移行の準備として、しばしば十何箇所にわたつて病院の拂下げ、あるいは移管をやろうとしておりまして、これらは地元の人々の反対のためにどうにか食いとめることができたのでありますが、ともかくこういうふうにして各國立病院並びにこの國立病院の存在地である地元の人々が、今日少くとも五十万からの署名をしまして、厚生委員会の方に提出したということによつても、いかに今日この國立病院の存置について、すべての人々が從來通り、あるいは從來以上にその存置を熱望しておるかは明らかなのであります。從つて私たちはこういう人人の意見を十分尊重し、そうして政府の方から普通会計と特別会計の一利一害をいろいろ言われましたが、今後これの運用の問題は制度にあるのではなく、人の問題である。普通会計にしておけば、藥を買い込むとか、濫費が多いというようなことを言われましたけれども、これは一般の特別会計における、たとえば鉄道にしましても、あるいはその他いろいろな特殊機関にしましても、今日たくさんの涜職事件が起き、あるいはいろいろな收賄事件が起きております。こういうことは結局何も会計の技術、特別会計、あるいは普通会計という区別によつて、この会計が完全になるものではなくて、要するにそれはその制度を運用する人の問題にあるのであります。從つて私たちはこういう点から見ましても、この際わざわざ特別会計にして、そうして一般の從業員の労働強化、それから患者に対する非常な取扱いの低下、こういうことをして、かえつてますます今日これに関する人々の生活を苦しめるというようなやり方となることをおそれまして、われわれはこれに絶対反対の意思を表明するものであります。
#12
○川野委員長 荒木萬壽夫君。
#13
○荒木委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする國立病院特別会計法の修正案及び修正部分を除く原案に対しまして、賛成の意を表するものであります。もとより一般会計でありましようとも、特別会計でありましようとも、要はその運用にあることはもちろんでございまして、その意味合いにおきましてはどつちでもよいようなものでありますが、ただ特別会計になりますと、とかく独立採算制的の考慮が先に立ちまして、運営上本來の國立病院の実体及び目的に沿わないような運営に陷る危險なしといたしません。さような意味におきまして、原案は附則において、一般会計から特別会計に対する繰入れを、例外的に当分の間やるがごとく規定いたしたことは適当でないのであつて、これを本分に移し入れ、そうしてあたかも独立採算をとるのが建前であるかのごとき形を変更することによつて、ともすれば特別会計に付随して起るような、國立病院の趣旨に反するような運営の疑いなからしめる改正は、まことにけつこうであると存ずる次第であります。そういたしましても、しかし初めに申し上げましたごとく、一般会計より必要な経費を繰入れるといたしましても、ただいたずらに経費の節約をはかるということに急なるのあまり、本來の國立病院の氣の毒な人たちの療養に当るべき任務をおろそかにする結果になることを、大いにおそれるものでありまして、政府当局におきましてはこの運営上本來の使命に反しないような態度において、必要あればどしどし医療施設の改善をはかり、サービスの向上を期するという見地において、運営されんことを希望する次第であります。
 以上の見解におきまして、修正案並びに修正部分を除く原案に対しまして、賛成の意を表するものであります。
#14
○川野委員長 討論は終局いたしました。これより採決いたします。まず宮幡君提出の共産党を除く各派共同修正案の採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#15
○川野委員長 起立多数。よつて本修正案は可決せられました。
 次に、修正案の修正部分を除いた原案について賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#16
○川野委員長 起立多数。よつて本案は修正可決せられました。
 なお報告書等の件については委員長に御一任を願います。
    ―――――――――――――
#17
○川野委員長 次にこれより税法の件につきまして質疑を続行いたします。大藏大臣はただいま閣議中でございまして、閣議終了次第出席されることになつておりますので、大臣に対する質疑の方はあとに願いたいと存じます。
#18
○塚田委員 質疑に入ります前に、ちよつと議事進行について申し上げたいと思います。昨日來大臣の御出席をしきりと要求しておる。あちらへ行くから來られない。本日はまた閣議が終つたら來られるということで、委員長はきわめてあつさりと御説明になつておられますが、十二時まで閣議が終らなかつたら、今日も午前中はおいで願えないのか。委員会が要求しておるのであるから、閣議を中途で切上げて來られるくらいの氣持を持つておられるのかどうか。私たちは非常に不満この上もないのであります。大体私は三年ずつとこの財政金融委員会、大藏委員会だけに一生懸命になつてやつております。私の率直な氣持からいえば、こんなつまらない委員会はない。やつておること自体がつまらないのではなく、やる人間からすると実につまらない。しかしやつておることは実に大事なことをやつておるのでありますが、やつておる人間は実につまらない。ここに内藤委員もおられますが、内藤委員なども初めからしよつちゆう一緒にこの委員会でやつて來たのでありますが、おそらく同感であろうと思います。政府はこの委員会を軽蔑しておられると思います。委員長は少ししつかりやつていただかなければならない。私たちは予算委員会が大藏委員会と並行して開かれておる間は、やむを得ずしんぼうしておる。われわれの同僚が予算委員会において、それぞれわれわれの氣持を代表して発言をしておつてくれるということで、やむを得ずしんぼうしておつたのであります。今度は幸い――幸いというのは非常に変な表現でありますが、予算委員会が終つてから、われわれの方に重要法案が出たのでありますから、せめて大藏大臣が大藏委員会に出て來られるぐらいのことは、私どもはあたりまえのことだと思います。ひとつ委員長におきましても大いにわれわれの氣持をくんで、強硬に御交渉願いたい。私たちは與党でもありますし、五月初めまでには税法が上らなければならないというので、やむを得ず、十時間という時間で質疑時間をお互いに自制し合つて、時間を非常に節約しておる。そういう状態で審議を非常に厚意をもつてやつておりますのに、大臣はそういうぐあいにして、あれがあるから出られない、これがあるから出られないと言つて、委員長もそれに暗に同意されておるかのごとき御口吻は、われわれとしてはまことに理解いたしかねる、こういうように考える。ぜひわれわれの氣持を率直にお傳え願つて、もしもわれわれの氣持通り大臣がおいで願えなければ、われわれは與党ではありますけれども、今月一ぱいに本法案その他の重要法案の本委員会通過の責任は負われないということを、ひとつ申し添えておきたいと存じます。
 次に昨日に引続きまして、主税局長にもう少しお尋ねしたいのでありますが、昨日主税局長からの御説明によりまして、営業分については大体年度内の收入の七六%ぐらいを今年は見積つて、数字を出しておるというお話であつたのでありますが、あの予算説明書の中に書いてあります数字で、もう少し詳しくお尋ねしたいのでありますが、昨年からどれだけ繰越し分を見積つておられるか。今年結局七六%というと、残り二四%、來年度への繰越す分は金額で幾らになつておるかという数字をお聞かせ願いたいと思います。
#19
○平田(敬)政府委員 前年度と申しますか、二十三年度分のうち、二十四年度の歳入として繰越す予定額は、全体で二百八億円ほど見込んでおります。翌年に繰越す分の金額としては、失礼ですが、計算いたしましてあとで申し上げます。二六%程度が翌年度に繰越される。その中には一部は審査請求の結果、減額訂正になるべき見込額も入ると思いますから、大きな額になると思いますが、あとで正確な数字を申し上げます。
#20
○川野委員長 ちよつとこの際塚田委員に御報告申し上げておきますが、先刻ごもつともな御意見がありました。委員長といたしましても、大藏大臣に強く要望しておつたわけでありますが、昨日は関係方面との折衝のためにやむなく出席ができなかつたわけでありまして、きようはもう十分ぐらいしたら参る予定になつておりますので、委員長としては強く要求しておる点だけは御報告申し上げておきます。
#21
○塚田委員 了承いたしました。そこで数字が出ないということでありますので、あとの質問を続けますのに議論の根拠が出なくて困るのでありますが、私の率直な氣持を申し上げますと、結局その年度の收入所得に対して、予算に組んでおりますものは、できるならば一〇〇%捕捉ができて、一〇〇%が全部その年度内に收入ができるということになると、非常にけつこうだと思うし、ぜひそうなりたいと思うのです。もつともまた、政府の予算の数字が年々大体一定し、收入予算の数字も一定しておりまして、繰越して來る分と、繰越して行く分とが同じくらいになるならば、議論もそう大して起らないのでありますが、現実の問題として今のように年々、昨年の数字よりも今年はうんと大きい。從つて昨年から繰越して來たものよりも、今年繰越して行く分が非常に大きいということになりますと、どうしてもこの間に負担が、われわれが考えているよりも実際には大きくなるという現象が出て來ると私どもは思う。もちろん七六%という來年に繰越す数字が、全部の所得者から平均に七六%とつて、あとの二四%を平均に繰延べて行くということになるならば、そういう問題は起らないのでありますが、そうでなしに、現実にはとられる人は一〇〇%とられる。しかしとられない人は全部來年度に持ち越すということになる。そうすると政府は統計の上でこれぐらいの國民負担なんだというような数字を出して、決してこれは重くないというような説明をされておるけれども、現実の國民負担は案外そうではないのであつて、七六%しか組んでおられない予算に対して、やはり税をかけられるものは一〇〇%、だから頭の中では七六%で済んでおると思つておる負担が、現実には一〇〇%になつておるという関係が、実際面の負担の重いということと、統計の上ではそんなに重くないはずだということの間に、相当大きく私たちは作用しておると思う。そこで政府が、國民所得に対する國民負担の割合が幾らというような数字をお出しになるときには、この数字を考慮に入れてお出しになつていただいておるのかどうか、これをひとつお尋ねいたしたい。
#22
○平田(敬)政府委員 御指摘の点は、確かに今の所得税制度の運用が理想的に行つていないということを、半面に反証する数字でございまして、これは私ども理想から申しますと、その年度の所得税は全部その年度に入つて來る、こういうことに行きますのが理想だと思つております。これは年々改善いたしまして、さようなところに持つて行きたい。今塚田委員は額がふえておるというお話でございましたが、額はふえております。ただ率から申しますと、毎年減らす計画でいたしております。昭和二十二年度におきましては、大体四割程度が翌年度に繰越されまして、そのうちに訂正減その他ございましたが、大体予算では六割強見ておりました。昨年度はそれを七一%程度見込んだのでございますが、今度は七割六分、つまり五分だけは收入が促進される。かような計画にいたしておるのでございます。額は後ほど調べまして申し上げます。從いましてこの数字は何年か経ちますれば、一〇〇%はとうてい困難だと思いますが、九〇%以上予算の計画に立て得るようなところに持つて行かなければならない。さように持つて行きたいと私どもも考えておりますが、現状といたしましては、本年度の申告所得税の状況から申しましても、これをあまりに高く見積りますと、收入の確実性を欠くことになりますので、七六%程度の年度内收入を見込んでおる次第でございます。一面におきまして、税制の合理化と運用面の改善をはかる。この二つによりまして、この率が九〇%以上に一刻も早く行きますように努力いたしたい、かように考えておりますことを申し上げておきます。
 なお國民所得と租税負担の比較につきましての御意見でございますが、賦課額と申しますか、つまりその年の所得額に対して幾ら課税すべきか、あるいは課税したか、こういう点から申しますと、お話の通り、むしろ收入額によらずして、実際の賦課額を標準にして比較するのが一つの方法だろうと考えます。ただ現実面といたしまして、実際の負担ということになりますと、やはりその年間に対しまして現実に納めた額が幾らかということが、実際においてその國民が負担した額ということになりますので、そういう見地から考えますと、やはり現実に徴收した税の負担額、それとその年における國民の所得額、こういう比較をとつてみるのが、やはり正直な見方ではなかろうか。ただ他方面におきまして、お話のように課税額と所得額との比較というようなことになりますと、実際の收入額にあらずして、お話のような比較をしてみるのも、これは一つの見方かと存じます。その際におきましては、もちろん事業所得につきましては、暦年度の國民所得に対して賦課額を比較してみる。勤労所得につきましては、会計年度の國民所得に対して賦課額を比較してみる、かような方法によるべきじやなかろうかと思います。それによりますと、実際の納税額に比べまして相当多額になりますことは、御指摘の通りでございます。それも一つの判断材料にすべきじやないかと思いますが、事実において國民が幾ら負担をしたか、こういう客観的な事実を示す資料といたしましては、やはりある一定の期間内における國民総所得に対して、幾ら租税が実際において負担されたか、かような統計をとりまするのが、どちらかと申しますと正確性が多いのではないかと考えております。しかしこれは、そういう比較をいかなる用途、いかなる方面の判断の材料にするかということによつて違いますので、いろいろな計算方法をいたしてみることは妥当かと考えております。
#23
○塚田委員 いま一つ、続きまして主税局長に伺いますが、年度内に一〇〇%徴收ができないという予定を立てて予算を見積つておられるのは、事業所得の分だけであるか。その他の收入にもあるのか。その点をひとつ伺いたい。
#24
○平田(敬)政府委員 源泉所得税は大体九五%程度徴收できるという計算をいたしております。事業所得におきまして七六%程度の年度内收入ということにいたしております。
#25
○塚田委員 その他は……。
#26
○平田(敬)政府委員 その他は、大体わずかの額でございまするが、同じくらいに見込んでおります。
#27
○塚田委員 他の税種目について……。
#28
○平田(敬)政府委員 所得税以外におきましては、たとえば法人税等は、やはり申告で納まる分は大体全額納まる。更正決定によつて徴收する分は、七五%くらいが年度内收入である。これも決定を早くいたしますると比較的收入はいいのですが、年度末に近くなつて決定する分につきましては、どうしても遅れがちな点がございますので、これを一〇〇%見積ることは、今の情勢では困難でございますから、さような見方をいたしておるような次第でございます。その他の税につきましては、間接税等はさような見方をしておりません。大体課税額がその年度内に入つて來るものと計算いたしておりまして、特別にかような計算はいたしておりません。所得税、法人税につきましては、そういうような、ほぼ同樣な計算を今いたしております。
#29
○塚田委員 それでは主税局長に対する質問はあとにまわしまして、大臣がさつそくお見えになりましたので、大臣に対する質問をいたします。
 大臣がことしの予算をお組みになりまして、予算委員会その他においての説明に、税は重いと自分も考えておるということを認めていられるようでありますが、今の税のうちで、ことに所得税のうちで、どれが一番重いというようにお考えになつておるか。これをまず最初にお聞きしたい。
#30
○池田國務大臣 私はやはり下の方の人が重いと考えております。從いまして、考えておる筋は、やはり基礎控除の引上げが第一、そして扶養家族の控除も引上げる。税率は第三、こういうふうに考えております。
#31
○塚田委員 下の方が重いというお考えは、私どもも同感でありまするが、さらにお尋ねしたいのは、御承知のように所得税の場合に、勤労所得と、事業所得と、事業者のうちでも商工業者の分と農業者の分とがあるわけでありますが、これらのうちで、私の率直な感じを申し上げますと、全体として下の方が重いということであり、さらにそれぞれの所得の中で、私どもは農業所得と事業所得に、むしろ今重さがよけいかかつておるのじやないかという感じを持つておるのですが、その点に対して大臣はどういうお考えであるか、お聞きしたい。
#32
○池田國務大臣 問題は、勤労所得の二割五分控除の点に帰すると思うのであります。そしてもう一つは、所得額の把握が、下の者には割にうまく行つておる。こういう点もありますので、結局二割五分控除をするのが適当であるかどうかという問題に、帰一すると思うのであります。
#33
○塚田委員 どうも大臣の答弁は、焦点が合つて來ないのでありますが、勤労所得税というものも確かに重い。しかし重いのは所得税全般について重い。結局これを軽くするのは國費の節減によつてやらなくちやいけない。歳出を節減することによつて國民負担を軽減できるようにして、これら全体を軽くしなくちやいけない。ただ現在の予算のわくの中におきましても、今まで勤労所得が非常に重いという感じが絶えずあつて、そのように私どももしよつちゆう配慮して來た。しかし今のような段階になりますと、ことに農業所得と商工業の所得に対する税が非常に重いということを、どうしても私たちは率直に認めなくちやならないのではないか。それは統計の数字の上から見ましても、そういう数字が出て参りますし、現実に負担をされておる人たちに実感から言つても、私どもはこれは爭えない事実だと思うのであります。從つて各所得の間のどの面からどれくらいを、どういうふうにしてとつてということを考慮いたします場合に、優先的に商工業及び農業所得に対して、特段の考慮を必要とする段階になつておるのじやないかというように私は考えるのでありますが、この点についてもう一度お伺いします。
#34
○池田國務大臣 租税制度の上で、各種の所得について重いか軽いかという問題になりますと、今は御承知の通りに、昔のように分類所得税で税率をかえておるわけではございません。從いまして問題は、勤労と、農業、中小商工業との違いということになると、二割五分控除だけでございます。しこうしてこまかく言えば、農業の方につきましては、主人ばかりでなしに、妻や子供もそれに参加しておる。その分の控除がない。この程度の違いだと思います。農業所得であるから、実際の所得額以上の見積るわけでもございません。制度といたしましては、私は大体今の制度でけつこうじやないか。もし檢討するとすれば、階級によりまして、今の勤労所得の二割五分が適切かどうかという問題だけだと思います。
#35
○塚田委員 結局勤労所得の二割五分というものがあつて、事業や農業所得にはそういう特別の控除がないという御答弁によつて、大体私の考えておる点と一致しておるのじやないかという感じがするのであります。そこで私どもの感じといたしましては、やはりこれは全面的に基礎控除を引上げるか、それでなければ、やはり農業及び商工業所得に対しましても、何らか下の方の層に特別な控除をするのがあたりまえではないか。大体今まで勤労に勤労控除があつて、他のものにそういう控除がなかつたのは、私どもが承知しておりまする理由からすれば、これは商工業や農業所得というものは、勤労所得のようにたいてい一〇〇%はつかまらぬものだという感じ、それから勤労所得に対しては何にも経費を見ておらないというような、いろいろな理由があつたというような聞いておる。またそうだと私どもも察しておる。しかし今日の段階ですと、私どもは勤労所得にしても、事業所得にしても、そういう違いを立てる理由がなくなつておるのじやないかと思う。大体今の予算からすれば、中小の事業者に対して、所得の見積りを、ある程度税務署の頭の中でおおまかにして、たとえば百のものを八十程度つかまえておくというような扱いは全然できない。むしろ一〇〇%のものは下の方になると一二〇%もとらなければならないという現実の状態になつておる。さらに生活の面にしましても、今の所得の捕捉の仕方は、大体賣上げがこれくらいあるから、経費を見てもこれくらいは所得があるだろうというような、大体のやり方になつておる。これも今のような状態ではやむを得ないと思うのですが、そういうようなぐあいに考えられる。それと一方、今度は生活の上に必要な費用というような点を考えます場合に、私は率直に申し上げて、朝八時なり九時から弁当を持つて出て、定時間に帰つて來られる人の生活に必要な費用と、朝早くから夜遅くまで働く人の生活のために必要な費用というものは、これはむしろそういう人たちの方がよけいいるのでありますから、そういう観点からしましても、やはり勤労に二割五分の控除があるというような場合には、事業所得者にも何らかのそういう特別の控除があつてしかるべきじやないかという感じを、強く今日の段階になつては持つておる。そういう点について、大臣はどういうお考えであるか。
#36
○池田國務大臣 これはなかなか重大問題でございまして、今ただちに塚田委員のような方向で行くか行かないか、やはり基礎控除の額並びに扶養控除のやり方等々と勘案して、結論を出さなければいかぬと思います。基礎控除をどのくらい上げるか。そうしてまた事業の実体において、家族がその所得に参加することを見るかという問題の方を先に片づけて行つて、しかもそれでもなお足りなというときには、事業所得の一定額以下のものについてはどうこうということが、出て來るのではないかと思います。やはり今の勤労と事業所得の違いというものを堅持しながら、ほかの方法で事業所得の方も考える。これが順序だと思います。それでまかなえぬというときに、今の第三の一定額以下のものについてどういう措置をとるか、こういう考え方の段階になろうと思つております。ただいまのところ私は、基礎控除やあるいは所得に参加した家族の方で考えるのが、適当じやないかと思います。
#37
○塚田委員 この問題はこの辺で打切りまして、ただ最後に一言申し上げておきたいのは、私どもは今事業所得者などからいろいろ意見を聞いてみまして、率直に感じますところは、今の事業所得の状態は、私たちは昔から、かせぐに追いつく貧乏なしということを教えられて、その通り信じておつたんですが、今の事業者というものは、かせぎながら貧乏して行くという状態になつておるのではないか。ことにそれは御承知のように、今の所得税が名目所得もこれを除外しないで課税するという形になつておりますために、年間の物價の値上りというものを考えると、そういう面が非常に強く出て來ると思います。こういう状態は單に倫理的とか、道徳的とかでほうつておけないという問題ではなしに、資本を食いつぶす形になつておるのでありまするから、これは一年や二年、國家財政が足りないからとらなければならぬという考え方で行くということは、結局國本を枯らすということになつて、私は今の税制の一番の根本欠陷は、ここにあるんじやないかと考えております。そういう点を、大臣におかれましても十分御考慮願つて、將來の税制に処していただきたいと思います。
 そこで、税はどうしても軽くしなくちやならぬ。また大臣も何とかして軽くするおつもりのようでありますが、一体今の税を軽くいたしますのには、おそらくこれは、全般的な問題として取上げるのには、予算の削減というものができなければ、税の軽減というものはできないと思う。そこで税を軽減するということを言うときには、必ず予算を削減できるということが前提になくちやならない。そこで七千億に上る今年の予算を見ましたときに、一体大臣は、今年の予算の実行の面で、これをどれくらいまで削減できるというお見通しがあるか。またどれくらいまで節減して、その範囲内で税を軽減して行きたいというお考えであるか。その辺の数字がもしございますれば、伺いたいと思います。これはどうせ客観的な大ざつぱな数字になるかと思うが、もし頭の中に置いておる数字でもあるならば、お聞かせ願いたいと思う。
#38
○池田國務大臣 ただいま七千億余円の歳出のうち、どれだけ実行上減らし得るかという御質問に対しましては、ただいまのところ何ともお答えできません。どういう方面からまず手を打つて行くかという問題になりますと、これはやはりこの前から問題になつております二千二十億円の價格補給金でございます。先般からもう作業に着手いたしまして、今年の一月から三月までの百五十億円の繰越しの内訳につきましても檢討を加えまして、相当減らし得るような見込みがついたような次第であります。なお輸入物資につきましても極力減らして行くようにし、なおまた事情によりましては、貿易会計の輸入れ等についても、金融の状況その他によつて減らし得れば、そういう方面にも手をつけて行きたいと考えております。
#39
○塚田委員 数字が出ないというお話でありますので、これ以上お尋ねしませんが、それではもう一つ、観点をかえまして、こういう点に対してはどういうぐあいにお考えになるか。結局さつきも申し上げたのでありますが、これだけはどうしてもかかるから、これ以上は軽減できないというお考えが、予算をお組みになる場合に強いか。それともこれ以上とつては國民をつぶすから、この範囲で國費をまかなわなければならないというお考えを、強くお持ちになつておるか。その予算を組む二つのお考えのうち、どちらによけい――これはまあ相対的な問題と思いますが、どちらに重点を置いていただけるか。結局これは今後の税制改革をおやりになる場合の考え方の基本になると私は思う。結局税制改革をして、なるほど今日の状態でこれ以上とつちやならないという線が出て來たらば、それから先はやはり歳出の削減で行く。それが國の他の價格政策その他全面に響いて來るならば、むしろその方を直して行くというようにするのが、私どもの考え方としては、行き方じやないか、かように思うのですが、その点についての大臣のお考えを伺いたい。
#40
○池田國務大臣 両方の考え方が成立つのでございます。それを勘案しながら予算をつくるべきだと思います。強いてどつちかとおつしやれば、これは歳出をできるだけ減らすということを主にいたします。
#41
○塚田委員 次に問題をかえまして、私どもの今の日本の税制に対するもう一つの考え方は、どうも今の日本の税制が、ことに敗戰後の日本の税制というものが、民度がそこまで進んで行かないのに、制度ばかり理想を追い過ぎて、どうもまだその間に非常な隔たりがあるのではないかという感じがするのです。その一つの現われは、やはりあの申告納税制度の上にあると、こういうふうに私は考えておる。將來の行き方としては、まああの線で行かなくちやならないし、あの線をだんだんと國民にもなれさせて、あれが理想的に行くようにしなければならぬことは、私どもも異存はないのでありますが、今現実の段階として、それでは國民に正直に申告をしてもらつて、それに対してあまり更正決定なんかせずにうまく税がとれるかというと、これは絶対にできない。そこで、どうしてもその間、かりに臨時的な措置にしても、何かこれを矯正する、一應その欠陷の救済手段というものを、当然考えて行かなくちやならないと思う。そこで私どもは、更正決定に対する審査の機関を、民間の参加を得てつくるなり、いろいろな提案をいたすのでありますが、今日まで一つもまだ実現しておらないのであります。しかし私は、こういう考え方は、これはぜひ今後、少くとも日本の國民の納税意識というものが進んで來るまでの臨時的措置としてでも置かないと、とてもこれ以上國民に納得した納税をしてもらうことはできないのではないかという感じを強く持つておる。そのほかいろいろ例があると思うのでありますが、要するに、今の納税制度全体に、國民の知識程度その他意識の程度と合致しないものが相当あると思うのです。そういう点に対しての大臣のお考えをひとつ承りたい。
#42
○池田國務大臣 お説の通りでございまして、理想的制度としては今の制度はよく行つておりますが、何と申しましても、昔からのやり來り、慣例がありますので、ピントの合わぬところがあると思います。從いまして更正決定につきまして、ある程度の他の意見を聞くというような調整機関を設けるべく、努力いたしておる次第であります。
#43
○風早委員 昨日、主税局長にいろいろこまかい点について質問をいたしたのでありますが、きようは池田大藏大臣がお見えでありますので、少し基本的な点について御質問をしてみたいと思います。大体新聞その他で承りますと、アメリカからシヨープ博士が來訪するのはもう間近であるという話であります。その際に政府は根本的な税制改革の実行を讓つておられる。今ぼつぼつその着手の運びになつておる。こういうふうなことであると考えられるのであつて、今回の程制改正というものは、全然そこまでは行つておらないのでありまして、この際に、この改正に即してしやくし定規に問題を持つて行きますれば、まだ税制の基本的な問題についての質問というところに至らぬかもしれぬと思います。しかしながら、もう時間的に申しましても、シヨープ博士の來訪が間近なのでありまして、大藏委員会としても、その準備をしなければならぬ。それでこのきわめて部分的な改正の議案が出ております際を借りまして、政府にいろいろ警告的な質問を発してみたいと思います。なお、この点につきましては、私としては大藏委員会の中で小委員会などを設けて、特に少くも所得税の改正につきましては、根本的に檢討をやつていただきたいというようなことも考えておるのでありまして、これは委員会にもおはかりするつもりでありますが、とにかくこの問題は今日全國民がほとんど例外なく非常な関心を持つておる重大問題でありまして、政党政派のいかんにかかわらない問題であると考えるのであります。
 私が第一に問題にしたいのは、この所得税の基礎になつております所得の観念であります。アメリカからシヨープ博士が参つて、日本の税制改正についていろいろなサゼスチョンなり、あるいは指導を與えるということでありますが、その際に、アメリカにおける所得の観念と、日本における所得の観念との現実の根本的な相違を明らかにしておかなければ、とんでもないことになりはしないか。御承知のようにアメリカ的生産水準というのは、わが國の生活水準一般と比べますと、比較にならないほど高いのであります。早い話が労働者だけをとつてみましても、大体アメリカの労働者の平均賃金というのは、少しこの統計は古いのでありますが、二十二年度におきましても、年二千五百ドルであります。わが國におきましては大体三千七百円時代についてみますと、三・二人の平均で月平均所得が四千百三十円であります。これは大体月にすれば二十五ドル、年にすれば三百ドルにすぎないのでありまして、すでにこの間に八倍以上の開きがある。しかしこれは絶対額でありますが、この賃金では食べて行かれないという絶対的な低賃金、生活できない賃金というものが、わが國の賃金の大多数を占めておるのであります。これに対してアメリカにおきましては、確かに戰後において、労働者も含めて一般の生活水準は下つた。実質賃金は相当大幅に低下いたしております。それにもかかわらず、とにもかくにも最低の生活を保障するに足るだけの賃金ということは、これはもう常識であり、これがすべての前提になつておる。そこで勤労所得税というような問題も、またきわめて合理的に起つて來るのであります。ところがわが國におけるこの食べられない低賃金というものを前提といたしまして、同樣な形式をとつて勤労所得税を課するということ自体が、非常な大問題なのでありまして、根本的にこれは間違つておると考えられるのであります。ことにこれに対する所得税の割合を見ますと、アメリカにおきましては、二十二年度は年に二千五百ドルの賃金をもらつておりながら、扶養者三人の場合におきまして、その所得税は年額わずか九十五ドルであります。その比率は三・八%にすぎないのであります。これに対して、わが國におきましては、所得税負担の月額というものは、四千百三十円に対して八百二十八円になつておる。これは今度六千三百円ベースになりましてぐつと上るのでありますが、とにかく三千七百円ベース自体をとりましても、その比率というものは二〇%に達しております。これは政府の資料であります。こういうふうにそこに非常に開きがある。二十三年度のアメリカの場合をとりますと、これは四月の現税法によりまして、税額は年わずか十七ドルにすぎないのであります。所得の比率をとつてみますと、〇・六八%という非常に低いものであります。最近政府は、この日英米の國民所得対租税負担の比率というようなものを問題にいたしまして、わが國はまだその比率が低いようなことを言つておられるようでありますが、これはたいへんな間違いであります。わが國の國民所得の計算なるものは、非常な水増しであり、非常に不正確なものであります。いずれにいたしましても、この國民所得がどういうふうに全國民の間に階級的に配分せられておるかということが、一番大事な問題でありまして、これを考慮するならば、現実にかりに今の國民所得の額を認めても、その中のより少い部分がますます多数の國民の手に残されるだけでありまして、ますます大きな部分がますます少数の手に残されておる、こういう現状になつておるのでありますから、これを考慮いたしますならば、結局國民所得対租税負担というふうなものを、大まかにただ概括して比較するということはできない。その本質をかえつて誤ることになると思うのであります。いずれにしましても、具体的に賃金とその租税額との比率をとりますれば、今申し上げた通り、アメリカと比較してみましても、これは非常に高いものである。もともとその基準になつております賃金そのものが、食べられない低賃金である。こういうことを考えてみた場合に、これはうつかりアメリカの所得の観念をもつてわが國に対処してもらうと、たいへんなことになるのでありまして、この点について政府はシヨープ博士の協力を得て、税制改革をやるというのでありますから、その点については嚴重なる心構えを持つていただきたい。わが國の國民の所得というものが現実にどういうものであるかということを、アメリカ側にもシヨープ博士にも十分に徹底させてもらいたい。これはもちろん全國民、あるいは全國会議員、またこの大藏委員会としての任務であろうと思いますけれども、特に政府におきましては、直接その交渉の場合において、この点を十分に考えていただきたい。これについて政府の所見を伺うものであります。
 ついでながら今の所得の問題につきましてアメリカにおきましては、たとえば学生などでも苦学生といつたような最もひどい生活をしておる者でも、とにもかくにも一日に三時間も働けば、それで三度の飯は確実に食べられるといつたふうな状況である。一週間の終りにはタキシードくらい着込んで、そうして女優さんはだしの非常にしやれたかつこうをしたガール・フレンドなんかと映画に行くとか、あるいはダンスに行くとかいつたようなことができる程度の水準でありまして、大分日本の状態とは違うのです。労働者については言うまでもありません。そういうふうなことであり、またイギリスなんかにつきましては、これは少し古い戰前の話になりますけれども、私がロンドンに参りましたときなんか、あすこのハイド・パークで労働者が演説しております。ちようど小麦の價格がほんのわずかばかり値上げになりまして、そのために実質賃金が下るとたいへんに大きな声で演説をやつておつた。そのために毎朝自分のかわいい子供に卵を二つやつておつたのを、一つに減らさなければならないということを非常に強調しておつた。しかし日本で毎朝卵を二つはおろか一つでもやれるだけの家庭は、よほど富裕な家庭でありまして、多数の労働者の家庭、その他サラリーマンの家庭においては、なかなか子供一人々々に卵を一つずつやるということはできる氣づかいはない。こういう実質を見ても、この点は十分わかるのであります。さらにわれわれが生計費の中で占める食費の割合は、生活水準を端的に表わす一つの表わし方に今までなつておつたのでありますが、現に戰前におきましては、四五%以上を食費が占める場合においては、これはカード階級である。救護法による救護の適用を受ける。こういうことを言われておる。ところが現在におきましては、ほとんど労働者は言うまでもなく、多数の國民におきまして、その生計費の中で占める食費の割合というものは、六〇%から八〇%に達しておるのでありまして、この点から言いますならば、現在わが國民の大多数はカード階級である。もう國家から少しおつりをもらわなければならない。國庫から救護を受けなければならない。こういう状況に立ち至つておるのであります。アメリカにおきましても、もちろん戰前から比べると――戰前には食費の割合は労働者におきまして大体二五%以下でありましたが、現在は四〇%に達しておる。これははなはだその生活水準の切り下げが行われておる。しかしそれでもまだいわゆるカード階級には達しておらない。こういうことを十分にやはり前提的に考慮して、当らなければならないと考えるのであります。それにつきまして勤労所得税と事業所得税というものが、先ほどから塚田委員によりましても問題になつておりますが、確かに今日ではある意味におきまして、勤労所得税と事業所得税との本質上の違いはなくなつて來ておる。これは決して勤労所得税が当然のものであるということではないのでありまして、逆に事業所得税というものは勤労所得税と同樣に大衆課税である。その生活費に食い込む課税であるということを意味しておるにすぎない。私はこの点で今まで大衆課税の全廃という要求を、労働階級の側からもまた共産党の側からも常に提起しておりましたが、大衆課税の全廃という意味は、今やただ單に勤労所得税の全廃だけでなく、事業所得税のうちの大部分にまで及ぶのであるということを申し上げ、かつそれが日本においては絶対に必要であり、また正当であるということを申し上げたい。この点につきましては幾らも実際のなまなましい資料を提供することができますが、これは政府でも十分にお持ちだと思います。事業所得税におきまして一番問題であるのは、言うまでもなく必要経費の算定の仕方であります。この点は質問の一つの要項になるのでありますが、今まで必要経費というものに、生活費は入つておらない。事業所得税の場合におきましては、とにかく必要な経費の中には家賃があつたりあるいはいろいろな材料費、仕入費、その他電燈、光熱、こういうものはあるかもしれません。また雇い入れをした場合におきまして、その雇人の給料というものは、むろん必要経費のうちに入るのでありますが、かんじんのその商店なら商店の主人なり、あるいは家族なりが一家全体こぞつて、先ほど塚田委員のお話のごとく、朝から夜おそくまでほとんど二十四時間は常に働いておる。この労働はどこから出て來るかと言えば、結局三度の飯を食べて、家族をやはり養つて行くところから出て來るのでありますが、家際必要経費の中にはこれらの生活費は完全に入つておらない。ここの根本的な矛盾がある。これは都合のいいところ、つまり会社などにおきましては、資本と労働との関係でありまして、資本家は労働省を雇つて、自分たちの私生活はまた別にある。ところが中小事業者の場合におきましては、そういう関係がないのであります。事実自分の生活と労働とその事業とは不可分の関係にある。でありますからちようど資本家が雇人を雇つて給料を拂う。それが必要経費に算出計上せられるということと同じ意味におきまして、自分自身の労力費、自分の家族の労力費、こういうものは当然に計上せられてしかるべきだと思う。この点がないために、当然赤字になり、生活に食い込んでおるにかかわらず、帳面ずらは、ある場合には黒字になるということすら出て來るのであります。これはまことにおかしな話なんです。実際においてはもうほとんど大部分が赤字なんです。今日ではその計算を拔きにいたしましても、なお赤字になつておる。これほどひどい状態でありますから、まず第一に必要経費の中に生活費を入れるという税制改革を、ぜひともやつていただきたいと思うのであります。この点については政府はどう考えておられるか。これを最後に伺つておきたいと思います。一應お答えを得て、また質問を続けたいと思います。
#44
○池田國務大臣 風早委員は詳しくお述べになりましたが、要点はアメリカと日本との所得の観念というものでなしに、税率の違いが主になつておるようでございます。お話の通り私の記憶するところでは、アメリカの平均労務者の家庭におきましては、大体二千八百八十ドルぐらいの年收になつております。日本では十三万円ばかりを現在見込んでおるのであります。しかしてアメリカにおきましては所得税の負担が一・二――三%になつておる。日本では今の税制では一〇%あまり、こういうような違いがあることは私も認めるのであります。しかしてイギリスにおきましては、アメリカの税負担よりも下の方はもつと低くなつております。そこで先ほど申しましたように日本の所得税負担は高い。そうして下の方をできるだけ軽減しなければならぬという点も、こういう思慮から出ておるのであります。先ほど來申し上げましたような方針で、税制改正の案をつくりつつあるのであります。
 第二の御質問の、生活費を所得から控除するという問題でありますが、だれの生活費かという問題でございます。私はただいまのところ、所得を得る人の、所得者の生活費を所得から控除するつもりはありません。ただ家族の者がその所得を得るに相当貢献した、こういう場合におきましては、家族についても何か基礎控除的なものを考えたいという点でございます。
#45
○風早委員 非常にお答えがあいまいでありまして、大体私の伺つた第一の点につきましても、はたして実際この所得というものの観念につきまして、根本的に政府は頭の切りかえをやつて行かれるのかどうか。それからさらに第二には、所得税額が非常に日・英・米を比較いたしましても、日本は所得に対する所得税の比率が高いということを認めてはおられますが、それを事実どういうふうに軽くしようとせられるのか。その点についての具体的な方策はまだ伺うことはできなかつたのでありますが、この点はぜひとも成案を立てて、早急にいたしていただきたいと思うのであります。
 次に最後の必要経費の点でありますが、これについては結局主人の生活経費に計上するということは、やるつもりはないというお話であります。しかしながら主人と言いましても、これは資本家ではないのです。中小企業というものは資本家ではない。自分で働いている。もしもかりにその主人が病氣になりまして、主人のかわりに一人でも人を置かなければならないということになりますれば、当然それは必要経費に計上せられるのであります。しかるに自分自身が労力を出しておるばつかりに、それを計上せられないということは、これはりくつから言つてもおかしいと思う。りくつだけではなしに、現実にその生活ということが中心で、生活をやつておれば商賣ができる。生活ができなければ商賣はできない。こういうような不可分の関係になつておる場合におきまして、その生活費というものは、いわば工場経営で申しますれば、生産費の内容になるということは当然であると考える。これは中小事業所得者だけでない。農民の場合におきましても同樣でありますが、農民の場合でもやはり乙種事業所得においてはこの生活費が入つておらない。農民が朝から晩まで野良で働くことなしには、その事業はやつて行けない。働く者はどうしても三度の飯も、子弟の教育も全部含めた生活費でなくてはならない。こういう点について、農民もまた中小事業者もまつたく同樣だと思うのであります。いずれにしても、その生活費というものを入れないというりくつもなければ、実情にもそれは合わないのであると強く考えておるものであります。この点につきまして、現にまた税務当局は、下部機構におきましてはどういうことをやつておるか。もちろん申告という制度がありましても、まだ十分な知識もなし、申告が不完備であるという事柄をたてにとられるでしようが、とにかくお前さんのところでは何人おるか、それで月々どのくらい生活にかかるかと、まず生活費を聞く。それはどういう意味で聞かれたのかわからないから、業者の方では幾ら幾らかかりますと答えると、そうか、それだけ食つて生きておるならば、当然これだけ税金を加えてもさしつかえなかろうというように、生活しておるということから、逆にただちにその收入というものをあげる。收入というものを見込んで高い税金を課して來る。かような実情になつておるわけであります。そういうところから見ましても、われわれは生活費というものを当然にやはり経費として勘定して、それでもなおかつ残る純所得に対して、初めて正当なる所得税というものが賦課され得るのだと考えたい。そういう意味で今の大藏大臣の御答弁は、今までのあり來りの御答弁を一歩も出ていないのであります。今日は日本の國民をあげて、この税制の根本的な改革ということを今日程に上しておるのでありますから、この際に今までの古い観念を一擲して、そしてこの必要経費の問題につきましても、根本的にひとつ白紙になつて考えていただきたい。現実をまず十分つかんでいただくところから出発していただきたい。そうでなければ労働力の再生産と申しましても、そういうことはできる氣づかいはない。日本の民族の基礎であるこの労働力の再生産が結局できておらないことになる。そういうふうなところに、どうして日本の民族の強固な発展独立ということがあり得るかと申したいのであります。これは今お答えは一應ありましたが、この点については政府としてはもつと何度も十分にこれを檢討していただきたい。そうして大藏委員会から、廣くはまた國民の意見を聽取してもらいたい。こういう点でひとつもう一度大藏大臣の所見を伺つて、私の質問を打切りたいと思います。
#46
○池田國務大臣 いかに頭を切りかえても、風早君のような所得の計算法には私としてはなりません。そうして主人の生活費を必要経費としない建前は、世界至るところで用いられておる現状でございます。
#47
○風早委員 打切ろうと思いましたが、はなはだどうもこれでは困るのでありまして、世界至るところでと言われるが、そこに私が先ほどから申しているように、日本の生活水準というものと、各國の生活水準というものはまるで違う。世界至るところと言われるが、あなたはイギリス、アメリカあたりを言つておられるのだと思いますが、それではまるで違う。前提が違うのであります。今まで定收入あるいはその事業からの定收入では、事実食つて行くことすらできない。そういう実状をどうして見逃がして議論ができるか。そういつたような実情に即して、もう一度やはり白紙に返つてやらなければ、いくら税制改革をやつて行くと言つてもできはしない。そういうふうな心構えでもしも政府がやるならば、とんでもないことになる。それではちつとも税制改革になりはしない。むしろそんな心構えで行かれるならば、形式ばかり向うの形式でじやんじやんやるならば、かえつて所得税につきましても、その負担が重過ぎるというような危險もあるのであります。そういう点ははなはだ不満であります。私はお答えはおそらくないと思いますから、ただ嚴重な警告を発しておきたいと思います。
#48
○池田國務大臣 そういう問題は主人の生活費を所得の必要経費として見る問題でなしに、私は基礎控除の税率の問題で考えて行くべきだと思つております。
#49
○三宅(則)委員 昨日に関連いたしまして、一言大臣にお答えを願いたいと思うのであります。私は昨日大臣のお留守のときに主税局長にお尋ねしたのでありますが、今日の税制につきましては申告納税になつておりまするが、大体において八〇%までは更正決定できまつて來るのであります。これを円滑にせしむるために、ぜひ私は各市区町村に十数名の選ばれたる財務調査員なり、税務調査員なりを設置いたしまして、これらの委員によつて政府原案は税務署長がつくるのでありますが、これを最後に決定するものは財務調査委員なり、税務調査委員なりの委員会によつて決定してもらう方が、穏健ではないかと考えておつたのであります。この質問をいたしましたところ、主税局長は、会計年度が三月に締め切られるような場合においては、これは不可能である。たとえば一月に予定申告をして、二月に更正決定をし、三月に徴收するのでありますから、それは不可能であつて、会計年度が六月になればできるかもしれぬというような御答弁でありましたが、私の観念といたしましては、それについては申告なり、もしくはそれを調査する期間を早めて、毎年十月なら十月にすでにそういうような仕掛にするということを考えております。もしそれができないとするならば、会計年度を六月あたりにお直しになるような希望があるかどうかということとあわせて、この二点について大臣のお答えを願いたいと思います。
#50
○池田國務大臣 問題は正式に税務調査委員というものを政府が任命するとか、あるいは納税者が選出してそういう機関を置くことがいいかどうかという問題でございます。三宅委員御承知の通り、從來は納税者から選出された者をもつて、所得調査委員会を構成いたしたのですが、これは予算申告納税主義に反しますので、やめたのであります。やめることの可否につきましては、先ほど來塚田委員のおつしやつたような議論もあります。あまりに手のひらをかえるようにかえて、かえつて國情に沿わないことはないかという議論も出て來るのであります。しこうして今正式に所得調査委員というものを、各市町村に設けますことは、関係方面といかに折衝しても行かない状況でございます。しかし民間の精通者の意見を聞くことは、税務の執行上必要でございますので、正式の機関を設けて、各業者團体につきまして諮問したり、あるいは業者團体に帳簿の記帳方法等を指示いたしまして、それに乘つかつてもらうようにいろいろな交渉をすることは、非公式の問題としてはけつこうだと思います。今後とも御意見のような方法でやつて行きたいと思つております。
 第二の点は、予算申告納税制度だから、もし委員会を設けてやるならば、会計年度の三月を六月にするという問題でございますが、私はその問題については、そう思つておりません。第一回の更正決定のときに委員会を設けられるならば、一月から六月までのものを委員会にかけてやればいいのでございますから、問題は委員会を正式に設けるかどうかということが、問題になると思つております。
#51
○三宅(則)委員 たいへんに大臣の親切な御答弁でありまして、けつこうでございますが、各選挙区をまわつてみますと、どちらにおいても同樣であろうと思いまするが、税金の問題が一番深刻に扱われておるのでございます。でありまするから、先ほどのお話にありましたが、ぜひ五月ないし六月には根本的に税制を改革せられまして、納得の行く納税――またわれわれも喜んでこれに対する措置を講ずるように、政府当局から案を出されんことを、特にお願いいたしたいと思います。
#52
○宮幡委員 時間の関係でこの際おもな点につきましてお聞きし、こまかいことはまた事務当局とよく御相談して伺いたいと思います。
 税制の改革ということが近き將來に檢討されることに、多くの期待がかけられておるわけでありますが、さしあたつての問題といたしまして、現行の所得税法の第六十四條に「收税官吏は、所得税に関する調査について必要があるときは、事業をなす者の組織する團体に、その團体員の所得に関する事項を諮問することができる。」とあるわけであります。いわゆる協同組合とか、商工会議所というようなものを、諮問機関として取扱うというような規定でありまするが、税務行政の実情におきますると、ともするとこの諮問と團体交渉とが混同されまして、幾多の弊害を生んでおるように承知しておるわけであります。從いまして所得税法第六十四條の言いまわしと言いますか、あるいは字句の訂正と申しますか、さような方面において、諮問が團体交渉と混同しない、適切なる措置を講ずる必要があろうと思いまするが、この点につきましての大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
#53
○池田國務大臣 その條文は昔の営業收益税法二十六條か何かにございました通りでございまして、ずつと從來から諮問という規定になつておりまするが、團体交渉にまで進む例が多いのであります。しこうしてまた昔は、團体交渉が一概に惡いとも言えなかつたのでございます。これは相手の團体と税務署長との肌合いと言いますか、うまく行けば非常にいい制度で、われわれも昔やつたことがある制度でありまするが、逆に行けば非常に惡いのでありまして、今の考え方といたしましては、原則として團体交渉はやらないという考え方でおります。しかし團体交渉をやつた場合に、諮問の程度が團体交渉まで行くようなことも、ときには例外的にはあり得るというぐあいに考えております。
#54
○宮幡委員 次に加算税の問題でちよつと大臣の所見を伺いたいのであります。加算税が高過ぎるという声があるのであります。この高過ぎることはわれわれも率直に認めなければならないのであります。先般当委員会に一万田日銀総裁を招きまして御懇談をいたしました節に、もし物價やその他の経済事情が、現状のままであるという想定のもとに、金利水準はどこに置くかというお尋ねをいたしたのであります。その場合に金利水準は現在の程度を保ちたいという御答弁でありました。從いましてその現状にとどめて置くという趣旨をさらに掘下げて参りますと、表向き、あるいは裏と申しますか、やみ金融等、一切の部門を通じましての金利を、だんだん低金利の方に向つて進めたい御意向があるようにも伺えたのであります。加算税というものは一つの懲罰的意味を含んでおるものであることは、この立法の精神でわかるわけでありますが、あくまでも表は利息であります。現在これが日歩二十銭になりまして、しかも金詰まりから滯納がだんだんふえて來る。その場合には納税貯蓄とか、あるいは納税貯蓄組合などを創設したり、あるいは現在ありますものを拡充いたしまして、完納できる道に進むべきでありますが、その場合、納税のための金融ということが考えられる。加算税が高ければ、二十銭より十五銭の日歩の金を借りて納めてもよいというような状態が起りまして、加算税の高過ぎることによりまして金利、ことにやみ金利をつり上げるという弊害が生れて來るのであります。もちろん加算税が懲罰の意味を含んでいるとは言いながら、これを軽減すべきが適切であろう。かように考えておりますが、近くこれらについて何らかの処置をとられるお考えがあるかどうか。簡單に御答弁を願います。
#55
○池田國務大臣 今まで非常にインフレが高進しておりました関係上、懲罰的意味も加えてああいう高いものになつておるのであります。先般もこの委員会で所得税について、日歩二十銭では、延納を認めた理由がなくなるという御意見もございまして、お答えいたしておきましたが、將來できるだけ安くする。今の日本のやみ金利は別でございますが、金利水準は貸付の方についても、できるだけ低く持つて行きたいという氣持を持つております。加算税の率につきましては、とくと引下げるよう努力いたしたいと思います。
#56
○宮幡委員 ついでにもう一つお伺いいたしたい。今度の税法の改正に載つておらないのでありますが、物品税の納期の問題でございます。物品税法は私が申すまでもなく、昭和十五年の戰時立法でありまして、しかも戰爭が激しくなるにつれまして、いわゆる信用取引というものは市場から影をひそめまして、現金取引、しかも戰後のインフレの高進状態におきましては、信用取引が絶無であつて、リユツクサツクの中に百円札を入れて、かついでまわる取引が盛んでありました。從いまして物の賣買、移轉というようなことはことごとく現金でやつておりましたから、物品税を消費者負担の税としてかけましても、これを現金で納めることは容易であつたのであります。しかし金詰りが激しくなるのと、また日本の経済及び金融政策が信用取引へ移行することを望んでおります以上、市場において現にそうでありますが、手形取引が漸次旧状態に帰つて來ております。その場合におきまして物の賣買代金をかりに九十日の手形で受取りますと、その物品税の納税義務者は二箇月間現金を立替えて納めなければならない、かようなことになります。近き將來において物品税の滯納ということが、盛んに起るであろうと想像されますので、物品税の納期につきましても、できましたならば今日の改正の中に考慮に入れていただきたい。かような私見を持つておつたわけでありますが、今回の改正はきわめて当座の問題でありますので、あえてこの改正を含んでおらないということを、とがめ立ていたしたわけではありませんが、現在信用取引が盛んになつて來る実情に合わない物品税の納期であるという観点から、ぜひとも近き將來においてこの点を適切に是正していただきたい。この点についての大臣のお考えをちよつと伺いたいのです。
#57
○池田國務大臣 財政事情の関係から前月の庫出しと申しますか、移出に対しまして翌月の末日が納期と相なつておるのでありますが、現在においても担保を提供すれば一箇月延ばすことになつております。お話の点もありますので、納期につきましては全般的に考えてみたいと研究いたしております。
#58
○石原(登)委員 ちよつと大臣にお尋ねします。過日の総理の施政方針演説の中で、シヨープ氏が見えて、日本の税は軽くなるというような印象の発言がありました。また新聞記事もかような書きぶりをいたしておりましたが、國民の間には近くシヨープ博士が参られると、所得税はもちろんのこと、一切の税が軽くなる、こういうふうに理解している人が多いのであります。それで私どもこの問題についてははつきりしないのでありますが、シヨープ氏が参られて一應税制の改正ができるといたしまするならば、今年度中にでも具体的に税の軽減ができることを、われわれは期待してよろしいのか、その点についてひとつお答え願いたいと思います。
#59
○池田國務大臣 軽くなることを約束するわけには参りませんが、私といたしましては先ほど來申し述べておりますように、特に所得税につきましては非常に重くなつております。從いましてこれを軽減すべく全力を注ぎたいと考えておる次第であります。今から約束はできない状態にあります。
#60
○河口委員 團体交渉の件については、先ほど大臣から御答弁がありましたことによつて了承できたのですが、話合いをして税の公正、適正化を期するというような考え方から、北海道でもその線で農業者の所得申告に努力をいたしておるのですが、その際札幌税務局に参りましたところ、いろいろ話の経過を申し上げますと長くなりますから、簡單に要点だけを申し上げますが、話合いの結果予算がどのようにきまつておろうとも、われわれは税法によつて税を徴收するのである。從つて割当額がなかろうと所得のあるところから税をとる。このことは了承ができるのですが、最後に予算と税の徴收は全然関係がない。從つてわれわれは税法によつて税を徴收するのだと言われた。この全然関係がないというような発言をされておりますが、私は非常に大藏省が官僚的であるということを、この発言によつて強く考えさせられ、また同席をしておりました農民も、非常に不快な感じをもつて帰つておるわけでありますが、こうした考え方に対して、予算と税とは全然関係がないというような発言に対しては、大臣はどのようにお考えになつておるか、御答弁願いたいと思います。
#61
○池田國務大臣 そういうことを言つたかどうか存じませんが、形式的に言えばそういうりくつも立ちましよう。しかし法律案と予算案というものは全然異つたもので、予算案は單なる見込みでございます。しかし徴税にあたつては税法によつてやるべきでありますが、そういうことも形式的には私は言い得ると思います。しかし実際問題といたしまして、予算がどうであろうとそんなことは一切かまわない。こういうことは大藏大臣としては申し上げられません。予算というものは頭に置かなければなりません。しかし税をとる場合に予算がこうだから税法を無視して税金をとらなければならぬ。これは全然いけません。そういうことになりますと、税法の命ずるところによつてやらなければならぬ。税法の命ずるところによつて予算の食い違いが起る。これはいたし方がないことであります。だから表現の仕方がまずかつたかと思いますが、形式的理論におきましては河口君の言う通りであります。
#62
○石原(登)委員 この際資料をお願いしたいのですが、戰前三箇月、戰後は二十二年、二十一年、二十年、この三箇年の各税務署ごとで実際に徴收された税金の実績について、それから徴收予定のはずであつたもの、徴收不能に終つたもの、この三つの点について御調査していただいて、その資料を提出願いたいと思います。理由は実は各税務署ごとで非常に取扱いが違いまして、各税務署間の均衡がとれていないために、非常に納税者側に不満が多いわけです。われわれその間の事情をそれによつて知りたいと思いますが、もしそれが非常に困難であつたならば、私の関係の分だけでもあとでお願いいたします。
    ―――――――――――――
#63
○川野委員長 それでは税法に関する質疑は後日に讓ることといたしまして、次に先ほど質疑を終了いたしました政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、ただいまより討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。河田賢治君。
#64
○河田委員 日本共産党を代表しまして、政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律の一部改正案に対し、反対の意思を表明いたしたいと思います。
 從來政府事業は多くはいろいろな点から、政府の請負業者から高いものを買わされている。たとえば仕事をやつてできるだけ仕事を促進せずに遷延さしている。そうして予算が足らない、ないしは経費が足らぬと言つて、これが増額を要求するというようなこと、あるいはまた現在原價計算になつておりましても、実質上いろいろ数量的にたくさん使うことによりまして、費用をたくさんかける。こういうふうなぐあいで、いろいろと今日に至るまでなおこういうやり方が行われておりますが、特に今度この改正案によりまして、大体政府が契約したものを包括して取扱うというようなことになる。そうすると結局自由競爭あるいは一般の入札にいたしましても競爭の契約、あるいは指名競爭というような方法が行われることがありますが、こういうことによつて、特に大きな業者と政府官僚との間の結託が非常に強化される。たとえば普通の生産におきましても、今日集中生産が行われると同樣に、これによつて特に大きな土木建築業等におきまして集中生産が行われる、こういう実質を伴うものであります。從つて中小企業の土建業者、あるいはその他がこの法律の適用によつて、ますます苦難な状態に陷ることは明らかなことであります。從つて私たちはこういう観点から本法律案に反対し、特に不正手段による支拂いを政府が行つているような法律のあること自体が、今日のいかに官僚政治というものが腐り切つているかということを明瞭にするものであつて、こういう法律をできるだけ早くなくさなければならぬと思います。このために今度の司令部からいろいろな指令がありますが、行政費を節約して指令通りにやる。しかし行政費を節約するよりは行政費を十分使つて、今日このような不正な支拂いの行われることを、十分監視するという方向に向けるべきだと私どもは考えるのであります。從つてこの法案の実施によつて、今後ますます土建業においても集中生産が行われ、これによつて中小企業がますます困難な状態に陷ることをわれわれは考えますので、この点から本案に反対の意思を表示するものであります。
#65
○塚田委員 民主自由党を代表いたしまして、本法律案改正に対して賛成の意思を表示するものであります。
 大体この改正が当然行われなければならないことは、法律第一七一号がこの前に國会を通過いたしましたときに、当委員会の論議において、少くとも私どもはこの法案のねらうところが、政府支拂いを適正にやらすというところにある以上は、政府が予算を組んだその範囲内で、おそらく業者が競爭入札をして落したものは、それがどういうぐあいに使われようと、その中まで干渉するのは、おそらく目的に対して手段が行き過ぎであろうという議論を十分いたしましたが、当時はその意見はいれられなかつた。今日その改正ができることになつたことはけつこうな改正だと思います。この改正ができたことは、今のそうでなくてさえ遅延している支拂いを促進せしめる有利な手段になりますので、そういう意味においても非常にけつこうだと思うのであります。それに関連して特にお願いいたしたいのは、こういうことを機会にいたしまして政府支拂いは一層促進されますように、他の全体の面におきましても特段の御留意をお願いしたいということをつけ加えて、賛成の意見を表明いたしたいと存じます。
#66
○川野委員長 討論は終局いたしました。
 これより採決をいたします。本案に対して賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#67
○川野委員長 起立多数。よつて本案は原案通り可決いたしました。報告書作成の件につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。
 それでは、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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