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1949/04/27 第5回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第23号
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1949/04/27 第5回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第005回国会 大蔵委員会 第23号

#1
第005回国会 大蔵委員会 第23号
昭和二十四年四月二十七日(水曜日)
    午前十一時十一分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 宮幡  靖君
   理事 小峯 柳多君 理事 島村 一郎君
   理事 塚田十一郎君 理事 荒木萬壽夫君
   理事 風早八十二君 理事 寺島隆太郎君
      岡野 清豪君    小山 長規君
      北澤 直吉君    高間 松吉君
      前尾繁三郎君    三宅 則義君
      吉田 省三君    川島 金次君
      河田 賢治君    坪川 信三君
      内藤 友明君
 出席政府委員
        大藏政務次官  中野 武雄君
        大藏事務官
        (主税局長)  平田敬一郎君
        大藏事務官
        (主税局國税第
        一課長)    原  純夫君
 委員外の出席者
        專  門  員 黒田 久太君
        專  門  員 椎木 文也君
    ―――――――――――――
四月二十七日
 煙草專賣法案(内閣提出第一三二号)
 塩專賣法案(内閣提出第一三三号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 揮発油税法案(内閣提出第五七号)
 酒税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五九号)
    ―――――――――――――
#2
○宮幡委員長代理 ただいまより会議を開きます。
 本日は議案審査の都合上、午前はこの程度にして、午後一時まで休憩いたすことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○宮幡委員長代理 それでは午後一時まで休憩いたします。
    午前十一時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時五十三分開議
#4
○宮幡委員長代理 午前に引続きまして、会議を開きます。
 揮発油税法案及び酒税法等の一部を改正する法律案を一括議題といたします。右両案につきましては、すでに質疑を打切つておりますので、これより討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。前尾繁三郎君。
#5
○前尾委員 私は民主自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました酒税法等の一部を改正する法律案及び揮発油税法案に対して、希望を付しまして賛成せんとするものであります。
 この両法案は先般すでに成立を見ました二十四年度の予算の裏づけをしておるものでありまするので、あまり論議の余地のない点でありまするが、すでにしばしば述べられておりまするように、本年度の五千百四十六億に上ります租税收入は、決して軽い負担ではありません。ことに全行政の運用のよろしきを得ないことになりますると、國民の担税力の限界を越しておると思われるような過重な税金であるのであります。もつともこの点はしばしば政府も言明しておられる通り、現在の段階においては、現行税制をそのまま踏襲するが、近い將來において、ことにアメリカの財政使節團の來朝をまつて再檢討いたしまして、最も早い機会に負担の軽減をはかりたいということを申しておるのでございます。從いまして現在議題になつておりまする改正案並びに新税案は、負担の軽減を目的とはいたしておりませんが、緊急に改正する必要があるものであり、だれが來てもむりのない合理的なものに限られておるのでございます。まずおもな改正点といたしましては、酒税法の改正でありまするが、労務特配をそのまま残して、從來あまり重要でなく実益もなかつた家庭配給酒をよしまして、それをもとにしてあまりにも高い税率を引下げて、酒全体として價格を引下げるという方法をとつたのでありまして、私は非常に策の得た措置であると考える次第であります。また取引高税につきましては、遺憾ながら廃止の問題は將來に讓られておりますけれども、今回は納税方法の改正という重要なる点を是正しておるのであります。すなわち印紙納税をやめて、現金納税の制度にかえたのであります。印紙納税はりくつから言いますと、いかにも脱税防止のようではありますが、実際においてそれがほとんど励行されない。しかもまたその脱税防止の役に立たないために、非常に納税者に迷惑をかけて來ておるというので、むしろ非難の根源はここにあると來えられたのでありますが、今回この制度をやめて、現金納付の制度にかえられた次第であります。最初に取引高税を創設されましたときに、こういう方法でありましたならば、おそらく今までのような非難はなかつたものと考えられるのでありまして、そういう意味からいたしますと、今回の改正は重要であり、非常に適切なものと考える次第であります。また非課税範囲の拡張にいたしましても、とにかく公約に対して忠実に一歩前進主義で誠意のある努力を続けておられることも、注目していい問題だと思います。その他法人税の改正にいたしましても、物品税の改正にいたしましても、いずれも適切でありまして、大きな範囲の改正ではありませんが、重要な改正には相違ないのであります。また揮発油税につきましても、今までなぜこういう税金が創設せられなかつたかということを疑うような、ほとんど非難もない新税であります。從いまして、私は今回の改正は何ら反対すべき理由はない、かように考える次第であります。しかし翻つて考えてみますと、改正されたものはいいのでありますけれども、改正されないものの点において、非常に重大な問題を残しておるわけであります。先ほども申し述べましたように、所得税におきましても、三千百二億円というものを計上いたしておるのでありますが、その税率にいたしましても、基礎控除にいたしましても、あまりにも過重負担になつて、上にも下にも重いというのが現状であります。またあまりにも独断的なやり方で、調査委員会というような制度をも考えなければならない状態であります。國民から申しますと、どうも納得しかねるというのが現状であろうかと考えます。法人にいたしましても、すでに発表になつておりまする資産の再評價という問題が延期されましたために、これでは減價償却もできずに資本を食いつぶして税金を納めるという状況であります。また消費税につきましても、あまりにも高率でありまするために、いきおい脱税に追い込んでおるというのが現状だと考えます。從いましてこういうような事実に目をおおわずに、あくまで適正な現実に即するということは、何としても一刻も早くやらなければならぬ問題と考えるのであります。もちろん政府はその点努力しておられるのでありますが、なお一層誠意のある努力をしていただくことを、第一の希望條件といたしたいと考えております。
 次に第二の点は、現在の税務行政のやり方が、あまりに威嚇的であるというふうに考えるのでありまして、もつと指導に中心を置いた親切な税務行政をやつていただきたい。現在の状況でありますと、思想上にもはなはだ惡影響を及ぼしておるような状況でありまするので、この点も税務行政の機構を刷新し、その人を訓練していただいて、適切な税務行政をやつていただくということを切にお願いいたしまして、この二点を希望條件として原案に賛成をいたすものであります。
#6
○宮幡委員長代理 次は川島金次君。
#7
○川島委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になりました一括法案に対して、遺憾ながら反対の意を表明するものであります。
 第一に申し上げたいことは、政府はこの法案を提出するにあたりまして、酒税法等の一部を改正する法律案という名のもとに、六個の法律案を一括上程した來たわけであります。この一括の中に実はわが党といたしましても一應賛成の意を表したいものも若干ないわけではない。しかるに政府はこの六個の法律案を一括して上程して参りましたために、これを分割的に賛否を問われるという方法がない状態であります。こういう法案の提出の仕方に対しましては、今後相当研究の余地があるのはもちろん、本質的に言いまして、こういう形の法案の上程の仕方に対しては、審議をいたしまする側におきましても、きわめて不都合であるのみならず、その賛否の最後的な討論をいたしまするときに、われわれ議員から申し上げますれば、これまたきわめて不都合な面が往々にして今後ともあるのではないかと思う。そういう意味でまず第一に私が政府に警告いたしたいのは、今後この種の法案を出しまする場合には、原則的にここにその法案を分割して上程し、そして議会の審議の便に供するという建前をとるべきであるということを、私は強く政府に警告を発しておきたいのであります。
 さらに第二以下の問題につきましては、明白いずれ本会議の席上におきまして、わが党としましては詳細な討論を行いまして、わが党の意思を國民の前に表明することになつておりますので、この際にはできるだけ簡單に、反対の趣旨を申し上げておきたいと思うのであります。
 第一の酒税法の改正につきましては、一應政府におきましては労働者及び農村向けの酒類については、できるだけ確保をいたすという事柄でありまするが、説明の内容によりますと、労働者農民に特配いたします酒類も、方向としては減少したいという意図が、きわめて明瞭に看取される点であります。第二は、一般の從來行われて來ておつた國民配給を、全然とりやめた点であります。日本の経済を安定し生産力の高揚をはかるとともに、日本経済の復興を企図するためには、働く労働者農民並びに廣汎な勤労大衆のたしなみとするこの種酒類の配給は――むしろ二十四年度の政府の政策にありまする國民に最大限度の耐乏生活を求め、そうして國民の中に起つた奢侈的な享樂的な生活をできるだけ根絶して行つて、國民総力をあげて日本経済の安定に協力せしめるということが、政府みずから言明しておるところでありますから、この考え方から言いますれば、むしろ労働者農民に対する酒類の配給はできるだけ確保するのはもちろん、一般國民大衆の酒類の配給についてもできるだけその量を確保して、そうして一面歳入の確保をはかろうとするならば、その残余の分について増税を断行して、むしろ浮動購買力の吸收に充てるという考え方に行くべきであろうと、私どもは考えておる。しかるに政府は酒税の税率の引下げに名をかりて、表面は酒が安くなるのだという声を大にしながら、実際においては労働者農民の特配及び一般國民の家庭配給を收奪してしまうという形になつておる。この考え方はわれわれの断じて賛成のできないものでありまして、繰返して言いますならば、労働者農民及び一般國民配給の酒類はできるだけ確保するという建前、そうして日本の経済安定と労働生産力の高揚に努めることこそが、きわめて必要なる事態であると私どもは確信をいたしておるのであります。そういう意味合いにおきまして、わが党はこの酒税の改正に対しましては、反対の意を表明するのであります。なお清凉飲料税及び物品税法、この問題等につきましても、この種の税率あるいは物品の税の序列、あるいは税率、こういつた事柄に対しましては、國民の中にもいろいろの大きな議論の焦点になつているものも、かなり廣汎にわたつてあるのであります。從つて政府はこの問題に対しましてはできるだけすみやかに、本來ならば今回の二十四年度の予算の上程と並行して、根本的な税率の改正、税体系の改正を行つて、その案として國会に提出すべき性質であるべきであつたはずであります。しかるにそれがなされずして、ただこま切れ的の税法の改正をわれわれの前に持ち出して來たということに対しましては、われわれは同意いたしかねるのであります。政府は物品税のみならず、むしろただいま與党である民自党の前尾君からさえも、税制の改正を行うならば、まず先に所得税法等の改正という、根幹としての大税制改正をなすべきではなかつたかという御意見がありましたが、われわれも同感であります。その軽重の別を設けずして、むしろ簡單なものを先に出して、國民が苦難と窮乏にあえぎ、しかもそれがためには中には倒産し、破産し、あるいはまた貴重な耕作権を放棄する農村の実情、あるいは都会においては、増税のために貴重なる店舗を閉鎖するというような事態が、全國的に起つておる矢先において、政府は何をおいても税制の全面的な改正を行い、日本の國民経済と國民生活の安定確保をまず先にやらなければならないにかかわらず、それが少しもなされておらないという態度に対しましては、われわれ遺憾ながら國民の名において賛成しかねるのであります。
 なおさらに取引高税の問題に至りましては、政府及び與党である民自党の諸君が、今回の総選挙において取引高税の即時撤廃をば、國民に公約して参つたのであります。しかるにかかわらず、その即時撤廃どころか、かえつて表面を糊塗するような程度の改正をもつてこの國会に臨んだという態度には、われわれは強く反省を促すとともに、この程度の取引高税の改正に対しましては、遺憾ながら賛成の意を表しかねるのであります。すべからく政府は國民に約束をいたしました公約に基き、さらに與党の民自党の諸君においてもその公約に基いて、断固即時撤廃すべきであるという事柄をわれわれは強く主張し、その責任を民自党の諸君に負つてもらいたいと考えるのであります。ことに取引高税のごときは先般主税局長の説明によると、日本の二十四年度における取引高の総額は九兆九千六百四十六億万円ある。ところが三万円の免税点のために、非課税は三兆三千八百九十億、從つて残る取引高税課税の対象取引高は六兆五千七百五十億円、そうすると本年ならば政府の予算の方に参りますが、もつと取引高税は取らるべきであるにかかわらず、そのうちのわずか七〇%とか八〇%しか税金が取れないと、大藏省の責任ある局長が言明しておる。すなわちこれを計算いたしますと、政府自体が一兆三千百六十億円の取引高に関する脱税をあらかじめ認めておるというようなありさまであります。このようなずさんきわまつた取引高税、國家として根拠も持たず、非常にあいまいなずさんきわまつた形において予算を立てた取引高税に対して、この点から言いましても私どもは断固反対をいたさなければならないのであります。
 さらにまた租税に関する特別措置法におきましても、一例をあげますならば、なるほど法人の資金蓄積に便ならしめるという事柄がうたわれているのであります。その事柄は日本の現情において必要でないとは言わないのでありますが、その額面額以上に発行されました資金を、ただ單に法人にだけ利益せしめる、その場合には免税をする、こういうことでありますが、私どもの立場から申し上げますならば、額面以上に株式が発行されるのは、法人の構成團体だけのおかげでは決してないのであります。その法人團体の株式が額面以上に賣れるということは、その法人の中に携つております労働者、職員の絶えざる努力によつてのみ、初めてそういう問題もできて來るのであろうとわれわれは考えているのであります。從つてもし額面以上に株式が賣れるような場合に対しましては、その額面以上に賣れた分の利益というものは、当然税金を拂うべきであると同時に、またそのうちの相当部分は労働者職員に分配してしかるべき性質のものであると思う。そういうことによつてのみ私どもはその法人に属する労働者、職員がさらに一段の努力を傾注し、生産の意欲を高めるゆえんではないかと思うのでありますが、政府はそのようなことを毛頭も考えておらない。そういうような立場においてのこの租税特別措置法に対しましては、われわれは残念ながら反対せざるを得ないのであります。
 さらにまた二十四年度の所得税の四月査定申告書の提出、及び第一期の納期の特令に関する法律、この問題につきましては冒頭に申し上げましたが、あえて私どもは反対ではございません。しかしながら政府の提出するこの法案の手続上、反対、賛成の分割ができないという実情にありますので、遺憾ながらわれわれはこれをもし一括して、反対をせざるを得ないという事柄になつておるのでありますが、その責任は私は政府の法案の提出にあると、強くこの際申し上げておきたいのであります。
 さらにまたガソリン税の問題でありますが、このガソリンに課税をするということに対してはあえて強い反対はございません。しかしその課税をする場合におきましても、今日の農業あるいは漁業あるいは乘合自動車のごときについて、このガソリン税の増徴が相当大きな影響があるということは、言うまでもないのであります。少くとも政府はこのような課税をいたしまする場合に、この逼迫いたしておりまするところの農漁業、あるいは一般國民の交通の足となるべきところの乘合自動車に対しましては、何らかの特別な措置を設けて、ことに農業、漁業等のごときに対するガソリンの使用に対しましては、軽減もしくは免除するという措置を講ずべきであつたのではなかろうかと、私どもは考えておるのでありますが、そういう措置を毛頭政府は考えられずして、この法案をあえて出したということに対しましては、われわれは反対をせざるを得ないのであります。要するに今回の法律の全体を考えてみますると、繰返して申し上げますが、政府は國民の経済の実態に目をおおいまして、最も必要なるところの税制の根本的な改正を断行せずして、むしろあとになつてもよろしいものを先に出して來たという感じが強いのであります。こういう考え方でありますることは、われわれは社会党といたしまして、同時にまた税金のために最も困難と苦痛を訴えておりまするところの、廣汎な國内の世論に背を向けたこの政府の態度に対しましては、われわれはその根本的な態度に全面的な反対の意を表明せなければならないのであります。
 以上がわが日本社産党の本案に対するところの反対の理由であります。
#8
○宮幡委員長代理 次は荒木萬壽夫君。
#9
○荒木委員 私は民主党野党派を代表いたしまして、残念ながら本法案に賛成するものでございます。
 先ほど川島君からも仰せになりましたように、全般的に見まして昭和二十四年度の七千億に上る予算との関連において考えました場合、民主自由党みずからも言つておられますが、なかんずく所得税の公平を期する意味において、軽減措置を講ずべかりしにかかわらず、いろいろと理由はあつたろうと思いますけれども、予算の趣旨と背馳するがごとき内容において税法が提案されましたことを、衷心より遺憾に思うのであります。それは主税局長からも御説明がありました通り、三千七百円ベースにおいて定まつておりますところの現行所得税法の各種の控除、あるいは税率というものは、賃金ベースが六千三百円にはね上りましたこと、さらに物價の高騰等を考え合せました場合に、特に下の方の所得者に対して非常に酷である。明らかに負担の限界を越えておるというがごとき状態を呈しておりますることそれ自身、全國民にかわりまして大いに糾彈すべき点であると思うのであります。ただしかしながら、ドツジ公使の來朝に関連いたしまして、九原則の実施上の一應の便宜として、全面的改正が今後に残されざるを得なかつた事情は、いささか了とする点もありまするので、來るべき機会において吉田内閣が税法の全面的檢討をされて、捲土重來、あらためて國会に提案されまする機会に万事を讓りたいと思うのであります。
 法人税の改正につきましては、プレミアムの留保に対して免税をしますることは、川島君からもお説がありましたけれども、他面現在の企業体は資本の蓄積が非常に困難になつておる。また一方資本の蓄積が、まずもつて日本経済の再建のために前提條件として必要である。そのことはまた同時に勤労者諸君の利益にも反映してくる意味合いにおいて、必要なことでありまするから、これに対して法人税の免税措置を講じましたことは、そういう見地から私は妥当であると考えるのであります。しかしながらさらに固定資産の再評價の問題も、焦眉の急を要する問題でありますが、これは先ほど申しましたように、全般的な税法の改正の時期に讓りましたことは了とはいたしまするものの、さしあたつて当面焦眉の急務でありますることにかんがみまして、残念なことであると思う次第であります。すべからく政府は來るべき機会におきまして、十分な考慮を拂つたその面に関する税法の改正を考えていただきたいと思うのであります。
 取引高税につきましては、租税理論から申し上げますれば、今度の改正は私はまさに改惡であると思うのであります。取引高税そのものの廃止ということにつきましては、今日すでに租税理論を離れて、國民感情にまで食込んだ問題になつているこの際におきまして、廃止するもまたやむなしという意味合いにおいて、廃止されることは異存はありませんけれども、いやしくもこれを存続しまする以上は、印紙制度の廃止が必ずしも取引高税本來の建前から言つて合理的でない。いたずらに從來以上に脱税を奬励するがごときかつこうになるおそれもあります。さらにまた月三万円以下の小取引事業者に対しまして、これを免税するということも、取引高税が本來間接税でありまする場合から行きまして、それ自身不合理であると思うのでございます。これを是認しまする意味は、余儀なく感情問題的に発展させられて來ておるということを考え合せまして、やむなく一應是認するという程度を出でないのでございます。さらに取引高税の適用される品目が減つて参りますることは、負担する側だけから見まするならば、それだけ減税であつてけつこうであるとも言えますけれども、しかしながら本來のこの取引高税が、やみ所得の追求ということを主題目として、創設せられたことを考え合せまするならば、かつまた取引高税が物品税と異り、わずかではあるけれども、あらゆる取引にかけて行く趣旨において、本來の面目を維持できる性質のものである限りは、必ずしも改善になつておらないということを、指摘せざるを得ないのでございます。繰返し申し上げるようでありますが、いずれにいたしましても、取引高税の今日置かれている感情問題的な地位に考えまして、今回の改正も一應遺憾ながら賛成せざるを得ないという考え方でございます。ただこれに関連いたしまして、民主自由党の諸君に特に申し上げたいと思いますことは、取引高税が廃止できるならば結果的にけつこうでありますけれども、廃止するために必要なるかわり財源についての眞劍なる、まじめなる檢討をなさずして、ただ口先だけ廃止するのだと言い続けておられまする状態は、まことに不謹愼千万であると思うのでありまして、取引高税の印紙納付にかかる税收入が、予定のごとき成績をあげないということそれ自身、私は、もし共産党の諸君が反税運動をやるからけしからんということが事実であるならば、それとは違つた角度からの一種の反税鬪爭的な結果を招來しておると思う。そのおかげで、今にやまるだろうと思つている事業者はついうつかりして、脱税する意思はないにしても、潜在的にそういう氣持がありまするために、その氣持の作用の結果として、ひどい更生決定を受けざるを得ない立場に置かれていることを考えるのであります、税の軽減はもとより私どもも同感ではありますが、いやしくも天下の公党が租税の軽減を口にしまする場合には、必ずそれが実行できるという眞劍なまじめな態度において、具体案を添えて主張すべきものと私は考えるのであります。來るべき機会には必ずや十分御檢討の結果の堅実なる財源を添えて廃止されることを、その意味においては歓迎するものであります。
 物品税の改正等につきましては、大体において改善せられた跡が顯著である意味合いにおきまして、賛意を表するものであります。ことに納税貯金制度が創設されますることは、九原則のもと租税負担が全面的に重からざるを得ないことは、是認できるのでございまして、そういう情勢下において納税貯金制度が取上げられましたことは、遅れたりといえどもまことにけつこうな制度と思うものでございます。
 次にガソリン税につきましては、先ほど社会党からも御指摘がありました通り、農漁業方面もしくは輸出産業関係の鉱工業につきましては、何らかの減免措置が考えられてしかるべしと思うのでございますが、そのことが考慮されていませんことは、せつかくのガソリン税に十分の考慮が拂われていない結果を藏していると、私は指摘したいのでありまして、これらのことは來るべき機会に再檢討を要するものと存ずるのであります。以上概略わが党の所見を申し上げまして、残念ながら賛成する次第でございます。
#10
○宮幡委員長代理 次は河田賢治君。
#11
○河田委員 私は、酒税法等の一部を改正する法律案及び揮発油税法案、この両案に対しまして、日本共産党を代表して、反対の意見を述べるものであります。
 本法案は、政府並びに民自党が、過ぐる総選挙におきまして、國民に対して公約しました、御承知の担税力が非常に今日では行き詰まつておる、これに対して國民の税負担を軽減する、こういう立場からこの税制改革が一應なされたものでありまして、この問題をわれわれはかかる観点において考えまするならば、この二つの法案はきわめて興味があるというだけでなく、現在の日本の國民生活ともきわめて重大な影響を持つ法案なのであります。ところが政府におきましては、この法案を提出するにあたりまして、特に租税の徴收を確保することを第一として、その他の税制全般にわたる改正、あるいは國民の租税負担の合理化、こういうことについてはこれから追つて再檢討する、こういう説明のもとに、この二つの法案が出されたのであります。從つて、ここにおきまして、政府並びに民自党が選挙におきまして公約したものは、すつかりたな上げされたと言つても過言ではないのであります。特に提案されましたこの二つの法案の性格は、明らかに國民の負担を増大させるという点にあるのであります。たとえば酒につきまして言えば、労務者用あるいは農村の供出報奬用、こういうものの削減がされております。政府委員によれば、大体二割削減するというお話でありましたし、また今度一般の家庭配給もこれによつて廃止されます。從來のわずかばかりの家庭配給が、比較的安いとは申せませんが、しかし今度の案よりもはるかに安い値で供給されておりました酒が停止される。またわずかばかりの酒の配給を、自分たちの主食やその他きわめて必要な家庭の生活のために、これを他に轉賣して家計のやりくりをする、こういう人たちが今日多数あるのであります。ところがこういう配給價格が停止されましてすべてが自由價格になり、しかも今度の値上げによりましても、たとえば四百八十円の配給酒が九百二十円、三百六十五円のしようちゆうが四百五十円、あるいはビールが、七十五円のものが百三十円というふうに、高價なものになりまして、結局國民全体から、これによつて昨年よりも百九十二億を増徴する。これが今日酒税法の改正に現われました政府のやり方なのであります。從つて、これよつて決して國民大衆の生活を安定させ、あるいは國民生活の税からの非常な負担を軽減さすというような公約は、こうもこの法案の中には盛られていないのであります。從つてこの点から考えましても、この法案の内容がいかに國民生活を圧迫するものであるかということが、明らかなのであります。
 またガソリン税にしましても、今度十割の課税をなしますが、政府は運賃に含まれるガソリンの課税率はきわめてわずかであるから、これが運賃などに大きな影響は來さないと申しておりますが、しかしながら鉄道にしましても、今日たくさん省営バスを持ち、そして鉄道と同様にこれらの國営自動車の運賃も改正されると思います。こういうふうにして、やはりこれらのガソリン税四十億というものは、國民大衆の生活にこれまた影響して、それだけ生活費の中に食い込んで來るということも明らかであります。
 もちろん、今度の改正法の中にも、われわれが多少でもその点だけでは賛成する点もあります。たとえば清涼飲料税を多少税率を下げるとか、あるいは物品税の中の若干の二、三の品物について下げるとか、こういうような点がありますけれども、しかし全般としましては今日のこの税法の二つの法案によります結果は、國民大衆の生活に大きな負担をかけるということは、全然間違いないのであります。特に、民自党の公約されましたところの取引高税の全廃、この問題につきまして、政府は今度ようやく三万円以下の取引高税に対しては、税金を課さないということになつております。また收入印紙を使うことを廃止して、そして煩瑣な手数を省くということになつております。しかしながら三万円以下ということに対しまして、たとえばこれを決定するものは、ほとんど今日の税務署の徴税方法によりましては、税務署が一方的にきめることになる。また今度の改正法によりましても、月々取引高税の金額を申告しなければならない。万一申告しないならば、重い刑罰、すなわち五年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処するという法律があり、またその他のたくさんな法律がありますが、こういう重罰をもつて今日臨んでおるのであります。そして今日の税務署は、多くはこの罰金並びに懲役、こういうものを理由として過大な税金をかけて、もしも税金を納めないならば罰金を課す。罰金を課されるのがいやならば、われわれの査定しただけの額をよこせというような徴税方法を今日とつております。これは單に取引高税のみならず、すべての所得税においても大体同樣でありますが、ほとんど税務署の一方的な査定のもとにおいて、今日まで徴税が行われております。從つてこれがために、國民全体から今日税の徴收方法に対して、非常な怨嗟の声が揚がつております。これに対して盛んに、共産党が反税鬪爭をやるというようなことを、おつしやられる方もありまするが、私の知ります範囲においても、たとえば京都の宇治から伏見方面におきましても、民主自由党の方々もやはり納税相談所を設けられて、一つの共産党と同じような反税鬪爭などもやつておられるのでありまして、この点は別に共産党とか民自党とかいうのではなくして、今日の徴税方法のめちやくちやなやり方から、税務署のこういうやり方に対して、それが國民一般の怨嗟の的になつておるということは、これは明らかなのであります。從つて今日私たちの反税鬪爭と申しましても、全然これは税金を納めないとか、あるいは脱税をしろというようなことを言うのではなくして、われわれは適正なる税金を納める。いわゆる適正なる税額を納める。また天くだり的な課税に対して反対する。こういう立場から、適正なる方法による税金を決定する。そうして税務署と交渉する。あるいは交渉の立会いをする。こういう方法をもつてやつておるのでありまして、われわれ共産党は、決して反税鬪爭という名のつくべきものをやつておるのではないのでありまして、この点は実際に携わつておる人は十分承知しておるのでありまするが、とかく共産党に対して非常な惡宣傳を及ぼす方々は、常に共産党の反税鬪爭というものを見んにまきちらしておりますが、これは事実そうでないのであります。今日取引高税にしましても、こういう煩瑣な手数で、しかも思い刑罰をもつて、いわば威嚇的な方法をもつて徴税するということが行われておりまするから、今後におきましてもますますこのトラブルは起らざるを得ないと思うのであります。從つて私たち、今度の改正法案によりましても、國民生活の安定あるいはまた一般納税に対するいろいろな煩瑣なめんどうというものが、決して拔けていないということをここに断言し得るのであります。
 そこで、私たち特に今度の税制の改正に対しまして強調しなければならぬことは、政府及び民自党の公約たる課税負担の軽減という公約のたな上げであります。先ほど前尾委員からも話がありましたが、とにかく今日勤労者は、昨年の三千七百円ベースのときから、六千三百円ベースに名目的には賃金が上りましたけれども、勤労所得税の控除額というものは同じことになつております。從つて今日大体二割から二割五分という多額な税金をとられております。單に多額であるばかりでなく、先ほどこの法案の中に盛られましたように、酒は上ります。運賃は上ります。郵便料金は上ります。先ほどは、主食も上げます。また地方税も今度は非常に増徴します。こうして生活の面においてはますます苦しい生活をする。しかも多額の税をとりながら、全然負担を軽減しないという今日のやり方、これによつて勤労者の所得は実質上はますます低下して、苦しい生活に追込まれておるのであります。政府の報告によりましても、たとえば欧米の勤労者の所得税は一・五%内外ということでありまするが、いかに今日日本の勤労者の生活が、この税のために非常に大きな負担になつておるかということは、それは言うまでもないのであります。さらに日本の國民のほとんど四割近くを占めまするところの農民、あるいはその他の中小商工業者、これらの人々の所得税にしましても、御承知のように基礎控除額が一年にわずか一万五千円。これでは月千二百五十円で生活しろということを言つておるのであります。このようなきわめて低いところの基礎控除額によりましては、とうてい生活することができないのであります。從つて今日所得税の改正がない限りは、國民生活はますます苦しいことになる。また今日の徴税方法によつては、ますます税金問題においてトラブルが生ずるということは、これは論をまたないのであります。このようにして、今日一万五千円の基礎控除ということに対しましても、あちらこちらの中小商工業者の方々から、少くとも三十万円の基礎控除を認めろということを主張し、また勤労者にしましても、勤労所得税の撤廃を叫んでおります。前の免税額は、戰前におきましては大体千二百円ぐらいでありますから、大体三十万円ぐらいのところは、今日の物價騰貴の割合から見ますれば、大体同じになります。こういうように、今日國民大衆の間から、ほうはいとして所得税の軽減ということが問題になつております。ところが、政府はこれに対しまして、今度の法案の中には何ら所得税の問題に触れることなく、ほほかぶりをして公約を果しません。また民自党の諸君にしましても、この所得税の問題に対しては、この委員会にも現われましたごとく、單にまあ注文をつけるぐらいが関の山でありまして、何ら積極的にこの所得税の軽減に対し、公約を果していないのであります。特に政府は、今度の所得税の軽減の問題につきましても、來る五月にはアメリカからショープ博士が來て、博士の指導のもとに今後税制を改革するというようなことを言つております。これは明らかに日本の政府が、この税制においても自主性を放棄して、そうして一々外國の指導を仰がなければならぬというような態度になつておるのであります。吉田総理は、本会議におきまして、経済的な愛國心に訴えるということを言つておりましたけれども、しかしながら経済的な愛國心に訴えるということは、決して一々外國の指導を待ち、そうして自分みずからこの税制の改革をやらずして、國民の負担をますます重くする、こういうことではないと私たちは思うのであります。ところが今日政府におきましては、こういうふうにしてますます自主性を喪失し、そうして國民生活の破壞、民族産業の破壞、または民族の独立の破壞、こういう方向へどんどん行つております。こういう点につきまして、私たちはこの所得税の軽減をめぐりまして、少くとも自主的にこの法案に対しては、來るべき議会におきまして、われわれはこの日本政府みずからが自主的にこれをやる必要があると信ずるものであります。
 わが共産党は、今日労働者の勤労所得税の全廃、農民、中小商工業者の基礎控除三十万円というような大衆的な要求に対しては、あくまでも支持して、そうして一切の酒、たばこ、その他の間接税の撤廃あるいは取引高税、物品税、こういうもののすべての撤廃、そうして住民税あるいは直接税、こういう高率な累進課税を伴うところの一本課税にまとめて行く、こういう税制に対するわれわれの根本的な態度をもつて、そうしてこれらが財源としましては、今日のいわゆる巨大な買弁的な資本家に対するところの補給金の全廃、あるいは刑務所、警察、その他國民を彈圧するところのいろいろな経費の大幅な削減、これによつて財源を求めるという態度をわれわれは持つております。從つてこういう立場から、今日提案されましたこの二つの法案に対しまして、共産党は絶対に反対の意見を持つものであります。
#12
○宮幡委員長代理 以上をもつて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。右両案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#13
○宮幡委員長代理 起立多数。よつて揮発油税法案及び酒税法等の一部を改正する法律案の両案は、いずれも原案の通り可決いたしました。
 なお報告書の作成その他の件につきましては、委員長に御一任願います。
    ―――――――――――――
#14
○宮幡委員長代理 この際お諮りいたします。明日、政府の支拂い遅延に関しまする調査のために、本委員会に参考人を呼びまして、その意見を伺う予定でありましたが、御承知のように昨日の本会議におきまして、これがための特別委員会が設けられることになりましたので、特別委員会の設置を待ちまして、むしろ本委員会が指導的な立場におきまして調査目的を達成いたしたいと考えまして、明日の参考人の意見を聽取することはとりやめたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○宮幡委員長代理 それではさようにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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